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#1
第142回国会 財政・金融委員会 第11号
平成十年三月三十一日(火曜日)
   午前九時三十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     小川 勝也君     峰崎 直樹君
 三月三十一日
    辞任         補欠選任
     三重野栄子君     谷本  巍君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         石川  弘君
    理 事
                岡  利定君
                河本 英典君
                楢崎 泰昌君
                久保  亘君
                益田 洋介君
    委 員
               大河原太一郎君
                片山虎之助君
                金田 勝年君
                野村 五男君
                林  芳正君
                松浦 孝治君
                伊藤 基隆君
                今泉  昭君
                峰崎 直樹君
                牛嶋  正君
                志苫  裕君
                谷本  巍君
                三重野栄子君
                笠井  亮君
                星野 朋市君
                菅川 健二君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  松永  光君
   政府委員
       大蔵政務次官   塩崎 恭久君
       大蔵大臣官房金
       融検査部長    原口 恒和君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     溝口善兵衛君
       大蔵省主計局次
       長        藤井 秀人君
       大蔵省主税局長  尾原 榮夫君
       大蔵省証券局長  長野 厖士君
       大蔵省銀行局長  山口 公生君
       大蔵省国際金融
       局長       黒田 東彦君
       国税庁次長    船橋 晴雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小林 正二君
   説明員
       厚生省年金局運
       用指導課長    皆川 尚史君
       郵政省貯金局資
       金運用課長    篠田 政利君
       自治省税務学府
       県税課長     片山 善博君
       自治省税務局固
       定資産税課長   武田 文男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○平成十年度における財政運営のための公債の発
 行の特例等に関する法律案(内閣提出、衆議院
 送付)
○法人税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(石川弘君) ただいまから財政・金融委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二十七日、小川勝也君が委員を辞任され、その補欠として峰崎直樹君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(石川弘君) 平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、法人税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。
 三案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○林芳正君 自民党の林方正でございます。
 本日は大変に大事な法案の審議をいたさなければならないわけですが、その前に、きょうは年度末でございます。いろいろな経済対策が言われておる中で、この年度末の株価というのが大変に意味を持ってくるという意味でいろんなことが巷間言われておるわけでございます。ちまたではPKOという言葉をよく聞くわけでございまして、これはピース・キーピング・オペレーションではなくてプライス・キーピング・オペレーション、こういうことだそうでございます。
 論調等、報道されておるところを見ておりますと、公的資金を株の買い支えに使って年度末の日経平均をある一定のレベルに保つ、こんなようなことが言われておるわけですが、一方で財投の改革等いろんな話が進んでおりまして、いろんな資金を自由に運用していくというのが全体の方向であることも間違いないわけでございます。実際やっておられることと報道されておるところにひょっとすると少し乖離というか矛盾、誤解もあるのではないかなと、こんなようなことを考えておりまして、ちょっとこれをお聞きしたいわけでございます。
 まず事務的に、簡保事業団、それから年金事業団は今どういうような運用をやられておられるか、きょうはお忙しい中、郵政省、厚生省に来ていただいておりますので、郵政省の方から今どういうふうにおやりになっておるかということを御説明願いたいと思います。
#5
○説明員(篠田政利君) お答えさせていただきます。
 郵便貯金資金、簡易保険資金と申しますのは、そもそも郵便貯金の預金者、簡易保険の加入者から付託をされました資金でございまして、その資金の運用に当たりましては、確実で有利な方法で行うことによりまして、預金者、加入者の利益の向上並びに郵便貯金事業、簡易保険事業の健全な経営の確保ということを目的として行っているものでございます。
 今回、与党三党から提案されました簡保事業団を通じた指定単の運用額の拡充及び郵貯、簡保本体での指定単運用制度の創設につきましては、預金者及び加入者の利益の向上を目的といたしまして機動的かつ弾力的な運用を可能とするものであるというふうに理解をいたしております。
 郵政省では、与党三党から御提案されました施策がより一層有効適切な資金運用を可能たらしめるものであるということで経済対策閣僚会議で御了承いただきまして、この施策を取り入れまして必要な措置を講じることにしたものでございます。
#6
○林芳正君 厚生省、お願いいたします。
#7
○説明員(皆川尚史君) 年金資金の運用でございますが、基本的には年金福祉事業団を通じて民間の金融機関を活用しながら市場運用しているわけでございますが、平成八年の末で全体二十三兆円の運用をしています。そのうち株式運用は五兆一千億、約二三%の資産を占めております。
 こうした資産の運用をするに当たっては、いわゆる長期的な基本ポートフォリオというものをつくりまして、どのような資産にどのような割合で投資をするかという長期的な判断のもと、各資産に分散してこれを行ってきているわけでございます。今後ともその方針でいくということでございます。
#8
○林芳正君 今、お二方にお聞きしたわけでございますが、従来どおりやってきたことをやっていく、年金にしても郵貯にしても預かったお金を預かった人のためにきちっと運用する、こういうことであったわけでございますが、どうも新聞を読んでおりますとそういう感じがしないわけでございます。もし本当にそういうことであれば、間違った印象を余り報道でまき散らしていただいても困るわけでございますし、余り何もしないといってきょう株価がどんと下がっちゃっても、これもまた困っちゃうなと、大変に難しいところがあるわけでございます。
 きょうは年度末、余りここで問題発言をして、おまえが平成恐慌の旅大暴落のあれを引いたと言われても困るわけでございますけれども、中長期的なお話として、こういうようなことが言われないようにする、李下に冠を正さずという言葉がございますけれども、やはり日本の株価市場というのはきちっとしたディスクロージャーによって株価が形成されて期待収益率によって投資を行えるんだということを、国内はもちろんですけれども、特に海外の投資家に対してもきちっと出していくということが重要だと私は考えておるわけでございます。
 きょうは参議院の委員会の審議でございまして、参議院からお出になっている政務次官、日銀の御出身でもありますから、その辺について御見解をぜひ賜りたいと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
#9
○政府委員(塩崎恭久君) ただいま林委員からPKOの問題について大臣ではなくて私に答えろということでございます。
 今、厚生省、それから郵政省からお話がありましたように、今やらんとしていること、あるいはずっとやってきたことというのは、かなりの長い時間をかけて年福事業団あるいは簡保事業団を通じて自主運用の形でやってきた中の一つで指定単というのをやってきた、その中に株が入っているということでございます。でありますから、資金運用手段の多様化と長期的、安定的な資金運用という観点でやっているということでございますし、さっきもちょっとお話がありましたけれども、今回の自民党を含めた与党三党の景気対策、経済対策、三月二十六日の中にも健全な経営の確保のためということでやっているわけでありますから、総理あるいは大蔵大臣がこれまで述べてきたとおり、今回の言っていることはPKOには当たらないということで政務次官としての答弁はさせていただきたいと、こう思うわけでございます。
 そこで、一般論で長期的なというお話でありますから、少しそれをお話しさせていただきたいわけでございます。
 当然、一般論として申し上げれば、政府が株式市場で株価を操作するというようなことは好ましいことではないし、百害あって一利なしということではなかろうかと思います。邪道だと私は思っております。しかしながら、先ほど林委員からお話がありましたように、マスコミはそうはとっていない。確かに、ちょっと私も是でグラフを書いてみますと、何か報道で出ると、つまり郵貯、簡保で株を買うよというふうに言うとぽこっと株が上がって、しかしまた垂れてくる、新聞報道があるとまた上がるというようなことで、結局こういうようなことが報道されることによってむしろ市場にゆがんだ影響を与えてきたというふうに思える節が多いわけでございます。
 これは林委員に釈迦に説法でございますけれども、株価というのは何で決まるかといえば、一つ一つのベースでいけば、当然その企業の将来収益を現在価値に割り引いて見たらどうだ、リスクプレミアムも含めてどうだという話であり、株価トータルでいけば、これは日本の経済の成長見通しがどうなんだ、そしてまたリスクプレミアムがどうなんだと、こういうことが株価にあらわれるというのが公式的な見方だろうと思うわけであります。そういう意味では、今、株価が下がっているということをどうとらえるかといえば、言ってみれば我々の体温みたいなものであります。経済の体温が少し下がっている、つまり何が原因なのかということを本当に考えなければいけないわけであって、単に体温だけをいじろうと思ったってそれは無理な話であって長続きはしないということではなかろうかと思うわけでございます。そういう意味で、長期金利を見てみますと、これは割合正直に出ていまして余り株価のような振れというのがなく、やはり将来に対して今は非常に慎重にマーケットは見ているということが出ていると思うんです。
 ですから、我々としてはやっぱりこういったところに注目をしながら、経済の本当の問題をどうとらえてどう解決していくのか、どういう対策を打っていくのか、つまり短期的、中期的、長期的、特に大事なのは恐らく構造的な改革をどうしていくのかというところをきちっと打ち出さない限りは私は株価の回復というのはあり得ないのだろうと思っております。そういう意味で、三月二十六日の対策というのはある程度中期的な展望も含めて入れているわけでございますけれども、まだ十分反応していない、ただ長期金利は少しはねているわけでありますから、それはわかってくれているのではないかなというふうに思うわけでございます。
 そこで、長期的なお話でありますから少し申し上げますと、では年金、郵貯がこれからどういう自主運用を、指定単をやる、株を買う、これをどうしたらいいんだということになると、やはりポイントが幾つかあって、それぞれ預かっているお金、さっきも郵政省から話がありましたが、どういう性格のお金を預かっているのかということに応じた運用というものをやっていかなきゃいけないのだろうと。つまり、きょう林委員も御質問なされる年金の確定拠出か確定給付がとか、あるいは積み立てか賦課方式なのかというようなことも含めてやっていかなければこの自主運用のポートフォリオの組み方というのは決まってこないだろうと思うんですね。
 でありますから、株に公的な年金をどう投入していくのかというのは実は今アメリカでも随分議論しているんです。恐らくこれは二、三年答えが出ないぐらい大きな問題でありますから、日本も今、厚生省ではたしか研究会を起こして自主運用の中でどういうポートフォリオをこれから組むのかということをやっているはずであります。そういう意味では、今回特に「郵貯・簡保本体による指定単運用を可能とするよう検討をし、」と、こう実は与党三党でもありますが、私はそんな簡単な問題ではなくて、むしろもっと時間をかけてやらなければいけないし、何よりも大事なのは、先ほど李下に冠を正さずという言葉がありましたが、指定単といえどもどこまで本当に指定しているのかというようなことは実はいささかやみの中もあって、昨今の接待疑惑等々もありますから、本当に李下に冠を正さずという意味ではディスクロージャーをどれだけやっていくのかということが大事なんだろうと思うんです。
 厚生省はもう既にディスクロージャーをやっていまして、この中に株がどれだけあるのか、どの会社に幾ら出しているのかというのも全部出ていて、利回りもどれだけあって、実は国内で大分損をしているわけでありますが、そういうことまで出ている。郵貯、簡保はもうちょっと頑張ってもらわなきゃいかぬなと私は思っている。株もどれだけ買っているのかよくわからない。指定単という形ではわかるようになっていますが、やっぱりそういうところをきちっとディスクローズしながら、そしてさらに、政府と民間との関係でありますから、政府が例えば議決権を行使するという話もあって、これを指定単の中で果たしてどうしていくのかねというような話もあります。どういう業種を買うのか、厚生省のこれにはどういう業種をというのもたしか全部出ていると思いますが、もっともっときちっとしたディスクロージャーをやっていきながら、国民の議論を経て国のお金、公的なお金を株に投入するということは決めていかなければいけないのだろうなというふうに思っております。
#10
○林芳正君 大変踏み込んだ、またうんちくを傾けていただきました答弁、本当にありがとうございました。
 きょうは郵政省、厚生省に来ていただいたわけでございますが、まさに私も政務次官と認識を共有するところでございまして、将来的にこの公的資金が入るからといって市場から見る目がほかの例えば外人投資家から入るお金と比べて信認度が低いということにならないように、今からどんどんビッグバン、また財投改革で公的資金が、政務次官が今おっしゃったように、いろんなところへ入っていって安全、確実、有利ということを目指していくということでございますから、その辺はよく研究をされて、透明な株式市場の中で、しかもお金を預けた人に対して最もいい結果を生み出すように御尽力をお願いいたしたい、こういうふうに思っています。
 ちょっと本題から外れましたけれども、この件はこれで終わらせていただきます。厚生省と郵政省はもう結構でございます。ありがとうございました。
 それでは、きょうは三法あるわけでございますが、まず公債発行特例法について、これは中身についてはお決まりの毎年の法案でございますが、基本的な考え方を若干質疑いたしたい、こういうふうに思うわけでございます。
 まず、財政法は財政における憲法、こう言われておるわけでございますが、建設国債の対象経費の定義が財政法四条にございますが、この公共事業費の具体的な内容、それからどういうものがこの四条に言う公共事業に入るのかという基本的な考え方をまずお教えいただきたいと思います。
#11
○政府委員(藤井秀人君) お答え申し上げます。
 先生おっしゃいましたように、財政法は健全財政主義ということで例外的に一定の範囲内で建設公債の発行を認めているところでございます。
 そこで、御指摘の公共事業費の範囲はどの辺にあるのかということでございますけれども、やはり負担の公平という観点から、それにふさわしい性格あるいは一定の耐用年数等々を有する資産の取得形成ということがその範囲の限界であろうというように考えております。具体的な例で申し上げますと、国の直轄あるいは補助金等々で施行いたします河川、道路あるいは砂防等といったいわゆる土木の関係、あるいは建設事業、さらにはその他の施設整備費等々がその範疇に当たっているわけでございます。
 これらを全体として考えますと、その背景にあります考えといたしましては大きく三つあろうと思います。一つは、それが投資的な経費であること、それから二つ目はそれが国民経済の発展に資すると言うにたえるようなものであること、そして三つ目は世代間の負担の公平の観点から見て公債発行対象経費とするにふさわしい、そのような耐用年数等を有することということの三点が言えようかというように思っております。
#12
○林芳正君 ありがとうございました。
 総論としては非常にわかりやすいわけでございますが、具体的にどれが入るかどれが入らないかということになりますとなかなかグレーゾーンがあるのではないかなと思うわけでございまして、ちょっと調べていただきましたら、昭和四十一年度には今の公共事業というものの種類が今とほぼ同様の範囲になっておるということだそうでございます。その後若干変更があるわけでございますが、例えば四十七年度に官庁営繕費、社会福祉施設整備費というのを追加した、それから五十二年度は農林漁業構造改善事業費のうち消費的経費を外すことによってこれを対象経費に入れた、五十三年度には鉄建公団工事費補助金及び住宅公団建設費補助金、船舶建造費というようなものが入っておりますが、五十四年度以降は新しい種類のものは入っておらない、こういうことでございます。
 先ほどの定義、非常に大事な原則だと思いますけれども、世の中がこれだけ変わってきますといろんな新しいものをこの中に累次的に追加をしていかなければいけないのではないか、こういうことで我が党の中でも議論を、今までもずっと新社会資本という議論をやっておったわけでございますが、今回またやろうということになっておるわけでございます。例えば、よく言われております情報通信分野でパソコンを認めたらどうか、こういう議論もあるわけでございます。これに関しましては、お聞きしますと、いわゆるLANというもの、ローカル・エリア・ネットワークということでございますが、これはずっとビルの中に線が入って、端末が出てきてそこへコンピューターをくっつける、こういうことでございますが、これについては床壁埋め込み型の配線部分等や基盤となる二重床整備等については施設費として公債発行の対象経費になる、ただその先にくっつくパソコンについては、外して持っていけるものですから、なかなか難しい、こういうようなことでございます。
 やはり、この三つの原則というのは大変大事でありますし、本来ならば公債ではなくてきちっとした税収の中でやっていけば済む話でございますから、その辺の限定というのは余りルーズになってはいけないと思うわけでございますが、一方で昭和五十四年度以降新しいものが入っていないという状況も少し、将来の子供たちのことを考えるとこれだけでいいのかなという気もするわけでございます。
 例えば、今申し上げました設備機器やソフトウエア等を今からこの四条の中に入れていくような方法はないのかなと、こういうふうに思うわけでございますが、その辺はいかがでございましょうか。
#13
○政府委員(藤井秀人君) お答えいたします。
 今、先生おっしゃいましたように、四十一年度に建設公債がいわば当初予算としては初めて発行されたわけでございます。その後、これも先生今お話しございましたように、四十七年度から五十三年度にかけまして若干の追加メニューというものが建設公債の発行対象経費に入ってきたということは事実でございます。
 ただ、これらにつきまして新たな解釈でもって新しいメニューが入ってきたかといいますと、実はそうではございません。当初から先ほど私申し上げましたような考え方の範疇の中で建設公債の発行対象経費というものは考えられていたわけでございます。いわば四十一年当時は財政節度という観点からあえて四十七年度以降拡大いたしました対象経費というものをいわば自制的に対象範囲としては観念していなかったということでございまして、この四十一年度以降基本的には考え方あるいは財政法の解釈そのもの、これは変わっているわけではございません。
 そこで、先生今おっしゃいましたソフトウエア等々のいわば建設公債発行対象経費の解釈上の拡大ができないかどうかという御指摘でございます。
 これも先生今おっしゃいましたように、先週自民党の方でも小委員会が設けられたというようなことも承知いたしておりますし、また今国会におきましてもこの建設公債の対象範囲あるいは特例公債との関係等々について種々議論があることは私どもも承知をいたしております。
 ただ、私ども財政当局の立場からいいますと、建設公債の発行対象経費といいますものは財政節度の観点からどのように考えるのか、やはり一定のいわば後年度の人たちに負担をお願いするに足りるような資産の形成に限るべきではないだろうかとか、コンピューター等につきましてはその耐用年数が極めて短い、陳腐化が早いわけでございますから、これらの問題について種々議論があることは承知をいたしておりますが、財政当局としてはこの問題についてはよくよく慎重に検討をしていく必要がある、解釈上これを広げていくということは極めて難しい、困難ではなかろうかというように考えております。
#14
○林芳正君 大変に難しいということでございました。確かに難しさというのはよくわかりますし、財政構造改革法、将来に負担を残さないということを一度決意したわけでございますから、余りその例外をつくって抜け道をつくってどんどんふやすというようなことは厳に慎むべきだと、こういうふうに思うわけでございます。
 赤字国債と建設国債の区別をしている国というのはたしか我が国とドイツだけだったというふうにも思っておりますし、また、最初におっしゃいました三つの基本原則の中で耐用年数ということもございましたけれども、こういうものにとらわれずに本当に将来のために世代間の負担の平等ということが担保されれば、例えば六十年と言われておりますけれども、余りそういうことにこだわる必要はないのではないかなと、こういうふうに思うわけでございます。
 形として残らなくても、例えばベンチャーキャピタリスト育成のための費用、これはもし本当にベンチャーキャピタリストが育成されて新しい企業が興れば将来の日本のための経済発展の種になるわけでございますから、こういうようなことも少しやわらか目のお金も何とか盛り込めないかなというふうに思っておるわけでございます。財政当局としてはなかなか結構でございますというふうには言えないと思うんですけれども、そういう意見を表明させていただきましてこの件については終わらせていただきたい、こういうふうに思います。
 税の方に移りたいと思うわけでございますが、まず総論的な部分でございます。
 租特にいろいろ出てくる引当金について、この間報道もあったわけでございますが、企業会計との関連で一つお聞きしたいのは、引当金に関する税法上の扱いを見直すということでございます。これは企業会計にも当然反映させるということにならないわけでございまして、しかしながら、会計上支払い税額を単純に税引き前利益から控除するということにしますと、株主に対する配当可能利益というものが不当に小さくなることも可能性として出てくるわけでございます。そのために税法上の見直しにあわせて会計法も変えるべきだという、これは本来からすると逆のような議論でございますが、そういうのも出てきてしまうということでございます。
 こういう問題を解消するためには、やはり税効果会計と言われているものを認めることによって租税債務の期間配分というものを適正に行っていかなければならないのではないかなと思うわけでございます。現在では連結会計においては税効果会計をやってよろしいよということでございますが、これを単体の決算にも認めていくべきではないか、こういうふうに思っております。
 それで、たまたまこの質問をつくっておりますときに報道がございまして、どうもその方向で今進みつつあるというような報道だったように承知をしておるわけでございますが、この辺はいかがでございましょうか。
#15
○政府委員(長野厖士君) お答え申し上げます。
 林先生御指摘いただきましたとおり、連結財務諸表上は、これは企業会計審議会が昨年の六月に意見書を提出いたしまして、全面的に税効果会計を適用するということになっておりますが、個別財務諸表につきましては商法との調整という問題が残っております。
 そこで、昨年六月の企業会計審議会の意見書におきましては、この部分につきましては「税効果会計は、本来、連結財務諸表のみでなく、個別財務諸表においても適用されるべきものである。このため、個別財務諸表における税効果会計の適用について、今後、商法との調整を進めることが必要と考える。」という明瞭な御結論になっております。さらに、先般、三月十三日でございますけれども、企業会計審議会はその一つの部会におきまして個別財務諸表における税効果会計の適用の審議を開始されたところでございます。
 あわせまして、ここで指摘されておりますように商法との調整という問題がございますので、私どもは法務省と共同で商法と企業会計の調整に関する研究会というものを、これは商法学者、企業会計の方々、あるいは実務家等々も御参加いただきまして今鋭意進めさせていただいておりまして、税効果会計の商法上の取り扱いについて御検討をいただいておるところでございます。できるだけ早期にこの問題について結論が得られるように私どもも努力してまいりたいと考えております。
#16
○林芳正君 ありがとうございました。
 商法ですから法務省とおやりになっているということでございますが、今、局長に御答弁いただきましたように、できるだけ早急にやっていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。特に、法務省、学者の方とやると随分時間がかかることが多いような印象を私持っておるものですから、特に頑張っていただいて早期に結論を得ていただくことをお願いしておきたい、こういうふうに思います。
 それでは次に、先ほど政務次官からもお触れいただいたわけでございますが、年金についてです。
 実は来年が財政再計算ということで、特にこれは先ほどの建設国債のときにも出ました世代間の負担という面から見ても大変に大きな問題ではないかなと思っております。特に、厚生省におかれましてはA、B、C、D、Eという五つの選択肢を提示することによりまして国民の間で議論をしていただきたいと、審議会というのは今までは大体結論を一つ出してこれでございますということでありましたが、選択肢を提示してみんなで考えてもらうということは非常にいいことではないかなと思っております。
 これは税も大きくかかわってくるわけでございまして、この一連の税制改革の中で、従業員の老後の生活のため大変に大きな役割を担っている退職金、年金にかかわる税制、すなわち退職給与引当金でございますが、これを引き下げみ、法人税の改革の中に入っておりますが、この見直しは全体的にどういう趣旨でどういう動きの中で行われたのかをまずお聞きいたしたいと思います。
#17
○政府委員(尾原榮夫君) 今回の法人税制改革のねらいでございますが、課税ベースの適正化を図り税率の引き下げを行う、つまり結果的に特定の業種、特定の企業に有利になっているであろう課税ベースを適正化することにより、より中立的な税制にしていくというのが今回の基本的な法人税制改革の考え方でございます。その中で、今回退職給与引当金につきましても適正化を行うことにしたわけでございます。
 実は、この退職給与引当金でございますが、法人税といいますのは法人の所得を各事業年度ごとにとらえその都度適切な負担を求める税でございますが、相当長期間経過後に支払われる退職金という費用を実際の支払いに先行して控除するということにつきましては、本来抑制的に考えるべきではないかという指摘がございます。これは、いわば税制というのはより債務確定主義を徹底すべきではないかという考え方であるわけでございます。
 それからまた、課税上あたかも外に払った費用であるかのように取り扱うというのが退職給与引当金になるわけでございますが、実際には企業が相当長期間にわたって自己資本のように自由に利用できる面がございます。また、その利用状況を眺めてみますと、利用する企業と利用しない企業とのアンバランスが生じているということがございます。
 それ以外の社会的な機能の面としての指摘といたしましては、退職給与引当金があるために給与で支払わずに後で支払うということになっているのではないかというようなこともございます。
 また、これは税制とは別の話でございますが、外部拠出の年金制度の方がかえっていいのじゃないかというような考え方もございます。
 そういうことを踏まえまして、税制としては今の累積限度額をできるだけ縮減すべきであるということで、今回の改正ではいわゆる二〇%に引き下げるという御提案をしているところでございます。
#18
○林芳正君 御説明いただいたとおり、退職金をやめるときに一時的にもらうということよりも、これを少なくすることによって給与の方に戻ってくるとか年金の方に行くということも考え方の中にあるという御説明でありましたが、まさに法人税の枠組みで考えるとその負担、それから今おっしゃったような原則というのは出てくるわけでございます。
 一方、勤める人の方から見ると、企業に対する制度が変わることによって企業の退職後の所得に対する考え方、従業員のそれに対する考え方というのがやはり影響を受けるわけでございまして、老後の所得保障に関する制度設計については、この退職給与引当金が法人税の枠内にとどまらず、やはり年金ですとか退職金というものを全体として制度の設計をしていかなければならないのではないかなと。
 先ほどの厚生省の案ではありませんけれども、オープンな場で議論をしてコンセンサスを形成していかなければいけないのではないかなというふうに思っておるわけでございます。大蔵省としても、例えば公的年金の方が給付水準を引き下げるというアイデアもあるわけでございますが、そういうことになりますと今度は財政の負担を減少させるという可能性もあるわけでございます。一方で、私的年金をそれを埋める材料として充実させるということになれば、税というのが大変に役割として大きくなってくるわけでございます。
 ですから、大蔵省の中としても主計、それから主税、そして今の税制通年というのは官房がやっておられるということで了解しておりますけれども、ほかの役所、厚生省とか労働省とか一緒になってトータルな、企業がどうしたとか税収がどうしたという面ともう一つ、個人、国民一人一人が自分の一生を通じてどうなるのか、それについて、いろんな会社を移った人とずっと同じ会社にいた人と自営の人ということについてニュートラルに制度というのを設計していかなければいけないのではないかな、こういうふうに思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
#19
○政府委員(藤井秀人君) お答え申し上げます。
 現在、厚生省を中心といたしまして公的年金あるいは企業年金等の改革に向けた議論が行われているわけでございます。
 昨年の十二月でございますけれども、年金審議会から論点整理が行われ、そして厚生省から五つの選択肢が示されております。また、ことしの二月に入りまして年金白書というものが出されまして、広く国民に種々の議論をお願いしたいということかと思います。
 大蔵省の方といたしましても、先生おっしゃいましたように、一つは財政負担が今後どのようになっていくのだろうかあるいはまた国民負担が最終的にどのような形になっていくのであろうかというような問題、あるいは税制適格年金における税制上の取り扱いをどのように考えていくのかさらには国家公務員の共済組合、これも厚生年金等とどのようなかかわりを持っていく必要があるのだろうかということで、大蔵省全体といたしましても厚生省の議論というものと非常に大きな密接な関係があるというように考えております。
 そういうことからいいまして、大蔵省といたしましても、関係各局が集まりまして当然議論をし、必要があれば厚生省等関係省庁とも議論をしていく必要があるというように思っております。また、この問題については将来の国民生活に極めて大きな影響を与えるものでございますので、機会があれば私どもといたしましても、厚生省中心ではございますけれども、広く国民に問題を提起し、議論をいわばオープンにし、いろいろな議論をいただき、そして何らかの結論を得るべく努力していく必要があるというように考えております。
#20
○林芳正君 ありがとうございました。ぜひ来年の再計算に間に合うようなペースで御議論をいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
