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#1
第142回国会 農林水産委員会 第14号
平成十年五月二十一日(木曜日)
   午後一時三十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十四日
    辞任         補欠選任
     木庭健太郎君     風間  昶君
 五月十五日
    辞任         補欠選任
     足立 良平君     一井 淳治君
     菅野 久光君     北澤 俊美君
 五月十八日
    辞任         補欠選任
     須藤美也子君     笠井  亮君
 五月十九日
    辞任         補欠選任
     笠井  亮君     須藤美也子君
 五月二十日
    辞任         補欠選任
     青木 幹雄君     上杉 光弘君
     一井 淳治君     今泉  昭君
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     上杉 光弘君     常田 享詳君
     北澤 俊美君     足立 良平君
     風間  昶君     白浜 一良君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         松谷蒼一郎君
    理 事
                岩永 浩美君
                三浦 一水君
                和田 洋子君
                村沢  牧君
    委 員
                井上 吉夫君
                大野つや子君
                国井 正幸君
                常田 享詳君
                長峯  基君
                足立 良平君
                今泉  昭君
                白浜 一良君
                続  訓弘君
                谷本  巍君
                須藤美也子君
                阿曽田 清君
                石井 一二君
   国務大臣
       農林水産大臣   島村 宜伸君
   政府委員
       農林水産省農産
       園芸局長     高木  賢君
       農林水産省食品
       流通局長     本田 浩次君
       農林水産技術会
       議事務局長    三輪睿太郎君
       林野庁長官    高橋  勲君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 威男君
   説明員
       外務大臣官房審
       議官       渋谷  實君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○種苗法案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(松谷蒼一郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十四日、木庭健太郎君が委員を辞任され、その補欠として風間昶君が選任されました。
 また、去る十五日、菅野久光君及び足立良平君が委員を辞任され、その補欠として北澤俊美君及び一井淳治君が選任されました。
 また、昨日、一井淳治君及び青木幹雄君が委員を辞任され、その補欠として今泉昭君及び上杉光弘君が選任されました。
 また、本日、上杉光弘君、北澤俊美君及び風間昶君が委員を辞任され、その補欠として常田享詳君、足立良平君及び白浜一良君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(松谷蒼一郎君) 種苗法案を議題といたします。
 本案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○常田享詳君 自民党の常田享詳でございます。
 まず、このたび農林水産省が植物新品種保護国際条約、すなわちUPOV条約に対応して我が国の種苗法を改正されることに対し心より賛意を表したいと思います。特に、今回の改正により品種育成者の権利が強化されますことは、我が国の育種の振興を促し、農林水産業の発展に資するものと確信いたします。
 その上で幾つか質問をさせていただきます。時間の関係で現行制度との主要な変更部分の一つであります第二十一条、育成者権の効力が及ばない範囲、特に栄養繁殖をする植物に属する品種に的を絞って質問をさせていただきます。
 今回の改正法における第二十一条で育成者権の効力が及ばない範囲が規定されておりますが、その第二項に、「農業を営む者で政令で定めるもの」が登録品種の自家増殖をすることが挙げられております。まず、ここでの「農業を営む者で政令で定めるもの」とは具体的にだれを指すのか、お伺いをいたします。
#5
○政府委員(高木賢君) 九一年のUPOV条約におきましては、農業者の自家増殖に関する特例につきましては、農業者が収穫物の一部を次期作付用の種子としてとっておくということが慣行として広く行われてきているということを踏まえて認められたものでございます。
 こういう導入の趣旨と育成者権の保護という観点から見ますと、自家増殖の特例が認められる農業者につきましては、我が国におきまして慣行として自家増殖が行われてきた範囲とすることが適当であるというふうに考えております。このため、お尋ねのありました政令での指定では、農業者たる個人並びに農業生産法人を定めることを予定しております。
#6
○常田享詳君 今回の改正の中で、育成者権の効力が及ばない範囲として登録品種の自家増殖が明文化されたわけでありますが、このことにより、種苗業界の一部には品種の自家増殖が公に認められたととられかねないという危惧の声が上がっております。この点についていかがお考えでありましょうか。
 また、第二項の最後に、「契約で別段の定めをした場合は、この限りでない。」とありますが、種苗取引の世界では具体的にどのような形態であれば契約が成立したと言えるのか、お考えをお尋ねしたいと思います。
#7
○政府委員(高木賢君) 従来のといいますか現行の種苗法におきましては、種苗の増殖につきましては育成者の権利が及ばなかったわけでございますが、改正種苗法案におきましては、改正条約の規定を受けまして、種苗の増殖行為一般に育成者の権利が及ぶということになっているわけでございます。
 一方で、改正条約におきましては、農業者により自家増殖が行われている、こういう実態があることに着目いたしまして、それが長年の慣行として定着しているか否かという事情に即して、各国におきまして育成者権の例外を設けることを認めております。
 これを受けまして、ただいま御提案しております改正種苗法案におきましては、農業者の行う自家増殖につきましては、これは自家増殖の制限が社会的慣行として定着しているという意味合いにおきまして、省令で指定する栄養繁殖植物の場合、それからもう一つが契約で別段の定めをしている場合を除きまして育成者の許諾を得る必要はないということにしております。
 これは、農業者の自家増殖につきまして、我が国におきましての自家増殖並びに種苗の流通慣行の実態を踏まえまして、かつ、一方では育成者の正当な利益を保護するという、その両者の調和の観点からその取り扱いを明確にするということにいたしているものでございます。その中で、同時に自家増殖を制限する民事契約は有効であるということも明確にされているというふうに理解をいたしております。
 改正種苗法案におきます自家増殖の取り扱いにつきましては、関係の方々に正確な理解が得られるように今後とも周知徹底に努めてまいりたいというふうに考えております。
 それから、もう一つのお尋ねでございます契約の問題でございます。
 種苗に関します自家増殖の禁止といいますか、についての契約も民法上の契約の一つということになりますので、形式だけいえば、これは文書である必要はなく、口頭だけでも合意すれば契約は成立するということにはなると思います。ただ、現実問題として、口頭で契約をした場合には、後で争いになったときに契約の存在とか内容を立証するというのが困難な場合が少なくないと思います。
 そこで、具体的にはこういうことが考えられるわけでございますが、種苗の販売業者といいますか、権利者がカタログに自家増殖を禁止する旨の記載をする。そのカタログに添付されている注文書で大体注文を受けるわけですけれども、その注文書に注文する人が自家増殖禁止に同意する旨の条項を明確に記載するとか、あるいはあらかじめ刷ってありまして自家増殖禁止特約に同意する場合には丸印をつけるとか、こういうことで、明らかに自家増殖をしないということについて同意をするという意思表示が書面上明確になっておる、こういう方式での契約の成立というのが一般的な形態として考えられるのではないかというふうに考えております。
 なお、単に種の袋に増殖禁止ということを書いただけでは、これはやはり買った人がはっきりそれに同意したのかどうかということが明確ではないというふうに思われますので、その場合には当事者間で合意が成立したということはなかなか言いにくいのではないかということで、やはり何らかの同意の表明が必要ではないかというふうに思っております。
#8
○常田享詳君 ただいま説明を受けました契約に関してでありますけれども、契約で自家増殖の禁止をたとえ明記したとしても、悪質な違反が後を絶たないという苦情が寄せられていることをまず申し上げておきたいと思います。
 それでは次に、第二十一条の第三項、自家増殖に関する例外として農林水産省令で定める栄養繁殖をする植物に属する品種の種苗を除くという規定について質問をさせていただきます。
 キノコ類を含め、栄養繁殖植物については特性を変えずに増殖することが容易でありますので、極端なことを言いますと、農家に一つの種苗を販売し、以後、自家増殖されるということになりますと、育成者にとっては開発費用を全く賄えないということになります。新品種を開発しようとする意欲がなくなってしまうわけであります。
 したがって、原則としてすべての栄養繁殖植物を省令で指定し自家増殖を制限すべきと考えますが、今回、具体的にどのような植物を指定すべきとお考えなのか、その理由についてもお尋ねをしたいと思います。
#9
○政府委員(高木賢君) お尋ねのありました栄養繁殖植物は、短期間に大量に同品質の種苗をつくることが可能であるという特質を持っております。したがいまして、農業者の自家増殖といえども、育成者の意思に反して増殖が行われますとその利益を著しく害する、育種の意欲もそぎかねない、こういう事態が生ずるおそれがないとは言えない状態だと思います。
 しかしながら、自家増殖は現在の法律の状況では基本的に自由ということになっておりまして、これを社会実態と必ずしも合わない形ですべて禁止にするということになりますとなかなか農業現場での混乱は大きいのではないかというふうに思われます。やはり、現在は基本的自由ということではございますが、現行法のもとにおきましても、観賞用の植物の一部につきましては契約によって農業者の自家増殖が制限される、それがまた社会的取引慣行として一般化しているという実態もございます。
