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#1
第142回国会 交通・情報通信委員会 第7号
平成十年三月三十一日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月三十一日
    辞任         補欠選任
     末広まきこ君     釜本 邦茂君
     溝手 顕正君     長谷川道郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         川橋 幸子君
    理 事
                景山俊太郎君
                陣内 孝雄君
                寺崎 昭久君
                但馬 久美君
    委 員
                加藤 紀文君
                釜本 邦茂君
                高木 正明君
                長谷川道郎君
                保坂 三蔵君
                守住 有信君
                山本 一太君
                中尾 則幸君
                松前 達郎君
                鶴岡  洋君
                及川 一夫君
                渕上 貞雄君
                上田耕一郎君
                筆坂 秀世君
                戸田 邦司君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  自見庄三郎君
   政府委員
       郵政省放送行政
       局長       品川 萬里君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        舘野 忠男君
   説明員
       外務省北米局日
       米安全保障条約
       課長       猪俣 弘司君
   参考人
       日本放送協会会
       長        海老沢勝二君
       日本放送協会専
       務理事・技術長  長谷川豊明君
       日本放送協会専
       務理事      河野 尚行君
       日本放送協会理
       事        石渡 和夫君
       日本放送協会理
       事        酒井 治盛君
       日本放送協会理
       事        松尾  武君
       日本放送協会理
       事        芳賀  譲君
       日本放送協会総
       合企画室〔経営
       計画〕局長    中里  毅君
       日本放送協会経
       理局長      笠井 鉄夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認
 を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(川橋幸子君) ただいまから交通・情報通信委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 日本放送協会関係の付託案件の審査及び運輸事情、情報通信及び郵便等に関する調査のため、日本放送協会の役職員を参考人として今期国会中、必要に応じ随時出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(川橋幸子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(川橋幸子君) 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。自見郵政大臣。
#5
○国務大臣(自見庄三郎君) ただいま議題とされました日本放送協会の平成十年度収支予算、事業計画及び資金計画の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、郵政大臣の意見を付して国会に提出するものであります。
 まず、収支予算につきまして、その概略を申し上げます。
 一般勘定事業収支につきましては、事業収入は六千二百四十六億円、事業支出は六千百五十六億円となっており、事業収支差金九十億円は債務償還に使用することといたしております。
 一般勘定資本収支につきましては、資本収入、資本支出とも七百十一億円となっており、放送設備の整備など建設費に六百七億円を計上しております。
 次に、事業計画につきましては、公正な報道と多様で質の高い放送番組の提供に努めるとともに、新しい放送技術の研究開発などに積極的に取り組み、デジタル放送時代への基盤整備を図ること等を計画しており、あわせて、経営全般にわたる改革とその実行に取り組み、一層効率的な業務運営を徹底するとともに、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努め、視聴者に信頼され、かつ、創造性と活力にあふれた公共放送を実現していくこととしております。
 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てたものであります。
 郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等につきまして、おおむね適当であると認めた上で、引き続き事業運営の刷新、効率化を徹底するとともに、地上放送を初めすべての放送のデジタル化の推進等に先導的役割を積極的に果たしていけるよう、事業計画等の実施に当たって配意すべき事項として、受信料収納の促進と受信料体系のあり方の検討等を指摘した意見を付することといたした次第であります。
 以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願いをいたします。
#6
○委員長(川橋幸子君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。海老沢日本放送協会会長。
#7
○参考人(海老沢勝二君) NHK会長の海老沢でございます。よろしくお願いいたします。
 ただいま議題となっております日本放送協会の平成十年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げます。
 平成十年度の事業運営に当たりましては、改めて公共放送の使命と責任を自覚し、その役割を着実に果たしていくこととし、公正な報道と多様で質の高い放送番組の提供に努めるとともに、新しい放送技術の研究開発などに積極的に取り組み、デジタル放送時代への基盤整備を図ることといたします。
 あわせて、協会の主たる経営財源が視聴者の負担する受信料であることを深く認識し、経営全般にわたる改革とその実行に取り組み、一層効率的な業務運営を徹底するとともに、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努め、視聴者に信頼され、かつ、創造性と活力にあふれた公共放送を実現してまいります。
 平成十年度の主な事業計画につきまして御説明申し上げます。
 まず、建設計画につきましては、緊急報道体制強化のための設備の整備を初め、衛星放送やハイビジョン放送設備の整備及び放送会館の整備等を実施いたします。
 次に、事業運営計画につきまして申し上げます。
 国内放送におきましては、多様な視聴者の要望にこたえて、番組の充実を図り、信頼感のある公正で的確なニュース、情報番組及び人々の共感を呼ぶ豊かで潤いのある番組の提供に努めるとともに、地域に密着した放送サービスの充実強化、福祉番組の充実、字幕・手話放送の拡充を行ってまいります。
 国際放送におきましては、国際間の相互理解と国際交流に貢献するとともに、海外在留の日本人に多様な情報を的確に伝えるため、ラジオ国際放送の充実に努め、テレビジョン国際放送については、世界のほぼ全地域向けの放送を開始いたします。
 契約収納業務につきましては、受信料負担の公平を期するため、受信料制度に対する理解促進を図るとともに、効果的、効率的な営業活動を行い、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努めてまいります。
 調査研究につきましては、新しい放送技術の研究開発を行うとともに、放送番組の向上に寄与する調査研究を積極的に推進し、その成果を放送に生かし、また、広く一般に公開することとしております。
 以上の事業計画の実施に当たりましては、経営全般にわたり業務の見直しを一層徹底し、要員については、年度内百八十人の純減を行い、総員一万二千八百四十七人とし、給与につきましては適正な水準を維持することとしております。
 これらの事業計画に対応する収支予算につきまして御説明申し上げます。
 一般勘定において、事業収支で収入総額六千二百四十六億八千万円を計上し、このうち、受信料については六千七十五億三千万円を予定しております。これは契約総数において四十七万件、衛星契約において七十万件の年度内増加を見込んだものであります。
 これに対し、支出は、国内放送費など総額六千百五十六億三千万円を計上しております。
 事業収支差金九十億五千万円につきましては、債務償還に使用することとしております。
 次に、資本収支につきましては、支出において、建設費六百七億円、出資一億六千万円、放送債券の償還等に百三億三千万円、総額七百十一億九千万円を計上し、収入には、これらに必要な財源として、事業収支差金、減価償却資金及び借入金など、総額七百十一億九千万円を計上しております。
 なお、受託業務等勘定におきましては、収入四億八千万円、支出四億円を計上しております。
 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて資金の需要及び調達を見込んだものでございます。
 以上、日本放送協会の平成十年度収支予算、事業計画等につきましてそのあらましを御説明申し上げましたが、今後の事業運営に当たりましては、一層効率的な業務運営を徹底し、協会に課せられた責務の遂行に努めてまいります。
 委員各位の変わらぬ御協力と御支援をお願いし、あわせて何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。
#8
○委員長(川橋幸子君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○景山俊太郎君 自由民主党の景山俊太郎でございます。質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、長野オリンピックまたパラリンピックの報道、本当に御苦労さまでございました。大変な成果が上がったと思います。
 さて、これからデジタル技術の急速な進展が図られると思っております。放送の世界も今大きな転換期にあるんじゃないかと思います。NHKはこれまで放送の進歩発展の牽引役をやってこられました。しかし、新しいデジタル時代におきましても、公共放送としてどういう方向に進んでいくのか、国民だれもが注視をしているところであります。デジタル時代へ向けまして公共放送の役割や事業運営の姿勢を中心にしまして、基本的なことを伺いたいと思います。
 その一つは、NHKにおかれましてはこの一月、「より豊かな公共放送のために」と題します将来ビジョンをまとめられました。十年度の予算案また事業計画、これらとともに公表をされたところであります。これから二十一世紀へ向けまして、NHKが進む方向を視聴者や国民に対しまして、どのようなガイドラインかということをこれで位置づけられたんじゃないかと思っております。
 そこで、これをまとめるに当たりまして、随分検討されたと思いますけれども、その際、基本的な立場とか基本的な視点、こういうものはどういったようなことであったかをまず伺いたいと思います。
 それから、デジタル放送時代にはこれまでの放送の枠組みがすっかり変わってしまう、随分革命的であるというようなことも昨今言われております。NHKにおきましても、こういった非常に転換するという認識に基づいてこのビジョンをどのように検討されましたかをまずお伺いしたいと思います。
#10
○参考人(海老沢勝二君) 今、景山先生からデジタル時代への認識についていろいろ御意見がありました。
 デジタル技術が本当に我々の予想を超えた勢いで急速に発展してまいりました。そういう中で、規制緩和というような大きな流れもありますし、そういう面で世界的にデジタルの技術を取り入れたいろいろな多メディア、多チャンネルの時代になってまいりました。そういう中で、私どもも文化としての放送ということで、これまで七十三年の歴史がありますけれども、こういう大きな世界の転換期といいますか、そういうデジタルの流れを十分見きわめながら、これから国民に対してどういう質のいい放送番組をお送りすることができるか、そういう視点でいろいろ勉強してきたわけであります。そういう中で、こういう変化の時代、転換期に向かう中で我々は余り目先のことにとらわれないで、やはりきちっとした視点を持たなきゃならぬだろうと。
 そういうことで、私は、こういう変化の時代に大胆に変えるべき点、それともう一つは、逆に日本の文化、伝統を守るといいますか、それを変えてはいかぬという、不易流行という言葉がありますけれども、そういうことをきちっと踏まえながら、視点は、国民に役立つ、国民生活に欠かすことのできない情報なりあるいは国民の生命、財産を守る、災害の多い日本でありますから、災害に対する緊急報道体制とか、あるいは身近な地域の情報を的確に伝えるとか、あるいはこういう国際化時代を迎えての国際放送の充実とか、やはりそういう基本的な情報というものをいつでもだれでもどこでも簡単に安く享受できる、簡単に言えば情報を格差なく国民に送り届ける、その基本的な立場をきちっとしておこう、今後もその方針は公共放送は必要だろうということで、こういう将来へ向けてのNHKビジョンをまとめたわけであります。
 その中で、できるだけ国民に新たな負担をかけないように、つまり受信料をできるだけ値上げしないでやっていこうじゃないか。そのためには、やはり自己改革といいますか、外圧でなくて我々自身の中で自主改革を進めて、これまでの番組制作のあり方、番組制作のシステムを抜本的にひとつ見直してみよう、そういうことで一つの方向づけといいますか指針を示したというわけであります。
#11
○景山俊太郎君 NHKは、デジタル時代に向かいまして率先して研究開発や啓蒙活動にお努めになっておられます。今回のNHKのビジョンの中では、いつの時代においても果たさなくてはならない公共放送の基本的な役割に加えて、とりわけデジタル時代にあってより積極的に役割を果たしていかなくてはならないところが二点挙げられると思います。
 その一点は、社会の広場となること、もう一点は豊かな社会や生活へ寄与すること、その二点ではないかと思っております。公共放送は、人々が連帯感を持って支え合い、物質的な面だけではなくて精神的な面でも豊かな生活が送れるように放送番組を通じて寄与していただかなくてはならないと思います。そういう意味で、公共放送にはよりよい社会をつくっていく羅針盤のような大きな役目があるんじゃないかと思います。
 そうした点につきまして、御認識のほどを伺わせていただきたいと思います。
#12
○参考人(海老沢勝二君) 今御指摘がありましたように、NHKは、一つの羅針盤といいますか、そういう役割もあるだろうということであります。全く私はそのとおりだと思っております。
 こういう多メディア、多チャンネルになりますと、ある面では金持ちだけが見られるチャンネル、選択の幅はたくさん一人ずつございますけれども、やはり全国民を対象にするといいますか、先ほど言いましたように情報に格差がないようにするのが我々の使命だろう、これは今後変わらない姿勢だろう。それと同時に、我々は国民一人一人から受信料をいただいて運営している企業体でありますので、そういう面で私は公開と参加ということを言っております。
 それは、開かれたNHK、開かれた公共放送、そして視聴者がNHKに対していろいろな意見なりあるいは考えを述べ、そういう中で、我々もそういう視聴者の意見を参考にしながら番組をつくっていく、これがやはりこれからの公共放送の大きな使命の一つだろうと思っております。
 それと同時に、先ほど郵政大臣から、NHKはデジタル時代を迎えての先導的役割を果たす使命があるという意見がありましたけれども、我々もこれまで長い間、衛星放送、ハイビジョンの開発、いろいろな開発をしてまいりました。
 そういう中で、デジタル化につきましても、何十年という研究の成果がここに出てきております。平成十年度の予算でもデジタル化の研究開発に二十億を積んでおります。そういう面で、今後もデジタルの技術を国民に還元するといいますか、国民に役立ててもらうような研究開発をさらに進めていきたいと思っております。
#13
○景山俊太郎君 今後とも公共放送の重要性というものは変わらないと思います。しかし、NHKは、公的な組織として業務運営や体制面でみずから変革もしていかれなくてはいけないと思います。デジタル化を放送サービスの向上に生かすとともに、より引き締まった経営体質を模索していただかなくてはいけないと思います。
 会長は、就任に当たられまして、先ほどもおっしゃったかもわかりませんが、改革と実行を経営のスローガンに掲げられました。その点につきまして、会長のお気持ちをいま一度伺わせていただきたいと思います。
#14
○参考人(海老沢勝二君) こういう大きなデジタル化への流れでありますので、これを乗り切るためにはやはり自己改革といいますか、みずからが汗をかき苦しみながら改革を進めていかなければなりません。そういう面で、経費の節減を図るとかあるいは番組制作に当たっても、これまでの長い伝統、歴史がありますけれども、そういう中でマンネリになっている部分についてはそれを取り除かなければなりませんし、また新しい技術とかあるいはアイデアというものを取り入れながら、やはり時代に合った改革をしなきゃならぬだろう、そういう認識で今改革と実行ということをスローガンにし、それと同時に、やはり職員一人一人の意識も変えでいかなければなりません。そういう面で、私ども今部内にも改革実行委員会を設けて、一つ一つ研修を進めて国民の負託にこたえていくようなスリムな体制に持っていきたいと思っております。
 それと同時に、もう一方では、こういうことによって番組の質の低下を招いてはなりません。我々は質のいい番組をつくって、国民がその番組を見、それが役立たなければなりませんので、そういう面で二律背反的なこともありますけれども、こういう厳しい時代に当たってもう一度一から出直すような気持ちで今改革に取り組んでいる、そういうことであります。必ず私は着実に成果が上がってくるものと、今職員の先頭に立って改革に取り組んでいるところであります。
#15
○景山俊太郎君 新世紀に向けまして日本の社会は国際化、グローバル化がますます進展すると思います。一方におきまして、一極集中に対しまして地域志向もまた高まってくると思います。私は、これからの公共放送は地域と世界との両方に目配りをしていただいて、地域放送と国際放送の充実に力を入れていただかなくてはいけないと思います。
 そこで、まず地域放送についてでありますが、BSやCSといった衛星での全国向けの放送が注目を集めております中で、ともすれば地域の人々への放送サービスがなおざりにされるんではないかという心配もあります。デジタル化時代のそういう環境の中にありまして、公共放送としてのNHKは、これまで以上に地域に顔を向けていただいて、各放送局が地域社会の中で本当に身近で信頼されてまた役に立つ、そういった存在としてますます発展をしていただかなくてはならないと思っております。
 この点に対しまして、地域に対するサービスという点でNHKの御意見を伺いたいと思います。
#16
○参考人(海老沢勝二君) 御案内のように、我が国の体制というものは四十七都道府県ということで、地方分権といいますか、形でいろいろ仕事をしているわけであります。そういう面で、私どもも各都道府県にそれぞれ放送局を設置して、やはり地域の文化の向上、福祉の向上に役立つような放送をしていこうということで、今五十四局の放送局を持っているわけであります。
 そういう中で、私どもさらに地域のいろいろな情報を的確に地域の人たちに伝えると何時に、また地域のいろんな生活ぶりあるいはいろんな行事等を全国に発信しなきゃならぬ、そして、地域の活性化、地域文化の向上に役立つような番組をつくらなきゃならぬということで、地域の中の情報と同時に、またそれを全国に発信する、それがひいては世界に伝わると、そういう二面を持ってやっているわけであります。そういうことで今地域の改革も進めております。それは、やはり地方にはそれぞれの文化がありますし、営みがありますので、その視点というものをきちっと踏まえながら、さらに地域放送の充実に努めてまいりたいと思っております。
 その第一段として、特に首都圏、一都六県につきましては、これまでより一時間時間をふやしまして午後五時五分から二時間の地域番組を強化するということにしております。これを今後地方にも拡大していきたいと思っております。その整備の体制づくりを今急いでいるというのが現状でございます。
#17
○景山俊太郎君 非常に長期間海外に駐在しましたり、国際化時代が進展をいたしております。その中で日本に対する関心も高まっているとは思いますけれども、しかし、一歩海外に出てみますと、日本に対する認識というのは十分理解されていないような感じがいたします。
 そうした中で、NHKの国際放送というのは日本というものを海外に知ってもらう大きな役割を担っているんじゃないかと私は思います。これまではラジオによる国際放送をやっておられましたが、それに加えてテレビ放送の国際放送を開始されました。今後、テレビ放送、またこのラジオ放送、日本を認識してもらうためにどういうふうに取り組んでいかれるかを伺いたいと思います。
#18
○参考人(海老沢勝二君) 映像による国際放送の時代になりました。そういうことで、国会の附帯決議にありましたように、私どもやはりこれをさらに充実させなきゃならぬということで、平成七年、三年前から映像による国際放送をアメリカ、ヨーロッパで始めました。その前からテレビ・ジャパンということで、NHKの番組を現地法人に提供するとか、あるいは三年前からアジア太平洋地域、アジア各国の放送局、CATVの業者、そういうところに番組配信という形でやってきております。
 平成十年度からひとつこれを大幅に拡充しようということで、実は四月一日、あすでありますけれども、あすからこれをデジタル化いたしまして、まずアジア太平洋に一日十八時間ニュース情報番組をノンスクランブルで放送を始めます。その後十月から北アメリカ、中南米あるいは南西アジア、中近東、ヨーロッパ、北アフリカと、世界の大体九七%ぐらいカバーできる三つのデジタル衛星を借りで放送するという準備を合しているところであります。そうしますと、かなりの地域、世界のほとんど主なところをカバーできるということになっております。私は、できるだけこれを二十四時間放送にしたいという考えで、できれば十一年度中に二十四時間体制に持っていきたいと思っております。
 それと同時に、この映像国際放送は、先生御指摘のように日本の国際理解とともに在留邦人あるいは日本からの海外旅行者、その人たちのために的確な情報を伝えるということが大きな使命でありますので、そういう面でさらに番組の充実ということと同時に、英語化率をふやすとか、さらには将来はいろんな外国の言葉を音声多重でやるとかいうふうなことを今勉強しているところであります。
 それから、短波、いわゆるラジオによる国際放送でありますけれども、今二十二の言語で六十五時間世界に発信しております。これはもう御承知のように戦前から、戦後一時中止しましたけれども、六十二年の歴史を持っておりますので、この短波によるラジオ放送は非常に今定着しております。この体制を維持しながら内容の充実を図っていきたいと思っておるところであります。
#19
○景山俊太郎君 地元のことを申し上げて恐縮なんですけれども、私は島根県、山陰地方でありますが、ラジオの中波放送の受信状態が非常に悪いわけです。特に夜間は悪くて皆困っております。これはいろいろな要因があると思います。気象的とか地形的理由とか、または外国からの高出力電波による混信等ございますけれども、こういう難視聴に対してどういう対処をされておりますか。
 また、郵政省の方におきましては、これは国際問題もあろうと思いますけれども、どういう実態なのかをお知らせ願って、私の質問を終わらせていただきます。
#20
○参考人(長谷川豊明君) ただいま先生が御指摘のとおり、ラジオ放送は昼間は全国ほぼ問題なく受信ができるわけでございますけれども、夜間になりますと上空に電離層というのができまして、それがちょうど電波を反射する役目をいたします。したがって、大陸内外国から出た電波がちょうど日本に反射してくるということで、夜間そういう電波によって混信が行われて聞きにくいという状況が起こります。非常に混信の起きやすい地域は、島根県を含む中部地方の日本海沿岸でございまして、あと九州地方、大陸に近いところでも放送所からやや離れている電波の弱い地域が非常に聞きにくいという状況になるわけでございます。
 NHKでは、これまで外国の混信のためにラジオが聞きにくい地域に対しましては、地元の放送局が聞こえない場合には、例えば大阪であるとか福岡の電波の方が強い場合がございますので、そういう電波を受信していただきたいということで、受信相談とか、どうしてもやむを得ない場合は新しくラジオの局を置局いたしまして新しく電波を出したり、あるいは電波の強さを大きくして聞きやすくしたり、あるいは混信の少ない周波数に変えてみたりというようなことをやってございます。
 平成四年から九年の六年間に新しくつくった放送所が全国で九局ございまして、あと周波数を変えたり電力を大きくしたりしたのが三局ぐらいございます。
 地域によってはそういう聞きにくいところがございますので、NHKとしては、引き続き受信相談なりあるいは新しく局をつくったり周波数を変えたりということで改善をしていきたいというふうに思っております。
 なお、十年度からFM放送が二十四時間放送になります。したがいまして、深夜などの災害時にはそういう災害放送ができますので、こういうことで災害時にお聞きいただけますよということを周知いたしまして、皆さんに御利用していただきたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
#21
○政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。
 それぞれの国でどの周波数を使って放送するかというのは、国際電気通信連合におきまして一つの約束事を決めまして、それぞれの国でどの周波数帯で放送するかというぐあいにその約束どおり放送することにしているわけでございます。我が国においては五百三十一キロヘルツから一千六百二キロヘルツの間で中波放送を行うということになっております。
 実は、この中波帯は大変逼迫しておりまして、近隣諸国においても同じような周波数帯で放送している、こういったことが今先生がおっしゃったような事象を生んでいるわけでございます。この約束どおりの周波数あるいは出力で放送している限り、こちらの波も行っているわけでございますから、お互いに受認せざるを得ないわけでございますが、約束違反をしていると思われる国につきましては直接あるいはITUを通しましてお互いに警告を発し合うという仕組みもあるわけでございます。この条約上は最大の善意と相互援助の精神をもって対応すると、こうあるわけでございます。
 つい最近も、ある民放の方から、ある地域ではどうも違法な放送と思われるような波があるので政府として対応してもらいたいという申し入れもございまして、ITUを通じてそれと思われる国にぜひ違法な放送をやめていただきたいということを通告いたしましたが、残念ながら当該国からは我が国ではそのような放送はしていないという返事が返ってきまして、今のところ打つ手がないわけでございますが、やむを得ずその放送局においては混信の生じない周波数で中継局を設けまして放送するということで、いささかでも混信のない状況で放送が聞けるようにということで準備をしております。
 こういった事象というのは全国各地にございますものですから、これは民間放送のラジオ放送だけでございますけれども、いわば難視聴解消事業としまして、国も、三分の一でございますけれども補助事業を行いまして中継局を建てて救済を図るというような措置をとっております。先生の地域で何か具体的にこの地域はどうも出力も大きそうだというようなことでございましたら、私ども測定いたしましてどのような中継局を建でたらいいか御相談に乗ってまいりたいと思いますので、何なりとまたお話を聞かせていただければと存じます。
