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#1
第142回国会 交通・情報通信委員会 第12号
平成十年四月二十一日(火曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     上田耕一郎君     吉川 春子君
 四月二十一日
    辞任         補欠選任
     渕上 貞雄君     瀬谷 英行君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         川橋 幸子君
    理 事
                景山俊太郎君
                亀谷 博昭君
                陣内 孝雄君
                寺崎 昭久君
                但馬 久美君
    委 員
                高木 正明君
                保坂 三蔵君
                溝手 顕正君
                守住 有信君
                山本 一太君
                中尾 則幸君
                松前 達郎君
                及川 一夫君
                瀬谷 英行君
                筆坂 秀世君
                吉川 春子君
                戸田 邦司君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  藤井 孝男君
       郵 政 大 臣  自見庄三郎君
   政府委員
       運輸省運輸政策
       局長       土井 勝二君
       運輸省海上交通
       局長       岩村  敬君
       運輸省海上技術
       安全局船員部長  土橋 正義君
       郵政大臣官房総
       務審議官     濱田 弘二君
       郵政省通信政策
       局長       木村  強君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        舘野 忠男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○船員職業安定法及び船舶職員法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出)
○特定公共電気通信システム開発関連技術に関す
 る研究開発の推進に関する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(川橋幸子君) ただいまから交通・情報通信委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十日、上田耕一郎さんが委員を辞任され、その補欠として吉川春子さんが選任されました。
 また、本日、渕上貞雄さんが委員を辞任され、その補欠として瀬谷英行さんが選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(川橋幸子君) 船員職業安定法及び船舶職員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○寺崎昭久君 まず、船舶職員法の改正について質問をいたします。
 今回の船舶職員法の改正は、昨年の海運造船合理化審議会の報告を受けて措置されたものと理解しておりますが、この報告書の中では、海技免許がなくても運輸大臣の承認を受けた者は我が国の船舶職員になることができる、いわゆる承認制度を導入したわけであります。その際に、船長、機関長以外の職とすること及び国際船舶への住専に限るという二つの条件が付されていたはずでございます。今回、法案にこの二つの条件が盛られなかったのはなぜか、それをお尋ねします。
#5
○政府委員(土橋正義君) お答え申し上げます。
 今回の職員法の改正に当たり、外国人の資格所有者に対する承認制度の創設に際して、一つは船長とか機関長以外の職にしか認めないという限定を法律で盛り込まなかった理由、それから二つ目は国際船舶にしか配乗を認めないという限定を同じく法律に盛り込まなかった理由ということのお尋ねでございますので、二つに分けて回答させていただきます。
 まず、船長、機関長以外にしかその就任を認めないという限定でございますが、今回法律の改正によりまして設けた承認制度は、いわゆるSTCW条約の締約国が発給した資格証明書を受有していることを前提といたしまして我が国の船舶職員になることを認める制度でございますが、承認をできるのはこの資格証明書により乗り組むことができる範囲内に限られております。ところが、その資格証明書をもともと発給いたしております外国の海技資格体系は国により相当ばらつきがありまして、承認の申請者が乗り組むことができる範囲は非常に多種多様にわたっております。そういう意味で、承認を受けた者が就業できる船舶なりあるいは職の範囲、この指定の範囲の決め方につきまして法令上規定することは困難であるということで、具体的な指定の範囲については運輸大臣の裁量にゆだねることとしたところでございます。
 具体的な大臣の承認に際しての就業範囲の指定に当たりましては、この制度が日本籍外航船の国際競争力の強化を目的とする国際船舶制度の拡充方策の一環として日本人船機長二名配乗体制を実現し外国人船員の受け入れの拡大を図るために、海運政策上の必要性から設けられるものであることを配慮いたしまして、船長と機関長以外の職についてのみ認める、また国際航海に従事する船舶についてのみ指定するということとしております。
 二番目の、承認を受けた外国人船員が国際船舶にしか乗り組めないという限定を法律で何で書いておらないかという点でございますが、この点につきましては、承認を受けた外国人船員が具体的に船社により配乗させられる場合には、この制度が先ほども申し上げました海運政策上の国際船舶制度の拡充方策として実施するものであることにかんがみまして、国際船舶に限定して配乗するよう行政指導をすることとしておるところでございます。
 以上でございます。
#6
○寺崎昭久君 承認は国際条約の締結国が発給した資格証明書を持っている者を対象にするとはいっても、その資格証明書を持っていれば自動的に承認するわけではなくて、運輸大臣が承認するかしないか最終的に決めるということであろうと思いますから、今申しました特に船長、機関長以外の職に限定するというのは当然法律の中に盛り込んでいいのではないかと思うわけであります。
 それとの関連で、確認ですが、国際船舶への住専に限るというこの意味は、内航関係への従事は認めないということで確認してよろしいかということが一つ。
 それからもう一つは、前に戻りますけれども、二つの条件を担保するということの必要性からいえば、先ほども申し上げましたが、少なくとも法律に書き込むか、法律がなじまないというのであれば政省令ないしは海上運送法施行規則などに明記をする、そのことによって周知徹底を図るという必要があるのではないかと思われます。そうした根拠を持たずに就業範囲に関する方針についてどうやって実行に移せるでしょうか。その辺、疑問が残るわけであります。できる限り裁量にゆだねる部分は少なくするべきというのが時代の流れではないかと思うんですが、あわせて見解を伺いたい。
#7
○政府委員(土橋正義君) まず一点目の運輸大臣の承認を受けた外国人船員の内航への従事は認めないという点の確認の御要請でございますが、そのとおりでございます。
 それから二つ目につきまして、先ほどるる申し述べた限定について、法律は無理でも例えば政省令で限定するとかそういうことをすべきではないかという御指摘でございます。
 先ほども申し述べましたとおり、今回の承認制度における就業範囲の指定方法については、それぞれの国によりまして資格体系が相当大幅に異なっておりまして、政省令で一律に規定しにくいということもございまして、運輸大臣の裁量により具体的に就業範囲を指定するということにしておるわけでございます。
 ただ、ここで一つお断りしておきたいと思いますのは、運輸大臣の承認に当たりまして、運輸大臣がその外国人船員がどのような船舶に乗り組めるのか、あるいはどのような例えば三等航海士とか二等航海士とかいう職で乗れるのかという指定を行うことになっております。この指定行為そのものは船舶職員法二十三条の二第二項に基づく行為といたしまして、したがいまして、先ほどちょっと議論の出ております例えば船長、機関長以外の職にしか外国人の就任を認めないとか国際航海に従事する船舶に限ってしか承認をしないとか、それは先ほど申し上げました条文に基づきましてその内容を承認証にもはっきりと記載することとしておるという点が一つでございます。
 ただ、もう一つの点のそういった承認を受けた外国人船員が具体的に船に配乗される段階で国際船舶に限って配乗するようにという指導につきましては、船舶職員法の法目的とはなじまないということでございますので、承認を受けた者を船社が船に配乗する場合に、国際船舶に限定して配乗するように行政指導していくということにしております。
