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#1
第142回国会 経済・産業委員会 第3号
平成十年三月十二日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十日
    辞任         補欠選任
     猪熊 重二君     海野 義孝君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉村剛太郎君
    理 事
                沓掛 哲男君
                畑   恵君
                平田 耕一君
                平田 健二君
                梶原 敬義君
    委 員
                倉田 寛之君
                斎藤 文夫君
                中曽根弘文君
                成瀬 守重君
                西田 吉宏君
                吉川 芳男君
                小島 慶三君
                前川 忠夫君
                海野 義孝君
                加藤 修一君
                山下 芳生君
                平井 卓志君
                水野 誠一君
   国務大臣
       通商産業大臣   堀内 光雄君
       国務大臣
       (経済企画庁長
       官)       尾身 幸次君
   政府委員
       公正取引委員会
       委員長      根來 泰周君
       公正取引委員会
       事務総局経済取
       引局取引部長   上杉 秋則君
       経済企画庁調整
       局審議官     小林 勇造君
       経済企画庁総合
       計画局長     中名生 隆君
       経済企画庁調査
       局長       新保 生二君
       通商産業大臣官
       房商務流通審議
       官        岩田 満泰君
       通商産業大臣官
       房審議官     杉山 秀二君
       通商産業省通商
       政策局長     伊佐山建志君
       通商産業省産業
       政策局長     江崎  格君
       通商産業省環境
       立地局長     並木  徹君
       通商産業省基礎
       産業局長     作田 頴治君
       資源エネルギー
       庁長官      稲川 泰弘君
       中小企業庁長官  林  康夫君
       中小企業庁次長  中村 利雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        塩入 武三君
   説明員
       環境庁企画調整
       局企画調整課長  小島 敏郎君
       外務省アジア局
       地域政策課長   佐藤  悟君
       文部省体育局学
       校健康教育課長  佐々木順司君
       厚生省生活衛生
       局食品化学課長  黒川 達夫君
       労働省労働基準
       局賃金時間部労
       働時間課長    森山  寛君
   参考人
       日本銀行企画局
       長        川瀬 隆弘君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査
 (通商産業行政の基本施策に関する件)
 (経済計画等の基本施策に関する件)
 (平成九年における公正取引委員会の業務の概
 略に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(吉村剛太郎君) ただいまから経済・産業委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十日、猪熊重二君が委員を辞任され、その補欠として海野義孝君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(吉村剛太郎君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査のため、本日、日本銀行企画局長川瀬隆弘君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(吉村剛太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(吉村剛太郎君) 経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査を議題とし、通商産業行政の基本施策に関する件及び経済計画等の基本施策に関する件等について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○沓掛哲男君 おはようございます。自民党の沓掛でございます。先日の堀内、尾身両大臣の所信及び根來公正取引委員長の報告について質問いたします。
 昨年暮れの臨時国会で堀内通産大臣に質問いたしましたが、その際、尾身経済企画庁長官には別の公用で私の質問時間帯は不在でございましたので、きょう初めて質問をさせていただきます。五十分の持ち時間なので簡潔に質問したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず最初に、我が国の景気の現況と見通しについて、ひとつ尾身長官にお願いいたします。
#7
○国務大臣(尾身幸次君) 私ども、日本経済は停滞をしていると、一言で言いますとそういう表現をしているわけでございますが、全体として、個々について多少御説明をさせていただきますと、純輸出は、輸出が強含み輸入が横ばいということで、全体として増加傾向にございます。設備投資は伸びが鈍化しているわけでございます。住宅建設は、新規着工数、年率百三十万戸前後という状況で推移しておりまして、依然としてその水準は低いという状況でございます。
 消費でございますが、秋口から特に金融関係機関の倒産が相次いだり、アジアの状況が混乱をしたり、それから株価が急速な低下をしたというようなこともございまして、先行き不信感、先行きの経済に対する信頼感が欠如し始めておりまして、企業家及び消費者のマインドが低下をしている、そういう中で実は非常に低い水準になっております。消費性向で申しますと、九月の七一・九%から一月には六八・六%へと、この九月から一月までの四カ月間で三・三ポイント低下をしておりまして、マインドの低下が消費の低下に非常に大きな影響を及ぼしているというように考えております。この三・三ポイントという数字は、年率金額ベースで申しますと十兆円を超える額でございまして、そういう意味で先行きの動向に対するマインドが低下してきていたということが大変大きな影響がありまして経済が停滞をしているという状況だと認識しております。
 他方、いわゆる金融システムに対する不安感につきましては、昨年の十一月後半から十二月いっぱいにかけまして大変大きな不安感がございましたが、金融システム安定化法案の提出、それから可決、成立の過程の中でシステムについての不安感というものがほとんど解消されたというふうに考えております。したがいまして、そういうことを反映して、全体としてのマインドそのものは株価の動向等に見られますようにかなり改善をしているわけであります。
 しかしながら、そういうマインドの低下が実体経済の方に影響を及ぼしてきておりまして、そういう面で十二月、一月、二月と経済が停滞をし、厳しい状況にあると認識している次第でございます。
#8
○沓掛哲男君 ありがとうございました。
 そこで、今回のアジアの通貨・金融危機のショックは最近になく大きいものでした。危機の原因論は既に出尽くしている感もあり、質問時間の関係で省略いたします。
 さて、それでは一年前の今ごろ、このたびのアジアの通貨・金融危機を事前に察知する、すなわち予知することはできなかったのでしょうか。どの程度情報を収集され、その分析がなされていたのでしょうか。例えば、私なりに考えてみましても、一九九四年に中国人民元がドルに対して三〇%を超える大幅切り下げをし、日本円も一九九五年の後半以降はドルに対して急速に切り下がっているのに、その他のアジアの通貨はドルと固定されていたので、円や人民元に対して切り上がることになり、それが国際収支を悪化させ、無理が出ていたのではないでしょうか。
 九六年ごろから国際金融界ではそろそろ危ないと言われたということなんですが、きょうは専門家の各省庁に来ていただいておりますので、その方々から、まずこういう一年前の今ごろとても予想、予知できなかったのか、あるいはどの程度の情報収集がなされ、そして分析がなされていたのかを簡潔に、結果だけで、ノー・オア・イエス的な形で結構なんで、経済企画庁、外務省、大蔵省、通産省、日銀に来ていただいておりますから、一言ずつお願いします。
#9
○政府委員(新保生二君) 御指摘のように、アジアの一部、ASEAN諸国の中では経常収支の赤字が少し大きくなっているという状況が問題視される点はありましたけれども、しかし、一昨年十二月、九年度の見通しを立てる時点においては、これほどまでの通貨危機が起きるというふうには想定されておりませんでした。
 例えば、平成八年十二月当時、OECDが、国際機関がアジアの予測を出していますが、その予測を見ますと、平成九年の成長率は韓国が七%、タイが七・五%、マレーシア七・七%というような状況でございました。IMFにおいても九七年は七・五%の成長が可能であるというふうに見通しておりまして、国際機関を含めて、ここまで通貨危機が混乱するというような予測はかなり無理な、そういう予想はほとんど立てられていないという状況でございました。
#10
○政府委員(伊佐山建志君) 私どもの情報収集状況についてお答え申し上げます。
 去年の五月ごろに私ども通商白書を出させていただいておりますが、その中で、通貨危機が起こるかもしれないというそういうウォーニングは出しておりませんけれども、今回IMFの支援を受けることに至りました国々についての経済状況については、大変先行きについての不安定な要素がある、あるいは競争力が低下してきているという意味での、一般的な経済状況が悪化していることについては資料に基づいて分析し、ウォーニングを発しているところでございます。
 ただ、今経済企画庁の新保局長が言われましたように、具体的にこういう形でもって起こるかということについては、そこまで明確な分析はいたしておりませんでした。こういう分析に当たりましては、私ども通産省の下にジェトロでありますとかアジア経済研究所がございます。そういったところの情報をフルに使って情報分析を行ってきたところでございますが、今後そういったところについて御指摘のようなことに的確に対応できるようなそういう体制をとっていきたいと思っております。
#11
○沓掛哲男君 ほかにお呼びした外務省、大蔵省、それから日銀で、今と非常に違うという意見があったら教えてください。
#12
○説明員(佐藤悟君) 外務省としましても、在外公館等を活用しながら関係各国、国際機関、さらには現地の日系進出企業等の方々からいろんな情報を収集して分析をしておったわけでございますけれども、結果的には先ほど話が出ています通産省、経企庁等の見方と同じで、これほどまでに急激な形でタイのバーツが下落し、さらには周辺国に危機が波及するということは、昨年の今ごろの時点では予測できなかったという状況がございます。
 今後とも、今回のような危機に対応できるように情報収集体制を強化しながら対応していきたいと考えております。
#13
○沓掛哲男君 時間の関係で次に進みたいんですが、経済企画庁、外務省、大蔵省、通産省、日銀の方々に来ていただいておりますが、この方々がそれぞれの情報を持ち寄り一体となって調査検討すれば、いつという時期は特定できなくても、アジアでの通貨危機、金融不安の起こることは今のお話でもある程度わかっておられたようでございます。
 さて、従来から言われている危機管理というのは武力行使や災害に伴うものですが、今回の金融危機を契機に、国内外の金融問題に対する危機管理体制も早急に策定すべきではないかというふうに思います。一案として、経済企画庁長官がおっしゃったような、そういう部局の方々を集めて自由な討論の中で幅を持った意見の集約をし、必要に応じて公表するというようなことも一つの案かもしれません。
 また、私自身考えるんですが、関係部局を集めて局をつくったらよいというふうには私は思いません。各分野からいろんなそれぞれ異なった情報を集めるということも非常に大切です。しかし、単にそれを集めただけでは役に立ちません。それらを集約して必要な措置を講ずる仕組みがぜひ必要ではないか。これだけ日本が大国で、そしてたくさんの人をアジアや世界に出しているんですから、その情報はたくさん入ってくるはずなんで、個人個人についてはいろんな意見をお持ちだけれども、それを集約して表に出す、そしてそれを対策として出していく、そういう仕組みが私はまだ十分ではないんじゃないかなというふうに思いますので、この仕組みについて両大臣のどちらかから御所見をいただければありがたいと思います。
#14
○国務大臣(堀内光雄君) 仕組みと申しますか、私ども通産省としてこの問題に取り組んでいる状況といたしましては、中長期的な視点からの中小企業あるいはすそ野産業の育成、人材育成協力及びインフラの整備等の経済発展基盤、こういうものの強化が必要だということで取り組みを行っているところでございますが、各省庁が一体となってこの問題についても取り組んでいくべきだというふうに考えております。
 したがいまして、相互協力の支援をいろいろと各国との連携に努めてまいっておりますが、これからも当省といたしまして、今月の初めから当省の職員をタイ政府の産業構造調整のアドバイザーとして派遣をいたしましたり、貿易保険の積極的な引き受け、円借款の拡充、そういうような問題に最大限の努力を行っているところでございますが、先生の御指摘を踏まえて、より一層この間の各省庁と一体となっての取り組みを進めてまいりたいというふうに思っております。
#15
○国務大臣(尾身幸次君) ただいまの沓掛委員の御提案、ある意味で大変ごもっともであるというふうに感じている次第でございます。私ども、毎年の経済見通しを立てます際には、大蔵省、通産省と相談をしながら、前の年の十二月ごろにその次の年の経済見通しを立て、外務省やその他の関係各省等の御意見も伺いながら数字を決めているところでございます。
 したがいまして、一昨年の十二月に立てました日本経済の見通し一・九%という数字につきましても、当然その時点における国際、国内、いろんな面の状況をそれぞれ情報を持ち寄りながらやっているわけでございますが、結果としてIMFの見通しも間違えたように、アジアの経済状況等につきまして、今から反省をいたしますと、十二月の段階で数字に出たような形での見通しを立てていなかったということでございまして、今後とも関係各省庁との連絡を緊密化しながら対応してまいりたいと思っている次第でございます。
#16
○沓掛哲男君 どうもありがとうございました。
 本当にそういう形で、各省庁のいろいろ集めている情報、そういうものを国の政策に生かせる、そして今回のような大きな損失を未然に防ぐような、そういうことをぜひやっていただきたいというふうに思います。
 そこで次に、貸し渋りの問題についてお尋ねしたいと思います。
 金融機関の貸し渋りの実情をどのように把握しておられるのか、中小企業庁長官にお願いしたいと思います。
#17
○政府委員(林康夫君) 中小企業に対する金融機関の貸し渋りの現状についてのお尋ねでございます。
 貸し渋り問題につきましては、実は昨年の九月ごろからその兆候が出始めた時点で私ども調査を始めております。そして、現状では、当省が先月実施した中小企業の資金調達に関する実態調査によりますと、約三割が現在貸し渋りを受けておる、そして五割を超える企業が今後の貸し渋りを懸念しているという大変厳しい状況が続いております。
 昨年六月以降毎月、月を追うごとに貸し渋りを受けているという企業の割合が増加してきているというのが実情でございます。年度末を目前に控えまして、引き続き予断を許さない状況にあると考えておりまして、当省といたしましては、中小企業のニーズを適切にくみ上げまして、事態の推移を注意深く見守りながら、今後とも政府系金融機関の融資、そして保証協会の保証による民間金融機関の金融の円滑化によりまして、中小企業の資金調達に万全を期してまいりたいと考えております。
#18
○沓掛哲男君 そこで次に、貸し渋りに関連して公正取引委員長にお尋ねしたいと思います。
 企業に対しての現下の金融機関の貸し渋りは、今も中小企業庁長官からお話のありましたように、我が国の産業経済に大きな打撃を与えております。政府としても、その対策として、金融機関の自己資本を増強するための公的支援を行う、あるいは政府系金融機関の新たな融資制度の創設や信用保証協会の基本財産の大幅な積み増しなどのため、平成力及び十年度において総額二十五兆円を確保するなどしております。
 そこで、悪質な貸し渋り金融機関に対して独禁法の発動はできないのかをお尋ねしたいと思います。
 例えば、株価や土地価格が下がって、その減少に伴い担保を積み増せとかの要求や、あるいは貸し金の引き揚げ、あるいは金利を上げるなど、そういう要求に対して独禁法第十九条、「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。」の規定を適用できないのでしょうか。あるいは「不公正な取引方法」については告示で示されていますが、その「優越的地位の濫用」で、「相手方に不利益となるように取引条件を設定し、又は変更すること。」に該当しないのでしょうか。
 現下、本当に国を挙げて貸し渋り等に対応しておるわけでございますが、その貸し渋りという中には確かに通常でもとても貸せないような、そういう赤字のところもあるんでしょうが、そうでなくて、通常ならばまじめにやっておられて当然いろいろ融資を受けられる、そういうのが、こういうような時期に非常に乱用したり、故意的に非常にいじめ尽くして自分らの利益を上げるとか、いろんなことに対して何かそういう悪質な故意的なことがあれば公取が出動していただけるというような、そういうことがないのかどうか。ぜひそうやっていただきたいという願いも込めてですが、公取委員長にお尋ねいたします。
#19
○政府委員(根來泰周君) ただいまお説のように、一般抽象的に申しますと、貸し渋りというのと独禁法違反というのは関連が薄いように思われますけれども、今御指摘のように、社会的にも経済的にも貸し渋りの問題というのが指摘されておりますし、また、私どもの所管業務であります下請業者の保護という観点からも貸し渋りを看過するわけにはまいらないと存じます。
 そういうことで、私どもも問題意識を持ちまして、中小企業団体を中心にヒアリングを行いまして、その貸し渋りの背後にあります、ただいま御指摘の優越的地位の利用等、不公正取引がないかどうかということについて現在いろいろ調査をしているところでございます。そういう観点から、そういう事実が出てきました場合には厳正に対処するつもりでございます。
#20
○沓掛哲男君 一応公取委員長への質問はこれで終わります。
 では、続いて質問をいたします。
 アジアの通貨危機等の調査のため、先般、中山元外務大臣が団長としてシンガポール、タイ、インドネシア、香港を訪問されました。その報告等によりますと、経済不況に苦しむアジア諸国においては、現地企業が事業活動を行う上で必要な部品、原材料のための輸入資金が調達できないまでに信用収縮が進行しているということであります。
 もとより世界経済全体の観点に立っても、成長センターであったアジアの回復は必要不可欠であります。そのため、貿易保険や日本輸出入銀行の活用により、深刻な信用収縮を解決するための具体的手だてを含めた東南アジア経済安定化等のための緊急対策を二月二十日に閣議決定されております。極めて時宜を得たものだというふうに思います。
 しかしながら、金融的な措置に加え、アジア諸国が潜在的な力を再び発揮して成長経路に復帰するためには、中長期的なスパンで各国が産業構造の高度化を図り、競争力の強化を図ることが肝要であります。そのために我が国も総力を挙げて調査検討し、的確なアドバイスと支援を行い、アジアから金融、経済で信頼される日本となることを強く願うものであります。
