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#1
第142回国会 外交・防衛委員会 第11号
平成十年四月二十三日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         及川 順郎君
    理 事
                笠原 潤一君
                須藤良太郎君
                武見 敬三君
                吉田 之久君
                高野 博師君
    委 員
                岩崎 純三君
                塩崎 恭久君
                鈴木 正孝君
                野間  赳君
                二木 秀夫君
                宮澤  弘君
                齋藤  勁君
                竹村 泰子君
                広中和歌子君
                田  英夫君
                立木  洋君
                田村 秀昭君
                佐藤 道夫君
   国務大臣
       外 務 大 臣  小渕 恵三君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房審議官    今村  努君
       科学技術庁研究
       開発局長     青江  茂君
       法務省人権擁護
       局長       横山 匡輝君
       外務大臣官房審
       議官       海老原 紳君
       外務省総合外交
       政策局軍備管
       理・科学審議官  阿部 信泰君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     上田 秀明君
       外務省アジア局
       長        阿南 惟茂君
       外務省欧亜局長  西村 六善君
       外務省条約局長  竹内 行夫君
       文部省初等中等
       教育局長     辻村 哲夫君
       厚生省児童家庭
       局長       横田 吉男君
       資源エネルギー
       庁側益事業部長  奥村 裕一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大島 弘輔君
   説明員
       科学技術庁長官
       官房審議官    大熊 健司君
       外務大臣官房領
       事移住部長    内藤 昌平君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○原子力の平和的利用における協力のための日本
 国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルラ
 ンド連合王国政府との間の協定の締結について
 承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○民生用国際宇宙基地のための協力に関するカナ
 ダ政府、欧州宇宙機関の加盟国政府、日本国政
 府、ロシア連邦政府及びアメリカ合衆国政府の
 間の協定の締結について承認を求めるの件(内
 閣提出、衆議院送付)
○漁業に関する日本国と中華人民共和国との間の
 協定の締結について承認を求めるの件(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(及川順郎君) ただいまから外交・防衛委員会を開会いたします。
 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び民生用国際宇宙基地のための協力に関するカナダ政府、欧州宇宙機関の加盟国政府、日本国政府、ロシア連邦政府及びアメリカ合衆国政府の間の協定の締結について承認を求めるの件、以上二件を便宜一括して議題といたします。
 両件の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○鈴木正孝君 自由民主党の鈴木正孝でございます。
 きょうは宇宙基地の関係の協定、そしてまた英国との原子力平和利用協定の質疑ということでございますが、先般四月の十八、十九日、私の地元でもございます静岡の伊東の川奈で日ロの首脳会談が行われたということでございますので、ちょっと冒頭その関係の御質問を一つ二つさせていただきたい、このように思います。
 昨年のクラスノヤルスク以来、いろいろと両首脳の個人的な関係を含めて大変実質的な進展をしているような流れといいましょうか、雰囲気というものがあるわけでございますけれども、国民の多くの方の心情を思いますと、戦後五十年、北方領土問題というものの行く末、そういうものがやはり大きく皆さんの気持ちの中に重くのしかかっているだろう、そのように思っているわけでございます。
 そんな中で、伝えられるところによりますと、検討に値するような新提案のお話もあったようでもありますし、またロシアの大統領も検討に値するというようなそういう趣旨の発言もあったやに伝えられているわけでございます。何せ相手があることでもありますし、また外交上のことでもありますので、大変機微に触れるようなことだろうというふうに思います。さはさりながら、国民の多くの方は実際どうだったのだろうかということも大変知りたがっているだろうということも片方での事実というふうにも思います。
 伝えられるところによりますと、国境線の画定、そして暫定的なといいましょうか、施政権の継続とその後の返還というようなシナリオのように思いますけれども、これがそうであったということを外務大臣がおっしゃることはなかなか難しいだろう、こういうふうに思います。そんなことを前提にしながら、今後の領土問題についての解決の方途、あるいは具体的にどのようなお話が行われたのか、その辺をちょっとお話しいただければ幸いだと、そのように思います。
#4
○国務大臣(小渕恵三君) 先般、川奈で行われました非公式の首脳会談、二回目に当たるわけでございますけれども、この会談はクラスノヤルスクでの合意の実質的な前進、及びそのための作業の加速を図るという決意のもとで行われたわけでございます。
 今、先生御指摘の我が総理からの新提案につきましては、総理及び大統領自身が記者会見でも申し上げております。新しい提案のあったことは発表されておりますが、その内容につきましては今後ロシア側の検討にゆだねるという段階になっておりますので、明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。いずれにいたしましても、東京宣言というものをきちんと踏まえましてこれから進んでいくということについての合意は再確認されておるわけでございます。
 何といっても、二〇〇〇年までに新しい平和条約を結ぼう、こういうために双方ともできる限り近づいていく努力が必要だと。そういう意味では今回の総理の提案というものを真剣にエリツィン大統領も受けとめて帰られましたので、その検討をお待ちしておるということと同時に、平和条約締結問題日ロ合同委員会というのがプリマコフ外務大臣と私の間に設けられて第一回を行ったわけでございますが、その分科会を早急に開かせていただきたいということでこれから取り進めてまいりたいと思っております。
#5
○鈴木正孝君 なかなか内容にわたって今の段階で具体的にお話をするのはちょっと難しいということ、それはよく私もわかります。今まで橋本総理そのものが、国境線の画定を含まない平和条約というようなものはないんではないかというような趣旨のお話もされているというように承知もしております。東京宣言の中の段取りを踏まえて、条約と領土問題というものは切り離すことがないんだ、不可分の話だということをびしっと整理をされながら前に進めるという話し合いが行われたということだろうというふうに思っているわけでございます。
 そんな中で、ちょっと心配といいましょうか懸念といいましょうか、両首脳の個人的な信頼関係、御家族含めての非常に和やかな雰囲気での実質的な環境づくりというものが片方で大変進んだと。それが大きくまた全体を進めるための条件にもなっていくというような要素が決してないわけではないんだろうというふうに思いますと、例えばエリツィン大統領の健康問題の話、あるいは最近のロシアの首相をめぐっての議会との確執の問題、あるいは市場経済化のおくれのような、あるいは国民生活の困窮というような向こう側のいろんな諸条件、日本の方も景気をめぐっていろいろと国内的にもごたごたしているというようなことを考えてみますと、言ってみますと一つのかけ、勝負に出たような点が見られるわけでございます。
 そういうものを乗り越えて二十一世紀に向かって日ロ関係を着実に進めるということが、先般の川奈会談の大変今日的な意義かなというふうにも思うんですけれども、その辺の今後の見通し、その辺を外務大臣はどのようにお考えか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
#6
○国務大臣(小渕恵三君) 鈴木委員御案内のように、今度の会談で合意を得た一つの点は、今後の両首脳の日程について決定をいたしまして、これから橋本総理、エリツィン大統領は、次のサミットそれからAPECが行われて、今年の秋口にモスクワを訪問される、そして来年はエリツィン大統領が日本に来られるということでございます。
 これは外務大臣として希望を申し上げれば、いよいよ二〇〇〇年までに新しい条約ということになりますれば、この日程は一つ一つ着実に進めていかなきゃならないということでございますし、新しい提案については、願わくば総理がことし秋に訪日するときまでに、ロシア側がこの提案なるものについて誠意を持って御回答いただけるような状況になれば大変幸いだと願っております。
 その前にできれば私自身も訪日いたしまして、この合同委員会も開かれるわけでございますし、この合同委員会についてエリツィン大統領は、状況が進捗しておらないというようなことを申されているやに聞いておりますが、真意はこれからしっかりやろうではないか、それにはそれぞれ担当する者も心してこの問題に取り組むべきだということを言っておられるのだろうと思います。私自身もその一端を担わなきゃならない立場でございますので、そうした進捗状態について精力的に取り組んで、何としても来年のエリツィン大統領が訪日されるときまでには本当の意味で新しい展開ができるということのために努力をしていきたい、こう思っております。
#7
○鈴木正孝君 外務大臣の外交全般についての日ロ関係に積極的に取り組んでいくという御姿勢、大いに期待もいたしますし、国民の期待が大きいだけにまた肩透かしというような、そういう落胆の思いのないように、ひとつ十二分に御留意の上で御努力をぜひお願いしたい、そのように思います。
 それから、本論の宇宙基地関係の協定になるわけでございますけれども、この宇宙基地上でどういうふうな活動、あるいは我が国がこういう事業に参加する意義というものをどのように御理解されているか、お願いをしたいと思います。
#8
○国務大臣(小渕恵三君) この宇宙基地は微小重力、高真空等の宇宙環境を利用した実験研究等、地上で行い得ない活動に利用されるものでありまして、産業、医療等の広範な分野における技術進歩の機会を大きく開くものであると考えております。
 また、宇宙基地への参加は、我が国としてこれまで余り実績のない有人宇宙活動に関する技術基盤の確立に資するとともに、我が国における科学技術の発展を促し、宇宙環境を利用した産業技術が、米欧州及びロシアにおくれをとることなく展開していくことにつながるものと期待をされております。
 またさらに、我が国がこの協力に参加することは人類の二十一世紀にかけての進歩に積極的に貢献し、国際社会の我が国に対する期待にこたえるとともに、米欧州及びロシアの科学技術面での協力関係を強化するとの見地から意義あるものと考えておるところでございます。
#9
○鈴木正孝君 日本の立国の支柱といいましょうか、二十一世紀を見据えていきますと、まさに科学技術の中での大きな柱が宇宙開発、これに関連する技術というようなところがあるだろうというふうに思います。そういう結果、成果が知的所有権という形で確保を図られる、問題のないようにするということは当然大事なことだと思います。いろいろと聞いてみますと、現行協定とそれほど差がないということではありますけれども、こういう活動を通じてどのように我が国が貢献できるかという点はいかがでしょうか。
#10
○政府委員(阿部信泰君) 日本は、主として日本実験棟というものをつくって提供するということによってこの計画に貢献をする予定でございます。この日本実験棟の上では微小重力を利用しまして材料実験、生命実験、天体観測、通信実験などを行う予定でございます。この日本実験棟につきましては、広く日本の国全体としてこれに参画するということで、日本国内の産業界、政府関係、学界の研究機関等の研究者の参加を予定しております。また、どのようなテーマについて具体的研究をするかということについてはこれから民間から募集、選考するということも考えております。
#11
○鈴木正孝君 科学技術庁、いらっしゃっていますね。
 科学技術庁あるいは宇宙開発事業団を中心に実質的にはこの事業を進めていくということになるわけでございますけれども。大体事業規模といいましょうか予算規模、日本実験棟をつくるという意味での計画の中身、その辺はどうなっておりますか。
#12
○説明員(大熊健司君) 御説明を申し上げます。
 宇宙基地協力につきまして、先ほど外務省から御答弁ございましたように、日本実験棟、JEM、ジャパニーズ・エクスペリメント・モジュールと言うわけですけれども、これを開発して参加する、そこで宇宙環境を利用したさまざまな実験をしたいということでございます。したがいまして、その事業の中心はこのJEMを開発すること、それからそれを運用するということになろうかと思っております。
 その開発運用につきましては宇宙開発事業団が担当するということでございまして、従前よりこの計画全体の進捗状況と後年度のいろんな負担等を考えまして、これまでに必要な経費を計上し、その事業を進めております。一番今進めておりますのは開発でございまして、このJEMの開発全体が三千百億円かかるということでございます。今、平成十年度予算でお願いしてございますけれども、債務負担行為を含めますと九八%を超えた手当てをしてきてございます。今後ともアメリカ、欧州等の参加国における開発の状況等も踏まえ、また宇宙開発事業団における他の宇宙開発プロジェクトとの間の調整も図って適切に対処してまいりたい、こういうふうに思っております。
#13
○鈴木正孝君 また、この協定に新しくロシアが参画をしたということになるわけですけれども、先ほどの日ロ関係の包括的な進展という中で、こういう姿勢といいましょうか流れができているということ、いろんな意味で環境整備を進めて大変結構なことかなと思うんですけれども、その辺は外務省、どのようにお考えになっておりますか。
#14
○国務大臣(小渕恵三君) ロシアはこれまで宇宙基地ミールなどの活動を通じて、有人宇宙活動に関する豊富かつ貴重な経験を有しておりまして、ロシアが参加するということは宇宙基地協力に大きな貢献をもたらすものと考えられております。
 我が国、米国、欧州諸国及びカナダがそれぞれの科学技術を結集する国際協力プロジェクトであるこの宇宙基地協力活動にロシアの参加を得ることは、科学技術の交流を通じたこれらの諸国間の相互理解を促進する上でも極めて意義深いものと考えておるところでございます。
#15
○鈴木正孝君 現行の協定からこの協定にかわる中でいろんな変化、変更があったわけでございますけれども、刑事裁判権あるいは損害賠償にかかわる放棄の問題あるいは関税の問題だとかそんなことはあろうかと思うんですが、その辺ちょっと概要を簡単に御説明いただけますか。
#16
○政府委員(阿部信泰君) この新協定は現在の宇宙基地協力協定にかわる新しいものとして結ばれたわけですが、おおむね現行の協定の内容を踏襲するものとなっております。
 ただし、それまではアメリカが非常に大きな中心的存在だったわけですけれども、今度ロシアが参加することになりましたので、それに伴いまして、例えば宇宙基地の運営につきまして、以前よりもより明確に対等な多数国間の協力による運営というようなことを定めております。また、刑事裁判権につきましても、各国がより平等な立場でこれを行使する、基本的にはその宇宙飛行士の出身の国がこれを第一義的に行使するということで、いわば属人主義の原則をつくっております。
 それから、損害賠償などにつきまして、これは協力を円滑に進めるという見地から相互放棄の対象を拡大するというようなことも規定しております。また、必要な物品につきましては、場合によっては参加国の間で移動した上で打ち上げをしたりしますので、その間に関税を相互に免除するということを今度は義務化するというふうなことも規定しております。
#17
○鈴木正孝君 今までどちらかというと宇宙絡みの開発の主体というのは、一言で言うとアメリカがかなり先行して、これを中心にして世界が回転をしていたというような長い経緯があろうかと思うんです。この宇宙基地建設にかかわる意思決定の仕組みといいましょうか、そういうものについての米国の役割、あるいは現行協定と比べてその辺のかかわり方がどういうふうに変わってきているのか、日本の主体性というものがどういう形で確保されているのかその辺を御説明ください。
#18
○政府委員(阿部信泰君) この宇宙基地は多数国間で運営するということになっておりまして、参加主体の間でおのおのの計画を調整するという必要が出てくるわけです。これにつきましては、参加主体がすべて参加します宇宙基地の運営組織においてコンセンサスの形成を目指して調整を行うということになっております。
 アメリカはこの協定の上で、全体的な運営及び調整に関する指導的役割を果たすということが規定されております。また、宇宙基地計画に関する全体的な運営調整を行う責任を持つということになっておるわけですが、そのためにこの多数国間の運営組織の議長を務めるというふうになっております。
 ただ、この点につきましては、現在の協定では書き方としまして「全体的な調整及び指示」をアメリカが行うというかなりアメリカの主導的なところを定めた形になっております。今度はそれをむしろより対等な立場から調整を行う、こういう規定になっておりますので、そういう意味においてより多数国間協力にふさわしい形になったのではないかと考えております。
#19
○鈴木正孝君 日本のというか関係国の主体性、それぞれの相互の主体性ということがうたわれてきているということで、大変結構なことだというふうに思います。
 日本の実験棟、これは将来の日本の若い人たち、子供たちがまた夢を膨らませながら見ているというようなことでもありましょう。そういう意味では、この協定を踏まえて実際に仕事をやっていただくのは科学技術庁、宇宙開発事業団が中心になるということだろうと思いますので、ぜひ原子力関係とは違って誤りのないように、問題のないように進めていただきたい、そのように思います。
 次に、新しい日英の原子力協定にかかわる質問をちょっとしたいと思います。
 現行の協定は、三十年間やってまいってことしの十月に失効するということで、新たに長期的な視野でそれにかわるものということで締結されたわけですけれども、これの目的といいましょうかその辺はどういうところにあるんでしょうか。
#20
○国務大臣(小渕恵三君) 今、委員御指摘のように、十月十五日に現行の日英原子力協定が失効いたしますので、この失効後も日英間の原子力の平和的利用における協力を維持し促進するために、現行の日英原子力協定締結以降の原子力の平和的利用及び核不拡散にかかわる国際的な動向を反映させた新たな法的枠組みが必要だと、こう考えまして、今回これを締結することといたした次第でございます。
#21
○鈴木正孝君 現行の協定の締結以降、言ってみますと、原子力の平和利用といいましょうか、それから核不拡散の問題、こういうような国際的な動向というものが大分大きく変化をして、また激しく進んだというような経緯があるわけですけれども、その辺はこの協定にはどういうふうに具体的に反映されているのかちょっとわかりやすく説明してください。
#22
○政府委員(阿部信泰君) 原子力資機材の移転に関しましては、この三十年間の間に例えば国際的な指針が一つできております。したがいまして、これを踏まえて今度の協定では核物質、設備等のどういうものが対象になるのかという定義を明確にしております。その上でこれらが、平和的目的というのは現行の協定にありますけれども、それのみならず、非爆発的な目的にのみ使用されるということを規定しております。
 また、この三十年間に日本、イギリスがおのおのIAEAとの間で保障措置協定を結びましたので、これを踏まえまして、この協定の適用を受ける物質についてはこのIAEAの保障措置がこれについて実施されるということも規定されております。
 それから最近、核物質の防護に関する条約というものもできましたので、これを踏まえまして、この協定の適用対象のものについては防護措置を講ずるということも義務づけられております。
#23
○鈴木正孝君 今お話のあったようないろんなその後の世の中の変化に伴っての具体的な措置ということが盛り込まれているということであろうかと思いますけれども、この協定を締結するに当たっての意義といいましょうか、さっきの目的と重複するところがあろうかと思いますけれども、その辺はどのようにお考えになっておりましょうか。
#24
○政府委員(阿部信泰君) この協定は、日本とイギリスの間の平和目的の原子力の利用ということを進めるための法的枠組みを整備するということが基本的な意義でございまして、現在既に日英間でいろんな分野での原子力協力が進められておるわけでございます。そのためにさらに長期的に安定した枠組みを提供するということ、それに加えまして、その協力を進めるに当たって国際的な核不拡散、原子力の平和利用目的にたがうことがないようこれを確実に担保するというところに基本的な意味があるかと思います。
 加えまして、我が国とイギリスの間は非常に政治、経済、文化、広い分野において友好協力関係がありますけれども、この協定もその一環としまして日英間の協力を促進、強国にするという意味があるかと思います。
#25
○鈴木正孝君 ちょうど言ってみますと、このIAEAに絡みまして数年前に北朝鮮での核開発疑惑というものが大分深刻な問題になったわけでございますけれども、その後の保障措置といいましょうか査察の状況というものは何か具体的につかんでおられるか。
 あるいはまた、こういうイラクの問題もそうなんですけれども、北朝鮮のこういう核開発疑惑に絡んで、近年、国際原子力機関、IAEAの中で保障措置制度をより強力なものにしていこうという具体附な動きがあるというようにも承知をしているんですけれども、その辺の具体的な内容あるいはそれに対して日本がどういう対応をしているのか、しようとしているのか、その辺をお聞かせいただけますか。
#26
○政府委員(阿部信泰君) 御指摘のとおり、北朝鮮はこれまでIAEAに参加しましてその保障措置を受けてきたわけでございます。にもかかわらず核開発の疑惑があったということで数年前に大変緊張した関係になりました。それを踏まえて米国と北朝鮮の間で合意された枠組みというものができまして、これに基づきまして、現在は北朝鮮がIAEAに申告した施設のうちで、この枠組みで凍結の対象となっていないものにつきましてはIAEAが査察を実施しています。それから、この合意された枠組みによりまして、現在時点で北朝鮮が凍結している施設につきましてはIAEAがその凍結を監視するということを行っております。
 ただし、残念ながら現在の枠組みでは、申告されていない施設については査察はなされませんので、現在の時点ではIAEAの査察はその部分については受け入れられていないという状況にございます。
 それから、イラクも核不拡散条約にはそもそも入っておるわけですけれども、それでもいろいろ開発の疑惑があったということで、そういう問題意識を踏まえまして、IAEAにおきまして九三年から作業を始めて、九三プラス二と俗に言っておりますが、そういう追加的な新しい査察、保障措置の体制をつくるべきだということが提案されておりまして、日本としましては核保有国を含めて九三プラス二の計画が締結されるべきだと考えておりまして各国に働きかけております。また、日本としてもみずから進んでこれを締結しようということで、最近IAEAの事務局との交渉を始めたところでございますが、特にこういった核疑惑のあると言われている国につきましては精力的に締結を働きかけてまいりたいと考えております。
#27
○鈴木正孝君 大変大事なテーマでもございますので一生懸命対応していただきたいというふうに思います。
 核の問題だけではなくて化学兵器あるいは生物兵器等についてもその種の透明性の確保の問題ということがかなり重要だろうと思います。実は私も、先般、列国議会同盟の会議、ナミビアでの総会がありまして、そこに出席してその趣旨を要請もし演説もさせていただいたというようなことでもありますけれども、ぜひその辺を踏まえて政府の方に頑張っていただきたいというふうに思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。
#28
○竹村泰子君 今もいろいろお話がございましたとおり、今回の原子力平和的利用協力協定、現行の協定がことし十月に失効するということに伴っての改定で、中身を拝見しますと、やはり現行協定との比較でいうと、非爆発目的利用を明記されているということとか、イギリスにある核物質に適用される保障措置の拡充であるとか、核物質防護措置の追加であるとか、改定されている点がたくさんありますことはよく認めております。そして、協定を改めて締結しなければならないという外交上の問題も大きなテーマであるということもよくわかっております。
 しかし、私たちが日英間の原子力という関係を考えてみますとぎに少しく問題があるのではないかと思いまして、きょうはその観点から質問をさせていただきたいと思います。私も原子力の方の別に専門家ではありませんので、素人考えのところも多分にあると思いますが、お許しをいただきたいと思います。
 日英間の原子力の関係といいますのは恐らく次の三つに集約されるのかなと思います。すなわち使用済み核燃料の再処理を委託している、そしてそれに伴い発生する高中低レベルの放射性廃棄物の取り扱い、そして再処理によって抽出されたプルトニウムの管理、ほかにももちろん平和的利用とかいろんな大きな課題があることをわかりながら、私どもがこれはちょっとどうかなと思うポイントはその三つではないかなと思うわけでございます。
 日本の使用済み核燃料の再処理委託、これはもちろんイギリスとフランスにしているわけですけれども、一九六〇年代、多分六六年に始まっていると思いますが、コールダーホール型と言われるいわゆるガス炉で出たものであります。イギリスでは燃料を再処理してプルトニウムを取り出すということをやっていたわけでありまして、今の軽水炉と言われるいわゆる新しい型の原子炉の再処理契約は大体一九七〇年代かと思いますが開始されたと思います。
 イギリスでは日本とかドイツとかから持ち込まれる核廃棄物を核燃料再処理工場、BNFLという企業が日本やドイツからの契約をもとに前払いの建設資金でもってTHORPという施設を建設して始めたというふうに聞いております。
 そこで、お伺いをいたしますが、BNFLとの再処理契約はコールダーホール型については六〇年代から、軽水炉については七〇年代からと今申し上げましたが、それぞれの使用済み核燃料は何トンの再処理契約が結ばれているのでしょうか。
#29
○政府委員(今村努君) お答え申し上げます。
 私どもが電気事業者から聴取し把握しております数字でございますが、BNFLとの再処理契約につきましては、ガス炉が一九六八年より千五百七トンの契約になっております。また、軽水炉につきましては、今THORPというお話がございましたが、THORPでの再処理ということでございますが、一九七一年より二千六百八十一トンの契約になっている、このように承知しております。
#30
○竹村泰子君 その再処理によってイギリスでは、セラフィールドというところにそのBNFLの工場がありますから、このセラフィールド周辺は高濃度に放射能汚染をされているということがもう世界じゅうで報道されております。小さな記事だったんですが、九七年八月あたりに、再処理工場のプルトニウム汚染、英国全体に広がると「ニューサイエンティスト」というイギリスの科学誌に論文が出ている。この再処理工場から排出されたプルトニウムによる汚染が北アイルランドを含む英国全体に広がっていることが原子力エネルギー局の調査で明らかになったと。セラフィールドの周辺では歯科治療で抜歯した全国の未成年者の歯、乳歯が生えかわりますから、その乳歯三千三百本を分析したと。それで半円形の円をかいて調査をしますと、例えば七十五キロの範囲では一キロ当たり七ミリベクレルのプルトニウム、二百二十五キロ以上の地域でも三ミリベクレルを記録したというふうなデータが出ております。
 資料をお配りしておりますけれども、この真ん中のところに「千」とあります。二ページ目の図でございますけれども、この真ん中に「千」とありますのがセラフィールドでございます。右の方は言うまでもなくフィンランド、ノルウェーと北へ行くわけですが、この海流の流れを見てみますと、セラフィールドを中心に回っている海流もありますが、ずっと北へ流れていく海流も随分あるわけで、フィンランド、ノルウェー、アイルランドはもちろん、そういうところの国々からもイギリスのいわゆる放射能垂れ流しといった状態の問題に大きな警告が出されているということです。
 乳歯についてはまだはっきりしたことがわからないかもしれないんですけれども、ほぼ間違いなくセラフィールドから直接大気に排出されたものではないかということが、小さな記事ですが各紙に載っております。
 それから、セラフィールド周辺のハトが大変な放射能汚染をされておりまして、ハトというのは羽がありますからあちこち飛んでいくわけです。ちょっと数値的にはわからないんですけれども、グリーンピースの調査によりますとハトの肉、羽毛、ふんなどに汚染されたもの、それをACROというフランスの西部放射線測定研究社がこの分析を行ったんですけれども、羽もの汚染は非常にレベルが高くて、その鳥は放射性廃棄物として分類されなければならないであろうというふうな状態であります。これは、科学的な裏づけがもちろんされなければならないと思いますけれども。
 農漁業食糧省は、二月からセラフィールドから十マイル以内のハトをとったり食用にしたりしないよう住民に警告をしたというようなことが出ております。二月にスウェーデンの環境大臣アンナ・リンドさんは北欧諸国の環境大臣たちに書簡を送り、北欧の海岸に到達する放射性排出に深い憂慮を表明し、何らかの対策をとるように要請をした、こういう報道がされております。小児白血病の多発ももちろんかねてから指摘されております。
 この放射能汚染のかなりの部分は日本の再処理委託が寄与していると。ドイツもありますし、ほかの国もありますが、日本の再処理委託が非常に大きく寄与しております。これについて日本の責任をどのように認識していますでしょうか、お尋ねをいたします。
#31
○政府委員(今村努君) 今、先生からお話のございました点についてでございますが、セラフィールド周辺におきまして、再処理施設の操業に伴いまして、放出基準を守っていると思いますが、微量の放射能の放出が行われていると。それが例えば放射性物質の核種が長寿命であるために若干蓄積しているといったような状況があるということは私どもも承知をいたしております。
 ただ、そうした点につきましては、イギリスの安全規制当局におきましても、しかるべく環境モニタリング調査をいたしましてその状況を把握し、その結果に基づきまして問題が生じないように対処しているというふうに基本的に考えております。
 そこで、今お話のありました点の幾つかについて申し上げたいわけでございます。
 まず、白血病の問題でございます。環境への放射能の放出とそれの結果がどうかということでございますが、その影響といいますか被害というような観点から少し申し上げたいと思います。子供さんの白血病の問題につきましては、今から十五年ぐらい前に既にイギリスで報道機関から問題が提起されたと承知しております。その後、イギリス政府において科学的な研究委員会が設置されまして今日まで継続的に調査が行われているというふうに理解をしております。
 これまでのところ、再処理工場からの放出放射能と白血病との間に科学的な因果関係があるということは認められていないというのが現時点における認識であるというふうに私どもは承知しているところでございます。
 ハトの点につきましてでございますが、これは先生から御指摘のあったとおりのことを私どもも承知しております。ただ、再処理工場の運転に伴い放出された放射能によるものではなくて、そのセラフィールド工場にある古い原子力施設にハトが巣をつくったのではないかといったようなことがBNFLから原因としては言われております。
 しかしながら、いずれにいたしましても、こうした問題は安全をきちっと確保するということが大前提でございますし、私どもといたしましては、イギリス政府の安全規制を受けて、きちっとした安全の規制のもとに再処理事業が行われるべきものと、このように考えておるところでございます。
#32
○竹村泰子君 きょうは通産大臣いらっしゃらないので本当はそういう政府答弁を、その程度の認識だというのはわかりますけれども、そういう答弁をいただいても仕方がないんです。BNFLの社屋にハトが巣をつくっていてと、何か漫画チックですね、そういう答えを聞くと。そういう答えを国会でしているということ自体大変な問題だと、因果関係が立証されないというようなことを言っている科学技術庁は大変な問題だと私は思います。ハトがそこに巣をつくったぐらいでどうしてスウェーデンの環境大臣が北欧諸国の大臣たちに書簡を送って放射性排出に深い憂慮を表明しますか。そんなばかなことを言ってもらっちゃ困ります。
 そこで、日本が再処理を委託しているフランスでも、再処理工場周辺では小児白血病の発生率が三倍と医学誌に報告されています。ちょっとデータがはっきりしないのできのう通告レクのときに失礼いたしましたが、海岸の水から通常の千七百万倍の放射能。そして、カニのこともあったんですが、カニのデータはちょっとはっきりしませんが、大体千三百五十ベクレルぐらい、このカニをとって食べているわけですから、これはEU基準の二倍の放射能が検出されています。
 外務大臣にお伺いいたしますが、日本が英仏に再処理委託をした結果として、一〇〇%がそうとは言いませんが、このような被害が引き起こされていることについて日本政府として道義的責任というか何らかの御感想というかお考えがありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
#33
○国務大臣(小渕恵三君) 今、先生御指摘の英国及びフランスにおける再処理施設により周辺の住民に影響があったか否か等の因果関係がまず明らかにされることが重要だと考えております。
 ただ、その影響につきましては十分考慮しなければならないということは当然なことだろうと思いますが、仮にもそういうことがあるとすれば、いずれにしてもその影響が生じないように万全の管理体制を我が国としてはとっていただきたいということを強く希望し、対処していただきたい、こういうふうに考えております。
#34
○竹村泰子君 大臣、今、因果関係を調査したり事実関係をはっきりさせて処置をとっていただきたいという答弁でございましたけれども、それはどこに言っていらっしゃるわけですか。科技庁に言っていらっしゃるんですか、通産省に言っていらっしゃるんですかだれに言っていらっしゃるんですか。
#35
○国務大臣(小渕恵三君) この英国及びフランスの処理施設を持っておるのはそうした国々でございますから、我が方としてはその影響が真にどのように及んでいるかということについて最大の関心を持つことは当然だろうと思います。これは我が国のしかるべき機関からその実態について十分な資料を把握させていただいて、そしてその実態に関して、もし仮にそういう影響が起こっておるということであるとすれば、この点の管理については十分対処していかなきゃならぬと思いますので、科学技術庁等から十分その影響について、双方の国がどのような事態になっておるかという点からまず情報を掌握しなきゃならぬというふうに思っております。
#36
○竹村泰子君 わかりました。その国に対して外務省としては要求をしていきたいということを言っていらっしゃるんですね。失礼いたしました、私はどこの省庁に言っていらっしゃるのかなと思ったものですから。でも、やっぱり日本のフロントは外務省でございますから、外務省もそこのところはしっかりと調査をしていただきたい。当事者であるということをお忘れにならないでいただきたいなと思います。
 通産省は今のことについて何か対策を考えているのかどうか。
#37
○政府委員(奥村裕一君) 通産省といたしましても、先ほど科学技術庁あるいは外務大臣から御答弁ございましたように、まずはイギリス及びフランスという外国におきます再処理工場の点につきましては、それぞれの国によります安全の規制というものに基づきまして諸般の対策がとられているというふうに認識をしております。
