くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第142回国会 国民福祉委員会 第13号
平成十年五月十二日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月八日
    辞任         補欠選任
     朝日 俊弘君     今井  澄君
     泉  信也君     木暮 山人君
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     釘宮  磐君     和田 洋子君
     木暮 山人君     高橋 令則君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 正和君
    理 事
                尾辻 秀久君
                南野知惠子君
                水島  裕君
                渡辺 孝男君
                清水 澄子君
    委 員
                阿部 正俊君
                石井 道子君
                佐藤 泰三君
                田浦  直君
                常田 享詳君
                中島 眞人君
                中原  爽君
                宮崎 秀樹君
                今井  澄君
                直嶋 正行君
                和田 洋子君
                浜四津敏子君
                西山登紀子君
                高橋 令則君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  小泉純一郎君
   政府委員
       厚生省年金局長  矢野 朝水君
       社会保険庁運営
       部長       真野  章君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
   説明員
       外務大臣官房領
       事移住部領事移
       住政策課長    庄司 隆一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○社会保障に関する日本国とドイツ連邦共和国と
 の間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特
 例等に関する法律案(内閣提出)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本正和君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る八日、泉信也君及び朝日俊弘君が委員を辞任され、その補欠として木暮山人君及び今井澄君が選任されました。
 また、昨十一日、釘宮磐君及び木暮山人君が委員を辞任され、その補欠として和田洋子君及び高橋令則君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(山本正和君) 社会保障に関する日本国とドイツ連邦共和国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案を議題といたします。
 本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○渡辺孝男君 公明の渡辺孝男でございます。
 社会保障に関する日本国とドイツ連邦共和国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案について質問いたします。
 本法案は、国際化が進展する中で日本人等が外国に一時的に派遣された場合に、これまで日本と外国の年金制度に二重に加入しなければならず、しかも外国の年金制度への加入期間が短いと年金受給権に結びつかないというような不合理さを解消し、保険料負担の軽減等を図ることを目的として、我が国としては初めてドイツ連邦共和国との間で年金保険制度の適用の調整を行い、二国間の協議がまとまり本法案の提出になったということであります。
 本法案の目的とするところに関しましては特に異論のないところでありますけれども、法案に関しまして数点厚生省に質問したいと思います。
 まず最初ですけれども、日本とドイツ連邦共和国の年金制度の主な相違点につきまして簡潔にお答えいただきたいと思います。
#5
○政府委員(矢野朝水君) ドイツと日本との年金制度の違いでございますけれども、日本は御案内のとおり国民皆年金でございます。自営業の方も公的年金によってカバーされておるわけでございます。これに対しましてドイツは、サラリーマン、被用者だけが基本的に年金でカバーされるということでございまして、自営業者はごく一部の方が年金でカバーされるにすぎないわけでございます。
 それからまた、日本の場合、厚生年金はブルーカラーであろうともホワイトカラーであろうともサラリーマンであれはすべて同じ制度でカバーされておるわけですけれども、ドイツにおきましてはブルーカラーとホワイトカラーは別々の制度でカバーされておる、こういうことがございます。
 それから、日本の場合は二階建てでございまして、一階が基礎年金、二階が報酬比例年金ということでございますけれども、ドイツは一階建てで報酬比例年金だけと、こういう仕組みになっておるわけでございます。
#6
○渡辺孝男君 そのような制度の違いがあるということですけれども、この社会保障に関する日独間の政府間交渉は約三十年にも及んでいるというふうに聞いております。関係者の方は大変御苦労なされたのではないかと思います。
 そこでお伺いしたいんですけれども、政府間協議が三十年にも及んだ理由、それから両国間の調整に当たりまして特に苦労なされた点はどういう点なのか、その点に関しましてお伺いしたいと思います。
#7
○政府委員(矢野朝水君) 結果的にドイツと協定を結ぶのに三十年近くかかったということにつきましては、御批判は甘んじて受けざるを得ないんじゃないかと、こう思っております。私どももできるだけ早くやりたかったわけでございますけれども、諸般の事情でこういうことになってしまったということでございます。
 昔を振り返ってみますと、昭和四十年代から断続的に話し合いをドイツとの間で進めてきたわけですけれども、昭和五十二年でしょうか、ドイツの方で二重適用の緩和が一部行われたということがございまして、いわば海外からの一時派遣者で、給与は本国で支払っている方についてはドイツの年金を適用しない、こういう措置が講じられまして、これで一時熱が冷めたという時期もあったわけでございます。
 ところが、やはり二重加入の実態は相当広範に見られるということで平成六年度から本格的な交渉に入ったわけでございます。私も、個人的なことでございますけれども、三年ほどこの問題にタッチしておりまして、いかにこの問題が難しいか、あるいはこれまでどうしてできなかったかということが身にしみてよくわかったわけでございます。
 といいますのも、年金といいますのはその国の歴史を反映している、あるいは国民生活を反映している、ちょっと大げさに言いますと文化の一種と言っても差し支えないんじゃないかと思います。つまり、制度の立て方が違いますし、内容も相当違うということでございます。これを通算するということは、それぞれの制度についてどういうふうにつなぎ合わせるかということで、一つ一つ非常に厳密な話し合いといいますか、作業を伴うわけでございまして、大変膨大な作業になってしまうわけでございます。
 それからまた、私どもの体制といたしましては、実は平成六年にこの問題に本格的に着手するまでは責任者が一人もいなかった、専任者がいなかったということでございまして、七年度以降毎年体制を整え、人をふやしていただいてこういう話し合いができるような組織体制を整備してまいったということでございます。
 そういうことで、非常に長時間かかってしまいましたけれども、ようやくこういうことで今回話がまとまったということでございます。汚名挽回ということじゃございませんけれども、これをきっかけにいたしましてはかの国ともできるだけ早く協定を結ぶ、そういうことによりまして、これまでかなり時間がかかりましたけれども、挽回したいと、こう思っておるわけでございます。
#8
○渡辺孝男君 本法案では、一時的に相手国に、この場合はドイツでありますけれども、派遣された被用者等の場合には原則として五年間は自国の法令のみを適用するというような特例を設けております。この期間を五年間というふうに決めたその理由についてお伺いしたいと思います。
#9
○政府委員(矢野朝水君) この二重加入の防止を図る期間を原則五年といたしましたのは、これは私どもの実態調査、これは全数でございませんでサンプル調査でございますけれども、こういった実態調査によりますと、ドイツへ日本から派遣されている方の派遣期間につきましては、三年未満の方が二二%、それから五年未満の方が六六%ということでございまして、過半数の方が五年以内にはまた日本へ帰っていらっしゃる、こういう実態でございます。それからまた、ドイツから日本に派遣されている方につきましても同じような実態にあるわけでございます。
 そういうことで、相手国に一時的に派遣される方といいますのはいずれ本国へ帰国されるわけでございまして、原則として五年間という形にすればほとんどの方が二重加入をしなくてもいい、こういうことになるわけでございますので、一応原則五年間としたわけでございます。
 そこで、五年を超えた場合はどうするかということでございますけれども、これは申請に基づきまして一定範囲内で延長を認めるということにしておりまして、こういう措置によりましてほとんどの方が二重加入は防止できる、こういうことが見込まれるわけでございます。
#10
○渡辺孝男君 この五年間でほとんどの方は今まで不利をこうむっていたのが解消されるということでありますが、実際にこの法案が通りますと、日独両国間でどれくらいの方が恩恵を受けられるようになるか。今までドイツから日本に来られている、あるいは日本からドイツに行っている、そういう方のどれくらいの人数が法案の適用になるのか、その点に関しましてもお伺いしたいと思います。
#11
○政府委員(矢野朝水君) 日本からドイツヘ行っていらっしゃるドイツの在留邦人の方、こういう方は約二万四千名いらっしゃるわけでございます。そういう方で、日本とドイツの年金制度に二重に加入しておられる、こういう方が約三千人と推計いたしております。したがいまして、こういった方が今回の協定によりまして二重加入は防げる、こういうことでございます。
 それから、ドイツから日本へ来ていらっしゃる在日のドイツ人の方でございますけれども、これは約四千名いらっしゃるわけでございます。そういう方で二重加入が防止される方は約一千名程度じゃないかと、こう見込んでおるところでございます。
#12
○渡辺孝男君 これは大臣の方にお伺いしたいんですけれども、今回初めて日本とドイツでこういう協定ができたわけでございます。日本から海外に行って仕事をされている方というのは多いし、またこれからグローバルの時代でありますので、逆に外国から日本においでになる、そのような方も多いわけであります。
 今後、日本としまして同じような協定を結ぶ予定のお国があるのかどうか、あるいは結んでいきたいというようなお考えがあるのかどうか、その点に関しまして小泉大臣からお話をお聞きしたいと思います。
#13
○国務大臣(小泉純一郎君) 今般の協定は外国と初めてでありますので、この種の協定というのは今後ともできるだけ多くの国とも結んでいきたいと思っております。当面考えられるのはアメリカとイギリスだと思います。イギリスについては既にことし二月にこの協定締結に向けて予備的協議を行ってきたところでありますので、大体イギリス、アメリカという順序になるのではないか、またそうしていきたいと思っております。
#14
○渡辺孝男君 やはりドイツと日本でも年金制度が違っているということでありまして、今度アメリカあるいは英国ということでありますけれども、なかなか調整は御苦労されるのではないかと思いますけれども、やはり不便をこうむっている方が多いわけでありまして、その点一生懸命やっていただきたいな、そのように思います。
 これも大臣の方から御答弁いただきたいのですけれども、ドイツの方も年金制度の改正が近年なされております。例えば一九九二年には、平均賃金の上昇率で自動的に今までは引き上げがされていたわけですけれども、それが可処分所得の伸び率に変わっていったということであります。それから一九九七年、昨年でありますけれども、早期退職者の年金受給年齢が徐々に引き上げられて、二〇〇一年までには六十五歳になるというようなことも決まっておるようであります。それからまた昨年、現在は可処分所得の約七〇%が年金の水準でありますけれども、今後一九九九年から二〇三〇年まで段階的に六四%まで引き下げるというような年金改正の法案が審議されて成立したというふうに聞いておるわけであります。
 日本におきましても、これから年金制度の改正といいますか、それが予定されているわけでありますけれども、今後の年金制度改革の方向性とそれからタイムスケジュールに関しまして、厚生省の方針を大臣の方からお聞かせいただきたいと思います。
#15
○国務大臣(小泉純一郎君) 我が国も高齢・少子社会の方向に進んでいるわけでありますので、この年金制度を今後ともどうして安定したものにしていくか、いわば給付と負担の均衡をどうやって図っていくかということを考えますと、いろいろ国民的な関心も高く、多くの方々からいろんな意見が今寄せられております。
 今後の方向としては、大体秋ごろまでには年金審議会での審議を通じて一つの方向を出さなきゃいけないと思っております。そして、来年の通常国会には法案を提出いたしますので、今五つの選択肢を提示して議論をいただいておりますが、ことしじゅうには一つのはっきりとした姿を提示して、来年の通常国会に法案を出したいという方向で取りまとめます。
 いずれにしても、これは将来安心して年金が支給される、また若い方々にもきちんと保険料を払っていただくという給付と負担の均衡をできるだけ多くの国民の方々から理解を得ながら、この均衡を図りながら安定した年金制度の構築に向けて努力をしていきたいと思います。
#16
○渡辺孝男君 先ほど厚生省の方では、年金制度というのはその国の歴史を反映している、あるいは文化を反映しているというようなお話がありました。今回の不景気の状況に関しても、消費が落ちているというのはやはり国民が将来の年金に対して不安を持っているということも一つの要因かと思いますので、国民の不安を大きくしないような年金改正に何とかしていただきたいな、そのように思いますので、どうぞ御検討を慎重にやられることを要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。
#17
○清水澄子君 社会民主党の清水です。
 今回の法案には基本的に賛成でございます。重複するところは避けて質問したいと思います。私は、特に女性の年金権についてお伺いをしたいと思います。
 海外勤務の在外邦人の無業の妻の年金問題でございますけれども、海外に勤務期間中であっても日本の国内の企業との使用関係が夫の方が関係が続いている場合には、夫は第二号被保険者として妻は第三号被保険者として我が国の年金に加入することになるわけですが、夫が日本の企業を退職してそして海外の現地法人に再就職などした場合、夫の方は今のこの年金の改正で権利があるわけですけれども、その場合の妻、無業の妻の年金権はどうなるのでしょうかということです。
#18
○政府委員(矢野朝水君) これは海外に勤務される方の奥様の年金権のお話でございますけれども、海外に勤務される御主人が日本の制度にも入っていらっしゃる場合は、この奥様は三号被保険者ということで、みずから保険料は納めなくても基礎年金は支給される、こういうことでございます。
 ただし、勤務される方が脱サラされて海外へ行かれた、例えばドイツの会社に勤めてその方はもう日本の会社とは縁がないということでございますと、その奥様は自動的に三号被保険者になるわけではございませんので、その奥様は自分の年金権を確保するためには日本の国民年金に任意加入する、任意加入すれば基礎年金が支給される、こういうことになります。
 それから、任意加入しなくても、海外にいる間はいわゆる空期間ということで、保険料計算の基礎にはなりませんけれども、年金権を受けるには二十五年加入しなければいけないという加入期間がございます。この二十五年の加入期間には海外期間が算入されるということでございますので、任意加入されるか、任意加入されない場合でも空期間に算定されますので、そういう形で奥様の年金権は一応配慮されている、こういう仕組みでございます。
#19
○清水澄子君 結局、妻は自分で国民年金に任意加入するわけですから、世帯制度じゃなくて個人の年金の資格を得るための道はあるということなんですね。
 その場合に、そういう制度が在外邦人の妻にもあるわけですが、では、現在、在外邦人の無業の妻が日本の国内で任意加入している状況というのはどの程度あるのでしょうか。
 そしてまた、同じサラリーマンの無業の妻であるにもかかわらず、夫が日本の企業との雇用関係が続いていれば三号被保険者として固有のそういう手続とか保険料負担を必要としないわけですね。そういう意味でも非常に日本の、どっちの制度に問題があるとお思いでしょうか。
#20
○政府委員(真野章君) 任意加入の状況だけ御説明をさせていただきたいと思いますが、在外邦人の無業の妻で国民年金に任意加入している方というのは、残念ながら総数は把握をいたしておりません。一号ということでございますので男女というような把握をしておりませんが、現在、在外邦人で国民年金に任意加入されている総数は、平成八年度末におきまして二万六百七十一人ということでございます。
#21
○政府委員(矢野朝水君) ただいまの後段の問題でございますけれども、要はこの問題といいますのは、三号被保険者制度の是非論といいますか、こういった問題に集約されるんじゃないかと思います。
 三号被保険者制度というのは、御案内のとおり、昭和六十年改正で女性の年金権を確保するということで生まれた制度でございます。この三号被保険者制度をめぐりましては、働く女性との間で不公平じゃないか、保険料を納めなくても年金がもらえるということで、働いている女性あるいは自営業で国民年金の保険料を納めている女性との間で不公平になっているんじゃないかとか、あるいは女性が働くことに対して抑制的になっているんじゃないかとかいろんな御意見があるわけでございます。
 この問題というのは非常に複雑で厄介な問題でございまして、それでは三号被保険者制度をなくして専業主婦からも保険料を納めていただく、こういうことになりますとこれはこれでまたいろいろ問題がございまして、昔のように無年金者がふえるんじゃないかとか、あるいは御主人から保険料を徴収するということになりますと事業主負担を求めるのはいかがなものかとかいろんな御意見がございまして、この問題につきましては、今、年金審議会でも鋭意御検討をいただいておるわけでございまして、次期制度改正の一つの検討課題ということで、検討中でございます。
#22
○清水澄子君 厚生省の年金局の調査でも、夫がサラリーマンで妻が専業主婦というのは三二・七%ですから、年金をもらっている人が。ですから、そういう資格のある人たちの妻というのは、これからこういう国際化していく中で、同じ妻でも今度はサラリーマンの妻同士の、第三号被保険者の妻の問題でも不公平が生ずる、ましてや働いている女性との間にも不公平が生ずる。そういう意味で、やはり今後の改正の中で根本的にその問題を洗っていただきたいと思います。
 次に、年金の資格期間は日本では二十五年となっていると思うんですね。特にこのドイツとの協定が難航した理由の一つに障害年金をめぐる日本とドイツの考え方の相違があったと聞いているわけですけれども、そのほかにもたくさんの制度の違いはあると思います。
 そこで伺いたいわけですけれども、この老齢年金の受給権を取得するために、日本では二十五年間の加入が要件になっておると思うんです。ドイツでは五年で受給資格は生ずるわけですけれども、日本がドイツの五倍という長期の加入期間を要件としている積極的な理由というのは一体何なんでしょうか。
#23
○政府委員(矢野朝水君) この老齢年金の受給資格期間の問題ですけれども、ただいま御指摘のございましたように、ドイツは五年、アメリカは十年、日本は二十五年ということで、日本は世界の中では比較的長い部類に属しているわけでございます。
 ただ、この日本の二十五年といいますのは、国民年金というのは二十歳から六十歳まで四十年間加入が義務づけられておるわけでございまして、四十年のうちの二十五年ということでございますので、決して無理なものではないというふうに認識をしております。それからまた、負担能力がないということで二十五年加入できないという方もいらっしゃるわけですけれども、そういった方につきましては別途免除制度とかそういったことで別の対応が行われているわけでございますので、四十年の中での二十五年というのは決して無理ではないんじゃないか。こういうことで、これを短縮するようなことは必要ないんじゃないか、こう思っているわけでございます。
#24
○清水澄子君 次ですけれども、ドイツにおいては遺族年金の上でも男女平等になっておると思うわけです。自分の老齢年金を全額受け取った上で、収入による一時的な支給停止というのはあるわけですが、基本的に働いている妻も夫も遺族年金も受け取ることができますし、日本のようにどちらか一方を捨てなければならない、同じ保険料を納めながら掛け捨てになるという、特に働く妻の場合なんですが、それは非常に賃金水準そのものが低いということが年金にすべて反映するんですが、それはやっぱり男女差別の結果だと思います。
 これは年金そのものも、厚生省の調査でも、男子の場合は年間平均百九十万円、女子は八十万円という全く、半額、もっと低いわけですね。
 そういう中で、どうしても二つの年金からは支給されないという制度の上で、日本の働く妻の場合は、自分が年金の保険料を払っても夫の遺族年金がどちらかという形で、女性の年金権は掛け捨てということが非常に問題になっているわけですね。
 そういう場合でも、ドイツの場合はその辺をちゃんと整理されています。それははっきり保険原理主義で、保険料を払った者がきちんとその人の権利としてある。その場合に、夫が死亡しても妻は当然夫の掛けた年金の遺族年金ももらえるようなシステムになっていますし、妻が死亡して夫が残った場合も、夫も妻の保険、払った分の遺族年金をもらうという、そういう意味では非常に平等なシステムになっていると思うんですね。
 離婚においても、ドイツでは婚姻中の年金権を二分割することになっています。ですからその点でも、離婚した妻の所得保障の点で日本の制度と根本的に違っているわけです。
 今、来年に向けて年金制度を変えようとしているわけですけれども、そのときにはやはりそういう新しい他の国の積極的に進んだ分というのはどんどん取り入れていただきたいと思うわけですが、これは私はどうしても大臣からこの決意を伺いたいと思います。
#25
○国務大臣(小泉純一郎君) 離婚したときの問題ですけれども、これはいろいろ離婚の事情も違いますが、最近では離婚が増加しているということから、現在、年金審議会においても何らかの対応が必要ではないかという御指摘もあります。今後とも、この問題については外国の例も参考にしながら検討していきたいと思います。
#26
○清水澄子君 ドイツの場合は、遺族年金のところもぜひ参考にしていただきたいんですけれども、非常に進んでいると思うのは、育児期間の給付は三年間、子供を育てている間というのは国が保障をしている。ですから、それは男も女もなし、子育てをしたということは社会的に責任をみんなで持ち合おうと。それは次の年金を背負う世代を育てているということで、世代間の契約といいますか連帯をさらに三世代にわたって、そういうふうな積極的な制度になっております。介護の場合も、介護をしているときは年金の権利を三年間延ばすといいますか、保険を掛けたことになるという非常にさまざまな施策が講じられている。
 まさに少子・高齢化社会にふさわしい制度だと思うんですけれども、日本でもやはりもう少し、子育て支援というかけ声だけではなくて、こういう現実的な具体的な政策を進めていただきたいと思いますが、これも大臣、ひとつぜひ御検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。
#27
○国務大臣(小泉純一郎君) 今の御意見も参考にしながら検討させていただきたいと思います。
#28
○清水澄子君 終わります。
#29
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。
 今回、我が国として初めてこういった社会保障協定を結ぶということ、二重加入それから掛け捨てがなくなるということ、これは私たちも歓迎でございます。
 そこで、少し重複いたしますけれども、こういう交渉が実るまでに何度かいろんな形の皆さんの努力があったんですが、三十年かかっているということをいただいた資料からも伺いました。先ほど御説明があったのでは、長い年数がかかったことについて甘んじて批判は受けるということを御答弁になったわけです。その中で、諸般の事情があった、それに加えて責任者がいなかったというようなことがありました。
 そこで、私も見ておりまして、三十年いろいろ断続的に協議が続いた後に、いざやりましょうというふうになってからは二年、三年と割合に短い時間にこういう協定に仕上げていらっしゃるということについては、私は非常に努力はされているなというふうに思うんですけれども、先ほどの御答弁でむしろ日本側の体制の問題というふうに、三十年かかった問題というのはそういうふうになるんでしょうか、日本側の責任が重かったんでしょうか。今後、体制ができたのでこれからの各国との交渉というのは楽観していいのかどうか、そういうことも加えて、なぜこのように時間がかかったのかということについてもう少し御答弁を加えていただけたらと思います。
#30
○政府委員(矢野朝水君) 三十年かかった背景につきましては先ほどもるる申し上げたわけでございますけれども、一時的にはドイツの制度改正によりまして二重適用の問題が一部緩和された、こういうことで熱が冷めた時期もあったわけでございます。要は年金制度というのがなかなか制度の立て方、中身も違うわけでございまして、通算する場合にはそれをつなぎ合わせる、こういう作業が必要になってくるわけでございます。先ほども質疑の中で出ましたけれども、障害年金をめぐる問題とかいろいろございまして、それで非常に難渋をした、こういうことでございます。
 それから、組織体制の問題につきましても、これは専任者がいなかったわけでございまして、私どもは話し合いを進めると同時にこういう体制の整備も図ってまいったということでございます。ただ、もちろん日本側の責任だけでこの協定がおくれたということではございませんし、こういった問題というのは相手があるわけでございますので、日本の責任も私どもは認めるのにやぶさかではございませんけれども、相手のある話であったということでございます。
 それからまた、今後楽観していいかということでございますけれども、これは今回、ドイツとの間でこういうモデルができたということでございまして、私どももドイツとの交渉の中でいろいろなノウハウを学んだ、こういうこともございますので、これからイギリス、アメリカ等々と交渉していく場合にはかなり見通しが持てるようになったということでございます。ただ、これも相手のある話でございまして、最終的には交渉をやってみなければ、どうなるかというのは今の時点では何とも申し上げられないわけでございまして、そういった問題ではなかろうか、こう思っております。
#31
○西山登紀子君 日本側の体制については楽観できる、そういうことは言えますか。
#32
○政府委員(矢野朝水君) これは、ようやく関係省庁の御了解、御理解も得まして、国際年金企画室というのが年金局の中に設置されまして、今専任の定員だけで六名、室長以下配置される、こういう体制になったわけでございます。これで十分かといいますと、まだまだ私どもとしてはこれからアメリカ、イギリス等々と結んでいかなきゃいけない、十数カ国、二けたはぜひ結びたいと思っているわけでございますので決して十分ではないんですけれども、その核はできたわけでございまして、これからは従来とは違ってより積極的に対応できるのじゃないか、こう思っております。
#33
○西山登紀子君 私も、主に京都の大学の関係者の方からこういうことについての関連する御要望をお聞きいたしました。確かに、日独の労働者の交流の中で多くは短期派遣ということなんですけれども、そのほかの各国とのいろいろな交流の中でもやはり一年とか二年とか、留学なんかでもそういう年数が多いということでありました。
 原則五年ということなんですけれども、この五年という数字、私は非常に重要な数字だと思うんですけれども、法案の中に書き込まれていないわけです。原則五年ということで、五年を超えた場合に特別な事情として配慮がされるのか、どんな場合にその五年が弾力的に運用されるのかということをお聞きいたします。
#34
○政府委員(矢野朝水君) 日本からドイツに派遣される場合、いろいろな場合が想定されるわけでございます。通常は四、五年、五年以内ということで派遣されるといたしましても、実際向こうでいろいろ仕事をやっておりますと、急に帰るわけにはいかない、五年だったから自動的に帰るわけにはいかない、引き続き懸案中の仕事が残っている、こういった場合ですとかは申請によりましてある一定範囲内はほぼ自動的に延長できる、こういう措置をドイツとの間で講じたいということで今話し合っているところでございます。
#35
○西山登紀子君 その場合の特別な事情というのは、具体的にはお話ができるでしょうか、特別の事情、配慮される事情。
#36
○政府委員(矢野朝水君) これは、一定の範囲内で延長が可能といいますのは、私どもは大体三年間を予定しておるわけでございまして、したがいまして、五年プラス三年はほぼ自動的に延長できる。だから、トータルで見ますと、八年間は特段のことがなければ自動的に延長できる、こういう措置を講じたいと思って話し合いをしておるところでございます。
#37
○西山登紀子君 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 今後、世界の国々とこういうふうな協定を結んでいく必要性はもちろん出てくるわけですけれども、その際に交流人口というものを考慮されるのかどうかなんですが、実は交流の非常に少ない国もぜひ私は対象に挙げていただきたいなと思うんです。
 それは、実は私ごとで非常に恐縮なんですけれども、今、私、これスイスの年金手帳を持っております。私も、家族で一年近くスイスに夫が留学しておりましたときに、実は強制的にスイスの年金に加入をしておりました。そのときの年金の率は五・二五%でございまして、年収のうち日本でおよそ当時で約二十六万円ぐらい払ったわけです。そこで、八五年に実は日本に戻ってきてからですけれども、私の方からスイスの方にこの五年間の、スイス養老遺族保険という保険なんですけれども、その保険料の払い戻しについてちょっと問い合わせたことがあるんです。そうすると、やはりスイスは非常に律儀な国でございますので、きちっとスイス総領事というところから文書で回答をいただきました。
 それには、こういうふうにきちっと書かれておりました。
 法律の定めるところに基づき、支払い済み保険料は、外国人被保険者の故国、即ちここでは日本が、スイス国民に対等の権利を認めるならば払い戻すことができます。
  即ち貴方は、もし少なくとも満五年間、スイスAHVに保険料を支払っておられれば、男性六十五才、女性六十二才の定年に達するとすぐ保険料の払い戻しを請求することができます。それ以外の場合は払い戻しできません。
  以上の説明でお分り預けたと存じますが、なお不明の点、あるいはご質問があれば総領事館あてご連絡ください。
という丁寧なお手紙をいただいている。一九八五年のことでございます。
 こういう年金に入っていたわけです。ドイツとのこういう協定ができたので、次はまたスイスとこういう協定ができればこれも生かされるのかなと思って、ちゃんと資料を保存しておいてよかったななんて思っているわけですけれども、しかし、スイスに日本人で行っていらっしゃる方はまだまだ少ないんです。ですから、協定を結んでいただく相手国を選ぶときに、交流人口の数で順位づけなんかされますと、スイスは本当に下の方になってしまうんじゃないかなとちょっと心配しているんです。
 これは私の一つの例ですけれども、これからもスイスに行かれる方もいらっしゃるわけで、スイスという国とのこれまでのいろんな交渉だとかそういうのが何かございましたでしょうか。
#38
○政府委員(矢野朝水君) これから私どもはできるだけ早く多くの国とこの種の協定を結んでいきたいわけでございます。その場合、日本の国益ということを考えますと、どうしても在留邦人の多い国ということにならざるを得ないかと思います。それからまた、相手のある話でございますので、相手が希望しているかどうかと、こういった点も大きな要素になろうかと思います。そういう点からいきますと、先ほど大臣が答弁いたしましたようにイギリスとかアメリカ、こういったところが最優先じゃないかと思っております。
 スイスにつきましては、残念ながら在留邦人数あるいは日本にいらっしゃるスイスの方、在日スイス人の方、こういう方も非常に少のうございますし、これまでスイスからぜひ結ぼうと、こういうことでお話もございません。そういうことで、私どもとしてはスイスを除外するとか、こういうことは毛頭考えておりませんけれども、優先度の高いところから、そして相手が望むところから一生懸命鋭意進めていきたいと、こう思っておるわけでございます。
#39
○西山登紀子君 除外はしないということですから、少しは希望を持って、ぜひこういう協定を結ばれるように、私もスイス議連のメンバーとして努力をしていきたいと思っております。
 次に、やはり大学の先生方のお声を聞きますと、企業だけではなくて、この間の大学の教官の交流というのが非常に多いわけですね。特にやはりアジアに視点を置いて教官の方に来ていただこうというふうな大学も大変ふえているわけでございます。今も少しお話をいただいたわけですけれども、今後どのような国と結ばれるのか、またそのときに、アジアの国々でどのような国が対象、順位というふうになっているのか、そういうこともお聞きしたいと思います。
#40
○政府委員(矢野朝水君) まず、アジアの国でございますけれども、実はアジアの国は社会保障というのが非常におくれているわけでございまして、生活保護さえない国というのが少なくないわけでございます。社会保障の歴史的な展開というのを世界的に見ましても、まず生活保障、生活保護ですね。それから医療保障、それから最後が年金と、こういう段階をたどるわけでございまして、アジアの中で一般国民を含めたきちんとした年金制度を持っている国というのはまだまだ少ないわけでございます。そういう中で、アジアから協定の申し入れがあったのは韓国一カ国でございます。
 それからまた、ほかの国との関係では、先ほどから申し上げておりますように、やはりイギリス、アメリカ、こういったところをまずできるだけ早く仕上げたいと、こういうことで取り組んでまいりたいと思います。
 それからまた、在留邦人が多い国、それから既に申し入れがあった国、これは例えばベルギー、オランダ、イタリア、カナダ、フランス、こういったところから既に結ぼうじゃないかと、こういうお話もございます。こういった国々とできるだけ早く結べるように努力してまいりたいと思います。
#41
○西山登紀子君 確かに、いろいろな交流をやっている相手というのはやっぱりアメリカが一審多いんですよね。それから、今イギリスというお名前が出たんですけれども、大体見通しとしてはあと何年ぐらいで結べるか、その点はどうでしょうか。
#42
○政府委員(矢野朝水君) 私どもはできることなら毎年一カ国ずつでも結びたいと、そういう意気込みで取り組んでおるわけでございますけれども、何しろ相手のある話でございまして、それからまた、これは国益のかかった話でもございます。いいかげんな協定を結ぶわけにもまいらないわけでございますので、そこはできるだけ早くできるだけ多くの国と、ただ相手のある話ですし、内容的にもきちんとしたものをと、こういうことで対応してまいりたいと思います。
#43
○西川きよし君 よろしくお願いいたします。
 昨年末、厚生省から出されたこの年金白書のタイトルは、「二十一世紀の年金を「選択」する」と、こうされておるわけですけれども、二十一世紀の日本の社会はどうなるのか、またどのようにしなければならないのか、その上で年金のあり方はどうあるべきなのか、そのことを国民的に議論をしていただきたい、そうした思いがこのタイトルに込められていると私なりに解釈をさせていただいているわけです。
 そういう意味からいたしますと、二十一世紀への展望といたしまして、情報化の社会あるいは環境重視の社会、男女参画の社会、国際化の社会、人それぞれに思いがあることと思います。例えば情報化でありますとか、年金の分野にしても基礎年金番号やオンライン化が推進されていることで、自分自身の年金が将来はどのようになるのか瞬時にわか各ということであります。あるいは男女参画社会が実現することによって、男性も女性も働き、育児も介護ももちろん男女の協力によって行う社会になったときの年金制度の姿はどうあるべきなのか、さまざまな視点からのとらえ方があると思います。
 そうした中で、国際化という面におきまして、日本人が海外で働き、外国の方が日本で働いている社会にあって、年金制度のあり方はどうあるべきなのか、まさしく今回の条約はそうした国際化に一歩を踏み込んだあらわれだと私自身は思います。
 年金白書のタイトルにある二十一世紀の年金ということについて、まず、トップであります厚生大臣にお伺いしたいと思います。
#44
○国務大臣(小泉純一郎君) 今お話しのように、世の中いろいろ情勢が変わってまいります。特に、最近は少子・高齢化の進展、あるいは経済の低成長、情報化、そして女性の社会進出、いろいろ状況が時代時代によって変わってくると思いますが、だれもが安心して年金を受け取ることができるという年金制度を今後とも安定的に運営していくためにはどういう制度が必要か、また改正が必要かという視点で今取り組んでおります。
 そういうことから、今、年金審議会で五つの選択肢を提示して各界各層からいろいろな御意見を承り、審議を進めておりまして、秋には大体一つの方向に取りまとめたいと。そして、来年の通常国会に法案を提出して、制度改正に取り組みまして、今後、給付と負担の均衡がとれるように、安心してどのような時代においても年金が支給されるという安定した制度に向けて鋭意取り組んでいきたいと思います。
#45
○西川きよし君 よろしくお願いいたします。
 次の、なぜこんなにかかったのかというのは、渡辺先生の方からも西山先生の方からも御質問が出ましたので、割愛させていただきます。
 次に、今回の特例の内容を見せていただきますと、やはり障害厚生年金等の支給要件の特例がこれまでの年金法の大原則を崩しているということに大きな関心を持つわけですけれども、ある意味では非常に大胆に踏み切ったというふうに評価もできるわけです。この点についてはいかがでしょうか。
#46
○政府委員(矢野朝水君) この障害年金の取り扱いというのが一つの大きな検討課題といいますか、問題になったわけでございます。
 ただ、この問題を考えるに当たりましては、そもそも年金通算協定を結ぶということはどういうことか、こういうことを考えますると、これは両国の国民を同等に取り扱うと。つまり、ドイツ国民を日本年金制度において日本国民と同じように取り扱うし、ドイツにおきましてもドイツ国民と同じように日本国民を取り扱う、こういうことをお互いに認めようじゃないか、これが通算協定の基本的な考え方でございます。
 したがいまして、ドイツ制度に入っている方については日本制度に入っているのと同じようにみなしますよ、あるいはドイツにおきましても、日本制度に入っている場合にはドイツ制度に入っているのと同じようにみなしますよと、こういうことで、お互いに同じような取り扱いをしよう、こういうことになるわけでございます。
 こういう趣旨にかんがみまして、ドイツ制度に加入中に事故があった場合には、これは日本制度に加入中に事故があったものとみなしますということで、したがいまして、日本制度からも、日本に過去加入していた場合にはその加入期間に応じて障害年金を支給しましょう、こういうことをお互いに認め合ったわけでございます。
 そういうことで、これは一つの大きな検討課題ではあったわけでございますけれども、通算協定を結ぶという場合にはこれは避けて通れない問題だということで、私どももそれなりに決断をしてこういう方針を固めたということでございます。
#47
○西川きよし君 次は、少し運用面についてお伺いをいたしたいと思います。
 例えば、ドイツ制度に加入していた日本人が、ドイツ制度に加入中に初診日があって、そして日本に帰ってまいります。そして、帰国後、障害年金の受給資格の要件に該当するような場合、初診日の確認等ですけれども、これはだれがどのような方法でということになるんでしょうか。
#48
○政府委員(真野章君) 障害基礎年金、厚生年金、両方でございますが、受給権者の裁定請求に基づきまして社会保険庁長官が行うということになっております。初診日に関しましては、医師が作成いたします障害の原因となった疾病または負傷に係る初診日を明らかにすることができる書類を添付していただくということになっておりまして、この書類によりまして初診日を確認するということになります。
 現在でも、例えば日本の制度に加入しつつ外国で初診を受けられたという場合には、その外国のお医者さんの作成した書類でもって判定をいたしております。
#49
○西川きよし君 聞くところによりますと、ドイツの方では受給の申請の窓口が全国に数万カ所ある、お一人とかお二人とかという方がそういう窓口にいらっしゃるそうです。
 例えば、両国制度の通算によって、ドイツに在住する日本人が日本制度の受給要件の資格に該当した場合に、いわゆる申請者の手続はかなりまた複雑になると思うわけですけれども、このあたり、両国間ではどういうふうな方法または検討がされているのか、お伺いいたしたいと思います。
#50
○政府委員(真野章君) 先ほど年金局長から御答弁申し上げましたように、今回、両国民を同等に扱うということでございます。ドイツにおられる方が日本の保険者に直接申請をしていただいても結構でございますし、今、先生おっしゃられたドイツの社会保険事務所の窓口に、ドイツの保険者の方に申請をしていただいてもドイツの保険者でこれを受理していただくということになりまして、いわばドイツの保険者、日本の保険者両方で申請を受け取ることができるということになっております。そして、他国の申請を受理した場合には、保険者間で速やかにチェックを行って送付するということで、ドイツ、日本両方の受給権者の申請の窓口が便利になるのではないかというふうに考えております。
#51
○西川きよし君 ありがとうございました。
 今後、ほかの国々との交渉も前向きに進めていかれるという御答弁が出ておるわけです。年金の国際化に向けて、担当部局におかれましても本当に大変な御苦労であると思いますけれども、頑張っていただきたいと思います。せっかくの取り組みでありますから、申請者が利用しやすい、ただいま答弁にもございましたように、手続の簡素化等々も含めましてこれからも推進をよろしくお願いいたしたいと思います。
 最後にお答えをいただいて質問を終わりたいと思います。
#52
○政府委員(矢野朝水君) ただいまお話にございました申請者が利用しやすい仕組み、これは非常に大事な視点だと思っております。
 したがいまして、今、運営部長も答弁いたしましたけれども、お互いの国の窓口は自由にそのまま使っていただく。日本にいらっしゃるドイツの方は、日本の社会保険事務所に申し出をすればその日のうちにドイツ当局に申請があったものとみなされて、社会保険庁の方からドイツにその申請書類を送るということでございます。
 逆もまた同様でございまして、ドイツにいらっしゃる日本人の方が日本に申請する場合は、ドイツの窓口に申請すればそれがすぐその日に日本に申請があったものとみなして、ドイツの保険者が日本の社会保険庁に書類を送っていただける、こういうことになっているわけでございます。
 それから言葉も、ドイツ語、日本語いろいろありますけれども、どちらの言葉を使ってもいいということでございまして、日本にいらっしゃるドイツ人の方は社会保険庁に申請するときにドイツ語でいいわけです。ドイツ語だからといって申請書を却下する、そういうことは許されない。逆に、ドイツにいらっしゃる日本の方が申請する場合も日本語でいい。ドイツの当局も日本語だからだめということはだめだと、そういうことはいけないということが協定に盛り込まれているわけでございます。
 そういうことで、申請者が利用しやすい仕組みということを十分考慮しながら、先ほど来申し上げているように、できるだけ早く、できるだけ多くの国とこの種の協定を結ぶことができるように最大限頑張っていきたい、こう思っております。
#53
○西川きよし君 どうもありがとうございました。
#54
○直嶋正行君 民主党の直嶋でございます。
 それでは、私の方からも幾つか今回の法案について御質問させていただきたいと思います。
 実は私、議員になる前にこの問題はかなり個人的には関心を持っておりました。といいますのは、長年労働組合の役員をやっていたものですから、以前から、特に日本企業の海外駐在員が増加し始めました昭和五十年代ぐらいから年金の問題というのは私たちの間では結構大きな問題になっていました。
 以前は、例えば駐在している間に日本国内の年金資格を失うとかいろいろな問題があったんですが、そういうものが順次改善されてきまして、今回初めてドイツとの間でいわゆる二重払いの防止等の通算協定ができたということは、基本的には大変歓迎すべきことだというふうに思っております。
 ただ、今申し上げたような私の経験から申し上げますと、先ほど来御議論ありましたように、かなりこれは遅きに失したんではないかという思いを一方では大変強く持っております。例えば、サミット等に加盟しております欧米諸国を見ましても、ほとんどのヨーロッパ諸国それからアメリカ、カナダともこれら相互の間では、大体私もずっと資料を見ましたけれども、一九五〇年代から六〇年代、遅くとも八〇年代までにはそれぞれ同様の社会保障協定的なものを締結しております。
 日本の場合には、特にドイツとの間では、昭和四十年代から話し合いを進めてきてやっと今回できたと。この労は多としながらも、やはりいろいろと反省すべき点もあったんではないかな、こんな思いもするわけであります。特に、表面的な見方かもしれませんが、ずっと経過を見てみますと、例えばドイツとの話し合いも、一時進んでいたんですが、ドイツの方の制度改定によりこの二重適用が一部免除となって、それから協議が余り進んでいないとか。
 それから、これは以前に厚生省がいろいろ国会で答弁されているものを見ましても、アメリカを例に挙げますと、やはり一時、昭和五十四年から協議したのが年金財政の問題で中断をしていた。ただ、日本の保険料負担が最近高くなってきて、アメリカの方からもこういう申し入れがあって話し合いが進み始めたというようなことも、これは平成八年に答弁されています。
 イギリスでいいますと、従来イギリスの年金というのは本人負担だけだった。ところが、イギリスの方で制度改正があって、事業主負担が新たに発生した。現地の商工会議所等が英国政府に働きかけた結果、こういう話し合いが進み出した。こういう経過のようなんです。
 したがいまして、これらを見るとやはり、さっき相手があることだからというお話が盛んにあったんですが、どうも我が方も相手がテーブルに乗ってくるようなことが起きるまでは積極的ではなかったんではないかな、こんな印象を率直に言って持つんです。
 一方で、昭和五十九年に当時の渡部厚生大臣が、やはり国会でこの問題が議論になったときに、これは我が国が海外赴任者の立場に立ってこういった問題を解消していくというのは政府として大きな使命である、こういう言い方をされて、国会が終わったらすぐにでも私自身が話し合いをしたいというふうなことを答弁されているんですけれども、どうも大臣のいわゆる大きなお気持ちと事務当局との話し合いというのはかなり開きがあったんではないかなと、率直にこういうふうに思っております。
 一つはこういった点を踏まえて、できるだけこれから関係国とも早く同様の協定を結んでいただきたいと思っているんですが、反省すべきあるいはこれからこの経験を踏まえて課題としてお持ちになっておられるようなことがあればお伺いしたい。
 それから、外務省にお伺いしたいんですが、特に外交交渉の場合、日本側といいますか、我々の方にはかなり強いニーズがあるんだけれども、相手にそういうニーズがないといいますか、必要性がないとなかなか二国間の話し合いというのは進みづらいというのはよくわかるんですけれども、やっぱりこの種の外交交渉というのはそういうものなのかどうか、ちょっと率直な御見解をいただきたいと思います。
 それから、外務省にもう一点だけお伺いしたいんですが、例えば、アジアの国は別にしますと、欧米諸国というのは大体同じようにどの国も年金制度を持っていますから、例えばG7の間でとかマルチでこういう話し合いというのはできないものなのかどうか、この点もちょっと御見解をお伺いしたいと思います。
#55
○政府委員(矢野朝水君) このドイツとの協定、遅きに失したんじゃないかと、こういうことでございますけれども、先ほどから申し上げているように、そういう御批判というのはこれは甘んじて受けざるを得ないと、私も反論する元気はないわけでございます。いろいろ反省しなきゃいけない点もございますし、積極的でなかったと、こういう印象を持たれてもそれはやむを得ないことじゃないか、こう思っております。
 反省しなきゃいけない点につきまして特に申し上げますと、やはり事をなすには昔からよく人、物、金と言いますけれども、やはりこういう体制の整備ということが一番重要じゃなかろうかなと思うわけでございます。年金局というのは、五年に一度の財政再計算ということで、大きな仕事を抱えているわけでございまして、過去を振り返って見ますと、五年に一度の財政再計算をやりまして、終わった直後余裕ができるということになると通算協定なんか一生懸命取り組んでいたわけですけれども、財政再計算が迫ってまいりますともうそれどころじゃない、こういうことも実は正直申し上げてあったわけでございます。そういうことから私どもとしては体制の整備ということに一番力を入れてやってきた、ドイツとの協定と並行して体制整備を図ってきた。これで先ほど申し上げたような組織体制をつくりまして、ようやくこれでほかの国とも十分やっていける、そういう体制が整ったんじゃないか、こう思っておるわけでございます。
