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#1
第142回国会 国民福祉委員会 第3号
平成十年三月十二日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十日
    辞任         補欠選任
     清水 澄子君     青木 薪次君
 三月十一日
    辞任         補欠選任
     竹村 泰子君     今井  澄君
     寺澤 芳男君     釘宮  磐君
     青木 薪次君     清水 澄子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 正和君
    理 事
                尾辻 秀久君
                南野知惠子君
                水島  裕君
                渡辺 孝男君
                清水 澄子君
    委 員
                阿部 正俊君
                石井 道子君
                佐藤 泰三君
                常田 享詳君
                宮崎 秀樹君
                今井  澄君
                直嶋 正行君
                浜四津敏子君
                西山登紀子君
                木暮 山人君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  小泉純一郎君
   政府委員
       厚生大臣官房総
       務審議官     田中 泰弘君
       厚生大臣官房障
       害保健福祉部長  篠崎 英夫君
       厚生省保健医療
       局長       小林 秀資君
       厚生省生活衛生
       局長       小野 昭雄君
       厚生省医薬安全
       局長       中西 明典君
       厚生省社会・援
       護局長      炭谷  茂君
       厚生省老人保健
       福祉局長     羽毛田信吾君
       厚生省児童家庭
       局長       横田 吉男君
       厚生省保険局長  高木 俊明君
       厚生省年金局長  矢野 朝水君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
   説明員
       科学技術庁研究
       開発局ライフサ
       イ工ンス課長   藤木 完治君
       科学技術庁原子
       力安全局放射線
       安全課長     植田 秀史君
       文部省高等教育
       局医学教育課長  木谷 雅人君
       厚生大臣官房審
       議官       大塚 義治君
       建設省建設経済
       居宅地課民間宅
       地指導室長    岡田順一郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○社会保障等に関する調査
 (厚生行政の基本施策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本正和君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 委員の異動についてご報告いたします。
 昨十一日、竹村泰子君及び寺澤芳男君が委員を辞任され、その補欠として今井澄君及び釘宮磐君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(山本正和君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山本正和君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に清水澄子君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(山本正和君) 社会保障等に関する調査を議題とし、厚生行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○宮崎秀樹君 おはようございます。
 きょうは厚生大臣に議論をふっかけるわけじゃございませんけれども、厚生大臣の御認識、御見識を伺いたいと思います。
 それは、一つは二十一世紀において超高齢社会、少子社会を迎えるということで、我が国のこの財政難の折から社会保障制度というものを見直さなきゃならない大変厳しい状況に来ているということはもう皆さん御案内のとおりでございます。
 そこで、国民負担率につきまして、私どもは国民負担率という言葉を容易に口に出しているんですが、OECDの中では租税負担とそれから社会保障負担というものを合わせた数字が出ているんですが、国際的に見て国民負担率という言葉はどこにも出てこないんですね。我が国においてはこの言葉はもう既に皆さん耳なれておるわけであります。
 先国会で通りましたいわゆる財政構造改革の特別措置法というところに、この国民負担率は財政赤字を入れて五〇%にするということが書き込まれております。橋本総理がこういう御主張をなさっておることは十分私どもも認識しているんですが、この問題について、先生の同窓でいらっしゃる慶應義塾大学の大学院経営管理研究科教授の田中滋先生、この方は非常にこちらのことをよく御勉強されて詳しい御意見を持っております。
 そこで、この先生の御意見を伺うと、OECDは税金の負担率プラス社会保障の負担率という統計があると。しかし、それに財政赤字を含めるというのは、何で突如出てきたのか。先月大蔵省の方々とも論争したときに、急に出てくるのはおかしいではないかと言ったら、いや本音は支出を抑えれば理由はどうでもいいというのが御返事だったと、こういうことをおっしゃっているんですね。私は、これはちょっと問題があるんじゃないか。
 確かにテクニカルにいえば、財政赤字を入れるんだったら国債の償還分は引かないと統計的にはおかしいわけですね。それから、国債は年々借りかえるわけでありますから、新たに発行した分は実は前の借款債も含んでいるわけであります。これは借款債であります。こういうところを引くと、まあ確かにおかしいと。大蔵省主導でどうも進めてきたんではないかというわけであります。
 さらに、今後平成十年から介護保険が入りますね。介護保険が入りますと、これは四十歳以上の方は年金払っているわけですね。さらに、それを積み立てていきまして、さらに年金受給者から、またその払い込んだ年金から保険料を差っ引くわけですね。そうすると、これ二重取りではないかと、こういう一つの細かいことでございますけれども、言えるんではないかというようなことをおっしゃっているんです。
 こういうことについて、ここら辺の整理をひとつしておく必要があるんじゃないかというふうに思うんですが、大臣、こういうようなことについてどうお考えか、まずお聞かせ願いたいと思います。
#7
○国務大臣(小泉純一郎君) いろんな議論がありますが、要するに国民がどの程度の負担にたえられるかと。給付を要求するのはどんな階層の国民でも自然の要望として出てくると思います。また、政党にしても政治家にしても、各界各層のそういう給付に対する要望にこたえていこうとする努力はする。しかし、給付の背景には必ず負担があるわけですから、じゃこの負担はだれがするのかという場合に、均衡した見方が出てくる。これが今後の社会保障のみならず、あらゆる予算の中で給付と負担の均衡を図るという考え方だと思うんです。
 そこで、どの程度の負担だったらば日本の場合には経済成長を見込めるのか、また必要な給付が保障されるのかということで、一つの目安として五〇%を超えないという目標を立てたわけですね。今までは租税負担率と社会保険料負担率、財政構造改革法案においては新たに財政赤字を加えたということでありますが、いずれにしてもこれからの問題は給付の要求だけじゃなくて、その満たすための負担はどうするかという議論がないと現実の政治として無責任じゃないかという批判は免れないと思います。
 そういう中で、日本としてはこれからますます社会保障関係の給付も伸びていくし、同時にこの給付を現状のまま認めるとなると必ず増税問題が起こってくる。増税を容認すれば、給付の要求も私はそれはそれで結構だと思うんです。それをどう考えるかですね。ヨーロッパ並みの給付を要求した場合に、それが五%程度の消費税でいいのかということも考えなきゃならない、その辺をどう考えるかだと思います。
#8
○宮崎秀樹君 今、大臣がいみじくも給付のことにお触れになったんですが、我が国は今、たしか平成九年、三八・二%という推計がありますけれども、問題は何にこれを絵付するか。例えば土木事業だとか、ある国で王様がピラミッドをつくっちゃったとか、幾ら国民負担率があっても何にそれを使うんだと、この辺の議論をやはりしっかりやっておかないと非常に問題があると思うんです。
 そういう高い視点で、この内容を一体どういうふうに使うんだという使い道、これがどうも明確でないですね。だから、そこら辺をやっぱりきちっと議論をしていくということが国民も、国民負担率を五〇にするのか六〇にするのか、それは別といたしまして、使い道をはっきりする。今おっしゃったように、じゃ社会保障負担ということもありましょうし、しかし税金からも福祉に回しましょうということになれば、一体どういう政策で何をするからこれだけかかりますよということがやはり明確でないわけでして、そこはきちっとやっておく必要があるんではないかと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
#9
○国務大臣(小泉純一郎君) 既に日本は昭和五十年代から社会保障に対して一般歳出の中で一番の給付をしているわけですね、公共事業を超えている。今年度予算においても、社会保障関係費が一番税金を使っているといいますか、給付をしている。公共事業は十兆円程度ですけれども、社会保障関係費は十五兆円に迫ろうとしている。これからも私は国の予算を考えますと、公共事業よりも社会保障負担の方がふえていくと思います。
 地方においてもそうなると思いますね。地方公共団体も現在では公共事業負担が非常に多いけれども、介護保険が導入され、地方が主体性を持って介護基盤整備が進んでいくとなると、住民の要求を考えると、公共事業と福祉関係の基盤整備とどちらを要求するか、各市町村の首長というのは。その辺を考えると、私は今後は福祉関係予算の伸びが地方においても高まっていくと思います。
 国の傾向としても、全体の負担を抑える中で社会保障関係の負担は伸びていくと思います。十年度予算を見ても額として社会保障関係は減らすことはできない、必ず伸びてくる。十一年度予算でも現在より減らすことはできません、伸びていきますね。しかも、これからの少子・高齢社会を見ていきますと、給付の要求も強いわけですから、今後全体を抑えるにしても、割合としては社会保障の給付はどんどん伸びていく、相対的に他の給付の伸び率は減らさざるを得ないという状況にあると私は考えております。
#10
○宮崎秀樹君 大臣、大変心強い御発言で安心しました。
 私は、やはりそういう相対的なバランス感覚というものがないと、こういうものを簡単に国民に対して国民負担率国民負担率といってもなかなかその意味がわかってこないんですね。ですから、今みたいな議論を国としても政府としても国民に広報してわかっていただく、納得していただく。その中で一体国民はどういう選択肢を選ぶのかということを、やはり国民の意見を聞きながら、最終的な五〇%とか六〇%という数字を出しておりますけれども、これは自然にそこで決まってくるんではないかというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
 それでは次に、薬のことでちょっとお尋ねいたします。
 今度の医療保険制度改革の一環として医療費の問題がいろいろ今取りざたされているわけでありますが、今回、国民医療費の中の八兆円という薬、これの一〇%をカットして八千億というお金を出そうと。八千億というのはこれは医療費ペースでありますから、国庫負担はじゃどのくらいあるのかと申しますと、昭和五十七年は診療報酬の財源、これは国庫負担というのは三三%ぐらいあったんですね。御案内のように、国の負担と地方自治体の負担と保険料と患者負担、これで成り立っているわけです。ところが、平成七年になりますと国の負担は何と二四二一%でございます。それから、地方自治体の負担が七・五%、それから保険料は五六・四%ぐらいですね。患者負担が一一・八から九%、大体そんな割合であります。ですから、八千億のうちから国の負担というと大体千九百五十億、これを実は出したわけであります。薬にはこのように我々の税金それから保険料、こういうものが入っているわけです。
 ところが、この薬というのは非常に問題がありまして、今まで薬価差薬価差と、こう言っておりますが、既にもう薬価差はほとんどなくなっている。その薬価差という意味がわからないです。私が最初にまずお聞きしたいのは、薬の最初の値段は、例えば新薬ができたとする、どこでだれとだれとがどうやって決めているのか、これが公開されていないんですね、ガラス張りでない。どうもそこら辺がわからないです。お聞きするところによると、かつては業務局の経済課とそれから製薬メーカーと話をしてお決めになった。現在は、何か保険局の医療課でございますか、それから健政局の経済課、どうもその辺が関与してお決めになっているということでございます。
 その決め方のルールというのは一応私は知っておりますけれども、じゃこの薬は開発費がこれだけかかった、もうけはこれだけちょうだいよ、それから流通にこれだけくださいよと。さらに、医療機関の管理価格コスト、これはR幅と言っておりますが、今一〇%と、こう言っております。現実には一〇%ありません。さらに五%の消費税を乗っける。
 こんなことで決まっていくんではないかなと思うんですが、厳密に開発費については全部チェックをしているのか。それで、これは一体何錠をつくるかということで原価計算していると思うんですが、その辺のところはどうなっているか、まずそこら辺をお伺いしたいと思います。
#11
○政府委員(高木俊明君) 現行の仕組みですと薬価基準制度ということでありまして、いわゆる公定価格を薬について定めておるわけであります。
 それで、これについてはまず一般的な算定ルール、これは中医協の建議等に基づいて定められておるわけであります。これは二つの大きなルールになっておりまして、一つが類似薬効比較方式という呼び方をされておりますけれども、類似薬がある場合にはこの類似薬を基礎にしてこれとの比較において値段を決める、おおむね同じような額に決める、こういうことになっております。それから、類似薬がない場合、これが原価計算方式という形で算定をするということになっておるわけであります。
 それで、この原価計算といった場合には、これは一つには製造原価という中で材料費あるいは労務費とか販売費、それから営業利益も入りますし、流通経費等々が入るわけであります。材料費を除きます。その他の費目につきましては、これは他の産業等についてどのようになっているのか、これは各種公の統計がございますから、そういったものを参考にしながらその割合というものを考えさせていただいているというわけであります。それからまた、営業利益等につきましては、それぞれの販売予定数量、販売予定額、こういったものをヒアリングして、そしてそれを勘案し、それから全体の医薬品における営業利益というものの横並び等々を見ながら適正な水準というものを決めておるわけであります。ただこれについてはそれぞれ、今、先生御指摘のとおり、役所の中の担当部局とそれからまた製薬企業サイドとの交渉の中で決まってきております。
 それで、これについても極力やはり透明化といいますかどのような考え方で、それからまたどのような根拠でそういうふうにしたのかということについては広く国民がわかるような形でやはり公表していくべきだというふうに私どもも考えております。
 これまでのやり方につきましては今申し上げたようなことでありますが、昨年の四月以降、新たに薬価基準を決めている個々の品目につきましては、中医協に今申し上げたような考え方、それからその基礎となる数字等も含めまして一つ一つ御報告をし、そして御了解をいただいてきておりますけれども、さらにこの透明化というものをシステム的にも私は進めていく必要がある、このように考えております。現行のやり方は今申し上げたようなことでございます。
#12
○宮崎秀樹君 これは何錠をつくるかというところが私は非常に問題があると思うんですよ。ある一定量を基準にしてやっていなかったらこれは単価が出てこないわけですから。ところが、そこには保険料も税金も入っているけれども、監査も指導も何もないんですね。そして、末端の医療機関でその薬を使えば使ったところだけは監査、指導をやられている。私はこれは大変問題があると思うんですね。
 例えば、これは一九九六年の大きな製薬メーカーでありますけれども、年間一千億以上の経常利益を上げているところが二社、上位六社で四千億以上の経常利益を上げているんですね。私は日本は資本主義国家だからメーカーがもうけちゃいかぬと一つも思っていません。しかし、ほどほどにしないとこれはやっぱり非常識なんですね。どんな企業の従業員一人当たりの収益率、これ見ても製薬メーカーはナンバーワンですね。従業員一人当たりの収益率というのは非常に高い。やはりちょっとそこに問題があるんじゃないだろうか。ここを放置しておいて、医療費がどうだこうだと言いながら、ここだけはまさに聖域、これは大変私は問題があると思うんです。そこら辺はどういうふうに考えているのかお聞かせいただきたいと思います。
#13
○説明員(大塚義治君) 医療、製薬メーカーの収益の状況につきましては、もちろん例えば経常利益率などが大変高い、他産業に比べて高いという数字はおっしゃるとおりだと思います。
 ただ、その見方はさまざまでございまして、例えば別の切り口と申しましょうか、評価基準でございます自己資本に対する当期利益率というような見方もございます。こうなりますと、例えば製造業平均で、平成七年度の決算でございますが、四・一%でございますけれども、大手の製薬企業で七・三というように、例えば経常利益率で見る数字と大分様子は違います。
 ただ、いずれにいたしましても、市場における競争によりまして競争条件を整えることによりまして、適正な価格、適正な利潤、そして産業全体としても競争力のある製薬産業を目指していく、そういう方向は当然必要なものだと考えております。
#14
○宮崎秀樹君 今、見方を、切り口が違うと言うけれども、それは操作で、数字は幾らでも操作できるわけであります。三共のメバロチンなんという薬は一年間で一千百億ですよ、売り上げが。あのビルをごらんになりましたか、でかいビルが建った。メバロチンのビルだと、こういう話であります。こういうちょっと度外れたことが行われていることは大変問題があると思うんです。やはり何でも常識的に物事をやらないと、やはり皆さんがやっぱりおかしいというようなことが行われていく。
 こういうことを放任することはおかしいので、監査とか指導とかそういうことをおやりになるつもりはありますか。そうすると、はっきり言って、最初に決めたのは自分たちも絡んでいるから、自分たちが監査、審査やられるんだというとやらないのか、その辺のところはわかりませんが、きちっとこれは処理してもらわないと、どうもガラス張りではないというふうな、どうも皆さんがそういうふうに見ている、これは正直言ってそうでありますので、保険局長、その辺はどうでしょうか。
#15
○政府委員(高木俊明君) 監査、指導ということになるとちょっと私どもの所管を外れますが、やはり先生の御指摘のあれは最初の薬価基準の価格そのものが妥当なのかどうかということではないかと思います。
 それで、今、一万二千品目弱の銘柄の医薬品が薬価基準に掲載されておりますけれども、それと同時に、薬価基準制度そのものについて審議会でも御議論いただいておりますが、そういった一連の改革の中でやはり現在のこの一万二千からの品目一つ一つについても価格の精査というものが必要になってきたのではないかというふうに私は思っております。
 ただ、これはあくまでも役所が恣意的にやるということではありませんで、これまでもそうでありますけれども、中医協において一般的なルールというものを定め、それでその中で価格が決められてきたわけでありますけれども、個別品目についての価格の決め方についてもやはりきちっとした公表、御説明というものをしていくことによって適正なものを確保していくということではないかと思います。
#16
○宮崎秀樹君 これは一つの例を挙げますと、薬が大量につくられている、だから、神田の現金問屋へ行くと薬がメーカーでつくってくる蔵出し価格以下の値段でごまんと売っているんですね。ロットが入っている、だからつくっているのは間違いなくつくっているんです、メーカーで。
 ですから私は、こういうことを放任することは大変問題があると思う。やはり決めるときに、一錠幾らというのを出すときには必ず定数を決めて、それで割っていってこれだけになりますというのを出さなかったら出てこないんです。だから、仮に一つの実とすれば、これは二十万錠つくりますよといったら、二十万錠つくったところですぐ申告をする、これを義務づける、二十万一錠つくったらそこから申告をする、もしそれを破ったらペナルティーをかける。やはりそういう歯どめが何にもないわけですよ。再評価再評価と言ったって、一万二千以上あるあれを全部一つ一つチェックできないわけですよね。
 だから、そういうことをひとつお考えをいただくとか、現実としてメーカーでつくっていることは間違いないんですから。それが現金問屋に流れているという流通機構、これもおかしい。といって、まじめにやっている卸の問屋さん、これはある一流で一番日本で大きい問屋さんの話を聞いたら、百億ちょっとあった一年の経常利益が四億になっちゃったと、それでメーカーは頑として問屋へ出すのは締めつけていると、こういうことも現実にあるわけです。
 私は、何も卸をカバーするわけじゃありませんが、すべてバランスのとれている中で行われているなら私は何にも言いませんよ。だけれども、現金問屋に流れているんですよ、これ。そういう実態をやはりここできちっと整理しておかないと、これはやはり行政の怠慢とそしられてもしようがないんじゃないかと私は思うんですが、どうでしょうか。
#17
○説明員(大塚義治君) 医薬品の生産、流通、基本的には自由なマーケットにおける取引、競争という関係の中で定められ、生産量も決定されてくるというのが基本であろうかと思いますけれども、おっしゃいますように、医薬品産業に関連する流通市場、かねて近代化に向けて努力をしておるわけでございますが、なおさまざまな問題があると認識をしております。非常に透明でなおかつ近代的でわかりやすい、そういう流通市場を形成していく、これからもさらに努力を重ねてまいりたい、かように考えております。
#18
○宮崎秀樹君 何かあなたのお答えを聞いているとお役人さんの全く典型的な答えでありまして、ここに保険料も税金も入っているんですよ、だから私は申し上げているんです。これは自由でそういうものが入っていなければいいですよ、勝手におやりになれば。これをきちっとやらないで国民医療費がどうのこうのと。ここに税金が入っているんですよ、税金がその薬に。薬価基準で買っているんです。これについてどういう認識をお持ちか、それをお伺いしたいんです。
#19
○説明員(大塚義治君) 医薬品の生産から流通、そして最終的にはおっしゃいますように医療保険制度の中で支払いが行われ、国民の医療サービスに提供される、こういう仕組みでございますから、おっしゃいますように無関係でもございませんし、極めて重要な問題だと思っております。
 そのような効率的な医薬品の生産、流通から使用まで全体としての改革を進めるためには医療保険制度そのもの、特に薬価基準制度の抜本的な見直しを含めまして、そういう面からのアプローチもございましょうし、一方から申しますと、関係企業の近代化を進めるという産業政策的な観点からの努力も必要だと、当然その両面からのアプローチが必要だという趣旨で私は申し上げたつもりでございます。
#20
○宮崎秀樹君 大臣、今こういう話をお聞きになっていてどういうふうにお考えになっているか、大臣の御感想をお聞きしたいと思うんです。
#21
○国務大臣(小泉純一郎君) 今まで薬価基準の問題が昨年の国会でもかなり多く議論されたと思います。そこで、これからの抜本改革において、薬価基準制度全体を見直そうということで、現在でも医療保険審議会で審議をしていただいておりますので、新たなより適切な薬価基準制度が取りまとめられるということを期待しております。
#22
○宮崎秀樹君 そこで、厚生省が前に試案を出した、いわゆる日本型参照価格制度、これは自信を持って御推奨をしているんでしょうか。それとも今議論は医療福祉審議会の方で取りざたされておりますけれども、そういうスタンスについてはどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。
#23
○政府委員(高木俊明君) 現在、医療保険福祉審議会の制度企画部会で医療保険制度の抜本的な改革、まず薬価基準制度の見直し、それからまた診療報酬体系の見直しの問題について御議論をいただいておるわけであります。これはいずれも昨年の八月に厚生省がまとめ、またその後、与党三党の医療保険協議会の中でおまとめいただいた医療保険制度の抜本改革案、これに基づきまして御議論をいただいておるわけであります。
 この与党三党のおまとめいただいた薬価基準制度の見直し案の一つが日本型の参照価格制度の導入ということでございます。これもかなりある意味では基本的な骨格について提言されておると思いますので、それを具体化するに当たっていろんな問題について検討をしていかなきゃならないわけであります。
 そういった意味で、基本的な骨格は日本型の参照価格制度ということでありますが、これは一言で申し上げれば、要するに薬について医療保険で償還をする限度額というものを定め、そしてその限度額を超えるような高い医薬品について患者が給付を受ける場合については、超える部分については患者さんの負担にしていただく、こういうような仕組みでございます。この制度というのは、これは我が国は今検討中でありますけれども、ドイツを初めとするヨーロッパ各国で既に採用されておる仕組みでありますが、ただそれと全く同じものを我が国で採用するということが適当かどうかという問題がありますので、そういった意味では我が国の実態に合った形の導入というものを考えるべきであるというふうに私どもは考えております。
 そういった意味で、私どもとしてもこの制度を何が何でも導入するということに決めた形で御議論をいただいているわけではありませんで、最初に申し上げたような、これまで与党協の中で提案された案をベースにして、そして我が国に最もふさわしい薬価の決め方というものを御検討いただいていると、こういうことでございます。
#24
○宮崎秀樹君 これは大変いろいろ問題があるわけでありまして、まず最初にその薬価を決めることさえまだ今はっきりしていない。ですから、もとをしっかりやらないでそこから出てきた値段で参照価格制度というものをいじくり回してもこれは枝葉末節のことなんですね。
 例えば十円の薬を六錠使うと、これは同じグループと、こう言っております。五円の薬を六錠使うと、そうすると五円の薬を六錠使ったら三十円、十円の薬を六錠使ったら六十円、それじゃ償還限度額はその真ん中で切るといったら四十五円であります。そうすると、十五円は患者さんから直接取りなさいよと、こういうことでありますね。
 そうなりますと、今、日本のこの制度は、まず最初の四十五円まで内二割負担、これは被用者保険は取られております。これに仮に二種類、三種類出ると、さらにこの薬剤負担を取られている。さらにプラス、外へはみ出した部分が取られると、こういうことになります。そうしますと、これは混合診療なのかなと、はっきり言って。一体これはどういう理念でこういうことをやっておるのか、大変問題がいろいろとここに内蔵されております。私は、この参照価格制度というのは非常に大きな問題を含んできますし、逆に言えば天井知らずになる。
 そうすると、お金のない人は、これはそういう高価で安全な薬と申しましょうか、こういうのがなかなか手に入りにくくなる。ですから、患者さんに見せて、これとこれとこれとがありますよと、内容はみんな一緒ですと、メーカ−はこうですと、その説明から始めないとなかなかこういうことはやれないですね。日本は国民皆保険でありますから、これはやはりきちっとした社会保障制度の中で成り立っているんですから、こういう理念的なものをしっかり議論した中でこれを進めていかなければならない。まだ先にやることは先ほど言ったようにいっぱいあるわけでありますから、これはひとつ慎重にやってもらわなきゃいけないというのが私の意見であります。
 もう時間がありませんから、これは私これで終わりますが、さて、製薬メーカーにどのくらい厚生省のOBが天下っているか、これありましたらお教え願いたいと思います。
#25
○政府委員(中西明典君) 厚生省退職者の製薬企業に在職している者でございますが、本省課長以上経験者について私ども把握しておりまして、その人数は現在九名であるというふうに承知しております。
#26
○宮崎秀樹君 やっぱりこれは誤解を招くような、こういう薬の値段を決めるというようなことをやっているのに役職の方が、ある方はもう社長ですよね。社長さんになっちゃった。私は社長になっちゃ悪いとは言いませんよ、言わないけれども、やはり誤解を招きますよね。そこで、何かそういうようなことで大蔵省がいろいろまた言われておりますけれども、何かそういう内規か何かお決めになっていらっしゃるんですか。
#27
○政府委員(中西明典君) 薬事を担当する局長、審議官初め重要な要職についた者については製薬企業に対する天下りを自粛していくという方針が出されているところでございます。
#28
○宮崎秀樹君 これは国家公務員法百三条の規定に基づいてということでおやりになっていると思うんですが、特に業務局あたりは製薬企業と大変関係が深いところでありますから、よく慎重におやりいただきたいと思います。やっぱり先ほどの話じゃございませんが、密室で決めていくというようなことを言われかねない。まさにガラス張りでないということを、これは透明化していくという中で慎重にひとつ再度御議論をいただいて対応してもらいたいと思います。
 時間がございませんので、最近糖尿病の新しい薬、新しくもないんですが、ノスカール錠というのがありますね。それからまたもう一つ、グルコバイという薬があるんです。これは劇症肝炎で亡くなる例がちょくちょく出ております。一九九七年の十一月、去年の十一月に慌てて新しくこの医薬品の情報で添付書を書きかえております。この薬は前からGOT、GPTがこれを飲むと非常に肝機能障害を起こして数値が変わってきていたんですね。届け出がいろいろ出てきましたので注意を喚起したんでしょう。こういう危険な薬に対して特別に厚生省としては対応を速やかにするような、迅速に対応するようなシステムというのはきちっとおありなんですか。
#29