 そういう中で、先生御指摘のとおり、仮に影響があるというようなことがイギリス及びフランスの方から明らかになった場合には、こういうことがないように強く外務省ともども希望をしてまいりたいというふうに考えております。
#38
○竹村泰子君 よその国のことというふうにお考えにならないで、私たちが出した廃棄物なんですから、そこのところはきちんと調査をし、そして対策を立てていただきたいと強くお願いをしておきます。
 この再処理を行うために、日本からイギリスへ使用済み核燃料の輸送が太平洋、大西洋にまたがって行われています。現在までにガス炉用燃料何トン、軽水炉用燃料何トンが運ばれたのでしょうか。輸送回数も教えてください。これはどちらでしょうか。
#39
○政府委員(今村努君) イギリスのBNFLに対しまして現在までに搬出された量について御説明申し上げます。
 まず、搬出量につきましては、先ほどのガス炉に対応する使用済み燃料でございますが、千二百八十七トン、それから軽水炉に対応する部分につきましては二千六百六十八トンであるというふうに承知しております。輸送回数につきましては、イギリスとフランスと合わせて百五十九回という資料が手元にございますが、イギリスにつきましてはちょっと後ほど説明申し上げたいと思います。イギリスとフランス合わせて百五十九回ということでございます。
#40
○竹村泰子君 大体二千七百トン近い軽水炉用の燃料が運ばれているわけですね。これはBNFLとの契約に基づく輸送、百五十九回という数で運ばれているわけですけれども、これの輸送はほぼ終了したと聞いていますが、あと契約の何%、何回分ぐらいの輸送が残っているんでしょうか。もちろん原発が稼働している限り廃棄物は出ますけれども、当面のところはどうなんでしょうか。
#41
○政府委員(今村努君) イギリスのBNFLに対する再処理の輸送でございますが、未搬出量、これから輸送しなければいけない分は軽水炉使用済み燃料が十五トンでございます。既に二千六百六十八トンを搬出し、残りが十五トンでございます。一方、ガス炉の使用済み燃料につきましては二百十五トンでございます。合計二百三十トン分が契約上未搬出量として残されているということでございます。
#42
○竹村泰子君 それは、計算すればわかるのでしょうが契約の何%ぐらいになるんですか。
#43
○政府委員(今村努君) 約五%ではないかというふうに思っております。
#44
○竹村泰子君 その再処理によって高レベル、中レベル、低レベルの放射性廃棄物が発生するわけですけれども、日本の再処理委託によってどのくらいの量の放射性廃棄物が発生するか把握しておられるんでしょうか。調査したことがありますでしょうか。いわゆる日本ではTRU廃棄物と言われているものですね。あったら教えてください。
#45
○政府委員(今村努君) 海外に再処理委託を行います場合は、御承知のとおり、契約に基づきまして、発生する放射性廃棄物が我が国に返還されることになっております。
 我が国の原子力発電所で発生した使用済み燃料を英国で再処理した際に生じる放射性廃棄物の量でございますが、高レベル放射性廃棄物、これはいわゆるガラス固化体の形で我が国に返還されるわけでございますが、今の契約に基づきました総量といたしましては、約八百トンが返還される予定というふうに電気事業者の方からのヒアリング等で承知いたしております。
 また、今御指摘のございましたいわゆるTRU廃棄物でございますが、高レベル放射性廃棄物以外の中低レベルの放射性廃棄物につきましては、現在、契約当事者であります事業者とイギリスのBNFL事業者の間において返還の方策などについて調整中であるということでございまして、数量については確定していないというふうに承知しております。ただ、電気事業者から聴取した推定量といたしましては、これを中低レベル放射性廃棄物の形で返還するということになりました場合の最終廃棄物の形態としては約一万本程度に上るのではないかということを想定いたしているところでございます。
#46
○竹村泰子君 一万本と言ったんですか。
#47
○政府委員(今村努君) はい、一万本です。
#48
○竹村泰子君 何に一万本ですか。
#49
○政府委員(今村努君) これは固化体、廃棄物の収納容器の一万本でございまして、立米数で言いますと、容量でいきますと約一万一千五百立米程度ではなかろうかというふうに推定いたしているところでございます。
#50
○竹村泰子君 この数字が合っているかどうかちょっと教えていただきたいんですが、今のと少し違うと思います。日本が使用した核燃料から発生する廃棄物の量は、これはTHORPが九三年に行った公聴会で、BNFLが自分で提出した数値なんです。資料が出たのは九四年かもしれませんが、高レベルが百九十立方メートル、中レベルが六千二百四十人立方メートル、低レベルが六千七百三十九立方メートル、この数字は正しいですか、正しくないですか。
#51
○政府委員(今村努君) 今、先生御指摘の数字につきまして、BNFLが提出した資料の中にこの数字の確認はできておりません。この数字は、環境保護団体でありますグリーンピースがBNFLがこういう数字を出したという形で発表したという数値としては承知をいたしております。ただ、発生量ということでございますので、それを返還廃棄物用に輸送するように処理した数字とは少し違っているのではないかというふうな形で食い違いがあるような気もいたしますが、いずれにせよ、その数字自身をBNFLの数値としては確認はいたしておりません。
 私どもとしては、電気事業者から聞きました先ほどの数字を認識しているところでございます。
#52
○竹村泰子君 それにしても、これ全部足すとそんなに大きな差はないんですけれども、これらを日本に返還輸送すると優に二千回から三千回運ばなければならない、大変な輸送になると考えられます。
 政府はこの回数を承知していますか、どうですか。
#53
○政府委員(今村努君) 先ほど申しましたように、中低レベルの放射性廃棄物につきましては、現在我が国の事業者とイギリスの当事者との間におきまして返還の方策、具体的な形態等について調整中でありまして、数量については確定していないというのが実情であろうというふうに認識しております。
 しかし、先ほども申しました推定値でございますが、一万本、約一万一千五百立米というものを、通常の使用済み燃料輸送船を使用して従来あるやり方で返還する場合の輸送回数につきましては、約数十回程度ではなかろうかというふうに推定いたしているところでございます。
 それから、たびたび返還の方策等について調整中と申しておりますけれども、実は、これは中低レベルの放射性廃棄物の形で返還するのではなくて、それをガラス固化体に、いわゆるスワップといいますか等価交換のような形で返還するということも検討されておりまして、そうした場合には一万本を返還するのではなくてガラス固化体にして返還をすると。等価交換の考え方も今後調整中でございますけれども、その場合は輸送回数は大幅に減るのではなかろうか、このように承知しているところでございます。
 なお、今御指摘の二千回から三千回の輸送回数ということにつきましては、私どもはどういう数値なのか承知はいたしておりません。環境保護団体がそういう数値をレポートの中で言っているという話は聞いておりますけれども、今、私どもの理解としましては、二千回、三千回ということでなくて数十回程度であるということが私どもの認識でございます。
#54
○竹村泰子君 今お答えがありましたのは、どういうふうに運ぶかということ、どんな形態で運ぶかということにも関係すると思うんです。でも、環境保護団体が二千回から三千回ではないかと言っているのも別にでたらめで言っているわけではなくて、それなりの根拠があって言っているわけでしょうけれども、それが数十回というのは余りにも違い過ぎるんです。
 今おっしゃったいわゆる放射能換算で等価となるようなそういう返還方式、中低高レベルに換算して交換していくという方式で科技庁は今数十回と言っていらっしゃるんですか、それとも通常の返還輸送ということで言っていらっしゃるんでしょうか。数字が少し違い過ぎると思いますが。
#55
○政府委員(今村努君) 今の御質問のお答えでございますが、いわゆる等価交換方式による返還では数十回にはならなくて、現在ガラス固化体で、先ほど八百本と申しましたが、これを輸送するのは約九回程度必要ではなかろうかと思います。それが一、二回ふえる程度ではなかろうか、等価交換でいけばそういう形になる。一方、等価交換の形ではなくて、一万本、一万一千五百立米のものを中低レベルの廃棄物として、しかし、しかるべくきちっと収納して輸送する場合において数十回程度となるということでございます。
 いずれにいたしましても、先生が今数字として御指摘になりました二千回から三千回の輸送回数ということとは確かに数字としては違っておりますが、その二千回から三千回の根拠については私どもは理解をいたしておりません。
#56
○竹村泰子君 日本では余り中レベルということは言われない、中低レベルということで一緒にされているわけですけれども、例えば燃料棒を入れていたさやと言われるケース、そういったものとか被曝管の破片、それから、とめ金とか、そういう結構かさばるものもあるわけですね。決して放射能物質だけじゃなくて、それらもみんな超ウラン元素、いわゆるTRU核種に汚染されているから、低レベルのように浅い地下に埋めて処分するわけにはいかない。そういうこともあって、サブスティチューションという方法が大変注目をされているという報道もあります。
 ここで余り時間をとっても仕方がないので、とにかくこの輸送には大変な警戒とそれから労力が要るということだと思います。これらの膨大な中低レベル放射性廃棄物は日本国内ではどのように処理されるんでしょうか。
#57
○政府委員(今村努君) 日本に返還されるこれらの廃棄物につきましては、民間の事業者が管理施設において適切な期間貯蔵した後、処分するというのが基本的な考え方でございます。
 海外から返還されるものも含めまして、再処理により発生する先生御指摘の中低レベルの放射性廃棄物の処分の問題につきましては、平成六年の原子力委員会が定めました原子力開発利用長期計画におきまして、これは高レベル放射性廃棄物、つまりガラス固化体でございますが、その処分方策との整合性を図りながら、一九九〇年代末を目途に具体的な処分概念の見通しが得られるように技術的検討を進めるというふうにされております。
 現在、関係研究機関あるいは電気事業者が処分に関する研究開発を進めておりまして、そうした研究開発の成果を踏まえまして、当該廃棄物の処理処分が安全かつ円滑に実施されるような検討が今後進められる、このように考えております。
#58
○竹村泰子君 処分方法も処分される場所も、中低レベルは今のところ六ケ所村にというふうに言われておりますけれども、中でも中レベルのものについてはそう簡単ではない。処分する方法も場所もまだ検討中、高レベルに至ってはもちろん捨て場がないわけですから、これも捨て場を探しているという状態であるわけです。
 先ほどもちょっと出ましたが、現在、BNFLは日本の電力会社と新たな再処理契約を結ぶことを求めているというふうに伝えられています。もし新契約が結ばれた場合、返還される放射性廃棄物の量はさらに倍増するような事態になるのではないかと考えられます。
 このような契約が結ばれることに対して、国の廃棄物対策の観点からどう考えられるんでしょうか。少し歯どめをかけるとかあるいは違う方策を考えるとかこれは通産省でしょうか、何かお考えがあったら教えてください。
#59
○政府委員(今村努君) お答え申し上げます。
 我が国は、使用済み燃料中のプルトニウムや未利用のウランを再処理によって回収いたしまして、これをエネルギー資源として利用するいわゆる核燃料サイクル政策ということを基本といたしております。現在、青森県の六ケ所村におきまして、商業ベースでの再処理工場が民間事業者において建設中であることは御承知のとおりでございます。これまでの間、今御指摘になっておりますように、英国及びフランスに再処理を委託してきたわけでございますが、それにつきましては先ほど数字で申し上げましたとおり、ほぼ我が国からの搬出は終わりつつある状況ということでございます。
 そこで、我が国の今後の基本的な考え方ということでございますが、我が国におきましては、核燃料サイクルの自主性を確実なものにするなどの観点から、再処理は国内で行うということといたしております。したがいまして、今の契約が終わった後ということでございますが、新たな海外再処理委託につきましては、国内外の諸情勢を総合的に勘案して慎重に対処するということを基本方針としております。海外再処理の道は閉ざしてはおりませんけれども、原則は国内で再処理をするという考え方でございます。
 ただ、廃棄物対策の観点から申しますと、再処理を国内で行うか海外で行うかにかかわらず、使用済み燃料の再処理に伴って発生する放射性廃棄物につきましては、我が国におきまして適切かつ確実にその対策を講じなければならない課題である、このように認識しているところでございます。
#60
○竹村泰子君 通産省はどう考えるんですか。
#61
○政府委員(奥村裕一君) 私どもも科学技術庁さんと全く同様の考えでございまして、基本的には核燃料サイクルにつきましては日本での確立ということを目指しておりまして、再処理を国内で行うということでございます。
 ただ、そういう中で、将来の問題といたしまして、新たな海外再処理の委託につきましては、仮に将来そういう話が出てきた場合には、諸情勢を総合的に勘案して慎重に対処してまいりたいというふうに思っております。
#62
○竹村泰子君 ちょっとよくわからないんですが、再処理契約を結ぶときには慎重に対処するのですが、通産省は。
#63
○政府委員(奥村裕一君) 先ほど私申し上げましたように、日本の核燃料サイクルにつきましては、国内で再処理を行うというのを原則としてやっておりますという前提で考えてまいりたいということでございます。
#64
○竹村泰子君 わかりました。きょうは、科学技術委員会ではないので、再処理を国内でということについては言い分がたくさんありますけれども、次の質問に移ります。
 英国での再処理はプルトニウムの抽出を目的としていますね。抽出された日本のプルトニウムは、既に何トンになっているんでしょうか。それはどこにどのように保管されているんでしょうか。
#65
○政府委員(今村努君) 電気事業者等からヒアリングをして承知しております数字でございますが、昨年末までに英国との再処理委託契約によりまして得られました我が国に帰属するプルトニウムは、いわゆる核分裂性のプルトニウム量で三・一トンであるというふうに承知しております。このプルトニウムにつきましては、これまで研究開発用として既に我が国に〇・六トン分返還されております。残りは現在英国の再処理施設に酸化物の形態で安全かつ適切な核物質防護のもとで管理されている、このように理解しております。
#66
○竹村泰子君 このプルトニウムの一部がMOXに加工されて関西電力の高浜原発で使用されると伝えられていますが、これは通産省、事実ですか。
#67
○政府委員(奥村裕一君) 先生御指摘のとおり、関西電力は高浜発電所におきまして、MOX燃料という形でプルトニウムを装荷して使用するという計画を持っております。
#68
○竹村泰子君 数年前からいろいろ言われていることですけれども、日本のものもイギリスのものも外国のものも、プルトニウムはきれいに処理されて、きちんと分けられて日本の旗が立っているというわけではない、一緒に保管されているのかなと。再処理のときにはなおそうなのかなと思います。別々に再処理されているというふうなことはないのではないかと。ですから、イギリスの軍事用のプルトニウムと日本の商業用のプルトニウムがまざっているということも十分考えられるわけであります。イギリスの軍事用プルトニウムが日本のMOXにまざらないという非軍事と軍事の分離確認、これは日英原子力協定の締結上非常に重要なことではないかと思いますが、いかがですか。
#69
○政府委員(阿部信泰君) 日英協定では、核物質の平和目的での使用ということが明確に規定されておりまして、日本の電気事業者から送られました使用済み燃料の再処理につきましても、回収されたプルトニウムを含めまして平和的利用を確保するということがこの協定で担保されております。
 したがいまして、これからつくられましたプルトニウムあるいはその加工をしましたものにつきまして、これが軍事用の方に流れるということはないというのがこの協定の確保しているところでございます。したがって、イギリスにおいて日本の使用済み燃料から抽出されたプルトニウムが軍事用に回されるということは考えられないことでございます。
#70
○竹村泰子君 考えられないことであって、私たちも考えたくはないですけれども、でもそれはあり得ることなんですよね。そんなに分けて処理されるわけはない。このこともちょっと議論し始めますと多分一時間、二時間はかかってしまうでしょうから。
 この関西電力とBNFLのMOX加工契約、これは通産省に伺いますが、九五年十二月に結ばれて現在加工中だと思うんですけれども、加工するときにMOX燃料中のプルトニウムの割合を燃料棒のどの位置で何%にするのかとかというような詳細設計が確定していないといけないと思うのですけれども、電力会社は通産省に設置変更許可申請書というものを何も出していないと聞いていますが、どうですか。
#71
○政府委員(奥村裕一君) 先生御指摘のとおり関西電力の高浜発電所におきますMOX燃料の装荷にかかわります設置変更許可の申請はまだ提出されておりません。
#72
○竹村泰子君 関西電力に対して設置変更許可申請も行われていない、もちろん認可もされていないMOX燃料が現在日本向けにBNFLで製造されている。政府はこれを把握していますか。
#73
○政府委員(奥村裕一君) 関西電力が高浜発電所に装荷するためのMOX燃料の加工を本年一月から英国のBNFL社に変えさせるということは承知をしてございます。関西電力もことしの一月二十日にそういう旨を発表してございます。
#74
○竹村泰子君 その詳細設計も確定していない、設置変更許可申請書も出ていない。これが加工されていることを認めているわけですね。それはいいんですか。
#75
○政府委員(奥村裕一君) 輸入されるMOXの燃料体につきましては、私ども原子炉等規制法に基づきます装荷にかかる、先ほど申し上げました設置変更許可が出ますれば厳正に安全審査を行いますとともに、将来それが実際輸入されるという段階になりますと、電気事業法に基づきます輸入燃料体の検査を行うということにしております。その加工の事業者におきます開始時期につきましては、安全規制上特段の条件は設けておりませんが、私どもといたしましては、いずれにいたしましても安全審査、あるいは先ほども申しました具体的な輸入燃料体検査の段階で厳正に審査及び検査を行ってまいりたいというふうに思っております。
#76
○竹村泰子君 これまで関西電力が製造を強行していて、通産省はこれを見て見ないふりをしていたと。私たちの調査によりますと、情報はないと言っていたんですが、きょうはお認めになりました。だから、知りていたわけですね。知っているけれども、いずれ許可申請が出て正式に認可されるのであるからということで加工を認めているということですね。それは許されるのでしょうか。
#77
○政府委員(奥村裕一君) 先ほどもお答え申しましたように、加工の具体的な開始時期につきましては安全規制上特段の条件は設けておりません。したがいまして、電気事業者御自身の御判断で加工自体は行われているものと理解をしております。
 しかしながら、私ども、具体的な設置変更許可の申請がございますれば、厳正な手続、技術的な審査を経まして可否を判断してまいりたいというふうに思っております。
#78
○竹村泰子君 ございますればじゃないでしょう。これは許可もしていないものをやっているわけですよね、日本向けに。そういうことが許されるのかと私はちょっとよくわからないんです。MOX燃料の製造、これが日本国内であればもちろんきちんと申請書を出して許可されなければ認められないと思いますけれども、外国でだったらいいわけですか。それはおかしいんじゃないですか。
#79
○政府委員(奥村裕一君) 先ほども申し上げましたように、私ども、法的手続に従いまして、設置変更許可が出てまいりました段階で厳正な安全審査を行って安全上問題であるかどうかというのを審査してまいりたいというふうに申し上げた次第でございます。
#80
○竹村泰子君 おかしいですね。あべこべでしょう、順序が。安全なのかどうかわからないうちに、海外でやっているのを認めざるを得ない、それは民間企業と民間企業の問題ですからと。しかし、国の原子力行政にかかわる大きなことを許可もなしに海外でやっている、許可申請も何もなしにやっている。しかも日本が出した廃棄物でやっているわけですから、これは何と考えればいいのでしょうか。
 大臣、どういうふうにお思いになりますか。イギリス政府から何か報告をお受けになっているでしょうか。
#81
○政府委員(阿部信泰君) 最後の質問でございますけれども、イギリス政府から報告を受けているかということにつきましては、受けておりません。これは現在あります協定、それから今度の協定につきましても、それまでの詳細の報告を受けるという規定にはなっておりません。
 この協定のそもそもの趣旨は、平和目的の使用を間違いなく確保するというのが目的でございますので、その点につきましては、まず保障措置をかけまして、特定のおのおののイギリスにおける施設において問題のないように核物質が保管されているか、それがどこに移動されているかということを確保する。それから、イギリスという国境から出るときには、これまた物によりましては日本政府の事前の許可がなければ移動してはいかぬということで平和目的を確保するということでございます。
 MOX燃料のつくり方についてはいろいろ幾つか方法があるようでございまして、どの方法がいいか、どうするかということはむしろ安全上の問題でございますので、その点についてはこの協定の主たる関心事項となっていないということかと思います。
#82
○竹村泰子君 今回のこの協定においても、さっき初めに申し上げましたように、現行協定を見直して、非爆発目的利用の明記、平和的利用、平和的非爆発目的利用、イギリスにある核物質に適用される保障措置の加重、核物質防護措置の追加というふうな項目がポイントとしてあるわけですけれども、外務省としては、別に通産省が許可していない加工だけれども、それはこの協定には引っかからない、まあいいじゃないか、どうせ後で許可するんだから、申請がもうすぐ出るんだから目をつぶろうということなんですか。
#83
○政府委員(阿部信泰君) そういう趣旨ではございませんで、MOX燃料というものはプルトニウムは使っておりますけれども、それ自体としては爆発性はないわけでございます。もちろん軍事用に使えるわけではございませんので、それをつくる、それが適正に管理され、移動されるということについては、この協定に基づきまして保障措置がかけられますし、また国境を越えた移動については、日英間の協議の対象になりますので、そこは確保されるということでございます。
#84
○竹村泰子君 もう時間が迫ってまいりましたので、最後に外務大臣にお伺いしたいと思います。
 日英原子力協定の運用において、日本起源のプルトニウム、日本が出したプルトニウムがイギリス国内で加工されている。日本政府側には何の報告もない。プルトニウムというのはもちろん十分兵器の材料となりますから、何の報告もないということであれば、場合によっては核兵器の材料に加工されるということがあって、日本の出した廃棄物がイギリスの軍事用に利用されるというようなこともあるかもしれない。でも、何の連絡もないということではないかと思います。
 私は、このような状況の中、何がベールに包まれ、秘密に包まれ、そして許可もされない、許可申請も出ないものがMOX燃料として平和利用であればいいのではないかというような形で加工される。きょう私は、放射性廃棄物の輸送について余り深い議論ができませんでしたけれども、周辺の通過ルートやその安全性をきちんと情報公開してほしいと。日本側からはほとんど説明がない。
 そのようなことでパシフィック・スワン号は、これまでは南米大陸のホーン岬、アフリカ大陸の喜望峰ルートを通ったんだけれども、今度はパナマ運河を通りましたね。そのようなことで、秘密のべールに包まれている部分が多過ぎるのではないかと。
 そういうこともあり、ただいまの許可申請もないMOX燃料加工ということも、外国であれば見て見ぬふりをしてほおかぶりというふうなこともある。聞いておられて、この日英原子力協定を結ぶにつけて、最初に申しました放射能被害の問題も含めて、大臣にじっくりと時間いっぱいお答えいただきたいと思います。
#85
○国務大臣(小渕恵三君) 当協定は平和的利用を目的にして行うわけでございます。そのことは英国においてもこの協定の本旨に基づいて対処し、そして再処理をいたしていることでございますので、軍事的な方面に及ぶということはあり得ないという確信をいたしておりますし、英国におきましてもそのように対処されると信頼をいたしておるところでございます。
 なお、輸送問題等につきましてもいろいろお話がありました。私も回数につきましてこのように数字は承知しておりませんでしたが、間々日本にこれを陸揚げするときにいろいろ問題になっておることは承知をいたしております。
 ただ、輸送につきましては、長い航海をしてこられることでございますので、その航海に当たりまして、俗に言う海賊行為その他の危険があってはいけないということにつきまして、若干ルートその他については公にされない点も、これもある意味では理解をしておく必要があるのではないかなという気が率直にいたしております。
 いずれにいたしましても、先ほど通産、科技庁からもいろいろ答弁されておりますように、発電所が排出する核再処理につきまして、我が国の中でこれが処理できるという再処理の施設を持たない今の日本の電力状況を考えたときに、原子力発電によって約三割のものを発電していかなければ日本の電力を賄い切れないという状況の中で、発電所が排出物処理につきまして英国並びにフランスにそのこともお願いをしておるという立場でございます。
 そういった意味で、今後、全体の電力に関しての発電の状況あるいはサイクルの問題等につきまして、全般的な検討を今後の課題として当然対処していかなければならない問題だと思っております。イギリスあるいはフランスにおける処理工場そのものにおいて、かりそめにもその地域において問題を発生するということがあれば、これはある意味では我が国が大変御迷惑をかけることにもなりかねないことでありますので、その管理その他については十分きちんと対処していただきたい、注目をしてまいりたいと思っております。
#86
○竹村泰子君 もう今既に五十基も稼働している日本の原発を今すぐとめろとか言ったってそれは無理な話で、過渡的なエネルギーとして認めざるを得ません。
 しかし、こういった問題があり、そして今、大臣お答えくださいましたけれども、もしイギリスやフランスに御迷惑をかけているのであればというお答えでしたが、これはもう世界じゅうが知っていることでありまして、セラフィールドの問題はさっき科技庁からもお答えがありましたけれども、BBCが十年も前にテレビで放映をしております。その放射能は日本のだ、これは違うとか、そういうふうな分け方はできないのが残念でありますけれども、非常に大きな部分を日本が御迷惑をかけている。これはもう世界じゅうが知っている事実であるということを私たちは知っておかなければならないというふうに思います。そうした上で、できる限りの環境保全、そして対策を考えていくということをしかとお受けとめいただきたいと思います。
 終わります。
#87
○高野博師君 最初に、新宇宙基地の協力協定とイギリスとの原子力協定について簡単に触れたいと思います。新宇宙基地協力協定については、平和目的に利用されるということが担保されているのであれば、これはいいのではないか。ただ、三千億円もの膨大な資金を投入するわけでありますので、十分な成果が上がるように関係者の努力を望みたいと思います。
 イギリスとの原子力協定ですが、これは先般も高レベル放射能の廃棄物について青森県の六ケ所村で一時貯蔵の関係で問題がありましたけれども、先ほどの同僚議員のこの再処理過程での放射能の汚染の問題、これも重要だと思います。これは繰り返しませんが、この放射性廃棄物の最終処理についての政府の方針について伺います。
 一時貯蔵施設といっても三十年から五十年の貯蔵ということで、最終処分地の問題は、これは世界的な問題だというふうに理解しておりますが、これについて伺います。
#88
○政府委員(今村努君) お答え申し上げます。
 放射性廃棄物の処分の問題は、原子力開発、利用を今後国民の理解を得つつ進めさせていただく上で一番難しい問題であるというふうに私どもも認識いたしております。
 ただ、このうち原子力発電所から発生いたしますいわゆる低レベルの放射性廃棄物につきましては、目下、青森県六ケ所村の日本原燃の低レベル放射性廃棄物埋設センターにおきまして埋設処分を安全かつ円滑に実施中であるというふうに認識しております。
 一方、再処理に伴って発生する放射性廃棄物、特に高レベルの放射性廃棄物につきましては極めて大きな課題でございますが、現在、原子力委員会におきまして処分の技術的な側面と社会経済的な側面についての審議を精力的に進めているところでございます。
 技術的側面につきましては、原子力に関係する研究開発機関あるいは関連する機関、大学等が協力いたしまして、二〇〇〇年までの研究開発の成果を取りまとめるという形で今研究開発を進めているところでございます。二〇〇〇年までにこの最終処分の技術的信頼性というものを研究開発の成果によって明らかにするというのが当面の目的でございまして、そのための研究開発が今関係機関協力のもとに鋭意進められているところでございます。その成果がまとめられますと、国際的な場を含めまして広く公開し、レビューをいただくというふうに考えております。
 一方、社会的……
#89
○高野博師君 簡潔にしてください。
#90
○政府委員(今村努君) はい。社会的、経済的側面、すなわち処分の実施という問題につきましては、処分の実施主体の設立あるいは事業資金の確保、極めて深い地層における地層処分の研究施設の実現といったような点が今後の課題でございまして、現在原子力委員会で検討を進めておりまして、二〇〇〇年までを目途に処分事業の実施主体を設立するということを出発点といたしまして、処分事業の具体化に政府一体として取り組むという考え方でございます。
#91
○高野博師君 日本は、イギリス、カナダ、オーストラリア、中国、米国、フランスと原子力協力協定を結んでおりますが、まだロシアとは結んでおりません。そこで、二国間関係が今進展している中で、ロシアとの原子力協定、これは必要ではないかと私は思います。核軍縮との関係で核物質の貯蔵とか安全管理あるいは処理、処分対策は高度な技術と資金を要するものでありますので、このロシアとの関係でどういう認識をされているのかお伺いいたします。
 ちなみに、九六年にモスクワで原子力安全サミットが行われてプルトニウムの処分に関する協力が合意された、しかし実態的には余り進展していないと理解しております。このロシアとの協定、協力関係が結ばれれば、核軍縮プロセスの透明性の問題、これにも貢献するのではないか、あるいはロシアの軍需産業から民需に転換するという点でも非常に貢献するのではないか、何よりも世界の安全保障に貢献できるのではないかと、そう認識しておりますが、大臣の御意見を伺います。
#92
○国務大臣(小渕恵三君) 我が国は、ロシアの核兵器の廃棄に協力するため、既に解体核から生じる核物質の貯蔵施設に関する協力や解体核を移送する際の事故に備えた機材の供与等を行うべくロシアとの協議を進めてまいっております。これらの協力が実現いたしますれば、ロシアの核軍縮を支えるものとして極めて有意義と考えております。
 他方、日ロ間におきましては、日英協定のように移転される原子力資機材の平和的利用の確保の枠組みを定めるものではありませんが、日ソ原子力平和的利用協力協定が現在締結されておりまして、この協定のもとで原子力発電所の活動における安全性等の分野で政府町の協力が現在行われておるところでございます。
#93
○高野博師君 それでは、先般のロシアのエリツィン大統領の訪日に関連にして一つだけお伺いいたします。
 先方から、北方領土四島における水産加工工場、それに付随する道路、港湾、空港建設等インフラ整備などの共同経済活動を提案してきたと思うんです。橋本総理は平和条約締結交渉とあわせて検討すると答えたようでありますが、この共同経済活動を行えば四島でのロシア側の主権を認めることにはなりませんか。
#94
○国務大臣(小渕恵三君) 川奈での首脳会談におきまして、今御指摘のようにエリツィン大統領から、北方四島についての水産加工施設が不足しておるので、ロシアは日本と共同で水産加工施設を建設したい、それに伴っての道路、港その他インフラ整備もあわせて大規模にやっていきたいという提案があったことは事実でございます。こうした四島の共同活動については、北方四島の帰属の問題を棚上げし、あるいは代替するものにはならないと我が方は考えております。
 この提案につきましては、首脳会談で橋本総理が述べたとおり、平和条約交渉が進捗するのと並行して検討していくこととしたいと考えております。実は水産加工につきましては、先般、私自身がネムツォフさんとの間で結びました北海道周辺の漁業の枠組み協定に伴いまして、水産資源についてその地域でぜひ加工をする施設がなければならないという現況にかんがみての主張かと存じております。
 そういった点で、その地域に対してそうした施設を建設するということ自体は、住民その他に対する問題もありまして、これを行うということについては否定されるべきものではない、こう考えておりますが、そのことが当然のことながら四島における主権の問題と絡んでくるということでありますれば、それは慎重に対処しなければならぬ、こう考えております。
#95
○高野博師君 通常の共同の経済活動は、関税の問題とかあるいは徴税の問題等があって、施政権がどちらにあるかということに絡む問題で、領土問題の本質に深くかかわっている、そう思います。交渉のいろんな過程がありますのでこれ以上踏み込みませんが、今、大臣がおっしゃられたように慎重に対処をしていただきたいと思います。
 それでは、児童の権利に関する条約についてお伺いいたします。
 この条約は一九九四年の四月二十二日に批准されて、五月の二十二日に発効しましたが、児童の基本的人権の保障に関して、普遍性のある国際的基準を定めた重要な条約だと私は認識しております。ちなみに児童とは十八歳未満の者を指します。その後、二年後に九六年の五月三十日付で、日本政府はこの条約に基づいて報告書を国連児童の権利委員会に提出しました。本年五月に、間もなく同委員会でその報告書の審査が行われるということになっておりまして、タイミング的にも適当なので、今質問をさせていただきたい。
 非常に広範囲にわたるテーマでありますので、数回に分けて質問したいと思っております。
 現在日本が抱えるさまざまな問題が特に象徴的、集約的に子供の権利の侵害という形であらわれている、あるいは子供の問題に投影されているという点で、この児童の権利に関する条約というのは一つの視点を与えているという意味において重要ではないか。また、何よりもそのような問題を解決する基準になるという点で極めて意義のある条約であると私は思っております。
 まず最初に、外務大臣はこの条約についてどのように認識しておられるのか、そして我が国にとっての意義というのは何だとお考えなのか、基本的な点についてお伺いいたします。
#96
○国務大臣(小渕恵三君) この条約は、先進国、開発途上国の別を問わず、グローバルな観点から、困難な状況に置かれている児童の人権の尊重、保護の促進を目指して作成されたものであり、また特定の国の文化や法制度に偏重することなく、すべての国が受け入れ可能な普遍性を有する内容となっているものと考えております。
 現在、百九十カ国以上という世界のほとんどの国が締結していることにも見られるように、その意義は国際的にも高く評価されており、世界じゅうのすべての児童の人権尊重の促進に重要な役割を果たしているものと考えております。
#97
○高野博師君 貧困とか戦争、紛争あるいはこれらに起因する難民等の問題で子供の基本的人権が侵害されているという地域とか国は数多くありまして、それらには国際的なあるいは地球的な規模での対応が必要かと思うんです。しかしこの条約は、今大臣がおっしゃられたように、これらの地域とかあるいは発展途上国向けだけのものではない、先進国日本の豊かさの中でのさまざまな問題、子供の置かれている状況について大きな意味を持っていると思いますが、その点を念のため確認したいと思います。
#98
○国務大臣(小渕恵三君) 全くおっしゃるとおりだろうと思っております。
#99
○高野博師君 日本の場合は物質的には豊かでありまして、教育を受けるという機会にも恵まれている。にもかかわらず子供たちが追い詰められて、あるいは居場所を失って、遊びを奪われて、悩み苦しんでいる。いじめとか不登校あるいはナイフ事件、児童の虐待等さまざまな問題を抱えている。
 この条約は、子供の人権に関するいわばグローバルスタンダードだ、そういうことが指摘できると思うんです。この条約の第四条に、「締約国は、この条約において認められる権利の実現のため、すべての適当な立法措置、行政措置その他の措置を講ずる。」と、こう規定されています。
 この点について、政府はこの規定を誠実に履行する義務があると思います。また、条約に違反している国内法あるいは政策あるいは実態があればこれを改善して、是正する必要があると思いますが、これも確認したいと思います。
#100
○政府委員(上田秀明君) 御指摘のとおり、この条約の第四条には権利の実現のための適当な立法措置、行政措置その他の措置を講ずるということが規定されております。当然でございますけれども、日本が条約を締結するに当たりましては国内法の制度との整合性を確保することが大前提でございまして、この条約の国会におきます承認をお願いいたしました過程におきまして、政府といたしましては、憲法を初めとする国内法制によってこの条約の締結のための立法的な措置が確保されているというふうに考えて御承認をいただいたわけでございます。すなわち、憲法を初めといたしまして、児童福祉法、教育基本法等の国内法によって実現されているというふうに考えております。
 また、行政措置でございますけれども、児童が国の次代の担い手として心身ともに健やかに成長するようにという観点から、多数の関係の国内の行政機関によりまして多種多様な行政施策が実施されておりまして、こういうような施策を通じまして、この条約上の児童の権利の実現が講じられているというふうに考えております。
#101
○高野博師君 今の答弁、いろいろ問題が私はあると思いますが、これは後ほど指摘したいと思います。
 この条約の第四十二条で、「締約国は、適当かつ積極的な方法でこの条約の原則及び規定を成人及び児童のいずれにも広く知らせることを約束する。」、こう書いてあります。
 政府はこの広報、周知せしめるという義務があると思いますが、これについてはどのようなことをされてきたんでしょうか。
#102
○政府委員(上田秀明君) 御指摘の条約四十二条の規定に従いまして、政府関係の省庁におきましてはこれまでポスター、パンフレット等の作成、それから各種の研修会及び講演会等の開催を通じまして、児童を含めて広く国民一般に対してこの条約の趣旨及び内容の正しい理解の普及に努めてまいったところでございます。今後とも各種のパンフレットや雑誌の配布等を通じまして、引き続きこの条約の趣旨、内容の広報に努めてまいる方針でございます。
#103
○高野博師君 いろんな広報活動をやってきたということでありますが、ポスターもつくっただけと、学校の教室にはほとんど張られてもいない、テレビ、ラジオ、新聞等も利用されていないと。この条約についてはほとんどの大人も子供も条約の存在すら知らないというのが実態ではないかと思うんです。継続的に広報をやって中身を理解させる必要があるんではないかと思います。
 特に教育関係者あるいは児童福祉施設関係者、司法関係者、警察、人権擁護委員、これらの子供の問題に直接深くかかわっている人のほとんどがこの条約については知っていないと私は思います。これはいろんなNGOの調査なんかでも明らかでありますが、この点について周知、理解せしめる義務を履行していないんではないかということでありまして、これほど重要な条約を政府は重視していない、軽視しているんではないかと思われるんですが、いかがでしょうか。
#104
○政府委員(辻村哲夫君) 教育関係につきまして御説明をさせていただきたいと思います。
#105
○高野博師君 簡単にしてください。
#106
○政府委員(辻村哲夫君) はい。教師に対する趣旨の徹底、それから子供に対する内容理解ということがポイントだと思います。
 まず教師につきましては、各県の教育委員会等でこれは実際に行われるわけでございますけれども、初めて教師になった初任者研修、それから経験年数に応じて行います教職研修等におきましては、人権の問題はどこの研修機関においても取り上げられるようになってきていると承知しております。また、文部省が直接実施しております中央研修におきましては、必ず人権の問題を取り上げて研修のテーマにするようにいたしております。
 それからもう一点、各ポイントだけ。子供につきましては、最近は社会科等を中心に教科書にもこの児童の権利条約につきましては記述されておりまして、そうしたものを通しまして子供たちにもこの条約の内容についての理解の徹底を図る、これからも充実していきたい、こういうふうに思っております。
#107
○高野博師君 形式的にはそういうことが言えるのかもしれませんが、実態的にはほとんど知られ一でいないということだと思います。
 そこで、一九九四年五月二十日、これは条約発効の二日前でありますが、各都道府県の教育委員会等にあてた児童の権利条約に関する文部事務次官通知について伺います。
 この通知、通達の目的あるいはねらいは何でしょうか。そして、なぜ条約発効の二日前にこの通達を出したんでしょうか。
#108
○政府委員(辻村哲夫君) まさに条約が発効すると、これを機にこの児童の権利条約の中での特に教育にかかわります点で、児童の人権に十分配慮して一人一人を大切にした教育をさらに実施していこうという趣旨を関係者に周知徹底する、こういう趣旨で発したものでございます。
 この次官通知を受けまして、先ほど申し上げましたようなのが一つの例でございますけれども、各県の教育委員会、市町村の教育委員会、まだまだ不十分という先生の御指摘でございますけれども、この通知等を踏まえまして各県では取り組みが進められている、今後も進めていきたい、こういうふうに思っております。
#109
○高野博師君 それでは、この通達の中身について若干お伺いしたいと思います。この通達の前文の中で、「本条約の発効により、教育関係について特に法令等の改正の必要はないところでありますが、」と、こういうふうに書いてありますが、法令等の改正が必要ないという前提を決めてかかっているというのは問題ではないでしょうか。これはまさに先ほど私触れましたように、第四条の「適当な立法措置、行政措置その他の措置を講ずる。」という規定に反するんではないでしょうか。
#110
○政府委員(辻村哲夫君) この点は国会の御審議におきましてもさまざまな御議論をいただいたところでございますけれども、この児童の権利条約に盛り込まれております基本的人権というもの、これは既に我が国の憲法や教育基本法あるいは学校関係教育法令におきまして盛り込まれているところであり、こうした趣旨と軌を一にするものであるということで、特別な法令改正等の措置は講じなかったわけでございます。
 ただ、先ほどから繰り返し申し上げておりますように、その枠組みの中で児童の人権の尊重ということの趣旨の徹底を図っていく、これはなお我が国の学校教育の中で残された大きな課題であるという理解は私ども十分持っているつもりでございます。
#111
○高野博師君 実態的に子供たちの状況がどういうことになっているかということについては後ほど触れます。人権尊重云々と言っておられますが、人権が侵害されているケースが非常に多いということであります。
 この通達の四には何と書いてありますか。
#112
○政府委員(辻村哲夫君) 記の四でございますね。
  本条約第十二条から第十六条までの規定において、意見を表明する権利、表現の自由についての権利等の権利について定められているが、もとより学校においては、その教育目的を達成するために必要な合理的範囲内で児童生徒等に対し、指導や指示を行い、また校則を定めることができるものであること。
  校則は、児童生徒等が健全な学校生活を営みよりよく成長発達していくための二足のきまりであり、これは学校の責任と判断において決定されるべきものであること。
  なお、校則は、日々の教育指導に関わるものであり、児童生徒等の実態、保護者の考え方、地域の実情等を踏まえ、より適切なものとなるよう引き続き配慮すること。
と書いてあります。
#113
○高野博師君 五は何と書いてありますか。
#114
○政府委員(辻村哲夫君) 五でございますが、
  本条約第十二条一の意見を表明する権利については、表明された児童の意見がその年齢や成熟の度合いによって相応に考慮されるべきという理念を一般的に定めたものであり、必ず反映されるということまでをも求めているものではないこと。
  なお、学校においては、児童生徒等の発達段階に応じ、児童生徒等の実態を十分把握し、一届きめ細かな適切な教育指導に留意すること。
と書いてあります。
#115
○高野博師君 一見もっともらしいことがここに書いてあるんですが、実は重大な問題を私は含んでいると思います。この通達は条約を事実上骨抜きにする、あるいは無視してもいいという内容になっているのであります。
 特に児童の意見表明権、これは子供が自由に自分の意見を述べるという権利、これはこの条約の核心、骨格をなすともいうべき規定であります。文部省は、この通達によれば教育目的のためには子供の基本的権利、基本的人権は制約できるという考えに立っている、それが指摘できると思います。必要性があるならば合理的な範囲内でと口実は幾らでもできる、指導、指示を行って、校則を定めることができるということになっております。そもそも教育目的とは何かという問題はありますが、これはまた後に触れたいと思います。
 この意見表明権については条約の第十二条で、「締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。」、そう書いてあります。
 したがって、この通達で言っているようなこの理念を一般的に定めたものではないということが言えると思います。この点についてはいかがでしょうか。
#116
○政府委員(辻村哲夫君) 児童が自己にかかわるものにつきまして自己の意見を表明する権利を有するということ、このこと自体は私ども当然のことだというふうに思っております。
 ただ、このいわゆる意見表明権をめぐりましては、学校の責任において例えばカリキュラムを設定する、そのことと児童がそのことについて意見を表明するということとの関係はどうだということが大変議論になりました。このことが学校関係者におきましてもいろいろな意見を呼び、また混乱を生ずるかもしれないということもございましたので、私どもは、児童は自己にかかわることについてその意見を自由に発表することができる、しかし、学校のカリキュラム等の設定、これは学校あるいは校長の権限と責任において決められるものである、そのときに児童のいろんな意見を聞くということは大切なことであるけれども、最終的な決定権は学校にあるということを明確にしたものでございます。一つの例でございますけれども、そういう趣旨のことをここでは言っているわけでございます。
#117
○高野博師君 まさにそこに問題があるわけです。カリキュラムの問題とかあるいは校則の問題、これについて児童の意見が本当に反映されているのかということが問題だと私は思います。
 日本の子供というのは、自分を殺す、意見を表明しないように訓練されてきている、それが価値だというふうな環境の中で育てられている。自由に自分の意見を表明できるためには、それを受け入れられるような人間関係、あるいは環境、居場所、こういうものが不可欠の前提ではないかと私は思います。この意見表明権の本質というのは自己の存在をそのままで認めてもらえるような人間関係を保障してもらう権利だと、こういうことも言われておりまして、換言すれば、居場所を保障してもらう権利だと、こういうこともよく言われております。
 そこで、例えば校則の問題について、この通達では、幸校の責任と判断において決定されるべきものだとありますが、これは条約によれば、児童に影響を及ぼすすべての事項について意見表明権があるという規定からすれば、校則を決める際に子供の意見を十分に聞いて、それを前向きに反映すべき開かれた教育行政というのが求められているのではないかと私は思います。厳しい校則、これは制服の問題とかいろいろありますが、子供のさまざまな自由を侵害しているという現実が存在すると私は思います。
 この事務次官通達というのは条約に違反しているおそれがあると私はそう認識しておりますが、校則の問題については後で取り上げますが、この点について文部省の見解を伺います。
#118
○政府委員(辻村哲夫君) この通知におきましても、校則の設定に当たっては「児童生徒等の実態」云々ということでございまして、むしろ児童生徒等の意見表明権というものを踏まえたものになっているというふうに思っております。
 現に各学校での取り組みを見ておりますと、保護者、生徒等の意見を聞きながらこうしたルールをつくっていくという傾向にございます。例えば制服一つをとりましても、生徒会でいろんな議論をする、あるいは各クラスごとの学級活動というような場でいろいろと自分たちの問題としてこれを考えるというような試みが全国いろんなところで行われるようになってきております。
 そういうことでございまして、私どもは、この次官通知というものはそういうことを期待することはあれ、児童生徒の意見をシャットアウトして一方的に学校がルールとして決めればいいんだということを言ったものではないということ、このことは十分に関係者に伝わっているものだと、こんなふうに思っております。
#119
○高野博師君 私はそれは実態ではない、そう認識をしております。一方的に校則を決めている学校が圧倒的に多いのが現実だと私は思います。そういう意味で、もし通達を出すのであれば、文部省は改めてこの意見表明権を明記した上で各関係機関に通達を出すべきではないか、そう思います。
 それから、通達の七番目に、国旗・国歌の指導についてその充実を図ることが書いてありますが、これは条約のどの部分と関係しているんでしょうか。なぜこの七の部分を通達の中に入れたんでしょうか。
#120
○政府委員(辻村哲夫君) この児童の権利条約の中に思想、良心の自由というのが規定されてございます。これは我が国の憲法に既に保障されているものでございまして、先ほどそういう意味で軌を一にするということを申し上げているわけでございますけれども、児童の権利条約の中にそういう規定があるということから、児童の権利条約との関連で、現在我が国の学校教育におきまして指導しております国旗・国歌についての指導、これがその条文に反するのではないかという御意見等がございました。
 そこで、そういうことではない、国旗・国歌の指導というのは、これからの国際化等を踏まえますと、児童生徒が身につけるべき基礎的な知識の一つとして、これからの学校教育におきましても指導されるものであるということを明確にする意味でこの通知の中に明記したものでございます。
#121
○高野博師君 この条約の中には国旗・国歌というようなことは一切触れてありません。しかも、文部事務次官通達のこの表題は「「児童の権利に関する条約」について(通知)」と、こうなっているわけでありまして、何の関係があるのか、良心の自由とか国際性とか言っていますが、全く関係ないことだと私は思います。
 この通達はやはり問題がある。その日の丸、君が代について指導云々ということは、これは全く関係のない次元の違う話を巧妙にこの中に入れているというところ、この問題はまさに文部省の隠された体質が感じられると私は思っております。
 反論ありますか。
#122
○政府委員(辻村哲夫君) ここに明記いたしましたのは、今申し上げましたように、この国旗・国歌の指導をめぐりまして、児童の権利条約の国会審議の場等におきましてさまざまな議論があり、さまざまな意見が流布される中で、このあたりのところはどうなのかというところに疑義が特に生じていたということもございまして、それを明確にする意味でこの通知に盛り込んだということでございます。
#123
○高野博師君 そういう議論があったことと、この通達の中にこれを入れるというのは全く違う話だと私は思います。そういうことであるならば、それはまた別途出すべきではないかと思います。
 この報告書について若干伺います。
 この報告書の序論の一ですが、先ほども広報義務の件について伺いましたが、ここには条約を批准したことを契機に児童の人権に対する関心は一層高まっている、児童の人権の尊重と保護の精神は従来にも増してより多くの国民の間に理解されてきている、こういうことが冒頭に書いてあるんですが、本当にそうなのか、何を根拠にこんなことを言っているのか、これについてはどうでしょうか。
#124
○政府委員(上田秀明君) 政府として、条約の規定に従いまして締結後二年で日本としてのこの条約の実施状況について報告するということで児童の権利委員会に報告したわけでございます。そのときに、まさに批准のための国会の御議論を通じて、あるいはさまざまなマスメディア等を通じて、この条約に対する国民の関心と理解が高まったことは、これは否定できない事実であります。
 先ほど文部省の方からも御答弁がございましたように、学校教育の場等を通じてさまざまな形で国民の皆様方にこの条約の趣旨を御理解いただくような広報活動を、不十分とはおっしゃいますけれども努力を続けているわけでございます。それを通じまして国民一般それから児童、それから教育関係者、福祉関係者その他の方々の間におきましてこの条約に対する理解が深まっているというふうに認識しております。
#125
○高野博師君 まさにそこの認識が私は事実に即しているとは思えないのであります。
 もしここにいらっしゃる皆さんにこの条約について知っているかと聞いたときに、何人の方が知っているか。恐らくほとんどの方は知らない。名前については知っているかもしれないけれども、実態、中身についてはほとんどの人が知らない。そういう意味での広報活動、広報義務というのは果たしていないと私は思います。
 序論の中の四に、政府としてはいつの時代にあっても児童の最善の利益を考慮に入れて児童の福祉の増進に努めていると、こう述べております。また、五では、個性重視の原則を基本原則として掲げて、児童の人権に十分配慮して一人一人の個性を大切にした教育、指導を行っている、こういう報告をしておりますが、本当に個性重視の教育を行っているのか、依然として画一的な偏差値教育をやっているのが実態ではないか、私はそう思っておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
#126
○政府委員(辻村哲夫君) 確かに完全に個性重視の原則が実現しているというふうには思われません。ただ、方向といたしましては、先生ただいま御指摘になりました偏差値、つまり点数によって子供を序列化させ、そしてそれでもって人間全体を評価するような状況を克服しよう、そして一人一人の個性、一人一人のよさを積極的に評価するような評価観を持とう、そういう方向で今取り組んでいるわけでございます。今現在そういう状況が実現しているかとなりますとまだまだだと思いますが、そういう方向で取り組んでいることは御理解いただきたいと思います。
#127
○高野博師君 それならそういうふうに書いたらいかがでしょうか。
 序論の六で、我が国では一九九二年度から学校週五日制を導入した、これは児童の生活リズムにゆとりを与え、そして家庭や地域で児童により豊かな生活体験や活動体験を提供する契機になっていると。また、我が国の児童福祉法では、児童に健全な遊びを与え、その健康を増進し、または情操を豊かにすることを目的とした児童厚生施設について規定してその充実を図っている、こういう記述もありますが、学校の週五日制を導入したことによって本当に子供にゆとりができたかと。これは全くそうではないんではないかというのが実態ではないか。
 子供はますますゆとりをなくしているということも指摘できるのだと思うんです。むしろ悪くなっているかもしれない。子供に遊びがあるかと。成長過程で遊びが重要だということはこれはもう周知のとおりでありますが、遊ぶ場所があるのか、時間があるのか、遊ぶ仲間がいるのか、さまざま問題があるのが実情ではないか。したがって、この序論の文章もいろいろ問題がある、
 この序論の最後から二番目、十ですが、条約批准以来、この条約の効果的実現のために現行法制下でさまざまな施策の充実のために努力を払ってきたと。本当にそうかと。これも先ほど指摘しました。
 いずれにしても、この序論部分だけでも子供の権利の実態が全く見えない、明らかに事実に反している部分もある。要するにこれは体裁のいい作文ではないか。
 条約の基本理念とかあるいは報告制度の意味がわかっていないのではないかと思われる点もあります。批准前からの措置や数字を現状報告の中に入れている事例もあります。それから報告書を作成するためのガイドライン、要請事項が記載されていない。例えば、条約実施を監視するための機構については何も報告されておりません。条約の規定に反する法律とかあるいは政策があるにもかかわらず誤った報告をしている部分もあります。
 また条約を間違って、あるいは意図的にあるいは限定的に理解している部分も見られる。例えば先ほど触れました十二条の意見表明権については、ガイドラインでは子供の意見の尊重ということになっておりますが、報告書は意見表明の機会というふうに限定しております。尊重という部分はもう欠落している。これも重大な問題だと私は思います。
 意図的に記述しない事柄もたくさんあります。例えば、条約の三十条の少数者、先住民の子供の権利規定について、我が国の場合のアイヌ民族とか在日韓国人・朝鮮人の子供の問題については全く言及されておらない。また差別の問題等も実態的には差別が存在する、これも触れておりません。触れたくない気持ちはよくわかりますが、これはやっぱり実態をきちんと正確に報告すべきだと私は思います。
 また、子供の権利保障にとっていろんな影響を与えている受験体制あるいは競争についても報告されていない。高校入試制度の維持の理由は一体あるのかというような問題があります。
 体罰の事件数についても、死に至るような体罰事件が起こっている、その原因等についても全く触れられていない。条約の第二十八条の1の(e)では、定期的な登校及び中途退学率の減少を奨励するための措置をとる、こういうことも規定されておりますが、報告書には、深刻な社会問題となっているいじめの問題あるいは不登校、登校拒否、中途退学等については数字すらも挙げていない。重大な人権侵害の実態は何も見えていない。
 そこで質問したいんですが、政府はなぜこのような実態を正しく反映していない報告書を作成したんでしょうか。
#128
○政府委員(上田秀明君) さまざまな御議論はあろうかと思いますが、政府といたしましては、先ほど来答弁申し上げておりますように、条約の実施状況について、条約締結後二年の段階におきますさまざまな観点につきまして簡潔に報告をまとめて提出しております。
 先ほど議員の方から御指摘ございましたように、この報告書の審議といいますか審査といいますか、そういうものが今度予定されております。それに際しましてまたいろいろと政府からの意見の追加的なものも求められておりますので、そういうものも提出しつつ、審査の過程でまた追加的な御説明などをすることもあろうかと思います。しかしながら、私どもといたしましては、種々の御議論がございますでしょうけれども、条約に基づく日本としてとっている施策につきまして説明を行っているというふうに理解をしております。
#129
○高野博師君 私が今指摘したような点についてもできるならば追加的に報告をしていただきたいと思います。
 この報告書が実態を正確に反映していないという理由の一つは、これは政府だけでつくっているからではないか。この条約に関するNGOというのは、今日本全国で百三十以上もあります。さまざまな調査を行ったりいろんな活動をやっております。こういう市民団体、NGOとの意見交換が十分になされていないということも一つの理由ではないかと思うんです。
 そこで、政府とNGOとの意見交換、協力関係はどうなっているのかということをお伺いいたします。
#130
○政府委員(上田秀明君) 御指摘のように、この児童の人権尊重という分野におきましては、国内外でさまざまなNGOが大変熱心に活動しておられまして、政府としてもこういった活動が条約の実施に資するものであるというふうに考えておりまして、その重要性を十分認識しております。
 ただいま御説明いたしましたように、政府の報告書を提出いたしまして、児童の権利委員会の方から、例えば日本のNGOの皆さんの意見を聴取するというような活動も行われております。政府としても、今度は追加的な質問が委員会の方から参りまして、それに対する回答を出すわけでございますけれども、そういうような際の参考にさせていただくという意味もございまして、外務省では、NGOの重立った方々のところとの懇談会あるいは意見を伺う会なども行っております。こういう場を通じていただきました御意見、あるいはいろいろな御指摘等も適宜参考にさせていただく所存でございます。
#131
○高野博師君 このNGOとの意見交換ですが、形式だけのヒアリングの機会だけではなくて実質的な意見交換の場にする必要があるのではないかと思います。単なる開きっ放しでは意味がない。そしてまた、NGOはさまざまな出版物を出しているとか、貴重な身近な問題点の本質を指摘しているものもたくさんある。極めて私は役に立つと思いますので、ぜひ参考にしたらどうかと思います。
 五月十二日にNGOと政府関係者とのヒアリング会があるとも聞いておりますが、ぜひ中身のあるミーティングにしてもらいたい、建設的な対話をしてもらいたいということを要望して、この続きはまた次回の委員会にしたいと思います。
 終わります。
#132
○委員長(及川順郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、休憩いたします。
   午後零時十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時開会
#133
○委員長(及川順郎君) ただいまから外交・防衛委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件外一件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#134
○立木洋君 最初に、日英原子力協定の問題についてお尋ねしたいと思います。
 これは使用済み核燃料の再処理をイギリスに委託するという内容のもので、期限が来たので継続する、若干の変更はございますけれども、基本的にはそういうものだろうというふうに思っております。
 しかし、この間の問題について、いわゆる核燃料リサイクルという過程全体を考えた場合に、やっぱり問題が全然なかったわけではない。御承知のように「もんじゅ」の事故もありましたし、それから東海村における再処理工場の一部と言われているところの問題もありましたし、それからフランスの高速増殖実証炉のスーパーフェニックスも撤退するというふうな動き等があったわけですね。
 こういうふうな状況の中で、政府として、核燃料リサイクルの政策を、基本的にこれから進めていく政策と展望を今どのようにお考えになっているのかということがやはり問題になるんではないか。これは科技特の委員会におきましてもさんざん議論されてきたところなんです。
 そういう点から見て、核燃料リサイクルの問題としましては、例えば高速増殖炉の問題、それから使用済み核燃料の再処理の問題あるいは最終処分などのバックエンド対策の問題等々がある意味ではかなめになっているんではないかというふうに思うんです。
 そういう点で、政府として、こういうかなめになっている問題について、既にもう技術上問題ない、確立されている、実証済みの技術だというふうにお考えになっておる分野はどの分野なのか。さらにもっと検討しなければならないというふうに残されておる分野はどういう分野なのか。その理由は後で結構ですが、今私が三つ挙げた点についての当面のお考えをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#135
○政府委員(今村努君) お答え申し上げます。
 先生から三点の問題についてお話がございました。高速増殖炉、再処理及び高レベル廃棄物の最終処分の問題でございます。それの解決しているもの、今後さらに課題のあるものはどれかということでございます。
 端的にお答え申し上げますと、まず使用済み燃料の再処理につきましては、基本的に軽水炉の使用済み燃料の再処理技術は確立しているというふうに考えております。
 一方、高速増殖炉につきましては、まだこれから実用化に向けて技術開発があるというふうな認識でございます。これまで、実験炉の常陽あるいは原型炉の「もんじゅ」、「もんじゅ」は二次系ナトリウムの事故が起こりましたけれども、一応初送電を行うというところまでは達しております。そうしたことを踏まえましても実用化に向けた技術課題はまだあるというふうに考えております。
 さらに、高レベル放射性廃棄物の最終処分につきましては、まず地層処分の技術的信頼性を示していくということが今後の課題として残っていると思います。もちろんそれに並行いたしまして、実施主体の確立とかそれに要する資金の確保といったような制度面の問題もございますけれども、技術的に見ましても地層処分の技術の信頼性を実証していくという課題が残されている、このように認識いたしております。
#136
○立木洋君 今おっしゃいましたのは使用済み核燃料の再処理の問題ですね。これは確かにフランスのUP3だとかあるいはイギリスのTHORPなんかについては稼働しているわけですし、こちら側としても協定を絡んで実施されているという意味では、私はおっしゃる意味はわからないものではありません。
 しかし、これは先ほども同僚議員が申し述べましたように、やはりフランスのUP3、ラ・アークでやられた点について御承知だと思いますけれども、昨年排水管の洗浄を伴う大規模な放射能漏れというのが起こりましたね。一時これは停止された。今また操業が認められましたけれども、しかし、この操業の問題に関しては環境基準の点から見て問題があるということで、議論の対象になっているというふうな問題が依然として残っていると思うんです。
 それからさらに、もう一つの問題としてはイギリスのTHORPの問題です。これは先ほど同僚議員も述べられましたように、いわゆるセラフィールド地域というのは、大臣はもう御承知でしょうけれども、一九六〇年代にイギリスが核兵器を開発するための施設としてつくられたのがセラフィールドの地域なんですよ。この工場は、いわゆる濃縮ウランからプルトニウムなんかを作成し核兵器をつくっていくというところにつくられた。その一端にやっぱりこのTHORPというのがあるんです。だから、この問題は、私は直接関係があるなんというようなことを証拠がないから言うわけにはいきませんけれども、先ほど同僚議員が述べられた点もやっぱり念頭に置いておいていただきたいということだけは述べたいわけです。
 このTHORPの問題についても、御承知のように九四年に操業が開始されましたけれども、十年間で一〇〇%に操業率を持っていくという計画で始めたんです。九四年から今四年たちました。しかし、そこまでの状態になっていないんですね、THORPの操業率というのは。ですから、その操業率が上がらないというのは、稼働率が上がらないというのは問題だということで、THORPが盛んに言っているのは、イギリスの政府に対して環境基準を下げてくれ、もう少し下げてもらわないとやっていけないというふうなことが今主張されて問題になっているわけですけれども、ここではそういう稼働率を引き上げるというふうなことはできないということで、これも依然として問題になっているんです。
 これは総じて申しますと、結局使用済み核燃料の再処理の問題については、このセラフィールド地域については、イギリスの中ではここは国民の反発が極めて激しくて、悪魔の施設だというふうな言葉さえ使われているんですよ。これは現地から帰ってきた人から話を聞きました。それは環境問題なんです。ですから、これは先ほど同僚議員が述べられた点とあわせて、環境問題に対してきちっとした対応を十分に考えた上で協定の問題も考えておく必要があるということだけはどうしても申し述べておきたいんです。
 だから、今おっしゃった使用済み核燃料の再処理の問題については、ただ単に技術上はクリアされているというだけではなくて、やっぱり環境問題というのは非常にこれは重大な問題ですし、一たん事があればこれは大変な両国間の問題にもなるわけですから、その点はしっかり押さえておいていただきたいというふうに思いますので、大臣、ひとつよろしくそのことをお願いしておきたいと思います。
#137
○国務大臣(小渕恵三君) 英国並びにフランスにおきます使用済み核燃料の再処理工場につきましての話を承りました。
 技術的には既にこれはクリアしているという科学技術庁からの御答弁をそのとおり受けとめますが、しかし核の問題は大変関心の大きい問題でございますから、念には念を入れて、そうした工場が十分な管理のもとに、少なくとも問題を引き起こすことのないように十分な対応をしていただくことを、その処理をお願いしておる我が国としても十分見守っていかなきゃならぬ、このように考えております。
#138
○立木洋君 次に、廃棄物の処理の問題についてなんですが、この廃棄物の処理の問題について、御承知のように、昨年、「高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方について」という懇談会の報告書が提出されております。これはちょっと読ませていただいたんですけれども、既に具体的な施策を開始している諸外国に比べて十年ないし二十年余りおくれているというふうな指摘もあります。この廃棄物の処理の問題について、うまくいっているという国はあるというふうにごらんになっているんでしょうかどうでしょう。簡単で結構です。私の質問を繰り返さなくて結構ですから、答弁だけで心
#139
○政府委員(今村努君) 最終処分の実施という意味では、特に高レベルの問題について最終処分を実施しているというところまで至っていないというふうに認識しております。
#140
○立木洋君 結局、例えばアメリカではユッカマウンテン地域においては安全性に極めて問題が大きい、財政上も膨大な金が要るというふうなことでこの計画が立ちおくれている、だから結局使用済み核燃料を予定どおり引き取ることができないということで、事業者との間でのいわゆる契約違反の訴訟が起きたというふうな事態にまでなっている。ですから、事実上アメリカとしてはこういう使用済み核燃料の再処理の問題は行わないというふうなところまで行っているわけですね。
 問題なのは、これには書いていませんけれども、フランスの場合、これはもう明らかになっていますように、フランスもコジェマという特殊法人と思われるような会社と日本の民間電力会社が契約を結んで、プルトニウムはもちろんですが、その廃棄物の全量返還を義務づける契約をフランスとの間で行っていると。これが船で輸送されて返ってくるのが問題になるというふうなことが起こっていますね。
 この日英協定の中には書いてありませんけれども、イギリスの場合も早くから、プルトニウムはもちろんですが、廃棄物についてもすべて日本に返還することを条件として契約が結ばれているというふうに承知しております。イギリスの原子燃料会社と日本の各電力会社との間でそういう契約が結ばれているということは科技庁の方も十分御承知のことだろうと思うんです。
 昨年でしたか、私が科技特でこの問題に関してプルトニウムの需給の見通し、これは一体どうなっているんだという質問をしたときに、昨年の時点で、今正しい見通しを述べることのできる状況にはございませんというふうな答弁でした。ところが結局、御承知のように、今問題になっています札幌の幌延の問題にしてもそうですし、青森の六ケ所村にしてもそうですし、ここは事実上最終貯蔵地になんかしてもらっては困ると、そうはしないということで中間貯蔵地という状態なんですね。
 これからの展望として、いわゆる高レベル廃棄物の問題について最終的な貯蔵地といいますか処分する地域というのが見通しがあるのかどうなのか。見通しがないというとこれは問題になるかもしれませんが、しかし私としてはやっぱり今のところ見通しかないと思うんですよ。いわゆる問題になっている六ケ所村でも幌延でもそういうふうな態度をとっていて、極めて強硬な姿勢がとられている。そういう状態の中で、これはこの契約には出されていないけれども、イギリスからも廃棄物が全部返ってくるというふうな状態になってきたら、いわゆる廃棄物というのは相当な量になっていくという状態が事実上あることになるわけですから、こういう問題についてはどういうふうに考えているのか、展望等についてはどう考えているのか、いかがでしょうか。
#141
○政府委員(今村努君) お答えいたします。
 先ほども少し高レベルの問題に答弁いたしましたが、それに加えまして、今最終処分の見通しのお話があったかと思います。最終処分を実施するまでには、高レベル放射性廃棄物、これはガラス固化体でございますが、これを冷却し、その期間を安全に保管をする、いわゆる施設で貯蔵することになっておりますが、これは三十年といったような期間貯蔵することといたしております。したがいまして、最終処分そのものは例えば二〇三〇年以降の課題ということではございますけれども、その課題に向けまして着実にこれはもう進めなければいけないと思っております。
 その進め方といたしましては、技術的には地層処分、つまり地下の安定した地層にこれを封じ込めるための技術をきちっと確立すること、それから社会的には、そういう制度、それを実施する主体を確立して信頼性に足る体制のもとに実施すること、この準備を進める必要があるというふうに考えておりまして、その準備といいますか、研究開発とその体制整備を今並行して検討を進めているところでございます。一つのメルクマールが二〇〇〇年ということでございまして、二〇〇〇年までに地層処分の技術的信頼性を明示するということを目標といたしまして、今関係機関が研究に総力を挙げている状況でございます。
 一方、体制の面では、二〇〇〇年ごろを目途といたしまして実施主体を設立いたしまして、その実施主体のもとに技術を準備いたしましてその後の最終処分に向かう道筋をつけていく、実施主体が処分地の選定も実際に行う、このような段取りのもとに進めるというのが先ほど先生からのお話もございました原子力委員会の処分懇の考え方でございます。
#142
○立木洋君 その段取りの問題については、そういう段取りをとらなければならない、けれども実質的には、私は見通しはやっぱり立っていないというのが実態だと思うんですね。
 御承知のように、イギリスのカンブリア州ではいろいろな調査が行われて、貯蔵施設を建設するのにここが十分可能だと。ところが、実際に調査してみると地質に問題がある、水文のデータでも問題があるというふうなことで、事実上昨年拒否されたんですね。これを貯蔵施設にすることはできぬという結果が出たんですよ。
 だから、今そういうふうな高レベルの廃棄物をどうするかというところでいろいろ考えている国々においても、うまくいっているというところはないんですよ、国際的にも。いろいろ調べてみると問題が必ず出てくる。だから、この問題については安易に考えることはできない問題だと。ましてや、この問題をいいかげんに放置しておればそれこそ大変な事態になりますから、これは極めてやっぱり重要な問題だというふうにとらえる必要があるということを強調しておきたいと思うんです。
 それからもう一つは、高速増殖炉の問題については、先ほど言いましたフランスの高速増殖実証炉のスーパーフェニックス開発の継続が中止されました。これは理由をお聞きするまでもなく、事故と修理が繰り返されてコストが肥大化したという問題もありますし、そして結局は実現の見通しが立っていないという問題が一つの大きな原因になっただろうというふうに思います。
 この点については、昨年ですか、ジョスパン首相が、原子力産業は我が国にとって重要な切り札であるとしても、それだからといって民主的なルールが免除される、あるいはそのコストが法外でありまたその成功が非常に不確実なプロジェクトを継続するというようなことがあってはならない、これがスーパーフェニックスと呼ばれる高速増殖炉が廃棄される理由であるということが国会で明確に答弁されている、演説されている内容です。ここまでやっぱり厳しく考える必要が私はある。
 これが高速増殖炉の問題ですが、例えばドイツの場合でもカルカーの場合、ここでも同じように原子炉を完成させたが、危険性と経済性の問題が浮上して、一遍も運転せずに九一年に閉鎖になっております。イギリスにおいてもコスト高で今後百二十年間は不要だというふうなことが現実の問題になっているんです。ですから、この高速増殖炉の問題についてあくまでも固執して、いわゆる核燃料リサイクルを何としても進めるんだということが果たしてどうなのかということが、今やっぱり国際的にも厳しく問われている問題だということを私は指摘しておきたいと思うんです。
 最初の再処理の問題についてはクリアされたかのようなお話があるけれども、これも環境問題として考えてみれば重大な問題が起こりかねないという事態は避けられないわけですし、この問題についても十分な目を向けなければならない。
 そういう諸点を考えてみるならば、廃棄物の処理の問題、高速増殖炉の問題あるいは再処理の問題等々すべてにおいて、やっぱり今完全にそれがクリアできたなどというふうな問題ではないわけです。この点については十分に考えないで、こうした問題点を外国との関係についても、安易に考えるというふうなことについては慎重であるべきだということを申し述べておきたいと思うんです。
 そして、若干お聞きしようかと思っていたんですけれども時間がないので、これは科技庁が出している「もっと知りたい、もっと考えたい、原子力のこと」と書いてあるんです。大臣にちょっとお聞きいただきたいんです。これには「原子力発電の経済性」、原発というのは経済性が物すごくいいんだ、安く上がるんだと書いてある。そして発電原価についてはどうかというと、一キロワットが九円程度。水力から何から比べて、ほかは全部十円から十三円で、非常に安く上がる、クリーンだというふうなことが強調されています。
 ところが今、私はこれを調べたんですけれども、初年度の場合は別としまして耐用年で見て、例えば柏崎の刈羽原子力の原価がどうかというと十一円二十四銭です。そして東北電力の女川原発はどれだけか、これは耐用年で言いますと十四円四十二銭です。結局、九円だと言っているのはうそだとは言いたくないんですけれども、原発は安くてクリーンですよというふうなことを宣伝するためにつくった資料ではないかと思いたくなる。実際の問題では十一円から十四円までかかっているんですから。
 原発が申請書を出してやるときに、そういうふうなことをしないで事実を公表して、国民の皆さんに御理解をいただいて、そして理解の範囲内で物事を進めていくということをしないと、やっぱり国民の不信感をますます強めていってしまうというふうな結果にならざるを得なくなるので、この点については科技庁の方にも十分に、協定を結ぶわけですから、大臣の方からも目を配っていただいて、そういう点についても十分に情報公開できて国民の理解を得るような方向に施策を進めていくようにということを、担当の審議官おいでになっておりますけれども、大臣、一言だけ。
#143
○国務大臣(小渕恵三君) 原子力発電のコスト計算については私は素人でございますのでわかりかねますが、少なくとも、火力発電等に比べまして効率性やまた価格面、原価の面、その他において国民自身が理解をされておることとして稼働しているのだろうと思っております。また、特に日本の原子力発電につきましては、その安全性が少なくとも一〇〇%を超えるようなことを求めて建設されているやにも聞いております。
 そういった点でのコストアップというものはあるのかもしれませんが、いずれにしても安全性ということは極めて大切なことだろうと思いますので、これは日本全体のエネルギーの問題、電力の問題とかかわる問題でございますが、極めて重要な問題と考えて対処しなきゃならぬと思っております。
#144
○立木洋君 この原価の中には廃棄物の問題まで含めておるということになりますから、より問題だということも指摘しておきたいと思うんです。
 以上、私は時間がないものですから走るような質問の仕方をいたしましたけれども、経済性の問題だけではなくして、安全性の問題、そしていわゆる核燃料リサイクルを行っていく上でのかなめとも言える技術上の問題では幾多の問題が存在している。国際的に見てもやはり日本の状況というのは真剣に考えなければならない事態にあるのに、こういう問題を維持していく本協定を結ぶのはある意味で言えば無責任ではないかというふうにも言いたくなるわけです。
 そういう点を指摘しておいて、次に宇宙基地の問題について質問をさせていただきたいと思います。
 この問題については、前回のときに質問した内容と変わらない点もありますので重要な点だけを行いたいんですけれども、結局、宇宙基地の問題に関しては平和利用目的に限るというふうな問題、あるいは宇宙開発事業団の設立の目的の問題についても国会で議論をされてきました。その中では、「わが国における宇宙開発は、憲法の趣旨にのっとり、非核・非軍事を趣旨として平和の目的に限ることを明確にする必要があると認め、お手元に配付してあります修正案のとおり、第一条に「平和の目的に限り」を加えたのであります。」と。だから、平和の目的に限るということは非軍事だということを明確にしてきたのが日本の国の態度だったということは改めて申すまでもないことだと思います。
 しかし、今度のこの協定の中には、アメリカとの間の交換した文書、あるいはロシアとの間の交換した文書の中にも自国の安全保障のためにというふうなことが明記されている。そういうふうなことになってくると、日本としてはそういう非軍事の立場をとるといいますけれども、実質的には全体的な計画が軍事にかかわるような事態になりかねないというふうな問題があってはならないので、この点については私は慎重な対応をお願いいたしたい。これは繰り返しこれまでも強調してきたことですから、答弁はわかっております、ですから最後に改めて答弁をいただくことにします。
 二つ目の問題としては、この宇宙基地の計画に関して日本が負担する総経費は大体どれぐらいになるのか、経費だけで結構ですが、簡単にお述べいただきたい。
#145
○政府委員(阿部信泰君) 日本が出しますところの宇宙基地の中の日本実験棟でございますが、それの開発経費は約三千百億円というふうに承知いたしております。日本以外も含めてアメリカその他含めますと、総額は恐らく四兆円を超えるというふうに見ております。
#146
○立木洋君 アメリカの論文を見てみますと、こんな論文もあるんです。費用にふさわしい成果が得られない、得られるなんて考えるのはいわゆる空想に近いとまで言わんばかりの論文もあります。それで、そういうふうな成果が得られないという強い批判がある状況の中で、これだけ巨額の投資が果たして必要なのかどうなのかというふうなこともアメリカでは議論になっているということは御承知だろうと思うんです。
 そのことも私は十分に念頭に置いておいていただきたい。後になって、やってみたけれども、莫大なお金を投じたが実際には役に立たなかったというふうなことに、先ほどの問題とあわせてですけれども、これも考えていただきたいということも述べておきたいと思うんです。
 最後に、これは非常に私は怪奇に思っているんですけれども、外務省の構想として、主としてアジア太平洋地域を網羅できる衛星を打ち上げるという計画が進められている。地上に受信センターを設け、情報解析要員を配置するということまで今検討が進められているというふうなことを聞いて私は非常に驚いているんですが、外務省でなぜこういうふうな衛星を打ち上げる必要があるのだろうかという問題なんです。
 これは、国として、いわゆる特殊法人を通じて宇宙開発委員会の指導のもとに事業団として人工衛星を打ち上げ、この中ではもう既に御承知のように、地球の環境観測の問題にしてもそうですし、農作物の収穫状態にしてもそうですし、あるいは鉱物資源の埋蔵探査の問題についてもそうですし、さまざまな問題で既に十分に探査できるような状況がある。ところが外務省が特別にやらなければならないと。
 これは外務省からもらった資料の一番最後に書いてあるんですが、軍事施設、軍備管理、軍縮の検証、このために必要だと。そのほかの問題についてはほとんど開発事業団が打ち上げている衛星でできるけれども、できないのを外務省がやろうとしているのだろうかという疑問を持つんですが、いかがでしょうか。目的について簡単に。
#147
○政府委員(阿部信泰君) 報道は大分針小棒大になされておるようでございまして、現在のところ外務省において衛星を打ち上げるという計画はございません。
 唯一外務省がこれまでしてきましたことは、現在民間でも非常に広く衛星画像というのを利用している時代でございますので、各国において国際情勢の分析のためにどれだけの衛星を活用しているかということを調べるために、これは初年度五百万円の金で調査をしたわけでございまして、とても衛星を打ち上げるような金額ではございません。それだけでございまして、目的としましては、おっしゃいましたように軍備管理の実施がなされておるのかということを画像で見られるのかというようなことを研究したことはございます。
#148
○立木洋君 人工衛星を打ち上げて、解像度について言うならば、民間で打ち上げている人工衛星の場合ですと大体十メートル四万ですかこの写真に基づいて何がどうなっているかという状態がわかる、あるいは最近では五メートルぐらいにまで縮めてわかるような解像度になってきております。
 ところが、実際に軍事用の解像度の問題については、例えば十五センチぐらいにまでアメリカの場合にはなっているんです。そうすると、どこにどういう基地があるかということまでわかる。十五センチ四万の解像度、これだけの写真でわかるというところまでですね。
 外務省が今考えているのは数十センチあるいは三十センチぐらいの解像度になる、そういう衛星を打ち上げようとしているということになりますと、これは一体どうなるんだろうかと。今、民間が打ち上げるような解像度の状態ではだめであって、それ以上、もっと解像度の高い内容のものを打ち上げる必要があると。これも新聞で棒大に書かれているなんて言われるかもしれませんけれども。
 これを防衛庁が打ち上げるとなると大変です、国会決議がありますから。宇宙の問題については宇宙の平和利用の国会決議というのがある。防衛庁がこれを打ち上げるとなると、これはその国会決議に抵触する。そうすると、外務省が打ち上げるのは何も防衛にかかわりはないんだからということで、軍事的な施設から管理等々に至るまで外務省が事実上、あるいは防衛庁なんかとの連携をとりながらそれを打ち上げるというふうな疑念まで出てくるようなことが新聞に書かれているんです。
 そういうふうなものについては、今全くそういう計画はないとはっきりおっしゃっていただけるのか、いやその問題についてはこういう意味で計画があるんだというふうにお考えなのか、この点については大臣、いかがでしょうか。
#149
○国務大臣(小渕恵三君) 先ほど御答弁申し上げましたように、外務省が今独自の衛星を打ち上げるというような計画は有しておらないことは答弁いたしたとおりでございます。
 ただ、いろいろと御議論もありまして、こうした世界の種々の情報の収集に当たっては、他国が持っておられる衛星からの情報というものを何らかの意味で利用させていただくというところにとどまっていることについて、日本の情報の精度その他を考えまして、やはり日本独自のものも考えたらいいのではないかという議論の存することもまた事実でございます。そういった点で勉強はいたしておりますが、今の時点では打ち上げる計画は持っておりません。
#150
○立木洋君 最後に一言。
 アメリカのランドサットなんかからとったいろいろな情報を提供してもらおうというのにももちろんそれは制約があるかもしれません。しかし、前回は失敗しましたけれども、「みどり」の人工衛星を次に打ち上げる計画も日本ではあるわけですね。
 そういうふうなことで、外務省が関与しなくても宇宙事業団でやっていけるという可能性があるのにもかかわらずそういうふうになってくると、いろいろやっぱり問題が生じてくる。今のところそういう考えはありません、しかし情報をどういう形で今後得ていくかという問題については研究しているというふうなお話でしたけれども、そういう非軍事という問題が日本の国会決議として厳密に存在しているわけですから、その点については十分に御検討いただくように、そういう国会決議から外れたような事態にならないように十分に目を光らせておいていただきたいということも、先ほどの日英原子力協定での諸問題とあわせて大臣に最後に要望しておきたいと思います。
 以上で終わります。
#151
○佐藤道夫君 私からお尋ねいたします。
 二つの協定につきましては、朝来、同僚議員が詳細にお尋ねしておるので、これにつけ加える何物もありませんので、少しく角度を変えて二つほど問題を取り上げてみたいと思います。
 最初は周辺事態の話で、こうなりますと何だまたかとおっしゃるかもしれませんけれども、何回取り上げてお尋ねしてもよくわからないものですから、またまたお尋ねしてみたい、こういうことであります。
 最初に、先般、防衛庁の秋山事務次官が、周辺地域の範囲につきまして、シーレーンを含む、こういうことを記者会見か何かで申しておったと、それが新聞に出ておりました。シーレーンを含むと。そういたしますと、つい二、三日前に今度は外務省の柳井事務次官が、周辺地域とは極東の範囲を言うと、こういうふうなことで、これはかなり大きな記事となって出ておりました。
 シーレーンを含む、こう言いますと実はマラッカ海峡を越えてインド洋を越えてはるかアラビア海にまで行ってしまう、こういうわけであります。極東の範囲というのは、従来、安保論争の際に大体概念としては決まっておりまして、フィリピン以北、それから日本、韓国、台湾、中国等の沿海というのか統治権内、その地域というふうに大体概念が決まっておって、比べてみますると明らかに極東の範囲という方が狭いようであります。
 いずれにしろ、事務当局のトップにある二人の次官の言うことが全く違っておるものですから、私を初め大分迷われた、こんがらがった国民もおるんだろうと思います。
 実は、防衛庁の秋山次官にもこの場に来ていただいて、柳井次官と並べてお尋ねをいたしまして二人でそこで議論していただいて、我々聞いておってどっちかに軍配上げるというのが一番正しいのかもしれません。外務大臣にお尋ねしてもそれは人のことだとおっしゃるかもしれませんけれども、外務省の事務次官がこういうことも言っておられるので、一体どちらを我々信用すべきか、そのことをちょっとお教え願えればと、こう思います。
#152
○政府委員(竹内行夫君) 周辺事態の定義に関しましてはまた繰り返して答弁することは行いませんけれども、柳井事務次官の報道された発言についてまず御説明いたしたいと思います。
 報道では、柳井事務次官が、周辺事態が起こり得る地域であります日本周辺地域というものと極東というものが概念的に同じようなことになるという発言をしたと報道されておりますが、その趣旨につきましては以下のようなことであるということでございます。
 すなわち、一般的に申しますと、周辺事態の性格から申しまして、我が国日本の平和と安全に重要な影響を与える事態というのが起こっている状況におきましては、我が国すなわち日本というのは極東の中に含まれているわけでございますから、当然極東の平和と安全に重要な影響を与える事態になっていると、日本は極東の一部でございますので。そういうふうに考えられますので、日本周辺地域と極東というものはそれぞれ我が国の安全に密接な関連を有する地域である、こういう趣旨で同じような概念、概念的には同じようなものだと、こう言われたのが真意でございまして、決して日本周辺地域と極東の範囲というものが同一である、同様のものであるという趣旨ではなかったということでございます。
#153
○佐藤道夫君 またよくわからないんですけれども、どうしてそういうふうに国民に誤解を与えるような言い回しをするんでしょうか。皆神経質になってこの問題を今考えておる時期に、外務次官ともあろう人が、もっときちっと説明してほしかった、こう思うわけであります、どういたしましても。後になってから、いや真意はこうだああだと言われましても、あれを一回新聞でしか見ていないわけですから、国民は。これで大体おしまい、ああ極東の範囲かということで。なぜそれなら極東有事とか極東事態とかそういう言葉を使わないんだろうか、だれでもそういう疑問を持つんだろうと思います。
 いずれにいたしましても、シーレーンを含むという防衛庁の事務次官の発言よりははるかに狭いと、こう考えでよろしいんでしょうか。
#154
○政府委員(竹内行夫君) 秋山防衛事務次官の発言につきましては、まさしく先ほど先生が言われましたように、私どもの方から有権的と申しますか云々するのは僭越ではございますけれども、防衛庁の方から説明を聞いておりますのは、秋山次官の発言も、その周辺事態についての政府の考え方を踏まえまして、すなわちその周辺事態というのが事態の態様とか規模とかを総合的に勘案して、それでもって判断するということを前提といたしまして、その判断を行う際に我が国の船舶の航行の安全ということも判断材料の一つとして考える、こういう趣旨だったというふうに聞いております。
 したがいまして、秋山事務次官の発言も政府の考え方を別に変更するとかといったものではない、こういうことでございます。
#155
○佐藤道夫君 率直に申し上げますと、極東だという言い方と、シーレーンを含むという言い方。これは全く違うでしょう。ほぼ同じであるとか政府の見解に変わりはないとか、よくそういうことを言えると思うんですよね。
 シーレーンと言いましたら、それじゃインド洋は入るんですか、あなたのお考えでは。
#156
○政府委員(竹内行夫君) 繰り返しになりますけれども、秋山事務次官が申されたのは、日本の平和と安全に対して重要な影響が及んでいるか否かということを考える際に、日本の船舶の航行というのも一つの要素として考えるということでございまして、周辺事態がインド洋であるとかマラッカ海峡であるとか、そういうところまで広がっていくというようなことを念頭に置いた発言ではなかったというふうに聞いております。
#157
○佐藤道夫君 それで大丈夫ですか。シーレーンと言ってインド洋が入らないなんて、そんな日本語はないと思うんですけれども、そんな解釈が成り立つとは思わないんですけれども、まあしかし彼はそう言っておるわけですか。
 では、マラッカ海峡はどうなんでしょうか。
#158
○政府委員(竹内行夫君) それはまさしく周辺事態というものの定義にかかってくるわけでございますので、これは繰り返しになりますけれども、その周辺事態というものは、我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼす事態であるかどうかということを種々の観点から総合的に判断するということでございますので、特定の区域が含まれる、含まれないということの認定はあらかじめはできない、こういうことでございます。
#159
○佐藤道夫君 なぜ地理的概念でこの区域内のことを言うんだと、話は私はそこから始まると思うんですけれども、その区域内でこういう事態が起きたらこの法律の対象になるんですよと、そういうことをはっきり国民に示すべきじゃないでしょうか。
 国民の権利を制限したり義務を課したりする法律ではないということをどこかでだれかがおっしゃっておりましたけれども、船舶の停船を命じたり、それからその地域内で自衛官が何か武器を使用すると。正当防衛という範囲内らしいんですけれども、これは自衛隊法の問題のようですけれども、同じ問題であります。そういうふうに、国民の権利の制限そのものじゃないでしょうか、船にとまれと、こう言うわけですからね。国民の乗っている船がのんびりと、これはもう大体関係ないなと思って航行中にいきなりとまれと言われた、あれ何だろうかと、こう疑問を持つわけでありましょう。最初からこの区域内でこういう事態が起きたら、この法律の対象になって停船を命ぜられることがあるべしということを知らせておく必要があろうと私は思いますけれども、その点いかがなんでしょうか。
 これはむしろ大臣にお願いいたします。これはいずれ法律案となって出てくるときにまた同じ議論が起こるのでありましょうけれども、少なくとも法律案はこういう線で、方向でつくっていきたいと。一番大事なことはこの法律の適用範囲の問題でありますから、ここからここまでと、それからこういう事態に適用するぞ、そのためにこの法律案をつくって国会に提出するんですよということは明白にお述べになる義務があると私は思いますけれども、いかがでしょうか。
#160
○政府委員(竹内行夫君) 現在政府部内で検討いたしておりますいわゆる周辺事態安全確保法案というものにおきまして、御指摘の船舶検査活動につきましては、周辺事態に際しまして経済制裁の厳格な実施を確保するために必要な措置をとることを要請いたします国連安保理決議が存在するということが前提でございまして、これに基づいて行われる活動でございます。
 現在検討しております法案におきましては、船舶検査活動では、あらかじめ指定された海域の中で船舶の船長等に対し船舶の停船を求めまして、その船長等の同意がありました場合に、その同意を得て停止した船舶に乗船いたしまして、書類及び積み荷を検査して確認するということが想定されております。
 したがいまして、現在検討中の船舶検査活動というものは、活動が行われている海域の指定及びその実施の態様等につきまして、いずれについても法案中に規定するということを考えております。
#161
○佐藤道夫君 いずれにいたしましても、これは法律案が上程されてからまた議論をいたしたいと思いますので、よく研究しておいていただきたいと思います。私、この問題は最後までこだわりますから。抽象論として日本の平和と安全に影響を及ぼすような事態が発生した場合、その地域と、こう言ってみましても、やっぱり具体的にこの地域内でこういうことが起きた場合だと、こういうことを示す必要があるわけですよ、民主主義国家における法律というものは。こんな初歩的なことを申し上げるまでもないと思いますけれども、そのことをしかと肝に銘じておいていただければと、こういう気がいたします。
 そこで話題を変えまして、実は先ほど院内テレビを見ておりましたら、海外在住日本人に選挙権を与えるという公職選挙法の一部改正法案が地方行政・警察委員会で全会一致で可決成立、あすの本会議にかかると、こういうことになっているようであります。
 大変結構なことで、実は私、この委員会で二、三度この問題を取り上げて、当時の河野外務大臣あるいは池田外務大臣にお尋ねいたしまして、積極的に取り組んでほしいと。今この制度がないのは先進国の中では日本とイタリアだけで、恥ずかしいことでもあるかと、こういうことを言いまして、両大臣から、技術的に大変難しい問題もあるようであるけれども、御趣旨を体して積極的に頑張っていきたいというような答弁もいただいたように思っております。それがきっかけになったのかどうかわかりませんけれども、本日ようやく委員会で可決成立を見た。大変結構なことではあろうかと、こう思っております。
 ただ、基本的な疑問があるわけでありまして、政府提案は御案内かと思いますけれども、比例代表制に限定しておりまして、選挙区制には及ばない、当分の間比例代表だけだと、こういうふうになっております。なぜ選挙区制を相手にしなかったのかと。これにつきましてはいろいろな考えがあるようであります。
 これは新聞を引用させていただきたいと思いますけれども、上杉光弘自治大臣は「政党名を書く比例区と違って、選挙区は個人名を書く。個人の政見や人柄を衆院選は十二日間、参院選十七日間という短期間に海外まで周知させるのは困難だからだ」と、これが理由だと、こう言っておるようでありまして、一見もっともらしいんですけれども、これは大変おかしいと私は思っております。
 実は、前回の参議院選挙の際にどれだけの政党が名乗りを上げたのか御存じでございましょうか、大臣。
#162
○国務大臣(小渕恵三君) 正確な政党の名称を記憶しておりません。
#163
○佐藤道夫君 二十三もの政党が名乗りを上げております。一番大きいのはもちろん自由民主党でありますけれども、そのほか、恐らくどなたも御存じないような雑民党であるとか、平和と暮らしの党だとか農民何とか党だとか、合わせて二十三もの政党が名乗りを上げて、これはいいかげんで立候補をしたとはとても思えませんので、やっぱり立派な政策を掲げて、候補者を十人以上連ねて選挙戦に打って出たと、こういうわけであります。これについては周知徹底を図れる、こう言っておられるようであります。自治省はそう考えておるようであります。
 そういたしますと、選挙区の場合は、衆議院で三百、参議院は四十幾つかでございますから、政党名の周知徹底、政党関係の比例代表の周知徹底は図れる、しかし選挙区については周知徹底を図ることは困難だと。
 少しく努力をすればこれは可能な話だろうと、少なくとも参議院選挙については選挙区というのは四十幾つしかないわけですから、これについて立候補者名と大体の政策ぐらいをあらかじめ周知を図る手段を講じておくことは十分可能だろうと私は考えておるわけであります。この点はいかがでございましょうか。
#164
○説明員(内藤昌平君) このたびの在外選挙は日本国にとって初めての経験でございます。そういう意味で、この選挙を公平かつ円滑に遂行できるように持っていくということに政府としてはいろいろ心を砕いておるわけでございます。その点、選挙区選挙のレベルに入りますと、氏名、政見、所属政党等のさらに複雑な情報が公平に周知されるという条件が厳しくなってまいります。
 そういう意味で、今回はまずは比例代表から実施して、選挙情報の具体的な周知状況等を見た上で、次の段階として衆議院小選挙区選挙及び参議院選挙区選挙の実施を図ることが適当であると考えているところでございます。
#165
○佐藤道夫君 これは当分の間比例代表制だけでいく、こういうふうに法律はなっておるようであります。御案内と思いますけれども、当分の間というのは法律屋の間ではこれは永久にと、こういうふうに考えられている。要するに、これでもうあとは終わりというのが大体で、三十年、五十年たってもそのままというふうな当分の間が続いておる法律を幾らでも挙げることができます。当分の間であるから、来年にも再来年にでもまた改正があるかと思うのは早計だと、こう言ってもいいと思います。大体この問題はこれで終わりではないかと私は思います。
 それから、これは極めて大事なことなので、実はあした本会議で賛否いずれを決するか、外務大臣のお話も承った上で決めようかと、こう考えておるわけでありますけれども、周知するのが困難だから選挙権を与えない、こういう発想が一体あるんだろうか。
 行政とすれば、できる限りのことをしてやる、しかし物には限度があるから、その先どうしてもそれ以上の情報が欲しい人は自分で努力してほしい。民主主義というのは自己責任の原則ですから、何でもかんでもお国任せというのじゃないんであって、やっぱり足りなきゃ自分で努力すればいい、それだけのことなんです。国とすれば、これだけの情報を提供する、これが今現在の精いっぱいであるから、これから先情報が欲しい人はそれぞれ努力してくださいませとはっきり言えばいいだけのことなんです。それで、大体国からいただいた情報で十分だという人はそれで投票すればよろしい。足りないと思う人は日本内地に連絡をとっていろんな資料を取り寄せて、そして判断をすればよろしい。
 それから、日本の内地だってこれだけ情報があふれていつでも投票できるのにかかわらず、六割、七割の人が棄権して平然としている。海外だって恐らくそんなものでしょうから、熱心な人は黙っていてもいわば情報を集めて投票所に足を運ぶ。それが民主主義だろうと思うのでありまして、十分な情報を提供することができないから君たちには選挙権の行使は認めない、こんな言い方が民主主義として許されるのだろうか。愚民政治という言葉がありますね。愚かな民ということなんですけれども、要するに知識が十分でないから、少なくとも選挙に関してはあなた方に十分な情報を提供することができない。だから、あなた方は選挙については十分な知識は持っていないから、残念ながら選挙権の行使は認めません、こんなことでいいんだろうかと。これが民主主義なんだろうかと、私は大変この点が問題だと思うんですよ。
 これは何か自民党案が中心になって政府案となって出てきたんだと。野党案の方は選挙区にも及ぼしたらどうだということでやっておったが、最後はどこかで妥協をして今の政府案のようにとりあえずは比例代表だけだと、こういうことになったようであります。
 もう少し野党に私頑張ってもらいたかったと思うのでありまして、これは地方行政の委員会あたりでやることなんでしょうけれども、私、発言の場がないものですから、前の質問を援用いたしましてこの場でいろいろ申し上げておるわけであります。
 特に小渕外務大臣は、そう言ってはなんですが、いや当然ですけれども、自民党内で一、二を争う実力者で、何かポスト橋龍だというふうにも言われております。こういう重要法案の策定については当然参画をして意見を述べて、やっぱり仕方がない、これでいこうと。今の私の考える民主主義論、そんなものはもう書生論だから取るに足らないんだというようなことでこういう案に踏み切られたのかどうか、その辺のことで御所見を承れば、それをお聞きしましてあした賛否いずれかに投票しようと、こう考えておるわけであります。
 今の小手先の技術論を承りたいのではなくて、むしろ基本的に民主主義をどう考えるのかと。十分な情報を与えることができないから選挙権の行使は認めなくていい、おまえらには与えないと。こんな思い上がったような発想が一体日本国で通用するんだろうかということに私基本的に疑問を持っておるものですから、お尋ねしたいと思うわけであります。
#166
○国務大臣(小渕恵三君) 日本国籍を持つ日本国民として国政選挙に参加をすべきということは基本的にぜひそうあらねばならぬと、こう思っております。私も長い間、それこそこの問題についても関心を深くいたしてきたところでございます。また、諸外国を回れば、それぞれの地域で活躍する我が邦人の皆さんが国政に対して権利を主張しておられまして、いずれこうした法案は国会で通過させていかなきゃならぬとは思っておりました。
 ただ、今回の法律案につきましては、地方行政・警察委員会で十分な議論を打った上で決したことだろうと思いますので、今の立場でその議論すべてを承知いたしておりませんし、長い間なかなかこの問題について方向性が見出せない状況で参りましたが、ともあれ今回こうした形で認められたということは前進だろうと考えております。
 いずれ将来にわたってさらに検討を深められて、すべての日本国民が海外におりましても投票権が与えられるという体制になっていくことが望ましいと思っておりますが、現実にはなかなか、恐らく当委員会でも議論になったのだろうと思いますが、難しい点があるのだろうと思います。
 そういった意味で、慎重を期しての決定ではなかったかということを思っておりますが、いずれにしても、国会議員の選挙において、海外におられる方が投票権を、すべての選挙ではなくとも与えられたということは大変前進であるという認識をいたしておもところでございます。
#167
○佐藤道夫君 よくわかりました。
 最後になりますけれども、この当分の間が法律屋の使っている慣用語として永遠にということにならないように、ぜひともここ何年かの間にこの改正が実現いたしまして、選挙区についても海外居住邦人に選挙権が行使できるという時代が来ることを心からお願いしておきたい、こう思います。
 以上で終わります。
#168
○委員長(及川順郎君) 他に御発言もないようですから、両件の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#169
○立木洋君 私は、日本共産党を代表し、日英原子力協定及び宇宙基地協定に反対の立場で討論を行います。
 日英原子力協定への反対の理由の第一は、使用済み核燃料再処理の海外委託を引き続いて行うことによって、我が国での繰り返される事故でも明らかなように、安全の保障のない核燃料リサイクル政策を推進することになるからであります。その柱となる使用済み核燃料再処理、高速増殖炉開発、バックエンド対策のどれをとってみても未確立の危険な技術で、経済的にも引き合わないことが明らかにされています。また、核燃料リサイクル政策は、九五年の「もんじゅ」事故、昨年の動燃再処理工場の事故でその危険性と破綻が一層明らかになっています。
 第二に、環境問題の深刻さや財政上の膨大な負担によって核燃料リサイクルからの撤退が世界の趨勢になっているにもかかわらず、日本は依然として核燃料リサイクルの政策に固執しているからであります。日本とともに高速増殖炉開発に最後まで残っていたフランスも高速増殖炉開発から撤退をいたしました。この核燃料リサイクル政策の抜本的な転換を求める見地に立って同協定に反対をするものであります。
 次に、宇宙基地協定への反対の理由の第一は、本協定が国民に巨額の負担を押しつける国際宇宙基地計画を推進するものであるからであります。
 日本は、国際宇宙基地計画によって数千億、恐らく一兆円に近い負担になるということも想定されますが、巨額の費用負担に見合う成果が得られる保証がないという議論も出されております。財政構造改革と称し社会保障をばっさり削りながら、成果も明らかでないこのような計画を進めることは当然許されません。
 反対の理由の第二は、本協定が国会決議でも宇宙開発事業団法によっても明らかにされたように、非軍事的立場を明確にしないどころか、宇宙基地の軍事利用の可能性を排除していないという点にあります。日本政府は、アメリカ、ロシア政府との書簡で国際宇宙基地の国家安全保障目的の利用を容認しています。しかも、国際宇宙基地の軍事利用を認める約束を、承認の対象とならない書簡の形で行ったことも断じて容認ができないからであります。
 以上をもちまして反対討論を終わります。
#170
○委員長(及川順郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#171
○委員長(及川順郎君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、民生用国際宇宙基地のための協力に関するカナダ政府、欧州宇宙機関の加盟国政府、日本国政府、ロシア連邦政府及びアメリカ合衆国政府の間の協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#172
○委員長(及川順郎君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#173
○委員長(及川順郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#174
○委員長(及川順郎君) 次に、漁業に関する日本国と中華人民共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。小渕外務大臣。
#175
○国務大臣(小渕恵三君) ただいま議題となりました漁業に関する日本国と中華人民共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 政府は、中華人民共和国との間で漁業協定を締結するため、中華人民共和国政府と交渉を行いました結果、平成九年十一月十一日に東京において、先方徐敦信駐日大使と私との間でこの協定に署名を行った次第であります。
 この協定は、日中両国について平成八年に発効した国連海洋法条約の趣旨を踏まえ、原則として沿岸国が自国の排他的経済水域において海洋生物資源の管理を行うことを基本とした新たな漁業秩序を日中間に確立することを目的としております。
 この協定の締結によって、原則として沿岸国が資源管理を行う漁業秩序を確立することになり、今後日中間の安定した漁業関係の基礎となることが期待されます。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
#176
○委員長(及川順郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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