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#1
第142回国会 国民福祉委員会 第15号
平成十年五月二十一日(木曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十日
    辞任         補欠選任
     都築  譲君     木暮 山人君
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     浜四津敏子君     魚住裕一郎君
     木暮 山人君     都築  譲君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 正和君
    理 事
                尾辻 秀久君
                南野知惠子君
                水島  裕君
                渡辺 孝男君
                清水 澄子君
    委 員
                阿部 正俊君
                石井 道子君
                佐藤 泰三君
                田浦  直君
                常田 享詳君
                中島 眞人君
                中原  爽君
                宮崎 秀樹君
                朝日 俊弘君
                直嶋 正行君
                西山登紀子君
                都築  譲君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  小泉純一郎君
   政府委員
       厚生大臣官房総
       務審議官     田中 泰弘君
       厚生省健康政策
       局長       谷  修一君
       厚生省老人保健
       福祉局長     羽毛田信吾君
       厚生省保険局長  高木 俊明君
       社会保険庁運営
       部長       真野  章君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
   説明員
       公正取引委員会
       事務総局審査局
       管理企画課長   伊東 章二君
       総務庁行政監察
       局監察官     小河 俊夫君
       国税庁長官官房
       課税部所得税課
       長        神原  寧君
       会計検査院事務
       総局第二局厚生
       検査第二課長   静井 元義君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国民健康保険法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○派遣委員の報告
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本正和君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 国民健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○田浦直君 自由民主党の田浦直でございます。
 私もこの委員会で、財政構造改革法についてはキャップを外していただきたいという質問を二回ほどさせていただきました。そのせいで厚生大臣が頑張ったというふうには私は思っておりませんけれども、辞職も決意するような非常に強い姿勢で頑張られた。その気持ちがどこにあったのかなというお尋ねをまずしたいと思うんです。
 それからもう一つは、もうあした衆議院を改正法が通るわけですので、そういう段階に来まして大臣はどういう御感想を持たれるのかなということからまずお尋ねをしたいと思います。
#4
○国務大臣(小泉純一郎君) 行財政改革に異議を唱える方はほとんどいないと言ってもいいくらいの状況だと思います。特に、昨年は財政再建の必要性、そして歳出を削減せよ、補助金なんか全部要らないのではないかというような議論がかなり大手を振るって与野党ともに議論された時期だと思います。総論賛成、各論反対という言葉はよくありますけれども、歳出を削減せよと言ったところ、実質的にいざ審議を始めてみますと、歳出削減したところに非常に批判とか非難が多いですね。歳出削減というのは増税と同じように痛みを伴うものであるというのがようやくわかってきたきょうこのごろではないでしょうか。
 その中で、社会保障関係予算も一切の聖域なしで削減していくという状況であります。ほかの省庁は前年度に比べて今年度はマイナス予算を組むんだという前提で十年度予算が組まれて、社会保障は前年度よりマイナスというのは無理だから三千億円増ぐらいは認めるということでありましたけれども、高齢者がふえる、制度改正なしには八千億円程度伸びるわけです。他の省庁に比べれば三千億円ふえているじゃないかと言われても五千億も削減しているんだということがなかなか理解してもらえない、そういう中で組んだわけであります。ところが、いざ実際五千億円近くを削減する、補助金なんかはもう全部廃止しろと言った人たちでさえ一〇%補助金をカットするだけでやめてくれという声が出てくるぐらい大変な状況だったわけです。
 そういう経緯を踏まえて、予算編成した責任者として私は今回、財政構造改革法を改正するんだったらば、去年の予算編成の前提が既に違ってきたわけですから、その際は今後制度改正をしろと言っても医療保険制度等は来年度には間に合わない、実際に十二年度実施を目指してやっているわけですから、これは制度改正なしにさらに十一年度、いわゆることしの暮れの予算でも削減するとなると、またことし以上に削減された分野の方面の方々はより反発をするんではないか。かえって制度改革しないで何でこんなに削るんだという批判が出て、制度改革全体に対する理解も得るのが難しくなってくるんじゃないか。むしろ、制度改革を本格的にするためにも、この際は、十一年度の予算編成に対してはもう少し厚生省自身に裁量権を持たせていただいて、その中で制度改革への軟着陸を目指した方がいい。
 しかも、前提といいますか、公共事業については、当初予算では前年度マイナスが、補正予算等で兆円単位でふえていくわけですね。これでは、公共事業はふやして福祉予算は削るというのが果たしてより多くの国民多数の支持を得るかというと、私は疑問に思いました。
 そこで、社会保障関係費だけは例外で上限枠を外してくれと強硬に主張したわけでありますが、当初は、そういうことを社会保障だけ例外にしたらば各省庁が承知しない、同じようなことを各省庁が言い出したら収拾がつかないということで、だめだという声が大勢のようだったんですけれども、最終的には私の主張に総理が理解を示してくれて、結果的に私の主張を受け入れてくれたという経緯でありまして、私はかえってその方が今後の社会保障制度のいろいろな制度改革を進める上においてよかったなと思っております。
#5
○田浦直君 私どもも党の方とかいろんなところにキャップ外しの陳情をした限りにおきましては、非常にガードがかたい。もっと言えば、社会保障費を抑えるためにこれをやったんだと言い切るぐらいの方々もおられたわけでございまして、そういう中で大臣が一生懸命頑張られたということにつきましては厚くお礼を申し上げたいと思いますし、また高く評価をさせていただきたいというふうに思っている次第でございます。
 国民健康保険法の一部改正につきましては、私も公聴会あるいは参考人質問、いろんなことをさせていただきましたけれども、いずれにしましても、みんな口をそろえて言うことは、やっぱりこの改正案は一時しのぎの時間稼ぎではないか、そしてそれがまた定着していくのではないかというふうな心配をほとんどがされておられる。したがって、医療保険制度の抜本案を早くつくってほしいというのが皆さんの御意見でございました。
 しかしながら、実態を見ていきますと、今のところ、逆におくれておるんじゃないか。例えば、薬価のことにつきましても、診療報酬につきましても、老人医療制度につきましても、余り進んでおらぬのじゃないかなという気がしてならぬわけでございますけれども、これが目標どおりに二〇〇〇年までに間違いなくできるのかどうか、大臣、もしよければお尋ねをしたいと思います。
#6
○国務大臣(小泉純一郎君) これは、平成十二年度、二〇〇〇年を目指して実施できるのかどうかというのではなくて、実施しなきゃいけない、ぜひともするんだという決意で取り組んでおります。
 ただ、当初の見込みからしますと、もっと関係者の合意が早く得られるのではないかと思ったのは事実であります。率直な気持ちを持っていましたけれども、予想よりは関係者間の抵抗といいますか異論がいろいろ出てきている。制度改革しなきゃならないということについては賛成なんですけれども、では、具体的な問題点、これにはもう少し時間が必要だと。
 また、専門家の意見等いろいろ全部が一致しているような状況ではありませんので、そういう専門家、識者の方々の意見というものをもう少しじっくりと審議、論議をしていただいて、国会にまとまった案を出すのが多少おくれても、合意を得るための、まだかなり多数の理解を得るための時間をかけてやった方が、出してから結果的にうまくいくんじゃないかという判断をしておりまして、目標の十二年度実施のことは変わらないんですけれども、国会提出時期が若干おくれているということで御理解をいただきたいと思います。
#7
○田浦直君 その抜本改革案の中のテーマにしておるのは薬価、診療報酬、老人医療ということのようですけれども、それぞれ私もお尋ねしたいんですが、きょうは薬価についてひとついろいろお尋ねをさせていただきたいと思うんです。
 今、厚生省はいわゆる参照価格制というものを中心に考えて薬価の抜本案をつくろうとされておられると思うんですが、これはいろいろ方法があると思うんです。例えば、今回やりました薬価改定で一割ぐらいカットされておりますね、九・七%ですか、そういう方法もあろうし、長期収載医薬品の見直しもあろうというふうに思う。
 その中で、この前朝日新聞に、医師会が供給機構というものをつくってそこで薬を一切扱ったらどうか、医師会としてはもう薬は扱いません、薬価差も要りませんという提案をされておるのを読んだわけです。私は、これはそれなりに評価していいんじゃないか、自分たちがもう薬から脱皮しようということであればそれはそれで評価していいんじゃないかというふうに思うんですけれども、それについて厚生省はどうお考えなのか、お尋ねをしたいと思います。
#8
○政府委員(高木俊明君) 先般の審議会に日医総研が提案した案ということでお示しがありました。
 それで、まさに今御指摘の案は、三案あるわけですが、第二案の中に、医薬品の供給機構あるいは流通監視機構というようなものをつくっていこうということであります。言うならば、医療機関がメーカーとの間の価格交渉とかは行わずにこの供給機構がやる、そして医療機関には現物で供給機構が要請に応じて支給する、こんなような案であります。
 これももちろん一つの考え方、とりわけ薬価差というものに伴う問題点というのが、薬価差がなくなりますから医療機関としてはそういった面での指摘等々は受けないで済むわけであります。私どもこの案、もっと細部にわたって詰めた形のものが出ないとわからない面がありますけれども、一番危惧しますのは、我が国の場合は十八万を超える保険医療機関があるわけであります。こういった非常に数の多い保険医療機関の医師が毎日医薬品を処方するということになっているわけですけれども、その際に医師が処方したい医薬品というものをスムーズに供給できるのかなという点が言うなれば一番心配な点といいますか、そこをどういうふうに打開していくのか、その辺のところがどうなのかという点がちょっと私どもとしてもこの案の持つ一つの大きなネックになり得ないかな、こんなふうに考えております。
 詳細についてはこれから議論されるべきものでありますから、そういった内容を十分議論の中でお伺いしながらやはり考えていかなきゃいけないなと、こんなふうに考えております。
#9
○田浦直君 検討に値するということであれば、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
 私は、参照価格制度というものについては余り賛成ではないんです。それは、理由をひとつ述べてみたいと思うんですが、例えば厚生省で今度、参照価格制度では薬をグルーピングするわけですね。これは二万種類からある薬をグルーピングするということであれば、大変な仕事量じゃないかということと、どんなふうにグルーピングしても必ず矛盾がたくさん出てくる、そういったことを本当に考えておられるのかなという気がするわけです。
 お尋ねしたいのは、今はどういう方向でグルーピングしようという考えであられるのか。先発、後発でやるとか、あるいは成分でやるか効能でやるのか、いろんな方法があると思うんですが、どういう方向でやられると思っておられるのか、その点もあわせてお尋ねしたいと思います。
#10
○政府委員(高木俊明君) ちょっと長くなって恐縮でありますが、まず現在の医療保険福祉審議会の制度企画部会の検討状況についてちょっと触れさせていただきたいと思いますが、この日本型参照価格制度の提案というのは、昨年夏に与党の協議会でおまとめいただいた抜本改革案、これに基づいて御議論いただいておるわけであります。この与党の協議会でおまとめいただいた日本型参照価格制度という提案につきましては、その前、八月七日に発表いたしました厚生省の抜本改革の考え方にも示されておりまして、これに基づいて御議論いただいておるわけであります。
 その際にやはり一番問題となりますのは、参照価格制度というのは、どういう格好でグルーピングをしていくのか、それからまた限度額をどういうふうに決めるのか、それから限度額を超えた額は自己負担ということになりますが、この自己負担というものをどういうふうな格好で考えていくのか、この辺やはりさらに具体的な姿形を見た上で考える必要があるということであります。そういった意味で先般の審議会におきましては、現在約一万二千弱の品目の薬価基準に掲載された医薬品があるんですが、このうち価格ベースで二割ぐらいの数について具体的なイメージがわくような作業というものを専門家の方々に参画いただいてやってみようということになりました。
 そういうようなことで、この作業が、やはり今先生御指摘のとおり、二割程度と申しましてもかなり膨大な作業でもありますし、それから基本的な考え方等々も含めてもっと専門的に詰めなきゃいけない面がありますから、そういったようなことを考えますと、やはり九月いっぱいぐらいまでかかるだろう、その作業で得られた内容を踏まえて、そこで審議会としてはきちっと報告書をまとめようと、今こんなふうな状況であります。
 それで、私どもが日本型参照価格制度を導入することがいいのではないかというねらいといいますか考え方でありますが、これは実はこれまで審議会にもお示ししてまいりましたけれども、四点ほど大きな考え方を持っております。
 それは、一つが、やはり現在薬価差の問題とかいろいろ指摘されておるわけでありますけれども、こういった問題を解決するという問題でありまして、いわゆる広くは薬の使用の適正化という観点であります。その中身としては、薬価差の解消、あるいは薬の多用とか高価な薬へのシフト、いわゆる新薬シフトと言われるものの是正とか、こういった意味での薬の使用の適正化という観点が一点ございます。
 それからもう一つが、より安価な薬の使用というものを促進することが必要なんではないか。いわゆる効き目が同じ薬についてであれば安価である方がいいわけでありまして、そういった意味でその使用の促進が図られるような仕組みがいいんじゃないか。それからまた、医師あるいは患者にコスト意識が働くような仕組みというものを導入する方がいいのではないかという意味で、より安価な薬の使用促進というのがございます。
 それから三点目としましては、価格設定の透明性の確保という点でございまして、この償還限度額につきましても極めて透明性の高いシステムでやっていくべきだということがございます。これは現行の薬価基準制度においても同じだと思います。
 それから四点目としまして、やはり健全な薬の市場の形成ということでありまして、いわゆる薬価差を生み出すというような結果になる過激な値引き競争というようなものを解消して健全な市場原理が働くような、そういったマーケットというものをつくっていく必要がある。それからまた、薬の研究開発努力というものが価格に反映されるような仕組みというものを考えていく必要がある。
 大きくはこの四つの点で日本型参照価格制度というのが適当なんではないか、こういうことでお願いをしているわけであります。
 そういった中で、基本的な考え方としては、私どもとしては、医療の世界におきましてもできるだけ市場経済原則といいますか、これを踏まえた形のものの中でやはり適正な価格形成が行われる方がいいということを基本にしております。
 そういった際のグループの組み方等々については、これを導入するということになりますと法制的な手当てが必要でありますし、また、その際においては透明性のあるきちんとしたシステムというものをつくっていく、こういった中で決めていただく、こんなふうに考えております。
 まさに先生御指摘のとおり、この作業というのは非常に私は時間がかかると思います。そういった意味では、専門技術的な問題から審議に入ってしまったということについての御批判もかなりあるんですが、そういった作業というものを考えますと、早い時点で導入をすべきかどうかという点についてのやはり国民的な合意といいますか、これが必要であるというふうに考えておりますので、私どもとしましても、平成十二年度から新しい制度を実施するといたしますと、早くその方向というものをきちんと決めていかなきゃならないし、また国会でも御議論いただかなきゃならない、このように考えておるわけであります。
#11
○田浦直君 これは、今度は診療する医療機関からいいますと、幾つかの種類の薬が同じ病気でできるわけですね。例えば、この薬は無料です、この薬を使うなら三十円ください、あるいはこの薬は患者さんから五十円追加していただかないといかぬ、そういうふうなメニューをそろえて見せなければならぬというふうな状態に今度はなるんじゃないかなと僕は思うんです。そういうことを本当に医者がやるものなのかどうか。
 その中で一つ、患者さんの方からいえば、薬だからいいのがいいと言われるんじゃないかなと思うんですが、逆に言うと、今度は無料でいいという薬をもらう患者さんは心の引け目というものができてくるんじゃないかなというふうな、医療機関においてはまたいろんなそういう問題が生じてくるような気がしてならないわけです。そこはやっぱり医師と患者との信頼関係が損なわれる気がするわけで、しかも三十円の薬と五十円の薬とただの薬とがどう違うかということを患者さんに一つ一つ説明はできないですね。
 そこら辺がこの参照価格制が医療機関では非常にやりにくいんじゃないかなと私は思っているんですが、その点はどう思いますか。
#12
○政府委員(高木俊明君) 現在の薬価基準制度、いわゆる公定価格として定めております薬価基準制度は、戦後導入されてもう五十年なれ親しんだ制度でありますから、これを新しい制度に変えていくということについてはやはりそれなりに困難が伴うというふうに思います。
 医療機関サイドの説明が必要になってくるというのは、諸外国において参照価格制度を導入している国では者やはりその点、医療機関、お医者さんの方は非常に煩わしいという声はあるようであります。しかし、今後の医療というものを考えた場合、やはり患者に対する説明と同意ということは、これはもう申すまでもなく非常に重要になってくるわけでありますし、そういったような中でこれが必要だということは、もう申し上げるまでもなく患者と医師との信頼関係というものを醸成していく、そのことが患者さんといいますか、国民にとっても、また医師にとってもよい関係というものをつくっていくことになるということだろうと思います。
 そういった非常に大きな流れの中で考えますと、この参照価格制を導入した中において医師が薬を患者さんにも説明をしていくというようなことについては、やはり一つの時代の流れとして必要になってくる、これがお金を取る取らないにかかわらずそういった面というものはこれからますます重要になってくるのではないかというふうに考えております。
 そういう流れの中で考えますと、私は、この参照価格制を導入するということが、特別な過重な負担になっていくというふうなことがあってはならないし、またそういうようなことというものではなくなるような医師と患者の関係というものが今後期待できるのではないか、また私どもとしては期待したい、こんなふうに思っております。
#13
○田浦直君 医療というのはそんな簡単な問題じゃないんじゃないかなと思うんです。非常にデリケートでもありますし、やっぱり信頼関係というものが一番大事なものだと私は思っているわけです。
 それが、お金を持っている人はいい薬をもらえる、お金を持たない人はただの薬だというふうになってくると、やっぱり貧富の差というものが医療の中に入ってくる。これは、いわゆる混合診療ということで、そういう考えを厚生省は持たれているんだろうと思うんですけれども、今までのいわゆる公的な医療から自己責任的な医療に変える、そういう考えなのかなと私は今感じておるわけです。そういうふうな変換というのはあるのかもしれませんけれども、私は今の制度の方がよっぽどいいんじゃないかなというふうに思っているんです。それについてどうでしょうか。
#14
○政府委員(高木俊明君) まず、ちょっと後の御質問の方からお答えするような格好になるかもしれませんが、私どもとしては、まず現行の医療保障を自己責任を中心とする医療に転換しようというようなことを字句どおり考えているわけではありません。自己責任というのは非常に重要だと思いますけれども、我が国の国民皆保険システムというものはやはり守っていくべきであり、そういった中でより効率的で国民的に負担も比較的合理的なものにしていくためにはどうすべきかという観点で考えておるわけであります。
 そういった意味で、貧富の差によって医療の差が生じるというようなことについてでありますけれども、医療保険制度の効率性という点で考えますと、保険料はもちろんそれぞれお支払いいただいているわけですし、そういった意味では、医療保険制度をマクロ的に見た場合には国民の負担が軽いようなシステムの方がよりいいわけであります。
 そうしますと、薬について申し上げるならば、同じ効き目であるならば安価な薬というものができるだけ使用されていくという方向の方が国民にとって望ましいのではないか。そしてまた、個別の患者負担という面で考えた場合には、これについてどうあるべきかということについては、さらに議論を尽くしていくことによってまさに工夫の余地はあるというふうに考えております。
 日本型参照価格制度の導入と、日本型というふうにつけておりますのは、ドイツとかオランダとか、そういったヨーロッパで行われている参照価格制度をそのまま導入するというつもりではございませんで、やはり我が国の実態に合った形で導入をしていく必要がある。そのためには、十分議論した上で工夫をして一番我が国に合った形のものを考えていきたいと思っておりますから、そういった意味でも改善ができますし、私はそういった面で貧富の差で何か医療に差が出てくるというようなことというのは十分防げるのではないかと考えております。
#15
○田浦直君 もう時間がありませんが、もう少し論議したいところなんです。
 結論を申しますと、厚生省も大変な作業が要る、医者も本当にまた事務量がふえて、そういうふうな医師と患者の信頼関係が損なわれるかもしれぬという危険性を持っている、あるいは患者さんも精神的に安い薬をもらうということに抵抗がある、そんなことが参照価格制度を実施した場合いろいろ起こってくるだろう。
 しかしながら、それで本当にどれだけの効果があるのか。財政効果にしろ抜本改革にしろどれだけの効果があるのかというのが目に見えないわけです。これを辛抱してこれだけみんな負担を負ってでもやればこういう効果があるんですというものを出してほしいんです。それは財政効果であれほかの効果であれ何でもいいですが、すべてこれは出していただかなければ、そこが見えてこないから私はちょっと今のところではこの参照価格制度については賛成できないなという気持ちでおるわけでございます。
 また、抜本案については今後時間をもらいましてからいろいろお尋ねをさせていただきたいと思っております。
 以上で終わります。
#16
○直嶋正行君 民主党の直嶋でございます。
 まず最初に、大臣にお伺いしたいと思います。大臣、恐縮なんですが、先ほども医療制度の抜本改革の実施時期についての御質問がございました。一昨日ですか、当委員会でも参考人質疑を実施したんですが、やはり参考人の皆さんも、この今回の法律案に対する意見は別にして皆さん異口同音におっしゃったのは、早く抜本改革をやらないといけない、こういう御意見でございました。
 それで、重なって大変恐縮なんですが、本当に平成十二年度にこの抜本改革を実施するという受けとめでよろしいのかどうか。もう大臣は何度も予算委員会なんかでも答弁されているんですが、決意のほども僕もよくわかるんですけれども、お言葉の中に平成十二年度を目指してとか、目標である平成十二年度と、こういう表現が入っています。目標というのはよく変わることがありますものですから、いろいろと危惧もあるのではないかと思うんですが、平成十二年度に抜本改革は実施するということでよろしいんでしょうか。
#17
○国務大臣(小泉純一郎君) 十二年度に医療保険制度の抜本改革実施というのは、厚生省にとって至上命令ですから、必ずやります。
#18
○直嶋正行君 それで、もう一点ちょっと確認したいんですが、今議論もされているんですけれども、財政構造改革法の中に、この医療制度の部分で、政府は平成十二年までのできるだけ早い時期に医療制度等について抜本的な改革を行うための検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとすると、こういう文言があります。これは今の厚生大臣の答弁を法律的にここでも同じことをうたっておる、こういう理解でよろしゅうございますか。
#19
○政府委員(高木俊明君) 財政構造改革法の中に医療保険の抜本改革の関係の、今、先生御指摘の条文が入っておりまして、これはまさに今大臣が申し上げたようなことで、十二年度には抜本改革を実施するということが条文の形であらわされているというふうに考えております。
#20
○直嶋正行君 じゃ、先ほどの大臣のお答えのとおり至上命題として実施する、法律的にもそういう担保であるということで承っておきたいと思います。
 それで、ちょっとあと一点確認をさせていただきたいんですが、昨年、この医療費については特に個人負担等を含めて当国会でもけんけんごうごうの議論がありました。実はそのときに私の理解では、昨年ああいうふうに国民の皆様の負担を上げなければいけない理由の一つに、特に政管健保の赤字の問題があったと思うんです。
 当時、国会で審議をされていますときに、ちょっとこれは厚生省からいただいた資料なんですが、厚生省がお出しになった政管健保の将来見通しと、それからことしの一月ですか、つまり年がかわってから厚生省がお出しになった政管健保の財政収支の試算、これを比べますと、随分異なってきているんです。財政的には好転をしていると、こういうことなんです。
 国民の皆さんの負担をどうしようかという議論の時点では、例えば当初の政府案を実施しても二年しかもたない、こういう御説明もあったんですけれども、何の何の、ことし出されたものを見ますと、先ほど抜本改革論議がありました平成十二年度を見たってまだ積立金残高が四千億残っておる、こういう見通しになっているんです。ちょっとこれは違い過ぎると思うんですが、どういうふうに理解すればよろしいんですか。
#21
○政府委員(真野章君) 平成九年度の政管の財政状況とそれから十年度以降、医療保険福祉審議会に提出した資料との差という御質問でございますが、九年度の政管健保の財政状況につきましては、制度改正前の平成九年度前半の医療費、これが私ども想定をしておりましたよりも非常に低い伸びにとどまったというのが大きな原因でございます。
 それから、十年度以降の相違、これは予算におきまして薬価基準の引き下げによる財政効果、それから政管も保険者として医療費の適正化に取り組むことで財政的な効果を上げるということを見込んで今年度の予算案を組んでおりまして、その今年度の予算に基づいて十二年度までの資料をお見せした。
 そして、今、先生おっしゃったように四千億の資金残があるじゃないかということに関しましては、平成九年度の補正予算で従前の繰り延べ分の一部の返済を受けたというようなことも前提として数字を出しておるわけでございまして、先生お示しの六月の時点でのデータではそういう部分は想定ができなかったということでございます。
#22
○直嶋正行君 今御説明があったんですが、六月時点のデータでは説明できなかったということなんですが、しかし、あのときは相当な大騒ぎをしながら、さっき議論になった抜本改革もしなければいけない、しかしそれをやるのは少し時間がかかるので先に国民の皆さんに負担をしていただく、こういう議論だったと思うんです。そういう議論の重要性というか内容から見ると、今の説明ではちょっと私は納得できないんです。
 だって、そうでしょう。平成十年度の予算を見込んで、今御説明のとおり言いますと、財政効果を見込んでこうなりましたということなんですよね。ですから、そういう努力ができるのであれば何もあんなに二年しかもたないとか、もう赤字になってしまうというような議論をする必要はなかったんじゃないでしょうか。ちょっと落差が大き過ぎるんですがね。
#23
○政府委員(真野章君) 御指摘でございますが、若干話の軸がずれているんではないかと思います。
 昨年の法律改正は、確かに国民に御負担をいただく、一部負担の割合を引き上げる、保険料を引き上げるということで御議論をいただきました。それは、先生お手持ちの平成九年六月の資料の現行制度の単年度収支差というふうに、現行制度のままでは八千億ないし一兆円という単年度の赤字が見込まれると、そういう状況を踏まえてのお願いでございました。そして、今、先生が、ことしの一月に審議会に出した資料で非常に財政効果が好転しているではないかと。
 この議論は、平成十年度の厚生省の予算を組むに当たりまして医療費の国庫負担をどうするか、政管だけではなくて医療保険全体、厚生省の予算全体という議論で国庫負担の増をどの程度に抑えるかという議論、いわば政管としては、保険者としてはその議論の反映としてこういう予算になり、そして十二年度まで機械的にお示しをいたしましたらこういう数字になるということでございます。
#24
○直嶋正行君 きょうはこの議論がメーンではありませんから、また改めて機会があればやりたいと思います。
 私が言いたいのは、平成十年度の予算でこれだけの努力ができるんだったら、何もあそこまで国民の皆さんに御負担をおかけすることもなかったんではないか。つまり、逆に言うと、努力されたことを私は否定するわけではありませんが、やはり当局としての努力を反映した形の国民負担ということになると、きちっと議論をしなければ、この結果を見ればこれじゃ話がかなり違うんじゃないか、上げ過ぎじゃないか、はっきり言えば、そういう御批判が出る余地があるんじゃないかというふうに私は思いますが、これはまた改めて機会があればやりたいと思います。
 この法案の方の議論に入っていきたいんですけれども、先ほど大臣もお答えになっていましたが、キャップの話なんです。財革法に基づいてキャップをつけるときに常に議論になってきたのは、社会保障費用と公共事業、つまり政府の政策としてやる、この比較のような議論をどういうぐあいにキャップをつけて経費削減できるか、これはかなりやられてきたと思うんです。あとの経費は特別なものを除いてはマイナス、つまりプラスにしない、ゼロ未満といいますか、こういうことだったと思うんです。
 そういう議論の経過から申し上げますと、大臣の努力で平成十一年度のキャップはとりあえず外す、こういうことが決まったというお話が先ほどありました。平成十年度、これから補正予算も議論されると思うんですが、補正予算においてかなりの公共事業への支出を組んでいく。これは経済対策とはいえそういう予算を組むのであれば、特に今回の法律案のような形での、とりわけ民間部門といいますか、ここの負担をふやすわけですから、こういう部分の必要性、緊急性というのはもうないのではないか。
 ですから、今回の特に老人保健拠出金の負担の見直しの部分というのは必要ないんではないか、前提条件が変わったんじゃないか、こういうふうに私は思うんですけれども、そうじゃないんでしょうか、大臣。
#25
○国務大臣(小泉純一郎君) これは、現行制度のもとにおいても老人医療費の拠出金をどう公平化していくかというのはかねがね問題だったわけです。今回そういうことから改正を行ったわけですが、これは抜本改革までしないでいいかというとそうでもなくて、やはり負担の見直しは必要だ、現行制度の見直しは必要だという点に十分配慮して今回の改正を行ったと。この老人医療費拠出金というのは当然抜本改革の中でも大きな問題になります。しかし、それまで何もしなくていいかという問題ではないということから今回の法案を出したということを御理解いただきたいと思います。
#26
○直嶋正行君 そこの関係がやはりちょっと、大臣今そういう御説明だったんですが、受けとめ方が私なんかはちょっと違うんです。
 例えば、今、これは制度として公平化のためにやらなきゃいかぬというお話がありましたが、それは私にもわからないことはないんです。しかし、例えば今回の厚生省の予算書を見ましても、こういう一連の経費削減策をとります、その中で診療報酬はふやしますと、そういう中でこの五百六十億円というのは織り込まれているわけですから、むしろ私は財政面での対応の関係が強いんではないかと思うんです。
 それで、もう一つお伺いしたいのは、今回の法案改正はもともと施行日が四月一日になっていましたが、衆議院の方で法案審査もおくれているという関係もあってずれ込んできていまして、公布の日の翌月からと、こういうことになっているんです。
 例えば、今回の拠出金の中で、そういうことになりますと、いつこの法案が国会で成立するのかしないのかということがありますが、いずれにしても四月からずれ込んだ部分は当然次に補正をしなければいけない、こう思うんですけれども、そういう理解でよろしいですか。
#27
○政府委員(羽毛田信吾君) 今回の法案の中で施行期日を四月からとしております部分につきましては、当然その時期がずれますればそれに伴ってのいわば効果額の減少が生じてまいります。いわゆる拠出金の上限を引き上げる部分についてはそういうことになっておりますから、その部分については国庫負担の欠けるところがございますから、後ほど補正の形になるのか予備費になるのかは別にいたしまして手当ては要るということになります。
