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#1
第142回国会 国土・環境委員会 第14号
平成十年五月二十一日(木曜日)
   午前九時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十九日
    辞任         補欠選任
     坂野 重信君     下稲葉耕吉君
     荒木 清寛君     山本  保君
     高橋 令則君     泉  信也君
 五月二十日
    辞任         補欠選任
     清水 達雄君     鈴木 正孝君
     下稲葉耕吉君     景山俊太郎君
     山崎 正昭君     山本 一太君
     山本  保君     荒木 清寛君
     奥村 展三君     堂本 暁子君
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     鈴木 正孝君     清水 達雄君
     堂本 暁子君     水野 誠一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         関根 則之君
    理 事
                岩井 國臣君
                上野 公成君
                小川 勝也君
                福本 潤一君
                緒方 靖夫君
    委 員
                太田 豊秋君
                鴻池 祥肇君
                清水 達雄君
                鈴木 政二君
                永田 良雄君
                岡崎トミ子君
                菅野 久光君
                荒木 清寛君
                赤桐  操君
                泉  信也君
                水野 誠一君
                山崎  力君
   国務大臣
       建 設 大 臣  瓦   力君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  亀井 久興君
   政府委員
       国土庁計画・調
       整局長      河出 英治君
       国土庁土地局長  生田 長人君
       建設省都市局長  木下 博夫君
       建設省住宅局長  小川 忠男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        八島 秀雄君
   参考人
       日本経済新聞社
       論説委員・都市
       計画中央審議会
       委員       井上  繁君
       法制大学法学部
       教授       五十嵐敬喜君
       関東学院大学経
       済学部教授    岩澤 孝雄君
       千葉商科大学経
       済学部教授    伊藤 公一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○都市計画法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○都市再開発法及び都市開発資金の貸付けに関す
 る法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○国土利用計画法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○建築基準法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(関根則之君) ただいまから国土・環境委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る五月十九日、坂野重信吾及び高橋令則君が委員を辞任され、その補欠として下稲葉耕吉君及び泉信也君が選任されました。
 また、昨二十日、下稲葉耕吉君、山崎正昭君及び奥村展三君が委員を辞任され、その補欠として景山俊太郎君、山本一太君及び堂本暁子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(関根則之君) 都市計画法の一部を改正する法律案、都市再開発法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案及び国土利用計画法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。
 本日は、三案の審査のため、四名の参考人の方々から御意見を聴取することといたしております。
 参考人は、日本経済新聞社論説委員・都市計画中央審議会委員井上繁君、法政大学法学部教授五十嵐敬喜君、関東学院大学経済学部教授岩澤孝雄君及び千葉商科大学商経学部教授伊藤公一君でございます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様には、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。参考人の方々には忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 本日の会議の進め方について御説明いたします。
 まず、お一人十五分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 それでは、まず井上繁参考人にお願いをいたします。井上参考人。
#4
○参考人(井上繁君) 都市計画法の一部を改正する法律案等三つの法律案に関しまして意見を述べさせていただきます。
 お手元に極めて簡単なレジュメを用意いたしました。「中心市街地の空洞化と大型店」ということでまず初めに申し上げたいと思っております。
 この問題を論議しますと、とかく大型店対中小小売店というような対立の図式で物を考えることが一般に多いようでございますけれども、私はそれはちょっと硬直的な見方ではないかと実は考えております。
 つまり、例えば駅前に大型店があって、それが撤退したがために周辺の小売店も寂れてしまうというような例は全国各地にこれまでもあったわけでございます。これからの時代は、大型店と小売店が一緒になって地域をどう活性化するかというような戦略を立てていくことがむしろ大事なのではないか。そういう意味では、一種の地域間競争につながるような側面もあるのではないか、そんなふうに思っている次第でございます。
 それから、この今回のテーマに関しまして、とかく関係者の意見というものは政策に反映されるわけですけれども、一般消費者の意見というものはややともすると二次的になりがちではないか、実はこんな感想を持っております。
 ただ、消費者と言いましてもいろんなことを考える人がいるわけでして、よい品をできるだけ安く手に入れたいと考えるのが一般的でありますけれども、これからの高齢社会等を考えますと、やはり遠くへ行かなくても身近なところで用が足せるということもまた大事な要素であろうと思います。
 ただ、その場合に、よく小売問題を議論するときに、最寄り品と買い回り品という分類がございます。身近なところで買うのが最寄り品で、生鮮食品とか背広とか電気製品とかを買い回り品と言うわけですけれども、最近はこの区別がなくなりつつあるのではないか。最寄り品であってもいい物を求めて幾つかの店を回ることもあるし、例えば紳士服を買う場合に、自分の愛用の店をつくっておいて、いわば決め打ちするような形で商品を購買することもあるわけで、最寄り品は近くで買って、買い回り品というのはやや遠くのところまで行くというような、こういう購買行動そのものも今変わりつつあるのではないかというふうに思うわけです。
 いずれにいたしましても、特に地方都市におきます中心市街地が疲弊をしている、いわゆる歯抜け商店街があちこちにできているということは事実でありまして、これを何とかしなければいけないということはやはり政治の大きな課題ではなかろうか、こんなふうに考えております。
 時間の関係で二番に移ります。「大規模小売店舗立地法の制定と、都市計画法改正の意義」ということで、三点ばかり申し上げたいと思います。
 これまでの商業活動調整協議会、商調協を中心とした大型店の進出の是非の議論は、地域の中における例えば大型店の位置づけというようなビジョンがなくて、大型店から申請が出てくるとその個別案件について是非を判断する、調整をするというようなことが中心だったわけですけれども、これからは都市計画の中でそれを位置づける、これは大変な前進であろうと私は評価しております。これが第一点であります。
 それから第二点は、法案全体を通じまして自治体の裁量の幅が大変広くなっております。つまり、今までは商調協等を中心として調整をしていたわけですけれども、これからは最終的には自治体がその是非の判断をする。もちろん、そこに商工団体の意見を聞くことはあるわけですけれども、自治体が判断をするということは、当然のことながら地方議会のチェックを受けることになるわけであります。地方議会は選挙で選ばれた方々、いわば住民の代表でありますから、ここのところは大事であろうと考えております。
 それから、この大型店進出の是非をめぐる議論で、これまでは閉店時間ですとか休日ですとか、いわば商業活動そのものについての調整が中心だったわけですけれども、これからは広い意味での環境について自治体が審査する、こういうことであります。これも大変な前進であろうというふうに考えております。
 特にきょう申し上げたいのは三番でありますので、時間の関係で三番に移らせていただきます。「注文」というふうに書いてありますけれども、ここでは三点ばかり申し上げようかと考えております。
 第一点は、法案を拝見しますと、運用主体が都道府県及び政令指定都市ということになっております。御承知のように、最も身近な基礎的自治体は市町村でございます。市町村は住民と最も接触しやすい立場にあるわけでして、地域の実情を一番よく知っているわけでございます。しかしながら、住民の行動半径が広がっているということも事実でありますし、大型店ができた場合のその影響も一自治体の区域を超えているということも一方事実でございます。しかしながら、今の法案では、とにかく都道府県、政令市に最終的な運営主体の権限を与えている。
 私は、これからの地方分権を考えた場合には、市町村に重点を置いた方がよりきめ細かい行政ができるのではないか、基本的にはそういうふうに考えております。しかしながら、先ほど申し上げましたような、それを原則としつつも例外的な場面というものは当然のことながら出てくるであろう、こんなふうに考えております。
 二つ目は、意思決定における住民参加、そして情報公開という問題でございます。
 先ほど二番の「都市計画法改正の意義」のところでちょっとお話しするのを忘れていたんですけれども、特別用途地区のメニューが改正案によりますとなくなりまして、自治体が自由に特別用途地区をみずからの意思と判断で指定することができると、こういうふうに書いてございます。自治体がみずからの意思と判断でできるということは大変大事なことでございまして、地方分権を進める上からでも大いにこの点は評価したいところでございます。
 この場合に、それを決めるに当たりまして、どういう地域をどういう特別用途地区に決めるのかといったことに関しまして、やはり徹底的に住民参加ということを進める必要があるのではないか。一口に住民と言いましてもいろいろな立場の方がおられるわけで、そういうさまざまな消費者、商工団体の関係者、そのほかさまざまな幅広い方々を含めて住民と言うわけですけれども、この住民の方々の意見をどう反映させていくのか、これは大事な課題であろうというふうに思っております。
 それから、それを決める場合に、こういうふうに決まったというその結論だけを住民に提示するのではなくして、その意思決定過程をも随時開示していく、こういう姿勢が大事ではないでしょうか。
 私、これまで世界の都市を七十か八十ぐらい回りまして首長の方々などと意見交換しておりますけれども、フランスのモンペリエで見聞したことなんですが、まだ最終的に決まっていない都市計画の案件をパンフレットにしまして、そしてそのパンフレットに担当の公務員の方の顔写真が入っているんです。まさに顔の見える行政なんですね。日本の行政ですと、例えば住民が何か言いたくても、結局一種の集団主義といいますか、役所の中のだれに言っていいかわからないというようなことがあるわけですけれども、どうぞ私に言ってくださいということで、何かポーズをつくったような顔写真が成っていて、電話番号とか住所等が載っている。そうしますと住民も意見を言いやすい。
 それから、モンペリエの新市街地の一番の目抜き通りのところに市役所の都市計画の展示コーナーのようなものができておりまして、そこへ行きますと、これからできる地下鉄の路線の計画であるとか都市計画の全体の計画がパネルとかさまざまな形で出ておりまして、それについて紙と鉛筆が用意してあって意見を言えるとか、そういう形にもなっております。
 日本での情報公開は、自治体は進んでおりますけれども国段階ではかなりおくれている部分があるわけですが、情報公開を具体化していくためには相当の工夫が必要ではないか、こんなふうに考えております。
 最後になりますが、三番目でございます。
 この問題は、広くこれからの町づくりのあり方ということで物を考えていく必要があるのではないかと思っております。これからの町づくり、つまり北海道から沖縄まで日本列島は広いわけですけれども、各地を歩いてみますと、首都圏、近畿圏あるいは福岡とか中核都市以外の地域では相当の地域の疲弊が目立っております。やはり、日本列島北から南までどこに住んでいてもそこに住んでいてよかったなと思えるような地域、つまりどこにいても人々が生き生きと暮らしている、そういう地域をつくることが基本的に大事であろう、この問題もそういう視点の中でとらえるべきではないかと、こういうふうに思っております。
 十八分になりましたのでこれで失礼いたします。
 どうもありがとうございました。
#5
○委員長(関根則之君) ありがとうございました。
 次に、五十嵐敬喜参考人にお願いをいたします。五十嵐参考人。
#6
○参考人(五十嵐敬喜君) 私の意見を申し上げたいと思います。
 今、井上参考人からも市町村を中心とする自治体が主役になることについてということを主に話されましたけれども、私もその観点から少し意見を述べさせていただきます。
 御承知のとおり、地方分権が言われておりまして、もうじき国会に地方分権推進計画というものが出されます。この問題もその中の一環として討議されると思いますが、実は地方分権推進計画以前に各種個別法で地方自治体に対する授権が徐々に進んでいるということに注目しまして、その観点から改めて今回の法案と同時に地方分権推進計画も眺めていただきたいということを申し上げたいということであります。
 第一番目に、一九九〇年代にいわば福祉行政に関する先取りがありまして、福祉八法に基づく福祉マスタープランというものの策定権限が自治体に与えられました。これがいわゆるマスタープラン行政の最初と言われるものであります。法的に細かく言いますと、いわば福祉行政に関する機関委任事務を団体委任事務に変えるということであります。地方分権推進計画ではこれは自治事務になりまして、より自治体の自由裁量性がふえていくという形になります。
 それから、今回の都市計画法改正の中に含まれております特別用途地区を含めまして実は一九九二年に都市計画法の抜本的改正がありまして、その際そこでも自治体に対しまして都市マスタープランをつくれということが法定されました。これが都市行政におけるマスタープラン行政の始まりであります。
 三番目は、一九九三年でありますけれども、農業経営基盤強化促進法による農業マスタープランというのがありまして、これは農業におけるマスタープランの策定が義務づけられたということであります。同じ年に環境基本法が改めて制定されまして、そこでも自治体に対して環境マスタープランの策定が義務づけられたということであります。
 今回、中心市街地活性化法によりまして商店街のマスタープランをつくれということが義務づけられたということであります。いわば自治体にとって非常に重要な要素、農業と都市、環境と福祉、そして商店街についてすべて自治体がマスタープランをつくることになったというのが今回の一九九〇年代以降の非常に大きな特徴であります。これは地方分権推進計画におけるよりもはるかに実は前進している部分でありまして、これをどう見たらいいかというのが大きな課題になるということであります。
 政府行政、中央政府における行政と自治体行政の違いを申し上げますと、政府の行政は、今言ったことに関しまして、例えば社会福祉でいきますと厚生、それから都市計画でいきますと建設、環境、農水、そして通産という形でばらばら行政でありますけれども、自治体から見ますとこれはすべて一体であります。大きい自治体はもちろん一部国の行政の縦割りシステムを受けまして個別になりますけれども、小さな市町村段階になりますと、これらを全部一本化してつくる、総合行政に転化するということです。
 つまり、商店街の育成方法も、片一方で農業をにらみながら、片一方で環境をにらみながら、片一方で福祉をにらみながら商店街の育成に関するマスタープランをつくるというふうにして一本化されるということであります。これを前提としてまず考えていきたいと思います。
 先ほど井上参考人からもお話がありましたけれども、先生方皆さん御承知のとおり、私自身も見てまいりましたけれども、商店街の疲弊というのは非常に極端に進んでいる。とりわけバブル以降、物すごい形で進行していて、とどまるところを知らずという感じであります。
 幾つかの原因がありまして、一般的に言いますと自治体における高齢化や過疎化というのがありますし、もう一つは今回の大きな話題であります大規模店の出店というのもございます。しかし、それを含めましてさらにもうちょっと幾つかの共摘要素があるというふうに私は思いました。
 これは幾つかレベルを分けてお話ししたいと思いますけれども、原則的に都市空間の問題がありまして、道路が非常に広いというのがあります。銀座など幾つかの日本の代表的な商店街を除きまして、一般的に言いますと道路の広い商店街は余り盛んではありません。むしろ道路は狭くした方がいいと思います。とりわけ道路空間の使い方が、例えばパリなどを見ていただくとわかりますけれども、テントを出したり、ベンチを出したり、いすを出したりして、単なる車が通過するというだけではなくて、ある種の劇場空間といいますか、そういう形で演出しておりまして、それが商店街の活性化に結びついているというふうにまず思います。
   〔委員長退席、理事上野公成君着席〕
 二番目は、これまでの都市の形成にかかわるわけですけれども、町の真ん中にどうも商店しかないという感じが非常に気になる。田舎になりますと一階が商店で二階が住宅でありますが、もうちょっとここに高齢化社会を先取りする形でいろんな施設を集める工夫をする必要がある。人を引きつける施設、とりわけ高齢者対策の施設、特養ホーム、ショートステイ、リハビリ等の施設など、あるいはそれに関連するボランティアや役所の施設、さらに言いますとコミュニティーセンターや場合によったら大学の課外教室などもそこに集中したら非常に人が集まる空間になるだろう。今の商店街というのは、どうも商店ばかりが集中していて、人を集める吸引力に欠けてきているのではないかというふうに思います。
 三番目、これは日本の都市のどこにでも見られることでありまして、とりわけ地方都市に行けば行くほどそうでありますけれども、自動車が猛烈な勢いで席巻しておりまして、これが中心商店街を全部通過するという形になっております。いわば郊外における大規模出店、自動車社会というものを前提にしてつくられたある種の商店コンセプトということであります。これはそのままにしておきますといろんな意味で社会的にもひずみをもたらします。まず、車を使えない人たちにとってこれは凶器でありますし、何よりも公害の問題もありますし、町自身の空洞化でありますので、これをもう少しイメージを変えて、将来の都市を考える場合には車社会でない都市を考える必要があるということであります。
 世界の各都市を見ますと、最近非常に変わった現象が見られるようになりました。それは路面電車の復活ということであります。全世界の都市に路面電車が復活しておりまして、いわば自動車に頼らないで、しかも低公害で、しかも地下鉄などと比べますとはるかに安い、十分の一以下の値段だと思いますけれども。それから、身障者などに対しても車いすのまま乗り入れられるような路面電車がありまして、これなどを日本でもし配備するようなことがありましたら商店街のイメージもがらっと変わるだろうと私は思います。つまり、その路面電車の乗降地点に商店街の入り口などを設けると、今のコンセプトと全く違う都市空間ができて、商店街の流れは全く変わってくるのではないかというふうに私は思います。これを二十一世紀都市の姿として想定したい。
   〔理事上野公成君退席、委員長着席〕
 自治体のマスタープラン、先ほど言いましたいろんな要素が含まれた自治体のマスタープランで今の町づくりに挑戦してみようと仮に考えると、何が一体桎梏になってくるかということが今回の改正の一番大きい問題じゃないかと私は思うわけです。まず、最終的にいろんな要素は、どこでも、アメリカが特に中心でありますが、マスタープランにいろんなことが集約されまして、都市計画手法というのが非常に大きいんだろうと私は具体的には思います。
 先ほど井上参考人も言っておりましたとおり、いわば立地規制、商業調整よりは世界の潮流は商店街の活性化の都市計画手法ということが原則だと思います。ただ、日本の場合にはこれが非常にあいまいであります。なぜあいまいかといいますと、ヨーロッパやアメリカを含めまして、外国へ皆さん行ってみられるとわかりますし、現に事前に配られました産業構造審議会流通部会と中小企業政策審議会流通小委員会の合同会議の海外調査報告書というのを見ていただくとわかりますけれども、郊外には大規模スーパーはほとんどないということが紹介されております。それは明らかに都市計画によって立地規制しておりまして、むしろ都市の真ん中の方向に誘導するように、つまり対立する形に、協調して誘導するように都市計画を行っているということであります。
 多分、日本の商店街を活性化するにもそういう手法が必要だと思いますが、果たして今回の特別用途地域の都市計画手法でそれができるかということになりますと、これは完璧にできません。なぜできないかといいますと、単純に今回の特別用途地域は用途地域を前提として、それを補完する形で指定するという形になっておりますので、第一に用途地域の指定のないところ、つまり白地地域と調整区域に発動できませんし、特別用途地域の内部でもそれが使える部分は非常に限定されているということであります。できましたら、思い切って都市計画法の全面改正、つまり今回は用途地域はそのままにしまして非常にスペシャルなところ、部分的なところを動かそうということですけれども、基本的に都市計画区域及び市街化区域、調整区域、用途地域の指定のない地域という線引きや、用途地域そのものについてもっと自治体が自由に都市計画手法を活用できる方法を考えないと対抗できないだろうというのが第一点であります。
 第二点は、スーパーコントロール手法がありまして、これはアメリカやドイツやイギリスやフランスですべて異なるわけですけれども、いずれにしても建築確認とか開発許可という手法を使うということが前提になっております。
 日本の場合はこの建築確認や開発許可が非常に変形でありまして、後でもう一点つけ加えますけれども、いわば全体的なマスタープランに適合するように建築確認や開発許可を使うということが不十分であります。ほっておきますと、せっかくマスタープランをつくって、絵としては非常にいいんだけれども、現実は建築確認申請や開発許可が出されるとそれと全く違うもの、そのマスタープランに定めたものをぶち壊すようなものを確認せざるを得ないということが出てくるということであります。
 二番目は、先ほど言いましたように、道路を狭く使うあるいは新しい路面電車を導入するというときに、従来の建築基準法や道路法あるいは交通行政というのはそれぞれ欠点がございます。従来の考え方によりますと、近代都市計画あるいは近代建築の理論というのは、広い道路をつくる、広い広場をつくる、あるいは大きい建物をつくるということに関しては非常に適合的でありますけれども、むしろ狭い道を狭いなりに使うというようなことについてはやや消防やその他の観点からよくないものという発想でありましたので、広い方向についてはいろんな手段があるんですけれども、狭くつくるということについては必ずしもうまくいかない。それで、建築基準法や道路法などを全体として自治体の自主権限、つまり国が持っている非常に大きな権限のところに対して、狭く使う方法、あるいは交通は原則警察でありますけれども、それをもっと町づくりの観点から使う方法を考えなければいけないなというふうに私は思っております。これが第二点であります。第三点は、このマスタープランを実施する組織の問題であります。先ほど言いましたように、今はマスタープランばやりでありまして、いろんな行政が自治体におりておりますけれども、小さな町、市町村ぐらいになりますと、多分これは別々の課ではなくて町づくり課などに一本化されるだろうと思います。その一本化された上で実施しないととてもこの商店街の活性化はできませんので、一本化した上でおのおの、例えば福祉関係でいきますと保健所だとか、あるいは建設でいきますと地元の建設土木とか、あるいは農業の問題でいきますと農協など、いろいろなものをコーディネートしないと町づくりというのはうまくいきません。その際、コーディネーター、いわばタウンマネジャーというものが今回も出ているんですけれども、タウンマネジャーについてより一歩前進した組織論を考えられないかということであります。
 今回、国会でNPO法がつくられまして、市民の活動に対して法人格が与えられるようになりました。しかし、商店街を本当に活性化するためにある種組織をつくってやろうとすると、これは不十分であります。なぜ不十分かといいますと、NPOはお金を扱わなきゃいけません。それから、他人の権利や義務に対してタッチすることがあります。それから、大きな予算も使います。つまり、ある種の営利団体としての特性も備えないととてもこの商店街の活性化はできません。ある場所では、商店街の敷地を全部そのNPO町づくり会社が借地権で借り上げまして、そこでNPOの名前で建物を建てまして、そのNPOの名前でそれを他人に貸すという形にして町づくり全体をしようということを試みられておりますけれども、今までのNPOの概念でいきますと、貸したり借りたりする、営業を行う、あるいは税金上の免除を受けるというようなことについては不十分でありまして、これも早急に解決する必要があるだろう。
 つまり、今回成立したNPO法に対して、もうちょっと営利活動もやってよろしいというようなところまで進めないとだめだ。多分、外国で成功している事例は、この町づくり会社が活躍しているところが非常に多くございまして、そこらではこれについてはみんな税制の特権を持つし、営利権を認められるということになっているはずであります。
 これらが差し当たり要望したいことでありますけれども、もう一つ、今国会に建築基準法の一部を改正する法律案というのが出されておりまして、その中にこの町づくりに関係する非常に重要な論点が含まれております。
