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1998/03/27 第142回国会 参議院 参議院会議録情報 第142回国会 労働・社会政策委員会 第12号
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1998/03/27 第142回国会 参議院

参議院会議録情報 第142回国会 労働・社会政策委員会 第12号

#1
第142回国会 労働・社会政策委員会 第12号
平成十年三月二十七日(金曜日)
   午後一時三十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十五日
    辞任         補欠選任
     大野つや子君     小山 孝雄君
     長谷川道郎君     坪井 一宇君
     木庭健太郎君     横尾 和伸君
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     横尾 和伸君     木庭健太郎君
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     坪井 一宇君     阿部 正俊君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鹿熊 安正君
    理 事
                石渡 清元君
                海老原義彦君
                笹野 貞子君
                大脇 雅子君
                吉川 春子君
    委 員
                阿部 正俊君
                狩野  安君
                小山 孝雄君
                佐々木 満君
                橋本 聖子君
                勝木 健司君
                長谷川 清君
                木庭健太郎君
                山本  保君
                聴濤  弘君
                都築  譲君
   国務大臣
       労 働 大 臣  伊吹 文明君
   政府委員
       防衛施設庁次長  小澤  毅君
       労働大臣官房長  渡邊  信君
       労働省労政局長  澤田陽太郎君
       労働省職業安定
       局長       征矢 紀臣君
       労働省職業能力
       開発局長     山中 秀樹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山岸 完治君
   説明員
       社会保険庁運営
       部保険管理課長  井口 直樹君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の
 締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の
 一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付
 )
○雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鹿熊安正君) ただいまから労働・社会政策委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十五日、大野つや子君及び長谷川道郎君が委員を辞任され、その補欠として小山孝雄君及び坪井一宇君が選任されました。
 また、本日、坪井一宇君が委員を辞任され、その補欠として阿部正俊君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(鹿熊安正君) 駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案並びに雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。
 両案に対する趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○石渡清元君 ただいま議題となりました駐留軍離職者あるいは漁業離職者に関する改正案、そして雇用保険法並びに船員保険法の一部を改正する法律案のうち、私は、雇用保険法及び船員保険法の一部改正について質問をさせていただきます。
 御案内のとおり、我が国の経済社会を取り巻く情勢、非常に厳しいものがございまして、本日の朝、大臣御発表のとおりに、特に雇用情勢が一段と厳しくなっておるところでございます。そういう中での今回の雇用保険法の改正、これは、一つは教育訓練給付、もう一つは高年齢求職者に対する給付金の見直しが骨子ということに相なっておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、日本の産業、経済の背景というのは非常に少子・高齢化の道を加速度的なスピードで走っております。
 きのう総務庁が発表いたしました人口推計、去年の十月一日現在の推計では、六十五歳以上の老年人口が千九百七十六万人、これが十四歳以下の年少人口を上回った、こういう状況でございまして、総人口に占める割合も、老年人口が一五・七%とまた上昇しておりますし、特に十五歳から六十四歳の生産年齢人口が低下をしておるわけでございます。こういったような少子化を背景にする生産年齢人口の減少、これは今後も続くわけであります。この労働力不足あるいは生産年齢人口自体の高齢現象等々、これはかなり深刻だと思います。
 まず、今回の改正案について、教育訓練関係でございますけれども、二十一世紀に向けた人材育成について大臣の基本的なお考えをお示しいただきたいと思います。
#5
○国務大臣(伊吹文明君) ただいま先生から御指摘がございましたように、少子・高齢化、それから日本経済がこれほど大きくなりましたので国際社会の中にいや応なく組み込まれてしまったという内外の構造的な変化があると思います。
 同時に、もう一つ我々が考えておかねばならないのは、現下の経済は非常に厳しゅうございますけれども、趨勢的に見ますと、また国際比較で見ますと、現在は、過去の十年前、二十年前、三十年前と、あるいは他国と比べると非常に豊かな国になってきておって、それゆえに価値観も多様化してきているということだと思います。
 そういう中で、今御指摘がございましたように、一つは、働く人たちが多様な働き方を求め得る社会経済になってきておりますし、女性の方もどんどん社会に進出してこられるだけの余裕のある経済を持つということにもなっております。それから、高齢社会になっておりますから、高齢者の方も働き続けて収入を得ると同時に、働くということによって社会に参加しているという人間的な満足を味わいたいというお気持ちもございます。そこで、そのような多様な働き方に将来的にも現在的にも対応できるように、雇用保険の中で教育訓練給付というものを今回創設したわけでございます。
 それから、あわせて、高齢社会でございますので、公的介護保険というものもございますけれども、介護されるお立場からいけば一番お幸せなのはやっぱり家族の中で介護をしてもらうということでしょうが、それを御家族に許すような条件をつくっていかねばならないわけで、そういう意味で介護休業給付というものを創設させていただきたい。
 それから、先ほども御指摘がございましたように高齢社会になっておりますので、六十五歳以上で年金だけで生活をしていらっしゃる方と、年金をお受けになりながら高年齢求職者給付金を受けておられる方の負担と給付の公平というかバランスを確保しておくという意味で、改正をその面でもお願いしたいということと、将来の高齢社会にさらに備えるために、今財政構造改革を実行しなければいけないという大方針に雇用保険としても一部御協力を申し上げなければならない。
 その三点をくんで今回の提案を申し上げているわけでございまして、その中で、今先生から教育訓練給付のことについてお尋ねをいただいた、こういう位置づけかと思います。
#6
○石渡清元君 法改正の趣旨はわかるわけでございますけれども、厳しい雇用情勢でありますので、もう少し積極的に雇用の創出に踏み切っていかなければいけないんじゃないか。そういう面で政府の経済対策を見ても、あるいは何次のあれには雇用対策という言葉が必ず入っている。ところが、なかなかそれが数字的にも改善されない、それがけさの発表にもつながっておるわけでございます。
 今回の大臣の所信表明の中でも「摩擦的失業回避」という言葉がございました。今の雇用情勢というか、雇用のマーケット、そういったような現状についてはどのようにお考えになっているのか。