#28
○直嶋正行君 ですから、例えば平成十年度のこれから補正予算の審議が始まるんですが、どっちにしても今お話しのようにこれは将来修正をしなければいけない、こういう議論があります。したがいまして、この平成十年度の五百六十億円、両方合わせてですが、拠出金の是正の部分、これは改めてそういう補正のときに見直していけば、今ここであえて転嫁をしていく必要はないんではないか、こう思うんですけれども、ここはどういうふうに考えればよろしいんでしょうか。
#29
○政府委員(羽毛田信吾君) 今、大臣からもお答え申し上げましたように、今回の老人医療費拠出金に係ります改正は、単に国の財政上の配慮というよりは、負担の公平化を現行の制度の枠組みの中でも図っていこうという意図に出ておりますので、そういう意味からしまして、施行日のおくれによる財政効果の減ということはありましてもやはり必要であるというふうに考えております。また、国の財政影響に加えまして、高齢化の著しい市町村にこれは制度改正によるいわばよい効果ということになりましょうか、そういったものがあるわけでありまして、市町村からは一日も早い制度改正の実現が望まれているという情勢にもございます。
 こういった点も含めまして、一日も早い制度の成立をお願いしたいというふうに考えておるところでございます。
#30
○直嶋正行君 私は、さっきから申し上げているように、これはもう平成十年度だけの話です。しかも、ちょっとさっきお聞きしなかったんですけれども、例えば健保組合の財政もすごく悪化しているわけですね。この間も参考人質疑がありましたが、七割以上の健保組合が赤字になっているわけです。その赤字になっている、もちろんそれはそれぞれ大変さはまたいろいろあるかもしれませんが、総体として赤字になっているところにあえて今度は費用の分担を、それは公平化か何か知りませんよ、なぜここでやらなければいけないのか。
 むしろ、これぜひ大臣に私は申し上げたいと思うんですが、私は今回、特に老人医療費拠出金はやはりこの平成十年度については見送るべきだと、こう思っています。
 その理由の一つは、今、日本の経済はこんなに落ち込んでいます。その中に、よく言われますように、こういったいわゆる社会保障分野に関して、今年金もまた議論しますから、やはり先々の見通しが立たない、こういうことに対する国民の皆さんの先行き不安があると思うんです。それから一方で、やはり今同時に民間の、特に企業を初めとしまして、個人消費なんかも落ち込んでおるわけです。ですから、こういう背景を、こういう政策を打つ場合は考えなきゃいけないと思うんです。
 確かに今回の法案は、おっしゃったように、老人医療費拠出金の公平化を図るんだと、これは僕は理屈は一つはあると思うんです。そういう理屈もあると思います。しかし、本当にこういう時期に、これは言葉をかえて言えば、しかし理屈はあるんだけれども、結局は国庫の負担を減らして民間の企業と個人に負担を回すことになるわけです、これは結果的には。国保だって国庫からお金が出ているわけですから。したがいまして、まあ一種の、言葉悪く言えば、それは官から民へのツケ回しだと僕は思うんです。なぜこの時期にこういうツケ回しをする必要があるのか。むしろ本当は逆じゃないか。
 さっき政管健保のそういう財政見通しのお話もしましたけれども、やっぱり五百六十億、このぐらいのお金なら、やはりここは少し見送っても、満額になるわけじゃありませんから、いずれ少しこれは減額修正するわけです。そういう情勢を考えると、やはりそういう意味では国民の活力といいますか、活性化を考えると、またここで民間部門に負担をふやしていく、これは将来一体どうなるのかなと。だから、むしろこういうことをやる時間があれば、さっきから議論が出ていますような抜本改革をきちっとやっていく、この方が免じゃないかと思うんですけれども、どうでしょうか、大臣。
#31
○国務大臣(小泉純一郎君) 先ほどもお話ししましたように、抜本改革には時間がかかります。そして同時に、現在のいろいろ保険制度、保険者集団の問題についてもいろいろ問題があるのは事実であります。だからこそ限界が来て抜本改革をしなきゃいかぬという環境がだんだん整ってきたと思うんです。
 今回、私は、国庫負担をふやせということによって、医療費のことを考えますと、国庫負担をふやすのか、保険料をどの程度徴収するのか、病気になった場合の自己負担をどのようにするかという組み合わせですから、国庫負担をふやすということは、それは保険料が低くなったり、あるいは自己負担が少なくなったりする面があると思いますけれども、同時にむだも出てきているのは事実だと思います。
 余りにも不必要な部分があるのではないか、医療制度全般、薬価問題についても、診療報酬の問題についても、あるいは自己負担についても。こういういかにむだな部分、不必要な部分を排除していくかという視点も大事ですし、この先をずっと見ても、国庫負担をふやせという雰囲気はないと思います。それは財政的にももう限界に来ている。これだけ借金をして、福祉だから国庫負担をふやせという状況じゃないと思います。あらゆる制度にもう国庫負担はなかなかふやすような状況じゃないときに、それでは抜本改革まではそのまましていいかという問題ではないし、同時に、私は、これだけ不安なときに、将来に安定がないんじゃないかと言っていますけれども、これはむしろ余り不安をかき立てる情報に惑わされている部分もあると思うんです。
 日本の年金制度にしても医療保険制度についても、アメリカと比較すればはるかに安定していると私は思っています。にもかかわらずアメリカの消費は拡大している、景気がいい。将来に不安あったら、私はアメリカ国民の方が日本よりも不安はあると思いますよ、その福祉関係については。にもかかわらず自己責任といいますか、後のことは自分でやるんだという意欲が旺盛だと。
 だから、私は、今、年金制度だって公的年金制度ほど民間に比べて優位な制度はないにもかかわらず、むしろ変な宣伝が行き渡って、公的年金制度は不利なんだというような誤った情報に踊らされている人たちも結構いる。これは厚生省としても、もっと公的年金制度のよさを周知徹底、啓発活動をしなきゃならない面があると思いますけれども、私は、今後お互い社会保障制度を支え合っていくという面だったらば、国庫負担をふやせばみんなが楽になるという時代じゃないと思います。どこかでだれかが負担しているわけですから、国庫負担をふやせということは増税につながってきます。それを避けるための制度改革、行財政改革ですから、その点をもっと理解していただく努力も我々も必要じゃないか。
 今回、健保組合が苦しいのもわかります。老人拠出金を持っていただくんだけれども、これは薬価の改定とかによって今の負担をふやすわけじゃない。そういう点も考えて制度改正を行った点ということも御理解いただきたいと思います。
#32
○直嶋正行君 私は、単純に国庫負担をふやせと言っておるんじゃなくて、要はことしあえて民間にそういうふうに負担を送る必要はないんじゃないかと。
 もう一つの角度で申し上げますと、なぜかといいますと、さっきも議論しましたように、大臣の御努力によって平成十一年度は一応そのキャップ、厳しいキャップは外れたわけですね。これは今の経済情勢とか、いろんなものを反映した結果としてそうなっていると思うんです。ですから、この拠出金の問題も、やはり今の経済情勢とか、大臣は今お答えの中で、国民はいろいろ惑わされていると、こういう趣旨の御発言もありましたが、いずれにしてもそういう不安が出ているこの時期に、そういう背景にあるということはやっぱり理解して踏まえなきゃいけないと思うんです。
   〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕
 そういう意味で、十一年度のキャップも外すことになった。それから、さっきお話あったように、十二年度はもう抜本改革をやるんですよ、こういうことなんですよね。
 そうすると、問題は平成十年度だけなんですよ。平成十一年度、これをどうするかというのは別の問題として、いわゆるこの医療の財政の厳しさとして言えば平成十年度。これもさっきお話あったように、もう実施時期がおくれちゃってますから、どっちにしても当初のものはもう見込めないわけです。いずれにしても何らかの処理をしなきゃいけない。
 そういうことを考えますと、それからあと、今まさに平成十年度について財革法の運用を弾力化しようということで議論している。こういうことを考えると、あえてここでこれだけのことを踏み切るという必要性はむしろもうなくなっているんじゃないか、私はそういうふうに受けとめるんです。
 ですから、さっきから申し上げているんですが、ぜひそれは御再考いただきたい。そんなにこれを強引にやっていい結果は出ない、私はこう思うんです。ぜひこれは御再考いただきたいなと思っているんですけれども、いかがでございましょうか。
#33
○国務大臣(小泉純一郎君) これは、この歳出削減策を、厚生省関係、十年度予算について、もうあらゆる聖域なく見直していこうということで、補正予算でこれだけ数千億手当てされるんだったら、この数百億なんというのはどうでもないじゃないかという議論、言いたい気持ちはわかります。
 しかしながら、それを言い出しますと、もう何千万円、何億円というところまで削ってこの予算を組んでいるんです。小さいからここはいいとなるとほかもそれじゃよくなっちゃう。これはあらゆる制度をできるだけ効率化していこうということで財政の上限枠を設けてやると、逆に言えばこれだけのこともできるんだなと。やったから厳しさがわかってきたんですよ。いかに歳出削減策というのはきいてくるか、これは増税以上にきついなと。増税は嫌だけれども、歳出削減しろとみんな大合唱していたけれども、歳出削減というのは増税と似たり寄ったり、これは大変きついものだという、私はこの厚生省予算なんというのは一つの典型例だと思うんです。
 そういう面において、私は、この厳しい十年度予算を組んだがゆえに、いかに社会保障関係の予算というのは重要かというのが逆にわかってきた。歳出削減の難しさもわかってきた。いかに税金を有効にむだなく使わなきゃいけないかということもわかってきたという面はよかったのではないか。そして、こういう厳しい予算編成をしたがゆえに、十一年度に対しての上限枠を外すのもやむを得ないな、これだけ厳しい予算を組んだんだから、厚生省の言い分、小泉の言い分もなるほどなということで十一年度予算の枠を外してくれたという面もありますから、私は確かに委員の言う御心配もわかります。
 しかしながら、歳出削減、財政の削減策がいかにきついかという面を御理解いただき、そしてお互いこれから公平な負担をして社会保障制度を支え合っていくということの重要性を理解した面において、今回の法案もそういう面からも御理解をいただきたいと思います。
#34
○直嶋正行君 大臣のお立場ももちろんよくわかりますから、なかなか難しい部分もあると思うんです。
 もう一つぜひ御理解いただきたいのは、冒頭申し上げました、去年既に国民の個人負担はもうふやされているんだ、これはもちろん将来抜本改革をやらなきゃいけないという前提でふやしたわけですけれども、既にもうそれはふやされているんだと。そこへさらにこういうことになっている。
   〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕
 それからもう一つは、そういう中で申し上げますと、審議会等においても議論が一致をしないままにこの老人医療費拠出金の問題というのは結論が出されてきた。一方で、その議論の中に全くなかったいわゆるお医者さんの診療報酬基準の引き上げというものが、これはプラス九百六十億なされている。こういういろいろな枠組みの中にあるわけですね。
 ですから、先ほど私は、今の経済の情勢とか先行きのことを申し上げましたけれども、やはり今回の決定プロセスを見ると、大臣のおっしゃることというのは私もよく理解はできるんですが、決定プロセスを見る限りにおいてはそうではなくて、あえてこの時期に民間になぜ負担をかけなきゃいけないのかということに対して私は疑問を感じると、こういうふうに申し上げておるわけです。
 以上申し上げまして、この議論を終わりたいと思います。
 あと一点、ちょっと実務的な話になるかもしれませんが、先ほど健康保険組合の七割が赤字であると、こういう実態を申し上げたんですが、特にこの健保組合の現状と今後の先行きについて、厚生省の方でどういうふうに見ていらっしゃるのか、ちょっと御見解を聞かせていただきたいと思います。
#35
○政府委員(高木俊明君) これは健保組合だけではありませんで、いわゆる被用者保険サイドということで申し上げますと、今回の老人拠出金の問題でも明らかになっているわけでありますが、老人医療費の拠出金というものでかなり財政が圧迫されている面がございます。とりわけ健保組合がそうだというふうに思いますが、これは現行の老人保健法の考え方からしますと、基本的には国民がお年寄りの医療費というものをみんなでひとしく分担していくという理念に立っているわけです。そういった中で我が国の医療保険制度が、それぞれ小集団もありますし国保もあるわけでありますが、その中での老人の加入率というのは相当差があります。先生御案内のとおりなんであります。
 もう一度ちょっと申し上げたいと思いますが、国保の場合は加入者千人当たりの老人加入者数、これは平成八年度のあれでいきますと……
#36
○直嶋正行君 それはもうわかっています。僕の持ち時間、大体来ていますから、ちょっと手短にお答えいただきたい。また改めて議論させていただきます。
#37
○政府委員(高木俊明君) そうしますと、かなり国保が高い。それに対して健保組合は、その中では相対的にはかなり低い。したがって、現在の老人保健制度のままですと、やはりこの負担関係というのは今より軽くなっていくということにならないと思います。そうすると、この老人保健制度といいますか、高齢者の医療というものをどうするのか。これは、退職被保険者の問題も含めまして、ここのところはどういうふうな仕組みでやっていくのかということがやはり今後の健康保険組合の財政という面で考えた場合には大きく影響すると思います。
 そういった面で、この抜本改革におきましても、高齢者の医療というものをどういうふうに考えていくのかということをやはりきちっとして制度というものをつくっていかなきゃならない、こう考えております。
 健保組合、この小集団方式というのは私はやはり一つのすぐれた仕組みであると思いますから、そういった意味でこれからも維持していくべきではないか。ただその際に、小集団というのがいわゆる良質の集団だけで、健康にも恵まれており、かつ所得も高い集団だけでこういう医療保険というのをやれば、これは当然負担は少なくて済むわけですが、そういう面でのメリットということで小集団というのがあるというのは、これはやはり余り適当ではないんじゃないか。むしろ小集団ということによって加入者の健康の管理なり健康に対するいろんな対策なりというものをきめ細かくやれることによってそのメリットを発揮していくとか、そういうような意味での医療保険のあるべき姿としての小集団ということであれば、これは今後ともやはり健全に維持していくべきであろうと考えております。
 ただ、既に健保組合、千八百を超える組合がありますが、その中では、母体企業が衰退しているために、ある意味では一言で申し上げれば健康保険組合としてはもう左前になっている、そういうのもございます。こういうようなものを私は無理無理維持していくという必要はないと思っております。そういったところは破綻する前にそれなりに政管健保の中でやっていくとか、やはり健全な健康保険組合というものを財政的にも残していき、そして小集団でもやっていけない、母体企業が斜陽化してやっていけないというものは破綻する前に政管健保なりの中でやっていくとか、そういった対応というものが必要だと思っておりますが、繰り返しになりますけれども、私どもとしては、この小集団の仕組みというものはやはり今後も健全に維持していく必要があるだろう、このように考えております。
#38
○直嶋正行君 また今の点も改めまして議論させていただきたいと思います。
 これで終わります。
#39
○委員長(山本正和君) 政府側に申し上げますが、答弁をひとつ短くしていただきますように、時間を大分超えておりますから。
 それから、ただいまの質問は、健保組合の財政状況はどうかと、こういう質問ですから、ちょっとかみ合っていないと思いますから、また後ほど補足ででもいいですから、直嶋委員の方にお答えを書面等で結構ですからお出しいただきたいと思います。
#40
○渡辺孝男君 公明の渡辺でございます。引き続いて、国民健康保険法等の一部を改正する法律案について質問させていただきたいと思います。
 小泉厚生大臣は、衆議院の方の質疑の中で、昨年夏に示されました厚生省の医療保険制度の抜本改革案の中の都道府県単位で国保、健保、高齢者医療制度を統合する地域医療保険制度の一本化案というのが現実性に乏しいというふうにほかから批判されているというような発言がありましたので、この点に関しまして質問させていただきたいんです。
 この地域医療保険制度一本化案が現実性に乏しいというふうに非難されている難点といいますか、その点に関しまして厚生省の見解をお示しいただきたいと思います。
#41
○政府委員(高木俊明君) 私どもは昨年提案をしているわけですから、全く実現性のない提案というふうに私は思っておりません。
 ただ、受けとめ方として申し上げれば、いろいろあるかもしれませんが、私は大きく申し上げますと二点あるかなと。
 一つは、やはり被用者保険といわゆる国民健康保険を一本にしてしまう。そういった中で保険制度としてやっていくわけですから当然保険料負担をお願いせざるを得ない。その際に、いわゆる被用者保険のサイドからすれば、自営業者等の方々が入っている国民健康保険との関係で所得捕捉の問題、そういったような不公平感といいますか、こういったものとの裏腹の関係で、やはり同じレベルで一緒になるということについての危惧というのが一つ言われているんじゃないかと思います。
 それからもう一つの問題は、私どもはその際に都道府県単位で考えていったらどうかということを提案しております。そうしますと、とりわけ自治体としての都道府県は、はっきり申し上げますと医療保険というのは常に赤字基調だと。そういう中で現実の市町村でやっております国民健康保険を見ますと、なかなか保険料も思うように取れない、そういった中で市町村の公的な負担というものを出している。そういうようなことを見ると、都道府県でくくられた場合に都道府県の持ち出しというようなことになりはしないか、そういったような危惧を持っていらっしゃって、都道府県単位でくくっていくということに対する抵抗感といいますか、そういうものがあるのかなと。
 大きくはこの二つだと思いますけれども、私はこれからの高齢化社会というものを考えた場合に、お年寄りを含めて一つの制度の中でやっていくという方が制度的にはすぐれているんではないかと私は思っておりますけれども、一案、二案出しておりますから、両方とも現実的な問題として提案しているつもりであります。
#42
○渡辺孝男君 大臣にもお聞きしたいんですけれども、都道府県単位の地域医療保険制度の一本化というものもきちんと考えてください、考慮に値するものであるのできちんと論議していきたいということだと思うんですが、その点に関しまして御見解をお伺いしたいと思います。
#43
○国務大臣(小泉純一郎君) 私は、一案、二案出して、かなり前の委員会でどう思うかと聞かれたものですから、私個人としては一案の方がいいと思っていると言ったんです。ところが、いろんな方から一案は非現実的だよというふうに私に対する批判がかなり来たものですから。私は非現実的と思っていないんですよ、私は聞かれたからどっちかといったら一案の方がいいと答えたんです。それに対して非現実的だと言う人がいたということを御紹介したまででありまして、保険制度を考えますと、高齢者だけといったらこれは高齢者だけの保険料ではやっていけるわけないんです。結局どこかの税金を投入するしかない。やっぱり病気にならない人もなった人もお互い支え合うというのが保険制度ですから。
 ということを考えると、私は一案というのも非現実的とは思っていません。むしろ制度としてはいいのではないかと思っていることを率直に申したわけでありまして、この両案を今後いろんな識者の間で、皆さんで御議論いただき、合意の得られるものを採用していきたいというふうに思っております。
#44
○渡辺孝男君 ありがとうございます。
 次に、法案に関しまして質問させていただきます。
 今回の老人医療費の拠出金に関しましては、加入率上限を二五%から三〇%に引き上げるということでありますけれども、もう一度この三〇%という値の理由をお聞きしたいと思います。
#45
○政府委員(羽毛田信吾君) 老人加入率の上限を三〇%に引き上げる根拠ということでございます。
 そもそも今回引き上げますことにつきましては、先ほどもお答えございましたように、もちろん厳しい財政状況という背景はありますけれども、老人加入率が著しく高い市町村国民健康保険の保険者数が増加をしているというようなことから、医療保険制度の抜本的な改革が行われるまでの間におきましても現行制度の中で負担の一層の公平化を図るというのが趣旨でございますけれども、それではその三〇%という数字そのものはどうだと、こういうことだろうと思います。
 これにつきましては、仮に現在の平成十年度も上限を二五%に据え置いたといたしますと、今のあれでいきますと保険者の数にして四〇%ぐらいの方々がこの上限に頭を打ってしまうことになります。そうしますというと、その四〇%の方々については、いわば全体が公平に医療費を負担するということからすれば、その部分が部分的にいわば公平化がそがれる格好になるわけであります。
 したがいまして、抜本改正までの間といえどもそれを放置しておくということは市町村の高齢化の進展をかんがみますとよろしくないであろうということから踏み切ったわけでありますけれども、やはり抜本的な改革までの間の措置であるという点を配慮いたしまして、上限を該当者がおおむね半分になるような水準ということで、加入率上限を三〇%にいたしますと保険者の数でいくと二三%ぐらいになりますけれども、そこぐらいのところに持っていくということで三〇%という水準を設定するという考え方に立たせていただいたわけでございます。
#46
○渡辺孝男君 今までのこの上限率の改定を見ますと、おおよそ約四〇%前後になりそうだというところでこういう改正がなされてきているということでありますので、今回二〇%ということで案が出ているわけでありますけれども、先ほど小泉厚生大臣も抜本改革は必ず平成十二年度やるんだという強い意志を示されたわけでありますが、万一これが延びてしまうということになりますと、今回三〇%にしましても、いずれまた上限を超える保険者の占める割合が四〇%に近づいてくるんではないかというふうに思うわけであります。
 そういう仮定のもとに推定しますと、また保険者が占める割合が四〇%になってしまう年限というのはこれから先どのくらいに推測されるんでしょうか。二年とか三年とか十年もっとか、そういう推計があればお知らせいただきたいと思います。
#47
○政府委員(羽毛田信吾君) 先ほど申し上げました平成十年度での老人加入率の上限三〇%を超える保険者の割合、約二三%と申し上げましたが、当然人口の高齢化に伴いましてこの三〇%を超過する二三%という割合は上がってまいります。ただ、それが四〇%を超える時期がいつかということにつきましては、これは各保険者ごとの高齢化の速度というものが異なりますので、それをきちっと計算をいたしませんと出てまいりませんので、確定的なことは今あれしておりません。一年、二年でそこに当たるということはないと思いますけれども、何年かというところは、それぞれ組み上げて計算すればもちろん出ない作業ではございませんけれども、目下のところはそこまではやっておりませんので、直ちに確定的なことは申し上げられません。
 いずれにしても、もう平成十二年度からは抜本的な改革をするということを前提に考えていかなければならないというふうに考えております。
#48
○渡辺孝男君 抜本改革、先ほど小泉厚生大臣も、非常に難しいところをみんなで合意を得るためにするわけでありまして非常に時間がかかるというようなお話もありました。どういう形で抜本改革がまとまってくるのかまだ不明でありますし、やはり老人加入率の上限を設けなくてもいいようにするのが、国保の保険者としましてはその方が理想的だという意見と思います。
 私の居住しております山形県におきましても、既にもう老人加入率が三〇%を超えるところが四十四市町村中三町に及んでいるわけであります。三〇%上限を持ってもまた不都合を生じるものがもう既に三町あるということでありまして、やはり国保の保険者としましては上限はどうしても撤廃してほしいというような御意見だと思います。
 もし今回二〇%の上限を持たないですっかり上限を取り払った場合にはどの程度の拠出金の調整が必要になるのか。今回は三〇%上限でおよそ五百億円を調整しなきゃならないというようなお話でありますけれども、上限を撤廃して、国保側からいけば理想像に近づくような調整をする場合にはどれぐらいの調整額になるんでしょうか。
#49
○政府委員(羽毛田信吾君) 仮に現在の上限の二五%を撤廃まで持っていった場合の影響ということでありますけれども、先ほど先生がお挙げになりました五百億という数字は、恐らく現在の三〇%にした場合の市町村国保のいわゆる拠出金の負担の減の額だろうと思います。この市町村国保の拠出金負担の減、三〇%にした場合を五百億と申し上げておりますのが、撤廃までいきますと十年度ベースで六百六十億になるのではないかというふうに考えております。それぞれ健保組合なり政管健保の方はいわば増という形になりますけれども、同様に増効果が原案よりもその分大きくなるという結果になります。
#50
○渡辺孝男君 上限を取り払うと六百六十億ぐらい国保側からすれば負担減になる、ただし被用者保険側の方はその分負担増になってくるという、国の方の負担がふえなければそういう形になってくるということであります。今、本当に景気が悪くて、雇用者、経営者、それから雇用者の家族にとってもこれ以上保険料が上がってくるのは、また自己負担がふえてくるのは望ましくないという思いが強いと思います。
 老人医療費の拠出金に関しましては、ことしの一月に社会保障制度審議会で論点になりました今回のこの法案が予算編成上の緊急措置的側面が強い、そしてまた国民の納得を得る上でも拙速の嫌いがあるというふうに、そういう論点が示されているわけでありますけれども、やはり私どももそういうところかなと。
 やはり抜本改革をなるべく早くまとめて、その間はそういう負担のいろんな形でのツケ回しというようなものはしないで抜本改革を急ぐべきである、そのように考えるわけであります。先ほど直嶋委員からも同じような意見があったわけでありますけれども、改めてまた私どもに対しての小泉厚生大臣の御見解をお示しいただければと思います。
#51
○国務大臣(小泉純一郎君) この抜本改革というものについていろいろ御質問をいただくんですけれども、今回の国会に提出できないということから、抜本改革に対する決意が鈍ったのではないかという誤解を受けているというのは大変遺憾であります。
 そうじゃなくて、先ほどからもお話ししましたように、抜本改革をするがために、できるだけ多くの方々の理解を得てしたいという気持ちから国会提出時期が当初の見込みよりおくれているのであって、十二年度実施という基本方針は一度も変えたことはありませんし、変えてはいけないと、その決意で取り組んでおるということをぜひとも御理解いただきたいと思います。
#52
○渡辺孝男君 今回の法案に関しては、抜本改革までの間もやはり老人医療費の拠出金に関しましてはこのとおりやってほしいという、その点の発言がなかったのですけれども、今までの経過から見ればそういう小泉厚生大臣の御意見かなというふうに思いまして、また次の質問の方に入らせていただきます。
 診療報酬の不正請求の防止の観点に立ちまして質問させていただきます。
 大阪の安田病院の場合には、職員の水増しなどにて約二十億円の診療報酬を不正に受け取り、そして診療報酬の詐欺容疑で逮捕されたわけでありますけれども、この事件では内部告発が直接の発端となり不正が明るみに出されたということであります。
 その際に、不正を見逃してきた厚生省や大阪府の行政関係者の医療監視体制の甘さが問題になったわけでありますけれども、平成八年度にも同様に職員の水増し等による十億円を超す不正請求事件があり、保険医療機関の取り消しを受けております。この事件の場合には、病院開設者が診療報酬詐欺容疑で逮捕されてから医療監査が行われたようでありますけれども、どうして逮捕前の医療監視体制ではその不正が見抜けなかったのか、その原因につきまして厚生省より御説明をいただきたい。また、その反省から今後どのような改善策がとられるようになるのか、その点に関してもお伺いしたいと思います。
#53
○政府委員(高木俊明君) この平成八年度の件は、医療法人の常磐会というところがやっている病院のケースでございますが、これは一言で申しますと、病院側の水増しした医療従事者、この社会保険料の支払いを行うとかやっておりました。したがって、関係書類を見る限りにおいては改ざんが行われているためになかなか虚偽の申請というのが見抜けなかったということでございます。要するに、ここも従事者不足にもかかわらずいるような格好を書類上とって請求が行われてきた、こういうことでございます。
 こういったものはなかなかこれは発見が難しいわけでありますが、やはり基本的には、地域においてこういうような悪質な医療機関というのはいろんなことで問題を指摘されるケースが多いわけでありますから、やはり幅広く医療保険サイドにおきましてもアンテナを張ってきちんとした情報というものをキャッチするようにし、違約が出る場合にはやはりそれなりの対応、指導なり監査なりの対応をきちんとしていくということに尽きるのではないかというふうに思っております。
 それから、医療監視という、これはむしろ医務サイドの行政でありますが、こちらとの連携というものをやはりきちんとして、こういうような不正行為が司直によって摘発される前にきちんとしていかなければならない、こういうふうに思っておりまして、私どもとしましても、都道府県につきましても機会あるごとにそういった指導あるいは指示をいたしております。
#54
○渡辺孝男君 ちょっと時間がなくて予定した質問が最後まで行かないで申しわけありませんが、引き続きまた質疑の時間がとれると思いますので、そのときにさせていただきたいと思います。
 以上で終わります。
#55
○清水澄子君 五月十九日に、本委員会は参考人を呼びまして、皆さんからこの老人医療費拠出金等についても御意見を伺いました。そのとき、参考人のすべてと言ってもいいと思いますけれども、皆さん方は、この法案が出されてきた根拠、この経緯、それらがほとんど審議会でも十分な審議がなされず、当初報告等においても決して二分の一とかこういうふうな数字が出されたわけではない。そういう意味で、これはあくまで財革法による医療費節減にほかならないものであるという意味でこの法案には納得できないという御意見がほとんどでありました。
 そこで私もお尋ねしたいんです。老人医療費拠出金の被用者負担金を二分の一にした根拠ですね、そのことをぜひお聞かせいただきたいと思います。
#56
○政府委員(高木俊明君) 退職者に係る老人医療費拠出金でありますが、これは基本的には退職者医療制度というのをどうすべきなのかということとの関係があるわけでありますけれども、そういった中で、しかしこの退職者の状況を見ますと、国民健康保険の中に占める割合が非常に高くなってきております。
 この退職者医療制度については御説明を省略させていただきますが、この方々は現在本来七十歳の老人保健に入る前の段階でありますから、老人保健拠出金も等しく御負担していただかなきゃならないわけであります。それを現在は市町村の国民健康保険の方々が負担している格好になるわけでありまして、これを計算しますと約二千億程度に平成八年度なっております。
 国保サイドから見ますと、この二千億を被用者保険サイドで負担していただきたいということでありますが、被用者保険サイドからしますと、そもそも退職者医療制度そのもののあり方を見直すべきであり、また抜本改革を前にした中で、そういった中で考えていくべきであるので、それまでの間現行制度というような状況でいくべきではないかということではないかと思います。
 そういった中で、今回この二千億の二分の一を従来どおり国保で負担していただき、それから残りの二分の一を被用者保険サイドで負担していただきたいということでお願いしておりますが、これは平成十年度の予算編成の過程におきまして、与党内においても御議論をいただきました。その中における合意と申しますかそういった形で二分の一についてそれぞれ負担していただくような形が決まったわけでありまして、これも受けまして私どもとしては今回このような御提案をお願いしているわけであります。
#57
○清水澄子君 先回にも発言をいたしましたけれども、結局この五百六十億円の拠出金というのはやはり財革法との関連で出されたというのが本当のところだと思うわけです。しかし、現時点を考えますと、財革法の改正案が国会に出されているわけでありますし、そして平成十一年度のキャップは外すことになったわけですから、そうなると、その当時上にあったいろんな条件ですね、そういうものが今なくなっている、つまり五百六十億円を決定したというそういう条件というんですか、根拠がなくなったと見るべきだと思います。
 したがって、今回の退職者医療費拠出金負担の見直しは、やはり今回は見送るべきであって、そして本来これらもすべて抜本改正とあわせての議論であったわけですから、やはりそれは見送って国保財政については臨時的な措置で対応する、その方が私は問題がすっきりしていくと思いますが、それについて大臣、いかがですか。
#58
○国務大臣(小泉純一郎君) これは財政構造改革と関係ないとは言いません。しかしながら、医療費に対する国庫負担をどうするかということを考えますと、私はこれ以上医療費負担をふやして他の社会保障関係の予算を削っていこうという雰囲気にないと思います、状況ではないと。むしろ、医療費の国庫負担をいかに減らしてもっと違う面に、二十一世紀に対応するような社会保障関係の予算を伸ばしていこうという状況の方が強いと思います、
 そういう観点から、この財政構造改革、キャップに関係なく医療費の負担をどうやって公平に分かち合おうかというと、医療費に関係する国庫負担を十一年度キャップは外れても今よりふやすという状況にはないんです。その点をぜひとも御理解いただきたいと思います。
#59
