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#1
第142回国会 文教・科学委員会 第5号
平成十年二月十二日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大島 慶久君
    理 事
                小野 清子君
                北岡 秀二君
                馳   浩君
                小林  元君
                松 あきら君
    委 員
                井上  裕君
                釜本 邦茂君
                田沢 智治君
                長谷川道郎君
                江本 孟紀君
                本岡 昭次君
                山下 栄一君
               日下部禧代子君
                阿部 幸代君
                扇  千景君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        巻端 俊兒君
   参考人
       日本体育大学教
       授        浅見 俊雄君
       弁  護  士  斎藤 義房君
       福島大学教育学
       部助教授     黒須  充君
       財団法人日本
       サッカー協会会
       長        長沼  健君
       新日本スポーツ
       連盟事務局長   和食 昭夫君
       作     家  猪瀬 直樹君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○スポーツ振興投票の実施等に関する法律案(第
 百四十回国会衆議院提出)(継続案件)
○日本体育・学校健康センター法の一部を改正す
 る法律案(第百四十回国会衆議院提出)(継続
 案件)
○スポーツ振興法の一部を改正する法律案(第百
 四十回国会衆議院提出)(継続案件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(大島慶久君) ただいまから文教・科学委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 スポーツ振興投票の実施等に関する法律案、日本体育・学校健康センター法の一部を改正する法律案及びスポーツ振興法の一部を改正する法律案、以上三案の審査のため、本日の委員会に参考人として日本体育大学教授浅見俊雄君、弁護士斎藤義房君、福島大学教育学部助教授黒須先君、財団法人日本サッカー協会会長長沼健君、新日本スポーツ連盟事務局長和食昭夫君、作家猪瀬直樹君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(大島慶久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(大島慶久君) スポーツ振興投票の実施等に関する法律案、日本体育・学校健康センター法の一部を改正する法律案及びスポーツ振興法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。
 本日は、参考人の方々から御意見を賜った後、質疑を行います。
 まず、午前中は、日本体育大学教授浅見俊雄君、弁護士斎藤義房君及び福島大学教育学部助教授黒須先君に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に二言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 皆様方には、ただいま議題となっておりますスポーツ振興投票の実施等に関する法律案外二案につきまして忌憚のない御意見をお述べいただきまして、今後の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、議事の進め方でございますが、まず浅見参考人、斎藤参考人、黒須参考人の順序でそれぞれ十分程度で御意見をお述べいただいた後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、御発言は、意見、質疑及び答弁とも着席のままで結構でございます。
 それでは、まず浅見参考人から御意見をお述べいただきたいと存じます。浅見参考人。
#5
○参考人(浅見俊雄君) 浅見でございます。
 私の立場は、実はサッカー協会あるいはJリーグの理事という立場もありますが、この視点からの意見というのは、きょう午後の長沼会長あるいは十二月に川淵チェアマンが既にお述べになったりこれからお述べになると思いますので、私のきょうの立場は、スポーツ科学者というか学識経験者というような立場で、余り経験があるわけじゃありませんけれども、JOCそれから体協、それらのいろいろな事業に長年委員として参画してまいりました。また、文部省の保健体育審議会の委員も正規の委員と臨時委員と務めまして、日本の競技力向上のあり方、こういったものについていろいろ意見を述べさせていただいてきた経緯がございます。
 特に、保健体育審議会の平成元年及び昨年の答申、それから昨年JOCが出しました「JOCの将来にむけて」というパンフレット、こういうのがあるのでございますが、これの作成にも直接かかわっておりましたので、そういう立場から、特に競技力向上という視点を中心にしてスポーツ振興の日本の現状と、どうあるべきかというようなこと。ところが、スポーツのそういう頂点を目指す競技力の向上というのは、同時に底辺の広がりといいますか、スポーツの人口が広くなるということも一つの大きなファクターになりますので、そういった方面にも多少触れ、最後に、スポーツ振興投票というのが正式でしょうけれども、これからスポーツくじあるいはサッカーくじという通称で呼ばせていただきますが、それについての私の意見を簡単に述べさせていただきたいと思います。
 本来、資料をつくってお配りしなきゃいけなかったのかもしれません。後のお二人の方は用意されてきているんですけれども、一つは時間がなかったというのが言いわけになるんですが、もう一つは、昨年十二月十一日に開かれましたこの委員会の会議録を見させていただきましたら、そこでの八代さんそれから池田さん、このお二人が私が使おうと思うような資料とほとんど同じものを既にここでお出しになっていらっしゃいましたので、ここでは割愛させていただきました。
 そういったことで私の意見を述べさせていただきます。
 まず最初に、なぜ競技力の向上ということに国のレベルでお金をかけてまで取り組まなきゃいけないのか、各個人あるいは競技団体がその能力の範囲でやればいいじゃないか、それともう一つは、日本は何も世界のトップを目指さなくても、そこそこに競技をしていればいいんじゃないかというような御意見に対する私の意見、やっぱりそれは国のレベルで世界と堂々と戦っていくべきだという意見を述べさせていただきます。
 現在、ちょうど長野で冬季オリンピックが開かれています。清水君、里谷さん、この二人が大活躍して金メダルをとってくれた。それにどれだけ多くの人が感激したか、感動を与えられたか。その反面、原田君がああいうふうにちょっとこけたりすると非常にがっかりするわけですね。そういうような意味で、トップレベルのスポーツの成績というか、そういう人たちのスポーツに取り組む姿勢といいますか、それで競技成績、そういうものが非常に人に大きなインパクトを与える、それもプラスのインパクトを与える、そういう面はもう今回の経験でも十分おわかりだと思います。
 私どものサッカーでも、昨年十二月のイランとのワールドカップ予選最終試合で勝った瞬間、十二時も回っているという時間で、それこそ一千万人以上、もっと多いと思いますけれども、そういう人たちがテレビにかじりついていて、多分そのときテレビの前でみんなうおっと言って立ち上がったと思うんですけれども、こういったインパクトを与えられるものというのは人間の行為の中ではほかにはないんじゃないか。
 例えば、学術のレベルでノーベル賞というのがありますけれども、日本の科学者がノーベル賞をもらう、これは確かにうれしいですけれども、うおっと飛び上がるほどの、せつな的な感激かもしれませんけれども、そういったものはないだろう。それから、それだけ多くの人がということもないだろう。芸術なんかでもそうですね。先ごろカンヌ映画祭でたけしがグランプリをとったといっても、これはすばらしいといって感激した人がどれだけいるかというと、二日ほど前の清水君、あるいはきのうの里谷君はどの感激ではなかったと思います。
 そういった意味で、人の行っている行為の中でも、大きな感動を人に与えるものとしてスポーツは認識されるだろう。そしてその感動というのはやっぱり世界のトップレベルで、あるいは日本のトップでいい成績を残さないとなかなか与えられないものである、そういう性質のものだと思います。
 人間といいますか、人類と言ってもいいんでしょうけれども、なぜここまで人間がほかの動物と違って発達してきたかというと、未知のもの、今までできなかったものに挑戦していくことを繰り返して科学技術も発達させたし、芸術もここまで伸びてきたし、政治でも経済でもみんなそうだと思いますけれども、人間の営みというのはすべてそういうふうに、今までできなかったものをいかに克服していくかという努力の中で人類は発展してきたわけです。
 そしてそれは今も、個人のレベルで言えば、白紙の状態で赤ん坊で生まれてからその個人がどれだけの能力を拡大していくかということで、それぞれの個人あるいはそれを取り巻く社会がその人の能力をなるべく大きくするように働きかけるわけですし、スポーツというのも、それぞれの個人にとっての自分のできない動きあるいは出せない記録をどう出していくかという過程であるとともに、その中で素質にすぐれた人が本当に世界のトップを目指して頑張ろうとしたときに、やっぱりそれをみんながサポートしてやる体制というのがあってしかるべきだろうと。そして、特に今の世界のスポーツ、スポーツだけじゃなく科学技術でもそうですけれども、個人の努力とか小さな社会の努力、スポーツで言えばクラブとか一つの競技団体とか、それだけの取り組みではとても世界と一緒にやっていけない。
 それじゃ、そういう世界のトップというのは日本はあきらめて、ほかの国がやればいいじゃないか、そういう考えもあるかもしれません。しかし、そういったことでいえば、やはり日本人が優勝したのと外国人が優勝したのとでは日本人に対するインパクトの大きさというのは格段に違うわけです。
 三日ほど前にジャンニ・ロメというオランダの選手が男子の五千メートルのスピードスケート、ミズスマシで優勝しましたけれども、どれだけ日本の人がロメという名前を記憶にとどめているか、あのすばらしい世界記録にどれだけ感激したかというと、世界記録じゃなかった清水の五百メートルの活躍の方がよっぽど大きなインパクトを与えた。もちろん、科学技術でもそうですけれども、そういうものに国として取り組むというのには国益とかあるいは国威発揚という側面も確かにあります。特に、科学技術では国益という面は非常に大きいのかもしれません。
 しかし、それと同時に、日本がそれなりの役割を国際社会の中で果たしていく、世界の中で日本もそれなりの貢献をしていくということはやはり大きな意味があるんじゃないか。外国人だけがそれをやっていれば日本人は適当にやっていればいいんだという世界ではないだろう。これは何もスポーツのことだけではありません。人類が未知のところに挑戦していくあらゆる分野で日本も日本の国力に相応したなりの国際貢献をしていくべきだろう、そういうふうに私は考えます。
 グローバル化していく社会の中で何も日本人、日本人と言う必要もないじゃないかという意見もあると思いますが、例えば日本の国内でも百何十年か前に藩がなくなって、会津と薩摩が戦っていたのが一緒の日本人になった。そのわだかまりはしばらくあったけれども、今はそれがなくなっている世の中でも、例えば高校野球になればおらが県の代表、おらが町の代表が活躍してくれるとやっぱりみんなうれしいわけです。
 そういう意味で、どこまで行っても日本人、日本の国、そのうちに世界が一つになるのかもしれませんけれども、日本人というものは残ると思いますし、日本の土地というのも残ると思いますから、日本人が世界で活躍するというのは、あるアイデンティティーというか、そういうものをしっかりと持つためにはやはり重要だと思っています。
 ところで、日本の国際競技力、これはもう既に皆さんよく御存じのことですから余り言いません、決して強くはない。それにはいろんな側面があるわけですけれども、ハードの面、ソフトの面かるいはマンパワーの面。
 卑近な例で言いますと、清水君は学生のときにワールドカップに出られなかったことがあるんです。それは彼の競技力が不足して出られなかったんじゃなくて、選手に選ばれたけれども、御存じのようにお父さんがなくて貧乏していたものですから、ワールドカップに行くためには自己負担金というのを出さなきゃいけない、それが彼は出せなかったわけです。力がありながらお金が自分で出せないために行けない、素質がありながら行けないという事例がつい最近あったわけです。
 長野に向けてはJOCもそれなりのサポートをしましたから、その後はなくなっていると思いますけれども、そういうようなことが今どこのスポーツ団体にもある。より強くなろうと思うと自分で相当のお金も出さなきゃいけないという世界がまだあるというようなこと。選手個人でもそうですから、ましてやドクターとか科学者とかトレーナーとかそういうレベルになるとそれこそボランティアの世界で、自分の勤めているところに無理を言って、自分も多少の出費もしながらそういうところをサポートしていかなきゃいけないというのが現実の世界です。
 ハードの面でいえば、ナショナルトレーニングセンターは御存じのようにまだ日本にはありません。これも池田先生が話されたと思いますが、サミットの参加国でないのは日本だけだと。イギリスもまだ大きなきちんとしたのを持っていなくて、今つくり出しつつありますけれども、日本はようやく調査費というところで、ナショナルトレーニングセンターをどうするかという話がようやく出できたというレベルです。
 種目のトレーニング拠点をそれぞれが持っているというのは、今度サッカーにJヴィレッジというのが福島にできたという程度で、陸上競技場や水泳でも、プールや陸上競技場はあるんだけれども、競技会には使用できてもトレーニングで優先的に使用するというのは非常に難しいという状態です。それから、マンパワーについても指導者がまだまだ不足している。指導者についてもそうですし、こういうあらゆる面でもっともっとお金をかけないと、日本のスポーツを本当に振興させるという意味では不足しているというのが現実です。
 それから、みんなのスポーツの面でも、これは後ほどお話が出ると思いますけれども、これもまだまだ十分にはいっていない。スポーツの意味が昔と違って、好きな人がやればいいという時代から、特に健康という観点からいうと、すべての人がしないと体に弊害をもたらすというのがわかってきているわけですから、それは心の問題にも及んでいるわけです。そういうことを含めて、スポーツ振興にもっともっと国のレベルでお金をかける必要があるだろう。
 それじゃ財源をどうするかという話になるわけですけれども、もちろん税金とか企業からの寄附金とかいろいろな財源が考えられるわけですが、私はスポーツくじには賛成です。多くの国がそれでうまくやっているという知恵、それは学んでいいんじゃないか。
 それはギャンブルだという話がありますけれども、宝くじもギャンブルと言う人には、これは説得する能力は私にはありません。しかし、宝くじがあれだけ日本で受け入れられている。それと同じようなことで、しかもスポーツの好きな人たちがスポーツについて少し知恵を働かせて、知的ゲームを入れてそれで夢を買うというくじ、それが子供たちを含めたスポーツに還元されていくという仕組みは、私は決して悪さを伴ったものではないというふうに判断しています。
 サッカーをめぐるいろんなことで誤解も招いているようですが、もう時間も大分たっていますので、例えばサッカーにまつわる暴力とか買収とか、いろんなことで御心配になっている向きもあると思いますので、その辺は後ほど御質問があればお答えしたいと思います。
 時間をオーバーしてどうも申しわけありませんでした。
#6
○委員長(大島慶久君) ありがとうございました。
 次に、斎藤参考人にお願いいたします。斎藤参考人。
#7
○参考人(斎藤義房君) 斎藤でございます。
 私は、日本弁護士連合会の子どもの権利委員会の副委員長という役職にあります。子どもの権利委員会というのは、子供の成長、発達を支えるという活動をしている委員会です。その立場から御意見を申し上げます。
 結論を申し上げますと、私はサッカーくじ法案には反対でございます。ただ、スポーツ振興のための国の予算をもっともっとふやすべきであるということについては皆さん方と全く一緒であります。そういう立場から御意見を申し上げたいと思います。
 サッカーくじに反対する理由の第一は、日本弁護士連合会の会長声明にもありますように、これは法律的に言えばギャンブルであるということであります。
 試合の勝敗を当てることによってお金を得るという意味では、純粋に抽せんでお金を得るという宝くじとは明らかに法的性格が異なるものでありまして、これはギャンブルと言わざるを得ません。確率が高い低いということと、ギャンブルであるかないかということは法的には全く関係がありません。ギャンブルをサッカーに持ち込むということについては反対せざるを得ません。
 なぜかと申し上げますと、サッカーといいますのは子供の世界で非常に人気のあるスポーツなんです。そういう意味では、現在行われているいわゆる公営ギャンブル、競馬とか競輪とか、そういうものとは全く質が異なるだろう、子供に与える影響は全く異なるものがあるという立場から、極めて重大な問題を含んでいるというふうに考えております。子供の社会にギャンブルを持ち込むということについては、教育を考える立場からいえば重大な問題だろうというふうに思います。
 さらに言えば、このような制度が一たんつくられますと、私設のくし、いわゆるのみ行為というふうに言われますけれども、そういうようなものが非常に広がる可能性が高いと言わざるを得ません。それは子供の世界にも広がるだろうというふうに考えております。
 今、弁護士の活動をやっておりますと、ギャンブルにのめり込んだということで破産に陥ったとかあるいは家庭崩壊に陥ったとか、そういう相談が非常に多く持ち込まれできます。そういう方々は、やはり家庭とか職場とかで充実した生活を送っていないという方が多いのです。そういう方がのめり込んでいくということが多く見られます。
 きょうの新聞などでも出ておりますけれども、子供の遊ぶ金欲しさの非行というのが多く起こっております。ナイフを使って恐喝をしたとか強盗をしたというのがきょうの新聞にも載っておりました。子供たちの置かれた状態というのは、学校でも家庭でも非常に合すさんだ状態にある、非常にいらいらやあるいは悩みを抱えている、そういう状態にあるんです。そういう状況のもとに、このギャンブルを持ち込むということによってどういう影響を与えるのだろうかということを改めて考えていただきたいというふうに思います。
 さらに、このようなサッカーくじが持ち込まれることによって子供のスポーツ観にも影響を与えるのではないか。どうしても勝ち負けにこだわるという、そういう意識が強まるのではないか。勝つということはそれは大事です。しかし、子供の社会においてのスポーツは、単に勝つ負けるだけではなくて、その過程において友達とともに力を高め合っていくという、そしてその達成感を共有するという、その過程が重要ではないかというふうに思っております。そういう意味で、このサッカーくじが子供の社会に勝ち負けを優先するような考え方を持ち込むことについて危惧をせざるを得ません。
 さらに、今、子供社会、先ほども申し上げましたように、お金をめぐる非行がふえてまいりました。このサッカーくじをきっかけにして、新たな非行の誘因になるのではないかということを恐れます。くじを押しつけるとか、あるいはくじを持っている人からそのくじを取り上げるとか、さらには私設の子供の社会におけるのみ行為が行われる中でお金をめぐるトラブルが起こるのではないかということを危惧します。
 例えば、一人の子供から五百円で私設のくじをつくって三十人の子供からお金を集める、それだけで一万五千円になるわけですね。サッカーの試合の勝ち負けを当てることによってお金のやりとりをするというようなことが起こると、そういうことは犯罪行為になっておるわけですね、今度の法律によりますと。まさに新たな非行そのものを生み出すことになるのではないでしょうか。その結果、子供の社会にまたまた警察が入っていくということになります。こういうことについても、私どもは危惧の念を抱かざるを得ません。
 十九歳未満の子供については売らないと言っておりますが、これについて、本当にその実効性は担保できるのでしょうか。今、競馬、競輪、もちろん未成年者には売ってはならないと言っておりますけれども、現実には競馬の馬券を買っている高校生もいるわけであります。これは極めて限られた売り場でありますけれども、そして監視員もいます。そういう中でもやっぱり売っているんですね。
 今度のサッカーくじの具体的な運用を見ますと、ガソリンスタンドだとか、あるいは場合によってはコンビニエンスストアもその売り場に入っているようであります。そうなりますと、全国でコンビニエンスストアは五万軒あると言われておりまして、こういうところに監視員を置くなどということは考えられません。コンビニエンスストアのバイトの多くは未成年者でありまして、その子供たちが十九歳未満の子供に売らないなどというようなことが果たしてできるでしょうか。十九歳未満の子供であるというようなことを一々身分証明書を示して、そしてチェックできるでしょうか。競馬の馬券売り場ですらそのようなことはしていないのですね。コンビニエンスストアでそれができるとは到底思えません。そういう意味で、十九歳未満の子供に売らないというその法律の実効性については多大の疑問を抱かざるを得ません。
 その他、この法案には、プレーヤーとか審判員とか、こういうサッカーくじを取り扱う政府の職員その他はこのくじを買ってはならないとかいろいろうたっております。さらには、不正行為があった場合にはこれも処罰すると。もちろん政府の職員等がくじを買った場合でも処罰すると書いてあります。
 つまり、不正の発生というものをこの法案自体が予測しているわけであります。これは、世界各地のサッカーくじを導入している国でもそういうトラブルが起こっているということは事実であります。そういうことが起こるということをこの法案自体が予測しているわけでありまして、そのようなことをあえてこの時期に日本のサッカー界に導入する必要があるのだろうかということも危惧しているわけであります。
 財源の問題がいろいろ言われておりますけれども、財源はこの行政改革の中で、皆さん方の努力の中で必ず生み出せるのではないかというふうに考えております。公共事業の見直しということに本気になって取り組まれるならば、三百億円という予算ができないわけがないというふうに考えます。
 経済同友会が九七年の三月に発表した文書の中に、このような記載があります。
 九五年度内に消化できず、九六年度に繰り越しになった四公共事業(道路、河川、港湾、農業・農村)の繰り越し合計額は、一兆七千六十一億円、当初予算比一七%にのぼった。原因は、年度内に消化しきれないほど予算を計上したためである。
というふうに、経済同友会が九七年三月に発表した「こうして日本を変える」というパンフレットにうたっているわけであります。
 この使い切れなかった一兆七千六十一億円の一・八%をスポーツ予算の方に回せば、三百億円を超えるお金はできるのであります。ぜひ国会議員の皆さん方の御努力で、せめてこの程度の財政改革はやられたらいかがでしょうかということを申し上げたいと思います。
 とりあえず私の意見は以上のとおりです。
#8
○委員長(大島慶久君) ありがとうございました。
 次に、黒須参考人にお願いいたします。黒須参考人。
#9
○参考人(黒須充君) 福島大学の黒須でございます。
 我が国の中枢として御活躍なさっておられる諸先生方を前に、このような場を与えていただき、大変光栄に存じます。何分、若輩者でございますので、さきに述べられたお二人の先生方のすばらしい御発言には遠く及びませんが、私なりに、短いドイツでの滞在経験を交え、我が国における総合型スポーツクラブのつくり方をテーマに、感じたままを率直にお話しさせていただきたいと思います。
