くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第142回国会 外交・防衛委員会 第16号
平成十年五月十九日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十四日
    辞任         補欠選任
     上杉 光弘君     野間  赳君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         及川 順郎君
    理 事
                須藤良太郎君
                武見 敬三君
                吉田 之久君
                高野 博師君
    委 員
                岩崎 純三君
                塩崎 恭久君
                鈴木 正孝君
                二木 秀夫君
                宮澤  弘君
                齋藤  勁君
                広中和歌子君
                田  英夫君
                立木  洋君
                田村 秀昭君
                佐藤 道夫君
   国務大臣
       外 務 大 臣  小渕 恵三君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)   久間 章生君
   政府委員
       防衛庁防衛局長  佐藤  謙君
       防衛庁運用局長  太田 洋次君
       防衛庁装備局長  鴇田 勝彦君
       外務大臣官房審
       議官       海老原 紳君
       外務省総合外交
       政策局長     加藤 良三君
       外務省総合外交
       政策局軍備管理
       ・科学審議官   阿部 信泰君
       外務省アジア局
       長        阿南 惟茂君
       外務省北米局長  高野 紀元君
       外務省欧亜局長  西村 六善君
       外務省経済局長  大島正太郎君
       外務省経済協力
       局長       大島 賢三君
       外務省条約局長  竹内 行夫君
       大蔵大臣官房審
       議官       中井  省君
       大蔵省国際金融
       局長       黒田 東彦君
       海上保安庁次長  長光 正純君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大島 弘輔君
   説明員
       外務大臣官房領
       事移住部長    内藤 昌平君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国際民間航空条約の改正に関する千九百八十四
 年五月十日にモントリオールで署名された議定
 書の締結について承認を求めるの件(内閣提出
 、衆議院送付)
○国際民間航空条約の改正に関する千九百八十年
 十月六日にモントリオールで署名された議定書
 の締結について承認を求めるの件(内閣提出、
 衆議院送付)
○外交、防衛等に関する調査
 (バーミンガム・サミットに関する件)
 (インドネシア情勢に関する件)
 (インドネシア在留邦人の保護に関する件)
 (インドの地下核実験に関する件)
 (核廃絶に関する件)
 (周辺事態に関する件)
 (対人地雷全面禁止条約に関する件)
○サービスの貿易に関する一般協定の第五議定書
 の締結について承認を求めるの件(内閣提出、
 衆議院送付)
○国際商取引における外国公務員に対する贈賄の
 防止に関する条約の締結について承認を求める
 の件(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(及川順郎君) ただいまから外交・防衛委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十四日、上杉光弘君が委員を辞任され、その補欠として野間赳君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(及川順郎君) 国際民間航空条約の改正に関する千九百八十四年五月十日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件及び国際民間航空条約の改正に関する千九百八十年十月六日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件、以上二件を一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。小渕外務大臣。
#4
○国務大臣(小渕恵三君) ただいま議題となりました国際民間航空条約の改正に関する千九百八十四年五月十日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この議定書は、昭和五十九年五月にモントリオールで開催された国際民間航空機関の臨時総会において作成されたものであります。
 この議定書は、昭和五十八年に大韓航空機が撃墜された事件を踏まえ、同様の事件の再発を防止するため、国際法の原則である民間航空機に対する武器の不使用を国際民間航空条約上の義務として明文化すること等を内容とするものであります。
 我が国がこの議定書を締結することは、国際民間航空の安全の増進に貢献するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、国際民間航空条約の改正に関する千九百八十年十月六日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この議定書は、昭和五十五年十月にモントリオールで開催された国際民間航空機関の第二十三回総会において作成されたものであります。
 この議定書は、航空機の国際的なリース等に関連して、航空機の登録国が国際民間航空条約に基づいて負っている一定の任務及び義務を運航国に移転することができること等について定めるものであります。
 我が国がこの議定書を締結することは、国際反間航空が安全に発達することに資するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 以上二件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
#5
○委員長(及川順郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 両件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(及川順郎君) 次に、外交、防衛等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○須藤良太郎君 インドネシアとインド問題につきまして御質問させていただきます。
 まず、インドネシアの情勢でありますけれども、これは極めて憂慮すべき事態になっておるということでありまして、しかも今情勢が目まぐるしく動いているというふうに思うわけであります。この重大な邦人保護につきましては次にお聞きいたしたいと思いますが、まず現時点におきますインドネシア情勢につきまして御報告いただきたいと思います。
 特に、既に思いがけない死傷者を相当出しておるわけでありますが、伝えられるところによりますと、あす二十日には九十年前の民族覚せいの日の記念日に向けて緊張が高まる可能性は極めて大きい、こういうふうに見られておるわけであります。したがいまして、これに向けた学生なり民衆の動きあるいは当局の政治的対応はどうなっておるのか。また、きのうからはスハルト大統領の退陣要求等、非常に大きな動きが見られるわけでありまして、この辺につきましてお聞かせいただきたいというふうに思います。
#8
○国務大臣(小渕恵三君) 外務省の中にオペレーションセンターを設けまして、二十四時間体制で今このインドネシア情勢に対応させていただいております。お許しをいただきまして、現下八時三十分現在の状況につきまして御報告をさせていただきます。
 まず第一に、十八日午後、ハルモコ国民協議会議長兼国会議長が国会指導部の総意としてスハルト大統領の退陣を求める声明を発したことは予想外の出来事で、六十九日に国会各派代表間で正式に協議の上大統領に報告されたということであります。そして、十八日の夜、国軍の動向といたしましては、四軍、陸海空・警察の参謀長及びプラボウォ戦略予備軍司令官との協議の直後、ウィラント国防・治安大臣兼国軍司令官が会見をいたしまして、ハルモコ国会議長の発言を個人的なものとみなし、大統領の職責は内閣改造の実施、現在の危機の克服等であると述べつつ、改革評議会の設置による改革の推進を主張いたしておると聞いております。
 次に、当面の見通しでありますが、スハルト大統領の意向を事実上反映して国軍は当面政権を支える姿勢を表明したものとも見られますが、これにより国民の落胆と強い反発は必至の情勢であります。二十日に予定されている学生等の大規模行動は広がりを見せ、大統領退陣を求める世論が高まる可能性が高い。国会があくまでも退陣を求める臨時国民協議会の開港を求めれば、四カ月以内に開催されることとなります。
 当面は、六十九日にスハルト大統領による国民への現状の説明が予定されていること、また同日がトリサクティ大学での学生六名の死亡から一週間目であること、さらに二十日の国民党ぜいの日の大規模行動の広がり、規模等が注目されておるところでございます。
 それに対しまして我が政府としてどのように対応してきたかということについて敷衍させていただきますが、インドネシアの在留邦人等を安全に避難させるべく最大限の努力を行っておるところでございまして、具体的には、情勢の変化に応じて海外危険情報・危険度一、注意喚起から危険度四、家族等退避勧告まで段階的に上げて対応してまいりました。また、在留邦人の出国の便宜を図るため、日本航空及び全日空に対し臨時便の運航を要請し、十七日から二十二日にかけ計二十便が増発されることになりました。なお、チャーター便も十九日に四便運航する予定でございます。さらに、自衛隊法第百条の八に基づき、緊急事態に際してこれら邦人等の輸送を自衛隊が行うことができるよう、私より防衛庁長官に対しその輸送の準備行為として自衛隊機のシンガポールへの移動、待機の依頼を行いました。
 なお、インドネシア情勢につきましては、十七日に家族等退避勧告が出されておりますが、さらなる対応につきましては現地の情勢を見きわめつつ検討いたしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
#9
○須藤良太郎君 一万八千、二万人近い邦人がおったわけでありますけれども、現在時点でどの程度退避しておるのか、残っているのはどのくらいということになりますけれども、その辺につきましてお伺いいたしたいと思います。
#10
○説明員(内藤昌平君) 現地には一万人を超える在留邦人がおられまして、さらに短期滞在者が旅行客その他おられたということで、スタートラインから正確な邦人数の把握は極めて困難でございましたので、あくまでも推定値とその後の出国者数の記録等を勘案して推定値を出さざるを得ません。
 それによりますと、これまで十三日間、すなわち五月六日から十八日いっぱいで約一万名が出国されております。ただ、これは日本に帰国された数でございまして、近隣の国に一時避難をされておられる数はまだ把握できておりません。その数を当初の数から差し引きますと、現在七千五百名程度の方がまだインドネシア国内に残留しておられると推定されます。
#11
○須藤良太郎君 一応あすが非常に大問題なわけですけれども、きょうも相当退避させられるということでありますか。
#12
○説明員(内藤昌平君) 本日、最大限の退避を商業便において実現すべく私どもが努力しました結果、既存の定期便はもちろん満杯でございますが、加えて臨時便の増発、さらに外務省が契約しましたチャーター便四便等々、合わせまして現在五千八百三十名分の座席数を確保してございます。
#13
○須藤良太郎君 いずれにいたしましても、重大な事態でございますので、万全の上にも万全を期していただきたい、こういうふうに思うわけであります。
 暴動、騒乱の一つの元凶とも言うべき問題ですけれども、経済危機はもちろんでありますけれども、やはり食糧不足がこれをあおるということではないかと思っておるわけであります。そういう意味で、日本を初め各国は支援体制をとったわけでありますけれども、現にこの食糧等は現地に着いているのかどうか、その辺おわかりになれば教えていただきたいと思います。
#14
○政府委員(阿南惟茂君) インドネシアに対する支援は、現在のインドネシアが経済構造改革等をやっている中で、社会的弱者と最近よく表現しておりますが、そういう人たちにしわ寄せが行くということで、我が国の対インドネシア支援もそこに一つの重点を置いておかます。そして、既に医薬品の不足がもうことしの三月ぐらいから相当逼迫しておりましたので、それについての支援は実施をしております。
 米につきましては、先般の対インドネシア支援で六十万トン程度の米を支援するということを決めておりまして、これは当初から本当に米が不足するのは九月ごろからだと。ただ、そのころ不足いたしますとお米の値段が一カ月ぐらい前から相当上がるんじゃないかというようなことで、八月ごろをめどにこれの輸送と申しますか現地に着くような手配をこれからするというところでございます。したがいまして、米はまだ現地に着いてはおりません。
#15
○須藤良太郎君 邦人の安全ももちろんですけれども、ぜひインドネシアが平和な国に戻るように各面の御努力をお願いいたしたいと思います。
 次に、インドの問題についてお伺いいたしたいと思います。
 インドの核実験につきましては、発散のサミットにおきまして、被爆国しかも非核保有国といろことで、日本の主張は極めて重かつ大であったと思うわけであります。そういう意味で、今回の声明文が出されておりますけれども、この作成に当たってどういう論議があったのかよくわかりませんけれども、その辺もしわかれば若干説明していたたきだい、こういうふうに思います。
#16
○政府委員(阿部信泰君) バーミンガム・サミットでの議論でございますけれども、G8各首脳はインドの今回の核実験実行を極めて遺憾とするということで意見が一致しまして、その結果、声明文にこれをまとめるということで御承知のような非常に強い非難の声明ができたというふうに承知しております。
 その中では、インドに対しまして、これ以上の実験、核兵器、弾道ミサイルの配備を行わないよう求めるということ、それから、無条件に核不拡散条約、CTBTに従い、核兵器に必要な核分裂物質の生産禁止をするという条約の交渉に参加するよう求めるというようなことを求めております。
#17
○須藤良太郎君 G8声明におきましては制裁措置は入っていないように思うわけでありますけれども、伝えられるところによりますと、制裁をする国、制裁をしない国、この二つに分かれておるようでございます。これは考えると本当に大変な問題であると思うわけでありますけれども、それはそれといたしまして、大臣としてはこの面につきましてどんな感想をお持ちであるのかお聞きいたしたいと思います。
#18
○国務大臣(小渕恵三君) 今次サミットのG8が、インドのたび重なる核実験が核実験禁止、不拡散体制の強化という国際社会の努力に逆行するものでありまして、また地域的及び国際的平和と安全に悪影響を及ぼすものであると非難はいたしました。いたしましたが、須藤委員が今お話しのように、八カ国中四カ国は核保有国でございます。また、インドに対する対応につきましてもおのおの差異があるように見受けられておりまして、その点なかなか複雑なある意味での国際情勢をあらわす姿であろうというふうに認識をいたしております。
 我が国としては、当然のことながら、我が国の立場を強く主張いたしておるところでございます。その点については、核保有国あるいは非核保有国のそれぞれの国につきましても我が国の立場はそれなりに理解をしておると思いますが、最終的に一致して決議となりますと、これは満場一致の立場でございますのでなかなかそこに至らなかったということは残念のきわみであります。
 これは我が橋本総理が強く主張いたしまして、我が国の立場が普遍的に、それぞれのG8を中心にしての国はもとよりでありますが、国際社会の中で理解を深く求められることとして努力を傾注しておるところでございます。
#19
