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#1
第142回国会 国民福祉委員会 第11号
平成十年四月三十日(木曜日)
   午前十時三十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十八日
    辞任         補欠選任
     朝日 俊弘君     今井  澄君
     木暮 山人君     阿曽田 清君
 四月三十日
    辞任         補欠選任
     釘宮  磐君     今泉  昭君
     山本  保君     浜四津敏子君
     上山 和人君     清水 澄子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 正和君
    理 事
                尾辻 秀久君
                南野知惠子君
                水島  裕君
                渡辺 孝男君
                清水 澄子君
    委 員
                阿部 正俊君
                石井 道子君
                佐藤 泰三君
                田浦  直君
                常田 享詳君
                中島 眞人君
                中原  爽君
                宮崎 秀樹君
                今井  澄君
                今泉  昭君
                直嶋 正行君
                浜四津敏子君
                西山登紀子君
                阿曽田 清君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  小泉純一郎君
   政府委員
       厚生省保健医療
       局長       小林 秀資君
       厚生省保険局長  高木 俊明君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に
 関する法律案(内閣提出)
○検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律
 案(内閣提出)
○国民健康保険法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本正和君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十八日、朝日俊弘君及び木暮山人君が委員を辞任され、その補欠として今井澄君及び阿曽田清君が選任されました。
 また、本日、山本保君及び釘宮磐君が委員を辞任され、その補欠として浜四津敏子君及び今泉昭君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(山本正和君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山本正和君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に清水澄子君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(山本正和君) 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案及び検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○清水澄子君 本日は、感染症予防・医療法案につきまして、これまでの質疑を踏まえて七項目ほど確認的な質問をしたいと思います。
 本法案は参議院先議であって、今後の衆議院での審議につないでいくためにも政府の明確な答弁を求めておきたいと思います。
 まず、この新法は、過去における感染症患者等に対する差別や偏見が行われた事実等に対する深い反省に基づいたものであるべきであります。この点につきまして厚生大臣の見解を改めてお伺いしたいと思います。また、今度のこの新法にはその反省がどのような形で具体化され、明記されているかということを御説明いただきたいと思います。
#7
○国務大臣(小泉純一郎君) 過去の感染症患者に対する差別や偏見等についての御意見だと思いますが、確かに過去において患者さんや家族が偏見によって多くの苦痛を受けたと、これはもう身体的にも精神的にもそうだと思います。こういうことを反省して、平成八年に厚生大臣が謝罪し、らい予防法の廃止に関する法律案の提案理由説明においては陳謝の念と深い反省を表明しております。
 今回の法案に関して、そうした趣旨を踏まえまして人権への配慮を基本理念に位置づけるとともに、特に入院等の措置については慎重な手続にのっとって行われるよう各般の規定を設けております。
 また、法案の中心となる感染症類型と基本指針について、五年ごとに検討を行い、時代に即して見直すこととしており、従来の硬直的な法律に対する批判にもこたえているものと考えております。
#8
○清水澄子君 次に、感染症患者の人権の尊重と差別、偏見をなくしていくために、私は一昨日のこの委員会におきましても、精神保健法の大臣告示の基本理念のように国際人権規約の精神に基づいたそういう内容を今回の新法でも大臣が告示する基本指針の中に明記していただきたいということを要請いたしましたが、大臣、ぜひこのことをひとつ御確認いただきたいと思います。
