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#1
第142回国会 財政・金融委員会 第2号
平成十年一月三十日(金曜日)
   午後零時三十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 一月二十九日
    辞任         補欠選任
     峰崎 直樹君     角田 義一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         石川  弘君
    理 事
                岡  利定君
                河本 英典君
                楢崎 泰昌君
                久保  亘君
                益田 洋介君
    委 員
               大河原太一郎君
                片山虎之助君
                金田 勝年君
                野村 五男君
                林  芳正君
                松浦 孝治君
                伊藤 基隆君
                今泉  昭君
                角田 義一君
                牛嶋  正君
                志苫  裕君
                三重野栄子君
                笠井  亮君
                星野 朋市君
                菅川 健二君
   国務大臣
       内閣総理大臣
       大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君
   政府委員
       大蔵政務次官   塩崎 恭久君
       大蔵大臣官房長  武藤 敏郎君
       大蔵大臣官房金
       融検査部長    原口 恒和君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     溝口善兵衛君
       大蔵省主計局次
       長        藤井 秀人君
       大蔵省主税局長  薄井 信明君
       大蔵省証券局長  長野 厖士君
       大蔵省銀行局長  山口 公生君
       国税庁次長    船橋 晴雄君
       国税庁課税部長  乾  文男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小林 正二君
   説明員
       経済企画庁調整
       局財政金融課長  奥田 宗久君
       経済企画庁調査
       局内国調査第一
       課長       古川  彰君
   参考人
       日本銀行総裁   松下 康雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置
 法案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(石川弘君) ただいまから財政・金融委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、峰崎直樹君が委員を辞任され、その補欠として角田義一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(石川弘君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法案の審査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(石川弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(石川弘君) 平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。橋本内閣総理大臣・大蔵大臣。
#6
○国務大臣(橋本龍太郎君) ただいま議題となりました平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法案の提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 政府は、当面の金融・経済情勢に対応するため、平成十年分の所得税について特別減税を実施することとし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 この特別減税は、平成十年分の所得税について、定額による特別減税を実施することとしております。この特別減税の額は、本人について一万八千円、控除対象配偶者または扶養親族一人について九千円の合計額としております。ただし、その合計額がその者の特別減税前の所得税額を超える場合には、その所得税額を限度としております。
 この特別減税の具体的な実施方法に関しましては、給与所得者については、平成十年二月一日以後最初に支払われる主たる給与等に対する源泉徴収税額から特別減税額を控除し、控除し切れない部分の金額は以後に支払われる主たる給与等に対する源泉徴収税額から順次控除することにより実施することとしております。最終的には平成十年分の年末調整の際に年税額から特別減税額を控除することにより精算することとしております。
 次に、公的年金等の受給者については、給与等の特別減税に準じた方法により実施することとし、最終的には来年の確定申告の際に特別減税の額を精算することとしております。
 また、事業所得者等については、原則として、平成十年分の所得税として最初に納付する平成十年七月の予定納税額から特別減税額を控除し、控除し切れない部分の金額は第二期の予定納税額から控除することにより実施することとしております。なお、予定納税の必要のない者を含め、最終的には来年の確定申告の際に特別減税の額を精算することとしております。
 以上が平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#7
○委員長(石川弘君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○金田勝年君 自由民主党の金田でございます。
 去る一月二十六日に大蔵省金融検査部の検査官に対します接待疑惑で金融検査部の幹部二人が逮捕されましたこと、また、それに先立ちまして元大蔵省の日本道路公団理事が逮捕されましたこと、さらに、一昨日でございますが、銀行局の幹部の金融取引管理官の方が自殺されましたこと、まことに残念なことでありました。そういう経緯の中で、三塚大蔵大臣と小村大蔵事務次官が辞任されるに至りました。本日の審議に当たりまして、橋本総理が大蔵大臣を兼務されまして御答弁に立たれるという状況のもとで、また参議院におきましては委員会再編によりまして大蔵委員会が財政・金融委員会となって初めての審議というこの日に当たりまして、きょうは平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法案の質問に自民党を代表して立たせていただくことになりました。限られた時間ではございますが、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。
 そこで、まず総理に御質問を申し上げたいと思うんですが、今回のこの特別減税につきまして、総理はASEAN非公式首脳会議に出席された、たしか昨年の十二月十四日から十六日であったと思うんですが、そして十七日にこの特別減税につきまして決定があった。我が国が、あるいはアジアの経済状況が今どういう状況にあるか、こういうことをかんがみ、そしてまた日本発の世界恐慌の引き金は絶対に引かないということで思い切った施策を講じるという思いから緊急に実施することを御決断されたというふうに承知しておるのでございますけれども、その御決断は現下の金融・経済情勢の認識、あるいは財政構造改革の必要性、重要性、そしてまた国際社会への責任といったようなものをいろいろと踏まえてなされたものと推察するわけでございます。
 本院で審議を始めさせていただくに当たりまして、まず総理から特別減税の決断に至りました経緯を改めて御説明いただきたいと存ずる次第であります。よろしくお願いします。
#9
○国務大臣(橋本龍太郎君) 冒頭、御答弁を申し上げます前に、今般の不祥事に対し改めて本委員会の場を拝借しおわびを申し上げたいと存じます。こうした事件のために大蔵行政、ひいては行政全般に対する国民の不信が強まるという事態は行政の最高責任者として耐えがたい思いでありますし、おわびを申し上げる以外に言葉がありません。冒頭、心からおわびを申し上げます。
 今、委員からどういう状況の中でこの減税を決断したのかという御指摘がございました。この問題につきましては、今までも御答弁を申し上げてきたところでありますが、まず申し上げなければならないのは、昨年十二月に行われましたASEAN首脳プラス中国、韓国、日本、またASEAN首脳プラス日本、いわゆるASEANプラス3、ASEANプラス1、この二つの会合を通じました中で、それぞれの首脳の発言というものについては会議の性格上控えさせていただきますけれども、さまざまな議論が行われました中で、私はまさにこうした措置が必要と考え、判断をいたしたものでございます。
 昨年の七月、タイの金融不安が発生をいたしましてから、アジアの各国において同様の状態がそれぞれ原因は異なりますけれども連続し、これはいや応なしに我が国の経済にも、また世界経済にも影響を与えるおそれのある事態として、問題は我々として非常に深刻に受けとめておりました。
 そして十一月、カナダのバンクーバーにおきましてAPECの非公式首脳会合が行われたわけでありますけれども、この非公式首脳会合に出発いたす直前、山一証券の破綻が表面化をいたしました。そして、そのAPECの非公式首脳会合に参加する時点におきましては、山一証券が海外においても積極的な業務展開を行っておりましただけに、その海外の取引客に対してどのような影響があるか、これに対する回答を求められる場面にAPECの非公式首脳会合前後が相応することになりました。
 そして、既にマニラ・フレームワークはでき上がっておりまして、これで事態の収拾されることをお互いに期待しつつ、アメリカ、日本、シンガポール、それに他の一定の国々を加えた大蔵大臣会合の必要性を確認してこの会議を終わったわけでありますけれども、その後の状況というものはなお悪化の一途をたどりました。
 そして、十二月に行われましたクアラルンプールの会合、これは本来はASEAN創立三十周年を記念し祝うはずの会合でありましたけれども、まさにこの金融不安にいかに対応していくかということについての会議になった感がございます。
 そうした状況の中で、秋以降我が国の金融機関の経営の破綻などの影響もありまして、家計、企業ともに景況感はいよいよ悪化するという事態を起こしておりました。
 こうした中で、日本発の経済恐慌は起こさないと心に誓いましたし、また皆様方にもそうした決意を申し述べてきたわけでありますが、今、国民の不安感を払拭するためにも、また海外の特にASEANにおけるカリの群れが飛ぶような姿で進んできたアジア経済のその先頭の一羽の役割をしてきた日本に対する期待というものを受けとめ、臨機応変に対応することこそ責任を果たす道、そのように思いこの二兆円の特別減税を決断いたしました。
 この特別減税を含む各般の施策というものが相まって相乗効果を生むことによりまして、金融システムの安定のためにも、また我が国の景気回復のためにも役立ってくれることを信じておりますし、また心から願っております。
#10
○金田勝年君 各般の施策をとられる中で特別減税という措置を御決断されたわけですが、さまざまな今の経済の現状に対する御認識、そしてその決断に至るまでの過程というものを伺ったわけでございます。
 今まで政府が提案しておられる施策というものは非常に多いわけでございまして、この特別減税もそうですけれども、十年度の税制改正、後でまた触れるのでございますが、九年度補正予算、あるいは十年度の予算措置もそうですが、予算、税制の措置あるいは三十兆円という金融システム安定化策、いろいろな広範な施策をもって金融システムの安定化あるいは景気の回復というものを目指しておる、そういう財政・金融政策面、さまざまな施策が相互に相まって十分な効果をもたらしていくということだというお考え、よくわかるのでございます。
 今回の特別減税についてちょっと分析してみますと、平成六年の十一月に所得税の減税を行っております。平成七年と八年に行われました特別減税、これは二兆円でございました。そしてまた、六年度から始まっております恒久減税、これが平成七年度以降三・五兆円あるわけでございます。そういう中で、その平成七年、八年に行われました特別減税、これは定率控除方式で年末調整等で控除する、そういう減税でございました。
 今回のこの特別減税は定額控除方式で二月から実施しようというものであります。できるだけ早く、「二月一日から施行」と法案もそのようにはっきりと書かれておられるわけでありまして、きょうは一月の審議に使える最終日でございますから、きょうのこの審議の重要性というのは申し上げるまでもないわけでございますが。今申し上げたように、平成七、八年の特別減税と違いがあるわけでございます。四千七百万人のサラリーマンの減税が二月から始まる。そして、年金所得者についても二月の支給時に対応される、対象となるという意味でございますが、また事業所得者につきましては七月の予定納税時に対応されると。
 そしてまた、きょうは地行・警察委員会が開かれておりまして、そちらでは個人住民税に係る部分をやっておるわけでございますが、これはできるだけ早くという趣旨のもと、六月実施ということになる。そういうことも踏まえていく必要はあるわけでございますが、何よりも迅速かつきめ細やかな配慮をした今回の特別減税である、これを行うことによりまして景気対策に積極的に取り組む政府のスタンスというものが示された、これは非常に重要なことだと考えておるわけでございます。景気は気からといいますか、「気」の文字を使うわけですが、景気の「気」が大事だというふうに言われております。心理的にも極めて明るいシンボリックな材料でもあるというふうにも私は受けとめております。
 ここで、この特別減税が我が国経済の回復に対する効果を持つとした場合に、それがどのようなものになるのか、簡単に御説明をお願いしたいと存じます。
#11
○政府委員(薄井信明君) 御指摘のように、平成七年、八年の特別減税と違いまして、六月に実施するということではなく、この二月から源泉徴収義務者において措置していただく、これによって四千七百万人のサラリーマンの減税が始まるということでございますので、タイミングの面からも、また金額的には平成七、八年と同様の二兆円でございますので、それにも増しての効果が期待されると思っております。
#12
○金田勝年君 そしてまた、特別減税の効果をいろいろと考えました場合に、これまでの衆議院の議論等を振り返ってみますと、恒久減税化をすべきではないかという議論が幾つか見られたわけであります。本年度限りであるとしますと、今後の減税の打ち切り、あるいはまたもとに戻るときにどうなるかを考えて減税分が消費に図らずにたんす貯金に回ってしまうのではないかといったような心配も議論の中であったように思います。
 その点についてはどういうふうに考えておられるのか、伺いたいと思います。
#13
○政府委員(薄井信明君) 経済対策、短期の景気対策として財政・金融両面において何をするかということに関しては総合的に、平成十年度予算なり今回御審議をお願いしている金融各面の措置によって政府経済見通しで予定しているような経済を実現していくということを考えているわけでございます。