 以上でございます。
#22
○山本一太君 自由民主党の山本一太でございます。先般地方行政委員会からこの交通・通信委員会に移籍をしてまいりました。この分野はまだ新人でございますが、同僚の景山委員とそれからスペシャリストの保坂委員に御指導いただいて勉強中でございます。きょうは、この当委員会での初めての質問ということなので、まとまらない話も出てくるかと思いますが、御答弁の方ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 同時にまた、就任以来大変御活躍なさっている自見大臣の御苦労に対しても二言敬意を表させていただきたいと思います。
 最初はゼネラルな質問なんですけれども、NHKの方に伺いたいと思います。
 先ほどからお話が出ておりますけれども、最近の放送界は急激な技術革新、あるいは多チャンネル化の現象に象徴されるような規制緩和がどんどん進んでいるということで、いわば放送のビッグバンと言われるような状況が現出していると思います。放送のビッグバンの波が押し寄せている。こういう状況の中で、キーワードになるのは、先ほどから何回もお話に出ているデジタル技術の進歩だと思います。デジタル技術の進歩が多チャンネル化を可能にし、さらには通信と放送の融合といいますか結合、こういう可能性も開いている、こういう状況ではないかと思います。
 先ほどの景山委員の質問とちょっと重なるところがあるかもしれませんが、こういう放送ビッグバンの状況の中でNHKが公共放送としてどういう役割を果たしていくのか。先ほど会長の方から、羅針盤であるとか目先の視点にとらわれずにしっかりとした視点を持つとか、あるいは大胆な改革を図りながらも日本の伝統、文化を守った役に立つ放送をするとか、大変いいお話があったんですが、この放送ビッグバンの中でのNHKの公共放送としての取り組みについて、改めて一言お聞かせをいただきたいと思います。
#23
○参考人(海老沢勝二君) もう先生御案内のように、デジタル技術の進歩とそれから規制緩和、国際化ということで、通信衛星、CSが二百チャンネル近く上がっておりますし、それに今外国の資本がこれに参入する、あるいは総合商社がこの事業に参加するということで、これまでの放送業界の枠を越えた大きな動きになってきております。いわゆる産業としての放送というのもまた大きくかかわってきているということであります。
 そういう中で、また一方では有線放送といいますか、CATVが今全国に張りめぐらされようとしております。いわゆるデジタル多チャンネル時代ということになったわけでありますけれども、そういう中で、問題はやはり質のいいソフト、質のいい番組をどれだけ制作できるかということが基本だろうと思っております。
 御承知のように、今CSは二百チャンネル近くになりましたけれども、これはほとんどの番組が一つの専門チャンネルとしてそれを流しているということであって、我々はそうでなくて、やはり報道、教育、教養、娯楽という四つの大きな分野があります。これをひとつバランスよく総合的に編成して、一億二千六百万人の日本人、あるいはまた外国で聞く人たちに最低限の必要な情報あるいは娯楽も同じ、共有するといいますか、情報を格差なく届ける、そういう視点でやっていかなきゃならぬだろうと思っております。そういう面で、そういう総合編成の放送といわゆる専門化したチャンネル、そういう二つが両立して進んでいくだろうと思っています。
 ですから、そういう中で、我々は、基本的な総合編成といいますか、総合サービスというものを堅持していきませんと、そこに情報の格差が出てしまうのではないかという危機感を持っております。そういう面で、私どもはできるだけより豊かなといいますか、より質の高い番組を一本でも多くづくっていく、それが視聴者にこたえる道だろう、そう思っております。
#24
○山本一太君 今の会長のお話は、質のいい番組づくりをとにかく心がけるというお話でした。
 デジタル化については、もうこれは世界的趨勢でございまして、地上放送についてはアメリカとイギリスと、あとどこかほかの国もあったと思いますが、九八年に開始予定ということで、今年だと思います。日本はたしか二〇〇〇年が目標というふうに伺っております。
 衛星放送については、アメリカでは九四年に開始をされて、全世界的に実施中というのはもうこれは周知の事実でございまして、日本は九六年にCS、BSは二〇〇〇年と、こういう予定になっているというふうに伺っております。
 また、ケーブルテレビについては、アメリカとドイツ、そのほかの国では昨年たしか開始になったということで、イギリスと日本は九八年予定ということになっているということでした。
 多チャンネル化の動向については、CSデジタルですが、今のパーフェクTV、これは九六年六月の放送開始だったと思いますけれども、テレビはもう百六チャンネルあるということでございます。
 また、通信と放送の融合については、例えばケーブルテレビの事業者が既に電話の事業にどんどん参入しているという事実からもこれが進んでいるということがわかると思います。
 先ほど会長の方からもございましたけれども、デジタル化、放送ビッグバンの世界というのはまだまだ未知の部分が多いと思います。この間、民放のプロデューサーともいろいろ話をしたんですが、多チャンネル化の中で日本国民がどういう反応を示すかというのがなかなか見えないということで、例えばアメリカでケーブルテレビが始まったころにまさかプロレス中継が一番のドル箱になるということはみんな予想しなかったんですね。
 ですから、どういうニーズが生まれてくるのかということは非常に不確定なことはあると思うんですが、その中で、今会長がおっしゃったように、公共放送としてしっかりと視点を持って羅針盤になるように柔軟に進んでいただきたいということを一言要望申し上げたいと思います。
 さて、さっき大臣とそれからNHKの会長のお話を伺っておりまして、先ほどの説明の中でも、新しい放送技術の研究開発に積極的に取り組み、そしてデジタル放送時代への基盤整備を図るというのがありました。これはNHKでいえば技術開発ということで、一番代表的なのは例のハイビジョンだと思います。これからハイビジョンについて何間かちょっと御質問させていただこうというふうに思っております。
 NHKではハイビジョンをテレビの王様と呼んでいるというふうに伺っておりまして、今その普及に大変力を入れているというお話でございます。さっき同僚の釜本邦茂議員と話したら、ワールドカップの全放送はNHKのハイビジョンでやるらしいぜと、こういうことでございまして、かなり力を入れておられるなという気がしたわけでございます。
 残念ながら、山本家にはまだハイビジョンが導入されておりません。普及しておりませんので、何となく感覚でしかわからないんですけれども、そもそもハイビジョンというものは、きっと何かすごく画面がきれいで恐らく映画みたいな大きい画面にしても細部まで見えるというようなそんな感覚があるんですが、改めてハイビジョンのメリットというのは何なのか、ちょっと簡単に教えていただきたいと思います。
#25
○参考人(海老沢勝二君) 詳しくは後で技師長が説明いたしますけれども、先生御承知のように、ハイビジョンは私どもNHKが昭和三十九年の東京オリンピックのころから開発を始めた、二十世紀後半のいわゆる開発投資の中ではずば抜けたものだろうというふうに私は自負しております。
 御承知のように、このハイビジョンは今我が国では六十万世帯に普及いたしました。それから、MNコンバーターといいますか、コンバーターをつけますと見られるのが百四十万世帯まで普及しております。御承知のように、ハイビジョンはすべてデジタル化されております。そういう面で、いわゆるデジタル多チャンネル時代になれば当然このハイビジョンが各家庭の中核的なディスプレー、いわゆる受像機になるだろう、これが普及しないと本当の意味でのマルチ時代にならぬだろうと私は思っております。
 このハイビジョンというものを私はテレビの王様というふうに名づけたわけでありますけれども、今これがアメリカ、ヨーロッパでも非常に高く評価されております。この前のアトランタ・オリンピック、今度の長野オリンピックでも、ハイビジョンはかなりの放送時間を割いて各国とも協力しながら進んでおります。そういう中で、私どもはこれを自信を持って今後も普及促進を図りたいと思っております。
 いずれにしても、二〇〇〇年度からの衛星、いわゆるBS4後発機、これは私はハイビジョンが中核になるだろうと見ております。詳しくは技師長の方から説明させます。
#26
○参考人(長谷川豊明君) ただいまの会長の御説明に尽きるわけでございますけれども、技術的に御説明いたしますと、今のテレビは五百二十五本という走査線でございますけれども、その約倍の千百二十五本の走査線がございます。それから画面が今四対三、真四角よりちょっと横長で四対三なんですが、ハイビジョンは十六対九ともうちょっと横長になります。したがいまして、今のテレビの情報量の約五倍の情報量が送れるのがハイビジョンでございます。したがって、一つの画面をとっても非常に鮮やかであるいは質量感がある絵が見られる、あるいは文字をとっても非常に細かい文字も見られるというようなことで、この間郵政大臣がはっきりくっきりというようなお話もございましたが、そういうような非常に鮮やかな映像が送れるというのがハイビジョンでございます。
#27
○山本一太君 そのはっきりくっきりというのが一番わかりやすい説明だなというふうに私も思いました。
 私、NHKが出している広報用パンフレットを見つけてきました。これに「衛星デジタル放送による新しい放送サービス」と書いてあるんですが、今開発中のテレビの見出し画面、これは小さ過ぎるのでちょっとこれだけ大きくしてまいりました。(図表掲示)
 これが見出し画面のボードなんですけれども、こんな感じになります。これは開発中ということで、この見出し画面で見ますと、これはイメージ図なんでしょうけれども、新しい情報がもうどんどん入ってくる。例えばペルー人質事件なんというのを押しますと最新のニュースがここに映って流れる。あるいはタイガー・ウッズ、杉山愛なんというのがありますけれども、スポーツ関係から映画の話から、たまごっちの話から、山本一太の政治活動というのはありませんけれども、そんな感じで見たいビデオも自動的に収録をできる、こういう機能を備えたテレビを開発中とお聞きしました。何でも、その機能のことをISDBと呼んでいると。これはインテグレーティッド・サービシーズ・デジタル・ブロードキャスティングとかいう、やっと覚えたんですけれども、こういう名前だそうです。
 このテレビがもし開発されるような話になりますと、やっぱり一つのブレークスルーだと思うんです。我々の生活を変える何か可能性を秘めた感じがするんですが、このISDBテレビというんでしょうか、このISDBの開発の今の状況についてちょっとNHKの方に伺いたいと思います。
#28
○参考人(長谷川豊明君) ただいま山本先生からISDBについて御説明がございましたが、そのとおりでございます。それはあくまでも私どもとしては技術的な可能性というものをお示ししておりまして、必ずしも、全部これをサービスするには、いろんな番組をつくらなきゃいけないとかいろんな問題がございます。あくまでも技術的な可能性としてそういうものがあるというふうに御理解いただければと思います。
 このISDBの開発状況でございますけれども、いつでもニュースというようなものがすぐ出せないか、このためには、一つのサーバーと言っている記録装置をつけなきゃいけないんですが、そういうもの、あるいはこういうサービスをやるための受信機の開発、あるいはニュースを送出するための装置、そういうものを今研究開発しておりまして、二〇〇〇年には、それらのすべてを一遍にすぐやることはできませんので、それを段階的にサービスしようというふうに考えております。
 このISDBは、その左上の画面にもございますように、先ほど御説明しましたハイビジョンが映像の中心になるものでございますので、そのハイビジョンの映像を中心に、そのほかいろんな普通のテレビの映像も含めてごらんいただこうということで今開発を進めているところでございます。
#29
○山本一太君 ちょっと弱気の御発言で、一つの可能性を示しただけというお話なんですけれども、これはたしか放送技術研究所に行くとこのモデルがあって、行った人はこれはもうすぐ実現するんじゃないかと思っているふうがあります。ぜひ開発の方を頑張っていただいて、テレビをコンピューターに入れるのとコンピューターをテレビに入れるのと二つの流れがあると思うんですけれども、これは恐らくコンピューターをテレビに入れるというコンセプトだと思いますが、ぜひこの開発に向けて御努力をいただきたいと思います。これはもう国益にもなるんじゃないかというふうに考えております。
 さて、ハイビジョンの話についで先ほど会長から大変思い入れの強い御発言があって、世界でもかなり評価をされているというお話がありました。
 私は、余りマルチメディアの世界をフォローしてきたわけじゃないんですが、一つハイビジョンについで気になることがあります。それは、私の記憶では、NHKはずっとハイビジョンはアナログ方式、ミューズというのが多分それに当たるんだと思うんですけれども、ミューズでずっと開発を進めてきたはずだったんですけれども、去年突然、少なくとも私の目から見ると何か突然の感じがしたんですが、デジタル方式に切りかえた、この方向転換の理由をまず事業者であるNHKの方から伺いたいと思います。
#30
○参考人(海老沢勝二君) 私ども、先ほど申し上げましたように三十数年研究開発を進めて、いわゆる電波を送る部分、この部分が圧縮技術が非常に難しいということで、非常に時間がかかってしまう。その部分はとりあえずデジタルとアナログの中間的な措置としてNHKが開発したミューズ方式という方式で放送を始めたわけであります。もちろん我々の内部でもそういう伝送部分について圧縮技術の開発を進めてきましたけれども、それが急に我々の予想を超えて圧縮技術といいますか、電波を送る部分の開発が急速に進んできたということであります。
 ですから、今、BS4の先発機、これから後発機がありますけれども、その期間はまだ伝送部分についてはデジタルにならないでアナログだろうということで、これは電波監理審議会、電監審の答申でも、BS4時代はミューズ方式でいこう、アナログ方式でいこうということになっていたわけであります。
 それが圧縮技術が非常に進歩した、二〇〇〇年にそれが実用化できるだろうという見通しがついたものでありますから、それで去年五月の電監審が改めてBS4後発機からはそういうデジタル方式でいきましょうということで、国といいますか、放送業者、行政当局含めて、あるいは電機メーカーも含めてそういうふうに大きく転換を図っていったということであります。
#31
○山本一太君 今、国というか、行政、事業者を含めてという話がありましたが、このNHKのハイビジョンに対するデジタル方式の転換という裏には、当然郵政省のハイビジョンに対するスタンスの変化というのがあったと思うんですが、そこら辺のところを郵政省の方からちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#32
○政府委員(品川萬里君) 若干経緯にさかのぼって恐縮でございますが、申し上げさせていただきます。
 先ほど、中波放送の波のアレートにつきましてITUということを申し上げましたけれども、この分野につきましてもやはりITUが一つの検討の舞台になっておりまして、いわゆる放送ハイビジョンの規格につきましては、スタジオ規格というのとそれから放送方式と二つあるわけでございます。
 ミューズというのは放送方式の方でございまして、これはアナログ時代に、今会長からお話がありましたように、ITUの舞台では一九九二年にミューズ方式というのを日本が勧告として採択してもらった。それともう一つ、欧州からHDMACという方式が提案されました。これも勧告になりましたけれども、実はこれはっいに実用化されずにそのまま来ておりまして、現実に放送方式として生かされたのはミューズ方式だけなのでございます。
 それからもう一つの、先ほど申し上げたスタジオ規格の方でございますが、これも日本方式と欧州方式、二つ勧告として生かされておりました。その後、いろんなデジタル化の技術進歩を背景といたしまして、スタジオ規格の方は最終的に一本の勧告にまとまりまして、中身は、専門的になってあれでございますが、有効走査線数を千八十本にするということで、スタジオ規格の方は一つの国際的ないわばグローバルスタンダードになったわけでございます。放送方式の方は実はまだ審議中でございます。
 このようなスタジオ規格の方が早目に決まったということ、それからスタジオ規格の国際方式が一つにまとまりましたのも、実は我が国の提案というものが大幅に採用されたという結果でございます。これもやはりミューズ方式というのが一つの貴重な第一歩になってそれが生かされたということでございまして、やはりデジタル化の流れの中でもミューズ方式というのは一つの大きな礎として生かされてきたんではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
#33
○山本一太君 今お二方から御説明を聞いたんですけれども、スタジオ規格のことは後で聞こうと思っていたので、答えられてしまいまして困っております。
 私の感触を言いますと、五、六年前でしょうか、ハイビジョンは最先端の技術として随分もてはやされて、その先端を行っているのがNHKで、NHKは随分この技術をがっちり守っているなという感触があったんです。外から見た感じですけれども、そうやって守っている間に、デジタル技術の方でブレークスルーがあって、何か全体がデジタル化の方に打っちゃって変更を余儀なくされたというようなそんなニュアンスを持っているんですが、いずれにせよ技術革新の競争というのは極めて熾烈だという感じを持っておりまして、この点については郵政省もNHKにもぜひ頑張っていただきたいと激励を申し上げたいというふうに思います。
 さて次に、スタジオ規格のことはもうおっしゃってしまったので、一般のハイビジョン利用者から見て切実な話をちょっとさせていただきたいと思うんです。
 ハイビジョンは、さっき会長のお話にもちょっとあったと思うんですが、受像機の内部がもともとこれはデジタルで開発されたと伺いました。ですから、今回アナログからデジタル化に行く中で問題になるのは電波の入り口というか外の方だけだというようなお話を伺っているんですが、ハイビジョンをもう買った方々は、つまり電波の入り口のところがアナログになっているわけですね。ですから、この変換に伴って、既に購入された方々に何か不利益がないか。例えば見れないとかいうことはないと思うんですけれども、さっき会長の方からアダプターというような話もありましたが、そこら辺も含めて、消費者というか既にハイビジョンを買っていただいた方々に余り負担になるような話は困ると思うんですけれども、そこら辺はどうなっているのか、ちょっとNHKの方から伺いたいと思います。
#34
○参考人(長谷川豊明君) ハイビジョン、アナログからデジタルに変わるところは、今先生御指摘がございましたように、電波の部分が変わるというふうに御理解いただければよろしいと思います。したがいまして、今までのアナログの受信機を持っている皆さんはどうなるのかということだと思います。
 私ども、デジタルに変わるときに、今までのアナログの受信者も保護すべきだということで、デジタルが始まった時点においても現在のアナログ放送を継続するということで、今の受信機をお持ちの方も引き続き放送は見ることができるということがまず第一でございます。
 次に、そういう方々がデジタルのものも受けたいという場合にどうするかということでございますけれども、これについては、電波の部分だけがデジタルになるわけでございますので、アダプターというところでデジタルの電波を受けて、あとは今の受像機で受かるようにアダプターをつければ、ブラウン管と言っています映像が出てくる一番値段の高いものはそのままお使いできるということになります。
 問題は、そのアダプターをいかに安くつくるか、御提供できるかということがやはり私ども放送事業者としても大事なことだというふうに考えておりまして、このアダプターは各製造メーカーさんがおつくりになるわけでございますので基本的には製造メーカーさんの御努力によるところが大きいわけでありますけれども、私ども開発をしてきた放送事業者としても、これまでの開発してきたノウハウがございますので、そういうものをできるだけ御提供して、安い受信機を提供するようにあるいはアダプターを提供するようにこれからも努力をしてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
#35
○山本一太君 今おっしゃったところで、文字どおりアダプターの据えっけとアダプター本体にどのくらいお金がかかるかというのが問題だと思うんですね。
 私もちょっと電気屋さんに行ってハイビジョンを見ると、安いものでも二十万とか三十万のレベルですから、例えばアダプターが十万円するとかそういう話だと、やっぱりこの方々にもうかなりの負担になると思うんですけれども、大体どのくらいの費用でアダプターというものはっけられるものなんでしょうか、ちょっと伺いたいと思います。
#36
○参考人(長谷川豊明君) 先生のお尋ねは値段が幾らぐらいになるかということでございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、各受信機メーカーさんがいわばお値段をつけるということになりますので、私どもが幾らというのはなかなか言いにくい面もございます。
 ただ、私どもとしてはなるべく安くというので先ほどのような努力をしてまいります。一つの目安としては、今CSのデジタル放送、先ほど先生おっしゃったパーフェクTVとかいろいろなところで行われておりますけれども、それもやはりアダプターをつけてございます。それの市販価格はいろいろあるのでございますけれども、それをできるだけ下回るものを提供したいなというふうに思っているところでございます。
#37
○山本一太君 この点については、せっかく高いお金を出してハイビジョンを購入してくださった、利用してくれている方々に過度の負担がないようにNHKとしてできる技術的サポートをぜひしていただきたいということを御要望申し上げたいと思います。
 次に、グローバルスタンダードの件でもうちょっとお聞きしたいことがあるんです。
 さっきスタジオ規格の方はスタンダードになったというようなお話をされたんですけれども、もともとNHK方式というものはそのまま取り入れられなくて、ヨーロッパからも何か方式があって、それが国際会議か国連機関かわかりませんけれども、その場所でいろいろ議論になったときに、アメリカ政府は態度を留保した、どっちにも決めないという形だったのでしばらく統一スタンダードは決まっていなかったというようなお話を伺ったんですが、それはもう今おっしゃったようにはっきり統一スタンダードとして決められたということでしょうか。
#38
○政府委員(品川萬里君) 先生おっしゃったように、今クリアされまして統一規格に落ちついたというふうに承知しております。
#39
○山本一太君 今のお話で、国と国とのスタンダードの話は終わった、国際規格は一応統一されたものになったということで、そうすると日本とヨーロッパの間をとったのか、恐らく何かそんな感じで決まったんじゃないかというふうに想像するわけですが、私は技術のところは余り詳しくないんですけれども、大きな国際規格が決まっても恐らくその中のちっちゃな規格というのはまだあるんじゃないか、すなわちデファクトスタンダードみたいな。ここら辺の大きな規格の中でのデファクトスタンダードをめぐってのしのぎ合いみたいなものもあるんじゃないかというふうに想像するんですが、そこら辺を受けてNHKとしてはどう取り組んでいくのかということをちょっと伺いたいと思います。
#40
○参考人(長谷川豊明君) ハイビジョンの規格につきましては、スタジオ規格については国際規格が統一されたという御答弁が郵政省からございましたけれども、私どももそういうふうに理解しております。
 あと、先生の御指摘は、そういう大きなところは決まったけれども細部についでまだまだいろんな各国の問題があるのではないかという御指摘でございますけれども、そういう点については、細部と言うかどうかわかりませんが、例えば音声方式につきまして、今アメリカの方式あるいは日本、ヨーロッパというところでいろんな方式が提案がなされております。したがいまして、これをどれにするかというのは世界的にこれだということはまだ決まっておりません。
 そういう意味ではどの方式をとるかということは、一つのデファクトスタンダードといいますか、そういう面で各社のあるいは各国の事情に応じてその方式を採用するということは十分あり得るというふうに考えております。
#41
○山本一太君 わかりました。そのデファクトスタンダードをめぐってもいろんなせめぎ合いがあると思いますけれども、きょうはNHKを激励に来たわけじゃありませんが、しっかり頑張っていただきたいと思います。
 ハイビジョンをテレビの王様として普及させるというお話をさっき会長の方から伺ったんですが、やはりハイビジョンを普及させるための大事なポイントは、さっきアダプターの話もいたしましたが、いかに価格を安くするか。今安くても三十万ぐらいするわけですから、ということと、あるいは高質度というんですか高精細度というんでしょうか、そういうテレビ画面にふさわしいソフトをきっちり開発していくことがやっぱり二つのキーかなという感じがするんですが、そこら辺を踏まえて、NHKとしてこのハイビジョンの普及にどうやって取り組んでいくのか、簡単に伺いたいと思います。
#42
○参考人(海老沢勝二君) どういう商品でもそうですけれども、普及にはやはり受信者といいますか視聴者が買える値段、安くすることが一番大事だということと、その受像機で送られてくる番組がやはり質のいいものでなければ見てくれませんから、そういう面でハード、ソフトが車の両輪として一致しなきゃならぬだろうと思っております。
 そういうことで、我々もメーカーに対してはできるだけ安くするようにひとつ努力してほしいというふうに要望するのは当然でありますが、それと同時に、我々自身が、やはり視聴者の皆さん、国民の皆さんが見てくれるような、関心の持たれるようなソフトづくりを考えております。
 オリンピックとかフランスで開かれるワールドカップサッカーについては、かなりスポーツの視聴に適した受像機でありますので、NHKもこれに力を入れますが、それと同時に、今一週間に一遍しかニュースをやっておりませんけれども、やはり基本は国民生活にいろんな面で役立つ報道といいますか、ニュースを今の総合テレビと同じように毎時間ハイビジョンで出すようにしなければ普及は急速に進まないだろうと私は思っております。そういう面で、二〇〇〇年のBS4後発機がデジタルになったときには総合テレビと同じようにニュースをハイビジョン化していきたい、そのための今準備をしております。
 一遍に一〇〇%ハイビジョンニュースを出していくのはちょっと不可能でありますので、これは全国ネットワークを組まなきゃいけませんから、そういう意味で段階的にやっていきますけれども、二〇〇〇年の初めの段階では五〇%ぐらいずつ、今の放送、いわゆる五二五のニュースといわゆるハイビジョンのニュースが半分半分ぐらいにはなるだろう、そして数年の後にはオールハイビジョン化できるだろう、そういうことで今考えております。
#43
○山本一太君 今会長の方からお話を伺ったんですが、郵政省はこのハイビジョン普及についてどのような姿勢をとっていかれるのか、大臣にも一言だけお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
#44
○国務大臣(自見庄三郎君) 放送のデジタル化あるいは技術革新ということは大変大事でございます。
 山本先生御存じのように、高度情報化社会あるいはマルチメディアの時代、こういうわけでございますが、このサイバー技術革新、三つのポイントがあるというふうに東大の斎藤教授なんか言っておられます。
 一つは、まさにデジタル化でございまして、もう一点は、やっぱりコンピューターのダウンサイジング化、それから、もう一点は光ファイバー、この三つが今日のいわゆる情報通信と申しますか、放送を含めてでございますが、技術革新をもたらしたと、こういうわけでございます。
 まさにハイビジョンの世界に向けて会長初め今大きくNHKも御努力いただいているわけでございます。特に、先生御存じのように、電話を含めて情報通信の分野、あるいはCATVの分野、あるいは今はもうCSデジタル放送、衛星がございますから、そういった分野では、電話あるいは通信の方はもうデジタル化は完了いたしましたが、ほかのCATVあるいは衛星放送、これは既にデジタル化をやっているところもございますし、道筋ができたところもあります。
