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#1
第142回国会 労働・社会政策委員会 第17号
平成十年四月二十三日(木曜日)
   午後一時三十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     山下 栄一君     山本  保君
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     中原  爽君     佐藤 静雄君
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     吉川 春子君     上田耕一郎君
 四月二十一日
    辞任         補欠選任
     上田耕一郎君     吉川 春子君
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     勝木 健司君     今泉  昭君
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
     佐藤 静雄君     保坂 三蔵君
     今泉  昭君     直嶋 正行君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鹿熊 安正君
    理 事
                石渡 清元君
                海老原義彦君
                笹野 貞子君
                大脇 雅子君
                吉川 春子君
    委 員
                狩野  安君
                小山 孝雄君
                佐々木 満君
                坪井 一宇君
                保坂 三蔵君
                今泉  昭君
                直嶋 正行君
                長谷川 清君
                木庭健太郎君
                山本  保君
                聴濤  弘君
                都築  譲君
                堂本 暁子君
   国務大臣
       労 働 大 臣  伊吹 文明君
   政府委員
       労働大臣官房長  渡邊  信君
       労働省労政局長  澤田陽太郎君
       労働省職業安定
       局長       征矢 紀臣君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山岸 完治君
   説明員
       自治省行政局行
       政課長      伊藤祐一郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○社会保険労務士法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鹿熊安正君) ただいまから労働・社会政策委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十二日までに、中原爽君、勝木健司君及び山下栄一君が委員を辞任され、その補欠として佐藤静雄君、今泉昭君及び山本保君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(鹿熊安正君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(鹿熊安正君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に吉川春子君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(鹿熊安正君) 社会保険労務士法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案に対する趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○今泉昭君 民主党の今泉でございます。
 法案に触れる前に、労働行政に関しまして大変重要な問題である諸点につきまして、大臣を初め労働省の見解を少しお聞かせいただきたいと思います。
 既に新聞やいろんな機関で発表されておりますように、このところ我が国の雇用情勢というものは大変深刻な状況にあることはもう御存じのとおりだと思います。特に、二月の統計によりますと、統計がとられてからでは最高と言っていいぐらいの三・六%という失業率を記録いたしました。
 中でも、これまで我が国の経済産業を支えてまいりました製造業の就業人口の労働者数の落ち込みは大変大きいわけでございまして、六十四万人からの大幅な落ち込みを示しております。さらにまた、金融不安に絡んでいろいろ取りざたされております建設業におけるところの就業労働人口が大変減って、特にこれまで我が国の経済を支えてきつつあったと思われる、そして雇用労働者をふやしていたと思われる建設業界におきまして大変な落ち込みの傾向を強めているということで、今後の雇用情勢に大変私としては危機感を抱くわけでございます。
 さらに、有効求人倍率などを見てみましても、〇・六一になっておりますけれども、これは恐らくパートタイマーを入れた数字でありましょうし、パートタイマーは増加をしているかもしれないけれども、パートタイマーを除いてみますと何と〇・五%台という大変低い有効求人倍率になっているわけでございまして、労働行政としてこの問題を座視していくわけには当然いかないだろうと思うわけでございます。
 現下の雇用情勢につきまして、大臣としてどのように認識をしておられて、そして今後どういう諸点に注視をして対策を打っていこうと考えていらっしゃるのか、まずその認識をお聞きしたいというふうに思います。
#7
○国務大臣(伊吹文明君) 今、今泉先生がおっしゃった大変厳しい状況にあるということは、私は基本的には全く先生と同意見でございます。
 そこで、憲法にも規定されている勤労の権利と義務を国民は負うわけでございますから、働きたいと思っていらっしゃる方にはできるだけのことをするというのが労働省の基本的な仕事だろうと私は思います。
 そこで、まず当面の状況と今後の少し中長期的な方向というのはやはり分けて考えるべきだと思います。私は、規制緩和でございますとか、あるいはまた財政構造改革ということを着実に実施していくことになりますと、短期的にはこれは雇用に対して決していい影響は与えないと思いますし、それを十分理解しながら、なおかつ中長期的な視野から日本の将来のためにやらねばならないということで橋本内閣は改革に取り組んだと思います。
 このことは、中長期的に見ますと、技術の開発を進めたり、あるいは介護のように政策的に新しいニーズにこたえたり、あるいはまた規制緩和によって伸び伸びと新しい仕事が創出されるという分野がございます。したがって、これに応じた雇用の仕組み、またその中で働く人たちの権利を守っていく備え、こういうものは着実に労働省としてやっていかねばならない。しかし、短期的には、言うまでもなく雇用は有効需要の管理の状況によって左右をされます。それは今まことに厳しい状況になっております。
 先般来も当委員会で申し上げましたように、平均消費性向というのが一年前の七二か七三から今六八ぐらいに落ちております。多分、一〇〇のうち最初の五〇くらいは人間がみんな生きていくための食糧、あるいは光熱水料、交通費、医療費、そういうものに使うと思いますね、一〇〇%。したがって、限界的に追加されたものの有効需要創出効果は私は非常に少ないんじゃないかと実は思っているわけです。国際的な日本の義務ということを別にすれば、政府として一番力を入れなければならないのは、今の消費性向が落ちているその不安を取り除いて国民の将来に安心感を与えることだと思います。
 不況で可処分所得が余り上がらずにほぼ横ばいであるにもかかわらず、なぜ消費性向が落ちて貯蓄性向が上がっていくんだといえば、これは将来の雇用や家計について不安を持っておられる。不安の根本の原因はやはり金融システムの崩壊とそれに伴う資産デフレ、まあ金融デフレだと私は思います。
 そこで、先般お許しをいただいた金融二法を着実に実行して、十三兆円という枠をつくっていろんならばそれをすべて金融機関は使う。使う限り、従来のバブルのときのようなお行儀の悪いことをせずにきちっと身を正される。その身を正すのが嫌だから十三兆の準備をしているのに一兆八千億しか使わないというんじゃ、私はまじめに働いている人の運転資金すら供給できないと思うんです。こういうところを総合的にまずやっていく、そしてそういうことを考えながら政府で今景気対策を論じておるんだと思います。
 そこで、労働省がこれらの経済対策について十分な発言権が確保されておれば非常によろしいわけですが、残念ながら私は大蔵大臣でも通産大臣でも今のところございませんけれども、国務大臣として言うべきことは言わねばならない。その中で労働省に与えられている政策手段というのは、できるだけ求人を開拓する、求職の方とのマッチングをする、そして雇用保険を使って失業の拡大を防いでいくということだろうと思います。
 そこで、ぜひこれは第一線で頑張っている諸君のためにも先生に御報告をしておいた方がいいと思いますのは、従来職安というのは求人を持ってきてくださる人を待っておりました。求職に来られる人にそれをお見せして、オーケーという人にお渡しをする、引き合わせをするということをやっておりました。しかし、この一カ月間、第一線の諸君は積極的に会社を歩きまして求人の開拓を始めております。この効果が約六万から七万、新規に出てきております。私はまだ数字を見ておりませんのであるいは間違ったお答えになると恐縮ですが、多分そういう意味では有効求人倍率の数字は少し上がるんじゃないかと思います。
 このことが単に事業年度の終わりに駆け込み的に売り上げを上げるようなことにならないように、これからも第一線の諸君に頑張っていただき、憲法に記されている、本当に働く意欲のある人には職が見つけられるように全力を挙げて頑張っていきたいと思っております。
#8
○今泉昭君 労働省当局が求人開拓のためにそのような努力をしていただいていることに対しては心から敬意を表したいと思います。
 それはそれといたしまして、大変今私どもとして気になることは、当面、直面をしていくだろうと思われる、一層深刻化するんじゃないかといういろんな事例が出てきているわけです。例えば、金融機関関係を中心としたリストラは恐らくまだまだ続くだろうと思うわけであります。私どももずっと見てみますと、これまでの場合は金融業界で働いている人というのは依然として減っていないわけです、まだふえているぐらいですよ。ところが、いろんな新聞紙上で発表されるのは、金融機関がどんどんリストラを発表して、これだけの人員整理をするなどというような数字が出ています。恐らく出てくるのはこれからのことだろうと思います。金融業界に働くのは約百四十万人、仮にこの中で全体の一〇%がそのリストラの対象になったってこれは十四万人です。
 さらに、これから我々が注意をしなきゃならないのは、金融業の正常化のために今一生懸命努力をされておりますけれども、不動産関係と建築業界に関しましてはいろんな意味でこれから就業人口がふえていくという状況にはありません。むしろ、リストラが真っ先に来なきゃならないところだろうと思うわけです。六百六十万人の建築業界で働いている人たち、これは言い過ぎかもしれないけれども、仮に一〇%減ったって六十六万人ですよ。こういう大きな雇用労働者を抱えている産業が、今急激に産業を立て直そうとしたってもうそれができないような現状にあるわけです。
 これから直面するそういうものに対する行政としての対応というのは、ただ単に求職活動をいろいろ掘り起こしていくということだけではどうも済まないような気がする。後ろ向きかもしれないけれども、何かこれを補助してやらなきゃならない、手当てしてやらなきゃならないという面が当然出てくるのではないだろうかというふうに危惧しているわけであります。
 特に、失業率三・六%と言いましても、四、五日前の新聞の報道にありましたように、難しいからといって求職活動をやめた人たちが相当出てきている。これは記録に出てこない。こういう人たちを入れると我が国の失業率というのはもう既に四%を超えているんじゃないかという声さえ聞こえるわけです。先ほど私が申し上げました金融界と建設業界の中でリストラがあって一〇%の雇用減になった場合、我が国の失業率は一遍に四・七%にはね上がるという試算すら出ている状態なんです。
 そういうことを考えた場合に、求職活動で大変努力をされているとしても、何か手を打たなきゃならないんじゃないかという大変危惧があるわけでございますけれども、こういう点についてはどうですか。
#9
○国務大臣(伊吹文明君) まさに先ほど私が申し上げましたように、私が大蔵大臣であり通産大臣であれば、先生の今の御質問に即座に私はお答えできると思います。
 そこで、何か手を打つというのは、働かないのに補助金を上げて生活を維持してあげるという方法ではやはり基本的には私はまずいと思うんです。できれば有為に働かれて、そしてあちらの砂をこちらへ持ってき、こちらの砂をあちらへ持っていっても有効需要はふえるといったケインズ的な仕事のふえ方じゃない仕事のふえ方をやはり探さねばならぬ。
 金融機関については確かに金融のビッグバンが進み、日本の金融機関には今先生がおっしゃったような問題が生じます。それは私、全く同意見でございます。しかし同時に、日本も従来のような間接金融、つまり金融機関に預金をして、その金融機関が企業にお金を渡しているというようなファイナンスの仕方はもう世界の趨勢に合わなくなっていきます。必ず直接金融の時代が私はやってくると思います。そのために、そういう仕事がふえる部分と、それからこれはロンドン市場などでは顕著でございますが、ブリティッシュオリジンの企業の雇用は減りますが、ロンドン市場での雇用とロンドン市場での納税額はふえております。私は東京市場もそういう流れになっていくと思います。
 問題はやはり建設業だと思います、おっしゃいましたように。ここで働いている人がまことにお気の毒なのは、私は経営の失敗に大きな責任があると思います。それは、バブルの時期に大量のお金を借りて不動産を手当てして将来に備えた見込みが外れちゃった。その手当てをした不動産が全く運用資産として機能せずに金利だけ払わされて、そのしわがリストラに寄っているということです。したがって、今回の景気対策においても減税が有効かそれとも公共事業が有効かと言われた議論は、私はまさにそこにあると思います。
 したがって、今般の財革法の改正の論議も今進んでいるようですが、そこを含めて公共事業の手当てを行いながら、ここに働いておられる方々が、本当に国の将来のために自分たちも働いて、汗を流せているんだと思う仕事を確保する。そして、それも従来型の建設事業だけではなくて、新たに通信とか福祉だとか生活関連の公共事業を追加してお仕事の量をふやしていきたい、そんなふうに考えております。
#10
○今泉昭君 私が申し上げたいのは、実は前にも一度申し上げたんですけれども、年代とともに雇用対策というものに対する視点というものの重点が移っていかなきゃならないだろうと思うわけです。現在、労働省の大変大きな仕事の一つとして、この不況時に打たれている雇用調整助成金を中心とする失業者に対する、あるいは失業の危機に直面している企業などに対する手当でのやり方というものが導入されたというのは、これは第一次石油ショック直後の、前後のですか、我が国で今までに考えられなかった大幅な失業者がふえるという時期に打った一つの大変すばらしいやり方であっただろうと思うわけです。
 振り返ってみますと、それがずっと軸になって流れてきて、もうこれ何年になりますか、三十年近くになります。我が国が少なくとも石油ショックを迎えるまでは我が国の失業率は一%台ですね。百万を切っていたような失業率でございました。第一次石油ショック以降、我が国の失業率というのは二%にぽんとはね上がったわけでありまして、百万を超えるような失業者を抱えるようになった。大変大きな変化でありましたから、これに対する対応として今申し上げたような施策がとられて、大きく失業率がはね上がったけれども、社会的な混乱も迎えずに上手な労働行政がなされてきたという結果があるわけです。
 ずっとこう眺めてみますと、平成に入ってからまた一ランク、我が国の失業率が三%にはね上がってしまったわけです。しかも、このはね上がり方というのは加速的でありまして、当時の昭和五十年から二十年近くたって三%に上がったのと違って、もう十年以内に三%台から四%台に乗るんではないかという大きな流れが今来ようとしているわけなんです。
 でありますから、もう今までやってきたただ単なる雇用会計におけるところの補助金政策だけで果たして賄えるのかどうかという心配があるわけでございまして、こういう時期こそ新しい施策をやっぱり打たなきゃならない時期じゃないか。少なくとも今のうちから用意をしておかなきゃならないのじゃないかという実は危機感を持つものですからそういうことを申し上げているんですが、そういう意味で特に検討されているようなものというのは今ございませんか。
#11
○国務大臣(伊吹文明君) 先生のおっしゃっていただいていることはよくわかります。また、この御審議の中で、将来を見越してこういうことをやればいいじゃないかということがあればぜひ御教示をいただきたいと思います。
 私は、ことしのといいますか、昨年末の予算編成の際の大蔵大臣との折衝でもそういうことをお願いしたわけですが、先ほども申し上げたように、マクロの経済政策によってできるだけ失業が出ないようにする、これはもう第一でございます。しかし、失業が出たときは、これからは新たな職におつきになれるようにできるだけ職業能力開発をその期間を通じて助成しながらやっていく、これをもう大々的にやる。
 私は、日本の今日の農地を荒廃させたのは休耕奨励金を出したからだと思うんです。休耕奨励金ではなくて農地保全奨励金を出しておけば、日本の緑や農地は、転作奨励金というようなものを高くして休耕奨励金的なものをできるだけ低い水準に抑えた方がよかったのじゃないかなと私は今思ったりいたしております。
 単に継続雇用をお願いするというだけではなくて、その間にその方が新たなお仕事につけるような、そして先ほど来申し上げたように、経済構造は変わっていくわけでございますから、先生これは御承知だと思いますが、今一番気の毒というか大変なのは、私を含めて五十、六十代だと思うんです。これはもう団塊の世代で、わき目も振らず高度成長の支え役としてやってきて、会社にずっと一生をささげながら、手に職をつけずに、あるいは新たな能力開発をしないまま六十歳、六十五歳を迎えて、さてどうすると言われても、これはやっぱり大変だと思います。
 一方、二十五歳以下の方は、失礼ではございますが、有効求人倍率は一以上です。それでも失業率は七・五になっているんです。働くということが一体どういうことなのかということをもう一度お互いに各世代考えてみて、そして限られた保険料や限られた税をお預かりしているわけですから、今日の日本をつくってくださった方々がつらい目をもって六十、七十代を特に過ごされないように、全力を私は挙げたいと思います。
 お知恵がありましたら、ぜひ教えていただきたいと思います。
#12
○今泉昭君 もう一点だけ、雇用問題についてお尋ねしたいと思います。
 今、そういう意味で、雇用不安に直面している企業や労働者に対して雇用調整助成金を中心とするいろいろな施策が打たれておりますが、不況だ、不況だと言われている中で、一体どのくらいの業種に不況指定がなされているのか、その恩恵を受けて補助をされている人たちの数というのはどれぐらいあるのかということをまずお聞きしたいと思う。
 それからあわせまして、この制度そのものは大きく変わっていないんですが、報道なんかで聞くところによりますと、今大臣のお話にもございましたように、高齢者に向けまして賃金保障の比率を変えるという作業が進んでいるとかいうようなこともお聞きいたします。
 あわせまして、雇用調整助成金を受ける対象企業の認定手順について、今のようなやり方ではどうも遅過ぎる、ある程度がくんと長い期間落ちていなければ認定されないわけでございまして、その間が一番厳しい。認定の方法にも問題があると思うんですが、それらを含めて、今もし検討されているようなことがございましたら、ちょっとお聞きしたいと思います。
#13
○政府委員(征矢紀臣君) 雇用調整助成金の支給の問題でございますが、この対象業種につきまして、平成十年四月一日現在で、指定業種が二十一業種、それから特定雇用調整業種、これは構造的な問題を抱えている業種でございますが、これについては七十業種ということで、合わせて九十一業種となっております。平成十年一月が八十八業種でございまして、最近の厳しい状況を踏まえて、若干でございますが増加傾向にございます。
 支給実績で見ますと、平成八年度の状況でございますが、合計で三百八億円が支給されております。九年度につきましては景気の動向等、もう過去のことでございますが、それを反映しまして八年度よりは若干減少しているのではないかということでございます。最近は、ただいまも申し上げましたようにややまた増加傾向、こういうことでございます。
 それから、雇用調整助成金の支給問題でございますが、これは御指摘のように状況が悪くなったときにできるだけ早期に支給する、こういう考え方でございまして、そういう観点から、雇用保険につきましては企業単位ではなくて、適用事業場単位に公共職業安定所で判断をして支給をするということでございます。その判断基準としましては、生産量と雇用量、雇用の減少状況を見てということで、これは実情に合わせて適切な基準で運用をいたしておりまして、的確に、迅速に支給できるような、そういう手続で支給をいたしているというふうに考えております。
 この点について、今後弾力化等の検討の余地があるかないか、そういう点につきましては、また引き続き検討してまいりたいと思います。
 なおかつ、非常に厳しい状況の中で雇用対策をどうするかという御指摘でございますが、政府としまして総合経済対策を検討している中で、雇用対策についても非常に厳しい状況を踏まえて何をどうするかという点について、ただいま御指摘のように、例えば特定求職者雇用開発助成金の五十五歳という年齢を下げる問題であるとか、あるいは雇用調整助成金の助成率を割り増す問題であるとか、あるいは新規の雇用創出、これはなかなか難しいんですが、ベンチャー企業に対する人材確保のための支援についても割り増し率を高めるとか、そういう当面の情勢に対応する対策につきましては、現在鋭意検討しているところであります。
#14
○今泉昭君 わかりました。
 それで、時間もございませんけれども、社労士の法律の問題について少しお聞きをしたいと思います。
 今回のこの法改正の流れというのは、規制緩和の流れの中で既に内閣決定を受けた形で起きてきたものだというふうに理解をしておりますけれども、例えば民間に試験を委託するということを含めまして、この法案の改正によって得られる大きなメリットというのはどの辺に考えていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
#15
○政府委員(渡邊信君) 今回の社会保険労務士法の改正点は大きく二つありまして、試験事務の民間団体委託と、それから社会保険労務士の職域拡大、業務範囲の拡大でございます。特に前者につきましては、今先生御指摘のように、規制緩和やあるいは行政の簡素効率化、こういった観点を踏まえて、行政試験事務の民間委託を行おうとするものであります。
 十年前に比べますと、受験者数が一万二千人から三万六千人ぐらいと、近年三倍に増加をしておりまして、国の事務として相当な分量になっておりまする。これを今回、民間団体に委託をできるということにいたしまして、将来も安定的に試験を実施する体制が確立できる、こういったことが一つ大きなメリットであろうと思います。さらに、現在は試験日を夏季の平日に行っているわけでありますが、これはいろいろと御相談しなきゃいけないわけですが、例えば試験日を休日に持ってくるとか、そういった受験生のための利便を図れるような制度運営も今後は可能になるのではないかというふうなことを考えております。
#16
○今泉昭君 この社労士は広い意味での労務コンサルタントの仕事でございましょうから、そういう意味では独自の専門家を持たない中小企業が大変大きくかかわってくる仕事ではないだろうかと思うわけです、対象となるお客さんとして。そういう意味で大変重要な仕事だというふうに私は思っております。
 特に、もう五十を超えるような労働関係法というものに精通をしていろんな手続を代行していくわけでございます。中小企業は独自のそういう専門家をそろえるわけにはいかないわけですから、当然そういう資格を持った専門家を使いながら自分たちの仕事を遂行していくということになるわけです。そのお客さんの対象はもう中小企業に向けられているのではないかと思うわけであります。
 そういう中で、今まで四万人を超えるような社労士の登録者があるというふうに言われておりますが、開業していらっしゃる、資格を持って企業に雇われている方と違って独自に開業されている方々の平均的な年収というのは大体どのくらいなもんだろうか。あわせて、ほかの同じような資格を持っている人たちとそういう収入においてどのような差があるか、そういう点がわかったらちょっと教えていただきたいと思います。
#17
○政府委員(渡邊信君) 社会保険労務士の方は本年の三月末で二万四千五百九十四人いらっしゃいますが、そのうち開業しておられる方は五七・二%に当たります一万四千七十九人というふうになっております。
 お尋ねの社会保険労務士の収入でございますけれども、全国社会保険労務士会連合会が平成七年に行いました実態調査によりますと、年間三千万円以上の報酬を得ている社労士が約七・九%おられる一方で、年間の報酬額が五百万円に満たない方も半数を超えます五五・五%というふうにかなりばらつきがあるところでございます。
 なお、他士業の実態については十分には承知をしておりませんので、具体的なコメントはできないところでございます。
#18
○今泉昭君 先ほど申し上げましたように、これからいろんな意味で労働行政、特に雇用者と被雇用者との関係が経済構造の変革に伴いまして激変する可能性があるし、労働関係法あるいは社会保険法もどんどん変わっていくという可能性があるわけです。そういう中で大変重要な仕事をしている人たちが五百万未満の収入なんというのは、決してこれは安定的な生活ができる独立営業者とは言えないと思うわけです。
 例えば、司法書士であるとかあるいは税理士とかというような資格を持って独自で経営している方々がいらっしゃるわけでございますが、どうもそういう人たちに比べて収入が多いというふうに私どもとしては受け取れないんです。ある意味では、こういう方々の仕事がこれからますますふえて重要になっていくわけですから、安定できるような条件もあわせて工夫していかなきゃならないと思うんですが、この点についてはいかがですか。
#19
○政府委員(渡邊信君) 確かに開業社会保険労務士の方の年収は五百万未満の方も大変多いというふうに、なかなかこれが安定して独立した生計を営めるというにはまだまだ遠い実態もかなりあるわけであります。
 この社会保険労務士試験、先ほど冒頭申しましたが、受験者の方も大変ふえております。それから、社会労働関係法令もいろいろ複雑化をしてくる、あるいは労務相談につきましても、これから高齢者の方の活用とか女性の方の社会進出に伴っていろいろな今までの労務管理を改めなければいけないというようなことが中小企業においても当然生じてくると思われるわけであります。そういったことを背景にいたしますと、特に中小企業のよきパートナーとしてこれから社会保険労務士の活躍される分野はますますふえてこようかと思います。
 社会保険労務士の方におきましても、研修を受けるとか法令改正についての勉強をするとかいろいろと資質のアップに努められまして、顧客をたくさん得ていくというふうな努力も必要であろうと思いますし、国におきましても適切な研修等が行われるようにこれから努力をしていかなければいけないかというふうに思っております。
#20
○今泉昭君 実はこの社会保険労務士の仕事と同じような仕事を我が国の労使関係の中では労働組合が一部背負ってきた部分があるわけです。御存じのように、我が国の労働組合は大企業を中心として組織化されておりますから、大企業においては高い組織率を持っているんですが、中小零細企業というのはほとんど労働組合が組織化されていない。百人未満のところなんか三%程度の組織率しかないという状況でございますが、そういうところにこそこういう人たちが実は必要なわけです。大企業、中堅企業は、労働組合がしっかりしていればある程度肩がわりをしてもらえるような体制があるわけでございますが、中小企業にとっては重要な仕事、労働組合の仕事の一部を実は担うような一面もあるわけです。
 そういう意味で、ぜひこの場で働く方々が仕事をやりやすい環境づくりであるとか条件づくりということにひとつ今後留意をしていっていただきたいと思うわけであります。
 それから、これは最後になりますが、もう一つ要望として申し上げておきたいんです。この受験資格を見てみますと、実力社会でございますから学歴社会と違いまして、学卒者じゃなければならないとかという条件をもうつける必要はないんじゃないかと思うわけです。大学卒とか短大卒であると第一次試験を免除するというような枠が決められているようでございますけれども、学校を卒業するしないにかかわらず、ある一定の試験をパスすればだれでもいいというような形の枠組みをつくっていただきまして、広く優秀な人材をこういう仕事にも登用できるようなシステムをつくっていただきたいということをお願いいたしまして、時間が参りましたので終わります。
#21
○山本保君 私は公明を代表いたしまして、社会保険労務士法の一部を改正する法律案について具体的に御質問いたします。
 最初に、この背景といいますか、大臣にできたらお聞きしたいんですけれども、昭和五十八年臨調ですか、これ以来さまざまな臨調の答申でありますとか、また臨時行政改革推進審議会でありますとか行政改革会議ということで規制緩和を進めなさいと。その中の一つに、こういう国家資格にかかわる業務などをできる限り民間にという方針が出されているわけであります。
 大臣、この方針全体を通じまして規制緩和なりまたこういう国家資格、規制緩和というよりもこの場合は特に国家資格のようなものを民間に移譲していく、こういう方針の全体像といいますか、どういう国家像を持っておられるのかということを、これはどこか教科書にあるということでもないと思いますので、大臣の見解で結構でございますが、お聞きしたいと思います。
#22
○国務大臣(伊吹文明君) けさ、実は衆議院で行政改革基本法の集中審議がございました。労働福祉省関係、朝九時から十二時までやっておりまして、今先生がおっしゃったのと同じような質問もそこへ出ておりました。
 私の見解というお尋ねだと理解してよろしゅうございますか。
#23
○山本保君 はい、結構でございます。
#24
○国務大臣(伊吹文明君) 規制緩和、自由化というのは率直に言えば、戦後日本の経済発展を支えてきたある意味での国家社会主義というんでしょうか、あるいは社会主義的資本主義というんでしょうか、国がかなりの部分に口を出して、そして民間を指導するというのか、規制をしながら、生産活動は価格経済でやらせるということが戦後うまくいったわけですが、少しずつ曲がり角に来たという時代認識が一つはあると思います。
 そこで、政府の役割をできるだけ抑えて、民間でやれるものは民間にやっていただく、それから住民のニーズに近いところにあるものはできるだけ地方にお願いするというのが基本的な考えだろうと私は思います。しかし同時に、市場経済が万能でないということはだれも知っているわけでありまして、野方図な規制緩和、自由化がどれほど国家や社会を荒廃させたかというのは、実はアメリカの実験で幾つもの欠点が指摘されています。したがって、社会主義計画経済、共産主義的なやり方はだめだとしても、自由主義市場経済のやり方が万能ではない、その万能ではないところを抑えていくやり方に私は二つのやり方があると思うんです。これが今後の政党の理念になってくるという部分もあると思います。
 一つは、やはり安全保障であるとか、あるいは国民の基本的なニーズであるとか、人権を守っていくとか、そういう最低限のところまでは国家が積極的に介入していく、これはだれしも反対じゃないと私は思います。それ以上に、さらに国家が介入をしてでも個人の権利を守ってあげた方がいいだろうという政治思想はリベラルという政治思想です。しかし、ポピュリズムとその考えが結婚をしてしまえば、それは結局、リベラリズムという人たちが非難してやまない社会主義計画経済と同じことになってしまう。
 そこで、そういうやり方は実はとらずに、基本的なところまでは国家や何かが介入をしていくということを認めつつも、あとは個人の人間としてのレベルであるとか、それをずっと体現してきた家族だとかコミュニティーだとか伝統だとかというものによってそれを守っていく。これが保守主義と言われる流れだと思うんです。
 今回お願いしているのはそんなしち面倒なところまで議論が行かずに、国家として基本的に大切なところ、例えば労働行政で言えば、労働基準行政などというものを民間に許していいわけはないわけですね、これは。労働者が働く基本的なところはやはり国がやらねばならぬ。基本的なところは国がやらねばならないけれども、ある程度手伝ってもらうということはある。警察というものがあってもガードマンというものがやっぱり要るわけです。
 それと私はよく似たことだと思いますので、国民の基本的なことにかかわる国家資格の、特に医師の免許とか、こういうものは絶対に民間にゆだねてはならないと私は思っています。今お願いしている社会保険労務士の資格についても、最終的な合否の判定はやはり法律の運用をしてもらう限りは国家がやるべきであって、そこの試験の実務を実はお願いしていく。
 ですから、戦後日本を支えてきた社会主義的資本主義を緩和しながら、しかし、やはり基本的なものを国家が担い、その範囲を野方図に大きくしないということによって一人一人の国民が自分の創意と工夫と知恵と汗と自己責任でこの世界を生きていただく、これが私は描いている国家像だろうと思います。
#25
○山本保君 大変率直な見解をいただきましてありがとうございます。
 私も共感するところが多いわけでございまして、私も党を代表してではございませんが、一月に黎明クラブという小さな一時的な政党をつくったときに、その政治綱領のようなものを担当しまして、今おっしゃったような形、私どもも人間ということを大事にしておりますので、近隣社会でありますとか、家族でありますとか、こういうようなものを大事にしていこうと思っております。ただ、これが保守主義と言われましたが、なかなかこの言葉は日本では誤解されますので、保守主義とは私どもは考えませんけれども。
 ただ、今のお話の中で二点、一つはちょっと安心したのでございます。国の最低といいますか、最低というよりも弱い立場を保護しなければならない、これは国が見ていくんだということでございますので、これはきょうの問題ではありませんけれども、労働基準法のようなものは、まさに自由な市場経済では難しいところを、弱い立場の労働者を保護するものではないかなと思いますので、これはそのときまた議論をしたいと思います。
 もう一点は、これは、大臣は幅広くおっしゃいましたから、そのこと自体は結構なんでございますが、一般に国といいますか審議会等の意見を見ておりますと、国の側の都合だけが非常に出ている。事務が非常に多いからとか、もう国で見なくたっていいからとか、こういうことがよく出てまいります。
 これは局長の方には通告していなかったので、局長さん失礼かもしれませんが、今大臣も実は言われたわけでございますけれども、こういう問題にはもう一つ相手方のことがございます。私は、この社会保険労務士の方々が非常な努力をされて、これまで専門職としての対応、本当のといいますか、古典的な専門職ではありませんけれども、それに向かって努力されてきた結果が今回の改正ではないかというふうに積極的にとらえたいと思っております。
 ただ、そう考えますと、これは学生時代勉強して思い出しましたけれども、専門職といいますと、いわば人間のため、他の人のための仕事であることであるとか、またはその団体なりその職能団体が自主規制なりを持っておられて、自分たちでその中身を高めていくということ、それに関連して、そのための養成コースであるとか、そのための学問的な裏づけというようなものも確立していると、こういうふうに一般的には言われているというふうにたしか覚えております。
 そうしますと、今回の改正でございますけれども、これは質問の中に書いてなかったので申しわけございませんが、特に業務の拡充という中に注意勧告ということがございます。これと、それからこの試験業務についても主なところをやっていただくということになりますと、先ほど私が申し上げた中で、まさに自主的な、自分たちで規律を持ち、自分たちの規則によって自主的に動かしていくという面というものが非常に強くなってきたということから、この試験業務をお願いするというような積極的な意義づけが必要じゃないかという気がするわけなんです。今まで見ておりまして、国の都合だけで、受験者がふえて仕事が大変だとか、もうこれは国がそこまで関与しなくてもいいというような説明では非常に失礼だと思うわけであります。
 そこで、時間のこともありますので局長さんにちょっとお尋ねしたいんですが、国がこういう仕事を専門職団体、プロフェッショナルにお願いする場合の基準というのがあるんじゃないかと思うんです。これはあるんでしょうか。どういう場合にこういう試験なり、またはその内部の、今回いわゆる除名処分をするとか、そこまではいきませんけれども、しかし、それに非常にかかわるような注意勧告の権限を持っていただくというふうになるような場合に、どんな団体がどういうところまでいったらそうするのかというような基準がないと非常に恣意的に行われるおそれがあると思うんですが、その辺はいかがでございましょうか。
#26
○政府委員(渡邊信君) 行政事務の簡素効率化の問題については、もう随分長い期間いろいろな場所で議論されてまいりまして、例えば昭和五十八年の臨調の最終答申におきましても国家資格試験に関する記述があります。
 この国家試験事務というのは、行政による裁量の余地というものは比較的少なく、かなり定型的な事務であります。こういったものはできるだけ民間に委譲することがふさわしいというふうなことがありまして、それ以後も政府の規制緩和計画等においてこの問題が取り上げられてまいりました。現在既に四十ぐらいの国家資格試験が民間団体への試験事務の実施の委託ということが行われております。
 ただ、この試験事務の民間委託について統一的な基準が現在あるというものではないというふうに思いますが、行政の簡素効率化の観点を一つの観点といたしましてそれぞれの所管省庁において検討しているものであろうと思われます。
 今回、社労士試験の試験事務の一部を社会保険労務士会連合会に委託することといたしました実質的な理由は、近年受験者数が非常にふえておりまして、行政事務にとってもかなりの負担があるということが一方の理由でありますが、いま一方の理由といたしましては、先生今御指摘のように、これを受けるにふさわしい力量を備えた連合会というものがあるということがやはり大きな前提であります。
 年に一度の試験でありますから、そのためにわざわざ指定団体というようなものを創立するということはできないと思いますが、社会保険労務士会連合会は登録の事務でありますとか試験の一部免除の講習とかそういったことを既に行っておられますし、会員に対する研修等の長い経歴もお持ちなわけでありまして、今まさに御指摘のように連合会自身がこの試験事務を受託するにふさわしい団体になってきているんじゃないかと思います。
 そういったことで、昨年来、連合会とは何度もお話を重ね、また地域地域の各ブロックの社労士会ともお話を重ねまして、いろんな面の条件整備をしながら今回提案に至ったということでございます。
 なお、この連合会は自主的に設立された、かつ運営も自由に自主的に行われている国体でありまして、今回、試験事務の委託に伴う国の関与というのは立法上も最小限の関与にとどめているところであります。
#27
○山本保君 いろいろお聞きしようと思ったことについて全体的に先にお答えがあったので非常に質問しやすくて結構なんですけれども、今お聞きしていまして、やはり国の役人という立場から極めて自分の方の理由だけを言っておるような気がしてしようがないんです。
 私は、今回こういうことできちんと責任のある団体であるということからやられましたから、一つのいい例ではないかと思います。例えば、研修については回数というよりもどういう程度で行われるかとか、またその研修内容というのが、例えば大学の講座等の関係でどういうふうにあるのか、または大学院クラスのことになっていくのかとか、いろいろこの辺中身に立ち入って基準をつくられた方がよろしいんじゃないか。
 私はそういうのがないということを知った上でこれ申し上げますけれども、資料をいただきますと労働省が一番こういう国家資格も多い、所管しておられると聞いております。この辺、団体との極めて個人的、個別的な対応でなっていくというような印象を与えないようにぜひしなくてはならないというふうに私は思っておりますので、余分なことかもしれませんが一言指摘させていただきます。
 それでは、あと細かい方式についてちょっとお聞きいたします。
 もう一つそれとも関連がありますが、局長、いわゆる天下りと言われておりまして、私は自分も公務員を経験した立場からこういう言葉は実は余り好きではありませんで、天下りということが、何かもう最初から国家公務員なり官庁が上にいる、雲の上のものだというのが前提になったような言葉でどうも嫌いなんでございますけれども、こういうことがよく言われまして、例えば今まで労働省がやっておられたこういう仕事をある団体にやっていただく、こうなったときに、労働省というか一般の役所の中でそれについて専門的にやっておられた方がその団体に行かれてその仕事をするなんということは、これは当然だなという気がするわけなんです。それでその業務がうまくいくようにやり、そしてその段階でそれがもうなくなるというような形じゃないかなと思うんです。
 先ほども言われましたように、もう国としての関与がそれほど重要でないところにも役所のOBが行っておられるというのはどう考えたらよろしいんでしょうか。
#28
○政府委員(渡邊信君) 今、天下りについてのお尋ねがございましたが、社会保険労務士会連合会について見てみますと、会長が元労働行政の出身者でありますし、専務理事が二名おられますが、一名ずつがそれぞれ労働、厚生省の出身ということになっております。
 ただ、この方たちはいずれも社会保険労務士の資格を持っておられまして、行政OBの面とそれから御自身が社会保険労務士であるといった能力も発揮されながら連合会の事務の執行に当たっておられると思いますし、また会長につきましては、現在無給でその仕事をずっとしてこられているというような状況でございます。
 また、全国の社会保険労務士会を見ましても、これは今ちょっと正確な数字がございませんが、役員の数が大変多いんですが、行政の経験者というのは十名ないし二十名程度でございますし、その中にも、先ほど申しました社労士の資格を持って仕事に当たっておられる方が多いわけで、したがいまして、この社会保険労務士会あるいは連合会に関する限り行政からの天下りが問題になっているという状況ではないのではないかというふうには考えております。
#29
○山本保君 私も、それは役所の方からお聞きしましたし、個人的にもその辺は大丈夫だというふうには思っておるんですけれども、一般論で、もう国の仕事として直接するほどのことでもないんだと言われているところに実はたくさんOBが行っているというのは、それは舌をかんでいるんじゃないかなという気がするわけなんです。
 その仕事が移ったときにおられるということは、先ほど言いましたように私も当然かなという気がするんですけれども、それはその限りで、ある程度のところでどんどん自主的にやっていただくようにしておかないと、その団体の中で一生懸命仕事をやってこられた方がいつまでたっても、よく知っておりますけれども、ある一定以上のところには行けないということでは元気も出てまいりません。ぜひこの辺は、今回のことではないんですけれども、考えていただきたいなと思っております。
 もう一つ、次の話題でございます。
 先ほどもお話があったんですが、三万人以上受験されるということでございますけれども、合格者数はそれほどふえていない。非常に上手に調整をされてきたのかなという気がするんですが、この合格者数、七%とか八%という数字は大体三千人弱でございますか、こういうものはどのように決定をされてきたんでございましょうか。
#30
○政府委員(渡邊信君) 合否の決定は現在もちろん国において行っているわけでありますけれども、この社会保険労務上試験はいわゆる資格試験でございまして、労働あるいは労働社会保険に関する事務が適正に実施できる能力を持っている方にはすべて資格を付与する、こういうことになっております。
 したがいまして、例えば社労士に対する需要が少ないから少ない合格者、多いから多い合格者というふうな運用は従来もしていないわけで、一定の水準に達している方には合格をしていただくということになっております。
 ただ、今御指摘のように、近年の合格率は大体七%から八%台で横ばいで推移をしております。これは、今申しましたように一定の水準に達していれば当然合格していただくということですが、やはり労働社会法令の複雑化といいますか、そういったことも背景にしまして試験の水準が徐々に上がってきている、こういったことの反映ではないかというふうに考えております。
#31
○山本保君 それに関連で、今回試験に係る業務を移譲するということでございますけれども、合格の判定に関しては国に残すというふうに法律案に明記してございますが、この辺の理由について重ねて確認的にお聞きしたいのでございます。
#32
○政府委員(渡邊信君) これは先ほど大臣からも御答弁申し上げましたが、国家試験の一部を委託するということで、やはり国家試験としての性格から合否の決定は主務大臣が行うということにしております。ただ、先ほど申しました四十くらいの国家資格試験で民間委託された過去の例を見ますと、合否の判定もその委託された団体で行うというものもあるようでございますが、この社会保険労務士につきましては、先ほど申しましたように合否の最終判定は国で行うということにしております。
 これは、社会保険労務士の水準を一定の程度に保つ、年によってどうしても問題の難易度がありますから、国におきまして難易度あるいは得点の分布等を総合的に勘案しまして合格ラインを毎年決めていく。したがって、その結果一定の水準が保てるようにするということを担保しようということと同時に、やはり国家資格試験に対する制度の信頼性、安定性、そういったことを確保する上でも、最終的には国が合否を決めるということは必要ではないか、こういったことを総合的に判断いたしまして御提案のような内容にしたわけであります。
#33
○山本保君 なかなか微妙なところだなという気がいたしますが、これまで特に大きな問題もなくやってこられたという実績からこの体制でいこうということであるならば私も了としたいと思います。
 それから、そのことに関連しまして、やはり試験といいますといろんなミスなどが国立大学の入学試験などでもあるわけでございますけれども、こういうようなことが今後もし起こった場合に、国の責任といいますか、監督責任というのはこれまでより後退するんじゃないかというような気もしますけれども、この辺はいかがでございますか。
#34
○国務大臣(伊吹文明君) それは、先生、そういうことはございません。従来どおり全責任は国が負いますし、またそうでなければ国家資格というものの値打ちがございません。
 先ほども申し上げましたように、先生が例にお引きになりました労働基準法であっても職業安定の業務であっても、これは基本的に国がやる。しかし、先ほど申し上げたようにガードマンに手伝ってもらうことはある、ガードマンの手伝うルールだとか何かは国が責任を持つということです。だから、基準法も今回そういう形でつくっておりますし、職業紹介も同じような考えでやっておるわけで、これも国の責任を免れるという性格のものではございません。
#35
○山本保君 それでは次に、それにも関連しますけれども、そういう形で連合会の方でやられるとなりますと、連合会の方から試験委員などを委嘱されたりという形になってくる。
 そうしますと、受験料ですけれども、これまでの考え方というのは基本的に国の受験料ですから、いわば国の国民に対するこういう場合のアクセスとして常識的なといいますか、バランスをとったものでやられているんじゃないかと思うわけですが、民間がこの辺までも行うとなりますと、これは受験料が相当上がるというおそれはないでしょうか。それで受験をされる方が実際困るということはないでしょうか。
#36
○政府委員(渡邊信君) 現行の受験料は四千百円というふうになっておりまして、これは政令で定めておるわけでありますけれども、これは試験事務に必要な経費ということで四千百円いただいているわけであります。その中身は、職員の人件費とそれから試験会場の借り上げ費や試験問題の印刷費等々の経費ということでございます。予算に実際に計上しておりますのは、厚生、労働で約三千万円でございまして、これが実際に担当に当たる職員の人件費ということです。ただ、この人件費が本当に厳密に一〇〇%過不足なく算出されているか、計算されているかというと、職員は通常の事務をやっているわけですから、なかなか難しいものがあろうかと思います。
 今回、試験事務を委託いたしますと、そこのところは区分経理をしていただいて、純粋に他の業務とは独立して会計を処理するということにしておりますので、委託を受けた方でもこれは過不足ないように行われることが必要であろうと思います。
 したがいまして、これはどういう体制を今後連合会の方で組んでいかれるか、当然、職員や役員の純増ということにもなると思います。そこでどのくらいの経費が必要かということを十分検討いたしまして、政令においてこれを定めるということにいたしたいと思いますし、何年かやってみてやはり足りない、やはり多いというふうなことであれば、政令改正ということにいずれまたなろうかと思います。
 そういうふうに、原則は過不足ないように、受験料であるということで、現行も思想的にはそういうことですから、これが大幅に上がるということにはならないというふうに現段階では思っております。
#37
○山本保君 受験する側に立って考えてみますと、今お話しのように、過不足なく、基本的に今までも物価上昇などの関係でしょうか、少しずつ上がっているということでありますから、ほとんど上がらないということで、結構かと思います。
 先ほどからのお話にあった全体の仕事ということを考えますと、団体が自主的に行うわけですから、そんなふうに枠を決めてしまえば、逆にお金がなくて、そうすればどこかで手落ちが生じたりするということすら考えられるわけですから、政令でこれからということでございますので、慎重にその辺は進めていただきたいと思います。
 もう一つ、これはきょうちょっと御連絡したことなんですが、昭和六十三年十一月の臨時行政改革推進審議会の答申を見ますと、これがいわゆる国家試験などについて相当具体的に踏み込んで、資格について民間へという方針を出したものだと思うんですけれども、その中に、確かに民間にということなんですが、こういう文章がございます。「資格取得希望者の便宜を増進するため、可能な限り、試験問題の事後公表、試験機会の拡大、既受験合格科目の免除等を行う。」と、こうあるわけでございますが、特に試験問題の公表でありますとか受験方法、既に合格したものはある程度免除するというようなことについて今まで労働省はどのような対応をされてきたのでございましょうか。
#38
○政府委員(渡邊信君) 昭和六十三年の臨時行政改革推進審議会の答申の中に、今御指摘のような答申内容がございます。
 例えばその中で、試験問題の事後公表につきましては、現在既に事後に公表し、あるいは試験問題の持ち帰りも認めております。それから、試験機会の拡大につきましては、点字受験を初めとしまして、障害を有する方々への配慮等を行っているところでございます。
 既受験合格科目の免除ですが、これは例えば一年に二科目受かれば次の年また一科目というようなことかと思いますが、これは現在やっていないところでありますし、一科目についての社会保険労務士の試験問題は非常に少ないので、なかなかそういった方式をとるということは難しいのではないかと思います。
 いずれにしましても、この六十三年の答申で指摘されましたことは順次実施に移していきたいというふうに思っています。
#39
○山本保君 もう一つ、ことしの二月ですか、これは新聞なのではっきりしないんですが、総務庁が手が不自由で字を書くことが困難な受験生にワープロ使用を認めることを要請したところ、労働省が、いや、それは不公平だから認めないという返答があったというようなメモを私持っておりまして、これは事実かどうか。そのことを含めて、ちょっとこれはおかしいのではないかという気もするんですが、いかがでございましょうか。
#40
○政府委員(渡邊信君) 今御指摘の件が社労士試験についてあったかどうか、ちょっと私承知していないのでありますが、手の不自由な方のワープロ受験につきましては、要望は昨年あったというふうに聞いております。本年一月に、平成十年度、今年度の試験からワープロ受験を導入することを決定いたしまして、既に受け付け事務を行う都道府県労働基準局に対して通知を行っております。
#41
○山本保君 もう一つだけ、これも確認でございます。
 七年から八年にかけて労務士さんの登録者数が激減しております。これは、先回の法改正による登録数と会員数の差を、当然そのものであるということにするための三年間の猶予期間が終わったからだというふうに考えますけれども、余りにも登録数が減っているわけでございますが、この辺に何かトラブルなどが出てくるおそれがあるのではないでしょうか。どのような対応をしておられますか。
#42
○政府委員(渡邊信君) 平成九年三月、四月で約二万人登録者数が減っておりますが、これは平成五年の社会保険労務士法の改正によりまして登録即入会という仕組みに変更になりました。その際、現に社会保険労務士であった方については登録即入会という手続をとるかどうか、三年以内に選択するといういわば経過措置が設けられておりました。
 その結果として、当面社会保険労務士としては業務を行う予定はない方とか、あるいは少ないと思いますが既に死亡しているにもかかわらず遺族が抹消手続をとっていなかったというようなケースがあって、この三年の切れるころに会員の減少があったというふうに理解しております。特にトラブルがあったということではないのではないかと承知しております。
#43
○山本保君 ちょっと余りにも差が大き過ぎるのじゃないかと思います。
#44
○吉川春子君 社会保険労務士法の基本的な問題について、まずお伺いいたします。
 社会保険労務士法制定時の提案理由説明、趣旨説明を拝見いたしますと、社会保険労務士の役割について、社会経済の発展に伴い労務問題の重要性は高まり、特に中小企業の労務管理の近代化が切実な問題になっている。そのために、関係法規に通暁し適切な労務指導を行い得る専門家が必要になるが、中小企業では外部にこれらを求めざるを得ない。労務事務は経営者のために的確に処理する必要があるだけでなく、労働者の確保にかかわるものであるというふうにされています。
 労務面から企業の発展と労働者の福祉の向上に寄与することを期待されている専門的な公的な資格者、これが社会保険労務士だとされていますけれども、こういう立場は今日でも変わりありませんか。
#45
○政府委員(渡邊信君) 社会保険労務士の制度は昭和四十三年に議員立法によって制定されたわけでありますが、そのときの趣旨説明によりますと、特に中小企業において労働あるいは社会保険に関して通暁した専門家が必要である、そのためにこの立法を行うのであるというふうなことが趣旨説明において述べられておりまして、その基本的な立場は現在も変わっていないと思います。
 その後、数次の改正を経まして、例えば事務の代行でありますとかそれから事務の代理でありますとか、そういったいわゆる職域の拡大が行われてきましたし、今回の改正においても不服申し立ての代理ができるというふうな改正を行いたいと思っておりまして、社会保険労務士の方の専門資格を持った方としての性格はむしろ強まってきておるのではないかというふうに考えております。
#46
○吉川春子君 そこで伺いますが、社会保険労務士だけではなくて、弁護士、公認会計士などいわゆる業務独占が認められている職種が幾つかありますが、なぜこういう業務独占というようなことが設けられているのか、お伺いいたします。
#47
○政府委員(渡邊信君) 社会保険労務士法におきましても、他人の求めに応じて報酬を得てこの労務士法に書いてある業務に携わる者は社会保険労務士に限定するというふうになっております。
 これは、他のいわゆる士業にも同様の規定があるわけでありますが、これは専門性を備えた方によって当該事務が円滑に行われるということを期待してこのような立法がいろいろと行われているのであろうというふうに思っております。他人から報酬を得てそれを仕事として行うという方についての専門性の要求、あるいはそのことに伴って事務が円滑に支障のないように行われることを期待しての仕組みではないかというふうに理解しております。
#48
○吉川春子君 行革委員会の最終意見でも、
 高度に専門性のある業務や、国民の生活や安全に大きな影響を与えうる業務等に関して、試験を課すなどによって一定の資格者を定め、その規律に関して法律上で一定の規制を課した上で、業務独占を認めるものであり、これにより、一般に、サービスの質や安全性・信頼性の一定程度の高さが、制度的に担保されるとされている。
こういうふうに、これは客観記述で行革委員会の方は書いているんですけれども、こういうことは労働省のお考えとしてもいいわけですね。
#49
○政府委員(渡邊信君) この社会保険労務士の制度につきましても、そのように考えております。
#50
○吉川春子君 実はその行革委員会の最終意見はその次はちょっと方向が変わった意見になっておりまして、いわゆるその業務独占を有する資格制度について、
 業務独占規定は、当該資格を有しないものを市場から制度的に排除するという、参入規制的要素を色濃く持つものである。その結果、限られた有資格者が特権意識を持ち、当該資格者による特殊なムラ社会が形成されがちである。そうした市場においては、一般に競争が排除され、
 サービスの質が低下し、価格が高止まりしがちである。
 無資格者であっても必要かつ十分なサービスの提供を受けられると判断する国民は、無資格者が、法律上の規律に服さないことも承知した上で、自己の責任で、そうした者に依頼すればよいのではないか。
また、こういうふうにも書いています。
 悪徳業者の出現を恐れて、少数の有資格者による独占の弊害を甘受するのではなく、公正な市場による競争を通じて、現在をはるかに上回る良質なサービスがより安価に提供され、悪徳業者は、当然に市場から排除されるという環境を作り上げることこそが、行政の役割であると考える。
というふうにいたしまして、それで行革委員会は、いわゆる士業法というんですか、これを一括して価格競争を行って料金を安くすればいいかのような表現がありまして、私はもうびっくりするわけなんです。
 やっぱりその業務独占という制度、先ほど官房長もおっしゃいましたけれども、そういうものをなくすというようなことは実は軽々に論じてはならないと思うんですが、その点に対してはいかがでしょうか。さっきお答えいただいたわけなんですけれども、もう一度ちょっと確認的に、大臣お願いします。
#51
○国務大臣(伊吹文明君) 先ほど山本先生からの御質問がございまして、私はお答えを申し上げましたが、何でも競争をさせて、資格があろうとなかろうとその結果、価格が安ければいいというものでは私は国家は成り立たないと思います。したがって、だからといってすべて何もかにも国がやらないといけないというわけでは私はないと思いますから、先ほど来の例で言えば、警察官はいてもガードマンが手伝う、しかしそのガードマンの仕事のやり方や何かについては国が基本的なところはきちっと見ていく、そういうことは私はあっても構わないと思うんです。
 今、先生が御指摘になった行政改革委員会の報告は、行政書士の方々について御検討になって、それをもってその他の、今先生のお言葉をかりれば士業について言及をしておられると思いますが、少なくとも厚生省と労働省でおあずかりしている社会保険労務士は資格がなくてもやっていいということにしますと、お頼みになった当該御本人は安くいいサービスが受けられるということはあるかもわかりませんが、万一間違った場合の結果責任はだれが負うんだと。その混乱したことから生ずる国家や社会の成り立ちということは一体どうなるのかということを考えれば、私はちょっと、少なくとも私がおあずかりしている分野については軽々には同意をしかねると思っております。
#52
○吉川春子君 自治省お見えですか、行政書士について伺いたいと思います。
 例えば行政書士の業務独占を外すという問題については、実は九六年の十月の経団連の規制の撤廃・緩和等に関する要望書の中に出てまいります。
 そこで、「検査登録、車庫証明、自動車諸税納税、自賠責保険付保等の手続は、販売業者がコンピュータ処理により書類作成等を行った方が正確かつ迅速に処理できることから、消費者の利便に対応できるよう事業者による代書業務を認めるべきである。」と、こういう意見が経団連の方から出されております。
 私は、これは率直に言って自動車工業会等は大変利益になるのかもしれませんが、消費者である国民の立場をもっとやっぱり慎重に判断しなくてはならないというふうに思います。この点について、今労働省の方から答弁がありましたような立場でぜひ自治省も対応していただきたいと思いますが、これはいかがですか。
#53
○説明員(伊藤祐一郎君) 行政書士についてのお尋ねをいただきました。
 行政書士法におきましては、他人の依頼を受けて報酬を得て官公署に、いわゆる役所に提出する書類を作成する業務につきまして、社会保険労務士と同様の業務独占を認めております。とともに、守秘義務も課しているわけでございます。
 これによりまして、御指摘ございますような一般市民の保護、特にプライバシーの保護を図るという観点、もう一つは役所に提出する書類でございますので、その役所におきますところの執務能力の向上を図る、こういう点を目的といたしております。
 行政書士の業務独占の問題につきましては先ほどから御指摘ございましたが、行政改革委員会で昨年、九十を超える業務独占が我が国にございますが、その典型例として取り上げられました。その最終意見の中で、先ほど先生がおっしゃいますような言葉を引きつつ、「行政書士に関しては、業務独占の在り方について、今後、具体的な検討を開始すべきである。」との指摘がなされております。
 この意見を受けまして、政府といたしまして、ことしの三月三十一日に閣議決定いたしました規制緩和推進三カ年計画というのがございますが、この中におきまして行政書士の独占のあり方につきましては、「他の資格制度の業務独占に係る議論の動向を踏まえつつ、具体的な検討を開始する。」こととされております。したがいまして、自治省といたしましては、今後他の士業におきます業務独占のあり方等も踏まえまして検討をしたいと考えております。
 先ほど自動車業界等々の関連の話をなさいましたが、この業務独占を排しまして、いわゆる自動車業界等々が車庫証明でありますとか自動車登録とかの業務につきましてユーザーにかわってそれを行いまして、業界がその利益を独占する、そういうような計画といいますかお話も御指摘のようにあるわけでありますが、私ども委員会等においてお話をさせていただきましたのは、そうでありますればいわゆる業務独占を排して業界独占につながることになりますので、国民の立場からいいますと必ずしも望むべき方向ではないというお話をさせていただいたところであります。
#54
○吉川春子君 いずれにいたしましても、本当に国民の利益、それから行政サービスはいかにあるかという立場を十分御検討いただいて、今後引き続き対応していただきたいというふうにお願いをいたしをする。
 続きまして、行革会議の最終報告の中にはアウトソーシングとして民営化、民間委託の推進を打ち出しているわけですけれども、今回の社労士法の改正はこの最終報告を受けて行われたんでしょうか。
#55
○政府委員(渡邊信君) 社会保険労務上試験につきましては、既に平成七年の閣議決定に社会保険労務士試験の民間委託がうたわれておりまして、むしろそれに基づいて今回提案をしたということでございます。
#56
○吉川春子君 最終報告とは余り必然的な関係はないということでしたが、弁護士、行政書士、税理士など同類の士業の中で社会保険労務士だけを取り出して一番最初に民間委託として実行した理由、先ほど一部答弁がありましたけれども、どういうふうに検討されてこういう結論が出されたのでしょうか。
#57
○政府委員(渡邊信君) 社会保険労務士試験は大変人気が高いといいますか受験者数が著増しているわけでありまして、十年ぐらい前に比べますと現在三万六千というのは約三倍の数字になっております。そういったことと、先ほども御指摘がありましたが、国の都合だけではなくて、民間委託、これを受託できる団体があるかどうかというふうなことも総合的に検討しまして今回の結論を出したわけであります。
 既に四十ぐらい国家試験の委託はありますが、類似の士業におきましては社会保険労務士が初めてでありますけれども、ほかの類似の士業におきましては社会保険労務士におけるような顕著な受験者数の増加というのはございません。社会保険労務士は約三倍に上がってきているというようなこともあって、そういったことも踏まえながら今回民間受託ができるという規定を提案しているわけでございます。
#58
○吉川春子君 この試験の民間委託については、もちろん連合会が賛成されて引き受けられたわけですけれども、個々の都道府県の受けとめ方というのはさまざまなようです。西の方は賛成かな、北の方は反対かな、そういうような大きな色分けができる。その受けとめ方もなかなか複雑な感じがあります。
 これは国民の立場からいいますと、試験の公平性が保たれるかどうかという問題、それから先ほど来強調されております社会保険労務士の仕事との関係、法律の目的との関係、こういうものが十分に担保されるのか、これがいささかもおろそかにされてはならないと思いますけれども、はっきり言ってその点の懸念はないんでしょうか。
#59
○政府委員(渡邊信君) 従来、国家試験として行っていました試験実施事務を一部とはいえ民間に委託するということでございますから、そのことによって試験に対する信頼性や公平性が失われるということになりますとこれは大問題でございます。そういったことがないように、従来の国家試験、国が直接行っている場合と同じように試験の公平性、秘密性、こういったものが保たれるよう、制度的にもいろいろと担保を考えております。
 例えば、試験委員は、これから主務省令で定めることになりますが、一定の資格の学識経験者等の中から選任するとか、あるいは試験事務に携わります試験委員や役員、職員につきましては罰則つきの守秘義務を課する、あるいは刑罰等の適用についてはみなし公務員というふうにみなす、あるいは会計経理は他の経理とは独立して処理し、主務大臣がこれをチェックするとか、そういったいろいろなことの手当てを行いまして、さらに合否の最終決定は主務大臣において行う。
 こういったいろいろな制度的な担保をいたしまして、かつ委託をする相手がいろいろな経験を積んでこられた連合会、信頼に足る団体である、こういったことを総合的に考えまして、従来の国家試験、国が直接行いますものと同じような水準、内容において試験が行えるものというふうに考えております。
#60
○吉川春子君 いずれにいたしましても、民間委託という思い切ったことをされる。その結果、権威が下がると言うと言葉として適切ではないんですが、重要な仕事をしていらっしゃる人たちの受験者、合格者へのきちっとした担保というか、そういうものが十分図られますように労働省としてもぜひ目配りをしてやっていただきたいと思います。
 それで、今回の改正で社会保険諸法令に基づく不服申し立ての代理という権限が付与されるわけで、これは大変歓迎されているようですが、これまでのこれらの審査件数の数字の実績、まだ今は付託されていませんけれども、今までの実績、数をちょっとお示しいただきたいと思います。
#61
○政府委員(渡邊信君) 労働社会保険諸法令に係ります不服申し立ての件数ですが、新規の申し立てについて平成八年の数字を見ますと、合計で三千二百件程度であります。
 その内訳は、労災保険関係の審査請求が一千三十七件、さらに再審査請求が三百九十二件、それから雇用保険法関係の審査請求が六十件、再審査請求は七件、それから健保・厚生年金関係では審査請求が一千件、再審査請求は百五十八件、国民年金関係でそれぞれ五百二十六件、六十四件、合計約三千二百件ぐらいになっております。
#62
○吉川春子君 社会保険労務士の国民の権利に関する重要な仕事が、こういう件数でも示されていますけれども、ふえることになると思うんです。
 それと、もう一つ私が伺いたいのは、社労士業務といいますか、社労士会の自主性を保つということもこの仕事を守っていく上で必要だろうと思うんです。
 先ほども同僚委員から質問がありました行政府からの天下りの点を伺いたいんですが、こういうことによって自主性が阻害されてはならないということは当然だと思います。労働省出身に限りますが、社労士会への天下りの実情、それから支払われている報酬等について具体的にお示しをいただきたいと思います。
#63
○政府委員(渡邊信君) 社会保険労務士会連合会に勤務しております役職員は全部で二十七名でございますが、そのうち会長一名と専務理事二名、職員二名、計五名が、これは厚生省も含みますが、労働、厚生行政のOBということになっております。
 役員の報酬ですが、会長は無給でございまして、また専務理事の年収がいずれも約一千五百万円程度というふうに聞いております。
#64
○吉川春子君 そのほか、事務局長、総務部長、千三百万、千二百万という報酬なんです。
 ちょっと時間の関係で縮めて質問をいたしますけれども、九五年に連合会に設けられました雇用保険コンサルティング事業部長というポストがあるそうですが、これも労働省からの天下り人事と聞いています。どんなお仕事をされているのでしょうか。
#65
○政府委員(征矢紀臣君) 雇用保険関係のコンサルティング事業、これを全国社会保険労務士会連合会に委託をいたしておりますが、これにつきましては、先生御承知のように雇用保険制度が最近相当幅広くなっておりまして、最近の法律改正で雇用継続給付制度あるいは育児休業給付制度、あるいは雇用保険三事業の各種給付金など、また、今国会におきましても教育訓練給付とか介護休業給付制度をおつくりいただいたわけでございますが、こういう雇用保険制度についての的確な周知を行ってその活用促進を図っていくということがますます必要になっておりまして、そういう観点から、その一環として御指摘の雇用保険コンサルティング事業を全国社会保険労務士会連合会に委託をいたしているところでございます。
 特にその理由といたしましては、社会保険労務士の方々は雇用保険制度について専門的な知識を持っておられるわけでございます。かつ、特にこの制度の周知が必要な中小企業、零細企業、そういうところの事業主の方々と接点を持っておられまして、そういう意味からこの制度の活用をお願いしているところであります。
#66
○吉川春子君 そうすると、雇用保険コンサルティング事業部長というのはそういう仕事を委託するについて設けられたポストということですか。
#67
○政府委員(征矢紀臣君) この事業部の仕事につきまして、ただいま申し上げましたような仕事を行っている部門であるというふうに思いますが、ただ、委託事業の予算といたしましては、これは人件費はございませんで、雇用保険の活用相談室の開催であるとか事業場訪問等による相談援助であるとかを雇用保険コンサルタント、こういう方に委嘱をいたします。これは社会保険労務士の方でございますが、その方の謝金であるとか非常勤職員について若干の経費を計上いたしております。
#68
○吉川春子君 雇用保険法というのは労働者にとっても企業にとっても大変重要な法律で、それをPRしたり実際に適用して利用していただくというようなことは本来職安、労働省自身の行う仕事だと思うんですが、それをなぜ委託事業という形で社労士会の方へおろされるのでしょうか。
#69
○政府委員(征矢紀臣君) 雇用保険制度に関します。知については、御指摘のとおり、これは一義的にはまず全国の私どもの行政の出先機関であります公共職業安定所が中心となりまして積極的なPRを行う、これが本来業務であります。
 ただ、あわせまして、この事業についてより一層きめ細かな周知徹底を図るという観点から、先ほど申し上げましたように、専門的な知識を持っておられる社会保険労務士の方々は特に中小企業、零細企業の事業主の方々との接点を持っているわけでございまして、そういう観点から、あわせてこの労働保険のコンサルティング事業の委託をし、周知徹底をお願いしている、こういうことでございます。
#70
○吉川春子君 このコンサルティング事業がどういう役割を果たしているんだろうというような疑問が現場の社労士の方々から私どものところにも若干寄せられているんです。
 私は、今局長がおっしゃった専門的な知識を持っているとか中小企業とすごく親しいとかというのは、まさに職安の皆さんがそういうことを日常的にやっていて、知識も十分持っていらっしゃると思うんです。だから、これをやっていることがけしからぬということではありませんが、もしおやりになるんだったらもっときちっと、何百万とある事業場の中でたしか相談件数が五千とか八千とかいう数でしたけれども、もうこれは微々たるものですよね。だから、そういう今のやり方でいいのかということを私は一つ提起しておきたい。
 それから、もう時間の関係で最後に大臣に伺いたいんですが、私は、これはもうまさに労働行政でがっちり受けとめて雇用保険のPR、実施ということはおやりになっていただきたいし、そのために人手が足りないときっと局長はおっしゃりたいんだろうと思うんですけれども、やっぱり労働省の職員をふやすということも非常に重要だと思うんです。
 それで、先ほど職安の仕事として積極的に求職の開拓もやって実績も何万件か上げられたという報告がありました。まさにそういうところに労働省の担っている国民のための省庁という役割があるんであって、やっぱり雇用保険法を本当にあまねく知らしめて、そしてきちっと運用していく、三事業もちゃんとやっていく、そういう体制は労働省の体制を強化することによってやっていただきたい。そのために必要な人員は、これはリストラ云々ではなくて労働行政のためにもやっぱりふやしていくべきであろうと、そのことを最後に大臣に要求したいんですけれども、答弁をいただいて終わりたいと思います。
#71
○国務大臣(伊吹文明君) ありがとうございます。大いに労働省のために応援をしていただいたと受けとめております。
 午前中、衆議院の省庁再編の集中審議で御見の児玉先生とも議論をしておったんですが、確かに労働行政というxの答えとしては先生が出してくださったのは私は非常にいいお答えだと思います。しかし同時に、国民の税負担をこれ以上要求できないような難しい状況であるというyの答えも出さねばならない。そういう中で、時代の流れに合った行政を国民に立派に提供していくというzの答えも出さねばならない。
 だから、このxとyとzの連立方程式を解くというのが国を預かっている者の立場であるので、xの答えだけではやはり国政を預かったという答えにはならない。しかし、yとzの答えの中でxを満たさない答えにならないように全力を挙げますというお答えを実は児玉先生には申し上げたわけであります。
 全く同じことを先生にも申し上げるわけですが、どうぞひとつ今お考えになっているような考えで労働省を御指導いただければ結構かと思います。
#72
○都築譲君 私は、社会保険労務士法の一部改正案に関係いたしまして幾つか御見解を承りたいと思います。
 まず初めに、社会保険労務士の業務ですが、これは労働社会保険諸法令に基づく書類や帳簿の作成、あるいは行政機関への申請、届け出などの代理、代行、さらにまた労務管理等に関する相談、指導、こういったものがあるわけでございまして、労働社会保険諸法令に関する業務を主な活動領域としているわけでございます。
 そこで、まず社会保険労務士の業務として行っている労働保険の適用状況、保険料の徴収状況について簡単に御説明をお願いしたいと思います。
#73
○政府委員(渡邊信君) 労働保険料の徴収でございますが、これは原則として労働者を一人以上雇用する事業のすべてに適用されることになっておりまして、労働保険徴収法に基づきまして一元的に処理をすることになっております。
 適用状況ですけれども、平成八年度末におきます労働保険の適用事業数は三百四万事業で、この五年間で八・五%の増加となっております。また適用労働者数は、労災保険が四千七百九十万人、雇用保険、これは被保険者ですが、三千三百七十七万人で、雇用労働者の大部分をカバーしているのではないかと思っております。
 また、労働保険料の徴収状況ですが、平成八年度決算におきます徴収決定済み額は三兆四千二百四十三億円、そのうち収納済み歳入額は三兆三千五百三十九億円となっておりまして、収納率は九七・九四%でございます。
#74
○都築譲君 収納率が九七・九%というのはかなり努力をしていただいていると、こういうふうに評価をしていいと思います。
 それで、労働保険でこのほかに労働保険事務組合という独特の制度があるわけでして、これが地域のレベルでの労働保険制度の下支えとなっているというふうに私自身は承知をしております。
 こういった事務組合については、実際には社会保険労務士の方が主体となって、あるいはまた母体団体の職員として勤務する中で運営されているものも多い、こういうふうに聞いておるわけでございますが、この労働保険事務組合制度の概要とその現状について簡単に説明をしていただき、あわせてその労働保険事務組合が労働保険料の徴収を初め労働保険制度の運営の上でどういう役割を果たしているのか、お伺いをしたいと思います。
#75
○政府委員(渡邊信君) 後者の点から申し上げますと、労働保険事務組合制度は特に中小零細事業主の方からの保険料徴収事務の代行をしていただいておるわけであります。個々の中小零細企業から直接国庫に納めていただくということは大変な事務量になると思います。また、そのための職員の増等大変なものになると思うわけでありますが、中小零細企業で集まっていただきまして、そこで納付事務を代行し、まとめて国庫に納めていただくということで、労働保険の徴収の上で大変大きな役割を果たしていただいている団体であるというふうに思っております。
 現状の方でございますけれども、この事務組合は、事業協同組合あるいは商工会等の事業主団体等を労働大臣が認可いたしまして、これらの団体に事業主の委託を受けて労働保険料の納付その他労働保険に関する事務を行わせるものでございます。
 平成八年度末で事務組合数は一万二千三百八十六組合、うち商工会を母体とするものが約二二%、社会保険労務士の方が中心となって組織したものが約二〇%、事業協同組合が約一五%、こういうふうになっております。また、この事務組合の委託事業数は百四十万四千四百五十四事業でありますが、うち五人未満の零細事業主の事業は約六八%となっておりまして、現状は以上のようなことでございます。
#76
○都築譲君 だから、実際に中小零細企業は本当にそういう労働保険適用の問題、徴収の問題、大変困難が伴っておるわけでして、労働保険事務組合が果たしている役割というのは相当やはり大きいわけでございます。
 労働保険の納付状況が特によい労働保険事務組合に対しては報奨金が支給される、こんなお話を実は聞いておるわけです。ところが、私自身、東北の何県かに一度行ったときに、たまたまお寄りした労働保険事務組合の方でこの報奨金の額の問題とか、そういった問題についていろいろお話が出てまいりました。事務組合としても運営がなかなか厳しい中で一生懸命努力をされている、こういうお話があったわけでございます。
 最近における報奨金の予算額の動き、またその背景、こういったものについてちょっと御説明をお願いしたいと思います。
#77
○政府委員(渡邊信君) 労働保険事務組合には、特に中小零細企業を中心としまして労働保険料の納入事務を行っていただいておるわけであります。その労に報いますとともに、将来にわたってこれを奨励するということで、労働保険料の納入状況が著しく良好な事務組合、これは九五%以上というふうに基準をつくっておりますが、そういった事務組合に対しまして、報奨金を従来から交付しております。予算額につきましては、トータルですけれども、平成十年度で百三十三億一千七百万円となっておりまして、この額は近年ほぼ横ばいで推移をしております。
 事務組合には加入促進の事務をお願いしておりまして、事務組合にこの事務を委託される中小企業の数は漸増をしておるのでありますが、労働保険料が引き下げられまして、報奨金は保険料の額に比例するという部分もありますので、その結果、事業場数はふえながら保険料が下がった、こういったことがどうも相殺をしておりまして、この報奨金の額は近年横ばいで推移をしているというふうに考えております。
#78
○都築譲君 確かに、この間の雇用保険法の質疑のときに、いろいろな積立額がまだあるというふうな状況の中で保険料の引き下げといった問題がありました。
 ただ、事務組合の皆さん方が取り組んでおられるその労力というのは、そうやって適用事業場数をどんどんふやして実際の徴収額をふやしていくという中で、保険料が下がったからということではやっぱりこれは済まないのではないのかというふうな思いを、私自身は大変な御苦労をされていることを思うとぜひ考えていただく必要があるのではないかなということを一つお願いしておきたいと思います。
 先ほどの答弁にもありましたけれども、労働保険は原則としてすべての事業に適用されることになっているわけですが、それにもかかわらず実態としては商業とかサービス業を中心に、零細企業においてなお相当の未手続事業が残されている状況があるわけでございます。これを放置しておきますと、実際には取れるところから取って、そしてそれをよそのところに使うというふうな話になりかねないわけであります。実際には後で遡及適用というふうな形もあるのかもしれませんが、労働保険制度の公平性といったものを損なってしまうことにもなりかねない、こんなふうに考えておりまして、労働保険の適用促進に向けての取り組みの現状と課題、こういったものについてぜひお伺いをしたいと思います。
#79
○政府委員(渡邊信君) 平成八年度末の現状を見てみますと、労働保険の適用事業数は三百四万事業でございまして、適用労働者数は、先ほど申し上げましたが、労災保険が四千七百九十万人、雇用保険の被保険者では三千三百七十七万人というふうになっております。
 ただ、労働保険の適用につきましては、今御指摘ございましたように、商業やサービス業等の小零細事業を中心になお相当の未手続事業が残っているところでございます。小さいところも探しまして適用を進めていくというのは、費用対効果の面でもなかなか大変な問題があるのでありますが、一方でやはり労働保険の適用の公平性という大変大きな問題があるわけでありまして、私ども一つでも多くの事業がこの保険に加入していただくことが大変大きな課題であるというふうに思っております。
 そのために、従来からいろいろと努力はしてきたわけであります。例えば、毎年十月を労働保険適用促進月間といたしまして、この間にいろいろとPR活動を行政としても行っておりますし、また先ほど来お話のあります全国労働保険事務組合連合会に対しまして、労働保険の適用促進の事務の委託もして適用拡大を行っていただいている、こういった努力をしているわけでありますが、特に零細を中心にしてまだまだ未手続事業場がかなりあるという現状を考えますと、これからもさらに努力を強めていかなければいけないというふうに考えております。
#80
○都築譲君 一方で、労働保険制度が本当に国民に信頼される制度として機能していくためには、その制度運営にかかる費用負担面についての公平性が確保されることがまた不可欠であるわけであります。
 これは申し上げるまでもないことでありますが、労働保険料の適正徴収の確保といった問題もこれまた極めて重要な面を持っておるわけでございまして、この適正徴収という観点からはどういう取り組みをされているのかをお伺いしたいと思います。
#81
○政府委員(渡邊信君) 労働保険料の適正徴収についてのお尋ねでございます。この徴収状況ですが、まず平成八年度決算におきます徴収決定済み額は、先ほど申しましたように、三兆四千二百億円余、収納済み歳入額は三兆三千五百億円余となっておりまして、収納率は九七・九四%となっております。かなり高い水準であると思っていますが、なお未収があるわけでございます。
 この労働保険の適用徴収対策としましては、二つぐらいの問題がありまして、一つは申告したとおりにきちんとこれを納めていただくという問題と、その申告自体が正しいかどうかという問題がありまして、この両方から適正徴収の努力を進めていかなければならないというふうに思います。
 従来から適正な申告、納付等について制度の周知徹底を行っているわけであります。具体的には年度当初に労働保険事務組合等を通じ、あるいは個別に概算保険料を適正に申告していただくようによく指導するということは従来から繰り返しやっておりますが、その後必要により事業場に対しまして立入検査をいたしまして、賃金等の調査をいたしまして、その際過不足があればこれを是正していただく、こういったことを積み重ねているわけであります。適用事業場が大変多数に上りますので、その調査も例年数%の事業場にしか行えないわけでありますが、しかしやはりそういったかなり問題がありそうだというものについて重点的実施をしておりますので、申告に過不足のあった事業場数は四割ぐらいに上るというふうなことでございます。
 こういったことで申告を適正にしていただく、あるいは申告の内容を適正にしていただく、こういった面について今申しましたことをさらに徹底する必要があると思います。
#82
○都築譲君 ぜひそこら辺のところは本当にしっかりとやっていただく必要があると思います。私の地元の方でもいろんな事案がやっぱり起こっておりまして、とても相談に乗れないようなお話も持ち込まれてくる。外国人を違法に雇っている、そしてまた違法の人材供給をやっているというふうな話の中で、そういったところに実際には労働保険はどうなっているのか、労災事故が起こったらどうなるのかとか、いろんな問題が起こっておるわけであります。ぜひそういったところは適用の促進とそしてまた適正な徴収の促進という観点から御努力をお願いしたいと、こんなふうに思っております。
 そういった労働保険制度の適正な運営という観点からは社会保険労務士や事務組合が果たす役割というのは大変大きいわけでありまして、今回の社労士法の改正によってさらにまた一層の向上が図られることを期待したいと思うんです。
 もう一度また労働保険の問題に戻りまして、昨年十二月の行政改革会議の最終報告、これで労働福祉省といったものの設立を提言し、機能・政策のあり方として社会保険と労働保険の徴収事務の一元化といったものが盛り込まれております。
 私自身は前々から労働保険や社会保険、これは強制適用という形でほとんど税金と同じような形で実は徴収をされるようなものでございまして、働いてその賃金の中から納めている皆さん方は実際に保険だか税金だかわけのわからない中で給料から天引きをされている、そんな状況だろうというふうに私は考えております。であればこそ、本当に租税と一体で徴収することが行政改革とかあるいはまた行政事務の簡素化、そういった視点からも適切ではないのかなと、こんなふうに考えております。保険料が公権力に基づいて徴収されるという点で税金と近接した性格を持つものであることに加えまして、一元的な徴収が事業主の負担の軽減、そして行政の簡素化にもつながっていくんだろうというふうに思っております。
 さらにまた、保険制度の適用の拡大にもこれはつながっていくわけでありますから、ぜひそういったものを、大げさなことを言えば国税も地方税も社会保険も労働保険も一つの機関で徴収して、あとその配分の問題をどういうふうにするか、それはそれぞれの法律、制度のもとで枠組みが固められたものとして担当の行政分野が使っていくというふうなことまで考える必要が本当はあるのではないかなというふうに考えております。
 そういった問題について、ちょっと税金までいくのはなかなか難しいかもしれませんが、社会保険、労働保険の一元化の問題についての労働省の見解といったものをお聞かせください。
#83
○政府委員(渡邊信君) 今御指摘のあった国税、地方税、労働・社会保険料の徴収一元化、これは大変大きなテーマであるというふうに思います。
 現在政府から提案をしております中央省庁改革基本法案におきまして、労働福祉省の編成方針として、労働保険料と社会保険料の徴収の一元化が検討課題として掲げられておりまして、当面私どもとしましては、社会保険料、労働保険料の徴収一元化について検討を進めたいというふうに思っております。
 ただ、この問題につきましてもなかなか課題は大きい。例えば適用対象が、労働保険ですと一人でも雇用していればということですが、社会保険の場合には個人事業主ですと五人以上の雇用とか、それから労働保険の場合は総賃金の幾らというふうに徴収いたしますが、社会保険料ですと報酬月額に基づいて徴収するとかというふうにいろいろと仕組みの相違というものがあります。したがって、制度の中身も見ながら徴収の問題も考える必要があると思いまして、それ自体大変大きな課題だと思いますけれども、当面はそういったことについて検討を進めていく考えでおります。
#84
○都築譲君 なかなか難しい問題があると思います。社会保険の中身を見ても、実際に健康保険の問題でも適用が国民健保から組合健保から政府管掌健保まで分かれて、特に労働省の関係でいきますと人材派遣業の登録があるいはまた永続型の雇用か、そういった方たちの問題等いろいろな問題を抱えておるわけでして、社会保障の本当に基盤といったものはだれがどういう状況に置かれても最後の基盤のところは一つになるようなものを考えるべきではないのかな、こんな考え方を持っております。この問題はいずれまたこれからの課題であろうということで、私自身もこれから勉強していきたい、こう思っております。
 時間が参りましたので、最後に労働大臣に、この社会保険労務士は労働保険制度の運営を初め労務関係の相談業務とかコンサルタント業務といったことで大変これからも注目をされていきますし、これから企業自身が大変大きな産業構造の改革ということでアウトソーシングとかいうふうな形で内部事務をさらに外へ出していくような中で、労働関係法令とか社会保険関係とかそういった労務管理事務、こういったものも社労士が中核を担っていくことになるのではないか、こんなふうに考えております。
 そういった意味で、この社会保険労務士について大臣がどういうふうな期待を持っておられるのか、そういった御認識を承らせていただいて、質問を終わりたいと思います。
#85
○国務大臣(伊吹文明君) ありがとうございました。
 本法案の提案理由説明の際にも申し上げましたように、社会保険労務士制度が創設されましてちょうど三十年を迎えております。この間、各先生からただいま御質問もいただきましたように、厚生、労働両省の所管をしております法律あるいは業務で、民間の方々との間のかけ橋として私は大変立派にお仕事を果たしていただいたと思います。
 特に、今都築先生御指摘のように、中小企業の方々にはもうなくてはならない存在になっておられますし、大企業の方々にとっても今お話がありましたようにアウトソーシング的なものが進めば進むほどその重要性は増してくると思います。したがいまして、社会保険労務士の先生方もより一層研さんを積んでいただいて、社会からさらに尊敬を受けられる存在として御活動いただきながら、労働、厚生両省が一緒になりました労働福祉業務のまさに官と民との双方のよきコンサルタントとして働いていただくことを期待いたしております。
#86
○都築譲君 終わります。
#87
○委員長(鹿熊安正君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#88
○委員長(鹿熊安正君) 御異議ないと認めます。
    ―――――――――――――
#89
○委員長(鹿熊安正君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、佐藤静雄君及び今泉昭君が委員を辞任され、その補欠として保坂三蔵君及び直嶋正行君が選任されました。
    ―――――――――――――
#90
○委員長(鹿熊安正君) これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 社会保険労務士法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#91
○委員長(鹿熊安正君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#92
○委員長(鹿熊安正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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