 これは年金の話とともに先ほどもお答えいただきましたけれども、今度は運用の方にいろんな影響が出てくる話だと思いますので、いろんなところを見ながらパッケージとしてやっていただきたいなと思うわけでございます。全体像を議論するときに企業や生産世代、生産年齢人口ということがございますけれども、そういう世代の負担をきちっと考えていかないと経済全体にとっての活力というものが失われる危険性というものが出てくるのではないかなと思うわけでございます。
 例えば、公的年金の給付水準を引き下げることによって企業の負担が減ったとしても、その公私的分野で企業が同じだけ負担がふえたということでは意味がないわけでございまして、この私的年金の分野で、ではどういうふうに効率化が可能になるのか。今言いました運用も含めて大きな工夫が必要になってくるのではないかなと、こういうふうに思うわけでございます。
 そこで、第一に年金に関する資産と負債の状況を正確にきちっと開示していくという必要があると思うわけでございます。これによって、先ほどPKOの議論をしましたけれども、金融や資本市場からのチェックが可能になって、チェックが入ることによって運用のパフォーマンスというものが向上していくということが期待をされるわけでございまして、この年金会計の見直しの状況と今からの方向性について教えていただきたいと思います。
#21
○政府委員(長野厖士君) 企業年金会計の問題につきましては、これも企業会計審議会が一昨年の十一月、橋本総理から金融システムの改革につきましての御指示がありました段階から取り組んでおる問題でございます。現在、年金部会におきまして会計基準の策定を進めておりますので、ことしの夏には会計基準の取りまとめがいただけるのではないかと考えております。
 その内容でございますけれども、幾つかのポイントがございます。例として挙げさせていただきますと、まず企業が積み立てました企業年金資産の時価評価、その時々の段階での資産内容の評価を時価で行うという課題がございます。それから、企業が将来負担する年金給付額を算定するという課題がございます。その二つを行いますと、企業年金が当初予定しておりました利回りよりも低くしか運用できていないという場合に、将来給付に対しまして企業サイドは積み立て不足ということに陥ることが生じます。そのことの会計処理といったようなことが課題になります。
 それも含めまして、企業年金の仕組み全体のディスクロージャーということも研究課題になっておりまして、実は大変地味な分野でございますけれども、私どもの持っている問題意識としまして、日本の市場、特に株式市場の将来の発展にとりましてこの年金会計の問題というのは大変大きなインパクトがあるだろうと思っております。
 今まで企業が他の企業の株を保有します場合には、それはいわば通常ですと持ち合いという形でございますので、配当利回りとかなんとかよりも安定株主とか友好的な取引関係という動機でございますけれども、年金を通じまして他の企業の株式を持つという場合には運用利回りが勝負になってまいりますから、友好的などか安定株主とかいうことではなく、一体どういうリターンが現実に確保されるのかということになります。そしてまた、先ほど申しました積み立て不足になっている場合にそれを補てんするということになりますと、完璧な時価会計をやりますと本業で幾ら利益を上げておっても年金の運用で失敗したらその企業は赤字になるということが起こってまいります。それを通じまして、本来的な意味の投資家がマーケットに育っていってROE重視の経営といった方向に動いていくのではなかろうかと。
 この点の違いというのが、例えばアメリカと比較しました場合に非常に違いますし、アメリカのアナリストからは日本の年金会計をもうちょっとディスクロージャーしてくれという注文がついておるのもそんなところの問題意識を持っておるのだろうと思いますので、この分野は大変重要な課題として今後取り組んでまいりたいと考えております。
#22
○林芳正君 局長、本当にどうもありがとうございました。
 まさに私も意見を同じくするわけでございまして、厚生省と郵政省はもう帰っていただいたんですが、今の御答弁をちょっと聞いていただきたかったなと思ったぐらいでございます。まさに大事な問題でございますし、先ほどのPKOの話もそうですけれども、よくわからないところで、何枚はいでもなかなか本当のものが出てこないというような雰囲気がまだまだぬぐえないというところが我が国の市場が低迷している一つの原因ではないかな、こういうふうに思うわけでございます。
 局長がおっしゃったように、大変地味な作業でございますし、いろんなものを脱がされるのを好きこのんでやる人というのは余りいないわけでございますが、ただこれはどこかでやらないといつまでたってもいろんなことを隠したままということになるのではないかな、こういうふうに思っておりまして、ぜひ今おっしゃったような方向で進めていただきたいなというふうに思うわけでございます。やはり、これだけ大きな経済になったわけですから、世界じゅうの投資家、資金というのが日本の市場を見ているわけでございまして、郵貯や簡保でやる何倍ものお金がこういう地道な努力をすることによって入ってくるのではないかというふうに思っておりますので、期待をしつつお願いしたい、こういうふうに思います。
 それから第二点でございますが、いろんな議論をするに当たって選択肢をやはりふやしていく。
 我が国は、今までは終身雇用でずっとそこの会社にいて年功でというライフスタイルがほとんどであったわけでございます。この間テレビを見ておりましたら、失業率が高くなってきたという特集で、高年齢の方は大変頭を抱え込んで、困っちゃった、行くところがありませんとか、こんなような話だったわけでございますが、二十代の失業者にインタビューしたら、いやこんなのは当たり前です、私は二年か三年仕事をしない間に手に職をつけて自分を高めることによってまた次に行きたい、インタビューに対してこんなような答えをしておりまして、総理が言われるように、労働力の水平移動というのがもう現実に起きておるな、こういうような印象を強く持ったわけでございます。
 そういった社会の動きに対応して、やはりいろんな選択肢を用意して、しかも、先ほど申し上げたように、どの選択肢をとったらすごく有利でどの選択肢をとったら非常に不利になるということがなるべくないような制度設計をしていくということが重要ではないかと考えるわけでございます。それを年金の場合は労使双方がうまく組み合わせていくことによって適正な負担というものが実現できるのではないかと思うわけでございます。
 そこで、よく言われております確定拠出型の年金、アメリカで四〇一Kというのをやっておる、四〇一Kというのは税法の番号だそうでございますが、確定拠出型の年金を認めるということによって運用効率に対して従業員が厳しくチェックを入れるということになるわけでございます。これは自分の分というのがはっきり区別ができるわけで、会社全体の年金が今言ったように開示をしていただいてまずいということよりも、自分の分がどうなっているのかということがもうオンタイムでわかるということになればもっともっと従業員の方がこれに関心を持っていくのではないか、こういうことでございます。
 これはいろんなところで議論が出るわけですけれども、税の対応としては非常に難しいというふうに言われておりますが、この辺、確定拠出型年金の導入ということについて税務当局の御見解をお聞きしたいと思います。
#23
○政府委員(尾原榮夫君) 今、先生から御指摘がございましたように、税制はなるべく中立的に考えていかなきゃならぬ、確かにそのとおりかと思います。しかし、他方、税制は公平という面も要請されるわけでございまして、その公平と中立をどう中和していくか、調整していくか非常に難しい問題がございます。
 と申しますのは、今の先生の確定拠出型年金について申し上げますと、そもそも我が国の年金課税でございますが、御承知のように、公的年金につきましては拠出段階では社会保険料控除ということで非課税になっております。また、受け取る段階は年金控除という型で実質非課税になっているわけでございます。
 ただいまお尋ねの米国の例、四〇一Kについて見てみますと、確かに拠出段階はある一定金額までは社会保険料控除で非課税になるわけでございますが、実は受け取ったときには丸々課税になるという仕組みになっておるわけでございます。そうしますと、日本の年金課税、実は公平という面から見ると世代間の公平も含めて相当問題のある仕組みに今なってはいないだろうかというふうに考えられるわけでございます。
 それで、確定拠出年金を税制上どう取り扱うかといいますと、我々の目から見ますと民間の普通の長期の貯蓄、金融商品と一体どこが違うんだろうかというところ、その課税バランスをどう考えるかというのが一つ問題がございます。それから二番目に、今申し上げました年金課税全般の話といたしまして、我が国の拠出時非課税、給付時実質非課税という制度をどう考えるかということがあるかと思います。
 いずれにいたしましても、この問題は企業年金のみならず、公的年金、個人年金を含む年金課税全体のあり方を視野に入れて総合的に今後検討していかなければならないというふうに考えているところでございます。
#24
○林芳正君 ありがとうございました。
 後でもう一度ちょっとこれについて包括的にまたお聞きしたいと思うんです。
 人材の移動が活発化して、その人材の適材適所ということが、先ほど申し上げましたように、水平移動ということが起きてくるというのが、全部ぐちゃぐちゃに動くというのではなくて一定の範囲で移動するということが非常に望ましい、こう思うわけでございます。
 今の仕組みは転職をする場合としない場合で大変大きな差が出てくるという制度になっておるんじゃないかと思うわけでございまして、退職金カーブ自体の問題というのは一つあるわけでございますが、この退職金税制も、そもそも一つのところへいた方がいいという社会があって、それに制度をつくったのでそうなっているのかもしれませんけれども、どうも転職した人が不利になっているような税制になっている嫌いがあるわけでございますが、いかがでございましょうか。
#25
○政府委員(尾原榮夫君) 我が国の退職金に対する税制でございますが、御承知のように、勤続年数に応じまして特別控除を設けてございます。例えば、勤続年数三十年では千五百万まで非課税とすることになっておりまして、その水準を超える部分については二分の一相当額を他の所得と分離して課税することとしてございます。その意味では、相当程度今の退職金税制は優遇されているということが言えるかと思います。
 それで、先生のお尋ねはこの制度がまさに転職を阻害しているのではなかろうかというお尋ねでございました。もう少しこの制度を申し上げますと、二十年を境目にいたしまして、二十年以上勤務した人はさらに有利になるような形になっているわけでございます。しかし、勤続十五年以下でのモデル退職金というもので比較してみますと、つまり退職金の支給額と課税になるかならないかということでございますが、十五年以下のモデル退職金で見る限り、退職金というのはどうも課税されていないのが今の退職金課税になっているわけでございます。したがいまして、今の退職金税制と転職との関係でいいますと、税制というよりは退職金のカーブの問題との関連の方が大きいのではないかというふうに考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたが、退職所得控除など大変優遇されているとも言える措置になっているわけでございます。そういう意味からいたしますと、他の所得とのバランスや税負担の公平からどう考えていくか総合的な検討を進めていくことが必要な課題であると認識しているわけでございます。
#26
○林芳正君 課題として認識をしていただいているということでございますから、引き続きやっていかなければいけないと思うわけでございます。
 やはり退職金カーブがありますから、これに対応して税のあれもあるのではないかそして税があるものですからまた退職金カーブもそのまま残る、相互に補強し合っているというようなこともあるのではないか、こういうふうに思っておるところでございます。
 さらに、私的年金についてはボータビリティーというものがないということが転職する人にとっては不利になっておるわけでございます。先ほど申し上げました確定拠出型の年金とともに、これも米国の例で恐縮でございますが、IRA、たしかインディビジュアル・リタイアメント・アカウンツだったと思いますが、個人勘定をつくって、退職してすぐに次の仕事に行かない場合に、一たん自分の勘定に入れて引き出さないということを前提にして、税を払わないままでロールオーバーができる、こういう制度を持っていることによって、この確定拠出型を持ったまま、間が一年、二年あいてもいろんなところへまた持っていけるということでございます。こういうことを確定拠出型とセットでやはり持っていって、年金の制度から見た場合に、例えば転職して一年もう一回学校に行こうとか、そういういろんなライフスタイルを選択する方にとって制度的に不利にならないようにするべきだと、こういうふうに思うわけでございますが、これについてはいかがでございましょうか。
#27
○政府委員(尾原榮夫君) 今、米国のIRAのお話がございました。先ほど申し上げましたが、実はそれぞれのIRAのような制度も全体の所得税体系の中で位置づけられている面があるわけでございます。
 そういう面で申しますと、先ほど少し長く申し上げましたが、日本の年金課税制度、実はアメリカと違いまして公的年金課税でございますが、拠出時の非課税、給付時実質非課税という問題になっていることをどう考えるかということをまず一方で申し上げさせていただきました。
 それから二番目の話といたしまして、利子に対する課税でございますが、実は日本では一律源泉分離ということになっているわけでございます。もちろん、その中でさらに財形貯蓄制度や老人等の方につきましては非課税制度がございます。じゃ、アメリカはどういう制度かといいますと、納税者番号制度の中での総合課税が行われている国である、そういう中でIRAも位置づけられていると。
 また、全体としての我が国の所得税負担でございますが、たびたび申し上げておるわけでございますが、我が国の所得税負担は非常に低うございます。アメリカと比べて、七百万円ぐらいのところで比較いたしますと約半分以下になっているわけでございます。そういう点をどう考えるか。さらに、先ほど申し上げましたように、個人勘定の問題、貯蓄とどのような関係にあると考えるのだろうかという問題があるような気がいたします。
 いずれにいたしましても、年金課税にかかわる話でございますので、年金制度改革の検討状況にあわせまして、今後幅広い見地からの見直しを進めていく必要があるというふうに考えているところでございます。
#28
○林芳正君 ありがとうございました。
 いろんな問題点がございますし、日米でいろんなベースとなる制度が違うということでございまして、その辺も含めて議論していかなければならない、こう思うわけでございます。
 例えば、貯金とどう違うのか、マル優をもとに戻してそれでやればいいじゃないか、こういう議論もあるわけでございます。確定拠出の場合はたしかある一定の年齢、年金ですから退職後ということで六十五歳から六十九歳以降引き出す分について考えておるわけでございまして、それ以前に引き出した場合は大変に懲罰的な課税をするということになっております。この辺がやはり貯金と違うということでございますし、今、局長が総合課税というお話をされましたが、まさにこれを考えていけば納番という問題にどうしても行くのではないかということは私も理解を共有しておるわけでございまして、そういうことも含めてやっていかなければいけないんじゃないかこういうふうに思っております。
 退職給与引当金とか現在の企業年金に関する損金算入のお話もありました。また、避けて通れない話として、生・損保控除をどうするのかという話もあるわけでございますし、それから局長がおっしゃいました受け取り段階での公的年金の控除ということも含めて考えていかなければいけないのではないかと。
 最初に申し上げたとおり、お役所でいろんなことをやっておりまして、何となく大企業にいて三階建てまで持っているという人が非常に有利なような感じになっております。それにプラスして労働省で財形年金というのをやっておりますから、中小企業や自分で会社をやっている人と大企業に勤めている人というのは非常に差が出てきておるわけでございます。大企業に勤めている人が例えばスピンアウトして自分で会社をつくろうというようなことがたくさん出てきて、今のアメリカの好景気を支えておる状況が一面であるわけでございますが、せっかく同じような技術や知恵を持っておっても、日本にいるとそういういろんなフリンジの部分でやっぱり残っていた方がいいなと、お母ちゃんの顔を見るとそういうふうなことになってとめているのではないかという気がするわけでございまして、いろんなことをトータルで考えていかなければならない。最初にお伺いしたとおりでございます。
 今申し上げましたようなことをすべて含めて見直しをすることによって横断的に制度設計をしていくということになりますと、たとえそれがネット減税ということにならないにしても、かなり大胆な見直しができるのではないかと考えるわけでございます。これは政治的ないろんな問題も含んでおるわけでございますが、もうすぐ二十一世紀ですからこういう大胆なトータルな制度設計の見直しを行っていくべきではないか、こういうふうに思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
#29
○政府委員(尾原榮夫君) まさに今回御審議いただいております法人税制改革あるいは金融税制改正がそうでございますが、税制はいろんな世の中の動きに応じた中身にしていかなきゃならないというのはそのとおりだというふうに考えております。
 今、年金についてお尋ねがございました。
 年金課税でございますが、平成十一年度の財政再計算を控えております。また、政府税制調査会の十年度の答申でも指摘されているわけでございまして、特に世代間の公平の観点、中立、簡素の観点から、拠出、運用、給付の各段階における課税について検討する必要があるというふうに御指摘をいただいております。
 また、先ほどの企業年金や個人年金の問題でございますが、これも老後生活における自助努力や公的関与等から見て、年金制度全体の中でどう位置づけていくかということについて検討していくことが不可欠でございます。
 いずれにいたしましても、企業年金課税については、今の拠出時非課税、給付時実質非課税という問題についてどう考えていくのか。個人年金については貯蓄と同様の面もございます。その他の金融商品との間での課税の中立性の問題をどう考えていくのか。
 いずれにいたしましても、年金制度改革の検討状況にあわせまして、今後幅広い見地から基本的な検討を加えていきたいというふうに考えているところでございます。
#30
○林芳正君 ありがとうございました。
 最初に、厚生省にA、B、C、Dを申し上げましたけれども、私から見ますと、厚生省はおられませんけれども、A、B、C、Dというのは一緒だと、要するに数字を変えただけで実際はE、F、G、Hというところを本当はもっと選択肢として出していただきたかったなという印象も持っておるわけでございまして、そういう基本的な考え方の中でいろんな御質問を差し上げたわけでございます。
 まさに、局長に御答弁いただきましたように、いろんな問題点を含んだ問題でございますし、やりようによっては冒頭でお尋ねしたPKOなんかは吹っ飛ぶぐらいの大きなインパクトを持っておる、しかも将来的に我が国の経済構造に与える影響というのも今御指摘を申し上げましたように大変に大きなものがある、私はこういうふうに思っておりまして、大変大事な大きな問題、来年にもう来ておるわけでございますから、鋭意英知を結集していただきまして、いい制度を御議論いただきたい、こういうふうにお願いをしておきたいと思います。
 それでは、法人税収の方に移りたい、こういうふうに思います。平成九年度、きょうで終わりでございますけれども、税収の見込みが大変によくない、こういう諾もあるわけでございますが、現時点で九年度の法人税収に関する実績と見込みというものはどうなっているかということでございます。名目三・一%成長というのを前提として当初予算をつくったわけでございますけれども、そこまでなかなかいかないなということでございまして、この実績と見込みについてまずお伺いしたいと思います。
#31
○政府委員(尾原榮夫君) 現在、税収につきましては一月末までの税収が出ているところでございます。
 法人税収でございますが、九年度の当初予算におきましては平成八年度の補正後に対しまして三・二%増の十四兆四千三百二十億円というふうに見込んでおりました。その後、昨年七月に八年度の法人税収の決算額が出まして補正後の予算よりも五千億円上回ったものでございますから、この五千億円のうち三千二百六十億円のみを土台増として増額いたしまして、現在の補正後の見込みの法人税収は十四兆七千五百八十億円となっております。
 なお、この伸び率は前年度に対しまして一・九%増の伸びで見込んでいるわけでございます。
 一月末までの状況でございますが、御承知のように三月決算法人が非常に多うございます。したがいまして、一月末ではまだ半分の法人税の収納が残されている段階でございまして、この三月決算法人の申告の動向について今後十分注視してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#32
○林芳正君 いずれにしましても、景気は非常に低迷をしておって当初考えておったより大分税収が落ち込んでいる、まさに成長率が低下するということとこれはつながっておるわけでございますけれども、逆に言えば、成長率が高くなりますと税率が一緒でも、これは掛け算ですから税収増に大きく貢献するということは明らかであるわけでございます。
 一方で、これは私がいつも税調で申し上げていることなのでございますが、法人税の税率を引き下げてくれというときに、法人税率を下げたことによって経済が刺激されて、そしてそれによって税収増が起こるといった場合の、この税収増についてはなかなか算定も難しいとは思いますけれども、そのふえた分というのは法人税率を下げるときの財源とはなかなかできない、こういうことであるのでございます。法人税率を引き下げて景気刺激によって中長期的な税収増を図るべきでありますが、この試算において税制を、特に下げたことによる経済刺激効果というのを何とかして織り込めないのか、見込んでその分も使って法人税率を下げるというお話をやっていただけないんだろうかということでございますが、いかがでございましょうか。
#33
○政府委員(尾原榮夫君) 今回の法人税制改革、まさに新規産業の創出あるいは企業活力の発揮を目指して構造改革に資するというのが目的でございます。そういう意味からいたしますと、まさに中長期的に経済の活動をもっと活発なものにしていくのが今回のねらいでございまして、その意味では税収はやらない場合と比べればプラスの方向に働くのだろうというふうに考えているわけでございます。
 しかし、それがどのくらいの効果かと言われますとなかなかこれは見積もるのが困難でございます。また、これだけの財政の危機的な状況にございまして、そういうことを見積もって税制改正を行っていくのが果たして妥当かどうかというような問題もあるのだろうと思います。
 そういうことで、我々、今回の税制改正に伴います税収の試算に当たりましては、経済計画の成長率を使いまして中期的なトレンドについて計算をさせていただいているということでございます。
#34
○林芳正君 この話はもう三年ぐらいやっておりますので特に変わった答弁を期待もしていなかったわけでございますが、大変難しい問題、余り大きな数字を出しますと今度はレーガンのときのブードゥーエコノミックスという話もございましたし、大変難しいところでありますが、やはり景気が刺激されて税収がふえた分は御褒美みたいな考え方できちっとした計算の中になかなか入れられないんだということもこの厳しい情勢の中でわかるわけでございます。
 一方、税収を働いて戻してくれるというのも法人であることにこれは間違いないわけでございまして、ぜひその辺は何とかお考えに入れていただきたい、そして単年度ではなく例えば五年で見たときにどうなるのか、法人税率を下げますと一年目からすぐ戻るということはなかなかないわけでありますけれども、その効果が累積的に後年度にわたってあらわれてくるというような中期的な税収中立という考え方も、いろんな計画でおつくりになっていると思いますけれども、ぜひ入れていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
 それから、課税ベースでございますが、これはいろんな継続になった事項がございまして、検討事項もありますが、こういう継続となった課税ベースの見直しについて、今後どういう項目についてどういうスケジュールでやっていくのかというあたりについてあらまし御説明をいただけたらと思います。
#35
○政府委員(尾原榮夫君) 課税ベースの見直し項目につきましては、政府税制調査会の法人課税小委員会報告に記されているところでございます。
 今回の法人税制改革により、一応課税ベースの拡大・適正化は一通りの実現が図られるものと考えておりますが、御承知のように、残されているものもございます。
 主なものを申し上げますと、長期金融商品の取り扱い、受取配当の取り扱い、寄附金税制をどう考えるか、それから福利厚生費の問題、さらに、これは国際的な動きとも関連してまいりますが、国際課税の分野での問題、それから金融派生商品、いわゆるデリバティブのようなものについての課税、さらには公益法人課税についてどう考えていくかというようなところが残されているところかと思っております。
 これまでの議論も参考にしながら必要に応じ引き続き検討を行ってまいりたいというふうに考えておりますが、今回御提案しているもので一通りの実現は図られるのではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
#36
○林芳正君 ありがとうございました。
 まだまだ難しいものが大分残っておるようでございますが、一点だけこれは確認なんですけれども、いろんな見直しを今後スケジュールに従ってやった場合に、課税ベースが縮小することも理論的にあるんですが、拡大することが大体の常でございまして、拡大した場合にその基本税率、法人税を下げないと増税になってしまう、こういうことになるわけでございます。今審議している法案の中でも、課税ベースを拡大してその分で税率を下げると幾ばくかは真水で下がってくることになる、このような基本的な考え方であったわけでございますが、この基本的な考え方は変わらないということでよろしゅうございますか。
#37
○政府委員(尾原榮夫君) 今、先生がおっしゃいましたように、まず税率につきましては他の主要先進諸国並みに近づけていくことが望ましい。他方、課税ベースについてはその適正化が必要であるというところから、結果として税率引き下げによる減収の大部分が課税ベースの適正化による増収によって賄われる、さらに実質減税もつけ加えられたということかと思います。
   〔委員長退席、理事楢崎泰昌君着席〕
 この課税ベースの問題でございますが、やはり基本的には税制の目から見て適正化が必要であるという認識のもとに検討すべき課題であるというふうに思っておりまして、適正化を行うからその分は必然的に税率引き下げに充てられるべきだということには必ずしもならないのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
 例えば、今回は国の法人税の税率でございますが、シャウプ税制始まって以来の三四・五%になったわけでございます。アメリカの連邦法人税の税率よりも低い税率になっているというようなことを考えますと、その点は御理解いただけるのではなかろうかというふうに思っております。
#38
○林芳正君 ありがとうございます。
 なかなかここでそうでございますと言うわけにはいかないということはよくわかるわけでございますが、せっかくこういうトレンドがあるわけでございますから、なるべく企業の負担が軽減をしていくという方向で考えていただきたい、こういうふうに思います。
 それで、今おっしゃったように、企業が負担しているのは国の法人税と地方の法人税というのがあるわけでございまして、特にことしの年末にかけての税制改革の論議においてはむしろ地方の方の法人税というのが焦点になるのではないかと思われるわけでございます。
 例えば、法人事業税の実質減税が行われた場合、国の法人税の課税所得を計算する場合にこの事業税は損金の扱いになっておりますから、結果的に法人事業税が安くなると損金も減るわけですね。損金が減るということは課税のベースがふえるわけですから法人税が増税になっちゃう、せっかく法人事業税が下がったのに法人税で四割ぐらい取り戻されちゃう、こういうことになっては余り意味がないのではないか、こういうふうに思っておるのでございます。
 やはり課税ベースがほかの事情によって拡大した場合は、今言ったように、法人事業税を実質減税した場合、その分は税率を下げたりして法人税で取り戻すというようなことがないようにしないといけないんじゃないかこう思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
#39
○政府委員(尾原榮夫君) 地方税のお尋ねでございますが、法人事業税につきまして今回これが実質所得課税になっておるものでございますから、課税ベースが拡大した分だけ法人事業税の税収がふえるということで一二%を一一%にしているわけでございます。
   〔理事楢崎泰昌君退席、委員長着席〕
 それで、これからの法人課税の問題といたしまして、これも政府税調の答申でも指摘されているわけでございますが、事業税における外形標準課税の問題がこれからの課題になってくるだろうということで政府税制調査会でもこの検討が今後行われていくだろうと思います。
 それで、仮に法人事業税が実質減税になった場合、損金が減るわけだからその分法人税を下げたらどうかと、こういうお尋ねかと思います。
 実は、確かに法人事業税が物税としての性格をさらに純粋なものにしていくということになれば、これは今でも損金になるわけですから、前よりも純粋な損金になるわけでございます。他方、いろんな社会保険料、国の負担でもよろしゅうございますが、これは毎年ふえる傾向にございます。それがふえると法人税収は落ちるわけでございますが、ではそれで法人税率を上げましょうという提案は実は私どもやっていないわけでございます。
 法人事業税が実質減税になったらというのは税の世界ではよくわかるわけでございますけれども、今の状況から見て直ちに法人税率を引き下げるということにはなかなかならないのではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
#40
○林芳正君 なかなか難しい問題でございますが、法人事業税の方でイメージすると、下がりましたらみんな喜ぶわけです。それで、戻ってきたのを見ますと、何か計算が合わないなと思ってよく見ると損金が減って、税金がこれぐらい減ると思っていたら実は半分ぐらいしか減らなかったというようなことが予想されるわけでございます。何か税率を下げること以外にいろいろな手当てをするやり方、いろいろ知恵があるというふうに思いますので、それは今後の議論でございますが、もらったと思ったものが実は財布に入っていなかったというようなことにならないようにぜひお願いをしたい、こういうふうに思うわけでございます。
 法人事業税の外形標準化ということも議論されておるわけでございますが、これも同じなわけでございまして、外形標準化をやると多分今の黒字を出している企業というのは負担が減少すると思うんです。そうすると、法人税の課税所得が増加をするわけでございまして、この場合も何らかの調整をしないとまたその分法人税で持っていかれるということになって、大蔵省と自治省の間ではこれは大きな問題であります。ただ、取られる方としては地方へ行っても国へ行っても同じでございますから、その辺についてどういうふうにお考えになっているかお聞かせ願いたいと思います。
#41
○政府委員(尾原榮夫君) これもまた黒字企業についての事業税負担は減少するではなかろうかというお尋ねだと思います。
 確かにそのとおりでございますが、他方、実は赤字の法人について申し上げますと、この法人事業税が新たな負担を負うことになる、あるいは余り利益が出ていない企業について言えばこの損金算入により赤字が拡大することになってくる。そういたしますと、実はこれからこの法人事業税の議論が進みますので、どのようになるかということを私の口から申し上げるのは適当ではございませんけれども、仮にその法人事業税が外形課税になったといたしますと、実は赤字法人については赤字の額が大きくなって、なかなか黒字になって法人税を払ってくれないということにもなってくるわけでございます。
 したがいまして、この事業税における外形標準課税が入ると国の法人税がふえるではなかろうかというのは、これはどのような制度になるかでございますけれども、なかなかそのようにはならないのではなかろうかというふうに思うわけでございます。
#42
○林芳正君 仮定の議論ですからなかなか難しいと思うんですけれども、法人事業税が外形標準化されたという仮定、これもまた仮定でございますが、このものが法人税法上損金の算入になるのかならないのかということによって調整すべきだと考える額が変わるわけでございます。
 例えば、付加価値が課税ベースになった場合は法人税法上は損金算入になるのかならないのかということは、電力会社等四業種が外形課税でやっておりまして、これは損金算入ということになっておるわけでございます。整合性から考えるとそういう考え方になるということでございますが、いかがでございましょうか。