 一方で、税についての御質問でございますが、税制は本来制度でございまして、所得税であるならば階層別の負担がどうあるべきかということを恒久的なものとして考えていく、これが恒久的な税制のあり方の議論であろうと思います。
 今回の二兆円減税は、その点を離れて短期の景気対策として措置させていただいているということでございます。短期の景気対策であるならば、これを恒久的にするということは矛盾があるわけでございまして、平成七年、八年も単年度でやらせていただきました。ただ、これだけを取り上げて継続した方がより景気対策として効果があるのではないかと言われれば、心理的な面を考えればそうかもしれません。しかし、税制として恒久的に措置してしまうということは恒久的な財源の問題も出てきますし、負担のあり方を議論した上で措置すべき問題であって、今回の措置とは分野が違うというふうに思っております。
#14
○金田勝年君 恒久化を考える場合にはいろいろと検討しなければいけないことがあるというふうに今お答えになったように聞こえるのでございますが、所得課税の減税につきまして、財源あるいは所得課税の税負担といいますか、そういったことも考えていく必要があるというふうなお話かなと思うのでございます。
 政府としては所得課税の税負担というものがどういうふうな水準というか、どういうふうな状況にあるというふうに考えておられるのか、やはり恒久減税を議論するときの考える視点としてちょっとお考えを伺っておきたいと思います。
#15
○政府委員(薄井信明君) 先ほどの答弁の中で申し上げた経済対策、景気対策としての税制の位置づけと違って、今の御質問は制度としての個人所得課税のあり方という御質問だと思います。
 この点につきましては二つ三つの見るべき点があると思いますが、一つは全体の租税負担率がどういう水準にあるかということ、二つ目にはその中で個人所得に対してどれだけの負担を現在求めているかということ、それから三つ目には個人所得課税の分野の中で所得階層別にどういう負担関係になっているか、こういった三つの面を考えていかなければならないと思います。
 この点において、現在の日本の所得税と個人住民税、国と地方を一緒にして気がつくところを申し上げてみますと、まず租税負担率はアメリカと並んで先進諸国の中では極めて低い、ヨーロッパの水準に比べるとかなり低い水準にありますので、租税負担率を引き下げていくという方向は将来を考えるときに問題が多いのではないかと思います。
 また二つ目には、同じ税収全体の中で間接税だとかあるいは資産に対する課税だとか、そういう税体系論として考えたときに、我が国の個人所得課税はこれも世の中で言われているよりは低いというように見ております。アメリカにおいては当然のことながら個人所得課税が非常に大きいですし、ヨーロッパにおきましても消費税が多い上に個人所得課税はかなりのウエートを占めている。それに比べると日本は消費課税が低い上に個人所得課税のウエートが低い状況にあります。
 第三番目に、じゃ所得税の中での負担関係がどうかということになりますと、累次の税調答申でも触れられておりますが、欧米諸国に比べて最高税率が高い、国、地方を合わせて六五%というのはかなり高いという指摘をいただいておりまして、これは財源をどこで見つけるかという国民的な議論をしていただいた上で下げていくのが方向かと思っております。一方、課税最低限は世界に比べて非常に高い。これまでのいろいろなプロセスの結果としてあるわけで、これを批評するわけではございませんが、中低所得者において所得課税はかなり低いというふうに見られます。アメリカと比較しますと、通常のサラリーマンですと大体アメリカの所得税の半分以下ではないかなと思っております。
#16
○金田勝年君 時間の関係もありますので特別減税に話を戻します。
 先ほど特別減税の効果は平成七、八年の同額の効果よりも大きいというふうに答弁されておられたわけですが、その効果をできるだけ早期に発揮するという意味で、この法案にありますように、二月一日施行、急いで措置をする必要があるということになるわけでございますが、法案が成立しました際には執行面での対応というのが十分になされているのかどうか。特別減税の効果を最大限に発揮させるためという見地で考えますと、やっぱり納税者に減税額が具体的にわかるような工夫というものも必要なのではないかと。どういう工夫を講じておられるのか、それから源泉徴収義務者の方々が十分にそうした円滑な実施に向けての準備、今回の措置の内容の把握というものが既にきちっと行われているのか、そういうことが非常に重要なポイントであるかなと、こう思うわけですね。
 例えば、今回の減税額が幾らになるのか。これは例えば夫婦子供二人の場合でございますが、国税、地方税を合わせて六万五千円になるということも、やっぱり国税と地方税、あるいは事業所得者と給与所得者でタイミングが違うわけでございますから、きちっとこういうこともPRを事前に重ねて、そういうPRというのが非常に重要なことではないかなと、こういうことも考えるんですね。
 どのようにお考えですか。
#17
○政府委員(薄井信明君) 二つの御質問がありました。最初に納税者がどういう形で具体的減税額を知り得るかという関係でございますので、この点については私から答弁いたします。二つ目の御質問につきましては国税庁から答弁してもらいます。
 納税者に減税額が具体的にわかるように給与等の支払い明細書あるいは源泉徴収票に実際に控除した特別減税額の金額を記載させることとする予定でございます。
 なお、この点に関して、従来から小切手で払ったらいいじゃないかというような御質問等もいただいておりますが、現在の日本の所得税制、四千七百万人に上るサラリーマンについて源泉徴収義務者を通じて税金を今集めているというこの仕組みからして小切手方式がとれないということもあわせて申し上げておきたいと思います。
#18
○政府委員(乾文男君) 特別減税の執行面の問題につきましてお答えいたします。
 今回の特別減税につきましては、昨年の十二月十七日に総理から御指示をいただきました。そして、二月一日からの実施ということでございまして、実施までの期間が極めて短く、しかもこの時期が確定申告期という税務署の非常に忙しい時期に重なるということがございますけれども、国税庁といたしましては、今回の特別減税の緊要性にかんがみまして、その早急かつ円滑な実施のために最大限の努力をしているところでございます。
 今お話がございましたように、二月一日からの給与所得者、年金受給者の実施ということでございます。給与所得者、四千七百万人いらっしゃいますけれども、その減税事務は全国の四百万の源泉徴収義務者にやっていただくわけでございまして、国税庁といたしましては、この四百万の源泉徴収義務者の方々に対しまして、既に減税の内容や具体的な実施手続等につきまして前広に広報活動を行っているところでございます。具体的に申し上げますと、新聞広告でございますとかインターネットを通じた広報を行っておりますし、また源泉徴収義務者の方々に直接減税の具体的な手続を記載いたしましたパンフレットを既にお送りしたところでございます。また、個別の源泉徴収義務者からの照会もございますけれども、これにも丁寧にお答えをしているところでございます。
 こうしたいろいろな施策に万全を期しまして、二月一日から実施されます特別減税が円滑に実施されますよう最大の努力を引き続き行ってまいりたいと考えております。
#19
○金田勝年君 きょうも委員会が分かれて審議をしているこの税法は関係する税法と法案は三本あるわけでございますね。要するに、減税を受ける側というのは合わせてどのぐらいのものなのかということを、国税は国税サイド、地方税は地方税サイドだけでそういうことがPRされたりすると、タイミングが違ったりしますと非常にわかりにくいので、二兆円減税、自分のところにはどのぐらいあるんだろうかということがやっぱり国民の皆さんにきっちりわかるような、そういう意味ある広報というものをぜひ心がけていただきたいなと。夫婦子供二人で六万五千という数字になるわけでございますが、そういうふうなことがやはり消費の意欲、あるいはそういう行動につながっていくのではないかなというふうに思うものですからそういうふうに申し上げさせていただきました。
 また、これは質問ではありませんが、特別減税の恩恵をこうむらない方々もいらっしゃるんですよね。そういう方々に対しましては、例えば去年の暮れの補正予算、今、審議中でございますけれども、その中に臨時福祉特別給付金というものも計上して実施する。私の調べでは約千五百三十億円、その程度計上されていると思いますが、そういうこともやはりあわせて広報に努めていただいていいんじゃないかと。ですから、政府がいろんな角度から一生懸命やっているのであれば一生懸命やっていることをできるだけうまく省庁の垣根を超えてPRをして国民を安心させていただきたい。今の景気の中で非常に重要なのは、不透明感、不安感というものがやはり少しでも和らぐというところも重要じゃないかと。広報、PRの重要性を重ねてお願いしたいと思います。
 それから続きまして、いずれにしましても税制面からの景気対策というものを考える場合には、この特別減税も重要なのでございますが、十年度の税制改正というものをあわせて考えていく必要がある、こういうふうに思うわけであります。しかし、きょうはその法案の審議ではありません。またいずれ本予算の審議等、十年度の税制改正の審議のお時間をいただけると思いますのでそのときにまた改めて質問させていただきたいと思うんですが、やはり十年度の税制改正は経済活性化ということをにらんで、私自身も自民党税制調査会で白熱した議論を何度も重ねてかなり強く主張してきたことが幾つか十年度の税制改正には盛り込まれている、そういう自負を持つものであります。
 要は、経済構造の改革に資するような制度改正、あるいはそれが結局経済の活性化につながるのだ、当面の景気対策にもなるのだというふうな思いで準備をしている法案というものがあるわけでございまして、本日のあれではないので簡単に伺うにとどめますが、法人税制の改革、金融関係税制の改革、土地税制面の改革、この三本柱でかなりのことをことしはやっておるというふうに私も受けとめております。そういうことについてもやはり前広にわかりやすく説明をしていく努力をこれから重ねていっていただきたい、こう思うわけであります。
 そういう観点から質問させていただきたいのでございますが、法人税制改革につきましては、法人税の税率を三七・五から三四・五というふうに下げる、あるいはそれだけではなくて中小法人とか公益法人、協同組合等も含んだところで法人税の税率引き下げを行う、そういう案になっているわけです。それから、金融関係の税制につきましても、有価証券取引税、取引所税を半減させる、またその次の段取りについても示しております。それから、土地税制につきましても、土地譲渡益課税の大幅な見直しやあるいは地価税の凍結、土地の流動化あるいは景気対策として資するようないろんな形で、経済構造の改革に資するような形で見直しが行われている。
 時間の関係で詳しくは申し上げられませんが、そういう内容あるいは意義につきましてここで改めて伺っておきたい、こういうふうに思うわけであります。
#20
○政府委員(薄井信明君) 経済社会が大きく今変わろうとしております。また、政府としましては幾つかの改革を今進めているわけでございまして、例えば経済構造改革、金融システムの安定化、さらには財政構造改革等々の事柄を進めております。そういった際にどうしてもこれは税制が関連してまいるわけでございまして、そういう意味では税制改革というまとめた言い方はしておりませんが、すべての分野にわたってそうした改革の足を引っ張らないよう、一方で財政構造改革と調和をとれ各ようということで平成十年度の税制改正を行っているわけでございまして、これらの内容につきましては後日御審議賜りたいと思っております。
 端的に申し上げまして、まず法人税制改革でございますが、公正中立かつ透明性の高い法人税制ということがこれから求められていると思います。新規産業の創設とか企業活力の発揮といったようなことを目指しまして、課税ベースを適正化しつつ税率を引き下げていきたいということが内容となっております。
 それから二つ目の金融関係税制でございますが、金融システム改革はいわゆるビッグバンのスタートを初めとして続々とこれから出てくるわけでございますが、税制面での対応がおくれるとこれは意味がなくなってしまいます。そういう意味で、税制面での対応を去年の秋から始めておりますが、御指摘のように、今度の十年度改正におきましては、有価証券取引税等の税率の軽減、それからストックオプションとか銀行持ち株会社等々、あるいは金融新商品に対応できる税制ということを考えての税制改正となっております。
 最後に土地税制でございますが、土地税制につきましては沿革がございます。最近における地価の状況等総合的な面を勘案いたしまして、地価税について停止する、あるいは譲渡益課税について追加分を廃止するもの、あるいは適用を一時中断するもの等々総合的な対応を考えております。
 そういった直接的な税制とはまた別に不動産の証券化等が必要になってくるであろうということで、いわゆるSPC、特定目的会社というものを動かしていくためには税制で対応しないとこれは動きませんので、そういった面でも対応していきたいと思っておる次第でございます。
 こういったことによって景気全体に好影響を与えることになろうかと思っております。
#21
○金田勝年君 今、主税局長から答弁のありました内容につきましてはまた機会を改めていろいろ議論させていただきたい、このように思うのでございます。
 いずれにしましても、税制だけを見ましても特別減税、そして平成十年度の数多くの税制改正の中身、そういったもの、あるいは昨年十一月、十二月からのさまざまな政府としての施策、いろいろございます。それから、衆議院からこちらに送られてまいりました九年度の補正予算、これは私の地元の秋田にも非常に重要な一・五兆円のゼロ国債の確保ということもありますし、同時に約一兆円の災害やウルグアイ・ラウンド対策といったような公共事業の追加といった内容も入っておる補正予算、それから金融システム安定化のための法案が今衆議院にかかっておりますが、そういう措置、そういったようなものが次々と決定されてきておるわけですね。そういう状況の中で、またあるいは自民党では資産の再評価を前向きに検討するということで今その実行に向けて努力をしておる。私は、今までの経済政策を過去いろいろと振り返って考えてみまして、これほど数多くの努力をしておる時期というのはかつてあったのだろうか、正直言いましてそういうふうに思っておる次第であります。
 これは今の株式相場で見ますと、非常にジグザグしたというかびくびくしたような市場の水準になっておるんですけれども、昨日の終わり値で見ますと日経平均株価で一万七千十四円ということで戻しておるんですね。このところ、こういう政策の決定に対しましてやはり市場の一定の好感というものが出ているのではないかなというふうにも見受けられるわけであります。そうはいいましても、一方で個人とか企業、特に中小企業の方々の景況感というものには依然不透明感や不安感というものは存在しておると、これもかなり厳しいものがあるのも事実であります。
 そういうことを考えますと、今この時期というものは、総理も、後で御決意を伺いたいのでございますが、六大改革ということで一生懸命に取り組んでおられるその改革というのは、我が国が過去五十年間いろんな側面で制度疲労を起こした制度というものが至るところにある、経済も行政組織も政治の組織もすべて、そういうものを常に改めることなしには前に進むことはできないのでありまして、そういう中長期的な制度の五十年に一遍の見直しをしなければいけない時期に今ぶつかっておって、それもしっかりと課題として受けとめつつ現在の景気の状況にも配慮していくあらゆる手段を講じていかなければならないというのが今の我が国の置かれた現状ではないかと。そういう中で、当面の対策だけをするのであればそれはいろんなことが言えるかもしれませんが、両方をしっかりとやるということが一番大事であるというふうに私は考えますものですから、それをぜひ橋本総理のリーダーシップでもって、よく言われますけれども、夜明けの直前が一番暗いというときもあります、ただ暗いかどうかはわかりませんが、明るい夜明けをどうか橋本総理の今までの御努力の延長で、リーダーシップでもって明るい本当に安心できる夜明けを、そして二十一世紀にふさわしい力強い足取りを取り戻していただきたい、心からそう思うわけでございまして、我々も総理とともにあらん限りの努力をしてまいりたい、こういうふうに思っておる一人であります。
