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#1
第142回国会 文教・科学委員会 第20号
平成十年五月十二日(火曜日)
   午前九時十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     本岡 昭次君     中尾 則幸君
     山下 栄一君     加藤 修一君
     上山 和人君     及川 一夫君
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     野沢 太三君     中原  爽君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大島 慶久君
    理 事
                小野 清子君
                北岡 秀二君
                馳   浩君
                小林  元君
                松 あきら君
    委 員
                井上  裕君
                釜本 邦茂君
                田沢 智治君
                中原  爽君
                長谷川道郎君
                江本 孟紀君
                萱野  茂君
                中尾 則幸君
                加藤 修一君
                及川 一夫君
               日下部禧代子君
                阿部 幸代君
                扇  千景君
   国務大臣
       内閣総理大臣   橋本龍太郎君
       文 部 大 臣  町村 信孝君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       谷垣 禎一君
   政府委員
       総務長官官房
       審議官      西村 正紀君
       科学技術庁長官
       官房長      沖村 憲樹君
       科学技術庁長官
       官房審議官    今村  努君
       科学技術庁研究
       開発局長     青江  茂君
       科学技術庁原子
       力局長      加藤 康宏君
       科学技術庁原子
       力安全局長    池田  要君
       文部省体育局長  工藤 智規君
       資源エネルギー
       庁長官      稲川 泰弘君
       資源エネルギー
       庁石炭・新エネ
       ルギー部長    篠原  徹君
       資源エネルギー
       庁公益事業部長  奥村 裕一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        巻端 俊兒君
   参考人
       動力炉・核燃料
       開発事業団理事
       長        近藤 俊幸君
       動力炉・核燃料
       開発事業団理事  中野 啓昌君
       動力炉・核燃料
       開発事業団理事  菊池 三郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○派遣委員の報告
○原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○平成十四年ワールドカップサッカー大会特別措
 置法案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(大島慶久君) ただいまから文教・科学委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、上山和人君、本岡昭次君及び山下栄一君が委員を辞任され、その補欠として及川一夫君、中尾則幸若及び加藤修一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(大島慶久君) 原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 去る七日、当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。北岡秀二君。
#4
○北岡秀二君 去る五月七日、茨城県東海村において、動力炉・核燃料開発事業団東海事業所を視察し、原子力施設の現状を実際に見るとともに、地方公聴会を開催して現地の生の声を聞いてまいりました。派遣委員は、大島委員長、馳理事、小林理事、松理事、長谷川委員、萱野委員、日下部委員、阿部委員、扇委員及び私、北岡の十名であります。
 まず、視察の概要について御報告申し上げます。
 動燃事業団東海事業所は、使用済み燃料の再処理、プルトニウム燃料の開発や製造、ウラン濃縮技術の開発、高レベル放射性廃棄物の処理貯蔵処分技術の開発、高速増殖炉燃料リサイクル技術の開発などを行っている動燃事業団の中核をなす事業所であります。しかしながら、ウラン廃棄物管理問題に関し科学技術庁長官名の命令により、平成九年十二月二十三日から六カ月間、事業所内のウラン使用施設はその使用が停止された状態であり、その他大半の施設においても検査等により操業は行われておりません。当日は、再処理工場、昨年三月に火災・爆発事故が発生したアスファルト固化処理施設及び雨水等の流入により相当な量の水がたまるという管理状況が問題となった廃棄物屋外貯蔵ピットを視察いたしました。
 次に、引き続いて行われました地方公聴会について御報告申し上げます。公聴会は四名の公述人から意見を聴取した後、各委員から質疑が行われました。
 まず、公述の要旨を簡単に御報告申し上げます。
 最初に、東海村村長村上達也君からは、原子力の開発、事業推進には国民的合意が不可欠であるが、現在は不安感、不信感が支配的となっており、原子力に携わるすべての関係者の意識改革が必要である。動燃改革に対しては、安全確保の強化、社会に開かれた体制の構築が強調され、本社が東海村に移転されることなどから、これを評価している。また、新たな立法措置を含めた原子力防災対策の充実、早急なバックエンド対策、原子炉の運転停止後における新たな地域振興策の拡充を国に要望するなどの意見が述べられました。
 次に、東京大学工学系研究科教授宮健三君からは、過去の動燃の事故は不幸であったが、核燃料サイクルの意義に変化はない。動燃改革検討委員会報告書において指摘されている主要な項目については十分納得がいく内容であり、改正法律案は適切に報告内容を反映している。新法人の運営に報告内容が忠実に生かされるならば、我が国として初めて世界に先駆けるような大型プロジェクトを成功させ得ることになるほか、これまでと異なり原子力開発に強く民意が反映されるようになり、従来とは大きく異なった方法で原子力開発が推進されることになる。また、原子力の実態について学校教育において適切に取り扱われる必要があるなどの意見が述べられました。
 次に、社団法人茨城県経営者協会会長石川周君からは、原子力エネルギーの安定供給の確立は我が国の将来を左右する重要事項であり、地元住民の間においても原子力に対する評価と信頼は高いと認識している。新法人の経営責任の明確化、業務の重点化、業務運営の透明性及び社会性の確保など、組織運営面からの事故再発防止策の工夫、努力が図られている今回の法律案を高く評価している。動燃の事故は放射性廃棄物処理が原子力エネルギー利用において重要であることを再認識させ、今後、国は放射性廃棄物対策について一層本格的な取り組みが必要であるなどの意見が述べられました。
 最後に、前日本原子力研究所研究員青柳長紀君からは、動燃の一連の事故、不祥事はみずからの体質上の欠陥によるとともに、核燃料サイクル政策の欠陥にも起因している。動燃改革のためには現行の原子力開発利用長期計画を早急に見直し、基礎研究の上に立った開発実用化を検討すべきである。安全審査機能の充実のため、科学技術庁、通産省の規制部門と推進部門を分離させ、原子力安全委員会を直接的な規制行政機能を持った第三者的な機関とすべきであるなどの意見が述べられました。
 公述人の意見に対し、各委員より、原子力防災における国の役割のあり方と一般防災と区別した新たな立法措置の必要性、開発成果の技術移転における留意点、動燃改革成功のためのポイント、核燃料サイクル技術の実用化の見通し、運営審議会に地元自治体から参画する必要性、動燃事業団に対する住民側の意識変化の有無、放射性廃棄物処理処分に向けた技術的見通し、動燃事業団の情報公開及び広報に対する姿勢、第三者的事故調査の必要性からの原子力安全委員会の独立性の確保、学校教育において原子力教育を行う意義など、多岐にわたる質疑が行われました。
 会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はこれにより御承知願いたいと存じます。
 以上で報告を終わります。
#5
○委員長(大島慶久君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(大島慶久君) 次に、ただいま議題となっております原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案につきまして、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○小林元君 民主党の小林でございます。
 長官に通告はしておりませんけれども、昨日インドで地下核実験があったと。二十四年ぶりというような見出しになっております。核不拡散条約でしょうか、二年前にインドが参加をしていただけなかったというような状況の中でこういう結果になったわけでございます。今まで明らかになった核保有国は五カ国でございましたが、ついに六カ国目というようなこともあり、隣のパキスタンでも大変な懸念をし、あるいは開発に向かうというようなニュースもあるわけでございます。
 日本政府としてもこれは絶対に賛成できない、大変遺憾であるというふうに官房長官が記者会見でコメントを出しておられますが、平和利用の推進に当たっている科技庁長官として御所見がありましたらお願いしたいと思います。
#8
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、小林先生からお話がございましたように、昨日インドがあのような実験を行ったことは私として大変遺憾でございます。我が国の原子力開発の基本は申し上げるまでもなく平和利用でございまして、国内においてはもちろん平和利用でございますけれども、それをさらに核不拡散という形で国際的にも平和利用の精神を及ぼしていくというのは原子力委員会の基本的な考え方でございますから、そういう意味合いにおきまして大変遺憾なことであると思っております。
 今御指摘のように、政府としても官房長官のコメントをきのう発表され、またきょう外務大臣がインド大使を呼ばれて我が国としての態度をきちっと申し入れるというふうに理解をいたしております。
 なお、私が座長になりまして放射能対策本部というものがございまして、この核実験が我が国への放射能影響にどういう意味合いを持つかということも把握しておかなければなりません。早速、関係各方面に対してこの調査に協力をしてもらうよう、私からもこの本部として依頼をしたところでございます。
#9
○小林元君 日本は、今回の法改正にも関連しておりますけれども、核燃料サイクルをやっていくんだということでありますけれども、実は昨年の九月に日韓議員連盟の、日韓議員の交流といいますか意見交換会がございました。
 その際に、日米ガイドラインの話の中で韓国側から、日本はプルトニウム保有国である、あるいは、核兵器用のウランかどうかは別としましてウランの保有国である、したがって核開発能力があるというふうに見ている、その上にさらに日米防衛協力というようなことが強化されれば韓国にとっても大変な脅威であるというような、日本に対する疑惑といいますか懸念が表明されたわけでございます。私は初めて出ましたので、日本は被爆国であり、そのような軍事利用というものは絶対にあり得ないし考えていない、やる気もないということを再三表明したんですけれども、そのような発言がありました。
 ですから、科技庁長官とされても今後ぜひ、そのような平和利用しかやらないんだ、軍事利用というのは日本としては絶対にやらないということをアジアの諸国にも大いにアナウンスしていただきたいというふうに、これは御要望でございますが、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、今回の改正法についての質問をさせていただきます。
 先日、七日に東海村で現地公聴会をやっていただきました。私も地元議員として大変感謝をいたしておりますけれども、その際に東海の村上村長から、原子力防災につきまして地方自治体の限界論、原子力防災の特殊性ということが強調されて、国が一元的な責任を持ってやってもらいたい、町村の義務を放棄するものではないけれども、人材的にも、あるいは資機材の面、あるいは高度な技術的な対応が必要であると。これは要するに、原子力の関係課ではなくて、消防署等についてもそういうものは必要であると。それから、自衛消防との協力といっても、例えば原研と動燃と原電というふうにそれぞれの事業所にあるわけでございますが、これの統一的な運用というようなことになりますと、到底それは村の消防署の能力を超えている、権限もないというようなことでございます。
 ですから、一体的運用と口で言うのは簡単でございますが、やはり権限とかそういう問題につきましてもいろいろ問題がある、したがって、原子力防災の特別措置法といいますか基本法といいますか、そういうものをつくってもらいたいというようなお話がございましたが、いかがでしょうか。
#10
○政府委員(池田要君) 原子力の防災につきましては、これまでも原子力安全委員会が定めます指針等に基づきまして関係省庁において必要な対策に取り組んできております。
 昨年六月には、災害対策基本法に基づきます基本計画に、初めてでございますけれども、原子力災害対策編ということで、災害予防から緊急時まで関係機関の取り組みを具体的にあらわすような作業もしたところでございます。
 この間、当庁におきましては、先生御指摘のような地方自治体の要望を踏まえまして、これは一昨年の十二月からでございますけれども、関係の地方公共団体、この中に茨城県も入っていただいていますけれども、学識経験者の参加もいただきまして、特別措置法を含めました原子力防災対策の充実強化といったことで必要な検討を行ってきたところでございまして、ことしの三月にこの検討会の報告をまとめていただいてございます。さらに、こういう成果を踏まえまして、原子力安全委員会におきまして、ことしの三月からでございますけれども、原子力防災対策の実効性を向上させるといった観点から、その重要事項についての検討を始めていただいているところでございます。
 科学技術庁といたしましては、こうした原子力安全委員会におきます検討の進展に期待しているところでございまして、関係省庁の協力もいただきながら、今後ともこうした原子力防災対策の一層の充実強化といったことに取り組んでまいりたいと考えております。
#11
○小林元君 民主党でも、原子力災害防災の特別措置法というようなものを衆議院で提出させていただきました。否決はされましたけれども、その精神をぜひ酌んでいただきたいと思いますし、さらにまた、今後とも法制化の問題等についても御尽力をいただきたいというふうに考えております。
 それから次に、改正法の二十二条に運営審議会、検討段階では経営審議会という名前がついておりましたけれども、こういうものが置かれるということで、この新法人の基本構想におきまして、委員の構成とか機能とかそういうことが出されております。そういうものを踏まえて今後委員の選任がされるんだろうというふうに考えておりますけれども、この十五人の中に出身団体の例示があるわけでございます。専門分野あるいは産業界その他というようなことがあるんですけれども、地元関係者といいますか地方自治体といいますか、そういうところが例示をされていないのは大変残念なんです。
 この辺の選任につきまして、やはりそういう地元の関係者、あるいは円卓会議でいろいろありましたようないわゆる反対者といいましょうか、非常に運営審議会はやりにくいかもしれませんけれども、慎重な論者といいますか、そういう方々も入っていただく。率直な御意見を伺う中での緊張感のある経営、そしてまた、そういう議論をするということはいろんな資料が提出をされるわけでございます。情報公開の大きな役割も果たすんではないかというふうに考えておりますので、その辺の選任の考え方につきましてありましたらお伺いしたいと思います。
#12
○国務大臣(谷垣禎一君) 運営審議会の委員につきましては、第二十三条第一項に理事長が任命するということになっておりまして、基本的には理事長の判断にゆだねているわけであります。
 ただ、これは何のために設けられた審議会なのかということを考えますと、機構の運営に幅広く外部の意見を、外部の風に当てる機会をつくってタコつぼ化しないようにというのがねらいでございますから、どういう方を選ぶかについては、できるだけ幅広い分野の方から選ぶ、幅広い選択をすべきものというふうに私は思っておりまして、その中には地域とかあるいはいろんな考え方というものも含めてよいのではないかと思います。
 ですから、今、小林先生がおっしゃったようなことをこの規定が排除するというようなものではないというふうに思っております。
#13
○小林元君 前向きな御答弁をいただきましたので、そのような方向で今後人選があるものと期待をしているところでございます。
 それから、今回の事故に関連して物理的あるいは科学的ないろいろ原因調査もやられておるわけでございますけれども、人為的な問題というような側面もあるというふうに一般的にも受けとめられているわけでございます。
 先日もこの委員会でも問題になりましたけれども、動燃のこれまでのいわゆる職員構成、プロパーといいますか、いわゆる職員というのは二千七百人、それと同数以上の下請作業員というような形で事業が運営されているわけでございますが、全体の職員構成、プロパーあるいは出向職員、そして下請職員、その人数なり割合を簡単に御説明いただきたいと思います。
#14
○参考人(中野啓昌君) 動燃全体のことしの四月一日現在での数字を申し上げます。
 プロパーでございますが、二千三百九十名でございます。また、出向者と申しまして、ほかの会社から動燃事業団に来まして、これは職員として動燃の中で働いていただいている方でございますが、出向者と申しますのが三百三十七名、そしてそれ以外の作業請負を含めまして全部で三千五十一名、合わせまして約五千七百名ぐらいになります。以上でございます。
#15
○小林元君 それで、動燃のいわゆる「もんじゅ」の事故あるいはアスファルト固化施設の事故の際に、現に張りついていた職員数、そしてその割合、人数をそれぞれお願いします。
#16
○参考人(中野啓昌君) 先ほども報告でございましたが、東海事業所のアスファルトの方は現在運転をいたしておりませんで、要するに事故後の対応処置をしております。一方、「もんじゅ」の方は今でも冷却系統が運転されておるわけでございまして、いわばその運転状態に近い形で要員が張りつけられております。
 したがいまして、両方の比率はちょっと違うかと思いますが、数字を申し上げます。
#17
○小林元君 いや、事故のときの。
#18
○参考人(中野啓昌君) 「もんじゅ」の場合の事故時のプロパーは八十一名でございます。出向者が八十七名で、作業請負が百四十三名でございます。平成九年三月十一日に起きましたアスファルト施設でございますが、プロパーが四名、出向がゼロで、作業請負が四十五名でございます。
#19
○小林元君 結局、「もんじゅ」の場合は発電所といいますか、そういう形で大体三百人近い運転員できちんと、通常の組織で行われていたということだと思います。固化施設につきましては、いわばプロパーの職員が四人、それに対して下請の作業員が四十五名。そしてそれも、どうも新聞情報によりますとよくわかりませんが、あの固化施設、この間見せていただきましたけれども、あの中に一緒にいたのか、それとは別な場所におられたのかいわゆる管理職員といいますか、プロパー職員はどういうあれだったんでしょうか。
#20
○参考人(中野啓昌君) 事故が起きました当時は、まず、この施設の保安責任者でございます課長でございますが、出張で不在でございました。その代理の管理者、これは担当役と呼んでおりますが、担当役が別棟におりました。また、主査の職員も別棟におりました。
#21
○小林元君 これ以上詳しくはあれですけれども、要するに、そういう下請に任せっ放し、しかも固化施設の運転について、あのときはテスト的な固化をやっておられたわけですよね。ですから、そういう重大な時期に結局、安全要員といいますか管理要員がきちんとしていなかった。通常の作業ベースで何の問題もないのではないかと思ったか思わないかはわかりませんが、結局、「もんじゅ」の事故にしてもアスファルト固化施設の事故にしましても、いわば施設の先端部分で起こった事故ではない。要するに通常の技術の中で常識的には考えられないような温度計の設計があったり、それが破損をした。あるいは固化施設につきましても、今まで事故がないから多少の処理内容が変わっても問題はないという頭があったかどうかはわかりませんが、気の緩みといいますか、そういう中で事故が起こった。しかも火災の消火の確認が非常に不十分であったという中であったわけでございます。
 ですから、プロパー以上に下請の作業員、運転要員が多いという状況については大変問題があるというふうに見ているわけでございますが、この新組織が発足した後、こういう体制についてどのように改善をするのか、あるいは別なところで意識改革をやるのかというようなお考えがありましたら、科技庁の方から御答弁いただきたいと思います。
#22
○政府委員(加藤康宏君) 今先生御指摘のように、下請との関係というのは非常に大事でございまして、特にアスファルト固化施設の火災爆発事故につきましては、そこにも一つの大きな問題があったわけでございます。そのために、新しい法人に変わるときに、これまで旧動燃では本社に約五百人ぐらいの職員がいたんですが、本社をスリム化するというのが片一方にございまして、約四割ぐらいスリム化しまして、スリム化した定員を運転管理部門に振り向けるということを今度するわけでございまして、そういう意味で職員の比率を高めたいと考えております。
 それから、職員と請負作業者の責任を明確化することと、またそれが一体感を持って一緒にきちっと仕事ができる、そういうことが非常に重要でございますので、そのような環境を整えることが非常に重要であるということでございます。そのために動燃事業団では今、職員と請負作業者が一体となった研修を行う、それから双方の信頼関係、それを築くことが非常に重要でございますから、そのための努力が進められているところでございます。
 そういうことによりまして職員と請負作業者の関係も改善いたしまして、責任がある運転管理体制、そういうものを確立していきたいと考えている次第でございます。
#23
○小林元君 下請作業員に権限を移譲するというのは、権限と責任を与えるというのは大変難しい問題かもしれませんけれども、今お話がありましたような意識改革だけではなかなか難しいのではないかなというふうに思うわけでございます。
 したがいまして、例えば下請作業員を多少減らしても責任ある者が一緒に運転の中に入るといいましょうか、一体化するような組織づくり、そういうことも必要なのではないかなというふうに考えている次第でございます。
 次に進ませていただきます。時間がありませんので簡潔にお聞きします。
 動燃、そしてまた新法人の大事な柱は核燃料のサイクルを完成させるということだと思います。プルサーマルが今進められようとしておりますけれども、核不拡散の問題、余剰プルトニウムは持たないという大原則は十分承知しておりますけれども、プルサーマルで使うということと高速増殖炉でこのプルトニウムを効率的に使うというようなことで、プルトニウムの使い方としてどちらがエネルギー効率どのくらいか、一般利用と違うんだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#24
○政府委員(加藤康宏君) プルトニウムを資源として利用していくことを考えた場合に燃料の利用効率はどうだろうかという御質問かと思います。軽水炉でプルサーマルしない、ワンススルーと言いますが、そういうような場合ですと、燃料の濃縮度とか燃焼をどれぐらいにするかによっていろいろのばらつきがございますから一つの試算でございますが、それによりますと、天然ウランの〇・五%ぐらいが実際にエネルギーに変わっていく。それで、今度はその使用済み燃料からのプルトニウム、それから燃え残りのウラン、これをもう一度リサイクルして燃やすいわゆるプルサーマル、これを一回実施した場合に天然ウランのうちどれだけが熱に変わるかと申しますと、〇・七五%という試算がございまして、これで比較いたしますと、リサイクルしない場合の一・五倍エネルギーに変わり得るということでございます。
 ちなみに、高速増殖炉でございますと、何度も何度もリサイクルできるわけでございます。その場合は天然ウランの六〇%までが有効に使えるだろう、そういうような試算になっております。
#25
○小林元君 時間がありませんけれども、結局、今お話がありましたように、プルサーマルでは三回ぐらいというか三倍というか、しかし増殖炉でうまく使えば六十倍とか、あるいは西澤先生などは百倍というようなお話もあるわけでございます。ただ、高速増殖炉がうまくいくのかどうかは新法人の開発次第ということになるわけでございますけれども、それまでに余剰プルトニウムを持たない、だから使わざるを得ないんだ、だけれども、我が国は資源が乏しい国でありますし、資源を大事にしたいということから考えればやはり百倍にして使った方がいい。経済性とか安全性とかいろんな問題、ほかにもあると思いますけれども、そういうことが言えるんではないか。
 ですから、今のように単純にといいますか、再処理をしてプルトニウムを分離する、そして分離をすれば余剰プルトニウムは持たないということでどんどん使ってしまう、あるいはプルサーマルのような、むだな使い方とは言いませんけれども、効率の悪い使い方もするというようなことになりますとどうかなと。したがって、核燃料リサイクル、それからワンススルーという方式もあるでしょうし、あるいは使用済み燃料について再処理をもう少し待って、おくらせるといいますか中間貯蔵をする、そして将来の利用に備えるというような考え方もあるんではないかと思う。
 時間が超過しておりますので、そういう考えを申し上げて質問を終わらせていただきます。
#26
○加藤修一君 公明の加藤修一でございます。
 私はまず最初に、前回抜本的見直しの件についてもお尋ねしたわけでありますけれども、受託民間企業への賠償責任、今回ナトリウム漏れによって非常に大きな事故になり、それが多大な損失を招いたわけですけれども、最後に聞く予定でしたけれども、この問題についてお尋ねしたいわけです。
 その前に、私といたしましては、こういう高速増殖炉のプロジェクト、現段階で私が認識している範囲では非常に大きな懸念を持っているわけであります。毒性が極めてすごいという話も当然ありますけれども、一概に比較することはできないわけですけれども、ダイオキシンの半減期が七年、DDTの半減期が百年、プルトニウムの半減期、239で二万四千年。もちろんダイオキシンとかDDTというのは環境中に拡散しているわけですけれども、プルトニウムについては拡散しないように、もちろん十分な管理のもとに置こうという考え方のもとに進んでいるわけですけれども、それでもまだ懸念が私は生じているわけでして、もちろん総合的なエネルギーの需給関係をどういう形で考えていくかということも日本にとっては非常に重大な点でありますので、そういった点も含めて考えていかなきゃいけないという問題であることも事実であろうと思います。
 それで、まず最初に、先ほども申し上げましたように、受託民間企業への賠償責任というのはどういうふうにお考えでしょうか。
#27
○政府委員(加藤康宏君) それぞれ機械をつくったり据えつけしていただくときには契約によって行っておりますので、その契約によるわけでございますが、先生今御指摘は、「もんじゅ」の場合についてはどうなっているのかということかと思います。
 それで、「もんじゅ」の場合につきましては今回、民間企業につきましては温度計の設計が悪かったということが一つ原因でございます。それで、その設計が悪かったものを動燃事業団がその技術仕様を承認しておりますので、承認する方にもやっぱり落ち度があったということでございますので、今回の温度計については両者に落ち度があったと、そういうわけでございます。
 したがいまして、動燃事業団とメーカーとが基本的には折半して負担をする、そういうことで合意をしているわけでございますが、じゃ何を折半するかと申しますと、「もんじゅ」事故におきます被害総額につきましては約五十億円強でございます。これは、原因の究明とか、それからその機械のナトリウムがついた部分の健全性調査とか、そういうものの費用が約五十四億円でございまして、これは東芝と動燃事業団が折半するということで合意しております。
 それから、その被害のうちにも、例えばナトリウムを洗浄する費用というのがございましたが、こういうのはたまたま保険に一部入っておりまして、保険で十億円まではカバーされるわけでございますので、その保険金額を超えた、保険でカバーされる分を超えた部分を東芝と折半するということでございます。
 なお、二次系の温度計につきましては欠損品でございましたから、その二次系温度計の全数についての交換費用、これは東芝が負担をする、そういうことで話し合いが行われたわけでございます。
#28
○加藤修一君 これは民法上の過失責任は問えないという、過失の立証責任はできないということですか。
#29
○政府委員(加藤康宏君) 契約の瑕疵担保期間、それが普通できましてから一年間とかそういうことでございまして、期限をもう既に超えておりますからそこはできないことでございますので、話し合いで今回はそういうふうにさせていただきました。
#30
○加藤修一君 先ほどの答弁の中に五十数億円という話がございましたけれども、そのうちの折半、東芝が持つということでしょう、そういうことですね。そういった場合に、東芝は具体的にどういう理由で折半するという話になりますか。
#31
○政府委員(加藤康宏君) 失礼、瑕疵担保期間は二年でございました。
 二次系につきまして東芝が製造を請け負っておりますので、動燃事業団と東芝とでそういう製造、それから組み立ての契約がございます。したがいまして、東芝が当然設計をしてつくるということでございますから、東芝にそこの責任があったわけでございます。
#32
○加藤修一君 そうすると、責任があるということですね、東芝に。
#33
○政府委員(加藤康宏君) 東芝がつくりましたので、契約上のものにつきましては東芝にございます。
#34
○加藤修一君 立証責任は動燃としてはとれているんですね。
#35
○参考人(菊池三郎君) とれております。
#36
○加藤修一君 そうすると、二十数億円払っても何ら問題ないというふうに株主総会で決着しているという理解でよろしいですか。
#37
○参考人(菊池三郎君) そのように東芝から聞いております。
#38
○加藤修一君 わかりました。
 それじゃ、先ほど小林委員からもお話がございましたけれども、いわゆるプルサーマルの関係ですけれども、前回、電気事業者が行っているプルサーマルについては通産省の所管という答弁でありまして、第二次審査については原子力委員会が審査するわけで、その委員長が要するに科技庁長官でございますけれども、この意味では、要するに原子力委員会の委員長を科技庁長官がやっているわけですから、私はこの件についてはもっとしっかり答弁すべきだと思うわけなんです。要するに、燃料の手当てについては電力会社が自己責任でやっているから政府は関係ないと、そういう姿勢でいいというような御答弁だったんですね。