 それは、従来、建築主事という資格の人が建築確認をする場合に、すべて役所に持っていって役所の建築確認を受けて、竣工検査もそこで受けるというふうなシステムになっていたのを、ある種合理化といいますか、今の言葉で言いますと民営化といいますか、そういう形で、正式に言いますと、指定確認検査機関というものを設けまして、そこに一部建築確認業務をゆだねてもよろしいということが今国会に提案されております。一般的に言いますと、二、三千人の建築主事が百万件を超える建築確認申請をこなすわけですから、これ自体は非常にヘビーなことでありまして、民間委託そのものは結構だ、私自身はそれは否定いたしません。ただ、問題は、町づくりの観点からこれをどのように統一的に活用していくかということについてもう一工夫が必要だということであります。
 それはなぜかといいますと、自治体が町づくりマスタープランをつくりましたときに、それが実行力あるのは、建築確認や開発許可申請が出されたときに、その時点でそれぞれの自治体の持っているマスタープランに適合するようにいわばお願いし、行政指導し、場合によったらコントロールするということになっているということであります。
 これは世界じゅうどこでもありまして、この調査団が行きましたヨーロッパあるいは北米も行っておりますけれども、全部窓口のところでマスタープランへの適合審査をするということになっておりまして、審査しているわけです。これが民間機関にばらばらにされますと、マスタープランでやろうとしても、片一方で知らないところでいつの間にか確認がおりてきて、いきなりそのマスタープランと違う建物が出現する、あるいは開発が行われるということがありますので、これを建築主事そのものについて町づくり専門官という形に位置づけまして、非常に機械的な、メカニックな確認業務は民間委託する、しかしこれを全体として従来の建築主事は町づくりの専門官として調整を図る、とりわけマスタープランとの適合性について調整を図るということを今回の改正案の中にぜひ入れていただければというふうに思います。
 以上です。
#7
○委員長(関根則之君) ありがとうございました。
 次に、岩澤孝雄参考人にお願いいたします。岩澤参考人。
#8
○参考人(岩澤孝雄君) それでは、ただいまお二人の方からいろいろお話がありまして、かなり重複はしているんですが、それから、私は主として流通を専門にやっているものですから、都市計画の話は余り得意ではありませんので、主に流通の側から今度の大店法廃止の議論とこれに関連する施策についてふだん考えていることを申し述べたいというふうに思います。
 十五分というのはいかにも短い時間で、お手元に私の資料がお届けしてあると思いますが、私、商店街の問題というのは、実は昭和四十五年に商業近代化地域計画というのがスタートしまして、それ以来ずっとやっているんです。ですからもうかなりの時間がたつわけですけれども、出てくる問題は何ら変わっていないということなんです。ですから、この三十年くらいは、商店街はおかしいよ、おかしいよと言っていろいろやってきたんですが、実態はほとんど変わっていない。
 中小企業庁が商店街実態調査報告書というのを出しておるわけですけれども、これは昭和四十五年に、停滞ないし衰退ではない、繁栄しているという商店が三五%だったんです。ところが、ごく最近のやつだと九五%は衰退ないし停滞だと。しかも、これは単純な話ですが、紙に書いておきましたけれども、全小売業の七〇%程度は商店街に属している。そうすると、日本の全小売業の七〇%が衰退ないし停滞の状況にあるというのは大変な問題だということなんです。
 一番目の話に入りたいと思うんですが、まず、地域商業政策というものをどう考えるか。これは、昭和四十年代あるいは三十年代後半からいわゆる流通近代化行政というのが始まって、その中で流通に対してどういう思い入れがあったかというと、要するに効率化なんです。効率化というのは、その背景にどういう考え方があったかというと、大量生産、大量消費を支える大量流通の仕組み、そういう意味で効率化、こういう視点があったわけですが、どうもそれだけではだめだと。ですから、商店街が実際に衰退していくのは、大量流通、大量消費の仕組みをバックアップするような大型店が周辺部に出てきていることにいろんな問題が出ている。これは昭和四十五年当時から全く変わっていない。
 これからの流通、特に都市における流通あるいは都市の流通機能というのは、単に生産から消費への物資の流れだけの問題じゃなくて、静脈流通という言葉を使う方がいらっしゃいますが、もう一回戻ってくるということもこれから商店街の機能として考えなきゃいけないだろう。そういう意味で、(1)の「都市における生活基盤としての地域商業」というのは、これは単につくった物を消費に合わせて流通させるということ以外に、ここではAですね、そういった単なる買い物場所じゃないんだ、地域循環システムとして位置づける必要がある。
 それからもう一つは、セルフサービス、大量流通ではなくて、もうちょっと消費者の顔が見える、地域に密着した生産流通システムとして再構築する必要がある。そのときに、今お話しありましたように、地域の一次産業、二次産業、三次産業あるいは行政サービス、こういうものともうまくリンケージをとった商店街のあり方というものを改めて考え直す必要があるんじゃないか。
 四番目は、今お話しあったとおりでございます。例えば高齢者に対するサービスというのは、今商店街にいる人たちがやるのが一番いいんです。ですから、そういうようなチャンスをつくれるような仕組みというものをこれから考えていかなきゃいけないだろう。
 それから、最近の出店調整や店舗の出店について、交通問題、環境問題というのが非常に大きなテーマとして出てきているというのが実感です。ですから、こういうことも商店街の中に取り込んだ考え方をしなきゃいけないでしょう。
 それから二番目、中心商店街空洞化、なぜこういうことが起こるかということをちょっと申し上げたいと思うんです。
 つまり、こういう問題を解決しないと中心商店街の活性化というのは無理だということであります。中心市街地活性化法という法律がありますけれども、この法律を読んで私の印象は、ちょっと話が一ページに戻りますが、地域における商店街というのは、これは私はもう本当にそう思うんですが、商店街一個を取り上げてもだめなんです。商店街というのはある広域の中で一つのネットワークとして存在しているんです。ですから、地域の消費者というのは一つの商店街だけで買っているわけじゃないんです。必ず複数の商店街を利用しているんです。
 ですから、ここで言うこれからの商店街をどうするかという議論の中で、一つ一つの商店街を取り上げてもだめなんです。必ず商店街というのは商店街間競争と商店街間機能分担関係で成り立っているんです。この問題意識を商店街でなくしたら、全国どこへ行っても同じような商店街ができて、どこへ行っても同じ店で、例えば札幌にファクトリーというショッピングセンターができましたけれども、あそこに行ってびっくりしますね、銀座の商店街が並んでいるわけです。これは一体何なんだということです。
 そういう意味で、私が一番申し上げたいのは、地域の商店街の問題というのは、一つ一つを取り上げるのではなくて、ある広域の中でネットワークとしてとらえるということが重要だということを申し上げているんです。
 そういう視点から考えてみて、これは二ページの問題ですが、なぜ空洞化が起こってくるかというと、一つは都市計画と商業政策の調整の不備という問題があります。これはどういうことかというと、現在、商店街がいろいろ問題を抱えているのは、どうも都市間道路だとかバイパス周辺の商業、サービス業の集積なんです。これは、道路はつくるけれども周りはほったらかしていたんです。だから、出てきたい者は勝手に出てこいという格好で空洞化が進んでしまう。そういうことを考えると、例えば都市間道路なりバイパス道路をつくった場合に、それに対して都市計画側から何らかの規制が要るんじゃないか、こんな感じがいたします。
 それから、都市内生活道路の問題とかあるわけですが、私が一番これは不愉快に思っているんですが、市の段階で、例えば都市計画部門と商業部門の連携が非常に悪いんです。ですから、例えばある都市でもって駅裏の再開発プランをやっていました。これは市の仕事なんです。これをやっている間に都市計画部門が駅の表側の再開発事業を始めたんです。両方やったら絶対に商業は成り立たないんです。どっちかがおかしくなるんです。こういうのが平気で起こっちゃうんです。これは一体どうなっているんだということなんです。
 それから、今も五十嵐先生の方からお話がありましたが、住民参加方式というのは極めて重要です。私は巻き込みシステムというのを考えておりまして、この内容をお話しする時間はありませんが、要するに住民、商業者、それから研究機関、行政、こういう方々を巻き込んで一つの商業プランをきちんとしてつくっていくということだろうと思います。
 商店街が空洞化する要因というのは、それに「地域商業者の意欲の低下」というのがありますけれども、これはここの話題ではないと思いますので読むだけにいたします。
 ただ、この中でBの「「商店街の熟度」を高める」という、この「商店街の熟度」というのは、商店街が商店街活性化事業をいろいろやっていくわけですが、そういう活性化事業をやっていく経験が商店街に残らないんです。ですから、今もお話がありましたけれども、例えばタウンマネジャーみたいなものをつくっても、そこでの経験が残っていくような仕組みをつくらないとだめなんです。
 それから、三番目として「健全な都市商業への方向づけ」ということで、私が一番申し上げたいのは、先ほど言いましたけれども、商店街の適正配置というのを都市計画に落としていただきたい。これは先ほど申し上げましたが、商店街間の機能的補完関係というものをうまくデザインして、ある都市の中でどこに住んでいても同じような買い物チャンスが与えられるということが重要だろうと思うんです。確かに一般論として、適正配置というのは市場メカニズムに任せればいいんだということもあるんですが、これだとかなりのロスが発生するんじゃないかというふうに私は思います。
 そういうことで、商店街ないしは商業集積というのは中心地体系というものがあって、おおむねそういう体系をつくっているものです。ですから、そういう考え方を前提にせざるを得ないだろう。
 それから、適正配置というのは交通体系と密接に関係しております。ですから、都市計画の中で道路を勝手につくられると商業体系が狂ってしまうという可能性が出てきます。だから、今までの道路のつくり方がそういう配慮があったかどうかということをぜひお考えいただきたいというふうに思います。
 それで、三枚目の紙の「今回の政策転換への問題点」ということでちょっと私が感じたことを申し上げてみたいと思います。
 今もお話があったんですが、大規模小売店舗立地法というのは場所の規制、基準面積はどうも千平米超ぐらいで考えているようですが、都道府県が自由に設定できるとなると厳しい出店規制になりかねないという問題があるだろうと思います。この問題については、やはり地域エゴの調整機構というのが必要で、そのためにはこの調整機構の中に都市計画の視点から調整するんだということが明確になるような組織体制だとが委員構成に関する配慮というのがぜひとも必要だろうと思います。多分これは五十嵐先生が今言われたこととほとんど同じことだろうと思います。
 もう一つは、特別用途地区として中小小売店舗地区というものを設定するんだと。つまり、特別用途地区の中に中小小売店舗地区というものを用意して、それで大型店の出店規制を考えるということなんですが、どうも特別用途地区というのは広さが気になってしようがないんです。
 今、大型店の出店規制の話でよく出てくるのは、例えば右折してお店に入るという立地はよくないとか、それから店舗へのアクセスに住宅街を通過せざるを得ないような立地はよくないという、物すごく細かい話なんですね、大型店の立地というのは。そうすると、そういう細かい話がこの特別用途地区の指定だけでうまくいくかという問題なんです。この辺はいろいろな方にお聞きしているんですがわからないんです。ですから、この辺ぜひ御検討いただきたい。
 それから、中心市街地活性化法については、これも十分読んだわけじゃないんですが、読んでいると、特定商業集積法ができましたけれども、何かこれと中身が、違いがわからないところ、例えば特定商業集積法というのは、例の流通近代化ビジョンでハイマート構想というのができまして、これは郊外型の大型ショッピングセンターを想定しているわけです。その地域型というのは既にある商店街の活性化を想定しているわけですが、それが中心商店街とどういう関係になるのか、この辺がよくわからない。
 それから、中心市街地をこんなふうな感じというふうに定性的に定義しているんですが、一番の問題は、中心市街地を都市計画上のある場所と関連させないと、案外郊外型のショッピングセンターが中心市街地という名のもとにできちゃう可能性もあるんじゃないかと思うんです。
 ですから、こんなあたり、都市計画上に中心市街地というものをきちんと位置づけるというふうな工夫がないと、例の特定商業集積法と区別がつかないよというようなことにもなりかねない。
 それから、タウンマネジメント機関というのが出てきているんですが、これも実は、私はこの町づくり会社というのは非常にいい仕組みだと思っていたわけです。中身を読んでみると、これとどう違うんだというものがあります。
 全体として申し上げたいのは、商店街に対する制度的な支援策というのは非常に豊富なんですが、これを活用する側から考えるとどれを選んだらいいかわからない。ですから、ちょうど私がネクタイを買うようなもので、品ぞろえは豊富なんだけれども選び方がわからない。これはありがたいのか迷惑なのかという話があるわけです。ですから、そういうことでそのあたりの制度的な整備というんですか、少し整理をしていただきたい、これを利用する商業者にとってわかりやすいような仕組みにもう一度洗い直していただきたい、こんなふうに思います。
 私はこれで終わります。
#9
○委員長(関根則之君) ありがとうございました。
 次に、伊藤公一参考人にお願いいたします。伊藤参考人。
#10
○参考人(伊藤公一君) 伊藤でございます。
 最後の者が時間的に割を食うおそれがあるんですが、十五分よりも多少協力的にはしょれるのではないかと思います。
 私は、流通政策の専門をやっておりまして、主に欧米の流通行政、これを研究しております。それの国際的な視点から見て、日本の流通行政なかんずく大店法廃止後あるいは廃止と関連させた三法案、これについて若干コメントをしたいと思います。
 まとまったレジュメを用意できませんでしたが、ちょうど私が「商工金融」という雑誌の六月号に、これは商工中金が出しておりますが、そこに巻頭言として書かされた原稿が私の言いたいエッセンスでございます。そのタイトルが「流通行政の転換」、しかし「「似て非なる」日本とイギリス」、こういうサブタイトルをつけている。
 流通行政というのは、ヨーロッパでは九〇年代に入りましてからかなり転換をいたしました。一口で申しますと、今までは特に大型店に対する規制というのは非常に緩やかであった。だから、郊外型の立地、郊外のショッピングセンター、こういうものがかなりヨーロッパで緩やかな規制しかなかった。ところが、九〇年代に入りますと非常に大型店に対する規制が威しくなってきた。これは、フランスのロワイエ法改正、それからこれから申し上げますイギリスの政策転換、ベルギーの九四年からの政策転換、代表的に三つの国で大きな転換をしました。それは何かと言いますと、規制を強めるということです。つまり、立地の規制を強めるということ、この方向にヨーロッパは動いております。アメリカも郊外型大型店の立地は旧来に比べますとかなり厳しくなってきた。これが国際的なトレンドだと言い切ってよろしいと思います。
 それと全く違った行き方をしようとしているのが日本でございます。これがまことに不思議でございます。立地上、大型店を規制していくということについてはヨーロッパではコンセンサスができ上がっております。アメリカでもかなりそういう状況。これがともすれば誤解されまして、日本に大店法があるのは、これは規制している、最もけしからぬ国であるというようなことをアメリカがおっしゃっているようでありますけれども、事、当のアメリカは都市計画法でかなり厳しく立地制限をして、さらに、よくウォールマートというような巨大なスーパーが、世界一の小売業がショッピングセンターを郊外につくろうとすると市議会が反対してこれをやめさせる、こういうような都市も幾つかアメリカで出てきているわけです。
 そのアメリカが、日本だけが大店法がある、非常に規制が厳しい、おかしい、こう言っているのはまことに解せないことであります。WTOに提訴するというようなことを言っておりますが、イギリスやフランスで関係者から聞きますと、アメリカからWTOで我が国の厳しくした大型店の規制に対して文句を言われたことは一度もない、アメリカがなぜ日本にクレームをつけるのか甚だわからないと。
 要するに一口で言いますと、アメリカは、自分のところは立地制限が厳しくなっている、それからアメリカ市場、大手資本はもう飽和状態、日本とそれからアジアへの進出をねらっているわけでございます。だから、流通外資というのはどっと出てくるというのが予想されるのでございます。日本が立地制限は極めて緩やかだ、これは出やすい、しかし邪魔になるのは大店法だ、大店法は経済的規制だ、経済的規制はやっている国はごく少ししかない、だから、これはいい、ちょうど批判するのにもってこいだということでアメリカは大店法を廃止せよということを言っているわけです。そのかわりに立地制限というのを日本で少し取り入れようという動きが出てきた、これが私の偽らざる感想でございます。
 これが第一段階でございまして、多くの国を比較することが時間的な関係でできませんので、最も最近大きな転換をして、日本の流通行政なかんずく大型店の立地あるいは都市計画法の一部改正とか、こういう点に非常に参考になるイギリスの例を申し上げて、御参考に供したいというわけでございます。
 イギリスは九〇年代に入りましてから厳しくなった。これはヨーロッパのトレンドと同じでございますが、あのサッチャー政権の八〇年代、非常に大型店の立地規制を緩めようとしました。サッチャーさんは規制緩和論者の筆頭でございまして、レーガン政権と同じようにさまざまな規制を解く。その一環として、都市計画法上大型店の立地制限を余りにも厳し過ぎるから緩やかにしようと、こう言ったわけです。
 ところが、その結果何だったかと言いますと、他の産業分野ではイギリスはおかげで規制緩和の結果非常に活況を呈しました。しかし、都市計画の上で言いますと、町は非常に寂れてしまった。郊外に大型店がどんどんできるようになって中心市街地が空洞化してしまう。日本の空き店舗率なんて比じゃございません。三〇%、四〇%という空き店舗ができておる。シェフィールドしかり、バーミンガムもしかり、主要な都市では町は荒廃している、犯罪も起こりやすい、こういう状況に立ち至った。
 ところで、九二年に折しもリオデジャネイロで地球環境会議というのがございました。御記憶だと思います。そこで主張されましたのは、地球環境を守っていこう、その一つは大気汚染、これをできる限り抑えていこう、そして持続可能性のある発展、サステーナブルディベロプメント。つまり、どういうことかと申しますと、これはいろいろなあいまいな概念で持続可能な開発という概念は使われておりますが、要するに都市環境と歴史遺産の永続性という概念が非常に強い。イギリスではそうでございます。だから、車を減らせ、市の中心街を荒廃させるな、これは両輪になっている。
 そのために何を確保すべきかというと、これは都市計画上厳しく小売り集積の配置を決めるべきである。時間的制約がありますから細かいことは言いません。イギリスは九六年から大幅な規制強化というものに転じたわけでございます。
 お手元にレジュメがあると思いますけれども、まず九六年に全体の都市計画の指針、これはプランニング・ポリシー一ガイダンスといいますが、その一番目です。いわゆる総論です。そこで三つの原則が出されました。
   〔委員長退席、理事岩井國臣君着席〕
 一つはサステーナブルディベロプメント、持続可能な開発だ。それから、二つ目はミックスドユース、つまりいろいろな用途を取りまぜてミックスドユース、土地の混合使用によって中心市街地を活性化していこう。住宅は住宅、商業は商業、こういうふうではない。三番目がデザインです。景観を保持しよう。
 その全体計画の中ではっきり大きな政策指針として出されたのがこのタウンセンター、中心市街地を維持し活性化する、これが基本方針として認められたわけです。
 それで、それを受けまして、大規模小売開発についての指針が九六年に政府から出されました。プランニング・ポリシー・ガイダンス、六番目です。十三番目が運輸でございます。一からずっとありまして、二番目が住宅、三番目はどこと。六番目が小売開発の指針でございます。これは手にしておりますけれども、この指針だけでもA4二十ページぐらい、非常に細かく指針が出ております。
 そこで、基本になる目的というのが、とにかく中心市街地の活性化を図るというのが第一番目です。
 それから、競争は制限するんじゃない、立地の限られたところで、つまり立地の限定されたところで競争はしなさい。あっちこっちばらばらにして競争するんじゃない、これは町を壊すから。町の中心部に大型店も出ていらっしゃい。そして、その中で商店街ともろに競争しなさい、これなんです。だから、競争を否定していることにはならない、これが二番目です。
 三番目は、なるべく車を使わせないような施設、開発にすべきである、こういうのがある。
 四つ目が、だれでもどんな人でも、車を使わない人でも高齢者でも身体に障害のある人でも、イージーにアクセスできる。ちょっとげたを履いて、向こうはげたは履きませんけれども、とことこっと出かけていって買い物ができる場所、これも確保しなきゃいけない。だから、イージーアクセス・フォー・エブリピープルなんです、どのような人でも。だから、車で行く人だけが便利な大型店、こういうものはむしろ、否定的とは言いませんが、これは一部の人だけの利便になる。そういう意味で郊外型をつくるということは、環境の面でも軍使用の面でも、それから一部の車使用ができる者だけの利便という意味で抑制的になったのでございます。
 それで、それに関して非常に注目されるところは、すべての開発、特に小売の大きいやつは全部許可が要るんです。これはすべて小売施設に限らずイギリスは許可です。しかし、原則は何といっても県、日本で言うと県です、向こうではカウンティーと言います。カウンティーを含めた大きな地域で、どこにどの地域に小売集積を持っていくべきか、五年後十年後にはどれぐらいの需要がふえそうかということを見計らって、日本で言うと一つの地域、四つの県ぐらい、ここでどういう小売集積の配置をすべきかというのをきちっと決めます。それを受けて県が、あそこに大きいのがあるならうちは小さい、これぐらいだ、これの配置を決めます、その下で市町村がじゃここはうちはこれぐらい、こういうふうにきちっと整合性ができている。
 中心部というのはやはり買い回り品を置かなきゃいけない。だから、郊外型ショッピングセンターで市の中心部に人が集まって買うような専門品やいわゆる高価な物、こういうものと競争するものは置かないという、要するにどういう物を売るかもきちっと決めて指針を出しています。
 それから、ロードサイド店はいけません。ディスカウントストアはいけません。なぜかというと、道路のわきに来る。これは市の中心部とは全然関係のないものだ、こういうものはいけません。しかもそこで消費財を売る、これは市の中心部と競争するからだめ。
 じゃ、どういうものが郊外へ出ていった場合に認められるかというと、一つは車で持ち運ばなきゃならないような重い物、これはよろしい、やむを得ない場合だと、こういう限定をしてしまう。あとの施設は第一に市の中心部にスーパーであろうとデパートであろうと来るべきだ。そこで競争する。やむを得ない、それでも土地がない場合はその第二段階の市内のどこかだ。それてもやむを得ないときは市の縁だ。一番最後が郊外だ。これはもう万やむを得ぬときに認める。すべての小売施設について、大型店についてこういう原則を持っております。これをシークエンシャルアプローチ、優先順位方式と申します。それがあって初めて市の中心部は市街地活性化はできるのでございます。イギリスの今中心市街地はどんどんよみがえりつつあります。日本の何分の一の予算でやっております。
 それは、関係者と話をしましたら、都市計画で立地を制限しなくて中心市街地活性化をどうやってやれるか、これが前提だとだれでも言っております。その国を挙げてのポリシー、これできちっと政策を立てて、地方、それから県、市町村、こういうレベルできっちりした方針を固めて、そして中心市街地の活性化に取り組んでいる。ですから、非常によみがえって見違えるようになりました。
 日本はこういう中心市街地活性化法はありますけれども、どこかのまねをしたんだと思いますけれども、まねをしても、その枠組みがなかったらお金をつぎ込むだけだというような、商店街は目先のことを考える人が多いですからつかみ金ならいいだろうと思うけれども、これは長期的に何にもならないんです。やっぱり都市計画で枠をつくらなくては中心市街地活性化はできない。
 それから、環境問題と言っているんだけれども、徹底的にこれを商業の施設についても貫徹していかないと環境問題にはならない。こういうことがイギリスで言われておりまして、日本の実情を話しましたら、極めてこれは難しいな、日本のように余り都市計画がしっかりしていない国では仕方がないと非常に同情しておりましたが、うちがこんなに金をもらうならすごく市の中心部はよみがえるのになと、こう言っておりました。
 それでは、時間がございませんのでもう話をやめますけれども、外国の事例を御参考にしていただいて、ぜひとも都市計画の上でやはり規制をしていく。これは経済的規制ではないんです。ディレギュレーションに反することではないんです。規制はすべて悪いというわけではあり得ないということです。
 以上でございます。
#11
○理事(岩井國臣君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々からの意見聴取は終わりました。
 それでは、これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#12
○上野公成君 自由民主党の上野でありますけれども、きょうは御苦労さまでございます。
 私は、井上参考人に幾つかお尋ねをさせていただきたいと思います。
 まず、いろいろの中心市街地あるいは大店法の議論がありますけれども、きのう連合審査というのがありまして、うちの委員会と経済・産業委員会と共同で審査をしたわけです。
 そのときに、そちらにおられます山崎委員が言っておられたのですけれども、いろいろ言っているけれどもこういう経済状況では国全体のパイは大体もう決まっているんじゃないか。そのパイの中で、大型店といいますか郊外の方がどんどん大きくなっているわけであります。それから中心市街地の方というか既存の商店街の方は少し小さくなりつつあるわけでありますけれども、そのパイの問題が一緒だとすると、どうしてもこれは中心市街地の方の勢いを少しよくさせようというような、全体としてはということになるんじゃないかと思うんです。
 その辺の全体の消費のパイといいますか、中心市街地とそれからその外というのはどういうふうにやるべきか、はっきりもう中心市街地は中心だというふうに決めつけてやった方がいいかどうか。その辺のお考えを先生の先ほどの意見の前提としてちょっとお伺いしたいので、いかがでしょうか。
#13
○参考人(井上繁君) パイが一定であるかどうかというのはなかなかこれは難しいところだと思います。確かに今の景気の情勢からいきますと購買力が落ち込んでおりますけれども、ただ日本はかなりたんす預金もあるわけでして、それをいかにして吐き出させるかという、これはやはりその時代時代あるいは消費者のマインドによって変わってくるべきものであろうと思っております。
 それで、この商業機能の配置が中心市街地と郊外とどういうふうにあるべきかというのが今の御質問の趣旨だと思うわけでございますけれども、これは例えば東京の銀座みたいなところとか、あるいは同じ東京でも郊外部、地方都市、それからかなり中山間地域で人口の少ないところと、多様な都市の形態がございますので、今の先生の質問に日本全体としてこうあるべきじゃないかというようなことはちょっと申し上げにくいわけでございます。
#14
○上野公成君 確かに大変お答えしにくい質問をして申しわけないんですけれども、私がなぜそんなことを言ったかというと、中心市街地はパイはそんなに大きくないし、郊外の大型店というのは本当に便利ですから、みんな車社会であれしますから、なかなかそれに対抗するのは並大抵のことではできないんじゃないかという前提でちょっとお聞きしたわけです。
 たしか、今先生の言われた中にたんす貯金というようなことが出たわけでありますけれども、これは五十嵐参考人やほかの先生からも出たと思いますけれども、高齢者を市街地の中心部に呼び戻すというようなことじゃないかと思うんです。今まで公的な再開発というのは、今まで私も多少は関係してきたことあるんですけれども、住宅中心の再開発というのはかなりうまくいくんですけれども、商業が活性化するような再開発というのは机の上で考えた、あるいは頭の中で考えたとおりにはなかなかいかないんです。
 商業再開発で公的にかかわったもので本当に大成功だというのは私は余りないんじゃないかと思うんです。むしろ原宿なんかは、御承知のように前はああいう町じゃなかったわけですけれども、商業デザイナーみたいな人が、どこからか一つのおしゃれの店を始めたら、次の人がまねをしてということで、あっという間にああいう特色のある町といいますか、そういうものができ上がったわけでありまして、全体の状況が厳しい中で、相当なアイデアがないと本当に成功するということは難しいんじゃないかなということを考えるんです。
 先ほどから、高齢者の施設をあれするとか、お祭りとか、人が集まるようなものとかということはお話に出ているわけでありますけれども、どんなことをしたらそういうアイデアが結集できるようなことになるのか。また、これは公的に計画を立てたりしてやるわけですから、だれがその評価をできるか。つくってみて、やってみてだめだと、どなたかお話がありましたけれども、これじゃしようがないわけでありまして、どういうような評価をしたらいいか。
 ですから、どういうふうにアイデアを出すようにして、それをどういうふうに集積して、だれがその評価をしていくか、その辺のことがないと、法律の仕組みとしては仕組みですけれども、本当の意味で中心市街地が活性化するということにはなかなかつながらないんじゃないかと思いますけれども、御意見はいかがでしょうか。
#15
○参考人(井上繁君) 中心市街地の活性化は大変大事な問題だと考えております。
 それで、いわゆるハード面だけではなくして、上野先生御指摘のようにそれをどうコーディネートしていくか、運営していくかという問題がある意味ではハード以上に大事ではないか。
 そのためには、とにかく自分の仕事は忘れても、地域のため、商店街のために活性化に力を尽くそうというような、本当に気持ちの入った人材がどれほどその地域の中に出てくるか、この辺がやっぱり一つのかぎなのかなと。
 タウンマネジメントという考え方がありまして、例えばアメリカのデンバーなどでは、ひところやはり郊外型の店が多くなって、中心市街地が大変衰退した。それが今かなりまた盛り返しているわけですけれども、商店街関係者それからそこに土地を持っている地権者だけではなくして、そこで生活をしている住民もまたそこに、つまり株主として参加をしまして、そしてその地域の活性化に力を入れているというような事例もございます。
 コーディネートするのも、それからそれを評価するのも、やはりそこに住んでいる広い意味での住民の方々、この気持ちが一つになるということがやはり大事なのかなと、こんなふうに思っております。
#16
○上野公成君 同じことを岩澤先生に。
#17
○参考人(岩澤孝雄君) 先ほど私の紙で、二枚目のAのB、「ハード偏重の商街整備の限界。「商店街の熟度」を高める」。実は、この熟度というのが今おっしゃった概念でありまして、商店街の熟度が高いということは、その商店街がいろいろな活性化事業をやるわけですけれども、その活性化事業をうまくできる商店街、それから熟度が低いというのは、うまくできない商店街。
 それから、熟度ですから、高い、中くらい、低いというのがあって、それから活性化事業にも難しい、易しいというのがあって、熟度が低い商店街で難度の高い活性化事業は無理だ。例えば、再開発事業をやるんでも大体十年ぐらいかかるんです、発意してから。その間、大体週に一回ぐらい会議をやらないと再開発事業というのは実現できない。そうすると、それくらいの長期間、毎週一回ずつ商店街の方々が集まって、それを十年間継続するというのは物すごく大変なことなんです。
 ですから、仕組みができても、その仕組みをそうやって実際に動かしていく人たちがいないとどうにもならないということは事実です。ですから、先ほど私が申し上げましたように商店街の熟度というのは、レポートがありますので必要があればお届けいたしますけれども、この概念というのは私は物すごく重要だと思います。
#18
○上野公成君 今、両先生からお話がありましたように人が大事なんですね、再開発も。私は同和関係の再開発をやっていたんです。これは非常に圧力団体が多いんです。ですから、本当に喜んでやっているかどうかは別として、それが非常に力になって、それで進むんです。
 それから再開発も、商店街に本当に熱心な人がいますと、やはりそのことで進むんです。そうじゃないと、なかなか任意の相当の熱意のある人あるいは何かの外圧みたいな、外圧と言うとちょっと言い過ぎですけれども、そういうものがないと今お話がありましたように十年もかかるわけですから、なかなか進まないというのが大きなあれなんです。
 それで、先ほど地方分権というお話が出ました。私もこの委員会で、市町村長が今度はせっかくつくるわけですから、そういう制度ができたわけですから、県はもう口を出さなくていいじゃないかということを私の意見として申し上げたんです。県がつくるものを国も余り口を出さない方がいいんじゃないか。どうしても国に都市計画の権限として残すんだったら、国の権限として持っていて、調整は必要ですけれども、責任はもう国でやるか都道府県でやるか市町村でやるかということで、さっき井上参考人も言われたように、今度は市町村に権限がいくということを大変評価されたわけであります。
 そこで問題になるのは、本当に市に力があるか。市に力があるかというと、市の職員と県の職員とかということじゃなくて、今言われたように熱心な職員というのが育っていくような土壌というものが本当にその市町村にあるかどうか、それが一番の大きな決め手になるんじゃないかなというふうに思うわけであります。
 それともう一つ、先ほど株主というような話がありましたけれども、何かを決めても成功するかしないかというのは本当にわからないんです。やってみないとわからないというようなところがあるから、先ほどの株主というかお金を出した人が公社みたいなものをつくって、何か第三セクターをつくって、それが自分の仕事として損をするかしないかわからないというのでやるというのが一番いいのかもしれません。その辺で、市町村にこれから本当にそれだけの能力があるということが必要なわけですけれども、そのために何が必要かということです。
 それからもう一つ、こういう計画を認めて本当に成功するかどうかわからないものをやっていくわけですから、そのためにはうまくいかないと損をするとかという何か仕組みみたいなものがないとだめなんじゃないかと思うんです。
 時間がありませんので、井上参考人だけにお伺いします。
#19
○参考人(井上繁君) 上野先生の御質問の第一点は、市町村に能力があるや否や、こういうことに関連したお話だったわけでございます。
 私も現在の特に町村等の現状を見ておりますと、確かにそういう点で危惧しない面もないわけではないんですが、やはり自主的な市町村の合併というものも将来的には視野に入れなければいけないと考えております。
 特に、自治体における専門職員をどう確保していくかという問題がございます。その場合に、地方自治法の改正で三、四年前に広域連合という制度ができておりまして、これはかなり可能性を秘めたものだと考えております。特別地方公共団体ということで国や県から一定の権限の委任を受けることもできますし、一部事務組合よりは進んでおりますので、例えば利害の錯綜しがちな調整機能も自治体より広域連合の方にやってもらうというのは一つの方法ではないかと、こんなふうに考えております。
 以上でございます。
#20
○上野公成君 終わります。
#21
○岡崎トミ子君 きょうは、皆様、お忙しいところ都市計画法の参考人をお引き受けくださいましてお越しいただきましたことに感謝を申し上げます。
 私は、日本じゅうで商店街が疲弊をして力がなくなって元気がなくなっているという大変深刻な中で、従来の日本の都市計画制度、土地利用計画制度が本当に機能しなくなっているという問題認識を持ってこれまでの審議にもかかわってまいりました。きょう参考人の皆様方のお考えを伺って、ますます地方への権限と財源の移譲、そしてまた住民参加の必要性、このことが大変重要だということを勉強させていただきました。
   〔理事岩井國臣君退席、理事上野公成君着席〕
 まず最初に、伊藤参考人に伺います。
 日本とイギリスがともに最近流通行政の転換を行いましたけれども、その内実は似て非なるものだということでございました。イギリスでは、都市計画で大型店の立地の個別審査というものが中心市街地の維持活性化の政策の前提だということなんですけれども、この規制に対して国民、産業界のコンセンサスは得られているんでしょうか。
#22
○参考人(伊藤公一君) それでは、知っております限りでお答えをいたします。
 イギリスにおける実情をつまびらかにすることは私もちょっとできないんですが、九六年からこの規制を厳しくしてやった。これはもちろん政府の委員会で何回か討議をされて、そして公聴会へもかけられて、非常に密度の高い討議が行われてこのプランニング・ポリシー・ガイダンスが改定された、こういうふうに聞いております。
 そこで圧倒的にコンセンサスが得られた要因というのは、商店街とか中小小売という観念がほとんどないんです。つまり、町の中心部はこれではがたがただ、シビックプライド、市民としての誇り、市民としての帰属意識、アイデンティティー、この二つのためには、商店街はもちろんだけれどもほかの施設も、いろいろレジャー施設、公共施設それからレストランであるとか、人々がここへ集まってきて、食べ、飲み、芝居を見る、そういう楽しい場所、そして市民の中心的なシンボルというものにしたい、これについてはほとんど異論がなかった。
 その反面で、それでは規制される側の産業界、立地規制であるとか、これはもちろん激論が行われましたけれども、環境問題とその中心市街地ということに直面しますと、大手のスーパーの経営者たちも、やっぱりそのとおりだ、自分たちも中心市街地の活性化を図らなければいけない、それから郊外の大型ショッピングセンターは手控えなければいけない、こういうふうに言っております。イギリス第二のスーパー、テスコの重役に伺いましたら、私どもは市の中心部へ出てきて市の中心部の活性化に一番お役に立とうと思っていますということで、進んでお金を出しております。寄附を出しておりますしマネジャーも提供しております。それと同時に、郊外型というのは我々は控えるべきである、やはり環境問題を後ろに回したのでは国民から袋たたきに遭う、こういう表現なんです。
 そういうことで、私が聞いております限りでは、このコンセンサスは、イギリス国民は一応産業界も市民も非常に意識が高い。高いといいますかそういう意識が強い。八〇年代に余りにもやった反省なんです。反省を生かして新しい手を打っているということです。
 最後になりますけれども、結論といたしまして、コンセンサスはできているというのが関係者から聞いた限りでございます。私の印象もそうでございます。新聞等もそうでございます。
 以上でございます。
#23
○岡崎トミ子君 イギリスでは、市町村があらゆる開発の許可をとるということが資料にもございました。日本の市町村は権限が制限されております。例えば、条例で独自の取り組みをしようとすると政府は嫌がります。
 市町村の果たすべき役割ということについて、簡単に伊藤参考人にお願いします。
#24
○参考人(伊藤公一君) これは大変難しい御質問で、私は法律的な学者でありませんし、地方行政についても疎いので非常に素人的な感想しか持っておりませんで、むしろ五十嵐先生の方がお詳しいとは思います。
 あくまでもイギリスのことを言ってしまって申しわけございませんが、やはり市町村のレベルで都市計画をするというのが基本でございます。基本といいますのは、欧米ではもうこれは当たり前の常識であって、それが日本ではそうでないというところが異常であって、だから市町村に人的な能力もなかったわけです。ですから条例というものを、今の法律では聞くところによりますとこれとこれとこれに関する条例は出していい、こういう形。勝手なというか独自の条例をつくるということは非常に難しいと聞いております。だから、地方の都市計画、町づくりについての大幅な条例を設定する権限を、条例というもののあり方にさかのぼって国の方は変えていただいて、そして自由度を高めてやらねばいけないと思います。
 ただ、やはり広域の問題でございますから、先ほど岩澤参考人が言われましたように非常に広域の問題なので、市町村が独自に勝手に条例をつくると非常に問題があります。だから広域的な県あるいは数県にまたがった協議の上で、何らかのポリシー、それに基づいた条例、こういう段階でやるべきではないかと思っています。
 余りいい答えになりませんでしたけれども、御容赦ください。
#25
○岡崎トミ子君 次に、五十嵐参考人に伺います。
 きょうはマスタープランの重要性についてお話を下さいました。現状では日本のマスタープランは権利規約を伴わないので都市計画ではないというのが建設省の説明なんですが、マスタープランの意義、本来どういう役割を果たせるものなのかについてもう少し詳しく御説明ください。
#26
○参考人(五十嵐敬喜君) マスタープランの制度は、先ほど言いましたように都市計画では一九九二年の都市計画法改正によって導入されました。これは都市計画法の条文上、都市の基本方針という形で認められたものでありまして、従来の都市計画と比べますとこういう形になっています。
 マスタープランというのは目的を定める、それから用途地域や地区計画はそれを達成するための手段ということでありまして、両輪という位置づけてあります。もっと強く言いますと、いわばその自治体の持っている町づくりの憲法にマスタープランは当たりまして、それに用途地域とか今回提起されています特別用途地域などはその憲法を実現するための武器というふうに見たらいいのじゃないかと思います。せっかく導入しながら今もし建設省がそういうことを言っているとすれば、建設省の方の認識を改めてもらわなきゃ困るということだろうと思います。
#27
○岡崎トミ子君 日本の都市計画は甘過ぎるのではないかというふうに思いますが、財産権の制限について慎重になろうとしますとやたらに都市計画を厳しくできないという議論、反論はなかなか難しいというふうに思うんです。
 しかし、例えば現にヨーロッパでは町並みはもう整然としている、日本とは本当に違うというのは歴然なんですが、これはどういう考え方の違いがこの差にあらわれているとお考えでしょうか。
#28
○参考人(五十嵐敬喜君) 基本的に欧米と日本の都市計画の差を幾つか挙げます。その結果、財産権の制限になるのか財産権をより増すことになるのか、それを比べてみたらいいんじゃないかと思うんです。
 ヨーロッパやアメリカでは国が都市計画をやっているところはございません。日本だけであります。
 それから、ヨーロッパやアメリカは、原則的に都市については自由というものを少なくとも土地利用に関しては認めておりません。基本的に原則不自由でありまして、都市計画によってその土地利用が命を吹き込まれるという考え方であります。日本は原則全部自由でありまして、これを都市計画によって制限するという考え方になっております。
 三番目はその手法でありますけれども、日本の場合には建築確認や開発許可というものを使いまして非常にがちがちのメニューで都市計画をやっていくということです。ヨーロッパの場合にはその状況や地域や風土や文化に対応できるように柔軟になっているというのが基本的な差です。
 その結果、これを何十年続けてまいりますと、まさに今の日本の都市とヨーロッパの都市になってきておりまして、日本の都市の商店街、そこは本当は土地の有効高度利用が一番図られるべき土地でありますから、最も地価が市場経済の中でも高くならなきゃいけないところですけれども、これがほとんど見えなくなって、ヨーロッパやアメリカではそこは非常に有効利用されているということであります。
 つまり、財産権の制限をするから慎重であらねばならないというのは当然でありますけれども、その財産権をより豊かに生かすためにどっちの仕組みがいいかということが今全体的に問われておりまして、日本の劣化というのが明らかになってこの結果になったということだろうと思います。
#29
○岡崎トミ子君 先生は、人の集まる商店街の一つのイメージを示された上で、自治体がマスタープランを通してそれを実行しようとしてもそれはできない、こういうふうにおっしゃったんですが、なぜ現行法のもとでは自治体は自主性を発揮できないんでしょうか。
#30
○参考人(五十嵐敬喜君) 例えば地方の商店を歩きますと、私などは、一階が商店街で二階が住宅あるいは福祉施設あるいはボランティアの施設、あるいは大学のスクールなどがあるというふうなことがいいなと。多分一つのこれが中心商店街の活性化の切り札になるんじゃないかと思っております。
 その際、現行の制度の中でそれができるかどうかということが問題なんです。仮にマスタープランではそれは十分がけます。しかし、問題はそれと別個な、例えば商業ビルが一個ぽつんと計画のど真ん中に来たときに、これを阻む方法がないと
 もう一つは財源の問題でありまして、詳しく申し上げませんけれども、中心市街地活性化にかかわる財源というのは各省庁山ほど実はありまして、これをまとめて使うことが全然できないということです。だから、仮に一階を商店街、二階を福祉施設にしてこれを若干助成しようというときに、福祉の方については厚生省の何とか資金をもらわなきゃいけない、大学のスクールをつくろうと思うと文部省の何とか資金をもらわなきゃいけない、そのうち入り口が五つもあるような建物ができてしまうというようなことで奨励金も使えない。つまり、権限と財源が伴わないことが一番問題です。
 だから、マスタープランでかなり絵をかくところまでの地方分権というのは非常に進んだと私は思っているんですけれども、それに伴う財源や権限の手当てが非常に少ないものですから、結局絵をかいても意味がない。それで、幾ら都市計画、マスタープランをつくるといっても三千三百市町村のうち二百ぐらいしかつくっていないのは、つくることに意義が感じられないからです。
 今回の都市計画やその他一連の改正でもそれがますます見えないといいますか、言葉ではたくさんいろんなことに関しまして分権という言葉が出てきていますけれども、実際はそこを根本的に打破するものは何もないということになっているということであります。
#31
○岡崎トミ子君 岩澤参考人にお伺いしたいと思います。
 地域商業を高齢化社会に向けて、高齢者の生活支援サービスの分野にも今後の事業機会を見出す工夫が必要だ、こういう御主張でございましたが、例えばどういう工夫が考えられるか、行政はどういう後押しができるかについてお願いします。
#32
○参考人(岩澤孝雄君) ここはこれから考えなきゃいけない部分だろうと思うんです。
 例えば、商店街二カ所くらいで実際に私が聞いたお話をいたしますと、地域の高齢者のお宅の電話番号を商店街の方々がきちんとメモで持っていらして、これは商店街の組合の事務所でやっていたように思うんですが、お一人お一人、この方は食事を宅配しなきゃいけない人とか、この人は一日一回電話でいいからとにかく安否を気遣わなきゃいけない人とか、それからこの人は月に一回くらい生きているかどうかチェックすればいいとか、そういうふうに商店街の方々が自分の商店街に来るお客様の高齢者の名簿をそういう形で整理してサービスを提供しているというケースがあるんです。それと、あと私がおもしろいと思いましたのは、例えば病院の薬の処方を取りに行って、病院で薬をもらってお届けするとか、そういう細かい話というのはいっぱいあると思うんです。
 それから、ちょっとおもしろいと思いましたのは、ある商店街で、近郊の有機農業者と契約をいたしまして、そこでつくった農産物を商店街が仕入れまして、それを今度は地域の高齢者の方々に有機農法による食材を使った食事の宅配みたいなことをやるわけです。もちろん、食事まで加工しないまでも、例えば野菜なら野菜のままでお届けするというようなサービスもやっているわけです。それは今度は実際上は、いわゆる先ほどもお話が出ましたが、NPOということで、地域の大体四十代ぐらいの商店街のおかみさんたちがやったり、あるいは地域の商店街ではないむしろお客さんである主婦の方が協力されたり、そういうふうな動きは少しずつあるんです。問題は、ではそういう方々がまるっきりただでいいのかという話と、それから例えばパソコンを買うまでどうするのだとか、それからたまり場をどうつくるのだとかという話がどうしても出てくるわけです。それを商店街で負担しろというのは、やっぱりちょっと無理があるかなという気もするんです。
 ですから、そんなところに、例えば行政の一部の場所を貸してもらうとか、あるいは商店街で共同ビルをつくった中にNPOの方々がたむろできる場所なりあるいは施設なりそういうものを少し用意してあげるとか、そういうことがこれから商店街の一つの特徴づくりとして重要になってくるんじゃないか。それで商店街がもうかるとは思いませんけれども、それが地域に密着するということの意味じゃないかな、そんなふうに感じています。
#33
○岡崎トミ子君 時間が参りました。ありがとうございました。
#34
○福本潤一君 今回の参考人、さまざまな立場、また専門の中で御意見ありがとうございました。
 私の方からは、最初に五十嵐参考人に、今回の中心市街地を活性化しようという目的に対応して都市計画法も改正になるという中で、建設省、通産省中心に十一省庁まで参画していただいてかなり広範に対応しようとして、今回の改正が六法案にまで影響を及ぼしているということなんですが、参考人の御意見の中に縦割り行政の絡みでそれだけ十一省庁集まったのだから、普通だと目的に沿ったいい改正が行われるにもかかわらず、今回のあれはなかなか目的に沿った形にならないだろうという予測を述べていただきました。
 それで、そのさまざまなところで縦割り行政の弊害というのは今の日本の官僚組織の中にでき上がりつつあるわけです。そうしますと、都市計画改正ではありますが、中心市街地を活性化するときの、今回うまくいっていない、そういう行政の上での背景みたいなものを参考人の立場から若干お伺いさせていただければと思います。
#35
○参考人(五十嵐敬喜君) お答えいたします。
 今回の中心市街地活性化法における通産や建設や自治やその他もろもろの省庁の中身について検討させていただきました。
 例えば、建設で申し上げますと、中心市街地活性化法にどのように対処するかといいますと、区画整理の特例と都市再開発を行うということであります。従来の区画整理や都市再開発に若干プラスアルファをつけるわけですけれども、どういうイメージかといいますと、要するに区画整理というのは道が狭いから道路交通をよくするために道を広げるということであります。再開発はどういうことかと申しますと、敷地が狭いからこれを全部集めてビルを建てるということです。これが本当に役に立つ商店街というのが全国にあるかどうかということです。多分ほとんどないのだと私は思っているわけです。そのように、通産も自治も全部自分の持っている手法でその延長でトレンドで考えて、これを合体したのを中心市街地活性化法と言っているわけです。
 恐らくはその結果失敗したのであって、むしろその逆の発想をしなきゃいけないというふうに私は思うんです。つまり、先ほど言いましたようにビルは高くない方がいいんです。道路は狭い方がいいんです。そうでないところもあるかもしれませんけれども、一般的にはそうなんです。それは多様なんです。北海道の札幌ではこういう町づくりがあるし、沖縄ではこういう町づくりがあるし、東京の銀座ではこういう町づくりがある。それを自治体に任すといったときに縦割りの尾てい骨が全部法律について回ってきているのです。そこを修正する権限が果たしてあるのかどうかということなんです。
 したがって、私の言いたいことは、お金については一括財源として自治体に回すべきでありますし、マスタープランで定めたことを、これは突拍子もないことをやるということが心配なんでしょうけれども、現実には市民と議会が見ているわけですから、修正可能ですから、実験をさせるということまでやっていただきたい。
 もっと言えば、中心市街地活性化法こそ、かつて話題になりましたようにパイロット自治体という構想がありまして、一たん国のいろいろな機能を全部モラトリアムにして、ストップして自治体に一回やらせてみるという発想がありましたけれども、中心市街地の活性化法こそそのパイロット自治体のやり方を大胆に採用すべき分野ではないかというのが私の意見です。
#36
○福本潤一君 ありがとうございます。
 こういう十一省庁まで同じテーブルに着いて検討したということで、私も当初はかなり思い切った改革がなと思っていましたら、思ったほどではないなというのが現実の実感ではありまして、割と小さくまとまっちゃって、本当に影響を与える、また活性化の目的に沿えるかどうかというのが心配になりつつあるわけでございます。
 岩澤参考人の方に、今回流通の面からさまざまな御意見をいただきました。その中で、この法案の説明にもあったわけですが、点から今度は面に行くんだと、きのうも通産大臣はかなり張り切って言っていました。参考人の御意見を伺っていますと、点から面ではまだ不十分で、むしろネットワークだ、商店街関係のネットワークをきちっと考慮しないといけない。その中にも静脈関係の話が出ましたけれども、そういう意味では人間の生命体として考えると、動脈、静脈全部含めたネットワークで考えるところの発想がないままに縦割り行政の中での自分の縄張りも含めて考えているからではなかろうかということを伺いました。
 今回の法律の中で一つ、都市部門、今度は農村の部門も含めていきますと、日本全体で大都市圏では要するにドーナツ化現象で、これが私は十五年前まで東京にいましたが、まだ中心市街地は千代田、中央、文京ぐらいでしたけれども、今は墨田から足立区ぐらいの方までドーナツ化現象ということで、千葉県へという形でかなり進んでおるわけです。
 そういう意味では、今回の自民党の委員の方からの質問にもありましたけれども、人の問題だというような話も含めて、そういう中心市街地が不活性化するということがありましたけれども、むしろ人間の問題ですとまたここで審議する以上に地域の方々で大いにやっていただくとして、ここの場としては法律の面で審議したいということで、そういうネットワークが大事だという立場から今回中心市街地商店街を活性化するために述べていただいた面もあると思いますが、重複しても結構ですので、ぜひとも都市計画法の中でここをやはり少しきちっと正していかないといけないというところをお伺いいただければと思います。
#37
○参考人(岩澤孝雄君) 一つ、神奈川県の例を申し上げたいと思うんです。
 先ほど中心市街地をどう定義するかという話もありましたけれども、神奈川県を大体五百メーターのメッシュに切りまして、そこに住んでいる人がどこに買い物に行っているかという調査をやるんです。そうすると、大体中心地というのは横浜駅付近なんです。これはだれも否定できないです。その次に、先ほど私は説明しませんでしたけれども、例えば中心地体系というものを前提にすると、横浜を中心にして厚木だとか藤沢だとかあるいは横須賀だとか、こういうところがその次の中心性を持った中心地になるんです。今度はその周辺にもう一つ、中心性の低いという言い方をしますけれども、よりそれだけ最寄り性の大きいということになると思うんですが、そういう商業集積ができてくるわけです。そういうような商業集積の配置というのは、少なくとも神奈川県においては鉄道路線上にでき上がっているわけです。鉄道網の上にでき上がっているわけです。
