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#1
第142回国会 国民福祉委員会 第17号
平成十年五月二十八日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十六日
    辞任         補欠選任
     小山 峰男君     釘宮  磐君
     魚住裕一郎君     松 あきら君
     泉  信也君     木暮 山人君
 同日
  委員木暮山人君は逝去された。
 五月二十七日
    辞任         補欠選任
     松 あきら君     魚住裕一郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 正和君
    理 事
                尾辻 秀久君
                南野知惠子君
                水島  裕君
                渡辺 孝男君
                清水 澄子君
    委 員
                阿部 正俊君
                石井 道子君
                佐藤 泰三君
                田浦  直君
                常田 享詳君
                中島 眞人君
                中原  爽君
                宮崎 秀樹君
                直嶋 正行君
                魚住裕一郎君
                西山登紀子君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  小泉純一郎君
   政府委員
       厚生大臣官房総
       務審議官     田中 泰弘君
       厚生省健康政策
       局長       谷  修一君
       厚生省医薬安全
       局長       中西 明典君
       厚生省老人保健
       福祉局長     羽毛田信吾君
       厚生省保険局長  高木 俊明君
       厚生省年金局長  矢野 朝水君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国民健康保険法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本正和君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十六日、小山峰男君が委員を辞任され、その補欠として釘宮磐君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(山本正和君) 国民健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○宮崎秀樹君 おはようございます。自由民主党の宮崎秀樹でございます。
 きょうは政府委員の方々にいろいろお尋ねしたいんですが、従来、この委員会を拝聴しておりましても聞いている方は余りおもしろくないんですね。それはやはり紋切り型の答弁をされるものですから、聞いている方も余りおもしろみがないので、きょうは忌憚なく、何をお考えになっているか、何をこれからやろうと思っているのか、正直におっしゃっていただいて、腹の底から渡り合いたい、こう思っております。それによって私が怒るとかそういうことはしませんので、どうか遠慮なくひとつおっしゃっていただきたい。私の方もまた遠慮なく申し上げたいと思います。
 二十一世紀の少子・高齢化社会を想定しますと、年金だとか医療とか福祉にかかる費用というのはこれは当然、自然増ということがございますからふえるのは当たり前でございます。ただ、将来推計というのは非常にあやふやになっているわけです。確かにこれはだれが将来推計をしても多少の狂いというのは当然あろうと思います。ただ、年金に関しましても、この前の改定で、五年前ですか、これが最後の改定だというようなことで大改革をやった。しかし、それからすぐたってまたおかしくなった、こうなるわけでありまして、やはり私は中長期的な展望と短期的な展望と分けて考えなきゃいかぬのじゃないかと思うわけです。
 そこで、平成六年に二十一世紀の福祉ビジョンをつくったときに、この医療費の問題に関しましても大変大きな数字を出しておりますね。それはもう皆様方先刻御存じだと思いますけれども、これを見ますと、平成十二年度には国民医療費は三十八兆円、老人医療費は何と十三兆円、それから平成二十二年度には国民医療費は六十八兆円、老人医療費は二十八兆円、こういう数字が出ております。ところが、平成十年の最近出ましたデータを見てみますと、これは驚くなかれ、前年度対比国民医療費の推計が一・一%減になる、こういうのが出ましたね。
 そういうことを含めて、では一体命数字は現時点でどんな数字をお持ちなのか。なければないでいいんですが、どういうふうに考えていらっしゃるか、ちょっとそこら辺がございましたらお教えいただきたいと思います。
#5
○政府委員(田中泰弘君) お答えいたします。
 昨年の九月に、平成三十七年、二〇二五年までの社会保障の給付と負担の見通しを出しております。これは、社会保障に係る租税とそれから保険料の関係を足し合わせたもの、これが負担でございます。これでは、平成七年度段階で国民所得比が一八・五でございますが、平成三十七年度には二九・五%から三五・五%まで伸びるということでございます。その中で、年金は幅がございますが一五から一六%見込んでいます。それから、医療に関しましては一〇から一五というふうに見込んでおります。それから、福祉の関係が四・五%を見込んでおるということでございます。
 今御質問の二十一世紀の福祉ビジョン、平成六年に出しておりますが、それは前回の人口推計をもとにしておりますが、これと比較いたしますと、平成一二十七年度の段階でトータルが、二七・五から三一%というのが前回の推計でございますので、今回は二%から四%見込みが高くなっているということでございます。
 それから、中身の関係で申しますと、まず医療の関係では、福祉ビジョンとの関係では傘として一%から三%の増でございます。それから、年金の関係につきましても、これは一から二%の増ということでございます。医療の関係は、前回の推計が名目国民所得を当時の生活大国という流れの中で五%を中心にして数字を使っております。今回のケースは現在の財政構造改革等の動きを踏まえまして三・五%から一・七五%という前回に比べて低い所得の数字を使ったというのが医療費の違いの大きな原因だろうと考えております。それから、年金の関係は、前回と今回の間で人口推計の変更がございましたので、それが影響したということでございます。
 以上でございます。
#6
○宮崎秀樹君 そうしますと、さらにまた伸びるということになりますとこれは大変なお金が要るわけですね。このお金をそれじゃどうしようと思っているんですか。景気低迷の中で財源確保というのはこれは大変なことだと思うんですけれども、厚生省としては将来この財源確保についてはどういうもくろみをしたらいいのか、具体的にこれをどう捻出するか、その辺の考えがもしあればお聞かせください。
#7
○政府委員(田中泰弘君) お答え申し上げます。
 ただいま申し上げました社会保障の見込みの数字は、もう一度申し上げますと、二九%から三五%ということで、社会保障費関係が約三〇%強というところでございます。それから、社会保障を除きます租税の国民所得比が現在のところ二〇%を少し超えるかどうかというところでございまして、これを足し合わせますと五〇%から五六%というのが二〇二五年の見込みの数字でございます。
 これに財政赤字をどうかませるのかという問題が絡んでまいるわけでございますけれども、先生の今の御質問に関しましては、一般の租税もひっくるめまして国全体といたしましてこの国民負担率をどういうふうに考えるかと。現在、五〇%を一つの目標ということに考えられておりますので、この政府全体の方針の中で社会保障につきまして効率化、合理化等での対応ということが課題かというふうに考えております。
#8
○宮崎秀樹君 何か話を聞いていると私全然わからないんですけれども、具体的に例えば医療費にしたら数十年でこんなにふえるものを、成長率もそう高く望めない状況の中で一体どうしたらいいのか。そこは国民負担率だという話になれば、これは全体的なそういう議論もこれからしなきゃいけないと思いますけれども、具体的に例えば今ある保険制度の一本化をやるんだとか、それから一元化をやるんだとか、これから具体的に医療保険制度の抜本改革の中で個別に、短期的には今出ている薬の問題だとか診療報酬改定の問題だとかそういう問題を含めて、方向としてこういうふうにやっていくんだというような一つの何かそういう絵にかいたものがなければ、単なる一般論で何か責任逃れみたいな、今の話を聞いていると全然具体性がないんですよ。
 だから、もっと具体的にわかりやすくそこを説明してほしいと、こういうことでございます。なければないでいいんですよ。我々ただ手をこまねいて状況を見ているんだと、それならそれでいいんですよ。だけれども、それがわからないからそこを教えてくれと、こう言っているわけです。
#9
○国務大臣(小泉純一郎君) 今、平成十二年度実施を目指して医療保険制度改革に取り組んでいるわけです。具体的に言えば、薬価基準制度を根本的に変える、診療報酬体系も出来高払い制が基本でありますけれども、定額拡大、包括払い、これを拡大していく。患者の自己負担についてもこれを見直す。さらに、医療提供体制も見直していくということで、現に具体的に着手しているわけであります。
#10
○宮崎秀樹君 これ、大臣がお答えになるんじゃなくて、ずっと継続的に官僚の中でどういうお考えがあるかということを私は引き出したかったわけでございますが、大臣が引き取られたのでそれはそれで結構です。
 ただ私は、今の問題は短期的な問題ですよ。長期的に、二十一世紀に物すごく爆発的にふえてくる社会保障費、特に医療の問題なんかは、この財源についてはそれでは中長期的にはどうするんですかということをお尋ねしているんで、それについての厚生省内にプロジェクトなり何か組んで検討されているんですか、どうなんですか。そこら辺、具体的なことがあれば教えてください、こういうことであります。
#11
○政府委員(高木俊明君) 医療保険について申し上げたいと思いますが、医療保険については、私どもとして、やはり基本的には高齢化に伴って医療費が増嵩していく、そういった中で、若い人の医療よりもむしろ老人医療というものをどう考えるかということが基本だというふうに考えております。
 そういった中で、やはり一つには、現在、老人医療費というのは、一人当たりで比べますと若人の約五倍ぐらいになっている。これが例えば四倍になれば二割節減できるわけであります。そういった意味では、一人当たりの老人医療費をもっと下げるような、そういった政策というものを展開していく必要があるだろうということであります。
 それは、我が国の医療費を見てみますと、治療というものにやはり偏重した格好の制度の仕組みになっておりますから、そういった意味で、特にお年寄りの場合にはむしろ健康の管理、維持というような視点、病気を持っていたとしても日常生活は健やかに過ごすことができるというような視点の地域医療というものが必要だというふうに考えております。そういった視点からの取り組みというものが要るし、そのためには現行の地域医療の仕組みそのものもそういう方向に向けて考えていく必要があるだろうということであります。
 それからもう一点は、いわゆる我が国の医療制度というのはかなり高コスト構造になっているんではないかというふうに思っております。それは、一つは薬の問題もそうでありますし、できるだけやはり効能、効果が同じであれば安い薬というものが普及してもいいんじゃないかというふうに思っております。
 それからまた、高額医療機器等につきましても自由に各病院等が購入できるようになっておりますけれども、そういった中で、非常に諸外国と比べても数が多過ぎるという問題もありますし、また値段も高過ぎるという問題もあります。こういったものはやはりもっと合理的に整備し、使用できるようなシステムというものが要るのではないか。そうしませんと、医療費のボリュームだけは三十兆円、四十兆円と膨らむにしても、医療機関なり医師の技術というものに対する報酬なりリターンというものがふえないんじゃないか。
 やはりそういった意味で、我が国の医療制度そのものをもっと医療技術、いわゆるソフト面の評価というものが重視されるような仕組みに変えていかなきゃいけないんじゃないか、こんなふうに考えております。
 かなり抽象的に申し上げましたけれども、そういうような基本的な認識で全体を見直していかなきゃならぬ。これは一遍にいきませんし、国民的な合意が必要でありますから、そういった意味で、幅広い国民的な御議論をいただきたいということで私ども取り組んでいるつもりであります。
#12
○宮崎秀樹君 一つ一つとると、それはそれなりに私はもっともだと思います。ただ私は、保険制度そのものをやはりもうここできちっと整理しないと、これは個別なことを、例えば高額機器の問題も大切だけれども、これはそれから派生した枝葉末節のことを今いじっているわけですよ。幹のことをやっていないわけですよ。幹が、もう根っこがおかしくなってきている。そこをきちっとしないと、それから出ていったものをいじっても、何ら効果が出てこない。ですから、保険制度にしても、国民保険にしても、お年寄りの国民保険の加入率がどんどん高くなる心しかも、同じ日本国民でありながら、あるところに住んだということで、その住む場所によって六倍も違うんですよ、同じ収入で払う国保税が。こんなことが今起きているわけです。
 そういうことを考えると、日本国民が今社会保障に関してはみんな平等、負担も公平でなきゃいけないと、いろんなことを言っています。負担も給付も全部公平、平等と。しかし、現在そうじゃないですよ、現実に。
 だから、こういうことをまず改め、そして財源というものを全部プールして、そしてそういう保険制度というものを、では、老人保健制度というものはどうするんだと、将来に対してこれをきちっとこうやるんだと、そういう基本的なことが全然合議論されないで、むしろ抹消的なことを今やっているんです。
 だから、私はもっとこの根幹部分を厚生省の中でプロジェクトを組むなりなんなりして、きちっと、将来こういうふうにひとつやるんだと、A案、B案、C案だと、いろいろこの前お出しになったけれども、実際本当に、じゃ、作業的にそれをどういうふうにこれから詰めていくんだと。そういうことをまず考える中で、当面対応するものに対してこうこうこれだという、はっきりそこを国民にわかりやすく説明しないとなかなか私は解決しないと思うんですが、その辺はどうなっているんですか。
#13
○政府委員(高木俊明君) 私もまさに先生のおっしゃる御意見に全く賛成でありまして、そういった意味で、私どもとしては昨年の八月七日に厚生省の医療保険制度全体の姿形というものをお示ししました。ただ、これはかなり粗削りのものとしてお示ししたわけであります。これをさらにもっと具体的に現実に合う格好で詰める必要がありますから、そういった意味で今そういう詰めをやっております。
 同時に、御案内のとおり、審議会におきましても国民的な視点から抜本改革の御議論をいただいております。まだそういった意味では制度のシステムまでいっておりませんけれども、今後そういった意味では全体的な議論になっていくというふうに思っておりますし、そういった中で私どもとして国民にお示ししながら案を固めていかなきゃならないというふうに考えております。
 そういうふうなことで、私どもとしても、当初意図したほど私どもが昨年八月七日に発表しました内容について国民的な議論が盛り上がらなかったという点については、PRの仕方あるいは説明の仕方について反省しておりますけれども、やはり私どもとしてもそういった意味でもっと幅広く関心を持っていただけるようなことを考えていかなきゃいけないということで、今そっちの面もいろいろと工夫をしていこうということで検討をいたしております。
#14
○宮崎秀樹君 日本の国民皆保険制度というのは、これは世界に冠たるいい制度だと私は思っていますから、これを維持しながら改革をしていくというのは、これは容易でないことはわかっているんです。
 ただ、厚生省内の一部で混合診療ということが今出てきているんですね。ということは、お金がなければ、それは受益者からお金を取ればいいという非常にイージーな考えなんですが、私は最初から混合診療をもしやったとすると、これは本当にお金のない方が早期診断、早期治療の機会を逸するわけですね。ですから、そういう最初のところから、例えば初診料は千円しか払えませんと、だから先生方は自分たちの腕で一万円取って、それから上乗せ一万円取ってもいいですよ、二千円取ってもいいですよと、もしこのようなことが保険制度の中でやられたら、これは大変なことになると思うんです。そういうことを万が一少しでもお考えになっていらっしゃるかどうか、忌憚のない御意見をお聞かせ願いたいと思います。
#15
○政府委員(高木俊明君) 昨年八月七日にお示しした厚生省案の中では、そういう考え方を一部取り入れています。この考え方というのは、まさに一つは、全部何でもかんでもということじゃなくて、一定の条件のもとにそういうことを考えていったらいいんじゃないかという発想に立っているわけであります。
 現在でも特定療養費制度という制度がありまして、これは高度先進医療とか一定の範囲内でそれを考えられているわけでありますが、そういった中で、通常の保険で見る部分については医療保険で見る、しかしそれを超えている部分については患者さんに御負担いただくという制度であります。私どもとして、やはり現在の医療保険というのは医師の技術あるいは医師の経験年数等々に関係なく、みんな一律の点数、単価という格好になっておりますけれども、その辺について、一定の条件にかなうケースについてはある程度やはりプラスアルファをとれるような仕組みというものも必要なんではないか、そのことがこれからの医療の発展等々を考えますとどうしても必要になってくるのではないかということで考えておるのがあの案でございます。
 そういった意味で、混合診療はけしからぬというおしかりを医師会等からいただいておりますけれども、しかし私どもが知る限りにおいては、やはり今のままよりは少しそういったような方向というものもあっていいんじゃないかというお医者様方がいることもまた事実であります。その辺が非常に合意形成をしていくのになかなか難しい面でありますから、そういった意味で私どもはやはり国民的な視点からコンセンサスをつくっていかなきゃいけない、こんなふうに考えておるわけでございます。
#16
○宮崎秀樹君 混合診療はこれは一つの哲学ですから、これを最初から破ってしまうとこの国民皆保険というのはもう成り立たなくなりますよ。私はやはりこれをやる以上は、この国民皆保険制度というものを守る以上はきちっとしたルールの中で、最初に全部が機会均等でこの保険というものを有効に利用できるようなシステムというものがなくなってしまったらこれはもう崩壊であります。だから、それはやはり高額医療とかこういうことになれば、将来はパイを膨らませなきゃいけないから、その上の部分は自動車賠償保険制度みたいな所得のある人は任意保険ということも考えられるけれども、最初からそういうことは非常に危険であるということで、私はもう徹底的にこれは反対していきたいというふうに思っております。
 それから、いろいろ医療費の中で問題なのは、今出ました高額医療であります。ということは、一%のレセプトで医療費の二六%を使っておるわけですね。それから一〇%から一%の間の九%で三八%の医療費を使っている。ということは、一〇%のレセプトで六四%の医療費を使っておるわけですね。九〇%のレセプトでは三六%の医療費、特に七五%のレセプトでは二二%の医療費ということでありますから、一%のレセプトで二六%といったら四分の一の医療費を使っちゃっている。これが非常に問題があるわけであります。
 このことに関しては、医師それからコメディカルの皆さんからアンケートをとったときに、この間調査した結果が出ていましたけれども、七七%の方がこの高額な医療については、例えばターミナルケアについて、はっきり言ってもう二週間延命するために一千万使うというようなことはやはり問題があるのではないかというようなことを指摘しております。この辺の問題をやはり認識した中で、この医療費というものは限りがあるものでありますから、これを国民みんなが享受できるようなシステムというのは私は大切だと思う。
 そこら辺について厚生省、何か考えありますか。あったらお聞かせください。
#17
○政府委員(高木俊明君) これは私どもも非常に難しい問題であるというふうに考えておりまして、この高額な医療費、ターミナルケアの問題はもう一つありますが、全体的にそれらも含めていわゆる高額な医療費というものについて医療保険でどう扱うか、これもやっぱり高額といっても医療の中身によってかなり違う面があるだろうというふうに思います。
 そういった意味では、現在医療保険制度は我が国の場合高額療養費制度ということで、一月六万三千六百円を限度にしてあとは全部医療保険で見る、こういう仕組みになっておるわけであります。そういった中でこの高額療養費の限度額、これは当然負担能力の面というものを考えながら考えていかなきゃいけませんが、今六万三千六百円というふうな水準ということになっておりますけれども、一千万使っても六万三千六百円であります。その辺のところをどういうふうに考えていくべきかというのが率直に申し上げまして具体的な検討課題として検討をいたしておりますけれども、さらに一般的にこの高額医療費というものをどう扱うべきか、これはなかなか悩ましい問題であるということで、お答えになりませんけれども、なかなか明快な実は答えを今の段階では持ち合わせていないというのが実情でございます。
#18
○宮崎秀樹君 確かにこれは難しいです。レセプトの審査にいたしましても、私は十数年間支払基金と国保連合会の審査委員をやっておりましたからその実情を御説明しますが、例えば一枚のレセプトをぱっと見て一秒かからないやつは幾らもあるんです。例えば顔面座瘡、これは再診料が七十四点、処置が四十二点。病名というのはぴっと一瞬でわかるわけですね、こんなものはもうこれしかないわけですから。そうかと思うと、この高額医療費になりますと、一枚のレセプトに全部勧進帳みたいに巻紙になって長さが一メーター以上のものが出てくるんですね。細かくびっしり書いてあるわけです。これは一時間以上かかりますよ、一枚で。
 だから、レセプトの審査といってもピンからキリまであるわけでありまして、さらに驚くなかれ、ここに解説があります。これは解説です、みんな。これはもう克明に書いてある。これを説明して、例えば説明を一カ所聞きますね。専門官でも答えられない、これは。そういう仕組みなんです。