#8
○寺崎昭久君 承認は大臣の裁量にゆだねるということに重きを置いて考えますと、これは変更する場合も大臣が変更する事情が生じたということで簡単に変えられるものなのかどうかということも心配しなければいけないわけであります。今回の法改正というのは海造審の報告を受けて改正に踏み切られたわけでありますから、もしこの二条件等について変更の必要性が生じた場合には、当然のことながら今回改正に至った手続と同じような手続を踏むべきではないかと思うんですが、これは大事なポイントですから、大臣にお答えいただけますか。
#9
○国務大臣(藤井孝男君) 今、寺崎委員の御指摘の点は非常に重要なところであると思っております。先ほど来、土橋船員部長の方から今般の法律改正によっての就業範囲の問題点等々について答弁を申し上げましたけれども、仮に就業範囲の指定等を変更する場合、今の委員の御指摘は、これを大臣が行政当局のみの判断で変更するということはこれはあってはならないという御趣旨ではないかと存じます。
 その点は私どもも非常に重要な点と考えておりまして、結論から申し上げれば、仮にそのような変更をする場合には、本制度の重要事項として、関係者も参加いたしました関係審議会の場で十分議論をしていただいた上でこれを実施するということにいたしております。そういう点で御懸念のないように、そういうことが行政当局のみでの判断にならないように十分その辺は配慮をしていかなければならないと考えておるところでございます。
#10
○寺崎昭久君 今の関係者の中には業界の労使も含むと考えてよろしいでしょうか。
#11
○国務大臣(藤井孝男君) そのように理解していただいて結構でございます。
#12
○寺崎昭久君 それでは、この制度が発足しましていよいよ実効のある状態になった場合に、万一承認証の記載事項や指定就業範囲を逸脱して仕事についた場合に当然罰則が科せられるのかなと思いますけれども、この取り決めに違反した本人に対する罰則、あるいは違反を承知でというか、違反させた側の罰則というのはどうなっているのか。これは例えば内航関係に就業した場合、あるいは船長、機関長として就業せしめた場合、ケースがまた違うと思いますので、分けて説明していただきたいと思います。
#13
○政府委員(土橋正義君) 承認を受けるに当たりまして指定を受けた限定を超えて就労した場合の制裁措置についてのお尋ねでございます。
 まず、例えば船長、機関長以外とされておる外国人船員がそれに違反した場合でございますが、承認制度における就業範囲の指定は法律の第二十三条の二に基づく法律行為として行うものでございまして、承認証にも指定範囲がはっきりと記載されることになります。船長、機関長は決して外国人については指定されないということになろうかと思います。したがいまして、承認を受けた外国人が何らかの事情で船長、機関長という立場で乗り組んでいるというふうな場合には、当然船舶職員法第二十一条違反として、あるいはそれを雇いました船舶所有者が承認を受けた者を承認証に記載されている限定を無視して例えば船長、機関長に従事させた場合、こういった場合には船舶職員法第十八条違反ということで罰則が適用されることになろうかと思います。
 それからもう一つの、今度国際船舶にしか配乗をしないように行政指導すると私が説明した部分でございますが、これはあくまでも行政指導でございますので、仮に行政指導に従わない場合においても罰則の適用はないわけでございますが、本件につきましては、船社を含めた関係者において合意を得たものでございまして、その実効性は高いというふうに考えておる次第でございます。
#14
○寺崎昭久君 今回、外国人に我が国の船舶職員になる道を開いたという背景には、日本人船員の減少というのが一つ、またコスト的に、経済的に引き合わない、競争力を保つためにやむを得ざる措置だという背景があるのかなと推測されますが、例えば船舶職員の全員が日本人である場合と比較して、外国人に日本船船員になる道を開いた結果のコスト計算、この比較をしてみますとどういう違いが出てくるのか、想定されるのか、お尋ねします。
#15
○政府委員(岩村敬君) お答え申し上げます。
 これは試算でございますが、乗組員全員を東南アジア船員というふうに置きました場合、外航船の場合大体二十三人船員さんが乗っておりますが、その全員が東南アジア船員である場合の一年間の船員費のコストは約六十万ドルでございます。他方、現在ですと日本船は日本人が配乗されるわけですが、その際、船を近代化いたしましてこの二十三人を十一人まで徹底的に合理化した船がございます。近代化P船と呼んでおりますが、この場合、十一人全員日本人を乗せた場合の船員費のコストは約二百十一万ドルでございます。ということは、二十三人の東南アジア船員と十一人の日本人船員とを比較した場合に、六十万ドルと二百十一万ドルでございますので、そのコスト差は約三・五倍でございます。
 一方、今回の法律改正が行われまして、船長、機関長の二名が日本人船員とし残りの二十一名を東南アジア船員とした場合、この場合の船員費のコストは年間約百二万ドルになるというふうに推定されますので、先ほどの六十万ドルとの比較で申しますと、船員費のコスト差は約一・七倍になるということで、大幅に縮まるものというふうに考えておるところでございます。
#16
○寺崎昭久君 ただいまの説明を敷衍いたしますと、承認制度を導入すると日本人船員の雇用環境は極めて厳しくなるおそれがある、しかし日本の海運業の国際競争力は向上する、結果として日本籍船の維持確保も可能になるというようにも読めるわけでありますけれども、今回の措置が日本籍船の減少にどの程度効果を及ぼすものなのか、期待できるものなのか、試算されておりますか。
#17
○政府委員(岩村敬君) 具体的にその効果がどれだけ出るかということについては試算しておるわけではございませんが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げたように船員費のコストが大幅に下がってまいります。ということは、徹底的に合理化をしても、先ほど申し上げたように東南アジア船員で合理化しない場合との比較が三・五倍という非常に大きな差があってやっていけない、それが今回二倍以内に縮まってくるということでございますので、これは、これまで税制による日本船の維持策とかいろいろやってきておりますが、それと相まって効果は出てくるものというふうに私は期待をしておるところでございます。
#18
○寺崎昭久君 年々、日本籍船が減少しているのは改めて申し上げるまでもないわけでありますけれども、現状において日本籍船は何そう持ちたいと、最低限これだけは必要であるという目標はお持ちなんでしょうか。
#19
○政府委員(岩村敬君) 日本の国際海上輸送の確保上大事であるといういわゆる国際船舶、これは日本籍船で維持していこうということでやっておるわけでございますが、現時点百三十九杯ございます。そういったものがこれまでの施策だけでは委員御指摘のように減っていってしまう、これをまず最低限確保していかなきゃいかぬというところがございます。
 さらに、船員費の削減によって国際競争力を増せば、日本船の数というのはふえてくるように我々は期待をしておるところでございます。
#20
○寺崎昭久君 日本籍船を維持するために税制面で優遇措置をつけるとか、そういうことをやられていることは私も承知しておりますが、その上今回新しい承認制度を導入するということで、仮に日本籍船の減少が防げたとしても、肝心の操船をする人が日本人は全くいなくなったというのではこれは大問題だと思うんです。
 そういう観点からいいますと、経済性だけにゆだねてしまうと日本人船員というのが皆無になってしまうおそれがあるわけですから、当然のことながら、次善の措置を講じなければいけないわけであります。
 今回、この承認制度によって外国人が日本の船に乗れるようになったとしますと、例えば船員職業安定法第五条に書いてあります需給の調整機能というのが国の一つの業務になっていますね。この中身も相当変わってくるのかな、需給という意味合いが変わってくるのかなと思うわけでありますけれども、日本人の外航船員を確保するために具体的にどういうことを今考えておられるのか、この需給関係の調整機能も含めて御説明をいただきたいと思います。
#21
○政府委員(土橋正義君) 二点にわたってお答え申し上げたいと思います。
 まず、日本人外航船員の確保、育成のための対策という御質問でございますけれども、先生御指摘のとおり、船員の数は日本籍船の減少とほぼ比例する形で大幅に減ってまいっております。
 ちょっと数字を申し上げますと、これは外航二団体に所属している外航船員の数でございますが、昭和四十九年四万四千人だったものが、最近の平成八年には五千人、八分の一にまで減っておるというふうな状況になっております。
 日本人船員の確保、育成のためには、何と申しましても日本籍船の国際競争力を強化して、日本籍船を確保することが前提になるのではないかというふうに感じる次第でございまして、このために日本人の船機長二名配乗体制を実現するよう措置を講じることとしておるところでございます。