 しかし、原子力政策は国策でありますし、国が責任を持って進める事業でありますから、だからこそ事前の審査があると。その意味では、単に企業の自己責任といった企業に投げつけるような無責任な言い方はちょっと成り立たないんではないかと私は思っています。要するに、了解なしの燃料の手当ては私はおかしいと思っていますけれども、少なくとも科技庁としては事情聴取の上、注意すべき責任が私はあると思うんですけれども、この辺についてはどのようにお考えですか。
#39
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、基本的に事業者の責任だと言って逃げるのはおかしいという加藤先生の御指摘だったと思いますが、私はやはり基本的にまず事業者であるということはまた申し上げなければいけないと思います。
 ただ、その上で、今のお話は要するに地元の理解を得る前にプルトニウムをやったのはどうかというこの前の御議論ですね。私は、プルサーマルはウラン資源の有効利用を図ることができる現時点で最も確実なプルトニウムの利用方法で、繰り返しになりますけれども、昨年二月の閣議了解に沿って国としても地元の御理解を得るための努力を行っているところであります。
 それで、当面のプルサーマルに用いるMOX燃料は英仏に委託した再処理により回収したプルトニウムを用いることにしているわけですが、その燃料確保につきましては、燃料加工期間とか輸送に必要な期間等を勘案して、プルサーマル実施の準備の一環として事業者の責任で加工を開始したものというふうに私は理解しております。
 いずれにせよ、MOX燃料を実際に軽水炉に入れていくということについては原子炉設置許可の変更となりますから、行政庁と原子力安全委員会で厳格な安全審査を行うのは当然でありますし、地元の理解を得て計画が実施されていくことになるわけでありますので、私はそういう形で国としては責任を果たしていくものだと考えております。
#40
○加藤修一君 ですから、何回も質問していますように、実際に地元の了解なしに動いている話なわけですよね。そういうことについて科技庁はどういうふうに見解をお持ちですかというふうに何回も私はお聞きしているつもりなんですよ。
#41
○政府委員(加藤康宏君) プルサーマルにつきましては、去年の二月に閣議了解いたしまして、これからやっていこうということで電気事業者も計画を発表いたしました。それ以降、地元にいろんな説明する努力を電気事業者はしてまいったわけでございます。しかも、今回関西電力につきましては安全審査についての事前了解願というのも一応受理されたわけでございまして、関西電力が発注するに当たりましては、当然そういう地元の御理解が得られる見込みもあってやっているかと思います。
 我々としましても、大臣申しましたように、当然行政庁の審査、あるいは原子力安全委員会で安全性の問題、原子力委員会の方は計画的な利用とか平和の目的、そういう審査をするわけでございますが、そういう段階で厳正に対応するということかと思います。
#42
○加藤修一君 まだ私は理解がよくいっていないわけですけれども、時間がありませんから、別の機会にもう一度取り上げたいと思います。
 前回、長官の御答弁の中で、仏つくって魂を入れずと。魂はなかなか見せることができないような趣旨の発言をされましたけれども、私は、言葉じりをつかまえるんじゃなくて、非常に本質的な問題だと思いますので、あえてまたお尋ねいたします。
 魂を見せる姿勢は幾らでもできるのでありまして、前回申し上げましたように、運営審議会の件については、メンバーを選出するに当たっては国会承認の件とか、あるいは当分という話がございました。それは二十年ぐらいのスパンを考えなければいけないという答弁がございました。私は、それについては十年とか二十年とかその区間を区切って再評価をすべきだと、再評価については当然評価項目をきちっと今から設定していく必要があるのではないかと。そういった点を含めて法律に明記するぐらいの姿勢があってもいいのではないか、そういう姿勢の問題だと思うんですよ。あとは、原子力行政の見直しとか総点検とか、そういったことが今回は関らかになされていない。あるいは、総合エネルギーの長期的な視点からどういうふうに位置づけるかあるいは位置づけないか、そういった点についても言及されていない。
 そういうことを考えていきますと、なかなか姿勢としては、我々が受けている印象としては明確になっていない、魂が見えてこないと、そういった意味では。逆に言いますと、こういった点についても踏み込んだ形で私はやっていただきたいという意味で、言葉じりをつかまえるとかそういうことじゃございませんので、その辺について答弁をお願いしたいと思います。
#43
○国務大臣(谷垣禎一君) 私も加藤先生の御質問が言葉じりをとらえておっしゃったとは思っていないわけでありまして、魂というのは何なのかというようなことからあれすると大変難しゅうございますが、前回の御答弁をさせていただきましたように、既に理事長のもとでいろいろな安全性の確立についての、何というんでしょうか、いわゆるQC活動みたいなことを一生懸命やっていただいておりますし、そういう品質管理向上、要するに現場の意見をどう生かして安全性を向上していくかというような運動をやっていただいておりまして、魂というのはそういうことをやりながらあらわれてくるものではないかと思っております。
 それから、運営審議会の委員については、これも前回の繰り返しになると思いますが、私は、この運営の責任は基本的に理事長が負うべきものでありますし、国の審議会の委員等とは政策決定における関与といった観点からも若干違うのではないか。ですから、運営審議会の人選については今回のような形でやらせていただきたいと。
 それから、今までやっておりました業務を当分の間続けていくということに区切るべきではないかという御質問でありますけれども、これは今まで動燃でやっておりました言うなればマイナスの遺産のようなものも含めて新法人は負っていかなければならないわけでありまして、十年なり二十年で区切ってしまうとかえって地元に不安を与えるというようなことがあろうかと思います。
 それから、全体を見通してのことをもっとやれという御指摘でありますけれども、それはおっしゃるとおりであろうと思います。長期計画等をどうしていくかということも含めて、全体の見通しをどうしていくかということは今後とも積極的に図っていかなければならないと思っております。
#44
○加藤修一君 私は姿勢の問題を問うたわけですから、一つ一つ答える必要はなかったと思うんです。
 次に、情報公開の基本的な認識について長官はどのようにお考えか、あえて確認したいと思います。
#45
○国務大臣(谷垣禎一君) これも何度か申し上げておりますが、基本的に安全を信頼していただく、安心していただくという上においては、これは必ずやっていかなければならないと思っております。
#46
○加藤修一君 わかりました。
 安心していただくという意味では、説明している内容がわかりやすい、国民一般にわかりやすいということが私は必要でないかなと思うんですね。
 そういった観点から考えていきますと、例えばバックエンド政策なんという言葉がありますけれども、こういう言葉はそんなに頻繁に使う話じゃないんじゃないでしょうか。これは核廃棄物あるいは使用済み燃料の管理政策と、日本語に直すと結構長いわけですけれども、バックエンド政策という言葉を一般の国民に言われても、我々だって容易にわからないわけですから、バックエンド政策と言わないで、もうちょっと明確にわかりやすい言葉に直した方がいいんじゃないですか。
#47
○国務大臣(谷垣禎一君) 実は、私も科学技術庁へ参りまして、バックエンドというのはどういう意味がともう一回説明を求めたわけであります。
 このバックエンドに限定して申し上げるわけではありませんけれども、できるだけわかりやすい表現になるように今後とも心がけたいと思っております。
#48
○加藤修一君 じゃ、この問題については善処していただけますか、バックエンド政策については。
#49
○政府委員(加藤康宏君) 先生先ほどちょっと長い名前を出されましたけれども、原子力の世界で核燃料サイクルのサイクルというのもなじんでいる言葉でございますし、バックエンド対策も政府部内では閣議了解の文書にも載っているわけでございまして、だんだんおわかりいただけてきているんじゃないかと思いますが、中身を説明する際にはわかりやすくするように努力させていただきたいと思います。
#50
○加藤修一君 理解できないです、理解できない。
 なぜ理解できないかといいますと、バックエンド政策、バックエンドというのは片仮名ですけれども、その日本語訳は要するに核廃棄物ですよ。核廃棄物の関係の管理政策だ。あえて核廃棄物、核を隠そうというふうに見られてもしようがないですよ。
 バックエンド政策を一つ一つ説明しなければいけないという話になるんじゃないですか、何かの機会に。頭から核廃棄物云々の管理政策であるということは余り言いたくないと、そういうふうに言う人もいる。ですから、私はそういう方向に変えることを検討すべきだと思いますが、再度お願いいたします。
#51
○政府委員(加藤康宏君) バックエンドというのは、原子力発電所あるいは再処理工場からその後、そういう概念でございますが、ここで言っておりますものには、再処理工場から出ます放射性廃棄物のような問題とか、それから例えば原子炉施設そのものを廃止する場合はそれでございます。
 廃棄物にはいろんな種類がございまして、核廃棄物というのはイメージされている人にはわかるかもしれませんが、我々は中身がきちっとわかるようなものにしなければいけないと思っておりますし、高レベル廃棄物のように核分裂したもの、かすのもの、それからそれに汚染されたものといろんなものがありますので、そういうことを総称するために今はそういうことに使わせていただいているわけでございます。
#52
○加藤修一君 これに私拘泥するわけじゃないですけれども、拘泥していますけれども、要するに閣議でやったとかというのは余り関係ないんですよ。情報公開と言っているならば、もっとわかりやすい表現を使ったらいいんじゃないんですか。いろいろと説明されますけれども、大した根拠になっていない、ここは日本ですから。厚生省でもバリアフリーという言葉は使っていますけれども、厚生大臣も何かいろいろと、そんな片仮名なんか全部変えろ、わかりやすい言葉にしろと。それは科技庁と厚生省では違いますけれども、そういう必要があるんじゃないですかと私は言っているんですよ。どうです。長官お願いします。
#53
○国務大臣(谷垣禎一君) 実は今度も、核燃料サイクル開発機構とやりますときに、法制局との間でもサイクルという言葉は使っていいのかどうかいろいろ議論がありました。私もできればもう少し片仮名でない言葉で表現したかったわけですが、一般論としてこの言葉をどうするか、確立した用語でもっと適切な日本語の表現があるかどうか私は今お答えする用意はございませんけれども、全般として、ここは日本でございますから、できるだけ片仮名語を避けて日本語で表現をする努力を今後科学技術庁はしたいと思っております。
#54
○加藤修一君 積極的な御答弁、大変ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、事故原因となった温度計さや管について、時間の許す範囲で質問したいと思います。
 まず第一点目は、亀裂の発生とナトリウムが漏れた、それが検知される間には、ちょっと言葉は省きますけれども、相当の時間の差があるように思うんです。二年とか、場合によっては一年とか、そういう話も聞いておりますけれども、その差はどういうふうに生じているかということですね。
 もう一つは、亀裂が発生して破断して事故になってしまったときの、要するに管内の流量条件、あるいは固有振動数の関係とか、その辺のいわゆる無次元流速、それはどういう数値の段階でそういうふうになったわけでしょうか。
#55
○参考人(菊池三郎君) 現在、「もんじゅ」を担当しております菊池でございます。
 まず、温度計に最初に亀裂が生じたところは、原子炉を動かす前にいろんな流動試験をするわけでございまして、その流動試験が始まりまして大体二百時間ぐらいのところで亀裂が生じるだろうという想定をしております。
 そして、その後いろんな試験を繰り返しておりまして、亀裂が生じるたびに、温度計のさや管はそれぞれ固有の振動数を持つわけでございまして、それによって段階的に亀裂が進展していった。これはたまたまなんですが、「もんじゅ」を動かしまして四〇%の出力にして、流量条件も四〇%なわけですが、そのときにちょうど完全に亀裂が破断したということで、その破断箇所からナトリウムが、どのくらいの速度かといいますと、自転車でいいますとチューブがありますね、あのガスが抜けるぐらいの圧で出てくるわけでございまして、実際我々も実験したわけですが、先端からナトリウムが漏れてくるのには大体三時間ぐらいの時間差があって出てきたわけでございます。
 事故のときどのように検出したかというと、それが外に出まして白煙を生じた、白煙を生じたことを火災報知機で感知して、漏えいであるということを実際にのぞいてみて確認したというのが事故の経緯でございます。
 等々、今回はそういったものを全部反省いたしまして、早く検知し早くナトリウムを抜くという方向で改善を考えております。
#56
○加藤修一君 科技庁の報告によりますと、一〇〇%流量、ナトリウムの流速が五メーター・パー・セクで運転中に、流体から受ける振動でさや管の段つけ部にクラックが発生し伝播して、いわゆる四〇%流量、ナトリウム流速二メーター・パー・セクにおいてもさらにクラックが進展して破断に至ったと推定しているわけですよね。
 さらに、当該温度計のみが折れたのは、熱電対が曲がって挿入されていたからと、こういう理解でよろしいですよね。
#57
○参考人(菊池三郎君) そのとおりでございます。
#58
○加藤修一君 そうしますと、水中疲労確認試験をやっているわけですけれども、水でやっているというところについてもいろいろと議論が私はあるように思います。相似則の関係で果たして十分に対応がとれているかどうかという問題があるんですけれども、いわゆる一〇〇%流量では、この報告書を見る限りにおいてはクラックが生じてませんよ。
#59
○参考人(菊池三郎君) 水で流動試験をやるというのは、流動特性はナトリウムの条件とほぼ合わせまして、同じような条件下で特性を合わせながら試験をやりますので、水の流動試験によって振動の特性を推定していくことは十分可能だろうと思っています。
 あとは、一〇〇%の流量で実際に想定される流動試験をやったわけでございまして、それによって同じような温度計さや管が破断したと。その破面を顕微鏡等で観察しながら、その破断のメカニズムというものは、実際の事故後の温度計を顕微鏡等で調べたものとメカニズムはほぼ同じであるということから推定してきたわけでございます。
#60
○日下部禧代子君 今回の法案では、福井の敦賀市の新型転換炉「ふげん」、そして岡山県の人形峠のウラン濃縮プラントの撤退ということも盛り込まれておりますが、撤退後、現行の体制というのはどのように変わるのかそしてまた事業所の職員、作業員の雇用問題はどうなるのか、まずこの二点についてお尋ねしたいと存じます。
#61
○政府委員(加藤康宏君) 二つの側面がございまして、一つは、事業を撤退いたしますけれども、人形峠にはウラン濃縮工場がございますし、探鉱活動をしたいろんな残りのものもございます。それから敦賀には新型転換炉原型炉自身がございます。人形峠につきましては、そこの濃縮工場の濃縮機器の廃棄というのをしなければいけません。そういうものを三年間の運転停止後に行っていくわけでございますが、濃縮技術というのは機微な技術でございますから、そこらにぽっと捨てるわけにいかなくて、粉砕をするとか後から機微な技術がわからないように、そういうような処置をしながら廃棄するということで、その研究的な要素もございますので、そういうことをしながら撤退していく。それから「ふげん」につきましても、五年間運転を停止した後、これはまた廃炉の研究ということで活用しながら廃止に持っていきたいと考えております。
 いずれにせよ、職員とか地元の方々の雇用の問題がございます。職員につきましては勤務地を変えるとかそういうことによってほかの勤務地でできるわけでございますが、特に地元で雇用されている方々の職場の問題がございますので、そういう雇用問題を緩和しながら行うということが重要でございますし、運転を停止いたしますと地元経済にも影響がございますから、ソフトランディングと申しますか、段階的にしてなるべく影響を和らげていきたいと考えております。
#62
○日下部禧代子君 もう少し詳しく具体的にお話しをいただきたいと思いますが、事業所の職員、作業員、いわゆる本雇い、それから本雇いではない作業員の方々とか、そういうふうな内訳の数とかいうものはございますか。
#63
○政府委員(加藤康宏君) 敦賀の方でございますと、新型転換炉の方でございますが、現在百八十名ぐらいいるところが三年か五年後ぐらいには職員が七十名ぐらいになるわけでございますし、それから人形峠の方につきましては、現在百七十名ぐらいいる職員が六十名から八十名程度になろうと思います。
 なお、請負の方々につきましては、特に人形峠の方では、もともと上斎原村というのは千人ぐらいしかいないところの村に動燃事業団に数百人働いていらっしゃるというようなことでもございますから、そちらの方々の雇用をなるべく長くできるように、職員を減らしまして雇用の人たちの減らすのをおくらせる、そのようなことをさせていただこうと考えておる次第でございます。
#64
○日下部禧代子君 人形峠の場合には千人の村の人口なんですか。その中に占めるこのプラントで働いている作業員、職員の数を考えますと、かなりの割合を占めるということになりますね。これは私、質問通告しておりましたよ。きちんと答えていただきたいと思います。
 そういうことを考えますと、撤退後、地元の経済に与える影響というのも少なからぬものがあるというふうに思うわけですね。雇用問題と並んで非常にこれは大きいと思います。もう少し具体的なお答えをいただきたいと思います。
#65
○政府委員(加藤康宏君) 人形峠のございます上斎原村というのは人口が九百九十八人でございまして、現在、人形峠事業所には四百十四人ございますが、職員がそのうち百六十名、作業請負が二百五十四名でございます。作業請負の方はほとんどが地元の方々でございますので、そういう意味で非常な割合でございます。
 そのために、我々、そこの影響をなるべく緩和しなければいけないということで、岡山県、上斎原村、科技庁、動燃、四者で会合を持っておりまして、徐々に撤退すると同時に、何か地域振興と申しますか、別のそういう地域での雇用を確保するとか、そういうことを相談しながら進めている次第でございます。
#66
○日下部禧代子君 地元の地域経済というと、例えばこの間東海村に参りましたけれども、動燃の影響というのは、税収入などを含めますと約八割に近いくらいの大きな影響を持っているわけですね。この二つの地域の場合にはどの程度の経済の影響があるというふうにとらえていらっしゃいますか。
#67
○政府委員(加藤康宏君) ちょっと手元にどの程度というのはございませんけれども、例えば敦賀市の場合は人口約七万人もございますし、いろんな発電所もございますのでそれほど大きなものはないかと思いますが、上斎原村の場合は税収の約八割が動燃の関係であるというふうに聞いております。
#68
○日下部禧代子君 だから、税収の八割だからどうなるかということを私は答えていただきたかったので、通告をしていた以上やはりきちんとした答えをいただきたいと思います。
 時間が限られておりますので次の問題に移りたいというふうに思いますけれども、これはちょっと通告していないのでもっと時間がかかっちゃうかなと思って、困りますけれども、職員、作業員の健康の問題であります。
 放射線というのはそこでどうなるというふうに目に見えるものではありませんから、やはり続けて追跡調査というのが必要になるかと思うんですね。東海村での被曝なさった方々の追跡調査ということばもちろんでございますけれども、今私が述べました二つの地域で働いていた労働者の方々、特に現場で働いていた作業員の方々の健康診査というものはきちんとされなければならないと思うんです。しかも、追跡調査をしなければならない。そういうことも含めまして、労働者の被曝管理というのはどのようになっているのかということをお伺いしたいと思います。
#69
○政府委員(加藤康宏君) 働いている人たちの被曝管理につきましては、法律に基づきまして、きちっと定期的に幾ら浴びたかということは記録がございます。そういうものを被曝登録事業と言っておりますが、一元的に把握いたしまして記録に残すようなこともしております。
 それで、特に今のところ重要な被曝があるとか健康上問題があるという話は出ていないと思いますが、先ほど先生おっしゃいました人形峠の問題で、過去に、必ずしもまだ法律が整備されていないときに被曝を受けた人、そういう人につきましても追跡調査を行いました。また、その方々につきましても個別にもう一度医者に、その後何か問題ないかどうかということの調査もするような仕組みもつくりました。何人かの方々がそういう調査を受けられたわけでございますが、結果として特に問題があった話は聞いておりません。
#70
○日下部禧代子君 問題があったら困るのでありまして、問題がないためにもやはりこれはきちっとした追跡調査をするということ、そしておまけに被曝ということの結果というのは一年や二年でまたわからないものであります。したがいまして、これには入念な追跡調査、それはやっぱりシステムとしてやることが必要ではないかなというふうに思います。
 被曝手帳というのも、いろいろと現場に行って伺いますと、業者が一括して持っているとか、それは御自分が持っていなきゃならないものなんですけれども、あれはまた半年で一応その方の区切りということになるわけですね。しかしながら、そういうことも含めましてもう少しこの労働者の被曝管理についてはきちんとしたシステム、そしてフォローということをやっていただきたいと強く要望しておきたいと思います。
 次に、高速増殖炉懇談会の報告書では、今後の高速増殖炉開発について柔軟に対応することが必要というふうに明記されております。この問題を含めまして、例えば衆議院の附帯決議でも、核燃料サイクルにかかわる政策については、国民的議論を継続し、その合意を得ることが必要であるというふうに述べられておりますけれども、今後、政策、計画等の変更時にどのような形で国民の声を反映させるのか、その具体的な方策あるいはプログラムをお示ししていただきたいと存じます。
#71
○政府委員(加藤康宏君) 「もんじゅ」事故を契機にいたしまして、原子力委員会で原子力政策円卓会議というのを開きました。その結果といたしまして、今先生御指摘のように、原子力政策に国民の声を反映すべきだということがございまして、原子力委員会で透明性を確保するための施策を決定いたしました。一つは、原子力委員会の専門部会、そういうものを公開する、それからもう一点は、そういうところで重要な報告書を取りまとめるときには事前に国民の意見を募集する、そういうようなことをして国民の声の反映に努めているわけでございます。
 例えば、近々まとまります高レベルの処分対策の報告書につきましても、昨年の七月に報告書をまとめまして以来、国民の方々の意見の募集を始めまして、全国の五カ所で意見を聞く会も開いた。そういうことでこれは特に長いわけでございますが、半年以上にわたりましてそういうような意見募集を行ってきたところでございます。次回、五月末には報告書にまとまるわけでございますが、先ほどの高速増殖炉につきましても約一ケ月間意見募集をいたしましたし、東京での意見を聞く会もさせていただきました。
 制度的にはそういう仕組みになっているわけでございますが、なおかつ原子力のいろんな問題について国民各層の参加を得て多角的に議論を行うために、いわゆる新円卓会議の開催、そういうことにつきましても検討させていただいているところでございます。
#72
○日下部禧代子君 この点は非常に重要なことなので、きちんとした対応をしていただきたいと存じます。
 次に、先日参りました東海村での地方公聴会におきまして、地元の公述人のお二人が非常に強調されていた問題として放射性廃棄物の問題がございます。これは東海村が放射性廃棄物の永久貯蔵庫になってしまうのじゃないかとか、子や孫に対する影響は大丈夫なのだろうかというふうな、周辺住民の不安を代表する言葉として私は非常に印象に残ったものでございます。半減期が千年から万年単位の放射性物質もございます。地球環境の観点からも、その放射性廃棄物の処分の問題は我が国だけではなく世界の深刻な課題であろうかというふうに思うわけでございますが、この処理の技術的な方策の研究ということに関しては、これは新法人の新たな大きな課題でもあるかと存じますけれども、国におけるこの取り組みの見通しにつきまして述べていただきたいと存じます。
#73
○政府委員(加藤康宏君) 放射性廃棄物の問題は、いろいろな廃棄物についてございますが、基本的には原子力開発利用を進める上で非常に重要な問題でございます。先生御指摘のように、放射能レベルが高いものとか低いもの、あるいは半減期の長いもの、短いもの、これは放射性物質の核種等によっていろいろ多様でございますので、そういう多様性を十分踏まえた適切な区分、管理をしながら対応していくということが基本的な方針かと考えております。
 原子力発電所から出ます低レベルのものにつきましては既に六ケ所村で埋設処分が安全に行われているわけでございまして、今後特に再処理工場から出ます高レベル放射性廃棄物、これは新しい法人の中心的な業務の一つにもなるわけでございます。その廃棄物につきましては、安定な固化体にして三十年から五十年ぐらい冷却した後、地層に処分するということで方針が定められておりまして、二〇三〇年代から四〇年ぐらいまでには処分ができるようにということで、そのための技術的な取り組み、あるいは二〇〇〇年ごろに実際に処分をする実施主体をつくりたいということで諸般の施策を進めている次第でございます。
#74
○日下部禧代子君 今のようなお答えでは残念ながら、もし地元の住民がお聞きになるとしたら納得がいかないんじゃないかな、やはり不安が増してしまうんじゃないかと。もう少し積極的に、国が処理の仕方についてこういう研究を進めていくとか、そういうふうなお答えになっていかないとやはり不安というものは解消されないのではないかというふうに思うんですね。
 だから、今緊急に必要なことというのは、やはり放射性の廃棄物の対策ということの方が、むしろ高速増殖炉開発よりも重要なことではないかと。そういう廃棄物処理についての安全性ということが確かめられない限りにおいて、そういう廃棄物を自分のところに持ってきては困るというふうな住民の声というのは、これはおさまらないだろうというふうに思うわけでございます。
 そしてまた、技術だけではなくて経済的な試算というものもきちんとしたものをやはり国民に示す義務が国としてあるんではないか。原子力エネルギーの開発を進める以上、それは国としての大前提の問題、責任、義務であるというふうに私は思います。
 次に、原子力委員会、原子力安全委員会のあり方についてお尋ねしたいのですけれども、この両委員会は、いわゆる通常の八条諮問委員会とは異なっております。内閣総理大臣に対して意見尊重義務を課することができるなど、強力な権限を持っている委員会でございますね。
 しかしながら、どうもその役割が余り明確ではない、位置づけもちょっとあいまいのような気がするわけであります。また、チェック機関としてもその機能が十分に果たされているとは思えないようなところがあるんですね。それは、スタッフが行政庁である科学技術庁職員が兼務しているということ、そこに深く関係するのではないかなと思うんですね。だから、行政庁の隠れみのになってしまってはしようがないわけでありまして、もっと主体的な政策立案ができるためにもスタッフの独立ということが必要ではないか。そういうことも含めて委員会の改革についてのお考えはないでしょうか。
#75
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、原子力委員会あるいは安全委員会、位置づけもあいまいなのではないか十分に仕事ができてないのではないかというお言葉でしたが、お言葉を返すようですが、原子力委員会あるいは原子力安全委員会の役割というのはきちっと私は定義ができているというふうに思っております。
 それから、原子力委員会も、例えば今度の動燃改革の中でもかなり節目節目で原子力委員会としての見解をきちっと出してまいりましたし、また、先ほど引用していただいたような高速増殖炉あるいは高レベル放射性廃棄物、こういうものについても研究会を持って原子力委員会としての取り組みをしてきたところであると思っております。
 それで今、日下部先生の御趣旨は、行政組織法の中における三条か八条かという御議論があったと思うのでありますが、安全委員会にいたしましても、諮問機関という位置づけでございますけれども、二百名に及ぶいろいろな専門家を具体的に使えるような仕組みになっております。
 ただ、今の国会で御審議をいただいております新しい省庁の再編成の法律の中におきましては、もう少し高次に位置づけるという観点から、これを内閣府に置くことになっております。
 現在は、安全委員会あるいは原子力委員会、どちらも事務局は科学技術庁の中に置かれているという形があるわけでありますけれども、今後の制度の中では二つとも内閣府の中に置かれまして、事務局も内閣府のもとに置かれるということでございますし、全体にこの機能を強化していこうという方向でありますから、私どもはその中でより強力な役割を果たしてもらうような形にしていかなければならないと思っております。
#76
○日下部禧代子君 行政庁のいわゆる隠れみのにならないで主体的な政策立案ができるような、そういう委員会であることを望みまして、質問を終わります。
#77
○阿部幸代君 参考人質疑と東海村における公聴会を踏まえて再度質問したいと思います。
 初めに、動燃の二つの事故調査と動燃改革検討委員会の報告に関してです。
 参考人質疑の際、角田参考人も述べていましたけれども、航空機事故の場合には、航空事故調査委員会設置法という法律に基づいて事故調査委員会が設置され、委員長と委員の任命は衆参両院の同意を必要としています。航空運送事業関連者や航空機もしくは航空機の装備品の製造、改造、整備、販売事業関連者は委員になれない、これも特徴です。運輸省とインディペンデントであるということが非常に強調されていました。
 これは、科技庁の安全局内に設けられたもんじゅナトリウム漏えい事故調査・検討タスクフォースや、アスファルト固化処理施設における火災爆発事故調査委員会並びに原子力安全委員会に設けられた原子炉安全専門審査会研究開発用炉部会、もんじゅナトリウム漏えいワーキンググループ、これらのいわば身内の委員会というのとは根本的に異なると思うんですが、違いますか。
#78
○政府委員(池田要君) ただいま、航空事故調査委員会と私ども科学技術庁の調査委員会、それから安全委員会の調査のあり方の違いについての御指摘がございました。
 航空事故調査委員会につきまして、例えば原子力安全委員会と比べまして似ている点と申しますと、それぞれが法律に基づいてつくられた委員会でございまして、行政庁とは独立をしている。事務局は航空事故調査委員会におきましても運輸省が兼ねているといったような点もございます。ただ違う点は、航空機事故の場合はそれだけをやっておる、専らそれを主目的とした委員会組織でございます。
 安全委員会の場合には、原子力施設の安全審査、そのダブルチェックから日ごろの運転管理に至るまで、事故が起こりましたらその場合の原因調査まで取り組むわけでございますし、その辺の守備範囲の違いというのは当然あろうかと思っております。
 ただ、安全委員会におきましても、この「もんじゅ」の事故につきましては、行政庁が行いました事故調査、またそれを改めて別の立場から専門家を動員しての調査というのをやった次第でございます。今度ごらんいただきました東海村のアスファルト固化処理施設の事故につきましては、むしろ私ども行政庁としてこれを全面公開のもとで調査を行うべきだと。そういう意味では、調査委員会のメンバーの中にはいわゆる原子力の専門家だけではございませんで、化学、消防、あるいは爆発、こういった方々も動員させていただきましたし、いわゆる原子力以外の方も動員させていただきました。