 さらに、疑義解釈というのは別にあるんですね。一つの例を御紹介しますけれども、疑義解釈でもこのぐらいあるわけですね。例えば、一つこういうのがあるんです。クームス試験というのがあるんです、これは免疫学的な検査。これが今回の改定において、これはこの間の改定ですね、四月一日。これが直接検査というのは五十点、二番目の間接検査六十点に今度分割されたと。「二つを同時に行った場合、両方の算定が可能か」と、こういう質問がある。そうすると、これに対してみんな鳩首協議して、「従前より、直接と間接を同時に行った場合、二回算定していたものであり、今回からは五十点プラス六十点により算定することとなる ただし、医学的に同時に行うことに意味があるかは医師の判断によるものである」と、これが回答なんです。では、医師の判断によるところまで、我々は患者さん診てないから、これは紙上審査だから。こういう解釈が出ているんですね。
 だから、こういうことを一つとっても、これはなかなか減点減点と言うけれども、減点がすべてこれは悪いとは言えないんですね。一方的にこの判断をある技官がいやこれはこうだと推測してばっと減点したら、これは大変問題があるわけです。だからそういうことがある。
 また、これは老人保健ですけれども、「他の医療機関において老人デイ・ケアを算定している患者又は老健において、適所者施設療養費を算定している患者については、老人デイ・ケア料を算定できないとされているが、デイサービスとの併用の場合は算定可能か」と。答えは「算定できるが、福祉サービスとの連携に留意が必要である」と。その「留意」というのは一体何だと、こういうことになりますね。これはまた議論がある。
 だから、このようなことが今審査の中で、もうこの本を読んだだけじゃわからない。まだそのほかに青表紙というやつがあるわけですね。そういうのを見ながら患者さんを診ていると、患者さんを診るよりこっちを見ている時間が長いわけですよ。
 こういうことが今行われているというのが現実でありますから、もうちょっとこれは簡単にしてもらわないと困るわけであります。だから私は、不正請求の問題も確かに悪いことをやっているところはないとは私は言いません。そこは徹底的に取り締まれと、これはもう日本医師会もはっきり言っております。だから、それはそうとしましても、こういう実態があるということはよく御存じの上で今この保険診療がなされているわけであります。
 そこで、減点審査の問題ですけれども、減点審査による患者負担分の過払いは民法の不当利得返還請求権に基づき保険医療機関に対して返還を請求できる、これは厚生省の見解なんですよ。こういう見解を出しているんです。これは、あたかも減点審査というのはもうまさに正当であるというふうにもうそれを断定しているわけですね。それによって不当利得であるかごとく公権的に認定されたというような印象を今外に与えております。これをうのみにした患者さんが減点されていることだけで医療機関は返還請求に応じるべきだという考えを持つ。これはまさに行き過ぎだと思うんですね。
 二つ目には、不当利得の善意、悪意、現存利益の有無を全く無視している点であります。患者が厚生省見解に沿って裁判を起こした場合、これは現存利益なしと患者さんが敗訴する場合も出てくるわけであります。要するに、現実には、減点審査が行われている場合には患者が不当利得返還請求できる場合もあるということは事実でありますけれども、その程度のことなんですね。減点についてはこれは大変大きな問題があるんですね。
 私は審査委員をやっておりまして、これは事務的なミスもあるんです。いろんなものがあります。例えば、保険証の記号を写し間違えたということは、これは全額もうばっさり切られるわけですね。ところが、健保組合でも親切なところは、名前を見ればわかるわけですから、この人は番号を間違っていましたよ、これからこうしてくださいよと言ってくるところもあれば、悪い健保組合は知っていて一切知らぬ顔です。そうするともう医療機関は、一年たって通知が来ることがありますから、ですからそういうことで一年後に引かれてきたり、何かわけのわからぬことが今非常に行われております。
 ですから、この減点について、患者さんがそれならば減点分のお金を返してくれと、こういうことになりますけれども、注射なら注射はもう打つで体へ入っちゃっているんですね。それで病気が治っちゃったと。しかし、それは医学的に先ほど言うような状況で、判断によってやったことについては、これはまさに善意でやっていることですから、しかもその注射の代金は医療機関が買っているわけですね。それを一方的にばっさりやられると、まさに変なところから泥棒が来て財産を持っていくというような考え方にもなるわけであります。
 だから、ここら辺はよくこれから、今の保険診療をやっているとこういう問題が次から次へ出てまいりまして、私はこの制度はやはりこういうことはついて回るものだと思っております。
 また、医療機関側にいたしましてもつけ落としがあるんですね、これは逆に言うと。つけ落としがあると、それは後から今度その患者さんを探して、つけ落としだからその金を負担した分あなたくれよと、これは一切できない。これも事実です。
 それから、患者さんの夜逃げというやつもあります。不渡り手形を書いて渡すやつもいる。これは大分私も調べたんですが、私のところも一回不渡りを食っちゃったことがあるんですが、患者さんが窓から逃げていって、おまけに待合室のいすから机まで持ち出して、行ったら何もなくなっていたということも実際経験しております。それは患者さんでもいろんな方がいます。それは社会ですから、いろんな人がいるんですね。ところが、一々それを目くじら立ててああだこうだと言っていてもこれは始まらないことであります。
 よほど私はこの減点については慎重に、何で減点になったかということ、これを実態的によく調査する必要があると思うんですが、厚生省ではそういうことを細かく突き詰めたデータというのはあるんですか。そこら辺があったらばお教え願いたいと思います。
#19
○政府委員(高木俊明君) 減点については支払基金なりあるいは国保連合会の審査の結果の統計数字しかございません。
 確かに先生御指摘のとおり、支払基金なり連合会の審査の減点の内容を見ますと半分がいわゆる資格の間違い、被保険者が本来もう資格を喪失しているのに、ほかの制度に入っているのに従来の保険証を持ってきてかかっているというようなのがあります。こういったようなものは減点といいましても通常の審査における減点とちょっと違うというふうに私どもも思っておるわけであります。
 それで、減点された場合に一部負担等の返還の問題があるわけでありますが、これは現行法の法律解釈においては従来から、先ほど先生からお話がございましたような不当利得の返還請求という形の解釈がなされておるわけであります。これは昭和六十年に内閣法制局からの法制意見ももらっておりまして、それに基づいて運用が行われておりますけれども、やはり私どもとしましてもこの問題というのはもっとシステムとして、制度の仕組みのあり方も含めてこの辺のところを検討する必要があるというふうに実は認識をしております。
 そうしませんと、今のようなままで医療機関と患者の間の交渉のもとで返すの返さないのというようなことは現実問題として実務的にもなかなかこれは難しい問題であります。そういった意味からしますと、制度的にもやはりこの辺のところは見直さないといけないだろうということで考えております。
 ただ、この辺につきましては従来からも法律解釈としてそういうふうなことでやってきておりますので、そういった意味ではこれを変える、解釈を変えるというよりも仕組みも含めて変えるということになりますと、それなりにやはり関係者の方々の御意見もいただかないといけませんし、もうちょっと検討する必要があると思いますが、現行のままではやはりちょっと限界がある、こんなふうに考えております。
#20
○宮崎秀樹君 そういう問題がございます。
 これはアメリカのHMO、これは私的な保険会社と医療機関、患者との契約で保険医療をやっている。ここが、やはり保険会社が介入する、日本では保険者でありますけれども、普通なら医師と患者だけの間の話し合いに第三者的なものが必ずそこに介入してきます。アメリカにおいても、これは民間会社がこれをやっていて、今大問題になって、患者と医師が保険会社に文句を言っている。ということは、保険会社が力を持つと、ここまでしか払いませんよ、この薬はだめですよ、高いものは一切認めません、手術はここまで、入院はここまでと。これは一人一人によって体力も違うし体質も違う。それこそ個人差というのは相当ございます。それを一律に、第三者が見ないで、医学的見地を全く抜きにやっておるということで今もめております。
 私は、まさにここへたどり着くと大変だなと。ですから、ここへたどり着く前にやはり我が国では、今、局長のおっしゃったように、そういうことに対して専門家を交えてどうしたらいいだろうかという緩衝地帯をきちっとつくって、そこで処理するというようなものをやはりつくってもらわないと、これはなかなか難しいのかなというふうに思っております。
 それから、例の特定病院が二次医療圏のベッド数の定数を超えて参画して病院建設をするという話でございますが、一人の医師、それから一人の福祉をやる福祉家、そういう人が終生命をかけて、一カ所を本当に理想的にやるのには私は一生かかってもできないと思うんですね。それが、彩福祉グループにあらわれるように、一人の人間が幾つもやるということ自体が私はもう極めておかしいと思うんですよ。
 医療にしてもそうですよ。一人の男が幾つも病院をつくるのにかかわって、そんなことはできないです。自分の目が届かないところに自分の理想的なものはできない。だから、医療とか福祉はそういう観点で、本当にその人の人間性というものがきちっと地域に密着して地域住民と心が通わなきゃできないわけですよ。それを今どうも見ていると、まさにそういうところが栄えていくようなことを法的に何か支援しているみたいな気がするんです。
 そうしますと、物を建てる、物を建てたところで利潤を上げてそれを懐に入れる、何かメリットがなければやりません、そんなことは。一カ所やったってできないのに何カ所もやるということ自体が我々はどうも理解できない。そういうことが野放しになるということ自体がおかしいので、これはやはり過剰ベッドがどうのこうのという前の段階で法的に何かできないのかなというふうに私は思うんです。そういうことについて何か考えていらっしゃるかどうか、お考えがあれば聞かせていただきたいと思います。
#21
○政府委員(谷修一君) 一人のお医者さんが一生かかって一つの病院なり診療所を運営してその地域の中で貢献をしていくというのが本来の姿ではないかと、そういう御趣旨だろうと思います。確かに、それはそれで医療のあり方としては非常に望ましいといいますか、地域にとってはそういうお医者さんがおられるということは大変ありがたいことだと思いますし、恐らく我が国の医療を支えている診療所というようなものがそういう代表だろうと思います。
 ただ、しからば一人の医師が一つの医療機関だけをやる、これは個人が開設をするという場合には確かに複数の医療機関を経営するというのは難しいということはそのとおりだと思いますが、現在の法制度の上では医療法人制度というものが認められているわけでございますから、法人として組織をされているということから、法人として複数の医療機関を経営するということはこれは可能であるという考え方でございます。
 また一方、法人組織の中でも、開設者のいかんにかかわらず、先生御承知のように病院とか診療所の場合には管理者が医師または歯科医師でなければならないというふうにされているわけでございまして、また、この管理者に対しては従業者の監督義務を課すとか、そういうようなことで法律上も医療の実施に支障がないような体系になっているわけでございます。
 そういうようなことから、先生がおっしゃるような意味での望ましい医療のあり方ということで、確かに一つの考え方だとは思いますが、現実問題として法人ということを考えた場合には、それがすべてに成り立つということにはならないんじゃないかというふうに考えております。
#22
○宮崎秀樹君 それは私もわかって質問しているんですよ。
 法人だって人間がやるんですよ、結局。だから、人間がやる以上はそういうような考えを持っておやりになる。要するに一カ所から資金が出ているんですから。だからそういうような、まさに全国にスーパーマーケット的な発想で医療というものをやるということは、何かそこは考える必要があるんじゃないか。これは法律で決めるといったらなかなか難しいかもわかりませんけれども、しかし何かそういうようなことは我々も、国民も考えていかないとこれは食い物にされるおそれが十分あるわけであります。そこら辺は、彩福祉グループに代表されるように、どうも見ていると一度福祉をやった人にやらせるんだとか、どうも話が逆の方へ行っているような気がするんです。だからそういうことはやはりきちっと目を光らせて、そういうところには何らか押さえ込みをしなきゃいけないというふうに私は思っております。
 そういうことについて厚生大臣、余り質問しないと眠くなるといけませんので、厚生大臣の御所感をひとつ。――よろしいですか。厚生大臣が結構だというから結構です。
 それでは、次の問題に入ります。
 この前、私が薬のことでちょっと質問したときの答弁がございます。これは三月十二日に私が質問申し上げたときの高木局長の答弁であります。
 三月の末に平成十年の製薬メーカーの決算が出ました。平成十年三月期の主要望薬企業の決算が出たわけであります。それによりますと、武田薬品は利益が五百八十億五千六百万、三共が六百二十億一千万ですか、山之内が三百二十八億二千六百万、大変な利益率であります。これもまたマイナスではないんですね。藤沢はマイナスであります。あとはほとんどプラスということで大変な利益が出ております。
 私は、この前申し上げたように、薬価制度というので仕切り価、メーカーとの価格設定のときの根っこをきちっとわかるようにしてくれと言ったら、一つ方法があってそれでやっているんだとおっしゃったけれども、そういうところに指導も監査もできないんだと。高木局長は、監査、指導ということになると私どもの所管を外れるということでありますが、これは外れないんじゃないですか。これは保険局で、そこに保険料もそれから税金も入っているわけでありますから。ユーザーで我々が薬を使うと監査も指導もやられて、根っこのところは一切立ち入って調べていない、これはおかしいじゃないですか。そこの根っこをきちっと整理する必要がある。
 日本は資本主義国家でありますし、自由主義経済であるから、私はもうけちゃいけないとは一切言っていません。だけど、それは何でもほどほどでありまして、保険診療をやっている以上はやはりそこをきちっとやってもらわないと困るので、そこら辺はどうなんでしょう。私はこの前の答弁はちょっとおかしいと思う。時間がなかったから私は追及しなかったんですが。
#23
○政府委員(高木俊明君) 現在の厚生省の中における所掌の範囲という意味で申し上げたわけでありまして、そういった意味で、直接の製薬企業に対する指導なり監査なりというものは保険サイドの所掌ということでやっていないということで申し上げたわけであります。
 もちろん、医療保険において実際問題として大部分の製薬産業の医薬品というものは扱っておるわけですから、そういったことで保険局の中においてそういうふうなことをやっていくというのは一つの考え方だと思いますけれども、現在の厚生省の中における仕分けといいますか、そういった意味では私どもの方の所管にはなっていないということを申し上げたわけであります。
 もちろん、保険局と関係がないということで申し上げたわけではありませんで、そういった意味で厚生省全体で見れば担当部局の方でその辺については適切な対応をなしていかなければならない側面だというふうに思っています。
#24
○宮崎秀樹君 それでは、一回調査をしてきちっと、本当に何十万錠つくって出した最初のコスト、それからそれ以上どんどんつくっているというような実態を調査し、また指導するつもりはあるんですか。
#25
○政府委員(谷修一君) この前の三月の先生の御質問を受けてのきょうの御質問だというふうに理解をしております。
 医薬品の生産については、先生御承知のように、いわゆる市場における自由な競争を通じて生産量や価格が決定されるということになっておりますので、私どもとして、生産量の管理あるいはある薬を何錠つくったというようなことについて、具体的に製薬企業に対する監査とか指導を行うということは現在のところでは考えておりません。
 恐らく先生のおっしゃっておられるのは、事実上の話として、特に一般用医薬品については薬価基準によって、つまり保険によって支払われている、そういうことに着目をして、医薬品産業あるいは具体的なメーカーについての経営上といいますか、あるいは保険上の監査なり指導というものの対象にすべきだと、そういうような御趣旨だろうというふうに理解をしております。ただ一方、それぞれの医薬品の価格については薬価基準によって定められており、また薬価基準の再算定についてのルールというものも薬価調査に基づいて行われるということが、そのルールが中医協で決められているわけでございますから、そういうことによって考えていくというのが率直に申し上げて現実的なんではないかと考えております。
#26
○宮崎秀樹君 ただ私は、価格設定を最初に決めたときに、これは恐らく生産量を決めて出していると思うんですよ、一錠単価だから。それを乗り越えたときに、それを放置していること自体がもう私はおかしいと思うんですよ、これ保険財政ですから。だから、保険対象薬についてはきちっと目を光らせておかないと、そこだけ野放しにしておくということ自体が私はどうもわからない。これはひとつ中医協で議論してください。お願いいたします。
#27
○政府委員(高木俊明君) 今、各局長もちょっと触れられましたけれども、薬価基準に収載された後、当初の予想よりもかなり大幅に売り上げが伸びた、そういったケースについては薬価の再算定を行うというルールでやっております。このルールは、まさに関係審議会である中医協が平成七年の建議で定めたわけであります。そういった意味では、これまでもそういうのはやっております。
 ただ、先ほどの先生の御質問は、全体的に仕切り何なりあるいは生産量の実態なりというものを調査してはどうかというふうに受けとめたものですから、それで各局長の方の所管ということで御答弁いただいたんですが、医療保険サイドでは、まさに当初想定よりも超えた場合はやっております。
#28
○宮崎秀樹君 それはわかっていて私は言っているんです。
 だから、そういうことを野放しにして、それじゃ、大変これは長いことやっていないからやろうじゃないのというんじゃなくて、そんなのんびりしたことでなくて、あなた方はデータ持っているんでしょう、最初に何錠つくるというやつは、単価。それ以上やったときに、もうそれはおかしいじゃないかということで、保険財源なんだから、そこでやらなきゃだめなんだ。だから、中医協でもしそこまでやらないんなら、中医協に言って、保険というのは限りある財源なんだと、それをやるのに何でそこだけやらないのか、こういうことですから、それはひとつ考えておいてください。
 それから、時間がないから、最後に不妊症の健保適用についてちょっとお尋ねします。
 今、いわゆる少子化でエンゼルプランだとかいろいろなことをやっております。しかし、現に子供さんが欲しいという御夫婦が結構大勢いらっしゃる。確かに、子供さんを産むこと自体についての健保適用というのは正常なお産の場合にはないんですが、これは医学的な治療、不妊治療ということについて技術は大変普及している。
 夫婦間の人工授精法というのは、子宮頸管因子による不妊症を初め、軽度の乏精子症に対してもその治療効果は評価されている。それで、体外受精法それから胚移植法によって、現在、年間三千人以上の出産があるわけです。東北大学の第一例以後、既に二万人をもう超えています。少子化対策における不妊治療としては診療所レベルにまで今普及しておりますし、その実施施設は全国で四百施設を超え、なお増加しつつあります。また、精子の無力症、先ほど言った高度の乏精子症など、男性側の不妊因子に対しても、顕微鏡的に受精する方法が開発されています。こういうような不妊夫婦における医学的適応も広がってきております。これは、父親、母親の立場から、ぜひ私はこれはもう、実務的にこれをやると少子化対策になるわけであります。
 昨年、厚生省から、不妊治療の保険収載について、日本産婦人科学会それから日本母性保護産婦人科医会に打診があったわけですね。それで、両学会から、年間約百五十億円の医療費が必要であるという額を示しました。少子化対策としてはぜひその実現をしてほしいということでお願いしているんですけれども、結局、予算の見通しが立たないということで保険適用から外れたわけであります。
 それで、これは三〇%の成功率がある。しかし、一回ではだめだと。何回かこれをやるということになると大変お金がかかる。お金がかかるからあきらめると、こういうことであります。
 ここに婦人科の先生もいらっしゃいますけれども、いずれにいたしましても、これは一番早い少子化対策になるわけでありますから、お金がないときにそれはできないよと言うんならば、それこそ少子化対策のプランニングの中で別途これは手当てするとか、何かそういうような方法で少子化対策というものをおやりいただくということも一つの手じゃないかと思うんです。
 最後に厚生大臣にお聞きする前に、保険局長、何かそういうことについてお考えがありますか。
#29
○政府委員(高木俊明君) この問題は私が前職の児童家庭局長をやっているときに実は検討をしていただいた内容ですので、今、保険局長という立場からは、ちょっとそれを引きずることになるので、公式見解になって恐縮でございますが、この問題はやはり一つには、今、先生御指摘のような財源の問題がどうしても出てくる。
 私どもとして、やはり不妊で苦しんでいらっしゃる方がいることもよく承知しておりますし、そういった中で、本当に子供が欲しいという方ですから、そういうようなことに対して対応ができないか。特に十組の御夫婦の一組ぐらいが、統計があるわけではありませんが、不妊で悩んでいらっしゃるということを聞いておりまして、そういった意味では、この相談のシステムというものを実はつくりましたけれども、いよいよここについての金銭的な、経済的な援助というものをどう考えるか。
 私は、どちらかといえば、やはり関係者の御意見が一致するならば、財政的な対応ができるならば、こういった対応をしてもいいんではないかというふうに思っておりますけれども、まだ、そういった意味では、厚生省としては必ずしもはっきりした回答が出ているわけではございません。
#30
○宮崎秀樹君 じゃ最後に、厚生大臣。
#31
○国務大臣(小泉純一郎君) もう専門家ですから詳しくは言う必要ないと思いますが、今後、関係者の意見を聞いて、検討していきたいと思います。
#32
○宮崎秀樹君 終わります。
 ありがとうございました。
#33
○直嶋正行君 民主党の直嶋でございます。
 きょう、私は、本改正案のうちの病床規制の問題について厚生省の御見解をお伺いしたいと思います。
 まず、大臣にお伺いをしたいんですけれども、この法案の趣旨説明の中で、大臣の方から、今回のこの改正は、医療保険制度の信頼の確保と医療費の適正化に資するための改正である、こういう趣旨の御説明があったわけです。この病床規制について、医療費の適正化という言い方をされているのですが、結局これは要は医療費を抑制するという意味合いととらえてよろしいでしょうか、ちょっとその辺の御見解をお伺いしたいと思います。
#34
○国務大臣(小泉純一郎君) 抑制するという言葉よりも適正という言葉の方が適正じゃないかな、そう思うんです。むだな部分もある、当然抑制しなきゃならない、むだな部分は省きなさいという多くの国民の声にこたえなきゃいかぬ。そういう点から見れば、抑制する、過剰に使っているから抑制しなさいという意味もある。しかし、要は適正化の方が言葉としては、表現としては抑制よりも適正化の方が適正じゃないかと私は思うんです。
#35
○直嶋正行君 なかなか名答弁でございますけれども、そこがちょっとわかりにくいですね。多分ずっと一連の大臣の御答弁をお伺いしていると、やはり増大する医療費を何とかしなきゃいけない、だから基本的には抑制をする、だから過剰なものを適正にしていくというのもあるでしょうけれども、基本的にはこれ以上余りふえないような仕組みをつくっていくというのがこの病床規制の改正の部分だと思うんです。そういう受けとめ方でよろしいですか。
#36
○国務大臣(小泉純一郎君) これは、限られた財源、税源を社会保障だからといって医療費にこれ以上投入していいか、社会保障として一定の額だったらば医療費以外にもっと投入すべきじゃないかという意見もあります。今以上にどんどん医療費だけに増を認めていったらほかの部分の増が認められないわけです。それをどう考えるかということだったらば、医療費の伸びというものも現状を放置していくとほかの部分を削らざるを得ないということだったらば、抑制的な面もあるし適正化の面もある。抑制するためには適正化をしなきゃいけないという観点から、この医療費の増大をどのように適正に抑えていくかという視点が私は必要じゃないかと思います。
#37
○直嶋正行君 今のお答えの中で、ちょっとこだわるようですけれども、私が受けとめると、今の答弁もそうなんですが、病床数を適正にすることによって医療費を抑制する、こういうお考えが正確なのではないでしょうか。どうなんでしょうか。
#38
○政府委員(高木俊明君) ちょっと内容的に厳密に申し上げた方がよろしいかと思いますが、今回の措置というのは、医療保険サイドにおいて要するに医療費の適正化ということがこれまでも行われてきたわけでありますし、そういった中で、やはり限られた財源、すなわちそれは被保険者の負担ということと密接に関係するわけです。そういった意味で、私どもとしては病床過剰地域に新たにこれ以上参入していくということについて、これは医療保険サイドからしまして保険医療機関としての契約というものを結ばないということができるようにしようということであります。
 ストレートには、医療法上におけるベッドの規制ということをすればまさにベッドそのものを減らしていくことになりますけれども、私ども今回御提案しておりますのは、医療保険の中において、保険医療として扱えるベッドというものをそういった意味では適正なものにしていきたい。それはまさに既に過剰ベッドになっている地域でありますから、そういうようなところにさらにまた、しかもその地域において都道府県知事が不必要であるということで勧告をしたケースでありますから、そういったものについては、これはもう私どもとしてはこれ以上ベッドは要らないというふうなことで、保険医療機関の契約をする際にベッドの適正化を図りたい、こういう趣旨でございます。
#39
○直嶋正行君 そこで、今のお答え、種々の御説明あったんですけれども、結局はこれは今病床数過剰地域が全体で医療圏の中に四〇%以上ある、こういうことですね。結局、この法改正によって過剰地域が実際に減少するんでしょうか。しないように思うんですけれども。そうすると、そのことは今おっしゃった医療費の適正化とどうかかわってくるんでしょうか。余りかかわりがないように思うんですが、何か現状固定に終わってしまうんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#40
○政府委員(高木俊明君) 病床過剰地域にさらに新たに病院を建てたい、ベッドをふやしたいということはこれまでもありました。これは、医療法が改正され、地域医療計画というものが定められて、そして各地域における過剰病床等の算定がなされるようになった以降もあったわけであります。しかし、これが現行法のもとにおいては、私ども医療法が改正された直後において、現行法の解釈、運用の中で、そういった場合には保険医療機関としての指定はしないということをやってまいりました。そういうような中で、これまではすべてその地域の実情の中で解決がされてきたわけであります。
 しかしながら昨今、さはさりながら、やはりどうしてもそこで病院を開くんだと、これまでの厚生省の法律の解釈あるいは運用、そういったもの自体、法的に争うという動きが出てきたわけであります。そういったことを私ども踏まえまして、やはりこれは法的にもこの点については明確にする必要がある、こういうふうに考え、今回法律の改正をお願いし、現行の解釈、運用というものを法的にもきちんと明確になるような形で御提案をさせていただいているということでありまして、これはこれまでもそういった格好で厚生省としては運用解釈でやってまいったものでございます。
#41
○直嶋正行君 結局、今のお答えを聞いていても、これまでやってきたということなんですが、今回のこれは法的に要するに病床過剰地域においては結局は新規参入を難しくするということになりますね。だから、むしろ例えば質のいいものをつくろうとしている者の参入も抑制しちゃうということにつながってくると思うんです。ということは、これは逆に言うと、医療費が抑えられるかどうかは別にしまして、要は医療サービスの停滞、向上を妨げる、こういうことになってくるんじゃないでしょうか。
#42
○政府委員(高木俊明君) 今回御提案している中で、それでは既存の医療機関というものがあるいは既得権が保護されるような格好になってしまうんじゃないかという問題とも関係すると思いますけれども、今回の改正におきましては、そういった既存の医療機関でありましても、やはり医師等の数が医療法で定めた標準を著しく下回るとか、あるいはまた入院医療に関しましてこれまでたびたび指導、監査を受けているとか、そういった内容的にも適当ではないというようなケースにつきましても、やはり指定更新の際に保険医療ベッドとしての契約をしないということができる。そういった措置も織り込んでありますので、ストレートにきいでくるかどうかということは別にしまして、やはり既存の医療機関の既得権擁護といいますか、既存の医療機関の流動性が全くないというようなことがないように、やはり質のいい医療機関を確保していくようなそういった方策もあわせて今回の法律の中には規定させていただいておるわけでございます。
#43
○直嶋正行君 そういう規定が入っているのは私ももちろん知っていますが、実際に例えば今おっしゃられたような理由で保険医の指定を取り消されるというケースというのは本当にどれぐらいあるんですか。
#44
○政府委員(高木俊明君) これは現在の医療機関全部について精査したわけではございませんから、そういった意味で数量的なことはお示しできませんけれども、当然そういうような、仮に該当するようなケースがありましても改善されればもちろんそれは取り消されることはありませんので、そういった意味でちょっと私どもとしては数量的な積算は持っておりませんけれども、やはり新しく参入すると同時に既存の医療機関においても質の悪いものについては排除していく、こういうふうな仕組みが必要だろうということで今回御提案しているわけであります。
#45
○直嶋正行君 御説明はそういうことなんですが、私の個人的な見解を言いますと、今回の法改正で今おっしゃった後段の部分がもしなければこれはもう大変なことになりますね。だからこれは、実際に運用がどうなるかは別にしてなければこれは法改正になりませんよね、多分。全く自由を奪ってしまうことになりますから、今のただし書きの部分ですね。だけれども、実際にはこれは、しかし病床過剰地域においてはさっきもおっしゃったように全くないわけじゃないんですけれども、少なくとも新規参入はほとんどできない、こういうことになりますよね。だから、そういう意味でいうと、私は大変こういう病床数でこういう規制をかけるということは非常にやり方としては賛成できない。
 それから、さっきから議論していますけれども、これが医療費の適正化の話とどういうふうにつながってくるのかが全く私は理解できないんですけれども、これはどういうふうにお考えになっているんですか。
#46
○政府委員(高木俊明君) これも委員御承知のことだと思いますけれども、我が国の状況下において、いわゆるベッド数とそれから一人当たりの入院医療費というのは非常に強い相関関係がございます。そういった意味で、やはりベッド数を適正化していくということが医療費の適正化につながるというふうに考えておるわけでございます。それからまた、我が国における医療費全体の中で入院の医療費というのは非常に高いシェアを占めているわけでありまして、そういった点等々を考えましても入院医療の適正化というものは必要である。それから、そういった中で、このベッドとの相関関係のもとにおいてベッドの適正な配置ということがやはり必要だろうということで考えておるわけです。
 それをドイツとかあるいはフランスのようにストレートに規制をしていくというやり方もあると思いますけれども、私どもとしては、医療保険における公法上の契約のもとにおいて今回のような措置をきちっと法律上明確にする意味で御提案をさせていただいておる、こういうことでございます。
#47
○直嶋正行君 今までの行政指導を法律的に明確にするということはわかるんですが、今のお話で入院医療費と病床数との関係に強い相関があるというお話なんですが、ここもすごく議論のあるところなんですね。何回もこの委員会でもいろんな議論が出ていますが、ちょっと全国的な数字で結構なんですが、この四、五年の病床数と医療費、それから一人当たりの入院医療費、直近で結構です。ちょっと数字を教えていただけませんか。
#48
○政府委員(高木俊明君) まず、一人当たりの入院医療費でありますけれども、手元にある資料が平成二年度から平成七年度まででございますのでこれを申し上げますと、平成七年度が七万九千七百円ということでございます。六年度が七万五千七百円、それから五年度が七万一千円、それから四年度が六万九千百円、三年度が六万二千八百円、二年度が六万六百円、こういうようなことで推移しております。
 病院病床数でございますけれども、平成七年度が百六十七万ベッドであります。それから六年度が百六十七万七千、それから五年度が百六十八万一千、四年度が百六十八万七千、三年度が百六十八万六千、平成二年度が百六十七万七千でございます。
 入院医療費のトータルの額で申し上げますと、七年度が十兆二十六億円ということでございます。六年度が九兆四千七百九十五億円、それから五年度が八兆八千七百八十六億円、四年度が八兆六千百六十億円、三年度が七兆八千百七十三億円、二年度が七兆五千二百九億円、こういうような状況でございます。
#49
○直嶋正行君 今の数字、ちょっと一部病床数が聞き取れないところもあったんですが、大体この数年間、病床数はほぼ横ばい、今おっしゃった数字は。入院医療費は伸び率五%くらいですか、四、五%、概数ですけれども。一人当たりも似たような伸び率。
 つまり、病床数は全体で見ると横ばいなんですが、入院医療費と一人当たり入院医療費もふえている、トータルの医療費もさっきお話しありましたが、昨年までは年間一兆円ぐらいふえている。だから、病床数と医療費の伸びというのは相関なんかないんじゃないですか。
#50
○政府委員(高木俊明君) 今、先生御指摘の点は、ちょっと巷間そういうことで今回の制度はおかしいということが言われておるんですが、これはそういう格好での提案の仕方というのは、私どもとしては分析において不適当であるというふうに考えております。
 私どもの考え方を申し上げますと、いわゆる病院病床数の総数の推移を見ますと、昭和六十年度から平成元年度、ちょっと先ほどと時点がずれて恐縮ですが、昭和六十年度から平成元年度の平均の伸び率が約二・五%でございます。平成二年度から平成七年度で見ますと〇・一%ということで、先ほど先生御指摘のとおりほとんど伸びていない状況、その前はそれよりも伸びている状況、こういうふうにお聞きいただきたいと思います。これに対しまして、入院医療費を見てみますと、まず一つには、この間何回か診療報酬の改定がございますから、この診療報酬の改定の影響を除いて伸び率を比較する必要があるということであります。
 そうしますと、昭和六十年度から平成元年度の間、これが四・一%伸びております。一方、平成二年度から平成七年度の間、この間は三・一%ということで一ポイント、そういった意味では伸び率が低くなっておるわけであります。そういった意味で病床数の伸び率が低下しているということによってやはり入院医療費も低下したということがうかがえるというふうに思います。ただ、病床数が横ばいとなっておる平成二年度以降についても入院医療費が伸びているじゃないかということになろうかと思いますが、これはいわゆるこの間、特に看護体制の強化というようなことを図ってまいりましたし、それからまた、入院時医学管理料というようなものも、いわゆる技術料に相当するわけでありますが、こういったものについても改定をしてきておりまして、そういった中でやはりどうしても高い点数がつく方に単価がシフトするという傾向、これは企業もそうでありますが、有利な方にシフトするという傾向があります。そういった意味で、看護料とかあるいは入院時医学管理科、こういったものについてより高い単価の方にシフトしてきている。
 こういうようなことで、一般論で申し上げれば、入院医療の高度化といいますか充実といいますか、そういったようなことによって入院医療費というものも伸びているというふうに私どもは分析しております。
#51
○直嶋正行君 今お話があったんですが、確かに平成二年の前、平成元年までの数字と二年以降、さっきおっしゃった数字を比較すると多少伸び率は下がっているかもしれない。しかし、今るる御説明があったんですが、こうやって入院医療費、あるいはトータル医療費がふえてくる大きな要因ということで見ると、むしろ病床数の問題ではないんじゃないでしょうか。例えば、よく言われることですけれども、入院に関していいますと、いわゆる社会的入院の問題がいろいろ指摘されますね。非常に日本の場合には患者の入院日数が長い。そういうことが医療費を膨らませている。それから、全体の医療費の伸びでいえば、さっきお話があったように高い点数に単価がシフトしてくる。それから、もっといえば、この入院医療の中でも特にさっき議論がありました老人医療の伸び率がやはり高いと思います。むしろそちらに手を加えていくことが、さっき大臣がおっしゃった医療費の適正化につながってくる話であって、どうもこれは少し、効果がないとは言いませんが、むしろ少しからめ手の話であって、逆に言うとさっき申し上げたような弊害が多いんじゃないかと思うんですけれども、どうなんでしょうか。
 ちょっとお伺いしたいのは、厚生省はこういう規制をお考えになるときに、例えば今農業の問題で、減反政策について是か非かということがよく議論されていますね。それはプラスもあるかもしれませんが、日本の農業にとってみるとマイナスがすごく大きかったという面もあると思うんです。あるいは、例えば運輸関係でいいますと、今内航海運業というのが、従来船腹規制をやっていたわけですね。これで今大変な状況になっているわけです。全部地盤沈下している。
 行政サイドからこういうふうに一律の数字を使って網をかけるというやり方はまかり間違うとそういうことを起こしてしまう。全体的にレベルダウンを起こしてしまって活性化しなくなってしまう。私は、やはりさっき申し上げたような本筋のところからきちっと医療費の適正化に手をつけていくという方が意味があるんじゃないかと思いますし、むしろそれが正攻法じゃないかと思うんですけれども、大臣どうでしょうか。
#52
○政府委員(高木俊明君) その関係について私の方から先にちょっと申し上げたいんですが、確かに先生おっしゃるとおり、まさに正攻法だと思います。そういった意味で、私どもとしましても、入院期間が我が国は非常に長いですから、これを是正すべく、これまでの診療報酬の点数の改定のたびにそういった視点からの改正を行ってきております。また、老人の長期入院等につきましても是正する方向の対応というものをやってきておりますし、そういったような意味ではあらゆる適正化の努力ということをやってきているつもりではございます。それでもなおかつ、やはりできるだけのことをやるべきだということが一つございます。
 とりわけ、医療の分野におきましては通常のマーケットと異なる、これはもう先生御案内のとおりでありますけれども、医療については供給が需要を生むという構造になっているということが専門家あるいは学者の間でも通説になっておるわけであります。そういった医療分野における特殊性ということを考えますと、まさに先生が御指摘のような弊害というものについての認識を私ども持ちながら、やはり必要であるというふうに考えてこのたび御提案をしているわけでございます。
#53
○国務大臣(小泉純一郎君) これは、どうしても国民にとって必要な物資やサービスの場合には税金を使いますから、統制経済の面で。減反もそうですね。できた米は全量買い上げます。一定しか買いませんよというんだったら減反する必要はないんです。それが嫌だというわけでしょう。すると大競争が起きる。いいところの米はどんどん高くなって悪いところの米はつくらない。生活できないというので、米の政策というのは全量買い上げでやってきたわけです。この医療費も税金を投入する。一定のものしか税金は使いません、あとは自由にやってくださいといえば今言った規制なんかする必要はないんです。それじゃだめだと言う。一定しか見ませんというのは国民の理解を得られないと思いますね、この皆保険制度で。
 私は、これは皆保険制度をとって医療に税金を投入する限りやむを得ない措置ではないかなと、そういうふうに考えております。
#54
○直嶋正行君 持ち時間が来ましたので、ちょっと一言だけ言わせていただきたいんです。
 私はちょっと神話があると思っています。どういうことかというと、さっき局長の御答弁の中でも、医療の世界は供給が需要を生むというお話がありました。これはどこの世界でもそうです。需要があるから供給するのか、供給があるからそれに対する需要が出てくるのかというのは、これは卵が先か鶏が先かの話と同じであります。どんな商品を見ても供給がないところに需要はありません。まずこれが一点。これは根本的に私は間違っておると思います。ですから、そういう発想で見ると恐らくさっきのお考えになると思います。
 それからもう一つは、私は大臣のおっしゃった部分は正しいと思うんです。要するに、これは税金を使ってやっている。ですから、これは一種の社会主義社会なんですよ。全部統制をかけているんです。問題は、いわゆるそういう統制経済の弊害がいろいろ出てきている。ですから、これをどう正していくのか。
 これは改めてまた議論したいと思いますが、私は、これはやはり部分的にできるだけ統制経済にする。それから、統制経済でやるなら統制経済らしく、もっとトータルをきちっと、抑制するなら抑制するという目標を明確にしてやっていくべきだと思う。これがいいかどうかはちょっと議論があるかもしれませんが、やはりそこが非常にあいまいなままやっていますからなかなか実効が上がらないということになってくるんじゃないかと思っておりますが、これはまた改めて議論させていただきたいと思います。
#55
○国務大臣(小泉純一郎君) 私も基本的に同意見だと思うんです。
 私は統制には限界があると思います。きちっと統制をやれとなるともう限りない統制になっちゃう。この弊害がどれほど恐ろしいものかというのは、官僚社会のいわゆる全体主義社会、社会主義の極端に統制色の強い社会になっちゃって経済の発展が損なわれる。国民の働く意欲がなくなってしまう。がんじがらめの規制になってしまう。それが無理だと。統制経済には限界があるからこそ、いかにそこに自由経済のよさを取り入れていこうかというのを考えないと、私は統制的な必要は認めますけれども、統制を徹底的にやるというのは限界があると思う。それよりは、統制経済を認めでいながら、統制的な、計画的なものは認めていながら、どうやって競争原理、合理的な面を入れていくかということを考えた方がいいのじゃないか、そういうふうに考えております。
#56
○直嶋正行君 終わります。
#57
○水島裕君 民主党・新緑風会の水島裕でございます。
 今のお二人の議論、私も本質的に賛成で、このまま私も意見を申し上げたいんですけれども、一応質問を出しておる順番でやっていきまして、今の問題はそのときに申し上げたいと思います。
 議論に入ります前に、二つのことを申し上げたいと思うんです。これはいずれも中西局長の方でございますので、答弁は一応いただかないということになっていますけれども、御意見がございましたらおっしゃっていただきたいと思います。
 一つは大変評価していることでございます。それは、この委員会でも随分やりましたけれども、治験も含めて日本の臨床研究はこのままではだめになってしまうので一年間でもきっちり予算をつけでやったらどうかということですけれども、今度の景気対策の一つとしてこの費用が大幅に認められたということは、厚生省の御努力もあったと思いますし、それは大変結構なことだと思います。
 ただ、一年限りということも私が申し上げたとおりになっているそうでございますが、申し上げたようになるためには、やはりせっかくの対策費を一見公平のようにばらまくのではなく、きちっとできるところに予算措置をして、しかもそこできちっと運営をすることを見届け、しかも日本でそういう治験、願わくは日本でできたすぐれた医薬品がそこで証明されるというところまでひとつ責任を持っていただきたいと思います。私ども学会、例えば臨床医学会あるいは看護協会、それから病院薬剤師会も大変この辺熱心でいろいろ情報もございますから、ぜひそういう学会とも相談されて、間違いなくこの予算が有益に使われるようにひとつお願いいたします。
 それからもう一つは、苦情あるいは遺憾と思う点でございます。これは、荒賀、丸山、中西の三局長、恐らく三年間近くすっと議論していて、いつもおっしゃっていることでございますけれども、日本人にはなくてはならない医薬品で認可されていない、特に適応外使用のものは、できれば今までのデータでどうしてもぐあい悪いときは補完的な治療をして、できる限り早く認めたいということを何度も答弁なさっております。