#7
○国務大臣(伊吹文明君) 再三申し上げておりますが、中長期的には技術開発、規制緩和、それから例えば介護のような新たな仕組みを創設することによって国民のニーズにこたえていく新しい需要の場というものがつくり出されていく、そういうことに取り組まれるベンチャー企業だとかの雇用面でのお世話をさせていただくというのが労働省の使命だと思います。
 今、先生御指摘の、きょう私も有効求人倍率、また総務庁長官から失業率の発表がございましたが、これらについてはおっしゃっているとおりまことに厳しい状況でございます。短期的には、まず第一に、やはり経済政策よろしきを得て、できるだけ有効需要が確保されることによって雇用が堅調に推移していくということであろうかと思います。不幸にして失業が生じた場合には、雇用保険の支給や運用あるいはまた職安機能の総動員等をいたしまして摩擦的な失業を解消していくということだろうと思うのであります。
 そこで、石渡先生も実は商工関係も含めて大変御造詣が深い方でございますので、私があえて現在の景気について云々するまでもないわけですが、率直に申しまして、消費性向というか、一〇〇実質所得があると幾ら使うかという数字が一年前は七二であったわけです。残念ながら今それが六八になってしまっているわけです。六七と言ってもいいと思いますが、この間の差が五あるわけです。一方、実質所得というか可処分所得は、昨年の四月の消費税の引き上げと十月の医療費の改定がございまして、消費者物価が大体約二%弱上がっております。賃金が若干上がっておりますが、総じて言えば可処分所得は横ばいと言っていいと思うんです。可処分所得は横ばいであるにもかかわらず消費性向を落としておられる。つまり生活水準を落としておられるということは、将来に対する雇用、生活、いろいろな不安がやっぱり国民の中に蔓延していると思うんです。
 実は、有効需要が落ちているけれども、消費性向は逆に上がって、そして生活水準を維持していこうというときは有効需要の追加、特に減税等、いろいろな私は政策は意味が出てくると思うんですが、ここで一番我々がやらねばならないことは、消費性向をもとへ戻す。もっと端的に言えば、国民の方の不安感を払拭する。何で不安感が出てきているんだと、これはもうバブルのときのツケがあらわれて金融機関の内情が悪くなって、言葉が適当かどうかわかりませんが、いわゆる貸し渋り現象というのが起こって、健全にまじめにやっておられる企業でも、一年間過ぎて損益計算書を締めてみれば黒字になっておられる企業でも、月末の資金繰りが貸し渋りのためにつかない。うちのお父さん、会社にいて大丈夫だろうか、うちのお店がもらった手形は本当に不渡りにならないんだろうかと皆さん思っておられるから生活防衛をしておられるわけです。
 私は、ぜひ与野党力を合わせて、三十兆円といいましょうか、十三兆円といいましょうか、公的資金導入の枠組みをつくったわけでございますから、そこをたまたま二兆円しか使わないなんというようなばかなことはないわけであって、金融機関はぜひ申請をしてもらって、そして、健全、公正な経営をやっぱりディスクロージャーしてもらって、そして、国内業務だけをやっておられる銀行の自己資本比率は四%でいいわけですから、四分の百ということは注入した公的資金の二十五倍の貸し出しが本来であればできるはずです。そういうことをやっていただくということが私は今最大の景気対策だろうと思いますので、私も大蔵大臣や閣議で、これはしっかりとやっぱりやらせてもらわないと、働く人たちの立場を預かっている我々としては非常に困るということを実は申し上げているところでございます。
#8
○石渡清元君 消費者マインドに及ぶ分析の御答弁があったわけであります。また、貸し渋り等々についても先ほどの昼のNHKのニュースで大臣の発言を私も聞いておるわけでございますけれども、ともしますと、何か雇用対策がもう少し産業政策を刺激してというふうに私は聞こえてならないんです、もう少し労働省独自の雇用対策、政策の展開があってしかるべきじゃないか。ということは、この失業率あるいは有効求人倍率も今始まったことじゃない、かなり中期的に長引いているケースなんです。
 ですから、ぜひ雇用機会の創出というのを安定行政の中で、もうたくさんの人材がそろっておるんですから、審議会でやっていますと、これはやや短期的な問題の答えをまとめてもらうための審議会なわけで、ちょうどこの委員会の前の理事会でも、これがもっと喫緊の課題じゃないかという話題も実は出ておったんです。ぜひこれを具体的な形で進めていただきたいと思いますし、また私どもも機会があったらこの労働・社会政策委員会で取り組んでいきたいと思っておるところであります。
 こればかりやっていますと時間があれですので、次の教育訓練関係でございますけれども、教育訓練給付制度と以前からあります生涯能力開発給付制度、これは多少条件が違いますけれども、従来の政策の延長上という考え方でいいんでしょうか。それとも、今度の新しい制度の方が八割の限度とか非常に条件がいいわけです。そうすると、訓練する方とすればいい方へ流れてしまうんじゃないか、そういうような感じもあるので、その辺はいかがでしょうか。
#9
○政府委員(征矢紀臣君) 御指摘のとおりでございまして、従来の助成制度、これはこの新しい制度が発足した場合には廃止するという考え方を基本的にとっております。したがって、今回の法律で教育訓練給付を創設しようとしておりますが、これはいろんな準備期間もございますので、できるだけ急いでということで、十二月一日施行ということでやりますが、この十二月一日以降新しい制度が発足するわけでございまして、従来の給付金制度は本年度いっぱいで廃止をする、こういう考え方で調整しようというように考えております。
 ただし、昨年の能力開発法の改正によります労働者の主体的な能力開発に関する支援ということで、事業主支援、こういうものもあわせてやっているわけでございますが、例えば労働者の主体的な職業能力開発を促進するという観点から、長期教育訓練休暇制度の導入など、事業主が主体的に職業能力開発に取り組む労働者のための環境整備に努める、またそうした場合の環境整備に取り組む事業主に対する助成措置を講ずる、こういうことはあわせてやっているわけでございますが、この制度は今後とも存続をさせる、こういう考え方で対処したいというふうに考えます。
#10
○石渡清元君 給付率と上限額についてもう少し具体的にお伺いいたしますけれども、給付率は八割、かなり高いわけです。その割には二十万円の上限額が切られている。その辺の八割の根拠、二十万円は私はちょっと低いんじゃないかなと。
 ということは、今、産業、経済の背景というのが知的な価値、ソフトにかなり重心が、関心が移りつつあるところですので、そうすると、果たして制度はつくったもののこれで十分な、何事も制約がありますからすべて十分ということはありませんけれども、八割と二十万円がちょっとバランスを欠くような、どうしてこのような数字になったのか、根拠等をお示しいただきたいと思います。
#11
○政府委員(征矢紀臣君) まず教育訓練給付の支給額につきまして、これは被保険者あるいは被保険者であった方、両方を対象にしているわけでございますが、そういう方々が教育訓練の受講のために支払った入学料及び受講料、この実費、これの八割相当額という考え方でございます。
 これにつきまして、労働者の主体的な取り組み、すなわち受講者の自己努力を喚起するという観点、それから労働者の教育訓練の受講にかかる費用負担の軽減をできるだけ図ろうという観点、こういうことを踏まえまして、いわば自己責任という面を二割見て雇用保険制度で八割を支給する、こういう考え方をとったところでございます。この八割というのは確かにかなり高い率ではございます。
 また、この上限につきまして、これは教育訓練にかかる費用は多様であるわけでございますが、民間の教育訓練機関におきます教育訓練に要する一般的な費用等を勘案して、二十万円という上限を一応予算上積算しているということでございます。
 なお、二十万円という額につきましては、この教育訓練は在職者の方が夜間あるいは土日あるいは通信制で受けてもいいと、こういう弾力的な対応を予定いたしておりまして、通信制あるいは通学制をあわせた一般的な費用を考慮しますと、一応この上限二十万円でカバーできるのではないか、こういう考え方でございます。
 ただし、これは未来永劫二十万円ということではございませんで、今後の推移を見ながらこの上限については検討していくという考え方をいたしております。
#12
○石渡清元君 いろいろ今御答弁がありましたけれども、指定する機関、それは後からまた質問でお伺いいたします。