○清水澄子君 そうであればあるほど抜本改正を先にやるべきなんです。そうして、やはり私はこれは本当に国民の皆さんに理解を求めるという点でもそっちが先なんですね。そして、こういうふうに高齢者の医療費は全体でどのように負担していくのか、そういうふうなことの道筋を示した上でお願いすることであって、今回のようにまず財政構造改革法が出たために、逆になったために非常に説得力がありませんし、逆に本当に抜本改正をやる気かというふうな不信が出ていると思います。ですから、私は今回はやっぱり一度もとに戻して、私はずっとそのままこの現状でいいなんて思っておりませんから、やはり現状に一度戻して、一、二年のことですから、一度きちんとした筋道を立ててやるべきだと思います。
 そういう意味で、先ほどから皆さん方も本当に抜本改正というのは平成十二年と言っているけれども、本当にやるのかという確認が何度もされておりますが、最初厚生省は抜本改革は平成十一年度実施と言っていました。私ども与党の方は、本当にできるのかなと、私どもは十二年を目標にしないとできないんじゃないかと言っていたんですが、厚生省は平成十一年というのを出したわけですね。それが知らないうちにすっと消えていて、今や特に大臣が平成十二年というのをはっきり言っておられますからそこを信ずるしかないと思いますけれども、この法案は抜本改正までのつなぎなんという提案ですから、つなぎという以上ははっきりその終わり、つなぎですからその行き着く先、抜本改正はいつやるということをここで明確に約束をしていただきたいと思います。
#60
○国務大臣(小泉純一郎君) 抜本改革をなぜ早くやらなかったのかということですけれども、それほど抜本改革に対する抵抗が強いんです。結局、現行制度は行き詰まったからこそ抜本改革をしなきゃいけないという雰囲気が出てきたと思うんです。
 しかも、このような財政状況です。こういう財政状況というのは財政構造改革法に直接関係なく、むしろ財政構造改革法があるからこういう財政状況じゃなくて、財政状況が現在の状況だから法律でよりこの状況を認識してもらおうという形で私は財政構造改革法は提出されたと思うんです。よりきつい縛りをかけた、財政構造改革法がないと現在の財政状況がわからないだろうと。制度改正をやるといったって、予算を減らすような制度改正はしないだろうと。結局、国庫負担をふやすような制度改正だったら、財政状況をどういうふうに認識しているのか、財政再建もできない、財政構造改革もできないになっちゃう。私は財政状況と改革というのはつながりがあると思います。できたら財政状況が豊かなときに国庫負担をふやす場合の改革は安易ですよ。しかし、そういう状況じゃないからもう現行制度では行き詰まりが来たんだということだと私は理解をしております。
 いずれにしても、総論賛成、各論反対の面が強いものですから、その最も典型的な例が出るのはこの社会保障分野だと理解しております。その点をだんだんみんなが理解してきたからこそ、この十一年度の上限枠は社会保障を外すのはやむを得ぬという雰囲気になったというふうに私は考えております。
#61
○清水澄子君 改革案は出ていないんですよ。ですから、私どもは今財政改革というんであって、改革案がないところが一番の議論になっているところだと思います。
 次に、公正取引委員会にお尋ねをしたいと思います。
 公正取引委員会は、医師会がみずからの地区内の病院や診療所の開設とか移転、それから診療科目の追加や変更あるいは病床の新設や増設に対して制限行為をしていること、それを独占禁止法違反として勧告を行ったり審決を下しておられるわけですけれども、このような事件というのはこれまで何件あったんでしょうか。そして、特にこの二、三年ではどのようなケースがあり、どのような勧告や審決を行っておられるのか御説明いただきたいと思います。
#62
○説明員(伊東章二君) お答えいたします。
 医師会の開業制限等の事件、五十五年から五十六年にかけてですが、数件あったと思います。最近でも二、三件あったところでございまして、最近の例で申し上げますと、これは平成八年十二月に勧告を行ったものでございますが、立川市の医師会の件がございます。本件は、立川市の医師会が、会員の行う病院または診療所の開設、移転、増設、あるいは診療科目の変更、追加、病床の増床等を制限していたということで、独占禁止法第八条に規定している事業者団体の禁止行為に該当するとされたものでございます。この勧告につきましては相手方が応諾しまして、平成九年二月に審決が出されておるところでございます。
 なお、同時期に、香川県にございます観音寺市三豊郡医師会に対しまして、医療機関の開設あるいは診療科目の制限をしているということで勧告を行っておりますが、本件につきましては勧告不応諾ということで、現在審判手続中、そういう意味ではまだ最終結論が出ていないという状況でございます。
#63
○清水澄子君 その香川県の三豊地区の医師会というのは、公取委の勧告を受け入れなかったために今その審決の手続をしておられるということですね。しかし、その内容については、今それはお話しできないかもしれませんが、どういう問題だったんでしょうか。
#64
○説明員(伊東章二君) 内容といたしましては、医師会が医療機関の開設あるいは診療科目の追加を制限しておるということでございまして、現在その事実等につきましては審判手続が進められておるということでございます。
#65
○清水澄子君 そうしますと、医療機関の開設及び診療科目の追加、こういうことを制限することによって、新しい開業医が加わることを禁止していくことによって、現在または将来の事業者の数を制限していくことは独占禁止法に違反するものであると法令の適用というところにありますね。
 これは病床というんですか、そこの事業者たちの将来においてそういう事業者の数を制限していくということは独禁法違反であるという考え方ですね。
#66
○説明員(伊東章二君) 勧告時点におきましてはそういう事実認定のもとに、独禁法の八条一項第三号ということになりますが、それに違反するということで勧告したものでございます。ただ、独禁法上の手続として必ずしも勧告に応諾しなきゃいかぬというものでもございません。
 不応諾の場合は改めて審判手続ということで、事実なり法令の適用を争うということになっておりまして、現在その手続が進められておるところでございます。
#67
○清水澄子君 それでは、厚生省にお伺いいたします。
 こういうような医療機関の開設及び病床の増床の可否について、こういう独占禁止法違反という勧告が行われたり審決が行われている、こういう問題について厚生省はこういうことをどのように認識されていらっしゃるのか。そして、それらに対してはどのような対応をしてこられたんでしょうか。
#68
○政府委員(谷修一君) 今、公正取引委員会の方からお話しございましたように、具体的な事例としては、平成八年に公正取引委員会から立川の医師会、それから香川県の観音寺の医師会に対して勧告が行われたということは承知しております。
 それで、私どもといたしましては、これらの事例を踏まえまして、独占禁止法に違反するような行為が行われることがないように平成九年一月に通知を出しまして、各都道府県また関係団体に対して指導を行っております。
 私どもといたしましては、今後とも必要に応じまして独占禁止法に違反するような行為が行われることがないよう関係方面に対する指導等を行ってまいりたいというふうに考えております。
#69
○清水澄子君 そうしますと、今度この法律で医療法の勧告に従わざる者は保険医療機関の指定を与えないという法律になっていますね、今度の場合。それはもっと独禁法より強いですね。そういうことは、この勧告の持つ法的性格というのはどういうものなんでしょうか。
#70
○政府委員(高木俊明君) 医療法上の勧告は、これは強制力はありませんから、一種の行政指導のような形であるというふうに考えております。
 今回お願いしておりますのは、そういった病床過剰地域に新たにまたベッドを増設したいというケースについて、もうそこの地域においてはこれ以上増設が要らないという場合に勧告が出るわけでありますが、その場合は医療保険サイドとしてどうするかという問題であります。医療保険サイドとしましては、これは病床数と一人当たりの入院医療費というのは非常に強い相関関係があります。そういった中で、やはり必要以上の保険医療機関の病床というものは抑制していくことが医療費の適正化につながります。
 そのことは、結局は保険料の軽減ということにつながっていくわけでありますから、そういった意味で、私どもとしてこれ以上病床を必要としない、そういう勧告が出された場合、この場合には医療保険上は保険医療機関としての指定をしない、こういうようなことでありますが、この保険医療機関の指定というのは公法上の契約であるというふうに私ども考えておりまして、そういった意味でこういうケースについては契約をしない、こういうふうにしたいということであります。
#71
○清水澄子君 私は、次のときにもっとその辺の、非常に問題があると思いますので質問をしたいと思うんですけれども、しかしその前に、大臣はこういう状況をどのようにお考えになっていらっしゃるか。今の保険局長の説明で十分であるとお思いかどうか。この病床規制というのは、必要病床数というのも必ずしもそれが本当に適切かどうかというのは一度見直さなきゃいけない問題が新潟での地方公聴会でも出されましたし、それから現実に二次医療圏の中でこれでいいのかという問題があります。そういうものを見直さないでこういうことが行われることと、それからこのことは地域の患者の利益をも害することになるわけですね。そういう点も含めて非常に問題が多いんですが、厚生大臣はどのようにお考えになっているでしょうか。
#72
○国務大臣(小泉純一郎君) 地域によって事情も違うと思いますが、独占禁止法の違反にならないような指導といいますか関係団体との協力が必要だと思っております。
#73
○委員長(山本正和君) 午後四時三十分まで休憩いたします。
   午後二時五十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時三十分開会
#74
○委員長(山本正和君) ただいまから国民福祉委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国民健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#75
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。
 先ほど財革法の改正案が衆議院の特別委員会で採決が強行されたわけですが、我が党はもともとこの財革法に反対でございましたし、廃止が基本的な立場ではございますけれども、野党三党の共同提案に賛成をいたしました。二年間の停止措置が実施されるということ、そして今後の財政構造改革のあり方の見直しの中に国民生活関連向けのキャップ制の見直しも当然含まれるということでございましたので、評価ができるということで賛成をしたわけでございます。
 そういう意味で、もちろん私たちの廃止の立場は変わりませんけれども、一昨日の参考人質疑の中でも、連合の方もそうでしたし、健保組合の代表の方もそうでしたけれども、もともと国保法の改正案の前提であります財革法がこういう形になったのだから根拠がなくなった、だからもちろんこの法案については廃案、廃止だという御意見がありました。私もそういうことに賛成でございます。
 大臣は、国保法は財革法と関係がないわけではないというふうに御答弁になっているわけですけれども、やはり財革法にキャップ制があって削減という、とりわけ医療費に対する削減という方向を強く打ち出されている中で国庫負担を五百六十億減らすということが盛り込まれた法案になったということはこれはもう否めないことではないかと思います。国庫負担をふやすという方向だってあったわけですから。ところが、削減をするという方向で改正案が出されているということについてはやはり財革法との関係は否めない。そして、財革法がわずか四カ月でこういうふうな形になってきたという中では、やはり前提がなくなったというふうに申し上げたいと思うわけです。
 そこで、衆議院の答弁の中で高木保険局長が、健保組合の方におっかぶせるわけですよね。負担をおっかぶせるんだけれども、しかしこれはむしろ保険料の減要因になると見ているというふうに答弁をされているし、大臣も本会議で、加入者の保険料負担になるんじゃないかという質問に対しては、いやむしろ減るんだというふうなことを御答弁になっているわけですが、その点について私は参考人の方にお聞きしました。こういうことを政府は言っているけれどもどうですかと聞いてみると、とんでもない、もともと健保組合は赤字なのに何を言うのかと。また、連合の参考人の方からは、今受診の抑制がずっと起こってきているのはむしろ治療の先送りを組合員の人あるいは家族の方がやっていることであって、これで組合側の負担が減ってむしろ保険料が下がるというようなことはとんでもないという厳しい批判がありました。
 社会保険支払基金の速報なども出ているわけですけれども、この受診抑制というのが非常に広範にわたっているということはもう数字で出ていますから今さら私が紹介するまでもないんですけれども、やはり昨年九月一日から受診の抑制が起こっている。その数は相当な数に上っているんですね。これを今私計算して、社会保険支払基金の速報、十一月、十二月、いろいろ出ていますけれども、前年度に比べれば大体二百万人以上の単位で受診抑制が起こっている。
 こういう数字も出ている中で、やはりもっと厚生省は国民の今置かれている医療の実態を直視するべきじゃないかというふうに思うわけですけれども、厚生省は必要な医療は抑制されていないというようなお立場をまだとり続けるおつもりでしょうか。
#76
○政府委員(高木俊明君) 前段のお話はちょっと私の最後の結論のところだけ引用されたようですが、しかし時間がありませんからそこは触れません。
 受診抑制との関係でありますけれども、今回と申しますか、昨年九月の一部負担の改正は、医療保険全体が非常に大幅な赤字基調にあった、そういった中で当面の財政運営の安定を図るというふうなことから給付と負担の見直しということでお願いをしたわけであります。そして、医療保険財政の当面の危機の回避、こういうことでお願いしたわけでありますけれども、そういった中で、暮れの予算編成において、十年度の医療費の推移というものを見通しながら編成をさせていただきました。暮れの予算編成において、どの程度医療費が縮減されるだろうかという、伸び率でありますが、これを一応その段階において見込んだわけでありますけれども、改正後、現在までにおける状況を見てみますと、大体そのときに見込みました医療費の伸びでおおむね推移しているということで考えております。
 この一部負担なんでありますけれども、これはやはり医療保険制度の中で実際に受益を受ける方、それから保険料を負担している方がおられるわけで、この受益と負担の公平という視点でどうバランスをとるかという問題がやはり大事であります。それからまた、医療費というのは決して安くないわけでありますから、そういった中で医療費に対するコスト意識というものを促すという観点から見ましても、私どもとしては無理のない範囲内の一部負担というものはお願いせざるを得ませんし、また何よりも、昨今の医療保険の財政状況が非常に悪くなっている状況を見ますと、皆保険制度というものを維持していくためにはやむを得ないというふうに考えております。
#77
○西山登紀子君 無理のない負担だというふうに、今なおそういう判断をしているということなんですね。これは、やはり国民の今、健康を守る責任は憲法二十五条、国にあるわけですけれども、現場の医療機関の皆さんはもっと真剣に悩んでいますよ。
 これは、きょうも全国保険医団体連合会の先生方が私たち各議員のところにも要請に来られておりますが、要するに、昨年九月前の患者負担に戻してほしいということを真剣に、要望書を持って来られました。
 私の地元の京都では、やはり京都の保険医協会の皆さん非常に熱心で、各政党とも懇談をお持ちになっていますし、それから御自分の患者さん二千七十四人に直接アンケートをとって、受診が本当にどうなっているのかという調査をやって、真剣に実態を把握していらっしゃいます。負担がふえたというのは、二倍程度ふえたという方が五一・一%、三倍程度は一八・三%、四倍以上ふえた方は四・七%と。それから、例の薬代の二重取りの部分ですけれども、それは理解できないが五九・九%出ています。それから、窓口負担の改定にどう対応したかというのには、受診回数を減らしたが三〇・一、経費を切り詰めて今までどおりというのが三五・〇、こういうふうに数が出ております。
 こういう御自身の患者さんの実態をつかんだ上で、京都府の保険医協会の理事会は四月二十八日に見解を出して、きょう、地元の議員のところということで要請に来られて、ちょうどこの委員会で質問する機会とうまく反映する機会が得られたということで大変私もうれしく思っているわけです。
 その見解というのは、医療保険財源の国庫負担の削減を続ければどのような制度改革を行っても国民医療の改善にはなり得ないと。つまり非常に悪循環をしているということを指摘した上で、我々保険医は、深刻な内需不況の大きな原因として、昨年四月の消費税増税、九月の健保法改悪による患者負担増に加え、将来の介護保険料負担、年金給付や雇用への不安感など、一九八〇年代の臨調行革以降継続されてきた社会保障費の抑制があると考えると。日本経済の再建には、国民の健康と生活を守る社会保障を拡充する財政対策への政策転換が求められている、こういうことまでちゃんとおっしゃっているわけです。
 そして、以上の理由から、財革法改正による社会保障費のキャップ制を廃止すること、今回の国庫負担削減、被用者保険への負担転嫁を目的とする国保法等一部改正法案を白紙撤回することを強く求めるというふうな見解を出して、ぜひということで要請にも来られているわけです。
 それで、大臣にお伺いいたしますけれども、深刻な受診の抑制、それが医療機関に与えている影響等々、こういう要請も出ております。やはり九月以前の段階に少なくとも戻すべきじゃないか、こういうことで大臣の御答弁をお伺いしたいと思います。
#78
○国務大臣(小泉純一郎君) 受診の抑制が起こっているかどうかというのは、結果的には医療費の自己負担が上がった結果お医者さんに行く回数が減るという方もおられるでしょう。しかしながら、私は今まで以上に医療費に関する国庫負担をふやせる状況かというと、そうじゃないと思います、財政構造改革法があるなしにかかわらず。
 こういう財政状況を考えますと、私はどの分野におきましても制度改革が必要だということでいろいろな改革に取り組んでいるわけですが、病気になった人が、いわゆる患者さんが考えれば、負担が上がるのは嫌ですよ、だれが考えたって。やっぱり病気にならないで保険料を払っている人のこととか、あるいは税金を払っている方とか、そういう面、多面的に見ないと制度の改革は成り立ち得ない。そして、現在の一割負担にしても二割負担にしても、あるいは三割負担にしても、負担が軽ければ軽い方がいいという国民の気持ちはわかります。しかし、税金と保険料と自己負担、受益者負担ということを考えながら医療費のむだとか効率化を考えていく、総合的な面から抜本改革をするということを出しているわけでありまして、私は今後とも適切な負担、できるだけ不必要な受診なり過度の投薬は遠慮してもらうような改革に手をつけざるを得ない。
 今後、たとえ財政構造改革法がなくても、福祉分野においてもし税金を使っていいという場合に、今以上に医療費に使えという雰囲気が出てくるかどうか。それはわかりませんね。医療費に今七兆円近く使っている、今年度予算で。これをもっとふやすべきか。それだけ使うんだったらもっとほかへ使った方がいいじゃないかという議論も出てくる。それは全体の中で見ていかなきゃいけない問題だと私は思っております。
#79
○西山登紀子君 大臣とはやはり平行線のような気がするんですね。だから、やはり一般論で言っちゃうんじゃなくて、去年の九月一日以降、二兆円、合わせて九兆円の負担をおっかぶせたということから、景気だって二十三年来の消費不況が起こっているし、その中の医療費の削減、受診の抑制というわけですよ。公共投資という点でいえばいわば幾らでも積み増しをしていっているじゃありませんか。
 だから、税金の使い道に根本的な間違いがあるという点、この点は大臣とは平行線ですけれども、私は見解としては述べさせていただきます。社会保障を削減したということを先ほど大臣は少し自慢げに言っておられましたけれども、私はそういうことは自慢できることでも何でもないというふうに思います。
 それで、時間が余りなくなってきたので、不正請求の問題についてお伺いをしたいと思います。
 結論だけお伺いして申しわけありませんけれども、まず不正請求についてはもちろん私たちは容認する立場ではございません。しかし、いろいろな審査についての必要なデータというのが十分備わっているのかというと、昨年十一月五日の衆議院の決算委員会でも指摘されたように、実はデータが整備されていない。そういうもとで非常に高い、大きな数字がひとり歩きをしていって、医者がいかにも過剰診療をしているというふうな形になるのはまずいし、その結果必要な医療も妨げられるというふうなことになってはまずいと思うんです。
 局長にお伺いしますけれども、必要なデータを整備していくという御答弁を決算委員会でしていらっしゃるんですけれども、いつまでに整備をして公表されますか。
#80
○政府委員(高木俊明君) 必要なデータというのは、審査、支払いに関するデータということで申し上げたわけですが、私どもとしましても、支払基金等におけるそういったデータが必ずしも十分集計されていなかったということについては極めて遺憾であるというふうに考えておったわけであります。
 そこで、早速、そういった意味では、支払基金だけが必要とするというよりも、世の中において当然知ってもらうべきものについてはきちんと整備をしてほしいということでお願いしました。
 逐次そういった体制がとられていっておりますが、具体的には、今年の一月の診療分から、一次審査、それから再審査、それぞれにおける査定理由、いわゆる資格の間違いによるものと、それから本当に審査で査定した額、そういったものがきちんと区分されるように、そういった内容についてきちんと都道府県別に集計し、そして求めに応じて保険者の方等に対して提供できるような、そういった体制をとってもらうことにいたしました。
 さらに、今後もっと内容の充実を図っていくべく今支払基金としても努力をしていると、こういうふうに聞いております。
#81
○西山登紀子君 それでは、次に質問いたしますが、京都の民医連中央病院が不当減点復活訴訟を起こしまして、昨年、それが全面的に勝訴いたしました。
 これは、私は専門的なことはわかりませんけれども、急性リンパ性白血病を再発して入院された四十歳の男性の方のとにかく命を救おうということでいろんなことをやられたと。ところが、それが過剰だということで百十四万六百点を減額されたということについて病院側が裁判を起こしまして、結局のところ全面勝訴という形になったわけです。
 この点については、衆議院の段階でも、委員会の審議の中にも出されて、十二回の透析を行ったということについて担当医として適当な判断であったという判断が下されたわけです。そのときに局長が答弁されて、私は非常に大事だなと思ったんですけれども、その患者さんを診たときの医師の判断というのは、やはり患者の容体や病態によってかなり治療内容には幅があるのは当然だということをおっしゃっているわけです。
 ですから、もう上告しないというようなことになっておりますが、これが一地方の問題ではなくて非常に教訓的だというふうに思われますのは、治療というものはやはり国民の命を救うという点が何よりの原点でありますから、そういういろんな点で保険請求の問題は、規則だとか点数表だとかいろいろ査定はされているわけですが、その際にはやっぱり医療の原点ということについて、局長が言われた、治療上の内容に幅がある、そして担当医の判断がある、患者の病態にも幅がある、そういうことを含めて判断をすべきだと。
 こういう点の厚生省の御指導はどのようにされていますか。
#82
○政府委員(高木俊明君) それは、まさにおっしゃるとおり医療の原点だと思います。そういった医師の判断というものを当然前提とした保険システムであるわけでありまして、ただ、そういった中で審査というのは行われております。
 この審査体制というのも、そういった意味では三者構成になっていまして、診療担当者の代表、保険者の代表、それから学識経験者というようなことで構成されておりまして、そういった中のいわゆる合議体で審査をしている形になっているわけですが、こういうような中での公正な判断というものがなされている、またなされなければならない、こういうように考えております。ただ、そのベースは冒頭申し上げたようなことが前提だと思います。
#83
○西山登紀子君 それでは、最後に大臣にお伺いいたしますけれども、先日の参考人の陳述の中で、保団連の河野参考人からお伺いして私もびっくりしたんですけれども、この診療報酬改定後の周知の徹底が非常に不十分だというわけですね。それで、講習会もきちっとやってくれと言っているんだけれども、やっていると言っているが実際にはやられていないとか、それから、改定の通知はしたんだけれども、その後で追加で訂正が一度ならず二度ならず来るというふうなことがあるという、この点についてはやはりきちっと整備をし周知徹底をきちっとやっていただきたいと思うんですが、その点をお聞きして質問を終わりたいと思います。
#84
○国務大臣(小泉純一郎君) 周知徹底はしていると思うんですが、もし仮にその周知徹底がされていないということであれば、そのように改善していきたいと思います。
#85
○都築譲君 自由党の都築譲です。
 国民健康保険法の一部改正案について、特に不正請求の関係について御見解をお伺いしたいと思います。
 それで、今回の改正法案の中で不正請求に対する制裁を強化するというふうな形で、保険医の指定の取り消し期間を二年から五年に延長する、あるいはまた返還金の加算金を四〇%にまで増嵩するというふうな形で、そういう不正請求抑止の措置が講じられておるわけですが、私はもっと基本的なところをもう少ししっかりやっていく必要もあるのではないか、こんなふうに考えております。
 きょうは厚生省のほかに実は大蔵省国税関係、あるいは会計検査院、行政監察関係の方にもお越しをいただいておりますので、ちょっと質問の順番を変えて大変恐縮ですが、まず実態関係のところを幾つかお伺いしたい、こう思います。
 まず、実は私自身がこの不正請求の問題について関心を持ちましたのは、二月に報道されました東京の稲吉眼科の事件でありまして、これはもう既に予算委員会とかいろんな場で取り上げさせていただいておりますが、要は九五年四月から九七年三月までの二年間で九億五千万円診療報酬を受領してそのうち八億円が不正請求であった、大変とんでもないというふうに厚生大臣も予算委員会で言っておられましたけれども、そんなケースがあったわけです。
 こういう悪事を働くお医者さんというのはごくごく一部だろうと思いますが、こういったものがなかなか発覚しないということは、今の社会保険、医療保険の仕組みが整備をされておりまして非常に複雑なものになっている。特に、診療報酬支払基金とか国保連合会がレセプトの審査を一生懸命やっておりますけれども、当不当のレベルの問題でむだなあるいはまた過剰な治療行為とか投薬とかそういったものを療養担当規則などに基づいて一生懸命チェックされておりますが、最初から療養担当規則などに合致するような架空の請求をでっち上げてきてしまったら、恐らく支払基金も国保連合会も審査の過程では全く機能をしないだろうというふうに思うわけです。
 であればどうするのか。この間の参考人質疑のときに診療報酬支払基金の末次理事長も言っておられましたけれども、実際にそういう架空という、全く悪意を持って意図的にやるということであれば、それは治療行為とか投薬行為があったことがわかっているのはお医者さんと患者さんしかいない、こういうことをやっぱり言っておられたわけでありまして、だからこそそういった不正請求といったものがちゃんと抑止できるような仕組みといったものをこれからもしっかり整備していく必要があるんじゃないか、こんなふうに考えておりますし、また、そういう不正といったものが行われたときにどういうふうにしっかりと対応していくのか、そういったところをちょっとお尋ねしたいというふうに思います。
 まず国税関係でございますけれども、今回の不正請求事案、この稲吉眼科について、実際には診療報酬を不正に請求してお金を受領したわけであります。ということは、実際には所得税をちゃんと納めているのかいないのかという問題と、それから現実に診療報酬については経費の控除が一定の割合で認められる、こういうふうな形で、たしか五七%から七二%、診療報酬ということで五千万円以下であれば、段階がありますけれども、すぐ経費として認められる、こういうことになりますが、そういう悪意を持って受領した金額についてもそういう経費控除というようなものが認められるのかどうか、そういった点についてまずお伺いをしたいと思います。
#86
○説明員(神原寧君) お答え申し上げます。
 個別にわたる事柄につきましては具体的な御答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、いわゆる不正請求に基づく診療報酬につきましても、それが医師に支払われております場合には社会保険診療報酬支払基金から支払い調書が税務当局に提出されることになりますので、当該支払基金からの診療報酬のうちに不正請求に基づくものがあっても把握漏れにはならないわけでございます。
 ただ、不正請求に基づく診療報酬につきましては、租税特別措置法の必要経費の特例が適用されませんので、必要経費の特例を適用した診療報酬の中に不正請求に基づく診療報酬が含まれております場合には、不正請求に基づく診療報酬についての必要経費の特例の適用を否認することになります。このため、医師等の調査に当たりましては、診療報酬の中に不正請求に基づくものが含まれていないかどうかについても調査することにしておりまして、現に各税務署において調査しておるところでございます。
 なお、国民健康保険団体連合会からの診療報酬におきましては支払い調書を提出されておりませんけれども、あらゆる機会を通じまして診療報酬にかかわる資料収集に努めまして、これらの資料と納税者から提出された申告書等を総合検討して、課税上問題があると認められる場合には実地調査を行うなどにより適正な課税の実現に努めているところでございます。
 いずれにしても、適正な課税に努めてまいりたいと思っております。
#87
○都築譲君 適正な課税というのは本当に大事なことでございますが、こういう不正という事案が発覚した場合は本当に厳正に対処をお願いしたいというふうに思います。
 それから続きまして、会計検査院の方についても、去年、たしか暮れに検査院の報告で発表がなされておりましたけれども、こういう医療費の不正といった問題について、あるいはまた不当事項についての指摘などが行われておりました。ただ、実際には会計検査院の仕組みの中で、国費が入っている、あるいはまた国費の補助があるとか、そういった形で限定をされておるようでございますし、それから実際に会計検査院の検査といったものが、どうもお金を徴収する部分については一生懸命やっておられるけれども、実際にお金が出ていく部分についてしっかりと本当に目が行き届いているのか。確かにそういう国のお金がかかわっているところということで都道府県とかあるいはまた診療報酬支払基金とかそういったレベルにとどまってしまうのかもしれませんが、現実におかしな医療機関等があれば、そういったところにも検査院の厳しい目が届くということをしっかりとこれから確立していく必要があるのではないか。
 それからまた、さらに組合健保の問題については、これは国費がかかっていないということで実は検査院の検査の対象から除かれていると思いますが、私は、国民が実は期待をしているのは、税金だけではなくて社会保険料も給料から大体天引き徴収をされておるわけでして、それが厚生省の指導のもとでしっかりやってもらっているということもありますけれども、最後のそういう財政運営をしっかりと担保する、政府に対する信頼を確保するという意味では、検査院はそういう組合健保の方にもしっかりと目を行き届かせる必要があるのではないか、こんなふうに思いますが、いかがでしょうか。
#88
○説明員(静井元義君) お答え申し上げます。
 本院は、従来から医療費の検査を重点的に実施しているところでございまして、その結果、今お話のございましたように、毎年、決算検査報告に国の負担が適切を欠いた事態を掲記しているところでございます。
 本院の検査の範囲は、会計検査院法によりまして、国の出資や補助金等の財政援助の有無により決められているものでございます。このため、民間の医療機関についても、国の補助金等の財政援助がないことから本院の検査権限がないということでございますけれども、本院が都道府県や市町村等で検査した結果に基づきまして関係都道府県が必要に応じて医療機関に赴くなどしまして内容を確認しまして、必要な措置を講じていただいているというところでございます。
 また、法律によりまして保険料徴収の仕組みができている医療保険制度でございましても、国の負担が行われていない組合健保等の医療費等につきましては本院の検査権限が及ばないというのは御指摘のとおりでございます。
 本院といたしましては、今後とも、医療費適正化の重要性にかんがみまして、検査の手法などにも創意工夫を加えながら検査を実施してまいるという所存でございます。
#89
○都築譲君 ありがとうございました。
 その会計検査院法の問題になるとこれはもう国会の話になってくるのかな、こういういうふうに思いますが、これから本当に事後チェック型の仕組みというものがますます行政改革が進む中で必要になってくると思いますので、ぜひそういったことも国会としても取り組んでいく必要があるというのが私の考え方であります。
 それから次に、行政監察局の方にお伺いをしたいと思いますが、今までもレセプトの査定について当不当のレベルということでいろいろやっておられましたけれども、今後、不正請求防止の仕組みにまで踏み込んだ行政監察といったものをぜひやっていただく必要があるんではないかと思いますが、行政監察局、総務庁としての方針をちょっと聞かせていただきたいと思います。
#90
○説明員(小河俊夫君) 先生御指摘の点につきましては、これまで国民健康保険、政府管掌健康保険及び船員保険の各行政監察におきましてレセプトの審査点検の充実を図るよう勧告を行ってきたわけでございますが、さらに、平成八年の老人医療等公費負担医療におきましても、レセプトの審査点検の充実に加えて的確な審査点検を図るためのマニュアル作成等についても言及を行い、勧告を行ったところでございます。
 また、今年度、国民健康保険に係る行政監察の実施を予定いたしておりまして、その中で、御指摘の不正請求防止の観点をも踏まえつつ、診療報訓の適正な支払い確保等について調査を行い勧告に持っていく所存でございます。
 以上でございます。