 それには、各省庁単独ではなく、関係省庁の持つ情報、知見等を総合して実行する仕組みがぜひ必要だというふうに思います。この閣議決定でアジアの復興がすぐうまくいくというわけでもなく、もっと持続的な援助なり指導というものが私は必要だと思います。日本にはすばらしい力があるわけですから、そういう指導力を発揮しつつ、必要ならばまた援助をするということで、アジアの今回における通貨あるいは金融不安の解消に大きくまた活躍していただきたい。それには、単発単発ではなくて、やっぱりそれぞれの省庁の持つすばらしい、あるいは民間の持つすばらしい仕組みをある程度集めて、そしてそれを発動させていくそういう仕組みというものもぜひ必要ではないかというふうに思いますので、これについても両大臣の御意見をいただければと思います。
#21
○国務大臣(堀内光雄君) 先生のおっしゃるとおり、非常に今のアジアの、通貨・金融問題は危機的状況にございます。そういう意味合いから、当省といたしましても、積極的に二月二十日の閣議に向かっての取り組みをいたしまして、これから先の対策というものを閣議決定していただいたようなわけでありますが、閣議決定に基づいて、各省庁との連絡、連携はとりながら、これを行っているというふうに考えているところでございます。
 特に、先ほどの先生の御指摘のように、貿易面で非常にアジア諸国の取引額が低くなっているといいますか、こういうような問題をどういうぐあいに、金を貸すだけではなかなかこの通貨の問題の解決にはなりません、借りた金は返さなきゃいかぬものですから。その基盤をしっかりするために人材の派遣だとかあるいは貿易保険だとかいうものを含めて最善の取り組みを合いたしているところでございますが、そういう問題についても各省庁との連携をとりながら行っておりまして、事務方からその辺の事情についての御説明を申し上げたいと思います。
#22
○政府委員(伊佐山建志君) 補足してコメントさせていただきます。
 委員御指摘のように、関係省庁一体となってアジアの発展のグランドデザインを考えるべきではないかということにつきましては、対外経済協力審議会というものが、内閣のもとで関係省庁が集まって基本的なあるいは総合的な政策、重要事項というものを調査したり審議したりいたしてきております。それがある意味では一番大きな枠でございまして、あとは個々のアジア諸国における実態を踏まえまして、関係省庁で実態調査のためのチームを派遣する、あるいは専門家に依頼いたしまして実態を調査していただくということを踏まえまして、その結果をもとに関係省庁が集まりましてどういう施策を講ずべきかということをやっているのが日常の私どもの仕事でございますが、その辺をもう少しめり張りをつけて、対外的にも日本がきちっとやっているという姿を見せられるような、そういう形でもって効果的な一体的な体制づくりということに今後とも意識してやってまいりたいと思っております。
#23
○国務大臣(尾身幸次君) 日本の経済規模を一〇○といたしまして、日本以外のアジア地域全体の規模は大体五〇から六〇ぐらいでございますが、日本経済の動向がアジア全体の経済に影響を及ぼし、またアジア経済の動向が日本経済に影響を及ぼすという大変大事な関係になっているわけでございます。そういう状況を考えますと、やはりアジア経済の動向をしっかりと立て直すということがアジアのみならず世界全体の経済の発展のために必要なことでございますし、また日本の経済にとっても大変大事なことでもございます。
 総理も今週末にインドネシアに行かれる、こういうことでございますが、私どももそういう中で各省庁一体となって取り組んでまいりたい。ある種の体制づくりをすべきではないかという案も一案であると考えておりまして、今後ともそういうものも検討課題としながら進めてまいりたいと考えている次第でございます。
#24
○沓掛哲男君 では、次に移ります。
 昨年来、総理主導のもとに進められてきました財政構造改革は極めて重要ですが、現在の我が国にとって大事なこととして、同じく景気の回復、経済構造改革があります。論理的に言えば、まず景気の回復を図りつつ経済構造改革をする、そうしながら財政構造改革を進めるということだと思います。
 さて、今までに政府のとられた景気対策として、金融機関に対する資本充実等のための公的支援あるいは企業に対して法人税率の引き下げ、または貸し渋り対策として政府系金融機関や信用保証協会等への二十五兆円の支援、それから個人消費の増大のための二兆円の特別減税、さらにはゼロ国債一・五兆円を含む公共事業等二兆五千億の追加実施等が行われております。これで景気回復は大丈夫なのかどうかを尾身長官にお聞きしたいんです。
 その前に、一つ日銀にお尋ねしたいんですが、三月十日の大口債券市場では長期金利が一・五五%と、最近ずっと下がっていたんですがさらにこの日は過去最低を更新しているんですが、どうしてなんでしょうか。設備投資等に充当されるよい資金需要が減じているということなんでしょうか。この長期金利が史上最低になったということは一体どういうことが我が国の経済の今の実態なのかということも含めてひとつ教えていただきたいと思います。
#25
○参考人(川瀬隆弘君) 長期金利、特に国債指標銘柄の流通利回りというのは、基本的には市場参加者の景気の先行きに対する見方を反映するものでございまして、そういう意味で私どもも日々その動きを注目しているわけでございます。
 その国債指標銘柄の流通利回りが一月から二月にかけて一たん上昇したわけでございますけれども、二月の初めから多少の振れを伴いつつも低下傾向をたどりまして、きのうは御指摘のように、一・五一%だと思いますけれども、再び過去最低を記録いたしました。こうした長期債の利回りの低下につきましては、やはり景気の先行きに対して市場参加者が慎重な見方になっているということが基本的に反映されているんだろうというふうに考えております。
#26
○国務大臣(尾身幸次君) 今、沓掛委員のおっしゃいましたようないろんな政策が、特別減税とかあるいは金融システム安定化対策、補正予算等、現在実行段階に入っている状況でございます。
 さらに、四月以降は早期是正措置に対応する貸し渋り現象が解消するというふうに考えておりますし、また十年度予算及び法人税の減税、あるいは有価証券取引税の減税、土地関係税制の減税等を含みます予算関遵法案を予定どおり通していただくことによりまして、四月からはまた新しいお金が使えるようになる、そういうことも期待されているわけでございます。
 さらに、昨年十一月に決めました「二十一世紀を切りひらく緊急経済対策」の中で、規制緩和、情報通信の分野とかあるいは土地利用に関する規制緩和とか、あるいは人材派遣業についての規制緩和は十一月に決めたのでありますが、その関連法案はこの三月に国会に全部提出される運びとなり、まだ残されているものもございますが、近々全部まとめて提出されることになっております。
 そういう法案が四月、五月に通りまして、規制緩和を進めた中での民間活力中心の経済活動の活発化ということが期待されるというふうに考えております。そういう各種の政策が相乗効果を持って企業や消費者の経済の先行きに対する信頼感の回復をもたらして景気は徐々に回復軌道に乗り始めていくというふうに考えている次第でございます。
 さらに、私ども、総理の指示もございまして、自民党の第四次緊急国民経済対策を受け、また昨年の規制緩和等を中心とする緊急経済対策のフォローアップも含めまして、規制緩和の追加等も含めまして、さらに経済活性化のための追加的な施策を実施すべく今検討中でございます。
 いずれにいたしましても、経済は生き物でございますから、金融、経済等の状況を見きわめながら適時適切に対応してまいりたい。そして、その結果として十年度の成長率一・九%は達成したいと考えておりますし、またできると考えている次第でございます。
 いずれにいたしましても、当面、十年度予算及び関連法案のぜひ予定どおりの成立を心からお願い申し上げる次第でございます。
#27
○沓掛哲男君 経企庁長官のいろいろな示唆に富んだ御答弁、ありがとうございました。
 ただ、今両大臣はお忙しいから地元の末端までなかなか行く機会が恐らくないんだと思います。私たちはこの七月が選挙ですから毎日来端まで行っているんですけれども、今こういう状況です。フローの所得のある人はまあまあです、そんなにない。ところが、フローの所得のとまっている人、この人たちの怒りはまさに爆発せんがぐらいすごくなってきました。だんだん目つきが変わってきました。
 それは、退職する、そうすると退職金を二千万、三千万ぐらいいただける。年金を月二十万ぐらいいただける。そうすると、大体四、五%の金利で動いてくれれば月十万ぐらいになる。大体やっぱり三十万ぐらい要るというんです。そうすると、今のような金利ですから、その残り十万が全然もう出てこない。そして、今の二十万というのは必要経費を引くと本当に生活がもうやっとだというんです。私もそう言われるんだけれども、あなた方先生方は豊かだとか活力あるだとかとうまいこと言っているけれども、私らの生活ははるかに悪くなっているよということを強く言っております。
 金利はきょう申し上げると時間がないので、ここではやらないで、今度予算がこちらへ来たとき、予算委員会で日銀とやらせてもらいたいと思いますので、本当に大変だということだけ申し上げて、次に移りたいと思います。
 次ですが、マーケットの重要性とそれへの対応についていろいろお尋ねしたいと思います。
 最近、アジアのケースでも日本の状況でも、好むと好まざるとにかかわらず、マーケットが株価、金融、通貨、経済に及ぼす影響が大変大きくなっています。昨年十一月の山一証券の廃業についても、最後のとどめを刺したのはマーケットと言われています。
 マーケットとは何だということになりますが、要するに、あそこはもうだめだという判断で株を売ってしまう、企業に貸している金を全部引き揚げてしまう、その結果倒産が起こるということのようです。株価は経済を映す鏡だとか言われますが、ジョージ・ソロス等がヘッジファンド等を使って株価を動かすとも言われています。
 この間、一週間ほど前、どういう人かなと思っていたら、ジョージ・ソロスがテレビに出てきました。そして、対談者から、あなた今度のアジアのいろいろ通貨変動でもうけましたかと言ったら、余り今回はもうからなかったと言っていましたけれども、あの人たちがもうかったと言ったら大変なことなんだなとは思いますけれども、そういうことを言っておりました。
 しかし、それがよいか悪いかを今ここで議論していてもしようがありません、現実にマーケットが経済を動かしているのですから。金融、経済の政策も大変重要になってしまったマーケットというものを相手に立てなければならないというふうに思いますが、政府はどのようにマーケットを考え、その対策を立てておられるのでしょうか。
 聞くところによりますと、アメリカでは、ルービン財務長官もまた中央銀行総裁もマーケット育ちのマーケットで生きてきた人たちで、その感覚が役に立ち、国益を非常に増しているというか、得をしているとも言われております。これについては、本当に三十歳代前半で富士急行の社長にもなられ、その後実際の経営にもいろいろ恐らくかかわってこられて、大変造詣の深い堀内大臣から一言これについて御指導いただければと思います。
#28
○国務大臣(堀内光雄君) お答えを申し上げます。
 株式市場については私は余り経験のないものでございますから、的確な御返事になれるかどうかは別といたしまして、株式市場を初めとする金融資本市場というものは、資金の需給を調整するような意味合いから、言うなれば経済の血液と言ってもいいんではないかというふうに思われております。
 そういう意味で、そういう機能を有しております金融資本市場というものの安定化をさせるということは一番重要なことだというふうに思います。と同時に、この活性化を通じて、経済運営を行う上での大前提としての取り組みをしなきゃならぬというふうに感じているところでございます。
 また、基本的には金融資本市場というのは、個々の企業の収益だとか、あるいは財務状況だとか、あるいはその背景となる内外の経済状況だとか、そういうようなさまざまな要因によっていろんな変動をするものを的確につかまえて株価にそれがあらわれてくる。我が国の経済状況が株価に反映されてくる。基本的に言えばそういうものになっているというふうに私は認識をいたしておりますので、株式市場というもの、その他の金融市場というような問題については最も神経を配って取り組みをしていかなければならない問題だというふうに思っております。
 こういう観点から、現在一番重要なのは年度末だというふうに思っております。年度末の利益の計上、あるいは資金不足による株式の放出、そういうような問題が出てまいりますと、この年度末の株式市場に大変大きな影響を及ぼし、日本経済全体に大変なインパクトを与えるようなことになりかねないというふうに思っております。
 そういう意味合いから、今の貸し渋り対策というものも、それこそ全力を尽くして貸し渋りをなくすように、それによって健全な企業が株式を放出したりあるいは資金が足りないために倒産することのないように全力で今取り組んでいるところでございます。
 そのために、貸し渋りの問題については、金融支援という公的支援を今度は御了解いただいて昨日からどんどん実行に移すような形になっておりますが、その際にも、今までの公的資金を投入する以前の銀行の貸し渋りと投入した以後の貸し渋りというものは大変な性格の違いが出てくるわけでありまして、投入した以後において各銀行において貸し渋りの出るような状態があってはまかりならないということも含めて、昨日は総理が金融機関の首脳を集めて絶対にそういうことのないようにという指導もしていただきました。
 また、同時に今自民党の方でもいろいろと考えていただき、我々もそれに取り組んでおりますところの自社株式の取得の問題だとか、あるいは貸金の株式市場への投入だとかいろんな問題を具体的に行えるような対策というものをしっかりつかまえてまいらなければならないというふうに思いまして、株価の動向を含めて金融資本市場の動向の把握、これを非常に重要な問題と考えて今後ともきめ細かく注視をしてまいりたいというふうに思っております。
#29
○沓掛哲男君 最近、私も知ったんですけれども、各企業の格付をするムーディーズとか、それからジャパン・プレミアムとかそういうようなものも何となく市場でいろいろ決められていく。このムーディーズというのは必ずしも公的でないものですから、必ず最後には自分の会社としてはこういうことだよということを言っているそうです。もしそうでないと、訴えられたりしたとき大変ですから、逃げ道は常につくりながらムーディーズはやっているけれども、その格付が日本などにとって大変大きないろんな影響を持ってきている。あるいはジャパン・プレミアムなども企業の種類にかかわらず日本は皆一律に幾らというふうにされるとか、そういうものも何かいわゆるマーケットという不可思議なところでいろいろやられていく。しかし、現にそれが世の中を動かしているわけですから、我が国が国益を損じないように、やはり皆さん方にもぜひこれを勉強して的確に対応していっていただきたい。
 これは偶然なんでしょうけれども、アメリカは財務長官と中央銀行の総裁がいずれもマーケットで生まれ、育ち、ずっと来た人だということもあながち偶然偶然というだけではないような私は気もするので、私たちも一生懸命勉強しなければなりませんが、政府の方でもぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それから次に、週四十時間労働についてお尋ねしたいと思います。
 昨年四月からこの週四十時間労働がすべての企業に実施されることになりました、一部ちょっと除いたところはありましたけれども。その際、中小企業庁と労働省が大変いろいろな発想で知恵を出していろんなことをやってくださって、私、すばらしいなと思ったんです。ところが、それが実際に実現されているかと思うと、末端の企業企業でいろいろ聞いてみる限り、なかなかそうはいっていないんです。
 それはどういうことかというと、中小企業の月給制の従業員について、皆さんの御指導では時間の単位の給与が減らなければ下げてもいいということですから、給料は下げてもいいですよ、時間も減るんだから給与を下げてもいいですよ、そのかわりいろんなこととかいう、いろんなのがあったわけです。ところが、現場のそういう中小企業で社長と従業員とやる場合、過労働時間が下がったから、あなたの給料は今まで二十万だったけれども十八万にするよとか、そんなことは、私ら、あなた方のお話を聞いたとき、なるほどそういう案もあるなといろいろ思ったけれども、現実にはそういうふうにはなかなかいっていないということなんです。
 それは次にまた労働省にお聞きしたいんですけれども、中小企業庁としては、この昨年四月からの週四十時間労働制に伴って、そういう中小企業の月給制の人で給料を下げたというようなところがあるんでしょうか。その辺ちょっとお尋ねしたいと思います。
#30
○政府委員(林康夫君) 実は、御指摘のように、中小企業の中では大変厳しい状況にあることは既に一昨年の中央労働基準審議会の報告の中でも指摘をされているところなんですけれども、昨年四月一日からの法律の施行に伴ってぜひ完全実施を目指すという観点のもとに、私どもといたしましてもきめ細かな指導、援助を行ってきたわけでございます。一労働省の調査によりますと、平成九年五、六月時点でいわゆる週四十四時間制が適用されていた旧猶予対象事業所の四十時間労働制の達成率が七六・三%まで上がっております。これはもう一〇〇%実施が当然なんですけれども、なかなかこの現状は難しい状況にある事業所があるという実態を反映しているわけで、前年度が三六・四%というところからすると前進はしているんじゃないかと思っております。
 私どもといたしましては、できるだけこの週四十時間労働制の定着をきっちりと支援していきたいと思っております。
 今お話しの、実態がどうなっているか、どういうやり方をやっているかという点につきましては、基本的にこの法律を踏まえて労使間でお話し合いをしていただくことという前提で私どもは考えております。
#31
○沓掛哲男君 今度、中小企業で給与を自然に上げたのならいいですけれども、この労働制のために無理に上げられたというために中小企業の収益は減じ、景気停滞の中で苦しい経営を強いられております。中小企業の経営者は、このことは初めはこんなにきくとは思わなかったけれども、ボディーブローのようにだんだんきいてきたと言っております。
 私、ただ労働時間を短縮すればよいというだけでは困るんで、企業倒産により結果的に多くの失業者を生じさせているという認識が労働省の方にあるんでしょうか。週四十時間労働は右肩上がりの経済のときであればいろんな対応ができたと思います。しかし、現在は右肩下がりの経済の中で結果的に雇用者への給料をふやしていかなければならない、そういうことへの臨機応変的な対応がぜひ必要ではないかというふうに私は思っております。
 私、そういうことをこの間からいろいろ聞くものだから、経済企画庁は雇用者の所得がふえたふえたと言うけれども、本当は自然にふえたんじゃなくて、非常に経営に無理を加えてまでやらなきゃならないような、こういう制度的なものも幾分あるのかなというふうなことも思うんですが、その辺について、まず労働省から、また経済企画庁から何か意見があったら教えてください。
#32
○説明員(森山寛君) 先生の御指摘のように、中小企業をめぐる環境は大変厳しいものがあるというふうに十分認識をいたしております。
 そのために、労働省としましては、先ほど中小企業庁の方からお話ございましたが、この二年間を指導期間としてきめ細かな指導、そしてまた懇切丁寧な指導というものを行っているところでございます。具体的には集団指導あるいは説明会というものを開催いたしまして、いろんな具体的なノウハウ、それから好事例というものを御説明していく、あるいはまた省力化投資等を行った中小企業に対しましては助成措置を行う、こういうような措置等を展開しているところでございます。
 先ほどお話しございましたように、約八割の事業場が四十時間制を達成しております。私ども、先生御指摘のように大変厳しい中小企業の状況ではございますが、先ほど申し上げましたような施策をフルに活用していただきまして、中小企業の事業主の方々に御理解をいただくように今後とも努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#33
○国務大臣(尾身幸次君) この労働時間の問題は大変に大事な問題でございまして、これを法律で強制することがいいかどうか、そういう問題も状況の流れの中で長期的には検討していかなければならない課題であるというふうに考えている次第でございますが、いずれにいたしましても、できる限り世界の流れに合うような方向で我が国も対応していかなければならない、そのこともまた事実であると考えております。
#34
○沓掛哲男君 実はこれからあとベンチャー企業、税制改革、それから地球温暖化問題等の質問を出しておりましたけれども、時間が参りましたのでこれで終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#35
○前川忠夫君 民友連の前川でございます。
 先ほど沓掛先生からも景気の現状についての質問がございまして、経企庁長官の方からもお答えをいただいたところですが、私は現在の景気の停滞というのはやはり政府自身の読み違いというのが非常に大きかったんじゃないか。確かにバブルの崩壊以降、例えばゼネコンですとかあるいは金融機関も含めてさまざまな破綻が続きまして、何か経企庁では景気は緩やかに回復とか回復基調とかさまざまた言葉を使って回復感を強調されておられましたが、なかなかその実感がないうちにまた落ち込む、こういう事態になったんじゃないか。