 実は、関節リューマチの薬でMTX、メソトレキセートというのがあって、これもここで議論になりました。これは四、五日前の外国人からの報告もそうなんですけれども、英、米、独、仏、百人ずつ普通のお医者さんをとって、四百人の人にリューマチの薬で何を一番使っているかというと、四百人ともが全部答えたのがこのMTX。ほかのものは百人のうち九十人、あるいは五十人、四十人。ですから、もう日本でもこれは絶対なくちゃいけないということを私どもも何度も申しましたし、学会からの要望もあるしということで、この薬の適応外拡大を、ここにスケジュールがあるんですけれども、二年前の九月に申請しました。ですから御答弁のとおりだと、なるたけそこで早く認可するんですけれども、今週の月曜日に正式な調査会があって、これもここにあるんですけれども、そこで何と七十項目の質問、これだけはちゃんと答えろとかあるいは試験をするとかいうのが出て、会社も我々も当惑しているという状態なので、ここでやっていただいている答弁と実際とが随分かけ離れている。もうこれは、当然一年か二年前に認めてあげないと、これは厚生省とか製薬会社はどうってことないんです。一番困るのは患者とそれから医師でございます。
 だけど、そうしましたら、おとといの読売新聞に、私が書いたわけでも何でもないんですけれども、MTXみたいなのが早く許可にならないので変なトラブルがある。何か厚生省は余り効果がない痴呆の薬を許可するけれども、本当にいいものは許可しないのかということが読売新聞の「医療ルネサンス」に大きな記事として出ております。どうも厚生省だけがそういう点でおくれちゃっている、これだけいろんなことを申し上げてもおくれちゃっているようでございます。
 昨日、担当の課長補佐から連絡がありまして、とてもこれは七十も出さなくてもいいんじゃないか。あるいは私がそのとき、これを見ましたらつまらない質問がたくさんあって、このものを許可する前提となる試験とかコメントというのはほとんどないんですよね。ですから、こういうのはデータとして、資料として出しておいてもらうのは必要だと思いますから、出してもいいんですけれども、私もこういうことを八年間ぐらい委員でやっていましたので、私のころはこういうレベルの低い審査はしていませんでした。今、その担当官も、私の言うように、後日資料として提出で大部分のものはよさそうだからという答えが来ていますので、一応これでこの二つについでは終わりにしたいと思いますが、特に御意見がございましたら。
#58
○政府委員(中西明典君) 前段の臨床治験の話でございますが、今回、補正予算案の中に治験を推進していくための支援経費と申しますか、例えば治験を実施している医療機関による協議会を設置する、例えばIRBの連携というようなものも念頭に置きまして、医療機関相互が情報交換する、あるいは連携していく……
#59
○委員長(山本正和君) 局長、質問者の要請にこたえて簡単にやってください。
#60
○政府委員(中西明典君) はい。それから、治験管理室を設置するための援助等の経費を盛り込み、お願いしておるところでございます。その使い方につきましては、治験を円滑に推進するための検討会も設けておりますので、そういったところ、あるいは関係団体ともよく連携を図りながら、先生がおっしゃるように効果的な予算の執行の仕方等、補正予算が通りましたら検討していきたいと考えております。
 それから、二番目の適応外使用の話につきまして、個別の品目についてあれこれ私が申し上げるのはどうかと思いますが、一般論といたしまして、先生おっしゃるように、真に必要な適応拡大というのは、これは円滑に推進していく必要があると思います。中葉審の審議のあり方というのも私は一つの課題だと思いますし、それから外国においても広くその適応使用が認められておって、内外でいわば評価が確立しているといったような医薬品につきましては、これは中央薬事審議会と相談しつつ、例えば新たに臨床試験を求めないで、むしろ市販後きちっとフォローアップしていく、そういうやり方もあるんじゃないかと思いますので、そういった点も含めて今後よく検討してまいりたいと考えております。
#61
○水島裕君 私も個々の例について余り言うつもりはございませんけれども、局長にここで言ったことがどうも末端まであるいは審査センターまで通じていないんじゃないかと思いますので。これは少しサポートするようですが、普通にやっていたらこういうことになってしまうんですよ。ですから、やはりこのものは絶対必要だからということで担当官あるいは厚生省の方がその気になってやらないと、ただ普通に審査していたらみんなけちつけで返したりなんかするだけですから、すごい時間かかってしまうんです。それはもう私も経験がございますので、何でも普通にやっていたらだめなんです。ですから、それをひとつよく認識していただきたいと思います。
 それでは、今のもこの法案に関係あると思いますので申し上げたのでございますが、この法案の方に入ります。
 先ほど直嶋委員も言っておりましたけれども、私も病床規制をこういうような感じでやるのには賛成できません。反対でございますけれども、全体を見ますと、二年後の抜本改革までのつなぎという感じもありますので、むしろ私はもう抜本改革についていろいろ議論する方が重要じゃないかと思いますので、それも含めてしたいと思います。
 まず大切なのは、二年後、十二年に医療提供体制、薬価制度、それから診療報酬、高齢者医療保険制度、こういうものをきちっと見直す、平成十二年にはやると、これは大臣何度も間違いなくやりますとお答えになっておりますから、一言だけでよろしいんですけれども、私も民主党の理事として一言お尋ねしておかなくてはなりませんので、一言だけでこれは結構でございます。
#62
○国務大臣(小泉純一郎君) これは厚生省にとっても至上命題ですから、約束どおりきちんとやるようにいたします。
#63
○水島裕君 次に、今度もそうですけれども、抜本改革で、例えば高齢者医療費をだれが払うのか、どの保険で払うのか。大臣も時々おっしゃっていますけれども、おまえのところで払え、そっちで払え、そういうことがありますので、なかなかだれが払うとかそういうことはどこかに弊害が来るし、みんないいというわけにはいかないわけでございます。私はやはり医療の効率的な使い方、言葉をかえればむだをなくすということができればそれが一番だれもがいいわけでございますので、それについてお尋ねしたいと思います。日本の今の医療費が高いかどうかということはちょっとこれは議論のあるところでございますけれども、そういうことができればそれは間違いなくいいわけでございます。
 三つのことを申し上げたいと思います。
 一つは薬でございます。これは薬自体の問題としてはこの間ありましたように、どうも効果がはっきりしない、使っても使わなくてもいいんじゃないかという薬が結構あることはもう確かでございますので、これを何とか整理をするということが一つ。
 それからもう一つは、一見いいと思っている治療法。例えばがんの手術の後に使う抗がん剤、それからある程度転移があるときに使う抗がん剤、そういうものもどうも使っても使わなくても結局延命は同じではないかというデータも随分出始めております。先ほどのこともそうですけれども、それじゃそうしろというのではなくて、やはり科学的にきちっと証明して、それで使わなくて済むものは使わないようにする。あるいはどっちでもいいみたいだけれども、どうしても使いたい人はというんだったらもう自分のお金で出してやっていただいて、どっちだかわからないものまで国が面倒を見る必要はない。もちろん反対の意見もあると思いますけれども、そういう感じがいたします。
 もう一つ、検査もそうですね。悪性腫瘍の、例えば肺がんの胸のレントゲンを撮る、撮っても結局は、いろいろなことをやったって結局は余り変わらないんじゃないかというのもありますので、その辺をひとつすっきりさせて、一見、大体今がんだったら抗がん剤を使った方がいい。例えば、私が胃がんになってちゃんと切除ができたというふうなことがはっきりわかれば、その後の用心のために抗がん剤を恐らく私はもう使ってくれるなと、使わないと思います。むしろ抗がん剤を使うと免疫が落ちちゃって、最後の数個のがんをせっかく私の体が殺そうと思っても抑制するとかということもありますので、まず私個人は使わないと思います。そういうことがやはりもうちょっとはっきりすれば、今やっている治療あるいは診断のかなりの部分が減るんじゃないかなと思います。
 それから、高額の医療費、医療設備、CTとかMRIとかああいうものも、みんな振らなくたってわかるものはわかるわけでございますので、そういうこともやめていけばいいんじゃないかと思います。
 お伺いしたいことは、現在そういう考えでやっているかどうか、といってもまだいろいろデータがないんでしょうから、今後どういうことを考えていらっしゃるかということをお尋ねしたいと思います。
#64
○政府委員(谷修一君) 今、先生幾つかの例を挙げられましたけれども、全体として薬も含めて医療技術の評価という観点からお答えをさせていただきたいと思います。
 やはり医療資源を有効に活用する、その結果それとあわせて医療の質あるいは患者サービスの向上を図る、そういう手法、考え方の一つとして医療技術評価ということをやっていかなきゃいけない。あるいはまた、日本語で何と言うのかちょっとよくわかりませんが、エビデンス・ベースド・メディシンということが最近ようやく日本でも取り上げられるようになってきたというふうに認識をしております。
 私どもも昨年のちょうど今ごろ、どういう形でやるのかというようなことについて専門家の意見をいただいて、それを受けて具体的にこれを推進していく、医療技術の評価というものを我が国に定着させていく、あるいは普及をさせていくということで、来月に改めて専門の方に集まっていただいて、今、先生挙げられたそういうものが具体的に、そういうものをまずやるかどうかということはともかくとして、優先順位を決めてそのデータを集めてそれをまとめていくという作業をしたいというふうに考えております。
 結局、しかしこの問題は突き詰めていきますと、恐らく医療技術の標準化という問題にたどり着くんだろうというふうに思いますので、具体的にそれをどういう形で使っていくのかということはまたいろいろ議論の過程で考えていきたいというふうに考えております。
#65
○水島裕君 では大臣に、眠くはならないんでしょうけれども、大臣にもお伺いしたいんですけれども、ペースメーカーなんかも、外国で入れるのと日本で入れるのと、日本だと値段が四倍ぐらい違うんですね。どこかで値段が上がってきている。こんなむだをしていて、どこが払えとかと言っていてもばかばかしいような感じがします。
 それから、先ほどの何となく効かないんじゃないかという薬も新聞にありましたように八千億ぐらい使う。私は大体あれの五倍ぐらいはほかの薬をみんな探せば楽にあるんじゃないかと思います。それも非常にもったいない。
 そういうこともございますので、そういうのを含めて、それから先ほどの治療法でも、がんだったら抗がん剤を使う、一見みんな普通だと思うのが意外とむだになっているということもありますので、ひとつそういう認識もぜひしておいていただきたいと思います。
#66
○国務大臣(小泉純一郎君) 今御指摘の認識を持って再点検してみようという姿勢が大事だと思います。
#67
○水島裕君 それでは次は、これは抜本改革というと、やはりどうしてもある程度どこかにひずみが来ても、やらないとうまくいかない。その一つがやはりDRG、定額払いだと思います。これはなかなか難しいので、やはり個々の疾患については十分専門家の意見は聞いていただきたいし、そういうふうな手はずになっているようでございますけれども、その後はやはり思い切ってやるところはやらないといけないわけであります。
 医師会もいろんな意見があると思います。私も医師会員でございますし、医師会にはなるたけサポートはしたいと思いますが、やはり医師会のおっしゃることも我々、例えば大学病院の医師とか大病院の医師というのとはかなり意見が違うところもありますので、医師会の意見がそのまま医師の意見というわけでもないわけでございます。
 例えば、今のDRGに関しても多少医師会の方と意見は違うと思いますし、それから先ほどから出ている混合診療は医師会は反対、余り賛成じゃないと申しますけれども、もう日本は相当高度な医療ができることになりましたので、いわゆる基礎的な医療というのは極端に言うともう患者が負担しなくてもできるんですね。WHOが言っているエッセンシャルドラッグとか、そういうものは患者負担を私は仮にゼロにしたって薬を選べばできるので、そこまでは保険制度でちゃんと見られるわけです。それ以上何となく、はっきりしないけれども、これは薬を使うともうちょっとよさそうだから使ってくれとか、そういう例として、例えば人工関節、それから今は心筋梗塞のときにPTCRというのをやりますけれども、そのときにステントというのを血管が詰まらないように置いてくるわけですね。ああいうのは普通の材料でやったもので大体いいんですけれども、やはりちょっといい材料を使うと、ちょうど金歯とそれからセラミックと同じようにどうも少しいいと。そうすると、そういうのを使うと二、三十万余計かかるわけですね。だから、基本のところはちゃんと保険でやるけれども、そういうものは自己負担にするというふうにしていく。
 とにかく、今困っている方でも病気になると必要な薬とか治療でも二割とか三割払わなくちゃいけないというんじゃなくて、むしろそういうのは少し安くして、だけれどもそれ以外のものはやはり患者さんに負担してもらうというふうにだんだんしていかないと、先ほどからお話が出ているように、片方は統制経済であって片方が自由で何でもどんどんというふうになるとこれはなかなかうまくいかないわけでございますので、その辺の御意見はいかがでございましょうか。
#68
○政府委員(高木俊明君) DRGの問題でありますけれども、これは現段階においては国立病院等において試行をしてみようということでありまして、平成九年度に試行の調査検討委員会というものをつくりまして、そこで専門家の方々にお願いして支払いの基礎となります診断群の分類、そういったものの検討を行っていただきました。対象となる病院も選定をいたしまして、こういった病院から疾患あるいは診療報酬の請求額等のデータを収集いたしました。こういった集めました患者データを診断群分類ごとにコンピューターを使いまして統計処理を今実施している段階でございます。
 なお、この統計処理結果を踏まえまして中医協の中でまた御議論をいただいて、できるだけ早く試行をしてみたい、こんなふうに考えております。
 ただ、これはもう一つ、診療報酬体系の見直しということで抜本改革をやっておりますけれども、そういった意味ではこの抜本改革における検討の中でも役に立ってくるだろうというふうに考えております。そんなふうな段階でございます。それからもう一つ、人工関節とかあるいはステントなどの中で一部患者負担というようなことも考えてはどうかというお話でございましたけれども、この辺のところはもう少し中医協等関係審議会での御議論が要るのではないかというふうに思います。
 この一部負担という議論、患者の一部負担という問題については、これはやはり国民にも大変影響が大きいということもあり、そういった意味では非常にセンシティブな問題でありますので、私どもとしてはやはり十分議論した上で行政としての判断を固めでいかなきゃならないというふうに考えております。
#69
○水島裕君 実際に困る例が結構あるんですね。例えば、PTCAのときのステントにもうちょっといい材質を使った方がいいんじゃないかなと思うときに、患者さんはもう自分の心臓がとまるかどうかのところですからそれは二十万でももちろんお払いしますと言うんだけれども、それをもらっちゃいけないというわけですよね。そうすると、しようがないから普通の材料でやるか、あるいはしようがないから病院がペイしましょうというので、もうそれこそ手術料とかというのはみんなそこに入ってきてしまうんですよね。
 ですから、もちろんいろんな問題があることはわかりますけれども、ぜひその辺も御検討いただかないと、将来みんなこういうことが出てくるわけでございます。せっかく、やりたいし、心臓がとまるかとまらないかだから二十万円ぐらい払いますと言っても、いやそれはいかぬとかといったようなことは何かおかしいような気がいたします。
 それから次に、病床規制、これだけはやりたいと思いますが、大臣に後からお尋ねする予定でしたけれども、そちらから先にいたします。
 実は、日本の医療で何がおかしいかというと、診療時間が短いとか、ベッドは多いんですよね、どうしても多いんです。これは減らした方がいい。それからコメディカルの人が少ない。これが少ないためにうまくいかない。
 それで、今度はベッドを減らすために今どういうことを厚生省も我々も考えているかというと、社会的入院を減らそう、それからなるべく短期間で、スタッフをちゃんとして短期間で済むようにしよう、そういうことをしているわけですよね、介護の方に回そうとか。
 そうしますと、今やっている病院のベッドがあくわけでございます。一生懸命そういうことをして、ベッドがあかなくちゃ何をやっているんだかよくわからないんですけれども、どうも現実を聞きますと、ベッドがあくと経営がうまくいかないからそこに患者さんを呼んできて、呼んできてというのはあれですけれども、患者さんに入ってもらう。どこかの地域では、退院してもいいけれども次の患者さんを連れていらっしゃいなんと言うところもあるそうですので、そういうことをしていたのでは何のためにやっているかわからない。
 ですから、私はやはりこれは、そのときにお土産を出しても何でもいいですから、やはりこういうふうに医療改革をして医療水準を上げで、入院数が少なくて済んだり、入院しなくて済む人ができてベッドがあいたらそのベッドを返して、もううちの病院はこのぐらいでいいですというふうにしないと、何のためにやっているんだかわからない。それで新しく参入はいけないというと本当に医療の質が落ちるし、何をやっているんだかわからないというようになりますので、そういうことをお考えになってやっていらっしゃるかどうか。
 まず大臣にお聞きしますが、おかしいと思われませんでしょうか。
#70
○国務大臣(小泉純一郎君) 私は、本来その方が望ましいと思いますよ。それができないから問題なんですね。全部そういう良心的な病院関係者、あるいは医師、患者も含めて良識を持って対処していただくなら法律なしにできると思いますね。それが一部の不心得といいますか、非良心的な一部の人が存在するためにむしろやむを得ない規制をしなきゃならない、これは大変残念なことだと思いますが、言っている御趣旨は十分私は理解できます。
#71
○水島裕君 これは一部の不心得の人じゃないんですよ。病院を経営していると、病院にちゃんと患者さんが入って、余り安い治療じゃなくて何かやっていかないとやっぱり病院が成り立たないんですね。スタッフも要る。ですから、病室があいたら次の患者さんが入って、入院率、満床率九〇%とか、こんなことをやっているわけですので、その辺をはっきりさせないと、それでもみんなあいたらだれか入れてきてやるのでは、何のために短期間とかいろいろなことをやっているんだかわからなくなってしまいます。ですから、病院も自分のところのベッドが少なくて済むようになったというのはそれだけ医療効率がよくなった、医療水準がよくなった、周りの人にそういう病気がなくなったということで、それは自慢しなくちゃいけないんですけれども、なかなかそういうふうにならないわけですね。
 ですから、やはりその辺を考えないで、仮に一生懸命やろうという人にそこに入っちゃいけないという今度の法律はやはりこれは何だかおかしい。あるいは医師会なんかがもしもそういうことで賛成しているとするんだったら、やはり医師会の方はいろいろ検討していただかなくちゃいけないんじゃないかなというふうに思います。
#72
○国務大臣(小泉純一郎君) 確かにわかるんですが、現実には医療費と病床数との問題についてはかなり相関的な関係が強いということで、医療費の適正化にこの病床規制というのも資するのではないかという観点からしている措置でありまして、今後すぐ直る問題ではありませんけれども、あるべき医療提供体制あるいは診療方法というのはどういうものかというのは不断に点検なり見直しが必要ではないかなと思います。
#73
○水島裕君 予定の質問の半分までも行きそうもありませんけれども、私も日本のベッドは減らした方がいいと思っているわけです。それから、ベッド数が多ければ医療費がそれだけかさむとも思っております。
 ですから、そういう点では全然お考えと変わらないんですけれども、とにかく水準を上げて、くどいからもう繰り返しませんけれども、短くしろとか社会的入院をやめるとか言っているのと今の格好は合わないということでございますね。よくおわかりになっているようで、もう一回ひとつ本質的に議論していただきたいし、これとかDRGとか、そういうことをやらないで、抜本改革と言っていても何か妙なところにしわ寄せして、新しい病院つくっちゃいけないとか、そんなところにしわ寄せが来るようで、どうも余りすかっとした政策とはとても思えませんので、ぜひよく検討していただきたいと思います。
 それで、病床規制に対しまして具体的な御質問でございますけれども、急性期と慢性期を分けてやるというのはいいんじゃないかと思いますけれども、現在どういうふうに検討しているか、簡単でよろしいですけれども、お知らせください。
#74
○政府委員(谷修一君) 厚生省の中に専門家の委員会を設けまして、昨年の秋から、具体的にどういう形で区分をするのか、区分をするというのは一体どういう定義でするのかということについて議論をしていただいております。まだ結論は出ておりませんが、例えば入院日数でやるのか、あるいは症状とか病名とかそういうようなことまで考えてやるのか、あるいはもっとそういうこととは別の観点から分けるのか、そんなことについて現在まだ議論をしていただいている段階でございます。
#75
○水島裕君 次も普通の質問でございますけれども、どうしても病床規制を法律でやるということにもしもなってしまったら、病床規制に関する措置について手続の透明とか運用の公正とかということで、どこかだけをねらい撃ちにしていないとかそういうことがはっきりするようにぜひしていただきたいと思いますけれども、いかがでございますか。
#76
○政府委員(高木俊明君) 私どもが今回御提案しているのは、特定の医療機関の参入を抑制しようというようなことでやっているわけではないことはもとよりであります。仮にそういったような懸念というものをお持ちの方々がおられるとすれば、まさに法律の公正な執行あるいは手続等の透明性の確保ということがこれは非常に重要であります。
 そういった意味で、私どもとしましては、現行の仕組みの中においても都道府県の医療審議会を通じて中止勧告ということを知事がやることになっておりますが、これらにつきましても現行制度をさらに透明化していくということをやっていきたいというふうに思います。また医療保険サイドにおける手続としては地方の社会保険医療協議会というのがございます。その中で議論をされるわけでありまして、これにつきましても誤解のないようにきちんとした手続なり運用の透明化というものを図るべく私どもとしてもきちっとした指導をしていきたい、このように考えております。
#77
○水島裕君 この病床規制についてはまだまだ議論していかなくちゃいけないと思いますけれども、先ほど私が申しましたように、既存の病室、これは医療水準を上げたり改革をすることによってあいたりなんかするとどうするかということ。それから、地域医療計画で、何か私が直接聞きましても、この地域はまだ余っている、ここはもうだめだとかというのは何となく実情に合わないような気もいたしますので、そういう地域医療計画、もう一回見直したり、今のようなことをもう一回検討するまで、法律で規制するというのは、それからやる方が筋のような気がいたしますけれども、今までもおやりになっているということはわかりますけれども、それは御答弁はなしてございますか。
#78
○政府委員(高木俊明君) どうも今回の御提案を機に地域医療計画における病床のカウントのあり方が問題であるという御指摘が多いわけでありますけれども、やはりこの地域医療計画というものもかなりの期間にわたって検討され、そして現行のような仕組みが合意のもとでつくられているわけでありますから、この欠陥というものはやはり是正されていかなきゃなりませんけれども、私どもとして、医療保険サイドにおいては、やはりこれをベースにして考えていくということが現行においては適当であるというふうに考えております。この地域医療計画そのもののより適正化というものについては必要だと思いますけれども、私どもとしては、今回のような形で実施をいたしたいということでお願いを申し上げたいと思います。
#79
○水島裕君 しつこいようですけれども、私もとにかくベッドは減らした方がいい、相当減らしていいんじゃないかというふうに考えているものでございますけれども、ほかのやり方で十分できるんじゃないかというふうに思います。
 その一つが先ほどから申しているパラメディカル、コメディカルの人、特に看護職員などでございますので、その確保が十分できているか、あるいは今後どういうふうになさるつもりか、日本は医師の数はまあまあというか、もうちょっと減らしてもいいのかもしれませんけれども、看護婦、PT、OT、STとかそういう人はとても少ないんですね。それについでいかがでございましょうか。
#80
○政府委員(谷修一君) 看護職員につきましては、平成十二年末を目途にした需給の見通しというのを作成しておりますが、今の段階、平成八年までの数字は出ておりますが、この需給の計画を上回って、つまり供給が順調に進んでいる。つまり看護職員の確保が順調に進んでいるということでございます。
 ただ、今後それ以降どうなるかということにつきまして、新たに介護保険制度もスタートをする、また、先ほど来先生からお話のございますような、医療体制も変わってくるということの中で看護職員の確保をどういうふうに考えていくかということにつきましては、私どもとしては改めてこの需給の計画というものの見直しということをやっていきたいというふうに考えております。
#81
○水島裕君 次のテーマが不正請求と不当請求についてでございますけれども、これも結構時間がかかりますので、もう一度やらせていただくときがあると思いますので、お昼も過ぎましたし、それは次回に回したいと思いますので、これで終わりにしたいと思います。
#82
○委員長(山本正和君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十分開会
#83
○委員長(山本正和君) ただいまから国民福祉委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国民健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#84
○渡辺孝男君 公明の渡辺孝男でございます。
 前回に引き続き、国民健康保険法等の一部を改正する法律案につきまして質問させていただきたいと思います。
 最初に、保険医療機関等の指導、監査についての質問をさせていただきます。
 資料によりますと、平成四年から平成八年までの保険医療機関等の監査の実施状況では、大きな変化が見られるのは薬局の監査件数が平成四年から六年に比べて平成七年、八年は約十倍に増加していることです。また、薬剤師の監査数も極端に増加しておりますが、最初にこの原因につきましてお伺いしたいと思います。
#85
○政府委員(高木俊明君) 平成七年度、八年度の状況でありますが、これは大手のチェーン薬局が特定の医療機関に対してリベートを支払っていたというようなことが発覚いたしまして、そういったことから七年度、八年度に八十七薬局の監査を行った、こういう事情から多くなっております。
#86
○渡辺孝男君 そういう特殊な事情で多くなったということであって、特に監査が厳しくなったということではないわけであります。
 では、続きまして医師の方の監査も、平成四年、五年と比べて六年から八年までは三倍から十倍ぐらいふえているわけでありますけれども、この方の原因というのはどういうことでしょうか。
#87
○政府委員(高木俊明君) 平成六年度以降、医師に対する監査件数が増加しておりますが、これもいわゆる腹腔鏡下の手術等につきまして、これは現在保険適用が認められていないわけでありますが、これを保険適用されている手術に振りかえて診療報酬を請求していたということが、大学病院等多数の実例が発覚をいたしました。これに対しまして監査を実施したということで、これもやはりそういった特殊な事情でございます。
#88
○渡辺孝男君 いずれも特殊な事情によるということでありますので、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 返還金の額ですけれども、これも平成四年から六年までの約三十億円前後と比較しまして平成七年、八年は四十億円を超えるぐらいまで増加しているわけでありますが、この原因についてもお伺いしたいと思います。
#89
○政府委員(高木俊明君) 今申し上げましたように、七年度にいわゆる振りかえ請求のようなことが腹腔鏡下手術等につきまして行われましたものですから、これだけの返還金でも約十四億四千万円になります。
 八年度につきましては、これはまた別の要因がございまして、保険医療機関の中でいわゆる不正を行った保険医療機関の返還金が約十億二千万円、八年度にございまして、そういった要因があったものですから特に金額が膨らんでおるわけでございます。
#90
○渡辺孝男君 今回の法案では、不正請求にかかわる返還金に対する加算金の割合が現行の一〇%から四〇%に改めるような法案になっておりますけれども、この平成八年度の返還金約四十億円に対しましてはその加算金というのはその中に含まれておるのか、あるいは約四十億円の返還金に対して加算金というのは大体どれくらいの割合がついているものなのか、現行の一〇%の段階で、その点に関しまして何か資料がありましたらお教えいただきたいと思います。
#91
○政府委員(高木俊明君) 平成八年度は約四十一億円返還させておりますが、この分には加算金は含まれておりません。この加算金の額なのでありますが、これは残念ながら今まで全体としての統計がございません。そういった意味で、全体についてはちょっとわからないのでありますが、政管健保についてはございますので申し上げますと、返還金額約一億五千七百万円でございますけれども、それに対しまして加算金が約二百万円という額になっております。
#92
○渡辺孝男君 約一億六千万ぐらいに対して、一〇%の現行の加算金では二百万円ぐらい、意外と少ないなという印象ですけれども、これが四〇%になった場合にどれくらいの効果があるのか、額が余り少なかったものですから効果があるのかなとちょっと疑問なわけですけれども、加算金の割合がふえるということに対しましては、厳しい監査ということで私自身はよいのではないかなというふうに考えるわけであります。
 次に、最近、三月十八日、厚生省の保険局の医療課長による通知、集団的個別指導が個別指導優先の方に変更されてきているということでありますけれども、この理由につきましてお伺いしたいと思います。
#93
○政府委員(高木俊明君) 優先させてというのは、何か集団的個別指導の方を後回しにしてというふうな受けとめ方をされているとすればそうではありませんで、これについてはやはり両方とも力を入れてやっていただくということが基本であります。ただ、数の問題等がございますから、集団的個別指導よりも個別指導の方にやはりそういった意味では力を注ぐという意味でございます。
 この背景は、最近、例の安田病院のような、こういった非常に悪質な不正請求の事件というものが続きまして、そういった中でやはり少しきちっとした対応をしていくべきであるということでございます。そういった意味で、私どもとしてはストレートに指導をすることになります個別指導というものにまず力を注ぐ、こういうようなことでございます。
#94
○渡辺孝男君 集団的個別指導というのもそれほどまだ長く行われていないんじゃないかと思うんですけれども、途中でそういうふうに方向が変わってきた、厳しく指導あるいは監査をしていくというような方針なのかなということで、そのように考えてしまうわけであります。
 やはり、そのほかにも指導、監査の事前通知ですか、これが三週間前からおおむね一週間から十日に短くなっているということでありますけれども、これも同じような理由ですか、それとも何か特別なほかに理由があるわけですか。その点に関しましてもお伺いしたいと思います。
#95
○政府委員(高木俊明君) やはりこれは、今個別指導の件で申し上げましたような、安田病院を初めとするこういう悪質な不正請求というものに対して的確に対応していかなきゃいけないということから、従来、三週間前に通知をしておりましたけれども、これを一週間から十日前に通知をする、あるいは場合によっては監査当日に通知をするというようなことで、この辺のところについてはもっと迅速、的確に対応したい、こういうようなことで短縮をすることにいたしたわけであります。
#96
○渡辺孝男君 なかなか指導、監査というのが厳しくなってきている、それだけ保険医療機関の方にもいろんな不祥事が起きているということのためかなと思います。その指導あるいは監査に当たるそういう方による公正な指導がなされればいいわけなんですけれども、これまでにも不公正な監査、贈収賄事件とかそういうものが起こったというようなニュースも見たことがあるんですけれども、そのような監査に当たる方がこういう贈収賄みたいな不祥事を起こしたということはどれくらいこれまであるんでしょうか。
#97
○政府委員(高木俊明君) 先生既に御案内だと思いますが、数年前に京都で指導医療官がそういったようなことで刑事罰が科された例はございますが、その後こういったたぐいの話は承知をいたしておりません。したがって、私どもとしてはこのようなことはないものというふうに考えております。
#98
○渡辺孝男君 その一件しかないということでありますけれども、今後、指導、監査が厳しくなってくるということでありますと、やはり保険医療機関にとりましても監査、指導が公正、公平にあるいは適切に行われるのかどうか、適切に行われるように要求が来ると思うんですけれども、そのような監査員の個人的な判断で左右されないような監査の適切性、公平性、公正性を保つための制度の保障が大切がなと思うんです。この点に関しまして、そういう公正性を保つための制度上の保障という点に関しまして、厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。
#99
○政府委員(高木俊明君) やっぱりこういうものは本質的にはその個人のきちっとした姿勢なりモラルというものがないと、どんなに制度をつくってもなかなか私は実行されないと思います。
 しかし、そうはいってもやはりきちんとしたルール、そういったものを定めなきゃいけないわけでありまして、そういった意味で私どもとしては具体的にその監査要綱というものを定めまして、そしてそれにのっとって公正に監査、指導を行うということにいたしております。
 その際においても、学識経験者の立ち会いというようなことのもとに監査を実施するということで、第三者の目も行き届くような中で公平、公正な監査というものを担保しております。
 これに当たっている者は公務員でありますが、そういった意味で違法行為を行った場合には、これは国家公務員法等の規定に基づく懲戒処分ということがございますので、当然そういったことを周知徹底しておりますから、私どもとしては適正な監査、指導というものが確保されるというふうに考えております。
#100
○渡辺孝男君 指導、監査が公正になされなければ、保険医療機関に対しましては今回ペナルティーといいますか加算金がふえてきたり、また再指定を受ける場合に二年から五年という期間が延長されたり厳しい条件が付加されてきているわけでありますので、やはり監査、指導に当たる方も公正性、適正性、適切な監査が行われるようにすべきであるというふうに考えるわけであります。
 前に保険医の方が自殺したような事件も記憶に新しいわけでありますけれども、今後、そういう監査、指導が適切、公正になされるように希望したいわけでありますけれども、その点に関しまして厚生大臣の決意をお聞かせいただければと思います。
#101
○国務大臣(小泉純一郎君) この監査、指導の徹底を図るということは、医療費の適正化にもつながりますし、同時に医療に対する不信を除くという点にもつながると思います。この問題につきましては、厳正に指導いたしまして不正が行われないような環境整備に全力を尽くしていきたいと思います。
#102
○渡辺孝男君 次に、必要病床数に関しまして質問させていただきたいと思います。
 これまで過剰病床を理由に保険医療機関の開設許可をめぐって都道府県の医療審議会でどれほどそういう審議がなされているのか、その点に関しまして、五年ぐらいの間の統計でも結構なんですが教えていただきたいと思います。
#103
○政府委員(谷修一君) 平成九年度以降に病床過剰となる開設あるいは増床につきまして都道府県段階の医療審議会の意見を聞いた上で勧告を実施した件数を申し上げますと、勧告を行いました医療機関の数といたしまして、病院開設中止の勧告が八件、病床数の削減の勧告が八件、十六件でございます。
 なお、医療計画がスタートしまして大分たちますが、医療計画の策定当時、昭和六十二年から六十三年にかけまして五つの病院に対して同様の勧告が出されております。その後、平成八年までは勧告は実施をされておりません。
#104
○渡辺孝男君 勧告に至ったものが八件と八件、足して十六件ということでありますけれども、そういう都道府県医療審議会の中で審議された件数というのはその十六件だけなんでしょうか、それとももっとベースは広くで、その中で十六件だけが勧告に至ったということでしょうか。
#105
○政府委員(谷修一君) 私どもが県を通じて聞いております範囲では、平成九年度以降については今申し上げた件数だけでございます。
#106
○渡辺孝男君 それで、知事より勧告が出されたということでありますけれども、その理由についてはどういうものが多かったんでしょうか。
#107
○政府委員(谷修一君) 今おっしゃったのは知事の勧告の内容という趣旨でお答えさせていただきますが、勧告の内容としては、病院の開設の中止を勧告したもの、それから病床数の削減を勧告したもの、そういうふうに理解しています。この二つでございます。
#108
○渡辺孝男君 その理由としてはただ過剰であるからということですか。それとも、過剰ですけれども、その中にはいろんな、例えば救急医療とかがん治療とか専門病院の場合は多少過剰でも認められる場合があるわけですけれども、その場合の開設とかあるいは病床の過剰分がだめという意味での勧告がなされたのか、その理由についてはどうなんでしょうか。
#109
○政府委員(谷修一君) 医療法によります勧告は、法律の第三十条の七に規定をされております。この医療計画の達成の推進のために特に必要がある場合に都道府県知事が医療審議会の意見を聞いて行うということでございます。それで、この医療計画の達成の推進のため特に必要がある場合というのが、先ほどもちょっと申し上げましたが、具体的には既存病床数が必要病床数を既に超えている場合または必要病床数を超えることとなる場合ということでございます。
 そういう意味で、勧告を行った理由といたしましては、それぞれの医療機関の開設等につきまして、既存病床数が必要病床数を既に超えているものまたは必要病床数を超えることになるということから行ったものだと承知をしております。
#110
○渡辺孝男君 必要病床数をオーバーしても特別な理由の場合は、例えば先ほど述べましたけれども、がんとか小児疾患、周産期疾患あるいは循環器疾患の専門病院であれば地域としては必要病床数を上回っていてもニーズがあるので特例として認める。あるいは、救急医療とかリハビリの専門病院、ホスピスの専門病院等は地域のニーズによって特例として認めることがあると思います。地域によっては必要病床数を超えてしまっていてもそういう特殊な病床あるいは病院であれば許可されるということもあると思うんです。
 そういう特殊な、必要病床数は上回っていても特例で許可されたというような病院あるいは病床というのはどの程度あるんでしょうか。最近のデータでもよろしいんですが。
#111
○政府委員(谷修一君) いわゆる特定の病床等に係る特例という形で整理をしておりますけれども、病院の機関の数は把握をしておりません。病床数で申し上げますと、昭和六十一年から平成九年度末までのいわゆる特例病床として許可をされましたのが約一万一千六百床でございます。内訳はちょっと細かくなりますので省略しますが、今、先生お触れになりましたように、例えばがんですとかあるいは小児の病床ですとか緩和ケアですとか老人性の精神病床ですとかそういったような幾つかの分類がございます。
#112
○渡辺孝男君 今後、やはり過剰病床はある程度の規制はやむを得ないのかなというふうに思いますけれども、まだ地域によっては適正な病床が足りないところも、医療過疎地域もあるものですから、なるべくそちらの方にもドクターが回ってきちんとした医療を行うというのはやはり必要なことだと思うんです。診療の形態によりましては地域でどうしても小児医療の機関が必要、あるいはホスピスが必要だといった場合には、一般の病床とは異なっているものだと思いますので、そういう場合には特例でもって認めるということがあってしかるべきかなというふうに思います。やはり医療の質を高めるような形での病床の確保というものも必要なのではないかなと思いますので、そのところはある程度柔軟性を持って対応すべきではないかなと私は思います。そこはある程度、競争で医療の質を高めようというのとはまた違った意味で必要病床数の中に機能によって病床数を勘案するということもまた必要かなというふうに思いますので、つけ加えさせていただきました。
 次の質問に入らせていただきます。
 今回、老人医療費の適正化ということで市町村国保では種々の取り組みを行っておりますけれども、その中で、老人医療費が高い百十九の指定市町村には安定化計画を策定させて五カ年計画で一人当たりの医療費を全国平均まで引き下げることを目標としているというような方針であると聞いておりますが、この指定市町村という選定基準、これはどういうものなんでしょうか。
#113
○政府委員(高木俊明君) まず医療給付費でありますけれども、これを被保険者の年齢構成、あるいはまた災害等の特別の事情、こういうようなものを勘案してもなお著しく高い、そういう市町村を選んでいるわけでありますが、この指定基準の考え方としましては、市町村全体の約五%程度がこれに該当するということで一定の線引きをしております。
 具体的に申し上げますと、年齢階級別の一人当たりの医療給付費、これが全国平均と同じであると仮定した場合の医療給付費を基準給付費といたしまして、そのほか、先ほど申し上げましたような災害等の特別の事情の影響等々を勘案して調整いたしまして、そしてその結果、実績の給付費が全国平均の基準に比べまして一・一四倍を超える市町村、これを指定市町村ということで選定をいたしております。
#114
○渡辺孝男君 五年間で全国平均まで引き下げるということでありますけれども、なかなか厳しい状況がなと思いますが、これは具体的にはどういう形で引き下げていくことになるんでしょうか。
#115
○政府委員(高木俊明君) これは、それぞれの市町村によってなぜ高いかという状況が違いますから、同じようなやり方でどこもここもいくというわけにはいかないだろうと思います。それこそまさにその市町村における特性というものを十分考えた上で対応していただくということになるわけでありますが、一つには、保健婦さん等を中心に健康指導あるいはまた長期入院についての是正措置といいますか、自宅で療養できるような指導、そういうようなこと等を中心にやっていただくことになると思います。
 そのことは午前中にも申し上げたのでありますが、特に老人医療について申し上げますと、我が国の老人医療費というのは若人に比べますと一人当たりの医療費が五倍にも上っておるというようなことでありますが、この大きな原因というのはやっぱり入院にあるというふうに思います。そういったものが是正されていき、そしてお年寄りが地域の中で、病気を抱えているにしても生活については支障なくやっていけるような地域医療のシステムというものを構築していく上においても大事なことでありますから、そういったこれからの高齢化社会の先駆けにもなると思います。むしろそういった意味で、単にペナルティー的な意味での引き下げということではなくて、もっと前向きな物の考え方で市町村においては取り組んでいただきたいなと、こんなふうに考えております。
#116
○渡辺孝男君 やはり保健の分野を重視しまして、医療費の方を削減していくというのが王道じゃないかなというふうに思うわけであります。
 この点に関しまして、老人医療費の適正化に関しまして、交通事故等に起因する医療費について第三者求償を徹底というような項目もあるわけでありますが、この第三者求償の現在の状況と、今後の具体的な改善策というのはどういうものなのかお教えいただきたいと思います。
#117
○政府委員(羽毛田信吾君) 第三者求償でございます。
 御案内のとおり、交通事故等によりまして、いわゆる第三者の行為によりまして負傷をされたといったような場合には、その医療費を第三者が本来負担をすべきであるということで、市町村等が老人保健制度で医療費を支給しました場合にはこの第三者に対しましてその支払った額を請求する、いわゆる求償するということでございます。
 実績でございますけれども、収納実績は、平成八年度でございますが、全国で約三万二千件、額にしまして百十一億円でございます。
 そういうことで、今一生懸命市町村も取り組んでいただいておるのでありますけれども、しかし現状を見ますというと、交通事故等の実態把握というのが一部の市町村では必ずしも十分ではないというようなことが都道府県の市町村への指導、監査等を通じて報告をされてきております。やはりここのところを、本来持つべき人が持つということを通じて老人保健制度なり医療保険の負担も適正化をしていくということが大事であるという観点から、しかも高齢者の交通事故というのは、これは不幸なことですけれどもふえておりますので、そういったことの中で、やはり各市町村におきましては消防署等の関係機関と十分連携をしまして、まずは迅速、的確に交通事故等の実態をつかんでもらって、それで求償の手続に入ってもらう。まず交通事故等の実態が把握できませんと端緒がとらまえられませんから、そういったことをしていただく。あるいは求償事務等の具体的な事例紹介等も含めまして担当職員の研修等を実施する。こういったことを指導して、その実を上げるべく改善を図っているところでございます。