○須藤良太郎君 核廃絶への道は非常に険しいものがあるというふうに感ずるわけでありますけれども、ぜひ日本外交としては強いリーダーシップを持ってこの面に取り組んでいただきたい、こういうふうに希望するわけであります。
 もう一つは、日本のインドに対する制裁措置は、無償をやめる、それから新しい円借款はストップする、そして国際開発金融機関による融資の再考等々が既に打ち出されておるわけであります。今、駐インド大使が帰国中のようでありますが、この制裁措置は今後のインドの出方によってさらに変更、追加するようなお考えがあるのか。また、インドの出方等についてどんな見方をしているのか、お聞きいたしたいと思います。
#20
○政府委員(阿南惟茂君) インドに対する措置につきましては、先生が今言及されましたようなことを決めたわけでございます。もちろん今後のインドの出方次第という要素はございますけれども、今回日本政府がとりました対インド措置は相当強いものでございまして、国際的にも恐らく実質的には一番内容のあると申しますか、意味のある措置であったというふうに考えております。
 今現在、これに追加して措置をとるということは考えておりません。
#21
○須藤良太郎君 駐インド大使が見えておりまして、何かインドの情勢について聞いておればお伺いいたしたいと思うんです。
#22
○政府委員(阿南惟茂君) インド駐在の平林大使は召還ということではなく、一定の時期を経てから本省との協議ということで帰ってこられたわけでございまして、外務大臣、総理に報告をされました。
 インド側がなぜ核実験をするに至ったか、主主してインド側の主張を大使なりに理解されて大臣や総理に報告をされました。日本の今回とった措置がこの状況に照らして非常に的を射たものであるという現地大使の判断、そしてインド側も日本国民の核に対する感情というのはよく理解している、そういう状況の中で、日本のとった措置は先ほど申し上げましたように実はこれからじわじわ効果が効いてくると思うのでございますが、それに対して当面強烈に反発が出てきているというような状況ではない等々の報告を大使から伺っております。
#23
○須藤良太郎君 それでは最後に、パキスタンの問題でありますけれども、これはインドの実験の関係でパキスタンの動きが非常に注目されておるわけであります。既に登外政室長が特使として派遣されておるわけでありますけれども、外務大臣はどんな報告を室長から受けておられるか。また、いろいろパキスタンが外国に根回ししているというような報道もされておりますけれども、これからパキスタンはどういう形で出てくるのか、それに対して政府はどう対応するのか、その辺もしお聞かせいただければお願いいたしたいと思います。
#24
○国務大臣(小渕恵三君) 登総理特使はシャリフ首相、アユブ外相とも会談いたしまして、シャリフ首相には核実験を行わないよう強く求める橋本総理の親書を手渡しました。また、カラマット陸軍参謀長らと会談する予定でございます。
 特使の報告によれば、アユブ外相は何がパキスタンの国益にかなうかについて注意深く検討していると述べたとのことであり、核実験を行う決定がなされたとの発言はなかったと承知いたしております。また、シャリフ首相につきましては、あらゆる要素を考慮して何がパキスタンにとって最良か慎重に検討中だと述べたと報告を受けております。
 パキスタン政府としては、我が国を含む国際社会の働きかけもあり、これまで核実験の実施について性急な決定を避けてきたものと考えられますが、我が国としては、パキスタンまでもが核実験を行うようなことがあってはならないとの立場から、引き続き同国に対し最大限の自制を求めてまいりたいと思っております。
 実は、アユブ外相につきましては、ことしの三月に訪日されまして、私自身も会談をいたしました折に、このインド並びにパキスタンの関係からいって、お互い慎重な対応をしてほしいと強く要請いたしておったところでございます。パキスタン側が先般核弾頭を積載して飛ばすことのできるロケット実験を行ったというようなことにかんがみて、インド側の主張によりますれば、そうした行為に対して自衛の意味で核実験を行ったんだということでございます。
 また、このインドの核実験に呼応してパキスタンがこのようなことを行うということに相なりますれば、まさに目には目をということになるわけでありまして、何としてもパキスタンの自制を強く求めていきたいということで総理特使を送っておるところでございます。
 この点につきましては、その前に米国といたしましても非常に本件について細心の留意をいたしておるところでございまして、米国としてもいろんな話し合いを行って強くパキスタン側に自制を求めておると聞いております。
 いずれにいたしましても、特使があした帰国いたしますので、私が今御報告を申し上げました点について文書をもって報告は受けてはおりますが、現実にどのようなお話、すなわち我が国に対しましてどのような考え方をさらにお話しされておったかということを十分聴取の上、さらなるパキスタンに対する我が国の強い意志を明らかにすることができるかどうか、帰国後直ちに直接意見を聴取した上でまた判断をさせていただきたい、このように考えております。
#25
○須藤良太郎君 世界もそうですけれども、特にアジア外交は極めて重大で厳しい状況にありますので、ぜひひとつしっかり対応するようにお願いいたしまして、質問を終わります。
#26
○吉田之久君 それでは、私はまずバーミンガム・サミットに関して二、三御質問をいたしたいと思います。
 このサミットで橋本総理はエリツィン大統領と約三十分間会談をされたというふうに聞いております。領土問題に関しても何らかの話し合いがなされたのか、あるいは話し合いとまではいかなくとも何らかの感触をつかまれたのかどうか。あるいは川奈会談での総理の提案について、我々が聞くところによりますと、ロシア側の回答はただいま検討中であると伝えられておりますけれども、それならば秋に総理がロシアを訪ねるときには回答があると期待してよいのか、まずこの辺のところを。お伺いいたしたいと思います。
#27
○国務大臣(小渕恵三君) 今次首脳会談は川奈会談以来一カ月もたたないうちに再度行われたわけでございますが、エリツィン大統領は、総理の提案につきましては現在検討中であり、その回答は秋に予定される総理の訪日のときに行いたいという考えを述べられたということであります。
 私といたしましても、橋本総理の提案にエリツィン大統領の理解が得られ交渉が進展することを期待いたしておりますし、今お話しのように、秋にということでございますれば、その前に私自身もまた訪日いたしまして、総理がロシアに参ります正式の会談の前に、平和条約締結のための作業の加速化のためにより一層努力をしてまいりたい、このように考えております。
#28
○吉田之久君 いろいろ大事な局面でございますから、小渕外務大臣も一層その辺の御努力をよろしくお願い申し上げておきたいと思います。
 次に、五月二十五日に天皇、皇后はイギリスを訪問されることになっておりますが、このことについて、今度のサミットで総理からブレア首相に対して何らかのお話はされたのでありましょうか。
 というのは、第二次大戦中に日本の捕虜となった元イギリス兵の抗議行動があるやに伝えられておりますだけに、国民も大変心配していると思うのでございますが、その点いかがでございましょうか。
#29
○国務大臣(小渕恵三君) 今般の日英首脳会談では、橋本総理から、近く迫りました両陛下の御訪英が現在の日英関係の豊かな協力、将来の展望にかんがみてぜひとも成功するよう心から祈るような気持ちで準備しておると申し述べ、ブレア首相よりも、全く同感で英国側としても万遺漏なきを期して準備をしておる、こういうことを述べられたということでございます。
 今、吉田先生御指摘の問題につきまして、この英国人の元戦争捕虜の問題につきましては、ブレア首相も、少数ではあるが依然として強い記憶と意見を持っている人々がおりますので、この人たちが何らかの意思表示をすることもあり得るのではないかと述べられたと聞いております。これに対して総理からは、この問題の存在はよく承知をいたしており、我が国としても決して過小評価しておらず、駐英大使も懸命に日本としてこれらの人々との対話と理解に努めておりますので、英側でもぜひよろしく御対処願いたいと述べられました。
 両陛下の御訪英は全体として極めて良好な日英関係を象徴するものでありまして、両陛下は英国女王陛下の賓客として英国民の大多数から温かい歓迎を受けられるものと確信をいたしております。また、現地英国には相当数の我が邦人の方々もおられまして、そういった意味で今回の両陛下の御訪英について現地でお迎えをするということの大変歓迎のお気持ちもあるようでございます。こういう中にあって、今申し上げましたような点につきましていささかも残念なことが起こることのないように全力を挙げて今努力をしておりますし、英政府もそのような気持ちであります。
 また、私も一週間前にロンドンに参りまして、ロビン・クック外相にも同様の趣旨をお伝えしておりますので、ぜひ成功のうちに御訪英が終わられることを強く期待いたしておるところでございます。
#30
○吉田之久君 くれぐれも万般の配慮がなされますように、外務大臣初め皆さん方の一層の御努力をよろしくお願いいたしておきたいと思います。
 次に、サミットで、ロシアを除く七カ国での経済に関する特別声明、それからさらに八カ国による首脳宣言が発表されました。グローバル化の中で日本の景気回復に対する期待が極めて強い関心事であったと思われますけれども、十六兆円の財政出動はかなり評価されたと見てよいのかどうか、各国の理解が得られたと考えてよいのかどうか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
 要するに、我が国の経済運営についての総理の説明はこの段階からまさに一種の国際公約になったと思うわけでありまして、当然、結果責任も問われますだけに、この際、改めてその辺の事情を聞いておきたいと思います。
#31
○国務大臣(小渕恵三君) 今回のサミットで、総理から、減税と社会資本の整備による内需拡大、不良債権問題等の本格的処理と金融システムの強化、構造改革の実行という三つの柱から成る我が国の経済運営につきまして十分御説明をさせていただきました。これに対しまして、今回のG7首脳会合の議長声明にもございますように、主要国首脳より強い歓迎を受けたところでございます。
 一週間前に行われました蔵相・外相会談におきましても、そのレベルでも同様の考え方を各国とも述べられたわけでございますが、首脳会談におきまして、そのような御説明を多とするという各国の対応を受けたことにつきましては、我が国のこの運営について理解がさらに深まったものだというふうに認識をいたしております。
#32
○吉田之久君 次に、インドの核実験の問題についてお伺いをいたしたいと思います。
 先ほど須藤委員もお触れになりましたとおり、まさに重大な問題でありまして、各国とも非難と制裁をめぐってのいろんな論議が展開されたようでありますけれども、結果的に日本、アメリカ、カナダの三国は極めて強い姿勢をとっているのに比べまして、ロシア、フランス、イギリスなどは少しニュアンスが違うようでありますし、またドイツ、イタリアはどうなのか。
 要するに、この問題に対してそれぞれの国々のグループでシンパシーの違いがあるのか。それともペナルティーの科し方について、現に今日までODAなどでかなり援助を膨大にしている国とそうでない国があって、そうでない国では特にペナルティーの科しようがないではないかというふうな事情があってそういう傾向を生んでいるのかどうか、その辺のところを御説明いただきたいと思います。
#33
○政府委員(阿南惟茂君) 今回のサミットでは、G8としてインドの核実験を非難したという点では歩調がそろっていたわけでございますが、先生が言及されましたように、各国のインドに対する措置はいろいろ違いがございます。この原因は、例えば援助の仕方の違いというようなこともありましょうが、基本的にはやはり核実験に対するその国政府の姿勢の違い、自国がやってきた経緯等も踏まえた違いがあると思います。
 我が国といたしましては、核に対する日本の基本的立場、被爆体験のある日本国民の感情等を踏まえてインドに強いメッセージを送るということ、そしてまたパキスタンへこれが波及しないように何としてでも阻止しなくちゃいかぬということから強い措置をとったわけでございます。また、強いて国によって違うという観点からは、日本の場合、先年中国に対してとった措置等も参考の一つにはしたというようなことで、もろもろの要素で各国の対インド措置にはばらつきがあるということだと考えております。
#34
○吉田之久君 国民の多くは大変憤慨しております。おれたちの努力によって持ち出されているODAなどがめぐりめぐってインドの核実験に発展していると思えばもうたまらないという感じでございまして、まさにそのとおりだと思います。したがって、他国はどうあろうとも、我が国は断じて制裁をしなければ国民に対しても申しわけが立ちませんし、また世界に対しても日本のあかしが立たないと思うわけでございます。
 つきましては、無償資金協力は昨年三十一億円でありましたが、ことしは既に予算化されておるのでありましょうけれども完全にストップされるべきだと思いますが、いかがでございましょうか。それから、円借款は昨年千三百億円余りだと聞いておりますけれども、この供与もことしは当然ストップするかあるいは凍結されなければならないと思うのでございますけれども、いかがでございますか。
#35
○政府委員(大島賢三君) インドに対しますODAの供与につきましては、ただいま先生から御指摘のございましたように、無償資金協力については大体三十億円ないし三十五億円程度が最近の数字でございます。円借款につきましては一千三百億円のレベルの供与が行われております。
 今般の核実験を受けまして、政府の措置として既に発表されたところでございますけれども、無償資金協力につきましては新規の供与については停止をする、円借款の供与につきましても新規の供与を停止するということで決定をし、加えまして六月末にインドに対します支援国会合、これは世銀主催で行われる慣例でございますけれども、東京で開催を予定いたしておりましたが、この開催延期、開催を日本がホストするということにつきましても見合わせをするようにいたしたところでございます。
 つけ加えますと、インドに対します世界銀行とかアジア開発銀行等におきます国際開発機関を経由する対インド援助につきましても、日本としては慎重に対応していくという措置もあわせ発表したところでございます。
#36
○国務大臣(小渕恵三君) 今、経協局長から報告申し上げたとおりでございますが、無償につきましては、金額の多寡を申し上げるわけではありませんが、そう大きな額じゃない。しかし、有償につきまして新規をこうした形でストップするということにつきましては、インド側も我が国の態度に対して大変きつい態度だというふうな受けとめ方をされておるようです。
 もちろん実験をやってしまった上ですから、それ以前からもある意味で、我が国の対応についても具体的に申し上げることはいたしませんでしたが、そうしたことが起こらないために、もし起こった場合には日本としては非常に厳しいですよということは申し上げておったのでありますが、インドとしてはそういう受けとめ方をしておるようです。
 したがいまして、こういうことは同時に隣国のパキスタンにおきましても、我が国が最大の援助国ということを考えますと、いろんな意味で今回の問題について日本側のきちんとした対応というものが、いい意味でこうしたそれぞれの国の対応についても日本の厳正な対応というものがそれなりに効果を与えるものだというふうに認識をいたしておるところでございます。
#37
○吉田之久君 今の大臣の御答弁、またそういう対応の姿勢はまさにもっともだと思いますし、大いにしっかり日本の態度を表明していただきたいと思うのでございますが、さはさりながら隣国の中国が核実験をやった場合には、これは距離的に見ましてもインドより確かに日本にとっては脅威です。中国の核実験の場合には円借款の停止はしていない。そして、インドは今日まで極めて親日的な国でありました。
 今度の実験をやったことはまことに残念至極、けしからぬと思うのでございますけれども、その辺はODAの原則等に照らしてバランスを欠くことにはならないだろうかという一種の国民の疑問もあるわけなのでございますが、この辺はどのように御説明なさいますか。
#38
○政府委員(阿南惟茂君) 確かに御指摘のような中国に対する措置と今回のインドに対する措置の違いはございますが、これはいろんな要素がございます。
 一つは、いいことだとはもちろん言えないわけでございますが、中国はあの時点で既に核保有国であったわけでございまして、それがCTBTに署名する直前に最後の実験ということでやった。しかし、それはそれで許せないということで無償の凍結ということをやりました。