 今回、ここ半年ほどの後退局面というのは、事の是非は今ここで議論するつもりはありませんけれども、例えば医療費の引き上げですとかあるいは特別減税の打ち切りとかあるいは消費税率を三%から五%に引き上げる、こういった形で間接的あるいは直接的に国民の懐から金が出ていく、あるいは入ってこない、この結果が消費の停滞等に結びついたんではないかという感じが実はしてならないわけです。そこにさらに、これは私どもも財政構造改革はやるべきだと思っていますが、極めてタイミングが悪い形で昨年の暮れの臨時国会でああいう法律を決めざるを得なかった、このことが結果的に追い打ちをかけているんじゃないか、私は実はそんな見方をしているんですが、これについての長官の御見解をまず最初にお伺いしたいと思います。
#36
○国務大臣(尾身幸次君) 消費税の問題をどう考えるかということについてはいろんな意見がございますが、総理も答弁しておりますように、三年ほど前の減税先行の中で、所得減税を先にやってそれに見合う消費税の増税を後からやるということで決めたわけでございまして、私どもはこれは高齢化社会に向かって福祉等を充実するために必要な対策であるというふうに考えている次第でございます。
 そしてまた、この消費税の増税とかあるいは昨年の夏の二兆円の所得減税の取りやめとかあるいは社会保障に関する経費の増大等々ございましたが、実は一昨年の予算編成の段階で全体としてそういうものも織り込んで消費の動向等についての見通しを立てているわけでございまして、消費税の増大に伴いまして四−六月ごろは消費需要が多少減退するけれどもその後徐々に回復するというふうに見通していたところでございます。
 そこで、消費税の影響は、確かに駆け込み需要が昨年の一月−三月に大変大きかったのと、それから反動減がまたこれも大きかったということでございまして、この点は私どもも見通しが甘かったなと。これはエコノミストと言われる方々も大部分の方が私どもと同じだと思っておりますが、そういう状況でございました。
 そして、その後、七月−九月くらいにかけましては徐々に回復軌道に乗っているといいますか、消費性向等も高くなってきていたわけでございますけれども、十月、十一月、十二月とアジアの問題あるいは金融機関の相次ぐ破綻等によりましていわゆるマインドが急速に低下した、そのことが実は大きな要因で実体経済の方にも停滞感が強くなってきた、こういうことであるというふうに理解をしているところでございます。
#37
○前川忠夫君 仮に今の長官のお答えのとおりだとしますと、私はこれからの打つ手というのが非常に限定をされてくるというような気がするんです。
 今政府が、先ほども長官がお答えになっていましたが、ことしの国会の冒頭に補正予算を組んで、二月四日でしたか参議院を通過いたしました。それから、二兆円の特別減税を実施しました。あるいは、金融機関の機能安定化あるいは預金者保護ということで約三十兆円の公的資金を用意するという金融二法も成立をしました。あるいは、参議院の場合にはこれから予算を審議するわけですけれども、これによって十分景気は落ちつく、回復をするというふうに断言できますか。
 確かに予算を早く通さなければいけないということは、これは当たり前のことです。私どももただずるずる予算を延ばせばいいと思っているわけではありません。しかし、これまでのいろんな議論を聞いておりますと、政府の一・九%という経済見通しがございます、こういう経済見通しがこの後の補正予算、つまり平成十年度の補正予算なしで達成できるというふうにお考えですか。長官のお答えを聞かせていただきたいと思います。
#38
○国務大臣(尾身幸次君) 景気の現状につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、そういう中で、昨年の十一月末から十二月にかけまして大変にいわゆるマインドが低下をいたしました。そして、そのマインドの低下というのは、金融システム安定化法案の成立及びその施行でシステム崩壊に対する不安感といいますか、そういうものがほとんどなくなってきたというふうに考えております。したがいまして、それが株価等にあらわれてきているというふうに考えております。
 しかし、実体経済の方はそういう影響を言えば引きずっておりまして、十二月、一月、二月と非常に停滞をし、厳しい状態が続いているというふうに考えております。そして、早期是正措置を控えて貸し渋り等もございまして二月、三月厳しい状態が続いていくであろうというふうに考えております。
 そして、四月以降は予算が通る、そしてまた規制緩和等の法律が先ほども申しましたとおり順調に通りますと、民間活力中心の経済の活性化が徐々に実現をされてくるというふうに考えているわけでございまして、そういう意味で四月以降徐々に順調な回復軌道に復帰し始めてくるというふうに思っております。
 十年度の一・九%の問題でございますが、私どもそういう中で、当面最大の対策は十年度予算及び法人税の減税等を含めました関係法案を一日も早く通していただいて、これが切れ目なくお金が使えるような形で実施されることが最大の景気対策であるというふうに考えている次第でございます。
 なお、経済企画庁といたしましては、総理の指示もございまして、自民党の第四次緊急国民経済対策を受け、また昨年十一月の対策のフォローアップ、あるいはさらに追加的な規制緩和等の措置も含めまして、経済活性化のための具体策を各省庁と相談をしながら取りまとめているところでございます。
 そういう状況でございますが、しかし同時に、経済は生き物でございまして、経済の実情に応じまして適時適切、臨機応変な措置をとるということは総理もたびたび申し上げているところでございまして、私ども、景気の回復、経済の順調な回復過程への立ち直りということは最優先の課題であるというふうに考えておりまして、全力を尽くして対応してまいりたいと思っております。
 そういういろんな施策を総合してその効果が徐々に相乗効果を持ってあらわれてくるというふうに考えておりますので、平成十年度の一・九%という経済成長率は実現可能であるし、これはぜひ実現をしなければならないというふうに考えているところでございます。
#39
○前川忠夫君 これまでも衆議院の予算委員会の議事録等を見せていただいて、総理あるいは長官がそれぞれお答えになり、あるいは政府として予算を審議している間に補正予算の話をするのはなかなかしにくいと。したがって、適時適切に機動的にという言葉の中に私はそういうものが入っているんだろうというふうに解釈をします。そうでないと、予算の審議を始める前に、与党の幹部やさまざまなところから補正予算はもう当然だという議論なんというのはなかなか出てこないんですよ。それだけ厳しいという認識はもう共通なんです。そういう前提でやっぱり考えていただかないと困る。これは今日本だけの問題ではなくなってきているわけです。
 せんだってのG7の蔵相・中央銀行総裁会議の中でも、これはIMFの報告という形をとっておられるようですが、少なくとも日本の内需を拡大してアジアにおける日本の役割を果たしてくれということを強く求められているわけです。としますと、内需を拡大するためにどうするんだという手は、今までの打った手ではだめですよということを言われておるわけですから、新しい手を打たざるを得ないわけです。それが、今長官が言われたように、例えば規制緩和も一つの手法かもしれません。
 ですが、私は、四月一日から規制緩和されたからといって、急に大きな効果を上げるとは思わないんです。長い目で見て、日本の経済やあるいは社会のために規制緩和は必ずプラスになりますということは私も承知しているつもりですが、四月一日からなんてすぐ効果は出ないんですよ。そういう意味では、やはり的確な手を打たなきゃならない。
 その際に、ちょっとお聞きをしたいんですが、今内需の問題といえば、当然消費の問題が私ども頭の中へすっと来るわけです。民間の設備投資もやや停滞ぎみだということになれば、やはりここは消費を拡大しなければならない。消費を拡大するためにはさまざまな手法がありますけれども、今ちょうど労働組合は春の賃金交渉の真っ最中であります。経営者側のガードが大変かたいようでありまして、この十七日、十八日ごろには第一次の回答も出るようでありますけれども、恐らく昨年の額を上回るというのは大変じゃないか。私もOBの一人としてやきもきしているんですが、もし勤労者の懐が賃金という形で余り大きくふえることはないということになりますと、さあ、じゃどうするんだろうという話になります。私はそこに政治的なある意味での、先行きに対する政策的な意味での指導性といいますか、リーダーシップを政治が発揮すべきではないか。ただ頑張れ頑張れ、先行き明るいよということだけではやっぱりだめなわけでして、その意味で減税の問題についてお聞きをしたいんです。
 先週の日曜日でしたでしょうか、山崎政調会長のお話をテレビで私も拝見させていただいたんですが、実は私ども民友連は、平成十年度の減税要求ということで、所得税と住民税で約三兆円、それから政策減税や法人減税で約一兆五千億円ずつ、約六兆円の減税要求をしています。これについて、特に所得税あるいは住民税の減税に対する評価というのが多少分かれているようです。
 もちろん、景気というのはただ減税をすれば何とかなるというものではなくて、さまざまな手法が複合的にかみ合って初めて景気に対する効果があるというふうに私は思っています。しかし、所得税あるいは住民税の減税がもし効果がないということになると、つい先ほど行った特別減税二兆円は一体何だったのかというふうに問いかけたくなるわけです。二兆円というのは決して少ない額ではありません。
 先日、私も確定申告である税務署の署長さんとお話をしていたんですが、今度のいわゆる特別減税は手間暇が余りかからなかったということをおっしゃっていました。これは企業の皆さん方にいわゆる源泉という形でやっていただいたということだからだろうと思うんです。逆に、受ける側は、戻し税ではありませんでしたから、あるいは制度減税ではありませんから、一回こっきりの例えば二月の収入の中から本来払うべき税金が少し安くなったという形ですから、ほとんど減税の感覚がなかったんです。本当にあったんですかといってもう一回明細書を見たら、なるほど書いてあったということなんです。
 だから、減税のやり方も含めまして、内需拡大の一つの手法として減税問題についての長官の御見解をお伺いしたいと思います。
#40
○国務大臣(尾身幸次君) 今までの対策では効果がないのではないかというお話が一つございましたが、規制緩和等の対策及び十年度予算等につきましては、決定はしておりますがまだ実施されていない。言えば薬を飲んで、その薬がのどのところを通っている段階でございまして、これをとにかくのどを通して胃に行って、そしてそこで消化をして血液に流れないといけないという意味で、ここにある薬がまだ効果がないから次の薬を飲めといっても、とりあえずはとにかくこの薬を飲んで胃の方から体に回すことが最優先の景気対策であるというふうに私自身考えておりますので、そこは御理解をいただきたいと思います。
 それから、適切な手を打つべきであるというお話はよくわかりますし、私も基本的には御意見に賛成でございます。そういう中で、六兆円の減税のお話がございました。経済の問題でございますから、いろんな御意見をすり合わせながら、やはり立法府におきましても率直に意見交換をしていくということも大事であるというふうに考えておりますし、現在私どもが補正予算を検討しているというようなことを申し上げるわけにはいかないわけでございますが、検討もしていないわけでございますが、そういう問題点についての御議論がございますので、あえてその点についての感想を多少述べさせていただきたいと思う次第でございます。
 一つは、仮に六兆円という減税のお話がございましたので、今の日本の国民負担率三八%でございまして、アメリカの三六%に次いでいわば世界最低である。赤字を計算いたしましても四四%ぐらいでございます。他方、ヨーロッパの国々は、イギリス四六%、ドイツ五七%、フランス六二%というようなことでございまして、生の国民負担率も日本より大分高い。日本より低いアメリカは、実は国民皆保険制度がないわけでございまして、保険は別途、私的保険で全部手当てをしているということでございますから、日本全体の国民負担率はほかの国と比べて低いという状況であります。そして、そういう点についてどう考えるかという問題が一つあるというふうに考えます。
 それからもう一つは、最高税率六五%が適当なのかどうか。これは勤労意欲等の問題もありまして、その点について今後の課題として検討していかなきゃならないんじゃないかというふうに考えております。
 それから、もう一つの問題は課税最低限の問題でございまして、日本は十年度三百六十二万ということで提案をしているわけでございますが、ほかの国と比べるとやはり高い水準にある。聞くところによりますと、四〇%の方々が所得税を納めていないというような状況でございまして、そういうあり方が適当かどうか。そういうことも考えて検討していかなければなりません。
 それから、恒久減税という議論になりますと、所得税と法人税のバランスの問題、それから社会保障の水準の問題、そういういろんな問題を一体的に検討して、相当長期にわたっていろんな議論の詰めをした上で結論を出していかなければならない問題であるというふうに私は考えております。
 そして、何よりも、これはこういう席では政府側は質問してはいけないことになっているわけでございますが、お許しをいただいて、なお問題点としてあえて申し上げさせていただきますと、六兆円というこの減税の財源をどうやって出すのかという点について、例えば十年度予算で見ますと、建設国債八・四兆円、それから特例国債七・一兆円で十五・五兆円の赤字国債を出しているわけでございまして、財政は国、地方合わせでいわゆるGDP対比四・七%の出超になっているという状況でございます。そういう状況の中でどういう財源をもってこれに充てるのか、その点についての御議論もいただかなければいけませんし、その点についてむしろ前川委員はどんなお考えでおられるのか、この機会にお聞かせをいただければありがたいと思っている次第でございます。
#41
○前川忠夫君 私が質問をしていますので、ここでお答えをしてやりとりをしていますと私の時間がなくなっちゃうので、基本的なことだけ申し上げておきます。
 政府自身の今までの考え方の中で、特に民友連あるいは民主党としては、一つは特例公債と言われる部分、それから建設国債と言われるこの線引きが一体正しいのかどうかということも改めて見直しをすべきではないかということを申し上げております。
 それから、昨年の年末に決めました財政構造改革法に基づく政府自身の財政再建計画について先送りを少しすべきではないか。つまり、まず景気を立ち直らせてしっかり税収が期待できるような状態にしませんと、病人の布団をはがすような今の財政のやり方でいいのだろうかというふうに私どもは考えています。
 それから、さらには公共事業について、時々民主党の方針は誤解をされるんですが、ばさっと削れと私ども言っているんじゃないんです。必要なものと必要でないものの峻別をもう少しきちっとしたらどうですかと。それから、民間の工事に比べて公共事業の単価というものは高いというのが当たり前のように言われているわけです。そういうものについて削減の余地があるんじゃないでしょうかと。そういうものをもっと細かくやったらどうでしょうということも提起をしています。私は、そういう議論をきちっと詰めることによって十分財源は出てくるんじゃないか。
 また、例えば私どもも所得税減税、住民税減税だけではなしに、法人税減税や政策減税もきちっとやってというふうに申し上げております。このことは、結果的に経済の活力を私は生み出すもとになるんじゃないか。このことをトータルでやはり考えていかなければいけないというのが私たちの考え方ですから、改めてこれは予算委員会等の場で議論をさせていただきたいというふうに思います。
 そこでもう一点、もう一方の視点は最近の雇用の問題なんです。これは、ここへ来ましてから、公的資金を投入することも一つの理由なんですけれども、銀行等々がリストラ計画を出します。なぜリストラというと人員整理の話ばかりしか出てこないのか、極めて私は経営者の能力を実は疑うのです。賃金を下げる、もちろん銀行は賃金が高いですよ。私どももどうなっているんだと文句を言いたくなるんですが、何か合理化をやりなさい、このままじゃだめですよと言うと賃金を下げる、あるいは人を減らすという発想しか出てこないんです。こういう雰囲気が、実は今までの雇用、つまり失業の不安というのは、会社が倒産をするとか破産をするとか、そういうことによって発生をしてくる。まさかうちの会社はそんな心配はないよと言っていたところさえも、最近は人員整理や何かの話がごく当たり前のように出てくるようになった。こういう雇用の不安というのがやはり消費を冷え込ませている一つの大きな理由ではないか。
 特に、最近男性の失業率が高くなってきているというのが大変気になるんです。もちろんベースの問題はきちっと議論しなきゃなりませんから、細かい議論をここでやるつもりはありません。男性と女性とを世帯主云々で比較をするつもりはありませんけれども、男性の失業率が高くなっているという現実は、こういうことを言うとまたしかられるかもしれませんが、やはり稼ぎ手である失業率が高いということは家計の収入に与える影響というのは大きいと思うんです。
 それから、ごく最近のデータでは、五十五歳ぐらいから六十四歳ぐらいまでの層の失業率がどんどん高くなってきているんです。つまり、これはリストラの影響じゃないか。この世代というのはかなり費用のかかる世代なんです。こういう不安が全体の景気なりあるいは消費を冷え込ませているんじゃないかというように思うんです。
 ですから、これはぜひ経済企画庁として、政府全体の問題として雇用の問題について真剣に取り組んでいただきたいと思います。これは通産省でも、あるいは経企庁はもちろんそうなんですが、例えば経済構造改革を進めていく過程の中で、これは私も何度か予算委員会やさまざまな委員会で総理にも質問しましたが、痛みを伴うんだということをおっしゃいます。痛みは確かに伴いますけれども、私はよく言うんですが、スクラップ・アンド・ビルドという言い方がありますけれども、ビルド・アンド・スクラップでなければいけない。
 つまり、雇用の問題というのは、生身の人間ですから、まず切ってしまって、さあ、どこか再就職先を探しなさいじゃいけないんです。再就職先あるいは新しい仕事を見つけて、あるいはそこに移るための手だてをきちっととってからもとの職場を離れるという、そういうふうな仕組みというのをつくらない限りは、どんなきれいな方針をつくったところで国民の皆さんの支持は得られないと私は思うんです。
 ぜひその辺についてはやっていただくように、今度経済構造改革のフォローアップをきちっとやられるということですから、そういうものの中に今申し上げたようなことも含めていただきたい。
 消費と雇用の関係について一言だけ長官のお答えをいただきたいと思います。
#42
○国務大臣(尾身幸次君) 今の前川委員のお話、私は大変大事だと思っております、雇用確保。全体の経済構造改革は、やはり情報通信の発達等に伴いまして、経済のいわゆる従来型産業の企業経営といいますか、そういうものをリストラをしてスリム化をして合理化をしていかなければならないという面が片方であると思います。それからもう片方では、新しいベンチャーを育てて、今おっしゃいましたビルド・アンド・スクラップという形で、そちらでむしろ雇用を吸収して、大きく労働をこちらに移動していかなきゃいけない。先日も、アメリカにおきましてはベンチャーの雇用吸収が全体の雇用増の八割ぐらいであるというお話があったと思いますけれども、そちらの方の、つまり攻めの政策をかなり考えていかなければならないと思っております。
 そのためには通産省でもいろいろ考えていただいておりますけれども、規制を緩和するとか、あるいは担保力のないベンチャーに資金を供給するような担保金融以外のシステムをつくるとか、あるいは労働者派遣事業の弾力化、そういうものを図って労働移動をもうちょっと自由化するような方向に行くとか、そういう形で日本経済全体を新しい雇用創出のためのベンチャーの創出という点に重点を置きながら改革をしていく、そういう方向をぜひ考えていきたいと思っておりますし、今度の経済活性化のプログラムの中には長期的にそういう方向も含めまして進めさせていくようなことをまとめてまいりたいというふうに考えます。
 またその節には委員の御意見もしっかりと承らせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
#43
○前川忠夫君 ありがとうございました。
 確かに経済運営というのはそのとき、時代時代によって打つべき手法というのはさまざまに変化しますから、余り硬直的な手法のみにとらわれないでいただきたい。