 ただ、もう一つ問題がございますのは、現在の外航船員の年齢層を見てみますと、四十五歳以上のいわゆる中高年齢船員が六割近くを占めるということで、この方々が近い将来相次いで第一線から退いていかれるというふうな問題も抱えているところでございまして、これからの日本人外航船員の後継者となるべき若手の船員を確保、育成することが大変に重要な課題となっておるところでございます。
 この点につきましては、先生も冒頭触れられました昨年の五月の海造審の報告を踏まえまして、私ども若年船員養成プロジェクトということで予算要求をさせていただきまして、平成十年度からスタートさせていただくことになっております。こういった制度を活用しながら、若手船員の養成をぜひとも心がけてまいりたいというふうに思っておるところです。
 それから次に、船員職安法の中の「海上労働力の需要供給の適正な調整を図る」という国の業務として規定されている業務が、今回の外国人船員の承認制度の導入によって何らかの変更なり影響なりを受けるかという御指摘でございます。
 この「海上労働力の需要供給の適正な調整を図る」という規定は、実は需要供給の数量的達成目標を立てるというふうなものでは全くございませんで、海上における労働力が海上企業において適正な需要供給のバランスを保つようにいろんな調整を図るというふうに私ども解釈しておりまして、例えば失業対策の企画、実施ですとか、海上労働力の需給の調整ですとか、職業指導ですとか、こういったことをやるに当たっての根拠条文だというふうに考えておるところでございます。
 具体例を申し上げますと、例えば国際的な漁業規制の強化に伴って離職を余儀なくされた東北地区の漁船員に対しまして、ほかの四国とか中国地区の内航船に転換を図るとか、あるいは地域によっては求人は漁船員に対して非常に多いが、求職の方は商船の経営者からの求職が多いというふうな特殊事情がございます。こういう場合には全国的に広域職業紹介活動を図る。こういう形で求職と求人との間の需給の調整を図るという業務の根拠規定というふうに考えておるところでございまして、今回の承認制度によりましてこれが特に何らかの影響を受ける、あるいは変更をするというふうには考えておらないところでございます。
#22
○寺崎昭久君 安定的な国際海上輸送力を維持するというのは我が国にとって大変大事な問題だと思いますし、それは単に船舶を確保すれば事足れりというわけではありませんで、それを操船できる日本人船員を養成していくということが今後とも引き続き重要な課題だと思います。
 そういう意味合いにおいて、大臣に一つ質問したいんですけれども、昨年五月の海造審の報告書では、船舶税制の拡充の推進、それと船員税制の実現の検討という項目がうたわれておりましたけれども、十年度予算にこれがどういうふうに生かされたのかちょっとわかりづらいわけであります。十年度予算でどのように措置されたのか、あるいは今後この問題についてどのように扱っていくのかという点について、大臣の見解をお尋ねしたいと思います。
#23
○政府委員(岩村敬君) 十年度の予算の関係でございますので、私の方からあらかじめ御説明をさせていただきます。
 十年度の予算では、若年船員を緊急に養成するためのプロジェクトに対する補助という形で八千六百万円の国庫補助が予算として認められておるところでございます。また、税制関係につきましては、八年度以来日本籍船確保のための特例措置ということで登録免許税、固定資産税の減免等の措置をいたしてきておるところでございます。
#24
○国務大臣(藤井孝男君) 今般の改正の目的というのは、寺崎委員の御質疑の中にもありましたように、やはり私どもの国際競争力を維持していきたいという側面と、一方では、さはさりとてやはり日本人の船員と申しましょうか、そうした後継者を育成していかなきゃならない、両面があろうかと思うわけであります。
 一番大きな問題は、今回の問題に限らず国政全般に言われることですけれども、やはり私は将来的に一番大きな不安材料となるのは少子化、高齢化だと思います。こうした今回の船員職業安定法及び船舶職員法の改正もそのことが一つ大きくあろうかと思います。そういう意味で、先ほどお触れになりました海運造船合理化審議会報告書に盛り込まれた事項、税制面等々についての報告が海造審で盛り込まれておりますが、これらにつきましての諸施策は今後とも真剣に検討していかなきゃならないと思っております。
 いずれにいたしましても、今回のこの措置、施策によりまして国際競争力の確保あるいは船員の確保の面でも前進するものと考えておりますけれども、今申し上げたもろもろの諸施策も一方では検討をしていかなければならない、そのように考えているところでございます。
#25
○寺崎昭久君 船員職業安定法に関して一点だけ質問させていただきます。
 今回の改正で、文書による船員募集については事前に通報しなくてもよろしいと、通報義務を免除したわけでありますけれども、このことは今後、募集要項の提出だとかあるいは報告も求めない、事前には少なくとも求めないというように理解してよろしいのか、この点を確認しておきたいと思います。
#26
○政府委員(土橋正義君) 今回の船員職業安定法の改正によりまして、先生御指摘のくだりは、ちょっと読ませていただきますと、「新聞紙、雑誌その他の刊行物に掲載する広告、文書の掲出若しくは頒布又は放送による船員の募集は、自由にこれを行うことができる。」というふうにはっきりと規定されておりまして、御指摘のような書類等の提出とか手続は要らないというふうに考えております。
#27
○寺崎昭久君 それなら、船員職業安定法の第十七条で、求人者は求職者に対して労働条件を明示することと書いているわけなので、今回あえて五十一条の二項を設けてさらにその条件に敷衍するということは必要なかったのではないか。
 これは読み方を意地悪くしますと、例えば平易な表現ではないとか、あるいは誤解を与えかねない表現であるというようなことで行政指導をされる根拠を設けようという意図があるのではないかと読めるんですが、そういうことはございませんか。
#28
○政府委員(土橋正義君) 今回の改正に合わせまして五十一条に新たに二項を設けまして、文書で募集は自由だけれどもその表現に平易な表現を用いるようにというふうな規定が盛り込まれております。
 これは、先生御指摘の点でございますけれども、求職者と求人者間のトラブルを防止するためにはまず十七条の規定を準用いたしまして、当該募集に係る従事すべき業務の内容等を明示するに当たりましてという義務が一つかかってきます。それから、その文書の内容を求職者にとって誤解を生じさせることのないようにわかりやすく平易な表現を用いるようにというふうなことでこの二項を加えたところでございます。実は陸上の職業安定法にも類似の規定があるわけでございます。陸上の職業安定法につきましても、明示義務とそれから平易な表現を用いるようにという両方の規定が盛り込まれているということでございます。
 ただ、先生御心配のように、今回加えた二項を盾にいろいろとまた民間の自由な文書による募集活動に介入する、こういうことは厳にないように関係の地方の運輸局あるいは海運支局等を指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
#29
○寺崎昭久君 ありがとうございました。終わります。
#30
○但馬久美君 公明の但馬久美でございます。
 まず、外航海運雇用船員の減少傾向の原因についてお伺いいたします。
 外航海運においては平成八年十月現在で雇用船員数は十二万四千人、前年と対比しまして二・三%減でございます。三千人が減っております。この減少傾向は今なお続いているようですけれども、いつごろから続いているのか、またその原因はどうなのか、運輸省にお尋ねします。
#31
○政府委員(土橋正義君) 外航船員の減少傾向の現状とその原因についてのお尋ねでございます。
 統計数字によって若干違いが出てくる点は御容赦願いたいと思うんですが、外航労務協会と旧外航中小船主労務協会という団体がございます。我々、これを外航二団体と申しておりますが、この外航二団体に加盟しておる海運会社に所属する外航船員数を調べてみますと、一番ピークというのは実は昭和四十四年の約四万八千人でございまして、以来ずっと減少傾向を続けておりまして、平成八年には約五千人となっております。それから、全部の外航船員の傾向はどうかという点を別途調べてみますと、昭和四十九年がピークでございまして、このときに外航船員五万七千人でございましたが、平成八年に八千人まで減少してきているということでございます。
 このように減少傾向がずっと続いておる原因としてはさまざまなものが考えられるわけでございますが、大きな原因としては、一つは船員費やあるいは船舶税制など諸外国に比べてコスト高になる部門があるということ。それからもう一つは、特にここ二十年来我が国は円高の傾向がずっと継続しておりまして、円高によりましてそれまで以上に格差が広がったということで日本籍船の国際競争力が従来にも増して減少してきた。こういうことから日本籍船が海外流出して、結果としてそこで働く船員さんも減ってきた、こういうことではなかろうかと思います。
#32
○但馬久美君 そこで、若年船員の雇用が減少している実態をどういうふうに見ていくかということについてお尋ねいたしたいと思います。
 雇用船員の年齢が四十五歳以上の中高年齢者が四七・一%と、対前年比〇・七ポイント増加しております。このことは若年船員の雇用が不足しているということを意味していると思うんです。この傾向も続いているようですけれども、このような実態をどのようにお考えでしょうか。