 残るのは御存じのように地上放送のデジタル化でございまして、それに向かって大変御努力いただいている。BS4の後発機、デジタルでハイビジョンをやろうという大変私はすばらしい技術革新と、やはり国民に広くあまねく普及することは公共放送の使命でもございますから、そういったところの調和と、さらに一層先生の御意見を外して、やはりNHKがしっかり公共放送としての使命を踏まえて、あまねく広く、そして技術革新にもきちっと対応していく、そして豊かで良質な番組をつくっていっていただきたい、こういうふうに思っております。
#45
○山本一太君 大臣、ありがとうございました。
 四分ほど時間が余りましたので、私がちょっと考えていることをお話ししたいと思います。
 御存じのとおり、最近青少年の犯罪が増加の一途をたどっていまして、特に凶悪化をしているということがあります。
 これは警察庁の方としても、強さと優しさという二つのアプローチで今そういう犯罪に取り組んでいるわけなんですが、もちろんこれは根本的には私は教育の問題だと思います。教師と現場の警察官の協力なんかも進んでいるという状況があるわけですが、私は、一つ青少年の犯罪の凶悪化というのにはメディアの影響が非常に大きいというふうに感じております。特にやはりテレビもコミックもそういうものも全部含めてなんでしょうけれども、名前は言いませんが、例えば民放の番組なんかで、知的障害者を殴ったりレイプしたりとか、そういう場面が出てきたり、あるいは別のところではバタフライナイフを使って刺すとか、そういう意外とショッキングな映像が文字どおりゴールデンタイムに行われているということが、実は青少年の活動様式というか考え方に私は大きな影響を与えているんじゃないかという危惧を持っております。
 その点でちょっと調べましたら、さすがNHKということで、少年プロジェクトというのをつくっておられる。資料を持ってきたんですが、少年少女の問題について少年プロジェクトというのを立てて、その中でいろんなドラマを考えたり、あるいはドキュメンタリーをつくったりしているということで、これは青少年に夢を与え、さらには親の世代には親子の関係を考えてもらおうという番組づくりをなさっているということについて大変私は評価をしております。
 ただ、先日あるNHKの方にお目にかかったときに、こういう話を聞きました。NHKは二十代の視聴者が特に少ない、ほとんど民放にとられちゃっている、トレンディードラマとかそこら辺にみんなとられちゃっているという話で、NHKもとにかく若い世代に向けてきちっとメッセージを発信できるようにということでかなり工夫を重ねられていると思うんですね。
 私が覚えているのは、七、八年前、初めてNHKが民放みたいにNHK自身の宣伝をやりまして、「NHKは動いている」というタイトルだったと思いますけれども、有名なコピーライターにシナリオを書いてもらって、たしか当時人気絶頂だった宮沢りえのクマか何かが出てきて、NHKを何で見ないんだろうとかいうテレビをやったころから、例えば朝のドラマについても世相を反映していろいろ少し新しいものを取り入れてみたりとか、いろんな工夫をされていると思うんです。
 ただ、私が申し上げたいことは、視聴率ということに余りにも神経を使って、公共放送としての線を逸脱しないでもらいたいということなんです。つまり、NHKはやっぱりほかの民放とは違う。別にお世辞を言うわけじゃないですけれども、ネットワークも番組に対する姿勢も、特に人的資源というのは非常にすぐれていると思うんです。これはドキュメンタリーにも生かされているし、きちっとしたドラマにも生かされているし、あるいはクイズ番組とか家族そろって見られる番組にも非常に生かされていると思うんですね。
 ですから、そこら辺のプライドは失わずに、もちろん若い世代にメッセージを出すのは大事ですけれども、公共放送としての一線をきちっと画するという姿勢はぜひ持っていただきたいと思います。もう十分若い人たちに対する工夫はわかっていますから、「トップランナー」なんてすごくいい番組ですし、私はちゃんと「ポップジャム」を録音して新しい音楽の情報も得ていますし、あるいは朝のドラマも世相に合わせていろいろ表現なんかも変えているというのもわかっております。
 そこら辺のところはぜひ公共放送としての誇りを持って番組づくりをしていただきたいということを申し上げまして、会長の御回答をと思ったのですが、あと三十秒しかありませんので、三十秒でお答えいただければこれで終わりにしたいと思います。
#46
○参考人(海老沢勝二君) 今先生から御指摘がありましたように、テレビの社会的影響力というのは本当に大きいものがあります。そういう面で、私どもテレビを預かっている者としては、やはり国民のためになる、いわゆる次の世代を担う幼児、青少年向けの番組もきちんとしたものをつくらなきゃならぬだろう、そういう姿勢は私ども変わっておりません。
 今後とも青少年に悪い影響を及ぼすような番組はつくりませんし、これからも青少年が元気に明るく育つような、青少年の育成に役立つような番組を一層充実させていきたいと思っております。
#47
○山本一太君 ありがとうございました。これからも会長のおっしゃった羅針盤というコアを持って進んでいただきたいと思います。
#48
○守住有信君 自民党の守住でございます。
 年に一回のNHKの予算関連でございますが、先ほどは若い山本委員からNHKの存在意義、最後のところで最近の若者の問題、そこにポイントを絞っての、NHKが民放と対峙しながらもいかにあるべきかということの御指摘がありまして、私にとってはちびっ子はみんな孫みたいなものでございますから、じいさんとしての思いを込めてずっと聞いておって感心しておった次第でございます。
 その前に、郵政大臣から三つのポイントということで、光ファイバーもございましたし、デジタル化その他三つございました。
 私自身、ここの場でNHK予算あるいは放送関連の法案のときも今まで何回か取り上げてきたテーマの延長でございます。
 デジタル化という問題、いわばコンピューターがデジタルでございますから、通信のデジタル化、これが真っ先に発展していったわけでございまして、NTT初めあらゆる研究所が、国立研究所も取り組んでいった。放送の方のデジタル化についてはわずかにNHK研究所が一つだけしかない。そして、NHKさんは受信料が原点ですから、他の政府の科学技術振興費、科学技術基本法をつくったのは、私が科学技術部会長として、スタートでございましたけれども、議員立法でやったんです。共産党さんも科学技術基本法は賛成された。その科学技術の予算も別枠で物すごく伸ばしていく、そういう中で、放送についての科学技術研究開発の振興策にどう取り組んでおるか。
 郵政省の予算は微々たるものでございます。今まで長い間許認可官庁で、人件費中心でやってきたものですからね。そういう他の省庁、縦割りじゃだめですから、科学技術庁を中心にした、あるいは国立研究所、いろんな研究所がある。通産もあれば農林もあれば文部もあれば、大学の研究所もある。そういうものと連携させた、NHKの放送についてのデジタル化その他についての研究開発、これのお取り組みということをもっと郵政省は積極的にやるべきである。
 よく見ておりますと、通信の方は電気通信局、局で申しますよ、そして通信政策局が政策的テーマで、これを中心になって取り組んでおります。
 具体的にここに持ってまいりましたが、例の通信・放送機構、前はこれは通信衛星、放送衛星の維持管理から始まったんですけれども、この中で見ましても、通信の分野と放送の分野、もちろん融合、ミックスになりますけれども、どちらのサイドからこういういろんな助成に取り組んでおるかというのを一遍そこをチェックしてもらいたいんです。
 えらい枚数たくさんありますから一々申し上げませんけれども、ひとつ郵政省として、通信の分野と放送の分野と両面から、この機構一カ所しかないんですから、郵政省にとっては特殊法人は一つしかないんだから、これをどう活用されておるかという実態をもう一遍立ちどまってよくチェックされて、そしてその関心から、NHKの研究所、民放にはないんですよ、ソフトの方はいろいろありますけれども、ハード面についてなんて。特にデジタル化についての研究所はNHKだけしかない。それと郵政省の研究所、国立研究所とどういう関係を持ち、さらにこれをチームワークとして取り組んでおるか。これは民放側もその中に入れ込むとか大学の研究所も入れ込むとか、そういう仕掛けがあってしかるべきだと私は前から思っておって、実は去年のときも科学技術庁の振興調整費ですか、これを活用しなさいということを申し上げたんですが、そのことは今どうなっておりますでしょうか。何か面になって広がりつつあるでしょうか。お願い申し上げます。
#49
○参考人(長谷川豊明君) ただいま守住先生から、NHKの技術研究に対してもっと幅広い財源で取り組んだらどうかということで、昨年のこの委員会でも科学技術振興調整費について、その使い方についてもっと調査したらどうかという御指摘がございました。
 その後、私ども直ちに郵政省ともどもこの使い方について検討し、具体的には十年度の新規テーマに提案しております。
 提案内容は、郵政省の総合研究所を初めとして国立研究所、これは郵政省、通産省、科学技術庁の各研究所及び大学、これは三大学ございまして、東北大学、大阪大学、慶応大学、それからメーカー、これは三社ございますが、そのほかNHKということで、十の機関・団体で共同研究を提案しております。
 提案内容につきましては、将来のものということで、非常に高感度のもっと暗いところで写るとかいうような、しかも高精細度のカメラの基礎研究ということで、こういうものが開発されますと、例えば放送のみならず医療診断とかあるいは防災監視カメラというようなことで世の中に広く使われるだろうということで、高精細度カメラの基礎部分の固体化に関する研究という目的の提案をさせていただいております。
 現在、この審査結果を待っている段階でございまして、聞くところによりますと、来月、四月中旬にはこの結果が出るというふうに伺っております。
 以上でございます。
#50
○守住有信君 かつて私も科学技術庁の政策局長を呼びました。四月中旬だから、どうなっておるかということを私自身も言った以上は責任がありますから、それは応援していきたいと思っております。
 もう一つが、これはソフトの方ですけれども、海外放送を非常にNHKが民放にないあれでやっているし、この六月にはシンガポールでもオープンされますね、東南アジアとか。今までは短波放送で、在外邦人向けの放送だったんです、ラジオで。今度はテレビで相互交流の海外国際放送をやろうといってどんどんそういうトライをしておられますけれども、この場合、一郵政とかNHKだけでなくて、もう一つの、例えば内閣の広報予算とか外務省の広報予算とか、そういうものと連携させるような、郵政省は政府の一部だから、そういう我が国の外交政策とかいろんな事実とか、それを広くアジアの人たちや欧米の人たちに知ってもらう。在外日本人だけじゃなくてそれを知ってもらうということが非常にこれから大事だと思います。
 それは外務省にとっても大事だし、およそ内閣の官房にとっても大事だ。内閣の広報予算、膨大なものを持っておりますよ。御承知でしょう。外務省の予算、これは余り持っていないけれども、ある。そういうことを絶えずプロデューサー、お互い枠組みをつくって、そして人間同士の意見交換をやりながら、そういう番組を海外に向かって、日本の真実というもの、アジアの中の日本というものを知ってもらう。これは非常に私は長期的にも大事だと思っている。
 この辺への取り組みは、私はかえって郵政省の方へ聞きたいんだけれども、どのような努力をNHKと一体となってなさっておられるかお尋ねします。
#51
○政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘のように、国際相互理解のためには今までのラジオの短波放送だけでは不十分でございまして、映像国際放送というものは大変重要でございます。
 この件につきましては、先生も今おっしゃっておられるとおり、すべて受信料で制作されているわけでございますが、これは受信料制度というものはNHKの受信契約を結んだ方々によって払われているわけでございますが、視聴者イコール国民ということを言っても過言ではないわけでございまして、結果的に我が国全体に利益をもたらすということで、受信料で国際放送を行うこともいわば国民、視聴者の理解が得られている状況にあるんではないかというふうに思っております。
 郵政省としてどうするかということでございますけれども、先生ももう御案内のように、今なかなか国の予算事情も厳しい、それからNHKにおかれでもやはり今のような国際放送の性格からしまして受信料で運営していくことが望ましいんではないかという御意向もありまして、今のような、短波放送の方は約十九億円の国庫補助、それから映像放送についてはすべでNHKによって賄われているということでございます。
 しかし、これからもますます我が国の国情を大いに世界に広く理解していただく、あるいは国際理解を広めるということで大変この国際映像放送は大事でございますので、その費用負担のあり方はどうかということについては、絶えず私ども諸外国の状況を見ながら研究していくべき課題ではないかというふうに認識しております。
 なお、ささやかではございますけれども、番組の翻訳業務をある財団法人でやっておりまして、それにいささか補助金を出して、NHK初め民放の国際情報が相手国の言語で放送されていささかでも広がるようにというようなことを講じておりますけれども、いろんな観点から今後も検討してまいりたいと存じます。
#52
○守住有信君 お聞きしておりますと、NHKは受信料だけで成り立っておるんだとか、短波放送は二十億足らず助成しておるけれどもとか、従来のそういう枠組みの中で物の考え方が何十年とそのまま来てしまっておるんじゃないか。
 私が言っているのは、外務省から予算をもらえと、NHKがもらうんだということじゃありませんよ、共同制作です、NHKは番組づくりのプロなんだ。それが、外務省の外郭団体もあります、内閣のあれもあります、そういうのと連携して、ノウハウは一番持っているんだから、制作費をそこが負担する。結果的にはそれは外務省予算だあるいはまた内閣の広報予算だ、そういうことになっていくというふうなことです。
 何か従来の十年、二十年、三十年前の発想、枠組みの延長だけで、何かないか、そうすると、十九億ぐらい短波放送に助成しておるとか、受信料を考えたいとか。これは、受信料を払っているのは日本人ですから、外国の人たちが見る番組ではない、何かそういうふうな従来の古い固定観念というか枠組みというか、それに縛られておるんじゃないか。
 もっと番組の共同制作というような形で、NHKの番組づくりのノウハウと外務省の外郭団体あるいは内閣のそういう団体と連携しながら、それでその制作費負担はそれぞれの省の外郭団体。それぞれのところに補助金は出でおるわけですから、それと連携して、海外向けの放送はNHKだ、発信者はNHKだから。前から私はそういう発想があるんですよ。
 それをひとつ郵政省も、政府の広報関係のグループ、科学技術は申し上げましたけれども、広報関係のグループの中で、郵政省、広報担当ですよ、特に放送担当は広報ですから。ただ記者会見とかそういうあれだけじゃありません、国内のあるいは在外公館での記者会見だけ、そうじゃなくて、これは映像なんです。まさしくNHKが前やられた映像の時代、二十世紀は映像の時代ですよ。そして、言葉という問題もありますから、それぞれの国の外国語に直して入れて、そういう何かシステム、仕組みが仕掛けられぬのか、こういう思いがしておりまずよ。
 本当を言うと、私がもうちょっと若くて今郵政省の官僚なら、こういう仕掛けを外務省とか内閣の広報室長とかを呼んで一緒になってグループをつくって仕掛けを出しますよ、NHKさんと一緒に。本当にそういう思いです。いつも似ておる、同じような答弁なんだよ。私は何回も言ってきておるんだよ。直に予算をNHKに配分するとか、そういう発想じゃありませんよ。もうちょっと知恵を出さぬのかな。そして行動力だよ。これだけ申し上げておきます。
 言いたいことは山ほどあるけれども、もう時間もありません。
 そこで、地上波デジタルの問題も、これはずっと出ておったけれども、やはりコンピューターがデジタルですから、したがって真っ先に通信がデジタル。大容量、高速。そしてやっと放送波に及ぶ、無線に及ぶ、こういうふうな時代の流れがあると思っておりますけれども、それだけおくれておるわけだな。
 これを見ても、放送関係の機構のいろんな知恵を出しておる仕組みはせいぜい政策減税ぐらいじゃなかろうかと思っておるんだよ。地上波デジタルをやって受信機能なんとかかんとか、いろんなメーカーとか、そういうものの政策減税ぐらいが関の山じゃないかと思っているんだよ。
 それで、炭焼き小屋論、ローカルの地方民放は炭焼き小屋論があるわけだ、NHKももちろん影響するけれども、時間がないからあれしておきます。
 もう一つのテーマは、前から申し上げておりました。これを知ったのが七年十一月、上田耕一郎さんが逓信委員会で、在日米軍構成員等のNHK受信料未払い問題、構成員というと軍人軍属だ、これでございまして、私はそれまでは全然知らなかった、私が事務次官をしておるときもだれも部下は言わなかった。本当ですよ。これをあの席で聞いて、むむっと思ったんです。ただし、私は日米安保の大いに推進論者でございます。これは違いますよ。それだけははっきり申し上げておく。
 しかし、これは私生活の問題なんだ。軍人としての、米軍としての公的な世界じゃない。米軍が基地の中の私生活においてNHKの受信料を払っていない。見ておるんじゃないのか、ここからです。
 それで、ずっと要点を放送行政局にあれさせたら、一番スタートは昭和五十三年です。見事なものだ。NHKは坂本会長。「在日米軍が、受信料支払い義務がない旨指令したとの報道 NHKは在日米軍に文書抗議。外務省も米側と折衝開始」。五十三年でございます。
 そして一方、折衝経緯は、昭和五十四年から五十六年ぐらいまではNHKは基地内の米軍人軍属等に電話等で契約勧奨をしようとしたけれども、これは不調であった。それからまた、昭和五十八年以降はさらにNHKは勧奨のための基地内立ち入り要請をしたけれども、米側は拒否した。この時代は郵政省のユの字も出てこぬ。私には何もなかった。当時の電波監理局時代だな。
 そして、平成八年一月、それはなぜかというと、平成七年十一月九日に参議院逓信委員会で上田耕一郎議員が質問した。郵政大臣、外務省日米安保条約課長、内閣法制局部長、NHK理事。そして当時は及川委員長。及川さん、あなたは委員長でそこにおった。責任があるぞ。理事会で協議すると発言があって、そして申し入れ云々と。これがスタート。
 これから私も知ったわけでございまして、その翌年の二月二十二日、逓信委員会で私もやりまして、当時の郵政大臣と放送行政局長、それから五月にも、その後どうだということで再度やったわけでございます。
 こういう場だけではだめなものだから、私はいろんな角度で内閣法制局とも、第一部宇川参事官とこれの基本となる日米地位協定の第十二条第三項が、租税を免除される、この租税論から始めたんだ。何となれば、アメリカ国内は民放ばかりですから、受信料制度なんかがないんだよ。みんなスポンサーつきなんだ。アメリカは全部民放なんだ、NHKなんかの存在はないんだ。これは特異な存在です。
 それから、ヨーロッパの一部ではあれは税金なんだ、西ドイツなどでは。受信機を買うときに消費税のように受信料たる税金が中に化体されておるんだ、物品税の一種とされておるみたいなものだ。だから税金だ。だからドイツ駐留米軍、NATOの方もあれば税金だと当然とらえられている。日本だけがNHKという特異な、世界にも変わった立派な政策、不偏不党、国営放送でなく公共放送、だから受信料制度なんです。
 それから、さらにもう一つ私がふっと気がついたのが、思いやり予算。米軍基地内の電気代、水道代、ガス代、それはどうしておるか。そこで防衛施設庁の会計課長を呼びましたよ。どうだと言ったら、ちゃんと思いやり予算の対象。ただしこれはさらに詰めていったら、技術的な問題があったんだ。一軒一軒じゃないんだな。兵舎があって大もとのところで計測器があって、メーターがあって、まとめて、はい何ぼだ、毎月どうだとはっきりわかる、電気も水道もガスも。
 ところが、受信料の場合は一軒一軒なんです、自分のホーム、私生活だからね。それで、今度は外務省も呼びました。それでやっておったら、日本語ができる米軍人というのは余りおらぬらしいですな。だからNHKのテレビなんか見ておらぬ、CNNとかアメリカのそっちばかり見ておると、そういう強弁が向こうからはあるらしいんです。
 私が簡単に幾つかの流れのポイントを申しましたけれども、これらの今までの、今まではいいから、最近の経緯というか折衝状況というか、どこでだれが、特に私が要請したいのは、外国との関係ですから、日米安保に関連するような関係ですから、やっぱりはっきりした公文書にして、その名前も郵政大臣とNHK会長の名前で相手の米軍の総司令官あるいはアメリカ大使へ、それはもちろん外務省経由、外務大臣経由で結構だけれども、やはり申し入れをしておくべきではないのか。でないと、これはずっとエンドレスに行きますよ、という危惧を私は持っております。
 余分なことを言うかもしれぬけれども、ことしは受信料を上げないけれども、二、三年後上げざるを得なくなったときに、これがひょっとすると皆さん方の中から、受信料を米軍は払っておらぬ、反米、米軍追い出しということに結びつきはせぬだろうか。私の勝手な、先を読まにゃいかぬからね。だから余計私はそういう問題意識を持っておるということです。
 それから、大体アンフェアというのは私は気に食わぬのだよ。公ならわかるよ、日本の領土、日本国民を守るための日米安保のためならわかるけれども、これは私生活なんだ、私的な分野。だから、公と私というものは必ず分離して取り組んでいかにゃいかぬというのが簡単に言うと私のとらえ方でございます。
 取り上げたのは共産党さんでございますが、何も共産党さんだけじゃないんだな。ずっと見ると、高木陽介議員それから西川玲子議員、ちゃんと後で同じ逓信委員会で取り上げていらっしゃいます。
 前置きはたくさんやりましたけれども、これについて最近の状況とか、今後に向かってどういう仕掛け、やり方で臨むのか。これは外交交渉になるわけですから、それを念頭に置いたことだと思っておりますけれども、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
#53
○政府委員(品川萬里君) ただいま先生から詳しくいろいろ御指導賜りましたのですが、最近の状況を申し上げますと、平成八年一月二十二日に日米間で実務者レベルの会合を実施いたしました。その場で日本側からの見解をお伝えしまして、米側からの返事をお待ちしておるという状況でございますが、今のところまだ返事をいただいておりません。外務省を通じて再三、回答はいかがでしょうかということをお願いしておりますけれども、いまだに回答を得られておらず、また会合を持ちたいということで申し入れておりますけれども、今現在外務省においていろいろ米側と折衝をしていただいているという状況にございます。
#54
○守住有信君 余り簡単過ぎてどうも。あと、私は文書でその経緯は要請しますから、よろしゅうございますな。
 それで、その後も、八年一月二十二日からずっと見てみると、行政局長は北米局長に一回だけだ、対外的に顔を出している役職名が出てくるのは、あとはずっとほとんど全部特定放送業務室長だ。この八年二月二十日のときだけが郵政省放送行政局長が外務省の北米局長と会いまして早急な解決を文書で要請しております。その後ずっと室長、室長。外務省は課長とか何かが出てきますけれども、放送室長ばかりだ。
 ずっとまとめて見ましても、いろいろ米側への督促をファクスで要請したり、そういうのも出ておりますが、大臣、こういうことは御承知ですか、詳細なこと、私ももらっておるわけですから、要請したらちゃんと回答をつくってくれたんですよ。御承知ですか。このずっとの、具体的なことですよ、漠たる話じゃありませんよ。いかがでございますか。
#55
○国務大臣(自見庄三郎君) 守住委員の大変長い間の経過、経緯についての、また見識を含んだ御意見を聞かせていただいておりました。守住事務次官のところにもこの問題が上がってこなかったということでございますが、きょう守住先生から質問があるということで、実は率直に言いましてきょう初めて勉強させていただいたような次第でございますが、いずれにいたしましても、これは昭和五十三年以来の懸案であり、日米地位協定上の解釈の相違により解決が長期化している問題だというふうに認識をいたしております。
 これまでも郵政省といたしましても精いっぱい努力をしてきたという経緯、経過、今さっき局長から、平成八年一月一日でございますか、実務者レベルで郵政省の意見というものを申し上げたという話があったわけでございますけれども、残念ながらまだ向こうから回答が来ていないというふうな経過の説明もございました。私もこれは問題意識を持ちまして、今後も米国の受信料に対する理解が得られるよう努力をさせていただきたいというふうに思っております。
#56
○守住有信君 同じあれでも、ちょっと過去の、大昔を思い出しました。私が電波の総務課長のとき、沖縄返還でございまして、佐藤栄作総理がのどにかかった小骨と言われる。何だ。ボイス・オブ・アメリカが沖縄にある。VOAでございますな。それで、局長は技術屋であったものだから私が行って、もう赤旗が林立しておりましたな。わあってやりましたよ、外務省と一緒になって。それでボイス・オブ・アメリカを追い出した、本土並み返還ですから。本土にはボイス・オブ・アメリカなんかありません。専ら中国とかソ連とか北朝鮮向けのあれをやっておった、中身はわかりませんけれどもね。これはラジオですけれども、沖縄の那覇市の北の方の山の上に高いアンテナ塔が立っていて、その最後はどこも報道しなかったが、追い出したら済州島に行ったんですよ。
 まだ一つありました。御参考までに、沖縄に極東放送というアメリカのカソリック放送、宗教放送があったんです。名前は極東放送。本土にはありませんよ、これをそのまま宗教放送を認めたら、いろんな、オウム放送だってできますよ。だから極東放送、これは追い出す。中身を変えた、資本系列、その他を地元資本に。それで今名前は何になったかもう忘れましたけれども。最大がボイス・オブ・アメリカだったけれども、そういう放送というものは各般の影響するところ非常に重大なんだな。
 ただ、問題は、私が外務省の安保課あたりの人とやっておったら、なかなかこれがあれなんだな、日本語がわからぬからNHKなんか見ておりませんと。これの証明が、うん、そうかなとも思うんだよな。一軒一軒せにゃいかぬ。水道とか電気はもとの方で全体を押さえておるから、計器でぴしゃっといくからいいけれども、思いやり予算で。一軒一軒なものだから、基地の中の兵隊さんや下士官やその他の一部屋一部屋です。
 それが難しいから、私は一つの発想として、米軍と共同調査をやったらどうだと。全国に基地が幾つもあるから、幾つかの基地を抽出して、二つか三つ抽出して、米軍の方と、これは外務省立ち会って結構だ、NHK、郵政省立ち会って結構、そういう仕掛けをして、その本当の実態を知らなければ、NHKは、これは前もあるように電話でお聞きしたと、英語でね、だめだったと、こういうわけだ。
 何かこのためには、長い間これは議論をしているばかりではそのまま続いていくんじゃないか、こういう気がしてならぬのですよ。だから、やっぱりどこか抽出法で共同調査して、どういう実態なのか、その比率はどの程度なのかとか、そこまで行かぬとこれは永久にエンドレスで、何か不満だけが残る。これは日本国民に残りますよ、一NHKとかそういうことじゃありませんよ。我々は受信料を払っておる、向こうはどうだと、こういうふうな宣伝戦も私は起こりかねぬと思っておるから、早目早目にその宣伝に乗らぬようにという思いもありまして、これを申し上げておくわけでございます。
 何かそのやり方をとこか考えたことありますか。これはむしろこういう発想は若手の方が出てくるかもしれぬ。共同調査、その具体的なやり方も、そして相手とネゴシエーションをやってみる、米軍やアメリカ大使館と一緒にやってみる、こういうことについてはいかがでございましょうか。
#57
○政府委員(品川萬里君) ただいま先生から大変貴重な御示唆を賜りましたんですけれども、事が地位協定の解釈というところが一つのネックと申しますか、双方の理解が至っていないところがあるわけでございまして、なかなか、いわば共同調査で入れるかどうかという、それ以前の状況にあるような状況でございます。
 したがいまして、受信料の性格について、いわゆる地位協定の解釈について、これは協定でございますから一方が一方に協定の解釈を押しつけるというわけにまいりません、相互の理解が必要でございますので、そこの点はやはり引き続き根気よく御説明をして、また理解を得ることが必要だと思いますけれども、いろいろ先生からも貴重なヒントをいただきましたので、いろいろ工夫をしながら知恵を出しながらこの問題に対処してまいりたいと存じます。
#58
○守住有信君 共同調査の前の問題、基本的問題だね。そうしたら、地位協定に関するこれは解釈論になってくるんだな。
 これは内閣法制局見解を文書でとりましたか。
#59
○政府委員(品川萬里君) 本件につきましてはかつて国会において内閣法制局の方の答弁がございまして、それをもって承知をしております。
#60
○守住有信君 答弁だけじゃだめだ。見解を文書で、政府の一員だよ、日本政府の一員だ、政府が外交交渉をしようというときに、そうかい、じゃおれも大森君に電話してみるよ、君らもやれ。文書をとるんだよ。国会で昔答弁しておりますからそれがあると。はっきりした文書ですよ、内閣法制局見解。
 昔も私はとったよ、政策局長のころ、通信の秘密について。五十嵐業務課長だったよ、そういうのも思い出すよ。はっきりした文書で、郵政大臣あて、それをもって内閣法制局、内閣の各種法律の解釈ですよ。国会の答弁の中身がどうのじゃだめなんだ。はっきりした、まして外交交渉の、長年その問題やっておるわけでしょう。だから、郵政大臣としてはメンツつぶされたみたいなものですよ。郵政大臣が要請されて、内閣法制局長官から、閣議のときに後ろに座っておるじゃないですか、大森君は。終わった後においと呼んで、それで後は実務的にやっていく。そういうオーソライズしたもので、アメリカ大使とか駐留米軍の総司令官マターですからね、これは。チンピラの一基地司令の方の問題じゃないんですから。こう最後に具体的に申し上げておく。
 具体的にやらぬと何十年もたってしまうよ。役人は二年もすればおれはおらぬことになるぐらいに思っていたらだめだよ。大臣も内閣また改造あればおらぬことになる。そうじゃないんですよ、組織としてだよ。
 最後に声を荒げましたけれども申し上げまして、終わらせていただきます。
#61
○委員長(川橋幸子君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三分開会
#62
○委員長(川橋幸子君) ただいまから交通・情報通信委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#63
○中尾則幸君 民友連の中尾でございます。
 私は、初めに長野冬季オリンピックについて若干感想を述べさせていただいて、会長の御意見もあわせて伺いたいと思います。
 今回のオリンピック、日本人の活躍はもとより、国境を越えたスポーツ選手の頑張り、これは日本人のみならず多くの世界各国の方々に感動を与えたなと思ってございます。特に、テレビの映像の持つ重み、それからラジオのメディアの力、改めて認識させられました。
 特に今回、感心いたしましたのは、映像も大変工夫を凝らしておりまして、例えばスピードスケートの移動カメラ、それからリレー、距離なんかも移動カメラを非常に駆使されておったということも画面から大変新鮮に受けとめさせていただきました。それから、音声の方では特殊集音マイクですか、スピードスケート会場あるいはアイスホッケー会場に事前に埋め込んで、そういう工夫も凝らされておったということで、NHKを含め民放も共同で対処したというふうに聞いておりますけれども、大変技術の高さ、改めて日本のテレビ放送の四十五年の歴史というのは重いなと思っておりました。
 私事で大変恐縮なんですが、私も札幌冬季オリンピックあるいはアメリカのレークプラシッド冬季大会の現場で放送関係に携わってまいりました。それから、サラエボあるいはカルガリーについては編集を担当させてもらってきた関係上、やはり最近のメディアの発達というのは大変なものだなと思ってございます。
 それからもう一つ、余り褒めてばかりいてはいけないんですが、アナウンスメントについて私は何競技か大変印象に残るあれがございました。特にジャンプのラージヒル、たまたま私も間に合って原田選手の二本目を中継で見ることができましたんですけれども、そのときのアナウンサーの「立て、立て、立ってくれ」という、私も札幌でずっとジャンプを見てまいりました関係上、あの原田選手の思い、日本人の思い、それも嫌みなく伝えられたんだな、随分やはり何年も現場を取材していらっしゃるなということを肌で感じました。こういう歴史みたいなものを大事にしていただきたい。あるいはラジオで、これは民放のアナウンサーですけれども、大変よく勉強していらっしゃるスピードスケートを聞きました。こうしたよさをこれからもぜひ大事に育てでいただきたいなと思っております。
 それから、パラリンピックについてでございますが、私も大変勉強不足で、パラリンピックにこんなに冬のスポーツがあったのかという驚きが本当に最初でございました。
 NHK初め民放にいろいろな声が寄せられているやに聞いております。つまり、なぜパラリンピックを中継しないんだと。私はその声もむべなるかなと思ってございますが、今回のNHKを含め民間放送のパラリンピックについても、私は一定程度の役割を果たしたのではないか。つまり、今まで正直言って余り関心を持たれなかった障害者の特に冬のスポーツについて、いわゆる特集を組みながら、勝敗を抜きにした部分で、競技のあり方だけじゃなくて、そこに至る選手たちの努力みたいなものが私はつぶさに見てとれたと思っております。
 今後中継等のお考えも視聴者の意見を取り入れながらお考えがあろうかと思いますけれども、私が今述べた感想について、会長として今後どう生かしていくのか、あるいはこの長野オリンピック、パラリンピックを通して得たものは何だったのか、感想を伺いたいと思います。
#64
○参考人(海老沢勝二君) 先生御承知のように、放送というものはオリンピックとかワールドサッカーとかというこういう世界的な大きなスポーツイベントを一つのきっかけとして技術的にもまた番組についても開発が進んでまいりました。
 私ども長い間の積み重ねによっていろんな経験、ノウハウを積みました。そういう中で今度の長野オリンピックがあったと思っております。今度は冬のオリンピックでは初めて民放さんと一緒に共同で手を組んで放送をしたわけであります。そういう中で私どももいろんな技術を開発しましたし、またこれまでの経験を生かしてやはり日本のすばらしさというものを世界に発信しよう、そういう姿勢で臨んでまいりました。私も四回、延べ十日間現地へ行っていろいろ陣頭指揮もしてまいりました。
 そういう中で、日本選手の活躍あるいはそれを支えるボランティアの人たちの活躍、いろんな一つの交流が深まって、暗いニュースが続く中で明るいニュースがここに生まれたという認識を持っております。そういうことで、サマランチIOC会長と私会ってお話ししましたけれども、サマランチ会長も日本の組織力、総合力を高く評価しておりました。私ども、こういう経験を次のシドニー・オリンピックとかいろんなところに生かしていきたいと思っております。
 そうした中で、引き続いて障害者のスポーツ大会、いわゆるパラリンピックが開かれました。私どもも、これについては福祉という面ではなくていろんな面から障害者のスポーツというものを国民に知らせ、またそれによって障害者が元気になり、また新しい道が開けるような番組をつくっていこうということで、百五十人ほど動員して企画番組なり、あるいはパラリンピックアワーとか、あるいは競技については最寄りのニュースでやっていこうということで組んだわけでありますが、これが我々の予想をはるかに超えた人気になりました。
 このパラリンピックというのは、御承知のようにこれまで長い歴史がありますけれども、中継というのは一回もやったことありません。そういうことで、私どももまたパラリンピック組織委員会も中継ということを念頭に置かないで、パラリンピックの場合は、御承知のように、非常に体調を整えるのが難しい、またエントリーしても棄権してしまう、あるいはいろんな制約といいますか、ランク、重度だとか障害のあれによって相当変わってくる非常に複雑な競技がありますものですから、それよりはやはり全体をパッケージにして、それの方が効果的だろうということで収録中心にやったというのが実態であります。
 そういう中で、開会式、閉会式は、御承知のように開会式は衛星のほかに総合テレビを延長して放送しましたし、その後いろんな要望が強かったものですから、閉会式は急遽教育テレビでも生中継するということで、後半については弾力的な編成をしたつもりでおります。しかし、やはり私どもこのパラリンピックではいろんなことを学ばせてもらいました。もっと視聴者の要望といいますか、ニーズにこたえるような、やはりもう少し方法があったんではなかろうかということで、そういう経験を次の大会に生かしていきたいと思っております。
 いずれにしても、こういうオリンピックあるいはパラリンピックを通じていろんなことを勉強させていただきましたので、今後とも公共放送としていろんな時間帯でこれを取り上げていきたいと思っております。
#65
○中尾則幸君 さて、その今お話がありましたオリンピック、それからサッカーのワールドカップ、ことしはフランス大会がございますけれども、その中でちょっと気になりますのはテレビの放映権料の問題でございます。大会を追うごとに大変高くなっておりまして、例えば夏の大会を見ても年々高騰している。ワールドカップは世界の資産でしょうけれども、フランス大会が百十七億円だったのが、四年後の日韓の共同開催が一千百三十億と十倍になっているわけです。これをどういうふうに配分していくかということのいろいろ問題があろうかと思いますけれども、例えばこうしたビッグイベントはもう視聴者はどうしても見たいという中にあって、これは結局はその放映権料を払っていくのは、例えばNHKの場合受信料で賄っていく、これは大変な問題になっているな、今後大変な問題になるなど私は思ってございますけれども、このような状況について、NHK会長の御見解を一言伺いたいと思います。
#66
○参考人(海老沢勝二君) 御承知のように、オリンピックの放送権料が高騰し、それに続いて今度はワールドサッカーが、今先生が御指摘のように、フランス大会の十倍という値段がついております。そういう中で、我々公共放送としてはこの二〇〇二年の日韓共同主催のワールドサッカーというものはかなりの額になるだろうと見ておりますけれども、二〇〇二年の日韓共同主催の放送権についてはまだ具体的な話し合いはしておりません。
 これまでは、御承知のように六つの大陸の放送連合が共同で放送権を取得しておりました。そういうために非常に安くやっておりました。今度のフランス大会は、六百六十万スイス・フラン、日本円にして五億四千万ということで契約したわけでありますけれども、次の二〇〇二年は、今先生御指摘のように千百二十億円という、これをどういうふうに民間業者が我々に言ってくるかまだわかりません。これは予断を持ってはいけませんので、我々としてはフランス大会の前後にいろいろ話が来ると思いますが、いずれにしても相当高い放送権料では、耐え切れないといいますか、負担が重過ぎるということで、私ども、民放さんともいろいろ話し合いながら適正な放送権料になるように今後話を進めなきゃならぬのではないかというふうに考えております。
 いずれにしても、ロサンゼルス・オリンピック以来、NHKと民放とは放送権料につきましては共同歩調をとろうということで、ジャパン・プール、ジャパン・コンソーシアムというものをつくって、そこで一緒に交渉しているということを続けております。したがって、ワールドサッカーについてもそういう方法がいいのかなと今思っています。これはこれからの話であります。
 大きな国民の関心があるスポーツの放送権料の高騰については、我々も非常に残念であり、遺憾なことだと思っております。
#67
○中尾則幸君 ちょっと郵政大臣にもこの件に関して伺いたいんですが、例えばこれから多チャンネル化に突入して、市場原理、規制緩和は私は大いに結構だと思うんですが、それで例えば放映権料を払ったところが全部放映権を独占するという、こういう事態は当然想定されるわけでございます。そうしますと、放映権料が払えないために例えばNHKでも放映ができなくなったり、あるいは今の地上波、民放もとにかくこの放映権料じゃ払えないというような事態にもなりかねない、そういう懸念もあるわけです。今すぐということじゃありません。
 そこで、イギリスでは、例えばオリンピックだとかワールドカップ・サッカーの最終戦だとか競技を絞って、これだけは独占しちゃいけませんよと放送法上規定されているというふうに私は理解しているんですが、この件について、郵政大臣はどのような御見解をお持ちでしょうか。
#68
○国務大臣(自見庄三郎君) 中尾委員御指摘のとおり、有料放送が出現をする、それから多チャンネル時代が到来する中で、テレビ番組、特にスポーツ番組の独占的な放映等に伴い放映権料は世界的に高まっているというふうな現象がございます。
 今NHKの会長からお話がございましたように、最近のあの長野オリンピックの際に、これはNHKと民間放送事業者が共同で獲得した放映権の料金、放映権料でございますが、これが三千七百五十万ドル、約四十八億円だったというふうに聞いております。
 しかし、この問題は、今NHKの会長の話にもございましたように、NHK等放送事業者がスポーツ等の特定の番組の放映権をどのような対価を払って獲得するかという点につきましては、やはり第一義的には私は放送事業者と番組供給者の間の問題であり、まさに事業者の経営の判断にゆだねるものであるというふうに認識をいたしております。この問題については、今NHKの会長からもいろんな意見があったわけでございますけれども、NHKでも研究を行っているというふうに聞いております。
 今また、中尾先生御指摘のとおりでございまして、イギリスの例でございますが、一九九二年にBスカイBによるスポーツの独占的な放映権取得が相次いだため、英国政府は国民的な重要イベントの放映権に関する規定を、一九九六年、平成八年に放送法において強化し、これにより放送事業者は国民的な重要イベントの生放送を独占的に放映することを原則として禁止されたということでございます。
 英国におけるスポーツ放送についで一九九六年に放送法を改正したわけでございますが、ちょっとそれを読んでみますと、「英国では、国民だれもが追加料金を支払うことなしに、特定イベントを視聴できる国民のユニバーサル・アクセスを保障することを目的に、一九九六年放送法により、放送事業者がITCの同意なしに、独占的に特定イベントの生放送の放映権を取得してはならない旨の措置を講じた。」と。
 具体的にどういうことがあるかと申しますと、国務大臣が指定するようでございますが、特定のイベントとしては、例えばオリンピック、ワールドカップの最終戦だとか、ウインブルドンのテニスの決勝を行う週末の試合だとか、これはイギリスらしいなと思ったんですがダービーですね、こういったものを国務大臣が特定イベントに指定いたしまして、これに関しましては今申しましたように生放送を独占的に放映することを原則的に禁止されたと。こういった法律を先生御指摘のとおりつくったわけでございます。
 郵政省といたしましても、こういった諸外国を視野に入れながら、今後とも放送の健全な発展という視点から放送事業者や国民の声にもこたえるように研究を行っていきたいというふうに思っております。
#69
○中尾則幸君 放送事業者の自由参入というのはこれは当然のことでしょうけれども、将来起こり得ることについて今郵政大臣からお考えをお示しいただきました。ありがとうございました。
 続いて、先ほどからもお話がございました放送のデジタル化に当たっての具体的な展望、まず郵政大臣にお伺いいたします。
 地上波放送のデジタル論議、時期をめぐっての論議が大変このところ盛んに行われております。郵政省はBS放送に加えて地上波テレビについてもデジタル化を急ぐ、例えば二〇〇〇年から二〇〇六年、アナログ放送は二〇一〇年に打ち切りというようなことが盛んに報道されております。
 特に私、郵政省がこのところデジタルに大変熱心だなと思ったのは、地上波デジタル化による経済効果、試算をまとめております。二〇〇〇年から二〇一〇年で完了した時点で約三十八兆六千億円というようなモデルケースも出しております。
 私は、デジタル化については世界的な流れである、それからその有効性も私なりに十分理解しているつもりでございます。私がかつて当委員会でデジタル化の有効性について質問したときは、残念ながら郵政省は当時腰が引けてございました。その翌年、当時の放送行政局長のデジタル発言、これは業界から大変袋だたきに遭ったことを私は記憶しておりますが、そのとき私は、当時の放送行政局長、よくぞ言ったという立場に立っておりました。デジタル化によって、例えば双方向性あるいは高画質、さまざまなデータが送れる、それは私も私なりに理解できております。何より多チャンネル化が可能である。
 しかし、地上波のテレビについてどうもその基本的な戦略が見えてこない。今、デジタルが世界の流れたから地上波もデジタルだというのでは、視聴者にとって地上波におけるデジタルのメリットが見えでこないんですよ。例えばCSが始まりました。これからBSが始まります。今の地上波でどこが不足なんだと。何が不足で、将来デジタルにしたらこの点でメリットがあるというような極めて大事な見解が見えてこない。
 郵政大臣に伺いたいのは、少なくとも、初めにデジタル化ありきじゃなくて、国民的な合意というんですか、地上波については、特に基幹メディアとしてテレビは四十五年、そのノウハウ、技術は国民に定着してきたわけです。それについて慎重な議論とか論議が必要なんではないかと思っておりますが、郵政大臣の見解をお聞かせください。
#70
○国務大臣(自見庄三郎君) 中尾委員が大変専門的な知識で地上放送のデジタル化を早くこの委員会で主張されたという話を聞かせていただいて、大変感慨深いものがございます。
 視聴者にとって一体デジタル化というのはどういう利益があるかという御質問だと、こう思うわけでございますが、私この前ちょっとテレビ出演しましたので、実はこれは自分でつくった表なんですけれども、(図表掲示)先生もう御存じのように、放送のデジタル化をしますとどういうことになるのか。「はっきり・くっきり」とか「いつでも取り出せる番組の缶詰」、「チャンネル数は三倍に」、「車の中でもちらつかない画面」、そして、今先生がお話になりましたように、双方向だとかあるいはデータ通信が送れる、そういった利点があるわけでございます。
 また、課題としましては、これはもう先生御存じのように、事業者の設備投資がかかるわけでございますし、またデジタル受信機の普及、こういったことにも私はある程度の消費者の投資が要るというふうに思っております。
 しかしながら、御存じのように、これは視聴者が主体的に番組選択が可能になるということも同時に私はデジタル化の大変大事なところだ、こういうふうに思うわけでございますから、今の問題、いろいろな問題があるわけでございますが、解決すべき課題はございますけれども、やはり円滑かつ低コストでこういったことをなし遂げるように、消費者が投資しても余りあるようなデジタル化の成果が得られるように行政としてもしっかり検討してまいりたいというふうに思っております。
#71
○中尾則幸君 放送行政局長にちょっと伺いたいと思います。
 行政局長はデジタル化の配当というようなことでたびたびマスコミで発言されておることは承知しておりますが、今までの地上波のデジタル化について、大臣はさっき私が推進というふうに御発言がありましたけれども、私は、地上波のデジタル化について五年前に推進せいということは言っておりません。
 そこで、放送行政局長に、何を、どこで、どんな問題点が指摘されてきたのか簡単にちょっとお示しいただきたいんですが、この地上波のデジタル化をめぐっての話し合い、これはどういうふうに行われてきたのか。
#72
○政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。
 ちょっとさかのぼりますと、この放送のデジタル化ということが議論され始めましたのは、実はけさほども御紹介申し上げましたITU、国際電気通信連合で、一九八三年、ちょうど電気通信網のISDNというようなことが言われ始めたのと並行いたしまして議論が始まりました。
 そのような十五年来の検討を踏まえまして今日に至ったわけでございますが、昨今の議論の状況を申し上げますと、昨年六月からこうした問題を、各界の有識者に入っていただきまして、海老沢会長あるいは民放連の氏家会長も入っていただきまして、デジタル放送のメリットあるいは視聴者への還元ということについていろんな御議論をしていただいております。
 実は、このデジタル化の配当というのは、イギリスにおいてちょっと一歩先にデジタル化が始まっておりまして、そのメリットというものをデジタルディビデンド、こう称しておるわけでございます。たまたま表現が一致したわけでございますけれども、あわせまして今後の課題としましては、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、設備投資をどのようになしていくか、あるいはデジタル受像機をいかに普及させていくかということがございますが、制度的課題といたしましては、大変日本国内は周波数を稠密な利用をしておりますので、どのように周波数を編み出していくか、生み出していくか。
 それから、受像機のインターフェースの問題がございます。これはただいま懇談会の中で、医師の方あるいは児童福祉等に権威のある方も入っていただきまして、高齢者にもあるいは青少年にも使いやすいテレビというのはどうあったらいいのか。
 あるいは、現在の放送法、免許制度というのはアナログの技術を前提にした免許制度でございますけれども、これをデジタルになった場合どのように変えるべき点があるのかどうか。それから設備投資の面で政府としてどのような支援措置があるのか、こういった問題。それからあわせまして、スケジュール的にサイマル放送の問題とか、どのように手順と段取りを組んでいったらいいかというようなことを今議論させていただいているところでございます。
#73
○中尾則幸君 NHK会長にも伺います。
 地上波のデジタル、今郵政当局からお話もありましたけれども、設備投資が非常にかかる。NHKでは一体どのくらいこの地上波のデジタルに要する経費を見込んでいるのか。
 NHKの場合、受信料収入が大宗だ、九七・三%を占めている。その設備投資をするということは、結局受信料から設備投資に回すということになろうかと思いますけれども、この地上波のデジタル化、設備投資を絡めてどのようにNHK会長は認識されておるのか、お話を伺いたいと思います。
#74
○参考人(海老沢勝二君) 地上波をデジタル化するためには周波数をどういうふうに確保するか、あるいは設備資金をどういうふうに調達するのか、またもう一つ大事なのは、デジタルのメリットを国民にきちっと説明しなきゃなりません。そのためにどういうサービスをデジタルになったらやるのか、この辺をきちっといたしませんと、国民的な納得といいますかコンセンサスが得られないだろうと思っております。
 そういう中で、私ども、今いろんな形でどのくらいの設備投資が必要か試算をしてきております。今の段階では、今の地上波と同じように全国あまねく普及させるためには三千億程度の金がかかるだろうという試算が出ております。
 ただ、四十七都道府県、県庁所在地、今五十四局ありますけれども、ここを地上デジタル化するためには一千億ぐらいだろう。あと二千億というものは、御承知のように日本の場合は山が非常に多いわけでありますから、そこにかなりのアンテナが立っております。それを全部やりますとそのほかに二千億かかる、そういう試算でございます。ですから、当面いわゆる都市部を中心というならば一千億程度で済むだろうという試算でございます。
#75
○中尾則幸君 単純計算で言いますと、NHKの受信料収入がおよそ六千億と言われています。これは時間をかけて地上波をデジタル化するんですけれども、ざっと見て三千億、これは単純な計算でございますけれども、一年間の受信料総収入の約半分がデジタル化の設備投資等々にかかる。これは、ただ簡単にデジタルだと行けない部分が今のNHKの会長のお話からも推察できるわけでございます。会長が記者会見等でお話しされているように、産業論だけが先行して地上波のデジタル化を論ずべきではないというようなことについて、私もそうであるというふうに認識しております。
 それで、平成十年一月「デジタル時代へのNHKビジョン」、これを読ませていただきました。その五ページに、やっぱりそうだなと。これを見ますと、どうも地上波のデジタル化への具体的なイメージが浮かび上がってこないんです。会長も、デジタル化が先にありきじゃないんだ、視聴者の声を聞いて、必要なところから進めていくんだと、私はこれは賛成でございます。
 「統合デジタル放送(ISDB)のイメージ」と書いてありますが、これは「高画質・高音質を追求し、加えて、データ放送により、さまざまな新しいサービスも提供することが可能な、これまでにない放送です。」と。これは一般論なんです、私はわかります。具体論を詰め切るまでは行っていないということを私はこのNHKビジョンを読んでわかりました。当然だと思うんです。
 しかしながら、せっかく書いてあるんですから、この機会ですから、意地悪じゃございませんけれども、デジタル化は将来避けて通れないと私も認識しておりますが、それでは具体的にこの地上放送についてどのようなサービスメニュー、まだそこまで詰めてはいないと思いますけれども、もしおありだったら、会長から一言御見解を賜りたいと思います。
#76
○参考人(海老沢勝二君) 先ほど申し上げましたように、やはりデジタルのメリットといいますか配当はありますし、我々放送業界としては、デジタル技術を取り入れて地上波も衛星波もオールデジタルにすべきだろう。そのためにいろいろな今研究開発も進めでおりますし、番組の開発もやっているわけであります。
 ただ、それのスピードの問題だと思うんですけれども、そういう中で今、付加価値をつけたデジタル放送奪り、それをさらに発展させたのがISDB、統合デジタル放送という形でまとめたわけでありますけれども、そういう研究開発というのは一遍にいきませんで、やはり段階を経ないとなかなか進まないのではないかという気持ちを持っております。一応、二〇〇〇年までに地上デジタル放送ができるような枠組みをつくっていこうということで、私どもも、これから郵政省、電波産業界とも一緒になって実験といいますか周波数を確保し、またどういう方式でやればいいのか、そういう実験を進めていきたいと思っているわけであります。
 そういう中で、例えばNHKの場合は総合と教育があります。総合テレビの方はオールハイビジョンでサービスすべきだろう、これがデジタル化する大きなメリットだろうと私は思っております。
 教育テレビの方も、それならばオールハイビジョンでいった方がいいのかどうか。そうでなくで、デジタルのもう一つの要素であります多チャンネル、今UHFでやりますと三チャンネルとれるそうであります。ですから、今これだけ多チャンネルになりながら、教育テレビというのはNHKの一波しかありません。
 そういう面で、教育テレビを、三つのチャンネルをとれるわけでありますから、一つは乳幼児向けとか、あるいはもう一波は小中高の学校放送的なものをするとか、あるいは三番目はいわゆる生涯教育といいますか、趣味講座とか語学とか、そういう生涯教育的なものもやれるだろう、そういう考えもあります。
 またもう一方では、地域放送をさらに充実すべきだということで、地域放送波といいますか、そういうのをとる、あるいはオール二十四時間ニュースチャンネルにするとか、あるいはNHKはいろいろソフトをこれまで持っているわけでありますから、そういう名作シリーズ的なこれまでの映像を保存したものを、いいものをまた再放送する、そういうチャンネルをつくったらどうか、いろんな考え方があります。
 それは、これからどういうのが一番国民に支持されるのかへ国民がどういうものを望んでいるのか、その辺を見きわめながら、そういうチャンネルプランを考えなきゃならぬだろうと思いますし、またそういうデジタル時代にふさわしいソフトをさらに開発しなきゃなりませんので、我々はその辺をさらに研究していきたいと思っております。
#77
○中尾則幸君 少なくともデジタルについては、くどいようですけれどもこのメリットについて私も何度も申し上げできました。ただ、例えば今のアメリカの戦略を見てみますと、国内のマーケットだけじゃなくてメディア戦略をずっとやってきているわけです。ですから、そういったアメリカのメディア戦略に負けずに、キャッチアップ型だけじゃなくて、日本は日本の独自の、例えば地上波の放送、BS、そういったいろいろな役割がある。そういう中で行政もしっかりととらえて、国民的な合意を得て進めていただきたい、私は要望しておきます。
 さて、先ほど山本委員からもお話しございましたハイビジョンについてでございます。これも四年前ですか、私は随分いろいろ質問させていただきました。非常にわかりにくいんです、この冊子を読んでも。
 例えば、当時のハイビジョンの開発からどのような苦労をされてきたかはわかります。国際標準を取るためにどういうふうにしてきたかはわかります。メーカーとの関連もございます。ただ、今回の「デジタル時代へのNHKビジョン」の二十一ページ、ここにこう書いてあるんです。「ハイビジョン放送は、デジタル放送の中心となる、高度情報社会の中核的メディアです。」というんです。先ほどの質疑でも、聞きましたら、そうかなと。これを読むといっの間にかハイビジョンがデジタルそのものだと読み取れてしまうわけです。私は細かいことを重箱の隅をつつく話をしているわけじゃないんですが、これじゃ非常にわかりにくい。例えば先ほどの話で、今BS4の先発機が上がっております。これはアナログです。だから今のハイビジョンはアナログハイビジョンなんです。ハイビジョンという言い方も僕はちょっと誤解あるな、いわゆる高精細のHDTVですね、そういう言い方なんです。それはともかく、NHK放送技研も初め、この努力は私は評価しているんですが、ただこういう表現じゃ僕は納得できないです。BS4の後継機からデジタルでいくわけです。サイマル放送も始めるというんです。
 しかし、ここで私は指摘しておきたいんですが、例えばNHKビジョンを文字どおり読んでみますと、先ほど指摘しましたようにハイビジョンがデジタル時代の主役だというんです。でも、これは今ハイビジョンはデジタルへ向けてのいわゆる補完的な役割を果たすというのなら私はわかるんです。ですから、これについての認識を私は会長に伺いたいんです。
 あるメディアの専門家はこう言っているんです。アナログのハイビジョンに先がないとは言わない、しかし在庫一掃セールだということを視聴者は知らないというのですよ。だから、先ほど機材がどうなると、例えば受像機の問題が出てきました。それはMNコンバーターをつけたらいいでしょうとかなっているけれども、急にデジタルには変えられないから、コンバーターを安くして、大量生産してそしてつないでいきますよ、激変緩和をしますよと。それは当然のことですけれども、このハイビジョンについてデジタル時代の中核だと、この表現はいかがなものかと私は思っているんです。これについてNHK会長の認識を聞かせてください。
#78
○参考人(海老沢勝二君) 先ほども御説明申し上げましたけれども、やはりハイビジョン、HDテレビ、高精細度テレビ、これを私ども愛称としてハイビジョンという言葉を使わせてもらいました。御承知のように、伝送といいますか電波を送る部分のデジタル圧縮技術が進んでおりませんのでいわゆるアナログミューズ方式ということでやったわけでありますけれども、あとの中身の方はデジタルそのものでありますということであります。
 そういうことで、そういう伝送部分、電波の部分が技術が非常に進んだということで、二〇〇〇年の段階ではそういうMPEG2という新しい圧縮技術によって放送ができると、そのためのいろんな研究開発も今進めているということであります。
 そういうことで、安いアダプターをつければ視聴者にそれほど迷惑をかけないでできるだろう、移行できるだろう、そういうことで私どもデジタルハイビジョンの方に踏み切るわけでありますけれども、そういう時代になればなるほど、このハイビジョンの高画質、高音質、多機能を持ったものがやはり私は主役といいますか中核的存在になるだろうというふうに確信をしております。
#79
○中尾則幸君 こればかり聞くわけにいきませんけれども、今のミューズ方式によるハイビジョン、アナログハイビジョンの普及見込み台数が今五十四万台と言われています。平成十二年には三百万台程度まで拡大する。平成十三年以降、これはBSのデジタル化によってそれまで開発予定のデジタルハイビジョンにだんだん順次移行していくというんですね。ミューズ方式の普及台数は減少すると。そうなんです、移行期なんです。過渡期なんですよ。
 ですから、余りけちをつけちゃうといけませんけれども、ハイビジョン一一二五の走査線、確かに私も見たらこれは高精細です。しかし、だからといって、残念ながら一部デジタルの機能はあるもののこれはアナログなんですよ。ここでアナログ論争をしても仕方ありませんけれども、それをきちっとやっぱり認識しないとこれ僕はいけないんじゃないかと思っております。
 次に参ります。
 先ほどの質疑にもございましたけれども、最近特に社会問題化している青少年の犯罪とテレビメディアのあり方についてちょっと伺いたいと思っております。
 最近の文部省の中教審の検討会等々のあれを見ても、何かテレビがあたかも青少年の例えばナイフによる犯罪等の、悪者だというようなそういう見方が非常に日増しに強くなっているんじゃないか。私もテレビメディアの持つ影響力の大きさというのはこれは肌で感じているつもりであります。
 しかし、私は教育の専門家でもありませんけれども、青少年犯罪は、いろいろな要因が結びついて、例えば社会背景だとか家庭環境だとかそういったさまざまな時代の背景の中にその少年犯罪が反映されているんじゃないかと思うわけであります。もちろん、その中のテレビメディア、映像メディアの持つ青少年へ与える影響力は大変大きいと私は思っておりますが、最近、何か文部省の話では、有害情報だ、有害情報の検討会をつくるような話で、私は有害情報って一体何だとびっくりしました。余り言いたくないんですが、少なくともこうした決めつけ方について私はちょっと待てよと思っております。
 まず、このVチップ、いわゆる青少年に見せたくないというものをあらかじめ例えば放送局が選定するなり親が選定してVチップを組み込む、こういうような議論が今なされておりますが、こうした問題についてNHK会長の御見解を伺いたいと思います。
#80
○参考人(海老沢勝二君) 今、少年の犯罪が非常に多発しております。それについて国民がひとしく憂慮しているのも我々十分承知しております。そういう中で、テレビの社会的影響が非常に大きい、青少年に与えるテレビの影響というものをどうするかという議論がいろいろな面で闘わされております。そういう面で私はVチップを導入した方がいいのかどうかよく聞かれますけれども、Vチップを導入するかどうかの前に、私どもNHKとしては、やはり次の世代を担う青少年に悪い影響を与えるような番組をまずつくらないことが大事だと、いわゆる各放送局がそれぞれの自主的判断で悪い影響を及ぼすようなものはつくらないことがまず大前提だろうというふうに思っております。
 そういうことで、私どもも放送倫理基本綱領等を民放さんと一緒につくりましたし、また番組基準もあり、また現場の中には放送倫理委員会とかあるいは放送ガイドブックとかいろいろなものをつくって、いろんな面で職員一人一人に放送倫理ということできちっと指導、勉強させております。そういうことで、まずそういうものをつくらないことが大前提であるという立場に立っております。そういう面で私は、今の段階で私どもがVチップを導入する考えはありませんということをこれもたびたび申し述べているところであります。
 ただ、こういう少年犯罪の多発というものについては我々もやはり真剣に取り組まなければなりません。また、逆にこういう機会にさらに青少年がそういう悪い方向に進まないような、また青少年がすくすく育成できるような番組をさらに強化していくべきだろう。そういう面で、ただお説教めいた番組だけでは見てくれませんから、青少年が見てくれるような明るいドラマをつくっていきたいということで、今部内に少年プロジェクトというものをつくりまして、ことしの夏休みからかなりのものをつくっていきたいと思っているところであります。
#81
○中尾則幸君 全くそのとおりだと思います。少なくとも青少年にこれはもう著しく影響を与えるというものを放送局、放送事業者みずからが厳しく律して、今会長のおっしゃるようにやるのは私は当然だろうと思っております。これは放送局そのものがやはり真剣に取り組まなかったら大変なことになるなと思っております。表現の自由とのかかわりもありまして、私はそういうふうに思っています。
 特に、今会長がお話しされましたNHKと民間放送が平成八年の九月に放送倫理基本綱領というのをつくったんです。大変立派なんです。これをそのままであれば、こういう有害情報だ、例えばテレビメディアにおける有害情報だという話にはならないんです。
 例えばこの一節を読みますと、「放送は、いまや国民にとって最も身近なメディアであり、その社会的影響力はきわめて大きい。われわれは、このことを自覚し、放送が国民生活、とりわけ児童・青少年および家庭に与える影響を考慮して、新しい世代の育成に貢献するとともに、社会生活に役立つ情報と健全な娯楽を提供し、」と。これを私は、会長、釈迦に説法でございまして大変失礼なんですが、放送事業者はやっぱり肝に銘じて、NHKだけじゃなくて民間放送事業者と連絡を密にしてこの放送倫理基本綱領にのっとって頑張っていただきたいなと思っております。民間放送の放送基準にも大変立派な同じようなことが書いてあるわけです。ぜひともこのことは、この基準にのっとって頑張っていただきたいと思っています。
 さて、郵政大臣にちょっと伺いたいんですが、先ほども御説明しましたけれども、三月十日、文部省の中央教育審議会幼児期からの心の教育の在り方に関する小委員会はVチップの導入を積極的に検討するよう関係機関に求めることを決めた、こういうふうに報道されております。
 それで、私は放送局の自律、あるいは今も申し上げました影響力の大きさ、これも申し上げた上で郵政省にお伺いしますけれども、例えば先ほど言いましたように、少年犯罪の根底にあるものは何かということも十分詰めないうちに犯人探し、悪者はだれだみたいな、これは僕はいかがなものかなと思うんです。
 バブルがはじけて、言いにくいことですけれども、大蔵省の官僚の不祥事、いろいろ大人たちの、我々も律していかなきゃいけない。そういったいろいろな問題を含めて、今の少年犯罪を含めて社会の状況のあり方をやるべきところを、とにかくVチップで青少年にこの映像は見せるなというようなことは、私はちょっと問題の本質的な解決にならないと思っております。
 郵政省でもVチップ導入について検討されるやに聞いておりますが、この辺はいかがですか。
#82
○政府委員(品川萬里君) 事実関係を申し上げますが、先生今文部省の方の中教審のとおっしゃいましたけれども、これは中間報告段階で、最終答申はまだでございますけれども、方向としては今御指摘になった方向で議論がなされているというふうに承っております。
 私どもは、この問題につきましては、るる申し上げるまでもなく、放送法に定めるところによりまして、表現の自由、それからまた民間放送等でも番組基準の中で、武力や暴力を表現するときは青少年に対する影響を考慮しなければならない、視聴者の立場と両様を大切にするということが放送分野を所管する郵政省の立場だと存じております。
 したがいまして、今青少年問題につきましては政府を挙げて取り組んでおりますけれども、当省におきましても、放送の表現の自由という問題、それから青少年の保護ということを両様を大切にする体制で検討してまいりたいと思っております。
 なお、このVチップでございますが、何かVチップをつけますと自動的に番組が選択されるような記事も時々見かけますけれども、これはアメリカにおいても親の番組選択ということでVチップについで法律を定めておりますけれども、あくまでレーティングのもとにこの番組は親として子供に見せるか見せないかという、あくまで番組選択を支援する技術ということでございます。そういう意味で、このVチップというものの本質を見きわめながらしかるべき体制で研究してまいりたい、かように存ずる次第でございます。
#83
○中尾則幸君 何かわかったようなわからないようなはっきりしないお答えをいただいたんですが、あえて今Vチップ導入を積極的に進めるということではないというふうに理解してよろしいですね。
#84
○政府委員(品川萬里君) 今の政府全体の取り組みの中で、いろいろ関係者の御意見も聞きながら、どのようにこの問題に取り組んだらいいか、導入するとしたらどういう方法がいいのか、あるいはすべきでないのか、多角的に検討してまいりたい、こういうことでございます。
#85
○中尾則幸君 一昨年の十二月、放送行政局長の私的懇談会、多チャンネル懇の中でこのVチップの導入についても話し合われたんですが、当面様子を見るという報告になっておるわけです。ですから、文部省がどう言おうが、やっぱりスタンスをきちっと決めてかかっていただきたい。今の発言では、何かこっち側から風吹いたらそっちに傾く、そういうことじゃいけないんです。しっかりしてください。
 時間も余りないので、私が一番もらっているのにないというのは申しわけございませんが、何をもって有害情報かというようなことなんですが、いろいろ言われています。例えばアメリカの場合は、Vチップを十三インチ以上のテレビ、これは一年待ってくれと業界から言われているんですが、九九年から始める。二〇〇〇年の一月には完了すると言っているんです。ところが、アメリカの三大ネットワークの一つNBCは反対しています。表現の自由との関係で、我々は自主的にやるんだと言っているわけです。
 例えば有害情報、これは表現の自由との関係で大変問題になるんです。暴力シーン一つとっても、よく出される例なんですが、例えばホロコースト、いわゆるユダヤ人の大虐殺を扱った映画がありますね、「シンドラーのリスト」。これをどうするんだと言っているんです。これは一例ですけれども、そういった判断がなかなかできないんです。
 そうすると、放送局で自主的に格付してくれ、そして親が選択するんだから構わないだろうという話であれば、全部放送局の自主性、あるいは親に任せる。そして、そんな有害な情報を送っている放送局は視聴者が淘汰していきます。それをここだけ国が顔を出して、あと面倒くさいところは知らないという姿勢はあってはならないと私は思っています。これは返事は要りません。
 次に、じゃどうするんだということなんです。
 これは私も心を痛めておりまして、何がいいか、私も専門家の話をいろいろ聞きました。一つの解決策になるかどうか、よく言われているメディアリテラシー、メディアは情報、リテラシーというのは勉強させてもらったら読み書きのことだそうです。いわゆる方法です。例えば批判能力をつける方法、メディアを読む力、そういう力を育てようというのがメディアリテラシー。いわゆるメディアリテラシー教育とも言われております。こうした映像で言えば、テレビであれば、こういう残虐なシーンはどうだろうということを一方的にVチップで遮断するんじゃなくて、メディアリテラシーからすれば親と子が対話をする、そういう機会にしてはどうかと言っているんです、御存じのように。
 これはVチップの本家本元のカナダが盛んなんです。学校教育の中に取り入れている。いわゆるテレビの見方です。例えば暴力シーンだとかを見て学校でいろいろ討論する、親も会話をする。そうやっていかないと、私が思うのは、多チャンネル、三百チャンネルです。例えばパーフェクTVがある、今度ディレクTVとJスカイBが合併する、三百チャンネルになる。BSもチャンネルがふえる。それを一々遮断できますかというんです。ですから、それよりも青少年がメディアに対して取捨選択能力ができるように育てていく、それこそ大事なことじゃないかと私は思うんですが、このメディアリテラシーというか、取り組みについて、まずNHK会長のお考えをいただきたいと思います。
#86
○参考人(河野尚行君) 現在の小学校五年生の社会科の指導要領の中にも、放送とか新聞等の産業が国民の日常生活と深いかかわりがあること、これらを有効に活用することが大切であることという指導要領がございますが、NHKでは小学校五年生の社会科の学校放送の中で「テレビの世界」ということで、どういう形でテレビがつくられて、テレビ番組をつくる側にはある一定の意図があるというようなこともそういう番組でお伝えしております。例えば、十年度のタイトルは「テレビの裏側で」というふうになっております。
 それから、中学校・高校生向けには「スクール五輪の書」というシリーズの中で「世の中探検隊」というシリーズがございますが、その中で、「マスメディア」という形で放送をいたしております。マスメディアが伝える情報はいつも真実なんだろうかというふうな疑問も含めまして、どういう形でマスメディアが現在の世の中で役割を果たしているかということについての番組をつくっております。
 それから、一般の視聴者、学校教師向けに「メディアと教育」という番組が教育テレビでございまして、その中ではマルチメディアとかインターネット等新しい技術をどういうふうに活用していくのか、その背後にどういう問題があるか、そういうことを含めてお伝えしておりますし、今先生御指摘のように、十年度はカナダの取材を含めましてメディアリテラシーについて取り組んでいこうというふうに思っております。
#87
○中尾則幸君 郵政大臣から。
#88
○国務大臣(自見庄三郎君) 先生のいろいろな御意見でございますが、メディアリテラシー、読み書きという意味だということでございますから、メディアとどういうふうにつき合うか、あるいはメディアを読み取る力または選択能力、批判能力だと、そういうふうに理解をしているわけでございます。また、今NHKからも御説明がございましたが、特にカナダにおいで大変このメディアリテラシーということが進んでいるというふうに私もお聞きをいたしております。
 いずれにいたしましても、視聴者またはユーザーが受け身じゃなくて批判能力を持って積極的にメディアを活用していくということが求められでおりまして、先生御指摘のとおり、メディアリテラシーは極めて私は大事なことだというふうに思っております。
 このように、メディアリテラシーの問題は、教育分野からのアプローチを含めて多角的検討が必要であるというふうに思っておりますので、郵政省としては、関係機関との連携をとりながら、関係者の方々、これはもう今先生お話しになりました放送事業者または教育者あるいは有識者、いろいろな方がおられる、あるいは子供を持っておるPTAの方々とか、そういったたくさんの関係者の方がおられるわけでございますから、そういった方の意見を伺いながら、今後開催を予定しております視聴者政策に関する調査研究会においてメディアリテラシーの問題を含めて真剣に討論をしてまいりたいというふうに思っております。
#89
○中尾則幸君 今、大臣からお答えありました。今年度予算でたしか五百七十万、視聴者の今の研究会の話、ただ規制をするんじゃなくてやっぱりこうやって考えていくような施策を、五百七十万でできるかどうかは別として、ぜひやっていただきたい。何も文部省の言いなりになる必要はないと私は思っています。
 あと時間は一分しかありません。いろいろ会長にもお話を伺いたかったんですが、一言だけ。質問通告しておりましたBRC、放送と人権等権利に関する委員会、これは第三者機関をつくるかどうかというので、自主的にNHKと民間放送がつくられた。大変私は結構なことだと思います。
 一昨年のサンディエゴのいわゆる教授父子殺人事件、この奥さんの側から人権侵害だということが出されまして、つい先日、勧告というか意見が出されました。これについて、放送と人権、NHKがリーダーシップをとって今後やられると思うんですが、このBRCについて一言御感想を伺い、私の質問を終わります。
#90
○参考人(海老沢勝二君) 私ども放送事業者が自主的にやるべきことでありますけれども、いろいろ第三者の意見も聞くべきだという意見がありましたので、民放と一緒になって第三者の苦情機関であります放送と人権等権利に関する委員会を設けて去年六月からスタートして、今度初めてこのサンディエゴの事件の見解といいますか決定を受けました。私どもNHKも、そういう厳しい申し入れがありましたけれども、NHKの場合はそういう人権侵害はなかったということで、我々の主張が認められました。
 しかし、やはりこういう第三者の有識者の意見でありますから、委員長談話でありますように、我々も今後とも人権を守るあるいは放送倫理をきちんとする、これが大事なことはもう当然であります。そういう面でこういう委員長見解を真摯に受けとめて、放送人権等委員会のこれからの一層の審議といいますか活躍を期待しているところであります。
#91
○但馬久美君 公明の但馬久美でございます。
 先ほどからデジタル化への取り組みについていろいろ質疑がありましたけれども、なかなか具体的に見えてこないというか、なかなか理解するのが難しいような感じを私は受けております。
 そこで、郵政省は二〇〇〇年にデジタル放送のスタートをさせるべく着々と準備を進めております。同時に二〇〇〇年までに地上波もデジタル放送ができるように環境整備を行うということを打ち出しております。放送のデジタル化への進展は急速でありますけれども、NHKとしても平成七年の中長期経営方針を修正して、本年、先ほどから出ております、「より豊かな公共放送のために
 デジタル時代へのNHKビジョン」というのを出しました。
 そこで、放送のデジタル化に関連して幾つか質問させていただきます。
 放送のデジタル化で、より便利でより豊かにとありますけれども、統合デジタル放送の具体的なイメージがもうひとつよくわかりません。二〇〇〇年、もうあと二年ですけれども、といえばもうすぐであります。多くの国民はまだ放送のデジタル化を知らないと言った方がいいのか、認識がないというか、一般の人々は別に不便を感じておりませんので、これがどのようなものであるのか、NHKは公共放送としてどのような手順を踏んで、どのようなサービスを行おうとしているのか、お聞かせください。
#92
○参考人(酒井治盛君) お答えします。
 デジタル化によって何を目指すかという御質問ですが、デジタル化といいますと、一般的には多チャンネル化、チャンネルをふやしていく、あるいは有料化、スクランブル化、こういうことでよくイメージされがちなんですけれども、私どもNHKとしましては、デジタル化によっていたずらにチャンネルをふやしたり有料化したりしてNHKを巨大化したり、殊さらもうけようとするという、そういうようなことを目的としているわけでは決してございません。今行っている放送をどなたにもよりわかりやすく、より楽しめるものにしていく、そのためにデジタル技術を活用していこう、こういうことをねらいとしております。
 例えば、二〇〇〇年を目途に放送を予定しているBSデジタルですけれども、いろいろ出ておりますように、ワイド画面、高精細、データ放送あるいは番組伝送とか、いろいろなものを簡単に予約録画できたり、あるいは見たいときに最新のニュース、天気予報を見るとか、今の放送をさらに見やすいようにしていく、そういったサービスを私どもは統合デジタル放送、ISDBと呼んでいるわけです。さらに、その数年先には機能をより高めて、例えば双方向サービスだとかそういったものを自在にできるようにするという、本格的なISDBの世界へ導いていこうと、こういうねらいを持っているわけであります。
 地上デジタルの方につきましてはまだまだ課題がございますので、こちらの方につきましては無理のない段階的な推進を基本に据えていきたい。まだまだいろいろなハードルがございますので、そういったことを慎重に検討しながら進めていきたい、こういうふうに思っております。
#93
○但馬久美君 二〇〇〇年から二〇〇七年まではBSのアナログとデジタルで先ほどから出ておりますサイマル放送が行われるんですけれども、このサイマル放送というのは同一内容の放送のことを言っているのですか。そしてまた、文字どおり内容は全く同一放送とするのか、これはどういうふうなことなのか、ちょっとお聞かせください。
 もう一点、二〇〇七年にはBS4の先発機の寿命が尽きると先ほどからもお話があります。同時に現行のアナログ放送が終了することになりますけれども、現在ハイビジョン受像機は既に五十四万台普及していると伺っております。このハイビジョンの受像機は今後どのような方向に使われていくのか、お聞かせください。
#94
○参考人(酒井治盛君) お答えいたします。
 サイマル放送の趣旨は、NHKが全く新しいチャンネルをふやすのではなくて、現在のアナログ放送をスムーズにデジタル放送に移行させていくための経過措置と考えております。したがって、デジタルのテレビジョン放送につきましては、基本的にアナログと同一の放送を実施していくことになるというふうに考えております。
 ただ、アナログ放送とデジタル放送が全く同じ放送しかできないということになりますと、アナログ放送の受信者が新たな受信機にかえるメリットがないということにもなりますので、NHKとしましては、当初からデータ放送、こういったものによりましてアナログ放送にはない新しいサービス、そういうものを実施したりして何らかの付加価値をつける必要があるだろうというふうに考えているわけでございます。
 それから、現在のアナログハイビジョン受像機、これはアダプターを接続すればデジタル放送も視聴できるわけでございます。現在のハイビジョン受像機をお持ちの視聴者の皆さんにもできるだけ負担をかけないように、メーカーなど関係者とともに安い価格のアダプター、その開発に全力を注いでいきたい、こういうふうに思っているわけであります。
 アナログ放送の終了時期につきましては、BSデジタル放送が十分普及してアナログ放送を継続する必要がなくなるということになりますけれども、それがいつごろになるか、これはちょっと現段階であらかじめ見通し得る段階にはございません。どうするかについては大きな検討課題には違いありませんが、いずれにしましても、現在のハイビジョン受像機をお持ちの視聴者の皆さんに迷惑がかからないように最大限の努力をしていきたい、こういうふうに思っております。
#95
○但馬久美君 国民に負担をかけていく部分というのは、本当にそこのところは心配するんですけれども、それに対してこの負担に対して国民の同意は受けておられるのかどうか。今安くアダプターなどを提供するとおっしゃっておりますけれども。
 もう一つは、アダプターとかそれからまたテレビの周りにいろんな器具を備えつけていかなくちゃならない、これが一つのテレビの中におさまり切らないのではないかと思うんです。デジタル放送の開始に当たって、視聴者の皆さんはアンテナとかアダプターとかの費用の負担はもちろんしなくてはなりませんけれども、こうしたことが国民のコンセンサスを受けているのかどうか、その点をお聞かせください。
#96
○参考人(長谷川豊明君) 先生御指摘のように、今御家庭で一つのテレビがございまして、新しいサービスができますとその都度アダプターが必要になってくる。普通の御家庭では今、地上放送テレビを中心に見でいるわけでございますけれども、その後、衛星放送とかあるいはCATVというような新しいサービスごとにアダプターが必要だということになります。しかし、受信者の方から見ると、このサービスだけを見たいという方には全部のアダプターを必要としませんので、割合と経済的にアダプターを買えばそういうものが見られるというメリットもございます。しかし、すべての新しいサービスを見ようとすると、今先生御指摘のようにいろんなアダプターが必要になってくる、こういうまたデメリットもございます。
 将来はこのアダプター類が、衛星放送あるいはCS放送、CATVも含めて一つの受像機でごらんになれるということが最終的な受像機になるというふうに思いますし、そういう観点から視聴者が見やすい受信機をメーカーさんが開発するように私どもも協力していきたいというふうに考えております。
 それから、アダプターの負担についで国民的なコンセンサスが得られているかという御質問でございますけれども、私どもとしては先ほど述べましたように、メーカーさんと協力して安くするようにしますし、その安いアダプターでデジタル放送ならではの新しいサービス、価値観といいますかそういうものが得られれば、その対価としてアダプターを御負担いただくということの御理解が得られるように私どももデジタル放送ならではのサービスをやっていかなきゃいけないというふうに心しているところでございます。
#97
○但馬久美君 ありがとうございました。
 今の質問、郵政省の方にもお伺いしたいと思います。
 これはデジタル化を目指す郵政省としては大変気がかりなことだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#98
○政府委員(品川萬里君) お答えを申し上げます。
 今NHKの方からもお話がございましたが、既にハイビジョンも普及しているわけでございますけれども、一つは、アダプターをつけることによりまして、デジタルハイビジョンの放送方式になりましてもそのまま受信できるような技術基準をまず設定しております。
 それから二点目は、今お話がございましたように、できるだけ低価格でアダプターを入手できるようにということがございます。できるだけたくさんの方がこういうサービスを選択して、新しいいわば家庭の情報化の一つの設備投資になるわけでございます、それによってより大きな成果が得られるようにということを願っている次第でございます。
#99
○但馬久美君 そういうことに関して国民の合意は受けていらっしゃるのでしょうか。
#100
○政府委員(品川萬里君) 一つデジタル化ということで申し上げれば、先ほどもちょっと申し上げましたが、一九八三年以来、やはりアナログ方式よりはデジタル方式の方がよりいろんな技術開発の成果を放送の分野においてあるいは通信の分野において利用者、ユーザーに還元できるということで技術開発が進められてきたわけでございます。