 こういう場合には、育成者はもとより、農業者におきましても自家増殖について育成者権が及ぶといういわば社会的規範意識が形成されていると思われます。こういう慣行が定着しているならば、これは法令でもって育成者権の効力が及ぶということにしても農業上の混乱は生じないのではないかというふうに考えております。こういったところが種苗の育成する側と使う農業者の側の一種の調和点ではないかというふうに思っている次第でございます。
 具体的に省令で指定する植物につきましては、ただいまのような考え方から関係業界に対してヒアリングなどを行いまして、その結果といたしまして現在のところ、草花、観賞樹の一部、具体的にはシンビジウムとかバラとかカーネーションなどが自家増殖の制限が定着している、こういうふうに考えております。さらに、今現在詳細なる実態調査を行っておりまして、その結果を待ちまして最終的に具体的な植物というものを確定していきたいと考えております。
#10
○常田享詳君 指定すべきと考えている植物について今お話があったわけでありますが、それでは指定されない植物については、農業者が自由に自家増殖を行うという状態が固定化され育成者の利益が守られないことから、先ほども申し上げましたように、新品種開発が停滞するということになると私は考えるわけであります。
 今後、育成者も自家増殖の制限に関し農業者の理解を得るべく努力しなければならないと考えますけれども、このような努力を農林水産省としても支援していくべきではないかと考えますが、いかがでありましょうか。
 また、省令指定植物については、長期にわたって固定化することなく、自家増殖等に関する取り扱い実態が変化すれば柔軟に見直すべきと考えますが、農水省の見解をお尋ねいたします。
#11
○政府委員(高木賢君) 御指摘のありましたように、関係の皆様方にこの新しい権利の内容といいますか、制度全体が正しく理解されるということがいろいろなトラブルの防止の上からも大変重要なことだと思っております。
 そこで、今回成立を見ますれば、約六カ月間の施行猶予期間をいただきまして、その間に改正内容につきまして周知徹底を図るということを考えたいと思います。具体的に、今年度予算におきましても、講習会の開催とかパンフレットの作成とか、そういったもろもろのPR活動等につきまして予算化をしております。これらを活用いたしまして十分に周知徹底を図りたいというふうに思っております。その際に、今御指摘もございましたが、契約をもってすれば自家増殖につきましての制限が可能であるということもあわせて触れたいと思っております。
 それから、省令で指定する植物につきましては、ただいまも申し上げましたが、自家増殖の制限が定着しておって、育成者、農業者の間に自家増殖でも育成者の権利が及ぶといういわば規範意識が形成されているものを指定するという考えでございます。
 したがいまして、これは当然、社会意識の変化に伴いまして変わるものでございますので、ある植物につきまして自家増殖の制限というものが慣行として定着するということであれば、その状況に応じまして省令の改正を行うという考えでございます。
#12
○常田享詳君 ありがとうございました。
 最近のテレビ報道によりますと、中国から輸入されたシイタケを広島県立大学でDNA鑑定いたしましたところ、品質のよい輸入品は我が国の登録品種を使用して生産されている可能性が極めて高い。シイタケに限らず、このような問題を解決するためには、中国政府が育成者保護の重要性を認め、国内において我が国のような品種保護制度を実施するとともにUPOV条約に加入することが重要であります。
 中国に限らず、品種の育成に関する保護を認めていない国に対し我が国は今後どのように対応していくのか。そのようなアジアの国々に対し外務省として、また農水省として、これまでどのような対策を講じられ、どのような成果が上がっているのか、お伺いいたします。
#13
○説明員(渋谷實君) 私どもといたしましても、より多くの国がこの条約を締結して品種保護制度を整えることが重要であると考えております。
 それは、我が国育成者の国際的な経済活動に資するものでもありますし、また世界的に見てもすぐれた品種の開発が促進されることにつながるからでございます。したがいまして、我が国としても、アジアを中心に未加盟国に対する種々の協力活動などを通じて加盟のための土壌づくりに積極的な貢献を行っているところでございます。
 具体的に申しますと、政府として、主にアジア諸国を対象に品種保護制度の普及啓発のためにセミナーないしワークショップを開催するなどの活動を行っております。これまで中国、韓国、インドネシア等でこうしたセミナーを行いましたけれども、こうした国々での権利意識の向上や円滑な制度の整備に一定の成果が上がっていると認識しております。委員御指摘の中国にございましても、植物品種保護制度自体は国内的に昨年十月から施行されていると承知しております。
 いずれにいたしましても、私どもとしては、中国を初めアジアの国々がこの条約に加入することの重要性を十分認識しておりまして、引き続き農林水産省と協力の上、このような活動を今後とも積極的に推進していく所存でございます。
#14
○政府委員(高木賢君) 農林水産省といたしましても、近隣諸国であるアジア諸国がUPOVに加盟するということは、御指摘がありましたように、我が国の国益に合致する、また国際的な種苗流通の円滑化、さらには育種の振興にも資するというふうに考えておりまして、積極的に支援を行う必要があると考えております。
 ただいま外務省からも答弁がありましたが、セミナーやワークショップを開催するということをやっていただいておりますが、そういうところにしかるべき講師、人材を派遣するということで大いに協力し合って進めているということでございます。
 それから、独自のものといたしましては、中国、韓国につきましては、植物新品種保護制度、あるいは運営に関しまして研修生を受け入れておりまして、具体的な日本の制度について紹介するとともに、この保護制度なりあるいはUPOV条約の加入のメリットとかどういうことになるのかというようなことの意見交換を行うとか、そういう二国間の協力も展開してきております。
 その結果もございまして、中国におきましては昨年十月一日に植物新品種保護条例というものが施行されました。韓国におきましても種子産業法ということで昨年十二月三十一日に施行されたということでございまして、両国とも現在UPOV加盟の準備を実施しているというふうに聞いておるところでございます。
#15
○常田享詳君 外務省、農水省の取り組みを高く評価し、さらなる御努力をお願いしたいと思います。
 さて、農産物の原産国表示についてお伺いしたいと思います。
 WTO体制による農産物の総自由化の中で原産国表示の重要性が増しておりますが、我が国でもJAS法により原産地表示義務品目が指定されております。しかし、最近の調査では、小売店での表示の実施率はまだまだ低い状態にとどまっているという結果が出ております。さらに問題なのは、例えば国産品の中に故意に価格の安い外国産をまぜ、国産品として売られている品目があると言われたり、一部報道されておりますが、これは消費者をまさに欺く許しがたい行為であります。韓国ではすべての輸入農産物に対して原産地表示を義務づけ、先ほど申し上げたような、違反者には三年以下の懲役または三千万ウォン以下の罰金が科せられ、しかも幅広い監視体制をとっていると聞いております。
 我が国でも、表示制度の実効力を確保するためにも、より厳しい監視体制と罰則を設ける必要があると思われますが、いかがお考えでございましょうか。
#16
○政府委員(本田浩次君) 野菜の原産地表示につきましては、JAS法に基づく品質表示基準制度によりまして、平成八年九月からブロッコリー、ニンニク、ショウガなど五品目につきまして、それからことしの四月からゴボウ、アスパラガスなど四品目につきまして義務づけを実施したところでございます。
 これらの表示につきましては、制度の円滑な定着を図るために、農林水産消費技術センターや都道府県によります店舗調査、買い上げ検査を通じての遵守状況の把握でありますとか、さらにこれらの機関や農政局によります巡回指導、それから小売団体などの関係団体を通じた小売店への指導、啓発等を実施しているところでございます。
 しかしながら、先生御指摘のとおり、表示の状況につきましては、小売店の労力的な限界でありますとか毎回取り扱う商品の原産地が変わるという野菜の特性などもありまして、いまだ完全とは言えない実態にあることも事実でございます。
 農林水産省といたしましては、今後とも普及啓発、巡回指導を行ってまいりますとともに、必要に応じまして法に基づく立入検査を行うなど、原産地表示の徹底に努力をしていきたいと考えております。また、表示義務を守らない製造業者などに対しましては、農林水産大臣によります表示義務遵守の指示でございますとか、指示に従わない場合のその製造業者の公表についても、より積極的に行っていきたいと考えております。
 当面、このような監視体制の強化でありますとか悪質な義務違反に対する法律の厳正な運用によりまして原産地表示の徹底に努めてまいりたいと考えているところでございますけれども、現在、私どもは表示・規格制度全般の見直しについて検討中でございますので、必要であれば、その一環として義務遵守確保のための制度の強化につきましても検討をしていきたいと考えております。
#17
○常田享詳君 それでは最後に、農林水産大臣にお尋ねいたします。
 私は、これまで当農林水産委員会で何度か我が国の中山間地域の惨状について訴えてまいりました。中山間地域の集落では住民の高齢化、後継者不足、さらには耕作放棄地の増加が構造問題化し、崩壊の危機に瀕していることは周知の事実であります。また、農林水産大臣は常々、自分は大都市選出の議員であるけれども、日本の山林、中山間地を守らなければならないという思いは人一倍強いものがあるというふうに述べておられます。
 その中で、シイタケ栽培は中山間地域の重要な収入源としての役割を果たし、住民の定着を支えてきました。特に、原木栽培の場合、その生産者数は平成八年段階で八万五千八百六十七戸、二戸当たりの構成員が四人といたしますと、実に三十五万人前後の人がその生計の一部をシイタケ栽培に依存している計算になります。しかも、その多くが中山間地の住民なのであります。
 私は、このような伝統的な産業を衰退させないことが中山間地問題の重要な対策の一つであると確信しているわけでありますけれども、農林水産大臣のお考えをお尋ねして、質問を終わります。
#18
○国務大圏(島村宜伸君) お答えいたします。
 シイタケ栽培は、我が国農地の約四割を占めると言われる中山間地域における所得の確保及び就業の場として、また林業との複合経営により林業経営の安定に資するなど極めて重要な役割を果たすと、こう考えております。
 しかしながら、先ほど来御指摘がありますように、最近、シイタケ栽培は、中国等からの安価な輸入品の増大や生産者数の減少など極めて厳しい状況にあるわけでありまして、このため、シイタケの低コスト、かつ安定的な供給のための生産施設の整備、また生産技術等の向上、さらには健康食品としての特徴の普及啓発、原産地の適正表示の推進等による国産シイタケの消費の拡大を図ることが重要である、こう考えておりまして、先ほど来、局長等からも御答弁申し上げているように、これらの推進に鋭意努めているところであります。