 ちょっと理屈っぽくなるかもしれませんけれども、今回の教育訓練給付制度創設のために五十一億円ということになっておりますけれども、五十一億円の積算の根拠が二十万円と八割というのと関係しているのかどうか。将来的に変えるというのだから、どういう発想でこういう数字が出てきたのか、もう一度。
#13
○政府委員(征矢紀臣君) 御指摘のように、教育訓練給付の所要額の見込みとしまして、平成十年度は、これは十二月一日実施ということで一応支給対象者数六万人、所要額五十億円という積算をいたしておりますが、これは今後ずっと継続していくわけでございまして、平年度ベースでの見込みとしては、支給対象者数約三十万人、所要額約二百五十億円というふうな見込みを立てております。
#14
○石渡清元君 指定ということでありますけれども、産業構造が非常に激しく変化をしております。この教育訓練の指定というのを、では、具体的にどのように行っていくのか。あるいは、指定に当たって産業構造の変化というのはどこまで考えて、どういったような手続をすれば労働者が教育訓練の給付を受けられるのか。その辺がみんなにわかりませんと、制度はつくったけれども生かされない、こういうことになりますが、ちょっと御説明ください。
#15
○政府委員(征矢紀臣君) 教育訓練給付の対象となる教育訓練につきましては、労働者の職業能力の開発向上を通じて雇用の安定等に資すると認められるものを、教育訓練機関からの申請を踏まえまして指定する、こういう考え方をとっているところでございます。
 具体的なその指定方針につきましては、今後、この法律をお通しいただいて、実施段階で関係審議会で御議論いただくというふうになろうかと思いますが、この給付の趣旨から考えまして、少なくとも趣味的、教養的あるいは入門的な教育訓練、こういうものは指定しないということになろうというふうに考えております。
 また、具体的な方法として、教育訓練機関からの申請に基づきまして、個々の教育訓練コースごとにその内容等を勘案した上で指定して、例えば○○専門学校の○○講座、そういう形で官報によって告示するということを予定いたしております。
 それから、産業構造の変化等に配慮すべきではないか、こういう御指摘でございますが、おっしゃるようなこともあわせて考えていくことが必要であろうかというふうに考えております。
 例えば、現時点で想定できる具体例を挙げますと、高度情報化に対応してコンピューター等の情報処理関連の講座とか、あるいは企業におきます事業の効率化、多角化への対応として経営労務コンサルタント、マーケティングリサーチ等の講座であるとか、あるいは業務の国際化への対応として、国際ビジネス、会計とか法律とか、あるいはビジネス英会話等の講座、その他専門性が求められる中での各種公的資格取得のための講座、こういうものが考えられると思います。
#16
○石渡清元君 ぜひこの制度が定着をし、さらに一人でも多くの方に活用していただくようにしてもらう、それに努めていただきたいと思います。
 しかし、職業訓練制度等々そのものは、よく言われる雇用の流動化、これに拍車をかけたり、あるいはそういう訓練自体によって労働マーケットの中で自分をいかに高く売ることができるかということでみんな走っていくと思うんです。また、経営自体も人材の出入りが自由だと、それを前提とした経営、そういったような社会に拍車をかけるような気がしてならないし、また、ある意味では職能評価制度へつながっていくと考えてよろしいのかどうか、その辺のところはいかがでしょうか。
#17
○政府委員(征矢紀臣君) 基本的には御指摘のような方向、そういうものがあろうかと思います。
 いずれにいたしましても、新しい産業構造に対処する観点から、ただ一つ明確に申し上げられますのは、要するに、労働者がみずから自分の先行きを考えてトレーニングを受けよう、こういう場合にこの制度が活用できる、こういうものでございます。その点について従来の制度は、基本的には事業主の方が教育訓練の枠組みをつくってやる場合の事業主に対する助成という考え方でございましたが、この新しい教育訓練給付については、労働者が自分の判断で教育訓練を受けて、その実費について支援する、こういう新しい制度として組み立てているところでございます。
 これにつきましては、やはり制度の枠組みをつくって、十分周知徹底をしてできるだけ多くの方に積極的に活用していただくことが非常に重要であるというふうに考えております。
#18
○石渡清元君 次に、高齢者雇用対策等々に移ります。
 今回の改正案は、高年齢休職者給付金の見直しと国庫負担の廃止になるわけでございますけれども、高年齢休職者給付金は昭和五十九年から創設されておりまして、それなりの役割を果たしてきたと思います。今回の改正等々について、今まで果たしてきた役割と、これからの高齢者雇用に対する考え方をまずお聞かせください。
#19
○政府委員(征矢紀臣君) 高年齢求職者給付金でございますが、これは雇用保険制度におきまして六十五歳以上の方は原則的には制度の適用を除外するというふうにされているところでございますが、六十五歳以前からずっと働いてきて六十五歳を過ぎた方、そういう方について六十五歳を過ぎておやめになったときにこの高年齢求職者給付金を支給する。これは失業した場合における求職活動を引き続き支援する必要がある、こういうことから御指摘のように従来この制度を設けて運用してきたところでございます。
 ただ一方で、非常に厳しい財政事情の中でこの高年齢求職者給付金、これは六十五歳以上の方ですからすべて年金が支給されるわけでございます。そうしますと、年金で国庫負担がされていて、なおかつ高年齢求職者給付金についても国庫負担がついている。両方に国庫負担がついている、ダブルでついている、こういう指摘がありまして、これは確かにそういう事案がございますから、非常に厳しい財政事情の中で構造改革を図るという観点から、国庫負担は廃止すべきである、こういう考え方が一つございます。
 それからもう一つは、給付金の額につきまして、したがってこれはもうそういう意味では廃止すべきではないか、「廃止を含めて見直しを行う」べきである、こういうことで財政構造改革特別措置法においてそういう条文規定があったわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、今まで高年齢求職者給付金の運用実績がある、そういう観点から、これはやはり関係審議会におきましても廃止するのはいかがなものかということで、六十歳代前半におきます雇用保険と年金の併給調整、これが来年度から実施されることにもう既に法制的になっているわけでございます。
 これは、雇用保険が支給される場合には年金の方は支給しない、こういう併給調整でありますが、それとのバランスを考えて、高年齢求職者給付金について、これは廃止はしない、ただし額については半分程度の支給額とする、こういう考え方で御提案を申し上げているところであります。
#20
○石渡清元君 今、全体的にお答えがありましたけれども、もう少しちょっと細かくお伺いをします。
 国庫負担の廃止については雇用保険財政、全体の財政との関係でお伺いをしたいと思います。
 併給調整、ここらがちょっと論点かなという気がいたしますけれども、それでは、まず高年齢求職者給付金の支給状況というのは人員、あるいは一人当たりの大体の平均支給額、これはちょっと言わなかったんだけれども、そういう御答弁があったので、まずそれから答えてもらおうか、全部やると焦点がぼけちゃうから。
#21
○政府委員(征矢紀臣君) 高年齢求職者給付金の支給実績でございますが、最近で見まして、平成七年度受給者数が約十二万人、支給金額が八百二十四億円でございます。平成八年度十二万六千人余、支給金額が九百一億円でございます。国庫負担につきましては、このうち五分の一相当額ということになります。
#22
○石渡清元君 それを十二万人で割れば一人当たりの平均が出るんでしょうけれども、結局高年齢求職者給付金を半分にということになりますと、六十五歳の直前で退職をして失業給付を受けようというのが多くなっちゃうんじゃないですか。余りうがったあれだけれども、この制度を考えたときに、どうしてもそういったような方向になるような気がする。
 ですから、さっきから大臣の御答弁で何回も六十五歳という年齢が出てまいりましたけれども、今回の制度はそれを何か浮き彫りにするような形なのか。現行の給付の額を半分にする、その理由をもう一回説明していただけますか。
#23
○政府委員(征矢紀臣君) 個々人の方々の選択でございますから、御指摘のように六十五歳になる前にやめるという方があり得るかと思います。ただし、これは雇用が六十五を過ぎて継続した方についての給付でありますから、雇用の継続という観点からいえば、これも個々の企業によって状況は違いますが、長く働けるということでその選択をする、こういう問題でございまして、必ずしもこの制度で給付金が半分になったから六十五になる前にやめるということになるとは私ども考えておりません。