 したがいまして、私ども、新しいサービスを利用するというのは、これは企業に限らず我々としても新しいものを得るためには一つの設備投資と申しますかコストがかかるわけでございますが、それによっていかに多くのものが得られるかということでございまして、コンセンサスという意味では、その新しいサービスが普及したことが国民がそういったサービスを利用されたということでございますから、結果として多くの方々がハイビジョンを見る、あるいはデジタルハイビジョンを見るということが一つの国民的合意のあらわれと見ることもできるのではないかというふうに考えております。
#101
○但馬久美君 何かちょっともう一つはっきりとよく理解できないんですけれども、逆じゃないかなとも思うところがあるんです。
 聞くところによりますと、我が国の国民一人当たりの放送に対する支出、つまりNHK側から見れば放送収入ですけれども、OECDの加盟国の中でトップだそうです。より便利でより豊かに、これは大いに結構なんですけれども、デジタル化を受け入れられる人と、またアナログのままでいいという方もいらっしゃると思うんです。したがって、地上デジタル化について急激な全面的な変革について慎重に取り組んで、ある一定期間は地上アナログ放送を続けるということを考えていらっしゃいますでしょうか。
#102
○政府委員(品川萬里君) いわゆるサイマル放送ということでございますが、これはかねてから地上放送のデジタル化について申し上げでおりますように、サービスを提供する側も受ける側もやはり手順よく段取りよく導入されていくということが大事だと思っております。そして、サイマル放送というのもその一つの手段でございます。
 ただ、このサイマル放送をいつの時点で切るかというようなこともイギリスあるいはアメリカにおいてもいろいろ議論されておりまして、一定期間を切ってサイマル放送をやめる、あるいはある程度デジタル化へのニーズがシフトした段階で決める、いろいろなサイマル放送の放送期間の決め方がございます。短いほどいいんだという御意見もありますし、あるいはある程度期間をとるべきだ、さまざまな御意見がございます。こうした点をただいまデジタル放送の懇談会ということで有識者の方々に入っていただきましていろいろ御議論していただいておりまして、できるだけデジタル放送の放送文化にソフトランディングできるように、サイマル放送のあり方についても検討してまいりたいというふうに考えております。
#103
○但馬久美君 昨年の三月、郵政省は地上波のデジタル化を二〇〇〇年以前に開始するとの前倒し方針を発表いたしました。これを受けて六月には今おっしゃっておりました地上デジタル放送懇談会が設置され、本年十月までに導入方策、支援措置のあり方等をまとめられることになっております。しかし、地方民放局を中心に、中継局建設などに過重な設備投資を迫られるとして慎重な対応を望む声が強く上がっております。
 地上波デジタル化をなぜこのように急ぐのか、また国民にどのようなメリットがあるのか、先ほどからいろいろ出ておりますけれども、もう一度郵政省にお願いいたします。
#104
○政府委員(品川萬里君) 先ほどデジタル化のための設備投資がいかほどかかるか、いろんな試算がございます。NHKにおかれては三千億、あるいは先ほど都市部では千億というような御披露がございました。
 民放においてどのぐらいかかるか、これも民放連において、今後デジタル放送によって新たな収入が得られるんじゃないかというようないろんな前提がございますけれども、設備投資に六千億ぐらいかかるというような試算が出されております。
 私ども考えておりますのは、デジタル化の新しい技術によりまして多くのメリットが国民、利用者にも視聴者にも得られる。先ほど来大臣からも御紹介がございましたように、非常に良質の、より今まで以上にいい良質の画面を鑑賞できる、あるいはISDBと言われますように蓄積機能を持ったテレビということで、視聴者が選択権を行使しながらいろんな番組を見られる。それから、移動体放送、車載のテレビでもちらつかないできれいに見られる、こういったいろいろなメリットが考えられておるわけでございます。
 こうしたメリットをできるだけ多くの方々に、郵政省といたしましても、放送事業者の方々と協力しながら視聴者にとってのメリットというのを御理解いただきたいと思います。
 また、これは技術的検討の過程でございますが、例えば東京でございますと、アンテナを立てずにアンテナ内蔵型の受像機も可能ではないかというようなことも語られておりまして、いろんなメリットがございますので、このメリットというものをできるだけわかりやすく、デジタル受像機は買うに値するものだということをわかっていただけるようないろんな情報提供もしてまいりたいと思います。
 それから、もう既にスタジオの方はデジタル化が進められておりまして、いろいろな運営が大変楽になるというようなメリットもございます。事業者にとってもいろんなメリットがございます。こうしたところを事業者の方々ともよく一緒に新しいメリットというものを発掘してまいりたい、かように存ずる次第でございます。
#105
○但馬久美君 報道によりますと、先日、民放連の氏家会長が会見の席上で、郵政省は二〇〇〇年以前に地上デジタル放送を開始するために準備を急いでおりますけれども、デジタル対応の中継鉄塔など中継局の設置の負担がかさんで二〇〇〇年までは困難であるとおっしゃっておられます。どうしても二〇〇〇年までに間に合わせたいならば政府の投資が不可欠であるとの発言がありました。郵政省はこの発言にどうお答えいただけるのか、また、政府の設置した設備を借りる方法で投資の軽減を図りたい由の意見もありました。その点についてどう対応されるのか、これは郵政大臣にお伺いいたします。
#106
○国務大臣(自見庄三郎君) 今先生御指摘のように、地上デジタル放送の円滑な導入ということについては大変大事でございます。今、民放連の氏家会長の御発言がございましたが、氏家会長、またNHKの海老沢会長にも御参加をいただきまして御存じのように地上デジタル放送懇談会というのを開催させていただきまして、その中で、今先生御指摘のような氏家会長の御発言でございますが、設備投資及びその支援策についても真剣に御討論いただいているところでございます。
 今回の氏家会長の御提案は、懇談会での真剣な御討議、会員各社の声を踏まえたものの中での発言だというふうに大変私は重たく真剣に真摯に受けとめさせていただいております。設備投資の効率化がどうあるべきか、政府として検討し、円滑に導入されるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#107
○但馬久美君 ぜひ参考にしていただきたい、そういうふうに思います。
 先ほど中尾議員からもありましたけれども、NHKは、この中継局などの設置に三千億円の投資が必要と言われております。視聴者への負担にはね返るのではないかと私は心配するんですけれども、その資金の回収はあるのかどうか。まさか赤字のままで経営するわけにもいかないと思うんですけれども、会長はこの点をどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
#108
○参考人(海老沢勝二君) 日本全国あまねく地上波をデジタル化すると三千億円かかると先ほど申し上げました。これをどういうふうに後で回収するといいますか、受信料の中でどういうふうにやっていくかということだと思います。
 私ども、いろいろ今積算といいますか勉強しておりますけれども、氏家民放連会長が鉄塔等の設備を借りてやってもいいんだというような意見もあります。ですから、鉄塔とかそういう設備をどういうふうに建設し、どういうふうにそれを運用していくのか、我々もそういう鉄塔などを借りて参加していくのかどうか、あるいはまた独自の方法を考えるべきかどうか、その辺はまだ具体的には詰めておりません。これからいろいろそういうことも頭に入れながらどういう方法が一番国民に負担なく地上デジタル化できるか、その辺を慎重に検討させてもらいたいと思っております。
 いずれにしても、私ども受信料でやっているNHKでありますから、できるだけ視聴者の皆さん、国民の皆さんに負担をかけないようにするためにはどうするかというのが基本であります。ただ、これから物価がどうなるのか、あるいは景気がどうなるか、その辺を十分勘案しませんとわかりませんが、今のような経済情勢ならば二〇〇〇年までは値上げしなくて済むだろうということで、二〇〇〇年まで値上げしないということを申し上げております。本格的な衛星波、地上波のデジタル化に向かった場合に、その後の経費等についてはこれからさらに検討せにゃならぬ課題だろうと思っております。
#109
○但馬久美君 内容的な詰めというのはまだこれからということですけれども、ぜひ国民に負担のかからないように配慮をお願いしたいと思います。
 最近、携帯電話の感度や音質が非常に悪いのですけれども、地上波のデジタル化によってできた電波帯は携帯電話等の移動体通信に利用できるのではないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#110
○政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。
 デジタル化のメリットといたしまして、一つの情報を送るのに今までのアナログ方式と比べまして三分の一ぐらいの周波数利用で送ることができるというのもメリットの一つでございます。
 今先生御指摘ございましたように、テレビに使っているいわゆるUHF、VHF帯というのは、これは移動体にもあわせて使われている分野でございます。したがいまして、今後デジタル化によりまして余裕のできた部分についてどのような使い方をするのか、移動体通信に使うことはどうかということも含めまして、最も効果的な効率的な電波の利用ということを考えてまいりたい、かように存じております。
#111
○但馬久美君 ぜひ放送に使う電波をまたそうやって通信に使うような方向に利用していくことが大事だなと思うんですけれども、これを一つ提案させていただきます。
 次に受信料についてですけれども、放送デジタル化などNHKを取り巻く環境は大変厳しいと思います。会長は今世紀中は受信料を上げないと明言されておりますけれども、改めて今後の財政運営と経営努力についての決意、また将来のメディアの保有形態、有料放送導入等を含めて、会長の展望をお聞かせください。
#112
○参考人(海老沢勝二君) 私ども、こういう経済情勢でありますから、自己改革といいますか内部の改革を進めでできるだけ効率のいいスリムな体制でやっていこうということで、今体制の見直しをやっているところであります。そういうことで、二〇〇〇年までは受信料を値上げしないで頑張っていこうということを表明したわけであります。
 その後の展望につきましては、これから本当に日本の経済、世界の経済がどうなるのか、その辺を十分見きわめませんと、この不透明な時代はわかりませんので、そこまで言及するのはいかがなものかというふうに思っております。
 ただ、そういう中で地上波もデジタル化する方向で今いろいろ勉強しておりますけれども、私は公共放送、先ほど申し上げましたように、あまねく国民すべてに情報に格差なく基本的なサービスをしていくためには、やはり今の受信料制度が日本にとって最もふさわしい制度だろうというふうに確信しております。そういうことで、私は衛星放送の有料化につきましてもどういう形でならできるか、いろいろ勉強しておりますけれども、私の頭の中には、スクランブルして有料化するのは今は時期尚早といいますか、それは将来の課題であって、当面はやっぱり受信料制度の中で運営していくべきだろう、そういう考えを持っております。
#113
○但馬久美君 ありがとうございました。
 それでは、BSの契約についてですけれども、NHKの中長期経営方針では、平成七年から九年度が一区切りになっております。ほぼ計画どおりに目標を達成したようでありますけれども、この三年間で目標を達成できなかった項目で衛星契約数があります。その原因についてお伺いしたいと思います。
 もう一つは、この衛星契約は一つ一つパラボラアンテナを確認しながら契約をお願いしなくてはならない、大変な手間がかかると思います。今後どのように衛星契約を伸ばしていかれるのか、お伺いいたします。この二点。
#114
○参考人(芳賀譲君) 営業担当の芳賀でございます。よろしくお願いいたします。
 営業部門では、受信料収入の確保と受信料の負担の公平を徹底する観点から、衛星契約の増加を最重点に取り組んでまいりましたが、先生ただいま御指摘のように、衛星契約増につきましては残念ながら目標は達成することができませんでした。大変申しわけなく思っております。
 ただ、これは、中長期経営方針の策定時には予想もできなかった阪神・淡路大震災が一つありました。それから、景気が低迷をしております。それから、CSデジタル放送の本格化などによりまして衛星放送の普及へ影響をいたしまして、当初予測をしておりました普及数、ここを下回っております。このことが主な原因になりまして、衛星契約の増加についておくれを生じたというふうに考えております。
 こうした中ではありますけれども、衛星契約率につきましては、公平負担の徹底を図る観点から、年々改善をしてきております。例えば、平成七年度には七六・〇でございましたけれども、八年度末には七六・二というふうに向上させてきております。十年度につきましては、この六、七月にフランスでワールドカップ・サッカーの大会がございます。この世界大会をてこに普及の促進に努めるとともに、衛星契約の増加についても一層努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
 それから、先生お尋ねの二点目でございますアンテナの確認に大変手間をとるのではないか、こういうことでございました。
 御指摘のとおり、点在するアンテナを一個一個探さなきゃなりません。それからまた、最近二階家が立て込んでいるとか、道路がそのお宅の北側にあるということで、南西を向いているアンテナを発見するということは大変労力を要しております。それから、CATV加入者は発見が困難で、線をたどって見でいかなくちゃならぬとか、有線ケーブルテレビの維持費の負担等を理由に受信料の支払いについでなかなか御承諾いただけないという家庭もございます。このため、私たちとしましては、学生、主婦などの力をおかりしまして、パラボラの発見や把握に努めております。
 それから、受信機のメーカーさんにお願いをいたしまして、メーカーの出荷段階でその中に契約書を一緒にこん包させていただく、そしてお客さんに契約書を書いて投函していただく、いわゆる自主申し出、そういうこともやっております。それから、電気店でありますとか量販店の店頭で、お買い上げいただいたお客さんから契約取り次ぎをしていただく、契約をとっていただく、そういう工夫をしながら衛星契約の開発に取り組んでいるところであります。
 ただ、そういう営業現場の努力だけではなくて、今後の衛星契約を伸ばすためには何といつでも衛星放送番組そのものの充実が必要ではないかというふうに考えております。お客さんの御意見、要望をよくお聞きしながら、それを番組に反映させる中でさらに普及を図ってまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
 以上です。
#115
○但馬久美君 大変努力なさっていらっしゃるのはよくわかりますけれども、やはり経営が成り立つような経営方法を考えて、頑張っていただきたいと思います。
 国際放送についてお伺いいたします。
 平成七年度よりNHKの本来の業務として映像国際放送が行われるようになっております。これは急速に進展してきております。十年度は世界のほぼ全域をカバーできるようになっておりますけれども、この三年間の総括及び今後の展望をお聞かせください。
#116
○参考人(河野尚行君) 平成七年四月からヨーロッパと北米でテレビの国際放送を始めておりますが、昨年の九月に視聴者意向調査というものをやりました。それによりますと、むしろ日本人よりも外国人の方が満足度が高くて、八〇%から九〇%の方が満足している。日本人の利用者が七〇%以上ということでございまして、大体好評でございました。その理由は日本の文化とか日本人の物の考え方がわかるというものでございまして、私どももテレビの国際放送をしてよかったなというふうに思っております。
 あす四月一日から、今度はアジア太平洋地域、それから十月からは中南米、中央アジア、中東、北アフリカ等、ほぼ全世界でテレビ国際放送を開始する予定でございまして、十一年度中にはこれを二十四時間放送にするという方針でこれからも映像国際放送に当たりたいというふうに思っています。
#117
○但馬久美君 これから全世界にそういうふうにして国際放送が展開していくんですけれども、この点について、郵政省の方にお聞きいたします。
 映像国際放送が当初の計画よりかなり急ピッチで進んでいるんですけれども、国の国際広報という観点からも、費用負担の面で現状のままでよいのか、このお考えをお聞かせください。
#118
○政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。
 ただいまNHKの方から御説明がありましたように、我が国が国際社会において理解される上で大変大事なメディアだというふうに私は認識しております。
 また、現実、これは今先生御案内のように受信料ですべて賄われているわけでございますが、日本国全体にプラスの放送であるということから、受信料で賄われるということについても国民、視聴者の御理解が得られているんではないかというふうにも考えております。
 ただ、公的資金をラジオの方には十九億ばかり交付しているわけでございますが、映像国際放送について国の金を使うことはどうかということでございますけれども、残念ながらただいま国家の予算も大変厳しゅうございますし、それからまたNHK側におきましても、やはり現行受信料で運営するということが望ましいという御意向でもございます。したがいまして、現在の費用の負担の姿も一つのありようかと存じでおります。
 しかし、放送全体が大変大きな変革期にございますし、それからNHKの運営ということも今後いろいろ考えでまいらなければなりませんので、この映像国際放送の費用負担のあり方も絶えず検討をすべき課題ではないかというふうに認識しております。
#119
○但馬久美君 ありがとうございました。
 最後に、本年のワールドカップ・サッカーのフランス大会に日本の出場が決まりまして、国民的な盛り上がりを見せております。先ほどから話も出ておりますけれども、オリンピックやスポーツのビッグイベントなどの放送権料が非常に高騰しております。NHKとしてもこれは頭の痛い問題であると思います。
 一昨年、ドイツのキルヒというメディア企業が、二〇〇二年の日韓共同主催の大会、またその次の二〇〇六年のワールドカップの放送権を二十八億スイス・フラン、約二千四百九十二億円という高額で落札したと報道されております。日本、韓国で開催されるワールドカップのNHKの負担する放送権料というのはどのようになるんでしょうか、お聞かせください。
#120
○参考人(海老沢勝二君) 二〇〇二年の日韓共同主催のワールドカップ・サッカーでありますけれども、まだ交渉は具体的にやっておりません。ドイツとスイスの共同の民間会社が落札したものですから、その二つのエージェントが今度日本の放送業者に対してどれくらいの金額を示してくるのか、我々は今それを見守っているところであります。
 先ほども答弁しましたように、フランス大会の十倍の値段で落札したわけでありますから、そういう面では非常に我々には手が出ないような高額な放送権料を提示してくるんではなかろうかという予測をしております。ただ、我々としては、やはり限度がありますので、その辺詳しく説明しながら、できるだけ安い値段で放送権が獲得できるように交渉してみたいと思います。
 これはまだこれからの交渉でありますので、またNHKがこれを独占放送するのも大変でありますので、民間放送ともいろいろ話をしながら、オリンピックと同じようにジャパン・プールといいますか、ジャパン・コンソーシアム方式でいろいろ話し合いをしてみたいと思っております。
#121
○但馬久美君 もう時間が参りました。これはドイツが独占しておりますけれども、放送権料のあり方を国際レベルでいろいろ考えていく必要があるのじゃないかなということを私は提案させていただいて、終わりにさせていただきます。
 ありがとうございました。
#122
○及川一夫君 社民党の及川でございます。
 今回の平成十年度の予算というものを見まして、正直言って驚いているわけであります。私も十数年NHK予算にかかわってまいりましたが、二回ほどの料金改定というものは体験しましたが、それ以降は毎年毎年、翌年は受信料改定をしなければいけないよという意味の赤字を展望した予算というのがかなりあったと思うんです。
 しかし、今回の予算を見ますと、提案されているとおり十二年までは据え置きますということを明確にして、その上でなおかつ九十億五千万は長期債務の借金返しの方に回してもいいという意味を含めた提案に実はなっておりまして、ほっとするどころか本当かなという疑いの目を一度は向けてみる必要があるんじゃないかと思うほど実は大変結構な予算の提案だなと、こういうことを率直に思います。
 しかし、これだけの予算を提案するからには、当然のこととして経営当局、さらには労働組合の協力がなければ私はできないものではないかというふうに思っておりますし、そういった点では関係者の皆さんに敬意を表しておきたいと思います。
 ただ、いろいろ効率化を考えるにしても、リストラを考えるにしても、バランスのよいものになっているのかどうかということなどを考えるし、特に要員上の問題では、私どもが関係した立場からいうと、当初は一般職員で一万三千名もおったものが今日では大体九千名になっていますね。四千名それこそリストラをした、効率化を図ってきた、要員面から見るとそういうことが言える。
 ただ、管理者の数は余り減っていないんじゃないかなという感じで私は見ているわけであります。そうすると、一体、実際の指揮をする人たちと指揮に従って動く人たちのバランスというのはこれでいいのかどうなのか。実際に働く人たちが少ないという形では、ある意味では特定の人たちに労働強化、労働密度が過重にかかるということになってもいけないんではないかなというふうに思っております。
 そういう目で、特にこれからの長期計画として、一口にNHKビジョンとこう呼ばせていただきますが、この計画の中では、電子番組ガイドとか最新のニュースとかあるいは気象情報、さらには「いつでもニュース」、あるいは情報サービスというようなことがうたわれて、午前中の論議の中ではとりわけ会長の方からハイビジョンニュースという言葉も使われましたね。これは同じものかどうかわかりませんけれども、私どもが聞いている話では編成するに当たってかなり手間暇のかかるニュース番組というふうに聞いておるわけであります。
 いずれにしても、量的には事業の拡大をしていく、あるいはチャンネルもふえていくということを考えますと、ますますこれは労使間でさまざまな話し合いをしていくということになりますと大変な問題だなというふうに私は考えます。
 元旦の会長のあいさつも私は聞いています。その中には労使関係をかなり意識された発言もありますので、今後の労使関係問題について会長としての所信があれば述べていただきたいということを申し上げます。
#123
○参考人(海老沢勝二君) 私ども、平成十年度の収支予算あるいは事業計画、それからデジタル時代へ向けてのNHKビジョン、これの作成に当たっては、我々執行部と同時に、やはり組合員の理解と協力を得ませんとできませんので、私ども誠意を持って組合ともいろいろ話し合いを進めました。そういうことで組合の理解も得ながらこれをまとめたわけであります。
 私ども、この平成十年度予算編成に当たっては、受信料収入をどう見るか。前年比二・二%、百三十億の増収を図りました。政府の税収が一・二%という中で高い数字を挙げました。これをひとつ頑張ろうと思っています。そのためには、やはり現場がその気になりませんと始まりませんから、そういう面で組合の理解と協力を得ながらこれをまとめたということがまず第一点であります。
 労使はどこでもそうですけれども、それぞれの立場がありますけれども、私どもと組合の方も公共放送を維持しさらに発展させていくべきだと、そういう基本的な視点については私は同じ意見だろうと確信しております。そういうことで、これからの業務運営に当たっても組合といろいろ話し合いながら、いろいろ意見の対立する面もあるかと思いますけれども、十分に胸を開いて話し合って円滑な運営をしていきたいというのが私の基本的考えであります。
 それから、先ほど二〇〇〇年から始まるBSデジタル放送の中でこれを普及促進させるためにはニュースをハイビジョン化していかなきゃならぬ、その割合は今のところ、個人的には五〇対五〇ぐらい、半分半分ぐらいを見込んでおりますという発言をいたしました。これについても、技術の革新もどんどん進んできますし、また機材の方も小型化、低廉化してきております。そういう面で技術の開発も我々の予想を超えてまだ進歩するだろうと思いますし、我々もそういう中でいろんなノウハウを取得し、そうすればそういう方向に進んでいくだろうという考えを述べたわけであります。
 今後とも、いろんな事業を展開するに当たっては組合員の理解を得ながら着実にやっていきたいと思っております。
#124
○及川一夫君 ぜひそういう立場で今後も努力をしていただきたい。
 とりわけ、私も日本放送労働組合との関係ではかなり長い間のおつき合いがありますし、労働運動ですから紆余曲折はあったと思います。しかし、最近の日本放送労働組合の方針なるものを見ますと、非常に含蓄のある、しかもかなり勉強されて一生懸命マスメディアとしての役割を果たそうということを積極的に提言しているような気がしてなりませんから、そういった点ではぜひ労使間でもって十分な話をされて、視聴者、国民全体に役立つような放送事業というものをやっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 その次に申し上げたいのは、このNHKビジョンと公共放送という問題との兼ね合いであります。
 公共放送というからには、民放とは何かの違いがあるわけですね。民放の場合は広告収入、こう言われている。NHKの場合には受信料収入、これを基本にしておられる。したがって、競争に直接参加するかしないかの問題では、意識としてはありながらも、やはり民放というものをそれこそかき回すということであってはいけないということがあるんでしょうね。そこに公共放送という立場。さらにはニュース一つとらえても、中立性というものについてはこれは民放であろうが公共放送であろうが守っていかなければいけない、こういうことになってくるわけなんです。
 このNHKビジョンというもので一体どんなことが発生してくるのかということになりますと、衛星放送自体をとらえても、トランスポンダーを大体幾つお買いになるのか、借りるのかわかりませんけれども、BS4号ですか、これの後発の問題に関連をして、当然のこととしてトランスポンダーのやっぱり購入とか借料とかという問題が出てくると思うんです。そういったものを借りたり、またNHKのいわば守備範囲の中に入れてくると、当然チャンネルはふえていくし番組だってそれに対応していろんな工夫をされるということになりますね。そういうふうに拡大をしていく。民放は民放で同じようにトランスポンダーを借りるということもあり得る、あるいは買い取るということがあり得るんでしょうね。そうすると、そこに当然番組の問題とかチャンネルの問題とかというものが出てくる。接触事故じゃないけれども、必ずこれはドッキングしちゃってけんかが起きないかなという問題が私は起こり得るんだろうと思うんですよね。
 そういうふうに考えてまいりますと、一体公共放送とは何だということの問い直しをされることになるんじゃないか。その辺会長はどんなお考えを持ってこのNHKビジョンというものを描いていかれるのか、そこのところをお聞きしたいと思います。
#125
○参考人(海老沢勝二君) デジタル多チャンネル時代になりますと、本当に何百というチャンネルからいろんな放送が出てくると思います。そういう中で、本当に国民生活にとって必要な情報なりあるいはバランスのとれた質の高い番組がどれだけ国民に提供できるのかということになってきます。
 これは御承知のように、すべて完璧な番組というのはもうなかなか難しいわけでありまして、そういう中で私ども、いわゆる興味本位に走るとか、あるいは視聴率優先といいますか、ただ視聴率が高ければいいんだというのではなくて、視聴率が低くても青少年に与える影響の少ない、青少年が健全に育成できるような番組とか、あるいは高齢者向けの、あるいは消費者向けの放送をきちっとする、そういうことをやる機関が私は必要だろうと思います。そういう面で、我々国民に基盤を置く公共放送は、そういういつの時代にも変わらない基本的なサービスをする機関としてやはり必要であるだろうと思っております。
 そういう面で、今後ともこういう受信料で支えられているNHKでありますから、受信料制度を維持しながら、そういう国民生活にとって必要な情報を格差なくあまねく送り届けるというのが今後も我々の基本的な方針として堅持すべきだろう、そう考えております。