 今後ともこれらの施策を推進することによりましてシイタケ栽培の振興に努めてまいりたい、こう考えております。また、いろいろな角度からお力添えをいただきたいと思います。
#19
○常田享詳君 終わります。
#20
○和田洋子君 民主党の和田洋子でございます。質問をさせていただきます。
 この種苗法案は、植物の新品種の保護に関する新たな国際条約の締結に伴って、品種登録制度について、育成者権などの登録品種に関する権利を設定することによって新品種の育成者の権利を拡充することだと理解をしております。昭和五十三年四月に農産種苗法の一部改正によって種苗法が誕生して以来の大改正であるということも聞いております。
 そこでまず、種苗法制定からおよそ二十年たった現在、この種苗法が今までどんな役割をしてきたか、これからどんな効果が期待されるのか、大臣にお尋ねをいたします。
#21
○国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。
 種苗法の品種登録制度は、育成者の権利を適正に保護することにより育種の振興を図ることを目的として昭和五十三年に発足いたしております。制度発足以来、新品種の出願・登録件数はともに着実に増加しておりまして、現在では世界でもトップクラスという域に達しているところであります。
 今回の改正法案は、植物の新品種の育成者権の強化を主な内容とするものでありまして、これによりまして育成者にとりましては適正に権利が保護されることから研究投資を安心して行うことができ、育種活動が一層活発に行われることが期待されますとともに、また一方、農業者にとりましては育種の振興により、より優良な種苗が多数供給されるようになると期待されておるところであります。
 今後、改正法案の成立を見ますれば、その適切な運用を図るとともに、育種に対する支援策を講じ、多数の優良な新品種の育成を通じて農林水産業のさらなる発展を築いていきたいと、こう考えております。
#22
○和田洋子君 UPOV条約についてちょっとお尋ねをいたします。
 条約発効までに七年かかったということです。一九九一年にUPOV条約がジュネーブで作成されて、条約の効力発生の要件というのがあって、それは条約締約国三カ国を含む五カ国の締結、その後一カ月という条件があるそうでありますが、この四月二十四日におよそ七年間を要して発効したということになるわけですが、一般的に条約が採択されてから発効するまで何年間必要だとか、そういうことは私は知らないんですが、どうして七年もかかったのか教えていただきたい。
#23
○政府委員(高木賢君) 今回の九一年UPOV条約の改正事項は、御案内のように大変広範囲にわたるということが一つでございます。ただ範囲が広いだけではなくて、権利義務に大きな影響を与える内容を含んでいるということが、やはり関係者の理解と合意を得る上で一定の時間を要したということだろうと思います。この点は欧米各国におきましても同様でございまして、国内法の整備の時点を見ますと、アメリカでは九四年の十月、育種の先進国でありますオランダで九六年六月、ドイツで九七年七月ということで、欧米諸国におきましても関係者の理解と合意を得る上で、ある程度の時間を要しているというのが実情であろうと思います。
 我が国におきましても条約の改正案が出されて以来、各界で、農業界、種苗業界並びに学識経験者などから幅広い検討が行われてまいりました。自家増殖の取り扱いとか幾つかの論点もございましたが、関係者の合意も形成されまして、学識経験者の方々もまあ妥当だということでお認めいただきまして、いわば法改正の条件が整ったというのが昨今の状況でございまして、これを受けて今国会に改正案を提出したわけでございます。
#24
○和田洋子君 現在の種苗法は、品種登録制度の保護対象となる農林水産植物について、「農産物、林産物及び水産物の生産のために栽培される植物で政令で定めるものをいう。」というふうになっておりますが、これが諸外国と比較して、今、大臣は高レベルであるというふうにおっしゃいましたが、日本の国のレベルというのはどんなものなのでしょうか。
#25
○政府委員(高木賢君) 例えば、最近、新品種の出願件数は大体千件ぐらいになっております。転年千件という出願のレベルが、大体諸外国の先進国のレベルと匹敵する数量になっているということが端的にあらわれていると思います。
#26
○和田洋子君 例えば、バイオの研究が大変進んでいるというアメリカとか、そういう諸外国に比べて日本の国はどうなのか。出願件数でというふうにおっしゃいましたが、そういう研究が進んでいるアメリカなんかと競争して、日本の国の種苗というのは負けないんですか。
#27
○政府委員(三輪睿太郎君) お尋ねの育種の水準というものを端的にあらわす物差しというものはないわけでございますが、常識的に言えば、まずその国が高い育種技術を持っていること、それから今、農産園芸局長が申し上げたように、多くの優良な種苗が国内で生産されていること、そしてその種苗が国内でよく利用されていること、さらに言えば種苗が輸出されて海外でも利用される、こういったようなことがその水準をあらわす指標ではないかというふうに考えております。
 そういった見方でいいますと、ただいま言った登録数の関係で、要するに国内でいい種苗ができているかどうかということでいえば、世界で第一位はオランダであります。日本はフランスと並んで第二位の位置づけになっておりまして、お話にございましたアメリカは四位でございますから、優良な種苗の生産が多いという点ではアメリカに負けてはいないというふうに思っております。
 それから、利用されているかどうかという点でございますが、我が国では稲、麦、大豆、こういった主要農産物の種はほぼ全量我が国で生産された種子を使っておりますので、そういった意味ではすぐれているというふうに思います。また一方で、民間の育種が中心となっております園芸の部門がございますが、こちらの部門では野菜とか花の種は輸出をされております。かなりのシェアを占めております。しかし、球根の方は輸入が多いという状況にありまして、こういったように園芸の部門では作物の種類によりまして競争力に差があるかなというふうに把握しております。
 お尋ねのバイオテクノロジーのことでございますが、バイオテクノロジーの中で組織培養とかあるいは細胞融合といった細胞操作にかかわる部分については、我が国はウイルスフリーの菌とか白菜とカンランのハクランとか、そういった新しいものを世界に先駆けてつくっておりますので程度が高いんですが、一番バイオの中でこれから有力になっていくだろうという遺伝子組みかえ、こちらの方は基礎研究のレベルは高いんですが、残念ながら実用品種への応用という面ではアメリカにおくれをとっているというふうに認識をしております。
 こういうこともございますので、イネのゲノムの研究とか新しいDNAの導入技術の開発、こういった基礎的な面について研究開発を急いでいるということであります。
#28
○和田洋子君 素朴な質問を一つさせていただきたいんですが、例えば福島県は今、米というものを一つとってみますと、ササニシキとかコシヒカリとか、宮城県とか福井県でと言われましたか、コシヒカリは。そういうことから比べますと、福島県のササニシキとか福島県のコシヒカリとかいうふうにして、結構よその県の品種をつくっているのが多いというふうに思っています。
 今、お米の産地間競争とか市場が導入されたということで米の競争が激しくなってきて、例えば福島県でササニシキをつくっちゃいけないよとか、コシヒカリはだめよなんということはないんでしょうか。そういうのがとっても心配なんですが、教えてください。
#29
○政府委員(高木賢君) 各県で新品種を育成している動きが大変あるわけでございます。
 ただ、現実には、そうはいってもある程度量がまとまらないと市場の評価が得られないということで、なかなか一県だけの生産量あるいは一県だけの評価では大消費地での評価を受けにくい実態があると思います。今お話ありましたけれども、例えばひとめぼれは宮城県で開発した品種ですけれども、これは福島県でもかなりのウエートで生産されていると思います。それは、やはり一県だけのものでは市場の評価が受けにくいということがあると思います。
 ですから、囲い込んで少量を大事に大事にという考え方もないと言うつもりはありませんけれども、それで本当に市場の評価が得られるのかということになりますと、育成権にとってもある程度広く使われて消費者の評価を受けるということが大事なことではないかというふうに思っておりまして、そういう点でいたずらに何かわきを絞るといいますか、かたくなにするという心配は比較的薄いのではないかというふうに見ております。
#30
○和田洋子君 ぜひそのような方向でお願いしたいと思います。
 次に、さっき常田委員も御質問になったんですが、第二十一条の第二項のただし書きで、「契約で別段の定めをした場合は、この限りでない。」というふうに種苗法がなっています。これをこのまま読ませていただくと、例えば種苗を販売するときに、自家増殖を認めないというふうに言われた場合はつくれないというふうに読めるんでしょうか。それで、農家の場合、自家増殖が認められる農業を営む人はそれは認めるということなんですけれども、そうであるとすれば、育成者権というのが形骸化するのではないかということと、あと農家の皆さんに認めないという品種が出てくれば大変混乱すると思うんですが、そういうのをどこで精査するというか、そういうものを決める線というのはどこで引くんでしょうか。
#31
○政府委員(高木賢君) 自家増殖の実態があるわけであります。それに対して育成者権という見地からしますと、その自家増殖で例外といいますか穴があいたのではしり抜けになる、こういう問題になるわけでございます。
 そこで、自家増殖に関しましては、長年の慣行として定着しているかどうかという点をポイントにいたしまして、各国におきまして合理的範囲内で育成者権の例外を設けることができるということになっておるわけであります。
 改正種苗法案につきましては、我が国におきます農業者の自家増殖並びに種苗の流通慣行の実態を踏まえまして、農業者の自家増殖につきまして育成者権が及ばないということの例外としては農林水産省令で指定する一定の栄養繁殖の場合ということで、これはいわば契約で、現在、自家増殖をしないということが定着しているものを自家増殖をしてはいけないという範囲にするという、実態に合わせた仕組みにしようということでございます。
 ただ、そうはいっても、これは法律上当然にそうなるわけでございまして、それだけですと機械的に過ぎますので、契約で両当事者が合意して、じゃ、自家増殖はしない、あるいは認めないということで合意をすればそれはそれでいいではないかということで、慣行として定着している一部栄養繁殖植物の場合と契約で別段の定めをした場合を自家増殖が認められない場合という二つのものとして規定したわけでございます。
#32
○和田洋子君 種苗法の一番最初の趣旨に、優良な品種、種苗の開発普及は農林漁業生産の発展に不可欠ということでありますが、これまでいろんな論議は種苗、そして植物、例えば花卉とか、花とか、そういうことを言っていると思いますが、例えば水産業、ノリなんかとか、林業の方にもこの種苗法案というのは及ぶのでしょうか。
#33
○政府委員(高木賢君) 対象植物といたしましては農林水産植物ということでありまして、農産物、林産物、水産物の生産のために栽培される植物ということで、制度の範囲としては広く及びます。ただ、現実問題といたしましては、今、林木につきましては、御案内のように種苗というものは都道府県により供給されておりますし、苗木は県から供給された種を用いまして森林組合で苗木にして供給するということでございますから、いわゆる自家増殖というものの実態がないという状況でございます。