 最近、子供たちの信じられない事件がマスコミ等で報道されていますが、今の子供たちは物質的にも経済的にも満たされている反面、精神的にはいらいらすることが多く、さらには群れ遊びの減少やスポーツ離れがそれに拍車をかけ、ストレスのはけ口や身体的なエネルギーを発散する場をなくしてしまっているように思われます。火山のマグマのように自分の中で沸々としたものを抱え込んでしまい、それが日常のちょっとしたきっかけで爆発してしまう、つまり「キレる」と言われる社会現象を見るにつけ、大人も子供も生活に潤いがなくなってきているのではないかなと感じております。
 そういう私自身も、日々仕事に追われる毎日の中で、なかなか潤いのある生活を送っているとは言いがたいのですが、ドイツでは、私の研究テーマである地域のスポーツ事情を知るためということもあって、早速近くのスポーツクラブに入会、また、研究材料として娘たちも体操クラブに入会させました。そこで感じたことは、ドイツにおけるスポーツクラブとは、単なるスポーツをする場といった意味だけではなく、地域住民にとってなくてはならないコミュニケーションの場として、人々にとって精神的な潤い、つまり潤滑油の役割を果たしているということでした。
 一方、我が国に目を向けてみますと、スポーツ振興法以来、だれもがスポーツに親しみ、かつ世界で活躍できる選手を育成する基盤づくりを目指していることは明白ですが、いまだスポーツが人々の生活の中に定着していないこと、オリンピックや世界選手権等において日本選手が低迷を続けていることなど、先進諸国に比べ立ちおくれていると言わざるを得ません。
 資料一ページの「スポーツ振興法」を御確認ください。
 なぜ、早くから取り組んできたにもかかわらず実現されてこなかったのでしょうか。
 結論を先に申し上げれば、本来、最初に取り組むべき土台、基盤づくりが後回しにされてしまったこと、言いかえれば、我が国のスポーツ体制がもはや限界に差しかかっていることに気づきながらも、抜本的な改革が先送りされてしまったことによると思われます。
 そこで、ドイツのシステムを参考に、我が国の生涯スポーツ振興モデルの作成を試みました。図1をごらんください。
 生活の中のスポーツは、あらゆる人々がともにスポーツを楽しむことができる地域のスポーツクラブを中心に展開され、その中で行われる大会も、勝つことではなく人々の交流を目的として企画されます。また、すべての人が個人の自由意思に基づき、それぞれの生活のリズムに合わせ、わずかな会費で気長に続けられるといった特色が必要です。
 一方、競技スポーツは、学校とスポーツクラブの連携から、将来有望な選手を発掘し、有給の国家コーチの指導のもと、才能を引き出し開発することを目標とし、勝敗を軸に、より上のレベルを目指していきます。すなわち、図1に示しましたように、総合型のスポーツクラブを基盤として生涯スポーツの推進を図り、その過程で生活の中のスポーツや競技スポーツが盛んになるといった図式が望ましいのではなないでしょうか。
 底辺を拡大することによって競技スポーツの振興を図るといった従来のピラミッドの構造ではなく、生活の中のスポーツと競技スポーツの独自性を踏まえながらも、その基盤、根底の上で両者が連携、移行するといった連続性を保つことによって、だれもがスポーツに親しみ、かつ世界レベルの選手、チームを輩出するシステムに一歩近づくことができるのではないでしょうか。
 ドイツでは、一九六〇年に施行されたゴールデンプランにより、学校と地域住民の共同利用を目的とした公共スポーツ施設の建設が進められ、従来の男性、若者、競技者中心のスポーツから一般市民も利用できる総合型スポーツクラブをつくり上げました。
 一方、我が国では、学校運動部や実業団、そして地域のスポーツクラブも単一種目型で閉鎖的、少数の固定化されたメンバーによる競技志向型といったイメージが一般的でした。文部省では、こうした既存のスポーツクラブのイメージから脱却するため、平成七年度から総合型地域スポーツクラブ育成モデル事業を実施し、我が国の生涯スポーツの振興を考える上で、地域に根差したスポーツクラブの育成、つまり学校という枠を取り外し、地域社会のレベルでスポーツを展開することが重要な課題となっていることを打ち出しました。
 もちろん、スポーツは個人の自主性、自発性を尊重するものであり、すべての人々がこうしたクラブに所属してスポーツをしなければいけないということでは決してありません。しかし、グローバリゼーションの時代を迎えた今、これまでの学校中心、行政主導、単発的な一日行事型のシステムを見直し、地域に根差した多種目型の公共性を伴ったスポーツクラブを育成することは、クオリティー・オブ・ライフを求める個人のみならず、少子化、高齢化へと加速する我が国全体にとっても必要不可欠であり、何よりもスポーツを文化として育てていくための重要な基盤づくりとなり得ることは言うまでもありません。
 そうした意味で、今回文部省が打ち出した総合型地域スポーツクラブ育成事業は、ドイツのゴールデンプランに匹敵する革命的な事業として位置づけることができるのではないでしょうか。
 これからの生涯スポーツを推進する基盤として、総合型のスポーツクラブに寄せる自治体の期待は高まっています。しかし、実際のところ、現体制に限界を感じつつも、具体的にはどうすればいいかといった情報が極めて少なく、暗中模索している自治体が多いように思われます。
 ただ、そうした中においても、既成の枠にとらわれず意欲的に変革に取り組んでいる地域も見られます。地域スポーツクラブ連盟を設立した秋田県琴丘町、学校と地域の共生を目指して結成された愛知県半田市にある成岩スポーツクラブ、宮城県の社団法人塩釜フットボールクラブなどの活動は、身近な実践例として学ぶべき点が多いと思います。
 このように、クラブづくりへの機運は確実に高まりつつあるものの、全国的に見た場合まだ特別な試みとして見られていることも事実であり、残念ながら市民権を得ているとは言えません。しかし、外で働く女性が特別視されていた時代から現在では当たり前の時代を迎えているのと同様に、恐らく総合型クラブもいつの日か市民権を得る日がきっと来ることと確信しております。
 御存じのように、ドイツのスポーツは、学校や企業中心の日本とは異なり、地域のスポーツクラブを中心に普及発展してきました。しかし、この盤石とも思えたドイツのクラブシステムに異変が起きています。ある論文によれば、今日のドイツのスポーツクラブは社会との接点を失いかけており、人々のクラブ離れを招いていると書かれていました。これまでの我が国は、ドイツのスポーツをどちらかといえば一方的に、またはあこがれの対象として取り入れてきましたが、これからは、ドイツのスポーツシステムが現在どんな問題を抱え、それをどのように解決しようとしているのか客観的な見方でとらえ、判断した上で取捨選択していく必要があるのではないでしょうか。
 資料の四ページから六ページまでをごらんください。
 ドイツ中西部、ケルンの隣に位置するクライスノイス市は、こうしたクラブの危機的状況を乗り切るため、ケルン体育大学スポーツ社会学研究室とタイアップし、生涯スポーツ振興のプロジェクト、ダス・フィーアツーレン・モデル、四つのドアモデルに取り組み、大きな成果を上げています。
 六ページの写真は、市庁舎の中で、パット市長、正面奥の右手に写っている方です、とそれぞれのドアの前に立つスタッフを写したものですが、人口約四十三万人の市民のスポーツ行政をたったの六人で行っていることにまず驚かされました。
 その理由について市長に尋ねてみたところ、地域にあるそれぞれのスポーツクラブが自主運営をするためのノウハウを持っていること。主体は住民にあり、行政体はイニシアチブをとる機関ではなく、あくまでも応援する機関であるといった二つの答えが返ってきました。
 説明を受けた限り、ノーコントロール・ウイズ・サポートの精神が生かされていましたが、帰り際に市長がそっとある仕掛けについて教えてくれました。例えばここに公共の福祉政策のために五百万マルクの予算があるとする。我が市では、そのお金を使って福祉施設を建てるのではなく、地域のスポーツクラブを支援するために費やすであろう。なぜならば、住民の四分の一の会員を占めるスポーツクラブの活動それ自体がクライスノイスの公共の福祉に貢献していることになるのだから。
 まさに、発想の転換が成功のかぎと言えると思います。
 これまで、総合型地域スポーツクラブを基盤としたシステムへの再構築が我が国の生涯スポーツ振興のかぎを握っていることについて述べてきましたが、ドイツでもサッカーくじの収益がゴールデンプランの実現など地域スポーツの環境整備に使われており、国民の理解も得られております。我が国がスポーツ振興投票制度を導入する場合においては、その収益を、さきに述べた地域住民主体の総合型地域スポーツクラブを全国各地に育成、定着させ、さらにその質の向上、維持という目的のため、国民の公正な判断に基づき、透明性を持たせた上で使われることが大前提であると考えます。
 目指すべきビジョンを明確に示し、我が国のスポーツの未来図を描く上で、総合型スポーツクラブを基盤とした体制へと転換することが仮に正しい方向であったとしても、だれかがメスを入れなければ変わりません。今がまさにそのときであり、サッカーくじにはその起爆剤として、また原動力としての効果が期待できることを最後に申し上げ、私の発言を終わらせていただきたいと存じます。
 ありがとうございました。
#10
○委員長(大島慶久君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 なお、参考人の方々にお願いを申し上げます。時間が限られておりますので、御答弁はできるだけ簡潔にお述べをいただきますようお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
#11
○馳浩君 自由民主党の馳浩と申します。
 お三方には、それぞれの立場から非常にわかりやすくこの法案についての御意見、御不安、いろいろ述べていただきまして、本当に深く感謝を申し上げます。私も、このオリンピック開会中にこうして国会においてスポーツ振興に関する議論を皆さんと一緒にできるということに深く感謝をしたいと思います。
 浅見先生から冒頭にもありましたように、清水選手、里谷選手の活躍を見るにつけ、総理ももちろんそうでしたが、我々見ておって非常に感謝をする気持ちをいただきました。感動や勇気、おれも頑張ればできるんだなというふうな観点で、スポーツに対しての感謝の気持ちを深く持ったということを私は正直に述べさせていただきたいと思います。
 そして、このスポーツ振興の予算に関しましては、まさしく国家予算の中から、そしてスポンサー等から基金を積み上げていただいておりますスポーツ振興基金の運用金の中から、そしてこのスポーツ振興投票に基づく収益金の中から十分に拠出されて、黒須先生が最後におっしゃったように、明確なビジョンのもとに日本の生涯スポーツを振興していくという形をとるべきではないかと私は思っております。
 きょうは原案についてということでお三方の参考人に来ていただきましたが、私は既にこの文教・科学委員会に対して修正案を提出しております。よりよい法案としてこのスポーツ振興投票制度が実施されますようにということで、三点についてその公正さが図られるべきであると。
 一点は、これは日本体育・学校健康センターが運営主体になっておりますので、そのセンターの運営の公正さを図るという点。二点目が、対象試合開催機構、すなわちJリーグのサッカーの試合、それにかかわる関係者、これらが公正にサッカーの試合を行うことができるような観点。もう一つが、得られる収益金の分配金の公正さの観点から既に修正案を提出しておるということも踏んまえて、私は御質問あるいはスポーツ環境整備に関する御意見を伺いたいと思います。
 浅見先生にお伺いいたします。
 スポーツ自体はフェアに、ルールに基づいて行われるということが大前提でありまして、その観点から私は大変心配しておる点択一点あります。これはドーピング問題であります。
 実は、日本のアンチドーピング体制、ドーピングの検査体制、これは非常に不十分であるという指摘がIOCのメロード医事委員長から指摘をされております。この報道が二月一日に新聞等々でされました。薬物を使って不正に競技力を向上させるというふうな姿勢というのはスポーツ界にはあってはならない。まさしくこれは、むしろ青少年の薬物問題にもかかわるような本当に恥すべき行為であると思いますが、この日本のアンチドーピング体制というものに対して不十分であると。検査体制も不十分、それから分析機関が、これは三菱化学ビーシーエルがIOC公認分析機関としてありますけれども、ここだけで十分なのか、あるいは上層機関が十分なのであるか、いろんな観点からこれは考えられるべきであると私は考えますが、浅見先生はスポーツ医科学の観点からの御見識があるということでお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#12
○参考人(浅見俊雄君) その点についてお答えいたします。
 確かに日本のアンチドーピング体制というのは、いわゆるスポーツの先進諸国に比べるとかなりおくれております。
 御指摘になったように、検査機関は三菱化学ビーシーエルという民間の企業ですし、そこにJOCを通じ多少の補助をしていますけれども、そこに頼っているのが現実です。それから、そこのスタッフもほかの仕事をしながらかかわると。
 それより何より、日本のスポーツ界全体でまだアンチドーピングについての認識が非常に低いということがあります。実際にドーピングのテストを今実施している団体はごく限られています。陸上、水泳、サッカー、あと重量挙げ、レスリングもやっているかな、しかも検体数が年間千までいっていません。ところが、例えばスペインでいいますと一万をはるかに超えているんですね。そのくらい毎年きちっきちっと検査をしている。
 ドーピングというのは、スポーツのフェアということを保つ要素もありますが、もう一つ忘れてならないのは、青少年に対するドラッグに対する恐怖の教育といいますか、その観点が各国とも非常に重要視されています。
 日本でも現在麻薬の青少年への広がりが見られている。この間の調査でもかなりのパーセントでそういう兆候があるというようなことが出ていますので、そういう意味でアンチドーピングというのはもっともっと確立していかなきゃいけないのですが、何分にもそういう検査機関、それから全体を調整する機関、そういうものがようやくその設立のための準備が進められている段階で、非常におくれていると言わざるを得ない。
 そういう中で、薬というものが外国の影響も受けて日本の国内でもだんだん広がりつつあるという現実がありますから、ぜひこれは早く国のレベルでも対処していただきたいと考えています。そして、それにはどうしてもかなりのお金が要るということもまた事実です。その点も述べさせていただきます。
#13
○馳浩君 関連してでありますが、浅見参考人は日本体育大学に奉職されているということであります。スポーツあるいは学校体育の指導者を育成する大学でありますが、そのドーピングに関する十分なカリキュラムといいますか、スポーツの指導者たる学生たちに対してあるいは教授の皆さん方の認識を深めるため、そういうカリキュラム等に理解が図られているのかという点を、現場におられるわけですから、お伺いしたいと思います。
#14
○参考人(浅見俊雄君) 私が日本体育大学に移ったのは昨年の四月からですので、まだそういうところで十分発言する機会も持てないでいるんですが、確かに指導者育成の面でも、それから選手に対する指導の面でもドーピングに対する取り組みは非常におくれていると言わざるを得ないというのが現実です。
#15
○馳浩君 実はもう既に今般のオリンピックにおきまして金メダルをとった選手がドーピングで陽性反応を示し、もちろんそれに対して本人並びにその国の関係者は訴えるというふうな形で提訴するという事態になっております。これは対岸の火事というだけではなくて、意図的ではなくむしろ無意識にもそういうドーピング問題に関与してしまうということもありますので、この体制を十分整える、そして指導者を育成する現場においても正式なきちんとしたカリキュラムのもとに、ドーピングはいけないことだという根本的な理念から十分に教えていただきたいし、その体制を整備するのがこれまた文部省の役割でもあると思いますので、この点についての議論をさらに私も深めていきたいと思います。
 次に、平成十二年に国立スポーツ科学センターが開設されることになっておりますが、私の期待は、今、日本で三つほどありますけれども大学院大学、スポーツに関してはここのスポーツ科学センターにおいてこそ行っていただき、スポーツのもちろんルール、技術、フォームあるいは設備、いろんな点に関して科学的なアプローチをしていただきたい。これはトップレベルばかりではなく生涯スポーツあるいは身障者のスポーツに対してもそういった観点からのサポートができるようにしていただきたいと思います。
 その国立スポーツ科学センターが開設されても、その次にはソフトウエア、ヒューマンウエアが充実されていないことには宝の持ち腐れになるわけでありまして、この点についての御要望といいますか、逆に御指摘、この点がありますれば浅見参考人にお伺いしたいと思います。
#16
○参考人(浅見俊雄君) 私も国立スポーツ科学センターの計画の段階からずっとこれにいわゆる学識経験者という形で参与していたんですが、これから建設が始まるわけですが、現在もそれの調査研究の準備のための委員会の委員長を仰せつかっております。
 そういう立場からぜひここでお願いしたいのは、確かに箱物はあと三年かけてできます。そのときにできたものはかなり、かなりというか、中の備品も含めて世界でトップレベルのものができると私は考えています。それはこれからの予算のつき方にもかかわるわけですけれども。
 しかし、そこで現在考えられている定員は二十一名です。事務職員も入れて二十一名。できる建物の大きさというのは横が百メートルあって、それで七階建てというような建物ですから、二十一人を七階に割れば一階に、百メートルもあるタンカーみたいなところに三人しかいないという、これで一体何ができるんだろうかという気がしております。
 もちろん、馳先生の御指摘にもあったように、大学院との連携で若い研究者をそこに何とか迎え入れる形をつくるべく今いろんなことをお願いしているところですが、でき上がることは事実なんですけれども、その後の運営、それから備品はどんどん古くなってきますから、そういうものの更新、そういうことを含めてやはりかなりの予算的な措置が講じられないと、箱はできたけれども中がちっとも動けないという状態になる。それを私は非常に危惧しています。
 そういう点で、ぜひこの委員会におかれましても、日本の中枢としての機能を果たすところですから、その辺の御配慮をぜひお願いしたい、こんなことを要望させていただきます。
#17
○馳浩君 時間がありませんので最後の質問になりますが、私は黒須参考人にお伺いしたいと思います。
 昭和三十六年に議員立法でできましたスポーツ振興法について非常に御理解が深いということで、これは個人的な観点でもありますが、この法律は、プロとアマの規定であるとか、身障者スポーツに対する規定であるとか、あるいは生涯スポーツの振興というふうな観点からまだまだ不十分であり、この観点も踏まえながら日本のスポーツ振興の基本計画というものを、これは第四条に基づいて整備していくべきであるというふうに思っておりますが、私が指摘しましたこの三点について御意見があればお伺いしたいと思います。
#18
○参考人(黒須充君) 昭和三十六年にスポーツ振興法が成立して以来、数多くの施策が展開され、かなりの年月が経過しているかと思います。その間、我が国のスポーツがどれだけ進歩発展したのかなと、そういう素朴な疑問を正直持っております。
 今おっしゃられましたように、今の日本の現状というものは、スポーツをしたいと思ったときに、だれもが年齢や技術レベルに応じたクラブを選択することが可能ではない。幼い子供からお年寄りまで、また健康な人から体に障害を持つ人までを含む、いわゆる生涯スポーツに対応したスポーツシステムが確立されていないのではないかというやはり危機意識を持っております。このままこれまでの我が国のやり方を行っていったとしても、生涯スポーツ社会に対応したスポーツとの接し方というものは難しいのではないか。今このときに大きな転換期に差しかかっていると思いますし、だれかがやはりメスを入れる、そういった役割が必要ではないか、そう感じております。
#19
○馳浩君 以上で結構です。
#20
○江本孟紀君 民友連の江本と申します。
 斎藤先生にちょっとお聞きしたいんですけれども、ギャンブルは悪であるという観点でこれは絶対反対であるということなんですが、そうすると、我々がこういうことを推進するわけですが、これもやっぱり悪でしょうか。
#21
○参考人(斎藤義房君) お答えいたしますが、率直に申し上げて、やはり悪を進めようとしていると言わざるを得ません。
 刑法という基本法があります。刑法は、賭博、富くじを禁止しているわけですね。明文をもって禁止しているわけです。これは本来あってはならない、この社会においてはあるべからざるものであるという前提に立っているんですね。日本の基本法がそうなっているわけです。これは、ギャンブルにのめり込むことによって勤労意欲を失う、正常な公共の意識を失うということを危惧しているわけでありまして、これは公共の利益に反する罪であるということが日本の刑法の基本原則になっているわけです。ですから、これはやってはならないことであるという大原則があります。
 ただ、日本の法律では幾つかの例外を別途特別法で認めているわけですね。競馬法とかその他がありますね。これはあくまでも例外でありまして、基本的には悪なんですね。弁護士会の見解は、日本の社会はもう十分例外をふやし過ぎているではないか、もうこれ以上ふやすことはないということなんです。
 一説によれば、パチンコも含めて三十兆円を超えるギャンブル社会だと言われているわけですね。イギリスはギャンブル王国と言われるけれども、せいぜい四兆円ぐらいじゃないかと言われております。その規模の大きさは世界に冠たるものであって、これ以上もう例外をふやさない方がいいというのが弁護士会のまさに一致した見解であります。子供に与える影響が大きい今度の法案は特に問題であるというのが弁護士会の見解です。
#22
○江本孟紀君 私は、弁護士さんの職業というのは、これは普通は悪党をやっぱり擁護するということでありますので、すべてが悪と言われたら、我々はこれはいいと思って、子供のためにも、そして国民の娯楽の一つにこういうスポーツを寄附行為で見てしまうというような考え方のものをつくっていくことは、これは非常に社会に貢献するという観点からこういう法案に賛成をしておるわけです。
 この前もある弁護士さんと私は食事をしたんですけれども、そのときに、あなたは賛成か反対かと言うから、私は賛成ですと言ったら、こんなものはとんでもない、悪だ悪だ、その方も確かにそう言われました。そうするともう話にならぬのですね。今度何かあったときにお願いに行きづらくなっていくんですよ。だから、公正中立な立場である弁護士さん、法律の専門家である方が組織を挙げて反対するというような声明を出されるのは私はちょっとおかしいんじゃないかなというふうに、日ごろ信頼をしておるものですから、だからもう少し私は幅の広い考え方を持っていただきたい。意見がこれだけある以上は、まとまってがんとやられると、実は私はどうもちょっとびびってしまうんですね。でも頑張りますけれども。ひとつよろしく。
 以上です。
#23
○松あきら君 よろしくお願いいたします。
 きょうは本当に三人の先生方ありがとうございます。
 私は、実は江本さんとはまさしく正反対の意見でございます。しかし、私ども帰るのが遅くなるんですけれども、今、毎日夜な夜なテレビで長野オリンピックをやっておりまして、本当にこれは感動また感激を与えられているなと、本当に日本選手しっかり頑張ってくれと、その思いは本当に強いんですね。スポーツ振興のためにはお金が要る、それもよく存じておりますし、そしてまた正直言って、さっき黒須先生ですか、ドイツではノーコントロール、そういうことをおっしゃいましたけれども、まさしくやはり国がお金を出すといろいろコントロールされる、ですからいろいろやりにくいというのもよくわかっております。
 その上で私は、これがサッカーであるから反対なんですね。今、毎日毎日ナイフ等の事件でこれは本当に毎日いろんな事件が起きております。そして、まさしく浅見先生もおっしゃったように、薬物も残念ながら青少年の間で今非常に蔓延をしている、主婦の間にも残念なことに出回ってきておるという現実がいろいろあるわけでございますけれども、その今の社会現状を考えますと、私は、今サッカーくじを導入するという緊急性というのがどうしてもわからないんです。
