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#1
第142回国会 外交・防衛委員会 第8号
平成十年四月八日(水曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         及川 順郎君
    理 事
                須藤良太郎君
                武見 敬三君
                吉田 之久君
                高野 博師君
    委 員
                岩崎 純三君
                塩崎 恭久君
                野間  赳君
                二木 秀夫君
                宮澤  弘君
                齋藤  勁君
                竹村 泰子君
                広中和歌子君
                立木  洋君
                田村 秀昭君
                佐藤 道夫君
   国務大臣
       外 務 大 臣  小渕 恵三君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  久間 章生君
   政府委員
       国際平和協力本
       部事務局次長   新貝 正勝君
       防衛庁参事官   伊藤 康成君
       防衛庁運用局長  太田 洋次君
       防衛庁経理局長  藤島 正之君
       防衛庁装備局長  鴇田 勝彦君
       防衛施設庁長官  萩  次郎君
       防衛施設庁総務
       部長       西村 市郎君
       防衛施設庁施設
       部長       首藤 新悟君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     上田 秀明君
       外務省アジア局
       長        阿南 惟茂君
       外務省北米局長  高野 紀元君
       外務省条約局長  竹内 行夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大島 弘輔君
   説明員
       外務省中南米局
       長        田中 克之君
   参考人
       海外経済協力基
       金総裁      西垣  昭君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○平成十年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)、平成十年度特別会計予算(内閣提出、衆
 議院送付)、平成十年度政府関係機関予算(内
 閣提出、衆議院送付)について
 (総理府所管(国際平和協力本部、防衛本庁、
 防衛施設庁)及び外務省所管)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(及川順郎君) ただいまから外交・防衛委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成十年度一般会計予算外二案の委嘱審査のため、本日の委員会に海外経済協力基金総裁西垣昭君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(及川順郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(及川順郎君) 平成十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち国際平和協力本部、防衛本庁及び防衛施設庁並びに外務省所管を議題とし、昨日に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○竹村泰子君 きょう私は、我が国の外交姿勢ということで、以前からかかわり続けております問題につきまして質問をさせていただきたいと思います。
 先日のこの委員会でも取り上げられておりましたけれども、我が国はインドネシアにとっては最大の政府開発援助供与国、投資国、貿易相手国でありまして、我が国が、インドネシアの民主化とそしてインドネシアののど元に刺さったとげと言われます東ティモールの問題、このことでどのように働くことができるか、貢献することができるかということでやはり世界は非常に注目をしているというふうに思います。
 東ティモール問題については、国連のたび重なる決議にもかかわらず、インドネシアはその自決、独立を認めず現在に至っていることは御存じのとおりでございます。一昨年のAPECでも、池田外相がアラタス外務大臣との会見で、東ティモール問題にお触れくださっておりますし、外務大臣も先日のASEMでインドネシアのアラタス外務大臣とお話をなさって、そのときに東ティモール問題にもお触れくださったというふうにお聞きしておりますけれども、そのことにつきまして少し御報告をお願いしたいと思います。
#6
○国務大臣(小渕恵三君) 私は、先般のASEMの会議出席の折、何カ国かの外相と会談をいたしましたが、まず最初にインドネシアのアラタス外相と会談を行いました。その際私から、インドネシア政府が国際社会全般の関心に考慮を払いつつ、人権問題の改善に向けて努力を継続することを強く期待いたしました。国連の事務総長調停下で今取り進められているインドネシア政府とポルトガル政府との協議を歓迎いたしておることをお伝えし、この問題についてインドネシアといたしましても国際世論に十分配慮しながら対処していただきたいということを申し上げました。これに対しまして、アラタス外相から、今、外相レベルで静かな対話が行われておりまして、東ティモール問題解決に向けて可能な限りの努力をいたしていきたい、こういうことを申し上げられました。
 引き続いてよい結果を生んでいただくように、重ねて私から申し上げさせていただいたところでございます。
#7
○竹村泰子君 ベロ司教、ラモス・ボルタという二人の方がノーベル平和賞を受賞されました。このことをきっかけに東ティモール問題の平和的な政治解決を目指す国際的な努力というのは確実にステップアップしてきているというふうに思います。数々のステップがいろいろとあるわけです。
 しかし一方、現地では、私どもの得ております情報によりますと、インドネシア軍や警察による抵抗勢力に対する弾圧がむしろ強化されているというふうにお聞きします。もう過去には、それこそ命日にサンタクルス墓地へ向かっている行列に軍が突っ込んでいったというふうなこと、流血の惨事も数々あったわけでありますけれども、そのことが余りおさまっているとは思えない。また、拘禁中の拷問や殺害に関しては私どもも軍事資料あるいは写真も入手しております。もし見てくださるようでしたら、いつでもお見せすることができます。
 それはどうしてそういう拘禁中の人たちの写真があるのだと私も不思議に思いまして、拷問を受けた後の写真ですので、どうしてそういうことがあるのだというふうに聞きましたら、やはり兵士たちが我々はこうやって反対派の勢力を抑さえているんだということ、そして過去どこの国の軍隊にもあったことですけれども、それを自慢げに写真を撮ってみんなに見せる、売られてもいるというふうなことを聞くにつれ、心を痛めておりますし、憂慮しているわけでございます。
 そこで、我が国の東ティモールに対する姿勢について少しくお伺いしていきたいというふうに思います。
 初めに、これは個人のお名前を言って申しわけないんですけれども、昨年の五月、当時の一等書記官でいらっしゃった三澤さんという方です。昨年総選挙がインドネシアで行われまして、その占領地東ティモールでも同様に選挙が行われたわけです。そのときの東ティモールの住民がインドネシアの総選挙に参加していることをもってあたかも住民が合併を受け入れているかのように主張していたので、抵抗勢力がこれに攻撃をしかけるということがあったわけです。大変残念なことですけれども、それに対してインドネシア側は軍と警察を投入して選挙の警備に当たったわけです。
 昨年の五月三十一日、東ティモールのバウカウというところでこういうせめぎ合いがあって、非常に残念なことですが、抵抗勢力が警護団のトラックに手りゅう弾を投げ入れたり、死亡者が出るという事件が起きたわけであります。三澤さんがそのときに、これは人権侵害であり国際法違反だというふうに言われたという報道、そして犠牲者に追悼の意をあらわされたという報道がインドネシアの国営通信のニュースで世界じゅうに流れたわけであります。
 東ティモールでの人権侵害というのは、私も先ほど申し上げましたようにこれまでたくさんありました。そして、むしろインドネシア軍による東ティモール住民に対する侵害の方が多かったと思いますが、それなのになぜ今回インドネシア側の犠牲者に対してだけ弔意をあらわしたのでしょうか。ちょっと去年のことで古いお話で申しわけないんですけれども、これは三澤さんという方一個人の問題ではなくて、やはり日本の外務省あるいは日本の国が東ティモールに対してどういう態度をとっているか、姿勢をとっているかということになると思いますので、なぜ今回この犠牲者に対してだけ弔意を表したのか、お聞きしたいと思います。