 それから、水産物は、現実問題としましては、昭和五十三年以来二十年たちますけれども、登録された品種が三種類ということで、品種利用というものが極めて少ない実態にございます。こういうことから、林木あるいは水産物につきましては自家増殖についての特例を認めるだけの必要がないというふうに考えております。
#34
○和田洋子君 育成者権の有効期間についてちょっとお尋ねをしますが、保存期間は品種の登録の日から十五年を二十年、そして果樹等の永年性の植物については二十五年に延長されたということですが、ある国によってはこれよりももっと多く保護をしている国があるというふうにも聞いておりますが、この十五年を二十年に、十八年を二十五年にされたという理由は。
#35
○政府委員(高木賢君) この背景といたしましては、やはり育種に関するコストが増加しておりまして、育種者の投資の回収を行うという見地に立ちますと、育成者の権利の存続期間をある程度延長する必要があるというのが一つございます。
 それから、今お話もありましたように、欧州諸国を中心にいたしまして二十年あるいはそれ以上の権利保護の期間を設けている国が結構あります。そういったことから、今回の九一年条約におきましては、これまでの有効期間十五年、永年植物十八年というものを、二十年、永年植物二十五年、こういうことにしたわけでございます。
 これは、我が国におきます種苗、現在御提案申し上げております種苗法案の取り扱いにおきましても、例えば特許の存続期間というのを考えますと、我が国で二十年ということでございます。それから、先ほどちょっと長い国もあるということを申し上げましたが、大半の国でやはり二十年というのが一般的でございます。
 それから、何よりも我が国の農業団体なり育種業界がどういう意向かということでいろいろと意見交換もいたしましたけれども、この九一年条約に定める二十年、永年植物については二十五年ということは両者のサイドからも妥当である、こういう御見解でございまして、それに沿った改正案にしたわけでございます。
#36
○和田洋子君 育成者の許諾を得ないで生産された収穫物についてはその廃棄や差しとめが請求できるということでありますけれども、権利を収穫物にまで及ぼすということは農林水産物の生産や流通の混乱を招かないのかどうか。
 そして、農産物ということから考えますと、農家の皆さんが、農家の皆さんというか例えば企業であっても、それを育てるということは一年かかるものもあるわけですから、廃棄をすることができるというのは私はそぐわないのではないかというふうに思うんですが、例えばそれをお金でとかいう、そういうことにはならないんでしょうか。
#37
○政府委員(高木賢君) 一方では、種苗を使う人の立場が御指摘のとおりあると思いますが、一方では、育成者の側からいたしますと、例えば先ほど来お話も出ていますが、外国に無断で行きまして、それがブーメラン的に戻ってくるというようなときに、それに何もできないということですと、これまたいかがなものかという点があろうかと思います。
 そこで、現場の農業者の利益ということは私どもなりに十分考えたつもりでございまして、先ほど来言っておりますが、自家増殖については、一定の栄養繁殖植物以外あるいは契約で特段の定めをした以外は自家増殖については育成者権が及ばないということにしているとか、あるいは今言ったように収穫物の廃棄まで求めるというものは種苗の段階で権利を行使できない場合に限るということとかを法律上明記しているわけでございます。
 端的に言いますれば、農家は権利者から適正に種苗を入手しさえしていれば収穫の段階その他で問題になることはないというのが、端的に言えばそういうことになっておりますので、こういう趣旨を、よく先ほど来言っておりますが、周知徹底をさせていただきまして、無用な混乱の起こらないようにしたいと思っております。
#38
○和田洋子君 従属品種ということについてお尋ねをしますが、この従属品種制度というのを導入された理由はどういうものでしょうか。
#39
○政府委員(高木賢君) 現在の種苗法上は、既存の登録品種を素材といたしまして新たな品種を育成いたしますと、それがもとの品種とは別のものとして独立て保護が与えられます。その場合に、もとの品種の育成者の権利がいわば前の品種を利用したにもかかわらず一切及ばないと、こういうことに今なっているわけです。
 ところが、現実実態を見ますと、近年のバイオテクノロジーの進展の中で既存品種の特性をごくわずかだけ変化させたという品種の育成が容易になっております。そうすると、いわばもとの品種を一生懸命やった人の努力が皆持っていかれるということではいかにも公平を欠くことになるのではないかということで、登録品種の、まあ抜本的に変化させたということであれば別ですけれども、ごくわずかな特性だけを変化させたという場合には、もとの品種の育成者にも権利を認めるということが公平、妥当なのではないかという趣旨でございます。
#40
○和田洋子君 従属品種というのは具体的に違いがわかるものなのでしょうか。
#41
○政府委員(高木賢君) 従属品種の定義としては、ある品種のわずかな特性を変化させて育成された品種ということで、変化した特性以外はもとの品種の特性をそのまま維持しているというものを従属品種というふうに定義をいたしております。
 わかるかどうかということでございますが、この登録品種につきましては、登録された品種の育成に関する資料とか特性は登録の公表の際に公表いたします。したがいまして、こういう客観的資料を関係者が見れば、例えばもとの育成した人が見れば、自分の育成したものの特性が大体残っているということとか、ちょっと変えただけだなということが具体的に見れば当事者間でわかるというふうに考えております。
#42
○和田洋子君 例えば、UPOVの事務局なんかに従属品種の組みかえをしたとか、そういうマニュアルみたいなものはあるんですか。
#43
○政府委員(高木賢君) 従属品種という考え方ができてきたのが最近のことでもございますし、まだマニュアルをつくるというところまでの積み重ねといいますか、出ておりません。やはり、個別の判断の積み重ねといいますか、それが今必要な段階ではないかと思っています。
#44
○和田洋子君 では、出願料と登録料の上限というものが改正されるわけですけれども、具体的な改正の考え方はどういうふうなことから改正されるのでしょうか。
#45
○政府委員(高木賢君) 出願料あるいは登録料につきましては、品種登録制度の維持に必要な経費、それから特許などのほかの知的所有権に関する料金の動向を踏まえて決めるという観点と、もう一つは育種の振興に資することに配慮するという観点とあわせて決めるということにいたしております。
 出願料、登録料、現在のものは実は昭和五十六年以降据え置かれておりまして、その間、十七年間たっておりますが、変わっておりません。
 そこで、今回は、その十七年間の物価上昇を考慮いたしまして、出願料につきましては、昭和五十六年以降の物価上昇率、約三五%でございますが、その程度の引き上げといたしまして四万七千二百円ということにしたいと思います。それから、登録料につきましても、最初の三年間の各年の登録料、四千五百円でございますが、これを物価上昇率程度引き上げまして六千円にするということと、現行の料金逓増方式に倣いまして、次の三年間の料金はその前の期の約五割増し、さらに次の三年間はその前の期の二倍ということにいたしたいと考えております。
 ただ、こういうことにしますと、登録料がだんだん逓増していくと登録後期の負担が大きくなり過ぎるということもございますので、十年度目以降は前期の額に据え置くということにいたしております。
 したがいまして、現在法律で定めております上限はどんどん上がっていくという前提で計算しておりまして五万六千円ということでございますが、今回は、十年目以降は上げないということでございますので、上限を五万六千円から三万六千円に引き下げるということにいたしております。
 したがいまして、現行法の法定保護期間いっぱい品種登録が行われた場合の登録者の総支払い金額は、この新しい料金体系の方が累計としては下回るという結果になるわけでございます。
#46
○和田洋子君 かつて、藤坂五号という耐冷品種が東北地方の冷害を救ったということは有名な話ですが、近年では、コシヒカリやササニシキなどの品種が皆さんの大好きなお米という食味を抜本的に改革してすごく米の評価が上がってきたというふうに思っています。
 でも、この育種にかかわる研究者にとっては、恐らく多くの国民と農家の評価を得ていることでありますけれども、職務育成品種ということで、育成者権とかそういう経済的なメリットがあったかどうかというのは大変疑問だというふうに思っております。
 昭和五十二年に、種苗法が変わるときに、この委員会が附帯決議の中で、国等が行う公共育種については、農作物等の種類の実態を踏まえて、品種改良に関する試験研究体制の整備の拡充とか、予算の確保を図り、さらに新品種育成者に対して報奨とか優遇措置を講ずるようにというふうな附帯決議が出たそうであります。
 私は、これは質問ではないんですけれども、こういうふうに国として、県として一生懸命にやっておられる職員の皆さんに、ぜひに大臣の方からそういう思いであってほしいなということで、質問を終わらせていただきます。
#47
○続訓弘君 公明の続であります。
 常田委員と和田委員が今御質問されました。私は、重複を避けながら幾つかの点について御質問申し上げます。
 まず第一は、基本的な方針について大臣にお伺いしたいと存じますけれども、一九九一年に植物新品種保護条約が改正されて以来ちょうど七年が経過したわけであります。条約に基づいて種苗法が改正されるわけでございますけれども、育成者の権利拡大、仮保護制度の導入、保護期間の延長等々が盛り込まれております。
 今まで種苗法が果たしてきた役割と今回の改正に至る背景、育種家のメリット、農家への影響等々について、基本的な考え方について大臣の所見を伺わせていただきます。
#48
○国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。
 今回の改正法案は、UPOV条約の改正に見られるように、世界各国の育成者の権利の適正な保護を図る中で、我が国においても改正条約を踏まえ国際的に調和のとれた形で育成者の権利を保護しよう、こういうねらいを持って今回の改正を行うところであります。
 これによりまして、育成者にとりましては、適正に権利が保護されることになりますし、またそれらを背景として研究投資等を安心して行うことができますし、育種活動が一層活発化するであろうということが期待されるところであります。
 また、農業者の側にとりましては、育種の振興によりまして、より優良な種苗が多数供給されるようになることが期待できるわけでありまして、今回のこの改正を見ますれば、その適切な運用を図るとともに、育種に対する支援策を講じて、さらに多数の優良な新品種の育成を通じて農林水産業を発展させていきたい、こう考えているところでございます。
#49
○続訓弘君 係争中の問題で事務当局ではなかなか答えられないと思いますけれども、答えられる範囲で結構ですから。