○政府委員(中西明典君) 副作用情報につきましては、メーカーからの報告のほか、昨年からは、一部のモニター病院に限られていたところ、全医療機関の協力をいただきまして幅広く副作用情報等を報告いただいておるところでございます。実際問題として、相当なる報告例も挙がってきております。
 私どもといたしましては、その中で重篤な副作用あるいはこれまで未知であった副作用、そういった問題については特に重視いたしまして、副作用調査会、中央薬事審議会にも諮りまして、速やかなる対応をとるべくそういった方向でしかるべき措置を講じてきているところでございます。
 先ほど先生御指摘になりましたノスカールでございますが、これは治験の段階ではどうしても被験者の数というのが制約されておりますので、医療機関によって非常に幅広く使われるようになりますと治験段階では見つからない副作用というのが出てくるわけでございまして、それが御指摘の重篤なる肝障害であります。
 私ども、これにつきましては、先ほど御指摘の十一月に重篤な肝障害を追記して注意喚起をいたしましたほか、さらに十二月には添付文書を再度改訂、指導をしまして重篤な肝障害にかかわる警告をはっきり設けるとともに、医療機関に緊急安全性情報、いわゆるドクターレターを配付いたしまして、定期的な肝機能検査を実施するように、あるいは肝機能異常が認められた場合はきちっと投与を中止するように、副作用に関して患者に事前にきちっと説明するようにという、そういったドクターレターを配付するようにメーカーを指導したところでございます。
#30
○宮崎秀樹君 こういう危険なものに対してはすぐ対応してもらわないと、大変医療機関側も困るしまた国民も困るわけでありますから、もしあれならば、もうとにかくこれは製造を中止にするというような処分も考えていただきたいと思います。
 それから、時間もありません、次にお伺いしたいのは、医療圏のベッド数の問題であります。
 古いデータを使って、ここがベッド数の不足地域というようなことになっているところが結構あるわけであります。これは五年以内ということで見直しをすると言ってはおるのでありますが、もう既に二十四時間の診療体制もできている、病診連携もきちっとできているというようなところの見直しについて、これは一年以内ということで臨機応変に地域医療審議会を開いてやってもいいというようなことになっているのかどうか、それが一つ。
 それから、療養型病床群が今度有床診療所にも適用されるわけでありますが、どうもベッドのいわゆる過剰地域においては最初から厳格な方法でやらなきゃいけないというような完全型というようなことが最近答申で出たようであります。
 都市部なんかは大きな病院がいっぱいありますからベッドが非常に過剰になるのは当たり前でありまして、特にそういうところの有床診療所のベッドがあいているんですね。ところが、そこは逆に言うと地域のお年寄りが、近くにそういう療養型病床群ができていれば、これは介護施設でありますからそういうところへ入れてくださいよと、こう言っておるわけであります。ところが、そういうふうに余り厳格にされますと、なかなか要望にこたえられない。ではどこか入るところというと、とんでもない遠いところへ連れていかれる、こういうような実態でありますので、やはりこれは地域の実態に即してやってもらいたいと思うんですが、この二点についてお伺いしたいと思います。
#31
○説明員(大塚義治君) 一点目の地域医療計画の見直しの期間でございますが、先生お示しのように、法律上は少なくとも五年ごとに医療計画に再検討を加える、必要があれば見直すというのが法律上の規定でございます。したがいまして、それぞれの地域におきまして、地域医療の状況でありますとか、それを取り巻く社会の状況の変化がございます場合には五年以内に見直すということも当然法律上もまた現実にも可能でございます。
 それから、二点目でございますが、有床診療所に関する療養型病床群の取り扱いでございます。
 今お示しのような点が先般医療審議会などでもさまざまな議論がございました。療養型病床群、つまり介護施設の整備というニーズと、一方では全体としての適切な医療資源の配置と、両面からどういうような調整が妥当か、こういうことになるわけでございますが、医療審議会での御議論の結果、三月十日に御答申をいただいたわけでございます。幾つかの条件を加えながら、一定の要件を満たす場合には、いわゆる過剰地域においても診療所の療養型病床群の転換の場合について特例を認めるべきであろうという御答申をちょうだいいたしました。私どもは、この線に沿いまして今施行の準備を進めておるところでございます。
 大筋から申しますと、一つは、地域における必要数というものを地域でよく御議論をしていただくというのが一点。それから、これはあくまで転換時における特例でございますから、現在ある有床診療所が転換する場合の特例だという点。それから三つ目に施設の条件。施設の条件は、廊下などにつきましてはこれは特例を認めざるを得ませんけれども、その他の点につきましては基本的にはいわゆる完全型と申しますか、将来の方向に沿った内容であること、こういった点が基本的な条件でございます。
 大筋におきましてはこの線に沿いまして、細部につきましてはなお調整ないしは検討するところがあるかもしれませんけれども、基本的な枠組みはこの御答申の線に沿って施行いたしたい、かように考えておるところでございます。
#32
○宮崎秀樹君 療養型病床群についてはひとつ工夫をしていただきたい。特に都会地、密集地におけるやつですね、よろしくお願いいたします。
 終わります。
#33
○阿部正俊君 自由民主党の阿部正俊でございます。
 きょうは、所信に対する一般的な質疑ということで、限られた時間ではございますけれども、特に小泉厚生大臣、現橋本内閣での有力大臣、あるいは形容詞としては御本人はお気に入りにならないかもしれませんけれども異色大臣というようなことで大変はっきりした物言いをなさり、かつまたできるだけ行政なり政治に筋を通した仕事をなさりたいというふうに思って毎日お仕事をなさっているんじゃないかと思います。そういう意味では私も一年生として、大先輩としてできれば倣いたいものだなというふうな気持ちを持ちながら日常過ごしておるわけでございます。
 時には、所管外のことについてまでいろいろ話をされておるようなこともありまして、そこまでは私できるかなと思いますけれども、どうかひとつそういう意味で、正当な社会保障、医療サービス、福祉サービスというふうなことについて、これからの展望をしっかり持てるような社会づくりに対する指針というものをお示しいただくことを願いながら、以下幾つかの点について御質問を申し上げたいというふうに思いますので、率直なところを大臣御自身のお言葉で、できれば二、三意見交換的な形で論議を進めさせていただくことを期待したいというふうに思います。
 まず、戦後五十数年たっておるわけでございますけれども、日本の社会保障といいますのは、どちらかといえばよそから与えられたもの、あるいは教科書があって、それに沿ってつくっていくという側面というのは否めなかったんではないかなという気がいたしますが、既に相当な期間がたっておりますし、背景とする社会経済情勢というものも大きく変化しておるのではないかと思います。
 後で述べますけれども、財政的な意味合いにとどまらず、社会保障制度が機能していくために前提になる社会経済、さまざまの諸情勢が変化しておりますので、それに合わせての転換というのが求められておるのではないかなという気がするわけです。従来、とかく社会保障なり社会福祉についての見方の尺度として、例えば国庫負担がふえること減ること、窓口での負担がふえること減ることということがただ唯一の尺度のようなことで論じられてきた面がなかったのかなという気がするわけでございます。
 もう少し後で述べますが、年金については確かに純粋なお金の流れでございますので、出と入りの差があってはおかしいわけでございます。先ほど宮崎委員が医療に絞って御質問されたわけでございますけれども、あえてその中身に触れるつもりはございませんが、医療だとか、あるいは先国会で御審議いただきました介護保険等々で実現しようとしているものは、必ずしもそうした一つの尺度で、国庫負担が多いのか少ないのか、窓口での負担がふえるのか減るのかということだけではなくて、新しい時代に対応した必要なサービスを実現することが一番の目的なんだろうなというふうに思いますし、そういう視点で私はこれからの社会保障というのを構築していかなきゃいかぬのじゃないかなと思うわけでございます。そういう視点に立って二点、きょうは御質問を申し上げたいと思います。
 まず一つは、いわゆるゴールドプラン、大臣は横文字、私も余り好きじゃありませんので、高齢者保健福祉推進十カ年戦略、もうちょっといい名前はないかなという気もするんですけれども、それとかあるいは障害者プラン、プランぐらいはいいんでしょうね。それから、エンゼルプランというのは僕はどうかなという気が正直言ってしますけれども、何かお遊びのようなイメージがちょっとエンゼルプランというのにあるような気もします。もう少し将来の国民に対する大人としての責任を果たすための計画ということがエンゼルプランに本来的に課せられている任務なのではないかなということになると、エンゼルプランというのは、かつて私も厚生省にいましたので、いっぱしの責任、自分でも回避するつもりはありませんけれども、もう少し何か日本語で言うなら別な意味の表現があるのかなという気もしますけれども、主に三プランのことについてまずお尋ねを申し上げたいというふうに思います。
 最近、三プラン初め大変関係の皆さん方あるいはそれぞれの住民の皆さん方あるいは市町村の担当部局等々は今必死になっていろいろなことをやっておりますけれども、どうも心のどこかで三プランなりの実現について、先国会での介護保険の最終版のときにもいわば修正として、いわゆる保険あって介護なしということじゃ困るんだぞというようなことでの修正もなされましたけれども、そういうふうな意味で何か本当にこの三プランの条件整備というのが、特に最近のいわゆる財政再建路線の中で本当にちゃんとできるんだろうかなと。何となく風潮として、いわば弱いところといいましょうか、いわゆる弱者という言葉は余り私は好きじゃありませんけれども、どうしてもそういうところにいわばしわ寄せといいましょうか、問題の焦点が当てられてしまっていないか。将来本当に不安がないということでやっている人というのは余り多くなくて、むしろ不安がありながら、大丈夫かなと思っている人たちが少なくないんじゃないかという気もするんです。
 そういう意味で、少なくとも公式に三プランとして立案し策定した以上は、この三プランの計画はいわば最小限のプランだというふうに私は思います。これをきちっとどんな状況になっても、確かに聖域はないというふうなきれいごとはわかりますけれども、どんな状況、財政再建のもとでも達成するというふうな大臣をリーダーとする厚生当局での御決意をきっちりやはり国民に示してもらいたい。
 そのときそのときで一生懸命頑張るけれども、出た結果は知りませんよ、あとは皆さん方が選択するとおりですよ、お金を出してくれればうまくいくし、出さなければうまくいきませんよというふうなスタンスでは、やっぱりプランではないという気もするんですけれども、そのようなことについてまず最初に大臣のお考えをちょっとお聞きしておきたいと思います。
#34
○国務大臣(小泉純一郎君) 三プランですが、高齢者対策、子育て対策、障害者対策、この事業については今後とも必要な事業量を確保していかなきゃいけない。御懸念は当然だと思いますけれども、厳しい財政状況の中、来年度の予算というのは全体で一・九%増にとどまっておりますけれども、この三プランに関しましては大体六%程度伸びを確保しましたし、当面は今までの計画どおりにこの整備を進めて、しっかりとした事業量確保のための予算の獲得も行いまして、この計画どおりの目標が達成されるように全力を傾けていきたいと思っております。
#35
○阿部正俊君 どうもありがとうございました。
 大臣のしっかりしたといいましょうか、はっきりしたお言葉遣いで安心できるんではないかと思いますが、そこのところは厚生省全体の方々もどうか性根を据えて市町村、都道府県等々に対応するときにもぜひ励ましていただきたいというふうに思います。
 皆さん方の御苦労以上に市町村なり、県というより特に市町村あたりでは今まで以上に、なかったことを新たにしなきゃいかぬということで大変不安がっておるものですから、親元が少しぐらついてきたら、下の方はなおさらぐらつくのは当たり前のことでございますので、やはり親元は少し空元気でも出して励ましていただくようなつもりでやっていただかないといかぬというふうに本当に思います。それが行政の実態だと私は思います。
 紙に書いて、そのとおり言ったからそのとおりそれが流れていくというものじゃありません。市町村の実態というのは、後でもう少し聞きますが、特に障害者のプランなんというのはほとんど今まで意識していないことだらけなんです。これをちゃんとやるためには、相当やはりこっちの方が強権的に何かやらせるんじゃなくて、これをやることが目的なんだよということを共同部に連帯意識を持ってやっていくというようなことでやらなければ、補助金申請が来たら面倒見てやるぞということでなくてやらなきゃいかぬのじゃないかという気が本当にします。どうかひとつその辺は、空元気という言葉はどうかなと思いますけれども、励ましてやれるような自分自身の心の持ち方が私は政策遂行の上で非常に大事なポイントじゃないかなと思いますので、ぜひお願いしておきたいと思います。
 そういう中で一つ、いわゆる高齢者保健福祉推進十カ年戦略でございますが、個人的なことを申し上げますと、私も昔それにかかわっておったわけでございますが、いわば今の十カ年戦略といいますのは介護保険制度が実施されるというようなことを前提にして計画が立案されたものではなかったわけでございます。どちらかといいますと、言ってみれば今の制度、介護保険から見ればいわば旧制度といいましょうか、というものをいわば何とか充実していきましょうということで立てられた計画でしかないと言ってはちょっと余りにも失礼かもしれませんけれども、そういうものでございます。今後、介護保険といういわばそういう部分について、経済的にいえば需要喚起というものが大変ある意味では期待される仕組みができるわけでございますので、そうなったときのその提供体制の量的、質的、人的な体制というものがどういうものにならなきゃいかぬのかということについては、改めて再度やはり点検し、かつ計画をつくり直すということがどうしても不可欠なんじゃないかな、こんなふうな気がするわけです。
 従来の十カ年戦略は、どちらかというと旧制度下での市町村のいわば当面の自主的な推計ということを前提にしたはずでございますけれども、そうじゃなくて、介護保険の施行ということを前提にして、それを十分実施できる体制を意識的につくっていくということでの計画の再検討というのはぜひ必要なんじゃないかな、こんなふうに思います。
 この点について、どんなふうな段取りで考えておられるのかお聞かせいただければありがたいと思います。
#36
○政府委員(羽毛田信吾君) 先生御指摘のとおり、新高齢者保健福祉推進十カ年戦略、これは平成六年時点におきまして各地方自治体が平成十一年度末までを見込んで、いわば需要を集約するといった形でできている計画でございます。したがって、平成十二年度からの介護保険制度の導入を今や控えまして、御指摘のありましたようにこういったものを織り込んだ見直しというものは当然必要になってまいります。
 そういったことで、今後、各地方自治体が介護保険事業計画を作成していくというのが制度上も組み込まれておりますけれども、その場合には当然今後における高齢化の進展等の情勢の変化はもちろん含まなきゃなりません。あわせまして、今お話のございましたように介護保険制度が導入されることに伴いまして潜在需要が顕在化をしてくるというような要素も含めて、そういった利用方法の変更、あるいはまた政策的な方向としてできるだけ在宅で支えていくというような政策的な要素も織り込みながら新しい計画をつくっていくということが必要になってまいります。
 しかし、この計画はきょう言ってあすというようなわけにはもちろんまいりませんので、ただいまからもう介護保険事業計画の作成のための準備に入らなければならないということで、私どもの方も既にそれぞれ都道府県を通じまして市町村の方に対しましても実態把握のところから始めまして準備に入っていただくようにお願いをしております。しかし、介護保険の前提がまた固まってまいりませんと詳しくはつくれない部分もございますから、そういったものはできるだけ早くに固めながら、それをどんどん情報を流していく中で固めていただくということで、高齢者の実態調査、さらにはそういったことに基づく真に必要なサービスの需要、これもそれぞれのサービスごとの需要がどういうふうになっていくかというようなことについて把握をし、現在の老人保健福祉計画を進めていく中でいろいろ浮かび上がってきました課題というようなものも分析をしました上で、こういった総合的な形での新たな計画というものをつくっていくということで既に私ども進めておりますし、御指摘のようなことを踏まえてこれからさらに詰めを行ってまいらなければならないというふうに考えております。
#37
○阿部正俊君 ありがとうございました。よろしくお願いします。
 ただ、その中で一つ触れておきたいことは、いわゆる在宅サービスという分類にされておりますけれども、これについてはやはり介護保険の実施の前と後では発想の転換がかなり要るのではないかなと思うんです。
 いわゆるヘルパーさんの派遣一つにいたしましても、確かに厚生省から出ている通知では、家族がいる場合では出さなくていいんだと書いていないことは確かでございますけれども、現実問題として、私の日ごろ接している人たちがその辺の意識がおくれていると言われればそうかもしれませんけれども、言ってみれば今までのヘルパーさんの派遣といいますのは、現制度下ではどちらかというと家族がやるのは当然なんだけれども、家族がいない場合にやむなくお上のお世話になるというふうな発想というのがあるんですね。いわゆる世間体だとかなんとかということも含めて一般的だったんではないかな、こんなふうに思うんです。そこは今度はがらっと変わるはずなんですね。そこの転換というのは私は相当やはり意識的に意識改革をしていかないとうまくいかないんじゃないかなという気がするわけです。
 例えば、言葉として特養ホームへの待機者という言葉がございます。あの言葉というのは、やはり旧制度下における在宅サービスというものがいわば現実的にはほとんど存在しないということで待機者という言葉があるんだと思うんですね。でも、今の制度下でも多分特養に入るのがいわば対応策であって、それを待っている列が長くなっているから、その列を短くするために別にまた施設をつくるんだというふうな発想というのは市町村の福祉行政のありようとして私は適切ではないと思うんですね。在宅であることはいわばベターなんですから、それをまず支えるという努力をどれだけしたのかということがあって初めて、在宅でさまざまな手当てはしたけれども難しいのでどうしても必要な公的な施設としてこういうのが要るんだ、こういうことになるべきなんで、いきなり待機者というようなことで集計して、何万人待機者がいるから幾つ施設が必要なんだというような論議をよくされますけれども、私はちょっと違うんじゃないかと。ましてや、今度介護保険ができればそこは大きく変わっていくはずだと思います。
 だから、むしろ考え方としては家族ができないからやるんだということではなくて、家族がいるからこそ在宅サービスは逆に成り立つんです、現実問題として。家族が全くいなければ、ひとり暮らしなり二人暮らしになれば、それでも何とかやれる体制をつくろうというのが介護保険ではございますけれども、ベターなものとしては、家族がさらに応援団の一人として加わっていただければこれはよりベターであることは間違いないのでございます。
 逆に、家族の存在というのは、直接的に手を下すかどうかはともかくとして、見守っていくというふうな形の中で初めて在宅でのQOLのある生活が実現できるというのも実際なんですよね。全くひとり暮らしで山の奥に、特に農村なんかに行くとばらばらになっているところにひとり暮らしでぽつんとしていて、それを二十四時間体制で支えるというのは言うべくして不可能に近い現実なんですね。となると、むしろ家族がいるからこそ応援団を出すんだというふうな発想に変えていくべきじゃないのかな、こんなふうに今思います。
 個別のテーマとして、例えばデータとして、ヘルパーさんの派遣を御家族のいる場合、いない場合と状況を聞いたり、少し詰めた議論をしなきゃいかぬのですけれども、その辺の大きな発想の転換が要るんだ。ましてや、従来の役場の職員の方々なんというのは、ずっと長年いわゆる福祉というのは家族がやることが原則で、家族ができなくなったらやるんだよということで頭が固まっていますので、あとはいわゆる世間体というのが正直言って非常に大きな作用をしているんです。
 そういう中では、私はやっぱりこれから介護保険というのがあっても、実際在宅というのはほとんど動かないんじゃないかという懸念は正直あるわけでございますので、やはりそこを全く切りかえてやっていくための準備を相当意図的にやらなきゃいかぬ。何でも営業活動、営業活動という言い方は変ですけれども、その活動をやったのかなと。役場の職員に聞きますと、いや申請が少ないのでこれで済みますなんという話を平気で言うんですね。これではやっぱりまずいわけなんで、本当の意味での営業活動といいましょうか、あるいは市民の生活を守るといいましょうか、維持していくというふうな取り組みをどこまでやったのかなということになるとちょっとお寒い限りなんです。そういうヘルパーの派遣というのは、家族がいなくなったからじゃなくて、家族がいるから逆に応援団を、それがいいことだから応援団を出すんだよというような大転換をぜひお願いしたいなと思うんです。
 こまい話はともかく、小泉大臣どうですか、そんなふうなことで少し大胆な御発言なりをお願いできればな、こんなふうに思うんです。
#38
○国務大臣(小泉純一郎君) 介護保険制度が導入された大きな趣旨は在宅サービスが基本なんです。特養待機者、これも私は介護保険制度が導入されて定着していけば、今待機者と思っていても、特養に入らなくてよかった、在宅でできるんだという方がどんどんふえることが望ましいと思うんです。そういう介護保険制度の導入を目指して昨年ようやく成立したわけです。今後も要介護者ができるだけ住みなれた地域とか家庭で可能な限り住むことができる、暮らすことができる、それを支えていくための介護保険制度でありたいと私は願っております。
 今言ったような、どうしても家庭では無理だという方は施設に入ってしっかりとしたサービスを受ける体制は必要でありますが、同時にお互い可能な限り在宅でサービスが受けられるんだというような体制をしっかりと構築していかなきゃならないと考えております。
#39
○阿部正俊君 ありがとうございました。
 そういうものへの移行というのを目指しながら、いわゆる定員制からいわば事業費補助方式に切りかえたというのも一つのことではないかなと思います。これは、お金をより合理的に使うということもさることながら、物の考え方の転換につなげていくということを中心にしてどうかひとつやっていただきたいな、こんなふうに思います。
 それから、障害者プランに関連して特にお聞きしたいんですが、今のと関連するわけですけれども、いわゆる障害者ブランでは在宅サービスについて相当力を入れて書いてはありますけれども、現実に各市町村なりの状態、障害者の方々の現実からしますと、なかなか見えるところに在宅サービスの枝が伸びてきているという状態ではないんじゃないかなという気がするわけです。
 特に、一般の障害者ももちろんでございますが、いわゆる難病患者なんかも、去年からですか、一応予算的には計上されて、難病患者に対するヘルパーさんの派遣なりその他の在宅サービスが展開されるように形はなっていますけれども、まだまだ動いてきていないというのが現実なんじゃないかなと。
 市町村も今までやっていないんですから、なかなかうまくやれないというのが正直なところだし、お金もさることながら、新しく手を出しかねているというのが現実なわけでございます。この障害者プランに盛られているような意味でのいわゆる障害者、難病患者についての在宅サービスをどんなふうな手法でやるのか。多分、高齢期における介護に対応するサービスとは違った形にならなきゃいかぬのじゃないかなと。考え方も手法もそれから理念も、片や保険でありませんし、違うんではないかなと。あるいは障害、さまざまな難しい点を抱えているものですから、やり方も手法も違うのかなということになると私は思います。
 何かその辺について明確な指針なりを持っていればお聞かせいただきたいし、正直言ってうまくやっているところを見せてあげるのが一番私は効果的な普及の方法なんじゃないかなという気がする。どこかここなら大丈夫だということがあれば教えてもらいたい、こんなふうに思います。
#40
○政府委員(篠崎英夫君) 先生今、理念とかあるいは具体的な方策、計画などのことについてのお尋ねでございますが、理念につきましては、障害者プランにおきまして、障害のある人々が社会の構成員として地域の中でともに生活が送れるように、そういう考え方が一つの大きな理念でございます。したがいまして、在宅サービスを中心にというふうに考えておりまして、それに具体的な数値目標も掲げて推進していくということにいたしております。
 私どもといたしましては、在宅サービスの充実のために、今厳しい状況ではございますが、先ほど大臣が御答弁されましたように、必要な予算の確保に最大限努力をするということと、それからまず市町村における障害者計画の策定というのが非常に大きな意味を持つと考えておりますので、その推進に努めてまいりたいと考えております。
 また、昨年の十二月九日に中間まとめとして発表いたしましたが、障害者関係三審議会の報告の中で述べられております地域の在宅サービスの拠点としての施設の機能強化、これはあくまでも在宅サービスを支援するための施設の機能強化ですとか、あるいは今、先生御指摘の障害者を介護する家族などへの支援方策の充実等が提言されておりまして、そういう理念を持って今後さらに充実に努めていきたいと思っております。
 それから最後のお尋ねの、どこかモデル的ないいところがないかということにつきましては、私どももいろいろ勉強会等を通じて把握をいたしておりますが、そういう市町村等の活動を広く広報、普及することなどによりまして、市町村計画の策定が推進されるように努力をしてまいりたいと考えております。
#41
○阿部正俊君 最後に少しはみ出る話になりますけれども、大臣、いわば現職の厚生大臣というよりも閣僚の一人あるいは政治家小泉純一郎先生としてお聞きしたいんです。
 今いわゆる補正予算がどうのという議論があります。十兆円だとかいうことを言っている人もいますし、その中では公共事業も追加しなきゃいかぬのか、こんなふうな議論もございますけれども、その中で、今言ったような三プランの施設整備等々は入っておるのかいないのか、どちらかというと余り意識されていないんじゃないかなという感じがしないでもありません。福祉ということが出てくるとすれば、何か福祉減税みたいな、どういうことなのかよくわかりませんけれども、ちょろちょろとしたような形で福祉というのが使われるというふうな感じもしないでもありません。
 今の段階で補正予算がどうのこうのということを私も申し上げるつもりはありませんし、先ほど大臣の財源の確保についての心強い御発言があったわけでございますけれども、これから先の公共事業のあり方の展開というとき、福祉施設あるいはさまざまな、どういう分野なのか、今まで四、五十年ずっと同じことをやってきた中から変えなきゃいかぬのじゃないかな、どうもこんな気がしてしようがないんです。
 あと財源の調達の仕方も、全部今までは六十年国債なんです。つまり、六十年国債ということは六十年年賦で借金するということなんですけれども、これは借金じゃないと言った方がいいんじゃないんですか。まさか六十年の借金というのをしている人はまず一人もいないと思うんですけれども、いわば今は払わなくて子供たちに全部回すよということの意味と同じだと思うんです。
 計算方式を聞くといろいろありますけれども、当時、二十三年か二十二年に公共事業の一般の償還期間を考えるとそれぐらいだと。その基礎は、土地は百年間使うという前提で計算するとそうなるというだけの話なんです。百年どころか千年でも二千年でも一万年でも多分土地は土地ですから、地球的なサイクルからしますと。だから六十年でもいいし百年でもいいんです。
 これじゃやっぱり本当の意味での、単年度ですから全部単年度でやれなんて言いませんけれども、物によっては土地は別にして五年なり十年なり二十年なりの有効期間に合った償還期間の国債というふうな物の考え方で考えることによって必要な財源の確保、いわば大人の責任で自分たちが必要なものは確保するということ。将来の子供たちにツケ回すのではなくてというふうな考え方をとらなきゃ、できれば将来の子供たちにはよりプラスになるものを残してあげたいというのが本当のことなんじゃないのかなという気がするわけです。
 特に、厚生省は児童家庭局という唯一の選挙権のない子供たちを代弁するべき局があるわけですから、エンゼルプランという名前になっていますが、将来にたくさん何十兆円というツケだけ残して、保育所何百カ所で何十億円かの金をふやすということだけでは本当の少子社会対策とむしろ逆なことを知らず知らずのうちにしていないかなという気もするんです。
 この辺について、論客の小泉大臣として何かお考えでもあれば、もうちょっと具体的に有効期間に合わせた財源調達というふうなものを入れながらもっと整備を進めていくということができないのか、少しお考えをお聞かせいただければありがたいと思います。
#42
○国務大臣(小泉純一郎君) 補正予算については今いろんな方から発言がなされているようでありますが、どういうものなのか私はまだ具体的に全然聞いておりません。今は本予算を審議している最中ですから、こういう本予算を審議している最中に補正予算論議が出てくること自体大変おかしいなと思っているんです。福祉減税についても私は全く聞いていません。どんな減税を意味しているのか、ただだれかがどこかで言っているという程度しか私は聞いておりません。
 しかし、この十年度予算、これほど聖域なくあらゆる予算を見直していくんだという中で厚生省が苦労して仕上げたんですね。その際に、公共事業も十年度予算はマイナス七%にすると言ったんですよ。福祉予算だけは三千億円程度伸ばしますよ、あとは全部マイナスです。伸びるのは科学技術関係と福祉だけです。だから、何とか八千億増から三千億円程度にやってください、これみんなマイナスだと、それじゃやらなきゃいかぬなとやったんです。それがいつの間にかたがを外して、公共事業だけふやすんだというんだったら話が違うじゃないですかと私は言いたい。
 予算というのはその年の税収で全部賄うのが原則なんですよ。現に、昭和四十年までは一切の国債を発行しないで税収で公共事業も福祉も全予算組んでいたんです。ところが、今や豊かになればなるほどもう税収ではできないから、少子化対策を言いながら若い世代、子供に増税を押しつけるわけでしょう。こんな無責任なことはないですよ。
 さらに恐ろしいことは、今まで建設国債は仕方がない、これも本来よくないんだけれども、道路にしても公園にしても住宅にしても下水道にしても後の世代が使えるから、やむを得ないから建設国債は認めようと。しかし、特例公債、赤字国債は絶対いけませんよという議論だったんです。初めて特例公債、赤字国債を発行するときは、当時自民党単独政権でありましたけれども、全野党が反対しましたよ。財政法に認められていない、だから特別に例外で一年限り発行するというのが特例公債、赤字国債なんです。それがいつの間にか特別に例外で一年限りじゃない、毎年毎年でしょう。今や建設国債も赤字国債も同じにしようと、完全にたがが外れてしまった。どんどん今でも国債を十兆円以上、二十兆円出していながら、借金を返すのに借金していながら、もう赤字国債やむを得ないの大合唱、こんな憂うべき状況はないと思います。それを私は恐れています。今の納税者に負担を求めるのが嫌だから、若い選挙権のない人に増税を押しつけるようなこの状況が当然視されていること自体、我々政治家は憂うべきではないかと思います。
#43
○阿部正俊君 ありがとうございました。
 大変筋の通ったといいましょうか、右と左がちゃんと合わせられるような論議をしていくためには大変いいことであるし、できれば自分自身でもそうした意味での考え方を持ちながら対応をしていきたいなと思っています。
 残念ながら、年金について少し立ち入ってお話をお聞きしたかったんですけれども、時間がありませんので一つ二つ焦点を絞ってお聞きいたしますので、御意見をちょうだいしたいと思います。
 年金につきましては、御存じのとおり、いわゆる年金白書を出され、それから五つの選択肢を御提示になられた、大変いいことだと思っています。年金のことになりますと、例えば受給者からは年金は余り下げてくれるなという話の御陳情もあるし、逆に今度は負担をする方からは余り負担を上げてくれるなという陳情もある。どちらかというと政治家というのは、従来それぞれ意見を聞いてああわかったわかったというようなことだったのかなという気もしないでもないんです。私は、受給を余り削ってくれるなというか、心配だから何とかしてくれというふうなことのときには、ぜひ若い方々との交流会をやってくれというふうなことをよく申し上げることにしているんです。政治家で何かやれる話じゃないんですと、これから出してくれる方々がどういうふうな理解を持った対応をしてくれるかどうかということにすべてがかかっておるはずですから、そういう方々とのいわば連帯をつなぐ工夫を各団体なり行政なりでもしていってもらいたいな、こんなことをよくお話し申し上げ、かつ自分なりに努力をしているつもりでございます。
 そういう意味でも私は、公的年金というのは少なくとも世代間の支え合いということを基本にするわけですから、左と右が合わなきゃならぬということはごく当然のこととして、五つの選択肢という形でお示しになられた。いろんな論議をしてちょうだいということで大変いいスタンスではないかな、こんなふうに思うんです。
 ただ、そのときに、いわゆる負担と給付論がどうしても表に出まして、本来、公的年金というのは何のためにあるんだろうか、あるいは公的年金というものの持っている意味合いというものについて、少しお金の出し入れだけが先になっちゃって、年金の機能については後回しになっている嫌いはないか。多分、厚生大臣初め厚生省当局としてはそんなことはないんだろうと思いますけれども、どうも受け取る方としてはどうしても金の出入りのバランスをどうとるかということだけが意識されていまして、私的年金とはまた違って、しかもまだ、私なりの理解ですが、一定程度の高度な工業化社会を経た、しかも長寿の社会には一つの社会的に合理的な仕組みとして私は公的年金というのが成立しておるのだろうというふうに思うんです。その辺について、もう少し理解を進めるための方策なりをさらにとっていただけたらな、こんなふうな気がするんです。
 例えて言いますと、きょうここにお集まりの委員の皆さん方も、男は大抵背広とネクタイをしております。まあ生地のよしあしはありましょうし値段もさまざまでありましょうけれども、柄はみんな違うはずです。公的年金というのは、どうしてもこういう上着をつくるためにはこれぐらいの金がかかるよということだけを言って、そもそも何のために洋服を着ているのか、あるいは一人一人色合いなりデザインなりネクタイなりが違うということをどういうふうに担保したらいいのかというふうなことをもう少し、本来洋服を着るときの、あるいは何のために要るんだ、公的年金とはどういう機能をするんだと。
 多分私の理解としては、世界じゅう見渡してもいわゆる公的年金とそれから先進国というものとは多分イコールであって、いわゆる発展途上国で年金だけが突出してうまく機能している国というのは私は余り寡聞にして聞いたことがないんです。私は、公的年金といいますのは一定の社会の発展段階に登場してくる社会的なシステムなんだろう、こんなふうな気がするんです。これはもちろんいわゆる段階保険料的な意味で、国債発行と似たようなことで事を済ますわけにいかぬということで一歩を踏み出された、二歩も三歩も前に出たということは大変いいことだと思いますけれども、そうした公的年金としての機能といいましょうか役割についての理解を得るための方策をお聞きしたい。
 特に私は、制度的な理解というよりも、そういうふうな世代間連帯に対する国民的な理解というより共感ではないかなという気がするんです。一つ一つ制度がこうなっているとかああなっているとかというふうなことをだれが理解するのか、ほとんどしないと思うんです。私自身も余り読んだことはありませんし、むしろそうしたふうな社会的な連帯というものの意味合い、共感というものを促進していくための工夫の一つとして、いろいろな意味で小泉大臣は特に論議の対象にされておるようですけれども、例えば年金福祉事業団なりあるいは社会保険関係のさまざまな施設なりというものがありますし、私は今のままでいいとは決して思いませんけれども、共感を得るための材料の一つとしてそうしたふうな周辺部分の施策もあるということをもう少しやはり位置づけしていただけないものだろうかなと。少なくとも年金審議会その他での論議の際にはどうかひとつお金のやりとりということで、できるだけ有利にということだけではない形で、公的年金としての機能を維持しかつ共感を得るための方策をぜひ御配慮願いたいものだな、こんなふうに思います。
 非常に一般的な質問で恐縮ですけれども、そのことを最後に大臣にお尋ねして、質問を終わりたいと思います。
#44
○国務大臣(小泉純一郎君) 年金福祉事業団の福祉事業とか還元融資事業に関連するお話だと思うんですが、私は基本的にこれから国の仕事はできるだけ減らしていかなきゃならない、発想を転換していかなきゃいけないと思うんです。
 国の仕事、権限はできるだけ地方にゆだねていく、あるいは民間にゆだねていく。国のやる仕事というのはできるだけ、民間も地方もやらない、しかし国がやらなきゃならないという点は何かと、採算はとれないけれども国民生活に必要だという点に絞っていくということになると、私は年金福祉事業団の仕事においても果たしてこれは役所がやる仕事なのかというと疑問に思う。しかも、これは年金のお金を預かっている。年金保険をかけている人から見れば有利に運用してもらいたいにもかかわらず、有利どころじゃない、民間も手を出さない不利なところばかり投資している、限られた少ない数の利用者が利用するときだけ喜んで後にツケを回すというのは何事かと思うのが、私はよく実態を見れば明らかになってくると思います。
 そういう面において、お金があるから、今は使わないから、将来のためでたくさんあるんだから今の利用者のことを考えてやろうというのはいかがなものかなと。特定の少数の利用者のことを考えて物言わぬ多数のことを見ないというのは私は政治の本来の姿じゃないと思います。やはり物言わぬ多数のこと、しかも年金の保険料と給付という関連してくる問題でありますから、その辺は、本当に国がやらなきゃいけないのか、やらなくていいことを国がやっているんじゃないかということを見きわめないと行財政改革はできないと思います。
 何でもやってくれ、後のツケは税金で見てくれというのでは私は行財政改革はできないのではないか。そういう点から、年金福祉事業団のあり方については厳しく廃止も含めて見直さなきゃいかぬということを指示しているわけであります。これからは発想の転換をして、いろいろな方々は国に対してあれもやれこれもやれと言っていますけれども、むしろ今後はこんなことはしなくていいんじゃないのかという議論が国会でも出てこないと行財政改革というのは大変険しく挫折してしまうのではないかということを恐れます。
#45
○阿部正俊君 最後に一言だけ申し上げます。
 今の点につきまして、私はむしろ野方図にというふうなつもりは毛頭ございません。ただ、公的年金の世代間の連帯というのは、お金の出し入れだけではなくて、そういったふうな共感をどうやって維持培養していくのかということも大事な視点ではないか。そのためには、例えば福祉施設、今の状態がいいとは言いませんよ、あるいは還元融資なりというのも、むしろ公的年金の機能の一つとして、拠出者なり受給者なり将来のことも考えて、例えば運用収入のこれくらいまでは合意しましょうかとオープンな形にして私は位置づけてやってもいいのではないかなということですので、できれば年金審議会その他で拠出者も含めて十分御論議をちょうだいできればなということを最後に御要望申し上げて、終わりたいと思います。
#46
○尾辻秀久君 私の質問は十二時には終わりたいと思いますので、簡潔な御答弁をお願い申し上げます。
 厚生省は、今国会で伝染病予防法を何と百年ぶりに大改正して、新たな感染症対策を実施するつもりと聞いています。その背景には、エボラ出血熱、狂牛病など新興感染症への対応が重要になってきているという事情があるんだろうと思います。その一つがO157であります。平成八年に日本各地で集団発生が起こりましたが、とりわけ堺市などで何千人もの小学生が感染して、十二名のとうとい命が失われてしまったことはまことに残念でなりません。私は、そのときも当時の厚生委員会におりましたので、すぐ現地に参りました。あのときから既に二年が経過しようとしていますが、当時の混乱は記憶に新しいものがあります。
 そこで、ことしの食中毒のシーズンを迎える前に、再び国民を不安に陥れないように、原因究明の結果と今後の対策について質問をいたします。
 そこで、まず、患者数九千人以上、三人の死者を出した堺市の食中毒の原因究明の結果でございますが、時間節約のために、私は厚生省は結局のところカイワレ犯人説だと理解しておりますが、間違いないかどうか、簡潔にお答えください。
#47
○政府委員(小野昭雄君) では簡潔に申し上げますが、カイワレ全般が汚染されていたということではなくて、特定の施設の特定日に出荷されたものが原因であろうと類推をいたしたわけでございます。したがいまして、カイワレ全般が原因の食材であったということではございませんことを御理解いただきたいと思います。
#48
○尾辻秀久君 その堺市の原因になったと言われるカイワレにしても、いろいろ言うならば情況証拠はあるんですが、結局、確証はないんです。O157は検出はされていないわけです。そういう意味で、カイワレダイコンを原因食材として推定したというか、むしろ決めつけたと言ってもいいんですが、そのことに対する批判もありますが、その批判についていま一度お答えください。
#49
○政府委員(小野昭雄君) 食中毒の原因究明を行います際には、単に菌の検出をするということだけではでござませんで、発生した患者の健康調査とかあるいは何を食べたかという喫食調査、あるいは施設の調査でありますとか、その食品がどこから来たのかというふうなこと等、疫学的な調査と申しますか、そういうもの、あるいは細菌学的な調査を行うわけでございます。これらにつきましては、私ども食中毒処理要領というものを定めておりまして、それに従いまして実施をしているわけてございます。
 これまでの例で申しますと、確かに、O157に限りませんで、菌が検出されたもの、それから検出されなかったけれども先ほど申しました疫学的な調査で、例えばサルモネラあるいは腸炎ビブリオの食中毒であったというふうに判断をいたしまして、所要の行政処分を行ったケースがございます。
 特に、O157は非常に菌の数か少なくても発症すると言われておりまして、菌検出がなかなか難しいということでございます。アメリカあたりでも、O157の集団発生ケースで、例えば湖の水というのを疫学的に原因であろうと類推をして発表したケースもございます。これも当然菌は検出をされておりませんが、今、先生がおっしゃる状況証拠といいますか、疫学的な事象を集めてきて結論を出したケースであろうというふうに思います。
#50
○尾辻秀久君 今のお答えは、堺市の食中毒の原因究明のやり方は間違っていなかったということなんでしょうが、それはもうそのとおりだろうと思います。私も了解します。
 ただ、私がここで言いたいのは、発表の仕方なんです。今お答えの中では、疫学的あるいは細菌学的という言葉を使われましたけれども、要するにそういう科学的といいますか、学者、研究者の皆さんの答えと国民の受け取り方というのはまた微妙に違うんですね。早い話が、発表後カイワレダイコンの売り上げが激減して、農家、農園はひどい目に遭ったわけてあります。そういう意味でなんです。
 発表の仕方に反省はないか、いま一度お尋ねをいたします。
#51
○政府委員(小野昭雄君) 原因究明に当たりましては、今、先生御指摘になりましたように、関係するかなり多くの専門家の方々に何回も何回もお尋ねをいたしました上で、それで表現もかなり慎重な表現を使って発表したつもりでございます。しかしながら、当時の状況を今振り返って考えますと、いわゆる大変に国民の皆さんの間に不安が、パニックと言っては大変失礼かもしれませんが、不安が起こっているわけでございますし、あれだけの学童の方かO157にかかられたわけでございまして、可及的速やかに可能な限り原因となるものを特定していくということが再発の防止あるいは蔓延の防止ということのために不可欠であるということで発表を、中間結果ではございましたか、公表したわけでございます。
 ただ、発表に当たりましてはかなり表現に意を使ったつもりではございますが、受け取られ方か非常にパニック的に受け取られたという点につきましては、今後どうするかということについて私どもとしても十分考えていかなきゃいけないと思います。ただ一点だけ申し上げたいのは、可能な限りわかった事実は速やかに公表するという基本的な姿勢は食中毒問題について必要な、非常に不可欠なものだというふうに考えております。
#52
○尾辻秀久君 最後に言われました食中毒の原因究明の結果を公表することについての考え方や意義は確かに御説明のとおりだと思いますし、またそうしていただかなきゃいけませんので、今後ともそのことだけはきっちりやっていただきたいと思います。ただ、繰り返し申し上げますけれども、その発表の仕方が今も言われたように国民生活にさまざまな影響を与えるものでありますから、十分配慮もしていただきたいということなんです。
 このことで思い出すことが一つありますので、あえて申し上げておきたいと思います。
 厚生省が原因食材としてカイワレダイコンか否定できないと発表したのはたしか八月七日であったと思いますが、その数日後に、当時の菅厚生大臣がテレビカメラの前でカイワレダイコンを三パックもお食べになりました。あのパフォーマンスの意味するものなんです。あれで国民は結局やっぱり原因はカイワレダイコンだったんだと、こういうふうに結果としては理解してしまったと思うんですね。厚生省の見解を聞かせてください。
#53
○政府委員(小野昭雄君) 私が直接菅前大臣に伺った話でもこざいませんし、それから事務局が何か仕組んだんではないかという御指摘を受けたこともございますが、そんなことも全くございません。前大臣おひとりの御判断でなされたと承知をしております。
 ただ、当時を振り返りますと、カイワレダイコンだけではなくて、例えばレタス、キャベツ等々の生鮮野菜の出荷にも非常に大きな影響が出たということで、農業関係団体の方からもかなりきつい御指摘をいただいたということが当時ございます。そこで、恐らく先ほど申し上げましたように、発表の際にはかなり表現に気を使ったつもりでございます。特定の施設の特定日か疑わしいと、こう言ったわけでございまして、堺市の給食の中で、同じメニューの中で別の施設から出たカイワレダイコンが使われた地域ではO157は出ていないわけてございます。そういったこともきちんとお話をしたつもりなんてすが、そういう漠然とした不安が起こったのでどうにかそれを打ち消したいというふうにお考えになったのではなかろうかと、これは推測でございますか、そういうふうに感じております。
#54
○尾辻秀久君 今のお答えを聞いていましても、厚生省にしてみれば、堺市の食中毒の原因となったまさに特定の業者のカイワレダイコン以外は、この以外はを強調したかったんだと思うんてすか、それ以外は安全であるということを示したかったんでしょうけれども、結局、よかれと思ってやられたことを私も疑いはしませんけれども、大臣がしかもああいうスター性を持った方でありますから、今の小泉大臣も極めてそういう方でありますがああいうスター性を持った大臣かパフォーマンスをやられますと、思わぬ逆効果というか変な効果まで生んでしまうということが間々あるんだろうし、あのときもまさにそうなったんではなかったかなと思うものですから、今後ともこういう場合には、先ほど答弁の中でも言われました国民生活にパニックが生じたらまた困るわけてありますから、気をつけておいていただくように申し上げたところであります。
 そこで、昨年のO157の食中毒の発生状況はどうであったかお尋ねをいたします。
#55
○政府委員(小野昭雄君) 平成九年におきますO157による食中毒の発生状況でございますが、患者さんの数が千五百七十六人、不幸にして亡くなられた方が三人という報告を受けております。一昨年の患者の方に比較しますと大幅に減少いたしておるところでございます。この原因といたしましては、昨年は集団発生が三件ということでございまして、一昨年に比較しまして非常に少ないということが一つの原因であろうと考えております。
 しかしながら、平成九年三月には南関東あるいは東海地方におきまして、同じ時期に散発事例が非常に多発するというふうなことか起こっておりまして、小規模の散発事例は依然としてあることもまた事実でございます。これらの原因究明につきましては、平成九年三月の散発事例中、愛知県の事例及び横浜市の事例におきましては、これもまた特定の施設から出荷されたカイワレダイコンからO157が検出されたということでございますし、また、このほか牛肉、シカの肉あるいは白菜漬け、日本そば、それからメロン、キャベツなど、非常に広範な食品からO157が検出をされております。これは流通をチェックして発見したものでございます。
 したがいまして、引き続き、非常に多様な食品がO157に汚染されている可能性がございますので、十分な警戒が必要であるというふうに考えております。
#56
○尾辻秀久君 ただいまの御答弁を聞いておりますと、昨年は一昨年に比べると大分数が減ったということでございます。そのことは大変いいことでありますが、だからといって安心をしておるわけにはいかないのがこうしたものへの対策でございます。
 そこで予防対策についてお尋ねをいたします。抜本的な対策が必要であることは言うまでもありません。そこで、HACCPの有効性などについて、この際ですからちょっとお答えをください。
#57
○政府委員(小野昭雄君) HACCP方式によります衛生管理につきましては、各製造あるいは加工の過程で発生するおそれのある危害、例えば微生物による汚染でありますとか異物の混入といったようなことの危害を一つずつ調査分析をいたしまして、その危害の発生を防止いたしますための措置を講じまして、かつその措置の実行状況を常に監視するあるいは記録しておくということ等によりまして、衛生管理の確実性あるいは信頼性の向上を図ろうとするものでございます。
 現在、本制度の対象となります食品は、乳・乳製品、食肉製品、いわゆるレトルト食品及び缶詰、それから魚肉練り製品でございまして、現在までに乳・乳製品につきましては百七十七件の承認が行われております。今後こういった方式につきましては、私どもといたしましても食品産業への拡大ということを目指して定着を図っていきたいと考えております。
 なお、本国会に、農林水産省とともにHACCP方式によります衛生管理を導入することによります食品の製造過程の管理の高度化を図るための金融及び財政上の支援措置を講じること等を骨子といたしました食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法案を提出いたしているところでございます。
#58
○尾辻秀久君 いろいろやっていただいておるようでございますけれども、食中毒を起こす細菌やウイルスもいろいろあるようでありますし、気を緩めずに総合的な対策を講じていくように求めておきます。
 この点について、最後に厚生大臣から食中毒対策に関する御決意を伺っておきたいと存じます。
#59
○国務大臣(小泉純一郎君) 今のお話を後になって聞いてみますと、もっと冷静な対応ができたんじゃないかと思うんですが、しかし、現実に食中毒が発生すると冷静な議論ができなくなりますね。カイワレが悪いというと全部カイワレを食べなくなっちゃう。狂牛病でも、牛が危険だというと狂牛病にかかっていない牛まで食べなくなっちゃう。野菜でもお魚でもそうですね。
 だからこういうことを考えますと、しっかりした情報を国民に提供するということも大事ですし、予防対策にしても、厚生省として、政府としてこういう対策があるんだというような、国民に不安をかき立てない、余計な不安をかき立てないような対策も危機管理として大変大事ではないか。と同時に、平素から衛生観念といいますか、予防体制とかそういう点についても常日ごろから気をつけてもらうような啓発活動も必要ではないか。
 いずれにしましても、今までの食中毒発生の状況、これをよく研究し、また足らざるところがあった場合には反省して、今後予測せざる事態に備えるよう日々準備をしておかなくてはならないと考えております。
#60
○尾辻秀久君 最後に、一問だけになりますけれども、対馬丸戦没者の洋上慰霊祭について伺いたいと存じます。
 去る三月七日に、大臣も御出席でございましたけれども、厚生省主催により、終戦の約一年前になります昭和十九年八月二十二日に米軍潜水艦の攻撃を受けて沈没いたしました沖縄の学童疎開船対馬丸の洋上慰霊祭が対馬丸の沈没したまさにその洋上でとり行われました。私もその式典に参列させていただきましたけれども、関係御遺族の半世紀にわたる念願であった沈没地点での慰霊祭が実現して本当に深い感慨を覚えました。
 大臣には、昨年十二月の対馬丸の船体発見後、直ちに厚生省としての洋上慰霊祭の実施を御決断いただきまして、大変短い期間にもかかわらず諸準備を進められて、今回の洋上慰霊祭がまことに厳粛に、そして無事に済みました。ここに戦没者の遺族の一人として謹んで感謝を申し上げたいと存じます。本当にありがとうございました。
 今回の洋上慰霊祭には、関係御遺族や生還者の方々三百九名が乗船されたそうでありますけれども、残念ながら今回は多くの御遺族の方々が船の定員の関係で乗船で岩なかったと聞いております。大臣は式典終了後船内で行われた記者会見で、乗船できなかった御遺族等の方々を対象に再度洋上慰霊祭を実施することを検討する旨発言されました。
 そこで、今回大臣みずから対馬凡戦没者の洋上慰霊祭に参加をされたその御感想とあわせて、再度の洋上慰霊祭の実施についてのお考えをお伺いいたします。
#61
○国務大臣(小泉純一郎君) 委員も一緒に乗船し、慰霊祭に参列していただきましてありがとうございました。
 千五百名余の方々が戦争中撃沈されて亡くなられた。しかもその半分、七百名にわたる人たちが学童だったようで大変痛ましい事件だったわけでありますが、五十三年ぶりとはいえ初めて沈没地点で洋上慰霊祭ができて、遺族の方々、また奇跡的に生還された生存者も含めて慰霊祭が行われたということは大変意義深かったと思います。
 那覇の港から船で十時間の地点で、多くの高齢者も含めて行かれて、その場に、本当にきのうの出来事のように思い出しながら、また涙を流しながら慰霊をされている姿を見まして、戦争の傷跡は本当に深いなと思いました。
 また、予想以上に洋上慰霊を行いたいという遺族の方々が多かった。船の定員の関係もありまして全部乗船できなかったわけでありますが、何とかもう一回やってほしいという声も強いものですから、年内中にしかるべき時期を見きわめて、今回参加できなかった方にその機会を提供して、再度洋上慰霊ができればなと今その準備を進めております。まだ時期ははっきり確定できませんが、年内中には実施したいと考えております。
 あの遺族の方々のお姿を見るにつけ、やはり亡くなられた方に対する思いというのは年齢に関係ないなと思いました。お互いの戦友にしてもあるいは御兄弟、御親戚にしても、老若男女を問わずに非常に家族の死者に対する思いが強い。これは洋上慰霊祭だけでなく、オリンピックのときに清水選手と里谷選手が金メダルを獲得した、あの若い二十そこそこの方々が亡くなられたお父さんのことを言われて非常に感動させる場面があった。お父さんの写真を胸に抱いて滑って優勝、金メダルを獲得した。
 ですから、まさに厚生省というのはそういう遺族に対する仕事もある、慰霊事業を担当しておるわけですから。これからも、生きている人だけのための厚生省ではない、我々が現在あるのも多くの亡くなられた方々の上に立って現在があるんだということをしっかり銘記しながら、今後も慰霊事業に対してはしっかりと行っていきたいと思います。
#62
○尾辻秀久君 このことで言い出すといろんなことを言いたくなりますので、一言にしたいと思います。
 大臣も丸一昼夜、二十四時間の船旅でございました。そういう意味で本当に御苦労さまでございましたと申し上げます。また、正直に言いますと私もいささか退屈もいたしました。しかしそのときに思ったのであります。かつて同じ海の上を小さな子供たちが、死ぬかもしれないという不安に駆られて、そして大半の子供たちは本当に死んでしまったのでありますが、暗い海を航海していったわけであります。それに比べれば、安全にのんびりひっくり返っておれば済む我々の船旅が二十四時間かかろうと三十時間かかろうと、そんなものはどうでもいいじゃないかと思いました。
 本当に大臣、大変温かいお気持ちを示していただきました。今後ともどうぞそのお気持ちをお示しくださるようにお願い申し上げて、私の質問を終わります。
#63
○委員長(山本正和君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
#64
○委員長(山本正和君) ただいまから国民福祉委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、社会保障等に関する調査を議題とし、厚生行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#65
○水島裕君 民友連の水島でございます。
 今度の通常国会にかかりますことは大変大切なことがございます。医学をやってきた私にとっても、特に感染症予防法あるいは血液事業法というのは非常に重要でありますし幾つかの問題もあるかと思いますが、そういうことは個々にそのときにまたいろいろお伺いすることにいたしまして、きょうは通常国会の最初でございますので、将来を見据えて少し大きなテーマから大臣にまずお伺いしていきたいと思います。多少、医学医療という方に偏るかもしれませんけれども、よろしくお願いいたします。
 この世の中、科学技術あるいは自然科学の進歩でもって、今我々がこういう暮らしができるのもあるいは健康でいられるのも、みんなそういう科学技術の進歩によるものでございますけれども、このままやっていっていいのだろうかというのが一つの疑問でございます。
 ことしの冬の休みに中国に行ってまいりました。すごく人が込んでいて、それから車も、個人の車は持っていないんですけれどもすごく込んでいて、排気ガスもあるということで、このままいけば環境の汚染も非常にひどいし、また中国の人たちが、多少問題の発言かもしれませんけれども、みんなが仮に文化的な生活を営めば、もしかしたら地球はぐあいが悪くなってしまうのじゃないかとすら思うわけでございます。
 それですから、今後の自然科学の研究というものはかなりはっきりとした目的意識を持って、福祉のためあるいは環境保全のため、それから食糧をつくるため、そういうことにはっきりとした目的を持って、ただいろんなことをやっていればいいというものでもないし、ましてや環境破壊をするようなことがあってはいけないと思います。
 例えば地球の温暖化、あるいはダイオキシン、フロンガスが中心でありますけれども、ダイオキシンは環境ホルモンと言われておりますものと一緒に生殖能力を非常に低下させているということがわかってきております。ですから、人類は西暦二〇〇〇年は迎えられますけれども、三〇〇〇年はもしかしたら迎えられないのじゃないかというふうに思うぐらいでございます。
 主としては、地球の温暖化と生殖能力の低下、現在でも精子が半分ぐらいになっているという調査もございますので、そういう方面も考えながらいろいろ事業、研究をするし、またそういうことにならないようにいろいろ研究もしていかなくちゃいけない。仮に、精子がなくなったらどうするかというと、人間は年ごろになるとこの辺の細胞をとってきてクローン技術でもって人間をつくっていくということにしないと、人類は滅亡してしまうというわけでございますから、そういう点ではクローンの研究も、人に使うものは全部待ったというのもまた問題かもしれません。
 そういうことがございますので、ひとつ大臣にお伺いしたいことは、そういうことを将来本当に見据えてきちっと研究費も出すし、それから医療もちゃんとやっていかなくちゃいけないと思いますけれども、いかがでございましょうか。
#66
○国務大臣(小泉純一郎君) 我々、今日生活でき、また病気に対していろいろな治療法ができてきたのも医学の進歩、科学の進歩によるところが大変大きいと思います。研究者の御努力も日ごろから目に見えないところで進められていますし、そういう将来に対する投資といいますか、研究体制を整備していくというのは大変重要なことだと思います。
 科学技術は日進月歩だと思いますけれども、最近は医学の方においても今までの我々の常識からではちょっと想像できないようなすごい治療法も確立されている。手術というのは体を切って血が出るものかと思いましたら、最近は血が出ないような手術も行われるようになって多くの患者さんが助かっているということを見ますと、これからますます今では想像できないようなすばらしい治療法も確立されるのではないかということを期待しております。同時に、生命の倫理の問題の点に関しましても十分注意しながら、それぞれの科学、医学に対する研究体制というものもおろそかにはできない、しっかりやっていかなければならないと思っております。
#67
○水島裕君 かなり遠い将来を見据えて本当にいろいろなことを今のうちからやっていかないとぐあいが悪いと思います。先ほどの生殖能力の低下などについてはまだ改めてここでいろいろ議論できたらと思いますし、国の務めではないかというふうに思います。
 次は、多少みみっちくなりますけれどもお金のことでございます。現在でも医療費のうちのある部分が特許料として外国に持っていかれているわけでございます。研究となりますと非常にそういうことが現在でも強いわけでございます。
 これはいろんな例がございますけれども、一つが遺伝子診断あるいは遺伝子を用いた研究でございます。例えば、犯人を捕まえるのも今はDNAで診断するわけですけれども、どういうときでもDNAというのはたくさんふやさなくては診断もできないし、それから遺伝子治療をこれからやるとすればふやさなくてはならないわけであります。そのふやす方法をPCRと言っておりますが、これはアメリカのシータスというベンチャーがつくりまして、今はロシュがそれを買い取って、そこに高い特許料を払って日本は使っているわけであります。
 ですから、御存じのように結核菌の診断は昔は二、三週間かかったわけでございますけれども、今は遺伝子をばっとふやして直ちに診断ができるわけであります。そのばっとふやすところに特許がございまして、ですからすごくこの遺伝子診断のキットというのは高いわけであります。実験室でそれをふやそうと思うと、DNAポリメラーゼと申しますけれども、それをふやす酵素が物すごく値段が高いんです。なぜ高いかというと、特許をたくさん払うために高いわけです。
 ですから、現在でもそうでありますけれども、仮に将来、診断がほとんど遺伝子診断になって治療のかなりの部分が遺伝子治療になりますと、今そういうものはアメリカではほとんど特許をとっているわけでございますので、日本の社会保障関係の医療費の上限を決めたために今五百六十億をどこにつけるかというので何だかすったもんだしておりますけれども、そんな五百六十億どころじゃない、とんでもない費用を外国に払わなくちゃいけないということでございます。
 ですから、そういう状況を大臣はどうお考えになるか。それから、未来にそういう危険性がかなりあるような気がいたしますけれども、そのためには、やはり日本できちっとした研究開発を行って特許もとる、そういうふうにしなくてはいけないわけでございますけれども、その辺はいかがお考えでございましょうか。
#68
○国務大臣(小泉純一郎君) 未来への研究投資、この予算を確保していくことも大変重要だと思っています。
 限られた予算ですけれども、厚生科学という分野におきましても予算をふやしていかなきゃならないということで、ほかの予算と比べて伸び率も高く確保しておりますし、この厚生科学の面においては理解者もふえておりますので、今御指摘の点につきましても、今後とも多くの国会議員の先生方にも御理解をいただきまして、しっかりとした予算を確保していくよう努力をしていきたいと思います。
#69
○水島裕君 今申し上げたPCRというのは一つの例でありまして、そういうものがほかにもいろいろ出てきているということでございます。
 一つの例で今のPCRと申し上げましたけれども、一つの試験をするのには最低単位がどうしても一万円、八千円でございますけれども、一万円かかってしまう。ですから、例えば研究室で仮に百万円ぐらいせっかく厚生省から予算をもらっても、その五十万はそのために外国に払ってしまうとかという状況でございます。今後、もしもみんな研究はそういう状況になったらもうとても大変なことでございますので、ひとつその点お考えいただいて、いつも外国がこうだからこうというのではいつになってもそういう状況でございますので、日本が先にして外国にお金を出してもらって、それを使ってもらうというふうにすれば医療費もおのずと安くなってくるというふうに先を考えてやっていかなくちゃいけないし、私ども議員もそれが一つの務めではないかと思います。
 それでは、そのためにはやはり大臣が今おっしゃったように研究をきちっとしてやっていくということですけれども、科学技術基本法のおかげで十七兆五千億、一年で四兆円ぐらいの研究費がつくようになってきたわけでございますけれども、それが果たしてうまく使われているかというのは多少疑問なのであります。今のようなことを考えて集中的にしかも情報を密に交換しながらやっていかなくちゃいけないと思います。
 特に、今申し上げました遺伝子関連の特許ということになりますと、何が一番大切かというと、このゲノムプロジェクトということにありまして、これは科技庁の方に来ていただいておりますのでお答えいただきたいわけでございます。何十億とあるDNA遺伝子のうち結局は千個ぐらいが恐らく重要じゃないかと、それは疾患遺伝子も正常遺伝子も含めて千個ぐらい。遺伝子というのはただ順番が配列して、あるたんぱくをつくるわけでございますから、今度はその遺伝子のシークエンス、構造というのはひとつ別ですけれども、それとともに機能を見なくちゃいけないとなりますと、それが生み出すたんぱくをきちっと調べなくちゃいけない。ですから、例えて言うならば、千何個ぐらいの遺伝子とそれがつくるたんぱくを、普通の戦争は大分終わってきましたけれども、世界大戦でというような感じでもって、これからどこの国がそれを解明してその特許をとるかということでもって、もちろん自然科学あるいは福祉の面で重要でございますけれども、将来、経済的にもとの国が優位に立つかというのが決まってしまうわけでございます。
 それで、中国ですらセンターをつくってそういうことを始めているということでございますので、一つ科技庁にお伺いしたいことは、そういうプロジェクトがきちんとうまくいっているのかということでございます。結局、疾患遺伝子を見つけたら、それを阻止したり、それからそれがつくるたんぱくをすぐそれに対応できるシステムをつくるということを今のうちからやっていないとなかなかうまくいかないわけでございますから、そういうことも含めていかがでございましょうか。
#70
○説明員(藤木完治君) ただいま先生お話しありましたように、生命機能の根源でありますゲノムあるいはその要素であります遺伝子、さらにはその産物でありますたんぱく質、これらの構造や機能に関します研究、これはまさに先生おっしゃいましたように疾病の克服あるいは環境の保全、さらには食糧の確保等々、いろいろな面で大変新しい技術、新しい可能性を生み出す、そういった研究領域である。そういうことで、昨年八月に内閣総理大臣決定をいたしましたライフサイエンスに関する研究開発基本計画、政府全体の計画でございますが、これにおきましても特に重点を置いて研究を進めるべき分野であるというふうに明確に指摘されておりまして、私どもも現在そのように考え、これからいろいろ取り組みたいと思っております。また、先生お話しありましたように、国際的に見ましてもこの領域におきます特許を獲得するための競争というのは非常に激しくなってきているというのが私どもの認識でございます。
 したがいまして、このような状況でございますので、平成十年度から新たに理化学研究所の中に大規模な構造解析などを行うゲノムフロンティア開拓研究センターといったようなセンターを設置いたしまして、今お話がありましたような疾患遺伝子を含めまして、全部で約十万ヒトの遺伝子があると言われているそれらすべてを探し出して、それらにつきましてDNAの配列を決めていこうというようなこと。あるいはまさに先生おっしゃいましたように、それによってつくられますたんぱく質、こういったものの機能も追求していかないと結局全体像にならないということで、たんぱく質の働きに関しましても体系的に研究をしていく。さらには、そういったもとの根っこになりますいろいろな解析技術、こういった技術に関しましても進めていきたいということなど、関係省庁合わせまして本年度に比べて倍増以上の予算規模でこういったゲノム関連研究に取り組ませていただきたいというふうに考えております。
 また、こういうゲノム関連研究、非常に幅広い分野にわたっていると思います。こういった幅広い分野にわたっておりますので、各省庁、この場合は厚生省、文部省、農水省、通産省、科学技術庁といったような関係省庁がまさに全体統一的な計画に基づいて連携しながら進めていくことも必要であるというふうに考えておりまして、そのための全体方針を御審議いただきます科学技術会議のゲノム科学委員会、あるいはその基本方針のもとで各省庁の調整をするための各省庁連絡会等々が既に設置され、動き始めております。
 私ども、こういったシステムの中で方針を示していただきながら、政府一丸となってこのゲノム関連研究に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
#71
○水島裕君 将来の診断とか治療が非常にここに集中するという可能性もございますので、よろしくお願いします。
 実はこういうことが大切だと思って、きょうの質問でゲノムをすると、国民福祉委員会ですから厚生省に言いましたら、ゲノムのことは科技庁だというので、科技庁に行きましたら、私の質問に疾患遺伝子ということが書いてありましたので、疾患遺伝子があると厚生省だということです。昔に比べればすごくよくなったのは認めますけれども、ひとつますます省庁の壁を払うというよりか全体的にやっていただきたいと思います。
 それから、マスコミにしましても我々あるいは議員にしましても、大学の先生というのは研究をやるものであって、何かいい結果が出たら特許をとってお金を稼ぐのはけしからぬというような風潮があるんですけれども、そういうことをやっていたら日本は本当に滅びてしまうわけでございます。外国に行きますと、ちゃんとしたクリニカルリサーチセンターがあって、それから特許を応援する事務所が一流大学でしたらどこでもあるという状況でありますので、やはり研究も国のためにやっている、福祉ばかりではなくて、国のためにやっているということをやらなくちゃいけないと思います。
 例えば、昨年でも、御存じかどうか知りませんけれども、黒尾先生という方が老化の遺伝子を見つけまして、これは「ネイチャー」にも出ているのでございますけれども。その老化の遺伝子をマウスに注射しますと見事に年をとって半分ぐらいの寿命で死んでしまう。ちょうどその老化の遺伝子のところに正常な遺伝子を入れますとちゃんと延びてくるということで、すごくいい発見をしているわけでございますね。だけれども、私は本人に聞いていませんけれども、果たしてそういうのをちゃんと特許をとって、国の機関と一緒になってそれを外国でそういうものを使うときは日本がうんともうかるようになっているのかどうかというのが疑わしいわけでございます。
 書きとめていただくんでしたら、もう一つはやはり遺伝子から、またあとは個々にお知らせいたしますけれども、高血圧のバイオのすごくいい遺伝子も見つけておりますので、そういう大学での研究が果たして国の政策と一緒になってうまくいっているかどうかということもひとつ今後は検討しなくちゃならない項目ではないかと思います。
 もう一つ、こういう画期的な研究をするためにどうしても必要なのが遺伝子操作の研究、DNA組みかえの研究といっておりますけれども、それも昨日聞きましたら随分規制がとれてきたということで、きょうはお尋ねいたしませんけれども、それでもやはり遺伝子を組みかえた動物の飼い方とか実験の仕方に規制がまだまだ強いように思いますので、それはまた改めていろいろ御討論させていただきたいと思います。
 それから、今のアイソトープの件をお尋ねしなくちゃいけないのでございますけれども、アイソトープの研究というのは新しい研究をするためにぜひとも必要なことでございますが、アイソトープの規制が日本では強いわけでございます。
 私が調査しました一つの例を申し上げますと、ある大学病院で一年間で使っているアイソトープの量が三万千六百ミリキュリー、これ一日にしますと百五十八ミリキュリーなんです。その人たちはどうするかというと、診断とか治療で注射されて、注射されたまま病室を歩き回ったりうちへ帰っちゃったりしているわけであります。何と一日にそれだけのミリキュリーを使っているわけであります。
 ところが、ルーズと言っちゃいけませんけれども、それは比較的使われているんですけれども、今度アイソトープを使う研究がどうなっているかというと、物すごく厳しいんです。アイソトープ管理区域というのがありまして、物すごくお金をかけてつくるわけでありますけれども、その外では一切研究はまかりならぬということなのであります。
 それで、ちょっと私のところで計算してみましたら、ある大学で一年で基礎研究に使っているアイソトープの量が六十七ミリキュリー。さっき一日患者さんが使うのが百五十八ミリキュリー。もちろん半減期とかそういうことがありますから一概には言えないんですけれども、計算しますと、どうも一日か二日患者さんに使うのをやめれば基礎のすべての研究を管理区域外でやっても理論的には同じになってしまうんです。
 もちろん、わざわざ汚す必要はありませんから、アイソトープはちゃんと管理区域内に蓄えておいて、どうしてもできないときは外部で研究をして、残り物はまた管理区域のところに戻しておけばほとんどアイソトープによる汚染はないのであります。仮にあったとしても、臨床で使っている三百分の一とかそんなものなのでございます。
 きょうはこれ以上申しませんけれども、その辺科技庁がいかにお考えかということと、今後この辺の規制をいろいろ考えるおつもりがあるかどうかということをお尋ねしたいと思います。
#72
○説明員(植田秀史君) ラジオアイソトープは、研究用に用います場合には、我が国におきましては放射線障害防止法に基づきまして私ども安全規制を行ってございます。その規制の基準を定めるに際しましては、これまでも国際放射線防護委員会の勧告などをもとにいたしまして、国際的にも整合性のとれたような規制になるように努力しているところでございます。
 また、具体的な規制を行うに当たりましては、その規制の合理化ということにもこれまでも取り組んできてございまして、例で申しますと、最近でございますが、ラジオアイソトープを用いました分析装置、これはちょっと医学研究用とは直接関係ございませんけれども、分析装置のうち、装置で安全性がかなり確保されているものにつきましては使用者の方の義務をかなり軽減して、例えば放射線の線量の測定などを免除するというような、これはちょっと医学研究用ではございませんけれども、そういった措置もこれまでとってきているところでございます。
 先生御指摘の医学研究用のアイソトープの使用に関しましても、研究の状況ですとか国際的な動向も踏まえまして、適宜規制の合理化に努力してまいりたいというふうに考えるところでございます。
#73
○水島裕君 適宜というのは、もう早速検討していただくというふうに解釈させていただいてよろしゅうございますか。
#74
○説明員(植田秀史君) 現在、科学技術庁にございます放射線審議会の方で今後のこういうアイソトープの規制の基準等は御議論いただいてございますので、その中で専門家の先生方の御意見も踏まえまして検討に取り組みたいと思ってございます。
#75
○水島裕君 早速検討していただきたいと思います。これは大臣を含め聞いていただければわかると思いますけれども、これは臨床科も結構研究しているわけです。そうすると、外来をやって病室を見てくたびれて、夕方ぐらいから研究しようと。アイソトープを使わないとほとんど研究というのは進まないというのが、半分と言ってはオーバーかもしれませんけれども、そのぐらいあるわけです。そうすると、五時になるとアイソトープの部屋が閉まってしまう、それじゃやめようかと。それから、遠いところに一つだけあるというのでも、それも大変だと。それから、もちろん全くない施設もございますので、そういうところで本当にわずかな汚染を禁止するために何もできなくなってしまう。
 それによって、先ほど申し上げましたように、日本は研究ですごくおくれをとってしまうということが非常にあると思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。ルーズにしろと言っているんじゃなくて、論理的にしていただきたいということでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは次のテーマに入りまして、今度は医薬品の方に入りますけれども、医薬品の適用外使用と保険の関係ということで、高木局長を含め御答弁いただきたいのでございます。
 きょうは例といたしまして、関節リューマチに使っておりますメソトレキセート、MTXと申しますけれども、それを例にしてお話しします。もちろん、MTXをどうしろとかそういう意味じゃなくて、一つの例として申し上げるだけでございます。
 日本にはリューマチの患者さんが約六十万人いて、このMTXというのは非常にリューマチに効く薬で、しかもちょっと強い薬でございますから、こういうのを使った方がいい患者さんというのは三十万人ぐらいだと思いますけれども、調査いたしますと、現在三万人にこのMTXというのが使われているんです。MTXは許可されていないんです。リューマチの保険が通っていないわけでございます。ですから、違反か何かして使っているということになります。そういう事情を高木局長あるいは中西局長、どう思われるか、後で御意見をお伺いいたしたいのでございます。
 そういうときにどうしているかと申しますと、通常はこれはどうしても患者さんのために使わなくちゃいけないということで、先ほどの計算ですと十人に一人ですけれども、リューマチの専門医ですと十人に二人か三人ぐらい使うわけです。使って、普通に処方を書きますのでレセプトにそのまま普通は載るわけです。そうすると、今は支払基金の人はリューマチにメソトレキセートがいいというのは、通っていないけれども大概よくわかっているので通常は通るわけです。だけれども、通らないことを知っている人はそれを書かなかったりするし、薬価が安いものですから、二百五円ルールでもって書かない。
 それからもう一つは、保険病名をつけるんです。この保険病名は悪性腫瘍にしか通っていない。しようがないから悪性腫瘍、白血病とか書く例もあるわけであります。そうしますと、これはもうレセプト公開になっておりますから本当におかしなことになってしまうわけでございます。ですから、書かないか、二百五円だから書かなくていいとしているか、それとも保険を出して普通に請求しているか、却下されてどこかが払っているか、まれには病院がこの薬の費用は出すというふうにしているところもあります。
 結局申し上げたいことは、医者も何が何だかさっぱりわからない。どこかきっと違反か何かしていて気にかかっているんだと思いますけれども、よくわからないということで、きょうお答えいただいただけではなかなかすっきりしないと思いますので、ひとつこれはぜひ勉強会か何か開いて、どういうところに問題があってどうしたらいいかということを御検討いただく必要があるんじゃないかなと思います。
#76
○政府委員(高木俊明君) 保険で使える薬の基準なんでありますが、医療保険の方は医療費に対してお支払いするという、そういった経済補償の関係を決めておりますけれども、その根っこのところは、やはりそれぞれの実体法で決められたものに乗っかって医療保険の方は動いているというのが現行の制度だと思います。
 そういった意味では、今、先生御指摘のありましたMTXのケースの場合、確かに薬事法上適用として認められている中にはリューマチの疾患が入っていない。そうすると今、先生のおっしゃったようなことが現実の治療の中では行われているということがあるのではないかというふうに思います。
 やはりこれは、今勉強会と申しましたが、私どもとしてもこの辺のところをどういうふうに考えるべきなのか。先生がおまとめになりましたこれまでの研究の論文についても勉強させていただきましたけれども、これが仮に薬事法の中で限界があるということであるならば、医療保険サイドにおいて国際的にも当然安全性を含めポピュラーになっているようなそういったケースについて、きちっと対応していくということも一つの考え方としてあり得ると思います。
 そういった意味で、私どもとしましてもこれについて積極的に勉強させていただきたいと思いますし、いろいろまた教えていただきたいというふうに思っております。
#77
○水島裕君 もう一回整理のために申し上げますと、お医者さんが気にしながらやっているのがどこかというと、結構五つぐらい挙げられるんですね。
 一つが認可されていない薬を使っていて何となく後ろめたい、気にしている。それから次に、そういうときは患者さんに全部インフォームド・コンセントをきちっととらなくちゃいけないんですけれども、余りにもそういう薬が多いために一々インフォームド・コンセントをとっていない、それも違反しているんじゃないか。それから、レセプトにいわゆる保険病名、うその病名みたいなのを書いているというところも気にしている。それを審査する人もそうすれば病院がお金を払わなくていいからといってパスさせて、そこでもまた後ろめたい気がしている。それから、そういうものですと今度はメーカーが副作用の情報を伝えなくてもいい。伝えちゃいけないことになっているわけですね。ですから、そういう的確な情報が伝わらないで妙な副作用を起こしてしまう。今度は、副作用が起きたときにも保険に許可になっていないものを使ってというので、これ医者が悪いとかというのでそこも問題になってくるというので非常に問題が大きい。
 何でも問題のあるままどんどんいろんなことをやっていますと、今の汚職とかなんかじゃないけれども、みんなだんだん癖になって、結局は非常に大きな問題になってきてしまうということもあるので、やはり論理的ではないところをすかっとするということは我々の使命ではないかというふうに思っております。
 それで、今の続きでございますけれども、これは何度も申し上げて、大臣からも医者が困らないように早くしたいということをお答えいただいているわけでございます。といって既存医薬品の必須の適用拡大というのは物すごくたくさんあるわけで、これは中西局長なんかも御存じだと思いますし、先ほど紹介していただいた私どもの調査でもすぐにでも認めた方がいいんじゃないかというのは約百ございます。それから、小児科学会、小児薬理学会からの要望書が恐らく行っていると思いますけれども、それでも百ぐらいあると思いますので、非常に多いわけです。
 ですから、それをどうするかということで、厚生省もいろいろ頑張っていただいて、一つが今メーカーの協力も得て国の研究機関として、これは健政局の方だと思いますけれども、国の費用でもって今書類をつくってこれで適用拡大をしようという動きもあります。あるいはほとんど治験ができなくて、そういう点では何もしていない国立病院を使ってやろうという動きもありますので、そういうのがぜひうまくいくように期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それと、続けてですけれども、そういうときにもう一つ活用していただきたいのが医学会なのでございます。どうも医学会の要望書を出しても余り国は聞いてくださることはないのでありますが、やはり医学会というのは相当専門家の人たちがなっておりますし、そこの役員は厚生省での委員会と違いまして、まず今一〇〇%会員の選挙で、しかも期間を限ってなっておりますので、かなり公平に選ばれている人たちなのであります。厚生省の委員は、どうしてもだれかの推薦とか、厚生省の方で厚生省の政策に何となく近そうな人を選ぶ嫌いがありまして、少し何か言うと首にされたりなんかするのであります。
 私も幾つかやらせていただきまして、一つは、別に首になったわけじゃないんですけれども、八年間の任期が来たからやめていただいてもいいんですけれどもとかというようなことで来ましたので、いやそれはもうやめますと。それからもう一つは、私がある研究班の班長だったときに、一人よく研究はするんですけれどもちょっと変わっている人がいて、すぐ厚生省に盾突くようなことを言ったり、それから地元で少し厚生行政の違反みたいなのをしたりなんかする。そうしたら、課長からもあの人は首にしてくれと頼みますので、私はちょっと人間的に問題はあるけれども研究は一生懸命やっているから何とかもう少し使わしてくれと言って二回ばかり頑張ったんですけれども、その次は、いやもう先生が頑張るんでしたら局長室に一緒に行きましょうと言って、じゃもう結構ですからやめさせますということでやめたんです。
 それは厚生省の言うことの方が正しかったとは思いますけれども、どうしても厚生省の委員というのは厚生省寄りになることが一つ。それから、学者として見ると厚生省の委員というのは物すごく格が高いんです。ですから、厚生省の委員になることをすごく名誉と思っておりますし、ちょっと何かして首になることをすごく恐れているのであります。ですから、どうしても自分の本当の気持ちだけで、自分の判断だけで言うというのが、果たして全部がそうかと思うと私はちょっと怪しいんじゃないかと思います。
 ちょっとそれてしまいますけれども、私が申し上げたいことは、いろいろ諮問するときに、もちろん内部で研究班をおつくりになってやるのもいいんですけれども、それと同時に、外部の権威あってきちっとしているものといったら私はやっぱり学会だと思いますので、学会にぜひ相談もしていただきたいと思います。
 私は、例えばエイズのときに、加熱製剤を早くやった方がいい、あるいはやめた方がいい、それを学会に諮問すれば、恐らく血液学会と血栓止血学会だと思いますけれども、たしか片一方は安部さんが理事長だったかもしれませんけれども、そういう学会に諮問すれば恐らく違う結果が出ていたんじゃないかと思います。ひとつ厚生省の中でいろいろこれからも、もちろん委員会をつくったり検討会をつくってやられるのは当たり前のことでございますけれども、それと同時にぜひ学会も活用していただきたい。
 それから、先ほど大臣からお話がありましたように、これからはなるたけ厚生省の仕事も地方に出せるものは出す、民間に出すものは出す。こういう研究レベルで民間といったらやはり学会だと思いますので、厚生省で何でも決めないで、学会で決められそうなところはひとつ学会で決めて、もちろん最終的には厚生省が決めなくちゃいけないところもございますけれども、そういうふうに活用していただくと、とんでもないことが起こらなくて済むようになるんじゃないかというふうに思います。
 それでは次は、治験のことに入らしていただきます。
 宮崎先生からも最初製薬会社の悪口が随分出ましたけれども、私も本質的には同じでありまして、製薬会社の方といろいろ会うと、こんな能力の人ばかりでやっていて、しかもずるずるやっていて、それでこの会社が黒字ということはとても考えられない会社がたくさんあるのでございます。製薬会社じゃなければもうとうにつぶれているか、吸収合併、統廃合しなくちゃうまくいかないものがありますので、そういうところは厳しくやっていかなくちゃいけないんですけれども、もう一方では、先ほど申しましたように、日本はライフサイエンスでまだまだレベルが低い。やっぱり製薬会社はその重要な担い手でありますので、きちっとやっている会社を今余りたたいちゃうと、ただですら今研究費にこれだけしか出せないとかいろいろなことを言っておりますので、それもまたぐあいが悪いんですけれども。
 いずれにしましても、おかしな薬が余り出ないために治験が進まないというのは、これは一つは結構なことだと思いますけれども、今、日本で行われております治験のうち、やっぱり少なくともある程度は早く世に出た方がいい薬があるわけでございますから、治験が全部ストップしている今のような状態は早急に是正しなくてはいけないわけであります。
 治験を新GCPという法律に沿ってどういうふうにやればうまくいくかと申しますと、四つあるんですけれども、まず二つ取り上げますと、一つはその治験をするためのハードの面、つまり最初お金とか経費、それから要求が来るとちゃんと受けとめて患者とも連絡をとって全部いろいろ処理する治験管理室と、もう一つは治験外来と申しますか、治験がちゃんとできるような設備、その二つがなくてはいけないのがハードの面。ソフトの面は何かと申しますと、こういう治験のことをよく知っていらっしゃるリサーチナースを中心とするCRC、クリニカルリサーチコーディネーターと言っておりますけれども、それがきちっと備わっていれば治験はうまくいくわけでございます。
 ところが、今治験をやっているうちのかなりの部分が大学病院でございますので、今度は文部省の方の管轄ということで文部省にお伺いしたいんですけれども、今こういう治験室、治験外来あるいは治験協力者というのがちゃんと整備されていない大学病院、大病院がほとんどでございます。そうすると、今のままでは新GCPのもとでは治験が進まないわけでございますので、そういうものの設置あるいは整備それから確保ということについて文部省はどういうふうにお考えでございましょうか。
#78
○説明員(木谷雅人君) 先生御指摘いただきましたように、医薬品の治験につきましては、高度医療の開発の役割を担う大学病院の社会的使命の一つとしてその適正かつ円滑な実施を図っていくことが重要であるというふうに認識をいたしております。
 そこで、この治験の適正な実施に向けて、昨年の二月、私ども通知を出しまして、治験に関する経理上あるいは服務上の取り扱いの明確化、透明化を図りますとともに、新GCPに従いまして治験審査委員会の強化、インフォームド・コンセントの徹底、さらには薬剤部による一元管理などを図るように指導をしてきたところでございます。
 また、先生御指摘ございました円滑な実施のための体制の整備ということにつきましては、薬剤部を中心といたします関係部門の協力による治験事務局の設置、また治験管理のための薬剤師、看護婦等の体制につきまして、受託研究費による非常勤職員の雇用も含めた体制の充実を図ること、さらには治験事務局設置とか、あるいは治験薬の一元管理に伴いまして必要な施設設備の整備などにつきまして、各大学の状況に応じて推進するように指導しているところでございます。具体的な例を国立大学にとって申し上げますと、四十二の附属病院中、現在三十三の病院で組織としての治験事務局が設置をされております。平成十年度中にはすべての病院に設置される予定というふうになっております。
 また、そのハード面の部屋でございますけれども、この治験事務局が専用で使用する部屋については、現在のところ七大学で整備をされているというふうなことでございますけれども、今後とも十分に整備されるように努めてまいりたいというふうに思っております。
 また、文部省として、国立病院における定員の問題でございますけれども、平成十年度予算案におきましては、この治験関連業務の増加も考慮いたしまして、国立大学附属病院の薬剤師定員を三十四名増員するというふうなことで、厳しい情勢下でございますが、このようなことをやっておるということでございます。
 今後とも御指摘の点も含めまして、また現在御承知のように厚生省におきまして治験を円滑に推進するための検討会で検討も行われております。そうした検討状況も踏まえながら、治験の適正かつ円滑な実施のための体制整備につきまして、一層努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#79
○水島裕君 少しずつでもいろいろやっていらっしゃってよろしいんじゃないかと思います。
 一つ、今最後に三十四名薬剤師をふやす、これもただふやしておくとそこで単に使われる、病院が得したというのでは困るわけでございますので、必ずそれがこの治験業務に携わっているかどうか、携わるということを条件にしていただきたいと思います。
 いずれにしましても、今一つの銀行に出そうなんて言っている一千億とかなんとか、一カ所でもこれを全部病院につき込めば完全にもう日本ではきちっとした治験ができるようになるわけでございますので、何か日本政府はやはりお金の使い方が全然なってはいないような気がいたします。
 それからさっき、四つのうち二つと申し上げましたけれども、残り二つは、結局いいことでありますけれども、全部ガラス張りに治験がなってしまったので、言葉が悪いですけれども、患者さんも今までは言われるままにとか、だまされてということもないかもしれませんけれども、治験をやっていました。しかし、これからは全部わかってしまうので、とても今までどおりは治験に参加できないというふうになってきてしまっております。
 ですから、私どもの大学でも旅費とか来たときの食事代とかそういうものを出していますと、随分それでもう違うわけでございますね。ですから、そういう費用とか、それからドクターも結構実力のある人がちゃんとした時間を使わないとだめなわけでございますから、少なくともそういう研究を支援できるというようなことも必要だと思います。
 そういうふうにしていきますと、従来からの治験の費用よりかはかなり高くなってきてしまう。私はやはりきちっとしたものをやるのには費用は多少かかってもこれはしようがないわけでございますので、それはそれでよろしいんじゃないかと思います。文部省で言われております積算の中にそういうものを含めてきちっとした契約でやる、例えばお金が個人に行かないようにとかそういうところだけは厳重に守る、そういう方向でやっていけば文部省としてもよろしいわけでございますか。そうすると、残りの二つも解決するということになりますけれども。
#80
○説明員(木谷雅人君) 議員御指摘のように、治験を円滑に進める方策といたしまして患者へのメリットの付与、例えば謝金とか交通費を支給するというふうなことが必要であるという御意見があることは承知をいたしております。
 ただ一方で、これについては社会的、倫理的な問題も考慮した慎重な検討が必要であるという意見もあることから、平成八年十一月に厚生省の医薬品安全性確保対策検討会の出されました最終報告書におきましては、今後、その妥当性、実際的手段なども含めて幅広く関係各方面の意見を聞きながら、さらに議論を重ねる必要があろうというふうにされているものと承知をいたしております。
 そして、この点については、現在さらに、先ほども申し上げました厚生省の治験を円滑に進めるための検討会で検討がなされているということでございまして、私ども文部省もオブザーバーとして参加をさせていただいているところでございますので、この検討会での審議の状況も参考にさせていただきながら、どのような形で行うことが適切かということを十分に検討してまいりたいというふうに考えております。
 次に、治験に関連して必要となります担当医師による研究費、類似医薬品の研究でございますとか対象疾病の研究あるいは補充的な非臨床的な研究、こうした経費につきましては現在の治験にかかる経費の積算基準にも盛り込んでおるところでございます。したがいまして、各大学において当該医師にその研究費が配分されるというふうになっているということでございます。
 なお、ただそれが十分かどうかという点につきましてはいろいろと御議論もあろうかというふうに存じますけれども、今後新制度下での治験の実施状況などを十分に調査をし、必要に応じて改善を検討していきたいというふうに考えております。
#81
○水島裕君 私も自民党に倣って九分ぐらい早くやめるようにしたいと思いますので、二時までには終わるつもりでございますが、それでも最後まだ十分ぐらいございますので、中西医薬安全局長に審査センターのことについてお伺いしたいと思います。
 こちらから行っている質問はきっと審査センターの機能を高めるためにどうしたらいいかということでございますけれども、その前にこちらの意見を申し上げますと、先ほどから話がありますように、つまらない薬、ただお金もうけするような薬は、これは幾ら審査がゆっくりになってもいいんですけれども、やはりきちっと早くするというのが建前であって、今のように何となく悪いのは、本当かどうかちょっと、違うところがありましたらあれですけれども、机の上に置いておいてほったらかしにしておいて意地悪して何となく審査が忙しい忙しいとかということで延びているというのは、やはりこれはいい形ではないわけでございます。審査を早めるから悪い薬が出てくるというんじゃ困るわけでございますけれども、それはそれなりにきちっと注文を出したり、これはこういうものだから許可はできないというふうに言えばいいのでありまして、やはり審査はきちっきちっと早くやるというのが本筋じゃないかと思います。
 それで、何がネックになっているかと申しますと、いろんなことがありますけれども、私はマンパワーが一番じゃないかと思います、それも質のいいマンパワーが。これはかなり問題じゃないかと思います。
 それで、外国の例を申し上げますと、これもたびたび話に出ていることだと思いますけれども、FDA、アメリカの厚生省は審査部門だけで千四百人。それからイギリスのMCA、これが二百四十人。日本は本当の審査部門だけですと四十五名、周りのサポートするような人を幾ら入れても百六十四名ということでございますので、もし違っていたら後で御訂正いただきたいと思いますけれども、十倍、三十倍ぐらいも違っているわけでございます。
 それで、その理由は何かと申しますと人件費が出ないというのが一番だと思います。例えばイギリスのMCAの人で私もよく知っている人がいるので話をしましたら、MCAの事業自体はもちろん国が認可している、だけれどもそこのマンパワーは民間から集めたお金をプールして、もちろん公平にきちっと審査しているわけですけれども、それでやっている、いわば独立採算的なものでございます。
 日本も、今のところは国の認可にかかわる業務は国でやるということに決めていらっしゃるけれども、今後も検討を要すというふうになっているそうでございますので、ぜひそういうことも一度検討していただきたいんですが、認可は国でするけれども、スタッフの賃金、スタッフの費用は何か別のところから出せないか、独立採算制みたいにできないか。エージェンシーは言葉は悪いですけれども、そういうのもどうかとか。あるいは、今度、文部省も進んでいるところはとても進んでいまして、大学の研究がきちっと企業に行くようにということで、あれはTLOというやつですね、あれはつくりましたから。それから労働省も、派遣がもうかなり大幅にできるようになって研究者が大学に来てもいいということになっておりますから、こういうのだって、どこかから派遣ということだって可能なわけでございます。
 お金がないから審査のスピードがアップできないというのはおかしいという理論をもう一つ申し上げますと、一つの薬をつくるのに、これはすぐれた薬ということに一応しましても、百億円かかるわけですね。百億円かかって薬をつくるというのは、製薬会社がその後数年、十年ぐらいでそのぐらいは収入が上がると思ってつくるわけですから、例えば十年としたって一年に十億は収入が上がるわけであります。ですから、仮にきちっとした薬の審査を半年早くやってくだされば、今は一年も二年も余計にかかっているものもあるわけですけれども、そうしてくだされば五千万とか一億円ぐらいのお金は審査に出したって当然ペイするわけでございます。
 私の言いたいのは、そういうペイする、ペイしないというよりか、本当にいい薬だったらやはり一年でも早く患者さんのもとに届けてあげなければいけないわけでありまして、私ども、あるいは知っている者も、今難病の治療薬なども結構日本でやっていますけれども、それでもやはりどうしてものろくなってしまうわけですね。
 ですから、お金は出せる、十分ある、だけれどもお金がないので人が雇えないというのはどうもおかしなわけでございまして、きょうお答えいただくのはなかなか無理かとも思いますけれども、今後いろいろ検討していただきたいと思いますので、御意見をお願いいたします。
#82
○政府委員(中西明典君) 私どもも水島先生の御意見と基本的には同じラインに沿って審査センターの審査機能というものを強化していきたいということで取り組んでおるところでございます。
 昨年七月に審査センター、独立したボディーとしてつくられまして、昨年度、審査センターのみで勘定すれば四十五人のスタッフで発足いたしました。厚生本省並びに医薬品機構合わせて現在百六十四人のスタッフで仕事をやっておるところでございますが、十年度につきましては、これを全体で二百三人、非常に厳しい定員事情の中でございますが、相当の増員計画を盛り込んでいるところでございます。さらに、十一年度においても増員を図ることによって二百五十名近くのところまで私どもとしては持っていきたいと考えております。
 それからまた、内部審査といいますか、中央薬事審議会に、悪い言葉で言えばすべて丸投げするというような形じゃなくて、きちっと内部でチーム審査をやっていくという角度から、先ほど審査の質というお話がございましたが、医学、薬学、それから獣医学、統計学でかなり私どもとしては博士号を取っておられる優秀な審査官というのが確保できてきているというふうに認識しております。それから、審査体制そのものも部を新たに増設することも来年度予算案の中で盛り込んでおりまして、そうすることによってできるだけ早く、今標準事務処理期間が一年半ということでございますが、アメリカ並みに一年の標準事務処理期間に持っていくということで取り組んでいきたいというふうに考えております。
#83
○水島裕君 今のお話で外部の資金を何とか使うということが出ませんでしたけれども、それはまたそれで御検討いただければ結構でございますが、何かございますか。
#84
○政府委員(中西明典君) ちょっと漏らしましたが、医薬品機構で例えば治験相談でありますとかそれから信頼性調査でありますとか、そういった分野で手数料見合いという格好で仕事をさせていただいております。将来、独立採算でというお考えも一つの問題提起であろうかと思いますが、先生先ほどおっしゃいましたようにGCP、これは治験を円滑化するために我々も努力していかなければならないわけでありますが、GCP基準というのは非常に厳しくなってきまして、そういった意味では相当えりすぐられた薬でないと承認審査の過程にまで登場してこないということになろうかと思います。そうしますと、手数料収入で逆に果たしてそれ相当の審査スタッフなりなんなりを維持していくことができるのかどうかというような問題もございますので、一つの検討課題として私どもも研究させていただきたいと考えております。
#85
○水島裕君 先ほど申し上げたのと私は決して矛盾していないんですけれども、多少逆に聞こえるようなことを一つ申し上げますと、人をふやしていただくというのは非常に結構なんですけれども、あくまでも質のいい人をふやしていただきたいんですね。と申しますのは、これはもちろん厚生省の方がよく御存じだと思いますけれども、実は昭和四十二年から中央薬事審議会をすごく科学的にするようにしまして、私も五十年から多分五十八年まで務めさせていただいたと思うんですけれども、それ以後は、厚生省の人が少しいろいろな口を出すように、その間はほとんど厚生省の人は口を出さなかったんですね、その四十二年から五十八年ぐらいまでの間は。書類が出てくるとそれを中央薬事審議会で審議して、その前もほとんど厚生省の方もそれほどヒアリングで厳しくやりませんでしたし、その四十二年から五十八年は、後で調べていただくと多分おわかりになると思いますけれども、その間の薬で薬害を起こしたものもなければ、いい薬もかなり短期間で認可されていると思うのです。十分調べたわけじゃないので、もし間違っていたらあれですけれども。
 ですから、今から考えてみますと、まあ私はよくない審査員だったかもしれませんけれども、四十二年から五十八年まであたりの審査、つまり本当のエキスパートでやっていて余り厚生省の中で知らない方がいろんなことをごちゃごちゃ言わなかったときの方がうまくいっているという感じもないわけではない。最近は非常にいい方を入れていただいてうまくやっているんだと思いますけれども、ひとつスタッフを広げるときにはきちっと臨床のこともわかっていらっしゃる人を選んで、ぜひスピーディーに、しかも正しい審査をやっていただくようにお願いいたします。もし反論がございましたら。
#86
○政府委員(中西明典君) 反論というわけではございませんが、先ほど申し上げましたように、医学、薬学その他の分野から成るチームをつくりまして、きちっと事務局として審査レポートを取りまとめると。それを審議会に提出して、審議会の委員の先生方、本当に重要なポイントに力を入れて、有効性、安全性について御審査いただけるような体制に持っていきたい、こういう趣旨でございます。
#87
○水島裕君 終わります。
#88
○渡辺孝男君 公明の渡辺孝男でございます。厚生大臣の所信表明あるいは厚生行政への基本的施策に関連しまして質問をさせていただきます。
 最初に、厚生大臣の所信表明では、国民の健康や安全を守ることは厚生行政の原点と述べ、保健医療対策の充実をうたっております。そこで、まず医療の充実に関連しまして質問させていただきます。
 平成十年度の診療報酬改定によりまして、白血病や再生不良性貧血などに有効であります臍帯血移植に対しまして、初めて二万一千点の診療報酬が算定されました。推進に当たられました患者家族の方々、ボランティアの方々、また医療関係者、厚生省の努力などに対しまして高く評価しているわけであります。しかし、この診療報酬には臍帯血採血あるいは臍帯血保存の診療報酬は含まれておりません。臍帯血移植治療を推進するためには、これらの診療報酬の設定が必要と考えられます。
 厚生大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#89
○国務大臣(小泉純一郎君) 臍帯血の移植に関しましては、平成九年十二月二十四日、医師や臍帯血バンクを支援するボランティア団体の代表者などの関係者から成る臍帯血移植検討会を厚生省に設置しまして、臍帯血移植の医学的評価、技術上の課題、移植体制の運営上の課題等について現在幅広い検討を行っているところであります。議員の方々からも熱心にお話を伺い、陳情も私自身受けました。
 厚生省としては、本検討会における議論も踏まえまして、全国的な臍帯血移植の展開を図るための方策について今後も検討を進めていきたいと思っております。
#90
○渡辺孝男君 今後取り組むべき課題としましては、先ほど厚生大臣もおっしゃいましたけれども、公的臍帯血バンクの早期設立、あるいは統一的ガイドラインの整備、そして、臍帯血を血液事業法との関係でどのように位置づけるか、そういった問題があると思います。これらに対しまして、厚生省の今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
#91
○政府委員(小林秀資君) 今、大臣がお答え申し上げましたように、臍帯血の移植検討会というのを関係学者が集まってやっておりまして、その先生方には学問的にもいろんな意見を言われる方が入っていらっしゃいますし、先ほど申しましたようにボランティアの関係者の方も入っていらっしゃる。そこできちっと詰めをしましょうということであります。
 まず最初の課題は、一番最初にやるべきことは、臍帯血というのは本当に医療上有効なのかというところの詰めから入ったわけでありまして、そこが有効であるということは全員一致であったわけであります。ただ、問題はまだたくさん残っておりまして、例えば臍帯血の採血を胎盤からするときどういうふうにしてとるのかとか、その後の保存をどうするのかというような問題、現在の段階でまだ学者さん方の意見が固まっているわけではありません。そういうことで今、大臣がそういうところ全体が固まらないと実は点数化というのはまだ無理なんですと。
 ただ、現実は、今臍帯血バンクというのが各大学ベース等に、ところどころ全国にありまして、そこで実際とられたものが、その臍帯血をとって貯蔵してあるものがありまして、それが実は診療報酬の点数が使えないと医療行為そのものが、それに使った医療行為そのものが保険点数にならないんじゃ、そうすると根っこから全部これはいわゆる自費医療になってしまうということで、今回保険局の方では、それはとてもあれだから何とか臍帯血があるものを使っておやりになられる場合には保険で見られるように、少しお助けになればいいと言って保険局の方の審議会でそういう動きをいただいて点数化になったわけであります。その後は我々の方の今検討会でやっているところで、私と業務局長と両方一緒に並んで座ってずっと会議を聞かさせていただいて、会議もみんな公開でやっていまして、皆さん方、記者さん方もたくさん聞いていらっしゃる、その中でみんなで議論をしていきましょうと、その詰めが終わったところで次の施策ということを考えておるところでございます。
#92
○渡辺孝男君 大事な治療法でありますので、十分推進をよろしくお願いしたいと思います。
 次の質問に入らせていただきます。
 厚生大臣の所信表明の中では、子育てしやすい環境の整備や児童の健全育成をうたっております。これに関連しまして質問させていただきます。
 今まで元気であった赤ちゃんが眠っている間に突然死亡してしまう乳幼児突然死症候群は、欧米の諸国では乳幼児の死亡の第一位の原因疾患となっております。そのため、一般の人々の関心も高く、本疾患で子供さんを失った家族に対する支援体制なども充実しており、また予防キャンペーンも大きな効果を上げている、そのように聞いております。
 日本でも本疾患により年間約六百名前後の乳幼児が突然死している。また、その突然死に遭った家族や母親の驚きあるいは悲しみの深さは大変でありますけれども、またそういう家族ばかりでなくて、この乳幼児突然死症候群にかかわりを持つ可能性がある保育所あるいは医療機関にとっても看過できない重要な疾患と考えられます。
 厚生省としましても、一九八一年から研究班が発足しておりまして、予防治療の研究がなされておりますが、まだ本疾患に対する予防の取り組みは欧米諸国と比較しますと不十分である、そのように考えております。
 本疾患で子を失った家族やその家族を支援するSIDSの会というボランティアのグループがありますけれども、そのような方あるいは担当医師などからは次のような要望が出されております。
 国民やあるいは保育所、保健所、病院などの関係職種の方々へ本疾患の情報提供を行ってほしい。それから、保健所などの行政機関への相談窓口を開いてほしい。それからまた、ビフレンダーやカウンセラーを擁する家族サポートシステムも拡充してほしい。そしてまた、今までやってこられておりますけれども、本疾患の原因究明、予防対策のなお一層の充実を図ってほしい。
 そのような要望がなされておりますけれども、これらに対しましての厚生省の取り組みに関してお聞きしたいと思います。
#93
○政府委員(横田吉男君) 原因が不明で乳児が突然に死亡するという乳幼児突然死症候群につきましては、我が国では平成八年、全乳幼児死亡数が四千五百人ほどございますが、そのうちの第三位を占めておりまして、四百七十七人の方がこれで亡くなっているというふうにされております。
 この問題につきましては、今御指摘いただきましたように、私どもの心身障害研究におきまして原因究明等に取り組んできているところでございまして、その都度、その成果については関係行政機関あるいは医療機関等にも情報を提供するなど行ってきているところでございます。
 しかし、この症候群につきましては、現時点ではまだ予防方法を含めまして不明の点が非常に多いということで、私どもといたしましても、平成九年度、改めてこの心身障害研究におきまして、全国規模の調査を実施し、現在、集計、解析を行っているところでございます。
 欧米等におきましては、家族の会がパンフレット等をつくりまして、そういったキャンペーン等を行っているのは私ども承知いたしているところでございます。例えば、あおむけ、うつ伏せで寝かせるのがいいとか悪いとかいろいろな議論があるわけでありますけれども、今までの研究の中におきまして、これを疫学的にまだ確立するに至っていないということもございまして、行政といたしましてはそこまで踏み込んだキャンペーン等はまだ行っていないわけでありますが、先ほど申し上げましたような全国的な調査も行っているところでございますので、そういった結果を踏まえまして、予防法を含め国民、医療機関等に対するPRあるいは相談体制、家族の会との連携等につきまして、どうしたらよいのか検討してまいりたいというふうに考えております。
#94
○渡辺孝男君 外国の例では、うつ伏せ寝あるいは母乳保育、それから母親のたばこの問題、そういうのが関連因子、危険因子といいますか、母乳の方は、母乳で保育すればよろしいと、赤ちゃんに対して注意を向けるというようなことでよろしい、あるいはうつ伏せ寝の方も悪い、たばこに関しては、やはりこれは吸わない方がいいということでありますけれども、そういう因子が出てきておりますので、そういうことが本当に関係するのかどうかきちんと調査して、関係する機関に情報公開してほしいと、そのように思っております。よろしくお願いいたします。
 続きまして、次の質問に入らせていただきます。
 厚生大臣の前回の所信表明では、子育てしやすい環境の整備をうたっております。しかし、厚生省は平成十年度予算におきまして、年収の低い母子家庭の命綱とも言えます児童扶養手当の所得制限を引き下げる、そういう案を出しております。これは厚生大臣の所信表明と少し矛盾するのではないかというふうに私は考えるわけでありますけれども、平成九年度の消費税アップやそれから特別減税の打ち切り、医療費の自己負担の増加などで、国民、特に低所得層の家計への負担は非常に重くなっておりまして、このような状況の中で児童扶養手当の所得制限を引き下げるということは非常に問題ではないか、そのように考えております。
 この児童扶養手当の所得制限の引き下げは撤回すべきではないかというふうに私は考えますけれども、厚生大臣のこの点に関する御見解をお伺いしたいと思います。
#95
○国務大臣(小泉純一郎君) 今まで児童扶養手当制度についていろいろ問題点が言われておりましたけれども、この制度が創設された当時は受給者の四割にとどまっていた離婚世帯が、近年は離婚の増加に伴いまして九割を占めるに至っております。そして、給付費総額も三千億円を超えるようになった。いろいろな制度をすべて見直すという中において、この児童扶養手当制度について二つの問題点が主に指摘されておりました。
 一つは、離婚した母子家庭のうち、別れた夫から養育費を受け取っている者の割合は一五%程度にすぎない、国が一律に離婚手当を支給しているようなものではないかといった批判があった。二つ目に、同じような収入の児童養育世帯であっても児童扶養手当を受けられない世帯が母子家庭以外に二百万世帯近く存在している、不公平ではないかとの問題点が指摘されておりました。
 こういう点を考えまして、非常に厳しい財政状況のもとでありますが、必要度の高い世帯へ給付を重点化する観点から、受給者の約九割を占める年収約三百万円未満の母子家庭に対する給付は従来どおりとしたい、しかし年収三百万円以上の母子家庭について、同じような収入の一般児童養育世帯との均衡も勘案して所得制限を実施したということでありますので、御理解をいただきたいと思います。
#96
○渡辺孝男君 理解をいただきたいということでありますが、今政府あるいは与党の中からも、平成十年度予算に対しまして補正予算を組むようなお話も先ほど質問の中にありましたけれども、そういう補正予算を組むようなお話も出ている状況でありますので、こういう手当に関しましてはやはり削減を撤回すべきではないかなというふうに私自身考えますので、なお今後とも検討いただきたい、そのように考えております。
 次の質問に入らせていただきます。
 同じように、厚生省の平成十年度の予算案では、これまで二十五年間続いておりました特定疾患治療研究事業による医療費公費負担制度を見直し、患者に一部負担を導入する方針を打ち出しました。これも大臣が所信表明でうたっておりました保健医療対策の充実というようなことと矛盾するのではないか、そのように私は考えます。
 厚生大臣のこの点に関する御見解をお伺いしたいと思います。
   〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕
#97
○国務大臣(小泉純一郎君) あらゆる制度を見直していくということなんであって、現状維持だと、全部見直しちゃいかぬとなると、もうとても三千億円増にはおさまらないんですね。現状維持、何にもしないで八千億円増する。三千億円増にしなさいという、五千億を切り込む中で厳しい予算編成をしたんです。今の状況を聞きますと、全部現状維持にしろ、しろといいますと、とてもこの予算編成はできなくなります。
 そういう中で、どういう切り込みが必要かという中で、一切の聖域なくあらゆる制度を見直していこう、このままほっておくとどんどん補正予算だけが突出して伸びてしまうということから、いろいろ厳しい事情はありますけれども、聖域なく見直そうという中で、今回の特定疾患治療対策事業におきましても、できるだけ効率化を図っていこう、負担できる方には負担していただこうという形で見直したわけであります。
 この制度が発足して二十五年間、医学や医療の進歩も踏まえまして、著しい支障が日常生活において患者さんにはあるわけですが、特に重症患者に重点を置いて重点化していこうではないかという中で、一定の重症患者以外の一般の患者の方々には自己負担をお願いすることにしたわけでありまして、重症者対策に対しましては強化策を講じたところでありますので、ほかの予算が切り込まれる中で、難病患者対策の全体では前年度から二〇%ふやしております。
 こういう改革を進めていくうちに、負担していただける方にはできるだけ負担していただきまして、その負担の無理な対策にはその分を手厚く計上しようじゃないかということでやったわけでありますので、御理解をいただければと思います。
#98
○渡辺孝男君 先ほどのお話では、小泉厚生大臣は財政構造改革法の精神にのっとってやるというお話でありましたので、私の考えでは、現在平成十年度の補正予算十兆円とか何兆円という話が出ておりますので、こういう福祉、医療の予算は少なくとも削減しないでやってほしいなと、そういうふうに小泉厚生大臣には望みたい、期待しておりますので、今後とも頑張っていただきたいなと、そのように思います。
 では次の質問になりますけれども、同じように小児の慢性特定疾患の治療研究事業の対象でありますそういう疾患に対しても、国の補助の削減と考えられるような施策がなされるようになってきております。
 例を挙げれば、成長ホルモン分泌不全性低身長症に対しまして、成長ホルモン製剤の適用基準の改正が本年の二月からなされたということであります。すなわち、成長ホルモンの投与を公費で受けられる方というのは、治療開始あるいは終了の目安が原則として同性同年代の標準身長のマイナス二・五SD以下の低身長の方というふうに制限が課せられたわけであります。これによりまして、男子でありますと身長が百五十六・四センチ、女子では百四十五・四センチまで身長が達した場合には公費負担は打ち切られるというようなことになりました。
 現在の高校生の平均身長が男子百七十センチ、女子が百五十八センチにも達する時代であります。担当の医師の間からもせめて男子は百六十センチ、女子は百五十センチぐらいまでは今までどおり公費負担でいいのではないか、そのような声も上がっております。私もこのマイナス二・五SDの設定基準というものはもう少し緩和すべきではないかというふうに考えるわけであります。厚生省としましての見解をお伺いしたいと思います。
#99
○政府委員(横田吉男君) この小児慢性特定疾患のうちの成長ホルモン分泌不全性による低身長症につきましては、従来治療の終了基準というものが明確でなかったこともございまして、実態調査におきまして、十五歳以上二千五百人の児童について調べたケースがあるわけでありますけれども、男子百六十センチ、女子百五十センチ以上の者が四〇・二%を占めている状況にございました。また、平均身長でございます百七十センチ、百五十八センチ以上の者が一・八%を占めているというような状況がございました。また、各都道府県の審査体制が必ずしも十分でないというようなこともありまして、その適正化がかねてより指摘されていたわけであります。
 こうした状況の中で、私ども昨年この問題に関する専門家から成る検討会を設置いたしまして御検討をお願いし、その結果に基づきまして、このたび、今御指摘がございましたように平均身長からしますとマイナス二・五SDに相当いたします男子百五十六・四センチ、女子百四十五・四センチを治療の終了基準、開始基準とさせていただいたところであります。
 身長につきましては非常に個人によってばらつきがございまして、大体同年齢百二十万人が現在生まれておりますけれども、マイナス二・五SDに相当する人は約七千人ぐらいいると見込まれます。このうちの二割の方が成長ホルモン分泌不全による低身長症ということで、保険適用及びこの小児慢性特定疾患治療事業の対象になるということでございます。
   〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕
 身長は高ければ高いほどいいと私も思いますけれども、いろいろなこういった方もたくさんおられるということとの関連、あるいは他の特定疾患、対象としております十疾患がございますが、それとのバランス等からかんがみまして、専門家の御意見、それからそういうバランスを考えますと、今回の見直し、何とか御理解を賜りたいというふうに考えているところでございます。
#100
○渡辺孝男君 自然といいますか、家族性あるいは病気でなくて身長が低い高いというのは、これは仕方がないのかなというふうに思いますけれども、はっきりした疾患があって、成長ホルモンの分泌が少なくて、そういう疾患で低い方に対してはやはりそれは治療ということになると思います。このマイナス二・五SDというのはやはりちょっと厳し過ぎる基準ではないかなというふうに私自身も考えますので、なおその点は、疾患で小さいんだと、そして身長が伸びないんだと、自然になったわけではないわけで、疾患は治療すればそれなりの身長に伸びるということでありますので、その点もう一度再考していただければなというふうに希望をお伝えしまして、次の質問に入らせていただきます。
 また、これも小児慢性特定疾患関係の質問になりますけれども、この対象疾患にはぜんそくの患者さんも含まれておりまして、ぜんそくの中の重症症例が適用になっております。
 その基準というのは、連続一カ月以上の入院が見込まれるような重症なぜんそくの患者さんには小児慢性特定疾患治療研究事業として公費負担の制度があるということであります。しかし、この連続一カ月入院に達しない患者さんでも、やはり一年間を通しますと合計三十日以上入院される、そのような重症のぜんそくの子供さんを持っている家庭というのは結構多いわけであります。このような通年三十日を超えるようなぜんそくの患者さんにもこの特定疾患治療研究事業の対象にできないものかと、そのような要望を受けるわけでありますけれども、この点に関しましての大臣の御所見をお伺いしたい、そのように思います。
#101
○政府委員(横田吉男君) 小児慢性特定疾患治療事業は十の疾患群、大体五百ぐらいの疾病を対象としておりますが、これに該当する疾病をすべて対象とするという考え方でなくて、疾病のうちでさらに重篤な者というのを対象にいたしておりまして、先生今御指摘のございましたように、慢性腎疾患でございますとか、ぜんそくあるいは慢性心疾患、神経・筋疾患等につきましては一カ月以上の入院をされた方を対象にするというふうにいたしているところでございます。
 ぜんそくの患者につきまして、なかなか大変な病気だと承知いたしておりますけれども、年間を通じて同じ三十日ならばよろしいではないかということでございますが、他のこういった入院についての一定の期間を要件としている疾病との横並び、均衡等も考えますと、ぜんそくについてこれを年間に引き直すというのはなかなか困難ではないかというふうに考えております。
#102
○渡辺孝男君 そういうぜんそくの子供さんを持たれている家庭でも、やはり母親も仕事をされているというような家庭もありまして、実際上一カ月以上母親が休んだり、お父さんが休んで付き添う、子供さんですから付き添う場合もあるわけでありますけれども、というのは実際問題がなり大変でありまして、やはりそんなに長く入院できないというのが現状ではないか。しかし、重症でありますと再入院を何回かしなければならないということでありまして、連続一カ月の入院の苦労と、それから何回も繰り返して合計三十日以上の入院の苦労というのはそれほど差がないのではないかというように私自身も考えておりますので、できましたら今後ともその辺のきちんとした調査をしていただいて、本当に通年三十日以上入院されている人の状況と、連続一カ月以上入院されているそういう患者さんの状況を比較検討していただきまして、やはり通年の方にも適用すべきであるというような結果が得られましたら再度御検討をいただきたいなというふうに考えるわけであります。その点要望させていただきまして、次の質問に入らせていただきます。
 今回の平成十年度の厚生省予算におきましては、がん検診が一般財源化の方向になりました。その影響のためかわかりませんが、地方自治体の中ではがん検診の打ち切りを表明された、そういう自治体もあるというふうに聞いております。
 そこで、厚生省の方にお伺いしたいんですけれども、厚生省としましてこのがん検診事業そのものの有効性が認められなくなったのかどうか、従来どおりその有効性を認めていての措置なのかどうか、その点に関しまして御見解をお聞きしたいと、そのように思います。
#103
○政府委員(羽毛田信吾君) 今回、高齢者のがん検診につきまして一般財源化を行ったわけでありますけれども、これは、がん検診事業が市町村の事業としまして実施率がもう既に大変高うなっておりまして、同化定着をしているということで、こういった事業の助成を促進するための助成事業というものの同化定着ということに伴いまして、これを見直しまして一般財源化を図ったものでございます。それは先生今御指摘にございましたようながん検診が有効でないからということではございませんで、私どもとしてはがん検診は引き続きやはり老後におきます健康の保持にとって重要であるという認識に立っております。
 今回の一般財源化によりまして、今後はむしろ各市町村が地域の実情に合わせまして事業を推進していただくということで、そのためにまた一般財源化を図るという形での交付税での裏打ちをさせていただいているわけであります。そういったことを通じまして市町村が事業展開をしていただくことを期待しておるわけであります。
 国といたしましても、今後やはりがん検診の情報提供といったような側面からこの事業の促進に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#104
○渡辺孝男君 このがん検診の一般財源化につきまして、いろんなところ、市長さんとかお話を聞くわけでありますけれども、地方交付税交付金とかそういう一般財源化されますと、やはり特定の目的の使用のための財源というものでないものですから、各地方によっていろいろまたやりたい事業というのはたくさんあると、そういうのを取捨選択しながらいくと、今までやってきたがん検診事業というものの予算的なものを縮小せざるを得ないというような自治体も実際上出てくるのではないか、そのように思います。そうしますと、やはり初期に見つかれば医療費もそれほどかからないで済むものが、またさらに老人医療費が高騰してくる、結果的に見ればやはり医療費の増大につながってしまうのではないかと、そういうおそれも多分にあるわけであります。
 どうしてもこのがん検診事業というものはやはり引き続きしっかりやっていただきたいなと、そのように私自身は思っているわけであります。そのような地方自治体におきまして、従来のがん検診事業に支障を来さないようにするために、やはり厚生大臣としての強い決意、これからの対応につきまして御見解をお伺いできればと思います。
#105
○国務大臣(小泉純一郎君) 今回のがん検診についても有効であり、またその重要性は認識しているわけですので、地方自治体がこの問題に対して真剣に取り組むことができるような交付税の所要の措置は講じていきたいと考えております。
#106
○渡辺孝男君 以上で終わります。
#107
○清水澄子君 社会民主党の清水澄子でございます。
 厚生大臣は所信表明で、昨年十月の人口問題審議会の報告書に触れ、またその指摘を踏まえて、子育てしやすい環境の整備や児童の健やかな成長など総合的な少子化対策を推進すると述べておられます。
 人口問題審議会の報告書にもあるわけですけれども、夫婦が欲しいと思っている子供の数は二・六人となっております。若い人たちの自分が理想とする子供の数というのはいろんな統計でも大体こういう数字ですね、二・六から三人という。しかし、実際には一・四五とか一人しか産まない。あるいは非常に未婚率が上昇しているというのは、やはりそれは今日の女性の社会的な進出の実態に従来の政策の枠組みが、間尺が合わなくなっているのではないかと思います。
 経済企画庁が最近出しました国民生活白書を見ましても、この中に住友生命総合研究所が調査をしているデータがあるんですね。妻が理想の数だけ子供を持てない理由は、これはフルタイムで働いている女性も、それから家庭にいる妻、主婦もいずれもグラフが同じなんですが、非常に子育てのために費用がかかると。特に教育費の方は具体的な数字が出ているんですが、やはり保育を含めて費用が高い、それに住居が狭い、これが大体トップであります。働く女性のトップは、やっぱり仕事と育児の両立が困難であると。これは大体私たち女性ならば皆わかっていることですね、多分そうだろうと。それほどこの要因というのははっきり出ております。
 しかも、ちなみに労働省の調査によりますと、やはり経企庁が出した白書なんですけれども、短大卒相当の女性で出産、子育てなどによっても働くことを中断しないで定年まで働いた人は、その収入の総額は二億一千九百万円だそうです。そして、退職金を加えると二億三千六百万円になる。しかし、一人目の子供を産んだときに退職して、そして子育て後再就職をすると六千三百万円の損失になるそうなんですね。これが数字で出ているわけです。しかも、きちんとした定職がなくてパートにしかつけなかった人は、ずっと就労を続けた人に比べて一億八千五百万円の金銭的損失が出るという統計が出ているわけです。そして、その上に子供を育てるという条件が、費用が高いとかいろんな問題があるわけです。
 しかし、そういうふうにもう既になぜ子供の出生が低くなっているかという少子化の要因というのはどの資料にも大体問題は出されていると思います。特にこの人口審の報告書におきますと、もうその要因ははっきりしているから、どう政策的な対応をすべきかという点におきましても、やはり育児と仕事の両立等に向けた子育て支援を基点とした労働条件、それから福祉、児童手当とか保育所とか、それこそ母子家庭の皆さんのこととか、それから保健、医療、社会保険、教育、住宅、税制、もうあらゆる生活に関連するすべての施策をもっと見直さなきゃいけない、そういうことが求められております。
 一方、社会保障制度審議会の小委員会の報告におきましても、この少子化社会における子育て支援の強化に今後重点を置いて取り組んでいくことが社会保障制度改革の第一であるということが指摘をされているわけです。こうなれば、これはもう実行するという段階だと思いますが、そういう意味で私は今、厚生大臣にお伺いをしたいわけです。
 子供を産みたい人が産みやすい環境で育てやすい条件というのをどのように整えていくのか。それはやはり政策的に今政府みずからがやっていかなきゃならないことではないかと思いますし、これはやはり厚生大臣が音頭をとらないとできないのだろうと思いますので、関連する労働省とか文部省とか建設省とか大蔵省とか、税制の問題もありますし、もっと予算もこういうところにこそ注がなければならないと思うんですけれども、そういう各省庁を加えた総合的な少子化対策を推進していくという、私はそういう体制をぜひ厚生大臣が積極的に中心になって進めていただきたいと思うわけですけれども、大臣いかがでしょうか、ぜひ御所見をお伺いしたいと思います。
#108
○国務大臣(小泉純一郎君) この少子問題については、今までの国会の議論を伺っていましても、厚生関係委員だけじゃないですね、ほかの委員会に所属する議員も非常に関心を持っている。政府も、厚生省だけでなく各省それぞれ協力してこの問題に取り組まなければいけないという雰囲気は既に私はできていると思います。
 昨年十月の人口問題審議会の報告においても、少子化への対応として、主にいえば二つ大事であると言っています。一つは、育児と仕事の両立支援とともに、固定的な男女の役割分業意識や雇用慣行など社会全体のあり方を問い直すことが必要だと。二つ目には、これには政府、地方自治体を初め、企業、地域社会、家族、個人それぞれの幅広い国民的な取り組みが必要であると。この二点を強調しています。
 私は、今、委員の御指摘と同じように、こういう二点の報告書を踏まえて政府全体がこの問題に取り組んでいく必要がある、わけても厚生省、厚生大臣が各省庁に積極的に働きかけていく必要があると思っております。
#109
○清水澄子君 期待しております。少子化対策担当大臣になってぜひ根本的な政策を進めていただきたいと思います。
 児童福祉法の改正のときに大臣は、親は子供をしばらくの間でもしっかりと抱き締めるということが非常に子育てに大事だとおっしゃいました。私もそれは物すごく賛成です。しかし、さらに私は、社会がしっかり子供を抱き締めていく、やっぱりそういう政策を本当に緊急に急いでいく必要があると思っておりますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 次の質問ですが、その中の当面の子育て支援策の重要な部分というのは、保育のサービスをどう充実していくかということがあるわけです。さきに挙げた人口問題審議会それから社会保障制度小委員会でも、やはり少子化への対応の最重点課題は育児と仕事の両立支援とありまして、そのためにも低年齢児保育、延長保育等の多様な保育サービスの展開が急務な課題だとなっております。
 そういう中で児童福祉法改正を通して、今回、保育料が少し上がりました。そういう中で、国が値上げしたのだということを理由にして次々に各自治体で今保育料の値上げが進んでおります。そしてまた、延長保育の予算もいろんな努力によって一定の額を確保したわけですけれども、現在、延長保育の補助要件を従来より何か厳しくしようとする、私はそういう考えが厚生省にあるんじゃないかと思うんです。開所時間を、ちょっとした時間を三十分削るとか、そうすると補助対象から外れていくとか、そういう問題をいろんな自治体でどういうふうに扱うのか非常に迷いがあるようですけれども、私はそういうみみっちいことをやらないでいただきたい。
 本当にまだまだ子育ての財政措置というのは少ないわけですし、それから保育政策はずっとおくれていたわけですから、今度こういう形で、ようやくエンゼルプランもさらに強化していくという姿勢を持って、ぜひ私はもっと大胆に保育の質と量を高めていくようなそういう予算の使い方にしていただきたいと思いますが、いかがですか。
#110
○政府委員(横田吉男君) 最近、特に共働き家庭の増加あるいは女性自身の就業構造が非常に多様化してきているということもありまして、保育ニーズというのも非常に多様なものになってきているというふうに考えております。私ども、昨年成立させていただきました児童福祉法の制度改正におきましても、こうした点を踏まえまして、できるだけ各利用者が利用しやすい保育所づくりということを主眼に、先生も大変な御尽力を賜りまして実現した、行ったということでございます。
 御指摘のございました延長保育につきましても、通例の保育時間は十一時間ということでございますけれども、開所時間につきましても今までは全国一律でございましたものを各保育所が自由に弾力化できるようにする。それを見て利用者の方でうまく自分の勤務帯に合う保育所を選んでいただければ正規の保育だけでも対応できる部分もふえてこようかと思いますし、そうした通常の保育で足りない部分につきましては、また各保育所が行います延長保育を利用していただく。
 延長保育の仕組みにつきましても、先生もよく御承知のとおり、従来は市町村事業ということで一々設置についても市町村の許可が必要でございますし、一人一人の入所についても一年の初めに許可が要るというような非常に煩わしさが指摘されていたわけでありますけれども、今回、私ども考えておりますのは、この実施自体を施設が自由にできるようにいたしまして、補助金につきましても各利用人数等に応じて出すということでありまして、なるべく自由にやっていただくというのが基本でございまして、規制を強化するというふうなことは全く考えていないところでございます。
 また、対象につきましても、従来は補助事業ということで六人以上実施しているものについて助成していたわけでありますけれども、五人以下のものにつきましても額は変わりますが出すというようなことで、今進めております緊急保育対策等五カ年事業、七千カ所を目的といたしておりますけれども、来年度は四千カ所から一挙に六千カ所まで持っていこうという計画で予算等を考えているところでございます。
 今後とも、できる限り多様な保育需要に対応できるような柔軟な保育システムづくりに努めてまいりたいと考えております。
#111
○清水澄子君 この問題で余り中身を議論する時間はないんですが、自由というのはとてもいいんですけれども、それは質を下げないでということがないと、単なる自由というのは質の問題が抜けることが多いわけです。特にこういう福祉関係、保育もそうですが、これはやはり一対一、人間が人間に対してのサービス、福祉サービスをやるわけですから、その点は本当に気をつけていただきたいと思います。
 そして、特に介護保険では、ようやく高齢者の介護というのが、その家の嫁とか家族だけの責任というのではなくて、やはり公的にまた社会的に介護を支援していくという考え方で、これは大きな私は一つの前進だと思っているわけです。私は、育児も社会全体で支援していくという、育児は母親とかそしてその家族にまだまだ負担があるわけですから、これを社会全体で支援する制度に変えていくということをやはり基本に置いて進めるべきだと思います。
 そういう意味で、このエンゼルプランという緊急保育対策五カ年計画はおおむね十年間という計画から出発していると思うわけですけれども、むしろこれからさらに拡大をしていかないと追いつかないと思うわけです。
 そういう意味で、老人保健福祉計画をずっと自治体に積み上げさせて、そしてそれに向けてきちんとした予算や政策が打ち出されているように、厚生省はこのエンゼルプランについても、各自治体がきちんとこのエンゼルプランを策定していくような指導というものをぜひ進めていただきたいと思いますが、いかがですか。
#112
○政府委員(横田吉男君) 国レベルでエンゼルプランあるいは緊急保育対策等五カ年事業をつくって進めておるところでございますが、地方に対しましても地方版のエンゼルプランの計画をつくっていただきたいということで、私ども平成七年からその計画の策定についての助成を行ってきております。
 現在、県レベルにおきましては四十二県が策定済みであります。残り五県が策定中ということでありまして、県だけでなくて市町村レベルにおきましてもできるところはつくっていただきたいということで推進を図っております。
 市町村レベルにおきましては、策定済みのところが百八十四市町村、策定中のところが百九十五ということで、市町村レベルにおきましても両者合わせますと約四百カ所近く今つくられつつあるということでございまして、地方の取り組みを今後とも進めてまいりたいというふうに考えております。
#113
○清水澄子君 この延長保育につきましては、児童手当勘定の事業主の拠出金によって賄われておるわけですね。私は、そういう中で、そこには国費は投入されていないんじゃないかと思いますが、保育に対してのある一定の公的責任という観点からも、それから、これから女性なり働く方が非常に多種多様になるわけですから、延長保育というのは全国的に普及していかなきゃいけないことだろうと思います。そういう場合でも、さらにこれを本当に厚生省の大きな事業として進めていくには、一般会計にきちんと延長保育事業として位置づけていくということが必要ではないかと思いますが、その点はどうなんでしょうか。
#114
○政府委員(横田吉男君) 延長保育につきましても、この緊急保育対策等五カ年事業の中で七年から十一年までの間の計画を立てまして、最終七千カ所を目指してその推進を図っていくということでございます。来年におきましても九年度よりも二千カ所の増額を予定しているということでございます。
 ただ、その財源につきましては、現在これは一般会計でなく厚生保険特別会計の児童手当勘定の方から支出をいたしております。この財源として一般会計、特別会計、どちらから出すかという問題につきましては、私どもといたしましてはその事業内容あるいは利用者の態様等から判断される必要があると考えておりまして、現在のところ延長保育につきましては、通常の保育時間というのは十一時間開所時間があるわけでありまして、それで足らざる方が残業等により延長保育を利用していただくということになっておりますので、現在この財源といたしましては主に事業主の拠出金で運営されておりますこの特会の児手勘定の方から出している、そちらの方になじむというようなことで整理をしているところでございます。
 厳しい財政状況の中で、今のところは一般会計よりも、どちらも厳しいわけでありますけれども、こちらの方が若干弾力性があるということで、十年度におきましても九年度七十六億円から九十一億円ということでかなり大幅な増額を図っておりますし、今後とも必要な財源の確保について努めてまいりたいと考えております。
#115
○清水澄子君 厚生省の予算のシステムとか今財政が厳しいという理由ですべてが説明されるわけですが、それは一面現実の問題としてありますけれども、やはり私は従来から主張しているように、もっと子育てに財政を投資すべきだという意味からもこれは検討すべきことと思います。延長保育は一応これは十年というあれでしたね、ですから平成十二年度以降も延長保育への公費投入とか拡充を続けていく必要があるし、続けていっていただきたいということを強く要望しておきます。
 同時に、在宅保育サービスについても、この事業は企業の拠出金によって賄われているということを理由にして、自営業者や教員とか公務員などは対象外になっております。国の事業であるにもかかわらず、親の職業によって利用者が限定されているというのはやはり問題があるんじゃないでしょうか。そうしたら、こういう拠出金といいますか、そういう企業の拠出金でやるためにこういうことになるのであれば、公的なサービスにしていくべきではないかという点で、私はこの点でもやはり非常に問題を感じています。
 在宅保育サービスの現状と展望というのはどういう状況なんでしょうか。
#116
○政府委員(横田吉男君) 在宅での保育サービスを行いますベビーシッターにつきましては、共稼ぎ世帯の増加あるいは就労形態の多様化などによりまして、通常の正規の保育所における保育では足らないものを補完するものといたしまして現在都市部を中心に増加してきておりまして、各地域の実情に応じてそれぞれ役割を果たしているという状況にございます。
 この点については、負担金あるいは措置費等の対象になっていないわけでありますけれども、現在、全国ベースでは社団法人のベビーシッター協会というのがございまして、そこにおいて自主的な指針あるいはベビーシッターに対する研修事業などを行っているところであります。
 私どもといたしましても、本来は正規の保育所における保育システムそのものをできるだけ弾力化し、自由化し、利用者のニーズに応じ得るものにすることによって対応していくのが本筋だと考えておりますけれども、こうしたベビーシッターについては、今後こうした今度の改正における姿というのを眺める必要があると思いますが、現時点におきましては、このベビーシッターを利用する際に利用料の割引が受けられるような援助事業あるいはベビーシッターの研修に対する支援等を行っております。
 今後とも、こういうものが必要であるならば、私ども、その資質の向上なり事業の健全な育成というものにつきましては努力してまいりたいと思っております。
#117
○清水澄子君 私が質問したところだけ答えてくださるといいんですね。やはり国の事業であるのに親の職業によって利用者が限定されるというのは問題じゃないか。だから、これはもっとほかの人にも広げていくようなことをぜひやってほしいということを述べたんですが、それはぜひ要望をしておきます。
 次に、先ほどもがん検診の中止について質問がございましたが、私は国庫補助を削減するときのあり方についてちょっとお尋ねしたいと思います。
 予算の編成は毎年十二月の中旬から下旬にかけて行われておるわけで、それで九八年度予算の編成に当たりましても、地方自治体の事情を無視して突然予算が削減されたり、それから国庫補助の削減に伴って事業の仕組みが変更されたりしたものがあります。
 実はこの延長保育などもそうだったんですが、これは四月一日から実施というので各市町村なり保育園は大変混乱をしていましたけれども、厚生省はこれについては一年間特例措置をとるというのを決められましたからそういう措置でいいと思いますが、例えばがん検診も、老人保健制度で実施されている健康診査のうちがん検診だけを外した。これは国庫補助であるわけですから、これが年末の予算編成期に突然何の相談もなくて打ち切りが決められて、それで実施してきた地方自治体に知らされたのは年が越えてからという状況であったと。それまではこの検診費は国と都道府県と市町村が各三分の一ずつ負担する事業であったわけですから、地方自治体にとっては寝耳に水の状態であったわけです。
 ですから、私どもも一月にいろんな自治体から聞かれたんですが、私たち国会議員というのはふがいないもので、厚生省の内部で何をどう打ち切ってもさっぱりわからないというのが現状であるわけです。
 そういうことで、理由は今いろいろお話がありましたからそれはいいですが、私はこういう場合、やはり地方自治体に対してある程度の事業変更をするならするという準備する期間というものを与えなければ、これは非常に無理なことだと思うんですね。しかも、これは予算を削減しなければならないという国の都合だけですべてが決められて、そして現場の実情を無視して予算が編成されているという非常に私は悪い例だと思います。
 そういう意味で、私は厚生大臣に反省を求めたいと思いますし、同時に今後こういうことが起きないように十分に留意をしていただきたいということをお願いしたいんですが、大臣、ひとつ反省してください。
#118
○国務大臣(小泉純一郎君) 予算というのは毎年十二月に編成するもので、ある程度せっぱ詰まらないとなかなか合意が図れないという点もあると思いますが、混乱のないように今後も周知徹底を図っていきたいと思います。
 いろいろ現場で苦労されているということでありますけれども、厚生省としては今までもがん検診の重要性というものも認識しておりますので、いろいろ地方公共団体に必要な情報提供をして、このかん検診が実施できるような所要の支援を行っていきたいと考えております。
#119
○清水澄子君 次に、介護保険法施行に向けての基盤整備の推進についてお尋ねしたいと思います。
 介護サービスの基盤整備の重要性については、介護保険法案審議のときにも各委員から非常に強く主張されましたし、そして本委員会におきましても、国の責務の具体的内容として、「保健医療サービス及び福祉サービスを提供する体制の確保に関する施策」を追加したところでございます。さらに、衆参両院においても、厚生委員会での附帯決議、さらには本会議決議においても、基盤整備の推進ということが非常に強く求められたところであったと思います。
 そこでお尋ねしたいのは、介護保険制度が導入される二〇〇〇年までに、つまり二年間の間にどれだけ基盤整備を進めることができるか、拡充できるか。このことが結局、保険あってサービスなしという国民側から非難を受けていたこの問題をクリアできるまさにそれは分岐点だと私は思うわけです。
 そこで、厚生省は今年度の取り組みを初めとして介護保険制度の円滑な施行に向けてどのような構えと取り組みを今進めておられるのか、そして二年間にどこまでやろうと考えていらっしゃるのか、私はこれは大臣にお答えいただきたいと思います。
#120
○国務大臣(小泉純一郎君) 詳細については老人保健局長に譲りますけれども、この介護保険制度を円滑に実施するためには、まずいわゆるゴールドプラン、これの目標達成に向けて最大限今努力しているところであります。平成十年度の予算においても所要の額を計上しておりますので、まずこの目標を達成したい。
 それと、施行までに検討すべき重要事項については現在医療保険福祉審議会において検討されることとしておりますから、その中でいろいろな問題点が指摘され、近々御答申をいただく予定になっております。この答申に沿って、各市町村における介護保険事業が円滑に施行されるような状況に持っていくよう全力を尽くしていきたいと思います。
#121
○政府委員(羽毛田信吾君) 介護保険制度の円滑な施行に向けての準備でございます。
 介護基盤整備につきましては、今、大臣のお話にございましたように新高齢者保健福祉推進十カ年戦略を確実に達成するということをまず目標にいたしまして、予算の面では平成十年度におきましても、十年度段階の整備につきましては基本目標量を確保できるような所要の額が計上できたと思っております。したがいまして、この予算をもとに、まだ地域間における格差等もございますので、これの整備を進めていただくように地方公共団体ともよく協議をしながら、まずこれは着実に進めていきたいと思います。
 そのほかの準備の面につきましては、現在の大きな課題として申し上げますと、一つは今の介護保険の基盤整備、これをさらに平成十二年度以降、介護保険事業がスタートした以降につきましても整備計画、事業計画をつくってまいらなければなりません。この介護保険事業計画を進めていく。あるいは要介護認定ということがございますので、この基準なりあるいは介護サービスの計画をつくる介護支援専門員の養成なりというようなことがございます。
 こういったことにつきまして、あるいはさらに介護保険における給付の限度あるいは介護報酬といったものを決めていくというような課題が残されておりまして、こういったことを順次審議会にお諮りして検討していくということで、今、大臣からもお話がございましたように、当面その養成が非常に緊急でございます介護支援専門員の要件については目下審議を進めていただいておりまして、答申も近々いただけるのではないかと思います。
 それに引き続きまして、今申し上げましたような課題を順次詰めてまいりまして平成十二年度の準備を進めてまいりたい。あわせまして、事務的なシステムを組み上げるということも大事でございますので、介護保険事務の円滑な執行を図るという観点から市町村の事務処理の具体的な方法あるいは事務処理の電算化の仕様等につきましても検討を進めるということで、平成十二年度に向けての準備体制をスケジュールを組んでやっていきたいというふうに考えております。
#122
○委員長(山本正和君) 時間になりました。
#123
○清水澄子君 じゃ、あと一つ。
 介護保険法案審査のときには皆さんも指摘をされていたわけですけれども、介護サービスへのニーズはこの保険の導入に伴って飛躍的に増大するだろうということを非常に心配されていました。それは、厚生省の基盤整備に関する試算が基本的には措置制度のもとでの現在のニーズを伸ばしたものであるわけですから、介護保険の導入を契機に需要と供給のギャップが一気に出てくるのではないかという懸念です。
 ですから、やはり介護保険の必要なサービスの確保とか、ニーズを早く調査しなければいけないと思うんですが、そのニーズ調査に当たって、当時もうほとんど介護保険については知らされていない、知っていないということが言われておりましたし、現に私ども地方へ行きましても、皆さんたちは内容がわからないということをもう地方自治体の議員からも私たちは質問されます。ですから、この調査に当たりまして、やはり介護保険というものがどういうものを目指しているか、高齢者の自立支援とか高齢者自身の選択とか人権確保であるとか、それから家族との関係とか、そういう理念、それを一緒に周知徹底していくようなそういう調査をしていただきたいと思うわけです。
 同時に、市町村の独自給付制度がありますね、配食サービスとか移送サービス。そういうものも、何を求めているかどういうニーズがあるかということを一緒に調査していただくことを私は要望しておきたいと思いますが、一言教えていただけますか。
#124
○政府委員(羽毛田信吾君) 今、先生お挙げになりました介護保険施行後における需要というものをまずきちんと把握するために、きっちり制度をまずそれぞれ知っていただいた上で、それが真実の需要に結びつくような形での調査をすべきであるという観点でのお話がございました。私どももそのように考えておりますので、目下進めております事業計画の策定に当たりましても、そういった観点から私どもしてもパンフレットをつくる等の努力をしますと同時に、調査に当たります地方公共団体にもそういった観点を踏まえるように指導いたしておるところでございます。
 それから二点目で、その需要調査に当たっては、介護保険の給付として予定しているものだけではなくて、配食サービスといったようなものについても幅広に調査をすべきではないかという点でございます。介護保険事業計画自体は一義的にはやはり保険給付の対象となるサービス量の把握を行う、そのことによって最終的には保険料なり保険給付金なりがどれだけかかるかというところに結びつく調査でございますから、そういうこととして全国一律に行うものとしてそれぞれがやっていただくものとしてはそれらを最低限やっていただくということになると思います。
 その上で、それぞれの市町村の判断によりまして、やはり介護保険によるサービスだけではなく、高齢者の方々に対する保健、医療、福祉サービスを幅広く仕組んでいくというのは地方公共団体としては大事なことだと思いますので、そういう観点からあわせて地方公共団体がやられるということはいいことであろうというふうに思っております。
#125
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。
 きょうは、私はまず野焼きの問題について質問をいたします。
 昨年の十二月一日から廃棄物処理法が改正をされまして、規制が強化をされました。従来は禁止をされておりました野焼きにつきましても新たな規制がかかることになったわけでございますけれども、今回の改正でどのように規制が強化されたのか、またどのように徹底をされたのか、まず御説明をいただきたいと思います。
#126
○政府委員(小野昭雄君) 廃棄物の野焼きの防止は非常に重要な問題として昨年の法改正のときにも議論されたわけでございますが、平成九年八月に廃棄物処理法施行令、それから施行規則を改正いたしまして、あらゆる廃棄物につきましてその焼却方法、それから設備の構造にかかわります基準を明確化いたしまして、昨年の十二月に適用したところでございます。
 具体的には、焼却に用います焼却設備につきまして、燃焼に必要な空気の通風が行われるようにすること等といったことを明らかにいたしますとともに、焼却の方法につきましても黒煙等が発生したり煙突から焼却灰あるいは未燃物が飛散しないように焼却することを規定したところでございます。
 これらの基準の周知でございますが、都道府県への周知につきましては都道府県の担当部局へ通知を発出いたしまして、担当者に対する説明会を行いますとともに、設置者に対します説明会にも活用されますようにこういったパンフレットを作成いたしまして、配布して周知を図っているところでございます。
#127
○西山登紀子君 従来、野焼きは禁止ということでございましたけれども、焼却設備があれば燃やしてもいいということであったわけですが、ドラム缶で燃やしたり、石積みで燃やしたり、それもいいとされていたわけですね。それに対して、十二月一日からは焼却方法、それから維持管理基準も厳しくなったということであります。
 私の地元の京都でございますが、伏見区というところに野焼きで長年悩まされている、今も悩まされている地域があるわけですけれども、一時期はこの産業廃棄物の処理業者が三十社近くそこに押しかけまして野焼きを行っていた地域があるわけです。ですから、今でも焼却の廃棄物の大きな山が幾つもできているという地域がございます。それは町中でございます。
 ここでは焼却施設なしの野焼きがひどいわけでございまして、京都市が焼却設備を用いて焼却することという、従来の廃棄物処理法にのっとって、野焼きはいけないけれども、焼却施設をつくって処理するように指導したわけですね。法改正までは処理能力五トン以上の施設は設置許可が必要でありましたので、それを下回る四・八トンの炉をつくりまして、いわば正式の許可を必要としない規制逃れにいたしまして、昨年九月ごろから五基の施設の炉がぼんぼん燃えているわけでございます。
 お許しをいただきまして、写真を撮ってまいりました。(写真掲示)こういう大きなもので、高さは二十メートルぐらいありますでしょうか、こういうのが五基つくられまして、ぼんぼん今燃えております。
 今回の規制の強化というのはこういうふうな中間処理施設、これも規制の対象になるんでしょうか。
#128
○政府委員(小野昭雄君) 構造基準あるいは維持管理基準が適用されます焼却施設の規模についてでございますが、従来は例えば木くずを焼却する施設でございますと、一日当たり五トンを超える施設というふうにしていたところでございます。しかしながら、昨年の十二月一日より、処理能力が一時間当たり二百キログラム以上、または火格子面積が二平方メートル以上の規模に拡大をしたということでございます。
 お尋ねの、今申しましたような新たな規模の要件に該当しているということになりますと、廃棄物処理法に基づきます構造基準と維持管理基準が適用される対象となりまして、昨年十二月一日から既にダイオキシン類の測定義務などの規制が課せられるということになります。
 基準の全面的な適用につきましては、施設の改造も必要になるというふうな部分もございますので、五年後の平成十四年十二月からとされておりますが、それまでの間にも段階的に基準を適用することといたしております。
 また、野焼きの防止のための規制を強化する観点から、廃棄物を燃やします場合はすべてについて先ほど申しました焼却基準が適用されますので、これは昨年十二月一日から既に適用しているということでございます。
#129
○西山登紀子君 そういたしますと、京都市が指導してつくらせたという、野焼きはいけないけれども炉をつくって燃やしたらいいという指導をいたしましたこういう炉は四・八トンなんですが、燃やし方についてはすべての炉については新しくなった規制がかかる、こういう理解でいいんでしょうか。
#130
○政府委員(小野昭雄君) 先ほど申しましたように、焼却の基準でございますから、炉の大きさにかかわらず黒煙が出てはいけないとか、未燃物が出てはいけないとか、そういう燃やし方をしなさいという基準は規模にかかわらず適用になります。
#131
○西山登紀子君 規制がされるということであります。
   〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕
 昨年の十二月一日からこの規制が実際適用されているはずなんですけれども、私のところに二月の末ですが、現地で声を聞いてほしいということがありまして、つまり十二月、一月、二月末、三カ月たった時点で、私は直接行って住民の皆さんの声を聞いてきたんですけれども、この施設が隣接した地域というのは実は静かな住宅街なんですね。
 この地域の人たちはうんと広い地域で二十年間ほど野焼きで悩まされたんですけれども、今この五基の、合法的といいますか、従来の法律でつくられた焼却装置で常時集中して燃やすためにかえって被害がひどくなった、こういう住民の皆さんの声が出ております。私もこの炉のそばに行ってみたんですけれども、住民の皆さんはそばに行くのにマスクをして、一人や二人じゃありません、三人ともマスクをして見にきていらっしゃった。実は私たちと一緒に行った東京のスタッフもインフルエンザのマスクを慌ててしたような、そういう住宅街のすぐそばで燃やしています。
 いろんな苦情を聞いて驚いたわけですけれども、燃焼のされ方につきましても、今この写真がリアルに伝えておりますように、煙突から黒煙が上がっています。赤い火も上がっています。そして、きょう、私もいただいて持ってきましたけれども、灰とか燃え殻がいっぱい降ってくるわけです。
 ですから、その地域に参りますと、住宅がみんなどす黒くくすんでおります。毎日お洗濯をする奥さんがベランダをふいていらっしゃるんだけれども、毎日毎日ベランダは黒ずんでまいります。ですから、この地域の小学校で運動会をやりますとこの地域の子供さんの運動着はみんな黒ずんでいる、幾ら洗ってももう黒ずんじゃって、もうみんな真っ白な抜けたようなそういうシャツが着れない、これも大変な悩みなんだということをおっしゃられたわけでございます。一年を通じて窓があけられないとか、それから例えば仏さんに祭ってある水にすすがいっぱいつくだとか、びっくりしたのは赤ちゃんのミルクにすすがまじってしまうというふうなことだとか、閉め切っていても夜中にせき込んでしまう、もう夜寝ているとにおいで目が覚めてしまう、頭がずしんと重い、こういうふうな訴えが非常に強かったわけでございます。
 住民の皆さんが昨年十二月に自主的に健康調査をやっていらっしゃるんですけれども、百数十人。のどが痛い、疲れやすい、せきが出るが過半数を超えている。風邪を引きやすい四五%、体がだるい四二%、頭痛、頭が重い四〇%、こういうふうな結果も出ているわけですね。もう二十年来野焼きに悩まされていますから。中には、夫が亡くなったのはこの野焼きのせいなんだと、もう本当にノイローゼになったような感じの訴えもあったわけです。
 ダイオキシンの数値の調査も住民の皆さんがさせているわけですが、交通量の頻繁ないわゆる京都市の庁舎の上の倍の数値がダイオキシンでも検出がされているわけです。
 そこでお聞きしたいのは、個々の自治体の問題ですから立ち入ったお話はできないにしても、私が実際に調査をしてきた、今写真でもお見せしているこういう燃やし方というのは新しい焼却方法の基準に沿って見たときにどうなのかということと、三カ月もたっているのにこういう事態が放置されているようでは、今のこの規制の強化が十分周知徹底されているとは言えないんじゃないでしょうか。
   〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕
#132
○政府委員(小野昭雄君) 昨年の十二月一日より適用されておりますすべての廃棄物の焼却にかかわります野焼き防止のための処理基準では、煙突の先端から火炎または黒煙を出さないこと。ですから、今、先生がおっしゃったそれが事実であれば火炎あるいは黒煙が出ている状態になろうかと思います。それから、煙突から焼却灰を飛散させないこと。ですから、今御指摘がございましたことが事実であれば灰が出ているということにもなるわけでございます。
 そういった要件を定めておりますが、この基準に適合しない焼却が行われている場合には都道府県知事等が改善命令を出す対象となります。厚生省といたしましては従来から、都道府県あるいは保健所設置市に対しまして、基準違反行為に対しましては積極的に改善命令を発動する尊厳しい態度で対処するように指導してきたところでございまして、御指摘のような点、不適切な処理が放置されないように引き続き都道府県等に対する指導の徹底に努めてまいりたいと思っております。
 余談といいますか、所沢の住民の方からも私、陳情を受けまして、実際には現実にまだ野焼きが行われている、あるいは今御指摘のような黒煙が出ている焼却があるというふうなお話もございましたので、そういう事態を住民の皆さんが発見されたらすぐ保健所なり県へ連絡をしてくださいというお願いも二回ぐらい私もお答えをしたところでございます。
#133
○西山登紀子君 ぜひ指導を強めていただきたいと思うわけです。
 実際に行ってみて、私たちはここには一日として住んでいられないという実感を持ったんですね。しかし、そこに住んでいらっしゃる方は出ていくことはできないということなんです。本当にこういうことが許されていいのかという非常に憤りを持ったわけです。野焼きの被害に二十年間悩まされてきて、そして、焼却炉で燃やしなさいという市の指導のもとにどんどん燃やされて常時合法的に、野焼きはいっとき抜け道でぱっと燃やすんですけれども、炉をつくりますと常時合法的にしかも強力に燃やし続けるということが行われてかえって被害がふえてしまったと。今も主婦の皆さんが四、五人毎日、自主的にパトロールをやっていらっしゃるわけですけれども、余りにもこの住民生活に対する明らかな被害について軽視されてきたという実感を私は持ったわけでございます。
 そこで、先ほど、許可の取り消したとか改善命令だとか使用停止の命令、いろいろ出せるわけですが、そういう出す人も出す決断をするのは大事ですけれども、決断して出されて、もし聞かなかった場合、罰則は強化されたんでしょうか。
#134
○政府委員(小野昭雄君) 今申しましたように、処理基準違反であるというふうに都道府県知事あるいは保健所設置の市長が判断をいたしまして改善命令等が発令されまして、施設の設置者がこれに従わない場合には罰則の適用がございます。罰則は、不適正な処理に関する規制でございますと、改善命令に従わなければ一年以下の懲役または三百万円以下の罰金の適用ということになります。
#135
○西山登紀子君 やはり地方自治体の決断というのが非常に、だれの生活権を優先するのかということが私は問われているんじゃないかなというふうに思うわけです。
 そこで、少し前に進めたいと思うわけですけれども、新しい規制の燃焼施設の維持管理基準の中には、「排ガスによる生活環境保全上の支障が生じないようにすること。」というのがあるわけですが、実はこれは今までもあったんですね。この生活環境保全上の支障が生じないようにすることという一項目があれば、今私が聞いてきたようなこういうふうなことというのも、直ちにこれはもう合致しないというふうには思うわけですけれども、しかし、これは従来もあって新しい管理基準にもあるわけですけれども、どうもその基準が有効に働いていなかったんじゃないか。
 つまり、私もいろいろ勉強させてもらったんですけれども、結局この生活環境保全上の支障が生じないようにすることというのは業者に命じているわけですが、それに対して、住民の声が十分反映できる、しなければいけないという規定がないんですね。そういうところから抜け穴になっているんじゃないかなというふうにも思うわけです。
 そこで、大臣にこれは一つ提案なんですけれども、新しく廃棄物処理法の改正に伴いまして、この六月から新しい施設の設置許可申請のときには環境アセスメントが申請者に義務づけられて住民への縦覧など住民の声を聞かなければいけないというふうになりました。これは一歩前進だと思うんですけれども、このアセスメントの調査事項、細かくあります。それをできれば既存の施設にも広めていただいて住民の声を反映させるなどのこの環境アセスの考え方に準拠した対処をして、こういった強化された規制が実効性があるようにしていただけないかと切に思うわけですが、御見解をお伺いします。
#136
○政府委員(小野昭雄君) 何度も御答弁申し上げておりますが、小規模の廃棄物の焼却施設に対しましても構造あるいは維持管理の基準を適用することといたしまして、現在稼働中の焼却施設も含めまして規制を順次強化しているところでございます。また、野焼き同然の不適正な焼却に対します規制につきましても基準を強化したところでございます。今申し上げておりますように、規則をきちっと守っていただくということを業者に徹底させるように引き続き指導してまいりたいと思っております。
 なお、御指摘の廃棄物処理法に基づきます生活環境影響調査につきましては、これはあくまでも新たに処理施設を設置する場合、またあるいは既存の施設でありましてもその施設の変更を行う場合の手続として法律に定められたものでございますので、御指摘のように現在稼働中のものにつきまして適用するということは難しいというふうに考えております。
#137
○西山登紀子君 規制を強化した場合に本当にそれが実効性を持つというためには、やっぱりそこに住んでいる人の意見が一番なんですね。川にヤマメがいるかどうかとかそういうことも大事ですけれども、やっぱりそこに住んでいる人がどういうふうに支障を来したというふうに思うかどうかということが大事だと思いますので、今後、より強力な御指導をお願いしたいと思います。
 それで、建設省にお伺いしたいわけですけれども、この焼却炉の五基は実は市街化調整区域に建てられております。そのうち二基は、私も直接見てきたんですけれども、何とガソリンスタンドの横に立っている。(写真掲示)赤いこんな大きな炎が出ているのがガソリンスタンドの横に建っているんです。道路のそばです。もう一つは、この写真は住宅のベランダから写したわけですが、すぐそばは二戸建ての住宅街になっております。
 都市計画法によってこういう廃棄物の中間処理施設というものは原則として許可するものに含まれていないと思うんですが、どうでしょうか。
#138
○説明員(岡田順一郎君) お答え申し上げます。
 市街化調整区域におきまして御指摘のような産業廃棄物の処理施設の立地が可能なのかというお尋ねでございますけれども、御承知のとおり、都市計画法は無秩序な市街化を防止する、また計画的な市街化を図るための制度といたしまして市街化区域と市街化調整区域の線引きの制度を設けておるところでございます。このうち、市街化調整区域におきましては、一定の要件に該当するもの以外には開発行為、これは開発行為と申しますのは主として建築物の建築を目的といたします土地の区画区域の変更を申すわけでございますが、こういう開発行為は認められないということとされておるところでございます。
 ただ、このような基準の中で例外的に立地が認められておるものの一つといたしまして、法律は周辺の市街化を促進するおそれがない、また市街化区域において行うことが困難または不適当と認められるというものについては地方公共団体の判断によりまして開発審査会の議を経た上で許可できるということとされておるところでございます。
 建設省といたしましては、従来から開発行為の目的あるいは規模等を個別具体に検討いたしまして、地域の実情に応じた適切な制度の運用を図るように地方公共団体に要請を申し上げているところでございます。御指摘の産業廃棄物の、特に中間処理施設というふうに申しておりますが、こういう施設につきましては、施設の種類、態様も多様でございますし、またその立地する場所の状況、地域の状況も大きく異なっているというところがございますので、各許可権者におきまして、最近の環境問題でございますとか、あるいはリサイクル等の観点も踏まえまして、それぞれの地域の実情を十分勘案して、また必要に応じて廃棄物の担当部局、環境部局とも十分御相談いただいた上で、許可対象となり得るかどうかにつきまして適切に判断いただくことが重要であるというふうに考えてございます。
 以上でございます。
#139
○西山登紀子君 もともと都市計画法というものは、都市における無秩序な市街化を防止して良好な都市環境を確保するということを目的にしているわけです。ですから、やはりこういう処理施設については慎重に開発審査会の議を経たもので個別に厳密に検討してからでなかったらだめだと、こういうふうになっているわけですよね。ですから、説明をお聞きいたしましても、もともと許可されることが非常におかしいんじゃないかという思いを私は強くしたわけでございます。
 それでは次に話題を変えまして、乳幼児医療の無料化の問題についてお伺いをしたいと思います。
 この間、少子化、それから核家族化の進行、とりわけ乳幼児は病気にかかりやすいんですけれども、最近は三人に一人がアトピーを持っている、あるいはぜんそくなどアレルギー疾患が非常にふえているということから、治療費が非常に若いお父さんやお母さんの負担になっているという現実があります。
 この変化を受けまして、全国の地方自治体では、この間、乳幼児の医療に対する無料化制度を促進してきたわけでございます。
 私が九三年に厚生省に実態を知りたいと申しましたらば、資料がないとその当時言われまして、独自に調査いたしましたが、そのときは未実施県がまだ八県もありました。ところが、その後厚生省もずっと調査を発表してこられて、九四年から九七年までの調査を見てみますと、すべての都道府県で乳幼児医療の無料制度がとられるようになり、対象年齢も通院、入院を含めてぐんと広がっております。この四年間では、ゼロ歳児のみの対象であったのが二十六県から五県に減って、逆に三歳児未満を対象にする地方自治体が十一から二十六にふえて既に五五パーセントに達しております。六歳未満までは七県、中卒までは一県というふうになっているわけです。
 厚生省はこの都道府県の施策が拡充してきたということは確認できますね。端的にお答えください。
#140
○政府委員(横田吉男君) 都道府県におきます乳幼児の無料化の実態につきましては、御指摘のとおり、対象年齢を見ますと拡大が図られている傾向にあります。
 ただ、その一方におきまして、新たに所得制限が設けられましたり、あるいは一部負担が設けられましたりしているところもございまして、両方あわせて見ますと必ずしも拡充されていないところもあると言えるのではないかと存じます。
#141
○西山登紀子君 余り苦しいあれをなさらない方がいいと思うんですね。私も所得制限を調べてみましたけれども、変わっておりません。所得制限がないところというのは三分の二なんですよ、あるところは三分の一、ほとんどこれは変わっておりません。
 ですから、対象年齢につきましては施策が拡充しているということは、これはもう数字で明らかでございます。さらにいえば、市町村の実態というのは厚生省お調べになっていないということなので、これはこの問題にずっと一貫して取り組んでこられた新日本婦人の会中央本部が調査した資料、九八年一月時点の資料をいただきましたけれども、市町村の段階で三歳未満児の通院の無料制度、これは全国の市町村の約八〇%、二千五百四十六市町村が実施をしているわけでございます。
 私もこの数を見まして、ここまで来ているのかということで非常にうれしい気持ちもしたわけです。こんなふうに拡大をしてきているこの乳幼児医療の無料化制度というのは、実施をしている市町村の目的はどうなのかということは、これは当たり前のことなんですけれども、乳幼児の健康にとっての早期発見、早期治療に資する、両親の負担の軽減ということで、大体皆さんとの県も同じなんですけれども、各県の制度の拡充が乳幼児医療に対する住民の期待や要求の反映である、そういうふうに思わないんでしょうか。どういうふうに評価をしていらっしゃいますか。
#142
○政府委員(横田吉男君) 各県で実施しております乳幼児医療の無料化制度の拡充あるいは実施でございますが、早期発見なり早期治療に役立つという観点で実施しているところが多いというふうに聞いております。ただ、それぞれこれが具体的にどの程度役に立ったのか、残念ながらデータがない状況でございます。いろんな要素が絡むので、なかなか評価も難しいと考えておりますけれども、この制度の実施自体それぞれの地域の実情に即しまして行われているというふうに理解しております。
 なお、私どもといたしまして児童の健全育成を図る上での疾病の早期発見、早期対策ということにつきましては、先天性代謝異常児の検査あるいは乳幼児の健康審査等によりまして努力をいたしております。また、周産期医療施設あるいは小児医療施設の充実等を図っているところでございます。
#143
○西山登紀子君 大臣にお伺いしたいわけですけれども、私は何も厚生省が何もやっていないとか、そういうことを言っているわけじゃなくて、この乳幼児医療の無料化制度の一番のメリットというのは、経済的な理由で受診が抑制されたり、早期発見や早期治療ができない子供ができないようにするということが一番の眼目なんですよね。
 子供の権利条約、日本も批准をしているわけですけれども、こういうように述べられているわけです。
 「締約国は、到達可能な最高水準の健康を享受すること並びに病気の治療及び健康の回復のための便宜を与えられることについての児童の権利を認める。締約国は、いかなる児童もこのような保健サービスを利用する権利が奪われないことを確保するために努力する。」ということで、以下いろんなことがあるわけなんです。これはすべての子供という、いかなる児童にもということになっているわけです。
 最近、私の手元にいろんなお母さんからお手紙もいただきました。例えば、中耳炎で耳鼻科に通っている、ほとんど毎日なんですが、二十五回通って月額一万三千円、生活費の一割、とても暮らしていけない。アレルギーの子供を持っている、一カ月六千円かかる、子供が二人いる、昨年の医療費は十二万円以上だったと。江戸川区では就学前の幼児まで医療費は無料だと、何という差かと、アンバランスに対する憤りの声も上がっているわけでございます。
 ですから、こういう事態の中で、いかなる事情においても経済的な理由等々で医療が受けられないというような子供をなくすために、国の責務があるだろうし、厚生省の大いなるリーダーシップを発揮していただくということが、きょうもずっとお話にありました少子化対策としても、本当に安心して子供を産もう、子供を育てようという気持ちに若い皆さんがなってくださるんじゃないでしょうか。
 大臣の御所見をお伺いします。
#144
○国務大臣(小泉純一郎君) 乳幼児に対する医療、特に早期発見、早期治療、これは大変大事なことだと思っております。各地方自治体が支援策を進めているというのはいいことであって、むしろ住民の要望を一番身近に感じていますから、そういう対策がなされていると思います。予算が許せば、こういう点というのは私はいいと思うのでありますが、現状厳しい中においてなかなかそういうわけにもいかないということで厳しい見直しをしているわけですが、今後子育ての環境を整備するという中でも、そういう今御指摘のような問題が出てくると思います。
 将来、各地方自治体が主体性を持って、国より一歩先んじたような対策をとる自治体ができてくるというのを別に国はいけないとは言わぬし、そういう支援体制をとれるような自治体ができるのだったらば、それはむしろ自治体の判断であり、住民の要望の高まりだと私は理解しております。
 しかしながら、今回、地方自治体も国においても財政状況が非常に厳しい中で、そういうふうに予算をふやしていくという状況にはないという中で、どれを重点的に拡充していくかというのは、今後もう少し多方面にわたり幅広く検討する必要があるのではないだろうか。私自身、乳幼児の医療の重要性というものを否定するわけではありません。
#145
○木暮山人君 自由党の木暮山人であります。厚生大臣の所信表明に対しまして質問をさせていただきます。
 なお、先般、初めて環境ホルモン対策についてお伺いしました。これは総理の施政方針演説で、いわゆる環境ホルモン問題への対応に精力的に取り組む旨の表明をされておいでですが、一方、先日の厚生大臣の所信では、ダイオキシン類を初めとして化学物質問題について調査研究を進めていきたいとされ、総理の決意に比べますと、この問題への対応にいささかトーンダウンがあるのではないかと考えております。
 環境ホルモン、ビスフェノールA、精子数の減少等により、世代を越えて極めて深刻な影響を及ぼすことが懸念されています。さらに環境ホルモンは、例えば湖に一滴環境ホルモンを入れただけで深刻な影響をもたらすことが指摘されております。これまでの化学物質とは根本的に異なる対策等が求められているのではないかと思います。
 環境ホルモンについては、昨年七月、環境庁の研究班が中間報告書を出されております。そこでは、環境ホルモンの人への健康影響、精子数及びその質についての経年的なモニタリング調査の必要等がうたわれております。厚生省はこの調査について具体的にどのように取り組むのか。
 また、これは一つ一つ取り組むことでなくして、総合的にこのようなものに取り組んで、例えば年に何度か今の研究の進捗状況を国民に明らかにしていくというようなことが必要なんではないか、かように考えておりますが、いかがなものでございましょうか。
#146
○国務大臣(小泉純一郎君) 環境ホルモンについてまだわからない部分が多いと思います。人への健康影響など大変重大なものがあると指摘する方もいるわけでありますので、厚生省としてはOECDや国際機関と調査研究、情報交換を現在も進めているところであります。このような国際的な活動と今後密接に連携をとりながら調査を進めていく必要があると私は思います。
 今後とも、このような国際的な取り組みに積極的に参加しながら、この環境ホルモン調査というのは人間社会あるいは環境全体に大きく影響するものだという認識を持ちながら検討していきたいと考えております。
#147
○木暮山人君 また、厚生省は、カップめん容器などからの環境ホルモンの溶出の問題について、十三日に食品衛生調査会を開催すると聞いております。どんな結論になるか、どのように将来これを考えていくのか、それについてもしわかりましたらお知らせ願いたいと思います。
#148
○政府委員(小野昭雄君) カップめんの容器から溶出をいたします化学物質等につきまして、これがいわゆる内分泌攪乱作用というのがあるのではないかということが指摘をされているところでございます。こういった新しい問題に取り組むことは当然私ども重要なことと考えております。
 ただ、今、大臣からも申し上げましたけれども、内分泌攪乱作用の問題につきましては、どういう物質がどういう作用でどういう影響を及ぼすかというのはまだまだ未解明なところが多うございますし、物質自身を特定していくということもまだその方法論の確立過程でございます。そういった未確定なところがまだかなりございます。
 ただ、さはさりながら、今御指摘のございましたカップめんの容器に用いられておりますポリスチレン樹脂等の三品目のプラスチックを対象に、これまで報告がございました知見を食品衛生調査会に報告をいたしまして、安全性等について御議論を賜ることとしておりまして、三月十三日にこの食品衛生調査会を公開で開催いたしまして、文献あるいは化学物質の溶出量に関する文献等について御検討いただく予定でございます。
 直ちになかなか結論の出にくい問題であろうと思いますが、食品衛生調査会において、一定の御議論がなされ、一定の方向が出されました段階で私どもとしては所要の措置を講じたいと考えておりますが、まだその結論がどうなるかということは現時点では予測しかねるということであろうと思います。
#149
○木暮山人君 ごもっともな話なんでありますが、やはり国民はだんだんそういう問題について知りたい、将来どうなるんだろうという問題を抱え込んでいるんじゃないかと思います。
 また、もう一つ問題点というのは、酸性雨等によってもたらされる硝酸性窒素、野菜への吸着も懸念されておることと思います。硝酸性窒素を吸収した農作物の栄養摂取について御見解をお伺いします。
 これも先ごろ出た話でございますからなかなか難しいけれども、これはやはり大臣ともいろいろと相談されまして総合的に、国民にいつ聞かれてもそれはこうだよと、今ここまでいっているよと、この先はまだわからないよとか、そういうことをはっきり言っていただきたいと思います。
 それと、もう一つ考えられることは、世界には八万種の毒性物があるとアメリカの毒性研究所では発表しているそうでありますが、日本では終戦後この方全然そういうものの見直しをしていない。せめて見直しをする段取りぐらいはひとつ総合的にとっていただきたいと、こんなふうに思いますが、いかがなものでしょうか。
#150
○政府委員(小野昭雄君) 野菜等の硝酸塩の関係でございますが、野菜などの農作物といいますのは、成長に必要なたんぱく質を合成するための窒素が必要なわけでございますが、主としてこれを硝酸塩の形で吸収するわけでございます。その含有量につきましては窒素肥料の使用量等で変化すると言われております。
 それを人が口にした場合どうかということでございますが、口から入りました硝酸塩は小腸から吸収されますけれども、生後三カ月以下の乳児が摂取した場合には、いわゆる胃や十二指腸に硝酸塩を還元する微生物が増殖しやすい時期でございますが、乳児が摂取をいたしました場合にはメトヘモグロビン血症と呼ばれる疾患を起こすことが昭和三十年代から四十年代にかけまして外国においては何例か報告をされております。しかしながら、硝酸塩はそもそも野菜中の成分として含まれておりまして、通常の食生活において我々は摂取をしていること、また我が国において野菜からの硝酸塩の摂取によって具体的な健康への影響が生じたという事例は承知していないこと、あるいは我が国におきましては離乳がおよそ生後五カ月から開始されるという状況にあること等から、通常の食生活におきまして野菜等農作物中の硝酸塩が人体に有害な作用を引き起こすことはないと考えております。
 なお、国連食糧農業機関及び世界保健機関の合同食品添加物専門家会議の報告におきましても、野菜が食品として有用であることはよく知られていること、また硝酸塩が野菜の基質の中にあることによりまして、野菜に含まれる種々の成分の影響によりまして野菜中の硝酸塩がすべて人に吸収されるわけではないことを考慮いたしますと、野菜等の農作物の硝酸塩の含有量の限界値を設けることは適当でない旨の指摘が行われているところでございます。
 後段の化学物質の関係でございますが、化学物質は非常に広範に世の中に製造され使われているわけでございます。当省のみならず、関係する省庁も非常に多うございます。これから各関係行政官庁とともに連絡を密にしながら所要の対策を講じてまいりたいと考えております。
#151
○木暮山人君 今の場合、単に一つ一つのものを研究したり、また掘り下げて分析してみたり、こういうことをやってみましても、私は総括的な問題というものは生まれてこないんじゃないかと思います。やはり国民が一番心配なのは、今こんなところまで進んでいるから、あとこんなふうになるとこれは克服することができるよと。例えば、この間のハンセン氏病にしましても、昔は大変な病気だったけれども、それが法律上要らなくなってしまった。やはりそんなことすら夢に見まして、今から来るそういう問題について非常に心配している人もたくさんいると思うんです。しかし、どこに聞きに行こうか、これはなかなかわかりません。ですから、私はそれをある時期にどこかで国民にある程度理解させるように教えてやるような親切さが必要だと思います。
 私がこの野菜の問題について話したのは、NHKがやったわけです。NHKの「クローズアップ現代」でこんなことをやりますと日本国じゅうの人が心配すると思うんです。ですから、これは厚生省で今別に心配ないよとおっしゃっているんだから、そういう問題についてはただいま研究中で、心配はないと思いますというぐらいな話をNHKにしてやらなきゃならないと思います。
 これは、多分一カ月ぐらい前のNHKの「クローズアップ現代」にこれが出ていると思うんです。私もびっくり仰天して、野菜は何を食えばいいのかと、とても私らにはどうしていいかわからないぐらい途方に暮れる一瞬もあったというようなこともありますから、そこら辺をひとつNHKに話してあげていただきたいと思いますが、いかがなものでしょうか。
#152
○政府委員(小野昭雄君) 大変申しわけなくて、私はその番組を見ておりませんでしたので、内容について論及することはできませんが、もう一度よくチェックをいたしまして、正しい情報を流して、間違っていると言っているわけではございません、番組の内容をもう一度私どもの方でチェックをいたしまして、必要があれば情報提供をいたしたいと思います。
#153
○木暮山人君 これはもう私が六年も前から言っていることなんでありますが、人間の口の中に入れている入れ歯の話であります。入れ歯というものは樹脂によってできています。この樹脂を重合する、合わせる、固める、このときその触媒になるものが過酸化ベンゾイルという毒性の強い発がん性のあるものなんです。ところが、私がそうですよと言っても、そんなことはありませんよと。あるかないか、じゃ私が調べてみましょうかと言ったら、いやそんなことはありませんよと。ただ、ありませんよで済むものではないと思います。私はあってもいいと思うんです。あったらあったようにしなきゃならないと思うんです。それをそのままにしてほうっておきます。
 私が学校を卒業しまして初めて入れ歯をつくり始めましたときに、このときはがんの患者さんというのはそんなにたくさんいなかったんです。ところが、十年ぐらいしましたらがんの患者がずっとふえてきたから、これはまずいなと、私は自分で深くそういうことを研究しようと、こんなふうに考えておりますけれども、これもいい悪いは別なんです。悪いとは言わないです。みんなでなめているんだからみんなでがんになればそれで済むことですから、それはどうにもならないんだから。六年たっても何にも音さたがないんですよ。ですから、それについては私は何も言いませんけれども、ひとつこれも考えてやってください。何とかなると思うんです。少なくともがんの患者が三分の一には減ると思います。それについてひとつ御意見をお伺いしたいと思います。
#154
○政府委員(中西明典君) 過酸化ベンゾイル、先ほど先生御指摘の入れ歯の義歯床材料であるアクリル樹脂の重合開始剤でございまして、これ自体は腫瘍のプロモーターではあるけれども発がん物質ではないということが知られていると承知しております。
 こうしたアクリル樹脂につきましては、古くから世界各国で広く使用されてきているものでございまして、現在のところ安全性について特段の問題はないというふうに認識しておりますが、しかしながら研究班を編成しまして、そうした溶出量の測定方法等々、あるいは毒性情報の収集をやっておる最中でございまして、できるだけ早く結論を得て適切に対処していきたいと、かように考えております。
#155
○木暮山人君 それと同じことはもう六年も前から私何度か聞かせてもらったんです。簡単に言いますと、訳かどこかでサンドイッチを入れるプラスチックの箱がありますね、あの箱の基準があるんです。あの箱の基準は厚生省の生活衛生局で何か決まっているんですよ。それが〇・〇一五だと思ったんです。ところが、入れ歯の方は、もう歯医者が自分勝手にまぜこぜにしているんだから勝手にしなさいと、こんな捨てやりな感じなんです。そのために大変みんな迷惑していると私は思うんですよ。
 だから、いい悪いじゃなくて、できたら早急にこれを解決してやっていただきたいと思うし、またアメリカでは毒性物に指定されているんです、過酸化ベンゾイルというのは。それは御存じでしょう。それから、ISOの世界基準でも毒性に指定されているんですよ。日本だけなんです、毒性でないのは。そんなばかな話はないから、例えばがんになってもいいから毒性だというくらいのことは言っておかなきゃいけないと思うんですよ。それをよく調べて、大至急知らせてください。私はいい悪いを言っているんじゃないんです。お願いします。
#156
○政府委員(中西明典君) 世界各国、先進国の規制の状況等もよく調査し、研究班でよく検討していただきたいと、かように考えております。
#157
○木暮山人君 次に、医療費の問題についてお伺いさせていただきます。
 厚生省は平成十年度予算編成において、十年度の医療費総額を九年度の見込みよりも一・一%マイナスの二十八兆八千二百億円と推計しています。総医療費のマイナスは史上初めてのことではないかと思いますが、厚生省はどのような根拠でこの推計を行ったのでしょうか。
#158
○政府委員(高木俊明君) 平成十年度の予算における医療費でありますが、これは医療保険制度は各制度ごとになっておりますし、それからそのほかいわゆる公費負担医療というのがございます。
 そこで、まず医療保険制度全体について申し上げますと、平成十年度の医療保険制度の対前年度伸び率、これはマイナスの一・〇%ということで推計をいたしております。
 これを少し詳しく申し上げますと、ベースとなりますのが平成八年、それから九年度、この医療費の平均的な伸びというものを推計いたしております。これが制度改正というものを織り込まなかった場合、この場合には三・八%医療費が伸びるということで推計をいたしたわけでありますが、昨年の九月、一部負担の増額という制度改正が行われ、これに伴いまして医療費の伸びというものが抑えられたわけであります。その抑えられた伸び率がマイナスの二・三%ということで見込んでおります。
 そうしますと、その差し引きとしてプラス一・五%ということになるわけでありますけれども、さらに平成十年度の医療費の関係につきましては、一つにはこの四月から薬価基準の引き下げ、それから医療材料の引き下げ、こういったものでマイナスの二・八%、それから医療費の引き上げ分がプラスの一・五%、そのほか、老人医療費についての適正化を積極的に実施するということでマイナスの一・〇%ということでございまして、これでいきますとおおむねマイナスの二・三%ということになるわけでありますけれども、先ほどのプラス一・五%とマイナスの分を差し引きますと、約マイナス一%の伸びになる、これが医療保険サイドの全体の姿であります。
 医療費の大宗は医療保険で見ておりますが、そのほか公費負担医療につきまして約一兆九千億程度ございますけれども、これについても合理化を図るということによりまして、公費負担医療については二・九%ほどマイナスを見込んでおります。
 それらを合計いたしますと、平成九年度の全体の医療費が二十九兆一千五百億という額でありまして、平成十年度は二十八兆八千二百億円を見込んでおります。そうしますとマイナスの一・一%ということでございまして、私どもとしては予算編成に当たりましてこのような数字で見込んだわけでございます。
#159
○木暮山人君 厚生省は平成十年度予算編成において、十年度の医療費総額を九年度見込みよりも一・一%マイナスの二十八兆八千二百億と推計していると、総医療費のマイナスは史上初めてのことではないかと思います。なお加えまして、医療費のマイナス推計の背景に、昨年九月からの患者負担増が厚生省が予想した以上に国民生活に重大なる影響を及ぼしていることがあります。
 しかし、厚生省の医療費抑制策により、特に歯科医療費の伸びが既にその以前の平成九年四月以降大きく落ち込んでいます。平成九年四月以降、歯科医療費の伸びは前年度に比べて激減し、七月には二・二%のマイナスとさえなっています。この理由について説明をちょうだいします。
#160
○政府委員(高木俊明君) これは伸び率でありますので、対前年度同月比で見ているわけであります。そこで、前年度にかなり大幅な伸びがあった場合には翌年度それが三角、マイナスで出てくるということがあるわけであります。
 まさに今御指摘の平成九年四月以降の歯科医療費の伸びがかなり大幅に前年度に比べると落ち込んでおるということでありますけれども、これは平成八年の四月に医療費の改定が行われたわけでありますが、その際、歯科につきましては、歯周疾患治療につきまして全面的な改定が行われております。これに伴う平成八年度の伸びが非常に高かったというふうに私ども分析をいたしておるわけであります。その非常に高い伸びに対しまして平成九年にはそれがある意味では落ちついた、したがって対前年同月比で見ますと、七月で見ますとマイナスの二・二%、こういうような結果が出ているというふうに私どもは分析をいたしております。
#161
○木暮山人君 九年四月以降の歯科医療費の伸びの落ち込みに加え、昨年九月の医療保険改正は歯科医療に二重の打撃を加えました。昨年九月以降の医療費、なかんずく歯科の医療費の動向について説明をさせていただきます。
 まず、九月に歯科は件数でプラス〇・四%、それから十月にマイナス二・二%、十一月にマイナス五・二%、金額では九月にマイナス六・四%、十月にマイナス一一・五%、十一月にマイナス一五・三%のいわゆるずれ込みが出てきております。これについて考えてみますと、いろいろな厚生省の指導もありましょうけれども、やっぱりあるところで見積もりがちょっと狂っているんじゃないか、こんなふうに思うんですけれども、その辺はいかがなものでしょうか。
#162
○委員長(山本正和君) 時間が過ぎておるので、簡潔に答弁をお願いします。
#163
○政府委員(高木俊明君) まことに申しわけないんですが、今の数字なんですけれども、私どもが把握しております平成九年度九月以降の数字、これは歯科の医療費の伸びでありますが、その数字とはちょっと大分あれなんですが、先生の御指摘の数字は歯科の医療費の伸びでありますか。
#164
○木暮山人君 前年同月比です。
#165
○政府委員(高木俊明君) 同月比。それでいきますと、平成九年九月は歯科はプラス二・〇%。
#166
○木暮山人君 十月。
#167
○政府委員(高木俊明君) 十月がマイナスの二・八%、それから十一月まで把握しておりますが、十一月がマイナス七・一%になっております。
#168
○木暮山人君 金額の方はどうですか。
#169
○政府委員(高木俊明君) 金額はちょっと今手元に資料がございませんので、伸び率だけ申し上げさせていただきます。
#170
○委員長(山本正和君) 木暮君、時間が過ぎておりますので、よろしゅうございますか。
#171
○木暮山人君 じゃ、いいです、後でまた、どうも済みませんでした。
#172
○西川きよし君 どうぞよろしくお願いいたします。
 私で最後ということでございますけれども、国会に参りまして私ももう間もなく十二年ということで、今から九年前に当時の社会労働委員会にお世話になりました。厚生関係の委員会に参加させていただくのは本当に久しぶりでございまして、私は国会に来る前、自分自身が疑問や不安に思っていたこと、そしてまた皆さん方の声なき声を、そして生活者の皆さん方の代弁をここでまじめにやろうと、そういうことを基本精神に取り組んでまいりました。
 まず最初に、久しぶりに国民福祉委員会でスタートさせていただくに当たりまして、我が家は八十歳の僕の母親と八十五歳の父親と家内の母親が九十歳で、そうですね、特養とまではいかないんですけれども、養護老人ホームというような家庭でございます。これからいろんなことを御質問申し上げたいと思うんですけれども、スタートに当たりまして、まず大臣に、幼いころからの自分の家庭環境、そして今全国を見ていただいて少子・高齢化、社会保障等も含めましての、唐突ではございますが、この家族という二文字、どういった感じをお持ちでしょうか、まず大臣にお伺いしたいと思います。
#173
○国務大臣(小泉純一郎君) 家族というのは、私もそうでありますが、人間にとって一番大事なものではないでしょうか。親兄弟の中で生まれて初めでいろいろな社会的な基本的な素養を身につけるところが家庭ではないか。そして、あるときは力づけられ、あるときには慰められ、いろいろな活動の源泉になるのが私は家族であり、家庭だと思っております。何が一番大事かといえばやはり家族ではないかと、人間は。それが普通だと思います。
#174
○西川きよし君 ありがとうございます。
 私もことしの七月で五十二歳になるんですけれども、この間父親がついにお漏らしをするというような状態の中で、自分の父親をおふろに入れて、そして全部その世話をしたんですけれども、本当にあんなにたくましかったおやじがと、何かこう寂しく思ったんですけれども、でも世話をできる立場にいて本当にまたよかったなと、幸せだなというふうにも思いました。
 そして、昨年からことしに入りまして、その家族をテーマにする新聞の連載記事でありますとか雑誌の特集とか、人の一生、生まれて結婚をして子供が生まれて子育てが始まりまして、そしてその子が成長して結婚して孫が生まれます、家族が広がります、やがて老いを迎えるわけであります。これはごくごく当たり前のことではありますけれども、この当たり前の姿が今日これほど問われたというのは僕の五十二年の人生では初めてであります。大人はもちろん、子供の事件なども心配なことばかりですけれども、社会の連帯あるいは地域や職場の連帯が薄れかけているような中で、家族の連帯だけは壊してはならないと考えるのか、それとも家族の連帯までが壊れようとしている危機感からなのか、いずれにいたしましても、一つ一つの家族に幸せがなければ社会全体の幸せは成り立たないというふうに思うわけです。一つ一つの家族が抱える問題が重なり合って社会全体、また国全体の諸問題に結びついていくと思います。
 そうした意味で、広く家族政策という、言葉が的確かどうかはわかりませんけれども、今の家族という集団が抱える問題をどのように大臣はお考えになっているのか、そしてまた、厚生行政のトップといたしまして家族政策というものをこれからどういうふうに築いていき、また進めていかれようとしておられるのかもお伺いしたいと思います。
#175
○国務大臣(小泉純一郎君) これは極めて大きな問題で、全体をとらえることがなかなか難しい問題だと思いますが、家族の抱える問題というのは時代によっても違ってきていると思います。
 私の子供のころは家族も多いし、近所に親しい人も多いし、うちに帰れば必ず家族のだれかは一人はいたと。近所に遊びに出ていっても、学校に行って帰ってきてもうちに戻ればだれか知っている人は一人いるという安心感がありました。それで、寝るときも食事するときも同じ部屋でした。今考えてみると、よく八畳間に六人も八人も寝ていたなと思うくらい、今では考えられませんね。
 そういう状況からだんだん核家族になっていき、そして地域の知り合いも少ない、親戚も分散している、あるいは共働きが普通になってきたと。子供も親が働きに出ていれば、必ず家族がいるという状況から、あるいはかぎっ子という言葉が生まれるぐらいに学校から帰ってきてもうちに帰ってもだれもいないという状況がかなり出てきているというので、状況は変わっていますが、私は家族のきずなというのはこれからもどんなに時代が変わろうとも一番大事にすべきものではないかなと。
 家族の連帯、これは社会の最も大事な要素の一つだと思いますから、それをどうやってはぐくんでいくか。そして家庭というもの、家族というものは個人個人違いますし、問題を抱えている態様も一様ではありません。むしろ国が家族の問題にまで立ち入るというのはどうかなと思いますし、私は、側面から家族の連帯が維持できるような環境の整備が必要だと思います。
 しかし本来、家族なり家庭というのは親の哲学なり理念なりが子供に影響を及ぼしていきますし、それは、むしろ余計なことは政府はしないでくれと、自分たちでやるという家庭が多いほどその社会は強いと思いますね。
 しかしながら、今個人なり家庭の役割というのが薄まっている中においては、社会として家族の連帯をどう支えていくかというものを総合的に考える必要がある時代になってきたんじゃないか。余り個人の家族の問題に干渉しないで、側面から家族の連帯を強めていくような環境整備をどうやって整えていくかというのがこれから大事ではないかと思っております。
#176
○西川きよし君 今、大臣がおっしゃったのは、昔、帰ればだれかいてと。僕らも七人家族ですので、狭い部屋で六畳と三畳で七人が寝ておりましたが、今も帰ればだれかいるんですけれども、家内が外に出ているときには年寄りばっかりで、帰ってほっとするんではないんですね。心配で一歩でも一刻一秒でも早く家にたどり着かないと何があるかわからない。そういう現状もあるわけですけれども、この家族の形態、家族主義的集団をどこに求めていくか。
 我々の子供のころは、おじいさん、おばあさん、我々の両親、それから我々の世代、子供や孫、各世代を通して振り返ってみますと、これは大きく変わってきましたけれども、さらにこれからも変わるとは思うんですけれども、例えば我々の親世代は家制度の真っただ中に生まれ育ったわけですけれども、長男が後を継ぎます。そして財産も受け継ぎます。親の扶養も長男がやります。僕は次男ですけれども。また、家族だけではなく親族間の支え合い、あるいは村社会の中での支え合い、我々も幼いころまではしょっちゅう毎日目にしてきているわけですけれども、非常に強いきずながあったわけです。
 戦後の復興から高度経済成長、大臣がおっしゃった時代のその背景背景で違う。都市化が進み、サラリーマンの方がふえました。法律的にも戦前の家制度から夫婦家族制に移る中で、戦前に比べて家とか親族とか村、いわゆる地域からの制約から解放されて、ある意味では本当に自由になったと思うわけですけれども、それと同時に、それまで築いてきた地域の連帯というものが急激に弱まってきたのではないかな。家族中心主義、さらには企業という職場にある種の家族主義を求めてきたのではないかな。
 この家制度が崩壊し、今日に至るまでの家族の担ってきた役割、そして社会の連帯ということについて、地域、企業が果たしてきた役割についても一言伺ってみたいと思います。
#177
○国務大臣(小泉純一郎君) 今までの戦後の日本社会を見ると、企業の果たした役割というのは私は実に大きいと思います。
 それは、中学を出たり高校を出たり大学を出て企業に就職する、この企業の中での教育といいますか、しつけといいますか、社会常識の素養を積むということ、これは家庭では果たし得ない部分を随分企業がやっている、研修なりで。企業に入って初めて社会常識がわかったという若者も随分いる。なおかつ、企業というのは福利厚生の面におきましても、保険料を負担する、あるいは家庭ではできないような福祉活動を企業がする。日本は企業社会と言ってもいいほど企業がいろんな事業の先導役を果たしてきたと言っても過言ではないと思います。
 そういう家庭ではできないことを企業が担ってきて、家庭では負担できないことを企業も負担してきた、その企業の活発な活動があったからこそ日本経済は発展してきたのだと思います。同時に、それにこたえて勤勉な国民性、むしろ家庭よりも企業に忠誠心を持つような社員がたくさん出てきている、逆に批判されるぐらい。現在では余り企業に忠誠心を持つよりもむしろ家族を大事にしろと、家庭を大事にしろと。家族を犠牲にして企業に忠誠心を尽くす必要はないとまで言われるくらい日本人は企業に対して非常に忠誠心、団結心が強かった。今地域においても企業においても仕事中心から生活にもっと豊かさを考えるべきじゃないかと、勤務時間においても休暇においても。そういうものを犠牲にして仕事に没頭するより、もっとその分を家族のきずなを深めるために家族の連帯を温めるために使った方がいいのじゃないかといういろいろな見方が出てきたということは、やはり社会の時代の変遷なり、人間の生活を考える上において、これまた新しい大事な視点ではないかなと思っています。
 今後、時代が変わったとしても、家庭崩壊と言われている中にあっても、やはり人間にとって一番大事なのは家族であり家庭ではないかということを考えますと、まず自分たち個人でできること、家族でできること、それには限界があります。だからこそ、地域の助け合い、企業の公的な役割、そして国の役割というものを考えながら、いわゆる自助、共助、公助、みずから助ける精神とお互い助け合う精神とそして国がしっかりと社会的に支え合う制度をつくっていく。この三者のうまい融合といいますか、バランスのとれた支え合いの制度をどうやって構築していくかということがどのような社会保障制度をつくっていく上においても一番大事なものではないかと思います。
#178
○西川きよし君 ありがとうございました。
 揺りかごから墓場までというふうに厚生行政は本当に大変でございますけれども、先ほど大臣がおっしゃいました、余り家族、家庭の中に入っていくのはどうかと思うという答弁もございましたけれども、我々は、毎日の日々の生活の中では、ある程度方向性みたいなものを国にも地方自治体にもつけていただかないと、何というんですか、家庭の中だけではそういう幸せを求める福祉、例えば可処分所得の中からの幸せ、そして年金だとか保険だとか、そういうものの中からの幸せの平均点というんですか、それぞれに一つ一つの明かりの中では、家族の形態というのは全部違うわけです。今、企業のことを大臣にお伺いしたのは、これまで企業が果たしてきた役割というのは、戦後今日に至るまで相当大きなものがあったというのは同感でございますし、実際に社会保障の費用の負担という面におきましても、その一翼は大きく担っていただいておるわけです。
 先日、ある中学生からこうして鉛筆書きのお便りをいただきました。中学生の方にいただいてびっくりいたしました。学校で、自主課題について調べる時間の中で老人福祉をテーマに勉強しているんですが、介護保険について資料を送ってもらえませんでしょうかというお便りでございます。こうした中学生が介護問題に興味を持っていただいているだけでも僕は大変うれしかったです。それだけ国民的な課題になっていると改めて感じたわけです。
 この子供さんが具体的にという質問で七つあるんですけれども、一つ、企業は介護保険料まで払って経営を維持することができますか。本当に中学生の方かなと思うくらい読み直したんですけれども、これは中学生が素朴に感じた疑問だと思うんです。
 返事を差し上げる際に、ぜひ厚生省のお考えも御一緒に僕は送ってあげたいと思いますし、この中学生に対するメッセージも含めて、大臣一言お願いします。
#179
○国務大臣(小泉純一郎君) 随分進んだ中学生ですね。
#180
○西川きよし君 はい、僕もそう思いました。
#181
○国務大臣(小泉純一郎君) 中学生で介護の問題からさらに企業の負担まで考える、大人顔負けといいますか、ただ感心せざるを得ないんですが、その点は企業にも負担していただく、現在年金においても医療保険にしてもそうですね、この介護の問題にしても企業に負担していただきます。
 しかし、その負担というのは、企業がもうこんな負担をさせられるんだったら企業活動をやっているのは損だとか、企業活動をやる意欲をなくしたらしようがない、その負担の程度というのは十分今後考える必要がある。企業活動の意欲を損なわないような負担の程度にしないと、肝心な負担をしてくれる層がなくなっちゃうんですから元も子もなくなってしまう。それは企業だけじゃなく個人の保険料においてもそうだと思います。
 しかしながら、お互い個人ではできないことを企業にも負担してもらう、国も税金で負担してもらう、個人も保険料で負担してもらうという、お互い負担し合うというか、支え合うといいますか、何か給付を得るものだったらば、その裏にお互い負担をし合うという観念がないとこの社会保障というのは成り立ちません。そういう点において、企業においても各地域において相応の負担をしていただくということは必要であり、その負担の程度については十分今後考える必要があるというふうに考えます。中学生でそれほど現実の社会問題に関心があるというその中学生は、将来有望な政治家になるのではないかと期待したいと思います。(西川きよし君資料を手渡す)
#182
○西川きよし君 またお時間のあるときに目を通していただきたいと思います。
 そして、企業、つまり職場という集団が社会連帯の場としてこれまでその役割を大いに果たしてきたということは事実であるわけです。まさしく私も五十二歳で団塊の世代の一員でございますけれども、例えば働き中毒、週四十時間でなければというような委員会にも何度も参加をさせていただいて質問もさせていただいたんですけれども、私たちは八時間では生活ができません。仕事に生きがいを感じ、そしてまた職場に社会的な連帯を求めていたんではないかなと思います。しかし、このところは、企業においても年功序列あるいは学歴主義、能力主義、業績主義という考え方が一層強くなってきているわけです。また若い方にとっては、仕事が生きがいですかと言ったら、いや、そうではありませんという方々が大変年々ふえてきております。
 そうした中で、今後も社会連帯の一つの場として企業が、その中学生も心配しておられますように、これまでと同様にその役割を担っていただくことができるかどうか、そういった疑問を感じるわけですけれども、ぜひお答えいただきたいと思います。
#183
○国務大臣(小泉純一郎君) これは、仕事が生きがいであるという人が少なくなってきたことは事実だと思うんですが、かといって仕事をしなければ生活できない。私は、少なくなったとしても、今後やはり仕事に生きがいを持つ人が出てくれないと社会は発展しない。要は、家族を犠牲にしてまで仕事に没頭するのがいいのかどうか、仕事と家庭を両立させるということが大事ではないか。
 今まではどっちかというと、仕事のために家族を犠牲にするのが当たり前だというのが男社会だったと思うんです、我々の親の世代、それから我々の時代までは。しかし、これからはそうも言っていられない。むしろ人生五十年の時代は、仕事をしているうちに、余生も過ごせないうちに亡くなった方が多かったわけです。しかし今後、人生八十年時代、仕事がなくなった後、長い人生が待っているということを考えると、仕事だけしか知らない人というのは後困っちゃう。
 ですから、仕事を持って元気に働いているうちからお互い仕事以外に何か打ち込むものを持つというのが大事ではないか。それは趣味なのか、あるいはボランティア活動なのか、それは人それぞれにあります。地域社会で働くのか、会社社会だけしか知らないのか、いろいろありますけれども、今後は、仕事中心にするにしても、仕事だけではない、仕事は人生の中で非常に大事な部分であるけれども、それ以外の要素を加味することによって人生というのはもっと豊かになるのではないか。そういう社会を目指すべきじゃないか、またそういう生活を今多くの若者は持ってきているのではないか。
 しかも、ある人は仕事第一主義、ある人は仕事はほどほどの主義、それは人の価値観なんですから、いい悪いは言えません。そういう中にあっても、仕事以外にも何か自分の楽しみなり打ち込むものを持つという人は、仕事しか知らないという人よりも私はこれからより豊かな人生を送っていける人じゃないかなというふうに感じていますけれども、これは個人個人の観念であります。
 しかし、仕事というのは、ある面においては義務感を伴いますけれども、同時に、仕事をする中で人間の成長も図られるという面も強いし、また家族を支える基盤でありますし、また社会のために自分は役立っているんだという気持ちを持つ重要な部分でありますので、人間が仕事をするという重要性は今後も大きいものではないかと考えております。
#184
○西川きよし君 ありがとうございました。
 本日は大臣の基本的なお考えをお伺いいたしまして、改めまして今後の質問、具体策などについて自分も勉強させていただきたいと思いましたので、いろんなことをお伺いいたしました。
 今度、話題は変わるんですけれども、一点、個別の問題で、臨時福祉特別給付金についてお伺いしたいと思います。
 今回の給付につきましては、昨年に続いてということでございまして、先日、担当の課長さんからも御説明をいただいたんですけれども、ことしは前年度とは違い、広報も大幅に拡大され、支給漏れのないように万全を期しておられるということをお伺いいたしました。しかし、何分にも対象者の中にはお年寄り、体の不自由な方々がたくさんいらっしゃいますし、三月二十五日までの締め切りでもございます。私は週に一回ラジオの放送をさせていただいておりますが、前年度は官報に告示された二日後に内容を放送させていただきました。早速市役所に、リスナーの方からですけれども、参りました。こちらではそんなことはやっていないというようなこともございましたし、まだ国会を通ったばかりなのでただいま勉強中ですので三月末まで待ってください、締め切りは三月二十五日なんですけれども、窓口ではそういうふうにおっしゃった方もたくさんいらっしゃったそうで、複数のお便りもいただきました。
 地方行政委員会で質問もさせていただいたんですけれども、大変なことはよく理解させていただけるんですけれども、ことしは昨年に続いてということでもありますので、昨年のようなことはないと思うんですけれども、厚生省といたしましてはことしはどのような体制をとっておられるのか、また二十五日までにできなかったお年寄りや体の御不自由な方々に懇切丁寧に対応していただきたい、こういうふうに思うわけです。
 四十五分まででございますので、この質問で最後にさせていただきます。よろしくお願いします。
#185
○政府委員(炭谷茂君) 臨時給付金の関係でございますけれども、先生御紹介いただきましたように、今年度は昨年度と違いまして、昨年度に増しまして広報の拡充に大変努力しております。
 具体的に例を引いてみますと、支給対象者は千二百九十三万人いらっしゃるわけでございますけれども、パンフレットにいたしまして二千八百万枚用意いたしました。昨年は政府広報のみの新聞、テレビ等の広報でございましたけれども、今回は新たにテレビのコマーシャルを約二十本、ラジオコマーシャルを二百三十本、また三大紙による新聞広報も実施することにしております。また、昨年行いませんでしたポスターも二十二万枚作成し、各都道府県、市町村等に配布したところでございます。また、地方公共団体においても独自に広報などで御努力をいただいております。
 これらの措置によりまして、対象者の支給申請の促進が図られるというふうに期待はいたしておりますけれども、先生後段で御質問されました三月二十五日までにできないという方も中にはいらっしゃるだろうというふうに思います。このうちでやむを得ない理由、例えば長期の入院をされていたとか、たまたま災害に遭われたとかいうようなやむを得ない理由があられる方については、三月二十五日以降でも申請を受理することにいたしております。
 この場合、何分にも支給の対象者の方々はお年寄りや障害を有する方でございますので、個々の事情を十分親切に酌み取りまして対応をしていただけるよう地方公共団体に対して指導しております。また昨年同様、これは西川先生からの提案に基づきまして私どもも通知を出させていただきましたけれども、今度も同様な通知を出して地方公共団体に対して通知をいたしたいというふうに思っております。
#186
○西川きよし君 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
#187
○委員長(山本正和君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後四時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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