 ということで、最後に一言総理の御決意を伺いまして私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
#22
○国務大臣(橋本龍太郎君) 激励をいただきましたことにはお礼を申し上げますけれども、同時にその責任の重さをいよいよ感じざるを得ません。そして今、我が国自身、本日もこうして参議院の財政・金融委員会に大変な御苦労をいただいておりますけれども、これによりまして明後日から減税が施行できるかどうかということにかかる極めて大事な御審議でありますだけに、本当にこうした時間設定に対して党派を超えてお礼を申し上げます。
 同時に、補正予算、また次年度予算、それに関連する税制改正等、できるだけ早くこれが市場に届けられることにより、その賛否は別としても、いずれにしても引き続きの対策がきちんと行われていくことが何としても大事な時期でありますだけに、国会に心から御協力をお願い申し上げなければなりません。
 同時に、先日来の不祥事の中で傷つきました大蔵省の金融検査というものがこれ以上金融に対する不安に拍車をかけることのないように省内の改めての調査もきちんとしてもらわなければなりませんし、捜査の結果を待ちまして、それぞれの責任者がきちんとした国民の目に見て信頼を取り戻す努力をしているとわかっていただけるような対応も必要になろうかと思います。同時に、そうした状況をはねのけて、これらの諸君に全力を挙げて職務に取り組んでもらわなければなりません。もとより、私どもはその責任に任じて全力を尽くしてまいります。
 このところ多少ずつアジアの金融情勢もIMF等の努力、さらには債権を有する民間金融機関との話し合い、そうしたものの積み重ねの中から少しずつ安定の方向も見え始めております。こうした中におきまして、我が国の金融システムが安定し景気が回復に向かうこと、これが今私どもに課せられた責務でありますだけに、自分の力のある限りを尽くしてまいりたい、そう考えておりますし、院の御協力をも心からお願い申し上げます。
#23
○金田勝年君 以上で終わります。
#24
○今泉昭君 民友連の今泉でございます。
 先ほどの本会議におきまして、大臣の趣旨説明に対しまして私は質問を行いましたが、まだ幾つかの点についてお聞きしたいと思いますので引き続いて質問をさせていただきたいと思います。
 その前に、実は本会議の各党の質問の中にもございましたように、金融不祥事に対する大変な疑念につきまして、あるいはまた考え方についての各党の意見の開陳がございました。また、今、総理大臣は冒頭に遺憾であったという考え方を表明されましたのでこのことについては触れないことにはいたしますけれども、ただこの金融問題と景気の問題、そしてそれらに関する法律の国会における論議がどうなるかということにつきまして、金融不祥事に絡みまして国民が今大変な実は関心を持って見ているわけでございます。
 そういう中にありまして、この重要な法案がこの委員会で審議されるときに、実は担当所管の大蔵大臣が決まらないで総理大臣がこれを兼任されているという実態、私は橋本総理大臣の姿を見ておると大変お気の毒に思うわけであります。この仕事の重大さというのは、二つを兼任できるように軽い職務、そういう問題ではないだろうと思うわけでございます。そういう意味では、橋本総理大臣の活躍を見ておりますとちょっとお気の毒な面がございますけれども、この問題は一にかかって大蔵大臣をいまだに決めていない政府・与党の大変な責任じゃないかと思っております。そういう意味で、まず冒頭に大変遺憾だということを申し上げさせていただきたいというふうに思うわけでございます。
 さて、本題に入りますけれども、今回の法案によりますところのこの二兆円減税を行う理由について少し細かくお尋ねを申し上げたいと思うわけでございます。
 実は、私は昨年の臨時国会におきまして、行革・税制特別委員会に所属しておりまして、その場で総理大臣はもとより大蔵大臣に対しまして、現今の景気の問題に関連をいたしまして、そのときに上程をされました財政構造改革法案との関連でしつこいほど質問をしたつもりでございます。その際に総理大臣は、とにかく財政構造改革は喫緊の課題であるし、後世にこのツケを残すことは避けたい、だからまずこの財政改革をやらなきゃならないんだということを口を酸っぱくしておっしゃいました。私の方からは、財政構造改革は中長期的な課題であるし、年次を追ってそれぞれ取り組んでいくべきことであるが、当面我々が直面しているこの景気の問題、生活不安という問題は中長期的な問題じゃない、当面の課題であるからと。中長期的な課題に取り組まなきゃならないから今それに手をつけるわけにはいかないという答えがあったと確信をしております。したがって、答弁の中には、現在の景気は悪くはない、景気回復のテンポはやや緩んではいるけれども決して景気は悪くないということをはっきりとおっしゃってまいりました。
 そういう中におきまして、今回この減税をあえて短い期間で緊急に行おうというような形で提案されてきたわけでございますけれども、その理由としまして、一つは我が国が世界に対する不況の輸出国であってはならない、そしてまた財政構造改革というのは長期的な課題であるからこれは財政支出をするのは矛盾しないというようなやや前回の話とは違った、トーンが変わった形でのお話が聞こえてまいりました。
 したがいまして、まず何でこの時期に減税をしようという決断をされたのか、その辺をお伺いしたいというふうに思います。
#25
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、金田議員からも同様の御質問をいただき、誠心誠意お答えを申し上げたつもりでありますけれども、同様の御質問を再びちょうだいいたしました。
 そして、確かに財革法の論議の中におきまして議員から御指摘のような御意見があり、その中で求められました幾つかの問題につきまして、私はなかなかそれは難しいというお答えをしたことを記憶いたしております。その上で、繰り返しになることはお許しをいただきますけれども、まさに十一月のAPECの時点におきまして、ちょうどAPECの非公式首脳会合の時点におきまして、ちょうど出発する直前に山一証券の破綻が表面化をし、そしてこれに対し海外の営業活動を通じて山一証券にみずからの資産運用をゆだねておられた方々には相当な不安が生じておりました。
 そしてその際、既に日銀特融によりましてその処理を行う、これは海外におきましてもその海外に対して円貨をそれぞれの国の通貨にかえ投資家の保護をするという考え方を決めて会議に臨みましたので、非公式首脳会合の中を細かく申し上げることはできませんけれども、そうした説明を内外にいたすことにより、その時点では日本に対してそれ以上の問題というものはなかったわけであります。拓銀は既に海外から撤退をいたしておりましたので、これは問題にはなってまいりませんでした。
 そしてむしろ、例えばメキシコにおける金融危機が発生をいたしましたときにどういう対応策をとったか。APECの仲間でありますからメキシコの大統領からそういった御説明もあり、そうした中でシンガポールのゴー・チョクトン首相から提起をされ、クリントン大統領と私がそれを受けとめる形になりましたけれども、いわゆる先進七カ国と現在問題を抱えつつある、あるいはそれにかわり得る立場の通貨当局者の会合あるいは大蔵大臣たちの会合、そういうものの必要性が提起をされ合意をし、そのG7は間もなく開かれようといたしております。しかし、各国の認識はそういう状況であり、IMFとの合意を待たなくても金融支援が受けられると考えておられる国も存在をしておるような状況でありました。
 しかし、ASEANプラス1、プラス3の十二月のクアラルンプールの会合になりましたとき、特にASEANの首脳たちの事態に対する認識は大きく変化をいたしておりました。そしてその中で、特にASEANプラス1会合におきましては非常に率直な意見交換を行うことになりまして、その中で出てまいりましたいわゆるカリの群れの一番先頭を飛ぶ日本という位置づけの中で、日本が元気を出してもらいたい、シンボリックな行動をとってもらいたい、そうした論議の中から私は何が効果的かを考え、その上で特別減税を行う決断をいたしました。
 これは繰り返し御説明を申し上げてきたことをなぞるような形になりますけれども、事実関係として改めて申し上げます。
#26
○今泉昭君 確かに自民党の先生の御質問とダブるような形で払お聞きしましたけれども、私の質問の中心は実はこのような気持ちからお聞きをしているわけでございます。今、総理大臣が言われたようなことを何度もお聞きしておりまして、よく承知しているつもりでございます。ただ、現在の我が国の不況を考えてみた場合、金融の混乱、不安ということでもって不況が大変大きくなるというところに焦点を置くのか、それではなくして、我が国の経済構造の中で消費の減退というものが現在の景気不況の中心になっているのかどうかということによって相当これは受けとめ方が違うと思うわけであります。
 去年の場合の政府側の答弁は、消費は健在だ、投資も健在だということを言い続けてきたわけです。もしそうだとするならば、金融政策一本で十分の手当てをすればその不安はなくなったはずでございます。そういうところを私は特に申し上げたいわけでございまして、しかも今回の減税の二兆円というものがそれだけの大きな我が国の経済不況あるいは経済停滞というものを根本から直すような、あるいは刺激剤になるかどうかというと大変疑問な点があるわけでございます。ただ単に一般的に言われている国民の皆さん方からの声を頭なでするような形で出されているような効果しかないのではないかなという心配が大変強いわけでございまして、そういう意味で私は質問を申し上げていたわけでございます。
 特に、それに関連して私はお聞きしたいわけでございますが、十二月二十七日の新聞でしたか、経済企画庁次官のこのような記者会見が実は発表されております。「企画庁次官、反省の弁」ということでございます。これによりますと、要するに景気判断を甘く見ていたという内容でございます。具体的にちょっと読み上げますと、こういうことを言っております。「消費税率引き上げ前後の個人消費の動向と金融問題についての見方が十分でなかった」、こういうことをはっきり言っているわけでございまして、いかに判断のミスがあったかということを言っているわけであります。
 ところが、昨年の暮れの行革・税制特別委員会の中で尾身企画庁長官は、新しい経済対策を打つで、これは私が自分で数字をいじくって自分でつくり上げた経済政策だ、だから新年になれば間違いなく景気はよくなりますということを胸を張ってどこの委員会でもテープレコーダーみたいにして言われたわけです。ところが、現在の姿はどうですか。誰が見てもその効果は一つも出ておりませんよ。恐らくこれは当局が全部資料をそろえて書かせたんでしょうけれども、こういう間違った判断をされたわけでありまして、その結果がこう出ているわけであります。これは明らかに責任問題につながってもいい問題じゃないかと私は思うわけであります。
 そういう意味で、この二兆円の減税も同じような形で景気にある程度の刺激を与えられるというふうに考えていらっしゃるとするならば、事務当局の方においては、この二兆円減税というのがどの程度の景気刺激になるのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
#27
○説明員(奥田宗久君) 御説明申し上げます。
 政府といたしましては、二兆円の特別減税を含む予算・税制面の措置や金融システム安定化のための三十兆円の公的資金の活用など、財政・金融両面にわたるさまざまな措置を講ずることとしております。こうしたさまざまな取り組みのすべてが相乗効果を持ちまして消費者や企業のマインドを好転させると考えられます。
 このような状況におきましては、特別減税は景気に効果的に作用し、我が国経済は回復軌道に復帰してくるものと見込まれます。
#28
○今泉昭君 まあ官僚の優等生の答弁なのかもしれませんが、実はそんなことを聞いてだれも信用しませんよ。
 既に新聞の報道によりますと、これは日本経済研究センターの発表によりますと、大体一−三月期の我が国の実質国民総生産は前期に比べまして〇・四%減だと、年率換算で言って七%のマイナス成長になっている、年間を通じてことしは、年度で言うと政府が予測をしていた一・九%を大きく下回るだけではなくして、マイナス成長がほぼ確実になっているという報道がある。しかも、各種研究機関の成長予測を見てみますと、ほとんどが一%を割って、プラスであってもせいぜい〇・二%か〇・三%の状態なのであります。企画庁が計算している減税効果にいたしましても、その効果は経済成長に対してわずか〇・二%程度の効果しかないと言っているわけなんです。
 さらに、これまでのいろいろな会議における答弁をいただいておりますと、在来型の減税とか在来型の景気刺激というのはもう我が国の経済政策に合わない、そういうやり方はやらない、むしろ中心は財政構造改革と規制緩和なんだというようなことを私どもは去年の臨時国会で嫌というほど聞いてきているわけであります。にもかかわらず、このわずかばかりの二兆円減税をなさった。これは何か形だけのものをやったというふうにしか見えないわけであります。
 そこで、財政構造改革の長期的な方針に大きく反するということは経済政策を根本的に転換しなきゃならないということを避けるためにこういう糊塗的な手段をとっているのかどうかという疑念をどうしても抱きたくなるわけであります。ところが、あの財政構造改革なる法律は十年度からでございまして、少なくともこの補正予算は九年度の補正予算でございまして、もしあの財政構造改革法に反するとかあれに触れるからということであるならば、これは全く関係のない景気刺激策を打ってしかるべきじゃないかと思うわけです。どうせならば、わずか二兆円なんてけちなことを言わないで、はっきりと形が出てくるような減税政策を打っていくべきじゃないかと思うんですが、どうもそこのところが中途半端な感が否めないわけであります。
 去年の当初予算のときにもし二兆円減税というものをやっていたらまた別であっただろうかもしれませんけれども、今この時期に二兆円減税を、私どもは減税は大変ありがたいことですから大小にかかわらず反対するものではございませんけれども、もっと思い切った対策を打たなければ、とにかく消費マインド、見通しを明るくしようということを盛んに当局は言われますけれども、この程度のもので見通しなんかだれも明るいと思っていませんよ。いろいろな調査を見ても、減税があっても使うかどうか、半分以上は使わないというような状態でしょう。なぜか。雇用が不安だ、雇用がどうなるかわからないような状況においていつ首切りになるかわからないときに減税をやったからといって全部使いませんよ。みんな恐らく郵便局に行っちゃうでしょう。
 そうであるとするならば、減税と公共投資を思い切ってやる、それくらいの意気込みがなければ、口で言っている日本から海外に不況を輸出しないというものとは裏腹に、私は当分大変厳しい状況を続けていかなきゃならないと思うわけでございます。
 そういう意味では、これだけの減税では大変物足りなく心配に思うわけでございまして、その点につきまして所感をお聞きしたいと思います。
#29
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は今、議員の御意見をじっと拝聴しながら、さまざまな意味で考えさせられております。
 確かに我々は消費税率の二%引き上げ、殊に私自身、衆議院選の際に国民に訴えて歩き、そのうちの一%は地方の財源でありますということまで申し上げ、選挙戦を戦いました。
 そして、その時点において消費税率の引き上げを決意しておりましたけれども、一−三月における駆け込み需要が私どもの予測を上回っていたこと、その結果として四月以降の反動減が予想より大きかったこと、こうした点は既に私は答弁の中でもそういう見通しの誤りがありましたということをお答えしながら、同時にその後の状況の想定され得なかった幾つかの問題についても触れてまいりました。
 そしてその中で、議員の御意見を今拝聴いたしましたけれども、同時に先年、本院におきましても衆議院におきましても、またマスメディアの皆さんからも公共事業に対して大変批判が強く、公共事業はけしからぬという連呼のありましたときに、しかしやはり我が国における社会資本整備はまだ必要なんですということを申し上げてきたことも同時に私は思い起こしておりました。同時に、不要不急の公共事業を整理していく必要性をも認めてまいりました。そうした考え方で次年度予算に対しても取り組んでおりますということはこの場を拝借して申し上げたいと思います。
 そして、平成九年度の補正予算の中に組み込みました災害復旧対策費を初めとしたものについてもさまざまな御批判がございます。しかし、そうした御批判を受けましても、一兆円余りの公共事業関連経費というものは必要だと判断をし補正に計上いたしておりますし、いわゆるゼロ国債も一兆五千億という金額を御審議願おうとしており、また願っておりますのも、さまざまな要素を組み合わせた中からそれぞれの施策の総合的な効果というものを考えながら対応しようとしているということだけは申し上げたいと存じます。
#30
○今泉昭君 私の持ち時間が参りましたので、これで終わります。
#31
○久保亘君 最初に少し気になることもございますので、伺っておきたいと思います。
 小村事務次官の引責辞任に関する報道の中で、首相が言われた言葉として、蔵相兼務中に辞表を書けと、こう言われて小村事務次官の責任のとり方についての考え方が変わった、これは記者の署名入りで報道されておりますが、このことについて間違いはありませんか。
#32
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今回、大蔵事務次官の交代に際しましてさまざまなことが世間に言われております。
 確かに、小村前次官の正式の辞表を昨日受け取り、退任の辞令を本朝手渡しました。また先日、公邸に彼から行きたいという話があり、来るならおいでということで公邸に彼が来たことも事実であります。また、その昼間、彼が臨時代理を私が受けると決心をいたしましてしばらくたって、事務の最高責任者としてあいさつに、そして現況の報告に見えたことも事実であります。
 そうした中において、私は、改めて当時の事務次官として呼ばせていただきます、小村事務次官が事務の最高責任者としての立場においてみずから進退を決したことに対し言を挟もうと思いません。
#33
○久保亘君 いや、私がお尋ねしたかったのは、この種のことに関して指導監督の責任のとり方について、もし大蔵大臣が事務次官に対して引責辞任すべきであるということで辞表を書けと、こういうふうに言われたことが事実であるとするならば、この種の事件が起きた場合の責任のとり方というのは、指導監督の責任はどこまで考えたらいいのかということなのであります。事務次官で終わるのかどうなのかということについて、これは今後の行政の責任を伴うあり方について重要なことになってくると思うのでそういうことを言われましたかということを聞いているわけです。
#34
○国務大臣(橋本龍太郎君) かつて証券・金融不祥事が起こり……
#35
○久保亘君 いや、事実だけ教えてくださればいいんです。
#36
○国務大臣(橋本龍太郎君) いや、これは大変申しわけありませんが、きちんとこれだけは申し上げさせていただきたいと思います。小村君の名誉にも関することであります。
 私が辞任をいたそうとしたとき、当時の次官、証券局長は、ともにやめようということで辞表を持ってまいりました。私は、事務の責任者はその職にとどまり、その問題の発生の原因を調べ、再発をさせないための対策をどうとるかが責任のとり方だということを申しました。
 今回は犯罪の被疑者として逮捕された人間があります。当然ながらそれはそのときとは状況が違います。そして、官房長に私が、これは大蔵大臣としての立場でありますが、今指示しておりますことは、内部における調査をやり直せ、でき得る限りの調査をしろ、そしてその上で、また捜査の終了の段階で公表された事実をもってそれぞれ責任のある者は処分をしろと、私はそういう言い方をいたしております。
#37
○久保亘君 きょうは余り時間がありませんから、また今後のいわゆる行政改革というものに関してお尋ねをしたり意見を申し上げたりする機会があるだろうと思います。
 ただもう一つ、この種の事件を受けて、諸悪の根源とも言われるようなものの排除については、これはすぐやろうと思えばできることだと思っております。私は、実態がどんなものか、大蔵省にはおりましたけれども、よくわかりません。例えばMOF担とか、こういうものがどうして役所の中で銀行の立場に、金融機関の立場に立った職務をいろいろな形でやっているのか。
 これは大蔵省の公認している存在なんでしょうか。
#38
○政府委員(山口公生君) いわゆるMOF担と俗に言われている人たちは、通常、民間金融機関において専ら監督官庁、この場合は大蔵省でございますが、大蔵省との連絡窓口の役割を担っている人ということだろうと思います。それは民間金融機関の組織上の問題としては、例えば総合企画部のように大きなすべて……
#39
○久保亘君 いやいや、大蔵省は知っているのか知っていないのか、どういう人がそういう任務についているのか。
#40
○政府委員(山口公生君) 窓口役が各銀行にいるということは存じております。それがいわゆるMOF担と呼ばれているというふうに思います。
#41
○久保亘君 できればこの種の問題は、大蔵省は銀行がそういう任務を負うた者を配置していることは知っているが、大蔵省がそれを必要としているのではないということであるならば、今度のような事件の最も根源的なものとも言われているわけですから、直ちにこれらの排除を金融機関に対して通告するということはできないのですか。
#42
○国務大臣(橋本龍太郎君) 久保議員みずからも大蔵大臣をされた上で今お尋ねをいただきましたが、今の御質問につけ加えますと、もう一つの問題は金融機関から大蔵省自身が職員を受け入れているということであります。そして、現時点での常勤の職員が五名、非常勤の職員が三名、計八名在職しているということを報告を受けました。
 しかし、大蔵省自身が従来その職員を受け入れてきた企業のほとんどが民間金融機関であったということから、その批判を受けとめまして、一昨年の人事異動以降、新たな民間金融機関からの受け入れを行っていません。そして本年の三月をもってこうした出向者はなくなります。これが御報告すべき第一点です。
 それから同時に、私はまさにそのMOF担というのは護送船団方式時代の名残だろうと率直に思います。そして、これは民間の金融機関の組織の話ではありますけれども、三塚前大蔵大臣も好ましい組織と考えていないということを記者会見で示されたと聞いておりますし、私もそう思います。
 問題は、しかもこの不祥事がそうした人を通じた金融機関との関係の中において発生したことでありますから、私は民間金融機関がそういう人を任命しようとしまいと、そういうものが相手にされない、大蔵省自身がきちんとした透明性のある行政を行えば私は民間の方にそういう窓口をつくろうがつくるまいが効果がなくなると思いますし、私はまさに金融行政自身がそうした存在を必要としなくなるような行政の仕組みをきちんと立てること、そのように考えております。
#43
○久保亘君 前にも天下りの問題とか、あるいは総理が今言われた金融機関から大蔵省への出向の問題なども含めて、いろいろと議論をされたことも何回もあるのであります。そういう問題が全然結論を出さないままずるずると引っ張ってきているところに問題があると思うのでありまして、私は必要がないものならばそういうものに対して、現にMOF担というのは大蔵省の中で仕事をしているんだから、だからそういうのはやめたらどうかということを銀行協会に対してもきちっと言ったらよいのじゃないかと、今度の事件を顧みて特に強く思うことであります。
 次に、時間がありませんから一つだけ伺いますが、今度の所得税特別減税二兆円というのは、財政の年度でいいますならばどのように分かれているんでしょうか。何かこれは受け取る国民の側では、二兆円減税というと、ことし補正予算まで組んでやってくれるんだから二兆円減税をしてくれるんだと、こう思っているんですが、実際は二兆円減税は十年までずっと引っ張られていって、大まかに分けると一兆円特別減税が九年度と十年度にあるというような内容のものではありませんか。
#44
○政府委員(薄井信明君) 今回の特別減税を発案した時期が昨年末であったことと、景気対策の観点から直ちにこれを実施したいという二つの要素がございましたものですから、十年分の所得税、所得税でいえば一月から十二月までの暦年を十年分と言いますが、これに対する減税という形をとっております。平成七年、八年もそれぞれ平成七年分、八年分の所得に対する減税でございまして、したがって年分、つまり所得税の制度からいえば十年分のものであって、今までと何ら変わらないわけです。
 ところが、平成七年、八年の際には六月から減税をしましたものですから、税収に与える影響が次の年だけに集中しました。今回は二月から実施しますので二年度にわたって税収減が生じている。御指摘のように、国、地方を合わせますと一兆円、一兆円というぐあいになっておりますが、ただ十年分の所得税減税であるということ、この個々人の所得税の負担が軽減される事柄に関しては七年分、八年分と同じであるというふうに理解しております。
#45
○久保亘君 あなた方は専門的にそういう説明をされればそのとおりなんだけれども、受けとめる国民の側は二兆円減税ということを言われるから、ことし、今年度二兆円戻してもらえる、可処分所得がその分ふえるというふうに理解している向きもあるわけです。
 ところが、よく聞いていると、総理が本会議でも答弁されたように、十一年に特別減税を継続するかどうかについての質問に対しては、そうならないように、十一年に必要とならないように全力を尽くしたいという答えなので平成十年というのは消えているわけです。今、主税局長は専門的な説明をされたけれども、実際は今度の補正予算を伴ってこの特別減税は出てきておるんですよ。それで、平成九年度の予算で一兆円近く措置されるはずです。
 それからもう一つの問題は、今の二年にわたって二兆円ということとあわせて、年間所得五百万円のモデル家庭の場合には平成九年度に受け取る減税による所得は一万円もないんです。そして、一千三百万円以上の所得がある者は二月に一気に四万五千円の減税による所得があるんです。これは私は方法として非常にまずいんじゃないかという感じがいたします。
 それからもう一つの問題は、先ほど金田さんも触れられたけれども、所得税を納めていない人はこの特別減税の恩恵に全然浴しない。それだけではなくて、例えば所得の非常に低い層は減税額が、特別減税によって返ってくる所得が非常に少なくなってくるわけですね。この辺のところにはどんな配慮が加えられようとしているのか、その点を説明してください。
#46
○政府委員(薄井信明君) ただいま御指摘のように、減税前の所得税を超えて減税をすることは税制では対応できませんので、減税前に例えば標準世帯でいえば年間二万円しか税金を納めていない方であればそれが上限になってしまいます。また、税金をもともと納めていない方もいらっしゃいます。その方々には減税ということは税制上はできないということになります。
 そこで、今回は臨時特別給付金制度によりまして、これも補正予算で措置させていただいておりますが、対応できる方々には対応していく、六十五歳以上の低所得者等につきまして一人当たり一万円という計算でやっております。
#47
○久保亘君 それは前にも特別減税で同じようなことをやりました。しかし、実際にはこの特別減税による所得の増加分というのが所得に対して非常に逆比例的になるのかな、だからそういうものにどういうふうに手当てをしていったらいいのかというようなことをもう少し入念に考える必要があるんじゃないか、こう思いますものですから、この辺はもしよければ首相にお考えを承りたいと思います。
#48
○政府委員(薄井信明君) 今回の特別減税の特色は、決めてから本当に申しわけないことですが一カ月足らずの間に法律を通していただいて、二月一日から実施すると。しかも、四百万人の事業所得者に計算をやっていただくということがまず最初に要るわけです。そうなりますと、簡単にできないと実施できません。
 そういうことで、今回は定額制にしました。定額制ということは、標準世帯ですと六万五千円という御指摘のとおりです。そうしますと、これは前回の平成七年、八年にやりましたような定率制、これは税額の一五%としました、上限を置いて。その場合よりも、低所得者、税金が低い人ほど有利になっているという仕組みに今回はなっております。
 そのことが税負担のあり方として適当かどうかというと私はやや問題があったかなと思いますが、減税の手法としては、今回経済対策、景気対策としてしていますし、早く実施するということからすると定額であるということがベターであったと思っております。
#49
○久保亘君 ある部分まではね。そこから下がだめなんです。
#50
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今まさに主税局長から御答弁をいたしましたように、委員は一定から下がだめなんだという部分を強調されましたが、私は逆に定額制のメリットとして、所得税を負担していただいている方々の圧倒的に多くの部分の方々にプラスになる方式として定額制というものは採用する価値があったと考えております。
#51
○牛嶋正君 公明の牛嶋でございます。
 きょうは時間も限られておりますので、今議論になっております二兆円減税の景気に与える効果に限定いたしまして若干の質問をさせていただきたいと思います。
 景気浮揚のための財政政策、これまで公共投資と減税政策がとられてまいりましたけれども、この二つの政策のもっとも大きな違いというのはその政策を実行したときの第一段階での需要創出効果ではないかと思います。公共投資の場合はその投資額がそのまま需要創出額になりますが、減税の場合はこれがどれだけ消費に向かうかということが問題になるわけですね。ですから、極端な場合、先ほども議論がありましたように、せっかく減税して可処分所得はふえたけれども、その全部をたんす預金にしてしまうとこれは全く効果が出てこないことになります。
 そういうことを考えますと、景気に対する効果を考える場合、もちろん減税額も当然議論しなければなりませんけれども、減税の方法、これが非常に問題になるということで、きょうはそれを中心にしてちょっと議論をさせていただきたいと思います。
 今申しました減税による第一段階の需要創出効果、すなわち消費がどれだけ伸びるかということですけれども、これは基本的には限界消費性向に基づくということで説明がつくと思いますけれども、今回は大蔵省は減税方法といたしまして定額控除方式を採用されました。これは恐らく、需要創出につながるためのいろんな工夫をされているわけですが、その一つだろうと思いまして、これは非常に景気対策としてはいい方法だと思っております。
 そういうことを考えておられて全体としてどれぐらいの今回の二兆円減税に関しまして限界消費性向を想定されているのか、これをお聞きしたいと思います。言いかえますと、二兆円でどれだけの消費需要が出てくるかということでございます。
#52
○国務大臣(橋本龍太郎君) 毎回、教授の口頭試問は大変難しい口頭試問なのできょうも困ったなと思っておりますけれども、困ったなと申し上げますのは、まさにその限界消費性向と所得減税の効果というもの、これを一体どうとらえるかといいました場合に、経済情勢などに左右される部分を相当程度含んでいるものでありますから、私は一定の数値を想定しているものではないと思います。
 同時に、こうしたものが単独でシミュレートすることはできましても、現実の社会におきましては他の要因との組み合わせの中で動くものでありますから、私どもとしてはまさに金融システム安定化策と他の施策、さらには十年度予算と連動いたしまして御審議をいただくことになります他の税制、こうしたものとの相乗効果の中で御判断をいただくこと、また詳しくは政府委員から補足をさせてもいいですが、その範囲でお答えを申し上げることになるということはお許し願わなければなりません。
#53
○政府委員(薄井信明君) 今の総理の御答弁を補足するものはございません。
#54
○牛嶋正君 そのとおりなんですけれども、家計調査のデータを使って調べますと、家計調査では五分位階級別の限界消費性向を出しているんですね。それではっきりしていることは第一分位から順番に限界消費性向は下がっていくわけです。八年度の家計調査で私調べますと、第一分位のところが大体五〇%ぐらいです。それで、第五分位のところ、一番所得の高いところは四〇%なんですね。そういう意味で、先ほど私言いました今度の定額の減税方法というのは非常に効果的だというふうに申し上げたわけです。
 ところが、一番高い限界消費性向の第一分位、それから第二分位のところは二月の源泉徴収税額から控除し切れないわけです。ここがちょっと問題なんですね、先ほどから議論が出ておりますように。三月でちょっと減税する、四月でまたやっていくと。それで、標準税率のところで恐らく、どうでしょうか、九月か十月ごろまでかかるんじゃないかと思うんですね。そうしますと、効果は非常に薄れてしまうのではないか、一番我々が期待する第一分位階層、第二分位階層のところでそんなことになってしまう、ちょっとここらあたり工夫が要るんじゃないかなというふうに思いまして、先ほどもちょっと出ておりましたけれども、戻し税的なもので二月にばんともう前渡ししたらどうかというふうな感じですが、どうでしょうか。
#55
○政府委員(薄井信明君) いろいろな自由な選択ができる議論をいたしますと、先生御指摘のような選択肢もあるのかと思います。といいますのは、例えば平成九年分の既に納めた税金について平成十年に戻し税を行う、まさに御指摘のとおり、既に納めたものを戻すという税制をつくれば御指摘のようなことも可能かと思います。
 かつて昭和五十二年ですか、三千億円減税というのはその戻し税方式でやったわけでございます。ところが、そのときに極めていろんな問題が起きたということで二度としてはいけないと私ども引き継いできておりますし、あわせて今回の場合は十二月に年度改正として決めて、かつ法律もお通しいただいて二月一日から実施するという非常に異常な、普通では考えられない措置でございます。
 それで、二月に実施するとなりますと、例えばサラリーマンの場合、年末調整は十二月に終わっていまして、その方々がもう二月には平成九年分の確定申告に税務署に行きます。その人たちは給与以外の所得も持っていたり、あるいは医療費控除を受けたりして事業所得者にはうかがい知れない個人としての申告をもう始めるわけです。そういった中で減税を戻し税でやるということはほとんど不可能、国税庁においては対応できないということで九年分所得税の戻し税を二月にやるということはできないというところからスタートいたします。
 それにもかかわらずやるとするならば、十年分の所得税についてやるよりしようがないと。しかし、十年分はことし一年終わらないと本当は所得はわからないわけです。ただ、毎月毎月源泉徴収義務者が控除した税額というのはわかっていますから、その範囲内でならば減税はできると。それを超えて進行中の平成十年について払ってもいないものを戻すということは法的にあり得ないわけです。
 そこで、何を申し上げたいかといいますと、そういう制約があるものですから、定額制はとりましたけれども、御指摘のような事態は生じるということでございます。
#56
○牛嶋正君 私は、政策をする場合に、恐らく政策の効果、これは今回の減税の場合ですとその政策をするためのコストは二兆円、この二兆円のコストを使って二兆円以上の効果を引き出さなければ私は政策としては合格の政策じゃないんじゃないかというふうに思いますのでこういう議論をさせていただくわけです。もちろん、それは税制のいろいろな制約はありますけれどもね。
 それで、こういうふうに議論していきますと、私はこの減税政策を採用するときにもうちょっと個人消費の動向について御議論していただかなきゃいけないのではないかなというふうに思っております。もし、そういうことをやらずに特別減税の恒久化とか、あるいは減税額をもっとふやせというふうなことをやったとしますと、私は平成四年以降とられました公共投資政策のように財政の赤字構造だけを残してしまう政策になるんじゃないかというふうに思うんです。だから、今私が申しましたように、少なくともかけたコスト以上の効果を引き出すように何が何でも工夫すべきだと思います。
 それで、家計調査のデータで、私今いろいろ分析をしているんですけれども、昭和五十年以降各年度の平均消費性向の推移を比較いたしますと、ちょっと気になることが出でまいりました。それは、昭和六十一年と申しますとバブルが始まったころであると思うんですが、そこまでは平均消費性向は七七%台できちっと推移しております。若干、〇・五から〇・三ぐらいの上下はありますけれどもね。それで、六十二年以降、これが低下を始めております。そして、平成八年は何と七二%まで落ちてしまった。これは大変なことなんですよ。恐らく今の景気回復の足を引っ張っているのはこれだと思いますね。これだと思います。
 こういうふうに考えていきますと、私は個人消費動向というのは大きく変わったのではないか、変化したのではないかと。それは、私たちのライフスタイルが変わりました、そしてまた自由時間も長くなりました、老後も長くなりました、そういうことを勘案しますと私たちの消費生活スタイルというのは大きく変わっているわけですが、そのことが消費動向にも非常に出ているのではないかと、こういうふうに思うわけです。このあたりをきちっと分析しなければ、私はどんな景気対策をとってもだめではないかなというふうに思います。だめだ、だめだと言っていたってしようがないですから、どういうふうに消費者の消費パターンが変わったのかというところをちょっと見ていきたいと思うんです。
 まず、企画庁はこの問題を取り扱っておられますので、この平均消費性向が六十二年から低下してきているわけですが、企画庁はこれはどういうふうにとらえておられるのか、私が今考えましたような人々のライフスタイルの変化がこういうことに出ているのか、そうじゃなくてやはり景気が悪くて今議論されているように、将来の見通しが立たないからこういうふうに低迷している、減少してきたというふうに見ておられるのか、そこをちょっとお尋ねいたします。
#57
○説明員(古川彰君) 委員御指摘のように、家計調査、我が国のサラリーマン世帯の平均消費性向の推移を見ますと、六十年代、特に六十二年以降、緩やかではありますけれども下がってまいりまして、特にバブル崩壊後・下がり方がはっきりしてまいっております。その要因、委員御指摘のようなライフスタイルの変化等の影響もあろうと思いますが、私どもはやはり経済動向の影響がかなりきいているのではないかと思っております。昨年七月に経済白書を発表しておりますけれども、そこで我が国の消費性向について分析を行いましたが、特にバブル崩壊後の消費性向を低下させた大きな要因ということで、一つはいわゆる雇用不安でございますね、企業のいわゆる配置転換のような雇用調整が随分行われましたので、それが雇用不安を呼んだと。そして二つ目に、バブル期には促進要因でありました株価、その他金融資産、その価値が下がってきたといったことも影響したというふうに考えております。
 したがいまして、まずは雇用情勢の改善、そのための経済の改善ということが必要ではないかというふうに考えております。
#58
○牛嶋正君 その考え方でしたら、私はどんな手を打ってもだめじゃないかと思います。
 と申しますのは、一つの例として消費パターンの変化を見ていきますと、耐久消費財に対する消費パターンがかなり変わってきているんですね。家電製品とか家具、それから自動車など、これは恐らく普及率がもうほぼ一〇〇%でしょう。そうしますと、これらの耐久財に対する需要というのは、新規のものももちろんありますけれども、ほとんどは更新なんですよね。
 そのことがなぜ生活スタイルとどう違うのかということですが、私はもうほとんどの家庭、世帯において物質的なそういった面での生活水準というのは満足度に達しているんじゃないかなというふうに思うんですね。例えば、今まで自動車を持たなかったのを持って少し自分たちの生活のランクを上げよう、あるいはまた高級ブランドの衣料に、洋服なんかでも今までですと余り名のないものを買っていたんだけれども、ちょっとぜいたくしようかと、こういうふうなことがあったと思うんですね。それはどういうことかというと、所得水準が確実にずっと上がっていくからそれに合わせて自分たちの生活のランクを一段ずつ上げてきたのじゃないかと。ところが、最近の耐久消費財の需要の動向を見ていますと、それはもう一段落したと。
 ですから、ほとんどの世帯ではもう自動車については一台、農村部なんかですと生活のスタイルが違いますから二台とか、そういうふうになってしまった。クーラーなんかでももうほとんどの部屋に一台ついてしまっていると。そうしますと、あとは更新なんです。更新需要ということになります。これは、重要なのは更新というのは割合時期を選ぶんです。もう一年この車で辛抱しようということが何ぼでもできるわけです、二年辛抱しようと。これが今の消費税率が上がった後の需要の伸び悩みなんですよ。
 ですから、皆さんは今の需要の伸び悩みというのは駆け込み需要の反動と言っておられるけれども、違うんですよ。駆け込み需要が出てくるのはこれは新規だけ、あとの今停滞しているのはみんな更新を延ばしているわけです。それで、五%の税率がなじんできたらかえようかというふうなことになると思うんですね。
 そういうことを考えますと、先ほどおっしゃったことではちょっと説明が、こういう説明をされているから、私は駆け込み需要の反動なんということでずっと長引いているのが説明がつかないんじゃないかなと思いますが、もう一度ちょっとお願いします。
#59
○説明員(古川彰君) 御指摘いただきまして、私どもはもっとさらに研究を深めなければいけないというふうに思っておりますが、耐久消費財の普及率、例えば自動車は今や八三%ということで上昇してきております。需要も御指摘のように新規のものから更新のものに移ってきているというふうに考えております。
 昨年度の駆け込み需要に関してですけれども、乗用車の買いかえ需要あるいは住宅の建てかえ需要といったことがありまして消費税率の引き上げ前の駆け込み需要というのが大きかった、したがいまして四月以降その反動減も長引いてきたわけでございます。その理由として、御指摘のように、耐久消費財の普及率が高くなっている、そうなりますと買いかえとか買い増しといった時期、これは必ずしも急いでやらなくてもいいわけで、調整するということが、早めたり遅めたりということも可能になってきたのではないかというふうに考えております。
 ただ、駆け込み需要の反動減ということで申しますならば、昨年四月から大きく落ちたわけですけれども、その反動減の部分というのは次第に落ちついてまいりまして、去年の夏ごろにはある程度落ちたところから回復する動きも見られたわけでございます。したがって、その後、秋口以降、また一段と足踏み状態に消費がなったわけですが、こちらは、駆け込み需要の反動減ということもありますけれども、秋以降の金融機関の破綻とか、あるいはアジアの経済の問題といったことが家計の経済の先行きに対する不透明感をより強めだということが大きな原因ではないかというふうに考えております。
#60
○牛嶋正君 もう一つ消費が停滞している要因ですけれども、これも家計調査で消費パターンの変化を見ていくのに、消費支出項目でどういうふうにその構成比が変わるかということを見ますね。はっきり言われておりますように、物からサービスへずっと需要が移ってきているわけです。
 このサービスの需要というのは非常にくせ者なんですよね。と申しますのは、サービスの場合は量よりも質が問題なんですよ。ちょっと収入が少なくなった、伸びないということで、例えば今までは美容院へ行くのにちょっと名の通ったところに行っていた、それを近所の余り名の通っていないところへ変えることができるわけですよ。それだけで支出は二〇%から三〇%下がりますよ。それから、サービスについて言えることは、自分でサービスの供給者になれるということです。今までは週に一回シャンプーに行っていたのが、もういいや、これは家でやるということになります。ここのところを見きわめておかなければ、結局は非製造業の投資が伸びないのはここなんですよ。これと関連しているんですよ。恐らくサービス産業というのは全部第三次産業でございますからね。ですから、そこと関連して伸びない、投資も伸びないというのはそこなんですよ、製造業の場合は比較的伸びているのに。だから、そういう分析をやっぱりきちっとしなければ私はなかなか効果的な、先ほど言いました政策を進める場合のコストに対してそれ以上の効果を引き出すことはできないのではないかというふうに思っております。
 これまでの議論を聞いておりますと、非常に上っ調子な議論が私たちも含めて多いわけですが、経済の構造の変化ということを見る場合には、一人一人、個人が社会を構成している単位ですから、こういう人たちがどういうふうに考えどういう生活をしているのかということをもう一度やっぱり検討し直す必要があるのではないか、こんなふうに思っております。
 最後に、もう時間が来ましたので、今のやりとりをお聞きになりまして、首相の所見をお聞きしたいと思います。
#61
○国務大臣(橋本龍太郎君) 真剣な御議論を興味津々で聞いたなどと言ってはしかられるかもしれませんが、私は今の御議論を非常に興味深く拝聴いたしました。
 そしてその上で、議員が採用し、例示として出され、経済企画庁にその分析を求められました平均消費性向、このカーブと雇用失業率のカーブ、殊に産業分野別のカーブを当てはめた場合にどういう結果が出るだろう。同時に、これはちょっと難しいのかなとも思いながら、今、自問自答しておりましたけれども、春闘の結果がいいのか人事院勧告がいいのか、どちらをとるかによりましてもまた多少のぶれが出ると思うんですけれども、あるいは産業別の初任給を当てはめるのか、いずれにいたしましても給与所得者のいずれかのパターンと産業分野別の労働人口の増大減少のカーブ、これをまとめて雇用失業のカーブに置きかえてもいいのかもしれません。これとその消費性向を重ね合わせたときに、確かに私は議員が言われた買いかえ需要だから落ちる、あるいはサービスだから自己で代行が可能という御指摘は非常に興味を持ちながら伺いつつ、その上で今申し上げましたようなカーブ、それぞれのカーブと平均消費性向を重ね合わせた場合にどのようなものが出てくるのか、そのような思いで拝聴をしておりました。
#62
○牛嶋正君 終わります。
#63
○三重野栄子君 三重野栄子でございます。
 私は、現在非常に国民が心配をいたしております大蔵省職員の汚職の問題と、それからいわゆる二兆円特別減税についてお尋ねいたしたいと思います。
 まず、参考人として御出席いただきました松下康雄日銀総裁にごあいさつ申し上げます。
 本日は、大変御多忙中のところ、急遽参考人として御出席をお願い申し上げましたところ、お聞き届けくださいまして、本当にありがとうございました。
 早速でございますが、質問させていただきます。日銀考査の金融機関とのかかわりでございます。
 既に御存じのように、大蔵省汚職に関しまして、金融証券検査官二名の逮捕、一名の自殺、大蔵大臣、そして事務次官の辞任等々容易ならざる事態の中で徹底した原因追求と事態の収拾は、政府は言うまでもなく、私たち政治家として国民の皆様にはもちろん、国際的にも緊急重大なものと痛感をいたしております。この種事件は人間の弱さ、あるいは傲慢さ、習慣があり、組織機構が複雑に絡んでいる等々で発生することが多いということは歴史的にも、洋の東西を見ましても検証されているところでございます。
 したがいまして、一九七九年、昭和五十四年でございますが、一連の鉄建公団汚職に関連して、大蔵省の主計局幹部等が頻繁に接待を受けていた事件で次官等九名の処分があったと伺っております。
 本日おいでくださいました松下日銀総裁が、当時、大蔵省大臣官房長として「綱紀の厳正な保持について」という通知をお出しになっています。この事件当時、主計局次長としていらっしゃいました総裁は、その通知は職務上の関係者からの会食の招待に応じない、歳暮、中元も受け取らないなど大変具体的内容を示しておられまして、御自分も国家公務員法上の戒告処分を受けておられますので今日の不祥事については大変いかなる心境がおありかと推察いたすところでございます。
 そこで、総裁はその後金融機関の健全化確保、ひいては信用秩序の維持に重大な責任を持ってその任についておられると確信をいたしますものですけれども、その一つとして大蔵省の検査と交代で日銀の考査が銀行に入っていると伺っております。日銀の考査に当たる金融機関から接待を受けないということを今もなお遵守されていると思いますけれども、今回の不祥事件にかんがみまして、念のため可及的速やかに実態の調査をお願いして当委員会にその結果を報告していただきたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
#64
○参考人(松下康雄君) 私ども日本銀行におきましては、仕事の性質上、各方面の方々と広く意見を交換するという機会が多うございます。その際におきましては、あらぬ批判や誤解を受けますことがないように常日ごろから節度のある態度で対応するように真剣に努めてまいっておりまして、社会通念を逸脱するようなことはないものと認識をいたしております。
 ただ、今申し上げましたこの社会通念という物差しも、中央銀行の公的な性質を踏まえますというと、日本銀行におきましては相当厳格なものでなければならないと考えております。
 ただいま御指摘がございました考査でありますが、考査は日銀の取引先の経営実態とかあるいは金融システム内のいろいろなリスクの所在などを把握いたしますために相手方との契約に基づきまして相手の協力を前提として行っているものでございまして、実施の時期や提出資料の内容などは事前に考査先に対して通知をいたしました後で実施をするものでございます。
 このように、考査は行政権限の行使として行われるものではございませんけれども、やはり公的な存在でございます日本銀行が行うものでございます以上は考査先との関係では厳格な姿勢で対応しなければならないというふうに考えておりまして、かりそめにも私どもの考査に際しまして癒着というようなことが生ずるといったことはあり得ないところであると思っております。
 この点につきましてこの四月に新日銀法が施行されることになりますが、この法律におきましては、日銀の役職員の職務の適切な執行を確保しますために、服務に関する準則を定めて公表するように規定されております。
 私どもといたしましては、こういった新法の規定も踏まえ、また日本銀行におきます現在の実情もよく踏まえまして、早期にこの服務準則を定めてこれを公表し、これによりまして中央銀行としての厳正な綱紀の維持にさらに努力をしてまいりたいと考えております。
#65
○三重野栄子君 大変明快に御答弁いただきまして安心をいたしたところでございます。
 四月の日銀法の施行を前にいたしまして詳細な服務規程等々もつくられるということでございますが、公開をするということでございまして、公開の方法もいろいろあろうかと思いますが、当委員会の方にもすべて御報告いただいてよろしゅうございましょうか。その上で私はそれを見せていただきたいと思いますけれども。
#66
○参考人(松下康雄君) 当然、この服務規程につきましては一般に公表をするものでございますから、当委員会におきましても適切な方法によりまして皆様に御周知をお願いできるような措置をとることにいたします。
#67
○三重野栄子君 重ねて申しわけありません。大体いつごろになりましょうか。
#68
○参考人(松下康雄君) 内容につきまして現在検討を鋭意行っているところでございます。法律的には四月一日の施行までにこれを公表することになりますので、準備でき次第、なるべく早くというふうに考えております。
#69
○三重野栄子君 今お聞きのような御答弁でございますので、この点のお取り扱い、委員長にお願いしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
#70
○委員長(石川弘君) 結構でございます。
#71
○三重野栄子君 ありがとうございました。
 参考人、大変お忙しいのにこれだけのことに来てくださいまして、大変感謝申し上げます。どうもありがとうございました。
 今、日銀の方のお取り組みを伺いましたのでございますけれども、今度は大蔵省の場合につきましてお尋ねを申し上げたいと思います。
 同趣旨のことでございますけれども、大蔵省の金融機関の担当者は、大蔵検査といいましょうか、その問題につきまして今伺いましたような状況で可及的速やかに当委員会に御報告をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#72
○政府委員(武藤敏郎君) ただいまのお話は大蔵省の検査に係る調査の結果でございましょうか。不祥事件に係る調査の……
#73
○三重野栄子君 じゃなくて、一般的に今行われてきた、それからこれからも行われるであろう金融検査の問題です。
#74
○政府委員(武藤敏郎君) 大蔵省の場合には金融検査ということで官房金融検査部の者がそれぞれの銀行の検査を行っております。それで、その検査の結果を公表という御趣旨でございますれば、検査の結果はこれは私ども一定の守秘義務、相手もそれを前提に応じていただいており、また第二にはその結果を表にいたしますと場合によっては信用秩序というものに悪影響が、甚大な影響があるということもございますのでこれは公表を差し控えさせていただいておりますので、よろしく御了承をお願いしたいと思います。
#75
○三重野栄子君 検査の内容を伺いますというよりも、そういう金融機関とのかかわりがございますものですから、今問題になっておりますのは過剰接待とか、そういう事前接待といいましょうか、そういうことを申し上げているのでございます。
#76
○政府委員(武藤敏郎君) 御指摘の点につきましては、大蔵大臣であられます総理からも私に対しまして、そういう調査を徹底的に行って、その結果に基づいて厳正な処分を行うようにという御指示をいただいております。私どもといたしましては、今その調査を行っておる最中でございますが、その結果につきましては当然公表をいたしたいというふうに考えております。
#77
○三重野栄子君 さっきのことと同じでございますけれども、公表というとどういう方法になるかわかりませんが、当委員会にもきちんと内容を知らせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#78
○政府委員(武藤敏郎君) そういう御指示でございますればまた適切な方法によりましてそのようにさせていただきたいと思います。
#79
○三重野栄子君 今のことにつきまして委員長にお願いしてよろしゅうございますか。もう根掘り葉掘りというつもりは毛頭ございませんけれども、やっぱり全体として確認をしたいと思いますのでそのようにお願いしたいのでございますけれども。
#80
○委員長(石川弘君) 委員長から申し上げますが、理事会でお諮りいたしまして、その方法等についても検討をいたします。
#81
○三重野栄子君 それではもう一つ、金融行政とのかかわり、過剰接待につきましてお尋ねをいたしたいと思います。
 さきの衆議院の予算委員会、あるいは大蔵委員会での答弁に関連をして質問をいたします。
 大蔵省は、銀行、証券会社、保険会社の検査に当たる金融検査官だけではなく、預金者、投資家等を守るといいながら、大蔵省証券局幹部が九六年以降毎月一回のペースで大手証券会社四社の社長と懇談を続けておられるという資料がございます。会費、会食費等は業界と折半しており、問題はないというふうに証券局としては衆議院予算委員会で答弁があっているところでございます。このような業者行政と申しましょうか、そういう延長上にあります現在の状況では、金融行政に対する市場及び国民の大蔵省不信はおさまりにくいのではないかと思うのでございます。
 衆議院予算委員会議事録によりますと、山日銀行局長は政府委員として御出席で御答弁をいただいたわけでありますけれども、
  社会的な批判を受けるようなことはしておりませんし、どうしても出なければならない場合は割り勘にしております。
  ただ、情報交換が非常に大切な我々の役割だということもよく意識しておりますけれども、現在は、非常にその辺を意識しながらもきっちりとした対応をしておるというふうに思っております。情報交換も、役所に来てもらって昼間いろいろ聞いているというのが実情でございます。
と。山口局長はこういうことだったと思いますが、今逮捕されているお二方の御様子等々を聞きますと随分違うようでございます。
 それで、山日銀行局長と涌井主計局長は官房長及び主計官時代も含めて、それからまた長野証券局長は銀行局審議官時代、それからまた近畿財務局長時代を含めまして、二信組事件の高橋被告とのつき合い等々についてお伺いしたかったわけでありますけれども、時間の都合もございますし、勤務態様という意味も含めまして官房長から、この金融機関との接触といいましょうか、仕事と申しましょうか、そういう点につきましてお答えいただきたいと思います。
#82
○政府委員(武藤敏郎君) 金融行政を遂行していく上で必要な相手方との意見交換の場というのはいろいろあるわけでございますけれども、確かにいわゆる都銀の代表者でありますとか証券の大手の業界の代表者と担当局長が昼飯等を一緒にしながら会合を持つという定例的な会合がございます。これは倫理規程の上では接待ということではもちろんないわけでございますので、職務上必要な会食ということになります。ただ、その場合も届け出をいたしまして、届け出に基づく服務管理官の承認という形で実行されております。場合によりましてはこれは割り勘というやり方でやっている場合もあるようでございます。
 そういう仕事のやり方についてこれからどうしていったらいいかということを、このたびのこの事件を契機といたしまして、基本的に金融行政を進めるやり方について、その事件の背景となるシステムについて検討しなければいけないということで検討しております。
 一口で言いますれば、いわゆるMOF担というものが何か行政官との個人的な関係をつくり上げた上で情報を収集するといったようなことではなくて、むしろ通常の勤務時間帯に一般的な連絡会を、これは食事をとるとかそういうことではなくて、普通の会合を持つということによって連絡をとっていけばよろしいのではないか、基本的にはそういうことを考えながら今後新しい行政と業界との意見交換の場を設けたいというふうに今検討しているわけでございます。
#83
○三重野栄子君 今伺いました検討の問題とかかわりまして、今いろいろ逮捕されたお二方の状況を私はテレビだとか新聞あるいは週刊誌等々で見るわけでありますけれども、今伺った部分と非常にかけ離れているわけですね。それはそのお二方だけがそういう特殊なものだろうかということを思うのでございますけれども、今は積極的に今後やっていこう、徹底的にやっていこうとおっしゃっておりますが、そこらあたりの御見解がないと、やみくもにやりますやりますと言うだけではやりにくいんじゃないかなと思うのでございますが、いかがでしょうか。
#84
○政府委員(武藤敏郎君) 今回の金融検査部の検査官二名の逮捕というこの事件は、これはもうあってはならない事件でございまして、まことにざんきにたえないと思っております。国民の信頼を裏切るということになりまして、これは深くおわびを申し上げる次第であります。
 この点に関しましては、先ほどちょっと申し上げましたけれども、大蔵大臣であられます総理から調査を徹底的に進めて厳正な処分を行うようにというお話がございました。それに基づきまして現在調査をしております。したがいまして、その調査が明らかになりましたらそれに基づきまして厳正な処分を行うということとしております。
 一方、行政の場としてどういう会合を持ったらいいかというのは、これは全く別個の問題として、それはそれとして考えていきたいという趣旨でございます。
#85
○三重野栄子君 どうもありがとうございました。私も今後再びこのようなことが起こらないように念願をするわけでございます。
 しかし、今も行政の問題と大蔵の問題と金融のかかわりということとは両方こういうふうに進めようというふうなお話でございましたけれども、大蔵省は昨年七月に今の問題になっていることは一応処分しておられたと。それはやはり疑惑を小さく見せよう見せよう、軽い処分で済まそう、お茶を濁そうとしているんじゃなかったのかという批判がございまして、それが事実であったように思うのでございますけれども、ここらあたりはいかがでございましょうか。
#86
○政府委員(武藤敏郎君) 御指摘の昨年七月の処分でございますけれども、これは第一勧銀の検査忌避事件というものに関連して調べている過程におきまして、その第一勧銀の検査期間中に相手方と検査官との間で問題となる行動があったということが明らかになりました。相手方の金融機関も特定しておりますので、この第一勧銀からも事情を聞かせていただきまして、結果的に、一つは融資先の工場見学ということがあった帰路、マイクロバス車内で飲食をしたということ、それから宮川という処分の対象になった者が現場検査終了後、報告書をつくるまでの間にゴルフを行員とともにしていたということが判明いたしまして、国家公務員法上の戒告処分を行ったものでございます。
 なお、今回逮捕されたもう一名の谷内につきましては、第一勧銀のこのときの検査には参加しておりませんでした。
 そういう事情で、この宮川という者につきましては、事実が明らかになりましたので処分をしたわけでございますが、ただそのときの調査でその検査と前後に全くその検査と違う事件としてさまざまな問題が発覚して今回の被疑事実となっておるわけでございます。
 私どもはそういうことに気がつかなかったといいますか、これはいずれもこの被疑事実となっていることは当人から報告がもちろんなかったわけでございます。また、その監督者の立場にある者もそのようなことに気がつかなかったわけでございまして、これは私どもの任意調査という限界はありますけれども、こういう事実を見抜けなかったことにつきましては結果として調査が大変甘かったということでありまして、これはおわびを申し上げたいというふうに思います。
#87
○三重野栄子君 大変具体的に御説明をいただきましてありがとうございました。
 しかしながら、事ここに至りまして、役所全体にはもう金融機関との実態を聞けば聞くほど何かが出てくるんじゃないかと怖い感じがいたしますけれども、やっぱり積極的に責任を持って今後調査をされまして、国民の信頼を回復して、国際的にも通用できるような体制を一日も早くつくっていただきたいというふうに思うわけでございます。
 この件につきまして本会議で、それから各議員が立つことに針のむしろの上の総理だというふうに思いますが、今後の問題について大蔵大臣として、金融関係の問題、それから先ほど行政職ということもございましたが、本当に今は地方議会の方でも何だかんだこの種の問題が多うございますけれども、この国政の方がきちんとなれば地方もまたきちんとなっていくのではないかと思いますので、そこら辺も含めて一言決意のほどを伺いたいと思います。
#88
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先刻、松下日銀総裁がかつて官房長時代の状況について改めて説明しておられるのを聞いておりまして、私も当時立場は全く違いましたけれども、その松下さんの真剣な努力というものを大変敬意を持って見ていた記憶をよみがえらせました。当時、私は厚生大臣でありまして、その処分決定以降の松下官房長の、またそれを受けての省内の雰囲気というものを鮮明に記憶をよみがえらせております。