 これは東京都の世田谷区に十七年にわたって育種家が黄桃の特許をとられたんですね。それが問題になりまして、要するに、関係者からは特許庁の審決取り消しの訴訟が起こされ、そして昨年の八月には東京高裁で判決が言い渡されたわけです。桃にも特許は有効だと、こんな判決が言い渡されたわけですね。
 しかし、これをめぐっていろいろ関係団体あるいは育種家等々から議論があるところだと存じますけれども、この種の問題に対して農林当局としてコメントはできるかどうかわかりませんけれども、微妙な係争中の問題だから難しいとは思いますけれども、基本的な考え方がもし示されれば教えていただきたいと存じます。
#50
○政府委員(高木賢君) 今御指摘のございました事案は、昭和六十三年に特許が登録されました黄桃の育種・増殖方法に関しまして、特許庁の特許を無効とすることを求めた果樹種苗協会の請求について、特許庁の方では特許性ありとした、こういう審決の取り消しを求める訴訟であるというふうに承知をいたしております。
 実は、二つ訴訟が動いておりまして、一つは発明の反復可能性があるのかどうかという点を争われている第一次の訴訟というのがございまして、これが先ほど先生御指摘ありました平成九年八月に東京高裁におきまして、発明の反復可能性がないではないかと言っていた原告側が敗訴といいますかの主張が退けられたということでございますが、ただこれはまた直ちに上告されておりまして、今その上級審で訴訟を係属中であるというふうに承知しております。
 それからもう一つ、反復可能性のほかに育種方法が特許の進歩性の要件を満たさないのではないかという訴訟がもう一つ起こされております。原告は同じ果樹種苗協会でございますが、この場合、黄桃の育種方法、この特許が認められた育種方法が、交配という古くから多数の育種家により行われてきたいわばありふれた育種方法である、したがって特許の進歩性の要件を満たさないのではないかという主張をいたしまして、現在、東京高裁で訴訟を係属中であるというふうに承知をいたしております。
 この争いがどういうことかということでございますが、あくまでも今争っているのは、ある育種方法が特許の要件を満たしているか否か、まさに進歩性の要件とか反復可能性の要件とかを満たしているかどうか特許法に定められたそういう枠組みの中でそれが満たされているのかどうかそういう内容の案件であるというふうに考えております。
 それからもう一つは、育種の方法に関するものでございまして、種苗法が保護対象としております品種自体の特許性の判断に係るものではないというふうに見ております。実際にその黄桃について品種自体の特許が出願されておりますが、これが拒絶されております。そういう実態にございます。したがいまして、本訴訟は種苗法による品種保護の制度的枠組みに影響を与えるものではないというふうに考えておるわけでございます。
#51
○続訓弘君 バイオテクノロジーの技術進展の中で植物が特許される場合、品種の自家増殖に特許権の効力が及ぶことが考えられますけれども、農水省の考え方はいかがでしょうか。
#52
○政府委員(高木賢君) 御指摘のように、近年、遺伝子組みかえなどの高度なバイオ技術を利用いたしまして作出された植物につきましては、作出する方法、技術と同時に、その形質転換植物に特許が認められるという事例があらわれているのが事実でございます。
 この特許権の効力の範囲につきましては最終的には司法の場で判断されるというものではございますが、特許権の効力が自家増殖に及ぶのかどうかということにつきましては、これは特許法の一般的解釈として特許庁の方でも表明をされておりますけれども、特許権者が種苗の販売に当たって自家増殖を制限する特段の意思表示を行わなければ許諾があったものとみなされる、これが一般的な解釈であるというふうに言われておりますので、この解釈からすれば農業現場において特段の混乱は生じないものというふうに考えております。
#53
○続訓弘君 植物範囲の拡大、出願者数の増大、ハイテク技術の進展で審査がますます難しくなると思いますけれども、審査体制はどうでしょうか。
#54
○政府委員(高木賢君) 御指摘のように、出願件数が近年ふえてまいっておりまして、そのためにいわば審査に要する時間が長くなっているという傾向にございます。
 そこで、やはり何といっても人的体制といたしまして、審査官の増員を図るということが第一のポイントでございます。それから、植物の新品種の登録制度のかなめは、栽培試験をするという現地でやってみて実際にどうかということがございます。したがいまして、種苗管理センターというところで栽培試験の担当をしておりますが、その実施体制を強化するということが一つ重要であると思います。これは当然、栽培試験の担当する職員数をふやさなければなりませんし、過去十年に大体二倍から三倍の人員にふやしました。それから、栽培をする温室をふやさなきゃいかぬと。その棟もふやしますし、面積もふやしたと。これもこの約十年間でその前の十倍程度に面積も広げております。
 こういったこととか品種の特性値につきましてデータベースの構築をするということで、審査体制の充実、効率化ということにつきまして、本省の種苗課並びに、先ほど申し上げました種苗管理センターを通じましての体制整備、強化に努めております。
 これからまたさらに法改正によりまして案件が増大するということが見込まれますので、体制の強化には一層努めていきたいと考えております。
#55
○続訓弘君 それぞれの地方団体は、農家のためにだとかあるいは消費者のためだとか、そういう思いから、例えば農業試験場ではいろんな品種の改良あるいは付加価値の――これは具体的な質問通告はしておりませんけれども、東京都にも例えば今、農業試験場があるわけですよ。その農業試験場の中では、御案内のように農家のために、消費者のためにといろんな品種改良を一生懸命やっておられるわけですね。あるいは林業試験場もある。あるいは畜産試験場もある。あるいは水産試験場もある。例えば、八王子なんかの場合は非常に繊維業者がおられるとすれば繊維工業試験場がある。さらには工業試験場がある。
 事ほどさように、それぞれの地域の生産者あるいは消費者のために懸命な努力をして、それぞれの研究者が一定の成果品をどんどんつくり出しているわけですよ。
 そういう実際の農業試験場なり水産試験場なりが果たしている役割、それは今ここに種苗法あるいは特許でいろんな制限をするのと違ってオープンにやれるわけでしょう。そういうことに対して農林水産省としてむしろそういうものを一生懸命奨励して、こういう確かに金のかかる、例えば特許を侵せば大変なことになるわけでしょう。
 そういう各県が一生懸命やっておられるそれぞれの研究成果に対してどんな評価をしておられるのか。そして、また同時に、今後どういう指導をされるのか。その点を伺って、質問を終わらせていただきます。
#56
○政府委員(三輪睿太郎君) お話のように、各都道府県で農業試験場は一生懸命生産者のため、消費者のために品種改良をやっておりますが、その品種が現場で使われる過程で、これまでも種苗は登録をして一定の権利をとって、その権利に基づいて都道府県の奨励行政などに乗って普及していくということで、非常に円滑な新しい品種の普及が実現したと、そういうふうに評価しております。
 私どもも、都道府県の生活者あるいは生産者と直結した作物品種の改良、これは大変重要なことと思っておりまして、それに都道府県の研究機関の果たす役割は大変重いと思っております。
 そういった意味で、国との共同研究とか、ジーンバンクによります種子の供給とか、あるいは国に研究者に来ていただいて一緒に研修をするとか、あるいは重要なものについては助成をする、そういったようなことで奨励をしております。
#57
○谷本巍君 先ほど常田委員、それから和田委員と政府との質問の間で自家増殖問題についてのやりとりがございました。このやりとりを伺っておりまして、自家増殖については、制限が定着している栄養繁殖植物とか、契約で別段の定めのあるものを除いて、育成者の許諾なくして自家増殖は可能であるという答弁と承りました。
 ということは、これまでと実態上異なる取り扱いとはならないというふうに理解しておいていいんですね。
#58
○政府委員(高木賢君) ただいま御指摘のあったとおりでございまして、我が国におきます農業者の自家増殖並びに種苗の流通慣行の実態を踏まえて、これまでと実態上異なる取り扱いとするものではないわけでございます。これは種苗団体、農業団体とも大体基本的に合意している事項でございます。
#59
○谷本巍君 それと、もう一つここで伺っておきたいのは、農家が組織をしました農業生産法人の場合はどうなるかということであります。
 農業生産法人は、家族農業のいわば延長線上のものとされていることからしましても、自家増殖については一般農家と同じ扱いとされるべきものと思うが、いかがでしょうか。
#60
○政府委員(高木賢君) 政令で定める農業者といたしましては、農業者である個人並びに農業生産法人ということで考えております。
#61
○谷本巍君 次に、植物品種の保護方式問題について伺います。
 植物新品種保護条約は同一品種の二重登録は禁止しておりましたが、してもよいというぐあいに改正がされております。しかし、特許法と種苗法は保護対象等々で相違する点が数多くあります。でありますから、特許法でも種苗法でもよいということになってきますというと、これはかなりの混乱が起こってくることが予想されます。
 特に、遺伝子組みかえ技術等、ハイテクの急進展が見込まれておるだけに、私は従来同様、種苗法が実質一元的に行うというふうにしていくべきだと思うのですが、その点、いかがでしょうか。
#62
○政府委員(高木賢君) 植物新品種の保護に関しまして、種苗法で行うのかあるいは特許制度で行うのかといういわゆる二重保護の問題につきましては、昭和五十三年の種苗法改正の際に整理をされております。
 その中身は、種苗法の保護対象は現実に存在する植物新品種であるということに対しまして、特許法の保護対象は自然法則を利用した技術的思想の創作であるということでありますから、保護の対象並びに態様を異にするということが第一点。それから、UPOV条約に対応する国内法は種苗法のみであるということが第二点。それから、植物の特性から、植物の新品種それ自体を対象とする特許発明というものは事実上ほとんどないと考えられる、こういうふうに整理してございます。
 この整理を今回の改正に際して変える特段の事情はありませんので、改正種苗法におきましてもこの整理は基本的に変わることがない。つまり、UPOV条約を受けた植物新品種の育成者権の保護は種苗法のみにより行われるというふうに考えております。
#63
○谷本巍君 次に、大臣に伺いたいのです。
 改正条約にしましても、本改正法案にしましても、育成者の権利を従来よりも強く守っていきましょう、そうすることで民間開発を盛んにしていきましょうというのがいわば中心的なねらいだろうと思います。
 そうなってまいりますと、当初はもうけの多いところへ集中していくということになります。そんな状況になっていった場合に、例えば日本の麦だとか大豆というのは果たしてどういうことになってくるのだろうかという不安を感ぜざるを得ません。
 大臣も御存じのように、麦については現行支持制度を変えていこうという話が食糧庁から出されております。現行制度のもとではメーカーが望む品種というのは必ずしも農家はつくってくれない、だから民間流通にした方がいいんだ、こういうお話であります。ところが、大臣、農家の側からしますと、肝心なのは品種ですよ。もっと政府は積極的に品種改良をなぜやってくれないのだという不満があります。