 今回の基本的な考え方としましては、既に法律上実施期限の来ております六十五歳までの方について、これが年金と雇用保険の併給が調整されることになっておりまして、雇用保険の給付がされている間は年金は支給停止にする。そうしますと、従来は年金と雇用保険と両方併給になっておりましたわけで、それは制度の価値判断は別としまして、金額的には大体半分ぐらいになるわけです。
 そういう制度改善が既に行われておりまして、そういう制度とのバランス上六十五歳を超えた方についての高年齢求職者給付金のあり方について、一方で国庫負担が両方出ている、こういうことと、それから今言ったような六十歳代前半層の方とのバランス、そういうものを考えて給付水準を半分程度とする、こういう考え方をとったところであります。
#24
○石渡清元君 労働省からいただいた雇用保険関係の数字、数年のものですけれども、今国庫負担、国庫負担という話がありましたけれども、それはそれほど響くほどではないと思います。むしろ私は高齢者の六十五から六十九歳、六十五から上の雇用就業対策というのがこれからかなり課題になってくる。きょうも大臣記者会見で発表されておりましたけれども、高齢者の雇用が厳しいんです。
 ですから、この制度をやるというのもさることながら、高齢者の就業対策というのを何かひとつ考えていきませんと、この制度だけじゃ必ずしもフォローされていかないんじゃないか。国際的な定義では六十五歳以上の人口が全人口に占める割合が七%で高齢化社会で、一四%になって初めて高齢社会、もう日本は高齢社会ですけれども、これから特に日本は高齢度が進みますので、今後の高齢者雇用対策の重要性というのがありますし、また定年との関係、引退過程でどういうふうにスムーズにバトンタッチをするか、その辺のところをもう一度、高齢者の就業対策も含めて大臣のお考えをちょっと。
#25
○国務大臣(伊吹文明君) 政府委員が国庫負担ということをいろいろ申し上げましたが、私は、率直に言って国庫負担の問題は財政構造改革に貢献するために、いわゆる雇用保険の全体に対する補助率をどうするかという議論のところへ出てくるんだと思うんです。むしろ公平論だと思うんです。
 つまり、六十歳から六十五歳までの方は働いておられると年金はもらえなくなっちゃうんです、これから。そして、失業したら求職者給付金でやってください、こうなります。六十五歳以上の方は、仕事をせずに年金だけでやっておられる方は年金だけしかもらえないわけです。ところが、働いておられると、年金は二〇一三年には厚生年金六十五歳支給に段階的値なるわけですから、六十五歳以上はいずれにしろ年金はフルにもらえるわけです。そして、同じ働いていない失業したという状態でも年金はフルにもらえて、その上に求職給付金というものが乗っかってくる。だから、そこのところがやや負担と給付の関係からいうとバランスを欠くというとらえ方をした方がいいんじゃないかと私は思うんです。
 そこで、先生がおっしゃっていることは私は非常にごもっともだと思うんです。というのは、これはもうそのうちに頭を下げてでも七十まで働いてもらわなくちゃいけない時代が来るわけです。そうしますと、年金財政に余裕があれば、六十歳から六十五歳はもちろん、六十五歳から七十歳ももちろん、働いている間は年金は結構です、しかし失業したら働き続けるために求職給付金でつないでください、ただしその間、もらった人と辞退をする人が出てくるわけですから、辞退をした人が例えば七十になって働くのをやめたら、辞退をした年金の方の金額を一般の人の一・五倍にして差し上げますよという制度に本当は持っていくべきだと思うんです。年金の方で六十歳から六十五歳までを調整したというのは実はそういう方向だと思うんです。
 ところが、六十五歳以上は年金の方で調整をしないものですから、こちらで調整をさせられているという形であって、七十まで生き生きと働いてもらうためには、本当はこの制度はずっと残しておいて、そして年金の方は働いて収入があればその分は少し御辞退いただいて、そのかわり辞退した分を働くことをやめた七十歳から一般の方より一・五倍給付してあげるという形が将来的にはやっぱり持っていくべき方向だろうなと私は実は考えながら、しかし現実としてはこういうところかなというんでお引き受けしたというのが政治家として率直なところでございます。
#26
○石渡清元君 やっぱり六十あるいは六十五を過ぎると、働く意欲のある方とそうでない方がはっきり分かれてくるんです。だから、少なくとも働く意欲のある方に対して、働くといろんな面で社会保障が制限されて働いちゃ損だということがないような、そういう制度、調整をぜひこれからもやっていってほしいと思います。
 それと国庫負担の廃止がありますけれども、もう一つ私が雇用保険勘定でちょっと心配なのは、運用収入も金利の下げ等々で大分下がっていますけれども、この辺の対策はどんなふうに考えていますか。
#27
○国務大臣(伊吹文明君) これは実は昨年の暮れでございますか、予算折衝で最後に大臣折衝がございまして、大蔵大臣に私が申し上げた内容でございます。すべて申し上げるのが適当かどうかわかりませんが、むしろ御審議に供するために私は情報公開をした方がいいと思いますので、率直に申し上げたいと思います。
 現在までのところ、雇用保険特会というのは、先生方の御指導もいただき、また労働省の先輩諸君もうまくやって、自主運用などというつまらないというか、本来きっちり運用しなければならないことからはみ出すようなことはやらなかったわけです。ずっと運用部預託をやっておったわけです。バブルのときをそれで乗り切って、株式だとか何かに変なことをしなかったから含み損が一切ないわけです。そのおかげで現在約四兆円の積立金がございます。
 しかしながら、雇用保険の財源としては、この四兆円の積立金のほかおっしゃったように国庫負担も一部入っておるわけです。そして、その国庫負担を従来から少し減らすということを今回決めたわけでございますから、働く方から雇用保険を預かっている責任者である大臣としては、今先生が御心配になっているように、積立金の動きがだんだん不安な状態になってきて、将来料率を変えなければならないというときには、国庫負担の問題についてはもとへ戻してくれと私は言ったわけです。大蔵大臣もうんとはおっしゃいませんでしたが、労働大臣の発言は重く受けとめて、そのような事態が生じたときには御相談させていただきますと、こういうことで今回の措置になったわけでございます。
#28
○石渡清元君 さすが実力大臣の名をほしいままにされていると思いますけれども、私が申し上げたのは、今回の国庫負担の廃止で、平成十年のあれを見ても国庫負担の減が一千億、運用収入の減が五百億ですから、かなりある意味では影響があるので申し上げたわけであります。いずれにいたしましても、これから超高齢化社会に向けて高齢者の雇用システムを何らかいい方向にひとつ定めていただきたい。
 さらに、やはり少子化対策、私は人口政策だと言っているんですけれども、これをやりませんと、今どんどん日本のエネルギーが下降線をたどっておりますので、そういう意味では労働省も子育て支援を初めいろいろ出しておりますけれども、もう少しパンチ力のある政策もこれからぜひ一つお願いをいたしまして、私は質問を終わります。
#29
○海老原義彦君 私は駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について質問いたします。
 大変長い題名でございますね、これは。長くて読みにくいんですが、中身は極めて簡単でありまして、この二つの法律、いずれも五年ずつ延長するというものでございます。これを読みまして、私は首をひねりました、なぜ五年なんだろうなと。そういう発想から順々に質問していきたいと思います。
 この二つの法律ができた経緯といいますか、きっかけと申しますか、そういうことはどういうところから始まったんでしょうか。それぞれの法律についてお願いしたいと思います。これはまず事務的に伺います。
#30
○政府委員(征矢紀臣君) まず、駐留軍関係離職者等臨時措置法でございますが、これにつきましては昭和三十二年の日米共同声明に端を発しまして、駐留軍の撤退、縮小が開始されて以来、駐留軍関係離職者が相当数発生した、過去そういう経緯がございます。そういうことから、これらの方々の再就職の促進及び失業期間中の生活の安定を図るために、昭和三十三年四月に衆議院内閣委員長から法案が提出され、三十三年五月に五年間の時限立法として、いわばこれは議員立法で制定された、こういう経緯でございます。その基本的な考え方は、今言いましたような形で、いわば国の直接責任によって国策の結果として離職者が出てくる、こういうことが背景にございます。
 当時、臨時措置法とされました理由につきましては、この法律に基づく対策は国際情勢の変動等の影響を受けて発生する駐留軍関係離職者に対してとられる特別の対策であり、国際情勢が安定した場合においても必要な恒久的な対策とは考えられないことから、期限を限っての時限立法として提案されたもの、こういうふうな理解をいたしております。