#91
○都築譲君 本当にごくごく一部かもしれませんが、全く野放しになるような状況になると、それはお医者さんと患者の信頼関係といったものを大きく損なうことになりますし、保険制度といったものの根幹を揺るがしかねないことになると思いますので、ぜひ行政監察としてもしっかりと対応をお願いしたいと思います。
 時間がわずかになってまいりましたのですべてをちょっと、質問通告をさせていただきましたが、できないかもしれませんが、一つお伺いを厚生省にしたいのは、レセプトの電算処理について現在取り組みをされておられる、こう思いますが、実際に今の進捗状況はいかがなっておりますか。
 それから、あと、私自身は実は、患者への領収書の記載内容、この明細書をレセプトと同じようなものにすべきではないか、こんなふうに考えております。と申しますのも、結局、お医者さんと患者さんが同じ情報を持っておるわけですから、架空請求とかそういうおかしな行為については患者さんの目が行き届くことで実は防ぐことができるんじゃないか、こんなふうに考えております。その点、いかがでございましょうか。
#92
○政府委員(高木俊明君) まず、レセプトの電算処理の状況でありますが、これは、平成三年の十月診療分からいわゆるパイロットスタディーの形で実施をしてまいりました。ことしの四月現在で百八十の医療機関が参加しておりますけれども、これを踏まえまして、十年度には全国どこででも医療機関がこのレセプトの電算処理というものが参画希望すればできるように支払基金サイドにおいても受け入れ体制を整備するということで今取り組んでおるところでございます。
 それから、領収書の件でありますけれども、先生も御案内かと思いますけれども、今かなりの医療機関が、特に大きな病院はいわゆるレセプトにつきましても電算化をしておりまして、そういったようなところについては医療費の明細書もかなりそういうコンピューターでアウトプットできるような形をとっておりまして、そういうところの領収書をごらんいただきますとかなり細かく内容が記載されております。
 ここに国立病院の例があるのでありますが、例えば診療科につきましても、基本診療がどれだけだったか、投薬・注射、それから画像診断、処置・手術、検査・その他ということで、相当詳しく医療費の合計、それから自己負担額がそのうち幾らであるか、こういうような領収書を出しております。
 これのほかにもっと詳しく、レセプトと同じ内容にするかどうか、これは領収書としての性格等々との関係で実務的な面も含めてさらにもっと吟味していかなきゃいけないと思いますけれども、現在の領収書自体につきましても、そういった意味で、内容がよくわかるようなそういったものを医療機関が出していただくように今後とも私ども努力していかなきゃいけないと考えております。
#93
○都築譲君 努力していかなければいけないということですが、保険料を納めているいわゆる被保険者の皆さん方あるいはまた企業の皆さん方、みんな一生懸命まじめに働いて得たお金の中からそれを納めておるわけですから、本当は一円たりともむだ遣いがあってはならないし、ましてやそれが不当に搾取されるというふうなことであってはならないわけでありますから、ぜひそういったところ、確かに実際の治療行為の内容とかあるいはまた投薬の内容で病名がわかってしまってどうのこうのという問題もあるかもしれませんが、普通の病名あるいはまた普通の病気、こういったものであればそんなに実は神経質になるわけではないわけでありますから、そういったところを本当にしっかりと私はやっていく必要があるだろうと思います。
 それからまた、そういった発見の端緒になるのが、実は、医療費通知の仕組みが大分機能し始めてきておりまして相当数のところが医療費通知をやっておるわけです。今回の稲吉眼科も実は、医療費通知があってそんな診療は受けたことがないとかいう話になっておりますし、実際に平成八年の厚生省の保険医療機関等の取り消しを行った事例の中でも、健保組合とか国保連合会から医療費通知を実施したところ、そんなものはなかった、こういうところがあるわけです。
 実は、先ほどのレセプトとそれから患者さんに渡す領収書、何月何日、どこの病院、どこの医療機関でどういうことがやられて、薬をどれだけもらって、それでそれぞれ単価が幾らで合計が幾らです、それで本人負担分が幾らですと、そういったものが全部出てしまう。医療費通知の方もそういったものが行くということになれば、何月何日にそんなところに私は行った覚えはありませんとか、何月何日に確かにそこに行きましたけれども実際にそんなにたくさんのお薬をもらった覚えはありませんとか、そういったことがわかれば実ははっきりしてくるわけでありまして、そういった仕組みをぜひつくっていくことが本当にむだなあるいはまたおかしな不正請求といったものを防ぐことになるんではないか。
 実に医療費二十七兆、こう言われるわけでありまして、余りに額が多過ぎると少しぐらいもらったっていいんじゃないかと思う不届きな人も出てきているのが今回の事例のようなものでありますから、ぜひ、そういうことのないように、そして被保険者の皆さん方の信頼を裏切らないようにする必要があると思います。
 そういったことについて、医療費通知の実施状況の記載内容もさらに充実するということについての御見解をちょっとお伺いしたいと思います。
 あと残り二分でございまして、実はこのほか、そういったおかしな事例が起こったら恐らく国税関係との通知のお話とかそういった問題なども出てきて、しっかりと目が、国民のそういう社会保険制度といったものに対する信頼、政府に対する信頼をゆるがせにしないという仕組みがちゃんとありますよということを国民自身は望んでいるだろうし、そういったことも会計検査院とか行政監察というところでいろんなチェックがあるんですという仕組みができていくことが一番大事だろう、こういうふうに思っておりまして、その意味で、医療費通知の実施状況、それからまた今のレセプトの内容、領収書にも同じようなものを配るとかそういった取り組みをぜひお願いしたいと思います。
 ちょっと時間がなくなりましてお願いで大変恐縮でございますが、あとそのほかきょうお聞きしたかったのは、先ほど、冒頭申し上げた取り消し期間の延長あるいは加算金の引き上げ。これで本当にどれだけ実効が上がるのかということは、これはわからぬわけです、はっきり申し上げて。ただ、実際にどういう基準でその制裁をまた発動していくのか、そういったところも実はこれからしっかりとまた詰めていく必要がある、こんなふうに考えておりまして、そういった意味でぜひ、これは厚生大臣にはお聞きする予定はなかったのですが、今私が申し上げましたような問題点についてどういうお取り組みをこれからされていくお考えがお聞きをして、私の質問を終わりたいと思います。
#94
○政府委員(高木俊明君) 医療費通知の関係につきまして、今実施状況は、政管健保はすべてやっております、健保組合におきましてもほとんどの健保組合でやっております。この充実についてはなお我々としても前向きに取り組んでいきたいと思います。
 ただ、こういうようなことで網の目を張りめぐらさなければならないという状況はある意味では不幸なことでありますが、現状からして私どもとしては、やはり医療に対する信頼の確保にもつながりますから、関係団体等の協力も得ながら努力していきたいというふうに考えております。
#95
○国務大臣(小泉純一郎君) 医療保険制度改革を進める上においても不正請求の防止をどうやって図るかというのは重要なことであって、もとより、本来お医者さんというのはそういうことをしない人たちがなるんだという前提でやっているわけですから、お医者さんに対する信頼を一部の不心得の医者が壊しているということは大変残念なことだと思います。
 医者と患者の信頼というのが基本でありますけれども、そういう前提があるにしても現実には不正請求というのを散見するわけでありますので、今回、罰則を強化する、さらには明細書の通知やら医療費の通知やら、国民にも不正請求に関する問題についての意識を持ってもらいまして、いろいろな防止措置を講じていきたい。基本的には、医師会等にも御協力をいただきまして、本来そういうことはならないんだという体制をとっていただければ一番いいと思うのでありますが、法的にも体制的にもそのような不正を防止する措置を鋭意充実していくように努力していきたいと思います。
#96
○都築譲君 ありがとうございました。
#97
○西川きよし君 よろしくお願い申し上げます。
 諸先生方からいろいろな角度から御質問がございましたが、私の方からは、老人医療費の適正化の強化策の一つとして厚生省が挙げておられます市町村国保について御質問したいと思います。
 この施策の主な取り組みとして、重複・頻回受診者に対する保健婦の訪問活動の強化、国保の直営医療機関の高齢者の医療・健康に関する相談部門の設置、長期入院患者の家庭復帰等の促進などが示されておるわけですけれども、お取り組みになっておられる背景と目的からまずお伺いしたいと思います。
#98
○政府委員(羽毛田信吾君) 先生お挙げをいただきました今回の老人医療費を中心にいたしました適正化の強化策でありますけれども、御案内のとおり、医療費が増加の一途をたどっている中におきまして、医療費のむだであるとかあるいは非効率といったことを徹底的に排除していくことが大変大事だというふうに思っております。特にそうした面でいえば、老人医療費につきましては一人当たりでは若年世代の約五倍ということでございますから、老人数の増加を受けまして医療費全体の伸びの大きな要因になっております。
 したがいまして、より一層の適正化あるいは効率化が必要と思われる部分につきましては鋭意真剣にその是正に取り組まなければならない。そういった考え方から、もちろん必要な老人医療の確保を図りながら適切に推進すべき具体的な方策といたしまして、先生にお挙げをいただいたような取り組みを取りまとめた次第でございます。
#99
○西川きよし君 つい先日、私事で申しわけないんですけれども、家族を含めて親のことについて話をしなければいけないという機会がございまして、友人、知人もたくさん周りにはいたわけですけれども、老人の医療、福祉という問題についてみんなでさまざまな意見の交換をいたしました。
 その中で、実は私の娘ですが、二十二歳になるんですけれども、私がしゃべった後で、お父さんの話を聞いているとおじいちゃんやおばあちゃんの立場でしか物事を考えない、私事で申しわけないんですけれども、そういうふうに言われたわけです。もっと家族の立場になって考えてもらいたいというふうに言われて大変ショックだったんです。そういうふうに日々考えて頑張っているつもりですけれども、毎日の老人医療とか福祉というのは本当に実情はそういうことでございます。当委員会でもうちの話もさせていただいたんですけれども、八十と八十五と九十がおる、大変ですけれどもそれぞれみんな、親を中心というのですか、しっかりは頑張ってはいるんですが、家内と娘はほぼ三百六十五日、二十四時間、そういう生活をしておるわけです。
 私は、月−金は東京におりまして、金曜日の夜帰りますから、たまにそういう話に加わったときにわかっていないような、話をされたときに大変寂しいわけです。理解をしているつもりですけれども、いや、もう少し家族の立場になってという部分は難しいですけれども、本当に難しい、これはどこの国でもそうでしょう。私も国会では一生懸命そういうふうに思って頑張っているつもりですけれども、なかなか難しいのです。何か湿っぽくなって申しわけないんですけれども、そういう観点で御質問を申し上げたいわけです。
 長期入院患者の家庭復帰、私の周りにもたくさんいらっしゃるんですけれども、この実施体制について保険局と老人保健福祉局との間で検討が行われているということでございますけれども、その内容をぜひお伺いしたいと思います。
#100
○政府委員(高木俊明君) まさに先生御指摘のとおり、私ども行政でしゃべる場合には何かいとも簡単にできるようなことを申し上げることが多いんですが、私の経験からしましても、なかなかこれは家族の方は大変だと思います。そういうような視点というものを忘れないで我々はやっていかなきゃいかぬと思っています。
 そういった中で長期入院の患者さんの家庭復帰、これは病院に長期間じんぜんと入院するというようなことよりも、やはり地域社会の中でお年寄りも暮らせるのが非常にいいわけで、それがまた家庭も、御負担が多いといっても、その負担をできるだけ軽減できるようなやり方でやっていければ一番いい、こういうふうに考えております。
 それで、今回の取り組みの中で、そういう意味での実施体制といいますか、そういう点で申し上げたいと思います。
 まず一つに、お医者さんが在宅療養が可能だというふうに判断された方につきまして、市町村の保健婦さん等と主治医の方と連携を図りながらこれを進めていこうということが原点であります。そういった意味で、一つにはこの方々の家庭環境、これの実情というものをきちっと踏まえた上でやりませんと、何でもかんでも家庭にというわけにはいかない。したがって、まず家庭環境の実情をきちっと調査するということが一つございます。
 それからまた、いわゆるリハビリテーション、日帰りのリハビリテーションも含めました老人保健施設や何かの利用というようなこと等々についても十分御案内をするというようなことも必要であります。そういったような個人個人の方に応じた適切なサービスの利用というものを働きかけながら、実情に即した形での家庭復帰の促進を図っていこう、こういうことで考えております。
 ただ、そういった意味では、はっきり申し上げて、我が国の市町村の中におけるこういう受け入れ体制というものは必ずしも十分でき上がっているとは私は思いませんが、これから本格的な高齢社会ということの到来を前にしてこういった面の充実を図る必要があるということは当然前提であります。しかし、やはり今から我が国の長期入院の実情を考えますと、もっと在宅で療養できるような方向というものを目指したいということであります。
 家庭復帰した方につきましては、担当のお医者さんと保健婦さん等が連携をとって在宅ケアの指導に当たっていくということで考えておりますし、そういった中で御家族の方も保健婦さんなり担当のお医者様にいろいろ御相談できるんじゃないかと思います。またそういった雰囲気といいますか、そういったような方向というものを私どもとしては今後の時代に向けても目指していきたい、こんなふうに考えて取り組むことにしております。
#101
○西川きよし君 ありがとうございます。
 今、長期入院のお話もお伺いしたんですけれども、一般的に六カ月以上入院する方で在宅療養が可能な方ということでございます。入院は本当に二日であっても三日であっても一週間であってもそうですけれども、一日でも早くみんな退院の日を告げられて早くおうちに帰りたいわけです。ややもしますと本当に忘れがちになりますし、いざ退院だというときになっておうちの方々は慌てる、我が家もそうなんですけれども、そこには住宅の問題のこととか仕事のこと、それぞれにみんな仕事もありますし、それとやっぱりお金のこと、我々身近ではそういうお話ばかりお伺いするんです。しっかりそういう人たちのために頑張らないといけない、こういうふうに思うわけですけれども、家族のもとに帰そうと思っても帰ってもらうことができないというようなことが本当に多々ございます。
 厚生省が一生懸命頑張っておられます在宅福祉、在宅介護、御努力されているのは本当に重々承知いたしておりますし、労働省の方でも介護休業制度、こういうことでも努力されておられます。しかし、それらの基盤が整備されるまではまだまだ時間がかかるように思います。そういたしますと、家庭では現実に受け入れるというのが本当に難しい方々もたくさんいらっしゃいます。そういうことだけで毎日駆けずり回っているというんですか、我々にもたくさんの相談もあるわけですけれども、そういった家庭に対して、厚生省では家族の声も百も承知だと思うんですけれども、そういう御家族とか家庭に対しての解決策というんでしょうか、今もお伺いしたんですけれども、改めてお伺いしたいと思います。
#102
○政府委員(羽毛田信吾君) 長期に入院をなさっていて、状態からいえば在宅での療養という方が本人もお望みになるし、また状況もそうだというときにそれが可能になるような条件というものがなかなか整わない、あるいはどうしたらいいか個人ではわからないというようなことの中で、そういったやむを得ず病院に長期に入院をなさっているというようなことについて、私どもとしてこれをきちっと対応していかなければいかぬではないかというふうに思っております。
 そのためには、例えば確かに在宅での介護という面でのサービス体制を整えるとか、そういった体制づくりが一方において進めなければならない、あるいは在宅での医療という側面についても同じでございましょう、そういった在宅の医療の体制をつくらなきゃいけない、それが必要な人はそういったことができるような体制づくりというものを進めていかなければならないと思います。やはりそれ抜きにはなかなか進んでまいらないということも事実だと思いますので、そこは私どもの方も力を入れて体制づくりを支援していくということがまず第一だろうと思います。
 その上で、そういったことについて、やはり個人の方ではなかなかわからないというようなことにつきましては、身近な在宅介護支援センター、こういったもの、あるいは市町村での相談体制というようなことをさらに充実をする中で、それは単に介護サービスだけではなくて、ある意味からいうと住まいの問題もございますから、そういった在宅における住まい、住まわれるときの在宅の住宅対策、あるいは在宅での生活というものは普通の住宅ではなかなか難しいといった場合に、ケアハウスといったようなそういう介護的な要素も入れた住宅というような点についてのこういった各種サービスを利用していただく、こういったことについても在宅介護支援センター等での相談がきちっと受けられるような体制づくりもあわせて進めていかなければならないというふうに思っております。
 そういうことを一歩一歩やっていくことによって、先生御指摘のようなことにこたえていかなければならないというふうに思っております。
#103
○西川きよし君 ありがとうございます。
 いろいろと御答弁をいただいたわけですが、我が家もそうですけれども、西川さんなんかは国会に行っているから、何か紹介していただいたらすぐにお宅のお年寄りはうまくいくんでしょうとかいうようなことを言われるときがあるんです。そういうのは絶対できないんですということで、家内にも必ず、私は箕面というところにおるんですけれども、役所へ行って窓口の人にちゃんと聞いてこい、どういうサービスをどういうように受けるかというのをおまえ自身も行って体験してこいといって、なかなかどういうんでしょうか、努力していただいていることは十二分にわかるんですけれども、お願いをしてからすぐに対応していただけるというまではいろいろ手続等々も難しいものがありまして、すぐにサービスを受けられるというまでにはいろんなことがございます。
 これは本当にこういうことを質問させていただくことがもう御無礼かもわかりませんけれども、実際、実生活の中ではそういうことが多々ございます。皆さん方も退院をなさる、もうあと一カ月、半月になる、そういう前に退院後の生活をどうしようということで皆さん大変慌てふためくというんですか、困ってから相談を受けるようなケースもあるんです。やっぱり保健、医療、福祉、この連携の必要性は本当にもう大切なことですけれども、退院されるまでに今御答弁いただきましたことも加味いたしまして何か相談に乗っていただけるような、病院にいらっしゃるときから退院後の生活の相談に乗っていただけますようなもっとほかの方法がないものでございましょうか。
#104
○政府委員(羽毛田信吾君) 御指摘をいただきましたように、高齢者の方々が家庭や地域で生活をいただけるようなそういった在宅療養へいかに円滑に移行できるか、それを推進していくかということは大変大事だと思います。
 そういった点でいえば、現在の仕組みの中で申し上げますと、現在、患者の退院をされるに先立ちましてお医者さんあるいは看護婦さんなどが患者の家庭を訪問しまして、その家族の方々等とも在宅介護の方法ですとかあるいはこういう手すりを取りづけられると在宅療養できますよというような助言をしたり指導をしたりというようなことをやっていただく、そういった場合には診療報酬の中でも退院前の訪問指導料という形で評価をするというようなことを打ち出しております。
 これがすべてではもちろんございませんけれども、先生の言われた一つの方法として、病院のサイドからもそういうことができるようなことを考えておりまして、その取り組みにつきましても、ことしの四月の診療報酬改定でこれを一層充実するという観点から、今申し上げました指導料を引き上げる、あるいは算定の回数につきまして制限の緩和をするというような形で、あるいは入院後の早期に患者の家庭を訪問した場合の評価の充実をそういった中で図ったわけであります。
 こういった面での充実ということが今後やはり一つ大きな方向として大事であろうというふうに考えております。
#105
○西川きよし君 ありがとうございます。
 それがなかなか我々も細かく皆さん方には啓蒙や啓発やら、厚生省のいろいろお考えだとかいうようなことをアナウンスさせていただくんですけれども、なかなか皆さんやっぱり毎日の生活が大変で、在宅介護支援センターといっても、これだけたくさんできたわけですけれども、まだ存じ上げない方もたくさんいらっしゃいますし、ショートステイが、デイケアセンターが、中間施設がどういうものであるかとかいうようなことも、我々は一生懸命PRをさせていただいておるんですけれども、なかなか浸透しないという部分が本当に事実でございます。
 たくさん通告をさせていただいたんですけれども、もう時間がございませんので、最後に厚生大臣にお伺いしたいと思います。
 我が家なんかはまだ本当に幸せですけれども、お年寄りができる限り自分の家で家族とともに生活ができるということが、お年寄りも家族もこれは本当の願いだと思います。厚生省の問題だけではなく、住宅、労働、経済面、お金の面、それぞれの課題に対して本当に関係する省庁はたくさんあるわけです。御本人も家族もそれこそ地域も、安心して在宅で生活ができるということが望ましいことですけれども、まだまだですけれども、でも日々やはりここへ来ている以上はしっかり頑張らないといけないと思います。
 医療費の縮小にそういうことが結果として結びついていくような御努力は、これからも厚生省はなさっていかれると思いますし、頑張っていただきたいと思うんです。
 今まで質問させていただいたことを、厚生大臣にお聞きいただいたわけですけれども、最後に御答弁をいただいて、終わりたいと思います。
#106
○国務大臣(小泉純一郎君) 西川議員も、御両親、奥さん、お子さん、いわゆる三世代一緒に生活されて、御苦労も大変だと思います。私もその苦労はわかるつもりです。
 在宅医療の難しさ、親を大事にするということはわかっていても、親にも甘えが出てきます。無理な注文もしできます。そうすれば子供も、しょっちゅう接していれば、子供の立場もある、家族の立場もある。そういう問題があって、いざ病気になった場合、そしてまた戻ってくる場合、似たような苦労は私もわかるつもりであります。
 そうして、今お話しになった中から現実にいざ手続等を考えると、これまた一般の方々から見れば煩わしい、難しい、なかなか要求にこたえてくれないという面も多々あります。いろんな方がおられるわけですから、百人が百人満足のいくような対応というのは難しいと思いますけれども、今言ったような御意見というものを踏まえて、厚生省として何ができるか、また、どのように日常生活から一般国民の方にも対応していただくか、疑問の点についてはどういうところに問い合わせていただきたいかというような周知徹底、そういうものについても工夫しまして、何とか少子・高齢社会をよりよいものにしていくように努めていかなければならないと、改めてお話を聞いて感じました。
#107
○西川きよし君 終わります。
#108
○委員長(山本正和君) 本日の質疑はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
#109
○委員長(山本正和君) 次に、去る十四日、当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。尾辻秀久君。
#110
○尾辻秀久君 先般の委員派遣について御報告申し上げます。
 派遣委員は、山本委員長、渡辺理事、清水理事、田浦委員、宮崎委員、朝日委員、西山委員及び私、尾辻の八名で、去る十四日、新潟市において地方公聴会を開会し、六名の公述人から意見を聴取した後、委員からの質疑が行われました。
 まず、公述の要旨について御報告いたします。
 最初に、新潟医療生活協同組合木戸病院院長猪股成美君からは、昨年の健保法改正による一部負担増は新潟県内でも患者に大きな影響をもたらしており、またこれに伴う受診抑制が民間病院に打撃を与えていること、診療報酬請求に係る審査・指導について、行政手続法にのっとり、審査を受ける医師の人権が保護されるような措置をとるべきであることなどの意見が述べられました。
 次に、済生会新潟第二病院院長後藤司郎君からは、医療保険改革を進める中で米国流の過度な医療費効率化方策はとるべきでないこと、診療報酬制度に関し、施設整備や先進的医療機器導入に配慮した体系にしてほしいこと、中医協に病院団体の代表も参画させるべきであること、新潟県は医師不足地域を抱えており、医学部定員削減には慎重な配慮を求めたいことなどの意見が述べられました。
 次に、新潟県守門村村長野村学君からは、老人医療費拠出金制度の見直しに関し、老人加入率上限を三〇%に引き上げても県内の約六割の市町村はこれを超過するので本来は上限撤廃を望んでいること、また退職者医療制度加入者に係る拠出金について、本来は被用者保険で負担すべきものをなぜ国保との折半とされたか疑問であること、しかしこれらは当面の措置として理解できるので、早期成立を求めたいことなどの意見が述べられました。
 次に、健康保険組合連合会新潟連合会会長・新潟県農業団体健康保険組合理事長本間一雄君からは、新潟県下の健保組合の平均保険料率は政管健保を上回っているにもかかわらず六五%の組合が経常赤字であること、本法案は審議会での十分な議論がないまま提出されたものであり、特に老人医療費拠出金の被用者保険へのつけかえには反対であること、社会保障予算の上限撤廃で本法案の前提は変わっており、再考を求めるとともに、その場しのぎでない抜本改革を強く望むことなどの意見が述べられました。
 次に、新潟県医師会長松元寿君からは、医療保険制度の抜本改革を急ぐべきであるが、今回の老人医療費拠出金制度の見直しは抜本改革までの間の対策としてやむを得ないと考えること、不正請求に対する措置の強化にはやぶさかでないが、「九兆円もの不正あり」との一部報道は根拠のないものであること、病床過剰地域での保険医療機関の病床指定の制限は、適切な地域医療の確保のため必要であり、地域医療の質の向上は市場原理に基づく競争によってではなく、医療機関の機能評価を通じて図られるべきであることなどの意見が述べられました。
 最後に、六日町保健所専門検査員山内武雄君からは、地域医療計画における必要病床数の算定方法の見直しが必要であること、不正請求防止に関し、レセプト開示請求者の範囲の緩和や保険者の機能強化が必要であること、老人医療費拠出金制度の見直しに関し、抜本改革を先送りにしたまま被用者保険に負担を転嫁することは患者や被保険者の負担増につながるものであり、国民の合意は得られないことなどの意見が述べられました。
 公述人の意見に対し、委員より、昨年の健保法改正以降の受診抑制の現状、社会保障予算のキャップ外しが来年度予算のみに限られようとしていることの問題、医療保険制度の一本化の必要性、高齢者医療制度のあり方、被用者保険への老人医療費拠出金負担転嫁が被保険者に及ぼす影響、審査・支払い機関の減点査定に対する病院としての対応、病床過剰地域における病院新規参入制限の問題、地域医療計画の改定状況と問題点、地域医療のネットワーク化の実情、病院経営における薬価差の現状など、多岐にわたる質疑が行われました。
 会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はこれにより御承知願いたいと存じます。
 以上で報告を終わります。
#111
○委員長(山本正和君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十九分散会
     ―――――・―――――
  〔本号(その一)参照〕
    ―――――――――――――
   新潟地方公聴会速記録
 期日 平成十年五月十四日(木曜日)
 場所 新潟市 オークラホテル新潟
   派遣委員
    団長 委員長      山本 正和君
       理 事      尾辻 秀久君
       理 事      渡辺 孝男君
       理 事      清水 澄子君
                田浦  直君
                宮崎 秀樹君
                朝日 俊弘君
                西山登紀子君
   公述人
       新潟医療生活協
       同組合木戸病院
       院長       猪股 成美君
       済生会新潟第二
       病院院長     後藤 司郎君
       新潟県守門村村
       長        野村  学君
       健康保険組合連
       合会新潟連合会
       会長
       新潟県農業団体
       健康保険組合理
       事長       本間 一雄君
       新潟県医師会長  松元  寿君
       六日町保健所専
       門検査員     山内 武雄君
    ―――――――――――――
   〔午後零時三十四分開会】
#112
○団長(山本正和君) ただいまから参議院国民福祉委員会新潟地方公聴会を開会いたします。
 私は、本日の会議を主宰いたします国民福祉委員長の山本正和でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、私どもの委員を御紹介いたします。
 自由民主党所属の尾辻秀久理事でございます。
 同じく自由民主党所属の宮崎秀樹委員でございます。
 同じく自由民主党所属の田浦直委員でございます。
 公明所属の渡辺孝男理事でございます。
 社会民主党・護憲連合所属の清水澄子理事でございます。
 民主党・新緑風会所属の朝日俊弘委員でございます。
 日本共産党所属の西山登紀子委員でございます。
 以上の八名でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 参議院国民福祉委員会におきましては、目下、国民健康保険法等の一部を改正する法律案について審査を行っておりますが、本日は、本法律案について関心の深い関係各界の皆様方から貴重な御意見を承るため、当市において地方公聴会を開会することにいたした次第でございます。何とぞ特段の御協力をお願い申し上げます。
 次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。
 新潟医療生活協同組合木戸病院院長猪股成美公述人でございます。
 済生会新潟第二病院院長後藤司郎公述人でございます。
 新潟県守門村村長野村学公述人でございます。
 健康保険組合連合会新潟連合会会長、新潟県農業団体健康保険組合理事長本間一雄公述人でございます。
 新潟県医師会長松元寿公述人でございます。
 六日町保健所専門検査員山内武雄公述人でございます。
 以上の六名の方々でございます。
 この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様には、御多忙中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。
 本法律案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の委員会審査の参考にいたしたいと存じます。何とぞよろしくお願いいたします。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、公述人の方々からお一人十分で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、これより公述人の方々から順次御意見をお述べ願います。
 まず、猪股公述人にお願いいたします。
#113
○公述人(猪股成美君) 猪股でございます。
 私は、昭和五十四年に新潟大学の皮膚科の助教授をやめまして木戸病院に参りました。平成五年から院長を務めております。当病院は、新潟医療生活協同組合が建てたものでありまして、総合病院的診療科を持ち、ベッド数三百十二床でございます。そのほかに、独立した健診センター、二つの診療所を運営いたしております。組合員は二万四千人を擁しております。
 本日は、第一線の民間病院である私たちの現状を述べさせていただく機会を与えていただきまして、心から感謝いたしております。
 私は、国保問題の根底にある財革法、それに基づく平成九年の健康保険法改正で、私たち民間病院がどんなふうに苦労しているかということを述べさせていただきたいと思っております。
 最初に、病院における平成九年度の、外来患者数が主ですが、八年度と比較いたしまして医療費自己負担増が患者と医療機関に対してもたらす影響について述べさせていただきます。
 お手元の資料をごらんいただきたいと思います。
 資料一の第一図に示してありますように、私どもの病院は過去十年間、外来患者がふえ続けていたのでございますが、平成九年に初めて減少いたしました。大きな打撃を受けたことを示したつもりであります。
 下の方の第二図は、一般的に九月改定以後、患者の受診抑制が問題にされておりますが、当院では外来患者の減少は昨年の四月から始まっております。これは消費税と医療費自己負担アップが広くアナウンスされたためと考えております。厚生省も最近同様な見解を発表しているということであります。
 第三図でございますが、外来患者の増減を前年対比で保険者別に比較検討したものであります。ごらんになればわかりますように、国保の老人本人は大きな変化を示しておりませんが、健保本人の激減がわかります。
 その下の第四図でございますが、入院患者への影響を見たものでありますけれども、健保も国保も減少しておりますが、国保の場合の落ち込みが大きく見られました。
 これら患者減による収入減額は当病院にとりましては約一億円でありまして、これに次ページの資料二の第一表に示してあります消費税アップ分を加えますと非常に大きな金額になります。理事会でも大問題にしております。健診、分娩などの消費税アップ分を加えますと、患者や利用者の皆さんに大きな負担をかけているというふうに思って心を痛めております。
 その下の第二表でございますが、新潟市の国保のデータをいただいたものであります。九月改定以後も外来利用者は減っておりませんで、むしろふえております。しかし、給付額は一億四千万減額となっております。