 例えば、北海道を除く内地全体で見てみますというと、最有力品種というのが農林六一号です。開発されたのはいつなのか、昭和十九年ですよ。半世紀前ですよ。米に比べてみても麦の品種の開発というのは著しくおくれております。
 そうした部門について、本法とあわせて政府は今後どうしようとしているのか。とりわけ、麦の品種開発について最大限の力を注いでいただきたいと思うのですが、その点、いかがでしょうか。
#64
○国務大臣(島村宜伸君) 作物育種の問題につきましては、農業の生産性の向上や農産物の品質向上に重要な役割を果たしているところでありますが、その成果を生み出すまでに非常に長期間を要しますため、計画的、組織的な取り組みが必要であると、こうされております。
 このため、農林水産省といたしましては、従来から作物育種推進基本計画を策定いたしまして、計画的に育種を推進しているところでございますが、特にこのうち、稲、麦、大豆等の主要作物につきましては、これまでも同計画に基づきまして国が中心となって品種を育成したところでありますが、今後とも主要農作物の育種は国が責任を持って推進すべきものである、まず基本的にこう考えておるところでございます。
 また、麦につきましてですが、近年、小麦では、平成七年に育成され主に北海道で栽培されておりますホクシン、あるいは平成五年に九州で主に栽培されておりますチクゴイズミ、あるいは平成二年に育成され関東地域で特に栽培されておりますバンドウワセ等を育成したところでありますし、また裸麦に関しましてはイチバンボシ、これは平成四年に四国、九州等で開発されたものが主に使われておりますが、これらが育成されておりまして、その普及を図ってきたところであります。なお一層、消費者や実需者のニーズにこたえるべく品種の改良に努めてまいりたいと考えておるところであります。釈迦に説法ですけれども、我が国の場合は、高温多湿、特に梅雨の時期を控えたりいたしますので、どうも麦にはいろいろ難しい気象条件等も絡むようでございます。
 それらを含めまして、我々は今御指摘のような前向きの姿勢をこれからもとっていきたい、こう考えます。
#65
○谷本巍君 確かに、大臣が言われましたように、最近の麦の品種開発、これは以前から見ればよくなっております。以前から見ればよくなっているというだけのことでして、例えば平成元年から八年までのもので見てみますというと、米の場合の品種開発は百二十一でありますけれども、麦は何と十二でしかありません。最近、いろいろ努力はされておるんですが、とてもとても米のそれと比べますと立ちおくれは否めません。それだけに、力を入れてほしいし、そして大臣が言われる食糧安全保障という点からいいましても、これは米だけの問題じゃありませんよ。やっぱり麦が大事です。
 そういう意味でも、重ねて強く大臣にその点をお願いしておきたいと思います。
#66
○国務大臣(島村宜伸君) 全くおっしゃるとおりでございまして、今回の御質問に対する勉強をいたしました際にも、なぜ日本の小麦粉がパンに向かないのか。いわゆる硬質小麦、特にたんぱく質の含有量も高いようでございますが、こういうものはどうも日本の梅雨を控えますと、麦の穂の性格上、水をそのまま受けとめてしまうということから、非常に刈り取りの時期が難しいということも含めまして、まさにモンスーン地帯の被害が麦にはいろいろ出ておりますというような説明を受けたところでございまして、さはさりながら、これだけ科学技術が進んでいる段階でありますから、そういうことを乗り越えていくのが我々の使命であると考えますので、その御趣旨を生かしていきたい、こう思います。
#67
○谷本巍君 次に伺いたいのは、遺伝子組みかえ作物との関連についてであります。
 改正植物新品種保護条約が登場した背景にあったものは何なのかといいますというと、膨大なる資本投下を必要とするハイブリッド一代雑種開発の進展、これがありました。そして同時に、遺伝子組みかえ作物の登場によって、これは膨大な資金投資が必要でありますから、きちっとこれを回収できるような体制をつくっていかなきゃならぬ、これが条約改正の背景にあった最大の原因だと言われております。
 そこで伺いたいのは、この遺伝子組みかえ作物について政府はどう考えているかということであります。遺伝子組みかえ作物が開発されましたゆえんというのは、例えば除草剤耐性の大豆を見てみましても、あるいはまた殺虫性の作物を見てみましても、農業生産の粗放化、大規模化をさらに可能にしていくための開発であったと言われております。
 遺伝子農業がもたらすものは一体どういうことなのかということでありますが、一つには、生産のモノカルチャー化をもたらしていくであろうということが言われております。また同時に、果たしてこの種の農業というのが、自然と共生、そして循環型の環境保全型農業を目指さなきゃならない時代にあって、どうやらそれと逆行する性格を強く帯びているのではないかと思うのですが、その点、政府はどうとらえておられるでしょうか。
#68
○政府委員(三輪睿太郎君) 遺伝子組みかえ技術は、まず従来の交雑育種法では不可能な作物の品種改良ができるというところがございます。そういうことがございますので、世界的に従来の育種で到達できないような超多収作物の育成とか、あるいは農薬を全然使わないで済むような、複数の病害虫に抵抗性を持つような作物とかあるいは砂漠のような水分が足りない乾燥条件でも農業ができるような技術とか、そういった従来の作物育種手法ではできないレベルのものを目指して研究開発が進められております。
 このことからおわかりのように、例えば環境保全型農業というものを実現するときにこの技術がなければなかなか難しいだろうというようなことも言われております。それからまた、価値の高い地域の特産物、これを他に先駆けてつくるということに関してもこの技術は大きな可能性を持っております。
 そういった意味で、結果論的に、現在アメリカの例で御指摘があるかもしれませんけれども、この技術本来の姿が大規模化とかモノカルチャーというものに限定されるものではないというふうに考えております。
#69
○谷本巍君 私の質問に直接答えてください。
 ですから、私が伺ったのはそんな話じゃないんだよ。これでいったら生産のモノカルチャー化というのは進みやしないのか、環境保全型農業というのは矛盾は出てこないのか経営形態がどうなっていくんだと、そこをお尋ねしているんです。種子の技術論を伺っているんじゃないんだ。答えなさいよ。
#70
○政府委員(高木賢君) まだ技術と経営の間に橋が渡っていない部分が率直に言ってあると思います。ただ、モノカルチャー化が進展いたしますと、御案内のように病害虫の被害を受けやすくなるとか一面的になりまして、農業の持続性の観点から見てどうかという問題は起こる可能性があると思います。そういう点から見まして、栽培の技術なり農法のあり方というのは今後本当によく考えなくちゃいかぬと思います。
 まさに今、基本問題のいろいろな議論もやっておりますが、そういう議論と同時並行的に今後の農法のあり方というものは十分検討していきたいと思います。
#71
○谷本巍君 先ほど技術会議の方が、遺伝子組みかえ種子の方が環境保全型云々とおっしゃいましたけれども、これは欧米の話なんだよ。アジアのようなところは一体どうなんですか。
#72
○政府委員(三輪睿太郎君) アジアにおいても、遺伝子組みかえによる病害抵抗性の付与などは環境保全型農業の実現に大きな力を持つと考えております。
#73
○谷本巍君 いいですか。肥料、農薬の投入量を減らす粗放化農業については、欧米において、生物多様性の保全、景観の形成などに寄与することから農業環境政策の一環として奨励されているが、アジア・モンスーン地帯の湿潤、多雨な気候で傾斜地が多い我が国においては、単なる粗放化は農地の管理が不十分になることから土砂流出等の農地荒廃が生じるおそれがあり、国土・環境保全上必ずしも好ましくはないと考えていると。
 いいですか。これは農林水産省の、局長、あなたの課の方から伺った話なんですよ、このメモは。違いますか。なぜそう答えられないんですか。
#74
○政府委員(高木賢君) 若干、技術論と、先生が今おっしゃられたような粗放化農業というものの評価という点でつながっていない面があるとは存じますけれども、まさにアジア・モンスーン地帯などでは単純な粗放化ということは国土管理の粗放化ということで、結果として国土・環境保全上、土砂流出とか農地の荒廃が生ずるおそれがあると思います。したがいまして、欧米のような粗放化というものがそのまま日本で奨励できるかどうかということになりますと、そうとは言いがたいというふうに思います。
 しかし、具体的にどういうふうにやっていったらいいかということは、これはまさに十分検討して我が国に適した農法のあり方を詰めていかなきゃいかぬ、こういうふうに思います。
#75
○谷本巍君 初めからそう答えればいいんですよ。
 それから、もう一つ伺いたいのは、種子の独占化の動向についてであります。
 遺伝子組みかえ作物の登場によって、民衆の共有財産としての種子はアグリビジネスの私有財産化になっていくであろうという声がございます。そして、そこで民間業者によって販売される種子、種苗、これは農薬や肥料など生産資材を含む農業関連技術とのパッケージ商品化する傾向を帯びてきつつあります。それがもたらすものは何なのか。
 一つの問題は、多様な品種が消えていくのではないかという心配の声があります。つまり、それは生物多様性への打撃となってあらわれてくるであろうということであります。それからもう一つは、種子の独占化の方向が出てくるのではないかという心配の声があります。
 これらの点について農林水産省はどうとらえておるでしょうか。
#76
○政府委員(高木賢君) 我が国農業の発展を図る上で、多様な主体によりまして多種多様の優良品種が提供され農業者の選択の幅が広がるということは重要なことだと思います。
 ただ、我が国におきましては、先ほど来申し上げておりますが、特に主要な農作物につきましての国や地方公共団体の役割が大きいわけでございますから、多様な主体により多数の品種が提供されている。それから、品種につきましては農業者に広く利用されてこそ育成者の利益につながるということで、現在のところ種子の独占による弊害という事態は生じていないというふうに考えておりますけれども、問題は、種苗会社などがその地位を利用いたしまして不公正な取引方法に進展するというようなことがあるとすればこれは大変なことでございます。そうなればこれは独占禁止法にも触れるということにもなりますので、その適切な処置をとっていきたいと思います。
#77
○谷本巍君 終わります。
#78
○須藤美也子君 本法案の育成者の権利を強化するということは妥当なことであると思います。登録品種のうち、企業がふえておりますが、個人は三割を占め、多くは農業をやりながら研究を続けております。
 私は育成者の方からいろいろお聞きしましたが、昔から育種をやると財産がなくなると言われるように時間と労力がかかる、大変な仕事である、そういうときに農業改良普及センターとか試験場の皆さんから技術の面の指導をいただいたことが大変ありがたかった、こうおっしゃいました。
 そういう点で、個人育種の発展にとってこうした公的機関の適切な指導、設備、機器の利用、こういう便宜を図る、連携をとるということが非常に重要だと思いますが、この点についてはどうですか。
#79