 それから、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の関係でございますが、これにつきましても、昭和四十年代の後半以降、海洋資源に対する国際的な関心が高まり、沿岸国による二百海里水域の設定が相次いだ中におきまして、日本と関係国との漁業交渉が行われましたが、とりわけ旧ソ連との協定、これが大幅な漁獲量規制を内容とするものであったことから、大規模な減船及びこれに伴う多数の離職者の発生を余儀なくされたものでございます。これもそういう協定により、いわば国策によりまして離職を余儀なくされる方が大量に出た、こういうことでございます。
 このような漁業離職者につきましては、国際協定の締結等に伴う国際環境の変動という、個々の事業者の努力ではいかんともしがたい理由による離職であること、一般的に漁業離職者は通常の離職者よりも再就職が困難であること、こういうことから、再就職の促進等のための特別の措置を講ずることを目的としまして、昭和五十二年に衆議院社会労働委員会から法案が提出され、同年に成立し、五十三年一月から施行された。これも議員立法でございます。
 臨時措置法とされた理由につきましては、国際環境の変動や長期間における国際協定等の動向について見通しを立てることが困難である中で、国際環境の変動等の状況に適切に対応できるよう、当面の二年間の時限法として提案されたものと理解いたしております。
#31
○海老原義彦君 今のお話を伺っておりますと、いずれも特別の国策上の事由によって離職者を生ずるというようなことから始まっておる。当面、ともかくその離職者の状況がどうなるかということを見きわめるために時限立法にした。
 ところが、これは時限立法の形、当初はそういう思想でとっておるんですけれども、その後何度も改正によって五年延長であるとか、場合によっては二年延長、三年延長であるとか、そういったことで延長に延長を重ねておるわけでございます。
 まず、事務的にどんな経緯でここまで延長してきたのかというのをちょっと伺っておきます。
#32
○政府委員(征矢紀臣君) 御指摘のように延長いたしてきているわけでございますが、駐留軍関係離職者等臨時措置法につきましては、昭和三十三年に制定されて以来、五年ごとに計七回、法の有効期限を延長してきたところでございます。
 漁業離職者関係につきましては、これは昭和五十四年の法の期限の四年延長、昭和五十八年、昭和六十三年及び平成五年に法の期限の五年延長、これは最初二年で出発したわけでございますが、その後、四年延長、五年延長と、こういう形で延長をいたしてきたところでございます。したがって、現時点におきましては、期限が若干一カ月ほど違いますが、延長期間としては五年間という形になっている、こういう経緯であります。
#33
○海老原義彦君 どちらも非常に長い歴史を経て、殊に駐留軍離職者の方はおおむね四十年近いような長い歴史を経て、やはり国策によって離職者が生じていくという状況は変わらないんだ。だから四十年という長期にわたって延長を重ねてきた。
 それでは、今後はどうなんだろうかと考えてみますと、駐留軍離職者につきましては、これは安保協定がある限り駐留軍はいるわけでございます。今後基地の移転とか移設とかあるいは場合によっては縮小であるとか、そういったことも考えられるわけでありまして、そうすると、当然今後ともそういう状況は続くんじゃないか。
 また、漁業の問題につきましても、これはグローバルな地球資源の保護という見地からいろいろ国際間の取り決めが進んでいくことも当然予測されると思う。それに伴って同じような状況が発生するんじゃないか。
 これまで四十年の間途切れることなく続いてきた、漁業についても二十年の間途切れることなく続いてきたということを考えますと、この辺でもう恒久法にした方がよろしいんじゃないか、私はそう思うんです。何で五年ごとに延長しておるんだろうか。大変簡単な条文でございまして、五年後の期日を書いて、何日までと書きかえるんだと書いてありますけれども、恒久化するならばもっと簡単でありまして、附則第何項を削除するということで済むわけでありますが、なぜ恒久化を考えないんだろうか。
 ここら辺はひとつ大臣のお考えを伺いたいと思います。
#34
○国務大臣(伊吹文明君) 先生がおっしゃっている趣旨は私も半分そのとおりだろうなというふうに思いますが、同時に、政府委員が御答弁を申し上げましたように、例えば駐留軍関係離職者等臨時措置法についても、平和条約が結ばれて本土の基地が大きく動いたときは大変なまず一つ大きな意味があったと私は思うんです。今、沖縄の方にそういうことで大変御迷惑をかけ、沖縄の方もいろいろな感情をお持ちになりながら、沖縄振興策というものが協議されております。その中で、日米安保が続いても基地が安定的に定着をした場合は実はこの法律は発動されないわけです。
 今のところ、普天間の問題とかいろいろなことがSACOの関係で取りざたされているのは御承知のとおりでございますので、国の安全保障、外交の将来、それから資源の維持確保のためにどこまで生物・魚類資源の漁獲についての制限が起こってくるのかということについてはやはりなかなか率直に言って見通しが立てにくい。
 特例法でございますので、できれば、これは一般会計というか、国民すべての税負担で国がその原因になっているある特定の方々に投入していることでございますので、できるだけ限定的に使うというのが本来の財政のあり方だろうと私は思うわけでございます。
 そこで、五年がいいか、御指摘のように十年がいいかということになると、私はどうも先生の御意見に引っ張られそうなところもあるんですが、従来の例からいって一応五年ということで更新をさせていただきたいというのが今回のお願いでございます。
#35
○海老原義彦君 大臣の御説明の趣旨はよくわかっております。ともかく今回は私はこれを修正してどうこうということを申し上げておるわけではないんです。
 ただ、考えてみますと、やはり米軍基地の問題というのを、仮に安保がずっと続くんだということであるならば、なおさら基地の合理的な配置というようなことも考えていかなきゃならぬだろうし、今後とも離職者の問題というのは発生することはどうしても避けられないと思うんです。
 それから、漁業の問題にしましても、地球資源保護ということはますます強い国際的な要望となってくる、これが漁業にはね返るということは当然考えられるわけでございます。
 また、特例法として特別の措置を講じておるということでの国の負担というお話もございましたが、私の質問からも欠落しておったのでまだ御説明いただいておりませんけれども、やはり駐留軍離職者にしろ漁業離職者にしろ、今まで特殊な環境で特殊な職種で育ってきておる者を全く違う職種に転換するという問題がございますので、特別の訓練なども必要でございましょうし、こういった特例法を設けておくという意義は非常に大きいと思うんです。
 今回でなくて将来、五年たつとまたこの延長の問題が必ず起こってくるわけでございますから、五年後にならぬうちにこれを恒久法化するということを御検討いただきたいと要望いたしまして、質問を終わります。
#36
○長谷川清君 民友連の長谷川です。
 まず、船員保険の方から質問に入りたいと思います。
 今回、改正をされようとしております失業保険の給付の日数を改善するということにつきまして、私は、二百四十日が二百七十日になるということは非常にその努力を多として評価しております。もう一つの努力をしてもらって、これは本年の十二月一日施行というふうにはできないかという点をまず第一に。
#37
○説明員(井口直樹君) 今、先生御指摘ございました船員保険の失業保険金の給付の所定日数でございますが、これは今お話がございましたとおり、雇用保険におきましては最高三百日と相なっております。現在の船員保険制度におきましては二百四十日ということで、御指摘のとおり六十日間の格差がございます。
 そういうことでございまして、関係者め中から改善ができないだろうかということで私どもも御要望を受けていたわけですが、数年ほど前まで船員保険の財政は非常に厳しい状況でございました。そういうことで、私どもなかなかそういう御要望にこたえられなかった事情がございます。その後、保険料率の引き上げ等お認めいただきまして若干財政状況にゆとりが出てきた。そういう状況になったものですから、今回、雇用保険法の改正に伴いまして、私どもの方の船員保険につきましてもそういうような改善措置が、全額というわけにはなかなかまいりませんが、三十日間延長ということでできたわけでございます。