 資料の三をごらんいただきたいと思います。
 これは新潟県の御好意でいただいた資料でございますけれども、政府管掌保険に関するデータでございます。受診抑制が本人だけでなく家族にも同じ程度で起こっていることが特徴的でございました。
 医科の外来では、本人が五・三%、家族が五・二%と受診控えが起こっております。入院でも同様でございまして、それぞれ一・六%と一・九%と減っております。保険者の給付費の節減は、外来では保険本人一六・三%、家族で七・七%でありました。また、保険医療費は、本人六・七%、家族六・一%と節減されております。
 こういう中で、資料三の二の表、三の表なんかでおわかりいただけると思いますが、当病院のデータとはちょっと違いますが、深刻な受診控えが起こっておりまして、いまだに回復しない、そういうことがおわかりいただけるかと思います。
 資料三の三表でございますが、ここではっきりいたしておりますのは、医療費の自己負担分を最ももろに受けました健保本人の外来が負っているということがおわかりいただけると思います。その率は非常に大きなものがあります。厚生省によりますと、当初八千八百億円の減額というふうに予想されていたのだそうでございますが、一・五倍の一兆三千億円もの医療費節減になるという見込みだそうであります。その陰で国民が治療を拒否して退院したり、治療中断で亡くなったり、社会保障の行き先とも関連しますが、夫婦心中をしたというような痛ましい事例が報告されております。
 医療機関の倒産は平成九年に久しぶりに、おかしなあれですが、二けたの三十九件になりました。行革法の実施で、この傾向はさらに過酷になることはあっても緩やかになることはないと思っております。国民の健康と命を守るため、先生方に、まず経済ありきではなくて、国民が明るい展望を持てる真の医療改革を策定されますよう心からお願いいたす次第であります。
 私が申し上げたい第二の点は、審査や指導に関してでございます。
 資料四の表は、レセプト審査の結果、支払いをカットされた、我々は減点と申しておりますが、当院における推移であります。ごらんになればおわかりいただけますように、昨年急激にふえておりまして、二・四倍、約九百万円の減点が起こっております。特に外来が六倍と急増しております。
 その理由は、当院が院外処方せんを発行している関係でありまして、レセプトに処方内容が出ませんためにレセプト点検時に病名の欠落を見落としたためだと思われます。処方内容と病名が不一致だということで減点されております。支払基金や国保の審査会を通過しているわけなんですが、保険者の方から減点されているのがほとんどでございます。
 故意にやっている場合ならいざ知らず、不眠不休で患者のために四十八時間労働をしながら診療行為をしたわけでございますが、一片の問い合わせもなしに支払いを拒否するという現在のレセプト審査、特に保険者によるレセプト点検を改めるよう関係機関を御指導いただくようにお願いいたします。
 保険診療、保険請求に関し、私たちは故意による不正行為をいささかも容認するものではございません。先ほども申し上げましたとおりであります。しかし、都道府県の行う行政指導の対象となる医師、歯科医師の人権は守られる必要があると考えております。行政指導に際しましては、行政手続法、行政手続条例を厳守すること、具体的には指導対象者が希望する医師、歯科医師や弁護士の帯同を認め、テープの録音を認めることなど、行政指導の密室性を排除することを強くお願いいたしたいと思います。
 最後になりましたが、国民健康保険法の改正につきましては、時間が参りましたので、後ほど機会がございましたら要望いたしたいと考えております。
 以上でございます。
#114
○団長(山本正和君) ありがとうございました。
 次に、後藤公述人にお願いいたします。
#115
○公述人(後藤司郎君) 私は、昭和五十八年に済生会病院という、世の中にはよく税なし病院、税立病院、税あり病院という表現がありますが。そのうちの税なし病院に院長として勤務いたしました。しかし、皆様既に御承知のように、済生会病院は恩賜財団であると同時に社会福祉法人ですが、独立採算を原則として全国に七十幾つの病院があるわけでありますが。財政の問題では、病院経営では皆非常に苦労しているわけでございます。
 しかしながら、私どもの病院は現在新潟市の隣の黒崎町に存在しておりますが、ほとんど新潟市と境を接しておりまして、新潟市からの患者もたくさん参りますので、現状では救急を含めたアキュートホスピタルを目指しておりまして、できれば厚生省指定の教育研修指定病院になりたいということで、いろいろな機能整備をいたしておる病院でございます。したがいまして、いろんな面でお金が要るわけでありますが、猪股公述人からもお話がありましたように、思うように収入を上げていろいろな医療環境の整備に取り組むということに非常に難渋しているわけでございます。
 この国民健康保険医療制度は昭和三十六年に発足して、どこでもだれでもいつでも同じような質の医療を保険証一枚で受けれるようになって、そして日本の経済の発展とともに、それから十二年後の四十八年には老人医療が無料化されて福祉元年というふうに呼ばれてまいりました。
 先生方の御努力によって、今でも日本が世界に誇るべき二十世紀の日本の文化というものが続いていることに対して、私どもは大変敬意を表しているわけでございます。日本の経済がだんだん右肩上がりから低成長時代に入って国家財政の赤字が多くなると、こういった医療保険制度を続けていくためにはある程度自己負担はやむを得ないという時代になったということは十分理解いたしておるわけでありますが、それと同時に、国民の負担がふえるということの中で、私たちも当然患者さんは神様だというふうに思って一生懸命医療をやっているわけでありますが、どうしてもそういう中で私たちが皆様方にお願いをしてぜひ実現していただきたいと思うことがあるわけであります。そのうちの幾つかを申し上げて、私どもの意のあるところをお酌み取りいただきたいと思います。
 こういった国家財政の赤字の増大というものの中に、いただいた資料で見ますと少子・高齢化が進んでいるということでございますが、確かに寝たきりの長命者がたくさんいるわけでございまして、私たち医療人としては、実際に健康長寿で働ける、健康でいつまでも長生きしていただけるということが大切ではないか。そのためにぜひお力添えいただきたい。
 それから、少子化対策ですが、これは確かに、私も産婦人科医でありますのでたくさん子供を産んだ人たちと時々お話しするのでありますが、大学を出て全く子供を産まない私たちの同級生はいつも休みになれば海外旅行をしている、私はそのときには一生懸命子供の医療の手当てとかあるいはそのほか家事に追われてなかなかそういうことにはいかない。しかし年をとってみると、皆さんだれでもそうだけれども、子供に面倒を見ていただくということはできない。みんな自分のことは自分でやらなきゃいけない、何となく不公平な感じがすると言うわけでございます。
 何とかもっと国家事業の大きな柱の一つとして、そういったたくさん子供を育てた婦人に何か励みになるというか、具体的に言えば、一日ドックを無料で何年かに一遍してあげるとか、あるいは臨時パートで得たお金は三百万まで無税にしてあげるとか、そういうふうなことがないものかと。お父さんの稼いできたお金を子供にやるだけではなくて、自分も子供の教育に何とかお金を出せるようになりたい。しかし、子供が三人もいればなかなかパートにも出られない、出てもそういっぱいは働けないというような切実な声を聞いております。
 それから、医療費の増大の幾つかある中で自然増と呼ばれるものがありますが、その自然増の中で多くのあれを占めるのは、医療技術の進歩と申しますか、例えば遺伝子治療であるとかエレクトロニクスが進歩したために医療用の検査機器、診断の機器が新しいものが入ってきている、そういったことの中でふえているものもたくさんあるわけでございますので、新しいそういった医療機器が導入できるような診療報酬制度にしていただければありがたい。
 最近は診療所にかかる患者さんも多いですけれども、病院に直接おいでくださる患者さんも多いわけでございまして、そういう患者さんにそれらの恩恵が受けられるように診療報酬を考えていただきたい。そのためには、今、中医協には医師会からしか出ておりませんが、病院団体の方からも病院団体が推薦する委員を出していただけるようにお願いしたい。
 それから、先ほど申し上げましたように、厚生省指定の研修指定病院は、県並びに大学からいろいろと御指導をいただいているわけでありますが、これは新潟県としては地域の医師不足、医師確保対策の一環として進められておりますので、私どもとしてはぜひこういう点でもその辺のところを御理解いただきたい。例えば、新潟県の場合は北陸三県を合わせたぐらいの面積と人口があるのに大学は一つ。石川、富山、福井、三県で四つあるわけでございまして、ぜひその辺のところも、今度の巷間伝えられるところによれば医学部の学生の定員を減らすというようなことの中で、新潟県にはそんなことの起こらないようにぜひお願いしたいと思っています。
 それから、例えば救命救急をやる場合にも交通のアクセスというのは非常に問題になるわけでありますが、そういう中で医療環境の整備をしていきたいということを考えるときに、どうしても交通のアクセスというものが大事であります。もちろん、人間が生きていくためには経済活動も必要ですが、例えば病院がホスピタルパークと呼ばれるような中にいつでも存在して、火事があろうと大地震があろうと大水があろうと、そのホスピタルパークを目指していけば何とか自分の命を守ることができるといった医療環境整備ができるような財政援助、キャピタルゲインの、建物を新しくするとか医療機械を新しくするような、そういうことができるような形をぜひお考えいただきたい。
 それから、当然こういった形の中では、医療保険制度のこれからの改革には医療の効率化あるいは合理化ということで医療経済的な手法が導入されるのはやむを得ないと思いますが、日本の財政状態が悪くなっているのはよくわかるのでありますが、現在アメリカで行われているようなHMO等によるマネージドケアといった商業主義的なものの後追いはできるだけ避けて、DRGsとかPPSにしても日本版的なものを考え出してやっていってほしいと思っております。
 時間が参りましたので、これで終わりにさせていただきます。
#116
○団長(山本正和君) ありがとうございました。
 次に、野村公述人にお願いいたします。
#117
○公述人(野村学君) 守門村長の野村学であります。
 日ごろ、国保事業の円滑な推進のため格別の御尽力を賜り、感謝申し上げます。このたび、公述人として意見を述べさせていただきますことをまことに光栄に存じているところであります。
 現在、参議院において審議されております国民健康保険法等一部改正案について、国保の現状を訴え、一日も早い成立を願う立場から意見を申し上げさせていただきます。
 日本国憲法では。すべての国民は法のもとに平等であることを規定し、多くの法の恩恵に浴しております。また、長い歴史の中で実現した国民皆保険体制のもとで国民の生命と健康が守られております。しかし、現行保険制度では被用者保険と国保とでは構造的に大きな違いがあり、それが国保運営に支障を来し、厳しい財政運営を強いられているのが現状であり、この不平等感はぬぐえません。
 その要因は、一として、高齢社会を背景に国保加入者が高齢化していること。二、会社等を退職した高齢者が国保に加入してきまして高齢化をさらに進めていること。また、退職高齢者の多くは収入が年金のみとなっていること。三、それに伴う老人医療費が増嵩していること。四、また、社会経済の低下や、高齢無職者、年金受給者が多く、負担能力が低いこと。五、さらには、人口の過疎化現象による小規模保険者が多く、保険基盤が極めて弱いことなどによるものであります。これらはすべて社会構造上から来る要因で、保険者の責めを超えるものであります。
 この厳しい状況の中、国保保険者といたしましては、住民の健康づくりやレセプト点検など医療費適正化対策を強化し、医療費の節減に努めるなどの懸命な努力をしております。しかし、本県のみならず、全国的に見ても毎年約七、八割の保険者が単年度経常収支で赤字となっており、もはや国保財政は危機的な状況にあるわけであります。このため、多くの保険者が一般会計から多額の繰り入れを余儀なくされ、他の公共事業や教育、福祉を大きく圧迫してきております。このような窮状を打開するため、我々はこれまで給付と負担の公平化の観点から医療保険制度の一元化を求めてまいりました。
 近年、急速に進行する少子・高齢社会を背景に国保が抱える諸問題は、単に国保だけの問題でなく、医療保険体制を全国民的立場で見直す抜本的改革、言いかえれば一元化を一歩進めて制度の一本化によってのみ解決が図られるものと考えており、一日も早い実現を望むものであります。特に、今回の老人医療費拠出金算定に係る上限二五%を三〇%に引き上げる改正案は、このような国保の窮状を国が十分認識し、当面の財政支援として提案されたものととらえております。
 昭和五十八年二月の老人保健法の施行当初、老人医療費拠出金は医療費按分率五〇%と加入者按分率五〇%でスタートしましたが、これまでの改正で現在の加入者按分率一〇〇%の算出方法が実現されたところであります。しかしながら、実際には老人加入率に二五%の上限を設けていることから二五%を超える部分は調整対象外となっており、老人加入率の高い国保は大きな負担増となっております。このことは、老人の医療費は国民のすべての公平な負担とする老人保健法の理念から乖離し、不公平を生み出しているというのが現状であります。
 今回の改正で三〇%となった場合、高齢化、過疎化の進む市町村の多い本県の例で見ますと、県内百九市町村保険者のうち二五%を超える九十三市町村で、計算では約四十四億円の負担軽減が図られることになっております。しかし、高齢化の波はこれより早く、三〇%となってもこれを超える市町村は全国で約四割の一千二百余りの市町村、本県では他県と比べさらに高齢化が進んでいることもありまして、約六割近くの六十三市町村もあります。
 私が運営に責めを負う守門村における老人加入率は三二・五%であり、本改正がなされてもなお一〇〇%との按分とはならないのであります。現行二五%では上限を撤廃した場合と比較いたしまして一・三倍の拠出金を、改正の三〇%でもなお一・〇八倍の拠出金を負担しなければならないのであります。しかも、守門村の状況を申し上げますと、老人加入率は毎年確実に二%程度増加しているのであります。
 老人保健法の趣旨、また私たちが要望している上限撤廃の考え方からすれば、この改正が決して満足できるものではありませんが、国保の負担減が他制度の負担増につながることを考え合わせ理解するものであります。
 また、衆議院ではこの施行日が平成十年四月一日から施行日の属する月までは二五%、施行日の属する月の翌月から十一年三月までは三〇%とする修正がなされたことから、殊さら一日も早い成立を願うものであります。
 また、退職者医療制度の加入者に係る老人保健拠出金についても、本来被用者保険で負担すべきものを国保が全額負担している不都合を是正し、それぞれ二分の一ずつの負担とする改正案であります。なぜ負担割合が二分の一なのかは疑問が残るところでありますが、被用者保険の激変緩和や医療保険の抜本改革までの当面の措置としてとらえ理解するものであります。
 次に、診療報酬の不正請求への対策強化でありますが、厳しい財政事情の中にあって国民の医療と健康を懸命に守っている医療保険に対し、不正請求は許されるべきものではなく、今回の断固たる姿勢を高く評価するものであります。
 終わりに、国保が抱える問題は、現在の我が国の社会構造を反映したものであるととらえるならば、単なる負担の再配分ではなく、少子・高齢化を視野に入れ、真に国民の生命と健康が守られる医療保険制度の抜本改革が必要不可欠であり、今回の改正を契機にさらなる御尽力をお願いし、意見陳述を終わります。
 それから、私どもの守門村の基礎数字ということで資料を配らせてもらっておりますが、この中で数字がちょっと間違っておりますので、そのことだけ申し上げさせていただきます。
 それは、上から世帯、人口、六十五歳以上、高齡化率、その下の国保加入世帯七百九十八世帯で加入率が三四・一となっておりますが、その下の欄と入れかわっておりまして、五三・一%。それからその下の被保険者数千八百三十六人、加入率五三・一%とありますが、これが三四・一%の誤りでありますので、これの御訂正をいただきたいと思います。
 以上で終わります。
#118
○団長(山本正和君) ありがとうございました。
 次に、本間公述人にお願いいたします。
#119
○公述人(本間一雄君) 私は、新潟県農業団体健康保険組合の理事長、また新潟連合会の会長をしております本間であります。
 この役職につきましては昨年の七月に拝命したばかりでありまして、加えまして、常日ごろの勉強不足等もございまして、公述並びに御質問等についてお答えする点も意に沿えないところがあるかもわかりませんが、お許しいただきまして、健康保険組合の立場から意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 健康保険組合の事業運営につきましては、昨年九月の健康保険法改正によりまして保険財政に若干の改善が見られましたことにつきましては感謝をいたしておるところであります。
 平成十年度の予算編成におきまして、長引く経済不況が企業の活力を沈滞させており、健康保険組合の多くは依然として厳しい財政運営を迫られております。健康保険組合連合会傘下千八百十五組合のうち、約七〇%が経常収支で赤字となっておるのが現状であります。当健康保険組合は、農業協同組合法に基づく地域農業協同組合、また農業災害補償法に基づく農業共済組合が母体でありまして、その保険者といたしましては運営基盤が極めて脆弱であります。
 日本農業を取り巻く環境は、厳しい市場開放の波を受けて農畜産物の輸入が増加しておりますし、本県の農業は米が主産でありますが、ウルグアイ・ラウンド農業合意によりましてミニマムアクセス米の輸入が増加しており、また加えまして、ここ四年間にわたる豊作の影響もありまして在庫米が増加いたし、ことしは特に大幅な生産調整が実施されております。加えまして、米価の値下がり等によりまして農家経済は極めて厳しい環境にありますし、また地域経済に及ぼす影響も極めて大きいところは御案内のとおりであります。このような中で、当健康保険組合は保険料率が千分の八十八を超えているにもかかわらず、平成六年度以降毎年連続して経常収支は赤字となっております。そして、積立金の取り崩しによって運営をしておるのが現状であります。
 本県の健康保険組合は、母体企業の経営状況の影響を受けまして、被保険者数の減少、標準報酬の伸び悩み等で保険料収入が減少する一方、医療費の増嵩に加え、老人保健制度に対する拠出金の増加等によりまして非常に厳しい運営を強いられておるのが現状であります。
 本県の主たる健康保険組合二十三組合のうち、平成十年に保険料率の増額改正を行った七組合を含め経常収支の赤字組合が十五組合と六五%余りとなっております。平均保険料率も政府管掌健康保険組合を上回る千分の八十七・九四となっております。独立した保険者機能維持の危機に立たされている組合もあり、恒久的な医療保険制度の創設が望まれている現状であります。
 今回の国民健康保険法の改正につきましては、昨年暮れに日経連、連合とともに、平成十年度予算案で老人医療費に対する国の負担を被用者保険への転嫁、二%を超える医療費の引き上げは正当な手続を欠いた一方的なもので、医療制度及び医療保険制度の抜本改革をおくらせるその場しのぎであると共同声明を発表し、四月十七日には国会内で小泉厚生大臣に会見し、再度の意思表明を行ってきたところであり、その内容については本日提出いたしました資料、「医療・医療保険制度の抜本改革を求める緊急要請」のとおりであります。その立場、考え方は現在も変わっておらないところであり、すなわち被用者保険への拠出金負担のつけかえにつきましては反対であります。
 このような中で、まずこの法案が作成される前までの経緯等につきまして意見を述べたいと思うわけであります。
 この法案が作成されるまでの経緯からいたしまして、この手続や進め方に問題があり、関係審議会でほとんど審議が行われない段階で一方的に改正内容を予算案に盛り込むという非民主的な手段がとられたことはまことに遺憾であると思います。審議会の頭越しに公正さを欠いた政策決定が行われ、法案化されて国会に提出されたことは極めて残念であります。
 改正の内容は、退職者に係る老人医療費拠出金を被用者保険に負担させようとするものでありますが、老人医療費の負担方法は赤ん坊も成人並みに負担の対象にされているなど、さまざまな矛盾や問題点を含んでおり、平成九年度中に全体的な見直しをすることが、三年前、老人保健法の改正で決まっていたところであります。にもかかわらず、国民負担の削減に役立つ部分だけを改正するというこのたびのこの内容につきましては、どうしても納得できないところであります。本格改革の方向を目指しまして総合的な見直しを行うべきものであると思います。
 私どもは、老人医療費の負担を回避しようとするのではなく、公平で将来も負担可能な制度が実現されることを基本目標としておりますが、このままではふえる一方で医療費の重圧に耐え切れなくなり、みずからの保険制度が破綻することを懸念しているところであります。
 改正案の内容は、ここ一、二年の国の財政負担が緩和されるにすぎず、将来展望は明らかにされていないと言えます。それだけに私たちは、その場しのぎの対策でなく、診療報酬、薬価制度の見直しなどを含めました医療制度全体の抜本改革の早期実現を強く望んでいるところであります。
 さきに財政構造改革法を改正する方針が打ち出されたとき、小泉厚生大臣は、財政構造改革法案の中で社会保障費関係につきましては上限の撤廃を強く主張し、平成十一年度にこのことが取り上げられることになっておるところでありますが、このような今回の改正法案の根底にある社会保障関係の上限が外されましたことから、前提条件が大きく変わってきたと言えると思うのであります。
 このような情勢の変化を十分しんしゃくいただきまして、企業と勤労者に負担増をもたらそうとする国民健康保険法の改正につきましてはぜひ再考されるようお願い申し上げまして、意見陳述を終わりたいと思います。
#120
○団長(山本正和君) ありがとうございました。
 次に、松元公述人にお願いいたします。
#121
○公述人(松元寿君) ただいま御紹介いただきました新潟県医師会長の松元でございます。
 意見を述べさせていただきますが、きょうは風邪を引いておりまして、ちょっとお聞き苦しい点がありましたら御容赦願いたいと思います。
 初めに、医療費の患者負担と医療保険制度の抜本改革に関しまして若干述べます。
 二十一世紀における国民の健康保持・増進と増大する医療費の動向を念頭に置きながら、ここ数年にわたり医療保険制度改革の必要が叫ばれてきたのでありますが、医療提供側あるいは患者側相互にとって何ら解決していない現状でありますことは先刻御承知のとおりであります。
 医療保険制度の抜本改革は、平成十二年度までに段階的に実施されるとのことであります。改革の内容については種々議論があるところでありますが、国民医療の確保のため抜本的な医療保険制度の改革を早急に行う必要があると考えております。
 なお、今回の老人医療費拠出金に関する見直し案は、抜本改革が行われるまでの措置として、新たに患者負担をふやさない視点からすればやむを得ないものであると考えております。
 次に、医療費の薬剤一部負担に関して述べてみます。
 昨年の九月、健康保険法の改正が行われまして、これにより患者さんの負担が急増し、医療機関への受診抑制が著しく増強されております。先ほど猪股公述人が述べられたようなことであります。さらに、本年四月の医療費改定では、人件費増を認めながらも実質マイナス改定であったことなどにより医療経営に多大な影響を招いており、医療経済基盤までも脅かされるまでに至っております。この原因は、医療費抑制政策を第一義と考え、財政的な措置のみを先行させた厚生行政によるものと考えております。
 いずれにいたしましても、さきの健康保険改正法による患者さんの薬剤費の一部負担金の導入については、国民からも医療担当側からも、その算定方式が複雑きわまりなく、到底理解できるものではありません。薬剤費の二重負担を一日も早く解消し、患者さんにわかりやすいルールの中で負担をお願いすべきではないかと考えます。
 一方、我が国の薬価制度を考えてみますと、非常に不透明なまま取り扱われてきておりまして、従来、低医療費対策から、医療機関におきましても薬価差依存の経営体質をとらざるを得なかったというのも事実であります。
 今後は、物と技術の分離を徹底し、技術料評価を重視する診療報酬体系のあり方を追求しなければならないと考えます。薬価算定の機構とルールの透明化を進め、薬剤費の適正化を早急に推進することが必要と考えております。
 次に、医療費の財源と社会保障制度に関しまして述べてみます。
 国の財政構造改革の見直しの中で、社会保障関係費については平成十一年度のみキャップ制を停止するとしておりますが、このまま社会保障予算のキャップ制が続けば医療機関に致命的な影響が出現し、地域医療の確保が困難となることが予想されます。したがって、社会保障費のキャップ制には断固として反対するものであります。
 なお、医療費財源については、国民負担率等、基本的に社会保障制度のあり方を理念的に議論し、そのスタンスを明確にすべきと考えております。
 また、これと並行して、診療報酬支払い制度の改革が必要と考えております。適切な医療情報の提供と患者の選択権を確保し、患者と医師の信頼関係を構築することを基本理念に改革しなければならないことは申し上げるまでもございません。
 診療報酬体系の見直しについて議論を進めるためには、我が国における多岐にわたる医療提供体制の機能分担を踏まえて考えなければなりません。国公立病院を初めとする大病院が外来診療に依存している経営体質を改め、かかりつけ医機能を中心とするプライマリーケア体制の充実が必要と考えます。いわゆる病院と診療所の機能分担・連携や入院医療と外来医療の機能分担であり、さらには急性期医療は出来高払い制を、慢性期医療は定額払い制を検討するなど、疾病の種類や経過により出来高払い制と定額払い制を適切に運用できる体制をつくることは、利点もありますし、また問題点もありますが、検討に向けての一つの方策と考えてもよろしいのではないかと思います。
 次に、診療報酬の不正請求防止に関しまして述べます。
 現在、診療報酬にかかわる審査につきましては、保険医代表、保険者代表、公益代表の三者構成による審査委員会の適切な運営により公平性を保たれているのが実態でありますが、残念ながら不正請求は毎年全国のどこかで起きていることも現実であります。
 我々医療担当者としましては、不正行為は決して容認されるべきものではないとの基本認識のもとに、このたびの措置を受け入れることにやぶさかではございません。しかし、これらの罰則強化が直接不正防止につながるものであるのかどうか。その前に、あわせて現行の保険医指導、医療監視等の見直しを図り、不正を未然に防ぐ措置を講ずることが肝要であると考えるものであります。
 なお、一言申し上げておかなければならないのは、昨年、一部のマスコミによって報道されたように、不正請求の総額が九兆円にも上るとの全く根拠のない数字がひとり歩きをしていた点であります。保険医指導による返還金を含め、不正請求と誤報されたのであります。不正請求とは何か。この定義をあいまいにしておくわけにはまいらないのであります。
 例えば、平成八年度の保険医指導による返還金は二十億円を超えております。私も、長年にわたる審査委員の経験から申しましてもよくわかるのでありますが、この中には医療担当規則に基づく診療報酬点数表の解釈が診療側と行政側で一致しないための発生というものが非常に多いということを経験しております。また、審査支払基金からの返戻レセプトの七割は被保険者証の記号、番号の写し誤りといいますか、これは一世帯当たりに保険証が一つしか出ませんので、いろいろな問題が起きてこの返戻につながると考えております。
 このような診療報酬点数表が年々複雑化し、不合理性が増す等、難解な算定方式となってきているのも一因であります。これらの問題は決して医療機関による不正行為ではなくて、制度そのものが抱える問題点として改善していくべきものと考えております。
 次に、地域医療計画と保険医療機関の指定等に関しまして述べます。
 医療計画制度は、昭和六十年の医療法改正で導入され、昭和六十二年から平成元年にかけて各都道府県で医療計画を作成し、公示され、現在に至っております。
 医療計画の策定は、国民の多様なニーズにこたえるために、だれでもいつでもどこでもひとしく適切な保健医療サービスが受けられる包括的な体制の整備促進が必要であったからであります。そして、時代の進展に即応しながら、医療資源の格差の是正を初め、保健医療部門と福祉部門の連携のとれた保健医療体制の構築のため作成されたことは御承知のとおりであります。特に、当該地域の必要病床数が設定され、病床過剰地域での病院開設や増床はできないこととされ、これは各医療機関が自制してまいっておったところであります。
 しかるに、数年前から一部の医療法人が病床過剰地域においても強引に病院開設を行うという事態が生じております。このことは医療計画を形骸化し、ひいては不必要な過当競争に発展し、これまで病院、かかりつけ医が担ってきた地域医療は崩壊し、地域住民が適正な保健医療のサービスを受けられなくなるおそれがあります。
 医療に一般経済社会における競争原理をそのまま持ち込むことは、利益追求を容認することにつながるわけであります。地域で必要とされる病床数の範囲内で、病院の機能強化などを通じて病院の質の向上を目指すべきではないかと考えます。
 今までも、都道府県に設置されている医療審議会の勧告を無視して病院の新設、増床を行った場合には保険医療機関に指定しないという運用が行われてきておりましたが、今回の改正はそれを法律に直接規定するものであり、賛成するものであります。
 また、今回の国民健康保険法の改正案では、医療法上の人員等基準に満たないいわゆる標欠病院と言われる病院も規制の対象となっていますが、これは医療費の抑制の結果、人件費にゆとりがなく補充できない場合や、募集しても人員が集まらないなどの理由も考えられるところであります。
 したがいまして、厚生大臣が定める基準は慎重に規定する必要があります。また、この規定を機械的に適用することなく、改善指導を十分に行った後になお改善されがたい場合に適用するなど、地域医療の確保に支障を来さないようその運営においても慎重であるべきと考えます。
 以上で国民健康保険法等の一部を改正する法律案に対する私の意見陳述を終わります。
#122
○団長(山本正和君) ありがとうございました。
 次に、山内公述人にお願いいたします。
#123
○公述人(山内武雄君) 自治労新潟県本部で衛生医療を担当しております山内と申します。あわせて新潟県医療の事務局も担当しておりますので、医療を受ける立場も踏まえて発言をさせていただきたいと思います。
 なお、発言に際しまして意見陳述メモを配付させていただきました。メモのほかに、「新潟県の二次保健医療圏における一般病床の必要病床数」と既存病床数の推移を参考資料として配付させていただきました。そのほか、自治労新潟県本部の執行委員という立場で、「医療保険制度改革の取り組み」、自治労本部の基本的な視点も入れておきました。最後のページに、新潟日報の三月の記事でありますが、これは県内の診療報酬明細書の開示請求、この記事を参考資料として載せておきましたので、後ほどごらんいただきたいと思います。
 時間の関係もございますので、早速今回の改正点の三点について意見を申し上げたいと思います。
 まず、一点目の保険医療機関の病床の指定に関する改正についてであります。
 メモにも記載をしておきましたけれども、新潟県の病院開設者別の数を載せておきました。これをごらんになるとわかりますが、新潟県の場合、非常に公的病院の占める割合が高い県であります。特に県立病院は岩手県に次いで多い県であります。
 さて、必要病床数の関係で県内の現状を述べさせていただきたいと思います。
 一つは、昭和六十二年に必要病床数と既存病床数の医療法改正が行われたときに、新潟地域は病床過剰地域でありました。そのときに何が起こったかというと、ここにも記載をしておきましたけれども、地域保健医療計画策定時の病床数のドーナツ化現象であります。いわゆる新潟市民を対象に隣の圏域でベッド数がふえてきた、こういった状況が起こりました。、
 さて二点目に、病床数不足圏域での中核病院以外の病床利用率の低下について申し上げたいと思います。
 その次のページの参考資料の「新潟県の二次保健医療圏における一般病床の必要病床数」を見ていただきたいと思います。メモの四ページ目になりますが、ここに「自治体立病院の概要」を記載させていただきました。これは自治体立病院の病床数、病床利用率、そして一日平均外来患者及び入院患者を記載させていただきました。これは地方公営企業年鑑より抜粋をさせていただきました。
 その中で、「(上越)」は上越圏域であります。これをちょっと見ていただきたいと思います。上越圏域はベッド数が不足地域であります。不足地域でありますが、下から四つ目の県立中央病院、これは上越圏域の中核病院であります。ここは病床利用率が九八・二%であります。同じ上越圏域、県立松代病院、県立柿崎病院、これは病床利用率が七五・九、そして六一・六%であります。同じ不足地域でありながら、中核的病院はベッドは九十何%、いわゆる医療過疎、同じ圏域の中で医療の過疎が生じている。こういった現状が生じているということを申し上げておきたいと思います。
 それと、有床診療所の問題であります。特に国保の診療所の関係であります。医療法上、診療所は四十八時間以上の入所は禁止をされております。法律上やむを得ない場合を除くというふうになっておりますが、国保の診療所の場合、いわゆるがんの末期の患者が地元で最期を迎えたい、こういったことで四十八時間以上の入所の方がかなりいるというふうに私どもは聞いております。このことは診療所が病院機能を果たしている、こういった状況も生まれてきているということであります。
 さて、医療法の員数の関係について申し上げたいと思います。
 まず、看護婦の募集に際しまして応募がない、こういった地域も存在します。このことはやはり看護人材確保指針の推進を図っていかなければならないところでありますけれども、看護婦を募集しても来ないことによって病床の削減をせざるを得ない地域もあり、病床不足地域で病床の削減をせざるを得ない、こういった地域もあることも確かであります。
 それと、医療法違反の情報公開の問題であります。厚生白書には医師、看護婦等の標準数の充足状況が記されております。この医療法違反の情報公開がなぜなされないのか。これも御一考をお願いしたいというふうに考えております。