#9
○国務大臣(小泉純一郎君) 御指摘の精神病院に入院中の者の処遇の基準におきましては、入院が長期化するなどの精神疾患の固有性を踏まえ、精神保健福祉の観点から患者の人権に配慮する等の内容を基本理念として規定しているものであります。
 一方、感染症新法の基本指針は、感染症全体の総合的な予防対策の推進を図るために定めるものであり、おのずからその盛り込まれる内容は異なるものと考えています。
 しかしながら、その中で新法の基本理念や国の責務規定等を踏まえ、御指摘の人権への配慮につきましても、例えば具体的に通信の自由の保障を行うといった内容を盛り込んでいくこととしたいと考えております。
#10
○清水澄子君 私は、精神保健法そのままの形でということではございません。そこに流れている基本理念の精神は非常に国際的な人権の概念であり規定でございますので、そのことを特に要望しておきたいと思います。
 次に、国と地方公共団体の責務の第三条なんですけれども、ここには「感染症の患者が良質かつ適切な医療を受けられるように必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」とされております。このことについて、国はHIV感染症など感染者の方たちに対しても良質かつ適切な医療を提供する責務があると考えますが、その具体策をお伺いしたいと思います。
#11
○政府委員(小林秀資君) お答えを申し上げます。
 今回の法案第三条の「国及び地方公共団体の責務」の中に、良質かつ適切な医療の提供について必要な措置を講ずるよう努めることを規定しているところでございます。
 エイズにつきましては、拠点病院やブロック拠点病院の活用などによりまして感染者の早期発見を確実に治療に結びつけるべく努力をするとともに、新法により新たに策定をされますエイズに関する特定感染症予防指針においても感染者を含めたエイズ治療体制の整備について検討してまいりたいと思います。
#12
○清水澄子君 次に、新感染症と指定感染症について、患者の人権尊重の観点から入院等は必要最小限であるべきだと思います。そういう意味からも、新感染症については感染力が強いことを要件とするなど概念を明確にして、現場で混乱が生じないようにすることが必要だと思いますが、その具体策はいかがですか。
#13
○政府委員(小林秀資君) 新感染症は未知の感染症でございまして、その感染力や罹患した場合の重篤性から判断した危険性が極めて高い感染症と位置づけられております。指定感染症は一類ないし三類の感染症として規定されている感染症以外の既知の感染症でありまして、かつ健康診断、就業制限、入院、その他の対物措置が緊急に必要な感染症と位置づけられておるところであります。
 新感染症や指定感染症について、入院等は必要最小限で、不必要に長期化させるべきではないことは先生御指摘のとおりでございます。したがいまして、新感染症や指定感染症の概念や取り扱いについて現場の医療関係者の間で混乱が生じないよう、また適切に運営されるように、法律が成立した後に速やかに解説書を作成して公表するとともに、各種の講習会等を通じてその内容の普及に努めてまいりたいと思います。
#14
○清水澄子君 次に、健康診断や入院等の措置を行う際には、インフォームド・コンセントの観点から患者等の同意を前提としていくべきだと思います。そのためには、やはりこの措置を行う際に患者等の同意を得るための客観的なガイドラインまたは解説書等を作成すべきと考えますが、それを実行していただけますでしょうか。
#15
○政府委員(小林秀資君) 今回の新法では、公衆衛生審議会における議論を踏まえまして、患者の意思を最大限尊重しながら感染症の蔓延を防止するために、必要な場合には仮に同意が得られなくても入院していただくことといたしております。
 このため、入院勧告を行うことを前提としており、その理由等を書面で通知することといたしております。その際、あわせて十分な説明を行い、できる限り患者等の方々の納得が得られるよう努めることとし、そのための客観的な指針、解説書等を作成し、保健所職員への指導等を含め今後工夫してまいりたいと思います。
#16
○清水澄子君 新感染症による入院患者の退院要件についてなんですが、この法案には「新感染症を公衆にまん延させるおそれがないことが確認されたとき」と規定されているわけですけれども、それはどのようなときにそういうおそれがないと確認をしていくのか、また確認ができないために入院期間が不当に長期化することがないように、それらに対する施策、考え方をお示しいただきたいと思います。
#17
○政府委員(小林秀資君) 都道府県知事が新感染症の患者の入院の必要性を判断する場合や退院の是非を判断する場合には、厚生大臣に通報をし、厚生大臣が公衆衛生審議会の意見を聞いた上で都道府県知事に対して技術指導、助言を行うことにしております。その際、新感染症は未知の感染症であって病原体が不明であることを前提といたしておりますので、病原体の消失をもって退院させることはできないことから、感染症の各分野の専門家を含む公衆衛生審議会において個々の症例ごとに総合的に判断することになるものと考えております。
 また、入院期間が十日を超えるたびに入院継続の必要性を都道府県知事が判断することとなっておりますが、その場合も公衆衛生審議会の意見を聞いた上で厚生大臣が技術的指導、助言を行うこととしていますので、不必要に入院が長期化することはないと考えております。
#18