 ただ、実施時期につきましては、これは全体的な制度の円滑な移行等々の観点から、被保険者あるいは便宜等を考えまして、これは高齢求職者給付金の給付日数の見直しと、給付面のもう一方での見直しがございますので、平成十一年四月一日からということにあわせてやりたいと、この方が諸般の便宜上都合がいいのではないか、こういうふうに考えましてそうさせていただきましたので、ぜひともその辺の事情を御理解いただければというふうに存じている次第でございます。
#38
○長谷川清君 この船員保険が一般の保険とは別建てになっているということがあります。
 船員保険の場合には格差を持っています。こういう格差、今も回答がありましたように、三百対二百四十が二百七十になる、いいことであります。高齢求職者の日数についても、百五十対百二十と差があります。また、国庫補助や個人が払う保険料という側面から見ても、船員の場合は保険料の料率は雇用保険よりも高くなっている。
 また、もう一つ、船員保険法は五十八条ノ二において、予算の範囲内で行うとなっております。一方、政管健保の方では、健康保険法は第七十条ノ三の一項で、給付金の一六・四から二〇%の範囲内だとしております。それを今現在は附則によって、当分の間は一三%としているということであります。保険料の方においても、船員の場合は八・八%、政管健保は八・五%、ここにも〇・三ながらも差がついております。
 こういう船員に対する保険の格差、私は何でも画一が真の平等ということを言おうとしているわけではございません。差があることが逆に平等である場合もございますが、当局においてはこの格差は妥当なものと考えているのかどうか、そこをお伺いします。
#39
○説明員(井口直樹君) 船員保険制度は、今先生御指摘のとおりでございまして、雇用保険や政管健保と比べましても給付水準あるいは保険料率、国庫負担の面でさまざまな相違がございます。
 これは、船員保険制度というのが船員とその家族を対象としているということで、その内容につきましても疾病部門あるいは失業部門あるいは労災部門、各種の部門を合わせました総合保険という非常に特別な形をとっております。その観点から、給付内容等につきましても、今先生の御指摘のあったようなさまざまな点で他の制度とは違っているところがございます。
 ただ、御指摘のとおり、給付内容や保険料の負担などの面で他の制度との均衡ということもやはり考えていかなければならないということを私どもも常々考えております。ただ、具体的にどういうふうにするかということはなかなか難しい問題でございますので、今私どもの方で医療保険福祉審議会というのがございますが、そこに船員保険専門委員会というのを設けておりまして、その場で現行の制度の中身につきまして、御指摘の点も含めましてどういう問題点があるか洗い直しをしていただいて、今後どういうふうに改善していくべきか等についても御検討いただいております。
 したがいまして、私どもとしますと、そこの御検討の場で御報告をいただきまして、それを踏まえて今先生から御指摘のある点をどういうふうな形で今後直していくべきかどうか改めて考えてまいりたい、そんな状況でございますので、よろしくお願い申し上げたいというふうに思っております。
#40
○長谷川清君 今のお答えを聞いておりますと、船員保険というものが別建てになっているその特徴というのは、海洋の仕事は普通の仕事よりも非常に特殊性が高いということが一つあるんでしょう。それから、今も話がありましたように、だから船員は船員で大ぐくりにして社会保障全般をそこで見ている、これが一つの理由だと思います。そして、今の世帯は家族を含めて大体三十万人ぐらいの小さい世帯の中であるから、いわゆるパイの分け前も小さくなるし、そこにいろいろと不利益が出るのはやむを得ない、こういう回答と受けとめます。私は、それはそれなりに一般的な経済ベースにおける一つの保険のあり方としての考え方、わからないわけではありません。
 しかし、今家族が三十万ぐらいだと言いますけれども、さらにこれはどんどん減っていく可能性もあります。そうすれば保険料だけはどんどん高くなっていく、そして国庫負担もどんどん下がるという今の一般的傾向があります。ますます不利益は拡大をするということになります。そうすると、社会全体の福祉の水準というナショナルミニマムはどこへすっ飛んでいってしまうんだろうか。私は、こういう場合に、一番もとになっているところから考えてみる必要があると思うんです。
 まず、私たちはみんな自立をし、自助から始まる。自助の段階のレベルで自分のために生命保険を掛けたり、そういう世界は私は経済ベースでいろいろと進んでおると思います。自分の力ではどうにもならない、親兄弟や親族を集めてもどうにもならない、解決しない、その上にやっぱり公助というのがあるんでしょう。年金であるとか健康保険であるとか、あるいは雇用や失業、こういった保険はいわゆる公助という世界なのではないのか。だとするなら、そういう人々に対して社会がみんなの税金でそれを賄っていくという考え方が、何%かは別として、そういうファクターがなければいけない、ましてやナショナルミニマムの。その辺についてはどう考えていますか。
#41
○説明員(井口直樹君) 大変難しい御質問でございます。全く先生のおっしゃられるとおりでございまして、今船員保険に限って申し上げますと、これは非常に制度がだんだん小さくなってきておりまして、被保険者の数が毎年五千人規模で減ってきているというような状況になってきております。
 したがいまして、将来的にどうするかということを私どもも大変心配しておりますが、現実に十年ほど前に年金制度につきましては厚生年金の方に移管をされております。今現在は、残る三部門が総合保険という形で運営をしておりまして、先生の御心配のような点につきましてどうしていったらいいのかということが、先ほど言いました審議会の中でも検討課題になっております。
 したがいまして、ナショナルミニマムという点から過大な負担がある特定の制度だけに出てしまう、あるいは給付がまたそれよりも落ちてしまうというようなことにならないようにしていくための方策につきまして、幅広く労使の関係者も含めまして御検討いただいておりますので、その結果を踏まえて、先生の御指摘のようにならないように私どもも万全の対応を考えてまいりたい、そういうふうなことで考えております。
#42
○長谷川清君 恐らく厚生省としては今のお答えが限界だろうと思います。
 あの大きな枠組みで、つまりこれからの政策全般のバランスの中でそういう社会をつくっていこうとする方向が必要なのではないか。そのことを申し上げて、厚生省、もう結構でございます。
 それでは時間の関係もありまして、雇用保険法の関係について大臣にお伺いをしますが、基本的な認識として、今現状は、もうこの一年間でも十万人失業がふえました。そして今二百二十万人になっている。数字の上では、本年一月が失業率三・五%と経企庁も発表しております。その中にあっても、特に男性の失業率は三・七%に達しておりまして戦後最悪の状況。
 こういう状況の中で、雇用失業情勢を大臣は基本的にどう認識をしているかという点が一つ。今後の見通しにつきましてどう展望しているかという点が二つ。三つ目には、雇用対策の取り組みについて当面大臣はどう考えているか。この三点を、端的で結構でございます。
#43
○国務大臣(伊吹文明君) 長谷川先生御承知のとおり、きょう実は直近の失業率及び有効求人倍率が公表されまして、私は会見でも申し上げたとおり、雇用をあずかる者としては大変厳しい状況であるというふうに認識をいたしております。
 そして、今後の見通しでございますが、これはここではもうるる繰り返しませんけれども、中長期的な問題と当面の景気状況に左右する部分はやはり私は分けて考えねばならないと思います。そして、当面の問題としましては金融二法を最大限に枠いっぱいまで早く使い切ってもらって不安感を払拭してもらうということがまず第一だと私は思います。
 そういう中で、将来の雇用あるいは生活に対する不安感がなくなってくれば私は消費性向も上がってくるだろうと思いますし、それによって、雇用ももしそういう事態になれば改善していくと思います。結局、そうなるかどうかというところの見きわめというか経済判断の問題だろうと思います。
 きょうは、与党三党で協議をいたしました追加措置の内容も内閣に実は提示をされまして、橋本内閣総理大臣が、その内容を検討させていただきながら諸般の状況を踏まえて、必要である場合には必要なことはするということをおっしゃったわけでございます。そこで、私は今しばらく、数字は大体長谷川先生御承知のように二カ月おくれから三カ月おくれで出てまいりますので、今御審議を願っている予算関連法案が成立をして、その関係の数字が出てくるところを見きわめたいなというのが正直なところでございます。
 しかし、評論家ではございませんので、その間に刻々と職を失っている人も出てきているのが現実でございますから、私たちとしては、昨年十二月に雇用調整助成金制度にかかわる大型倒産事業主の指定基準をまず改定させていただきました。それからまた、雇用調整助成金の特例措置として、雇用環境が特に厳しく、雇用調整を余儀なくされている業種についての高率の助成を行っているのは御承知のとおりなんですが、三月末にこの期限が切れます。しかし、これはもう延長するのは当然のことだというふうに考えてやっております。
 それから、従来の職安というのはどちらかというと、お役所仕事と言うと職安の諸君には失礼ですが、待っておって、求人と求職が来るのを受けとめて御紹介申し上げるということでございましたが、今後は積極的に打って出て、どんな職でもいいから、少しでも企業にお願いをして出してもらってくる。また、そのお願いがやりやすいように私も中央の経済団体にお願いをしてきたわけですが、そういうことを引き続いて強力にやっていきながら、失業率と景気動向を見きわめて対応させていただきたいなと思っております。
 一生懸命やります。
#44
○長谷川清君 今お答えにもありましたけれども、もう直近のこの状況からいきましても、例えば家電業界、あの大きい東芝であるとか日立であるとか松下、東芝でも一時帰休を五日間、大体二千二百人対象でやっている。日立も五百人が配置転換する。松下電器も、これも採用を大幅に削減するという状況で、そういう大手についても家電業界はいよいよ雇用調整局面に入っちゃって、今回雇用調整助成金の申請をするという事態にまで来ておるわけであります。
 こういった状況を、私は、あのイギリスのサッチャーが成功したのは、例えば経済界をどんどん規制緩和した。それは確かに長期的にはプラスをもたらします。その過程に必ず逃げることのできない倒産とか失業、雇用の問題がある。
 したがって、これは私は昨年の臨時国会だったか、言いましたように、これは労働省だけじゃありません、国の施策として、よく言われる情報通信、光ファイバー、これはもう何百倍の威力ですね、何千倍でしょう、今の電線一つと比較すると。そういう情報通信関係であるとか福祉関係であるとか環境関係であるとか、あるいはまた科学技術の分野であるとか。
 住宅は今アメリカなんかは大体二倍、三倍のスペースですね。建物も大体二、三十年たったら日本の木造はすぐにもう価値を失う、建てかえだと。小さいスペースに小さいうちで、そしてそれが一代限りというのではなくて、例えば私が今の二倍ぐらいのスペースで、石の文化を持ち込むまではないまでも、少なくとも百年使えるものができれば、息子はそこへ入れます。順送りで大体二世帯ぐらいで一つの自分のうちを。
 あらゆる意味において、今までの価値観や今までの社会の仕組みではない、新規の、新たなる作業というもの、そこから需要が生まれる。これとパッケージで規制の緩和、ここが勘どころだと思うんです。そういうことをちぐはぐでいきますと、雇用は非常に重大な壁にぶつかってしまって大変なことになるという認識を持っております。
 そういう点について現状の認識をお聞きしたのは、そこら辺のまさに危機的な、本当に一日、一分、一秒を争うくらい早くパッケージ政策を示すべきである、そう思いますが、いかがでしょうか。
#45
○国務大臣(伊吹文明君) 今、長谷川先生のおっしゃった基本的な認識は私も同じと申し上げてよろしいと思います。
 そして、実はきょう社民党、さきがけ、自由民主党、与党三党の政策責任者が我々内閣にお示しになった中にも、今先生がおっしゃっているような構造を変えていく、いろいろな通信それから環境、住宅等の提言が実はなされております。
 同時に、非常に興味深いことは、その中にいわゆるPFIということを非常に強く打ち出しております。これはやはり財政の赤字を、つまり財政の赤字というのは、今私たちが私たちの稼ぎ以上のことを財政にしてもらっているがゆえに私たちの子供たちの選択権を奪う国債を残しているということですから、それを再建するというか、改革するということはだれしも反対ではないわけでして、従来の公共事業の直轄のばらまきより、ばらまきという言葉が適当かどうかわかりませんが、直轄事業を政府が直接やるよりも、利子補給分だけ一般会計で負担しておけば財政も直りますし、有効需要も同じだけ出てくる、そういうことも言っておるわけです。
 サッチャーさんのお話も出ましたが、これはもう先生よく御存じのことですが、サッチャーさんが成功したもう一つのかぎは、やはり大胆な税制改革をやったということなんです。これには賛否両論おありになると思いますが、直接税の比率、法人税、所得税の負担を著しく軽減して、すべての人が年金を受給しすべての人が老人医療の恩恵を受けるときには、すべての人が負担するタイプの税をふやしていくという形の税制改正をされた。そのことが経済が運営される基盤を底上げして、結果的に雇用を引き上げてきたということがあります。
 したがって、規制緩和をやるということは、まず長期的には雇用を創出しますが、短期的には非常に難しい状態をつくり出すというのは私はもう先生と全く同じ認識でございますので、その辺も必要があれば閣僚として私は先生のような発言をしたいと思っております。
#46
○長谷川清君 今回の法改正で、私も評価すべきところは評価をしたいと思うんですが、一たび失業になった後の対処という視点で、今回は再就職手当に関する特例措置を一年間延長するとかあるいは新たに教育訓練給付制度を設けたということ、これは個人が申請して個人が受け取る今までにないものですから大いに結構だと評価をしております。これは一たび失業した後の措置ですから、その評価はそんなに大きいものではなくて、ただ評価できるのは、後追いではありましても、そこにこういう訓練を受けやすく効果をあらしめることによって、再就職の道がもう少しく広がっていくということであります。
 山一証券のあの件でもそうでありますように、専門的な能力をいろいろと持った人というのは再就職をしやすいけれども、最近の悩みはホワイトカラーの人たち、一般の事務系の人たち、ここがなかなか後の再就職が難しいという、そういう意味での評価をしていきたいと思います。
 そこで、私は今回提案されております本人の申請によって本人が給付を受けられるという、このことをいいことだという前提の上に立って二、三質問をしたいのであります。
 まず、実施期旧をもつと早められないかと思いますが、いかがでしょうか。
#47
○政府委員(征矢紀臣君) 教育訓練給付制度の実施時期の問題、もっと早められないかと、こういう御指摘でございます。私どもこの法案で十二月一日という実施期日を定めているわけでございます。基本的にできるだけ早くという考え方を踏まえて、関係審議会におきます検討は全体を十一年の四月一日からというようなことで検討もされていたわけでございます。
 特に、この介護休業につきましては御承知のように来年の四月から義務化されるわけですから当然四月一日ということでございますが、教育訓練給付についてはできるだけ早くと、こういう御意見がございまして、どこまで早められるかということを事務的にいろいろ検討したわけでございます。
 一つには、私どもの雇用保険制度は全部コンピューター処理をいたしておりますが、コンピューター処理につきましては相当準備期間がかかるものですから、どうやりましても来年度でないと間に合いません。したがって、これは手作業でないとできない、こういうことがもうはっきりいたしておりますが、それでも早くすると、こういうことでございます。
 それからもう一つは、この新しい制度につきまして手順を踏んでやっていく必要があるわけでございまして、特に教育訓練機関の対象について、まず関係審議会で基準をつくりまして、全国の教育訓練機関の申請を受けて、それを踏まえてこのコースを労働大臣が指定する、そういう作業に、これは法律のできるだけ早い成立をお願いしましても相当期間がかかります。
 それから、この制度自体を全国的に周知徹底して労働者の皆様方、これは在職者もそれから離職者も両方この制度は対象にいたしておりまして、どちらの方も一定の資格があればこの教育訓練を受けられる、こういう形でございます。この制度の周知徹底を十分して、その上で実施に移す必要がある、こういうことからいろいろ検討いたしまして十二月一日と、こういう期限を定めたところでございますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。
#48
○長谷川清君 先ほどの石渡委員の教育訓練の基準の問題であるとか、手続であるとか、利用しやすいような制度であるとかという質問に関しまして、私も同じように感じておりますが、お答えは官報でと、こういう大体お答えがありました。
 このせっかくいい制度、私が評価をした制度の対象は三千万人を超えるぐらいの広い対象者がいるはずです。しかも、そういう対象者はごそっごそっと固まって一つのあれでぽんと連絡をとればさっと行き渡るようなそういうものではなくて、ばらばらに個々人。そういうところに官報、同じ質問になりますけれども、何かこれはそこに不安を感じます。