 それに、会合も三十回に及びましたけれども、すべての会合を全部公開のもとに、一般の方もごらんいただくような状況下で行わさせていただきました。したがって、それぞれの会合につきましても、安全委員会自身もこの会合、ほとんどすべての回でございますけれども、オブザーバーとしてその進捗状況をつぶさにごらんになるといったことで、その審議の公正かつ科学的な進捗状況ということについてはチェックをいただいたわけでございます。
 むしろ、こういった人選のあり方、それから審議の進め方といったことで客観性あるいは中立性というものが保てるかどうか、こういった点についての御理解をいただきたいと思っております。
#79
○阿部幸代君 航空機事故調査との違いはお認めになったと思います。
 参考人は、アメリカのTMI事故に際する大統領委員会とそのケメニー報告についても詳しく述べていました。こうした事故調査と比べても、動燃事故の調査は比べ物にならないほど不十分なものだったということが言えると思います。
   〔委員長退席、理事小野清子君着席〕
 そればかりではなくて、実は歴史的に見て、一九七四年に総理府に設置された原子力船「むつ」放射線漏れ問題調査委員会とその調査報告書と比べて、今回の動燃事故の調査と改革検討委員会の報告書がいかに後退し限定されたものになっているかも明らかにされました。
 私も「むつ」放射線漏れ問題調査委員会の報告書を二度目なんですけれども読み直してみましたが、確かに冒頭の「調査の目的および経緯」のところで次のように言っています。「今回の問題は、たまたま表面に現れた一つの技術的問題とみることもできる。しかし、本委員会は、これをそのような単なる偶発的な事象とみるよりも、むしろ、そこに内在する本質的な諸問題を検討する一つの契機と考えた。」、「それは、」つまり調査研究は、「国の政策面、事業団の組織・運用面、研究開発面、契約面など可能な限り多面的に行われた。」、「技術面では、当然遮蔽に主眼をおきつつも、」、「なるべく全般的に注意を払うという姿勢をとった。」、こういうふうに言って、実際その姿勢を貫いた提言を行ったわけです。
 今回の法案提出のいわば地ならしともなった動燃改革検討委員会とその報告書はどうか。「動燃に与えられた使命そのものの改変は、本委員会の目的に含まれない。」、こういうふうに初めから原子力政策と原子力行政そのものは棚上げするという枠組みがはめられました。今回の調査検討が「むつ」のときに比べて大きく後退し、限定されたというふうには思いませんか。
#80
○国務大臣(谷垣禎一君) お言葉ですが、私は「むつ」のときに比べて後退したというふうには考えておりません。
 動燃改革検討委員会も、今、目的を限定しているとおっしゃいましたけれども、確かに、この与えられた目的の中でどうかというそういう目的と、何というんですか手段と言うとちょっと言葉が悪いですね、目的ということが冒頭に書いてあります。しかし、だからといって全体の動燃のあり方の検討がおろそかになっているというふうには私は全く考えておりません。
 あの文章をごらんになっても、あれは官僚の作文する文章ではないと。官僚を悪く言うわけではありませんけれども、やはり大勢の方々が真剣に議論された結果の文章であるというふうに私は思っております。
#81
○阿部幸代君 大臣は「むつ」放射線漏れ問題調査報告書を多分お読みになったと思いますが、ぜひ読み比べていただきたいというふうに思うんです。
 今回の動燃改革検討委員会の方たちもあらかじめ枠組みをはめられて苦しかったんではないかというふうに私は思います、率直に言って。不十分性や後退性をお認めにならないということは、認めてしまうと前に進めないからだろうというふうに私は思っています。結局、二つの事故の重大性の認識がないのではないかということが大変私が気になるところです。
 使用済み核燃料の再処理施設の火災爆発事故について見てみますと、この事故は放射能の封じ込め機能が崩壊されるという重大事故でした。また、人的側面で見ますと、忘れてならないのは、爆発直前に職員をアスファルト固化施設に投入しようとしていたということです。当時の新聞報道によりますと、
  爆発した「アスファルト固化処理施設」と渡り廊下でつながった「第三低放射性廃液蒸発処理施設」の更衣室や事務室では、排風機を再起動きせるため、四十二人の職員らが準備中だった。このうち数人が午後八時ごろから固化処理施設に入る予定だったが、準備に手間取ったため、間一髪で難を逃れていた
とあります。副所長が「午後八時の段階ですでに消火が確認され大丈夫と思った。」、こういうことも報道されています。火災によって目詰まりしたフィルターを交換するために午後八時四分の爆発直前に職員が投入されようとしていた。少なくとも数人、場合によっては四十数人の大惨事が間一髪で免れたわけです。
 放射能の封じ込め機能の崩壊といい、職員の大惨事の可能性といい、これらをもたらした安全審査のずさんさ、つまり爆風による格納機能の喪失を想定せず、そういうことはあり得ないという、こういう安全審査です。そのずさんさ、本当に重大だという問題意識はありますか。
#82
○政府委員(池田要君) 今回の東海村の事故につきましては、確かに先生が御指摘のような事実がその後の事故調査の過程でも明らかになったところでございます。
   〔理事小野清子君退席、委員長着席〕
 この事故につきましては、およそ核燃料物質を扱うような施設につきましては、放射性物質を閉じ込めるといったことが一番の安全確保の基本でございますから、これが損なわれたといったことにつきましては、この事故が非常にそういった意味でも重大なものであったと私ども認識しているところでございます。
 それに、この事故調査の過程で明らかになりました管理上の問題でございますとか、また、さかのぼりますと、そういう化学物質をアスファルトとまぜました場合のゆっくりした反応が起こって発熱に至るといったようなことにつきましての知見が当初の安全審査の段階で反映されなかったといったことにつきましても、この事故調査の過程でもそれが明らかになり、こういったことについての今後の取り組み方についての真摯な議論が行われたところでございます。
 安全委員会、それから行政庁の私どもといたしましても、こういった事故からの教訓を重大なものとして受けとめなきゃいけない。そうしたことでは、安全審査に当たりましてのすべてあらゆる知見が反映されるような審査のあり方、それから運転が始まりましてからもその現場におきます安全確保のあり方、こうしたことにつきましての十分な対応、それから私ども自身が現場を十分監視する、現場を重視した姿勢をとるといったこともこの際反省事項として明らかにさせていただきまして、これも二度にわたります報告書の中でも明らかにさせていただいたところでございます。
#83
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに先ほど御指摘のように、今回の事故は閉じ込め機能が失われた、そういう深刻な問題がございます。
 それで、その後の取り組み、事故報告などがずさんではないかという御指摘でありますけれども、再度御答弁申し上げますが、動燃改革検討委員会も決して科学技術庁だけでやったというようなものではありません。むしろ、幅広いいろいろな分野の方に入っていただいて御議論をいただきましたし、それからこれにあわせまして、外国のコンサルタントに依頼をして専門的調査やマネジメントに関する調査も行いました。
 それからもう一つ申し上げたいのは、この動燃改革検討委員会、これは全面公開で行われているということであります。それから、事故調査委員会につきましても全面公開で行わせていただきました。これは今までなかった取り組みでございまして、やはり私どもとしてはこの事故調査については全力を傾けなければならない、しかも世間の批判に十分たえられるものでなければならないということからこういうふうにやらせていただいたものでございまして、取り組みが甘いという御指摘は私は当たらないのではないか、お言葉を返すようですが、再度答弁をさせていただきます。
#84
○阿部幸代君 根本にあるのは、原子力安全行政、安全審査の問題だと思います。
 ナトリウム漏えい火災事故も同様でした。専門家の間では、液体は必ず漏れるものと考えてそれに対する対応が重要なのだが、何も考えていなかったと言えると指摘されています。床がのっぺりとしていて、ナトリウムが理解性のためぬるぬるになり、人が対策に立ち入れない、モニターカメラのような機能もない、これでは人間による現場の把握ができない。ドレーンタンクの熱衝撃の試験をなぜ事故後でなく設計段階でやらせなかったのか、問題の温度計はメーカー任せ等々、数々の指摘があるわけです。やっぱり私は、大問題だという認識に基づく事故調査と動燃改革の検討がされたとはどうしても思えないんです。
 結局、今回の事故調査と動燃改革の検討の特徴は、事故原因の調査、技術的な問題については行政的に終止符が打たれ、原子力の安全行政と安全審査に根本的なメスが入れられず、動燃的体質については、それを育ててしまった原子力委員会や科学技術庁の指導責任が問われないで済んでしまった、ここにあるんではないかと思うんですけれども、違いますか。
#85
○政府委員(加藤康宏君) 監督官庁でございます科技庁の責任でございますが、何度も大臣が御答弁しておりますように、一連の事故の責任につきましては動燃事業団にございますけれども、現場を十分把握していなかった、それから我々も適切な安全監視というか業務指導ができなかった、そういう意味で当庁の責任も重大であると認識しております。
 このために、先ほどの改革検討委員会の報告書が提出されました八月一日に、科技庁自身もいろいろ反省いたしまして、我々の責任が重大であったという認識のもとに科技庁の自己改革についても公表させていただきました。そういう方針に沿いまして、現在は二十四時間の連絡通報体制を整備するとか、それから抜き打ちの立入調査などの安全監視の強化をするとか、あるいは職員によります動燃のすべての施設の現地調査をするとか、当然予算を要求する場合にも現場重視で行う、そういうような法人監督の強化を具体的に進めようとしているわけでございますし、原子力委員会につきましても、先ほど大臣からございましたように最近節目節目でいろいろと対応されているわけでございます。
 いずれにせよ、我々としましては現場重視を基本といたしました先ほどの自己改革も着実に進めまして、信頼を得られるように全力を挙げてまいりたいと考えている次第でございます。
#86
○阿部幸代君 「むつ」の調査委員会の調査報告では、原子力第一船開発基本計画の問題性、それから日本原子力船開発事業団の基礎研究、基礎実験不在、請負業者依存の開発体制、原子力委員会の内部機構としての原子炉安全専門審査会の安全規制の問題性、例えばパートタイマーの研究者による書面審査が原則だったことなどですね、政策面にも深く切り込んでいるのが特徴でした。
 比べてみますと、今回の法改正に至る調査と検討がいかに不十分だったかがよくわかるんです。その結果、本来なら原子力の研究開発及び利用に関する長期計画を抜本的に見直して、そして動燃団の改革を進めるべきところを、動燃の業務を若干スリム化して名前を変えるだけの衣がえに終わるだけになりました。これでは国民の信頼を回復することはとてもできないと私は思います。
 次に質問したいんですけれども、安全性の確立最優先の研究開発にかかわっての質問です。
 現在、科技庁、通産省の安全規制行政のダブルチェック、追認という権威のない審査機関になっている原子力安全委員会の本格的な機能強化、第三者機関化を検討する考えはないかどうか長官に伺います。
#87
○国務大臣(谷垣禎一君) 今いかにずさんなものであるかと繰り返し阿部委員おっしゃいましたけれども、私伺っておりまして、最初から黒い絵を描いて黒い黒いとおっしゃっているような、これは先生のお好きなマルクスがどこかに書いている表現でございますけれども、私そんな印象を受けました。
 それで、原子力安全委員会の機能をもっと強化すべきではないかということでございますけれども、現在原子力安全委員会は、先ほども御答弁申しましたけれども、内閣総理大臣の尊重義務を初め関係行政機関の長への勧告権など、通常の審議会よりも強い権限を有しております。また、専門審査会や専門部会などに二百名以上の専門家を擁しておりまして、必要に応じて柔軟に使える体制となっております。
 こういう現在の体制は原子力の安全確保に十分機能をしているというふうに考えているわけでありますが、先ほど申し上げましたように、中央省庁の再編で内閣府に設置されることになっております。したがって、事務局等も内閣府の中に置かれるわけでありますけれども、その中でその機能がもっと発揮されるような強化を行っていく必要があると私も考えております。
#88
○阿部幸代君 ほとんど期待できないというふうに思います。
 私は、動燃体質を改善するかなめをなすのは職場の民主主義の回復であるというふうに考えています。安全性にかかわる重要な基礎研究や、あるいは原稿執筆と投稿などは十分尊重されるべきです。動燃では過去、岩波の雑誌「科学」に「高速増殖炉の仮想事故」という論文を投稿したり、雑誌「エコノミスト」に「再処理工場からの現場報告」を投稿したら、それを理由として厳重注意の処分をしたという歴史があります。こういうことをすれば、安全にかかわる重要なことでも自由に物が言えない職場になるのは当然だというふうに思うんです。このような労務管理の歴史をどう総括するのか、また今後こういうことを繰り返さないということを保証できるのか、これは動燃理事長に伺います。
#89
○参考人(近藤俊幸君) 私ども動燃は今自己改革に取り組んでいるわけでございますが、その最も重要な一つが、安全意識の向上を図り、安全文化を醸成するということだと思います。
 この問題につきまして、現場に行って若い人たちとも接触し、いろいろと意見を聞いておりますけれども、現場においては、安全に関する問題について積極的な議論が行われる雰囲気にございます。今後とも、さまざまな機会をとらえて安全について職員が闊達な論議ができるよう、そういった雰囲気をつくっていきたいと思っております。
 それから、外に出して責任を問うたという話でございますが、これはもう二十年も前の話と聞いております。今はそういうことはございませんので、よろしく御理解いただきたいと思います。
#90
○阿部幸代君 職員の意識改革を言う前に、管理職の意識改革に最優先で取り組んでいただきたいというふうに思います。
 長官に伺いたいんですが、東海村における公聴会の公述人の意見に関してなんですけれども、東海村の村長が、少資源国日本のエネルギー確保、地球温暖化防止のみの論理でもって地元、国民の理解が得られると思うのは浅はか、省エネ対策を含めたエネルギー政策を国民に分かりやすく提示すべきであると述べておられました。村長は法案に賛成の方でした。しかし、こういう方でも無条件に賛成しているわけではないということを直視するべきだと思います。
 省エネと総合的なエネルギー政策を国民合意で進めるためにも、高速炉、再処理、プルサーマルという一本道はやめて、多様な選択肢を広げた熟慮ある、つまり安全性の枠内の原子力の研究開発を進めるべきだというふうに私は聞いていて考えましたが、村長の意見について大臣はどのようにお考えになるか、伺います。
#91
○委員長(大島慶久君) 簡潔な御答弁をお願いいたします。
#92
○国務大臣(谷垣禎一君) 今まで資源論とか環境論で説明してまいりましたけれども、それだけでは足りないという御指摘は、私もそれはそうだろうと思います。私どももベストミックスということを言っておりますけれども、いろいろな新しいエネルギーの存在も考えなければなりませんし、そういう中で何が適切かということは柔軟に考えていく必要があるだろうと思います。
 それから、エネルギー政策全体を考えるに当たっては、やはりライフスタイルみたいな問題も避けて通れません。技術だけを申し上げるつもりはないわけでありまして、できるだけ私たちも幅広い視野の中で核燃料サイクルの問題を投げ込みながら、これからも議論をしていきたいと思っております。
#93
○扇千景君 先ほど同僚議員からも冒頭にお話が出ましたけれども、昨日のインドにおける核実験の報道には世界じゅうが驚かされたといいますか、特に日本はふんまんやる方ないという多くの国民の気持ちがあっただろうと思います。そういう意味で、遺憾であるという言葉では片づけられない。昔、テレビのコマーシャルで、不謹慎かもしれませんけれども、インド人はうそつかないというのがございまして、子供のときに流行語みたいになったんですけれども、インド人はうそつかないはずだったのになという、大変失礼ですけれども、そういう思いがいたします。
 これはそれくらいにいたしまして、今回私どもは視察をさせていただきまして、地方公聴会の冒頭にも申し上げたんですけれども、ただいけないと言うだけではなくて、その中でも、この事故による後片づけをする現場の多くの人たちの真摯な姿に私はまず敬意を表さなければならない。
 今、よく三Kという言葉が言われます。けれども、その三Kよりもっと異常な四K、五Kにも値する作業に従事してくださっている、私たち同じ日本人が日本のエネルギーのために頑張ってくれているという気持ちに対しては、少なくとも感謝の念を少しは持つべきではないか。これは賛成とか反対とかいう以前の私たち同じ日本人としての姿勢であろうと思います。
 けれども、少なくとも私は、きのうのインドの核実験の報道を聞きまして、国際原子力機関、IAEAの果たす役割というものの重さをつくづく実感したわけです。これは私、手元にある資料でもしも間違っていたら困るので言っていただきたいと思いますけれども、動燃の東海事業所におけるIAEAの査察というものが行われていると私は認識しております。その査察官が常駐している、しかも燃料の移動に関する場所等にもIAEAの係官しか開封できない自動撮影ビデオが設置され、二十四時間モニターされていると聞いておりますけれども、これは間違いですか、間違いでないですか。
#94
○参考人(中野啓昌君) お答えいたします。
 再処理工場では、運転中は常時一ないし二名のIAEAの査察官が常駐いたしております。また、この査察につきましては、国の査察官も一緒に立ち会っております。
#95
○扇千景君 そういう意味で、この二十四時間モニターされているものが査察官しか開封できないということになると、一時いろんなところで、フィルムですか、ビデオを隠したとか隠さないとかという話があったということ以上に、これが余り世間に知られていない。
 例えば、普通の原子炉なら年一回の核物質の帳簿合わせというものがあるはずですけれども、「もんじゅ」の場合は毎月これが行われている。しかも、IAEAの動燃に対する査察量は大体年平均して千五百人、世界じゅうで行われておりますIAEAの全査察量の約一五%を占めているんですね。そうしますと、土曜日曜を除いて、平均しますと、毎日動燃のどこかの施設に六人の査察官がいるという計算になるんです。私は、これらの査察官に対する動燃の態度、どのように対応していらっしゃるのか、まず伺いたいと思います。
#96
○参考人(中野啓昌君) お答えいたします。
 たまたま私、その査察関係の業務に五、六年従事したことがございますので、その経験も含めて申し上げたいと思いますが、今、先生がおっしゃいましたように、平均いたしますと、四人から六人ぐらいの査察官が毎日私どもの施設に査察に来ております。この準備をするために、大体その十倍ぐらいの人工が必要でございます。帳簿の整理、それからサンプルの整理あるいは取り出し、それから、査察官は査察に来ますが、みずから核物質にさわったり何かできませんので、かわって私どもがそれを手伝ったりしなければなりません。
 そういう意味で、我々は、この仕事が我々の業務を行っていく上でのまず最初にきちっとしておかなきゃいけない仕事だという認識で作業をしております。
#97
○扇千景君 私は、その対応がどうのこうのという、動燃の対応がこれに対して悪いという意味ではなくて、今回調べまして、これほどIAEAからの動燃に対するあるいは日本の核に対する、それはプルトニウムというものを持っているということだけでこれだけの厳しい査察が行われているということに対しては、私ども余りふだん認識がないものですから、これほど行われているのであれば、きょうのインドの核実験の話がありましたから特に感じるんですけれども、非核国では日本以外にプルトニウムの利用体系を進めている国は一つもないわけですから、これほど厳しいIAEAの査察が行われているということを私は改めて国民の一人としても認識をして、そしてこれからも動燃の皆さんは、IAEAの査察に対してもすべからく門戸を開いて自由に査察ができるように努めていただきたいことを申し上げて、この件は終わりにしたいと思います。
 それから、今るる今回の法案に対する問題に対してお答えをいただいたわけですけれども、私は、今回のことを教訓にしながら、今後いかに新しい出発ができるかということに関して幾つかの問題点を取り上げていきたいと思います。
 まず、私は、基礎研究の不足ということを第一に取り上げなければならないであろうと思います。
 動燃の出発時は、皆さんも御存じのとおり研究資源が全く動燃にはございませんでした。研究者、技術者、あるいは研究施設、生産施設、そういうものを一切持たないで研究資源がゼロで動燃が出発したわけですけれども、動燃事業団は少なくとも実験、製作、設計、建設の事業は直接担当しないで、それらは他の組織に委託しましたね。そして、実業しないで、概念設計の中で基礎様式を決定し、でき上がった概念設計を検討、評価して判断するのですから、少なくとも実験炉、原型炉に対する全責任は私は当然事業団にあろうと思います。
 最初、今申しましたように調査資源を持っていない動燃なんですから、日本原子力研究所、いわゆる原研に多くの研究委託がされていたと思いますけれども、研究委託された原研の研究結果と動燃との関係というものがうまくいっていたんだろうか。なぜ原研に研究を委託し、研究成果が出ているものが動燃に生かされてなかったのかという、重要な基礎研究のありようが私は大きな原因の一つであろうと思いますけれども、簡単にこれに関して感想を聞きたいと思います。
#98
○政府委員(加藤康宏君) 動燃発足当時、研究資源と申しますか、プルトニウム燃料につきましては公社の時代からやっておりました。それから、燃料につきましては動燃事業団は当初から能力があったと考えております。
 原研にお願いしておりましたのは主として、炉物理と申しまして、中性子関係のそういうものをやっていまして、実験炉の核設計、そういうのには十分生かされていると思います。
 問題はコンポーネント、機械類でございますが、これは原研でもできなくて、これはメーカーにお願いして研究開発をする、そういうことをしておりました。
#99
○扇千景君 私は、今おっしゃったように、民間にという話もありましたけれども、外国の支援もなく高速増殖炉体系をみずから開発するという今回のこのためには、少なくとも広範な基礎研究が欠かせない、これが一番大事だったと思うんですね。
 ですから、外国から求められないんですから、今おっしゃったようなことも含めて、原研も含めあるいは民間も含めて、ほかの機関との総力戦で臨まなければこれが達成できないであろう。そういう意味では、この総力戦をするということに対しては原子力委員会も政府も真剣に考えるべきであろうと思いますけれども、その総力戦に対しての対応というものをどのようにお考えなのか、端的にお答えください。
#100
○国務大臣(谷垣禎一君) 今回、新しい法人はまだ実用化と全く無縁の基礎研究は行わないということになっておりますけれども、実用化を目指していく段階で着実な研究の裏づけがなければこれは絵にかいたもちになってしまいます。ですから、今度の法案も第二十四条で「開発及びこれに必要な研究」としておりますが、研究の方をおろそかにしては私はいかぬと思います。
 それと同時に、先生のおっしゃった原研やらほかの研究機関との連携というものも、これからよく考えていく必要があろうかと思います。
#101
○扇千景君 この横の連携というものがいかに大事かというのは、事故が起こって初めて気がつくのではなくて、お互いの縄張り争いという言葉は失礼かもしれませんけれども、やっぱりどこかに何かがあるのではないか、そういうことを外部に疑われるようなことだけは監督官庁としては厳重にこれから考えていくべきであろうと思いますので、そのことを申し上げておきたいと思います。
 それから二番目に大事なことは、世の中で言われますいわゆる護送船団方式、この言葉が言われて久しいですけれども、これはどの省庁だけではなくて全般的に護送船団方式という言葉が使われております。
 例を挙げます。時間がありませんから少し早口になるかもしれませんけれども、例えば軽水炉の場合、加圧水型の場合は三菱重工、沸騰水型炉の場合は日立製作所と東芝。そして、国産動力炉開発の場合は三菱、日立、東芝、富士電機。これは四つとも原子力関連メーカーですね。そして「もんじゅ」の場合、設計、建設では、原子炉容器は三菱重工、一次冷却系は日立、二次冷却系は東芝、燃料交換系は富士電機。二次系の東芝は重電部門が比較的手薄ですから、石川島播磨重工を協力させて二社体制にした。
 私はこれをいけないと言っているんではなくて、各社横並びの体制では、今後護送船団方式になってしまって、お互いにメーカーそれぞれの得意部分を出すだけの、すぐれたメーカーとしての生き残る競争原理というものが働きにくくなるのではないか。もたれ合いの甘えを生みやすくするし、責任の所在も拡散するのではないかと思うんですけれども、この護送船団方式の現状というものはどうお考えになっていますでしょうか。
#102
○政府委員(加藤康宏君) 我々が考えていたのは、実用化された時代にどのような産業の体制になっているかということでございまして、ある社がある部分を完全に独占いたしますと、実用化の時代に安くならない、メーカー間で競争をさせられないということになると思います。したがいまして、各メーカーが力をつけるように、例えば実験炉で炉心をやったところは原型炉では別の会社がやる、そういうことによりまして日本のメーカー全体に力をつける、そういうようなことを考えてやっておりますので、護送船団でやっているということじゃなくて、実用化の時代を考えたときに、その産業ポテンシャルを高めるためにやってきた次第でございます。
#103
○扇千景君 私は、それぞれのメーカーがそれぞれの力を出すということに反対しているわけではありません。それらの横の並びでそれぞれの技量を発揮したものに対する責任の所在のあり方というものを、やっぱり監督官庁が全責任を負うというくらいの重大な決意を持って、護送船団方式と言うのはお気に召さないかもしれませんけれども、私から見れば護送船団方式と言わざるを得ないような現状の発注の仕方。今の技術がそれぞれの持ち味を生かすというのであれば、それぞれのメーカーの特徴を生かす、けれども責任は全責任を負いますよという、責任感の認識をぜひ今後も持っていただきたいというのが第二点目でございます。
 第三点目は、私は、閉鎖体質がやっぱりあったであろうと思います。
 先ほどから同僚議員からも閉鎖体質の話がるる出ましたけれども、日本原子力学会の原子力安全調査専門委員会の一九九六年五月十七日付の「もんじゅ」の事故についての委員会見解でも、「今回の事故に際し(動燃)事業団の閉鎖性を指摘する声が少なくなかった。事業団は今後の意識改革において、その批判に十分こたえる事が期待されるが、翻って考えるとこの閉鎖性の問題は、程度の差こそあれ我が国の原子力界全体に向けられた課題であると思われる。この課題の克服なしには、原子力の開発利用に対する世の人々の理解を得る事は困難である。」と。私は、これは大変異例な見解であろうと思います。
 少なくとも、このように言われるように閉鎖体質が指摘される原子力業界、すべてここに書いてありますけれども、特に今度の動燃の特殊事情というものも考慮しても、私は今後一考を要するのではないか。
 動燃の特殊事情とは何か。それは、プルトニウムを大量に扱う国内で唯一の機関であるというこの重大性。そしてその次には、プルトニウムは核弾頭の材料のために、国際原子力機関、先ほどから言いましたIAEAの厳しい査察を受けているというこの二つ目。そして、核物質防護条約でテロや奪取の対象にならないために厳しい管理が義務づけられている、これもやっぱり動燃の特殊事情だと思います。そして最後には、核物質の防護上の要請でフランスから返還プルトニウムを運んだあかつき丸の輸送もその輸送ルートを公表できなかった。私は、動燃に課せられた他の事業団には見られないこれら四つのことによる閉鎖性というものがあったんではないかと。
 これによる閉鎖性があるというのは、難しい言い方かもしれませんけれども、この四点があるから理解できる部分も確かにあるんですよ。これらがあるからほかとは違うんだという閉鎖性も、公表できない部分があるかもしれませんけれども、核物質の防護の観点から秘密にすべき事業は限られているんですから、秘密にしなければならない部分は厳選して、それ以外は積極的に公表するように努力するということ。
 それから、トラブルの公表には科学技術庁の担当課のチェックを必要とするなどの、いわゆる官庁の情報管理体質はないのか。その辺チェックしなければ公表できないと言われている。その閉鎖性が改善されなければ、これからの原子力界の人材難、若者があそこに行って勉強しようという、それも私は閉鎖されてしまうんではないかと。心配し過ぎかもしれませんけれども、もしトラブルがあったりなんかしたときに、科学技術庁の担当課のチェックを必要とするということも本当なんだろうかと。その辺のところはどうお考えでしょうか。
#104
○国務大臣(谷垣禎一君) 私も、先生が御指摘のように、核防護の観点や何かから秘密体質になったという面もあったと思います。それと同時に、科技庁と動燃の責任の所在があいまいであったと、今御指摘のような事故の発表がどうだという問題もそこらあたりの問題だと思います。
 ですから、新法人は新法人としてきちっと権限を持ち、責任も持ち、我々はその目的を与えるところと厳正な自己評価だというような、なれ合いを排した体質をつくっていくということがやはり求められていると思います。
#105
○扇千景君 私は、今、長官がおっしゃいましたけれども、動燃と科学技術庁の関係というものがその辺にあるのかなと。重要性もあるのである意味では公表できない、秘密にしなけりゃいけない部分もあるのでということがありましたけれども、今申しましたようないろんな要因があろうと思いますけれども、基礎研究を大事にしなければならない、そのためには横の連絡を一番友好を持ってお互いに助け合わなければいけないということと、いわゆる護送船団方式のようなことになっていないのかなと懸念を持たれるようなこと、それから今申しました閉鎖体質、それからもう一つあるのは、要するに動燃というものが寄り合い世帯ではないかというこの体質もあるわけですね。ですけれども、時間がございませんのでこれに関しては省略いたしますけれども、寄り合い世帯の体質に対しても、今後より一層お互いの特徴を生かしながらお互いを助け合っていくという、その一致団結した体制をとっていただきたいということを申し上げて、時間でございますから終わりたいと思います。
#106
○委員長(大島慶久君) これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#107
○小林元君 民主党の小林でございます。
 総理にお尋ねをしたいと思います。
 先ほども委員会冒頭で私、核燃料サイクルの問題でいろいろ御質問申し上げました。今回の法律に関連しまして、動燃の「もんじゅ」の事故あるいはアスファルト固化施設の事故というものがあったわけでございますが、これはいずれも核燃料サイクルに関連した問題というふうに考えております。
 核燃料物質の効率的、合理的な利用というようなことで、いわゆる軽水炉で使った燃料を再処理する。そして、そこから分離されるプルトニウムあるいは残存したウラン等について有効に使う。そういう中で、プルサーマルという軽水炉での利用、さらには新しい炉、転換炉はやめましたけれども、増殖炉「もんじゅ」というような形での炉の完成、技術開発を待ってそこで有効に利用するということになるわけでございます。
 本会議でも質問を総理にさせていただきました。我が国は資源に乏しいのでどうしてもリサイクルといいますか核燃料のサイクルが必要であるというふうにおっしゃられました。が、現実は、アメリカはワンススルー、そしてドイツなどは両方の選択をすると。日本はどちらかというと再処理路線というふうになって、これは至極当然というふうにも思えるんですけれども、世界的に見ると直線的な志向ではないかというふうにも考えるところでございます。