 そして、厚生大臣として本当に若い諸君に苦労をかけましたのでごちそうしようと思いましたときに、本当に上司の判こをとり、しかも中華料理屋以外はだめという非常にきちんとした注意をつけられ、また彼らがそれにきちんと服しておりましたことも大変今改めて思い起こしておりました。それだけに、今こうした事態が起きたことは本当に残念でありますし、議員から今のようなお問いかけを官房長にされること自体、私は本当につらい思いのことであります。
 そして、私は、武藤官房長は全力を挙げてこの恥をそそぐためにも省内の調査、それは強制権限、捜査権限を持つものではありませんから当然限界はございましょう。しかし、その中をきちんとチェックをしていく努力、あるいはただ単に省内だけではなく、ある程度のOBに対してもきちんとした調査をいたすと信じておりますし、その調査の結果、また捜査の進捗の中で、私は大蔵官僚はきちんとした処分のあり方を考えるだけの恥を知る集団だと考えております。
 しかし同時に、別途政府の立場として国会に対しましても倫理法の制定をと求められましたときに、私自身が彼らを信じたい、倫理規程で守られると信ずると申し上げましたものが結果としては真っ向から裏切られました。非常に残念なことでありますけれども、公務員倫理法を真剣に検討しなければならない状況になり、既に政府自身、一昨日、古川副長官にその検討の指示を出しております。自民党におかれても既にそういう作業に入っていただいておりまして、また与党三党の論議の際に党首レベルにおきましてもこうした御意見をちょうだいいたしております。
 こうしたものを本来なら必要としない状態が一番ありがたいと思いますけれども、情の論理では今回は済みません。公務員倫理法というものの制定を視野に入れながら、一方では調査を急がせ、その結論を見きわめたいと思います。
#89
○三重野栄子君 以上でもって終わります。どうもありがとうございました。
#90
○笠井亮君 日本共産党の笠井亮でございます。
 平成十年分の所得税減税法案の審議をするということで開かれているわけでありますが、この問題を審議する上でも、私はまず前提となる問題について伺いたいと思っております。
 先ほど総理大臣・大蔵大臣は、大蔵金融行政、行政全般の不信を呼ぶような問題は大変残念に思うということで言われましたけれども、今、国民から見ますと、大蔵省がいろんな問題で本当のことを言っているんだろうかと、そしてそういう真実の上に、事実の上に法案を初めとして対策をとっているんだろうかという当然の疑問というか声が上がっているところだと思うんです。それがやっぱり国民の気持ちだと思うわけであります。一連の大蔵省の汚職問題は、大蔵大臣や事務次官がおやめになった、これだけで済む問題ではない重大問題、これはもう総理もそういうことでおっしゃったわけであります。
 そこで、私は絞って端的に伺いたいんですが、一月十九日の衆議院予算委員会で武藤官房長がこう答弁されております。この一連の問題のことが議論される中で法に触れるようなことについて問われて、「一昨年の十二月に大蔵省は倫理規程を出しましたが、それ以後におきましては、私どもはない、これは調査した結果ないと思っておりますが、それ以前の行為につきましてはいろいろなことが言われております。」ということで答弁をされておりますが、私はこれはきわめて重大な答弁、発言だと思うわけであります。
 官房長に伺いたいんですが、どうしてこんなことが明言できるのか、明言されたのか、一体どういう調査をされてああいう答弁をされたのか、その点についでいかがでしょうか心
#91
○政府委員(武藤敏郎君) 平成八年十二月の大蔵省倫理規程におきましては、関係業者との会食を原則として禁止する、職務として必要な会議において会食するような場合には服務管理官に届け出て了承を得るというふうにされております。この会食等の状況につきまして私どもは、職員から服務管理官に届け出が出てくるわけでございますけれども、そのたびにチェックいたしまして、その承認のもとに許されるものがあると、こういうことでございます。それで、服務管理官にこの倫理規程の順守状況を問い合わせておりまして、その結果、行き過ぎた事実は把握されなかったと、そういうことからそのようなことを申し上げたわけでございます。
 ただ、結果において今回のようなことになったことは、これは全くもう信じがたいことでありますけれども、私どもとしてはまことに申しわけなく、これは国民の信頼を裏切ることになったということで深くおわびを申し上げる次第でございます。
#92
○笠井亮君 あのとき「調査した結果ない」とはっきり言われたわけですから、それが本当にでたらめだったということは明確になっているという問題だと思うんですよ。
 今回の金融証券検査官室長らにかかわる贈収賄事件の被疑事実を見ますと、宮川室長の場合、あさひ銀行からの接待等の供与を受けたのが平成七年四月二十九日ごろから平成九年五月十一日ごろ、それからマンション問題では平成九年七月八日でございます。さらに、谷内課長補佐につきましては、三和銀行から接待等の供与を受けたのが平成六年七月二十九日ごろから平成九年十月十日ごろまでの間に四十回、そして北海道拓殖銀行からは平成六年八月十日ごろから平成九年五月九日ごろまでということでありまして、いずれも平成八年十二月の倫理規程、それ以降もあったことで、まさにそこが問題になっているわけであります。
 一月十九日に答弁されたときに、私はこれくらいのことはまともな調査をされればこれはわかったはずだと。結果としてなんということであなたは言われますけれども、そうじゃなくて、そんなでたらめな答弁をしてまさに国民と国会を欺いたということになったと、そういう問題だと思うんですけれども、官房長、その点についてはどういう自覚を持っていらっしゃいますか。
#93
○政府委員(武藤敏郎君) 御指摘のとおり、私どもはそういう内部の調査を得て答弁申し上げたわけでございますけれども、その結果はただいま御指摘のように被疑事実に明確にあらわれております。この点については私どもは深く反省をいたしまして、もう一度改めて徹底的な調査をいたしたいと。これは大蔵大臣であります総理からも御指示をいただきました。
 私といたしましては、その責任は痛感しております。その調査の結果が出ましたらば、被疑者本人に対する行政処分はもちろんのことでございますけれども、私を含めまして関係監督者に対する処分についても事実関係を踏まえて厳正に行うと、そういう方針のもとに大蔵大臣に御判断を仰ぎたいというふうに思っております。
#94
○笠井亮君 私、国会への答弁というのは本当に重いと思うんですよ。そこを本当に自覚していただかなきゃいけないと。先ほど気づかなかったことで結果としてそこがわからなかったというような趣旨を言われましたけれども、それならばなぜあの一月十九日のときに調査した結果ありませんということを断言されたのかということなんですよ。わからないなら、まだわからない部分があるとか、それ以外にもそういうことがある可能性があるので引き続き調査しますということだって言えたわけでありまして、しかもその前後には新聞報道でも銀行の幹部自身が、もう本当にそういう問題では、一月一日の読売新聞、組織ぐるみの大蔵接待ということで一覧表も出してやっているという状況があったわけですから、その本人、当事者から聞いて、そして倫理規程に基づいて報告を求めたからないんだと、大丈夫だなんということは言わなければいいわけですよ。そうでしょう。私、そう思うんですよ。
 私、そのことを非常に重大だと思うのは、官房長が答弁されたその答弁というのは、そういう結果について大臣に報告されたわけですね。それで、同じ予算委員会で三塚大蔵大臣がその報告を受けて、「法に触れるようなことはないという報告であると、これは明確に報告を受けているわけであります。」と。やっぱり官房長を初め大蔵省の事務の方々を信頼して大臣は国会の責任ある答弁でそう言ったと。そこも問われて大蔵大臣は辞任をせざるを得なかったと。だから、いい加減な答弁されたそのことがまさにそういう意味ではみずからの上司である大臣を辞任に追い込むということにもなったんだと、次官もおやめになったと、私はそういう問題だと思うわけであります。
 だから、責任を感じているというふうに言われますが、しかし実際に国会での答弁、その重み、そして答弁されるときに当たって調査をした結果こうですと言うときにはいい加減な、でたらめなことをやってもらったら本当に困ると。国民が、あるいは国会がそれに基づいて審議するわけですから、大丈夫だと思っていたらそうじゃなかったと、そんなことは軽々にやっちゃいけないと思うんですよ。だから、こういうあなたの答弁で不正や腐敗が隠された、隠したというふうに言われたって仕方がない問題だと私は思うわけでありまして、そんなことでは大蔵省が何を言われても国民も国会も信用できないということにこれはなってしまうという問題だと思うんです。
 官房長、私は率直に申し上げますが、みずからに責任があると言うのであればみずから辞するということが当然ではないかと思うんですけれども、その辺については御本人、いかがでしょうか。
#95
○国務大臣(橋本龍太郎君) 官房長を指名しての御質問に代理としての私がお答えをするのは本来筋が違うのかもしれませんが、私は武藤官房長に次のようなことを指示いたしております。
 これは、本日正式に事務次官の辞任を許可し新任の次官を発令いたしました際、同道した官房長に新次官を置いて改めて申したことでありますが、君の責任はただ単にやめれば済むといったものではない、全力を挙げてもう一度調べ直せと。そして、それは現在金融検査部、銀行局、主計局等、金融関連部局に過去にさかのぼって在籍した者全員を対象にして調査をするはずでありますが、その調査をできるだけ早く、しかも強制捜査力を持たない大蔵省の官房長の立場でできる限りの調査をしろと。そして、その調査の結果に対してそれぞれの関連する責任者はその処分をみずから行えと、君自身もその一人だと。
 同時に、現に逮捕され被疑者となっております者が現在二名あるわけであります。当然ながら、その捜査の一定の段階においてこれは司法上の手続が踏まれると存じますが、そのときにその容疑内容というものも明らかになるでありましょう。そうしたものをきちんと見た上でみずから判断をするべきことはしろと、私はそう指示をいたしました。官房長は全力を挙げて今この調査に当たっております。
 今、武藤官房長が負うております責任はただ単にみずから辞任するといったものではないと私は思いますので、あえて今、大臣としての立場で官房長に指示をいたしましたことを委員会に御披露申し上げ、大蔵省自身がみずからの恥をそそぐだけの時間とチャンスを与えてやっていただきたい、官房長は私は真剣に調査をすると信じておりますので、これはどうぞ官房長が辞任してしまえばそれで終わりだというようなものではないと我々はこの事態を受けとめているということだけは御理解をいただきたいと存じます。
#96
○笠井亮君 私は、この問題を取り上げさせていただきましたのは、現に一月十九日の答弁で国会が欺かれたということがありまして、そういう事態の中でそういう答弁をされた官房長に指示をされて調べると言われても、また本当に事実がそれでわかるのか、また中途半端なことをやって結論を出されて、そして国会も、あるいは総理御自身も指示をなされたけれども結果的には欺かれることになるんじゃないか、そして国民が、先ほど総理は裏切られるということがなりかねないことのないようにと言われましたけれども、そういうことになるんじゃないかと思うからこそこの一月十九日の答弁の重み、そして官房長の責任の問題を強く言わせていただいたわけであります。
 私はそういう問題としてこの問題があるんだということを強く申し上げまして、時間になりましたので終わります。
#97
○星野朋市君 私は質問の前に一言申し上げたいことがございます。
 議運の席上で我が党の議員が、これほど重要な法案が一日で、つまりきょうの午前中の本会議で趣旨説明が行われ、そこで代表質問が行われ、その午後に委員会に付託されて、そこでまた趣旨説明が行われ、質疑が行われ採決が行われて、その日のうちの本会議で採決されるというような、そんな法案が今までにあったかという調査をさせました。現在のところ、その前例はないということであります。そのくらいこの法案は緊急を要したものであろうと思っております。
 後で私は御質問いたしますけれども、先ほど久保議員の御質問に主税局長が、時間がないので四百万人の徴収者のためにこういう定額方式をとった、こういうお答えがございましたけれども、後で詳しく御質問しますからそのときお答え願いたいんですが、それではこれの効果というのはよく考えたのか、こういうことになりかねません。
 それで、これは再三お聞きして恐縮なんですけれども、十月九日、村岡官房長官、尾身経済企画庁長官、加藤幹事長、山崎政調会長の会談で赤字国債の発行を伴う所得税減税は額の多少にかかわらずできないと。それから、十三日の衆議院予算委員会で社民党の上原康助議員の所得税減税の要求に対しまして橋本総理は、所得税減税をする大きな財源を持っているわけではない、赤字国債の発行はあってはならないと。同月二十日、衆議院の財政構造改革委員会で我が党の野田毅議員が、日本経済はまだ重病だが消費税率引き上げや特別減税打ち切りで治りかけた病人に水をかけ肺炎を起こさせた、これは政策不況だ、この主張に対しまして三塚大蔵大臣が、財政構造改革の原点は赤字国債依存体質からの脱却、それを崩すと日本経済はつぶれるとまで言い切っております。
 こういういわゆる時系列的なお話をすると、総理はその中に欠けている部分がある、自分がカナダへ行ったこと、それからASEANへ行ったこと、その部分が抜けているというふうに多分おっしゃられると思うんですが、この間における総理の強い意思、そういうものがどういう形で生まれたのか、改めてお聞きしたいと思います。
#98
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは御質問をいただいて確認をしてはいけないのかもしれませんが、今その強い意思と言われましたのは財政構造改革というものに対する意思ということでございますか。
#99
○星野朋市君 減税をここで打ち出したことです。
#100
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今一瞬ちょっとそこのところが複雑でしたので。
 間違いなく私はなかなか難しいという御答弁を申し上げ続けてまいりました。そして、私は他の方々の引用されましたものを正確に存じておるわけではございません。私自身がなかなか難しいという判断をしておりましたことは繰り返し御答弁をしてきたことを隠すつもりもありません。その上で、まさに私は先ほど来本委員会におきましても繰り返し御説明を申し上げてまいりましたようなプロセスの中で日本の果たすべき役割、そして同時に国民の暮らし、生活に与える影響、それがアジア経済にどのような目に映っていくかといったこと、まさにその影響というものを考え決断いたしました。
#101
○星野朋市君 それでは、大蔵省にお聞きいたします。
 先ほど久保議員からも御質問がございましたけれども、今度の減税は一般庶民レベルで考えると、これは平成九年度の減税であるというふうにとられがちなんですね。とられがちなんですよ。それで、今、普通に世論調査をしたら、だれも正確にこれが平成十年度分の減税だと答えられる人は私は非常に少ないと思います。
 そうすると、この減税額の年度帰属といいますか、国税で見ますと、大蔵省の見積もりでは平成九年度の分が九千七百九十億、十年四月以降、平成十年度では四千二百四十億、今年度分の方が倍ぐらい多いわけですよ。そうすると、これは財政構造改革法との整合性はどうなのか、財政構造改革法に抵触するんじゃないかという疑念がどうしても出てこざるを得ないんですね。
 それからもう一つは、先ほども触れましたけれども、総理が決意してこれを指令して、実際の行為が行われる間が非常に短いから徴収者のことを考えて定額でやりましたと。そうなると、これは経済効果というのは二の次じゃないか、手間の方だけ考えて経済効果は二の次じゃないか、そういう疑念が出てくるんですけれども、その二点についてお答えください。
#102
○政府委員(薄井信明君) 二つの御質問がございました。
 最初のお話は、御指摘のとおり、二兆円のうち国の分が大体一兆四千億、地方の分が六千億で、両方で二兆円です。この国の分、一兆四千億のうちの一兆近くが御指摘のように九年度でございます。財政構造改革法の求めている要件からすると、九年度にこれだけの金額があるがゆえに、むしろ法的にはパスしているという理解でございます。
 それからもう一つのポイントですが、先ほど御答弁申し上げましたように、経済対策、景気刺激ということからすれば今回の定額方式はプラスであると。これはどなたもお認めいただける手法なんです。ところが、税負担全体を考えたときにはむしろ定率法の方が平均的にみんないくのでいいわけです。
 したがって、一長一短があるんですけれども、定額法をとった、このことが経済効果はマイナスかというとそうではないと、プラスであるということでございます。
#103
○星野朋市君 大蔵省的な見解は確かにそうかもしれません。だけれども、経済効果という面から見ると、果たしてそれが正しいのかどうか。
 先ほど牛嶋議員も、今、消費構造は変わっている、こういうお話をされました。具体的に言いますと、物は売れなくても旅行とかそういう面に費やされたというのは、去年の秋まではそのとおりだったんですね。ところが、去年の暮れからことしにかけてそこまで変わってしまった、こういうような実態もあります。そうすると、私はどうしても、手間の方だけ考えで、経済効果というのは考えたのかというのは本当にまだ疑問に思っているんですよ。
 そういうことは大蔵省が、これから本格的な来年度予算の審議に入るわけですけれども、税収の見積もりというのをどういうふうに見ているのか、やはり昔のように中期計画で立てて経済成長率掛ける弾性率一・一というような形で税収の見積もりをしているとすれば大幅な税収減が生ずると思うんですが、その点はいかがでございますか。
#104
○政府委員(薄井信明君) 税収の見積もりにつきましては、まず九年度の税収を見積もらせていただきまして、補正予算の歳入の項目に計上させていただいております。これは、委員御指摘のように、当初予算で考えたよりも減額をせざるを得なかった。この減額をした補正予算上の税収をもとに各税目ごとに積み上げ計算、あるいは今御指摘のようなマクロの数字も使いまして、できる限りの正しい数字を求めで十年度予算に計上させていただいておりまして、単にマクロだけで弾性値一本あるいは成長率一本で推計することはやっておりません。
#105
○星野朋市君 時間がございませんのでまたこの委員会で改めて御質問をしたいと思いますけれども、きょうの段階で私どもはこの特別減税が今のような状態ではこれはばらまきの予算であるということを主張してまいりました。
 実は、きょうの昼のテレビでアメリカのルービン財務長官、それからパーシェフスキー通商代表部の代表、総理もよく御存じだと思うんですが、日本の景気対策はまだ不十分であると。アメリカというのは自分のところが正義であって人にやたらと口を出すという欠陥があるんですけれども、彼らの心情というのは、これで日本を含んだアジアの経済・通貨が失速をしてしまったら多分アメリカにもその影響が及ぶであろう、そういう心配もあるのではないかと私は推測しておるんですが、どうかこの減税が制度的なものになって景気対策として本当の成果を発揮できるように要望して、総理の御見解を伺いたいと思います。
#106
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今まで申し上げてまいりました考え方を私は変える御答弁をいたす状況にはございません。すなわち、今後もこれを引き続かなければならないような状態から早く脱したい、そういう趣旨のことを申し上げてまいりました。
 そして、今、議員から特定国の特定人の発言を引用されましたけれども、発言に対し発言をし返し、打ち返し合戦になることは私は決していいことではないと思っておりますので、これに対する論評は控えたいと思います。
#107
○星野朋市君 終わります。
#108
○菅川健二君 改革クラブの管川健二です。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、今回の大蔵省の一連の不祥事につきまして、いろいろ御議論されておりますように、私も早急に公務員倫理法の制定を急ぐべきだというふうに思うわけでございます。
 あわせて、これを契機といたしまして、大蔵省というのは明治以来百三十年間ほとんど無傷で、例えば内務省などは戦後散り散りばらばらに解体になったわけでございますが、今日まで権限をどんどん広げてきて大変なモンスターのような巨人になってきたわけでございます。
 したがいまして、この際大蔵省の構造改革を断行すべきではないかと思うわけでございます。財政と金融行政の完全分離、国税庁の分離・独立を図りまして、財政、そして金融、徴税の三分割によってより効率的な行政体制をとるべきではないかと思うわけでございますが、総理の御見解をお聞きいたしたいと思います。
#109
○国務大臣(橋本龍太郎君) 提起をされました問題、まず第一点は財政と金融の分離という点でございました。この点につきましては、先般与党三党の間におきまして論議が尽くされました結果を合意として取りまとめをいただき、その合意を目下政府としては基本法案の中に盛り込むべく作業をいたしておるところでございます。
 そして、私はどう申し上げればいいのか大変お答えの仕方が難しいわけでありますが、政府が中央省庁の再編というものを、地方分権を進め、規制緩和を進め、結果としてスリムになっていく中央省庁全体の再編という中で新たな将来像を描きました中におきまして行政改革会議長終報告というものを取りまとめてまいりました。
 これを受け、今これを最大限に尊重し、これに基づいて基本法を取りまとめ、国会に御審議を願おうとしております今日、この行政改革会議の報告、これを受けまして取りまとめます基本法案の中に政府として申し上げるべき点を全部挿入、そのためには行政改革会議の報告を法律に、条文にできますものはそのままに取り入れて立法化する、そのような立場にあろうかと存じます。
#110
○菅川健二君 私は、この事件を契機として、再度大蔵省の改革について見直しするべきではないかということを申し添えておきたいと思います。
 次に、今回の提案されておる二兆円減税に関連するわけでございますが、午前中の本会議におきましても、かっての同僚の今泉議員、それから益田議員からも御発言があったわけでございます。総理を目の前にしてまことに恐縮でございますが、大変火の玉になって国政を担当しておられるわけでございますが、この一年余りの経済政策を振り返ってみますと、失敗の連続であったのではないかというふうに思うわけでございます。
 この経過につきましては午前中以来話があるわけでございまして、若干私なりに整理いたしますと、まず本年度の予算編成の段階におきまして経済予測の前提となる景気判断を誤ったことが事の起こりではないかと思うわけでございます。ようやくバブルの後遺症から立ち上がって立ち直ろうとした病み上がりの日本経済に対して、健康な体に立ち直ったと誤診したことから始まったのではないかということでございます。
 この誤診に基づきまして、体力のあるうちに肥満体質をスリム化するということで九兆円もの創業を飲ませ、さらに財政構造改革法や公共事業の削減等の新たな創業を次々と飲ませ続けたわけでございます。この間、血液に不良債権というがんが増殖していたにもかかわらず、単に住専処理で六千八百五十億円をかけたということで治療できたとしてこの問題を放置してきたのではないかと思うわけでございます。この結果、食事ものどに通らないほど体力は消耗しまして、血液のがんは次々と転移し、日本経済は瀕死の重体に陥ったわけでございます。
 橋本総理も年末になってやっと東南アジアに行かれましてこの病状の重さを認識されたと見えまして、今回の二兆円の減税を初め一兆五千億のゼロ国債の発行と次々に栄養剤を打ちまして、また三十兆円に上る血液のがんの撲滅に向けて応急処置を準備されたわけでございます。
 しかしながら、この容体が瀕死の重体になった経済というものが快方に向かうかどうか、必ずしも予断を許さないのではないかということでございまして、日本経済の現状、それから処方せんにつきまして橋本総理の御見解をお聞きいたしたいと思います。
#111
○国務大臣(橋本龍太郎君) さまざまな角度から御批判をいただきましたけれども、あえて私は議員に論争を挑むのではございません。
 今まさに私どもは状況を厳しく見ながら、そのために特別減税の御審議も、先ほど星野議員から御指摘がありましたように、参議院においては大変異例な御審議をお願いする結果になりました。しかし、その結果として、二月に入りますと減税が成立を参議院で認めていただきますならばお届けができるという状態になりまして、私はこれは院に対してお礼を申し上げたい気持ちであります。
 また、先刻来も大変この効果という点からの御論議をいただきましたが、私は十年度予算、あるいは引き続いて御論議をいただくことになるであろう十年度の政策減税、あるいは金融システム安定化のための三十兆円、それぞれの効果が総合し相乗効果を上げますように、一日も早く国会の御承認を得てこれが実行に移せることが一番大切なことだと考えております。
 なぜなら、既にこうした施策にさまざまな御議論がありながらこれを市場が織り込んでいる、市場が織り込んでおりますものが期待どおりに市場の手に届きませんときにそれがまたどのような状況を生むかということを考えましたとき、ぜひともこうしたそれぞれの財政・金融等の措置に対する御審議、できるだけ早くお願いを申し上げたいという気持ちで私はいっぱいであります。
 そして、こうした措置をとりますことによって私は経済の先行きに対する不透明感というものが払拭されていきますことも大事なことだと思います。
 また、本当に金融情勢が不安定になりました幾つかのアジアの国におきましてIMFとの間の構造調整に対する話し合いがまとめられ、これに基づきましてそれぞれの支援が動き始め、我が国もそのIMFそのものの資金拠出と同時に二線準備の一部を既に動かしサポートに回っておりますが、これが一日も早く安定いたしますことを私は非常に大きな要素として見ております。
 それだけに、こうした面での努力も一方で払ってまいりますが、そうしたものが相まってよき結論に到達できますように院の御協力を心からお願い申し上げる次第であります。
#112
○菅川健二君 これからの経済政策につきましては全力を注いでいただきたいということはまことに同感でございますが、これまでの景気判断を誤り、処方せんを間違って政策不況をもたらし、国民生活を不安に陥れた、そういったきちんとした責任はとっていただきたいと思うわけでございます。
 経済状況につきまして、早期発見、適正診断と処方せんをもとに早期治療をしておれば三十数兆円にも及ぶ財政出動は必要がなく、最小限のコストで経済が立ち直ったのではないかと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
#113
○国務大臣(橋本龍太郎君) 世の中に歴史から教訓を学べということわざと歴史の中のもしは禁物という二つの言い方がございます。私はそれはそれぞれに意味を持つことだと思います。
 そして、私どもそのときそのときに最善を尽くしてまいっておるつもりでありますが、例えばバブルの発生からその崩壊に至り今日に至るプロセスの中で、常に政府は正しかったと申し上げるような思い上がったつもりはございません。そうした中におきまして今後も最善を尽くしてまいりたいと思います。
#114
○菅川健二君 減税につきましても、さきの通常国会におきまして新進党が主張していましたように、二兆円の特別減税の継続をその時点で行っておればそれ相応の効果があったと思うわけでございますが、消費不況というものの病状が現状のように大変悪化した状況におきましては、二兆円の減税というのは余りにも遅過ぎ、この額では焼け石に水でございまして、ほとんど効果がないと思うわけでございます。ただ、ゼロより若干ましかなということではないかと思うわけでございます。
 我々としては、所得税、法人税等を合わせまして六兆円規模の思い切った減税を恒久減税として制度化すべきことを主張して、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#115
○委員長(石川弘君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 本案の修正について笠井亮君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。笠井亮君。
#116
○笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法案に対する我が党修正案の提案の理由を御説明いたします。
 今日、日本経済は長い不況のトンネルの中にあり、そこからの出口がまだ見えてこない深刻な状況にあります。景気の回復に水をかけ、これをおくらせた最大の原因が、九七年度予算で政府がとった所得減税打ち切り、消費税増税などによる九兆円の国民負担増にあることは明らかであります。
 不況のトンネルから抜け出し、景気の早期回復を図るには、国内総生産の六割を占める消費需要をふやすことが真っ先に求められます。政府提案の減税法案は、九兆円の国民大負担に対して二兆円の減税というものであり、余りにも遅く、余りにも小さいと言わねばなりません。
 しかも、政府案は単年度限りの措置であり、来年になるとこれが打ち切られ、その分ことしに比べると増税となるというものであります。これでは国民は、減税だからといっても、うっかり財布のひもを緩めることもできません。
 我が党は、今日の不況打開のために、政府の国民負担増路線を根本的に改め、消費税を少なくとも三%に戻すこと、特別減税を恒久化すること、社会保障改悪計画を中止することを求めています。
 本修正案は、このうち所得減税について、政府案の平成十年分所得減税を平成十一年分以降、当分の間継続して実施することを求める内容になっております。これは最小限の要求であり、かつ現実的な提案であると確信しております。
 各党各会派が御賛同くださることを期待して、提案の説明といたします。
#117
○委員長(石川弘君) これより原案及び修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#118
○笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、平成十年分所得税の特別減税法案に反対、修正案に賛成の討論を行います。
 本法案は、今年度予算で政府が行った消費税の引き上げ、特別減税の打ち切り等による九兆円の国民負担増に対してわずか二兆円、しかも単年度限りの所得減税を内容としています。これでは消費拡大への効果も限られ、不況打開にはつながりません。
 今日の深刻な不況打開のため、私は、特別減税を継続するとともに、消費税率を三%へ引き下げるなど、九兆円の国民負担をもとに戻すことこそ必要であることを主張し、討論といたします。
#119
○委員長(石川弘君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法案について採決に入ります。
 まず、笠井君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#120
○委員長(石川弘君) 少数と認めます。よって、笠井君提出の修正案は否決されました。
 それでは次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#121
○委員長(石川弘君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#122
○委員長(石川弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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