 これはいい制度でありますから、本当に再就職のところまで何とか行き着くような、答えが出るような実績を年々歳々上げていただきたい。そして、当面の対象はどのくらいを見込んでおるのか、平年において大体どのぐらいを見込んでおるのかというようなことも含めてひとつお答えをいただきたいと思います。
#49
○政府委員(征矢紀臣君) 先ほど石渡先生の御質問に答えが不十分でございまして、法制的な手続きとしては、全国に周知するための仕方としては官報で告示すると、こういうことでやりますが、実際上の周知徹底はそれではとても不十分でありますから、御指摘のようにいろんなさまざまな手段で周知徹底を図る必要があると思います。これは制度のわかりやすい色刷りのパンフレット、リーフレット、そういうものを大量につくりまして、私どもの公共職業安定機関に備えつけて、出かけていったときに周知するとか、あるいは経済団体、労使団体等を通ずるとかいろんなルートを使って全国的に周知徹底をしていく必要があるというふうに考えております。
 それから、この教育訓練給付の見通しでございますが、十二月一日実施ということで、出発時点では大体六万人ぐらいの対象者で五十億円という予算の積算をしております。これは率直に言って、初めての制度でありますから、大方の見当という言い方は悪いんですが、そういうことでやっております。平年度化しますと、大体この対象者が二十万人ぐらい、予算規模としては二百五十億円ぐらいを考えております。
 これは、制度的に周知徹底されましてさらに対象者がふえれば、それはそれに応じて予算措置をするという考え方で対処したいと思います。
#50
○長谷川清君 審議会の中でも議論されるのでありましょうが、ぜひひとつ実効が上がるような知恵を発揮していただいて、知らしめるという作業を徹底していただきたい。個人の申請によるものであります。
 それから、今こういうことで新たにやろうとしておりますが、今までもやっておりますような公共の職業訓練であるとか、あるいは企業がやっております訓練であるとか、あるいは職業能力開発の問題等々とぜひ両立をさせていただく、こっちに力が入ったからこっちはちょっとというようなことのないようにここはひとつお願いをしておきたいと思います。答弁は結構です。
 次に、国庫負担の件についてお聞きをします。
 先ほどの質問の中で大臣が答えておりましたが、何か国庫負担について大臣答弁の中では財革法にも貢献をして云々という言葉がありました。そして後の方では、働くというのが六十五歳からさらに七十歳ぐらいまで働く条件というか、それを可能ならしめて、そのかわりそれ以降になった場合には年金を一・五倍でもというお話もありました。これはわかります。
 私は、さっきもちょっと厚生省の方にも申し上げましたように、今、年金も健保もすべてこの国庫負担がどんどん低下をしておりますね。それで、一方においては保険料の負担は増大をしている状況というものがどこまで続いていくのか。そういうものの中で、終着駅はどこかわかりませんが、物の考え方としてさっき言った福祉の水準、ナショナルミニマムという発想、自助、共助、公助という、そういう経済ベースとは違う意味の部分において、さっきのお答えと今私が申し上げている視点、ちょっとその辺がかみ合わないと思いますから、大臣、もう一度お聞きしておきます。
#51
○国務大臣(伊吹文明君) まず、先生はこれはもう御承知でおっしゃっていることだと思いますが、健保とか厚生年金には国庫負担は入っておりません。国庫負担が入っておるのは、国民すべてが受給資格を持っております基礎年金と、それから財政の状況がどうしても立ち行かない医療保険などの国保には国庫負担が確かに入っております。
 と申しますのは、保険というのは全国民ではなくて全国民の一部を対象にしている、先生のお言葉で言えば共助の仕組みでございます。そこへ、その仕組みに入っていない人たちの税負担と申しますか、国庫補助であるいわゆる公助を入れるにはやはりそれなりの理由がなければならないわけでして、全国民が対象になっているものは全国民の国庫負担を使うということについては何の問題もないと私は思うんです。
 そういう意味では、この雇用保険についての国庫負担率が幾らであるかというのは、これは哲学論争に実はなると思うんです。私どものように雇用保険を預かっている者の立場からいえば、できるだけ高くしてもらいたい、これはもう私は当然そういう主張でございます。しかし同時に、国の財政を預かって国をうまく動かしていくという立場からすれば、全国民に恩典の及ぶもの、つまり自営業者や何かの納められた所得税も自分たちが入っていない雇用保険に投入されているわけですから、財政を再建するという話があるときに協力してくれというのは、これは大蔵大臣のお立場でございましょう。
 そこで、私と大蔵大臣の間に実は激しい論争がありまして、今のところ幸いなことに雇用保険の収支は諸先輩の御努力で積立金がかなり積み上がっています。国庫負担をゼロにするとかどうだとかということになればこれはもう激しい闘いになるわけでございますけれども、現行の国庫負担の三割だけしばらく我慢してくれないかということでございましたから、それなら将来、私がお預かりしている雇用保険に問題が生じた場合はもとに戻せと。もとへ戻すということを今すぐはお約束できないが重く受けとめて御相談させていただきたいということでございました。
 これは会社で言えば、やはり営業するには資金が要るけれども、会社を建て直すときに、経理はこう言っているとかというバランスの話とよく似たことじゃないかと私は思うんです。
#52
○長谷川清君 積立金は今四兆規模ですね、これはそれがいいかどうか。恐らく、どの数字になったら危険水域ですよ、どのくらいなら安定ですよ、そのくらいの目安基準というようなものは持っておくべきではないか。答弁は要りません。
 あと駐留軍関係の方に最後に入りたいと思いますが、防衛施設庁の方にお伺いいたします。
 もう時間がありませんので簡単に申し上げますと、今、特に米軍の撤退、縮小、そういった動向というものがあります。そういう状況に関連をしまして、雇用にどう影響を与えてきているかという現状の把握の問題。それから、普天間のことを扱った特別行動委員会の最終報告が出ております。こういうものがどういうふうに今後影響をしてくるのかが二点目。それから、特に沖縄で非常に大きく問題になっております若年層における、年齢でいうと非常に若い人たちの失業が高いと見ておりますが、こういうことについて雇用対策をどういうふうに考えているのか、三点まとめて私の質問を終わります。
#53
○政府委員(小澤毅君) まず、在日米軍従業員全体の雇用の問題でございますけれども、当庁といたしましては、在日米軍従業員につきましては雇用主という立場にございます。したがいまして、従来から在日米軍従業員の雇用の安定に努めてきたところでございます。今後とも在日米軍とも緊密に連絡協力しつつ、また各地方に置かれております労働渉外機関等とも連携を図りつつ、雇用の安定確保については最大限努めてまいりたいと思っております。
 そのうち、特に先生からただいま一つお話がございました沖縄関係の問題でございますけれども、御案内のように、昨年SACOの最終報告が出てまいりました。その中で、在日米軍の施設・区域に在籍いたします在日米軍従業員の雇用に関しましては、瀬名波通信施設、楚辺通信所、普天間飛行場、那覇港湾施設等五つの施設につきまして従業員の雇用に影響が生ずるのではないかということが見込まれております。
 この関係する従業員は現在約七百名ほどございますけれども、私どもといたしましては、できる限り移設先への配置転換等により対応していくという方策でいきたいと思います。そのため、本年度でございますけれども、私どもと関係する従業員、さらには地方公共団体の方々も含めまして、意向調査や意見の聴取会等を行っておるところでございます。
 私どもとしましては、いずれにしましても従業員が仮に離職を余儀なくされる場合がございますれば、それに対しましては万全の施策を講じていくというところで対応してまいりたいと思っております。
 またもう一つ、若年労働者との関連でございますけれども、現在、駐留軍の従業員、これは全国全体でございますけれども、約三千名程度が毎年退職しております。しかしながら、そのうち自己退職等を除きますと、おおむね五〇%以上の方々のほとんどが六十歳以上の定年等に達した方々で定年退職という姿になってございます。
 いずれにしましても、特に沖縄等におきましては雇用対策につきまして今後とも万全を図っていくとともに、また、米軍ともその点はうまく調整しながらやっていくということで我々は臨んでいきたいと思っております。
#54
○長谷川清君 終わります。
#55
○委員長(鹿熊安正君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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