 したがって、余剰プルトニウムは持たないという別な考え方もあるわけでございますが、そういう中で、弾力的なプルトニウムの利用といいますか、再処理問題等についてお考えがありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
#108
○国務大臣(橋本龍太郎君) 御質問にお答えをいたします前に、一点発言をお許しいただきたいと存じます。
 十一日、バジパイ・インド首相が地下核実験を実施した旨を発表いたしました。我が国を含む国際社会がインドの新政権に対しまして再三にわたり核政策における最大限の自制を求めてまいりました中でこのような実験が行われましたことを極めて遺憾なことと考えております。
 本日、官房長官からもコメントを発出し、同時に、東京におきまして小渕外務大臣が在京インド大使を招致し遺憾の意を強く伝えるとともに、ニューデリーにおきましてインド政府に対し平林在インド大使よりこの旨を申し入れました。
 私自身、三月三十一日付のバジパイ首相に対する親書の中で慎重な対応を求めてまいりましただけに、極めて遺憾な事態、こうしたことを冒頭御報告せざるを得ないことを申しわけなく思います。
 また、今、議員から核燃料サイクルにつきましていろいろな考え方を持ってもいいじゃないかという御指摘をいただきました。
 我が国は、長期的なエネルギー安定供給の確保などの観点から、使用済み燃料を再処理し、回収されましたプルトニウムなどを有効利用することにしておることは御承知のとおりでありまして、そうした観点からも、使用済み燃料を再処理するまでの間適切に管理する、貯蔵することが非常に重要でございます。
 こうした点につきましても、今総合エネルギー調査会におきまして所要の制度整備に向けた検討が進められておるところでありますが、いずれにいたしましても、使用済み燃料につきましては再処理をしていくということが我が国の原子力政策における基本でありまして、これは資源の乏しい我が国として、今後とも核燃料サイクルというものを着実に推進していくべき運命を持つ国、当然の選択と、そのように考えております。
#109
○小林元君 核燃料サイクルの実現といいますか、再処理の必要性というのは十分承知しているつもりでありますけれども、プルトニウムを使うということになりますとプルサーマルというようなことで、エネルギー効率としては、高速増殖炉で燃やすということに比べますとかなりもったいないといいますか、そういう側面もあるわけでございます。
 プルサーマルですとエネルギー的には三倍程度、増殖炉で使えば六十倍からあるいは百倍というようなこともありますので、やはり中間貯蔵するということが資源をストックしておくというような意味合いにもなるんではないか。アメリカ方式のようにワンススルーで使い捨てということではなくて、中間貯蔵するというようなことも、そして増殖炉の開発に備えるということもあり得るのではないかということでございます。
 次に、原子力施設の安全確保につきまして、今回の動燃の改革という中で安全確保を徹底するということでありますけれども、国としても、先ほど来問題になっておりますように、安全規制をするという意味で安全確保の体制の充実強化といいますか、そういうものに積極的に取り組むべきであると思いますし、それからなお、原子力防災につきましても自治体の力ではなかなか容易ではないというような事情があります。国がどうしてもリーダーシップといいますか、一元的な責任を持ってやってほしいという強い要望もあります。その辺について総理のお考えをお伺いしたいと思います。
#110
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに、議員が御指摘になりましたように、動燃の一連の事故を踏まえまして、運転管理あるいは事故時の対応などにおける安全の確保ということが極めて重要だということを再確認せざるを得ない状況が生まれました。
 本来、原子力の利用というものについて安全というものは何より大切なポイントであったと存じます。しかし、それに対して国民から疑念の目が向けられるというような状態になりましたこと自体が極めて遺憾なことでありますが、緊急時対策センターを開設するなど、軽微なトラブルから原子力災害までの緊急時における一貫した対応体制の整備を図るとともに、現場を重視した日常的な安全監視機能というものを強化してまいりました。
 今後とも、このような努力の積み重ねの中から安全の確保に万全を期するとともに、国民の原子力安全に対する信頼の回復に全力で努めてまいりたい、そのように考えております。
#111
○小林元君 今回の動燃改革の基本的方向におきまして、検討委員会等でも経営の不在ということが第一番目に取り上げられたわけでございます。したがいまして、新たな経営の確立ということで、事業の目標あるいは組織の基本原理と並びまして経営者の選定、だれが経営を担当するのか、これは大変重要な問題ではないか。
 したがいまして、国がすべてに干渉するんではなくて、新しい組織の中で責任を持って事業に当たるということで、理事長の選任については大変大事な基本的な問題ではなかろうか。そういうような強力なリーダーシップを持ってほしいというふうに願うものでございますが、その理事長の選定等についてお考えがありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
#112
○国務大臣(橋本龍太郎君) 議員から御指摘をいただきましたように、一連の事故の中から動燃に対して出てまいりました根本的な批判、それは一つは、仲間内の知識で物事に対応し、事実を国民に対して説明をするところか、虚偽の報告といったような状態まで出てまいりましたわけですが、まさにそれを要約していきますと、経営の不在という一言に尽きたのではないかと思います。
 そして、こういう評価を受けてしまいました動燃の経営体質というものから脱却をしてまいりますためにも、強力なリーダーシップを発揮されるだけではなく、国民に信頼されるような業務運営を行える方を大所高所から人選していくことが御指摘のとおり極めて重要な課題でございます。真にその機構の経営を担うに足りる人材である、見識、経験を有する方が人物本位で慎重に選定されなければならないと考えております。
 現在、谷垣科学技術庁長官を中心に鋭意人選に当たってもらっておりますが、こうした人物を選んだかと御評価をいただけるような人材が見出せることを、私自身心から願いながらその作業を見守っているところであります。
#113
○小林元君 「もんじゅ」の事故直後に三県の知事さんから、九六年の一月でございましたか、核燃料サイクルにつきまして国民的な合意の形成に努めるべきであると。それを受けて国は、原子力政策円卓会議、原子力シンポジウム等々精力的にやったと私は評価をしておりますけれども、ここのところ中断といいますか一休み状態にあるのではないかというふうに思うわけでございます。
 やはりこれは、今後の原子力の平和的な利用といいますか、理解を得ることは非常に大事なことでございますので、いっときも休まずに強力にやっていただきたい、国民的合意を形成する中で平和利用というものを進めていただきたい、そういうふうに思うわけでございますが、今後の考え方についてありましたらお願いしたいと思います。
#114
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今議員から御評価をいただきましたことを非常に幸せに思いますが、原子力委員会にこの原子力政策円卓会議を設置いたしましてからこれに加わっていただきました延べ人員、各界各層の代表百二十七人の方々が十一回の会議に参加をしていただきました。そして、その成果というものは順次原子力政策に生かしてまいったと思います。
 原子力の開発利用を進めますに当たり国民の理解と協力が不可欠であることは当然のことでありまして、そのためには、安全の確保を図りますとともに、これに関する情報というものは基本的に公開をしていくなど情報公開の徹底を図ることが極めて重要だと認識をしております。その上で、国民各界各層との一層の対話の促進などによりまして原子力開発利用についての共通のコンセンサスの醸成に努力していかなければならないと考えておりまして、こうした努力の一環としていわゆる新円卓会議というものを開催していくことについても、その実現に向けて具体化を図ってまいりたい、今そのように考えております。
#115
○小林元君 終わります。
#116
○松あきら君 総理、本日は当文教・科学委員会に初めてお出ましをいただきましてありがとうございます。公明の松あきらでございます。
 先ほど、インドに対します。その遺憾を表明されました。私も、今この原子力を審議している真っただ中の私どもとして、やはりこのインドの報は大変にショックでございました。
 しかし、きょうは持ち時間もありませんので、それはひとまずおいておくことにいたしまして、私は総理に情報公開についてお尋ねをしたいと思います。
 ただいまも情報公開について明確に、徹底を図ることが極めて重要であるとおっしゃいました。代表質問でも総理は、「原子力の開発利用を進めるに当たっては安全が大前提」、そして「国民の理解と協力が不可欠」であると。間は抜かしますけれども、「十分な情報の公開のもと、安全確保を大前提にし、原子力についての国民的合意の形成に努力していかなければならない」と、こういうふうに述べられております。また長官も、「動燃では、閉鎖的な体質が指摘されており」「それを改めていくためには、積極的に情報を公開し、」「国民の声を的確に業務運営に反映させていく」、こういうふうに答弁をされました。
 私はさきの委員会で、東濃地科学センターに情報公開を申し込んだところ、手数料として五十九万円、コピー代を九万円請求されたということをここで事実関係を問いただしました。そうしましたら、それは事実であるというふうにお答えいただきました。しかし、事実は五十九万円じゃなくて、計算したらちょっと多くいただき過ぎちゃったので四十八万円で、何か残りはお返ししたということなんです。しかし問題は、手数料が五十九万円かかる、コピー代は九万円かかりますよ、これだけかかるけれどもあんたまだ欲しいんですかちゃんと払ってくれる約束をしたならば情報公開をしますと、こういうところに大きな問題があると。
 総理も長官も御存じのように、アメリカではインターネットで当然のように情報公開されております。エネルギー省が発表しております。そういう時代にあって、手数料を四十八万円も、五十九万円から幾ら四十八万円に下がったといえども、三千枚という大変膨大な枚数ではあったにせよ、私はやっぱりこういうことが大きな問題ではないかと。これはどう考えても、国民からすると、こういうことが新聞の種になるということは、やはり原子力に関しては情報公開をしたくないんじゃないかと勘ぐられても私は仕方がないんじゃないかというふうに思うんです。
 国民に原子力の安全性を訴えて国民合意を形成するためにこの情報公開というのはするわけでございますので、私はそういうことを踏まえて総理にもう一回情報公開についてのお考えと、そしてまたもう一つ、「プライバシーに関する情報など特殊なものを除いて」とあるわけでございますので、そのプライバシーに関する情報はわかるとしても、「など特殊な」ということに関しまして基準を明確にしていただきたい。この二つ、お答えいただきたいと思います。
#117
○国務大臣(橋本龍太郎君) まず第一点は、一般論としてお答えを申し上げます限りにおいて、動燃の閉鎖的な体質を改善するためにも、みずから積極的に情報を発信すると同時に、国民の声を的確に把握をし業務運営に反映させるなどの広報、情報公開を徹底することは極めて重要である、私もそう思います。そのために、動燃におきまして昨年七月から情報公開指針を運用して情報公開を推進してきていると承知をしておりますけれども、今後ともに、手数料の金額設定も含めまして、国民とともにある情報公開体制が整備されるように、その運用方法について改善を図る努力を継続していくことが重要だと考えております。
 なお、議員が例示をされました案件につきましては、私もそれはどういうことだったのかをちょっと聞いてみました。そうしますと、例えば保安日誌などに記載されている個人名、その名前の公開について個別に確認をとるといった膨大な作業が必要であったというようなことがその理由として述べられております。しかしながら、情報公開の促進ということは大切なことですから、科技庁が動燃に対して金額設定についても何らかの改善策が考えられないか検討を指示したということの報告を受けております。
 また、その情報公開指針におきまして、個人、ノウハウ、核物質防護、それから訴訟に関する情報、こういった非公開情報の基準は明確にした上で、原則すべての情報を公開してきている、動燃による「もんじゅ」の安全総点検結果につきましてもこの指針にのっとって公開をされていると私は承知をしております。
 動燃に対する国民の信頼を回復していくためには、まさに情報の公開を徹底していくこととともに、組織の透明性を確保することが大前提でありまして、その重要性をよく認識した上で、こうした非公開の基準につきましては必要最小限の運用にとどめることが必要だ、そのように考えております。
#118
○松あきら君 本当に私も、先ほど肩先生からもございましたし、ほかの同僚議員からも「もんじゅ」に関しましてさまざまな問題点の指摘がございました。まさに総理もおっしゃいましたように、安全性総点検の結果、プライバシーに関する情報など特殊なものを除いて情報は十分公開されると信じておりますけれども、今申し上げましたような種々の問題もございますので、「など特殊な」ということに関しましては、今総理のお答えになったことでお答えであるというふうに認識してよろしいですね。――わかりました。ありがとうございました。
 それでは次に、このたび新機構ができます。そして、委員十五人以内で組織する運営審議会を設置して、理事長の諮問に応じ、機構の運営に関する重要事項を審議し、及び機構の運営につき理事長に対して意見を述べることができる、こういうふうになっております。この委員は学識経験を有する者というふうになっておりますけれども、やはりこれはまたぞろ何となく閉鎖的な感じがするわけでございます。
 私ども、先週東海村に視察に参りました。そして、そこで公聴会もさせていただきました。私はそのときに、この新しくできます審議会の中に関係の市町村の例えば県知事さんとか村長さんとかそういう方も入れていただいたらどうでしょうかと。東海村でもそうですし、もちろんほかでもそうですけれども、積極的に誘致をしてくださっているけれども、結局何か起これば最大の被害者になるわけでもございます。そういう話を申しましたら、ぜひそれはそういうふうにしていただきたいというふうにおっしゃっておりました。
 今ここで明確にそれはそういたしますとはおっしゃれないことはよくわかっておりますけれども、ぜひ私は十五人の人選の基準の情報を公開していただきたい。そして、できましたら国会承認もぜひしていただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
#119
○国務大臣(橋本龍太郎君) 運営審議会は、核燃料サイクル開発機構の運営に広く外部の意見を反映させることによって業務運営の透明性を確保するとともに、一般社会からの乖離というものを未然に防ぐ、そういう役割も持っていただくために新たに設置するものです。その委員に対して、当然ながら幅広い分野から高い見識や豊富な経験を有する方が人物本位で選ばれるべきものだと私は思いますし、議員御指摘のように、ただ単に学者の方だけではなくて、社会の声を反映できるそうした方も私は対象に考えていくべきだと思います。
 具体的な人選につきましては、これは機構法の二十三条第一項で必要な学識経験を有する者のうちから理事長が任命する旨を明確に規定しております。その必要な学識経験というものの中に、社会の声を反映できるといった方を考えていく、それは私はできないことではないと思います。その認可に当たりましては、これは理事長さんのイニシアチブを尊重しながら、運営審議会の設置の趣旨を踏まえて行っていかなければならない、私はそのように思います。
#120
○松あきら君 ぜひ幅広い範囲、社会の声を反映できる方に、学識経験者に偏らず、よろしくお願いをいたします。
 最後の質問でございます。時間がございませんので急ぎます。
 今回の法改正により動燃は核燃料サイクル開発機構に改組されまして、核燃料サイクルを確立するための研究開発を行うとしておりますけれども、昨今の状況を考えて一番の問題は、やはり放射性廃棄物問題、使用済み燃料対策、プルサーマル計画のおくれなど、もう本当にたくさんの問題があるわけでございます。
 その中で、私はこの間も感じました。東海村では何と三千四百本の低レベル放射性廃棄物のドラム缶、三十数年前に埋めたドラム缶が密閉されていたはずが、水浸しになっちゃって本当のプール状態になってしまった。今、穴をあけてそれを取り出しまして、ドラム缶を詰めかえているそうでございます。そして、全部詰めかえると三千四百本の新たなごみが出るわけでございます。私はこれ一つ考えても、特にこれは低レベルですから不幸中の幸いと言ってはなんでございますけれども、やはりそういう感を強くいたしました。これが高レベルだったらどうするんであろうかと、ドラム缶などももう腐食しておりますから、私はそういう気持ちがいたしました。
 今の状態であれば、高レベル放射性廃棄物はこれからも発生し続けるわけでございます。その出口を早急に確保しなければいけない。高レベル放射性廃棄物の処分問題に対処するための取り組みや計画をぜひお示しいただきたい、これを最後にいたします。
#121
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに、委員が御指摘になりましたように、高レベル放射性廃棄物の処分問題、これは原子力の開発利用を進めていく上で早急に対応しなければならない重要な課題であります。
 これまで原子力委員会などにおきまして、処分の技術的な側面、社会経済的側面についての検討が進められるとともに、関係機関において研究開発が進められてまいりました。今後、原子力委員会の方針に基づきまして研究開発に鋭意取り組んでまいります。そして、二〇〇〇年までに技術的な信頼性を明らかにするとともに、国民の皆様の幅広い理解を得ながら、二〇三〇年代から遅くとも四〇年代半ばまでの処分場の操業開始に向けて、二〇〇〇年を目途に実施主体を設立するなど、処分事業の具体化に政府一体となって着実に取り組んでまいりたい、そのように考えております。
#122
○日下部禧代子君 二度にわたります動燃事故で明らかになりましたように、動燃の問題体質、一言で申しますといわゆる閉鎖体質というのは、残念ながら我が国の原子力開発全般にわたる体質というものを象徴していたというふうに言っても過言ではないような気がするわけでございます。したがいまして、動燃の改革ということの成否というのはやはり透明性の確保、すなわち情報公開の取り扱いに大きく左右されるのではないかというふうに私は認識しております。
 また、それは同時に、動燃は特殊法人でございますが、すべての特殊法人に共通する問題でもあろうかというふうに思います。情報公開法の政府案におきましては、特殊法人は今回は適用されないということになっておりますが、動燃を含めまして特殊法人の情報公開の推進につきましての総理の御所見を承りたいと存じます。
#123
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、動燃の閉鎖体質というところから議論を開始されましたけれども、その御指摘は間違いなく受けとめなければならないことでありますし、情報公開を徹底することが動燃改革の重要な柱であることも御指摘のとおりであります。
 それを延長し、特殊法人全体について情報公開法の制定というものについての御意見をいただきましたが、国民から大変要望の強い緊急の課題であることも事実です。しかし、特殊法人というものが大変さまざまな形態をいたしておりますために、政府提出の情報公開法案では、政府に対して別に法制上の措置などを講ずべき旨を明記いたしております。
 また、与党三党の合意には、本法を制定いたしましてから二年以内にこの特殊法人について所要の法案を国会に提出することとされておりまして、この点は国会の御審議を踏まえて誠実に対応してまいりたいと考えておりますけれども、それ以前の段階においても、だから情報を公開しなくていいんだというものではない。
 殊にこの動燃の事件が、いかに情報の開示がおくれ、虚偽報告がなされたかということから起きたというものを考えますとき、核燃料サイクル開発機構においては、みずから積極的に情報を発信すると同時に、国民の声を適切に把握しながら業務運営に反映させる、そのためにも広報、情報公開を徹底していくことが必要な、そのような責任を負っていると私は考えております。
#124
○日下部禧代子君 ありがとうございました。
 その情報公開のあり方なのでございますが、先日、東海村の公聴会に参りまして非常に感じたことでございますが、特に原子力エネルギー、そして私どもが視察をいたしました動燃の施設の中での御説明なんですけれども、私のような専門家でない者にとりましては非常にわかりにくいのでございます。ここがこうですというふうに言われても、それからそれがどうなるのというところまで素人にはなかなかイマジネーションが発展していかないわけでございます。
 地元の方々に、私は前日に参りましたのでいろいろと伺う機会がございましたけれども、自治体、村からの広報のあり方につきましても、動燃からの資料そのままを村の人々に配付したと。しかしながら、数字が羅列してあるばかりで、その数字が何を意味するのかがなかなかわからなかった、なかなかどころか全くわからなかったというふうなお声も聞くところでございます。私もそれを見て、数字だけではほとんど何の意味もわからなかったということでございます。
 やはり情報公開の意味というのは、理解できるということが非常に大きいと思うんです。その辺の配慮ということがこれから非常に重要になってくるのではないか。専門家レベルに対する情報公開のやり方、そしてまた私たちのような素人に対してそれが理解できるような情報公開のあり方、その辺のこともぜひともこれは十分に考慮されなければならないということを申し添えておきたいと存じます。
 次の質問でございますが、高速増殖炉懇談会の我が国の「高速増殖炉研究開発の在り方」という報告書におきまして、世界のエネルギー情報についての分析もなされております。そこで、我が国のエネルギー需要の伸びというのは、エネルギーの効率的利用ということを考えたり、あるいは省エネルギーということだけでは対応できないぐらい需要の伸びは大きいのではないかというふうな予測もその報告書には載せられているわけでございます。
 先日の東海村の地方公聴会で公述人の村上村長のおっしゃっていた言葉の中に、エネルギー対策全般の議論について、特に省エネルギーについての取り組みというのがなかなか目に見えてこないというふうなお言葉もございました。
 実際、我が国におきましては、エネルギーはどうも無限であるかのような消費構造も、そしてまた日常のライフスタイルにおいてもそういうふうな反省がなかなか見られない気がするわけであります。例えば、具体的に言えば、いろいろな交通機関、電車あるいはバス、これは新幹線もそれから山手線なんかも含めましてですけれども、どうしてあれほど冷房が必要なのかなというぐらいの強い冷房、あるいはまたデパートなんかに行きましても、本当に体じゅうが冷え切るような冷たい空気というふうな中で、これは一つの例ではございますけれども、日常生活の中での私たちの省エネルギーに対する姿勢というものももっと考えねばならないんじゃないかなということをいつも私は自己反省も含めて感じているわけでございます。
 このような私たちの生活のあり方、そして我が国の消費構造、そしてまた地球環境ということ、これは、冒頭総理がお触れになりましたようにインドの核実験もございました。そしてまた我が国では二度の動燃事故もございました。そのことに関して原子力に対する国民の不安感というのも募っております。
 そういうことを含めまして、これからの我が国のエネルギー政策というものに対しての総理の御見解を承りたいと存じます。
#125
○国務大臣(橋本龍太郎君) かつて我が国は、エネルギー、殊に電力を、まず水力発電に求め、そして石炭火力発電に求め、その途中から石油エネルギーというものにそのウエートを変えてまいりました。そして同時に、化石燃料というものの将来性を考えるとき、原子力というものに依存せざるを得ない時期が必ず来るという、これは私は当時の先覚者たちの達見であったと思いますが、原子力発電というものにその相当部分をゆだねる供給体制が生まれてまいりました。
 しかしながら、エネルギー資源において小国であるという状況については今も日本は変わりはございません。そして、我々の確かにライフスタイル、これはエネルギー多使用型に次第次第に、しかも知らず知らずのうちになっております。
 エネルギー政策の基本的な視点といって掲げてみますならば、経済成長とエネルギーセキュリティーの確保、そして環境保全、この三つの目標の同時達成ということになりましょう。このためには、省エネルギーの推進と同時に、原子力、新エネルギーの開発利用の促進といった需給両面の対策を必要とするわけであります。
 国民各界各層の方々がエネルギー資源の効率的利用を進めるべきという観点から、議員が御指摘になりましたような形でライフスタイルの抜本的な変革を促していき、むだを避けていただける、それだけでも私は大変貴重なことだと考えておりますが、今後においてやはり我々は、一つは大きく原子力に、また、今はまだその効率は低いといいながらも新エネルギーに今後の方向をできるだけ向けていくことは、環境という点を考えた場合にも極めて大事なことではなかろうかと考えております。
#126
○日下部禧代子君 終わります。
    ―――――――――――――
#127
○委員長(大島慶久君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、野沢太三君が委員を辞任され、その補欠として中原典君が選任されました。
    ―――――――――――――
#128
○阿部幸代君 日本共産党の阿部幸代でございます。
 今回の法案のいわばきっかけとなった動燃事故の重大性の認識について伺いたいと思います。
 総理はかつて、「もんじゅ」ナトリウム漏えい火災爆発事故の後の九六年の通常国会における施政方針演説の中で次のように言っておられました。事故が我々に大きな教訓を与えたとして、「先端技術の開発、実用化に際し、予期せぬ困難な事態が発生することは避けて通れません。」と。
 このとき私は、これでは余りに一般的に過ぎる、事故の合理化ともとれる、予想を立てそれに基づく検証を行うことの積み重ねこそ科学的精神というものではないのかというふうに思いました。
 その後、今度は使用済み核燃料の再処理工場、アスファルト固化処理施設の火災爆発事故が起こりました。事故に関して総理の認識がどのように深まり発展していったのか伺いたいと思うのですが、よろしくお願いします。
#129
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今議員が引用されました施政方針演説、平成八年一月二十二日の部分でありますが、議員が御引用になりませんでしたその後に続く言葉、「重要なことは、そうした事態を直視し、国民や専門家の前にその事実を明らかにし、原因究明と徹底した安全対策、さらなる技術開発に真摯に取り組むことであります。今後、安全確保に力を注ぎ、積極的な情報開示を通じこと、その文章はそのようにつながっておりました。
 そして、動燃のアスファルト固化処理施設における火災爆発事故につきましては、安全へのなれというものによって事故が発生をし、結果的に原子力施設の安全確保上最も重要な放射能の閉じ込め機能の喪失といった事態を招いた、これは非常に重要なことだと受けとめております。
 そして、この原因究明の結果を踏まえて、徹底した安全対策とともに、安全性の向上を図るためにさらなる技術開発に真摯に取り組むことが重要だと考えております。安全確保に全力を注ぐ、それは当然のこととして、積極的な情報公開を通じ、地元の方々を初めとする国民の皆様の御理解と御信頼を得られるように努力をしていかなければならないと考えております。
#130
○阿部幸代君 アスファルト固化施設の火災爆発事故について言いますと、今おっしゃったように、放射能の封じ込め機能が崩壊したということ、それから職員四十数人が爆発直前に目詰まりしたフィルター交換のために施設に投入されようとしていた事実も確認されています。こうしたこと自体重大問題です。副所長がもう大丈夫だと思った、こういうふうに言っていたわけです。爆発による格納機能の喪失を想定しない、つまり、そういうことはあり得ないという安全審査体制のずさんさ、これは明らかですし、それが人間の意識をも支配するということ、このことを私は教訓化するべきなのかなというふうに思っています。ナトリウム漏えい火災事故についても同様のことが言えるのだと思います。
 二つ目の質問ですが、私は、原発推進とそれから液体ナトリウム冷却の高速増殖炉、再処理、プルサーマルという、いわば一本道の研究開発計画には反対の立場です。
 その上での質問ですが、諸外国が高速増殖炉から撤退することになった今日、いわばフロントランナーを自称する日本が原子力安全行政を今のままにしておいていいとはどうしても思えないわけです。現在、科技庁、通産省の安全規制行政のダブルチェック、追認という権威のない審査機関となっている原子力安全委員会の本格的な機能強化、第三者機関化を検討するべきだと思うのですが、どうですか。
#131
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、原子力安全委員会は、国会の御同意を得て総理が任命をする五名の委員から構成される総理府に設置された諮問機関として、現在でも、総理大臣の尊重義務など通常の審議会などよりも強い権限を有するだけではなく、二百名以上の専門家を柔軟に活用し得る体制として非常に効果的な努力をしていただいていると思っております。
 今後、行政改革が進んでまいりますと、この原子力安全委員会は内閣府に置かれることになるわけでありますけれども、原子力の開発利用に当たりその安全確保というのは大前提でありますし、セーフティーカルチャーと申しましょうか、原子力安全委員会がセーフティーカルチャーの醸成に重要な役割を果たす、また、原子力の安全確保について国民に安心感を与えていただくことができるようにその機能を最大限発揮されることは非常に重要なことだと私は考えております。
 その意味では、むしろここがしっかりしていただくという言い方は大変失礼な言い方かもしれないんですが、この原子力安全委員会の機能が十分に発揮できるように一層の工夫をしていけと、そういう御激励と私は受けとめたいと思います。
#132
○阿部幸代君 第三者機関であるというふうにはおっしゃらなかったことが私も胸をなでおろす思いがいたすわけですけれども、大事なことは、推進当局から完全に独立をして独自の事務局、スタッフを持つということで、ぜひアメリカのNRC、原子力規制委員会からもっともっと日本は学び取っていくべきであるというふうに私はいつも思っています。
 三つ目の質問に入ります。
 七日の茨城県東海村における公聴会の公述人の一人であった村上達也村長が次のように述べておられました。少資源国日本のエネルギー確保、地球温暖化防止のみの論理でもって地元、国民の理解が得られると思うのは浅はか、省エネ対策を含めたエネルギー政策を国民にわかりやすく提案すべきであると、こう述べておられました。
 村上村長は法案に賛成の立場を表明しておられたわけですが、賛成の方でも無条件に賛成しているのではないということを私は直視するべきだなというふうにそのとき思いました。省エネやエネルギー政策全体について国民的な議論をもっともっと進めていく必要があるし、そのためにも、高速増殖炉、再処理、プルサーマルの一本道の推進はやめて、多様な選択肢を開く熟慮ある、つまり安全性の枠内での研究を進めるべきだとそのとき私は思ったのですが、村長の意見について総理はどのようにお考えになるか伺いたいと思います。
#133