#8
○政府委員(阿南惟茂君) 今、先生のお話にございました在インドネシア大使館の一等書記官が昨年六月東ティモールに出張いたしまして、その際、東ティモール州バウカウ県におきまして、行政の責任者である県長を表敬、意見交換をしたということがございます。
 その際、今、先生がお話しになられましたようにその二週同ほど前に総選挙があり、その前後に発生した事件で多くの警察官が抵抗勢力の攻撃を受けて死亡した。そのことに対して警察官の上司である県長に弔意を表した、こういう事実はございます。
 また、この書記官が、抵抗勢力による警察官殺害は人権侵害である、また国際法違反だということを言ったということが報道で報じられたことはございますけれども、本人の報告等によりますと、警察官殺害は人権侵害ということは申したようでございますが、国際法違反だと言った事実はないということのようでございます。
 先生は、この書記官の報道で日本政府の姿勢を問われる、そういう御趣旨の御質問だと思いますが、この書記官の報告等を読みましても、先生が冒頭に指摘されましたようなインドネシア車の弾圧等についても客観的、正確に報告をしておりますし、彼の昨年六月にとった行動が著しく公平を失したものだというふうには考えておりません。
#9
○竹村泰子君 一九九七年六月十九日のアンタラ通信によりますと、これは人権侵害だと、そして国際法違反ですらあると三澤さんは言っております。そして、当然バウカウ県の開発の状態を視察した後ジャカルタの大使に結果を報告すると。そして、我々の報告は訪問の後書くのですが、国連にも提出されというふうなことが続いているんです。
 そうすると、国際法違反であるというふうな発言はなかったと今アジア局長はそうおっしゃいました。それであるとすれば、これはもう世界じゅうに発信されているわけで、やはりさっきも申しましたとおり、東ティモールの問題は国連を初め各国が、特にアジアの非常にインドネシアと親しい国である日本がどういう姿勢をとっていくのかということに注目しております。こういう発信が世界じゅうにされたということは、誤報であるわけですね、それに対して間違いや誤解が記事にあるならば、これは国営通信社ですけれども、通信社にその旨を伝えて例えば訂正を求めたり、当然外務省は知っておられたと思いますけれども、そういうことを何かなさったのでしょうか。
#10
○政府委員(阿南惟茂君) この書記官の発言、現地記者とのコミュニケーションの問題等もあったかと思われますが、先生おっしゃいますように、確かに一部不正確な形で昨年六月に報道されたわけでございますので、事実関係、その影響等をさらに調査いたしまして、必要があれば関係者に対して申し入れを行うということを検討してまいりたいと考えております。
#11
○竹村泰子君 これからなさるわけですか。
#12
○政府委員(阿南惟茂君) 今までは行っておりません。これから検討させていただきたいと思います。
#13
○竹村泰子君 わかりました。これは去年のことですから、そういうのはすぐに訂正なり正しい情報を伝えないといけないと思うんです。私たちのところにまできちんとそういう情報が流れてきているわけですから、それは遅きに失するということもございますが、しないよりはいいでしょうから、これからきちんとなさっていただきたいというふうに思います。
 それでは、東ティモールにつきまして、国連の人権委員会に関する質問を少しさせていただきたいと思います。
 昨年の四月、外務省の人権難民課が私どもの党の金田誠一議員に届けました決議の速報には、日本が東ティモール決議に反対をした理由として、一、コンセンサスが望ましいとの立場、二、決議内容がバランスを欠くという二点が挙がっておりました。ここに私もそのコンセンサス宣言のコピーを持っております。
 人権委員会が上げる決議というのはその年度で七十を超えるわけですね。日本は多くの場合賛成票を投じていると思います。時にはもちろん反対票も投じていると思いますけれども。つまり、コンセンサスを求めるのが立場だから決議投票となった場合には棄権するというこの一番の理屈、これは東ティモールについてしか当てはまらないのではないか。ほかにも例があるかどうか私わかりませんけれども、なぜ東ティモールについては特にコンセンサスを求める立場をとっているのでしょうか。
 ほかにいろいろ決議に対して賛成、反対の立場をとっていることはあると思いますけれども、比較をして簡潔にお答えいただきたいと思います。
#14
○政府委員(上田秀明君) 御指摘のように、人権委員会、昨年の例でございますと六十件ほどの決議がコンセンサスで採択されましたが、残り十六件は投票に付されております。それに際しまして、我が国は、あるものについては賛成、あるものについては棄権、あるものについては反対を投じておるわけでございます。
 東ティモールの問題につきましては、先ほど来御指摘のように国連人権委員会でずっと取り上げられておりましたが、九六年まではコンセンサスで、我が国もそのコンセンサスの形成には根回し、御説明その他いろいろと努力もしてきました。そういう過程で九六年にはコンセンサスで採択されたわけでございます。九七年につきましては、そのコンセンサスの形成の努力を日本としても側面からいろいろとしたわけでございますけれども、ヨーロッパ側といいますか、提案者でありますEU側の求めるところとそれからインドネシア側のそれに対するいろいろな対応でどうしてもコンセンサスが形成できなかったという経緯がございます。
 そういうことから、日本としては、特に決議の中に盛り込まれている点につきまして必ずしもバランスがとれていないという観点も勘案いたしまして棄権をいたしたわけでございます。
#15
○竹村泰子君 過去、東ティモールに関する決議について日本がとった態度はどうなのでしょうか。
#16
○政府委員(上田秀明君) 先ほど御説明いたしましたように、これまでは近年ではコンセンサスによりまして決議が採択されておりますので、日本はそのコンセンサス方式で対応したわけでございます。
#17
○竹村泰子君 日本とインドネシアはお互いに協力関係が非常に強い国同士なので、インドネシアの不快なことを日本がするのはどうかという外交的な配慮もおありなのかと思いますけれども、それならそれで、日本政府は果たして決議提案国であるEUやアメリカ、カナダに働きかけて、日本はこういう態度をとります、コンセンサスをとるべくこういう立場をとるのですというふうな説明をしたり働きかけをしたりしたことがあるのでしょうか。それとも、ただじっと見ていて、決議が気に入らない、インドネシアの御機嫌を損ねるのもなんだしということで棄権という選択をしているのでしょうか。
#18
○政府委員(上田秀明君) 昨年の例で申し上げますれば、EU側の提案している決議の中に、例えば特別報告者をインドネシアが九七年中に受け入れるべしという条項があったわけでございます。それを九七年四月の段階で既にインドネシアが受け入れていないということを厳しく追及するような文言もございまして、日本としては、まだ九カ月も残っている段階でインドネシアに対してこういう厳しい言い方というのはいかがなものかというようなことを、例えば議場の内外でEU側に説明したり、日本としてコンセンサスが形成されるようにさまざまな努力をしたことはございます。
 今後も、ことしはまだ決議が出されておりませんけれども、対応に当たりましてはそういうコンセンサスが形成されるようにさまざまな努力を重ねていく方針でございます。
#19
○竹村泰子君 今お触れになりましたけれども、九六年のコンセンサス声明の五つの条項というのは、東ティモール囚人の早期釈放、サンタクルス墓地虐殺のさらなる真相解明、テーマ別特別報告者の一九九七年度中の訪問、人権尊重の施策、その他過去の声明に盛り込まれた約束というふうになっていますね。
 今、お答えいただいたように、この五点をインドネシア政府に求められていたわけですけれども、もしコンセンサスが望ましかったというのならば、昨年四月の時点でそれがある程度実施されているという実績が必要だったはずです。日本政府は、その五点の中のどれがどの程度実施されていたと考えたので、コンセンサスをとることにしたのでしょうか。
 私は、この中で恐らくやったと言えるのは、インドネシアの国家人権委員会がディリに事務所を開設すると発表したということだろうと思うんですけれども、これも私どもが聞くところによりますと、事務所はインドネシア軍司令部の隣にありまして、普通の人は怖がってなかなか人権委員会に行けないというような状況ですね。私も、もしそういうかかわりでいろいろな運動をやっている人間であれば、ちょっと怖くて行けないです。わざわざそんな場所を選んだとしか思われないし、つくったという既成事実を積み重ねているとしか思えないわけですけれども、インドネシア政府が本当に人権状況改善の約束を実行する気があるのかどうか疑わしいと思われるんです。
 まさか日本政府は、この事務所開設発表の一点をもってコンセンサスの意義があったと考えているわけではないのでしょうわと。もしほかに改善点があるなら、挙げていただきたいと思います。
#20
○政府委員(上田秀明君) 今御指摘の点が一つ上げられることは確かでございましょう。
 ただ、御指摘のように、東ティモールの九六年の議長声明で挙げられた点につきまして、日本といたしましても、それらの点が著しい改善を見せているとか、あるいは完全に会うされているとかということを考えているわけではございませんが、進展している部分もございます。
 例えば技術的な問題でございますけれども、国連の人権高等弁務官事務所との間の了解覚書をつくって、その事務所をジャカルタにつくるべしというような点につきましては、一時、人権高等弁務官事務所とインドネシア政府との協議が進みまして、日本もその点を側面的に促したりした点があったのでございますけれども、昨今はややそれがとんざしております。また、それにつきまして、日本はこれを側面的に促進すべく実はいろいろ話し合いをしているところでございます。
 御指摘でございますけれども、インドネシア側に対しては、先ほど大臣から御答弁がありましたように、いろいろな機会にインドネシアの努力を促しているということも事実でございます。
#21
○竹村泰子君 今お答えいただきましたように、九六年のコンセンサスもほとんど実施されず、九七年の決議はインドネシアは拒否すると発表しましたので何も実現していませんね。人権状況改善に真剣に取り組もうとしないインドネシアの態度、今大変な経済状況にありますから経済の方にすべての力が集中されているのかもしれませんけれども、これがますます明らかになってきています。
 また、そんな中でインドネシアはことしコンセンサスを拒否する可能性が非常に高い、人権委員会はこれから開かれますけれども、私たちはそう考えております。日本政府はそれでもコンセンサスを求めるおつもりでしょうか、大臣はどういうふうにお思いになるか、お伺いしたいのですけれども。
 ODA供与国としての責任ということもあります。先日も佐藤委員の方から、あの国は本当に民主化した国なのだろうかという御質問がありましたけれども、占領国や紛争当事国に対して日本のODAが供与される場合は特別な注意が必要なのではないでしょうか、私たちはこのことをずっと言い続けております。
 先日の円借款の再開についても、きょうは質問する時間がありませんので次に譲りたいと思いますけれども、政府のODA白書は、それらの国のジュネーブ諸条約及び追加議定書の批准状況、軍事状況、特に兵力、軍事作戦の展開、軍事支出、兵器開発・購入、そして紛争解決への取り組みの程度。そして、私どもが今非常に残念に思い、また注意を払っておりますのは、女性や女性活動家に対する性的な暴力あるいは拘禁中の女性に対する性的な暴力、これらの写真も手元にございます。そういうことでこれらのことをすべて網羅すると私は考えるわけです。
 日本のODA供与国としての責任あるいは外交姿勢について、大臣はどのようにお思いになりますか、お聞きしたいと思います。
#22
○国務大臣(小渕恵三君) 御指摘のように、日本とインドネシアとの関係、特に我が国が経済的な協力を多くインドネシアに対して供与しているということは事実でありますし、それだけ我が国としては大事な国と考えておるわけであります。
 この東ティモール問題につきましては、基本的にはインドネシアあるいはまた旧宗主国たるポルトガル等の関係もこれありまして、申し上げましたように、ぜひこれは国際的なこうした問題について平和的に解決をしていただきたいという観点で、我が国の考え方をかねがね申し上げておるところでございます。昨年もたしかポルトガルのガマ外相が参られたとき、私も同席をしましたが、橋本総理と外相との間におきましてこうした問題について真剣なお話し合いをされている現場にも立ち会わせていただきました。
 今問題になっておりますのは東ティモールの人権問題でございまして、こうした問題につきましてもこのままであるということは、国際世論、特にヨーロッパ諸国におきましては、このコンセンサスの問題につきまして、いろいろ決議に対しての主張その他を見ておりまして、やはりインドネシアとしても真剣にこれに取り組んでいかなきゃならないというふうに私自身も考えております。
 申し上げましたように、先般アラタス外相にお目にかかりましたときにも、我が国の中にも人権問題として、特に国会でもお取り上げいただいている先生方がおられるというお話も申し上げました。日本とインドネシアの長きにわたってよき関係を保つためにはぜひこうした問題についての積極的なお取り組みも願いたいということを常々申し上げておるわけでございます。そういった点で、我が国としてはぜひこうした問題について、インドネシアとして国際的な世論にもこたえ得るような適切な対応をされるようにさらに努力をしていただくことを願って、我が国の立場を申し上げてまいりたいと思っております。
#23
○竹村泰子君 ここ何年か歴代の外務大臣がAPECとかASEMとかいろいろな段階で一対一の会談をなさるときなどに、そういった発言を積極的にしてくださることに対して、私たち、東ティモール問題を考える議員懇談会というのがございますけれども、大変感謝をしております。
 日本が国連の仲介に沿った和平合意の達成を望んでいること、そしてインドネシア政府の抵抗でとんざしている国連人権高等弁務官スタッフの派遣問題についても日本が憂慮していること、それから九三年の国連人権委員会決議で要請され、その後のコンセンサス声明でインドネシア政府自身も合意しております、国連の拷問に関する特別報告者、非自発的失踪に関する作業部会、恣意的拘禁に関する作業部会の現地調査の実現を日本が強く期待すること、こういった具体的な項目についても、人権と広く言うのみではなくて、やはりそういった具体的なテーマでこれからもお話し合いをぜひ続けていただきますように心から希望いたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#24
○高野博師君 ベトナムに対する円借款の件についてお伺いいたします。
 きのうのある新聞の報道によりますと、ベトナムに対する円借款の関係で大型発電所、これはファライ火力発電所に対する円借款約七百億円、これに関連して入札に不正があったというような報道がされております。この件については、レ・ドク・アイン前大統領が、入札過程で異常な事態が起きた、あらかじめ決まっていた独占入札者が商談を引き延ばして価格をつり上げて、そして外交機関を使ってベトナムの指導者に圧力をかけたと、そう批判をしているということが報道されておりますが、事実関係を簡単にお伺いいたします。
#25
○政府委員(阿南惟茂君) 今御質問の報道が確かにあったわけでございますが、本件入札につきましては、OECF調達ガイドラインにのっとりましてベトナム政府において厳正かつ慎重に行われたと、こう承知をしております。
 この審査の過程におきまして、ベトナムにおける円借款の貸し付け実行が著しく遅延をしていた、そして、今後のODAの供与にも支障が生じることに懸念があったために、ベトナム政府側に対して早期契約を促したということがあったことは事実でございますが、日本政府として当該案件の入札過程に関与したというふうなことは一切ございません。
#26
○高野博師君 そこで、今厳正に行われた、また、早く契約をまとめるようにということを先方に申し入れたということも今おっしゃいました。遅延していたのは先方の事情があるんだと思いますが、この件に関して急ぐ必要はなかったのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。一般的におくれているということは言えると思うんですが。
#27
○政府委員(阿南惟茂君) 先ほども申し上げましたように、この案件の遅延で今後のODAの供与全体にも支障が生じるという懸念があったことと、この案件は非常に重要な案件でございまして、ベトナム側では政府のトップまで、総理が決裁される案件ということで手続的に時間がかかったということはあるのでございますけれども、時間がかかり過ぎ、遅延をしているということで早期契約を促したということは事実でございます。
#28
○高野博師君 これはOECFも同じようなことをやったんでしょうか。
#29
○参考人(西垣昭君) 事実関係でございますので私から政府の御答弁に補足をさせていただきたいと思うんですが、ファライ発電事業というのは、ベトナムの電力需要の増大に対応するためにベトナムの北部に総出力……
#30
○高野博師君 そういう説明は結構でございます。事実関係を教えてください。
#31
○参考人(西垣昭君) 大変重要な石炭火力発電所を建設する事業でございます。この事業の入札には、一般アンタイドという条件のもとで、日本企業のほかに米国、フランス、イギリス、韓国等から成ります六つの国際コンソーシアムが応札をいたしまして、ベトナム側は入札評価の結果、一番札となった応札者との契約交渉を行いまして、九八年三月中旬、つまり先月の中旬に契約調印に至ったものであります。
 私ども海外経済協力基金の調達ガイドラインでは、入札評価によって一番札となった企業との契約交渉を行うこととしておりまして、これは世界銀行やアジア開発銀行を含め、国際的に確立されたルールでありまして、私どもとしては普通のことだと思っております。
 そういったことで、私どもとしては、ベトナム政府と協力をしながら、同じような考え方のもとで落札の決定まで至ったものでありまして、特別に問題があるようなものではない。むしろ、前大統領が言われたことにつきましては、ベトナム側の中の説明が不十分だったんじゃないのかな、こういうふうに理解しております。
#32
○高野博師君 今のお話だと特に問題がないということでありますが、入札をやった後、落札をした後、契約をするまでに三番手のグループの価格よりも十六億円も上回っている。これは尋常な話ではないので、入札そのものは不正はなかったかもしれないけれども、その後なぜ十六億円も上がっているのか、これを説明してもらえますか。
#33
○参考人(西垣昭君) 応札価格よりも契約金額の方が上回っているということは事実でございます。これは、ベトナム側が契約交渉におきまして、主要望品の製造地を途上国から先進国に変更するという追加要求を行ったために対価の上乗せが行われた、そのことについてベトナム政府が合意したことによるものであります。このためにまた交渉が長引いたと承知しております。
#34
○高野博師君 途上国から先進国に発注先を変えたということでありますが、何のための競争入札をやっているのか。入札が終わった後、こんなに値上がりするようなことを政府としても認めているんでしょうか。
#35
○参考人(西垣昭君) 貸付契約に違反するようなことばもちろんできません。ただ、貸付契約の中で、例えば納期の関係とか製品の質の関係とかでマイナーな変更をするということは通常許されているわけでございまして、私どもはこれは通常の範囲内のことであるというふうに理解しております。
#36
○高野博師君 十六億円という金額は、これは通常の範囲だということでしょうか。
#37
○参考人(西垣昭君) これは全体七百億円の中の話でございまして、その契約の条件の中に入っている話でございます。
#38
○高野博師君 どうもOECFは我々の感覚とは違うような感じがいたします。
 そこで、今回この不正云々という話になった一つの理由の中に、OECFのコンサルタントの雇用基準があいまいだという指摘がありますが、これはいかがでしょうか。
#39
○参考人(西垣昭君) 私ども海外経済協力基金のコンサルタント雇用ガイドラインは、調達の公平性を確保するためにコンサルタントの中立性を重視するものといたしております。
 実は、たまたまベトナムでファライ発電所とフーミ発電所、大きな二つの発電所の入札を行っているものですから、その関係におきましてこのガイドラインの適用についていろいろと議論が行われたということは事実でございます。
 この二つの発電所の入札におきましては、いずれもコンサルタントチームに応札企業からの出向者が派遣されていたことが判明いたしまして、コンサルタントの中立性に疑義が生じましたために、基金及びベトナム政府側とも慎重に検討を行ってまいりました。
 その結果、ファライ発電所におきましては、当該出向者がコンサルタントチームの代表者と主要機器担当エンジニア、二つの重要な役割を持っておりまして、かつ入札評価にも関与をしておりましたので、ガイドラインに抵触するという判断をしたわけであります。
 他方、フーミ事業におきましても同様の問題があるということで慎重な検討を行ったわけでありますが、このフーミの件につきましては、当該出向者が周辺機器担当でありまして影響力が小さい、かつ入札評価の前には交代している、評価には一切関与していないといったような事情がありますので、これらを総合的に勘案いたしまして、基金のガイドラインが原則とするコンサルタントの中立性を損なうものではないと判断いたしたわけでございます。
 また、価格面でも、ファライでは出向関係のあった企業グループが四番手の応札価格であったにもかかわらずコンサルタントによりまして第一位の評価が行われたのに対して、フーミでは出向関係があった企業グループは二番札よりも百億円相当安い圧倒的な一番札であったという事情がございます。
 基金は、ガイドラインの適用に当たりましては公平性、経済性の原則を踏まえ、個別案件の具体的な事情に即した判断を行うように努めてきておりまして、本件の取り扱いにつきましても、ガイドラインの原則に照らし首尾一貫した判断をしてきたというふうに考えておりまして、私どもは問題がないというふうに思っております。
#40
○高野博師君 私は問題があるんではないかと見ておりますが、これについてはもう少し調査をして、また伺いたいと思います。基金のガイドラインについては、ぜひ後で私の方に一部いただきたいと思っております。
 それから、ベトナムについては、今東南アジアの方で全体として円借款離れをしているという中で、ベトナムが非常に成長を遂げている中で円借款がふえている、今後もふえるだろうという見込みがある。各企業が相当この円借款事業について関心を持っているという中でこういう報道を見ると、非常に利権絡みの争い、そういうにおいがするわけであります。
 円借款というのは国民の税金でやっているわけでありますから、やっぱりこういう記事が出ると円借款あるいはODAについて非常に不信を持つということがあると思います。入札について厳正にやったという言い方はありますが、十六億円という金額についてもどうも感覚的に我々とは違うような感じがいたします。この事実関係は、またいずれ質問したいと思います。
 それでは、先ほどインドネシアの話が出ましたのでインドネシアについて、これは安保の関係から防衛庁長官にお伺いしたいと思うんです。
 アメリカの海兵隊が、インドネシアそのものではないんですが、オーストラリア近辺を含めてインドネシアの治安情勢がかなり悪くなったということもあって、沖縄の海兵隊、そして船は佐世保を母港とする水陸両用の戦闘艦に乗ってこの周辺に行ったという報道があります。
 私は、インドネシアの情勢がこれほど緊迫していたという認識はしていなかったんですが、報道によると、暴動とか争乱とか、どうもアメリカがそういうことを想定していたようなんですが、これについての事実関係は持っておられますか。
#41
○国務大臣(久間章生君) アメリカがどのように判断しておったかはわかりませんけれども、私どもとしては絶えず外務省と連携をとりながらいろいろと情報収集等に努めておるところでございます。今、私どもにアメリカの動きについては報告は来ておりません。
#42
○高野博師君 これは、米軍の海兵隊の第三一機動展開部隊が沖縄のキャンプ・コートニーから南下してオーストラリア周辺に出ていたということなんですが、その目的というのはインドネシアにアメリカ人が二万五千人もいるということで今回の事態に対してこういう行動をしたんだという報道であります。これについてアメリカはそういう見方をしているんですが、このインドネシアの状況がもしもっと悪くなると、これはアジア太平洋の平和と安全という観点からどうとらえたらいいんでしょうか、防衛庁長官。
#43
○国務大臣(久間章生君) アジアと太平洋といいますか、私どもとしてもこれは非常に関心のあることではございますけれども、そういう意味では外務省と絶えず連絡を密にしながらやってきておるところでございます。
 特に、我が国の在外邦人等も多うございまして、万一の場合はいろいろと対処しなければならないわけでございますが、少なくとも私どもが外務省を通じて、あるいはまたその他の情報を通じて得ている範囲では、そのような緊迫した状況の情報は得ていないところでございます。
#44
○高野博師君 そうすると、アメリカの方はある意味では救出準備に入ったということ、万一に備えてこういう行動をとったと言われているんですが、これについては事前の協議なり相談というのはなかったんでしょうか。アメリカが行くのに、日本はインドネシアに一万人の在留邦人がいるわけですから、自分のところはちょっと危ないと思うので行動をとるけれども日本は大丈夫なのか、そういう相談か何かはなかったんでしょうか。
#45
○政府委員(高野紀元君) まず、在日米軍が何らかの形でインドネシア等といろいろ訓練するということは、これは必ずしもインドネシアだけではございませんけれども、アジア太平洋諸国との関係での合同訓練をするということはこれまでも行われてきているところでございます。例えば、九五年のカンガループロジェクトというのがございましたが、そこにおいてはオーストラリアを中心に多国籍の軍隊が共同訓練したということはございます。
 今の御質問は、インドネシアの現在の状況との関係において、何らかの形で日米間の軍事的な協力関係について話し合いをしているかということでございますが、それは現在のところ情報交換という意味では、インドネシア情勢については当然のことながらアメリカとも十分やってきておりますけれども、軍事的な協力関係について具体的な協議をしているということはございません。
 他方、邦人保護という観点から申し上げますれば、これは別にアメリカとの関係を申し上げるまでもなく、我が国としてこれはインドネシアにかかわらず、常時外務省あるいは関係省庁とも御協議の上適切な対応をとるように準備しているところでございます。
#46
○高野博師君 シンガポールとマレーシアが、もしインドネシアに何か暴動等があった場合に難民が流出するのではないかということで、これに備える行動計画をつくっていたということも言われておりますが、こういう中で、これはガイドラインとか日米安保条約との関係でいうとどういうことになるのか。
 インドネシアには一万人の在留邦人がいる、それから日本も相当の投資をしている、貿易関係も大きい。こういうところでもし何らかの事態があったときに、これは周辺事態と言えるんでしょうか。
#47
○政府委員(高野紀元君) 繰り返し御説明しているところでございますが、ある特定の事態が周辺事態になるかどうかということは、日本の平和と安全に重要な影響を与えるかどうかという観点からその規模、態様等を総合的に勘案して考えるということでございます。
 現在、今委員のおっしゃいましたインドネシアでどういう状況が起きるかということは、仮定の問題でございますし、幾つかの限定的な条件を設けてそういう判断をするということは極めて困難だと考えております。
#48
○高野博師君 何度聞いても仮定の話とかそういうお返事ばかりなんですが、かなり現実的な問題だと思うんですね。インドネシアについては、今学生運動とか住民暴動も起きている。ことしに入ってから一万六千人ぐらい失業している、解雇されているということもあって、今の体制に対しての不満も相当あるということで、暴動の引き金になるのではないかという見方はできないことはないと思うんです。そういう事態になったときに、事態の性質ということを見るのであれば、経済的な関係とかあるいは在留邦人の数等から見れば、これは周辺事態と認めざるを得ないのではないかと思うのですが、どうでしょうか。仮定の話じゃなくて、現実の問題として答えてください。
#49
○政府委員(高野紀元君) お答えが繰り返しになるわけでございますけれども、いずれにしても、この周辺事態に関しましては、軍事的な要素、軍事的な側面が全くないような事態は周辺事態にならないというのが我々の考え方でございます。
 ちょっと例として適切であるかどうかは別でございますけれども、例えば同じような意味での在留邦人の保護の可能性が、可能性と申しますかそういう状況があった先般のカンボジアにおける状況でございますが、これは私ども当時、あの事態が仮に現在ガイドラインがあった場合に周辺事態になるかどうかという御質問に対して、あの状態は周辺事態には該当しないということを申し上げた経緯がございます。
#50
○高野博師君 そうすると、ガイドラインとは関係なく軍事的側面がないという意味で、あそこで内乱等があったときの邦人救出という場合にはどういう手段でやるんでしょうか。
#51
○政府委員(高野紀元君) 必ずしも直接の担当ではございませんが、いずれにしても、邦人保護ということについては我が国政府としてみずから主体的判断によって適切な措置をとるということは当然でございますし、これまでもそのようなことは世界各地域で行ってきているところでございます。
 ガイドラインの関係について申し上げれば、日米間でどのように協力するかと。特に、いわゆる周辺事態が起きたときにどうするかということでございますが、そのときにどうするかという問題は今アメリカ側といろいろ協議し、話し合っているところでございます。
#52
○国務大臣(久間章生君) ガイドラインではないわけでございましょうが、今委員が御指摘になりましたような在外邦人をどうして救出するかという問題については、私どもとしてもかねてから関心を持っているところでございます。
 ただ、現行の制度でございますと、外務大臣から要請がありましたときに航空機で救出するという道がありますけれども、逆に言えばこれしかないということでございまして、あとは一般的な脱出ルートでそれぞれが出るということで、自衛隊等が活躍する場というのは今の百条の八しかないということでございます。
 したがいまして、今度のガイドラインを機に、今言われましたようにたくさんの、飛行機じゃ間に合わないようなケースについてに自衛隊法を改正して、やはり艦船等を派遣する道をつくるべきじゃないかという議論が高まっているところでございます。
#53
○高野博師君 それは、ガイドラインとの関係でいうと軍事的な側面がなくてはならぬ話ですね。
#54
○国務大臣(久間章生君) 今度はガイドラインの関係でいろいろと法整備を検討しておりますけれども、この在外邦人の救出は必ずしも周辺事態という軍事的な要素が伴う場合でない場合、暴動とかあるいは内乱とかの案外軍事的な要素までいかないような場合でもやっぱり必要な場合は出てくるのじゃないかと。だから、それはこの際法律を整備しておく必要があるんじゃないかというふうに私どもとしては考えております。
#55
○高野博師君 そこは非常に微妙なところで、暴動とか内乱とかを口実にして出ていくという可能性はないことはないわけです。
#56
○国務大臣(久間章生君) 口実にして出ていくのではなくて、そういうことを国民が求めているかどうか、そういうことだろうと思います。私は、今委員がまさに御指摘になりましたように、あれがガイドラインで言ういわゆる周辺事態でなかったとしても、もし何かあったときにはそこは救出に行ってもらいたい、そういう国民世論の方が多いのじゃないかというふうに理解しております。
#57
○高野博師君 そのとおりだと思うんですが、その場合に、今の自衛隊法であると自衛隊機があるいは政府専用機しか行けないと。インドネシアには一万人も在留邦人がいるわけですから、これは事態によっては飛行機で幾ら運んでも間に合わない。そうするとやっぱり船で行かなくちゃいかぬということになると思うんですが、そこについては今のままではできないと。国民の側としてはこういう万一の事態には救ってもらいたいという当然の要求があるわけですから、そこを早く法整備をしないといかぬ。
 そこは軍事的な面とは切り離しての行動がうまくできるのかどうか、どうでしょうか。
#58
○国務大臣(久間章生君) そういう場合には救出して、軍事的な要素をはらんだいわゆる周辺事態のときには行かないということではこれまた問題じゃないかというふうに思いまして、やはりこの問題は関連性がある、やっぱり一緒に解決しなければならない問題だと認識しております。
#59
○高野博師君 時間がないので一つだけ。
 こういうときに、アメリカが自分の国の国民を救いに行ったときに一緒に日本人も助けてくれるのかどうか、あるいは日本が行ったときにアメリカ人を助けなくちゃいけないのかどうか。その辺はまだきちんと決まっていないと思うんですが、見通しはどうでしょうか。
#60
○政府委員(高野紀元君) まさにそれが、ガイドラインの中で周辺事態が起きた際にどのような協力をするかということで現在我々が話し合いをしているところでございます。
 それとは別に、ガイドラインの周辺事態という状況とは別に、一般的に、先ほど来防衛庁長官の方から御答弁されております自衛隊法の整備によりまして、これは世界どこでも日本として邦人保護は主体的にできるわけでございますが、その法整備をしております。かつガイドラインの枠外でさらに日米間で協力することは、これまたケース・バイ・ケースでこれまでもアメリカ側に随分いろいろな形で協力してもらっている例もございますし、それはそれで排除されていないということでございますが、ガイドラインという形での御質問でございましたら、まさにそのための話し合いは今やっているということでございます。これはアメリカも基本的には前向きに協力するということでその姿勢を示してきてくれております。
#61
○高野博師君 終わります。
#62
○立木洋君 防衛庁長官にお尋ねしますけれども、F16をモデルとした日米共同開発の問題、これは一九八七年からいろいろ経過がありました。この経過の問題についてはここで申し述べることはいたしませんけれども、三千二百億円を投じて開発されるF2の量産が始まったわけですね。九六年には御承知のように十一機、九七年には八機、九八年には九機というふうなことで進んでおります。
 このF2の一機の価格を見てみますと、九六年度は百九億円、九七年度は百二十億円、九八年度が百十八億円というふうになっております。国の財政が極めて危機に瀕している状態にあるということはもう御存じのとおりであります。このような世界にも存在しないような、極めて高性能を持った最も優秀な戦闘機の一つとされているF2を大量に導入する必要がどうしてあるんだろうかということを改めてお尋ねしておきたいんですが、いかがでしょうか。
#63
○国務大臣(久間章生君) 御承知のとおり、我が国は四面海に囲まれておるわけでございます。こういう我が国において、しかもいわゆる専守防衛ということで防衛を考えていくためには、航空優勢を確保しなければならないわけでございますので、どうしてもやはり航空自衛隊の支援戦闘機を初めとして、そういう整備をしなければならないわけでございます。
 ただ、性能がよくなければ今の御時世では通用しないわけでございますので、そのためにいろいろとこのF2、その前のF15、F1もそうですけれどもやっておりますが、ただ我が国の場合は確かに割高になっているのも事実でございます。しかし、割高であるからといってそういうことをしないでいいというわけにはまいりませんので、我が国の国防ということ、防衛ということを考えますと、どうしてもやはり空の守りというのは大事である。そのために、F1あるいはT2というのがだんだん減退していきますから、それにかわるべき機種としてF2を共同開発して今ストックしているというところでございます。
#64
○立木洋君 かつて日吉防衛局長も西廣防衛局長も述べておりました。つまり、相手の側が日本に対して攻撃をしかけてくる場合、その艦艇に対して攻撃をする、また不幸にして日本に敵軍が上陸してくる場合には、その陸上部隊あるいはそれがつくった基地、これに対して攻撃する、こういう任務を持っているのがF2だということを言っていました。つまり、そういうような状態というのが今現実にあり得るとするならば、どういうことが想定されているんでしょうか。
#65
○国務大臣(久間章生君) 今あり得るということでやっているわけではございませんで、将来そういうような状態が起きた場合でもそれに対抗できるということで、我が国としては従来からいわゆる基盤的な防衛力を確保してこの空白をつくらないという立場で、そういう態度で整備を図ってきておるわけでございます。これは新しい防衛大綱でも同じような考え方で、まあ言うなればハリネズミのように、やはりきちっと守るものは守る、そういう考え方で処していっているわけでございます。
#66
○立木洋君 ここに「朝雲」を持ってきているんですけれども、この事典の中には、支援戦闘機ではなくてここには戦闘爆撃機であると書いてあります。これはおたくの方の関係のある新聞がそういうふうに規定しているわけです。それで、内容を見てみますと、F1の後継機ということですけれども、F1の戦闘行動半径というのは五百キロですね。F2の場合には八百三十キロの足の長さになります。そして攻撃力もF1の二倍以上のパワーを持つというふうにも報道されているわけです。だから、世界でも極めて高性能の戦闘機だというふうな評価を得ているわけです。
 今言われましたように、将来のとおっしゃいますけれども、現実の問題として日本にどこかの国が上陸して侵攻してくるというふうなことが目前の問題として考えられるのかどうなのかという問題もある。
 それで、結局これを見てみますと、一九九六年から十二年間かけて真二十機を持つ、製造するというふうに平成七年十二月十五日の閣議で了解されております。百三十機です。百三十機となると、量産総経費というのはもう一兆円をはるかに超える莫大な金額です。今大きな問題として、やっぱり軍事費に対してもメスを入れるべきではないかというふうなことが言われている状況の中で、このような莫大な金をF2に投じる。
 今、防空の任務を果たしているのはF15があります。これは百九十三機あります。F4ファントムは百九機保有しております。後継機種とされているその前のF1は五十九機です。これはもちろんさらに減っていくでしょう。しかし、こういう状態の中で今後九六年から十二年間にわたって百三十機を量産する、莫大な投資をしなければならないということが閣議で了解されている。こういう正面装備を削減することこそが、今やはり日本のあり方を考えて直接取り組まなければならない問題点だと思うんです。
 しかし、事実上これについては、いろいろな報道を読んでみますと、この機数を削減するとなるとアメリカの圧力が大変なことになるというのが防衛庁の側から聞こえできます。名前は言いません。だから、アメリカの圧力に従って百三十機は減らさない。そういう問題も、アメリカと共回生産を四、六でやっておりますけれども、そういうアメリカの圧力の結果がこういう事態になっているのではないかというふうに言わざるを得ないんです。
 このような問題については、当面不必要であるこの正面装備についてはきちっとやっぱり交渉して、削減をするという方向にこそメスが入れられるという点に努力をすべきではないかということを強く述べておきたいわけですけれども、いかがでしょうか。
#67
○国務大臣(久間章生君) 村山内閣のときに防衛大綱を決めますときにいろいろと議論をしながら、この後継機をどうするか、そして何機にするか、そういうことを決められて、それを計画的にやっていこうということで、防衛大綱全体の中では百三十機でございましょうけれども、中期防の期間には四十五機を入れるということにしているわけでございます。やはりこれだけのものが必要だということで防衛大綱でも決めたわけでございまして、決してアメリカの圧力があって、アメリカに迎合するために百三十機を決めたというふうには私どもは理解しておりません。そういうことを言いますと、当時の村山内閣に対しても失礼に当たると思います。
#68
○立木洋君 失礼も何もないですよ。何を言っておるんですか。新中期防期間中には四十五機ではありません、四十七機です。長官、ちゃんと覚えておいてください。二機違ってますよ。
#69
○国務大臣(久間章生君) この間中期防の見直しをやりましたので四十五機に、二機減らしております。
#70
○立木洋君 当初は四十七機だったんです。
 この問題については引き続きよく検討していただきたい。これは今不要不急の問題ですよ。メスを入れると。いつになるか、実際に使うか使わないかもわからないような状態に、今大変な状態の中で一兆円以上もの莫大な金を投じるなんというようなことは国民は絶対に許しません。この問題についても厳しく私は申し述べておきたいと思います。
 次の問題は、横田騒音訴訟の問題に関してです。
 これは第三次の東京高裁の判決では既に確定をしております。その裁判においては、直接被害を生じさせているのは日本政府ではなくて米軍であるというふうに明確に判決が出されております。このような被害は受忍限度を超える違法な侵害行為であるといって、米軍の不法行為を明確に認定しているわけです。この判決は日米双方を拘束するものであるということは、これまたはっきりしております。
 原告住民に支払われるべき過去の損害賠償金、一次、二次、三次まで合わせますと、原告には七億二千四百万円。厚木基地の第一次騒音訴訟では一億六千九百万円。ですから、日本政府は既に総額十億五千五百万円、それぞれ原告に米側の分も立てかえて支払っているわけであります。
 米側が不法行為の補償について、公務中に米側の責任で起こした行為については、地位協定の第十八条で米側だけに責任がある場合は補償額の七五%を米側が分担するというふうに定めてあります。これはもう長官も十分御承知のとおりだと思います。外務大臣も御承知のとおりだと思います。
 ところが、この問題に関しては既にこの判決が出されてから、出されたのが九四年の三月です、既に四年間が経過しております。今、米側はどういう姿勢をとっているのか、まずその点についてお尋ねしたいと思います。
#71
○政府委員(高野紀元君) この厚木飛行場及び横田飛行場等における艦載機の夜間着陸訓練でございますけれども、これが周辺住民の方々の生活に与える騒音問題について、累次米側に対して騒音規制に関する日米合同委員会合意の遵守等、必要最小限の訓練にとどめるよう申し入れてきているところでございます。
 この横田、厚木の騒音問題に関する今御指摘の騒音賠償の問題ということでございますけれども、これについては現在日米間において、在京の米大使館も含めまして実務者レベルでの協議を行っているところでございますが、残念ながら今日本と米国との間の考え方に大きな差があるのが現状でございます。なおその妥結を見ていないというのが現状でございます。
#72
○立木洋君 日本側はどういうふうに主張し、米側はどういうふうな回答をしているんでしょうか。
#73
○政府委員(高野紀元君) 先ほど申し上げましたとおり、最高裁による確定判決が出た以降、私どもは地位協定に基づきまして米側に対して分担の要請をしてきております。しかしながら、その具体的な内容あるいは米側の具体的な回答、これにつきましては現在話し合いをしているところでございますので、この場で御答弁申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
#74
○立木洋君 横田基地の第五回目の騒音訴訟のとき、これは新一次の横田基地の騒音訴訟の問題ですが、そのときに米国政府は応訴拒否を伝えてきた口上書を提出して、損害賠償の支払い責任は日本政府にだけあると。米側は、日本の裁判所が最終的に原告の金銭請求を容認した場合、日本政府のみが責任を負うものであると。
 こんな地位協定の十八条にまるっきり反して、いわゆる両側を拘束するその判決にさえ反し、こういう態度をとってきている。裁判に訴えられた米軍機の飛行は日米地位協定の賠償金の分担規定に該当しないということを彼らは述べている。こういう事態を四年間にわたって今まで交渉してもなおかつ放置された状態になっている。こういう状態でいわゆる原告の側が、住民がどれほどの怒りを持っているか。結局は最終的に日本政府はうやむやにされてしまうんじゃないか。そして、そういう分まで押しつけられる。
 地位協定で決まって約束されている分までこういう結果になってしまう。きのうの分もそうでした。いわゆる超低空飛行の問題もそうです。結局は米側の要求に最終的には押し切られてしまう。それを長期間の間に、日本側が知らず知らずの間に受け入れてしまう結果にならざるを得ないということに今回もなるんではないかというふうな住民側の厳しい批判さえ存在しているわけであります。
 この問題について日本側が地位協定の第十八条の規定に基づいてきちっとした態度を最後まで貫くかどうか、その点について最後に外務大臣の見解をお聞きしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#75
○国務大臣(小渕恵三君) 先ほど北米局長から御答弁申し上げました経過で、現在米側と実務的な協議をいたしておるわけでございますから、日本側としては、日本側の主張を十分申し上げて、この問題についての決着が図れるようにさらに努力をいたしていきたいと思っております。
#76
○立木洋君 終わります。
#77
○田村秀昭君 立木先生は防衛費が多過ぎると言われておりましたけれども、私は全く反対の立場から質疑をさせていただきます。
 宮澤内閣以来、防衛費はずっと削られっ放しで、もう訓練も十分にできていないような状況だというふうに私は認識しております。
 本日の新聞によりますと、きょう十年度予算は参議院を通過するというような記事も載っております。それで、景気対策のための補正予算案の編成等、政府の財政再建目標を掲げた財政構造改革法の改正に向けた作業を本格化させる方針だというようにすべての新聞に載っております。
 本日は防衛庁だけにお尋ねいたしますが、通告していないこともお聞きするかもしれませんので、常識の範囲でお答え願いたいと思います、
 まず、防衛庁に改めてお伺いいたしますが、補正予算を今まで計上したことはありますか。
#78
○政府委員(藤島正之君) これまで給与等についてはかってあったわけでございますが、いわば事業的なものといたしましては、平成七年度に第一次補正ということで、阪神・淡路大震災により被災いたしました海上自衛隊の阪神基地隊等の復旧、あるいは情報収集体制の強化のための電送システム等二百七十四億円、第二次補正といたしまして、災害派遣体制の強化のための施設器材等ということで百十億円、また平成八年度には引き続きまして災害派遣体制の強化のための輸送用車両の整備等で七十二億円、それから……
#79
○田村秀昭君 簡単に答えてください、時間がないので。
#80
○政府委員(藤島正之君) 平成九年度につきましては、対人地雷の代替手段の研究のための事業として二千万円ほど計上いたしております。
#81
○田村秀昭君 時間がないですから、計上したことはあるかと聞いているから、あると答えてもらえばいいです。
 四月四日付の読売新聞の報道によると、自民党の臨時経済対策協議会国債に関する小委員会というのが開かれて、住宅の防音工事を建設国債の対象にすることを要望したという記事が載っておりますが、簡単で結構ですから事実関係をお答え願います。
#82
○政府委員(藤島正之君) 四月三日に、確かに自民党の臨時経済対策協議会の国債に関する小委員会というものがございまして、私どもも呼ばれました。その際、財政法第四条に規定する建設国債の対象経費に関する現状等について説明の聴取が行われまして、私の方から、これまで防衛関係費については建設国債の対象として扱ってきておらないその経緯につきまして、過去の国会答弁等についてその趣旨を御説明いたしました。その際、飛行場周辺の住宅防音対策の経費の性格が資本形成に分類されているといったようなことを御説明いたしました。
#83
○田村秀昭君 防衛施設庁にお伺いいたしますが、平成十年度の防衛関係費は、全体として、対前年度マイナスという極めて厳しい状況にあります。中でも、自衛隊及び米軍基地の安定的使用という観点から重要な防衛施設庁予算もマイナスとなっていますが、どのような事業が削減されておりますか。それで金額は幾ら削られたか。
#84
○政府委員(萩次郎君) 施設庁が十年度予算でお願いしておりますのは五千五百九十五億円ということで、対前年度百七十二億円の減、三〇%が減でございます。ふえたもの減ったものございますが、減ったものの代表的なものは、先生が言及されました住宅防音は四十億円の減額、それから在日米軍駐留経費……
#85
○田村秀昭君 もう結構です。
 景気対策で大型の補正予算が組まれる場合、各省庁は景気対策として種々の公共事業費を計上することになると思いますが、防衛関係費の中にも、隊舎とか宿舎等の整備や防衛施設庁の実施する障害防止対策、道路改修、住宅防音工事等の景気対策として有効な事業が多々あるというふうに考えております。
 それで、特に住宅防音工事は資本形成として分類されるものと考えておりますし、環境対策の点からも重要であるわけです。今、施設庁長官が四十億減ということでございますので、これは立木先生が言われた飛行機と違いますので、特に今、住宅騒音の訴訟が現在も係属中であるということにもかんがみ、ぜひ住宅防音対策に係る経費は補正予算に計上すべきであると私は強く思うんですが、防衛庁長官の御決意を承りたいと思います。
#86
○国務大臣(久間章生君) 補正予算を組むかどうか、また補正予算の中身をどうするか、これは財政法二十九条との関係で厳正に見ていかなければならないわけでございます。
 そういう議論とは別に、防衛施設庁あるいは防衛庁の中でもそうですけれども、今やっている予算の中でいわゆる投資的な経費として見られるんじゃないかと。ほかの省庁と比べたときでも資本形成につながるんじゃないか、そういう分類はございます。こういうものについては建設国債で対処できるんじゃないかという議論もございます。
 しかしながら、そういう分類ができるということと現実に補正予算を組むかどうかという問題は、これは財政法二十九条との関係がありまして、やはりその中で厳正に対処していかなければならないというふうに思っております。
#87
○田村秀昭君 慎重なお答えでございますが、補正予算を組むということはもう既成の事実みたいに報道されておりますが、まだわからないんですか。
#88
○国務大臣(久間章生君) 私どもは、今平成十年度の予算をお願いして、現在この委員会でも委嘱審査が行われておるわけでございます。平成十年度の予算を、限られた財政の中でこれが最善の案だということで編成したわけでございますので、一刻も早くこの予算を通していただいて、実行を図っていきたいというふうに思っているところでございます。
#89
○田村秀昭君 きょう成立する予定であります。原案どおり可決と書いてあります。
 今長官がおっしゃられましたようなこともあると思いますが、ぜひ防衛予算、非常に厳しい状況にありますので、そういう補正予算が組まれるようなことがありましたら、先ほどの住宅防音工事等は資本形成に分類されるものと考えますので、そのような措置を強く要望して、時間前ですが私の質問を終わります。
#90
○佐藤道夫君 最初に、ペルーで昨年九月に発生いたしました日本人学生二名の殺害事件のその後の経緯についてお尋ねしたいと思います。
 あの事件は日本人学生が二名殺害された。犯人はペルー軍兵士ということで数名の兵士が検挙されて、多分裁判に付されているんだろうと思います。日本の裁判は若干長い、時間がかかることで有名ですけれども、海外の場合にはそんなことはないので、迅速な裁判が実現されていると。特に、これは兵士の事件ですから軍法会議に付されているんだろうと思うんですけれども、軍法会議というのは速戦即決、あっという間に判決が出まして、直ちに銃殺刑とかそういうことになるわけです。
 この裁判がどういうことになっているのか、もう半年以上にもなるんですけれども、まだ裁判が開始されたとも聞いておりませんし、法あって法なきような国だと言うと大変失礼ですけれども、いつとはなしにうやむやで終わってしまうような懸念もないわけじゃないと思われますので、ちょっと裁判の経緯について説明してください。
#91
○説明員(田中克之君) 今、先生、軍法とおっしゃいましたが、実はこれは普通の刑事裁判でやっております。それで、現在司法手続が進められておりまして、向こうの制度でいいますと予審というのが終わった段階でございます。これから本格的な刑事裁判が始まる、こういう状況でございます。
#92
○佐藤道夫君 今後の裁判の経緯についても十分監視しておいていただきたいというふうに思います。
 それから、次は民事賠償の問題ですけれども、実は日本人の海外旅行者の生命、身体の安全、これは外務省がしっかり確保すべき責務があるんだろうと思うんです。しようがない、殺されたかということで済む問題ではありませんし、特に通り魔とか強盗に襲われたという問題じゃなくして、国軍の、政府軍の兵士に殺された、これはもう国対国の重大な問題だろうと思うんです。昔でしたらこういうことで戦争も始まりかねないような、そういう事態なんですから、外務省は遺族と緊密な連携をとりまして、やっぱり厳しくそういう賠償問題についても、むしろ外務省が矢面に立って、どうしてくれるんだということを私は要求すべきだろう、こういうふうに思います。
 十年前に上海で、日本人の高校生の修学旅行の際に列車事故で二十数名の者が亡くなった、あれも外務省がかなりサポートして賠償が実現した。その賠償の調印式には領事移住部長も出席しているということですから、外務省の力の入れ方もわかろうと、こういう気もいたすわけでありますけれども、今回のケース、そういうことに運んでいるんだろうと思うんですが、いかがでしょうか。
#93
○説明員(田中克之君) この上海の事件のときは、あれは一言で言いますと事故でございましたが、今回は犯罪でございます。それで、私どもも遺族の方々、あるいは大学の方とも緊密な連絡をとらせていただいておりまして、今後賠償をめぐってどうされるかというようなことにつきましても話をしております。そして、私どもの方から向こうの裁判手続、特に民事裁判を始めるときの手続等々につきましていろいろ御相談をさせていただいております。そういうところでございます。
#94
○佐藤道夫君 要するに、賠償問題についても外務省が全面的にサポートをする、そういう覚悟であるということは遺族の方々に伝えてあるというふうに理解してよろしいですね。
#95
○説明員(田中克之君) さようでございます。
#96
○佐藤道夫君 次はちょっと北朝鮮問題についてお尋ねいたしたいと思います。
 一九七八年といいますから昭和五十三年、レバノンの若い女性が何人か北朝鮮によって拉致されたという問題がありました。ちょうど横田めぐみさんの拉致されたのと相前後しているようであります。新聞の報ずるところによりますと、これはレバノン政府が格別な努力をしまして、どういう手を打ったのかわかりませんけれども、北朝鮮政府と折衝をいたしまして、一年足らずで拉致された若い女性を全部取り戻してきたと、こういうことが報道されております。
 このケース、もちろん外務省も克明に調べ上げて、レバノン政府がどういう努力をしたのか研究しておるんだろうと思います。私をして言わしめれば、レバノン政府にできて日本政府にできないことはないんじゃないかと。なぜ日本政府の場合、これは拉致したかどうかもはっきりしない、交渉しているのかしていないのか、それもよくわからない。我々国民としても、私、国民なのか議員なのかわかりませんけれども、我々の立場でもちょっとおかしいなというふうに考えておるんです。
 そのレバノンのケース、どういうふうな努力をレバノン政府がしたのか、日本政府はなぜそれがとれないのか、その辺のところをちょっと説明していただきたいと思います。
#97
○政府委員(阿南惟茂君) このレバノン女性拉致事件の事実関係については省略させていただきますが、今のお尋ねの点に関しましては、私どももレバノン政府に照会をいたしまして、どういう事情であったかということを聞いたわけでございます。照会した時点で大分時間がたっておりましたので、確実な当時の事実関係を確認することはできなかったわけでございますが、さらに当時の関係者を遺跡調査し、いろいろ尋ねました。
 確かに、レバノン人女性、五名とも四名とも言われておりますが、北朝鮮側に拉致をされて平壌に連れていかれたと。そして、レバノン外務省の儀典長が当時の在レバノンの北朝鮮通商代表部に申し入れを行って、翌年一九七九年の秋までにすべての女性がレバノンに帰国したという報道がされておりましたが、ほぼそういうことが事実だというふうに、当時の当事者に聞いたところから、そういうことがあったということを承知しております。
 レバノン政府にできたことがどうして日本政府にできないんだという点につきましては、レバノンと北朝鮮の間でどういう話し合いが行われたか詳細を承知しておりませんのでわからない点もございますし、日本とレバノンの事情をどう比較していいかということもございます。状況といたしましては、当時レバノンと北朝鮮はまだ国交関係はなかったのでございますけれども、既にレバノンに北朝鮮の通商代表部があったというような状況からも、かなり両国が良好な関係にあったということは推測されますし、その二年後にレバノンと北朝鮮は国交を樹立しておりますので、そういう状況というのが一つあったのかなというふうには考えております。
#98
○佐藤道夫君 どうも何か歯ごたえが極めて悪い、人ごとみたいにしか受け取れないのであります。先ほども言いましたけれども、レバノン政府はやっぱり血のにじむような努力をして、自国民の安全を確保しようということで北朝鮮政府と真剣に対峙したんだろうと思います。そういうことは日本政府がまたレバノン政府に真剣に問い合わせれば、こういうやり方をしました、ああいうやり方をしました、こういう障害を乗り越えましたということはきちっと説明してもらえるんだろうと思います、これは人道問題でもありまするから。問い含めせてみたけれどもはっきりしない、何か通商代表部があったからそういうことだったのかなと。いずれも非常に人ごとみたいな気がしてしようがないんです。
 これだけ横田めぐみさんその他の問題で国民が大変燃え上がって、大変けしからぬと、こう考えておる御時世に、もう少し外務省も本腰を入れてこういう問題に取り組んでもらいたいという気がしておるんですけれども、外務大臣、いかがでしょうか。
#99
○国務大臣(小渕恵三君) お説のとおり、真剣に対応して結果を出さなきゃならない問題であるというふうに認識をいたしております。
 ただ、人命にかかわることでありますだけに、公でこういった問題を多く取り上げることが是か非かという、当初そういった気もしないでもありませんでしたので、水面下といいますか、できる限りこの問題については慎重を期して対処してきたわけでございますが、既に本件については公にされていることでございますので、そういった点の不安はおりません。したがって、それぞれこうした問題に取り組まれた国々の状況につきましても、さらにどういう手段が講ぜられるかということについては努力をしたいと思います。
 先ほどレバノンの例を申されました。私がこの職につきましてから、実はレバノンの首相も訪日をされました。そういう機会にも率直にいろいろのお話を申し上げてはおるわけでございますが、シークレットな問題につきましては微に入り細にわたっての御報告というものもなかなか得られませんが、委員御指摘のように、本当に人道にかかわる問題につきましては、あらゆる方策を考えていかなきゃならぬということはそのとおりだと思いますので、さらに加えて努力をいたしていきたいと思っております。
#100
○佐藤道夫君 大変僭越ではありますけれども、小渕外務大臣の在任中にぜひとも解決していただきたいと、こういうふうに希望しておきます。
 それから次に、与党訪朝団がピョンヤンに参りまして、大変な御苦労があったんだろうと、その努力を評価したいと思います。帰ってきて記者会見をしておられて、それが各新聞に出ておりました。よど号犯人の帰還と引きかえに日本事務所をピョンヤンに設置する、そういうことで話を進めていきたい、こういう話であります。私、これを聞いて大変いぶかしく思ったのは、言葉なんです。この前も日本語の問題で防衛庁長官にちょっと御迷惑をおかけしましたけれども、日本語の問題なんであります。
 帰還という言葉は、これは凱旋にも匹敵するような言葉なんでありまして、戦地から兵士が帰還する、それから南極探検から探検隊が帰還してくる、宇宙旅行に行って帰ってくる、帰還する。華々しい凱旋でありまして、みんなが日の丸を振って出迎える、そういう場合に用いる言葉が帰還なんでありまして、容疑者、犯罪者が帰還するなんという日本語は私は聞いたことがないんです。
 これは、日本語を知らなくてこういう言葉を使っておるとすればその人の過失だけですけれども、ちょっといぶかしく思うのは、十年ぐらい前まではよど号犯人たちは無罪帰国ということを言っていたんですね。日本政府が我々の無罪を認めれば帰国してやると。要するに、彼らにとっては帰還という言葉を文字どおり使っていたんです。大手を振って帰る、それが帰還であると。
 そうすると、今回与党訪朝団との話し合いにそういうふうな彼らの意図がちりばめられておりまして、そして容疑者の、犯罪者の帰還という言葉が使われたのかと。そういうことを承知で使っておるとすれば、これは極めて悪質なわけでありまして、犯罪者が帰ってくるわけですから、こんなものはひそかに帰ってくればよろしいだろうし、自発的に帰ってくる場合には。そうでない強制的な場合には送還という言葉が文字どおり当たるわけですから、なぜ与党訪朝団が帰還という言葉を使われたのか。
 当然外務省の方もそれに疑問を持ちまして、これはちょっとおかしいじゃないですかということを問い合わせたと思いますけれども、問い合わせたことについて、与党訪朝団はどんな方々が行かれたのか私知りませんので問い合わせるすべもないんですけれども、問い合わせた結果をちょっと披露してくださいよ、日本語の問題として。
#101
○政府委員(阿南惟茂君) 与党訪朝団があちらに行かれた概要については私どもも報道等、それからまた直接お話を伺ってある程度承知しておりますが、今の先生のおっしゃいました帰還という言葉を実際に使われたかどうか、そういうことについて私どもから伺ったということはございません。
#102
○佐藤道夫君 新聞によりますと、政府当局者が、これは外務省のことだと思いますけれども、拉致疑惑という人道問題と容疑者の帰還問題とを絡められて大変当惑しているということが、四月二日付の朝日新聞に出ております。政府当局というのは外務省だと思います。外務省の方々も容疑者の帰還という言葉を使われているんですね。やっぱり大手を振って、旗を振ってよど号犯人を迎えたいという気持ちでもあるんでしょうか。
#103
○政府委員(阿南惟茂君) 報道でどういう表現になっておるか存じませんが、帰還というような言い方を私どもはしておりません。
#104
○佐藤道夫君 これは率直に申し上げれば、もうハイジャックの犯人そのものであり、時効も当然完成しておりませんので、強制送還以外あり得ないわけですから、変な問題と絡ませないようにして対応を考えていただきたいというふうに申し上げておきまして、時間でありますので、質問を終わりたいと思います。
#105
○委員長(及川順郎君) 以上をもちまして、平成十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち国際平和協力本部、防衛本庁及び防衛施設庁並びに外務省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#106
○委員長(及川順郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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