○清水澄子君 最後でございますけれども、私はここの委員会で何回も質問をしたわけですが、この新法では、やはり不当に入院させられるとかそういう強制的な措置は一方ではこれはやむを得ないことがあるわけです。しかし、その場合に必ずそれに対して不服審査をしたり、それからまた誤ってそういう措置をしてしまった場合の補償の手続が必要じゃないかということを申し上げてきました。それに対して国家賠償法に基づく請求があるとおっしゃいましたが、私は、それとは別にもう少し安易に使える、そういう法的な人権保障の手続あるいは損害を受けた人の補償手続なり、またその検討をすべきだということを申し上げてまいりましたが、それらは確たる答弁を得ることができませんでした。
 そのことについて私は再度お伺いをしたいわけですが、この法律は五年後に見直すということを修正の中に盛り込むことがきょうは決まると思いますが、本来、法律の修正をする、それすらも入っていなかった法律であります。ですから、これは五年後に見直すならば、その五年後のときにやはりこの問題については検討課題にするというお約束を私はここでいただきたいと思います。いかがでしょうか。
#19
○政府委員(小林秀資君) 今、先生は、行政不服審査の手続等、国民の方が自分で被害を受けたと思われたときに何とか助けられる手続をもう少し整備できないのかという御意見でございます。
 私どもとしても、実際はこの法律はこれから運用するわけで、まだこれはどういう事態になるかわからない面も、それをすべて読み切るというわけにはいきませんから、その辺は今後の推移を見て十分検討してまいりたい、このように思っております。
#20
○国務大臣(小泉純一郎君) 新法では、入院や就業制限に際して措置の理由等を書面で通知することや、病原体の検査を請求できるようにするとともに、長期入院患者についての口頭での不服審査を認めるなど、人権の保護の観点から種々の手続を備えているところであります。
 さらに、国民の理解と協力が得られる感染症対策を確立するためには、御指摘のように患者がみずからの処遇や措置に不服がある場合には簡易に相談できる仕組みを用意することが重要であると考えており、今後、保健所の苦情対応窓口を明確にする等、その体制づくりに努めてまいりたいと考えております。
#21
○清水澄子君 終わります。
#22
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。
 最後の質問の機会になるわけですが、まず最初に、新感染症につきましても、また指定感染症というものにつきましても、やはり新しい病原体あるいは新しい病態の変化というようなことは、これは大変高度に専門的な知識、それから研究というものが必要だと思います。よく日本の研究体制についてアメリカのCDCなどと比較がされて非常に弱体だという指摘があるわけですけれども、私は体制が非常に弱体だというだけではない問題があるというふうに思っておりまして、その点がどういうふうに改善が図られてきたかということについてお聞きしたいと思うわけです。
 かつての国立予防衛生研究所、予研と言われておりましたけれども、名前が変わって国立感染症研究所ということで、私たちもこの間視察に参りました。
 そこで、これは大臣にもお聞きしたいわけですけれども、平成八年六月十三日の当厚生委員会の質疑の中で、かつてこの予研で実は重要な検査が行われていた、関東の血友病患者の検体、つまり帝京大学の安部元教授が米国のギャロ氏に検査を依頼した検体と同一のものかどうかということについて、予研の北村元室長らが実は共同の研究をしているということについて関連して私は質問をいたしました。そのときに、予研の八四年度版に研究の結果報告というものがきちっと出されているんですけれども、その結果が、五〇%が既に抗体陽性であるということの結果が出ていたんです。それが当時の御答弁では、中央薬事審議会にもきちっと報告がされていなかった、それから厚生省の各関係の部局にも報告がされていなかったというようなことで、こういう重要な結果について本当に国民の立場に立って生かされていなかったということについての予研の責任、それから厚生省全体の責任についても私は質問をいたしました。
 アメリカのCDCというのは、例えば、自国の国民の安全だけではなくて、世界の国民の安全をいつも考えて積極的な発信をしてきた。ところが、日本のかつての予研というのは非常に問題のある対応をしてきたということです。
 六月十三日の私の大臣に対する最後の質問でも、最も最新の国際的な情報を得られる、そして最も高度な研究が行えるこういう国立の研究所が、その得られた情報とか得られた重要な研究の成果について、それを直ちに国民の命と健康を守るためにこそ生かすべきであると。ところが、生かすどころか、むしろその被害を拡大するという方向で、そういう役割を果たしてしまったということについて、これは感染症問題全体を考えたときに決して終わりではないんだということから、大臣に、当時は菅厚生大臣でしたけれども、この機能が十分発揮できていないし、むしろ逆に作用したということについての問題点、改善点について聞きました。大臣はそういうことが十分発揮できていないという点をお認めになって、今後、予研のあり方、トータルも含めて薬事行政全体の見直しを考えていきたいという御答弁をいただきました。これが一つです。
 それから、さらにO157の問題、平成八年の八月二日、当委員会で、世界に例のない未曾有の、子供たちにO157の多くの被害が出たわけですけれども、そのときにも実は、八二年アメリカでO157の集団食中毒事件が発生したときに、国内では九〇年に埼玉の幼稚園で事件が起こっていたということから、当時、専門家でありました阪崎先生などは、非常に重要だということで指摘をし対策を求めてきたけれどもそれが生かされていなかった、遅くとも九〇年にはこうした今日の事態は十分予測できた、非常に残念だという談話を出しているということなども私は紹介いたしまして、政府の感染症に対する対策、研究の成果と行政のギャップ、この点をどうやって今後改善をし、国民の今、健康を守るために生かしていくのか、どのように改善を図るのかということで質問いたしましたけれども、これについて大臣の決意をお聞きしたいと思います。
#23
○国務大臣(小泉純一郎君) 今までの対応というのについて、必ずしも十分でなかった、反省すべき点があるということは率直に認めなきゃいけないと思っております。
 こういうことから、今までの反省を踏まえまして情報の収集、そして今回の法案に基づいて国内の各機関との連携を強化していく、そして国際的な、外国の機関につきましてもいろいろと協力、連携を深めまして、情報なり研究に対して的確な対策を進めていけるような対応をとっていかなきゃならないというふうに私は考えております。
#24
○西山登紀子君 次に、新感染症の問題なんですけれども、これは当委員会でいろいろ質疑はされましたけれども、やはり非常に私は問題が多いというふうに考えております。
 それで、この間、厚生大臣と密接な関係を保ちながら技術的な指導を受けて最終的に新感染症と判断をして対処するのは知事であるという御答弁がありました。発生から病原体の判明までは二カ月から四カ月ぐらいかかるんだというような御答弁もあった。これは、O157の教訓からも、O157というのは既知の感染症ではありましたけれども、O157の対処の経過をずっと見ましても、都道府県の知事にやらせる、させるということは大変酷な話じゃないかと思います。
 都道府県の知事が新感染症と判断する場合でも、実際は国の指導に従って都道府県の知事が判断をする、こういうふうに理解をしていいんでしょうか。
#25
○政府委員(小林秀資君) 新感染症につきましては、的確な医療の提供と原因究明の観点から、患者を特定感染症指定医療機関に入院させることにまずしております。そのほかに、例えば健康診断の実施だとか食品等の物品の処分といった感染症拡大防止施策の範囲を現地の実情に即してきめ細かく行う必要があります。
 したがいまして、新法においては、現地の実情に即した判断ができる都道府県知事を第一次的な判断者として決めたわけであります。実際にその新感染症とわからない病気が起きたときに国がどう対応できるか、実際の消毒をどうするか。そういうときには現場の知事さんにお願いをせざるを得ないということで、判断者と決めておるわけです。
 しかしながら、特に新感染症につきましては、その病像の解明に際しまして最新の高度な医学的知見等が必要とされるために、都道府県知事が新感染症にかかわる措置を実施しようとする場合にはあらかじめ厚生大臣と密接な連携を図った上で行うことといたしておりまして、その際、厚生大臣は、公衆衛生審議会の意見を聞いて技術的指導、助言を行うことといたしておるわけであります。
 こうした対応を通じて、都道府県知事が迅速かつ適切な対応を講ずることができるよう、国が積極的な支援を行ってまいりたいと思っております。
#26
○西山登紀子君 そこまで言われるなら、私は、むしろ国が責任を持って判断をするというふうになさった方が責任の所在は非常にはっきりすると思うんです。
 O157の教訓ということで、平成九年の五月三十日、厚生省保健医療局が公衆衛生審議会伝染病予防部会の報告をまとめている。それを見ますと、「国等の役割」ということで、その検査体制、治療体制ももちろん国公立病院でちゃんとやってくれというのがあるわけですが、検査体制についても、国公立の検査機関において、検査施設整備の対策を図り、早期に診断結果が判明できる検査設備の充実等々、新たな感染症の診断、治療に必要な研修会などを積極的に催して、緊急時に混乱なく対処できる体制を整えていただきたいというのが、国等への要望としてきちっと報告がまとめられているわけです。
 特に、新しい新感染症というふうな病気に対して都道府県の知事が判断をするということ自体が、これは非常に酷な話、難しい、できないというふうに私は思いますし、例えば同時多発的にそういうふうな状況が起こった場合に、地方の知事によって判断がまちまちになってしまうというようなことが起こるんではないでしょうか。例えば、国の指導に従って知事が判断をするという場合に、違う判断を知事がするというようなことがあるのかないのか、また各都道府県によってばらばらの判断が起こる可能性はないのかどうか、その点はどうですか。
#27
○政府委員(小林秀資君) 先ほどもお答え申し上げましたように、新感染症が出現をして知事がその対応を定めていく場合には、あらかじめ厚生大臣と密接な連携をとるということにしてありまして、厚生省も厚生省内で判断できないわけで実際には公衆衛生審議会の御意見を伺って判断をしていこうと、こういうことにしているわけでございまして、そういう法律上の仕組みからいって、各都道府県がばらばらの指定をするとかそういうことは想定をいたしておりません。
 ただ、この法律自体はもちろん内閣法として出しておりまして、関係省庁とも御相談の上でこの法律は出しているということは御理解いただけると思います。
#28
○西山登紀子君 私は、この新感染症というのは未知のもの、そういう高度な判断を都道府県の知事にゆだねるということは、これは非常に問題があると思います。
 それで、例えば国立感染症研究所でP3とかP4とかいろいろありましたけれども、それはもう大変な設備であるわけです。ですから、こういう判断を知事にゆだねるということがどういうことになるかというと、例えば新感染症の所見がある者は十日間の範囲で都道府県知事が入院を勧告措置できると。ところが、内容がわかって国が政令で新感染症と指定をしたら三日間の入院だとかいうふうなことで、さらに非常に強力な措置を都道府県の知事に与えてしまうという矛盾があるわけです。
 こんな強い強制力を持ったような措置というのは、やはり国が十分なる判断材料を集めて、そして国の責任において、もちろんそれには国の責任ですから国の保障というのが伴うわけです。そういう国の責任においてのみ十日とか強い措置をとるということになるならば、そういうものは国の責任とそれに伴う保障というものをきちっと明記しないと、これはやはり都道府県の知事が安易にそういうことを、安易ということではないでしょうけれども、間違った判断をする危惧、懸念が払拭されないというように思うんですけれども、この点はどうですか。
#29
○政府委員(小林秀資君) 入院がいわゆる強制的に入院された場合も十日間ごとにチェックが入るというのは先生の御指摘のとおりでございますがその判断も専門家が入ってやっておりますので、先生のような御懸念の点はないものと考えております。
#30
○西山登紀子君 日弁連の四月七日のこの法律に対する意見書の案というのがありますが、その中でも、やはり健康診断、入院の勧告に関しては十分な説明と同意というのが報告書では当然の前提とされているんだけれども、今度の法律にはそういう点が欠落をしていて形骸化する危険性があるというような指摘もあるわけです。私も同様の点について指摘をさせていただいて、最後の質問に移りたいと思います。
 最後に、人権対策なんですけれども、O157の、堺市の学童集団下痢症対策本部が平成九年八月にこういう大きな報告書というのをお出しになっているわけです。そこで、人権にかかわる問題がどのように起こったのかということでございます。
 これは、七月十三日から九月にかけての件数がここに書かれているわけですが、人権に係る相談ということでホットラインにかかってきた相談件数八十八件。その内容は、労働関係が十九件、解雇が五、自宅待機が八、職場での嫌がらせ偏見が三、アルバイト拒否が二、就職面接の拒否が一。営業関係が二件。旅行関係が十八件、これは予約の拒否が十三、予約のキャンセルが四、その他が一。地域社会の関係では三十三件、地域社会等での仲間外し、いじめが十八、学習塾での偏見が二、市外における偏見が十三。
 というようなことでホットラインに相談があったということから、「国や自治体の課題」としてまとめが出されておりますが、御紹介をいたしますと、
  非常時の混乱は、正しい情報の欠如、不足に起因することが多く、そのため、国や自治体は情報の収集、整理に努め、正しい情報の提供をはじめ、冷静な対応を期待して啓発活動を行うことが、先ず求められる。
  その場合、情報の一方的提供にとどまらず、受け手(とりわけ情報からより遠くに位置する障害者や高齢者)との双方向の情報交換に配慮することが大切であり、また、個人情報の管理とプライバシー保護に留意することも当然である。
  さらに、社会生活のすべての分野で基本的人権が実質的に保障されるよう、権利擁護のために首尾一貫した姿勢で行政を執行しているかの検証が必要である。
 こういうまとめが出されています。
 世界に例のない、そういう非常に大きな堺の教訓を酌んで今後どのように新しい感染症対策に臨まれるのか、その点、人権をどのように尊重していくのかについて、大臣の御所見を伺って質問を終わりたいと思います。
#31
○国務大臣(小泉純一郎君) 正確な情報というのは事態が発生した直後においてはなかなか難しくて、これは感染症対策のみならず、いろんな場合に当てはまると思います。何が起こったのか、またどういう病気なのかという場合に、余計なというか過剰反応を起こす場合が常に多いということから、住民も不安を持ってしょうし、あるいは患者に対して偏見なり差別が出てくる、そういう点は過去何度かあったわけであります。
 そういう過去のいろいろな事例を踏まえて、そのようなことがないようにこの法案においては国や地方公共団体の責務として感染症に関する正しい知識の普及を位置づけておりまして、感染症情報の公表に当たって個人情報の保護に留意するなど、人権への配慮を規定するとともに、国民一般に対しても感染症患者等の人権を損なわないよう求めているところでありまして、私は御指摘の趣旨に添ったものであると思います。
#32
○委員長(山本正和君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○委員長(山本正和君) 御異議ないと認めます。
 この際、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案の修正について尾辻君及び西山君から発言を求められておりますので、順次これを許します。尾辻秀久君。
#34
○尾辻秀久君 私は、ただいま議題となっております感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案に対し、自由民主党及び社会民主党・護憲連合を代表いたしまして、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
 これより、その趣旨について御説明申し上げます。
 本法律案は、新興・再興感染症の出現や、我が国の医学医療の進歩、衛生水準の向上、人権尊重の要請といった感染症対策を取り巻く環境の変化に対応して、新しい時代の総合的な感染症予防対策の推進と、これに伴う医療の充実を図るものであります。
 本案に対する本委員会での審議等を踏まえ、感染症の病原体等の検査を国及び地方公共団体の責務等として位置づけるとともに、国が定める基本指針に定める事項として、感染症の患者等の人権の配慮に関する事項を盛り込む等、所要の修正を行うため、本修正案を提出するものであります。
 修正の要旨は、第一に、国及び地方公共団体の責務として、感染症の病原体等の検査能力の向上を加えるとともに、必要な施策を講ずる場合においては感染症の患者等の人権の保護に配慮しなければならないこととし、国の責務として、感染症の病原体等の検査の実施を図るための体制の整備を加えること。
 第二に、四類感染症及び指定感染症の範囲について、既に知られている感染性の疾病に限定されることを明確にすること。
 第三に、国が定める基本指針に定める事項として、感染症の病原体等の検査に関する事項及び感染性の患者等の人権の配慮に関する事項を位置づけること。
 第四に、この法律の規定について、この法律の施行後五年を目途として、感染症の流行の状況、医学医療の進歩の推移、国際交流の進展、感染症に関する知識の普及の状況、その他この法律の施行の状況等を勘案しつつ検討し、必要があると認められるときは所要の措置を講ずるものとすること。
 以上であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
#35
○委員長(山本正和君) 西山登紀子君。
#36
○西山登紀子君 私は、日本共産党を代表いたしまして、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案に対し、修正案を提出いたします。
 その内容はお手元に配付されております案文のとおりですが、簡単に提案理由と修正要旨を御説明いたします。
 まず、修正案の提案理由です。
 さまざまな感染症から国民の命と健康を守り、感染者や患者に良質で適切な医療を提供することのできる体制を確立することは重要です。その際、らい予防法やエイズ予防法制定など過去の感染症対策の反省の上に立ち、患者の人権が尊重されなければならないことは言うまでもありません。この点では、国及び地方公共団体、そして医師の責任は重大です。国は、感染症指定医療機関の運営や整備など医療の充実に対して財政面でもはっきりした責任を持つ必要があります。
 また、感染症の分類などについて、例えば指定感染症は公衆衛生審議会伝染病予防部会基本問題検討小委員会の最終報告にもない概念であり、その適用のいかんでは人権を脅かす危険性があります。さらに、法の施行後に法の施行の状況や運用のあり方などについて、当然全体的な検討を加えるべきであります。
 次に、修正の要旨を申し上げます。
 修正の第一は、基本理念のうちの人権に配慮する旨の規定を人権を尊重する旨の規定に改め、国及び地方公共団体の責務のうち人権の保護に留意する旨の規定を人権の保護に配慮する旨の規定に改めることです。
 第二の点は、努力義務とされている国及び地方公共団体の責務並びに医師等の責務を義務規定にいたします。
 第三の点は、指定感染症の定義のうちに、「当該疾病の感染性が強く、かつ、当該疾病にかかった場合の病状の程度が重篤であり」を加えます。
 第四の点は、感染症指定医療機関について、第一種及び第二種感染症指定医療機関に対する都道府県の補助を必要的補助とし、これに対する国の補助も必要的補助とし、補助率を二分の一とします。また、予算の範囲内での任意的補助となっている特定感染症指定医療機関に対する国の補助を必要的補助といたします。
 第五の点は、法律の施行状況について、三年をめどに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものといたします。
 以上であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#37
○委員長(山本正和君) これより感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案の原案及び修正案並びに検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#38
○西山登紀子君 私は、日本共産党を代表し、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案並びに自民党提出の同修正案について、反対の討論を行います。
 新しい時代に対応して、感染症の蔓延から国民の命と健魔を守ることは緊急の国民的課題です。その際、従来の感染症対策の反省の上に立って患者、感染者の隔離中心の対策から人権の尊重と良質かつ適切な医療を受ける権利を保障する対策への視点が求められています。
 この間の我が国の感染症対策には、感染症患者やその家族の尊厳を傷つけた事実があります。らい予防法によってハンセン病患者を強制隔離し、血友病患者やHIV感染者、我が党などの反対を押し切って成立させたエイズ予防法によって患者や家族に多大な差別と人権侵害をもたらしてきました。新しい感染症対策を確立する上で、こうした事実への深い反省は不可欠です。しかし、この間の審議で、政府と厚生省は、エイズ予防法制定について、当時としてはやむを得なかった、適切であったと強弁し、制定当時の墨塗り資料の公表も拒むなど真摯な反省が全く見られません。
 また、法案自体にあいまいな部分が多く、指定感染症や新感染症の適用や規制措置の運用によっては憂慮すべき事態が生まれかねません。さらに、自治体への国の財政負担は不十分です。
 被害者や参考人からも法案への不安や懸念の声が出されています。国民的検討が十分でないまま採決を急ぐやり方では、感染症予防のための理解と協力、人権尊重を前提とすべき法案の審議のあり方としては問題があります。
 今日の感染症対策に求められるのは、人権の尊重、十分な医療の提供に国が責任を持つことです。原案及び自民党提出の同修正案はこれらの声にこたえるものとはなっていません。
 以上、本法案に反対を表明して、私の討論といたします。
#39
○委員長(山本正和君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案について採決を行います。
 まず、西山君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#40
○委員長(山本正和君) 少数と認めます。よって、西山君提出の修正案は否決されました。
 次に、尾辻君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#41
○委員長(山本正和君) 多数と認めます。よって、尾辻君提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。
 修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#42
○委員長(山本正和君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。
 以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
 次に、検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#43
○委員長(山本正和君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、水島君から発言を求められておりますので、これを許します。水島裕君。
#44
○水島裕君 私は、ただいま議決されました感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案及び検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明、社会民主党・護憲連合、自由党及び二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案及び検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。
 一、ハンセン病患者やHIV感染症患者を始めとする感染症患者等に対する差別や偏見が行われた事実等を重く受け止め、また、個別の感染症に対する特別な立法を置くことが患者等に対する差別や偏見につながったとの意見を真摯に受け止め一施策の実施に当たっては、感染症の患者等の人権を十分尊重すること。
 二、感染症の新たな分類について、国民や医療関係者の理解が深まるよう、その定義の明確化に努めるとともに、その内容を本委員会に報告すること。また、これらが新たな差別や偏見につながらないよう、特段の配慮を行うこと。
 三、健康診断、入院、移送等が、患者等の人権に配慮し、客観的に運用されるよう手続の明確化を図るとともに、これらの手続、退院の請求、審査請求等について、患者等に対して十分な説明が行われるように配慮すること。また、感染症指定医療機関等における通信等の自由を保障するため、必要な措置を講ずること。
 四、感染症発生動向調査の体制強化を図り、感染症の発生・拡大の防止のために必要な情報を適時・的確に国民に提供・公開すること。また、感染症情報の収集及び公表に当たっては、個人情報の保護に万全を期すとともに、国民の感染症への過度な不安を引き起こすことがないように十分留意すること。
 五、国の各行政機関、地方公共団体を始めとする関係各機関の役割分担を明確にし、緊密な連携を図るとともに、保健所が地域における感染症対策の中核的機関として十分に機能できるよう、その体制強化を図ること。
 六、感染症の患者及び感染者に対し、その人権に配慮した良質かつ適切な医療が提供されるよう、医師、看護婦等の医療従事者の教育・研修、感染症専門医の育成等に努めるとともに、感染症指定医療機関について、国立国際医療センターや大学病院の充実・徳用を含め、人材・設備の両面から計画的な整備を進めること。
 七、安全面に配慮した病原体等安全管理基準のレベル4に対応する施設の在り方についての検討、国立感染症研究所等の機能強化を始めとする感染症の病原体や抗体の検査体制の整備に努めること。また、感染症の治療・予防のための医薬品の開発等の研究を推進するとともに、必要に応じ拡大治験の活用を図ること。
 八、性感染症及びHIV感染症の予防について、特定感染症予防指針において総合的な対応を図るとともに、これらの患者・感染者に対する医療・施策が更に充実するよう努めること。
 九、新感染症の発生や特定の感染症の集団発生に対して、直ちに専門家からなるプロジェクトチームが結成できるよう、感染症に対する危機管理体制の確立を図ること。また、新感染症については、国の責任において、積極的な対策を講ずること。
 十、医療機関、老人福祉施設等における院内感染防止対策を強力に進めること。
 十一、必要なワクチンや予防接種に関する適切な情報を国民に提供・公開し、予防接種に対する国民の理解を深めることにより、接種率の向上に引き続き努力すること。
 十二、地球規模化する感染症問題に対応し、日本における感染症対策の水準の向上を図るため、海外の感染症研究機関との知見の交換や海外研修の充実を含め、感染症に関する国際協力を一層推進すること。