#118
○渡辺孝男君 もう一つだけお聞きしたいと思うんです。これは別な質問になりますけれども、平成八年度の決算検査報告では、医療費にかかわる国の負担が不当と認められるものとしまして、千二百五十実施主体による百四十医療機関に対する医療費支出約十億円中、不適切と考えられるものが国の負担額としては約五億八千五百万円が指摘されているということであります。
 これは小泉厚生大臣にお伺いしたいんですが、このように国が高額で不当な負担を負ってしまったということでありますけれども、これに対しまして、その原因と今後の改善策につきまして御見解を伺いたいと思います。
#119
○国務大臣(小泉純一郎君) 会計検査院から指摘された事項については、厳粛に受けとめなければならないと思います。
 この指摘された内容を見ますと、医療機関側において保険診察のルールに対する理解が不十分であるということもありますから、指摘を受けた保険医療機関に対しては都道府県が別途個別に今指導を実施しているところだと思います。今後とも厚生省としては、都道府県に対しまして保険医療機関に対する指導、監査やレセプトの審査、点検の充実強化について厳正に指導していきたいと思います。
#120
○渡辺孝男君 やはりそういう保険診療のルールといいますか、なかなか複雑になってきておりますので、どうしても漏れてしまうということでありますので、やはりルールの徹底等を図るべきであると、私もそのように考えます。
 あと、ちょっと時間が少ないんですが、一つだけお聞きしたいんですけれども、医療の保険料の徴収ですね、最近、月収基盤から年収基盤に移行するのではないかというようなお話も出ているわけですけれども、これは厚生省としましてはどのように考えていくのでしょうか。この方針につきましてお伺いしたいと思います。
#121
○政府委員(高木俊明君) 現在、医療保険については、ボーナスについては一部特別保険料という形で保険料を負担していただいておりますけれども、いわゆる総報酬というような格好にはなっておりません。
 これにつきましては、今後抜本改革の中において検討をしていきますが、方向としましては、私どもとしてはやはり総報酬制ということが妥当なんではないかと。これは、やはり負担の公平という観点で考えておるわけであります。総報酬制にすることで何か保険料の増収を図る、そういうような観点で考えているわけではございませんで、あくまでも保険料収入という意味で申しますと、現行制度とレベニューニュートラルといいますか、それは同じというふうに考えて、そして公平の視点から総報酬という格好にしていきたい、こんなふうに考えております。
 これは、医療保険サイドにおいて具体的にどういうやり方をしていくかというのはこれから検討してまいりたい、このように考えております。
#122
○渡辺孝男君 どうもありがとうございました。
 以上で質問を終わります。
#123
○清水澄子君 社会民主党の清水です。
 まず、入院医療費と病床数の相関関係についてお伺いしたいと思います。
 ここにお配りいたしましたけれども、これは厚生省の資料を参考にさせていただいております。まず、この資料1というところで、これで厚生省は入院医療費と病床数は大体こういうふうに相関関係があるんだとこの分布図で私たちにずっと説明をしてこられたわけです。ところが、何げなく一つ一つ見てみましたら、どうもおかしいなということに気がついてまいりました。
 例えばこの資料1の左の方で、富山と徳島というのは人口十万の中での一人当たり入院医療費というのは大体同じ線にありますね。しかし、ベッド数というのは下の方を見ますと非常に大きく開いているわけです。それらの平成八年の具体的な数字が今度は右の方の下にございます。例えば、富山の人口十万人対病床数は千五百六十四・七床です。そして、徳島はそれよりうんと多いわけです、二千七十八床。しかし、医療費は大体同じですね。その隣を見ますと、十八万八千五百四十六円と十八万八千八百四十八円。しかし、この分布図を見ていると、すごく違ったように見えました。
 それからまた、この赤い線の方の神奈川と沖縄というのを見ていただくと、これも平成八年の方の数字をごらんになると、神奈川は病床数は九百四床、そして沖縄は千五百三十三と、非常にベッド数が違います。しかし医療費は、神奈川よりも沖縄の方が少々多いんですが、そんなには違っておりません。
 そしてまた、今度は縦で見ました。青い線ですね。富山が一番医療費が高い。そして沖縄です。その両方を見ましたら、ベッド数は大体同じような数字なんです。しかし、医療費の方は富山の方が非常に高くて、一・六倍ぐらいになっているわけです。
 こういうように、平成七年と八年の数字を見ましても、病床数はすべて減ってきている。しかし、医療費は上がってきている。こういうことの中で、相関関係というのは、こういうのを相関関係と言うのかなと、私はこれを読んで非常に不思議に思いました。
 この図でおわかりのように、病床数を抑制しても医療費はほとんど下がらない可能性があり得るということをここに私は数字があらわしていると思いますし、そしてまた、病床数を制限しても医療費はほとんど変わらないというところがある。また、同じような病床数であっても医療費が大きく異なる場合があるということがこれではっきりしているわけですけれども、これらの実例を見てみますと、本当に病床数を抑制することが医療費の抑制に直接に結びついていくのかどうか、とても疑問に思っております。
 そこで、厚生省にお尋ねしたいわけですけれども、厚生省は一人当たり入院医療費と病床数との間にはかなり強い相関関係があるということをずっと国会でも説明をされてこられました。それで、病床数を減らせば必ず一人当たりの入院医療費を抑制できるという根拠は、この数字からはどのように説明をしていただけるんでしょうか。
#124
○政府委員(高木俊明君) 先生今お配りの一人当たりの入院医療費と病床数との相関、これは平成八年度の図でありますけれども、この下にアスタリスクがありますが、この相関係数は〇・八九九ということで非常に強い相関関係がございます。
 そこで、今お挙げになりました四県の例は、しかしこれを見るとどうもその説明と違うではないかということになりますが、これはもうちょっと詳しく申し上げますと、この四県について、まず平均的な相関関係というものに比べますと、やはり富山県の場合で申し上げますと一人当たりの入院医療費は相対的に高い。それから、沖縄県は逆に低くなっておりますけれども、これは年齢構成の差、これをやはり考える必要があります。
 それからまた、この年齢構成の差というものを調整して、市町村の国保の入院医療費で申し上げたいと思いますが、これのいわゆる地域差指数といいますか、要するに全国を一とした場合にそれぞれがどういうふうになるか、調整後どういうふうになるかということを見てみますと、この四県についではやはり病床数と一人当たりの入院医療費の間に強い相関関係がございます。
 具体的にまず徳島で申し上げますと、人口十万対の病院病床数、平成七年の数字で恐縮でございますが、おおむね八年度と似たような分布になっておりますが、人口十万対病院病床数が二千九十一・三ということで、徳島は全国第二位でございます。それに対しまして、年齢構成の差異を調整した入院医療費の地域差指数で見てみますと、これも第二位ということで、全国を一としますと一・三九三、こういうことになります。
 それから、富山で見てみますと、病院病床数が千五百八十であります。全国第十六位でありますが、地域差指数で見ますと一・二二〇ということで、全国第十位でございます。
 それから、沖縄でございますけれども、病床数は千五百三十七・七ということで第十八位でございます。地域差指数で見ますと一・一五八ということで、全国第十四位ということになります。
 一方、神奈川県でありますけれども、神奈川県は十万対の病院病床数が九百六・九ということで、全国第四十六位になります。それに対して、入院医療費の地域差指数を見ますと〇・八三九ということで、第四十位ということでございます。
 こういったことで見ましても、やはり相関関係は高いというふうに考えております。
#125
○清水澄子君 きのうちゃんとこの資料をとりましたら、物すごく気にしてお調べになっているから、そんな細かい答えは今聞きたくありません、時間がありませんので。これでもってずっと相関関係と言ってこられた。しかし、それだけではないんじゃないかということを皆さん疑問に感じているわけですね。
 それで、さらにもう一つの資料を見ていただくと、これは午前中に直嶋委員が質問しておられたことですが、この政府の数字をグラフにしてみました。そうしますと、この左の方の資料、これがベッド数ですね、病床数。そして、入院費は上の方なんですが、ベッド数は減ってきております。しかし、入院費はずっと伸びているわけです。
 だから、病床数が伸びていないにもかかわらず医療費が伸びている。これを見ても、これもまた相関関係と御説明になるんでしょうけれども、そういうのは、グラフで見ても何で見ても私たちが見えない、厚生省しかわからない相関関係というのは相関関係と言わないと思います。
 そこで、やはりそういうふうに病床数はほぼ横ばいであるにかかわらず医療費が大幅に伸びていくというのは、それは病床の増加だけが原因ではないということをこの数字は示しているんだと思うわけです。
 厚生省は専ら病床を規制しないと医療保険の財政が苦しくなるということで、この改正を説明しておられるわけです。そのためには今度の改正で保険医療のこの病床指定を制限するという、そういうことを打ち出していらっしゃるんですが、それは非常に合理的な根拠というものをここからは非常に読み取りにくいわけですね。先ほどからもうずっと説明を聞いていましても、今も年齢だとかいろんなことをおっしゃる。一人当たりの入院医療費というのが、ベッド数なのか、それともそこにある社会的入院とか、またはそこに空きベッドはあってもできるだけその空きベッドを少なくしようという病院側の経営のあり方とか、そういうものとの相関関係は全くないのかどうか。そしてまた、この入院患者への医療のあり方ということだって問題があると思います。
 そしてまた、非常に重要なことは、出来高払いの診療報酬体系が長期入院というものを誘発している面があるのではないか。そして、医療費抑制は、むしろこれらの問題を先に改めていくというのは、こういう数字を見てもやはりそこには違う原因が存在しているというふうに見られるわけです。特に、社会的入院の解消のためにはやはり在宅介護や特養など福祉施設をもっと充実させることが先だと思うわけです。そういう意味で、そういうことをする方がむしろ入院医療費は低下していくのではないかと考えます。
 私の方でもう一つ申し上げておきたいのは、ベッドが多いということは、医療費が多くなるというだけの話をされますけれども、やはりこういう場合、逆に質のいい病院には患者が集まるという患者の選択の幅を狭めてしまうという面もあるわけですね。同時に、医療機関の間で医療の質を高める競争もあっていいわけなんですけれども、そういうものも抑えてしまう。そういう現状を固定化していくことでもって、先ほどから供給が需要を生むなどという非常におかしな論理を、私もそれはぜひやりたいと思っていましたけれども、先ほどこちらの直嶋委員がおっしゃったので、これは物すごくみんなが疑問に思っているところです。
 そういう意味で、今回の政府案のように病床の制限による医療費の抑制という手段というのは、むしろ弊害が多くて本当の問題は解決していかない、このように思うわけです。
 厚生大臣、私が今お見せしたこういう図をごらんになって、本当に医療費の上昇は病床の数が起因している、そういう相関関係だけであるというふうに読み取れるかどうか、その点についてお答えいただきたいと思います。
#126
○国務大臣(小泉純一郎君) 病床数だけではないと思います。病床数も一因だと、ほかの要素もたくさんあると思います。
#127
○清水澄子君 一因ですよね。私もそう思います。ところが、今までの国会での保険局長の説明は全部この図を説明しておられるわけです。
 そこで、さらにお伺いいたしますが、そもそも医療計画というのは過疎地などの医療提供体制が整っていない地域を一刻も早く解消していくということが目的であったと思うわけです。そういう意味で、厚生省は一九八五年に医療法の改正をされて、そして全国を三百四十八の医療圏に分けて、それを二次医療圏と呼んで、そして目標の病院数を定め、そして新規の病院の新設とか申請に対して知事が計画の中止を勧告できるようにしてきたのだと思います。しかも、その上に厚生省は、その勧告に応じない医療機関に対しては保険医療機関の指定から外すような行政指導をされてきたと思います。
 それでも問題があるということで、それは厚生省のお考えですけれども、今回の健康保険法の改正は、さらに行政指導の内容をもっともっと強い法的な強制力を持つものに明文化したいという要求で、それは厚生省の要求ですね、それで今回の改正案を出しているわけですけれども、これは非常に地域医療計画の実態というのも実に私は問題があるんではないかと、このように思います。
 例えば、この地域医療計画を決めてから十年を経ているわけです。これも厚生省の統計ですが、九七年度末の統計を見ますと、この全国三百四十八に区分された二次医療圏では全体の四〇%が病床の過剰医療圏になっておるわけですね。そしてその一方で、病床が不足している医療圏は全体の六〇%という結果が出ているわけです。
 そこで、お伺いしたいわけですけれども、この医療計画の本来の目的であったはずの医療が不足している地域の医療充実対策というのは、ほぼ全体の六〇%もまだ、むしろ逆にふえているという現状に対してどういう対策をとってこられたのか。そしてさらに一方、既に四〇%の病床過剰地域について、厚生省は本気でこの病床削減をしていくおつもりなのかどうか、それをするのであればどのような方法で削減をされるのか、その点についてお答えいただきたいと思います。
#128
○政府委員(谷修一君) 一つは、医療計画で言うところの病床の非過剰地域についてどういう対策をとっているかというお尋ねだったと思います。
 確かに、医療計画におきましては人口及び受療率を基礎にして必要病床数の算定をするということでございますので、必要病床数は病床の非過剰地域では整備目標としての性格、それから過剰地域では増床を抑制する性格、この二つを持っているというふうに理解をしております。
 それで、病床不足地域ということにつきましては、例えば僻地医療対策ですとかそういったようなことで国としての補助事業ということはやってきておりますし、また一方、この数年来の傾向として、病院の建てかえなどにつきましては補助金を出すという形で、民間病院についても補助金の対象にするということでやっておりますが、病床過剰地域の場合には、この補助金の対象とする場合には病床の一〇%以上を削減していただくということを条件にいたしておりますけれども、非過剰地域につきましては、その補助金の交付に当たって病床の削減ということを条件にしないというようなことで対応してきております。
 それから、医療計画の、手元にあるのは平成元年と平成八年度末の医療圏ごとの過剰、非過剰の状況でございますけれども、全体としては確かに六割が非過剰、四割が過剰というその状況はマクロの数字としては変わっておりませんけれども、その過剰の状況あるいは非過剰の状況というものを見ますと、例えば非過剰の地域につきましては平成元年に五十二圏域、全体の中の一五%ございましたけれども、平成八年にはこれが十七圏域、全体の中で四・九%という形になっておりますし、また、過剰地域につきましても全体として平均化されてきているという傾向は細かく分析いたしますとあるわけでございます。
 そういう意味で、全体の六割、四割というのは変わっておりませんが、その程度がだんだん平均化されてきているというふうに認識をしております。
#129
○清水澄子君 結局、新しく参入する医療機関のみを対象にしている、そういうことでしかないんですね。
 では、過剰病床地域、大阪二万床とか札幌が千三百とか名古屋とか、そういうところを何%削減するというのがあるのであれば、それから一方、不足している地域、そこは何年間ぐらいの間にどの程度引き上げていくプログラムなんでしょうか。
#130
○政府委員(谷修一君) 先ほどちょっと御質問の後半の部分にお答えをしませんで、済みませんでした。
 病床過剰地域につきましては病床の増床を抑制するという性格を持っておりますが、現在ある病床を何か計画的に、一方的に削減をするという性格を持っているものではございません。また、現実問題としてそれは国が何らかの規制でやるべきことではないというふうに思っております。ただ、これ以上増床しないという意味で都道府県知事が医療審議会の意見を聞いて勧告をするということでございます。
 ただ、病床過剰地域についての病床削減ということに関しましては、この委員会でも何回か御答弁させていただいておりますように、行政改革委員会の規制緩和小委員会から現在の必要病床数の枠内での新陳代謝を促進するような方策というものを検討すべきだという御指摘をいただいておりまして、この問題についてはまだ答えは出しておりませんけれども、私どもとしては今後の抜本改革の中でこの問題についても検討していきたいというふうに考えております。
 それから、不足地域について何年計画かということでございますが、これはいずれにしてもそれぞれの県の中で医療圏ごとに検討していくということでございますので、昨年に成立をさせていただいた医療法の改正に基づいて新たにつくる医療計画の中には、従来の病床数の問題だけじゃなくて医療機関の連携ですとかあるいは機能の問題、そういうものも含めて医療計画の中で記載をするということになっておりますので、そういうことの中で全体の医療機関の整備という形で対応をしていくべきものだと考えております。
#131
○清水澄子君 そうであると、やはり私どもが疑問にしていました、もう既に過剰な地域の病床はそのままでいいわけですから、今後ふえる病院を抑えるということでしょう、増床を抑える。ということになれば、既得権は保護されるということで非常に不公平じゃないかという点は、今そういうふうにちゃんと御説明いただきましたから、この法律はそういう不公平を持っているんだということがわかりました。
 そこで、大臣にお伺いいたしますけれども、やはり今いろいろ御説明ありましたけれども、十年を経てその目的とは違った結果が出ているということを見ても、この地域医療計画における必要病床数の算定方式というのは実際の国民のニーズあるいは地域の実態から遊離しているんじゃないか、本当に的確に実情を反映していないんじゃないかというふうに思いますけれども、そういう点でも一度この算定方式というのは早急に見直してみる必要があるのではないかと思います。
 その場合には、よく言われていますが、これも急性期、慢性期の病床の問題があるんですが、それらをきちっと区分をして算定する必要があると思いますし、診療科目別に必要病床数を算定する必要があるのではないかと思います。
 そしてまた、同じ二次医療圏であっても、医療機関がその中でもまた都市部とかそういうところに偏在している場合が非常に多くあるわけです。それは、当然そういうのは市場原理の中で当たり前なんですけれども、しかし、これほど適正な医療とおっしゃっているわけですから、やはり都市部の医療機関が集中しているその周辺の過疎地に十分な医療機関が開設されていない場合が多いわけで、そういう意味でもやはり現在の医療計画上における必要病床数というのは実態をあらわしていないと思います。
 ですから、ぜひ地域医療計画というものを早急に見直すべきだと思いますが、大臣はそれについてどのようなお考えをお持ちでしょうか。
#132
○国務大臣(小泉純一郎君) この必要病床数のあり方について、行革委員会の規制緩和小委員会の最終報告においても、病状に応じた効率的な医療の提供を図るために急性期病床、慢性期病床について適正な病床数となるよう現行の必要病床数の算定方式を改めること、必要病床数の枠内での新陳代謝の促進を図ることなどが指摘されております。また、与党医療保険制度改革協議会からは、急性期病床及び慢性期病床とそれぞれの必要病床数を決めるよう指摘されております。
 厚生省としては、これらの指摘を踏まえて、今後医療提供体制の抜本改革の中で検討していきたいと思います。
#133
○清水澄子君 平成九年の医療法の改正で、医療計画の中に、地域医療支援病院と療養型病床群の追加をしていると思うわけですね。そういう非常に形式的な追加になるために劣悪な療養環境しかないような療養型病床群も必要算定数に組み込まれてしまうということになるわけです。医療計画というのはやはり住民に対して良質な医療を提供するという計画であったはずですから、やはり医療計画の見直しに当たりましては病床の数だけを扱うのではなくて、提供されるべき医療の質の確保について私は医療計画の中に明確にそれを明記すべきだと思うわけです。同時に、この見直しに当たっては、地域住民の声が反映されるような仕組みをつくるべきだと考えますけれども、これについてぜひその約束をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
#134
○政府委員(谷修一君) 今お話がございましたように、前回の医療法の改正で、この医療計画の中に従来の病床数だけではなくて、いわゆるソフトの部分というんでしょうか、そういうものを追加すると、そして医療計画を作成するということにいたしたわけでございます。
 今お挙げになりましたような療養型病床群の整備の目標ですとか、あるいは救急医療、それから僻地医療、そういうものについての確保に関すること、また医療機関相互の連携あるいは業務の分担に関すること、そういうようなことも含めて医療計画の中に盛り込むということで、これにつきましては具体的に指針を作成いたしまして都道府県の方に既にお示しをしております。
 具体的なことはそれぞれの都道府県段階でそれぞれの地域に合った計画をつくっていくということで、この議論に当たりましても、できるだけ国が一方的に決めるんではなくて都道府県段階で決めていただくということでお願いをしております。
 一方、そういったような医療計画の作成に当たっては、地域の住民の方の御意見を反映させるようにすべきだということでございます。従来から、この医療計画の策定あるいは変更に当たりましては、できるだけ多くの方の御意見を反映させることができるよう、都道府県は都道府県医療審議会及び市町村の意見を聞かなければならないとされております。
 この医療審議会の委員の構成でございますが、医療法施行令によりまして、医師、歯科医師及び薬剤師、それから医療を受ける立場にある方、それから学識経験のある方、この三者により構成をされることになっております。