 そこで、一つ斎藤先生にお伺いしたいんですけれども、私もやはりこれはどうしても賭博やギャンブルであるということを肯定せざるを得ないというふうに思うんです。その一つは、このスポーツ振興投票の実施等に関する法律案を見ますと、三十二条の罰則には、五年以下の懲役もしくは五百万円以下の罰金、大変重い罰則がついているわけなんでございますけれども、これは、ほかの競馬とかモーターボートとか競輪とかいろいろ、これとかんがみましても非常に重いわけです。そして、常習的なのみ行為の罰則、これとほぼ匹敵する。こんな重い罰則をなぜこのサッカーくじに科さなければいけないのか、これ一つを見ましても、やはりこれは賭博やギャンブルと同じなんです。そういうものであるからこんなに重い罰則を科している、私はこう思いますけれども、いかがでございましょうか。
#24
○参考人(斎藤義房君) お答えいたします。
 私も、この法案の条文を見ますと、罰則規定が本当に厳しく定められているというふうに感じました。
 刑法で言う賭博罪は、罰則は五十万円以下の罰金、科料です。常習賭博で三年以下の懲役です。そういう刑法の罰則と比較してもサッカーくじ法案の罰則は非常に厳しい。恐らくこの法案の提案者は、これだけ厳しくしているんだから不正は起きないであろうということを言いたいのでしょうけれども、逆に言えば、それだけ不正が発生する危険性が高いということを認めている裏返しの表現ではないかということなのです。そういう意味では、ある意味ではこのサッカーくじがギャンブルであるということを認めるとともに、それによるのみ行為とか、さらには不正の発生の危険性も高いということをこの法案自体が認めていると言わざるを得ないと思います。
#25
○松あきら君 ありがとうございます。
 私も本当に重ねて申し上げたいのは、スポーツ振興に対してお金を、この予算は要らないとかそんなことはもう絶対言っていないんです。しかし、一つ私ちょっと頭にきていることがあるんですけれども、この前も申し上げたように、諸外国と日本のスポーツ財源についてという、こういういろんなのが出ているんですけれども、これ実は地方が書いてないんです。地方のいろいろスポーツ関連予算を見ますと、何と一兆円近いお金が使われている、この現実がございます。これはちゃんと調べればわかるわけなんです。
 ですから、日本の国から出るお金が、この間の大蔵省の方が百七十七億ですか、おっしゃっていたし、このあれによると三百六十六億、あるいは百三十三億だとかいろんな書き方があるんですけれども、それを見せて、国の予算が少ないからサッカーくじなんだ、そういうふうに言われますと、じゃ地方も合わせたら一兆円近いお金が出ているじゃないかと。地方分権がしっかりできているんです、ある意味では。しかし、まだまだ確かに、清水選手の話を伺っても、お母さんが土木の作業までなさって御苦労して今の選手に育てられたと。そして、御自分のお金もなかったからワールドカップにも参加できなかった。これこそが私は見直すべき大きな点であると思うんです。
 そういった意味で、健康維持のための生涯スポーツ、そしてまた指導者も含めた選手強化等々、これこそ国がしっかりやっていかなければならないんであって、これを私から言わせると、サッカーくじなんか導入しちゃってもしもいろんな事件が起きたらどうするんだと。今こんな状況をかんがみてもなおかつそういうふうにおっしゃるのであれば、反対に、一部の人を助けるためにたくさんの国民の子供たちをそういう迷える世界にほうり込んでもいいのかということを言いたくなっちゃうんですけれども、浅見教授とそして黒須教授に、なぜこのスポーツくじを導入しなきゃいけないのか、この緊急性についてお二方にお尋ねしたいと思います。
#26
○参考人(浅見俊雄君) 答えになるかどうかはわかりませんけれども、私もこういうことに随分長くかかわってきました。こういうスポーツの世界にお金が要るということを声を大にして私は言い続けてきたんですけれども、もう二十年以上になりますか、一向に変わりません。要するに、国の政策といいますか、予算でつけられないと言われるんです。それはいろんなことがあるんでしょうけれども。確かに、お金はどこから来てもいいといえばいいんです。
 アメリカなどは寄附から相当のお金を入れている。これは、ドネーションというのが社会一般の、習慣というと変ですけれども、いろんな形で何かに寄附をするというのがアメリカ社会では一般的に広く行われる行為ですから、スポーツにもそういった形でお金が相当入ってくる。日本ではなかなかそれが期待できないという現実がある。企業の方も、好況のときはいいけれども、こういう不況になってくるとなかなかお金が出せない。
 そういう中で、それじゃどういう方法でお金がスポーツの世界につくれるかといういろんなことを考えると、やはりドイツ、イタリア等、特にヨーロッパですけれども、そういう国でやっているスポーツくしというのは非常にいい考え方であるというのが私の考え方です。
 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、税金というのはいや応なしに全部入ってきますから、もちろんそこから出すお金というのも非常に大切なんですけれども、さらにそういったスポーツに関心を持っている人たちが何がしかのお金を、寄附では出しにくいんだけれども、こういう形でなら非常に簡単に出せるという仕組みですから、非常にいい方法ではないかと。
 ともかくスポーツ界全体にお金が非常に要るということが御認識いただけるのなら、じゃ税金で出していただけますかと逆に私は聞きたいんです。ここ何十年、スポーツ界がいろんな形でお願いしても予算のいろんな仕組みで動けないという中で、それじゃ新しい財源を求めざるを得ないというのが私の考えです。
#27
○参考人(黒須充君) 一つが、私が先ほど述べてきましたように、次の世代につながるクラブであって、地域とのつながりのあるクラブに方向転換していかなければいけない、そういうふうに一つ考えております。
 二つ目が、ドイツの例で申しわけございませんが、一九七二年のミュンヘン・オリンピック、そしてその後のワールドカップを開催するために、通称テレビくじ、グルックスシュピラーレというものを導入しております。またフランス等では、近隣のイタリアとかドイツ、イギリスがそういったスポーツくじでスポーツ振興を図っていることから乗りおくれてしまったということで、正確な数字は覚えておりませんが、一九八五年だったかと思います、導入していったという事実があります。
 そういった点から考えまして、例えば日本の場合は、サッカーのワールドカツプが開催される、または大阪でオリンピックが開催されるかもしれない、そういううねりの中で何か一つきっかけというものは必要なのではないか、私はそういう立場で発言を申し上げたつもりでおります。
#28
○山下栄一君 斎藤参考人にちょっとお聞きしたいんですけれども、先生のお考えは、今回の法案の中身は本来は賭博罪に当たる、そういう内容を導入しようとしているというお考えなんですけれども、今回の法案の名称はスポーツ振興くじ法案になっているんですけれども、スポーツ振興賭博法案というふうに変えないとおかしいんじゃないかということじゃないのかなというふうに思いまして、法律の専門家の方々の中で、今回の法案の中身から考えて、これはくじじゃないぞ、賭博だぞというお考えが一般的なお考えなのかどうかということも含めてお聞きしたいと思います。
#29
○参考人(斎藤義房君) お答えいたします。
 法律家の議論としては、これは明らかに賭博であるということでは一致しております。
 ですから、日弁連の会長声明でも「(通称「サッカーくじ」)法案」ということでありまして、あくまでも通称ではこう言われておりますという意味ですね。まさにこのくじというものが宝くじと同じような意味なのだという形で通称として使われているとするならば、それは実体を誤らせるものであるというふうに言わざるを得ません。法律論としては、これは賭博であるということはもう弁護士会一致した見解です。
#30
○山下栄一君 黒須参考人にちょっとお聞きしたいんですけれども、私もスポーツ振興の必要性、特に地域スポーツ、これはもう大変重要であると。これからの日本のさまざまなことを考えて、地域の観点からのスポーツ振興は大変重要であるというように思っております。ただ、財源確保でくじというのは、この導入について非常に疑問を私は持っているわけですけれども、総合型地域スポーツクラブのモデル事業、これもやっと緒についたばかりであると。このモデル事業も国民的などんどん後押しを、まずそれが前提にあって、それでそれを文部省も支援していくという形が理想的だろうと思うんですね。
 先ほど浅見参考人もおっしゃいましたけれども、スポーツの競技団体というのは一生懸命今までも訴えてきたけれども、国民的な議論の中で地域スポーツの必要性というようなことがまだまだ認識されていないと。スポーツというのが生活に定着していないという現状の中で、私は、それをまず国民的な形の中に地域スポーツ振興性をしっかり訴えていって盛り上がってくるということがないとだめなのではないかなと。
 それは一般予算でこれからまだまだ押していく段階なのではないかなと。それがないのに別の財源でというようなことは基本的におかしいのではないかなと思っておるんです。だから、やはり行政主導型ではなくて、国民の皆さんの熱いそういう地域スポーツの振興性の認識の上にまだ立っていない状況であるという、そういうふうに私考えるんですけれども、どうでしょうか。
#31
○参考人(黒須充君) 現在の地域スポーツの現状は、これはスポーツ関係者にも責任があるかと思いますが、やはり仲間内だけのものになってしまっている。どちらかというと、地域または住民との距離というものを広げこそすれ、縮める役割というものは余り果たしていないのではないか、そんなふうに私は感じております。
 資料の最後のページをごらんいただきたいと思いますが、半田市の成岩中学校の体育館を建て直すということが持ち上がりまして、総合型スポーツクラブのモデル地域である成岩スポーツクラブがその体育館の建て直しを、ただ中学校の老朽化した体育館を学校施設としてつくるのではなくて、一階を学校の施設として、二階は地域に開放する施設としてということを陳情しまして、半田市が方針転換したと、こういう記事を載せさせていただきました。研究のために幾つかの先進地域を見て回っておりますが、とても熱い思いを私は現在感じております。
 総合型クラブの場合は、本当に自分たちに必要なクラブをつくっていくためには、地域住民というものはサービスの受け手であってはならないと思うんです。ですから、行政が形だけつくりなさいということではなくて、やはり住民とか子供たちとか、多くの人の支持、賛同を得るようなクラブをつくっていくということが大切だと思っております。それが国民の理解を今どの程度得ているかということは私もお答えできませんが、幾つかの地域が取り組んでいる事例は、確かに子供たちや地域の人たちを巻き込んで、これまで疎遠がちだった、カバーし切れなかったような人たちにもスポーツのよさを訴えかけていく可能性は持っていると感じております。
#32
○日下部禧代子君 きょうはお三方の参考人の方々、どうもありがとうございます。お忙しい中を貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
 まず、黒須参考人にお伺いしたいと思います。
 ドイツでの御経験を中心に、日本での地域におけるスポーツクラブのあり方、その必要性について大変興味深いお話をいただいて、ありがとうございました。地域におけるスポーツクラブの振興というのは、先生のおっしゃる、私も賛成なんですが、スポーツが文化である、あるいはまたスポーツを日常生活の中に位置づけるということで大変重要な役割を持っていると思うんですが、そのためにはいろいろな条件があるんじゃないかと思います。
 一つには、これは自然条件というのもあるかなというふうに思うんですね。ケルンは私は好きなところで何度も行っておりますけれども、御承知のようにケルン市の周りは森で囲まれています。これは、初代の市長アデナウアーさんがそういう政策をとったと。まさにこれは政治の力ってすごいなというふうに私思っていつも見ているんです。そういう森の中に池があり、そしてキャンプ場がありというふうに、市民たちが日常生活の中にスポーツを根づかせる環境が非常に整っているということが一つあります。そういった点で日本はまた比較しがたい問題点があろうかとも思います。
 また一つは、市民がそういう地域におけるスポーツをエンジョイできる、参加できる時間があるということもあろうかと思います。我が国の場合には、例えば子供は学校に非常に拘束されております。そして、親たちの方といえば、これは職場に拘束されております。そうしますと、やはり親の方の大人の場合は労働時間をどのように短縮していくかという問題があろうし、それからまた職場と住居との近接という問題がございます。これは、ドイツなんかと比べものにならないほど日本は職場と住居は離れておりますね、そういう問題。そしてまた、子供たちの学校による拘束時間をどのように減らすか、これ今文部省はやっているところだと思いますけれども。特にこのスポーツの問題においては、学校体育ということは非常にやはりいい意味で、問題があるにしても、日本のスポーツのあり方に大きな影響を与えてきたというふうに思うんですね。
 そういった観点から、学校体育の問題点、そしてそれをどのように変えていかなければならないのか。地域スポーツ、それから生活の中でのスポーツということを考えた場合に、どうしても学校体育のあり方というのは変えざるを得ないというふうに私は思いますので、どのように持っていったらいいのか。私たちのスポーツとの出会いというのは大体学校が一番最初、そして学校生活を離れると終わっちゃうみたいなところがあると思うんですが、とにかく学校でスポーツが楽しくない、義務化されちゃうというところが学校体育の悪い点でもあるかとも思いますが、そういう観点も含めて、まずその点についての御意見をお伺いしたいと思います。
#33
○参考人(黒須充君) まず学校体育、学校運動部についての私の考えですが、これまでは十分な役割を私は果たしてきたと感じております。どういったことかといいますと、これまでの日本が戦後五十年復興していくという中において、学校のシステムというのはしっかり組み込まれていた、そう思います。しかし、これから会社人間から地域市民へとライフスタイルが変わっていくとか、いろいろな社会の変化の中でこのままの方式が未来永劫続くかというと、やはりそうではない、スポーツの場合もやはり同じように考えるべきではないかと思います。
 若干経験談になってしまいますが、ドイツに一年ほど留学いたしましたときに、上の子が小学校の一年に入学しました。約十カ月間、父兄としてドイツの小学校を見ることができましたが、ドイツは原則的に午前中で授業が終わるわけです。午後は思い思いに過ごすことができるわけですけれども、これが子供たちだけではなくて、先生も子供たちと一緒に荷物を持って校門に出てきていたわけです。先ほども述べましたが、大人も子供もゆとりというものがそこに見られたということを実感しました。
 こういった生活のゆとりまたは学校のゆとりと同様に、スポーツについても全く違う数値というものが出てきております。
 以前、日本のインターハイを対象にアンケート調査をしたことがありますが、その練習日数は六・八日です。週七日毎日練習。それも朝、昼、夕方練習して、夏は監督が運転する車で全国各地を遠征している、そういうのがトップを目指す学校運動部の状況かと思います。ドイツのケルンにある1FCケルン、リトバルスキーや奥寺選手がプレーしていたところ、ですが、ここの同じ高校生チームの練習時間を調べたところ、週三日でした。ただ、高校生または子供たちが三日しかスポーツをしないのかというとそうではなくて、サッカーを三日やれば残りの二日はバスケットをやって、残りの二日はカヌーをやると。
 子供たちはスポーツがしたくてしたくて仕方がない。ただ、決して一つのスポーツに固執させない。日本の場合は、何かほかのスポーツをやろうとすると、片手間にやっているんではないかという見方をしてしまいますが、そういった意味でも、学校のゆとり、心のゆとり、スポーツにもやはりゆとりというものを感じられました。
 もう一点、データだけを説明させていただきますが、年間の総労働時間は、ドイツは今千五百八十一時間、日本は千九百十一時間で、三百三十時間、一日八時間で計算すれば約二カ月ほど日本人が多く働いていることになります。夏休みの平均も日本が八・一日に対してドイツは二十三・一日です。しかし、自由時間がないと不足を嘆く前に、自由時間に対する意識とか、これまで述べてきましたような心のゆとりというものをスポーツの世界の中でも考えていくことが、次世代の子供たちに対して豊かなスポーツというものを保証できるのではないか、そんなふうに私は、ドイツのたかだか十カ月だけの経験でしたが、とても印象深い出来事でした。
#34
○日下部禧代子君 先生にもう一度お伺いいたします。
 月刊体育施設というのにお書きになった論文を私拝見いたしましたけれども、ドイツと日本との違いについてということで四項目挙げていらっしゃったんです。一つは「お得意様」というのがあって、二番目が「一粒で二度おいしく」というのがありました。三番目に「棲み分け」というのがございます。四番目に「天秤ばかり」と書いてありました。時間が余りございませんけれども、日本とドイツの違いだそうでございますが、どういうことでございましょうか。
#35
○参考人(黒須充君) それでは、なるべくかいつまんでお話しいたします。
 まず、「一粒で二度おいしく」と、こういう言葉を述べていいのかどうかわかりませんが、ドイツでは仕事だけでは評価されない、そういうふうに言われているような感じがしました。仕事を終えた後にその人に何ができるかといった、仕事と地域に戻ってからの活動の両面でその人の評価が決まっている。つまり、残業をしている人というのは仕事ができない人という烙印を押されてしまい、地域に戻ってボランティア活動を行う人が社内でも評価される。仕事がすべての人よりも、仕事もボランティアもできる、すなわち一粒で二度おいしい人が社会から評価されている、そういったことを痛切に感じました。約三割がボランティアとしてさまざまな活動にかかわっている、こういったデータもドイツでは出ております。それが一つです。
 もう一つは「天秤ばかり」というものなんですが、日本の場合、例えば私が土日も仕事で家族と一緒に食事をすることは余りないとドイツの友人に話したところ、なぜだと、忙しいのであれば、家族と過ごす時間を大切にして、スポーツをする時間を取り入れることによって人生のバランスをとる必要がおるんじゃないか、なぜ日本人は仕事が忙しいからといってスポーツをする時間を削って家族と過ごす時間をなくしてしまうんだ、何のために生きているんだという言い方で、「天秤ばかり」で、忙しければ忙しいほどやはりスポーツを生活に取り入れなきゃいけない、もっともっと家族と過ごす時間を大切にして人生のバランスをとる必要があるんじゃないかと。そういう文化または生活の知恵の違いを感じだということを書かせていただきました。
#36
○日下部禧代子君 「お得意様」というのは。
#37
○参考人(黒須充君) 済みません、忘れてしまいました。
#38
○日下部禧代子君 意味は大体わかりました。つまり、生活の中におけるスポーツと言うからには、生活をどうするかということが非常に重要である、つまりライフスタイルのあり方が重要で、そのための環境整備ということがいかに重要かということだろうというふうに解釈いたしましてよろしゅうございますか。
 それでもう一つ、先ほど先生のお話の中に、一九六〇年から施行されたドイツのゴールデンプランのお話が出てまいりました。学校の施設を地域の住民と共同利用するということ、これは非常に興味深いと思いました。
 それからもう一つは、地域のスポーツクラブというのに対して住民の意見、つまり今日本で言われている言葉で言えば住民参加というのがかなり重要な役割をしているというふうにも私受けとめたわけでございますが、どのような形で具体的に住民の意見が地域のスポーツクラブに反映されるのですか。
#39
○参考人(黒須充君) まず、クラブ法というものがドイツにありまして、これはフランスで言えばアソシエーション法、日本で言えば今議論されているNPO法案に該当するのかと思いますが、七人集まればいわゆる公益法人として登録できる、そういう権利が出てきます。そういう法律にのっとってスポーツに関心を持ついわゆる共同体の人たちがスポーツクラブをつくりまして、そこが活動していくことがいわゆる地域の公共の福祉に貢献するんだ、そういう位置づけになっているかと思います。
 実際に活動することによって優先的に公共スポーツ施設を利用することができるとか、または何%かが州またはDSB、ドイツスポーツ連盟から補助されるとか、特典という言い方をしてしまってはいけないんですが、増分たちの地域の中での活動を支えるためのバックアップ、目に見えないものはしっかり整備されているかと思います。
 ただ、それだけに頼って活動しているのではなくて、自分たちでテニスコートをつくったりとかクラブハウスをつくったりとか、だれのためのスポーツではなくて自分たちのためのスポーツなんだということで、地域活動のいろいろなこと、決してスポーツだけにこだわらないさまざまな分野でボランティアまたは社会活動をしているという姿を見て、地域とのつながりが薄い我が国よりは地域に対してとてもしっかりと根を張ったものがフェライン、これはスポーツだけには限りませんが、音楽だ、宗教だ、いろいろな公共の法人がありますが、社会の中で生かされているというふうに私は感じました。
#40
○日下部禧代子君 その財政的な裏づけなんですけれども、スポーツクラブというのは公益法人ですね。そうしますと自主運営になるんですか。そうすると、費用と財政的なバックアップというのはどのように、具体的に費用はどこからどういうふうになるんですか。
#41
○参考人(黒須充君) 詳しい数字を今申し上げることはできませんが、まず大きなところから申し上げますと、ドイツの場合は十六の州それぞれが文部省というものを持っておりまして、そこで文教政策を行っているというふうに考えていただければいいかと思います。そして、ドイツの場合は、宝くじ、これはロットと呼ばれます。またはサッカーくじ、これはトート。あとは競馬、シュピール、こういったいわゆるサッカーくじに似たようなものの収益金の配分というものは各州独自に決定されています。
 例えばヘッセン州では、宝くじとかサッカーくじ等の収益金の三・七五%が州のスポーツ連盟に配分され、その配分されたものが各スポーツクラブに、私は五%という数字だったかと思いますが、各スポーツクラブの予算規模に応じて配分される。または、先ほど申し上げましたドイツスポーツ連盟からの補助というようなものもあるからというふうに聞いております。
 ただ、具体的な数字は今手元にありませんので、申しわけございませんがお答えできません。
#42
○日下部禧代子君 最後の質問ですけれども、今おっしゃいましたいわゆるトート、日本で一般的に言われているサッカーくじでございますけれども、これは一九四九年からスタートしているというふうに聞いておりますが、今、日本でさまざまな問題点が実行される前に出て、皆さんの御心配、私これは非常に無視できない御心配だというふうに思うんです。
 だから、そういうふうなことに関して、これは一九四九年、随分前からスタートしているんですけれども、先生のいらした時点で、あるいはまた文献によっても、問題点などが指摘されたとするとどういう点が問題点として指摘されておりましたでしょうか、例えば青少年に対する影響の問題だとかあるいは不正の問題だとか、収益金の配分に関する透明性の問題だとか、そういうことに対してどのような配慮がされているのか、あるいは問題点があったとしたらどういうことなのか、お願いいたします。
#43
○参考人(黒須充君) 問題点というのを私が見聞きしたことはありませんでした。ただ、研究のために、イタリア、イギリス、フランス、ドイツも含めてこういったくじの予算がどうなっているかというお話を聞きにそれぞれのスポーツ連盟に伺ったことがありましたが、特に問題点ということを積極的にそちらの方が言われたということは、私は記憶しておりません。
#44
○日下部禧代子君 ありがとうございました。
#45
○阿部幸代君 日本共産党の阿部幸代でございます。
 三人の参考人の皆様には貴重な御意見をどうもありがとうございました。
 初めに斎藤参考人に伺います。
 東京オリンピックの前にも日本版トトカルチョの構想が浮かび上がったというお話を先生からお聞きしまして、私調べてみたんです。
 当時は野球くじとか相撲くじが構想されていたようですが、今と全く同じような説明がされていたんですね。当せん率は非常に低く、人口十万人以上の都市で全国的に広く販売するから八百長は絶対に起こらないし、競馬のように一定の場所に客を集めることもないので勤労を阻害しない、むしろ家庭でクイズのように楽しめる、今とほとんど同じように説明がされていました。
 異なるのは政治家たちの姿勢でした。当時の橋本文部大臣は反対していました。もともと戦災復興のための競輪も、時期が来たらやめるべきだ、まして新しい賭博などもってのほかだ、こう言っていましたし、当時の町村北海道知事は、世界の若人がスポーツマンシップにのっとって集まってくるのに、ばくちの金で迎えるなど冒涜も甚だしいと、こういうふうにおっしゃって反対していたんです。いずれもギャンブル性というのを率直に認めていましたね。スポーツは広範な国民が親しむ文化ですから、それがギャンブルの対象にされるということに対する根深い反対というのがあったのは、私は当然のことだというふうに思うんです。
 ところが、今日さま変わりしまして、サッカーくじの提案議員はもとより、文部大臣も、それから文部省もサッカーくじはギャンブルでない、富くじ、宝くじだの一点張りで推進しているんです。法律の専門家として、このサッカーくじがギャンブルではないという、こういう今日のさま変わりした政治家や行政の議論についてどのようにお考えになりますか。特に、刑法上ギャンブルでないと言えるのかどうか、お願いします。
#46
○参考人(斎藤義房君) お答えします。
 私も繰り返し述べておりますけれども、これはもう賭博であるということは法的には明白です。これを賭博でないと言うのは、これは詭弁の何物でもないということですね。
 確率が低いということを言っておりますけれども、確率が低いことが賭博に当たらないという理由にはならないわけです。逆に、これは一等賞が一億円ぐらいですか、そういうことを言われておりますから、そうなれば大変な金額でありますから、場合によってはギャンブル性が高いというふうにも言えるわけです。競馬で一億円などという金額はまず入らないのではないかということを考えますと、大変大きなギャンブルではないかということも言えるわけです。
 確率のことを問題にするならば、一つが百円ですか、一万円で百枚買えるということになりますと、いろんな確率の関係で見ても、いろんな選択肢を選べるわけですから当たる確率も上がってくるということになりますね。ですから、確率云々の問題は法律的に言って賭博罪を構成しないというような理由には全くならないと言わざるを得ません。
 それから、御質問にありました、当時の橋本文部大臣のお話がありましたけれども、私もそれはいろいろ聞いたんですけれども、今の橋本龍太郎総理大臣のお父さんなんですね、橋本龍伍さん。この方が、当時の新聞を見ますと、はっきりとスポーツにギャンブルを持ち込むことは許されないと言っているわけです。これは非常に強く印象に残りました。そういう意味では、当時の政治家といいますか、国会議員の方々を含めて、それなりの良識を持ってスポーツをきちっと育てていこうということを述べていたということを改めてその時点で確認いたしましたけれども、ぜひその姿勢を維持していただけることを期待いたします。
#47
○阿部幸代君 日弁連子どもの権利委員会として、サッカーくじが子供世界に与える影響について大変危惧されているということ、先ほどのお話でもよくわかりました。特に、十九歳未満の子供へのくじの販売禁止規定の実効性について、これは大変危ういものである、実効性がないのではないかということも先ほどお聞きしたんですが、このこととかかわって、法案が子供の人権に及ぼす問題性について触れておられたと思うんです。
 私も子どもの権利条約というのを何度も読んだんですけれども、子供の最善の利益、最善の利益というのが何度も何度も出てきて、このことを締約国に要請しているんですよね。
 そういう問題意識で先生にお伺いしたいのは、今現在、子供たちの人権が脅かされている状況、その実態、並びにもしこの法案が実施されれば、サッカーくじが導入されれば、そういう子供の人権の問題がどのようになるというふうに見通されているのか、ちょっと具体的にもっとお話ししていただきたいんです。
#48
○参考人(斎藤義房君) お答えいたします。
 私ども、子供の権利の問題をいろいろ取り扱っているわけでございますが、その中で感ずるのは、今の子供たちというのは、やはり受験、そしてそれを前提とした内申書の問題などなどで、学校でも相当萎縮しているといいますか、ストレスを感じている。自分自身非常に所在を実感できないといいますか、自己存在意識が希薄化しているということを感じます。
 例の神戸の事件の脅迫文ですか、あの中に透明な存在という言葉があった。あの透明な存在という言葉については、かなりの子供たちが共感を感じているという実態があります。つまり、自分自身の存在価値が認められていないというようなそういう状況にあるんですね。つまり、学校でも家庭でも、自分自身が大切にされていて何物にもかえがたい存在なんだというような、そういうふうな受けとめ方をされているという体験が少なくなっている状況にあるというふうに思います。それが今の多くの非行の背景にあるのではないか。
 マスコミその他でも、普通の子供が突然非行に走るということが言われておりますけれども、それはそういう状態が今多くの子供たちの中に広がっているんだと思うんです。一見おとなしそうな子供でも、何となく自分自身に自信が持てないし、いらいらとかあるいは悩みを抱えているという、何かあったときにはそれが爆発するという状況があるんだと思うんです。そういう状況に置かれている子供たちの中に賭博を持ち込むということなんです。それが与える影響は大きいだろうと。
 冒頭に申し上げましたが、大人でも賭博にのめり込む人というのは職場や家庭で何となく自分自身の存在に充実感を持てない人たちなんですよね。自分自身にそれなりの充実感を持っている方はそうのめり込むことはないでしょう。しかし、そうでない人たちがのめり込む。子供が今そういう状況に置かれているという、それが普遍的な状態にあるという、そこを踏まえたときに、そこにギャンブルを持ち込むことの危険性は非常に大きいのではないかということを改めて申し上げたいと思います。
#49
○阿部幸代君 御存じのことと思うんですが、スポーツ振興投票の実施等に関する法律案及び日本体育・学校健康センター法の一部を改正する法律案に対する修正案が出される予定なんですね、自民党などから。内容は、スポーツ振興投票の実施の停止規定の追加、それからスポーツ振興投票対象試合開催機構の登録を受けた選手等の収賄の処罰規定の追加などなんですけれども、この修正案によって原案の持つ本質や役割が改善されるというふうにお考えでしょうか。
#50
○参考人(斎藤義房君) 私どもが申し上げている基本的な問題点というのはこれによって改善されるとは思えません。賭博性ということが失われるわけではありません。現実に実施によって多くの問題が生ずるだろうということですね。生じた後でどうこうするというのではやはり遅いのでありまして、私どもは、問題が起こる前の段階でそれなりのよりよいものを考えていくべきだ、つまりつくらない方がいいというふうに考えているわけであります。そういう意味では、若干の手直しがなされているようでありますけれども、この法案の基本的な問題点ということは全く解消されていないというふうに考えます。
#51
○阿部幸代君 どうもありがとうございました。
 次に、浅見参考人に伺います。
 大学ラグビー部員とかあるいはアイスホッケー部員などスポーツ部員の集団婦女暴行事件など、スポーツ選手の倫理性が大変問題になっているというふうに私は思っているんです。私など、スポーツマンシップというのは本来高潔なものであるというふうに期待しているんですね。ですから大変残念です。指導に当たる先生方も大変御苦労なさっているんだろうなということも想像できます。
 そのこととかかわって、私は、本委員会の昨年の参考人質疑の際の柔道の山下泰裕さんの意見陳述を思い起こすんですね。トップクラスの選手でも、勝てばいいんだろうと。学校教育の一環と言われる大学の監督の中にも、勝てばいいんだろう、勝ちがすべてだよ、こういうような方が実際におられます、すごく心配ですとおっしゃっていました。
 サッカーくじの導入は、小さいころから勝敗の結果だけに関心を持つ気風を助長し、ひいてはスポーツマンのモラル全体に今以上の悪影響を及ぼしかねないというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。
#52
○参考人(浅見俊雄君) 前段のモラルの問題は、私も日体大の教授の一人ですから、大変申しわけない事件をうちの学生が起こしたということでおわびするという立場なんですけれども、確かにこれは指導者の問題が非常に大きいと思います、子供のときからの指導者の問題。これは先ほどは余り触れられなかったんですけれども、やはり指導者の質、量とともに質が問われている問題で、スポーツさえすればいい人間ができるなんという考えは全く間違っていて、どういう指導をするかということで人間が育ってくる。
 それで、スポーツ指導の中で人間性の指導というのを非常にウエートを持って考えてもらえるような指導者をいっぱいつくらなきゃいけない。そういうことに関しても今の日本のスポーツ指導者の養成の仕組みというのは中途半端で、資格がなければ働けないという世界じゃない。結局ボランティアで働いていますから資格を問わずにというようなことにもなっているわけで、その辺の問題が一つ解決されなきゃならぬ。結局は、指導者養成の仕組みをもっときちっとつくって、いい指導者を広く提供していくということを国のレベルで考えないといけない問題だと、一つ前段はそれです。
 それで後段の、このスポーツくじが入るとどうして勝利至上主義になるのかというその論拠は私には全く理解できません。例えば、Jリーグの選手は最善の努力をして、勝とうと思って試合をします。これは当然のことです。その結果、勝ちがあり、引き分けがあり、負けが起こるということですね。その結果起きたものを利用してくじの当たりというのを決めるというのがこの法案で、ある意味では負けがあるということを子供たちが十分認識する場でもあると思うんですよね。自分のひいきのチームが負けるということも受け入れないと、くじは投票できないわけですね。そういう意味も含めて、何でこのくじが導入されると勝利至上主義が子供までいくのかという議論、これは全く私にはわからない議論です。
 むしろそれは、現在ある、どちらかというと小学校、中学校、高校のレベルで何としても勝ちたいという意識を持っている指導者をどう変えていくかということが一番大事な問題であって、くじとこの勝利至上主義というのがどこでどう結びついているのか私にはよくわかりません。
#53
○阿部幸代君 国際サッカー連盟のジョアン・アベランジェ会長が三年前にサッカー関係者の行動規範十項目を提示しているんですが、日本サッカー協会も、報道によりますと日本版の行動規範を三月中にも発表するというふうに伺っています。アベランジェ会長の示した行動規範は、勝利のためプレーする、フェアにプレーする、ルールを遵守する、相手選手、チームメート、レフェリー、役員そして観客を大事にする、尊厳を持って敗戦を受け入れる等々で、これをトータルとしてやっぱり青少年にも継承させたいというふうに思うんです。そのためにも、やっぱり創立間もないJリーグにはこの行動規範定着のためにこそ奮闘していただいて、もっともっと厚い層の国民的支援が得られるようになっていってほしいというふうに思うんですね。この点で、国民合意のないサッカーくじを強引に導入するべきではないというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。
#54
○参考人(浅見俊雄君) FIFAの行動規範までお勉強いただいているのに敬服いたしますが、日本サッカー協会で今私がその担当をしているんですけれども、実はきょうの午後の理事会にその原案を出します。まさにFIFAの出しているのを少し日本風にアレンジしたものです。くじのあるなしにかかわらず、我々はサッカーを初めスポーツでよりフェアなプレーが徹底することをもっともっとやっていかなきゃいけないということは事実で、それとくじが今の時点で出てきたというのは、先ほども申し上げた財源との関係で、特に絡めて議論できる話ではないというふうに私は理解しております。
 もちろん、そのくじがあろうがなかろうが、我々スポーツ関係者はスポーツというものを、もっともっとその価値を高めるためにいろんな努力はしていかなきゃいけないというのは事実ですが、くじが入ったからそれが影響されるというようなことは全くないと思っています。
#55
○扇千景君 三参考人におかれましては、本日わざわざ参議院の文教・科学委員会にお出ましいただいて、心から御礼申し上げたいと思います。自由党の扇千景と申します。
 実は、もう既にこの法案に対しての、るる世上なりあるいは新聞報道なりで国会内の動きというものをお三方ともよく御存じであろうと思います。私は、きょう御出席の各委員あるいは参考人のお三方も含めて、日本のスポーツ振興に対して国民として反対を言う人は一人もいないと言っても過言でないと思うんです。そういう意味においては、私もこの法案を提出しておりますスポーツ議員連盟の一員でもございます。ですから、先ほど斎藤参考人がおっしゃったように、公共事業を使い切れないで繰り越した金額から見れば、その二%も使えば三百億出るではないかと、なぜそれができないんだということを言われますと、私たち国会議員の力の至らなかった点、私はざんきにたえない点だと思うんです。
 けれども、今回この法案に関しまして、やっと目の目を見たと言う人もあるし、今まで危惧されて国会に上程されなかったという両面があろうと思います。法案自身にあるいは不備がないのか、まだそれだけ時期が早いのではないか。そして、たくさん問題があったにもかかわらず、衆議院ではどういうわけかあっという間に、三時間足らずで通ってしまいました。これも私は、衆議院のことを言うわけではございませんけれども、大変残念だと。これだけ世論でいろんな声があるにもかかわらず、委員会でほとんど審議されなかった。そういうことでは私は大変残念だと思います。まして、本会議に党議拘束をかけたにもかかわらず、衆議院では六十名ぐらいの人間がぞろぞろと本会議場から出てきたと。私は、参議院は参議院らしく審議しようと冒頭から委員長にも申し上げました。
 そして、参考人というのは去年済んでいると、前国会で終わっているんだからもうすることはないとおっしゃった党もあります。そして、もう審議は終わったと、もうこれ以上聞くことはない、早く通せ、早く通せと。きょうの参考人も意味がないとおっしゃった党もございます。けれども、参議院の良識が通りまして、きょう再び参議院のこの委員会で参考人の御意見を伺うという機会が得られましたので、これも一つは、手前みそみたいですけれども、少しは参議院の良識の一端だというふうにお酌み取りいただいて、わずかな時間ですけれども一つ二つ伺っていきたいと思います。
 まず、浅見参考人に、皆さん御存じのとおり、今は大学の教授でいらっしゃいますけれども、日本プロサッカーリーグの理事でいらっしゃいますから、そういう御経験を踏まえて浅見参考人に伺いたいんです。大変失礼ですけれども、プロのサッカーリーグは助成金がなければやっていけないんでしょうか。端的にお答えいただきたいと思います。
#56
○参考人(浅見俊雄君) 独立した社団法人ですし、下はそれぞれの株式会社がクラブをつくっています。基本的にはそこのお金でやっていくべき団体だと考えております。ただし、その周辺にいろんな、例えばスタジアムをつくるですとか、あるいは子供たちの練習に対してクラブが指導していくなんというところではやはりいい施設とかそういうものが必要で、これは自治体の協力とか企業の協力とかあるいは財政的な援助というのが外からあっても別におかしくないんではないかというふうに考えています。
#57
○扇千景君 重ねて伺いたいんですけれども、御経験の中から、サッカーリーグのファン層、サポーターというのは平均年齢どれくらいだとお感じになっていらっしゃいますか。
#58
○参考人(浅見俊雄君) 日本のサポーターは外国に比べて非常に低年齢ですから、現在一番入っているのは二十代、十代ですね。平均年齢ですと、Jリーグは時々調査したのを出していますが、二十代だと思います。
#59
○扇千景君 先ほどの浅見参考人のお話を伺っておりまして、私の誤解でなければと思うんですけれども、スポーツ振興のためにお金が不足しているというのを強調なさいました。誤解だったら申しわけないんですけれども、金さえあればいいというふうに聞き取れなくはなかったので、私はそうではないというふうに感じるんですけれども、私の誤解でしょうか。
#60
○参考人(浅見俊雄君) お金があればもっといろいろなことができるということだと思います。
#61
○扇千景君 斎藤参考人に伺いたいと思います。
 今、浅見参考人からJリーグの支持層が十代から二十代、二十代が平均がなと最後に一言おっしゃいましたけれども、先ほどの御意見伺っておりまして、十九歳という年齢制限を設けております。これに関してどうお考えになりますか。
#62
○参考人(斎藤義房君) 私がいろいろ見聞するところによれば、サッカーのファン層というのは小学生、中学生、高校生、ここが一番多いのではないかというふうに思います。私どもは到底覚えられないような選手の名前を子供たちはみんな知っておりまして、大変なものであります。情報量は私どもよりもはるかに子供たちの方が持っています。そういう意味で、サッカーの支持層というのはまさに未成年者であろうと思いますね。これは将来的にJリーグを育てていく大きな母体になるでしょうけれども、その子供たちを大切にしていく必要があるだろうというふうに思います。
 十九歳未満の子供に売らないというふうに言っておりますけれども、現実には最もファンである層が買うであろう、手を出すであろうということは否定できないと思います。そこはもう現実の問題として起こるであろうということは間違いないというふうに思います。
#63
○扇千景君 もう一度浅見参考人にお伺いしたいんですけれども、これも大変失礼だったらお許しを賜りたいんですけれども、サッカーの御事情に詳しいということであえて伺わせていただくんです。
 この法案が通りますと、この間も私質問しましたら、大体今から準備をして二〇〇〇年を越えるわけでございます、実際にサッカーくじというものが販売されるのは。そうしますと、大変失礼ですけれども、今の日本のJリーグがかけの対象になるわけですが、皆さん方の運営、今おっしゃいました。私が助成金がなければやっていけないんですかと伺うと、それぞれの本体がございますから、それぞれの法人として登録してあるところが支援しているとおっしゃいました。私の手元にありますけれども、バブルがはじけまして各Jリーグそのもの自体が経営危機に陥って、この間も申しましたけれども、清水エスパルスのようにいわゆる参入を破棄するというようなこともあるわけですね。日本Jリーグの歴史はまだわずか五年ですね。その中で、外国のようにくじの対象になり得る資格一そういうものが持続できるとお考えでしょうか。
#64
○参考人(浅見俊雄君) これは、Jリーグが考えることではなくて周りの方々が考えることだと思います。私はJリーグに直接かかわっておりますが、Jリーグの中にいる人は、Jリーグがこれからどんどん発展していく、また発展させなきゃいけないと思っていますし、現在あるいろんな問題、各クラブの経営上の問題、これは一つはそれぞれの企業の経営努力が足りなくて、切符は初めはもう売れるものだと思って何もしていなかったというようなところ、それと選手に高い金を払い過ぎたというような事態を今改善しているところで、JリーグがJリーグとして途中でつぶれるようなことを考えてやっているわけじゃありませんから、これからどんどん発展していく方向で努力をしています。
 それをどう皆さんが御判断なさるかということで、私の方が対象になるとかならないとかということじゃなくて、もともとJリーグがくじをつくってくれという発想を持っているわけじゃありません。サッカーがくじをつくってくれと言っているわけじゃなくて、スポーツ界全体が、せっかくJリーグができてそういうものができる仕組みができたんだからぜひこれをつくってくれとおっしゃっているわけで、Jリーグ側はそういうことなら対象として結構ですよということを言っている、そういう性格のものということを理解していただきたいと思います。
#65
○扇千景君 重ねて浅見参考人に伺いたいと思います。
 そうしますと、文部省がもとになりまして、日本体育・学校健康センターというものが所管になるわけですけれども、そこで保健体育審議会ができるわけです。そこで全部今もあるのを運用するんですけれども、これは人選がまだわかりません。その中で審議するんですけれども、御経験からいって、いわゆる助成金を出すかわりに使い道にも口を出されるんじゃないか、あるいはひもつき助成金だということで黙っているということも言われましたので、私は、JOCとしても体協としてもJリーグとしても、もっとどういうことをしてもらいたいかと、これをもらうかわりにこういう注文というものは法案に対してもあろうと思うんですね。
 ですから私は、御体験の中からこの法案に対して何か物をおっしゃりたいことがあればぜひ伺いたいと思いますけれども、浅見参考人に重ねて伺います。
#66
○参考人(浅見俊雄君) お金の使い道についてですか。
#67
○扇千景君 いえ、こういうものをして文部省の管轄の中からもらえるということについて、助成金をもらったらひもつきで、内容にまで口を出されるんじゃないかと言われて黙っているんじゃないかという評もあるんですけれども、もっと改善してほしいとか、する限りはこうしてほしいという御注文があればこういう場でおっしゃっていただきたいと思ったんです。おっしゃることがなければ結構でございます。
#68
○参考人(浅見俊雄君) 御質問の意味が私にはよく理解できません。ひもつきというのもよくわかりません。
 要するに、しかるべき機関が配分については考えるということになっていますから、そこがきちっと考えてくれると思っています。
#69
○扇千景君 黒須参考人にお伺いいたします。
 今、ドイツの御経験からいろんな例をもっておっしゃいました。総合型の地域スポーツクラブ、基本的にはいい御案だと思います。けれども、私はその前に、幾らお金があればこういうものができるという基本線がなければ、このスポーツ振興くじにしようがどうしようが、地域と国との配分もあるわけでございまして、どれくらいの資本があればどれができるという、予算の面がわからないとこれはどうにもならないと思うんですけれども、そういう試算もお出しになっていらっしゃいますか。
#70
○参考人(黒須充君) お金の部分に関しては明確な数字というものは私は持っておりません。私が今回論点として強調いたしましたのが、現在の我が国の例えば少数精鋭化する学校運動部というものが結果として一般の児童生徒というものを排除する傾向に向かっている、または仲間内だけの地域スポーツというものが多様化する住民のニーズに十分こたえる場にはなっていないと。スポーツの社会的基盤というものをやはり再考すべき時期なんだというふうなことです。諸外国を見た場合に、そういった基盤の転換に対して政策的な意図、その一つにサッカーくじ等が運用されているということを私は述べさせていただいたということです。
#71
○扇千景君 それでは別にサッカーくじでなくても何でも資金があればいいという意味ですか。たまたまサッカーくじだったというだけですか。
#72
○参考人(黒須充君) 私の場合は諸外国の例を見て、今回例えばヨーロッパでユーロという通貨統合されるような大きな動きがあるときに、ある段階を経てそういった改革というものがなされています。我が国のスポーツというものがやはり今は改革に向かって幾つかのステップを設けなければいけない、そういった中でこのサッカーくじというものを私は位置づけているということです。
#73
○扇千景君 いろんな御意見がございますけれども、一番古い、一九二三年にイギリスがスタートしたわけですけれども、イギリスの場合は民間の会社が経営しているんですね。政府は内務省が所管でございますけれども、外部から公認会計士を監査に入れているわけですね。私はそういうきちんと確立したものがあって初めて定着していくんではないかと思うんです。
 今回、保健体育審議会が担当になって、いわゆる情報公開とか、メンバーもまだ定かではない、法案が通ってからなんですということなんですけれども、これに関して斎藤参考人はどのようにお考えでしょうか。
#74
○参考人(斎藤義房君) もしもできた後の話なんですが、具体的な運営のあり方、さらには収益金の一七・五%がスポーツ振興の方に回るというその使い道、さらには運営費として売り上げの一五%をまずセンターがとるというその使い道等々、特殊法人という形で行われるわけですけれども、その中身がどの程度情報公開されるのかという点がまだブラックボックスなんですね。
