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#1
第142回国会 外交・防衛委員会 第17号
平成十年五月二十一日(木曜日)
   午後一時三十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十日
    辞任         補欠選任
     鈴木 正孝君     清水 達雄君
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     清水 達雄君     鈴木 正孝君
     広中和歌子君     角田 義一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         及川 順郎君
    理 事
                須藤良太郎君
                武見 敬三君
                吉田 之久君
                高野 博師君
    委 員
                岩崎 純三君
                塩崎 恭久君
                鈴木 正孝君
                野間  赳君
                二木 秀夫君
                宮澤  弘君
                齋藤  勁君
                竹村 泰子君
                角田 義一君
                田  英夫君
                立木  洋君
                田村 秀昭君
                佐藤 道夫君
   国務大臣
       外 務 大 臣  小渕 恵三君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 村岡 兼造君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  久間 章生君
   政府委員
       国際平和協力本
       部事務局長    茂田  宏君
       防衛庁長官官房
       長        大越 康弘君
       防衛庁人事教育
       局長       坂野  興君
       防衛庁装備局長  鴇田 勝彦君
       防衛施設庁長官  萩  次郎君
       防衛施設庁総務
       部長       西村 市郎君
       法務大臣官房審
       議官       古田 佑紀君
       外務大臣官房審
       議官       海老原 紳君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     上田 秀明君
       外務省アジア局
       長        阿南 惟茂君
       外務省経済局長  大島正太郎君
       外務省条約局長  竹内 行夫君
       大蔵省銀行局保
       険部長      福田  誠君
       厚生省年金局長  矢野 朝水君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大島 弘輔君
   説明員
       外務大臣官房領
       事移住部長    内藤 昌平君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国際民間航空条約の改正に関する千九百八十四
 年五月十日にモントリオールで署名された議定
 書の締結について承認を求めるの件(内閣提出
 、衆議院送付)
○国際民間航空条約の改正に関する千九百八十年
 十月六日にモントリオールで署名された議定書
 の締結について承認を求めるの件(内閣提出、
 衆議院送付)
○サービスの貿易に関する一般協定の第五議定書
 の締結について承認を求めるの件(内閣提出、
 衆議院送付)
○国際商取引における外国公務員に対する贈賄の
 防止に関する条約の締結について承認を求める
 の件(内閣提出、衆議院送付)
○国際連合平和維持活動等に対する協力に関する
 法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(及川順郎君) ただいまから外交・防衛委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、広中和歌子さんが委員を辞任され、その補欠として角田義一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(及川順郎君) 国際民間航空条約の改正に関する千九百八十四年五月十日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件、国際民間航空条約の改正に関する千九百八十年十月六日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件、サービスの貿易に関する一般協定の第五議定書の締結について承認を求めるの件、国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件、以上四件を便宜一括して議題といたします。
