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#1
第142回国会 経済・産業委員会 第13号
平成十年五月十九日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉村剛太郎君
    理 事
                沓掛 哲男君
                畑   恵君
                平田 耕一君
                平田 健二君
                梶原 敬義君
    委 員
                斎藤 文夫君
                成瀬 守重君
                西田 吉宏君
                吉川 芳男君
                小島 慶三君
                海野 義孝君
                加藤 修一君
                鈴木 和美君
                山下 芳生君
                平井 卓志君
                水野 誠一君
                椎名 素夫君
   国務大臣
       国務大臣
       (内閣官房長官) 村岡 兼造君
   政府委員
       公正取引委員会
       委員長      根來 泰周君
       公正取引委員会
       事務総局経済取
       引局長      塩田 薫範君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        塩入 武三君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
 律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院
 送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(吉村剛太郎君) ただいまから経済・産業委員会を開会いたします。
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。村岡内閣官房長官。
#3
○国務大臣(村岡兼造君) ただいま議題となりました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、いわゆる独占禁止法は、競争を実質的に制限することとなる株式保有、合併等の企業結合を禁止しておりますが、その手続規定については、平成七年三月三十一日の「規制緩和推進計画について」を初めとする累次の閣議決定において、制度の趣旨及び目的、企業の負担軽減、国際的整合性の確保等の観点から、報告及び届け出の対象に係るすそ切り要件の導入、引き上げ等を含めて見直すべきものとされているところであります。
 今回は、これらの閣議決定を踏まえ、企業の負担軽減が図られるとともに、これらの規制の趣旨及び目的に照らしてより効率的かつ機動的な制度の運用を行うことができるよう、企業結合規制の手続規定の見直しを中心とした改正を行うべく、ここにこの法律案を提出した次第であります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、会社の株式保有に関する報告制度について、報告を行うべき会社及び報告を行うべき場合の範囲を縮減することとしております。
 第二に、会社の合併及び営業譲り受け等に関する届け出制度について、届け出対象範囲を縮減するとともに、届け出の行われた合併または営業譲り受け等に対して公正取引委員会が排除措置を講ずることができる期間について改めることとしております。
 第三に、役員兼任に係る届け出制度及び会社以外の者の株式所有報告書の提出制度を廃止することとしております。
 第四に、国外における株式保有、合併等についても規制の対象とすることとしております。
 なお、これらの改正は、一部を除き、平成十一年一月一日から施行することとしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。
#4
○委員長(吉村剛太郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 村岡内閣官房長官は御退席いただいて結構でございます。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○平田耕一君 よろしくお願いいたします。
 まず、この独占禁止法の中に金融については特段の定めがいろいろあると思うんですが、同じく米国の独占禁止法との対比という点で重きを置いて検討した方がいいんだろうと思うんですが、米国における金融業に関する独占禁止法の立場と日本の金融業に対する独占禁止法の立場というものにどのような違いがあるのか。それから、それ以外に金融に対してはいろんな金融行政上の規制といいますか制約がそれぞれ両国にあるわけでありますので、その辺の対比を一遍御説明いただければありがたいと思います。
#6
○政府委員(塩田薫範君) 金融業に関して独占禁止法、あるいはアメリカの反トラスト法、日本の独占禁止法に相当する法律等でどのような規制があってその差異がどういうふうになっているのかということでございます。
 平田先生御承知のように、日本の独占禁止法では金融業についての規定が十一条に置かれておりまして、それに関連して十条二項等については金融業を除くというような書き方が一部なされているわけであります。アメリカにおきましては、反トラスト法の方で金融業あるいは銀行について特段の定めを置いているということではなくて、金融業一般ではなくてむしろ銀行を監督するといいますか、銀行の方の規制のルールとして、例えば銀行と証券の分離であるとか、それの延長として銀行が子会社として持てる金融会社の範囲を限定している。
 それから、これは専ら銀行法の方の話、金融業に対する規制の方の話でございますけれども、アメリカにおきましては銀行は原則として他社の株式を保有することはできないという規定になっているかと承知しております。
 それで、日本の独占禁止法で銀行あるいは証券等の関連でどういうふうな規制が行われているか、独占禁止法のルールがどうなっているかということでございますが、独占禁止法の十一条で金融業、これは銀行、証券、保険等でございますけれども、そういった業を営む金融会社につきましては原則として他社の株式を五%以上保有することは禁止いたしております。保険については一〇%ということであります。そういうことにいたしておりまして、それを超えるような場合については公正取引委員会の個別の認可が必要というような基本的なルールになっているわけであります。
 昨年の通常国会で持ち株会社の全面禁止を改めて一定の範囲のものについてだけ禁止をするという形の法律にしていただきましたので、現時点におきましては銀行を子会社とする持ち株会社ということもできる。それから、銀行、保険その他の金融業を営む子会社を持つ持ち株会社も基本的には許容されるという法体系になったわけであります。
 ただ、昨年十分御審議をいただいたところでございますけれども、原則として禁止はしないということでありますが、そういったことによって持ち株会社グループとして事業支配力が過度に集中するというものについては禁止をするということにしておりますので、そういう金融持ち株会社の中で「事業支配力が過度に集中する」という九条五項の規定に該当するようなものは禁止をされる、そういう形になっております。
#7
○平田耕一君 アメリカのことを調べたわけではないんですけれども、先日の新聞記事で、アメリカではまだ銀行と保険、証券を子会社とする持ち株会社は現状できないみたいなことが出ておりましたけれども、日本の場合は例外を除けばできるということで、若干日本の方が先行しておるのかなと、アメリカは意外なことを規制しているという感じなんですが、そのことをちょっと御説明いただけますでしょうか。
#8
○政府委員(塩田薫範君) これは、競争政策といいますか独占禁止法の観点からの規制というよりも、むしろ金融あるいは銀行を監督するという観点からのルールだと思います。米国におきましては、グラス・スティーガル法というふうに言われておりますけれども、一九三三年の銀行法で銀行と証券の分離が規定されております。具体的に言いますと、銀行による証券業の兼営を禁止するということになっているわけであります。
 これに対しまして、我が国におきましては、金融の自由化といいますか、数年前に実施されました銀行と証券の子会社方式による相互乗り入れということができるようになりましたし、その後の金融業法の改革でさらに前進をしているということであります。
 それから、独占禁止法の関係でいいますと、アメリカにおいては特段の規定はございませんけれども、日本においては、先ほど申し上げましたように十一条あるいは持ち株会社の関係の九条で、九条の方は金融だけじやありませんけれども、特別の規定があるということでございます。
#9
○平田耕一君 ありがとうございます。
 いろいろ問題が起こるとすれば、金融の問題についてはこれからまだまだ議論もあるし、いろんな詰めもしなきゃいかぬだろうと思いますので、よく検討していただきたいというふうに思います。
 そこで、独占禁止法があって、そしてなおかつ銀行法とかいろんな形、あるいは大蔵省の省令とかそんなもので規制をしていっているということについて、一般の企業、特に中小企業なんかにおきましては、弱ければ金利を高くされるみたいな形がいとも簡単に行われるという現況があるわけです。
 それで、独占禁止法の運用に当たって、結果、競争を制限するようなことはいけないという行政指導に係るガイドラインというのを出されておられるわけなんです。主に銀行ですけれども、金融業における現状のそれらの規制と、それから独占禁止法上の行政指導に関するガイドラインというものについてどのようなお考えで現在運営し今後臨まれるおつもりなのか、ざっとしたお考えでも結構ですが、委員長からお聞かせいただければありがたいと思います。
#10
○政府委員(塩田薫範君) 行政指導に関連して独占禁止法上どういうふうに考えるかということでございますが、先生今御指摘のように、行政指導によって競争を制限するような事態が出てきては困るということで、どういうケースが独禁法上問題になり得るのかということを具体的に考え方を述べた「行政指導に関する独占禁止法上の考え方」、俗に行政指導のガイドラインと申しておりますけれども、そういったもの、これは金融だけじゃなくて一般的にどの分野についても当てはまるといいますか対象にしたものでございます。
 したがって、金融関係も当然これに沿って我々として対応するということだと思います。行政指導の問題、これはかなり幅広く日本においては行政の手法として行われているというふうに言われておりますけれども、公正取引委員会として競争政策の観点から行政指導そのものを問題視、適当でないということではありませんで、独占禁止法が目的とするような公正かつ自由な競争、個々の事業者の独自の判断で行動することを事実上抑制してといいますか、コントロールするといいますか、できないような形にして競争制限になるような形のものは、仮に行政指導ということであっても好ましくない。もちろん、行政指導がなくて事業者間でそういうことをやれば、当然独禁法上の問題にストレートに出てくるわけでありますが、間に行政指導というものが介在しても問題点は同じであるというふうな考え方でございます。
 金融の関係でございます。金融だけじゃなくて最近は一般に規制緩和をどんどん進めようということでございますので、従来、許認可という形で政府の規制のもとにあったものが、規制緩和が行われますとそういった規制から外れるということであります。規制を外すということは、それだけ政府のコントロールから外れて個々の事業者が独自に自主的な判断で行動できる、企業活動ができるようになるということであります。しかし、せっかく規制緩和をしても、例えば事業者なり事業者団体が集まってその規制があるのと同じような行動をするということでは困りますし、規制という法令に基づくものはなくなったけれども、行政指導という形で従前と同じような運用が行われるということになりますと、個々の事業者の自主的な行動の余地を広くするという規制緩和の趣旨にももとりますし、競争を促進するという観点からもぐあいが悪いということでございます。規制緩和を進めると同時に、あわせて行政指導という形あるいは事業者間の行動であるにせよそういったことが起こらないように、そういう点に力を注いでいくというのがこれから重要であろうというふうに考えております。
#11
○平田耕一君 特に金融システム安定化対策として、たとえ優先株であっても国が銀行の資本を持つあるいは社債を持つという状況になってまいりますと、議決権がなくても相当のやっぱり影響力があって、裁量行政の脱皮ということも言葉では言いながら、現実には指導性というのは強まってくるだろうというふうに思っているんです。よほどその辺は慎重にウォッチをしていただきたいと思います。
 そういう銀行と国との関係というものと行政指導、そして結果、融資を受ける企業、中小企業も含めて数百万の会社というものに対して公正に競争しなさいよということを、銀行業に限って公正取引委員会としてどんな姿勢で臨まれるのか、根來委員長の御意思なり御見解をお尋ねしたいと思います。
#12
○政府委員(根來泰周君) ただいま御質問の中で独占禁止法と業法との関係がございますが、独占禁止法というのは自由な競争を確保するという趣旨でございますし、業法はその他の趣旨があるわけでございますが、その両者でやはり重なり合うところが当然あろうかと思います。そういう点については、私どもも立法に当たりまして各行政官庁と協議をいたしまして、我々の競争政策が円滑に推進できますように業法の改正なり新設が行われるようにお願いしているところでございます。
 また、その業法の執行につきましても、あるいは行政指導というものにつきましても、競争政策を逸脱するようなことがありましては大変でございますので、競争政策の観点からそれについては随時意見を申し上げているところでございます。今回この委員会でもいろいろお尋ねがございましたように、例えば貸し渋りの問題につきましても、私ども直接に関与する権限がございませんけれども、ある程度間接的な問題がございますから、そういう点でいろいろ意見を申し上げる機会を得ているところでございます。
 今後ともそういう姿勢で運営していきたいと考えているところでございます。
#13
○平田耕一君 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 それから、今回のこの法改正について、主には規制緩和と届け出の簡素化だと思いますので、その辺の効果をお尋ねしたいというふうに思います。
#14
○政府委員(根來泰周君) これも御承知のことでございますが、一般論といたしまして、独占禁止法の中には過剰規制というような点がございます。これは手続面におきましても実体面におきましてもそういう面がございますし、言葉をかえますれば、屋上屋を架するような規定もあるわけでございます。そういう現実を踏まえまして、また片や規制緩和という問題がございますから、そういう屋上屋を架するようなあるいは過剰規制にわたるようなところは枝葉を払っていくということでございまして、今回の改正もその一つということであります。
 また、一般的には事前規制から事後規制という一つの流れがございます。私どもの方の役所といたしましては、事後規制になると端的に言いますと手数がかかることは間違いないのでございますけれども、そういう流れがございますので、なるべく事前規制から事後規制にこの重点を移していくということであり良して、今回の改正も一般的に申し上げればそういう観点からお願いしているのでございます。
 具体的には、例えば株式所有報告書につきましては、年間九千件ぐらいのものが八千件ぐらい省略される。あるいは、こういう合併の届け出というのは二千件余あるわけでございますけれども、これも年間二百件から四百件ぐらいになるんではないか。そういうことによりまして、企業の方の負担というのも大いに軽減されるのではないかというふうに考えております。
#15
○平田耕一君 ありがとうございました。終わります。
#16
○小島慶三君 おはようございます。委員長、御苦労さまでございます。
 私、三点ばかりお伺いしたいと思うんですけれども、そのまず第一は、最近はいわゆる国際的に大競争時代というのに入ってきたと言われております。もうびっくりするような大きな合併が次々と行われております。せんだっても車の関係でもベンツとクライスラーというものの合併が報道されております。恐らく日本も、これからビッグバンを前にいたしまして、そういった国際的な日本にかかわりのある合併というようなものもかなり出てくるのではないかと思うのでございます。そういう大きな流れの中で、独禁法の持つ意味というようなものをどういうふうに考えるか、これから大きな課題だろうと思うんです。
 日本と諸外国の独禁法をめぐるいろんな規制、これを比較してみますと、例えばイギリスとかフランスは非常に緩やかである、ドイツが少し厳しいというふうなことだと思うんですけれども、これから公取の姿勢としてどういうふうにこの辺を運用していかれるか、まずそれを委員長にお伺いしたいと思います。
#17
○政府委員(根來泰周君) ただいま御質問にございましたように、国際的に制度というのは彼我いろいろ違うところがございます。これは、アメリカあるいはヨーロッパ、あるいは日本につきましては、制度的にも違いますし、運用的にも違うと思うのでございます。ただ、これからの進み方といたしましては、経済が国際的になるという見地からもその意見は肯定されると思うのでございますけれども、国際的なハーモナイゼーションといいますか、そういう方向で進んでいくものと考えているのでございます。
 ただ、我々の運用の仕方といたしましては、例えば合併につきましては独占禁止法十五条の規定がございますけれども、あくまでもその規定を正面から見据えまして審査をするというしかないのでございます。合併につきましては、産業政策とか国際的な問題とかいろいろございますけれども、そういう問題は横に置いてといいますか横目でにらんで合併の審査を行うということでございます。
 これから将来的には、国際的にもそういう制度の整合性というのは保たれていく方向にあるんではないか、こういうふうに理解しております。
#18
○小島慶三君 そういうふうな情勢をにらんでみますと、今回の改定は改定としていろいろ規制緩和の線に沿ってお考えいただけると思うんですけれども、もっと本質的にこの独禁法的な規制を見直す、手続がまだ非常に煩瑣でありますし、過剰規制といいますかそういう点が考えられると思うんですけれども、この点についてはさらに御検討いただけるのかどうか。これは事務当局の方にお伺いします。
#19
○政府委員(塩田薫範君) 独占禁止法も一つの競争政策という観点からのものでありますが、経済的な活動を規制するということでございますので、その時代、経済の状況等を踏まえて、競争を維持促進するためにどういうルールが適当かということはふだんから検討していく必要があるんだろうと思います。ただ、そうはいっても、市場における基本的なルールという性格からいって、基本的な骨組みのところをそうしょっちゅういじるということは適当ではないと思います。
 そこで、先ほど委員長から申し上げましたように、過剰になっているものといいますか、例えば昨年御審議いただきました第九条の持ち株会社の全面禁止、これは競争政策の観点から全面的に禁止をしておくべきなのかあるいは全面的に解除してしまっていいんだろうか、そういった点について検討をして、昨年御審議をいただいたような形で、過度集中という定義を置いた上で持ち株会社について一定の範囲で禁止を解除するといいますか、そういうことにいたしたわけであります。
 今回御審議いただいております改正法案も、基本的には四章関係の届け出あるいは報告についての手続関係のものが中心でございますけれども、これも例えば合併等について、競争を制限するような合併は禁止するという基本的なルールというところは、実体規定はそのまま維持した上で、その実体規定を実効あらしめるためにどういう事前届け出なり事後報告なりというものが必要かということを検討いたしたわけであります。
 その結果、全部事前に届け出ということではなくて、一定規模以上の合併についてだけ届け出をしていただくということと、それからもう一つは、合併の審査について原則としては三十日以内に公取として行政判断をしなきゃいけないということでありますけれども、大型あるいは複雑な事案につきましては三十日以内に当事会社等から必要な情報をいただいて公取としての判断をするというのは必ずしも容易でないといいますかできない場合があるということで、現行法では当事会社の同意を得てさらに六十日間延長できるということが規定されておりますけれども、当事会社が同意をしてくれなかったときにどうするんだというような話もございますし、そういうことで、判断をするために必要な情報等を提供していただいて、しかるべき期間内に公取として判断をするという形に改めたわけであります。
 あわせて、これは手続関係ではございませんけれども、今回の法改正では規制の対象として国外における企業結合も取り込んだということで、先生御指摘のように、国際的な企業行動といいますか国境をまたがるようなものについても、これは国家の主権の問題がありますから実際に外国にまで出かけていって調査できるかどうかという問題はございますけれども、そういう形でルールとして日本の市場に影響が及ぶようなものについては適用の対象として取り込んだということでございます。
 長くなりまして恐縮でございますけれども、そういう意味で、独占禁止法のあり方について、これは日本だけではなくてアメリカなりEUなり主要国の動向等もふだんからウォッチしながら検討していくべき課題だろうと思っております。
#20
○小島慶三君 これは若干述懐めいた古い話になって恐縮でございますが、占領下で司令部の方からディレクティブナンバーファイブというのがたしか出まして、それに沿って日本でも独禁法的なものをつくれ、こういう指令がありました。そのときに私ども、日本はどちらかといえば過当競争の国であって、それを助長するような独禁法の体系が果たして合うのかという疑問を持ちまして、司令部に産業秩序法という法律を持っていきました。これは不正競争防止法とカルテル法とをあわせたような法律で、今の独禁法とは全く建前が違っていたわけでありますが、それを持っていきましたら司令部に大変怒られまして、もうほとんどぶん殴られそうになりました。それで、おまえたちは経済民主主義というものがまるでわかっておらぬというんでイロハの講義を受けたわけであります。
 その担当の方がジャッジ・カイムという方で、もうおまえたちには頼まぬ、おれの方で法律を書くということで、おまえらはそれを翻訳しろ、こういういきさつになってまいりました。それで、そのジャッジ・カイムが独禁法の原案を書いたわけでありますが、私どもが読んでみても日本の法体系と比べますと非常に違うので理解に困難な面も大変あったわけであります。それで、カイムの翻訳をしましたものが独禁法のひな形になったと私ども記憶しております。
 そういうことがありまして、日本の独禁法をつくるというのは大変に苦労したと思うんです。最後にまとめられたのは今の橋本総理のおやじさんであります。たびたびの改正を経て今のような法律になってきている。日本の法律として今や全く定着したと考えていいと思うんです。
 そういったこともあって、アメリカからの注文とか要望とかが独禁法の運用上非常に多いというふうに私ども聞いておるんです。例の日米構造協議以降、この独禁法についてはさらに新しい縛りがかかったというふうな感じを持っておりますけれども、今アメリカとの関係ではどういうふうな問題が残っておるのか、この辺について多少いきさつ的にお話をいただきたいというふうに思います。
#21
○政府委員(塩田薫範君) 先生御指摘のように、独占禁止法が制定される過程においては御指摘のような経緯があったかと思いますが、その後何度かの法改正を経て現在のような法律になっているということでございます。
 日本の独占禁止法の運用あるいは法律そのものについて、アメリカあるいはそれ以外の国からいろいろと要請があるんではないか、それがどんなふうになっているかということだと思います。日米構造協議というのが始まったそもそもは、独占禁止法なり公正取引委員会の問題ということよりも、日本の市場を国際的に開かれたものにする必要がある、そのためにはいろんな施策をとらなければいけない。その一環として、競争のルールである独占禁止法をきちんと運用する必要があるんではないかという観点からの議論であったかと思います。
 その後いろいろと協議をし、それから公正取引委員会としての法改正、例えば課徴金の引き上げであるとか刑事罰の罰金額の引き上げであるとか、あるいは運用の方としては、例えば悪質な事案については告発もするという方針を明らかにし、それに沿って何件かの告発事案もやってきたということであります。さらに、公正取引委員会がなお一層きちんと処理、対応できるようにするために公正取引委員会の組織あるいは予算についても充実する必要があるというような話が出てきているわけであります。
 最近におきましては、独占禁止法の適用除外制度の見直し、これはこの三月の閣議決定でその具体的な成果がかなり出てきていると思います。あるいは政府規制の見直しについて公取として対応しろというような話。
 あるいは最近出ておりますのは、私ども幾つかの分野で、独禁法といいますか競争政策の観点から問題があるかないか、これは違反事件の審査ではありませんで実態調査ということでやってきております。例えば写真フィルムであるとか板ガラスの分野について実態調査をし幾つかの問題点を提起した。その提起した問題点が是正されているのかどうか、フォローアップ調査をすべきではないかというような話。あるいは、企業あるいは事業者団体が、主として独占禁止法を守るための遵守体制といいますか、コンプライアンス・プログラムと言っておりますけれども、そういったものをつくるようになってきております。それについて数年前に私どもの方で、主要企業でどの程度そういう体制づくりが行われているのかということを実態調査をいたしたわけであります。それについてもさらにフォローアップといいますか、そのような要望が出てきております。
 それから、独占禁止法違反を抑止するという観点から、事業者あるいは消費者の独禁法違反行為に対する損害賠償という制度がありますけれども、それをさらに拡充する、あるいは場合によっては違反行為を差しとめる、そういう制度をつくるべきではないかというようなことが問題提起されているわけであります。
 ちょっと全体としてまとまりのない話でございますけれども、そのような要請といいますか意見が出、それなりに対応すべきものは対応しているということでございます。もちろん、これは外国政府から問題提起があったからやっているということよりも、公正取引委員会としてそういう作業をするということが必要だという判断に基づいているものでございます。
#22
○小島慶三君 余り時間もございませんので、最後にもう一問お願いしたいと思います。
 それは、この委員会で大店法の廃止とそれに伴う新しい大規模小売店の立地に関する法律というものが審議されているわけでありますが、今の大店法というのはかなりアメリカからの要求が強くて、たしか平成二年の日米構造協議のときからずっと問題になって、そして時間切れで今回廃止になるといういきさつだと思うんです。
 例えば、これは昔の独禁法の九条でしたかに、サブスタンシャル・ディスパリティーというような規定があったと思うんです。だから、そういうふうな非常に較差のあるものの併存ということについても独禁法の初期の思想にはあったと思うんですが、今の大店法もすみ分けというか、そういうふうな姿勢に立ったものであると思うんです。
 だから、全部がとにかく競争原理で支配されるというのは余り現実に合わないということがやっぱりあって、それを認めるような法律規定があったって私はおかしくないというふうに思っておるわけであります。そういうふうな点で、もう少し独禁法の運用に弾力性を持たせることができないものかということを私は思うわけであります。今度、三十四もある個別の適用除外の規定なんかも全部廃止するというふうなことが言われておりますが、そのプロセスを十分にお考えいただきたい。
 全部が全部とにかく独禁法の観点から見て、競争刺激ということでなければだめだというのでは、これは余りに硬直的なのではないかと私は思っておるわけです。すみ分けというふうな考え方があってもいい。殊に中小企業の関係についてはそういうものがなければ、イコールスタンダードで競争するということはとても無理でありますから、そういうふうな点はお考えいただけないものかと思っております。
 これを最後にお伺いいたします。
#23
○政府委員(塩田薫範君) 先生御指摘のように、制定当時の独占禁止法には、第八条におきまして、「不当な事業能力の較差の排除」という規定がございました。これの構成要件というのはかなりきついものでございます。単に較差があるということだけではなくて、かなり厳しいものでございますけれども、昭和二十八年にこの規定は削除されているところでございます。
 大企業、中小企業ということでありますけれども、申し上げるまでもありませんけれども、独占禁止法は、大企業あるいは中小企業を問わず事業活動の不当な拘束を排除するということによって公正かつ自由な競争を促進する、そういうことでございます。そういうことで、大企業も中小企業も創意工夫、合理化等の努力が行われるということだと思います。
 先生御指摘のように、適用除外の中に、これは中小企業が大企業に伍して有効な競争単位として活動できるようにするために協同組合を組織する、一定の要件を満たす協同組合については独占禁止法の適用除外とするという規定がございます。
 適用除外制度は非常にたくさんございますけれども、これについて極力見直しをしていこうということでここ何年か作業をいたしております。この三月にその作業結果、政府としての結論を得たわけでありますけれども、この協同組合についての適用除外は廃止をするということではなくて、範囲あるいは例外とすべき場合の限定というようなことについてさらに引き続き検討いたしておるところでございます。
 なお、独禁法の運用におきまして、規制緩和後に中小企業等あるいは消費者が独禁法違反行為によって被害を受けるという心配がございますので、そういったことがもしあれば公正取引委員会として厳正に対処しなきゃいけないということが政府の規制緩和推進計画の中でうたわれておりますので、そういう点についても我々として配慮してやっていきたいというふうに考えております。
#24
○小島慶三君 終わります。
#25
○海野義孝君 公明の海野でございます。
 時間が限られておりますので、簡潔に御答弁いただきたいと思います。
 最初に、ガイドラインの問題につきましてお聞きしたいと思います。
 言うまでもなく、ガイドラインにつきましては、公正取引委員会におきまして独禁法の効果的な運用を図り、違反行為を未然に防止するために独禁法の目的、規制内容及び法運用の方針につき各種ガイドラインを作成、公表されているということであります。
 今回の一連の法改正に絡んでのガイドラインにつきましては、昭和五十六年に会社の株式所有の審査に関する事務処理基準、それから昭和五十五年七月の会社の合併等の審査に関する事務処理基準、こういったものが制定され、その後十年以上経過したという関係で経済情勢が大きく変わってきている。それからまた、運用が硬直的とか考慮事項も明確でない、あるいは企業にとって他の事業者が結合を行おうとするような場合の予測可能性、こういった問題が大変不十分である等々から平成六年八月に今申し上げた二つのガイドラインを改定なさった、こういうことであります。
 御質問の第一点は、ガイドラインの運用の一層の明確化を図るという点でございます。判断基準の列挙、判断の仕方、つまり各要素の判断の順序、ウエート、こういったことについて明確化し、事業者の予測可能性を高める一方で、公正取引委員会による恣意的な運用についての観念を払拭するためにガイドラインの運用の一層の透明化を図るということについてどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。
#26
○政府委員(根來泰周君) この前のといいますか、持ち株会社改正のときにもこの委員会あるいは衆議院でも御指摘がございましたけれども、ガイドラインの作成の透明化といいますか、あるいは運用の透明化ということについてはいろいろ御指示がございました。私どももその御指示を踏まえまして、なるべく大勢の方から御意見を聞いてガイドラインを作成する、あるいは作成したガイドラインは公表して一般の方の御批判を仰ぐ、さらにガイドラインの運用につきましても、例えば合併等につきましては具体的な事案についてできるだけ公表して予測可能性といいますか、そういうものを与えるということで運用してきたわけでございます。これまで以上にさらにガイドラインの作成あるいは運用についてただいま御指摘の点を心がけてやっていきたい、こういうふうに思っておりますので、また御批判なり御意見をちょうだいできれば大変ありがたいと思っております。
#27
○海野義孝君 同じくガイドラインの関係でございますけれども、合併、株式保有に係る届け出・報告等のいわゆるすそ切り額につきまして、従来法律で決められていたように思いますけれども、これが政令で定められるということの理由につきましてお願いします。
#28
○政府委員(塩田薫範君) 今回の改正法案におきましては、例えば「総資産の額が二十億円を下回らない範囲内において政令で定める金額を超え、」云々というような形で、一定の範囲内ですそ切り要件といいますか足切りといいますか、そういう要件の金額の設定を政令に委任するということにいたしております。こういうふうにいたしましたのは、独禁法の他の条文においてどこまで詳しく規定しているかといった規定ぶりのバランス、あるいは国民経済の規模が今後拡大していった場合への対応、あるいは国際的な届け出基準のハーモナイゼーションの動き、そういったものに機動的に対応できるようにするためにということを考慮したものでございます。
#29
○海野義孝君 今の問題に関係しますけれども、この決定あるいは変更に当たりましては、経済情勢を的確に把握しつつ、民間の企業関係者あるいは有識者等から広く意見を求めて制定手続の透明性確保の必要があると思いますけれども、具体的にはどのように進められているか、あるいは今後進められていくか、その点お聞かせいただきたいと思います。
#30
○政府委員(塩田薫範君) 今回の改正法案で政令において定めるということになっておりますすそ切り基準の金額につきましては、この法案を提出するに先立ちまして各分野の有識者に御検討いただくための研究会というものを設けていろいろと御議論いただきました。その過程で各種の団体、経済団体が主たるところでございますけれども、大企業中心の団体、中小企業中心の団体、そういったところから御意見をちょうだいしたところでございますので、こういったものを踏まえて政令で定めるということにいたしたいと考えております。
#31
○海野義孝君 次に、現在、ボーダーレスの時代になりまして、日本の企業が海外へどんどん進出しておりますし、また逆のそういった傾向もどんどん強まっている。そういったことに伴っての独禁法運用上のいろいろな問題も今後どんどん出てくるんじゃないかと思いますので、その点に絡みまして幾つか御質問したいと思います。
 第一点は、日本に進出している外国企業で国内に営業拠点がないものに対してどのような方法で調査を行うのか、あるいは文書の送達をどうするか、あるいは排除措置の履行等は確保できるかどうか、こういった点につきましてお聞きしたいと思います。
 実は、これらの点に関しましては、実効性のあるものにするための手続面での問題点の検討、こういった点がどの程度なされているかということもあわせてお聞きしたいと思います。
#32
○政府委員(塩田薫範君) 今回の改正案におきまして、海外における企業結合も独占禁止法の適用対象に取り込むという改正をお願いしているところでございます。
 例えば外国企業間の合併であるとか株式保有とか、そういったものが我が国市場に悪影響をもたらすという場合が問題になるわけであります。通常、日本経済といいますか、日本の市場に影響を及ぼすというのは、国内に営業所等を置いて活動している、本社は外国であるというケースが大半であろうと思いますので、そういったものについては国内の営業所等についてその手続といいますか審査等を行うことで対応は可能だろうというふうに考えております。
 ただ、先生御指摘のように、国内に営業所等の拠点がない場合、どういうふうに審査をする、あるいは行政処分をした場合の実効性を担保するのかということでございますが、現行の規定では手続上の問題が残っておるということでございます。したがって、当面は、当事会社に対して審査等への協力を依頼するということもあるでしょうし、所在国の競争当局との協議等を通じて問題の解決を図っていくということが当面考えられることだと思います。
 ただ、制度的に、通常国内に何らかの拠点がある場合は問題ないにしても、例外的にそういうことがない場合に調査等を行う、あるいは行政処分を実効性を持って実施するという点については、文書送達等の面で十分規定が整備されていないという問題があることは十分認識しているところでございます。
 したがいまして、さらに有効な規制を行うために国外を念頭に置いた手続規定の検討を進めていきたいというふうに考えておりますが、あわせて外国の競争当局との緊密な協力関係を築いて、問題事案についての相互の協力といいますか、そういうことをやっていきたいというふうに考えております。
#33
○海野義孝君 今の国際的な企業結合等に関する問題でありますけれども、今局長がおっしゃった点についてはさらにひとつ整備を進めていっていただきたいと思います。
 今のことに関してもう一点ですが、外国の独占禁止当局との連携の状況、それから諸外国の独禁法法制及び運用状況についての情報収集の実情という点について、これは当然進められていると思いますけれども、簡潔にこの状況をお聞きしたいと思います。
#34
○政府委員(根來泰周君) これは前にも御説明いたしましたけれども、定期的にアメリカ、イギリスあるいはEU、フランス等と年に一回といいますか、そういう間隔で協議をいたしてお互いに審査あるいは独禁法運用の実情について意見を交換しております。将来的には、衆議院でも申しましたけれども、今とは言いませんけれども、やはり二国間協定というところまで進むべきものだと、こういうふうに考えております。
#35
○海野義孝君 そういった他国間との独禁法上の運用について、今後ますますさらに整備をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、企業結合規制の手続規定のあり方につきましてお聞きしたいと思います。
 企業の合併届け出を受け、公正取引委員会におきましてはガイドラインに基づいて審査を行うということでありますけれども、その場合の重点審査基準となるものは具体的に何であるかということについて教えていただきたいと思います。
#36
○政府委員(塩田薫範君) 合併等の企業結合案件について、競争を実質的に制限することになるかどうかという観点から調査をし審査をするということでございますけれども、現在、合併等の事務処理基準といいますかガイドラインにおきまして、市場占拠率、市場シェアでございます、市場における競争の状況あるいは関連市場の状況、当事会社の総合的事業能力、それから当事会社の属する市場の性格あるいは環境等を考慮事項として掲げておりまして、個別の市場における合併当事会社のシェアがどの程度上昇するかを中心にして、他の競争者の地位、参入の容易性、輸入品の状況、そういった点を総合的に勘案した上で、競争の実質的制限に当たるかどうかという点の判断をするということにいたしておるところでございます。
#37
○海野義孝君 最後に、もう一問だけお願いいたします。
 前後しますけれども、国際的な問題でありますが、今回の法案をお出しになっている状況、情勢の変化の中で、国際的な整合性ということがうたわれておりますけれども、国際的な整合性を持った企業結合規制のあり方についてどの程度研究が進んでいるかという点について教えていただきたいと思います。
#38
○政府委員(塩田薫範君) 各国の独占禁止法制といいますか競争法、必ずしも一様でないといいますか、それぞれの国の法体系の歴史的な沿革なり独占禁止法の沿革ということも反映していろいろでございますけれども、基本的にはカルテルの禁止であるとか競争制限になるような合併は禁止をするとか企業結合は禁止をする、そういう点が大きいところでございます。
 ただ、全く同じということではございませんので、企業活動が国際的になってきている、そういう中で競争のルールである独古禁止法制をなるべく整合的なものにするのが望ましいのではないかということであります。ということで、認識は一致していると思いますけれども、では具体的にそういうところに早急に行けるのかということになると、先ほど冒頭に申し上げたようなことからなかなか難しいという状況だろうと思います。
 今回の法改正におきまして、海外における企業結合も規制の対象に取り込んだということで、送達等の手続関係の問題は残っておるところでございますけれども、規制のルールとしてはアメリカ、EUと、全く同じということではありませんけれども、基本的なところは同じになったのではないかという感じがいたしているところでございます。
#39
○海野義孝君 どうもありがとうございました。終わります。
#40
○梶原敬義君 直接この法律と関係はありませんが、秩父小野田セメントと日本セメントの合併及び宇部興産と三菱マテリアルによるセメント事業の統合、これについて公取が四月二十三日にオーケーというか了承をしているようでありますが、以下お尋ねをいたします。
 新会社二社が誕生することによりまして、公取の資料によりますと、上位三社のセメントの国内販売シェアは全国で八三・一%となる。それから、合併新会社、まず秩父小野田(株)と日本セメント(株)の国内販売シェアは全国で三九・三%、北海道地区で五二・〇%、関東地区で五一・一%といずれも高い数字になり、一位となっております。また、宇部興産と三菱マテリアルの国内販売シェアは全国で二四・三%、沖縄地区では琉球セメントが宇部興産と結合関係にあるために六〇・四%となる、こういうように説明をされております。合併した後のセメント会社三社で全国の八三・一%、非常に高い寡占状態ができ上がるわけでありまして、これが基準となって他産業にどういうような影響を及ぼすのかというのは私は非常に心配になるところであります。
 合併理由を「各計画の概要」というところで書いておりますが、
 秩父小野田(株)と日本セメント(株)が、徹底的な効率化、コストダウンにより国内及び海外市場での競争力を強化してセメント事業の安定化を図るとともに、両社の経営資源を結集し、研究開発をより一層充実させることにより事業を多角的に展開し、経営の安定化を図ることを目的として、合併しようとするものである。
これは確かにこういうことも言えると思うんですが、私から見ますと、その合併の非常に大きな理由というのは、安売り競争とかそういう不必要な、企業側から見るとむだな競争を避けて協調してやっていくことによって販売価格の維持あるいは引き上げ、こういうものを当然ねらってくる、これがやっぱり経済行為としてとる本筋だ、このように思います。
 そこで、最近、国際化とは言いながら、こういうことがどんどん続いてくると、ちょっと日本も悪い方向に、経済民主主義の方向じゃない方向に、力ある者が支配していくような方向に進んでいくんじゃないかと心配をするわけですが、その点を伺いたいと思います。
#41
○政府委員(塩田薫範君) 先生御質問のセメント四社、秩父小野田と日本セメントの合併、それから宇部興産と三菱マテリアルのセメント部門の事業統合、この二件について事前に御相談がございました。
 これに対応して、私ども、当事会社はもちろん、同業のセメントメーカーあるいはユーザーその他いろいろとヒアリング等の調査をいたしました。今先生御指摘のように、事前相談に対する回答という形で、一定の措置を当事会社がとるということを申し出てこられましたので、それが実施されるのであれば独占禁止法上の問題はないだろうという判断をいたしたわけでございます。
 これはまだ事前相談ということでございますので、今御審議をいただいております十五条で、届け出をして三十日間は合併してはならない、その間に公取が判断をする、そういうルールになっておりますけれども、そちらの方の手続にはまだのっておりませんので、正式な届け出等はこれからでございます。
 それはそれとして、実態的にはその調査といいますか審査は終わったということでございます。合併によりまして、その当事会社のシェア、新会社、秩父小野田と日本セメントの合併によって全国のシェアが三九・三%になるとか、上位三社の全国シェアが八三・一%になるということはそういうことでございます。当事会社の方から、セメントの備蓄あるいは出荷拠点となっておりますサービスステーションのうち約四十カ所を譲渡する、あるいはその他幾つかの措置をとるということでございますので、これを前提として判断をいたしたわけでございます。
 セメントにつきましては上位三社で八三%になるということでありますが、そのほかに、当然のことでございますけれども、三番目の業者として有力な競争者が存在する、それから国際的な面を考えますと、輸出国側の事情いかんによっては、短期的に今すぐというわけにはなかなかならないのかもしれませんけれども、ある程度の輸入圧力というもの、あるいは現実の輸入ということが出てくるだろうということで、先生おっしゃるように、合併によって大きな力を持つ、それによって価格を引き上げる、安定化させるということがあっては困りますけれども、そういう事態は出てこないのではないかというのが私どもの判断でございます。
 なお、具体的なシェアの数字はどの程度で問題になるかどうかという話は、それぞれの市場の特徴によっていろいろでございますので、一律に線引きというのはなかなか難しいし、むしろ適当でないのではないかという感じがいたしております。
#42
○梶原敬義君 何かよくわからぬのです。全国で約四十のSS、サービスステーション、これを希望者に譲渡もしくは貸与とか、こうやっても今まで扱っていた商品が三菱から大阪セメントとか何かに行くとか、そういうようなことになるのかどうなのか。その正当性の理由みたいなものにどうも少し何か欠けておる。
 根來委員長、業界と公取の幹部との癒着というのはやっぱり一回調査してもらわなきゃいけないんじゃないか。今の答弁をずっと聞いておってどうもぴんとこない、そう思います。どうですか。
#43
○政府委員(塩田薫範君) 先生の御質問の当初の方は別といたしまして、私から答弁するのが適当かどうかわかりませんけれども、私どもこういった合併等の個別の案件の審査に当たりましては、今先生御心配いただきましたようなことのないように十分配慮をしながらやっておりますので、そのような御懸念をお持ちいただかなくても大丈夫かなという気がいたします。
 いずれにしましても、私ども、個別案件の処理に当たりましては、もちろん案件の処理だけじゃなくて独禁法関連の相談についてもそうでありますけれども、常に公正な立場で対応していかなきゃいけないというふうに考えております。
#44
○梶原敬義君 大したことないような話をしますけれども、三社で全国のシェアが八三%を超えるというのは異常なんですよ、産業界において。これが基準でそういうことが進むと、日本の産業というのは一つの基準に沿って、裁判をやったらここはこうなっているじゃないかとなりゃ、どこの産業だってこう行くでしょう。これはそういうような寡占状態に芽を出したんです。寡占状態をつくっていいということに芽を出したことになる。
 この点について、与える影響とか何かというものは、SSをどうするとかこうするとかいうようなことだけではなくて、もう少ししっかりしたものが必要じゃないか。どうなんですか。
#45
○政府委員(塩田薫範君) また、すっきりしたお答えはできないかもわかりませんけれども、さっきちょっと申し上げましたように、個々の合併等の事案が競争を実質的に制限するということになるかどうかという判断は、合併しようとする会社がどういう商品なりサービスを提供しているのか、競争業者としてどういうところがあるのか、ユーザーはどういうユーザーがあるのか、新規参入の可能性といいますか困難さの程度はどうだとか、あるいは新規参入と似たようなところはありますけれども、海外からの潜在的な輸入圧力あるいは現実の輸入はどのぐらいあるのか、そういったことを個別の分野別に見た上で判断をする必要があるというふうに考えております。今申し上げたような要素は、それぞれの商品なり物によって全く同じということにはならないだろうと思います。
 そういう意味で、さっきちょっと申し上げましたというふうに申し上げましたのは、具体的な数字をもってここの業界、この合併については全国何%でも問題はないと言ったから、もうほかの案件も全部そこまではオーケーなんだろうと、そういうことではないということでございます。やはりシェアが高くなるものについては当然重点的に見なきゃいけない。ただし、何%というところでぴしっと切っちゃうということがいいかどうかというと、むしろそれは適当でない。個別に判断をさせていただく必要があるのではないかということでございます。
#46
○梶原敬義君 個々のと言ったって、セメントメーカーとそれから問屋があるんです。一次、二次ぐらいの問屋がある。あるいは生コン会社がある。ほとんどもうつながっているんですよ。大体、セメント会社が生コン会社を、おれは今度こっちを買った、今度はこっちを買ったということはできないんです。それは本当に八三%の系列がずっと下まで行き渡るわけですよ。それが現実なんです。わかるでしょう。
 私なんか選挙区で全部わかっていますよ、一社一社。どの生コンはどの系列かどうかというのは全部わかっている。だから、与える影響はどうなるか、出てくる影響はどうなるかというのもわかる。だから、そう簡単なものじゃない。そして、この例がやっぱり各産業に恐らく及んでいくことになるだろう。
 もう少しその辺については、公取の企業の集中合併に対する基本姿勢が大きく変わったのかどうなのか。私は、局長、あなたが出てきてずっと変わってきているような気がしてならぬ。その基本的な姿勢がどうなのか、根來委員長に最後にお尋ねして、時間が来ましたので、終わります。
#47
○政府委員(根來泰周君) 個々の合併についてはいろいろ御意見があろうかと思います。これは委員会で審査した上で、事前審査の段階でございますけれども、こういう結論になったのでございます。
 一つは、率直に申しまして、確かにシェアの問題からいうと何かやはり競争制限的な要素が大きいんじゃないかという点も、私どももそういうふうに認めざるを得ないと思いますけれども、その他の要素を加味していきますと必ずしもシェアだけでは判断できないというのが私どもの考え方でございます。
 それから、もっとも癒着とかそういうことは一切ございませんけれども、非常に難しいのは、合併というのはもともと経営の合理化ということを念頭に置いて当事会社が申し立ててくるものですから、それを私どもは正面から認めるわけにはいかない、やはり競争阻害要素というものを真正面から見ないといかぬということでございますが、企業の合理化とかそういうことについてどれだけ私どもが考慮すべきなのかという点について、私どもも若干その姿勢というのがはっきりしない点があると思います。これは率直に申しまして、それを全く考えないで合併の審査をしていいのか、あるいは少しは考慮するのか、それは非常に難しい問題があろうかと思います。
 長くなりますけれども、昭和二十二年の制定法では合併の要件としましては、当該合併が生産、販売または経営の合理化に役立たない場合には認可をしてはいけない、当時は認可制だったわけですけれども、それがその後の改正で削られているわけでございます。そういうことからいうと、やはり余り合理化ということを念頭に置いて審査をすべきじゃないというふうな考え方があるのでございますけれども、その辺は率直に申しまして非常に難しい問題でありまして、ただいま御質問の中にありましたシェアだけでは競争阻害ということは言えないだろうというのが私どもの考え方でございます。いずれにせよ、今後とも今までと変わらないスタンスで審査することは間違いないのでございます。
#48
○山下芳生君 株式所有報告制度についての改正がされるわけですが、今回はまず第一に報告対象会社の範囲を変更する。現行法では単体の総資産二十億円超が対象だったものが、親子会社の総資産を加えた総資産百億円超の会社ということにされます。それに加えて保有株式の報告範囲の変更もされて、事業年度ごとの全保有株式の報告から改正によって単体の総資産十億円超の会社の株式を一定比率を超えて取得した場合、一定比率というのは一〇%超からだというふうに聞いております。
 そこで、私は二重三重の規制の緩和だと思うんですが、この改正によってまず報告が義務づけられる企業の数、現状と比較してどの程度縮減されるんでしょうか。
#49
○政府委員(塩田薫範君) 今回の改正で株式所有報告書の提出件数がどの程度になるかということでございますけれども、現行制度で平成八年度の報告件数が九千三百件余でございます。これがどの程度今回の足切りといいますか総資産百億円ということで減少するかということでございます。これは全くの推定でありますけれども、七千八百社程度は報告が要らなくなるのではないかということでございます。
 ではその残ったといいますか、その報告義務の対象になるであろうものが、今先生おっしゃったように年一回すべての保有株式ではなくて一定の比率を超えるものについてその都度ということでありますから、一社が年間何回例えば一〇%を超えて株式を保有することになるかと、その都度でございます。ちょっと回数はわかりませんけれども、ここは全くの推計といいますか、これまでのサンプル調査的なものしかないと思いますけれども、それの二倍とか三倍とかということではないかと思います。これはちょっと私自信はありません。
#50
○山下芳生君 まず、対象の企業がかなり減るということですが、三分の一から六分の一になるであろうというふうに私聞いているんですが、それで実態把握が可能なんでしょうか。そういう対象を縮減しても独禁行政に支障がないというその根拠をまず伺いたいと思います。
#51
○政府委員(塩田薫範君) 現行法は総資産二十億円を超える会社は一律報告をしてもらうという制度でございますけれども、株式を保有していることによってあるいは取得することによって競争制限という実体規定違反が生じる可能性というのは、株式の保有比率がそれなりに変動した場合ではないかということでございます。したがって、同じ株を同じ株数だけずっと持っているというものについてまで毎年報告をしていただく必要はないのではないか。
 それから、単体で総資産二十億円というのが現行法の足切りでございますけれども、これを単体二十億円超でなおかつ親子合算で百億円超ということにいたしたわけでありますが、この二十億円という現行の金額は昭和五十二年の法改正で引き上げられて設定されたものでございます。したがって、その後二十年ほど経過しておりますので、その後の経済の変化といいますか拡大、そういったものをしんしゃくして切りのいいところで百億円ということであろうかと思います。
 それで問題はないのかということでありますけれども、冒頭申し上げましたように、株式保有比率に変動がない場合には通常は問題は生じにくいだろうというようなことで、問題が生じる可能性の低いものについては届け出義務の対象から今回外すということでございますので、届け出義務から外れておってなおかつ競争制限ということで問題になるケースが全く出てこないかというと、そういうことはあり得るといいますか、可能性としては残っておると思います。ただ、その可能性の低いものについてまで従来のように報告をいただくということは今回改めたということでございます。
#52
○山下芳生君 一つずつ聞いていきたいのですが、まず、今答弁あったとおりだと思うんです。二重三重の緩和をしなくても、株式の所有数の変動があったときのみ報告させれば、企業の対象を縮減しなくてもこれはかなり今回の改正の目的の一つでもある効率的な審査というものができるんじゃないでしょうか。全保有株式の報告から変更があった場合のみというふうに変えるだけでもいいんじゃないでしょうか。そのことは四章研の報告を見てもやはりそういうふうに書いてあるわけです。第十条の違反というのは「通常は株式の取得の場合に発生するものであるので、所有株式のうち全く変動のない部分についてまで届出を求める必要性は少ないのではないか、」と。だから、この部分だけ緩和するなら緩和すればきちっと目的は達せられるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#53
○政府委員(塩田薫範君) 確かに、問題が生じる可能性が高いものは株式保有比率の変動があった場合ということでございます。したがって、負担軽減という観点からすれば先生御指摘のようなものも一つの案であろうかと思います。ただ、さっき申し上げましたような経済規模の変動等を考慮した上で、やはり今回の改正案の方が適当ではないかという感じがいたしております。
#54
○山下芳生君 確かに、前回改正された一九七七年当時と比べれば日本経済の規模というのは大きくなっております。しかし、問題はその規模にあるのではなくて、経済活動の具体的な局面で競争制限的な事態がどのように行われているのかということを実態に即して把握することだと思うんです。十条の第一項も、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合には、株式を取得し所有してはならないと書いてあるわけで、別に規模が大きい場合はならないというんじゃなくて、一定の取引分野における競争というふうになっておりますから。その点では、先ほど申されました、しかし可能性が少ないものについては報告まではしなくていいんじゃないかと。しかし、可能性を否定はやっぱりされなかったわけです。
 やはり、可能性があるんだったら、きちっと報告させながら把握していかないと可能性を見つけることができないんじゃないかと私は危惧するわけであります。製品や業種、業態などは非常に今多様化しておりますので、規模が小さくても競争制限的な動きがあるんじゃないか、だから規模で線を引くのは私は間違いじゃないのかというふうに思うわけです。
 報告義務が課せられていない部分での競争制限的な株式取得にどう対応するのか。具体的に例えば、一般論とあわせて、地方のタクシー業界など小規模な市場においては、今回の法改正によって地方のタクシー業界などの市場における株式所有あるいは合併等が報告義務から外れることによって競争制限的な動きをきちっとチェックすることができなくなるんじゃないかと思うんですが、一般論、それとこのタクシー業界の問題、いかがでしょうか。
#55
○政府委員(塩田薫範君) 先生御指摘のように、実体規定として競争を制限するような合併等は禁止、あるいは株式保有は禁止ということでありますが、届け出なり報告の義務を課しているのは一定規模以上のものということでございますので、その規模を下回るものについては届け出義務は課されていない、したがって公取には届け出がないであろうと。ただし、そのことが競争制限ということをもたらさない保障はないといいますか、可能性は低いとしても残っておるということだと思います。
 具体的にタクシー事業をとっておっしゃいました。確かに、どういう商品をどういう取引段階で取引するのか、あるいはそのサービスについてもどういうサービスなのかということで、一定の取引分野といいますか市場のサイズといいますか、規模はまちまちだろうと思います。先ほど出ましたセメントの合併の場合については、全国とそれからブロックをそれぞれの取引分野というふうに考えましたけれども、タクシーの場合はむしろもっと限定的で、ごく狭い地域を営業地域としているというのが現状だと思います。そういうことでは、タクシー会社はいろんなところでやっている、一社でやっているところもあるかもしれませんけれども、通常はその特定の地域だけ、あるいは隣の印とだけで営業しているということがありますから、そういうことであれば当然規模は届け出義務の対象には入ってこない。
 ただし、そういう地域におけるタクシー業界でも、業者数がそう多くはない、おまけにマイカーということでだんだん公共輸送機関といいますか、タクシーについても右下がりの状況にあるということでございますので、だんだんタクシー会社の数が減る可能性はある。そういう問題で、先生おっしゃるように、届け出義務はないけれども公取として関心を持たざるを得ない分野というのは当然あるというふうに考えております。それについては、届け出を求めるということではなくて、そういう分野について情報収集に努めるというようなことで対応すると。
 先生おっしゃるように、届け出・報告義務を幅広く課した上でやっていくというのも一つのやり方であると思いますけれども、民間企業に対する負担軽減ということと独禁法のルールを実効性あらしめるということとのバランスで今回のような改正案を考えたものでございます。
#56
○山下芳生君 どうもお話を聞いていますと、報告をさせた上できちっとチェックする方が私は合理的だと思うんです。逆に、それを外したところでおそれがある場合もあるわけですから。重大な関心を持って対処すると言いますが、どうやって重大な関心を持って対処できるのか。報告義務を外すことによって逆に公取の仕事量というのはふえることにもなりはせぬかな、監視体制の強化が人員的にもより必要になってくるんじゃないか。そっちの方をむしろ心配せざるを得ません。
 それから、もう時間がありませんので、その問題と、最後に、十四条に定める個人の所有の届け出の廃止、これは実害はないのか。この二点、改めて、それから新たに聞きたいと思います。
#57
○政府委員(塩田薫範君) 届け出義務を外すことによってかえって公正取引委員会の事務量といいますか負担がふえるんではないかということで、確かにそういう面が全くないとは申せないと思います。繰り返しになりますけれども、競争制限になるような合併等の禁止規定の実効性確保ということとそれから民間企業の負担軽減ということとのバランスを考えて、今回のような案でぜひともお認めをいただきたいと考えております。
 それから、十四条に規定があるものでございますけれども、会社以外の者の株式所有報告制度を廃止する。会社以外の者が株式を保有することによって競争制限をもたらすということは禁止する規定は引き続き残しますが、その報告制度をやめるということでございます。最近の日本では法人による株式所有がかなり幅広くなってきておりまして、会社以外の者がそういう株式保有によって競争制限をもたらすという蓋然性といいますか、そういうことは少なくなってきているというふうに思っております。そういうことから、報告義務を課してまでウォッチするといいますか、そういう必要性は乏しいというふうに考えて今回の改正法案をお願いした次第でございます。
#58
○山下芳生君 終わります。
#59
○水野誠一君 今回の法改正につきましては、規制緩和の流れの中で業務の簡素化ということで、基本的に賛成をしていきたいというふうに考えております。
 昨今、ダイムラー・ベンツとクライスラーの国を越えた大型合併、これが話題になったわけでありますが、今後ますます国際的大型合併が進んでいくであろう、そしてまさにメガコンペティションの時代に突入するだろう、こういうふうに考えております。
 そういう中で、昨年、持ち株会社の解禁ということをいたしました。これは与党内でも二年間にわたってさまざまな議論をしてまいりまして、私自身もその議論に参加をしてきたわけでありますが、これによってまさに大合併の時代に企業合併等の手法あるいは選択肢が広がるというふうに考えていたわけであります。
 しかし、その後見てまいりますと、この手法を使った企業、事例というのは、私の知る限りではダイエーぐらいかなというふうに思うんですが、具体的に他の企業の検討例というようなことも含めて今どんな状況になっているのか、御説明をいただきたいと思います。
#60
○政府委員(塩田薫範君) 昨年まで種々御検討いただいて、九条の持ち株会社全面禁止を一定の範囲内のものを禁止するということにしたわけでございます。独禁法上許容される範囲内での持ち株会社を活用するという企業の持ち株会社構想は、いろいろと報道はなされておりますけれども、そのほとんどと言っていいかと思いますが、分社化のように既存の企業の組織を再編するという形のように見ております。
 したがって、既存のある特定の企業グループ、今先生はダイエーグループのことをおっしゃいました。そういう形ではなくて、合併にかわる形での持ち株会社の活用ということもあり得ると思いますけれども、現時点で具体的にそういうお話、あるいは我々が目にしていないだけなのかもわかりませんけれども、大きな事案として報道されたというものは伺っておりません。
#61
○水野誠一君 それはやはり何か制度的に問題があるのか。
 例えば一つ、その当時も議論になりました問題として連結納税制度というもの、これは必ずしも持ち株会社制度とは軌を一にするものではないんですが、企業にとって、そういう違う資本系列の企業同士が合併するということだけではなくて、まさにその子会社を統合していくというようなケースの場合でも連結納税制度というものが求められていくというような、そんな議論もございました。そういった税制の問題とかあるいは商法を改正していく必要が出てくる、こういうところに我々が考えていたこの持ち株会社手法による企業合併が進まないという何か問題があったのかという感じもするんですが、その点はいかがでございましょうか。
#62
○政府委員(塩田薫範君) 持ち株会社に関連する問題として、水野先生御指摘のように、税制の問題あるいは商法の問題、会社法といいますか、そういったもろもろの問題点が議論をされまして、独禁法の九条を改正しただけではなかなか持ち株会社の利用は進まないのではないかという御議論がございました。そういった議論、税制あるいは商法の改正等を求める御意見がいろいろまだ聞かれますけれども、私どもとしては、独禁法を担当する部局でございますので、担当部門以外のことについてその意見を申し上げるのは差し控えさせていただきたいと考えております。大変恐縮でございますけれども。
#63
○水野誠一君 例えばダイムラー・ベンツとクライスラーの合併の手法の場合は株式交換方式による合併というようなことをやっているようであります。恐らくこれは単純に持ち株会社解禁だけではない、商法の改正等も含め、あるいはまた税制の改正等も含めて今後検討していく必要があるのだろう、こういうふうに考えております。
 そういう中で、今申し上げた自動車メーカーの合併例ということから、余波として日本国内の自動車メーカーというものも今後こういった合併をすることによって競争力をつけていく必要が出てくるのじゃないだろうか、こういう議論も出てきております。例えば、国内資本の自動車メーカーが今後そういう合併を進めることによって二社あるいは三社程度に集約されてしまう、これは仮にの話ですが、こういう事態が起きてくる。先ほど梶原先生がセメント業界の例ということでおっしゃったわけでありますが、自動車業界というようなことになりますともっと世界的なメガコンペティションの状況の中で考え得る問題じゃないかと思うのであります。
 そうなってきたときというのは、独禁法に触れる問題というふうに考えるべきなのか、あるいはそれは問題がない、いやこれはまたもっとグローバルな視点で見たときには必ずしも独禁法に触れる問題ではないというふうに考えるべきなのか、その辺はいかがなんでしょうか。
#64
○政府委員(塩田薫範君) 具体的な業種を挙げての御質問ですが、一般論的な御説明をさせていただきたいと思います。
 独占禁止法は、合併等によりまして個別の市場、一定の取引分野における競争が実質的に制限されることになる場合は禁止をするということで、合併の差しとめなりなんなりという是正措置を講ずるということになっております。その競争を実質的に制限することとなるかどうかというのは、先ほどの繰り返しになりますけれども、シェアであるとか競争者の状況であるとか、輸入等の状況だとかということでございます。当然そういうことを考慮するわけでありまして、一般的に言いますと、個別の市場における競争者の数が少なくなるほどその合併の競争に与える影響というのは大きくなるということだと思います。
 ただ、合併等の審査に当たりましては、競争者の数、同業者の数だけを見て判断するということではなくて、例えば日本向けの輸入がどの程度あるのか、あるいは現実には輸入されていないにしても輸入される蓋然性といいますか、潜在的な輸入圧力といいますか、そういったものがどの程度あるのかということを当然考慮するわけでございまして、例えば国内のメーカーの数だけをもって判断するということではないということでございます。
#65
○水野誠一君 終わります。
#66
○委員長(吉村剛太郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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