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#1
第142回国会 労働・社会政策委員会 第13号
平成十年三月三十一日(火曜日)
   午前十時四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     阿部 正俊君     坪井 一宇君
 三月三十一日
    辞任         補欠選任
     勝木 健司君     平田 健二君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鹿熊 安正君
    理 事
                石渡 清元君
                海老原義彦君
                笹野 貞子君
                大脇 雅子君
                吉川 春子君
    委 員
                狩野  安君
                小山 孝雄君
                佐々木 満君
                佐藤 静雄君
                坪井 一宇君
                橋本 聖子君
                長谷川 清君
                平田 健二君
                木庭健太郎君
                山本  保君
                聴濤  弘君
                都築  譲君
                堂本 暁子君
   国務大臣
       労 働 大 臣  伊吹 文明君
   政府委員
       防衛施設庁次長  小澤  毅君
       労働省労政局長  澤田陽太郎君
       労働省女性局長  太田 芳枝君
       労働省職業安定
       局長       征矢 紀臣君
       労働省職業能力
       開発局長     山中 秀樹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山岸 完治君
   説明員
       人事院事務総局
       職員局職員課長  高橋 秀樹君
       外務省北米局日
       米安全保障条約
       課長       猪俣 弘司君
       文部省高等教育
       局大学課長    清水  潔君
       厚生省保険局保
       険課長      霜鳥 一彦君
       社会保険庁運営
       部保険管理課長  井口 直樹君
       水産庁魚政部国
       際課長      山野 昭二君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の
 締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の
 一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付
 )
○雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鹿熊安正君) ただいまから労働・社会政策委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨三十日、阿部正俊君が委員を辞任され、その補欠として坪井一宇君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(鹿熊安正君) 駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案並びに雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います、
#4
○笹野貞子君 皆さんおはようございます。
 民友連を代表いたしまして質問をさせていただきます。
 実は、先日の委員会のとき、私、沖北の委員会とバッティングしておりまして、本来ならば皆さんのいい質問、また大臣の御答弁を本当は聞かなければいけないところを大変失礼いたしました。おわびをいたしたいというふうに思います。
 きょうは大臣にいろんなことをお聞きいたしたいと思っております。それで、本当ならば、私はちゃんと質問通告をしてきちんとしたお答えをいただきたいと常々思っていたのですが、いろいろなことがありまして、そのいろいろなことの中に大田区のことなんかもありまして、ちょっともう疲れたりいたしまして、余りきちっとした質問の御通告もできずに、きょうは大変そういう点では申しわけない質問になると思いますが、前もって、どうぞ大臣、お許しをいただきたいと思います。
 実は、きょう朝来るときにサンデー毎日という週刊誌、余り私は読まないんですけれども、労働省関係の記事が載っていたものですから、今ちょっと買って急いで読んでみましたところ、私がこの間の一般質問のとき大臣に、派遣業というのは非常に危険ですよということを申し上げたんですが、その派遣業のことがまた出ておりました。
 今度は大変な、詐欺的な状況というんでしょうか、派遣を世話してやるといって十万円とか十一万円の契約金を取って、取った後は、にせの人とかあるいはサクラの人を派遣してみんな断らせて、結局だめだったんですというのがすごく出ているというのが出ております。この中に、労働省の幹部に聞いたところ、それはもう詐欺で大変でしたねと驚きの声を上げているという、こういう文面が載っておりまして、これは驚いてばかりもいられないんで、私たち女性にとっても大変ゆゆしき事実です。こういう派遣業がこれからますます規制緩和の波でどんどん手広くやっていくという中で、私は危惧を抱くものですから、本当にこれは何も質問の通告もいたしておりませんが、まずもって大臣に、こういうことに対して、こういう事実があるんだということをこの週刊誌を見まして、大臣、ちょっと御感想をお聞きしたいと思います。
#5
○国務大臣(伊吹文明君) まことに申しわけありませんが、実は私はほとんど週刊誌は読まないことにしておりますので、今先生がおっしゃった内容についてもつまびらかにはいたしませんが、人材派遣というのは、終身雇用以外の形で働きたいという方もいらっしゃることはいらっしゃるわけでして、そのような方にはそのような道を開いておかねばならない、その人たちの選択を奪ってはならないと私は思います。
 金融にしろいろいろな商売にしろ、その仕組みを使った破廉恥違法な行為というのは、これはどこにでも、やろうと思えばできないわけではないわけでして、責任を持っている省庁としては、そういうことが起こらないように、やるべき注意を払って指導を、自由化の世の中ですから指導という言葉はよくないのかもわかりませんが、私はやっぱり最低限のルールを守らせるために公にやらねばならないことはきちっと残すべきだという意見なんです。
 また、派遣関係の仕事がふえていけば、本来つけるべき社会保障関係の経費をつけずに派遣をするというようなこともあってはならないごとであって、むしろそういうもの全体に労働省としてきっちり目を配れるような状況にした方が私はいいと思うんです。今、実際は認可されていないような業種について何か裏でやっているとか、そういうことがあっては私はいけないと思いますし、悪いことをしたのがいるから、本質的なことそのものをやめておこうとかというのは先生は決しておっしゃっているわけじゃないと私は思いますので、そういうことも拳々服膺しながらやらせていただきたいと思っております。
#6
○笹野貞子君 何でもそうなんですけれども、法の網をくぐるという悪い人が出てくるわけで、そういう人のために善人が泣かされないようなきちっとした仕組みをこれからどうぞ労働省としては御配慮いただきたい。そうしなければ、本当に善人が泣かされるような世の中になっていくというふうに思いますので、そういう点を申し上げたわけでございます。
 続きまして、この質問をすると経済、財政に強い大臣の土俵にみずから上がって私は返り討ちになるんじゃないかという不安を感じながら、しかしやっぱりこれは聞いておかなくちゃいけないと思ってお聞きいたしたいと思います。
 実は、今度の雇用保険法の改正に当たりまして、国庫負担がカットされるというのがあります。そういうことをしながら、私、この昨今の政府の財政のいろんな政策を見ますと、ちょっとおかしいなという感じがどうしてもいたします。京大の佐和先生、経済の権威者ですが、彼の言をかりますと、橋本政権の経済政策は状況に流され、その場限りの首尾一貫しない場当たり的な政策であると。
 私も、ここ一週間を見ておると、財政構造改革法案をつくって、これから二千何年に向けて赤字国債はゼロにしなきゃいけない、次の後世に赤字を、借金を残さない、こう言うと全くそのとおりというふうに思うんですが、言ったしりから、いややっぱり不景気だからやめておこう、十六兆に及ぶ経済対策を平成十年度予算の審議中に出してこれを御議論いただこう。実に朝令暮改とでも言うんでしょうか、こういう経済政策に私自身もちょっとおかしいな、こんなことでいいんだろうかという思いでいっぱいです。そして、不景気だから大型の公共投資をしょう、ある時は十六兆と言ったり六十兆と言ったり、いろんなことを言うわけです。
 私は、今大変こういうふうに経済的な不況のときに、それだけ方向転換をして大型の経済対策をとると言うならば、今度の雇用保険法の国庫負担というのはたった百八十億、たったという言い方は大変これは不遜ですけれども、しかし十六兆とか六十兆とかいうけたからすると、百八十億というこの国庫負担をカットするというのは、私は国民の消費マインドというのを上げるためにはちょっとおかしいのではないか。お金持ちの人はどんなときにでも消費マインドは高いので、消費が落ち込むというのは庶民とか私とか、そして高齢者のこういう弱い立場にある人がこういう不景気になったら買い物を控えようというふうに思うわけで、今度のこの法案というのは、そういう点では私は全く弱い者いじめ、一番弱い人のところへしわ寄せをするという気がいたします。
 経済的に大変御造詣の深い大臣のことですので、この法案のこういうやり方というのはちょっと早過ぎやしないか、国の政策がそれだけ大きく変わっているときにこういうことでいいのかどうかということを私はお聞きいたしたいと思います。
#7
○国務大臣(伊吹文明君) まず、現在平成十年度の予算を本院で御審議をいただいているわけでございまいして、政党政治でございますから、与党それから野党の皆さんをも含めて、現在の景気状況の中でどういうふうにしたらいいかといういろいろな御意見を出されるのは、私はそれは自由だろうと思います。
 しかし、十六兆というのは、これは先般の関係閣僚会議でも与党三党からそういうお話がございました。私もそのときに確認の発言をしておりますが、十六兆というのは有効需要ベースの話ですね、国民計算上の話ですねと。財政は、例えば十兆円の中部空港建設費を計上するとします。金利は三%でございます。十兆円の三%というのは三百億です。三百億だけ一般会計で負担すれば十兆円の仕事はできるわけです、一年に限って言えば。つまり、有効需要というか、経済ベースでは十兆円であっても、一般会計の負担は三百億ということはあるわけです。したがって、これは有効需要ベースの話ですねということをまず確認してございます。そうですという答えを先方はしておられます。
 その後、総理が、きょうはこういうお話を承りました。政府としては一つの御提言として検討させていただきますということを言っておるわけでございまして、与野党が御提言になっていることを政府として実行するとかどうかという話は何も決まっておりません。これは、物の流れとしてそういうことになっているということでございます。
 それから、国庫負担をカットするということは、所管大臣としてはやりたくないことです。これは当然のことでありまして、私たちは働く人たちのために仕事をさせていただいているという立場からすれば、国庫負担はたくさんいただければいただけるほど結局保険料が少なくて済むわけです。
 しかし、先生も御承知のように、この雇用保険を特別会計として経理しているということは、つまり特定の人たち、民間で働いておられる人たちを対象にして失業された場合の保険として保険料率から保険をいただいて、それに備えるための仕組みとしてつくっているわけです。したがって、そこには、自営業者の方や公務員の方は入っておられないんです、この労災には。その方々も実は所得税は納めていらっしゃるわけです。
 国庫負担というのは、そういう国民からお預かりをした税金の実は固まりでございます。その全国民からいただいた税金を、一部の方々の目的のためにつくった特会に入れるについてはそれなりの理由が必要でありますし、一般会計というか、全国民の財政のバランスというものをやっぱり一つ考えておかねばならないわけです。
 そこで、私たち今に生きる者は、自分たちが納めている税金以上の公共サービスを受益しているということは、これは数字の上では否定できないことです。その結果、私たちの子供や孫の時代にその借金をお返ししなければいけない、利子を払わねばならないということが起こってまいります。ということは、残念ながら後世の私たちの子供や孫は、自分たちが納めた税金の使用権というか決定権というものを私たちの今の暮らしのために奪われちゃっているというわけです。そういうことはやはり世代間の公平からしてやってはいけないだろうという一般会計の要請もございます。
 私の方は、カットはだめだと、むしろもっと出せという立場でございますので、その辺のやりとりがあって、そして先輩のおかげで積立金がかなりございますので、それではこの程度だけは我慢しようと、しかし将来的にこの雇用保険の経理が悪くなって保険料率を上げなければならないときは大蔵大臣、このままじゃ納得できませんと、そのときはそれなりのことをきちっとしてもらわねばならないということを実は大臣折衝のときに申し上げて、その労働大臣の発言を重く受けとめますということでございましたので、国家全体のバランスの上から暫時こういうことはそれじゃお引き受けしましょう、こういうことになったわけでございます。
#8
○笹野貞子君 今の大臣のお話を承りまして大臣も大変努力をなさっているということがわかりましたけれども、しかし私の感覚からしますと、カットしてもいい助成金、補助金というのは本当にいっぱいあるので、国家とは何のためにあるかというこの大命題からいたしますと、やっぱり国家というのは一番弱い人のために何かをする、そういう大命題があるというふうに私は思っております。
 これから超高齢時代に入るわけで、そういうときにこの高齢者給付金というのは私はある一定の役割を果たす、つまり勤労意欲というんでしょうか、そういうのを果たすというふうに思っております。ひとつ大臣、大蔵大臣との間でそのようなお約束をしたということ、これはきょうのこの議事録にも残りますし、また大蔵大臣から復活させてもらえる時期を早くしていただければ、また労働大臣が名大臣として残るというふうに思いますので、その点はどうぞそのお約束を実行していただきたいというふうに思います。
#9
○国務大臣(伊吹文明君) 実はこれは雇用保険特会の収支が悪くなって、そして料率を動かさなければならないようなときにはと、私はこう大蔵大臣に言っておりますので、その時期が早く来たら実は困るわけでございます、働く人たちの保険料が上がるわけですから。そういう時期が来ないようにこの保険を運営していくというのが私は一番ポイントだと思います。
 それから、先生は先ほど一般的な雇用保険の補助率のお話としての御質問でございましたので私はそれにお答えしたわけですが、高齢者の方々の継続の求職者給付金は、これは六十歳から六十五歳の方々が働いていらっしゃる場合にはこの求職者給付金は出るわけですが、そのかわり年金の方で調整をされちゃっているわけです。
 六十五歳以上になりますと、六十五歳以上で実は働いておられて失業された方と、もともと働いていらっしゃらない方とお二人おられます。そして、もともと働いておられない方は年金だけもらっておられるわけです。働いておられて失業されたか六十五歳でおやめになった方は求職者給付金と年金とが両方もらえるわけです。これは負担と給付の関係から言うとややそこに不公平が生ずるんじゃないかというので調整をしたわけなんです。
 率直に私の希望を言えば、これは本来はやはり年金の方で調整をすべきで、働いて給料をもらっているからといって年金を辞退された方は、七十歳で今度はもう年金生活に入られるというときに年金会計がかなり改善をしてくれば、本当は辞退されたものを上乗せして差し上げるようなやり方をすれば働く方の意欲もぐんと出てくると思うんです。将来的には、年金財政がかなり改善をした段階でそういう形へ持っていくべきだなという気持ちは、実は私は政治家としてはしておったわけです。
#10
○笹野貞子君 私は、今この交付金を非常に下げてだんだん年金の方に移行するという制度自体がやっぱりちょっとおかしいんじゃないかというふうに思っております。ですから、年金は年金でもらえるものはもらう。しかし、勤労意欲を持って六十五歳以上になっても働くという人には何らかの報償があってしかるべきだというふうに思います。その点は、こういう制度をマイナスの方向じゃなくてもっと発展的な方向に持っていく、それが労働行政じゃないかというふうに私は思いますので、ひとつ御努力いただきたいというふうに思います。
 きょうは、時間があってないような感じになりました。たくさん聞きたいんですが、これを落としてはきょうの質問の意味がありませんので、やっぱり女性の問題に行きたいと思います。
 看護休業というのは女性だけじゃないんですけれども、しかし現実問題としては女性がほとんどですのでこの問題についてお聞きいたしたいと思います。
 介護休業制度は、私が労働委員長のときに大変な反対がありまして、私自身はその当時野党でしたけれども、いろんな制度の欠陥はあったとしてもやっぱり女性にとってはこの制度そのものはなければいけないという、そういう思いで通した法案なんです。
 そして、今にして思えば、私がそのときいろいろな欠陥があってもというその欠陥がいろいろなところで大変になってきていますから、私が一〇〇%こうありたいと思うことをこれから大臣にお聞きいたしたいというふうに思います。
 まず、平成九年六月の均等法の改正の際、労働委員会では「少子・高齢化の進展を踏まえ、看護休暇、保育・介護施策など職業生活と家庭生活の両立支援対策を充実強化すること。」という附帯決議がされております。私たち女性にとってはこの附帯決議というのは非常に重い附帯決議なんですが、今この保育そして介護というのもやや目鼻がついたんですが、これに努力することという、看護休業のことについて大臣はどのようにお考えですか。
#11
○政府委員(太田芳枝君) 先生御指摘の昨年の附帯決議の中で看護休業のことが言われておるわけでございますけれども、看護休業制度につきましては、平成八年に調査をいたしまして、その結果でございますが、現在まだ導入企業が八・二%でございますので、私どもは今後この制度がさらに普及していくように努めているところでございます。
#12
○笹野貞子君 私は労働条件の改善、労働福祉というんでしょうかね、これの発展が人類の文化のバロメーターだという考え方を持っております。かつて奴隷市場で人間が売買された、あるいは岡場所で女性がそこにさらされて売り物にされた状態から、働くということが人間そのものであるという考え方から文化というのは生まれてきたんじゃないかというふうに思っております。
 そして、今私たち女性が育児そして介護、もう一つは突発的な病気が起きたり、そういうときに看護するという、そういう休業制度というのはこれから非常に必要だというふうに思います。大臣、看護休業というのを大臣のときにおつくりになったというと、女性からわっと高い評価をいただけるというふうに思いますので、ひとつその点も御尽力いただきたいというふうに思います。
 さて次に、介護休業のところで幾つかの問題点がありますので、大臣にお聞きいたします。
 一つは期間の問題です。三カ月という期間はいかにも短い。これは育児休業が一年というふうに決めておるわけですから、三カ月で寝たきり老人が治るわけではありませんし、またいろんなところのホームヘルパーさんというのは大体三カ月以上の人を対象にしているわけで、やっぱり介護休業も三カ月という期間はぜひとも長くしなければいけない、これはもう国民の声なんです。それについてどうお考えでしょうか。
#13
○国務大臣(伊吹文明君) まず、看護、介護について女性とおっしゃる必要は全く私はないと思います。私も家内を看護することはありますし、私の事務所の者でも、奥さんがぐあいが悪いときは休みをとって御主人が当然そういうことをするわけでして、共生社会でございますから、お互いに助け合ってやっていくような時代をつくらねばならない。そういう意味で、今先生がおっしゃったような制度は拡充されていくべきだと私は思います。
 介護休業について言えば、現在の三カ月の制度というものは、私も父を介護してみた経験からいうと、それはもう短いと思います。しかし、この三カ月の休業をとっておられる方の率というものを考えますと、まずこれが一〇〇%近くとられるという状況をつくり出すということが、私は物事の進め方としては第一じゃないか。
 それから、将来的にこれを例えば六カ月とか一年とかやっていくためには、やはり企業としてもその負担に耐えられるようなそれなりの経済状況をつくってやらねばなりませんし、介護休業をおとりになる方に対して休業の給付を差し上げるだけの、家計が苦しくなく保険料の負担ができるような給与を差し上げる経済状況を実はつくっていかねばならないわけです。そういうもののバランスの上に国政というのは成り立っているわけで、先生のおっしゃった方向をやはり理想の旗として掲げながら現実を踏まえて努力をしていく、こういうことだと思います。
#14
○笹野貞子君 介護休業の休業給付というのは十一年の四月からですが、それまでの間、労働省は介護休業制度を導入した企業に対して補助金を出して助成をしているんですね。それをどのぐらいとっているか、助成額はどうかの数字を教えてください。
#15
○国務大臣(伊吹文明君) 済みません。今私が申し上げた低い率というのは、今先生が御指摘になったもので見た率でございますので、政府委員から答弁させます。
#16
○政府委員(太田芳枝君) 私どもでは、介護休業をできるだけ早く導入していただくために介護休業制度の奨励金というものをやっておるわけでございまして、これは最初の利用者が生じたときに中小企業で七十五万円、大企業で五十五万円をお支払いします。また、二人目以降の利用者が生じることに中小企業で二十万円、大企業で十万円をお支払いするものでございまして、平成七年十月から始めたものでございます。
 平成七年は後ろ半年ということもございましたし、PR期間というふうに思っていただければと思うわけでありますが、平成八年度におきましては約五百件の実績がございまして、また平成九年度におきましてはまだきちっとした数字は出ておりませんけれども、おおむね倍くらいになるというふうに聞いておるわけでございます。
#17
○笹野貞子君 五百件とか千件というのは、これはいかにも少ない数字であることがわかります。これはなぜかというと、やっぱり休んじゃうと給料がもらえないのと、また三カ月という期間が中途半端で使いづらいという、そういうところが私はいろいろと起因をしているというふうに思うんです。
 給付が大体二五%という、これは先ほど大臣は男性も女性もと言いましたけれども、しかし二五%という割合でいきますと、女性の給料の方が男性より圧倒的に低いわけです。そうすると、高い男性の方が仕事を休むと給料が入らなくなる。じゃ、やっぱりしようがない、犠牲になるのは女性だということになるので、そういう点では女性の方が、今はもちろん介護は奨励金を出していたとしてももらっていない人の方が大部分なので、ここはもっと改善する必要があるというふうに思います。