 私も時々経済企画庁に言葉の使い方の勉強に行きたいなと。ほんのわずかな数字の違いをよく日本語というのをなかなかうまく使えるんだなというふうに思いまして、大変感心いたしております。ただ、経済企画庁の持つ役割というのは、微妙な言葉の使い方ではなくて、日本の経済全体をどういう方向に引っ張っていくのかという、そういう役割が私は期待をされていると思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。
 次に、通産省の方にお伺いをしたいんです。大臣にまずお伺いをしたいと思いますが、日本の潜在的な産業の力というのを、経済の力というのをどのようにごらんになっているのか。というのは、私自身の出身の企業もそうなんですが、いわゆる高度成長時代といいますか、日本の経済を支えてきた産業というのはある意味で成熟産業という言葉をよく言われるんです。私はこの成熟産業という言葉は時として誤解を招く言葉だと思うんです。この産業はもう完全に熟しちゃったからおしまいと。もちろんすぐにばたんと倒れるということじゃないんですよ。そうじゃなくて、もう成長がとまるやの印象にとられるんです。ところが、私は必ずしもそうではないんじゃないか、まだまだ潜在的な成長する力というのはみんな持っているんじゃないだろうか。
 先日もある機会がありまして、メーカーはこういう席ですから言いませんが、ハイブリッドカーを見せていただきました。大変売れ行きがいいようです。これは環境の問題はもちろんありますが、これからの時代に合った、ニーズに合ったものを開発していくことによって新しい飛躍を遂げようということなんだろうと思うんです。そういう意味では日本の経済というのはまだまだ、あるいは産業にも潜在的な力があると私は思うんです。
 むしろ問題なのは政府だとか、これは政府という言い方はさまざまな問題が含まれるんですが、政府の保護によって支えられてきた産業が今おかしくなっているんじゃないかというふうに思うんです。ですから、例えば経済構造を変えるという場合にきちっと視点を間違わないでほしいと思うんです。何か印象は全体を変えるんじゃないかというイメージでとられるわけですよ。このことに対する目的意識といいますか、目的をきちっと踏まえた上での政策をぜひお願いしたいと思うんです。角を矯めて牛を殺すなんということのないようにしなければいけないと私は思います。
 そこで、今現在政府がさまざまに進めている政策の中で、変な言い方ですけれども、製造業というのはほうっておいても荒波をくぐってくるんです。あの超円高と言われた八十円のとき、もうだめになるんじゃないかと言われたんですが、生き残ってきました。たまたまその後少し円安に振れたこともあってよかったのかもしれません。しかし、八十円台の円安状態が続いても、恐らく日本の産業というのはしぶとく生き残ると思います。はっきり言ってあのとき政府はほとんど何もしなかったです。それぞれの産業、企業任せでした。例えば為替の問題についてさまざまな手は打ったと言われるかもしれないけれども、実態はそれぞれの企業が切り開いてきたわけです。そういう力があるんです。
 ですから、経済構造改革をやる場合の目的と意義というものを間違わないでいただきたいと思うんですが、通産大臣はどのようにお考えでしょうか。
#44
○国務大臣(堀内光雄君) 前川委員の御意見、まことにそのとおりだというふうに思います。
 今の我が国の経済の発展を支えてまいりましたのは物づくりをする既存の製造業でございます。この製造業が技術革新などを行いながら、先生おっしゃるとおり、時代を乗り切ってきておりまして、十年前、二十年前の製造業のそのままでもって現在残っているなんというものはあり得ないと思います。企業三十年説というのもございまして、それこそその間には全く新しい物づくりに切りかわってきているところもあるわけなんでありまして、そういう製造業というものが地域産業の中でも中核を果たしてきて、全体の産業発展に役立ってきているということは間違いないわけでありまして、極めて重要なものでありまして、その産業を支えていくということが我々にとっても大きな役目であるというふうに思っております。
 そういう意味で、そういう片方の産業を支えると同時に、新規産業の創出という場合も、これは規制緩和やその他によって新しく出てくるものもございます。そういう新しい創業的なベンチャー企業のみを我々ぽ頭に置いて取り組んでいるわけではございませんで、その両方が相まって初めて新しい雇用が創出をされたつ新しく経済活性化が行われていくというふうに考えておりますので、既存産業の高付加価値化をあわせて重要な部分と位置づけて、その発展のために事業環境をしっかり整えていきたいというふうに思っているところでございます。
 そういう意味で、先ほどからの御意見にもございましたけれども、産業をやはり活性化させて伸ばしていくということによって初めて景気がよくなり、それが雇用を拡大し、さらに賃金を増大するというような循環に回っていかなきゃいけないというふうな考え方から、法人課税もことしは三%の軽減をいたしましたけれども、これはスタートでありまして、さらに法人課税の問題についての取り組みを進めていって、こういう基盤の整備によって日本の経済の活性化を図ってまいりたいというふうに思っております。
#45
○前川忠夫君 時間がなくなりましたので、少し質問をはしょらせていただきます。
 今、大臣の方からもお答えをいただいた中で、私は、日本の製造業を支えてきた源泉というのは、明治以来さまざまな産業が興っては消えしましたけれども、やっぱりそこに基盤技術というものがあったからだろうと思うんです。
 こういう言い方をしては大変失礼なんですが、特に東南アジアの新異国にはなかなかそういうものが育たない。はっと起きる産業を私は外側産業と言うんですが、中のものが十分ではないのに、つまり包装紙だけきれいにした経済というのはどこかで破綻をするんです。今実は心配をしていますのは、基盤の部分がおかしくなるんじゃないかということです。
 これは実は通産省だけの役割ではないわけでして、物をつくるということの意義とかあるいは楽しさとか、そういうものについては小さい子供のころからやっぱり自覚をしてもらう、教えていく必要があると思うんです。そういう意味では、文部省ですとかあるいは労働省ですとかあるいは通産省ももちろんそうでありますが、国全体、政府全体の大きなテーマでなければならないと私は思うんです。
 たまたまきょう、新宿の朝日生命ホールで、労働省と通産省それから文部省の共同主催で、物づくりの楽しさを考えるシンポジウムというのが開かれているというふうにお聞きをしております。私はこれは大変大事なことだと思うんです。
 実は昨年の国会で、当時の平成会の方々が、物づくり基盤技術に関する基本法を何とかまとめて出そうという動きをされておられました。さまざまなことがありまして、結局今、どうしようかということで自民党さんを含めて御相談をしているんですが、私はぜひこういうことを通産省も後押しをしてほしい。
 というのは、これまでのいろんな経過を聞いていましたら、はっきり申し上げて、労働省の役割、あるいは文部省の役割、あるいは通産省の果たす役割に妙に望みたいなのがあるんです。
 それから、確かに横の連絡も最近はとり始めてきていますけれども、一つの法律をつくるという場合にはどうしてもこれまでは省庁ごとの縦割りの法案というのがほとんどでした。
 ですから、今度の場合に、さまざまな施策を打つ場合も、それぞれの省庁が競い合うということではなくて、私どもはできれば国全体というか政府全体で取り組んでほしい。そのための基本法をつくろうじゃないかというのが私どものねらいでありますから、ぜひこの点について通産省の御理解をひとつ得ておきたい。きょうはこれは要望だけにとどめておきます。いずれ法案を具体的に提出したいと思っていますが、これは一つの党とかあるいは議員個人とかというのではなくて、できれば委員会や議会全体でこの問題は取り組みたいと思っておりますので、その際には通産省のひとつ御協力もいただきたい。きょうはお願いをしておきたいと思います。
 最後に、エネルギーの問題について一言だけ大臣の決意をお伺いしたいんですが、時間がございませんので簡単で結構です。
 一つは、昨年の京都におけるCOP3の会合で、いわゆる法的拘束力を持つ国別の削減目標というものが決められました。これについて、これは報道ですから真意はわかりませんけれども、環境庁と通産省との間で少し呼吸が合っていないとか、あるいはこれからのさまざまな施策に対する意見の違いが目立つとかいう話をちらちら聞いています。
 それともう一つは、日本自身が果たす役割というものも今度の国際会議の中でもさまざまに報道されまして、私ども改めて認識をしたわけです。例えばついせんだって、日本海沿岸の酸性雨がまたひどくなっているという話を報道で知りました。私は今たまたま太平洋岸で生活をしていますから、そういうことは余りない、感じなかったんですけれども、酸性雨という話になると日本海側というのはどういうことかなと思えば、やっぱりお隣の中国であったりあるいは朝鮮半島であったりということをイメージするわけです。
 環境というのはまさに国境がないわけですから、そういうことに対する日本自身の技術も含めた、あるいは資金も含めた指導性というものを発揮することによって日本に対する信頼というものもまた高まるわけです。ODAを削減されようとしていますけれども、これからのお金の使い方というのはそういう点を最重点にぜひやっていただきたいというふうに考えています。
 と同時に、国民に対する理解というものもきちっとしていかないといけないんじゃないか。例えば、マクロの話としてはわかるんだけれども、自分の生活、毎日の生活の中でそのことを意識しているかというと、必ずしもそうではないんです。
 これを機会にして、政府全体の問題として問題提起をしていただくようにお願いをしたいと思いますが、大臣の御決意をひとつお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
#46
○国務大臣(堀内光雄君) 前川委員のお話のとおり、地球の環境問題というのは人類の将来にもかかわる問題でございますから、それこそ真剣に取り組んでまいらなければならないというふうに思っておりますし、これこそ縦割りの中でひじを張っているようなことは許されない問題だというふうに思っております。そういう意味で、私どもとしましては、技術的な、経済的にも可能な限りの最大限の対策は少なくとも通産省が行っていかなければいかぬというふうに思っております。
 例えば省エネ法でございますが、これも抜本的な改正を行って、自動車の燃費の基準だとか電気機器のエネルギーの消費効率を、現在商品化されている製品のうちの、トップランナー方式というのを取り上げて、一番効率的ないいところに全部寄せて持っていかなきゃいかぬ。これは産業界にも大変な御苦労をかけなければならない問題だというふうに思っておりますが、そういうようないろんな抜本的な対策に取り組んで今までの常識を超えたものにまいりませんと今度のCOP3における六%というような問題に前進はできていかないわけなのでありまして、今まででもトップレベルにある日本の国のエネルギー消費効率をさらに上げようということでございまして、その意味で大変な問題を抱えての取り組みということになっていると思います。
 こういう数字をやってまいりますと、いろいろな今までの産業界の努力、それからこれから起こり得べき効率、そういうものを含めた技術革新、そういうものを全部合わせて、努力をして努力をしてようやく一九九〇年レベルに行くのが精いっぱいということでありまして、さらにその上に六%の削減をしようということでありますから、これはもう容易ならざる問題だというふうに思っております。
 この場合には、それこそ国民の皆様方の御理解をいただいて、暖房の温度からあるいは冷房の温度まで御協力をいただくとか、あらゆる面での協力をいただいてもなおかつ難しいような状態であるということを考えますと、前川委員のおっしゃるとおり、省庁の間でもしっかり一体となった取り組みをしながら成果を上げていくように頑張ってまいりたいというふうに思っております。
 また、環境分野をODAの中での重点的な問題として取り組むべきではないか、位置づけるべきではないかということのお話は当然そのとおりでございまして、その充実を図っておりまして、現在私どもの方では、アジア全体を視野に入れた環境産業の育成を支援するために技術協力だとか産業協力を連携させた総合的なパッケージを創設いたしまして実施することにいたしております。
 環境分野における予算額は、このODAにつきまして大幅に増加をしているということも御報告を申し上げ、これからの我が国の安定的な成長基盤を構築するためにも、アジアの途上国における成長制約要因となっている公害問題あるいは地球環境問題の解消に向けた協力をしっかりしてまいるためにも、環境ODAについて積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
#47
○前川忠夫君 終わります。
#48
○加藤修一君 公明の加藤修一でございます。
 先日の所信表明の中では、第五の課題として地球環境問題を取り上げておりました。とりわけ地球温暖化の問題ということについて言及されて、いわゆる地球規模の環境について非常に重要な視点からの話があったように私は思います。
 私も従来からこういった面については随分と指摘しておりますけれども、通産省もやはり環境にかかわって非常に大きな役割を持っておりますし、人類の将来、それを考えていきますと、経済と環境の共生、そういった面についても本当に真剣に取り組んでいかなきゃいけない。
 そういった観点から、通産省は、いわゆる人類の生存権あるいは環境権、そういったことに対してどのような認識あるいは取り組みをされているのか、大臣に御答弁をお願いしたいと思います。
#49
○国務大臣(堀内光雄君) 加藤委員のお話のように、地球環境という問題は人類の生存にかかわる問題でございますし、緑豊かな環境を次の世代に引き継いで持続可能な経済発展をあわせて実現するということが重要なことだというふうに考えております。
 そういう意味合いから、地球温暖化問題や廃棄物リサイクル問題などの環境問題、こういうものは我々の通常の事業活動や日常活動に密接にかかわる問題でありますから、経済問題、エネルギー問題、こういうものと含めて、経済の活力を活用しながら循環型経済社会を実現していく視点のもとに、三Eといいますか、環境、経済成長、エネルギーの安全保障のバランスのとれた取り組みを行うことが重要だと考えておるところでございます。
 通産省といたしましても、昨年の十二月の地球温暖化防止京都会議、いわゆるCOP3におきまして、地球温暖化防止への取り組みに係る国際的な枠組みの合意に向けて積極的な努力をいたしているところでございます。そして、先ほども申し上げましたが、我が国の一九九〇年レベル比のさらに六%の削減目標というものの実現に向けては、新たに内閣に設置されました地球温暖化対策推進本部、橋本総理が本部長に御就任をいただいておりますが、そのもとにおきまして、いわゆる省エネ法の抜本的な改正などを通じた省エネルギーの徹底を初めとしまして、技術的、経済的に可能な限りの最大限の対策を講ずることにいたしているところでございます。
 また、限られた資源を有効に活用いたしまして、廃棄物の減量をするというような問題も含めて、分野別のリサイクルシステムを構築するために容器包装リサイクル法、これはもう既に実施に移されておりますが、この法律の施行や、今国会には家電等の再商品化法案、これを近々提出をさせていただくことになりますが、積極的なリサイクル行政を推進いたしてまいりたいと思っております。
 通産省といたしましては、今後ともこうした考え方に基づきまして、環境保全や資源、エネルギーの制約を克服する積極的な循環型経済社会の実現を重要課題と考えまして政策展開を行ってまいる覚悟でございます。
#50
○加藤修一君 ただいまの大臣の御答弁の中にございましたが、COP3、それで日本が六%ということになって、京都議定書、それで政府としては当面の対応方針としてCO2、N2O、亜酸化窒素、それからCH4、メタン、その三つのガスについて考えていった場合、九〇年比二・五%削減をすると、そういうふうに私は伺っております。関係審議会の合同会議の資料、それによりますと、亜酸化窒素あるいはメタンについてはそれぞれ二割カットして、CO2換算で一%の削減になっている、さらに非エネルギー起源のCO2については〇・五%増加すると、そういう見通してあります。このことから考えていきますと、エネルギー起源のCO2は、政府の方針どおりでも九〇年比二%を削減しなければいけないというふうに理解できるわけなんです。
 通産省は六月に改定予定の長期エネルギー需給見通し、それでは政府の当面の方針に従って考えていきますと、最低限CO2が九〇年比二%削減できるような見通しにならなければいけないということになるわけですけれども、要するに、見通しの中でこの二%削減ということについてどういうふうに考えているか考えてないか、その辺のことをちょっとお願いいたします。
#51
○政府委員(並木徹君) お答え申し上げます。
 今、加藤委員から御指摘いただきましたように、昨年の十一月でございますけれども、COP3に先立ちまして、三つのガスにつきましての具体的な対策について御審議いただいたわけでございます。先ほど大臣の方から御説明申し上げましたように、エネルギーの需給という観点からは大変厳しい状況でございまして、エネルギー起源のCO2につきましては、最大限のさまざまな努力を行いましても、九〇年に比べましておおむね横ばいとするというのがぎりぎりという方向の結論でございましたけれども、それに加えまして、現段階では予測できないような技術革新というものをさらに助長し、さらにさまざまな現時点では予想できませんような今後の産業構造の変化、あるいは消費におきます変化というものを見込みまして二%というものを実現しようと、こういうことになっておるわけでございます。現在そういう方向で、先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、省エネ法の抜本的改正等々の対策を今検討しておるところでございます。
#52
○加藤修一君 要するに、CO2九〇年比二%削減については、その見通しの中にきちっと盛り込んで考えていくという理解でよろしいんですね。
#53
○政府委員(並木徹君) 今申し上げておりますように、現在想定されます技術、あるいは現在想定されておりますような需給の状況におきましては、九〇年比横ばいというのがぎりぎりの対策ということでございますけれども、さらなる努力を含めて二%ということの実現というものを想定に置いていきたい、こういうことでございます。
#54
○加藤修一君 その辺についてはわかりました。
 それでは次に、地球環境問題として九つの大きな課題があるわけですけれども、それだけに限らず、有害な化学物質、とりわけ最近巷間さまざまな形で取り上げられておりますいわゆる環境ホルモンの関係なわけでございます。
 これについて通産大臣の御答弁をいただきたいわけですけれども、環境ホルモンについての認識と取り組み、それから各省庁との連携についてどのような見解、御認識をお持ちでしょうか。
#55
○国務大臣(堀内光雄君) 加藤委員の環境ホルモン問題、私は弱い方の問題でございまして、技術的には事務方の方から後ほど御説明申し上げますが、私の方は決意を申し上げるということで御勘弁を賜りたいと思います。
 多くの科学的不確実性というものがまだ環境ホルモン問題については指摘をされているんではありますが、国民の健康あるいは環境に重大な影響を及ぼし得る問題だというふうに受けとめておりまして、通産省としても早急に取り組むべき課題だと認識をいたしております。
 この問題につきましては、従来から国際的な枠組みの中で試験法の開発等、積極的に取り組んでいるところでありまして、今後もこうした枠組みに積極的に参加をするとともに科学的知見の収集に努めてまいりまして、関係各省庁と緊密に連携をとりながら対応を進めてまいりたいと思います。
 それ以上の問題につきましては、事務方の方から御説明を申し上げます。
#56
○政府委員(作田頴治君) 環境ホルモン、いわゆるエンドクリンと通称言われておりますけれども、ある特定の化学物質がいわゆるホルモン類似の作用をもたらすのではないかというようなことが実は問題になっておりまして、平成八年でございますが、「奪われし未来」という本がアメリカから出まして、ここで大変大きく取り上げられたものでございます。
 今、大臣からお話しございましたように、この環境ホルモン問題は科学的にはまだまだ未解明の点がございます。しかしながら、人体の生殖その他に影響するような可能性も指摘されておりますので、政府部内におきましては、これらの問題物質につきまして早急に各国から情報を収集し、またこれらの物質の影響する疫学的な作用、あるいはまたこういった影響を持ち得る物質が一体どの程度あるのか、それをどうやってスクリーニングしていくのか、こういった問題につきまして鋭意関係省庁とも協調しながら各般の施策を進めてまいりたいと思っているところでございます。
#57