 私は、新潟県内におきましては、病床過剰地域の対応よりも病床不足地域への対応、これを具体的にいかにどうしていくか、これが早急に求められているのではないかというふうに考えております。医療法の趣旨も、病院等の不足地城の病院の整備というふうに記載がされておるところであります。
 そこで、例として一点ここに記載をさせていただきました。医療僻地におけるファクシミリの問題であります。国民皆保険制度のもとで、ファクシミリ診断につきましては、ベターではあるけれどもベストではないんです。ベストはそこの医療僻地に診療所なり病院を持ってくる、これをまず基本的にやっていただきたい、こういうふうに考えております。
 それと、病床過剰地域における指定取り消しに係る患者、被保険者の不安であります。
 私は以前、新潟の弁天橋病院の倒産のときに、そこの病院に労働組合を急遽つくりまして、組合員として患者の対応を検討したこともございます。ぜひこのことによって患者、被保険者の不安がないようにしていただきたいというふうに考えております。
 医療費削減の気持ちもわからないではないんですが、国民皆保険制度の堅持のためにまず何をなすべきか。これは病床数不足地域の対応だというふうに私は考えておることをまず申し上げておきたいと思います。
 さて、二点目の診療報酬の不正請求の防止に関する措置の強化について申し上げたいと思います。
 県内の指定取り消し状況等につきましては、私ども県医療の議長が県の委員になっておりまして、私も逐一状況は承知をしているところであります。
 今回の罰則強化は必要だと思いますが、それとあわせて、ここにも記載をしておきましたが、診療報酬明細書の開示請求についてであります。
 まず、請求人の制限があります。これはプライバシーの保護の問題ともかかわりますが、基本的に患者本人または遺族というふうになっております。これでは請求人の制限が強過ぎてなかなか開示請求ができないのではないか、家族も開示請求を求めてもいいのではないか、こういうふうに思っております。そのほかに、開示請求の情報提供が全くない。例えば、病院なり診療所等に開示請求はできることになりました、こういった情報提供も必要なんではないかというふうに考えているところであります。
 さて、二点目にインフォームド・コンセントの徹底というふうに記載をさせていただきました。生意気な言い方をするようですけれども、今のインフォームド・コンセントというのは、説明をし、同意をさせる、こういった状況が生まれているんではないかというふうに考えております。まず、医師と患者の信頼関係を回復した上でインフォームド・コンセントの徹底が必要である、こういうふうに思っております。
 新潟県内の開示請求状況については、先ほど説明をいたしました新潟日報の記事を後ほどごらんいただきたいというふうに考えております。開示請求ができるようになりましたけれども、ほとんどない、こういった記事が載っておるところであります。
 そのほかに、この診療報酬の不正請求の観点でいいますと、保険者機能を具体的にどう強化していくか、こういった点もあわせて整備をする必要があるんではないかというふうに私は考えておるところであります。
 さて、最後の三点目についてであります。老人医療費拠出金に関する見直しについて申し上げたいと思います。
 まず第一点、市町村国民健康保険の構造的な問題の解消であります。先ほど野村公述人も述べておられました、いわゆる市町村国保の加入者の年齢問題、低所得者の問題、地域格差、小規模保険者の増大、こういった基本的な問題をまず解消しなければならないんではないかというふうに考えております。被用者保険の現状、健保、共済等も踏まえていただきたいというふうに考えております。
 いろいろこの老人医療費拠出金に関する見直しについて意見の対立があるようであります。意見の対立というか、意見の食い違いであります。いわゆる被用者保険と経済団体と市町村国保、こういった意見の対立があるようであります。
 私は、最後の四のところにも書いておきました。こういった医療保険制度そのものについては、抜本改革の先送りによる被用者保険への転嫁でなく、この被用者保険の転嫁によって何が起きるかというと、ひいてはこのことによって患者負担、被保険者負担、これが重くのしかかってくるんではないかというふうに考えておるところであります。そのことによって、この老人医療費拠出金に関する見直しについては県民の合意は得られないんではないかというふうに私は考えておるところであります。
 これらを踏まえまして、今回の医療保険制度改革案につきましては、まず基本的に抜本改革を具体的にどうするか、これをわかるようにしていただきたい。このことを申し上げまして、私の意見陳述にかえさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
#124
○団長(山本正和君) ありがとうございました。
 以上で公述人の方々の御意見の陳述は終わりました。
 速記をとめてください。
   〔午後一時四十分速記中止〕
   〔午後一時五十分速記開始〕
#125
○団長(山本正和君) 速記を起こしてください。
 それでは、これより公述人に対する質疑を行います。
 なお、委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。また、御発言は私の指名を待ってからお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
#126
○宮崎秀樹君 自由民主党の宮崎秀樹でございます。
 本日は、大変貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。私は自由民主党を代表して質問いたしますが、時間が余りますれば、尾辻理事それから田浦委員の方からも質問するかもしれませんので、よろしくお願いいたします。
 まず最初に、松元公述人にお尋ねいたします。
 先ほどお話がございましたように。地域医療計画におきまして病床の制限をされておりますが、新潟県下におきまして、現在そのような増床規制を超える実例がありましたらお教え願いたいと存じます。
 もちろん、この病床の問題につきましては、地域医療をいかに円滑にやるか、また限りある保険医療の財源を国民の皆さんで享受できるような、そういうことも考えた中での一つの施策ということでございますが、それに従って自制をしている、言うならば善良なる方々が、これによりまして強引にそういうことを押しのけてやってくる、攪乱するというようなことに対してどういうふうにまた対処をされているか、実例があればお教えいただきたいと思います。
#127
○公述人(松元寿君) ただいまのお話でございますが、病床数を満たしているところでは強引な新しい開設というものは今まで聞いておりません。
 ただ、特殊病床におきましては、医療審議会におきまして、地域性を考えまして一、二の病院において増床を認めてございます。
 今、必要数を満たしていない地域においては、全国的チェーンの病院の進出等がありましたし、計画されているようでございますが、私どもとしましては、地域医療に我々とともに働いてくれる病院ならば結構なんですが、そうでない病院でありますと、なかなか問題が出てくるんではないかと考えております。
#128
○宮崎秀樹君 私は、医療とか福祉というものは、一人の医師なり福祉をなさる事業家なりが一ヵ所を一生かかって一生懸命努力しても、これはなかなか死ぬまでに納得のいくようなことができない。特に医療におきましては。患者さんとの信頼関係を築き上げるというのは並大抵の努力じゃできないはずなのに、一人の人物が何ヵ所も関係して開設にかかわる。一つの例が、福祉では彩福祉グループというのがありまして、これもやはり何ヵ所かやっている。それは何かそこでうまいものがあるからそうやってやっていくんではないか、そういう構図が生まれてくる。
 こういうことに関しまして、基本的にこういう医療とか福祉に関して先生はどんなふうなお考えをお持ちか、お聞かせ願いたいと存じます。
#129
○公述人(松元寿君) 先生のおっしゃるとおりで、ああいう病院がたくさんできるということは非常に私は特殊な格好だと思います。どうしてもやっぱり地域にのっとった、地域が必要とする病院が本当に出てきてもらいたいと思います。
 野良で働いているお百姓さんに、保険証を持ってくればサービスするよというようなことで人集めをするというような医療機関があってはならないと私は思います。そういうようなことがございますし、あちこちで起きているようでありますので、そういうことであれば、私はそういう病院は絶対に開設してもらいたくはないと考えております。
#130
○宮崎秀樹君 ありがとうございました。
 それでは、野村公述人にお尋ねをしたいと存じます。
 先ほど来のお話の中で、制度の一本化というお言葉がございました。今、抜本改革ということの中で、薬の問題、それからもう一つは診療報酬体系の問題というのが取り上げられておりますけれども、まさしく野村公述人のおっしゃったように医療保険制度そのものを一本化するとか、その前に、できなければ財源の一元化をするとか、そこにメスを入れない限り私は抜本的な改革ではないというふうに思っておるんです。
 野村公述人、先ほどのお話の中で、はっきり申し上げまして、経営努力によらないリスクの共同化ということが今求められておるのではないか。特に、国民健康保険におきましては。その場所に住んだばかりにある地区の六倍の保険料を払わなきゃならない六倍の格差があるんですね、これは。ですから、そういうことを考えたときに、やはりもうそこまで今来ているのではないかというふうに思うんですが、その辺のところをどういうふうにお考えいただいているか、お聞かせ願いたいと存じます。
#131
○公述人(野村学君) まず、結論的に申し上げますと、今ほども申し上げましたように、制度の一本化をやらない限りそういう点が解消できないのではないかというふうに考えておるわけであります。
 例えば、今回の改正案の内容でいきましても、結局、七十歳以上の老人になりますとあらゆるところで保険に入っていた方々が全部この国保の老人保健に入ってくるわけであります。そういう意味からしますと、そういう中で赤字体質といいますか、拠出金がふえてくるということになりますと、今度はそこの保険者で幾ら赤字が出ても対応していかなければならないという矛盾がどうしても残るわけであります。その前の過程で、私どもは本当に保健活動、特に守門村の場合には昭和五十三年ごろから医師を中心にして、病気にならない前の保健活動を徹底的にやっぱりやるべきだということで努力をしてきたわけであります。
 これがこの二十年間の中で大きく実りまして、これは検診の問題であるとか食生活の問題であるとか健康づくりのバランスの問題であるとか、そういう活動をどんどんやって、現在でも保健活動で例えば健康教室、二十四集落あるわけですけれども、そこに毎晩計画的に出ていろいろ説明をして対応をしているわけであります。
 その結果が、その資料にもありますとおり、現在、守門村の受診率の場合には、右の上のところにありますが、例えば胃がん検診その他でも一三・八%が全国平均でありますけれども、守門村の場合には六三・六%といったような形で、そこに全部あります検診の比率を全国平均と比較して見ていただければおわかりだと思います。
 そんなことで、現在、率直に申し上げますと、医療費が国の平均等に比べますと、老人医療費の関係では全国平均で一人当たり七十五万二千円、新潟県平均が六十三万四千円でありますが、守門村の場合には非常に高齢者比率が高いにもかかわらず四十九万八千円というような非常に低い金額であります。
 したがいまして、今新潟県で国保税も下から四、五番目というぐらいに低い国保税で抑えているわけでありますし、医療費がこういうふうに非常に低いということがそういった事前の保健活助の成果だというふうに考えておるわけでございます。徹底的にそういう考え方に立つと同時に、今言っているように、一本化しない限り、やはりこういった過疎地域その他の地域ではこの問題というものは解消できないと思うわけでございますので、ぜひそういう方向でお願いをしたいと思っております。
 以上であります。
#132
○宮崎秀樹君 野村公述人にさらにお尋ねしたいんですが、平成十二年度から介護保険が導入される予定でございます。こうなりますと、市町村がこれを全部運営する主体になるわけでありますが、これは県単位でリスクを背負うような財政的な措置が講じられております。しかし、広域的な範囲でこれを見ないと、そこはハード面におきましてもソフト面においてもなかなか難しいんではないか。そのときに健康保険、いわゆる国保との整合。この辺は何か今からそれに対して特別なお考えをお持ちかどうか、また研究をされているか、その辺のところをお聞かせ願いたいと存じます。
#133
○公述人(野村学君) お答え申し上げます。
 介護保険の問題につきましては、私どもの地域、北魚沼という郡単位で六町村が一体になって取り組もうということでございまして、介護保険の認定審査委員会その他は広域的に考えていこうということで、町村会でもこれを決定しております。それから、その前の段階の訪問看護ステーションにつきましても郡単位で、中心を地域の中心の町であります小出に置きまして、私どもの地域はちょっと離れておりますのでサテライトを置いて、その体制を九月一日から実施に移すように今計画を進めております。
 しかし、長い目で見た場合には、国保関係を広域的に一部事務組合の形で取り組んでいくという方向を検討していこうという話はもちろん出ております。今ほど申し上げましたように、国保の実態その他では大変条件の悪い私どもの地域でも、長年の努力で経営というものを、医療費を物すごく減らしていく、そして国保税も県下で最下位の方に抑えていくような体質と、非常に今国保税も高くなってきているというような町村もありますので、そこらあたりの運営全体の中で、これからそれぞれの診療施設、私ども保健、医療、福祉の複合施設を平成七年度に厚生省のモデル事業に採択をいただきまして、平成七年六月からこれを開設しておりますが、非常に地域に喜ばれておりますし、しかも医療関係ではそこの経営も一応黒字でやっております。
 これは先生とか医師の方とかスタッフの方が本気になって長年の対応を生かしていることなんでありますが、そういうふうにまだ国保体制ではそれぞれかなりアンバラがありますので、これもやはりそれぞれ知恵を出して、お互いにこの介護保険制度が本当に軌道に乗ると同時に、国保の関係もそういったことを考えていこうということで、今、郡内では研究段階でありますけれども、そういう方向で行きたいと思っております。
#134
○宮崎秀樹君 ありがとうございました。
 それでは、これからの質問は松元公述人、後藤公述人、猪股公述人に簡単にお答え願いたいと存じます。
 今、高額医療の問題が大変話題になっております。と申しますのは、一%のレセプトで医療費の二六%を使っております。それから、一%から一〇%のレセプトで三八%の医療費を便っている。そうしますと、一〇%以内で六四%の医療費を使ってしまうわけですね、残りの分で。大体下の方でいきますと、七五%のレセプトで二二%の医療費、こういうことでありますから、これは大変な格差が出ております。
 そこで、一枚一千万円とか二千万円近いレセプトが出てくる。こういうことは、一つは重症患者またはターミナルケアということに結びつくと思うんです。最近、厚生省で調査した医師それから医療関係者の意識調査が二、三日前にまとまって出ているようでありますが。やはり七七%ぐらいの医師がこれに対して疑問を抱いているということでございます。
 この医療費の問題は、やはり高額医療それから先進医療、これは先ほど来お話がございましたように、確かに必要な部分はあります。それによって、医療技術の進歩ということで医療費がどんどんそこで食われている。これは確かにそのとおりでありますけれども、はっきり言ってニヵ月以内に一千万円以上のレセプトの方々が何か二十人全員が亡くなったという話がございます。そういうことを考えたときに、この高額医療に対して今後どういうふうな取り組みをしたらいいのか、御意見あったら、松元公述人の方から順番にひとつお聞かせ願いたいと存じます。
#135
○公述人(松元寿君) ただいまの問題は非常に難しい問題でございまして、延命治療あるいは終末医療ということに関しまして、尊厳死とか、今いろいろなことが言われております。我々の医学というのは生に対する医学は教わっておりますが、死に対する医学というものを大体教わってきておりません。これは非常に大事なことでありまして、これから十分にそこら辺のところを考えていきませんと保険財政がパンクしてしまうことも考えられますので、これからも十分に勉強していってそこら辺のところを考えていかなければならない。亡くなる三ヵ月から四ヵ月ぐらい前からレセプトの点数というのは五、六倍からもう少しふえてきます。そこのところを、終末医療、延命医療というふうにかかわってくるかと思いますが、十分に考えていかなければならない点ではないかと思います。
 以上です。
#136
○公述人(後藤司郎君) 確かに先生の御指摘のとおり、そういった問題は我々現場でも非常に悩むところであります。インフォームド・コンセントを十分にやっても、これはそれぞれ育ってきました生活環境、生活上の信念、生活信条、それから人生哲学と申しますか、それからその人たちが信じている宗教によって態様はさまざまであります。
 ですから、私たちは尊厳死の問題も含めてできるだけ患者さんの御家族も含めていろいろお話し合いをしているわけでありますけれども、終末医療の場合、一人でも延命を望まれればそれに従わざるを得ないというような現実の面がございます。非常に苦慮をいたしておる面でございまして、先生御指摘のとおり、我々もそういう点ではどういうふうにやったらいいのかということで、尊厳死の問題の委員会、それからがんの告知の問題を含めて、病院内で委員会を設けて絶えず研究をいたしております。
 それから、中には肝移植とか、肝移植を待つまでの高度先進医療を用いた例えば血漿交換といったような、これは後々請求しても点数にはなりませんが、ある程度若い人が意欲的に病院の診療に携わるという面から、病院の赤字を覚悟の上でやっていただいている面もあります。
 もちろん、これは行政の方のいろいろな援助措置と申しますか、補助金等の問題がありますので、始める前にお願いに行けばある程度お願いできるのであります。しかし、我々のような病院ですと、時には、先生の病院は第一線の病院であり、医療保険制度のもとでいろいろ診療行為をすればいいのであって、そういう難しいものは。先生のところでそういうことをやれる能力のあるドクターがいるかもしれないけれども、大学なりしかるべき機関にお送りして治療を受けさせるのが当たり前ではないかというふうな形で推移するものもあります。現実の問題としては、現にいる患者さんを動かすことが可能であればいいんですが、不可能の場合も多くて、これはなかなか口で言うほど簡単にはいかないので、日夜悩んでおります。
 以上でございます。
#137
○公述人(猪股成美君) 当病院では、今御指摘のような高額医療に該当する患者さんは極めて少ないと思っております。内科医が非常に少ないために、後藤先生が言われましたように、自分の病院よりも大学なりがんセンターなり、後藤先生のところにもよくお願いするんですが、そういうことで対処しております。
 基本的には、先ほど後藤先生が言われましたように、一部の先進的な問題についてはやっぱり政策医療の中で解決していただきたいというふうに思っている問題はございます。
#138
○宮崎秀樹君 そこで、猪股公述人に続けてお伺いしたいんですが、先ほど来、不正請求の問題に絡みまして、医療費の審査状況等を御説明いただきました。それで、減点をされる事例がございましたですね。これは診療報酬の青表紙という、例の担当規則の解釈の相違というようなものもございます。
 そこで、減点された場合の復活請求、これは事務的に煩雑で、一枚それを書くのに大変時間がかかるんですね。そういうことは煩雑だから、余りそれをやっているとかえって時間的なもの、患者さんを診る時間もなくなるよというので泣き寝入りされているのか、これはもう全部ひとつやってやろうということで今おやりいただいているのか、その辺の実情はいかがでしょうか。
#139
○公述人(猪股成美君) 御指摘の後半の方でございましょうか、経営状態もございまして、再審請求はほとんど全例について行ってございます。ただ、御指摘のように、非常に文献をあれしたり何かして研究をしなきゃならぬ面もございまして煩雑な点はございます。
 一番困るのは、私は皮膚科の医者なんでございますけれども、たかだかじんま疹と申しましても、慢性のじんま疹の中には非常にいろんなことをやらなければ的確な治療にぶつからない例がございましたりします。そういう適用外ということで簡単に削られることもあったりしまして、非常に再審請求のときに困っていることがあります。
#140
○宮崎秀樹君 はっきり申し上げまして、過剰査定ということも一方にあることも事実でございますし、技官のそれぞれの資質と申しましょうか、いろいろまたその辺も議論があるところであるようであります。
 いずれにいたしましても、審査そのものも、レセプトの開示というんですが、審査内容、審査状況の開示も同時に私はやる必要があると思っております。
 あと、時間がまだありますけれども、お二方にまだ聞いていないので一言ずつ、先ほど言った医療保険制度の一本化、制度そのものをもう一元化するんだと、そういうことにつきまして本間公述人とそれから山内公述人にお伺いしたいと存じます。
#141
○公述人(本間一雄君) 制度を一本化するということは確かにいいことだと思っておりますけれども、現在の時点におきましては、財政上の問題もございますし、あるいはやっております事業内容等の違いもあったりいろいろなことからして、すぐこれを一本化するということはちょっと難しい、不可能なことではないかと、こう思っております。
#142
○公述人(山内武雄君) 私は病院の労働条件の改善運動もやっておりますので、その観点から意見を述べたいと思います。
 昨年、介護関連三法案が成立をいたしました。介護保険法と施行法と医療法改正案であります。医療法の関係でいえば地域医療支援病院の制定があり、そのほかにことしの四月に診療報酬の改定があります。そのほかに、医療保険制度の抜本改革の関係で、昨年の九月に本人二割負担、そして保険料率の引き上げがありました。
 こういった関係がありまして、いろいろ私ども病院の職員の労働条件、賃金の問題等を交渉しているときに、今後病院がどうなっていくかよくわからない、はっきり申し上げて。今、新潟県の例えば県立病院なり幾つかの病院では、地域医療支援病院に手を挙げるところはないようであります。まさに、療養型をとっているのかどうかもはっきりわかりません。介護保険がどうなるのか、医療法がどうなっていくのか、全く前がよく見えない。
 そのために、私どもといたしましては、病院の今後のあり方等も含めて、医療法の病院機能の明確化も含めて、いわゆる医療保険制度の抜本改革をやっていただきまして明示をしていただきたい。そのことによって、今後、病院のあり方、機能も変わっていくんではないかというふうに考えているところであります。
 以上です。
#143
○宮崎秀樹君 ありがとうございました。
 それでは、あと残り時間を田浦委員からお願いいたします。
#144
○田浦直君 私の方から一つだけお尋ねしようと思います。
 先ほどから、昨年の七月ぐらいから患者の受診控えが起こってきて医療費も節約されたというふうなお話があるわけですけれども、本間、松元、山内公述人に、どういうふうな評価をこれについてされるのか、保険者、診療側、それから患者の代表というふうなことでひとつお尋ねをしたいと思います。
#145
○公述人(本間一雄君) なかなか難しい問題だと思うんですが、実質的には七月じゃなくて九月からということでありますけれども、患者の一部負担が増加した。老人医療にしましても、一回の受診料そのものは少なくても、ようけ行けばかかるというようなことと、いわゆる個人負担が増加したというようなことでどうしても診療が少なくなった。
 そのことは保険組合の立場から見ると、まあまあ経営的によくなったということは言えると思うんですけれども、果たしてそれだけでいいということを言えるかどうかということはわかりません。特に今度、診療費、診療報酬それから薬価基準の引き下げ等、四月以降いろいろなそういう問題がございます。それらを総合的に判断しなければこの問題については何とも言えないことではないか、こう思っております。
#146
○公述人(松元寿君) いろいろ問題がありますが、患者負担がふえたということから患者のアクセスが悪くなった、これは確かでございます。特に本人二割負担になりましてから、本人が病気になっても我慢をして、薬局で薬を買うというようなことが大分ふえてきているようであります。
 また、薬剤一部負担、これは窓口でもあるいは薬局の方でも非常に面倒な計算、一剤二百何円とか二剤、三剤ということ、いろんなことがございまして、窓口で煩雑なことをやらなければならないということで非常に事務の方の、それだけの点数評価があればいいですが、ないままやっておりますので、大変労力だけかかっているということです。患者さんの方も、何か薬がちょっと違ったぐらいのところで払うお金が違ってくるというようなことで戸惑っている。両方で非常に不便な薬剤負担ということを来しておりますので、ぜひこれはひとつやめる方向にしていただきたいと思っております。
 以上です。
#147
○公述人(山内武雄君) 私は、患者の側に立ちますと、痛い、苦しければ患者は受診をせざるを得ないと思うんです。そのために、医療保険制度そのものは基本的に国のお金、国庫補助金そして保険料で賄うべきだ、それでもどうしても賄い切れないときにはある程度の患者負担はやむを得ないというふうに私は考えております。基本的には国庫負担金と保険料で賄うべき、こういうふうに考えております。
 以上です。
#148
○田浦直君 もう少し時間があるようですから、猪股、後藤両公述人にお尋ねしたいんですが、今、薬価差というのが非常に問題になっているんですね。病院では、特にそれによって病院は成り立っているという面もあるかと思うんですが、この薬価差についてどういうお考えを持たれているのか。
 我々あるいは国の方も、これはなくしていきたいというふうに考えているわけです。医療は医療で成り立ちたいというふうに思っているわけですが、現実に病院としては現在どういうふうにそれをとらえられるか、その辺を一言お尋ねしたいと思います。
#149
○公述人(猪股成美君) 数年前、院外処方せんを出さなかったとき、私たち三百十二床の病院で薬価差は二億円近くございました。院外処方になりまして、薬価の改正なんかもございまして、昨年は入院の方だけになったわけですが、それでも五、六千万ぐらいの薬価差がございまして。それで何人かの職員を雇えるということになっております。今回見積もりをさせましたら、同じ薬を使いましても昨年の見積もりよりも二・五%高い見積書が出てまいりまして、本当に困っております。
 基本的には。薬価差でなくて技術料で病院が成り立つようにしていただきたいというふうに考えております。
#150
○公述人(後藤司郎君) 今、猪股先生が申されましたように、薬価差は私の病院も含めて、額の多い少ないは別として、薬価差がある程度病院の経営を支え、薬価差のおかげで黒字経営であるという病院が多いことは事実であります。ですから、Rゾーン、リーズナプルゾーンが一〇%から五%になった今年度は、薬価差に頼っていない病院でも、相当なダメージとまではいかないまでも経営上苦しさを味わわされることになるだろう、そういうふうに思います。
 できれば全部院外処方にしたいというふうに思うのでありますが、先ほど私がちらっと申し上げましたように、私の病院は新潟市と隣接しておりますが、西蒲原と呼ばれる地域で、月潟、味方、西川町、それから潟東といったような農村地帯が診療圏にございます。そういうところの村長さんは、先生、おらところなんか薬局と呼べるところなんか一軒もないんだよ、雑貨屋と半分、それで生計を立てているんだから、病院の処方せんなんか回ってきたってだめだよ。病院から真っすぐパスが出るわけではない。冬なんかは寒いし、年寄りはやっぱり病院から薬をもらうとよう治るような気もするし、暖かいところにいてちゃんとまた帰ってこれるんで、そう簡単に処方せん、処方せんなんて言わないでもらいたい、こういう申し入れもございます。
 さりとて、やはり院外処方せんを出さなければ病院経営上非常に困った事態が生じてまいりますので、希望者には処方せんを出し、何とか薬価差に頼らないで、先ほど猪股先生からもお話が出ましたように、技術料で我々の医療がうまくいくようにぜひお力添えをいただきたい、そういうふうに思っています。
 以上です。
#151
○田浦直君 ありがとうございました。
#152
○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、きょう前段にいろいろ皆さん方からのお話を伺っていますと、今回、国会に提出されて審議されている国民健康保険法等の一部改正案について余り積極的な御意見がなくて、むしろその後に控える抜本改革をどうするんだと。それに至るまでの当面の措置として今回の改正はやむを得ないという御意見もございましたけれども、主として問題意識はむしろ今回の改正よりはこれから後、この次どうするのという問題意識であったように私はお聞きしました。
 実は、私自身もそんな認識でおりまして、そういう意味では今回の改正案に直接かかわるお話ではないかもしれませんけれども、ぜひ幾つか皆さんにお尋ねをしたいと思います。
 まず最初に、後藤公述人にお尋ねしたいんですが、日本の経済成長を追いかけるかのごとくこの間日本の医療供給体制も右肩上がりでずっと来ました。病床数も少なくとも数年前まではどんどんふえる一方で来たわけですね。ところが、主としてそういう経済的な成長が停滞あるいは低成長という時代に入って、従来のような形でどんどん医療提供体制を充実していく、ふやしていくという方向での対応は困難になってきた、こういう認識はお持ちだと思うんです。
 そこで問題は、世界のさまざまな先進国と比べて日本の今の医療供給体制、とりわけ病院のベッド数はしばしば過剰であるというふうに言われるわけです。むしろ、病院の病床数の増床を抑えながら、医療機関の機能分化と役割分担を進めることによって何とか対応していこうじゃないか。そこで、医療計画というのもつくられてき、それぞれ二次医療圏という圏域もつくられて、その中における例えば病院と診療所の連携とかあるいは病院と病院の連携、それぞれの病院が機能と役割を明確にして、そこをうまく連携をして、例えば二次医療圏なら二次医療圏で基礎的な医療は十分対応できるようにしようじゃないかというのがこの間の厚生省の医療政策の基本的な流れであったと思うんです。
 ところが、実際にはなかなか病診の連携とか病病の連携というものが思うように、例えば二次医療圏なら二次医療圏というところでどうもネットワークがつくられにくい。ややもすると病院の先生方は、人脈というか大学の系列というかそういうところのつながりを重視されて、地域医療という観点から横のネットワークをつくっていくという点にやや乏しいのではないかということがよく指摘されていまして、意外に二次医療圏単位の医療機関の機能分化と役割分担、そして相互の連携というのは言われるほどそう簡単にはいかないような話をあちこちから聞くんです。
 ぜひそういう問題、課題について、先生の地域における経験なども含めて、どういうふうに今後取り組んでいったらいいのか、あるいは取り組んできておられるのか、少し現場レベル、地域レベルのお話をお聞かせいただければと思います。
#153
○公述人(後藤司郎君) 先生御指摘のとおりでございまして、確かに病病連携、病診連携は、今後二十一世紀の医療の中で医療費を効率的にやらなきゃならない、合理的に使っていくという中では絶対必要なことだと私ども思っております。
 私どもは院内に今、医師会あるいは県、大学といったところから御理解をいただき、五十床のいわゆる地域連携ベッドをつくらせていただいて、病院の持っている診療機器も自由に使っていただく、そして現在もセミオープンの病院でございますので、イブニングコンファレンスとかオープンコンファレンスといったようなものをやって、地域の先生方に御参加いただけるように何日かやっております。
 ただ、実際問題として、患者を入れて手術に来ていただく、そのときにホスピタルフィーとドクターフィーをどういうふうに分ければいいのかという問題が非常に難しいのであります。これはメス系の問題です。
 内科系では、病院の中のレジデントと外からおいでになる経験豊かな先生との間で、若い先生方、いわゆる認定医、専門医制度の中で勉強してきた先生方は検査データそのものに非常に重きを置かれます。ところが、実際に患者さんを紹介してこられるいわゆるかかりつけ医の先生方は、その人の考え方、生活あるいは家庭状況からしっかりつかんでおられて、もうずっと診ておられるものですから、こういう症状はこうだという経験、あるいは勘と言ったら失礼ですが、そういったことでいわゆるレジデントよりもすばらしい治療をされたり、あるいは患者さんにもっと信頼を受けているということがあったりして、レジデントが、先生が診に来るんだったら先生ずっと持ってくださいというような、その辺はもう理屈を超えた感情の問題があったりして、なかなかうまくいかないことのあることは事実でございます。
 しかし、限られた医療資源でみんなが国民皆保険をずっと維持できるように診療側も努力しなきゃいけない時代に入りましたので、それをどういうふうに認識してどうやっていくのがいいかということが非常に大きな問題だと思います。
 それと、先生の御指摘の中でもう一つ、今人間関係のことを申し上げましたが、インフォームド・コンセント一つにしても、今の若いドクターの中にはかぎっ子生活をしてきて非常に対人関係がうまくできない。ですから、インフォームド・コンセントも、相手が何を自分に期待しているか、一言がんでないと言えばそれで済むものを、あなたは胃潰瘍です、本当に粘膜筋板までは潰瘍は行っていないので薬だけでいいですよ、そう言ってお帰しするわけです。
 ところが、家へ帰れば、これは実際にあった例ですが、奥さんから、あんたそんなことを言われて、そんなのがんに決まっているわよ、だれがそんながんだなんて本人に向かって言うわけない、こういうことになるわけですね。そうすると、私のところに電話が来るわけです。おまえさんは一体どういう教育を若いドクターにしているんだということで、おしかりをこうむるわけです。いやいや、片口を聞いてもいろいろあれだから、またよく先生に聞いてお話しする、またあすお電話くださいと言って、ドクター御本人に話を聞くと、今のように極めて明快に胃潰瘍の内視鏡所見を私に言うわけです。
 いや、それはおまえさん、確かに国家試験に答案を書くのだったらそれは百点だ。しかし、相手が自分に何を期待しているのか、それを考えたことがあるか。おれは電話をあなたからもらって、恐らくがんじゃないというふうに本人にも言って、院長、おまえさんががんでないと保証するなら、おれはそれでもう何でもいいや、後なんかどうでもいい、聞かぬでもいいと。ですから、難しい言葉を使っていろいろなことをお話ししても患者さんはなかなかのみ込めないというふうな状態があります。