○政府委員(高木賢君) 我が国におきましては、個人による育種というものが相当ウエートを占めておりまして、年間の出願件数でも毎年二百件以上というふうに活発に取り組まれていると存じます。特に、花とか野菜とか果樹の育種におきましては、種苗会社に比べても遜色のない特色のある品種が育成されていると思います。
 ただ、そうは申しましても、個人の育種家ということでございますと、情報なり技術の面で必ずしも一人で全部やるというのが難しい面もございます。そこで、農業改良普及センターなりあるいは試験場なりでは、品種登録の状況などの各種情報の提供をする、それから育種農家が育成品種の特性あるいは実用性の判断を行うに当たりましての技術的なサポートをする、さらには開発された品種の特性が十分発揮されるよう栽培技術の面での支援をするという活動を実施してきております。
 現場におきましては、そういうことで試験場と農業改良普及センターが連携をして育種農家の要請に応じた各種の支援活動を積極的に展開していくということが個人の経営支援活動の一環としても重要であると思います。福岡県初め幾つかの県でそういった成果の事例も出ているというふうに承知いたしております。
#80
○須藤美也子君 大臣にお尋ねしますが、一方で農業改良普及員の方々が年々少なくなっています。八〇年に一万一千五百人いた普及員が九七年には一万百人しかいない。この間一千四百人が減少されております。さらに、昨年六月の閣議決定で、農業普及事業交代金のあり方等、全般的な見直しを進めるという地方の一般財源化の動きをこういう育成家の方々が大変心配しております。
 そういう点で、農家だけでなく個人育種の発展のためにも、切り下げでなく普及改良事業の充実を行うべきではないか、こういうふうに考えますが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#81
○国務大臣(島村宜伸君) 農業改良普及事業は、試験研究の成果である新しい技術を地域の条件等に応じて組み立て、かつ農業経営の改善に役立つようその普及を行うものでありまして、農業技術に関する政策の基本的な手法として位置づけられているところでございます。特に、ウルグアイ・ラウンド農業合意受け入れ後、我が国の農業の体質強化ということになりますと、単なる土地改良とかそういう面だけでなくて、やはり技術の研さんといいましょうかさらなる前進のためにいろいろ指導事業というものをさらに強化しなきゃならないと、私ども実はそう考えております。
 その意味で、近年における農業情勢の変化の中で、農業者の技術あるいは経営能力の面も含めましてこの向上を図り、担い手の育成、確保等が重要な課題となっているところでありまして、我々は、この緊要な課題に対応するために、まず経営体の高度なニーズに対応した技術・経営指導の強化あるいは次代の農業を担う青年の育成、確保や女性の能力発揮のための支援活動の充実等に重点を置いて普及事業を展開していきたい、こう考えております。
 したがいまして、予算面その他について御心配があるとすれば、そういうことのないように我々が努めていることをぜひお伝えをいただきたい、こう思います。
#82
○須藤美也子君 そのようにぜひよろしくお願いしたいと思います。
 さて、先ほど谷本先生が遺伝子組みかえの問題でいろいろお尋ねがありましたので重複しないようにしたいと思いますが、五月二十五日の「アエラ」、これは特集であります。この中に、「アメリカ一国支配の影」という、こういう遺伝子組みかえによって大変な今さま変わりが起きている。こういう遺伝子組みかえの問題に対して日弁連がこう指摘しています。「大手の多国籍企業による独占化、各国における販売の独占化が深刻になっている。」、「たとえば数年前に百あった綿の種の会社が今はもう二つくらいしか残っていない。トウモロコシに関しても百くらいあった企業が大手多国籍企業三社くらいにしぼられている。」、「多国籍企業が種会社を買収したり独占したりすることによって、種自体が私物化され農家の人々に取って種を買う選択肢がとても狭まっている。」と、こういうふうに日弁連では指摘をしております。
 そういう中で、我が国でも野菜など食品会社や今度たばこ会社もそういう種苗に進出する、こういうふうに現実に行われております。さらに、この「アエラ」で指摘されているアメリカの農薬企業のモンサントは種苗にも進出する、日本にも進出してくる。
 このように大手種苗会社による寡占化が進んでいるとき、本法案で専用利用権、二十五条、質権、三十条、この権利規定の整備によって企業が個人、中小業者、こういう人たちの品種登録を買いやすくなるのではないか。育成者の権利強化に対してそれが乱用されたり、あるいは弊害を生じないようにするために三点ほどお尋ねしたいと思います。
 まず一つは、民間企業による品種開発に集中しないように国、都道府県の公的育種の開発強化を図ることが重要ではないかという点。二つ目は、野菜農家は特にF1がほとんどを占めるようになりました。毎年更新しなければなりません。種苗の価格が高騰したりした場合、利用者農家が意見を持ち込む保証がこの法案の中にあるのかどうか。農業資材審議会は種苗、農薬、飼料等々、重要事項を調査、審議するとあります。価格高騰も種苗に関する重要な事項であると思いますが、その点はこの審議会でそういうのができるのかどうか。三つ目は、農家が種苗販売店や市場に出てこないほかの品種を使いたい、そういうときに法律、裁定、二十八条、「通常利用権の許諾につき協議を求めることができる。」、こうあります。それが適用されるのかどうか。
 さらに、つけ加えまして、農水省がやっているジーンバンクの遺伝資源の活用は試験研究だけでなく生産にも活用して、国のそういう農業生産に役立つものなのかどうなのかその点をお聞きしたいと思います。
#83
○政府委員(三輪睿太郎君) 第一の御質問にお答えします。
 公的育種の強化を図るべきではないかという御指摘でございます。国全体として作物育種を考えるときに、国、都道府県あるいは民間、そういったものがおのおのの役割を果たしながら全体として育種が効果的に進むということは必要であります。また、その育種に関しましては、成果が出るまで御指摘のように長い時間がかかりますので、我々は作物育種推進基本計画によりまして計画的にやっております。その中で、稲、麦等の主要な農作物や、あるいはその育種に長い年月がかかって財産を失ってしまう、そういったような作物の品種開発につきましては基本的に国が中心となって行うことにしておりまして、農業研究センター初め地域農業試験場、そして都道府県の農業試験場等が計画に即した品種開発を進めております。
 今後とも農業の発展に資するため、公的機関による育種についてはその振興に努めてまいりたいと思います。
 続けまして、第四のジーンバンクの生産での活用についてお答えいたします。
 ジーンバンクは、お話のように本来試験研究の目的に設置されておりますが、そこにおきまして、その生産に移せるほどの種子はありませんけれども、種子の管理、これは徹底して行っておりますので、何か緊急の事態で、ある作物の種子が国内になくなってしまう、そういったときにはジーンバンクから優良な種子を配分いたしまして、それを元種に使って生産に使っていただく、そういうような活用法が考えられるのではないかと思っております。
#84
○政府委員(高木賢君) 二番目、三番目の問題にお答えいたします。
 まず、二番目の資材審議会に関する問題でございますが、御指摘のように資材審議会は種苗に関する重要事項を審議するということになっております。したがいまして、個別の事案の審議ということにはなじみませんけれども、種苗価格が高騰した、あるいは品種の利用状況について問題が生じたということで、それが一般化して農業者が共同で対応しなきゃいかぬ、こういうような事態の場合には当然、審議会で調査、審議の対象になるというふうに考えております。
 それから、三番目でございます。裁定制度の問題でありますけれども、具体的には、登録品種の利用が継続して二年以上日本国内において適当にされていないとき、あるいは公共上必要なときで当事者間の協議が成立しない場合には、農林水産大臣に対しまして通常利用権の設定に関する裁定を申請することができるということでございます。まさに、このような条件を満たす場合には、農家や種苗業者は大臣に裁定を申請することが可能であるというふうに考えております。
#85
○須藤美也子君 二年間の間に、その間、今までは保障されていなかったわけですね。それを今度この二年間の仮期間も保障するということになるわけですか。
#86
○政府委員(高木賢君) それは現行法と同じであると思っております。
#87
○須藤美也子君 種苗法について、もう一度ジーンバンクの件についてお尋ねしたいと思うんですけれども、大変いろいろな種を持っていますよね。そういうジーンバンクで持っているものをどういう場合にそれを役立たせるのか、その点、もう一度お聞きしたいと思うんです。
#88
○政府委員(三輪睿太郎君) 主要な目的である研究用の利用はいいわけですね。お尋ねは、生産の場面でということでしょうか。
#89
○須藤美也子君 そうです。
#90
○政府委員(三輪睿太郎君) 例えば、ある作物、今、日本でつくっていません。それが輸入をしておるというときに、何かのときに輸入ができなくなる、それで国内で生産しないといけない、でも国内の農家には種がないというようなことが時折あったとします。
 そういった場合、その種はジーンバンクに保存、管理してありますので、ありますが、ただその量は、直ちにその需要に見合う生産をできるぐらいの種の量はございません。それをふやす、増殖する過程が必要でございますが、もとになる種、元種としてお使いいただくようなものは供給できるということでございます。
#91
○須藤美也子君 先ほど来の遺伝子組みかえの問題等々いろいろありましたけれども、やっぱり日本でもそういう試験研究、そういうものをもっと深めて、あるいは広げて、国民に役立つようなものをやっていただきたい。
 私は筑波の方にもいろいろ行ってまいりましたけれども、いろいろ熱心に研究なさっているわけですね。そういうものが今深刻な状況を迎えている農村・農業に役立つような形で活用できればいいんじゃないかなというふうに思うものですから、そういう点のことを最後に要請いたしまして、私の質問を終わります。
#92
○阿曽田清君 自由党の阿曽田でございます。
 今回の種苗法、これは現行の種苗法すべてを改正して、全く新しい新種苗法と言えるのではなかろうかなと私は評価をいたすわけでありますが、私自身、この品種登録につきまして申請者の一人として経験がありますので、問題点の一、二、その実態から御質問したいと思います。
 実は、品種登録をいたします。申請をいたします。申請をいたしまして、花の場合は割と早い期間に現場調査においでになるんです。私が出しているのはかんきつでありますけれども、かんきつは年に一回しか検査するタイミングがないから、それを検査し損なったらまた二年になるわけですが、早い方の花の方でいきましても、一年か一年半かかって、大体次の現地調査の後、その後にその品種名、名称の判断というものが行われるわけです。そして、一年か一年半後、順調にいって二年、普通ならば三年と、こういうことなんですが、それでやっと登録が終わると。こういうことになって、一番困りますのは、申請したときに名称もその時点で先に判断していただくと、栽培を普及させておいて、そして販売のラベルあたりもつくって、その名称でマーケティングをやれるんです。