 そこで、これは大臣にお聞きするというよりも厚生省の分野なんですが、しかし、大臣は、厚生省と縦割り行政じゃなくて、これから大いに行革もあることですから頑張っていただいて、今育児休業は健康保険や年金制度の政策面から社会保険料が免除されております。しかし、介護休業ではこれはどうなさるのか。介護休業も大事にしなければ、せっかく二五%もらっても、この料金を払ったらものすごく少なくなってしまうわけです。そういう点はひとつ大臣、これは厚生省の方と交渉していただかなきゃいけないんですが、その御感想。
#18
○政府委員(征矢紀臣君) ただいまの点でございますが、先生御指摘のように、育児休業給付についてそういう制度的な問題があって、介護休業給付については現時点においてはない、こういうことでございますが、この点については厚生省におきまして関係審議会等でどうするかを検討中というふうに聞いております。
 制度のあり方としては、バランスを考えればやはり先生の御指摘のような考え方の整理がいいのではないかと私どもも考えますけれども、現実問題として、これにつきましては厚生省の所管部局で検討中でございますので、そういうことで御理解いただきたいと思います。
#19
○笹野貞子君 私は、その検討中ということを聞きまして、これはよほど労働省の方が頑張ってやらなければ、この財政構造改革的に緊縮財政なんだという一国を挙げて一たんアドバルーンを上げているわけですから、そっちの方の政策に乗っかってカットするのか、それとも、いや、やっぱり経済を復興させなきゃいけないのか。このごろの政府は使い分けをしますので、強いところには経済を活性化しようと言い、弱いところは緊縮財政と言う、こういう使い分けをすることは非常に私は危険だと思います。その点は労働大臣としては、労働省というのは働く人のためにある省であって、通産省と違うわけです。
 私が大臣にちょっと危惧を抱くのは、大臣はお金持ちの人のことしかわからないんじゃないかなという気がいたします。今度京都へ帰ったら、ぜひとも私と庶民のおつき合いをさせていただきまして、女性とか庶民というのはちまちまとやっているんだということを御理解いただきたいというふうには思います。
 何か御感想ありますか。
#20
○国務大臣(伊吹文明君) いや、私は小さな社会に住んでおりまして、先生のような大きなお宅に住んでおりませんので、お金持ちの生活はわかりかねますが、先生は先ほど御自分を弱い立場とおっしゃったように、大体強い人は自分を弱い立場と言うのが普通なんでございます。
 私が庶民のことがどれだけわかっているか、それは周りの人、有権者が判断してくれることだと思いますが、私のうちはもう長年中小企業としての苦しみをなめ尽くして三百年ばかり営業を続けているうちでございますから、本当の働く人の気持ちというのは、大企業の春闘などで今論じられているものではないことは十分承知いたしております。
#21
○笹野貞子君 京都というところは、お金持ちというのは資産であって、お札束じゃないんです。だから、この三百年というのはすごい資産で、そういう点では、大臣はひとつ働く人の立場に立ってこれから行政をお願いいたしたいというふうに思います。
 さて、もうこれは絶対大臣に聞いておかなきゃいけないということばかりになりましたので、沖縄の問題を一つお聞きいたしたいというふうに思います。
 沖縄にはいろいろな問題があるんですが、先ほど沖縄振興策に関する法案が通ったところでございます。非常にいいんですが、そこで私は、一つ労働行政としてこの振興策とタイアップしながらやらなければいけない問題があるのじゃないかなという気がいたします。
 それは、私も沖縄に何度も行っておりまして、この間は宮古島のすぐ近くにある伊良部島というところに行きました。そこに下地島空港という大空港があることを発見いたしました。この空港は三千メートル級の滑走路を持っておりまして、三千メートルというとジェット機の発着ができるということなんです。ところが、この空港をつくったはいいんですけれども、今はもう活用することがなくまさに眠ってしまっているというのを聞きまして、何とむだなことをするのか。それこそ巨額な税金をつぎ込んで、活用しなくなったからもうそのまま寝せてしまうというのは、これが日本のむだ遣いの典型的か例なんです。
 そこで、嘆いてばかりもいられませんので、我が愛すべき労働省といたしましては、沖縄に短期大学校があるんですが、これは知事も非常に力を入れて、沖縄の若年層の失業をフォローするためには能力開発をしなきゃいけない、技術を身につけなきゃいけないということで四年制大学校になると思いますが、この四年制大学校になったときのカリキュラムをどうするのかを私はまず知りたい。
 国がやる仕事ですから、民間でもできるような仕事というよりもパイロット養成とかヘリコプターの操縦士というようなもの、私は余計なことを言いますが、この間選抜の高校野球を見ていますと、航空高等学校があって、それが整然と並んでいるのを見て、こんなにたくさん生徒がいるんだ、そして代表を出すためには相当な人数がいる。量から質へなんですね。やっぱりこれからはこういうことを望んでいるんだ、国民のニーズというんでしょうか、国際的な感覚、国際的に通用する技術というのが必要だと思うんです。そこで、能開がこの空港をパイロット養成科とかそういうものにしてニーズにこたえるということ。
 続いて、私は永田町小学校を見ると、あそこが空き家になっているんですね、あんな一等地に広い小学校の校舎がそのままになっている。これも労働省は借り上げて、あそこで何か有効なことをやるというぐらいな、縦割りじゃなくて横の行政政策をするということについて、大臣にお伺いしたいと思います。
#22
○国務大臣(伊吹文明君) 沖縄の振興につきましては、関係閣僚会議というのがございまして、私もその一員になっております。そこで、先生御指摘のように失業率は非常に高うございます。特に本土と違いますのは、若年属の失業率が非常に高いですね。これは基地依存の沖縄経済というものが長年続いてきた。我々日本人すべてがその責任を負わねばならないことだと思います。
 そこで、沖縄県からも要望がございまして、先ほどお話しの職業能力開発大学校へ転換を図るとかそういうことは鋭意やっておるわけですが、さて、そこへパイロット学科をつくるというのは、パイロットというのは人の命を預かる非常に難しい仕事でございますので、運輸省の養成施設というところで今まではやってきております。むしろ沖縄県と運輸省が、沖縄県が今先生がおっしゃったような要望をお出しになって、そして運輸省がその空港を今先生がおっしゃったような目的に使ってもらうというようなことが一番現実的な流れじゃないかなというふうに私は思います。
 ただ、きょうはそういう一つの御提言があったということは藤井大臣に伝えておきましょう。
#23
○笹野貞子君 大学校のカリキュラムの件についてちょっと。
#24
○政府委員(山中秀樹君) 沖縄の短期大学校の大学校化に向けて十一年度からということで今鋭意いろんな関係方面と学科等を検討しつつありますが、現在のところでは、沖縄県の要望等もありますので、機械関係の訓練科、機械システムの関係、生産機械システム技術科という科を設置いたしたいという方向で検討いたしておるところでございます。
#25
○笹野貞子君 これで質問を終わりますけれども、大臣、縦ばかりじゃなくて横にもウイングを広げて、労働省の存在というのは非常に重大なんだと、働く人六千万、日本の人口の約半分を統括するところですから、その点どうぞ大臣、胸を張ってひとつやっていただきたいというふうに思います。
 終わります。
#26
○山本保君 公明の山本保です。私は、雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案についてお聞きいたしまして、駐留軍等につきましては木庭委員の方からお願いすることにしております。
 最初に、雇用保険法を私も実は今回この委員会に入りまして初めて読ませていただきましてなかなか大変な法律であると思いました。できればもっと早く、これだけの内容のある法律改正となれば、日切れ扱いというようなこそくなと言っちゃ申しわけございませんが、そう見られるような方法をとらずに、一年近く前から出していただいた方がよかったんじゃないかなというような気がいたします。
 その中で、非常に今の状況に応じて意欲的な施策だなと思われるところもあるわけでございますが、最初に、今笹野委員の方からも厳しい御指摘があったところでありますけれども、雇用保険の失業給付、また高齢者給付金等について国庫負担を削減する、もしくは廃止する。この辺のところは一般的に考えましても、こういう厳しい状況であるということはわからないでもありませんが、一般的には雇用保険は大変保険制度としては順調に動いているというふうに思っているわけでありまして、こういうときに、そのために国庫負担を削減するのかなと、それとも、いや財政が厳しいのでやっているのかな、この辺の理由が私は何回お聞きしてもどうもはっきりしないところなんでございます。
 そこで、何度もお答えになっているかもしれませんが、まずこの両方の廃止と削減をどういう根拠で、どんな理由で行うのかということについてまず御説明いただきたいと思います。
#27
○政府委員(征矢紀臣君) ただいま御指摘の点でございますが、おっしゃるように、雇用保険制度の運用状況につきましては、関係の方々の御努力によりましてまあまあ適切な運用が図られているというふうに理解いたしております。
 今回の国庫負担のあり方の問題でございますが、これにつきましては、御承知のように、非常に財政事情が厳しい中で財政構造改革を進めるべきであるということから、昨年、財政構造改革関連の法律が成立いたしました。その中で、この雇用保険制度のあり方につきまして、高年齢求職者給付金の国庫負担の廃止の問題と、それから一般的な国庫負担のあり方の見直しがその法律の中で条文化されておるところでございます。
 これに基づきまして検討いたしたわけでございますが、その基本的な考え方といたしましては、高年齢求職者給付金につきましては、これはずっと働いておられて六十五歳を過ぎてやめた方に支給するものでございまして、これに失業給付と同じように五分の一の国庫負担がついております。
 一方で、既に法律で確定いたしております年金制度につきましては、基本的には六十五歳支給という方向でございますが、六十五歳を超えた方につきましては、これは全員年金が支給される、その年金にはやはり国庫負担がついている、こういうことでございます。したがって、同じ人に国庫負担がダブルで一般会計の負担がついている、こういうことからこの負担を廃止すべきである、こういう考え方でございます。
 それから、二点目の一般的な国庫負担のあり方につきましては、これは財政構造が非常に厳しい中でしかるべきあり方を見直す、こういうことでございますが、現実に一方で雇用失業情勢が非常に厳しくて、御承知のように一般会計につきまして当初予算の要求、いわばシーリングの枠がございます。この財政構造改革法におきましても、当初予算につきましては対前年増額をできるだけ抑制すべきである、こういう基本的な考え方でございます。
 そうしますと、雇用情勢が厳しくなりますと雇用保険の受給者実人員は現実には非常にふえてまいるわけでございます。現在、大体三千億弱の当初予算におきます国庫負担がございます。三千億で現在の国庫負担の率でいきますと、受給者は六十数万人、こういうことになります。ところが、現実には非常に厳しい雇用情勢の中で、受給者の実人員が現在九十万人を超えております。
 ということで、そういうところをにらんで考えますと、当分の間、国庫負担について現在の負担を三割程度カットする、そういうことで受給者実人員に見合った仕組みとして対処する、こんな考え方で整理をさせていただいているところであります。
#28
○山本保君 ありがとうございました。
 それでは、そのことについて少し詳しくお聞きいたします。
 まず最初に、これは大臣にお聞きしたいんですが、今の御説明ですと、この財政改革の特別法によってこれを行うんだ、こういうふうにはっきりお答えになられましたけれども、今これは与党がどういうふうにされるのかもちろん私どもわかりませんが、この法律改正をするとか、廃止なのか停止なのか、何かそういう話が非常に伝わっております。それほど今景気に対する大変な状況であるということでございます。
 もしそういう理由であるならば、この法律が改正もしくは事実上動かなくなったときには今回のこの雇用保険についての法改正も当然見直すべきではないかと思いますけれども、その辺についてどうお考えですか。
#29
○国務大臣(伊吹文明君) 先ほど笹野委員の同種の御質問にお答えを申し上げましたように、与党三党では補正予算等いろいろなことをおっしゃっております。その関連で財政構造改革法を改正しなければならないかどうかという議論がマスコミには取りざたされておりますが、総理が何度も予算委員会等でお答えをしておりますように、率直に言ってこの法律には停止条項、万一の場合には財政構造改革法に書かれている趣旨を一時停止するという弾力条項というんでしょうか、アメリカの法律などについているものはついていないということを一つの法制上の視点として御質問があることについては検討させていただくということを総理は答えているわけでありまして、この法律を改正するということは申し上げていないと私は思います。
 したがって、この法律を改正するという前提でお答えをするのは私は適当ではないと思いますが、基本的に財政の状況を直していかねばならないというごとは、これはもう山本先生も決して否定はなさらない、それをどういうペースでやっていくかということでございましょうから。したがって、先ほど政府委員が答弁を申し上げましたけれども、どちらかというと、諸先輩の御努力でこの保険は非常にうまく動いておるわけです。そこへ実は国庫負担というものが入っているわけです。
 この労働保険というのが特別会計という形で雇用、労災という勘定に分けて経理管理されている意味は、全国民を対象とするいわゆる福祉的な公共サービスではなくて、民間で働いている人たちが失業をされた場合、労務災害を受けられた場合に備えるために、そういう人たちの拠出で、そういう人たちの万一の場合に備えるという独立採算的な特別会計として経理しておるわけです。
 そこへ国庫補助、つまりこの会計の恩恵に欲さない人、自営業者あるいはまた公務員、こういう人たちの納めておられる税金が財源となっている一般会計の国庫補助を入れるかどうかについては、これはやはり相当哲学的な論争が必要だと私は思うんです。
 ですから、例えばサラリーマンが対象になっている健康保険あるいは厚生年金、こういうものについては一般会計からの助成金というのは入っていないんです。それは、すべての方の税金を一部の方々の会計に入れるについてはそれなりのやはり理屈が要るからなんです。そこで、一般会計の状況が非常に悪いので、できれば一般会計から入れる部分を少しだけでいいから助けてくれないかというのが大蔵大臣のお話であったわけです。
 私の方としては、保険料率もこのところずっと、これは先生御承知のとおりですが、当初始まったときは千分の二十二だったんですけれども、平成四年にこれは千分の九になりました。そして、今はこれは千分の八で動いておりますので、そういうことも考えながら、国庫補助というものは、将来保険料率をさわらなければならなくなるまでは少し一部分遠慮を、その他の国民の財政状況も考えれば遠慮をしようかという決定をしたわけでして、財政を立て直していく上では私はこれはやむを得ないことではないかと、こんなふうに考えておるんです。
#30
○山本保君 大臣、率直なお話だと思います。ただ、最初の方の、マスコミの取りざたであって、総理は具体的に法改正は言っていないというのはおっしゃるとおりかもしれませんけれども、これは何というか、まさに法律的なことであって、どうも今のままではこの財革法が何らかの意味で、どういう形式をとるかは知りませんけれども、事実上ストップするであろうということが今言われているわけですから、そうなったときにこの法律はどうですかと、こういうふうにお尋ねしているわけです。
 責任者としてまだ決まってもいないことについて答えられないということであろうかとは思いますけれども、しかしもしこれが内閣として決まれば、そのほかの各省の予算についても当然見直しということに入るべきではないかと思いますし、労働省としては率先してそれを言っていただかなくてはならないんではないかと思いますが、その辺についてはどうですか。
#31
○国務大臣(伊吹文明君) なかなか仮定の話にはお答えしにくいんですが、与党が提案しておりますような措置をやるかどうかですね、まず。やる場合にも、あの条文をずっと先生お読みになっていると思いますが、平成十年度の赤字国債を大幅に発行するような景気対策をやらない限りは、財政構造改革法というのは改正しなくてもいい仕組みになっていると私は理解しています。
 したがって、これはちょっと私がこのことにお答えをするということは適当ではないと思います。
#32
○山本保君 そういう考え方があるのだということは聞いておりましたが、今大臣の口から直接赤字国債というものなのだと。つまり、法律はあっても赤字国債の考え方を変えれば実際には効果があるというような趣旨の御答弁かと私は思いますけれども、重要な答弁だと思います。これ以上このことについては、確かに仮定のことですので、また状況が変わったときにお聞きするということにいたします。
 二番目にお答えになりましたことも、これも重要なことをおっしゃいました。つまり、雇用保険というのは、六十六条によって国は四分の一を負担する。ということが法律に決まっているわけです。大臣はこのこと自体も見直す必要があるのだというような趣旨のお話だという気がしましたが、いかがでございますか。
#33
○国務大臣(伊吹文明君) 四分の一の補助を本則で入れたときには、そういう国民的合意のもとで国会の議決があったから入れられたわけです。その後、諸般の状況が変わってきておりますから、四分の一の国庫負担率というのは、先生御存じのように、何度も国民の負担との関係でずっと調整をされております。
 国庫負担というのは、実は大蔵省が打ち出の小づちを持っていたり、労働大臣である私が雇用保険特会に差し上げるものではなくて、みんな国民の税金でございます。だから、対象が大きくなるのに国庫負担を維持していったり拡大していくということは、他の条件が同じであれば増税をしなければできません。そういうことを勘案して、この特別会計の状況等が許すのであれば、国民に過大な負担を求めないようにそこを調整していく、こういう意味でございます。
#34
○山本保君 もう一つ、これは局長の方からシーリング枠があってそれで削らざるを得ないのだと。私も官僚をやっておりましたのでその苦しさはよくわかりますけれども、しかし、そうなりますと、例えばお年寄りといいますか、高齢者に関しては、カットするというのはちょっと冷たい施策じゃないかなをいう気もするわけなんです。全体の枠の中でもう少し工夫してしかるべきではないか。何か年金との両方の兼ね合いがあるので切ったというのは、これはまさに論理的というか理屈でありまして、そういう理屈がまずある上で、しかしながらというのが行政ではないかという気がするのです。
 このことはこれぐらいにしたいのではしょって言いますが、大臣、先ほどの笹野先生とのお話の中で、御自分では年金制度の方で持つべきではないかとおっしゃいましたけれども、しかし御存じのように、年金の方でも、逆にこれは年金という形ではなく、労働者の生きがいというようなものをどうすべきかという議論がされているわけであります。大臣の気持ちはわかりましたけれども、どうも大勢的には反対ではないかという気がするのですけれども、その辺はいかがでございますか。
#35
○国務大臣(伊吹文明君) 年金で持つべきだとは私御答弁はしなかったと思います。
 六十歳から六十五歳の間の方は年金を減額されておられます。先生は厚生省の御経験がおありになるから御承知だと思いますが、年金を減額されておられます。
 そして、いずれは六十五歳以上でも働き続けていただかなければもう日本はもたないんです、少子社会ですから。だから、いずれ私はそうなると思いますが、そうなっていった場合には、むしろ六十歳から六十五歳までの今までの政策の延長としては年金で調整をすべきであって、働き続けるという意味では本来こちらは残すのが筋なんではないだろうか。
 しかし、年金だけをカットしてしまっては、年金をもらって働かない方がいいという方が必ず出てまいりますから、できれば私は年金財政がある程度落ちつけば、今の少子・高齢と言われるものが平均的な、働く世代と年金世代とのバランスがとれる時代になれば、やはり働き続けるときにカットされた年金を将来年金生活にお入りになったときに何かの形で戻すというインセンティブがないと、継続雇用という観点からは難しいのではないかということを申し上げたわけです。
#36
○山本保君 私が最初に今の件で申し上げましたことは、こういう現在高齢社会に向かっていくときに、高齢者の方のカットをしたということは行政的に私は余り芳しいものではないのではないかというふうに考えたわけでございます。
 今、大臣おっしゃいましたことは、ぜひ小泉厚生大臣と一度大きくやり合っていただいて、つまり両方の省がどうも違うことを言っておるようでは困ったなという気がいたしますので、これについては結構でございます。
 次に、教育訓練給付制度の創設についてお伺いいたします。
 これは、支給額が二十万円で実費の八割に相当する額を出しますよと、こういうことでございますが、先回の委員会でも少しお話があったと思いますが、もう一度はっきりさせるために、この額をどういうふうに決めてこられたのかということについて御説明いただきたい。
#37
○政府委員(征矢紀臣君) 教育訓練給付金でございますが、これにつきましては、雇用保険の被保険者の方、あるいは被保険者であった方で一定の方、こういう方を対象として支給するというものでございます。
 その支給額につきましては、教育訓練の受講のために支払った入学料及び受講料の実費の八割相当額ということを予定いたしております。
 八割相当額という考え方は、労働者個々の方々が自分の将来等を考えて教育訓練を受けた場合に、その労働者個人に給付する、こういう新しい制度でございます。したがって、制度としては労使折半の保険料を財源としているわけでありますが、そういうものですから、やはり受けられる方の自己責任ということも考慮して、それを二割分いわば引いている、こういうことでございます。
 それから、上限につきまして一応二十万円と、これは予算上そういう積算をいたしております。教育訓練につきましては、夜間訓練あるいは土曜、日曜あるいは通信制度も柔軟に考えておりまして、そういう意味で通信制、通学制を合わせた一般的な費用、これで一応二十万円ということであれば大体その制度の対象になり得るのではないか、こういうことで積算をいたしております。
 ただし、この上限額につきましては、今後の物価の動向等を考慮いたしまして、今後は状況に応じて検討する、こういう枠組みで考えております。
#38
○山本保君 物価の状況などというのであれば、本当に二百円とか五百円とかということしか考えていないというふうに聞こえます。そういう意味なのかもしれません。しかし、これは労働省のこれからの労働政策の基本的な柱ではないでしょうか。
 二十万円というのはきっと何らかの意味で調査をされたりそれなりの根拠があると思いますけれども、現実にその程度であるということと、これからの雇用の流動化がもう避けられない。避けられないというよりも、労働省としては、よりそのために労働者が悩まず、よりよい自分に合った仕事につくための積極的な意味合いを持っていくのが労働行政ではないかと、口幅ったいようですが、私は思うわけです。
 そうしたとき、八割という理屈はよろしいです、わかりました。しかし、二十万円というのでは、どの程度の一体労働力形成を考えているのか、能力形成を考えているのか、まさにお寒い状況ではないかと思いますけれども、大臣、ここはどうですか、政策判断としてこの程度でよろしいんでしょうか。