 現在、特殊法人の財務諸表の公開に関する法律というのがありますけれども、これを使ってどの程度のものがわかるかということを実際にやった弁護士がいますが、本当にわからない。今の法律ではほとんどわからない。理事の給料もわからなかったというぐらいでありまして、ほとんどこれは使い物にならない。果たしてどの程度の情報公開が行われるかということについての担保がないわけですね。情報公開法がこれから審議になるかもしれませんが、その中身においても特殊法人がどこまでそこに盛り込まれるかについてはまだはっきりしておりません。
 そういう意味で、具体的にセンターがどのように運営されるのか、そしてそのお金の使途がどうなるのかについての問題点は残っていると思います。
#75
○扇千景君 最後に一点伺いたいと思います。
 販売の方法なんですけれども、先ほど少し触れられましたけれども、おっしゃるようにイギリスでは郵送したり訪問販売しているわけですね。そしてまたドイツではたばこ屋さんで売っています。イタリアでは喫茶店で売っているんですね。けれども、日本の場合はまだどこで売るかということが法案の中身にも書いてございませんし、質問の中でもまだ定かではないんですけれども、諸外国に比べて、例えばイギリス型がいいとお思いになるのか、あるいはドイツ型なのか、あるいはイタリアのように喫茶店で売るのか。今言われているようなガソリンスタンドとかコンビニ以外なら、対面で売る場合はいかがお考えでしょうか。何か御意見があったら斎藤参考人に聞いて、終わりにしたいと思います。
#76
○参考人(斎藤義房君) いずれにしろ、売り上げを制限する方向で運用がなされるとは思えないんですね。やはり売り上げを伸ばさなければ具体的な収益金が上がらないわけですから。そういう意味で、できるだけ売り上げを伸ばそうというふうに考えるわけですからチェックが甘くなることは必然だろうということです。そういう意味で、現実にはなかなか歯どめはきかないだろうというふうに思います。
#77
○扇千景君 終わります。
#78
○委員長(大島慶久君) 以上で午前の参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、長時間御出席をいただきまして、大変ありがとうございました。その上、貴重な御意見も賜りました。本委員会を代表いたしまして心から厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 午後一時まで休憩いたします。
   午後零時六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
#79
○委員長(大島慶久君) ただいまから文教・科学委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、スポーツ振興投票の実施等に関する法律案、日本体育・学校健康センター法の一部を改正する法律案及びスポーツ振興法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。
 午後の委員会には、参考人として財団法人日本サッカー協会会長長沼健君、新日本スポーツ連盟事務局長和食昭夫君及び作家猪瀬直樹君に御出席いただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、大変お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 皆様方には、ただいま議題となっておりますスポーツ振興投票の実施等に関する法律案外二案につきまして忌憚のない御意見をお述べいただきまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事の進め方でございますが、まず長沼参考人、和食参考人、猪瀬参考人の順序でそれぞれ十分程度で御意見をお述べいただいた後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、御発言は、意見、質疑及び答弁とも着席のままで結構でございます。
 それでは、まず長沼参考人から御意見をお述べいただきたいと存じます。長沼参考人。
#80
○参考人(長沼健君) まず最初に、常日ごろから日本のスポーツの振興、発展に御尽力をちょうだいしております先生方に心から敬意と謝意を表したいと存じます。
 時間が限られておりますので手短にやらせていただきたいと思いますが、私自身の体験からお話をするのが一番いいと私は思って参りました。
 かなり前ですが、当時代表チームの監督をしていて欧州遠征というのをやっておりましたが、そのときによく使用させていただいたのが、ドイツのスポルツシューレと呼ぶ、各州に持っております総合トレーニングセンターと申し上げたらいいと思いますが、そこは非常に設備がいいのと、それから比較的廉価に利用できるということ、それから、我々が一番使わせていただいたデュースブルクはサッカー場だけで八面を持っておる、非常に便利がいいということもございましてよく使わせていただきました。そこでの体験をお話し申し上げるのが一番いいと思って、二つのポイントについてお話をしたいと思います。
 その事務所で非常に体格のいいドイツの青年に出会って、彼ば郵便物の振り分けをやっておりました。英語のわかる男で、すごく体格がいいけれども何の種目でしょうかと聞いたら、ドイツのナショナルチームのボートの選手ですと。このスポルツシューレにはインターナショナルのボートコースがある、そこでトレーニングをやれる。これは自費でやっているんでしょうかと聞いたら、いやいやそうじゃありません、宿泊も滞在もコーチの費用も全部見てもらっている、その大半はスポーツくじで賄われております。だから、私はもともとサッカーは好きだけれども、そういうこともあって大変感謝をしておりますと。これがくじの使用法の一つになっているなという一つ実感がございました。
 それから、今度は街角で、同じ町ですが、くじの店頭で一生懸命記入しているおじさんに出会いまして質問をしたんですけれども、毎週やっているんでしょうかと言ったら、ほとんど毎週やっていると。投票用紙、当時でございますが一枚百円です、そのうち五十円は確かに自分がもし当たったらという心がないとは言えないけれども、あとの五十円は完全にスポーツ界への寄附です。自分は四人家族だけれども、ほとんど毎週末よく一家でスポーツクラブに参ります。そこでそれぞれ別のスポーツをやる、男の子と女の子とワイフと。それで、一定時間汗を流した後はクラブのレストランでお茶を飲んだり食事をしたりして、それぞれがやったスポーツについて話題が弾む。決して高価ではないけれども清潔なレストランだ。それはうちの家族にとって本当に大事な時間なんです。そして、そのクラブの維持費にスポーツくじの一部が還元をされている。つまり、自分自身は投資の利子の一部を自分自身が受け取っているという意識だと。
 これは物の見事に還元システムが働いているんだな、国民スポーツに広く伸びているなということを痛感した次第でございます。
 また、同じスポルツシューレですが、私は、コーチの勉強をしてこいという日本のサッカー協会の命令で二カ月ぐらい滞在をいたしました。そんな中で、サッカーの少年たちのキャンプ、一週間キャンプでございますが、合流をしろということを言ってくれたので喜んで合流をいたしました。
 朝から晩までサッカー漬けかなという思いで行きましたら、まさにさにあらずで、まず最初の日の午前中は、教室がずらっと設備が整っておりますが、自分たちの町の歴史というのがテーマでございまして、フィルムを使いながらコーチがそれを教えるんですね。自分の町に誇りを持て、自信を持て、まず知れと。いいことをやっているなと思いました。それが終わったら今度はみんなで散歩をいたしまして、広大な森がございますが、森の中で今度はコーチがアコーディオンを弾いて合唱が始まる、歌ですね、音楽ですね。帰って昼食をとって、それで午後はもちろんサッカーをやります。
 その後、夕食のときに、少し子供たち、小学生の年齢層ですから騒がしいなと思っていたら、コーチが全テーブルを回って、シー、静かにしなさいと言って歩きました。それで、予定になかったミーティングを夕食後やりますと教室に集合が命じられまして、我々も行きました。
 そうしたら、コーチがいいことを言いました。さっき食事のときに私がシーと言って歩いた意味を説明したいと。食事はもちろん会話をしながら楽しむべきだ、しかし隣の、あるいはその隣のテーブルにいる人たちにまで聞こえるような大きな声で会話をする必要はないんだ。私たちは食事を楽しむ権利はあるけれどもほかの人に迷惑をかけていいという権利はない、そのことをわかってほしかったと。えらく神妙な顔をして子供が聞いておりました。後でコーチに、あなたはすばらしいコーチをするねと本当にそう思って言いましたら、いや大したことはないけれども、あの少年たちが将来ジェントルマンになってほしい、その第一歩をこのスポルツシューレで記してもらえればと、私はそういう思いで言ったんだと。
 この設備とこのコーチが日本に欲しいと私はそのとき痛切に思い、今日まで思い続けております。設備の豪華なものは必要ないんです。清潔で必要なものが完備した設備と、そこへ単なるボランティアだけじゃない、立派にお礼のできるすてきなコーチを置くことが、日本のスポーツを通して将来の子供たちに果たし得る役割ではないかなと我々は考えております。
 たまたま先週、フランスのスポーツ大臣、そして本日イギリスのスポーツ大臣が協会を訪れてくれました。それぞれもちろん目的があって来られたんですけれども、両国とも長い間スポーツくじをやっていらっしゃる国で、今日までこれが弊害のもととなって青少年に悪い影響があったということは寡聞にして聞いていないというのが両大臣の言葉でした。御案内のように、英国は既に七十五年以上続けていると聞いております。
 サッカーがその対象競技になっているということは、理由はたくさんあると思います。天候の影響を受けにくい、同時に始まって同時に終わる、あるいは参加する人間、選手、審判、それらの人数が多いとか、いろんな条件があろうかと思いますけれども、これはサッカーの振興のためにお願いに出ているわけでは全くございません。日本体育協会と日本のオリンピック委員会がお申し出になり、我々は、それが対象競技になるということについては世界の例に照らして光栄であり、喜んでやらせていただきたいということを申し上げたということを最後に申し上げて、私のお話を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#81
○委員長(大島慶久君) ありがとうございました。
 次に、和食参考人にお願いいたします。和食参考人。
#82
○参考人(和食昭夫君) 新日本スポーツ連盟の和食と申します。
 最初に、私どもスポーツ連盟のことにつきまして、お手元に私どもの簡単なパンフレットを配付させていただきましたので、少し紹介をさせていただきます。
 私ども新日本スポーツ連盟は、一九六五年十一月の創立でありますけれども、創立の趣旨といたしましては、スポーツは万人の権利でなければならないという宣言を発しまして、スポーツをすべての国民の権利として確立すること、このことを基本目標として結成され活動している全国的なスポーツ組織であります。現在、会員は、地域のスポーツクラブを中心に約三千八百のクラブ、約五万七千人ぐらいの組織でございます。活動といたしましては、全国スポーツ祭典という名称で総合競技大会を開催したり、指導者養成等々を進めているところであります。
 本題に入ります。
 私は、サッカーくじ法案は、国民にとってかけがえのない文化としてのスポーツの価値を守り発展させる上で新たな障害を持ち込むものである、そういう点からこの法案に反対の意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず第一点でありますけれども、この法案はスポーツ振興の本筋から外れているのではないかと思います。
 午前中の委員会の御発言の中でも、長野での世界各国、とりわけ日本選手の活躍が大変感動を呼んでいるというふうなお話がございました。私も同感であります。
 なぜ人々がスポーツに感動を覚えるのか、また人々を感動させるのか、その根本に何があるのか。私が思いますのに、スポーツというのは、スポーツマンがみずからの自主的な意志でみずからの可能性を信頼し目標にチャレンジする、そして暴力を否定し、対等・平等のルールのもとで、厳しいトレーニングを行い、その成果を競い合う、そして戦う相手をパートナーとして尊重する、心を通い合わせる、そのことを通してフェアプレー精神をはぐくむ、こういうことが内容としてあるから人々を大きく感動させますし、文化的、社会的なスポーツの存在意義がこの点にあるのではないか。
 こうしたすぐれた文化的、社会的な意義を持つスポーツ、これは今日では、例えばユネスコの体育・スポーツ国際憲章において、その第一条で「体育・スポーツの実践はすべての人にとって基本的権利である」というふうにされております。私ども新日本スポーツ連盟はこのことに大変大きな誇りを持って活動しているわけでありますけれども、それだけに、政府など公的機関がスポーツ活動を促進する財政措置を講じて保障すること、このことを強く求めているわけであります。そしてまた、この方向にこそスポーツ振興の本筋があるというふうに考えるわけであります。
 しかし、残念ながら我が国政府のスポーツ振興策は、この十五年間の文部省のスポーツ予算の推移を見ましても、おおむね百七十億円前後で推移をする、いわば極めて貧しい水準であろうかと思います。そのもとで、地域のスポーツにおいても施設の不足、さらに最近では大幅な使用料の値上げ、指導者不足などに大変悩まされている状況であります。この貧しいスポーツ状況、これは近年高まっている国民のスポーツへの関心や要求から見れば大変かけ離れた実態になっているのではないか。
 この点で私は、スポーツ振興法第四条が明記している「文部大臣は、スポーツの振興に関する基本的計画を定める」、このことをぜひ現実のものにしていただきたい、そしてその計画に基づいて国民のスポーツ振興を図っていただきたい、こう要請しているところであります。
 資料としても配付させていただいておりますけれども、私どもは昨年の六月三日、日本オリンピック委員会、日本体育協会さんを訪れまして、「「サッカーくじ」法案ではなく「スポーツ振興基本計画」策定のための共同の申し入れ」ということを行わせていただきました。今日では、こういうことを進める国民的な合意がかつてなく広がり、その条件は十分機が熟してきているのではないかというふうに考えます。それだけに、私は、これにこたえることこそが政治の役割ではないかというふうに考えるものであります。
 第二に、こうした我が国のスポーツの現状とスポーツ振興の本筋から見ますと、サッカーくじ法案の導入による収益金でスポーツの振興を図るという発想、これは私は大変ゆがんだ発想だというふうに指摘せざるを得ません。
 スポーツの中に勝ち負けのみに関心を肥大化させるギャンブルの風潮を広げ、そしてフェアプレーなどのスポーツ精神をはぐくむことに新たな障害を持ち込むことからいっても、さらには、スポーツで青少年の健全育成を図り国民の健康を促進する、そういうスポーツの振興の目的からいっても、この発想は本来考えられない構想というふうに思うわけです。
 私ども初め少なからぬスポーツ関係者、野球などのスポーツ団体はこの法案に危惧を抱いて反対をしている。これは、スポーツに携わる者にとって、みずからスポーツのギャンブル化に加担をすることには耐えられない、このことをぜひ表明させていただきいというふうに思うわけです。
 第三に、サッカーくじは、社会的に厳しく規制されているギャンブルというだけではなくて、現行の公営ギャンブルと違った特別な社会的影響を持つということであります。
 法案は、Jリーグの試合を対象として、それを利用してスポーツ振興投票制度というふうに導入をすることになっております。この点については午前中、斎藤弁護士からギャンブルであるというふうな法的な側面からのお話がありました。私は、スポーツの側面からもこの問題について一言触れたいと思います。
 この法案の発議者、また文部大臣も、サッカーくじは宝くじと同じようなものでギャンブルではないというふうに述べられております。
 考えてみますと、宝くじは数字の偶然といいますか、組み合わせを抽せんによって当てる、いわば数字の偶然にかける。しかし、サッカーくじはサッカーの試合の勝敗、選手のプレーの結果にかける、この点が決定的に違うのではないでしょうか。この点では、明らかに現行の公営ギャンブル、競馬などと同様の性格を持つものだというふうに言わなければいけないのではないか。
 同時に、現在の公営ギャンブルを見ますと、そこで行われる競技というのは、ギャンブルを行うために実施される競技として存在してきた、そういう歴史的な経過を持っているわけであります。サッカーくじの場合は、これまでスポーツとして発展してきたものを新たなかけの対象にするという点、さらにはJリーグの試合、プレーヤーをかけの対象にするという点でも、その社会的な影響、また子供たちへの影響、これは特別なものがあるというふうに思います。そこに、これまでの公営ギャンブルとは違った国民的な不安や批判や反対の声が広がっている根拠があるのではないかと思っております。
 スポーツが文化として、また人権の一つとして社会的な評価を確立してきたこの経緯には、社会から持ち込まれるギャンブルですとかドーピングですとか、さまざまなそういうことに伴う不正だとか、スポーツの輝きと人間性をゆがめる社会的な病理現象、こういうふうなものと闘ってきたスポーツの先人たちの努力があったから文化として、権利として認められるようになってきたのではないか。
 かつて我が国でも野球くじや相撲くじで同様の苦い経験があることを考えますと、今さらJリーグの選手や審判にそうした経験を繰り返させる必要はないのではないか、このスポーツの歴史の到達点を私は後退させてはならないということを強調したいわけであります。
 最後に、最近のスポーツマンの女性への暴行事件ですとかセクハラ事件ですとか、いわば今日の社会的な病理がスポーツ界の中でも広がって、スポーツマンのモラルですとか人権感覚が大変鋭く問われている状況があります。こういう中で、ギャンブルによるスポーツ振興というゆがんだやり方では、私は、決して真のスポーツの振興はできないこと、そしてスポーツにかかわる一人として、国民から信頼されるスポーツ界とスポーツマンが大勢育つように努力することがスポーツ団体の重要な役割ではないかということを述べて、発言を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#83
○委員長(大島慶久君) ありがとうございました。
 次に、猪瀬参考人にお願いいたします。猪瀬参考人。
#84
○参考人(猪瀬直樹君) 僕は、サッカーくじの問題を道徳面から論じるというのは不毛であるというふうに思っています。かけごとイコール犯罪という考え方は、明治時代に武士的な士族の規範が一般化させられたときに生まれたものでありまして、必ずしも日本の伝統ではありません。そうすると、僕はサッカーくじに賛成がというふうに思われるかもしれませんが、そうじゃないんですね。
 その辺をもう少し説明したいんですが、アルコール中毒患者が出ないように禁酒法をつくれというふうなことを決めるのと同じくらいに、かけごとに対してただ禁止するということではおかしいのであって、かけごとというのは、その運営に際してどういうノウハウがあるか、きちんとしたノウハウを活用するか否かということにかかっているわけであります。
 先進国ではほとんどカジノというのは合法化されておりまして、そのかわり法規を非常に厳格に定める。つまり、やみの部分に沈んでしまう犯罪というものを減らす、そういう前向きな考え方をしていくわけですね。したがって、法規を厳格にどうするか、運営ノウハウをどうするか、ここに尽きるわけであります。
 僕は、評論家の室伏哲郎さんとか幾人かと二年前にカジノ学会というのをつくりましてカジノのあり方を研究しているわけですけれども、阪神大震災の直後にダイエーの中内会長が震災復旧の財源確保にカジノを導入したらどうかというふうな発言をしておりまして、地域経済の活性化に役立つとか、減税財源に充てられるとか、そういう意味での考え方ができるかどうかということなんですね。
 オリンピックの開会式で横綱曙が土俵入りをしたわけですけれども、既にイギリスでは相撲はかけの対象になっているわけです。そういう意味ではもう相撲というのは一歩先んじて国際的であるわけであります。アメリカでもラスベガスを初めカジノは盛んでありまして、州によって異なりますけれども、収益の一〇%から二〇%ぐらいは課税されるようになっておりまして、もう今のラスベガスはディズニーランドのようで、昔のいわゆるギャングのいた時代と全然違っております。ですから、どういう法律をつくるかということに尽きるわけであります。
 日本では刑法で賭博行為が禁止されているわけでありますけれども、パチンコや宝くじは例外になっている。ところが、ギャンブルは結局各省庁が胴元になっているわけですね。普通だったら民間で経営して、アルコールと同じように税金を払って、その税金が地域の活性化につながるというふうなサイクルがあっていいわけだけれども、日本の場合はそういうサイクルが閉じられているわけです。各省庁が胴元になっている。日本では宝くじを含めてギャンブルはとにかく官営でなきゃいけないというふうに非常に偏っています。さらに、官営であるということはむしろ透明性が担保しにくい、そういうおそれがある。それが一番の問題だというふうに思っています。
 したがって、既に御存じだと思いますけれども、農林水産省が競馬、特殊法人日本中央競馬会、ほかに地方競馬がありますが、運輸省は競艇、特殊法人日本船舶振興会、通産省は競輪、特殊法人日本自転車振興会、それからオートレースで特殊法人小型自動車振興会と、それぞれ所管しておるわけです。これは一般会計と別にへそくり予算ができる仕組みになっています。競艇も競輪も、非常に大ざっぱに言うと、特殊法人がおよそ六百億円を配分する権限を持っています。
 この配分が適正に行われているか否か、だれがチェックするのか、極めて不明朗であります。各省庁所管の社団・財団法人に助成金が非常に合法的に流れるというか、そういう仕組みができてしまっているわけですね。そのような社団・財団法人というのは大体天下り先でありまして、したがってお手盛りで配分していくというふうに非難されても仕方ないというのが実情だと思います。だから、どの団体が幾らもらっているかというリストを公表したがらないんですね。
 僕は、自転車振興会に対してその点についてディスクロージャーを求めました。僕は文芸春秋に「日本国の研究」というのをおととしの秋から連載しまして、十二月まで取材して書いていたんですけれども、その時点では、例えば自転車振興会のその配分のリストは公表されませんでした。その後、何度もしつこく行きまして、「日本国の研究」という本を出して、そしてこれを何とかしろということを言いましたら、やっと昨年、自転車振興会の約六百億円の内訳ですね、どういうところに配っているか、そういうふうにやっと配分先のリストが公表されたんですね。
 サッカーくじの場合も、一応年商売り上げ二千億円とかいろいろ予想されています。払戻金や諸経費や国庫納付金を除いて、僕は詳しい数字は実際にどうなっているかわかりませんが、とりあえず三百億円ぐらいが文部省所管特殊法人の日本体育・学校健康センターの手によってスポーツ助成金として各団体に配られるというふうなことのようですね。つまり、これまた省庁を胴元として特殊法人が運営するというパターンは、これは今までの運輸省、通産省その他のパターンと全く同じで、サッカーくじも例外でないということです。
 そもそも日本体育・学校健康センターというのは、長ったらしい名前ですけれども、日本学校給食会と日本学校安全会が統合されて日本学校健康会というのがつくられて、さらに国立競技場と合併して日本体育・学校健康センターというのができたわけですね。これは特殊法人の数を減らすというふうな話だったんですけれども、そういう長い過程の中で名前をくっつけていくと長ったらしい名前ができちゃったと、非常に折衷的な名前になっているわけですね。
 この理事長は文部省の初等中等教育局長の天下りポストであります。一応調べてみますと、理事長のほかに文部省出身の理事の指定席というのは平均三人でありまして、大体国立大学の事務局長の天下りポストになっております。それが日本体育・学校健康センターであります。
 したがって、日本体育・学校健康センターというのは中立的な第三者機関ではありません。簡単に言えば文部省の別働隊ということになります。助成金の配分というのは、結局文部省がスポーツという分野に対して金も出すけれども口も出して人も出す、スポーツ界に強い権限を振るう余地が生まれるというふうに一つは考えます。そういうおそれがあると考えていいと思います。