 それから、早く同様の協定をということでございまして、これは全く私どもも同じ思いでございまして、先ほどから申し上げているように、できるだけ早くできるだけ多くの国と結んでいきたいと思います。
 それから、一番最後にマルチの協定をという御意見、御指摘がありましたけれども、年金制度といいますのは、先ほど来申し上げていますように、その国の歴史ですとか、大げさに言うともう文化そのものだ、こう言えるかと思うんです。したがって、制度の立て方が違います。中身が違います。これをマルチの協定で一本でまとめるというのは事実上困難、不可能でございまして、これは制度がそれぞれ違う以上、通算協定も個別に一つ一つ一カ国ずつ話し合いをしてまとめていかなきゃいけない。本当は、まとめてマルチでぼんと結ぶというのはこれは一番効率的でいいんですけれども、現実問題としては、年金制度の中身、内容からしてそういうわけにはまいらないというのが実態でございます。
#56
○説明員(庄司隆一君) 先生より御指摘がございました各国との社会保障協定の締結に向けた取り組み、これを進めていきますことは、まさに我が国の年金制度を国際化の時代に即したものにする、こういう観点からも大事なものと、こう考えております。
 ただ、確かに日独間での交渉というものは、この署名に至るまでにかなりの年月を要したわけでございます。ここに至る過程におきましては、一つはこれが我が国にとって初めてのことであったということもございますが、基本的には異なった制度間、そして日独双方の制度が変わり行く、そういう中で専門的、そして技術的な詰めを行う、これにかなりの労力を要したということだと思います。当然、まずはこういう専門的、技術的な詰めというものが前提になろうかと思っております。
 ただ、他方現状を見てみますと、確かに主要国の間で既に年金分野でのいろんな協定が取り交わされておりまして、その中で我が国がおくれをとっているということであろうと率直に認識しておりますので、外務省といたしましても、今後各国との年金分野での協議、これを進めてまいりたい。そして、とりわけ在留邦人も多い、そしてかつ従前よりこの問題についての話し合いをしているアメリカ及びイギリスとの協議を鋭意進めてまいりたい、こう思っております。
 マルチの協定が可能ではないだろうかという御質問がございました。
 既に、年金局長の方から御答弁がございましたけれども、やはり我々としましても、現状におきましては各国の年金制度というものがそれぞれ大きく異なっている、そして給付水準等も違います。そういう現状を見ますと、直ちにここでマルチの協定というものを持ってくるにはなかなか無理があろうかと存じますけれども、各国との交渉または協定を締結していく中でそれなりの経験、一つのルールというものが、参考になるものが生まれてくるものだろう、こう思っております。
 将来の可能性は別としまして、そういう経験は生まれてくると思いますけれども、御答弁ということではマルチの協定というものは現段階ではなかなか困難があろうか、こう考えております。
#57
○直嶋正行君 今、異なった制度の間での話し合いだからなかなか難しいというお話あったんですけれども、私もそれはそうだと、こう思うんです。
 しかし、結局こういうものを進めていこうとすると、やはり考え方とか制度の違うもの同士が合意をつくっていく、こういうことになるわけです。さっき障害年金の問題もかなりドイツとの間ではネックになっていて、厚生省も思い切って考え方を変えたといいますか、そういうお話ありましたが、こういう場合、確かに当事者としては全くそうだと思うんです。ただやはり一方で、国民的ニーズというようなものを背景に考え方も変えていかなければいけないんじゃないかなと。
 例えば、さっき答弁の中で、人がいなくて大変で、五年ごとの再計算があってそのときは中断をして、その間また話し合いをしてというようなお話がありましたが、こういう五年ごとの年金の再計算をやっているというのは多分私は日本だけじゃないかなと思うんですね。これは料率を見直すんですけれども、日本の場合は最近特に五年ごとの再計算時にいろいろ制度もいじりますね。そうすると、話し合いしているとまたそこで話し合いの前提が崩れる、こういうことが頻繁に起きてくると思うんです。これはお互いにそういうことがあると思うんです。だから、そこら辺をどう割り切ってやっていくかというのが私はこの種の問題の難しいところじゃないかと思うんです。
 大臣、こういうものというのはそういう意味で言うとどうなんでしょう。私は、相当思い切ってやはり大臣なんかが考え方を打ち出して交渉をさせないとなかなか進んでいかないんじゃないかと思うんです。例えばこういう五年ごとの再計算、これが悪いというわけではなくて、そういうものをどう乗り越えていくかみたいなことで、御見解があればお伺いしたいと思うんです。
#58
○国務大臣(小泉純一郎君) 五年ごとは短過ぎるんじゃないかという意見も一部にあると思います。では、十年ごとがいいのか五年ごとがいいのか二十年ごとがいいのか、これはいろいろ議論があると思います。その点は大体、時代も昔は十年一昔というんで、十年は長過ぎるということから五年ごとになったんだと思いますけれども、これは今後の議論にまちたいと思います。
 しかしながら、この年金制度というのは、先ほどもヨーロッパ諸国、アメリカとの交流は進んでいるけれども日本とはおくれているじゃないかという御指摘もありましたけれども、やはりどっちかというとヨーロッパと日本、アメリカと日本と比べれば、ヨーロッパ諸国とアメリカの方が関係は近いと思います、アルファベットでも同じですから。向こうの人にとってみれば、やっぱり日本異質という感じがあるでしょう。極東という地理的な速さのみならず、人種的にもそれから言語的にも。そういう観点から、ヨーロッパとアメリカの方がいろいろな関係のつき合いは深いというのは、これは当然だと思います。
 そういう中で、初めて日本とドイツがこのような協定を結んだわけでありますけれども、今後できるだけ多くの国とこのような協定を結んでいく、今まで長年かかってできなかったいろいろな点を踏まえあるいは反省しながら、今後多くの国と協定を結んでいく必要があると考えております。
#59
○直嶋正行君 終わります。
#60
○委員長(山本正和君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 社会保障に関する日本国とドイツ連邦共和国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#61
○委員長(山本正和君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#62
○委員長(山本正和君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#63
○委員長(山本正和君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国民健康保険法等の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#64
○委員長(山本正和君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#65
○委員長(山本正和君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト