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#1
第142回国会 外交・防衛委員会 第13号
平成十年五月七日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十八日
    辞任         補欠選任
     笹野 貞子君     竹村 泰子君
     寺澤 芳男君     広中和歌子君
     泉  信也君     田村 秀昭君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         及川 順郎君
    理 事
                笠原 潤一君
                須藤良太郎君
                武見 敬三君
                吉田 之久君
                高野 博師君
    委 員
                塩崎 恭久君
                鈴木 正孝君
                野間  赳君
                二木 秀夫君
                宮澤  弘君
                齋藤  勁君
                竹村 泰子君
                広中和歌子君
                田  英夫君
                立木  洋君
                田村 秀昭君
                佐藤 道夫君
   国務大臣
       外 務 大 臣  小渕 恵三君
   政府委員
       外務大臣官房長  浦部 和好君
       外務大臣官房審
       議官       海老原 紳君
       外務省アジア局
       長        阿南 惟茂君
       外務省欧亜局長  西村 六善君
       外務省経済局長  大島正太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大島 弘輔君
   説明員
       特命全権大使中
       華人民共和国駐
       箚        谷野作太郎君
       特命全権大使ク
       ロアチア国駐箚  大羽 奎介君
       特命全権大使ハ
       ンガリー国駐箚  糠澤 和夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○車両並びに車両への取付け又は車両における使
 用が可能な装置及び部品に係る統一的な技術上
 の要件の採択並びにこれらの要件に基づいて行
 われる認定の相互承認のための条件に関する協
 定の締結について承認を求めるの件(内閣提出
 、衆議院送付)
○千九百七十二年十一月十日、千九百七十八年十
 月二十三日及び千九百九十一年三月十九日に
 ジュネーヴで改正された千九百六十一年十二月
 二日の植物の新品種の保護に関する国際条約の
 締結について承認を求めるの件(内閣提出、衆
 議院送付)
○社会保障に関する日本国とドイツ連邦共和国と
 の間の協定の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出)
○外交、防衛等に関する調査
 (外交に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(及川順郎君) ただいまから外交・防衛委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る四月二十八日、笹野貞子さん、寺澤芳男君及び泉信也君が委員を辞任され、その補欠として竹村泰子さん、広中和歌子さん及び田村秀昭君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(及川順郎君) 車両並びに車両への取付け又は車両における使用が可能な装置及び部品に係る統一的な技術上の要件の採択並びにこれらの要件に基づいて行われる認定の相互承認のための条件に関する協定の締結について承認を求めるの件、千九百七十二年十一月十日、千九百七十八年十月二十三日及び千九百九十一年三月十九日にジュネーヴで改正された千九百六十一年十二月二日の植物の新品種の保護に関する国際条約の締結について承認を求めるの件及び社会保障に関する日本国とドイツ連邦共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、以上三件を便宜一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。小渕外務大臣。
#4
○国務大臣(小渕恵三君) ただいま議題となりました車両並びに車両への取付け又は車両における使用が可能な装置及び部品に係る統一的な技術上の要件の採択並びにこれらの要件に基づいて行われる認定の相互承認のための条件に関する協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この協定は、昭和三十三年三月に国際連合の欧州経済委員会の主催によりジュネーヴで開催された国際会議において作成されたものであります。
 この協定は、車両、その部品等に関する統一的な技術上の要件を定めた規則を作成し、同一の規則を適用する締約国の間で型式認定の相互承認を行うこと等について規定するものであります。
 我が国がこの協定を締結することは、相互承認を通じた貿易の促進に資するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、千九百七十二年十一月十日、千九百七十八年十月二十三日及び千九百九十一年三月十九日にジュネーヴで改正された千九百六十一年十二月二日の植物の新品種の保護に関する国際条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この条約は、従前の植物の新品種の保護に関する国際条約の内容を基礎として、植物の新品種の育成者の権利について、新たな国際的統一規則によりその保護を強化することを主たる目的とするものであり、平成三年三月十九日にジュネーヴで作成されました。
 我が国がこの条約を締結することは、育種の振興を促進することにより我が国のみならず世界の農業の発展に資するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 最後に、社会保障に関する日本国とドイツ連邦共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 政府は、従来からドイツとの間で日独間の人的交流に伴って発生する公的年金保険制度への二重加入等の問題に関する協議を行ってきましたが、この問題の解決を図ることを目的とする協定を締結することでドイツ側と一致し、平成七年九月以来このための政府間交渉を行ってきたところ、平成十年四月二十日に東京において、先方エルベ駐日大使との間でこの協定に署名を行った次第であります。
 この協定は、国際間の人的交流に伴って発生する公的年金保険制度への二重加入等の問題の解決を図ることを目的として、日独間で年金保険制度の適用の調整を行うことを定めるものであります。具体的には、年金保険制度への加入に関し、就労が行われている国の関係法令のみを適用することを原則としつつ、一時的に相手国に派遣される被用者等の場合には、原則として五年間は自国の法令のみを適用する等の特例的な扱いを行うこととしているほか、一方の締約国の年金を受給する権利を取得するために必要とされる資格期間を計算する際に、他方の締約国の年金保険制度に加入していた期間も合わせて計算することにより、当該一方の締約国の制度の期間のみでは給付が受けられないようなケースについても給付の実現を図ること等を定めております。
 我が国にとってこの種の協定としては初めてのものとなるこの協定の締結によって、我が国とドイツとの間で年金保険制度への一重加入等の問題の解決が図られ、保険料負担が軽減されること等により、日独間の人的交流が円滑化され、ひいては経済交流を含めた両国間の関係がより一層緊密化されることが期待されます。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 以上三件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認をいただきますようお願いいたします。
#5
○委員長(及川順郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 三件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(及川順郎君) 次に、外交、防衛等に関する調査のうち、外交に関する件を議題といたします。
 本日は、特命全権大使として発令され、これから各国に赴任される新任大使の方々の御出席をいただきまして、外交関係等に関する質疑を行いたいと存じます。
 大使各位には御多用のところを本委員会に御出席いただき、まことにありがとうございます。
 本委員会では、我が国外交に対する国民的な理解を深める一助とするため、従来から一時帰国中の大使の出席を得て、直接赴任国事情等をお聞きしてきたところであります。
 今回は、特命全権大使の発令を受け、赴任国へ向かわれる直前の大使の御出席をいただくという初めての試みでありまして、ぜひともこれを有意義なものといたしたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 議事の進め方でございますが、まず外務省のアジア局長及び欧亜局長から、中国、ハンガリー及びクロアチア各国の概要説明を聴取した後、おおむね正午をめどに質疑を行いたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、中国について概要説明を聴取いたします。阿南アジア局長。
#7
○政府委員(阿南惟茂君) それでは、委員長のお許しを得まして、まず谷野作太郎大使の御紹介を申し上げたいと存じます。
 谷野大使は、一九六〇年外務省入省、中国語を研修され、中国課長、総理大臣秘書官、在韓国大使館公使、本省でアジア局長、また内閣外政審議室長等を歴任された後、一九九五年から駐インド大使として在勤をされて、このたび野中国大使として赴任されることとなっております。
 最近の日中関係について簡潔に御説明を申し上げます。
 日中両国は、一九七二年、体制が違う国であったわけでございますが、体制の違いを乗り越えて国交正常化を果たして、これまで紆余曲折はございましたけれども概して順調な、客観的には大変目覚ましい発展を遂げて今日に至っております。
 昨年が国交正常化二十五周年でございまして、昨年九月の橋本総理の中国訪問、また十一月には中国の李鵬総理が訪日されるということがございました。本年は日中平和友好条約締結二十周年に当たるわけでございまして、先般、胡錦濤国家副主席が訪日をされた。また、秋には中国の国家元首として初めて江沢民国家主席が公式訪問されるという予定になっております。また、安全保障、防衛面での交流も、本年二月に中国の遅浩出国防部長が訪日、またこの連休に久間防衛庁長官が訪中されるという最高レベルの交流が行われて、この面での日中間の交流も進展を見ております。
 経済関係では、中国は日本の貿易相手国としてアメリカに次いで第二位、日本は中国にとって第一位ということで、日中両国の相互依存関係はますます深まりつつあるということが申し上げられると思います。
 我が国の中国に対します基本姿勢といたしましては、アジア太平洋地域の安定と繁栄の確保のためには中国が政治面でも経済面でも安定した勢力になるということが重要である、こういう観点から、中国の近代化、具体的には改革・開放政策を支持するというのが我が国の対中国外交の基本でございます。さらには、中国がより一層国際社会における建設的パートナーとなるよう働きかけていくということが重要であるという認識で対中外交を行ってきております。
 こういう考え方のもとで、谷野大使が現地に赴任されて後は本省も現地大使と緊密に連絡をとらせていただいて、また諸先生方の御指導をいただきながら、今後とも引き続き日中関係の発展が図られるよう努力してまいりたいと考えておるところでございます。引き続きよろしくお願いを申し上げます。
 以上でございます。
#8
○委員長(及川順郎君) 次に、ハンガリー及びクロアチアについて概要説明を聴取いたします。西村欧亜局長。
#9
○政府委員(西村六善君) 最初にハンガリーにつきまして御説明を申し上げます。
 ハンガリーにこのたび駐箚されます大使は糠澤和夫大使でございます。糠澤大使は、昭和三十四年四月、経団連に入会されまして、自来、経団連におきまして長い間にわたりまして御活躍をされた方でございます。昭和六十年四月には国際経済部長に任ぜられました。その後、六十三年五月には常務理事に任ぜられまして、平成九年五月には専務理事に任ぜられた次第でございます。このたび、平成十年四月一日をもちまして四月にハンガリーに駐在いたします特命全権大使に任ぜられた次第でございます。
 ハンガリーにつきましてごく簡単に御説明をさせていただきたいと思います。
 ハンガリーは、よく御存じのとおり、ドナウ川の中流に位置する人口が約一千万の国でございまして、一九五六年の有名なハンガリー動乱にも見られますとおり、冷戦時代から冷戦の終了後現在に至るまで、常にこの地域におきまして、あるいはヨーロッパ全体におきまして民主化ないしは経済改革、市場経済化といった基本的な方向に向かいまして先駆的な役割を果たしてきた国でございます。
 ソ連邦が崩壊いたします時期に、特に一九八九年でございますけれども、具体的に民主化と市場経済化の新たな努力を開始したわけでございまして、それ以来、民主化は既に非常にかたくこの国において定着をしているという評価が一般的になされている次第でございます。市場経済への移行は非常に迅速に行われておりまして、今や最終段階に入っているというふうに国際社会におきまして評価が下されている状況でございます。
 かような評価をもとにいたしまして、NATOに加盟する候補国として交渉する決定が一九九七年に行われております。EUに加盟するための交渉を開始するという決定も同じ一九九七年に行われている次第でございまして、いずれも交渉の過程を経ましてハンガリーはNATOに加盟する、及びEUにいずれ加盟するという展望が開けている次第でございます。
 政治的には、国内の政治は基本的には安定しておりまして、現在、社会党、自由民主連盟から成ります現政権が安定した政局運営を行っている次第でございます。近く、五月十日でございますけれども、民主化が進められた後三度目の総選挙が行われることになっておりますけれども、いかなる結果になる場合でも、現在ハンガリーが進めております改革路線は今後とも維持されるであろうというのが大方の見方でございます。
 経済面におきましては、改革路線が開始された直後は若干難しい状況があったわけでございますけれども、九五年以降の緊急経済措置が徐々に効を奏しておりまして、次第に状況は改善しているという状況でございます。
 我が国との関係は、一般的にハンガリーが非常に伝統的な親日国であるということからいたしましても、極めて良好な関係で推移してきている次第でございまして、両国間におきまして要人の往来も非常に活発に行われている次第でございますし、経済関係も拡大しているわけでございます。
 ハンガリーに対します投資は、我が国の東欧地域全体に対します投資の半分以上を占めている状況であります。経団連自身におきましても、この国に対する関心は非常に高くなってきておる次第でございまして、昨年の十月には経団連の大型ミッションがこの国を訪れている次第でございます。
 ハンガリーは、先ほども申しましたとおり、欧州の統合に向かって邁進している次第でございまして、欧州の統合自体が非常に大きな世界的な意味合いを持ち始めている状況でございますので、ハンガリーの位置づけというものもおのずから非常に大きな重要な位置づけになるんではないかというふうに思っている次第でございます。
 この機会に、糠澤大使が経団連において培われました国内経済、対外経済、その他諸般の御経験を生かして大使として大いに御活躍をいただけるものというふうに期待をしている次第でございます。
 引き続きまして、クロアチアについて御説明をさせていただきたいと思います。
 クロアチアに赴任いたします大明奎介大使は、昭和四十四年九月にベオグラード大学のユーゴスラビア近代政治史を専攻して修了された方でございまして、昭和四十九年二月に外務省に入省いたしまして、自来、全体で都合三度ユーゴスラビアに勤務をいたしたユーゴスラビア問題、バルカン問題に関します非常な専門家であります。このたびクロアチアに新たに大使館をことしの二月に開設したわけでございますけれども、その初代の大使として赴任する次第でございます。
 クロアチアという国はアドリア海に面しました国でございまして、人口は約五百万でございます。かつては旧ユーゴスラビアを構成いたしておりました六つの共和国の一つでございまして、旧ユーゴスラビア時代よりこの地域は交通の要衝であったものですから、経済的にはどちらかというと先進地域に属する地域でございます。
 クロアチアは九一年旧ユーゴから独立を宣言したわけでございますけれども、独立後国内のセルビア人勢九との内戦が勃発をいたしまして、隣国にありますボスニアの紛争とも深く関係をすることになった次第でございます。現在は政情は一応安定はしているわけでございますけれども、旧ユーゴ和平の当事者でもございますし、旧ユーゴ和平の今後の進展いかんに非常に大きなかかわり合いを持っている国柄であるわけでございます。
 内政的には、独立以来若干民族的な色彩の強い政権が政権を担当しているわけでございますけれども、経済面におきましては、内戦の当初におきましては非常に大きな打撃を受けたわけでございますけれども、次第次第に緊縮財政を実行いたしまして、経済は全体といたしましては安定化の傾向にある状況でございます。
 我が国との関係につきましては、九二年三月にクロアチアを我が国は国家として承認いたした次第でございまして、九三年に外交関係を開設いたしまして、先ほど申しましたとおり、今年の二月に大使館を開設した次第でございます。
 このようにしまして、クロアチアとの関係は現在緒についたばかりであるという状況でございますけれども、大羽大使がこの地域の非常に長い経験を持った専門家である次第でもございまして、新たな任地でございますし、新たな大使館ではあるのでございますけれども、我が国とクロアチアの関係の発展のために活躍をされるであろうというふうに期待をいたしている次第でございます。
 以上でございます。
#10
○委員長(及川順郎君) ありがとうございました。
 この際、各新任大使からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。
 まず、中華人民共和国駐箚特命全権大使谷野作太郎君。
#11
○説明員(谷野作太郎君) 谷野であります。よろしくお願いいたします。
 本日はこのような機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。命を受けまして、来週早々でございますが、北京の方に赴任させていただきます。御要請によりまして、赴任に当たっての若干の所感を述べさせていただきたいと存じます。
 個人事になりますが、先ほどアジア局長からも若干の紹介がございましたけれども、中国につきましては私自身、正常化の直後、七三年から五年までの間、約二年強勤務したことがございます。したがいまして、今回は二度目でございますけれども、二十五年ぶりの勤務となります。しかも、当時二十数年前はいわば毛沢東さんの時代でございまして、その意味におきましても当時とは全くさま変わりの中国で勤務させていただくということであろうかと思います。したがいまして、新しい気持ちで新たな心構えを持って一生懸命務めたいと思っております。
 赴任に際しまして若干の時間を東京でいただきましたので、大変多くの各界の方に直接お話を伺う機会がございました。やはり今さらのようにといいますか、日本と中国が経済はもとより、しかし経済のみならず大変多様な関係をいろんな方が一生懸命築かれておるということを改めて感じました。若干個人事でかつ余談になりますけれども、私が先月まで務めておりましたインド、これも大切であるわけでございまして、日中関係の今の熱気といいますか少しでもおすそ分けいただければなという感じを強く持ったわけでございます。
 その中国でございますけれども、改革・開放から約二十年たちました。この二十年間、ケ小平さんが進めてこられた改革・開放路線が大きな成果を上げたことは間違いありません。先ほどアジア局長からも説明がありました。
 しかしながら、他方、やはり二十年もたちますといろいろな問題が出てきていることも、これは中国政府自身が認めておるところでございますけれども、これもまた間違いのないところでございます。よく言われる地域格差の問題、一部の人たちの不正の問題、あるいはまだまだ流通のシステムが大変未熟のようでございますし、日本にとって他人事ではおられない環境汚染等の問題もございます。
 そういうことで、お会いした方々は異口同音に、引き続き中国には大きな期待を寄せられながらも、他方において若干の、自然なことでありますけれども、不安というものもあわせ持っておられる、そういう両様の感じが交錯しておるというように私は感じました。
 来週北京に参りました上は、何分大きな国でございますから、できるだけ中国の各地も行かせていただいてなるべく正確な全体としての中国像というものの把握に努めたいと思います。
 しかしながら、先ほどアジア局長からもお話がありましたように、いわゆる安定した中国、発展した中国、そしてその上での良好な日中関係の維持、これは中国のためだけではなくて私ども日本のためでもありますし、ひいてはアジアのためでもあります。私はこの点については非常に強い気持ちを一貫して持ってまいりました。
 そして、その日中関係でございますが、これも正常化以来ほぼ四半世紀がたったわけでございます。後ほど恐らく御議論があるのだと思いますけれども、これも開発、改革・開放、経済の発展に伴ってプラスの面とともにいろいろ問題も出てきておる。先ほど環境のことは申し上げました。それから、日本への密入国等々があります。これは日中関係をさらに前に進めるという立場に立てば非常に残念なことであり、よくないことであります。中国も恐らくそういう認識は持ってくれているんだと思いますが、私はやはりこういう指摘すべきところはきちんと指摘し、言うべきことはきちんと中国に言っていく。向こうもそれをきちんと受けとめる度量があると思いますし、そういうことが必要だと思います。
 中国に行きました上は、できるだけ各地に赴くとともに、中国に進出されておる日本の企業のお話も伺って、恐らく御苦労話も多いんだと思いますので、その辺もしっかりと受けとめて中国に伝えるべきは伝えていく、これはまた私ども北京にある大使館の一つの大きな仕事ではなかろうかと思います。
 改めていろんな方のお話を伺い、最近の日中関係を観察しておりまして強く感じますのは、これは古くてしかし新しい命題であるということを感ずるわけであります。相互理解ということ、そしてそれに立った上での相互信頼といいますか、やはり引き続き絶え間ない、間断ない対話を通じて相互理解を深め、その上に立って相互信頼を構築していく、そしてその上に協力関係を結んでいくということであろうかと思います。
 アジア局におりました時代、私は大変生意気な言い方をしておったんですが、もうそろそろお互いに酔眼もうろうで日中友好だけを唱える時代は終わったのではないかと。もっともっとお互いに血の出るような相互理解の努力が今こそ必要だということを生意気にも申しておったわけでありますけれども、私はそれは今でも変わっていないと思います。
 そういう観点から、今度のゴールデンウイークもお三方の閣僚が中国に行かれましてそれぞれ真剣なお話し合いをされ、大きな成果を上げて帰ってこられたようでございます。大変結構だと思います。特に最近、防衛庁のユニフォームの方と解放軍との対話といいますか、交流が大変いい意味で急に始まっております。私は、これはアジア局におるときからこの必要性を言い続けておったわけでありますけれども、最近のこの面での活発な交流に勇気づけられております。
 いずれにいたしましても、日中の間は、共通な問題もあればしかし違いもあるわけでありまして、ここをお互いに冷静に認識して、中国人はその上で小異を残しつつ大同につくとよく言います。私もそういうことが必要なのだと思います。違うところはやはりお互いに冷静に受けとめ、その上でしかし日中友好という大同につくという感情に走らない冷静な対応が、日本の側、中国の側、それぞれにおいて引き続き必要だと思います。
 これで最後にいたしますが、もう一つだけ申し上げたいのは、これも数年来、私ども中国の方にも申し上げ、中国も同じような認識でおりますけれども、若干きざっぽい言い方で申し上げれば、世界の中の日中関係といいますか、要するに中国も日本もまごう方なき大きな力とそして重い責任を持った国であります。そういう観点から日本と中国が協力して、あるいはそれぞれの立場でアジア太平洋の発展のために、あるいは世界の平和のためになし得るところは大変多いのだと思います。
 それは、あるいは環境の問題であり、政治の面でいけばこれもあるいは御議論があるのかもしれませんけれども、朝鮮半島の事態に対してそれぞれお互いに意を通じながらどういうふうに対応できるかということもあろうかと思います。
 要するに、日中関係の中で投資とか貿易とか文化交流、経済協力、これは大変大切なことではありますけれども、そういういわば狭い意味での日中関係の世界だけに閉じこもらないで、それは大切でありますけれども、それとともにアジアの課題、世界の課題に相携えて、あるいはそれぞれの立場で取り組んでいくということをより一層これから両国は心がけねばならないと思っております。
 いずれにいたしましても、今後ともいろいろ御指導いただきたいと思いますし、私が北京に参りました上は、特に本委員会の諸先生お一人お一人、どうぞ北京にいらっしゃって北京でまたいろいろ御指導をいただく機会を得たいと思います。ありがとうございました。
#12
○委員長(及川順郎君) どうもありがとうございました。
 次に、ハンガリー国駐箚特命全権大使糠澤和夫君。
#13
○説明員(糠澤和夫君) 糠澤でございます。五月二十日に現地に赴任いたします。
 どのくらい時間がいただけるか初めわかりませんでしたので、メモをお配りしてございます。数李も入っているものですから、特にメモの方がいいと思って用意したわけです。
 先ほど西村局長の方からお話があったように、非常に親日的な国であることは先生方御存じのとおりでございますが、そういうところに配置していただいた、命じていただいたということに、外務省それから人事権者の方々に非常に感謝を申し上げております。
 今のハンガリーは、私も、先ほど西村局長の方からお話があった経団連のミッションに加わって昨年の十月に行ってまいりましたけれども、いろいろ問題はあるけれどもかなり前途は明るいという印象を持って帰ってまいりました。ハンガリー、ポーランド、チェコ、これらが中・東欧の中で非常な先進部分ですが、その中でもハンガリーは非常に先を行っているんじゃないかということを印象づけられて帰ってまいった次第です。
 その後三月に、今度は別件でもって上智大学の猪口邦子教授と一緒にハンガリー、それからポーランド、スロベニアの三カ国に行ってまいりました。またいろいろハンガリーの方々とお話し申し上げて、そのときには向こうも薄々新しい大使がこの人になるんだということを少しわかっている人もいたという状況で行ってまいりました。意見をいろいろ交換してまいりまして、非常に私も努力のかいがある風であると印象づけられて帰ってきたわけです。
 去年の十月に行きましたときにも、大統領も首相も異口同音に今までの苦労について触れておられました。そのときに、過去七十年間の空白ないし失敗といいますか、そういったものを七年で取り戻すという努力を今までやってきたんだということを大統領も首相も申された。七年間でもって非常な政治体制の転換、経済体制の転換、それから市場の転換です。七割方コメコンに依存していたのに、今は大体六五%ぐらいですかEUの方に依存しておるし、大体貿易の五分の四はOECD諸国の方に依存している。そういうふうに大転換があったにもかかわらず社会が平静を保って、少なくともプラスの成長をずっと続けているということは非常に大したものであるということであります。
 それから、OECD諸国の中にもいろいろ債務の切り捨てとかそういうことをやった国がありますが、この国は債務の繰り延へも切り捨ても行わないできちんとやって、歯を食いしばってやっているというところは、非常に感激的といいますか感動的であるとさえ申せるというふうに存じております。
 昭和天皇の大喪の礼の際にも中欧では唯一元首が来られましたし、そういった関係で、貿易の方も中欧、東欧の中で日本との関係が一番深い。日本から見て貿易関係が一番大きい、それから伸び率も一番実質的に大きいということであります。それから投資も、先ほど西村局長から申されましたように、日本からの直接投資は中・東欧の中で一番このハンガリーに対して多いということであります。そういう現状にありますから、なるべくその関係を今後も維持し拡大するということが私の役割かと存じております。
 そのほかに、邦人の数も今ポーランドやチェコよりもずっとハンガリーにいる人が多い。最近の数字では五百人から六百人にだんだん近づいているということでございますので、私も、邦人の保護、いろんな問題が生ずるかもしれませんので、その方面については過去においてそういう経験がございませんが、その保護になるたけ意を用いたいというふうに思っております。
 今は援助の対象国ではもうなくなったわけですが、環境については特別という考慮でもって環境中心の援助が行われております。最近は円借から技術協力の方に重点が移っておりますが、その面でも中欧では最大の日本の努力が行われているということであります。先方の期待は、いろいろこちらにおられるシュディ大使やなんかとお話ししていると、やはり投資をしてもらいたいんだ、投資の相手としては非常にいいんだ、技術もありますというふうなお話であります。
 技術という点でシュリー大使がいつも申されていることは、人口百万当たりあるいは一千万当たりでもいいんですが、人口当たりのノーベル賞は世界で一番多いんだということを言っておりまして、そういうこともあるかなということで、私が経団連におりましたころはやはりハンガリーを一つの重点国だというふうに考えておりました。
 この委員会の方からいろいろな御質問があろうというふうな問題について、外務省の方から私に提示されたことがございますので、それについてちょっと意見を申し上げたいと思います。
 日本外交の評価というのを外務省の外から見てどう思っているかという趣旨の御質問がございますと思いますが、その点については、我が国は新憲法下で五十年以上国民の安全、安寧を保ってきた、これは非常に大きなことである。とにかく世界の経済大国として第二番目のような国であって、それが五十年以上も平和を保ってきている。我が国の国民も殺傷を受けることなく、また我が国も外国の人たちを殺傷することなくここまで国を維持してきたことは非常に大切なことであって、外務省の行ってきたこと、あるいは日本外交全体として行ってきたことは非常に評価に値するものだというふうに考えております。ODAの役割もその間では非常に高かったんじゃないかと思っております。
 それから、在外公館のことについて、外から見て従前の在外公館についてどう思っているかというお尋ねがあったように伺っておりますが、その点についてはまだよく実際はわかりません。これから赴任してよくハンガリーについては見たいと思っておりますが、ほかの国々について、私は過去三十年間、四十年間、経団連の生活を通じて毎年十五、六回海外に出ておりましたから、いろんな在外公館に接触しておりました。
 大体、日本の在外公館の方は、いろいろ新聞の方は批判がありますが、経済とか投資とかそういう実態については割に知識が深いです。ほかの国の経済参事官とか一等書記官とかそういった者に比べて事情について非常に詳しい、よくわかっているということを私は感じておりました。ただ、将来の方向やなんかについて分析する時間というのがもう少しあったらもっといいんじゃないか、ちょっと雑務に時間をとられているんじゃないかというふうに同情してこれまで見ておりました。
 縦割りの問題というのはよく民間から言われる、民間から言うという意味よりは新聞がそう言っているということですが、ハンガリーのようなところではそういうことはございませんかもしれませんが、ほかの国で大きな公館だと、やはり縦割りのようなことはうかがわれなかったということはなかなか言いにくいというふうな気持ちを持っております。
 しかし、私が非常に至近距離で、ワシントンでもその他の国でも在外公館の動きを見ていたのはずっと前のことでありまして、最近十年ぐらいのところは非常に至近距離でそういう縦割りの状況を見るというふうなことは余り記憶しておりません。三十年から三十五年ぐらい前は非常にそのことについて実感を持ったということだけ申し上げておきます。
 それから、在外公館と日本外交全体について、まだ結論は得ていないんですが、こういうことについて非常にこのごろ考えております。それはどういうことかというと、アメリカあるいはドイツその他の国から大臣あるいは大統領が来られるときに非常に民間人をお連れになって日本を訪問されます。この間イギリスからブレアさんが来られたときもいっぱい民間人をお連れになった。これは日本の方ではほとんどやっておられないので、これがいいか悪いかということについて非常に考えております。私は必ずしも先方のやり方が非常に効果を上げているというふうにも思わないんですけれども、あれだけの熱心さがあったらもっとよかろうにと言う人もおります。
 ただ、民間の立場から見てみると、いろんな国でチャンピオンが決まっているようなところが多いんですね。オランダとかそういうふうな国では一業種につき一つか二つぐらいのチャンピオンがいる。しかし、日本の場合はチャンピオンが多いんですね。チャンピオンクラスの会社が非常に多くて、国内をまとめるといってもなかなかまとまらない。
 そういうときに公館が主になってどこをプロモートするとかいうのはなかなかへジテートする、ちゅうちょするんじゃないかと思いますし、それから大臣がお連れになるときも商社も全部、メーカーも全部というふうになると非常に大きくなっちゃうんじゃないかというふうにも思います。
 これをどういうふうにしたらいいのかということについては私はまだ考えを得ておりません。最終的結論は得ておりませんが、委員会の皆様方がどういうふうにお考えになるかというようなことについて、御教示を賜れば参考にして物を考えたいというふうに思っています。
 以上です。
#14
○委員長(及川順郎君) どうもありがとうございました。
 次に、クロアチア国駐箚特命全権大使大羽奎介君。
#15
○説明員(大羽奎介君) 大羽でございます。
 先ほど欧亜局長より旧ユーゴ地域の専門家であるとの紹介がありました。私としてはまことに気恥ずかしく面映ゆい点もあるのでございますが、しかし私にこの任を賜ったのもそういう観点からであろうと覚悟いたしまして、そういうものとして励んでまいりたいと決意いたしております。その場合、専門家というと一体何なんだと、いろいろ知っているというのはそうなんでしょうが、やっぱりその国の人の心がよくわかる、よくかどうか知りませんがわかるということかと存じます。
 御承知のように、旧ユーゴはあのような状況の中で崩れていったわけですけれども、その間、はたから見て見ちゃおれぬようなところがありましたので、私どもも旧ユーゴの人々にいろいろ申し上げたわけです。やっぱり自分たちをよく理解してくれているなと相手が思えばそれなりに耳を傾けてくれる点がありまして、もしよく事情もわからないで説教していると思われますと向こうも説教しようとしまして、不毛なことになってしまうというケースが私の苦い思い出の中に残っております。そういう観点から多少のお役に立てばと思うのでございます。
 まずクロアチアという国を見ますと、先ほどもお話がありましたが、できたばかりの国であります。そういうものとしてクロアチアの人々は一種清新の気に満ちているといいますか、国をつくったんだ、これからやっていくんだという気迫が感じられます。私もそのような一種の機運の中でクロアチアの人々とおつき合いをして、友好関係を含めてきれば国づくりのお手伝いをしたいと思っております。
 ただ、紛争が終結したと言えるかどうか知りませんが、とにかく戦闘がなくなってからそれほど時間がたっておりません。お互いの対立感情もまだ温度が冷え切っていないといいますか、上がったままの状態のところがあります。
 例えばクロアチアとユーゴとか、そういったお互いの間の関係がもう一つまだしっくりいっていない。しかし、地政学的に見ますと、あの旧ユーゴを構成していた諸民族、諸共和国というものは、結局お互いに依存し合い助け合わなければやっていくのが難しい地域でございます。そういう観点から、民族主義的な高まりといいますか、そういう温度を下げる方向で何らかのお手伝いができればいいかと思っておりますが、その点は御承知のとおり大変難しい問題でもありますので、とにかくそういう方向を立てていきたいと思っているだけなのかもしれません。
 それから、私にとって非常にありがたいのは、クロアチアの人々の間に強い親日感情があるということでございます。日本に対する信頼感、期待感というのは非常に大きい。この点でちょっと申し上げますと、あのチトーが率いていた旧ユーゴスラビアですが、このユーゴスラビアと日本とは非常な友好関係にありまして、そのユーゴにおける日本に対する親近感、親日感情というのは非常に強いものがありました、御記憶がとも思いますが。
 そのユーゴがあのようにして分裂いたしまして、今五つの国に分かれてしまったわけですが、そのそれぞれにおいて、以前あったような人々の間の親日感情というのがいささかも減じていないということがございます。これは、我が国の外交政策がその地域の人々に対して、決して親クロアチア、親セルビアといったわけではございませんけれども、しかし、その地域の人々にフェアなものとして映っていたということの証左ではないかと思っておるわけです。
 クロアチアにもそのような親日感情というものが維持されておりますので、その点をてこにするというのも変な言い方かもしれませんけれども、よりどころというんでしょうか、そういうところからお互いの間の友好関係を深めていくよう努力したいと思っておるわけでございます。
 簡単でございますが、以上であります。
#16
○委員長(及川順郎君) どうもありがとうございました。
 それでは、これより質疑を行います。
 本日は、あらかじめ質疑者を定めず、委員各位に自由に質疑を行っていただきます。
 質疑を希望される方は挙手を願い、私の指名を待ってから御発言願いたいと存じます。
 なお、時間が限られておりますので、より多くの委員が発言できますよう、委員各位の御協力をよろしくお願い申し上げます。
 それでは、質疑のある方は挙手を願います。
#17
○宮澤弘君 自民党の宮澤です。
 これから任地に赴かれるお三人の方、大変御苦労さまでございます。
 三人の方それぞれに私伺いたいことがありますが、時間の関係もありますし、また伺う方も多いと思いますので、一つだけ糠澤さんにちょっと質問を申し上げたいと思います。
 私は、この際糠澤大使がハンガリーにいらっしゃるということは、御本人にとっても、今まで御経験になった経済の問題を頭に置いて御活躍になるということの非常にいい機会だと思いますが、同時に外務省にとっても非常にいいことだと思うんです。いろいろ長いこと申し上げませんけれども、やっぱり外務省以外の経験、知識を持って活躍された方が在外公館の責任者になって行かれるということは、今後の日本外交あるいは外務省の立場を考える場合に大変私はいいことだと思います。
 先ほど、もう少し館員に時間をやりたいをと、やっぱり雑務に時間をとられ過ぎるとおっしゃいましたけれども、これは一時外務省に国会議員なり公務員なりのツーリストビューローみたいなことをやっていただいた、やらざるを得なかったという時期がございました。しかし、最近調査員ですか、随分増強されましたものですから、本来の外交の仕事に専念される時間が多くなったということだと思いますけれども、その辺もひとつ十分見てきていただきたいと思います。
 それからもう一つは、縦割りのことをおっしゃいまして、大変遠慮深い言い方で、新聞によればというようなこともおっしゃった。だけれども、恐らくこれまでずっと経団連においでになってそういうことをお感じになったに違いないと私は思うんです。今度は外交官の立場、外務省の立場でいろいろお仕事をされると思います。
 私は、糠澤大使が向こうへ行かれ、私どもが期待を申し上げる一つの使命は、無論外務省、外交官の立場で物を見、お仕事をされるんですけれども、同時に、今までとは違った世界においでになった、そういう立場で公館長として仕事をなさる、そして、それをまた外務省にも御報告になって、外務省が今後大きな見地から物を見るというようなことのよすがとされるということが、私は大使がハンガリーへ行かれる非常に重要な使命ではないかと思いますが、それについて御所感だけを賜りたい。
#18
○説明員(糠澤和夫君) 今の宮澤先生のお言葉、本当にありがとうございます。私も今のようなお言葉の背後にある、いろいろな日本の外交の成果を今までよりもまた一段と拡大し、国益を増進させたいという見地からのお話と思います。私も拳々服膺して、その点を心がけて、私に何か得た所感があれば、欧亜局長、外務大臣、それから委員会の皆様に御報告申し上げたいというふうに思っております。どうもありがとうございました。
#19
○広中和歌子君 どうもお三人の大使、御就任おめでとうございます。そして、今後の任地での御活躍を心から御期待申し上げております。
 最初に谷野大使にお伺いしたいんですが、今までインド大使でいらして、そして今度中国に行かれるわけですけれども、インドの場合は明らかに親日的な国であると。日本に対する基本的な尊敬の念というんでしょうか、特にアジアの中で日本が果たした役割について非常に高く評価しているわけですが、中国は逆に日本に対して恐れと警戒感というのを戦争中の体験を含めて持ち続けている国であると思いますので、一方で非常にやりにくいんではないかと思います。
 しかも、沿岸部と内陸部の格差であるとか、環境汚染とかさまざまな問題を抱えている中で、しかし、いや応なしにこの国は大国でございまして、そういう中での大使の日本国を代表してのお役割というのは大変だろうと思います。
 最後に大使がおっしゃったこと、非常に私も関心がございまして、もうちょっと突っ込んでお聞きしたいわけですけれども、防衛庁との対話ということを含めて相互理解が非常に大切だとおっしゃいました。それと同時に、米国と中国あるいはロシアと中国、日本と中国、そして全体としては日中米ロのこの四極ですか、そうしたマルチな関係の中で、世界平和を築いていくという方向の模索が非常に大切だろうと私も認識しているわけでございますけれども、この点に関しての御所見、もうちょっと深く突っ込んでお聞きできたらと思います。
 それから糠澤大使、私も宮澤先生同様に本当に御就任を喜んでおります。経団連御出身の民間大使ということで、恐らくもうハンガリーからも非常に期待されておりますでしょうし、日本の財界からも大いに御支援の声が上がっているんじゃないかと思います。ぜひ新たなすばらしい関係を築いていただきたいと私は願っているわけでございます。
 当然期待されるのは経済関係だろうと思いますが、糠澤大使御自身としてはどういうことを考えていらっしゃるんでしょうか。経済に特化した交流というものを考えていらっしゃるのか。ハンガリーというのは当然EUに参加しますね、今度。そういう中で、EU全体とのかかわりみたいなものの中で、糠澤大使が外務省に対してあるいは日本国に対して貢献できることは何なのかと、もし御所見があればお伺いしたいなと思います。
 大羽大使につきましては、同僚議員が質問させていただきますので、ちょっと時間の都合で失礼させていただきます。
#20
○説明員(谷野作太郎君) インドにつきましては、広中先生もおいでいただいて環境問題で大変いい講演をしていただきました。私、ああいうことこそがもっともっと、中国はもとよりですけれども、日本との間で単に資金協力とかそういうことだけではなくて、ああいう知的な関与といいますか、知的な交流こそが必要だと思っておりまして、講演会においでいただいたことは今でも懐かしく思い出します。
 きょうはインドの話をするために来たわけではありませんけれども、一つだけ申し上げれば、大変おっしゃるように日本に対して思い入れがある国でございまして、御存じの方は御存じでありますけれども、昭和天皇がおかくれになったときに、三日間半旗を掲げて喪に服した大変数少ない、ほとんど唯一の国でありました。それほど、いろんな意味で日本に対して思い入れの深い国であるということは申し上げておきたいと思います。
 そこで、中国でありますけれども、確かにおっしゃるようにいろいろ難しい問題があったし、これからもあるんだと思いますが、これは日本が中国との間に一時期持った不幸な過去というものにやはり起因しておる。しかも、その当時の人がまだ御存命でありますから、これを忘れて横に置いてというわけにはなかなか恐らく中国の側ではまいらないということもよくわかります。
 どこの国を相手にするにも、学者がよく言う与件といいますか、そういうものがあるわけで、やっぱり中国との関係ではまだまだそういう過去をめぐる問題というものがある。それから逃れられないと。悔しさといえば悔しさでありますけれども、一つの与件なんだと思いますし、そこは真剣に受けとめて、お互いに努力しながら、しかしそこにとどまらず、それを乗り越えて先に進むことをしなければいけないと思います。私は日中関係は間違いなくかねてよりそういう方向に着実に行っておると思います。
 環境の問題は、広中先生に申し上げるのは釈迦に説法といいますか、生徒が先生に申し上げるようなことでありますけれども、環境の問題というのは、特に中国の場合はこれは本当に人ごとではないと思います。しかるがゆえに、日本もいろんなお手伝いをすべきでありますし、お手伝いをする計画ができつつあります。
 かねてより北京には、日本の経済協力で環境保護センターでございましたか、そういう大きな施設がございまして、ここに対して存分の協力をいたしております。たしか先般、橋本総理と向こうの当時の李鵬総理との間で、そのレベルでお約束が、合意ができまして、中国の環境問題について日本として存分の協力をしていくということも合意されました。
 日米には日米のコモン・アジェンダというのがございますが、この環境に日本と中国がともに取り組むというような、日米コモン・アジェンダのいわば日中版かとも思いますけれども、幾つかのことがございます。
 例えばモデル都市を選んで、そこに日中で協力して日本側からはODAその他での協力をさせていただいて、環境問題の解消、緩和に取り組むということで、たしか重慶と、貴陽という貴州の都がございますけれども、貴陽というところと、それと大連でありましたかその三つの都市をモデルに選んでこれからいろんな具体的な協力が始まるということになっております。そういうことは私は非常に意味のあることだし、大切だし、そういうことを両国の最高レベルで合意されたということは大変意味のあることだったと思います。
 日米中ロとよく言います。これはそれぞれの国、国力を考えてみましても、アジアというところだけをとってみましても、ここでこのアジアの平和なり安定なり、さらには発展にそれぞれの国がなし得るところは非常に大きいのだと思います。
 したがって、アジアでの日米中、それにできればロシアも加えての協力、対話ということがよく言われるわけであります。私は、そこでぜひともそうあってほしいと思うのは、例えば日米中ということをとった場合に、この関係が、英語で恐縮ですけれども、ゼロサムということを言いますけれども、そういうことであっては決してならない。
 具体的に言えば、米中がよくない方が中国に対しては日本の存在感が増すではないかと。これは私は非常に誤った考え方だと思っております。また、日米関係がきちんと前へ進むということは、これはやはり中国に評価してもらわなければいけませんし、これを操作するということはもちろんこれもあってはならない。要するに、日米中がお互いにゼロサムではなくてプラスサムといいますかそういうことでなければいけないと思いますし、そのための対話でなければいけないと思います。
 中国政府は、まだまだ政府自体はそういう三極、四極の対話というのは慎重な面があるようでございますけれども、他方、ようやく改革・開放のあれでしょうか、向こうにもこの種のことにたえる民間といいますか研究機関が幾つか出てきております。あれはセカンドトラックとかいうんでしょうかそういうことで日本、中国、そして米国、その間のいわばシンクタンク、民間の有力な有識者の間での会合が今までも持たれております。具体的には、私の承知するところでは来る七月にも大変いいメンバーをそれぞれの国が選んで、たしか日本でだったと思いますが、日米中の間でそういうアジアの安定、朝鮮半島の平和、これを一体どうしようかという会合があるやに聞いております。こういう試みというのは、私は今後ますます必要だと思っております。
#21
○説明員(糠澤和夫君) 経済の交流に努めることはもう当然でございまして、先方の希望の一番大きいところ、期待の一番大きいところはそこにあるというふうに思っていますから、特に投資、貿易いずれの面についても今の好調さを持続してあげたい、それに助力してあげたいというふうに思っています。
 貿易面では、特に昨年はハンガリー国からの輸入が二倍になりましたけれども、引き続きこの好調さを続けてあげたい。一時的なものでなくてビデオとかビデオの部品であるとかコンピューターの部品であるとか、日本の国内の生産構造に組み入れられたようなものがふえておりますので、非常に心強いというふうに思っております。
 ただ、もちろんそれだけにとどまりませず、やはり親日国であるハンガリーの現在の気持ち、それを大事にして文化交流の方もできるだけ心がけたいというふうに思っております。経済の交流のために文化交流があるというふうにも考えておりませんで、文化交流はそれだけで意義があるというふうに思います。いろんな例がハンガリーと日本の間にございます。ハンガリーで一番有名な指揮者が日本人の小林さんという人がやっておられますが、そういう例。
 それから、大統領が今森鴎外の「雁」という小説を翻訳しております。それから「みづうみ」という、これは川端康成の小説ですが、それも翻訳しておられますし、こちらにいるシュディ大使も「海と事業」という遠藤周作さんの小説を今翻訳中であります。これは日本語からの直接の翻訳になっております。そういうわけでございますし、私が信任状を奉呈する今月の二十七日には、大統領が高円宮殿下の童話を翻訳して、その翻訳の公開の式典があるそうで、それに私もお呼ばれしてございます。
 先方の指導者がそういうところを通じて日本と仲よくしたい、親日の度を深めたいという希望は捨てがたいというふうに思います。そのことについて非常に努力いたしたいと思います。
 それから、EUの問題ですが、EUにハンガリーが入っていくということについては、日本もそれを支持し、かつ助力してあげたいというふうに思います。その入る過程において、いろいろ今までハンガリー国が日本国との間で企業ベースでもっていろんな補助あるいは援助を受けてきたことがEUスタンダードに乗らないという可能性も出てまいるわけでございまして、その点についてその両者の利害の調和を心がけたいというふうに思っております。
 それから、EUに加盟するに当たって、ハンガリー国の方では輸送とか農業とか環境とかいうのが、一つのネックになるということが担当の大臣からの発言に新聞上うかがわれるわけです。特に環境については、日本のような環境先進国が非常に努力してあげて協力してあげるということが、先方のEU加盟をスムーズたらしめるだけではなくて、やはり親日の度を深め、ひいては長い将来では、環境関連産業の日本からのいろいろ権益あるいは利益にもつながるということがございますので、その点については非常に努力したいと思います。
 いずれにしろ、お励ましありがとうございます。
#22
○高野博師君 それでは、三人の大使に一つずつお伺いしたいと思います。
 まず、中国の谷野大使ですが、中国の関係は、香港の返還があってから来年はマカオの返還も成るということで、これも順調にいくという見通してあります。その後中国はやっぱり中台の統一に最大の努力を注ぐのではないかと思われます。中国はかねてから台湾問題というのは内政問題だということを主張して、日本も日中共同声明でうたっているとおりであります。先般、久間長官が訪中されたときに、台湾は新ガイドラインの対象にすべきではないということを強く主張された、そういう報道がされております。これから関連法案の国会審議の中でも、いろんな過程で大使が中国政府に説明を求められるというようなことも恐らく多くなるのではないかと思うんです。
 一方で、大使も今お話しありましたが、米中関係については江沢民の訪米に続いて今度は六月にクリントン大統領が中国に行かれるということで、米中関係も相当進展するのではないか。これは政治的、経済的あるいは防衛上の交流も発展するのではないかと思われるんです。日本の頭越しにいろいろ両国関係が進むということはないとは思いますが、この米中両国の大国のはざまにあって、我が国はどのように存在感を示して、そしてアジアの平和と繁栄に貢献できるか、これが問われるのではないかと思うんです。
 先ほど大使が世界の中の日中関係という視点が重要だというようなお話をされたと思うんですが、米中日の関係の中で一番ネックになるのは、日米関係というのは同盟関係だということでありまして、特に軍事的な関係が強くなってきているという点が、これからのこの三国あるいはロシアも含めた四国関係の中で一つのネックになりはしないかという考えを持っておりますが、その点について大使のお考えを伺いたいと思います。
 それから、ハンガリーに行かれる糠澤大使でございますが、経済関係に力を入れるのは結構ですが、経済というのはほうっておいても動く部分があると思うんです。ただ、文化関係とかほかの分野では相当の努力をされないと動かない部分もあると思うんです。
 ハンガリーというのはアジア系民族で一番西の東洋人だとも言われておりまして、西暦二〇〇〇年には建国一千年ということが言われております。言葉もウラル・アルタイ語系の非ヨーロッパ系の言葉だということで、また一生に一度も詩を書かないハンガリー人はいないというぐらい文化的な教育立国だと私は思うんです。義務教育も六歳から十六歳まで、無料でやっている大学も多い、そういうことも聞いております。それから、ノーベル賞を受賞した人が十三人もいるということで、文化大国、教育大国ではないかと思うんです。
 そういうことも含めて文化交流、教育交流が非常に重要ではないかなと私は思うのでありますが、その点と、大使は在外公館で館員に分析の時間をあげたいということをおっしゃっていますが、大使自身はどういう仕事をされたいのか。
 これは私の所見でありますが、任国に行って大統領とか首相とか外務大臣、これといつでも会えるという関係、人脈をつくるというのが一番重要ではないかなと。外務大臣に会うのにアポイントメントをとって一週間後にしか会えないというのでは、これはもうだめだと。そういう意味では、そういう関係を築ければ大使としては僕は成功がな、そういうふうに思っております。
 それから、クロアチアの大羽大使は現地によく精通されておられるということですが、民族的な宗教的な対立というものが、先ほどのお話では温度がまだ高いということで、それを下げる努力をされるということでありますが、こういう民族的な対立を乗り越えて共生とか共存ができるために何が必要だとお考えなのか。私は、やっぱり教育ではないかと。
 先ほど国づくりというお話がありましたが、教育の中でやっぱり人権教育とか環境教育とか平和教育とか、そういう教育が大事ではないかなと私は思っておりますが、大使の所見を伺いたいと思います。
 以上です。
#23
○説明員(谷野作太郎君) 最初のお尋ねのガイドラインでございますが、これはすぐれて東京の話でありますので、アジア局長から後ほど補足をしていただきたいと思います。私が承知する限り、どういうふうに説明するかというお話だったと思うんですが、現地の大使としては、これは橋本総理御自身が李鵬さんにも繰り返し申されたことでありますけれども、第一点は、何も特定の地域や国を想定してやっているわけではありません、日米の防衛の協力のあり方に関する一般的な大枠を定めようとするものだというのが第一点。
 そして、総理がそれに続けておっしゃったのは、いずれにいたしましても、台湾をめぐる問題というのは両方の側の中国人同士の間で処理すべき問題、基本的にはそういう問題であり、日本はそういう立場をとっている。そして、日本はそういう前提で、これは正常化以来強く中国の人たちに言ってきているのは、この問題が平和的に解決されなければいけない、そういう方向こそぜひ目指してほしいということを言っておるわけで、現地の大使としてはそういうことを引き続き総理の言葉をなぞりながら言っていくのかなと思っております。私も全くそういう感じでおりますものですから、何かいろんなそれと異なる前提を置いての議論というのは私は適当ではないというふうに考えます。
 それから、米中の進展のお話がございました。
 確かにクリントン大統領が行けばいろんなことがございましょうけれども、先ほどもちょっと申し上げましたように、日中関係を維持し、さらに前に進めるという点をとりましても、米中関係が非常に悪い状況では日中関係自体にいろんな制約が出てくるわけでございます。日中関係が前に進むということはやっぱり良好な米中関係がその裏で必要なわけでございまして、何かクリントン大統領が行かれる、米中が頭越しにどんどん行ってしまうというふうには、私はそこまでは心配しません。いろんなことがありましょうし、いろんな協定も結ばれましょうけれども、それはそれできちんと受けとめて、それがゆえに日中は後に置いていかれるというふうには私は考えない方がいいと思います。
 ただし、おっしゃいましたように、頭越しということであってはいけないと思いますから、オルブライト長官も訪中前にいらっしゃっていただきましたし、私は事務当局でいいんだと思いますが、クリントン大統領の訪中の後にはどなたか事務レベルの方においでいただいて、東京でゆっくりお話を伺うということは、これは当然あってよろしいのだと思います。
 いずれにいたしましても、日本が中国との間で存在感をどうやって高めていくかというお話だったと思いますが、私は、何よりも必要なのは、中国が今一生懸命進めておる改革・開放において、そういう面において日本が引き続きいろんな面できちんとした存在感を持っていくということだと思います。
 それから最後に、日米同盟と日中風係のお話がございまして、これが障害になるというお話でございましたけれども、私はそのようには考えません。
 正常化の折、先生には釈迦に説法でありますけれども、日米安保条約というものをきちんと受け入れた上で七二年に日中は正常化の道をとったわけでございます。そこの基本的なところというのは変わっていないと思いますので、日米同盟といいますかそれが今後日中関係の大きな障害になるというふうには私は考えません。
#24
○説明員(糠澤和夫君) 二つの点について先生からお尋ねがあったと思いますが、最初の文化・教育交流の大事さ、その点は私も同様に考えております。
 今、日本語教育が非常にハンガリーでも盛んですし、その近隣国、例えばスロベニアとかポーランドとかそういったところでも非常に盛んでございます。日本語を勉強する人が非常に競争率が高いところをすり抜けて入ってきている、勉強しているというふうな状況で、私どももどうしてそんなに日本語を勉強する人が多いんだろうかというふうにびっくりするぐらい多いということであります。
 それで、昨年の十月に行きましたときに、向こうで何かやってあげることがありますかと言ったら、日本の本が高くて買えないと。私どもにとっては二千円にしろ三千円にしろ大した本ではないと思いますけれども、向こうの人の収入からするとやっぱり二千円、三千円というのは大変な額なんだということをおっしゃったので、この間、三月に行ったときに五十冊本を持っていきましたが、今度もまた赴任に当たってあと五十冊追加して持っていくというつもりであります。
 いずれにしろ、そういうふうにして日本語を勉強する人が日本語から直接に日本のいろんな文化、経済、芸術、そういったものに触れる機会をなるべく多くつくってあげるということに尽力したいというふうに思っております。
 二番目の人脈の形成について、非常に重要であるということはしかと胸に受けとめました。非常に大事なことであると思います。
 今度の信任状の奉呈につきましても、初めはもっと時間がかかるんだというふうなお話でしたが、赴任後一週間を出ずしてその信任状奉呈の機会が得られるというふうなことで、非常に先方も日本に対して親日的な気持ち、態度を示してくれておりますので、それのベースに立って人脈を形成していきたいというふうに思いますし、人脈についてもいろんな層がございますので、層も多様化していきたい。
 それから、見方についてもいろんな見方でハンガリーを見るようにしたいということで、非常にドイツの影響の強いところでございますけれども、フォーリー大使に頼んでアメリカの方はどう見ているかということ、それからイスラエルの大使に頼んでイスラエルあるいはユダヤ人の立場からはどう見ているかというふうな情報も得たいというふうに思っております。
 いろいろな人脈と、それから情報源の涵養に努めたいというふうに思っています。
 どうもありがとうございました。
#25
○説明員(大羽奎介君) まだ民族感情の温度が高いのでそれを冷やそうということだが、どういうふうにして冷やすのかという御質問だったかと理解いたします。
 おっしゃいましたとおり、まだあの紛争の余韻が残っております。例えば、クロアチアとその南にあるユーゴ、セルビアが中心でございますが、その間には外交関係が開かれましてお互いに大使を交換しているのでありますけれども、しかし、国と国との交流、経済、文化、人的交流、そういった面から見るとほとんど何も進んでいないという状況であります。それはまだそこまでの雰囲気ができていないからであります。
 先ほども申し上げましたとおり、これは両国の国民にとって大変不利といいますか損なことでありまして、お互いに補完できる市場が隣にありながら全く関係がないという状況が続いていると、ほかの国の経済発展から取り残されてしまうということはもう目に見えているわけであります。
 そういう点で思い起こされますのは、あの旧ユーゴで紛争が始まりましてだんだんと分裂に向かっていったときに、人々はもちろん分裂すると経済的あるいはいろいろな面で損をするということは十分意識にあったわけでありますけれども、にもかかわらず民族感情の燃え上がりによって、そういう合理主義的な考え方が押し流されて分裂に走っていったということが考えられます。
 それが一つ決着がつきまして五つの国ができているわけですけれども、その一つ一つの国が今度は経済的な発展あるいは文化的な発展をそれぞれやらなければならないという状況になりますと、やはり民族主義ではなくて経済合理主義的な考え方が台頭してくる。その過程に今あるんではないか。しかし、またそれが十分ではないという状況でございます。
 ですから、私どもは機会ありますごとにそのようなことを申し上げてみるのでありますけれども、それと同時に、例えば我が国とクロアチアなりセルビアなりボスニアなりの経済関係が発達いたしますと、その過程でやはり経済合理主義的な考え方が強まっていく。そのことによって、やっぱりこうやって対立を続けていても損するばっかりなんだということがだんだんと浸透していって、次第にあの地域が通常の安定した国になる。そう簡単にいくかどうかはにわかに断定はできないわけでありますけれども、そういう方向で私も努力したいと思っております。
#26
○委員長(及川順郎君) ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#27
○委員長(及川順郎君) 速記を起こしてください。
 それでは、質疑のある方はどうぞ。
#28
○鈴木正孝君 自由民主党の鈴木でございます。
 三人の大使、御着任大変おめでとうございます。また、こういう大変動きの激しいときでの赴任ということで大変御苦労がこれから多いだろうというふうに思いますが、三人の大使に一つずつちょっとお伺いし、感想なりなんなり御所見をいただければと、こう思います。
 初めに谷野大使、中国の前がインドということでもございますし、昨年来、東アジア、北東アジアの通貨・経済の危機が非常に懸念されているわけでございます。どうも日本から見ておりますと、経済的な観点でかなりそれを重点的に見ているというような感じもするわけでございますけれども、日本からの経済活動等を考えれば当然といえば当然なのかもしれませんが、もう少し幅広く、地域の安定といいましょうか安全保障、政治、軍事の観点を加味した見方というのもやはりあった方がより現実的だろうというふうに従来から私は思っているんです。
 そんな中で、特に最近インドネシアの国内情勢が非常に深刻で、暴動のこの二、三日の流れを見ておりましてもそういうような状況に見えてくる。インドネシアの経済そのものがかなり中国系の人たちによって運営されているというようなところもある。そういうことを考えてみますと、暴動の余波がどういう波及をしていくかということ自身が中国ひいては日本そのもの、あるいはもう少し幅広く言えば日米関係にも必ず影響をしていくに違いないと、私はそう思っているんですが、その辺の御見解をぜひお聞かせいただければありがたいというふうに思います。
 それから、ハンガリーの糠澤大使の御経歴は、先ほど来のお話をお伺いしておりましてももう通商経済の関係ではまさにうってつけの方だろうというふうに実は思います。もちろん日本国をしょって立っていただく代表の大使でございますので、大変言いにくいことを言わせていただければ、やはりこれも政治、軍事ということを含めまして、先ほど教育だとか文化だとか環境だとかというお話もありましたけれども、そういう観点で見てまいりますと、ハンガリーの民主化のために払われた血のにじむような努力というものは、これは大変なものがあると思うんです。これは私どもの想像を絶するようなものだろうというふうに思っているわけでございます。
 先ほど欧亜局長から話がありましたけれども、NATOの東方拡大の道筋も一応流れができたというようなこと、それに対してロシアの懸念、反発というものも相当なものがあるわけでございます。そういうことをもろもろ考えていきますと、どうも通商経済だけではぐあいがよくないような地域環境、全体環境にあるのではないかなということも言えるのではないか。
 そういうことが、日本に対してNATOは違いヨーロッパのお話ですよというような時代は遠い過去のものになりつつあるような感じが最近とみにしているわけでありますが、そんな中での御見解をぜひお伺いしたい、そのように思います。
 それからクロアチアの大羽大使は、大変地域の政治経済は御専門ということでもございますので、そういう意味では関連する地域の火種の一つ、最近特にいろんな形で話題になっております。
 実は先月、私もIPUの会議でナミビアに行きまして、そのときにやはりコソボ情勢の話が緊急課題のような形でテーマになりまして、大勢の方々が大変心配をしているというようなことでもあります。そういう中で、ユーゴそのものについては二年ほど前の九月だったと思いますが、OSCEというような機関が関与して成功に導いていったというようなことで、恐らくあの地域に関してはそういう問題も出てくると思うんです。ですから、その辺のコソボ情勢とその解決についての全体の御見解をぜひお伺いしたい、そのように思います。
#29
○説明員(谷野作太郎君) インドネシアは私直接の担当でもございませんので、アジア局長から御説明した方がよろしいかと思いますが、確かに、おっしゃるように通貨危機、タイあるいは韓国が一応の一番苦しいところを乗り切ったのかなと思われる中で、あえて言えばインドネシアについてはまだまだ毎日のテレビを見ましても心配な局面が残っておるのは事実でございます。そういうインドネシアに対して中国もいろいろな協力の手を差し伸べておるという状況ではないかと思いますし、そういう中国の立ち回り方を私は評価していくべきだと思います。
 中国については、もう一つなし得ることは、この地域の安定とおっしゃいましたけれども、やはり巷間言われる元の切り下げはしないということなんだと思います。朱鎔基さんがあれほど力強く何回も言っておられますし、私はこれをやることによって中国は、政治的な中国に対する世界の信頼を失うということについて痛いほどわかっておるがゆえに、朱鎔基さんのいろんな場でのああいうステートメントになっておるんだと思いますし、私は、朱鎔基総理のその言に我々は信をおいていくといいますか、そういうことでなかろうかと思います。
#30
○説明員(糠澤和夫君) 今の鈴木先生のお諭し非常に身にしみました。その点は非常に拳々服膺して勤務したいというふうに思います。
 近くハンガリー国で選挙が行われます。それで、第一次選挙、第二次選挙があって、下旬には大体の趨勢がはっきりすると思いますが、そこにあらわれてくる国民の政治的選択というものを観察し分析し、かつそれと日本の政治的な利益、NATOについてもしっかりしたNATOというものがやはり日本の利益でもあるし、そういった点から観察し、先方と意見を交換し、我が方の意のあるところを知らしめたいというふうに思っております。
 いずれしろ、ありがとうございました。
#31
○説明員(大羽奎介君) コソボについての御質問でございました。
 御承知のようにコソボはセルビアの一地方でございますが、そこにアルバニア人がたくさん住んでおりまして、その数は既に人口の九割になっているところでございます。ですから、そこのアルバニア人は、自分たちがほとんど全部なんだからこれで独立すべきだ、あるいは自治を獲得すべきだという意見が非常に強い。
 一方、セルビアの側は、歴史的に見ても国際的にも認められたセルビアの古来の領土なのであって、独立ということはできない、自治については話し合おうじゃないかと言っているんです。しかし、アルバニア人にしてみれば、セルビアの方は圧倒的に権力、武力を持っているわけですから、話し合おうと言っても対等の話し合いにならない、ぜひともアメリカまたはEUあるいは国際社会が同席の立ち会いのもとで対話をしようじゃないかと。
 ところが、セルビアはこれに対して、固有の領土の中の問題を話し合うのにどうして国際機関が入ってこなきゃいかぬのか、そういう主張でございまして、これはもう御存じのとおりで、大変今行き詰まっております。その中でアルバニア人の不満がだんだんと高まっていきまして、武力抗争に走るという勢力も出てきました。そうしますと、これを今度はセルビアの側が警察力を行使して弾圧すると国際的に問題になる、セルビアに対して制裁をすべきである、そういうふうな話になっているところでございます。
#32
○竹村泰子君 三人の大使、御赴任前の大変御多忙な中ありがとうございます。
 私は、五年間に及んだ内戦の末に五つの国に分裂した旧ユーゴスラビアのクロアチアに御赴任なさいます大羽大使に御質問申し上げたいと思います。もう一つは、実はお隣の韓国で金大中という新しい大統領が生まれましたことにつきまして、日本のこれまでのさまざまな経過からの質問をアジア局長にさせていただこうと思いましたが、まだ同僚議員が大勢質問者として残っておられますので、それはまたの機会にさせていただきます。大変アジア局長申しわけございません、残念でございますけれども。
 クロアチアの問題につきましては、本当に旧ユーゴ内戦の克服、民族の統一というのは果たして可能なのだろうかという悲観的な論調もあります中で、旧ユーゴスラビアは非常に親日的な形でこれまであったわけですけれども、クロアチア問題というのは非常に遠い問題だったかなと思います。その中で、例えば九四年に当時の柳井外務省総合外交政策局長を団長とする調査団が旧ユーゴに行って、そしてクロアチア難民センターというのをつくられた。一千人収容できるという非常に大きな難民センターで、今も所長の松元さんですか、非常に奮闘してくださっております。
 それから、旧ユーゴスラビアの中では、例えば四千人から五千人の人々が地雷その他で手足を失った。特に子供たちの被害が非常に大きいわけでありますけれども、義足義手、そういうものは成長期の子供にとりましては一年に何回もかえなきゃならないというふうなことで、医療、薬品あるいはそういった手助け全体につきまして、難民問題、医療問題について、これから御赴任前でありますけれども、御専門家でいらっしゃいますから、どのように日本の国が支援をしていけばよいとお考えか、どんな御決意をお持ちでいらっしゃるか、お聞かせ願いたいと思います。
#33
○説明員(大羽奎介君) 御指摘のとおり、紛争の過程で多数の難民が発生いたしまして、そのうちの多くの人々が傷ついたり病に倒れたりして医療援助が必要な状況にあります。こういった状況につきまして、我が国はその紛争の当初より大変な努力をいたしまして援助を行っております。額で申しますと、旧ユーゴ紛争発端のときから現在に至るまで人道援助と言われるものは既に二億ドルを超えていると承知しております。
 このような日本の努力は、国際社会においてもよく知られ、非常に認識されているところでございます。その点は私どもも非常にいいことだと思いまして、今後もそのように難民支援の政策というものは、非常に厳しい財政事情ではありますけれども、できるだけ続けていただければありがたいと思っております。
#34
○田英夫君 谷野大使並びにアジア局長、どちらでもいいんですがお答えいただければと思いますのは、最近ある新聞で、一紙だけなんですけれども、北朝鮮の金正日総書記がこの秋中国を訪問するという記事が出ておりまして、これを外務省は承知しておられるのかどうか。言うまでもなく、そういうことが事実とすればかなり冷え切っていた中朝関係が変化してくるという兆しかもしれませんし、この問題についてお答えいただきたいと思います。
#35
○政府委員(阿南惟茂君) ただいま先生おっしゃいました金正日総書記の中国訪問の件でございますが、私どもは確認した情報を持っておりません。中国側に、この間胡錦濤国家副主席に随行してまいりました対外連絡部の部長、それから実は私、昨日北京におりましたが、外交部のアジア局幹部にも尋ねましたけれども、少なくともそういう事実を中国側が確認したということはございませんので、確認しないだけでそういう話が進んでいるのかもしれません。しかし、私どもしかとした情報は持っておりません。
#36
○立木洋君 谷野さんは中国問題の専門家ですからあれですけれども、経済の問題で、新しい体制ができていろいろ問題点が出ているのでお尋ねしようかと思ったんですが、時間の関係で省きます。
 ただ、よく中国の方が言われる話の中で、もう過去のことは水に流しましょう、そして前向きで。進みましょうという話を一方ではよくされます。しかし、もう一方では、我々にとって歴史上忘れてはならないこともあるんです、そのことはしっかり我々は忘れることができないんだということも言うんです。これはもう中国の専門家ですから、何を言わんとしているかということは谷野さんおわかりだと思うんですが、今いろいろ問題が起こっております。先ほどの米中日との関係の問題等とあわせまして、周辺事態の法案の問題等々もあって、台湾問題がどうなるのかというふうなこと等もあります。
 それから、もう一つの問題としては、今大変な問題になってきていますが、まだ表面化というか全般的に広がっていない、遺棄した毒ガスの処理の問題、これは莫大な金がかかるんですよ。私も非常に関心を持っていまして再々聞いているんですけれども、こういう問題等々についてもやっぱり適切な対応が必要になるだろうと思うので、経済の問題は省いて、一応そういう中国側の態度に対してどういう基本的な姿勢でお臨みになるのか。もうお答えは半分はわかっているようなつもりでいるんですけれども、お聞きしておきたい。
 それからもう一つは、ハンガリーの糠澤さんにお尋ねしたいんですけれども、経済の問題については先ほどおっしゃったとおり中欧七カ国の中で最も進んだ国の地位を占めていますし、いろいろ投資の問題、貿易の問題等々にしても第一位と。我が国との関係とかそういう点はもう専門ですから、お尋ねする必要は私はあえてないだろうと思うんです。
 あそこのジュラ・ホルンという首相、彼はかつての社会主義労働者党の国際部長をやっていたんです。私は何回も会談していますからよく知っているんです。それで、早い時期から市場経済といいますかハンガリーはハンガリーの形に合った道に進めたいという考え方を持っていたということは御承知だろうと思うんです。これはハンガリー事件とのかかわりもあったと思うんですが、そういう経過の中で、今度九九年からNATOに加盟するんですね、ポーランド、チェコ、ハンガリーが。
 ところが、いろいろな資料を調べてみますと、一年間に使う軍事費は倍増になるんですよ。この軍事費が倍増になるという問題は、ハンガリーで今順調に進みつつあるいわゆる経済の伸展に対してどんな影響があるんだろうかという問題については、やっぱり見ておく必要があるんじゃないかという気がするものですから、ちょっとお尋ねしてみたいというふうに思います。
 それから、最後にクロアチアの問題なんですが、クロアチアはユーゴの北部の方に位置を占め、ユーゴスラビアの中では比較的経済的にも安定している。私も訪問したことがありますからよく知っているんです。今問題になっておりますボスニア・ヘルツェゴビナの平和安定軍、これは六月で期限が切れるんですけれども、しかし引き続いて駐留するというふうな話になっております。
 これについての残留の規模をどうするのか、どういうことを主目的にするのか。これはもう御承知のように、イスラム教徒、セルビア人、クロアチア人の三民族の敵対的な行動があって停滞してきて、いろいろな難民問題あるいは国際法廷等々の問題がどうも進行しなかったというふうな事態があったんです。
 こういうボスニアの和平問題に対して、日本の大使として今後どういうふうなお考えで、直接どうこうするというふうなことではないでしょうけれども、どういうふうなお考えで臨んでいかれるおつもりなのか。その三点です。
#37
○説明員(谷野作太郎君) 過去の問題は、戦後五十年のときに、時の村山内閣できちんとした政府としての統一の考え方が示されましたし、これは閣議決定だったと記憶いたします。当時、今の橋本総理も閣僚であられて、その後総理は、あのときの談話というのは自分の認識でもあると繰り返しおっしゃっておりますし、私の考え方と言うと生意気ですが、もう全く同じでございます。
 中国人はよく過去をもって将来に向かっての先生というかかがみとなすということを言いますけれども、私はやっぱり過去をきちんと見詰め、それを見詰めてたじろがないだけの勇気は我々一人一人が持つべきなんだと思っております。しかしその上で、そこを乗り越えて未来へ進まなければいけないというのが私の基本的な考え方であります。
 遺棄兵器の問題は、積極的な取り組みが始まっているようでございますから勇気づけられております。これも予算等がございますので、政治のレベルでいろいろ御指導を得なきゃいけない問題だと思います。
#38
○説明員(糠澤和夫君) NATO加盟に伴う軍事支出の財政に与える影響というふうな観点からの御質問と思いますが、手元に資料がございませんが、なるたけ早くそのことを勉強してみたいと思います。
 必ずそうなるのかどうか、今のところは財政赤字自体はGDPの大体四・五から五の間ぐらいで推移していますのでそんなに悪い状態ではないですけれども、その軍事費の問題についてはどのぐらいのインプリケーション、意味づけになるかはもう少し勉強してみたいと思います。
 欧亜局長の方から何か御発言があればと思いますが。
#39
○政府委員(西村六善君) 今、糠澤大使が申したとおりでございます。
 NATOに加盟することによりまして、NATOの基準によりまして自国の軍事力、防衛体制を整備する必要があるということは明らかであるわけでございます。その結果としまして、若干の防衛費が増大するということになるわけでございますけれども、その当事国としましては、そのことも含めましてNATOに加盟するという国民的な決定をしているということであろうと思います。その経済的な意味合いにつきましては、今、糠澤大使が申しましたとおり今後研究を要する問題だと思います。
#40
○説明員(大羽奎介君) ボスニアの安定化部隊についての御質問でございました。
 私ども、ボスニア問題は国際社会が一致して取り組むべき問題だと認識しております。その和平履行は今が正念場に差しかかっております。
 このような考え方から、先般、小渕外務大臣にボスニアに行っていただきまして、三民族の代表に対して、難民帰還のために一層の指導力を発揮すべし、それからサラエボ及びバニャルーカはオープンシティーというものがあるんですが、それを宣言すべし、真の民主主義確立のために九月の選挙は重要であるという二点を特に申し入れられた次第でございます。今後とも、スルプスカ共和国の現政権を支援していくという点も申されました。
 我が国としては、今後とも和平履行のために積極的に貢献していく考えでございます。
#41
○田村秀昭君 三人の大使の皆さん、大変御苦労さまでございます。
 私は、多分五十三年ごろだと思うんですが、谷野大使が中国課長をやっておられるときに現役の自衛官としてお目にかかって、ああこういう腹の据わった人が外務省におられるんだといってもう感動したことを覚えておりまして、きょう質問させていただくことを大変光栄に思います。
 私、ちょうど昨年九月にワシントンに行きましたときに、国防総省はどこへ行っても中国のICBMがアメリカの射程に入ったということで、その話をされました。
 それで、九月には日米ガイドラインを調印して日本との関係を強固なものだというふうにして、十月にオーストラリアとアメリカは強いきずなを示して、それで十一月に江沢民をアメリカは迎えるんだというようなことを言っておりました。それで、江沢民さんが、中国の元首が来られて、ハワイで米中協力して日本の軍国主義者を倒した記念塔だと言って演説をし、その帰りにカナダに行って日本及び日本人をこてんぱんにやっつけるんだということをカナダに住んでいる中国人に言ったということが報道されております。
 先ほど、腹の据わった中国大使、言うべきことは言うときちっとおっしゃいましたけれども、私はこの件について日本国政府は何もコメントしていないのはどういうことなのかというふうに、非常に外務省全体に対しても、外務大臣に対しても、日本の政府に対しても不信感を持つ人間の一人でございます。私見でも結構ですから、そういうことを許していていいのか、それは対等に物を言っているんじゃないんじゃないか。何か先ほど大使が、期待と不安を抱いていると、そうおっしゃいましたけれども、どうしてきちっと言うべきことを言わないのかなというふうに私は思うので、時間もないのでそれにお答え願えれば幸せであります。
#42
○説明員(谷野作太郎君) 一番最後のお尋ねの点は、私インドから帰ってきたばかりでございますので、むしろ東京の問題としてアジア局長から答えてもらいたいと思います。
 一点だけ申し上げますと、中国の軍事力をどう評価するかというのはいろいろな意見があることはあります。しかし、大方の見方はやはりまだまだ西側のいろんな水準に比べればかなりおくれているということでは、先生の後輩の方も外務省の中国課におりますけれども、専門家も含めてほぼそういう見方なんだと思います。
 ただ、そうは申しましても、私は中国の国防費について問題なのは、やっぱりまだまだそれにまつわりつく不透明さだと思います。しかるがゆえに、いろんな場をかりて中国の国防費、国防の構造、それについての透明性を精いっぱい高める努力をしてもらいたいということは日本はいろんな機会に言っておりますし、そういう要望、気持ちは引き続き中国に伝えていくべきだと思います。
 どうか中国にもどんどんいらっしゃっていただいて、専門家でいらっしゃいますから、そういった話こそ中国の軍の人も含めてお話しいただくことが非常に私はこれから必要なんだと思っております。
#43
○政府委員(阿南惟茂君) 今御指摘の江沢民国家主席訪米の際に「アリゾナ」を訪問した等につきましては、先生御指摘のような面が当然ございますが、私どもがどう受けとめたかということは当然ございますが、これは米中間の中国国家主席の訪米日程でございますので、あえて公に私どもの方から日本政府の立場を中国に申し入れたということはございません。
 また、華僑、在外中国人の集まりでどういう発言をしたか、こういうことについても基本的には公式の発言というふうには受けとめておりませんので、私どもは外交当局間ではそういうことを向こうに伝えております。ただ、公に日本政府の公式の立場としてコメントするということはしておりません。
#44
○佐藤道夫君 最後になりましたが、三分で終わります。
 糠澤大使にお伺いしたいと思います。
 お伺いというよりはむしろ御要望、こう言った方がいいと思いますけれども、私は、海外旅行などをした際に、その国に長いこと住んでおる在外邦人の方々とお会いをしまして、話がたまたま在外公館のことに及びますと、まず押しなべて、全員が全員と言ってもいい、在外公館を口をきわめて非難するわけであります。
 要するに、非民主的である、冷たい、親切心が全くない、顔は東京を向いておる、東京から政府高官あるいはまた国会議員、経済界の大物が来るといったらこれはもう大変なことでありまして、その間に何か用事で行ってもほとんど相手にしてもらえない、一体どうなっているのであろうかと。
 それから、その国の例えばある情報について、政治情勢がどうなっているとか治安情勢がどうか、そういうことをお尋ねしても回答してもらえることはまずない、そんなことはあなた方の方がよくわかっているんだろうというぐらいのことで終わってしまうと。大体の方々がそういうことをおっしゃいます。
 私が会っているのが特に反体制的な人たちであるということもないわけで、大体その辺がごくごく在外邦人の平均的な感覚なんだろうかな、こういう気もするわけであります。特に、在外邦人と交際もしておるようだが、下から見ておると、と言うから彼らは平均的な人たちなんですけれども、上の人たちとの密接なつながりはあるようだけれども、どうも我々の中に入ってきて話をする、会話をするということもまずない、こういうことも承るわけであります。
 そこで、糠澤さんは民間人、特に抜擢されて大使ということなんで、こういうことについて、もう何回も御訪問されておるということでありまするから一般的な在外邦人のそういう感覚も随分踏まえておるんだろうと思います。もちろん日本の在外公館、いい点もあれば悪い点もある。長所はどんどん伸ばしていってほしいと思いますし、言われているようなそういう短所的なものもぜひ民間人の感覚で、御在任期間がどれほどになるかわかりませんけれども、その間にできるだけ改めるべき点は改めまして、そして、なるほど民間人の大使を抜擢してやってもらっただけの価値がある、これからは大使の半分は民間人を登用しようとか、そういうことにでもなりかねないぐらいの気迫を持って在外公館のあり方に真剣に取り組んでもらえればと思います。
 あえて御抱負を承れば幸いと思いますが、いかがでしょうか。
#45
○説明員(糠澤和夫君) お謝しの点、非常に拳々服膺してこれから進みたいと思います。
 私自身としてはそれほど非民主的に扱われたという気持ちはございませんけれども、これは受け取り方あるいは受け取る相手によっても非常に違いますので、そういう感じを与えないように努力することが一層大切だというふうに思います。
 どうもありがとうございます。
#46
○佐藤道夫君 大いに期待しております。
#47
○須藤良太郎君 最後まで来て申しわけありませんが、三人の大使の皆さん、本当にきょうは御苦労さまでした。
 中国大使に、これは答弁は要りませんけれども、私の懸念していることと希望を申させていただきたいと思います。
 一つは、内容は省略いたしますけれども、三大改革と言っているうちの行政改革です。これは八万人の半分にするとか、地方は一千万人首にするとか、これを三年間でやると。これは今までも七、八回そういうことがあったようでありますけれども、今回のようにこれからを担う非常に期待されている体制でこの問題に取り組んで、これがうまくいかなかった場合の影響というのは非常に大きいんじゃないか、こういうふうに思っておりますので、その辺ひとつ考えておいていただきたい。
 もう一点は、もう既に第四次の円借款になりまして、大体一兆五、六千億経済協力資金が入っておると思いますけれども、広中先生からもありましたけれども、今までの運輸、通信、あるいはエネルギーから食糧あるいは環境に重点を第四次は置く、こういう話になっておるわけであります。しかし、現実には、経済成長の中でこういう分野にはなかなか中国としても資金なり技術的な手は打ちにくいというのが実態ではないかというふうに思っておりまして、そういう面にひとつぜひ助言なり協力をお願いしたい。
 何度も言われておりますけれども、全体を見ながら言うべきことは言う、こういうことでございますので、期待しておるわけでございます。よろしくお願いいたしたいと思います。
 以上でございます。答えは要りません。
#48
○委員長(及川順郎君) 他にも御質疑があろうかと存じますが、予定の時間も参りましたので、本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめたいと存じます。
 本日は、どうもありがとうございました。
 大使各位には、各赴任国におきまして、健康に留意され、日々の任務を果たされまして御活躍されますようお祈り申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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