#39
○国務大臣(伊吹文明君) 先生も公務員としての御経験がおありになるから、その間の事情はよく御理解いただくと思いますが、税を負担してくださったり保険料を出してくだされば何でもできるわけです。やはりそのバランスの中で物は考えなければならない。
 しかし、今おっしゃったことは非常に大切なことであって、私は終身雇用論者なんですけれども、将来特に雇用が流動化していくという部分は否定できないと思います。そういうときに、日本の働く人たちがすんなりといろいろな職場に変わっていけるような自己開発というのはできるだけ充実させた方がよろしいでしょう。
 したがって、まず産んでいただいて、それから周りを見ながら育てていく。必要があればまた保険者の、費用を負担しておられるのはもちろん保険者でございますから、保険者の納得をいただいた上で、将来的には今おっしゃったようなことを措置していく必要が出てくれば機を逸せずにやらせていただきたいと思います。
#40
○山本保君 ぜひここは機を逸せずといいますか、機を読んでやっていただきたいと思います。
 これは簡単でいいんですが、ビジネス・キャリア制度という制度を労働省はお持ちだというふうに今回知りました。この制度と今度の新しい制度との関連がどうもわからないんですけれども、この辺について簡単にお答えいただけますか。
#41
○政府委員(山中秀樹君) 私ども、ビジネス・キャリア制度という制度がありますが、これはホワイトカラーを中心にした、現在ホワイトカラーが非常に増大しつつありますので、そこに高度な専門能力をつけるということで発足したわけでございます。基本的にはホワイトカラーの段階的かつ体系的な専門的知識、能力の習得を支援するという制度でございます。
 具体的に申し上げますと、私どもの基準に適合する全国約三千教育機関を指定いたしまして、そこで人事管理なりあるいは経理、営業、マーケティングとかいろんな科目、十種分野を今指定いたしております。そこで教育訓練を受けた人たちに対して、一定の能力がついたということで修了認定試験を実施いたしまして、それに従って能力評価というものを行っておるわけでございます。これはホワイトカラー向けの能力評価システムとして御理解いただければと思います。
 そういう意味で、これから雇用が流動化していく中で、こういう目標を持ってどの程度能力がついたかということを客観的に評価するということが極めて大切な課題ではないかと思っておりまして、これにどんどん力を入れていきたいというふうに思っております。
#42
○山本保君 一般的にはこの制度は、今までの労働省の施策、特に能力開発というのがいわゆるクラフト型の、職人さんというようなものの能力検定にあったものでは実際には合わないわけですよ、この日本の産業構造に。それでこういうのができたというふうに言われていると思うんです。
 ですから、細かいところは別として、私はこれ自身やられるのはいいと思いますが、もうそろそろ、まさに今回のこういう制度をつくる、大きな制度をつくられるようですから、今まで考えてきたような労働能力をどう開発していくのかという総合的な施策を出さなくちゃいかぬと思います。何か思いつぎのような小さな施策をこちょこちょとやって、例えば企業がやられる促進事業もありますね、これについてはきょうは時間がありませんのでお聞きしませんけれども、企業がやればまた出す、個人が行けば出す、その中身がホワイトカラー的なものだったらまたこんなのがある、こういうようなものではなくてやっていただきたい。
 それで、きょうは文部省にも来ていただいておるわけですが、大臣、そうなりますと、これは文部省の施策ともっときちんと連携をしなければならないと思うわけです。
 それで、文部省の方に、この前新聞にも載っていたんですが、社会人の大学院入学、時間がないので言いますが、いただいた資料の数字ですと行っておられる方はいかにも国立大学が多いようですけれども、実際は教員の現場におられる方が大半じゃないかなという気もするんです。新堀教授でしたか、私立の方が大学院への引き受けが多くて国公立は少ないんじゃないかというような、たしかそんな論調もあったと思いますが、この辺について、どういう状況でどうお考えですか。
#43
○説明員(清水潔君) 大学院の社会人入学者数についてのお尋ねでございますけれども、これは平成九年度でございますが、修士課程の入学者数が四千三百五人、うち国立が二千二百三十八人となっております。また、博士課程につきましては、千八百七人のうち国立が千二百二十二人、こんな状況になっております。
#44
○山本保君 ここはこれ以上追及ということもできませんので、ぜひ労働省としてこの辺の文部省とのきちんとした連携を図る。
 私は教育がもともと専門なので申し上げますが、こういう状況になってきておるのに、この前たしか申し上げた、今や残っているのは国家公務員と一部の一流企業だけですよ、いわゆる最初の試験でノンキャリとキャリアを分けたりなんてこんなことをやっておるのは。もういろんな地域を回っていまして、普通の会社の人は何々大学であれ能力がなかったらだめだ、こういう時代になってきているわけです。ところが、大学教育とか高等教育自体が相変わらず二十二、三歳卒業ということを前提とした教育制度になっている。再教育するんだと言うけれども、再ではないんだ。もともと最初からやらなくちゃいけない方の教育をやらずにおいて再教育も何もないと思うんです。
 それで、具体的にもう一つだけお聞きしたいのは、能力開発促進法に有給教育訓練休暇制度というのがあって、これは企業主に努力せいと、簡単に言えばこういう制度です。これは労働省が自分でまず努力しなくちゃいかぬのじゃないかと思いますが、この制度の先行きについて何かお考えがあったらお聞かせいただきたい。
#45
○政府委員(山中秀樹君) 有給教育訓練休暇制度につきまして、若干基礎的なデータ的な状況を申し上げますと、現在、有給教育訓練休暇制度がある企業は全体で見ますと二一・八%、これは三十人以上の規模の統計でございますが、そんな形で有給教育訓練休暇制度が普及いたしております。
 私ども、この有給教育訓練休暇制度、これから主体的に能力開発を行っていくためには費用面、あるいは特に労働時間面での支援というのが非常に大切であるというふうに考えております。現在、自己啓発助成給付金制度というのを持っておりまして、それに従って助成措置を講じておるわけですが、これからは主体的な能力開発ということが重要な能力開発行政のポイントとなりますので、そういう意味でこの制度の普及促進というのを図ってまいりたいというふうに考えております。
#46
○山本保君 今、この概要という制度全体の内容がわかりやすい表をいただいて説明もいただいたわけですけれども、この労働能力開発、また今後の日本の産業構造というものと、それから労働者の生きがいというものを考えたときに、いろんなところで全部ばらばらなんです。これももう少し整理をして、もっと大きな予算できちんと対応できるようにしていただきたいということを申し上げまして、次に介護休業についてお伺いいたします。
 まず最初に、ちょっと中身なんですけれども、この介護休業の制度を見ますと、これは厚生省が言っている介護とは違うんですね、対象の方は。これは素直に読みますと、介護保険のときに相当もめたわけですけれども、いわゆる障害者も含むと読めますが、それでよろしいのかどうか、まずお答えください。
#47
○政府委員(征矢紀臣君) 介護休業につきましては、先生御承知のように、別途育児及び介護に関する法律がございまして、来年の四月一日からこの介護休業が全事業主に労働者の請求権として義務づけられる、そういうことでございます。
 これが三カ月間ということになっておりまして、そういうことを背景といたしまして、今回介護休業に対する給付制度を雇用保険の枠の中で設けるという考え方でございます。その休業の対象となる介護につきましてどういう方がなるかにつきましてちょっと私具体的に承知いたしておりませんので、即答は控えさせていただきます。
#48
○山本保君 私の方もそこをきちんとまずお聞きしなかったので、これは「労働省令で定める理由」と、こうあります。ここで、いわゆる厚生省の介護でいえば、もちろんこれは六十五歳以上であれば対象は何でもよろしいと、今度の介護保険の定義でいいますと。それまでは加齢という、お年寄りになったということでの脳の動かない、これは対象にするけれども、そのほかの障害に関しては対象としないということなんです。しかし、労働省の方を見ますとそうでもないようにも読める。子供というようなことも対象にあります、親だけではないようです。ですから、これは今は結構でございますから、後でまた教えてください。
 それで、このことで大事なことは期間と二五%という、これでございます。なぜ二五%なのか、これについて根拠を教えてください。
#49
○政府委員(征矢紀臣君) 期間につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、別の法律に基づきまして事業主に義務づけられております介護休業の期間が三カ月。これは、したがって全労働者の権利として認められている介護休業期間が三カ月と、こういうことが背景にあります。したがいまして、雇用保険制度でそれに対する給付制度をつくるというのが基本的な考え方でございます。
 それから次に、二五%につきましては、これは既にでき上がっております制度、育児休業給付、これの給付率が二五%となっておりまして、この給付の内容が、育児あるいは介護という事由は違うんですが、休業に対する給付ということで同様の制度でございますので、その横並びで今回二五%という考え方で整理をいたしたところでございます。
 この点につきましては、関係審議会におきましてさまざまな議論もございましたが、結論といたしまして今言ったような形での御理解をいただいたところでございます。
#50
○山本保君 二点言いたいんです。
 審議会の意見を見ましても、育児休業と同程度でよろしいといったしか答申が出ているということで、今そういうお答えがあったと思います。
 しかし、ちょっとおかしいと思いますのは、育児休業というのはあれは一年間であって、そして私も厚生省におるときに、なぜこういう根拠でやったかと現場の方でいろいろ検討をしてお聞きした限り、たしかこれは育児休業にかかることによって仕事をやめられる、やめられるときに失業給付が出る、この失業給付は大体六割ですか、それが百日間ぐらい出るであろうと。この関係から二五%が決まったと。
 簡単に言えば、もし育児によって仕事をやめられては、労働省としてはといいますか、労働者の福祉という点でいえばプラスは余りないだろうということから、やめられないように二五%に決めたと、私はこういうふうに思っておるんです。
 そうしますと、今度介護の場合は三カ月間だけ二五%ということは、介護休業をとって給料を取るよりも、仕事をやめて失業給付をもらった方が労働者の方はたくさんお金をいただけるじゃないですか。どうですか、これ。これじゃ意味がないんじゃないですか。
#51
○政府委員(征矢紀臣君) 育児休業給付につきましての給付率につきましては、先生御指摘のようなやめた場合の雇用保険制度の給付、これとのバランスで二五%という形になったのは御指摘のとおりでございます。
 それで、介護休業につきましては期間が三カ月間でございますから、期間が短い、そういう意味では二五%をもっと高くしてもやめた場合のバランスでいいじゃないか、こういう御指摘でございますが、先ほど申し上げましたように雇用保険制度で同じような内容の給付の額、こういうものを考える場合には、やはり横並びということを制度としては考えなければならない。逆に言えば、期間が短いわけですから、その間雇用のつながる可能性も大きい、こういうことになろうかと思います。
 それから、育児休業給付のときも御議論があったんですが、休むわけですからノーワーク・ノーペイの基本原則、これはやはりあるわけでございまして、そういうものを前提として、雇用保険制度の保険料を財源としてどこまで給付を考えるか、こういう観点から一定の積算をしているものであります。
#52
○山本保君 育児のときの理屈というか、その根拠づけというのはわからないわけでもないんですが、介護についてはどうも今の御説明ではわからない。
 そのためにやめるというようなことはないかもしれませんけれども、しかし本来こういう有給休業の考え方というのがあるわけですから、それはもう少し考えて、二五%ではやはりやめた方が得だよということになると思います。せめて五割から六割ぐらいにしなければいけないのじゃないかと思うんですが、これは私の意見として申し上げます。
 次に、三カ月ですけれども、これ三カ月間というのは、私も実はきのうある知人のところへ行ったりしておったんですが、毎日毎日実の子供さんが見なくても、今訪問看護とかいろんな方が来ておられますので、連続してずっと休む必要はないと思うんです。
 それで、三カ月間というのは例えば九十日間というふうに解釈して、週に一回もしくは二回でも九十日間とれると、こういうふうな運用をされると非常に喜ばれるのではないかと私は思いますが、これはいかがでございましょう。
#53
○政府委員(征矢紀臣君) 介護休業給付につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、別の法律におきまして事業主の義務、労働者の権利として介護休業制度がつくられておるわけでございまして、これが三カ月間でかつ一回限りと、こういうふうになっております。したがって、この法律、制度を前提とする限り、それに対する給付というのはやはり三カ月間一回限りという給付として考えざるを得ないということかと思います。
#54
○山本保君 労働大臣、どうですか、今の答弁をお聞きになって。いかにも官僚的で情がない答弁じゃないですか。三カ月イコール九十日と解釈せよと、これ一言で済むことじゃないですか、どうですか。
#55
○国務大臣(伊吹文明君) 今、政府委員が答弁を申し上げましたのは、官僚的な答弁というのではなくて、別途の法律で介護休業というのはこれこれしかじかだと書いてある、そして今回は、その休業をとった場合の休業手当を支給することをお願いしておるんだということを申し上げたわけであります。
 したがって、本来の法律を変えるかどうかという先生の御議論は、介護休業というのは、三カ月一回限りというところを変えるかどうかということになりますと、例えば生産ラインに乗っている人とか、これはいろいろな問題がやっぱり出てくると思うんです。そこのところは一つの御提言として受けとめさせていただいて、私も率直に、自分の父を介護した経験からいきますと、先生がおっしゃっているような形がとれれば一番よろしいと思います。
 しかし、今度、そのために企業の方が代替要員の手当てができなくなっちゃったとか、間だけぽこぽこあいてやってるところに生産ラインを埋める人を入れていくというのはどうかとか、いろいろな問題がやっぱり出てくると思いますので、少し研究させてください。
#56
○山本保君 まさにそういうことが出てきたときに対応されるということが必要なのであって、出てくるかどうかわからないところで企業側に立って御判断されたのではまずいと思います。しかも、法律ができたときにはこういう高齢化社会への対応ということを労働省としては余りつかんでいなかったんじゃないか。またサービス体系というものも。これからはいろんな形で専門家が在宅の援助に来るような形をとるわけでございますから、早晩この法律では動けないと思いますので、ぜひ大至急検討していただきたいと思います。
 最後に一つだけ、先ほど笹野先生の御質問にあった介護休業中の社会保険料でございます。厚生省の方に来ていただいておりますので、先ほどは労働省から、厚生省の審議会で検討中なので我々は手が出せないから見ているというような趣旨の御発言がありました。ここはもっと積極的に厚生省としては対応していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#57
○説明員(霜鳥一彦君) 社会保険につきましては、主に被保険者や事業主から拠出していただきました保険料によって成り立っている制度でございますので、制度の運営につきましてはこれら保険者の理解が不可欠でございます。
 したがいまして、介護休業期間中の保険料免除につきましても保険・年金制度全般の運営にかかわるものでございますので、医療保険のことを申し上げれば、財政は厳しい状況でございますけれども、介護休業に関しましての保険料負担軽減の必要性、あるいはそのあり方につきまして、社会保険料拠出者でございます保険者等の関係方面との議論を尽くしていただきながら、今後十分研究してまいりたいというふうに思っております。
#58
○山本保君 ぜひ積極的にやっていただきたいと思います。
 最後に一つだけ、人事院の方もおいででございます。公務員に関してはどのような対応が考えられているのか、簡単で結構でございます、お答えください。
#59
○説明員(高橋秀樹君) 民間におきまして雇用保険制度の中で介護休業取得者に対する経済的援助として既に措置されている育児休業給付と同様の介護休業給付がなされることになれば、公務におきましても、公務員の勤務条件については社会一般の情勢に適合するという原則から、民間とのバランスを保つために介護休暇中の職員に対する何らかの経済的援助の措置の必要性について検討する必要があると考えております。
 他方で、介護休暇中については休暇の時間数に応じて給与を減額するという方式をとっていることもございまして、その間の給与との関係等も考慮する必要があることから、関係機関とも協議しながら検討を進めたいと考えております。
#60
○山本保君 ありがとうございました。終わります。
#61
○木庭健太郎君 今、介護休業の問題を随分論議していただきましたので、大臣に、今後この問題でどう取り組まれるかをちょっとお聞きしたいと思うんです。
 なぜかと申しますと、介護休業の問題というのは衆議院でも河上という議員が少し発言をしたと思うんですけれども、今のこの介護休業に関する法律ができる前、私ども当時公明でございましたけれども、介護休業法というのを議員立法でかつて出しまして、そのときも、期間を何日にするのか、看護とのやりとりをどうするのか、対象者をどうするのか、しかもこの給付の問題をどうするのかということで随分悩みながら法律をつくったような経過がございます。そして、実際にこの法律ができ上がり、その中で一番重要な点であった介護休業中の給付という問題、私どもとしてみれば、労働省としてようやく一歩踏み込んでいただいたと、こう思っているわけです。
 ただ、いずれにしても、今議論がありましたように、この二五%という問題でどうなのか、大臣のおっしゃる三カ月でどうなのか。また、これは育児休業の問題ともかかわってくるんですけれども、今育児休業が二五%、これはノーワーク・ノーペイとか、いろんな議論をしながらこれもやってきました。
 そういういろんな経過の中で、今スタートをさせていただくわけですけれども、今後は給付額の問題、そして期間の問題、それから先ほどから議論になっている看護というような問題にどう取り組んでいけばいいのか、さまざまを問題を含みながらようやく第一歩をスタートさせていただける、こう思っております。
 この点を踏まえまして、大臣をして今から、先ほどもおっしゃいました、これはもう保険を払っている保険者の負担の問題も考え、いろいろ検討しなくちゃいけない問題だ、もちろんそのとおりでございます。ただ、一歩を踏み出すに当たって、もちろんそれをスタートさせていただきたいというのが大臣のお気持ちでしょうけれども、今後、こういった問題、先ほど言いました期間、給付額の問題、看護の問題を含めてどのように大臣として考えていかれるのか、所見があれば一言伺っておきたいと思います。
#62
○国務大臣(伊吹文明君) 実は先ほどの山本先生の御質問にも関連するお尋ねなんですが、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律というのを、これは先生も当選二回でいらっしゃいますから、当然そのときに参加されたと思うんです。この法律の中で、先ほど来お話のあった三カ月とか、こういうことは実は決まってしまっているわけです。それに対して、とりやすいように財政面の支援をしていくというのが今回のお願いの筋でございます。
 今、木庭先生がおっしゃったように、いろいろ紆余曲折があってとりあえずスタートをした、手をつけたという御評価をいただいているわけですから、まずスタートをさせていただいて、それから保険者の負担云々ということもありますけれども、やはり一番大切なことは現場の労使関係だと思うんです。働く人たちによかれと思って少し改正をしてやってみた結果、大企業で守られているような人はともかくとして、そうじゃないところでは帰ってみたら職場がなかったとか、そういうことになるのが実は私は一番怖いわけです。そういう実態も少し見極めさせていただきたいと思っております。
#63
○木庭健太郎君 ぜひそういう面をフォローしながら、これが本当に円滑に法としてとりたい人もふえていく、こういう流れにぜひなるように労働省としても御努力をいただきたい。ある意味では思いのある法案が少しは実を伴って発足するんだなと、こう思っておりますので、ぜひお願いをしておきたいと思います。
 駐留軍関係離職者等臨時措置法について何点かお尋ねをしておきたいと思います。
 一点は、今回は二つ法律があるんですけれども、漁業離職者については最近の国際漁業規制の動向に配慮したというか、ある程度の予算も確保していただいておるんですけれどもい駐留軍関係離職者については予算の増額もほとんどないというような状況でございます。そういう意味では七百四人の方々なのでございますけれども、平成十二年度末には基地の返還の問題もございます。今回こういう駐留軍関係の方だけちょっと何か取り残されたような気がするんです。法改正を見送ったような感じもするんですけれども、その辺についてどのようにお考えか、聞いておきたいと思います。
#64
○政府委員(征矢紀臣君) 駐留軍関係離職者対策につきまして、今回臨時措置法に基づく対策、これは国際環境の変動に対応してとられる特別の対策ということでございまして、幾つかの対策をとるわけでございます。また、長期間にわたる駐留軍従業員を取り巻く状況等の見通しを立てることがなかなか難しい。そういうことから、これは出発点におきましては国会における議員立法でスタートいたしたものでございますが、期限を限って時限法による、こういうことでその時々の国際環境の変動の状況に適切に対応できるよう必要な検討を行い、法の有効期限の延長を行ってきた、こういう経緯でございます。
 御指摘のように、平成八年十二月に公表されましたSACOの最終報告におきまして、平成十九年度末までを目途として、沖縄県における米軍の施設及び区域の総面積の約二一%が返還されることが盛り込まれておりまして、この返還に伴います駐留軍従業員の雇用につきましては、従業員の削減がどの程度になるか、また基地の移転に伴う配置転換がどの程度行われるか等によりまして、これは影響をいろいろ受けることになるわけでございます。
 いずれにいたしましても、その状況に応じて制度の適切な運用を行ってまいりたいということで、今回基本的な考え方といたしまして、駐留軍及び漁業離職者いずれもこの期間の延長をお願いしているものでございます。
#65
○木庭健太郎君 一つは、これは沖縄県が三月上旬に基地の従業員の意識調査を行っております。これは十施設のうち五施設で働いていらっしゃって、これから異動が予定されるという方々への調査でございます。ごらんになっていると思うんですけれども、これを見ると、返還後も引き続き基地従業員として働きたいというのが、これは条件が合えばという項目もございますけれども、八八・一%と非常に高い率になっているわけでございます。そういう意味では、今後どうなるのか関係者の不安というのは大変大きなものだと思っております。
 例えば、政府として、他の基地が従業員を募集する際にはこういった方々を優先的に配置転換するとか、そんなことをどのようにお考えになっているのかお聞かせを願いたいと思います。