 医療審議会の運営につきましては、それぞれ各県で決めておられるわけですが、具体的な構成例として申し上げますと、医療を受ける立場にある者ということで市町村長、それから国保に代表されるような保険者の方、それから婦人団体等の市民団体の方、福祉関係者、あるいは労働組合の関係者、それから企業の方、そういうような方が入っている例が非常に多いわけでございます、県によって大分違いますが。そういうようなことでできるだけ地域の意見を反映させていくことが必要だということは私どもも認識をしております。
#135
○清水澄子君 それはもっと本当の意味の、市町村長が医療を受ける立場の代表と、これは行政の長でございまして、もうちょっと私は本当の地域住民の生の声が反映できることが必要だと思っております。
 そこで、次に質問いたしますが、前回、知事が行う勧告の持つ法的性格を伺いましたときに、高木保険局長は、これは医療法上の勧告は行政指導のようなものだとお答えになりました。私もそうだと思っております。
 その行政指導上のものを、今回の法改正ではさらにそれをそのまま、医療法上の行政指導の勧告の性格をそのままにして、そして一方の健康保険法の改正において、そういう医療法上の勧告を受けてこれに従わない者は保険医療機関の指定を与えない、しないという非常に厳しい法的な不利益な処分を別々の二つの法律にまたがって結びつけられているわけです。
 そこでお伺いいたしますが、そうすると一体、行政手続法の三十二条というのは、この行政指導というのは相手方の任意の協力によってのみ実現されるということに留意しなければならない、そしてまた行政指導にかかわる者はその相手方が行政指導に従わなかったことを理由として不利益な取り扱いをしてはならないという、この行政手続法第三十二条をここで打ち消していく、健康保険法で、そういうことを今度お考えになったわけですね。ですから、これについての整合性というのはこれはどういうことになるのか。
 それから、同じように勧告というのは独占禁止法とかその他の法律にもあります。そうすると、そういう独占禁止法等にある勧告、それはこういうペナルティーをかけていませんね。ですから、そういう他の法律よりもさらに強い処分の作用を持つこの今回の法改正の根拠というのは一体何なのか。
 さらには、この行政指導にすぎない勧告を憲法上職業選択の自由とか営業の自由とか、また患者の側から見れば国民皆保険で健康保険法の適用を受ける権利、そういう憲法上の権利をも制限していくことができるという、その法的根拠というものをぜひ明確にお示しいただきたいと思います。
#136
○政府委員(高木俊明君) 今、先生が行政手続法の関係と憲法上の問題についてお触れになりましたが、これは極めて法的な問題でありますから、我々十分法制局も含めて検討をいたしました。
 そこで、まず行政手続法との関係なのでありますが、行政手続法の三十二条第二項の不利益取り扱いということでありますが、これは許認可等を行う場合に意図的に差別的な扱いをするとか当該者に対して不利益を与える、こういうようなことを制裁的な意図を持って行う行為を指しているというふうに考えております。
 一方、医療法上の勧告でありますけれども、これは過剰病床地域におきまして病院の開設等が当該医療圏にとって不必要である、こういう場合に行われるわけであります。こういった過剰病床地域であっても地域に必要と認められる場合については勧告が行われないわけであります。したがって、都道府県知事は、これ以上当該地域について病床は要らないということで、都道府県の医療審議会も通じて審議をしていただいた上で決定をしているわけであります。
 こういったような状況の中で、それでは医療保険のサイドでどう考えるかということでありますけれども、私どもとしては、この一人当たりの入院医療費の適正化ということをやはり進める。先ほど先生、これは一つの要素にすぎないんではないかということでありますが、確かにこれは一つの要素でありまして、先ほど先生が御指摘になりましたいろんな要因というものに対して私どもこれまでもそれぞれについて適正化の対策というものを講じてきております。
 あらゆる適正化の方策というものをやはり講じていく必要があるということで、これについても適正化をしようということでありまして、その地域においてこれ以上入院ベッドは要らないということを医療法上勧告されているわけでありますから、医療保険においてはやはり医療費の適正化、これは結局は地域住民の負担になるわけでありますから、そういった意味で必要以上の医療保険のベッドというものを確保する必要がないものであるというふうに考えて、今回のような御提案をさせていただいておるわけであります。
 それから、憲法上の問題でありますが、これにつきましては、私どもとしては、まず健康保険法上の保険医療機関の指定、これの法的な性格でありますけれども、これは都道府県知事が保険者にかわって医療機関との間で締結する公法上の契約であるというふうに私どもは考えております。
 そういった意味で、過剰病床地域においてこれ以上不必要であるという都道府県知事の勧告に従わないで設けられた病床につきましては、私どもとしてはこの公法上の契約を結ばない、こういうふうなことでありますから、この問題については憲法上の営業の自由とかそういったものには抵触をしない、こういうふうに考えております。
#137
○清水澄子君 時間が来たので、次にまた議論をやりたいと思いますが、私は最後に一言、今度の保険医療機関の指定をしないという根拠に、医療計画の必要病床数を超えた過剰病床地域ということになっているんですが、そうなりますと、この非常に不的確な地域医療計画が絶対的な基準になっているというのは非常にやっぱり大きな問題だと思いますし、それから今いろいろ御説明いただきましたが、これは違憲の疑いが晴れません。ですから、私はここの条文は削除することを要求したいと思います。
 終わります。
#138
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。
 先日の参考人質疑の中でも被用者保険に対する負担のつけ回し、これはもうやめてほしい、改革してほしいという御意見もございましたし、私たちの部屋にもそういう陳情の方々が最近とみにふえてまいりました。また、財革法の改正に政府みずからが着手をするということで、前提そのものが変わったのだから再考をという意見はかなりたくさんの参考人の方からも出ていたように思います。
 この法案で私たちが問題にしておりますことは、財革法で社会保障の伸びを一定枠に抑えなきゃいけないということから、どうしても国庫負担を減らしたいということがありまして、いろいろな形をとって五百六十億という国庫負担の削減がこの法律の改正で行われるという点が一つの大きな問題点です。
 その点について、衆議院の我が党の児玉議員の質問に対しまして、局長が国庫負担の削減について説明をされている速記録を読んでみますと、結果において国庫負担は減るんだという御答弁ですよね。現行の各医療保険制度で平等に支えましょうという老人の拠出金が非常に大きく増大してきたので、公平化においてだんだん問題がある状況が出てきたということで、それを一歩進めようということで今回やられたと。その結果として、今おっしゃったような被用者保険の負担がその分ふえるという現象が起こってきましたし、国庫負担が減るという現象が起こってきたという、その結果でございましたというように指摘をされ、さらに今後においてはさはさりながらと、今度は被用者保険を含めて、とにかくもうこういう仕掛けで老人医療費を負担するのはこの制度の限界ではないかという指摘がある。だから、今後抜本改正だというような御答弁を繰り返しされているわけです。
 私は、結果として国庫負担の削減が起こったというような言い方は少しおかしいんじゃないかと思います一法案を提案するときにやはり目的性があるわけですから、こういうふうにこちら側に幾らかのお金をつけ回しして、退職者医療制度というところに負担を押しつければ、その退職者医療制度のところには国庫負担がないわけですから、その分国庫負担は当然減るということはもう政府、厚生省はもちろん織り込み済みのことであって、そういう政策をもってこの法案を出してきた。そうでなければ、むしろ逆に大変責任のない提案だということになるので、この局長の御答弁の結果としてこう言えるようになったということについては、私は答弁としては非常におかしな答弁だなというふうに思うわけです。
 そこで、この国庫負担の削減という問題は今に始まったことではありません。数字的に見ますと、この国庫負担を引き揚げていくということについては、近年ずっと政策的に行われてきたことであります。これも児玉議員が衆議院で既に質問をしておりますけれども、例えば一九八三年から一九九五年の国庫負担の削減は四四・九%から三四・九%に減っている。老人医療費に占める被用者保険の拠出金の割合はどうかといえば三三・三から四一・二%にふえているのですけれども、その分国庫負担の率というのはやっぱり下がっているわけですね。四四・九から三四・九に下がっているということであります。
 そのほかにもこれは私もたびたびこの委員会で引用してきたわけですけれども、それでは国民医療費全体に占める国庫負担の率というのはどのように変わってきたかということなんです。
 八〇年から九五年までの推移を見ておりますと、国民の医療費全体の中に占める公費の割合、公費というのは国庫と地方が両方合わせてあるわけですけれども、やはりこれは三五・五が三一・七に減っている。三・八%減っておりまして、その中でとりわけ国庫負担の減り方というのが非常に高い。三〇・四%から二四・二%と六・二ポイント減っているわけですね。公費が減る分の中でとりわけ国庫負担の減った率というのが非常に高いです。むしろその逆に地方の負担というのは二・四ポイントふえております。また、被保険者の保険料負担はどうかといえば、二九二一%から三一・九%に二・七ポイント、こういうふうにふえています。患者負担も一ポイントふえているというようなことです。
 この八〇年から九五年の十五年間の推移を見てみますと、国庫負担の割合というのはやはり年々減ってきて、その国庫負担の割合が減った分が結局は国民の負担、あるいは地方自治体の負担として負担割合が逆に高まっている、こういう傾向があるということはお認めになるでしょうか。
#139
○政府委員(高木俊明君) 国庫負担の実額はふえておりますが、全体に対するシェアは、今、先生御指摘のような状況になっております。
#140
○西山登紀子君 今もお認めになった率ですね、国庫負担の国民総医療費に対する割合というのはやっぱり減ってきているわけです。
 そこで、先日の当委員会の参考人質疑の中で私が国保の収納率をお聞きしたときに、大阪の守口市長さんが、守口市では収納率は八七%で横ばいで努力しているんだけれども、加入者の七〇%が生保世帯よりも低い収入の方であるとか、ほとんど所得のない方が三〇%もあるというようなことをお話しになったんで、国保の今の置かれている実態というのはすさまじいものだなと改めて認識をしたようなことでございます。
 京都の園部町長さんであります野中参考人も、収納率九七・四%でいろいろ努力しているんだけれども、やはり所得なし世帯が二八%もあるというようなことでした。収入の非常に少ない方、国保料の軽減世帯について少し私も調べたり勉強してみたんですけれども、国保というのは非常に所得の低い人が多いだとか、あるいは老人が多いとかということで大変困難な保険であるということは認識しておりましたけれども、しかし、やはり調べでみるとこれは非常に重大な事態になっているんじゃないかという認識を深めました。
 八五年から九五年の十年間をとってみますと、国保の軽減世帯の平均所得というのは、八五年を一〇〇としたときに九五年は八三ということで、がくんと落ちているんですね。では、国保全体の世帯の所得はどうかといえば、八五年を一〇〇としますと、少しですけれども一一四というふうに上がっています。国民全体はどうかといえば、八五年を一〇〇としたら九五年は一二四ということで、所得は少し上向いて上がっている。しかし、国保の軽減世帯の方々というのは、八五年を一〇〇とすれば九五年は八三ということで、逆に所得そのものがうんと減っているんですね。
 それでは、その所得が低くなっている軽減世帯の方々に対する保険料の負担率はどうなのかというふうに調べてみますと、これが八五年を負担率一〇〇といたしますと、何と国保の軽減世帯の方がむしろ負担率というのは上がっているわけですね。九五年は一七〇という形で負担率が上がっています。国保全体は、八五年を一〇〇としたときに九五年は一〇八ということで、保険料の負担は一〇八に上がっておりまして、その他の健保組合なんかは、八五年を一〇〇とすれば九五年は一〇四というふうに少しやはり保険料負担率は上がっているんですけれども、国保の軽減世帯の保険料の負担率というのはこれはすさまじい負担率、これは私はもう非常に大きな問題ではないか。つまり、国保全体が確かに大変苦しいという状況はあるわけですが、とりわけて国保の軽減世帯というのは大変苦しい状況になっているんじゃないか。
 今、年次的に八五年から九五年のここ十年間で落ち込んでいるということを述べましたけれども、もう一つの切り口からこの軽減世帯を見てみますと、非常に収入が低いにもかかわらず、保険料というのはやっぱり軽減されたといっても払っているんですね。
 それをいただいた資料で見ますと、例えば平成六年というのは軽減世帯の平均所得というのは一世帯当たり年間十万八千円。これでどうやって生活なさっているのかなと私は本当に思うんですけれども、しかし驚くべきことに、そういう世帯からも保険料は取っております。その保険料というのは一世帯当たり三万七百九十九円の保険料を取っておりますから、それでは所得の中で保険料が占める割合というのは実に二八・五九%、三割にも及ぶということになるわけですね。
 この軽減世帯の中でも、九五年から二割軽減というのができたわけですが、それまでは四割軽減、六割軽減の世帯だけだったんですけれども、この六割軽減の世帯なんというのは、平均世帯一世帯年間三万八千円の収入で、保険料がそれこそ二万四千三百二十六円の保険料を払うということになりますと、その負担率たるや所得の中の六四・三六%。それが保険料だというようなことに数字上はなっています。これでどうやって生活し、命を保てるのかなと、私は非常にこれは憂慮すべき事態であるというふうに思います。
 軽減というのであれば、こういう人からはとても保険料なんかを取るべきではないというふうに思うわけです。それこそ生活をして生命を維持するということすら困難になるような、そういう人から医療費のための保険料を取るというような、全く逆立ちしたことが行われていると思うんですけれども、しかしこれは現実です。
 こういうことは現実で、今私がお示ししました八五年から九五年にかけて、特に国保の中の軽減世帯の保険料の負担がうんと毎年多くなってきているとか、それから所得の中でとりわけ軽減世帯の保険料の負担というのが軽減世帯総数の中では、平均ですけれども三割、六割軽減なんというところになると本当に六割近い保険料の負担率になるという、こういう実態にあるということはお認めになりますね。
#141
○政府委員(高木俊明君) まさに国保というのは非常に大きな問題を抱えていると思います。
 これは一言で国保と言いますが、国民皆保険になった昭和三十六年当時と現在とでは、国保の加入者、加入世帯の構成というのはもうさま変わりしているんです。
 ですから、今の御指摘のような軽減問題もそうでありますが、最初、皆保険で国民健康保険ができたときは、国保というのは農林水産業とかあるいは自営業者のための保険、それに対して健康保険等はサラリーマンの保険、こんなふうな色分けで説明ができたのでありますけれども、現在の状況を見てみますと、この説明はほとんど当てはまらないと私は思っております。
 というのは、今軽減世帯のお話がございましたけれども、これは昭和四十年度の分布で見ますと、無職という方が七%、国保の中におりました。それに対して、現在、無職という方が約四割ぐらいです。それに対して、四十年当時、農林水産業の方は四二%でした。ところが、現在はそれが九%ということであります。
 こういうふうなことで、私はこの国民健康保険制度というのは、これはやはり医療保険制度全体の中で再検討すべき時期に来ているというふうに思います。そういった意味でも、医療保険制度の抜本的な改革というものはこれはもう避けて通れない、このように考えておるわけであります。
 ただいま先生がお示しになりました数字について、手元にございませんけれども、私の感覚的なことで申し上げますと、傾向的にはそういうことになっていると思います。
#142
○西山登紀子君 そういう傾向をお認めになったわけですけれども、私は今本当に改めてこういうふうに勉強してみて、国保の軽減世帯という世帯の、本当に人間としての生命活動を維持することも不可能になるぐらいの低所得者の人からも医療保険を取っているというこの事態を、抜本改革ももちろん必要ということでおっしゃるんですけれども、しかしこの間ずっと国庫負担を国が減らしてきて、そしてやはり九四年から応益と応能と五対五にしなさいという形で保険料も上げてきたということで、政策的にこういう人たちを大変苦しい状況に追い込んできたという厚生省の責任はやはりあると私は思います。
 それで、国庫負担の問題をさらに質問したいと思うんですけれども、国保の医療費の場合、四五%国庫負担があったその時期から、今三八・五%に引き下げられるということで、さまざまな国民の皆さんの運動は、もとの四五%の国庫負担に戻してくれというように運動が強まっているわけです。国保は今おっしゃったように、確かに低所得者の人が多いために国庫負担が高く設定されているということがあると思うんですね。ところが、それをだんだん下げてきたということなんですけれども、私はもともと国保というのは、今確かに矛盾が拡大して深刻になっているんですけれども、しかし、最初からやはり問題といいますか、国が厚く手当てをしなければならない保険であったというふうに思います。
 それは、厚生省の国保法の説明の中で高率の国庫負担が出されている根拠、なぜ国保というのは高い国庫負担を出しているのかという根拠をちゃんと説明をしてくださって、その説明を見ますと、他の医療保険制度に加入できない者を被保険者としていることから、総体的に低所得者の者が多いこと、他の被用者保険に見られるような事業主負担に見合う財源がないこと、それを挙げてやはり国保というのはそもそも高率の国庫負担を出す保険なんだという説明をしておりますし、国の経費も、義務的経費である負担金としていることも、こういうことが理由なんだという説明をちゃんとしていらっしゃるんですけれども、この本来の趣旨というのは今変わっておりませんね。
#143
○政府委員(高木俊明君) 当初から国庫負担二分の一を入れた格好で出発しておりますから、そういった意味では考え方は変わっておりませんが、ただ、国保を独立の制度としていけるのかどうかという、先ほど申し上げた構造的な問題ということを考えますと、当初の考え方だけでいけるのかどうか、これはやはり改革の時期に来ているというふうに思います。
#144
○西山登紀子君 当初の考え方だけでいけるのかということですけれども、こういう窮状にあるところに国庫負担をどんどん引き揚げてきたというこの十年間の経過を見ても、窮状にあることがわかっているし、もともと保険としてそういう状況にあるから高率の国庫負担を出さなければならないというふうになっているにもかかわらず、むしろ国庫負担を減らしてきたというところに今加入していらっしゃる人たちの大変な窮状があるというふうに、厚生省のその責任をむしろ私は問題にしたいと思います。もちろん、構造的な問題がないとは言いませんよ。ないとは言いませんけれども、構造的な問題があるということがわかっていてなおかつ国庫負担をどんどん減らしてきたということから、加入者の人には高い保険料が加わってくる。
 私は、この間介護保険のときに東大阪市の問題を出しまして、東大阪の市長さんやめちゃったんですが、東大阪市の国保が人を殺すときというテレビで、ひどい状況で、保険料を払うために借金して、そしてお医者さんにもかかれないというようなとんでもない状況に今なっているという国保の問題で質問しまして、そのときに今の未納者は何人かと言ったときに、二百九十六万世帯というふうなことで局長の方から初めて未納者の数の報告があったわけです。今そういうふうにやはり加入していらっしゃる人たちが国保の中で本当に医療を受けられないようなひどい状況になっているという中で、さらにこの削減をする方向。
 今度は事務費の問題をお伺いしたいと思うんです。市町村国保の今回の改正で事務費の負担は全額一般財源化する、全部減らそう、ゼロにすると、こういうことでございますけれども、この一般財源化については、参考人の質疑の中でも、京都の野中参考人ですけれども、非常に辛らつな批判をしていらっしゃいます。この一般財源化ということはむしろ交付税という美名のもとに隠れて補助金が一般財源化されてきたということで、市町村はより苦しくなるという以外の何物でもないというようなことを答弁でされているわけですけれども、この地方自治体の主張、つまり地方自治体に何でも押しつけてくると、こういうふうな御意見を述べていらっしゃるんですけれども、こういう地方自治体の主張をどのように受けとめていらっしゃいますか。
#145
○政府委員(高木俊明君) その前に、あるいは私の方の聞き方が悪いのかもしれませんが、先生の論旨でいきますと、医療保険の中における全体としての国庫負担の引き下げの問題と、それから国民健康保険の中での国庫負担の引き下げの問題とが何かダブって使われているような気がいたしますので、ちょっと補足させていただきます。
 医療保険全体の中に占める国庫負担の割合というのは確かに下がってきております。しかしながら、国民健康保険に占める国庫負担の割合、これは制度としては変わっていないわけでありまして、ただ老人医療費の拠出金を国保が大分持っておったものが、按分率の調整等々によりまして、その拠出金の負担割合が減ってくるに伴いまして国保の負担が軽くなる。国保の負担が軽くなるということは、二分の一国庫負担が入っておりますから、国保に占める国庫負担率が減ると、こういうことでありまして、国保の方の国庫負担割合を下げてきたことによって国保の中の国庫負担率が下がったということではありませんので、そこはちょっと一言申し上げたいと思います。
 それで、事務費の問題でありますけれども、これにつきましては市町村長さんの御意見、私よくわかります。これは国と地方との財源配分の問題の中でやはり市町村長さんはおっしゃっているんだと思います。要するに、交付税に回しておきながら一つもその分の実額がふえないじゃないかということだと思います。これはまさに国と地方の財源配分の仕組みといいますか、財源配分を具体的に所掌している大蔵省、自治省との間の問題としてやはり私どもはむしろきちっとした形でやっていただきたいと思っているくらいであります。
