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#1
第142回国会 農林水産委員会 第6号
平成十年三月二十五日(水曜日)
   午後三時十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十四日
    辞任         補欠選任
     大野つや子君     小山 孝雄君
     小林  元君     一井 淳治君
     小山 峰男君     北澤 俊美君
 三月二十五日
    辞任         補欠選任
     浦田  勝君     釜本 邦茂君
     小山 孝雄君     大野つや子君
     常田 享詳君     井上 吉夫君
     風間  昶君     渡辺 孝男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         松谷蒼一郎君
    理 事
                岩永 浩美君
                三浦 一水君
                和田 洋子君
                大渕 絹子君
    委 員
                井上 吉夫君
                大野つや子君
                釜本 邦茂君
                国井 正幸君
                長峯  基君
                一井 淳治君
                北澤 俊美君
                続  訓弘君
                渡辺 孝男君
                谷本  巍君
                須藤美也子君
                阿曽田 清君
                石井 一二君
   政府委員
       農林水産政務次
       官        矢野 哲朗君
       農林水産大臣官
       房長       堤  英隆君
       農林水産省食品
       流通局長     本田 浩次君
       農林水産技術会
       議事務局長    三輪睿太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 威男君
   説明員
       農林水産大臣官
       房審議官     竹中 美晴君
       農林水産省経済
       局統計情報部長  遠藤 保雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農林水産に関する調査
 (畜産物等の価格安定等に関する件)
 (畜産物価格等に関する決議の件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(松谷蒼一郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、小山峰男君及び小林元君が委員を辞任され、その補欠として北澤俊美君及び一井淳治君が選任されました。
 また、本日、常田享詳君及び風間昶君が委員を辞任され、その補欠として井上吉夫君及び渡辺孝男君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(松谷蒼一郎君) 農林水産に関する調査のうち、畜産物等の価格安定等に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○三浦一水君 自由民主党の三浦一水でございます。若干の質問をさせていただきたいと思います。
 昨年の十二月に、基本問題調査会によります中間取りまとめが出されたところでございます。その項目を見てみますと、畜産に関しましては、「我が国の資源を有効かつ循環的に利用する観点から、畜産において、草地資源の活用等により飼料の国内生産を拡大していくべきである。」、このような具体的な記述もあるわけでございます。
 いずれにしましても、我が国の食糧自給率が非常に下落をしている。そのような状況の中で、一方で畜産に要します飼料の輸入が非常にふえている。このことは我が国の食糧自給率を下降させている最大の原因であることは皆様方もう御承知のとおりであります。そのような中で、今後この畜産を、農業政策の中で、あるいは環境の保全の問題あるいは食糧安保の問題、それぞれの問題と関連づけながらどのように位置づけをしていくかという問題は、事農業のみならず、その範囲を超えて重要なことかと考えております。
 そういう中からこの畜産業の振興ということをどのように位置づけをされていくのか、ちょっと順序が違いますけれども、まずはその点からお伺いをさせていただきたいと思います。
#5
○政府委員(矢野哲朗君) 委員御指摘のとおり、我が国の畜産は、動物性たんぱく質の重要な供給源として国民の食生活の向上に大きく貢献しております。そして、我が国農業の基幹部門、一例でありますけれども、農業総産出額十兆二千五百億になりますか、そのうち米作が約三〇%、畜産が約二五%ということでありますから、基幹部門として重要な地位を占めているわけであります。加えて、土地利用面からも国土の有効利用に大きな役割を果たしておることは事実であります。さらに、今後とも中山間地域の条件不利地域を含めた農山村地域の活性化、そして国土の保全、地域の維持増進等を図る上で重要な役割を果たすことが期待されているわけであります。
 一方、社会情勢の変化、そして国際化の進展等、新たな基本法制定を含む農政の改革に今取り組まれているところでありますけれども、食料・農業・農村基本問題調査会においても今御指摘のとおり議論が進められておりました。そして、昨年十二月に中間的な取りまとめが行われたところであります。
 調査会においては、今後、具体的な施策の方向について議論を深めるとされておりますが、畜産分野についても、こうした議論を踏まえつつ、我が国畜産が重要な役割を果たしているという認識に立って検討を進めてまいりたいと考えております。
#6
○三浦一水君 我が国の農地がおおむね五百万ヘクタール、あるいはもうそれを切ったというような話を聞くわけであります。そういう中で、輸入飼料を生産するのに必要な海外での土地ということでは一千二百万ヘクタールの面積が必要だとよく言われております。実に我が国の二・四倍であります。
 そのような中で、まず数字的にちょっと一点、急ですけれども確認をさせていただきたいのは、現在この輸入飼料の比率というのは国内産の飼料とどのくらいの比率になるのか、教えていただきたいと思います。
#7
○説明員(竹中美晴君) 飼料の供給のうち、輸入飼料の比率ということでございます。
 これはいろんな観点からの見方があるわけでございますが、国内での需要総量のうちに占めます粗飼料とそれから濃厚飼料、いずれもこれを純国内で生産されたもの、国内原料で生産されたもの、その割合、普通、純国内産飼料自給率と言っておりますが、それで見ますと、平成八年度で二五%程度という状態になっております。
#8
○三浦一水君 この飼料関係で見ますと、そうしますと七五%の輸入をしていると逆算されるわけでございまして、本当に輸入飼料に余りにも依存し過ぎではないか、そのような思いもするわけでございます。それは当然、基本的な食糧の安全保障ということも踏まえて、私はそのような強い印象を持つわけでございます。
 一方で、畜産・酪農農家は、本当にこれまで国民の食生活を支えながら、あるいは三千時間を超えるという労働力を提供しながら今日まで努力は続いているわけでございますが、きょう、ある北海道の議員さんのお話を聞いておりますと、せっかく牧草地として確保し畜産の展開を図ってきたところが、現在後継者をなくし、そこに白樺の樹木がもう五年もすると大きく伸びているという現状を訴えられておりました。一方で、私どもの阿蘇の放牧地帯におきましても、後継者が少ないということで野焼きができなくなってくる。そうしますと、北海道のその牧草地と同じように、我々が牧草ということで利用してきております原野の中に灌木が伸び始めまして原野の維持ができない。これは、専農業のみならず、いわゆる観光レジャー資源としても大きな損失を今こうむりつつあるといったような状況になってきているわけでございます。
 そのような状況の中では、何回も議論を重ねられて、まだこの基本法の見直しの中で論点の整理ができていない部分でありますけれども、いわゆるそういう条件の不利な地域に対して、営農だけではもう生活ができない、所得が低いがためにその地域に住む人が確保できないというのが現状であるとするならば、さらに牛乳に代表されます国民に必要な食糧物資の確保を図る、あるいはそれに必要な自給力を維持するということならば、最低限のコストは国として、あるいは国民として負担をするということについても理解が求めちれるのではないか、そのように常日ごろ考えているわけでございます。
 私は、直接所得補償だけがデカップリング政策ではないと日ごろ考えておるわけでございますが、この点につきましてお尋ねをしたいのは、農林水産省としてこの問題をやるとするならば、その支障になることは何なのかということを例示をいただき、御説明いただければと思います。
#9
○政府委員(堤英隆君) 今、直接所得補償についての御指摘がございました。
 直接所得補償と一口に言いましても、幾つかの類型があるというふうに理解をいたしております。今、先生おっしゃいましたように、いわゆるEU型でもとられておりますように、条件不利地域、日本でいえば中山間地域、そういったことに対する直接所得補償的なもの、それから環境の面に配慮してのいわゆる直接所得補償的なもの、それからこれもEUやアメリカでとられておりますような価格支持政策との関連で、例えば支持水準を下げるということの見合いで直接所得補償を導入するといった形のものがあろうと思います。
 全体をひっくるめてということではそれぞれ差がございますのでなかなか一口に言いがたい面がありますが、例えばEU型の条件不利地域対策ということになりますというと、これも幾つかの問題点があるわけでございますが、例えばEUあるいはアメリカと日本と比べましたときに、EU型におきましてはかなり構造政策、規模拡大が進んでいるという状況がございます。そうしますというと、そういうことを無視していわゆる財政負担による支持ということになりますというと、そういった零細構造を日本の場合は温存してしまうのではないかという問題点が指摘できると思います。
 それから、現在、日本では混住化社会ということでございますので、中山間地帯や農山村を含めて農家の方々以外に非農家の方々もたくさんおられます。そういう方々もそれぞれ生業についておられるわけでございますが、そうした中で農家の方、林家の方だけに財政負担をもって直接所得を補償するということはどういう合理的な理由なんだということについても、やはりきちんとしたものでなければならないだろうというふうに思います。幾つかありますけれども、例えば条件不利地域でもそういう問題があろうかと思います。
 それからもう一点、価格支持政策との関係での類型もあるわけでございますけれども、これも価格を下げて、その見合いでもって直接所得補償をしていくということでございます。日本でそれを考えました場合に、幾つかの農産品につきまして価格支持をやっているわけでございますが、価格支持水準を下げるということにつきましてはやはり農家の方々の同意を得て、それとのバランスで直接所得を入れるか入れないか、そういう議論をきちんとしないと、単純にプラスアルファだというふうに理解されても、これまたなかなか国民の皆様の御支持が得られないのじゃないかというふうに思います。
 そういった幾つかの問題点がやはりこの問題におるということでございまして、農家の方々も含めて各界各層、それから消費者の方々、そういった方々の中での御議論というものをもっと深めて、それで日本の政策の中にデカップリング政策をどういう形で位置づけるのか、入れるとすればどういう形のものでなければならないのか、そういった御議論をさらに深めさせていただきたいというふうに私ども思っております。
#10
○三浦一水君 非常に理解のできる説明であったと私は思います。また、そういうことを越えていかなければ、今この農家、農村の現状、特に条件の不利な地域において、後継者といわずともその地域の居住者を確保していくこと自体がもう無理だというのは結論めいたものがあると思います。
 そういう中では、私は越えるべきその議論には今後も積極的に参加をさせてもらいたいと思いますが、いずれにしても農林水産予算は限られているということであります。その中に、事業、政策、すべてを思い切って見直して、その点をクリアしていくということも私は現状の中では必要なことではないかと。WTOの交渉をにらんでも、いわゆるグリーンマークをどう確保していくかという点においてはこの方法しか道はないような気もするわけでございまして、その点、今後においても鋭意努力をお続けいただきたいし、議論には参加をしていきたいと思います。何かお答えがありましたら。
#11
○政府委員(堤英隆君) 農業政策の世界の潮流は、今、先生が御指摘のように、EUであれアメリカであれ、やはりそういった今御指摘のような方向に流れつつあるというふうに私どもも思っております。
 そういう中で、私どもとしては、先ほど申し上げましたような構造政策、規模拡大との関連、あるいは農家と非農家との関連、そういった形での国民的な合意をどう取りつけていくことができるかということに意を用いていきたいというふうに考えております。
 ただ一点申し上げたいのは、現在のWTO協定上、先生おっしゃいましたように、いわゆる緑の政策という形で認められたものと黄色の政策という形で削減の対象になっていくものというふうに大きく分けられるわけでございますが、かなりのものが緑の政策といいますか、そういうものの中に包摂されているということも現実でございます。
 そうしますと、黄色の政策は現在どういうものになっているかといいますと、やはり価格政策、米でありますとか小麦でありますとか、現在、御議論になっておりますような牛乳・乳製品でありますとか、そういった価格支持政策の不足払い的なものとか、AMS見合いのものといったものがいわゆる黄色の政策となっているわけでございますが、予算的に申し上げると、かなり緑の政策という中で現在整理ができつつあるんじゃないかというふうに思います。
 そうしますと、やはり先ほど申し上げましたように、価格支持政策といわゆるデカップリング政策との関係をどうするのか。御議論を相当進めていただく中でこの方向を見つけていただかなきゃならないんじゃないか、また見つけていく必要があるというふうに思っております。
#12
○三浦一水君 まことに私もそのとおりだと思います。大いにその点は今後も議論させていただきたいと思いますが、今、現状我々が農業予算の中で配分をしている、これは広義にデカップリングと言える政策があれば一、二ちょっと簡単に例示をしていただきたい。説明をいただきたいと思います。
#13
○政府委員(堤英隆君) デカップリングという概念をどうとるかということになりますので、一義的には言いにくい面がございますが、いわゆる農家の所得的なものに配慮した政策が日本ではないのかということになりますと、必ずしもそうではないというふうに思っております。
 例えば、基盤関係で申し上げますと、土地改良施設関係につきましての維持管理という形の中で、その地域の方々の労力に応じた形での支援というようなことも現実に基金の中から出しておりますし、それから畜産関係の施策も、これもデカップリングと言えるかどうかいろいろ御議論はありますけれども、農家の所得という概念から、肉畜関係につきましてはそれなりに政策の視点を当ててやっているものもあるというふうに思っております。
 そういった事柄、幾つかの例示はあるかと思いますが、いわゆる先生がおっしゃいます本格的な意味でのデカップリング政策ということからいきますと、そういう概念のものは余り日本の場合にはないということだと思います。
#14
○三浦一水君 今はっきりと概念の整理から必要なことがあるんだなという印象を受けましたが、これまでの政策に膠着されずに、逆にそういう中での拘束のない絵をかいてみるということも大いに参考になるのではないかと思います。ぜひ今後よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 最後に、生乳の問題について一点お尋ねをしまして、私の質問を終わりたいと思いますが、都道府県の酪農経営の安定のためには飲用乳価の安定を図ることが私は特に重要であると考えております。
 最近の五、六年の状況の中では、加工原料乳につきましては二円四十八銭、それから飲用乳価は七、八円も引き下げられたと、そのような状況を聞いておるわけであります。この背景といたしましては、指定生乳生産者団体が生乳の広域流通の進展に十分対応ができていないのではないか、そのような認識を持っておりますし、また一方で、むだな競争をしている現状も指摘ができるのではないかと考えております。そういう中で、九州では指定団体の一元化にこの数年取り組んできております。県間の乳価水準の格差やあるいは組織間のこのような利害調整等、困難な問題に直面して、なかなか取り組みの割には進まないという状況もあるわけでございます。
 しかしながら、要するに、非常にマーケット側に牛耳られた乳価の価格決定になっている。これは最近の野菜等の状況にも見られますように、いわゆる市場外流通がふえているという状況の中であります。生産者の立場を守っていくのは政策的なものももちろんでありますが、いかに生産者側のスケールメリットを出していくかということが非常に肝要な思いがするわけでございます。
 そういう状況の中で、ブロック化を達成していくことは大事なことだと私なりに考えておるわけでございますが、農水省として、これらの問題につきまして、私は積極的に従来にも増してやっていくべきだろうという考えを持っておりますけれども、新しい年度に向けて、さらにそのような姿勢をお聞かせいただきたいと思うわけであります。
#15
○説明員(竹中美晴君) 生乳の広域流通の進展に対応いたしまして、平成八年度から九州ブロックと関東ブロックにおきまして生乳広域流通組織化モデル事業というのを実施いたしまして、指定団体の広域化に向けた生産者団体の取り組みを支援しているところでございます。
 そういう中で、平成八年十二月の行政改革委員会規制緩和小委員会からの意見具申を契機といたしまして、指定生乳生産者団体制度の在り方に関する検討会というのを開催いたしましたが、その報告書が昨年十月に出されまして、その中で、都府県においては指定団体の広域化を図っていくべきであるという内容の報告がございました。これを受けまして、生産者団体は広域化の具体的な実行方策について協議をしているところでございまして、だんだん機運が盛り上がりつつあるところではないかと思います。
 特に、九州地区におきましては、ことしの二月に七県指定団体によります新たなブロック化の取り組みを開始するということで合意をされまして、現在、九州ブロック指定団体設立準備会の設置等について協議中であると聞いております。また、関東地区におきましても、関東ブロック指定団体協議会のもとでブロック化に向けた機能、組織の統合等について協議をしている、そういう状況であるというふうに伺っております。
 先生御指摘のとおり、指定団体の広域化ということは今後大きな課題でございます。私どもといたしましても、現在進められているような自主的な取り組みが着実に進展いたしますようにいろんな面で御支援をさせていただきたいと考えております。
#16
○大野つや子君 自由民主党の大野つや子でございます。私は、食肉の安全性についてお伺いいたします。
 日本での畜産・酪農経営が構造不況とも言える状態にある中、食肉の輸入量は確実に増加いたしております。輸入食品に関しましては、イギリス産牛肉の狂牛病騒動を契機として食肉の表示に関する公正競争規約を改正し、平成八年八月一日から、単に輸入肉という表示から原産国表示が義務づけられることとなっております。
 ですが、平成九年に日本の総輸入量の四一%、約二十九万トンの豚を輸入している台湾で、牛、豚、羊などに口蹄疫の感染があり、大きな影響があったことは記憶に新しいところでございます。また、香港での主として鶏による感染で死亡に至るいわゆる新香港型インフルエンザも大変な騒動になりました。口蹄疫は人への感染はないように言われておりますが、狂牛病も、香港の新型インフルエンザも鶏が媒介して人への感染が懸念され、すべて病気にかかったと思われる動物、または感染の可能性のあった動物は処分されたと公表されておりますが、消費者としては大変不安の残るところでございます。
 そこで、こうした伝染病のその後の発生状況及びそれに対する我が国の対応はどのような状況になっているか、お伺いしたいと思います。
#17
○説明員(竹中美晴君) 海外での家畜伝染病の発生状況ということでございますが、昨年三月に台湾で発生いたしました豚の口蹄疫は、約四百万頭の豚が殺処分されるなど甚大な被害を与えまして、昨年七月以降一時的に終息しておったわけでございますが、その後十二月から一月にかけて再発をいたしまして、また八百七十一頭の殺処分が実行されたというふうに聞いております。二月以降は幸いまだ発生は見られていないということでございます。
 それから、昨年十二月に香港で発生いたしました鶏のインフルエンザでございますが、これも六人の死亡、百六十万羽の鶏の殺処分という被害があったわけでございますが、本年一月以降の発生は報告されておりません。
 それから、昭和六十一年に英国で初めて発生が確認されました狂牛病につきましては、このところ発生件数は減少しておりますが、引き続きヨーロッパで発生が報告されているというような状況でございます。
 こういった伝染病は我が国には発生はございませんで、伝染病の発生した国からの動物、畜産物につきましては、伝染病を持ち込むおそれがありますことから直ちに輸入を禁止するなど、水際での侵入防止に努めてきたところでございます。
 今後とも、これらの伝染病を含め、海外での家畜伝染病の発生状況につきまして的確な情報収集をしながら侵入防止に万全を期してまいりたいと考えております。
#18
○大野つや子君 ありがとうございます。これからもよろしくお願いしたいと思います。
 今の質問に関連いたしまして、食肉と申しますか、畜産における安全性を確保する手段として、国内の畜産業を振興し、安全に育てられた食肉を安価に供給するシステムの再構築といった方向が一つ考えられます。また、危害分析重要管理点と言われるHACCP手法の拡大と徹底ということも考えられると思います。
 御承知のとおり、HACCPは平成七年の食品衛生法の改正により、総合衛生管理製造過程と称する承認制度として導入されております。加工食品について危害分析を行うことにより、原料から製造工程にわたって問題点をリストアップし、重要管理点によってこれらの処理方法を明確にし、工程ごとに安全性をチェックして記録に残すというものです。大手食品会社や、平成七年に起きたEUによるホタテガイなどの日本からの輸入禁止措置の関係から、大手水産会社は既に導入し、また乳製品メーカー三十六社もHACCPを導入していると聞いております。
 新規の設備投資も必要となるわけでございますから、その支援措置もこれから大いに必要であろうと思いますが、この手法をオーストラリアなどのように、処理、加工や流通の段階だけでなく、飼育、生産段階から取り入れることも有効かと思います。
 以上、国内の畜産業をさらに振興し、公的な支援措置によって安全かつ安価な食肉を供給する方法、何らかのHACCP的な手法による安全性の確保という二点につきまして御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#19
○説明員(竹中美晴君) HACCP方式のお話でございますが、家畜の飼育段階におきます安全性の確保ということは、第一義的には都道府県の家畜保健衛生所がこれに当たっているわけでございますが、いわゆるHACCP方式の家畜飼育段階への導入につきましてはまだ確立した方式がございませんで、現在のところはその前段階として、平成八年度よりこのHACCPの考え方に基づいた生産衛生管理基準を家畜の飼育段階に導入するためのモデル事業を実施しておりまして、そういったモデル事業による知見等を踏まえてHACCP方式の確立を目指しているというのが現状でございます。
 それから、屠畜場なり食肉の加工製造業の分野におきましては、まず屠畜場等の食肉処理施設でございますが、平成八年のO157等を踏まえまして、厚生省ではと畜場法の政省令の一部改正を行いまして、HACCPの考え方を取り入れた屠畜場の新たな衛生管理基準、それから構造設備基準を設けたところでございます。
 こうした措置に対応いたしまして、農林水産省としましては、食肉処理施設における衛生水準の向上等、食肉処理施設の整備を図るために、産地食肉センターにおける衛生管理施設の整備や食肉処理業者に対する衛生研修等を内容とする事業を実施しているところでございます。
 それから、食肉加工製造業につきましては、厚生省は平成七年五月に食品衛生法を一部改正いたしまして、HACCP方式を取り入れた総合衛生管理過程を食肉加工品や乳製品等で導入できることにいたしております。食肉加工業界におきましては、日本食肉加工協会の中にHACCPの研究班を設置いたしまして、厚生省の指導によりまして食肉製品の総合衛生管理製造過程を策定いたしますとともに、業界関係者に周知徹底してきているところでございます。
 食肉加工業界におきましても、HACCP導入に対します意欲は非常に高いということでございまして、厚生省への承認申請も今月から開始しているというふうに聞いているところでございます。
#20
○大野つや子君 最後の質問になりますが、遺伝子組みかえ食品の表示についてお伺いいたします。
 昨年六月五日の農水委員会におきまして、遺伝子組みかえ食品の安全性及び表示について質問を行わせていただきました。その折、遺伝子組みかえ食品などの表示義務を論議する食品表示問題懇談会は、審議内容、経過につきオープンに、また年度内に取りまとめを行いたいという御答弁をいただいております。しかし、本年一月上旬には、一部マスコミにより、農水省、表示義務づけ見送りとの報道があり、それに対する否定報道などがございました。遺伝子組みかえ食品などの決着が大幅におくれそうであり、五月のコーデックス委員会の成り行きを待つという報道もございました。
 この機会に、その後の経過などがどうなっているのか、お伺いさせていただきたいと思います。
#21
○政府委員(本田浩次君) 遺伝子組みかえ食品の表示問題についてでございます。
 先生御指摘のとおり、昨年も答弁をさせていただいておりますので、少しその後の経過を含めて御説明をさせていただきたいというふうに存じます。
 先生御承知のとおり、平成八年に厚生省によりまして遺伝子組みかえ食品の安全性確認が行われております。遺伝子組みかえ食品の市場流通が現実になりましたことから、消費者などから遺伝子組みかえ食品についての表示を求める声が大変高まったわけでございます。
 一方、遺伝子組みかえ農産物につきましては、第一点として、従来の農産物と実質的に同じものである場合には大変区別が困難であります。したがいまして、表示を行うためには生産から流通の各段階において区分する必要があるということ、それから加工食品におきましてはすべての原材料につきましてもとの農産物の素性にまでさかのぼることが極めて困難なこと等々の、表示に関しまして多くの問題が想定されたわけでございます。
 このために、私ども農林水産省におきまして、遺伝子組みかえ食品の流通実態を踏まえた表示のあり方を検討するために、食品表示問題懇談会遺伝子組換え食品部会を開催することとしたところでございます。この懇談会につきましては、昨年の五月からこれまでに六回開催をしたところでございます。
 これまでの懇談会におきましては、まず第一点は、学識経験者、生産・流通・加工関係の有識者などの関係者からのヒアリングを行っております。それから、この懇談会の座長と消費者関係の委員の方によりまして米国及びEUの現地調査を行っていただいております。その現地調査を報告して御議論をいただいていること。それから第三点目には、遺伝子組みかえ食品に対します表示についての海外の取り組み状況について紹介をさせていただいていること等々を行いまして、各界を代表する委員の方々が表示のあり方全般につきまして熱心に御議論をいただいているところでございます。
 この懇談会につきましては、昨年も答弁をさせていただきましたわけでございますけれども、国民の皆様方の大変強い関心事項を御審議いただいていることでもございますので、私どもとしてもできるだけオープンな形で議論を行っていただきたいと考えまして、懇談会自体を公開で開催する、マスコミの関係の方々はもとより、一般の方にも傍聴していただいているわけでございます。そうした形で開催いたしますとともに、議事録につきましても農林水産省のホームページなどを使いまして広く公開しているところでございます。
 今後、これまでの議論などを通じまして、把握されております消費者の方々の要望でございますとか、生産、流通の実態などをできるだけ明確にしていくということに加えまして、FAO・WHO合同食品規格委員会の食品表示部会の検討条項、それから諸外国の取り組み事例などを踏まえて、表示のあり方を検討するに当たっての論点を整理しながら議論を進めまして、一定の議論の集約が可能な段階で取りまとめを行っていただくこととしているところでございます。
 それから、一部の報道におきまして、農林水産省が表示義務づけを見送ったなどの報道があったわけでございますけれども、ただいま御説明いたしましたとおり、現在検討が進められている段階でございますので、そのような事実はないと改めて御報告をさせていただきたいというふうに存じます。
 以上でございます。
#22
○委員長(松谷蒼一郎君) この際申し上げますが、政府委員は簡潔、明快に御答弁を願います。
#23
○和田洋子君 民友連の和田洋子でございます。
 遺伝子組みかえの御説明をとてもよく説明をしていただいて、国民が今一番の関心事ですから、私は大変いいお答えだと思いますので、一言申し上げます。
 平成十年度の畜産物の価格があした決定されるというときに、私は今正直に申し上げますと、衆参両院の農林水産委員会は毎年、畜産振興審議会の開催に合わせて畜産・酪農政策を議題として論議を行っているわけでありますが、既に諮問をされている、そういう中で価格は実質的に決定したも同然であるというふうに思っております。審議会の答申も諮問を追認するのが最近の例となっており、この委員会で私たちが畜産農家の方たちの汗を、その苦しみを幾ら申し上げても、もう価格は決定されているのも同然のようなときに質問をするのが大変残念であります。
 そんな中で、農政問題に対する基本の質問をさせていただきます。
 私は、この質問のときに当たりまして、農林水産大臣の所信表明と、そして中間取りまとめを二つ読ませていただきました。農林水産大臣の所信表明の中には畜産という字は一つもありません。そして、それは各論までは触れないということもよく存じているつもりですが、この中間取りまとめの中でも四カ所取り上げられておりますが、それは食品と産業の発展という言葉だけでありますので、私はもっともっと農林畜産に対して、農林省がいかにこういう大事なものをしっかり見ているということのあらわし方を考えていただきたいなという思いがいたします。
 それを大臣はこの農業基本法の改定に当たってどういうふうな思いでおられるか、お聞きします。
#24
○説明員(竹中美晴君) 食料・農業・農村基本問題調査会の中間取りまとめに畜産のことが余り出ていないではないかと、その事実関係についてだけ私から申し上げさせていただきます。
 御存じのとおり、昨年の十二月に中間取りまとめが行われたわけでございますが、これまでは大きな全体に共通するようなテーマが中心に議論されてきておりまして、調査会におきましては具体的なそれぞれの分野の議論につきましてはこれから議論を深めていくという段階でございます。畜産分野につきましても、したがいまして今後さまざまな議論がなされるものと考えております。
 私どもとしましては、そういう中で畜産の位置づけ等々につきましても議論が深められていくであろうし、私どもとしましても並行して検討していきたいというふうに考えております。
#25
○和田洋子君 政務次官もお答えをお願いします。
#26
○政府委員(矢野哲朗君) 大臣の考えでありますけれども、先ほど三浦先生にも同様の答弁をさせていただきました。
 全体の農業の生産高の中の、十兆二千五百億ですか、その中の二五%を畜産が占めると。このことをとらえましても大変重要な基幹部門であると。このことは間違いない事実でありますから、その振興方に今後も精力的に取り組んでいくと、こういうことを御答弁させていただきたいと思いますし、大臣も同様に考えていると、こう御理解いただいて結構であります。
#27
○和田洋子君 ぜひ、言葉だけではなく本当の意味で考えていただきたいというふうに思います。
 私の地元の畜産農家のお話をさせてください。
 牛を飼っている農家ですけれども、子牛を生産する方がだんだん減っているそうです。それは何でかというと、元牛の価格が大変高くてなかなか子牛を生産する農家がないということだそうです。そして、そんな中で、子牛というのは一頭四十万円ぐらいするそうなんですが、その子牛を二年間預かって、そして売る段階になったら百万円で売れる子牛というのは本当に少なくて、平均すると七十万円くらいだそうです。四十万円で買った子牛を二年間飼って飼料を与えて、もう本当に手間をかけて大体七十万円くらいでしか売れないそうです。
 その内訳をちょっと申し上げてみますと、二年間で飼料は大体二十万円ぐらいかかるそうです。そして牛、いろんな病気や何かがあるので保険にも入る、そして施設費、光熱費、考えたら人件費なんて全然ないというふうに言っています。そんな中で畜産農家は大変な苦労をしているわけです。
 そして今、国際的な肉の価格の中で競争すると、日本の肉というのはもう量的には全然外国とは競争できない。それならやっぱりどうにかして良質の肉をつくらなくてはいけないということで、牛に濃厚飼料、アメリカからのデントコーンとかそういうものを与えているんですけれども、その外国からの飼料は円高円安、また為替のレートでもう本当に一喜一憂して大変農家の皆さんは苦労をされているわけであります。国が飼料の備蓄とか、そして国と農家の方たちで基金を創設しているわけですが、その基金も本当にだんだん少なくなってきているこの現状の中で、農家の方たちが安心できるような備蓄と補てん策というものを考えておられるかどうか、お尋ねをいたします。
#28
○説明員(竹中美晴君) 飼料穀物の備蓄のお話でございました。
 我が国の場合、配合飼料等の原料になります飼料穀物のほとんどを海外からの輸入に依存しておりますことから、従来から配合飼料原料の年間使用量のおおむね一カ月分に相当する百二十万トンの備蓄をしているところでございます。民間におきましてもほぼ同量の通常在庫が確保されているということで、合わせて二カ月分が確保されているということでございます。
 配合飼料価格が高騰しました場合には、畜産農家に対する影響が非常に大きいということから、配合飼料価格安定制度による補てんを実施しているところでございます。最近では、平成七年以降の価格の上昇に対しまして、国が助成する異常補てんで四百七十五億円を交付しましたほか、民間のみで積み立てております通常補てんでも約千三百九十億円の補てんがされているところでございます。
 この財源について心配はないのかというお尋ねがございましたが、異常補てん財源につきましては、十年度予算におきましても九年度と同額の三十八億円を計上いたしました結果、十年度において七十六億円の積み増しを予定しております。財源として約八百億円が確保される見通しでございます。通常補てんにつきましても、十年度におきまして財源として約四百億円が積み立てられる見通しでございまして、お話がございました必要な財源は十分確保されるものと考えております。
#29
○和田洋子君 乳価についてお尋ねをいたします。
 私は、生活者というか主婦の視点で、いつも牛乳はすごく安いなという思いがいたしています。ここに御了解を得て水と牛乳を持ってきました。水と空気はただだと昔から私たちは思っていたんですが、そういうことを言うつもりはないんです。
 酪農家の生乳の販売価格は、飲料向け乳価と加工原料向け乳価で異なっていますけれども、昨年の飲料向け乳価、生乳の生産者価格は地域によって若干の違いはありますけれども、報道によりますと、一キログラム当たり九十四円ということであります。これが牛乳という製品になりますと、ここにも持ってまいりましたけれども、一リットル百九十円とか、これは二百八円、きのう麹町の宿舎の近くのスーパーは目玉で百五十八円という値段がついています。(「安過ぎる」と呼ぶ者あり)これは目玉商品ですから。牛乳と卵という商品はスーパーなどでは客寄せの目玉商品として使われているのが大変多いわけであります。この値段が高いと思うか安いと思うかについては一様ではないと思いますけれども、那須高原にも水があるわけですが、そういう牛乳の値段と水の値段がほぼ同じであるというのには大変な私は疑問を持っているところであります。
 申し上げるまでもなく、日本の酪農経営は、世界で最も高い土地に悪条件の中で粗飼料の基盤を確保せざるを得ないほか、サイロとか大型の農業機械とか畜舎とか、外国なんかは外で飼っているんですけれども、日本は畜舎が要る。そして、搾乳システム等多額の投資を必要といたしております。動物の管理を行っている関係から十分な休養もないまま女性の方たちも大変苦労をしています。このような経営によって生産される生乳の生産コストは、平成八年度の全産乳生産費によれば、生乳百キログラム当たり七千三百八十四円、一キロ当たりに換算すると七十四円であります。
 ところで、ここに持ってきたミネラルウオーターは近くのコンビニで買ってまいりましたが、(「目玉じゃないのか」と呼ぶ者あり)目玉じゃなくて二百二十円です。一リットルに換算しますと百十円ということになります。ミネラルウオーターにもいろいろありますが、こっちはフランスのブランドの商品でボルビックというのは〇・五リットルで百三十円、一リットルで換算しますと二百六十円です。ここにもあります成分無調製の北海道の牛乳は二百八円、さっきも申しましたように百五十八円というのもあります。このほかにも水はエビアンの一リットルが二百十円、また那須高原の自然の水は一リットル九十六円、これは同地域で生産された飲用の乳価とほぼ同じです。
 さっきも申し上げましたように、私は水と空気はただだと思っているつもりはないんですけれども、水と牛乳が大体似たような値段で売られているのが実は現状であります。確かに、東京の牛乳小売価格はニューヨークやロンドンやパリに比べれば四倍程度になっているそうですけれども、国内物価で比較してみればミネラルウオーターと同程度であり、酪農家の血と汗の結晶として生産されたものとしては決して高いものではないというふうに私は思っています。牛乳の農家販売価格の総合乳価全国平均は平成五年度以降もう全部下がって推移しています。水の値段よりも安くなって当然というような風潮に無理があるのではないでしょうか。
 それから、乳価について指摘したいのは、その国の事情によってかなり違うとこちもあります。大量に牛を飼っているとか外で飼えるとか、そういうこともありますけれども、例えば中央畜産会が発行した雑誌で、「ニュージーランドを旅して」という大成清さんがニュージーランドの乳価を書いていますが、「ニュージーランドにおける酪農、乳製品の動向」という表によりますと、九六年度における乳価は一キログラム当たり三・一八ニュージーランド・ドル。ここで邦貨に換算してみますと、現在一ニュージーランド・ドルはおよそ七十五円ですから、乳価は二百三十九円ということになります。日本の飲用乳価でさえ九十四円というのに、これはいかにも高過ぎるのではないかというふうに思ってちょっと調べてみました。
 ニュージーランドにはジャージー種というすごく脂肪の高い牛乳があるそうですけれども、ニュージーランドの牛の平均を見ますと、ホルスタインが一番多くて五七%で、ジャージー種は一七%しかない。あとホルスタインとジャージーの交雑種という混血なんですが、一七%ということで、決してジャージー種だけの乳価ではないはずであります。
 世界一の酪農王国の乳価が日本の約二・五倍というのはどのように理解したらいいのか、私は今でも半信半疑です。もしこれに御説明があればお願いいたします。
#30
○説明員(竹中美晴君) ただいまにわかに伺いましたので、そういう二百三十九円というようなことがあるかなと疑問に思うわけですが、データもございませんのでコメントをさせていただくことができません。
#31
○政府委員(矢野哲朗君) 那須の水なども出していただきまして、私は那須の水は大変おいしいと思っているのであります。
 一例で、ペットボトルやら牛乳の比較をされました。加えまして、アラビアから持ってくる油が今五十八円何十銭の税金をつけて八十円から九十円で売られているんですね。
 ですから、何が高いんだろう、何が安いんだろうということ、この高いか安いか絶対的な価値観がちょっとわからなくなってきている今の日本の市場性があると思うんです。本来、今、先生御指摘の、水がそれだけ高かったら、当然健康にいいんだから牛乳を買おうというような消費動向があってしかるべしなんでありますけれども、最近はトレンディーだといってペットボトルを持ち歩くのがはやっている、どうも信じられない消費動向があることも事実だと思うのであります。
 いずれにせよ、今、国内での消費動向が非常に多様化しているということも事実だと思いますので、その点での対応も今後考えていきたい、こう考えております。
#32
○和田洋子君 乳価の決定に当たりましては、ぜひこういうこともお考えをいただいて、そして決定いただきたいと思います。
 最近の報道によりますと、生産者団体が九八年度の飲用乳価交渉を控えて、一キログラム当たり二円以上の引き上げを要求しているようであります。しかし、乳業メーカーサイドでは逆に二円以上の引き下げ方針で臨むようであります。
 ここ数年間の総合乳価の推移を見てみますと、平成六年度の乳価は一キログラム当たり八十五円八十銭で、前年対比一・五のマイナス、平成七年度は八十五・三円でマイナス〇・六%、平成八年度はマイナス三・二%、平成九年度は四月から九月まででマイナス〇・八%というように、一貫して引き下げられてきました。この間の飲用乳価は、六年度が引き下げ、七年度は前年度並み、これは天候不順とか需要の低迷が響いて前年度をわずかに下回り、八年度は乳価の引き下げと需要の伸び悩みから前年度を大きく下回るという推移をたどってきたのであります。
 そして、このような価格の引き下げと低迷がどのように小売価格に反映してきたかと申しますと、さきの小売価格の国際統計では、平成六年十一月の東京における牛乳の価格は二百九円であり、平成七年十一月は二百六円でありますから、およそ生産乳価が下がった分だけ小売乳価も引き下げられたということになります。
 しかし、それではこの間の乳業メーカーや流通部門の合理化がなされたということがあったのでしょうか。それよりも私の感覚では、バーゲンによる目玉商品としての一過性の値段ならともかくとして、一般的な価格水準がそれほど低下しているという印象はないんです。結局、乳業メーカーは生産者からの仕入れ価格を買いたたいてみずからの利益の確保を図っているだけ、企業努力はすべて交渉力の弱い生産者の肩にのしかかっているだけだと思われます。
 このような図式で乳価が決まる状況の中で、酪農家の振興をどういうふうに図っていかれるおつもりですか、お尋ねをいたします。
#33
○説明員(竹中美晴君) 我が国の酪農は戦後目覚ましく発展してまいりまして、飼養頭数規模等におきましても、もう北海道で考えればEUのレベルをはるかに抜いているというようなところに発展してまいりました。この間、合理化によりますコストの削減等も進みまして大きく育ってきたわけでございますが、規模拡大をする過程でやはり外国からの配合飼料に依存する、その依存度合いが高まってくるというような問題も抱えております。
 規模拡大につきましても、今後ますます規模拡大を追求していける農家と、それから規模拡大はこれぐらいにして中身を充実させようという農家、あるいは非常に粗放的に経営をいたしましてコストを安く上げてやっていく農家、かなり多様化し始めているような段階であろうかと思います。
 いずれにしましても、それぞれのタイプに応じまして、我が国の酪農が今後新しい発展のプロセスをたどることができますように、生産から流通、加工、各般にわたる施策を講じていきたいというふうに考えております。
#34
○和田洋子君 先日、三月四日の朝日新聞によりますと、実質破綻農家は百七十三戸、負債額の平均は約一億円というふうに出ておりました。こういうことを踏まえて、ぜひ酪農家の皆さん、畜産農家の皆さんの思いを十分に反映した政策であってほしいというふうに思います。
 次に、家族労働報酬の評価、男女別労働単価の相違についてお尋ねします。
 畜産物生産費の構成要素であります家族労働報酬の評価がえについて伺います。
 家族労働の評価につきましては、昭和五十年までは評価基準として農業臨時雇い賃金が採用されていましたが、その事例が著しく減少したためにその適用が難しくなって、五十一年の調査からは、調査農家の所在するその地方の農村雇用賃金によって評価されることになりました。生産費調査の見直しが行われて、平成四年からは、農村雇用賃金による評価から労働省が調査する毎月勤労統計調査の結果によって求められた農業労働評価賃金によって評価されることになったと言われます。そして、この具体的な評価は、都道府県単位に建設業、製造業、運輸・通信業の三業種の五人から二十九人規模の管理労働者を含めた労賃単価により男女別に行われています。
 私がここで申し上げたいのは、男女同一賃金が原則になっている中で、例えば建設業でビルの一番高いところに上がる男の方と下で働く女性が単価が違うというのはそれは仕方がないというふうに思いますが、同一労働で同一賃金がこれは原則だというふうに思います。
 そういう意味で、同一賃金で評価が行われていないということについてどういうふうにお考えですか。
#35
○説明員(遠藤保雄君) お答え申し上げます。
 生産費調査における家族労働の評価でございますけれども、今、先生が御指摘のとおり、歴史的な経緯を経まして、現在、毎月勤労統計調査結果の、これは北海道の生産費をベースに計算しておりますので、北海道の三業種、そして男女別賃金で評価しておるということでございます。
 今御指摘の同一労働同一賃金の原則との関連でどうであるかということでございますけれども、この件につきまして私どもいろいろ農業労働の実態を今回、昨年の論議も踏まえまして調査していただきました。その過程において、酪農においては搾乳などの飼育管理に関する作業そのものは男女間の差は少のうございますけれども、牧草生産とかあるいは経営方針、作業計画等は経営主の大宗を占める男性が判断しているということでございます。さらに、学識経験者の意見も承りましていろいろ検討をいたしました。その意見は、酪農労働は男女の差が少ないとしても、男女間にはそれぞれ労働の特性を否定し得ない、こういうことでございます。
 したがいまして、男女間の労働の質に差があるというものにつきまして、要するにその質の差を踏まえて男女別の現行の評価をしていかざるを得ないという結論に至った、こういうことでございます。
#36
○和田洋子君 実際、酪農家また畜産農家の女性たちを私は多く知っていますが、男性と同じ仕事をされておられます。絶対にこれは同一労働であるから同一賃金がしかるべきだと思いますので、その点をよく御研究いただきたいと思います。
 牛乳の表示についてお尋ねをいたします。
 厚生省のいわゆる乳等省令によりますと、「「牛乳」とは、直接飲用に供する目的で販売する牛の乳をいう。」とされております。「「加工乳」とは、生乳、牛乳若しくは特別牛乳又はこれらを原料として製造した食品を加工したものであって、直接飲用に供する目的で販売するものをいう。」と定義をされています。さらに、「「乳飲料」とは、生乳、牛乳若しくは特別牛乳又はこれらを原料として製造した食品を主要原料とした飲料であって、第二項から第十項まで及び第十二項から前項までに掲げるもの以外のものをいう。」と規定されています。
 このように、生乳のみによって製造されているものが牛乳であるにもかかわらず、中央酪農会議の調査では、多くの消費者が加工乳や乳飲料まで牛乳だと思って飲んでいる実態が明らかになりました。乳業メーカーは、輸入脱脂粉乳やバターをベースに乳飲料を製造し、カルシウムやビタミン添加によって添加価値をつけ、安いコストで生産した乳飲料をあたかもプレミアムがついた牛乳であるかのような印象を与えており、消費者の選択行動はまことに企業の戦略に乗せられているのであります。
 報道によりますと、このような紛らわしい牛乳の表示について自民党の皆さんからも強い見直し論が出ているということを聞いています。新聞にも出ていました。この点、与党、野党の垣根を越えて私も早急な是正を求めたいと思いますので、これを最後の質問とさせていただきます。お尋ねをいたします。
#37
○説明員(竹中美晴君) 御指摘ありましたように、いわゆる乳等省令の上では、牛乳、加工乳、乳飲料という定義が明確に定められております。牛乳の場合には生乳を使用した上で乳脂肪分三%以上、無脂乳固形分八%以上という定義がされているわけでございますが、一方で、飲用乳の表示に関する公正競争規約では、一定の加工乳、乳飲料についても商品名として牛乳という表示が認められるという実態になっております。
 ただ、その場合に、加工乳、乳飲料といった種類別名称なり原材料名を一括表示して、大きな活字でわかりやすく表示するようにしなければいけないということになっておるわけでございまして、やや紛らわしい面があるわけでございますが、私ども関係機関とも連携をとりながら、消費者の牛乳の表示に対する知識の普及に努めていきたいと考えております。
#38
○和田洋子君 ありがとうございました。
#39
○続訓弘君 三浦議員、大野議員、和田議員が、私が質問を予定したものをみんな質問されましたので、重複を避けながら御質問申し上げます。
 まず、ただいま三十三回の畜産振興審議会が開催されていると思いますけれども、我々ここで議論する結果がそういう審議会に反映されるのかどうなのか、その辺をまず伺いたいと思います。
#40
○説明員(竹中美晴君) 畜産振興審議会につきましては、本日、食肉部会、明日、酪農部会ということで、それぞれ価格の諮問をさせていただいた上で議論いただくということになっているわけでございます。それに先立つ段階で畜産振興審議会各部会の総会を開催いたしましたり、あるいは委員懇談会を開催いたしましたり、何回かそういう御議論をいただく機会がございます。そういう中では、国会での御議論がどういうものであるか、そういったことも十分に委員の先生方にもお伝えしたり、また委員の先生方からそれに対する御意見があったりというようなやりとりがあるわけでございます。
#41
○続訓弘君 確かに、審議会の委員の方々は大変な専門家がたくさんおいでだと思いますよ。消費者の立場あるいは生産者の立場あるいは学識経験者の立場、それぞれの立場で御議論をされると思いますけれども、私どもは、少なくとも衆参両院は何万票かの票をいただいて当選をしてきているわけです。しかも、それぞれ選挙民は、今、和田議員もおっしゃいました、大野議員もおっしゃいました、あるいは三浦議員もおっしゃいましたけれども、それぞれの立場を我々は十分知っているわけですね。そうだとすれば、少なくともきょうではなくてもっと前にこういう会議が開かれて、十分その議論が審議会の結論に反映できるようなことを私はやるべきだと思いますけれども、政務次官、いかがですか。
#42
○政府委員(矢野哲朗君) 仰せごもっとも、私も先生のおっしゃることに大変理解を示す一人であります。いずれにしましても、各委員の先生方の御意見も十分反映できるような農林水産委員会の運営ということもあわせて御協議いただきながら、今後適切に反映させていただきたい。そのことも我々としても十分努力しなければいけないなと考えております。
#43
○続訓弘君 せっかく矢野政務次官からのお答えをいただきました。少なくとも衆参両院がそれぞれの関心を持っている、それぞれの立場でいろんな議論をする、それらを踏まえて私は適正な結論が出るようにこれからもやっていただきたいということを御要望申し上げます。
 さて、若干、東京都の宣伝をさせていただきます。
 東京都には、この間ここで御披露申し上げましたように、農地もあります。農家もあります。同時に、きょうは畜産の関係でございますので、それを申し上げますと、かつては大変な畜産農家がおったわけです。具体的な例を新聞記事から御説明しますと「都内の養豚農家は一九六〇年に一万二千三百二十二戸あったが、年々減少を続け、九五年には」、三十五年後ですよ、三十五年後にはわずかに「六十三戸になった。」と。たった六十三戸しか今生き延びていないわけです。
 そこで、実は私が副知事時代に、平成二年の四月だったと存じますけれども、東京都には畜産試験場があるわけです、御案内かと存じますけれども。行政は一人でも農家があって生産意欲があれば手を差し伸べる必要があるわけです。私どもは大変な窮状におられるそういう畜産農家に対してどういう手だてをすればいいのかということを真剣に議論しました。私は畜産試験場長に命じて、何とか東京の養豚農家が生き残れる道を探ってほしい、知恵を出してほしい、こう要請しました。
 どうでしょうか、昨年の七月には見事なTOKYO Xという究極の豚肉が完成したわけです。これは皆さん御存じですか、究極の豚肉。それはやっぱり行政が、先ほど申し上げたように、一戸でも畜産農家があって意欲があるということであれば、当然のことながら手を差し伸べる必要がある、こういう認識なんです。
 そこで、去年の秋にいよいよその豚肉が出回った。もう即座に売り切れなんですね。それこそ我も我もと、とにかく自分のところに流してほしい、売らせてほしい、こんな要望があるわけです。
 今、御案内のように畜産農家は非常に困り果てているわけですね。それはなぜかといえば、高い飼料、そしてまた特に都市の場合では環境の問題がある。養豚をやろうと思っても、あるいは牛を飼おうと思ってもなかなか飼えない状況がある。そういう中で、今申し上げたように究極の豚肉ができ上がったと。
 そこで、私はあえてお伺いしたいのは、今いろんな先生方がお話しをされました、これから日本の畜産農家が生き延びる道、それは私は容易なことではないと思いますけれども、農水省としてどういう手だてを講じようと思っておられるのか、その辺のことを伺いたいと存じます。
#44
○説明員(竹中美晴君) 畜産と申しましてもいろんな畜種がございますし、また地域の条件もさまざまでございます。ですから、なかなか一概に申し上げることは難しいわけでございますが、先ほどから先生御紹介ございましたように、例えば大都市の大消費地を抱えた地域であるならば、先ほどのような豚の取り組みといったことも大変すばらしいことであろうかと思います。私もTOKYO Xというのは、個人的な話になりますが、試食させていただきましたが、大変高品質なもので、消費者にも高く評価されているというふうに聞いております。そういうふうに、その地域の条件なり消費者のニーズなりを踏まえた対応ということが重要になってこようかと思います。
 北海道、都府県、その都府県の中でもそれぞれの地域によって条件は違うかと思いますが、私どもとしましてはそれぞれの地域の条件に合った支援策を講じていきたいと考えております。
#45
○続訓弘君 東京だけではないようですよ。全国で豚に関して百十二のブランド商品を、商品といいますか作品をつくって、それぞれが競っておられる、そういう話を私は伺いました。この新聞にも載っておりました。しかし、いずれにしても、農水省がそういう手だてを講じて行政の側から引っ張っていくということをやらない限り、私は日本の農政のあしたはない、こんなふうに思います。
 同時に、これは豚肉だけじゃありません。例えば、東京の郊外でわずか三戸の牛乳を生産する人たちが生クリームの直販をやっている。それも押すな押すなの盛況だと。直ちに売り切れ。したがって、それぞれが知恵を出せば私は立派な農家経営ができるんじゃなかろうかな、こんなふうに思うわけであります。
 しかし、それにしても行政がちゃんとしたリーダー役をやらないとなかなかこういう問題は解決をしないんじゃないか、こんなふうに思いますので、ぜひこの際、そういう姿勢で農水当局が取り組まれることを御要望申し上げます。
 もう一つは、特に都市の場合は、今申し上げた養豚業者でも都市計画法の非常な制約があるわけです。したがって、畜舎をつくろうと思っても制約される、それはまあ仕方がないと思います。というのは、隣は密集した住宅街。しかし、少なくとも農家は先住者である。それで、後でおいでになったわけですね。にもかかわらず、いろんな制約があってなかなか思うように畜舎を新築するだとか、あるいは増床するといいますか、広げるとか拡大するとかというのが非常に難しい状況であります。
 そうだとすれば、農水省のこれからのそういう状況に対して、例えば都道府県に対して、あるいは建設省に対して、少なくともこういう都市計画をやってほしいとか、そういう要請をされるつもりがあるのかどうなのか、その辺のところを伺わせていただきたいと思います。
#46
○説明員(竹中美晴君) 御指摘の話は恐らく地域地域のケース・バイ・ケースのことになるんじゃないかと思いますが、私どもとしましても、そういう農家にとりまして問題があれば、あるいは桎梏があれば、そういったものはしかるべく所管の行政機関の方に伝えていくなり、私どもとしてできることは努力させていただきたいと考えております。
#47
○続訓弘君 実は、究極の豚肉が大変好評でしょう。その理由は何かといえば、抗生物質を使わない、一切もう安全な食品だ。そういう意味では、消費者はTOKYO Xを買い求めることがまさに安全な食品を求める、こういうことにつながるということで、今や引く手あまただと。
 そこで、六十三戸の中の二十戸が実はそれを飼っておられるわけですね。ところが、そういう状況になったために、我も我もと、実は飼いたい、飼育したいと、こういう状況になっておるわけです。しかも、究極の豚は、普通の出生から販売まで七カ月かかるところを六カ月で製品化される。この一カ月の期間というのは畜産農家にとっては大変な期間のようであります。
 そういう意味で、私は何も東京の豚だけでなくて、農水省が全国にそういうことを広めたらどうですか。そして同時に、ウルグアイ・ラウンドのもとで痛めつけられている日本の畜産農家に対して、こういう手だてをすれば肉は売れるんだという、付加価値がたくさんある豚肉が売れるんだと、そういうことを御指導していただいたらいかがでしょうか。これに対する所見を伺います。
#48
○説明員(竹中美晴君) 有名なところでいきますれば、鹿児島の黒豚とか、地域地域によって大変元気に頑張っておられる産地がございます。そういうところは行政が別に大した御支援をしなくてもやっていかれるところも多いわけでございますが、私どもとしましても、地域地域によって行政として、ただいま御指摘がありましたような観点から、御支援することがあればそれはどんどんさせていただきたいと考えております。
#49
○続訓弘君 農家は農水省が頼りなんですよ。したがって、農水行政の責任者はすべからくやはり農家の立場に立って、一生懸命ひとつ農水行政の推進に当たっていただくことを御要望を申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#50
○須藤美也子君 私の持ち時間は十分ですので、できるだけ簡潔な答弁をお願いいたします。
 まず最初に、搾乳牛一頭当たりの粗収益、所得、そして家族労働の報酬、これが前年に比べてふえているのか減っているのか、簡潔にお願いします。
#51
○説明員(遠藤保雄君) 平成九年の牛乳生産費調査におきます北海道の搾乳牛一頭当たりの粗収益につきましては六十一万六千五十二円で前年に比べ一%の減少、所得は二十一万六千九百十四円で前年に比べ六・五%の減少、家族労働報酬は十七万四千三百三十六円で前年に比べ七・八%減少しております。
#52
○須藤美也子君 政府の資料でさえ昨年より粗収入、所得、それから労働報酬、全部減少しております。しかも、加工原料乳価は現在一キロ当たり七十四円二十七銭、二十年前は八十八円でした。ところが、現在七十四円二十七銭。これを据え置くのか、引き上げるのか、下げるのか、これはあした決まるわけですけれども、そういう状況の中で農水省は常に他産業並みの所得、だから規模を拡大する、こういう方針を立ててまいりました。
 ところが、他産業はどうでしょうか、産業別の労働者の給料は二十年前に比べでほとんどの産業が給料が二倍に上がっているんです。ところが、逆に酪農家の労働者の報酬は下がっている。だから、何のために働いているのかわからない、赤字をつくるために働いているのか、これではやっていけないという悲痛な叫びが上がっているのは当然だと思います。
 私は北海道の清水町の酪農専業農家のところに行ってまいりました。いろいろ調査をいたしました。そうしましたら、ヘルパー制度があります。一人一日頼むと一万八千円、これはさまざまあります。時間にしますと十時間で、時間給で千八百円です。これでヘルパー代が高いとは思いません。しかし、この酪農専業農家の方は借金の元本を返済した差額だけで時間給は二百三十円から二百六十円にしかならない、だからヘルパーを頼みたくても頼めない、命を削って働かなくちゃならない、これが現状だと言っているんです。こういう政府の統計あるいはこういう現状を踏まえて、乳価は当然引き上げるべきだと思うんですけれども、政務次官、どうでしょうか。
#53
○政府委員(矢野哲朗君) 先生御承知のとおり、加工原料乳の保証価格、これは加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づいて加工原料乳地域の生乳の再生産を確保する、このことを旨として定められておるわけであります。御指摘のとおり、十年度の保証価格算定の基礎となる北海道の平成九年度乳生産費は一キロ当たり一円二十六銭上昇しております。そして、これは流通飼料が一円六十三銭増加した結果でありまして、それ以外の経費は三十七銭減少しているというような結果でありました。この生産費を基礎としてその後の流通市場価格の動向、今後の動向でありますね、加えて、その他物財費の物価状況などを踏まえて試算を現在行っているところであります。
 大変歯切れの悪い答弁になるかもしれませんけれども、あすの畜産振興審議会の意見をちょうだいして、その結果、適正に決定をさせていただきたい、今そういうふうな状況にあると思います。
#54
○須藤美也子君 そういう現場の酪農家の現状を踏まえてぜひ検討して強い要望をしていただきたい、こういうことをお願いしたいと思います。
 それから、平成八年一月に農水省で出した酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針があります。この内容を見ますと、二〇〇五年までに乳牛で百九十八万頭、それから肉用牛では四百三十三万頭、これまでふやすと言っているんです。こういう目標を掲げているんですよ。
 ところが、現状はどうでしょうか、この十年間で酪農家戸数は半分に激減をいたしました。WTO協定以来この三年間で頭数を見ますと、乳牛では十二万二千頭減りました。肉用牛では十一万九千頭減ってしまいました。この基本方針を出してから二年余りですけれども、この二年間の間にも下降線をたどっている、歯どめがついていない、歯どめがかからない、これでは二年間でもう既に基本方針は行き詰まってしまったのではないでしょうか、その点どうですか。
#55
○政府委員(矢野哲朗君) 生乳の生産量、年ごとの増減は多少見られます。しかし、基本方針の目標に向けて緩やかな増加傾向をたどっていることも事実であります。また、乳牛の飼養頭数は平成五年度以降御指摘のとおり減少しております。そして、基本方針の目標を下回っているところでありますが、これは生産者団体が需要の動向に即した自主的な計画生産を行っている中で乳製品の需要は拡大している一方、飲用の需要が天候不順等の影響によって伸び悩んでいるのも事実であります。乳牛一頭当たりの生乳生産量が増大していること等によるものとも考えられます。
 いずれにせよ、基本方針については、平成八年一月に策定してスタートして二年でありまして、今後とも基本方針の目標に向け、生産、流通、消費にわたる各般の施策の推進に努めてまいる所存であります。
#56
○須藤美也子君 せっかくつくった基本方針ですから、これを絵にかいたもちにはしないでほしい。これを実際にやれるようにするには、このままでいったらますます減少は続く、酪農家はもう借金が返済できなくてやめたいと、こういう農家がたくさんいるわけですから、そのために私は清水町に行ったとき、専業農家で乳価がキロ九十六円四十八銭でなければやっていけない、皆さんの賃金は二十年間で二倍にも上がった、ところが乳価は逆に二十年前に逆戻りした、これでは本当に酪農を育成していくという姿勢は見られない。そういう点で、この基本方針を本当に実施していくためには、第一に価格保証、価格を政府が責任を持って保証する、これが重要な問題になっております。
 この間、清水町では昨年の暮れからことしの新年にかけて酪農家が二人自殺いたしました。負債を抱えて借金を返せない、行き詰まっての自殺であります。そういう点で、二つ目は負債対策であります。莫大な負債を抱えております。そのために政府はこの負債対策として一括して低利のものに借りかえをする総合的な対策を立てる、これが二つ目。
 三つ目は環境問題です。先ほど来いろいろおっしゃっておりました。しかし、乳価は下がり、設備投資には莫大な金がかかる。しかも、安全問題、環境保全の問題では、これは消費者も含めて国民的な課題なんです。そういう点で、環境問題に対する施設については農民負担にせずに国が責任を持って国民的な課題にこたえていく、そういうことに積極的に取り組むならば、私はこの近代化方針を実現するという希望を酪農民の皆さんに与えることができると確信いたします。
 最後にその答弁をお聞きいたしまして、私の質問を終わります。
#57
○説明員(竹中美晴君) 価格につきましては先ほど政務次官から申し上げましたので、金融関係と環境関係について御説明申し上げます。
 借入金の償還が困難になりました酪農経営に対する金融対策といたしましては、既往負債の借りかえ等も可能な長期低利の自作農維持資金とか大家畜経営活性化資金、さらには農家負担軽減支援特別資金等の融通をしておるところでございます。これらの金融措置を有効に活用することによりまして、酪農経営の安定、体質強化を図ってまいりたいと考えております。
 家畜ふん尿の環境問題でございます。
 家畜ふん尿につきましては、これを堆肥化して農地に還元していくというリサイクル利用が基本であると考えております。そのために、これまでも家畜ふん尿の処理利用施設や機械、これらにつきましての助成措置やら、あるいはまた個人の場合にはリースでありますとか低利融資、もろもろの措置を講じているところでございます。そうした措置によりまして、畜産環境対策を今後とも充実させていきたいと考えております。
#58
○阿曽田清君 自由党の阿曽田であります。
 今、須藤委員の質問に対しまして大体共通するところもございますので、それの延長線上で御質問させていただきたいと思います。
 どちらかといいますと、飲用乳は少々減ってきておって、乳製品の方が少しふえてきているというような状況の中ではあるけれども、昨年、加工限度数量二百四十万トンに対して二百三十七万トンと、二百四十万トンまで達成しなかったという状況であるようでありますが、今日までこの十年間の間にどちらかというと生産調整ぎみに行ってきた状況ではなかろうかなというふうに思います。その中で、特に現場では乳肉複合経営というものにどちらかというとここ数年重点を置いてきた。
 そこで、今一番私が心配をいたしておりますのは、後継牛がどんどん少なくなってきておるなと。今、須藤先生がおっしゃられたようなことに相通ずるものがあるわけでありますが、実は今数字を申し上げますと、昨年の平成九年二月現在の乳牛頭数は百八十九万七千頭、そのうち経産牛が百二十万四千頭であります。この百二十万四千頭の中で現在は種をつける、これが黒毛和牛の方の種をつけるのが五〇%ほどとなってきておって、実際、ホルスをつけるのが約五〇ぐらいというふうに私は見ております。
 そうしますと、百二十万頭生まれた中で、六十万頭はF1、残りの六十万頭のうちの半分がホルスの雄と雌ということで三十万頭分がホルスの後を引き受けるいわゆる搾乳牛になっていく。少なくとも、三十万頭じゃなくて三十六万頭以上は、三〇%以上はなからぬと私は現状維持できないというふうに思っておるわけであります。と申しますのも、一頭当たりの生まれる子供の平均は二・八だというふうに思っておりますけれども、三にいっておりません。そういうことからいたしますと、その状態でさえも不足ぎみであるというふうに思うわけであります。
 そして、特にこれは熊本県の実情でありますが、最近とみにまたこの黒毛和牛の精液を実際六〇%が種つけているわけでありまして、そうしますと、どんどんF1の方が余計出てきて、後を継ぐ後継牛の方にどんどんしわ寄せが来ている。現に六〇%の黒の精液を種つけている、その上に昨年よりも一四%ほどの精液の利用が減ってきておるということは、種つける牛がそれだけ頭数が少なくなってきている。一万頭おれば八千四百頭分しか種つけていないというようなことでありますから、十カ月間腹の中で子供を育てて、そして生まれて約二年たたないと乳が出ませんから、そうしますと、三年後は私は大変な後継牛不足になるんじゃなかろうかなという心配をいたしております。
 須藤先生がおっしゃられました百八十九万頭の現状から、二〇〇五年には百九十八万ということで、十万頭ふやすという計画でありますけれども、まさにそれと逆行する状況に至っておるのではないかというふうに思いますので、その後継牛対策について簡単に御答弁を願いたいと思います。
#59
○説明員(竹中美晴君) 搾乳牛頭数の問題でございますが、これは生乳の需給動向等を反映いたしまして増減をいたしております。通常、酪農家は後継牛の確保に加えまして、供国産次の調整等によりまして時々の状況に対応しているわけでございます。
 そういうことからいいましても、後継牛の確保ということは酪農経営の基礎的な部分でございますので、後継牛と交雑種の生産は半群の改良、初妊牛と交雑種の需給、価格等を勘案しながら、基本的には酪農家みずからがその経営判断で行うものと考えております。
 そういう面で、行政サイドといたしましては、雌牛の能力を把握する半群検定を推進いたしますとともに、乳用牛への黒毛和種の授精状況を現在四半期ごとに調査をして公表いたしておりまして、酪農家における計画的な後継牛と交雑種の生産を支援しているところでございます。
#60
○阿曽田清君 原因は何かというと、乳肉複合経営の方々がとらえている点は、一番ネックになっていますのは、F1で生まれてきた子供の値段がもう既にその時点で相当の差があるんですよ。いわゆる黒毛和牛の場合、これは一カ月後で二十三万、雌の場合は十八万でしょう。F1の場合は十三万、これは雄、雌の場合は八万です。ホルスの場合は三万ですよ。そして、今度の保証基準価格のところでも平成十年も据え置きということと思いますけれども、乳用種の中に十五万六千が保証基準価格ですね。この保証基準価格はF1とホルスの部分を足してその平均が十五万六千を超えているからそれでいいんだと、こういうことになっていますけれども、実際そのときはホルスは十二万から三万、F1は二十二、三万しているわけなんです。
 私がここでお願いしたいのは、生まれてきたF1と乳雄との価格差、先ほど申し上げました十三万と雌の場合が八万、生まれたときにホルスの場合は三万ですから、少なくとも三万から五万を、乳雄のぬれ子のときにそれだけの対策を、支える対策を三万から五万、価格対策としてやっていただけぬかというのが一点です。
 もう一点は、六カ月たって子牛を売るときに、F1と乳ホルスとを一緒に足したところで十五万六千を超えているから、実際は超えていないんですよ、ホルスの値段は。ですから、F1の方が高くいっていますからこれは問題ないわけですけれども、ホルスの値段を十五万六千の最低価格で、いわゆる保証価格で買い上げていくというようなことを出せば必ず私は、F1をつくることじゃなくて、黒の種牛をつけるんじゃなくて、ホルスはホルスの種をつけていっても農家の方々は損得はないというふうに動いていくと思います。少なくとも二十頭から三十頭を持っている熊本県の平均としますと二、三百万違ってくるんですよ、短期的に、一年間の収益が、ホルスを種つけたのとF1をつけたのとでは。
 そういう意味で今の二点、どうぞ、ぬれ子の段階で、乳ホルスについてのぬれ子に対する三万から五万の価格対策、もしくは保証基準価格の中で十五万六千をホルスの子牛価格として保証していただきたいということを強く要望をいたし、お答えをいただきたい、と思います。
#61
○説明員(竹中美晴君) 二点御指摘がございましたが、要するに、現在の肉用子牛生産者補給金制度の中で一つのグループになっている肉専用種以外の品種の中に一緒に乳用種、交雑種が含まれているわけでございますが、その乳用種を取り出して扱うということにつながろうかと思うわけでございますが、この問題につきましては私どももかねがねいろいろ御提案なり御意見を承って勉強をさせていただきました。
 ただ、現在の時点で私どもの考えといたしましては、交雑種と乳用種の子牛の価格差というのは補給金制度の発足以来も非常に大きく変動してきております。市場における品種としての評価というのがなおまだ確立したとは言いがたいのではないか、いま少し価格動向を見きわめる必要があるのではないかというのが一つでございます。
 それから、現実問題として、交雑種、F1と乳用種との確実かつ簡便な品種の証明方法がなかなか確立されていないということで、補給金制度という制度を運用していく上では不可欠になります品種の証明ということが実態上なかなか難しい、こういった問題があるわけでございます。
 したがいまして、現在のところは肉専用種以外の品種のグループにF1も乳用種も含めて運用しているわけでございますが、これを分離して扱うというのはなかなか難しいことではないかと考えております。
#62
○委員長(松谷蒼一郎君) 時間です。
#63
○阿曽田清君 三年後、私が予想したとおりになっていきますよ。ですから、この時点でちゃんとしたそういう農家の方々の取り組みがホルスでも、ホルスはちゃんと後継牛をつくっていくんだという裏づけをとってやらないと、結果論としてそうなったときに私は大変なことになろうということを注意申し上げて、質問を終わりたいと思います。
#64
○委員長(松谷蒼一郎君) 本件に対する質疑はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
#65
○委員長(松谷蒼一郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、浦田勝君が委員を辞任され、その補欠として釜本邦茂君が選任されました。
    ―――――――――――――
#66
○委員長(松谷蒼一郎君) 和田洋子君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。和田洋子君。
#67
○和田洋子君 私は、自由民主党、民友連、公明、社会民主党・護憲連合、日本共産党、自由党の各派及び各派に属しない議員石井一二君の共同提案による畜産物価格等に関する決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    畜産物価格等に関する決議(案)
  我が国農業の基幹的部門である畜産業は、ウルグアイ・ラウンド合意による牛肉及び豚肉の関税の引下げ、畜産物輸入の増大、担い手の減少、高齢化の進行、畜産環境問題の深刻化等極めて厳しい情勢に直面している。
  よって政府は、こうした情勢を踏まえ、平成十年度畜産物価格の決定に当たっては、次の事項の実現に万遺憾なきを期すべきである。
 一 新たな農政の指針の策定に当たっては、我が国畜産・酪農の持続的発展を目指す観点に立って、その役割の重要性を明確にするとともに、生産振興及び経営安定を図る政策を確立すること。
 二 加工原料乳保証価格については、農家が意欲と希望を持って営農に取り組めるよう、再生産の確保を旨として適正に決定するとともに、加工原料乳限度数量については、生乳の生産事情、牛乳及び乳製品の需給事情を考慮して適正に設定すること。
   また、生乳の需給調整対策、国産ナチュラルチーズ、生クリームの生産振興等の対策を講ずるとともに、ゆとりある経営の実現に向け、酪農ヘルパー、コントラクターへの支援対策を今後とも積極的に推進すること。
 三 牛肉及び豚肉の安定価格については、畜産農家の経営の安定が図られるよう、再生産の確保を旨として適正に決定するとともに、肉用子牛の保証基準価格については、繁殖農家の経営の安定が図られるよう、再生産の確保を旨として、また、合理化目標価格については、我が国の肉用子牛生産の実態等を勘案して、それぞれ適正に決定すること。
 四 飼料をめぐる情勢を踏まえ、配合飼料価格安定対策の適切な運用を図るとともに、政府操作飼料については、需給事情を踏まえた安定確保を図ること。
   また、新たな麦政策の検討に当たっては、畜産農家が必要な飼料を確保できるよう措置すること。
 五 畜産業の発展に資するため、経営継承対策、負債対策、家畜排せつ物処理施設の整備等の畜産環境対策、堆きゅう肥の生産・流通促進対策、家畜改良促進対策、家畜衛生・防疫対策等を総合的に推進するとともに、食肉の輸入急増に対する関税の緊急措置及び特別セーフガードの適時・的確な発動を行うこと。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#68
○委員長(松谷蒼一郎君) ただいま和田洋子君から提出されました決議案を議題とし、採決を行います。
 本決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#69
○委員長(松谷蒼一郎君) 全会一致と認めます。よって、和田洋子君提出の決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、矢野農林水産政務次官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。矢野農林水産政務次官。
#70
○政府委員(矢野哲朗君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従いまして、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。
#71
○委員長(松谷蒼一郎君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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