 若い人たちは非常にそういった意味では、ボランティアの精神に欠けていると言っては失礼ですが、自分本位の形でやっている人が多いんですね。若い人たちは今でも、例えば日曜日に研修会に出れば、代休をください、休みがつぶれたんだから。あなた、日曜日に勉強するのは当たり前でしょう。いや、これは病院の命令で勉強会に行ったんだから代休をください。このぐらい休みを大事にするようになりました。
 ですから、今、先生から御指摘があったように、こういう医療制度を続けていくためには、国民負担率、租税負担プラス社会保障費がぜひとも二〇二〇年のいわゆる高齢化がピークになると言われるときでも五〇%は超えないという形を先生方から知恵を絞って出していただいて、この保険制度をやっていただく。そうしないと、五〇%以上をポケットに手を突っ込まれて税金として持っていかれる形が出ると、やはり相当今の若い人たちの診療意欲がそがれるのではないかというふうに心配しております。これはいいことだとは思っておりません。
 私どもも、先ほど少し申し上げましたように、新しい医療制度に、今度医学教育制度が変わりまして、私どもの病院もいわゆる臨床研修指定病院で、私どもの病院に何ヵ月か来て勉強すれば単位が取れるということになりまして、お預かりするわけですが、大学からはほとんどお金は来ません。ドクターが自分の診療時間を割いて、病院からすればお金にならないことをやる、収入が減るというような形が現実にこれから出てまいることが多くなるかと思っておりますので、ぜひその辺もお考え合わせの上、新しいこれからの医療制度に今のことを反映させていただきたいというふうにお願いするものであります。
 以上です。
#154
○朝日俊弘君 限られた時間ですので、次に野村公述人にお尋ねしたいと思います。
 今回の改正については、抜本的な改正に至るまでの当分の措置として一日も早くやってほしい、こういう御意見だったと思いますが、その中で、ぜひとも医療保険制度については一本化というか、あるいは従来は一元化というふうに言われていましたが、そういう方向を目指すべきだということをおっしゃいました。
 確かに一つの考え方で、たしか去年八月の厚生省の試案の中にも医療保険制度の地域における一元化という方向が示されていたと思うんです。ただ、いろいろ考えてみてもどうしてもうまく具体的に答えが見出せない問題の一つが、じゃ自営業の皆さん、現在主として国保に入っておられる人たちと、それから勤労者、健康保険に入っておられる人たちとの間の公平な保険料負担という仕組みが本当にできるのだろうかと。そこをもう一歩突っ込めば、それぞれの皆さんの所得捕捉がどこまで適正にできるのだろうか、技術的な問題も含めてそこが一つネックになったと思うんですね。そこのところで何かお知恵はおありなのか、ちょっとお聞かせをいただきたいというのが一つ。
 それからもう一つは、これからの新しい高齢者医療保険制度の創設という一つの考え方がございます。これは詳しい話は省略しますが、七十五歳あるいは七十歳以上の高齢者を対象とする独自の医療保険制度をつくろうと、こういう話であります。その際一つのネックになっているのが、じゃその高齢者医療保険制度の運営主体をどこに置いたらいいか、いや国だ、都道府県だ、市町村だと、こういう話があります。仮に高齢者医療保険制度を創設するとした場合に、その運営主体は従来の国保のように市町村でよろしいかどうか。
 この二点をお尋ねします。以上です。
#155
○公述人(野村学君) お答えをさせていただきます。
 まず一元化のことについて、私ども国保の今の現状を預かる立場から申し上げますと、先ほどもちょっとお答え申し上げたわけでありますが、特に七十歳以上の方々は全部今度は老人保健に入ってくるわけであります。これは国保の方も社保の方もみんな入ってくるわけであります。そういう中でなかなか運営が大変な状況が、特に高齢者比率の高いところは大変なわけであります。
 そういう面から見ますと、国保から来たのは、一応私どもが預かっていてまたそこへ入るわけですから、その前の段階でもある程度納得はできるわけなんでありますけれども、ほかの社保へ入っていて、今度は全部老人保健の方へ入ってくるわけであります。そうしますと、やっぱりそこから若干支えてもらわなければなかなかお年寄りの、しかも大変診療率の高い、そういう形の中では非常に運営が難しいわけであります。そういう面から見ますと、いろいろの母体から入ってくる形を比率的にこっちへ支援をしてもらいたいというようなことは、なかなかこれは難しいと思うわけであります。
 そういう意味で、やっぱりそういうあれこそ国の力で対応してもらおうということが一番公平さが保てるんではないかというふうに私自身考えておるわけであります。
 二番目の問題の、そういった高齢者のみの保険制度をつくっていったような場合には、各市町村の今の段階で受けるみたいな形になりますと、それこそ極端にアンバラの状況になって、高齢化の物すごく進んでいるところと、都市部に行きますと若い人たちの比率の方が高いわけでありますから、そういう面で極端に問題が出てきますので、私自身の考え方としては、やっぱり県単位ぐらいの形の中で取り組まないと、とても町村の保険体制でそういうものまで受け入れて取り組むということは私は困難だと思っております。
 以上です。
#156
○朝日俊弘君 大変難しいというか、答えにくいお尋ねをしたと思いますので、十分今の御意見を踏まえて今後検討したいと思います。
 次に、本間公述人にお尋ねします。
 基本的な立場は、私は先ほど本間公述人がおっしゃったとおりでありまして、実は五月七日の当委員会においても、日経連、健保連、連合三者の共同声明を引用しながら、何でこんな中途半端な改正をするんだという質問をし、やりとりをしたところなんです。
 さてそこで、これからの医療保険制度の全体の再構築というか、とりわけ新しい高齢者医療を支える仕組みをどうつくるかということとの関連で二つお尋ねします。
 一つは、先ほど野村公述人のお尋ねのときにも申し上げましたが、高齢者をまとめてしまって高齢者のための新しい医療保険制度をつくろうという考え方が一つある。もう一つは、例えば被用者保険、健康保険は、退職してもOBの皆さんをずっと自分たちの健康保険で見ようじゃないかという、そういう考え方も一つの案として出ておるわけですね、いわゆる突き抜け方式というふうに言われているんですが。
 その考え方は、いろいろ子細に詰めなきゃいけない点は多々あると思うんですが、こういう考え方、方式について本間公述人はどのようにお考えなのかということ。
 それから二つ目に、これからの医療保険制度の新しい仕組みを考えていく中で、私自身は、保険者機能をさまざまな形でもっと強化すべきであるというふうに思っているんです。
 それは単にレセプトの点検をもっときちんとできるようにしようというだけではなくて、本来、保険者が医療機関を保険医療機関に指定するわけだから、その保険医療機関の内容を十分にチェックして、例えば利用する皆さんに積極的に、こういうふうにここの病院はこんなことがよくできるというようなことも含めて情報提供をするとか、さまざまなそういう機能を保険者自身がもっと持つべきではないか。ついこの間は日本医師会さんが、この際薬を全部保険者に買ってもらって、そこから供給してもらったらどうかという御提案も出されていたわけですが、一気にそこまでいくかどうかは別として、保険者機能をより充実強化していくべきではないかという点についてどのようにお考えなのか。
 この二点をお聞かせいただきたいと思います。
#157
○公述人(本間一雄君) 今、先生が言われたようなことで、実際の現役の皆さん方が定年退職をした者までも全部見るということでは、これはなかなか負担が重いということでありますので、それらについて、いわゆるOBたる年金受給者によりまして別の体系をつくっていくということであればその問題は可能だと思うわけであります。そういう高齢者医療保険制度ということで、退職者を含むところの独立したものをつくっていくということも一つの方法ではないかなと思っております。
 そうでない限り、現在のところでは退職すれば国民健康保険に加入しておるわけでありますので、一応国保なりあるいは国の援助によって見るということが望ましいと思うんですが、新しいものをつくり得るかどうかということにかかっておることだろうと思っております。
 それから、今、先生が最後に言われたいわゆる情報の提供、いろいろなことで果たしてそのことがいいのか、若干の問題があるんじゃないかなということ等でありますので、十分検討させていただきたい問題だと思っております。
#158
○朝日俊弘君 こういう場ですからなかなか慎重なお言葉だと思うんですが、ちょっと私の意見だけを申し上げておくと、いわゆる保険者側というか健保連と、それから診療側とはいろいろ立場の違いもあって対立する場合もあるんですけれども、もっと協力できる部分があるんじゃないかと私は思っているんです。そういう意味で、保険者機能というのをどういう機能を持っていくべきか、そのためにはどういう対応、体制をつくるべきか、いろいろ課題が多いと思いますから、中央段階でもいろいろ私なりに意見は申し上げているんですが、ぜひ検討をお願いしたいなと思います。
 それでは最後に、山内公述人にお尋ねします。
 幾つかの点を御指摘されたんですが、せっかく新潟県に来ていますから、この際、新潟県という地域に絞って、たしか新潟県は医療計画で十三の医療圏域に分けられていると思いますが、新潟県の医療計画で、例えば病床過剰という圏域が幾つぐらいあって病床不足という圏域が幾つぐらいあるのか。
 先ほど公述人から、むしろ過剰なところばかりに目が行っていて不足のところが十分対応できていないんじゃないかという御指摘があったんですが、ちょっと概況を御説明いただいた上で冒頭の意見に結びつけて理解をしたらいいんじゃないかと思いますので、少しつけ加えて御説明いただければと思います。
#159
○公述人(山内武雄君) 先ほどの意見陳述メモの参考資料をごらんいただきたいと思います。そこに、朝日議員から今御質問のありました新潟県の二次保健医療圈における一般病床の必要病床数と既存病床数を載せておきました。これはあえて、昭和六十二年の新潟県地域保健医療計画ができたときの必要病床数と既存病床数、そして五年後の見直しの平成四年の新潟県地域保健医療計画における必要病床数と既存病床数を載せておきました。そして、昨年の七月に新潟県地域保健医療計画が再度見直されました。そのときの必要病床数と既存病床数を載せておきましたので、ごらんをいただきたいと思います。
 平成九年版新潟県地域保健医療計画の一番右側のところに、私はコメントをつけておきませんでしたけれども、例えば村上保健医療圏、プラスニ百七十五とか、新発田保健医療圏、プラス五百八十五、こういうふうに記載をしておきました。これは昭和六十二年と比べて病床がふえたのか減ったのかという数であります。ですから、村上保健医療圏でいいますと、昭和六十二年の新潟県地域保健医療計画が公示された以降、ベッド数が二百七十五ふえたという数字であります。反対に、新潟保健医療圏ですとマイナス九十七、ベッド数が減った。佐渡保健医療圏、これが昭和六十二年からベッドが八十減った、こういった数であります。
 ここで、私も詳しい理由は承知をしておりません。大まかには承知をしておるところでありますが、例えば昭和六十二年の新潟県地域保健医療計画の必要病床数の新潟保健医療圏を見ていただきたいと思います。ここは必要病床数が五千三百七十四であります。既存病床数が六千三百五十二、ベッド数がオーバーの地域であります。同じく昭和六十二年当時は佐渡保健医療圏でベッド数がオーバーをしている。そして、平成四年の新潟県地域保健医療計画における必要病床数を見ていただきたいと思います。このときに、新潟保健医療圏の必要病床数が五千九百八十というふうに六百ほど増加をしております。それで、昨年の新潟県地域保健医療計画の新潟保健医療圏になりますと、今度は八百ばかり必要病床数が減りまして五千百八十七と。
 なぜこれだけ必要病床数がふえたり減ったりと。例えば、老人保健施設のベッド数の換算とかいろいろあろうかと思いますが、こういうふうな推移があります。
 同じく佐渡についても申し上げたいと思います。佐渡は、昭和六十二年当時は必要病床数が七百八十五、平成四年の必要病床数は九百一、平成九年の必要病床数は八百九十、こういうふうにかなりの変動があります。
 これらの変動を果たして県民が納得するかどうかなんです。こういった必要病床数については、ある程度県民に納得できるような理由がないのであります。確かに、医療法の施行規則か何かでいろいろ計算をすると思います。するかもしれませんが、果たして納得できるような数字なのかどうかなんです。
 そのほかに、先ほども申し上げました医療のいわゆる不足地域であります。結構ふえているような気がいたしますけれども、必要病床数がふえているところもあります。ふえているところは、その不足した医療圏の中の中核的な一番いい場所の病院が結構ふえているんです。過疎のところ、僻地のところはなかなか病院がふえていない。これは先ほど申し上げました病床利用率の関係もあります。病床利用率が悪いということで、病床利用率は九〇%以上ないと経営的に非常に難しいということで、なかなか病院から出ていかない。
 こういったいろいろな新潟県的な、広大な土地であり、十三医療圏がありまして、僻地も抱えておる、農村、漁村も抱えておる、こういったいろいろな特徴があります。
 なお最後に、先ほども陳述のときに申し上げましたが、新潟は県立病院の数が全国で二番目、岩手県に次いで新潟県が多い。今は新幹線が通っておりますけれども、新潟県の県立病院は急行のとまる駅にある。新潟県の県民医療は県立病院が守ってきたという歴史的な経過もあるということを申し述べておきたいと思います。
 以上であります。
#160
○朝日俊弘君 ありがとうございました。
 終わります。
#161
○渡辺孝男君 公明の渡辺孝男でございます。
 貴重な御意見をいろいろお聞かせいただきまして、ありがとうございました。私の方からもいろいろまた御意見をお伺いしたいと思います。
 まず、全員の方にお伺いしたいんですけれども、先日、経済企画庁は、新国民生活指標ということで、暮らしやすさ、暮らしの豊かさということを表現するために、住むとか働くとか育てるなどの項目をいろんな指数にあらわして評価したわけですけれども、その中で医療、福祉に関しましては、いやすという分野でいろんな点数化しまして評価したわけです。その中には、住民の方が病気になった場合にすぐに受診できるようにということで、一般病床数などは多ければ多いほどありがたいということで、数値的には病床が多ければ豊かな方向に評価されていたわけであります。
 そういう意味で、新潟県の場合には、医療費に関しまして平成七年度の資料を見させていただきましたけれども、一人当たりの医療費というのは全国で三十四番目ぐらいでそれほど高い方ではない、比較的低い方の分類に入ると。それから、一人当たりの老人医療費というのは三十八位に位置しているということでありまして、全国的に見ますとこれまた少し低い方に入っていらっしゃるということです。
 その場合に、県民の方としましては、今回問題になっているのは高齢者の問題が多いわけですけれども、高齢者の方は、新潟県では十分な医療が受けられているというふうに感じていらっしゃるのかどうか。また、医療提供側としましては、県内では高齢者に対して医療は十分提供できておりますよと、そのように考えていらっしゃるのかどうか。その点に関しまして皆さんから御見解をお聞きできればと思うんです。
 順番に全員に、急なことですのでなかなか評価は難しいかもしれませんが、印象ということでお聞かせいただければと思います。
#162
○公述人(猪股成美君) 非常に面倒な問題で簡単にはお答えできないんですけれども、可能な限り良質な医療を提供するということで頑張っているつもりでございますが、私の皮膚科では、無作為に、おいでになった方の血圧をはかることにしているんですね。そうしますと、成人の約一割ぐらいの方が標準の血圧よりも高いという実情があるんです。
 したがいまして、私たちが良質な医療をと言っていましても、地域では必ずしもそうなっていないということを非常に残念に思っている次第であります。お答えになったかどうかわかりませんが。
#163
○公述人(後藤司郎君) 確かに、私どもは、狭い自分たちの医療圏の中でのことについてはある程度把握しているつもりでありますが、具体的に実際はどうかということになりますと、これはなかなか難しい問題です。
 ただ、先ほど朝日先生から御指摘がありましたように、厚生省が、ある程度もう量的な問題は終わったんだ、これからは質的な医療の拡大といいますか、そういうものに政策を転換し、頑張っていかなきゃいけないというふうに言われておるわけでございます。しかし新潟県は、先生に言われるまでもなく、人口十万対比でやっと百五十七、八ぐらいで、まだ医療の過疎地帯ということを認識しておりますので、確かに地方の老人ではなかなか医療を受けるチャンス、特に冬場の豪雪のときには不自由があるのではないかというふうに考えております。
#164
○公述人(野村学君) 私も大変限られた地域のことしかわかりませんが、私どもの地域は本当に日本でも有数の豪雪地帯であるわけであります。なかなか道路整備とかそういうのが進まなかった時代には非常にこの医療問題、大変苦渋してきた地域なのでありますけれども、最近は大変道路整備その他交通条件がよくなってきておりますので、そういう面では非常にどこの地域でも冬期間でも車が行けるような時代になりました。
 それで、まず私どもの地域で今一番大変なのは、やはり寝たきり老人等の特別養護老人ホーム施設とかそういうのが、まだ待機者があるというようなことで問題点があると思っております。
 それと、山村地帯でありますので、そういう意味で県立の病院が中核病院としてあるわけでありますけれども、これについては県全体の中で病院の強化が、今は町村会等でもそのことを取り上げていろいろ県にお願いをしているわけでありますが、なかなか整備その他が全体的には県としてもバランスの面でよくできないというような問題点があるわけであります。
 それぞれ細かい町村の対応としては、私どもの場合には診療所を持っておりまして、しかも保健、医療、福祉の本当に連携した総合的な複合施設で大変実績を上げております。守門村の場合には健康相談とか往診とか非常にきめ細かく対応しておりますので、本当にお年寄りになっても安心できる村だというようなことで大変村民からは評価を受けているわけであります。
 そういう意味で、やっぱり中核病院にある程度もっと県が力を入れて、ちょっと問題があって診療所で対応できないのはその中核病院にお願いして今までもやっておりますけれども、病床数が足らないとかいろいろ問題点がそこにまだあるわけでございまして、そういう面をやっていただければ非常に暮らしやすい、そういう条件が整いつつあるというふうに私は思っております。
#165
○公述人(本間一雄君) 私、健康保険組合という立場でないかもわかりませんけれども、私たち農協系統で厚生連、いわゆる厚生農業協同組合連合会を組織しておりまして、新潟県内に十三病院を持っております。そういう立場で申し上げます。
 県立、市町村立、公立病院がある中で、特に僻地、山間地といいますか、いわゆる農村地帯でありますので、過疎地域あるいは離島の医療を担っておるわけでありますけれども、全体的には医師不足だと。全国的には医師過剰だと言われておりますけれども、新潟県の場合には医師不足だということで、厚生連の病院で医師が完全に充足されておるというところはないというのが現状であります。
 特に、私自身は離島、佐渡島であります。佐渡の中核病院としては厚生連の病院が全部引き受けておると言っても、ここに出ております両津市民病院それから相川町立病院、公立病院がございますけれども、ほとんどは厚生連の病院が持っておるわけでありますが、医師の充足率は七〇%そこそこという現状であります。これはいろいろお願いしても、なかなか僻地なり離島なりというところには医師確保ができないということでありますので、そういう面から見ると医療の点では恵まれた環境にあるということは言えないだろう、こう思っておるわけであります。
#166
○公述人(松元寿君) 私、新潟県の成人病予防協会というものの会長も兼ねておりますが、新潟県では全県下統一方式ということで、全国で最大の検診母体を持っております。
 先ほどの野村公述人、守門村で大変いい検診をやっていただいておりますが、成人病検診あるいはがん検診等、その追跡調査をやりまして、全県下統一方式ということでは最大の検診を行っているつもりでありまして、郡市の医師会には、常に市町村と一緒になって医療、保健、福祉の一体化について努力をするようにということでございます。各郡市においてはいろいろな条件、いろいろなことがございますので、常に市町村に協力するようにということを申し上げておりまして、それぞれの成果を上げていると思います。
 また、本当に僻地に参りますと医師不足、言われているとおりでございまして、これも私ども医師会としまして、県、大学、病院、協会等と一緒になって医師不足に何とか歯どめをかけるべく、あるいは医師を呼び寄せるべく努力をしている段階でございます。
 これからも新潟県全体にいい医療が行き渡るように努力していくつもりであります。そういうことを申し上げまして、私のお答えといたします。
#167
○公述人(山内武雄君) どういったお答えをすればよろしいか非常に迷いましたけれども、私の家族の例を出させていただきましてお答えにかえさせていただきたいと思います。
 私の父親は七十六歳であります。一年ニヵ月前に脳溢血で倒れまして、今、自宅で寝たきり老人のままであります。寝たきりということで、おしめをしたまま、物はおふくろが毎日食べさせております。ほとんどしゃべれない、こちらの言うこともほとんど聞こえない、こういった状況であります。物を食べれないときは、胃に穴をあけておりますので、そこから流動食、こういった状況になっております。一ヵ月に一週間は、ショートステイに行ったりデイケアに行ったりしております。主に父親を面倒見ているのが七十四歳の母親であります。私の妻は一年半前にがんで亡くなりまして、今おふくろが一人で父親を見ております。
 問題は、元気なときはいいんで、父親がぐあいの悪いとき、熱が出たときどうする。基本的に母親が病院に連れていかなければならない。連れていくときどうするか。私も自宅の近くの勤務地におりませんので、私はなかなか介助することができない。
 そういったことで、本人は痛い、苦しいとはしゃべられません。例えば熱があるときに、熱があるとショートステイとかデイケアは難しいので、おふくろが病院に連れていくことになる。その連れていき方なんです。幸いに、私も長岡市内で、近くにいい病院があります。長岡市内の場合ですと、うちのおふくろは、いつも父親を病院に連れていくときは福祉タクシーを頼む。福祉タクシーを頼みますとタクシーが来ます。そしてストレッチャーもある。タクシーの運転手の方が自宅の中に入ってくれます。入ってくれまして、ベッドからおふくろとそのタクシーの運転手さん二人でストレッチャーに乗せて、タクシーに乗せて病院まで来る。病院の中まで入っていただけます。そして、おふくろと一緒に診察室等へ連れていっていただけますからいいんです。
 例えば、先ほどから話に出ていますが、山間僻地で福祉タクシーがないとき、寝たきり老人の方をいざというとき病院に連れていくときは、私はちょっとどういう状況かわかりません。幸い、私の住んでいる長岡はそういった福祉タクシーの制度がありまして、寝たきり老人に対します市の補助もあります。タクシー券の補助もあります。ですから、何とか病院に連れていくことはできます。そのほか、私の父親の場合は長岡市内で、近所の方が結構助けてくれる、じゃ私も一緒に病院まで行ってやるとか。ただ、母親の場合は結構内科にかかったり眼科に行っております。これは父親がショートステイで一週間いない、こういったときに医療機関にかかっている。
 ですから、結論を申しますと、長岡市内は結構福祉タクシーとか病院も近いからいいんです、老人がいざというときに病院にかかれる。ただ、僻地とか何かで福祉タクシーがないときはどうなるのかと。
 そういった私どもの状況は、今後とも自治労という立場でいろいろ検討して、何とか対案等を出しながら運動していきたい、こういうふうに思っております。これを答えにさせていただきたいと思います。
#168
○渡辺孝男君 なぜそういう質問をしたかといいますと、私が思うには、やはり厚生省の方は、医療費がどんどん高騰してくると、とにかく受診を抑制し、医療費を何とか抑制したいというのが主たる願望なのではないかなということです。
 私、山形におりまして、山形は老人医療費とか一人当たりの医療費というのは新潟よりももっと低いところであります。その中で、診療報酬の不正とかそういうものなしに適切な医療を提供したいということで、前は私も医療機関に働いておりまして苦労したわけでありますけれども、国としては、まだまだそういう僻地医療とか医療のサービスの提供が十分なされていない、まだ医療提供基盤も十分になされていないということで、やはりもう少し社会的な基盤をつくるために医療、福祉、そういう社会保障の予算はきちんと確保するべきではないかというふうに私は思っているわけであります。
 それで、また皆さんのお考えをちょっとお聞きしたいんです。
 とりあえず国の方では財政構造改革法というのを、社会保障予算に関しましては来年度はキャップを外して少し必要なものは認めるような形でしましょうということで、単年度でありますけれども、そういうことで改正したいということであります。私としては、単年度でなくて、そういう社会保障基盤がきちんとできるまではキャップはもう少し外すべきではないかなというふうに考えておるわけであります。
 そこで皆さんに、本当に医療福祉提供基盤は大丈夫なのか、社会保障のキャップはやはり単年度でなくて、九九年度だけでなくて、外す期間をもう少し長くした方がいいんじゃないか、その点に関しまして御意見をお伺いできればと思います。
#169
○公述人(猪股成美君) 御意見のように、キャップ外しはずっと続けていただきたいと思います。
 それからもう一つは、野村さんが言われましたように、地域での検診といいますか、これをもっと大事にしていく必要があるんじゃないかというふうに思っております。
 うちの病院では検診をかなりやっているつもりなんですけれども、結局がんが見つかるのは外来の患者さんなんですね。みんな手おくれなんで、みんなではないですけれども、手おくれになるのは大部分はやっぱり御自身でおいでになった、そういう方なんです。そういう施策を本当に徹底してやることができるかどうかということだと思います。
 残念ながら検診事業、特にがん検診に対する補助金が何かほかの方になったというようなお話を聞いておりますけれども。そういう点で本当にいい制度なわけでございますので御援助願いたいというふうに思っております。
#170
○公述人(後藤司郎君) 猪股先生とほとんど同じ意見なのでありますが、少しつけ加えさせていただければ、私のところも一泊検診、一日検診、半日検診とも来年の今ごろまで満員でございます。それだけ現在では健康という価値が非常に見直されているというふうに私も認識しておるのであります。
 ですから、もっと受けたい、もっと何とかしてやりたいと思っておりますが、またそういう人も多いんですけれども、残念ながらなかなか会社とかそういうところの時間的な制約の中でうまく受けられないという人もまだあるわけで、そういう人への対策をどういうふうにしたらいいのかということで今悩んでおります。猪股先生が補助金の問題も言われましたけれども、時間さえもらえれば自分の金でもかかりたい、受診したいという人もふえてまいりました。
 以上でございます。
#171
○公述人(野村学君) 私どものところでまず考えたいことは、この二十年間そういう取り組みをやってきた中でよかったということは、率直に言って、スタッフの皆さんがそれぞれ働いているわけですので、健康教室を一つ開くにしてもやっぱり夜ですので、そうすれば当然超勤を村としては支払いをして対応していかなければならないわけです。そしてまた、検診を一般財源で受けさせるということになると、どうしても検診料その他にも村ができる限り対応して、金も出せ、出てこいではなかなかうちあたりは理解が進みませんので、そういう意味でいろいろの努力をしながらきたわけであります。
 そういう中で、特に体力づくりやそういう面では、厚生省の方でヘルスパイオニアタウン事業等で、最初は五百万の三年間、そして二回目には三百万の三年間とか、そういう呼び水といいますか補助をつけていただいて、我々はそれを取り入れて、いろいろ健康づくり運動やそういうことを村を挙げて取り組んできたわけであります。そういう意味からしますと。やっぱりお金を出してくれじゃないんですけれども、検診を上げていくという場合には国、県等で対応を少しやってやらないと、大変な町村財政の中で、いいことはわかっていてもなかなか予算編成でそういうものが組めないというのが現状でありますので、そういうことが非常に助かってきたわけであります。
 そういう意味から、最近はお互いに自分の健康は自分で守るという意識が非常に高まってきて、皆さんが夜一斉に歩いているとか、そして歩いたマップを送ってそれが全部で日本全国を歩いた距離になると村で表彰するとか、いろいろなことを今やって成果を上げているわけですので、ぜひそういう考え方でやってほしいというわけであります。
 これは何といいましても、村民、町民の健康を守るということは村がそれを主体にして頑張っていかなきゃなりませんので、私どもは行政の最重要課題として常にそのことを頭に置いてあらゆる面で対応させてもらっておりますので、そのことだけを申し上げます。
#172
○公述人(本間一雄君) 先ほども申し上げたわけでありますけれども、平成十一年にはキャップが取り除かれるということでありますが、その後はまだはっきりしておりませんので、これは引き続いてお願い申し上げたいと思っております。
 特に、健康管理の問題それから医療、福祉の問題は国民生活に重大な影響を及ぼす問題だと、こう思っております。そういう意味からしても、国の責任において、個人負担に転嫁するということじゃなくて、どう健康保険法を改正していくかということが基本だと思っておりますので、そういうことでぜひお願いしたいと思っております。
#173
○公述人(松元寿君) キャップ制の廃止については先ほど述べたとおりでございますが、当然増あるいは自然増というのは、それをどこかで抑える、キャップ制で抑えるということはどこかを減らさざるを得ない、そういうようなことで社会保障全体としてはどこかにひずみが出てくるかと思います。
 特に困っておりますのは、がん検診費用を今度は一般財源化したと。先ほども言われましたが、これが各市町村にまいりますと、一般化された財源ですからほかのものに使うということになりまして、がん検診はその次にするというような傾向が若干見えてきております。来年になるともっとひどくなるのではないかと思いまして、これは大変な問題になってくると思います。
 こういうひずみがなくなるように、このキャップ制を廃止しまして十一年以降もひずみが出ないようにしていただきたいと思っております。
 以上です。
#174
○公述人(山内武雄君) 社会保障全体ということになりますと、年金、医療、福祉ということでちょっと大きくなるので、保健、医療。福祉の連携ということで申し上げたいと思います。
 今、どうしても国民健康保険の改正とか介護保険の関係で医療、福祉の方に目が行っておるようですけれども、その前の保健ということにももう少し力を入れていくべきではないかというふうに考えます。先ほどの一般財源化の問題等もありましたけれども、例えば寝たきり老人ゼロ、寝たきり老人をなくすためにどうしていくのかとか、いわゆる老人保健制度における老人保健事業の強化、こういった保健の方にももう少し目を入れながら保健、医療、福祉ということでやっていっていただきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
#175
○渡辺孝男君 私、皆さんの意見を反映して、とにかく私たちの立場としては、抜本改革の前に小出しの改革はやっても、これは国民のいろんな階層の方のお互いの負担の転嫁であって解決にならないということを思っておりますので、そういう意味で、皆さんの貴重な社会保障の基盤をもう少し国がきちんとすべきだという、そういう観点で私たちは法案に対して取り組んでいきたい、そのように考えております。
 ありがとうございました。
#176
○清水澄子君 社会民主党の清水でございます。
 きょうは本当に皆様方のそれぞれの立場からの御意見、大変参考になりましたし、私たちと共通する部分というのは非常にございます。そして、私どもはまず、今回の健康保険法の改正に当たりましてももっと医療保険制度全体の抜本改革を先に急ぐべきであるという、実はそういう立場におりますし、それから財政的な面でも、医療や社会保障関係費を他の公共事業と一律に扱うということはやはり根本的な認識が間違っているんじゃないかという立場でおるということだけは私は御理解いただきたいと思います。
 そういう中で、限られた時間でございますけれども、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 さっき山内公述人が、新潟県の中の必要病床数と現在の増減、それが必ずしも県民が納得いくような実態ではないということを数字で示されて、数字を見ながらなるほどと思っていたわけですけれども、その中で特にさっき出されましたレジュメの一番下、「病床過剰地域における指定取り消しに係る患者・被保険者の不安」という、ここは病床過剰地域で指定取り消しが行われて、そこで何が起きたわけですか。そして、何が問題になっているのか。取り消しされることによって何か非常に問題があったわけなんですね。
#177
○公述人(山内武雄君) 今の清水委員からの御質問でありますが、新潟県内においては病床過剰地域における指定取り消し等はありません。ただ。私の冒頭の意見陳述で説明が足りなかったということで補足をさせていただきます。
 弁天橋病院という、たしか百二十か百五十の病院が新潟市内にありました。これは昔社会問題になりましたいわゆる乗っ取り、乗っ取られたわけです、はっきり申しまして。そのときに、この病院は労働組合がありませんでした。それで急遽私なりで労働組合をつくりまして、今その病院に入院している患者を具体的にどうするか。院長はいないんです、逃げて。事務的な方も、事務長もほとんどいないということで労働組合をつくって、労働組合をつくった中で、じゃ労働組合としてこういった患者さんたちを具体的にどうするかということで、患者さんをほかの病院に移すという作業を労働組合として方針に掲げてやってまいりました。看護婦さんも自分たちの病院がなくなるということをわかっておりまして、泣きながらほかの病院の看護婦さんに申し送りをしてやった。ただ、その近くの患者さんは本来ならばそこの病院にいたかったんです。いたかったけれども、そこの病院が乗っ取りでなくなるということで違い病院に行かざるを得ない、こういった事例がありました。