#43
○政府委員(尾原榮夫君) 現在の法人事業税は損金になっているわけでございます。今度新たな法人の外形課税ができた場合どうかということでございますが、これから幅広い観点から議論が行われていくと考えますので、現時点で確たることを私の方から申し上げることはいかがかと思います。
 ただ、一般論で申し上げますと、租税公課につきましては、その性質上、費用性を持たないもの、あるいは何らかの政策的または技術的理由から法律の定めによって損金算入を否定されているものを除いて損金に算入することとされているわけでございます。
#44
○林芳正君 そういうことになるんじゃないかと思っておりますが、今の段階でこうだああだと言うのはなかなか局長の御答弁としてはいただけないということはよく理解できるわけでございます。
 そういった中で、やはりさっきの年金の話のときもそうでしたけれども、我々こういう制度をつくりました、御利用くださいというのではなくて、利用する方から見てトータルでどうなるかというような視点もぜひ持っていただきたい、こう思うわけでございます。ここにいますと、大蔵省がここにあって自治省がここにある、年金だったら厚生省がここにあって労働省がここにあってということでございますが、受ける方から見たらこれは全部政府でございます。法人税も一緒でございまして、国の法人税も地方の法人事業税も全部会社としては税金として払う、こういうことでありますから、一体としてどうなるかというのを、税の理論上なかなか難しいところはあると思いますけれども、払う方から見た視点というのを入れて今後の議論を進めていただきたいし、我々もそういう議論をしていきたい、こういうふうに思っておるところでございます。
 金融関係で幾つか御質問したいと思います。
 先ほどちょっと触れましたけれども、年金等を含めて金融ビッグバンということが進展をし、円の国際化というものもどんどんやっていかなければならない、こういった大きな流れがあるわけでございますが、税においても金融課税をめぐってグローバルスタンダードというものを確保、特に金融の場合はお金ですから、労働力や工場のように粘着性というのは余りないわけでございます。瞬時のうちに一番有利なところにぽっとワイヤで行ってしまうということでありますから、極めてこのグローバルスタンダードというのは大事になる、こういうふうに思うわけでございまして、これをやらないで別に困る人はいないので、ほかのところへ行っちゃえば済むわけでございますから、金融のマーケットが本当に空洞化をしてしまうことになるのではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。
 例えば非居住者、要するに外国人でございますが、国内で債券といいますか公社債を買ったときに利子に対する源泉徴収というのが行われるということになっておりまして、これはいろんな条件の、先ほどの確定拠出と一緒でございますが、基本的な条件が違っているところもあるんですけれども、国際的には余り例のないところでございまして、我が国において公社債の発行に非常に不利になっているではないか、こういうふうに思うわけでございます。このままですと日本では公社債は発行しない方がいいですよ、シンガポールとかロンドンとかニューヨークでおやりくださいと言っているようなものでございまして、ほかの部分と足並みをそろえてという議論もわかるわけでございますが、それがあるからやらないというのではなくて、むしろ一歩リードするような形でほかの制度もついてきなさいというような形でこういうことをやっていかないと、なかなか円の国際化と言っているだけではその目的は達成されない、こういうふうに思うわけでございますが、その辺はいかがでございましょうか。
#45
○政府委員(尾原榮夫君) 今、先生からの御指摘は非居住者が日本の公社債を買った場合その利子に源泉徴収が行われるではないか、それが円の国際化なりを阻害することになりはしないか、こういうお尋ねであったかと思います。
 現在の我が国の制度でございますが、非居住者の方についての公社債利子は源泉徴収を行っております。課税権の問題をどう考えるかというのがありますが、その問題を別にいたしまして、それではこの源泉徴収を撤廃するということで考えてみますと、同じ利子所得につきましては居住者、つまり我々が買った場合には課税になるということになります。非居住者が非課税で居住者が課税というのは公平を欠くことにはならないかというのが第一点の問題としてあるような気がします。
 それから第二点の問題でございますが、実は昨年の秋に例の国外送金あるいはユー日債のときに御議論いただいたと思いますが、非居住者であるかどうかという確認を一体どうするのだろうかという問題があるように思います。もしもそのような確認をきっちりやるのであるとするならば納税者番号のような制度が必要になりはしないかと。外国で実は非居住者源徴を廃止にした国もあるのでございますが、そうしましたら大変な租税回避が起きてまた手直しをしなきゃならなくなったという例もあるわけでございます。そういうことでこの課税をどう考えるか非常に難しい問題がございます。
 OECDでもこの非居住者に対する利子課税については議論が行われておりまして、結局、日本の行っておりますような源泉徴収で税金をいただくか、あるいは情報交換、例えば非居住者であればどこの国のだれが日本のものを買いましたよということを通知するという、どちらかでいくべきではないかというふうになっているわけです。
 先ほどアメリカの話もさせていただきましたが、アメリカでは非居住者の受け取る利子、一応源泉徴収を原則としながら、非課税とするためには相当厳格な非居住者確認を行い、かつ非居住者の本国と情報交換までやって租税回避を担保しているわけでございます。
 いずれにいたしましても、この非居住者の受取利子の源泉徴収の問題ですが、すぐに現在の原則を変えなければならない状況にはないというふうには思っておりますが、公平、中立、簡素という三原則を踏まえながら、適正課税担保のための措置とあわせて検討を行っていく必要があるのではないかというふうに思っております。
#46
○林芳正君 御答弁の内容は大変よくわかるんですね。租税回避をする動きが出る、非居住者の名前をかたって借名というような、いろいろな問題になりましたけれども、ああいうことになっちゃ困るわけでございますからそれは大変よくわかるわけでございます。
 一方で、ほかの国が源泉と選択制にして、今まさに御説明いただいたように本人確認をやることによってやっているということになると、結局相対的にそっちへいろんなものが流れていってしまうということでありますから、OECDできちっと管轄権を持ってすべての国が源泉徴収ということで一致してやるのであればイコールフッティングで競争ができるわけでありますけれども、現状、まさにあしたから外為法を変えて金融ビッグバンが始まろうとしているときに、ここ何年かは今の状態で日本は源泉徴収だけです、ほかの国は選択でやりますということになっていくと、結局我が国がばかを見るんじゃないか、こういうような危惧をするわけでございます。
 この辺は税の観点から見た場合にはむしろ租税回避という一方が優先されるのは当たり前でございますが、トータルとして見た場合にやはりどうかというのも我々が議論をしていかなければいけないのかなという気がするわけでございまして、これも大変難しい問題でございますが、知恵を出してきちっと国際的に決まるのならそこでやるし、決まらない間はイコールフッティングで、特にビッグバン出だしですから、余り不利にならないような方策を考えていかなければならない、こういうふうに思っております。
 もう一つは、昨年、いろんな金融不安と言われることがありまして、今までつぶれるはずがないと思っていたようなところがつぶれるということがあったわけでございますが、公認会計士の監査をみんな受けているわけでございますね、つぶれたところも。そういう監査を受けていたところがなぜそんなにすぐだめになってしまうのか、こういうことでありまして、監査を受けていた会社が言われておりますような隠れ負債というのがあったりということは、これは監査人の責任というのもあるのではないか、こういうふうに思っておるわけでございまして、大蔵省の天下りの方が行っているのではないかというようなマスコミの指摘もあるわけでございます。
 ですから、さっき李下に冠を正さずということを申し上げましたけれども、外から見た場合にどういうふうに見えるのかというのは、実態がどうであるかと別に考えなければいけないというふうに思うわけでございます。
 総理がおっしゃるように、フリー、フェア、グローバルということであれば、外から見た場合に、その監督をされるのが大蔵省であって、監査をしているのがこの大蔵省のOBでというようなことが外からどう見えるのかということを十分認識してもらわなければいけない、こう思うわけでございまして、OBの方が行かれているというのはここでは議論しませんけれども、公認会計士の独立性を高めて責任を持ってやって、やった以上はこれは本当にそうなんだというようにしないと余り意味がないのじゃないか、外から見ても公認会計士がサインしていますというのは何か儀式のようになってしまうのではないかなと思うわけでございます。
 きちっとそこを確立しておかないと、幾らビッグバンをやっても、先ほど御答弁いただいたように、企業がこれだけ開示しました、公認会計士がこれを見ましたとやっても、そこが信頼されなければ、せっかくいろんなディスクロージャーのルールをつくってもなかなか外から見る目が厳しいのではないか、こう思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
#47
○政府委員(長野厖士君) 私どもも大変重大な問題だと考えている点の御指摘でございます。
 一般的に公認会計士の監査にいやしくも不適正なものがあれば、それは私どもなり証券取引等監視委員会においてきちんと対応すべきものでございますし、個別の案件については申し上げられませんけれども、問題なしとしないという事案につきましては常時私どもはヒアリングに入る体制をとっておりますが、そのことをまず最初に申し上げたいと存じます。
 その上で、実はいささか悩ましく思っておりますのは、この二、三年間におきましては、上場企業の破綻におきましては会計実務上の扱いが時代におくれておったのではないか、ノンバンクに対する貸出金をどの時点で償却処理をするかという点などが問題になったわけでございますけれども、従来の扱い上は税務会計に引かれたというのは言い過ぎになるかもしれませんけれども、税務上は会社更生法の適用の申請があるとか和議の申請があるという形式的に明瞭な基準でこの会社に対する貸出金については引き当てを計上すると、これは私は税の公平さからいえば大変すっきりした考え方だろうと思いますが、それを企業会計でそのまま守ってしまいますと、実質的にはもうかなり傷んでおるのに、形式的に会社更生法などの状況に達していないという状態で引き当てがなされていないという状態が起こったわけでございます。
 したがいまして、例えば銀行が、一つのノンバンクに大勢が貸しておりましてもすべてが同じ扱いをしておった、たまたまその中で大口貸し出しをしておったところが経営が破綻したということになりますけれども、会計の処理としてはすべての公認会計士が、すべての金融機関が同じ処理をしておったということでございますから、その会計処理そのものをもっと見直すべきではないか。これは林先生が冒頭に税効果会計でおっしゃられたそこのポイントに戻るわけでありますけれども、すなわち税務上は損金処理をされていない段階でも企業会計上引き当てを計上するという慣行をつけるべきだと。
 私の立場から言いますと、今、銀行局長が骨を折っております早期是正措置という概念は、私どもの立場から言えば貸出金を時価評価に近づけるべく引き当てを計上するということでございまして、それが四月一日、あしたからといいますかこの三月三十一日の決算から適用されるということは一つの前進だと思っております。
 答弁が長くなって恐縮でございますけれども、もう一つ、建設業あるいは私どもの所管でございました三洋証券において起こったことでございますけれども、債務保証というものが現実に債務保証の請求が行われるまでは一切引き当てを計上していなかったという問題がございますし、債務保証の予約とか念書とかいったものをどういうふうに企業会計上は扱うかという問題がございました。これらの点につきましては公認会計士協会におきまして、先ほどの貸出金の早期是正措置につきましてはもう成案が出て実施に移されておりますけれども、債務保証につきましては案がまとめられ実施に移されている段階でございまして、そういう努力は払われておる、そのことによりましてかなり大きな問題が私は解決に向かうだろうと思っております。
 あとは個々の監査能力の問題が残ります。これにつきましては、監査の監査と申しますか事後レビュー、事後チェックといったような仕組みあるいは会社の内部監査との連携といった領域、あるいは金融商品がどんどん出てまいりますと、十年前に公認会計士の資格を取ったというだけで対応できるかという問題がございますので、新しい経済実態に合った、何と申しましょうか、もう一回その時々の新しい知識を勉強するというようなシステムというものをつくっていただく。公認会計士の領域は独立した専門家の集団でございますから、私どもが日々行政的な意味で監督を及ぼすべき領域ではないと私は思っておりますけれども、現在、公認会計士協会におきまして自発的にそういった御努力が行われておりますし、それをサポートすることは行政として許されるだろうと思っておりますから、そのような努力を払っていきたいと思っております。
#48
○林芳正君 これはコーポレートガバナンスというところにも入っていくところだと思うのでございますが、局長が御答弁いただいたように、先ほど申し上げました税効果会計というようなテクニカルな部分と、まさにおっしゃいましたその監査の力というこの両方の問題があるのではないかなというふうに思っております。また、知っていても言わなかったというのはもう論外でありますけれども、そういうことも含めてぜひ今御答弁いただいた方向でやっていただきたいとお願いをいたしたい、こういうふうに思います。
 時間も迫ってまいりましたので、もう一点だけ、先ほどOECDのお話がちょっと出たわけでございますが、OECDで行われている議論で、我が国のこの空洞化を考える意味でおもしろい議論が一つ去年あたりからありまして、それはフィスカルダンピングという話でございます。
 これはどういうことかと申し上げますと、今我が国はグローバルスタンダードだというので四〇%ぐらいに法人税を収束しよう、ほかの国と一緒にしようということをやっておるわけでございますが、一方、タックスヘーブンといいますか、アジアの国に行きますと一五だとか二〇だとかもうとてつもなく低いところもあるわけでございまして、外為規制を撤廃したり通信技術革命をやって経済のグローバル化が進展しますと金融サービス、さっき申し上げましたように、瞬時にして動くようなところ、稼働性の高い経済活動を引っ張るという目的で税の引き下げ競争、要するに税を下げるダンピングをやるということが競争が行き過ぎると起こるのではないかこんな議論でございます。そうすると、勤労とか消費といった稼働性の低い経済活動に対して税負担がふえてしまう、こういうことでございます。強いどこでも行ける人は一番安いところへ行って、動けない人が残ったところで高い負担でやらなければいけない、こういうような問題でありまして、これについてはやっぱり国際的な協調が、さっきの非居住者の話ではありませんが、必要になってくる、こういうふうに思うわけでございまして、そういうことについてちょっとOECDの検討状況を。
 それから、これは確認でございますが、我が国が四〇%に下げようとしているのはグローバルスタンダードということでございますけれども、このダンピングの話と四〇%に下げるというのは次元の違う話であると私は思うわけでございますが、この確認と、まとめてお聞きしますけれども、今後このOECDで税の競争プロジェクト、こういう分科会の名前がついておるようでございますが、ここについてある一定の合意ができたとしても、OECDに入っていない国の方が税率が低い国が多いわけでございまして、まだ韓国までしかOECDに入っておりませんから、そういうアジアの例えばOECD非加盟国、法人税率大体一五から二〇でございますけれども、こういうところも何らかの結論が出た場合に従ってもらうような結論を出さなきゃいけないし、従ってもらうようないろんな方策を考えていかなければならないと、こういうふうに思いますが、これはちょっと将来的な話でございますけれども、まとめて御見解をお聞きしたいと思います。
#49
○政府委員(尾原榮夫君) 税の競争の問題でございますが、OECDにおいて検討が進んでおります。
 一言申し上げておきたいのでございますが、リヨンあるいはデンバーの両サミット及び累次のG7の蔵相会談におきましてもこのプロジェクトについては支持が表明されているところでございます。つまり、税の競争によりまして逃げ足の速い分野の税を引き下げる、税の優遇措置を講ずることにより引っ張ってくる、税金はそちらの方へ移転してしまいます。あらゆる先進諸国は今財政の問題を抱えているわけです。そういう中で、そちらの方へ税収をとられてしまう。結局そういうものを放置してまいりますと、税負担は国際的に動かないもの、つまり消費あるいは労働に対する所得税、そういうものが相対的に重くなってしまうという問題も出てまいります。そこで、この税の引き下げ競争を何とか食いとめなければならないというわけですが、そのためには国際的に協調して行動することが重要でございます。
 そこで、一昨年来、OECDの租税委員会に税の競争部会というものが設置されまして検討が行われてまいりました。本年四月にこの報告書が公表される予定でございます。
 具体的なポイントを申し上げますと、まず税の競争に当たるかどうかという判定基準でございますが、足の速い経済活動や非居住者をターゲットに無税または低率課税としているかどうか、あるいは情報交換の不備がないかどうか等が判断する場合の重要な要素としてとらえられているわけでございます。
 次に、そのような有害な税制に対抗するための措置としては国内法上の措置、それから租税条約上の措置、さらに有害な税制を抑制するためのOECDガイドラインなどが勧告されているわけでございます。
 そこで、先生の次のお尋ねでございますが、日本の法人課税、仮に税率を引き下げていく場合でございますが、税の競争に反しないかどうかというお尋ねがございました。有害な税の競争を抑制するための議論が税の競争の議論でございまして、国際的な税制改革の流れとして課税ベースを広げながら税率を引き下げていくということは否定されていないわけでございます。
 それから三番目に、OECD非加盟国についてどう考えるんだというお話がございました。
 韓国はOECDへ既に加盟しているわけでございますが、おっしゃるように、この税の競争の問題に有効に対処していくためには非加盟国とも協調していくことが望ましいわけです。しかし、非加盟国と協調することが望ましいわけですが、第一段階としてはOECD加盟国で協調的行動をとるということが非常に重要であると考えております。これによって非加盟国への説得力も増していくと思っています。
 それからまた、これまでのOECDの活動でございますが、本問題についてのセミナー、研修のプログラムを通じまして非加盟国への理解を深めるように努めてきております。今後もこのような活動によって協調を図っていくことになるのではないかと考えているわけでございます。
#50
○林芳正君 時間が参りましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。
#51
○伊藤基隆君 まず、法人税法の一部改正で税率引き下げについて幾つかお伺いいたしたいと思います。
 国税である法人税の表面税率がアメリカより低い水準となるのは事実でございますが、地方税を合わせた法人課税の実効税率が四九・九八%から四六・三六%へ約三・六%の引き下げにとどまるのは、ただいま林委員からも出ておりましたいわゆるグローバルスタンダードの比較という視点で見ると、まだ不十分ではないかという考えを持っております。法人税率を三〇%、地方税を合わせた実効税率で四〇%程度まで下げるべきではないかというふうに考えますが、この辺についての見解をお伺いしたいと思います。
#52
○政府委員(尾原榮夫君) 法人課税につきまして、今般、課税ベースを適正化しながら思い切った税率の引き下げを行うこととしております。
 御指摘のとおり、国、地方を合わせました法人課税の実効税率を四九・九八%から四六・三六%に引き下げることを御提案申し上げております。これによりまして国税である法人税の基本税率は三%引き下げられまして三四・五%ということで、先ほども申し上げましたが、シャウプ税制以来最も低い水準になります。また、各国比較を行いましても他の主要先進国並みか、またはそれ以下の水準になるわけでございます。
 それで、国税である法人税率の各国比較を実効税率ベースで行いましても、我が国の法人税の四六・三六のうち国税部分が三一・〇八ということになりまして、各国間で最低の水準が三一のイギリスでございますが、これとほぼ同水準まで引き下げられることになるわけでございます。
 ただ、これからの問題でございますが、まさに事業税における外形標準課税の検討ということが課題になっておりまして、政府税制調査会の答申におきましても、この検討がまさに実効税率の議論にもつながるということになっておりまして、今後検討が進められていくものと承知しております。
#53
○伊藤基隆君 今回、普通法人の基本税率と中小法人の軽減税率を三%下げることとしておりますが、これについては不十分ながらも理解できるところでございます。
 しかし、宗教法人を含む公益法人等については経済の国際化の進展に対応した企業活力の発揮という今回の税率見直しの目的とは何ら関係がないのではないかというふうに思います。単に中小法人の税率と公益法人の税率が逆転することを避けるための措置として公益法人等の軽減税率も下げたのではないかというふうに考えますが、いかがですか。
#54
○政府委員(尾原榮夫君) 先生のお尋ねは、公益法人の収益事業に対する税率を引き下げたのはなぜかと、こういうことかと思います。
 今回、公益法人の税率はこれまで二七%でございましたのを二%引き下げて二五%にすることにしてございます。実は、この二七%の税率でございますが、公益法人だけではなしに、いわゆる協同組合等についての税率でもあるわけでございます。つまり、日本の法人税率の体系でございますが、基本税率と中小法人に対する軽減税率、それから公益法人、協同組合に対する税率と三つに分かれているところでございまして、今回そのようなことから協同組合、また同じような仕事を営んでおります公益法人につきましても課税ベースの拡大の影響を受けるわけでございます。そういうことからこの税率についても引き下げを行うことにいたしました。
 ただ従来から、同じような事業を営んでいる場合に、税率の格差というのはなるべく少なくすべきじゃないかという議論がございます。例えば公益法人について申し上げますと、民間と同じような事業を営んでいるなら課税対象にしていくべきであるという議論がございます。それと同じように税率水準についても他の民間と差をつけない、差を縮小していくべきだという議論がございまして、そういう意味から基本税率、中小法人については三%の引き下げを行いましたが、公益法人あるいは協同組合の税率につきましては二%ということで、その格差を縮小するという形で税の中立性、不十分かもしれませんけれども、そのような方向を目指したわけでございます。
#55
○伊藤基隆君 次に、大規模生協についてお伺いしますが、普通法人の基本税率、中小法人の軽減税率、ただいまの公益法人等の軽減税率をいずれも三%から二%引き下げておりますけれども、大規模生協等の年所得十億円を超える部分にかかわる特例税率三〇%を現行どおり据え置いております。この理由についてはどういうことなのかと思いますし、大規模生協の特例税率を総体的に普通法人の基本税率に近づけようという政策的意図があるのではないかというふうにも考えられまして、生協関係者等からは不公平ではないかという声も出ておりますが、この辺についての御説明をいただきたいと思います。
#56
○政府委員(尾原榮夫君) 今、大規模協同組合の法人税率についてお尋ねがございました。
 先ほど協同組合の税率につきましては二七%から二五%にするということを申し上げましたが、実はもう一つ、大規模な協同組合の法人税率は特例制度がございます。つまり、協同組合でも大変大規模なものになってまいりますと周辺地域の中小小売業者を圧迫するほど競合の程度が著しくなってくるケースが出てまいります。それについて税制上どう考えるのかということでございます。
 現在の制度について申し上げますと、例えば組合員数が五十万人以上、あるいは物品供給業、つまり物を売る事業でございますが、一千億円以上のそういう協同組合につきましては、所得のうち十億円を超える部分に係る税率は三〇%ということになっておりまして、つまり十億円以下の部分は協同組合の税率が適用になります。したがいまして、改正前は二七%であったのが二五%になるわけです。
 それで、十億円を超える部分は三〇%、先生のお尋ねはこの三〇%を変えなかったのはなぜかというようなことかと思います。
 まさに、今申し上げましたように、これを今回見送りましたのは、やはり政策的配慮である協同組合に対する軽減税率であるといっても、このようなものについては限界があるのではなかろうかということで据え置くことにさせていただいたわけでございます。
 いずれにいたしましても、この特例制度でございますが、一般法人との競合の状況など、さらに活動の実態等も踏まえまして今後必要に応じて検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
#57
○伊藤基隆君 次に、法人税の課税ベースの適正化の問題でちょっとお尋ねいたします。
 課税ベースの見直しについてはおおむね妥当ではないかというふうに見ておるところでありますが、この六年間での見直しによって現在六五%程度とされている欠損法人比率はどう推移すると見ているか、お伺いしたいと思います。
#58
○政府委員(尾原榮夫君) 今、先生からお話がございましたように、法人は二百四十万ございますが、その六五%弱が赤字法人になっているわけでございます。税制上いろいろ問題があるのではないかという御指摘もいただいているわけでございます。ただ、今回の改正は課税ベースの適正化ということで所得計算の適正化を行うこととしておりますので、赤字法人課税に対しても相応の改善が図られるものというふうに考えているわけでございます。
 ただ、先生はどのくらいか数字で影響度合いを述べよということでございましたが、それぞれの赤字法人がどのくらいの欠損金額を抱えているのか、またどのぐらい実際に所得が増加するのか具体的な数字がございませんので、今回の改正は間違いなく赤字法人課税の問題にも効果のあるものだと考えておりますが、試算することがなかなか困難であることを御理解いただきたいというふうに思っております。
#59
○伊藤基隆君 次に、中小法人の交際費課税についてお伺いします。
 今回、損金不算入額を一割から二割に引き上げることとしております。この景気状況の中ではすぐにというわけにはいかないとは存じますが将来的には全額不算入の方向でいいのではないかというふうに考えますが、いかがですか。
#60
○政府委員(尾原榮夫君) 今回、中小法人の交際費課税制度について適正化をさせていただきました。
 これは、中小法人の交際費の相当部分が依然として損金算入されているというのがこの課税制度の趣旨にそぐわないであろう、あるいは経営者が私的な費用を法人経費として控除する場合がある、あるいは、これは甚だしい場合でございますが、定額控除枠が会社ごとにあるものでございますから、これを利用した会社分割が行われているのではないかという指摘もございます。そういうことで今回適正化を行うことにいたしました。
 さらに、この交際費課税を徹底せよ、こういうことでございます。まさに中小法人の交際費の相当部分が損金の額に算入されているのはこの制度の趣旨にそぐわないという指摘だと思います。一方、中小法人につきましては、いろいろお仕事をしていく上でこういう制度がないと困るという指摘もございます。そういうことで定額控除枠があるわけでございますが、そういう経緯にも留意しながら今後とも望ましいあり方を追求していきたい、こういうふうに思っております。
#61
○伊藤基隆君 次に、少額減価償却資産の一括償却について二十万円を十万円に引き下げる改正を別途行うというふうに聞いておるところでございますが、この恩恵を受けてきたと見られるパソコンなどの消費に悪影響が出るのではないかというふうに懸念されますけれども、いかがですか。
#62
○政府委員(尾原榮夫君) 今回、先生お話しございましたように、少額減価償却資産の即時損金算入制度につきまして適正化を図ることにしております。
 実は、この制度でございますが、幾ら減価償却資産をお買いになってもその上限が今の制度では何もございません。したがいまして、なぜ今回この制度の適正化を図るに至ったかといいますと、期末において利益がたくさん出ましたときにはたくさんそういうものを買う、つまり一種の利益調整的なことが可能ではないかという指摘があったわけでございます。それが第一点でございます。
 それからもう一つ、それでは主要先進諸国においてこの少額資産の取り扱いがどうなっているかということを調べてみますと、アメリカとかイギリスはございません。つまり、パソコンでも何でも買えばそれは通常の減価償却をやっているということになるわけでございます。ドイツでは五万三千六百円以下のものについて認められるようでございまして、いずれにいたしましても日本のこれまでの二十万円というのはそういう意味でも相当大きな数字であったようでございます。
 ただ、先生のおっしゃるような御指摘もございます。それからまた、企業サイドからなかなか個別管理というのでは手間暇がかかるというような指摘もございました。それで、十万円以上二十万円未満の資産につきましては事業年度ごとに一括して三年間で償却できる方法を認めることにするということでございまして、そういう意味では今までの二十万円未満というのは生きているわけでございます。
 いずれにいたしましても、今回の見直しは今申し上げましたような課税ベースの適正化の観点から行っているわけでございますし、この制度の適正化を行う反面、法人税率の引き下げを行うということにしていることも御理解いただければというふうに思うわけでございます。
#63
○伊藤基隆君 次に、所得税法の一部改正にかかわって質問いたします。
 本法案に盛られた所得減税は、中堅所得者層の負担軽減に配慮した特定扶養親族に対する所得控除額の五万円引き上げ、ないしは特別障害者控除等の五万円引き上げたけでございます。現下の景気低迷状況から三兆円程度の所得税の恒久減税を実施すべきだという内外からの声がございますけれども、これについてはいかがですか。
#64
○国務大臣(松永光君) 今御審議をお願いしておる法案としては、中低の所得者層の負担軽減ということを考えて、いわゆる教育減税とかあるいは高齢者、障害者との同居についての控除とかにとどまっておるわけでありますけれども、委員御指摘のとおり、所得税の恒久減税という声があることは承知いたしております。しかしながら、恒久的な所得税減税をする場合には税負担のあり方の問題としてしっかり議論をしていかなきゃならぬ問題だろうというふうに思います。
 そういう点からいきますと、委員もよく御指摘のとおり、我が国の所得税の負担水準はアメリカ等に比べれば相当に低いということが一つあります。それからもう一つは、三兆円とかという大規模な減税を実施するためには財源をどうするかという問題がございます。もし赤字公債を財源として減税をするということになりますというと、いずれはその赤字国債を償還するための増税につながるということに理論上なってくるわけでありまして、さすれば減税の効果というものはそれほど出てこないという点がございます。
 そういう点もありますので、よくよく慎重に考えなきゃならぬ問題だろうと、こういうふうに思っておるところでございます。
#65
○伊藤基隆君 今回、我々民友連では主要先進国と比べて高率となっている所得税の最高税率をまず四五%に下げることを所得減税の具体策の中で提案しているところでございます。また、将来的には国、地方の所得課税の合計税率を最高五〇%程度まで引き下げることも視野に入れているところでございます。高率の累進所得税制が直ちに高額所得者の勤労意欲を損なうというふうには言えないかもしれませんけれども、個人所得税率の最高税率が法人税率よりも高いということになりますと、個人事業者の法人成りのインセンティブとなったり、会社の金で飲み食いした方が節税となるというような形が起こってまいりまして、資源配分をゆがめるおそれがありはしないかというふうな懸念がございますけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
#66
○政府委員(尾原榮夫君) 今、我が国の所得税の最高税率の高さがいわば法人成りを助長しているのではないかというお尋ねであったかと思いますが、確かに諸外国によってはその影響を本当に食いとめようと例えばドイツのような国では非常に意識した税制を構築するようにしてございます。しかし、他の先進国でございますが、そういう面も気をつけつつも、やはり個人所得税の体系と法人税の方は別にしている国も多いように見受けられます。
 いずれにいたしましても、現在所得税の最高税率は法人税率よりも高いわけでございますが、それではそれが原因で法人成りを助長しているかといいますと必ずしも税だけではないような気がいたします。例えば、他の企業との競争の上で法人というと信用上有利になるとか、そういうさまざまな要因で法人成りが起きているのではないかというふうに思います。
 ただ、いずれにいたしましても、この最高税率の水準につきましては政府の税制調査会の「これからの税制を考える」という答申の中でも指摘されているわけでございます。つまり、この最高税率の水準は「所得税・個人住民税合わせて六五%であり、諸外国と比較してなお高い水準にあります。」、「今後、個人所得課税の課税ベースの拡大や他の税目による財源確保などを検討し、最高税率を引き下げていくのが適当です。」というふうに中長期的なあり方が述べられているところでございます。
#67
○伊藤基隆君 次に、所得税の課税最低限の問題でございますが、我が国の課税最低限が諸外国と比較して高過ぎるという事実がございます。これは好況時の増収分を安易な形で所得減税に向けてきた結果だという批判もあるところでありますが、我々も今回減税を求めているところですけれども、これ以上課税最低限を引き上げることには大きな疑問を持っているところでございます。むしろ、所得税についても五%ブラケットの新設や年金課税の適正化など課税ベースの拡大を検討する必要があると考えております。
 今、主税局長の答弁でもその点が触れられたところでございますが、この点についていかがでございましょうか。
#68
○政府委員(尾原榮夫君) まさに税制の基本的な考え方であろうかと思いますが、当たり前の話でございますが、まず税制は公的なサービスを賄うに足りるだけの量が必要であろうと思います。その上で、課税ベースが狭くて税率が高いというのは経済に悪い影響を与えます。したがいまして、できる限り税制としては課税ベースを拡大し税率は低くするというのが基本的な方向であろうと思います。
 法人税制も実はそのような考え方で今回改正が行われているわけでございますが、所得税制につきましてもこの課税ベースの拡大、先ほどの答申の中にも指摘がございましたが、大変困難な課題ではございますけれども、今後検討していかなければならない問題だというふうに思っております。
#69
○伊藤基隆君 次に、租税特別措置法の一部改正についてお尋ねしますが、まず金融関係等の税制でございます。
 有価証券取引税・取引所税については、政府案は税率の二分の一引き下げを定め、二年後に見直し、すなわち廃止するということにしております。四月からの改正外為法施行等も視野に入れると、金融商品の流通取引コストを高めるこれらの流通課税については直ちに全廃すべきではないかというふうに考えておりますが、いかがですか。
#70
○政府委員(尾原榮夫君) まさに先生が今お話しございましたように、二〇〇一年までに我が国の金融市場をニューヨーク、ロンドンに並ぶ国際金融市場とするということで金融システム改革が推進されております。
 有価証券取引税及び取引所税については、このような金融システム改革を推進する、そして金融・資本市場の活性化を図るという政策的観点、それから金融のグローバル化に伴う金融取引の海外シフトの可能性が拡大しているといった状況、さらにはこれらの税の金融・証券税制全体の中での役割などを総合的に勘案いたしまして税率を今回半減することとしているわけでございます。
 さらに、平成十一年末までに金融システム改革の進展状況、市場の動向等を勘案して見直し、株式等譲渡益課税の適正化とあわせて廃止することとしているということを御理解いただきたいと思います。
#71
○伊藤基隆君 有価証券取引税は、もともとキャピタルゲイン全額課税を目指すシャウプ税制で導入されました有価証券譲渡益課税制度が昭和二十八年に執行上の困難を理由に廃止されたためにその代替措置として登場したものと承知しているところでございます。
 有価証券取引税を軽減、廃止する場合には、再び株式譲渡益等への課税のあり方について見直しを行うことが不可欠となるというふうに思いますが、その方向性についてどうお考えでしょうか。
#72
○政府委員(尾原榮夫君) ただいま先生からお話がございましたように、現在の株式譲渡益課税については制度としていかがかという意見が強くあるわけでございます。御承知のように、今二つの制度の選択制になっているわけでございます。つまり、一つは譲渡益があれば国税でいえば二〇%の税率による申告分離課税、それからもう一つは売却代金、つまりどれだけもうかったかということに限らずその売却代金の五・二五%を譲渡益とみなしまして二割の税率で課税する、そういたしますと売却代金の一・〇五%相当額を課税する源泉分離課税との選択制になっております。したがいまして、これが取引ごとに選択できることになっておるものでございますから、大変もうけが大きくなった場合にはただいまの源泉分離課税を選択するというようなことができるではないかということで問題であるというふうな指摘を受けているわけでございます。
 平成十年度の改正におきましては、当然この譲渡益課税制度をどう考えるかということも議論になりましたが、現下の株式市場の状況にかんがみますと、これを適正化することは好ましいことではなかろうということで見送られたわけでございます。
 おっしゃるように、政府税制調査会の答申でもこの申告分離課税に一本化することが適正化の方向であろうというふうにもなっておりまして、今後の証券市場の状況、あるいは金融システム改革の進展状況等を踏まえながら適正化を進めていく必要があるという認識を我々は持っているわけでございます。
#73
○伊藤基隆君 次に、土地・住宅税制についてお伺いします。
 地価税創設の経緯を見て、単にバブル地価の抑制というだけではなくて、当時制定されました土地基本法制の趣旨も踏まえ、公共的性格を有する資産である土地に対する適正公平な税負担の確保という観点からとらえるならば、地価税の課税停止についてはまだ議論のあるところではないかというふうに思います。課税停止という中途半端な措置ではなく、地価税のあり方そのものを一たん見直して固定資産税に一本化するという方向もあるのではないかというふうに考えますけれども、いかがですか。
#74
○政府委員(尾原榮夫君) 今回、地価税につきましては、臨時的に課税を停止するという御提案をしてございます。
 地価税についてでございますが、やはり経済のストック化が進んでおります。そうなってまいりますと、資産に適正な負担を求めていく必要があるのではないかという点が出てまいります。
 それから、固定資産税のお話が出ましたが、現在の固定資産税の負担水準、実は地域ごとに相当ばらつきがある状況にございまして、土地の資産価値に応じた負担を求めるものには現段階ではなっていないわけでございます。
 そういったことを考えますと、この地価税でございますが、資産課税として一定の意義があると考えておりまして、これを廃止することは適当でないというふうに認識しているわけでございます。
 ただ、御承知のような経済状況でございます。特にストックに対する価格の低下の問題も不良資産の問題と並んでいろいろ議論されているところでございます。そういうことで地価税につきましては、長期にわたる地価の下落、あるいは土地取引の状況などの土地をめぐる状況、現下の経済情勢、さらには金融システムの安定化の観点を踏まえまして、臨時的な措置といたしまして、今回、当分の間その課税を停止するということにしたわけでございます。
#75
○伊藤基隆君 土地流通課税か土地保有課税かという比較では、今後は流通課税を軽減し、保有課税中心でいくべきであるというふうに考えます。
 土地取得の際にかかる登録免許税などは大震災被災者の共同住宅の建てかえ等でネックになってきており、今回その手当てが講じられておるわけであります。
 しかしながら、このような場合にのみ限定するのではなくて、思い切って軽減するか廃止してもよいのではないかというふうに考えますが、いかがですか。
#76
○政府委員(尾原榮夫君) 土地の流通課税について軽減あるいは廃止してはどうかというお尋ねでございました。
 この土地税制でございますが、やはり所得、消費、資産等の間でバランスのとれた税体系をどうやって確保していくかという観点、それから土地基本法の基本理念、つまり土地の公共性などがうたわれているわけでございますが、を踏まえまして土地の取得、保有、譲渡の各段階において適正公平な課税のバランスを確保するということが大切であるというふうに考えているわけでございます。
 今、土地の取得に際して地方税である不動産取得税、あるいは土地の登記に際しての登録免許税が課税されるわけでございますが、御指摘の登録免許税につきましては、実は平成九年度の税制改正におきまして、その課税標準を固定資産税評価額の四割に軽減する措置を三年間延長しております。また、平成九年度に登録免許税の課税標準になります固定資産税の評価額でございますが、評価がえに伴いまして大都市で四割引き下げられたわけでございます。そういうことから相当の負担軽減が図られているということも御理解いただきたいというふうに思っております。
#77
○伊藤基隆君 居住用財産の買いかえの場合の譲渡損失繰り越し控除制度は民友連も要求しているものでございまして、大いに賛成でございます。
 買いかえの場合に限定すると、譲渡損失の出たマンションから賃貸マンションに住みかえる場合には適用されないなど使い勝手が十分とは言えないのではないだろうかというふうに思います。青色申告者については所得税法七十条で一般的な損失繰り越し控除がもともと認められていることに比べても不公平ではないかというふうに考えるところでございます。
 譲渡損失繰り越しを買いかえの場合に限る理由、ないしは青色申告と比較して不十分な制度となっている理由はどこにあるのかその辺についての説明をいただきたいと思います。
#78
○政府委員(尾原榮夫君) 今回、居住用財産の買いかえの場合の譲渡損失繰り越し控除制度を創設することにしているわけでございます。
 この制度の趣旨でございますが、もちろん住宅をめぐる諸情勢に配慮するということと同時に、バブル期に住宅を購入して住宅の含み損を抱え買いかえに踏み切れないでいる人の住みかえを支援するということで今回措置することとしたものでございます。
 先生の御指摘は買いかえとかに限らなくていいではないかこういうお話でございました。しかし、所得税といいますのはある一暦年の所得に対しまして累進税率を適用する税でございます。一暦年ごとに所得計算を行うのが原則でございまして、ある年に生じた損失といいますのは翌年以降の所得計算に反映させないというのが基本だろうと思います。そういう意味で、今回の制度はその例外になるわけでございます。
 また、税で申し上げますと、売却時の課税がどうなっているかと申しますと、居住用財産の場合には三千万円の特別控除がございまして、譲渡者の大部分が非課税になるわけでございます。そういたしますと、売ったときに非課税になっていて買ったときも優遇するというのは所得税の考え方からいたしますと大変難しい話でございまして、先進諸国、ヨーロッパ諸国ではこの繰り越し控除も認められていない、他の所得からの通算も認められていないという状況になっているわけです。そういう中で、それでは何がまさに住宅対策としてできるかということで今回の案になったわけでございます。ぜひ御理解いただければと思います。
 なお、青色事業者の方がもっと自由にできるようになっているのではおいかというようなお話でございますが、今回、この制度の創設に伴いまして、青色事業所得者の方のこれまでの措置についての適正化もあわせて講じているところでございます。端的に申し上げますと、青色事業者の方が損失を抱えて住みかえる場合、この制度の方へ引っ越してきてもらうという改正にしてございます。
#79
○伊藤基隆君 次に、自動車関連諸税についてお尋ねいたします。
 揮発油税、地方道路税、自動車重量税の特例税率五年延長については、既に道路特定財源は消化し切れずに余っておつて、公共事業の重点化、効率化の要請に反し、資源配分をゆがめるものとの批判がございます。もちろん、特例税率を残したままで一般財源化するなどといえば自動車ユーザーも到底納得できるものではないというふうに考えますけれども、環境負荷に比例した炭素税等の環境税制、他の交通手段にも広く課税する総合交通税などというさまざまな代案も含めてこの際思い切った見直しを考えてもよいのではないかというふうに考えるところでありますが、御見解をお伺いしたいと思います。
#80
○政府委員(尾原榮夫君) 今回、自動車関係諸税の期限が到来いたします。
 そこで、この特例措置につきましては、歳出面から十分に吟味させていただきまして、新たな道路整備五カ年計画が取りまとめられたわけでございます。この道路整備五カ年計画の策定状況あるいは財政状況が極めて厳しい状況にあるということを勘案いたしますと、これらの諸税の現行税率の水準を維持する必要があるということで五年間延長する御提案を申し上げているところでございます。
 それから、炭素税についてのお尋ねがございました。
 この問題でございますが、国内外での議論の進展を注視しながら、引き続き調査及び研究を進めていく課題であろうというふうに考えてございます。
 それから、総合交通税についてのお尋ねもございました。
 総合交通税でございますが、どのような歳出に充てるため、どのような方に負担を求めるのかということをまず国民に明らかにして、その理解を深めていくことが重要であるというふうに考えているわけでございます。
#81
○伊藤基隆君 次に、既存の租特の整理合理化という点でお尋ねいたします。
 廃止が一件、新設五件でありまして、企業関係租特見直しによる増収額が約二百億円では法人課税ベース見直しの趣旨に照らしても極めて不十分ではないかというふうに考えます。
 創設以来四十年を超える措置もあるようでありますが、本当に必要な税制ならば二年程度での延長を繰り返すという現行の方策は極めて不自然でありまして、法人税本則に組み入れるなどの対応をすべきではないかと考えますが、いかがでございましょうか。
#82
○政府委員(尾原榮夫君) 先生御指摘のとおり、租税特別措置といいますのは特定の政策目的を実現するための政策手段ではございますが、反面、税負担の公平といいますか、税の基本理念に反することになっていることはそのとおりでございます。したがいまして、個々の措置については政策目的、効果を絶えず吟味いたしまして整理合理化を進めていくということが必要であるというふうに考えております。
 今年度も我々はできる限りの努力をして御提案しているわけでございますが、廃止一件、新設五件はどういうことかというお話だったかと思います。
 実は、五件創設させていただいておりますが、沖縄の振興策四項目を新たに創設させていただきました。それからもう一つが、法人税本法の中に特別修繕準備金というのがございましたが、これを適正化した上、本法から租税特別措置の方へ移行してきたというのが一項目ございまして、確かに五項目ふえておりますけれども、今までの政策税制と同一視してといいましょうか、政策措置とは若干趣旨が異なるのではなかろうかというふうに私は考えているところでございます。
#83
○伊藤基隆君 生・損保控除についてお伺いしたいと思います。
 これまでもいろいろ議論があって、見直しについて大蔵省の主張が毎年起こってくるわけでございますけれども、金融ビッグバンを迎えて、今回生・損保控除についてどのように検討されたか、ちょっとお伺いしたいと思います。
#84
○政府委員(尾原榮夫君) 生・損保控除でございますが、諸外国にはなかなか見当たらない制度でございます。また、生命保険、損害保険とも制度創設の目的は既に達成されているのではないかという指摘がございます。
 それから、今、先生から金融ビッグバンのお話がございました。今、金融商品といいますのは生命保険の商品、損害保険の商品というふうに縦割りに切れるような状況ではなくなってきておりまして、同種の商品がいろんな金融を営む銀行その他からも出されるようになってまいります。そうしますと、税制で垣根をつくっているような生命保険あるいは損害保険控除制度についてどう考えるかという問題が金融ビッグバンとの関係でも出てくるわけでございます。そこで、このあり方を直せないかということで、平成十年度改正において議論を行いましたが、成案を得るに至らなかったものでございます。
 いずれにいたしましても、金融システムそのものについて銀行・証券・保険分野への参入促進など抜本的な改革が行われている状況でございます。特定の業態の提供する金融商品に認められてきた生・損保控除などの措置につきましては公平性、中立性の観点から見直しを行っていく必要があると考えておりまして、今後引き続き議論を深めてまいりたい、平成十一年度改正でも見直しを目指して十分議論してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
#85
○伊藤基隆君 その他ちょっとお伺いしたいことは番号制度の問題でございますが、今国会では住民基本台帳法改正案が提出されて住民票コードが制度化されようとしております。既に実施されている年金番号とあわせて納税者番号制度の技術的な基盤となる部分は相当に整備が進むことになろうかと思います。
 今後、納税者番号制度の導入についてどのようなスケジュールで検討を進めているか、お伺いしたいと思います。
#86
○政府委員(尾原榮夫君) 納税者番号制度につきましては、税務行政の機械化、効率化あるいは所得課税、資産課税の適正化に資するのではないかという観点から検討を続けてきております。
 納税者番号制度をめぐる環境でございますが、最近、各種カードの普及に伴いまして、番号利用が一般化しているように思われます。それから、基礎年金番号が実施されました。さらに、今回、先生から今お話がございましたように、住民基本台帳法の一部改正法案が国会に提出されまして、行政による番号の整備が進展しているように思われます。一方、金融システム改革との関連では資料情報制度をどうやって充実させていくかというような問題もございます。このように環境が前とは変わってきているようにも思います。
 そこで、納税者番号制度に関しましては、同制度の目的について改めて議論を深めまして、プライバシーの問題、経済取引への影響等の諸課題につきまして検討を進めていく必要があるというふうに考えているわけでございます。
 税制調査会の答申におきましても、「納税者番号制度をめぐる環境は新しい局面を迎えており、国民の受け止め方を十分に把握しつつ、より具体的かつ積極的な検討を行わなければならない時期に来ています。」とされているところでございます。
#87
○委員長(石川弘君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
#88
○委員長(石川弘君) ただいまから財政・金融委員会を再開いたします。
 平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、法人税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#89
○伊藤基隆君 午前中に税制にかかわる質疑を全部終わりたいと思ったんですが、一問だけ残ってしまいまして、これを最後に大臣にお伺いしたいと思います。
 行政改革会議の中で橋本総理みずからが提唱したとされております国税、地方税の徴税一元化とセットでの国税庁の大蔵省からの分離については、最終報告の中では「今後検討する」というふうになって先送りされたわけでありますが、徴税一元化等の問題について大蔵省としてはどのように検討したのであるか、特に国税の企画・立案に当たる主税局と税務の執行に当たる国税庁が現在のような本省、外局という関係から別々の系統の組織となる場合、どのようなメリット・デメリットがあると考えるか大臣の考え方をお伺いしたいと思います。
#90
○国務大臣(松永光君) 国税庁の問題はいろんな経過を経て、またいろんな議論がなされたところでありますが、結局、行政改革会議長終報告において財務省の外局と位置づけられるとともに、徴税の中立性、公正性の確保を図る点から税制の簡素化等の指摘が最終報告でなされているところでございます。
 政府としては、この行政改革会議長終報告の内容を忠実に盛り込んだ中央省庁等改革基本法を取りまとめてこの国会に提出したわけであります。この基本法案には、「国と地方を通じた徴税の一元化については、地方自治との関係及び国と地方を通ずる税制の在り方を踏まえて更に検討すること。」、それから「徴税における中立性及び公正性の確保を図るため、税制の簡素化を進め、通達への依存を縮減するとともに、必要な通達は国民に分かりやすい形で公表すること。」という規定が置かれておるわけであります。
 今、委員の御指摘は、現在の大蔵省、この法律が通れば財務省になるわけでありますが、主税局が財務省にあって徴税業務を担当する分野が国税庁、国税庁は財務省の外局、こうなっていることのメリットいかんという話でございました。
 税制というのは、主税局が中心になって各方面の意見をお聞きして制度をつくるわけでありますが、その制度に基づく実際の課税、税の賦課、そして徴収という事務とはある面では非常に関連が深うございまして、理論上はこういう税制が望ましいということで税制をつくったとしても、実際課税をし徴収する場合にはこういう問題点があるなどということがしばしば出てくると思われます。そういう場合にも、同じ現在の大蔵省、将来の財務省の中の関係であればそういった面について始終連絡調整ができる、こういうメリットがあるんじゃなかろうかと思いますし、賦課徴収をしているその経験から望ましい税制のあり方もまた主税局の方に上がってくるということもあります。
 そういう面で、よりよい税制を施行する、そして合理的な賦課徴収ができる、こういった面で、同じ省の中で一つは内局一つは外局、こういう形の方が望ましいという意見は大変強うございます。そういうことで、中央省庁等改革基本法では国税庁は財務省の外局というふうにされたものだと思います。
 一方、国と地方を通じた徴税の一元化というのも、ある意味では同じ国民からの税を徴収するという事務でありますから、その方が職員の数も相当程度縮減できるかもしれないという点もありましょうし、便利だという点もあると思われますけれども、しかし地方自治体の方は自分たちの税は自分たちで徴収したいという意見も強いようでありまして、そういう点から、国と地方を通ずる徴税の一元化というのは行政改革会議の最終報告では取り上げられずに、さらに検討するというふうに定められたものと思う次第でございます。
#91
○伊藤基隆君 税制にかかわる質問はひとまず終わりにいたします。
 今後、金融システム改革法案が審議になってくるわけでありますが、それにかかわって基本的なことをこの際付点か時間の許す限りお伺いしておきたいと思います。
 まず、不良債権問題でございますけれども、大蔵省は一月十二日に四月から導入する早期是正措置の一環として銀行が実施しました資産の自己査定結果を発表いたしました。これによりますと、回収不能ないしは回収に重大な懸念がある債権と回収に支障を来すおそれがある債権は都市銀行など大手銀行、地方銀行、第二地銀の合計で七十六兆七千八十億円という数字でございます。九七年九月末の公表不良債権二十一兆七千三百億円の三・五倍という数字が明らかになりました。
 従来からの延滞債権や金利減免債権はこの公表基準の第U分類の一部と第V分類、経営破綻先債権は回収が不可能とされる第W分類というふうになっております。第U分類には公表不良債権ではないが問題のある債権が含まれているということでございます。集計によると、第V分類と第W分類の合計は十一兆円を上回りました。
 大蔵省は、第W分類は全額損失になる可能性が高い、第V分類は必ずしも全額損失にはならない、第U分類は各金融機関が債権の管理を怠らなければ損失が発生しない債権が多数含まれているという説明でございますが、最近は第U分類に計上した後第V、第W分類に移行する例も多いわけで、第U、第V、第W分類を合計して問題不良債権と見るべきだという指摘もございます。
 私も自分自身で委員会で質問したところ二十一兆円という答弁がありまして、それが七十六兆円でございます。本当のところは一体どうなっているんだろうかというふうに考えます。今日の金融危機を招いた不良債権の実態が基準のとり方で変わるんだというレベルを超えてかなりあいまいだという印象を否めないのであります。これではすべての対策が立たないのではないかというふうに思います。
 そこで、大蔵省にお伺いしますが、不良債権のディスクローズが言われ続けて今なお不明確ということでございます。公表基準のとり方により判断が変わってはならないわけでありまして、ディスクローズのレベルないしは不良債権の実態の全容をこの際明らかにすべきではないかと思いますが、大蔵省の考え方をお伺いしたいと思います。
#92
○政府委員(山口公生君) 今、伊藤先生から七十六兆、二十一兆等のお話をいただきましたが、不良債権のディスクロージャーというものにつきましては考え方によって数字が違ってくるのはやむを得ない部分があるわけでございます。
 それで、今後の方向としましては、ディスクロージャー、各行別の不良債権の開示は、これはSEC基準の方に合わせていくという方向で徹底していきたいというふうに思っております。これはなぜならば、一つの形式的、客観的基準で拾いますので比較可能性があるということでございます。
 もう一つの七十六兆ベースの話はトライアルのものを集計したものでございますが、これは法案を審査していただく前提として、全体像としてどういうふうに債権が分類されるのかということでございます。
 そのうち不良債権ということでそれから抽出するとしますと、それは各行で公認会計士の方で、引き当てるべきもの、企業会計上その判断をして決まってくるものでございます。したがって、あいまいだという御批判は、その御趣旨はよくわかりますけれども、不良債権は幾ら幾らでこれが絶対的なものですというものは、私はそれはとり得ないと思います。
 一つの基準として国際的にとっておりますのがSEC基準でございますし、あるいは全体像としてどれくらい懸念するものも含めたリスク管理債権があるかということになりますと、この間お示しした数字、それのうち企業会計上不良債権として認識すべきものというのが決まってくる、こういう理解をしていただきますれば、確かにわかりにくいという御批判はわかりますけれども、それ以上の数字というのはなかなかとり得ないものだろうというふうに私は考えます。
#93
○伊藤基隆君 今の答弁にかかわって聞きますと、基準のとり方によって変化をするし、絶対的な判断、絶対不良債権というようなものはあり得ない、常識的にはあるのかもしれませんが、あり得ないということでございますが、二十一兆と七十六兆、二十二兆と七十七兆というのはちょっと差があり過ぎるんじゃないかと。分類の内容もかなり似通った分類。
 問題は第U分類なのかもしれませんが、それが六十五兆でしたか、あると。その第U分類がすべて優良債権がというと、これまた全部優良債権とは言い切れないものが逆にあるわけでありますから、私は約七十七兆と二十二兆の隔たりは大き過ぎるということであいまいだと、ディスクローズが完全でないという言い方をするわけであります。
#94
○政府委員(山口公生君) 先生のおっしゃる趣旨は私もよく理解できるのでございますけれども、第U分類のものにつきましては不良債権というふうにジャンルづけしてしまうということにはいろいろ問題があると思います。
 したがって、個別にリスク管理を要するものというふうに理解していただければ、そういったものも全部含めて優良でないという意味で不良債権とおっしゃればそれは入るかもしれませんけれども、いわゆるこれはもう貸す相手ではない、あるいはもうこれは償却すべきものだという意味で不良債権というふうにお使いになりますれば、この第U分類をそこに全部、全額入れてしまうというのはちょっと誤解を生みやすいのではないかと。
 そうすると、第U分類の中である程度の実績率を見ますと、第V分類に落ちたりあるいは第W分類に落ちていったりするものが出てくると思います。それは企業会計上きちんと把握して、それなりの引き当てをしていただくということになろうかと思うわけでございます。そういうことを御理解いただけますれば統計の違いというものを御理解いただけるのではないかと思う次第でございます。
#95
○伊藤基隆君 なお答弁にかかわってお聞きしますが、第U分類全体を不良債権とみなすというふうに私も申し上げているんじゃないわけでして、第U分類の中で、特に銀行の経営上の失敗、融資の失敗というよりは経済環境の変化によって不良債権化するものも出てくるでしょうけれども、かなり危ないものが含まれているということも大蔵省自身がどこかで言ったような気もしますが、定かではないんですけれども、そういうものはあろうかと思います。
 そこで、先般の委員会で星野委員からも御質問があって、私はやりとりを聞いておったわけですが、例の金融危機管理審査委員会が公的資金投入、に伴って経営の健全性確保計画を発表いたしました。その中で、長銀、日債銀、中央信託の三行で三兆三千六十億円、従来の国内基準を八千億円上回る、三割強上回る不良債権が出てまいりました。
 これはSEC基準で六カ月以上延滞を三カ月としたというところから出たのかもしれませんけれども、ではSEC基準が日本の基準と隔絶しているかというと、私はそれほどではないだろう、隔絶するほどではないだろうと。それによりますと、この数字を見ただけでも不良債権として公表されなかった問題債権がなお多く存在するんじゃないかというふうに思います。
 こういうことについて先般の銀行局長の答弁では、基準の変化ということを言われました。私は、経済状況による融資先の経営の悪化ということもあろうかと思いますが、かなりふえているというふうに見なきゃならないと思いますが、どうでしょうか。
#96
○政府委員(山口公生君) 先生のお話しの点を二つに分けさせていただきますと、最近の経済情勢あるいは資産価格の動き等でこれまで単なる注意をしていればよかった債権が不良債権化してくるというものももちろんあると思います。それは否定はできないと思います。
 ただ、先ほどもう一つのお話がございました健全化計画で示した三行の数字がかなりふえたというところにつきましては、実は前の基準で出したものと新しい今度の三月期から適用するSEC基準で出したものとの比較でございますので、対象は同じでございます。
 そうして見た場合には、先生がおっしゃるように、がらっと対象を変えたわけではなくてつけ加えたわけでございます。六カ月以上というものを三カ月以上にした、あるいは金利減免の公定歩合以下というところを、公定歩合より高くたって少しでも下げたら、そういったフェイバーを与えた場合というふうに大分広げたわけでございます。そうした場合に、たしか一割から三割ぐらいの範囲でふえたということでございます。
 したがって、今までの形式基準での数字でとった場合には隠れて出てこなかった、隠れていると言うと語弊がありますけれども、拾い上げる材料にならなかったものが、SEC基準でやりましたらそういったものが三割増しぐらいで出てきた銀行があったと、こういうふうに御理解いただきたいと思います。そして、今度の三月期からは両方出していただくということでございます。
#97
○伊藤基隆君 それでは、さらにお尋ねいたしますが、今回の公表結果というのは九七年四月から九月に行った自己査定の結果でございます。もちろん、その後アジア危機または大型倒産等がずっと続いて、厳しい状況をお互いが感じたというか、見聞きし、危機感を持っているわけでございますが、そうした状況の変化によって不良債権額がふえたということは、もうだれもがそう思っているんじゃないだろうか、その可能性は非常に高いと。
 九七年十二月末時点での査定は今進行中だと思いますけれども、三月末に結論が出るといいましょうか集計が出ると思いますが、どのように把握されているのか、そのことについて中身についても発表していただければお願いしたいと思います。
#98
○政府委員(山口公生君) トライアルの数字を集めてこの間お示ししましたが、これからはいよいよ早期是正措置を控えてのきちんとした自己査定になるわけでございます。これは本年の三月宋の決算の結果が出ますのは五月でございます。五月になりますと新しい数字が出てまいるわけでございます。
 先生が御指摘の不良債権がふえたのではないかという御懸念でございますが、一方で不良債権を処理しておる、だから入ってくるもの、出ていくもの、表現は適切ではございませんけれども、今私の方でふえているか減っているか確たる数字を持っていないというところでございます。
#99
○伊藤基隆君 それはやむを得ないことだと思います。ただ、処理の仕方にもいろいろありますから、このことはまた後にお聞かせいただきたいと思います。
 公表不良債権をすべて償却する必要があると仮定したある推計によれば、日経平均株価が一万八千円の水準でも一割強の銀行が債務超過、三割強が国際基準と国内基準に対して資本不足であって、一万六千円を割ると半分以上の銀行が債務超過か資本不足になるというふうに言われております。これ以上不良債権や保有株の損失の処理を先送りして財務諸表に計上をおくらせることを認めれば、もはやよい銀行と悪い銀行の識別は不可能になるんじゃないかというふうに思います。その点について大蔵省の認識はどうなんでしょうか。
#100
○政府委員(山口公生君) 不良債権の処理を先送りするということは、企業会計上、認められないわけであります。本来、自己査定をして償却すべきもの、引き当てすべきものというのはきちんとその期にしなければならないということになるわけでございます。その結果として出てくるのが自己資本比率等でございます。財務諸表にすべてがあらわれる、公表されるということになるわけでございます。それから、SEC基準でのまた新しい開示というものがつけ加わりますので、より実態に合ったものが出てくるということになるわけでございます。
 財務諸表あるいはディスクロージャーをあいまいな形にしますと、先生のおっしゃるように、銀行が本当にいいのか悪いのかわからないという御批判になるわけでございます。これからはずっとそういった面を検査の方でもよくチェックしていきますので、そういった御懸念がないようにしていきたいと思っております。
#101
○伊藤基隆君 正常な債権五百四十八兆円も、これはすべてが正常と言い切れるのかどうかという懸念を持っているものであります。実質債務超過先であっても、追い貸しによって金利が払われ自己資本の毀損率が小さい、あるいは実質的な債務超過額が小さいと銀行が今後問題解決するだろうというふうに判断すれば正常債権に入っている可能性は否定できないのではないかと言われております。
 つまり、正常債権の中に中長期的に不良債権化する危険がある債権がかなりあるかもしれないというふうに考えられるわけですが、この点について大蔵省としてはどのように見ておるんでしょうか。
#102
○政府委員(原口恒和君) 今御指摘のありました正常債権、すなわち検査において非分類とした債権につきましては検査の時点で回収の危険性、または価値の毀損の危険性について問題がないというふうに判定した資産でございます。そういう意味で、今、先生がおっしゃいましたような幾ばくかの注意を要するといいますか、懸念のあるものについては原則として分類をする、リスクの管理をする債権に分類をするのが原則になっております。
 ただ、中長期的に見た場合に、景気動向等によって債務者の状況が急激に変わる、あるいは資産内容が劣化して正常債権と考えておったものがいわゆる不良債権化するというケースも全くないとは言えないと思いますが、そういう危険性は他の分類債権に比べるとかなり低いと。
 それから同時に、会計処理を要する場合におきましても、正常な債権につきましても従来の貸し倒れ率等を勘案してそれに見合う貸倒引当金の計上等、こういうことを行っていただけばそれに対して十分対応できるというふうに考えております。
#103
○伊藤基隆君 バブル崩壊後すぐの時点においては、不良債権額は潜在不良債権を含めても大手二十行で二十兆から三十兆程度だったのではないかというふうに言われております。それをきちんと処理せずに先送りしているうちに地価下落や景気低迷で正常債権が不良化してきたのではないかすなわちずっとふえ続けてきたんじゃないかというふうに思われますが、この辺についてはどうなんでしょうか。
#104
○政府委員(山口公生君) 今、伊藤先生の御指摘は大変難しい、私ども分析がなかなかできにくい部分であろうかと思います。
 ただ、バブルの崩壊直後といった場合の数字というのが現に手元にございませんので比較はできないのでございますが、まだそのころはいわゆるバブルの余熱といいましょうか、企業にとっても支払い能力がまだあった状況が続いていたわけでございます。したがって、金融機関の帳簿に載る不良債権というのも比較的少なかったのかもしれません。
 しかし、バブルの崩壊の影響がどんどん長くかかりますと、これだけの期間、しかも資産価格が下落したままということになってまいりますと、バブルの影響が本当にいわゆる財務諸表、帳面に出てくるということだろうと思うんです。それで、最終的には金融機関の帳簿にそれが集約されていくという面は否定できないと思うのでございます。したがって、不良債権問題がバブルの崩壊後しばらくしてからだんだん認識されるようになってきたというのも事実だろうと思うのでございます。
 ところが、金融機関としても、もう早くこのバブルのツケでもあります不良債権を処理しなければいけないという気持ちは強く持っておるところでございまして、なぜならば、格付機関も何を一番見るかというと、不良債権をどれぐらい抱えているかということを見て格付をやっているわけでございます。そうしますと、ちょっと主要行だけの例で限られていますので恐縮でございますが、七年度から九年度の中間期までどれぐらいこの不良債権に金をつぎ込んだかということを、債権償却特別勘定の新規の純繰入額と貸出金償却額、さらに共国債権買取機構の売却損を加えまして、大体二年半で二十兆ぐらいあります。それだけそういった処理に内部留保等も使って対応したということですが、そのときの業務純益に対応するのが十一兆二千億でございますので、業務純益で稼いだものの倍ぐらい不良債権に充当している、その結果金融機関の体力が大分落ちてきたということは否めないと思います。そうやって落ちてきた結果、自己資本比率という形での問題も生じてきているというふうに御理解いただければいいと思います。
 それから、全国銀行ベースで見ますと、業務純益を若干超えるぐらいの債務処理を五年間やってきているのかなという感じを私は持っております。それぐらい各金融機関は今バブルのツケであります不良債権の処理に相当全力を挙げてきたということは言えると思うわけでございます。
#105
○伊藤基隆君 今、銀行局長の答弁された内容というのは、スタンダードといいましょうか、健全なやり方をした場合に処理によって大変な負担を負うということであろうかと思いますが、銀行は四つの区分債権のそれぞれに対して適切な償却、引き当てを実施することが必要とされておりまして、破綻先債権については一〇〇%、破綻懸念先債権は残額のうちの必要額ほぼ五〇%程度、要注意が〇・三%となっております。
 問題は、冒頭から質問の中で出ております債権の区分や分類の定義が、定義はきちんとされているんでしょうが、解釈のあいまいさというのが出ているんじゃないかと。例えば、経営が悪化しているため金利減免などで支援をしている貸出先が、銀行によっては破綻懸念先に入ったり要注意先に入ったり、要注意先に入れておけば多額の引当金は必要ないし、融資額をふやして支援を続けても問題にならないというようなことが実際は行われているんじゃないかと。
 そういう懸念があるとすれば公表された不良債権の実態に対する不信というものが出てくるわけでありますから、その辺について大蔵省としては、問題意識といいましょうか、把握といいましょうか、全体の金融システムの安定のためにある程度のことについてはのみ込んでいるということなのか、そんなことはないということなんでしょうけれども、ぜひその辺の大蔵省の見解をお聞かせいただきたいというふうに思います。
#106
○政府委員(原口恒和君) 今、先生御指摘のありました例えば一つの貸出先についてこれをどう見るか、非常に限界的な場合、これは検査におきましても金融機関といろいろ議論をするところもございますし、非常に難しい問題だと思います。
 一般的には、個々の資産の内容というのは、今御議論がありましたように、貸出先の規模とかあるいは債務者の状況等によってさまざまでございます。ただ、そういうものを自己査定していただくに当たりましても、やはり全般的な統一性を確保するということも一方では非常に大事でございます。
 そういう意味で、できるだけ各金融機関において共通の基本的な考え方を確保していただきたいということから、自己査定の実施に先立ちまして昨年の三月に当金融検査部からこれまでの検査におる資産査定の実務の考え方、あるいはアメリカにおきます資産査定のやり方等をもとにいたしました資産査定についての基本的な考え方、これにつきましては分類の基本的な考え方だけではなくてかなり細かいケースについて、こういうケースはU分類ですよ、こういうケースはV分類ですよということを含めていわばマニュアル的なものを公表したところでございます。そういうものによってできるだけ考え方というものの統一性を今後とも確保していきたいというふうに思っております。
 また、早期是正措置導入後は金融機関みずからが作成した自己査定基準に基づいて自己査定が行われるわけですけれども、これに基づいてどのような償却、引き当てが行われているか、あるいは自己査定が正確であるかどうかということについては、公認会計士の監査を受けるほか、当局の検査においても十分それを実態把握していきたいというふうに考えております。
#107
○伊藤基隆君 では、銀行で実際どのように不良債権が帳簿上処理されているかについて、私はわかりませんので、大蔵省はどう把握されているか、お聞きしたいと思います。
 商法二百八十五条ノ四第二項で、「金銭債権ニ付取立不能ノ虞アルトキハ取立ツルコト能ハザル見込額ヲ控除スルコトヲ要ス」となっております。回収不能になる可能性がある金額、すなわち不良債権のうち回収不能と見込まれる額については会計上償却処理をしなきゃならないということで、これは強行規定、無視することはできない条文となっておりますが、経営判断を間違って融資した債権が所得を生まない不良債権になったとき、銀行の財務状態を示すバランスシート上では実際上はどのような処理がされているんでしょうか。
#108
○政府委員(山口公生君) 今、先生から商法を御紹介いただきましたが、回収不能額が確定している場合にはいわゆる直接償却が行われ、資産勘定から控除されます。また、回収不能額が確定していない場合には回収不能見込み額につきまして貸倒引当金、すなわち債権償却特別勘定に繰り入れることによりまして資産勘定と負債勘定の両建てで計上されることとなっております。
#109
○伊藤基隆君 私は、全部直接償却をやれということではないと思うんですけれども、またそのことによって起こる波紋の大きさというものもあるのかもしれませんが、確定したときということに対する認識が違うんじゃないかと。帳簿上の確定というのか実際問題の確定というのか、それはわかりませんけれども、ほぼ第W分類などは確定ではないだろうか、そのことを率先して帳簿上直接償却する必要が今日まであったのではないかそのことを行政指導すべきではなかったかと。
 しかし、事ここに至ってはちょっと難しいんじゃないかとは思いますけれども、その点はどうなんでしょうか。
#110
○政府委員(山口公生君) 先生の御指摘はいわゆる経理処理の実際でございますが、これは商法及び企業会計原則に基づいて各銀行が定める償却及び引き当ての計上基準によって処理しておりまして、監査法人がそれをチェックするということでございます。
 通常、W分類にしたものはその期で償却をしているというふうには聞いておりますけれども、具体的にどういうふうな処理をやっているかは、各銀行が監査法人のチェックをもとに適切にやっていると考えておる次第でございます。
#111
○伊藤基隆君 私も帳簿処理のことについては余り詳しくないのでありますが、積極的な直接償却ということをすべきであったというふうには思っておりまして、そのことが今日を招いたのではないかという感じがなくはありません、素人考えかもしれませんけれども。
 さて、共国債権買取機構では価格判定委員会なる組織を設けて適正な価格で不良債権を買い取ることになっておりますが、その中で今日までどれほどの額を買い取り、第三者に売却できた物件はどのくらいなのか、ちょっとお知らせいただきたいと思います。
#112
○政府委員(山口公生君) 五年三月からこれまでの累計で申し上げますと、債権額面が十四兆二千四百六十三億円、それから買い取り価格が五兆五千八百三十五億円でございます。この五兆五千八百億円のうち、主に不動産の売却によって回収を図っておりますが、それが一兆一千四百十八億円でございます。
#113
○伊藤基隆君 終わります。
#114
○牛嶋正君 私は、公明の牛嶋でございますが、きょうは法人税を中心に質問させていただきたいと思います。
 我が国ではまだ少子・高齢化の進展の速度は衰えずに進んでおります。さらに、グローバル化も進んでいるわけです。こういう形で二十一世紀を迎えようとしているわけですが、その二十一世紀の高齢社会がある程度安定した社会、公正な社会、そしてできれば活力のある社会というふうなことになりますと、いろいろな制度、社会の制度や仕組みを改革していかなければならないと思います。政府は六つの改革を中心に今それを進めておられるわけですが、私はその中で税制改革が一番おくれているのではないかというふうに思っております。
 もう二年で二十一世紀になります。平成六年の税制改革でも公正で活力ある高齢社会にふさわしい税制を確立するというふうなことで改革がなされましたけれども、私は、後でまた御議論させていただきますけれども、必ずしも十分ではなかったと。特に、二十一世紀の税制を考える場合に、これまでの我が国の税制のあり方から考えてみますと、法人税の位置づけというのが非常に重要になってくるのではないか、こんなふうに思っております。
 こういう観点からきょうは、ちょっと中長期的な議論になるかもしれませんけれども、幾つか質問させていただきたいと思います。
 税制の国際比較というのをよくやるんですけれども、その場合、日本の税制の特徴点というのはいつでも挙げられる点が二点ございます。
 一つは、アメリカと同じように直間比率で直接税中心の税制であるということですね。特に、イギリスやドイツやフランスと比較いたしましてその特徴点が挙げられます。
 もう一つは、法人税の税収構成比が非常に高い、大きいということであります。このことについては、アメリカも直接税が中心ですけれどもほとんどは個人所得税で占められておりまして、法人所得税の割合というのはそれほど大きくはありません。しかし、日本の場合は、ずっと見ていただきますとわかりますけれども、所得税と法人税がほぼ同じぐらいの税収構成比を占めているわけであります。
 ちなみに、シャウプ税制以降の国税収入に占める法人税の税収構成比の推移をたどっていきますと、高度成長が始まります昭和三十年代後半に三〇%に達しまして、ずっとその水準が維持されていくわけであります。平成三年までそれが続きます。平成三年は三〇%をちょっと切りますけれども、そこまで続きます。そして、バブル以降、経済の停滞によりましてその比率を落としていくわけであります。私は、こういった我が国の税制をとらえまして、法人税依存体質あるいは法人税依存型の税制、こんなふうに呼んでまいりました。
 いろいろな理由が挙げられますけれども、この法人税の税収構成比がずっと三〇%以上維持されてきた最も大きな原因は何だったのか、大蔵省がお考えになっている原因についてまずお尋ねしたいと思います。
#115
○政府委員(尾原榮夫君) 大変難しい御質問をいただきました。
 今、先生から御指摘がございましたように、国税収入に占めます法人税収の構成比でございますが、高度成長期には三割程度で推移してまいりましたが、抜本的税制改革による税率の引き下げ、さらにはバブル経済の崩壊によりまして、最近では二〇%台で推移してきているところでございます。
 いずれにいたしましても、国税の中でのウエートを見ますと、所得税に次ぐ税収のシェアを持っておりますのが法人税でございます。そういう意味では、法人税は我が国の中での位置づけは基幹的な税目になっておりまして、財政においても重要な地位を占めているというふうに思っております。
 それで、先生の方から我が国の税体系の特徴として直間比率のお話と今の法人税率のウエートが高いというお話がございました。
 少し国税について眺めさせていただきますと、実は国民所得に対します国の法人所得課税のウエートで眺めますと、確かに日本は三・八でございます。アメリカ二・七、フランス二・一よりは高いわけですが、イギリス四・四よりは低い水準になっているということも言えるわけでございます。
 それで、あともう一点申し上げたいわけですが、実は個人所得課税あるいは消費課税、さらには租税負担率ということを国際比較してみますと、いずれも、我が国は個人所得課税の負担率も消費課税の負担率も全部足した租税負担率でも低うございます。といいますことは、法人税のところがむしろ国際水準並みになっていて、ほかがやや低いということになっている面もあるのかもしれないなというような気が第一点いたします。
 それからもう一点が、日本の場合、どうしても経済活動の中心がまさに、法人成りと言われますように、法人が中心になっておりまして、そういう面があらわれているのではないかというふうに考えております。
#116
○牛嶋正君 それもあるでしょうけれども、私は課税当局から見てやっぱり法人税というのは取りやすい税ではなかったのかなというふうに思います。
 そのことは、今こういう資料をいただいておりますけれども、この百三十七ページに「法人税率の推移」というグラフがございまして、これと私が今申しました法人税の構成比を重ねてみますといろいろなことが言えるわけであります。
 一つは、二十七年に四二%という高い法人税率でありましたけれども、高度成長が始まりますと毎年大変な税の自然増収が入ってまいりまして、それを減税に回すわけでございますけれども、三十年に四〇%、三十三年には三八%、四十年には三七%、そして四十一年には三五%というふうに税率が下がってまいりました。高度成長が終わりましてから、今度は逆に税率が上がっていきます。四十五年に三六・七五%、それから四十九年に四〇%、それから五十六年に四二%、そして五十九年には四三・三%であります。
 この税率の引き上げでありますけれども、そのとき必ず所得税減税が行われているわけですね。ですから、所得税減税を行うための財源を法人税に求めてきたというふうに考えてもいいのではないか私が先ほど申した法人税依存体質あるいは法人税依存型の税制というのはそこを指しております。そういうことですから、先ほどおっしゃいましたように、所得税とか何々が国際比較すると低くなるというふうな話になるわけであります。
 問題は、この依存体質が、比率では先ほど御説明になりましたようにバブル以降すっと下がってきて、平成六年には二一%まで落ちています。そうではありますけれども、それは経済の構造が変わったためのものであって、この税率を見ますと、三七・五%というのがずっと続くわけであります。
 むしろ私は、バブル以降問題になりました産業の空洞化等々を考えますと、今回税率を下げられましたけれども、もっと早く下げるべきではなかったかと。それがなされなかった。一つのチャンスは平成六年の税制改正であったと思うんですけれども、それも見送られてしまっているということは今なお法人税依存体質から抜け切れていないのではないかこういうふうに思っております。
 この点については、大蔵大臣にお尋ねしたいんですけれども、いかがでございましょうか。
#117
○政府委員(尾原榮夫君) 四十年代からの経緯をすっかりお教えいただきました。
 確かに、特に五十年代に入りましてから財政が危機的な状況にだんだんなってまいりました。そういう中での所得税減税をどうするかということで法人税にその財源を求めてまいりました。しかし、経済が国際化あるいは少子・高齢化が進んでいく中で、そのような形での税制というのはだんだんいびつなものになってくるということで平成元年の抜本改革、さらには平成六年の税制改正というふうに続いてきたのだろうと思います。
 また、今回法人税制については、先生のお言葉をかりますと遅過ぎた、もっと早くやるべきであったということでございますが、課税ベースの適正化を行って税率の引き下げということを行うこととしております。
 実は、この法人税につきましてはかねて課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げるという基本的な方向は政府の税制調査会でも指し示されていたところでございます。また、課税ベースを拡大しながら税率を引き下げるという流れは米国も英国もドイツも同じ手法で税率を引き下げてきたわけでございます。日本の場合、課税ベースについての成案を得、遅過ぎたという御指摘をいただきましたが、今回ようやく三七・五から三四・五に引き下げる運びになった、こういうことかと思います。
 なお、今の我が国の税体系で眺めますと、それでもなお所得税に次いで法人税収は第二番目の地位にあるということかと思います。
#118
○牛嶋正君 それで、私は、遅過ぎたということなんですが、それはやっぱり平成六年度の税制改正、これが一つのチャンスであったと思いますね。この平成六年度の税制改正というのは、政府税調が平成五年の十一月に中期答申を出しておりまして、それに基づいて行われた税制改正であります。平成元年の消費税導入以来の大改正ということになったわけであります。
 そこで行われましたのは、先ほど申しましたように、この中期答申では公正で活力ある高齢社会にふさわしい税制をつくるんだ、そのために所得、消費、資産に対する課税のバランスといいますか均衡をとる形の税制をつくっていくんだということであります。あわせて、できれば社会の構成員が広く公平に負担をしていく、こういうことがねらいであったのではないかと思うんですね。
 そういたしますと、所得課税の中に先ほどから言っております法人税が含まれているわけですね。この前行われた六年度の税制改正では、所得税の改正につきましては中堅所得者の重税感を緩和するためのフラット化、それからもう一つは消費税の二%アップであったわけですけれども、法人税の見直しが先送りされてしまったということですね。ですから、せっかくの中期答申ではありましたけれども、この改正の意義の大半は失われてしまったのではないかということでございます。
 そこで、なぜ法人税の見直しが先送りされてしまったのか私は平成六年のときにも大蔵委員会でいろいろ質問させていただきまして、できるだけ早く法人税の税制改正を行うべきだということでお約束もしていただいたわけですけれども、あれからまた今日までなってしまったというそのあたりの事情についてちょっとお話しいただければというふうに思います。
#119
○政府委員(尾原榮夫君) 税制につきましては、経済社会の変化に応じまして税制のあり方も変えていくということが大切なことだと思っております。
 平成六年度の税制改革はまさに個人所得課税と消費課税の大改革を行わせていただきました。先生の御指摘は、このときに法人課税についても行うべきであったと、こういうことでございます。それはまさに、改正は盛りだくさんといいましょうかそういうこともやればよかったというのも一つの選択肢ではあったかもしれません。ただ、法人課税について申し上げますと、平成五年の中期答申の前の答申から課税ベースを拡大するということが法人税率を引き下げる際の検討課題になっていたわけでございます。つまり、課税ベースといいましても租税特別措置だけではなしに、まさに昭和四十年の全文改正のときにできました企業会計原則にのっとった、それをほとんど尊重するという形で、つまり簡素化を旨とするという形ででき上がっている法人税制が今までの姿であったわけでございますが、これをそうでない、税の立場から眺めて課税所得の計算のあり方としてどのように適正化措置を加えていくかそういう新たな措置が必要となっていたわけでございます。
 そうなってまいりますと、租税特別措置の問題はおきますと、法人税制の基本的なパーツ、パーツの中でどのような見直しが可能なのかこういう話になってまいります。そうなってまいりますとどうしても、会計学者あるいは企業の実務家を含め、まさに専門家の方を集めての課税ベースの議論が必要になったわけでございまして、そういう意味で、平成七年に入りまして法人課税小委員会の設置が決まりまして、八年に法人課税小委員会の報告をようやくいただいた。あと何も言いわけするつもりはございません。この案をつくるに際しては、常に実務とも結びつくものでございますから、どのような考え方かということをすべて世に問うて今回の実現になっているわけでございまして、平成六年秋にやるべきだったという御指摘はそれなりにわかりますけれども、そのような手順を踏んでやるべき改正であったと、決して遅過ぎたとは私どもは思っておりません。
#120
○牛嶋正君 その課税ベースを広げて税率を下げるというやり方、これはやっぱり先ほどから言っておりますように法人税依存体質からまだまだ抜け切れていないというふうに私は解釈をしております。
 それで問題は、この所得、消費、資産に対する課税の間のバランスをとっていくという中で、それじゃその法人税の位置づけをどうするかということなんですね、差し当たっての問題としては。
 これに対する一つの考え方として、私はいつもドイツの税制と比較させていただいているんですけれども、ドイツの税制は、先ほど申しましたように、ほぼ直間比率は均衡しております。それはなぜかといいますと、所得税が第一位の税収を上げておりまして、第二位に付加価値税、いわゆる消費税が位置するからですね。そして三番目に法人税という順序になっております。日本の場合は所得税、法人税、消費税であります。日本の場合、法人税と消費税、これを置きかえますともう全くドイツの直間比率が非常にバランスのとれた形になるんですよね。そういうふうに見ていくと、ますます法人税の取り扱いというのは非常に重要な意味を持ってくるのではないか、こういうふうに思っております。
 そういう見方からいたしまして、所得、消費、資産に対する課税のアンバランスの議論をする場合には法人税をどういうふうに改革していくか、どういうふうに位置づけていくかということがやっぱり決め手になる。それはずっと日本が法人税依存型の税制を続けてきたいわばツケなんですよ。これを解決しなければ私は公正で活力ある高齢社会にふさわしい税制は確立てきないのではないかというふうに思いますが、今のところ大蔵省はこの法人税の位置づけについてどんなふうにお考えになっておりますか。
#121
○政府委員(尾原榮夫君) ドイツの所得、消費、資産といいましょうか、あるいは所得税、付加価値税、法人税の位置づけが望ましいのではないかということでお話しいただきましたが、実はドイツの場合は法人数が非常に少のうございます。例えば人口十万人当たりで見てみますと、日本は二千三十五ということでございますが、ドイツの場合は六百七十三ということで、株式会社が法人税の適用を受けるわけでございますが、実はドイツの場合は合名会社、合資会社というのはみんな所得税制の適用を受けるという形になっておりまして、この面から比較するのはドイツの場合いかがかなという感じが若干いたします。したがいまして、法人税と消費税がちょうど逆であればというお話をいただきましたが、必ずしもそうではないのではないかというふうに思います。
 これからの時代、少子・高齢化が進んでまいります。活力ある福祉社会を構築していく必要がございます。そういう意味からいたしますと、法人税は所得税に次ぐ地位を占めておりまして、先生の今のお言葉をかりれば法人税に依存し過ぎではないかということかと思いますけれども、これからも大切にしていかなければならない税制であろうというふうに思います。
 ただ、今回の税制改正でも一つの原因になっておりますけれども、経済はますます国際化をしてくるわけでございます。したがいまして、例えば日本の会社も海外にたくさんの子会社を持っております。その場合、日本の法人税率が高ければ、せっかく子会社が日本へ再投資しようとしましてもお金が戻ってこなくなる可能性もございます。また、日本の経済の活力を発揮するためには海外からも投資してもらう必要がございます。そういたしますと、表面税率が低い方が投資しやすいという形になってまいります。そういう意味で、今回課税ベースを拡大して税率の引き下げということを行っておりますけれども、そのような効果も期待しての改正をねらったものでございます。
#122
○牛嶋正君 先ほど私は右肩上がりの経済では法人税依存型の税制というのは非常に財政運営をやりやすくするというふうに申し上げました。多分そうだと思います。それから、やはり今のように経済が余り振るわないときには法人税に依存するといってもなかなか難しい点があろうと思います。
 これまでも、こういった右肩上がりのときでも法人税の税収というのは非常に不安定であったわけです。変動的な伸長率もありますけれども、時々歳入欠陥をもたらす元凶はその法人税であったわけであります。昭和五十年のときもそうでしたし、それからまた五十六年もそうであったかと思います。これは結局、利潤という非常に経済の変動の過程で動きやすいものに課税ベースを置いているからであります。ですから、私は税収の安定性を図るという意味でむしろ課税ベースの拡大というのを考えているわけであります。
 ところが、先ほどからの御議論というのは、課税ベースの拡大というのはむしろ税率を下げるということでありますけれども、私は課税ベースを拡大する場合にはもっと思い切って今の法人事業税で議論されているような外形標準課税まで考えてもいいのではないかと。これは、言うならば法人税の課税根拠をもう一度見直す、シャウプ勧告以来ずっと続いてまいりました法人擬制説に基づくところの課税根拠をもう一度検討し直すということになるわけですけれども、この課税ベースの見直しを税収の安定性から御議論されたことはございますでしょうか。
#123
○政府委員(尾原榮夫君) 今、先生からお話がございましたように、法人税収は景気状況に左右される大変アップ・アンド・ダウンの激しい税であることは間違いございません。例えば、バブル期の平成元年には十九兆円だったわけでございますが、平成十年度は十五・三兆円と四兆円の差があるわけでございます。
 今の財政状況がこのようになっているといいますのは、法人税収を初めとした税収の低迷も一つの原因になっているわけでございます。ただ、法人税収が景気低迷で減少するということは、確かに財政運営の立場からいたしますと難しい問題を惹起するわけでございますが、法人利益の減少を緩和する効果もあるということかなというような気もいたします。
 それで、先生のお尋ねは税収を安定化する目的から課税ベースの適正化を考えたことがあるかということでございました。
 今回の課税ベースの適正化もそうでございますが、やはり法人税と言うからには法人所得に対する税というふうに私ども考えておりまして、そういう意味で先生のように大胆に課税ベースをそのような見地から考えるということは実は行っておりません。
 ただ、一点だけ申し上げますと、法人課税についてはかねて赤字法人が多過ぎるという議論があったわけでございます。そこで、実は今回課税ベースの議論をする際に、国税においてもそのような黒字、赤字に関係のない税制は考えられないかということで、一つの提案であったわけでございますが、フランスの一種の職業税といいましょうかフランスの税制でございますが、賃金に国税としての新しい税を設け、それを法人税から後から引いていくというような形の税は考えられないかという御提案をさせていただきましたが、残念ながら、やはり国税といいますのは所得に対する税であるべきであり、そのような外形に対する課税というのはむしろ地方の方がなじむのではないかという議論が今回の税制改正での議論では多かったわけでございまして、そういう意味で今申し上げたような提案は控えさせていただきました。
 それからもう一つ、これもちょっと先生の言われるような大きな話ではございませんが、一種の福利厚生費に対する法人税というのはどう考えるべきかという提案もさせていただきましたが、成案を得るには至らなかったということを御報告させていただきます。
#124
○牛嶋正君 やはりいろいろ議論させていただきますと、課税当局といいますか大蔵省というのは非常に保守的だなという感じを受けます。
 今の法人税が依存しております、根拠にしております法人擬制説の考え方、これはもう実態に合わないわけでございますし、やはり実在説に立って法人も担税力ありというふうな立場で、あるいはさまざまな公共サービスを受けているわけでありますから、それに対する負担というふうなことを考えても、もう一度根本のところの見直しもすべきではないかというふうに思います。
 先ほどのお話にもありましたように、税制の連続性というふうなものを考えますと、恐らく二十一世紀になりましても法人税というのは主要税目であり続けるだろうというふうに私は思っております。だとしますと、やはり法人税も主要税目としての条件といいますか、あるいは風格といいますか、基幹税目としての風格みたいなものを備える必要があるのではないかこういうふうに思います。私は、それは言いかえるならば租税三原則、すなわち公平、申立、簡素、この三原則にできるだけ適合するような税構造をつくっていくということではないかと思います。
 それで申しますと、まず公平の原則でありますが、公平の原則をどういうふうに見ていくかは非常に難しい点がありますけれども、少なくとも、先ほど御指摘のありましたように、全法人の六四%も欠損法人として法人税を納めていないということは、これは常識的に言いましても普遍的な公平な税と言えるのだろうかという感じがいたします。これは常識的に考えてそうではないかと思います。
 しかも、このいただきました資料で見ますと、全体の平均は六四・七%ですけれども、資本金の階級別でも相当な開きがございますね。それからまた、業種におきましても相当な開きがあります。こういうことを見ますと、これで果たして公平の原則を満たしているのか、すなわち主要税目としての風格を持っているのかどうかというふうなことでございますが、これについて何かコメントがございましたらお願いします。
#125
○政府委員(尾原榮夫君) 税制の風格ということでございました。
 今、全法人の六四・七%が赤字法人でございまして、これは納税者の方から見れば一体どのようなことでこのようになっているのかという御疑問をいただくことがあるような数字だろうというふうに思います。
 ただ、全法人の半数以上の法人が赤字申告になっている理由でございますけれども、大部分は景況によるものではないか、まさに今バブルの崩壊の後遺症から抜け出せないでいるということが原因になって赤字申告になっているものが相当含まれているのではないかというふうに考えられます。
 こうした赤字申告の現状でございますが、今回の法人税制改革では課税ベースの見直しを行うことにしておりまして、計数的にどれだけ改善するかということは申し上げかねますが、相応の改善が図られるのではないかというふうに考えられるわけでございます。
 いずれにいたしましても、この公平の原則は非常に大切でございますが、先ほど余りにも大胆でなさ過ぎると言われましたが、法人税はやはり基本的には各事業年度の所得に対する税だろうというふうに思います。
 したがいまして、今その赤字法人に対処していくためには所得課税としての法人税の枠内でどこまで対応が可能かという問題がございます。と同時に、法人税以外の対応というのはないのかということでございまして、いわばそういう意味ではいろんな税の組み合わせによりそのような赤字法人からも一定の税負担をいただくということかと思います。
#126
○牛嶋正君 今、赤字法人の割合が景況に依存するというふうにおっしゃいましたけれども、これもずっと過去から調べてみますと、やはり法人税率が引き上げられるときにふえるんですね。恐らくそれは一方では損金算入の取り扱いのところでいろいろな租税特別措置なんかが設けられての話だろうと思うんですけれども、そういうことですのでやはり景況だけではないのではないかというふうに思っております。今度六四・何%まで高まりましたけれども、先ほど申しました五十年代から、税率が引き上げられたときぐらいからはもうずっと五〇を切っておりませんので、やはりこの点については構造的な問題を含んでいるのではないかというふうに思っております。
 それから、中立の原則でございます。
 法人税というのは利潤に対する課税でございますので、納税者である法人と国はパートナーの関係にあるというふうに言われてまいりました。もうけたらその分け前を国はもらう、しかし損をすればそれは補てんをするというふうなところがあったと思うんです。ですから、いわば中立の原則というのはある意味では満たしていたと思うんですけれども、この両側から進んでまいりまして諸外国との実効税率の比較がなされてくると、これはいつまでも中立の原則が満たされているとは言えないという面が一つあると思います。
 それからもう一つは、租税特別措置でございます。これは政策税制でありますが、どういう理由にいたしましてもこれが市場の競争関係をゆがめることは確かでございます。そして、いかにも租税特別措置をずっと見てまいりますと法人関係税が多うございまして、これによるところの中立性の原則からいっても問題点というのは非常にあるのではないかというふうに思っておりますが、この租税特別措置についてそういった中立の原則の観点から御議論はされておるんでしょうか。
#127
○政府委員(尾原榮夫君) 先ほども租税特別措置について申し上げましたが、租税特別措置は特定の政策目的を実現するための一つの政策手段でございます。反面、税負担の公平、中立を損なっているわけでございます。特に、法人税の場合の公平というのは何かということになりますのですが、実は中立に全部集約されるのかもしれません。そういう意味で公平、中立と申し上げさせていただきますが、その基本理念の例外的なものでございますからやはり税制はなるべく中立的な方がいい、その中立的なものの例外措置になるぐらいの政策目的があるんだろうかということは絶えず考えていかなければならない話だと思います。
 そういう趣旨で今回も増収額二百億円の租特の整理合理化をやっておりまして、全体の項目数の整理合理化割合で見ますと四二・九%、まだ不十分だという御指摘をいただきましたが、我々としては最大限の努力をしているところでございます。これからも租税特別措置の整理合理化をそのような観点から進めてまいりたいと思っております。
#128
○牛嶋正君 三つ目の簡素の原則ですが、これの適用は非常に難しゅうございまして、どういうふうな御質問をしようかななんて思っておったんですが、一つの考え方は、例えば税収百円を徴収するのにどれだけの徴税費がかかっているかというふうなことでよく比較されますけれども、これで言いますと一件当たりの納税額が非常に大きくなりますので私は法人税というのは徴税費は非常に低いんじゃないかと思いますが、今その数字はわかりますか。
#129
○政府委員(尾原榮夫君) 先生のお尋ねの税目別のどのぐらい支出があるかというのはちょっと数字はございません。
 ただ、法人税に限らず、税制全般について簡素という要請はこれから大変高まりますし、今後とも心がけていかなければならない原則の一つだと思っております。
 ただ、法人税について申し上げますと、今回の見直しといいますのは、余りにも企業会計原則に寄りかかり過ぎていた部分があって、それは簡素でございます。逆に税の面からすると、公平といいましょうか、あるいは公正といいましょうか、その面にやや問題があった。そういう意味で、ある部分については企業会計原則から税の立場からの所得計算ということになりましたものですから、そこは簡素という趣旨とは若干反する面もございますが、それは課税の公正、公平を高めるためのものであるという点も御理解いただきたいと思います。
 いずれにせよ、簡素の要請というのは重要なことであろうと思っております。
#130
○牛嶋正君 これも質問の項目には含まれていなかったんですが、ちょっとお聞きしたいんですが、税の簡素化と脱税の問題はかなり相関関係があるのではないか、複雑になればなるほど脱税の機会といいますかチャンスがふえるんじゃないかなと、私はこんなふうに思っております。
 法人税に関しましては、調査をされる職員の数も恐らく相当おいでになると思いますけれども、そのあたりの関係は大蔵省、どんなふうにお考えでしょうか。
#131
○政府委員(尾原榮夫君) 今、簡素な税制でなくなると脱税が多くなるのではないかというお尋ねでございます。
 私は、必ずしもそうではないだろうというふうに思います。むしろ国税庁のお話でもお聞きいただければというふうに思うわけでございますが、いずれにいたしましても、簡素についても大変現実には難しい点がいろいろございますが、簡素化に向けての努力というのはこれからやってまいります。
 ただ、所得課税について申し上げますと、所得というのは一体何だろうかということは、あらゆる納税者について同じ適用をする必要がございます。なかなかその点、租税特別措置以外に所得課税につきまとう問題があるような気がいたします。他方、消費税のような税であればそれよりは簡素な税であろうと思います。したがいまして、簡素という場合にあっても、それぞれの税について努力すると同時に、税体系全体でどう考えていくかという問題もあるような気がいたします。
#132
○牛嶋正君 これは私の意見ですのでお答えは結構でございます。
 先ほども法人税と法人関係税、すなわち法人住民税、法人事業税との関係のお尋ねがありました。先ほどから私が言っております所得、消費、資産のバランスのとれた税制というのは、私は国税だけでは無理だと思っております。ですから、都道府県税、市町村税、すなわち地方税と合わせて我が国の税制ということでバランスをとるべきだと思います。そういうふうに考えますと、いや応なしにやはり今の法人住民税、法人事業税と法人税は一緒に考えていかなければなりません。
 この問題につきましては、私もこれから先ほど申しました課税根拠も含めまして検討してまいりたいと思いますが、またチャンスがありましたら御質問させていただきたいと思います。
 終わらせていただきます。
#133
○志苫裕君 まず、特例法に関して財政運営の問題点を伺います。
 暫定予算が成立をして、今は年度予算の成立を待つ段階ですが、報道によりますと、政府・与党は景気対策のために、予算成立後、バーミンガム・サミットに間に合うように十九兆円規模の大型経済対策を講ずるとされております。当然財政出動が伴うわけで、それには財政構造改革法の縛りがある。そこで財章法を改正しようということにもなるらしい。
 そこで、二十七日の当委員会で民友連の同僚議員がこの問題をただしましたところ、大臣いわく、それは与党の話でわしゃ知らぬ、とは言いませんでしたが、それに近いことを言いました。財政当局が蚊帳の外に置かれるような与党の協議というのもないものでして、私も実は与党の末席におる者だけれども、党内の恥をさらすようだが、余りよく知らぬですね。国会の正式の場ではそれは与党の話と言って取り合わず、さりとて与党ではさほどの関与もできないとすれば、国会議員たる者どこで論議をすればいいのか。といって、これは松永さんに苦情を言っても始まらぬ。
 それはともかくとしまして、私は与党も野党も責任問題がどうのこうのなんてつまらぬことを言っておらぬで、いいと思うことはどんどんやったらいいと思いますが、その前にはっきりしておきたいことがあります。
 その第一は、例えば減税ですが、可処分所得をふやして需要対策をとるというその政策は果たして有効なのか。私のような素人の目から見ても、現在の経済局面は今まで我々が経験したことのある循環型の不況ではないようです。
 九四年当時の話で恐縮だけれども、そのころ既に不況が深化し始めておって、大蔵省は減税には大変否定的な、懐疑的な意見を示しました。景気対策には公共投資は認めるが、減税には需要喚起の効果はない、その財源を赤字国債に求めるようなことは財政赤字を長期化させ、経済的に見れば逆効果になると繰り返し主張しておりました。それはまた官庁エコノミストたちの共通認識であったようでして、このように政府も実は経済対策は揺れ動いておった。経済発展の方向も見出せないまま追加措置を講じて、六回、六十兆円に及ぶ追加措置を講じた。かと思うと、行革だ、構造改革だという話になって供給構造改革の方に重点が転換し始めた。
 では、この構造というのは一体何だということをこれから問題にしたいわけでありますが、やたらと経済構造改革だ、財政構造改革だと言いますけれども、構造ということは一体何だということになると確かなコンセプトもないようです。
 そして、今度は最大級の追加措置というんですからまた財政政策に戻るんでしょうかね。こんなふわふわしたスタンスで本当に景気対策は大丈夫か。私のような素人にでもわかるようにしないと国民の多くは、消費者も企業も政府の施策を納得し信用することはないだろうということは申し上げておこうと思うんです。
 私は二年に及ぶ療養を余儀なくされてこんな姿になりました。幸い、皆さんのおかげで向こう岸に行かずにこっちへ戻ってきたんですが、この席に復帰して真っ先に始めた仕事が構造改革法の審議でした。それで、公共財政が膨らむ構造を改革しようという発想だったはずです。その構造改革にどんな努力が払われてどんな実績が示されたのか、まずはその辺も明らかにするべきだと、こう思います。
 改めて問うが、財政構造改革とは何だ、どういう意味だとしつこいくらいに時の大蔵大臣三塚さんにお伺いしたんですが、拡張迷想型の大演説は返ってきましたけれども、構造改革についてはさっぱり要領を得なかった、率直に言いまして。松永大臣はお答えになりますか。
#134
○国務大臣(松永光君) まず初めに、与党で決められた「総合経済対策の基本方針」でございますけれども、これは先日、経済関係閣僚会議の席で説明を受けたわけでありますが、この「総合経済対策の基本方針」の前文のところには「財政構造改革の基本精神を堅持しつつ、」と、こう実はなっておるわけであります。同時にまた、中身につきましても、例えば税に関する事柄については「政策減税の検討を行う」とか、あるいは「個人所得課税、法人課税等のあり方を早急に検討する。」、こうなっておるわけでありまして、まだ具体的なことは必ずしも書いてありません。
 したがって、別に避けるわけでも何でもないのでありますが、これは与党の決められた基本方針でありまして、現在の厳しい状況をどうして乗り切るかということをお考えになって決められた方針だと思いますが、先ほど申したとおり、中身がまだ明白でない点もありますので、これをよく検討させていただいて、その上でどう対応していくかということは考えてまいりたいと、こう思っておるわけであります。
 それから、財政構造改革について三塚前大蔵大臣は随分精力的に御説明をなさったようでありますが、私は次のように考えるわけです。
 まず、去年の一月一日の読売新聞の社説、「衰退回避へラストチャンス」という見出しての社説でした。その中に、財政改革というのがございまして、国の衰退を避けるためには財政改革も最優先課題、財政再建は後世代への我々現世代の人の責務だと、こういったことも書いてございました。要するに、近代国家の中で最悪と言われるこの財政状況、国、地方の公債残高、あるいは長期債務の残高を合わせると五百兆円を超すような負債を背負っておる、これを我々の世代のときに解消していくという筋道をつけなければ子や孫の代にえらい負債を引き継ぐことになると。
 したがって、これを何とかせにゃならぬという、そういうことからまず目標を決めようというわけで、二〇〇三年度末までに財政赤字の対GDP比を国、地方を通じて三%以下に持っていく、それから赤字公債の発行はゼロにする、それからさらにまた赤字公債の発行高を毎年少なくしていく、こういったことを決めて、それで現在のこの厳しい財政の状態を改善していこう、それが財政構造改革の精神だろうと、こういうふうに私は思っておるわけでございます。
#135
○志苫裕君 大臣、今のお話であれば何も構造改革法なんという仰々しい余り聞いたことない言葉を使わぬでもよかったんですよ。歳出削減法とか財政再建法とか収支改善法でよかったんです。だけれども、構造改革というんだから、何か財政を破綻に導く構造的要因があって、それをどのように改革していくのかというのが恐らく構造改革法の趣旨だろうと僕は思ったんですが、どうもそうでもないみたいですね。
#136
○国務大臣(松永光君) 言葉が足らずに恐縮でございましたが、それを達成するためには歳出全般について根っこから見直しを行って、そして改革をしていこうということで財政構造改革というふうにされたものだと思うのでございます。
 そのためには、大変つらい厳しい仕事でございますが、そこで主要経費ごとに量的縮減目標をめり張りをきかせつつ設定をして、そして徹底した縮減をしていく、こういうことが必要だということから歳出の構造そのものの改革をしていこう、こういったことで財政構造改革法というふうになったんだろうと思うのでございます。
#137
○志苫裕君 禅問答みたいな神学論争をやってもしようがないから次に行きましょう。
 前にこの委員会でもお伺いしたことがあるんですが、私が鈍感なんでしょうか、やっぱり日本経済は本当に危機なんだろうかということをふと思います。大量生産、大量消費の右肩上がりの経済成長路線のもとで危機に陥ったのは、実は経済や財政ではなくて、環境の破壊であり資源の枯渇であり人身の退廃ではなかったか、地球と人類が危機に陥っているのではないかというふうに思いますね。その危機に比べれば、経済成長を幾らかスローダウンさせたところでにわかに人が死んだり国が滅ぶということもあるまい、こういう感じがしないわけでもありません。
 それはともかくとしまして、財政構造改革法の改正が浮上しているわけですが、何を眼目にどの条項を改めようというのか、野方図に赤字国債を発行できるようにするというだけでは赤字の垂れ流しでありまして、私は反対です。
 なお、これに関連をして、今、特例法が出ていますが、国債の赤字国債と建設国債の区分をなくしようという議論が登場しているようですが、これとこの財政構造改革法ないしは財政法の改正とはかかわりが出てきますか。
 我々もかつて、公共事業は借金してでもやるのに福祉は増税しなければだめだというのは理不尽だから、あるいはまたいい国債と悪い国債というふうに区別をせぬで総量規制をしっかりして国債の有効活用を図るいい思案はないものかという問題を提起したこともあります。だが、それは赤字国債の発行を容易にするためのものではない。
 先ほど言いましたように、公共事業だけが国債という借金でやれて福祉や教育は借金はだめというのじゃ、増税でなければだめというのは、これはどうしても理不尽ですよね。言い方をかえれば、公共事業をどんなに節約しても、そのお金は福祉にも教育にも回すことができないという論理になりますから、こんなばかげた話はないというのが私らの主張だったんですが、その国債区分論の見直しも含めて、法改正の動きについてどのような御見解をお持ちですか。
#138
○政府委員(藤井秀人君) お答え申し上げます。
 今、先生がおっしゃいました財政構造改革法、これにつきましての見直し等が新聞、マスコミ等でいろいろ出ていることについては私ども承知しているわけでございますけれども、今具体的にこの問題について考えているわけではないということはたびたび総理からもお答えがあったと承知をいたしております。
 次に、建設公債と赤字公債の区分の問題でございますけれども、もう先生十分に御承知のとおり、財政法四条におきまして健全財政主義ということで、建設公債といえどもいわば例外的に許容されているということでございます。私どもといたしましては、よく誤解がございますけれども、建設公債は善玉である、あるいは赤字公債は悪玉であるという考え方は決してとっておりません。ただ、負担の公平という観点からぎりぎり建設公債、対象経費として申し上げますと公共事業費であり出資金であり貸付金になるわけでございますが、これが許容されているということかと思っております。
 残念ながら、ここ数年、特例公債の発行ということが、財政の歳入と歳出のいわば足らざる部分ということでこの発行が余儀なくされているというのは現実でございますけれども、だからといいまして、この財政法四条、健全財政主義ということを捨てていわば区分を廃止するというようなことについて、これも議論があるのは承知しておりますけれども、私どもとしては、財政の健全性から考えて、やはりこの財政法四条の規定というものは大いなる意味があるのではないかというように考えております。
#139
○志苫裕君 借金もお金ですから、借金するときは借金して有効に使うというのも行き方の一つだと思いますよ。ですが、垂れ流しは困る。区分をなくして国債をどう活用するというのか歯どめをどこに置こうとするのか、そこのところははっきりして国民の納得を取りつけた上で直すものなら直してもらいたいというのが私の主張です。
 償還ルールの変更というのも検討課題になるとは思うんですが、この点はどうですか。
#140
○政府委員(藤井秀人君) 償還ルールの問題も実は新聞等で議論がなされておりますし、国会の中でも若干、明示的ではないにしろ、そのような議論があったと承知しております。
 ただ、この建設公債の償還、現実問題として六十年償還ルールで行っているわけでございますが、これはこれらの対象経費の耐用年数等を勘案いたしまして、その平均的な効用発揮期間、これを前提といたしまして一つの目安として六十年で償還が行われているというのが現実でございます。
 また、特例公債につきましては、初期の段階では早期償還ということで十年での償還といういわば基本原則があったわけでございますが、御承知のような財政の状況も踏まえまして、結果といたしまして、建設公債と同様、六十年の償還ルールによらざるを得ないという状況になっております。
 現実問題としてもう一つ申し上げたいのは、仮に償還期間を短縮するというような考えをとりますと、当然のことながら、現行借換債で対応いたしております対象金額、その相当部分が今度は現金償還に振りかわっていくという状況になります。残念ながら、財政の現状を考えますと、この借換債収入が今度はいわば新たなる特例債に切りかわるだけであるという現実面、この点も私どもとしてはぜひ考えていくべき問題であろうというように考えております。
#141
○志苫裕君 大臣、立場によってはこの財革法は怨嗟の的になっていますが、しかし私は、この法案の最大の欠点というのは、国債発行をしにくくしたということではない、歳出抑制の大キャンペーンを張って国民の気持ちを暗くして将来への不安をかき立てたことだと思いますね。消費不振の最大の原因は不安心理だと言われておりますが、この法案はその張本人だ。法の改正、見直しを言うなら、この国民の不安心理を解消するようなことを、例えば前文でもいい、宣言条項にうたって、それは空文句じゃ困るから歳出条項にもそれにふさわしいものを盛り込むというようなことについて十分考慮してください。それはよろしいですか。
#142
○国務大臣(松永光君) 私ども政府の立場は、財政構造改革法を改正すべしという意見があちらこちらにあることは承知しておりますけれども、政府の立場は、この「総合経済対策の基本方針」にも「財政構造改革の基本精神を堅持しつつ、」、こうなっておりますから、具体的に財政構造改革法の改正とか変更とかということは私ども今のところ考えていないのでございます。
 ただ、一般論として、先生仰せのとおり、世の中を明るくするということは大切なことだと思います。したがって、明るさをあらわすということのキャンペーンといいますか、そういったことを国民に向けて発信するということは私は意味のあることだというふうに思います。要するに、この財政構造改革をやり遂げた後の日本の明るい状態というものを国民に示すという意味で明るい希望を与えるということは大事なことだというふうに私は思います。
#143
○志苫裕君 いや、それは政府でもいいし与党でもいいけれども、この国では大蔵大臣はあなたなんだから、ちゃんとやることはやってもらわぬと困ります。
 ところで、公債対象の公共事業を予算総則の附則に掲げるだけで伸び縮み自由になるというのもいかがなものでしょうね。
#144
○政府委員(藤井秀人君) お答えいたします。
 公共事業費のいわば概念、これは公共土木でありあるいは建設であり、その他施設費ということで、私どもといたしましてはある意味では客観的な基準が確立されていると考えております。ただ、具体的予算の取り扱いにつきましては、項の世界あるいは目の世界で必ずしも画一的な定義規定ができないという問題もございます。そういうこともございまして、別途国会の議決を経るべく予算総則に具体的に項なり日なりを掲載させていただくというのが実態でございます。
 そしてさらに、あえて申し上げますと、この項とか目をごらんいただいてもなかなか内容がわかりづらいということでございますれば別途参照書類というようなことで各自明細等も提出をさせていただいておりますので、私どもといたしましては決して、公共事業費についていわば定義といいますか解釈といいますか、これが恣意的なものであるというようなことはない、むしろ客観的な判断材料というものがあって、それに基づいて掲載させていただいているというように理解をいたしております。
#145
○志苫裕君 でも、どの法律を読んでみても何が公共事業だとは書いていないじゃないですか。ただ、恣意的にあの予算の総則の別表に書き込むかどうかだけでしょう。書き込むといっても、どこにもその書き込む基準はない。だから、物として後世に残るものは公共事業であって、人間が幾ら残ってもこれはもう公共でも何でもないみたいなことを言っているけれども、そんなばかな論理はないですよ。
#146
○政府委員(藤井秀人君) お答えいたします。
 先生のお言葉ではございますけれども、この公共事業費というのは、これは私どもといいますよりも法制局が中心になるわけでございますけれども、いわば法令用語としての客観的な規定、定義づけというのはおのずからなされているわけでございます。したがいまして、お言葉ではございますが、決して財政当局がそれぞれの各年度の予算の事情において恣意的に予算総則に掲上しているというものではございませんので、そこはぜひとも御理解を賜りたいと思っております。
#147
○志苫裕君 特別会計の繰り入れの特例。繰り入れの特例というのはばかにわかりにくいんですが、私は毎年言うんですが、もっとわかりやすく言ったら、お返しすべきところをことしはまだ返しませんという意味でしょう。わかりやすく法律にそう書いたらどうだと言うんです、繰り入れの特例なんて言わないで。
#148
○政府委員(藤井秀人君) お答え申し上げます。
 確かに、一般的に私ども御説明する際にはでき得る限りわかりやすい言葉で御理解いただくべく御説明をいたしているつもりでございますが、法令上の用語になりますと非常にかたく、かつ一見わかりづらい表現になって非常に恐縮だと思います。
 言わんとしていることは、厚生保険特会の年金勘定、この中でいわば経過措置等に係ります金額、これがたしか所要の計算で申し上げますと三兆五千億程度の計上額が本来必要であったわけでございますが、このうち七千億円、これを繰り入れすべきところを減少させていただきますということで、繰り入れを行うべきところを一部減額して措置をとらせていただくというのが繰り入れの特例、こういう言葉でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
#149
○志苫裕君 ことしはこの厚生保険だけですけれども、従来は幾つもありました。あちこちから借金しているものですから時期が来たら返さないといかぬ。だけれども、昔の徳政令みたいなもので、ことしは返さぬぞというのがこの法案なんです。返さぬぞというところがあちこち何カ所もあったんですが、ことしは一カ所で済んでいますね。ちょっとは余裕が出てきたのかな。
 ところで、今までのやつを全部累計しますと、どれぐらい返すべきところを返さぬで、繰り入れ特例で一般会計は助かっていますか。
#150
○政府委員(藤井秀人君) お答え申し上げます。
 先生おっしゃいましたように、かつては、例えば平成七年度におきましては、この特別法に基づきましていわば特例措置が九措置、金額にいたしまして約六兆円というような諸措置を講じていたわけでございます。これに対しまして、よく国会での御議論もございました。また、新聞紙上等でもいわゆる隠れ借金ということで財政の現状をもっとディスクローズすべきであるというようなことがございました。そんな経緯もございまして、平成八年度以降、この特例措置を極力必要最小限かつこれをとっても制度の運営に支障がないものに限定をして行ってきたところでございまして、おっしゃいましたように、十年度はこの厚年の国庫負担の繰り延べ措置、一措置で七千億円、こういうことになっております。
 そこで、今までにどのような特例措置が全体の残高として上がってきているかということでございます。これも実は制度の内容等におきましていろいろな差異がございますので一概にこれとこれとこれというようなことを特掲するのは難しいわけでございますけれども、先般私ども提出させていただきました「国の債務残高について」ということで国の長期債務残高等々を掲げた表がございます。この欄外に「参考」といたしまして、次に係る項目につきまして「一般会計に係る繰り入れ特例等」として一括計上をさせていただいております。
 政管健保の国庫補助の繰り入れ特例、これが四千百八十三億円、それから国民年金特会への国庫負担金の繰り入れの平準化措置に係る特例、四千四百五十四億円、それから厚生年金の国庫負担金の繰り入れ特例、二兆六千三百五十億円、それから雇用保険の国庫負担金の繰り入れ特例、六百億円、それから自賠責特会からの受け入れ、八千八百四十八億円、さらには、これは若干性格を異にすると思いますけれども、地方財政対策に伴う後年度負担、五兆八千三百十五億円、合計十兆二千七百五十億円、これが一般会計からの繰り入れ特例としてのいわば残高になっております。
 このうち、政管健保の国庫補助の繰り入れ特例あるいは自賠責特会からの受け入れ、これにつきましては平成九年度の補正におきまして剰余金繰り入れ等々を行いまして一部減額がなされているということでございます。
#151
○志苫裕君 私はこの間、一般会計が財投機関などに幾らお金を貸しているか、幾ら出資しているかということを聞きましたね。今度はこの逆で幾ら借りているかという話になるわけですが、その数字もできたら後日下さい。貸しているのと借りている分で合っているのかどうなのか。返すべきところを返さぬものが多ければ、相手は困っているわけです。自分は返さぬで、住専の話じゃないけれども、借りたやつが威張っていたってこれはしようがないので、その辺の帳じりを合わせてみることも必要だと思います。
 これは厚生保険ですから福祉関係から借りているんですね。福祉は歳出は切り詰められて、繰り入れるべきところはとめられて、これじゃ世の中明るくならぬわね、実際の話。
#152
○政府委員(藤井秀人君) 先ほども申し上げましたように、この特例措置といいますものは例えば特会なら特会、それのいわば運営に支障がないかどうか、そのあたりを十分に判断する、あるいはまた全体としての国費の効率的な使用という観点から特例措置を行っている、やむを得ず行っているということでございます。
 したがいまして、例えば今おっしゃいました厚年の問題で申し上げますと、九年度末で積立金が約百二十五兆円ございます。十年度におきましてもこの積立金がさらに増加するというような状況でございますので、先生のお言葉ではございますけれども、七千億といういわば国の負担が繰り延べられたからといって直ちに厚生年金保険の運営に支障が生ずるというものでは決してございません。そのあたりは一つ一つ十分に注意をしながら、ぎりぎりのやむを得ざる措置として講じているということでございますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。
#153
○志苫裕君 法人税法及び租税特別措置法、税法二法について伺います。
 まず、平成十年度の税制改正の基本理念を伺いたい。
 言うまでもないんですが、十年度予算というのは財政構造改革法のもとで初めて編成されたもので、歳出の削減が基本的特徴です。財政の縮減というのはとりもなおさず財政機能、すなわち財政の役割の縮小を意味するわけでありまして、財政の役割には所得の再分配が重要な位置を占めています。この所得の再分配機能が縮小されれば当然のことながら分配の不公平が起きる。したがって、税制改正に当たってはこうした財政環境の変化が考慮されるべきであることは言うまでもない。しかるに、今次の改正は企業減税と資産優遇が目立って分配の不平等を拡大する方向をとっておる。分配の平等は日本社会の活力の源泉であったわけでして、私はそう信じている。ところが、今次の改正はその逆だ。租税理念の転換が行われたんですか。
 とすれば、この改正案は容認できない。答弁のいかんによっては与党ではあるけれども青ボタンを押す可能性がある。私は青票の前科者ですけれども、一応意見だけは申し上げておくことにする。どうですか。
#154
○政府委員(尾原榮夫君) 税に要請される機能として所得の再分配は重要な機能の一つだと思います。
 そういう中で、平成十年度の税制改正、どういう考え方で行ったかということでございますが、御承知のように、今の経済状況でございますが、アジアの通貨問題あるいは金融機関の破綻ということで景気が停滞しております。こういう中で、一つは経済社会の構造変化に対応しまして経済構造改革あるいは金融システム改革を進めていかなければならない、これに対応していく税制をどうするかという要請が一つございます。それからもう一つ、まさに当面の金融・経済情勢に対応してどのような施策を講じていくかと二つあったように思います。
 こうした観点から、平成十年分の所得税について二兆円の特別減税を実施しているわけでございます。それから、法人税につきましては課税ベースを拡大した上で税率を引き下げるという改正、それから有価証券取引税・取引所税について税率を半減しております。おっしゃるように、今回キャピタルゲイン課税についての適正化は見送っておりますが、これは問題意識として十分あった上で、つまり今の株式市場をよく考えた上で今回は見送らせていただきました。それから、もう一つは土地税制でございますが、地価税について当分の間課税しないこととする等の措置を講ずることとしております。
 なお、特定扶養控除額の引き上げあるいは通勤手当の非課税限度額の引き上げなど、中堅所得者層の税負担にも配慮した措置も講ずることとしてございます。
#155
○志苫裕君 その象徴的な問題として私は土地税制に関して伺います。
 地価税を凍結して譲渡益課税を緩和した理由は何でしょうね。景気対策というとお定まりのように土地の流動化が登場する。流動化というのは地価を引き上げて資産価値を高めるということです。それほど土地の需要があるのか、実は私にはよくわからないので実証してもらいたい。
 土地の高騰は、資産価値を高める一方で社会資本整備のコストを高めるというデメリットもあることは言うまでもない。この税制がどれほどの景気対策効果を持つものか。他方では容積率の緩和がある。市街化農地の規制緩和がある。こうやって住環境が悪くなって農地がめちゃめちゃになって、その結果実は大した景気効果はなかったというのじゃ、これもう目も当てられないじゃないですか。果たして後世に責任を負える税制の選択だろうか。
 なるほど地価は一時期に比べれば比較的沈静化はした。だが、日本人の土地願望というのはまだまだ神話に近いんです。土地の有利性が衰えてもいないときに、ばかの一つ覚えのように流動化一本やりでいいのか。狭い国土に日本人が住む、それだけに土地に対する観念を正して公共性を確立しようと土地基本法をつくって幾つかの制度を定めたのはそう古い話ではない。百年の計であるべき土地政策を朝令暮改のように変えていいのか。バブルに踊ってため込んだ膨大な不良債権の償却を第一義として土地の資産価値を高めて神話を膨らませようというのであれば、そういう魂胆であれば国民をないがしろにするもので容認できない。
 これはどうですか。
#156
○政府委員(尾原榮夫君) 土地税制につきましては、言うまでもなく、所得、消費、資産等の間で均衡のとれた税体系を確保するという観点、それから土地基本法の基本理念を踏まえまして土地について適正公平な課税をするという観点、これは大変重要な観点だと思っております。
 今回の十年度税制改正において、それでは地価税を臨時的に停止したり、いろんな制度改正をしているのはなぜかと、こういうことになるわけでございますが、御承知のように、七年間にわたり地価は下落しているわけでございます。また、投機的な土地取引というのはだんだん少なくなってきているわけでございます。ようやく収益価値を反映した地価が形成されつつあるということも見られるわけでございます。また、このような土地の状況が実は不良債権問題を初め、今、庶民を含め、この景気対策ということを言われておりますが、それを解きほぐしていくためにはどうしても今の不良債権の問題、土地と密接に絡んでくる問題がございます。
 そこで、臨時緊急的な措置といたしまして、地価税につきましては当分の間その課税を停止することといたしました。ただ、これは今申し上げましたように地価税が必要ないという判断ではございません。今のような考え方で臨時緊急的な措置としてその課税を停止するということにしたわけでございます。
 また、個人の土地譲渡益課税の税率あるいは法人の長期所有土地に係る五%追加課税の問題、あるいは特定の事業用資産の買いかえの特例の拡充などを講じておりますが、これも臨時異例の措置といたしまして三年間の期限を区切ってこの措置を講じさせていただきました。
 したがいまして、繰り返しになりますが、土地に関する税制、所得、消費、資産のバランスの問題、それから土地基本法の基本理念、大切な問題でございます。こういう問題につきましては、まさに期限が到来するときに今のような観点から土地税制をどう考えるか検討してまいりたいと、こういうふうに考えております。
#157
○志苫裕君 これは大臣に御確認をしたいんですが、与党の税制協議ではこの土地税制については必要な時期に見直しもしましょうという合意もあるようですが、もちろん地価の推移なども見ながら、景気の推移も見ながら極力早い機会に見直す、検討は続けていくということはよろしいですね。
#158
○国務大臣(松永光君) 今の土地等の譲渡益課税の問題でございますが、これは局長が今申したとおり、三年間の措置として行うわけでありますから、三年たった時点で税制調査会でもう一回検討されるものだというふうに思っております。
#159
○志苫裕君 土地は自分で汗をかいてつくったわけでもない大地なんですね。それを所有したいというのは不心得だ。その土地を囲っておる者と囲っていない者とで所得階層が大きく分かれてしまうような不公正な社会をつくっちゃいかぬというのが土地に対する我々の公共性の主張なんです。我々が税制を論ずるのは、今、損か得かのことを言っているんじゃないんです。将来社会をどう展開するかということで税制を議論している。そういう意味で、土地税制についてはやっぱり慎重にも慎重な対応をしてもらいたいということを強く要望しておきます。次は消費税なんですが、この消費税は例えば帳簿方式だとかあるいは簡易課税だとか免税点などという欠点が多いんですが、一番の欠点は最低生活費からも税金を取っておるということです。最低生活費非課税原則というのは憲法二十五条の要請でもありまして、だが一向に改善されない。
 そこで、この際、最低生活費に係る消費税相当額を所得税から控除する、差し引くというシステムが考えられないか、この点どうですか。
#160
○政府委員(尾原榮夫君) 先生のお尋ねの中には消費税のいわゆる逆進性の問題も問題の中に含まれているのではなかろうかと思います。
 所得に対して累進的か逆進的かという問題につきましては、やはり所得税を初め税制全体、さらには社会保障制度の歳出面を含めた財政全体で判断していくべき、あるいは対応していくべき問題ではなかろうかと思います。税制全体で見れば依然としてかなりの累進性を持っているのが我が国の税制だろうと思っております。
 それで、御提案は支払った消費税額を還付したらどうかということでございますが、実はまさにこの消費税、社会の構成員が広く負担を分かち合う、消費の総量でその課税の尺度を決めようということでございますので、その趣旨を損なうことになるのではないかというのが第一点申し上げたい点でございます。
 それからまた、本当にお困りの方につきましては、例えば年金生活者の方に対しましては年金の物価スライド等がとられたわけでございます。
 さらには、仮に先生の御提案のようなことを実現しようといたしますと、実は皆さんの所得なりどのぐらいの収入をもらっているかというのを把握しなきゃいかぬわけですが、実は税務署も地方自治団体も日本国民のそのような課税最低限以下の方について把握はできないわけでございます。また、給付に当たっていろんな問題もございます。したがって、納税者番号等の導入なしにこのような問題はさらに難しいという問題がございまして、先生の御指摘ではございますけれども、適当ではないというふうに思っております。
#161
○志苫裕君 たまたま減税要求の強い時節でもありますし、その一助としても消費税の税額控除方式というのは考えられていいと私は強くこの機会に要望しておきます。
 所得税から控除できない低所得者には給付するということで公平を担保できるわけですから、財政事情を考えると財政当局は頭が痛いだろうけれども、一方に千二百兆円に及ぶ金融資産があるわけでして、それの適正化を考えれば代替財源は十分だと。それには納税者番号制度の導入がどうしても不可欠になってきます。
 先ほど主税局長と同僚委員の納税者番号制についてのやりとりを聞いておったんですが、実は薄井前局長もなかなかこれに慎重だったんですよ。当事者が変わったからちょっとは積極的かなと思って聞いていたら、同じですね。これは積極的になった方がいいと思います。いい返事を期待しておったんですが、やっぱり消極的でしたね。納番制の重要な意義は改めて言うまでもありませんが、一人ぐらい職を賭してもこの制度に取り組もうかという者がおってもいいんじゃないかと私はつくづく思いますが、その点はいかがですか。金融当局はノーパンでみそをつけたから、主税当局は納番で点数を上げたらどうなんですか。
#162
○政府委員(尾原榮夫君) 納税者番号制度についてはこれまでも検討してきておりますが、それをめぐる環境につきましては最近随分変わってきているように思うということを私は申し上げさせていただきました。
 一つは、いろんなカードが普及して、ある意味で番号に対する国民の皆様のアレルギーが少しなくなってきているかなと。さらに、この納税者番号制度を検討する場合、番号を一体どうするのかという話があったわけです。これまでは候補すらなかった。それが、今の社会保障番号やら住民基本台帳番号が出てまいりました。
 いずれにせよ、こういう新しい局面を迎えているわけでございますので、国民の受けとめ方を十分に把握しながら、より具体的かつ積極的な検討を行わなければならない時期に来ているというふうに認識しております。
#163
○志苫裕君 わかりました。
 ありがとうございました。終わります。
#164
○笠井亮君 日本共産党の笠井亮です。
 今回の税制改正は、御議論がありましたけれども、法人税の改正を初めとして土地税制その他、非常に大きな改正となっているということだと思うんです。
 こういう大きな改正をやる場合には、当然改革の理念というのが求められると思うわけです。これまで政府は、税制改革の理念として公平、中立、簡素ということを掲げてきたと思うんですけれども、そうした経過の中で今回大きな中身の税制改正をやるということになれば、端的に言って今回の税制改革の理念というのはどういう言葉であらわせるのかということについて伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#165
○政府委員(尾原榮夫君) 大きな税制改正であるからもっとその考え方をはっきりすべきではなかったかというお尋ねでございました。
 実は、法人税につきましてはまさに日本の経済構造改革に資するという目的があるわけでございます。それで、課税ベースその他の問題につきまして、実は法人課税小委員会というものを税制調査会につくりまして、そこで専門的な検討を一年有余にわたり続けてまいりました。法人税改正は、そのような経緯を踏まえて、まさに我が国の経済社会の構造変化に対応しての経済構造改革にどう対応するかというのがこの法人税改革でございます。
 それから、金融関係の税制でございますが、これにつきましては、実はこれも金融課税小委員会というのを税制調査会につくりまして、まさに金融システム改革に合わせた、日本の金融ビッグバンに対応した税制はどうあるべきかと。もちろん、その中には金融課税としての公平、中立、簡素という問題もございます。そういうものを踏まえて、今回の金融税制の改正がなされているわけでございます。
#166
○笠井亮君 全体を貫く理念といいますかこういう考えで全体を進めるんだというのが伺っても端的にわからないんです。
 今回の税制改革に当たっては、趣旨説明でもありましたし、それから先ほど来の局長の御答弁でも経済社会の変化だとかあるいは最近の経済情勢を踏まえつつということで、どうも状況適応的なことが主たる改正理由となっているのかなというふうに思わざるを得ないんですけれども、実際問題としては景気対策的な色彩がやっぱり強く出たものになっているというふうに思うんです。
 そういう点で言うと、理念というものがどこかわきに置かれる、追いやられることになってはいないか、変化への対応ということでこういう大きな税制改革を行っていいんだろうかと非常に疑問に思うんですけれども、いかがでしょうか。
#167
○政府委員(尾原榮夫君) まさに税制といいますのは社会構造の変化に対応していかなければならない、税制はもちろん公共サービスの税収を確保するものではございますが、同時に経済社会の変化の桎梏となってはいけないという面もあるのだろうと思います。
 そういう意味で申し上げますと、まさに現在、日本に課せられている課題といたしましては、繰り返しになりますが、経済構造改革を迫られている、金融システム改革を迫られている、そういう中で税制をどう構築していくかという理念が一つ。それから、もちろん景気が今低迷、停滞しているわけでございますから、そういう意味で当面の経済対策としてどう税制が対応していくか。理念がないと言われましたが、いずれも重要な課題であると認識し、今回提案をしているわけでございます。
#168
○笠井亮君 状況に適応して、変化に適応して必要なことをやるということ自体について私は否定するわけじゃないんですけれども、しかし当面当面ということで見て、やっぱり大事な税の理念というのがあいまいになる、あるいはどういうものかというのがすぱっと出てこないということになりますと、これはやっぱり日本の将来にとっても重大な問題だというふうに思うので引き続きこれは議論していきたいと思います。
 特に、今回の法人税の税率について言いますと、今回の三%引き下げ、三四・五%ということで、いわば戦後最低の税率に引き下げられたということであります。
 概括的にちょっと伺いたいんですけれども、法人税率の大きな流れを見ますと、先ほどもありましたけれども、一九五〇年代から今日に至るまで、引き下げの局面と引き上げの局面、そしてまた引き下げの局面ということで大体大きく三つの局面があったのかなと思うんですけれども、その特徴を、簡潔でいいですけれども、お述べいただけませんでしょうか。
#169
○政府委員(尾原榮夫君) 法人税率でございますが、シャウプ税制導入時においては三五%でございました。それで、昭和二十七年、いわゆる朝鮮戦争の終わった後でございますが、四二%に引き上げられました。その後、順次引き下げられまして、昭和四十一年に再び三五%になりました。昭和四十五年に再び法人税率が引き上げられ、昭和五十九年には四三・三%というところまで参りましたが、六十二年の税制の抜本改革において法人税率が引き下げられ、元年に四〇%、平成二年に三七・五%、今回三四・五%まで引き下げるということにしているところであります。
#170
○笠井亮君 今回、今御説明があったような引き下げの局面ということで、その局面でいえば合わせて八・八%ぐらい下がったのかなと思うんですけれども、私はその特徴というのが二つあると思って見ているんです。一つは、いわば財政の再建がうたわれている中であえて行われていることと、それからもう一つは消費税の税率と深く関係しているんじゃないかというふうに思うんです。
 一番目の問題は別にまた議論することとしまして、第二で申し上げた問題、消費税の税率との関係で見てみたいと思うんですけれども、一九八九年に税率三%の消費税が導入されるとともに法人税の税率が段階的に四・五%もの引き下げが行われたけれども、今度は消費税が五%に税率アップされて一年というところで三%もの法人税率引き下げが行われているということであります。
 それで、税収に占める比率、私も資料を拝見したんですけれども、法人税率というのは消費税の導入前には税収に占める比率は大体三〇%台というところにあったと思うんです。消費税の導入直前の八八年には約三六%もあったのが、八九年以降次第に低下して、最近では二五%前後になっているんじゃないかと。それに対して消費税の比率というのは導入後ふえ続けて、来年度予算では一八・五%ということで急上昇しているというふうになっているんじゃないかと思うんですね。
 そういう中で、比較のために所得税の比率を見てみると、税制の抜本改革前の八八年には税収の約三五%を占めていたのが、その後所得税減税が幾たびか行われたにもかかわらず、来年度の税制改正後もほぼ三五%、若干増減はありますけれども、三五%ということで、ならしてみるとほとんど変わっていない、自然増収を打ち消しただけということになっているんじゃないかというふうに思うんです。
 結局、消費税が導入されて十年目ということになりますが、この十年間の税収の動向を傾向として見ますと、法人税の減税財源が消費税の増税によって賄われているというふうな形になってくるんじゃないかと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
#171
○政府委員(尾原榮夫君) 今、先生のお尋ねは、法人税のウエートが少なくなっている、他方、消費税のウエートが高くなっているというのは法人税の減税分を消費税で穴埋めしているのではなかろうか、そういう見方はできないかということでございますが、私どもはそのように考えておりません。
 平成元年当時の税制改革を思い出していただきますと、このときはネット減税の税制改革のフレームでございまして、所得税をいかに累進緩和を図るかというのが一つの大きなテーマでございました。そういう中で、法人税の税率引き下げもございましたが、消費税が入ったものというふうに理解しております。
 それから、平成六年の税制改正でございますが、これは所得税の先行減税がございまして、所得税の制度減税等に見合う分の税率引き上げがまさに二%、これは地方の消費税も入れたものでございますが、そのような税制改革であり、まさに少子・高齢化等の経済社会をどうみんなで支えていくかという税制改正であったと思います。
 法人税のウエートが最近減っているのも事実でございますが、これはバブル崩壊の影響による企業収益の低迷によるものでございまして、景気が拡大し一所得の伸びがこれから出てまいりますならば、それ以上に伸びる可能性を持った税が法人税であろうというふうに思います。
 なお、昭和五十年代でございますが、まさに財政はこのときも大変でございました。所得税減税財源をどうやって見つけるかという中で法人税を上げてきた経緯もあるわけでございます。
#172
○笠井亮君 税を改正するということでその時々の理由づけがされたのは承知しているんですけれども、十年間という期間をとって数字を追ってみると、結果としてはやはり私が申し上げたような形で賄われているというふうに数字的にははっきり出てくる、これは冷厳な数字で見ますとそうなりますので、こじつけて言っているわけじゃなくて、そういうことになるんじゃないかということを指摘しているわけでございます。
 今回の改正によって、税率の引き下げと同時に、先ほど来議論がありますけれども、課税ベースの拡大ということが行われるわけでありますが、差し引きしますと初年度で約三千三百億円減るということになっています。また、課税ベースの拡大というのが二〇〇三年度までの六年間という財政構造改革期間の中で行われるということになるために、その間は平均で二千億円から二千五百億円程度の差し引き減税となることが見込まれるということになっていると思うんです。
 問題はこの経過期間が終わった役なんですけれども、それ以降はいわば増収効果というのがなくなって二〇〇四年度からは大幅な減収となると思うんですけれども、それがどれぐらいになるのか、そしてまたその財源というのはどこから生み出そうということで考えていらっしゃるか伺いたいと思います。
#173
○政府委員(尾原榮夫君) 今回、課税ベースの適正化を行い、税率引き下げの財源の大半を賄っているわけでございますが、御指摘のように、課税ベース、引当金等に見られますように、これは一過性の財源でございます。財政構造改革との関連を考慮し、この引当金等の適正化につきましては六年間の経過措置を行うことにしてございますので、現在から七年目からはその分ネット減税になるわけでございます。
 先生の御質問は七年先どうなるか、こういう話でございますが、法人税収は、ただいま御指摘がございましたように、その時々の経済状況に大きく左右されるわけで、七年先の税収がどうかということを今ここでなかなか申し上げるわけにはいかないわけでございます。七年目以降であれば、財政構造改革を堅持しながら、これから重要な課題として進められていくわけでございますが、あるいは経済構造改革、これも進んでいくことが見込まれるわけでございます。歳入歳出のそのときの状況を踏まえまして、改めて財源措置が必要かどうか、その段階で判断するべき課題ではなかろうかというふうに思っております。
 なお、ネット減税額についてもお尋ねがございましたが、経済構造改革による効果というのはなかなか計算できないものでございますから税収だけでの影響を申し上げますと、一兆円程度のネット減収になるのではないかというふうに試算されます。
#174
○笠井亮君 それでなくても、いわゆる要調整額の穴埋めというのはそのための財源対策が要るというところに、ネットということですけれども、状況の変化があったとしても一兆円ということに単純に計算すればなるということになれば、これはなかなか大変な額だというふうに思うんです。
 それだけじゃないと思うんです。今、財界、経団連などは今回の法人税減税は一応評価しながらも、さらなる引き下げということで調整後の表面税率を四〇%に引き下げることを求めているということがあると思うんです。自民党の山崎政調会長も九九年度には一気に四〇%に引き下げるというような発言もされているやに伺っているのですけれども、大蔵省としてもそういう要望や主張がある中でそういうことを念頭に置いて検討もしているのかどうか、伺いたいと思います。
#175
○政府委員(尾原榮夫君) 国税の法人税について申し上げますと、三四・五%ということで米国の連邦法人税の三五%を下回り、一応の水準になったものと我々は判断しております。
 法人課税について、それでは検討すべき課題といいますのは、まさに法人事業税についてどう考えていくかということになるわけでございますが、法人事業税については外形標準課税の議論を中心に検討が行われていくものと思われます。
 外形標準課税の議論といいますのは、要は地方の公共サービスは利益があるないにかかわらずみんな受けているものであるという理念のもと、あらゆる法人企業体が負担するものでございます。その限りにおいては税収は確保されるわけでございます。そのかわりに所得に対する税率は下げる、そこで減税は発生する、しかし負担していただく方は薄く広くなるということでございますから、これからの議論を我々も注意深く見守っていきたいと思いますけれども、減収になる見当であるというふうに決めることはどうか、むしろ今の財政状況を考えればなかなかそうはいかない見当になっていくのではないかと思いますが、いずれにせよ税制調査会で勉強が始まると思いますので詳しく私の方から申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
#176
○笠井亮君 今御説明いただきましたけれども、私は、法人税を一層引き下げていくということになりますと、先ほど現在でも七年後にはネットで一兆円ということでありますから、一兆円という規模で財源が不足するという可能性も否定できないということはあると思うんですね。
 そういう中で、税調の答申では、今後の法人税の改革の方向として、他の税の引き上げによって法人税率を引き下げていくことを検討する場合には所得、消費、資産の税体系のバランスの中に占める法人課税の位置づけについて議論を深めるということが書かれていると思うんです。所得、消費、資産ということのバランスを言うならば、所得のウエートを下げるとすれば、今最も小さい資産に対する課税をふやすことによってバランスをとることが私は筋だと思うんですけれども、実際はそうなっていなくて、逆に資産課税の比率も毎年減り続けている。殊に、今回の改正では地価税の凍結や有価証券取引税の引き下げ等で資産課税の比率を大きく減らしているというふうに思うんです。結局、このバランス論というのは、法人税の比率を下げる一方でその穴埋めのためということで消費課税を引き上げるということになりはしないかということ、その点ではいかがですか。
#177
○政府委員(尾原榮夫君) 所得、消費、資産のバランスの問題でございますが、その前に一言申し上げさせていただきたいわけでございますが、税制はまずそれから得られる税収がまさに国、地方公共団体の提供するサービスを賄うために十分なものでなければならないというのが一つの基本的な考え方としてあるように思われます。したがいまして、何かある税目について減税を行うということになりますと、それじゃその分を一体どうするのかという話になってくるわけでございます。
 今回の法人税改革におきましては完全にぴったり、レベニュー・ニュートラルということではございません。また、課税ベースということで七年目以降はネット減税になる、これはいたし方ないわけでございますが、六年間に限っていえばほぼ税収を賄うような税制改革の姿になりました。
 したがって、それ以上法人税なりあるいは特定の税目を軽減していくということになれば、当然その税目の中で課税ベースの拡大ということができなければ、あるいは外形標準課税のような検討ができなければ他の税体系をどう考えるかというふうにならざるを得ないわけでございます。その場合、どのような税体系がいいのかどうかは、今、資産課税がどうかというお話がございましたが、まさにその時点での国民的議論により検討していくべき課題であろうというふうに思います。
#178
○笠井亮君 次に私が伺っておきたいのは公債特例法の問題に関連したことですけれども、今、景気対策と財革法の関係の議論が盛んに行われております。松永大蔵大臣は、衆議院の三月十九日だと思うんですが、御答弁の中で、二〇〇三年度までに財革法の目標を達成するということは大変難しい、しかし少なくとも後世代の人たちに多額の借金を負わせることはできない、さらに財政の硬直化を避けるためにもあらゆる努力をして目標を達成したいということを答弁されております。
 そこで伺いたいんですけれども、たとえ景気対策のために必要な減税も財革法と矛盾してできないということなのか、それとも財革法に反しない範囲でならば減税を行えるということなのか、その辺のところはいかがお考えでしょうか。
#179
○国務大臣(松永光君) 減税をするとかしないとか、私は今の段階で申すわけにはまいりません。与党でお決めになった「総合経済対策の基本方針」の中でも「検討を行う」、こうなっているわけでありまして、自民党の税制調査会等、あるいはまた与党三党の協議の中で検討がなされる可能性はあると思うんですけれども、それを見た上で私どもの考え方を決めればいいんじゃなかろうかと。現段階では減税をするとかしないとか、そういうことは申し上げる段階ではございません。
#180
○笠井亮君 御答弁を伺っておりまして、大蔵大臣の立場もおありだと思いますけれども、この金融二法の問題といい、前大臣もそうなんですけれども、昨年あたりからどうも与党に任せきりという感じを持たざるを得ないようなことがあるんです。大蔵大臣としてのイニシアチブというのはどうなっているのかというのが先ほどありましたけれども、私もその点は感じるところであります。
 まさに今、景気とか財革法の問題があります。私は、国民には社会保障などにキャップをかぶせて高齢者社会に伴う当然増の費用を値切っていく、そして年金など公的サービスは引き下げて負担のみふやされるというように、今でも国民を苦しめて、将来の生活を不安に陥れているような制度改悪をさらに進めるということを絶対にやるべきでないという立場を持っております。さらに、非効率的な公共事業予算を上積みする景気対策では後になってその借金がまた国民の負担にかぶさってくる、まさにそういう点では二重の意味で重大な問題をはらむ問題があるというふうに思うんです。
 そういう点では、小手先の目標先送りとか一部見直してはだめだ、財政構造改革は改革法を白紙に戻して根本からやり直すべきだ、それが景気回復にとってもどうしても必要だと思うんですけれども、そういう点では大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
#181
○国務大臣(松永光君) 先ほど志苫先生の御質問に対してもお答えいたしましたとおり、財政構造改革の必要性はいささかも変わっていないというふうに思います。厳しいことでありますし、つらさを伴いますけれども、後世代のために現在の先進国中最悪と言われる財政構造、これは何としてでも改革をしていかなならぬというふうに思うわけでございます。
 なお、減税等の問題でございますが、現在ただいま平成十年度の減税法案の審議をお願いしているところでございますから、まずこれを通していただくことをお願いしたいわけなんです。そうすれば十年度の当初から法人税あるいはまた所得税その他、合計すれば八千数百億の減税がなされるわけでありますので、それをお願いする次第でございます。
#182
○笠井亮君 この問題は重要な問題ですのでさらにいろんな場で引き続き議論をしていきたいと思います。
 ありがとうございました。
#183
○星野朋市君 きょうは一番最初に自民党の林委員からPKOの話が出ました。それから、塩崎政務次官から適切なお答えがあったわけでございますが、結果はどうなったかということであります。引けが一万六千五百二十七円、昨日に対して二百六十四円高。まあまあ妥当なところで終わったんじゃないですかPKOも。前場が終わったところで野村筋からの情報として流れたのは、無理にやって四月になってかなり下がるというような事態は避けたい、以心伝心でしょう、というような形で終わったわけであります。
 ただ、ちょっと心配なのは、大臣、為替の方がきょうも安いんですよ。三時現在で百三十二円四十八銭ですから、きのうに引き続いて一円ぐらい安いんです。余りこれは公に、ここは公の席だから難しいところなんだけれども、一説によるとということにしてください。ジョージ・ソロスに非常に影響力のあるジャーナリストがいるんですが、先日ちょっとその話を聞いたら、実際にやるかどうか、そうあってほしくないんですけれども、いわゆるアメリカのファンドマネー、これが四月になったら円を標的にしてくる可能性ありと。きのうのあれがまさしく鉱工業生産指数のマイナスという点から出てきているわけです。それで、これは二月だけでなくて三月、四月の予見も二・二とか二・五マイナスというようなちょっとしぼみ傾向にありますから、こういうことを題材にして為替の面でちょっと私は心配をしておるわけであります。
 それはさておき、きょうも日切れ法案というのを審議、これが通ればあしたから施行されるわけですけれども、その前に既に外為法の改正が行われております。
 外為法の改正によって日本人も海外に直接口座を持てるということになりますと、現実に私なんかもアメリカでドルの所得がありますけれども、今までは直ちに向こうから送金されてきてこっちでかなりな手数料を取られて私の口座に円で入っておったんだけれども、今回はもうこれにストップをかけたわけですよ。向こうにそのまま置いておきなさい、そして米国債、向こうのファンドマネーをうまく使えば五%以上で回るわけですから、為替のリスクは全然ありませんからそれをやりなさい、こういったような形のあれがたくさん出てくると思います。
 それで、私の質問というのは、一点に絞って質問するわけですけれども、円の国際化という問題を逆に取り上げようと思います。
 その中で、租税特別措置法の中で今度有価証券取引税と有価証券取引所税、これが半分になったわけです。どうしてこれをいっそのこと全廃しなかったのか。
 これを半額にして減収額はどのくらいですか。
#184
○政府委員(尾原榮夫君) 有価証券取引税の税率の半減措置で千九百十億円の減収、それから取引所税につきましては二百億円の減収、都合二千百十億円の減収を見積もっているところでございます。
#185
○星野朋市君 余り大した額じゃないんですよね。どうしてこれが全廃できなかったのか。財政構造改革法に縛られているのか。
 日本のやり方は常に小出し小出しなんですよ。思い切ってぼんとやれば相当効果があるのにもかかわらず、小出し小出しにやるからまたかと、これが国際的な評価なんですね。今回もここまでおやりになるんだったならば、この後我々が審議しなくちゃならない通称ビッグバンが控えておるわけですから、その一つの前哨戦みたいな形でこの問題が起こっているわけですけれども、なぜそれを全廃できなかったのか、それをお答え願いたい。
#186
○政府委員(尾原榮夫君) 半減というのは、我々税制当局者にとってみますと相当なことを提案させていただいているという気持ちでございますが、この検討に当たりましては、先生が今言われましたように、金融システム改革を推進する、金融・資本市場の活性化を図るという観点、さらには今言われましたように金融取引の海外シフトの可能性はないかという観点が一つございました。他方、有価証券取引税・取引所税といいますのは金融・証券税制全体の中でどう評価していくのかという税制からの要請もございます。そういう両様の観点から考えまして半減ということになったわけでございます。
 なお、平成十一年末までに金融システム改革の進展状況、市場の動向等を勘案して見直し、株式等譲渡益課税の適正化とあわせて廃止することとしているものでございます。
#187
○星野朋市君 円の国際化という問題についてちょっと別の観点から御質問したいんです。本来なら通産省を呼んで確かめたいところだったわけですけれども、大蔵省がどういうような考えを持っているかということの意味で通産省をあえて呼ばなかったんです。
 昨年度の日本の貿易額、このごろ全部円で表示されているので正確なドルの表示じゃないんですけれども、一応輸出で四十九兆円、それから輸入の総額が三十七兆円、ドル換算でほぼ四千百億ドル対三千百億ドルぐらいと私は認識しているんですが、大蔵省はどういうふうにおつかみですか。
#188
○政府委員(黒田東彦君) ちょっと手元に具体的な数字を持っておりませんが、御指摘のように、輸出の方が輸入をかなり上回っているというのは、このところそういう傾向でございます。
#189
○星野朋市君 かなり上回っているというようなお答えでは意味がないんですよ。
 というのはどういうことかといいますと、日本の輸出額の大体三七、八%、これは円建てなんです。それから輸入額の一八%から二〇%ぐらいが円建て、この比率がかなり長い期間にわたってほとんど変わっていない。これはお金の面ですから大蔵省はおわかりになっていると思いますが、間違いございませんか。
#190
○政府委員(黒田東彦君) 御指摘のとおり、輸出につきましては最近時点ですと三六%ぐらいが円建て、それから輸入につきましては二二%ぐらいということでございますが、ずっと五、六年さかのぼってみましても、輸出は大体三五%かも四〇%ぐらいが円建て、輸入は二割前後が円建て、そのほかは基本的にはほとんどすべてドル建てであるというふうに認識しております。
#191
○星野朋市君 これは不思議なことにそういう状態が続いているんですね。例えば、十円円高になると為替差損が出ますね。同時に、輸入の方は為替益が出るわけです。そうすると、今の輸出入の規模で十円為替が動くと二兆二、三千億円、差益と差損がちょうどパーになるんです。この状態はずっと同じ状態で続いているんですね。こういう状態が続いて、輸出の方はすぐ差損が出るけれども、輸入の方はしばらくタイムラグがありますから少し遅れて差益が出てくる。だけれども、これは両方、ツーペイの状態が続いている。
 非常に日本が円高になったときに、もっと円の国際化、円建てがなぜできないんだと。日本には固有の、日本からしか買えないというようなものがあるんだから、そういうものを含めて為替の変動というものをできるだけ避ける意味でなぜもっと円建てができないのかということを我々は再三主張してきたんです。その一つの理由に、円を受け取った国がその円を運用するに際して日本の市場というのが非常に閉鎖的で規制が多過ぎた、そうすると円を持ってもしようがない、こういうような事情があった、こういうふうに聞いておりますけれども、大蔵省は、反論があると思うんですが、どうぞ反論してください。
#192
○政府委員(黒田東彦君) 私どもも円がもう少し国際的に使われてよいのではないか、使われるべきではないかというふうに思っているわけでございますが、その際に何が障害になっているかというのは、いろいろな議論がございますが、一つは御指摘のように、輸出については非常に、非常にというほどではありませんが、かなり円建て化が進んでいるわけですが、他方で輸入については円建て化が進んでいない。その結果、こういう輸出入の相手はアジアが非常に大きいわけでございますが、先方から見ますと、日本から物を買ったときは円で払うわけでございますが、日本に物を売ったとき、日本が輸入したときには日本からドルが入ってくるという形になりまして、そういう片方だけ多いということになりますと常にドルを売って円にして円の為替リスクを負う、あるいは円で払うために必要な円を借りるということでやはり為替リスクを負うということで、輸出入双方についてある程度この円建て化が進んでいきますと先方としても応じやすいわけですが、我が国の場合は輸出は円建て化が進んでいるわけですけれども、輸入の方はなかなか円建て化が進まないということで、そういうことが結果的に輸出の方の円建て化の進行にも若干の障害になっているのではないか、これは主として東南アジアその他アジアの諸国の方がおっしゃることでございますけれども、そういう要素もあるのかもしれません。
 それからもう一つは、今御指摘のように、円で仮に取得した場合のその円の資金運用についてはどうかということでございます。確かに既にかなり自由化はされてきておりましたけれども、今回の外為法改正によりまして、従来以上に例えば国内CD、CPの取得が完全に自由になるといったような形で円資産の運用手段が拡大するわけでございますけれども、さらにもっと幅広くいろいろな円建て資産のアベイラビリティーがないかということは確かにアジア系の方あるいは欧米の方も言っておられます。
 三つ目には、やはり運用だけでなくて調達の面もございまして、これも今回の外為法の改正でかなり自由になるわけでございますけれども、そういった調達面の問題ということもいろいろ指摘されておりまして、円での運用の範囲というか自由度がドルに比べると若干低いということは御指摘のとおりだと思いますが、それだけではなくていろんな要因が重なっているというふうに認識しております。
#193
○星野朋市君 ここに牛嶋先生という経済学の大家がいらっしゃる前で私がこんな偉そうに言うのはなんですけれども、本来貿易収支の間にこんなに差があれば円高に向かうのは当たり前の話なんですよね。だけれども、不思議なことに、今そういう投機という問題があって円安の方に向かっている。だから、本来的に円高に向かうべき状態にあり、しかも日本は大変な輸入大国、これからもそういう形で東南アジアからの輸入をふやさなくちゃならない立場にある国であります。
 それで、円高が急速に進んだときに、東南アジアにとっては、今までの通貨はドルと連動させていたような国にとっては、円に対する負債があるとこれの返済というのは実は大変な努力をしなくちゃならない、大変困難な目に遭うわけでございますが、そういう意味でも日本の円というものがもう少し国際化すべきであろうと思っておりますし、そのためにこれからやがて審議されるビッグバンの法律全体を通じまして日本の市場というのがもっと開かれて、そしてそれがそういう形のものを促進するように私は希望しております。
 きょうは後で反対討論もありますので、これで終わります。
#194
○菅川健二君 先日、自民党の総合経済対策が発表されたわけでございますが、十六兆円にも及ぶ大変な額であったわけでございます。御案内のように、市場が大変冷ややかに眺めておるわけでございまして、景気の本格的な回復といいますか、明るい兆しが全然見えないというのが現状ではないかと思うわけでございます。
 不況の最大のもとが消費不況ということになりますと、やはりどうしても大型減税が避けて通れないのではないかと思うわけでございます。そうしますと、これはたびたび申し上げますように、財政改革法の改正というものがどうしても必要になってくるわけでございます。
 そこで、かねて御質問申し上げましても、大蔵省では改正に当たってのいわゆる条文が非常につくりにくいんだというようなこともございましたので、我が改革クラブは衆議院で平和・改革ということで統一会派を組んでおるわけでございますが、衆議院の平和・改革では昨日、財革法の改正案を公表いたしたわけでございます。主な内容といたしましては、実質経済成長率の実績や見通しがゼロ未満になった場合には特例公債の発行を前年度の発行額を超えて発行することができる旨の改正案であるわけでございます。
 大蔵大臣はきょうもたびたびこの問題はまだ検討していないということでございますが、周辺の環境条件から私はどうしても大蔵省としても真剣に取り組まざるを得ないと思っておるわけでございます。
 この我が平和・改革の案についてどのようにお考えか、あるいは、将来財革法の改正について再度前向きな御検討をお願いいたしたいと思います。
#195
○国務大臣(松永光君) 平和・改革の方で提案をされましたいわゆる免責条項というんですか、弾力条項にかかわる話でございますが、技術的な課題があるわけでありますけれども、それよりも何よりも政府としては財政構造改革の必要性は何ら変わらないという基本認識を持っておるわけでありまして、先ほども申し上げましたけれども、与党の中でも財政構造改革の基本精神を堅持とこう言っておるものですから、政府はもちろんでありますが、さようなわけで、総理がしばしば申されておりますように、財政構造改革の必要性は何ら変わらないという基本認識、これをこの場でも述べさせていただきたいと、こう思うわけであります。財政構造改革は、財政構造改革という中期的な目標に向かって、苦労はありますけれども、着実に努力していく必要があるというふうに思っているわけであります。
#196
○菅川健二君 大蔵大臣のお考えは首尾一貫いたしておるわけでございますが、我々としては財政構造改革の中長期的な必要性については全く同意見でございますけれども、短期的、今日的課題は何といっても経済回復、景気回復が最重要であるという考えのもとで申し上げておるわけでございます。自民党のみならず、政府の方もそうは言われながらもころころとその時代時代で臨機応変に中身を変えておられるようでございまして、間もなく中身を変えられるんじゃないかと思っておるわけでございますが、大蔵大臣も早く方向転換をして国民に明るい見通しを述べていただきたいと思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、早晩、減税問題が具体的な俎上に上るということになりますと、これまでのような場当たり的な、あるいは小出しの対応というのではほとんど効果が上がらないと思うわけでございまして、将来の我が国の社会構造あるいは経済構造の改革に結びつく制度改正を念頭に置くべきではないかと思うわけでございます。
 そこで、これからの税制改正の基本にわたることについて私見を若干申させていただきたいと思うわけでございます。
 これからの社会ということを考えますと、これまでのお上依存あるいは行政依存の社会から自助、互助  共助とも言いますが、それから公助の三助のバランスのとれた社会に再構築する必要があるのではないかと思うわけでございます。この自助、互助、公助の精神につきまして、既に江戸時代の例の米沢藩の上杉鷹山公がその先生から改革には公助、互助、自助という三助が必要であるという教訓を与えられておるということでございまして、これは日本の社会もそういう面では歴史の中でまた繰り返し学ぶ必要があるのではないかという考えを持ったわけでございます。そのためにはこれから自助、互助を促進する税制改正が必要であるわけでございます。
 そこで、自助、自立、自己責任の社会を促進しますためには、先ほど来ございますように、主要先進国に比べまして個人の所得課税の最高税率が大変高いわけでございますが、六五%を五一%に抑えまして累進税率から比例税率にする等、個人が活力を持った活動ができるような環境状況をつくっていくということが重要ではないかと思うわけでございます。
 それから、互助、共助の社会を構築していくためには先般成立いたしましたNPO法に基づきます市民活動をどんどん促進させていく、そのためには個人がどんどん市民活動に対して寄附をしやすい寄附金控除の制度を早急に整備していただく必要があるんじゃないかと思うわけでございまして、アメリカのようなドネーション社会を築くべきではないかと思うわけでございます。
 これらの税制改正の将来方向につきまして、大臣、個人的な私見でも結構でございますから、ひとつ率直な御意見をいただきたいと思います。
#197
○国務大臣(松永光君) 所得税の最高税率、それは地方税も含めると六五%になる、これをもう少し下げて自助ができるような力をつけさせるべしという御意見と思いますが、これは大変大きな税制改革の問題でございまして、この問題を議論する場合には当然のことながらそれを実施するための財源をどうするかという問題と一体の話になってくるわけでありまして、その財源をもし特例公債に頼るというのであれば我が国の公債発行高が非常に大きなものになり、日本の財政そのものの信認というものが非常に弱くなってくる、こういう状況も考えられますので、これは慎重に検討すべき課題だろうというふうに思います。
 それからまたNPOのことでございますが、NPO法人としての資格をどういう団体が取得することになるのかそれが明らかになり、その実態を見た上でなければコメントできないわけでありまして、これも慎重に対応する必要があるというふうに考えるわけであります。
#198
○菅川健二君 今までできなかったことでございますから、慎重かつ果敢にひとつ検討していただきたいと思うわけでございます。
 次に、法人課税につきましては、国際水準に比べまして一〇ポイント程度高かったのが三・六二%、実効税率で若干下がったわけでございますが、国際水準並みにしますためにはなお一段の引き下げが必要になるわけでございます。その場合、先ほど大蔵省の局長から御答弁がございましたけれども、いわゆる国税としての法人税はもう目いっぱい、大体国際水準並みになったんだというお答えでございまして、これからは専ら引き下げということになりますと地方の法人事業税が主として検討課題になるというふうに伺ったわけでございますが、自治省としてもそういう認識でございますか。
#199
○説明員(片山善博君) 法人課税の見直しにあわせまして、平成十年度の税制改正で事業税の基本税率を一一%に引き下げるなどの改正を行いました。その際、国税と同様の考え方で地方税におきましても平年度ベースで千数百億円の実質減税を行うこととしております。
 それ以外に、地方法人課税につきましては独自の問題として外形標準課税を導入するかどうかという問題がございます。外形基準を事業税に導入いたしますと、薄く広く課税されるということで地方税としては望ましい姿になりますので、私どもはその実現に向けて努力をしたいと考えておりますが、それによってどこまで実効税率が下げられるかということはひとえに外形基準を導入することに対してどこまで合意が得られるかということにかかっているだろうと思います。その点を御理解いただきたいと思います。
 なお、仮に外形基準を導入いたしました場合においてもなお法人の所得に対する実効税率の議論があるとしますと、その時点では国、地方を通じた法人課税の問題として、さらには税体系全体の問題として議論されるべき問題ではないかと考えております。
#200
○菅川健二君 事業税の外形標準課税というのは昭和二十年代から問題になっておるわけでございまして、私が自治省に入ったときも既に何か議論をしていたような記憶があるのでございますけれども、いずれにしても四十年余りも議論されながら実行に移されなかったわけでございますが、その阻害要因は何かということについてお答えいただきたいと思います。
#201
○説明員(片山善博君) 外形基準を導入いたしますと、景気でありますとか所得の変動にさほど影響されないで税収の安定性につながります。また、薄く広く課税されることになりますのでいわゆる負担分任の精神にも合致するという利点があります。
 ただ、これは逆の面から見ますと、所得があってもなくても課税されるということになりますので、所得がない法人にも課税されるということに対する抵抗感があったことは否めないと思います。
 それから、昭和二十五年と二十六年に創設されて施行されないまま廃止された付加価値税というのがございましたが、これに見られますように、従来外形といいますと付加価値ということで議論されてまいった経緯があります。当時としては、付加価値というものを物差しにとることに対するなじみがなかったといいますか違和感といいますか、そういうこともあったのではないかと考えております。
#202
○菅川健二君 来年度に向かって検討していただくというのは非常に重要だと思うわけでございますけれども、今お話がございましたように、法人のうち現在六四%余りが赤字法人だと言われておるわけでございまして、さらに非常に景気の悪い時期でございますので、そういった面では赤字法人に対する課税に対する圧力といいますか特に中小企業については絶対これについてはやってもらっては困るという強い要請があるわけでございます。
 その辺、来年度に向かって自治省の決意のほどはいかがでございますか。
#203
○説明員(片山善博君) 事業税の外形基準の導入につきましては、先ほど申しましたとおり、私どもとしては望ましいと考えておりますので、その実現に向けて努力をしたいと考えております。
 ただ、具体的な外形基準として何をとるのかそれから、先ほど御指摘になった点とも関係ありますが、企業、業種・業態による税負担の変動をどう考えるかなど、なお検討すべき課題も多くございます。これらについて政府税制調査会等の場で広く御議論をいただきながら、大方の御理解を得られるように検討を進めてまいりたいと考えております。
#204
○菅川健二君 外形標準課税につきましては、そういうことでひとつ国民の理解を得られるような形で進めていただきたいと思うわけでございます。
 それから次に、土地の流動化、土地取引の活性化というのは景気対策として大変重要であるわけでございまして、今回の法改正案につきましても大蔵省としてはかなり思い切った改正になっておるのではないかと思うわけでございます。ただ、若干中途半端な面はございますけれども。
 その流れの中で、やはり資産課税という点からいいますと固定資産税が一番大宗をなすわけでございまして、固定資産税の平成九年度の評価がえに当たっては負担水準の均衡化という新たな考えのもとに一定の対応をなされたわけでございますが、まだ問題が解決されたわけではないわけでございます。特に、私の地元の広島県議会からも意見書が出されておりまして、地価の下落が続いておる中で毎年上昇を続ける固定資産税は納税者の大きな負担になっておると。
 地価下落に対してどのような対応をされているのか、お伺いいたしたいと思います。
#205
○説明員(武田文男君) 固定資産税の評価額は地方税法におきましていわゆる基準年度の価格を三年間据え置くこととされております。平成九年度がその基準年度に該当したわけでございます。
 この九年度の税制改正によりまして、平成十年度または十一年度におきまして地価下落が見られる場合につきましては簡易な方法により価格に修正を加えることができる特例措置を講じたところでございます。具体的には、市町村長が、用途地区を基本的な修正単位といたしまして、賦課期日の属する年の前年の七月一日までの地価の変動率を都道府県地価調査等を活用することによりまして把握をし、価格を修正することができるとするものでございます。
 なお、平成十年度におきまして下落修正を行う市町村は全市町村の五三・七%に当たる千七百三十七団体、また下落修正に伴う評価変動割合は推計で加重平均といたしまして九六・六%とそれぞれ見込んでいるところでございます。
#206
○菅川健二君 前回が平成九年度でございますので、次回の評価がえは平成十二年度でございます。そろそろ、ことしの暮れごろからそれの考え方をどうするかということをまとめなければならないという状況になろうかと思いますが、土地の評価・課税の一層の適正化を図る観点からどのような考え方で見直しに臨むのか、今の段階での御見解をお聞きいたしたいと思います。
#207
○説明員(武田文男君) 固定資産税の負担のあり方につきましては、平成九年度改正におきまして、負担水準のばらつきを極力解消する観点から、課税標準額の上限を評価額の八割まで引き下げ、一方、負担水準が六割未満の土地につきましては少しずつ税負担を引き上げていくという負担水準の均衡化、適正化に着手をしたところでございます。このような均衡化策を平成九年度から十一年度までの三カ年間講じていくことによりましてある程度負担水準の均衡化が図られるものでございますが、依然としてはらつきは残らざるを得ないところでございます。
 このため、平成十二年度以降の固定資産税の税負担につきましては、同年度の評価がえの動向、また負担水準の状況、市町村財政の状況等を踏まえた上、さらに負担の均衡化、適正化を進める措置を講ずることと考えておりまして、この方針を昨年閣議決定されました新総合土地政策推進要綱にも盛り込んでいるところでございます。
 このような方針に沿いまして、さらに負担の均衡化、適正化に引き続き努めてまいる所存でございます。
#208
○菅川健二君 土地の評価・課税の適正化に一層努力していただきたいと思うわけでございます。
 以上で終わりにいたしたいと思います。
#209
○委員長(石川弘君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより三案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#210
○今泉昭君 私は、民友連を代表しまして、平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、法人税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案に対して反対の立場から討論を行います。
 まず、いわゆる特例公債法案について反対する理由を申し述べます。
 本法案では、予算総則に書かれた七兆一千三百億円の範囲内で特例公債を発行できることとしておりますが、景気対策のための思い切った減税を実施するということならばまだしも、これまでの橋本内閣の政策判断の誤りや行政改革による歳出削減の不徹底の結果として将来の世代へのツケ回しを行うということは看過し得ない問題であります。
 また、私ども民友連は、従来型の不必要、不効率な公共事業を野方図に繰り返す効果しか生まない現在の建設公債と特例公債の区分そのものを見直すことを繰り返し求めてきたところであり、この意味からも、実行すべきは、この特例公債法の制定ではなく、財政法の公債に関する規定の改正であります。
 厚生保険特別会計年金勘定からの七千億円の隠れ借金、年金会計全体の累積では約四兆五千億円にも上る隠れ借金の返済について、後日返すというだけで期限と方法が具体的に明示されないという方策も強く批判されるべきであります。
 次に、法人税法等の改正案についてであります。
 法人税の税率引き下げと課税ベースの適正化につきましては、その方向性は当然でありますが、税率引き下げ幅は極めて不十分であり、欧米先進国並みに実効税率を思い切って四〇%に引き下げる措置が不可欠であります。政府の小出しのやり方では景気対策の効果も得られないことはこのところの株価等の推移を見ても明らかであります。
 また、基本税率や中小法人等の軽減税率を引き下げながら、大規模な生活協同組合等への特例税率三〇%をそのまま据え置いたことは公平さを欠くものであり、見直しを行うべきものと考えます。
 さらに、本法案では、所得税法の一部改正の項目の中で扶養控除等の引き上げによる所得減税を盛り込んでおります。私ども民友連は三兆円の所得税恒久減税を実施すべきことを強く主張してきたところであり、この程度の薄まきの所得減税では全く不十分であることは申し上げるまでもありません。
 最後に、租税特別措置法等の改正案についてであります。
 私どもは、本法案のうち土地流動化対策、沖縄経済振興、福祉・環境対策、阪神・淡路大震災被災者対策等につきましては当然の内容と考えますが、その他の部分につきましては、住宅ローン等の減税を初めとして国民生活にかかわる減税が不十分であり、あるいは不適切と考えております。自動車関係諸税の特例税率五年延長につきましても、暫定税率による安易な増収策を踏襲したことは問題であり、公共事業の重点化、効率化並びに自動車ユーザーなど納税者の立場から見直すべきとの声があることも事実であります。
 また、既存の租税特別措置の整理合理化については、新設五件に対して廃止はわずか一件、企業関係租特見直しの増収額は約二百億円にすぎません。これこそまさに業界の既得権を保護し、経済構造改革に不熱心な政府・与党の本質を示すものであります。
 以上、るる申し述べた理由から、民友連としては三法案のいずれにも反対であることを重ねて申し上げ、私の討論を終わります。
#211
○楢崎泰昌君 私は、自由民主党を代表して、平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、法人税法等の一部を改正する法律案、租税特別措置法等の一部を改正する法律案、以上三案に賛成の討論を行います。
 まず第一に、平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案について賛成の趣旨を申し上げます。
 平成十年度予算は、財政構造改革法に従い、歳出全般について聖域を設けることなく徹底した見直しを行いつつ、限られた財源を重点的、効率的に配分した内容の予算となっております。本法律案は、これらの施策を適切に行うための財源確保のための措置等であり、また前年度当初予算に対して特例公債を三千四百億円減額されており、評価できるものとなっております。
 次に、法人税法等の一部改正案であります。
 法人税率は今回の改正で基本税率を戦後最低の三四・五%まで引き下げました。経済界が以前から要望し、国際的にも高い税率の引き下げが、財政構造改革の過程ではありますが、約三千三百億円の実質減税となっております。さらにこれにより、実効税率の引き下げに向け大きな第一歩が踏み出されたものと高く評価するものであります。
 最後に、租税特別措置法等一部改正案でありますが、まず金融関係税制は、有価証券取引税と取引所税を半減し、来年度末までの撤廃への道筋がつけられております。
 土地・住宅税制は、土地取引の活性化を目指し、地価税の課税停止や土地譲渡益課税の大幅な軽減など、バブル以前の税制に戻す措置となっています。
 その他沖縄の経済振興に欠かせない課税の適正化を行うなど、まことに時宜を得た適切な措置を講ずるものとなっております。
 以上、三案につき賛成の理由を申し上げ、私の賛成討論といたします。
#212
○牛嶋正君 私は、公明を代表し、ただいま審議されてきた三法案のうち、法人税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案に対して反対の立場から討論を行います。
 我が国では今なお高齢化が急速に進み、二十一世紀には世界でも類を見ない超少子・高齢社会を迎えようとしています。それが公正で活力ある社会であるためには、経済社会のあらゆる分野で改革を進め、それにふさわしい制度や仕組みを早急につくっていかねばなりません。中でも、公正で活力ある高齢社会にふさわしい税制の確立は緊急の課題であります。
 前回、平成六年度の税制改正ではこの課題にこたえるべく、所得、消費、資産に対する課税のバランスのとれた税体系の確立を目指して、所得税の一段のフラット化と消費税の課税強化が行われたところですが、法人税については改革が先送りになりました。そのため、我が国税制は高度経済成長期以降続いてきた法人税依存体質をそのまま二十一世紀まで持ち込むことになり、少子・高齢社会にふさわしい税制の確立は遠のいたと言わざるを得ません。
 今回の法人税の改正で税率の引き下げが行われるが、これは諸外国と税負担率を合わせるために行われるもので、抜本的改革からはほど遠いものであります。このような改革でさらに抜本的見直しが先送りされるならば、二十一世紀の初頭に高齢社会にふさわしい税制の確立など到底望めません。かくして、法人税に対する早期の抜本的改革を求める立場から、今回の法人税法等の一部を改正する法律案に反対するものであります。
 公平、中立、簡素の租税三原則にできるだけ適合した税体系を確立するためには、個々の税目の税構造は納税者から見てわかりやすく、できるだけ簡素でなければなりません。しかるに、租税特別措置はその導入の理由ないしは目的のいかんにかかわらず、税構造をゆがめ、不透明にするものであり、それによって公平、中立、簡素の租税三原則に対する適応性を低下させることになります。そのため、公正で活力ある高齢社会にふさわしい税制の確立を目指すとき、租税特別措置はできるだけ整理、廃止に向かうべきであり、とりわけ法人税関係については、法人税制の抜本的改革において思い切った整理を行うべきと考えます。この観点から、今回の租税特別措置法等の一部を改正する法律案に対しても反対するものであります。
 最後に、高齢化の進展とともに国民の税負担増は避けられないことを考えるとき、租税三原則にできるだけ適合した税制の確立を目指し、納税者にはわかりやすく透明な税務の執行に努めなければならないことを重ねて申し上げ、反対討論を終わります。
#213
○笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、法人税法等改正案、租税特別措置法等改正案及び平成十年度特例公債発行法案に対して反対の討論を行います。
 まず、法人税法改正案についてであります。
 本改正案は、引当金の縮減、廃止等課税ベースの見直しと引きかえに、法人税の基本税率を戦後最低の三四・五%に引き下げるというものです。これによって初年度で約三千三百億円、二〇〇四年度以降は毎年一兆円もの実質減税となるのであります。
 しかも、今回の引き下げにとどまらず、企業活力や国際競争力のためとして、さらにその税率を引き下げ、大企業の税負担の軽減を図ろうとされています。そして、直間比率の是正の名のもとに、その財源を消費税の増税で賄おうとしているのであります。
 退職給与引当金の縮小など課税ベースの拡大は、我が党が大企業優遇税制の一つとしてその縮減、廃止を早くから求めていたものであり、当然の措置であります。しかし、受取配当益金不算入、外国税額控除制度など、大企業優遇措置への見直しにはまだ本格的なメスが入れられておりません。
 次に、租税特別措置法等改正案についてであります。
 改正案は、景気対策を口実に地価税の凍結、法人の土地譲渡益追加課税の取りやめなど、土地税制の全面緩和を図っています。これは土地の公共性の観点からバブルの教訓を踏まえてとられた長期的な措置をすべてもとに戻すものであります。
 また、金融ビッグバンへの対応を理由に、有価証券取引税などの税率が半減され、来年末には撤廃する方針が決められています。有価証券譲渡益に対する課税が優遇されているもとで、その補完課税としての意味を持つ取引税をグローバルスタンダードなどの理由で軽減、廃止するなどはもってのほかであります。
 租税特別法改正案には沖縄の経済振興対策のための税制の創設など、賛成できる措置も含まれていますが、全体としては反対であります。
 最後に、平成十年度特例公債発行法案についてであります。
 本法案は、九八年度当初予算において、二〇〇三年までに赤字国債発行をゼロにするという政府みずから決めた方向に反し、引き続き七兆円を超える赤字国債を発行するものです。建設国債とともに莫大な赤字国債の発行を続け、深刻な財政危機を招いた政府の責任は重大であります。
 さらに、財政構造改革法に沿った緊縮予算によって、社会保障、教育、中小企業対策など国民生活関連予算の切り捨ては強引に進める一方で、ゼネコン向け公共事業や軍事費などの浪費は改めず、なし崩し的に財政政策を転換し、巨額の赤字国債を発行することは二重の意味で許しがたいものであります。
 厚生年金への国庫負担の繰り延べは隠れ借金の拡大であり、当面をごまかし負担を先送りすることとなり、結局、将来の国民の負担増を招くものです。
 以上の理由から三法案に反対であることを述べ、討論といたします。
#214
○星野朋市君 私は、自由党を代表して、法人税法等の一部を改正する法律案並びに租税特別措置法等の一部を改正する法律案に反対する立場から討論をいたします。
 なお、平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例に関する法律案については賛成をいたします。
 今回の法人税法改正では、減収額は初年度八千百九十億円、課税ベースの拡大により実質では三千二百六十億円の減税でしかありません。大手銀行に投入される公的資金は二兆円とまで言われており、これでは余りに不公平であります。
 金融関係税制についても、我が国証券市場の空洞化を防ぎ活性化を図るのが目的であれば、我々のかねてよりの主張どおり有価証券取引税・取引所税は全廃とするべきであります。これは、財政構造改革法により減税財源が縛られているため、思い切った政策がとれなかったためと断じざるを得ません。
 また、有価証券取引税・取引所税は、キャピタルゲイン課税とあわせて今後見直すとのことでありますが、本年四月一日から改正外為法が施行され、金融ビッグバンの第一波が始まるというのに、これでは間に合うわけがありません。税制も未整備、不良債権処理も不完全なまま早期是正措置だけを先行させて信用収縮を招き、貸し渋りで経済を混乱に陥れてしまった中で迎える金融ビッグバンは自爆への道であります。
 橋本内閣の国民負担額九兆円が九七年度をマイナス成長にまで落ち込ませてしまった以上、同程度の経済対策を実施しなければならないのは当然であり、特別減税やその他の税制改正による減税額を含めても実質三兆円にもならない減税では、これはまさにばらまき効果しかありません。
 自由党は、かねてより基本税率の引き下げ、連結納税制度の導入により法人関係税の実効税率を一〇%引き下げ四〇%とし、また所得税、住民税の最高限界税率を六五%から五〇%に引き下げ、税率の簡素化、フラット化を初めとした六兆円規模の減税を実施し、合わせて十兆円減税を行うべきであると主張してまいりました。
 以上、法人税法等の一部を改正する法律案並びに租税特別措置法等の一部を改正する法律案に反対する理由を申し述べ、私の討論を終わります。
    ―――――――――――――
#215
○委員長(石川弘君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、三重野栄子君が委員を辞任され、その補欠として谷本巍君が選任されました。
    ―――――――――――――
#216
○委員長(石川弘君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより順次三案の採決に入ります。
 まず、平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#217
○委員長(石川弘君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、法人税法等の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#218
○委員長(石川弘君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、租税特別措置法等の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#219
○委員長(石川弘君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、久保君から発言を求められておりますので、これを許します。久保亘君。
#220
○久保亘君 私は、ただいま可決されました法人税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民友連、公明、社会民主党・護憲連合、自由党及び改革クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    法人税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
 一 現下の厳しい経済・財政の現状にかんがみ、財政構造改革に努めるとともに、税制に対する国民の理解と信頼を確保する観点から、所得課税の在り方等を含め税制全般にわたる検討を行うこと。
 一 経済活動に対する税の中立性を高め、企業活力と国際競争力を維持する観点から、国・地方を通じた法人の税負担及び課税ベースの在り方等について、引き続き検討を行うこと。
 一 租税特別措置については、その政策課題の緊急性、効果の有無、手段としての妥当性、利用の実態等を十分吟味し、今後とも徹底した整理合理化を推進すること。
 一 急速に進展する高度情報化社会など変動する納税環境、業務の一層の複雑化・国際化・情報化、制度改正等に伴う事務量の増大及び税務執行面における負担の公平確保の見地から、国税職員については、その職員の年齢構成の特殊性等従来の経緯等に配慮し、今後とも処遇の改善、定員の確保、機構・職場環境の充実及び事務の一層の機械化促進に特段の努力を払うこと。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
#221
○委員長(石川弘君) ただいま久保君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#222
○委員長(石川弘君) 多数と認めます。よって、久保君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、松永大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。松永大蔵大臣。
#223
○国務大臣(松永光君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
#224
○委員長(石川弘君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存しますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#225
○委員長(石川弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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