 そうすると、例えば横須賀の商店街を活性化するというときに、横浜西口の商店街を無視して活性化プランはつくれないということです。ここのところが今の中心市街地活性化法では、例えば横須賀駅前の集積は絵が描いてあるんです。だけれども、これが果たして横浜駅西口と同じでいいのかとか、これが果たして上大岡と同じでいいのかという議論がやっぱり商店街の活性化ではどうしても必要なんです。
 もっと極端なことを言うと、例えば高知の中心商店街は再開発計画をつくるのが物すごく難しかった。なぜ難しいかというと、本四架橋ができて高知に住んでいる人が神戸、大阪まで買い物に行っちゃうんです。
   〔理事上野公成君退席、委員長着席〕
 実際に調べてみると、例えば年に三回や四回は神戸、大阪まで行っているんです。それは何しに行っているかというと買い物に行っているんです。それで年に三回か四回神戸、大阪でする買い物でどういう商品を買うか。それは年に三回か四回しか買わない商品なんです。例えばあなたはスーツを毎月一着ずつ買いますかという話なんです。それを今度は高知の中心商店街でそういう専門店をつくろうといったっておのずと限界があるわけです。要するにそういうことを申し上げたいんです。
#38
○福本潤一君 どうもありがとうございます。
 こういうネットワークのところの発想を法律文面で改正するときには、よくよく本気で全省庁、政府、内閣挙げて取り組まないといけないぐらいのテーマなのに、なかなか現実にはそこまで行けていないという現状はあろうかと思います。
 伊藤参考人に、イギリスの例で非常に日本との違いというものを明確に描いていただきました。
 そのときに、今回の法律改正は中心市街地活性化に伴って都市計画法も変えるという形で、若干不十分であるという御意見をいただいたわけでございます。しかも、日本では総額が一兆円の予算で、イギリスではわずかの予算で目的に沿った改正が行われた。都市計画の背景もあるかと思いますが、その中でイギリスの予算はどれぐらいだったのかということもわかれば教えていただいた上で、この中心市街地、特に地方都市へ行くと商店の経営すらも危うくなっている。今回の法律改正で、郊外型また自動車交通を使った大型店舗が来るということになると、国は改正したつもりだけれども地方は余り活性化しないという状況も生まれかねないので、例えば一たん今回の改正を見た上で、次にまた本格的に改正するならどうしたらこの中心市街地が活性化しそうかということも含めてお伺いいただければと思います。
#39
○参考人(伊藤公一君) 先生の最初のお尋ねですが、イギリスの場合、中心市街地活性化、この最大の問題は人ではなくて金なんだ、資金の問題とはっきり言っております。タウンセンターマネジメントの協会がまとめた資料を見ておりますと、約二百ぐらいのタウンセンターマネジメントの活性化をやっている自治体、これのうち日本円にして五千万円未満の自治体が約三分の一でございます。あとは非常に大きいところでも最大二億円を超えているところは一五%。ですから、その真ん中にあるのが要するに二億円から五千万までの間ということで、非常に自治体によってばらつきはありますけれども、ささやかなものでございます。
 公の資金がほとんど使えない、最初のスタートはそうだった。ですから民間の資金で始まった。それがだんだん地方自治体の協力を得るように努力した結果、次第次第に予算を獲得することができた。しかも、イギリス国内だけではなくて、ヨーロッパのユーロ資金まで導入している、こういうありさまでございます。
 ただし、官がお金を余り出さない。財政逼迫と言っている。民の寄附だと先ほどちょっと申し上げましたが、市の中心部に所在している大企業、銀行であるとか証券会社であるとか、こういうところが軒並み相当の資金を出している。ただし、それでも非常に不十分だということで、これが実情でございます。
 もう一つの先生の質問に、私もずばり答えることができないと思うんですけれども、今の中心市街地活性化法案、いろいろな問題があるんでございますが、まずそういう中心市街地活性化法の適用を受けた自治体は、やはりそこの中心市街地が活性化途上にある場合、非常に影響を与えるような大型店、これの配置は、国の法律かわかりませんけれども、これは考慮をするべきである、こういうことがあるんですが、ほかにはほとんど記述がございません。
 イギリスの例でございますが、この九六年に出されましたガイダンスは、大型施設を認める場合、近隣のあるいは中心部のタウンセンターといいますか、これが危機に陥らないというのが一つの重要な考慮条件です。だから、今何か新しいことをやりつつある、市として取り組みつつある場合には、それ以外のもの、それを考慮して許可する。こういうのがきっちり守られておりますが、日本ですとそういう枠がないまま行われるのではないかと思います。
 ですから、すべての中心市街地が活性化法案で資金が得られるとは思いませんが、そこのせっかくやっているところをめちゃめちゃにしてしまわないような法律的な手だて、地方自治体の条例でも国の法律でも講じないと、せっかくの中心市街地活性化への取り組みがむだになってしまうというのが、繰り返すようでございますけれども私の意見でございます。
#40
○福本潤一君 時間が来ましたので。
#41
○赤桐操君 伊藤参考人に一つ伺いたいと思いますけれども、先生の「欧米の都市計画法制と商業施設開発規制」という中で御紹介をいただいておりますが、「棲み分けのコントロール」の中でいろいろな各国の手法が出ているようであります。
 ドイツにおきましては地区詳細計画、Bプランで行われていると出ております。ドイツはFプラン、Bプランといろいろ大変丁寧な計画がつくられて、これに基づいて、しかも組織的に大変慎重な形で手がたく進められておるということを聞いているんです。私の認識はその程度でございますが、ここで先生のいろいろ解説がいただけるとするなら大変結構だと思いますので、お伺いいたしておきたいと思います。
#42
○参考人(伊藤公一君) ただいま意見を開陳されましたとおり、ドイツではもうきちっとFプラン、Bプランということで、地区詳細計画でその地区の建築のすべてあり方まで極めて厳しく制限をしております。
 これを小売施設について申し上げてみたいと思うんですけれども、御存じの場合が多いと思うんですが、小売施設の開発についてもきちっとガイドラインが出ておりまして、千二百平米を基準として、それを上回るものはすべて一定の決められたゾーンでしか建築できないようになっております。しかし、市の中心部はよろしい。しかし、それ以外のところでは特定の指定されたゾーンがございます。そこに閉じ込めるわけではないですが、そこに行けと、こういう方式が各都市でやられております。それで、それが一応千二百というふうなガイドラインが出ておりますが、地方の都市によってはもっと小さい面積のものまでそういうゾーンに閉じ込めているということでございます。閉じ込めるというのはおかしいんですが、市の中心部というのの概念が、これは市の中心部にある商業施設であるべきものというりがきちっと決まっております。大型店だからどこへ来てもいいと、ではスーパーが来ていいかというとスーパーはいけませんと、こういう形。専門店はよろしい、百貨店、デパートはよろしい、これは市の中心部にふさわしいものである、こういう形です。
 しかし、それではばかでかいものがいいかというと、これも建築基準法で、ここの中心部のこの地区はこれだけの建ぺい率、これだけのデザイン、これも厳しく規制されておりますから、やたら派手派手のスーパーが出てくる、あるいはディスカウントストアが出てくることはあり得ないことだ。特定のゾーンに誘導されるという形でございます。
 あくまでもそれは市の中心部のあるべき姿、こういうものの意識でございまして、競争というものはそこでは意識されない、中で大いに競争しなさい、こういう考え方。この面ではイギリスと共通しておりますが、ドイツの方がよりシビアでございます、より厳しゅうございます。
 こんなことで、長くなるといけませんが、一言だけ。閉店法などというのがドイツにございまして、ドイツではもう何時まで営業というのが決まっておりまして、やっとこの二、三年前に夜九時まで特定のところでやっていいというような法律に改正になりました。だから、大型店を含めて営業活動についても非常に厳しい規制をして、そして町づくりのために誘導しているわけです。規制というよりも、こういうタイプの店はこういうところ、だから町がきれいになる、外はそこだ、こういうタイプのものは出てよろしい、一定のゾーンだからよろしい、緑地帯や田園のところにはこれはだめである、こういう徹底した個別的な審査でやられているというのが実情でございます。
#43
○赤桐操君 大変恐縮ですが重ねてお伺いいたしたいと思います。大変すばらしいしっかりとしたプランで進められておるようでありますけれども、これをつくるまでの過程というのはどんなふうにしていくものですか、ドイツの場合は。
 あるいは、厳しいものであればあるほど実施がなかなか計画立案に至るまで大変なものだと思うんです。FプランからBプランまで大変よくつくられるようでありますが、それができ上がって実施に移るわけですけれども、つくるに当たって相当いろいろの問題があるんだろうと思うんですが、こういうことについてはおわかりになりますか。
#44
○参考人(伊藤公一君) ドイツの法律の作成のプロセスについては詳しくは存じ上げませんが、あくまでも聞いた話でございます。
 昨年ミュンヘン市のブーザーという運輸局長が参りまして、お話しをして、ある程度具体的にわかった範囲でしか申し上げられませんが、Fプランというのは連邦で大枠でできる、問題はその地区のBプランだ、これをつくるのは非常に年月がかかる。ですから、ミュンヘンでも郊外というのはなかなかBプランの作成ができない、だから全部まだカバーできないというところがある。しかし、そうかといって焦らないので、大体一地区でつくり上げるのに五年や十年は十分かかる。コンセンサスを非常にとってから、そこで市民の公聴会とかいうのが開かれる。そんなに長くかかってよろしいんですかと言ったら、いや、急がば回れで、コンセンサスが得られないでやると大きなトラブルが起こるから、十分に話し合った上で議会で決めていくんだということを言っておりました。それぐらいしか私は知識がございませんので。
#45
○赤桐操君 五十嵐先生に一つお伺いしておきたいと思うのでありますが、これはこの問題の本質の関係じゃないと思いますが、すべてプランを立てて都市づくりをしていくのには、土地の有効利用というものが根底にあると思うんです。今我が国におきましても土地の有効利用というものにつきまして、各党においても、あるいはまた政府・与党、野党においてもそれぞれの立場で検討しておるところでありまして、特にこの政府・与党の立場としては、一定の考え方を今提起しているところでございます。
 その中で問題になるのは、今までの状態を見ると土地は大変低廉化してきております。ダウンしてきております。私個人の考えでいけば、土地は本来もう少しダウンしていいんじゃないかというくらいまで考えております。困るのはいろいろ関係がありますので極端なことはできませんけれども、私は本来土地はもっと安定すべきものだ、そしてそう変動してはならないという考え方を私は根底に持っておりますので、有効利用のためということになると、いわゆる流動を激しくすることになると思うんです。もうからなければこれは売買をやれませんから、この土地が商品としてそこまで利用されていくということになると、またいろいろな問題が発生するだろう。かえってそれによって都市計画なりそうしたものが阻害されることになるであろう。公共投資も阻害されると、こう考えるんですが、この有効利用の問題をめぐりまして、先生のお考えがございましたらお伺いしておきたいと思います。
#46
○参考人(五十嵐敬喜君) 有効高度利用というものについて、バブル以前とバブル以降では完全に言葉の意味が違ったのではないか、また違うべきであるというふうに私は思います。
 バブルのとき、有効高度利用というのは、要するに都市の内部では容積率の緩和、それから都市外ではリゾート開発といいまして、とにかく土地に高いビルを建てる、あるいはホテルに使う。とにかく何か活性化するものに使うことを有効高度利用と言っておりました。しかし、そういうことがツケになりまして、全国的に今それが全滅しかかっております。中心商店街ももちろんそうでありますけれども、もう一つ重要なのはリゾートの失敗というのがたくさんありまして、あちこちで残骸をさらけ出しているというのが日本の今の状態であります。
 バブル崩壊以降、有効高度利用とは何かというのは、先ほど言いましたようにその地域によって有効高度利用の本当の中身が違うんだと私は思っています。つまり、福祉施設に使うことは有効かもしれないし、そこは森に復活することも有効かもしれません。場合によったらゴルフ場に使うことも有効高度利用かもしれない。つまり、有効高度利用というのは画一的ではないということです。その地域地域によって有効高度利用の概念が違うということをバブル崩壊以降は認識しなければいけないということです。
 この土地の流動化に関して今政策が山ほど出ておりますが、あれは全部画一的な発想でありまして、ことごとく壮大な空回りに私は思うし、日本の病気をもっと重くするだけじゃないかというふうに思います。今こそ、土地がある意味ではダウンして非常にいい時期になってきているわけですから、自治体が中心となってどういう都市をつくるか、その中で有効とは何か。場合によったら低度利用が有効かもしれないということを含めて、各自治体がやって、その結果落ちつくところがノーマルな土地の値段である。それは、場合によったらもうちょっと下がるかもしれないと私は思いますけれども、そのやった結果で決まってくるのが土地の値段であって、これを人工造出的に容積率を緩和したり、土地を債券化したり、税制をまけたりしながら流動化を図ろうとしても、そうはうまくいかないというのが私の意見です。
#47
○赤桐操君 ありがとうございました。終わります。
#48
○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。
 きょうは先生方、本当にありがとうございます。
 まず、伊藤参考人にお伺いいたしますけれども、中心市街地の活性化の方法、手法が欧米と日本とではまるで逆を行っているというお話がありました。規制を緩和するというそういう形が今回の法案だと思いますけれども、欧米では逆に規制を強めている。私はちょうど七〇年代、それから八〇年代、ヨーロッパで生活しておりまして、非常に今のお話は実感があるんです。例えば、イギリスのリバプールも本当に失業者がたくさんいて、今もたくさんいますけれども、それにもかかわらず以前には本当に中心市街地へ行ったら怖い、町を歩けない、そういうところだったのが、今見違えるようになっている。そういうことを実感いたしました。例えば、ほかのベルギーとかフランスでもやはり景気は大変、失業者は多い、それなのに町は商店街が守られている。それはどうしてかなということが非常に大きな関心だったわけですけれども、その点がなるほどなということでわかった気がいたしました。
 それで、先生のお話の中で、ヨーロッパと日本は大きく違うと思います。もちろんヨーロッパでも多様性があります。そうした中で、日本でやはり今大変な状況になっているわけですけれども、それをどういうふうにしてやれば生かせるのか、そういう経験を日本でこういう教訓として酌み取れるんじゃないかと、そういう点がありましたら述べていただけたらと思います。
#49
○参考人(伊藤公一君) これもなかなか御質問自身がかなり抽象的と言っては失礼ですが、非常に難しい答えにくいことでございます。
 私が最も強く感じておりますのは、日本の消費者あるいは市民というのは、自分たちが買い物の便利性が高まればいい、だから安くて品ぞろえが豊富で車で行ければそれでいいじゃないか、それ以外のことでこれを阻害するようなものというのはむしろ消費者利益に反する、こういう消費者というのが先頭に出てくると思うんです。
 ところがヨーロッパの人たちは、消費者はあくまでも消費をする場合の自分であって、それ以外の自分というのがむしろ大きい。だから市民生活ということでございます。ですから、多少買い物が不便であっても、そのそばに自分の生活の快適なものが損なわれるものはつくられては困る。それから、自分の住んでいる町に長くいつまでもいたい。とても景色もいい、歴史的なものもちゃんとある、そして閑静な住宅街もある、そして町の中心部へ行けばいろんな催し物や気のきいたレストランやショッピングが、会話が楽しめる、こういう意識が強い。だから、こういう意識が強いものですから、それに対して阻害をされるようなものに対してはかなり敏感に立ち上がる。そこがボランティアの団体が出てくる一つの要因だと思います。
 ですから、日本だと消費者であり同時に企業、会社の人間というのが頭を支配してばかりおりまして、会社へ行って帰ってきて、あるいは物を買う、これだけの場というふうに自分の場所を考えているのではないか、日本の場合。
 だから、ヨーロッパの人たちは、イギリスなんかは特にそうですが、会社から夜十時ぐらいに帰ってきてばたんきゅうで何もやらないと、こんなのは人間とは思えないわけです。日本人が夜八時、九時に電車に乗って帰ってくるというのは彼らにとっては異様でありまして、それで日曜日になったら寝ているというのはこれは異常である。つまり、帰ってきてそれから市民としていろんな運動に加わる、それから無償の奉仕もする、これでこそ人間というふうに見られる。市民としての満足感もあるし尊敬される。だから、こういう市民であり人間であるというところの価値観、これがヨーロッパと日本とは非常に違うと思います。
 やはり日本は本当にエコノミックアニマルである、まだこれが脱せられないので、次の世紀は少しアニマルでなくなるようなヒューマンな方に行くのが一番私としてはあるべきだなという感じはする。そういう脈絡で市の中心部というのはそういう意味で彼らは非常に強く意識します。
 これでお答えになるかどうかわかりませんが、一応私の感想でございます。
#50
○緒方靖夫君 なぜ中心市街地が寂れているのかという点で、これは多様な原因があると思うんです。ですから、単純にこれだということは言えないと思うんですけれども、しかし商店街を担っている方々が一番感じていることは、中小企業庁の調査でも、東京都の調査でも大体七割台がやはり量販店の進出ということを挙げている。これは事実なんです。
 それで私は思うんですけれども、今回、大店法を廃止する、そしてそれにかわる形で若干の都市計画法の手当てをするという形で今の寂れる状況をストップできるのか、その点効果があるのかということを非常に疑問に思うわけです。その点で伊藤先生のお考えを伺いたいと思います。
#51
○参考人(伊藤公一君) 前にも少し申し上げたかと思いますが、今のままの体制で政策的にもあるいは商店街としても商店街の衰退というトレンドを阻止することは非常に難しいと思います。都市計画法で、あるいは市街地活性化法ができますけれども、これは法律的、制度的にまず活性化させるには大穴だらけであるということが一つございます。
 それからもう一つは、商店街の側にも私はかなり、ちょっと言いにくいんですが、受け身的な意識が強過ぎる。だから、自分たちの手で何とかして、その後で公的資金を仰ぐ、こういう姿勢がないとは言いませんけれども、そういう商店街もありますけれども、どちらかというとそういう姿勢に欠けるような気がいたします。
 イギリスの場合は、では商店街は何をやったかといいますと、彼らは一応団結しておりますが、制度的枠組みがこういうふうになった、だから中心市街地の活性化というのはポリシーになったんだ、そこで競争は激しくなる、競争に勝てるだけの自分の特有の商売をやらなきゃいけない、だから大型店とは違う独自性を発揮してやる、それで競争に負ける商店街なら仕方がない、こういう意識で取り組んでいます。
 日本の場合だと、何か他力本願みたいな姿勢が非常にある。自分たちで何かやっていこうという気がない。それと何となく自分たちの将来、そういうことを見通しておりますので非常に暗い。不信感もあるんです、今まで何遍やってきたってよくならない、こういうものが根底に渦巻いている。だから、政策的な無力感と自分たちの商店街もまとまらないし、こういう無力感が支配しているということを痛感せざるを得ない。
 それから、このままずっといきますと、政策的にも穴がありますし、受ける主体側にもどれほど覚悟があるのか、ちょっと定かではないので余り明るい見通しはこのままでは持てないと思います。イギリスはよみがえったんですから、そこから何か学ぶ手を考える。受ける商店街にも相当犠牲を覚悟して臨まなければいけない。だから、政策的にはぴしっとした整合性と自分たちの努力と覚悟と、この両輪がないと活性化は無理であろうというふうに思います。その両輪が今ちょっと怪しいと私は思っているんです。
#52
○緒方靖夫君 五十嵐先生にお伺いしたいんですけれども、やはり直接町づくりに参画されているという立場から広い見識のお話が伺われたというふうに感じております。
 それで、例えば大型店が進出する、そうすると交通を一方通行に行きやすいように変えてしまうとか、そういう形がいろいろ出てきて環境問題から交通問題、いろんな問題が町づくりのあらゆることにかかわってくる、そういうことが起こるわけです。それでまた一方的に撤退して、その後どうするかということが起こったり、問題が複雑になるわけですけれども、そうした中で先生が直接手がけられている町づくりのさまざまな経験の中でそういう具体的な問題、交通、それから環境、これを今の現状でやはりどういうふうにしてより改善するのか。
 こういう短い時間の中で大変な質問をしてしまうわけですけれども、その辺でお考えを聞かせていただけたらと思っております。
#53
○参考人(五十嵐敬喜君) 一つの解答では不可能だと思います。しかし、「アシタ」という雑誌がありまして、うまくいっている商店街というのをずっと紹介しております。例えば、滋賀県彦根、徳島、高知市、それから広島県福山、大阪府堺、茨城県岩井、松江とか、それを見ますとそれぞれの置かれている条件をうまく使っているんです。広いところは広いなりに、狭いところは狭いなりにうまく使うということで、一律どうしたらいいかということは、画一的な解答はないと私は思います。問題は、うまく使うときのいろいろな状況をどうエネルギーを高めていくかというのはやっぱり計画が必要だと、それがマスタープランに結集するだろうというふうに私は思います。その際、交通規制についても、ここは通させないとかここは通させるとかいろんなことをその地域なりに決めていいんだろう。その権限やアイデアをマスタープランに結集したいということです。
 それから二番目に、ちょっと先ほどから気になっているのが、このまま行くと非常に暗いということは事実なんですけれども、少しまた明るい面もあって、これを積極的にマスタープランづくりや商店街の方も採用したらいいんじゃないかと思うことが一つありますので、それを紹介させてください。
 一つは、高齢化社会というのが地方ほど先取りされておりまして、これが暗い方に受け取られておりますけれども、実際は明るい面もあると私は思っているんです。それはなぜかといいますと、今まで会社人間だった人が定年退職あるいはリストラを受けまして町にいるようになってきた、町に対する滞留時間が非常に長いということです。
 これは、ゲートボールに今まで行っていたんですけれども、どうもゲートボールとカラオケだけでは処理し切れなくなってきて、やっぱり町づくりを本当に考えなきゃだめだ。つまり自分の死に方ということが、単に今までは特養ホームに行って病院に行くということだったんですけれども、楽しく死にたいというか安心して死にたいといいますか、そういうことがありまして、それは自分の家庭がまずあって両脇、近隣がどうあって町がどうあるかということを高齢者の方が考えるようになった。これは非常にどんどんたまってきまして、このパワーを結集したいというのが一つです。
 二番目は、大学で教えていますとまたいい方向で変わったことが目についてきます。大学にいますと、今は皆さん大抵一人っ子とか二人っ子でありまして、両親の介護をどうするかというのも今までのようにただ特養ホームに入れればいいとかでは済まなくなる、自分の年金すら危ないということをみんな学生は知っております。それからもう一つ、不況がありまして必ずしも自分の思ったような会社に行けない。どうしたらいいかというと、家を継ぎたいという子供がふえてきたということなんです。
 ある地方大学でありますけれども、パン屋さんの子供さんがいまして、本当は自分が一番やりたいのはイタリアに行ってバイオリンをつくりたいんだということを話したんだけれども、自分のおやじさんがパン屋をやっていまして、これを軽蔑していたんです、実は。早くそこから出たかったんだけれども、両親の老後のことを考えると自分しかいないものだからどうしてもそこを継がなきゃいかぬ。初めてパンづくりの可能性があるかということについて親子で対話をやった、初めて話した。
 親の方が言うのは、このままじゃ廃れる、絶対に食っていけない、だけれどももう一つ考えると楽しいこともあるかもしれない。それは、パン屋さんと八百屋さんと連結して町が活性化すると、それは可能性があるかもしれない。それから、そのほかに文化を担うとか福祉を担う。商店街の機能というのは物を売るだけじゃありませんで、端的に言うとお祭りなどは大抵みんな商店街がやっているわけでありまして、地方都市に行くと一番感ずるのは福祉的機能です。つまり、買い物に来たときにこの人は元気かどうか、この一言がかなり精神的にも生きる希望を与えている。それを全体でやる、パン屋を通じて町づくりにかかわれる、やることが山ほどある、だからぜひパン屋をやりたいとおやじさんに言ったというのがあります。こういう話が徐々にふえてきています。
 だから、高齢化社会とか少子化というのは必ずしも悪いことばかりじゃなくて、町に自分が生きるということをおのおのの立場で考えられる非常に大きな契機になっていって、このエネルギーを商店街の活性化を中心とするところに吸収し切れれば、もちろん制度の問題もいろいろありますけれども一つの原動力になるだろう。ここはどうも、学生はいないものだ、高齢化は邪魔といいますか余りお金も落とさないし邪魔なだけだと考えておりますが、逆転する仕掛けを設ければ活性化できる、町づくりにとって非常に大きなエネルギーになるんじゃないかというふうに思っております。
#54
○緒方靖夫君 最後に井上先生にお伺いしたいんです。
 先ほどモンペリエのパンフレットの話で、公務員の顔が見えるというお話がありました。私もそれは本当に大事な点だと思いますし、日本とヨーロッパとでは公務員に対する考え方、発想が違うということもあると思うんですけれども、先生が強調された住民参加とそれから情報公開ということで、やはり今すぐ現実的に一歩でも進めるということでできることとして、そういうことも非常に大事かなと思うんです。オランダとかベルギーなんかではかなりのところでそういう公務員の顔が見えるという感覚でやられておると思うんです。その点で先生のお考えを伺いたいと思います。
#55
○参考人(井上繁君) モンペリエの話はそれに尽きるわけです。一般に、例えば日本の地方自治体が発行しておりますさまざまな広報誌ですとかパンフレット等を拝見する機会も多いわけですけれども、まだやはり日本の行政というのは基本的に集団主義というか、そういうことだと思うんです。ところが、欧米の公務員の場合には、配置がえが余りなくてずっと専門の職業としてやっているというような場合があります。これはねどちらがいいか悪いかというのはなかなか一概に言えない部分があると思います。
 そういう中で、私が先ほど例にして強調したかったのは、いわゆる顔の見える行政です。つまり、日本ですとだれがこのことを決めたのか、だれに言ったらいいのかという場合に、非常に責任があいまいであるというような一種の稟議主義、経営で言えば一種の日本的経営になるわけですけれども、そういう組織風土の違いのようなものがあるように思うんです。そういう中で、なるたけ顔の見える方向に変わっていかないものかなと、こんなふうに考えるわけでございます。
 以上です。
#56
○緒方靖夫君 ありがとうございます。終わります。
#57
○泉信也君 自由党の泉信也でございます。本日はありがとうございました。明るい話、暗い話両方聞かせていただきまして、参考になりました。お聞きいたしておりまして、伊藤先生のイギリスの例もそうですが、国民性の違いみたいなものが何かあるのかなという思いをいたしました。
 五十嵐先生にまずお尋ねいたします。
 我々は車社会を迎えてある意味では大変いい、便利な社会になった、こういうふうに思っておりますが、中心市街地の問題に限って言えば、先ほど来広いところは広いなりに狭いところは狭いなりにという知恵を出すにいたしましても、どうもパチンコ屋と同じように駐車場を持った広いところでなきゃうまくいかない。しかも、最近は物を言わずに買い物をする、買う方も売る方も物を言わない。そういう性向が、日本人の本来の性格だとは思いませんけれども、非常に強まっておる中で、日本の活性化、中心市街地の活性化ということについてるる御説明をいただきました。何かアトラクティブなものを持ち込んでいくというようなことも御提言いただきました。
 人口の集積の度合いみたいなものから、小さな例えば五、六万、そして二十万、五十万というようなそういうオーダーの中ではどんなものが町づくりにポイントになるのか、商店街を活性化するためにはいろんなものが必要だという御提言もいただきましたけれども、どんなものが考えられるのか。
 例えば、私の町ですと、田舎の方ですと二万ぐらいの町でございまして、そういう町が三つぐらい連檐をして郡になっておる。商店街は寂れてしまって、車で一時間弱のところの近郊の中都市に吸収されてしまっておるというような状態なんです。そういうところを具体的に活性化させる何か先生のお考えがございましたら、まずお聞かせいただきたいと思います。
#58
○参考人(五十嵐敬喜君) 私の生まれたところもちょうど先生の生まれたところと似たようなところでありまして、そこで町長さんやら町議さんやら、あるいは私の中学時代の同級生などといろいろ話をします。だけれども決定的な特効薬はございません。一番大きいのは、そういう都市というのは第一次産業に依存するところが非常に多い都市でありまして、私のところは農業でありますけれども、この農業に自信がないと商店街どころじゃないんです。
 なぜかと言いますと、農業に自信がないということは後継者がいないということですから、それはどんなことをやったって後継者がいなければ商店街も農業も成り立つわけがないわけでありまして、やっぱりそれぞれの生活のところにプライドやら誇りやら希望がないと、非常に抽象的に言えば、中心商店街はうまくいかないと私は思っております。
 それから、大きい都市に行きますと、これも先ほどパイロット自治体みたいなのを考えたらどうかと言いましたけれども、自動車の持っているプラス、マイナスが総括される時代にいよいよ二十一世紀は入るんだろうと私は思います。便利ではありますけれども、あれは殺人の凶器でございますし公害源でもあるわけです。もっと言えば、高齢化社会にふさわしい乗り物かどうかやっぱり根底的に疑いがあるわけです。
 それで、変な言い方ですが、歩く都市が、多分五、六万とか十万ぐらいだとそうなってくるんだろう。先ほど言いましたように、非常にハイカラな路面電車というのが入っていまして、これがこうだろうと思います。それから、大きい都市になりましたら、中に車を入れないで、周辺部に車をやりまして、中には入らせないでどうやって考えていくかという社会になってくるんだろうと思います。
 これは急速にやってくると私は思っております。今までのようにのんびりとだらだらというんじゃなくて、急速に。なぜかというのは、高齢化社会が目の前ですから、そういう意味では必然的に都市計画もがらっと変えなきゃいかぬだろうというふうに思うわけです。
 そうすると、今審議されている法案と制度はやっぱりそういうものにほとんど合わないという感じがいたします。
#59
○泉信也君 ありがとうございました。
 こういう商店街の活性化、町づくりそのもの、いずれをとりましても、日本の場合は経済の論理みたいなものがかなり優先をしておるというふうに思うわけです。
 井上先生からお話がございました、大きな商店が栄える結果小さなものがつぶれる、これからは大小連携した中でやっていく知恵を出せ、ここに経済性の問題を抜きにしてということはなかなか難しいんではないか。それぞれの商売が独立して経営をしようというときに、競争というのは、先ほどイギリスでは競争されるというお話もございましたけれども、これを調和させると言うと言葉が余りにもきれいですが、どういう論理を展開すれば町づくりに商店街が寄与していけるような組み合わせができるんでしょうか。
 これはちょっと抽象的で恐縮ですけれども、お願いをいたします。
#60
○参考人(井上繁君) 流通の分野で昔からコバンザメ商法という言葉がございますけれども、要するに大型店の集客力などを利用して個店が生きていくという、それにはやはり大型店にはない専門性といいますか、そういうものを持たせることも必要だと思うわけでございます。それから、商店街自身も今の商店街のままでいいのかどうなのか。例えば、協業化であるとかあるいは品ぞろえ、そのほかやはり考えなければならない点は大いにあろうかと思うのでございます。
 それよりも何よりも、せっかくの機会ですので強調したいのは、もちろん職業に貴賤がないのはだれでも観念的にはわかっているわけでございますけれども、例えばドイツではマイスターという制度がありまして、決して学歴だけが大事ではない、中学を出てそれぞれの専門の技術を身につけるというような生き方もまた社会的に大きく評価されているわけでございます。
 そういうわけで、今商店街の後継者不足が大きな問題になってはおりますけれども、そういうことに関しても私たち日本人全体の意識を変えていかないと、後継者の問題、余り小手先だけではなかなか難しい面があるのではないか、そんなふうに感じております。
 以上でございます。
#61
○泉信也君 ありがとうございました。
 今マイスターのお話も聞かせていただきましたが、日本人の生き方そのものが町づくりの中にまで入ってくるかなと、ちょっときょうのテーマとは違うかと思います。そんな思いを今のお話で、それから先ほどの伊藤先生のお話でも、自分の町に誇りを持つためには私的な欲望と申しましょうか考え方、そういうものを抑えていくというそんな姿勢がないとなかなか町づくりはうまくいかないんじゃないか、それは法的規制でできるような代物でもないだろう、こういうふうに思うんです。
 大変私生活に関与することを嫌うようになってきておるというか、一番最初にお尋ねしましたように、会話のない地域社会ができ上がっていくというようなことについて、なぜこういうふうに日本の国民の思いが変わってきておるのか。先生はイギリス、フランス等の欧米の都市計画、町づくりのことを通じて何か日本人のあり方について御意見がございませんでしょうか。
#62
○参考人(伊藤公一君) 大変また難しい御質問を受けて、何とも難しいんですが、ただ意識が日本人とイギリス人と違うというだけの問題ではないと思います。
 一つは、例えば国土というものの利用ということについて、土地の私有は認めるけれども、その上の利用権はない、どんなものをつくるかというのはない。ですから、一九四五年にイギリスは土地の利用権をプライベート、私人から国へ奪ったんです。だから、自分たちの土地は言ってみると資産とは考えていません、もちろんオーナーはそう思っていますけれども。その上に何がつくれるかということでしか商売できないわけです。だから、まずは自分たちの町をどういうふうにしていいかというのが都市計画上で実現可能な仕組みが用意されているという点が制度的にも法制的にもあるということです。
 それから、自分たちの環境の問題というものに対する意識というのは、これはもう日本人の意識とは非常に違う、過密な日本、それからその過密を特に嫌う、こういうメンタリティーが養成されるところがあると思います。だから、社会的なあるいは教育史そのもののあり方から社会に対する問題意識とか、こういうものが相当日本とは違っているということで、あくまでも市民生活というものに非常に重きを置いてその市民生活というのは何なのかということをかなり学校で教育をやられている。だから、数学とか理科とかそんなものばかり追いかけていない、こういうことを私は痛感したわけです。
 イギリスの中学校を訪れまして、何をやっているかということを聞きましていろいろカリキュラムを見せていただきましたが、ホワット・イズ・タウンという授業があるんです、ホワット・イズ・シティーライフとか。彼らの教育自身からして、私は教育学者でございませんが、どうも発想が日本とは違う。こういう点から根底から違っているという気がしてなりませんし、制度的にも日本のような私有財産権、もうそれがにしきの御旗でやられているものじゃない。
 ですから、一様にはお答えできませんけれども、日本で急に外国のようなまねばかりしまして制度だけをもろもろ取り入れても、そこが本当のところでわかっていないというのはその根底的なところにあると思います。教育史から始まってすべてそういう点に帰着するような気がしてなりません。
 以上でございます。
#63
○泉信也君 岩澤先生、大変短い時間になりましたけれども、一つだけ。
 ノウハウを蓄積していくようなことを考えていかなきゃならないという御指摘がございました。成功した例を五十嵐先生から幾つか、成功したというか合うまくいっておる例も御紹介いただきましたけれども、そういう計画技術みたいなものも含めまして、どうやって蓄積あるいはそのノウハウを高めていくか、何か一言だけコメントいただけましたらお願いいたします。
#64
○参考人(岩澤孝雄君) アメリカ流に言いますと、それのマニュアルということだと思うんです。ですから、経験をマニュアル化するというのはすごく重要なことだと思うんです。ただ、先ほど言いました熟度というものをやってみると、一種の矛盾がありまして、例えばそういう一種の組織体、町づくり会社なりTMOなり、熟度を積んでうまくやって組織体も大きくなっていくと発想が保守的になっていくんです。これは組織の一種の宿命だと思うんです。
 そんなことで、では例えばそういう町の運営会社の事務長にだれを連れてくるか。そうすると、これは商店街は全国二百か三百だったと思うんですけれども、実際やってみると、例えば役人から事務局長というのはだめとか。一番元気がいいのはやっぱり大型小売業から出た人なんです。ところが、この人たちはある程度商店が大きくなっちゃうとだめだとか、いろいろありまして何とも言えません。ただ、要するに今言ったような経験が蓄積できるような仕組みをどうつくるかということが一番問題だと思うんです。
 それで、これはもう一つ、例えば地方自治体にかなり大きな都市でも商工担当というのは二人か三人しかいないんです。仮に三人いたとして一人が課長さんで、大体平均二年から三年でかわっちゃうんです。そうすると、多分市には商業行政を継続的に、あるいは一貫性を持ってできる仕組みはないんじゃないかと思います。ですから、先ほどの行政の中に専門職をどうつくるかというのは大変難しい問題だと思うんですが、商工をやっている方々というのは五時過ぎないと仕事にならないんです、商店主が集まるのが大体五時過ぎですから。ですから、大体毎日夜の仕事になっちゃうんです。非常に労働条件が厳しいんです、町の人は昼間は商売をやっていますから。そんなことで、かわいそうだからなかなか長くはそこに置けないみたいなところもあるんだろうと思うんです。
 ですから、考え方としていろんなことは考えられますけれども、そのあたりの実態をきちんととらえてその上で処方というやつを書かないと結局実効が出ないという感じがいたします。
#65
○泉信也君 ありがとうございました。
#66
○山崎力君 改革クラブの山崎でございます。
 今までずっと先生方の意見あるいは委員からの質問等に対するお答えを聞いてきまして、時間も短いものですから、質問は四参考人一括という形でさせていただいて、御感想を伺うという形にさせていただきたいと思います。
 その前提として、私の考え方、受け取り方なんですけれども、印象として非常に難しい問題である。特に、私もはっと思ったんですが、日本の国民性の問題も入ってきていますし、この問題に関して見れば、まさに日本人の土地に対する執着といいますか、これはもう戦前からずっと、我々が知っている範囲で言えば後藤新平の震災後の帝都復興計画、その時点からですし、それから近いところでは戦後の名古屋の都市計画。ということは逆に言えばほかのところはほとんど戦災復興計画自体、これは建設省が戦災復興史という大部の書籍を出しまして、それぞれの仕事で、どこが焼けた、どこが戦災になった、それをどうしたんだというような書籍を出したのを僕もどこかでかいま見た、今からもう二、三十年前の話だと思いますけれども。記憶にあるだけのそういったものがあったけれども結果として現状はなっている。それでモータリゼーションの進展。
 現実に私の地元のことをこの問題に関して見ても、財源の問題があるよ、これは解決できないでしょうと。一括して市町村にやってそれでいいのか。マスタープランというお話もありますけれども、いろいろな実態を見ると、自前でマスタープランができる地元の自治体がどの程度あるんだ。要するにコンサルタント会社に金を流すだけじゃないのという話もあるわけです。
 それから、もう一つ言えば、私がこの問題で一番難しいと思う問題は、確かにいいマスタープランをつくるためにはこれは地元参加、地元自治体が中心になった地元のやる気のある人たちの、しかもやる気のある人だけじゃなくて、周辺の商店主だけじゃない住民も含めた参加が必要である、それをやらないとうまくいかないと。おっしゃるとおりだと思うんですが、これは上からのと違いまして極めて時間のかかる作業だろうと思っております。時間を区切って半年とか一年とかでつくっちゃえというふうにはなかなかいかない問題だろう。としますと、今ここで問題となっている中心市街地の商店の歯抜けでもいいですしそういった問題点が、できたときにはもう御臨終というようなこともあり得る。それをやっていて時間的に間に合うんだろうかという問題も感じるわけです。
 それで、私の地元のところで言いますと、目端のきいた大商人はといいますと、中心市街地にある程度の規模の大規模店舗を構えていた、ところが駐車場その他がないので、あるいはほかのところが出てきたときに今ある規模では品ぞろえができない、そういった理由でそれを売り払いまして、というか閉店しまして、その金で郊外のショッピングセンター的なものをつくって生き延びた。そのかわり中心市街地はその部分のあれがなくなってという部分が、一つにとどまりませんで複数あります。もっと言えば、中心市街地の目端のきいた商店主は中心市街地はあきらめましてショッピングセンター的なところに自分の出店を構えることができるかできないかが生存可能かどうかの基礎になっている。
 そういった背景の中で、質問になりますけれども、今回の法律、私の感じでは反対する必要はない。だけれども、賛成してこれが可決されて制度化されても、いわゆる予算に見合うという表現が適当かどうかわかりませんけれども、そういった効果があるんだろうかないんだろうかという基本的な疑問があるわけでございます。もっとありていに言えば、既存商店街の香典とは失礼ですけれども退職金がわりに使われるんじゃないんだろうかという気持ち、これだけ金をやって知恵も出してやって制度をつくったんだからやれと。だけれども現実問題、先生方の話だと問題山積みで、まあ百あるうち幾つそれをうまくやってくれるかと。だめなところはだめでしょうがないと。だけれども、それを行政が見捨てたと言われると嫌だから、お金とあれをやって、これだけやったんだから皆さん退職金がわりだと思ってやってくださいよということにならないかという疑問を持っているんですが、その辺について四参考人から、そういう考え方はけしからぬのか、意外と的を射ているのかということをお聞きしたいと思います。
#67
○参考人(井上繁君) 山崎先生のお話、承りました。
 それで、やっぱり大事なことは、みずからがそこで頑張っていこうという自助努力の物の考え方ではないかと思っております。国の制度あるいは財源に頼るということはあくまでも従であって、主はやはりみずからの力をどう発揮していくかということではないかと考えております。
 先生が今途中で御指摘になったように、新法から旧法に切りかえるときに、これは下手をすると、うまいやり方をしないと一種の混乱のようなものが起きかねない。例えば、駆け込みのいろいろな事柄であるとか、それからどうしても都市計画の方でこれを考えていく場合に、時間的な要素が相当かかってくると思います。そこをどううまく軟着陸させるかというのが大事な課題であろうかと思っております。
 そうはいいましても、各地でいろいろ意見交換をする機会も多いんですけれども、市民一般の地域に対する参加意識というものは、徐々にではあるけれども盛り上がっているなと。それから、今回の関係法の改正も、もちろん一〇〇%ではないけれども、今のようなああいう大店法による規制よりはやはりよほどいいと私は評価しております。
 以上でございます。
#68
○参考人(五十嵐敬喜君) 町の真ん中がすっぽり死んだような状態になっているというのは、何かの病気だと思います。病気は病気なりにやっぱり原因があるわけでありまして、幾つかの原因は少しずつわかってきていると思うんです。
 それで問題は、それに対する薬とか治療方法についていろいろ悩ましいわけでありまして、先生がおっしゃるようなところも半分私もそういう気がいたします。
 ただ、国会は国会なりに、学者は学者なりに、市民は市民なりに、それぞれ病気に対して立ち向かわなきゃいけないわけです。今回の法案もその治療薬の一つとして出されているわけでありまして、重要なことは効くか効かないか、もっと効く薬はないか、これを点検していくということが必要だというふうに思います。日本の法制度全体を見ていきますと、一たんつくったらなかなか変えられないというのが日本の宿命みたいになっておりまして、これを土台にして、随時こういう委員会を時々開いていただいて、いろんな全国の国民の声を、あるいは外国人の方もいいんですけれども聞いていただいて、どこが誤っているかを絶えず点検していくということをどうぞこの問題についてはしていただいて、よりよい方向に持っていきたい。
 多分、日本国民全体として頑張れば、このままではなくて、どこかで立ち上がっていくだろうと私は期待しております。
#69
○参考人(岩澤孝雄君) 私も、今言われたことを一〇〇%否定はできないと思います。
 もう既に言われましたが、今回の大店法の廃止と都市計画法、これは何となくグローバルスタンダードに近づいたかなという印象を持っています。
 今度はこの中身がいいか悪いかという問題ですが、私は、立っている者は親でも使え、おいしいとこどりでいきましょうというのが率直なところです。
#70
○参考人(伊藤公一君) 先生がおっしゃいました、すぐに地方でそういう自治体で計画ができるか、こういう御意見で、コンサルを喜ばせるだけではないか。そのおそれは十分ありまして、市場の失敗を反省して計画をつくったんですが、今度は計画の失敗ということになりかねない、この問題が非常に重要だと一つは思います。
 それから、大規模小売店舗立地法、それから中心市街地、原案のままいけば私は本当に不十分で、中心市街地活性化には悲観的でございます。だから、先生がちょっとおっしゃいましたけれども、本当に生きているときの香典みたいな感じになりかねない。これをぜひとも活用しないといけないので、ここが一頑張り、もうちょっと制度的にもやっていただきたい、こういうふうに願っております。
#71
○山崎力君 いろいろニュアンスの違う、しかしある程度共通したお答えをいただいたと思います。
 非常にロマンチックに言えば、民家が消えていくことは残念だけれどもいたし方ない、建築の問題でいけば、そういった旧来の集落が。そういった面があるんですが、今度の新しい法体系の中で、結局最後に出てくるのは、日本の都市計画自体がもう惨たんたる経過をたどってきた。行政側は自分に十分な予算も与えられずに一般住民からの要望といいますか、それにこたえるのにきゅうきゅうとしてきて、その結果が今の日本の都市であり、そしてそれを動かしてきた経済が今度のバブルの崩壊以降、ますます分裂した車社会の中での新しい形態になってきて、そこのところで中心市街地の空洞化、要するに町の顔がなくなるという時代になってきているという認識はあるわけです。
 そういった中で、今回の一連の法改正が方向としては悪くない、ただ使い方が非常に難しい、これだけじゃちょっと最終的に効かないかもしらぬというような、そこのところを努力するのが我々国民あるいはそれぞれの立場の人間だろう。理屈はすべてそうだろうということで、私もそんなに違った感じは持っていないわけです。
 最後に、結局本当のところはどこへ行くかといえば、思い切った土地の利用制限といいますか土地の所有権制限、これは憲法の財産権にもかかわってきますし、もっと端的に言えば、バブルの反省として土地の移動だけでの金もうけはもう国民としてしちゃいかぬのじゃないかという気持ちで国民合意ができるかどうかというところに最終的にはこの問題はかかっていると思うんです。その辺について簡単で結構ですが、そうだからその方向に行くべきだ、それは無理だから別の方策を考えるべきだという考えを四参考人、一言ずつお答え願いたいと思います。それで私の質問を終わらせていただきます。
#72
○参考人(井上繁君) 土地について、これは大事な問題なわけですけれども、私は実はこんなふうに思っているんです。
 土地というものは寝かせておくものではない、やっぱりそれを活用しなければいけない、基本的にそう思うんです。ところが、今の例えば土地流動化の議論を聞いておりますと、土地というものは何か動かせばいい。動かすというのは有効活用するための一つの手段であって、それ自体は本来目的ではないと思うんです。ですから、私個人としては流動化という言葉にはやや賛成しかねるような面がございます。むしろそれを活用するということが大事なのである。
 以上です。
#73
○参考人(五十嵐敬喜君) 中心市街地の今の状態は、やっぱり都市計画の敗北だということを認識したらいいと私は思います。
 ぜひ今国会以降、この問題に先生方の御努力を得て、福祉と町づくりを合体したような、もっと言いますと、冒頭に申し上げましたいろんなマスタープランがもう環境も農業も都市も福祉も商店もみんな自治体に来ていますので、これを合体して自治体が独自に町づくりできるような新しい都市基本法の制定を準備し、御検討いただけるようにしていただきたいと思います。
#74
○参考人(岩澤孝雄君) 実際に中心商店街の再開発みたいなものをやるときに、一番ネックになるのが私権の問題なんです。具体的にどうしろということはよくわかりませんが、基本的には所有権と利用権は分割すべきだ。その方法にはいろんな方法があるだろうと思いますが、いずれにしても所有権と利用権あるいは活用権というんですか、これは分けないとどうにもならぬというふうには思います。
#75
○参考人(伊藤公一君) 非常に部分的なことを申し上げますが、イギリスでタウンセンター、中心市街地がよみがえったと申しましたが、よみがえりにくいところ、苦闘しているところがあります。そういうところに対して、イギリスはどういう指示を出しているかというと、何とコンパルソリーパーチャシブ、強制収用を活用すべし、こういうところで、実に日本では驚天動地でございますが、やはりこれぐらいやらないときちっとした都市計画はできないという一つの証左だと思います。
 私はこれはできると思いませんけれども、さすがにやろうと思うととことんまでやってしまうという気がいたしますので、日本はあちらを立ててこちらを立てて、こうやってやっていますと結局何もできない、こういうことになりがちだと思います。
 以上でございます。
#76
○山崎力君 どうもありがとうございました。
#77
○委員長(関根則之君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多用中のところ御出席を賜り、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。
   正午休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十分開会
#78
○委員長(関根則之君) ただいまから国土・環境委員会を再開いたします。
 都市計画法の一部を改正する法律案、都市再開発法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案及び国土利用計画法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#79
○岡崎トミ子君 日本じゅうで商店街の活気が失われております中、地方分権を推し進めて、それぞれの自治体が市民と一緒になって創意工夫をすることで商店街のよさを生かした町づくりをしていくことが大切になってきました。
 きょうは、午前中に参考人の皆さんの質疑がございまして、いよいよ最後ということになりました。まとめということですので、まず最初に、現行制度の運用の仕方について確認をしたいと思います。
 市街地では、店を閉めてしまったシャッター、そしてコンビニエンスストアというのが大変目立って、そして郊外には巨大スーパーが進出しているという図式が余りにも一般的な中、都市計画区域外において市町村が大型店舗の進出をコントロールするにはどういう方法があるのか、商店街の方たちは大変心配をしていらっしゃいます。瓦建設大臣も衆議院の答弁で、必要に応じて都市計画区域外の拡大を検討すべきとおっしゃっております。
 都市計画区域の拡大は、他の省庁の所管する土地利用に関する規則等の関係もあって必ずしも柔軟には行われていないのが現実と伺っておりますが、この機動的な制度運用が行われるように政府としても環境整備に努めていただきたいと思います。この点、いかがでしょうか。
#80
○政府委員(木下博夫君) 御質問は、法令上の要件を満たせばという条件だと思いますが、都市計画区域を柔軟に拡大することは可能かということで御質問を受けたわけでございます。御承知のように、都市計画区域そのものは法令上の要件を満たしておれば都道府県魚事が建設大臣の認可を得た上で指定することになっております。
 近年の状況を見ますと、先日来の御質疑でもいろんな御意見がございましたけれども、認識としては、これまでの都市計画法が新しく制定されてから三十年の歴史の中でモータリゼーションの大変急激な進展等がございまして、その中にあって住宅とか商業あるいは工業等各種の都市機能の立地が広域化しております。そういう状況をかんがみまして、お話のございました都市計画区域の外におきましてもこういう立地があれば、その際には都市計画区域の拡大ということも考えなきゃならないかと思います。
 ちょっと数字を申し上げますと、平成三年三月から平成八年までのデータがございますが、この五年間で都市計画区域は町村数で四十二、面積では三十万ヘクタール増加しておりまして、それぞれの公共団体がそういう状態をにらみながら都市計画区域の拡大等について検討した結果がこれになっているのだと理解しております。
#81
○岡崎トミ子君 都市計画法だけでは十分対処できないという問題に対して、自治体が取り組む場合の手段の一つは条例によるものだと思います。条例は、言うまでもなく住民の代表である議会の議決を経るもので重みのあるものだと思いますが、建設省は、自治体が条例によって国の定めた法律よりも厳しい水準を定めたり、あるいは国の法律がカバーしていない事項を規制することについて否定的だったというふうに指摘されております。
 必要に応じて都市計画区域の拡大をできるように環境整備をお願いしたいところではありますが、この法案の審議の間にたびたび指摘されましたように都市計画区域は十分に広くない、それを市町村の判断で拡大することも容易でないというのが現状のようなのです。そうした実情をかんがみまして、市町村がより広域的な成長管理をするためにも、市町村の条例による規制はあり得るという点について御確認を願いたいと思います。
 けさの伊藤参考人の中でも、市町村が中心的役割を果たすべき条例で積極的に政策を展開できるように条例のあり方を変えなくてはいけない、このような御意見もございました。御意見をお聞かせください。
#82
○政府委員(木下博夫君) 先ほど申し上げましたように、大臣の認可を得た上で都市計画区域の拡大をしておりますから、多少世間では、建設省が都市計画区域の拡大について云々という御判断があるやに聞こえます。最近の状況から申し上げますと、むしろ手続的にそういうふうになっていることはそのとおりでございますけれども、基本的には各公共団体のお考えを最大限私たちは尊重するスタンスでおります。これは念のために申し上げておかなきゃいけないことだと思います。
 そうした中で、お話がございましたように、区域の拡大が余り進んでいないんじゃなかろうか、あるいは成長管理というお言葉を使われましたけれども、私は現在の都市政策の課題といいますか認識は、先般来申し上げておりますように、むしろ既成市街地に既に投下されたそのストックを使っていく方向が大きな流れとしてあって、もちろん新たに開発するところもあろうかと思いますけれども、そういう姿勢の中で判断していくべきであろうと思います。
 お話のございました条例でございますが、誤解がないように申し上げますが、今回の都市計画法の改正の中に特別用途区域がございまして、これの中身についても実は条例で決めますので、時に御質問の中には条例、いろいろ御意見がありまして混乱も若干あったかと思います。まとめ的に申し上げますと、町づくり条例という都市計画区域に倣った条例をつくってはどうかという御趣旨での御質問にお答えしなければなりません。
 基本的にはその内容は大変に多様でございまして、一つは例えば町づくり方針を宣言するとか、あるいは環境保護を目的とするものとか、あるいは大規模開発の調整を行うものと、いろいろございます。これらは、それぞれの地域がよりよい町づくりを目指そうとする当該市町村の意欲のあらわれであろうと私たち認識しておりますので、開発傾向の増大する中でそれぞれ対応してきている、評価すべきところはあろうかと思っております。
 ただ、あえて申し上げるならば、都市計画の制度は、午前中の参考人の御質疑、いろいろございまして私も聞かせていただきましたが、基本的には我が国の制度として、権利の公平性とか平等性、そういう観点から、あるいは都市活動や経済活動の広域化、こういう要素を考え合わせるならば、今私たちのとるべき態度といたしましては、現在の全国一律のルールがまずあって、それに足らざるものについて検討するという姿勢ではなかろうかと思います。
 もちろん、個別の景観とか環境とか、そういう問題について個々の公共団体がいろいろ工夫なさることについて我々は否定するものではありませんが、あくまでも過去の判決、判例等を見ましても、この条例の扱いについてはケース・バイ・ケースで御判断いただきませんと、なかなか条例そのもので直ちによしあしという回答ができるようなテーマではなかろうと思います。その上で、都市計画制度ができるだけ柔軟に使われていく、そういうような姿勢というのは我々としても大いに支援していく姿勢ではあろうと思っております。
#83
○岡崎トミ子君 私は、市町村がそれぞれの実情に応じてこういう町づくりをしていきたいという明確な意志を示すものとして市町村マスタープランの重要性について繰り返し主張してまいりました。委員会の質疑の際に少し議論がすれ違ったかなというふうにも思っておりますので、確認をしたいと思います。
 都市計画区域が市街化区域と市街化調整区域に区分されておりますのは、無秩序な市街化を防止して計画的な市街化を図るためなのだから、もし市街化調整区域において地区計画を策定できるようにするのであれば、必ずあらかじめ市町村のマスタープランが定められていることを条件として、そのマスタープランに適合した地区計画のみ認めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
#84
○政府委員(木下博夫君) 多少、経過で申し上げますと、平成四年の都市計画改正からこのマスタープランというものが行われておるわけでございまして、私は、それぞれの市町村が地域の住民の合意をとりながら都市づくりの具体性のある将来ビジョンをつくるのにこの市町村マスタープランというのは役立っていると思っております。また、それがある面では都市計画の円滑な決定に資しているということも過去の状況から考えられると思います。
 何度か御説明いたしましたが、三百弱の公共団体でこのマスタープランをつくっております。県によって若干そういう意味では濃淡がございまして、普及しているところ、あるいはまだまだというところがあることも事実でございますが、その上で先般来のいろいろ調査を求めてみますと、そのほかに約八百を超える町村がもう既に策定の準備中あるいはまとめの段階にあるということでございますから、大いにこのマスタープラン策定活動というものを我々も側面的に応援していきたいと思っております。
 ただ、お話がございましたように現在の法体系で考えますと、地区計画を初めとする都市計画についてマスタープランがなければそれをつくるべきじゃないという御趣旨でございますが、もちろんマスタープランは法律的に規定されておりますので、先ほど来申し上げたように今後促進していくことはやぶさかではございません。ただ、状況からいいますと、そのほかに市町村には計画もございますし、地方自治法の世界での構想もあるわけでございますから、複数の計画ではなくてできるだけ統一化するという課題も含めてでございますが、そういうベースをつくることを横目で見ながらでありますけれども、あくまでも都市計画についてはマスタープランを前提としていなければ進まないというよりは、現実的対応としてはそれぞれの都市計画は都市計画として進めながらできるだけ早くマスタープランをまとめていただくという取り組みじゃなかろうかと思っております。
#85
○岡崎トミ子君 けさの参考人の五十嵐先生のお話でも、マスタープランというのは町づくりの憲法だ、そういう基本的な考え方だということについてもお話を伺っておりましたので、ぜひその辺の積極的なバックアップをお願いしたいというふうに思っております。
 ここで、都市再開発法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案についてもお尋ねしておきます。
 この法律は、やがては抜本的な見直しが必要になるだろうと考えております。この法律に基づいて行われる再開発事業は独立採算性が原則であります。高層化という開発によって新たに発生する床面積である保留床を施行者が販売することで再開発事業が成り立つこの仕組みは、一見合理的であります。しかし、この制度の落とし穴は、施行者が保留床を販売して少なくとも元を取ることを前提としていることであります。そのため、どうしても再開発事業は保留床に対する需要の高いところに集中するわけです。防災上の観点や住環境の質から再開発を必要としているところではなくて再開発をしやすいところに再開発事業が偏るこの仕組みを改めるためには、独立採算性を改めることも含めて抜本的な見直しが必要と思いますが、いかがでしょうか。
 また、新しい仕組みをつくるに当たっては、市町村の自主性に任せてアイデアを競わせることが望ましいと思いますが、いかがでしょうか。
#86
○政府委員(木下博夫君) お話のございましたように再開発事業は、基本的には土地の高度利用あるいは都市機能の更新、こういうものを図るということで、権利変換手法を用いまして建築物とかあるいは公共施設の整備を行うというルールでございます。
 お話にございましたように保留床の処分金やあるいは補助金というのを事業に要する費用に充てるわけでございますから、こういう最近のように右肩上がりの状況がだんだん減退いたしまして状況的にはなかなかそういうものに期待することが難しい状況になっているということは我々の認識も同じでございますし、またそこを何とか乗り越える手法はないのかということを我々も今悩み、あるいは試みておるわけでございます。
 そういう意味では大量の保留床を一気に処分するという手法はなかなか難しいと思いますが、私たちが今考えておりますのは、そういう意味では段階的な、かつ例えば住宅とかあるいは一方では公共公益施設整備等にその床を利用できないか。ただ、これは相対的な問題であろうと思いますが、商業系のそういう床利用よりは収益性とかいう点では劣ることも間違いないわけであります。ただ、そこの住民なり関係の方々が期待する施設として、やはり再開発事業に関連します施設としては今申し上げたような施設、もう一度申し上げますと福祉施設あるいは公益性施設、そういうものがあるということは我々の調査でもはっきりしております。
 できるだけこういうものが立地できるようなものはないかということで、このたびまたお願いしなきゃならないわけでありますが、十年度の補正予算の中でもいわゆる多目的空間を活用できないかということで補助金も新たにつくらせていただいたり、それから重ねて申し上げますと、関係省庁、いわゆる厚生省とか文部省とか労働省とかそういうところにも、それぞれ床を利用する、そういう需要もあるわけでございますから、それと再開発事業とのタイアップということも関係省庁で手を取り合ってやるべきテーマではなかろうかと思っております。
 それからもう一点、市町村の自主性をもう少し尊重すべきではなかろうかという御趣旨でございます。
 基本的には、私たちはかねて申し上げておりますように都市計画制度もそうでございますが、こういう事業を含めて自主性ということについては、それぞれ独自にお考えになって、より個性のある町づくりということにこういう再開発事業も使っていただくことは大いに結構でございます。ただ、再開発事業になりますと、いささか時間の問題、金の問題、ここら辺ではなかなか課題も多いわけでございますから、むしろ私たちとしてはそういう再開発事業のいい手法というものを活用していただくための応援という意味に限らせていただきまして、どういうものをつくるかということについては極力地元でお考えいただければ結構ではなかろうか、こう思っております。
#87
○岡崎トミ子君 都市再開発方針について伺いたいと思います。
 都市再開発方針、いわゆる再開発マスタープランの策定対象は、従来二十二の政令指定都市等に限られておりましたが、この改正案は人口十万人以上の都市に対して再開発マスタープランの策定を義務づけております。もちろん何らかの基本方針にのっとって再開発が行われることが望ましいわけですが、そもそも都市計画の基本方針であります市町村マスタープランの策定状況さえ芳しくないのに、それぞれの自治体が有効かつ自主性ある再開発マスタープランを策定することを期待するのは困難だというふうに思うんです。
 きのう、中心市街地活性化法案の審議の際にも、活性化のための基本方針について似た点から問題点を指摘いたしましたけれども、認定再開発事業を行うために再開発マスタープランを策定する必要があるということになりますと、とにかく実績と経験のあるコンサルティング業者にマスタープランをつくってもらうというこういう自治体もたくさん出てくる可能性があります。
 このコンサルティング会社がつくった再開発マスタープランに基づいて、税の優遇措置を受けて、そして民間事業者と都道府県の知事が行う再開発事業が行われるということでは、本当に地域住民の生活の質の改善につながるのかどうなのか甚だ疑問であります。少なくとも、丁寧な住民参加を経た都市開発のための市町村マスタープランの策定を前提として、そのマスタープランと整合性のとれたマスタープランの作成を義務づけるべきと考えますけれども、いかがでしょうか。
 地方自治体にとっての憲法であると五十嵐参考人もけさ言っておりましたこのマスタープランですので、その充実と、また尊重した施行の遂行に期待をしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#88
○政府委員(木下博夫君) マスタープランというのは名前からしまして大変立派な名前でございますし、中身もこれから充実していこうとすることは私たちも大いに望むところであり、そのための支援もしていきたいと思っております。
 ただ、何度がお答えしておりますように、今の状況は必ずしも十分でないということでありますが、私は今の状況を、マスタープランが非常に低いということに目をつけるよりは、むしろ先ほどから申し上げましたように、潜在的にかなりの仕込みがあるということについてぜひ評価していただきたいとお願いしておきたいと思います。
 その上に立ちまして、今後の再開発のマスタープラン、今回お願いしております再開発法の中でございますが、これは都市の状況、都市化時代からいわば都市型時代になっていくということの一番象徴的なのはいわば都心部における問題あるいは都心部を再度充実していこうということでございますから、そのためには広い意味での再開発手法というものを取り入れていかなきゃならない。そういう意味では、法定の市街地再開発というのはいろいろ手続的にも大変複雑でございますので、むしろ民間みずからが任意でおつくりになるというような土俵をつくってはどうか。
 ただし、それを税制その他で応援するためには一定の要件をつくる必要があろうということで、今回は線引きをしております区域ぐらいであれば中心市街地についても、いわば空洞化の問題もある程度共通的な課題を持っているんじゃなかろうかと思いまして一定の線を引かせていただいて、線引き対象区域におきましては再開発マスタープランをお決めになった上で、そこについてはいわば任意の再開発、それを認定再開発として税制その他で応援させていただくという段取りにしておるわけでございます。
 コンサルのお話も出ましたからあえて申し上げますと、私も地元でお考えになるときにコンサルがどういう関与をするかということについてそうはっきりとした考え方をお示しするほど持っておりません。といいますのは、コンサルにもいろいろタイプがございまして、大変地元に定着したコンサルの方は、むしろ地元住民と同じぐらいの立場で、目の高さで物事を考えていただく方もいらっしゃるわけでございます。ただ、単なるどこへ行っても同じような、よく大臣からお答えしておりますように金太郎あめ的なそういう町づくりをするようなことだけにきゅうきゅうとしているようなコンサルであれば、それはコンサルの意味をなさないと思います。
 ただ、人材その他の体制でまだ不十分なところを応援していくためには公的なものあるいは民的なコンサルを含めていろいろ体制整備をしていくことは当然でありましょうから、そういう意味で、よきコンサルを育てるあるいはそうしたコンサルの力をかりるということについては否定するものではないと思っております。
#89
○岡崎トミ子君 これだけ商店街が衰退していることは社会が大きく変化していることの一つだというふうに思います。時代が大きく変わりつつあるということであります。新しい時代の状況に対応するために新しい仕組みが必要だというふうに思います。これを機会に私も日本の町づくりのあり方についてさまざまな角度から市民の皆さんと一緒に考えていきたいというふうに思っております。
 大臣、この三法の審議が終わりましてからもいろいろな問題意識をぶつけていきたいと思っておりますが、その際には同じ社会状況に生きる政治家としてもきちっと対応をしてくださいますね。
#90
○国務大臣(瓦力君) 岡崎委員から本委員会の法案審議に当たりまして多角的に御質問をいただきました。
 委員御指摘のように、都市の来し方を考えますと、人なり企業なりが都市に集中をして都市が拡大する、そういう時代から、都市化が落ちつきまして成熟化した時代へと今転換しようとしているときでありますので、このときをしっかりととらえまして、住民参加による町のあり方というものを検討するにふさわしいときかと、かように認識をいたしております。
 町中の整備を重点的に進めまして、都市の再構築に取り組みまして、後世に誇れる都市をつくり上げていくことが最重要課題でございまして、都市計画制度につきましても地域の実情に的確にこたえられるよう、地方分権を初め制度の見直しを積極的に進めてまいりたい、かように存じておるところでございます。
#91
○岡崎トミ子君 終わります。
#92
○委員長(関根則之君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、堂本暁子君が委員を辞任され、その補欠として水野誠一君が選任されました。
#93
○福本潤一君 公明の福本潤一でございます。
 一昨日からこの都市計画法並びに都市再開発法に係る法案に関与して質疑をさせていただいております。
 中心市街地の絡みで連合審査をしたときは、中心市街地の活性化のための都市計画法の一部改正だということはよくわかったわけでございますが、なかなか十二分にその意を尽くせているかどうかということは、きょうの参考人の意見の中にも一歩先が明るい展望とは言えないということもあったようでございます。この都市計画法自体の改正の中身を案外やれていませんでしたので、きょうはそれを中心にやらせていただこうと思います。
 特別用途地区というものの話もかなりのところまで議論させていただきましたので認識は深まりました。そのときに、ちょっと昨日の確認ですけれども、特別用途地区は、私は市街化区域というのを中心にやって、それは四%、三・七%ぐらい日本全体であるということでしたけれども、都市計画区域の中の、ほかの全体でできるようなお話をきのう都市局長にやっていただいたと思います。
 確認しますが、市街化調整区域はだめなんでしょう。
#94
○政府委員(木下博夫君) お答えします。
 昨日お答えしましたのは、市街化区域がもちろん基本でございますが、いわば調整区域、市街化区域の区分をしていない未線引き地域におきまして、仮に用途地域を決められればその用途地域のもとにおきまして補完する特別用途が決められるということでございまして、先生が最後におっしゃられた市街化調整区域の中にはそういう考え方はございません。
#95
○福本潤一君 そこのところちょっと明確にしておいていただいて、市街化調整区域の中の話をさせていただきたいと思います。
 市街化調整区域、もちろん特別用途地区も用途地域も当然ながら無理なわけでございますが、今回地区計画というものができることになるようでございます。そうすると、この市街化調整区域は本来市街化を抑制する地域ということなのにもかかわらず、今回で開発が可能になっていくことを市町村長、首長さんが決められるというふうになると、この中で乱開発が進む可能性、今まで抑えていたのに急に可能になったということでかなり喜ぶ人がいると同時に、乱開発の懸念はどうなっているか、対策も含めてお伺いしたいと思います。
#96
○政府委員(木下博夫君) これも何度がお答えしておりますが、現在の市街化区域あるいは調整区域の考え方は、今回の法律改正をお願いしております立場に立ちましても変更はございません。したがいまして、市街化調整区域が市街化を抑制する区域であるということは基本的には私たち変えているつもりはございません。
 ただ、実態は前から申し上げておりますように、地元の農家の方の次三男のおうちとかあるいは地元の方々の日常上のサービス提供をするような施設、こういうものは開発許可によって開発が認められております。これがともすればスプロールの一つの要因といいますか現象を呈しているところもあるわけでございます。
 したがいまして、今回は計画的な市街化を図る上で支障がないということは、先ほど申し上げましたように市街化区域の考え方あるいは性格を変えない上でというふうに御理解いただいたらいいと思いますが、その上に立ちまして市街化調整区域の趣旨を損なわない、そういう地区計画を市町村が決めるということでございます。したがいまして、その地区計画は、逆に考え方としては相当かた目の計画であるというふうに御理解いただいていいと思います。
 むしろ、今まで乱雑にといいますかアトランダムに立ち上がっております建築物等をある程度まとめるような役割もこの地区計画に期待しなきゃいけませんし、本来的に政府で考えました郊外型住宅あるいはこの国会で議員提案をされました優良田園住宅などの受け皿は、私はそういう意味では市街化の考え方を損なわない内容であろうと思っております。
 そういう意味からいって、この地区計画の中で包含していく、そういう開発は認めてもよろしかろうと、こう考えて法案を出させていただいている状況でございます。
#97
○福本潤一君 もちろん法案の趣旨としてそういうことでございましょうけれども、例えば市街化区域と市街化調整区域、この枠が線引きされることによって、もとからの所有者から何で市街化区域に入れてくれないのかという声は現地へ行くとかなりのところで聞かれます。
 そうしますと、地区計画という形で小刻みにこの地域は都市化を進めてもいいような形の枠が出てくるならば、もうあっさりと国が法案で市街化区域、市街化調整区域というのを区分けせずに、要するにその周りの未線引き区域を含めて都市計画区域ということにした上でもう地区計画全部やれるようにして、あとはその周りは農振地域、無農振の白地地域という形でやった方がすっきりするだけじゃなくて現実的ではなかろうかという気もしますが、その考え方に対するコメントをちょっといただけますか。
#98
○政府委員(木下博夫君) 四十三年の法改正については、他の議員からも御質問がありましたように、当時の我が国全体を覆うような大変急激な都市化、スプロール、そういう問題に対処するためにこういう線引きという大変際立った制度を四十三年の改正で入れさせていただきました。
 私は、これは制度として当然それなりの効果があったと思いますが、先般他の委員からお話ございましたような特異な例もまたあることも我々全国的に幾つか散見するわけでございます。
 私たちも三十年この制度をやってまいりましたから、今後この制度がどうなるかということについてはもちろん点検はさせていただきたいし、その際にはやはり大都市圏の場合とそれから地方都市の場合、それぞれ状況も違うでしょうし、これからある程度都市化傾向がおさまってくる中で、ここのときに市街化区域によってある程度おさめられてきたものを、それを一切お話のあったように外してしまうことによるいわゆるリアクションという問題についても慎重に検討しなきゃいけないかと思っております。
 私は、お話のございましたように市街化区域の拡大という対応をやっていくのに比べて、今回の場合はそこまでは行かないけれども、しかし乱開発をある程度防止しつつ整然とした土地利用をしていくという意味で地区計画というのは妥当なところ、穏当なところではなかろうかと、こうお答えしたいと思っております。
#99
○福本潤一君 それも一案ではあると思いますけれども、基本的に中心市街地活性化の法案の中にありました郊外型の大きな店舗というのは現実にかなり進出してでき上がっています。それは市街化区域にもある、また外の農振の白地のようなところにもある。
 要するに、首長さんがここは開発しようと思うと、その許可を得たらそこは開発が進むということで、ある意味では強烈な地方行政の利権とは言わないですけれども、決定権を握っているという形で、そこの首長さんと近しい関係の人は何かうまくやれそうというような形の現実は、現実の上で考えてみれば進んでいますので、そこの点も踏まえて今後都市計画を進めていかないと、きょうの参考人のお話にありましたように、日本ではマスタープランといってもやるところとやらないところがあって、実際役に立っていないからやりたくないというところまで結構出ているという現状を認識した上で、今後の都市計画も進めていただければと思います。
 その上で、今回、都市再開発の方針というところの中身で、再開発法の方ですか、策定対象区域を人口十万人以上の都市ということに枠を拡大した。それ以下の都市は結局今回は入っていないということでございますが、都市の再開発について十万以下の都市はどう考えているのか。また、それに限った理由、十万以上と今回定めた十万の根拠を言っていただければと思います。
#100
○政府委員(木下博夫君) 御案内のとおり、現在の再開発法では二十二都市が義務づけされておりまして、再開発マスタープランの対象地域でございます。そのほかに、正式なものではございませんけれども、約百八十余りの都市が再開発方針をつくっております、今回の線引き対象になりますと、約八百を超える都市が該当することになっております。
 おっしゃられたように、どこで線を引くかということになりますと、現実に個人施行の再開発事業などにつきましては人口十万未満のところもあることも事実でございます。ただ、これは税制上の恩典を与えるとかあるいはそれぞれ従来の再開発の実績を持つところということで、私たちとしては線引きを、一応念頭に置いた都市であれば都市的なストックといいますか、そういうものを含めて一定の目安であると思います。
 ただ、これは線を引いたということが、直ちにそこを排除して一切そういう再開発関係につきましてのプロジェクト等を認めないということではございませんので、当然、法定の再開発などにつきましても別に十万未満でもあるわけでございますが、そういうものを一体的にとりあえず組んでいくところを十万と引かせていただきました。
 今後また、それにつきましては動向を見ながら検討させていただきたい、こう思っております。
#101
○福本潤一君 十万以下の都市でも再開発しなければいけないところ等々、かなりあると思います。その点も含めて今後、次の考え方として検討する必要はあるだろうと思います。
 その上で、午前中の参考人の意見にもありましたけれども、いっぱいあるメニューの中の一つとして今回新たに加わったような形がイメージとして考えられるような参考人もおられました。そうしますと、メニューがたくさんあることによって、どのメニューを選んだらいいのかという中の一つがふえたとしたら、今後どの事業を選んだらいいのかなということもあり得るという中で、今回、認定再開発事業というものが加わったわけでございますが、従来の市街地再開発事業制度との違いを明確に述べていただければと思います。
#102
○政府委員(木下博夫君) 制度そのものにつきましては、都市計画制度は大変難しくてわかりにくい、こういう御批判をいただいておりますし、回答させていただいておりましても、私自身もなかなか御説明がしっかりしておらぬところは若干反省はしておりますが、そうはいうものの御説明をさせていただきたいわけでございます。
 認定再開発事業につきましては、従来の再開発事業というのは、当然でございますが都市計画手続をしておりまして、かつその場合には高度利用地区などの手法を前提としております。今回の場合は、先ほど申し上げましたように任意再開発、あるいは民間主導でやっていますので、あえて都市計画決定をしないというところは手続的には一つ代表されるわけでございますし、それから個人施行等も行っておりますけれども、主体としてできるだけ幅広く対象にしていくということで、これは決定的差というわけではございませんけれども、傾向的なことを申し上げますとそういうことでございます。
 いずれにせよ、個々の、例えば建築物とか公共施設、こういうものを一体的に整備するような民間の再開発事業については個々に認定をしながら、一歩ずつ積み上げていくという手法をとっているところがいわゆる法定再開発と異なるところだと御理解いただいたらいいと思います。
#103
○福本潤一君 かなめの都市局長がわかりにくいということになると、皆さんますますわかりにくいんだろうと思います。
 きょうの参考人の非常にためになった話の中で、例えばヨーロッパでは目抜き通りに個々の再開発事業がある、自分の顔写真入りで皆さんにわかるような、文書も置いているような形で情報公開がかなり進んでいるから理解が得られるというようなこともあると思います。事業が具体的になったときに速やかに割と市民にわかりやすい形で公開するということも、その事業が円滑に進む一つの流れの中で出てくるのではないかと思いますので、それもまた検討していただければと思います。
 時間もなくなりました。最後に大臣に、今回の中心市街地等長時間にわたる審議、丁寧に答えていただいてありがとうございます。今回のこういう提案、改正が今後土地流動化というところに限定せずに景気浮揚にどういう形でつながっていくか、そういう大臣の決意と夢を語っていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#104
○国務大臣(瓦力君) この委員会におきまして、町が今変わろうとするときでございますので、委員からも本当にいろんな分野ごとに質問をいただきました。
 私に対する質問は、土地の有効利用という面ではなくて、広く国民に夢を与えていくような、そういうスタンスでどう考えておるか、こういうことでございました。また、目下の景気が非常に悪うございますので、景気浮揚につながる観点からも決意はどうだということと解するわけでございます。
 御案内のとおり、本年四月二十四日に経済対策閣僚会議におきまして、一つに二十一世紀を見据えた社会資本整備でございますとか、あるいは減税による経済の活性化でございますとか経済の構造改革の推進、これらに並んで土地債券の流動化と土地の有効利用、こういう重点項目で取りまとめられたわけでございます。
 今、本委員会で中心市街地の活性化を含めて御議論をいただいておるわけでございますが、地方も大きく今変わろうとするときでございますし、これらの法案につきましての御審議を経、さらにまた平成十年度の補正予算につきましても早期成立を期しておるところでございます。また御審議に御協力を賜りまして一日も早くこれらが成立することによりまして、当面の町づくり、さらにまた景気の浮揚、両面から私は強力な手だて、施策が必要なときだと認識をいたしております。
 精力的な御審議に対しましてお礼を申し上げると同時に、私どもこの使命を担ってこれから政策の推進に当たらせていただきたい、かように考えておるところであります。
#105
○荒木清寛君 私は、都市計画法に関連しまして、スーパー銭湯という問題について取り上げたいと思います。
 近年、関西や名古屋を中心にスーパー銭湯の人気が高まっております。スーパー銭湯といいますのは、露天風呂、サウナ、ジェットバスなどを備えた公衆浴場の一種でありまして、入浴料も四百円から千円前後と手ごろなものとなっているわけです。
 このスーパー銭湯の建設をめぐりまして、周辺住民と業者の間で裁判になった事例もあります。要するに、住民たちの心配というのは、大型ボイラーなど機械類の騒音、あるいは皆さん自動車で来る人が大半ですから、生活道路が入浴客らの車の通り道になるのではないか、子供の交通事故は大丈夫か等々という心配であったわけです。問題となった場所も第一種低層住居専用地域でありまして、いわゆる建築物の規制も大変強いわけであります。
 確かに、建築基準法によれば第一種低層住居専用地域で公衆浴場の建設は許可されることになっております。しかしながら、スーパー銭湯というのは従来型のいわゆる銭湯とは違いましてレジャー施設的な要素が多く、先ほども言いましたように自動車を利用する客も多いわけでありまして、いわゆる一般の従来型の銭湯とは性格が異なっていることは明らかであります。
 こういう施設を公衆浴場であるとしまして当該の地域で建設を許可することは妥当と考えられるんでしょうか。まずお尋ねします。
#106
○政府委員(木下博夫君) いろいろ現場のことを踏まえての御質問でございます。私も現場を十分承知しておりませんで、資料だけの御回答になりがちでございますが、一般論でちょっとお答えさせていただきます。
 今先生からお話のございました公衆浴場という用語で申し上げますと、その規模とかあるいは浴槽の種類、こういうものにかかわらず現在の都市計画法あるいは基準法の世界では、第一種低層住居専用地域におきましては建築できるとされております。したがいまして、スーパー銭湯と呼ばれているものにも今先生からお話がございましたようにいろいろ多様なものがあるようでございまして一律には論じられないわけでございますが、その建築計画におきまして付加されている施設、具体的にもう少し申し上げると例えばカラオケとかサウナとかそういうたぐいのものが想像されるわけでございますが、そういうサービス施設の規模とか形態によって、建築物全体から見ましたときに公衆浴場の範囲を超えるようなものについては認められないという判断もあろうかと思います。
 一般的に、大規模な公衆浴場にすぎないものについては支障がないと考えております。
#107
○荒木清寛君 それでは最後に、今回拡大されました特別用途地区の設定によってこういうスーパー銭湯の規制を行って住環境を守っていくというようなことは可能なんでしょうか。
#108
○政府委員(木下博夫君) 特別用途地区は、今回の改正の基本的考え方につきまして、少しくどくなりますが、用途地域の指定を補完してきめ細かな用途制限を定める制度ということで考えていきまして、従来の制度では必ずしも十分対応できなかった側面をぜひ市町村がそれぞれの地域に応じて都市計画の世界で対応するということでございます。
 前置きはともかくといたしまして、御指摘のようなスーパー銭湯でございますが、従来の法令ですと御案内のとおり十一の特別用途地区というのが類型化されておったわけでございますが、今申し上げましたような趣旨で今回の改正では、例えばでございますけれども、大変閑静な住宅環境のありますようなそういう地区におきまして、特別用途地区を活用いたしまして公衆浴場の規模等についての規制を行うということは可能であろうと思いますし、そういう手法によりまして御指摘のあったようなトラブルを防止するということも仕組みとしてはできるのではなかろうかと考えております。
#109
○荒木清寛君 終わります。
#110
○緒方靖夫君 きのうの審議、それからきょうの参考人の質疑を通じて私の感じていることをもとにしながら少しお聞きしたいんですけれども、きのうちょっと時間がなくて建設省の側にはなかなか話を聞けなかったんですけれども、商店街の衰退です。きょう参考人からもいろいろ話を聞いて深まったと思うんですけれども、やはり商店街の衰退というのは大きな病だと思うんです。それに対してはやはり処方せんが必要だ、そうなってくるとやはりその原因をきちっと分析する、これが非常に大事だと思うんです。
 その点で、私は原因というのは確かに多面的だと思います。車社会の問題もある、ライフスタイルの変化もある、いろいろあると思います。ただ、商店街の皆さんかどう言っているかという調査、これは中小企業庁の統計なんだけれども、七二%の方々が量販店の建設によって客足を奪われている、そう述べているわけです。これは事実なんです。ですから、いろんな理由これは多面的だと思います。また、その理由もそれぞれ大小いろんな要因の組み合わせがあると思いますけれども、この点で商店街も含めた所管をしている都市局長にその辺の認識をきちっと聞いておきたい。そのことが問題の出発点になるんじゃないかという気がするんです。
 それで、私は端的に聞きたいんだけれども、こういう大型店舗の進出がやはり各地で程度の差はあれ共通して大きな問題になっている、そういう認識をお持ちかどうか、端的にお伺いいたします。
#111
○政府委員(木下博夫君) 先日も大臣からちょっとお答えしましたけれども、これはいろんなケースがありまして、私も端的にお答えしたい気持ちはやまやまであります。ただ、問題は、今先生がおっしゃられたようにいろんな要素がございますし、それからきょうはたしか参考人の方のどなたかだったと思いますが、買い手の側、消費者の側の意見をもう少し聞くことも必要じゃなかろうかという声もあります。
 私は、やっぱり両者、売る方と買う方が協調しなければ町づくりはできないと思いますし、便利だけではいけません。これからおっしゃったようにますます高齢化の時代にもなってまいります。当然足元の弱くなってきたとき、我々はみんながそういう世代にいずれはなるわけでございますから、そのときにはやはり車で行くという買い方、あるいはまとめ買いという形は実際にはなかなかかえって私ども不自由を感じると思います。しかし、もう一つの面は、お話のありましたように大きな核テナントを中心とした町づくりで成功した例もあると思います。
 いずれにせよ、私はきのうの委員会でも身の丈と申し上げましたけれども、それぞれの都市の持ち味の中で一定の規模、こういうものを念頭に置いて市町村が絵をかき、それに準じた、これは商業施設だけではなく他の機能、例えば工業あるいは行政あるいは文化、そういうものを含めて町づくりのスケールを考えるべきではなかろうかと思います。
#112
○緒方靖夫君 局長は実際に都市で仕事をされたという経験をお持ちだと思うんですけれども、そういう中で商店街の方々がどういう声を上げているかというその現実は私は御存じだと思うんです。その中で、やはり圧倒的に、圧倒的というのは七割とかそのぐらいの水準だと思いますけれども、やはり量販店の進出、その声を上げているということについてはお認めになりますでしょう。
#113
○政府委員(木下博夫君) その調査が客観的に行われていればその数字は信頼しなきゃいけないと思いますが、御質問の仕方、あるいはテーマの切り口によってはまた違う角度からの分析もあろうと思いますし、それから現実目の前にあればそういうお答えがあることもある程度想像はできると思います。
 いずれにせよ、そういう調査結果があるということであれば、その数字はそれなりの意味を持つのでなかろうかと思います。
#114
○緒方靖夫君 都市局長としては非常に情けないですね。
 やはり、これだけ今大きな問題になっているわけです。どこでも小売店というのはその地域の政治を支える非常に大きな力になっているわけです。そういう意味で言うと、保守層の非常に強い基盤です。フランスでもパリの商店街というのは非常に有名で、保守を支えているわけです。シラク・パリ市長を支えてきたのはパリの商店街と言われている。なぜパリの商店街がそういう強い力を持っているかというと、彼らは政治によって完全に守られているというそういう自覚を持っているからです。だから、そういう意味で言うと、今の都市局長の程度の認識でそういう都市計画行政をやっているというのは私は非常に情けないと思います。
 大臣に私はお聞きしておきたいんだけれども、政治家としても、やはり今各地で問題になっている。自民党に対してもはっきりと、自民党の政治家としても言いたいんだけれども、はっきり言って小売店の方々が、今まで一生懸命自民党を応援してきた方々が、今自民党がその問題に対して非常に冷淡な態度をとっているということで商店街の反乱、そういう例が実は起こっているんです。そういう問題についても認識されないんですか。議事録に残っているんですよ。
#115
○国務大臣(瓦力君) 多少生臭い分野にも実は話題が及びまして、どうお答えしようかなと思いますが……
#116
○緒方靖夫君 はっきり言っていいですよ、思っていること。
#117
○国務大臣(瓦力君) はっきり申し上げますが、町の歴史やいろんなものを考えますと、門前町がありましたりあるいはまた商店街で活力のある町が今日まで続いておるところもございましたり、また大店舗が来ることによって町が大きく影響を受けたということも私はよく承知いたしております。
 だから、そういうことを考えてまいりますと、これから地域社会における商店街なり町が魅力的でありまた活力を持っていくための手だてとしては、この法律の中でも読み取っていただける分野が多数ございますし、また大型店舗があることによって町づくりをしようというそういう新しい町もこれから存在するかわかりません。だから、スーパーマーケット、おまえはだめだよ、大型店舗、おまえは全部だめにしてしまうというような極論に立つものではありません。それは住民の方々、地方の方々が自主的にどう取り組んでいくかという、地域の活性化というのはそこからまず出発をするわけでございますので、初めから大型店舗ありき、おまえは悪玉だというような今の緒方議員のような論点には立たないわけであります。
 商店街が本当に地域の方々となじみながら、また潤いを持ってくるという町づくりをこれから私どもはよく支援していくことが必要である、こういう認識に立っておることを御承知賜りたいと思うわけであります。
#118
○緒方靖夫君 建設大臣としては私は非常に情けない答弁だと思います。というのは、やはりなぜ何を悩んでいるかというその実態から出発しない、私はそのことをはっきり申し上げたいと思うんです。
 各地で起こっている大型店舗進出で困ると言っている声、それはまた地域の問題、それから商店というのは町の顔です。お祭りなんかを見ても町のそれぞれの伝統文化をはぐくんできた、そういう商店街、その人たちが今大きな声を上げている。
 私は、すべて大型店舗をどこでもいつでもだめだと言っているんじゃないんです。進出をしやすくする、そういう方向でいいのか、そういう問題提起をしているので、そのことを述べておきたいと思うんです。
 それで、きょう午前中に参考人の質疑がありました。私は結構いろんな意味でおもしろかったなと思っているんですけれども、その中に欧米の行き方、つまり欧米では試行錯誤があります、これからも試行錯誤はあるでしょう、恐らく。しかし、その中で規制を全体としては強めていく、そういう方向をとっているという、つまり日本とは逆の方向をとっているという報告がありました。その中で、また同時に、規制の主力というのは都市計画にあるということも指摘されました。
 これは、事実の問題をお伺いしたいんですけれども、都市局長、きょう話を聞かれましたでしょう。それで、その中の外国の例の事実関係で、これはとんでもない事実誤認だと感じられた部分があったかどうか、お伺いいたします。
#119
○政府委員(木下博夫君) 私も限りなくきょうの参考人質疑を聞かせていただこうと思いまして、ほとんどの時間は着席して聞かせていただいておりましたが、まず先に、若干感想めいたことで恐縮ですが、二つばかり思っております。
 一つは、質問と若干外れるかもしれませんけれども、やはり問題点は大変複雑であって、それで多様化しているということが一つであろうと思います。これは答えでございません、印象でございます。
 もう一つは、今回お願いしております中心市街地法の中には、従来はなかったわけでございますが、例えば地域を指定するとかあるいは国なり県が計画を認定するとか認可するとかという手続は一切やめまして、いわば市町村の自主性に任せるというあたりが実は議論がなかったということは、私の感想でございますが、まだまだ法律のねらいが先生方といいますか参考人の方々には十分伝わっていなかったのかなと。都市計画制度とかその他のことについてはとかくPRが足らないと言われました。そういうことも含めてでありますが、これから努力したいと思っております。
 今おっしゃられた外国の例でどうかというんですが、大筋は、お聞きしていて私の知識の範囲内で申し上げるとそう差はないと思っておりますが、ただ詳細については、若干御質問とやりとりの中では必ずしもそう詰めたお話じゃありませんでしたので、正確にお答えするのはいささか御遠慮するべきであろうと思っております。
 ただ、全体的に、答えが長くなりますが、規制が先にあってということは、確かにそういう仕組みをヨーロッパはとっておりますが、これは都市の発展過程がかなり成熟している状況とか、もちろん大きな都市もございますが、比較的小さな都市群がそれぞれ国内に存在するというようなことでございます。日本の場合も、これから地方都市が元気になるように我々もいろんな施策をやらなきゃなりませんが、この二十年三十年を振り返りますと、かなり太平洋ベルト地帯を中心とした大都市圏というものが連檐して整備されてきた、あるいは都市づくりが行われてきたということでございます。
 その際に、ある程度規制をかけるとなりますと、地域地域によっての差を果たして同じそういう規制でかけられるのか、あるいは規制については当然地元でのいろんな御意見もあろうかと思いますから、公共団体の方々がそういう規制を本気で、これは社会的規制は私はある程度必要なものはやったらいいと思っておりますが、果たしてそういう規制がかけられるだけのものが地方にあるのかどうかということは、これは私は現実問題として相当難問ではなかろうかという感想を持っております。
#120
○緒方靖夫君 きょうの参考人の中で、五十嵐弁護士が、ヨーロッパでは土地は原則不自由という話をしました。私も確かにそう思うんです。なぜ不自由かというと、土地の公共性、社会性、それがあるからなんです。私はその点で、確かに今局長が言われたように日本とヨーロッパは歴史的成り立ちが違う、また都市の誕生の経過も違う、そういう違いはあると思います。
 しかし、日本でも、私は土地政策審議会が出した答申の中にもいいことが書かれているなと思ったことがあるんです。これは九六年十一月に出されたものなんですけれども、全体として私は評価できることが幾つもこの中に書かれていると思っておりますけれども、その中で特に、土地利用についてこう書かれているんです。「土地利用規制を厳格に実施することや、経済効率性のみでは劣位にたつ土地利用であっても、公共・公益上の観点から必要なものについては支援措置を講じることが必要となる。」、土地の規制を厳格に実施する。今局長は、ある程度規制することは云々と言ったけれども、ある程度じゃなくて、やっぱりこういう表現が答申の中にあるわけです。
 ですから、私は、この間ちょっと質問して時間が切れちゃったんだけれども、私はこの答申の中身と今やろうとしているこの法案との間にはやはり乖離があると思うんです。今局長は、ある程度の規制は必要だと言われた。この答申の中には、土地利用の規制を厳格に実施するものについて支援していくと書かれている。違うんじゃありませんか、局長。
#121
○政府委員(木下博夫君) 政策全体につきましては、例えば土地政策全般を預かる国土庁からお答えいただくことが適当かと思いますが、私の発言での御質問ですから私がまずお答えするのが筋だと思います。
 私がある程度と申し上げましたのは、規制というのは確かに社会的に必要なものがあろうという前提でございますが、具体的に現実にやるとなると、なかなか関係者の中にあってできにくいところもあろうから、そういう意味での現実的対応としてある程度と申し上げました。
 それで、今回の法案につきましては、私は一歩ずつ、これは匍匐前進という言葉がいいかどうかわかりませんけれども、そういうような精神でやっておりまして、それが時にして部分的改正にとどまっているじゃないかという御意見、御指摘のあることも承知しております。ただ、この答申そのものは、一つの中期的、長期的方向づけでございますから、私は方向については同じでありまして、その進み方において多少歩みが弱いというか少ないという理解でやっておりまして、決して方向が、違うベクトルを求めているということではない、こうお答えしたいと思います。
#122
○緒方靖夫君 大変苦しい答弁だなというふうに率直に思います。
 それで、最後にお尋ねしたいんですけれども、経団連がこの四月に規制緩和に関する意見書をまとめたんです、ここにありますけれども。そこには、大店法廃止、これについて「画期的な政策転換」だと書かれている。「わが国の行政改革の歴史の上でも特記すべき第一歩」だと、そういう評価、絶賛しているわけです。また、そういうふうにしながら、同時に、「大店法以上に厳しい大規模店舗の出店規制が行われる惧れ」があるとして、都市計画法はそういう中身にならないかということを懸念しているんです、経団連は。私はそういう懸念は全くないと思うんですけれども、経団連はそういう懸念をしている。そういう懸念をしながら、「政省令ならびにその運用においてこうした懸念を払拭することが期待される。」ということを経団連の要望として述べられているんです。
 この要望、局長は御存じですね。
#123
○政府委員(木下博夫君) ちょっと、つまびらかには私まだ把握できておりませんが、私たちの提案させていただいている法案に対しての、いろいろ各方面のいろんな御意見なり御指摘は当然出てこようと思います。
 私は、ある一定の特定な団体のためにこの施策を当然打つわけではございませんから、それぞれの評価というのはしっかり真摯に受けとめるべきだと思います。ただ、問題は、この世の中に対して、大変今それぞれ自信を喪失している中で、より美しいあるいはより強い国土づくりをしていかなきゃいけないという方向について、いささかでも都市計画法が寄与できればと思っております。
 今お話のあった大店舗法問題については、先ほど来商業的な全体の方向づけというのがベースにあっての御議論だと思いますが、今回の特別用途地区についての改正についてあえてこだわって申し上げると、これは地方分権という流れの中で、地方がそれぞれの地域としてきめ細かくやっていくという手法として私は大いに使っていただけるし、今のところ私たちに聞こえてきておりますのは、別に商業に限りませんけれども、いろんな分野でこれから例えば地場産業あるいは文化、伝統、そういうものについての特別用途地区の活用をしたいという公共団体も大分声を上げてきておりますから、むしろ私は、この声を大切にしてこれからぜひ浸透させていきたいという決意でございます。
#124
○緒方靖夫君 時間ですので終わります。
#125
○泉信也君 きょうは、都市再開発法についてお尋ねをさせていただきます。
 今回の三法案については、いろんな角度からの議論がなされてまいりました。日本の町がなかなか見ばえがよくならないと申しますか景観がよくない。それは、伝統とか歴史とかというものが生かされない町づくりが戦後五十年余り続いてきた。関係者の御努力は評価をする中で、やはりそういう事態が続いてきたということを反省して今回の法律改正等が進められておるというふうに思います。
 まず、今回の改正の一つの目玉でございます特定事業参加者制度という新しい制度を導入しようとしておられますけれども、これはまさに既に制度としてございます参加組合員制度というものが先に走っておるわけですが、この制度の拡充した一つの変形かなというふうに思うわけです。
 そこで、現在の制度の活用状況あるいはその問題点として当局の方で評価をしておられる点、いい点悪い点を含めてですけれども、どういう点があるんでしょうか。
#126
○政府委員(木下博夫君) 御質問のあったとおりでございまして、現在の組合施行の市街地再開発事業におきましては、これは定款の規程でございますけれども、参加組合という仕組みがございます。これは、お話にございましたようにかなり多くの方々に参加していただいて、再開発事業というものをうまく動かしていただくために今までにも相当の実績があるわけでございます。今私の手元にあります数字は平成九年度末ということでございますが、九年度末までに完了した組合施行の再開発事業が全体で二百土地区ございまして、そのうちの百六土地区、ですから概ね八割近い数字だと思いますが、その八割につきましては今御説明いたしました参加組合員制度を活用しております。
 したがいまして、今回の特定事業参加者制度は、事業の安定性、そういうものをにらみながら施行規程というもので保留床を取得して、いわば将来にわたっての事業の安定性といいますか、多くの方々に参加していただく、そういう仕組みを組合施行のものに準じた形で導入させていただこうという考え方に立っております。
#127
○泉信也君 この制度は、今の御説明のように活用されたというか意味があったということで、このたび新しい制度を発足させようということですけれども、こういう景気が悪い時期、こんなことが長く続いては困るわけですが、そういう中で保留床取得予定者が参画をして、計画の時点から金銭的にも計画の内容にもその人たちの意思を生かしていこう、こういうことでつくる予定の制度だと思いますけれども、逆にこういう時期には景気がある程度よくなるとか、これまでと同様に右肩上がりの景気判断ができるようなときでないとむしろちゅうちょするんではないか、こういう心配をするわけですが、いかがでしょうか。
#128
○政府委員(木下博夫君) 先ほど来申し上げておりますように、今回の再開発事業そのものは、中心市街地の空洞化というような問題とか、あるいは日本全国的に都市化社会から都市型社会への移行という、そういう認識の中で各種の制度を改正していくわけでございますから、そのときにあって、先生がおっしゃられたように経済情勢が必ずしも芳しくない、そういったことで再開発事業がせっかくの制度をつくってもなかなか進まないんじゃなかろうかという御懸念、私もある程度はそこについて同感でございますし、何とかそこを乗り越えていく、気力だけではなかなかまいりませんけれども、そういう機運を高めなきゃいけないと思います。
 また、加えて、おっしゃられたように制度が動くためにはいろんな支援策というのをこれからも工夫をしていきたいと思っておりますし、いずれにせよそれぞれ参加する方々が使いやすい制度にしていくためにはどうしたらいいかということについて、なお一層工夫、改善をしていきたいと思っております。
#129
○泉信也君 確かに局長のお答えのとおりだろうと思いますが、参加者をどういう基準で選ぶか、余りルーズにすれば問題が起きてくると思います。この基準みたいなものはどなたがつくられるのかというか、どういう考え方で一応の整理がなされるんでしょうか。
 と申しますのは、今局長も御心配というかおっしゃいましたように、余り厳しくすれば参加者が少なくなりますし、途中で混乱を起こすようなことがあってもなりませんが、参加基準みたいなものをつくられる考え方が当局にございますか。
#130
○政府委員(木下博夫君) おっしゃられた心配点はございます。それは法律的にも書かせていただいておりますが、参加される方については二つの要素でチェックをさせていただくということでございます。
 一つは、事業に参加されるためには、事業に対していろんな影響を与えてはいけませんので、資金的にしっかりしているかどうか。それから、当然でございますが、その再開発事業そのものの目的に合致した床利用をしていただけるかどうかということについて規程を設けまして審査するわけでございます。それによって、参加者は一応の資格といいますか、要件をテストした上で審査されると思います。
 ただ、おっしゃられたように余り厳しくしてもどうかということですから、これはなかなかお答えがしにくいわけでございますが、現場でそれぞれが両者の調整といいますか協議の中でやっていくわけでありますし、先ほど来の御説明の中で申し上げましたけれども、その床が従来商業系が非常に多く利用されてまいりました。しかし、最近は、都心に住んだときに関連の公益施設とか公共施設などをうまく利用できる、そういうものがワンパッケージで再開発ビルあるいは再開発事業の中に含まれることが必要だと思いますので、むしろ考えとしては、そういう資格審査もさることながら、その事業がうまく転がっていくためには、これからもますます支援対策のためにいろんな各種の補助制度とか、そういうものも地元の公共団体と一緒になって国は考えていかなきゃいけないんじゃなかろうかと思っております。
#131
○泉信也君 計画目的に合致しておるか、また資金的に大丈夫か、当たり前といえば当たり前ですけれども、その部分だけで本当に多くの方々の参加をいただける、そしてまた間違いない再開発を進められるかどうか、ここはもう少し議論をさせていただかなきゃならぬ点かと思います。
 それで、もう一つ、今回新たにつくられます認定再開発制度、このことについて少しお尋ねをいたしたいと思います。
 再開発方針を定めなければならない、その再開発方針に沿ってこの制度が動き出すということになるわけですが、建設省としてこの制度を利用促進するためにはどんなふうな考えで進められるのか。一つは、この再開発方針の作成が円滑に進むのかどうか。そして、建設省はこの方針を策定される段階でどういう関与をされるのか。余り厳しく関与をすれば、また全国どこへ行っても同じような顔の町ができ上がってくる可能性もありますし、余りルーズでもこれまた難しい話が出てくると思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
#132
○政府委員(木下博夫君) 県が決めます再開発方針の中で再開発促進地区というのが決められまして、ここにおきまして実施するということで認定再開発事業が出るわけでございます。