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、エネルギー政策というのはそれぞれの国情において定められている。そうした中において、我が国として原子力委員会の高速増殖炉懇談会で十分に御議論をいただいた結果として、高速増殖炉が将来の非化石エネルギーの源の有力な一つの選択肢として位置づけられた。そして、それをもとにこの研究開発を着実に進めていく体制を考えているということでありますが、こうしたエネルギー政策の中において、原子力の位置づけというものが今国民に十分に御理解をいただけていないという点については、議員の御指摘に対しても私はそう思いますし、公述人のお一人から、一面的な説明では説得力に欠けるよ、エネルギー政策全体を開示した上で理解を求める努力をすべきだよ、そうした御意見をいただいたということを私はむしろ高く評価したいと考えております。
 先ほども触れたことでありますけれども、我が国のエネルギー政策の基本的な視点、それは経済成長、エネルギーセキュリティーの確保、そして環境保全の三つの同時達成ということになります。そうした中におきましては、先ほど御指摘をいただきましたようなライフスタイルの変革をも含めた省エネルギーの徹底、新エネルギーの開発導入に最大限努力していくこととあわせて、安全性の確保を大前提に原子力の開発を進めていくことが必要であると考えておりますし、そうした総合的なエネルギー政策の一環として原子力も位置づけられる、こうした点について十分御説明の努力をこれからも払ってまいりたい、そのように考えております。
#134
○扇千景君 総理にわざわざお出ましいただいたんですけれども、衆議院と違って、まずおいでになって奇異に感じられたことがあるだろうと思います。それは、私どもの委員会は文教・科学委員会という名称になっております。これは、初めて今国会から参議院の改革の一環として委員会の再編を行った結果でございまして、少なくとも成功したとは言えないんです。
 と申しますのは、きょうの審議日というのも、週二回あるわけですけれども、火曜日と木曜日。きょうは科学技術のことだけやっているんです。文教が入っていないんです。ですから、決められた定例日の中で両委員会を参議院改革だという名のもとに一つにしたということも、少なくともこれは成功ではない、実験段階である、次国会からはまた考えなきゃいけないと。きょうは科学技術庁長官がおいでくださいましたけれども、文部大臣は呼べないというようなことになります。これは余談ですけれども、まずそういう意味で、きょう御出席いただいた委員会の名称に関しても、総理はああ違ったなという感覚をお持ちになっただろうと思います。
 と申しますのも、私が総理にお出ししました原子力委員会の問題も、多々同僚議員から出ましたから同じことを聞こうとは思いません、わずかな時間でございます。けれども、少なくとも行革を推進するという、火だるまになってもという総理の御決意の中で、政府の行革と重ね合わせて、参議院にお越しになって参議院改革というものの委員会のあり方を見て、果たして数合わせだけでいいのかなという感覚をお持ちになったのではないかなと思って、私はあえて参議院改革の成否というものを今後もう一度見なきゃいけないというふうに思ってお尋ねしたんです。
 総理の行革に対する決意というものとこの参議院の委員会のあり方、今反省点も多々あるんですけれども、果たして総理の行革の頭の中に、今回のこういう事件、事故と言えるようなことが起こらなければ、今総理が同僚議員にお答えになった、日本の二十一世紀の行く道として大事な科学技術であり、原子力政策であるというお答えがありましたけれども、それに関して、科学技術庁を科学技術省に上げるということが日本の将来のためになるのではないかとお考えになったことがあるんでしょうか。
#135
○国務大臣(橋本龍太郎君) 議員から御指摘がございましたけれども、私は、本院の委員会構成、これについて確かにああ変わったなという印象は持ちました。その上で、私どもが考えております中央省庁再編の中において、文部、科学技術、これを一体として考えておりましたので実は違和感なしにここに入ってまいりました。その上で、運営につきましては院の御方針でありますから私は議論は控えたいと存じます。
 そして、むしろ私は科学技術省という発想をその名称で考えたことはございませんでした。むしろ、例えば通産省における工業技術院でありますとか、あるいはその他の省庁におきます研究機能、大学の研究機能、これをどうすればまとめられるだろうか、そしてネットワークを組ませることができるだろうか、そうした発想を持ったことはございます。
 そして、むしろその壁を取り払っていくためにも、文部省は教育機能を持つだけではなく研究機能も持っております、その科学技術庁との一体化の中において、むしろ国立の科学研究所というものの少なくとも横のネットワークをきちんと整備していくこと。そして、ややもすると、実は同じ省庁の下部にあります研究所、機関同士でもその壁がなかなかきついものがあることを自分で見てまいりましただけに、むしろ総合的な横のネットワークを編成していく上でも、その上で私学の研究機能、あるいは民間の研究機能と合わせていくというような発想で物を考えたことはございます。
#136
○扇千景君 私は、戦後今日までの日本の現状を見ますときに、私どもこの委員会に女性が多うございますけれども、科学技術の恩恵あるいはエネルギーの恩恵を一番多く受けたのは女性だと思っております。私どもの家の中を見ますと、あらゆる電化製品によって女性の労働力はかなりゆとりができたということに関しては、今までの政府の行ってきた科学技術行政というもの、あるいはエネルギー政策というものに反を唱えるものではありません。私は、一番恩恵をいただいたという感謝こそすれ、それを否とするものではないんですけれども、果たしてこれを継続するにはどうしたらいいかというのが問題なんです。
 私たちの子供や孫の時代にまで今よりも豊かな、あるいは高度な生活設計が果たしてできるだろうかということをぜひ私は総理にお考えいただきたい。それが基本であろうと思うんです。
 今申しましたような原子力委員会一つとってみても、例を言いますと、委員会の決定は内閣総理大臣も尊重しなければならないというのが原子力基本法に書かれておりますけれども、この原子力委員会のありようというものも、今回の「もんじゅ」の事故に関しましても、事故が事件へと発展して、そして問題が動燃だけにとどまらず原子力行政全般に及ぼうとしているにもかかわらず、私はその認識が原子力委員会に乏しかったのではないかという一片を感じております。
 原子力委員会の決定は内閣総理大臣は尊重するということなんですから、総理大臣にどのように報告があったんだろうか、少なくとも私たちの目からは原子力委員会の動きが鈍かったと見えているわけですね。そして、世間に対しても明快な意思表明は原子力委員会が少なくとも迅速ではなかったと、私はそう言えると思うんです。そういう意味では、先ほど総理が、円卓会議をして百二十七名、十一回の会議をしてと、るる書類に書いてあるとおりのようなことをおっしゃいましたけれども、そういうことを原子力委員会が果たして総理にどのように迅速に伝え、また国民に発信するかと。ですから、今私は行革にひっかけて言いましたけれども、原子力委員会のあり方というもの、原子力委員会で定める長期計画というもの、長計と言われておりますけれども、それは科学技術に関する憲法のようなものだというぐらい私たちは原子力委員会を重視してきたんですね。
 けれども、事が起こったときの対応と責任のありようというものは、私は少なくとも原子力委員会というもののありようも行革の中の一つにすべきだというふうに考えておりますけれども、今まで総理がこの委員会にお出ましになりませんでしたので、少なくとも原子力政策を含む科学技術の将来性に対する御見解を伺いたいと思います。
#137
○国務大臣(橋本龍太郎君) 科学技術全体について述べるほど私は知識を持っているわけではありませんが、先日、科学技術会議の議員の方々と初めて自由な論議をさせていただきました。
 そうした中におきまして、遺伝子組みかえ等さまざまな分野の御議論がありましたけれども、同時にエネルギーという視点から、いわゆる新エネルギーに入る分野でありますけれども、その幾つかについても論議が及びました。
 たまたま私は山登り屋でありますから、ヒマラヤを歩いたりしておりますと、必要に迫られて太陽光発電というものには非常にかかわりを持ち続けております。性能は随分よくなりました。しかし、パネルの設置その他随分エネルギーを必要とすることでもありますし、実際に使ってみて、こういう進歩があったが、なお、というような問題も出てまいりました。
 いろんな分野の議論がそこでは出たわけでありますけれども、いずれにしても私どもが考えなければならないことは、科学技術というものが確実に人間の将来にプラスに働くだけではなく、常に影を意識しておかなければならないということだったように思うんです。
 それこそ、プラスチックが生まれましたとき、本当に夢の素材という受けとめがされました。しかし、それが廃棄の段階においてダイオキシンを発生する。製造された段階においてそのような予想はございませんでした。そして、今それをどうするかが一つの大きな課題であります。そういう意味では私は、光と影の影というものを事前にどこまで意識できるか。これはちょっとやっぱり素人には限界がありますから、専門家の方々に御検討願わなきゃなりません。
 同時に、その中に一般常識が欠如しては困るわけでありまして、たまたま今原子力委員会のお話が出ましたけれども、一般国民の意識に近づけることが私は必要だと思いましたので、国会の御同意がいただけましたが、ジャーナリスト出身の木元さんを、例に挙げて恐縮ですけれども、原子力以外の方に中に入っていただいた。そのようなことを考えてまいりました。
#138
○扇千景君 最後にしたいと思いますけれども、今総理が科学技術における光と形とおっしゃいました。そういう認識がある以上は私は安心だと思っておりますけれども、光と形とおっしゃいました影の部分に関しても、私はきょう、インドが核実験をしたということで憤慨しておりますので、マハトマ・ガンジーの言葉を使うのは大変気になるところでございますけれども、彼の言った人間の大罪の中の一つの人間性なき科学という言葉を私は本当に大事にしたいと思っているんですね。ですから私は、今、形とおっしゃいましたけれども、科学技術という面において、人間性なき科学というものが人間の大罪の中の一つだとおっしゃったガンジーの言葉も、少なくとも先と影の部分を忘れるなということであろうと思います。それが人間性だろうと思いますので、ぜひ私は、今回のあらゆる経験を糧にして、日本の将来のために、長として少なくとも科学技術あるいは原子力政策も安全を期して間違いなく推進していただくというふうにお願いをして、質問を終わりたいと思います。
#139
○委員長(大島慶久君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。
 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#140
○委員長(大島慶久君) 速記を起こしてください。
 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#141
○委員長(大島慶久君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#142
○阿部幸代君 私は、日本共産党を代表して、原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案に反対の立場で討論を行います。
 反対理由の第一は、本法案が、基幹的業務はほとんどそのままで、名称だけを核燃料サイクル開発機構に変えるという動燃の単なる衣がえであり、一連の事故と隠ぺい工作を、専ら動燃固有の経営問題と体質問題に矮小化し、原子力委員会や科学技術庁の指導責任を問わずに済まそうとするものだからです。
 反対理由の第二は、本法案が、動燃を衣がえすることで、動燃問題によって大きく広がった原子力政策と原子力行政そのものへの不信や批判をかわし、核燃料サイクル政策を継続、推進しようとするものだからです。
 動燃の一連の事故は、原子力技術が未成熟で安全性が確立されていないことを事実でもって示し、安全、実証済みといった安全審査体制のずさんさをも明らかにしました。
 ところが、この事故から政策面、行政面の根本的な教訓を導き出そうとせず、安全審査体制の充実強化を図らないばかりか引き続き核燃料サイクル政策を推進しようというのですから、許せません。
 原子力の分野は、安全技術の枠内での慎重な取り組みが特に求められます。動燃問題を教訓に、安全確保、公開、民主、自主という根本原則に立って、プルトニウム循環方式を軸とした核燃料サイクル政策を根本的に見直し、省エネと総合的なエネルギー政策を国民合意で進めるべきです。
 以上をもって私の反対討論といたします。
#143
○委員長(大島慶久君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#144
○委員長(大島慶久君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#145
○委員長(大島慶久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、小林元君から発言を求められておりますので、これを許します。小林元君。
#146
○小林元君 私は、ただいま可決されました原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明、社会民主党・護憲連合及び自由党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府及び核燃料サイクル開発機構は、動力炉・核燃料開発事業団による度重なる事故及び不祥事を重く受けとめ、本法の施行に際し、次の事項に関し特に配慮すべきである。
 一、原子力開発利用に係る安全の確保に万全を期すよう努めること。
 一、核燃料サイクル開発機構における情報の公開については、「情報公開指針」の積極的な運用等により、適時・的確かつ信頼性の高いものとし、公共の安全に関する情報や業務の財務状況に関する情報については、特に配意すること。
   特に事故時にあっては、関係自治体等に対し、迅速かつ分かり易い形での情報提供を行うこと。
 一、整合性のある原子力開発を行うため、高速増殖炉、使用済燃料の再処理、放射性廃棄物の処理・処分等の核燃料サイクルに係る政策については、今後とも国民的議論を継続し、その合意形成に努めること。
 一、核燃料サイクル開発機構の運営に当たっては、同機構は自らに付与される明確な裁量権と責任について十分に認識し、地元重視を大前提として、立地地域の住民の信頼が得られるよう地域社会との共生に努めるとともに、透明性ある運営に努めること。
 一、原子力防災については、原子力施設周辺住民の不安が十分に解消されるよう、地元自治体の要望にも配慮しつつ、人材や資材の適切な確保を含め、より実効性の高い防災体制の整備に向けた検討を進めること。
 一、本法の施行によって動燃改革が完了するものではないことを十分に認識しつつ、今後とも役職員の意識改革を徹底し、その体質を改善し、真の動燃改革が達成されるよう努めること。
 一、原子力の研究開発利用に際し、国民の理解と協力が不可欠であることに鑑み、学校教育等においてその適切な理解の増進が図られるよう努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#147
○委員長(大島慶久君) ただいま小林元君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#148
○委員長(大島慶久君) 多数と認めます。よって、小林元君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、谷垣科学技術庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。谷垣科学技術庁長官。
#149
○国務大臣(谷垣禎一君) 原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案につきまして御可決をいただきまして、まことにありがとうございます。私といたしましては、ただいま御決議いただきました附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、動燃改革に全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。
 どうぞよろしくお願いいたします。
#150
○委員長(大島慶久君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#151
○委員長(大島慶久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#152
○委員長(大島慶久君) 速記を起こしてください。
    ―――――――――――――
#153
○委員長(大島慶久君) 次に、平成十四年ワールドカップサッカー大会特別措置法案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。町村文部大臣。
#154
○国務大臣(町村信孝君) このたび、政府から提出いたしました平成十四年ワールドカップサッカー大会特別措置法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 平成十四年のワールドカップサッカー大会については、一昨年五月、日本と韓国との共同で開催されることに決定いたしました。
 政府といたしましては、同大会の日本招致に当たり、平成七年二月に閣議了解を行っているところであり、さらに、開催決定後、平成八年七月には、同大会の開催準備問題について関係省庁の緊密な連絡調整を図るため、二〇〇二年ワールドカップサッカー開催準備問題に関する関係省庁連絡会議を設置し、政府としての協力体制を確立したほか、昨年十二月には、大会の準備及び運営を行うために財団法人二〇〇二年ワールドカップサッカー大会日本組織委員会が設立され、その理事に文部大臣及び自治大臣が就任しているところであります。
 この法案は、このような政府による支援の一環として、同大会の円滑な準備及び運営に資するため必要な特別措置について定めるものであり、その内容の概要は次のとおりであります。
 第一に、寄附金付郵便葉書等の発行の特例を定めるものであります。お年玉付郵便葉書等に関する法律の規定の特例を定め、本大会の準備及び運営に必要な資金に充てることを目的とする寄附金付郵便葉書等を発行することができることとしております。
 第二に、組織委員会の職員に係る退職手当の特例等を定めるものであります。組織委員会に出向した国家公務員及び地方公務員について、国家公務員退職手当法、国家公務員共済組合法及び地方公務員等共済組合法の規定の特例を定めるとともに、組織委員会の役員及び職員は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなすこととしております。
 以上がこの法案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いをいたします。
#155
○委員長(大島慶久君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十六分散会
  
      ────◇───── 
    
   〔参照〕
   茨城地方公聴会速記録
 期日 平成十年五月七日(木曜日)
 場所 茨城県那珂郡東海村 東海会館
   派遣委員
    団長 委員長      大島 慶久君
       理 事      北岡 秀二君
       理 事      馳   浩君
       理 事      小林  元君
       理 事      松 あきら君
                長谷川道郎君
                萱野  茂君
               日下部禧代子君
                阿部 幸代君
                扇  千景君
   公述人
       東海村村長    村上 達也君
       東京大学工学系
       研究科教授    宮  健三君
       社団法人茨城県
       経営者協会会長  石川  周君
       前日本原子力研
       究所研究員    青柳 長紀君
    ―――――――――――――
   〔午後一時開会〕
#156
○団長(大島慶久君) ただいまから参議院文教・科学委員会茨城地方公聴会を開会いたします。
 私は、本日の会議を主宰いたします文教・科学委員長の大島慶久でございます。よろしくお願い申し上げます。
 まず、私どもの委員を御紹介いたします。
 自由民主党所属の北岡秀二理事でございます。
 同じく自由民主党所属の馳浩理事でございます。
 民主党・新緑風会所属の小林元理事でございます。
 公明所属の松あきら理事でございます。
 自由民主党所属の長谷川道郎委員でございます。
 民主党・新緑風会所属の萱野茂委員でございます。
 社会民主党・護憲連合所属の日下部禧代子委員でございます。
 日本共産党所属の阿部幸代委員でございます。
 自由党所属の扇千景委員でございます。
 以上の十名でございます。
 文教・科学委員会におきましては、現在、原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案について審査を行っておりますが、本日は、本法律案について関心をお持ちの関係者の皆様方から貴重な御意見を承るため、当茨城県東海村におきまして地方公聴会を開会することにいたした次第でございます。
 次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。
 東海村村長の村上達也公述人でございます。
 東京大学工学系研究科教授の宮健三公述人でございます。
 社団法人茨城県経営者協会会長の石川周公述人でございます。
 前日本原子力研究所研究員の青柳長紀公述人でございます。
 以上の四名の方々でございます。
 この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様方におかれましては、御多忙中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 本日は、皆様方から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の法案審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、村上公述人、宮公述人、石川公述人、青柳公述人の順序で、それぞれ十五分程度で御意見をお述べいただいた後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 また、会場内は禁煙といたしておりますので、皆様方の御協力をお願い申し上げます。
 それでは、まず、村上公述人から御意見をお述べいただきたいと存じます。
#157
○公述人(村上達也君) 私は、我が国の原子力の発展に長年尽くしてこられました須藤富雄前村長の後を受けまして昨年の九月に東海村長となりました村上でございます。よろしくお願いいたします。
 参議院の文教・科学委員会の地方公聴会が、この地、原子力の総合センターであります東海村で開催されましたことに対し、そしてまた、私に発言の機会を与えてくださいましたことに対し感謝の意を表します。
 ただ、村長になる以前の職場の会長でもあり頭取でもございました石川公述人の前で、このような重要な場で話をするということは身の縮む思いでございますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 ここ東海村は、日本における原子力の発祥の地と言われ、原子力の諸機関と四十年余にわたり共存してまいりました。その結果、茨城県、特に東海村が日本の原子力にとって極めて突出した特異な地位を占めるに至っております。このことを十分承知した上で発言いたしますが、ただ、本日は、昨年この東海村におきまして事故を起こした動燃事業団の問題でございます。私は心から動燃事業団の発展を願う気持ちではありますが、最近の原子力に対する厳しい風潮もございますので、私もこの場ではかなり厳しい発言をしたいと思っております。
 まず初めに、元原子力産業会議の代表常任理事を務められた、そして日本の原子力の創世記におきまして大きな足跡を残されました故橋本清之助氏の言葉を引用いたします。氏は、没後発刊した著書「現代文明縁起 二十一世紀への提言」の中でこう述べておられます。本はこの本でございます。我々の創造した二十世紀文明を評価するなら、これを悪の文明と断定するしかありません。なぜなら、人間の本源である創造の超越者の意に背いた人間の創造はことごとく悪に属するからと断じておられます。
 なぜ私がこの言葉を冒頭に引用したかと申しますと、それは、現代文明の最先端を行く原子力推進に携わる行政官庁、事業者、研究者、技術者のすべての人たちに謙虚の精神を望むからであります。
 原子力の開発事業の推進には国民的合意形成が前提と言われております。そのとおりでございまして、何人も否定はできないものでございますが、現実はどうもそうなっていないように思うのであります。むしろ不信感の方が今までになく高まっているのではないかと思っております。
 一つには、原子力に関係し原子力を推進する人たちにおごりがあるからではなかったか。このおごりは、日本のエネルギーを支えるとの使命感が正義感に転じ、そしてそのために強い仲間意識が加わって、国民の意識や社会的常識から遊離するとの意識構造になって、規制当局を含め原子力関係者に蔓延してはいないかと懸念しております。虚偽報告や隠ぺい体質はこのような精神風土から出てきたと思います。
 少資源国日本のエネルギー確保、地球温暖化防止京都会議、COP3への対処、そのための原子力の有効性云々と、原子力関係者は押しなべて異口同音に申しております。それはそのとおりでありましょうが、私は、余りにも一面的で国民に対するあるいは住民に対する説得力に欠けるのではないか。それだけでは原子力を理解し受け入れようとの気にはなれないのが地元であり国民であります。省エネ対策、経済社会のあり方、生活様式の見直しを含めたエネルギー政策全般を国民にわかりやすく提示し、理解を求める努力が欠けてはいないでしょうか。理は我に、正義は我にありの意識が先に立ち、国民の意識、地元の事情をありのままに受け入れ、理解しようとする姿勢が不足しているように感じられます。原子力は逆風下にあると言いながら、いまだ門は開かれていないと私は村長として見ております。
 全国原子力発電所所在市町村協議会は、国民の不信感を代弁し、こう申しております。国民の視点に立ち、国民にかわって安全性を厳しく監視し、国民を守る国民の代理人となる組織をつくり、国の安全規制部門の抜本的な改革をしてほしいと要請しております。
 安全は原子力の原点であり、安全性、信頼性の技術的確保に努力を願うのは当然でございますが、今は国民の原子力関係者への不信感がピークにあるのではないかと心配しております。不信感の払拭には原子力界にある閉鎖的な体質を打破し、情報公開を徹底させていただきたいと思います。それには、原子力関係者はお気づきではないでしょうが、おごりを捨てて国民の視点に立ち、国民の意識を理解するよう、関係者の意識の改革が必要と思っております。「もんじゅ」、アスファルト固化施設と二度の事故、事件を起こした動燃事業団のその責任は重いが、ほかの原子力関係機関・事業者、個々の関係者にも同じことを申し上げておきたいと思います。
 前置きが大分長くなりましたが、それでは本論に入ります。
 結論といたしまして、私としましては動燃改革法案には賛意を表します。本社の東海村移転を高く評価し、歓迎をいたします。動燃改革検討委員会、すなわち吉川提言の本旨を理解し、ぜひとも改革の案を上げるよう、地元として強く要望いたします。特に、社会に開かれた体制づくりの一環として主たる本社を東海村へ設置することはありがたく、本来の姿に気づいてくれたと評価いたします。トップを含め、全職員がこの趣旨の存するところを理解し、地元と共生されんことを期待を込めて見守っていきたいと思っております。
 動燃の相次ぐ事故、不祥事がなぜ起きたのか、これについては、昨年九月に村長になったばかりでありますので内部事情に精通しているわけではございませんが、そのため正鵠を得ているかどうかは別にいたしまして、私なりに情報を得、そして感じたことを率直に述べてみます。
 私が村長となって感じましたことは、動燃は巨大かつ複雑な組織である、そして三月の事故の後であってやむを得ない面もありましたが、外部に対し閉鎖的で、各人が自分の責任で発言できない組織というようなことでありました。
 今回の改革に当たって動燃改革検討委員会がまとめられました「動燃改革の基本的方向」では、これらの点が分析的に整理されております。安全確保と危機管理の不備、閉鎖性、事業の肥大化の三点の問題を指摘し、これらの問題をひっくるめて経営不在とくくられております。私も多方面からの情報で判断しますと、根本に組織体に裁量権がほとんどなく、自主性と責任意識が欠けていたのではないか、これが動燃の根本的欠陥ではなかったかと認識しております。
 本来、改革はみずから改革案を出し実現を図るべきものですが、今回の改革案もまた動燃の外部の力によってまとめ上げられていることに自家撞着がないわけではございません。改革案では経営の機能強化が目標に上げられ、裁量権の拡大と行使がうたわれており、新法人においては経営の自主性と責任体制の確立を期待しております。それをベースに「動燃改革の基本的方向」で示されている四点の基本的方針の実現を望みます。
 この基本方針について、東海村長として二、三触れておきたいと思います。
 地元として評価します点は、四点とも評価いたしますが、特に一つ、安全確保の機能強化と、二つ、社会に開かれた体制の構築が強調されていることであります。現在、動燃内部でも真剣に検討されていることであり、地元に安心感を与え信頼される組織となってくれますよう、真剣に努力していただきたいと思います。
 新法人の主たる業務を研究開発、技術開発とし、FBR、高速増殖炉開発及び核燃料サイクル技術開発と高レベル核廃棄物の処理処分研究開発の二つに集約され、東海再処理工場は当面電気事業者からの契約による役務再処理を行うとされておりますが、六ケ所における再処理工場の稼働までは継続されるものと理解しております。
 動燃事業団の東海村における存在と経済的意義は極めて大きく、業務の整理統合に際しては地元の事情を十分しんしゃくの上、進めていただきたい、このことを要望しておきます。
 参議院の文教・科学委員会の先生方の面前でお話ができるせっかくの機会ですので、二、三原子力行政に対する要望をしたいので、お許しいただきたいと思います。
 まず第一点は、さきの衆議院の水戸市での公聴会の席で須藤前村長が要望していることでありますが、原子力災害の特殊性にかんがみ、私からも重ねて国の一元的責任として原子力防災対策の法整備をお願いしたいと思います。この件は、全国原子力発電所所在市町村協議会も原子力災害対策特別措置法の早期制定を十数年にわたって毎年要望しているところでございます。石油化学コンビナートには災害対策特別措置法があると聞いておりますが、なぜ原子力施設所在地にはないのか、疑問とするところであります。国会でもお取り上げ願いたいと思います。
 第二は、放射性廃棄物の処分と処理問題であります。現在、東海村には高レベル放射性廃棄物がガラス固化体で六十二本、廃液で五百十二立方メートル、それと未処理使用済み燃料九十六トンがございます。さらに、全国の三十数%に及ぶドラム缶三十万本以上の低レベル放射性廃棄物が一時保管の状況にございます。この現実を私は知っておいていただきたいと思っております。
 こうした状態を放置したままでは、原子力の将来は見えてこないのではないかと私は心配しております。このことも原子力に対する国民の不信、不安の震源となってはいないか。昨年から国において議論が始められたようでございますが、今後、日本原電東海発電所の解体に伴う廃棄物の大量発生も控えております。バックエンド対策の早期確立を私からも強く要求いたします。それによりまして放射性廃棄物の最終処分場あるいは使用済み核燃料の中間貯蔵施設の確保問題の解決を早急に果たしていただきたいと切に希望いたします。