 先ほど申し上げましたように、今回はパキスタンへの波及という要素もございますし、いろいろな要素を勘案して、先年中国にとった措置との違いはあるということでございます。
#39
○吉田之久君 そこで、パキスタンの問題なんですが、我々としてこのパキスタンをどうなだめるべきであるかということは世界の外交上も極めて深刻かつ非常に難しい問題だと思うんです。普通の常識からいえば、目には目を、歯には歯をで、インドがそうするならばおれたちも持っているんだぞといって核実験を開始するのがまあよかれあしかれ一つの常識ではあろうと思うんですが、それをし始めたのでは際限なく核実験というものが連鎖反応を起こしていく。あるいはイスラエルやイランや、場合によっては北朝鮮にも及ぶかもしれない。そうすれば、世界の将来というものは暗たんたるもの、危険千万でございますから、どうしてもパキスタンをなだめるしかない。
 その仕方ですが、パキスタン側にとってみれば、既に向こうの首相や外務大臣も言っておりますように、要は時間の問題だ、やることだけは間違いないのだと、実験をやることを示唆しているようであります。一部穏健派もあるように聞いておりますけれども、全然やらなかったら、反応しなかったら、黙って指をくわえておったら、やっぱりパキスタンには核実験の能力はないんだということを天下に証明したことにもなりかねない。
 この辺の悩みは大変なものだと思うのでございますが、どのようにパキスタンに対していろいろととりなしていかれるのか、日本としてあるいは諸外国と一緒になってどうされるべきであるか、お尋ねいたしたいと思います。
#40
○国務大臣(小渕恵三君) まさに吉田先生御指摘のところが国際政治といいますか、厳しいそれぞれの国の対応、またその国々を率いている方々、政治家、責任者の対処の仕方の難しい点じゃないかなと率直に思わざるを得ないところでございます。
 先ほど御答弁した中で、パキスタンのアユブ・カーン外相が来られました。一方的にインドが核実験を実施するのではないか、そういうことに対して、CTBTに加盟する、NPTに加盟することにつきましても、インド側の対応が唯一だと、こういうことを言っておられた、その反面が今度はインド側にもあって今日のようなことになったんだろうと思います。
 しかし、今の時点でいえば、インドが起こした核実験が誘発をしてパキスタンに同様なことが起こってはならないということで、最大限の努力を関係国がいたしておる。関係国のそれぞれのパキスタンに対する影響力の行使の仕方には、いろいろ過去の歴史的な経過もありまして、長い間パキスタンとの友好関係を持っておる大国もございますし、そういった点でそれぞれにやられております。アメリカはアメリカとして、先ほど御報告申し上げたような形で直ちにタルボットさんを送っておるということでございます。
 日本としては、先ほど来申し上げておりますように、経済協力という意味でパキスタンに対して我が国は大変な協力を申し上げておるところでございます。そのことにつきましては、インドに対して我が国のとった対応等から考えましても、パキスタンみずからも、かりそめにもそうしたことを行えば、どういうふうな対応を受けざるを得ないかということは十分承知をいたしておりますので、念を入れて我が国の立場を十分説明して自制を求めていきたいというふうに考えておるところでございます。
#41
○吉田之久君 今も外務大臣がお述べになりましたNPT、CTBTにせめてこの段階でインドとパキスタンが同時に加盟すること、それがまずは望まれる最初の大事な二つの解決への糸口ではないかと思うのでございます。さてそういう問題を考えるときに、今日現在インドという国は非核保有国なのか、あるいは既に核保有国の中にカウントすべきなのか、この辺はどういうふうにお考えですか。
#42
○政府委員(阿部信泰君) インドが核保有国であるかどうかということでございますが、二つございまして、事実関係として核爆発装置を持っておるかどうかということについて言えば、これは実験をしたわけですから保有しているということかと思います。核保有国と言うときには、例のNPT、核拡散防止条約上の核兵器国であるかどうかというものがございまして、これは条約上、一九六七年以前に爆発実験を行った国ということで現在の五つの核保有国がこの核兵器国に当たるわけですが、その意味においてはNPT上の核兵器国ではないということかと思います。
#43
○吉田之久君 大臣にお願いを申し上げますが、要するに今日、世界の経済大国である日本、しかし断じて核を持たない国日本、それがこういういろんな核実験がなされたりする局面にあって、今後我が国はどうすべきであるか、それはもう理由のいかんを問わず核実験をやる国に対しては今後一切援助はしないということしかないと思うんです。その辺を改めて決意していただけますでしょうか。
#44
○国務大臣(小渕恵三君) インドがこういう核実験を行ったということの背景の中には、核保有国が既に保有していながら他の国々は安全保障のためにもこれを保持することはいかぬ、そういうことに対する横暴ではないかという強い主張もあって今回のことになったんだろうと思います。
 そこで、ただ一つの被爆国としての我が国の立場、あるいは非核三原則をきちんと持って対応する、こういう崇高な国家としての考え方に基づいて全世界に向かってその考え方を進めているという立場からいえば、今回の対応については、日本としてインドに対して経済協力を行わないということをもってして強く反省を求め、かつ今後このようなことのないようにという対応はしていかなきゃならぬということは当然のことだと思っております。
 ただ一方、長い間のインドとの友好関係ということにかんがみまして、日印の関係があらゆる面で崩壊してしまっては長い間の両国の関係にかんがみまして好ましいことでないことは当然のことでございます。そういった意味で日印の関係を壊すことなく、かつこの原爆に対する対応につきましては、きちんとした対応をとることによってインド側の強い反省のもとで対処していただくように、これはこれとしてきちんといたしていきたいと思っております。
#45
○吉田之久君 相手国との友好を保持したいという思いと、かつやった核実験に対して断じて戒めるというはざまでいろいろ外交姿勢は難しいと思うのでございますが、事核に関しては心を鬼にしてでも断じてだめ、一切協力しないぞという姿勢を貫かれるべきだと思います。
 特に過日、我が参議院で国会決議もいたしておりまして、政府は当該地域における緊張の緩和と信頼醸成に努めるべきであるということでございますから、一層ひとつ大臣としても総理とよく力を合わせて進言し続けていただきたいと思う次第でございます。
 時間がほとんどなくなりまして、あと広中先生に御質問をしていただくことになっておりますので、一点だけ防衛庁長官と海上保安庁の方にお聞きしたいと思います。
 先ほども御答弁がありましたように、なお日本に戻られるべき方々、民間機が手配されて大分ほっとしているわけでございますが、それでもあと二、三千人おられるのではないか。この輸送能力、救出能力ですが、自衛隊機では八十名ぐらいしか一機に乗れないと聞いておりまして、一往復しても六、八、四百八十名。それから、海上保安庁の方の巡視船二隻、これも大変心強いのでございますが、既に「みずほ」は沖縄近海、太平洋上にまで出向いておる、「えちご」はとりあえず沖縄へ動き始めたと聞いておりますが、途中、燃料補給などはどうするのか、あるいは船の場合にはシンガポール港に立ち寄るのか、インドネシアの安全な港まで行くのか、その辺のところですね。
 それから、特に今後の事情を想定いたしますと、自衛艦も出動する態勢をとるべきであると思うわけでありまして、自衛隊法百条の八の改正も一層急がれるべきであると思いますが、その辺につきまして簡単に御答弁をお願いいたしたいと思います。
#46
○国務大臣(久間章生君) 現在は民間機で、特に臨時優等も出されまして、それでたくさんの方が帰ってきておられるようでございますから、このまま推移すれば一番いいわけでございますけれども、万一民間機が飛ばないということになります場合等も考えまして外務大臣の方から準備をするようにという依頼が参りました。したがいまして、自衛隊の方ではC130H型という輸送機を出しまして、今シンガポールに向かっているところでございまして、きょうしゅうに全機六機ともシンガポールの空軍基地に着く予定になっております。
 これは確かに八十人乗りでございますけれども、六機で運航いたしますと四百八十人を次々と運べるわけでございます。また、今の飛行場が使われている間は必要ないわけでございまして、もし万一それが使えなくなった場合とか、あるいは混乱が生じてほかの小さい飛行場等におりるような場合になったときには、これは滑走路が短くても着陸できますし、下が少々傷んでおってもこの飛行機は非常に足が強い飛行機でございますから大丈夫でございます。
 それとまた、そういう混乱するときには、例えば三百人乗りの大型機でございますと全員が乗らないと飛べないわけでございますけれども、八十人ですと次々にピストン輸送できるわけでございますから、それはそれなりのメリットもあるわけでございまして、そういうことを総合的に考えてこれを今準備しております。しかし、願わくばそういうものを使わぬでいいようなことになってくれればいいと思っております。
 なお、自衛艦の派遣でございますけれども、これは国会の方に今提案しておりますので、国会の方で御論議していただきたいと思っておるところでございます。
 以上でございます。
#47
○政府委員(長光正純君) 先生お尋ねの在留邦人の保護に万全を期するという観点から、昨日、外務大臣から運輸大臣に対しまして、邦人の安全な退避に万全を期すべく巡視船をインドネシア方面に出航させジャカルタ近傍の公海上に待機させてほしい、こういう要請をいただいております。
 これを受けまして、先生も御指摘のとおり、巡視船「みずほ」、これは沖縄近海で通常業務を行っておりましたけれども、この船舶に急遽資機材等を積み込みまして、本日八時インドネシア方面に向けて既に出航いたしました。さらに、巡視船「えちご」、これにつきましては、現在沖縄に向けて航行しておりまして、二十日の夜には到着する予定でございまして、これも急ぎ必要な資機材等を積み込んで出航するという態勢を整えてきておるところでございます。
 なお、輸送人員に関してでございますけれども、両船合わせますと緊急的な一泊程度の航海、具体的にはインドネシアからシンガポール程度の距離になりますが、こういう場合ですと両船合わせて八百名程度。ただ、これは非常に詰めて乗っていただくというようなことで、居住性とかそういうことで御不便をおかけしますけれども、その程度の輸送にはたえられるかというふうに思っております。
#48
○吉田之久君 ありがとうございました。
 私の質問は終わります。
#49
○広中和歌子君 引き続き御質問させていただきます。
 今、国際情勢は複雑かつ非常に目まぐるしく動いておりますが、不安定さは特にアジアで顕著でございます。なかんずくインドネシア情勢は非常に緊迫しているわけでございます。
 そこで伺いますが、もう既にインドネシアからは一万人を超える邦人が帰国をされた、そしてさらに近隣に出国された方も多いということでございます。それだけではなくて、中国系の人々が三十万人既に出国していると聞いておりますけれども、こういう状況の中ではインドネシアの経済というのは機能停止みたいな状況にあるのではないかと思います。したがいまして、我が国が多く海外投資をしているわけですけれども、それに与えられるダメージというんでしょうか、そのアセスについてお伺いしたいと思います。
 まず、企業が生産不可能な状況になる、その損害はどのくらいになるというふうに予想していらっしゃるのでしょうか、お伺いいたします。
#50
○国務大臣(小渕恵三君) 今回のインドネシアをめぐる情勢の大幅な悪化によりまして、現地日本企業におきましていかなる損害が生じているかは現段階でつまびらかにはできませんが、政府としてはこれら日本企業への影響につき高い関心を持って注視いたしておるところでございます。
 政府といたしましては、現在、在留邦人の安全確保と希望者の安全出国を最優先課題として取り組んでいるところでございますが、今後とも関係各方面より関連情報の収集に努めていく考え方であります。
 言うまでもありませんが、昨年来の通貨・金融危機から発しまして、上り調子であったアジア経済が一遍に急落をしておる。こういう中で、それぞれ現地に出ておられる企業体が正常な経済活動ができなくなっておるという事態は看過できないと思いますが、当面は、先ほど来申し上げておりますように、まずは邦人の安全ということに対処することが最初でございます。
 こうした現地における各企業体も、邦人企業とは言いながら、現在は全くそれぞれの国の中に入られて、日本の企業だとかそれぞれの現地の企業だとか、もちろんそれは法律上企業体はその株式からそういう判断ができるんだと思いますが、既に現地化をして、本当にもう現地の企業としてそれぞれの国ないし国民の中に定着しておるんだろうと思うんです。そういった意味で、こうした企業が日本企業であるがゆえにということでさっと引いてくるというのもいかがかということで、今帰国している方々を見ましてもほとんどそれは家族、子供さんでございまして、企業に実際携わっておられる職員の皆さんは現地に踏みとどまってやっておる、これが現実だろうと思うんです。
 そういった意味で、通産省等とも十分連絡を密にしながら、そういう企業体が、現在の混乱した中では恐らく操業も停止されているというようなところもたくさんあるんだろうとは思います。思いますが、いつ何ときでも再開のできるような形もとりながら、一方、十分現地における活動について、いやしくも日本企業だからこういうときにはみんなさっと引き揚げるというようなことのないように心がけておかなきゃならぬというところが難しい点じゃないかと思いますが、適切に対処いたしていきたいと思っております。
#51
○広中和歌子君 失礼でございますけれども、大変思慮深い御答弁をいただきまして安心したわけでございますが、今度は金融分野におきまして、融資の全体像、そしてそれが不良債権化する可能性についてどのように予測していらっしゃるか、お伺いいたします。
#52
○政府委員(黒田東彦君) 最近時点のBIS、いわゆる国際決済銀行の統計によりますと、九七年六月末現在のインドネシアに対する日本の金融機関の債権の総額が約二百三十二億ドル、二兆七千億円程度となっております。その中でどの程度これが不良債権化するかということでございますが、個別の銀行ごとに恐らくいろいろな対応をとっていると思いますけれども、何よりもこのアジア向けの貸し出しにつきましては、各金融機関とも一方で為替リスクをヘッジする、それから信用リスク等にもいろいろ配慮して行っているということのようでございます。
 具体的に言いますと、例えばインドネシアの場合ですと、御案内のようにインドネシア自体の金融機関というのは余り発展しておりませんので、韓国の場合のように日本の銀行がインドネシアの金融機関に貸すということはほとんどないわけでございます。そういたしますと、結局のところ、日本の銀行がインドネシアで貸しております債権の大宗は日系企業の現地法人というかそういうものが多いわけでございます。
 その場合ですと、当然のことですが、金融機関は本社の保証をとったり、あるいは中小・中堅企業の場合ですと商社から保証をとるとかそういうような形でいろいろなことをやっておりまして、それなりに注意はし、かつ対応もしてきているようでございますが、何しろ今回のような非常に大変な状況ということはもとより予想していなかったと思いますので、金融機関としても、それから我々としても、今後の動向というか現状を十分注視していかなくちゃいけないし、警戒もしていく必要があるとは思っております。
 総体として見ますと、先ほどのような金額で、しかも相当部分の信用リスクについての対応ができているということになりますと、日系企業全体としてはインドネシアに今たしか三兆円ぐらいの累積の直接投資が行っていると思いますが、製造業を中心とする日系企業全体の投資、債権等についての懸念というのは十分考えていかなくちゃならないと思いますが、金融部門だけに限りますとそれなりの対応ができている。
 ただしかし、このことは日本経済全体として日本の投資、債権全体として安心していていいということではないと思っております。したがって、当然のことですが、私どもとしても十分動向を注視して警戒をしてまいりたいというふうに思っております。
#53
○広中和歌子君 インドネシアの政情不安というんでしょうか経済不安、これのインパクトというのは現段階でははかり知れないわけでございますけれども、ともかくこれが日本経済に与える影響、そしてひいては世界経済への影響を考えますと、やはりこれからどのような形で、どのようなシステムで世界あるいはアジア地域の安定を維持するかということが問われているんではないかと思います。
 中井審議官でも外務大臣でもどちらでも結構でございますが、お答えいただけたらと思います。
#54
○政府委員(中井省君) あるいは私の担当の範囲を超えるかもしれませんが、先ほど黒田国際金融局長が申し上げましたとおり、インドネシアに対する日本の金融機関の債権残高が約二百三十二億ドル、これは日本の金融機関の総資産の〇・三%ぐらいかと思います。それからあと、同じ統計で、ほかのアジア諸国、いろいろ問題のありますアジア諸国に対するエクスポージャーといいます。か、これが約三十一兆円でございます。これがトータルでやはり日本の銀行の総資産の約三%に当たるということでございます。
 ただ、中身的に申し上げますと、例えば日本の大企業に対するクレジットということがかなりの部分を占めております。したがいまして、もしインドネシアで何かあったとしましても、大企業がある程度ロスをこうむる可能性はあると思いますが、銀行にとりましては一つのバッファーになるということでございます。
 したがいまして、個別の債権ごとに各銀行がそれぞれの資産の査定をいたしまして、それに対してどういう対応をしていくかということ、まさに現在、ことしの三月期決算のちょうど最終的な締めを行っているところでございます。それぞれ個別の銀行において債権の質に応じて償却引き当てなりをしていくという対応になるんだと思っております。
 ただ、御案内のとおり、日本の金融機関は、アジア向けの債権がこの程度だと申しましても、国内においてかなり多量の不良債権を現在抱えてその対策に非常に努力をしている最中でございます。それに対して上乗せされるという意味で、そういう意味では非常に我々も重大な関心を持って見ているわけでございます。
 それからあともう一点、何といいましてもトータルとしましての貸し出しが安全性を増すためには、いろんな国際的な協力の枠組みに日本の銀行も協力して結果的に債権が保全されるというような努力も日本の金融機関に対して我々としては促していきたいと思っている次第でございます。
#55
○国務大臣(小渕恵三君) インドネシアにおける経済、特にまた日本企業がどのようになっていくかということが日本経済並びにアジア経済にどういう影響を与えるか、こういうことでございますが、いずれにいたしましても、約五百社と言われる進出している企業が、今回のインドネシアの混乱によりましてどのような事業を継続できるかということにもかかわっている問題があるんじゃないかと思います。
 それは、政治的にインドネシアがどういう安定度を増してくるかということにもあるのだろうと思いますが、今一番新しいインドネシアからの報告によりますと、それは報道機関ですが、スハルト大統領が十一時から十二時の間にテレビに出て何かお話をされるというようなことが伝えられてきております。そういった意味で政局がどのようになるか、そのことによって国内がどのような安定度を増し、そして同時に、その中で企業体がどのように活動できていくかというようなことでございます。
 この辺は不確定な要素がございますが、願うことは、一日も早く安定して正常な経済活動が行われ、日本企業も生産その他が十分フルに活動できるように早く回復するということが今お尋ねの点のポイントだろうと思いますので、その辺の推移をよく見ながら対処していきたいと思っております。
#56
○広中和歌子君 どうもありがとうございました。
#57
○高野博師君 最初に、インドネシア情勢についてお伺いいたします。
 私は四月八日に、インドネシアの情勢についてかなり緊迫してくるんではないかという質問をいたしました。これについて防衛庁長官はこういうふうに答弁しております。「特に、我が国の在外邦人等も多うございまして、万一の場合はいろいろと対処しなければならないわけでございますが、少なくとも私どもが外務省を通じて、あるいはまたその他の情報を通じて得ている範囲では、そのような緊迫した状況の情報は得ていないところでございます。」と、こう言っておられます。
 それと、周辺事態との関係で私は質問をしましたが、このインドネシアの状況については「仮定の問題でございますし、」というような答弁、これは長官ではありません、外務省の方ですが、こういう答弁を聞きますと、現状を見ますとかなり認識が甘い、あるいは情報仮集等について問題がないかなという感じを私は持っているんですが、長官はいかがお考えでしょうか。
#58
○国務大臣(久間章生君) 確かにいろんな状況が緊迫してきているのは事実でございまして、四月八日時点と今日と比べますとかなり事態は違ってきているなとは思っております。
 しかしながら、先ほども御答弁させていただきましたように、今でも民間機が平穏に定期便も飛んでおるわけでございまして、いわゆる緊急に脱出しなければならないという形での自衛隊機の派遣ということになるかどうかまだはっきりしていないわけでございます。そういう意味ではかなり緊迫しながらも、このままの状態で空港もそのまま開かれており、民間機が飛ぶような状態が続いてくれるといいなというふうに期待もしながら思っているところでございます。
#59
○高野博師君 今の発言を聞きますと、自衛隊の派遣の必要性は余りないというような感じにとれますが、どうでしょうか。
#60
○国務大臣(久間章生君) 現時点では自衛隊機でなければ脱出ができないというような状況ではないということでございます。一応あすがいわゆる覚せいの記念日ですか、何かそういうことでかなり大きいデモ等があるというようなことでございますから、そういうようなことでどうなるのか。万一に備えてとにかく前進待機をしておるわけでございますけれども、先ほどから何回も言いますように、私どもとしてみればでき得れば空振りに終わってくれることの方が、それでも非常にその方がいいんだという気持ちを込めて言っているわけでございまして、どうかその辺の意味も御理解いただきたいと思うわけでございます。
#61
○高野博師君 わかりました。
 それでは、今のインドネシアの情勢を外務省はどういうふうに認識しているんでしょうか。これは暴動なのか、騒乱なのか、内乱なのか、あるいは民主化の運動なのか、こういう認識はどうでしょうか。
#62
○政府委員(阿南惟茂君) 先ほどの四月八日時点の先生の御指摘でございますが、あの時点で私どもが少し楽観的なことを言っていたとすれば、それは非常にインドネシア経済が悪い時点で、IMFの支援をインドネシアも受け入れない受け入れるで随分やっていたのでございますが、四月の初旬には何とかIMFの支援体制が固まってきたということで、そういう意味で経済の回復に向けて一つ軌道に乗ったかなというような時点があったわけでございます。
 現在の情勢につきましては、これをどう規定するかということはともかくといたしまして、あしたの国民党ぜいの日に向けて今、学生を中心とした反体制運動、また大衆がこれに参加するという格好で相当緊迫した状況になっていると思います。これには大きな要素としてスハルト大統領がどういう御自身の対処を判断されるかということと、それに伴って軍がどういうふうに動くかということだと思います。
 先ほど来外務大臣が御答弁しておられますように、きょうスハルト大統領が記者会見をする。これも昨夜来、記者会見があるとかないとかということで変更がたびたび行われておりますので確定しているかどうかわかりませんが、何らかの所信表明をされると。
 それによってどうなるかということでございますが、昨日、国軍司令官のウィラント国防・治安大臣が記者会見で述べたところでは、スハルト大統領を補佐して国軍は現在の体制の中で改革をやっていくということを言い、一時期の暴動に対して軍は、比較的同情的というとあれでございますが、死亡した学生に対して大変気の毒だったというような、どちらかというと丁寧な姿勢を示しておりましたが、きのうのウィラント国防・治安大臣の発言では暴動は遺憾であったというような、すなわちこれからそういう状況に対しては厳しく対応するというようなことでやっておりますので、あしたに向けて事態は非常に緊迫しているというふうに考えております。
#63
○高野博師君 私の質問は、暴動ととらえているのか、あるいは民主化運動ととらえているのか、そこを聞いたのでありますが、そこはどうでしょうか。
#64
○政府委員(阿南惟茂君) 現在の状況は、現在の政権が非常に長期化しているということに対して、その体制改革、それは民主化要求も含んでいると思いますし、そういう学生や知識人を中心とした動きと、そういう動きの中で一般大衆が生活苦、物価高から非常に苦しい状況で商店を襲ったりという暴動のような状況が十三、十四日にかけて起こった、こういうことだと理解しております。
#65
○高野博師君 私は、基本的にはこれは民主化運動だというふうに見ております。
 そこで、市民とか学生の目的は今のスハルトの退陣を求めているということでありますが、経済危機から政治危機になってきたということで、これが世界恐慌の引き金にならなければいいなというふうに思っております。
 そこで、軍が市民を武力をもって制圧した場合には、我が国政府はどういう立場をとるんでしょうか。どういう対応をするんでしょうか。
#66
○政府委員(阿南惟茂君) 今回のサミットでも、政府の方とそれから一般民衆の方に、両方に対する自制の呼びかけを行っております。今、先生がおっしゃったような事態にならないことを心から念じておりますが、スハルト大統領のきょうの所信表明いかんでは非常に不満が高じてくるという可能性もございます。もちろんそのとき日本政府がどう対応するかは、その状況を正確に判断して決めることだと思いますが、今のところではそういう事態にならないようにと。他方、国軍が厳しく対応すると言っていることが相当抑止力にもなるかなと。それが現実の力となってあらわれる事態はぜひ避けてもらいたいと思っておりますが、そういうことで見守っているというところでございます。
#67
○高野博師君 クリントン大統領は、インドネシア国民に真の発言権を与えることが人権と法の支配に基づく秩序と安定の回復につながる、すなわち強権的なこのやり方には反対するという立場を明確にしているのでありますが、日本政府は邦人救出だけでもうほとんど頭が回らないのかな、こう思うんです。
 人権の問題が非常に深刻だと私は思うんですが、民主化促進とか人権という観点からどういうふうな立場をとっておられるのでしょうか。
#68
○国務大臣(小渕恵三君) 委員御指摘の人権問題というようなことは極めて重要なテーマだろうと思います。これはひとりインドネシアのみならず、アジアにおきましてもミャンマーの問題等々ございますから、それぞれの国の政治を行う場合に、一番この点を考慮して政治を行わなきゃならぬということは至極当然なことだろうと思っております。
 インドネシアにつきましては、かねて来我が国としては現政権との友好の中で推移してきたわけでございまして、そういった意味で橋本総理も経済問題、IMFコンディショナリティーの問題を含めまして、先般みずからジャカルタに飛んでおるわけでございます。そういったことから考えまして、今後どのようなことが招来するかということにつきまして、種々想像されることがあるとすれば、友人として適切な忠告なり対応なりを考えていかなければならないのではないか、このように考えております。
#69
○高野博師君 私は四月六日の予算委員会でもこのインドネシアの問題を取り上げて総理に質問をいたしました。日本のODAとスハルトファミリー企業との問題で、このODAのあり方に問題はないか、現政権を支えてきたその一人は日本ではないかと。
 そこで、人権状況とか民主化という観点からのODAの供与、そこが欠けているのではないか、そう私は思っているのですが、その点はいかがでしょうか。
#70
○政府委員(大島賢三君) 我が国のインドネシアに対しますODAの供与に当たりましては、これは当然のことでございますけれども、ODA大綱、その中に盛り込まれております原則というものを当然踏まえながらやってきているわけでございます。と同時に、ODA大綱の中にも明記してございますけれども、原則を十分考慮した上で、同時に、経済社会状況であるとかその国との二国間関係等を総合的に判断しつつ実施をしていく、こういうことになっております。
 インドネシアとの関係におきましては、今申し上げましたような事態を踏まえて、基本的にはインドネシアの国民、社会的弱者、貧困撲滅等を含めました開発目的に資するということを基本的目的として援助を実施してきておりました。これは従来もそうでございますし、現在もそうですし、将来的にもそういう考え方で臨んでいっておるというふうに考えております。
#71
○高野博師君 それでは、危機管理という観点から政府の対応について伺います。
 邦人救出ですが、海上保安庁の巡視船が派遣されたんですが、この法的根拠はどこにあるんでしょうか。
#72
○政府委員(長光正純君) 先生お尋ねの巡視船派遣についての法的根拠ということでございますけれども、海外における邦人の生命、身体及び財産の保護に関することにつきましては、これは外務省の所掌事務となっておりますけれども、私どもの巡視船の派遣につきましては、この外務省からの要請を受けまして、関係行政庁に対する協力という形で海上保安庁法第五条第十七号の規定に基づいて行っているものでございます。
#73
○高野博師君 外務省設置法に海外邦人の保護という規定はもちろんありますが、今の海上保安庁法第五条第十七号というのは省庁間の協力という項目でありまして、巡視船を海外に派遣するというのは、これは拡大解釈じゃないんでしょうか。
#74
○政府委員(長光正純君) この関係行政機関の協力につきましては、私どもが一元的に管理運営しております船舶、こういった海上における執行手段、これを関係省庁の事務においてもそれを必要とする場合に有効に活用させるという立法趣旨にかんがみまして、こういった要請を受けて私どもは艦艇の運用を行っているところでございます。
 なお、今回の事例では、外務大臣から運輸大臣に対しまして要請を受けておりますのは、万一の場合に備えてジャカルタ近傍における公海上において待機をしてほしいということでございまして、今後の行動におきましてはさらに別途の要請があるというふうに理解しております。
#75
○高野博師君 万一に備えてというのは先ほど防衛庁長官もおっしゃられました。非常に重要なことであると思うんですが、きちんとした法的な根拠、明快な法的根拠がなくてこれを派遣するのはいかがかと思うのであります。
 この巡視船の「みずほ」というのは、国際法上は軍艦ではない。しかし、三十五ミリ機関砲とか二十ミリ機銃とかで武装しているわけであります。こういうものを派遣するときに省庁間の協力云々というような話ではなくて、もともと海上保安庁の役目というのは領海内において活動する、警察とか税関との協力を想定したそういう規定なんです。邦人救出というようなことは想定されていないと思うんですが、そこをもう一度念のため確認いたします。
#76
○政府委員(長光正純君) 海上保安庁の巡視船艇の運用につきましては、我が国領海内のみならず公海上等におきましても必要に応じて活動を行っているものでございまして、先ほども申し上げました、繰り返しになりますけれども、外務省からの要請を受けて庁法の第五条第十七号の規定に基づきまして私ども運用をしておるところでございます。
#77
○高野博師君 話がかみ合いませんのでやめますが、要するに邦人救出というようなことはどこにも書いていないわけですね。したがって、外務省の要請云々ということではなくて、明確に海上保安庁の役目として公海上は活動できるということはありますが、邦人救出ということは規定されていないというところに私は問題があるんではないかと思うんです。
 それでは、自衛隊機の派遣について、これは何か八十人乗りぐらいの自衛隊機だということでありますが、万一に備えてやった場合にもこれは相当のピストンの往復輸送をしないと間に合わないということであります。形式だけあるいは万一に備えてということで、これはある程度の自制がないと、いろんな名目で万一に備えてということで派遣されるという懸念があると思うんですが、この辺はいかがでしょうか。
#78
○国務大臣(久間章生君) 確かにその辺は自制が必要だと思っております。
 したがいまして、今回の場合も外務大臣から依頼の文書をいただきまして、その文面にも百条の八の邦人救出の可能性があるのでということで依頼を受けたわけでございます。したがいまして、私どもとしてはいつでも自分勝手にというようなことのないようにこれから先もしていこうと思っております。
#79
○高野博師君 それでは、インド情勢についてお伺いいたします。
 インド・パキスタン情勢について、私も四月十六日にこの委員会で、パキスタンがミサイル実験をやったということで、インドがこれに対して反応するというか、両国関係が非常に危険になるのではないかということを質問したんです。その点について外務省は、「今回のミサイル実験につきましては、インド側は比較的抑制のきいた反応をしている、そういうふうに私ども判断しております。」、こう答えているんですが、全く抑制のきいた反応ではないわけで、非常に見通しの悪いというか、情勢判断の誤りではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
#80
○政府委員(阿南惟茂君) あえてその点についていろいろ弁解はいたしませんが、当時のパキスタンの弾道ミサイルの実験に対してインドがどういう対応をしているかということについては、冷静な対応をしているということを申し上げたわけでございます。その前段で、インド、パキスタンの間の関係は建国当初から緊張しているというようなことも申し上げておりますが、ただ先生が御指摘のような点があったということはあえて弁解はいたしません。
#81
○高野博師君 そもそもこういう問題についての危機意識というか問題意識が浅いのではないかと思いますし、当委員会での質疑のやりとりも単に聞き流しているということはないのかどうか、私はちょっとその辺については疑問を持っております。
 それでは、平林大使が帰国されたということで、平林大使の発言について一部報道されております。これについて若干お伺いしたいと思うんですが、制裁によって二国間関係が決定的に悪くなるというようなことはない、そういうことを言われているそうですが、その辺の認識はいかがでしょうか。
#82
○国務大臣(小渕恵三君) 我が国といたしましては、官房長官の談話で既に明らかにしておりますように、ODA大綱原則にかんがみまして、我が国として新規無償資金協力の原則的停止及び新規円借款の停止等を内容とする措置を決定いたしておるところでございます。
 しかしながら、我が国はインドとは伝統的な友好国であること、また唯一の被爆国として我が国の立場につきインド側も理解を示していることにかんがみますれば、現在のところインド側に落ちついた対応をしておると考えております。しかし、今後インド経済に影響が出てくるなどの事態も予想され、今後の推移を注視していく必要があると考えております。
 平林野インド大使が帰国をいたしまして、私自身もいろいろインド情勢につきましてお聞きをいたしました。先ほどもちょっと御答弁申し上げましたが、今回我が国がとった対応につきましては、かなりきついものだという認識をいたしておることは事実でございます。したがいまして、今後インドとしてこの問題についてどう対処するかということもよく見通していかなければなりません。
 一方、インドと我が国との関係は戦後ずっと良好な関係を保っておるというようなこともございます。そういった意味で、インド政府としては今回の対応について一応表向きといいますか、首相その他の政治家の発言を聞いておりますと、余りショッキングではないというようなことを言っておりますが、必ずしもそうではないと思っております。
 そういった意味で、インドも冷静に立ち戻って、我が国の対応をしかと受けとめて今後の対応をしていっていただきたい、このように念願しておるところでございます。
#83
○高野博師君 大使が、なぜこの時期に核実験を行ったのかわからない、それから各国の秘密情報機関も情報をつかんでいなかった、こう言われたそうなんですが、なぜこの時期に行ったかわからないということについては、これはミサイル実験を隣の国がやったという事実があるわけで、これに対しては非常に過敏に反応するというこれまでのいろんないきさつがあるわけですので、その点は見通しが非常に甘いのではないか。あるいは各国の秘密情報機関が情報をつかんでいなかったと言いますが、秘密情報機関とこういう情報の交換ができるような体制にあるんでしょうか。
#84
○政府委員(阿南惟茂君) なぜこの時期に地下核実験を実施したかわからないという平林大使の発言は正確に私ども存じておりませんが、むしろこれはパキスタンのミサイル実験というようなことよりも、もう少し基本的な中国との関係とかそういうことで、インドを取り巻く国際情勢についての判断を示されたものだというふうに思います。ただ、この大使の発言の真意は私どももつまびらかにしておりません。
 また、いろんな国との情報交換をやっているかと。これは当然のことでございますが、少なくとも今回については、私どもが情報交換をいつもやっている国のそういうところからインドの核実験についての事前の情報というものはなかったわけでございます。
#85
○高野博師君 ところで、パキスタンの核実験実施というのは決定されたのでしょうか。これは確認できているんでしょうか。
#86
○政府委員(阿部信泰君) パキスタン政府に対しては、登特使が行きまして、首相、外務大臣と会いまして会談をしておりますが、その席でもパキスタン側は核実験を行うということは決めていないというふうに言っております。
#87
○高野博師君 日本側も特使を派遣してパキスタンに実験を断念させるようにいろいろ働きかけをやっていると理解していますが、アメリカが、もしパキスタンが実験をやめれば戦闘機を売却することも考えている、そういう情報もあります。これはパキスタン、インド両国間の軍拡をあおるのではないか。また、アメリカ側の軍需産業の意向も反映しているのかと思いますし、このアメリカ側の対応というのは問題があるのではないかと思うんですが、どういうふうに認識されておりますか。
#88
○政府委員(阿部信泰君) そこのところはおっしゃるとおりなかなか難しい問題だと思います。もともとF16の売却というのは、パキスタンが核開発をしている疑いがあるということで、アメリカがそれをとめさせようとしてやめたわけでございますけれども、今度は何とかパキスタンが核実験に進もうというものをとめなきゃいけない。パキスタンがそれを行う最大の理由は自国の安全保障上の関心と懸念というものがあるわけでございまして、それをなだめるために何ができるかということで、一つの方法としてアメリカで議論されていると聞いておりますが、何もなしにとめられるかということとの兼ね合いで、そこは大変難しい判断かと思います。
#89
○高野博師君 非常に難しいとは思うんですが、安全保障上の措置として、対応として戦闘機を売るというアメリカ側の考え方はいかがなものかと。こういうことに対しても日本として何らかの意見を言うぐらいのことがあってもいいんではないかと思うんですが、そこはいかがでしょうか。
#90
○政府委員(阿部信泰君) もちろん理想的には両国とも軍拡競争をやめて、より少ない軍備で平和的に関係を保っていただくのがよろしいわけですが、残念ながら現状は逆の方向に向かっている懸念が強いということでございまして、アメリカ側とはいろんな場で緊密に意見交換を行っております。その上で、日米おのおのの立場で何ができるかということを考え、努力しているところでございます。
#91
○高野博師君 先ほど同僚委員からも御質問がありましたが、インドネシアの場合と同様に、インド、パキスタンあるいは中国等に対するODAの供与について、ODA大綱の徹底を図るということが私は重要ではないかと思うんです。パキスタンに対しては中国がミサイルを輸出しているとか、あるいは核技術を輸出しているとかという情報はかなり前からあったわけで、私は中国の問題を取り上げたときもこれについて何度がただしましたけれども、もう一度この点について政府の意見をお伺いします。
#92
○政府委員(大島賢三君) ODAの実施に当たりましては、従来からもそうでございますが、ODA大綱の中に記されております主要な原則、こういうものを踏まえ、同時に二国間関係等も踏まえまして総合的に判断をしつつ実施していくということでございます。その中には、委員から御指摘のございましたように幾つかの問題、原則にかかわる部分につきましては、例えば軍事支出、大量破壊兵器、ミサイルの開発・製造等々のことが記されておりますので、こういったことにつきましては十分情報を収集し、その評価をしながら政策に反映させていくべきものというふうに考えております。
#93
○高野博師君 それでは、大臣に二言お伺いいたしますが、インドのナショナリズムというか大国主義、これについてどういう認識をしておられますか。
#94
○国務大臣(小渕恵三君) インドは人口的にも国土の面積から見ましても大変大きなものでありますし、特に最近の経済の発展というようなことを考えますと、インドとしてはアジアにおける大きな国としての責任を負っていこうということだろうと思います。
 したがいまして、御案内のように、国連における安保理の問題等につきましても、インドとしては大変意欲を燃やしておるやに聞いております。そういった意味では、インドが大きな存在になっておることは事実だろうと思いますが、従前はいわゆる非同盟の国の盟主というような形で推移してまいりましたが、今やアジアにおける大きな存在を示しつつある、こういうふうに考えております。
#95
○高野博師君 最後に一つだけ。先般のバーミンガム・サミットでエリツィン大統領から二〇〇〇年のサミットの開催をロシアに譲ってくれないかという案について、報道によると政府は前向きに考えているということでありますが、この点はいかがでしょうか。
#96
○国務大臣(小渕恵三君) 総理からまだ正確な御報告をちょうだいしておりませんが、この問題について二国間で話をしたときにそういうロシア側の希望をお聞きした、しかしこれは二国間でお話をして結論を出せるものでないということでございましたので、その点についてG8の場でもし発言があった場合に、他の国がどのように反応するかということについても日本側としては留意しておったと思います。
 いずれにいたしましても、この問題についてはエリツィン大統領からも御発言があって御希望があったやに聞いておりますが、G8の段階では二〇〇〇年のサミットについて了承をされることとはならなかった、したがってこれについては現在議長国のイギリスがお預かりをされておる、こういうふうに聞いております。
 いずれにしても、御案内のとおり、二〇〇一年のイタリア、二〇〇二年のカナダということがございますので、そうした既に予定しておられる国々の御了解なしには率直に申し上げて、そうした変更をし、途中でかわられるということはなかなか困難ではないか、これは私の感想でございます。
#97
○高野博師君 終わります。
#98
○田英夫君 インドの核実験についてお尋ねしたいと思います。お尋ねするというよりも意見を言うことの方が多いかもしれませんが。
 前回、大変短い時間で議論をいたしましたが、そのときも申し上げましたけれども、今回のインドの核実験ということは、単にパキスタンとの対抗とかいうようなローカルな問題じゃなくて、やった御本人のインドの意思とはある意味では無関係に、結果として世界の政治構造を変革するぐらいの大きな意味があるんじゃないか。意味というのはある意味では悪い意味ですが、そういう感じを持っているんですけれども、外務大臣はいかがですか。
#99
○国務大臣(小渕恵三君) 国際社会は、冷戦時も核のない世界に向けて現実的な核軍縮、不拡散措置を着実に積み重ねてきておるところでございます。また、一九九六年には包括的核実験禁止条約が採択され、世界的な核実験禁止の流れがつくられてきておるところでございます。
 今回のインドの核実験は、このような国際社会の努力に逆行し、また地域的及び国際的な平和と安全を増進しようとする努力に逆行するものでありまして、我が国は御指摘のように、今般のインドの核実験は核軍縮、不拡散体制への挑戦であるとの危機感を有し、国際社会に対し結束して対応すべき旨を訴えております。
 今、田先生御指摘のように、今度のインド、あるいはぜひ阻止しなければなりませんがパキスタンというようなことになってまいりますと、今御指摘のように、長い歴史的な紛争地域のそれぞれの国が核を持って、みずからの国の安全保障を守るという名においてそうした核による脅威を続けてくるのは、ひとり隣国のみならず世界に大きな影響を与える。と同時に、核開発能力があると称せられる国、あるいはその意図があると称されておる国々もさらにその今の勢いが加速されるということになりますと、今御答弁申し上げたように、大きな世界の流れをそれこそ逆流させていって、また不拡散どころではなくて拡散の動きになるということは、まことに危惧しなければならないことではないかというふうに認識をいたしております。
#100
○田英夫君 残念ながら、現在、世界は五つの核を持っている国がそれを背景にして強力な発言権を持っている。現にその五大国は国連の安保理事会の常任理事国になっている。もちろん第二次世界大戦の戦勝国という意味も込めているわけですけれども、同時に核を持っているということが現実の問題として大国、大きな力を持っているということになっている。そこにインドが六番目の核保有国ということになると、この構造が崩れるといいますか大きな影響を受けることは確実ではないか、そういうことを申し上げたいわけです。
 第二次世界大戦後の世界を見ても、当初八〇年代まではいわゆる東西対立、冷戦構造という形で、アメリカを中心とする自由陣営とソ連を中心とする社会主義陣営、そしてその頂点にあるアメリカとソ連が核を持っている、こういう構造であったわけです。当時でもネール首相のインドは非同盟諸国会議を結成するという、インドはその中心になってきたわけであります。当時から東西という二つの陣営に対して第三の陣営をつくって対抗するという意図がインドには歴史的にあったわけですが、それが今回、はしなくもまた顕在化してきたということも言えるんじゃないか。
 そうなってきますと、冷戦構造が崩壊した八〇年代末期以降、世界はアメリカ一極と言ってもいいような、アメリカだけが唯一の超大国という状況の中で推移してきたわけですが、そこに強烈な一つの衝撃を与えるという形で、インドが即六大国になるという意味ではありませんけれども、従来の既存の五大国並びに一超大国という構造に大きな衝撃を与えることになるんじゃないだろうかということを申し上げたいわけです。
 これは余談ですけれども、一九七五年に金日成の北朝鮮はその非同盟諸国会議に参加したわけです。このことを余り皆さんは注目しませんけれども、現在も入っているわけです。ただ、金正日体制になってからはそのことを余り表に出しませんし、非同盟の活動も一時に比べれば活発ではなくなっていましたが、今回のことが再び非同盟諸国会議並びに第三世界的な活動に火をつける可能性があるんじゃないだろうか、そういうことを考えておいた方がいいんじゃないかということを申し上げたいわけです。
 二番目に、今回の核実験を核の問題に限定をして考えますと、今までNPT、CTBT、そしてカットオフ条約という形で段階的に核をなくしていこうというある意味の世界の合意、これが崩壊してしまうんじゃないかという気がします。これは大臣でも阿部さんでもいいんですが、政府はどう考えておられますか。
#101
○政府委員(阿部信泰君) 確かに、おっしゃるように、インドはこれまで核保有国に特権的地位を与えるのはいかぬ、核保有国の核廃絶を早期にかつ期限を切って進めるべきであるという主張をしてきたわけですが、それに対しまして今度インドがみずから核実験を行って事実上核保有国となるということを行ったわけです。
 ただ、不平等であるという議論はわからないではないんですけれども、そのインドの理屈を認めますとほかのいろんな国に対しても同じ理屈を認めざるを得なくなりまして、まさに核の拡散ということになる。そこはインドに対しては、理屈、気持ちはわからないではないけれども、すべての国が今や核軍縮の方向へ向かっているときに逆の方向には動いてほしくないということで、大国には一層の戦略兵器の削減その他を求め、その他の国については核不拡散あるいは核分裂物質の生産の停止ということをおのおの段階的にやってほしいというのが私どもの現実的な考えでございます。
#102
○田英夫君 実はCTBTの交渉をしていた段階で、当時の黒河内大使が一時帰国されていてお会いする機会がありましたが、そのことを大変心配しておられた。当時インドが、CTBTを進めようとしていることに対して、各国の意見に反発をして、大国が核を独占したままで、つまりNPT体制という形でCTBTを結ぼうというのはおかしいと。期限を切っていくべきじゃないか、何年か先に目標を置いてそれまでに核をなくすということを前提に考えるべきじゃないかと強く主張しているということを黒河内大使は言われて、このことに対して真剣に議論する必要があるんじゃないかという意見を言っておられました。
 残念ながら結果は、インドを無視したことになって今回のところにつながってきているんじゃないか、そういう気がいたします。それに、さっき申し上げたような第三世界的な、ネール以来の伝統と言ってもいいそういう考え方とが合併して今度の核実験ということにつながっていったんじゃないだろうか、こういう感じがしますが、いかがでしょうか。
#103
○政府委員(阿部信泰君) おっしゃるとおり、インドはCTBTに対して大変な不満を持っていたわけですが、最近のインドの当局者の発言を見ますと、CTBTにある程度条件をつけて入ってもいいというようなことをにおわせているような状況にあるようでございます。他方、今度のG8のサミットの声明でも、無条件でCTBTへの署名を求めるということを出しておりますので、そこはなかなかそう簡単ではないかと思います。
 また、先ほど安全保障理事会の常任理事国の問題につきまして、インドがそのような不満もあって、ある意味では核を持つことによってみずからの地位をという考えもあったかもしれないんですが、私ども日本などの場合は、むしろ核を持っていないけれども大事な国が常任理事国になるべきであるということを主張しているわけでございます。もしインドがそのように核を持たなければだめなんだというふうに考えたとすれば、これは非常に不幸なことであったと考えております。
#104
○田英夫君 この前も申し上げたかもしれませんが、世界は今核廃絶、核軍縮について二つの大きな流れがあると思っています。
 一つは、段階的にNPT、CTBTあるいはカットオフ条約ということを進めていこうという、これが大勢だろうと思います。一方で、期限を切って核を廃絶しろという、インドがCTBT交渉の中で主張したような考え方があって、それが実は国連の決議合戦になっているわけです。
 ところが、日本はもう大勢の方についているわけですから、日本案を提案して、これは全会一致で可決されている。一方で、マレーシア決議がここ二年ぐらい続けて出ていますが、実はマレーシアが考えたことではなくて、そういう流れが世界の中にある。特に学者の中に多いようですが、アメリカの法律学者がつくっている団体が核兵器条約という条約を自分たちで提唱しております。
 それを見ますと、締結後十五年後に核を廃絶するという一つの時間を設定して、それに向かって一年目は何、二年目は何という目標を定めている。そういう大変ユニークな考え方があって、学者では国連に出せませんから各国に働きかけて、マレーシアがそれを決議案にして出しているということのようでありますが、これは日本は棄権をしている。
 この際、私からお願いしたいのは、このインドの核実験を契機に、機械的に今までのことを繰り返すのじゃなくて、日本政府ももう一回期限つき核廃絶ということを真剣に検討してみる必要があるんじゃないだろうかという気がいたします。
 インドの核実験の結果、NPTというものに対して、そもそも現在核を持っている五つの国はそのままにして、ほかの国は持つちゃいかぬぞという核保有大国のエゴに対してインドは抵抗した、それでみずからが実験したという言い方もできると思うので、NPT、CTBT、こういう体制が崩れているんじゃないかと思うんです。そうなってくると、段階的という考え方がもはや通用しなくなる可能性がある。しかし、核廃絶は人類のためにやらなくちゃいかぬということになってくると、期限つき核廃絶ということも真剣に考える必要があるんじゃないかと思います。これは大臣からお答えいただきたいんですが、いかがですか。
#105
○国務大臣(小渕恵三君) この問題について大変御造詣の深い先生から今お話を承りました。期限つきの廃絶に向かっての国連での提案についても承知をさせていただきましたが、日本は従来から、いい意味でいえば必ずお約束したことは守っていくということでございまして、現実的な一つの処理をしていこうという姿勢を従来とってまいったわけでございます。
 引き続いてそうした方向でこの問題に取り組んでいくということでございますが、今お話しのように、一方でそうした考え方が取りまとめられているということであります。そうした流れについて十分日本としても承知をして検討していく必要があろうかと思いますが、今の時点で、片やすべての核に対する我が国の政策を一変して、マレーシアの提案に賛成してその方向のみに対処するということは、今お聞きした範囲では率直に申し上げて直ちにそういう方向転換というのはなかなか難しいんじゃないかというふうに承りました。
 しかし、今回のインドの核実験等を通じまして世界の世論というものがどういうふうに動いていくかということも含めまして、国連の場での対応については勉強していきたいというふうに思っています。
#106
○田英夫君 ありがとうございました。十二時になりましたので終わります。
#107
○委員長(及川順郎君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十分開会
#108
○委員長(及川順郎君) ただいまから外交・防衛委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、外交、防衛等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#109
○立木洋君 きょうは、先回に続いて周辺事態の問題について重ねてお尋ねしておきたいと思うんです。
 その後、いろいろ政府関係者の方々の発言をお聞きしていますと、周辺事態というのは極東とほぼ同じに考えてもらってもいいとおっしゃっている方もおいでになりましたし、また極東並びに極東周辺というふうに述べている方もおられるんです。もちろんこれは地理的な概念ではないというふうなことは繰り返し言われてきている状況ですけれども、いわゆる周辺事態というのはこういうふうに明確に考えているという現在時点での政府としての統一した考え方、政府の要人の方々がいろんなことを述べられておるので、どういうふうに今の時点で統一されておるのか、ちょっと述べていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#110
○国務大臣(小渕恵三君) これもしばしば当委員会でも申し上げておりますように、周辺事態は我が国周辺地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態で、事態の性質に着目した概念でありまして、ある事態が周辺事態に該当するか否かについては事態の態様、規模等を総合的に勘案して、この事態が、軍事的な観点を初めとする種々の観点から見ても、我が国の平和と安全に重要な影響を与えているか否かの判断をするものであり、かかる事態を生ずる場所をあらかじめ特定するわけではありません。したがいまして、周辺事態が発生し得る我が国周辺地域を地理的に一概に画することはできません。
 従来もこの答弁を申し上げておるところでございます。
#111
○立木洋君 では、最初からの答弁の変更はなくて、個々の方々がおっしゃっているのはそれぞれ個人の考え方として述べられておるものだというふうに理解しておけばいいわけですね。
#112
○国務大臣(小渕恵三君) 個々の方々というのは、いろいろメディアの関係で極東あるいは極東周辺というようなことが表現されておりますが、これは報道の範囲のことでありまして、それぞれ一つ一つ我が方として確かめておるわけではございません。
#113
○立木洋君 個々の政府の要人の方が述べられている見解をすぐそうではないという、地理的な概念として直接的に述べられておることも否定されていないということは、私の念頭に置いておきたいと思います。
 それで、ここの中で言われている我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態、その重要な影響というのは例えばどういうふうなことを言うんでしょうか。
#114
○政府委員(高野紀元君) 周辺事態の基本的な考え方は先ほど大臣から御答弁いただいたとおりでございますが、そういう周辺事態とは軍事的な観点を初めとする種々の観点から我が国の平和と安全に重要な影響を与えるということでございまして、その意味で典型的に考えられるのは、我が国周辺地域において我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような武力紛争が発生している場合、またはこのような武力紛争の発生が差し迫っている場合等があると考えております。
#115
○立木洋君 つまり、これは経済的にさまざまな重大な事態が起こるというふうな問題ではなくて、軍事的な影響というふうに限定していいんですね、今おっしゃったのは。
#116
○政府委員(高野紀元君) これも御答弁しておりますが、ある事態が周辺事態になる原因というのはさまざま考えられるわけでございます。経済的、社会的あるいは政治的な要因があると思いますが、いずれにせよその原因が何であれ、結果として起きた事態に軍事的な要素、軍事的な側面は全く含まれないというような状況について言えば、それは周辺事態に当たらないということになろうかと思います。
#117
○立木洋君 一九五八年の金門・馬祖事件というのがありましたね。これについては、今のその重要な影響を与える場合というふうに言えるのかどうなのか、いかがでしょうか。
#118
○政府委員(高野紀元君) 先ほど申し上げましたとおり、ある事態が周辺事態に該当するか否かというのは、事態の態様、規模等、さらに言えば、そういうことを含めてでございますが、その時点における国際情勢を含めて総合的に判断する必要があるわけでございます。
 今、委員の御指摘のような歴史的な事例に関して申し上げますれば、現時点においてこれをその時点のすべての国際情勢、国際安全保障環境を含めてここで判断するということは必ずしも適切ではないし、あるいはここで明確に申し上げることは適当ではないというふうに考える次第でございます。
 いずれにしても、新しいガイドラインにおける周辺事態というのは、周辺事態であるかどうかの判断をもとに、そのためにとられるであろう措置について閣議決定を行って決めるという手続をしておりますが、そういう新ガイドラインにおける周辺事態でございますので、一つ一つの歴史的な事例について、それをすべての状況を判断してここでそうであるかどうかということを政府として申し上げることは適切ではないんじゃないか、こういうふうに考えております。
#119
○立木洋君 この金門・馬祖事件が一九五八年に起こったとき、当時の岸首相は、一九六〇年五月十二日、衆議院の安全保障委員会で、金門、馬祖は日本から地理的にも相当遠く、小さい島であり、そこに局地的武力行使が行われているようなことは、日本の平和と安全に深い関係があるとは思わないと、当時こういうふうに述べております。そのことだけちょっと指摘しておきたいと思うんです。
 次に、アメリカがベトナムに介入してベトナム戦争が起こりましたね。あのベトナム戦争は日本の平和と安全についてはどういうふうな関係があったとお考えでしょうか。今に立ってではなくて、その当時でも結構ですが、どういう判断をしておったんでしょうか。
#120
○政府委員(高野紀元君) ベトナム戦争自身は極めて長い間のあの地域における紛争でございますけれども、いずれにいたしましても、我が国と米国との関係におきまする安全保障条約の適用ということで申し上げれば、我が国の施設・区域を使用して当時米国がいろいろな活動をしていたということは事実でございます。その中で、当然事前協議にかかわる部分に関しましては、事前協議の枠の中で協議が行われるような制度も当時あったわけでございますけれども、その事前協議との関係ではそういう協議はなかったわけでございます。
 いずれにしても、米軍が安保条約の関係において我が国の基地を利用して種々の活動をしていたということは事実でございます。
#121
○立木洋君 当時、政府はベトナムの状況との関連において、極東における国際の平和と安全の維持に全く関係がないとは言えないという表現の仕方をしております。このことだけ指摘しておきます。
 次に、先般、あの台湾海峡で一九九六年三月、中国軍の部隊が実弾射撃等の演習を行いましたね。米軍なんかも空母を派遣したりしました。あの事態については、ここで言われている我が国の平和と安全に重大な影響を与える事態という観点から見てどういうふうな判断ができるんでしょうか。
#122
○政府委員(高野紀元君) これも先ほどの御答弁の繰り返してございますけれども、いずれにしても、今度の新ガイドラインとの関係で、周辺事態であるかどうかという判断はその対応措置を含めて閣議決定で行うということが、現在国会に私ども御提出しております法律案に明示してございます。
 そういう関係で言えば、個々の状況、起きた事態に関連して、それがその時点における国際情勢、国際安全保障環境を含めて総合的な判断でどうだったかということをこの時点で申し上げることは必ずしも適切でないし、差し控えさせていただきたい、こういうふうに思います。
#123
○立木洋君 今三つの事例を挙げてお尋ねしたんだけれども、いずれの場合についても、日本の平和と安全に重大な影響を与える場合に該当するというふうな判断、当時も現在もそういうふうな判断があったということについては局長は述べられなかった。だから、重要な影響を与える場合というのは、これはまさに日本に武力攻撃がかけられてくる、あるいはもう全くただ単なるおそれ等々でなくてその危険性が目前に迫っている、そういう事態のことを意味するんだというふうに、今挙げた三つの事例に対するあなたの答弁から大体そういうふうに判断します。
 それで、経過的にこの問題を若干振り返ってみたいと思うんです。
 一九六九年十一月に日本とアメリカが共同声明を出しました。この第四項目の中で、日本の安全にとって韓国の安全は緊要であるという韓国条項が出されました。また、台湾の平和と安全も極めて重要な要素であると述べ、台湾条項というのが規定されました。
 しかし、一九七二年に日本と中国が共同声明を発表する前後から、台湾条項は消滅したという点についてそのとおりであるということを一九七二年六月七日、福田外相は述べております。また、それよりちょっと前ですが、佐藤首相は一九七二年四月二十七日に台湾条項は消えたのかという質問に対して、そのとおりですというふうに答弁しております。つまり、台湾条項は消滅したということが当時述べられました。
 これは、中国が国連に加盟し、台湾が中国の一部であるという状況の変化を意味しているということはその当時の政府の答弁でも判断できるわけです。
 しかし、それと関連して述べている点で次のように述べている点があるわけです。これは先ほど言った一九七二年五月十八日、当時の福田外務大臣が、「台湾海峡をはさんで北京政府と国民政府との間に武力によって事がかまえられるというような情勢は予見できないと、こういう判断であります。」と。つまり、いわゆる台湾条項については消滅したという情勢の判断の問題も出しているんです、中国に加入したという問題ではなくて。
 それからもう一つ、宮澤外務大臣の当時ですけれども、この問題についても、これは一九七五年二月十日衆議院の外務委員会ですが、そこでも「いわゆる極東の範囲、地理的な概念ではございませんけれども、日米安保条約に言う極東の範囲に入っていることには一向に変わりがない、こういうふうに考えておるわけでございます。」と。だから、地理的な概念ではないけれども、日米安保条約で言う極東の範囲に入っていることには一向変わりがないということも言っているわけです。
 こういうふうに考えてきますと、いわゆる台湾条項というのは、今のガイドライン、いわゆる周辺事態とのかかわりで日本のこれまで政府がとってきた態度から見てどう見るのが正確なのかということで、私は次の点を挙げたいと思います。これは大臣、よくお聞きいただきたいんです。
 一つは、いわゆる台湾条項は消滅したと現時点でも明確に言っていいのかどうか、政府の見解、これが第一点です。それから第二点、同じくこの地域、台湾及び台湾海峡はこのガイドライン、周辺事態ということから完全に除外していますというのが政府の立場なのか。それから三つ目、それともこの地域において、状況の変化によっては周辺事態となり得ることもあり得るというふうに判断しているのか。その点についてお答えいただきたいと思います。
#124
○政府委員(高野紀元君) 今御指摘のいわゆる台湾条項でございますが、これは一九六九年の佐藤・ニクソン共同声明における条項のことに言及しておられるというふうに考えておりますけれども、これについてのいろいろな国会の議論、そこにおける政府側の御答弁は御指摘のような答弁があることは事実でございます。
 そこで申し上げたいのは、ここにございますいわゆる台湾条項等に関して言えば、当時としての一般的な情勢認識としての言及、共同声明における言及でございまして、この問題と、総合的な判断の結果、周辺事態であるかどうかという判断とは直接関係するものではないということが一つでございます。
 結局、先ほどの周辺事態が台湾との関係でどうなるかということについて申し上げれば、周辺事態に関する基本的な考え方、繰り返しになりますので避けますが、最終的に総合的に判断してそれぞれ主体的に判断するということに尽きるわけでございます。
 台湾についての我が国の基本的立場は、いずれにしてもこの時点で我が国としては、中国政府が、台湾をめぐる問題は中国人同士の問題として平和的解決を目指していると承知しており、我が国としてはかかる基本的立場を堅持した上で、台湾をめぐる問題が関係当事者間の話し合いにより平和的に解決されることを強く希望しているというのが基本的立場でございます。
#125
○立木洋君 希望はわかりました。だけれども、状況の変化によっては周辺事態となり得ることもあり得るということは一切除外していいんですか。あり得るんですか。それを端的に、あるかないかだけ言ってください。
#126
○政府委員(高野紀元君) まことに申しわけありませんが、それに対するお答えというのは、周辺事態というものが先ほどのような仮定と申しますか判断によって政府として判断することになるだろうというところで、以上の御答弁は差し控えさせていただきたいと思っております。
#127
○立木洋君 だから私が始まる前にあなたにはっきり答えなさいよと念を押しているのに、いまだにはっきり答えようとしていない。
 これは、つまり中国の一部であると。日中共同声明があるから、中国の問題に対して言うならば、これはガイドライン、周辺事態に入っているということは言えないんですよ、日本政府は。今の時点で言うとそれは人ごとになる。これは中国との関係ではいろいろ議論されてきた経緯というのがある。これはもう私は言いません。だからそれは言えない、しかしこれは入っていない、あそこはもう完全に除外されているんだと言ったら今度はアメリカとの間で関係が好ましくなくなる。これは大変なことになりかねない。だから、そうも言うわけにはいかぬ。
 だから、この問題で一体情勢の変化によっては周辺事態となり得ることがあるのかないのかと。あるのかないのかという問題について聞きたいんですよ。あるならある、ないならない。大臣いかがですか、大臣は非常に淡泊にお述べになる方ですから。簡単で結構です。
#128
○国務大臣(小渕恵三君) あるともないとも申し上げられない、その事態をどう考えるかということだろうと思います。
#129
○立木洋君 あるともないとも言えないということは非常に私は明確な回答だと思うんです。ということは、あり得ることもあるということなんです。ないという場合もあり得るということなんです。よくわかりました。いわゆる状況の変化によっては台湾、台湾海峡が周辺事態になり得るという判断は日本の政府の頭の中にあるというふうに私は判断しておきたいと思うんです。
 これはどうしてかといいますと、岸首相が、先ほど申し上げましたが、六〇年五月十二日に述べているんです。いわゆる地理的にいって、近いからといって一般的に深い関係がある場合もあるだろうし、関係があるがそれほど深くない場合もあり得るし、また全然関係がない場合もあり得ると言っているんです。これは、地理的にいったら遠いか近いかだけの問題でいえば。だけれども、問題の性格によって考えるならば、近いからといって必ずそれが深い関係があるというふうには言えないと。しかし、かといって関係がそれほど深くないという場合もあり得るし、また遠いからといって深い関係を持つという場合もこれはあり得るんだと。だから距離的な関係ではなくて、いわゆる性質の概念という問題については、先ほどの大臣のお答えは私はそのように解釈しておきたいと思うんです。
 ただ、私は最後にこの点で、もう時間が来ましたので言っておきますが、一九九八年版のアメリカの国防報告で、アメリカの利益を脅かすあらゆる領域の危機に対して軍事的に対応するということを報告しております。そして、その危機に対するための手段として、改定されたガイドラインを実施するということを挙げております。アメリカの利益を脅かすあらゆる領域の危機に対して改定されたガイドラインを実施する、これはアメリカの考えです。
 そして、ここでどう言っているかというと、このような観点に基づいて一九九六年四月の日米安保共同宣言では、両首脳の間で「両国政府が、アジア太平洋地域の安全保障情勢をより平和的で安定的なものとするため、共同でも個別にも努力することで意見が一致した。」というふうに述べています。周辺事態にアジア太平洋地域が含まれ得るということは、日米共同宣言における両首脳の確認からいって私は明白だろうと思うんです。ですから、地理的な概念ではなく、いわゆる遠近の問題にもかかわりなく事の性質によって総合的に判断されなければならないと。
 しかも、それは軍事的な問題であるということで言うならば、先ほど述べたように、ある場合もあるし、ない場合もあるというのが、台湾が周辺事態となり得るかどうかという問題に対する政府の答弁であるというふうに私は理解します。
 最後の、アジア太平洋地域が周辺事態に含まれ得るというアメリカの国防報告からの考え方、この点について何か御所見があれば述べていただきたい。大臣、いかがでしょうか。もう最後だから大臣にお述べいただいたらいいでしょう。
#130
○国務大臣(小渕恵三君) どのような御議論が米国にあるか存じませんが、我が国としてはあくまでも安保条約の範囲の中で処理するということでございます。
#131
○立木洋君 終わります。
#132
○田村秀昭君 インドネシアの邦人の救出についてお伺いさせていただきます。
 アメリカとかカナダとかオーストラリア、東南アジアの諸国よりも救出が二、三日おくれているわけで、現地の邦人も日本政府に対して、どうして日本だけが早く決断が下せないのかということを言っておられるという情勢で、インドネシアの情勢分析が我が外務省は甘いんじゃないかというふうに私は思っております。
 この前も佐藤委員からインドネシアの現政権について質問されているし、同僚議員からもあったと思いますが、情勢分析が甘ければ当然邦人の救出もおくれてくるわけで、現時点でお答えになられるかどうかわかりませんが、現スハルト大統領の進退も含めてどういうふうに見ておられるのか、お聞きしたいと思います。
#133
○国務大臣(小渕恵三君) インドネシア情勢とそれに対する日本政府の対応については、先ほど来当委員会でも諸先生方から御指摘をちょうだいいたしておるところでございますが、率直に申し上げまして、時々刻々変化する状況はなかなかこれを正確に分析して一様に対応するということの困難が実は存します。
 今、報告がありまして、一時三十分からスハルト大統領が演説を始められたということでありまして、内容がわかりましたら当委員会にも御報告申し上げたいと思っておりますが、大統領としてみずから進退の問題に触れられるのか否かというような問題もございます。事ほどさように、最高責任者の対応につきましても判断を申し上げることはなかなか実は困難な状況であります。しかし、いずれにいたしましても邦人の身の安全ということに関しましては、できる限り早目早目に手を打っていかなきゃならぬということはしごく当然なことだろうと思います。
 ただ、この分析にかかわることではありますけれども、日本とインドネシアとの関係から考えまして、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたが、例えば邦人の安全の問題について、危険度について一遍にグレード五というような形になすことは、これはまたいろんな問題を惹起しかねないということであります。そういう意味で、それぞれの状況に応じましてグレードを上げてまいりまして、現在四ということで対処いたしておるわけでございます。
 そういった意味で、可能な範囲におきまして、現在のインドネシアにおける政情も含めました状況について判断を正確にいたすべく努力しております。今お尋ねの点につきましてはまさに今大統領自身が何らかの意味で重大な態度表明が、重大なというのは――失礼しました。よろしいですか、ちょっとお時間をちょうだいして。
 インドネシアの今のスハルト大統領の演説です。一つ、自分は改革委員会をつくって新しい内閣をつくり、そこで改革をやっていく。二、総選挙をなるべく早くやり、その後の新しい国会で大統領を選出する。三、自分は新たに大統領には立候補しない。以上、重要な三点についてテレビでの演説があったと、こう承っておりますので、こうした路線で今後進んでいかれるのではないかと判断いたしております。
#134
○田村秀昭君 十六日に民間機の増便をお決めになっておられるみたいですが、アメリカとかカナダというのはもう第一陣は十三日か十四日に全部終了しているんです。それで、十六日の土曜日に、今度新しく内閣の危機管理監になられた安藤さんは官邸の危機管理センターに詰めておられたわけですが、関係閣僚はみんな参議院の補選の応援でいない。官房長官もいないし、総現代理の外相もおられないし、運輸大臣もおられない。そういうことに私は現地に対する危機管理の甘さがあるんじゃないかというふうに指摘したいと思いますが、いかがなものでしょうか。
#135
○国務大臣(小渕恵三君) 御指摘につきましては留意しなければならぬとは思っております。ただ私に関しましては、前日に十分その事態の状況について掌握いたしておったつもりでございますし、当日は政務でございませんけれどもあえて大臣秘書官を同道いたしまして、時々刻々変化することに関しまして対応のできる体制を整えつつ対処いたしておりましたし、当日の早朝からの動きにつきましては、インドネシア国内においては集会その他が行われる可能性が非常に薄いということも判断をいたしまして対処いたしておりました。東京にはおりませんでしたが、十分対処のできる体制をとっておったことを御理解いただきたいと思います。
#136
○田村秀昭君 こういう避難民の救援に護衛艦を使用できるようにすべきだと私は思っているんですが、いかがですか。
#137
○政府委員(竹内行夫君) 事実関係だけ申し上げますが、御承知のとおり、現在自衛隊法の改正について国会にお諮りしているところでございますので、その取り扱いにつきましては国会の方でお決めになる、こういうことだろうと思います。
#138
○田村秀昭君 政府として、民間機を派遣する場合あるいは自衛隊の飛行機を派遣する場合、その基準というのはどういうふうに決められているんですか。
#139
○説明員(内藤昌平君) 海外における在留邦人救出のための作業は原則として民間機を最大限活用するという方針でございます。
 しかし、邦人救出の事態は緊急事態ということで、飛行場が通常の事態でも使えない場合があり得ます。それから、民間機がいろいろな現地の事情で利用が困難であるというような状況も考えられます。そのような場合には自衛隊機によって邦人救出を行う、それが百条の八の趣旨でございます。
#140
○田村秀昭君 今おっしゃったことは、そういう優先順位はどこかに書かれているんですか。あなたの言われているのはどこに書かれているんですか、そういうことは。
#141
○説明員(内藤昌平君) 自衛隊法の百条の八には、防衛庁長官は外務大臣……
#142
○田村秀昭君 いや、そんなこと聞いているんじゃないんです。優先順位が定められているのかと私は聞いているわけです。今あなたのおっしゃったような優先順位がどこかに規定されているのかと聞いているんです。
#143
○説明員(内藤昌平君) それは外務省としての方針でございます。
#144
○田村秀昭君 そうすると、外務省の役人が異動して変わった場合にはまた変わるんですか。
#145
○説明員(内藤昌平君) 外務省は外務大臣の御指示のもとに動いてございます。
#146
○田村秀昭君 そんなこと聞いているんじゃないですよ。だから、きちっとそういうことを前もって、その場その場の行政じゃなくてきちっと優先順位を決めておいたらいかがかねと言っているわけです。もう答弁はいいです。
 次に、沖縄の普天間の問題について外務大臣にこれはお聞きしたいんですが、名護の市民は賛成派が多いんです。それで、大田知事の反対によって普天間基地の代替地が凍結されている。
 大田知事さんというのは日本の安全保障について責任を持つ立場の人じゃないんです。国家の重大な、日米間でも重大な問題だと私は思っているんですが、県知事の意向に左右されて進捗しない状況というのは、どういうふうにそれをお考えになっておられるのか。日米関係も非常に悪くなるし、県知事がその場所を持っているわけじゃないんです。本来国が持っているものを、全部国でやったら大変だから県知事さんを通してやっているだけの話で、知事さんが反対だからといってこういう重大な国家的な問題が凍結されているというのは非常におかしいと私は思うんですが、外務大臣はどのようにこれをお考えになっているのか、お聞きしたいと思います。
#147
○国務大臣(小渕恵三君) 政府としては、既に先生御案内のとおり、海上ヘリポートを代替として普天間の基地の移転を考えておるわけですが、海上ヘリポートともなりますと、公有水面の使用についての権限を地方自治体の長が有しておるということでございますので、そういった意味で、その地域の知事の理解と協力なくしてはなかなかスムーズにこの問題を解決できない、こういうことに相なっていることも委員御承知のところだろうと思います。
#148
○田村秀昭君 そうすると、大田県知事さんが反対をしている限りずっと今のような状況が続くということですか。
#149
○国務大臣(小渕恵三君) 段々の経緯は先生も御存じだと思いますけれども、現時点におきましては知事さんとして反対の意思を表明されておる。したがって、政府としてはその考え方を改めていただくべく今日まで粘り強く努力を傾注いたしてきておるところでございますが、残念ながらまだ賛同を得られていないということでございます。
#150
○田村秀昭君 そうすると、外務大臣は賛同を得られるまでずっと待つ、そういうことですか。
#151
○国務大臣(小渕恵三君) 一日も早く理解をいただきたいと念願しておるところでございます。
#152
○田村秀昭君 インドの核実験について、これはCTBTやNPT体制の崩壊につながる極めて重要な問題だと私は理解しておるんですが、実際にこういうインドの核実験のようなものが起きたわけでありまして、核兵器の保有とか核の傘とか核の拡散防止とか核軍縮とか核廃絶などを含めて、核管理に関するシステムの本質的な見直しが必要になった時期に来ているんじゃないかと思うんです。我が国としては、国連の軍縮会議に新たに提案して外交的なイニシアチブをとられるとか、どういうふうに今後していかれようとしておられるのか。
 それから、水爆を持つような国には、立派な大国ですからもう援助はやめた方がいいんじゃないかと私は思っているんですが、その辺も含めてお考えをお聞かせください。
#153
○政府委員(阿部信泰君) 御指摘のとおり、このたびのインドの核実験というのは世界的な核軍縮の動きに大変大きな衝撃を与えたものと受けとめております。
 これまで核軍縮につきましては、ジュネーブの軍縮会議あるいは国連の場を使いましてNPTの再検討会議、こういったものの場を通じまして議論がなされておるわけですが、そういった場を通じて一層核軍縮の道を進めるべく努力をしたいと考えております。
 我が国の経済援助の問題につきましては経済協力局長からお答えした方がよろしいかと思います。
#154
○政府委員(大島賢三君) インドの二回にわたります核実験に対しましては、既に大変に強い抗議を申し入れるとともに、ODA大綱の原則も踏まえまして、インドに対します新規の無償資金協力を原則的に停止すること、それから新規円借款の停止、国際開発金融機関を通じます対インド融資に対しての慎重な対応といったような諸点を含みますことを決定いたしまして発表したところでございます。
 この経済協力を通じます日本政府の措置というものは大変に強い措置であるというふうに考えております。
#155
○田村秀昭君 質問を終わります。
#156
○佐藤道夫君 私からは、最初に対人地雷の全面禁止条約の問題を取り上げたいと思います。結論を先に言いますと、なぜこの地雷条約の批准がおくれているのかと、こういうことであります。
 昨年十二月、小渕外務大臣がすぐれた指導力を発揮されまして、この条約に署名というところまでこぎつけたわけでありまして、先般ロンドンで開かれましたG7ならざるG8会議におきましてもこの問題を取り上げて、地雷による犠牲者ゼロのプログラムについて強力な国際協力を展開していこうと、こういうことになったようであります。その間の御努力は私は大変高く評価しておるのでありますけれども、肝心のこの条約の批准がおくれているのはなぜかということなのであります。
 報道等によりますれば、自衛隊が保有している百万個の地雷の問題、まずこれをどうするかという問題があると。それから、在日米軍の保有している地雷について、日米間の調整がまだ詰まっていないということ。それから、地雷条約を批准した場合の国内立法が全然手つかずである、どういう法律をつくったらいいのか、その辺もまだ検討中である、こういうことのようであります。
 そこで、最初に防衛庁にお尋ねしたいんですけれども、条約の批准に備えまして、この百万個という地雷、それから地雷の予算というのは年間四十億円ぐらいあったようでありますけれども、これが一体どういうことになるのか、それをちょっと御説明していただきたいと思います。
#157
○政府委員(鴇田勝彦君) ただいま、対人地雷禁止条約の発効に向けて防衛庁として現在保有をいたしております対人地雷をどのように処分していくつもりであるかという点と、その予算の関係の御質問がございました。
 私どもが保有しております対人地雷の廃棄のあり方につきましては、この廃棄に伴いまして、安全性の問題、タイミングの問題、それから環境等に対する影響の問題等々、そういった点のチェックを十分いたしまして、現在、どういった廃棄方法でやっていったらいいかということを検討いたしているところでございます。これに要する予算といたしまして、平成十年度には約一千万円弱の予算を組んでいるところでございます。
#158
○佐藤道夫君 結論だけで結構ですけれども、いつごろをめどに全面廃棄までこぎつけるのか。結論だけで結構です。
#159
○国務大臣(久間章生君) 先ほど委員は、残っているから批准がおくれているんじゃないかというお話でございますけれども、逆に私どもは、条約の批准がないと、検討はしますけれども廃棄の着手はできないということでございます。
#160
○佐藤道夫君 私が言っているわけじゃなくて、新聞が誤解してそういう報道をしたんでしょう。そちらの方から訂正するように新聞に申し入れをしておいてください。
 それから次に、国内立法がおくれていると、この点についてはいかがでしょうか。
 これは実は、サインをする段階でその辺は検討済みだと私は思っていたんですけれども、案外手つかずで検討もされずに残っておったと。しかし、自衛隊はもう地雷の買い上げは一切しないわけですから、そんなものを持っていても仕方がないわけでありまするから、国内法をつくる必要はもうないんじゃないか、こういう気すら私はしておるわけでありますけれども、いずれにしろその辺が一体批准の障害になっているのかどうか、ちょっと教えてください。
#161
○政府委員(阿部信泰君) 国内法につきましては、自衛隊が持っておるものをどうするかというのは、これはもう政府が自分で持っておるわけですから、条約を批准すればみずから義務を認識して行うわけで、これは法律は必要ないわけでございますけれども、条約上、国内の生産者あるいは一般の市民に対しまして、地雷をつくったり持ったり使ってはいかぬという義務を課す必要があります。その関係の国内法を整備する必要があるということで準備しておりますが、おしかりを受けることになるかもしれませんが、若干その調整がおくれているということでございます。
#162
○佐藤道夫君 調整がおくれて、そのめどは、また結論だけで結構ですけれども、いつごろでありましょうか。
#163
○政府委員(阿部信泰君) なかなかめどは申し上げがたいんですが、遠からずできるだけ早くということで御理解いただければと思います。
#164
○佐藤道夫君 模範的な役人答弁だと思います。
 在日米軍との関係を、これをまた批准できない理由の一つに挙げられておるようでありますけれども、この点はいかがでございましょうか。
 私、これはもう批准をおくらせる理由にはならない。米軍は米軍の都合があるだけですから、日本が批准するのに支障を来す理由にはならないと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
#165
○政府委員(阿部信泰君) この点も政府部内での検討、調整が少々時間がかかっておりますけれども、これもやはりすぐれて日本側の政府の責任ということでございますので、できるだけ早く結論を出すように努力したいと思います。
#166
○佐藤道夫君 役人の答弁のできるだけ早いというのはできるだけ先という意味だと、こういうふうに私に教えてくれた人もおりましたので、そういうことのないように、できるだけ早く、本来なら世界に先立って批准すべきが我が国の立場だったろうと思うんです。もう既にカナダ、ハンガリー、スイスなど十一カ国余りが批准もしているということなので、少なくとも来国会中ぐらいには必ず批准ができるというふうに不眠不休で頑張ってもらえればと思います。
 次に、機雷の問題をちょっと取り上げさせてください。
 陸の地雷と海の機雷ということで、同じような問題があるんだろうと思うんです。特に海の機雷の場合には、一回事故が起きたらもう大変な問題、大型タンカーが沈没したら環境に大変甚大な被害が及ぶ、大型商船の場合には何百人、何千人という人命が失われる。
 そして、今やもうかつて機雷がつくられた時代とは全くさま変わりがしているんだろうと私は思うんです。機雷がつくられた今世紀初頭におきましては、余り海上を航行する船もなかったので、軍艦を目当てに機雷をつくる、敷設しておくということがあったんでしょうけれども、今、日本周辺はもうミズスマシのように何百、何千、何万という民間の船が走り回っているわけですから、機雷を敷設したりしたらもう大変な問題になる。最初にやられるのは民間の船だろうと。こういうことで、これは世界各国とも同じような状況にあるんだろうと思います。
 そういう意味で、率直に申し上げますと、機雷はもう使えない兵器だろうと私は考えておるんでありまして、陸の地雷を全面禁止したのと同じような発想から、海の機雷も禁止するという考えがあっていいのではないか。
 特に、地雷とか機雷とかは、軍事目的以外の全く軍行動とは関係のない一般の民間人が被害に遭う、こういう問題が含まれておって、そういう意味からいっても、機雷や地雷というのは、地雷の場合はちょっと議論があるかもしれませんけれども、機雷はもう使えない兵器だと、こう言ってもいいかと思うんです。
 我が国が音頭をとって、陸の地雷と同じように、機雷の全面禁止ということを打ち出してもいいのではないか。小渕外務大臣が陸の地雷の禁止に傾けた情熱の一半を割いていただきまして、今度は海の機雷に取り組んでいただくということにならないものなのかどうなのか、外務大臣の御見解を承りたいと思います。
#167
○国務大臣(小渕恵三君) 先般も佐藤先生から御提起されまして、地雷、機雷と比較するわけではありませんが、極めて危険な兵器で、兵器といいますかそういうものでございますから、これに対する国際的な何らかの意味での取り決めを行うべきではないかということでございますが、少し勉強させていただきたいと、また役所の答弁みたいになるかもしれませんけれども。
 いずれにしても、実は対人地雷の場合には毎日数百人という無事の人たちが被害に遭うものですから、そういった意味での緊急性もこれあって非常に国際的な機運が盛り上がったということなんですが、機雷につきましては、先般の湾岸戦争のときのような状態というものが今再来しておりませんものですから、世界的な意味で、機雷の問題についての条約をつくろうという考え方がそう大きなものになっていないことは事実です。事実ですが、今御指摘のような点もございますので、どういう形のものができるか、勉強させていただきたいと思います。
#168
○佐藤道夫君 ぜひともできるだけ積極的にこの問題、我が国の問題というくらいの考えで取り組んでいただければ、こういうふうに思います。
 この前の委員会でも申し上げたのですけれども、地雷の禁止条約に関しましては、これを熱心に運動していた民間団体とそのリーダーがノーベル平和賞と、こういうことなものですから、我が国からも久しぶりにノーベル平和賞を受賞する大臣級が出てもいいのではないか、こういうふうに考えておりますので、どうか各国の模様眺めというのじゃなくて、我が国が音頭をとってこの問題に取り組んでいくというぐらいの気構えで取り組んでいただきたいと思います。
 その次に、インドの核実験についてお尋ねいたします。
 インドは安全保障上の問題だと、こう言っておりますけれども、果たしてそうなんだろうかと。北の脅威と西の脅威ということを言っておりますけれども、北は中国、西はパキスタンということでしょうけれども、そもそもインドが侵略に値する国なのか。非常に皮肉な言い方ですけれども世界で最も貧しい国の一つ、こう言われておりますし、人口が九億に達している、こういう国を侵略して占領してみても一体何の意味があるのだろうかと。
 それから、中国は国が統一されますと、大体漢帝国の時代から南とか北とかに進出していくのですけれども、北はモンゴル、西の方は中央アジア、南の方はベトナム、東の方は朝鮮、日本と。あの漢民族というのはインドを不思議に侵略の対象にしていない。なぜかといいますと、インドというのは仏教発祥の他なんですね。中国人にとっては聖なる土地でもあるわけであって、ゆめ侵略しようなどということは考えないことは確かだろうと思います。
 それから、西の脅威であるパキスタンはどうかといいますと、パキスタンとインドというのは軍事力に大人と子供ぐらいの差がありまして、今まで二回戦っておりますけれども、手もなくパキスタンが討ち破られておる。そのインドがパキスタンの脅威というものを並べ立てるのは大変おかしい。大人が子供と口げんかをしまして、いつ子供から襲われるかわからぬといってピストルを用意しているようなものであって、ナンセンスとしか言いようがないのです。しょせん何のためだといいますと、武力が国力のすべてだと、こう考えている十九世紀当時の帝国主義時代の指導者の感覚からインドの指導者が抜け切っていないのだろう、こういう気しかしないわけであります。
 例えば、インドとパキスタンの国境地帯で小競り合いでも起きまして、インド軍が油断していたのでパキスタン軍に攻め込まれたという状況になりまして、それならうちの方は核があるからこれを使おうといって、パキスタンの首府はたしかカラチだったと思いますけれども、カラチに向けて核弾頭を投下するようなそんな状況じゃないことはもう確かなんですね、今どき。どこの国もそうだと思います。一国の首府にはいろんな観光客もおれば在外公館もあって、そういうものを一網打尽に殺害してしまうなんということは今日の問題としてとれることではない。とれるような戦法ではないことも確かです。そういう意味ではもう核兵器というのは使えない兵器だと私は思うのであります。
 それと、先ほど地雷とか機雷とかが軍事関係者以外の第三者に莫大な被害を及ぼすと。その最たるものは核兵器であろう、こう思うわけでありまして、広島や長崎で何十万という一般民間人が殺傷された。あれは私は重大な戦争犯罪だろうと本当は思うのですけれども、そこまで話は行きません。
 しからばどうしたらいいのか。いろんな考え方があるようですけれども、日本は唯一の被爆国だといって、インドの核実験困ったな、やめてもらいたいな、これから援助はもうしないというようなことでつぶやいているだけでありまして、インドは恐らくせせら笑っておるんでしょう、あんなものは何でもないやと。援助を停止するといっても、日本とインドの関係を永遠に打ち切ってしまうわけにもいかぬ。そのうちに友好関係も大事だ、援助もしようやと、やっぱりもとに戻ってしまうようなことにもなりかねないんだろうと思うんです。
 私が考えているのは、思い切って国連の安全保障理事会の常任理事国に立候補しまして、主たる問題として核の廃絶、使用の禁止に取り組んだらどうなんだろうかと。同じことも百回言えば意おのずと通ずると言いますから、ああいう理事会を通じまして国連の場で常任理事国として核兵器の問題についていつも発言を続けていくと、なるほど常任理事国である日本の発言は重いということで各国もそれに乗ってこないとも限らない。
 先ほど田委員が十五年ぐらいをめどとして核の廃絶ということを提案されたらどうかということも言っておりましたが、そういうことも一つの考えだと思います。やはり言うべきことは国連の舞台ではっきり常任理事国という重い看板を背負って発言していく、私はこういうことに大変意味があるんだろうと思うんです。
 実は、二年ほど前まで常任理事国に立候補しようなろうということが言われておりましたけれども、最近どんとそういう話が聞こえてこないんです。やってみたけれどもだめなので、あれはもうあきらめたのかというふうにも思いたくなるわけですけれども、常任理事国になる可能性があるのかないのか、あるとすればどんな運動を展開していくのか、なって何をしようとしているのか。私は、この核の問題を第一に取り上げてあそこで頑張ってもらいたい、その方が発言にも重みがあるだろうと、こういう気もしておるのでありまして、その点外務大臣の御所見も例えればと、こう思います。
#169
○国務大臣(小渕恵三君) 前段のお話はいろいろ傾聴に値する御見識だというふうに思いますが、ということはインドに対してですが、今ある国がある国を全面的に統治しようとか侵略しようとかということは、これは起こり得ないことだろうと思います。
 ただ、かつてインドと中国の間の中印戦争も行われたわけで、これはインドの方が敗れたわけです。あるいはパキスタンとインドの間にも数回の印パ戦争がありまして、これはたしかパキスタンの方が敗れた経緯があるかと思いますが、そういった紛争が相当遠くない時期にも招来をしておったというような事態の中で、そうした国々がそのような核開発をもってみずからの安全を確保しようという動きがあったということは事実なんだろうと思います。しかし、それに対して我が国としてどう対応するかについては、従前申し上げてきたとおりでございまして、一貫して我が国はこれに反対をしていく立場をとってきたわけでございます。
 そして、後段の安保理のことは全く御指摘のとおりでございますが、事実関係を言いますと、日本としては一日も早い安保理の常任理事国入りについて我が国の強い主張をこの数年やっております。昨年、私も九月に国連総会で強くこのことを申し上げておるところでございますが、残念ながら現在の国連におきましてこれがまだ極めて困難な状況に立ち至っておるわけでございます。
 これは、我が国といたしましても、我が国の国連に対する財政的な協力から考えましても、二〇〇二年になりますとアメリカを除く四カ国以上のパーセンテージ、二〇プロを超えるというような状況の中でございます。また、常任理事国に入ることによりましていろいろな発言力も出てくるわけでございますので、ぜひ一日も早くといいますか、国連における安保理常任理事国入りについてはかねがね努力をいたしておるところでございますが、なかなか諸外国すべての賛同を得られておらないということでございます。
 ただ、日本が常任理事国入りすることについて反対する国はありません。ありませんが、他の国との関係においてなかなか現時点においては今見通しがついておりませんが、いずれにいたしましてもP5あるいはまたそれぞれの国に対して我が国の主張を強く今展開いたしておるところでございます。
#170
○佐藤道夫君 最後になりますけれども、どの国がどういう理由で反対しているのかよくわかりませんけれども、やっぱりそういう障害を一つ一つ乗り越えてどうしても常任理事国の一国になりましてこの問題を取り上げていただきたい、そういう感じがしておりまして、このことをお願いして質問を終わります。
#171
○委員長(及川順郎君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#172
○委員長(及川順郎君) 次に、サービスの貿易に関する一般協定の第五議定書の締結について承認を求めるの件及び国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件、以上二件を便宜一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。小渕外務大臣。
#173
○国務大臣(小渕恵三君) ただいま議題となりましたサービスの貿易に関する一般協定の第五議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この議定書は、サービスの貿易に関する一般協定が対象とするサービス分野の一つである金融サービス分野について、自由化交渉が平成九年十二月十二日に妥結したことを受けて、平成十年二月二十七日にジュネーブで作成されたものであります。
 この議定書は、金融サービス分野に関し、世界貿易機関の関係加盟国が、一層高い水準のサービスの貿易の自由化を達成することを目的として、最恵国待遇を基本としつつ、市場アクセスを自由化し、内国民待遇を付与すること等を約束するものであります。
 我が国が金融サービス分野における世界の主要な貿易国であることにかんがみ、我が国がこの議定書を締結することは、サービス分野での多角的貿易体制の発展に寄与するという見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この条約は、平成九年七月より経済協力開発機構において交渉が行われ、同年十一月二十一日に採択されたものであります。
 この条約は、国際商取引に関連して行われる外国公務員に対する贈賄行為を自国の法令のもとで犯罪とすること、同行為について一定の範囲で裁判権を設定すること等を規定するものであります。
 我が国がこの条約を締結することは、国際商取引における公正な競争を確保するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 以上二件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認をいただきますようお願いいたします。
#174
○委員長(及川順郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 両件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト