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#1
第142回国会 農林水産委員会 第8号
平成十年四月七日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     鈴木 政二君     井上 吉夫君
     常田 享詳君     浦田  勝君
     齋藤  勁君     一井 淳治君
     前川 忠夫君     北澤 俊美君
 三月三十一日
    辞任         補欠選任
     長峯  基君     真鍋 賢二君
     風間  昶君     横尾 和伸君
     大渕 絹子君     村沢  牧君
     谷本  巍君     三重野栄子君
 四月一日
    辞任         補欠選任
     真鍋 賢二君     長峯  基君
     横尾 和伸君     風間  昶君
     三重野栄子君     谷本  巍君
 四月二日
    辞任         補欠選任
     国井 正幸君     末広まきこ君
     村沢  牧君     鈴木 和美君
 四月三日
    辞任         補欠選任
     末広まきこ君     国井 正幸君
     鈴木 和美君     村沢  牧君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         松谷蒼一郎君
    理 事
                三浦 一水君
                和田 洋子君
    委 員
                井上 吉夫君
                浦田  勝君
                大野つや子君
                国井 正幸君
                長峯  基君
                一井 淳治君
                風間  昶君
                続  訓弘君
                谷本  巍君
                須藤美也子君
                阿曽田 清君
                島袋 宗康君
                石井 一二君
   国務大臣
       農林水産大臣   島村 宜伸君
   政府委員
       農林水産大臣官
       房長       堤  英隆君
       農林水産省経済
       局長       熊澤 英昭君
       農林水産省構造
       改善局長     山本  徹君
       農林水産省農産
       園芸局長     高木  賢君
       農林水産省畜産
       局長       中須 勇雄君
       農林水産省食品
       流通局長     本田 浩次君
       食糧庁長官    高木 勇樹君
       林野庁長官    高橋  勲君
       水産庁長官    嶌田 道夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 威男君
   説明員
       総務庁行政監察
       局監察官     伊藤 孝雄君
       外務省アジア局
       地域政策課長   佐藤  悟君
       外務省経済協力
       局技術協力課長  粗  信仁君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○平成十年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)、平成十年度特別会計予算(内閣提出、衆
 議院送付)、平成十年度政府関係機関予算(内
 閣提出、衆議院送付)について
 (農林水産省所管及び農林漁業金融公庫)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(松谷蒼一郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る三月三十日、前川忠夫君、齋藤勁君、常田享詳君及び鈴木政二君が委員を辞任され、その補欠として北澤俊美君、一井淳治君、浦田勝君及び井上吉夫君が選任されました。
 また、同月三十一日、大渕絹子君が委員を辞任され、その補欠として村沢牧君が選任されました。
 また、去る二日、村沢牧君が委員を辞任され、その補欠として鈴木和美君が選任されました。
 また、去る三日、鈴木和美君が委員を辞任され、その補欠として村沢牧君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(松谷蒼一郎君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(松谷蒼一郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に村沢牧君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(松谷蒼一郎君) 去る三日、予算委員会から、四月七日から八日正午までの間、平成十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 まず、島村農林水産大臣から説明を求めます。島村農林水産大臣。
#6
○国務大臣(島村宜伸君) 平成十年度農林水産予算の概要を御説明申し上げます。
 平成十年度一般会計予算における農林水産予算の額は、関係省庁計上分を含めて三兆三千七百五十六億円となっております。その内訳は、公共事業費が一兆七千四百三十九億円、非公共事業のうちの一般事業費が一兆三千六百二十六億円、主要食糧関係費が二千六百九十一億円であります。
 平成十年度の農林水産予算については、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の見直し、新たな米政策の実施、国有林野事業の抜本的改革という三つの大きな政策課題に対応するとともに、二十一世紀に向けて我が国農林水産業の体質強化と魅力ある農山漁村の建設を図るために必要な予算を計上したところであります。
 まず、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の見直しであります。
 ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策については、財政構造改革の観点から、公共事業の対策期間を二年延長するとともに、これまでの実績の検証等を踏まえ、新しい国際環境に対応し得る農業経営の確立や地域特性の活用に、より資するよう事業内容の見直しを行ったところであります。
 平成十年度は、こうした見直しを踏まえて、残された対策期間内に事業の着実な推進を図るため、大区画圃場整備等の農業生産基盤の整備等に要する経費として公共事業に七百七十億円、ライスセンター等の経営近代化施設整備や農地流動化対策、新規就農対策等に要する経費として非公共事業に九百五十五億円、合計千七百二十五億円を計上しております。
 次は、新たな米政策の推進であります。
 四年連続の豊作により自主流通米価格が急激に低下するなど、稲作経営は極めて厳しい状況に直面しています。こうした状況に対応するため、昨年十一月に決定した「新たな米政策大綱」に即し、米需給安定対策、稲作経営安定対策等を一体的に推進することとしており、これらの新たな米政策への円滑な移行と適切な運営を図るために必要な予算を計上しております。
 次は、国有林野事業の抜本的改革であります。
 我が国の森林面積の三割を占める国有林が国土の保全等の公益的機能を十分に発揮し得るよう、国有林野事業の健全な運営の確保を図ることが必要であります。
 このため、国有林は国民共通の財産であるという認識のもとで、国有林野の管理経営を公益的機能を重視したものに転換することとし、公益林の適切な管理等のための経費を一般会計から繰り入れます。さらに、組織・要員の徹底した合理化を行います。
 また、約三兆八千億円の累積債務のうち約一兆円について国有林野事業特別会計で返済することとし、債務累積防止のため一般会計から全額利子補給を行うとともに、約二兆八千億円を一般会計に承継することとします。
 引き続き、このほかの予算の重点事項について御説明いたします。
 第一は、農業経営体質の強化であります。
 経営感覚にすぐれた効率的かつ安定的な農業経営を確立するため、認定農業者に対する系統資金を活用した低利資金、中高年齢者の就農を支援する無利子資金を創設するとともに、担い生育成に資する農業農村整備事業を重点的に推進する等、担い手の経営基盤の強化を図ります。
 第二は、地域の状況に即した農業・農村の活性化であります。
 中山間地域の棚田等の有効利用及び保全に資するため、農地及び関連施設の緊急整備とあわせ、保全活動を支援する棚田地域等保全対策を創設いたします。
 また、遊休農地・耕作放棄地対策の充実を図るとともに、農協の高齢者介護活動の強化等により農村高齢者対策の充実を図ります。
 第三は、農業生産基盤の整備と生産・流通対策の充実強化等であります。
 基幹水利施設の更新対策の充実等、地域の諸課題に対応した農業農村整備事業を推進するとともに、麦・大豆を基幹とした輪作体系の確立、肉用年等の生産の組織化等、主要作目の生産・流通対策を強化いたします。
 また、優良な種子・種苗の開発・普及を推進するとともに、施肥・防除技術の開発・普及等による環境保全型農業の総合的な推進を図ります。
 さらに、食品の安全性対策の強化を図るほか、広域農道、卸売市場等の整備等による農林水産物の物流効率化対策の強化を図ります。
 このほか、イネ・ゲノム研究の推進等、農林水産関連分野の技術開発を推進するとともに、サブ・サハラ地域における食糧増産に向けた総合的な支援等、国際的な食糧安定供給のための支援を強化いたします。
 第四は、緑豊かな森林・山村の整備と林業・木材産業の活性化であります。
 森林法の改正等による市町村の役割強化等を通じて、流域を単位とした森林整備目標の実現に向けた森林整備を展開するとともに、間伐総合対策の強化を図ります。
 また、森林整備のための金融措置を充実するほか、防災対策の強化を図ります。
 さらに、木材の需要拡大を図るため、新たな木材利用の技術開発等を推進いたします。第五は、新海洋秩序のもとでの活力ある水産業・漁村の形成であります。資源管理の徹底とつくり育てる漁業の一層の推進を図るため、漁協系統組織を中心とした漁獲可能量管理体制を整備するとともに、複合的な資源管理型漁業を推進いたします。
 また、合併漁協に対する支援策の強化等により漁協系統の経営基盤の強化を図るほか、水産物の流通・加工・消費対策の充実を図ります。
 次に、特別会計については、食糧管理特別会計について一般会計かる調整勘定等へ所要額を繰り入れるとともに、その他の特別会計についてもそれぞれ所要の予算を計上しております。
 最後に、財政投融資計画については、農林漁業金融公庫による資金運用部資金等の借り入れ等、総額五千四十四億円を予定しております。
 これをもちまして、平成十年度農林水産予算の概要の説明を終わります。
#7
○委員長(松谷蒼一郎君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#8
○国井正幸君 国井正幸でございます。三点ほど質問をさせていただきたいというふうに思っています。
 一つは、今、新農業基本法の制定に向けて食料・農業・農村基本問題調査会の中間報告を受けて各地で公聴会も持たれているようであります。その進捗状況と、最終報告というのは大体どのぐらいを目途にできるのか、その辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#9
○政府委員(堤英隆君) 御指摘のように、調査会につきましては昨年の四月から議論を開始しているところでありまして、昨年一年間でかなりの頻度におきましてそれぞれ調査会あるいは部会で御議論を賜っております。国内の需給体制をどうするべきかとか、それから農業生産法人制度をどうするかとかいろんな御議論がございますので、できるだけ国民の皆様方のコンセンサスを得たいという意味での努力を続けておるわけでございますが、御指摘のように、ことしに入りましても各地域で公聴会を開いております。それぞれの地域の実情を踏まえた論議でないとしっかりした農政の展開ができないということで、こういった会合をそれぞれの地域で持っているわけでございます。
 こうした議論を踏まえて、これからさらに本格的な細部にわたる議論を詰めまして、できましたらことしの夏ぐらいまでには最終報告をいただきまして、それを受けて、政府として、できましたら来年の通常国会に新しい基本法その他関連の法案を提出し、御審議を賜りたい、こういうつもりで今努力しているところでございます。
#10
○国井正幸君 新聞等の報道によれば、中間報告で結論づけをしなかった、四点ぐらいあるんでしょうかね。例えば、食糧自給率の政策目標化の問題だとか、あるいは株式会社の農地取得を認めるかどうかとか、さらには中山間地域の所得補償の導入の是非論、いろいろあるというふうに思うんです。
 それで、これも新聞報道でありますけれども、特に食糧自給率の政策目標化をどうするかというに当たって、どうも農林水産省内部で慎重論が強いと、こういうふうに一部の報道機関では報じられているんですね。それらを見てみると、大変食生活が多様化してきている、米離れが進んできている、そういう状況の中では自給率を明示しても意味がないのではないか、そんなことが言われたり、あるいは、よもやそういうことはないと思うんですが、数値目標をはっきりすれば、数字というのは正直ですから、それが達成できなかった場合その責任が問われかねない、こういうふうなことで二の足を踏んでいるのではないか、こういうふうなことも一部報じられているわけなんですが、その辺はいかがでしょうか。よもやそういうことはないんじゃないかと僕は思っているんですが、いかがでしょうか。
#11
○政府委員(堤英隆君) 自給率の問題につきましては、農水省として慎重だと、そういう状況ではまだございません。
 いずれにしましても、国内の農業生産体制をどうするのか、これだけ多様化した国民の食生活にこたえて、国内の自給で幾ら供給したらいいのかということにつきましては国民生活の基本にかかわることでございますので、やはりそれぞれ各界各層の御議論をちょうだいしながら、できるだけこういう方向で国内農業の位置づけをするべきだ、その中で国内農業としてこのぐらいの自給率が必要だとか、あるいは無理であればその自給率の前提になっております農地だとか水だとか担い手だとか、そういうことをどうやって確保していくかとか、もう少し掘り下げた議論が必要なんじゃないかということで、今はそういった掘り下げた御議論をしていただくためのいろんな材料を私どもとしては提供しているという段階でございます。
 今後、こういった場でも御議論がこういう形であるわけでございますので、これから夏に向けてさまざまな御議論をちょうだいした段階で、農水省としてもこの問題をどういうふうに考えるべきか考え方をお出しして、またそれを含めて御議論を賜りたいというふうに考えております。
#12
○国井正幸君 確かにおっしゃられるように、ただ数値目標だけを置いてみてもこれは達成できるものではないというのは私もよくわかります。それを達成するためのそれなりの施策というものが積み上がってきてこれはできるわけでありますから、大変それは重要なことなんですが、やはり我が国の食糧自給率というのがカロリーベースで四二%、あるいは穀物でもって見ると三割を切って二九%、こういうふうに言われていて、先進国中最低なんですね。
 さきに総理府が、九六年の九月でしょうか、食料・農業・農村の役割に関する世論調査を実施したわけですね。これらを見ても、我が国の将来の食糧事情に不安があるというふうに答えている人は七割をちょっと超えているんですね。そういう中で、食糧を安定的に確保する政策のあり方としてはどうしたらよいかということになれば、八割を超える人がやっぱり国内できちっとした生産体制を確立すべきだと、こういうふうなことを言っているわけですね。そして同時に、やはり安全な食糧というものをぜひ供給してほしいと、こういう強い要望があるわけでございます。
 そういう状況にあるということを踏まえれば、これだけは必ず確保するんだと、やはりそういう数値目標があって、しからばそのためにどうしていくのかということをきちっと議論をしないと、いつになってもできただけが自給でもって、あと足らない部分は買えばいいという発想ではこれは先に進まないのではないかというふうに思うんですね。ぜひ食糧自給率というのを数値化目標してもらいたいというふうに思うんです。
 そういう意味では、別の角度からすれば、九五年の十二月ですか、農産物の需要と生産の長期見通し、これでもって数値も挙げているわけですね。そういう意味では、やはり具体的な数値目標というのを挙げて、ここまではきちっとやっていこうよということをはっきりさせる必要があると私は思うんですが、いかがでしょうか。
#13
○国務大臣(島村宜伸君) 御高承のとおり、国民の食生活はいわば生活水準の向上とともに非常に多様化いたしまして、一方においては米の消費が減少する、その一方では輸入飼料に頼らざるを得ない畜産物や、あるいは輸入原料に頼らざるを得ない油脂関係の消費が増加したことで、我が国の食糧自給率というのは非常に大きく後退をしているところでございます。カロリー換算で四二%、穀物自給率で二九%であります。
 問題は、一つは、なるほど経済合理性とか貿易とかそういう意味合いだけでこういうものをとらえがちでありますけれども、それは私たちは絶対間違いであるという主張に立っているわけでありますし、特に日本の国は極東に位置する島国であるということもありますから、EU諸国のようにお互いが連帯して国家の経営をしようという立場とは違いますので、いざというときの対応ということも十分考えておく必要があるというふうに我々は考えているところです。
 そんな中で過去の歴史をひもときますと、一九七二年には御承知の世界同時不作というのがございまして、このときには小麦の値段が一四三%上昇しています。また、七三年には米国の大豆の生産が大きく落ち込みまして、禁輸が行われて、この際、大豆の価格が二二三%上昇しているわけです。さらには、八八年には米国の大干ばつがあって大豆の価格が八四%上昇、九五年には米国の天候不順ということで小麦の価格が七六%上昇と。こんなような際には、まさに食糧自給率の低い我が国にとっては大変な打撃がまともにかぶってまいります。
 実は、OECDの会合でもこの話はよく出たところでありますが、あなた方にもこういう歴史があるではないか、だからいっても我々は供給に責任を持つと言ってみたところで、こういう過去を考えたときに、はい、そうですかというわけにはいかないのだということを我々は強く主張したところでありますが、今御指摘のとおり、食糧の自給率については我々は最大限、どんな場合にも対応し得るという、有事に備えることを含めてこれから検討するべきである、そう考えておるところです。
 なお、食料・農業・農村基本問題調査会では、いわば食糧自給率を政策目標とすべきであるという御意見と、いや、政策目標とすべきではないと、弾力的な対応をというお考えだと思いますが、まだ意見が二つに分かれておりまして、これが両論併記の形になっておりますので、我々はこれを傍観するのでなくて、真剣にこれを見守ると同時に、もしお互いが意見交換の場があれば、それはそれなりにまたいろいろ将来を見据えた我々の提言といいましょうか、言うことは当然やぶさかでない、こう考えております。
#14
○国井正幸君 調査会の皆さんも一生懸命やっていただいているわけでありますから、精力的に詰めていただいて、この皆さんの意見というものを参考にして十分いいものをぜひ政府部内で決めていただきたいと思いますし、またそれがいずれこの国会の場にも上程されてくるというふうに思いますから、その場でも議論したいと思いますが、今の大臣のお言葉にありましたように、傍観するのではなくて、政府においても積極的にそういう意味ではこの政策というものをぜひ確立していただきたい。そのためには、私は、その目標というものをはっきりさせて、その上でしかるべき具体的な施策というものをぜひ進めていただきたいというふうに思うわけでございます。
 そこの中で、特に自給率の問題を議論するときに、需要があって国内で生産ができていない、これらをどうするかというのが非常に重要だというふうに思うんですね。そういう意味では、やはり麦と大豆と飼料用作物、これが何といっても大きな三つの柱になるわけですね。特に、麦類なんかでは年間の需要量が九百万トンを超えるほどの需要がある。しかも、そういう中で一けたの自給率、小麦なんかでは七%程度でしょうか、あるいは大豆についてもおおむね五百万トンからの需要があって、それで五%程度の自給率、こういうふうなことになっていますから、ぜひこういうものを中心に、何としてもやはり自給率を向上させる必要があるのではないかというふうに思うわけでございます。
 そういう中で、昨年の三月に麦問題研究会がつくられて今検討が進められ、六月の麦価決定時に麦流通のあり方についても諮問がされる、このように伺っておるわけであります。
 生産現場の農家の方々に聞きますと、生産振興をうたっておって、特に転作作物として重要な位置づけをして生産振興をうたっておって、そして流通では何か政府が一歩身を引く、実需者と生産者が直接やってください、こういうことではどうも言っていることとやっていることが違うのではないか、こういうふうな意見とか不安視する向きもあるわけなんですね。
 したがって、これから民間流通にするにしても、生産農家の皆さんあるいは実需者の皆さんに対して不安を与えないような方策を講じるということはこれは不可欠な問題だというふうに考えておりますけれども、これから民間流通に仮に移した場合、いわゆる外麦の輸入等についてはこれまでどおり政府がきちっとやっていくのかどうか、そして内外麦のコストプール方式で今やっているわけでありますが、こういう制度についてはきちっと維持できるのかどうか、その辺についてお伺いしたいというふうに思います。
#15
○政府委員(高木勇樹君) お答え申し上げます。
 今、先生の方からお話ありました麦問題研究会の報告は昨年の十二月に出されたものでございまして、米価審議会においても昨年の暮れの答申で、麦問題研究会の報告については早急に具体策の検討を深め、その実現を図ることという答申がなされたわけでございます。私ども、そういったことを踏まえて、現在、関係方面と議論をしているところでございまして、今御指摘のあった外麦の管理の考え方、これは私どもとして基本的に変更する考えはございません。
 そういった中で、この麦問題研究会がなぜこういった検討方向を示したかということでございますが、それはやはり、例えば昨年の平成九年産の生産者麦価決定の際に良品質麦の安定供給対策というものが講じられましたが、その一環として行われたアンケート調査結果を見ますと、生産量の五倍の需要があるいわゆる人気麦がある一方で、全く需要がない麦がある、こういうことと、それから需要者である製粉企業の合理化とか産業構造の近代化というものがなかなか進んでいない、こういう実態、こういうことを踏まえて検討方向が出されたものというふうに理解をしております。
 私どもとしては、このままいくと、先生今御指摘になりました農産物の需要と生産の長期見通しで、麦はまだまだ伸ばそう、こういうことがとても現実的には達成できなくなる、こういう懸念を持っているわけであります。
 そこで、生産者がいろいろな創意工夫、努力をする、またそれを使う方の製粉企業がきちんとした価格をつけて引き取る、こういったことをやっていくには、民間流通ということを基本にする方がいいのではないかということでございますし、また、そうはいっても、品種開発とか生産振興対策については、やはりこれまで以上の積極的な取り組みが必要だということも指摘されております。
 いずれにしましても、今関係方面、生産者を含めまして意見交換を重ねているところでございます。平成十年産麦の政府買い入れ価格の決定の際、大体六月ごろが通常でございますが、新たな麦政策としてまとめていきたい、こういうふうに考えております。
#16
○国井正幸君 ぜひこれは、麦の問題は非常に大切な問題でありますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。
 時間もない中で、あと二つほどちょっとお聞かせをいただきたいと思っているんですが、次に移らせてもらいたいと思います。
 食糧援助についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 四月一日に、世界銀行と我が国、アメリカなど主要先進国十五カ国ほどで、インドネシアに対する人道的食糧支援を話し合う支援国会議というのがワシントンで開かれたようでございます。それで、新聞等の報道によりますと、三百万トンから四百万トン程度の緊急輸出をする必要がある、こういうふうなことでは意見の一致を見たというふうに報じられているわけでありますけれども、政府においても、二月二十日、東南アジア経済安定化等のための緊急対策というふうなことで、特に食糧援助、米の支援について早急に具体的に検討する、こういうふうなことに閣議決定でなっているようでありますけれども、まず最初に、外務省に伺いたいと思うんですが、この間の四月一日の支援国会議の中でどういうふうな話になって、どの時期にどんなことをするというふうになったのか、かいつまんで短くて結構ですから、ちょっと教えていただきたいと思います。
#17
○説明員(佐藤悟君) 今お話がございました四月一日に行われた世界銀行主催のドナー国会合におきましては、インドネシアの食糧事情、それから現在の経済困難により生じる社会的弱者への影響などについて、さまざまな観点から意見交換が行われました。また同時に、各援助国、国際機関がどのような支援を行おうとしているかという点についても披露がなされました。特に食糧事情、そのうちの米につきましては世銀の報告がございまして、それによりますと、今後の気象状況等によりますけれども、エルニーニョ現象による干ばつ等の影響が出ておりまして、不作であった昨年よりも収穫量がさらに少なくなる見込みであるということで、今後数カ月間のうちに相当程度の食糧の手当て、特に米の手当てが必要であるという報告がなされました。
 このような報告がございましたので、政府としましては、これまでインドネシアに対してはさまざまな形で支援を行っておりますけれども、特に食糧援助につきましても、先般の閣議決定を踏まえまして、近々公表されますWFP及びFAOの調査結果、さらにはインドネシアの現状等を踏まえて、早期に米の支援についても具体化を図っていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
#18
○国井正幸君 これは人道的にも私は早急に実施すべきだろうというふうに思っています。
 そこで、農林大臣にお伺いをしたいと思いますが、我が党としてはぜひこのインドネシアに対する食糧支援の問題については政府米を一つは活用すべきだと、こういうことを申し上げているわけです。さらに、もう一つは、これまで政府米を活用した食糧援助をしたときには食管特別会計からの持ち出しが多い、こういうことで今度の予算編成でも御案内のとおりもうきつきつなわけです。とてもそんな余裕があるわけではない。したがって、これまでとは違って食管特別会計にツケを持ってくるのではなくて政府トータルとして、食管会計だけを使うというのではなくて、別枠でもってひとつこの食糧援助の財源というものを何らか見つけるべきなのではないか、そういうことを我々は強く求めているわけであります。
 今いかがでしょうか、政府部内においてはどういう議論になっているのでしょうか。これは議論が決まらないと相手が困っていてもいつになっても支援が実施できない、そういうことでは大変困ってしまうので、その辺はいかがでしょうか。
#19
○国務大臣(島村宜伸君) 御存じのとおり、インドネシアにおきましては大変に厳しい食糧事情に置かれておりまして、我が国としても、たまたま党の調査団に対して具体的な数量の提示等があったことも含めまして、去る二月二十日の閣議決定におきまして、食糧支援を、特に米を早期に具体化するとされたところであります。
 また、先般、インドネシアのハビビ副大統領が私どものところにお見えになりまして話し合いをいたしましたが、その際に私から、FAOあるいはWFPの調査結果を踏まえて早期に支援を行いたい、ついては支援が必要となる時期、数量についてなるべく早く御連絡をいただきたい、ちなみに用船から積み荷、そして向こうへ届ける航海の日数を入れると約二カ月が想定されるので、援助の時期等におくれのないようにしてほしいというところをまず申したところであります。
 また、支援の具体的中身についてでございますが、インドネシアからの回答やFAOあるいはWFPの調査結果を踏まえた上で我々はこれに対応しようとしているところでありますが、先方からはまだ具体的な提示がございません。
 したがいまして、我々は食管会計以外からの負担等、新たな方式により実施する気はないかというような御質問もよくあるわけでございますが、食管会計以外からの負担の検討も含めて、インドネシアヘの食糧支援については私からその検討を指示しているところでありまして、現在、農林水産省が関係省庁との食糧援助に関する調整を行っているところであります。
 また、財政負担を平準化する機能等を有する国内における一定の機関を想定した案を作成いたしまして、政府部内で今調整を行っているというところでございまして、まだ具体的にこのような形で行うというような検討の結果までは立ち至っておりません。
#20
○国井正幸君 これはこの間の参議院の予算委員会での総理の答弁にもあったわけでありますが、大変インドネシアも島が多い。こういうふうなことで、援助を決めてもなかなか末端に届くまでには物流というんでしょうか、輸送で大変な状況にあるというふうなことも言われていますので、その辺も勘案の上、早急に決めていただくように、特に我々は大臣の応援団のつもりでありますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 最後の質問に移らせていただきたいと思いますが、農業協同組合の運営状況について二点ほどお伺いをしたいと思います。
 一昨年の百三十九回国会において農協法の一部改正がなされたわけでございまして、経営管理体制の強化を図るというふうな意味で、選択制ではありますけれども、農業協同組合に経営管理委員会制度を導入できるように法改正をしたわけでございます。それから一年余がたつわけでございますけれども、今、全国的に農協の大型合併が進んで次々と新しい大型合併農協ができています。我が県においても幾つか出てきているんですが、そういう中で経営管理委員会制度というのを導入した農協というのは現実に幾つぐらいあるんでしょうか。
#21
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、一昨年の農協法の改正で経営管理委員会制度が導入されたということでございます。
 お尋ねは、これまで導入されたことがあるかということでございますが、ただいままでのところ導入された組合はございません。
 現在の検討状況でございますけれども、確かに先生御指摘のとおり、農協の合併によりまして大型農協が誕生しつつある状況でございます。まさにそれと裏腹と申しますか、相まって執行体制の強化ということが各方面から要請されているわけでございますので、そこは私ども、さらに系統組織同様に執行体制の強化という点については大変重要なポイントであるというふうに考えております。
 この経営管理委員会制度も、まさにそういった意味で執行体制の強化の一手法だというふうに考えておりますが、ただこの委員会制度が我が国におきましては初めて導入するという制度でもございますので、その役割とがあり方についての議論がございます。
 そこで、全国農協中央会、全中でございますが、その役割なり導入のあり方についての研究会を設けまして、昨年の末に「経営管理委員会制度導入に関する指針」というのを取りまとめたところでございます。
 そのポイントは、基本的に業務執行体制の強化という視点から、少数精鋭による機動性のある理事会の運営、それから組合員の的確な意思反映に基づく業務運営、さらに経営に精通した実務家の常勤理事への登用、そうした点を重要なポイントとして挙げているわけでございますが、最近の広域合併によります農協の大型化、かなり大型の農協が誕生しておりますので、そういう意味でいえば、まさに今この全中がまとめました方針に沿いまして、これは導入の背景としてはまさにそういうことであると思いますので、私ども、現在あるいは今後の大型農協の合併の実態に応じて、こうした業務執行体制の一手法として経営管理委員会が導入されるように私どもは指導してまいりたいというふうに考えております。
#22
○国井正幸君 もっと聞きたい部分があるんですが、時間なのでこれでやめたいと思うんですが、平成四年の農協法の改正においても、いわゆる員外理事の登用枠というものを従来の四分の一から三分の一に拡大したわけですね。つまり、これは学経を多く入れて、経営に精通した者をきちっと位置づけて、農協の経営体制あるいは管理体制をしっかりしようという趣旨なんですね。平成四年の農協法の改正もそうであったし、それから八年の百三十九国会における経営管理委員会制度の導入というのもそういう一連の流れにあるわけですね。
 ところが、現実の問題としては、経営管理委員会は選択制でありますから、何も入れる必要は義務づけられてはいないけれども、今の状況では一つも入れているところはない。そして、いわゆる学経理事の割合、これは私がいただいているのでは平成六年度に農水省で調査をした結果というのが出ているわけでありますが、これですと一農協あたり〇・一人、だから十農協に一人ぐらいしか学経の常勤理事がいない、こういう状況なわけですね。これでは仏つくって魂入れずで、どんどん事業規模は大きくなっているわけですから、特に一連の住専問題を絡めて農協の経営のあり方というのは世間の多くの注目を集めているという事実があるわけですから、これはやっぱり農水省においても相当指導というものを強めて、経営をきちっと見られる人が経営者になる、そういうふうな体制をぜひつくっていただきたい。このことを要望して、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#23
○和田洋子君 民友連の和田洋子です。
 現在、農業を実際にしていらっしゃる人口というのは六〇%が女性であるということは申し上げるまでもないというふうに思っております。それで、そういうはつらつとした女性が今の日本の暗い世相を一生懸命に頑張っているというのもまた事実だと思います。
 それで、大臣が先日、所信の表明で、「農山漁村の女性対策を推進してまいります。」というふうに述べておられます。そういうことに本当に私も賛成であります。男女共同参画社会を築き上げていかなければいけないというふうに思っています。
 その意味で、平成八年の四月から、農業者年金加入者配偶者で自分名義の農地を有していない者についても家族経営協定に所要の事項が盛り込まれ、経営者の一員であることが確認されれば農業者年金制度への加入が可能となったというのは私は大変よいことだというふうに思っています。
 それで、平成十年度の農山村の女性対策の諸事業を見てみますと、新規就農の女性活動啓発委託事業のほか、女性はつらつ漁村づくりというように、「女性」という字が使用されております。しかし、農林省では婦人・高齢者活動資金や、蚕業青年婦人活動促進特別事業というように、まだまだ「婦人」という言葉も多く使われております。
 それで、農林省の農産園芸局には婦人・生活課というのがあって、歴代女性だったんですが、今回男性がなられたということなんですが、女性とか男性とか、課長がいいとか悪いとかと私は申し上げるつもりはないんですけれども、労働省でも「婦人」というのを「女性」というふうに変えておられますが、農林省では「婦人」を「女性」に変えるおつもりはありますか。
#24
○政府委員(高木賢君) 我が省におきます婦人・生活課は、御指摘がありましたように農山漁家の婦人対策、それから農山漁家の高齢者対策並びに農山漁家の生活に関する普及事業に係ることを所掌しております。
 その中で、女性対策といいますか、女性に関する施策の眼目は、農林漁業経営における女性の役割の明確化とか女性の経済的、社会的地位の向上ということで、農林水産業に従事する女性の中でも成人の女性を対象にしている、そういう行政であるというふうに思っております。
 成人の女性ということになりますと、これは一般的に農山漁村だけでなく、広く、例えば産婦人科というような名前も定着しておりますけれども、そういうふうに「婦人」という名称がこれまで使われてきたのが実態であろうと思います。
 今お話もありましたように、女性の団体自身もまだ「婦人」という名前を改めるというところまで皆さんがこぞって踏み切られているという状況には今のところないように思います。したがって、我々としては、まだ「女性」に変更するというだけの積極的事情は必ずしも熟していないのではないかというふうに現時点では見ております。
 ただ、これが永遠にそうだという主張をするつもりはございません。ただいま農業基本法の検討も行われております。実は、農業基本法の中にも、婦人労働の合理化というようなことを施策としてやれということが規定されてございます。そういったことの検討もありますし、まだこれからの女性に対する要請、ニーズの変化に対応いたしまして、課の仕事をどうするかという内容の問題と名前の問題とが大変絡んでくると思います、そういうこと等を総合的に考えまして、今後、婦人・生活課の名称について検討いたしたいと思います。
#25
○和田洋子君 婦人というのは、婦人参政権とか、今おっしゃいましたように労働する婦人が成年以上であるというふうに言われますが、従来の女性も一生懸命農業をされておられる方もいっぱいいらっしゃいます。そういう中で、ぜひ女性が一生懸命働いておられる農林省から、島村大臣のときにやられたらいかがでしょうかという御提案を申し上げて、この質問は終わります。
 農林省で、ODA関係の予算とか種類というのはどういうものがあるんでしょうか、お聞かせください。
#26
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。
 農林水産省のODA関係の予算でございますが、御承知のとおり、国際協力は実施の主体は主として国際協力事業団とか海外経済協力基金がやっておるわけでございますが、私どもはそうした国際協力面におきます技術協力あるいは資金協力が円滑に実施されるようにということで、私ども農林水産省関係が持っております専門的知識の活用ということを主眼に置いているわけでございます。したがいまして、そのために基本的にはそうした国際協力に必要な基礎的な調査あるいは人材の養成、派遣、そのための研修、さらには開発途上国の試験研究機関との共同研究、そういったものを中心に行っております。
 例えば、基礎的な調査の一例を挙げさせていただきますと、メコン川の流域で、これはタイとかカンボジアとかラオスとかベトナム、多国間にわたる流域でございますが、そうした流域におきまして、農地とか水資源が適正に管理できるように、そのための監視システムを構築するにはどうしたらいいか、そうした基礎的な調査などが典型的な例でございます。
 それから、人材の派遣・研修、これは例えば研修におきましても毎年千人程度各国から招いて研修を行う、これは実施研修、それから基礎的な研究、いろいろ多種類にわたった研修がございます。さらに、開発途上国との共同研究というのも大変重要な分野でございますが、例えて申し上げますと、南米諸国四カ国の研究機関との間で大豆に関します総合的な研究を行っておりますが、これも一つの典型的な共同研究の例でございます。
 そうしたことによりまして、国際協力のための貢献に資するように努力しているというところでございます。
#27
○和田洋子君 予算はどのくらいかとお聞きしましたが。
#28
○政府委員(熊澤英昭君) 平成九年度で、農林省のODAの予算につきましては、九十九億六千八百万円を計上しているところでございます。
#29
○和田洋子君 これはODA全体のどのくらいになっているのでしょうか。
#30
○政府委員(熊澤英昭君) 政府全体のODA予算の中に占める農林省が持っている予算としては一%程度でございます。
#31
○和田洋子君 技術を教えるとか調査をされるというのが農林省のODAの大きな役割だというふうに今お答えをいただきましたけれども、その中では、日本が切ってしまった熱帯林に対するその後の処置のあり方とか、そういう技術も教えておられるのですか。
 これは農林省というよりは、私が教えてもらった段階ではJICAの方でやっておられることなので、農林省ではなかなかお答えにくいということだったんですが、きょうは外務省の方がおいでになりますので、外務省の方にお聞きした方がいいと思いますのでよろしくお願いします。
#32
○説明員(粗信仁君) お答えいたします。
 先生御案内のとおり、熱帯地方には森林を伐採して荒れ地になったところもございますし、それからかなりの部分、地元の人たちが焼き畑で火を入れたり、あるいは放牧をするために若い草の芽を出すために火を入れたりとかということで、いろいろな圧力がかかって荒れ地が相当ございます。そういうところをどういうふうに緑化していくかという技術指導をいろんな角度からやっております。
#33
○和田洋子君 熱帯林の破壊の原因としては、木の産出国である人たちが自分たちのまきをどうしてもとらなければいけないとかという事情があったり、焼き畑にされるというようなこともあったりするわけですが、世界の人口の二%しか占めていない日本が世界の熱帯木材の貿易量の約三〇%を独占して切っているという、いろんなところで日本が言われていることでありますけれども、その日本人が切った熱帯林の後にユーカリを植えている。日本人はチークとかラワンという木を切っているにもかかわらず、早く生える、そして早期に大きくなるユーカリを植えている。それは熱帯林を切ってきた日本としては大変失礼なやり方じゃないかというふうな言われ方もしているわけですが、それについてどういうふうに思っておられますか。
#34
○説明員(粗信仁君) 先生御指摘のとおり、荒れ地になった原因というのはいろんなものがございます。一番ひどい例では、やはり百年以上火がかかっていたりということで木がなかなか植えにくい、こういうような特殊な状況の地域もいっぱいございます。
 そこで、今のどういう木を植えるかという問題なんですが、御指摘のとおり、ラワン材、フタバガキ科の樹種ですとかチークですとか、そういう有用な樹種を植えて、育てば非常に価値も高いし、いいのでございますけれども、それがなかなか一気にそういう有用な樹種を植えるだけの条件がそろっていない非常に厳しい環境の土地もいっぱいございます。
 そういうところも含めまして、国際協力事業団、JICAが造林プロジェクトを行います場合はどのような樹種を選定していくか、このことがプロジェクトの成否を左右する非常に重要な問題となっております。適地適木という言葉をお聞きになられたかと思いますがご造林の目的、プロジェクトの目的、それかも現地の状況を勘案しながら途上国政府とも十分協議の上、慎重に樹種を選定しているところでございます。
 先生御指摘のとおり、ユーカリについては、これはほかの樹種に比べても扱いやすい樹種でございまして、種子も大量に手に入る、それから荒れ地に素早く生える、早生樹と言っておりますけれども、早生樹種という利点がありますが、一方で郷土に昔からあった在来の樹種でなくて、他の樹種をまた排除する性質も強いのではないかという報告もございまして、慎重に取り扱っております。
 今後とも、現地の植生の回復のためにどういう樹種を植えていくのが最も適切なのかという点につきましては十分に慎重な検討を行った上で協力をしていきたい、かように考えております。
#35
○和田洋子君 例を挙げてみますと、タイなんかはユーカリを植えると、ユーカリというのはパルプの原料になって日本人がそれを買いたい、民間の会社がそのユーカリを買う。それで、ユーカリは結構お金になるので、今度は原住民の方たちが住むところもなくなるほどユーカリを植えてしまうというような逆の方向があったりして、日本人のそういう人道的なやり方かどうかというようなことが問われているというふうに聞きますので、どうぞODAの一環として技術を派遣される農林省は、そういうこともよく考えられてやっていってほしいなという思いがします。外務省の方、ありがとうございます。
 次に、ODAの中に海外漁業協力財団というのがあると思いますが、これの仕事の内容をお教えください。
#36
○政府委員(嶌田道夫君) 海外漁業協力財団でございますけれども、これは基本的には最近の二百海里体制の定着に伴いまして、各国とも自国の二百海里においては自国の船でとらせるということで、これは自国化政策というふうに言っておりますが、そのようになってきているわけでございます。
 そのような中で、我が国の海外漁場をどのように確保していくかということで、一つといたしましては、これは合弁事業ということでございます。その合弁事業をするために相当多額のお金がまた必要でございますし、これも非常にその投資先がカントリーリスクのある国が多うございます。
 その意味で、これは政策的に融資する必要があるということで貸付事業を行っているのが一点でございます。二点目は、その合弁事業だけではございませんで、相手国の二百海里の中で操業するためには相手国の漁業政策に協力しなければいけないということがございまして、そのために相手国の漁業技術の向上に貢献するための技術協力を行う。この二点を主な仕事の内容としている財団でございます。
#37
○和田洋子君 先日の予算委員会でもいろいろ議論の出たところだと思いますが、総務庁の方おいでですか。総務庁がこの海外漁業協力財団について勧告をされた点とか、そういう内容をちょっと教えてください。
#38
○説明員(伊藤孝雄君) 先生がただいま御説明を求められました海外漁業協力財団に対する勧告というのは、私どもがこれまでやってきておりますODAの中の無償有償の監察、四回やっておりますが、昨年の三月十四日に行いました有償資金協力を中心とした経済協力、いわゆるODAに関する行政監察結果の中の一つでございます。
 勧告本文はかなり長いものでございますので、かいつまんで御説明をさせていただきますが、財団法人の海外漁業協力財団では、先ほどから御説明がありました国庫補助金を積み立てました貸付事業資金をもとに、本邦の漁業者、我が国の漁業者が海外漁場の確保及び開発途上国等の水産業の開発、振興のために行う海外漁業協力事業というものに貸し付けをするという事業をいたしております。
 その実施状況を見ましたんですが、財団の毎年度の事業計画に盛り込まれました貸付予定案件の大半は、諸般の事情等もありまして、翌年度以降に繰り越しあるいは最終的に貸し付けに至らないものになっている、余り見込みがよくないということでありまして、例えば平成三年度から七年度においては年間の事業計画件数が約三十件というような計画がされておりますが、実際には三件から六件程度と非常に低水準で推移をしておる。こういうことで貸付事業資金がなかなかうまく運用されていない。
 それから一つは、貸付事業資金の運用益というものは、必要経費充当後の剰余金というものが貸付事業資金の造成に充てられていないということで、貸付事業資金は貸し付けのためのお金そのものですから、その他の間接的な経費をこの運用益で賄っておるようでありますが、それでも若干の余裕が出るということなんですけれども、これがもとに戻されていないということであります。
 農林水産省に対しては、財団の資金貸付事業について毎年度の資金需要を的確に把握するとともに、長期的な資金需要の動向等を踏まえつつ、財団の事業計画が貸付対象となる事業の実現性や優先度を踏まえた適切なものになるようにしなさい、そのためにはその策定方法を改めさせるなど、貸付事業について抜本的な見直しを行っていただきたい。
 二点目は、先ほど御説明しました貸付資金の運用益の使途というものも見直しを行って、剰余金については原則として貸付事業資金に積み増すこととしてくださいという勧告をいたしたところであります。
#39
○和田洋子君 九〇年代に入って魚価が低迷したとか、市中の銀行の利率が低いのでそちらにというようなことがあると思います。そういう見誤りというか、そういうことはその財団にはなかったんでしょうか。
#40
○政府委員(嶌田道夫君) 先ほど御説明しましたように、海外漁場の確保のための非常に重要な手段として財団の貸付事業があるわけでございますが、ただ、今、先生言われましたように、最近の情勢、一つはやはり市場金利の低下から財団の貸付条件が相対的に厳しくなっているというようなこともございますし、それからもう一つは、やはり相手国の情勢がかなり時々によって変わる、そのために計画がなかなか実行できないというふうなこともございますし、それから近年、数年考えてみますと、円高によりまして為替差損が発生するというようなことから合弁事業の投資に対して慎重になっているとか、いろいろな理由があるのは事実でございます。
 そういう事実があるわけでございますけれども、ただ基本的には、先ほど申しましたように、二百海里体制の中で沿岸国の自国化政策というのが強まってきているわけでございますから、海外漁場を確保するという観点から、現在でも約三千隻が海外漁場でもって操業しているわけでございます。このような海外漁場を確保するという観点からは、やはりこの財団の貸付事業を円滑にやっていく必要があるというふうに考えているところでございます。
#41
○和田洋子君 新聞報道によりますと、補助金をもらって融資するよりも返済金の方が多く返ってくるのでため込んでいるんじゃないかという指摘もあるようですが、こういうことは行政監察として、直接違反ではないというふうなことを言っておられますけれども、それは違反ではないんですか。
#42
○説明員(伊藤孝雄君) 先生の御質問は、恐らく御推察しますところ、勧告直後の三月十七日の朝日新聞の記事の中で、「行政監察局は、経営実態について「すぐには法律違反にあたらない」としながらも、過大な事業見積もりの中に、「実施時期が未定の事業や構想段階の事業も含めていた」と指摘、事業全体の見直しを求めている。」、こういう記述についての御質問だろうと思います。
 この新聞記事につきましては、具体的には、取材者から、指摘事例はいわゆる補助金等適正化法、正式名称が補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律というのがございまして、それに照らしてどう考えるべきかという質問がございました。応答者が、当庁としてはいわゆる補助金等適正化法の所管ではございません、これの解釈権は一般的には大蔵省なり当該補助金を所管する省庁にございますので、私どもとして云々とお答えする立場にないと申し上げたんですけれども、そんなことを言わずに個人の感想ぐらい教えてくださいよなんという強い要請がありましたので、担当者の方が、直接には法律違反にはならないんじゃないかと思いますということを申し上げた記事でございます。
 ちなみに、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、最終判断は大蔵省なり所管省庁に聞いていただきたいと思いますが、補助金等適正化法で補助金を具体的にどういうふうにやるのかということを定めることになっています実施要綱でありますとか実施要領というものがございます。今回の補助金の中にもそれは定められておりまして、私どもが見た限りでは、その要領や要綱に直ちに違反するということがなかったということでそういう感想を持ったということでありまして、具体的には以上のような経過でございます。
 経過説明で恐縮ですが、最終的な法律判断権はございませんので、そこはよろしくお願いいたします。
#43
○和田洋子君 じゃ、海外漁業協力財団が今後どういうふうに運営していかれるのか一言お願いします。
#44
○政府委員(嶌田道夫君) 御答弁の前に、今の総務庁の答弁にも関係するわけでございますが、財団の貸付資金がありますのは決してため込んでいるということではございませんでして、これは一つは海外事業、先ほど来御答弁していますように、合弁事業などを行いますには非常に多額のお金が要るわけでございます。その多額のお金を単年度で急遽積むというわけにいきませんので、これは四十八年度以来営々として積んできておりまして、それを貸したものをまた返してもらう、それをまた言うなれば資金造成していくというようなことでやってきておりまして、これが年によりますと百億以上になるときもあるわけでございます。そうしますと、単年度でもってすべて使い切るといいますと翌年度はまた使えなくなるというようなこともあるわけでございますから、そういう意味では数年先を見通しながら、どれだけの資金があればいいのかというようなことを考えながら今まで資金造成をしてきたというふうになっているわけでございます。
 ただ、そういう御指摘、いろいろあったものでございますから、十年度の予算におきましては貸付資金の造成はしないということで、言うなれば技術協力の予算だけ組んでいるというような状況にあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、財団の事業は海外漁業協力を行う、ないしは海外漁場を確保するという上で、言うなれば水産政策の中でも一つの柱となるものでございます。そういう意味で、これからは各漁業者の資金需要等をよく把握しながら、また各漁業者のニーズにこたえるような形、言うなれば海外漁場が確保できるような形でもって海外漁業協力財団の事業の運営が円滑にいくように指導していきたいというふうに考えておるところでございます。
#45
○和田洋子君 例えば、毎年三十五億円ぐらいの補助金があって、それが使われないで平成九年には五百億円にもなっているというような新聞報道でありますが、さきの予算委員会で高野委員も指摘されたように、ウナギの養殖とか大変不透明な部分が出てきたりいたしますので、ぜひにこれはきちんとした管理のもとで財団の運営をされていってほしいなということなので、局長、答弁ありますか。
#46
○政府委員(嶌田道夫君) 恐縮でございますが、ウナギの件は海外漁業協力財団ではございません。
 そういう意味で、海外漁業協力財団の方は非常に厳格な融資をしているというふうなことがございまして、逆に資金の造成が少したまっているという面もあるわけでございますけれども、先ほど来御答弁していますように、何といいましても海外漁場を確保するためには財団の事業は非常に必須のものとなっているわけでございます。そういう意味で、財団事業の円滑な実施に向けましてこれから指導していきたいというふうに考えております。
#47
○和田洋子君 それでは、次の質問に移ります。
 圃場整備事業というのがありますが、圃場整備事業の目的は何なんでしょうか。
#48
○政府委員(山本徹君) 圃場整備事業の目的は、営農技術が機械化いたしております情勢に対応いたしまして、区画整理を中心に用排水路、農道等の整備を行うことによりまして農業の生産性の向上、すなわちコストダウンを図りますとともに、担い手の農地の利用を集積することによりまして農業構造の改善に役立てようとするものでございます。
#49
○和田洋子君 大型機械が入るようになって、小さい区画ではなかなか大変だというような圃場整備事業なんですが、地元では、実はうちは農業経営の後継者がいないのでこの集落の圃場整備事業には入りたくないなんという方がいらっしゃったり、地元に帰りますと結構トラブルが多い事業なんです。
 それで、大区画にするというので最初は三反というような区画整理事業であったはずであります。今、区画が三反になったら、今度は国は五反にしたとか一町にしたとか、みんな農家の方たちは、まだ三反の償還金が出発したばかりなのに、まだ払っていないのにどうして五反にするんだろう、一町にするんだろうというような思いがあるんですが、そういう方たちへの説明はどういうふうにされますか。
#50
○政府委員(山本徹君) 圃場整備は、特に連担した農地、これは原則として二十ヘクタール以上でございますけれども、これをその所有者のほぼ一〇〇%の御同意をいただきまして事業を実施するものでございまして、したがって時間をかけて地元で合意形成を行っていただいて事業を実施していただくことにいたしております。
 一ヘクタールの大区画圃場を実施することにいたしましたのは、これは平たんでそういった一ヘクタールの大区画圃場を行おうという地元の合意形成が行われたところを当然のことながら対象とするわけでございまして、三反の次は一ヘクタールにすぐに移り変わるというような趣旨ではございません。
 したがって、三反の圃場整備の負担金をまだ払っているのに一ヘクタールの大区画圃場事業を実施されるというような例は私ども聞いておりませんけれども、そういった条件があるところについては、この際、一ヘクタールの方が大型機械を導入し、最近では直播も実用化されつつございますので、特に担い手も少なくなっている時代でございますので、効率的で担い手により農地の利用を集積した農業経営が実現できると考えておるものでございます。
#51
○和田洋子君 そして、その区画整理事業の一つのあれに土地を集積させるというのが大きな目的だと思いますが、集積は進んでいるのでしょうか。
#52
○政府委員(山本徹君) これは圃場整備について、圃場整備が完了した地区と圃場整備がまだ実施されていない隣の地区とを比べた場合に、私どもの調査では四倍、その農地の利用の集積が進んでいるというデータがございまして、圃場整備によって着実に流動化、利用集積が進んでおるというように考えております。
#53
○和田洋子君 圃場整備をされている現場に行って、ああ、すばらしい田んぼになりましたね、じゃ来年が楽しみですねなんと言うと、実はここが来年は減反の地域なんですというような、とても複雑な思いをしています。そして、集積する中でも自分の農地の三分の一は減反しなければいけない。もちろん、減反というのは、農家の人にしてみれば農林省が言うことではなくて、実は私たちが言っていかなくちゃいけないんだというような強い意思を持った農家の方もたくさんいらっしゃいますけれども、大半は減反は農林省から言われたというような意識しか持っていないんですね。そういう意味で、集積させた農地への優遇策というのはあるのでしょうか。
#54
○政府委員(山本徹君) 農地の利用集積された担い手の方、これは今、基盤法に基づきまして認定農家に市町村で指定していただいておりますけれども、この認定農家になっていただきますと、低利のスーパーL資金の融資が受けられることになりますし、また今年度の新規の予算でも、認定農家を対象にした研修・研究制度、またさらに高性能な農業機械のリース制度に対する二分の一の助成等の制度を導入させていただくことにいたしております。
#55
○和田洋子君 集積の方たちのそういう優遇制度はあるとして、担い手というのは育ちますか。担い手というのは育っているでしょうか。
#56
○政府委員(山本徹君) 担い手の方々の中核的な部分を認定農家として指定していただいておりまして、現在十一万人が、これは法人も含めましてですが、指定されております。私ども、いずれ近いうちにこれを三十万程度まで指定いたしたいと思っておりますが、この認定農家を中心に認定農家になろうとされる方々、これらも含めて担い手が圃場整備やスーパーL資金の融資制度等々の活用によって着実に育っていると考えております。
#57
○和田洋子君 大臣、圃場整備の実施を通じて農地の流動化と、担い手はスーパーL資金とかそういうことで優遇をされている、そして育成をされるということですが、大臣は今後、農業者に対してどういう考えを持っておられるか、一言お願いします。
#58
○国務大臣(島村宜伸君) ただいま山本局長からもるる御説明を申し上げたところですが、まず圃場整備は一般に二十ヘクタール以上の連担した農地を対象に区画整理や用排水路、農道等の整備を行うものでありまして、これは結果的には事業を円滑に進めるための地域ぐるみの話し合い、あるいは換地による土地の権利関係の再設定、あるいは圃場条件の改善等により農地の貸借がしやすくなること等によりまして農地の流動化が進み、担い手の育成を図る契機になっているところであります。現に、圃場整備を完了した地区では周辺の未実施地区、圃場整備をやっていない地区に比べまして約四倍、農地の流動化が進んでおります。
 また、圃場整備の実施を通じて担い手の育成をより一層促進するため、平成九年度には事業制度を再編いたしまして、原則として担い手の経営面積が二〇%以上増加する場合に事業を採択すること、またこの場合に国庫補助率を四五%から五〇%として、農家負担の六分の五以内について無利子融資を行うこと、あるいは農地の利用集積の度合いに応じた促進費を交付することとしたところであります。
 平成十年度予算におきましても、担い手の育成に役立つ圃場整備事業の予算を二二%増額したところでありまして、圃場整備事業を契機とした担い手の育成に積極的に努めてまいりたい、そう考えております。
 また、減反政策云々についていろいろ御批判もあろうかと思いますが、前にも御説明した記憶がありますけれども、減反政策をいたしませんと約一千四百万トンのお米ができて、結果的には自主流通米の価格の急落その他につながります。
 私は、十五年前の政務次官当時とは大きく趣を異にしたのは、最近では農家の方々の中にも秩序ある公平な背景の中で減反政策はきちっと進めなければいけないという意識の変化を実は感ずるわけでありまして、我々は、そういう方々が、ただ働きたくても仕事をやらせてもらえないということではなくて、我が国が必要とする例えば大豆とか小麦とかいろいろな農産物をおつくりいただくような方向に向けて積極的に援助を行っていきたい、そう考えております。
#59
○和田洋子君 先ほどの備蓄米の活用等もございますが、ぜひそういうことにも早く議論を進めてほしいなという思いがいたします。
 次に、圃場整備の事業というか、農業土木事業を発注するのはどこなんですか。
#60
○政府委員(山本徹君) 農業土木、国費で約一兆円を本年度予算案にも計上させていただいておりますけれども、この発注はおおむね二割が国の直轄事業で、地方農政局が発注いたします。残りのおおむね八割が都道府県を中心とした補助事業でございます。したがって、都道府県等が発注いたします。
#61
○和田洋子君 公正な競争環境を確保するというか、入札とか契約制度の改善があると思います。例えば、私の地元なんかでは、圃場整備事業の指名を受けるのは限られた業者だという思いが多分にあるんですが、そういう話を聞かれたことはありますか。
#62
○政府委員(山本徹君) 指名でございますけれども、私どもそういうお話を承ったことはございません。
 この仕組みについて御説明させていただきたいと思いますが、約二割の国の直轄事業、これは規模が大きいものですから、農政局が会計法及び関係の法令、通達に基づいて入札参加資格者を適切に定めて入札を実施いたしております。
 また、この入札結果につきましては、入札の指名業者の方あるいは落札者について各地方農政局で閲覧させていただいておりまして、行政の透明化を図っているところでございます。あわせて、競争参加の資格者の選定理由、入札の資格者の選定理由について第三者から成る入札監視委員会を設置いたしておりまして、入札、契約の適正化に努めさせていただいております。
 それから、八割を占めます都道府県を中心とした補助事業でございますけれども、これは地方自治法及びこれに基づく関係法令、通達に基づいて都道府県が適正に国に準じて実施されていると理解しております。