#66
○政府委員(小澤毅君) ただいま先生から御指摘ございました調査でございますけれども、三月初旬のマスコミ報道で、引き続き働きたいという人が六〇・五%、条件が合えば引き続き働きたいという人が二七・六%、このような数字があったということは私どもも承知しております。
 当庁としましては、SACOの最終報告によりまして、雇用に影響を受けると思われる約七百人ほどの従業員がございますが、これらの方々につきましてはできる限り移設先への配置転換等の措置により対応したいというふうに考えておるところでございます。
 そのため、本年度、雇用に影響を受けると思われる従業員への意向調査や意見聴取を行いまして、従業員の意向の把握や地方公共団体の意見の聴取などに努めておるところでございます。
#67
○木庭健太郎君 規模は違うんですけれども、アメリカでの話でございますが、米国は、米全土にあります九十七カ所の基地が閉鎖されることに伴いまして、一九八八年に基地閉鎖再編法というのをつくっております。
 これはどういう法律かというと、閉鎖が決まった基地は二年から六年で跡地利用を開始することが法律で定められておりまして、従業員は在職しているうちから技能訓練や再就職情報の提供が開始される、このような法律になっております。ところが、我が国のこの臨時措置法では、基地従業員が離職した後でないと技能訓練が受けられないことになっているわけでございます。
 従業員の不安を少しでも和らげることができるように、雇用主であります防衛施設庁の責任で、例えば在職中から転職を可能にするための必要な訓練の実施とか就職あっせんなどの制度、これは具体的に先が見えているわけですから、もうそろそろそういう確立も必要なのではないか、こう思うんです。また、技能訓練が受けられるよう労働省も積極的に在職中訓練というものを実施すべきではないかと考えるんですけれども、こういう点についての御見解も伺っておきたいと思います。
#68
○政府委員(小澤毅君) 防衛施設庁の関係の事業について申し上げたいと思います。
 ただいま先生からお話のございました職業訓練でございますけれども、駐留軍従業員が離職した場合に速やかに他の職につくことができるよう在職中に幾らかの方々に対しては職業訓練というものを行っております。平成八年度の実施状況で申し上げますと、各種自動車運転等で約十種目のものにわたって訓練を行い、訓練の対象人員は五十九名というふうになっております。
 それと、先生が先ほど申し述べられましたアメリカの例でございますけれども、当方でも在日米軍の部隊等の閉鎖で影響を受ける場合がございます。
 その一つの例でございますけれども、平成九年の四月に横浜の輸送センターというところが閉鎖になりました。二十一名ほどの在職していた従業員の方がございますけれども、これらについてはすべて配置転換等で対応を行っておるということでございます。
#69
○木庭健太郎君 時間がないもので、最後に、大臣、沖縄全体の、基地だけではなくて雇用問題について、一言これだけは伺っておきたいと思うんです。
 沖縄の今の問題は、もちろん失業者が多いこともあるんですけれども、とにかく有効求人倍率が全国平均と比べてもう圧倒的に低い。ここが最大の問題でありまして、例えば新規高卒者を見ますと、全国でも圧倒的に低いですね。こういった問題を抱えている。
 ですから、もちろんいろんな労働政策をすることも必要なんですけれども、沖縄振興の特別措置法が通りましたね。それとまた、どう企業を沖縄にということも大事な視点になってくると思うんです。本来はこれは労働大臣のお仕事ではないかもしれません。しかし、やはりそこの抜本的問題を解決しない限りどうしようもないという現実もあると。
 この辺を、例えば通産大臣とともに、ある意味では今回関係閣僚のお一人でございますから、やっぱり労働大臣としてそこを主張していかなければならないと、こう私は思っておるんですけれども、この点についての大臣のお考えをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
#70
○国務大臣(伊吹文明君) 今、先生が御指摘になりましたように、特に若い人たちの有効求人倍率が非常に低いということは、率直に言って働く場が少ないということですから、今般お願いをいたしました特別措置法によっていわゆる特別自由貿易地域というものができます。ここに東南アジア等から関税がかからずに原材料が入ってきて、そして沖縄の方の労働力を使って、ストレートに本土へ持ってこれるというんで、立地条件は非常に私はよくなるだろうと思うんです。
 それで、御承知のように、沖縄の政策協議会というんでしょうか、関係閣僚の集まりがありまして、通産大臣もそこへ出ておられます。私もそこへ出ております。今、先生がおっしゃったような視点を、沖縄開発庁長官が司会をしながらやっておりますが、るる話をしながらこの話を進めてきております。改めて私が通産大臣に申し上げなくても、雇用の確保のためには企業立地が必要なんだということはもう当然のことでございますので、通産大臣は十分わきまえてやっておられると私は思いますし、これだけの特別措置をやった中でどう雇用が動くかをしばらく見ながら、必要なことがあれば私がまた申し上げるべきことは申し上げたいと思っております。
#71
○木庭健太郎君 終わります。
#72
○委員長(鹿熊安正君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三分開会
#73
○委員長(鹿熊安正君) ただいまから労働・社会政策委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、勝木健司君が委員を辞任され、その補欠として平田健二君が選任されました。
    ―――――――――――――
#74
○委員長(鹿熊安正君) 休憩前に引き続き、駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案並びに雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#75
○大脇雅子君 雇用保険法の改正をめぐりまして御質問させていただきます。
 まず、高年齢求職者の給付金制度についてでありますが、給付額引き下げ、国庫負担の廃止ということは財政上の理由と承知をしておりますが、これが高齢者の勤労意欲にどのような影響を与えると考えておられるのか、お尋ねをいたします。
#76
○政府委員(征矢紀臣君) 高年齢求職者給付金につきまして、先生ただいま御指摘のとおりでございますが、これにつきましては、非常に厳しい財政事情の中で国庫負担を廃止するということとあわせて高年齢求職者給付金を半分程度にする、こういう考え方でございます。
 これは、来年度から六十歳代前半層の方につきまして、失業給付が出ている場合には年金の方を調整するという制度の調整が実施される、そういうこととの均衡で、これは六十五歳以上までお勤めいただきまして、それでやめてさらに求職活動をする場合にこの給付金が出るわけでございますが、六十五歳以上の方につきましては必ず年金も支給されるわけでございまして、したがって、年金が支給されるという前提でこの給付金につきまして半額程度にする、こういう考え方でございます。
 制度的には、六十歳代前半層の方々についての調整、これも従来の金額に比べますとおおむね半額程度になるわけでございまして、そういう意味では、雇用の継続という点からはその機能は維持できるというふうに考えております。
#77
○大脇雅子君 さらに、教育訓練給付制度の創設は大変喜ばしいことだというふうに考えられます。雇用主のいわばメニューではなくて、まさに労働者の自発的な職業訓練の意欲に給付を出すという点についてはその意義が大きいと思いますが、これはどのような教育訓練コースを設定されるつもりなのかということ。まさに時代に即したきめの細かいメニューが準備される必要があると考えますが、労働省、厚生省、それぞれどのようにお考えでしょうか。
#78
○政府委員(征矢紀臣君) 教育訓練給付につきましては、ただいま先生御指摘ございましたように、今後産業構造が急激に変わっていく、あるいはそういう中で企業間の労働移動、これをせざるを得ない、あるいは積極的にする、そういうことでふえていく。そうしますと、やっぱり技術、技能、知識等につきましても状況の変化に応じて新しいものを労働者がみずから積極的に身につけていく取り組みもふえていく、あるいはそういうことを促進するという観点から、労働者本人に対する給付としてこの教育訓練給付制度をつくる、こういうことでございます。
 具体的に、この教育訓練をどういう形でやるかという点につきましては、これは労働大臣があらかじめ教育訓練のコースを指定いたしまして、そういうところで実施した場合に入学料あるいは受講料の実費の八割相当額を支給する、こういうことでございます。
 具体的には、これは法律が成立いたしました後に関係審議会でこの教育訓練の指定の基準等を議論していただきまして、個々の教育訓練機関からの申請に基づいてそれを指定する、こういうことになるわけでございます。その指定に当たりましての考え方としては、やはり今言ったような制度の趣旨から、できるだけ今後の諸情勢を踏まえた能力開発のコース、そういうものを指定する必要があろう、こういうことでございます。
 具体的には、高度情報化への対応としてコンピューター等の情報処理関連の講座であるとか、あるいは企業における事業の効率化、多角化への対応として経営労務コンサルタント、マーケティングリサーチ等の講座、あるいは業務の国際化への対応として会計法律等の国際ビジネス、ビジネス英会話等の講座、その他の専門講座として各種の公的資格取得のための講座であるとか、そういうものに限りませんが、例示としてはそのようなものが考えられるところでございまして、こういうものを指定し、実際には十二月一日から個々の労働者の方がこの制度の適用を受けられるようにしたいというふうに考えております。
#79
○説明員(井口直樹君) 船員保険制度におきましても、基本的には教育訓練給付制度の創設の趣旨、これは雇用保険と全く同様に考えてございます。
 したがいまして、具体的な教育訓練の指定につきましても基本的には雇用保険の例に準じたいというふうに考えておりますけれども、船員さんという置かれた立場の特殊性ということも考えられますので、具体的には今後関係者の御意見を伺いまして決めてまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。
#80
○大脇雅子君 教育訓練を受ける人については具体的にどのような予測をされているのでしょうか。
#81
○政府委員(征矢紀臣君) 教育訓練給付を受ける方につきましては、これは雇用保険の被保険者あるいは被保険者であった方、したがって、現に勤めている方あるいは失業されている方いずれも対象といたしまして、被保険者であった期間が五年間という一つの条件を設けておるところでございます。
 この給付の支給対象者の見込みでございますが、十年度につきましては十二月一日から実施ということで六万人程度。所要額約五十一億円を予算に計上いたしております。これが平年度の見込みとしましては、対象者数三十万人、所要額約二百五十億円程度を見込んでいるところでございます。
#82
○大脇雅子君 駐留軍関係離職者等臨時措置法に関連して、五年間これが延長されるわけですけれども、職業訓練の拡充強化策について、駐留軍関係離職者のいわば離職前と離職後の職業訓練はそれぞれどのようになっているでしょうか。
#83
○政府委員(小澤毅君) 防衛施設庁は離職前の方の職業訓練を行っておりますので、まずこれについてお答えを申し上げます。
 当庁が行っております職業訓練は、離職した場合に駐留軍従業員が速やかに他の職業につくことができるよう在職中に実施しているものでございまして、平成八年度の実施状況について見てみますと、各種自動車運転等で、その種目としては十種目ほどございます。訓練の人員は五十九人となっており、最近の傾向といたしましては、大型自動車運転、また大型特殊自動車運転とかコンピューター関係の受講者が増加している状況でございます。
#84
○政府委員(山中秀樹君) 離職者の職業訓練につきましてでございますが、私ども在日米軍基地のあります青森とか東京とか沖縄などの十の都県で公共職業能力開発施設において実施することといたしておりまして、訓練希望者のニーズに応じた職業訓練が実施できるよう努力いたしたいと思っておりますが、最近では建設塗装とか電気機器などの科目で実施いたしております。
#85
○大脇雅子君 今回の改正で介護休業の給付制度が創設されるということも、これまた一定の前進であろうかと思います。
 しかし、給付制度に関して、百分の八十を雇い主が給付している場合には介護休業給付の給付制限をするという考え方には問題があるのではないか。むしろ百分の六十という休業補償と同程度の補償を検討すべきではないかということを考えるわけですが、積極的にこの制度を将来拡充する検討というものは行われたことがあるのでしょうか、それについてどのようにお考えなのでしょうか。
#86
○政府委員(征矢紀臣君) 介護休業給付の支給率でございますが、これにつきまして、ただいま御指摘のように二五%というふうに考えているわけでありますが、これは育児休業給付制度を創設するときも大変いろんな御議論があったわけでございますが、これも二五%ということで現在運用いたしております。
 その考え方は、一方でノーワーク・ノーペイの原則はあるわけでございますが、雇用保険制度として離職した場合に給付される失業給付、これとのバランスを考えて二五%、こういう形で実施いたしているわけでございまして、介護休業給付の金額につきましてもやはりこの同じ制度の中で、育児と介護という事由は違いますが、同じ休業給付ということで、この率について二五%という考え方で御提案を申し上げているところでございます。
 御指摘のように、例えば六〇%にすべきではないか、こういうことでございますが、それはやはり、一方で失業した場合に支給される基本手当の給付率、これが原則六〇%となっておりまして、それとのバランス等を考えますと、やはり保険制度として実施する観点からは適当ではないのではないか。
 この点につきましては、関係審議会におきましてもいろんな御議論があったところでございますけれども、先ほど申し上げましたように、育児休業給付の給付率二五%と倣うということで関係者の意見の一致を見たところでございます。
#87
○大脇雅子君 介護休業は、高齢化社会の中にあって所得保障が権利行使の裏づけになるという考え方から立てば、必ずしも失業給付との均衡ということは、雇用保険の中でやるという観点からのバランスを考えておられるのかもしれませんが、少なくともこれからの介護休業の必要性から考えたら、百分の六十という休業補償の基準というものに積極的に近づけていくことが必要であろうかと思いますので、さらなる御検討をと思うわけであります。
 さらに、失業給付に関する国庫負担の見直しについてお尋ねをいたします。
 積み立ての残高は、保険料を当分の間下げることになっている前提でもあり、かなりの積立残高があるわけですが、現在の失業率というものは三・五の壁を超えて三・六というようなことで、これからの規制緩和の中で失業率がだんだん上がっていくということが言われているわけです。保険料率を当分の間下げることになったわけですけれども、将来上昇する可能性をどのように考えておられるのか、その分岐点についてどのようなシミュレーションをお持ちかということ、雇用保険全体のあり方についてお尋ねをしたいと思います。
#88
○政府委員(征矢紀臣君) ただいまの御指摘のように、最近の非常に厳しい雇用失業情勢を反映しまして、保険収支は単年度で見ますと赤字でございます。言いかえますと、その赤字については積立金を取り崩して対処しているわけでございますが、現状におきまして積立金が相当程度あるということでございます。
 この積立金の規模につきましてはどの程度が適当か、これは一概にはなかなか申し上げにくい面もありますが、失業等給付に係る徴収保険料額のおおむね一倍から二倍に相当する額の範囲、これが一つの目安として制度の運用はされております。
 仮に積立金残高が徴収保険料額の一倍を相当程度下回り、雇用保険事業の安定的な運営に支障を来すということになれば、その時点での雇用保険事業の収支等も踏まえまして保険料率を見直し、引き上げを行うということが検討されなければならないというふうに考えます。
 なお、平成九年度ベースで見ますと、積立金残高が約四兆円でございまして、本来の徴収保険料額、これは約一兆八千億円程度でございますから、それの二倍を超えている現状にございます。
#89
○大脇雅子君 国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について最近の国際漁業規制が離職者の発生にどのように影響すると考えられていますか。対韓国との新協定締結に関する最近の状況をどのように把握し、対中国、ロシア、ニュージーランドなどとの協定の推移を考えてみた場合、この離職者の発生についての見通しをお尋ねしたいと思います。
#90
○説明員(山野昭二君) 一九七七年にアメリカ、ソ連を初めとしまして多くの国が二百海里水域を設定して以来、沿岸国が二百海里水域からの外国漁船の締め出しを行ってきたわけでございます。
 このような状況のもとで、一九八二年に国連海洋法会議で国連海洋法条約が採択されまして、これが一九九四年に発効いたしまして、我が国も一九九六年にこれを批准したところでございます。この条約は、沿岸国に二百海里の排他的経済水域を設定する権利を与えるとともに、漁獲可能量の設定を義務づけ、海洋生物資源の適正な管理を行うべきこととしております。
 この国連海洋法条約の発効に伴いまして、韓国、中国との間では、海洋法条約の趣旨を踏まえまして新たな漁業協定の締結が必要となりまして、まず韓国との間では、過去二年近く新漁業協定締結のための交渉を行ってまいりましたが、合意に至らず、本年一月、現行協定の定める手続に従いまして同協定の終了通告を行いました。なお、三月二十一日の日韓外相会談におきまして、漁業協議を四月中にも再開するということで合意を見たところでございます。
 また、中国との間では、昨年十一月に新たな日中漁業協定の署名が行われまして、今国会での締結承認をお願いしているところでございます。本年中に発効することを期待しているところでございます。
 また、ロシア、ニュージーランドといった沿岸国は、自国二百海里水域内での自国漁業の振興を図ろうとするいわゆる自国化政策を一層強化しておりまして、我が国に対しまして漁獲割り当て量の削減や合弁化など、我が国漁船に対する規制を強めてきております。
 一方、カツオ・マグロ漁業の主たる漁場であります公海につきましては、国連海洋法条約におきまして国際的な漁業管理機関による資源管理の必要性が明確化されまして、年々これら機関において漁獲規制が強化されてきております。
 また、野生生物や環境保護の観点からの漁獲の禁止や漁法等の規制を求める動きも一層強まってきているというようなことで、このように、我が国の漁業をめぐる国際情勢は、外国の二百海里水域あるいは公海水域を問わず非常に厳しいというような状況にあるというふうに認識しております。
#91
○大脇雅子君 介護休業の手当が今回雇用保険法で創設をされるわけですが、今回、改正均等法にかかわって育児休業等に関する法律施行規則の一部を改正する省令の改正ということが行われました。育児休業と介護休業に関する法律では、育児ないしは介護を行う労働者の深夜業の制限の規定を先回新設いたしました。その際、深夜業の免除を請求できる労働者の範囲をめぐって労働省令が定められました。その件についてお尋ねをいたしたいと思います。
 家族の介護を行う労働者の深夜業の制限、あるいは育児を行う労働者の深夜業の制限に係る対象家族については十六歳以上ということになっておりますが、婚姻年齢に関する民法改正との関連で、女性についての年齢の引き上げが検討もされており、十六歳というのは高校生でありますから、これは少なくとも十八歳以上とすべきであるというふうに考えられますが、なぜ十六歳以上というふうに制約をされたのか、その根拠をお尋ねしたいと思います。
#92
○政府委員(太田芳枝君) お答えいたします。
 深夜業の制限の制度は、先生御指摘のとおり、基準法の女性の深夜業規制が解消されたことに伴いまして、深夜に育児や介護をする者がいなくなる場合に対応するための制度でございます。
 そういうことで、育児や介護ができる同居の家族がいない場合に請求できることとしているわけでございますが、その同居の家族の年齢を十六歳にいたしましたのは、十六歳であればもう義務教育を終了しているわけでございまして、一部の方は立派に社会人として働いているという年齢でございますので、一般に家族の中での保育や介護であれば行うことができる年齢であるというふうに考えたからでございます。
#93
○大脇雅子君 保育や介護ができる年齢と、保育や介護の義務を持つ年齢というのはまた違っていようかと思います。十六歳といっても、保育や介護ができる家族としての年齢かどうかということについてはまだ大変大きな問題があろうかと思います。これはどうしても十八歳以上の同居の家族というふうにすべきだと思います。
 省令によりますと、十六歳以上の同居の家族であって、次のいずれにも該当する者とすることということで、深夜において就業していない者というのが第一項で設定されております。その場合、深夜における就業日数が一月について三日以下というふうに規定されておりますが、これはどのようにこういう基準を設定されたのかということをお尋ねしたいと思います。
 とりわけ、時間外労働が深夜に及ぶもの、例えば恒常的に午後十時から午前零時まで就労するような労働者の場合とか、あるいは前々月、あるいは前月には二日ずつではあっても、決算期などに五日就労する労働者の取り扱いなど、深夜における就業日数が一月について三日以下という基準の算定基準というものをどのように通達で定められるか、お尋ねをしたいと思います。
#94
○政府委員(太田芳枝君) 深夜における就業日数が一月につき三日以下といいますのは、これは週によって深夜勤務があったりなかったりする場合があるわけでございまして、そういう場合でも平均して一カ月という期間で見たときに、深夜の勤務の日数が三日以下がどうかで判断するというような考え方のものでございます。
#95
○大脇雅子君 そうすると、深夜における就業といった場合の深夜は、私の質問は、時間外労働で例えば一時間、二時間の深夜労働が入った場合でもこれは深夜における就労日数にカウントされるということですか。
#96
○政府委員(太田芳枝君) 残業の継続が深夜に及びまして、その深夜残業が恒常的である、例えば先生のおっしゃったような決算事務だとか、お中元とかお歳暮とかというような商業の場合とか、産業によっていろいろあるかと思いますが、そういう恒常的であり、今後も残業が続くことが確実に予測されるような場合は深夜において就業しているものというふうに解釈してよいというふうに考えております。
#97
○大脇雅子君 一月について三日といった場合、その一カ月というのはどこを切り取るわけでしょうか。
#98
○政府委員(太田芳枝君) 一応、暦月の一カ月というふうに考えておるところでございます。
#99
○大脇雅子君 それから、ちょっと質問が前へ戻りまして、十六歳以上の同居の家族という、その同居という意味でありますが、例えば実際介護に当たろうとする労働者の場合、いわゆる家族の形態がさまざまになっております。一家族が同居して老親を扶養しているということが典型的な事例ではなくて、例えば同居をしていなくてもそこに兄弟たちが交代で泊まり込んでいくとか、あるいは引き取って世話をする一定程度の期間を約束しながら、子供たちがそれぞれ順番にやっていくというような形で、介護というものが非常に多様な形になっております。この場合、同居の家族の同居という事実をどのようにして認定されるのか。