 そこで、今回の事務費の一般財源化でありますけれども、これは御案内のとおり、地方分権推進委員会の第二次勧告の中でも指摘されておりまして、国保の法律が施行後四十年近く経過した、そういった中で市町村の事務として同化定着しているもの、こういったものについては一般財源化を図るべきであるということでございまして、そういった中で私どもは今回この国保の事務費についても一般財源化の措置を講じさせていただいたということでございまして、御理解を賜りたいというふうに思います。
#146
○西山登紀子君 先ほど局長の方から、国保の医療費の国庫負担は減ってないというようないろいろ説明があったんですけれども、四五%の国庫負担が今二八・五%の国保の国庫負担という形で下がっているということはこれは事実ですよね。それで、確かに交付税にされた場合にちゃんと回るようにしてほしいという御意見なわけですけれども、交付税不交付団体への国の事務費の負担金、その総額というのは今幾らぐらいですか、国保の。
#147
○政府委員(高木俊明君) 今回一般財源化されました市町村の国保の事務費のトータルが三十四億円でございますが、その中で平成九年度の普通交付税の不交付団体、これは百四十四保険者ございますけれども、これの事務費の負担金の総額が五億九千二百二十四万円でございます。
#148
○西山登紀子君 およそ六億円弱それは削減をされるということでございますね。
 それで、最後に大臣にお伺いをしたいと思います。この国民健康保険というものは本来国が責任を持ってやるべきことで、市町村には団体事務ということでお願いをしている、こういう原則があるというふうに厚生省もこれは御答弁でもなさっているところなんですけれども、こういう本来国が責任を持っている事業について委任をしている事業なんですけれども、この平成四年度からどんどん事務費の負担金なんかもカットカットという形で、平成四年度は七百八十億、平成五年度は百四億、平成六年度は百億円という形で、かなり大きな額を削ってきた。そして、仕事だけはやってくださいというふうに言っている。
 例えば、交付税不交付団体の減らされた額なんというのは、これは東京都の一つの例ですけれども、昨年度東京都の市町村国保の総務費というのをちょっと調べてみたんですけれども、百三十七億円ほどいろいろな諸費がかかっていると、それに人件費が加わりますと数十億は上積みされるというふうなお話があったんですけれども、そういうのが今回これはもうゼロになるというふうなことになってくる。
 こういうことで果たして本当に国の責任が果たせるのか、私は大変問題だというふうに思います。国の負担はどんどん削減するけれども、仕事だけはやってくれというふうなことで、これは余りにも責任がない行政の姿勢じゃないかと思いますけれども、大臣いかがでしょうか。
#149
○国務大臣(小泉純一郎君) これは医療保険制度を維持していく上においで財源をどうやって賄うかという問題にも帰すると思うんです。国がどのくらい負担するのか、地方がどのくらい負担するのか、また保険料で医療保険制度というのは基本的に賄われるべきものですから、保険料をどの程度にするのか、また受益者自己負担をどの程度にするのか。そういう中で、国民健康保険制度だけを考えてやれば、今御指摘のように、比較的低所得者の方が多い、高齢者がどんどんふえてくる、これだけでやって国庫負担を減らしていくとなると、それだけの集団で保険制度を賄うためには相当の保険料負担なり自己負担なりをしないともたない。だからこそ私は、この国民健康保険制度を含めてどういう保険制度がいいのかというのを今後の抜本改革の中でも検討しますし、この点は真剣に今後総合的に考えなきゃいけない問題だと思っています。
 厚生省としては、今二案を出しておりますけれども、この二案について、今後より深い議論がされると思いますけれども、私は、この厚生省の出した二案について、さらに政党なり審議会の委員なりにより具体的な肉づけをしていただきまして、できるだけ早期に一つの案というものを提示していただければありがたいなと。私自身も、このままの制度でもう立ち行かない、限界に来ているなということは痛感しております。
 また、地方と国とどうやって税財源を配分するかにつきましても、今後、地方分権あるいはその制度の趣旨というものを考えながら総合的に私は考慮すべきものだというふうに思います。
#150
○西川きよし君 よろしくお願いいたします。
 私の方からは、国庫負担のあり方についてまずお伺いさせていただきたいと思います。
 先日、大阪市の国保の状況について、朝日新聞に大きく取り上げられておりました。記事の内容によりますと、長引く景気低迷が自治体運営の国保会計を直撃している、倍金や生活難を理由にした保険料の滞納が年々深刻化している、徴収率は悪化する一方でありまして、中小企業が多いためリストラや失業で一挙に膨らんだ国保加入者が徴収率ダウンに拍車をかけているということで、国が定めた徴収率が達成できずに二年連続で交付金が減額されるのは確実で、国保会計の存立の基盤を脅かしそうだということでございます。
 今日のこの経済状況、それが国保財政に与えている影響について厚生省はどういうふうにお考えになっているか、まずお伺いしたいと思います。
#151
○政府委員(高木俊明君) 医療保険の場合は、これは支出の方は医療費と、それから収入の方は保険料収入というのを基調にしているわけであります。そうすると、医療費というのは余り景気の影響というのに左右されないで今までは伸びてきたという傾向があります。一方、保険料収入の方はもう御案内のとおり、景気に大きく左右されます。そうしますと、やはり昨今のような経済情勢でありますから、そういった中で保険料の収入というものがかなり悪くなっているというふうに私どもは考えております。
 そういった意味では、平常状態の中でも加入者の構成からしまして非常に財政が厳しい国保につきましては一層厳しさが増していると思いますし、それからまた我が国の医療保険制度の仕組みから見ましても、いわゆる被用者保険に入らない方は国保に入る格好になりますから、例えば被用者保険サイドで今まで入っていた方も失業とかそういうことになりますと国保に入るということになる。経済情勢がこういうふうに悪い状況が続き、かつ失業率もかなり我が国としては高い状況にあるわけでありますから、そうするとそのしわ寄せというのはやはり国保財政に非常に大きく影響しているということで、私どもも非常に深刻に受けとめております。
#152
○西川きよし君 そこでお伺いしたいんですけれども、この保険料の徴収についてということでございます。
 大阪市内で年に一回以上滞納する世帯は全体の三割強でございまして、何と十五万三千世帯に及ぶということでございまして、昨年の十一月以降は、各区役所の保険年金課の職員約二百人の方々が勤務時間以外に滞納者の自宅に足を運ばれるそうなんですけれども、倍金、生活苦を理由にしてなかなか徴収できない。逆に、塩をまかれたり殴られそうになったりということがそんなに珍しいことではないということでございます。
 こういう現状に対する厚生省の認識、または全国的な徴収率の現状についてぜひきょうはお伺いしておきたいと思います。
#153
○政府委員(高木俊明君) 被用者保険と違って、国保の場合はそれぞれの世帯が自主的に納付していただくような格好になっていまして、いわゆる源泉徴収するような形になっていません。したがって、国保の保険料徴収に携わっている職員の方々は大変御苦労されている、これはよく私どもも承知をいたしております。
 ましてや、こういうような状況でありますから、その御苦労は大変なものだろうというふうに考えておるわけでありまして、そういった中で、少しでも保険料を納付していただかなきゃならないという、一方そういう要請があるわけであります。そこら辺のところは非常に難しい状況なのでありますけれども、私どもとしてはできるだけの御努力をお願いしたいというふうに考えております。
#154
○西川きよし君 本にまとめたものもございましていろいろ読ませていただきますと、これはもう本当に大変なことでございまして、命をかけてというような感じでございます。
 次に、今、局長さんがおっしゃいましたように、それぞれその自治体で収納率を高めるために頑張っておられるんですけれども、こうした中で、国庫負担の減額措置の問題でございます。この普通調整交付金における収納率に対する減額措置の趣旨と現状についてお伺いします。
#155
○政府委員(高木俊明君) これは、いわゆる経済情勢も平常状態を念頭に置いていると思います。
 それは、やはり保険料を徴収するというのはなかなかこれは大変な努力が要るわけでありますが、そういった中で収納率というものに着目して、努力に対してやはり一定の、国庫負担という形で報いるようなシステムにしよう、また裏返していえば、保険料の収納ということに一層努力していただこう、こういう趣旨でこの制度というものがつくられたというふうに認識をいたしております。
 ただ、そういった中で、このような措置というものが、現下の状況の中で従来どおりのままでいいのかどうかという問題はございますけれども、制度ができたときの趣旨としてはそのような考え方に立っているというふうに考えております。
#156
○西川きよし君 保険料の収納に出向く市町村の職員の方々にとりましては、それぞれの世帯の事情によって保険料が払えない、あるいは払えるにもかかわらず払おうとしない方、そうした個々の状況に対応する中で理解を求める、保険料を納めていただくというようなことは並大抵の作業ではないと思うんです。都会では、最近はオートロックのマンションとか、そういうところがたくさんふえておりますので、もうお会いするだけでもなかなかできないということで、そして、大阪市などは年間に二十万人以上の方が移動されるということでございます。
 職員の方々は、本当に接触をするということも並大抵の御努力ではないと思うんです。そういった意味で、ただ単に数値のみで減額を行う基準を見直していただきたいということを、せんだっても参考人のときにもいろいろお話をお伺いしたんですけれども、こういう市町村サイドの声にも耳を傾けていただきたい、こう思うわけですけれども、これについてはぜひ厚生大臣から御答弁をいただきたいと思うわけです。
#157
○国務大臣(小泉純一郎君) 保険制度というのは、保険料を納めてもらわないと成り立たないものですから、その保険料を納めていただくために各市町村が大変な努力をされている。涙ぐましい、またきつい努力をされているということ、今お話を伺い、また我々が調べてみても事実大変な苦労のようであります。
 そこで、これを努力しているところとそうでないところに対してそれ相応の評価があっていいんじゃないかということから、交付金の交付という観点からも収納努力の結果に応じてある程度差をつけてもいいんじゃないかということで出てきたわけですね。私はこれは現時点において必要なものではないかと思っています。
 今後とも、この市町村の実態がどういうものか、それをよく調査しながら調整交付金の配分を行っていくように努力をしていかなきゃいかぬと思っております。
#158
○西川きよし君 大変難しい問題であると思うわけです。
 もう一点、次に地方自治体の単独事業として医療費の一部負担の免除等を実施している場合の減額調整についても自治体サイドから見直しの要望が出されておるわけですけれども、この点について現状を厚生省からお伺いいたします。
#159
○政府委員(高木俊明君) いわゆる医療保険の一部負担分を地方自治体の単独事業として減額したりあるいは自治体が負担するような格好でやっている県なり市町村、全国的にかなり多くなっております。
 ただ、これも私どもとしてはやはり医療保険制度の中における一部負担の考え方、これは受益と負担の公平という考え方、それからまたコスト意識の涵養というようなこと等々から無理のない範囲内でお願いをするという考え方に立っておるわけであります。そういった中で、その減額措置あるいは免除措置のような形を講ずるといった場合に、全体的な国庫負担の公平な配分というようなことを考えますと、どうしてもこれまでの医療保険の実態から見ますと一部負担がない方が受診が伸びるというような傾向があります。
 そういった中でございますから、やはりその辺の調整というのはある程度やむを得ないんじゃないかというふうに思っております。かねてからこれについては要望がございますけれども、やはり一部負担というものを埋めるという措置で各自治体が公費を投入されておるわけでありますが、我々としては、投入すること自体はその自治体の判断ですけれども、国全体で見た場合にはそれに伴う調整というのはある程度やむを得ないのではないかということで御理解をいただきたいと思います。
#160
○西川きよし君 ありがとうございました。
 次に、今度は医療保険制度についてお伺いをいたします。
 毎日の暮らしの中で、疑問に感じたり要望などについてぜひともこの機会にお伺いしたいと思うんです。まず、昨年、薬代の一部負担金が改定されまして、昨年の九月から皆さん方にとっては薬代の負担がかかるということで、うちの家もそうですけれども、内心幾ら取られるか不安でということで、今でも多くの方々からいろいろ聞かれるわけです。
 そうした中で、六歳未満の子供さんなどについでは免除されたわけですけれども、改正以後、薬代の一部負担がかからない場合はどのような場合であるのか、ほかを含めて御説明をお願いします。
#161
○政府委員(高木俊明君) 昨年の九月から薬につきましても外来の薬剤一部負担ということでお願いをしております。
 その際に、いわゆる内服薬につきましては投薬ごとに一日分について一種類という場合は御負担いただかないということであります。それから、六歳未満の方あるいは市町村民税の非課税世帯等に属する老齢福祉年金受給者の方、こういった方については御負担はいただかないということであります。
 それからもう一つ、老人慢性疾患外来総合診療料、外総診と呼ばれておりますが、お年寄りの慢性疾患の場合のケースでありますが、こういう場合には、これは包括点数ということで、薬も込み込みで診療報酬を支払う仕組みをとっておるものですから、これをとっている医療機関にかかった場合には薬の一部負担は要らない。
 それからもう一つ、数種類もらいましても、いわゆる薬価の合計が二百五円以下という場合にはこれは一種類とみなすという取り扱いになっておりますので、この場合には一部負担は一種類という場合に相当しますから取られない、こういうことでございます。
#162
○西川きよし君 今お答えいただきましたが、老人慢性疾患外来総合診療料、読むだけでもなかなか難しいのでございますけれども。
 そこで、具体的にお話をお伺いしたいんですけれども、例えばお年寄りの方々と接する機会が僕なんかは多いものですから、薬代が幾らかかるというような不安な思いで病院に行かれます。支払いの際に、きょうは五百円ですねということで逆に拍子抜けをしたというようなお話もお伺いいたします。一方で、違う病院に行った人も、間違っているのと違うかなと、そういうお二人がお話をして、どう考えても年も一緒、病気も同じような状況なのに、Aさんは薬代を取られなくて私は薬代を取られた、ひょっとしたら病院の計算間違いではないかなというふうなお話もお伺いいたします。よくそういう質問をされるわけです。
 いわゆるマルメ点数などという言葉は、これは医療サイドでなければ知らないことですけれども、患者さんからいたしますとどこの病院が定額払い制でどこの病院が出来高払い制なのか、そんなことはなかなか存じ上げないわけですけれども、現実にマルメ点数を取り入れている病院がごくわずかではありますけれどもございます。大きなトラブルにはなっておりませんけれども、しかし今後は患者が医療を選択することになりますと、患者さんに対しての情報提供のあり方、現状においても配慮が必要ではないかな、こういうふうに自分自身は思うわけですけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
#163
○政府委員(高木俊明君) まさに患者さんに対する情報の提供は非常に重要でありますし、またそういった意味では医療機関サイドもむしろそういった面についてもっと気配りをしていただかなきゃならない時代に入ってきているというふうに思います。
 そこで、今の件で申し上げますと、一応システムとしましては病院内の見やすい場所に包括点数をとっているんだということを掲示しなければならないことになっております。ただ、お年寄りの方ですからなかなか気がつかれないというケースも多いでしょうし、それからまた医療の関係、言葉自体も今、先生おっしゃるとおりよくわからないという問題もあろうかと思います。私どももそういったことを教訓にして、やはりもっとそういった面における工夫なりあるいは努力というものを講じていかなきゃならないというふうに思っております。
#164
○西川きよし君 ぜひお願いをいたしたいと思います。今、局長さんがおっしゃったようになかなか意味合いがわからない、お年寄りの人は読めないというようなことがございますので。
 次に、国保組合についてお伺いをいたします。
 これも、時々ではあるんですけれども、実は私は何歳で仕事はこういった仕事で収入はこれくらいなんですけれども、私の場合は市町村の国保に入った方が得なのか、それとも国保組合に入った方が得なのか、きよしさん、どっちが有利なのか調べてもらえませんかというようなお尋ねをよくされるんです。
 このときに、素朴に自分自身も疑問を感じるんですけれども、国民皆保険の中で大多数の方々はみずから保険制度を選択することができません。隣の町の市町村国保の方が保険料が安くなるので隣の町の制度に加入するということはできないわけですから、そうした中でわずかに限られた方のみが保険制度を選択できることは公平なことであるかどうかという思いを持つわけです。
 この点について厚生省のお考えをお伺いしたいのと、市町村国保と国保組合のそれぞれの加入者の平均所得についてお調べがついておりましたらお伺いしたいなと思います。
#165
○政府委員(高木俊明君) まず、順序は逆になりますが、平均所得について申し上げたいと思います。
 これは簡単に比較ができないんですが、かなりそういう意味ではラフなものということで御理解いただきたいと思います。平成六年度で比較したものでありますが、市町村の国保の被保険者につきましては平均所得約八十九万円ということでございます。一方、国民健康保険組合に入っていらっしゃる方の平均所得が約百五士二万円ということでございます。
 そこで、最初の問題でありますけれども、確かにこの問題はこれまでも指摘されております。問題は、国民健康保険の中で、いわゆる国保組合ということで同種同業の方々について一部国保組合というものが認められてきたわけでありますが、そういった中で、損得の計算でも入れるような形というのが果たしていいのかという問題がございます。
 ただ、理念的にはやはり小集団で同種同業の方ということで、いわゆる相扶共済といいますか、そういった意識の中できめ細かい運営あるいは健康管理、こういったものを期待してできた制度であります。ただ、これはかなり沿革的なものもありますので、そういった意味では必ずしも正直に申し上げて、完全に制度の中においてだれの目から見ても公平、公正な制度なのかということになると、やはりいろいろ改善すべきものはあろうと思います。まさに、これは制度の枠組み全体、制度の仕組み全体を考える中において、この問題についてもやはり公平、公正という点を踏まえて考えていかなきゃならない。
 ただし、小集団の仕組みというものをどういうふうに考えていくのかということで、この小集団の仕組みのメリットというものもやはり大きなものはありますから、しかしそういったメリットというのを仮に生かすとした場合に、だけれども一方の弊害というものを是正する、そういうような視点でやはり考えるべきではないかということで、私どもも今後制度全体の仕組みを考える中においてこの問題を解決していかなきゃいけないと、こんなふうに考えております。
#166
○西川きよし君 ありがとうございました。
 国保組合の場合は加入は任意でございますので、国保組合が有利な方は当然のこと加入されるわけです。
 質問させていただくときにはいろいろ資料等を勉強したり、衆議院の方の議事録も読ませていただくんです。今、局長さんにお答えいただいたんですけれども、今後この国保組合のあり方というのをこれからはどういうふうにされていかれるおつもりなのか、今の御答弁で足りていると思いますけれども、いかがでしょうか。
#167
○政府委員(高木俊明君) これは、正直申し上げまして、かなり政治的なバックグラウンドもありますから、私どもとしてはそういった中で、しかしながら国民的な視点に立ってきちっとすべきものはきちっとしていく、そういった中でだれもが不公平感を持たないように、そういう制度だろうと思います。
 まだ具体的にどうするという答えは今持っておりませんが、基本的なスタンスとしては今申し上げたようなことで検討していかなきゃいけないな、このように考えております。
#168
○西川きよし君 ありがとうございました。
 随分本当に御丁寧にレクチャー等もさせていただいたり、また局長さんのよく接していただく態度に僕らは本当に感謝いたしております。自分がこの委員会にせっかく参加させていただきましたので、あえて素朴な疑問についていろいろお伺いしたいなと思います。
 次に、私は、医療保険の制度体系といたしまして、厚生省案で示されている第一案が望ましいのではないかと考えている一人でございます。厚生大臣いつも御答弁なさっておられます、私は第一案についてというお話をお伺いするわけですけれども、専門家の皆さん方の間では非現実的だとおっしゃる方々もいらっしゃるわけです。
 今後の少子・高齢化社会におきまして、医療、年金、福祉をどのような姿にしていくかは国民的議論の中で国民が選択をしていかなければいけない時代に入ってきていると思うわけです。そういう意味では、タブーをつくることなく議論を展開していかなければいけないと思います。そういう意味で、最後に厚生大臣に御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#169
○国務大臣(小泉純一郎君) 医療保険制度の改革というのは、総合的、多岐にわたってしなきゃならない問題だと思います。今の国保制度のみならず、保険集団のあり方を考えますと、高齢者医療制度をこれからどうするのか、さらには医療保険制度というのをどういう形で国民が支えていくのか、保険集団の改革の問題、さらには薬価基準の問題、診療報酬の問題、そして医療提供体制の問題、まさに総合的な問題だと思います。
 こういう中にあって、現実の医療のむだとか非効率をできるだけ排除していく、そして若い世代に将来過重な負担を押しつけないような、高齢者も若い世代もお互いがこの医療保険制度というのは支え合っているんだと、連帯感、協調性を持てるような制度改革ができるように全力で取り組んでいきたいと思います。
#170
○西川きよし君 ありがとうございました。
#171
○委員長(山本正和君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後三時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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