 ただいま御指摘のように、入札の参加者の選定等に当たりまして、特定の業者の方に偏らないように、国の場合には工事の場所、工事内容、工事規模などによりまして施工業者の施工能力、工事実績等を総合的に判断して、できるだけ幅広く業者の方を選定しております。これは地方農政局で広く閲覧に供させていただいております。また、これは大きな規模のものでございますけれども、補助事業につきましては都道府県が地方自治法令に基づいて適正に実施されておると理解しております。
#63
○和田洋子君 二割が国営である、あとの八割は県とか市町村であるというお答えですが、その八割の部分だと思いますが、私の福島県の例で大変恐縮なんですが、指名に入っている企業はほぼすべてが福島県の社団法人土地改良建設協会の会員ということであります。そして、この協会の会員になるには数人の推薦人が必要だということで、加入については協会が決定することなので、なかなか協会には入れない。公正な競争環境の整備を図るという視点では全くこれは私どもには理解ができないことなんですが、承知されておられますか。
#64
○政府委員(山本徹君) 補助事業につきましては、各地方公共団体が地方自治法及び関係法令、さらに建設省、自治省の通達等に従って適切に実施されていると私どもは理解しております。
 私どもが承っております範囲では、福島県の土地改良建設協会、これは自主的な会員の技術の研さんあるいは経営の合理化等を目的として、知事の許可を受けて設立されている法人と承っておりますが、この協会に入っているかどうかで入札参加が決められるというようなことは、地方自治法及び関係法令に従いますと、そのようなことはないのではないかと考えております。
#65
○和田洋子君 協会に入ればまさに指名というのが多くなるわけですが、協会に入れない人のことを考えれば、入っている方たちは、入っていない人から見ればこれは不公平なやり方だなという思いがされると思います。
 補助金というのはやはり国民の税金からであります。今、銀行なんかでも公費を投入するというので大変これは問題になっております。そして、ましてやその銀行が自民党に献金をされるというようなことがあったりして、予算委員会でも大変これは問題になっていることなんですが、この土地改良事業というのがまさに大蔵省と同じような構図になっていて、大変これも地元では大きな問題になっていることも一つであります。補助金を使う、それは税金を使うということでありますから、国のもっと厳しい管理というか、そういうことに言及をしていただきたいというふうに思いますが、局長、いかがですか。
#66
○政府委員(山本徹君) 福島県初め各地方自治体で実施しておられます補助事業につきましては、先ほど来御説明申し上げておりますように、地方自治法及び自治省、建設省等から出されております通達等に従いまして適正に実施されており、福島県の建設協会の会員に入札資格が限定されている、私どもはそのようなことはないと承知いたしておりますが、さらに私どもの事業については、私どももこういった関係法令に基づいて適切な事業が実施されるように県にお話を申し上げたいと思っております。
#67
○和田洋子君 ぜひそういうことにも大きく目を見開いて、どこにでも癒着とかそういうものが必ず起こる問題でありますので、よろしくお願いいたします。質問を終わります。
#68
○風間昶君 公明の風間です。
 まず、OECD農業大臣会合に三月五日から六日、大臣も出席をされましたけれども、その際に、我が国の主張、一日目ですか、農業の多面的機能を重視すべきという主張をされたということでございますが、やっぱり農地や森林の持っている機能というのは、今さら強調するまでもないけれども、多くの国民がその恩恵を受けている、特に光合成と水源の涵養ということで。じゃ、そのために財源をどうするかというのは、私は広く一般財源から措置すべきだというふうに思うわけですけれども、何か施策として水源税といったような目的税の創設の話が出ているやに聞いておりますけれども、こういったことは物事の本質をある意味ではゆがめていくおそれがあるばかりじゃなくて、取りやすいところから取っていくという弱い者いじめにつながることではないかと思うので、避けなければならないと私は思うわけです。
 その点について、農水省の考えをお伺いしたい。
#69
○国務大臣(島村宜伸君) まさに、OECDの農業大臣会合では、片や大生産国、また一方では多面的機能というものを重視しなきゃならないという小生産国との間で激烈な議論がありました。その際に当然、多面的機能の内容に触れる際に、洪水の防止とか、水資源の涵養とか、空気の清浄化とか、あるいはレジャー環境の確保とか、それぞれの地域を支えるといういろんな分野の指摘があったところであります。
 そして、今御指摘がありましたけれども、特に森林の果たす役割は極めて大きいわけでございますが、これらまで含めますと、これは何としても健全な形で維持していかないことには国土の保全、自然環境の保護が十分にいかないということは現実でございまして、現に今、日本の森は病んでいるわけで、間伐材が全く売れませんので、いわばうっそうと茂っていると言うと格好がいいんですけれども、実は手が入れられないためにお互いに木が栄養分を食い合って細く伸びておりますし、かつ、日が入らない、風通しが悪いということで、まきに下草が生えずに肥沃な土壌はみんな流れ出てしまう、こういう面もございます。そういうことと農業分野との兼ね合いの中で、やはり我々は将来を見据えた森林の管理、そしてまた同時に、農業分野のいろんな意味での適切な管理というものを進めなきゃいけないと考えておるわけであります。
 これからもこの環境目的について我々は維持したいと強く願ってはおりますが、ただ問題は、森林整備のための水源税というようなことになりますと、前にも一度このことは否認された経過もございますし、国民に新たな御負担を願うとなれば、むしろ国民の御理解が進んで、これはみんなで守ろうという意識になったときに初めて実現できるものだろう、こう考えておりますので、今時点では何かをしようという底意めいたものは持っておりません。
#70
○風間昶君 ありがとうございます。
 続いて、この大臣会合に続いての五カ国農相会議、ここでもまた大臣は積極的に食糧安保の見地から国内生産の重要性を御主張されましたね。要するに、私は主要作物だけにとどまらないというふうに受けとめているわけでありますけれども、米の転作についてもそのような観点から、最低限国内生産量の数量とかあるいは生産の品種、最低限の品種と数量の割り当てなどを都道府県別にある意味では定めて、それで転作助成金を上乗せするといったような措置も考えていくべきだと思うんです。そうしなければ、高く売れる作物だとか作業の楽な作物しかつくられないということもあるわけで、もっと食糧需給の概念を、理念を全面的に推し進めるべきだと思うんですけれども、いかがですか。
#71
○政府委員(堤英隆君) 食糧安全保障と、それから今おっしゃいましたような食糧需給の概念、このあたりにつきましてはもう少し掘り下げた議論が私も必要という認識をいたしております。
 特に、今お話がございました米につきましては完全自給ということがほとんどできているわけでございますけれども、麦でありますとか飼料作物でありますとか、そういったものについては国内需要はありながら自給率が非常に低いということでございますから、全体的な食糧の安全保障の問題と、今おっしゃいましたような形での基幹となります作目につきましてどのぐらいの需要があってどのぐらいの国内生産を維持すべきかと。そのためには自給率という問題も議論になりましょうし、その前提になります農地でありますとか水の確保とか、そういった総合的な形としてこれから議論を深めていかなきゃならないというふうに考えております。
 そういう意味で、全体の議論と、それから今おっしゃいましたような品目ごとの議論、そういったものをこれから掘り下げて私どもも議論していきたいというふうに考えております。
#72
○風間昶君 いつごろまでにそれはめどを決めるんですか。
#73
○政府委員(堤英隆君) これは、食料・農業・農村基本問題調査会がことしの夏ぐらいまでに一応の結論を得たいということで今現在、検討をいただいております。政府としましては、それを踏まえての新しい基本法の制定という中で考え方を打ち出していきたい。その際に、またこういう国会の場での御議論等もいただきながら一定の方向づけを固めていきたいというふうに考えているところでございます。
#74
○風間昶君 大臣、またお伺いしますけれども、農村地域開発についても、また日本の急峻で狭い土地を利用する小規模経営を余儀なくされているという日本の事情を御説明された上で、条件不利地域、いわゆる中山間の振興施策についても施策を説明したというふうにお聞きしていますけれども、施策をどういうふうに説明されたのか、それが一点。
 それからもう一点。それに関して、恐らくこれは直接所得補償に結びつく話だと思うんですけれども、その議論や説明はこちらからしたのか、あるいは向こうから質問を含めてあったのか、教えてくださいますか。
#75
○国務大臣(島村宜伸君) まず、OECDの農業大臣会合の冒頭は、豪州とかあるいはカナダ、ニュージーランド、アメリカといった国々、まさに大生産国あるいは非常に余裕のある国々が市場原理の導入ということを強く打ち出して、今や自由貿易の時代ではないかというようなお話があったので、我々は、これを単純に食糧という特殊性を考えたら経済合理性や貿易面だけで考えるべきではないと。現に、私の国は二九%しか穀物自給率はないが、もしあなた方が立場を変えて我々の食糧供給の責任者だったらどういう立場に立つか、恐らく私と同じ考えに立つのではないか、こんなことからまず反論を始めたところであります。
 それで、我が国は二九%の穀物自給率ですが、スイスが六六、イタリーが八八、イギリスが一一四、ドイツが一一八、アメリカが一二九、カナダが一七二、そしてフランスが一八三、たしか豪州は三二二だったと記憶をいたしますが、こういう数字を一つ一つ挙げまして、全然けたが違うんだ、だから最低限度の補償ということをまずお考えいただきたい。
 それから、その次に訴えたのは、何より極東に位置する島国であるということ。したがって、EUその他のようなすぐお互いが供給し合えるというような地理的条件を持たないということを含めて話をしました。
 第三点は、いわば歴史的な経過に照らして、一九七二年の世界の同時不作という問題や、七三年のアメリカの大豆の金融その他の歴史的な経過、干ばつとか熱波とかいろんなことがございましたけれども、これを全部一つ一つ説明をして、このようにあなた方が、自由化とおっしゃるけれども、いわば供給面に制約を設けたり、そのために価格が急騰した事実も残っているではないか、そういうことごとを含めて我々は食糧の需給というものを考えなきゃいけないし、農業の多面的機能というものを認めてもらわなければ将来に対する安心ができないという話をしました。
 二日目には、大きく先方のトーンがダウンしましたから理解が生まれたと思いますし、EUもあるいは韓国なども非常に積極的にこれらに呼応してくれましたから、結果的にはこちらの言い分が共同コミュニケに盛り込まれたということでございます。
 それから、所得補償につきましては、日本とEUというものの農業の実態が大きく異なる。例えば、日本の場合には、中山間地域が約四割を占めているという厳しい現実や、農家一戸当たり平均すると一・五ヘクタールという非常に零細であることを含めて、これをいきなり大規模化しようといっても絵にかいたようにはいかないんだという事実を訴えまして、いわば将来に向かってこれを全く無視するものではないが、時間をかけてそれぞれの地域に応じた対応をせざるを得ないという説明をしたところで、彼らの理解が得られたように記憶をいたします。
#76
○風間昶君 そうしますと、来年カナダで行われる予定のこの会議で、この問題はまた議論になりますか。
#77
○国務大臣(島村宜伸君) 恐らく、ことし行われたような状況の繰り返しはないのではないか。というのは、私は、その後の五カ国農相会議の際にも、詰めをするような意味合いでこのことは強く言いましたし、最後には向こうから、冷やかしというわけじゃないんですが、多面的機能はよくわかったよと、こんなような感じの会話もあったくらいでございますから、これをまた来年やるというほど子供じみたあれはないのかなと。少なくも我々はWTOを当然意識しているわけでありまして、次の議論の場に向けてのいわば前哨戦という意識で臨んでおりましたから、その意味では非常に意義のあることだったなと思ったし、しかもこの一月に私は事前に行って主要国の人たちと会ったことも非常に意義があったなと、こんなふうに感じたところであります。
 所得補償の問題についてはいろいろありましたけれども、私たちの地域は非常に零細だということも含めて、いわば兼業農家が何より約三分の二を占めるというような現実に照らして、そこには農家だけでなくてその他いろんな分野の方々がおられるので、所得補償ということについては、その方たちの理解も得ることが前提になるんだという説明をしたところでございますが、大方、いろいろなことごとについて極めて友好裏に最後はお互いがおさまったという感じを持っております。
#78
○風間昶君 ありがとうございます。
 これは新聞記事でありますけれども、三月十三日に、政府はインドネシアや北朝鮮などの食糧危機に対する米支援を迅速に進めるため、一定量の米を国際援助用に備蓄して要請のあった国に振り向けるフードバンク、仮称でありますけれども、設立する方向で検討に入ったと。外務省の幹部の方が自民党の外交部会あるいは外交調査会の合同会議で明らかにしたということでございます。
 今、政府部内で進められているフードバンクという言葉がいいかどうかわかりませんが、要するに今までも既存の枠組みがあるわけですね。WFPだとかFAOだとか、そういう部分での既存の枠組みとはまた違った意味の新しい枠組みというふうにも受けとめられるわけで、そこの部分について新たな枠組みとして検討に入ったということの進捗状況と今までの既存の枠組み、FAOやWFPなどとの整合性、この二点についてお伺いしたいんです。
#79
○政府委員(高木勇樹君) まず、既存のシステムとの整合性でございますが、今現在、政府内でいろいろな検討をしているところでございます。農林水産省として新たな支援の枠組みというものを考えているわけでございますが、それをもって今調整をしているということでございます。新たな支援の枠組みとして、今回のインドネシアの事例のように、緊急かつ大量の食糧支援要請というものに対応する、それから食糧援助に係る財政負担の平準化、国内における一定の機関が米を貸し付ける形式というようなことで援助をする、こういうことが今、私どもとして一つのたたき台として政府内での調整をしているところであります。
 既存のシステムは、今御指摘のあったようなKR食糧援助だとか、WFPというものでございますが、これは関係省庁で一定の予算をあらかじめ計上いたしまして、言ってみれば被援助国の要請に基づいて経常的に行っているというものでございます。今、私どもが検討している仕組みというのは、緊急的な支援への対応ということでこういったシステムがどうかということで考えているものでございまして、そういった意味で既存のシステムとは違うものとして考えているということでございます。
 いずれにしましても、現在、関係省庁とそういった点も含めましてさらに協議を深めているところでございます。
#80
○風間昶君 要は、備蓄の経費をどうするかということになるわけだと思うんですね。現在、食糧庁の特別会計で賄われているわけだけれども、国際支援に出すということを前提にして考えるならば、私は、農水省は外務省にも応分の負担を求めるべきだと思うんです。
 いいですか、大臣、ここは大事なところなんですよ。外務省としては、恐らくウルグアイ・ラウンドの対策予算費を回せばいいんじゃないかというふうに思っていらっしゃる方もいるように聞いています。私は、ウルグアイ・ラウンドの予算がそういうふうな形に使われるというのはとんでもない話で、きちっと農水省として態度を明確にしてほしいんですよ。そのことを、ぜひ大臣として決意を伺いたいと思います。
#81
○国務大臣(島村宜伸君) ただいまの御指摘は至極ごもっともでありまして、ウルグアイ・ラウンド対策というのは、にわかに国際化の波をかぶるようになった我が国の環境的に恵まれない農業関係者に体質を強化していただいて将来に資するということを基本に考えるものでありまして、この費用をそういうことに流用するということは筋道が通りませんから、我々はまだそういう申し入れを受けたりそういう話を直接は聞いておりませんが、当然そういうことは話し合いの余地がないと、私は個人的には考えます。
#82
○風間昶君 実務的には、大臣ではなくてきっと外務省あるいは大蔵省との折衝で腰折れにならないように指導していただきたいし、実務的な責任者の決意をまた伺いたいと思うんです。
#83
○政府委員(高木勇樹君) 今、大臣が御答弁したとおりでございまして、私どもは調整過程でそういった話を聞いたことはございません。
#84
○風間昶君 それは聞いていないんだけれども、腰折れになるなと言っているんですよ。
#85
○政府委員(高木勇樹君) 私どもとしては、これの新たな枠組みに適切な財源確保をいたしたいということで、大臣の御指導をいただきながら頑張っているところであります。
#86
○風間昶君 次に、国有林野について伺いますが、赤字の林野会計の中でも少しでも足しになればということで売り出されている土地がかなりあるというふうに、インターネットの中にも何千件だかヒットされていますけれども、実際に肝心の物件の売れ行きはどうなんでしょうか。
 それで、そのお金が特別会計にどのくらい寄与したのかということを教えてもらいたいんです。
#87
○政府委員(高橋勲君) 国有林野事業の土地売りにつきましては、一般競争入札により売り払うものについて、平成八年度から冊子や広告による情報公開のほかに、インターネットを利用して紹介しまして需要開拓に努めているところであります。
 それで、その売り払いが行われた林野土地につきまして、第一義的な誘因となったのがインターネットによる情報か否か不明なんですが、インターネットで紹介した林野土地につきましての売り払いの実績は、平成八年度で二十二件で七十八億円、平成九年度は四十二件で七十二億円となっております。
#88
○風間昶君 今おっしゃったように、インターネットはまさにわずかな資本で多くの人に情報を与えることができるわけでありまして、申しわけないけれども、林野庁のようにお金のないようなところはこれを最大限に駆使すべきだと私は思っているわけであります。
 そこで、もう一つ、緑のオーナー募集御案内というのがこれまたインターネットに載っているわけですけれども、全国でどのぐらい今集まっているんですか。
#89
○政府委員(高橋勲君) 緑のオーナーの実績につきましては、昭和五十九年度から実施しておりますが、平成八年度末現在で、契約口数で十万口、契約者数で八万四千人、契約金額は四百八十六億円となっております。
#90
○風間昶君 五十九年からですから、二十五年で、二十五年弱というか四分の一世紀でこのぐらいというのは多いのか少ないのかちょっと判断できかねますけれども、いずれにしてもこの募集単位が五十万とか二十五万というと、えらい高いなと。それは、当初は企業の方々とかがやっていたからなんだと思うんですけれども、この募集単位をもうちょっと一口十万円とかに私は低くすべきだと思うんです。その分また管理コストはかかるかもしれないけれども、せめて十万円ぐらいから応募したらどうかなというふうに思っているんです。
 話は別になりますけれども、現在、公明としても、すべての国民に一人当たり三万円の消費税値上げ分を期限つき商品券で戻そうという構想を立てているわけですけれども、十万円となると、一家族三人だと九万円ですから、十万円で募集してくれればもっと私も話をしやすいわけですよ。森を買えますよと。こういうことを考えるならば、我田引水じゃないけれども、五十万、二十五万じゃなくて、やっぱり十万円ぐらいのところからもっとすそ野を広げてもいいんじゃないかというふうに私は思っているんです。それが一点。
 それからもう一つ。緑のオーナーの特典というところで、林野庁の宿泊・保養施設を割引料金で御利用いただけます、国設スキー場のリフトや全国各地の旅館、ホテルを割引料金で御利用いただけますという、こういう特典を知らない人が結構多いんじゃないかというふうに思うんです。おまけつきグリコじゃないけれども、もっと特典の部分をばんとでかくゴシックででも私は宣伝すべきだと思うんですが、この二点をお伺いしたいと思うんです。
#91
○政府委員(高橋勲君) 分収育林事業につきましては、林政審議会におきましても森林経営への国民の参加の促進ということから積極的に活用すべきだという答申が行われておりまして、今後、私どももそうしたいと思っておりますが、十万円口数ということでやることにつきましては、先生も御指摘のように、管理経費というふうなことでいろいろ問題がありまして、今後の需要動向等を慎重に検討してまいりたいと思っております。
 それから、特典につきましてのPRでありますが、インターネットの中でさらに工夫をしてPRに努めたいと思っております。
#92
○風間昶君 じゃ、管理コストがかさむということでの難点の試算をちゃんとされていらっしゃるんですか。
#93
○政府委員(高橋勲君) はい。一口五十万円の場合と、それを一口十万円にした場合に契約者の持ち分がどういうふうになるかというふうなことで試算をしております。
#94
○風間昶君 わかりました。
 いずれにしても、もっともっと、より効果的な宣伝をきちっとやっていただきたいなというふうに要望にかえさせていただきます。
 次に、中山間地域の広域支援活動事業について。
 中山間地域こそが広域的に連携して新たな村おこしが必要だということで、中央レベルあるいは地域レベルでも地域おこしマイスターという登録をされていらっしゃいますね。それは御案内のとおりでございますが、現在の登録数が七百六十六名というふうにきのう質問通告をしたときに教えていただきました。
 問題は、地域の町おこし、村おこしも兼ねた形のいろんな異業種の方々が含まれている。そういうことで、中山間地域が非常に活性化していくというための支援の方向ですから、そのリーダーたるべき人の交流だとかイベント、もうやられていると思うんですけれども、施策としてどのようになされているのかが一点。
 それからもう一点。予算書を見ても、中山間地域対策の充実の中のどこにあれしているのかわからないんですが、そこのところをきちっと、地域レベルの推進組織分、それから都道府県分あるいは中央レベルの民間団体分の予算がどういうふうにちりばめられているのか全くわからないんですけれども、その二点を教えてください。
#95
○政府委員(山本徹君) ただいま御指摘のございました中山間の広域支援活動事業の内容でございます。
 まず、中央のレベルでは、平成十年度の予算案で御説明申し上げますと、ふるさと情報センターに五千八百万円の予算を計上いたしまして、地域おこしマイスターの登録、またこれの全国的な研修活動あるいは交流活動の実施、研究会、また地域おこしの全国の優良事例の紹介、情報提供、このためのインターネットの活用等々でございます。
 それから、都道府県レベルでは、十年度予算案で二億一千百万円を計上させていただいておりまして、具体的に地域おこしマイスターを委嘱しまして、それぞれの各地域で地域おこしの指導活動を進めていただくということにいたしております。
 この具体的な内容につきましては、さらに町村までおりていくわけでございますけれども、地域、町村レベルでは十年度予算案で一億円を計上いたしておりまして、特に過疎、小さい町村が多いものですから、できるだけ可能であれば数町村、数市町村から成る組織をつくっていただいて、もちろん単独の町村でもよろしいわけですけれども、そういった地域において新しい特色のある農産物あるいは地域の特色のある工芸品あるいは農産物等の加工品、そういったものの生産あるいは発掘、産地化。それから、都市住民との交流という形による農村の活性化、中山間の活性化、これも重要でございます。
 グリーンツーリズムあるいは野外の青少年の教育の場の提供等々でございますけれども、このためにはそういった地域に関心を持っていただく必要もございますので、さまざまな効果のあるイベントの開催等も有効かと思っておりまして、こういった国、県あるいは地域段階でいろんな中山間地域の活性化のための考えられる限りの事業を地元の創意工夫に基づいて展開していただくための活動に対して御支援するのが私たちの予算の案でございます。
#96
○風間昶君 リーダーの交流や講習についてもなされていらっしゃると思うんですが、引き続きこれを何とか成功裏におさめていくように。
 今の推進組織の話ですけれども、まだまだ少ないと思うんですね。恐らく二けたぐらいのレベルだと思うんですけれども、目標としてはどのぐらいを考えていらっしゃいますか。
#97
○政府委員(山本徹君) 推進組織の目標を持ち合わせておりませんけれども、先生御指摘のように、まだ十六地区、北海道では桧山南部地区、江差ほか四町で推進組織をつくっておられますけれども、過疎地域、全国の約四割を占めるわけでございまして、そういった地域においてぜひ三けたあるいは四けたの組織ができることを私どもこれから期待いたしております。
#98
○風間昶君 三けたと四けたでは随分違うんで、じゃ、一億円というのはどういうふうな根拠で出てきたんですか。
#99
○政府委員(山本徹君) 平成十年度予算案では、これは十六地域掛ける五千万という形でございますけれども、私どもこれは活性化の推進組織として予算を積算しているものでございます。
 この予算を活用していただくことはもちろんでございますけれども、こういった地域は全国のいわばモデル地域として育成しようとしているものでございまして、こういった地域の活動ぶりを広く全国三千市町村に御紹介いたしまして、補助金がなくても、あるいはほかにもさまざまな構造改善事業等々の補助金もございますので、そういった事業も活用していただきながら、あるいは山村振興対策事業、専ら中山間を対象とした事業もございますので、そういった事業も活用していただきながら地域で活性化のための推進組織づくりを進めていただき、さまざまな活性化のための事業の展開、あるいは主として都市住民を対象とした農産物や加工品の販売、あるいは都市、農村の交流活動の推進等の実践活動を期待いたしているところでございます。
#100
○風間昶君 次に、農業者年金の話で先ほども話題になりましたけれども、今回、会計検査院が、移譲後継者というか経営移譲年金の支給をする農業者年金で、保険料が二十六億円未収になっているということを指摘されておりますね。それで、農業者年金基金に改善を会計検査院は求めたと。問題なのは、時効となった保険料も調査対象である二百八十一農協のうち二百七十一農協に発生していると。泡食って三月三十一日付で前の長官でいらした鎮西理事長の名前で各市町村長、農業協同組合長に通達を出しているわけですけれども、これは農水省の責任が大きいと私は思うんですよ。チェックができていない、そういう意味で物すごく大きいと思うんです。
 きのうも通告で伺ったら、この時効となった保険料十四億以上の未回収は法律的にはどうもならぬというふうにどなただったか答えてくれたんですが、本当にどうもならぬのかどうか。これは泡食って、未回収だからといってこの農業者年金基金の鎮西理事長からの六枚にわたる通達を出してみても、まあこれは出さないよりは出した方がいいんだけれども、大変問題だと思うんです。農水省としてあらゆる手だてを尽くすべきだと思うんですが、どうですか、考え方をお伺いします。
#101
○政府委員(山本徹君) ただいま御指摘の年金の保険料の時効につきましては、納付期限の翌日から二年ということが法律で定められておりまして、これは全く任意で納めていただければ別でございますけれども、時効が到来した未収の保険料について徴収することは現実的には残念ながら困難であると思っております。ただいま先生が御指摘のように、保険料の未収がふえているということが大変問題でございまして、この未収の金額を将来にわたってないようにするということが最も肝心だと思っております。
 そういうことで、基金の理事長名で、保険料の納付についての委託機関であります農協あるいは農業委員会に対して納付の促進についての事業展開をお願いしたわけでございますけれども、最も肝要なことは、各加入者の方々でまだ保険料を未納でいらっしゃる方に対して戸別訪問等を現場の農協、農業委員会が行っていただいて、重要な公的年金でございますこの年金の趣旨を理解していただく。国費を約八百億、十年度予算案でも投入させていただき、また物価スライドといったような制度もある公的年金でございますので、この趣旨を理解していただいて積極的に保険料を納付していただく。
 また、保険料の納付の便宜のために農協の自動振替の利用の拡大、これは今五割ぐらいが自動振替のようでございます。さらに、未納者に対しても納付の勧奨、督促の通知書送付、また未納者カードの作成による未納者対策の実施というようなことをきめ細かく、加入者の御理解をいただきながら現場で展開していくことが最も重要であると考えております。
#102
○風間昶君 年金基金のいわゆる収納推進員の方々が回るわけでしょう。そこで、農業者年金基金の運用が、去年は十六億一千九百九十四万だったのが、ことしの予算はもう四億も減って十二億なんですよ。こんなに減らして、さらに収納員が頑張って集められるかという話ですよ。そこはどう思っているんですか。これだったら天下り先なくなるよ。
#103
○政府委員(山本徹君) 農業者年金に関する予算についても財政構造改革の中でさまざまな見直しを行ったところでございまして、もちろん必要な予算はすべて計上させていただいているところでございますけれども、今の推進員の予算でございますけれども、これは一般会計から繰り入れる部分と農業者年金の中で賄う部分とございまして、平成十年度予算案ではこの年金の財政の内部で賄う部分を見ておりまして、これを合計いたしますと前年と同額になるような姿になっております。
#104
○風間昶君 これもまた機会を見つけてやらせていただきます。
 次に、後継者問題について若干お伺いしたいと思います。
 今さら指摘するまでもなく、中長期的に見て農業の抱えている最大の課題の一つはこの後継者問題だと私は思うわけです。なぜ農家の子供さんたちが農業を継がないのか。端的に私は、農業に対する魅力が実際に実のあるものに受けとめられていないのも一つの原因ではないかと思うんです。先日、大臣にも農業の魅力とは一体何ですかというふうにお聞きしましたが、私にとっては余り満足のいく答えじゃなかった、大臣は形どおりのお答えしかしなかったから。
 それはそれとして改めて聞きませんけれども、新たに農業に参入していく青年就農者、青年の方々に対する確保目標を農水省としてどういうふうに考えていらっしゃるのか、大ざっぱなつかみで結構ですけれども。
#105
○政府委員(高木賢君) 新規青年就農者の望ましい目標水準といたしましては、新政策で発表いたしました個別経営体並びに組織経営体の数を想定いたしまして、また世代交代を勘案いたしまして、一万三千人ないし一万五千人程度が毎年必要であるというふうに考えております。
#106
○風間昶君 そこで、今度その新規青年の中にも農家の方の後継者、それから農外から参入する方々の、何といいましょうか、差別というとおかしいんですけれども、経済的な差別から社会的な差別から、格差が生じないようにしなきゃならないと私は思うんです。
 一つは農業法人をもっとふやしていくと、そうすれば社員になっていけるということで、新規農外参入者も後継者も社員になっていくと。ある意味では農業もサラリーマン化している部分も実はあるわけで、きちっと確保していくためには社員になって農業をやりたいという人もいるんじゃないかと思うんですけれども、そういう方法として待遇するというのも私は一つの方法ではないかと思うんです。
 いずれにしても、差別的な格差が生じないような方策として、農水省、どう考えていらっしゃいますか。
#107
○政府委員(高木賢君) まず、制度といたしましては、当然、農業内部の方と、あるいは農業に全く関係なかった方の参入において差別をするということは一切しておりません。現実問題として、今お尋ねのように、新たに農業外の人が入るときに入りやすい形をどう整備するかということが一番問題だろうと思っています。
 現実問題として、今御指摘のありましたように、農業法人に就職する形というものが一つの有力な方法であるというふうに私どもも思っております。これは現実に、法人会というところで共同で大阪とか東京で募集をいたしましたところ、募集した人がびっくりするくらい人が集まってまいりまして、大変な人気を呼んでおります。ということは、やはりそういう形で、まずは従業員という形で技術を習得したり、農業の世界あるいは農村の世界により親しむ、それからやがては自営に移る、あるいはさらに幹部職員として登用されるということがあればその法人の役員なりに上がっていく、こういう姿が展望できるのではないかと思っております。
 そういう意味で、法人企業のそういう募集なりの活動につきましても助成措置を講じ始めたところでございますし、また法人自体が十分育成されるように、これはいろいろな農業関係の諸施策を動員いたしまして対応してまいりたいというふうに考えております。
#108
○風間昶君 もう時間がありませんので最後の質問ですが、酪農ヘルパーについて伺います。
 利用している酪農ヘルパーの利用組合はこの三、四年間、ほとんど三百六十から八十で横ばい状態でございます。九年八月のレベルでは三百九十二利用組合でありますけれども、利用率としてどうも完全に横ばいになっているのではないかという気がしてなりません。これをどうしていくのかということの農水省としての対策、それからもう一つは、ヘルパーの身分保障に関していろんな各地域から要望もいただいておるわけですけれども、その実態把握を教えていただきたいと思います。
#109
○政府委員(中須勇雄君) まず、第一点目の酪農ヘルパーの普及状況ということでございますが、御承知のとおり平成二年度に国として基本的な支援策というものを設けまして……
#110
○風間昶君 平成二年じゃなくて元年でしょう。
#111
○政府委員(中須勇雄君) 平成二年度でございます。
#112
○風間昶君 元年末からじゃないの。
#113
○政府委員(中須勇雄君) いえ、平成二年度に全国基金というのを設けまして、それに各自発的な拠出も含めまして合計で百二十億円の基金を設け、その運用益でもって各種の利用促進活動を続けていると、こういうことでございます。
 確かに御指摘のとおり、かなりの数の利用組合というものが全国でできまして、数字は先ほど先生の御指摘のとおりでございます。最近では、利用の日数ということで申し上げますと、各年、全国平均値でございますけれども、大体一日ずつふえている。九年でいいますと、全国で約十二日間ということでございますから、この制度に入っておられる酪農家が一月一回定期利用する、こういうような形になっているということでございまして、私ども引き続き各般の施策の充実を図って酪農ヘルパーの一層の普及に努めていきたい。やはり、労働時間が大変長いというのが酪農での大きな問題でございますので、その解消に努めていきたいと思っております。
 それから、二点目のヘルパーの身分保障の問題でございますが、今全国で専任の酪農ヘルパーは約千百人ほどございます。これらの方々はほとんどが農協とか農協連の職員あるいは利用組合の職員というか、恒常的な雇用契約を結んでいるということでございますので、労災とか雇用保険あるいは健康保険、それぞれにつきましてこれらの方々の九割程度がこういった制度に加入されて身分保障が図られている、こういうことだと承知しております。
 なお、今後とも一層、特に専任ではない臨時ヘルパー等については傷害保険に加入する際に一定の助成を行うというようなことをやっておりますが、そういうことを含めまして身分保障を含めた制度の円滑な運営に努めていきたいというふうに思っております。
#114
○風間昶君 終わります。
#115
○委員長(松谷蒼一郎君) 午後一時十五分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十八分開会
#116
○委員長(松谷蒼一郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#117
○谷本巍君 OECDの農相会合の後、次のWHOでの農産物貿易ルール等の改定交渉がどうなっていくのだろうかという関心が高まり出しました。そういう中で、私が最も多く農家の間から聞きますのは次の二つであります。
 一つは、ウルグアイ・ラウンド協定六年目にはミニマムアクセス米の輸入が八十五万トンになるわけでありますが、その先もその積み上げ方式の状況を重ねていくのかどうか、これじゃとても日本の米作農業はもたないのではないか、もう規模拡大なんかは見通しがなければあきらめざるを得ないなといった指摘等々であります。
 それからもう一つは、乳製品向けの加工原料乳の不足払い制度、これもウルグアイ・ラウンドでは黄色になっておりますから、その関係がどうなっていくのだろうかという声も少なくありません。
 さらにまた、今のところ余り大きな声にはなってはおりませんが、生産調整の補助金問題も同じであります。これはグリーンボックスの環境対策の適用は受けておりますけれども、ウルグアイ・ラウンドでのアメリカとEUの話し合いの中では、当面二〇〇一年まではよしとしようと、言うなれば条件づき的な話し合いが行われていたという経緯から見てみましても、相当難しさというのは伴っているのかなという感じがいたします。
 これらの点は、我が国の農政の基本方向にかかわるものであります。基本政策、新しい基本法を描くにしても、そこのところが明確にならないで、どうも基本法が描きようがないのではないかという議論等々もあるわけでありますが、初めに、今申し上げた米・牛乳問題等にどう対処されるか、大臣の所見を承りたいのです。
#118
○国務大臣(島村宜伸君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘になりましたウルグアイ・ラウンドの合意によるMA米、六年目には八十五万トン、この上、積み上げられたのではたまったものではない、また加工原料乳不足払いについてもこういうことがいろいろ許されなくなるのではないか、まさに御指摘のとおりのことを私も実はお聞きしているところでございます。
 我々は、我が国農業の現状あるいはその背景となる実態をよく考えますと、いかに国際的な圧力がかかるにしても、基本的に農業関係者が意欲を持って将来に資していただくためには、やはり我が国独自の実情というものを事前によく説明をし理解を得ながら、その中で国際協調の道を求めていくのがあるべき姿だと、こう考えております。
 そういう意味では、ウルグアイ・ラウンドの轍を踏むことがないように、後手に回ることがないように、私はこれからも積極的に海外へ出まして、そういう実情等についての趣旨をよく向こうにも理解してもらう、その中にある程度の見通しを持って次期交渉に臨む、そうあるべきではないかと思います。
 前にも申し上げましたけれども、その意味で、私は前の保利政務次官のアドバイスに従って一月にヨーロッパへ行きまして、折からオックスフォードへ講演に来ておりましたグリックマン米農務長官、あるいはEUの議長国でありますイギリスのカニンガム農相、あるいはEUの農業代表であります委員のフィシュラー氏、そしてまたOECDのジョンストン事務総長等々、事前にいろいろなお話し合いをしたことが大変有効であったと思いますので、これからも積極的に出向いて、みんなが納得できるものを事前に築いていくというぐらいの姿勢で先行きに対処していきたい、そう考えます。
#119
○谷本巍君 現在の貿易ルールが輸出国偏重というふうに私どもから見ますと言ってよろしいかと存じますが、どうしてそういう状況になってしまったのかという原因の一つに挙げられますのが、日本の政府交渉が後手後手に回ってしまったという点がございました。
 そういう点で、ウルグアイ・ラウンド終了後の状況を見てみますというと、例えばアメリカでいうと、小麦やトウモロコシ等の生産調整をやめ、そして青の政策から緑の政策に変えました。
 と思いましたら、EUの方は、私の方は二〇〇一年以降も青の政策として固定化させていただきますよということを明確に言っておる。それだけじゃなくて、EUの場合は新たに農村開発政策に力を入れ始めております。農外所得確保に向けて、EUの共通農業政策とは別建てで、もう一つの柱としてEUの共通農村開発政策をつくろうという話も聞かれます。また、環境問題との絡みでは、環境維持補助金の創設も検討しているということを耳にいたします。もう既に、アメリカもEUも二〇〇一年という年を射程に入れて対策を始めているんですね。
 日本は、ウルグアイ・ラウンドのような後手後手に回ることはなく、先月の大臣が出席されたOECDの農相会議の成果を生かした国内政策をきちんと方向づけて出しておきながら、それでもってそれをバックにして外交交渉をしていくということをお願いしたいんですが、いかがでしょうか。
#120
○国務大臣(島村宜伸君) 一々ごもっともだと思います。
 そして同時に、先ほども少し申し上げましたけれども、何しろあちらの会議に行ってつくづく感じますことは、もうみんなファーストネームで呼び合っていて、毎月のように会っていて、そしてお互いの事情を、手のうちをよく知り合っている。しかも、仲間意識も潜在的にはかなり強いものを持っている。こういう人たちを相手の交渉でありますし、たまたま貿易立国を国是とする我が国でありますから、他の産業分野の輸出については他国をかなり脅かしている現実もあるわけでありますから、国際分業を建前としていろいろ押しまくられるというやりにくい面がないではありません。
 さはさりながら、農業の多面的機能ということはさきのOECD閣僚会議で認めてもらったわけでありますし、また同時に私はその際に便乗するわけではありませんが、MA米についてもいろんな手かせ足かせをはめられているけれども、実は我が国自体が米の過剰に苦しんでいて、さらに食味の上では余り好ましくないMA米等を押しつけられて、しかもこれを一応は国内消費を対象に向けて、単純に対外援助には向けられない、こういう面でも非常にやりにくい思いをしていることをあえて私は申しました。そういうことを何遍も何遍も言い続ける中に、日本の事情というものはやっぱり理解してもらう必要があるんだろうと思います。
 そして同時に、その際もいろいろ議論がありました、将来に向けての世界の食糧事情は必ずしも楽観を許さないというのが、これはある意味で国際世論でもありましたから、そんなものは技術がこなすんだという農業大国の人たちの言い分だけが私は国際世論だと思いませんので、この点はぜひ努めて各国にそういう理解を深めていく。同時に、EUとか韓国とかこういう国々とはよく協調して、やはり今までのせっかく盛り上がってきている私たちの言い分を支える背景を維持していきたい、こう考えます。
#121
○谷本巍君 ぜひ、大臣が今言われたような積極的な姿勢で、先手先手をひとつお願いしたいんです。
 それと関連して、この問題の最後という意味で、大臣にひとつ要望申し上げておきたいのでありますけれども、ウルグアイ・ラウンドの経験を振り返ってみまして、私は痛切に感じたことが二つほどあります。
 その一つは、どうも日本政府の主張の仕方というのが、日本の主張はこうだと、これに対して相手方の出方を見ながらという話が余りにも多かったということであります。言うなれば、両にらみ的姿勢が多かったということであります。
 二つ目の問題は、密室性といいましょうか、外交は秘密でありますからということで、どうも骨太な外交交渉のあり方の基本的な問題提起というのは出てこない。ここのところが非常に私どもとしては歯がゆい感じを受けたということでありました。
 これは少々余談になりますけれども、先週、牛乳の価格を決める際、全国から集まった農家の皆さんと畜産局に赴きまして、不足払い問題を次のラウンドで一体どうするつもりかという話を提起しましたところ、継続せよという声が強いが、これはWTOとの絡みで考えていかなきゃなりませんという話が出てまいりました。米の生産調整問題で農産園芸局の皆さんに伺いますというと、やっぱり同じようないわゆる両にらみ的な話が出てくるんですね。そして、さらに人によっては、外交交渉というのは何しろ秘密ですからね、秘密というものを伴いますからねと、こういう話が出てきます。ウルグアイ・ラウンドの状況そのままなんですよ。ですから、私は畜産局がひどいということを言っているんじゃないんです。全体の問題としてそういう問題がどうも私が接触した範囲では多いということなのであります。
 したがいまして、そういったような点等に留意して、お役人さんはお役人さんの立場がありますから、これは大臣が相当強い決意で指導力を発揮していただきませんというと、大臣が先ほど言われたような積極的な先手攻めというのはとても不可能だろうと思いますので、その点ひとつ篤とこの際、大臣にお願いをしたいということです。
#122
○国務大臣(島村宜伸君) 大変、的を射た御提言でございます。私は拳々服膺し、御意思に沿うような努力をしたいと思います。
 なお、我が国は何といっても最大の農産物輸入国でございます。そういう意味では、アメリカや豪州、ニュージーランド、どこの国にとってもある意味ではお得意さんであるわけでありますから、何も卑屈になる必要はないわけでございまして、同時に先方からすれば、お互い協調しているようでいても、ある意味では願わくば出し抜いて自分のところの枠を広げたいという意識もないではないわけです。そういうことは、足元を見るとかいう汚い話ではありませんが、少なくも我が国の国益を守るために彼らにも理解をし協力もしてもらう、この姿勢だけは必要なんだろうと思います。
 私自身の性格もあるのかもしれませんが、国際会議というのはいじけた気持ちでは絶対にいい結果は得られない、そう思いますので、もしそういう機会を得られるならば、私はできるだけ海外に出向いて日本の農業の実情というものを彼らによく理解してもらう。理解をしてもらったそのお礼というわけじゃありませんが、我々も輸入に応ずるというぐらいの姿勢を持っていいのではないか、そう考えておりますので、実はゴールデンウイークその他に、もし国会の事情が許せばそれらの国々に出向く予定を今いろいろ計画させていただいております。
#123
○谷本巍君 次に、農林予算における直接所得政策の現状について伺いたいと存じます。
 御存じのように、ウルグアイ・ラウンドが取り決めました緑の政策とは、貿易歪曲効果と生産への影響がゼロまたは最小限度のもので公的資金で行われるものというふうにされております。これを大きく分けますと、一つは政府が提供するサービス、二つ目は生産者への直接支払いというふうに分けることができるだろうと思います。
 そこで、伺いたいと思いますのは、農林予算の七、八割を公共事業、非公共事業が占めておりますが、政府が提供するサービスというのは所得政策という意味では間接型所得政策ということになるわけでありまして、直接所得政策と呼べるものはどの程度あるのか、概括的数字で結構でありますから、お示しいただきたいのです。
#124
○政府委員(堤英隆君) 今もございましたように、WTO協定上の緑の政策ということで、貿易をゆがめる影響または生産に対する影響が全くないか、最小限のものというふうに定義されているわけでございますが、その中に二つございまして、実は御指摘のとおり政府の提供する一般サービス、その範疇のものがございます。これは研究開発、植物防疫、普及事業、それから今おっしゃいました農業・農村におきますインフラ整備、要するに農業農村基盤整備事業と、こういったものがこの中に入ると思います。これが農水省の全体、これは一般会計だけじゃ必ずしもないんですけれども、二兆六千八百億ほどございます。
 それから、もう一つのジャンルでございます生産者に対する直接支払い、これが農業災害補償なり災害金融、そういうものが入ります。それから農業者年金基金、それから樹園地なんかを転換する場合の奨励金、それから転作奨励金、こういうものが今おっしゃいました第二ジャンルの生産者に対する直接支払いというふうになりますけれども、これが大体三千九百億程度でございます。
 全体として、緑の政策全体の予算が三兆一千六百九十一億となっていますので、内訳としては、一般サービス二兆六千八百億、直接支払い三千九百億程度ということでございます。
#125
○谷本巍君 官房長、今のお話は厚生省の予算等々、多少他の省庁のも入っておりますね。そうですね。
#126
○政府委員(堤英隆君) ええ。
#127
○谷本巍君 全体の比重から見てみますというと、圧倒的に所得政策という意味では間接型であると、直接的な所得政策というのはどうもほとんどないのではないかというふうに思うんですが、その点どうでしょうか。
#128
○政府委員(堤英隆君) 結局、政府としてさまざまな農業政策を推進しているわけでございますけれども、日本の現状の農業・農村の実情から見ました場合に、どういうところに政策目的を当てて対策を講ずるべきかということの議論に尽きるんじゃないかと思うんです。
 そういうふうに考えましたときには、イギリス等でも六十ヘクタールから七十ヘクタールの経営規模があるかと思いますが、一般的にEU等の場合におきましてはかなり構造性が進んでいると……
#129
○谷本巍君 私が伺っているのは数字上の問題なんです。直接所得政策的な部分というのはどの程度になるんですかということを聞いているんです。
#130
○政府委員(堤英隆君) 平成十年度予算で見ましたときには、農業関係予算が二兆五千四百四十四億ございます。そのうち農産物の価格あるいは農家所得の安定ということに寄与します予算が六千七百三十一億でございますので、大体二六・五%ということでございます。
#131
○谷本巍君 はい、わかりました。
 最近、所得政策という見地からしますというと、間接型への批判というのが割と強まり出しております。例えば、これはこの場合とちょっと例が違うかもしれませんが、OECDの閣僚会議でも間接的所得政策というのは不明瞭、不透明、非効率という点で問題があるといったような指摘等々がございました。
 日本の場合を見てみますと、間接的所得政策のうち、例えば公共事業でいいますというと、水田、水路等の整備や下水道整備など急いでやらなきゃならぬというものはまだかなり残っております。残っておりますが、その反面、公共投資への批判の声もかなり強まっております。例えば、土地改良問題について申し上げますというと、設計基準の厳しさということもありますが、補助事業でやるよりも自費の方が安上がりという場合もある。そういう例もちょいちょい見られるというような事実に即しても、どうも土地改良というのは土建屋さんと土地改良の関係団体奉仕のものなのかと。極端な批判でいいますと、そういう声も実は出ております。
 こうした例に見るように、間接的所得政策は納税者から農家への所得移転という意味ではやっぱり漏れが多い。そして、不透明な点というのが少なくなく、物によっては政策上の効果にも疑問の声が上がっております。
 こうした点からいって、直接型所得政策というのは私はより好ましいと思うんですが、その点どうお考えになっておるか、お考えを聞かせていただきたい。
#132
○政府委員(堤英隆君) 結局、先ほどちょっと申し上げたわけでございますけれども、日本の農業・農村の場合において急がれますことは、やはり構造政策が急がれているということもこれまた現実だと思います。規模が小さい、生産性が低い、そういう中でやはり日本の農産物でもって提供していただきたいという国民の声は大変高うございますが、そういうことからいきますと、やはりある程度構造政策的なところに力を入れて、その中に土地基盤整備も入るわけでございますけれども、そういったものというのは現在の中でもかなり有用性があるというふうに思っております。
 それとは別途、先ほど申し上げましたような形での農家の直接所得といいますか、所得あるいは経営、そういうところに視点を置いた対策ということもこれまた重要でございますので、やはりそこは現在の状況から見ますと両々相まった形で推進をしていかなきゃならない時代ではないかというふうに思っております。
#133
○谷本巍君 そこで官房長、申し上げたいのは、規模拡大を進める上で、価格支持とか直接所得政策というのは好ましくないという見解がこれまで根強くありました。
 例えば、昨年の米価暴落の中での状況を見てみますというと、一番困ったのは兼業農家じゃありません。専業農家の大きいところが実は困っております。なぜなら、規模拡大でいろいろと借金をしょってきているという問題もありましょうし、それからまた小作料も払わなきゃならぬという点等々もあります。したがって、北海道で見ますというと、十ヘクタールクラスのところの所得率を見てみますというと、せいぜい三〇%程度のものが多いですね。米価は一五%下がったんですから、ということは所得は半減ということですから、これじゃやっぱりもちませんよという話が出てくる。そうしたことから、昨年の米をめぐる対策の場合、一千三十八円の応急手当て的なものを出さなきゃもうどうにもならなかったという状況があったわけであります。
 こうした点から見ても、やはり価格政策がやれないのだとするならば、それよりももっと政策効率がいいはずでありますから、直接所得政策というのは私は重視すべきだと思うんですが、どうでしょうか。
#134
○政府委員(堤英隆君) 結局、今御指摘のところは、価格政策と所得政策との関係だと思います。
 現在、農産物の大体七割、何らかの意味で価格支持政策をやっております。これにつきましてもさまざまな御批判はございますが、やはり農家経営の安定ということと、それから消費者の家計の安定ということにそれなりの役割を果たしているというふうに思います。
 その際に、どうしても市場原理あるいは需給実勢、銘柄評価、そういったものをやはりベースにしながら価格政策を運用すべきだという意見も大変強いわけでございまして、そういうものを導入することによって結局、価格がある程度振れてくるという現象が出てきます。そうしますと、今御指摘のように、大規模農家、これから農業で一生懸命やっていこうという農家、そういうところに対する影響が大きいということで、価格政策の中に市場原理をある程度導入することに伴います農家経営の不安定性、これを補うという意味で、さまざまな意味での経営安定対策を講じてくる必要性というのは高まっているというふうに認識をいたしておりまして、昨年の秋から冬にかけましての米対策もそういう認識の流れの中で対応したというふうに理解をいたしております。
#135
○谷本巍君 官房長、この問題でもう時間をかけたくないんですけれども、市場原理という言葉が出ましたから申し上げておきたいんですけれども、農業問題を見る場合、市場原理一辺倒では農業はもちませんよ。そこへどう調整の原理というのをはさんでいくか、その一つで最も重視されるべきは、私は直接所得政策になってきているんじゃないかという意味で実は申し上げたわけであります。何かありましたら再度。
#136
○政府委員(堤英隆君) 私どもの価格政策の運用をしていきます場合に、今御指摘のように、市場原理一辺倒という考え方はとっておりません。基本的に農家経営の安定ということでございますので、それぞれの作目なりそれぞれの農村地域の現状を踏まえた価格支持運営をすべきだというのが基本でございます。
 ただ、市場の動向からかけ離れた人為的なあるいは行政的な意味での価格の支持ということを続けますと、結局、市場から見放されてしまう、言ってみれば消費者から見放されてしまうということもございますので、消費者の方々がどういうニーズを持っておられるのか、そういうものがある意味では市場という形で端的にあらわれてくる、そういうものを受けながら価格支持の運営に当たるべきだ、そういう考え方を持っております。
#137
○谷本巍君 価格支持というのはこれは消費者との絡みが出てくる。直接所得政策というのは、その点はもっと合理的なものですよ。そういう意味で、私は再三申し上げているんです。
 続いて、今やろうとして検討されておる直接所得政策、いわゆるデカップリングでありますが、どうやら中山間地域対策というところが現在の最大の焦点になっているような感があります。これはこれで私はやっていかなきゃならぬ、検討しなきゃならぬ問題であろうと思います。それと同時に、デカップリング政策というものには多様な形態があるわけでありますから、特にこれから最も重視されるべきは環境対策との絡みというものでありますから、そういう意味で申し上げたいのは、地域対策の一つとしての中山間地域対策とともに、もう一つは環境対策としての柱を立てるべきではないのかというふうに思います。
 これにはいろいろなやり方があります。特に、この際、一つの事例として申し上げたいのは、有機農業生産とか減農薬生産、これは結構最近盛んになってきておりますけれども、こうしたものについても、通常の生産、あり得べき所得よりも高コストでダウンする。そういうものをどう補てんしてやるかということなども検討してしかるべきではないかと私は思うんです。
 ついこの間でありますが、山形の方から手紙をいただきました。今、ドジョウなべを食っているところだという話なんです。有機農業生産に切りかえて田んぼドジョウがたくさんとれるようになった話で、それで夏になったら蛍がとにかくいっぱい出るようになったから見に来いという話がありました。水も随分きれいになっちゃっているんですね。これは、当該農家だけの利益じゃなくて、もっとほかの人たちがより多くの利益を受けるわけです。
 そうしてみますと、こうした有機農業生産またはそれに準ずるような生産について、一定の直接所得政策の対象にしていくというようなことが私は真剣に論議されるべきだろうと思います。
 とにかく、今、オーガニックと言いましたか、これはブームですよ、消費者の間で。これを食べていただいても日本の環境はよくならないです。やっぱり日本の農家がつくった有機農産物を食べていただかないというと日本の環境はよくなりませんよ。だから、何も国粋主義で、国産奨励でやれというんじゃなくて、環境対策としてその辺をひとつ検討していただけないかと、いかがでしょうか。
#138
○政府委員(堤英隆君) デカップリングの場合に、今御指摘のように、中山間地域との関係で御指摘があることが一番多いんですけれども、私どもはそれだけではないというふうに理解をいたしております。
 私ども、大体四つぐらいの類型に分けられるんじゃないかと思っておりまして、デカップリング対策としまして、一つは、先ほど御指摘のありましたように、価格政策との関係での経営安定対策、そういう意味での農家の所得補償、そういうことの一つのジャンルがございます。それから二つ目は、条件不利地域、山岳地域等に対するデカップリング対策。それから三つ目には、おっしゃいました環境に視点を当てたデカップリング、言ってみれば有機農業でありますとか減農薬、農薬等の使用の禁止とか、そういうことに伴います農家のコスト増というようなことに対してどう補てんをしていくかという三つの区分。それからもう一つは、やはりカナダ等で行われておりますような、農家の方々と、それから国や県、州といいますか、そういう方が積み立てまして経営安定対策を講じていくと。デカップリングといっても大体その四つの類型区分があるんじゃないかというふうに私どもも理解いたしております。
 したがいまして、これからの議論としては、デカップリング対策として共通する議論を深めていただくということと同時に、それぞれの目的を持った四つぐらいのジャンルがございますので、それぞれの政策目的にどういう対策が必要なのか、それが日本の風土にどういうふうにマッチするのか、それから支持を得られるのかどうか、そういう議論をしていかなきゃならないというふうに思っておりまして、今御指摘の環境の見合いのデカップリングもそういう中に位置づけて積極的な議論をこれから展開させていただきたいというふうに考えております。
#139
○谷本巍君 役所の幹部の皆さんに伺いますというと、皆さんやっぱり予算のことがどうも頭にあるんじゃないかという気がいたします。財政改革でもって予算はふやしようがない時代といったようなことも前提にあるんじゃないかと存じます。
 しかし、やっぱりこの際、新しい施策というのをどんどん出していかないと、もう日本の農業はもたないだろうと思うんです。ですから、新しい施策を出すと同時に、農林予算の全体の再検討、私はそれをやってしかるべきだと思うんです。
 現に、これまで行財政改革の中で、例えばダムの建設計画の見直し、あるいは農道空港はもうやめていくといったような措置等もとられてきておるわけでありますから、大事な公共事業はこれとこれでありますというふうに一方で絞りながら新しい施策をどんどん出していく、またそうしなければ行財政改革の中で農林予算がまた制約されるような状況になるのではないのかというふうに私には思えてなりません。
 そういう意味で、今、農政改革ということを大上段に振りかざしながら、そして二〇〇一年のWTOに臨んでいくというふうにしていかなきゃならぬと思うんですが、最後に、大臣のひとつ御決意を承りたいと存じます。
#140
○国務大臣(島村宜伸君) 我々も、二十一世紀を見据えた農政の展開はいかにあるべきか、私たちは私たちなりの立場でそれぞれに考えておるところでございますし、また先生御承知のように、食料・農業・農村基本問題調査会において、八月をめどとしてかなり積極的な議論が闘わされる、こう承知をいたしているところであります。
 そういう意味で、これらの答申を踏まえまして、我々はそれをいただいてから何か考えるというのではなくて、十分それぞれの持ち場持ち場でそれを受けとめられるだけの体制をつくっておこうじゃないか、今、省内にはこういう呼びかけをしているところでございますが、さらにこれらを徹底しまして御期待にこたえていきたい、そう考えております。
#141
○谷本巍君 ありがとうございました。
#142
○須藤美也子君 私は、特別会計である国営土地改良事業について質問したいと思います。
 まず、国営土地改良事業は二年間据え置きで十五年間償還、こういうふうになっていますが、事業が完了してこれから償還する、二年据え置いてこれから十五年償還しなくちゃならないという、こういう人たちがどう言っているか。これから十五年で借金を返すと、子供の代まで借金を残すことになるから一括して繰り上げして償還をしたいと、そう言っている方々が全国各地にいらっしゃいます。こういう農家の方々のために一括償還、これは制度として認められるわけですね。どうですか。
#143
○政府委員(山本徹君) 国営土地改良事業のうちで、現在大部分の事業でございますいわゆる一般型でございますけれども、これにつきましては、地区の事情等を考慮して、御希望の場合には受益者の負担金の繰り上げ償還を行っているところでございます。
#144
○須藤美也子君 そういうところにも予算の十分な配分をしながら、ぜひ農家のそういう要望にこたえていただきたい。しかし、二年間据え置く、その据置期間も利子は取られるわけです。ところが、この国営の土地改良事業の利子は五%であります。昭和二十四年に法ができて、施行令がつくられてからもう何十年もたつわけですね。何十年も五%のまま、これはどういうことなのか。しかも、今の激変の中でこのままでいいのかどうか。
 これは法及び施行令の問題でありますので、大臣の方から答弁していただきたいと思います。
#145
○国務大臣(島村宜伸君) 一般型の国営土地改良事業の地元負担につきましては、土地改良法施行令第五十二条の二第一項一号において、事業完了年度の翌年度から「利率を年五分とする元利均等年賦支払の方法」とされているところであります。
 この一般型の利率改正につきましては、昭和二十四年以降の約五十年間の長期において国債金利が五%を切ったのはわずか六年であること、また長期的視点に立った場合、今後、金利水準が再び五%を上回ることが考えられることから、短期間の低金利に対応して制度を変更することは好ましくないと考えられているところであります。
 したがいまして、金利の動向が不透明な現時点におきまして、一般型の国営土地改良事業の償還金利を変更することは考えておりません。
#146
○須藤美也子君 財投融資金利は現在二・一%です。かつて、国有林が借りたころは七%で、高いときに借りだから今こういう三・八兆円ですか、これだけの赤字に膨れ上がったわけですよ。そのときは五%でメリットがあった。
 しかし、今は財投融資金利も二・一%、農林漁業金融公庫が県営土地改良で改良区に貸し出す金利は二・二五%です。融資より国営土地改良特別会計が受益者から取る利子が五%と高くなっている。今、こういう農業が激変している中で、これでは余りにも、検討しないというのはおかしいんじゃないですか。大臣、答えてくださいよ。検討する気があるかどうかを答えればいいんです。
#147
○政府委員(山本徹君) ただいま大臣がお答え申し上げましたように、国営土地改良の一般型の償還金利はなるほど五%でございますけれども、土地改良実施五十年になりますけれども、その間で国債金利が五%を切ったのはわずか六年間でございまして、金利情勢というのは極めて将来的に不透明でございます。現に、これまでの金利の平均水準を見ましても年平均金利は六・三%でございます。
 したがって、この金利を変えるのは適当でないと考えておりますけれども、負担金対策は先生御指摘のように大変重要でございますので、十年余り前から負担金の無利子での繰り延べ措置、また一定利率を超える金利について減免措置を講ずる等々の負担金対策を講じております。
 また、負担金のもととなるのは、国または地方公共団体が負担する部分がどれだけで農家の受益者の負担がどれだけかということで決まってまいりますが、この農家の負担部分をできるだけ軽減するために、地方財政の面で県、市町村が負担していただく部分を増加させたり、また事業の見直し等を行いまして、圃場整備でも担い生育成型というような形で補助率を改定したり、また担い手を育成するための特別の加算金をつけたりというようなことで、実質的な負担金の軽減対策を現場の実情に応じて講じられるようにさまざまな工夫をしてまいっておるところでございます。
#148
○須藤美也子君 私は、そういうことを言っているんじゃないんです。担い生育成事業にしろ二十一世紀型事業にしろ、県とか自治体はそれなりの無理をして補助金を出したり無利子の事業をやっているところはあるわけです。国営事業が五%で昭和二十四年から一貫して変わらない。これからどうなるかわからないから検討の余地もないと。これでは、橋本総理が臨機応変にちょくちょく変える、予算の補正を組んだりあれしたりいろいろ変える、こういうときこそ臨機応変にその情勢に見合った利子の動向を農民のために決める、これが大事だと思うんですが、大臣、ぜひ検討していただきたいと思います。
 それで、具体的に申し上げますと、この間、千葉県のある土地改良事務所に行ってまいりました。現地も調査をしてまいりました。ここは県営の農業開発を行っているところであります。
 ここの組合員の方々は、水稲の生産費の中で土地改良水利費が十アール当たり三万七千円、農水省の試算でいけば八千円から九千円というふうな試算が出てきますが、ここは極端に高いですね。しかも、償還の費用が経営を大きく圧迫している。これは米価が大暴落したわけですから、予想が外れて経営を大きく圧迫している現状になっております。そういう中で、ここの管内の改良区では、農家からの未納、滞納を約八億円抱えている。もう大変だと言っているんです。こういう状況を把握していますか。
#149
○政府委員(山本徹君) 千葉県の例については具体的な事情については承知いたしておりませんけれども、一般的に申し上げますと、負担金がこのように今の三万七千円というふうな高額な場合にはこれを繰り延べる、あるいは平成九年度予算までは三・五%以上の金利の軽減措置がございましたけれども、平成十年度予算案ではこれを二%に引き下げて、二%を超える金利を減免するというような仕組みも今御提案させていただいているところでございます。
 今の賦課金の納入状況でございますが、これは全国土地改良区、一割ほど無作為抽出で調査したものがございますが、これによりますと運営費、施設の維持管理費等の経常賦課金の納付率が九九%、それから建設事業費の償還のための特別賦課金が九八%ということで、大部分の賦課金はきちんと納付されていると承知いたしております。
#150
○須藤美也子君 これから土地改良区に対する負担金の未納というか農家組合員の未納というのはふえていくと思うんです。そういう今の現状を踏まえてぜひ現地の調査を具体的に進めていただきたい。今時点のこの状況を、それぞれの土地改良区から組合員が納めるそういう実態をぜひ調査していただきたいというふうに思います。これはできるわけですね。
#151
○政府委員(山本徹君) 私どもできるだけ現地の負担金の納付の状況、それから今の土地改良区の賦課金の納付の状況等については、事情を十分勉強しながらこれに対する対策を講じているところでございます。
#152
○須藤美也子君 例えば、山形県の自治体からそちらの方にも行っていると思うんですけれども、圃場整備事業に対する農家負担の大幅軽減についての要望が出されております。余目町議会では、償還金については五十年度の長期返済として無利子にしてほしい、今の米暴落の中でこういう要望が、余目だけでなくて多くの自治体から出されております。
 これは当然の理由、道理があるというふうに私は思います。なぜなら、九二年に出された新政策の中で、それぞれの都道府県が農業経営基盤強化促進法、こういうものをつくれというふうに提示をいたしました。それに基づいて都道府県が平成五年あるいは六年につくりました。農業経営基盤の強化の促進に関する基本方針というのを県がつくったわけです。これを見ますと、他産業並みの所得ということで、山形県の場合は労働時間が二千時間、そして農業従事者一人当たり五百万円、専業農家二人として一千万円の所得を得るように、こういう方針、いろいろな種類の類型をつくってこれを下におろしました。これに基づいて規模拡大とか土地改良事業が進んでいったわけですよ。国でも予算をそれにつけていったわけです。
 例えば、今言った千葉県では一人当たり農業所得は一千百万、これは労働時間千八百時間であります。この基本となる米価は幾らか、これは九二年の米価であります。山形県でいえば二万数百円です。この米価を基準にして算定して一人当たり他産業並みの五百万あるいは二人で一千万、こういう基本計画に基づいて二十一世紀型土地改良事業あるいは担い生育成の土地改良事業、こういうことで、あと県営の圃場整備もあります。今、庄内平野は至るところの田んぼは土木工事だらけであります。
 こういう中で、土地改良に対する負担金がかなり今の農家経営に負担を強いるものになっている。この九二年の米価は二万幾らですから、今もう一方七、八千円でしょう。山形県でも二千円から四千円下がっている。大体普通の三町歩から五町歩ぐらいの農家では百二十万円から三百万円ぐらいの減収であります。
 そういう中で土地改良の負担金だけは、そこは一定の金額を払わなくちゃならないわけです。減反をしても払わなくちゃならない。こういう点ではそういう自治体の切実な陳情、要望、こういうのにぜひこたえていかなくちゃならないんじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、そういう点で長期償還を五十年あるいは無利子でやってほしいという、こういう新たな制度をつくる、そういう方向は考えておらないのでしょうか。
#153
○政府委員(山本徹君) 厳しい農業情勢の中で土地改良事業をできるだけ農家の御負担の少ない形で円滑に実施しながら農業のあるべき担い手を育てていくということは私ども一番大事な課題でございまして、そのためには圃場整備等の土地改良事業は大事でございますけれども、これをできるだけ安いコストで実施するということがまず第一に大事でございまして、大臣からの御指示により平成九年度から三年間で土地改良事業のコストを一〇%引き下げると。まず、事業をできるだけ安上がりにするという基本的な方針を立てながら、それでは負担区分の中で受益者、農家の負担をできるだけ合理的なものにするという考え方から、国の負担も、先ほど来先生も御指摘のありました担い手対策という形で、国の補助の割合を見直した担い生育成型の圃場整備を新しく実施させていただき、また地方財政措置で県、市町村の負担をふやしていただいて、結果として受益者負担の総額を減らすというような工夫をさせていただいております。
 さらに、現実に負担金が相当高額になるような場合には、これは自由化に関連した作物については、一万円を超えるような負担金について負担金を支払うというような場合に償還金の無利子での繰り延べ措置、それから平成十年度からは二%を超える利子について助成する制度を新しく御提案させていただいているところでございますし、また担い生育成型の圃場整備につきましては、農家負担の六分の五以内につきまして無利子資金を融資するというような制度も創設させていただいているところでございます。
 さまざまな事業を進めながら、農家が無理のない負担金額で土地改良事業を実施していただけるように私ども工夫いたしているところでございまして、これらの制度を御活用いただきながら地域の合意のもとに土地改良事業を円滑に進めていただくことを期待いたしております。
#154
○須藤美也子君 いろいろな緩和の通達がそれぞれの自治体に来ていますけれども、それが来ても現状はこういう状況になっているんです。
 ですから、例えば県営土地改良事業の場合、土地改良区が農林漁業金融公庫から借り、償還しているけれども、今の低金利の時代に償還の金利が高い、この声が多いわけです。一たん全額返却して、ほかの金融機関から低利のものに借りかえている例も聞いております。そういう点で、個々の組合員から改良区に繰り上げ一括償還したいという声も出ているわけですけれども、それぞれの改良区で否定する土地改良区もあります。
 そういう点で、土地改良区と金融機関あるいは組合員との円滑な状況ができるように援助と指導を国がなすべきでないかということを聞きたいんです。
#155
○政府委員(山本徹君) 今、先生の御指摘のような繰り上げ償還は可能でございまして、これは実施しておられるところもございます。そういった制度の活用、また先ほど来御紹介しておりますようなさまざまな制度がございますので、これについては現場の土地改良区、また土地改良事業を実施されようと考えておられる農家の方々にできるだけ普及、浸透に努力しながら、円滑に事業を実施してまいりたいと思っております。
#156
○須藤美也子君 ぜひ、土地改良区に対してもそういう状況をきちんと指導していただきたい。一括償還できるんですよと、そういうことをきちんと通達して、援助、指導をしていただきたいということを強く要求いたします。
 さらに、先ほどの千葉の三万七千円の負担金のうち八千五百円は用水費であります。私はここの田んぼを見に行きました。減反でペンペン草が生えているんですよ、もう何年も減反しているところ。しかも、ポンプはさびがついて使われていないんです。こういうところの田んぼには水は入っていないのに用水費は取られる、水利費は取られるということですね、八千五百円。使っていないのに取られる。
 しかし、これは土地改良区のいろいろな総代会とかそういうところで決める問題でしょうけれども、何も好きこのんで減反しているわけでないんです。国の大幅減反のために、つくりたくともつくれなくてペンペン草が生えているわけですよ。あれを復田するなんといったら大変なことだと思いますよ。
 そういう状況の中で、こういう水利費とか維持管理費についての国の援助あるいは負担に対する支援、こういうものを強く求めているわけですが、その点はどうでしょうか。
#157
○政府委員(山本徹君) 千葉県の現地の事情を十分承知いたしておりませんけれども、今、千葉県は、二年前ですか、茨城県を抜いて、農業生産額は北海道に次いで二位になったわけでございます。これは施設園芸等々、首都圏の大消費地をマーケットにして、大変積極的にお米以外の付加価値の高い農産物の生産に努力をされたからであると思っております。
 先生御指摘の地域は、ひょっとしたら排水が不良で十分他作物ができるような条件がまだ整備されていないことも考えられますし、またポンプが使われていない、これは更新時期に来ているというような事情もあるかもしれませんが、そういった場合には排水条件を整備する、あるいは水利施設を更新するといったような現地でのいろいろな工夫をしていただきながら、お米以外の農業生産によって農業所得の確保、向上に努力していただくということも大変重要な課題であると思います。
 また、そういった面で施設の更新、また条件整備については私どもも御支援申し上げますし、負担金の問題等については、先ほど来申し上げておりますようなさまざまな制度を御活用いただいて、できるだけ地域で無理のない形で土地改良施設が維持管理され、また農業所得を上げられるように私どもはできるだけ御指導してまいりたいと思っております。
 また、自治体あるいは普及機関、営農組織等とも一体となって、そういった地域の体質の強い農業、所得の上がる農業の実現を図る必要があると考えております。
#158
○須藤美也子君 大変御丁寧な御答弁ありがとうございますと言いたいところですけれども、全く穴だらけじゃないですか。
 つまり、せっかく圃場整備をしてつくった。だけれども、使われていない、有効に利用されていない、そういうところにむだな金を使って、そして農家から負担金を取る、こんなことはやめましょうよ、今度。だから、そういうむだなものに対しては、国がそれを認めたら国が援助、支援をすべきだというふうに思います。それは答弁要りません。先ほど来、長々とお話しいただきましたので要りませんが、最後に、大臣に予算の組み替えを私は要求したいんです。
 先ほどの予算説明の中で、三兆三千七百五十六億円のうち公共事業が一兆七千四百三十九億円、これは五一・七%ですね。主要食糧費は二千六百九十一億円、わずか八%です。しかも、先ほど来申し上げましたように、せっかく担い生育成事業とかいって規模を拡大しようとしても実際はこういう状況になっている。私は、公共事業全部がだめと言っているのでないんです。必要なものは地域の活性化のために大事であります。しかし、その中で、一方で減反をしながら国営干拓事業に百三十四億九千四百四十七万、これはむだだと思うんです。だれが考えてもむだですよ。諌早干拓を今さらやろうといってもこれはむだです。
 それから、大規模林道、これには百五十九億千八百万入れております。作業用の林道は必要だと思います。しかし、山の中に七メートル幅の大規模林道は必要ありません。そういう点で、むだな公共事業、浪費的な公共事業を見直して、先ほど来おっしゃっていましたように価格保証……
#159
○委員長(松谷蒼一郎君) 須藤委員、時間ですよ。」
#160
○須藤美也子君 所得補償に回すようにお願いしたいと強く要望して、最後に答弁をいただきたいと思います。
#161
○委員長(松谷蒼一郎君) 時間が終了していますので、答弁は簡潔に願います。
#162
○国務大臣(島村宜伸君) 御趣旨はよく承りました。諌早湾一つを例にとりましても、現地からは何遍も私どもは感謝状等をいただいておりまして、いろいろなお考えがあるようでございます。我々は一切予算のむだが起きない効率的な予算の運用を図っていきたい、こう考えます。
#163
○阿曽田清君 自由党の阿曽田でございます。
 農村・農家の経済環境の厳しさにつきましてはたびたびこの委員会で質問をいたしてきているところでありますが、今回は流通の面につきまして、その厳しさについての御質問をいたしたいと思います。
 まず、中央卸売市場、百十二社ございますが、その取扱金額、これをちょっと調べてみますと、平成二年度で二兆八千四百七十二億円、平成八年度で二兆六千八十五億円と、六年間で約二千四百億円減少いたしております。また、利益率で見てみますと、平成二年に〇・五八%であったものが平成八年には〇・二四%の利益率であるということからいたしますと、百十二社のうちで現実的に赤字経営の卸売会社があると思います。農林省ではどれくらいあるとつかんでおられるか、まず教えていただきたい。
#164
○政府委員(本田浩次君) 御指摘のとおり最近の卸売業者の経営は、需要の低迷でございますとか輸入品の増大などから市場における取扱量が伸び悩んでおりまして、営業利益率も低下している状況にございます。
 中央卸売市場の青果卸売業者の営業赤字会社の割合でございますけれども、年によって変動がございます。平成二年には百十四社ございましたけれども、そのうち七社が赤字でございました。最新のデータは平成七年でございますけれども、百十三社中三十一社ということでございまして、二七%増加している状況にございます。
#165
○阿曽田清君 百十三社、私は百十二社というふうに今現在はあると思うんですが、そのうち三十一社が赤字と、こういう御説明でありました。
 私が間接的、直接的に聞くところによりますと、実態は三分の二ぐらいは現実的に単年度赤字部分に当たるというように承っております。それも、なぜ赤字として出せないかというと、赤字で計上した途端に産地側があの市場は危ないんだということで出荷をやめてしまう、あるいは警戒してしまうということが影響するとすぐ倒産に入りますので、そういう意味で極力、積立金を取り崩したり、資産を処分したりしてやりくりをしているというのが現状だというふうに思うんです。
 この市場に対して、大臣の表明にもありましたように、市場の効率化、流通化の改善を図るというふうに述べられておりますが、どのようにこの市場対策を考えておられるか、お聞かせいただきたい。
#166
○政府委員(本田浩次君) 生鮮食品の流通におきまして、中央卸売市場は特に中核的な役割を担っております。したがいまして、この中核的な役割を積極的に支援していきたいというふうに思っております。
 平成八年三月に策定をしております第六次卸売市場整備基本方針におきまして、卸売業者の経営改善につきまして次の三点に重点を置いているところでございます。
 まず第一点は、経営体質の強化を図るために合併など統合大型化を進めるということ、それから系列化など提携関係の強化を図っていくということが第一点でございます。さらに第二点といたしまして、管理部門でございますとか場内物流のような労働集約業務につきまして、電算化でありますとか機械化の推進により、省力化、合理化に努めることでございます。それから第三点といたしまして、商品開発の充実と人材の育成を積極的に進めるといった点を考えてございます。
 農林水産省といたしましても、引き続き金融措置などによる支援を行いまして卸売業者の活性化策を講ずることとしております。ただ、いずれにいたしましても関係卸売業者の自助努力が基本でございますので、第六次卸売市場整備基本方針に即しまして、今後とも徹底した合理化、低コスト化など経営合理化が必要であると考えているところでございます。
#167
○阿曽田清君 だんだん市場の経営は厳しくなってくる。以前は、競りをする方々が産地に来て、これからはこういうものをつくりなさい、あるいはこういうレベルのものに上げていけば幾らで売れますよということで、農家まで入って品質の向上のために、あるいは売れる物づくりのための指導をやっていたんです。ところが、そういう余力がなくなってきている。ということは、生産地にとっても市場に対する期待というものがだんだん、ある意味では市場に頼っておっていいんだろうかという思いさえ出てきておるというのが現状です。
 その中で、今お述べになったものもそれは随時進めていかなきゃならないことなんだけれども、今、市場開設者にいわゆる施設使用料というものをちゃんと市なり都に払っていますね。施設使用料を払っていて、その市なり都の場合はそれぞれまた金額が違うでしょうけれども、それで一たん払っておいて、それは私も納得できるんです。
 もう一つ、大きな経営を圧迫しておるのに、いわゆる売上高使用料というものを取られているんですよ。これは僕は何でそういうものを重ねて払わなきゃならぬのか、市に対して、都に対して。これは消費者の皆さん方に供給するという市場の役割もあるわけですから、そういう意味で、この売上高使用料というものを国で何らかの市場育成の観点から助成してあげるといいますか、あるいは交付金を与えて見てやるとかというような形をとる必要があるんじゃなかろうか。
 東京都が〇・二五%、北海道が〇・四%、その他の地域は〇・三%、いわゆる売上高使用料というものを市なり都なりに払っておる。施設使用料だけで私は本来お借りをしているということでもうその使用料は払ったものだと思っていいのではないかというふうに思うんですが、その点どうでしょうか。
#168
○政府委員(本田浩次君) 先生御案内のとおり、市場使用料につきましては面積割りと売上高割りと、この二つから成り立っているわけでございます。
 ただ、中央卸売市場の卸売業者さんは、文字どおり東京都なり大阪市なり、開設者が設置いたしました卸売市場施設を借り上げまして、そこで卸売市場の卸売業務を行っている、こういう状況になっているわけでございますけれども、その借り上げ形態と申しますのは、取扱数量に応じてある一定の面積を借り上げる形になっているのがまず基本でございます。
 それからもう一つ、御案内のとおり、卸売市場の手数料につきましては、文字どおりその売上高比率で決定をされております。例えば、卸売業者の財務状況でございますとか、出荷奨励金、完納奨励金、それから市場使用料の実態などを踏まえて、野菜につきましては売上高の八・五%、果実につきましては七・七%といった形で手数料が設定をされております。その設定されております手数料収入の中から市場使用料は支払うという形態になっておりますので、売上高に準拠する形で手数料が定められているというふうに私どもとしては理解しております。
#169
○阿曽田清君 先般、私は、果実については七%、野菜については八・五%、花卉については一〇%、この閣議決定の手数料を画一的に全国やるのじゃなくて、強い市場なり元気のある市場、あるいは大型農協になってきているのならば、これは当然もう規制緩和の対象にしてもいいじゃないかという話もせんだっていたしました。
 今度はその中で、いわゆる市場が大変苦しい、その苦しい市場に産地も一緒になってこれから勢いをつけていこうとするときに、会社そのものが元気がなくなってきていて経営があっぷあっぷしている段階で、施設使用料は当然それは市なり都に払わなきゃならぬけれども、売上高使用料というのはむしろこういう厳しいときだからこそ市に対して、あるいは都に対して国が面倒を見てやっていいじゃないかというのが私の思いなんです。そこをひとつ御理解をいただきたいと思います。
 それからもう一点。仲卸業者、この方々の経営状況もせんだってちょっと厳しいんだよという話をいたしましたが、平成二年は二五%が赤字、平成七年、わずか五年で四四%、半分近い仲卸は赤字を計上いたしております。赤字がこれだけふえてきたということはせんだって申し上げたとおりでありますが、この仲卸さん対策についてどのように考えておられるか、お聞かせ願いたい。
#170
○政府委員(本田浩次君) 御指摘のとおり、中央卸売市場におきます仲卸業者の経営赤字会社の割合を見ますと、平成二年に青果物で二五%ございましたものが平成七年には四四%と赤字会社の割合が増加しているところでございます。
 私どもといたしましても、第六次卸売市場整備基本方針におきまして、仲卸業者の体質強化の方向といたしまして三点の方向を打ち出してございます。第一点は、経営コストの縮減などの合理化を推進する、第二点は、仕分け、配送、調製などの小売支援機能を強化するということ、それから第三点といたしまして、リストラの促進と合併など統合大型化などを打ち出しているところでございます。平成十年度予算案におきまして、こうした伸卸業者の特に小売支援機能の強化も念頭に置きまして、物流効率化のための総合的、戦略的なシステムでございます生鮮流通ロジスティクス構築事業を仕組んでいるところでございます。この事業によりまして仲卸業者の小売支援機能を特に強化していきたい、こう考えているところでございます。
 なお、先生御案内のとおり、仲卸業者につきましては、開設者でございます地方公共団体の許可業者でございますので、その体質強化などの具体策につきましては東京都なり大阪市なり各開設者で今後のあり方を検討しているところでございます。例えば、東京都におきましては、市場業者の経営基盤強化に関する研究会を開催してその支援のための具体策を検討しておりますし、大阪市におきましても統合大型化を促進するための低利資金の貸し付けなどを行っているところでございます。私どもといたしましても、今後とも適切な指導を行っていきたいと考えております。
#171
○阿曽田清君 お答えは、何かひな形に書いてあるような対策をずっと述べられておる。だから私は、市場対策については思い切って売上高使用料ぐらいは、この厳しいときだからこそ国の方で措置をしたらどうかという提案をしたんです。仲卸業者はもう半分近いところは赤字なんですよ、仲卸全体の中の。大変なことなんですよ。市場に行きますと仲卸業者のシャッターがおりていますよ。こんな勢いのない市場はないよというそういう縮図さえ見るんですけれども、むしろ今のときに臨機応変に対応するとするならば、量販店とか外食産業、コンビニ、そういう向けのPB商品を仲卸業者の方々がそこで用意して出していくというような体制をしくことの方が、むしろ仲卸業者の方々が生きていく道として私は活気づくんだと思うんです。そういうものにどうして適切な手を打たないんですか。
 私は、そういうところをむしろ期待いたしておったわけであります。なぜならば、もう御承知のとおり、我々は、産地としては今まで市場を信頼し、同じ運命共同体という形でやってきておりました。ところが、市場がそうやって厳しくなってくる、仲卸業者の方々の半分は赤字、こういう状態のときに今、ジャパン・ドールを初めとして外資系の販売会社が日本にもう五年前から来ていますよ。そして、産地の有力な生産者の方々と直接つながりを持って荷を集めている。農協つぶしだというような話も一方ではあります。
 同時に、日本の総合商社が農産物に対しての産地並びに生産者とのつながりを設け出してきておりますね。我々は、市場がそういう状態ならむしろそちらの方とタイアップしていった方がいいよという話が今生まれてきている。産地としていかに自分のところの収入、所得を確保するかという観点の中で、市場で今後、今までどおり古いつき合いを大事にしていったらいいのかという思いと、いち早くそういう商社系のいわゆる野菜、果実等を取り扱う子会社とタイアップしていって、いわゆる市場抜きでやった方がいいのかという、そういうところに今悩まされているというか選択を迫られているところなんですよ。
 しかし、我々は、市場機能というものを大事にして、その正しい評価を得られるような形で消費者の方々に売り込んでいこうというのがやはり本当だと思っておりますだけに、市場が三分の二も赤字、仲卸さんが半分近く赤字というようなことになったらどうなるんだろうかという逆に心配をいたしておりますから、今申し上げましたように、市場に対してはそのような国の思い切った配慮がいただきたいし、あるいは仲卸さんに対してはPB商品がその仲卸さんでつくり立てて出せるというような助成といいますか施策を講じてやるというのが今早急に必要なことではなかろうかなと。
 御説明のあった三つの条件のどうのこうのと言われましたけれども、それは何か机の上で書いて二年か三年かかってそういう方向に持っていけばいいよというようなひな形を述べられているようなことで、生きた施策にすぐつながらないんじゃなかろうかなというふうに思いますが、大臣、どうでしょうか。
#172
○国務大臣(島村宜伸君) 私は東京でございますが、東京の市場関係者、結構おつき合いが多いわけであります。厳しい実情についてはいろいろ伺っているところでもございますから、我々が及ぶ限りの努力をし、彼らが希望を持って仕事に取り組んでいただけるような環境整備に努めたい、こう思います。
#173
○阿曽田清君 ぜひお願いをいたしたいと思います。
 市場の問題だけずっと取り組んでいてはなんでございますが、ここでひとつ、私が前からずっと質問をいたしておりました小規模企業共済制度、これと農業者にもいわゆる他産業に勤めている勤労者並みの労災保険の適用をというのは、これはもう当選したときからずっと言ってきている言葉ではあります。その中で、小規模企業共済制度については一昨年十月に農業者も小規模企業者と同じように加入が認められましたけれども、それじゃ半分しか効果がないし、それでは加入者はふえませんよ、農協にその窓口を設定すべきことが大事じゃなかろうか、そうするとふえ方もまた違いますよ、恩恵もありますよという話をいたしておりますが、なかなか今回の予算にも、農協で小規模企業共済に加入する窓口設定が予算化されていないようであります。その点どう御努力されたか、お聞かせ願いたいと思います。
#174
○政府委員(山本徹君) 御指摘の共済制度につきまして農協に窓口を認めるよう、先生のお話を承りまして通産省と折衝してまいっておりますが、通産省は当時と同じ考えでございますけれども、三万三千全国に窓口がございまして、これを十分機能させることでこの共済制度は十分運用できるので、新しい窓口を設定する必要はないという考え方を変えておられません。
 先生は、もし農協が窓口を開かないと農協の金融が流出するおそれがあるという御心配がございます。それで、私ども農業団体等とも相談いたしておりますけれども、農業の制度といたしまして、公的年金制度としての農業者年金がございますし、また農協の共済制度がございます。これは通産省の共済とは違った側面もございますけれども、また類似の側面もございまして、農業関係者としてはこういった制度の活用ということも念頭に置きながら、あえてこの通産省の共済制度の窓口に今なる必要はないんじゃないかというお考えもあるように承っております。
 しかしながら、こういった共済制度で農業者のこれからの生活の安定が図られるというようなことも大変重要でございますので、これについては私ども幅広い視点から引き続き勉強させていただきたいと思っております。
#175
○阿曽田清君 大分感覚が違うんですね。農業老年金の問題とかその他の年金の方々のいわゆる受け取りなり預け入れという問題と、この共済制度の問題はもともと中小企業庁管轄で来ているわけですから向こうが手放さない、極端に言うと。しかも、それを一人でも加入を進めていくことによって、極端に言うとその期間の手数料も入ってくるわけです。だから渡さないというところもあるでしょうけれども、農協としては一人でもそういう定年後の退職金としての皆さん方の預金を集めておくということもこれは大事な組合員サービスの一つなんです。それを銀行に行ってくださいということで追いやるという形になるわけですから、農協として推進しようなんてことはできませんよ。私は、皆さん方が本当に農林省の幹部として農業者の立場に立って事に当たろうと思われるならば、今の局長のお答えというものは出てこないんじゃないかなというふうに思いますが、再考願いたいというふうに思います。
 最後に、農林大臣に、これはちょっとした言葉のあやでございますが、よく農業団体もそうですし、あるいは農林省の幹部の中にも言葉として使われておるし、文章にも載っておるのですけれども、九州とか北海道とかをいわゆる食糧供給基地としてどうのこうのという言葉が出てくるんですよ。島村大臣はそうじゃないと思うんですが、私は供給という言葉になるとどうもひっかかる。供給という言葉を広辞苑で開いてみますと、求めに応じて提供することと、こういう意味になっておりました。農村を食糧をつくる場としてのとらえ方としての見方になっておるんじゃないかな。都会からいわゆる農村を見て、食糧供給基地だと、こういうようなとらえ方になって、私はひがみかもしれませんが、そう見えてしまうのです。あくまでも食糧生産基地としての振興を図る地域である。生産とは生活に必要な財貨をつくり出すことだということでありますから、完全に私は意味は違うというふうに思います。
 今後、農林省の中におかれまして、食糧供給基地としての位置づけというのじゃなくて、食糧生産基地としての位置づけとしての訴え方なり取り組み方というものを前面に押し出していただきたいと思いますが、大臣としてのスタンスの置き方になるかと思いますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
#176
○国務大臣(島村宜伸君) 確かに、供給基地といいますと、私はかつて石油業界で社会勉強した男ですが、海外から輸入してきて備蓄しておいて、何かの際には供給する、こういうイメージ的なものがないではありません。生産といいますと、場合によっては無から有を生じたり、あるいは厳しい試練と戦っていろんなものを創造していくという何か意欲的なものも感じないではありませんから、そのとらえ方は私は反対ではありません。
#177
○阿曽田清君 終わります。
#178
○島袋宗康君 二院クラブの島袋宗康でございます。
 まず、大臣に所信表明に対する問題点について二、三質疑をさせていただきたいと思います。
 大臣は、二十一世紀における課題の中に、人口、食糧、環境、エネルギー等を挙げられて、国内生産体制の強化や食糧安全保障の問題等に言及しておられますが、我が国農業の現状は、食糧自給率の低下や米作における減反政策等、一見、大臣のお考えと矛盾するような状況にあるんじゃないか、そういった深刻な状態にあるんじゃないかというふうな感じを私、持っておるんですけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#179
○国務大臣(島村宜伸君) 確かに、我が国農林水産業それぞれを囲む環境は大変厳しくて諸外国との比較にならない、これは現実として肯定せざるを得ません。
 さはさりながら、我々は安全な食糧を安定的に供給していくという重大な責務を担っているわけでありますから、そういう厳しい条件は条件として、それを乗り越えて我々は我々の責務を果たしていく、こういう姿勢をうたったものであります。
#180
○島袋宗康君 大変難しい問題だと思いますけれども、その辺を政府として何が適切かということを十分検討されて、やはり農家のことも考えながら農業振興のために尽くしていただきたいというふうに要望しておきます。
 我が国の食糧自給率の現状及び自給率に対する基本的な考え方並びに自給率を向上させるための具体策についてどういうふうなお考えなのか、お伺いします。
#181
○国務大臣(島村宜伸君) この自給率問題というのはなかなかとらえ方が難しくて、なるほど一〇〇%に近い条件を持っておればこれはそう苦労はないわけでございますが、御承知のようにカロリー換算四二%、穀物自給率が二九%、しかも最近はいろいろ食の多様化という意味合いも含めて自給率がさらに落ち込んでいるということについては、まことに憂慮にたえないわけであります。
 さはさりながら、非常に悪い条件の中で何が何でも自給率を一〇〇%確保し、他国から買う考えはないと、これはちょっと許される状況ではない。しからば、どのくらいの自給率が正しいのか、こういう問題については当然いろいろ詰めた結論めいたものを持っていきたいと思っておりますが、実は昨年四月から食料・農業・農村基本問題調査会におかれても大変熱心に御検討いただいておりましても、今時点ではまだ両論併記の段階であります。我々もできるだけ自給率の維持を図っていきたいと思いますし、特に世界人口は急増いたしておるわけですし、飢餓人口もまた同じであります。
 そういうことを踏まえて、必ずしも楽観を許さない食糧の供給という問題に取り組む以上は、私たちなりにこれをおろそかにせず、国民の理解の得られる範囲で、多少不採算ではあっても、一応国内の自給というものを応分の確保をしていかなければいけない、こう考えております。
#182
○島袋宗康君 さきの所信表明の中で、農業経営の体質強化についてお触れになっておられます。経営感覚にすぐれた農業経営が生産の相当部分を占める農業構造を実現するための対策の推進について述べられております。そのような理想的な農業はあと何年後に実現できるかというふうなことについて、もし大臣のお考えがありましたらお伺いします。
#183
○国務大臣(島村宜伸君) 我が国は、御承知のように四割が中山間地域という極めて劣悪な条件の中に農業が営まれておる。これを欧米並みの効率のいい農業に転換しようとしても、おのずから不可能でありまして、棚田の状況に象徴されますように、これからも我々はより効率のいい農業を常に目指しますけれども、技術の革新でそれが可能になるものならともかく、単に大規模化を図ろうといっても、零細な農地といえどもそれがある意味では多面的機能になっているということだけは事実でございますから、いろんな角度で物を考えた農業生産というものを考えざるを得ません。
 例えば、委員の地元であります沖縄でありますと、サトウキビは国際価格に比較しますと七倍でございます。七倍も高いサトウキビと言われても、せっかく一生懸命生産してできたものが台風の常襲ということで毎年やられてしまう。とすれば、その一定の地域に関してはやはりサトウキビを割高といえども生産し、いわば農業者としての務めを果たしながら業を営んでいくこともこれまた大事なことでございますから、これはやっぱり国全体の問題として取り上げる必要があろうかと思います。
 それらを踏まえた上で、我が国の自給率を確保していく、あるいは農業の基盤を維持していくということが我々の仕事ではないかと、こう考えております。
#184
○島袋宗康君 沖縄のサトウキビ問題についてお触れになっていただき、本当にありがとうございます。
 実は、以前からいわゆる生産所得という面でサトウキビの海外価格をもっと上げてくれというふうないろいろな要請をしておりますけれども、なかなか農家所得が十分ではないということで、せっかくサトウキビをつくったものが刈り入れをする寸前でやめてしまうということでそのまま放置されるということも間々あるわけですね。
 そこで、沖縄の場合のサトウキビをもっと集約化して生産体制を向上できるようにということでいろいろ指導しているようでありますけれども、沖縄の現状からして集約化した大規模な経営がなかなかできない状態にあります。やはり、その辺の価格設定の問題については、国の考え方としては、集約化を図ってもっと大規模にやれと言われてもなかなかそういう現実的な対応ができない面がありますので、ぜひ今おっしゃったような国の施策を反映できるような形で農家所得に対してもっと配意していただきたい、こういうふうに要望しておきたいと思います。
 それから、我が国農業の将来展望について、大臣の基本的な考え方、その考えに資するために平成十年度における予算編成についてはどのような施策が盛られているのか、その辺について御説明願いたいと思います。
#185
○国務大臣(島村宜伸君) すべての面で国際化が進む中で、農業・農村を二十一世紀に向けて持続的に発展させ、将来的な展望を切り開くということは言うべくしてなかなか簡単なことではございません。
 さはさりながら、今ほどいろいろ申し上げてきておりますように、我が国経済社会における基幹産業及び地域として次世代に受け継ぐ基幹的産業というものは、そういういろんな隘路を打開しながら新しい道を開いていく必要があるんだろうと思います。これを科学あるいは技術の力で克服できないものだろうか、バイオテクノロジーその他の新たな手法によって非常に効率のいい農業に切りかえていくことはできないだろうか、こんなことを模索しながらも、我々は一歩一歩着実な農業の進展を図るというのが一方ではあると思います。
 また、平成十年度予算におきましても、新しい国際環境に対応し得る農業経営の確立等により資するためのウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の見直しを一つはいたし、第二には、稲作経営の安定や主食である米の需給調整等を円滑に推進するための新たな米政策を遂行していこう、第三には、都市に比べて立ちおくれている農村の生活環境の整備といった政策課題に対応しつつ、我が国の農業の体質強化と魅力ある農村の建設を図っていき、かつ、その中で担い手あるいは高齢化に苦しむ農村というものの救済を現実のものとしていきたい、そう考えております。
#186
○島袋宗康君 最後に、亜熱帯に位置する沖縄農業の振興策について大臣はどのように推進する立場をとられているか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。よろしくお願いします。
#187
○国務大臣(島村宜伸君) 亜熱帯地域に位置する沖縄の農業振興、亜熱帯というある意味では特殊性を誇れる環境もさることながら、先ほども申し上げましたけれども、毎年繰り返しやってくる台風その他の災害もこれは全く無視できません。
 そういう中で、我々とすれば、沖縄の持つ亜熱帯という特殊な地理的条件を生かして、その地域に合った農業生産はいかにあるべきかということを考えていくのは当然だろうと思います。
 このために、農業生産基盤の整備あるいは技術の開発、普及等の各種施策を今展開しつつあるわけでありますが、基幹作物であるサトウキビの生産性あるいは品質の向上とあわせまして、気象条件を生かした、最近、菊が非常に大増産になってきておりますが、菊とか洋ラン等、花卉の部門、あるいは熱帯果樹、マンゴーですね、大変おいしいのができますが、マンゴーとか、あるいは冬から春にかけての野菜でサヤインゲンとかスイカ等もありますし、また草地畜産、肉用牛の振興等をこれからも図っていきたい、従前のものを受け継いでさらに伸ばしていきたい、そう考えているところです。
 現に、マンゴーの数字なんかを見ますと、昭和六十年当時から見ると二十七倍に、二十六・九倍ですか、伸びているところですし、洋ランとかあるいは切り花あたりも大体三・五倍とか三・一倍とがそれぞれ伸びてきております。こういうものは、やはり効率のいい農業がどんどん展開される中に新しい前進も期待できるわけでございますから、これらを進めてまいりたい、そう考えております。
#188
○島袋宗康君 終わります。
#189
○委員長(松谷蒼一郎君) 以上をもちまして、平成十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#190
○委員長(松谷蒼一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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