 第三は、原子力発電所の廃炉と地域振興の関係でございます。ことし三月末をもって日本原電東海発電所、いわゆる東海一号炉は運転を停止し、解体撤去に向けて始動しております。問題は、営業停止によって償却資産税と電源三法交付金、長期発展対策交付金が地元におりてこなくなります。これによる来年度の東海村の歳入は一億二千万強の大幅減収となります。原子炉は停止したとはいえ、解体撤去までには十五年から二十年の期間が必要とされております。この間、施設はあれど課税もできない、交付金ももらえないでは、原子力政策に、エネルギー政策に貢献してきた村に対し余りにも冷たいのではないか。原子炉に限れば、一般の発電所と違い、償却資産税の解釈の域を超えたものであり、課税できるよう取り計らってもらいたいと思います。特に、長期発展対策交付金を運転停止までとする考えを変更するか、廃炉に伴う、運転停止に伴う別途新規の交付金の創設を御検討願いたいと思います。この問題は全原協においても共通認識であり、今年度要望しているところであります。
 最後に、我が国の原子力の発展に先駆的な役割を担ってきた東海村の村長として原子力の発展を願うものでありますが、解決すべき問題は社会的にも技術的にも山積しているようでございます。その解決には地元の抱えている問題と意見に真っ正面から向き合うことが必要であり、それでこそ初めて国民の合意形成がなされるものと思い、本日はこのような場を与えていただきました機会をかりて地元を代弁し、率直に申し上げました。意のあるところをお酌み取り、御理解とお許しを賜りたくお願いいたします。
 御清聴ありがとうございました。
 以上で終わります。
#158
○団長(大島慶久君) ありがとうございました。
 次に、宮公述人にお願いいたします。
#159
○公述人(宮健三君) 私は、東京大学工学系研究科原子力工学研究施設に所属しております。御紹介したいと思いますけれども、私ども、高速中性子源炉、通称東大炉と称しておりますけれども、所属しておりまして、それが東海村に設置されております。ここから数キロメーター離れたところでございます。
 きょうはこのような機会を与えていただきまして感謝しております。申し述べたいこと多々ございますが、それにつきましてはこの陳述内容に少し細かく書かせていただいてあるわけですが、時間の関係もございますのでこれにのっとって御説明きせていただきます。要点だけにさせていただきたいというふうに思います。
 最初の一ページでございますけれども、その前に申し上げたいこと三点ございまして、一点は動燃改革検討委員会レポートについてということでございます。二点目が動燃法についてということ、三点目が将来への期待ということで、学術的な観点から所見を述べさせていただくということになります。
 初めに、事故についてということですが、事故は、考えてみれば考えてみるほど不思議なところがございます。御説明の時間はございませんけれども、中ほどに書いてございますように、ちょっと象徴的な比喩的な言い方をさせていただくとするならば、失敗しないためには技術の進歩が必要であるんだということであります。そして、その技術の進歩をするためには失敗が必要なんだということがあります。そういう状況の中で、この問題と失敗というか事故ということと一体どういうふうにつき合っていったらいいかということがあるかと思いますけれども、やはり結論的には、事故から多くのことを学ぶことが一番重要ではないか、これが人類が数千年にわたって確立してきた知恵ではないかというふうに思います。
 「もんじゅ」について申し上げますと、例えばこういう言い方が可能かと思いますが、技術的には九九%うまくいっていたんだ、たったわずか一%のことでしくじったんだ、アスファルト固化処理施設の火災爆発事件についても同様ではないか。動燃のパンフレットを見ますと、もう二度と事故を起こさないと明一言してありますけれども、このことは、二度と事故を起こさぬよう最善の努力をこれからするんだというふうに理解すべきではないかというふうに考えます。事実、事故から多くのことを学んで最善の努力をすれば二度と事故は起きないのかもしれないからであります。
 次のページになるんですけれども、改革のレポートは、読めば読むほど非常に体系的に筋道立って書かれております。その内容についてここで紹介するあるいは分析をする時間はとてもございませんが、私はそれを読んで二点思います。その前に、あそこに書かれてあることが既に一〇〇%実施されたとすれば問題はすべて解決するんだろうか。解決するんだろうというふうに私は思いますけれども、それを検証しておく必要はあるのではないでしょうかということです。その点に関して二点ほど指摘したい。
 まず一点目は、理論的な説明でございますので実例が必要ではないんでしょうか。事故を起こさなかった例としては、例えば「常陽」が現にあるわけです。私どもの先ほどの東大炉も二十七年間運転を行って実施してきておりますけれども、全くの無事故でございます。だから、「もんじゅ」についてはああいうようなことがあった。あるいは、軽水炉についてどういうような状況に置かれているのか、そういう状況を正確に把握しておくということが重要ではないかと考える次第でございます。
 もう一点はレポートについてでございますけれども、レポートは非常によくできていると思います。あれは新しい原子力開発の方法を我が国が世界に先駆けて実行するというふうに理解できるのではないでしょうかということです。このことをもう少し誇張して比喩的に言うことが許されるとするならば、これからこの法律にのっとってあるいは新法人がやろうとしている内容が実現されるとするならば、これは私どもから見て原子力におけるフランス革命に相当するものではないか。相当するというのはちょっと言い過ぎなんですけれども、フランス革命では人権が確立されたわけです。原子力における人権の確立に相当することがこの中に盛られているのではないでしょうかということでございます。そのことがもう少し明示されれば、我々国民にとってはもう少しはっきりわかりやすくなるというふうな印象を持ったわけでございます。
 それから、動燃改革のレポートについてでございますけれども、その問題あるいは事故を起こした内容等々について外的側面と内的側面から非常に徹底的に分析をしている、しかもわかりやすくということでございます。
 先ほど申し上げましたように、このことが理論的に妥当だということは納得がいきますけれども、それをもうちょっと、実際に事故を起こしていないものの中に含まれている実態と照合してみるということが必要じゃないかというふうに思います。
 三ページでございますけれども、そのことを、私は東大炉でこの二十七年間何をどういうふうに運転管理してきたのだろうかということで、項目を挙げて逐次レポートに盛られて記載されていることと照合してみました。照合の結果、かなり驚くほどよく対応しているというか、レポートそのものの完備性に感服をいたしたわけでございます。
 そういう観点からいうと、レポートに沿って事柄を進めていくということの妥当性が、理論的なことだけではなくて実証的なことからも検証されたのではないかというふうに思う次第でございます。その詳細については、時間の関係もございますのでちょっと御説明できないんでございます。
 一方、四ページでございますけれども、軽水炉について考えますと、これは外国の技術を途中から導入したわけでございますので、「もんじゅ」が最初から抱えていた困難な問題と直面をしていないということはございます。それでも、動燃事故に比べれば小規模のトラブルは多々起こしてきております。しかしながら、そのたびごとに事故から教訓を学んだということでございまして、そのたびごとに技術的な成長を遂げてきたというふうに言うことができます。
 そういう意味で、現在極めて安定した状況で電力を国民に供給しているわけでございますけれども、それは偶然のたまものではなくて、たゆみない関係者の努力の結果であったんだというふうに理解すべきだと考えます。このことは何を私たちに伝えているかということでございますが、いかに事故から多くのことを学ぶということが有用であるかということを、示唆どころではなくて明示的に示しているのではないかというふうに考えます。繰り返しになりますけれども、等々のことを考えますと、動燃改革検討委員会のレポートなるものが非常に大変なすぐれたできばえのレポートであると言えるのかというふうに思います。
 次が、動燃改革についてでございますけれども、動燃が解体的出直しをする、それから再生をするということでこれから歩もうとしているわけですけれども、それに際して、レポートの中核的な内容が適切に法律に反映されているというふうに理解いたします。そして、これが忠実に新法人の運営に生かされていくとするならば、先ほど申し上げましたけれども、新しい原子力開発が推進されることになりますので、そのこと自体大変喜ばしいことではないかと思います。
 もう少し具体的に申し上げますと、改革の結果、地元に本部を設置することになりますので、住民との意思の疎通が密に図られることになります。運営審議会を活用することで独善性が排除されることになるでしょうし、業務のスリム化を図ることで目標を明確に定義できているようでございます。安全の確保を重視することで事故の再発防止がこれまで以上に達成できるであろうし、情報公開を徹底することで国民との一体感が醸成されるというふうに理解できますので、そういう新しい状態は、これまでの古い状態と比べると著しく違っているのではないかというふうに思います。考えてみますと、このようなことはかつてなかったことではないかというふうに思います。
 そのことに関して、まず二点指摘したいと思います。
 一点目は、高速炉の開発とか核燃料サイクル技術の確立とかいった大型プロジェクトについては、我が国は世界に先駆けて実施して成功したことは歴史上一度もないのではないでしょうかということがあります。そういう意味でいえば、このプロジェクトは我が国の現在にとっても将来にとってもかけがえのない大事なプロジェクトではないでしょうかというのが第一点目でございます。
 第二点目は、これもちょっと繰り返しになるんですが、これからの我が国の原子力開発にとって、今までと違って広く強く民意が反映されるということになるんでしょう。民意が反映されることによって、逆風の中で原子力研究開発を四十年間やってきたわけですけれども、初めてこれから原子力は真に国民のものとなろうとしているのではないでしょうかということを申し上げたいわけでございます。
 このことは、効果はこれからはかり知れないものがあるのではないでしょうか。原子力の研究者が、原子力の研究は日本の将来に資することの意識を持って研究を行うということがどれほど重要なものであるか、あるいはどれだけ大きな成果が上がるであろうかということに関して大きな期待が持てるのではないかと申し上げたいわけでございます。
 さらに申し述べさせていただくとするならば、地域社会との共生ということでございますけれども、これがもしうまく発展するならば、茨城県や東海村あるいは敦賀、福井等々ございますけれども、これらが世界の原子力開発のメッカとなるんだと、世界の歴史に、あるいは世界の教科書の一ページを飾ることになるということを私個人的には日本人の一人として期待したいというふうに思っているわけでございます。さらに、これが将来確実に実現されるということであれば、これは原子力のフランス革命あるいは原子力の人権宣言と呼んでも、比喩的ではありますけれどもいいのではないでしょうかというふうに思います。
 翻って、二十一年前何が起きたかということを考えてみたいと思いますけれども、このとき日本のメディアは「常陽」の臨界を祝福して特集を組みました。これによって日本の将来は明るく大きな希望を持てるとしたわけであります。メディアはそれを日本国民に力強くメッセージとして報道をしました。その結果、若き優秀な俊秀が高速増殖炉の実現という夢を抱きました。その実現に参画するため彼らをして動燃へ赴かせた、そういう事実も首あったわけでございます。
 しかし、変化がありました。しかしながら、変化したのは体制の体質とそれを憂う国民の目であって、高速増殖炉の開発と核燃料サイクルの確立というこの二つの意義はいささかも揺らいでいないのではないでしょうかということを強く申し上げたいわけでございます。もしそうだとするならば、再出発によって二十一年前と同じようにこれらの事柄は国民によって祝福されるべきものでなければならないでしょうというふうに思います。
 現在、トーンダウンして、原子力は日本及び世界のエネルギー供給の有力な選択肢の一つだというふうにされておりますけれども、資源のない日本、あるいは炭酸ガス放出による地球温暖化等々を考えると、原子力の将来についてはもう少し大きなものを期待していいのではないかというふうに思います。動燃改革レポートや新法人の基本構想を読みますとそれらのことがしっかり私たちに伝わってくるというふうに考えます。
 最後に、私見でありますけれども、三点を申し述べさせていただきたいと思います。
 一点は、これも繰り返しになりますけれども、失敗のない研究開発はないんだということを我々は共通に認識しておきたいというふうに思います。失敗をゼロにすることは当然人知を超えておるわけでございまして、神でなければならないということだと思います。しかしながら、失敗を極少化して、放射能を周辺に漏らさないという、例えばそういうふうなことを実現するためには私たちの人知が及ぶんだということじゃないかというふうに思います。今回の出来事によって動燃が再生できるとするならば、事故はかえって幸せをもたらすものだというふうに言ってもいいのではないでしょうか。
 二点目でございますけれども、原子力の実態あるいは正しい姿は正しく国民に伝えられる必要があるのではないでしょうか。そのためにはもう少し学校教育のあり方について、学校教育の中で適切に取り扱われる必要があるのではないでしょうかというふうに思います。
 第三点目ですけれども、先ほど申し述べましたように、比喩的にフランス革命と申し上げましたけれども、原子力開発を推進し、人類のために貢献することを意図して、この東海村に、あるいは近隣に、あるいは福井県でも構わないと思いますが、原子力推進国民会議のような団体を設立することを提案したいというふうに思います。そこには、当然、茨城県、東海村などの地方自治体のほかに新法人とか原研とか大学などの研究組織が参画をすることになります。それによって原子力開発の新しい理念が国民各層へ浸透をしていくということに向けて努力をするということでございます。
 少し時間をオーバーいたしましたけれども、以上でございます。どうもありがとうございました。
#160
○団長(大島慶久君) ありがとうございました。
 次に、石川公述人にお願いいたします。
#161
○公述人(石川周君) 石川周でございます。本日は、参議院文教・科学委員会茨城地方公聴会において発言の機会を与えていただきまして、まことに光栄に存じます。
 私は、水戸市に住んでおります。本業は常陽銀行の会長でありますが、同時に、茨城産業会議議長、社団法人茨城県経営者協会会長、社団法人茨城県法人会連合会会長などを仰せつかっておりますほか、原子力関係では茨城県国際熱核融合実験炉誘致推進協議会の委員にもさせていただいております。しかし、本日の私の発言は、私が所属します銀行その他の法人、協議会などと何ら関係のない全く私の個人的な発言であります。御了承賜りたいと存じます。また、私は原子力につきましては全くの素人であります。私の知識にあるいは間違いや思い込みのようなものがあり得るかと思いますが、どうぞお許しをいただきたいと存じます。
 私は、原子力エネルギーの将来が我が国の将来を左右すると思っております。我が国は高い生活水準、産業水準を達成している一方で、それを維持していくためのエネルギー資源を自分ではほとんど持っておりません。その意味で大変不安定な構造になっていると言えます。そのために二十世紀を通じまして我が国は大変に苦労し、多大な犠牲を払わざるを得なかったのであります。しかし、二十一世紀においては原子力というエネルギー源を確保して、その面から我が国社会にかかる負担を少しでも楽にするようエネルギーの安定的供給体制の確保に努めなければなりません。それは一般にエネルギー安全保障と言われる問題と思いますが、原子力エネルギーの安定供給体制を確立することができるかどうかはあらゆる意味で我が国の将来を左右することになると認識いたしております。
 こうした原子力エネルギーの重要性の認識はある程度私ども地元住民に共通したものと言ってよいと私は思っております。もちろん、異論があることも事実でありますけれども、ここ東海の地に初めて原子力関係施設が設置されてからこの方数十年にわたりまして、私どもは東海に蓄積されてきた最先端の近代科学集積を誇りとしてまいりました。茨城の経済を語るとき、つくば、日立、鹿島と並ぶ最先端の技術集積として必ず東海を挙げております。それだけ私ども地元住民の原子力に対する評価と期待は高く、大きなものがあるのであります。
 それは同時に、私どもが原子力の安全確保の面につきましても深い信頼を置いてきたことを意味します。それだけ重要な最先端の国家的プロジェクトであるから安全面での配慮、措置は万全なものがあると信じておりました。もちろん、小さな事故はどんなプロジェクトにも当然あり得るのでありますが、安全を基本的に脅かすような大きな事故は起こらない、そういう体制が確保されていると理解しておりました。
 このように、この地方におきます地元住民の原子力に対する評価と信頼は大変に高いものがあるのであります。したがいまして、この地方にはいわゆる原子力アレルギーともいうような拒否反応はほとんど見えません。最重要の国家的プロジェクトとして大事にし、評価し、信頼してきたのであります。どうか、この地方のそうした雰囲気を御理解、御評価賜りたいと思うのであります。
 そうした地元の雰囲気の中で今回の東海における動燃の一連の事故等が起こりました。信じがたい思いでニュースを聞き、いろいろな意味で戸惑ったのでありますが、いまだに戸惑っている部分があるのでありますけれども、今では一応次のように私自身の認識を整理いたしております。あるいは間違っているところがあるかもしれませんが、私の理解でありますのでお許しいただきたいと思います。
 第一に、将来にわたっての原子力エネルギーの重要性に疑念を起こさせるような問題ではなかった。原子力政策の基本方向を揺るがすような問題は起こっていない。
 第二に、しかし安全確保という側面については重大な疑念を抱かせるものがあった。ただ、それが技術に起因するものであったのか、あるいはそうではなくて実行管理面の不備に起因するものであったのかの問題がある。もし前者の技術に起因する事故であるならばそのための技術的対応を図る必要がある。また、もし後者の実行管理面の不備に起因するものであるならば経営管理の見直しが必要である。私としてはその両方の原因が絡み合って起こった事故ではないかと推察しております。
 第三に、今申し上げました実行管理面の不備の是正についてはいろいろなところで取り上げられ、かなり十分な議論、検討が行われたように思われます。その結果、動燃の経営管理体制の抜本的改正が図られ、今回の法律案として取りまとめられている。その具体的内容として次の諸点を指摘することができる。
 その一つは、国は機構の運営の基本方針を示すにとどまり、その枠内で理事長が経営の権限と責任を持つものであることが仕組みとして構築され、機構の経営責任の所在が明確にされていること。その二つは、機構の業務としては民間にゆだねるべき業務から撤退するなど拡散ぎみだったこれまでの業務領域、対象業務を縮小整理して、高速増殖炉、再処理技術など機構が取り組むべき業務の重点化を図っていること。その三には、運営審議会の設置により機構の業務運営の透明性、社会性を確保することとしていること。ほかにもありますけれども、このように今回の法案におきましては、今後実行管理面の不備から同じような事故が起こらないよう制度的改善整備が図られていると考えます。
 第四に、このような機構の新しい経営を支えるため、法案に次のような配慮が規定されるとともに、その運営の考え方が示されております。
 その一つは、安全確保、情報公開、効率的業務運営など動燃改革の重要事項を機構の責務として規定していること、特に安全確保を経営の最優先事項としていること。その二つは、立地地元との共生を改革のポイントとしており、法律にも本社所在地を茨城県とするなど地元に配慮していること。その三には、法案で適切な情報公開を規定していることを受けて、地域住民参加の地域フォーラムの開催などにより双方向の情報交流を図るなどの閉鎖的な体質改善のための取り組みが考慮されていること。以上のように、今回の事故に関する実行管理面についての対応としては、組織制度とその運営についてかなりきめ細かく工夫され、措置されていると考えます。
 第五に、申し上げました問題のもう一つの側面である技術に起因する問題への対応については、法律制度の問題というよりも技術的、具体的な実行行為の問題と理解されます。特に、放射性廃棄物処理については別途国においてその本格的、技術的取り組みについて検討する必要があるのではないかと思っております。
 以上が今回の動燃事故とその対応のための法案についての私の理解であります。組織運営の面からくる事故の再発防止を防ぐための工夫、努力はいろいろと図られておりまして、高く評価させていただきたいと思います。できるだけ速やかにこの法案を成立させ、新しい機構がスタートすることを希望するものであります。それが地元の安心感の醸成につながり、信頼回復の道筋を整えていくことになると思うのであります。
 最後に、二点ほど御要望申し上げたいと思います。
 その一つは、機構の役職員の意識改革であります。法案が成立して新しい機構がスタートいたしましても、役職員の意識を新しい仕組みに即応して意識改革しなければ実効を上げることは困難であります。器をいかに新しくいたしましても、そこに盛られる意識が新しくなければ、せっかくの制度も改革も生きてまいりません。動燃の皆さんの意識改革を切望するものであります。
 二番目の問題は、私の理解として最後に申し上げました技術に起因するという部分についての、特に放射性廃棄物に対する対応の問題であります。
 申し上げましたように、これは法律制度の問題というよりも技術的な実行の問題であります。廃棄物処理に関する法律制度としては、今回の法案におきましても機構の業務として再処理技術の開発、高レベル放射性廃棄物に関する業務等々、この問題を機構の業務として取り上げておられます。しかし、業務として取り上げ、制度を整備いたしているだけでは解決しないということもまた事実であります。その意味で、この技術的問題の解決のために放射性廃棄物処理に関する国の本格的取り組みを改めて期待いたしたいと思うのであります。もちろんこれまでもいろいろと御努力いただいていることは承知しておりますが、より一層の御努力をお願いする次第であります。
 今回の東海におきます事故を改めて振り返ってみますと、これは放射性廃棄物の処理をめぐっての事故でありました。私は当初、原子力エネルギー問題の本筋から離れた廃棄物処理の不手際というふうな理解でありました。本筋から離れたところの作業だからという甘い感覚がどこか私の意識の中にあったことは事実であります。しかし、だんだんにどうもそんな甘い問題ではないということがわかってまいりました。つまり、放射性廃棄物処理の具体策が完成しなければ原子力エネルギーの全体の円滑な運営は望むべくもない。それが解決しなければ、あるいは原子力エネルギー全体の問題にまでつながっていくかもしれないという心配のあることが私の理解として得られたということであります。
 同時に、私といたしましては、それが原子力問題の中でおくれている部分、しかし厄介な部分、一見本筋の問題でないように見える部分、華やかでない部分、またそれだけになおざりに扱われやすい部分、放射性廃棄物処理についての私のイメージがそんなふうに形成されてきたのであります。もし、本当にもしでありますが、原子力関係の現場にそうした感覚があるとすれば、あるいはその意識こそ東海における今回の事故の本当の原因ではなかったかと思うのであります。もちろんこれはもしでありまして、素人の無責任な推量でしかありません。事実と違っておれば、懸命に取り組み、努力しておられる大勢の方々に対する大変な非礼であります。おわび申し上げなければなりません。
 おわびしなければならないかどうか、原因がそこにあったかどうかは別にいたしまして、東海における今回の事故は放射性廃棄物処理が原子力エネルギーの大問題であることを改めて浮き彫りにしたことは確かだと思うのであります。この機会に国において、放射性廃棄物処理について、技術的、本格的取り組みを推進されるよう御要望申し上げたいと思う次第であります。
 本日、私が申し上げたいことは以上のとおりであります。要約すれば、経営、運営を是正するための今回の法律案は速やかに成立させていただきたい、地元住民の一人として強く希望するものであります。同時に、放射性廃棄物処理について、技術的、本格的取り組みを進められるようこの機会に国に御要望を申し上げたいということであります。
 いろいろ勝手なことを申し上げました。私の理解に間違いがあればお許しをいただきたいと思いますが、どうぞよろしく意のあるところをお酌み取りいただければ幸いであります。
 ありがとうございました。
#162
○団長(大島慶久君) ありがとうございました。
 次に、青柳公述人にお願いいたします。
#163
○公述人(青柳長紀君) 昨年九月まで日本原子力研究所に勤務しておりました。仕事の関係から私は本日意見を述べさせていただきます。
 時間がありませんので、発言文書の要約だけを述べさせていただきます。
 要点は三点でありまして、第一点、法改正の中心である核燃料サイクルに対する動燃の役割の問題であります。第二は、動燃火災事故と茨城東海地区の安全問題でございます。三番目は、動燃事故と安全審査の問題点についてであります。
 最初に、核燃料サイクルの問題ですが、事故の不祥事で動燃は国民の信頼を失いました。その原因は、動燃団自身の持つ構造上、体質上の欠陥にもありますが、動燃が開発の中心となる原子力開発利用長期計画、いわゆる長計と言っておりますが、で決められた核燃料サイクルの欠陥にもあると思います。動燃改革検討委員会は冒頭から核燃料サイクルと動燃の使命の関連づけを避けて欠陥体質の問題だけにしようとしましたが、改正法案による新法人の名前が示すように、高速増殖炉と核燃料サイクルの国の基本方針に従って開発を進める以上、結果としてその欠陥に影響されざるを得ませんし、委員会の検討結果も長期計画の内容に触れざるを得ないことになっております。
 現在の軽水炉による商業原発におけるいわゆる濃縮ウラン燃料のサイクルでさえも実態はうまくいっておりません。ウランの濃縮事業は、六ケ所村ですが、いわゆる濃縮ウランの輸入よりも経費がかかります。それから、六ケ所村の商業再処理は、建築費の高騰と建設のおくれがある上に、その安全面と経済面の両面で稼働前から不安がいっぱいあります。
 それから、放射性廃棄物処理処分の立ちおくれについては、今話題になっております高レベル廃液の処理処分だけでなく、すべての廃棄物の処理処分がおくれているのが実態であります。いわゆる商業再処理のおくれのために原発の使用済み燃料の蓄積は年々増加しまして、原発敷地にあるいわゆる貯蔵プールがいっぱいになり、増設するかそれでもだめなら別の場所に中間貯蔵することを考えざるを得ないところに至っております。
 海外再処理では、プルトニウムの輸送では海域通過国の反対に遭ったり、返還高レベル廃棄物の処理処分も青森の地元で最終処分のめどがつかないという危惧が起こっております。このように、燃え残りのウランを再処理してもう一度使うということでさえうまくいっていないのが現状ではないかと思います。
 ところが、通産省の総合エネルギー調査会原子力部会の中間報告を受けまして、原子力委員会は、日本でもプルトニウムの入れたいわゆる混合酸化物燃料、MOX燃料と言われておりますが、までも軽水炉で利用するということを決めました。しかし、動燃事故を境に使用する原発の地元自治体の首長さんたちは承認に慎重な姿勢を示しているようであります。
 プルトニウムの利用は世界的に見ましてもまだ検討段階にとどまっておりまして、その利用の仕方には多くの選択肢があるため、商業用として使うということはどこの国も慎重であります。プルトニウムの利用については、軍事転用の危険も大きく、開発上の技術的制約も多々あります。米国は商業再処理を停止しておりまして、プルトニウムの商業利用については、フランス、ドイツなどで一部いわゆるMOX燃料の軽水炉での利用が行われているだけで、その実績もまだわずかであります。
 今使われているウラン燃料の商業再処理はフランス、イギリスなどで行われておりますが、いわゆる高燃焼と言いますが、長期間燃やしたウラン燃料だとか新しいプルトニウム燃料の再処理というのはフランスで一部予定されている段階で、今後の開発にまつ部分が非常に多いようであります。
 このように原発でのプルトニウムの利用は世界的に見ますとやっと始まったばかりでありまして、それもその国の政策の選択で非常に変わりやすく、例えばドイツでは、英仏への委託再処理をしておりますが、一九九四年の原子力法改正で再処理する燃料と再処理を中止する燃料の両方が選択できるようになっております。
 ところが、日本のプルトニウム燃料の軽水炉での利用に続く次の新しい段階である動力炉開発について見ますと、長期計画で定められた新型転換炉実証炉の開発中止、高速増殖炉懇談会でも「もんじゅ」を踏まえて高速増殖実証炉計画へ柔軟に対応することを求めた一部手直しなど、長期計画ではなし崩し的変更によるほころびが広がっているようであります。
 このような段階でエネルギー資源論とか地球温暖化防止を理由に高速増殖炉のプルトニウム増殖とかプルトニウム燃料の再処理を固定的に目指すというのは無理があります。特に、世界的に研究開発が進められてきましたナトリウム冷却の高速増殖炉は、開発実用化に固有の困難がございまして、諸外国でも多くの国が開発を断念している状態であります。
 さらに、日本では濃縮ウラン燃料の商業再処理の経験もまだない段階で期限を切った高速炉用燃料の再処理の試験プラントまで進めるというのは無理があると思います。軽水炉での濃縮ウラン燃料の使用から始まって高速増殖炉の再処理を含むすべての燃料の流れの中で、すべての段階で開発実用化と商業化を成功させ、その上に長期計画が言うような日本政府の余剰プルトニウムを持たない方針を堅持するということは私は至難のわざであると思います。
 さらに、高速増殖炉に成功したとしましても、プルトニウムがウランにかわる資源として有効利用されるまでにはさらに長期間が必要でありまして、その間の有望なエネルギー資源選択ができる場合においてもその制約になってしまう危険があります。
 そういうわけで、私は、政府、科技庁、原子力委員会が、ウラン燃料の原子力発電が現在でも安全上未熟な技術であるということを無視して、またそのような現状の実態を踏まえた十分な科学的、技術的評価がなされないまま新型転換炉や高速増殖炉開発に過大な期待をかけ、しゃにむに開発を進めるというやり方についてはまずいと思います。政府のこのようなやり方をやはり見直して転換することが現在においては必要ではないかというのが私の意見でございます。
 長期計画を受けた動燃の役割の問題でございますが、動燃は当初から国産動力炉開発と核燃料サイクルの実用化のすべての課題を課せられました。ウラン濃縮、再処理、新型転換炉開発、高速増殖炉開発、放射性廃棄物処理処分の技術の実用化など総花的な課題を、実際には基礎的研究の不十分さとスケジュールの優先で進めたために、当初の目的である開発、実用化による民間への技術移転、商業化がうまくいかなかったようであります。新型転換炉実証炉の建設中止に示されるように、電力業界の都合とか、今回のウラン探鉱、ウラン濃縮からの撤退などに見られるような政府、科学技術庁、原子力委員会の開発方針の変更などによって、動燃の開発は混乱しておりまして十分有効に生かされてきませんでしたし、今の原子力長期計画の方針では今後も生かされる保証はないと思います。
 今までの商業発電や商業再処理は、主に安易な導入技術の改良により進められてきました。しかし、高速増殖炉開発とその再処理技術の開発、高レベル廃棄物処理処分などについては、そのようなやり方では成功しないと思います。動燃と民間に分離して分担するというやり方もうまくいかないのではないでしょうか。その例は、新型転換炉実証炉が建設中止になったことであります。電力業界や原子力産業界の都合に合わせて開発を進めるものではなく、国のエネルギー政策に基づく一貫した開発方針が私は必要ではないかと思います。
 法案説明の図が示しますように、核燃料サイクル開発機構における業務の基本的考え方である業務領域の縮小、それから対象業務の縮小、基礎研究は行わないなどの方法で開発が進む問題でもないと思います。むしろ産業界による安易な商業化に頼らない、基礎研究の成果の上に立った開発、実用化を検討すべきだと思います。
 動燃の開発課題が広まったのは長期計画が決めた総花的開発推進計画のためで、その基本計画を見直さなければ動燃改革はうまくいかないと思います。したがって、まずは国の原子力サイクルに関する基本計画を見直し、新たな方針のもとで、動燃の使命と国及び他の研究機関、民間との役割分担を明確にした動燃改革を行うべきだと思います。
 次に、二番目に移りまして、動燃火災爆発事故と茨城東海地区の安全問題でございますが、動燃の核燃料サイクル施設は危険な放射性物質や核燃料物質を閉じ込め機構から開放して物理的、化学的処理をする施設ですが、その施設の封じ込め機構というのは、原子力施設などのような多重防護ではなく、比較的安易な閉じ込め機構を持っているので、放射性物質の環境への放出の可能性も高く、また火災爆発事故などによる閉じ込め機構の破壊の危険も高くなります。特に、試験規模の施設に比べまして、動燃で扱うような実用規模に近い施設は、核物質や放射性物質の取扱量は多く、施設が大型化するので漏れの危険も増大いたします。したがって、安全確保のための施設管理者の責任は大きく、作業者の熟練も要求されます。
 しかし、実用規模に近い核燃料サイクル施設にはこのような固有の困難があるということについて行政機関や動燃首脳陣は認識が欠如しており、施設は安全であるという思い込みと安全の宣伝が先行し過ぎているのではないかと思います。
 しかし、動燃の核燃料サイクル施設を抱える東海地区というのは、原発や原研の施設があります上に、施設周辺の人口密度も全国の施設立地地域の中では最も高く、都市化の傾向も強いことから、施設の安全機能はより高いものが要求されます。また、事故の緊急時対策、連絡通報体制、防災訓練などの質の高さと地方自治体の施設の安全に対する高いチェック機能とそれから規制機能の強化が必要だと思います。
 最後に、動燃事故の事故調査と安全審査の問題点について述べさせていただきます。
 二つの事故では、国の安全審査を通った施設での事故であるから、その審査上の欠陥について多くの人が注目いたしました。しかし、科学技術庁が設置した事故調査委員会では、事故の直接的原因のみに限定して審議したため、わずかに火災爆発事故に関連した安全審査の審査内容の欠落に触れておりますけれども、国の安全審査とその体制上の欠陥についての教訓を引き出しているとは思いません。
 一九七五年の「むつ」放射線漏れ事故を機会に、いわゆる原子力行政懇談会ができまして原子力行政改革が行われて、現在の原子力委員会、原子力安全委員会の二つの審議機関ができました。当初、安全委員会は、米国の原子力規制委員会のように多くのスタッフを持つ行政権限のある機関と同じような直接的な規制権限を持つ行政委員会とすべきだという意見もありましたが、結局、科学技術庁、通産省の安全規制行政における審査のダブルチェックとして安全審査を行うことになり、現在に至っております。この委員会を直接的な規制行政権限のある委員会に格上げすることが求められます。理由は、推進する官庁と規制する官庁は完全に独立している必要があるからであります。これはアメリカにおいてもそうであります。
 安全委員会は、今まで、施設の設置に当たり、当初の基本設計についての審査のみを行って、その後の建設、運転にかかわる審査は行っていません。そこで、事故が起こっても、基本設計には問題なかったと言って、責任を官庁の規制行政と担当者の自己責任にしてきたと思います。これが、安全委員会は安全のめくら判を押しているんではないかと言われる理由であると思います。そこで、直接的な規制行政権限を持った安全委員会というのは、当初の施設の設計だけの審査ではなく、その後の建設、運転、安全管理、すべての面についての審査の責任と規制権限を持った機関とするべきではないかと思います。
 いろいろと専門的な言葉も使いましたけれども、わかりにくい点がありましたら、御質問にはお答えしたいと思います。
 以上で私のお話は終わりたいと思います。
#164
○団長(大島慶久君) ありがとうございました。
 以上で公述人各位の御意見の陳述は終わりました。
 これより公述人に対する質疑に入ります。
 なお、公述人の方々にお願い申し上げます。
 時間が限られておりますので、御答弁はできるだけ簡潔にお述べをいただきますようお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
#165
○馳浩君 自由民主党の馳浩と申します。時間が押しておりますので、簡潔にお願いいたします。
 まず、村上村長にお伺いいたしますけれども、原子力災害対策特別措置法ということに言及なさいましたが、今、我々国会議員の間でも超党派で、これはちょっと考えなきゃいけないんじゃないかということで話し合いを進めております。要は、防災安全専門官の原子力発電所とか関連施設のある自治体への常駐という問題が一つ中心になってくるのではないかと思いますが、この点に関しまして要望がありましたら、より一層詳しくお聞きしたいと思います。
#166
○公述人(村上達也君) 今の防災運転管理官の駐在ということで、運転管理官の方は東海村に現在、通産省それから科学技術庁からも配置されております。
 私の方は、いわゆる放射能の管理区域内で、動燃の事故とそれから十一月二十日の原研の濃縮ウラン研究棟での火災事故がございました。そのときの火災に対する対応ということで非常に私は心細い思いをしたわけでございます。
 動燃にも原研にも自前のいわゆる自衛消防隊というのはございますが、基本的には災害対策基本法で自治体消防が地域内の消防については責任を持つということになっておりますので、結局我々の東海村の消防署が消火をするということになっております。そのときに、私どもとしましては、当然その自衛消防隊も相当知識がある、それから施設内の事情もよくわかっているということで共同してやると思いましたが、そういうことになっていなくて、基本的には自治体消防が全部消火をするというようなことになっておるわけでございます。
 そういう点で、今は自治体消防に原子力施設内の火災あるいは事故についても全部責任があるということでありますが、我々の方の消防署はそういう知識も能力も、あるいは資材は若干は提供されておりますが不足している。それで、我々としては初期の災害のときに十分に対応できるという状態にはございません。その初期が一番肝心だと思いますので、そのときにどう対応するかということで、まず自衛消防隊の強化をするか、あるいは国の責任で、全部の消防隊員までを含めなくてもいいですが、消防隊にそういう責任を持った人がおるか、あるいは資材とか何かについてもっと十分に供給してもらえるか、そういうことを私としては要求したいと思っております。
 以上です。
#167
○馳浩君 きょうは、政府側の方には東海事業所長の中田さんとか動燃の近藤理事長とかが来ておられます。村上村長は昨年村長になられたということでありますが、やっぱりお互い顔の見えるつき合いというか腹を割って話し合ってお互いに言い合うことは言い合う。加えて、この地域における地域フォーラムの開催を今後どんどんやっていくということは必要だと思うのですが、昨年村長になられてから今日におきましてまで、どの程度動燃の職員の皆さん方と懇談をして、あるいは人事交流はできないかもしれませんが、動燃の役職員の皆さん方が地域社会の中でどの程度の貢献をなされているのか。あるいは、村民の方はどれだけ動燃の施設を視察されているか。
 お互いの理解を深める場が必要だと思うんです。その点について村長としてはどれだけ努力しておられるかということをお聞きしたいと思います。
#168
○公述人(村上達也君) もちろん昨年はああいう事故のあったという後でございますし、東海村と動燃事業団の幹部クラス、それから東海村の担当課、事務方それから幹部クラスということについては相当な意見の交換、接触はしてきております。私もその事情についてはよくわかっております。現実に今動燃がどのような努力をしていこうかということについては私もよく存じ上げておりますし、その点については理解しているつもりであります。
 ただ、やはりいまひとつまだ全体に情報を公開しようということについて、そのための努力はしているということはわかりますが、我々自身ももちろん不勉強なことがありますが、どうもわからない点がある、動燃さんの方が動燃外の者との関係において遠慮をしているというようなことがずっとあるなという感じはしてまいりました。ただ、今はかなり努力していることを私は認めております。
 それから、東海村の方としましても、今まで企画課内に原子力係ということで二名体制でやっておりましたが、四月から原子力対策課ということで特別に別の独立した課を設けまして、三名プラス原子力の専門官ということで科学者、技術者の方を一名お願いしました。そういうことで、我々の方も原子力について正しい理解をしていこうという努力をしております。
 以上です。
#169
○馳浩君 ありがとうございます。
 今からお聞きすることは宮さんか青柳さんかどちらかだと思うのですが、今回の法改正で動燃が行う業務については整理縮小していくということでありまして、加えて民間に技術移転もしていくということでありますけれども、これまで国費を投じて行われた研究開発の成果が円滑に民間に技術移転できるのかという不安も抱えております。なぜなれば、無尽蔵とは言いませんが、これまで国費を投じてやってきた研究開発が、効率という一つの観点からも民間の方に十分移転していくことができるのかという不安も抱えているわけであります。
 この点について、ではどういう点に配慮をすればそれがなされていくというふうにお考えか。これはどちらでしょうか、お二方でも結構です。
#170
○公述人(青柳長紀君) 私の考えを述べさせていただきますが、動燃が民間への技術移転を行うという前に、そこで行っている開発計画の中身が十分国の段階で練られて一貫した流れがあって、なおかつそういう開発機関が民間と一致した体制でやっていけるかどうかという問題があると思います。
 その点でいきますと、例えば今回の新型転換炉実証炉などは中止というような形で、動燃と動燃外、いわゆる民間で開発する段階とがはっきり分かれているというのはこの法案でも同じでありますが、そういう形をどこで切るかというような問題まで含めまして非常に問題があるということが第一点であります。
 民間だけの意向、いわゆる電力業界ないし産業界の意向でそういうものを次々と範囲を決めたり変えていったりしますと統一のとれた開発はできないと思いますので、その点では私は、特に核燃料サイクル計画については国の一貫した計画があって、動燃が混乱を起こさないようなきちんとした計画のもとで一致してやらなければいけないのではないかというふうに思います。
#171
○公述人(宮健三君) 研究開発には三種類あると思うんです。私たちは大学ですから基礎研究がある。それから、例えば民間レベルですと実用化研究。その中間ということで戦略的研究というふうに最近呼ばれている。
 動燃が行ってきた研究というのは戦略的な研究なので、その中間だということです。どこを向いているかというと、当然基礎的なことは向きませんで実用化のところを向いているわけですから、一般的に言って動燃で開発された技術あるいは研究成果なるものは、工夫が必要なものはあるかと思いますけれども、民間に移すことは可能だというふうに考えます。
#172
○馳浩君 では、時間がないので最後になりますが、昨年まで原研の研究員であられた青柳先生にお聞きしたいんですが、今回抜本的改革をするのであれば原研と動燃が一緒になってというふうな統合案と、それから今回の法案のような分離独立案と二つあったわけであります。これについてコメントがありますればいただきたいと思います。
#173
○公述人(青柳長紀君) 今までの経過を私が原研におりまして見た限りでいきますと、基礎研究部門の原研といわゆる開発実用化部門の動燃とが非常に一致してうまくいってきたというふうには思っておりません。
 その一番いい端的な例が、高速増殖炉の開発の段階で動燃ができた段階の問題がございます。その段階でやはり原研の基礎研究部門を踏まえた上で動燃ということになっておりますが、実態はやはり動燃が先に実用化の方向を進めていってしまったということで、原研との間でのコンタクトがきちっととれていなかったというふうに私は見ております。
 このように、実態的にいわゆる開発実用化の大型プロジェクトを進める場合には、やはり基礎研究部門での実用化のいわゆるオプションですね、選択がきちんとできるかどうかというのは、基礎研究の非常に広いすそ野の上に立った研究があって、その中で最も有力と思われるテーマについて実用化を図っていくという形をとらなければ先へ進んで失敗してしまいます。その場合には、おっしゃいましたように非常に高い損失を負うのがこれは大型プロジェクトの欠陥でございます。
 そういう意味からいきますと、やはり合併するかどうかは別にしまして、当然基礎的研究を踏まえた上で、たくさんある基礎的研究のオプションの中から評価した上で動燃が実用化するという、基礎研究と開発実用化が一体化した研究開発体制をとるのが私はよろしいと思いまして、むしろ、今完全にその領域を切ってしまうのがいいというふうには私はちょっと考えにくいと思います。
 例えばの例でいきますと、いわゆる濃縮ウラン事業は、これは拡散法ですが事業化しております。それ以外の方法の基礎的研究によってさらに有望な方法があるかもしれないです。その場合には動燃の開発研究というのは必要になってきます。しかし、それが有望なものがないということになれば動燃はそれをやらなくていいわけでありますが、そういう意味で基礎的研究と動燃の研究と産業界の実用化というのは一体化して評価されなければならないというふうに思います。そういう点では今までの段階では日本の国では成功しておらないというのが実態だと思いますので、そこを統一のとれた国としての研究体制なり開発体制なりをとる必要があるというふうに私は思います。
 以上です。
#174
○馳浩君 どうもありがとうございました。
#175
○小林元君 民主党の小林元でございます。
 最初に、きょうは私、地元でございますので、ここで動燃を視察しまして、そしてここの東海村で公聴会をやるという私の提言を受け入れていただきました大島委員長を初め皆さんに心から感謝をいたしたいと思います。そして、またきょうは本当に公述人の方、大変熱心な御意見をいただきましてありがとうございました。
 まず、村上公述人にお伺いしたいんですけれども、先ほども防災の関係で御経験を踏まえていろいろ問題があるというふうにおっしゃいました。民主党の方でも、この法案の審査に当たりまして衆議院で原子力災害対策基本法という法案を出したんですけれども、時期尚早といいますか、そういうこともあってこれから整理をするというようなことになったわけでございます。やはり先ほどもおっしゃっていましたけれども、村の消防署といいますか消防隊といいますか、消防組織ではなかなか容易ではないというお話がございました。国あるいは県、村、そしてまた自衛消防、こういう問題が法律上あるのかなというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
#176
○公述人(村上達也君) 村、県、国ということで私もそのとおりだと思いますし、県の方としましてもやはりこれは一市一村の話ではないと。一つの自治体の問題ではないということで、原子力防災対策ということにつきましては県の方の対策もかなり今検討を進めているところでありますし、かなり進んでおります。
 そういう中で、一自治体の消防署がどういう関係を持っていくかということにつきましては、今後東海村としても県と協力してやっていこうとしております。それだけでということですが、もちろん県の方に大きな権限を移譲してくれるということになれば、あるいは財源も国の方でその点を保障してくれるということであれば、ある程度の部分は県と村で私はできると思っております。
 ただ、今は原子力災害基本法ですか、それさえもなかなかできないということについて、国の姿勢に対して地元としてはやはりちょっと残念だなと思っておりますし、全国原子力発電所所在市町村協議会では最もその点については国に対して不信感を持っているということでございます。
 以上です。
#177
○小林元君 私も地元からそういう問題をいろいろ伺っておりますので、原子力災害対策基本法といいますか、特別措置法でも名前はどうでもいいんですけれども、その実現のために一生懸命頑張りたいというふうに思っております。
 それから、先ほどもおっしゃいましたが、いわゆる村長さんになる前となってからというか、やっぱり動燃に対する見方といいますか、あるいは原子力施設全般でもよろしいんですけれども、その辺で随分見方が変わってきているんではないかなというふうに思うんです。あるいは広げ過ぎてお答えが難しいかもしれませんが、動燃に限って言えば今までの動燃と、今意識改革、自己改革、一生懸命やっていると思います。この法律が通るというようなことになればまたこれはきちんと権限とか組織とかが変わるわけでございますが、その辺の状況ありましたら御感想をお願いしたいと思うんです。
#178
○公述人(村上達也君) 大変難しい御質問でございますが、先ほどの原子力災害基本法、できましたら民主党のお力でも、ひとつお願いしたいと思います。
 それから、村長になる前と後ということでございますが、私が村長になる、あるいはその前の段階としましては、動燃の方があの事故の後ということで非常にぴりぴりしている不幸な時期でございましたので、その点では私はやむを得ないかなと先ほど申しましたが、非常に警戒心が強い組織だなという感じは率直にありました。
 それで、私は、一人一人と話をすると非常に皆さん紳士でありますし、立派な科学者でもありますし、いい人だと思いますが、ところが一つの集団になってくるとこれがちょっと発言がかなり違ってくるなどいう感じがしました。ところがその後、例の低レベル放射能のウラン鉱滓のピット問題が出てきました。あのあたりまでまだそういう雰囲気がございました。
 その後からは、情報をかなりオープンに提供する、それは動燃自体がまだ中間段階でありますよというようなことにつきましてもかなり説明をいただける、そういう状況になってきましたし、それから話を聞いていますとかなりの例えば批判的な人に対しましてもそれは耳を傾ける、そういう勉強会をやるというようなこともやっているということでございまして、かなり姿勢は変わってきている。
 それは、当初、動燃と原研と原電と三つ、我々としては御三家と言いますが、その三者三様のそういう性格がございまして、動燃というような組織は最もその三者の中では慎重、あるいは言葉が適切かどうかわかりませんが、非常に警戒的だったなという感じはしますが、今はそういうことはなくなってきております。それだけ私は努力をなさってきたなというふうに感じております。
#179
○小林元君 大変勇気のある率直な御意見ありがとうございました。
 それで、今度の法律改正の中に外部の評価といいますか、意見を聞くというような機関として運営審議会というものが置かれるわけでございます。こちらに本社が来るということはもちろんでございますが、こういう中で直接意見の言える場というものができそうなわけでございますけれども、これに対して委員とかあるいは地元の委員を入れてほしいとか、そういう御希望がありましたら、お考えがありましたらお願いしたいと思います。
#180
○公述人(村上達也君) 私、今のところはっきりとしたそういう考えは持っておりません。
#181
○小林元君 次に、石川公述人にお伺いしたいと思います。
 動燃は、この二つの事故でもって動燃の名前を聞くのも嫌だというような発言をされた方もいるわけでございます。そういうことで、抜本改革といいますか要するに一たんこの組織を壊して新しく立ち上げるというような考えで一応この動燃法改正法案ということにはなっておりますけれども、改革的な組織改正をやるという意味があろうと思います。
 石川公述人は、大変経営の御経験もありますし、そしてまた経営者協会のトップというようなこともございまして、経営体をたくさん見ておられると思います。今の動燃というのは本当に危機に瀕しているといいますか、そういう状況の中で何とか再建の努力をするという状況だろうと思うんです。それで意識の改革といいますかこういう本当に再建をする、立て直しをする、抜本改革をやるという一番の提要というんですか、ポイントは何だというふうにお考えでしょうか。
#182
○公述人(石川周君) それは、自己責任ということだと思います。どんな組織体でもその組織体が円滑に初期の目的に即して運営されていくためには、やっぱり自己責任ということがないと貫かれないと思います。外側からいろいろと御意見を承るのはいいんですけれども、それをどのように取り込むかどうかということはやはり経営責任を持つ者の自己責任ということであろうと思っております。
 法律制度で、そこの自己責任の責任と権限というものの体制がはっきりしていないと、それはそうしたいと思ってもできない面があります。ですが、今度の改正法律案によりますと、国からの関与というものは、基本方針という最低限といいましょうか、一番根本的な方向感覚だけで、あとは自己責任で運営しなさいという仕組みに改められておりますので、制度としてはできたと思っております。問題は、そういう制度を受けての動燃の皆さんのそういう自己責任への意識の切りかえがうまくできるかどうかという実行の問題であろうと思っております。それは、法律制度の問題とは別に動燃の皆さんに大いに期待したいと私は思っております。
#183
○小林元君 時間が余りありませんが、最後の質問、宮公述人にお願いしたいと思います。
 先ほど、今回の改正法案は著しい前進だというふうにかなり積極的な賛意を表されました。地元に本社が来る、それからただいまお話ししました運営審議会をつくられる、それから情報公開というような話があったわけでございますが、この情報公開について先ほど村長さんもお触れになりましたけれども、やはり皆さん非常に期待しているんではないか。国でも情報公開法というようなことをやっておりますが、まだまだなかなかいかない。我々も大変迷いまして、この法律案は不十分であると。この情報公開は単なる義務的規定だけで、しっかり範囲とか何とかということは規定されておりません。
 今、動燃の方でもいわゆる情報公開のガイドラインをつくって一生懸命やろうとしているようでありますけれども、この辺は非常にこの改革がうまくいくかどうかのかなめじゃないかというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。
#184
○公述人(宮健三君) 情報公開によって得られる効果は三点あると考えます。
 一点は、そういう新しい法人に対して緊張感を与えるということになるかと思います。もう一点は、住民側からあるいは民の側から見れば安心感が得られるということが二点目かと思います。三点目は、これが一番大事かと思いますけれども、両者の間に連帯感というか、一体感が生まれるということになるかと思うんです。これが最終のゴールかと思いますけれども、そういう意味ではぜひ実現されて有効に機能するということを強く望みます。
#185
○小林元君 ありがとうございました。
#186
○松あきら君 きょうはお四方の公述人の皆様、本当にお忙しいところお出ましいただきましてありがとうございます。
 先ほどからお話を伺っておりまして、やはり皆様、透明性が必要である、情報公開が大事である、意識改革が必要であるという点に関しましては、お四方の皆様同じ御意識をお持ちだなというふうに思いました。
 先日、東京の方の委員会の参考人でやはり東大の近藤先生にもお出ましいただいたんですけれども、きょう宮先生のお話にもありましたように、まずその事故について完璧ということはないんだと。失敗はしてはいけないけれども、やはり失敗もある種必要かもしれない、失敗してこその向上もあるかもしれないと。そして近藤先生も、やはり工業製品にトラブルはつきものであるというようなお話もいただきました。
 そして、きょう、先生の陳述のこれを読ませていただきましても、やはり事故についてはいろいろありますけれども、例えば東大炉は二十七年もの間無事故だったというところを細かく読みますと、何か私は、東大の場合は基礎研究だけだ、あるいは諸課題を抱えていないとか、公開性は自然と学会発表とか研究会によって保たれているとか、いろんな問題がある。
 こういうことを考えますと、今日本の国の段階でこれだけ実用化したのがまだ早かったんではないかなという気が私はちょっとするんです。その点に関しまして、宮先生と青柳先生、いかがでございましょうか。
#187
○公述人(宮健三君) お答えするのは実用化の時期が早かったということでございましょうか。
#188
○松あきら君 はい。
#189
○公述人(宮健三君) ちょっと難しい質問でして、なかなか答えがたいなというふうに思いますけれども、結論から申し上げますと、決して早かったというふうには思いません。早いか遅いかの判断をするのは、どういう視点から見て早かったか遅かったかということによるのかと思いますけれども、大きく言えばエネルギーの必要性、あるいは今の軽水炉の寿命の問題、燃料等々の問題というのがあるかと思います。
 一方もう一点、大型のプロジェクトを完成させるためにはやっぱり人類の生存と関係しておりますので長期間かかる、十年、二十年では済まないんだ、場合によっては三十年、五十年かかるんだと。そういう意味でいえば、早かったというふうには言えないんじゃないでしょうかというふうに個人的には考えます。
#190
○公述人(青柳長紀君) 先生がおっしゃいましたのは高遠炉ですか、それとも動燃全体の計画の流れですか。
#191
○松あきら君 両方。
#192
○公述人(青柳長紀君) 全部ですか。私としましては、それは具体的な問題は幾つもありますからあれですけれども、基本的に動燃が今進めてきている、持っているテーマ、これについてはほとんどの部分が、先ほど私の説明はそういう主張をしましたけれども、実用化は早すぎたというふうに思っております。だから、動燃は困難に直面したというふうに思っています。
 なぜならば、また繰り返しになって同じことを言って申しわけないんですが、先ほど新型転換炉実証炉の話をしましたけれども、結局はその間で、宮先生も言われましたように、例えば研究用の原子炉ですとか、それから例えば動燃でいいますと小型の「常陽」ですか、このあたりのところまでは基礎的な研究に近い部分の施設ですから、まあそれほど大事故を起こすというような可能性はありませんけれども、実用化の段階になりますと、やはりそれは持っております放射能の内在的な量が全然けた外れに違ってまいりますし、技術も非常に多面的になりますし、施設も大型になります。ですから、これはやはり慎重にしないといけないということであります。
 そういう意味で、先ほど言いましたように、特にプルトニウム関係の燃料にまで行くような計画ですね、これはやはり実用化の段階が世界的に見ても初歩的な段階である。今、プルトニウムのリサイクルがどんどんいっているというような状態じゃ全くありませんから、それを日本がパイオニアですか、何とかおっしゃったと思うんですが、最先端でいこうという心構えだけではこれは現実の問題として開発はできないのであります。もし、そういうような考え方だけでいきますと、計画そのものが非常に総花的になったり、実証的な研究がなされないで先へ進んでしまうということがあります。そういう意味で、動燃は実証的な研究も含めてやるわけですけれども、やるときには実用化という段階に行くのはもっと慎重を期さなければならないだろうというふうに思います。
 それで、その点については、私の意見ですと現在の炉である軽水炉でさえ完全に実証済みだと思っておらないわけです。例えば、一番端的な例を言いますと、シビアアクシデント、大事故ですね、これに関しては可能性としては依然として残っておりますし、それからいろいろな意味での軽水炉の難点も残っております。そういうようなものですから、今までの現状ではもう大体軽水炉までは一丁上がり、後はその次の段階と、こういうような単純な考えで次の段階の実用化へ行くというのは非常に危険なかけであるというふうに思います。
#193
○松あきら君 私もいろいろな思いがございますけれども、やはり再利用を諸外国はやめたところもある、日本は大丈夫なのかと。いろいろな問題を抱えておると思いますけれども、個人的に言えば便利な、いろいろな恩恵を受けている私どももやはりそのエネルギーということを考えていかなければならないと思いますので、そこは一概には言えないということは私もよくわかって質問しているわけでございます。
 なぜこういうことを聞いてしまうかといいますと、私はこの前もちょっとお聞きしてあれっと思ったことがあったんですけれども、それは今回の事故にしましても、やはり内部の専門官の方あるいは職員の方と作業員の方の表を見ても、作業員の方というかそういう方の比率の方が多くなっているんですね。そうしますと事故が起こった場合、意識が本当に違うんじゃないか、わかっていないんじゃないか。安全という観点はあるけれども、防災という観念が本当に欠落しているんじゃないか。ですから、もっとしっかりと一体となった防災ということを考えたらいかがでしょうかというふうに私もちょっと御質問させていただいたときに、近藤先生のお話だったんですけれども、地方自治体はいろんな防災に対する技術者を訓練しているから、その延長線で原子力防災も考えればいいんではないかというようなお話があったんです。
 しかし、先ほど村長さんのお話にもありましたように、私は本来であれば、これだけ好意的に受け入れてくださった村の方が、もし何かあった場合は最高なる被害者になるわけでございますから、例えば村で動燃からデータをもらって原子力レスキュー隊みたいなものをつくったらどうかと思いますけれども、それにも財源が要るということで、こういうところをしっかりととらえていかない限りは、私のようにわかってはいるけれどもはてなと思う人がふえるのではないか、この点に関してまず村上村長さん、いかがでございましょうか。
#194
○公述人(村上達也君) 私も全くそういうことでございます。原子力エネルギーが必要なんだ、あるいは環境問題としても有効だということで言われておりますが、一方ではやはりそういう不安があるということはあります。
 それで、その点について国とかあるいは事業団、あるいは事業者、そういう方がやはり共同で一緒に検討しようと、考えてくれようと、なかなかその次元までいっていないということで、やはり何かもし大きな事故が起きたときにはどうしようというのは、これは全くお手上げの状態と言っていいような状態だと私は思っています。
 その点、国会の方でも先ほど小林先生が取り上げてくれたということでありますが、さらにさらにひとつ御推進いただきたいと切にお願いしたいと思っております。
#195
○松あきら君 私はその点も踏まえて、今度、新法人には運営審議会を設置することになっておりますけれども、東海村の方だけじゃなくて全国の関係市町村の代表の方が運営審議委員として審議会に加わるべきじゃないかなと私は思うんです。やはりそこでいろいろな御意見をはっきりと出せるシステムが大事であると思うんですけれども、宮先生、いかがでございましょうか。
#196
○公述人(宮健三君) 全くそのように考えます。
 そう考える個人的な理由としては、先ほど申し上げたんですけれども、これから一番重要なことは、日本国全体で連帯感というかそういうものをだんだん構築していくということが重要だろうというふうに思います。そういう意味ではそういうことが考慮されて委員構成がなされる、それが有効なことではないかと考えます。
#197
○松あきら君 では最後に。
 きょうは石川会長もおいでいただいております。東海村はほかの地域よりもやはり原発を非常に理解している地域であるというふうに思います。これは水戸藩の精神から来ているのかどうかわからないんですが、ちょっと漠然とした質問なんですけれども、その理由は何だというふうに、また経営者の目からごらんになっていかがでございましょうか。
#198
○公述人(石川周君) そのよって来るゆえんのものと言われますと、なかなかちょっと即答しかねる感じがいたしますけれども、やはり国に対する信頼感というものが基本にあるんだろうと思います。