#126
○及川一夫君 単純な言い方で悪いんだけれども、官が民を圧迫する、別にNHKは官ではないんですけれども、いわばそういう似たような議論にならないように、民放との関係というのはマスメディア関係全体を通じて整合性のあるものということを念頭に置きながら進めていかないと、ただ単に競争の原理だけに走っちゃってそれでもって社会が混乱する、視聴率を高めるために変な番組をどんどんつくり出すということに私はなりかねないと思うんです。
 アメリカの社会でも、民放中心ですけれども、もう百二十チャンネルもあるような社会というものを我が国で想像した場合に、ある意味では我々の年代になるとぞっとするわけですよね。一日二十四時間しかないのに、あれも見ろこれも見ろというわけにいかない。結局は好きなものを選んでやる以外にないんですけれども、それでもやっぱり世の中の出来事としてはチャンネルを通していろんなものが放映されるものですから、それを知らないと何となくおくれを感ずるというようなことになると、今度は自分の健康なんかを度外視して見るだけ見ようなんというような世の中になったらこれは大変だなという思いがする。別に規制をかけるわけじゃないけれども、やはりその辺のことは放送メディアの方々はかなり考えるべき問題ではないかなという気がいたします。
 そこで、次に行きたいのは、このNHKビジョンと財政並びに資金の問題です。同僚の皆さんの議論の中でもおおむね明らかになってきたようですが、衛星関係の放送のデジタル化の問題にしろ、それから地上波のデジタル化の問題にしろ、どのくらい金がかかるのかということをお聞きしたら、締めて六千億というような、そのくらいの数字が言われているように私は思います。
 ところで、一体NHKの資産というのはどのぐらいあるのかということを貸借対照表で見てみますと、資産合計と負債合計を引き算すりゃいいだけの話なんですけれども、資産合計で六千六十一億八千万ほどある。それから負債合計で二千五百五十億五千万ほどある。引き算すると三千五百十一億二千七百万ほどNHKの資産として存在をする。赤字にはなっていない。三千億か三千五百億のそういう資金でもって今会長が描かれておるデジタル化の問題は一体実行可能なのかどうかということになれば、決して十分とは言えないし、決してこれで足りるというものではないと思います。
 したがって、受信契約者をふやしていくのか、あるいは受信料を値上げしていくのか、あるいは国からの助成を受けるのか、いろんな資金の集め方はあるんでしょうけれども、一体財政問題というのはNHKとしては、今検討中という答えになるのかもしれませんけれども、しかし、これだけ方針みたいのが出ておるでしょう。興味深く私も読ませていただきました。しかし、これには数字はほとんどないんです。こうやりたい、ああやりたいということは書いてあるけれども、これに対してどのくらいの投資をしなければいけないなどという話は一切ありません。数字としてあったものを見たら、受信契約者をふやす話だけでありまして、収入支出に係るようなそういう数字は一切ないわけですよ。
 したがって、これは何年後にでき上がるのかということとの関係もあるんでしょうけれども、大体一定の投資額というものを想定されながら、皆さんに考えてもらう、そしてこういう方法でこういうものでもって資金を拠出してもらうとか、お借りをするとか、そういったことをある程度出していった方がいざという場合に私は役立つと思うんです。
 そういった点で、この点は会長どうですか。
#127
○参考人(海老沢勝二君) 先ほど及川先生から民放との関係、ちょっと失念しましたけれども、私は民放とは競争的共存体制を図っていこうと。お互いに競争しながら、それぞれの立場がありますし、それを分をわきまえながらひとつお互いの長所を伸ばしていこうという方針をとっております。ある面では競争もしていきます。ただ、企業としては、何もしませんと縮小再生産になって企業の活力が出ません。そういう面で私は相対的な拡大均衡という言葉を使いました。
 ただ、これはいたずらに巨大化するとか、民放の事業を横取りする、圧迫するとか、そうでなくて、やはり我々受信料の範囲の中でいろんな工夫をしながらいろんな業務を展開していく、それが職員の士気も高まるし、また、我々公共放送の新たなサービスだろう、そう思っております。
 そういう考えで、今後とも民放とは共生、共存しながら仕事をしていきたいというのが基本であります。
 それから、NHKの財政、これがどういうふうなスケジュールでやっていくのかという御指摘であります。
 これも、我々は財政基盤をきちっと確立するのが一番の課題であることは申すまでもありません。そういう面で、この三年間は値上げをしないで、国民に負担をかけないでひとつ内部改革を進めながら事業展開していこう、その後二〇〇〇年以降のことについては、これからの経済情勢なりあるいは地上デジタルの推進のスケジュールとか、あるいはこれからBSがデジタルになります、この普及がどれくらい伸びるのか、その辺を十分見きわめながらそろそろ具体的な検討をこれから始めようと思っているところであります。
 いずれにしても、我々は、BSの普及というものがNHKの財政を支えてきているわけでありますから、こういうBS、ハイビジョンの普及促進を一段と図ると同時に、また、今三百数十億の安定化資金を持っておりますので、その辺を将来、二〇〇〇年以降使いながら地上デジタルの方にも進出しなければならぬと思っています。
 そういう面で、今具体的な数字はこういう非常に経済不安定な情勢でありますから見通しが立ちませんが、今後経済見通しを見ながら具体的な財政の方向を示していきたいと思っております。
#128
○及川一夫君 共存共生、民放との関係はそういう意味合いで位置づけで対応したいとおっしゃられる意味は、「より豊かな公共放送のために デジタル時代へのNHKビジョン」の中身自体についても恐らくお互いに話をし合うという場が私はできるんだろうと思います。ですから、そういった点は非常に大事な点だと私は思うので、とりわけNHKというのは、民放との兼ね合いでいえば、銀行と日本銀行みたいなものだなという感じがしてしようがないわけです、ある一定のモデルとしては。
 それで、放送メディアとしてこれを奇貨としてお互い切磋琢磨し合おうではないかというような、NHKというものは私らの意識の中にはそういうものではないかなというふうに私は思いますから、民放に絶対負けない、絶対勝つんだという意味の競争時代というのは余り意識していないというふうに私は思いますので、会長がおっしゃられたことを十分私どもも踏まえますが、ぜひそういった方向で対応していただきたいということを申し上げます。
 それから問題は、郵政大臣に私は通告していないけれども、財政の問題に絡んで郵政大臣の意見書の中に、受信料体系を検討しなければいけないということが書いてありますね。NHKの場合には受信料システムという言葉でもってこれも検討されなければいけない、こうなっているわけです。
 そうすると、だれがどう考えても、これだけの計画をやっていこうというときに、視聴者は別よ、あなたは財政的には一切関係ないというふうに本当に言い切れるのかなということになると、私は言い切れないだろう。そういう思いもあって、郵政大臣自体が受信料体系についての検討を促しているし、NHKはNHKで受信料システムという言葉で検討しなきゃいかぬというようなことが言われているわけでしょう。
 もちろん新しい商品というか新しいサービスが出てくるわけだから、これについて対価を求めていくというのは当然のことではあるんですが、それにはやはり早目に問題提起をするようなことでないと私はいけないと思うんですが、郵政大臣、ちょっと細かい問題で恐縮ですけれども、これはどうですか。
#129
○国務大臣(自見庄三郎君) 質問の御通告をいただいておりませんけれども、まさに受信料体系の問題に関しましては、一つは、今さっきからもいろいろございますスクランブルの問題があると思っております。これは今の例えば衛星放送でも、また二〇〇〇年に開始を予定されておりますBS4後発機でも、今さっきはデジタルでやったらどうだという論議があったわけでございますが、結局ほかの民放も同じ衛星放送をやっているわけですから、それは今スクランブルをかけている民間放送事業者がございます。そうしますと、公正競争の観点からNHKがかけていなくて民間がかけているじゃないか、そういった論議もございました。あるいは、二〇〇〇年になりましてデジタル放送が開始されて、ほかの民放もデジタルに参加していただく、デジタルの方もBS4後発機に参加していただく、そこはスクランブルをかける、NHKがかけないということになれば、公正競争の点からここに一つの問題点があるだろうというふうに私は思っております。
 もう一点は、NHKの受信料の軽減を政策的に、学校教育だとか学校施設だとかあるいは福祉施設だとか、そういったところ等々に政策上の受信料の減免だとかあるいは半減だとかいうような措置を先生御存じのようにやっております。もし私の記憶が正しければ、大体二百億円程度政策的にそういった受信料をいただいていないわけでございます。できるだけそういったことを洗い直す、一体どういうものかという。その辺二つのポイントがあるんじゃないかというふうに私は認識をいたしております。
#130
○及川一夫君 現在、ハイビジョンが試験的に放映されております。あれを見ると非常にきれいだなという思いはするが、果たしてハイビジョンがそれぞれの家に必要かどうかということになると、白黒時代からカラーに移る時代ほど刺激的にあれをとらえていないのが私は現状だと思うんですね。白黒からカラーテレビに至るときにはわっという感じがしましたよ。高いなと思いながらも買わねばという気持ちがあのときは起きたと思うんです。しかし、今カラーテレビを見て、こっちはハイビジョンだよ、どうこっち買うかね、こう言われても、幾らと言ったら、金額の高さでびっくりしてしまって、ちょっとどうかなという感じ。それから、テレビの画面の大きいのがいいんだろうけれども、厚さの問題とか、ああいう点で非常に今の日本の家屋の状況では余りぴんとこないということでしょう。
 そういう中でデジタル化をしてと、こう言うが、デジタルとは何ぞやと。ハイビジョンを全体化するためにはどうしても必要なんだ、付加価値をつけて放映するからにはデジタル化が必要なんだ、こう言ってみても、それを、だから受信料の値上げをしませんと、こうなったって、これはぴんとこないんですよ。技術の方はどんどん進んでいるんだけれども、意識の方はハイビジョンにぜひともしなきゃいかぬというほどの状況には今ない、こう私は思うので、そういった点を十分配慮しながら、もちろん広報これ努めなければならないでしょうけれども、ぜひその点は念頭に置いていただきたいということを申し上げます。
 それで、これに関連をして、これは会長がそれとも広報の責任者かどうかわかりませんが、テーミスという月刊誌がありますね。たまたま私はおととい見たんですけれども、共同通信の記事がNHKの圧力で抹殺されてしまったということが四月号に書いてあるんですよ。
 そこで、それでは何が抹殺されたのかといったら、今度のデジタル化に関連をして、要するに有料ということを前提にして、それが受信料なのか、それとも全く別の付加価値の料金なのかは別にして、いわば負担増になるという意味合いの記事であったらしいんです。それにそう書いてあるんですよ。これは、NHKの広報担当から抗議を受けて、それで何か配信をされた時間から十五分後には全文削除ということが共同通信社の中で起きたというようなことが実は書かれてあるわけです。
 投資をした以上はコストにかかってくるのは当たり前なので、今からそれを何となく隠そうというふうにとられるんじゃ、せっかくのNHKビジョンも成功しない、こういう思いが私はしたんですが、何かこれはNHKあったんですか。
#131
○参考人(酒井治盛君) お答えします。
 四月号のテーミスを私は読んでおりませんけれども、御指摘の記事、私どもが圧力をかけたと伝えられておると言われましたけれども、そういうことは私の方にはございません。
 ただ、NHKは、BSのデジタル放送でスクランブルをかけて有料化するというようなニュアンスの記事が共同の方から配信されてまいりましたので、私どもはびっくりした、寝耳に水と。私ども内部でいろいろ検討している内容とは全く違う方向の記事でございまして、配信されてきましたので、率直に申しまして、私どもNHKに取材して記事をお書きになったのかと、そういうところをただしたことはございます。
 それから、そのままでは大変な誤報ですので、お伝えしたのは、私どもとしては誤りは誤りとして正していただきたい、私ども、取材なさったのかと、そこを力説しながら、我々の内容とはもう全然違う、そういうことをお伝えした。これが事の経緯、いきさつでございます。
#132
○及川一夫君 天下のNHKですから、余り誤解を受けないようにしたらいいと思う。共同通信社にはNHKも加盟されているんでしょう。最近、毎日、読売、朝日が加盟社として何かそこから抜けたという話もあるようですから、NHKに逃げられたらまた大変というので、その抗議に対しては反発したかったけれども何となくおさまっちゃったというような意味で書かれているんですよ。だから、この月刊誌はどういうものかということも考えなきゃいけませんけれども、いずれにしても誤解を受けないように、僕は正攻法でやってもらいたいということだけは申し上げておきます。
 それで、時間も参りましたのですが、パラリンピックにおける大日方さんの活躍というのは、私はまさかNHKにおられる人だと思わなかったですからね、二重に感動しました。大日方さんには恐縮だけれども、あれ宣伝費にかえたらえらいこっちゃなというふうに私は率直に言って思いました。それだけ貢献したんですよね。そして、我々と違って体が不自由にもかかわらず、しかも女性でもってあれだけの根性を持ってやられる方というのは、我々もやっぱり考え直さにゃいかぬなという気持ちでいっぱいです。
 そこで、問題提起したいのは、実は放送については一般のオリンピックと違いましたよね。四六時中放送しているような格好じゃないものですから、とにかく実際の生放送を見たいという人が大分多くNHKの方に何かそういう電話があったということを聞くわけです。そうすると、番組審議会とか視聴者会議とかいうものについて、ああいう方々の代表が出ているのかな、こう思うので、今の実態と、それから身障者の方々の雇用率、NHKの場合にはどのくらいの率になっているのか、それをお聞かせください。
#133
○参考人(河野尚行君) NHKで視聴者の意見を定期的に聞く形で視聴者会議、それから番組審議会がございます。
 及川委員の御質問ですが、普段ハンディキャップを持つ方と仕事を通して接しておられる特別養護老人ホームで働いている方とか福祉関係の方は七、八%この中に入っておりますが、みずからがハンディキャップを持っている方は現在はおりません。そういう意味では、先生御指摘のような形でこれからは考えなきゃいけないなと思っております。
 ただ、この前のパラリンピックにつきましては、視聴者会議並びに番組審議会の中でもう少し積極的にやるべきだという意見は端的にございました。それから、国会もそうですけれども、普段の放送の中で障害を持っている方へのサービスこそ公共放送のNHKの仕事だろうということは、視聴者会議及び番組審議会でも通常いただいております。
#134
○参考人(松尾武君) お答えします。
 障害者の雇用率でございますけれども、協会は法の趣旨にのっとりできる限りの努力をしてまいっております。
 現在の数値でありますが、一・六五%、人数で申し上げますと二百三十七人ということになります。これは法定雇用率を〇・〇五ポイント上回っております。ただし、平成十年七月から法改正によりまして雇用率を一・六から一・八に引き上げるということでございますので、今後とも引き続き最大限の努力をしていく所存でございます。以上でございます。
#135
○及川一夫君 終わりたいと思いますが、最後に、これは言いっぱなしで恐縮ですけれども、Vチップの問題です。
 これはもうアメリカでは十三インチ以上のテレビにはそういう装置をつけることを義務づけているということを私は聞いています。これはNHK自体の問題じゃありませんよね。これは当然郵政省が行政指導上の問題として、番組の編成ということでは、つまらぬというのはおかしいけれども、変なものは番組として編成しないということは放送事業者そのものが考えるべき問題ですが、放映されているものをこれはだめあれがいいというやつは、そういう装置をつけることですから、私から言えばむしろ郵政省の行政指導というものがどうあるべきなのかということが問われるんだと思うんです。ですから、それは中教審でも一定の見解は出ているようです。したがって、いろんな審議会もあるでしょうから、これはぜひアメリカ並みに行政指導上対応できるように、ひとつ検討してほしいということを申し上げて、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
#136
○委員長(川橋幸子君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、末広まきこさん及び溝手顕正さんが委員を辞任され、その補欠として釜本邦茂さん及び長谷川道郎さんが選任されました。
    ―――――――――――――
#137
○上田耕一郎君 日本共産党の上田でございます。
 最初に、米軍のNHK受信料の未払い問題で、午前中守住委員が大変詳細に展開されて、問題解決の強い要望を言われました。日米安保体制についての態度は反対でございますけれども、この問題では一致していることを大変うれしく思います。
   〔委員長退席、理事寺崎昭久君着席〕
 これは逓信委員会全体として取り上げた問題で、九五年十二月十四日、ここにいらっしゃる当時の及川委員長が本委員会で、「NHK受信料問題につきましては、現在、政府から在日米国大使館に協議の開催を申し入れているとのことであります。こうした動向を見て、今後、本委員会として判断してまいりたいと存じます。」と、こう述べられたので、ですから郵政大臣、委員会として取り上げた問題だということを御認識いただきたいんです。
 それで、九六年一月二十二日に外務省、郵政省、NHK、在日米軍、在日米大使館の五者協議が開かれたんですね。それで、米軍は持ち帰り検討。しかし、守住委員が指摘されたように、それから二年たっていまだに回答がないんですね。この問題は既に二十年にわたっているんです。日本側は地位協定の第十三条に基づく租税ではないと、米軍側は租税だと言って意見対立したまま二十年たっているんです。
 郵政省の資料によりますと、毎年約一億二千万円になると。平成七年度で積み立てられたものが約十五億七千万円という数字、平成九年もあと三年たっていますからそろそろ二十億円になっているんですね。
 外務省見えていますか。二十年たって依然として解決がつかない、意見対立したまま。やっぱりけりをつけるべきだと思うんですね。そうでないと、例のカーター米大統領の国家安全保障担当の補佐官だったブレジンスキー氏が「ユーラシアの地政学」という論文で、日本はアメリカの実質上の保護国だと、こう書いたことが裏づけられることになります。
 そこで、外務省としては日米交渉の担当者なんだから、アメリカ側に、もう二年たって返事がないというのはまずい、期限を切って検討結果をちゃんと明らかにしてほしいということを申し入れる。もし五者協議で解決がつかないのなら、これは委員会で外務大臣の答弁もかつてあった、日米合同委員会、ここでやはり議題として外交的にけりをつけて、きちんとして合意に達するということをもうそろそろやりませんといかぬと思うんですが、いかがでしょうか。
#138
○説明員(猪俣弘司君) お答え申し上げます。
 NHKの受信料の支払いの問題につきましては、今まさに上田委員が御指摘のとおり、平成八年の一月に外務省、郵政省、NHKそれから大使館、在日米軍との五者協議というのを一回開きまして、それ以降、米側からの回答がないという状況が今続いていることは御指摘のとおりでございます。
 現在、NHKの方から在日米軍に対しまして解決に向けた話し合いを行うべく申し入れをしているところでございまして、外務省としましても、在京のアメリカ大使館を通じてそういう話し合いをまずできるようにしようということを強く申し入れているところでございます。
 いずれにしましても、確かに二十年来ということでございますし、五者協議をやって二年たっているわけでございますので、実質的な解決を見出すべく、委員御指摘のとおり地位協定上の解釈をめぐって対立があるわけでございますから、そういう現実を踏まえながら、実質的な解決がどうやったら図られるかという点で、今のNHKが米側に申し入れております話し合いの経過に留意しながら、関係機関と密接に連絡をとりつつ外務省としても引き続き米側に対して働きかけていきたいと思っております。
#139
○上田耕一郎君 郵政大臣、外務省の努力を見守りながら、その結果いかんによっては、それだけではけりがつかないんだとすると、金額としては二十億円なんだけれども、やはり二十年間も法律の解釈、地位協定の解釈が違ったままというのはまずいので、郵政大臣として閣議にもちゃんと出して、合同委員会、あるいはそれでもだめなら首脳会談でも言いますよというようなことを政府としても行動をとるように大臣として御努力いただきたいんですが、いかがでしょうか。
#140
○国務大臣(自見庄三郎君) 本件は昭和五十三年からの懸案であり、今、上田委員も御指摘のとおり、日米協定上の解釈の相違によって解決が長期化しているものだということを私どもも勉強させていただいたわけでございます。
   〔理事寺崎昭久君退席、委員長着席〕
 いずれにいたしましても、いろいろな経過があったようでございますし、平成八年一月二十二日に、今さっき課長からも御答弁申し上げましたように実務レベルでの会合を実施したということでございます。郵政省といたしましても、今後受信料に対する理解を求めていくことについてどのような場でどのようにして進めてまいるのがよいのか、きょう担当課長がおいででございますが、外務省とよく相談してきちっと対応を決めたいというふうに思っております。
#141
○上田耕一郎君 早急な抜本的解決を要望します。
 次は、海老沢会長、きょう初めてお目にかかりますのでNHKとしての一番大事な問題、放送法第一条、第三条などで決まっております放送の不偏不党、この問題について会長の基本姿勢をお伺いしたいと思います。
 と申しますのは、NHK関係者から非常に重要な内容の本が二冊出ております。
 一つは「シマゲジ風雲録 放送と権力・40年」、島桂次前々会長の本で、「「皆さまのNHK」は政治家、官僚に蝕まれた伏魔殿である」、「NHKは「郵政省渋谷出張所」である」、「政治家は総会屋みたいなものだ」と帯封に書いてあるんですけれども、これはなかなかの内容です。島さんは、「知人におだてられるうち、本来「墓場まで持っていく」つもりだったことも、だいぶ書いてしまった」、こう言っているんですね。
 もう一つは、「NHKと政治」、川崎泰資さん。NHKに三十年以上お勤めになった方で、帯封は「政治に翻弄され続けたNHKの知られざる戦後史の内部からの証言」、「あとがき」では「NHKを去って五年、いつかは書かなければならない問題として思い続けてきたが、自分の元の職場であるNHKを批判的に描くことは、やはり気の重い作業であった。」と。非常にまじめな本なんです。
 海老沢会長、この二冊お読みになっていられますか。そして、感想はいかがでしょうか。
#142
○参考人(海老沢勝二君) 島元会長それから川崎職員は、我々政治部の先輩であり同僚であります。そういうことで、この本が出版されたときに一通り目を通しました。その指摘された中で、非常に記憶違いとかあるいは一種の思い込みといいますか、あるいはまた独断に走った面が多々あったというふうに記憶しております。
 いずれにしてもこのお二人が、NHKの中でNHKの仕事を十分知った先輩、同僚でありますけれども、そういう中でどういう気持ちでこういう本を出版したのか、これは出版の自由、表現の自由でありますけれども、先ほど言いましたように若干我々にとってはそういう誤解なり記憶違いなり独断に走った面についてはいかがなものかなという感想を当時持った記憶があります。
#143
○上田耕一郎君 大変な内容なんですね。放送法は眼中にない干渉が行われている。
 例えば、人事の干渉。
 田中首相は島さんを呼びつけて、「「前田の首を切れ」」と二回にわたって言っていて、小野会長にかわるまでの七ページにわたって詳しい経過が出ている。いつも会長人事はそうです、そういうたぐいです。NHKの経営委員長、これは中曽根首相、竹下大蔵大臣が磯田一郎経営委員長を実現するために圧力をかけた経過がやっぱり三ページにわたって書かれている。
 それからニュース、社説、社説的主張、世論調査、こういうものに対する干渉もあります。
 例えば、驚くべきことですが、島さんがNHK理事だったころ、中曽根首相は定期的に二カ月に一度公邸に呼びつけた。「「島君、最近のニュース番組などには、いろいろ問題があるじゃないか。政府に不利なことをやりすぎる傾向がある。私が調べたところでは……」」と「分厚い紙の束を取り出すのだ。それはNHKの全ニュースを文字に起こしたもので、中曽根氏が気に入らない部分にアンダーラインが引いてあった。」、「「私が調べた」」と。中曽根首相は「その紙の束をめぐりながら、「〇月〇日の何時のニュースではこういうことをいっているが、これはおかしいんじゃないか。この報道は一方的だ」」と。二カ月に一度やっているんですよ。憲法第二十一条の検閲はこれを行わないと。これは事後検閲ですよ。二カ月に一度首相がやっているんだ。
 社説については、「「島君、読売の論調は素晴らしいね。渡辺君は、なかなかよくやってくれている。」「NHKも、おおいにこれを参考にしたまえ」」。主張までこういうことを言っているんですね。一番介入がひどかったのは、田中首相と中曽根首相だと書いてあります。
 それから、川崎氏の本によりますと、世論調査、内閣支持率は発表しないで政府、自民党の有力者にひそかに伝えていた。それから、消費税。この大型間接税については、八九年三月、反対四八%、賛成一八%。発表せずに隠したと。八九年十二月の消費税、これも反対が多かった。特別番組の直前に中止したということで、世論調査もそういう干渉を一々受けてやるんですね。
 番組について最も重大なのは、これは川崎さんが、NHKの歴史を画する事件だった、権力の介入とそれに呼応する内部勢力の結びつきを白日のもとにさらしたということを言っています。これは川崎さんも非常に重視して書いていますし、島さんも具体的に書いている。
 島さんは、NHKの坂本会長に呼ばれてこう言われたと。「「実は、きのう自民党の二階堂総務会長から「マスコミは角栄をやり過ぎる。NHKも何か特別な番組を企画しているようだが、こういうことは手控えてくれ」といわれた。いまNHKの予算が(自民党の)総務会にかかる前だ。ここで邪魔でもされたら大変だ。島君なんとかならないかね」」と言われたと。それで報道局長の島さんは中止命令を出して、三木元首相のインタビューはカットされて、放送中止になったんですね。こういう、本当にひどいと思う。
 島さんは何でこういう介入が行われたのかというと、一つは経営委員会の人事を政府・自民党が握っている、もう一つはNHK予算が国会にかかる、今この予算をやっているわけですけれども、そういうことなど三つの問題でこういうことが行われているんだというんですね。
 私は、だからこの二冊を読みますと、本当に構造的で、放送法も憲法も眼中にない状況が続いてきた。そうしますと、海老沢さんも自民党のある特定派閥と親しいということが書かれていますけれども、そういう政治的経歴をお持ちの会長であるだけに、今までのこういう構造的な癒着、放送法のじゅうりん、憲法違反の疑惑まであるような、こういうNHKの公共放送としての不偏不党、公正な報道、表現の自由を守る姿勢をどうやって堅持するか、決意を承りたいと思います。
#144
○参考人(海老沢勝二君) 私も昭和三十二年にNHKに入社して、関連会社に一時出ましたけれども、四十一年この仕事をしております。そういう中で、我々はオーナーでありませんで、サラリーマン記者といいますか、そういう立場で仕事をしておるわけでありますけれども、私どもどこの部に配属し、どこの派閥を担当するかというのはすべて上司の業務命令、業務指示によってやってきております。
 そういう中で、私、昭和三十八年から政治部に配属されて、現場の記者を九年間、その後デスク、あるいは地方の報道課長、あるいは整理部の担当部長とかいろいろやってまいりました。そういう中で、私はこれまで何百人という政治家の方と面識を持ち、取材対象としてきております。そういう中で、よく特定派閥とかいろいろ私も不徳のいたすところで週刊誌等をにぎわしたことがありますけれども、私はやはり自分の与えられた仕事をきちっとするということで一生懸命取材対象にアタックして取材をし、そして公平な報道をしてきたつもりでおります。