○加藤修一君 先ほど大臣の答弁の中にあったわけですけれども、各省庁との緊密な連携ということに関してなんですが、従来から、ほかのプロジェクトについてもそうなんですけれども、例えばGISの関係を考えてみますと、いわゆる地理情報システム、これは各省庁ほとんどが予算をもらってやっているわけなんです。連携の中身がどうも私はよくわからない。同じことをやる場合に、各省庁がどうして縦割り的な形でやらざるを得ないのかというところが理解できないわけですけれども、緊密という意味の中身を知りたいんです。
 特に環境ホルモンに関して言えば、同じ名前の委員の方が、水産庁とかあるいは通産省あるいは環境庁ですか、それぞれの検討委員会とかそういった中に入っていて、出てくる意見はほとんど同じだと思うんです。基礎的な研究、検討については何も一緒にやっていいように私は思うんですが、それは見方を変えれば税金のむだな使い方の一つかなという感覚でいるわけですけれども、この辺についてどうでしょうか。
#58
○政府委員(作田頴治君) 環境ホルモンに関しましては、関係省庁は多うございます。特に、例えば厚生省としては主として人体影響の視点から、また労働省といたしましては主として労働者の保護の観点から、そして環境庁といたしましては主として環境保全への観点から、そしてまた農林水産省は主として農薬使用の観点から実はこの問題に関連がございます。
 こういった関係する省庁が多うございますので、実は平成九年一月に、事務局は環境庁でございますが、政府部内といたしまして、関係省庁で内分泌攪乱物質問題情報交換会、こういった横割りの組織を設けております。この場を通じまして、関係省庁とも十分に連絡をとりながらこの問題に対処しているということでございます。
 それからもう一つ、こういった問題に対して、影響評価とか調査等につきましては、例えば平成十年度、現在要求しておりますけれども、科学技術庁に科学技術振興調整費がございます。こういった調整費を使いまして、例えばエンドクリン、環境ホルモンがどのような物質なのか選別するという意味でのスクリーニング用の試験方法とか、あるいはまたその計測技術の確立のための調査研究、こういったものを科学技術振興調整費の中でお願いしよう、こういうふうに考えておりまして、こういった意味で関係省庁と十分連絡をとりながら進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
#59
○加藤修一君 この問題については別の機会にまたやりたいと思います。
 それでは、環境ホルモンの一種であると言われているダイオキシン類、ダイオキシン類とは一体どういう中身になっているかということについて、厚生省、お願いいたします。
#60
○説明員(黒川達夫君) お答え申し上げます。
 お尋ねのダイオキシン類の定義ですが、一般的にはポリ塩化ジベンゾパラジオキシン、PCDDと言われておりますが、七十五種類、及びポリ塩化ジベンゾフラン、PCDFと言われておりますけれども、百三十五種類、合計二百十種類の化合物の総称とされております。
#61
○加藤修一君 ありがとうございます。
 それでは次に、文部省にお尋ねしたいんですけれども、学校給食に食器は当然使われているわけですけれども、最近の新聞の報道によりますと、抗菌剤入りの子供用の食器から基準を超す化学物質が発見されていた、それもその食器はビスフェノールAが基準を超えるような形で検出されたという新聞報道がございます。
 一方、学校給食についてはいろいろな材質の食器が使われているわけですけれども、ポリカーボネート製のものもあると。これについては原料の一つがビスフェノールA、このビスフェノールAというのはある意味では有害な化学物質になるわけですけれども、このポリカーボネート製の食器の学校での使われ方、今はどのくらいの割合になっていますか。
#62
○説明員(佐々木順司君) 学校給食で使用されております食器のうち、ポリカーボネートでございますが、平成六年度に私どもが全国の学校給食を行っております公立小中学校を対象といたしまして調査をした結果によりますと、小学校二万三千四百九十七校中三千八百五十一校、一六・四%、中学校七千七百三十八校中千三百八十九校、一八・〇%、合計で三万一千二百三十五校中五千二百四十校、一六・八%、こういう結果になっておるところでございます。
#63
○加藤修一君 このビスフェノールAというのが環境ホルモンの疑いが強いわけですけれども、どう対処するかという話なんです。
 例えば学校給食法の第二条におきましては、第一号、「日常生活における食事について、正しい理解と」云々と、それから第三号については、「食生活の合理化、栄養の改善及び健康の増進を図る」と、そういうふうになっているわけですけれども、こういった点から考えて、文部省はこの辺についてどのような見解をお持ちでしょうか。
#64
○説明員(佐々木順司君) 学校給食で使用いたします食器につきましては、児童生徒の望ましい食習慣の形成に資するということで、料理形態に即した食器の使用がなされるよう努めているところでございます。
 先ほど先生御紹介ございました学校給食法におきましては、目的のところにそういう規定があるわけでございますが、どのような材質の食器を使用するかについての規定はございませんで、各学校でどのような食器を使用するかにつきましては、食品衛生法の基準を満たしているものについて、実施者でございます主に市町村教育委員会が地域の実情などに応じまして判断されていくべきものというふうに考えているところでございます。
#65
○加藤修一君 いわゆる環境ホルモン溶出性の食器だという理解が広がっているわけですけれども、これについては重大な関心を文部省は持つべきだと私は思いますし、場合によっては使用を規制していくという考え方も成り立つと思うんですけれども、この辺についての関心はお持ちなんですか、どうでしょうか。環境ホルモンが溶出する食器についてはどうでしょうか。
#66
○説明員(佐々木順司君) 環境ホルモンの問題につきましては、先ほど通産省の方から具体的なお話がございましたように、現在特に食器に関しましては厚生省と関係省庁におきまして調査研究が進められておるというふうに承知をいたしておりまして、子供が毎日使うものでございますから、私ども、こういう省庁と密接に連携をとりまして、情報を収集しながら適切な対応をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
#67
○加藤修一君 それでは環境庁にお願いしたいんですけれども、プラスチック容器の再使用モデル事業というのがございますけれども、これについて実は再使用モデル事業の対象となっているものが環境ホルモンを溶出するということになっていて、新聞の記事を見ていく限りにおいてはその事業が中断になったと。それについて環境庁が「リユース・モデル事業に係る朝日新聞の記事について」ということで、記者会見だと思いますけれども出しております。これについて御説明いただけますか。
#68
○説明員(小島敏郎君) 環境庁におきましては、環境への負荷が少ない循環を基調とする経済社会システムを構築するというような観点で、廃棄物リサイクル対策について、廃棄物の発生の抑制をまず考え、次にリユースを考える、さらにリサイクルをしていただきまして、どうしても発生する廃棄物については適正に処理をしていただくという考えを明らかにしております。このうち使用済み製品の再使用、いわゆるリユースにつきまして余り進んでおりませんので、この対策を進めたいと思いまして先生御指摘の事業をしているところでございます。
 平成八年度に、リユースシステムのプラスチック容器の素材として軽くて耐女性の高いポリカーボネート製容器について検討を始めました。この容器はドイツでもリユースに使われているものでございますけれども、容器の価格がPETボトルの倍近いということで市場に乗りにくいという問題のほか、平成九年度にはこの主原料でありますビスフェノールAが環境ホルモン物質ではないかという御指摘がありましたので、ビスフェノールAの溶出試験を実施いたしました、その結果、検出値はすべて食品衛生法で定められております基準をクリアしてはおりますが、リユースという関係上何回も使うということで洗浄試験を行いまして、その回数がふえるごとにすべてのサンプル容器からビスフェノールAが検出をされるという結果になっております。再度申しますが、検出値は食品衛生法の基準値の十分の一以下ということでありましたけれども、検出はされていると、こういう状況でございました。
 これらを踏まえまして、平成十年度におきましては、ポリカーボネート製容器についてリユース容器として適切かどうか、安全性、経済性の問題を含めましてさらに情報収集を続けたいと思っておりますが、それとともに、既存のガラス瓶のリユースシステムを活用してガラス瓶についてのリユースの調査をしたい、これらを総合的に判断いたしまして、国民に受け入れられる、あるいは適切に機能し得るリユースシステムを考えたいというふうに考えております。そういう意味で、現在まだ検討の途中ということでございます。
#69
○加藤修一君 今の御説明を伺っている範囲では、要するにPC、ポリカーボネート製の容器についてでございますけれども、安全性、さらに経済性の問題もありますが、それについてさらに情報収集をしなければいけないということを考えていきますと、確実に安全性が保障されたとは言い切れないという側面があるようであります。このプラスチック容器を五十回、百回と洗浄していきますとそういった環境ホルモンが溶出する。〇・一八ppmという話もありますけれども、要するに食品衛生上問題ではないというふうなわけですが、学校の給食において数百回洗うと、そういうことなどを考えていきますと、日常的に随分と溶出しているということが考えられるわけでございます。
 再度文部省にお聞きしたいんですが、こういった状況があるわけですけれども、この辺についての見解をお伺いしたいと思います。
#70
○説明員(佐々木順司君) 先ほども御説明をしたところでございますけれども、この問題につきましては厚生省初め関係各省で種々調査研究が進められておるところでございます。ということで、私どもといたしましては、そういう関係の調査結果、研究結果につきまして十分に注意を払いながら、関係省庁と連携をしながら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
#71
○加藤修一君 それでは厚生省にお願いしたいんですけれども、ビスフェノールAについては厚生省が食品衛生法の食品添加物の規格基準、その中で材質試験あるいは溶出試験、その基準値を定めていますが、これについて簡単に御説明いただけますか。
#72
○説明員(黒川達夫君) 御説明申し上げます。
 食品衛生法の第十一条におきまして、公衆衛生の見地から、器具、容器包装等に関しまして基準を定めることができる旨規定がございます。
#73
○加藤修一君 ビスフェノールAについては、環境ホルモンの疑いがあるということの一つの理由として、二・二から五ppb、いわゆるppbはppmの千分の一の小ささという理解でいいと思うわけですが、日本の基準の千分の一のレベルで、実験に使用しているがん細胞それ自体ですけれども、それ自体が増殖し始めるというそういう実験結果があるわけです。こういうことについては厚生省はどういうふうに認識いたしますか。
#74
○説明員(黒川達夫君) 御指摘のビスフェノールAでございますけれども、これは一連の内分泌攪乱物質の中の一つでございまして、ヒトヘの健康の影響については、現在国際的に見ても、国際的な枠組みの中でヒトに対する健康影響の有無や種類、程度などについて努力が行われておる、科学的な調査研究が進められておるところと承知しております。私どもも努力しておるところと存じ上げています。
 それから、前の問いに対しましての読み違いがございまして御訂正をお願いいたしたいのでございますが、十一条ではなく、十条でございました。申しわけございません。
#75
○加藤修一君 食品衛生法には表示義務というのがありますけれども、環境ホルモンの有無であるとかそういう表示とかは、それは拙速な話なわけですが、将来的に何らかの表示をして注意を喚起する、そういったことも検討に入れて今後やるというお考えはないでしょうか。
#76
○説明員(黒川達夫君) お答え申し上げます。
 ポリカーボネート樹脂から溶出するビスフェノールAなどの内分泌攪乱化学物質によって国民の健康確保に支障が生じる、このようなことを示す科学的なデータが仮に報告された場合でございますけれども、食品衛生調査会の意見を伺いまして、その健康影響の種類や程度について適正に評価をしていただき対策を講じてまいりたい、このように考えております。
#77
○加藤修一君 それでは通産省にお伺いしたいんですけれども、家庭用品品質表示法、それについてお伺いしたいわけです。その中で、合成樹脂加工品の品質の表示規定、いわゆるプラスチックですが、その容器について表示する項目も決めているわけですけれども、合成樹脂の種類とか、あるいは耐熱温度、耐冷温度、あるいは容量、取扱注意事項となっております。
 耐熱温度、これについて考えていきますと、環境ホルモンの溶出ということについては当時の法律の中では当然考慮されていないわけです。こういうことについては、やはり法律が生まれたときの状況とかなり違っている、そういったことを考えていきますと、この辺の表示法についても十分検討に値する部分があるのではないか、そのように考えているわけですけれども、この辺についての御見解はどうでしょうか。
#78
○政府委員(岩田満泰君) 御指摘のように、家庭用品品質表示法では、一般の消費者の利益の保護のために、家庭用品の成分、性能、用途など品質に関する一定の事項につきまして表示を義務づけておるわけでございまして、合成樹脂の食器につきましても、既に同法に基づきまして原料の樹脂名などの表示が義務づけられておるところでございます。
 問題の環境ホルモンということでございますが、これまでいろいろと御答弁ありましたように、現時点では科学的に未解明な問題がございます。関係省庁は今積極的に取り組みをされているという御答弁があったわけでございますが、そうした取り組みの中で今後の科学的な知見の蓄積が必要なのではないかと考えております。それらを踏まえまして、家庭用品品質表示法によります規制の是非ということにつきましても今後検討してまいりたい、このように考えております。
#79
○加藤修一君 検討する場合に、私個人としては、非常に現状というのは厳しいという理解なわけなんです。
 それで、昨年の五月、マイアミで環境関連大臣のサミットが行われたわけですけれども、その中でもこの環境ホルモンが取り上げられています。要するに、子供が非常にこういう環境ホルモンに対しては弱いというふうに言われておりまして、環境基準についても子供に合わせた環境基準をつくらなければいけないとか、あるいは国連の子どもの権利条約、これは日本も批准しておりますけれども、これの中にも、いわゆる有害な化学物質についてはやはり子供を対象にした形での基準をつくっていかなければいけない、そういうふうに言われているわけです。それから、先ほど来の答弁の中にもありましたけれども、因果関係、確かにこれは因果関係を突き詰めたときにはもう既に遅しという状況のときもあるわけです。
 因果関係とか疫学的にきちっと決めていくというのは、それは科学的なアプローチとしては非常に大切なことなわけですけれども、ただ、一九九二年のリオ・サミットにおいて日本も合意して宣言しているわけです。その中で二十八の原則があって、第十五番目の予防原則についてはどういうふうに言っているかといいますと、「環境を保護するため、予防的方策は、各国により、その能力に応じて広く適用されなければならない。深刻な、あるいは不可逆的な被害のおそれがある場合には、完全な科学的確実性の欠如が、」、科学的にきちっと明確になっていなくてもという理解でいいと思うんですけれども、「環境悪化を防止するための費用対効果の大きな対策を延期する」、明確な対策をとらなくてもいいということにはなりませんよ、「理由として使われてはならない。」と。完全な科学的確実性の欠如が対策を延期する理由として使われてはならないと。
 これについて我が国政府も合意しているわけですけれども、こういった観点から考えていった場合、今の環境ホルモンについての取り扱い方、認識の仕方、あるいはそれにかかわるような昔使われていた法律それ自体を変えていかなければいけないという、そういった視点も出るように思うんですが、こういう予防原則という観点から見た場合、どういうふうに今対処しなければいけないか、法律の改正とか修正も含めて、その辺はどういうふうに政府としては見解をお持ちでしょうか。こういうことについての統一見解というのは、これはありますか。
#80
○政府委員(並木徹君) 委員御指摘のとおり、マイアミにおきまして各国間の合意があったわけでもございますし、その実行につきまして、今委員から御指摘がありましたように、予防の原則ということも十分考えつつということでございますが、御案内のとおり、この点につきましては、先ほど来関係各省において御説明申し上げておりますように、そういった緊急性にもかんがみ、いろんな調査、対応ということを全省的に取り組んでおるところでもございますし、また、これにつきましても、OECD等の国際的な枠組みにおきましてもそういった対応等について検討をしておるところでございまして、鋭意そういった方向での検討を進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
#81
○加藤修一君 もう少し理解のいくような答弁をお願いしたかったんですけれども、質問通告の中に言っていたつもりだったんですけれども、ちょっと行き違いがあったように思いますので、別の機会にそれについては詳しく御答弁をいただきたいと思います。
 それで、時間がございませんのでちょっと質問をスキップいたします。大臣にお願いしたいわけですけれども、有害化学物質、これはもう相当年聞生産されていますし、あるいは先ほど来お話し申し上げております環境ホルモンの影響、そういった取り組みというのは非常に今後とも大事になってくると思うんです。ただ、今までこれにかかわるような形での政策も当然ある。いわゆる国際協力の中でPOPsの関係とか、あるいはPRTRの関係とか、あるいは日本で最近やられておりますGIS、この中には工場の場所をきちっと設定し得るような、そういうGISの組み方ということも考えられますし、それからライフサイクルアセスメント、そういった点もこれから環境ホルモンを考えていく場合には重要だと私は思っているんです。
 こういったことについて、これを踏まえた形で、今後環境ホルモンに対してどういうふうに取り組みをなされるかということについてお尋ね申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
#82
○国務大臣(堀内光雄君) ただいまの御質問に対しましては、通産省といたしましては、化学物質による健康だとかあるいは環境に対するリスク、こういうものを、その製造から廃棄にわたるまで、そういうライフサイクル全般にわたって適切に管理することが重要だと思っております。
 こうした観点に立ちまして、化学物質の総合管理施策の一層の推進を図るために、そのあり方について、現在、化学品審議会において検討をしていただいているところでございます。
 環境ホルモン問題につきましても、化学物質の総合管理施策の一環として、国際的枠組みに積極的に参加するとともに、科学的知見の収集に努めて対応を進めてまいりたいと思います。
#83
○加藤修一君 終わります。
#84
○委員長(吉村剛太郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時五分まで休憩いたします。
   午後零時八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五分開会
#85
○委員長(吉村剛太郎君) ただいまから経済・産業委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査を議題とし、通商産業行政の基本施策に関する件及び経済計画等の基本施策に関する件等について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#86
○梶原敬義君 私は、最初の所信表明演説に対する質問でありますし、また時間も余りありませんから、きょうはちょっと大きな話をしたいと思います。
 最初に経企庁の方にお尋ねしますけれども、天気予報は最近は本当によく当たり出したんです。もうほとんどよく当たる。それに比べまして経企庁の経済予測というのはどうもちぐはぐで、だから大臣、一体どこに原因があるのか、率直に悪いことは悪いと言うだけじゃなくて、ではどう直せばいいのか、そういう点も一番気になるところでありまして、お尋ねをしたいと思います。
#87
○国務大臣(尾身幸次君) 私ども、経済についての判断は、そのときの状況に応じまして、できるだけ公平かつ客観的に行っているつもりでございます。景気、経済は生き物でございまして、判断が時々刻々と変わることがございます。
 したがいまして、変わらぬことをもって当たらないという御批判をいただくのならば、それは毎月毎月表現も変えておりますし、経済の実態に応じてそのときの判断を変えているわけでございますから、それは変わっているわけでございます。しかし、判断が間違っているという御批判については、私どもとしてはその時々刻々の判断はできるだけ正しいものをと心がけているわけでございまして、梶原委員の意見とはやや意見を異にしているということでございます。
#88
○梶原敬義君 大臣が言われる気持ちはよくわかりますが、しかし大体大臣、ずっと日本じゅうを歩いたり、いろんな人の話を聞いたら、やっぱり皆さんそうは言わないんです。見通しというのはあくまで見通したといえばそれまでかもわかりませんけれども、事業をするにしても何をするにしても見通しを立ててやるわけですから、この見通しが狂うということは、いやそれはああいう条件が入ったから狂ったんだでは済まない。やっぱり結果が問題ですから。私は素直に弱点は弱点として受けとめていただきたいと思います。
 それで、戦国時代なら戦国時代に戦争をするときに、こっちの道に兵を動かすか、こっちの道に動かすかという分かれ道に来たときに、入った情報を見て、こっちの方へ行けば敵はおらぬ、こっちへ行ったら全滅になる、これはどっちを選ぶかというときに、やっぱりそれは情報が左右するわけです、道を選ぶのに。
 ところが、大蔵省と経企庁が相談するのか、日銀と一緒に相談するのかわかりませんが、若干楽観視した見方がずっと来まして、橋本総理もそれに引きずられてずっと動いた。しかし、これはどうにもならぬということで急に大きくカーブを切り直した。こういう情報に基づいてトップは判断するわけです。トップの判断が狂えば末端は大変大きく響くわけですから、ここは特に、橋本総理というのは大蔵省やあなた方の情報というのを非常に重視する方ですから、これはよくよく反省をしてもらわなきゃいけない、そのように思うんですよ。まだ何かありますか。
#89
○国務大臣(尾身幸次君) 私自身は就任以来、これは役所の皆さんにも申し上げているところでありますけれども、経済企画庁はいわゆる政治的考慮に動かされて景気判断を違えるようなことがあってはいけない、したがって厳しいときは厳しく、いいときはよく、正確に情報を伝えるのが我々の基本的な責任であるというふうに考えております。
 そういう意味で、私もまだ非才ではございますが、私自身の判断によって表現についても随分と議論をして必要なところは直させておりまして、最終的に決定したものについては私自身がその判断の責任をとるという覚悟でやっております。もとより、人間のやることでございますから百点満点は必ずしもとれないかもしれませんが、私自身は平素そういうふうに心がけているところでございまして、少なくとも私が就任以来、いわゆる政治的な圧力と言うと変でございますが、考慮によって判断を変えるというような可能性は経済企画庁についてはないということで、関係者もそのように理解をしていただいているというふうに考えております。
#90
○梶原敬義君 大臣のそういう姿勢がぜひ全省庁に行き渡るように、そうしなきゃもう経企庁は要らぬということになりますから、しっかりやっていただきたいと思います。
 次に、通産大臣、エネルギーの問題で省エネに関することですが、私は今回の京都会議、COP3以降、省エネ法も今度出てきますし、エネルギー問題に対する国民の取り組み方というのはいやが上にも真剣にやらなきゃならないというそういう方向ですから、非常にいいことだなと思っております。
 私は、CO2問題以前に、恐らく地球の化石燃料、特に石油資源というのは大変厳しい状況が早晩来るのではないか。いや、大したことないよと、こう言われる人が多いんですけれども、ごらんになってください。街を歩いても道を歩いても工場へ行っても全部石油で動いているんです。家庭においてももう石油やガスなんです。昔はまきで飯を炊いておったんです。それが全部特に第二次世界大戦以降というのはそういう状況になりました。恐らく石油資源の三分の一はもう第二次世界大戦以降に掘り尽くされたと、このように言われております。もっと恐らく東南アジアの消費量も上がるでしょうし、急激に消費がふえてくる。新しい油田を開発するといっても、そんなにアラビアのようないい油田はもうない。
 そういうことを考えると、これは私たちの今の生活というのはこれこそバブルじゃないか、石油の上に乗っかった生活というか、物質的に恵まれた経済生活が今できているんじゃないか。ここが本当に底が見えてくるような状況が来た場合というのは大変です。ですから、子孫のことを考えると、本当にエネルギー省資源、特に石油の量というのを子孫に残すために徹底したエネルギーの省資源の方向を指導してもらいたいと思います。いかがでしょうか。
#91
○国務大良(堀内光雄君) 梶原委員のお話のとおり、化石燃料は有限の資源でありますし、これを子孫に残すように省エネを含めて極端に取り組みを進めていかなければいけない、おっしゃるとおりだと存じます。
 ある数字によりますと、石油のこれからの残る数量は四十四年、天然ガスは六十二年、石炭だけが二百三十一年というようなものが出ておりますが、それこそ有限で、期限が大体見通しがもう立ってしまっている。同時に、未確認の埋蔵量というか、そういうものも技術の進歩や新規開発等によって変動するものではありますが、いずれにせよ枯渇性の資源であるということは間違いないと存じます。そういう意味で、将来の対応としては省エネルギーに根本的な取り組みをしていかなければならないと思っております。
 そういう意味合いからCO2の削減については、COP3、京都会議の直後に、総理を本部長とする地球温暖化対策推進本部を内閣に設けまして、橋本総理が本部長となって六%の削減目標の達成に向かって政府一体となって対策を総合的に行っているところでございまして、こういう努力が成果に結びついてくるんではないかと思っております。
 そのために、当省といたしましては、原子力あるいは新エネルギーの開発あるいは利用の促進といったようなエネルギーの供給面の対策、これを着実に実施をするとともに、一方ではエネルギーの需要面の対策をしっかりしなければいけない、いわゆる省エネ法の抜本的改正案を早急に国会に出させていただくということになっているわけでございます。
 また、民生用あるいは運輸部門の使用量というものが非常に大きく増加をいたしてきておりますので、こういうものの増加に対しても取り組みをしっかり行っていかなければならないという意味で、産業ごとの実態をしっかり踏まえつつ取り組みを進めていくように考えております。さらには、代替フロンなども今度の方法によって排出抑制対策等を進めていかなきゃいかぬ。
 今まで申し上げたような大きな民生用、運輸用、産業用を含めてありとあらゆる努力をして、これから考えられないぐらいの革新の技術を取り込んで取り組みましても大体一九九〇年のレベルにようやく行くということであります。それ以上に六%の今度は削減ということでございますので、今申し上げました代替フロンの排出抑制対策あるいは地球温暖化の問題の究極的な解決に向けてそれこそ革新的な技術の開発、この間行われました京都のCOP3の議定書で新たに創設されました共同実施の問題あるいは排出権の取引の問題、クリーン開発メカニズムの具体的な実施方法などを考えて、しっかりとこの六%の削減をしていこうということを考えているわけでございます。
 その中でもやはり通商産業省として一番取り組みをしながら成果を上げていかなければならないのは、今の省エネの問題だというふうに考えております。先生のお話のように、省エネを中心にしっかりと将来に向かっての取り組みをしてまいりたいというふうに思っておりますし、この点については関係各省庁との取り組みをしっかりいたしまして、連携をしながら総合的な取り組みを行ってまいる覚悟でございます。
#92
○梶原敬義君 これは多分朝日新聞だったと思いますが、日米中新世紀、新パワーゲームというので記事が載っておりますが、中国の大慶油田がもう先細りの状況で、一九九三年に中国がもう純輸入国になった、二〇一〇年には石油の輸入量は一億一千万トンに達するだろう、そして海外依存度は三七%になると。こういうことで中国は世界のエネルギーに今目をつけて手を打っていっているようでありますが、私は四十四年ぐらい石油の寿命はあるんじゃないかと、可採量というのは。
 しかし、言われますように、そういうぐらいのことはあるかもしれないけれども、恐らく二〇一〇年とかあるいは二〇二〇年とか、もう前もって何度か石油ショックというか、そういう石油危機というのを繰り返すような状況が恐らく来るだろうと、こう見ておかなきゃならないと思うんです。そういうためにも、省資源は先ほどお聞きしましたし、私も申し上げましたが、あと新エネルギー、家庭に太陽光発電をつけるとか、いろんな風力をやるとか。
 例えばサンフランシスコからずっと中へ入ってみると、風力発電がいっぱいあるんです。あっちこっち外国へ行きますと、そういうように新エネルギーに対して努力しているんです。石油のない日本は目に見えた新エネに対する努力というのはまだ不十分だ。本年度予算案においても伸び率は高くなっているが、それはなぜかというと、元が少ないわけですから伸び率は高くなっております。
 そういう意味で、新エネの開発についてももう一段努力をするように大臣の方で努力をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#93
○国務大臣(堀内光雄君) 御指摘のとおり、予算措置その他において今まで以上の取り組みをしてまいらなければならないと思っておりまして、新規産業の創出などによる将来の経済的な波及効果とCOP3を踏まえた地球温暖化防止の観点からまいりますと、新エネルギーあるいは省エネルギーの普及に向けた対策は極めて重要になってまいることはもちろんであります。
 そのために、厳しい財政事情の中ではございますが、新エネルギー、省エネルギー関連のエネルギー対策の抜本的強化を図ることといたしまして、新エネルギー対策費としては、前年比百六十八億円増の七百四十八億円を計上させていただいております。また、省エネルギー対策費といたしましては、前年度比二百三億円増でありますところの七百二十一億円を確保してまいりたいということで計上いたしているところでございます。
 具体的には、産業用燃料消費の半分を占めます工業炉の問題、あるいはボイラーの問題、こういうものの比較的な省エネを図るための高性能の工業炉、これはもうことし、十年いっぱいで大体でき上がってまいると思いますが、それに加えて、今度は高性能のボイラーの開発、そして普及の推進、こういうものにしっかり取り組んでまいる予定でございます。また、クリーンエネルギーの自動車を率先して導入する事業者に対します助成を行うことになっております。また、住宅用に太陽光発電の普及措置を図るように努力をいたしてまいります。また、先生のお話のように、風力発電などの新エネルギーの導入促進などを盛り込んだ意欲的な政策を展開いたしていくことになっております。また、平成十年度の予算案に盛り込まれておりますクリーンエネルギーの自動車普及事業については、電気自動車などのクリーンエネルギー自動車の導入者に対する補助を行うほか、燃料供給設備の設置費用、こういうものをガソリンスタンドに設置するときの補助についても行ってまいって、その整備を図っていきたいというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、新エネルギー及び省エネルギーの普及に向けた努力を積み上げてまいりたいと思っております。
#94
○梶原敬義君 ぜひ頑張ってください。
 次に、景気対策というか内需拡大対策で、私は住宅問題をこの前本会議でやりましたが、非常に総理の答弁も一般的で、少し不満が残りました。くどいようですがもう一回申し上げて、二人大臣がおられますから、閣議等で頑張っていただきたいと思います。
 今建てかえ期に至っておる住宅というのは大体千二百万戸。それから、新規需要というか新しく求める数というのは、住宅の駆け込み需要のあったように非常に潜在的なものがあるだろう。さらに、リフォームというんですか、改造、これの希望が非常に多い。何からいろいろ考えてみますと、今景気対策をせよ、あるいは内需を拡大せよ、あるいは公共事業を何兆と、こう持っていっても、これはカンフル注射的ですから、底から力が出てくるような内需拡大対策というのはやっぱり住宅だろうと思うんです。
 なぜ今住宅かというと、日本の住宅の非常に貧弱な状況、例えば民間借家に占める四十平米未満の借家の比率というのは世界で日本は非常に高いんです。借家四十平米未満、日本は四八・四%なんです。ドイツは三二%、フランスは〇・六%、アメリカは〇・〇、ないんです。こういう状況なんです。そういう状況があるということ。そして、逆に住宅を借りたり求めたりする人は、今一番金利が安いし、そして住宅金融公庫あたりが貸してくれる場合は長期に借りられる。非常に有利なんです。そういう時期ですから、狭い住宅で生活するのか、快適な住環境の中で生活するかというのは人の一生の問題ですから、だからこの際住宅金融公庫、あるいは特殊法人の中でこれは民間に全部移すとか、ああいうことをしないで、住宅金融公庫というのをもっと大事に考えて、そして長期の支払いで貸す金額も大きな金額を貸すようにして、そしてもう少し住宅投資の方向に政府が頭を向ける。そしてさらに、向こう三年間は住宅に対する消費税は取らないようにしたらいかがかと思うんです。
 私、若干計算をしてみましたら、自然に推移すれば百三十万はいく。それにプラス年間三十万戸ずつことしも来年も再来年も三年間景気が悪いときに乗せる。こうしますと九十万戸ですから、それは大体安く見て三千万円にしたときは三、九、二十七、二十七兆ぐらい。二十七兆に対して経済波及効果が二・三倍と言っておりますが、土地の関係がありますから一・七倍にしても、この三年間の波及効果を入れますと四十六兆ぐらいになるんです。国内総生産を五百兆とした場合に、九%ぐらいの経済を押し上げる効果があるんです。さらに業種は八百業種かかっておるんだそうです。
 そういう点では、本当に生活する国民が一番助かるわけですから、何とかここをもっと誘導して、住宅に国民の皆さんが投資しても大丈夫だというような形の方向が出せないか。結果的には、波及効果まで入れますと、恐らく経済界が舞いますから政府に入ってくる税収は伸びてくるでしょうし、これはそんなに住宅の消費税をカットしたからその分はもう全部出てしまうんじゃなくて、今度は逆に税収で上がってくる結果になりますから、私はこれはいい相乗効果が出るだろうと思います。
 それから、今のように貿易黒字がどんどんふえている状況の中では恐らくまた経済摩擦に火がついてくる。それで、いろいろ言うでしょう。それに対しても、経済摩擦を解消するためにもこれは一番いいことですから、余り時間ありませんが少しこの議論をしたいと思うんです。両大臣からちょっと聞いて、また重ねて質問したいと思います。
#95
○国務大臣(堀内光雄君) 御指摘のとおり、住宅の内需拡大効果というのは非常に大きいものだというふうに私も認識をいたしております。当然お話しのように、住宅建設によって木材だとか鉄鋼だとかさまざまな原材料を必要とするわけでありますから、これもすそ野の広い意味でも大きく効果がありますし、また家庭電化製品などの買いかえなども促進するということを考えますと、内需の拡大効果というのは決して小さくない、大きいものだというふうに認識をいたしております。
 そういう意味で、住宅投資の促進に関しましては、緊急経済対策において住宅金融公庫の融資の拡充を行ったり、あるいは平成十年度の税制改革では居住用財産の買いかえ特例の要件を大分大きく緩和いたしておりますし、あるいは居住用財産の買いかえの場合の譲渡損失の繰り越しの控除を一年だったものを二年にするとか、いろんな制度を行っているわけであります。そういう意味で、政府も住宅の問題については大変前向きに取り組んでいると思っているわけであります。
 ただ、この後のさらにそれをもう一回りするようにというお話でございますが、消費税の問題とかそのほかの御意見につきましては御高説として承りますが、ここで総理の答弁以上のものはとてもできないような状態でございます。
#96
○国務大臣(尾身幸次君) 住宅問題については、私も梶原委員と全く同意見でございまして、今住宅投資はGDPの四・七%という数字なのでありますけれども、今通産大臣がおっしゃいましたように、それによります家具とか家電製品とかの購買にプラスになるという点を含めますと、実は見かけ以上に波及効果が大きいというふうに考えておりますので、これをぜひ進めたいと考えております。
 それからもう一つ、日本経済全体の問題として居住スペースあるいはオフィススペースを拡大するというのが国民全体のニーズであるというふうに考えております。日本はほかの国と比べまして住宅のスペースが非常に狭い。外国からお客が来ても家に御招待できるようなところになかなか住めないという、そういう実態もありますので、国民の潜在的需要という点から見れば、実を言いますと非常にこれから将来性のある分野であるというふうに考えております。
 したがいまして、住宅建築を政策的に促進することはかなり長い期間にわたっての我が国の経済構造の改革という点からも大変大事だと思っております。その推進策は先ほどのお話のとおり金融とか税制とかがございまして、それぞれ十年度予算でも手当てをしているわけでございますが、さらに農地転用の弾力化の問題あるいは市街化調整区域における開発許可の弾力化の問題等々、現在の土地をもっと有効に使って広い住宅を建てる、あるいは一家が一つの住宅ではなしに二つ目の郊外型住宅も建てる、そういうことも含めまして戦略的にこの部門、ただいまの御意見も伺いながら重点的な経済対策としてもこれから進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#97
○梶原敬義君 もう少し時間がありますから。
 本会議のときの総理の答弁は恐らく大蔵省が書いたんじゃないかと思います。大蔵省の主計局の伝統的な考え方というのは、私も政務次官をしているときに主計官を呼んで大分言ったことがあるんですが、結局、彼らは、住宅に対して何か補助をしたり、あるいは住宅減税をしたりするというのは反対なんです。反対の理由は何かといったら、個人個人が取得するものに国のお金を入れるような形というのは、それは全体から考えると不平等ではないかと、こういう考え方が基本にずっと流れているようなんです。
 ですから、ここは物の考え方の違いで、そういうことを言うたら何でもいっぱいあります。だから、景気にとって、日本の経済にとって何が一番大事かという観点から考えれば、私はそういう結論にならない。
 ですから、篤と両大臣、経済専門の大臣でございますから、恐らく底流に大蔵省の非常に鈍い考え方がありますから、これは閣内で相当程度馬力を出してもらわないと総理答弁の域を出ないんです。ぜひお願いしたい。
 それは、以前は、資金運用部資金に郵便貯金あたりを預託したときの預託金利と、住宅金融公庫が借りた金とそれから私どもに貸した金というのは、こっちの貸した金の金利の方が低いものですから、政府が一般会計から持っていったわけですね。今はもう四千億ぐらい出しておりますけれども、ひところは四千五百億ぐらいになっておったこともあるんです。この部分が、今は逆に国民に貸す金利は三%、預託金利は二・二%、〇・八%金利が取れるわけですよ。だから、今のその時点だけを輪切りにした場合は、そういう利子補給金は要らないんです。しかし、四千億は残っておりますよ。将来はまた逆になるかもわかりません。
 だから、それやこれやを客観的に全部データを集めてみたら、やはり景気対策で住宅に少し金を入れる、あるいは減税をやる、消費税を取らない。それはそこだけ見ると大きいかもわからぬけれども、その波及効果あるいは税収、そういうものを全部見ますと、相当プラスになると思うんです。大蔵省は非常にかたいわけですから、ぜひそういう全体的な見方からひとつ両大臣に頑張っていただきたいと申し上げまして、終わります。
#98
○山下芳生君 昨年の十一月、衆議院の商工委員会で我が党の大森議員が、参議院で私が、フランチャイズ事業、コンビニエンスストアチェーンにおける加盟店オーナーの深刻な実態について紹介をし、行政の対応を求めました。
 実態を改めてかいつまんで報告しますと、店主は早朝から深夜まで一年三百六十五日店に出て、それでも収入はほとんどない。二十四時間営業に必要な人件費を少なくするために家族もみんな店に出なければならなくなって、生活がすれ違いになる、病気になる家族も生まれる。やめようと思っても開店時の多額の借金に縛られてやめることもできない。去るも地獄、残るも地獄で、離婚や自殺者が出ている。本部を相手取った加盟店からの訴訟も全国で多数あります。
 堀内大臣は、そういう状況をお知りになって、昨年のこの場でよく調査をしたいというふうにお答えになりました。それから、公取の取引部長も、適切に対応していきたい、公取が作成したガイドラインの周知徹底が必ずしもできていないというふうにお述べになりました。それぞれその後どう対応されたのかまず御報告をいただきたいと思います。
#99
○国務大臣(堀内光雄君) お話しのとおり、山下先生から昨年御質問をいただきまして、コンビニエンスストアのローソンの加盟店とのトラブルについての問題が非常に重要だということで、調査をしてお答えを申し上げますということを申し上げました。
 早速、調査をさせまして、調査の結果、先生の事務所に御報告を申し上げたという報告を私は聞いております。そして、内容的にはいろいろの立場の違いやそれぞれのこともありますが、中小小売商業振興法上の書面の交付義務だとか説明義務だとかいうものには違反する事実はなかったというふうに聞いております。
 調査とあわせて、山下委員からの御指摘のあったチェーン本部に対しましても、中小小売商業振興法上の義務及び独占禁止法のガイドラインについて改めて当省の方から説明を行ったところでございまして、これを受けて、チェーン本部におきましては本部職員に改めてさらに周知徹底を行ったという旨のこれまた報告をいただいているところでございます。
#100
○政府委員(根來泰周君) 一般的に、御指摘がありましたようにフランチャイズシステムについてのガイドラインの周知徹底ということについては、引き続きフランチャイズシステム本部等々に対しまして周知徹底方をお願いしておるわけでございます。また、個別の問題については、関係人から申告がありまして私どもの方で調査しているところでございますが、概括的に申しますと、申立人と相手方との言い分が相当食い違っておるという実情にございますので、なお慎重に調査しているところでございます。
#101
○山下芳生君 調査をして振興法上は問題なかったという大臣のお答えですが、私が具体的に指摘をした事例の当事者に伺いますと、当事者本人からは中小企業庁、通産省は意見を聞いていないということです。これは間違いございませんか。
#102
○国務大臣(堀内光雄君) 私の受けている報告では、当事者からも事情聴取をしたというふうに承っております。
#103
○政府委員(中村利雄君) 先生御指摘の件につきましては、私ども十一月七日に本部から状況を聞いたわけでございます。その結果、明らかに中小小売商業振興法上の説明義務なり書面開示義務というものを果たしておられるというふうに認められましたので、反対側の当事者の方からは事情を聴取いたしておりません。
#104
○山下芳生君 ですから大臣、当事者から聞いていないんです。私はここにも一つ問題があると思う。小振法上、結果的に書類が整っているかどうかということで見れば確かに整っているでしょう。しかし、問題は、過大な売り上げ予測を示しながら詐欺的な契約の結ばせ方をしているんじゃないか、そういうことがあるんじゃないかということを私は問題提起したわけですから、結ばれた結果の書類だけ見て十分書面が整っているから問題なしとしたのでは、私は問題の本質を十分調査することはできないというふうに言わざるを得ません。しかし、この件はいいんです。私、もっと真剣に取り組んでいただきたい。
 同時に、私が問題提起したのは、一つ一つのコンビニの店主と本部のトラブルについて調べなさいよといったそういう狭い問題提起ではなかったんです。私は、一つ一つの事件やトラブルはたまたま発生しているのではないんだ、コンビニ業界全体の構造的な問題から起こっているんだということを提起させていただいたわけです。その認識が今の答えを聞くと極めて弱い、深刻な事態になっているという認識が余りにも足らないというふうに私は思うんです。
 私は、そういう行政の側の認識の甘さのもとで、新たな事態が発生しているということをきょうまた問題を提起したいと思うんです。
 先日もあるテレビで放映され、全国的にショックを与えた事件ですが、コンビニ大手のサークルK本部による京都の加盟店への契約解除の強要であります。お手元の資料にそれを報じた新聞をお配りしてあります。
 これによりますと、私も当事者から聞きましたけれども、契約解除をお断りしたらコンビニ店の撤去騒動になった。営業停止に追い込まれた店主は、今、住居侵入、器物損壊罪などで告訴、それは受理されているところであります。
  告訴状によると、一月三十日午前零時すぎ、本部の総務部長、総括マネジャーらの指揮で約六十人が店の通用口のかぎを電動カッターで切断して乱入。レジ内の約十万円、商品などを持ち出し、屋外の広告掲示塔、看板などを撤去。駆けつけた署員に制止され、作業を中止した。
そのときのお店のビデオの映像、あるいは奥さんが撮られたビデオの映像の一部がここにも載っておりますが、なだれ込む本部関係者、店内で撤去作業をする本部関係者、それで警察官が駆けつけてこれでみんな帰っていったということであります。
 私も話も聞き、その生々しいビデオを見せていただきましたけれども、本当に異常なやり方ですよ。トラックで乗りつけて、クレーン車まで用意しまして、表にありますコンビニのマーク、これを夜の夜中にクレーン車で撤去作業を始めるというやり方です。それから、夜中になだれ込んで、外側ではお店の周りの照明灯つきの看板も全部はがしていくというやり方であります。
 私は、これは大臣も前回の質疑の中でフランチャイズシステムというのは本部と加盟店が双方にメリットがあるんだ、いわば共存共栄の関係があるべき姿だということをお言いになりました。しかし、私はこれ、いろんなトラブルがあったにせよ、実力行使で契約を解除する、店舗を撤去するというやり方を本部の側がとった、これは共存共栄を掲げるコンビニチェーン本部としては絶対やってはならないことではないかと私は思うんですが、大臣いかがでしょうか。
#105
○国務大臣(堀内光雄君) 今、御意見のございましたとおり、小売業におきますところのフランチャイズチェーンシステムというのは、加盟店である中小小売業者にとっては本部の資源を活用して情報化とか共同化を推進できるというのが大きなメリットになるシステムであります。一方では、本部におきましては、加盟店の資金負担による出店時の投資コストの削減というものができて、急速な多店化方式を展開できるということも可能になりまして、規模のメリットの実現を容易にする、これまた双方にとってプラスになる問題である。この基本的な考え方は私は間違っていないと思っておりますし、また大多数のところがそういうぐあいにうまくいっているのではないかというふうに思っております。
 このブランチャイズチェーンシステムは双方にメリットをもたらすものでありますから、その契約については両者が納得をした上でスタートというものができていなければならないということが一つ。契約をめぐるトラブルについても、両者の信頼関係のもとに話し合いで解決ができるというものでなければならないというふうに、これは基本的な問題だと考えております。
 この御指摘をいただきましたKという問題につきましては、関係の情報を収集しながら関係者の理解に食い違いがあるかどうか、現時点での具体的な事実についてまだ的確なものをもらっておりません。ただ、今までの報告を受けたところでは、相当この店の方の取り扱いに少しむちゃなところがあったというような問題もあるようでございます。ただ、それが夜中に来てつぶしていいという話にはつながらないと思いますが、先ほどお話し申し上げたように、両者の間で話し合いがうまくつかなかったということになるのかもしれませんが、その点の実情については調査をした方から御説明を申し上げるかと思います。
#106
○山下芳生君 もう実情の説明は結構です。
 それで、トラブルが加盟店と本部の間で起こっているのはもう事実であります。しかし、大臣がおっしゃったように、どんなにトラブルがあろうとそれは話し合いで解決をするというのがあるべき姿だと、これは大臣もそうだと思いますが、こういう実力行使というのは本来のあるべき姿からは離れていると私は言わざるを得ないと思うんです。ぜひ調査もして必要な対応をしていただきたいというふうに思います。
 同時に、これは大多数はこんなやり方はしていないであろう、大多数は共存共栄であるはずだと、そうあってほしいと今大臣お言いになりました。私もそうあってほしいと思うんです。しかし、そうあろうとしてもなかなかできない背景が今広がっている、構造的な問題があるということをこれしっかり深刻に認識しないと、この問題というのは例外として起こったんではなくて引き続き起こり得る問題でもあるというふうに私は思うんです。
 その背景は、前回も指摘させていただきましたけれども、一つは資料の二枚目につけてあります、競争の激化による過剰出店であります。
 これは最新の資料ですが、今全国でコンビニの店舗数というのは五万軒を超えました。これは人口二千四百人に一店舗の割合でありまして、三千人に一店舗で飽和状態を迎えたと言われるアメリカをはるかにしのぐ店舗密度です。昨年一年間で出店した数が三千三百七十二、同時に閉店した数が千八百十八、二店出たら一店以上閉店という状況になっている。昨年までの約十年間で廃業率というのは一気に五倍のテンポに引き上がっております。
 その下の表がもう一つ。そういう中でチェーン本部の年商というのはずっとふえているんです。店舗がどんどんふえて、チェーン本部あるいはコンビニ業界全体の売り上げというのは伸び続けております。しかし、一店舗当たりの年商というもの、それから日商というものは、九二年を境にして毎年減っているんです。ですから、本部の側は何とか不況の中でも売り上げを伸ばそうということで店舗展開を精力的にやることによって売り上げを伸ばそうとする。しかし、各加盟店は支店じゃありませんから、独立した事業者ですから、店がいっぱいできればその分競合店が多くなって売り上げが減るという要因にしかほとんどならない状況が今起こっているということです。そして、二店に一店がつぶれていっているわけです。
 こういう問題が実際あって、本部の利益と加盟店の利益が鋭く対立する状況が今生まれている。コンビニの状況というのが新しい曲がり角に来ているということを一つ見るべきではないか。
 もう一つは、情報開示の問題です。
 そういう状況があるわけですから、どういう契約内容なのかしっかりと説明し、閉店をした店舗の経験とかも情報が開示される必要があります。アメリカではそういうことが相当進んでおりますが、日本では残念ながらそのことが極めて不十分だというのは前回も指摘しました。
 きよう、先ほどの事件を起こしたサークルKの社長さんがある雑誌に載っていましてインタビューを受けているのを紹介したいんです。今トラブルがふえておりますという記者のインタビューに対して、記者に「多めの売り上げ予想をオーナーに告げて、いたずらに夢を膨らませるということはないんですか。」というふうに聞かれて、社長さんは「それはあります。これはどこのチェーンにもある。」というふうにお答えになっているんです。私これはなかなか正直にお言いになったというか、しかしそのことに胸を痛めていないというのか、これは深刻だなというふうに思いました。
 こういう状況で過大な売り上げ予測をそのまま平然と各本部がやるというふうになったら、先ほどの背景からすればトラブルが激発をしていかざるを得ないというふうになるんじゃないかと思うわけです。こういう状況の認識、もっと深刻に受けとめる必要があるんじゃないかという点、いかがでしょうか、大臣。
#107
○政府委員(岩田満泰君) コンビニエンスストアの問題でございますが、いずれにいたしましても、先ほど来大臣が御答弁申し上げておりますように、相互の正しい理解というものが前提でございまして、前回も御答弁申し上げましたように、小売商業振興法でもまさに契約の前にもろもろの情報の提供と開示の義務というものを課して、一事業者におなりになる意図をお持ちの方でございますので、そういう情報を得た上でしっかりとした御判断をいただいて契約をしていただくということが基本であるということでございまして、小売商業振興法によってまた私どもとしては対応をいたしておるということでございます。
 またさらに、私どもとしては個別にもろもろのトラブルと申しましょうか、あるいは心配事といいましょうか、そういうものがある場合につきましては、それぞれいろいろなところに相談の窓口のようなものを設けて、そういうものにアドバイスをし、あるいは相談を受け付け、助言を与えるというような仕組みをとって対応してきているところでございます。
#108
○山下芳生君 そういうこれまでの個別の対応等では、事態はこれから大変なことになるよという問題提起を私しているわけです。
 それで、こういうコンビニのトラブルが多発している、店主の深刻な事態が広がっているということについて私は行政の責任も問われているというふうに思うんです。
 第一に、政府は七〇年代からコンビニエンスストアの普及を促進してきたわけです。七二年に中小企業庁はコンビニエンス・ストア・マニュアルをつくられました。これには「流通近代化」、「小規模小売業の効率化、経営安定対策の一つとしてコンビニエンス・ストアに注目しており」、「その普及は大いに促進されるべき」であると、コンビニを政府自身が普及促進してきたんです。これが一点です。
 二つ目に、トラブルが社会的な問題にやはりなりました。そのときに中小企業庁の委託事業として日本フランチャイズチェーン協会が八三年にフランチャイズ事業における紛争に関する調査研究というものをまとめました。これを私読みましたけれども、もう十数年前のものですが、この中には、例えば「紛争の原因の半分は、業績不振」、「大部分は、事前の売上げ予測との不一致が原因である」、「開示が徹底して行なわれておれば、あるいは、紛争の発生を防げたのではないかと思われるものが、かなり含まれている」という記述があります。
 現在でもそのまま当てはまる分析や提言が既に十数年前にされていた。しかも、そういうこともありますから七三年施行されている中小小売商業振興法では、今おっしゃったような事前の契約内容の説明というものが義務づけられておりますけれども、これは一番新しい中小企業施策総覧を見ましても、特定連鎖化事業、フランチャイズ事業の運営の適正化というくだりに、
  フランチャイジーになろうとする者は、小規模事業者が多く、法律知識も十分に持っていないものが多いのが実情であり、その上、一定の加入金、保証金、商標使用料等を支払うこととなるため、これらの契約内容をめぐって我が国でもいくつかの紛争が見受けられるのも事実である。
  このため、中小小売商業振興法は、加盟しようとするものが契約内容を充分理解した上で加盟することができるようにフランチャイザーに対し、契約に係る記載事項を書面で事前に交付し、その記載事項について説明することを義務付けている。
  なお、この規定に従っていないフランチャイザーには通商産業大臣が勧告し、勧告に従わないときは、公表することができる
ということで、そういう勧告、公表することが通産大臣はできるわけです。トラブルも多かった。しかし、こういう勧告や公表はまだいまだに一回もやられたことがないというのが実態です。
 ですから、私は、みずからフランチャイズ・コンビニエンスストアチェーンの普及を促進し、トラブルがあった原因もこういうものだということを知りながら、しかし十分な適切な対応をし切れてこなかったことが今日の事態を招いていると言われても仕方がないと思うんです。これからこれ以上放置しますと、これまでの対応どおりやりますというふうにするとすれば、トラブルがさらにふえざるを得ない状況がありますよということを私は改めて問題提起させていただきたいわけです。
 本当に事態を深刻に認識しないとだめだということなんですが、大臣、最後に一言その点での御感想をお願いしたいと思います。
#109
○政府委員(中村利雄君) 先ほどマニュアルのお話もございましたけれども、実は私どもも、コンビニエンスストアがいろんなところでトラブルが起きている、そういう事例もございましたので、安易にコンビニエンスストアに飛びつくのはいかがなものかということからむしろマニュアルをつくって、こういう問題が起きていますということを周知することが重要であるという趣旨もありまして、そういう勉強を過去にいたしておるわけでございます。
 いずれにしましても、中小小売商業振興法上開示義務があるわけでございますし、独禁法上のガイドラインもあるわけでございまして、これらについては今後とも十分周知徹底しますし、また苦情等があれば先ほどの通産局などを通じましていろいろ指導してまいりたいと考えております。
#110
○国務大臣(堀内光雄君) ただいまの次長からの説明のとおり、前向きに取り組んでまいります。
#111
○山下芳生君 終わります。
#112
○平井卓志君 根來委員長に一つだけお伺いしておきたいと思います。
 これは、出版物の再販制度維持の問題なんです。前の小粥委員長の時代から、相当長期間にわたってこの制度の維持か撤廃かという議論がなされてきたわけです。なかんずく、私はその中心は新聞じゃないかなという感じを持っておるんです。
 今、ちょうど日銀が問題になっておりますけれども、中央銀行日銀の設置が一八八二年。言うなれば、明治二十年前後に日本の新聞の八割以上が創刊されておる。一斉にできたんです。自来、日本の文化を支えた活字文化といいましょうか、新聞の役割というのはこれは否定できない。
 ところが、昨今、御案内のように、すべての規制緩和、撤廃、自由化の波に洗われまして、これも聖域でないということでいろいろな委員会で議論がなされてきたわけです。この規制緩和、撤廃、自由化というのは決して弱肉強食の世界をつくるわけでもなければ、一つの業界を混乱させるためでもないということになってきますと、これは落としどころが私非常に難しいと思うんですが、公取委員長として、お漏らし願えない点もあると思いますけれども、今までの議論、争点、その要点はいったい何だったのか、並びにこの問題に対するあなたの御所見を伺っておきたい、こう思います。
#113
○政府委員(根來泰周君) まず、私どもの公正取引委員会の立場を申し上げますと、私どもは競争政策ということを至上命令にして仕事をしているわけでございます。それから、先生今御指摘のように、最近規制緩和ということが時流といいますか、一つの流れになってきておりまして、規制緩和をしろという声が非常に大きいのでございます。
 そういうことを踏まえまして、私どもの立場から申しますと、やはり独占禁止法の適用除外というのはなるべく少ない方がよかろう、なるべく少なくしていくというのが理想であろうと考えているわけでございます。そういう立場から申しますと、この適用除外の一つでございます著作物の再販制度、これは御指摘の中の新聞紙も入るわけでございますが、そういうものも再販廃止というのがよかろうというような意見を持っているわけであります。
 そこで、私どもの方は、有識者の方々にお願いいたしまして研究会でいろいろ検討いただきました。そして、ことしの一月に研究会としての御意見もちょうだいしたのでございます。これはもう御承知のような話でございまして、研究会の意見も競争政策という立場からいえば再販を廃止するのがよかろうと。しかしながら、今先生が御指摘になりました、これまで新聞、著作物が背負ってきた役割といいますか、そういう点からいって今直ちに廃止するというのはいかがなものかという問題を指摘されているのでございます。
 それから、この新聞紙も含めての話でございますが、要するに著作物の流通過程についていろいろ問題がございます。これは、新聞について言えば景品の問題。これは、景品は禁止されておりますが、ある地域では激烈な景品戦争が行われているわけでございます。そういう弊害も是正すべきではないかという提言をいただいているのでございます。
 ここからは私の個人的な意見になるわけでございますが、そういう問題はこれからまだ委員会でいろいろ検討いたしましてことしの三月末までに結論を得たいと、こういうふうに思っているのでございますが、役所としての公正取引委員会の空気といたしましては、研究会の意見というのが主流であろうと。といいますのは、競争政策の立場からいいますと廃止するのが当然でございますけれども、研究会が言われたように今直ちに廃止するということは極めて大きなクラクションというか、大きな影響があろうかと。そうすると、やはり廃止するのは若干ためらわざるを得ない。ただ、弊害是正ということは何としてもやってもらわなければいけない、こういうことだろうと思います。
#114
○平井卓志君 現状における御答弁は私それでよろしいと思うわけですが、日本の新聞社、大小合わせて六十社余りございますけれども、景品をつけた乱売、拡充戦争というのは、ちょっと私、他国に例を見ないと思うんです。それだけに、再販制度というものを取っ払いますと、これはもう想像を超えたたたき合いになるということを若干危惧しておるわけでございます。
 では、おまえの立場は何だということになりますと、現状においては、委員長が言われましたように、当面この再販制度を維持するのもやむを得ないかなと、私はこう思っております。
 公取委員長もう結構です。
 通産大臣に、これも一問だけですが、非常にお答えになりにくい問題でして、私は、主務官庁ではありませんのであなたにだけこの問題をお聞きするのは若干無理かなと。いずれ予算委員会等々で私なりに議論をしてみたいと思うわけです。
 問題は、既に決着を見たと言われております、対中国に残した日本の化学砲弾の遺棄問題なんです。
 ちょうど三年半ぐらい前に化学兵器の条約批准問題というのが出た。そのときに、日時は明確でございませんけれども、中国政府から申し入れがあった。吉林省の奥のハルバ嶺地区というところに旧日本軍の化学砲弾が約二百万発埋まっておる、調査団を編成して調査に来いと、こういう経過があったわけです。