 そしてまた、一応いろんな問題はありましたけれども、数十年の間そういう信頼感にこたえた実績、歴史が一応はあるということであろうと思います。もちろんいろんなことがあったことは私も承知しておりますし、また三つの機関ということで、それぞれにいろんな立場の問題があったわけで、一概には言えないと思いますが、国の政策に対する信頼感、それと一応の実績、それがやっぱり基礎にあったからこうしてきたのではないのかなと思っております。
#199
○松あきら君 ありがとうございました。終わります。
#200
○日下部禧代子君 まず村上公述人にお尋ねしたいと思います。
 事故から一年がたっておりますけれども、住民の原子力開発に対する意識というものは、もし変化があったとしたらどのような変化があったのか、ないのならばないと、いずれでございましょうか。まずお伺いしたいと思います。
#201
○公述人(村上達也君) 私は、東海村の村民は原子力に対しては非常に信頼をしているということで、かつて非常に誇りに思っていた、我が村に原子力ありということで、東海村憲章もゆかしい歴史と原子の火に生きる東海村民でありますということで言っておりますし、かなりその面では私は四十数年の共生ということで、東海村の村民の原子力に対する信頼感というのは非常に層が厚く、強いものだと思っております。
 ただし、昨年の事故、その前まで東海村で大きな事故とかあるいは騒がれるということはございませんでした。その後、昨年の三月の事故以来、小さな事故でございましたがたびたびございまして、それがマスコミにも載りますし、そういう面では非常に心配している方も発生しているということでございます。ただ、それが全体のまたは東海村の意識を変えるということにはなっておりませんが、私に対しても直接意見を言ってくるという方も何人かございますので、ちょっと変わったとは思います。そういう意味での変わり方という意味でございます。
#202
○日下部禧代子君 不安が増したというふうな変わり方ということではないわけですか。
#203
○公述人(村上達也君) 不安が増したということはないと私は思っております。
#204
○日下部禧代子君 村上さんにお尋ねしたいんですけれども、住民に対する広報の問題でございますが、これは事故があった後の広報の問題、ほとんどの住民の方がテレビで知ったということが最初の情報源だったというふうに報道されておりますね。そういうことの反省点も含めまして、住民への広報はこの事故以後どのようになされているのかということについてお伺いしたいんです。
 その一つに、例えば動燃から情報公開ということでさまざまな資料が出されますね。そうした場合に、非常に専門的なことですが、数値が羅列されていて、そしてその後のところに安全であるとか、したがって環境には何ら影響はないというふうなコメントがなされている。
 しかしながら、これは専門の方だったらその数値をごらんになってもさまざまな判断ができるかもわからない。情報公開ということは重要なんですけれども、それを受け取る側が、具体的に言えば住民がどのように理解できるのかということがなければ、これは情報もほとんど意味がないわけであります。ただ紙切れの数字だけになってしまうということですね。安全だったらば何がどのように安全なのか、あるいはまた、例えば管理しているといったらどのように管理、点検しているのか。つまり、具体的な判断の基準というものが提示されなければ住民は理解できないと思うんです。
 そうすると、自治体側に、具体的に言えば村の側ですけれども、そういった数値、専門的なことを解読する、そして解読してそれを住民にお示しするという、そういう手だてがどうしても必要ではないかというふうに思うんですが、この点いかがでございましょうか。
#205
○公述人(村上達也君) 全くおっしゃるとおりでございまして、私も去年の三月はサラリーマンでございましたので、私が事故を知ったのは当然テレビで知ったということです。それから翌日村の拡声機で、野外放送ですが、それでやりましたが、これがテレビの放映と全部時間帯が合っているということでむしろ邪魔だというようなことがございましたが、何をやっているのかというのが私の率直なことでありました。その点につきましては、十一月二十日の原子力研究所における火災につきましては速やかにやろうということで拡声機で知らせましたし、また、たびたびちょっとしたトラブルがあったということにつきましてもまとめて村民の方に知らせております。
 ただ、先生がおっしゃるとおり、村民がそのまま見てわかるかということがございますので、そういう点で原子力対策課をつくって、それを読み取れる方ということで専門官を顧問という形で採用したわけであります。原子力対策課をつくるというのは、要すれば原子力事業所から情報をいただいて、これを村民の立場で村の行政の力として自前で判断できる、そういう能力を持って、それで村民にお知らせするということが必要だということが一つのポイントとして原子力対策課をつくったわけであります。まだまだ広報については十分とは思っておりませんし、その点につきましては対策課の方で今後研究していきたいと思っております。
#206
○日下部禧代子君 例えば、動燃がさまざまな事故を、情報もまた隠ぺいしたというふうなことが今まで問題になったわけですけれども、やはり隠すことができないような体制というものを動燃側がもちろん確立しなければならないと思いますが、同時にまた、自治体、住民の側にそういった体制をつくるということも必要なんじゃないかと思うんです。
 例えば、オンブズマン制度のようなもの、住民のそういった組織というものが私はどうしても監視体制として必要だと思いますが、その辺のところは村では今どうなっておりますか。
#207
○公述人(村上達也君) 原子力についてのオンブズマンということ、まだ具体的には考えておりませんが、私は精神は先生と同じだと思います。それは、我々のいわゆる行政側も村民に対してオープンに情報を提供して、行政がやっていることを理解してもらうということでは先生がおっしゃるとおりに考えております。ただ、原子力についてオンブズマンということまでは考えておりませんが、全く同感するところであります。
#208
○日下部禧代子君 もう一点、村上公述人にお聞きしたいんですけれども、安全の問題でございます。
 原子力発祥の地にふさわしい安全管理というふうに村長さんはおっしゃっていらっしゃいましたね。今、大体そのような原子力発祥の地にふさわしい安全管理、実効あるものとしての体制ができ上がりつつあるというふうに思っていらっしゃいますか。
#209
○公述人(村上達也君) それはまだ私は入り口だと思っております。茨城県と東海村というのは、先ほども申しましたが、日本の原子力にとってはメッカだとか、総合センターだとか言われておりますし、それだけ私は重要なポジションを占めているんだろうと思っております。その割には、例えば東海村には原子力行政についてのスタッフが非常にそろっていなかったということもありますし、あるいはその点につきまして国や県の方の援助もなかったということでございまして、これからはそれでは正しい村民の理解も得られないだろう。いろいろこれだけ原子力について逆風下で問題が提示されている中では正しい理解も得られないだろうし、我々としてもそれを知らないままでいるということは行政として極めて無責任だということで原子力対策課をつくったわけであります。
 とてもとても私はまだまだ全国に誇れるほどの力があるというふうには思っていませんし、これから努力していきたいというのが私の考えであります。その点では国や県も私は御支援をいただきたいなと思っております。
#210
○日下部禧代子君 ぜひ、そのときには障害を持った方々、住民の中には目の不自由な方、それから耳の不自由な方もいらっしゃると思うんですね。そうした場合にその耳の不自由な方にベルということではほとんど意味がないし、だからそれぞれに対応できるような、もしもの事故のあった場合の対策はぜひとも考えていただきたいというふうに御要望申し上げておきたい。
 最後に宮公述人にお伺いしたいんですが、先ほどそれぞれの公述人の方々から廃棄物の問題についてこれは大変な問題であるというふうにお話がございました。
 その廃棄物の問題につきましては、これはもうこれから低レベル、高レベル、非常に膨大な量になっていくのではないかというふうに思いますが、御専門家としてこの処理処分方策について技術的にどのような見通しをお持ちでいらっしゃるのかという点。それから、先生は外国にもお詳しいと承知しておりますが、海外の場合には、例えば使用済み燃料の再処理に関して投資から再処理費用、それから処理処分費用、管理費用など、細かな試算というものに基づいて、将来にわたる資金が回収できるかどうかというふうなことで、その事業をこれから進めようかあるいは撤退しようかということの判断材料にしているというふうに聞いておりますが、その点も含めまして、御専門家の立場としての御意見を承りたいと存じます。
#211
○公述人(宮健三君) 二点ございますが、後段の方はちょっと勉強不足でお答えすることはできません。
 それから、前段の技術的な可能性については、お答えすることが十分かどうかわかりませんけれども、最初に申し上げなきゃならないのは、やはり処理の仕方について技術の研究開発がなされているので、これについて将来期待をしてもいいのではないか。そういう意味では私自身楽観的に考えております。
 それはどのサイクルをとるかにもよりますけれども、例えば軽水炉で出てきたフィッションプロダクトというものが多々ありますけれども、その中で毒性の強いものについては高速炉で燃やして消滅を図るとか、あるいは十年先、二十年先かわかりませんけれども、加速器等の開発研究が進展することで相当量の高レベル廃棄物を減容していくとか、そういう技術については少し楽観的であるというふうに思います。
 いつまでも処理できないものが残る部分はあるかと思います。それが百年、五百年、千年たって無限に増大していくような言い方もありますけれども、決してそうではなくて、地層に減容をして適切に処理をして長期間保存をしておく、管理をしておくという技術も進展しつつあるわけですから、それほど深刻な問題を人類に対して、あるいは我々に対して提供するものではないのではないかというふうに個人的には考えております。
#212
○日下部禧代子君 ありがとうございます。
#213
○阿部幸代君 四人の公述人の皆様には、きょうはどうもありがとうございました。
 最初、青柳公述人に伺いたいと思います。
 お話を聞いていて、動燃の二つの大事故というのは、単に従業員のミステークとかあるいは動燃団の体質によるものというふうに帰すことはできない、むしろ核燃料サイクルの技術的な未成熟ゆえに内包する欠陥、それが露呈したものだというとらえ方が大事だとおっしゃったというふうに受けとめています。したがって、その核燃料サイクルの担い手である動燃団については、単に業務内容をスリム化するということでは物事が済むものではないという指摘でもあったように思うんです。お話の中でそれをおっしゃる上で、商業用原発の軽水炉における核燃料サイクルもまだ未確立だということをおっしゃっていましたね。
 具体的にはプルサーマルになるんだと思うんですけれども、私は、核燃料サイクル、核燃料のリサイクルというふうに言うからには再処理を一度だけではなくて二度、三度、四度と、こう続いていくものだというふうに基本的には思うんです。その一度目の再処理再利用もまだ確立していないということをおっしゃったと思うんですが、核物質ゆえの困難さを直視する必要性があるんだと思うんですけれども、それはどういうことでしょうか、専門家として。
#214
○公述人(青柳長紀君) 具体的に言いますと、今先生がおっしゃったように二つありまして、ウランの再処理とウランから出てきているプルトニウムをもう一回再処理するということで、燃料にして再処理するということになりますが、今問題になっておりますのは、一回目の天然ウランなりまたは濃縮ウランの燃料を再処理するという段階がまだ完全になっていないということを言っておったのがまだ初期の段階の軽水炉の燃料の話でございます。
 それから、さらに高速炉になりますとまたそれを含めた新しいプルトニウムの入った燃料が来るわけですが、それをまたリサイクルするという話になりますから、そういうところにはまだ世界的には到達していないということを言ったわけであります。
#215
○阿部幸代君 軽水炉の使用済み燃料を再処理してもう一度使えるというのは、主婦感覚で言っても大変省資源の発想で結構安易に理解されてしまうわけですね。でも、実際にはMOX燃料のつくり方とかあるいは軽水炉でMOX燃料を使うその方法とか、大変なんだろうというふうに私は思うんです。ただ、それが具体的になかなか理解できないんです。その辺のお話をしていただけたらと思うんです。
#216
○公述人(青柳長紀君) まず、実際にはウラン燃料を再処理して出てくるのは、プルトニウムとウランと両方再処理して出てまいります。さらに、出たウランはまたもう一度ウラン燃料として使うこともできますが、それを今までのリサイクルというのは、燃え残りのウランをもう一回使うということになっているんです。
 ところが、プルトニウムが入りますと、プルトニウムの燃料というのは、MOX燃料もそうですが、プルトニウムはウランとは別ないろいろな特殊な放射能を放出するとか、それからそれを再処理するときの技術が必要になってくるわけであります。それが今の段階ではまだ十分確立されていないわけです。ですから、まずそれを簡単にできるというふうに断定するのは非常に時期尚早でありまして、MOX燃料は一応実証済みだというふうになっていますが、それでもやはり軽水炉燃料のMOX燃料の加工というのは最近になってやっと世界的に商業化しつつありますけれども、日本ではまだそこまで行っていないし、これからの問題であります。ですから、そこのところは固有の困難があるということを私は言ったわけであります。
#217
○阿部幸代君 先ほどの話で、商業再処理の経験がない日本が高速増殖炉のプルトニウム増殖やプルトニウム燃料の再処理を固定的に目指すのは無謀だということをおっしゃっていたと思うんです。それから、長期計画で期限を切って高速炉用の燃料再処理の試験プラントをつくるという計画まで進めていくというのは、これも私も拙速だなというふうに思うんです。
 こんなふうにおっしゃっていたと思うんです。たとえ高速増殖炉の増殖に成功してもプルトニウムがウランにかわる資源として有効利用されるまでにはさらに長い期間が必要というふうに、これはどういうことでしょうか。
#218
○公述人(青柳長紀君) それは、結局は一回ウランを燃やしましてプルトニウムができても、そのプルトニウムをさらに集めましてもう一回燃料に入れてまた燃やしていくということになりますと、ウランの燃料を何回も何回も燃やさないと実際にはプルトニウムの燃料に変わっていかないわけであります。そのためにそのサイクルを何回も何回もやらないと、実際にはプルトニウムの燃料としてウランをプルトニウムに変えていくわけですから。
 説明がさらに長くなってしまって申しわけないんですが、天然ウランからプルトニウムに変えるわけなんです。天然ウランというのは九九%以上ありますし、それから普通濃縮ウランであるその天然ウランをプルトニウムに変えるのにはぐるぐるサイクルを追わないと全部プルトニウムに変わっていかないんです。
#219
○阿部幸代君 つまり、夢の原子炉とかいう表現があるんですけれども、そのプルトニウム燃料も使ったら再処理を毎度毎度やらなければいけない。
#220
○公述人(青柳長紀君) そうですね。
#221
○阿部幸代君 再処理再利用、再処理再利用、こういう。
#222
○公述人(青柳長紀君) そうですね。
#223
○阿部幸代君 それはそうたやすいことではないという。
#224
○公述人(青柳長紀君) そういうことです。だからウランの燃料……
#225
○団長(大島慶久君) 青柳公述人、速記の都合がありますので、話がわけわからなくなりますから、あえて申し上げておきます。
#226
○公述人(青柳長紀君) ウランの燃料をプルトニウムに変えていくのには、今ありますウランをプルトニウムに変えるのに何回も繰り返さないとプルトニウムに変わっていかないということであります。
#227
○阿部幸代君 先ほど村長さんのお話の中に、国民を守る国民の代理人となる組織をと、安全規制部門の強化を要望するお話に続けてそういうことを言っておられたと思うんですが、私もそのとおりだと思うんです。
 参考人質疑のときには、事故調査委員会のあり方でいわゆるアメリカのスリーマイル島原発事故の際の事故調査委員会と今回の日本の事故調査委員会とでは相当の違いがあるということを参考人からお聞きしたんですが、私は、原子力安全委員会も第三者機関だと言う人もいるんですけれども、そうは言えないものだと思うんです。先ほどお話の中にあったんですが、原子力安全委員会を第三者機関にするにはどうしたらよいのか、アメリカのNRCとの比較でもう一度詳しく話していただけたらと思うんです、青柳公述人に。
#228
○公述人(青柳長紀君) 第一点は、まず規制の側の官庁と推進の側の官庁をはっきり分けるということであります。それが今の安全委員会とアメリカのNRCの違いであります。
 アメリカの規制委員会というのは、明らかに公害なんかと同じように規制の側の委員会なのであります。ところが、アメリカの場合はそのほかにエネルギー省ですか、つまりエネルギー政策上開発を推進する側の官庁もあるわけであります。それとが対になっているわけであります。日本の場合は、規制の権限の中で通産省と科学技術庁は実際は両方やっているんです。そのときにどういうふうに両方やっているかというと、エネルギー政策では推進するんですが、安全問題では規制するわけであります。ですから、官庁が二つの役割をしているわけですね。ただそのときに、安全委員会が別にあるわけですから、その安全委員会に意見を聞いて、答申してもらってそれに対してダブルチェックをして許可する、こういうような形になっておりますから、どうしても推進側と規制側がはっきり分かれて独自な形で追求するということができにくくなるわけであります。
 ですから、私が言っているのは、規制するところの安全委員会というのは独立した規制権限と、出てきた申請を直接審査して拒否ないしはそれを停止する権限が持てるような委員会にはっきり分けないと、通産省と科学技術庁ですか、推進する側とがはっきり分けて独立させてそういう委員会をつくるべきであるというふうに申したわけであります。そうしないと第三者という意味がはっきり確立てきないというふうに言ったわけです。
#229
○阿部幸代君 村上公述人に伺いたいと思います。
 先ほど、改革というのは本来内部から起こすものだと、今回の改革は動燃外の力による改革ということを指摘しておられて、私もそのとおりだというふうに思うんです。
 動燃の体質を変えるということでは、動燃改革検討委員会のもとでアメリカのコンサルタント会社のアーサーアンダーセンのアンケート調査の結果が大変興味ある内容を示しているんですね。それで、動燃の職員三千二百名を対象としたアンケート調査なんですが、発言の自由度が低く、上司と部下の間に有効なコミュニケーションの基盤となる信頼関係が構築されていない、科学技術庁以外への関心が低い、こういうことがアンケート調査の集約の中で指摘されているんですね。
 それで私は、公害問題を考えるときにも、公害というのは地域にまき散らされるんですけれども、必ず職場の中では労働災害がある、中と外というのは関係があるというふうに見ているんですが、動燃の地域に対する虚偽報告ともかかわって動燃の中でどういうことが起こっているかということなんです。
 例えば、岩波の「科学」という雑誌に、動燃の職員が「高速増殖炉の仮想事故」という原稿を投稿したり、あるいは「エコノミスト」という雑誌に、「再処理工場からの現場報告 連続事故で不安は高まる」とか、こういうことを投稿したりすると、そのことを理由として厳重注意という処分がなされているんです。こういうことでは本当に自由に物が言える職場ができなくて内部からの改革のエネルギーというのはそがれていってしまうんじゃないかと思うんですけれども、どうですか。そのあたりどんなふうにお考えになりますか。
#230
○公述人(村上達也君) 私は、アンケートの調査の実態も、それから動燃の皆さんからそういう話も直接聞いておりません。多分今の問題につきましては、風通しのいい職場をつくろう、それからみずから改革をしようと。私も、動燃改革と言うけれども、いわゆる改革検討委員会や科学技術庁やあるいは国会やということの中で出されているわけですが、最終的には動燃事業所の中では東海事業所が一番中心の舞台でありますので、これは東海事業所みずからが改革すると。そこのどこに問題点があるかと。それは改革検討委員会が出す、あるいは法律として出てくるということだけれども、そういうことなんだということを私は申し述べてきているわけであります。本来私は、みずからそういう改革案をということですが、動燃事業団という、また国との関係の特殊法人という中でのものでありますからあえてそれは言いませんが、比喩的にやはり改革は自分でやるんだぞ、みずからやるんだよということで言ったわけでありまして、その詳しい内部事情につきましては私はそこまで存じ上げておりません。
#231
○扇千景君 四公述人におかれましては、本当にお忙しい時間にわざわざお出ましいただきまして、貴重な御意見をいただいたことにまず冒頭御礼申し上げたいと思います。扇千景と申します。
 きょう私ども、今度の法案に関しまして視察をさせていただきまして、また地方公聴会として皆さんの御協力も得ました。私は、世の中にはいろんな御意見があるのは当たり前ですけれども、何よりも現地に従事している従業員、しかも事故が起こった後の後始末に身を挺して努力してそれに携わってくださっている皆さん方に、本当にもっと心からきょうは現場でもお礼を申し上げたいという気持ちでいっぱいだったんですね。私たちが論評したりあるいは新聞でマスコミに字が躍って、危険だ危険だと言われる、その中でも自分の身を挺して従事してくださる皆さん方のお気持ちのほどがいかがなんだろうかと。そういう配慮をもっとすべきだなということを私はきょうはつくづく思いましたけれども、感傷にばかり浸ってもいられません、今の日本の現実ですから。
 私ども、るる同僚議員からももう御質問が出ましたし、公述人の御意見を聞いて、あと総理の御意見も聞いたらこの法案が通す時期に来ていると参議院ではなっております、状況的には。けれども、この法案が通ることによってどう評価するか、あるいは評価しないかという端的なことだけを今お伺いしていきたいと思います。
 まず、村上村長さん、先ほどおっしゃった中では、安全性の確保の機能が強化されるからとか、あるいは社会的に開かれた体制の構築が検討されているからという御意見だったんですけれども、この法案が通って東海村のあすは明るくなるでしょうか。
#232
○公述人(村上達也君) 法案が通ってということでございますが、法案の後には当然施行令とか省令とかいろいろ出てくるのが法律であります。ワーキングチームもございますが、私は、これからむしろワーキングチームということじゃなくて、動燃内部の改革ということで始められているようでございますが、そのあたりがどのようなものになるかということで決まってくるでありましょうし、また基本的にはそういうものをつくろうとする、やはりやろうとする意識の問題ということでありますので、法案が通ったからすぐにというふうには思っておりませんが、期待のまなざしで見守っていきたいということでございます。
#233
○扇千景君 ありがとうございます。
 では次に、宮公述人にお伺いしたいんですけれども、いろんなことを、現地に本部を設置したことも大変風通しがよくなるという一つの例だというふうにおっしゃいましたけれども、今の件に関してどのようにお考えでしょうか。
#234
○公述人(宮健三君) 基本的には村長と同じでございますけれども、法案あるいはそのもとのレポートを見ますと、形式と内容が両方用意されているので非常に信頼できるのかなというふうに思います。それは、形式というふうなのは新法人ということでかくかくしかじかのことをやりますということですね。それからもう一つ、内容については、先ほど来から話が出ておりますように、自己改革ということがありますし、動燃でも意識の改革をやっておられると。この二つがそろうとするならば原則うまく機能をするのではないかというふうに思います。
 私ども、東海にいて、あるいは原子炉を運転しながらのそういう立場から見れば、今言ったようなたくさんのことがあろうかと思いますけれども、実現されれば東海村から見ても非常に明るい状況が切り開かれていくのではないかというふうに思います。
 さらにもう一つ、これは欲張りですけれども、そういう意味では改革案そのものはうまくいくのではないか。しかし、私たちはそれ以上のことを望みたいというふうに先ほど申し上げたわけでございます。
 以上でございます。
#235
○扇千景君 石川公述人、本当に地元で長年にわたり日本のエネルギー開発、ひいては原子力開発に御協力いただいたことに心から御礼を申し上げたいと思います。
 私も今お話を伺いまして、原子力の重要性は本当に御認識いただいているんですけれども、今回の事故によって、改めて放射性廃棄物の処理の確立がなければ原子力基本政策の根幹が揺るがされるんだという御意見はそのとおりだと思うんです。新しい出発をしようという今回の法案に対してどのような御意見をお持ちか最後にお伺いさせてください。
#236
○公述人(石川周君) 法案がすべてでないことは当然でございます。しかし、この法案が成立しない状態を考えてみますと、やはり事故後の混乱の感じがそのまま残されていくという状態が続くということになろうかと思います。
 そういう意味では、法案の中身についての評価は先ほどいろいろ申し上げさせていただきましたけれども、できるだけ速やかにこの法案を成立させて新しい機構をスタートさせていただきたい、それが地元の安心感の醸成につながる、それからまたそれが信頼回復の道筋を整えていくというふうに申し上げました。
 これがすべてではなくて、いろいろ仕組まれた法案のいろんな工夫の中から信頼回復の道筋をさらに進んでいっていただきたい、そういう道筋を整えみという意味においてこの法案は大変大事であり、期待したいと思っております。
#237
○扇千景君 青柳公述人にお伺いしたいんですけれども、先ほどおっしゃった公述人の御意見の中で大事だなと私は思いましたのは、要するに科学技術庁と通産省、そのあり方、今のエネルギー対策に対する日本の制度のあり方、そういうものに対する御意見が先ほどからるるあったんですけれども、この法案の結果も含めて、先ほど公述なさいました科学技術庁と通産省のあり方に触れてもちょっと一言お伺いしたいと思います。
#238
○公述人(青柳長紀君) 私は、それにつきましては先ほど言いましたように、やはり原子力行政改革と言われる以上は当然通産省と科学技術庁が独立して、商業炉と開発とを独立させるのはまずいという議論は前々からあったわけです。そこの整理というのは当然その中でやられるべきものだと思いますが、そこがやはり一つは今までの原子力開発の欠陥の重要な原因になったわけですから、それが動燃に対しても影響しているわけであります。
 特に、商業用炉の問題につきましては通産省、それから動燃の方は開発で科学技術庁、こういうふうになっておりますけれども、やはりそれを国の統一されたものとしてやっていくという意味で一緒にきちんとやるべきであるということと、規制委員会は独立させるべきであるというのが私の意見でありまして、もう一つ言ってみますと、その前に動燃改革を先にやられるのはどうかというのが私の意見であります。
 ですから、やはりまず根元をきちんと確立させ、核燃料サイクルの問題点をはっきりさせた上で動燃の位置づけを考え直されたらどうですかということが私の考えであります。
#239
○扇千景君 村上公述人にお伺いしたいんですけれども、村長さんになられて、村の中にも全員が賛成というわけにはいかなくて反対の声もあろうと思うんですけれども、その辺の御苦労のほどはいかがなんでしょうか。
#240
○公述人(村上達也君) 私は、選挙の期間中につきましては、例えば各地区での集会を行います。あるいは各職場でお願いいたしましたのですが、そういう集会の中で、やはり一人か二人は必ず事故の問題につきまして出たものでございまして、それについてしっかりやってくれという話し合いはございましたが、今のところ村長になってからはそういう非常にきつい批判を浴びているということはございません。
#241
○扇千景君 もう一つ、先ほどおっしゃったことで私どもも本当に考えなきゃいけないなと思ったことは、これからいろんな原子炉に寿命が参ります。しかも、先ほど村長さんがおっしゃった廃炉になって撤去するまでの期間、これが電源三法の交付金が見送られる、あるいは償却資産税も打ち切りになるということでの村の苦しさというものは、ぜひ私どもも考えて役所にもそれぞれ働きかけていきたいと思いますけれども、これは原子炉を持っている市町村の皆さん方と手を組んで運動なさるおつもりですか。どういう方針でいらっしゃいますか。
#242
○公述人(村上達也君) これは、去る四月の全国原子力発電所所在市町村協議会という中で議題として取り上げていただきまして、要求書の中にもう既に入れてあります。
 これは、東海村が初めての商業用原子炉のデコミを始めるということでございまして、東海村の方に対しての期待も非常に各市町村からありますし、また東海村としましてもその点につきましてはやはり頑張って今後の原子力、原子力につきましては入り口ばかりに一生懸命だけれども、出口の方については余り一生懸命じゃないんじゃないかというような声も聞かれておりますし、ぜひ先生のお力もかりて実現させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
#243
○扇千景君 最後になりますけれども、宮公述人にお伺いしたいと思います。
 私は、先ほどおっしゃった中で、陳述内容という紙をいただきましたけれども、この中に、特にこの委員会は文教・科学委員会という、文教と科学がくっついているものですから、学校教育において適切に取り組まれる必要があるということ、原子力政策も含めてだと思いますけれども、宮公述人はメリーランド大学での教授の御経験もございますし、外国の子供に対する教育、あるいは日本が学校教育の中で子供たちにどれくらいからどういうふうにすればいいかという御意見がもしあれば、私ども文教・科学委員会でございますので、ぜひ参考にさせていただきたいと思います。
#244
○公述人(宮健三君) 今、日本原子力学会がございますけれども、そこでもこれは問題だということで、できるだけその重要性、つまり原子力の問題を小学校、中学校、高等学校のレベルで取り上げてもらいたいということで、その重要性を世にPRしているというか、やっている段階でございます。
 私ども、大学生、学部の学生、大学院生を見てみますと、そのときに受けた影響というのが要するに著しいというか根深いものがありますので、もうちょっとそういう若いときに、フレッシュなときに本当に正しい状況、本当に何が日本のために必要なのかというようなことについては正しくその教育をするというのがフェアなことではないか。
 いろいろ風聞というか伝聞というのがあって一部誤って伝わっている部分があるということは昔聞きましたけれども、最近はかなり改善されているかと思います。そういう意味でございまして、やはり本当に必要なのか必要でないのかということがあるわけですので、私は必要だという立場で意見を主張しているわけですが、フェアに議論ができるように国民の一人一人が考えることができるような情報を提供していただきたい。文部省もその点について工夫をしていただけると大変好ましいのではないかと思います。
 アメリカについては似たような状況かと思います。
 以上でございます。
#245
○扇千景君 ありがとうございました。
 終わります。
#246
○団長(大島慶久君) 以上をもちまして公述人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、長時間御出席をいただき、また貴重な御意見を賜りました。拝聴いたしました御意見を十分本委員会の参考にさせていただきたいと思います。大変ありがとうございました。
 これにて参議院文教・科学委員会茨城地方公聴会を閉会いたします。
   〔午後三時三十分散会〕
ソース: 国立国会図書館
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