 十三、検疫については、国内の感染症予防対策と連携のとれた一元的な運用に努めるとともに、感染症発生の状況・段階に応じて的確に対応できるよう、検疫所の機能強化を図ること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#45
○委員長(山本正和君) ただいま水島君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#46
○委員長(山本正和君) 多数と認めます。よって、水島君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、小泉厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小泉厚生大臣。
#47
○国務大臣(小泉純一郎君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重し努力いたします。
#48
○委員長(山本正和君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#49
○委員長(山本正和君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 暫時休憩いたします。
   午前十一時二十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時五十八分開会
#50
○委員長(山本正和君) ただいまから国民福祉委員会を再開いたします。
 国民健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。小泉厚生大臣。
#51
○国務大臣(小泉純一郎君) ただいま議題となりました国民健康保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 今回の改正は、近年の高齢化の進展等に伴い、市町村国民健康保険における退職者に係る老人医療費拠出金の増大、老人加入率が著しく高い市町村国民健康保険の保険者数の増加を踏まえ、医療保険制度等の抜本改革が行われるまでの間において、老人医療費拠出金について現行制度のもとにおける所要の見直しを行うとともに、医療保険制度への信頼の確保と医療費の適正化に資するため、診療報酬の不正請求の防止のための措置及び病床過剰地域等における保険医療機関の指定のあり方等に関し必要な措置を講ずるものであります。
 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、老人医療費拠出金に関する見直してあります。
 老人医療費拠出金については、現在、市町村国民健康保険が一般被保険者の保険料等によって負担している老人医療費拠出金のうち、退職者に係る部分についてその額の二分の一を退職者医療制度を通じて被用者保険に負担していただくこととするとともに、老人医療費拠出金の算定に用いられる老人加入率の上限を現行の百分の二十五から百分の三十に改めることとしております。
 第二は、診療報酬の不正請求の防止に関する措置の強化であります。
 まず、診療報酬の不正請求等の不正行為を行ったことにより、保険医療機関の指定等が取り消された場合に、都道府県知事が再指定等を行わないことができる期間を現行の最長二年間から最長五年間に改めることとしております。また、診療報酬の不正請求に係る返還金に対する加算金の割合を現行の百分の十から百分の四十に改めることとしております。
 第三は、保険医療機関の病床の指定等に関する改正であります。
 都道府県知事は、病床過剰地域内の病院等について、新たな病床の全部または一部について保険医療機関の指定を行わないことができることとしております。また、都道府県知事は、既存の保険医療機関を含め、医師等の従業者の人数が厚生大臣が定める基準に満たないときや、適正な入院医療の効率的な提供を図る上で保険医療機関として著しく不適当であると認められるときは、病床の全部または一部について保険医療機関の指定を行わないととができることとしております。
 第四は、国民健康保険組合及び国民健康保険団体連合会の予算について、都道府県知事の認可を届け出に改めるほか、市町村国民健康保険の事務費負担金の一般財源化に伴う所要の改正を行うこととしております。
 最後に、この法律の施行期日でありますが、退職者に係る老人医療費拠出金の負担方法の見直しについては平成十年七月一日、老人加入率上限に関する特例の見直しに係る事項及び市町村国民健康保険の事務費負担金に関する事項は四月一日、診療報酬の不正請求の防止に関する事項、保険医療機関の病床の指定等に関する事項及び国民健康保険組合等の認可の見直しに関する事項については公布日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日としております。
 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院におきまして、次のとおり修正が行われております。
 第一に、本法律案のうち老人加入率上限に関する特例の見直しに係る事項等の施行日を、平成十年四月一日から公布の日に改めることとされております。
 第二に、施行日の修正に伴い、平成十年度の老人医療費拠出金の額の算定等について所要の措置を講ずることとされております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#52
○委員長(山本正和君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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