 聞くところによりますと、調査団を編成したその中身は、団長が外務省のアジア課長であった。あと通産大臣所管の通産省からも参加。これは誘われて行ったのかついでに行ったのか私はわかりません。厚生省も参加。当然のことながら、防衛庁も参加した。
 ここで何が問題かと言いますと、旧日本軍が遺棄した。いいですか、終戦時に日本は無条件降伏した。時の中国大陸で日本軍の残存兵力は百万を超えておったかどうか私は知りませんよ。しかし、相手国は中華民国軍、満州方面は旧ソ連軍ですよ、間にちょっぴり共産軍がいた。それで完全に武装解除になった。艦艇、弾薬、糧秣も全部ですよ。そのときの駆逐艦なんというのは、これはその後ですぐ中華民国の艦艇の旗艦になった。つまり、全面的に武装解除です、召し上げた。そういうときに、法律用語で、そういう諸般の物品が所有権が移転したのか、向こうの管理下に置かれたというのか、完全に占有権が移ったというのか、その表現の仕方は私はわかりませんが、一つ明確なことは、日本軍の管理統制、所有から離れたという事実が一つ。
 そこへ、二百万発埋まっておるから見に来い、どうもガスが漏れておる、近隣の住民が頭痛がすると。慌てて今言ったような編成で調査団が行った。これは一回ではありませんよ。自後、外務省を中心にどういう交渉が行われたかは私は存じません。結果、昨年、推定約七十万発というのでけりがついた。その処理は、腐食している化学砲弾を日本に持っていって処理はできぬでしょう、ならば我が国の国内でやるしかない、資金と技術を援助しなさい、こういうことであったと思う。
 私が問題にしておるのは、日本軍が遺棄したと言われて、国益に立って交渉する日本政府、外務省が全く反論しなかったのか。大勢の調査団が行って何を調査したのか。遺棄したのは相手国ですよ。私は、この議論が通るか通らないかは別問題なんです。国益を代表しているのなら、そのことを強力に主張したか。主張した気配が全くない。結果は、二百万発と言われたのが七十万発に値切ったんだと、正確にそう言ったかどうかは知りませんが、そういうムードなんです。
 ある専門家に言わせると、この砲弾処理には本当に七十万発なら十年から十五年かかる。費用は一兆を超すんです。まだ陰の話がある。今の対中国の円借款残高は何ぼだ。一兆一千億と言われている。その陰の声は、これでちょうどツーペイだと。私はそのことも非難しませんよ。遺棄したと言われたのを黙って引き下がったのか。あくまでも旧日本車が遺棄したのではないという強力な主張をなぜだれもしなかったのか。この一点。
 いま一つは、これも専門家が調べればわかることですが、旧日本軍が当時所有しておった砲弾を撃つには大砲が要るんです。一番大きいのは野戦重砲だ、最後は山砲ですよ。千三百門ないし千五百門と推定される砲門が、大砲一つ当たり一千発の砲弾を持っておっても百三十万ないし百五十万発にしかならない。向こうの言い分を丸のみにすれば、日本の持っておった砲弾は全部化学砲弾なのか、そんなばかなことはない。そんな百年も二百年も前の話じゃないので、日本の師団編制を調べれば当時の残留軍の砲門の数なんかすぐわかる。
 そういう主張もしたのか。だれからも返事がない。交渉が終わったことは仕方がないじゃないんです。私は、そういう交渉過程を見れば、やはり対中国問題というのは、国益がかかっておるのに想像を超えて腰が引けてやしないか、全く主張が足りないのじゃないか。私は結果を言っているんじゃないんですよ、余りにもおかしい。
 大臣、これは理屈じゃなくて、国益国益と言いますけれども、国益とは何だと問われたら、これは本来は国民一人一人に還元されるべきものを国の形として集大成したものが国益でしょう。使うのは国民の税金ですよ。これは考えようによっては外交問題は今後も続きますよ。私は中国を非難しているんじゃない。近隣の大国といかにうまくやっていくかということを考えた場合に、何かを与え続けなければならぬ、便宜を与え続けなければ外交がうまくいかぬというのであれば、これは外交の出発点が違っているんですよ。
 また、もう一つ言えば、残念なことに与野党ほとんどの人がこの問題に触れない。それだけじゃないんです。言いにくいことを言えばどこの報道機関もこの問題を問題にしない。私はある報道機関の大先輩に聞いたんです。おかしいじゃないかと言ったら、君は本当の姿を知らぬ、それを問題提起すれば北京支局は退去だよ、中国の国益に反する。私は中国を非難する点は一かけらもないと思う。あれだけの大国ですから、それは白髪三千丈の国ですよ、大変な国際戦略を持っている。言ってきたことをうのみにする方が悪い。きちっと筋を立てて反論して、これなれば仕方がないという結論でなければ、血税を突っ込む方がおかしいですよ。全くなされていない。
 これは通産大臣に所見を求めても、非常に難しい問題で広範にわたる。資料を持って一から十までやればこれは二時間かかるんですよ。だれもおやりにならぬから、これはやむを得ない、私が一度予算委員会でやろうかなと。残念ながら弱小政党でありまして、時間が足りないのでちょっぴりきょう私なりの意見を申し上げた。
 御感想があれば一言どうですか。
#115
○国務大臣(堀内光雄君) ただいまの平井委員のお話は非常に傾聴に値することだと存じまして、よく承りました。
 昨年の八月二十六日の閣議におきまして、この問題については政府全体で取り組んでいく必要があるという認識から、内閣に遺棄化学兵器処理対策連絡調整会議というものが設置をされておりまして、通産省もその一員になっておりますので、この会議の中でひとつ発言をさせていただこうかと思います。
#116
○平井卓志君 もう結構です。
#117
○水野誠一君 新党さきがけの水野でございます。
 きょうはまず経済企画庁に御質問を申し上げたいと思います。
 実は私は存じ上げなかったんですが、経済企画庁の中に景気基準日付検討委員会という研究会があるということを知りました。これはどういう内容の組織なのか、簡単に御説明をいただきたいと思います。
#118
○政府委員(新保生二君) お答えいたします。
 景気基準日付検討委員会という名前がついておりますけれども、これは法律に基づいたような制度的な委員会ではなくて、私、調査局長の私的な研究会ということであります。目的は、景気動向指数のパフォーマンスとか、景気の山谷のタイミングを統計的、学術的見地から検討して調査局長にアドバイスをいただく、そういう性格の委員会でありまして、学識経験者と名から構成されておりまして、景気動向指数についてどう見るかということについてフリーディスカッションを行う、そういう研究会であります。
#119
○水野誠一君 実は、その委員会の存在を知りましたのはある新聞記事でございまして、三月一日の毎日新聞、それから三月四日の日経新聞に、この七名の委員からの事情をいろいろ聞いていく中で、大変経企庁に対して不信感を持っておられるという、こういう記事がありました。
 それはどういうことかというと、五月に景気の山をつけた可能性が極めて高いということが話し合われていたにもかかわらず、当局の方は、景気の山谷の議論というのは一切なかったというふうに説明をしているということであります。こういった景気の山を越えたということがもしこの委員会の中で話し合われていたとすれば、これは非常に日本の景況を判断する上で重要な情報になったのではないだろうかということから、どうもこの景気後退判断というものを経企庁が隠ぺいしていたのではないかと、こういう記事があるわけであります。
 この記事の事実関係についてお尋ねをしたいと思いますが、いかがなんでしょうか。
#120
○政府委員(新保生二君) 毎日それから日経新聞に出た記事は内容を若干不正確に伝えている点がありますので、私の方から正確な点をお話ししたいと思うんです。
 十二月十一日の研究会では、前半で景気情勢全般をどう見るかということを議論しまして、それで後半では景気動向指数についてそのパフォーマンスがどうかという議論を中心にやりました。したがって、その時点では景気の山谷をつけるべきかつけざるべきかという議論は議題になっておりませんで、そういう山がついたかつかないとかという議論を直接やるために開いたものではございません。
 その理由は、一つは、十二月十一日に開催した時点では、景気動向指数の中の一致指数というのが一番重要でありまして、これが五〇を切るというのが数カ月にわたって起きるような状況になると、これは山をつけなきゃいかぬという議論になってくるわけですが、十二月十一日の時点で一番最新の数字は九月の景気動向指数でありました。九月の景気動向指数は六〇ということで五〇を超えておりましたから、少なくとも連続して五〇を切るような状況でなかったということで議題にならなかったというのが第一点。
 それから、実は正式に山谷を決めるためには、ちょっとテクニカルになりますが、景気動向指数のヒストリカルシリーズというのがあるんです、これで山を機械的につけられるかつけられないかというのを事後的に判断するんですが、そのためには最低限七、八カ月のラグが生じるわけです。したがって、十一のうち幾つかのものは確かに山がつけられるものもありましたけれども、まだデータが不十分だということで山がつけられない指数の方が過半、半分以上でございましたので、少なくとも委員の間で景気の見方について議論はありましたけれども、山をつけるべきかつけざるべきかというのは最初から議題になっておりませんでしたから、そういう議論には入っていかなかったということであります。そこら辺が正確に伝わっていないというふうに思っております。
#121
○水野誠一君 この記事によると、七人の委員のうち四人が山をづけたという、この議論もあったし、なぜうそまでついて我々の見解を隠すのかということで経企庁に対する不信感を募らせていると、こういう表現もあるわけであります。
 この事実関係は今の御説明からいくと必ずしも正確ではないのかもしれないんですが、なぜ私がこんなことをお尋ねするかと申し上げますと、昨年の四月以降、景況判断、景況分析の中で、経企庁は緩やかな回復とか足踏み状態とかいろいろな表現を使われて分析をされてきた。しかし、その判断自体がどうも必ずしも正確ではないんじゃないだろうかということで、大分国民の間でもいろいろな議論を呼んだわけであります。
 この景気判断、とりわけ経企庁が出す景気判断というものが我が国の経済政策全般を検討する上で非常に重要な基礎になるということはもう火を見るより明らかなわけでありますが、最近の株価とかあるいは為替の動きを見ていても、複雑なさまざまな要素が作用し合っていっている。つまり、最近の言葉で言えば複雑系の時代、まさに近代経済学の理論ではなかなか景気を判断しにくい、こういう時代になってきているということでありました。それであるがゆえに、こうした市場の細微な動きの正確な把握が重要だということが言えると思います。そういう意味では、今現在の政府の景況判断というものはどうも後手後手に回りがちである。あるいは正確さを欠いているのではないかという指摘がおのずから出てくるわけです。
 こういう中で、マスコミにも言われているのは、今景気後退を認めると政府の政策判断の誤りを認めることになるんだということで、これはまずいと判断をしたのではないかと、こんなふうにまで言われてしまうということは大変深刻な問題ではないかと思います。
 そこで、我々見てまいりますと、一つは従来のマクロ定量的な分析、これでは今の時代というのは読めない、それはむしろミクロの定性的な分析、すなわち量からのみ判断するのではなくて質的な変化を分析していく方法が重要になってくるということが言えると思います。
 卑近な例を挙げれば、倒産件数の推移というようなことは毎月の経済報告の中でされておりますが、これも件数の問題ではなくて、最近言われておりますような倒産の内容的な分析、すなわち貸し渋りによる黒字倒産、こういうものがふえてきているというような現状を正確に判断しないと正しい経済政策を誤る、こういうふうに考えなければいけないと思うわけです。
 そこで、一つ大臣に御見解を伺いたいと思いますのは、一つの行政機関の中で経済政策を担う役割と、それから他方で景気判断をするという役割、この二つの役割を持っているということ、これ自体が分析に正確さを欠く原因になるのではないか、こういうことであります。そのためには、例えばアメリカではNBER、すなわち全米経済研究所のような非営利の民間団体があるわけでありますが、このような非営利民間団体あるいは学会のようなものに景気判断というものを任せていくということによって公正性、信頼性を高めるというような方法もあるのではないかと思うのでありますが、この点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
#122
○国務大臣(尾身幸次君) 私ども、確かに水野委員のおっしゃいますように、経済企画庁の役割、経済の現状についての分析をするということと経済政策の総合調整をする、簡単に言いますとそういう二つの役割があるというふうに考えております。そして前者の方につきましては、少なくとも私が就任して以来、できるだけ客観的に私どもで判断をした実態を国民の皆様にお知らせするということにつきまして、担当局の方も実は私どものところでは調査局でやっているわけでございますが、他方、政策の総合調整というのは調整局が担当でございまして、経済企画庁の中では局が違います。そこではいろんな経済政策の総合調整をやっているというふうに考えておりまして、情勢分析をしながら、しかし同時に、必要な対策はいろんな関係官庁と相談をしながら推し進めていくという立場でございまして、私自身の感じではやはり経済の分析をする役所とそれから総合調整をすることは密接不可分に関係があるというふうに考えている次第でございます。
 なお、先ほどの話に戻るわけでございますが、景気のいわゆる山谷の議論でございますが、昨年度の第一・四半期、つまり四月−六月は消費税の駆け込み需要の反動がありまして非常に低かったのでありますが、その後六月、七月、八月、九月とやや持ち直しまして、消費性向等も上がってきております。そして、九月から十月、十一月、十二月、一月にかけまして、アジアの動向あるいは金融機関の破綻、株価動向等を反映して消費性向が急激に下がっているという状況でございまして、私どもは五月が山であるというのはどうも実感に合わないなという感じがしているわけでございまして、この点も申し添えさせていただきます。
#123
○水野誠一君 ありがとうございました。
 次に、地球温暖化防止対策について伺いたいと思います。
 もうこれは既に何人かの委員から同等の質問がございますので簡単に伺いたいと思うのでありますが、このCOP3での京都議定書というものの意味は、大変大きなものである、また重要なものであるというふうに我々は受けとめております。この中で、COP3を受けた日本の来年度の予算措置といたしまして、平成十年度では地球温暖化対策関連予算が三千七十億円ということで前年度予算に比べて一五%の伸びということで、まずまずの予算が今計上されているというふうに理解をしております。
 また、昨年の五月に閣議決定をされました経済構造の変革と創造のための行動計画においても、新エネルギーあるいは省エネルギー関連分野は将来有望な新規産業分野の一つとして挙げられております。民生部門や公共部門への普及促進及び技術開発の推進における行動計画がたくさん盛り込まれているわけであります。新エネルギーあるいは省エネルギーは単純に温暖化防止に資するだけではなくて、これからの二十一世紀の前向きな産業政策としても重点的に取り組むべき分野であるということは論をまたないところでございます。
 しかし、その一方で実態を見てまいりますと、まだまだの部分が多いわけであります。すなわち、新エネルギーの供給というのは四年前に策定いたしました長期エネルギー需給予測を大きく下回っていると、こういうふうにも言われております。新エネルギーなどの普及が進展しない最大の原因はコストの高さだというわけでありますが、そしてまた、この需要が伸びないからコストが下がらないといういわば悪循環になりかねない、こういう危険性をはらんでいると思います。経済性と環境性というのはトレードオフの関係、すなわちこちらを立てればもう一方が立たないという関係にとらえられがちなのでありますが、しかしそこを我々の知恵で何とか克服していかないことには真のエネルギー政策というものは成立していかない、こういうふうに思っております。
 そこで、この新エネルギーの一種のパラドックスを解決する考え方として、やはり相当思い切って重点的に補助金であるとかあるいは公共投資というものをこのエネルギー政策に投入していくというようなこと、これが私は必要なんじゃないだろうか。どこかでこの悪循環の連関を断たないとなかなか新エネルギーの開発というものは離陸することができないんではないか、こんなふうにも考えているところでございます。
 特に日本というのはエネルギー資源が非常に乏しい国であるという中で、これは日本の問題だけではなく、今残存している地球の資源としての化石燃料というものにも大変厳しい、もう限界が予測されているということもございまして、私たちが二十一世紀に世界で役割を果たしていく上で、この新エネルギー開発ということを何としても優先課題として取り組んでいきたいというふうに私は思うのであります。
 そういう中で、今補正予算の検討等も進む中で、私は、今までの従来型の比較的薄く幅広くという政策ではなく、ぜひ通産省においてはこういった新しいエネルギー開発への投資、ここに大いに重点を置いていただければというふうに考えております。
 例えば、日本じゅうの公立小中学校に太陽光発電システムをつけてみるというようなこと、こういう方策なんかも一つの育成策になるのではないか、こんなふうにも考えているわけであります。ともかく、これからとりわけこの新エネルギー、省エネルギー対策に取り組む大臣の覚悟を伺わせていただければと思います。
#124
○国務大臣(堀内光雄君) 水野委員の御指摘のとおり、新規産業の創出などによる将来の経済的波及効果、あるいはCOP3を踏まえた地球温暖化防止の観点から、新エネルギー及び省エネルギー、この普及に向けた対策は大変重要だと認識をいたしております。このために、厳しい財政事情の中で、新エネルギー、省エネルギー関連のエネルギー対策費の抜本的な強化を図ることといたしております。
 非常に財政事情は厳しいんですが、新エネルギー対策費といたしましては前年度比百六十八億円増の七百四十八億円、省エネルギー対策費といたしましては前年度比二百三億円増の七百二十一億円、これは通産省関係だけでございますが、そういう数字を確保いたしているところでございます。具体的には、産業用の燃料消費の半分以上を占める工業炉を非常に高性能のものに切りかえていく研究、あるいは高性能のボイラーの開発普及をして省エネを図るというような、こういう問題に力を注いでいるところです。
 また、クリーンエネルギーの自動車を率先して導入する事業者に対する助成、これなども個々の車の購入に対しての助成を行うようにいたします。あるいは住宅用の太陽光発電の普及の措置、あるいは先生お話しの風力発電などの新エネルギーの導入促進、こういうものの意欲的な政策を展開するための予算として取り組みを行っているところでございます。
 また、平成十年度予算に盛り込まれておりますクリーンエネルギー自動車普及事業におきましては、電気自動車などのクリーンエネルギー自動車の導入者に対する補助のほかに、燃料供給設備の設置費用、ガソリンスタンドみたいな電力の設置スタンドでありますが、こういうものについても補助を行ってその整備を行っていくことにいたしておりまして、今後とも新エネルギー、省エネルギーに向かって積極的に取り組んでまいりますので、何とぞまた御支援と御指導を賜りたいと存じます。
#125
○水野誠一君 もう時間でございますので、一言公正取引委員会にお願いを申し上げて、終わりたいと思います。
 先ほど平井委員の方から新聞の再販制度についての御意見がございました。私、同様の問題というのが書籍の分野でもあろうかというふうに思っております。競争というのは十分重要な要素であるわけでありますが、同様に、自然とかあるいは文化という非常に壊れやすいものを保護し守っていくためには、競争の質というものも片方では重要だというふうに考えております。
 こういう視点から見ていったときに、著作物再販制度そのものの見直しということも重要でありますが、同時に、現在言われております取次店の寡占状況の見直し等々、まず先に見直さなければならないことがまだまだあることも事実だというふうに考えております。
 ひとつそういう視点から幅広くまた意見をお聞きいただいて三月の結論というものを導き出していただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 終わります。
#126
○委員長(吉村剛太郎君) 本件に対する質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後二時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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