#33
○政府委員(土橋正義君) 今先生御指摘の四十五歳以上の中高年の外航船員の現状でございますが、私どもで調べたところでは、恐縮でございますが先生の御指摘の四七・一%ではなくて、四十五歳以上の中高年の外航船員が約六〇%を占めておるというのが現状でございます、これは平成八年十月現在でございます。
 このような状況のもとで、若年船員の不足から今後の日本人船機長二名配乗体制に支障が生じるということが懸念されるわけでございまして、昨年の五月にまとめられました海造審の報告書に基づきまして、平成十年度に約八千六百万円の予算を計上して若年船員養成プロジェクトを開始することとしておるところでございます。こういった制度を官労使協力して実施することにしって外航船員の補充を図ってまいりたいというふうに考えておるところです。
#34
○但馬久美君 ぜひ努力していただきたいと思います。
 この点、漁業界において船員の雇用問題はどういう傾向にあるのか、お聞かせください。
#35
○政府委員(土橋正義君) 漁船員の雇用状況についてのお尋ねでございますが、最近の漁船員の雇用状況は、特に国際的な漁業規制があちこちで強化が行われております。あるいは我が国周辺海域での水産資源の水準が低下しております。こういうことで漁業も大変な不振をかこっておりまして、こういう背景から漁船が減船される、それに伴って漁船員の減少傾向が続いておるというのが現状でございます。一番最近、例えば九年十二月の月間の有効求人倍率は、漁船員について見ますとわずか〇・二四倍、大変に厳しい現状になっておるというのが現在のところのあれでございます。
 私どもといたしましては、こういう状況に対しまして、当面は、例えばやむなく離職することとなられた漁船員の方に対する再就職の促進措置ですとか、漁臨法あるいは漁時法といういろんな法律がございます、こういった法律を最大限に活用いたしまして、職業紹介ですとか就職指導あるいは生活安定のための失業保険金の支給などを行っておるところでございまして、そのほかにも職業転換給付金の支給なども行っておるところでございます。
#36
○但馬久美君 経営環境が非常に厳しい状態の中で、漁業の方も今大変苦しい現場を抱えていると思います。ぜひそういう法案の中で考慮していただきたいと思います。
 平成九年度の外航海運の経営状況はどうだったのかをお伺いいたします。
 平成八年度の船員の労働需給を見ますと、有効求人数が一万三千八百六十六人で、対前年比四・二%減で六百十一人が減っております。一方、有効求職者数は四万五千二百人であり、やはりここでも五・三%減で二千五百十二人減っております。こうやって見てみますと、外航海運全般の経営傾向がしのばれます。平成九年度の経営状況はどうであったのか、お聞かせください。
#37
○政府委員(岩村敬君) 九年度の外航海運の経営状況でございますが、その前に、平成八年、その前年度がどういう状況であったかということでございますが、平成八年度におきましては、一方では運賃市況が下落低迷するということがございました。他方、円安基調が持続しておったということが主たる原因となっておるわけですが、それに加え、各社の経営努力もございまして、外航海運大手五社の合計で申し上げますと、営業損益、経常損益とも黒字幅が増加したということで、業績の改善が平成八年度は見られたところでございます。
 しかしながら、平成九年度に入ってからは、我が国を含めましてアジア諸国の景気低迷、さらには市況の先行き不透明感が広がっておるということで、特に定期船の分野で大幅な赤字が続いております。また、不定期船の分野についても船腹過剰の懸念がだんだん明らかになってきておるということもございまして、外航海運を取り巻く環境は厳しくなっておる。こういうことで、九年度については海運企業の経営は楽観を許さない状況になっておるというふうに考えております。
 以上でございます。
#38
○但馬久美君 そこで、海運造船合理化審議会の海運対策部会において平成九年五月に取りまとめられました報告書によりますと、国際競争力をつけるために、一つは、日本人船長と機関長の二名体制、二点目には、若年船員のための実践的教育訓練スキームの確立など所要の対策が必要と言われておりますけれども、今回のように外国人船員の雇用が許可されますと、完全に日本人船員の雇用が困難になりまして、むしろ締め出されてしまうことになるんではないかと懸念されるわけです。これは海運経営上やむを得ないのか、どう感じていらっしゃるのか、お聞かせください。
#39
○国務大臣(藤井孝男君) 今の御質問ですが、非常にこれは大変微妙なところがあろうかと思います。まさに競争力が低下してくる、そうした中で、戦後の経済成長によって日本人のコストが上がってくる、また、円高という、先ほど指摘がありましたように、もろもろの状況の変化によって、大変日本籍船が少なくなっている。そこをどうするかということで、今般の法律改正になってきたんだろうと思います。
 ただ、その一方で、今、但馬委員の御質問にありましたように、日本人船員が締め出されるんではないか、そこをどう確保すべきなのかという問題点に一方の面から見るとぶつかるわけです。そこが非常に悩ましいところといえば悩ましいところだと思うんですけれども、しかし、これからの国際競争の中で日本の経済、海運、外航海運が成り立っていくためには、やはり基本的には日本籍船を確保することがまず基本であり、そして先ほども私申し上げましたように、少子化あるいは高齢化という中で若い人たちの後継者をどうしてもつくっていかなきゃならない、ここが非常に重要なポイントだと思います。
 これは比較して大変申しわけないと思うんですが、私の選挙区は岐阜県で、海なし県でありますし、さらに私の選挙区というのは九割が山間地域であります。海なし県でありますけれども、共通する大きな悩みがありまして、主要産業の一つが林業であります。林業の後継者は船員よりももっと高齢化が進んでおります。やはり外材の導入、自由化等々によりまして競争力が一段と低下した、そしてまた、収入が非常に不安定ということで後継者が育たない、さらには、山は三代といいまして三代にわたってようやく伐採ができて採算がとれる、こういった状況、山林の地域におきましても同じような問題を抱えている。
 こういった中で、私どもは一つ一つのいろいろな制度の見直し、あるいは今後に対する対応というものを海にしろ山にしろこれからは本当に真剣に考えていかなきゃならない、こういう面からも今、但馬委員の御指摘は十分受けとめながら、今後とも雇用関係等々について配慮していかなければならないと考えておるところでございます。
#40
○但馬久美君 大変細やかにありがとうございました。
 コストの問題、また高齢化の問題、人材の問題、いろいろこのバランスというものは本当に難しいと思いますけれども、やはり知恵を働かせて、林業にしても漁業にしても、ぜひそういう対策をとっていただきたいと思います。
 次に、先ほども話が出ましたけれども、日本人船員の減少の歯どめを税金対策などでということでお伺いしたいと思います。
 日本籍船や日本人船員の減少傾向はかなり以前からその傾向があったということは先ほどの話でもありましたけれども、行政の対応がおくれていたのではないかと思われる点もあると思うんです。税金やそれからまた給与、所得面が外国籍船と日本籍船とどう違うのか。日本人船員の場合、そしてまた、外国人船員の場合、税金や給与の所得面の違いをお尋ねいたします。
#41
○政府委員(岩村敬君) 先生御指摘のとおり、我が国の外航海運業界におきましては、国際競争力を維持するために人件費の安い発展途上国船員の配乗が可能となり、そしてさらに我が国に比べて有利な税制度を有している国に置籍をするいわゆる便宜置籍船を用船することによって国際競争力を維持するという形態が増加いたしております。そしてその結果として、日本籍船、さらにはそれに乗り組む日本人船員が減少を続けてきたところでございます。
 こうした状況に歯どめをかけるべく、今先生から遅きに失したという御指摘もございましたが、平成八年度には国際船舶制度を導入いたしまして、国際船舶について登録免許税さらには固定資産税等のいわゆる船舶関係の税制の減免等の施策を実施してきておるところでございます。
 現在御審議いただいておりますこの法律改正が行われることによりまして、将来において国際競争力が確保され、さらには船員の確保ができるということで、今回の改正をしていただければそういった面で大きな前進を見るものだろうというふうに考えております。
 そういうことで、これまでのいろいろやってきた措置、さらには今回の措置、両々相まって日本籍船そして日本人船員減少の歯どめに効果が出てくるものというふうに期待をしております。
 また、これで国際船舶制度の充実というものが終わっているわけではございませんで、今後とも、海運造船合理化審議会の報告書に盛り込まれました事項を初めとして、そこに盛り込まれた諸施策について引き続き必要な検討はしてまいる所存でございます。
#42
○但馬久美君 改善すべき点は本当にもっと早急に手を打つべきだと思います。
 次に、内航海運は日本国内の貨物輸送量の半分近くを担っておりまして、大きな期待がかかっている分野であります。ところが、この内航海運においてはやはり船員の不足が常態化しておりまして、特に若年船員の不足は深刻と言われております。今後、法定時間短縮の問題は、休日代替要員の確保が必要となってきておりますけれども、高齢者船員の定年退職等の問題が加わりまして一層船員の不足に拍車がかかっている。これを食いとめなければ内航海運の衰退は間違いなく起こってくると思います。
 こうした状態を打開するためには、労働条件また労働環境の改善を促進する必要があると思いますけれども、運輸省はどのように考えていらっしゃるのか、お聞かせください。
#43
○政府委員(土橋正義君) 先生御指摘のとおり、内航海運は現在国内物流の約半分を担当しておりまして、大変に大切な基幹的な輸送機関でございます。
 ただ、そこで働く船員さんの現状を見ておりますと、これまた先生御指摘のとおり四十五歳以上の中高年齢の船員が五四%を占めております。陸上の同年代の三六%と比べても高齢化が内航海運の船員の分野で非常に急速に進んでおるということが指摘できるのではなかろうかと思っておるところでございまして、若年船員の確保が今後の内航海運業界にとって大きな課題となっておるところでございます。
 内航海運業における若年船員の不足の原因としては、例えば賃金ですとか労働時間ですとか、そういったものが大変に厳しい、あるいは作業環境、船内の居住環境などが最近の若者に人気がないとか、あるいは一般の荷主さんあるいは市民の方々の内航船員に対する理解不足など、いろいろ挙げられておるところでございまして、そういうことから海離れといいますか、若者が内航業界になかなか足を運ばないというふうなことにもなってきておるのではないかというふうに思うところでございます。
 こういった内航船員の問題に関しまして、私どもは平成五年の三月に内航船員不足問題を考える懇談会というところから報告をいただきまして、いろいろ若手の船員を引きつけるための対策をこの中に盛り込んでいただいておるところでございまして、労働条件や労働環境の改善あるいは一般へのPR活動、こういったものをこの報告を踏まえながら累次やっておるところでございます。
#44
○但馬久美君 時間が参りましたので、本当に死活問題、いろいろあります。でも、やっぱり若年船員にとって魅力ある職場をつくることが大事であると思いますので、そういう点もぜひ考慮してください。
 以上です。ありがとうございました。
#45
○筆坂秀世君 今度の法改正の目的というのは、日本籍船のフラッギングアウト、海外への譲渡等によって日本籍船が減少する、これに何とか歯どめをかけていきたいというのが目的であります。
 実際見てみますと、一九八五年、日本籍船は一千二十八隻あった。それが九六年には百九十一隻にまで落ち込んでいます。便宜置籍船あるいはマルシップの推移はどうなっているかというと、便宜置籍船は七七年には二百十隻、それが九七年には六百九十九隻、マルシップは九〇年には百六十隻、九七年には百七十隻。日本籍船というのが八五年当時と比べて五分の一以下に急減少している。一方で、便宜置籍船あるいはマルシップ、これが急増している。
 私、問いたいのは、運輸省は決して手をこまぬいてきたわけじゃないですよね。有効な対策をとってきたかどうか、これは別です。しかし、いろいろな手を打ってきたはずです。どういう手を打ってきたのか、なぜそれが効果が上がらずに今のような急減になったのか、この点、まずお伺いしたいと思います。
#46
○政府委員(土橋正義君) 日本籍船あるいは日本人船員の減少の御指摘でございます。
 まず、船員の方について申し上げさせていただきますと、昭和四十九年に外航船員全体で約五万七千人おられたのが現在では八千人にまで減っておる。この間の一番の背景には日本籍船の海外流出があったわけでございますが、私ども、日本籍船の海外流出に何とか歯どめをかけて日本人船員の雇用の場を確保したいということで努力してまいったところでございます。
 その一例を紹介させていただきますと、例えば昭和五十二年から船員制度の近代化に取り組みました。これは、日本人船員の少数精鋭化を図っていこうと。それ以前ですと、大体在来のコンテナ船、平均的なもので約二十四名前後の日本人が乗り組んでおったわけでございますが、この船員制度近代化をスタートさせることによりまして、近代的な自動化装置を積み込んだ船舶を使用いたしまして乗組員の数をどんどん減らしてまいりました。最終的には日本人船員がわずか十一名で運航されるというふうなコンテナ船もあらわれておりまして、これは恐らく世界でも最少人数による運航にまで達したのではないかと自負しておるところでございます。
 ただ、この努力を続ける過程で、御案内のとおり昭和六十年にプラザ合意が成立いたしました。急激な円高によりまして、この近代化船も一挙に国際競争力を失うという事態に見舞われたわけでございます。
 これを踏まえまして、平成二年から今度は日本人だけではなくて、一般の外航船舶におきまして日本船を一度海外に貸し渡しまして、その上で外国人船員と日本人船員との混乗を進めよう、こういうことによって何とかコストを下げて国際競争力を維持しようというふうなことにつきまして労使合意が成立いたしまして、マルシップ方式による混乗と私どもは言っておりますが、それを実施したところでございます。
 このマルシップによる混乗の場合は、日本人船員は一般的には九名の乗り組みで運航しております。ただ、これも御案内のとおり、平成六年から七年にかけて円の対ドルレートが八十円台あるいは瞬間風速で七十円台に突入するという事態に見舞われまして、今議論になっております国際船舶制度というのを新たに創設したいということで平成八年度からスタートさせていただいておるところでございます。
 一応国際船舶制度をスタートさせていただいておるんですが、一番のポイントでございます日本人の船機長二名体制というのをできるだけ早く実現することによりまして国際競争力を維持し、日本船あるいは日本人船員を確保したいというふうに考えておるところでございます。
#47
○筆坂秀世君 確かに、簡単な問題だとは私も言うつもりはない。しかし、七七年に船員制度の近代化を図ったと。八二年四月に船員法及び船舶職員法の改正をやっている。九六年に国際船舶制度といろいろ手を打ってきたけれども、要するに、円高が進むとみんなだめになっちゃったということでしょう、二回ともね。つまり、これまでいろいろ手を打ってきたけれども、やはり急激な減少に歯どめをかけることができなかった。
 先ほど来答弁を聞いていると、今度の改正で期待するというふうに言われたけれども、果たして期待できるのか。もし何かちょっとあるとまたやっぱりだめだったと。今聞いていて、やってきたことは少数精鋭あるいは混乗。言ってみたら、これは一つの知恵なんだろうけれども、印象として言わせていただければどんどん譲歩している。ここまで譲歩すれば何とかもつだろうと思ったけれども、やっぱりもたないのでまた譲歩する。要するに、これは日本人船員をどんどん減らす方向ですよ。減らす方向で新たな対策をとっていく。そして、ここで何とか食いとめようとするけれども、一度もとまらない。
 今度そうならない保証はありますか。
#48
○国務大臣(藤井孝男君) それは、先ほど但馬委員からの質問にもございましたが、私たちは大変そこが率直に申し上げて悩ましいところだと思います。
 今、船員部長の方からもこれまでの対策、諸施策についてるる説明があったところですが、結果的には歯どめがかからなかったということは、それはそういう御指摘も当たっていないとは私は申し上げません。
 ただ、これは私先ほども申し上げましたように、我が国は戦後五十数年たった中で、いろいろな社会構造が変化する、経済構造が変化する、そして今構造不況と言われている時代になってきている。その個々の原因というのはそれぞれの産業界においていろんな原因があるんだろうと思います。この海運業界もそのうちの一つであり、これまでもいろいろな施策を講じてきたけれどもまだまだ競争力が足りない、あるいは後継者についての育成もなかなかうまくいかない。しかし、何とか今般の法改正によってその歯どめをかけ、いわゆる日本籍船の減少に歯どめをかけ、あるいは船員の確保と同時に後継者の育成というものに努めていかなければならないということでありまして、これがすぐに歯どめがかかることになり得るのかどうかという御質問に対しまして、私は、はいそのとおりでございますと言いたいところでありますけれども、これはなかなかまだ厳しい面があろうかと思います。
 ですから、今般の法改正のみによって、期待はいたしておりますけれども、これによってすべて解決するとは思っておりません。それにつきましては税制の面、あるいは今の若い人たちのいわゆる志向というのが那辺にあるかなかなか難しいところでありますけれども、その一つには、安定的な収入というものを求める。いかに近代化し、あるいは設備が改良されたといっても、気象条件の非常に厳しい中での就業を強いられる。これは先ほど触れましたけれども、林業においてもしかりであります。そういった若い人たちの求めるところと現在の海運業における現況というもののギャップをどうやって埋めていくべきか、その辺が非常に難しい問題だと思います。
 いずれにいたしましても、私ども今般の法改正によって歯どめがかかるべく期待をいたしておりますけれども、今後とも一層いろんな角度から、安定したあるいは後継者が育っていくような環境整備に全力を傾注していかなきゃならないと考えているところでございます。
#49
○筆坂秀世君 大臣から大変率直な御答弁をいただいたわけですけれども、私、やはりここでひとつ考えなきゃいかぬのじゃないかと。先ほども言いましたけれども、打ってきた対策というのは少数精鋭にすると、これは要するに日本人船員を減らすということです。混乗する、要するに外国人船員も入れるということです。日本人船員を減らす方向で何とかどこかで食いとめたいという対策なわけです。私は、このやり方は既に破綻したんじゃないか。
 ところが、今度の法改正というのは、国際船舶の日本人船員は原則として船長、機関長の二人だけと。これまた譲るという格好ですよ。そうすると、またまた日本人船員を減らしていくということに結果として拍車をかける。要するに下限をどんどん下げていっておるということになっている。
 しかも、こういう事態が定着化していくとどうなるかというと、当然船長、機関長というのはこれはもうベテランの方です。その二人だけ日本人ならいいと。そこで、若い人が本当にうまく育ってくるのかという問題、後継者の養成、若手船員の養成という点でも、新たな困難をつくり出していくことになってくる。そうしますと、結局船会社はどうするかというと、ますます便宜置籍船の方に進んでいく、こういうおそれというのは当然私はあると思うんですけれども、いかがでしょうか。
#50
○政府委員(土橋正義君) 確かに先生御指摘のとおり、今回国際船舶に船機長二名配乗体制を入れますと、若手船員の養成が大きな問題になってくるというのはそのとおりではなかろうかというふうに感じる次第でございます。
 ただ、ちょっと視点が変わりますけれども、将来外航船員になって海で働いてみたいという意欲を持った若者がどんどん減っているかと申しますと、実はそうではございませんで、東京と神戸に商船大学がございますけれども、両校の応募倍率は五倍近いあれをずっと維持しております。あるいは学校に入って後の、例えば従来ですと、商船大学を四年で卒業しますと大体三級の海技士という免状、資格を持って出ておったんですが、最近は海運会社の要求がだんだんと高くなっておりまして、二級まで取ってこないと受験をさせない、入社をさせないというふうな条件を出す会社もあるようでございまして、三年生の間から二級の筆記試験をぜひとも取りたいということで、受験者がふえているというふうな現象も私ども聞いておるところでございます。
 問題は、そういうふうにしっかりと訓練された卒業生が出た段階で外航の業界に十分に採用していただけない。ここが一番の問題ではなかろうかというふうに感じておるところでございまして、そのためにはやはり何と申しましても、確かにその効果に疑問はあるかもしれませんが、第一に日本船の国際競争力を高める、それで企業に日本人の若手の採用の余力をつけるということも必要だと思います。
 それからもう一つ、先ほど報告いたしました今年度の予算の中で若手船員の養成プロジェクトというのを国費を入れて官労使合わせてスタートさせることになっております。こういう対策も含めまして若手船員の養成に努力してまいりたいというふうに考えておるとごろです。
#51
○筆坂秀世君 若い人たちに意欲があると。問題は若い人たちの意欲じゃないんです。受け皿があるかどうかということが最大の問題で、意欲のある青年はいっぱいいますよ。私のおいっ子も商船高専へ行きましたが、今、水道の蛇口売って歩いています。全然船と関係ない仕事をやっているんですよ。だから、受け皿がないんですよ。これじゃしようがないわけです。
 私、今度で問題なのは、国際船舶、現行では例えば船長、機関長、一等航海士、二等航海士、一等機関士、通信長、ここまでがいわゆる船舶職員というふうに呼ばれていますね。ところが、今度の法改正では船長と機関長、この二人が日本人であればいいということになってきます。そうしますと、航海士であるとか機関士、通信士、あるいは船舶職員ではない部員と言われている人たち、この人たちの仕事は一体どうなるんだ。この人たちは切ってよろしい、この人たちはどんどん外国の人と切りかえてよろしいよということを促進することになっていく、これは私重大だと思うんですけれども、そういうことはないんですか。
#52
○政府委員(土橋正義君) 先生御指摘のとおり、日本人は船長、機関長二人体制ということになりますと、それに続く一等航海士から三等航海士、あるいは部員の方々、あるいは一等機関士から三等機関士、こういった方々がどうなるのかということでございますけれども、私どもとしては決して日本人の外航船員の、特に将来基幹職員として船長、機関長のポストを担おうという若い船員たちをないがしろにするつもりはございません。これはもちろんそれぞれの海運会社あるいは労使間の協議にもかかわりますけれども、そういった方々が将来の船長、機関長を目指して十分な訓練を積み重ねていけるようなジョブローテーションといいますか、そういうものを組めるようになることを期待しておるところでございます。
#53
○筆坂秀世君 ですから、何のために今度法改正するんだと。日本籍船をこれ以上減らさないんだ、海運日本を守るんだ、日本人の船員もこれ以上減らさないんだというのが目的なのに、船長、機関長以外は労使間の話し合いだとか企業の努力とかいうことだけにゆだねていいのか。やはり私はこれは運輸省がちゃんと責任を持って、この法改正は船長、機関長以外はもう外国人とどんどん取りかえなさいよ、間違ったってこういう法律じゃないんだ、そんなことが目的じゃないんだということは、これははっきり運輸省の態度として明言しておく必要があると思うんですけれども、間違いないですか。
#54
○政府委員(土橋正義君) 今回の船機長二名体制が実施された後にどういう配乗体制を組んでいくかというのは、個別の海運会社あるいはそれぞれの会社ごとの労使間の話し合いで決まる話ではなかろうかと思いますが、私ども当然のことながら、船長、機関長二名配乗体制が実施された後も、それを今度は将来を担う育成職員といいますか、そういう方々も当然にそれぞれの海運会社では養成されていくものと期待しておるところでございまして、船機長二名体制が実施されたら即それ以外の職員として働いておった日本人の船員が職を失うということにはつながらないものというふうに考えております。
#55
○筆坂秀世君 いま一つ問題は、外国人船員の海技試験免除という問題であります。
 今回の法改正で、国際船舶に限って外国人が講習や口頭試験だけで船舶職員になること、つまり日本の海技免状と同等の資格を持たせようということになっています。
 例えば、三級免状を持っている日本人船員は、非常に難しい試験に合格しなければ二級免状を取得できません。ところが、今度の改正によって、日本で言えば三級程度の海技免状を持っている外国人船員が講習や口述試験で日本の二級免状と同等とみなされていく。つまり、これはいわば一種の逆差別だ、外国人船員と日本人との間で。日本人は非常に厳しい試験をパスしなきゃ二級免状を取れないけれども、外国人船員の場合には、簡単かどうか知りませんが、簡単でしょう、講習を受けて口述試験をパスすれば大体二級と同じ資格になるということになってきます。
 こうした資格を得た外国人船員が、今、国際船舶だけに限るという方針ですね。しかし、さっきの答弁で、私の聞き間違いでなければ、それはあくまでも行政指導だと。国際船舶以外に外国の船員を乗せちゃいけないと法律で禁止されているわけじゃないわけでしょう。乗せないようにしてくださいという行政指導、国際船舶に限ってくださいという行政指導ですよ。
 今は企業の側はそれで言うことを聞くかもしれない。しかし、やっぱりまた円高が進みました、競争力が落ちましたと。今円安傾向ですから、これは国際船舶だけに限っているわけにいかない、それ以外の船にもやはりコストの安い外国人船員を乗せますよということになっていかないですか、そのおそれなしとしないと私は思うんですがね。
#56
○政府委員(土橋正義君) 二点についてお答えを申し上げます。
 まず、今回の制度により承認を受けて日本の船舶職員の資格を得る外国人船員が、日本人の正式の国家試験を受けて海技免状、例えば三級の海技士(航海)の資格を取得した日本人船員と同じ資格になるのは問題だという御指摘でございましたけれども、ただその点若干、今度の二十三条の二によりますを、承認を受けて日本の船舶職員として認められる外国人の船員につきましては、承認に当たりまして、運輸大臣がどういう船舶のどういう職につくかということを指定することになっております。その運輸大臣の指定した、私ども就業範囲と言っておりますが、就業範囲内の船舶なりあるいは職にしかつけないということになっております。
 なぜこういうふうにしたかと申しますと、日本人の場合は国家試験を受けて正式にちゃんと海技免状をもらう。今度の承認制度は、外国人船員がSTCW条約の締約国の資格証明を持っておる、したがって条約上の最低のレベルは満足しておるだろうということにかんがみまして、本来ですと海技免状を日本人と同じように取らなければだめなそれの特例といたしまして、承認によって日本船に職員として乗ることを認めるということでございますので、先ほど申し上げました就業範囲の限定を受けるという意味で、相当日本人の船員さんとは立場が違うんではないかというふうに感じます。
 それからもう一つは国際船舶への限定、これは先生御指摘のとおり行政指導で実施していくつもりでございますが、そうしますと、承認を受けた外国人が内航業界とかそっちの方へ勝手に流れていくおそれがないのかということでございます。
 この点につきましては、私どもこの船舶職員法と別に実は外国人の船員に対する政策というのを過去三十年間ぐらい堅持してまいっております。外国人船員につきましては日本船社が配乗権を持つ日本籍船に配乗は認めないという政策を別途堅持してまいっておりまして、これは労働省の行われている外国人労働者に対する政策と平仄を合わせまして、労働省の方では閣議了解に基づくあれをやっておるわけですが、それを準用する形で外国人船員は日本船社が配乗することとなる日本船で就労することは認めないということで、内航の分野にこういった承認を受けた外国人が就労するということは今後とも禁止してまいるというつもりでおります。
#57
○筆坂秀世君 いま一つこの外国人船員の問題で私大変心配なのは、今、日本の会社が雇用している外国人船員全体の三分の二がフィリピンの人というふうに言われている。
 今STCW条約の話を局長もされたけれども、フィリピンの場合にその水準がどうかということです。九七年に改正STCW条約が発効して、ことしの八月までにIMOに船員の資格のための法令や試験制度、これを送付することになっている。IMOの審査を受けて基準に合格した国はホワイトリストというのに載せられることになっている。
 ところが、フィリピンの海事学校の現状はどうか、運輸省でちゃんとフィリピンまで行って調査されたんですね。運輸省からいただいたこれを読んでみますと、「現在のフィリピンの状況でIMOの基準を完全にクリアすることはないと考えられている」、「政府は百二十校ある海事学校を六十校程度まで減らすと言っているが、閉鎖した場合の教員の失業問題等を考えると、実際にどの程度減らすことができるかは不明である。」、「フィリピンの海事学校に対する国際的な評価は分かれており、IMOの基準を満たすことのできるのは二十〜三十校という説もあるが、五〜六校程度とする悲観的な見方もある。」と。どっちにしたって、多い場合で二十校から三十校、少ない場合には五ないし六校しかないと。
 ひょっとすると、これはIMOによってホワイトリストに掲載されないという事態だってあり得るわけですね。そういうときに、日本でそのフィリピン人船員の試験を講習と口述試験ということで済まして二級なら二級の資格免状を与えていくということになれば、これは日本全体の海技免状といいますか海技技術といいますか、この信頼性にも根本から大きな影響を及ぼしていくことにもなりかねないということであります。もう時間がなくなりましたから、これは後でまとめて答えてください。
 それと、もう一つだけ聞いておきますが、これは運政局長に、もう時間がないから一緒にちょっと違う問題を聞きます。
 四月八日にいわゆるガイドラインの法整備の大要が発表された。その中で、海運など民間事業者への人員・物資輸送などについて必要な協力を依頼することができるというのがこの要綱に書かれています。あわせて、自治体が管理する港湾などの使用についても協力を求めることができると。秋山防衛庁事務次官は、これは義務だと、自治体の義務だということを述べている。
 しかし、少なくとも、今の地位協定であろうとあるいは港湾法であろうと、自治体管理の港湾であれば自治体の長が使わせるかどうかは当然認定する、あるいは船会社が幾ら協力を求められたってこれは拒否するのは勝手だというのが当然のことだと思いますけれども、この点についての見解を伺って、私の質問を終わります。
#58
○政府委員(岩村敬君) ちょっとその前に、海外調査のことでございますが、先生御指摘の資格を満たす教育機関が少ないんじゃないかとか、そういう御指摘でございますが、これについては現地の駐在員がそういう評価をしているということでございまして、同調査では、同じく向こうの担当でございます海事産業庁の長官とも面談をいたしておりまして、フィリピン政府としてはその教育機関について最終評価を海事産業庁がやる、それから資格のない船員をパスさせるようなそういった評価はしない、きちっとIMOの基準、さらにはSTCW条約に対応していくということを言われているということがございますので、御報告をさせていただきたいと思います。
#59
○政府委員(土井勝二君) 先生お尋ねの現在検討中の法案ないし要綱の問題でございますが、私ども承知しているところでは、現在検討中の法案におきましては、地方公共団体あるいは民間に対してそれぞれ協力を求めることができる、あるいは協力を依頼することができると。その相手の主体の性格も違いますのでその書き方に差はございますが、ということで協力を求める、あるいは協力を依頼するということになっていると承知しております。
 この中身でございますが、私ども承知している範囲におきましては、この協力について強制する手段は設けないものであるというふうに聞いてございます。したがいまして、さらに敷衍すれば、地方公共団体がそれぞれの判断で国の協力に応じることを期待しているということでございますし、また民間につきましても任意の協力をお願いするということと承知しております。
#60
○戸田邦司君 自由党の戸田でございます。
 せっかくの機会でありますので、幾つか意見を言わせていただきたい、こう思います。
 先ほど来いろいろ質疑を聞いておりまして、非常に深く感じますところは、外航海運問題、それに外航船への乗組員の問題、いずれにしましても運輸省にいろいろお願いして、運輸省が胸をたたいてこうやりますから御安心くださいと言えるような性格の話ではないというようなところが、関係者にとりましても、もちろん海運会社を含めてでありますが、また乗組員の方々、さらに運輸省にとりましても大変悩ましい問題ではないかと思います。これからこの問題をどういうふうに扱っていくかというのは非常に大きな課題であろうかと思います。
 ただいま申し上げましたように百点満点なんということはあり得ない、そういう性格の問題でありますから、皆さんひとつ知恵を出し合っていただいて最善の道を探っていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 それから、乗組員の訓練の問題ですが、私もこの問題につきましては非常に深い関心を持って今まで見てまいりました。一方で、技術が日進月歩、そういうような時代に船乗り、船員というのは非常に過酷な条件で仕事をしなければならない、どのような条件でも船をきちっと動かしていかなければならない、そういうような仕事でありまして、教育の仕方もなかなか難しい点があろうかと思います。
 日本丸とか海王丸とか、ああいった帆船での訓練、これも非常に重要視されておりますが、そういった、伝統的に言いますと英国の船乗りあるいは各国の海軍などにおいても非常に徒弟制度的な訓練をずっとしてきたという歴史があり、また一方では、昨今のようにもう天測など必要ない、GPSというシステムがあってどこにいても位置が直ちに出てくる、そういうような時代になってきている。船の動かし方も全く変わってきてしまった。技術的なツールを使って船を動かしていかなければならない、そういうような時代でありますから、教育訓練の中身も当然相当変わってくるだろうと思います。そういったことで、教育訓練の中身というのは毎日技術の進歩なども考えて検討を進めていかなければならない課題ではないかと思っております。
 一方で飛行機のパイロットの訓練の問題があるわけですが、ああいったものも一つのシステムとして組み上がってきているというようなことでもありますので、そういった点も参考にしながら、効率のよい、しかもどこに行っても受け入れられるような乗組員の訓練に努めていただきたい、運輸省の方でもそういうようなことに重点を置いて御検討を進めていただきたいという点をお願いしておきたいと思います。
 お願いばかりで大臣には申しわけないと思いますが、さらに今回の改正で小型船舶操縦士の仕組みが一つ変わりまして、いわゆる水上スクーターと呼ばれているものに五級の操縦士というのができたわけであります。これ自身については大変歓迎すべきことではないかと思います。
 二、三の問題点を申し上げますと、航行区域として距岸一マイルということになっておりますが、一マイルというのはどうしてでしょうとお伺いしましたら、見える範囲だというようなことなんです。一体、見えなければならないかどうか。個人個人の乗っている人の責任で安全は保たれなければならないということでしょうから、こういう小型のスクーターのような船、一マイルというと海水浴場に非常に近いところとか、それから海岸にいて非常にうるさいとか、そういうようなこともよく聞く話ですので、機会がありましたらそういう点も含めて実際の使用者が責任を持つという原則に立ってもう少し広げてもよろしいんではないか、こう思います。
 それから、小型操縦士の問題ですが、今度五級というのができましたので五つに分かれました。仕組みとしては、二十海里以上どこへでも行ける、それから二十海里以内、五海里、それから二十トン、五トン、そういう仕切りで幾つかのカテゴリーがあるわけですが、私はこの辺は思い切ってもう少し整理されてみてはどうか。三つぐらいで済むんじゃないか、こういう感じがいたします。実際に一級から五級ありましても、二級、三級というのは余り取る人がいないんですね。五トンと二十トンでどれぐらい違うか、そういう点もあるかと思います。ですから、これも今後の問題になりますが、ぜひ御検討いただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。
 それからもう一つは、小型船舶操縦士でプロとアマと免許の取り方が違ってもいいんじゃないか。プロというのはお客さんを乗せる、そういう人々。お客さんを預かって安全に運航する、自分の責任で遊ぶ、そこにはおのずと違いがあるんじゃないかという気がいたします。ですから、規制緩和とは言いませんが、実態をよく見ていただいてその辺についても再考をお願いしたい、こう思っております。
 実際船に乗れるかどうかということを試験の際にテストしているわけですが、それじゃ一級の操縦士を持っていたらどんな船にでも乗れるかといえばそうは言えない。モーターボートだけでテストするわけですから、免状を持っていたらヨットも動かせるなんということはあり得ない。ですから、その辺も考えて、どうか小型船舶操縦士を持っている人たちがああこれなら合理的だなと思うような仕組みを考えていただきたいというのが次の点であります。
 それから、二十トン以上の船については、これは小型船舶操縦士で今便宜的に一部運航可能というようなことになっておりますが、この辺についても、アマチュアであるなら絶対と言っていいほどに免許が取れない二十トン以上の範囲をこれも検討課題としてぜひ今後の問題として扱っていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。
 それから、最後になりますが、身障者の資格の問題で、これはあちこちから相当要望があります。事は安全の問題ですからそう簡単ではないと思いますが、一方で自動車の免許などがあるということで、今まで運輸省の方で御検討いただいてかなり大きな進歩があった部分ではないかと思っております。私もいろんな人からこのごろ相当考えていただけるようになりましたというようなお話を聞いております。さらにこの点についても実態を見ながら柔軟に対応できるように考えていただきたい。
 以上お願いばかりでありまして、私は答弁要りません。御答弁くださいと申し上げましても、大体その内容もわかっているような答弁になると思いますので、以上お願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#61
○委員長(川橋幸子君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#62
○筆坂秀世君 私は、日本共産党を代表して、船員職業安定法及び船舶職員法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 反対の理由は、本法案が国際船舶制度の拡充のためとして、原則として国際船舶の日本人船員を船長、機関長の二名のみにするとともに、外国人船員を船舶職員として配乗することを可能にするため、事実上の試験免除で海技免状を与えるようにしていることです。これは、他の船舶職員、部員、通信士など、現在配乗されている日本人船員の働く場を奪い、あわせて日本の海技資格制度の信頼性を損なうものです。
 また、外国人船員についての承認制度について、運輸省は国際船舶に限ると言ってはいますが、法の条文にも担保がなくあくまで運輸大臣の裁量に任されているもので、これが他の外航船にも拡大されない保証はありません。
 以上の点は、日本の海運の自殺行為につながるもので、到底賛成できるものではありません。
 また、最後になりますが、今回の法改正で五級小型船舶操縦士免許を新設しますが、最近、救助を要する海難事故のトップは従来の漁船によるものから沿岸のプレジャーボートによるものに入れかわっており、安全対策の確立が急務です。同時に、プレジャーボートの不法係留対策の万全の措置をとるべきことを指摘し、反対の討論を終わります。
#63
○委員長(川橋幸子君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 船員職業安定法及び船舶職員法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#64
○委員長(川橋幸子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、寺崎委員から発言を求められておりますので、これを許します。
#65
○寺崎昭久君 私は、ただいま可決されました船員職業安定法及び船舶職員法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明、社会民主党・護憲連合及び自由党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    船員職業安定法及び船舶職員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  日本船舶と日本人船員の減少に歯止めをかけるために、平成八年より国際船舶に対する登録免許税及び固定資産税の軽減措置が実施されているが、日本人船員の数は急激に減少しており、近い将来深刻な事態に立ち至ることが懸念されている。我が国にとって安定的な国際海上輸送力を確保することは、海洋国家として不可欠な重要課題であり、政府は早急に次の事項について万全の措置を講ずべきである。
 一、日本人船員の急激な減少及び将来における我が国の船員事情に鑑み、日本人船員の確保・育成について関係者に一層の理解・協力を求めるとともに、有効な施策を講ずること。
 二、日本人船員と日本船舶の減少を防止するため、政府は外航海運の基盤確立に向け、国際船舶に係る措置の拡充等有効な施策を講ずること。
 三、我が国の国民生活・経済活動の安定、海上輸送における安全性、海洋環境の保全等の観点から、我が国船員の優秀な技術を今後とも維持していくことが必要であり、そのための有効な施策を講ずること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#66
○委員長(川橋幸子君) ただいま寺崎委員から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#67
○委員長(川橋幸子君) 多数と認めます。よって、寺崎委員提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、藤井運輸大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。藤井運輸大臣。
#68
○国務大臣(藤井孝男君) ただいま船員職業安定法及び船舶職員法の一部を改正する法律案につきまして、慎重な御審議の結果御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。
 また、附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、運輸省として十分な努力をしてまいる所存であります。
#69
○委員長(川橋幸子君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#70
○委員長(川橋幸子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#71
○委員長(川橋幸子君) 次に、特定公共電気通信システム開発関連技術に関する研究開発の推進に関する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。自見郵政大臣。
#72
○国務大臣(自見庄三郎君) 特定公共電気通信システム開発関連技術に関する研究開発の推進に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、高度情報通信社会の構築に資するため、通信・放送機構に特定公共電気通信システムの開発に必要な通信・放送技術に関する研究開発及び特定の公共分野における技術に関する研究開発の総合的な実施等の業務を行わせるための措置を講ずることとするものであります。
 次に、この法律案の概要について申し上げます。
 第一に、特定公共電気通信システムの定義をすることとしております。
 第二に、主務大臣は、通信・放送機構に行わせる特定公共電気通信システムの開発に必要な技術に関する研究開発の業務等の実施のための基本方針を定めることとしております。
 第三に、通信・放送機構の業務として、主務大臣が定める基本方針に従って、特定公共電気通信システムの開発に必要な技術に関する研究開発等を追加することとしております。
 第四に、特定公共電気通信システムの開発に必要な技術を所管する大臣を主務大臣とすることを定めることとしております。
 その他所要の規定の整備を行うこととしております。
 なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
#73
○委員長(川橋幸子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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