 幾つか御質問がございましたが、地元の公共団体と地域の方々とがその町をどうするかという考え方をまず詰めるのが先でございまして、その際にいろんな全国の経験、失敗も含めてでありますが、そういうものを情報として提供させていただくことがむしろ我々の役目であろうと思います。もちろん、補助金に代表されるような各種の支援策、税制等も含めてですが、そういう意味での知恵も絞っていきたいと思います。
 おっしゃられた同じような顔になるじゃないかというのは、実は確かにそういうことが現実にあることも否めないわけでございますが、例えば先ほどの御質問にあったような特別用途地区も含めて、それぞれの顔というのはむしろ地域がおつくりいただくわけでありますから、建設省が余りそこにタッチするような基準とかというものもつくってはおりませんので、むしろ伸び伸びと自分の町づくりというものができる。ただ、手法としてはいわゆる認定再開発事業という民間の力をできるだけ導入する、民間というのは地元というふうに置きかえていいと思いますが、そういう手法をぜひ使っていただくことで御相談相手をしていきたい、こう思っております。
#133
○泉信也君 従来の規制をされた行政の中から考えますと、今の局長の御答弁は大変先に走っているような思いもございます。都市開発、再開発等については、そうしたお考えが私は大変大切だと思います。
 今回のお尋ねしました二つの新しい制度は、まさに民間の活力をできるだけ活用しよう。これまでも民間活力の活用というものはあらゆる分野で日本の制度の中に取り入れられてまいりましたけれども、さらにもう一歩進めよう。しかも地域あるいは市町村の町づくりの考え方にこたえられるようにしようというお考えだと思いますが、さらに民間の力を使おう、今は考えられないけれどももう一歩進めようというようなお考えがございますか。
 今回の法律改正にはなかなかのせられなかったけれども、本来はできたらこんなことまでやりたい、こんなものがございますでしょうか。
#134
○政府委員(木下博夫君) 今法案を出しておりまして、あるのならば一緒に出せということになるかもしれませんが、決して遠慮したりしているわけじゃないんです。とりあえず今回は、従来市施行といいますか公共団体施行などで行われた、先ほど申し上げました参加組合員制度なども入れたりしておりまして、私は再開発事業はかなり伸びてくると思います。それから、先ほどちょっと私の答弁が若干不正確といいますか不十分だったと思いますが、民間の方々が、認定再開発事業というのは都市計画決定も経ないでやってくるわけですから、そういう意味では時間の問題も含めてですが比較的取り組みやすいと思っています。
 あと何があるかという御質問に最後にお答えしなきゃいけないのでありますが、今国会の中でも例えばPFIというようなことが言われております。私は、この民間活力というのはいろいろおっしゃられる方によって大分差があるような気がいたしますが、端的に申し上げて例えば資金、ノウハウ、それから人、この三つの要素がいわば民間活力のメーンじゃなかろうかと思っております。どれか、あるいは全部合わせていわば再開発事業に組み入れていくという意味では、例えばPFIなんかは、これも定義はいろいろあるわけでございますが、再開発事業などはこのPFIに沿った形の一つの例ではなかろうかと思っております。
 全体的に、そういう民間活力を使おうという姿勢の中で、また今の国の経済状況からいきまして皆さんがいろいろ思いを持っておられますので、ぜひそういう御意見などを承りながら再開発事業の中に組み入れられるものは、可能なものはやってまいりたい、こう思っております。
#135
○泉信也君 終わります。
#136
○山崎力君 最後の質問者になります。今までいろいろ論議されてきた中で概括的なところ、本当に締めくくりの形で主に大臣にお答え願えればと思うんです。
 まず、先ほどの参考人からのいろいろなお話を伺いまして、一言で私なりに総括しますと、今回の一連の法律改正によっての方針は、方向としては非常にいいのではないか。ただし、その結果が意図したものにまでといいますか、そういう意図した結果が出るのは極めて困難であろう。物すごくそれに対する種々今までのしがらみでの制度というものがあって、むしろ悲観的な部分が多い。しかし、そうは言っていられないからいいところを見つめてそこのところを伸ばす足しにはなるんではないか、こういうのが参考人の方々の話であったように私なりに受けとめております。
 そういった中で、一つ一つの点でいけば、まず中心市街地の問題からいけば、これは人が集まってそこで金を落としてくれるという町づくりをどうするかということでございまして、ごく少数のお金持ちが大金を使うような商店があったとしてもこれは無理なわけで、やはりとにかく人が集まってくれるような形にしなきゃいかぬ。そのためには、建設サイドの町づくりも十分必要であろうし、あるいは輸送という意味でのアクセス、そういった面からいえば運輸の問題も出てくるだろう。あるいはどういう引きつける商売をするか、今はやりの言葉で言えば情報発信のあるものを、どこにどういったものを見つけてくるか。そして、それをある人に言わせるとネットワーク化、あるいは集中化してその質を高める、こういうふうなことだろうと思うんです。
 そこで、はてそこでということになったときに、先ほどの参考人の意見もこれありで、非常にお聞きしにくいことなんですが、要するにそこまでやらなきゃいかぬということはわかるんだけれども、コストに見合う効果が上がるということなんだろうかというのが最終的に今回の法律それから関連する予算について出てくる問題だろうと思うんですが、その辺、胸を張ってこれだけの金をかけるとこれだけのものができると予想されているのでぜひやりたいんだというふうなことがございましたら、お聞かせ願いたいんですが。
#137
○政府委員(木下博夫君) 予算だけですべてが片づくものではないと私は思っております。きょうの参考人の御意見の中で退職金という表現があったのは、私は担当している立場から少し寂しい思いをしましたが、そうならないようにもちろんしなきゃいけないと思っております。問題は今まであった予算の性格をそう急激に変えることはなりません。しかも、ことしの予算は当初予算で言えば公共事業費は国費ベースで七%減でございますから大変厳しいものであろうと思っております。
 今お話のございましたように、コストに見合うかどうかということは、その地域の目標あるいはその事業の役割というものをしっかり見定めた上での重点配分ができるかどうかにかかってきていると思いますので、決して退職金にならなくてむしろ励まし料になるぐらいにこの予算を使っていけると私は思っております。そのためにはこの法案、中心市街地法あるいは都市計画法を通していただいた上で、早目にそれぞれの出してきた基本計画を国としてむだのないチェックをした上で早く実現の方向に動かすことが必要じゃなかろうか、こう思っております。
#138
○山崎力君 御答弁は確かにそういったことで、非常に申しわけない誘導的な形にこれからの質問はなると思うんです。
 とするのであれば、まさに評価システムというものをどうするかという問題があります。これは最終的に言えば、ここの地域においてこれだけの金額のこういう計画をしてやった、その結果こういうふうな形になって、人が従来に比べて何割増し集まるようになり、商店街の売り上げがこれだけふえた、あるいは失敗した、どこに原因があるんだ、どういうアイデアがあるんだということを事後の再評価をして、そこのところを、これは全国一遍にできるわけじゃありませんから、そういったことを中央官庁とすれば、これは地元にやってもらうことなんですけれども、それを中央官庁の目として専門家として評価するシステムを、これがある程度立ち上がってくる時点、結果が出る時点までにはつくる必要があるんじゃないかというのが一点。
 もう一点言えば、その前の計画の段階で、先ほどの参考人の話からいきますとマスタープランが大事だと言っていましたけれども、どういう順番かはともかく、恐らくかなり多数のマスタープランが各市町村あるいは県、そういったところから出てくると思います。その中で建設省としてチェックをする、それにチェックをつけて予算をつけるわけでしょうから、何がポイントでチェックをしてこのマスタープランについてはかくかくしかじかの問題点あり、あるいはいいアイデアあり、そういったものを役所として公にする体制というのは、私はこれからのことを考えると必要ではないかと思うんですが、その辺のところはいかがでしょうか。
#139
○政府委員(木下博夫君) 御指摘、基本的に私は異存はございません。問題は、そのおっしゃられたような理想型に対してまだまだ手法が十分準備できていないというのは私自身残念ですし、そういう努力は怠りなくやってまいりたいと思います。
 若干くどくなりますが、公共事業そのものがいろんな御指摘なり御意見をいただいておりまして、建設省だけではございませんが、政府を挙げて今公共事業の評価システムをつくったりしております。これは、個々の事業についての評価システムは、例えば十年度の当初予算の箇所づけなどでもかなり私は実行できたと思っております。例えば今のような町づくりになりますと、そういう個々の事業評価だけでなくもう少し他の事業との関連性を含めて、あるいは何かのテーマ、それは環境とかあるいは景観とか商業面、そういうものでどう結びついていくかという、もう少し副次的なといいますか、そういうものをつくっていく必要があるように思います。これは気持ちを申し上げております。
 ただ、今までに中心市街地法など、あるいは都市計画法を改正するに当たって多少勉強したことで申し上げると、例えばある町の中心地に年間でどのくらいの人が入ってこられたか、あるいは区画整理をすることによってその市町村に固定資産税でどのくらいの税がふえたかというようなことも、実は計量的には把握したりして勉強を始めておりますので、これは先生の御質問のあったことにちゃんと適応しているかどうかわかりませんが、しっかりとそういう意味での評価をしないとばらまきになるぞ、あるいは各公共団体が自分勝手な計画をつくってきたときにおまえたちは戸惑わないのかという御指摘に対しては我々も十分、地方のやる気をそいではいけませんけれども、そういう意味での検討あるいはチェックというものはやらなきゃいけないと思っております。
#140
○山崎力君 ありがとうございます。
 そういった中で、それを役所内部だけでなくて、ある意味では非常に厳しいんですけれども、だめな計画を出してきたところには、そこのところがここがだめだというようなことを地方自治体に知らせ、それを住民の人たちに自分たちの選んだ地域の地方公共団体の計画はだめであったと、よってはねられたということが、ここがこういうことだという理由がしっかりすればこれは本当に反省材料になるわけでございます。ただ、どういうわけだか知らぬけれども予算のつき方が悪かった、向こうの方はよくついた、だから向こうの計画がいいんじゃないかというような従来の自治体間における横並び姿勢というものが、一種のそれも護送船団方式だったと私は思うんだけれども、その辺のところがこれからの町づくりにおいてはもう完全な競争社会になる。いいところは伸びていいじゃないのという地域間競争もそれはやらざるを得ない。これは気の毒な人も出てくるしあれなんだけれども、そういう割り切り方の時代にならざるを得ないんじゃないかなという気がしております。
 そこで、この間の私の質問でも述べさせていただきましたが、そういうふうな姿勢はよろしいし、あるいはそういうふうなことを勉強しているというのもいいんだけれども、今までの反省からいって、何回も申し上げて恐縮だけれども、日本の都市づくりというのは惨たんたる結果で明治以来戦後来ている、結果として、残念なことですけれども。そこのところで、役所の立場からすれば、まさに住民の意向をできるだけ効率的に果たしていこうということに追いまくられて基本的なコンセプトができないまま日本の都市が巨大化したり、あるいはよかったと思ったところが今の御時勢の中で地方中核都市の中心市街地の空洞化あるいはスプロール、地方におけるドーナツ化あるいは過密過疎化というところに来ている。
 そういったことに対して、確かに一つの今はやりの言葉で言えばこの法律案はツールだと思うんだけれども、それではうまくこれを使えばこうやってうまくいくんだなというのがなかなか全体として見えてこない、そこが一番腹立たしいというかいらいらすることだと思うんです。この法案に賛否という意味ではなくて、賛成なんだけれども、ということです。
 それで、最後に建設大臣にお伺いしたいんですけれども、大唐法の問題はいろいろあります。いわゆる都市計画区域外における出店規制をどうするんだ、そっちの方がむしろ地方の実情からいけばそこがポイントだよと言う商店街の人たちもおります。
 そういった中で、今回の法律が国民生活において、この逼迫した予算の中においてこれだけの予算を使う、一兆円と聞かされていますが、それが将来にとってペイするんだ、よしんばその投資が当初の目的を果たせないとしても、いわゆる都市基盤整備として当面の対策にはならないとしても三十年先五十年先の日本の町づくりにとって最低限一つの先行投資であったと、そういうものであったというふうな方針くらいは、方針といいますか考え方くらいはあっていいんじゃないかと思うんですが、そういった点を含めて御感想といいますか、最後の締めくくりの御意見をいただければと思います。
#141
○国務大臣(瓦力君) 山崎委員の御質問に十分答えられますかどうか。私は質問を聞きながら、山崎さんも力だし私も力だし、同じようにダブル力みたいなものでございます、名前が。
 ちょっとロマンチックに過ぎるかわかりませんが、やはり我が国の基本的な都市基盤、基盤といえば基本的なことでございますが、道路にいたしましても、また下水道等のことを考えてみましても、大変立ちおくれておることは間違いないわけでございまして、これらを一つは整備をしつつ、文化なり環境なり、また住民の多様なニーズにこたえて取り組んでいく、そして都市が、国が安全で、また美しい都市である、町であるということが重要であると思うわけでございます。
 都市でございますから、人間の息遣いがいろいろあって喜怒哀楽もそれぞれがしみ込んだようなところが町として、私はこれから欧米社会のようにつくり上げていくまた一つの機会でもあろうと思っておるわけでございまして、地域の方々のそれぞれの要望を集めながら、市民の価値観でありますとか、どういう町をつくろうという意欲でありますとが、そういったものが反映されまして、文化なり自然なり社会的な環境、そういったものを織り込んで経済力が旺盛になっていくというようなことを期待したいわけでございます。
 欧米社会と違って我が国は都市の成り立ちの歴史が違いますので、非常に市民の中でも都市意識というものが生まれておりますから、これらの支援をすることにつきましてはこの機会は大切な機会だと、こういったことをお答えもさせていただいておるわけでございます。
 そういう中で、京都であるとか奈良であるとか、歴史の中であるような町もありますが、恐らくこれからいろんな形の町が出現してくると思うわけでございますが、それらが歴史を経て、それに耐えて世界からも高く評価されるような町、また個性的で豊かな自立的な町が生まれてくることが私どもとして期待されるわけでございますので、積極的にこの法律をもって支援してまいりたいと思うわけでございます。
 確かに、委員も述べられたように大型店舗とかいろんな付随品がございますが、基本的にはやはり町をどうするかということをベースにしっかり考えていくことが今大切かな、こういう考え方を持っておるわけであります。
#142
○山崎力君 時間ですので、国土庁長官、最後に一言だけあれなんですが、逆に言えば町のことばかり今までやってきたような気がするんですが、全国的に見れば逆の村という部分もございます、自然環境という点もありますが。
 今回とは若干ずれますけれども、まさに町があればその地域以外のところはすべて村と言ってもいいようなところです。その辺のところの余波がやっぱり村社会にも来ているという部分で、全国総合開発担当者として、その辺のこの問題に対する意識を簡単で結構ですから御答弁願えればと思います。
#143
○国務大臣(亀井久興君) 山崎委員、既に御承知のとおり、先般新しい全国総合開発計画、二十一世紀の国土のグランドデザインと呼んでおりますが、策定をしたばかりでございまして、その目指すものは今までの全総でも掲げたことでございますがやはり均衡ある国づくりをしたいということでございます。人口にいたしましても経済にいたしましても情報にいたしましても余りにも今一部に偏り過ぎている、これを何とか均衡ある状態につくりかえていきたいという思いを込めておるわけでございます。
 今御指摘になりました、日本の各地にございます町そして村、農山漁村それぞれに個性があるわけでございます。その個性を十分に発揮しながら、まず自分の足もとをしっかりと見つめ直して、そのよさを生かしながらお互いに連携していく。その小さい町や村だけでなかなか自立した生活を確保するということも難しいわけでございますから、それに近い中小都市、そうしたところをまた拠点都市として十二分な都市機能も充実させていかなくてはいけないわけでございます。
 今度の全総では参加と連携ということを一つのキーワードにしているわけでございますけれども、そうした各地域が連携を深めながら、そしてまた行政だけに任せるということではなくて、その地域に住まいをしておられる方々、企業で働いておられる方々、あるいは各種の市民団体とかボランティア活動をしておられるような方々とか、そういう多様な主体に参加をしていただくということによって個性的な地域を創造していこう、そういう考え方を込めているところでございます。
 大都市圏の整備充実ということももちろん重要でございますけれども、言ってみれば日本の国土面積の約半分は過疎地と言ってもいいわけでございます。そこにわずか六・二%、約半分のところに六・二%の人口しかいない、そういう現状でございます。狭い日本と言っておりますけれども、私は決して日本という国は狭いのではなくて広い日本だと、もっともっと広く使うことを考えるべきではないか。全国バランスよく快適な居住環境というものがつくられていけば、美しい日本というものが必ず二十一世紀においてでき上がっていくのではないか、このように考えておるところでございます。
#144
○委員長(関根則之君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより三案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#145
○緒方靖夫君 私は、日本共産党を代表して、都市計画法の一部を改正する法律案、都市再開発法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案、国土利用計画法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 深刻な財政危機に直面する中、政府は総額十六兆円に上る総合経済対策を決定しました。ところが、その中心は相変わらず大手ゼネコン奉仕型の大型公共投資の積み増しです。このような対策は、バブル崩壊後に五十兆円近い公共投資をしたものの景気浮揚につながらなかったように、既に破綻が証明されています。
 本改正案は、総体として大企業の要望に沿って土地の流動化や土地利用の高度化を進める景気対策の一環とも言えるものであり、地域住民を犠牲にしかねない都市開発事業を促進するものにほかなりません。
 市街化調整区域の開発規制を緩和する都市計画法改正は、本来市街化を抑制すべき地域で宅地開発、大型店、大型レジャー施設の建設などを促進するものであり、地区計画が条件になっていますが、保全すべき自然環境や農地の破壊となるおそれがあります。
 特別用途地区の種類の法定制の廃止は改善であり賛成ですが、特別用途地区制度については商業調整の要素はなく、用途地域の補完としてごく限られた地区だけに指定できるもので、大型店出店による商店街や中小商店の被害を防止する効果はほとんど期待できません。基本となる用途地域制度の改善が必要です。
 都市再開発法案の都市再開発の方針は、再開発を促進すべき地区やその整備・開発計画の概要に至るまで知事が決めてしまうものです。市町村や地域住民の意見を反映する保障がない都市再開発方針の策定を地方都市にまで義務づけることには反対です。
 また、市街地再開発事業の特定事業参加者制度の創設は、施行者である自治体のリスク軽減などのメリットはありますが、民間事業者が事業全体のイニシアチブを握ることになり、一般の地権者が不利になるおそれがあります。認定再開発事業の全権利者同意制は認められますが、全体的に地域住民を犠牲にする再開発事業の促進策であり、反対です。
 国土利用計画法の改正は、土地取引の事前届け出制から事後届け出制に移行し、監視区域指定の前段に新たに注視区域を指定する制度を設けるものです。取引前の価格規制の緩和によって土地転がしや地上げなど土地投機が再び多発するおそれがあります。地価が下落しているとはいえ、その下げ幅は近年縮小しつつあり、大規模プロジェクトの推進と相まって地価が反騰することも考えられます。また、地価が上昇するおそれのある区域を注視区域に指定するとはいえ、過去の経験から見ると、いたずらに制度を複雑にすれば土地取引規制を機動的に発動できないおそれがあるので反対です。
 以上で、三法案に対する反対討論を終わります。
#146
○委員長(関根則之君) 他に御意見もないようですから、三案に対する討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、都市計画法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#147
○委員長(関根則之君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべき人のと決定いたしました、
 小川君から発言を求められておりますので、これを許します。小川勝也君。
#148
○小川勝也君 私は、ただいま可決されました都市計画法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明、社会民主党・護憲連合、自由党、新党さきがけ及び改革クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    都市計画法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。
 一、都市計画における地方分権の重要性に鑑み、地方分権推進計画を早急に推進するなど、自治体の主体性が一層確保できるよう権限の委譲に更に努めること。
 二、市町村に対し、地域住民やまちづくり組織。などの意見が十分に反映されるよう配慮しつつ、都市計画のマスタープランの策定を促進するよう指導すること。
 三、市町村の都市計画決定権限の拡大に伴い、市町村の都市計画に係る執行体制の充実に努めるとともに、都道府県による支援・協力体制を強化するよう指導すること。
 四、特別用途地区の類型の廃止に当たっては、地域の実情に対応するという改正の趣旨を十分尊重するよう、都道府県に対し指導するとともに、商業機能の適正配置など広範な目的で特別用途地区を十分に活用するよう、市町村に対し指導・支援すること。
 五、市街化調整区域は市街化を抑制すべき地域であり、環境への配慮、優良農地等の保全の重要性に鑑み、地区計画を定める場合においては、無秩序な開発が行われないよう十分に配慮するよう指導すること。
 六、未線引都市計画区域においても用途地域の指定を促進するなど、地域の実情に応じて計画的に土地利用を誘導するため、都市計画区域全域において、用途地域、特別用途地区、地区計画等各種手法の積極的な活用が図られるよう指導すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#149
○委員長(関根則之君) ただいま小川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#150
○委員長(関根則之君) 全会一致と認めます。よって、小川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、瓦建設大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。瓦建設大臣。
#151
○国務大臣(瓦力君) 都市計画法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことを深く感謝申し上げます。
 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいま議決になりました附帯決議の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
 ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。
#152
○委員長(関根則之君) 次に、都市再開発法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#153
○委員長(関根則之君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、国土利用計画法の一部を改正する法律案について採決を行います。本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#154
○委員長(関根則之君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#155
○委員長(関根則之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#156
○委員長(関根則之君) 次に、建築基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。建設大臣瓦力君。
#157
○国務大臣(瓦力君) ただいま議題となりました建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、規制緩和、国際調和、安全性の一層の確保及び土地の合理的利用の推進等の要請に的確に対応した新たな建築規制制度を構築するため、民間機関による建築確認・検査制度の創設、建築基準への性能規定の導入を初めとする単体規制の見直し、建築確認の円滑化のための新たな手続制度の整備、中間検査制度の創設、一定の複数建築物に対する建築規制の適用の合理化等の措置を講ずるものであります。
 次に、その要旨を御説明申し上げます。
 第一に、建設大臣または都道府県知事の指定を受けた民間機関が建築主事と同様に建築確認及び検査を行うことができるものとするとともに、当該民間機関において建築確認及び検査を実施する者の資格検定及び登録の制度を設けることとしております。
 第二に、建築物の構造規制等について満たすべき性能基準を明示し、これに適合することが一定の検証方式により確かめられるか、または建設大臣があらかじめ定めた仕様に適合するものでなければならないものとする新たな方式を導入することとしております。
 第三に、建築物の安全性を確保するため工事の施工中に検査を行う中間検査制度を創設することとしております。
 第四に、既存の建築物と連檐して建築物を建築する場合において、各建築物の位置及び構造について安全上、防火上及び衛生上支障がないものと認定したときは、これらの複数の建築物を同一の敷地内にあるものとみなして容積率制限や建ぺい牽制限等の建築規制を適用することとしております。
 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#158
○委員長(関根則之君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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