 家族の実態がそういう分散型になっている現状にかんがみますと、この同居というメルクマールというのは非常に柔軟に対応していかないといけないと思うんですが、この点はどのように通達でお定めになる御予定でしょうか。
#100
○政府委員(太田芳枝君) 同居と申しますと、先生がおっしゃるようにいろいろなバリエーションがあると思うわけでございますが、世帯を同じくしている場合のほかに、労働者が介護のために別居していた家族の家に泊まり込んだり、介護のために別居していた家族を労働者のおうちに引き取るというような場合も含めるというふうに考えております。
#101
○大脇雅子君 そうすると、要するに家族の扶養の実態というものから同居の形ということを決めていくというふうに理解してよろしいんでしょうか。どういう形で通達などお決めになることになるのでしょうか。
#102
○政府委員(太田芳枝君) 私どもの定めとしましては、同居し、かつ扶養しているということでございますので、ただいま申しました同居に加えまして扶養という事実を考えたいというふうに思っております。
#103
○大脇雅子君 そうすると、扶養もまた扶養家族として申請を会社などにする場合とか、あるいは扶養手当を受けている家族ということではなくて、子供たちがそれぞれ生活費などを分担しているというような部分があるわけで、扶養というのも必ずしも一人ではなくて子供たちが平等に生活費を負担しているということがあるわけですが、この扶養というのはどういう概念で決められるわけでしょうか。
#104
○政府委員(太田芳枝君) 扶養は、主として当該労働者が経済的援助をすることによって生計を維持させることでございますので、所得税法上の扶養家族の扶養と同義であるというふうにしております。
#105
○大脇雅子君 所得税法上の扶養ということになると、非常に限界が狭まってくるのではありませんか。扶養自身というのは経済的な援助ということになれば、所得税法上の扶養ではなくても扶養をしているということはいっぱいあるわけですが、そういうのは全部外れるということですか。
#106
○政府委員(太田芳枝君) まず、全くそういう扶養をしていなくても配偶者とか法律で定められている者については構わないわけでありますけれども、対象家族のうち祖父母、兄弟姉妹及び孫につきましては同居かつ扶養という要件がかかるわけでございます。
#107
○大脇雅子君 私の質問は、祖父母、孫、兄弟について同居かつ扶養という場合の、例えば所得税法上の扶養控除を受けている家族と、所得税法上の扶養控除を受けていなくても実質上兄弟で分担して生活費を援助しているということが一般に多いわけです。
 だから、例えば長男に所得税法上被扶養者として祖父母が入っていたとしても、孫たちが全部平等に経済的な援助をしている場合というのは結構多いわけでありまして、そういう多様な家族形態がある中で扶養形態も多様化して分散しているということを考えますと、この扶養という概念について非常に柔軟な運用が求められるというふうに思うわけですけれども、この点はどうでしょうか。
#108
○政府委員(太田芳枝君) 法律では最低限の範囲といたしまして、祖父母、兄弟姉妹及び孫については同居し、かつ扶養していることが必要というふうにされているわけでございますけれども、同居や扶養していない場合でも育児・介護休業法によりまして事業主の努力義務の範囲とされておるわけでございますので、今後ともそういう点につきましてはできるだけ柔軟な取り扱いについて啓発はしてまいりたいというふうに思っております。
#109
○大脇雅子君 高齢化社会の中でこうした条項が生きていくのは通達の弾力的な取り決めではなかろうかと思いますので、ぜひ努力義務の範囲というものの中に入れていただくにせよ、柔軟な通達をお願いしたいというふうに思います。
 次に、育児を行う労働者の深夜業の制限のハというところに、六週間以内に出産する予定であるかまたは産後八週間を経過しない者であるというふうに書いてありまして、これを逆に読みますと、出産する予定が六週間後でない妊娠中の女性とかあるいは産後八週間を過ぎた女性がいる場合というのは、これはその連れ合いが深夜業の請求を行えないというふうに読むわけでしょうか。介護休業を行う労働者の深夜業の制限についても同じような条項があるわけですけれども、これはどのような意味で入ったんでしょうか。
#110
○政府委員(太田芳枝君) 産前六週間と産後の八週間は、これは労働基準法によりまして産前産後休業期間とされている期間でありまして、やはり母性保護というような関係からも、また働くことが一般的に言ってとても難しい期間なわけでございます。したがって、同居の家族が産前産後休業期間中である場合は、働くことが困難であるのと同様に介護をすることも難しいのではないかというふうに考えまして、同居の家族から外しているものでございます。
 なお、先ほどと同じ話になりますが、法律では最低限保障すべき範囲を定めているものでございますから、これを上回る部分については労使の話し合いにゆだねるべきものであるというふうに考えております。
#111
○大脇雅子君 この点は確かに強制的な休暇は産前六週間、産後八週間ということでありますけれども、産後八週間過ぎた場合でも深夜労働や時間外労働は一年間禁止されるわけでありますし、育児時間は一年間とれるわけであります。そしてまた、育児休業も設定されているわけですから、この産後八週間を過ぎたからといって、一年未満の子供を育てられる人たちが家にいるからといって深夜労働の拒否権が配偶者にないということは、介護休業をとればいいといっても介護休業は三カ月なわけですから、とても非人間的な規定だと思うんです。やはり一年未満の子供を育てている人がいる場合には、その連れ合いは深夜労働の拒否ができるというふうにしないととても育児ができないのではないか。
 例えば、授乳などしていても、大体三カ月から四カ月というのは母親は三時間置きに起きなきゃいけないわけですし、それから、介護を育児と重ねてやるということになると授乳は恐らくできないぐらいだろうと思います。介護は非常に重労働ですし、ここのところは幾ら最低限の規定といっても現実に合わないんではないでしょうか。
#112
○政府委員(太田芳枝君) 産後八週間いたしますと一応母体は回復をするという医学的なことから産後の八週間が決められているわけでございますので、その後は働くこともできるわけでございます。
 先ほどの繰り返しになりますけれども、やはり法律というものは最低限という形での規定でございますので、産前六週間、産後八週間あれば、決して十分ではないかもしれませんけれども、法律の規定としては妥当であろうという考え方でございます。
#113
○大脇雅子君 そうすると、一歳未満の子供を持つ場合に深夜労働や時間外労働が一年間禁止されているわけですから、そういうことを考えますと、その規定の趣旨を没却すことにはなりませんか。
#114
○政府委員(太田芳枝君) 育児休業は子供を育てるためのものとしての規定でございますし、今回の深夜業の制限はまた別の規定という形で考えたものでございますから、先生のお言葉ではございますけれども、それはそれなりに終始一貫しているというふうに私どもは考えるわけでございます。
#115
○大脇雅子君 確かに、一歳未満の子を持つ女性の深夜業と時間外労働の禁止の趣旨と、それから介護のための深夜労働の拒否権が夫の方に認められるのとは法の次元としては違いますけれども、夫の方がそれができないということになりますと、夫が深夜業に出て、妻の方が育児と介護をともにやれということですか、やれるというふうなことをおっしゃるんですか。
#116
○政府委員(太田芳枝君) それがダブルでかかってきた場合、大変なことは大変であろうと思いますけれども、私どもといたしましては、やれないことはないという言い方がいいのかどうかはちょっとあれでございますが、そういう点でいろいろ問題があるとかいうようなことを審議会等々で問題提起がなされたわけでもございません。
 また、これは実態をよく見ながら考えていきたいと思いますけれども、現状はそういう形で決めさせていただいたわけでございます。
#117
○大脇雅子君 それは一人の人間がやることの限界を超えていると思いますね。大体、産後八週間を超えて授乳をするときに、三時間置きに起きる母親の作業というのは三カ月ないし四カ月はかかるわけです。それから、離乳食などをつくったりひとり立ちをしていくために、やっぱり産後一年間は深夜労働や時間外労働を禁止にするという趣旨であるわけです。そういう中で、介護とは別問題だから育児と介護をやれということは、人に不可能を強いるということであると思います。
 介護なんというのは全くの重労働でありまして、そのために介護休業もあり深夜労働の拒否ができるという、そういう免除請求権を入れたわけですから、一年間ともにやれなんというふうに労働省が言うとすれば、これは余りの非常識、非人間的な取り扱いではないかと思うんですけれども、やはり見直さなければいけないんではないんでしょうか。
#118
○政府委員(太田芳枝君) 答弁が不十分で申しわけございませんが、今後実態を見ながら検討させていただきたいというふうに考えます。
#119
○大脇雅子君 そうしますと、要介護者を持つ家庭では妊娠、出産はできないということにもなり、それを抑制していくという効果を法律が持つということであります。そうしますと、介護の場合に、子供を産むかどうかという選択を強制していくということになり、法が一方のそうした人間の行動を固定化し方向づけていくということは、私は法のあり方としては間違っていると。少なくとも一年間、一年未満の子供を持つ母親のいるところでは、連れ合いの深夜労働の拒否というものが介護のためには絶対必要だというふうに思います。
 ともかくこれは改正をしていただきたい。女性の立場から改正していただくしか、これはまさに人間的な叫びを代表していると思うんですが、大臣、少子・高齢化社会に向かって、こういう非人間的に育児も介護もやれというような、そういう取り扱いというのはもう余りといえば余りというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#120
○国務大臣(伊吹文明君) 大脇先生も三人のお子さんをお育てになった御経験がおありのようでございますし、答弁をしておりました政府委員もまた同じような経験があったと思うんですが、おのおのの立場によってやれるやれないというのは女性でも随分母として違うんだなと思いながら、まことに申しわけがございませんが、私は母親となる能力がごいませんので、聞かせていただきました。
 率直なところ、法律は最低要件を定めておりますから、今先生がおっしゃったようなこともまことにごもっともでございますので、まず最低要件というか、他の法律との整合性を立法論として考えたと思うんです。それが実態に合う合わないというお話は、今おっしゃっていることは私はごもっともだなと思いながら伺っておりました。
 率直なところ、介護をしながら育児というケースがどの程度将来的に出てくるかということにもかかわりましょうから、まずこの法律をお許しいただけたらといいますか、実は今回お願いしているのは財源的裏づけをするだけのことをお願いしておるわけで、先生をも含めて既にお通しになった法律のお話を合していらっしゃるわけですから、これは来年の四月以降少し実態を見きわめて、おっしゃっていることを十分受けとめさせていただきながら少し検討させていただきたいと思います。
#121
○大脇雅子君 育児・介護休業法というのは確かに私どもも通した法律でありますけれども、今回の省令というのは私どもが通したわけじゃなくて、労働省がお定めになって労働大臣がつくられた省令なものですから、実態を見ながらと言われましたけれども、ぜひここは苦闘をする女性や夫たちが出てこないようにあらかじめ通達の運用の中で見直していただきたいというふうに今思うわけであります。
 それから、介護休業手当というのが給付されるわけですが、大体介護休業の今の取得状況、とりわけ男女別の取得率はどのようなものになっているでしょうか。
#122
○政府委員(太田芳枝君) これは平成八年度の調査でございますが、介護休業制度がある事業所に占めます一年間の介護休業取得者の割合は一万人に四人ということになっております。
 男女別に見ますと、女性は一万人に十人、男性では一万人に一人というような割合でございます。この取得者の男女比を見ますと、男性が一八・七%、女性が八一・三%になっております。
#123
○大脇雅子君 スウェーデンなどでは介護休業の取得に対して必ず男性側がとらなければならない一定の休暇期間というものが決められていて、それに対して労働省の方でも実態調査に出向かれたというようなことも聞いておりますが、この点、男性労働者の強制休暇制度というものは諸外国ではどのような実態にあり、我が国の制度化についてはどのようなお考えなのでしょうか。
#124
○政府委員(太田芳枝君) 先生御指摘のように、育児休業の場合でございますが、スウェーデン、ノルウェーにおきましては、私どもパパクオータというような言い方をしておりますが、父親の育児休業取得を促進する制度が導入されておるわけでございます。
 具体的に申しますと、スウェーデンの場合は父親に対して三十日間、父親が育児休業しなければその期間の権利がなくなる。ノルウェーの場合は四週間というような仕組みでございます。介護休業制度につきましては、育児休業のように特に男性の取得を促進する仕組みを設けている国は私どもは現在では把握しておりません。
 我が国の育児休業、介護休業を見ますと、制度は男女とも取得可能となっているわけでございますが、先ほど申しましたように、介護休業においても男性は約二割弱というようなことでございます。育児休業ですと、これは圧倒的に女性がとるわけでございまして、これはそれぞれの御夫婦というんでしょうか、それぞれの考え方の問題でもございますが、この点につきましては最近男性の取得割合が少しずつではございますが増加をしておるわけでございます。
 私どもは、この現行制度が男女ともとれるんだということをかなり宣伝はしておるつもりでございますけれども、今後ともこの制度の定着に向けて努力をしていきたいというふうに思っております。
#125
○大脇雅子君 性別役割分担の慣習が、育児休業や介護休業を男女ともにとれるということに関しても反映して、取得率について育児は女性が多く男性が少ないと明快に出ているわけです。
 介護休暇については諸外国の例はないといっても、日本の実態を見ますと、介護休暇を取得している率というのは男性も結構あって、育児休業ほど男女比は広くないのではないかというふうに思うわけですけれども、ぜひ男性に強制的にとってもらう休暇制度の創設というものをしていただきますと、明らかに男女の役割分担の制度それ自体を変えていくということになると思います。
 特に、先ほど私も質問させていただきました深夜労働の免除請求権も男女労働者に認められているわけですから、それはそのままこの請求権の去就にも私は連なってくるだろうというふうに思います。そのためには、研究会などを早期に設定をしていただきましてその検討を始めていただくというプログラムはできないものでしょうか、お尋ねをいたします。
#126
○政府委員(太田芳枝君) もう既に制度的には男女ともにとれるわけでございますから、私は、育児休業の場合それぞれのペアが一年間のうちに、例えば夫に一カ月でもとってもらうようにというような意識を女性たちが持っていただく、また男性が一カ月くらいは育児というものにかかずらわっていって、人間としても成長していこうではないかというような意識になっていただくということが非常に重要であるというふうに思っておりますので、その意識啓発についてはぜひ積極的に取り組んでまいりたいというふうに思います。
#127
○大脇雅子君 私はそうしたことが少子社会を克服するかなめだというふうに思っております。とりわけ労働政策というのは家族政策とのコインの表と裏の関係にあるというふうに私は確信しております。
 少子社会の中で子供を産み育て、そして労働力として女性が一人前になるためには、職業と家庭を両立する法制度というものをしっかりとつくっていくということが日本の未来を私は決めるというふうに思うものでございます。
 最後に、大臣の御見解とこうした施策に対する御決意をお尋ねいたしまして、質問を終わります。
#128
○国務大臣(伊吹文明君) 今、先生の御卓見をずっと伺っておりまして、また同じような経験を持っていたであろう政府委員の答弁を聞いておりまして、大変勉強になりました。
 まず何よりも、男女、夫婦ともどもそうでありますし、それから事業主、この人たちにやっぱり今先生がずっとおっしゃっていることをよくわかってもらうということがまず第一だろうと思います。
 それから、おっしゃっていることは一々ごもっともでございますが、例えばスウェーデンはそれだけの裏づけをしていくために国民負担率というのは非常に高うございます。そのあたりの国民的合意をどう取りつけながら今おっしゃっているような方向に持っていくのか、あるいは国民負担率をそれほど高くしないのであれば、財政支出のうちのどこのところを抑制していくという国民的合意ができるのか。また、すべての人が今おっしゃっているような休業補償的なものの裏づけのあることを受けられるというシステムをつくった場合には、その負担の形態は、税の形態は今のような直接税中心の形でいいのか、広い視野で随分準備をしなければいけないこともあるなと思いながら伺っておりました。
 しかし、おっしゃった方向をやはり理想として追求していかねばならないということについては私は全く異論はございません。
#129
○吉川春子君 まず大臣にお伺いいたします。
 大臣は三月十七日の閣議終了後の記者会見で、賃金決定のあり方について、基本的には市場原理原則に合わないことは通らない、業績の悪いところを無理に引っ張り上げて出せということになれば、長い目で見れば雇用を失う。護送船団方式的な賃金決定のあり方は市場経済に反するなどと発言されたとして、連合、全労連など労働組合から抗議されました。その後の報道によりますと、この発言を撤回なさったそうですけれども、何をどのように……
#130
○国務大臣(伊吹文明君) ちょっと済みません、何をおっしゃったですか。撤回……
#131
○吉川春子君 ええ、撤回されたというふうに報道で私拝見いたしましたけれども、何をどのように撤回されたのでしょうか、お伺いします。
#132
○国務大臣(伊吹文明君) 今、先生がそのことを聞いてくださったので初めて撤回をしたなどという報道があったということを知りましたが、私は一切撤回はいたしておりません。
 事実関係を正しく申し上げますと、三月十七日の記者会見で、賃金決定のあり方について大臣の御意見はございますかという質問を受けました。そこで私は、基本的には市場経済でやっているわけですから、業績が非常によいところは悪いところに引っ張られて余り出さないというのも困るし、悪いところを無理に引っ張り上げて出せということになれば、その企業は結果的に経営難に陥って、長い目で見れば雇用の場を失うわけですから、私は余り護送船団方式的な賃金決定のあり方というのは市場経済の原理原則に反すると思っていますと、こうお答えをしたわけです。
 ところが、その後ある報道で、業績が非常によいところは悪いところに引っ張られて余り出さないというのも困るしというところが報道されずに、悪いところを無理に引っ張り上げて出せということになったら、その企業は結果的に経営難に陥って、長い目で見れば雇用の場を失うわけですから云々というところだけが実は報道をされたわけです。
 そこで、連合の皆さんと、全労連もそうであったと思いますが、春闘に介入して賃金を上げさせないような発言をしたという趣旨の実は抗議を私は受けました。
 そこで、連合の会長が会いたいとおっしゃるので、また証人がいないところで言った言わないということは困りますから、私は事務次官を横に置きまして、連合の会長と連合の事務局長にお目にかかったわけです。そこで私が申し上げたのは、今先生に申し上げた、上げられる能力があるのに、力が十分あるのに上げさせないというのはけしからぬじゃないかと。そして、上げられないところを無理に上げて何千円プラスアルファとか、何千円マイナスアルファとかというようなことは、私のような中小企業のうちに育っている者の実態からいうと、とてもとても考えられないことだと。ただ春闘のさなかで、報道というものが結果的に、私は日本の報道というものを信頼しておりますけれども、結果的に一部が報道されて、一部だけを報道されたということがあるとすれば、それはノーコメントとしておいた方がよかったかなということを申し上げたわけです。
 それからもう一つは、賃金決定についてという御質問があったから、私は賃金決定のことを申し上げたのであって、弱いところ強いところたくさんありますから、産別が集まって御協議をなさるとか、そういうことについての方式、要するに労使の話し合いのやり方について発言したわけではもちろんありませんよと。
 それから三番目に、護送船団という言葉が金融行政と一緒になると非常に悪いイメージだとおっしゃるから、それなら別の用語を使った方がよかったのかなということを実は申し上げたわけです。
 その後、記者会見を連合の事務局長と事務次官がいたしまして、その中で連合の事務局長は、謝罪とか撤回というものは大臣はなされませんでしたけれども、大臣発言については内容的には十分受けとめました。それから、全体的に労働大臣の態度等から、連合としてはこの問題についてはこれでよくわかりましたというか、打ちどめとしたいと思いますという、笹森さんですか、連合の事務局長の御発言があったということで、撤回ということを私はいたしておりません。
 これは私の物の考え方でございますから、例えば自由主義的保守主義を持っているからいけないとか共産主義がいけないなどということがこの世の中にあってはいけないわけでありまして、言っている時期がこういう時期で、こういう報道をされたんだから言わなかった方がよかったとか、護送船団よりももうちょっといい言葉を使ったらよかったとか、そういうことは私は申し上げましたが、私の信念を撤回したということはございません。
 それから、あえて申し上げておきたいのは、春闘というのはやはり結果的に働いている労働者一人一人が真に幸せになるためにあるのであって、年中行事と言うとしかられますが、結果的に労働組合の存在価値を高めるためにやるものであるとは私は思っておりません。
#133
○吉川春子君 護送船団方式というのは、護送船団方式で賃金の決定を行うのは云々というような発言だったと思うんですけれども、この護送船団、きょうは防衛庁も呼んでいますから、護送船団とは何ぞやと聞いても構わないんですけれども、護送船団による賃金決定はけしからぬと、これはどういう意味なんですか。
#134
○国務大臣(伊吹文明君) それは先ほど私が記者会見のテープを正確に申し上げましたけれども、業績がよいところが悪いところに引っ張られて出さないというのも困るし、悪いところを無理に引っ張り上げて出せということになったら、その企業は結果的に経営難に陥って、長い目で見れば雇用の場を失うということを護送船団と申し上げているわけです。
 結果的には一時金等で調整をされている部分がありますけれども、言うならば、五千円プラスアルファと五千円マイナスアルファというような賃金が、賃金というかベースアップが、大変利益を上げて配当している企業と赤字で無配の企業とがそういう形で決まっていくのはおかしいという意味のことを申し上げているわけです。
#135
○吉川春子君 要するに、護送船団方式で賃金を引き上げる、労働者の立場に対するやゆの発言だと、こういう批判もあったかもしれませんけれども、そういう形で大臣は言われて、これは私の信念である、発言も取り消せない、撤回もしていない、このようにおっしゃいました。これはまさに大臣の信念であるかもしれないけれども、私は労働大臣としては大変穏当を欠く発言であるということを指摘したいと思います。
 そして、大臣は、賃金決定のあり方についてだけじゃないんですね、護送船団方式ということはほかの場面でも言っております。それは例えばこの委員会においても、ここまで豊かになったからには護送船団方式を労働者は捨ててもらいたい、こういうことも言われているわけで、要するに労働者に対する保護、あるいは労使が賃金を引き上げる交渉、そういうものも全部護送船団になぞらえて、労働者保護ということに対して基本的にノーという考えを示されているんじゃないか。どうですか。
#136
○国務大臣(伊吹文明君) それは全く違うんじゃないでしょうか。本当は上げてもらえるところをこういう交渉方式をやっていれば上げてもらえなくなるということを私は申し上げているわけですよ、私の発言というのは。
 業績がいいから上げてもらえるところも、それから業績が悪いから上げられないところを逆に上げようとして真ん中あたりのところを設定するということは、本当に働く人の立場になるんだろうか、プラスになるんだろうか。そういうことをした結果、私が育ってきた中小企業では結果的に倒産をして、かえって働く人たちに働く場をお与えできなくなっているという例は私のそばにいっぱいあります。
 ですから、率直に申し上げれば、働く人は五千何百万人おられます。その中で組合の組織率は二十数%です。そして、しかもその中で連合に入っておられる方は、全労連の方もいらっしゃいますから、一四%ぐらいだと私は思います。だから、もう少し働く人一人一人の立場に立って賃金というものは、雇用というのは考えてあげるべきであって、それが私の責任だということを申し上げているんです。
#137
○吉川春子君 もう一つちょっと整理して聞きますけれども、賃金引き上げ以外の問題についても大臣はあちこちで護送船団方式ということを使っております。当委員会でも使っているんです。
 要するに、労働者保護行政というのを空母を守る護送船団方式に例えて、そういうものは好ましくないと言っているんです。賃金だけじゃないでしょう。護送船団方式という言葉を使われたのは賃金だけではないですよ。
#138
○国務大臣(伊吹文明君) どこで使ったかは正確に速記録をもってお互いに議論すれば私はよろしいと思いますが、例えば働き方も従来のように終身雇用制一つであって、そしてその基準をすべて労働省が警察権的に守っていくのではなくて、希望しておられる方があれば労働時間の管理はその方に任せてもいいというバイパスをつくるということは、私は新しい時代に決して悪いことじゃないと思います。
 だから、従来のやり方ですべて同じように扱ってくれというのは、扱わなければけしからぬというのはややおかしいんじゃないかという趣旨のことは私は至るところで申し上げていると思います。
#139
○吉川春子君 三月十二日の当委員会の議事録で、私は通告したわけですけれども、ここまで豊かになったからには護送船団方式を労働者も捨ててもらいたいと。つまり、労働基準……
#140
○国務大臣(伊吹文明君) ちょっと前後をもう少し読んでいただけますか。
#141
○吉川春子君 笹野議員に対する答弁です。
 それで、賃金の引き上げの問題、賃金が労働者と使用者が両方でやっているその回答の前日に、そういう形で賃金、市場に大きな影響を与えるかのようなそういう発言をされる。そしてまた、賃金の引き上げたけではなくて、幾つか挙げてもいいですけれども、そういうことを護送船団方式という形で、要するに労働者が保護される、あるいは守られる、そういうことはもう捨ててもらいたいということを大臣がおっしゃっているとすれば、そうじゃなければそうじゃないと言ってください、そうだとすれば私はもう大変問題であると思います。
 そして、労働省の任務は何か。釈迦に説法ですけれども、設置法で規定しているように、労働者の福祉と職業の確保を図ること、憲法や労基法に定められている労働者の生活と権利を守るための最大限の役割を果たすべき省庁じゃないですか。労働省を頼りにしなかったら労働者はどうしたらいいんですか。その最高の責任者の労働大臣が護送船団方式はやめようと、こういうことを繰り返しおっしゃるのはいかがなことか。
 私ももう何年も労働委員をやっているんですけれども、例えば歴代の自民党出身の大臣でも九二年の春闘のときに近藤労働大臣が労働者の賃上げを激励する発言を行いました。私は、それは労働大臣にも直接会いましたし、伺いました。委員会でもおっしゃいました。そして、亀井運輸大臣も、アルバイトスチュワーデスが三年前に導入されたときに賃金や労働条件の問題について発言をして、正規雇用にしなきゃいけないと、その発言自体全部私はよしとするものではありませんけれども、そういう立場で発言をされているわけです。
 だから、労働大臣というのはそういうものなんですね。労働者の立場に立ってやっぱり物を言うと。それを護送船団方式だとか言って、労使で決めるべき賃金についてまで財界寄りの、限りない財界寄りのニュアンスを込めた発言を行うことは、私は労働大臣としての何というんですか、資格が問われる問題でもあると思います。ここは取り消すなら取り消してください。護送船団方式という発言、取り消してください。
#142
○国務大臣(伊吹文明君) 取り消すことはいたしておりませんということは再三私は申し上げました。そして、先生が今おっしゃったことは、全労連からいただきました抗議文書の中に亀井元運輸大臣のことも書いてあるので、私はよく承知をいたしております。私は、労働省の設置法に従って、労働者が本当に長い目で見て、その立場が守られ、福祉が向上し、勤務条件がよくなるべく考えて発言をいたしております。
 ただ、労働者が本当によくなることを結果的に組合幹部が妨げているということについては、私は必ずしもその組合幹部の立場を守るということはいたしません。
#143
○吉川春子君 私は、組合幹部がどうのこうのということを議論しているのではなくて、組合にもいろいろありますので、そういうことではなくて、私はやっぱり労働省としては労働者の立場に立って、憲法二十五条の生存権、そしてまた二十七条の勤労の権利及び義務、そういう立場に立って労働者保護行政をやっていただきたい。その辺はいいんですか。
#144
○国務大臣(伊吹文明君) 当然のことでございます、先生、それは。
 今申し上げたように、私の記者会見の発言をありのままその場で聞いていてくだされば、今のような御発言に、失礼でございますが、ならないと思いますよ。上げるべき人たちが上げてもらえないということはまずけしからぬということを私は申し上げているわけです。そして、長い目で見たら結果的に雇用を失わせるようなことは働く人たちのためにやってはならないということも申し上げているわけです。
 ですから、私が申し上げているのは、結果的に組合幹部のための春闘はもうそろそろ終わりにして、労働者のためになる春闘をやってほしいということを申し上げているんです。
#145
○吉川春子君 私は、もう再三申し上げますけれども、労働者保護行政が労働省の役割であり、大臣の役割である。そして、今度の護送船団方式の発言も、私は委員会で、予算委員会の場やこの労働・社会政策委員会の場で、賃金の決定に関すること以外の場でも聞いている。そのことに対して、私は護送船団方式なんていう言い方は好ましくないと、こういうことを強く批判しております。そして、それが大臣の信念だ、撤回するつもりはないということであれば、私は労働大臣としての資格も問われかねませんよということを強く申し上げておきたいと思います。
 駐留軍離職者法改正案関係の質問を次に行います。
 まず、基地従業員は日本人であっても常に戦争と背中合わせで働いております。九〇年十一月、米軍は、横須賀基地で働く日本人従業員の艦船修理部の電子技術者を中東湾岸地域バーレーン沖に展開中の第七艦隊の旗艦ブルーリッジに補修工事の見積もりのためということで派遣を検討いたしましたが、結局はこれは撤回されたということがありました。この撤回の理由は何だったのでしょうか、そのときの状況について御説明いただきたいと思います。
#146
○政府委員(小澤毅君) 御指摘の件につきましては、平成二年の十二月、米海軍は、米艦のブルーリッジが横須賀に寄港する際に実施されます作業に関し協議するため、バーレーンにある同艦上で開催される予定の整備評価作業項目決定会議に、当初、在日米軍基地従業員を派遣する意向を持っておりましたが、結果といたしましては同従業員の派遣は行われなかったものでございます。
 この従業員を派遣しなかったこととしました理由としましては、米側が米軍人軍属によりまして予定されていました整備評価作業項目決定会議を所要の期限内に行えると判断したためであるというふうに私ども承知しております。
 また、本件に関しまして、当時の状況といたしましては、平成二年の十一月二十六日、神奈川県知事から防衛施設庁長官に対しまして文書で、在日米軍従業員の中東湾岸地域への出張計画については見合わせるよう早急に対米折衝してほしい旨の要請等があった事実がございます。
#147
○吉川春子君 対米折衝をしたのですか、施設庁は。その点だけ確認します。
#148
○政府委員(小澤毅君) このような要請を受けまして、当庁から事実確認をいたしております。
#149
○吉川春子君 やめてほしいと申し入れたのですね。
#150
○政府委員(小澤毅君) そのような報道等がありましたし、また関係の行政機関からもそのような要請がありましたので、これの事実についての確認を施設庁から在日米軍の方へお尋ねしたというところでございます。
#151
○吉川春子君 何も言わなかったんですか。基地従業員を雇用するについての基本労務契約は、合衆国軍隊が日本国内において使用するため現地の労務を必要とするので云々というふうにしておりますので、日本の基地以外での労働は除かれている、このように理解してよろしいですか。
#152
○政府委員(小澤毅君) 在日米軍従業員の勤務地等の関係だと思いますけれども、基本労務契約等におきましては日本国内において就労するのが原則となっておりますが、しかしながら、海外出張等を想定した規定はこの基本労務契約等にも書いてあります。
#153
○吉川春子君 海外出張は四点ですか、挙げてください。
#154
○政府委員(小澤毅君) どのような状況で海外出張がなされるかということでございますけれども、基本労務契約の中に書いてございますのは研修、講習、訓練、会議等とありますが、これは一つの例示でございまして、その時々の状況によりましてケース・バイ・ケースで海外出張はあるものと思っております。
#155
○吉川春子君 怪しげな答弁ですね。限定されているんじゃないんですか。
 一九九七年、去年新しいガイドラインが設けられましたけれども、新ガイドラインで任務とされたのは、従来の極東有事にかわって周辺有事という地理的には無限定の概念が導入されまして、安保条約自体が憲法違反でありますけれども、さらにこの条約の地域を無限定に広げてしまいました。きょうはこの議論はやりません。
 そこで聞きますけれども、基地労務契約の原則は、基地労務契約はそのまま変更ないと考えでいいですか。
#156
○説明員(猪俣弘司君) 日米防衛協力の指針についてのお尋ねでございますので、私の方からまずお答えさせていただきます。
 この昨年九月に取りまとめられました日米防衛協力の新しい指針の別表についております項目の中に、「米軍施設・区域従業員の一時増員」というのが確かに書いてございます。
 この在日米軍従業員の一時増員といいますのは、今御議論ございましたけれども、周辺事態におきます米軍の活動に対する日本の支援の一環といたしまして、日本国内での対応をするための増員ということでここに書き込まれているわけでございまして、日本国外への派遣ということを想定しているわけではございません。
#157
○吉川春子君 この新ガイドラインによって労務契約の質が基本的には変わらない、このようにとらえていいですか。
#158
○政府委員(小澤毅君) 基本的には、現在の基本労務契約は変更ないものと思っております。
#159
○吉川春子君 これに伴って米軍基地で働く日本人従業員の一時増員ということが盛り込まれています。これは、周辺有事に対応して思いやり予算で給与を払う労働者をさらにふやす、こういう意味ですね。
#160
○説明員(猪俣弘司君) 指針の別表に書き込んでございます、ただいま御紹介のあった「米軍施設・区域従業員の一時増員」といいますのは、先ほど言いましたけれども、日本としてどういう支援をできるかという一つの例としてここに挙げられているわけでございますが、その費用をどうするかという点について、ここの指針の別表自身が何かを決めているということではございません。
#161
○吉川春子君 今でも思いやり予算で千四百億以上労務費を負担しているわけですけれども、さきの予算委員会でも、その職種については総理もわかりにくいなと首をひねっておられましたが、周辺有事に関連する増員というのは、危険業務と隣り合わせの業務ではないんですか。
#162
○説明員(猪俣弘司君) 先ほど来御答弁差し上げておりますとおり、一時増員される、これは米軍施設・区域における日本人の従業員でございますけれども、日本の国内における施設・区域での従事ということを目的としておりますものですから、直ちにそれが危険手当という問題につながることではなかろうと思っております。
#163
○吉川春子君 基地従業員は日本政府が雇用主で一〇〇%賃金を負担しているんですけれども、他方、米軍の指揮下で働く、派遣労働契約とはちょっと違いますけれども、要するに間接雇用なんです。同時に、これらの労働者あるいは日本政府の行為には日本国憲法の枠が当然かかるわけですが、少なくとも紛争地とか戦争地域に派遣されないように米軍に対して注文をつけていく、これは当然のことではありませんか。
#164
○政府委員(小澤毅君) 一般論として申し上げますれば、私ども雇用主としての防衛施設庁といたしましては、在日米軍で働きます従業員の勤務条件や雇用面において、不安なく勤務できる状態を確保していくことは、我々の当然の立場であるというふうに思っております。
#165
○吉川春子君 労働大臣、この項目の最後に、労働者保護行政のトップである大臣に、防衛庁長官にかわってきょうはお伺いしたいんですが、今防衛施設庁が、日本人の基地従業員に対して危険なところに派遣するということは基本的にはしないんだ、そういう立場で臨んでいきたいという答弁がありまして、私はそのとおりだと思うんです。
 きょうは防衛庁長官がいらっしゃいませんので、内閣を代表して、基地従業員に対して危険な紛争地域には送らない、そういうことを少なくとも米軍にはこれからも注文をつけていくということを言いただけたらと思うんです。
#166
○国務大臣(伊吹文明君) ただいま防衛施設庁と外務省の政府委員及び説明員から申し上げたとおりの協定内容になっているわけでございますから、安保条約というもの係を結び、それによって種々の運用がなされている限り、その条約を守って、また条約を具体的に動かしていくいろいろな協定を守りながらアメリカがやってくれるのは当然であって、私は、今先生がおっしゃったようなことをアメリカが要求してくることもないだろうし、してきた場合にはそれは日本はお断りしなければならないのは当たり前のことだと思います。
#167
○吉川春子君 では、きょうは幾つも法案がありますので、これはそういうことで、次の質問に移りたいと思います。防衛庁、施設庁ありがとうございました。
 次は、雇用保険法の改正案関係でございます。
 雇用保険制度の前身は、昭和二十二年の失業保険法による失業保険制度ということでスタートしたわけです。そして、雇用保険制度は基本的な意義と機能においてその前身である失業保険制度の意義と機能、沿革を受け継いでいると、労働省発行の本にも書いてあります。
 そこで伺いますが、雇用失業保険制度の意義とか機能とか沿革、これは一体どういうことなのでしょうか、御説明いただきたいと思います。
#168
○政府委員(征矢紀臣君) ただいま先生御指摘ございましたように、昭和二十二年に失業保険法が制定されまして、その後それが雇用保険法に変わったわけでございますが、失業保険法における基本的な考え方は雇用保険法にも受け継がれておるというふうに理解いたしております。
 雇用保険制度、基本的にこれは労働者が失業した場合に必要な給付を行うことによりまして再就職するまでの間の生活の安定を図るという、いわばセーフティーネットとしての意義を有するものであるというふうに考えております。こうした基本的な役割を前提に、必要に応じて失業した場合の再就職の促進を図るとともに、セーフティーネットの対象であります失業という状態に陥らないようにする、そういう役割もあわせ持つものというふうに考えております。
 したがいまして、これは基本的には憲法の二十七条の勤労権を出発点としている法律であるというふうに考えております。
#169
○吉川春子君 私は、労働省職業安定局雇用保険課編著の雇用保険法のコンメンタールを読ませていただきました。これには、「雇用保険法に関する最も権威ある理論的解説書」であると、当時の職業安定局長の若林さんが書いております。
 その本によりますと、今局長も一部おっしゃいましたけれども、「近代資本主義社会の発展に伴い、使用者と労働者との分離が進んだ結果、労働者は、その有する財産である労働力を使用者に提供し、その対償として賃金を得て自らの経済生活を営むこととなるが、」「雇用の機会は、「失業」という労働者にとって非任意的な事故にたえず脅かされている」。失業は、「国民経済全体にとっても大きな悪影響」をもたらし、「失業に伴う風紀の頽廃、不健康等は、社会的にも大きな問題となる」ものだというふうに書いてありまして、「現在の資本主義経済のもとにおいては、それはある程度不可避的な経済現象」が失業だというふうに書いてあります。
 そして、今局長がおっしゃいましたように、憲法二十七条の規定を引用して、「以上のような「失業」の性格を考慮すれば、法律論をはなれ、むしろ国として当然の責務であるといわなければならない」と、「労働者が失業した場合において、その生活を保障するためにできる限りの努力」を払わなくてはならないと、こういうふうに書いてありまして、この部分は大変格調の高いものとなっております。
 そういう沿革、意義を持つ雇用保険法でありますから、国家が責任を持つ制度として国庫負担も行ってきたわけです。しかし、失業保険としてスタートした当初の国庫負担は、負担率は三分の一であったものをどんどん率を減らしてきましたし、今回の法改正も国庫負担率の削減なんです。なぜこの国庫負担を戦後一貫してふやすことなく減らし続けてきたのか、その理由は何でしょうか。
#170
○政府委員(征矢紀臣君) 御指摘のとおり、失業保険法制定当時、当初国庫負担は三分の一でございました。それが、昭和三十五年の法改正によりまして四分の一という形、これは保険料率千分の十六から千分の十四に引き下げておりますが、それとあわせまして国庫負担率も四分の一に引き下げて現在に至っております。
 なお、その後につきましては、本則におきます国庫負担率四分の一は変わっておりませんで、平成五年におきましてはこれを当分の間の暫定措置といたしまして、厳しい財政事情にかんがみましてこの四分の一の負担率をそれの二割カットということで、それの八割ということで五分の一にいたしております。
 今回改正をお願いしております法律案におきましては、先ほど来申し上げておりますように財政構造改革を進めるという観点から、非常に財政事情の厳しいという中で、この国庫負担率を現行の暫定措置でやっておりますものについて当分の間これの三割カットをお願いするというものであります。
#171
○吉川春子君 諸般の厳しい財政事情と言えば全部理由がつくかというと、私は生存権とか勤労権とかそういうものについては理由がつかないと思うんです。経済事情が厳しくなかったときだってあったわけですよ、バブルのときだってあったし、戦後一貫して経済が発展し続けた時期もあったわけです。そういうときも一貫して国庫負担率は減らし続けられてきた、これは一体何事なのか。憲法の立場からいってもとても説明にはならないのではないかと思いますが、局長、その点はいかがですか。
#172
○政府委員(征矢紀臣君) 憲法二十七条の勤労権の保障につきまして、先ほど申し上げましたように、具体的にはこれを国家として雇用保険法あるいは職業安定法等で実現をする、こういう考え方でございますが、この国庫負担のあり方につきましては、これは私ども直接憲法から出てくるものではないというふうに理解いたします。憲法上出てくるものは雇用保険制度、こういう法律、こういうものであろうかと思います。
 それで、国庫負担のあり方につきましてはいろんな考え方がございまして、できるだけ多い方がいい、制度出発当初はこれは労使折半の保険料と国庫負担、それぞれ三分の一ずつであったわけでございますからそういう御意見もございますが、ただこの点については経済社会情勢の変化、あるいは税金を出発点とします一般会計の財政事情の厳しさ、そういう中で変化をしてきている。
 あるいは、あえてもう少し申し上げれば、雇用保険の保険料率のあり方論、例えば現状におきますと非常に雇用失業情勢が厳しいわけですが、ただ諸外国と比べますとなお非常に安定しているという面がこの雇用保険の保険料率にもはね返っておりまして、例えばアメリカの雇用保険、これは使用者負担で解雇についてだけ適用ですが、料率は百分の六であります。それからヨーロッパ、ドイツ、フランス等も非常に厳しい状況にございまして、これは基本的に労使折半の保険料ですが、両者合わせましてこれも百分の六、七、そんな状況でございます。我が国は、三事業を含めて全体で百分の一・一五でございますから、そういう意味では非常に雇用保険料率も低い、そんな状況もございます。
 それから、国庫負担のあり方につきましても、諸外国の事情がどうなっているかという点について具体的に詳しくはあれですが、我が国の国庫負担は決して少ない額ではないということは申し上げられるかと思います。
#173
○吉川春子君 国庫負担ということは憲法二十七条からくるものではない。これは、先ほどの格調の高い労働省発行の雇用保険法のコンメンタールが泣くというものですよ。まさにそういうところからきているんじゃないですか。しかも、経済情勢なんていったって、いいときだって減らし続けてきた。これは基本的な哲学の問題、哲学の欠如であると私は指摘せざるを得ないと思うんです。
 それで、具体的な数字をお伺いいたしますけれども、求職者給付、九八年度の予算で幾らになりますか。そして、それに対する求職者給付の国庫負担額は幾らになりますか。また、国庫負担額を現行どおり二割とすれば、その額は幾らになりますか。その三つの数字をお示しいただきたいと思います。
#174
○政府委員(征矢紀臣君) 平成十年度予算案におきまして、失業等給付費につきましては二兆三千九百九十五億円、またこれに係る国庫負担額につきましては二千九百三十八億円を計上いたしております。
 ただいま御指摘のように、仮に失業等給付に係る国庫負担率の改正が今回提案いたしておる法案のように行われなかったものとして試算いたしますと、これは受給者が非常に厳しい雇用情勢の中でふえているというようなことがございまして、平成十年度の国庫負担額は約四千二百億円程度となりまして、二千九百三十八億円というのは大体千二百億円余の減という形になるものと考えております。
#175
○吉川春子君 私の計算だと千二百七十八億の国庫負担の減ですね、ことし。これだけの減額を行ってしまったということです。
 当然必要な雇用保険関連経費を計上せずにこれだけの額を削減してしまったということは、私は非常に重大な問題だと思います。しかも、雇用保険の単年度収支は三年連続赤字です。失業は、もう何遍も言われているように、戦後最悪です。
 なぜこういう時期にわざわざ国庫負担額を削減するのか。二十七条の二項からきているんじゃないとしてもですよ、百歩譲って、この一番困難な時期に国庫負担を千二百億も削る、これは余りといえば余りの話じゃありませんか、どうですか。
#176
○政府委員(征矢紀臣君) 国庫負担額につきまして、十年度予算案におきまして二千九百三十八億円でございますが、これは前年に比べまして二十五億円程度、若干でございますが金額がふえております。
 千二百億円余減というふうに申し上げましたが、これは当初予算におきまして雇用保険の受給者実人員が非常にふえておりまして、九年度予算ですと受給者実人員を六十一、二万人ぐらいで積算いたしております、ところが、これが平成九年度の実績ベースで見ますと九十万人ぐらいになっておりまして、そこで三十万人程度の予算上の数字と実績の数字の乖離がございます。
 これは、したがいまして、九年度予算におきましては補正予算で対処いたしたわけでございますが、その補正予算で対処いたしました金額が先ほど申し上げましたような金額に近いと、こういうことでございます。
 財政構造改革法におきまして、社会保障関係費の増加額を当初予算ベースでできる限り抑制する、こういうことを基本的な考え方として雇用保険の国庫負担のあり方について検討せよと、こういうのがその法律の十二条でございます。
 したがいまして、そういう観点からいきますと、当初予算の積算がもう補正を当然前提とする、こういう予算の組み方、これは今言いました趣旨に反するということがございまして、その点を考慮して、今回国庫負担についての削減をお願いしているところであります。
#177
○吉川春子君 財政構造改革法を去年の臨時国会でやりまして、社会保障関係は八千億の当然増があるにもかかわらず三千億しか認められなかった。あと五千億どこで削るんだろうと私はあのとき不思議に思っていたら、雇用保険そのほかもありまして、合わせて約千五百億ぐらいここで削られてしまう。本当にこれでは労働者の生活にとって大変だということを言わざるを得ないんですが、その財政構造改革法が、同僚委員からも質問が出ましたけれども、改正論議がいろいう言われるようになっております。
 私は、そもそも今の社会保障費の削減、医療費値上げなどが景気を冷やした原因の一つである、消費税の税率引き上げもそうだと、この指摘は正しいと思います。まさにそういうことだと思うんです。
 国民の将来設計を不安にしたという点で、社会保障費を削るということは間違いなんです。それで、やっぱり財革法を見直すという必要が絶対あると思います。その見直すべきポイントは、この社会保障の削減を見直す、こういうことだと思うんです。
 大臣のお答えは先ほど来伺っていますので大体わかっているんですけれども、この社会保障の削減という財政構造改革のここはぜひ見直してもらいたいと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
#178
○国務大臣(伊吹文明君) まず八千億、三千億の話は、これは厚生省所管の話なんです。厚生省の予算を、制度的な改正を加えなければ、九年度に比べてことしは約八千億ふえますと。しかし、それを、他の省庁の予算はすべて伸び率ゼロとか、公共事業のように七%減にはしますけれども、厚生省だけは三千億だけふやしますということであって、今申し上げた国庫負担の労働省の分はまた別な話なんです。それをまずお話ししておきたいと思います。
 それから、実はこの雇用保険制度が始まった昭和二十二年、今先生がおっしゃったように、このときの保険料率は千分の二十二なんです。そして、今保険料率は御承知のように千分の十一・五になっています。そして、千分の二十二のときに国庫負担率は三分の一でした。そして、今国庫負担率は御承知のような調整を経て現在のはうに少なくなってきている。保険料率も国庫負担率も、両方とも制度の定着に応じて下がってきているという、流れとしてはそういうことなんです。
 そこで、国庫負担というものを、これは国民の税金でございますから、国庫負担を減らすなということでございましたら、共産党の御主張は、よく防衛費を削減したら出てくるという話になるわけなんですが、どこかを減らさない限り、国庫負担を減らすなということであれば増税しないとできないんです。家計簿と一緒なんです。
 そこで、どこのやりくりをするかというのが構造改革の法案の話なんであって、構造改革法案を見直すときに社会保障のところを削減しないようにしろというのは、それは先生や先生の党としてはずっと一貫して変わらない一つの御主張でございますから、私はそのことはそのこととして御主張はよくわかっておりますが、であればその財源をどこから持ってくるんだという話がないと、実は国家というものは動かないわけなんです。やはりそこのバランスをとりながらやっていこうとしているわけでございます。苦しいときでございますから、少しずつ分担をしてというのが今回のこの国庫負担の削減であると理解していただければありがたいと思います。
#179
○吉川春子君 私たちは、象徴的に防衛費を削れということを言います。それから、いろいろむだ遣いの点も、それから大企業の補助金とか軍事費とか、もう細かい予算の組み替え案も出しておりますので、ぜひごらんいただきたいと思います。
 そういうことで、やっぱり予算というのはどこへ使うかなんですよ、だれのために使うか。そういう立場で私は、労働者のために、障害者のために、そういうところへ使うべきだということで一貫して質問しているんですけれども、財政構造改革の問題はまさにそういうことを指摘しておきたいと思います。
 それで、雇用保険、失業関係の問題でいきますと、今最も深刻なのは中高年の問題です。きょうですか、山一証券の廃業の日で、大臣も記者会見をされておりましたけれども、中高年の社員の再就職が大変困難です。報道によりますと、五十歳以上の再就職は四分の一しか決まっていないというふうに言われております。
 大臣、山一証券の失業の実態について記者会見で何か御発表になったようでございますけれども、非常に中高年の労働者の再雇用が深刻だという点では認識は変わらないんじゃないんですか。
#180
○国務大臣(伊吹文明君) 私が、きょう閣議後に新聞記者の諸君の質問に答えて申し上げたのは、山一の再就職率は、三月二十日現在で、希望しておられる方の七〇%ですと。ただし、今後、山一証券の営業譲渡、つまり一部分を人ぐるみ引き受けるというオファーがかなり来ております。これだと職種を変わらなくても移れますから、今後の推移をもう少し見ていきたいと思います。
 ただ、山一という大きな企業だから労働省は仕事をしているという立場ではないんであって、中高年齢の方は、中小企業であれ、組合を結成しておられない方であれ、一番今厳しいところであるので、その方々の雇用の場を積極的に掘り出すために労働省の出先である職安やあるいは各県の労働関係部局は、従来のように座って求人と求職が来るのを待っていてお見合いをさせるというやり方はもうやめました。みずから打って出て、少しでもお仕事がありませんかということを探しにいきましょう。そして、そのお仕事を中高年齢の方に御紹介するということに力を入れますということを申し上げて、実は先月からそのことを始めておるんですが、集計が来月の半ばごろに出てまいりますので、より一層頑張ってやっていくということを申し上げたわけです。
#181
○吉川春子君 そのことについてもう少しお尋ねしたいんですが、まず具体的な数字をお伺いいたします。
 九七年の四十五歳以上の労働者の全雇用者に占める割合という総務庁の調査があるんですけれども、企業規模別に四十五歳以上の労働者の占める割合の数字をつかんでおられますか。
#182
○政府委員(征矢紀臣君) 総務庁統計局の労働力調査によりますと、平成九年の非農林業雇用者のうち四十五歳以上の割合は四一・七%であります。これを企業規模別に見ますと、一人から二十九人規模で四七・七%、三十人から四百九十九大規模では四一・二%、五百人以上規模では三五・一%と、小規模ほど四十五歳以上の割合が高くなっております。
#183
○吉川春子君 今おっしゃいましたように、小規模ほど四十五歳以上の労働者の比率は高くなっております。中小企業がこういう労働者を抱えているという数字があらわれております。
 ところで、日経連が調査して四百八十六社から回答が来たという、新時代の日本的経営についてのフォローアップ調査報告によりますと、労働需給についての現状と今後の動向について五十歳代の労働者が過剰であると答えた企業は何%あるか、この結果が数字で示されております。
 それによりますと、これは技能、事務、管理・監督というふうに分けているんですけれども、五千人以上の企業、大企業では、五十歳以上の労働者が過剰であると答えているのが、技能では六五・九%、事務では五五・二%、管理・監督では六一・四%という数字になっています。それに比べて五百人未満の中小企業では、技能では四三・三%、事務では三七・七%、管理・監督では三九・七%というふうに、五十歳以上の労働者が過剰であるとする意識はむしろ中小企業の方が少なくて、大企業の方がもう余っている余っていると、こういう数字となってあらわれているわけなんです。
 そういうことは、恐らく大企業では早期退職優遇制度とか、もう五十歳を過ぎたら大企業にはいられない。いろんなところに転籍なり、あるいは再就職なりさせられているという労働者が私の周りにもたくさんいるんですけれども、こういう日経連のフォローアップと今の総務庁の数字を比較してみますと、実際に中高年の労働者を抱えているのは中小企業、しかし余っている余っていると言っているのは大企業、こういう結果が浮き彫りになっていますけれども、局長でも大臣でも、そういう印象を受けませんか。
#184
○政府委員(征矢紀臣君) おっしゃるように、高齢者の方が働く場としては中小企業がかなり高齢者の方を活用している、こういう実態があろうかと思います。そういう場合には、例えば定年年齢等も余りこだわらずに働いていただくとか、そんなケースもいろいろあるようでございまして、先生御指摘のように、この調査等から見ますとやはりそういうことも推測されるのではなかろうかというふうに考えております。
#185
○吉川春子君 それで、私は大企業ほど中高年の労働者の比率が低いという現状を変えていかなくてはならない、そうでないと雇用情勢はもっと大変になるだろうというふうに思うわけです。
 私が労働大臣に申し上げたいのは、大企業に中高年労働者の雇用を図るように強く指導してもらいたい、申し入れをしてもらいたいというふうに思うわけです。
 労働省は、例えば女子学生の就職差別問題では積極的に企業に是正の申し入れをしたり指導をしたりしてきました。それは私の立場からいうと不十分だなという点はいっぱいあるんですけれども、しかし女子学生が何遍も労働省に行って、それで個別的に解決した事例もあるし、また労働省として大企業にセクハラ質問はやめよとか女子差別をするなとかいうことを割合やってこられたわけなんです。今、そういうことももっともっと続けていく必要があるんですけれども、中高年労働者がこういう困難なところに立たされていて、失業率も高いわけなんです。そういうときに大企業にもっと中高年労働者を積極的に雇うようにぜひ労働省として、大臣として働きかけていただきたいと思うんです。
 大臣は、さっきも、職安で待っていても雇用は来ないんだ、積極的に開拓しなきゃならないんだと、こういうこともおっしゃっているわけですから、大臣が先頭に立ってこういうことをおやりになったらいかがかと思いますが、いかがでしょうか。
#186
○政府委員(征矢紀臣君) 先生の御指摘もわかるわけでございますが、ただ一方で、行政指導につきましては一般的にきちんと法律に根拠のある形ですべきである、こういうのが最近の考え方でございます。
 そういう観点からいきますと、女子学生等につきましては御承知のように均等法等に基づいて行っているわけでございますが、高齢者雇用安定法等に基づきまして高齢者の指導、これは助成金もあわせまして今後とも積極的に対処してまいりたいというふうに考えております。
 それから、一般論として中年の方が非常に厳しいという実情もあるわけでございます。特に、戦後のいわゆる団塊世代の方が五十歳代になって、しかもこれが高度成長期にいわばホワイトカラー層に集中している、こういう経緯の中で、そこに厳しさがあらわれているわけでございますが、諸般の経済情勢の中で、一律に一般的に雇用を継続しろという指導もなかなか難しいわけでございます。
 その辺のところについて、私ども基本的にはホワイトカラーあるいは中高年の雇用問題が非常に深刻であるということを踏まえながら対策をとっているところであります。
#187
○吉川春子君 労働省はかつては中高年労働者の法定雇用率というのを決めていたんですよね、今は障害者だけですけれども。そういうことを廃止して、法律の根拠をみずからなくすようなことをやったわけなんです。
 私は、護送船団方式なんという大胆不敵なこういう発言をなさる大臣が大企業に対しても堂々と物を言っていただきたいと思うんです。そういう形で法律の根拠がないなどというのは官僚のおっしゃることであるかもしれないが、政治家としての大臣はやはり中高年労働者を積極的に雇えと、こういうことを大企業に向かってぜひ言っていただきたい。そのことを大臣から最後に答弁をいただいて、質問を終わります。
#188
○国務大臣(伊吹文明君) 昔と違いまして、もう先生御承知のように、六十歳定年というのは義務づけられているわけでして、現に働いている人たちが労働基準法の規定に反して退職を余儀なくされるようなことは、これは我々は法律に従ってきちっと処置をさせていただきたいと思いますし、六十五歳まで何らかの形で継続雇用をしていただきたいということは再三にわたって私が経済団体に対して申し上げております。
 そこで、何らかの形で六十五歳まで働けるような仕組みをつくってくださっている企業は大体八割までできてきました。しかし、希望しておられるけれども、六十五歳まですべて働けるという企業はまだ二十数%しかないんです。したがって、そういうことが可能になるような市場経済の、またこれを言うとしかられますが、市場経済の世の中でございますから、そういうことが可能になるような経済をまずきっちりとつくり上げると同時に、当然、今中高年齢の方々を冷たくしている会社は十年か十五年して少子化のところが働く勤労者の年齢に入ってきたときには、必ず赤っ恥をかきますよということを私は再三申し上げております。
#189
○都築譲君 私もきょうは雇用保険法の失業等給付に係る国庫負担の引き下げの問題を中心に質問をしたいということで考えておったわけでございますが、先ほど来既に各先生方からこの問題は取り上げられておりまして、またきのう少し説明を受けましたら、こんなものかなというふうな印象を持ったわけでございます。ただ、先ほど来大臣初め御答弁を聞いておりまして、これはもう少し幾つか考え方を確かめさせていただかなければいけない。こんなことで、当初五問を質問通告させていただきまして、あときょうのお昼にまた一問実は追加をさせていただいたわけですが、それを中心にお聞きをしたいと思います。
 まず初めに、先週の金曜日、閣議終了後発表になりました雇用失業統計で、失業率が三・六%ということで戦後最悪の状況になりましたし、有効求人倍率も〇・六一倍ということで、七カ月間にわたって連続下げ続けてきている状況でございまして、大変厳しい雇用失業情勢にあるのではないか、こんなふうに考えておりますが、これについて労働大臣はどう、いうふうに受けとめておられて、また今後どういうふうに見通しを持たれるのか、その点についてまず冒頭お聞きをしたいと思います。
#190
○国務大臣(伊吹文明君) 出てまいりました失業率三・六、有効求人倍率〇・六一という数字は、我々は日本国で仕事をし、日本国で生活をしているわけですから、その歴史の流れから見ると非常にやはり厳しい数字だと、これは当然そのように受けとめております。
 そこで、中長期的にはベンチャーの育成であるとか、あるいは規制緩和による新しい企業の立ち上がりであるとか、あるいはまた介護のような政策的に新しい職場をつくり出す努力とかということによって雇用吸収というのは図られると思いますが、当面はやはり経済政策の動きによって雇用というのは左右されるということでございましょう。
 そこで、労働省としてはもちろん、先生は労働省でお仕事をなさったのでよく御承知のように、マッチングをできるだけやるとか、雇用調整助成金制度を使うとか、いういろなことはやるわけでございますけれども、やはり基本的には経済政策の結果、有効需要がどういうふうに動いていくかという見通しによってこれはもう完全に左右されると思います。そこで、そうなると、現在の景気が悪いという原因は一体何なんだという議論になってくるわけだと思います。
 そこで、消費性向というのは御承知のように一昨年は七二か七三あったのではないかと思うんですが、今は六八ぐらいしかございません。したがって、ほぼ消費性向は百分の五、五%ばかり落ち込んでいると思います。一方、可処分所得は基本的には超勤等が減ってきておりますから私はむしろ落ち込んでいるんじゃないかという気がいたします。それにもかかわらず消費性向を下げておられるというのは、幾つか見方があると思いますが、暮らしていけないというところだと可処分所得が下がれば当然消費性向は上がってくるわけなんです。それが下がってきているわけですから、これはよく言われるように将来に対する不安、特に雇用、それから生活、こういうものに対する不安があって、それに備えておられる防衛的な姿勢だと思います。
 その原因は、私はやはりバブルの後遺症による金融を中心とした構造的な不安感が原因にあると思いますので、まず三十兆円という公的資金導入のスキームがどのように動いていくかということが一つございます。これによって貸し渋りというものが解消されて、自分の御主人の勤めている会社の先行きが安心だとか、自分のお店がもらった手形が不渡りになることはないとか、こういう感じが少し出てこないと難しい局面がなという気が一ついたします。
 それから、今お願いをしております予算に、バブルの後遺症である動かなくなっている土地を動かすためのいろいろな税制が入っております。これがどういう形で民間の方々に受けとめられるかということ、そのあたりを少し見きわめないとなかなか率直なところ答えが出せないなというのが、先行きに対する私の今の見通しなんです。
#191
○都築譲君 今、大臣が言われたように、消費性向が落ちているという話、きょう私も大和総研のレポートをちょっと拝見いたしまして、確かに実質というか、修正消費性向というのがかなり顕著に低減をしてきているという状況がありまして、実際の消費性向、こういったものについては九〇年ごろからほぼ横ばいで八七%というふうな数字が出ております。修正消費性向ということで、これは家計最終消費支出から医療保険支出とか、あるいはまた帰属家賃、こういったものを修正したものでいきますと大体六五%ぐらいまでに非常に顕著に下がってきておるわけでございます。
 ここら辺の状況は、実際のところは、特に最近の動きとして国民の将来の期待所得といったものがかなり落ちてきているのではないか。これは裏返すと、将来の国民負担増といったものが、経済学的に言うと合理的期待形成仮説ということでビルトインをされてきているから、幾ら笛を吹いても消費性向が上がってこない、こういう状況ではないか、こんなお話をちょっと聞いたことがあるわけでございます。今までのような需要サイドの対策というよりは、むしろ供給サイドの対策が必要ではないか。こういうことになりますと、これはちょっとこの委員会の議論ではなくて、公共事業で本当に景気がよくなるのと、こういう議論に私はなっていく、こう思いまして、これはまた別途の機会でやりたいなと思っております。
 今、大臣が言われたように、なかなか見通しが立たないところがありますが、こういう形で経済が推移していくということになりますと、この有効求人倍率〇・六一倍、失業率が三・六%という戦後最悪の、昭和二十八年以降の比較可能な統計数字ということで戦後最悪の状況になったわけで、二十七日の金曜日の夕刊各紙面とも大体一面トップでその問題を大きく取り上げておったわけでございます。
 ただ、その割には余りにも緊張感が今欠けているのではないか。例えば、第一次オイルショックの後のときとか、あるいは第二次オイルショックの後も、そしてまた円高不況のときも雇用問題が大変だと、だからこそ十万人雇用創出計画とか、あるいは雇用支援トータルプランとかいろんな対策を打ち出してきたのに、今本当にどういう対策を打とうとしているのか、何かこのままずるずると緊張感のないまま行ってしまいかねないような気がしてならないわけでございます。
 昨年の秋の臨時国会のときも、経企庁長官は景気は相変わらず回復傾向ですという状況を繰り返し言っておった。そんな認識で今の雇用失業情勢を受けとめておると、年が明けたらこういう大変な状況になってしまったということになるわけですから、政府の方が余り後手後手の対応ということでやられるんだったら、せめて参議院の労働・社会政策委員会ででも先手先手に物事を打っていく必要があるんではないかということで、私自身は労働・社会政策委員長に、ぜひこの雇用失業問題の集中審議をこの委員会で行っていただきますように、この場をかりてお願いをしておきたい、こういうふうに思います。
 それで、失業率が大変厳しい状況の中で、先ほどからも御指摘ありましたように、今後また失業給付に係る国庫負担を引き下げる、こういうことになりました。その趣旨については既に何度かもう御答弁をいただいておりますので、それは割愛をさせていただいて、私が疑問に思うのは、大臣の先ほど来の答弁を聞いておりまして、税金で賄われるいわゆる一般会計、国庫支出である、こういうことをおっしゃられるわけですが、特に、何か一般の雇用勤労者に対して割と厳しい見方を持っておられるのではないか、こういう印象を受けました。
 それで、最初にお聞きをしたいのは、実は今回雇用保険法と船員保険法の一部改正と、こういうことでございますけれども、船員保険の方については国庫負担割合は現状の八割というふうな形になっておるわけでございまして、雇用保険の方の失業等給付に係る国庫負担割合を現状の七割に下げるということは――失礼しました、ちょっと今誤解があったらいけませんけれども、船員保険の方はたしか本則率の八割ということでございますね。
 ところが、今問題になっております雇用保険の国庫負担割合は、今既に本則率が下がっているそれにさらに七掛けをするという状況になっておるわけですから、そうするとかなりギャップが出てくるわけでございます。それは船員保険の財政の問題もあるかもしれませんけれども、そこら辺のところは著しく一般の雇用勤労者に対して不公平ではないか、こういう点についてはどうお考えになられるか、お答えをいただきたいと思います。
#192
○国務大臣(伊吹文明君) 今の船員保険と雇用保険の国庫補助率の関係については後ほど政府委員からお答えさせますが、今先生がおっしゃった一般の勤労者に対して厳しいということはございません。私はむしろそうじゃない立場で予算折衝やなんかを頑張ってきたわけなんです。
 例えば、一般の大きな企業で働く人たちの命と健康を守る健康保険は、一般の国民の税金から入れている国庫補助率はゼロです。それから厚生年金、これも補助率はゼロです。そして、年金でいえば基礎年金、すべての国民が受け取る基礎年金、そして厚生年金の中の基礎年金部分、これは補助率が給付に対してきちっとついているわけです。つまり、保険というのは、特定の受益者がお集まりになって保険料をお払いになるというのを国がお世話しながら特別会計として運営しているわけなんです。
 したがって、雇用保険については、再三申し上げておりますように自営業者とか公務員の方々は所得税は納めておられますが、この対象の外におられるんです。そういう方の税金を一部の働く人たちのというか、そこへ入れていくにはおのずからやはりそれなりの理由づけがなければならないわけであって、国庫負担を削減しなければ一般の方の、雇用保険の恩恵を受けない方々を含めた税負担を上げていかなければならないわけですから、いろいろなバランスの中から、大蔵省の申しておったのに、抵抗に抵抗を重ねて、ここで食いとめたと。
 そして、将来、保険料率をもしさわらねばならないということになった場合には、補助率の問題についてはもう一度大蔵大臣に検討してもらわねばならないということも申し上げて、大蔵大臣もそれを重く受けとめると。こういうお話の中で、給付そのものの額を変えないという前提で今回の措置をしたわけですから、冷たいなんということは毛頭ございませんので、誤解のないようにしておいてください。
#193
○政府委員(征矢紀臣君) ただいま国庫負担のあり方について御質問がございましたが、船員保険の失業部門につきましては、これは率直に申し上げまして保険集団の規模が極めて小さくて単一の業種で構成されております。最近の事情が非常に厳しいものですから、失業保険金の受給率が高くて、したがって、保険料の料率も雇用保険に比べて相当高くなっております。そういう中で、財政赤字が続いてきております。保険財政の構造が脆弱である、そういうことから負担率が高い、こういうことでございます。
 従来はなかったんですが、最近、その累積赤字が解消してきて、若干黒字のところまで来たものですから、今回、負担率を十分の八に下げる、こんなふうにされたというふうに承知しておりまして、したがって、単純に被保険者が不公平であるというようなことは必ずしも言えないのではないかというふうに考えております。
#194
○都築譲君 今お答えいただきましたが、労働大臣、健康保険には国庫補助ゼロだと、こういうお話ですけれども……
#195
○国務大臣(伊吹文明君) 運営費補助は別ですよ、給付についてです。
#196
○都築譲君 給付についてですか。
 給付の面というか、例えばこれが、平成十年度予算及び財政投融資計画の説明という資料ですが、そこの説明の中で、社会保険費ということで十年度は社会保険国庫負担が九千九百三十億、そのうち厚生保険特別会計繰り入れで九千八百七十億、健康保険の国庫補助が九千六十億という状況です。それから、業務取扱費財源として八百億、こういうふうに入っておるわけでございます。その給付の問題かもしれませんけれども、雇用保険の方は、ではその給付の問題、そういった問題も込み込みの話があるかもしれませんけれども、そういった話ではないんじゃないか。
 それから、厚生年金の方についても、これは厚生年金保険国庫負担金ということで二兆八千三百億、こういうふうな話に実はなっておるわけでございます。
#197
○国務大臣(伊吹文明君) それは全然違うんです。
#198
○都築譲君 あ、そうですか。
 大臣の方から、ちょっとお答えをいただけますか。
#199
○国務大臣(伊吹文明君) 今、先生がおっしゃったのは、結果的には国民健康保険です。地方自治体がやっております国民健康保険の給付に対する助成金です。
 それから、厚生年金に入っているように見えますが、それは厚生年金の基礎年金部分です。つまり、厚生年金というのは二階建てになっております、大企業の方は。しかし、一般の自営業の方は一階だけです。そこの一階の部分の給付について、給付額の一定割合を補助している、そのお金です。したがって、厚生年金の二階建ての部分については助成金は入っておりません。
 それから、大きな企業がやっておられる健康保険、いわゆる健保組合というものは事業主と、それから御本人とが保険料を折半しておられます。そして、健康にお働きになって、かなり収入も高い方々が多いですから、このことだけであれば本来黒字で運営できるんです。ところが、国民健康保険は退職をされた方とか自由業の方があって、雇用主が実はないわけです。その部分を見ているのが、先生が今お読みになったお金です。
#200
○都築譲君 今そういうふうにおっしゃられましたけれども、その仕組みとして、国民健康保険のそういう部分とか、あるいはまた厚生年金の一階建ての部分、こういうふうなお話でございまして、確かに二階建ての部分はそれは報酬比例部分になってくるわけですから、それぞれ高いところが納めればいい。ただ、現実に基礎年金部分、一階建ての部分だって結局皆さん同じような話ではないのかというふうな話になります。ちょっとこの話は長くやるとほかのところに行けませんので、いずれまた私ももう一度勉強して議論をしたい、こう思います。
 あと、それから、先ほど大臣が例に挙げておられた国家公務員が税金を納めている、それから自営業者も税金を納めていると。こういう形の中で、雇用保険をもらう人たちにだけ一般会計の国庫から補助金というか国庫負担金が行くというのは、それは理由づけが必要だ、こういうふうに言われました。
 ただ、国家公務員も現実に失業をするという場合があるわけでございまして、これは総務庁の方に聞きますと、もともと公務員制度というのは失業することを前提としていないと言いながら、実際には失業するケースはあるわけです。現実に懲戒免職になったケースもあるし、あるいはまた、今のところ余りないかもしれませんが、整理退職というふうなケースだって退職手当法の方では想定をしてそういう規定をつくっておるわけです。
 さらに、実際に例えば、聞いたところでは大体五ないし六年勤務の若い方がもし退職をするというふうになったら、結局退職手当をもらいますけれども、若い方ですから、それが例えば九十日分の雇用保険の額に達しないということであれば、その部分は差額をちゃんと支給することになっているわけです。ではそれはだれが支給するのといったら、それは税金の中から支給をすることになるわけでございまして、それはだから全額実は国庫負担ということになるわけです。
 だから、そもそも公務員について雇用保険法といった仕組みが適用になっていない。ただ、では本当にそれでいいのと言われたら、現に失業する人たちもいるわけですから、そこら辺は全体の制度の問題があるかもしれないし、退職手当法の法制の仕方自身の問題かもしれない。
 ただ、それでもやっぱりそういった形でごく一部かもしれないけれども、実際に公務員で自己都合退職、あるいはいろんな理由で退職した人が、雇用保険というものがない状況で、仕事を探している期間本当に生活の安定が図られるのかと言われたら、国庫が全額丸々面倒を見る、こういうことになるわけです。その点からいっても、先ほど大臣が言っておられたお話というのはいかがなのかなというふうな気がいたします。
#201
○国務大臣(伊吹文明君) ちょっと誤解があると困るんですが、年金のお話を今先生されましたが、日本の法律では国民皆年金になっております。したがって、国民年金というか基礎年金は皆年金でございます。特定のグループだけを特別会計で囲い込んだものではございません。したがって、国民すべての税金から給付に対して補助金を入れるというのはそれなりの公平の原則が確立しているわけです。
 そうじゃない一部の方々に補助金を入れるというか一般の財源を入れるということについては、私は必ずしもそれはすべていけないとは言っていないです。その制度を定着させるとか、あるいはその制度が他とのバランスからいってどうしても無理だとか、何かやっぱりいろいろな理由が一方でなければならないし、それから国家全体の、一般会計全体の収支の状況を見ながら配慮しないと結果的に一部の、一部と言うといけませんが、今回の場合は約五千万人の働く方々のところへ、自営業者の方も税金を納めておられるわけですから、その税金を持っていくについてはいろいろ配慮する点があった上で決まっていくんだということを申し上げているんで、国庫補助そのものを否定しているわけじゃありません。
#202
○都築譲君 大臣のお考えはわかっておりますが、ただ、今回の状況はいろんな問題がありましょうから、特に取り立てて申し上げませんけれども、最後のところで御見解を承りたい、こう思います。
 一番大事なところは、例えば、今国民がそれぞれどういうふうに整理されるかというと、雇用勤労者、自営業者、国家公務員、地方公務員、いろんな形で全国一億二千五百万が区分されます。それで、雇用勤労者については雇用保険制度があって対応する、それから国家公務員については退職手当法の形で失業したときのあれを図る、では自営業者が失業したときはどうするか、こういうふうな話があります。
 結局、自営業も景気が悪くなって、あるいは経営に失敗してつぶれてしまったという状況になったときはどうやってその生活の安定を図るのかといったときは、雇用労働者でも国家公務員でも最後の段階は生活保護というふうな形でカバーする形になるわけです。そこのところは全額やはり国費で生活の安定を図るわけですから、それなりの雇用保険という形で、それぞれ拠出金を労使折半で出してもらってやっているにしても、それなりの比重といったものを、勤労者対策、労働政策としてしっかりとしたものを持っていないといけないのではないかということを私は言いたいわけでございます。
 その観点から、この国庫負担の引き下げの問題について、昨年の十二月十六日の中職審の雇用保険部会の報告で、先ほど安定局長がお答えになりましたように、雇用保険制度はセーフティーネットとして役割を果たしておるわけでして、それを考えると国家財政における失業等給付のプライオリティーというのは相当高いというふうに言われておるわけですから、当然配慮がなされるべきである、こういうふうに思うんです。今までの国庫負担の引き下げの推移などを見ていると、この配慮が本当に十分なされているんだろうかというふうな印象を受けるわけでして、その点についてちょっとお答えをいただきたいと思います。
#203
○国務大臣(伊吹文明君) 細かな数字が必要ならば政府委員からお答えをさせますが、先ほど吉川先生の御質問にもありましたように、最初この制度ができたときの国庫負担率は三分の一だったんです。しかし、そのときの保険料も千分の二十二であったと思います。そして、制度の定着を図るべく国庫補助を入れながら、国庫補助はずっと御指摘のように落ちてきております。しかし、同時に保険料率もまた今千分の十一・五になっているわけなんです。
 結果的に給付の金額を落とすとか、そういうことがあれば今回の国庫補助の問題については御指摘を受けたりおしかりを受けることがあってしかるべきだと私は思うんですが、高齢者求職給付金のところのバランスをとる以外には給付そのものはさわっていないわけなんです。
 したがって、そういう意味では、一般納税者の立場とそれから保険に入っておられる被保険者の立場と、両方をずっと並行的に下げてきているわけでして、私は決してどちらかの立場を一方的によくしたり悪くしたりという運営にはなっていないと思うんです。
#204
○都築譲君 今、大臣が言われたように、確かに昭和二十二年の制度設立のときは保険料率は労使折半で一千分の二十二、それで国庫負担率が三分の一と、こういう状況でずっと来ておるわけですが、考えてみますと、例えば雇用保険の失業給付の日額の上限とか、そういった問題についても今の生活の実態に合わせたというふうな形で本来対応されるように今制度が相当成熟をしてきておるわけです。
 だから、戦後の直後のときなんかは本当に国に金がなかったわけですから、保険をスタートさせたってだれが保険に入るんだと、こういう状況の中でスタートしておりますから、そうすると当然国としてやはり失業対策、そしてまた失業者の生活安定対策、こういうことで三分の一負担になってきた。ところが、高度成長期などを経てかなり制度も熟してきた、こういう状況の中で国庫の負担率といったものを引き下げる、あるいはまた保険料で十分賄っていけるところも出てきているじゃないか、こういったことがあったかもしれないです。
 ただ、本当に戦後と、あるいは高度成長期と今日とを比べて、当時の物価水準と今の生活、毎日の所要額、こういったものを比べたら一体どうだったのか。当時は絶対的な本当にもう窮乏状態でしたから、それでも最低限食うものは食わなきゃいけないから、やっぱり割高なものだったのかなと。ただ、今かなり豊かになってきた状況の中で、ここまで下げても大丈夫だ、こういう状況になってきているのかなという印象があるわけです。
 ただ、そうは言いながら、冒頭に私がお尋ねをしたように、今の失業率三・六%、大変厳しい状況であります。
 大和総研が三月二十三日にまとめたレポートでいきますと、第百十六回日本経済予測、こういうことでございますが、九八年度の予測が、もう既にこの時点で失業率は三・七%。そして九九年度の予測が、これがケース一としては補正予算で公共投資四兆円、あるいはケース二が公共投資四兆円、さらに所得税減税五兆円というケースで試算をしても失業率が四・三%にはね上がるという状況が、こういう一民間のシンクタンクの推計でありますけれども、予想されるわけでございます。
 そうすると、その時点になるとさらに財政状況は厳しくなってくるわけでして、財政状況が厳しくなってきた中で、さあ国庫負担の比率をもとへ戻しましょうと言ったってもうどこにもその財源はないよというふうな話になりかねないと、こう思うんです。
 ですから、今雇用保険の積立金が先ほど四兆円ほどあるということでございましたけれども、国庫負担を下げてその四兆円をどんどん使い尽くしていって、さあ、いざ大変な時代になったときにどこにも保険料の積み立てがないと、しかも毎年度単年度の収支は赤字になってしまうと、こういうことになったらそれで本当に雇用保険制度の本来の制度が生きてくるのかどうか、そこら辺のところをぜひ真剣に御検討をいただきたい、こういうふうに思います。
#205
○政府委員(征矢紀臣君) 基本的な考え方として、先生御指摘のとおりだと思います。
 今回の考え方は、一つには非常に厳しい財政構造改革に対処する必要があるという観点から、お答えはもう申し上げたとおりです。一定の一般会計のカットをいたしておりますが、ただ一方で、それが給付のカットにつながることは絶対に反対であるというところは確認をいたしておりまして、給付の引き下げはしない。それからもう一つは、保険料をアップすることもやらない、保険料は当面据え置く。暫定的に今引き上げておりますが、そういうことを前提として、厳しい財政事情に対処するために国庫負担を当分の間の暫定措置として引き下げる、こういう考え方をとったところでございます。
 その考え方がとれる背景には、これは高度成長期あるいはバブル期に相当積立金が積み立っておりまして、それで対処することが可能である、こういうことでございます。ただし、今後、長期的に見た場合に未来永劫それでいくかという点につきましては、これは経済の状況いかんにもよりますけれども、現状のような厳しい状況が続いていくとすれば、先生おっしゃるような問題が起こってきます。
 これは、給付と負担をどうするか、あるいはそれとあわせて国庫負担をどうするか。その場合には、例えば諸外国の例で見ますと、先ほども申し上げましたが、アメリカは事業主負担だけで百分の六の保険料であるとか、あるいはドイツ、フランスは労使折半ですがこれも百分の六であるとか、日本は百分の一・一五ぐらいで相当保険料が低い。それから、国庫負担のあり方につきましては、確かに戦後三分の一という率の国庫負担でスタートして下がってきておりますが、ただ、先進諸国の国庫負担のあり方を見た場合に、日本の現状の国庫負担は決して低い額ではない、こういうようなこともございます。
 その辺については、今回関係審議会におきまして基本的なあり方を今後とも引き続き検討していく必要があるというような意見がついているということで、これは現在の提案を申し上げております法案を前提として、今後の課題としてそういう配慮をすべきであるということが指摘されている、こういうことでございます。
#206
○都築譲君 それでは、最後に労働大臣にお伺いしたいんですが、今局長からも御答弁がありましたけれども、これから起こるのは本当に大きな構造変化、冒頭に大臣もおっしゃられたように規制緩和の問題とかそういったいろんな形で新しい雇用機会がふえてくればいいんですが、他方で規制緩和という形でいろんなことが起こりつつある。
 例えば、労働者派遣事業の問題にしても、それから労働基準法が今回審議をされることになりますけれども、その中での裁量労働制の問題、こういったものは人々の働きぶりといったものを本当に大きく変えていくことになります。
 今まで日本の企業が戦後の高度成長を経ていく過程の中で定着させてきた終身雇用慣行、長期間の雇用慣行といったものが社会保障の一つの代替措置のような機能を果たしておったと思いますが、そういったものも地球経済化という進展の中で大変困難に直面をしてくるだろう、こう思うわけでございます。
 そうなると、本当に労働政策、労働行政といったものがますます重要な役割を持ってくるだろうと思うわけでございます。そんな中で、先ほど税金の使い道はそれぞれがありましてですねということで、労働行政の場合は本当に一般会計の予算というのは毎年毎年たしか削られてきておりまして、もう五千億程度だろうと、こう思うわけでございます。
 そういった状況にかんがみたら、本当に日本の経済を支え、そしてまた勤労者の家庭の生活も支えていく、そういった労働者に対して、労働行政の予算もまた必要とあらばどんどんふやしていくような、諸条件が一定だから減らすんだというような話しゃなくて、前向きな御発言をいただければお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
#207
○国務大臣(伊吹文明君) 我が国がどのような国を目指すのかという国民的な合意が一つ私は必要だと思うんです。スウェーデン型のかなり行き届いたやり方だけれども、国民負担率は七〇%という行き方でやるのか、アメリカ的なやり方でやるのか、私はやはり日本型のやり方でやりたいなと基本的には思っているわけです。
 なるほど終身雇用制度というのは、不況期には企業にある意味ではつらい制度なのかもわかりませんけれども、日本人は実はそういうコストパフォーマンスの上で不利な制度でありながら、なおかつ国際競争を勝ち抜いて今日のような行き届いた制度の国を諸先輩がつくってくださいました。
 それは、基本的には日本人の労働力としてという表現はいいかどうかわかりませんが、平均レベルとしてみれば、私は人間としての質の高さにあったと思うんです。だから、小学校、家庭のしつけを含めての日本人のレベルをできるだけ落とさないようにしながら、終身雇用制というものを基本的な日本の雇用の位置づけにして、そこへバイパスを希望する方にはつけていく。そして、またそれが守れるような日本人を基本的につくっていく、これが結果的に一番国家としては安い繁栄を確保できる道じゃないかと私は思います。
 もちろん、必要があれば雇用保険特会の保険料の予算も使わねばなりませんし、今お話があったような一般会計の予算も公共サービスに対する負担のあり方をどのような形で考えるかということを含めて、労働行政にお金が来ないなどということにはならないように私はやりたいと思いますから、どうぞ先生方もひとつ御協力をお願いいたします。
#208
○都築譲君 終わります。
#209
○委員長(鹿熊安正君) 他に御発言もなければ両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#210
○委員長(鹿熊安正君) 御異議ないと認めます。
 これより駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#211
○委員長(鹿熊安正君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#212
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案に対し、反対討論を行います。
 現在の資本主義経済のもとにおいて、失業は不可避的な経済現象であり、失業の発生原因は個人の責任ではなく社会経済的要因や企業のリストラ等に基づくものであります。我が国においては憲法によって生存権、勤労権が保障されており、したがって、労働者が失業した場合においてその生活を保障するためにできる限りの努力を払うことは国として当然の責務であり、雇用保険はそのための一つの制度です。今回の法改正はそれに逆らうものと言わざるを得ません。
 以下、本改正案に対する反対理由を具体的に述べます。
 第一の理由は、雇用保険に対する国庫負担を大幅に削減していることです。
 失業給付に対する国庫負担は、憲法に由来する国の責務であるにもかかわらず、政府は国庫負担を減らし続けてきました。そして、九兆円の国民負担増など政府の失政によって景気が悪化、失業率が戦後最悪の水準である今日、求職者給付等について約千五百億円もの国庫負担を削減することは到底許されません。
 第二の理由は、高年齢求職者給付金を約半分に切り下げている点です。
 現在六十五歳以上の失業者は平均で約七十万円ほどの一時金を受給していますが、それを半減するとは余りにも冷たい仕打ちと言わなければなりません。さらに、高年齢者が在職中から引退後の生活設計に向けての準備を行えるようその援助に努めると述べている労働省の高年齢者職業安定対策基本方針にも反するもので、容認できません。
 なお、本改正案の介護休業給付制度の創設は、育児休業給付同様、事業主の負担を免れさせるものであってはなりませんが、労働者の所得保障上必要な措置だと考えます。船員保険の給付改善については当然のことであり賛成です。また、新設される教育訓練給付制度については、個々の労働者には一定の実利をもたらすものですが、教育訓練は事業主責任で行われるべきものであること、また本制度が財界の雇用流動化政策に沿うという性格を持っていることを指摘しておきたいと思います。
 以上、本法案は幾つか評価できる点はありますが、根本的な改悪を含んでおり賛成できません。今、政府・労働省が行うべきことは、戦後最悪の失業情勢のもとで雇用対策を充実し、雇用保険制度を含む社会保障制度を充実させることであることを指摘して、反対討論を終わります。
#213
○委員長(鹿熊安正君) 他に御意見もなければ、討論は終局したもめと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#214
○委員長(鹿熊安正君) 御異議ないと認めます。
 これより採決に入ります。
 雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#215
○委員長(鹿熊安正君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 笹野貞子君から発言を求められておりますので、これを許します。笹野君。
#216
○笹野貞子君 私は、ただいま可決されました雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民友連、公明、社会民主党・護憲連合、日本共産党、自由党及び新党さきがけの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一、本格的な高齢社会の到来を迎え、六十五歳現役社会の実現を図るため、六十五歳までの継続雇用の推進等高年齢者雇用・就業対策の一層の充実強化に努めること。
 二、労働者の自発的な職業能力開発の取組を支援するため、職業能力評価制度の一層の充実を図るとともに、教育訓練給付制度の充実について引き続き検討に努めること。
 三、職業生活の円滑な継続並びに家庭生活との両立支援に資するため、育児休業及び介護休業の取得状況等を勘案しつつ、これら休業の取得促進を図るとともに、諸制度の充実について引き続き検討に努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
#217
○委員長(鹿熊安正君) ただいま笹野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#218
○委員長(鹿熊安正君) 全会一致と認めます。よって、笹野君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、伊吹労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。伊吹労働大臣。
#219
○国務大臣(伊吹文明君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し努力してまいる所存でございます。
#220
○委員長(鹿熊安正君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#221
○委員長(鹿熊安正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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