 今そこにある、ロッキード事件の三木元首相のテープをカットした、当時は整理部の担当部長をしておりました。その中で島会長なり川崎職員がいろいろ書いていることについでは記憶にありますけれども、その当時、会長が時の報道局長である島さんにどういうような指示をしたのか、どういうような言い方をしたのか、それは我々下の者にはわかりません。そういう面でそれが干渉に当たるのか、あるいは島さんのそういう思い込みでやったのか、それは私はわかりません。
 ただ、私どもNHKとしては、御承知のように放送法に基づいて仕事をしておりますし、NHKの予算にしても事業計画にしてもすべて国会、衆参両院の同意を得て決めるものであります。そういう面で、一党一派に偏すれば受信料収入はなりません。そういう面で、私どもは各党それぞれに予算の内容なりあるいは事業計画を説明しながら業務を運営しております。そういうことで、ニュースに扱うにしてもやはり公平公正というのがもうこれは基本であります。これをなくすれば各党の皆さんから支持を得られないで反対が出てくる、そうすると受信料収入に影響を及ぼすという仕事であります。
 そういう面で、私どもはそれぞれいろいろ担当で回りますけれども、やはりそれはNHK全体のニュースの中で処理しているわけであって、それぞれの思惑なりあるいはいろんなことで言われる場合がありますけれども、やはりNHKの出でいる放送が私はすべてだと思います。それが事実を曲げたりあるいは一定の方向に持っていこうというふうになれば、これはもう国民の支持を失ってNHKそのものが瓦解しちゃうわけでありますから、そういう面で我々は国民の、視聴者の理解と信頼の上に成り立っているわけですから、そういう面で今後とも私は、放送法にのっとった、あるいは憲法を尊重した中で、やはり一党一派に偏することなく不偏不党の立場から公平公正な番組制作をするのが我々の使命だろうと思っております。改めてそういう方針で仕事を進めるつもりでおります。
 私、会長に就任してちょうどきょうで八カ月になります。その間、いろんな方からいろんな場面でNHKの番組についでいろんな意見なりあるいはそういうことは伺っております。当然NHKには年間何百件という視聴者からの意見なりが来ております。それはもう当然、経営委員会なり審議会なり視聴者会議にも報告し、それをまた現場におろして参考にしながら番組をつくっていくわけであります。そういう視聴者のニーズにこたえていって、そして質の高い番組をつくるのが我々の使命でありますから、そういう面で私、いろんな意見は聞きますけれども、私自身が現場に対してそういう干渉めかしたことはこの八カ月やった覚えはありません。
 ただ、私の意見として、きょうの扱いはもっとこういう工夫が必要じゃないかとかそういう感想的なことは、もちろんこれは私が、会長がNHKの全責任者でありますし、編集権を持っているのは会長でありますから、そういう面でいろんな場面で視聴者からの意見なりについては開陳する場合がありますけれども、いわゆる放送をゆがめたり曲げたり、途中でそれをどうするとかということを、私は八カ月になりますけれどもやっておりませんし、今後もそういう方針で公平公正なニュース報道に一層努力していきたいと思っております。
#145
○上田耕一郎君 NHKに対する国民の期待も信頼も非常に大きいので、今会長の発言された方向を今後しっかりやっていただきたい。私たちも今後の実践を拝見させていただきます。
 ちょっと予算にかかわる問題を一つ取り上げます。
 これはNHKの内部文書で、「取り扱い注意」、平成四年五月一日、会長室の文書です。「渉外活動に伴う特殊経費の支払い手続について」、「国会、郵政省」、郵政省入っているんです。「国会、郵政省等渉外活動に伴う特殊経費」、特殊経費には注がついています。「○○君を励ます会、○○政策研究会など、いわゆるパーティー券購入のための機密経費をいう」と。この特殊経費の支払い手続について今回こういう事務処理を行うという文書です。会長室、川口会長時代。
 「書類の保管責任者は部局長の指名する渉外業務グループの管理者とし、厳重保管する」、「経理科目は編成諸計画費の雑費とする」と。雑費とするんです。「支払い証明書の記載方法 支払い先は放送行政研究会とし、業務内容は放送行政研究会費とする」。放送行政の研究会費として政治家のパーティー券、これを買うと。その事務手続を詳細に決めたものです。恐らくそれまで余りいいかげんだったので、このときにきちんとしたんじゃないか、川口会長時代に、とも思われます。「参考」「本手続については」といって、理事の名前、局長の名前が十数名書いてありまして、これだけの人が了知しているというんですね。平成四年五月一日です。
 こういうことが、あなたが会長になられていまだに申し送られて続いているのか。それで、今もし初めてお聞きになったんでしたら、調査をしてほしいんです。これはっきりそういう手続が行われているんだから。それで、「今回定められた別添パーティー券購入手続によるほか、以下による事務処理を行う」というのだから、パーティー券購入手続という書類もあるんですよ。
 だから一体平成四年にどのくらいの予算で政治家のパーティー券を買ったか。これも放送法違反ですよ。公共放送のNHKが政治家の、これは政治献金ですよ、買うのに、予算を組んで事務手続まで決めているんだから。一体だれとだれに、だれのパーティー券を総額幾ら買ったのか、いまだに続いているのかどうか、内部調査をしっかりしていただきたい。
 もう一つ、「国会、郵政省等」だから、これは郵政省もかかわりがあるんですよ。大蔵省の接待問題が大問題でしょう、料亭での高額接待、日銀のざぶんとかどぼんとか、それからゴルフ場の接待等々、大問題になっている。
 NHKは、先ほど言いましたように、郵政省にいろいろコントロールされているところがあります。島さんの本によりますと、とにかく郵政省というのはひどいところだというふうに書かれていて、NHKは郵政省渋谷出張所だというふうに言われて、郵政省はひどいと島さんの本に書いてあるんだが、その郵政省の担当のキャリア、ノンキャリアにNHKとしても恐らく接待が行われていたんだろう、文書に「郵政省等」とあるんですから。特殊経費なんです。この郵政省に対するNHKの接待の中身についても、国民がこれだけ問題にしている時期だけに、調査して本委員会にきちんと報告をしていただきたい。
 最後に、今審議中の本予算案にこういうものが入っているのか入っていないのか。もし入っていたら、我々は承認できませんよ。私は前もって質問の条項でも、編成諸計画費の雑費、この問題について質問いたしますからというふうに連絡してありますので、責任ある答弁をしていただきたいと思います。
#146
○参考人(海老沢勝二君) 私ども、予算、事業計画の国会の承認を得る立場でありますし、公平中立を旨とする企業体でありますので、それと同時に放送法にいろいろな規定があります。そういうことで、私どもが政党なり個人に政治献金なりあるいは政治資金規正法に基づくパーティー券の購入ということは禁じられております。そういう面で、私、先ほど言いましたように八カ月になりますけれども、そういうことはしておりません。
 平成四年ですか、川口会長時代にどういうような経理処理をしたかよくわかりませんので担当理事の方から答えさせますけれども、いずれにしても、私どもそういう政治献金なり政治団体のパーティー券購入というのはしておりませんし、今後するつもりもありません。
#147
○上田耕一郎君 今はないと言うんだけれども、平成四年度はどうだったんですか。委員会に、政治家並びに郵政省についての特殊経費、この報告をぜひしていただきたい。はっきり責任ある答弁を求めます。
#148
○参考人(石渡和夫君) 経理担当の石渡と申します。
 お尋ねの編成諸計画費でございますが、平成四年当時の実情については詳しく認識、理解しておりませんが、現状はどうなっておるかということについて御説明いたしますと、NHKの予算科目は、款、項、目、節と、最小単位は節で運営してございますが、この節を現場で管理するための実務上の管理のための内訳といいましょうか心づもりといいましょうか、内部的には小節と呼んでおりますが、その一つといたしまして、現在も編成諸計画費という管理単位を節で言いますと編成管理費の中に設けております。
 この編成管理費の中身について多少御説明いたしますと、番組の企画、管理に要します事務的な経費でございます。この費用の中身としましては、番組の編成に関しまするさまざまな会議の開催、あるいは諸研究会への参加、あるいは番組制作上での間接的に必要とされます業務に使用されます会議費、交通費等、また番組表の作成等番組広報費等を含んだものがこの節の編成管理費でございます。
 お尋ねの編成計画費につきましては、さきに申し上げましたとおり部内的整理単位ではございますが、番組編成にかかわりますさまざまな御意見、御意向につきまして、有識者など社会的影響力のある方との対応を中心とする経費でございます。現在、パーティー券などという支出はございませんが、その実施に当たっては過度にならぬように節度を持って対応しております。
#149
○上田耕一郎君 雑費という項目があるはずです。雑費は金額は幾らになっていますか。
#150
○参考人(石渡和夫君) 十年度予算で申し上げますと、先ほども御説明したとおり、編成企画費あるいは編成管理費といたしましては、それぞれ八十九億あるいは二十五億の予算を組んでございます。それ以下の小節につきましては、現在具体的な予算は、予算単位としては内部的にも予算ではございませんので確定しておりません。
 なお、おっしゃいました費用形態別の雑費あるいは交通費ですとかそのようなものにつきましては、あらゆる支出につきまして支出目的と費用形態は支出の都度経理する、はっきりさせるということで日常的に管理しております。
#151
○上田耕一郎君 ちょっと経理の責任者の方の答弁でははっきりしませんので、会長、とにかく私の持っているのは平成四年ですから、平成四年度について雑費という形で行われた特殊経費の支払い内容、パーティー券をだれのをどのぐらい買ったのか、その問題と、それから郵政省に対する接待内容。これは平成四年だけじゃなくて、今全国民注視の的ですかるね、NHKと郵政省との関係で接待の内容を明らかにして、今後厳正にすることが国民の信頼をかち取る上で非常に重要だと思います。
 これは会長、責任を持って、私は今年度の予算にはパーティー券などはないとおっしゃった言葉を一応信頼しますけれども、過去の問題については会長として責任ある処置をおとりになってこの委員会に報告を提出していただきたい。いかがでしょうか。
#152
○参考人(海老沢勝二君) 私ども、やはり今いろいろこういう接待の問題が世間を騒がす時代でありますので、部内的には綱紀の粛正、そういうことをきちっとやっているところであります。
 平成四年当時の、前会長時代のそういう書類について今いろいろ御質問ありましたけれども、私は当時エンタープライズにいたわけでありますけれども、いずれにしても平成四年当時、これは今でもそうですけれども、NHKは会計検査院の検査を受けております。そして国会の承認も、承認といいますか決算も報告しております。そういう中で、今、私の立場としてはやっぱり適正に処理しているというふうに思っております。
 この処理を適正に処理したと思っておりますけれども、これの提出方については少し検討させてもらいたいと思います。
#153
○上田耕一郎君 適正に処理されていないんですよ、こういう処理をするという文書なんだから。注に、「○○君を励ます会、○○政策研究会など、いわゆるパーティー券購入のための機密経費をいう」と。「取り扱い注意」ですからね。
 会長は私の質問のときに初めてこの中身を知ったんだから、だからこういうのを知った以上、本当に平成四年度、あるいは五年度も川口会長時代続いていたかもしれませんよ、会長室なんだから。それをあなたたち、ちゃんと調べて委員会に報告をするということを言わないんだと、先ほどあなた、この放送法の公正の原則きっちり守るか、不偏不党をということをなかなかちゃんとお答えになったけれども、さあ具体的な問題になってくるときちんとした約束ができないというんじゃ、信頼できないじゃありませんか。どうです。初めて聞いたんだから、きちんと全貌を調べると。
 それで、郵政省並びに政治家に対するそういう接待並びにパーティー券等々、全貌を調査して委員会に報告するということを約束してください。それができなかったら、さっき言ったのは全部空語ですよ、信頼できない。
#154
○参考人(海老沢勝二君) こういう資料提出につきましては、委員会の決定がありますれば、私としてもきちっと調べて報告してまいりますけれども、委員会の判断にお任せいたします。
#155
○上田耕一郎君 じゃ、郵政大臣もね、この中に郵政省というのが入っているんだから。郵政省のキャリア、ノンキャリアもかかわりある疑惑が強いんですよ。郵政大臣としてもこういう問題は厳正に調査して、今度公務員の倫理法等も生まれるようですけれども、きちんとした処理をするという決意をお伺いして、質問を終わります。
#156
○国務大臣(自見庄三郎君) 上田委員御存じのように、綱紀の粛正、綱紀の厳正な保持というのは、私は国家公務員の最も基本的に大事なものだというふうに認識をいたしております。
 郵政省といたしましても、郵政省の職員倫理規程に基づいて厳正に対処しているところでございます。先般も、何よりもこういった国民の信頼をいただくためには綱紀の保持が大変大事でございますから、先般も責任者を集めてそういった訓辞をさせていただいたところでございます。そういった努力をぜひ御理解をしていただきたいというふうに思います。
#157
○戸田邦司君 自由党の戸田でございます。時間も大分過ぎてきました。最後でありますので、重複しないようなところで三点ほどお伺いしたいと思います。
 まず最初の問題でありますが、NHKを公共放送という立場でいろいろ考えてみますと、私もNHKの番組というのは割合よく見ている方ではないかと思いますが、時々と言うと失礼かもしれませんが、かなりいい番組をつくっておられる。時にBBCあたりと組んでつくった番組もありますし、相当の努力が見られるなどいう感じで受けとめております。テレビも普通の地上波の放送だけではなくて、BS、それにFM関係など、FMなどについては音楽関係の放送が相当多いようですが、相当のファンが全国におりますね。そういったことで、私は公共放送としてのNHKというのは相当高く評価しております。
 しかし、そうは言いながら、聴視料を徴収してそれで運営されているという立場を考えますと、一つは、特に文化とかあるいはニュース、そういった面でなるほどこれならば聴視料を払ってもいいわなというような番組をつくるようにより一層努力していただきたいという点と、それから、聴視料を払っている人たちがこれだけの聴視料を払っても損がないという、損得だけではなくて、当然払ってしかるべきという認識をNHK自身が掘り起こしていくといいますか、植えつけていくというとちょっとあれかもしれませんが、そういった努力がやはりあってしかるべきではないかと思います。
 公共放送につきましては、ヨーロッパサイドでも最近いろいろ問題があるやに聞いておりますが、日本のNHKはヨーロッパあたりで問題にされているような問題というのは余りないのかもしれませんが、その辺についでひとつ会長さんからお話をお伺いしたいと思います。
#158
○参看人(海老沢勝二君) 私ども、公共放送を維持し発展していくためには、やはり視聴者の信頼がなければ成り立ちませんのはもう言うまでもありません。そういうことで、それには視聴者のニーズにこたえるような、本当に役立つあるいはためになるあるいは親しまれる、そういう番組をつくらなければ支持されませんので、そういう面で常にやはり質の向上というのが我々の使命だろうと思っております。
 そういうことで、時代、時代でいろんなニーズが変わってきますけれども、変わらないものもありますし、そういう中で私どもは人材の育成を図りながら、職員がそれぞれの個性なり専門性を生かして勉強していい番組をつくる、そういう努力をさらに進めなきゃならぬと思っております。
 それから、ヨーロッパの場合は、もう先生御承知のようにもともと国営というのを中心にやってきましたし、そういう面で、民放がその後できて、民放と公共放送がNHKと同じように競い合いながら今発展をしているわけであります。そういう中で、アメリカのハリウッド製の番組がヨーロッパへどんどん入ってくる、そういうことでヨーロッパの固有の文化がハリウッド文化に押されてしまうと、そういうことでハリウッドの輸入を抑えていこうとか、そういういろんな議論があるように聞いております。
 私どももアメリカのハリウッドの番組も全体の番組の中の五%程度を購入しております。それもやはり日本に外国の文化を知らせる意味がありますし、それと同時に、また我々日本のすぐれた伝統、文化を守っていく、継承していく、そしてまた新しい文化を育てていくという二つの面がありますから、その辺をかみ合わせながら、それぞれの時代にふさわしいものを視聴者の皆さんに提供していく、その方針は今後とも堅持していきたい、そういうふうに思っております。
#159
○戸田邦司君 かなり前だったと思いますが、半導体に関する歴史と現在の生産状況などをシリーズで紹介された番組なんというのはかなり秀逸な方ではなかったかと思いますし、また海外放送につきましても、私は外国に住んでいる人から聞いて知りました。非常に新しいニュースを即時にキャッチできるということで、海外駐在者は非常に喜んでおりますね。私も北欧の隅っこの方に住んでいたことがありますが、新聞はない、せいぜい時々ラジオで日本のニュースを聞くぐらいが関の山ということですから、今ではテレビでちゃんとニュースが聞けるんだというようなことで、世の中変わったなという思いをしております。
 そういったことで、公共放送の立場から次に大災害時の対応といいますか体制についてちょっとお伺いしておきたいと思います。
 阪神・淡路大震災のときに被害状況がなかなか把握できなかった。一つはあれほど広域的な災害を考えていなかったというのがあるかもしれません。もう一点は、やはりメディアが被害の状況をきちっと追い切れなかったのかなという感じも持っております。そういった点ではかなり現在改善されてきていると思いますが、同様の災害が東京で起こったときにNHKはどういう対応ができるか、取材を通じて実際何が起こっているかを知らしていくという点。それからもう一つは、放送の安全度といいますか、完璧度といいますか、NHKの放送自身のインテグリティー、この二点についてお伺いしたいと思います。
#160
○参考人(海老沢勝二君) 我々、公共放送の使命の大きな課題として、国民の生命、財産を守る、つまり大災害から守る、もう一つは防災という意味合い、両方ありますけれども、そういうことで、関東大震災なり阪神・淡路大震災のようなああいう規模のものが首都圏、東京へ来た場合にどうするかということであります。
 これにつきましては、今の放送会館はこの二つの大地震に耐えられる設計をしております。それと同時に、またそれが防ぎ切れなかったというような場合については最寄りの放送局から電波を出す、あるいはCSなりBSを使って放送する。仙台とか大阪とか名古屋にもそういう機能がありますから、そういうところに何らかの形で、いろいろ我々ネットワークを組んでおりますので、そこから放送を出すとか、いろんな手だては組んであります。
 と同時に、もう一つは飛び道具といいますか、ヘリコプターの利用というものがやはり大災害の場合は必要だろうと思っております。阪神大震災のときに若干ヘリコプターのスタートが遅くなったということで全貌がつかめなかったという嫌いもありましたけれども、ヘリコプターの導入についても、今各拠点ごとにヘリコプターを配置して何かあった場合は空からの取材で全貌がわかるような体制を組んでおります。そういう面ではできるだけ災害を未然に防ぐ、あるいは起こった場合も被害を小さくする、そういう防災の面も気をつけながら全国ネットワークで取材体制を組んでいるわけです。
 ただ、こういう時代ですから、いろいろ機材も改良、改善されてきております。そういう面で適宜更新といいますか、老朽の施設を更新しながら、どういう事態が起こってもいち早く報道できるような体制を常に考えながらやっております。
#161
○戸田邦司君 大災害の対応というのは、これは政府側も相当いろいろなことを考えていろいろな仕組みができてきていると思いますが、一般的に考えますと、霞が関には公務員が皆いるというようなことを前提に考えてしまうようなことが多いんじゃないかと思います。災害というのは夜中で交通機関もだめというようなときに起こる可能性だって非常に高い、そういうようなこともあるわけですので、いろいろな場面を想定して対応できるようなことを考えておいていただきたい、こう思います。
 それから、先ほど来デジタル放送についで議論が重ねられてきました。デジタル放送はこれからの放送の一つの大きなツールになると私は確信しておりますし、そういう時代がやってきたのかなという感じで考えております。
 近々、この国会、参議院の放送もインターネットでパソコンでその審議の状況が見られるというような実験を開始することにもなっておりますので、いずれパソコンでの情報通信、デジタル放送、これは衛星を介してのデジタルも考えられると思います。さらにCATV、こういったものが一体化してくる時代がやってくるんじゃないかと思います。
 そのときにどのメディアを選ぶか、これは利用者が決めていくことになるだろうと思いますが、やはり現時点での、受信機をどういうふうに変えていくかというようなことも、利用者サイドからはそういう面での負担もあるわけですが、パソコンが各家庭に入ってきて、買い物その他で活用されるとか、そういう時代が来るわけですから、技術的な問題というのはできるだけ早い段階でNHKは解決しておかなければならない問題ではないかと思います。
 そういった点から、これはいろいろ議論のあるところではあるかもしれませんが、そういう実験放送その他を介して技術的な問題に対応できるような体制だけはぜひ整えておかなければならないんじゃないかと思っております。これは私からのお願いでありますので、答弁は要りません。
 そこで、きょう一日NHKの予算に関連していろいろな問題が議論されてきたわけでありますが、公共放送としてのNHKの現状あるいは将来の行くべき姿、そういった点について郵政大臣の所感をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#162
○国務大臣(自見庄三郎君) 戸田委員にお答えをさせていただきます。
 NHKは公共放送でございまして、御存じのように広告主の意向やあるいは視聴率にとらわれないで豊かでよい放送番組を提供していただくということが私は大事なことだと思っております。また、これは、全国あまねく広く、山間あるいは僻地でもNHKの放送の恩恵を受けられる、そういったことがやはり私は大変大事なことだというふうに思っております。
 また、技術革新の開発、きょうもいろいろなそういった貴重な御意見をいただいたわけでございます。ハイビジョンあるいはデジタルの話にもいろいろ波及したわけでございますが、技術革新、放送技術の研究開発ということはやはり大変大きな私は使命があるだろうというふうに思っております。
 また、海外への情報発信につきましても、これは本当に公共放送としての私は貴重な責務だ、こう思うわけでございます。そういった公共性の高い放送をまさに公共放送の使命と責任を感じてやっていっていただきたいというふうに私は思っております。
 また、NHKと民間放送事業者があるわけでございますが、やはりお互いに長所が違う、こう思うわけでもございまして、お互いに共存と競争をしていって、その中からお互いの役割を踏まえてやっていって放送業界全体が活性化することが私はまさに健全な放送の発展につながるというふうに感じるわけでございます。
 いずれにいたしましても、何と申しましても国民の方々の支持が大事でございまして、先般発表されたデジタル放送時代へのNHKビジョンは、大変今からのデジタル時代を迎えての貴重なビジョンだというふうに思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、公共事業に与えられた使命と責任と任務を踏まえて、しっかりNHKが国民とともに今後も健全な放送機関として発達をしていただきたい、公共放送として発達していただきたい、こういうふうに私としては思っております。
#163
○委員長(川橋幸子君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#164
○委員長(川橋幸子君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 この際、寺崎委員から発言を求められておりますので、これを許します。
#165
○寺崎昭久君 私は、ただいま承認すべきものと決定いたしました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対し、自由民主党、民友連、公明、社会民主党・護憲連合、日本共産党及び自由党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)
  政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。
 一、放送の社会的影響の重大性を強く自覚し、放送の不偏不党、真実及び自律を一層確保するとともに、放送倫理の確立と徹底を図り、公共放送に対する国民の期待と信頼に応えるよう、正確かつ公正な報道と豊かな放送文化の創造に努めること。
 一、協会は、その主たる経営財源が受信料であることにかんがみ、受信料制度への国民の理解促進を図るとともに、負担の公平を期するため、衛星契約を含む受信契約の確実な締結と収納の確保に努めること。
   また、引き続き、経営全般にわたる抜本的な見直しと全職員の意識改革に取り組み、業務運営の効率化によって経費の節減に努めること。
 一、協会は、視聴者の一層の理解と協力が得られるよう、協会及び関連団体の経営内容等の公開を含め、積極的な広報活動を行うとともに、視聴者の意向反映に努めること。
 一、マルチメディア時代における放送をめぐる環境の変化に適切に対応し、衛星・地上デジタル放送の円滑かつ積極的な導入に向けた研究開発等に努め、その成果をあまねく国民が享受できるよう配意すること。
 一、放送番組の視聴覚機能に与える影響等について、速やかに調査研究を行うこと。
 一、障害者や高齢者向けの字幕放送、解説放送等を一層拡充するための総合的な施策を推進すること。
 一、我が国に対する理解と国際間の交流を促進し、海外在留日本人への情報提供を充実させるため、映像を含む国際放送を一層拡充するとともに、十分な交付金を確保すること。
 一、協会は、地域に密着した放送番組の充実・強化を図るとともに、地域から全国への情報発信を一層推進するよう努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#166
○委員長(川橋幸子君) ただいま寺崎委員から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#167
○委員長(川橋幸子君) 全会一致と認めます。よって、寺崎委員提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、自見郵政大臣及び海老沢日本放送協会会長から発言を求められておりますので、この際、順次これを許します。自見郵政大臣。
#168
○国務大臣(自見庄三郎君) 日本放送協会の平成十年度収支予算等につきましては、慎重なる御審議の上御承認いただき、厚く御礼を申し上げます。
 御審議を通じて賜りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の放送行政を進めるに当たり御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
 まことにありがとうございました。
#169
○委員長(川橋幸子君) 海老沢日本放送協会会長。
#170
○参考人(海老沢勝二君) 日本放送協会平成十年度収支予算、事業計画及び資金計画につきましては、ただいま御承認を賜りまして厚く御礼申し上げます。
 本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程で種々御開陳いただきました御意見並びに郵政大臣の意見書の御趣旨を十分に生かしてまいりたいと考えております。
 また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、これを外しまして執行の万全を期したいと考えている次第でございます。
 本当にありがとうございました。
#171
○委員長(川橋幸子君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#172
○委員長(川橋幸子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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