 この病床の取り消し等によって、新潟県はそういったことはないと思いますけれども、そのことによる患者と患者の家族の不安、これがかなり私はあると思うんです、いざというときの。例えば、東京の地と新潟の地ではやっぱり違うのではないかということで、ここも慎重に検討していただきたいということであります。
 以上でございます。
#178
○清水澄子君 引き続いて、病床数と国民医療費増大の相関関係といいますか、今度のこの健康保険法改正では、やはりそういう形で病床数を規制しないから国民医療費が増大するんだというふうな問題提起から始まっているんですけれども、先ほどの数字でいいますと。必ずしも必要病床数の算定方式の根拠というのは非常に何かはっきりわからないというところが出ていたわけです。そういう意味では、この地域医療計画について、やっぱりこれに何か問題があるでしょうか。見直したらどうだろうと思うところがあるでしょうか。
#179
○公述人(山内武雄君) 医療計画の見直しにつきましては、五年後の見直しというのが法律に規定をされております。その関係で新潟県も、昭和六十二年そして平成四年、平成九年にいわゆる地域保健医療計画の改訂版を出されておりまして、必要病床数が設定をされてきました。
 そこで、また今後とも地域保健医療計画の見直しがあります。地域保健医療計画の見直しにつきましては、朝日委員が今から六年ほど前に、「健康と福祉のまちづくり」という本の中で医療計画の見直しの視点ということも述べていらっしゃいます。それに関連して四点ほど申し上げておきたいと思います。
 まず医療圏、新潟は十三でありますけれども、全国的にはかなりのばらつきがあります。医療圏が非常に大きいところ、非常に小さいところ、こういったばらつきがあるということは申し述べておきたいと思います。個々の圏の関係につきましては時間の関係で省略をさせていただきますし、きょうはその資料を持ってきておりません。
 それで、医療計画の見直しに当たりましては、だれのため、何のための医療計画かなんです。この基本的視点をはっきりしておかなければその見直しに当たってはまずいのではないかというふうに考えております。
 見直しに当たって、今の介護保険法が成立をいたしまして、介護保険事業計画の策定が市町村で始められようとしております。この介護保険法の施行のときに、市民参加が法案の中に入りました。私は、この医療計画の見直しもいかに市民参加をさせていくか、市民、住民の参加、これをどう具体的にさせていくかというのが非常に大きな力になってこようかと思います。それと情報公開の原則であります。これが一点であります。
 二点目でありますが、必要病床数等の算定については、細かいところは承知をしておりませんが、いわゆる厚生省の必要病床数の算定定数、細かい基準がありますけれども、厚生省のそういった指導じゃなくて、指導は小さくして、やっぱり都道府県なり自治体の裁量権をもう少し大きくした方がいいのではないかというふうに私は考えておるところであります。自治体の自主性をもう少し尊重しながら、ただ単なる数じゃなくて、ここにはこういったいろいろな問題点があるということで、私は国の指導を極力小さくしてやるべきだというふうに考えております。
 それと、圏域の関係で生活圏の関係を具体的にどうしていくかであります。今、介護保険の関係で、先ほども申し上げました共同化の関係で、いろいろ新潟県の場合もどこの市町村と共同しようかとか広域化とか議論があるようであります。それで、新潟県の場合には保健医療圏が十三ありまして。今いろいろやっておりますけれども、介護保険の共同化の関係で幾つかの町村では、生活圏が違うということで隣の圏域の町村と一緒に共同化をやりたい、こういった意見も出ているようであります。
 こういったことになりますと、いわゆる圏域外のところと一緒に生活圏ということで組みたいということがあるので、もう一度生活圏重視の圏域ということで市町村の移動というのも考えていく必要があるのではないかというふうに考えております。
 それから、見直しの関係でありますが、冒頭いろいろ意見があったようですけれども、例えば病床不足地域に他圏の病院が進出する問題であります。私は、その地域の圏域内で不足の病院機能であれば、他圏からの進出も不足地域であればいいのではないかというふうに考えております。
 以上、見直しに当たっての幾つかを申し上げました。
#180
○清水澄子君 それで、一緒に山内さんにはまとめてお聞きしたいんですが、今医療の質ということが随分問題提起されてきていますね。その中で、やはりそこに働いている人の労働条件の問題と医療の質というのは非常に深い関係があると思うんです。
 そういう点で、先ほど看護婦さんを募集しても応募者がいなくて病床が削減されている例もあるとおっしゃったんですが、それから四十八時間以上の労働条件とか、それらの問題は現実にどういう状況にあるんでしょうか。そして、それは本当に質を高めるために、養成の質を高める審議会かどこかそういうところに問題提起としては出されているのでしょうか。審議されているのでしょうか。
#181
○公述人(山内武雄君) 今の清水委員の御質問にお答えできるかどうかわかりませんが、お話をさせていただきたいと思います。
 まず、国保の診療所の関係で申し上げたいと思います。
 その前に、私どもの自治労衛生医療評議会、それと私は新潟県医療関連労働組合の事務局も担当しておりますが、よい医療はよい労働条件からということを基本的認識に置いて運動させていただいておるところであります。
 そこで、国保の診療所の四十八時間の関係であります。これは僻地を抱える国保の診療所の看護婦さんの実態であります。そこの看護婦さんから私の方に連絡が来て、こういった診療所の状況になっておって大変だから何とか力をかしてくださいという事例があったということで報告をさせていただきます。
 診療所ですから、先ほども申し上げましたように、やむを得ない場合を除きまして四十八時間以内に退所をさせなければならない。ただ、僻地の診療所ですから、がんの末期の年寄りの患者が何人もいるんです。もちろんベッドが二十床以下ということで、診療所は十九床だと思いますが、そこに三人か四人ぐらい、結構お年寄りが入院しているんです。そこの看護婦は、もともと診療所では少ないんです。もともと余り看護婦さんの入り手がないということで、准看の看護婦さんであります。
 それで、当直があります。当直のときに、そういったがんの末期の患者がいますのでかなりの作業量であります。もちろんほかの病院と違って三交代ではありません。当直をやって、夜間もその重症の患者さん、末期の患者さんがいると世話をしながら当直をやる。次の日は日勤であります、八時半から五時まで。患者さんはたくさん来るようであります。
 その彼女の電話の関係は、当直で非常に疲れていて、日勤のときに患者さんが来て、もし間違って医療事故を起こしたら困る、大変だ、何とか看護婦をふやしたいし、診療所だから四十八時間以内に何とか病院に送りたい、こういったことを言っております。まさに診療所が病院機能をやっている、そういった労働条件の関係も具体的にあります。
 それと、看護婦不足の関係であります。
 先ほどもお話を申し上げましたけれども、新潟の場合、非常に県土が広い。そして医療の過疎化なり、市町村数が百十二市町村ありまして、大きいところから下にかなりの格差があります。先ほども公述人の方から何名か話がありましたけれども、豪雪地帯、こういった言葉もあります。看護婦さんがどうしても足りない。そこで、病院が募集した。募集しても集まらないんですね。なぜか。私は、看護婦さんのその地域の病院の労働条件の問題もありますし、賃金の問題もあると思うんです。
 これらについては、何年か前ですか看護婦確保指針ができまして、看護婦さんの労働条件なり二・八の関係でいろいろ出ました。看護婦確保対策のあの基本指針を具体的にどうしていくかというのが私は今ちょっと欠けているような気がしているんです。例えば、きょうは病院長の方もいらっしゃいますが、病院の長として、理事長として、事務長としてあの看護婦確保の基本指針を具体的にどうしていくかというのが、まだちょっと行政指導としても足りていないのではないかというふうに考えておるところであります。
 それともう一点は、准看と正看という二重構造があります。そのことも、僻地の病院に看護婦さん、正看の方はもちろん入りません。こういったこともあるのではないかというふうに思います。それで、看護制度を早急に一本化しながら、看護婦確保基本指針の徹底を図りながら、やっぱり私どもとしては運動をしていきたい、このことを申し上げておきたいと思います。
 以上です。
#182
○清水澄子君 それでは、松元公述人にお伺いしたいんですが、先ほど不必要な病棟というんですか、過当な医療を持ち込む、そういう一部の医療法人がとかと、何かよくわからないことをおっしゃっておられたんですが。そういう問題で、今回、地域に必要とする病床以上の病院を開業したいというものは保険医療機関の指定から外すということを法的に明確にすることはいいことだというふうなことをおっしゃったんですね。
 そのことで、それは一部のとかおっしゃっていましたけれども、その問題はよくわかりませんが、それは別として、一部じゃなくて、今後新しい意欲のある医者も生まれてくるでしょうし、いろいろな地域のニーズに合った医療をやってみたいという、それを、必要病床数というのを一度決めてしまっていたらその後新しい参入は絶対にやらせないんだというふうなことを健康保険法で決めるということが果たして妥当なのかどうか。そういうことは、その本人の職業の選択の自由とか開業の自由とか、ましてや日本の医療は自由診療制度だと思うんですね。
 それから、皆保険というのはすべての人に平等に保険を適用する制度なんですが、ここは保険は使わせませんということですから、そういうことを法律でやることは妥当なことでございましょうか。そのことをお聞かせください。
#183
○公述人(松元寿君) そうですね、これは大変今おっしゃられるように難しいことがあろうかと思いますが、過疎地において、特殊と言われている病院以外の本当に地域の医療を立派にやってくださる病院であれば、私はそれでももろ手を挙げて賛成いたします。余りまともでない病院ですと、なかなかちょっと困ることが非常に出てくるということがあります。
 それから、過剰地域においては一切認めないという法律、憲法の職業の自由にまで反するという、これは確かにそういう面がございますが、しかし今のところは絶対に認めない格好になります。やっぱり地域の医療というものを今までつくってきた歴史というものがあるわけでありますから、そこで協調して地域の医療を立派にやっていこうというコンセンサスができてこういうものができたわけでありますので、おれはこういうのは得意だからこういう病院をつくるということで、満たしているところでそういうことを言われると地域の医療を乱す、攪乱されるということが多分に起きることが考えられます。
 当然、過当競争ということになりまして患者の取り合いというようなことが起きてくるわけで、それが地域の人たちにとっていいか悪いかということを考えますと、医療費の高騰にもなりますし、余り地域の人にとっていい条件にはならないんではないかと考えますので、必要病床数を満たしているところでは新たな参入というものは、これは県の地方医療協議会で特殊なものを時々私どもも認めておりますが、そういうものは別としまして、一般的な病床の増加というのは控えてもらいたいと思いますから、こういう法律ができて私はよろしいと考えております。
 以上でございます。
#184
○清水澄子君 猪股公述人、今の問題で、今の新しく参入する医療機関が、必要病床数というのが決められていたら、それ以上参入したらばそれは健康保険を適用させない、そういうふうなことを今回の健康保険法の改正でやるということは適切とお思いでしょうか。これは行政指導でもいいと思うんですが、法律で決めてしまうということが憲法やら、憲法というのはやっぱり個人の健康、医療を受ける側の人の平等もありますね、法のもとの平等、それから医療を提供する側の人も職業選択の自由がありますね。それから営業の自由とか、そういう問題などを飛び越えて必要病床数という数字が決まってしまって、その病床数が先ほどからの発言を聞いていますと必ずしも納得できる病床数でもないということの中で、こういう法律は適当とお考えでしょうか。
#185
○公述人(猪股成美君) 法律と行政指導というのはよくわかりませんけれども、実際問題といたしましては、先ほど後藤先生の方から過剰地域の病院で五十床ベッドをふやすというお話がございました。
 これは病院機能といいますか、地域の医療機能といいますか、それは本当に地域住民に必要な医療を提供するということで五十床のベッド増が決まったんだろうと思いますけれども、医療技術はいつまでも同じではございませんし、今ある病院であっても内容ががらっと変わる可能性は十分あると思います。確かに清水先生がおっしゃった法的に一方的に決めるということについては問題があるんじゃないかというふうに感じておりますが、詳しいことはよくわかりませんので勘弁してください。
#186
○清水澄子君 続いて猪股公述人、先ほど九月の医療費の値上げが非常に受診率の減少につながっているといういろんな数字を見せていただきまして、やはり心配していたことは当たっているなと思いました。これまで高齢者は病院をサロンのごとく使っているというふうに言われてきました。そういう人も中にはいるかもしれないんですけれども、今度の受診率の減少の中で、本当の意味で必要な、病院に行かなきゃいけないのに値上げのために行かなくなった人たちの比率というのはどの程度あるでしょうか。
#187
○公述人(猪股成美君) うちの病院でそういう追跡調査はやっておりませんのではっきりしたことは申し上げられませんが、五十歳代の働いている男性労働者なんですけれども、糖尿病がございまして多臓器疾患にやられておりましたのですが、近くの開業医にかわりたいということであります。十年間ぐらいかかっていた方なんですが、一番大事な時期に専門医のところから離れるということは、本当に主治医としても泣きたいような気持ちだというふうにおっしゃっていました。そういう事例がやっぱり探せばたくさんあるんじゃないかと思って、調査が行き届かないのを本当に残念に思っております。
#188
○清水澄子君 ありがとうございました。
 それでは、野村公述人それから本間公述人お二人に、保険者団体ですから、保険者の団体として医療費の適正化のために保険者自身がどういう努力をすればいいとお考えでしょうか。そして、そのためには何が障害になっているんでしょうか。そのことを保険者団体としてお二人からお伺いしたいと思います。
#189
○公述人(野村学君) お答えを申し上げます。
 やはり私は、医療費を下げるということにつきましては、私ども実践させていただいたことが非常によかった、こう思っております。これは二十年くらい前からとにかく病気になる前に徹底的に保健指導をやって、そして検診その他を含めまして早目早目に対応していく。このことで、現在ではがんで亡くなる方が非常に極端に少なくなってきております。これは検診その他でかなり見つかって早目に手術その他をやっている方が非常に多いわけであります。
 そういう面から、現時点では、先ほども申し上げましたように、医療費につきましては本当に県下で最低のランクにあるわけですし、また保険税その他、私どもは非常に保険税が大変なんですが、これについても北魚沼郡では下から二番目でありますし、県下でも本当に最下位の方でずっと対応はしている、こういうことであります。その前の段階では本当に総合的に、健康教室であるとか、もちろん検診はもう全国でもトップの表彰も何回かいただいてきておりますし、そして体力づくりとかそういうものも教育委員会とかそういうものと連携しまして村ぐるみで真剣に取り組んでいる。こういうことが今結果的に出ているわけでありますので、やっぱりそういうことを長期見通しに立ってやらないとなかなか医療費というものは下がってこない、こんなふうに考えておりますので、そのことがまず大事だと思います。
 そのためには、今度がん検診の料金が一般化されて一応補助金という形がとれたとか、そういうことになりますと、例えばいろいろの面で補助金を切って一般交付税化をされますと。交付税全体の枠があるわけでありますから、結局薄められてどこへ入っているかわからないというような、現実にそういうことがありますので、先ほどもどなたかお話しされましたが、一般化されますと、末端の町村でそのことでまたさらに一般財源を出して予算を組むというようなことが非常に難しくなってくるわけですから、目に見えた形でそういった大事な予備的なものを将来に、そういうふうに医療費が下がっていくというデータが出ているわけですので、そういう面についてはやっぱり国が早目早目に手を打ってそして全体のあれを下げる。こういうことが私は大事だと思います。
 以上、申し上げます。
#190
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。
 大変長時間でお疲れだと思いますけれども、私が最後の質問者でございますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 今回の国民健康保険法の一部を改正する法律案につきまして、衆議院、それから今参議院ということで国会でのホットな審議が行われているわけですけれども、まずこの法案自身がそもそも一体どのような要請のもとにこういう改正が行われるのかということにつきまして、財政構造改革法のもとで社会保障費を削減しなければならない、中でも医療費を、当初は四千二百億、それから今年度の予算で三千二百億削らなければいけないというところから、どうしても国庫負担を減らさなきゃいけないということからそもそも今回の改正が出ているんじゃないかと。それならば、財政構造改革法案の改正が政府の側からすら出されるという状況のもとで、そもそも今度のこの国保法の改正そのものが必要な法案なんだろうかという、そもそも論から大いに論議がされているわけでございます。
 そこで、今回の改正につきまして、先ほど猪股先生、ちょっと時間ということで御発言ができなかったんですが、猪股先生とそれから本間公述人に、この法案に関する特に国庫負担の削減、五百六十億円国庫負担を削減するということに関してちょっとお伺いしたいと思うんです。
 今回は、老人医療費の拠出金を見直すということで約一千億円ほど退職者医療制度の方に持っていくということになるわけですが、もともとこの退職者医療制度には国庫負担というものがございませんので、一千億円ほど持っていきますとおよそ五百億の国庫負担は減るということになります。制度の実施が少しずれ込んでおりますので、三百六十億円の国庫負担が減るということになります。また、その老人加入率の上限を現行の二五%から三〇%に改めることによりましても、国庫負担ということになりますと二百億円減ってまいります。
 ということで、合わせますと五百六十億円国庫負担が減るじゃないかということでございまして、これはその分を結局は退職者医療制度の方にツケ回しをするということになるんじゃないかということで私たちも問題にしているわけでございます。こういう点で、まず猪股公述人、どのようにお考えか。
 それから本間公述人に、先ほどツケ回しの分、反対だという御意見がございました。私、当然だと思うんですけれども、今、もしこの現行の法案どおりに被用者保険の方に拠出金の負担がふえるということになりますと、そのふえた分というのは一体加入者にとってどのように影響が及ぼされるのか、そういうことについてどのようにお考えかお伺いしたいと思います。
 まずは猪股公述人の方に、先ほどおっしゃられなかったことにつきましてどうぞ御意見をいただきたいと思います。
#191
○公述人(猪股成美君) 西山先生の御質問にお答えする前にちょっとお願いがあるのでございますが、最初に私がお話しした部分で数字を間違えておりましたので、訂正させていただけませんでしょうか。
#192
○団長(山本正和君) どうぞ。
#193
○公述人(猪股成美君) 最初の部分で、組合員は三万四千人というふうに申し上げたんですが、二万四千人でございましたので、訂正させていただきたいと思います。
#194
○団長(山本正和君) はい、結構でございます。
#195
○公述人(猪股成美君) 西山先生にはまことに申しわけありませんでした。これから述べさせていただきます。         
 これまで国民健康保険、たびたび改正になりまして、そのたびに国庫負担が削減されてきたというふうに聞いております。そのツケは国保に加入している皆さんに回されるわけですけれども、平成七年に国保料の平準化方針というのを新潟市は採択されたんだそうですが、多くの低所得者に非常に大きな負担がかかっているというふうに聞いております。
 今回、ただいまの西山先生のお話のように、五百六十億もまた国庫負担が減るようですとこれは大変なことじゃないかというふうに思っておりまして、国保法の第四条ですか、社会保障制度を国は、県、自治体はという、住民に対して社会保障をちゃんとやってくれという条項があるのでございますけれども、それにのっとって国保法の改正についてはやめていただきたいというふうに思います。
 と申しますのは、御存じのように、現在非常に不況でございますよね。リストラが起こって会社を追い出されている方がふえる一方で、大学、あるいは高校なんかもそうなんですけれども、卒業しても就職できないという方が結構おいでです。
 さっきから皮膚科のことばかり言って申しわけないんですけれども、皮膚科の中で難治性の疾患がありまして、命には関係しないんですけれども、アトピー性皮膚炎、これは成人に最近ふえているのが日本の現状なんです。真っ赤っかの顔になるんですね、なかなか治らない。そういう状態ではとても就職できないという方がおいでです。それからまた、難病指定にはなっていないんですけれども掌蹠膿疱症という病気がございまして、水虫みたいなのが手や足に、時には全身に出ることがございます。それで済んでいればまだよろしいんですけれども、骨が過骨化しまして、痛い痛いと言う。それで、まだ痛みはとれませんで、半年私が診ているんですけれども、就職先が探せないと言うんですね。
 当初、保険がないということで、お二人ともそうだったんですが、すぐ国保に入ってくださいというふうにお願いしました。検査料だとか、重症の場合には点滴なんかをやるものでかなり医療費がかかりますので、本当に自由診療で診ていくに忍びないわけですね。そういう方は国保の料金が高いじゃないのとか言ってなかなか入ってくれない現実が一方ではございますので、本当によく考えて、実情を調べてお願いしたいと思います。
 国保というとお年寄りの方ばかりのように聞こえますけれども、第一線ではそういう若い方が本当に困っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
#196
○公述人(本間一雄君) 先ほど意見で申し上げたとおり、そのことが加入者の負担増につながるわけでありますので私たちは反対しておるわけでありますが、そうでなくても私たち健康保険組合自体も財政的にはなかなか困難な状況にあるわけで、これ以上保険者それぞれに負担増になるということはたえられない問題でありますので、健康保険法全体、ただ国の財政支出を少なくするということじゃなくて全体的なことで考えてほしい、こう思っているわけであります。
 先ほど野村公述人からも申し上げたわけでありますけれども、医療費抑制の基本は、やっぱり検診活動をどう強化していくかということによって医療費抑制ということが可能だと思うわけでありまして、検診なり健康管理ということは責任は個人かもわかりませんけれども、このことについてもっと重点を置いて、保護政策といいますかそういう政策が持たれて、健康であって、本当に悪くなってお医者さんにかからぬでもいいような根本的な国民健康保険制度というものが必要ではないか。そういうようなことによって医療費全体の抑制をどうしていくかということを心がけるべき問題じゃないか、こう思っております。
#197
○西山登紀子君 私たちも、国民の医療費の負担が今非常にふえてきているということについて、そのことが結局国民の健康や命や治療についてどのような影響を与えているかということを抜きにしては今回の法案も審議ができないという立場で、昨年の九月一日からの医療保険の私たちは改悪というふうに呼んでおりますけれども、たくさんの医療費が国民の肩にのしかかってきた。私たちは二兆円というふうな負担増だということで大変危惧をしているわけです。
 そうした意味で、医師会長の松元先生、それから先ほど具体的な資料もお出しになっていらっしゃる猪股先生にお伺いしたいわけですけれども、去年の四月一日から消費税の増税、それから九月一日からは医療保険の負担増ということによって、受診抑制というのが統計上かなりこれは全国大体共通した数字が私は出ているんじゃないか、傾向も出ているというふうに思うわけですけれども、それが数の受診抑制ということだけじゃなくて具体的に患者の上に、治療の上にどういうふうな影を落としているか。
 私たちがこういうことを国会で質問いたしますと、例えば必要な治療は中断されていないんだというふうな御答弁が返ってきたりするわけなんですね。受診抑制がされているけれども必要な治療の中断は起こっていないというふうなことが答弁として返ってきている。このことについて、現場で患者さんを診ていらっしゃるあるいは医療機関を経営していらっしゃるお立場からどうなのか。また、この四月から診療報酬の改定が行われたわけですが、これもまた一つ大きな問題が先ほど来いろいろ言われているところでございます。
 ですから、本当に現場の医療機関の先生方は大変だと思うんですけれども、今私が申し上げましたように、消費税の増税とそれから医療保険の九月一日からの負担増、薬代の二重払い、私たちは二重取りと言っているんですが、二重払い。それから三つ目に、今年の四月からの主に財政構造改革法に基づく診療報酬の改定、こういうことにつきまして現場でどのような影響が出ているのか。松元先生からまずお話しいただきまして、それから猪股先生、ぜひよろしくお願いをいたします。
#198
○公述人(松元寿君) ただいまの西山先生の御質問でございますが、統計を見ますと、やっぱり四月、五月ごろから患者さんの数というのは減ってきております。これは消費税というよりはその後の薬代等あるいはその他健保法の改正というようなことでお金がたくさん要るようになるんじゃないかというおそれから私は四月から五月にかけて減ってきているんじゃないかと思います。
 実際に、九月から今度は薬の二重払いといいますか、それこそ急性の方はもう休んではいられませんから参るんですが、慢性の方は確かに遠のいてきております。特に老人の場合ですと、それまで千円だったのが今度五百円ずつ四回ということになると、大体もう五百円一回か、二回行くと二十円得しますねと窓口で言って、それまで千二十円ですから、二十円得しますねということで、月に一回か二回ということが確かに多くなりました。これはやっぱりあそこを二千円に上げないで五百円刻みにしたということで、患者さんはこれなら得だという意味で回数を減らしているので、慢性の方は確かにそういう方がおられます。
 ことしの四月からの影響はまだ私のところではちょっとわかりかねますので御返答できません。申しわけございません。
#199
○公述人(猪股成美君) 消費税のことにつきましては、先ほど数字で病院としての負担増ということについてお話ししました。しかし、御存じのように、自由診療部分がございます。隣の後藤先生のところなんかもそうなんですけれども、お産の問題だとかそれから一泊ドックなんかをやりますれば、内税ですか、それで利用者、患者さんの負担はふえております。でも、先ほど御指摘にありましたように、それを乗り越えて検診を受ける方はふえているようでございますので、本当に大変だなというふうに思っております。
 それから、患者さんの減については、厚生省のデータをもとにして載せておきました私の図がいいんじゃないかと思っておりますが、大きな病院での影響は少なかったというふうに言われております。開業医の先生方は閑古鳥が鳴いて、私が存じ上げている内科の高名な先生なんですけれども、きのうは一人も来なかったというようなことを言っておられまして、病院だとか診療所の規模だとか町の中にあるかどうかというようなことで打撃はいろいろ違うらしいんですけれども、トータルとしては厚生省の資料でよろしいんじゃないかというふうに思っております。
 今、お話がありました財革法の問題でございますが、私自身は三つの問題を考えております。
 一つは、先ほど申し上げました検診事業なんかに関する問題であります。それから第二は、財革法による新しい診療報酬のことだと思いますが、非常にこれは大きな改革を引き出すいろんな手が打たれているというふうに感じますが、病院といたしまして非常に大きな打撃を受けるのは一つは外来でございます。再診料は据え置かれておりますし、それから再診料の受け取る条件が非常に厳しくなってまいりまして、従来とはかなり違って、うちの病院で試算しますと、三、四千万ぐらいの持ち出しだなどという話ですけれども、どうなりますか。
 そういうことと、外来管理料というのが全く今度は取れなくなったというようなことで病院の外来は非常に大きな打撃を受けます。検査も下がっておりますし、うちの病院なんかは入院よりも外来での検査が多いわけなんですが、それが非常に安くなったということでどうなりますか。四月の結論、成績が出ると多分はっきりすると思います。
 病院外来はやめるようにという指導なんですけれども、結局は政府がそういうふうに指導してくれればいいんです。保険者が指導してくれればいいんですけれども、医者あるいは病院がそういうふうにやらなきゃ病院がつぶれてしまうようなあれをまずセットしておいて、そしてわあわあ言われたんじゃこっちもかなわないということです。特にインフォームド・コンセントが、きょう何回か先生方の間からも出ましたけれども、今非常に厳しくて、私は九時から一時ぐらいまで診療するんですけれども、診る患者は三十人診られればいい方であります。かかる人は一人当たり三十分も四十分もかかりますので、そういう意味でも大変だということなんです。
 一番大変なのは、入院日数を二十八ということで引いたことじゃないかと思います。このために、私の近辺の病院なんかはもう一般病院からほかに転換しなきゃやっていかれないというようなことを言っておられます。本当になるかどうかわかりませんが。うちの東新潟の地域で脳外科をやっている病院がもしそういう理由で、卒中になるわけですから入院期間が長くなりますよね。それで収入ががた減りするということでやめるということになりますと、東新潟地域のそういう脳疾患の急性それから慢性の患者さんをだれが面倒を見るのか。市民病院だって満員だと思いますね。後藤先生のところだってきっとそれだけのあれはないんじゃないかと思いまして、それがどうなのか。
 それから、松元先生の方がお詳しいんでしょうけれども、例えば慢性長期の透析なんかをやっている方はどうなるのでございましょうか。神経難病なんかもすごく入院期間が長くなりますので、そういう病院がもしこういうことでおれはやめたというようなことになりますと、先ほど後藤先生がお話しになりましたけれども、新潟市を中心にした広域のそういう脳疾患あるいは人工腎の患者さん、神経難病の方々の受け皿がなくなるんじゃないかというようなことを考えて、非常におっかなく思っております。自分のところの病院の経営も本当に心配ですけれども、周りの患者さんたちがそういう病気になったときに送る先、紹介する先がないということになったらどうなるのかということで職員と心配しております。
 お答えになったかどうかわかりませんけれども、以上であります。       
#200
○西山登紀子君 それでは松元医師会長さんに、先ほど自然増を減らすのはひずみが来るというふうにおっしゃって、キャップ制は廃止する方がいいというふうにお答えになったように思うんですけれども、これは今、九九年度だけああいうキャップ制をなくすというようなことを、政府の財革法の改正の方向はそうなんですが、一年ぽっきりのキャップ制を外すということについてどのようにお考えでしょうか。
#201
○公述人(松元寿君) 先ほど申しましたように、一年ぽっきりのキャップ制の廃止では、後どうしてもその次その次と当然年度年度で当然増、自然増が抑えられるということになりますと、どうしてもどこかにひずみが出て、どこかを減らさなければならないということになりますと、これは社会保障全体から見ますと、やっぱりどうしても欠陥が出てくるのではないかと思いますので、このキャップ制は一年度だけではなくてもう少し続けていただきたい、あるいはこれはもうなしにしてもらいたいと、こう思っております。
#202
○西山登紀子君 なしを続けるということですね。
 最後になりますが。野村村長さんにお伺いしたいと思うんです。
 大変過疎の村で頑張って健康を守る事業をやっていらっしゃるわけですけれども、今回国の側からこの財源をむしろ減らしていくという方向が出て、事務費を減らすという方向が出ているわけです。また、介護保険などなど、これは地方自治体の御苦労というのはふえていく方向じゃないかなと思って私も大変危惧しておるところなんですけれども、特に国に対する御要望など、また私たちに対する御要望などがありましたちお伺いして、終わりたいと思います。
#203
○公述人(野村学君) 率直に申し上げまして、今まである補助金を減らされる、そうでなくてももう私どもが冒頭にお願いしましたように、この上限を撤廃してもらいたいというぐらい非常に厳しい運営に取り組んでいるわけでありますから、そういう意味からしますと、本当に少しでもやっぱり今まであるものに対しては支援してもらわないと、そうでなくても一般財源からの持ち出しでほかを大変切り詰めているわけでありますので、そういう意味からぜひひとつ、今置かれている国保の大変厳しい状況を委員の先生方に御認識をいただきまして助けていただきたい、こんなふうに考えております。
 以上でございます。
#204
○西山登紀子君 どうもありがとうございました。
#205
○団長(山本正和君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、公述人の方々に一言お礼を申し上げます。
 皆様には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。拝聴いたしました御意見は本委員会の審査に十分反映してまいりたいと存じます。委員会を代表しまして御礼申し上げます。ありがとうございました。
 以上をもちまして参議院国民福祉委員会新潟地方公聴会を閉会いたします。
 〔午後四時十八分散会〕
ソース: 国立国会図書館
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