 ところが、一年か一年半たってやがて名称の判断といいますか審査をやるということになりますと、その一年なり一年半は売れないわけですね。このときに、名称の判断をしていただくときに、いい名前ができたと思って出しますと、それはもう既にあるからだめだと。じゃ、今度はこれだと思って出すと、ああ、それももう前に出ているからだめだと。ひどいときには四つも五つも名前を変えた後でやっと決まるということになっておるのがあります。
 ですから、一年か一年半たってその名称の判断をしていただくのじゃなくて、最初の段階で、登録したときに、こういうものですと申請をしたときに名称もつけて、その名称もその時点で、コンピューターがあるわけでしょうから、それを調べていただいて、この名前で結構ですというような出し方をしていただけますか、どうでしょうか。
#93
○政府委員(高木賢君) 名称の問題についてのお尋ねでございます。
 現在、後でやっているのはなぜかということなんですが、名称ですから、その品種の特性に照らして適切なものであるかどうかということが大事だと思います。体をあらわす名が必要ではないかということで、いわば体の審査を終えてからその名称が適切であるかどうかを判断しているということと、商標につきましても最新の登録段階でチェックすることがいいのではないかということでございます。
 ただ、改正法案におきましては出願公表制度を導入いたします。これは仮保護制度とも関連しているわけですが、そうなりますと、その段階で品種名称が国民の知るところとなる、同時に種苗流通が積極的に行われることとなるというように考えられます。そうなりますと、流通の混乱の防止とか取引の安全確保という点から、出願の受理後、出願公表までの間に既存の登録品種あるいは商標名称とバッティングしていないかどうかということをチェックいたしまして、また場合によっては、法律に基づく名称変更の命令ということをやりまして、この段階での名称ということにしたいと思います。
#94
○阿曽田清君 大変前向きな御回答をいただいてありがたく思います。
 少なくとも、栽培していく上において、また次の展開をする中で、二カ月か三カ月、ある意味では二カ月以内に、それが受理されたときにその名称を使ってよろしいですよということを正式に申請者の方に連絡していただく、あるいは公表するのも二カ月以内にするというような形をぜひとっていただきたい。最初にするからといってそれが半年も十カ月もなっていったら一緒でございますからね。ぜひその点をよろしくお願いしたいと思います。
 既に、三千四百二十一件出願中でありますね、まだ残っておるのが。これについてもいわゆる出願公表の対象になりますかどうですか。
#95
○政府委員(高木賢君) これは新しい法律が適用されるということになりますので、なります。
#96
○阿曽田清君 ありがとうございます。
 それじゃ、今度は最近の出願数、登録数というのが、昨年は千ちょっとあって九百件ぐらい処理できだということですが、この法律が通りますと、四百六十七品種プラス四、五十品種ぐらいふえるというふうに聞いておりますが、そういう場合に、品種がふえるのと同時に、これだけの権利が擁護される、保護されるということになってくると、たくさんの方々がこれはとっておいた方がいいよというようなものさえも出てくるんじゃなかろうかなと。そうしたら一遍に急増する可能性があると思うんですが、その点、どう見込まれておられて、体制は十分フォローされておられるかどうか。
#97
○政府委員(高木賢君) 出願件数がどう動くかということを定量的に見通すのは大変難しいかと思います。
 御指摘のように、対象植物の拡大、これは増大要因でございます。そして一方では、譲渡してはいけないという要件が緩和されます。したがって、試験販売の段階で売れ行きの見込めない新品種の出願というものが脱落する可能性もまたあると思います。
 しかし、そうはいっても、どちらかといえばやはり私どもは増加する要因の方が大きいと思っておりますが、爆発的にというところは、やはりこれは新品種の開発、登録でございますから、準備期間と申しますか、突然出てくるという性質のものではありませんので、堅調なる増加がなと、こういうふうに見ております。
#98
○阿曽田清君 私は、これだけ保護されるということになると、ちょっとした違いが発見されたものでも登録してみておこうと、こういうような動きが出てくるのじゃなかろうかなと感じましたので質問させていただいたわけであります。
 実は、今までかんきつ等におきまして、枝変わりとか突然変異とかという形で、これはいいものが出てきたよということで、秘密にしてそれを種苗会社にお願いして増殖したり、あるいは農家の方々が自分で増殖したりということで、登録される手続をするのにも時間はかかるし、また許可されるのも三年なり四年かかるというようなことのうちに、この情報は早くて、情報を流したつもりでないのが既にその同じようなものがいろんな県の関係者に行っているということが多いわけなんです。登録してやっと売り出そうかといって売り出したときには、もうよその産地にも同じものがあるよというのが、これは今までの経験からたくさんあるわけなんです。それは今までは農業者がしようがないねと、それぞれがお互いさまだというようなところもあって、自分のところのものだということに対しての権利を主張していなかったというところもあるんです。
 ところが、これが出てきますと、やはり徹底していこうと、こう思うんですが、一番わかりやすいのは、どこに植えているといっても木になっているのを見てもわかりません。けれども、果実そのものは見ればわかるわけです。だから、その果実が例えば東京市場に出ていった、あの果実はうちが出している果実と一緒だなと、こう見たときに、その果実までうちのものと同じ果実だなということでの、さかのぼって供託金を要求できるということに今回なっておると思いますが、商品で押さえるということもできるようになっておりますね。
#99
○政府委員(高木賢君) 侵害行為を組成した収穫物というふうに規定してございますので、収穫物まで及ぶということでございます。
#100
○阿曽田清君 それで、大体盗まれたといいますか、品種登録したものがどこに飛んでいったとしても売れないということになりますので、そういう意味ではガードできた制度になったのかなというふうに思っております。それだけに、これから農家の方々や団体の方々にきちんとこの種苗法を周知徹底させておかないと後で損害をこうむりますよ、今までとは違いますよというようなことの周知徹底をぜひしていただきたいというのが一つ。
 現在、登録件数六千二十二の中で個人が千九百、種苗会社が二千六百三十七ということで、この二つだけで七五%、約四分の三を占めているわけですね。いわば、種苗会社は金もうけのためにやっておるととらえていいんでしょうが、個人というのはやっぱり自分で何とかいいものをという努力の中でやってきているわけですから、この種苗法を新しくつくれたという、いわゆる農水大臣の思いは強いだろうと思います。
 ですから、農家の方々のそういう新しい品種に取り組む場合のいわゆる振興策といいますか育種振興策を、そういう一つの新しい品種改良に取り組んでおる個人に対しても何らかの育種振興策をお考えいただいていいのではなかろうかな、そのように思うんですが、国としてどう対処されようとお考えか、お聞かせいただきたい。大臣にお願いいたしたいと思います。
#101
○国務大臣(島村宜伸君) 私、たまたま東京ですが、私の都市農業でも育種とか栽培を工夫して、例えばセロリの日本一が出たりなんかしているんです。やはり、そういう人たちの懸命な創意工夫の結果というものは当然保護されてしかるべきだと、こんなふうに思います。
 また一方で、今あなたのいろいろ御質問を伺っておりまして感じたんですが、かつて私はお酒の名前のちょっと相談を受けて、私なりにない知恵を絞ってたくさん考えまして友達にアドバイスしたら大変喜ばれたんですが、行ってみたらほとんど全部登録済みであったと。つくってもいないお酒の商標権を、自分で考えたこともない日本語で勝手に登録して全部自分の権利におさめている、こんなことがあっていいのかなと、こう思ったこともちょっと今思いついたところであります。
 それらをよくかみ合わせまして、やはりそれぞれの人の創意工夫の結果というものは当然保護されるべきだと思いますし、今おっしゃったような手続上の不備とか遅い点、これらについては確かに迅速化を図るのが当然だと、こう思います。
#102
○阿曽田清君 大臣のは総括しての御答弁でありましたが、私は育種振興策としての国の対策を、技術あるいは資金援助等の考えはないかということをお尋ねしたのと、普及の話とお願いします。
#103
○政府委員(三輪睿太郎君) 個人の育種家によります品種作出はかなり活発でございまして、全品種登録の約二割は個人であります。特に、現在のような多様な消費者ニーズを考えますと、地域の特産的な作物、果樹も含めましてそういった分野で個人の育種家の活動、これは大きな役割を果たすものと考えております。
 これまでいろいろ品種登録の可能性の相談とか、あるいは国や県が開発しました育種の技術を伝達する、教えてあげる、そういうようなこととか、あるいは育種の材料を提供する、そういったようなことによりまして個人の育種家の支援を行っておりますが、今後ともいろんな形で個人の育種家に対する支援を強化したいというふうに考えております。
#104
○阿曽田清君 もう時間が一分しかありませんので。
 今までいろいろ話が出てきたのは、米は確かにそういう穀物類の中でも国の試験研究機関、県段階でもやっている。だけれども、その他のいわゆる小麦にしても、小麦は公的機関でやらなきゃいかぬでしょうけれども、大豆ですとかトウモロコシですとかその他の果樹、野菜とか花とか、そういうものも非常に個人の研究開発、熱心な人もいらっしゃるわけですよ。
 ですから、そういう方々が取り組んでおられるのに対して、技術的な援助だけではなくて資金的な援助も考えてやっていいのではないか。この種苗法に関して国がもう少してこ入れされる必要はありませんかと。今までのお話によると一切何もないようなことでございますので、むしろそういう方向への取り組みも必要だと思います。
#105
○国務大臣(島村宜伸君) 作物育種につきましては、国、都道府県、そして民間それぞれの役割をお互いに効率的、効果的に推進するという基本に立ちましてこの作物育種推進基本計画というものを策定しているところでありますが、特にこの計画では、野菜、花卉等の実用品種の育成につきましては民間の役割を重要なものと位置づけているところであります。
 具体的に、ジーンバンク事業による遺伝資源の収集、提供、あるいは国と民間の共同研究及び耐病性等の形質を持つ中間母本の提供、あるいは民間研究者の国立研究機関への受け入れ等を既に行っているところでありますが、さらにこれらを推進していくということを考えております。
#106
○阿曽田清君 終わります。
#107
○委員長(松谷蒼一郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 種苗法案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#108
○委員長(松谷蒼一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#109
○委員長(松谷蒼一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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