 ただ、サッカーくじ法案の第三十条に、「センターは、国民に対し、スポーツ振興投票」、サッカーくじですね、「の実施及びその収益の使途に関する情報を提供する」というふうに明記されていますので、ともかくこれは情報公開法制定の機運を反映したものというふうに考えられますが、これだけでは実は十分じゃないんですね。
 三百億円の配分が適正に行われるかどうか、どうチェックするのか。幾らディスクロージャーをしても質問権が与えられていないわけですね、我々に。建前として審議会で話し合いが行われたとしても、それは正式な質疑じゃありません。審議委員というのは国民が選ぶんじゃなくて省庁が選ぶわけですから。
 省庁にへそくり予算が存在するということ自体が国会を軽視したものでありまして、すなわち民主主義の原則を踏み外しているわけです。つまり、本来は我々が選んだ代表者が予算については審議するわけですから、省庁がその審議委員を選んで審議するというのは本来の民主主義のあり方ではないということです。現在のままだと結局、これは情報公開で三十条にありますけれども、主務大臣に報告すれば事足れり、こういうことでありますね。
 したがって、例えば決算委員会への報告義務を明記するとか、そういう形で国会へフィードバックできる仕組みを残すような条項を少なくとも入れていない限りは、ちょっとこれはおかしいんじゃないかと。そうじゃないと不正がはびこります。必ず利権の温床になります。というのは、ほかの省庁のへそくり予算がどれほど不明朗にこれまで行われてきたかということ、僕の「日本国の研究」という本をお読みいただければわかると思うんですけれども、それに書いてあります。ですから、もう少しそのあたりを勉強していただきたい。
 それで、へそくり予算ということなんですね、サッカーくじというのはへそくり予算になると。予算というのは国会で、つまり我々納税者、タックスペイヤーの一種の代表者が国会議員でありまして、それはいわゆる会社で言えば株主総会みたいなものですね。しかし、これは何か取締役会で子会社の経理内容を簡単にしゃんしゃんで終わらせちゃうという構造と似ていますので、タックスペイヤーにとっては国会が株主総会ですから、株主総会できちんと予算とかそういうお金の問題をやってもらわないと困るということであります。基本的な考え方はそういうことであります。
 以上です。
#85
○委員長(大島慶久君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 なお、参考人の方々にお願い申し上げます。時間が限られておりますので、御答弁はできるだけ簡潔にお述べいただきますようお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
#86
○長谷川道郎君 自由民主党の長谷川と申します。
 本日は、当委員会の審議に参考人の先生方に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。
 当委員会で本案件について極めて慎重な審議が進んでおるわけでありますが、この審議を衆議院に比べて私ども慎重にやらせていただいておる最大の原因は、サッカーくじに対して国民の皆さんの中に一定の不安がある、またいささか一定の懸念があるということで今慎重に審議をさせていただいておるわけでございますが、その最大の懸念、不安というのは、今お話にもございましたが、サッカーくじが要するにギャンブルであるかどうかというようなことであるかと思うんです。
 実は午前中に発言の機会がなかったものでお伺いできなかったんですが、午前中の斎藤参考人の御意見の中に、スポーツくじは賭博であるということを明白に断言されていらっしゃいました。私は法律の専門家ではありませんので、いささかひっかかるところがありまして、お昼休みに短い時間でありましたが調べさせていただきました。賭博であるかどうかの法律上の議論は、これはまた斎藤参考人は法律家の一致した意見であるというふうなことも断言されていらっしゃいましたが、いささか私が調べさせていただいた限りでは、法曹界の中でも極めて議論が分かれるところであるというふうに感じました。また、賭博であると断言されていらっしゃいましたが、昔の大審院判例にもございまして、賭博というのは、偶然の事情によって決定をされる、そして生業をなげうつまでの射幸手段に熱中させるものという構成要件があるわけですが、この二つの構成要件から見ても、サッカーくじが賭博であると断言するのはいささか私は言い過ぎではないかと思います。あえて申し上げるならば、富くじに類するものだというふうに思うわけであります。
 法律論は別といたしまして、サッカーくじが善であるか悪であるか、この一点であると思うわけでありますが、社会的に悪影響を及ぼすものであるか、それとも社会的に許容できる範囲の娯楽であるのかどうか、まず長沼参考人にお伺いをいたしたいと存じます。
#87
○参考人(長沼健君) 今御指摘の面についてお答えをいたしたいと思いますけれども、さっき申し上げたように、西欧各国のそれをやっている人の本当の認識というのは、一〇〇%ギャンブルという認識はないと存じます。スポーツクイズと言ったらいいんでしょうか、宝くじに限りなく似ているというお話もございますが、私に言わせたら宝くじよりもさらにクイズに近いなという認識を持っております。だから、トトカルチョというイタリアの言葉が何かそういうイメージを与えていないかなという認識もございますが、ギャンブルとは違うなというのが、私の強弁かもわかりませんがそういうふうに思っております。
#88
○長谷川道郎君 猪瀬先生にお伺いいたしますが、先生先ほど、かけごとイコール犯罪であるというのは暴論であると、先進国の中ではカジノでさえも合法とされているというようないろいろな例をお引きになりました。
 先ほど先生もちょっとお触れになりましたが、重ねてお伺いいたしますが、サッカーくじが善であるのか悪であるのかという点。それから、先ほど先生のお話で、問題は運営をどうするかということである、透明性が担保できない、チェックが不明朗になるというようなお話がございましたが、その点、重ねてお伺いをさせていただきます。
#89
○参考人(猪瀬直樹君) 宝くじもそれからパチンコも、みんなこれは基本的にはギャンブルですよ。当たり前でしょう。パチンコをギャンブルじゃないというふうにしていることが欺瞞なんですよ。これは結局、警察庁関係のいろいろ天下りのあれを残すためにそういうごまかしをしているわけです。そういうごまかしが問題なんです。もともとギャンブルというか賭博というのは普通に、つまり人類の歴年の中で必ずあることなんです。これはだからどう近代化するかということに尽きるわけですよ。
 大体、日本で賭博とか何とかというのが非常に暗いイメージになったのは、明治時代に自由民権運動を取り締まるときに、三人ぐらい集まったらこれは賭博をやっているとかいう、そんなことで賭博というのがうまく使われたわけですね、自由民権運動の弾圧に。そういうことで、武士の身分、士族としての身分を剥奪するとかそういうことになったわけです。そういう意味でギャンブルに非常に暗いイメージをつくって、しかも暗いイメージをつくったから地下に追いやった、地下に追いやったからそういう筋の人たちができてきたということなんです。これを明るいところに、ちゃんと透明性を確保したところにきちんと置けば問題はない。
 ただし、さっきも言いましたように、官庁が胴元になってもっと悪くなっている。官庁が胴元になったら民間の光が当てられない。だから官庁はその陰で何をやっているか全然わからない。これは一番危ないんですよ。そうなると、官庁はやくざ以下になってしまう。だから問題は、ギャンブルがいいとか悪いじゃなくて、ギャンブルは先進国では当たり前なんです、当たり前のことを何で日本は官庁がやるのかということですよ。
 しかも、このサッカーくじ法案では第三十条に情報公開のことが出ているけれども、サッカーくじ法案で初めて出たんです、情報公開のことが。今まで出ていないんです、各省庁のへそくり予算については。だけれども、三十条で入れたけれども、僕は信用していない。何かやるんじゃないかと。まだ幾らでも言い逃れはあるし、ただし書きをつけていけば幾らでもできるから、そういうふうに思っています。さっきも言ったけれども、国会議員は我々の代表でしょう、タックスペイヤーの。タックスペイヤーの代表である国会議員が監視するような、監視できるような形になっているかどうかなんです、問題は。そこが一番問題です。
#90
○長谷川道郎君 猪瀬先生に重ねてお伺いいたしますが、もとに戻りまして、当然ギャンブルの一種であることは間違いないと思うんです。ギャンブルに類似したものであることは、それはそれでいいと思うんです。今ちょっと発言がありましたので申し上げますが、猪瀬先生のおっしゃるように、私はギャンブルは必ずしも悪ではないと思います、当然のことながら。例えば酒やたばこも、健康に害がある、社会的に害がある側面もあります。しかし、人にくつろぎや憩いを与える側面もあるわけです。それだからたばこや酒を法律によってコントロールする。そういうことでありますので、今回の法律は私は大変すばらしいことであると思うのであります。
 猪瀬先生に再度お伺いいたしますが、もとに戻りまして、サッカーを経由したくじの財源をスポーツに投入する、このモラル的な問題について何かお考えをお持ちでございますか。
#91
○参考人(猪瀬直樹君) サッカーのくじを買う人のモラルじゃなくて、役人のモラルの方が心配なんです。
#92
○長谷川道郎君 それでは、いま一度猪瀬先生にお伺いいたしますが、先ほどサッカーくじが運営された場合の運営面でのお話がございました。センターは中立団体ではない、法三十条によってのディスクロージャーも必ずしも担保されていない、審議会も不完全であると。国会で審議をする場として決算委員会への報告等というアイデアも一つ伺いました。しかし、私ども現場におる人間として、決算委員会への報告は必ずしも機能するかどうかという点でいささか不安がある、メンバーとしてはそういうことを申し上げては変でありますが、必ずしも機能するばかりではないと思うのでありますが、この点。運営面での留意点についてもう一遍お伺いさせていただきたいと思います。
#93
○参考人(猪瀬直樹君) 先ほど役人が問題だと言ったけれども、実は国会議員が一番問題で、役人の利権にうまく食い込んでいくというのが今まであったわけですよ。現在もありますけれども。文部省の役人というのは割と実は清廉潔白な人が多いんですけれども、ただ問題は構造なんです。
 したがって、国の予算というのは決算委員会やるわけですよ。ところが、このところの決算委員会というのは、皆さん御存じだと思いますけれども、一週間も開かない。三日とか四日とか、時々二年分一気に二日か三日でやっちゃう、四日でやっちゃうときもある。したがって、今おっしゃられたように、決算委員会というのは余り機能してないじゃないかと。それは、だけど国会議員が機能させるようにするべきなんですね。実はそれを言いたかったんですね、きょうは。
 決算委員会は何で大事にしないんだろうかと。予算委員会だけをあれだけ大騒ぎして、決算委員会は簡単に終わっちゃう。普通の民間企業でいえば、予算というのはあれですけれども、決算がすべてで、それは株主総会ですけれども、そこで赤字が出るか黒字が出るか、そこで勝負なんですね。
 日本の財政というのは決算委員会をほとんど無視していますから、会計検査院も一つの盲腸みたいなところがありますから、徹底的に決算委員会できちっとやらないから今財政赤字が五百兆円とかこうなっているわけですね。こういう問題も全部、もっと一カ月、二カ月、決算委員会をやるような、そういうふうな形にしていただきたいと、逆にこちらからお願いしたい次第です。
#94
○長谷川道郎君 決算委員会のあり方については、私どもこの参議院でも当然のことながら、その機能について今検討というか審議をいたしておるところであります。参考にさせていただきたいと存じます。
 それでは長沼先生にお伺いいたしますが、先ほど英国では青少年に影響が出ていないというお話がございました。今回のこの法案で施行されるサッカーくじが青少年に強い悪影響を及ぼすという懸念、不安が多いわけでありますが、私にはどうしてもその青少年に悪影響を及ぼすようなことになるという、そういう場面が想定できないわけでありますが、長沼先生いかがお考えでございましょうか。
#95
○参考人(長沼健君) 江本先生なんかは直接実施をしている国をお訪ねになってつぶさに調査をされたと承っております。そういう生の声を聞いていただければおわかりだと思いますけれども、ギャンブルであるかないかは別にして、さっき申し上げたように、スポーツクイズということでございます。
 これが暴力団の資金源になってみたり、青少年を駆り立ててギャンブルや拝金主義にも追い込むんじゃないかという御懸念があるやに承っておりますが、例えば、宝くじを資金源としている暴力団なんかあるわけはないし、少年たちが束ねて宝くじをみんなで買おうという運動をしたというのも聞いたことがない。要するに、例えば百円だとすると、一万円投資しようとしたら百通書かなきゃいけないんですよ、予想用紙に。こんなことは現実的に無理な話で、やっている国はないというふうに申し上げたらいいというふうに思っております。
#96
○長谷川道郎君 同様のことで猪瀬先生にもお伺いいたしたいと存じますが、申し上げましたように、この法案の最大の不安というか、懸念を表明される皆様方は青少年に対して極めて重大な悪影響があるというふうな主張をなさいますが、先ほど申し上げましたように、私にはどうもその点が理解できないわけでございます。猪瀬先生は、青少年に対する影響という面についてはどういうふうにお考えでございますか。
#97
○参考人(猪瀬直樹君) 青少年に対する影響というのはわかりません。
#98
○長谷川道郎君 時間ですので終わります。
#99
○小林元君 民友連の小林元でございます。
 きょうは三人の参考人の方、大変御苦労さまでございます。
 今、午前中もお話が出たわけでございますが、長野で冬季オリンピックが開かれておりまして、勝った負けたということでメダリストだけが注目を浴びているような感じがしていますが、私は、確かにスポーツは勝負でありますから、勝つことがそのやっているスポーツマンにとっては大変な目標であるということは事実だろうし、それがなくては向上心も出ないということだろうと思います。ですから、勝った負けたということにこだわるなということはもちろんわかるわけでございますが、いわゆる勝利至上主義というのですか、何でもかんでも勝つことが目的だと、目的と手段がごっちゃになっては大変困るわけでございます。
 ただ、そういう勝った背景というのでしょうか、個人の努力ですとか、いろんなことがそれぞれの人ごとに違っております。そういうものを思い比べて、我々国民というか、あるいは全世界の人々の感動を呼ぶというようなことだろうと思います。
 今回、スポーツ振興、だれもこれは賛成でございますし、これについて異を唱える者はないわけでございます。ただ、スポーツくじといいますか、ギャンブル論、あるいは賭博だ富くじたという議論も大いに結構でありますけれども、問題はスポーツというものを通して、具体的にはサッカーを通して財源を集めるといいますか確保する、そういうところにいろいろ問題があるんじゃないかということで、御指摘があったとおりでございます。
 長沼参考人にお聞きしたいんですけれども、結局サッカーというものは、舞台というのでしょうか、試合がサッカーくじの対象というようなことになるわけでございまして、その辺について、そういうことを引き受けるといいますか、大変名誉であるというお話をされました。そういう中で、ただサポーターに青少年の方が多いということでございますから、そういういろんな御懸念をされる方々の要望にこたえるために、サッカー協会としてそういう青少年に対してどういう、指導というのはちょっと行き過ぎかと思いますが、考え方を持っておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。
#100
○参考人(長沼健君) さっき光栄だと申し上げましたのは、サッカーを対象とした振興くじが、もちろんトップアスリート、オリンピックや世界選手権で活躍する諸君に直接何らかの力になるだけでなくて、広く国民一般のスポーツ、特に今、心の豊かさがまるでなくなったと言われている時代にスポーツの果たし得る役割があるだろうと我々は信じているものですから、それに役に立つとしたら大変光栄だと。
 また、オリンピックの陰に隠れておりますが、三月に入りますとパラリンピックが開かれます。ハンディキャップを持った人たちがあれほど真摯にプレーをするというのは、我々やがてテレビで見ることになると思いますが、単なる感動だけじゃなくて、健常者が何でもっとやれないんだという、みんながそういう意識を持ってくれると思いますが、日本の選手の現状を伺ったら、やっぱり参加するために数十万円の費用がかかっているという話を聞きます。そういう方々のための一助にもなればもっとうれしいなというのが我々の考え方でございます。
 当然、それに参加する人たちも、そういう部分にまで寄附金として行っているんだという意識をお持ちいただければ、西欧並みになってくると。先ほどから猪瀬先生がおっしゃっているように、そこに非常に国民が納得する透明性、使途についての御支持があるならば、納得をしていただけるだろうというふうに私は信じております。
#101
○小林元君 ありがとうございました。
 和食参考人にお伺いしたいんですが、先ほど来いろんな理由を挙げて反対だというわけでございますけれども、スポーツのトレーニングをする、あるいは個人の可能性、こうおっしゃいました。確かに素質とかいろんなものがあるんでしょうけれども、いろんな指導者がいる中でスポーツができる、先ほどの長沼参考人のお話もありましたが、クラブ制でそういう指導者がいるというようなことで、やっぱりスポーツをするにはお金もかかる。そのお金は国が出せばいい、あるいは地方公共団体が負担すればいいと。それはベストだと思いますし、我々も本当にこれから真摯な努力をしなきゃいかぬ、こういうふうに思っております。
 ただ一方で、二つお聞きしたいんですけれども、こういうスポーツ振興のための財源、多様化した方がいいんではないか、例えば文部省だけから補助金をもらうとかそういうことではなくて、いろんな団体なりあるいは企業から、あるいは個人からというようなことがいいんではないかという意見もあります。そういう考えに対してどういうふうに思っていらっしゃるか。
 それからもう一つは、青少年、サポーターがどうしても買うだろうという推測の中で影響が大きいというふうに言われたんだろうと思うんですけれども、先ほど来長沼参考人もおっしゃいましたように、先進国では余りそのような具体的な害悪というんでしょうか弊害というものは出ていないと。ただ日本が、先ほど猪瀬先生もおっしゃいましたが、建前と本音の世界でどうも表に出さないからかえって悪いことをするんじゃないかというようなこともありまして、イギリスでもフランスでもないというふうに大臣が断言されたそうでございますが、そういう具体的な事例でこういう心配がある、こういうことがあるというようなお考えがありましたら、二つの点をよろしくお願いします。
#102
○参考人(和食昭夫君) 第一点の財源の多様化の問題でありますけれども、スポーツ振興基金が創設をされた際にも私ども最終的にはこの法案に賛成をいたしまして、そういう意味では私は、文部省だけが、要するに国が金をすべて出せばいいというふうに単純に思っているわけではないんですね。ただ、余りにも低いんではないか。そして、国またはスポーツ振興に直接の責任を負う文部省がどういう政治姿勢を示すのか、スポーツに対して。三十六年間、スポーツ振興法で基本計画を立てるということを明確にしておきながら、この間、そのことについては本格的な議論が行われなかった。
 幸いなことに、今回そういう議論が始まった。やはり私はこういうことが全国の自治体のスポーツ振興策にも大きな影響を及ぼすと思いますし、企業がもっとスポーツ振興基金にもお金を出そうではないかというふうな状況をつくる上でも、私は、やっぱり国がきちっとした方向と財政的な措置をしていく、このことがなければスポーツの振興は本当にできないんではないかなというふうに思っております。
 青少年への影響の問題でありますけれども、お隣の猪瀬先生は率直にわかりませんというふうに言われました。私もヨーロッパに行ってつぶさに調査をしているわけですが、ヨーロッパのことについてどうこう言う材料を率直に言って私は持っていません。ただ思いますのは、実際に皆さんが御指摘していることは、これまでの公営ギャンブルとはちょっと違うんではないか。先ほども言いましたけれども、実際に青少年に最も人気のある、これまで子供たちが夢としてきたサッカーに新しくギャンブルを持ち込むということについて不安があるのは当然でありまして、もしそういうことをやられるんでしたらもっとフェアに、先ほどもありましたけれども、これはギャンブルなんだけれどもスポーツ振興のためには必要だからぜひ譲歩してほしいというふうにフェアに国民の前に出して大いに議論をすれば、私は大変フェアな提案ではないかなというふうに思うんですね。
 ただ、今回の提案は宝くじと同じでギャンブルではないんだというふうな前提でやられている。これはやっぱり非常にアンフェアな提案の仕方だし、こういうやり方は子供たちにとっても本当に教育的ではないんではないかなというふうに思っております。
#103
○江本孟紀君 民友連の江本です。もう少し時間がありますので聞かせていただきたいと思いますけれども、時間が余りありませんので、猪瀬さんにお聞きしたいと思います。
 私、猪瀬さんのきょうの御意見は、「ニュースの考古学」という週刊文春の去年五月二十九日ので読ませていただいたので大体の意見はわかるんですが、きょうお聞きした話もこの中で言っておられることとほとんど同じなんです。
 一つここで猪瀬さんにちょっとわかってもらいたいのは、ここで議論しているのは、サッカーくじはギャンブルであり悪である、これは青少年に悪い影響を与えるんだと、この二点が大きな問題になっているんですよ。そのことばかりがもともと入り口にあって、そこから話がいっているものですから、今、猪瀬さんの言われたような中身の問題、この意見からいうと、猪瀬さんの場合、私はもう反対ではないように思うんですね、これがもし実施されれば。された場合に、こういう今までの他のギャンブルとの関係、役所との関係、こういったものを文部省がもし所管するんであればきちっとやれと、そういうことを言っているんではないかなと思うんですが、その点について、じゃもし文部省がきちっと管轄するに当たってはどんな方法が一番いいのか、どういうふうな御意見をお持ちなのか、お聞きしたいと思います。
#104
○参考人(猪瀬直樹君) 確かに、当時サッカーくじは、今、江本さん言われたようにギャンブルというのは悪いんだという話がずっとあったので、そういうレベルじゃないよという話はそれに書いたわけですね。
 例えば、パチンコ屋さんに行ってお金がもうかって何で裏の小屋に行かなきゃいけないのかよくわからないわけですね。そういうごまかしをしている。だけれども、これみんなお役所なんだ、そういうごまかしをつくるのは。だから、文部省はほかのところよりはいいかもしれないけれども、基本的にまずそういう不信が僕にあるわけです。だから、何か僕自身が悪いことをしているみたいになっちゃう。このくらいの、パチンコ屋の裏でこんなことをやってあける、これはおかしいわけですよ。完全にごまかしなわけですね。それを役所がつくっているわけですよね、これは警察庁ですよ、この辺のきちんとやるべき問題は。やっていない。自分たちの要するに利権のためにそういう構造を保存しているわけですね。おかしいわけですね。
 だから、僕はとにかくお役所が胴元になるというのは極力避けたい。ギャンブルそのものはあっていいだろうと。青少年の影響と言うけれども、さっき僕は答えなかったけれども、パチンコ屋の裏に行ってこんなことをやった方がかえって悪い影響が起きるんですよね。裏でこっそり何か交換していると、これはやっぱり何か後ろ暗いなという気持ちにさせている、そういうことだと思う。
 要するに僕は、例えばお相撲さんのくじをイギリスでやっているでしょう、曙が勝った、貴乃花が勝ったって、それでフックメゾカーがあってやっているでしょう。ああいうふうにやったっていいわけですよ。だから、何で文部省がやるのか全然わからない、文部省に頼まなきゃいけないのかわからないというふうに思うわけですね。
 それから、江本さんなんかはやっぱりスポーツ関係の予算が足りないと思っているわけでしょう。それはわかりますよ。ただ、ワールドカップを招致するときにつくったスタジアムの数を数えてごらんなさいよ。幾らになると思いますか。あのスタジアム一個で文部省の年間のスポーツ予算より多いんだから。そんなのをむだにどんどんつくっているわけだから、やり方はいろいろあるはずなんですね。だから、そういうことを考えないで安直に文部省が胴元になるというふうにふうっと流れ込んでいったという流れがあるわけですね。
 だから、そういうのをやっぱり初めから見直すしかないんですよ。そういうわけであります。
#105
○江本孟紀君 確かにわかります。そういうこともわかるんですけれども、このサッカーくじそのものは、もっといろんな観点からスポーツ界としてはこれを導入した方がいいと。
 例えばトトカルチョをやっていても、トトカルチョ委員会というのが、世界じゅうやっているところがあって、そしてやっている全部の国がどういう方法でやった方がいいか、スポーツ振興にはこういうものがあった方がいい、この国はこういうふうにした方がいい、機械はこういうふうにした方がいい、公平にこういうふうにやった方がいいというようなものも既にやっているわけですね。
 だから、そういう国際社会の中にこういうものを取り入れて我がスポーツ界も入っていくということはすばらしいことじゃないかなと私はスポーツ界の人間として思います。
#106
○山下栄一君 長沼会長に、スポーツ指導者の養成、活躍の場ということからちょっとお聞きしたいんですけれども、私は、そういう専門的な教育、スポーツ、体育の教育を受けた方、そしてスポーツの能力のある方が活躍する場が本当に限られている、これが非常に大きな問題になっていると思うんですね。
 今、学校体育、学校の先生も、子供の数が減っていますから、教員採用も非常に極端に少なくなっている。また、企業も不景気で、そういうクラブ、チームを廃部したりというような状況の中で、そういう意味でこの総合型地域スポーツクラブというのは非常に大事な観点であろうと思うんです。ただ、こんなことを言い出したのは、くじの関係で言い出したというふうなことで私は理解しているんです。要するに、日本は基本的に地域のスポーツ振興というふうなことは今まで、ちょっと語弊があるかもわかりませんけれども、非常に弱かったという認識を持っているわけです。
 スポーツの能力のある方々のその養成の仕組み、そして活躍の場が余りにも少ないという現状についての長沼会長の御意見をお伺いしたいと思います。
#107
○参考人(長沼健君) 本当にスポーツがやらなきゃいけないポイントについての御指摘だと思います。
 このくじの話の出るはるか以前から、Jリーグ出発構想がうちの協会の中にはございました。その基本理念が、自治体と市民、それから運動競技団体の人間が三位一体になって地域に根をおろしたスポーツクラブを生み落とし、そして育てるというのが基本理念だということで、これは全面的に賛同をして強力に推し進めたという経緯がございます。
 お話しのように、優秀な指導者それから整った設備、この二つがスポーツを始める人にとって必要なものの最大にしてすべてだと思います。その中で特に指導者の問題は大きな問題で、例えばサッカーという狭い世界でございますが、世界から来たトップクラスの連中の記者会見というのにしばしば立ち会いましたが、あなたのようなすごい選手になるために何が一番効果があったのかと。そうしたら、大抵十歳、十一歳、十二歳、その範囲ですが、その時点ですごいコーチに出会った、この人にスポーツだけではない、人生について私は教わったと。そういうのを聞くにつけても、指導者というのは大きいな、ある意味では一人の人間の人生を決めてしまうかもしれないなという認識を持ちました。
 ただ、残念ながらそういう指導者を育てていく財源が全競技団体とも大変乏しい。日本体育協会も一生懸命やっていますが、まだまだだという状況がございます。
 さらに申し上げるならば、先般、マイケル・ジョンソンというアメリカのトップアスリート、二百メーターの世界チャンピオンだったと思いますが、この人が招かれて日本に来まして、私はテレビを見ていたのですが、本当に衝撃を覚えました。あなたの将来に対する抱負は何ですかという質問、よくある質問でございますが、今アメリカは家庭と学校が子供のしつけを放棄したと思う、それに手を差し伸べられるのはスポーツが一番有効だと私は考えている、したがって、引退をしたら子供たちのスポーツのために何か役に立つことをやりたい、特にしつけだと。
 何か私はぐさっときました。日本も、スポーツマンがやるべき仕事がここに一つあるなと。そして、そういうことを公式な場でコメントができる選手を育てなきゃいけないなということを痛感した次第でございます。
 そういう意味で、もちろん設備もありますが、指導者の育成にやはりより多くの有効な資金を投入したいなというのは全競技団体の希望であろうかなというふうに思っております。
#108
○山下栄一君 という観点から、私は、本来の国の予算の中で総合型地域スポーツクラブの構想を実現するための取り組みを基本的にはやっていくべきであると、この辺の議論が余りにも今まで少なかったということを感じております。
 もう一点、今回の振興くじには子供が参加できない、年齢制限があるわけです。これも非常にゆがんだ形になってしまっている背景にあるとも思うんです。
 うちの子供も高校三年生ですけれども、三年間サッカーをして、本当に親にはできぬ教育をしていただいたわけでございます。サッカーに対する熱意というのは物すごいものがあるわけですけれども、そういう十代の子供たちは全国にいっぱいいる。午前中もお話があったんですけれども、こういう子供たちが参加できないような法案になっているわけですけれども、このことについての長沼会長のお考えをお聞きしたいというふうに思います。
#109
○参考人(長沼健君) それは十分にお考えいただいて、現在まで御検討いただいていると思います。イギリスも十八歳以下には売らないということでずっとやっておりまして、それがそんな悪い影響がないということがはっきりしたというので十六歳以下に切り下げたというふうに聞いております。
 ただ、日本がいきなりその年齢でやっていいとは私も思いません。これはよく先生方御審議の上で、妥当と思える線で線を引かれるべきだと思います。子供たちが、例えば小学生が千円札を握り締めてくじの売場に行列をなすなんという図は世界でも見たことがございません。いい影響があるとは思いません。
#110
○松あきら君 どうぞよろしくお願い申し上げます。御苦労さまでございます。
 私は、午前中も申し上げましたとおりに、スポーツ振興は大賛成でございます。そして長野オリンピックも楽しんでおります。そして、スポーツ議連にもサッカー議連にも入っております。しかしそれとは別にして、私は二つの点でこのスポーツくじ法案に対しまして反対でございます。
 一つは、やはり青少年に大きな影響が出るのじゃないかということ。そしてもう一つは、まさしく猪瀬先生のおっしゃったとおりに、特殊法人、私はこれに反対をしております。やっぱり特殊法人、これは皆様御存じのとおり種々問題がございます。そして日本体育・学校健康センター、これはまさしく特殊法人で、まず行革にも反する。そしてまた、これは正直言って、先ほども黒須教授がいろいろな御意見を述べられましたけれども、やはりノーコントロールが欲しいんです。国が余り関与してほしくない。しかし、これを通すとなると必ず関与してまいります。猪瀬先生のおっしゃったとおりだと私は思います、これは文部省が関係してくるのですから。こういった点で私は反対なんです。
 そして、一つ、先ほどからヨーロッパの国々では問題がなかったという点でございますけれども、これは私言わせていただきたいんです。先ほどやはり黒須教授がおっしゃっておりましたけれども、ドイツの小学校は午前中しか授業がない。午後は先生と一緒になってスポーツをしたり遊んだり、情操的な教育に役立てていると。イギリスの学校も同じでございます。そしてまたお小遣い、これは現金はほとんど持たないんですね。ヨーロッパの子供たちは現金をほとんど親からお小遣いとしてもらわない。教育面、そしてまたそういったお小遣い等の面も含めて情操的な面でも全く今の日本とはヨーロッパは違う状況なんです。
 そういうことをよく御考慮いただかないと、峯にヨーロッパで問題がなかったから日本も大丈夫であると。これは私は大きな問題があるのじゃないかと。本来であれば、私もスポーツ大賛成ですから、どうにか予算を分捕ってということを思いますけれども、しかし、それよりも何よりも、簡単にサッカーくじを考えて導入してしまう、しかも文部省が関与している。これは、私個人の意見でありますけれども、絶対に許せないという気持ちなんです。
 そこで、先ほどもお聞きしましたけれども、なぜ今サッカーくじ法案を通す緊急性があるのか、これをまず長沼会長にお伺いしたいと思います。
#111
○参考人(長沼健君) 先ほどから再三申し上げておりますが、オリンピックに出てメダリストになったり、あるいはそれに準ずる活躍をした選手諸君というのは、やはりそれまでに大きな苦労をしているとは思いますけれども、ある程度充足感を得てオリンピックを終えることができる。しかし、そこまで到達しなかった選手あるいは直前になって代表選手から外されていった選手、トップアスリートの中でも非常に大変だった人がたくさんいらっしゃる。しかも、それはその年次の問題じゃない、四年のうちの三年間は死ぬ思いをしてトレーニングを続けてきているはずです。そういう人たちを今以上に支えたい。これはトップアスリートです。
 それから国民スポーツ、いわゆる底辺のことを考えますと、これは切りがございません。多摩川の川っ縁で野球をやっている子サッカーをやっている子、たくさんごらんになれます。ただ、あの子たちがスポーツが終わった後シャワーを浴びて帰ったという話はないんです。シャワーがないんです。もちろん河川敷にはつくれません。しかし、堤防を越えたところに小さな掘っ立て小屋の一つはつくれるはずです。世界じゅう、先進各国の子供たちはスポーツが終わったらシャワーを浴びてうちへ帰るんです。せめて、ささやかながらそれぐらいのことをさせていただきたいというのが我々の差し迫った希望でございます。
#112
○松あきら君 先ほど浅見教授にも種々お話を伺いましたけれども、浅見教授はお金の問題であると。サッカーくじを導入したお金であっても、あるいは国の補助金であっても、自分としたらはっきり言ってお金をいただければ別にどうしてもくじを通してほしいということではないんだと、そういうふうな御意見をおっしゃいましたけれども、長沼会長、その点はいかがなんでしょうか。やはりお金はどうしてもくじによる方がいいとお考えなんでしょうか。
#113
○参考人(長沼健君) 先進各国がその形でスムーズに今現在運営されているというのを見て、日本もこの方式がいいというふうに思っている次第でございます。ただ、お金が必要だという意味においては浅見参考人と同じです。
#114
○松あきら君 猪瀬先生、さきの委員会で私は会計検査院に、もしこれが通った場合、日本体育・学校健康センターにきちんとあなたたち入るんですか、関与してきちんとこれを調べて全部できるんですかと申し上げたら、法律が通らないとわかりません、法律が通った時点で自分たちがやるかやらないか考えるというようなことを聞きまして、私も少し唖然といたしましたけれども、情報公開というのを一応日本体育・学校健康センターは規定をしておりますけれども、それはこれが通った場合どういうふうになるというふうにお考えでしょうか。再度お聞かせいただきたいと思います。
#115
○参考人(猪瀬直樹君) 会計検査院は特殊法人の経理内容をチェックする仕事をやらなきゃいけないわけです。彼らは法律の範囲の中で一応やるわけですね。日本体育・学校健康センターは、ちょっと正確じゃないんですけれども、出資金が四百億円ぐらいたしか国から出ていますから、当然これは国の機関である会計検査院がその中身を検査しなければいけないんですが、問題は、へそくり予算というふうな言い方をしておりますけれども、これが配られる先が社団法人、財団法人なんですね。この社団法人、財団法人というのは大体天下り先にもなっているんですね。全部じゃないですよ。ただ、その社団法人、財団法人というのは民法法人であります。
 したがって、これは一番微妙なところなんですけれども、国のお金をその民法法人に与えても、会計検査院は民法法人である限りは政府機関でないということで入れないということになるわけです。そういうあたりが一番問題です。さらに言いますと、配ったお金をどのように使ったかというふうな報告を主務官庁に必ずするわけですね。主務官庁でそれを見るという形になります。だから、さっき決算委員会が機能しなければ実際にはわからないだろうということを言ったわけですね。
#116
○日下部禧代子君 きょうは三人の参考人の皆様、ありがとうございます。
 今私どもが論議して、参考人のお三方にも来ていただいているこの法案は、我が国のスポーツの振興がいかにあるべきか、そしてそのための財源確保のための法案でございます。したがいまして、私としては、確かに財源があったらあった方がいいのでございますけれども、それと同時にやはり日本のスポーツ振興のあり方ということについても、特に財源確保のための法案である以上、どのような使い方をすべきなのか、そしてこれからどのようなスポーツ振興のシステムをつくっていかなきゃならないかということも非常に重要だというふうに考えます。したがいまして、まず長沼参考人にお伺いをしたいのです。
 長沼参考人は、日本サッカー協会の会長でいらっしゃると同時に保健体育審議会の委員でもいらっしゃいます。というので、全般的なスポーツの問題について御質問をまずさせていただきたいというふうに思います。一先ほどのドイツのスポーツシューレのお話、大変感銘的にお伺いしたわけでございます。また、午前中にもたまたままたドイツの例が出てまいりまして、ドイツの地域スポーツセンターの例を私たちお伺いさせていただいたわけでございます。
 これは非常に端的に言って日本とはかなり違うなということを感じます。ただ、これは財源があったからだけではなさそうな気もいたします。そのスポーツが置かれている環境、あるいはまたスポーツのシステムをどのようにつくり上げていっているのかというふうな基本的な、構造的な問題にもこれは関係しているのではないかなというふうに思います。
 ところで、今、長野で世界各国そして日本の選手が大変活躍しております。日本の選手は大変いい成績を上げてくれていると思うんですけれども、しかし一般的に言うと、我が国の国際競技力、これは競技スポーツに限りますけれども、長期的、相対的に低下の傾向をたどっているというふうに言われております。日本のシステム化が非常におくれているということが原因の一つというふうにも言われているわけでございますね。特に、今までは競技スポーツのすそ野を広げるといういわゆるピラミッドモデルというふうに言われている、そういうシステムではもうだめなのではないかと。もっと子供のときから一貫した継続性のあるシステムをきちんとやらなければならないというふうに言われているわけでございます。そのことがすぐれた適性とか能力を持った選手を発見するということにもつながっていくというふうに言われておりますが、こういった我が国の競技スポーツの持っ課題について、この財源を論議するからにはそういうことをきちっとやっぱり仕組みを考え直して、そしてそのためにお金を使うのだということがなければ、なかなか国民も納得できないところがあるんじゃないかと思いますので、長沼参考人いかがでございましょうか。
#117
○参考人(長沼健君) 非常に広範囲なお話だと思います。ただ、我が国の学校スポーツというのが長い時間をかけて、本当に世界に例を見ないようなすばらしいやり方で今日までやってこられたというふうに思っております。ただ、再三お話が出ますように、クラブでスポーツを楽しむ、そんな中から強い人間が出ていって、それがすてきなコーチに出会って世界の中に入っていくという構造にはまだなっていなかった。現在日本で世界の中で活躍をしてくれております選手諸君、最近は女性が非常に多いのでございますけれども、テニスの世界でも、あるいはゴルフの世界でも、あるいは水泳なんかはスイミングクラブで鍛えられた子がやはりいい成績を残しているかなということも見ますと、これから学校スポーツとクラブスポーツの連帯と申しましょうか、そんな中で、やはりスポーツは基本的にはピラミッドが一番いいというふうに私は思っております。
 非常にタイムリーにいい指導者がつけるような形、しかし、かつて東ドイツがやったような、選手をつくる工場みたいなものは絶対につくっちゃいけないというふうに思っております。人間でございますので、やはり選手の能力を見ながら育てていくと。そんな中で、途中で薬物がどうのとか非常に情けない話が入ってくるわけでございますから、あくまで選手の能力を見ながら、そのレベルに応じた指導がやっていけるようなピラミッドというのは必要だと。
 ただ、いつの場合も、再三申し上げますが、タイムリーにいい指導者が用意できるのか、そして、選手諸君が納得のいくだけトレーニングをやれる設備があるのかと言われたら、残念ながら現在はノーでございます。
#118
○日下部禧代子君 私の場合考えますと、部分部分ではなかなか日本はいいところがあるわけですね、スポーツの選手の養成にしても。しかしながら、それが例えば学校教育の中で行われている。そこで、学校を出てしまうとぷつんと切れてしまう。あるいはまた、企業でたまたまそのスポーツの盛んなところに入れば、それは継続されるかもわからない。どうも一生の中でスポーツを一人の人間が続けていく一貫性というもののシステムができていない。あるいはまた選手の場合、いわゆる競技スポーツにおいても、子供のときから、あるいはまた小学校、中学、高校、大学、そして社会人になってというふうに、なかなか継続性が考えられるようなシステムというのが日本にない、これはどういうことなのでしょうか。
 何か日本は官庁もみんな縦割りでばらばらだというふうに言われていますけれども、部分的にはそこではいいのですけれども、それをやはり一貫するというところでまた力がきちっと倍以上になるということもあると思うんですね。その辺の問題についてどのように感じていらして、それをどのように変えていこうと思っていらっしゃいましょうか。
#119
○参考人(長沼健君) たまたまゴールドメダリストになりました清水宏保君あるいは里谷多英さん、お二方共通で、非常に献身的に熱心にこの二人を育てる上で役割を果たされたお父様が不幸にして亡くなられたということが余計我々の胸にくるのかもしれませんが、第一級のスポーツマンの場合、そういう何かがないとあそこまでいけないな、あるいはすごいコーチの方が途中まではいらしたんだとか、それはすごくいい話だけれども、常にそれしか頼りになるものがないというのは悲しい話だと思うんです。
 したがって、話をすれば長くなってしまって申しわけないんですが、今はやはり中学校の二年半でスポーツ活動は終えて高校進学に備えなきゃやれない時代が来ている。種目によって違うでしょうけれども、中学校二年半というのはその種目で本当に大きな存在になるために欠くことのできない時期だと思います。
 そういう問題も大きく介在していると思いますが、それも含めて、自転車でちょっと二、三十分行けばすてきなコーチのいるクラブがあるという時代を迎えれば、そういう状況は大きく変わってくる。しかも、メンバーシップをとるために膨大なお金が要る、これじゃ話になりません。極めて安価なメンバーシップフィーでもって参加でき、そこでいい設備がありいい指導者に出会えるという状況をつくってあげたいなというのが、今の御質問に対する御返事になっているかどうかは別で、我々の願いでございます。
#120
○日下部禧代子君 長沼さんおっしゃいましたように、進学で中断されるというのは私自身もそうでした。私は小学、中学、高校と陸上競技できたのですけれども、やはり進学のための高校だったので、スポーツをやるよりも、学校の進学率を上げるということのためにもスポーツの方はやめなさいというふうな学校の御指導があった。これは私の時代でもそうでしたから、今はもっとそうあるのかなというふうに思うわけでございます。
 これは単に、今回の金メダルの二人のようにたまたますばらしいお父様がいらしたということだけではなくて、もっと全体のレベルアップのためにも、それは単なる個別的なことではなくて、システムとして国として財源を確保するからにはやるという、そういう展望というものをやはり国民の皆様に見せるということは、これはさまざまなスポーツ団体として必要なことではないかなというふうに私は思います。
 そういった観点から、今のいわゆる競技団体のあり方について、こういうところはどうしても近代化しなきゃならないな、あるいは抜本的改革は必要だなというふうなことをお感じのところはございませんか。
#121
○参考人(長沼健君) これは文部省の御指導もありまして、財団法人化を急げと言われて、いろいろな競技団体が法人化を進めている。さらには、都道府県のそれぞれのまた競技団体の協会がございます、例えば広島県サッカー協会とか。そういうところもでき得る限り早期に法人化を急ぎなさいという御指導をいただいて、これは完全に透明性であり、公開性であり、フェアプレーだというふうに思って我々も進めておりますが、まだまだ現実には、これは基本金の問題もございまして、地方のサッカー協会というのは学校の先生が自宅にオフィスと称して電話を置いてあるだけだというのが現状でございます。人を雇うところまではいかないというのが現状でございます。
 これは多くの競技団体も同じようなことだと思いますが、将来は、それぞれの本部だけではなくて、都道府県の陸連さん、水連さんを初めとして競技団体が財団もしくは社団の法人格をお持ちになって、非常に公明性、透明性を持った形の中でお仕事をされる時代が来ればいいなと、私はそういうふうに思っております。
#122
○日下部禧代子君 これはただ部分的なことだけを取り上げて言うことになるのかもわかりませんけれども、例えば長崎宏子さんだとか千葉すずさん、そういった方々が日本を離れてしまって、アメリカの方が住み心地がよいらしくて、有森さんもこれは永久かどうかわかりませんが日本を離れる。その方が伸び伸びとできるからアメリカの方に行ってしまわれたのかな、彼女たちが日本で伸び伸びとできない理由があるのかなというふうなことを外側の人間として考えるのですけれども、その辺のところはいかがでございましょうか。
#123
○参考人(長沼健君) 大きな問題の一つとしてやはり経済的な問題があると存じますが、諸外国でキャンプを張った方が、特に滞在費は圧倒的に安いです。そして、お支払いをしたお金に見合うだけの食事なり休息なりが得られる。決して豪華ではございません。しかし、極めて清潔で、選手の立場を考えた設備ができている。さらには、若干語学の問題があるかもわかりませんが、そこにいてほしい指導者がいるということもあるかと思います。
 日本も随分スポーツ医学その他には進歩があるし、それから指導者も数がふえておりますが、経済的なことを申し上げるならば、トレーニングセンターらしきものが全くないというのが大きなネックで、選手たちの気持ちが外国に向くというのだと思います。もし国内にあれば、すてきな指導者がいらっしゃれば決して外国でというふうには思わないと思います。
#124
○日下部禧代子君 今のサッカーくじ法案について御質問したいのですけれども、やはり長沼さんにお聞きいたします。
 このいわゆるくじの公正さを保つためには、競技が本当に公正なのかどうかというふうなことをチェックするということが非常に重要なことなのではないかというふうに思います。例えば、日本相撲協会にはそういうチェック体制といたしまして監察委員というのがあるというふうに聞いておりますし、それから日本中央競馬会には裁決委員というのがいるというふうに聞いておりますが、Jリーグの場合にはどのようなチェック機能を持つ場所があるのでございましょうか。
#125
○参考人(長沼健君) Jリーグ及び日本サッカー協会双方にあるのは、チェック機能に当たるかどうかは別でございますが、規律委員会でございます。これは国際サッカー連盟がやっている形をそのままいただいて、その内容についてもほぼ踏襲してやっております。
 これは、選手、役員含めてサッカーに関与する人間すべての規律について、問題が発生をしたらもちろんチェックをして処分を決めますけれども、その前に常に、まあサッカーというのは割に荒れるという認識がございます、アイスホッケーのごとく。そういうこともございまして国際サッカー連盟は、今、公式戦は全試合、試合に先立って審判の前を、FIFAフェアプレー族と言っておりますが、黄色い旗を少年たちが持って入り、その後審判が入り、選手が入るということ、これはセレモニーと言ってしまえばそれまででございますが、やらせております。これはオリンピックすべて、ワールドカップすべて、Jリーグもやっております。
 そうやってありとあらゆる面から監察をし、不審な点があったらもちろんとがめていく。Jリーグは全試合をドーピングのチェックの対象にして今やっております。幾らかこれはお金はかかりますけれども、これだけは絶対やろうということでやっておりまして、やはりいろいろな監視のもとでやられているというのは御理解いただけたらというふうに思います。
#126
○阿部幸代君 日本共産党の阿部幸代でございます。三人の参考人の皆様には、きょうは貴重な御意見をお聞かせいただき、ありがとうございました。
 初めに、長沼参考人に伺います。
 野球界がサッカーくじに仮対の声を上げていることが昨年の暮れに報道され、大変反響を呼びました。御存じのことと思います。全日本アマチュア野球連盟、日本学生野球協会の広岡知男会長は次のように語っておられます。
 スポーツにギャンブルが参入すればどうなるでしょうか。一攫千金を目標にしたり、賭けのおもしろさでひきつけることになってしまうでしょう。こうなると勝敗の結果だけが関心事となる。これは純粋なスポーツの楽しみ方といえません。
  学生野球の場合、人間形成の一つの過程として、スポーツが役に立っているわけです。スポーツのギャンブル化の動きは、こうした学生野球の意義を脅かしかねない。
こうおっしゃって、サッカーくじに反対をしておられるんです。甲子園大会でも暴力団が裏で賭博をやるとか、またプロ野球も例外ではないと言われる中、これを一般の人たちが公にやれるようにしてしまうことは問題だともおっしゃっています。
 プロ野球界でかつて賭博事件、黒い霧事件があって、国会でも大きな問題になったことがあるそうですね。プロ野球界はこの歴史の教訓を肝に銘じているというふうにも私は伺っているんです。
 それで、こうしたスポーツ界からの反対の声をどんなふうにごらんになっているでしょうか。
#127
○参考人(長沼健君) 野球界からそういう声が上がったというのは承知をしております。やはり広く世界を見渡した上で御主張いただきたいなというのが我々の現在の気持ちでございます。
 先ほどからギャンブルであるかないか、ギャンブルですよというふうなお話がございました。それはもう百歩譲って認めるとして、極めて広く浅く実施をされるということが青少年に特に大きな害を与えたり、そういうことについては私どもは少なくとも心配をしていない。むしろ、これは財源は別にくじでなくてもいいんですけれども、その結果もたらされるものが、現在問題になっている少年の問題その他、あるいは家族が核家族になっていくという問題、冒頭に申し上げたように、家族がそうやって一緒になって飯を食ったり、別々のスポーツをしながらそれを話題にしたりする中から、それが非行化の種になるだろうということは極めて考えにくいというふうに思います。
 また、もちろん透明性、公平性というのは一番大事なポイントで、イタリアもCONIと称するイタリア・オリンピック委員会がこれを主催しておりますが一しかし、内実は日本でいう文部省に極めて似通った団体だとも聞いております。しかるべき団体がやらなきゃいけない、それは十二分の監視のもとでやらなきゃいけないということであろうかと思います。
 それで、よく誤解をされるんですが、競輪や競馬はその競技場に附属して馬券売り場あるいは車券売り場がございますね。サッカーの振興くしというのはスタジアムには一切そういうものはございません。町にございます。公認された店で投票券を売っているんです。それを買って、そして多くはその場で自分の予想を記入いたしましてコピーをポケットへ入れてその店に提出する、あるいはポストに投函するというシステムでやっているということで、競技場とは完全に切り離されているということ。
 それから、再三さっきから申し上げている年齢制限の問題。世界の中でどうやっていらっしゃるか、どれがうまくいっているのかというのをつぶさに先生方がチェックをされているということもございます。
 我々は、ヨーロッパが割に多いですが、南米の協会関係者と話し合う機会を随分持たせていただいております。そういう場で特に英国、ドイツ、その辺の役員から言われて頭が痛いなと思うことは、日本は今スポーツくじのことで審議が非常に盛んに行われておりますと言ったら、それはみんなが納得されるだけ審議をされる方がいい、しかし日本は子供たちを明らかに冷遇しているぞと言われて、いやそんなことはないと。じゃ、何で子供たちの通学する道に女性の裸の写真が麗々しくぶら下がっているんだ、公衆電話の中を見ろ、やることはもっとあると言われて返す言葉がなかった記憶がございます。
 それは本件とは関係ございません。むしろ私どもは、孤独になりがちな子供たちや、よく今で言う、切れるという表現であらわされる子供たちに、スポーツを通して何かやれたらいいと、そう思っているだけでございます。
#128
○阿部幸代君 長沼参考人、少なくとも先ほど来の意見表明の中で、子供に券が売られてよい影響があるとは思わないということはおっしゃいましたよね。それで、法案では銀行に販売を委託するということだけが明らかにされているんです。ですから、どこで売られるか、どういう仕組みなのか、全く不明です。
 実はサッカーくじに反対だという声は、ほかにも日弁連とか日本PTA全国協議会とか主婦連、地婦連などの女性団体とか、あるいは広範な教育、スポーツ関係団体、またJリーグのホームタウンのある自治体議会からも上がっているんです。社会的に大きな影響力を持つこうした方々を含め国民合意が得られていないということ、とりわけ、地域のスポーツ文化の発展を促進する、フェアプレーの精神を尊重するというJリーグの目的に賛同してホームタウンになった自治体議会で決議が上がっているということは、やはり重要視するべきだというふうに私は思います。
 これは意見とさせていただきます。
 次に、和食参考人に質問いたします。
 午前中の参考人の意見表明の中で、スポーツに非常にお金がかかるんだということが公的に認知をされてこなかったということが言われたんです。その話を聞きながら私は、やはりスポーツが国民の権利であるという思想が本当に根づいていないんだな、それに基づく行政が進められてこなかったんだなということを痛感しているんですが、やっぱり今回のスポーツ振興財源論議の中に、国民の権利としてのスポーツ、その振興、これをしっかり軸として据える必要があると思うんです。
 そういう意味で、先ほどの意見表明の中で、スポーツは万人の権利、こういうことを基本的な理念に掲げて新日本スポーツ連盟が奮闘しておられるということを聞いて、大変共感を覚えました。
 それで、そういう立場から見たときに、日本のスポーツ行政の現状をどのようにごらんになっていますか。
#129
○参考人(和食昭夫君) 一言で言って大変冷たいんではないかなというふうに思っております。
 若干具体酌なことから話をさせていただきたいんですが、今、地域のスポーツをめぐってどんなことがハードの面で起きているかと言いますと、例えば東京都の例で言いますと、東京体育館の使用料、これは東京体育館だけではありませんけれども、原価主義というふうなことが打ち出されて、五〇%、一〇〇%の値上げ案が出される。結果的には、こういう提案について、例えば日本バスケットボール協会ですとか日本バレーボトル協会ですとか、東京都の各競技団体等々も含めまして、これは幾ら何でもひどいんではないか、バスケットのリーグ戦をやるのにもこれでは大変だ、東京ではバスケットのリーグ戦ができなくなるんではないかというふうな声まで上がっているわけなんですね。
 それからもう一つの例を言いますと、そういう大きな体育館の問題だけではなくて、大田区でも一斉に今度スポーツ施設、社会教育施設関係が大体一〇%ぐらいの値上げがされようとしているんですね。それにとどまらないで、千四百団体ぐらいある社会教育関係団体、当然この中にはスポーツクラブ、スポーツ団体も入っているわけですけれども、こういう団体に五〇%の使用料の減免措置が今はあるんです。ところが、それもあわせてなくそうというふうなことが提案をされているわけなんです。
 そういう点で言いますと、そういう今スポーツの現場で起きている問題にもっと行政が温かい援助の手を差し伸べるということがないと、本当にスポーツの振興というのはいかないのではないかなと。
 ですから、私は午前中の浅見先生のお話も聞いていて同感したんですが、二十年間頑張ったけれども政治は変わらなかったというお話があって、日々私もそれを実感しつつ、しかし、今それが変えられるチャンスを迎えているのではないか、そういう論議にぜひとも皆さんのお力で発展させていただきたいなというのが実感であります。
#130
○阿部幸代君 つまり、サッカーくじを導入したからといって、スポーツに冷たい行政が単純によくなるというふうには考えられないということでしょうか。
#131
○参考人(和食昭夫君) そのとおりです。
#132
○阿部幸代君 私は、スポーツ界からもサッカーくじに反対の声が上がっているということに大変注目をしています。
 私がつかんでいるのは、さっきお話しした野球界とか、あるいは私の知り合いも高校のサッカー部の顧問をやっている人がいるんですけれども、こういう人たちが有志でいろんな取り組みをしているとかそういうことは知っているんですが、そのほかのスポーツ界の反対の声など実情をお聞かせいただけたらと思うんですけれども。
#133
○参考人(和食昭夫君) 先ほどもお話しありましたように、昨年、全日本野球会議、これはプロ、アマを含めた日本の主要な野球組織全体が参加をしている会議でありますけれども、そこで反対の確認がされた。同時に、例えば吉国一郎プロ野球コミッショナーですとか、セ・パ面リーグの会長さんですとかも当然反対の意見表明をこの間されておりますし、例えばボクシング評論家で著名な郡司信夫さん、それからこれは週刊誌で御意見を発表されておりましたけれども、元F1レーサーの中嶋悟さん等も、これはいかがなものかというふうな意見表明をされておりますし、サッカー評論家の中条一雄先生なども、週刊朝日のコラム欄で繰り返し反対の御意見を言っているところであります。
 なお、私どもも日本体育協会傘下の地方の体育協会や競技団体の方々にも対話の申し入れ等々やっているわけですけれども、その中でもいろんな意見がありまして、実を言うと、本当に自治体や国がお金を出してくれるのであれば、サッカーくじというやり方は、子供のことを考えるともっとほかに方法があればというのが私は率直なスポーツ関係者の声ではないかなというふうに思っております。
 以上です。
#134
○阿部幸代君 私が日本青年団協議会という団体を訪問したときなんですけれども、事務局長の方がこんなことをおっしゃったんです。
 青年団というのは、地域でスポーツを通して普通の青年たちのコミュニケーションを図っているそうですが、最近補助金が削られて大変困っているそうです。国民の権利としてのスポーツの振興をするのに、サッカーくじなどという際物でなければならないのかと、こういう言い方で憤りの声を上げておられたんですけれども、私はそれが率直なスポーツマンあるいはスポーツにかかわっている方たちのお気持ちではないかなというふうに思っています。
 まだちょっと時間があるので和食参考人にもう一つ聞きたいんですが、スポーツマンやスポーツ団体にとって自主性の確保、お金の確保と同時に自主性の確保というのが非常に大事だというふうに思うんですけれども、サッカーくじがこの問題に照らしてどんな障害をもたらすというふうにお考えになっていますか。
#135
○参考人(和食昭夫君) サッカーくじというのは、いわばJリーグの競技を公営ギャンブルにするというふうな性格を持たざるを得ないというふうに考えているわけですけれども、そうなりますと、従来のスポーツ団体と国や行政との関係の原則といいますか、そういうものとかけ離れた法的な規制措置をとらざるを得ないというふうに法案上もなっていると思うんです。
 ですから、確かに日本中央競馬会とか競輪とか競艇の団体に対する措置と若干の違いは当然ありますけれども、しかし、基本的にはそれに準じたようなやり方をとらざるを得ない。そしてまた、しかも厳しい罰則規定もさらに提案されているというふうなことから考えますと、私は、文部省のもとにあるスポーツというのは、本当に自主的で自由な活動でなければならない、スポーツ団体が自主性を確保して、そして国民から信頼されるような組織運営をしていくということが基本でありますけれども、それは社会教育法の第十二条の中でも、いわば援助不干渉の原則ということで、厳しく支配、統制することが戒められているところでありまして、そういう点でいいますと、私はこの点でも大変危惧がある。スポーツ関係者の中でも心配をしているということをつけ加えておきたいと思います。
#136
○扇千景君 自由党の扇千景と申します。
 お三方の参考人、大変お忙しい中、貴重なお時間を賜りましたことにまず御礼申し上げたいと思います。
 しかも、御存じのとおり、衆議院から参議院に回ってきましたこの法案に関してのるるの事態に対しては、参考人の皆さんはある程度御承知であろうと思います。
 午前中も申し上げたのですけれども、重ねて三参考人にこうして参議院の委員会にお出ましいただいたのも、やはり世の中にまだ賛成、反対の意見が相当ばしているという現状において、少しでも本来のスポーツ振興に役立てることであれば、みんなだれも反対はしない、ただ、そこに少しでも懸念があるのであれば、今の現状から考えて、もう少し国民にわかるようにすべきではないかということから今日まで皆さんに御足労いただいたわけでございますけれども、まず長沼参考人にお伺いいたしたいと思います。
 Jリーグ発足時、自分たちが一番気をつけようと思ったことは、自治体と市民の皆さん方と、そして関係者との三位一体の連携というものがいかに大事であるか、そういうことを考えて私たちはスタートしたとおっしゃいましたけれども、それに間違いはないでしょうか。
#137
○参考人(長沼健君) 前回の参議院の委員会の議事録、私手元にございますが、そのときに川淵三郎チェアマンが同じ趣旨のことを申し上げたと思います。やはりそれが設立の基本理念であったというふうに思います。
 申しわけないのですが、補足させていただくならば、我々が二〇〇二年のサッカーのワールドカップを志したのも、あまねく日本じゅうにやはりスポーツのよさというものを知っていただきたいことと、諸外国から数十万人という人がこれにお越しになる。この方々にサッカーだけじゃない、日本の文化のよさ、これが共催になりましたから、一つの大会で日韓両国の文化と国民に接する機会ができたのだと現在は受けとめておりますが、やはりそういう発想が基本にないとスポーツは寂しいというふうに思っております。
#138
○扇千景君 時間がありませんので、総論賛成の部分は省かせていただきます。問題点だけに絞らせていただきたいと思いますけれども、今おっしゃいましたように、地方自治体と三位一体というのはもうごもっともだろうと思います。
 ところが、今お話しございましたように、端的に言えば略称サッカーくじ、これに関しては御存じのとおり自治体でも多くの自治体が、四十一都道府県、二百六十四自治体というところが反対なり意見書を採択しております。そしてまた、私は不思議に思いますのは、Jリーグのホームタウンの自治体、これもそういう意見で、市議会なり県議会で提出しているんです。
 そうしますと、自治体と三位一体ということに対して、これはJリーグとしても、こういうものが通ったら自治体との連携がうまくいかなくなって困るんじゃないかなとお思いだろうと思うのですけれども、その点はどうですか。
#139
○参考人(長沼健君) 私がじかにつぶさに聞いて歩いていないので何とも申しかねますけれども、今先生がお話しのようなことがあるとしたら、多分これはまだ御理解不足だろうと思います。真実の姿を完全におわかりいただいた上で御議論いただいた上で、それで過半数が反対となるならば、やはり民主主義の国ですからやっちゃいけないことかなというふうには思いますが、私どもは、過半数は実態をごらんいただけたら必ず御賛同をいただけると信じているから申し上げたのでございます。
#140
○扇千景君 自治体だけではなくて私の手元に来ております。時間がございませんから全部読み上げるわけにはいきませんけれども、高校サッカーのサッカー部の部長、サッカー部監督、それからサッカー部元部長とか、これが青森、福島、茨城、山梨、岐阜、富山、滋賀、京都、神戸、岡山、高知、長崎、秋田、群馬、埼玉、横浜、静岡、長野、愛知、大阪、和歌山、山口、香川、東京都、現場のサッカー部の部長なり監督なり顧問の方々が呼びかけ人となって、「教育現場で日々生徒の指導にあたり、とくに高校サッカーを通じて青年のゆたかな人格形成や人間的成長をめざし、力を尽くしている私たちは、日常の教育活動や高校の部活動にも直接悪影響がおよぶことを懸念する立場から」ということで、ぜひという話も来ております。
 昨今、いろんな事件で目をふさぎたくなるような社会現象なり、高校生あるいは中学生、低年齢化していく現状に私たちは大変心を痛めております。ところが、こういう現場のサッカーの監督、部長等々から懸念する声が出ているということに対しては、長沼会長はどうお感じでしょうか。簡単にお聞きしたいと思います。
#141
○参考人(長沼健君) 簡単に申し上げて若干意外の感が否めませんが、我々はこの件に関して、高校のみならず我が傘下にある全連盟その他に対して、賛同しろとか、そういった意味での働きかけは一切しておりません。それは、我々がお願いに出た筋ではなくて、日本オリンピック委員会並びに日本体育協会がお願いに出ている、対象競技にされているにすぎないという立場でそうやってまいりました。
 ただ、今御指摘のようなことがあるならば、その実情を調べる必要はあるかなと思いますが、やはり広く世界を知り、世界と交流をした人たちならば、そういう御意見はもう少し減るんではないかなというふうに思います。
#142
○扇千景君 これは仮定の話ですから、私はそれをどうこう言うわけでございません。皆さん心配しているのは、これを導入したらどれだけの影響が社会に出るのか、青少年に出るのか、だれもわからないんですね。そのはかりかねているところが、先ほどの猪瀬参考人のように、子供への影響はわかりませんということになるんで、私は一番正直なお話であったと思ってちょっとどきっとしたんです。そのように暗い社会現象、社会ニュースの中でも、きのうも御存じのとおり里谷多英選手の金メダル、そしてまた高校生の上村愛子選手の、在学生でいながら入賞したという本当に明るいニュースで私たちはほっとしているんですね。それとこのくじの問題とは別なんですね。
 そういう意味で私は猪瀬参考人にお伺いしたいのは、先ほどからるるお話がございますけれども、私たち国会議員として本当に恥ずかしいなと思いますのは、スポーツ振興法が通ってこれだけの年数がたったにもかかわらず、スポーツ予算も、あるいは日本の文化の貧弱な予算もとれないということ自体が私たち国会議員に大変大きな恥になっているというし、自分としてもじくじたる思いをするんです。せっかくおいでいただいたんですから、先ほど官庁を主導できないのは政治家だというお話もありましたので、このくじを通して今のあり方というものについて、時間がございませんけれども、意見を吐露していただければありがたいと思います。
#143
○参考人(猪瀬直樹君) 今、扇議員が言いましたように、予算というものは、前年度幾らだったからこうだというふうなことじゃなくて、そういう硬直した予算編成ではない、実際幾らかかるからどうだと。理想論言っているようだけれども当たり前のことなんですね。去年はキャップ制ということでいろんな予算をそれぞれ前年の実績にかかわらずふやしたり減らしたりするというふうに一応建前はなったけれども、結局は大きな動きはなかったわけで、硬直した予算というものはやっぱりきちっと、それは文部省は文部省で本当にスポーツ振興にこれだけ必要なんだというなら予算をとればいわけですね。それは一つあると思います。
 それからもう一つは、だから予算ではなくてこういう形でお金を文部省が扱うということは、繰り返しますけれども、普通の国会運営というか、民主主義の原則ではあり得ない。既に通産省や運輸省はやっていますけれども、あり得ないことなんですね。そういうあり得ないことだということをやっぱりよく認識していただきたい、特に議員の人に認識していただきたいですね。
 こういう場合に、お金を配って、配った先がスキャンダル、ちょっとバレーボール協会がどこか忘れましたけれども、何かいろいろありましたね。そういうスキャンダルがあったときに、だれがどうなったか調査しなきゃいけないわけですね。そういうときにどういう権限でそれを行うのかよくわからない。国会議員ではなく主務官庁に報告ということであれば、国会議員はそれを広くさまざまな情報に基づいて追及することができないわけです。主務官庁の報告というのは、第三者というか、審議会の委員がいますけれども、審議会の委員も結局は国民を代表したという根拠を持っていませんから、したがって公正さというものを担保できないだろうと思います。
 それから、先ほどちょっとほかの質問のときにも申し上げましたけれども、社団法人、財団法人というのは公益法人ですけれども、税金をかなり安くしてもらっているわけですが、社団法人、財団法人というものは基本的にお金の配られる先、まあ個人もありますけれども、社団法人、財団法人にお金が配られるというのは、官庁が胴元になったギャンブルのと言うと言葉は悪いですけれども、基本的にはへそくり予算をつくった場合のパターンなんですね。ところが、社団法人、財団法人の会計がはっきりわからない。
 文部省の管轄じゃないですけれども、JAFというのがありますね。前にあれが五百億円もお金をためていたんですね。四百億円か五百億円か忘れましたけれども、何百億円もお金をためている。そんなような公益法人がいっぱいあるわけですね。したがって、文部省でお金を配るときに、公益法人というのは本当にどういうものかというのは、我々は国会議員が本当はチェックしてほしいと、こういうふうに思っています。
#144
○扇千景君 皆さん方お聞きになっておわかりだと思いますけれども、今現在、販売方法はまだ私たちにも示されておりません。それから、集金はどこがするのか、これもわかりません。銀行とおっしゃいますけれども、どこの銀行か、つぶれる銀行があるからわからない。それじゃ売り上げの目標は、これも予測なんですね。
 そのようにわからない点が、まだ明快にならない、国民の目に見えない、これらすべてが明快でない。今おっしゃったように配分の明確さとチェック体制は、これもわからない。それではやっぱり国民に理解を得られない大きな原因だと思うんですけれども、その件に関して和食参考人どうお思いですか。
#145
○参考人(和食昭夫君) 私も御指摘のとおりだというふうに思います。同時に、こういうことではなくて、本当に今スポーツの大切さが強調されればされるほど、何とか国の予算でできないかということをつくづく感じているところです。
#146
○扇千景君 私も、スポーツ振興に関しては、一般会計から堂々と予算をふやして国民のスポーツ振興なり、老齢化社会を迎えます日本の老人が、先ほどからいろんなお話がありますように、地域でスポーツができるような環境をつくるというのは大前提であろうと思います。
 その前提なんですけれども、新しい文部大臣、町村文部大臣が選出されたわけですけれども、私たちこの委員会でも、ことし初めてこの通常国会が始まったんですけれども、文部省はそれじゃ果たして二十一世紀の日本のスポーツをどう考えているのかという、そういうスポーツのプログラムさえ残念ながら私たちには示されないまま、先ほどからお話が出ていますトップクラスの技術の向上だとか指導者の育成や設備の整備というものも、文部省自体のスポーツに対する考え方が明快にない中で、それも開かれないでこのスポーツ振興くじのことばかり先に審議してしまうという委員会のあり方も問題なんですけれども、その辺について文部省なり参議院の委員会に対して最後に猪瀬参考人から御意見を伺って、時間だと思います。
#147
○参考人(猪瀬直樹君) 時間がないので一言だけにしますが、要するに余計なことをしない方がいいということですね。民間でできることを自由にやらせてもらうということ、余計な規制をして民間で育つ芽をつぶさない方が大事なんですね。だから、いろいろ民間で寄附をしたりするときも寄附に税金をかけないとか、当たり前のことを自由にやらせてもらいたいというふうに僕はちょっと思いますね。
#148
○扇千景君 ありがとうございました。
 終わります。
#149
○委員長(大島慶久君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 長時間御出席をいただきまして、貴重な御意見を賜りまして、大変ありがとうございました。本委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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