 四件の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言腰います。
#4
○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。
 議題となっております条約等につきましては、後ほど触れさせていただきたいと思います。その前に、インドネシア情勢等もございますが、防衛庁長官に先にお伺いさせていただく件は、昨日も本会議で若干のやりとりもございましたけれども、いわゆる防衛産業四社の納入金額の過大請求問題でございます。
 このことは既に昨年、大きく報道されまして両院でも防衛庁、そしてまた会計検査院等の質疑で明らかになっている部分もございます。最近の報道等によりますと、防衛庁の調達実施本部の元副本部長が、本来返納させるべき金額より大幅に減額をさせていた、こういうことが東京地検等の調べで明らかになった、こういうことが報じられているわけであります。
 このことについて、きょうは時間も限られておりますので細部については改めてやりとりをさせていただきたいと思いますし、私の質問の最後には、ぜひまた委員長にもお取り上げいただき、理事会で御協議をいただきまして、このことについて全会派で質疑をしていただく、そんなことも要望させていただくつもりでございます。
 まず長官、本来返納させるべき金額より大幅に減額させていた、こういうことですが、このことについての事実認識、あわせて昨年末から東京地検が既に捜査に入っているということについて、その捜査の内容について把握するのはなかなか難しいんですが、この東京地検の動き等については承知をされていたのかどうか、最初に伺いたいというふうに思います。
#5
○国務大臣(久間章生君) 昨日も本会議で答弁したとおりでございますけれども、現在も調達実施本部において調査は継続中でありますけれども、これまでのうちの方の調査によりますれば、原価差異額は当時の調達実施本部の担当者の間でさまざまな議論がなされた上で、適切に算定されたものというふうに聞いております。
 なお、報道にあるような捜査当局の動向につきましては、防衛庁としてはコメントする立場にはございませんが、いずれにしましても、法と証拠に基づき違法行為があれば適切に対処されるものと、そういうふうに思っております。
#6
○齋藤勁君 報じられております過大請求分として東洋通信機から八億七千四百万円を返納させたと、しかし、本来の返納額は約二十億円に上っていたんだということで、十億円減額の疑いがあると。このことについての事実認識ですね。これは防衛庁内部での調査もされていたわけでありますけれども、これは報道であって、それからまたこれは東京地検サイドの動きなんで、防衛庁としては全くそういう事実については調査段階も、今もまたそういった点については把握をしていないということなんでしょうか。
#7
○政府委員(鴇田勝彦君) 先ほど大臣の方から御答弁申し上げましたように、この原価差異事案が発生いたしました当時、調達実施本部の担当者の間で種々の議論がなされております。一つには、原価差異事案というのは従来全く起こっておりませんで、これの処理基準といいますか統一的な方針も当時の時点では定められておりませんでした。したがいまして、各担当者の間でこの適正な原価をいかにはじくべきかということでさまざまな議論があったということは事実でございます。
 ただ、結論といたしましては、先ほど大臣が申し上げましたような八億七千万という金額で、適正な原価差異額であるということで処理をいたしたものでございます。この種々の検討、議論の過程におきまして、何が適切な原価であるかについての議論が行われたという点は先ほど申し上げたとおりでございます。
#8
○齋藤勁君 そうしますと、東京地検のいわゆる捜査というのは、十億円減額の疑いがある、こういうふうに報じられていることについて見ますと、今の長官なり局長のお話を聞いていますと、八億七千万を返納させたということについては、これは事実としてお話しになっていますが、十億円をさらに減額したということについての事実は内部調査では明らかになっていない、そういうことについての認識はどうなんですか、ちょっと食い違うわけですね、これ。どういうふうに国民に説明するんですか。
#9
○政府委員(鴇田勝彦君) 御質問ではございますが、一つには、報道に二十億円とか二十四億円とかいう数字がございます。この根拠については、我々も当然のことながら事実であるかどうかについては承知をしてございません。
 ただ、先ほど申し上げましたように、企業側における原価の原資料の紛失等がありましてなかなか利用できない段階において、企業の決算書類という極めて信頼性の高いものをベースに種々の検討を行ったということでございますので、最終的に申し上げた先ほどの八億七千四百万円という金額が調達実施本部の当時の処理としては適切なものであったと整理をされたものであります。
 私どももこれまで、昨年九月に原価差異事案対策特別委員会というのを調達実施本部の中に設けまして調査をし検討してきておりますが、現時点までの調査ではその八億七千四百万円という金額は適切なものであったのではないかという認識を持っております。
#10
○齋藤勁君 別な報道では、九四年三月から六月にかけて、防衛庁の内部で特別チームを組んで過大請求額を調査し、返納額を決定したと。今の八億七千四百万だというふうに思うんです。このとき既にこの会社は約二十億円に上っていることが判明したんだけれども、この出てくる元幹部という副本部長は、それでは額が大き過ぎるということで、最終的に金利を含めて圧縮して返納額が八億七千万になったんだということ。
 さらには、ある新聞社の取材に対して、この人自身が、背任と言われても何の背任か心当たりがないんだということで、返納額は企業との交渉でいろいろな数字が出てきたが、最終的な額が適正と信じている、第一、一人で決めたのではなく、みんなで相談した結果だというふうに発言しているわけですね。
 そうすると、一方で東京地検がこの捜査をして、十億円減額の疑いがありということで捜査に入っている。司法と防衛庁の調査で数字の違いはあるけれども、それはあくまでも調査の仕方であって、もしこのことについて、結果として例えば東京地検が立件するようなことになれば、それはそのときにまた考えるということになるんですか。私、ここら辺がよくわからないんです。
#11
○国務大臣(久間章生君) 先ほど言いましたように、私ども原価差異事案対策委員会というのをつくりましてかなり調査をやってまいりました。しかし、既にやめておられる人等もおられますし、そういうふうなこともございまして、なかなかいわゆる強制力といいますか調査能力からいきましても十分でない点もあるわけでございます。
 また、先ほど局長が言いましたように、既に決めたときに各会社から取り寄せました資料そのものが原資料がなくて、いわゆる決算書とかなんとか残っているものを中心にしてやったということになっているものですから、どうしてもその辺で調査の限界みたいなのがあったんじゃないかと思っております。
 いずれにしましても、うちの方ではその当時出した金額が適正だったということでそのとき処理したということで本日まで推移してきておりまして、それ以上の事実はつかんでいないわけでございます。
#12
○齋藤勁君 この段階まで来てなかなか資料がないとか防衛庁はおっしゃいますけれども、少なくとも刑事事件に発展する見通しとなったということで、これは多くの国民が見ているわけでありまして、この東京地検の捜査にゆだねることなく、再度やはりきちんとあらゆる限りを尽くして、この元副本部長のこういう背任問題については徹底究明をしていくという姿勢が大切だと思うんです。そのことはいかがですか、その姿勢については。
#13
○国務大臣(久間章生君) 正直言いまして、私も就任しましてからこの問題が出ましてもう一年になるわけでございます。その間に対策委員会もつくりまして、ヘッドを決めてかなり濃密にやってきておりまして、現在も調査中でございます。
 そういうような状況でございますので、これから先も引き続きやってまいりますけれども、なかなか私どもの力で及ばない点も実はあるわけでございます。過去の問題でございますから、なかなか事実関係の資料等がそろっていない問題もございまして、いわゆる関係者のいろんな話を聞かなければならない点がございます。そういう意味で今日までまだ十分に解明し得たというふうに胸を張るまでに行っていないという状況でございますから、引き続き調査をやっていくつもりでございます。
#14
○齋藤勁君 このことは私が言うまでもなく、防衛庁は内部に特別チームをつくって調査をしてきたと。そして、これは前段は内部告発等があったということや、加えてまた会計検査院も調査に入っているんですね。ですから、国としてのさまざまな機関、あらゆる情報を通じて調査をしてこの八億七千四百万を返納させたことになるんでしょう。さらに、今度の東京地検の刑事事件に発展をするというのは、十億円減額をしたということが、本人自身の発言をまともに受ければ、みんなで、言ってみれば個人じゃなくて、個人ぐるみなんというような言葉もありましたけれども、ぐるみでやったんだということも明らかにするような、私は極めて重大な点というのがあると思うんです。
 ですから、これは冒頭申しましたけれども、ぜひ委員会で、きょうは本当に限られた時間でやりとりさせていただいていますので、徹底究明をしていただくという意味で理事会で御協議をいただきたいというふうに思うところでございます。
 防衛庁長官、結構です。
 次に、外務大臣、インドネシアの刻々緊迫した状況の中で外務省としてさまざまな状況について把握をされているというふうに思います。私もまだニュースをほんのわずかしか見ていないので、どうもスハルト大統領が辞任をということで会見をしたのか表明したのか、ここら辺についても耳に入っているのですけれども、この事実と、このことについての政府の受けとめ方について表明していただきたいというふうに思います。
#15
○国務大臣(小渕恵三君) 本日、スハルト大統領が大統領を辞任いたしまして、ハビビ副大統領が大統領に就任いたしました。
 スハルト大統領は、文字どおり開発の父としてインドネシアの発展を指導してこられた方でございます。インドネシアの三十年余の発展に思いをいたしますとともに、スハルト大統領のこれまでの功績に敬意を表したいと思っております。また、スハルト大統領が日・インドネシア関係に多大な貢献をしてこられたことにつきまして、改めて感謝の気持ちを表したいと思います。
 今後、国民経済の回復と民生の安定を実現していかれるよう心から期待しております。我が国としては引き続きできる限りの支援を行っていきたいというのが公式の政府の考え方でございます。
#16
○齋藤勁君 インドネシアの情勢ですが、今大量の邦人が帰国をしているということであり、我が国に限らずそれぞれ脱出をしているわけですけれども、こういった動きとかインドネシア政局にどうこれから動きとなってあらわれていくのか、邦人の問題やそれから国内政局への見通し等についてどう見られているのか、お伺いしたいというふうに思います。
#17
○国務大臣(小渕恵三君) 今般のインドネシアの情勢にかんがみまして、今日まで政府といたしましては特に邦人の生命、財産、こうしたことをいかに守るかということで努力をいたしてまいりました。その経過の中で、具体的には在留邦人の出国の便宜を図るために、日本航空及び全日空に対し臨時便の運航を要請し、十七日から二十二日にかけまして計十九便が増発されることになりました。なお、チャーター便も十九日から二十日にかけて四便運航されたところでございます。
 インドネシアの情勢につきましては、新体制発足直後ということもございまして、いまだ直ちに判断がしがたい点もあるため、慎重に見守っておるところでございますが、不測の事態が発生し、民間航空が利用できないといった場合も邦人の輸送に万全を期すために、自衛隊機をシンガポールに移動し待機させておるとともに、海上保安庁の巡視船をインドネシア方面に出航させまして、ジャカルタ近傍の公海上に待機させることといたしております。
 さらなる対応につきましては、新しい政権の動向等も十分見つつ、事態を見きわめて検討いたしていきたい、このように考えております。
#18
○齋藤勁君 今度の大統領退陣をどう見ていくかということになると思うんです。確かに国内の動きが大きなポイントになっているというふうに思いますけれども、これは報道にも出ていますが、この間アメリカの大使館の動きが非常に活発でインドネシア国内でも働きかけがあったと。これはどういう内容の働きかけがあったかというところまで報じられておりませんが、相当内政まで突っ込んでやりとりがされているというのが憶測できるわけでございますけれども、ここら辺のアメリカの動き等については日米間でそれなりのやりとりはこの退陣を前にしてあったんでしょうか、伺いたいと思います。
#19
○国務大臣(小渕恵三君) 近々のことではございませんでしたが、ロンドンにおきますサミットのときにアメリカのオルブライト長官とも会談をいたしました。当時としては、政府側あるいは学生方ともに自制を求めて、いやしくも流血の事件が起こることのないようにお互いコントロールしていただきたいという趣旨を、日本、米国とも同じ気持ちで努力をしようと、こういうことでございました。その後は現地大使館同士等のいろいろ情報の交換等をいたしておりますが、インドネシアの政府に対しての対応というのは、それは個々の国としていたしたと、こういうことでございます。
#20
○齋藤勁君 やっぱり報道にアメリカ大使館の動きというのが出ますと、私は、過去の世界各国のいろんな動きの中でアメリカが背景に動いているというのは、今外務省も幾つも事例を御承知だというふうに思います。
 先日、我が外交・防衛委員会でも、カーター元大統領をお呼びしたときにやりとりを聞かせていただきまして大いに参考になったわけでございます。とりわけ、カーター元大統領の発言の中に、アメリカは当然アメリカの国益としてインドネシア問題を考えるけれども、さまざまな貿易等を含めて債権債務、ルピアの下落等もありますが、日本の地位ということについて非常にある意味では期待と申しましょうか、注目したそんな発言も多く私は感じられました。
 日本政府が、このスハルト退陣に向けて日本大使館がひそかに動いたとか動かないとか、これは表向きにはなかなか言えない話かもわかりませんが、少なくともアメリカ大使館がいろいろ動いているということは報じられている。じゃ、日本の大使館というのは国内の収束に向けて、あるいは民主化に向けてどんな役割を果たしてきたんだろうかということが、今すぐ明らかにならなくても、例えば日本政府の役割というのがアジアの中で、安定化していくという努力が明らかになっていく時期があるんだろうかということも非常に今回の動きを見て思っているわけであります。
 そこら辺、きょうの段階では大臣、なかなか難しいのかもわかりませんけれども、我が国の政府あるいは大使館を通じてのそういった観点に対する対応というのはどういうふうにされたのか、例えればありがたいというふうに思います。
#21
○国務大臣(小渕恵三君) インドネシアが経済的な混乱から政治的、社会的な非常に厳しい環境になっておることは承知をいたしておりますが、一国の政治につきまして、他国がこれに対して関与することがあってはならぬという立場でございまして、インドネシアが今回の状況を脱却して一日も早く安定した体制が整い得るように、日本としては何をなすべきかという考え方で対処してきたところでございます。
 その点は経済協力も含めまして、あるいは特にこういった状況の中では一番弱い立場の方が御苦労されるわけでございますので、そうした方に対する対応を専らにいたしてきたことと同時に、旅行者も含めますと一万八千人と言われるような我が国の国民の安全を守るということに専念をしてまいりまして、今も続けておるところでございます。
#22
○齋藤勁君 また改めてしかるべき時期にインドネシア問題についてはいろいろやりとりをさせていただきたいと思います。
 略称、外国公務員に対する贈賄防止条約について一点お伺いさせていただきたいと思います。
 資料と申しましょうか、今度の条約の中で「効力発生」というのがございます。この条約は、附属書(OECD加盟国の輸出統計)に掲げられる輸出額上位十カ国のうちの五カ国以上の国によって受諾書等がOECD事務総長に寄託された日の後六十日目の日に発効するが、その五カ国以上の国の輸出額の合計が上位十カ国の輸出額の合計の六〇%以上を占めることが必要である、第十五条第一項ということになっております。
 これも条約の説明書によりますと、上位十カ国、そしてそれぞれの貿易の輸出統計についても資料を見て把握をするところです。この見通しなんですけれども、これは六〇%以上を占めることが必要であり、だめな場合でも二国間の取り決めができるというような同条第二項にもなっているんですが、第十五条第一項のこの効力発生というこの条約についての見通しは、現段階ではどういうふうに見られておりますでしょうか。
#23
○政府委員(大島正太郎君) お答え申し上げます。
 今お諮りしております条約の締結の見通しでございますけれども、OECDの勧告に基づいて作成された条約でございますが、勧告そのものの中で目標としているのが本年末ということでございます。この目標を目指して各国で手続が進められていると了解しております。まだこれまでに締結した国はございませんが、私ども承知しておるところでは、ドイツ、チェコ、ベルギーが私どもと同様にこの条約及びその条約の実施に必要な国内法を立法府に上程していると承知しております。
 また、これら以外の国においても本年前半には条約及び国内法を立法府に提出することのめどが立っていると承知しておりますので、目標の本年末に発効できることを期待しつつお願い申し上げているわけであります。
#24
○齋藤勁君 加盟国の輸出額を見ますと、トップはアメリカになっているんですが、アメリカについては、今の御説明の中では国名は出てこなかったというふうに承ったのですけれども、アメリカの状況はいかがでしょうか。
#25
○政府委員(大島正太郎君) お答え申し上げます。
 本条約はアメリカも含めて年内を目標ということでございますが、まだ具体的な手続をとっているとは承知しておりませんけれども、アメリカも目標を目指して作業しているものと承知しております。
#26
○齋藤勁君 とりわけ本条約のスタートは、アメリカの方からいろいろ強い働きかけもあったというような経緯もあるというふうに思います。これは他国それぞれが条約を締結していくという動きがあるでしょうけれども、せっかく締結をしていくということならば、二カ国よりもさまざまな国が同じルールに基づいてこういった経済活動をしていくと。そして、もし外国公務員に対する贈賄があったときは国内法で処罰をするんでしょうけれども、やっぱり同じ土俵でやっていくということが極めて大切だと思いますので、そういった方向での御努力をお願い申し上げたいと思います。
 残りわずかの時間の中であともう一点だけ質問させていただくのは恐縮でございますが、防衛施設庁、お見えでございますね。
 先月、四月二十一日でございますけれども、米海軍横須賀基地で艦船修理に従事した日本人の元従業員三名が亡くなり、十七名の方はまだ元気でいらっしゃるのですが、計二十人が米軍基地でじん肺の、これはいわゆるアスベスト被害なんですけれども、我が国に対しまして二億五千四百九十八万円の補償請求をされております。まだ請求されて一カ月足らずでございますから、具体的ななかなか運びにならない部分があろうかと思いますが、現段階での取り組み状況について伺いたいと思います。
#27
○政府委員(西村市郎君) お答えいたします。
 ただいま御質問の請求につきましては、二十一日、同日付で横浜防衛施設局で受理いたしましたところでございます。現在、横浜施設局におきまして個別に請求の内容及び事実関係の確認を行っております。また、既に在日米軍に対しましても請求がなされたこと及びその内容については説明を行ったところでございます。今後、これらの事実確認の上、なるべく早期に米軍との協議にも入り、適切に対処してまいりたいと存じておるところでございます。
#28
○齋藤勁君 御案内のように、この賠償請求をされた二十人のほかに、何年か前に既に日本人の元従業員三人がやはり損害賠償請求をされまして、四年前後をかけて決着がついている。これは請求金額は支払われているわけですね。その後、三人のうち既に二人が死亡されている。今回の請求も、二十人のうち三人が亡くなって、十七人は現在それなりに元気ですが、非常に高齢化をしているということで、この事例ですと、四年、五年たってまたそのときに明らかになるということでは余りにも遅過ぎる。
 私自身の考え方でも、そういう前例があるならば、同じ場所で艦船修理に携わった従業員の方の今回の被害の請求でございますので、速やかな日米間での協議と決着を私は主張させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#29
○政府委員(西村市郎君) お答えいたします。
 過去三名の方に補償を行ったということは御指摘のとおりでございまして、それは平成六年及び七年に御請求のあったものを九年に処理したということでございます。今後、私どもといたしましては、精力的に仕事をいたしまして、早期かつ適切に対応したいというふうに考えております。
#30
○齋藤勁君 時間ですので終わりたいと思いますが、ぜひ先ほど来申し上げているとおり、亡くなられた方、そして高齢の方がたくさんいらっしゃいますので、速やかな決着を強く求めさせていただきたいと思います。
 加えて、冒頭の防衛庁長官に対します質疑、いわゆる東京地検が今捜査に入っているということでの生々しい扱いもございますが、別途また理事会で御協議いただきまして、この事案についての質疑が行える、そんな日程をとっていただければ私としては幸いでございます。以上で終わりたいと思います。
#31
○委員長(及川順郎君) ただいまの発言につきましては、理事会で協議をいたします。
#32
○高野博師君 最初に、インドネシア情勢について一言お伺いいたします。
 スハルト大統領が退陣されてハビビ新大統領が就任されたということで、経済、政治の再建とそれから民主化の推進ということ、これを望むわけでありますが、邦人の国外退去を今まで進めておられて、政情が安定化したときに戻っても大丈夫だという判断はだれがするんでしょうか。日本政府がやるんでしょうか。
#33
○説明員(内藤昌平君) 外務省では海外危険情報というのを出しております。現在インドネシアにつきましては危険度四、家族等退避勧告という形で出しております。これを今後緩和するということについても、やはり外務省の方でインドネシアの情報を総合的に評価した上でこの危険情報の内容の変更を決定することになります。それは勧告という形で国民に知らされます。
#34
○高野博師君 もう一つ、ぜひ聞いてもらいたいということがあります。このインドネシアに民間のチャーター機を政府が何機も出したんですか、それに乗ってくるときの費用は乗客が払うんでしょうか。その場合、幾ら払うんでしょうか。
#35
○説明員(内藤昌平君) チャーター機は、まず乗客は通常エコノミークラスの片道料金を負担します。差額は政府が負担します。差額といいますのは、全体の費用から乗客の乗った運賃を差し引いた差額の意味でございます。
#36
○高野博師君 それでは、自衛隊機に乗った場合はこれは費用を払うんでしょうか。
#37
○説明員(内藤昌平君) 自衛隊機の御題については、政府部内で現在検討中でございます。
#38
○高野博師君 検討中じゃ遅いんではないでしょうか。これはもしただなら自衛隊機に乗りたいという人がいるかもしれません。それから民間チャーター機も、普通の民間機と同じなら政府が差し向けたのには乗りたくないという人がいるかもしれない。しかし、危機が迫ったときにそういう判断が非常に重要になる可能性はあると思うんですが、その辺はどうでしょうか。
#39
○説明員(内藤昌平君) 先般のチャーター便につきましては、通常、料金後払いということで危機という事態に対応しております。
#40
○高野博師君 それでは防衛庁長官にお伺いいたします。
 今、同僚議員のこの問題を取り上げた答弁を聞いていますと、随分防衛庁もモラルが低下しているというか、士気がたるんでいるんではないかという印象を受けます。この問題は私もきのうテレビを見ておりまして、当の元副本部長は何の背任に当たるか心当たりがないということを言っておったんですが、もしこれが事実であれば、これは大変な国家に対する背任であるし、国民に対する背任であると。もし軍隊がある国であれば軍法会議にかけられる話だと、私はそう思うんですが、防衛庁もどうも自分の組織の防衛しかやっていないような感じを与えてはいけないと思うんです。
 今、検察が調べている事案そのものは控えますが、この元副本部長が防衛庁を退任されてから財団法人防衛生産管理協会に天下りをされたんですが、この財団法人は何をやっているところなんでしょうか。簡単に説明してください。
#41
○政府委員(鴇田勝彦君) 今、委員御指摘の防衛生産管理協会でございますが、基本的には業務内容といたしまして主に防衛装備品の生産等に関する技術情報の管理につきまして調査研究をしたり、提言、指導、資料の刊行並びに業務の受託をやってございます。
#42
○高野博師君 もう少し具体的に話してもらえませんか。
#43
○政府委員(鴇田勝彦君) 具体的に申し上げますと、調査研究、提言、指導、資料の刊行につきましては、通常の公益法人がやっておりますような定期刊行物あるいは研究をしておりますが、業務受託として、防衛関係企業から受けているものが二つばかりございます。
 一つは保全管理業務、もう一つは官給品の管理業務というものがございます。
 まず第一の保全管理業務でございますが、防衛庁から装備品の製造、修理につきまして発注を受けました場合、これらの業務を行うに当たりましては、当然のことながら防衛秘密に含まれているようなものが多々ございます。我が防衛庁といたしましては、契約の相手方にその秘密保全に関しまして管理責任を契約上負わせているところでございます。
 当該企業の立場といたしますと、独自にこういった秘密保全の管理を行うことには種々の限界がございます。人的な面、あるいはノウハウの面、そういった意味で秘密保全にも万全を期するため、専門的な知識を有する協会にその管理業務を委託しており、協会としては受託をしているというのが保全管理業務でございます。
 それからもう一点、官給品の管理業務というのがございますが、これも同様に装備品の生産に当たりましては官側から支給される重要な官給品が含まれてございます。これにつきましても秘密保全に準じた管理を必要とするわけでございまして、企業の方からいたしますと、そういったコストを低減する観点から、官給品の保管とか受け払いにつきまして協会に業務委託をしている、そういう実態でございます。
#44
○高野博師君 今の御説明は、大変重大な話だと思うんですが、防衛秘密に関するものを財団法人が扱うということは問題があるんじゃないでしょうか。財団法人というのは民法第三十四条による公益法人ですから、この防衛秘密等は一般の人がアクセスできるんでしょうか。今の保全管理という点を含めて一般の人がこれにアクセスできるんでしょうか、この情報は。
#45
○政府委員(鴇田勝彦君) 当然のことながら一般人のアクセスはできない、こういうことになると思います。
#46
○高野博師君 まさにそれは、公益法人の目的というかあり方というのは、不特定多数の人に対する利益というか公益なわけです。限られた防衛秘密情報だけを扱うという財団法人は本来の財団法人のあり方からいうとおかしいんじゃないでしょうか。どうでしょうか。
#47
○政府委員(鴇田勝彦君) この世の中にあまた公益法人がございますが、その公益法人は設立の趣旨、目的に沿いまして公益性というのを持ち、その利用者についておのずからその限定が生じてくるのが実態だと考えております。
 この公益法人につきましても、各契約企業が守るべき保全義務につきまして、そういった契約企業等々から現実に要請もあって設立されたものでございますから、その公益性を追求する意味で受託をしているということでございます。
#48
○高野博師君 これは大変私は重大な問題を含んでいると。この財団法人を通じて民間の発注業務等で秘密文書を扱っているとすれば、ここから国家機密、防衛機密の情報が漏れる可能性は十分ある。そこの監督はどうしているんでしょうか、管理は。
#49
○政府委員(鴇田勝彦君) 一応私ども防衛庁で所管しておる民法法人として防衛生産管理協会には所要の指導監督はいたしております。
 また、そもそも防衛庁といたしましてみずから生産、製造をやっておりませんので、民間企業にお願いをして物をつくっていただいたり修理をしていただくその過程で、契約関係を通じてこういった防衛機密については保全をお願いしているということでございますので、その延長線上の解釈をしております。
#50
○高野博師君 要するに、この財団法人は防衛装備品等の発注の中間業者的な役割をやっておるわけです。しかも、国家機密にかかわる重大な情報を扱っているという意味で、私は財団法人にはなじまないと思います。
 そこで、防衛庁に資料を出せと言ってもなかなか出てこないんですが、その資料によれば、理事長は元防衛施設庁長官がやっておる。専務理事は副本部長の後、元航空自衛隊幹部候補生学校長。それから、理事の中には元三重県の警察本部長。それから元技術研究本部第二研究所長、これも防衛庁関係です。そのほかに、監事として会計検査院の事務局次長が天下りしておりまして、警察と会計検査院とそれから防衛施設庁、そのほかに理事として入っているのは防衛産業に関係ある会社ばかりであります。これは公益法人の指導監督基準からいうと理事は関連の同じ業種は二分の一以下にしなくちゃいかぬ、こういうことになっているはずだと思うんですが、これはいかがでしょうか。
#51
○政府委員(鴇田勝彦君) 私どもといたしましても、公益法人の監督指導基準が最近また強化拡充をされておりますが、それに見合う形でこの理事数、評議員数におけるOBの割合というものについては基準を満たしているつもりでございます。
#52
○高野博師君 満たしていませんよ。
#53
○政府委員(鴇田勝彦君) 具体的に申しますと、当該所管官庁の出身者が占める割合は理事現在数の三分の一以下にするということで、具体的には理事総数が十二名、防衛庁出身者は三名で二五%になっておると考えております。
#54
○高野博師君 しかし、ほかの理事がみんな同じ業種だということで、この役員の顔ぶれを見ただけでもこれは不特定多数のための公益法人にはなじまないというか、あり得ない。
 そこで一つ、この財団法人の会員の年間会費は幾らでしょうか。
#55
○政府委員(鴇田勝彦君) この生産管理協会につきましては平成三年八月に設立をされておりまして、その際先ほど申し上げました事情で企業からの寄附がございます。トータルで二十二社から一億五千万円の寄附を受けておりまして、この寄附金の運用財源、そういった資金を一つ元にしておりますのと、先ほど申し上げました受託業務等に基づきます収益を元に運営されておりますので、会費については私は年会費幾らになっているかということは承知してございません。
#56
○高野博師君 この会費をぜひ調べていただきたいと思うんです。受託業務をやってその収益等でこの財団法人の運営をしているということなんですが、私はいろんな資料を要求しているんですが、財務状況がどうなっているのかあるいは事業計画はどうなっているのか何にも出てきません。この一枚紙と寄附行為だけ。これでは調べようがありません。
 いずれにしても、これは公益法人の不特定多数の利益、公益というのにはもう明らかに反していると思いますし、機密情報が漏れる可能性は十分あるという点を指摘しておきまして、これは改めて防衛庁から情報をもらって調べて、また質問したいと思います。いずれにしても、これは重大な問題を含んでいると私は認識しております。
 防衛庁長官、いかがでしょうか。
#57
○国務大臣(久間章生君) 今のお話の中で、会費はたしか取っていないと思います。だから、受託業務でやっていると思います。
 今まではどちらかというと受けた会社が、一般の民間会社にまで委託するとか自分の会社の人間を使ってやるのと、そういう専門的な財団でやっていくのとどちらがいいかということで、やはり、財団がいいんじゃないかということで申請があったときに認可しているんだろうと思います。
 先ほど委員が御指摘のように、そもそも財団というのは特殊な仕事をやるための、特定の人たちの会社の受託業務をやるためでいいのかどうかという問題は基本的にはあるんじゃないか、私もそういう気はいたします。
 しかしながら、現在、国が認可していろいろんな財団の中には、そういうようなグループのための仕事を一手に集めてやっているのも結構あるわけでございまして、そういう中の一環じゃないかと。そして、こういうふうにすることによって、かえってきちっとやれるんじゃないかというような気もしたわけでございます。
#58
○高野博師君 今の発言は重大な発言でありまして、政府の答弁として、これは昭和六十一年か二年がちょっと記憶は今ありませんが、当時の官房長官が、そういう特定の分野というか特定の業界、これに対して利益を与えるのは公益法人の趣旨には合致しないという答弁を明確にやっておりまして、今までそういうのはたくさんあったわけです。そこが問題になっていて、まさにそこの行革をやらなくちゃいけないと私は思うんです。
#59
○国務大臣(久間章生君) 例えば電気設備なんかを持っているそれぞれの会社が、自分が電気設備の技術者を雇って管理するかどうかというときに、正式な名前は忘れましたけれども、電気保安協会みたいな財団がありまして、そこに全部委託するとか、そういうのは結構ありまして、その財団が利益を出すためじゃなくて、そういう業務をまとめてやっているというケースは結構あるんじゃないかと思うんです。ただ、そういうようなことについて、それがどうかという問題も基本的にはあろうかと思いますけれども。
#60
○高野博師君 公益法人の問題はずっとそれは議論されてきたわけです。それは公益法人にはなじまないという一応の結論はもう出ているんです。
 もしこういう国家の機密を扱うのであれば、これは特殊法人なり指定法人なり別のやり方があると思うんです。公益法人は不特定多数を対象にするということですから、先ほどあった電子業界か何か知りませんが、そういう業界の場合には、もし財団法人であるのであれば、そういう情報に対して一般の人がアクセスできる、あるいは何らかの利益を受けられる。この機密については、これは一般の人が得られないわけですよ。そこに問題があると私は言っているわけです。そこのところはどうでしょうか。
#61
○国務大臣(久間章生君) この問題については私どももうしばらく研究してみようと思います。おっしゃる意味もよくわかります。
#62
○高野博師君 それでは、調達本部についてですが、先ほど取り上げられた問題以外に一般的な話として、防衛庁が戦闘機とか艦船とか、要するに防衛用のいろんな設備、装備、こういうものを購入するときの適正価格というのはどうやって決まっているんでしょうか。
#63
○政府委員(鴇田勝彦君) 今、御質問にございましたが、防衛装備品というのは大変大きな護衛艦的なものあるいは戦闘機的なものから、需品的なもの、ヘルメットとか防護衣とかそういった幅が広くございます。
 基本的には会計法令に基づきまして競争入札で処理できることを考えておりますが、御承知のように、防衛庁の場合は規格仕様が一万八千件もございます。特別な仕様を要求することもございまして、それを製造するメーカーが限定されてこざるを得ない。あるいは製造技術を持っているか人を抱えているか設備を持っているかということがございまして、随意契約あるいは市場価格によらない原価計算方式で実際のコストを計算するということになります。
 今お話に上がっております調達実施本部におきまして原価計算を各物別に担当課を決めてやっておるわけでありますが、これにつきましては、企業側から出される原材料のコスト、加工のコスト、その他一般管理費等々のコストを全部積み上げまして適正な価格をつくり上げざるを得ない。
 というのは、先ほど申し上げたように市場価格というものがないものをつくっていただくという前提で原価計算方式に頼らざるを得ないものが件数で約半分ぐらいございます。それにつきましては、一つには原材料であれば原材料それぞれについてのいろいろな情報がございます。各業界あるいは経済企画庁が出しておる資料等々でそれぞれの原材料についての原価の積み上げをいたしますし、加工費につきましては人件費、一時間当たりのコストとかそういったものを積み上げていくということで、原価計算という形で積み上げをやって予定価格を決定し、それに基づいて処理をしているということであります。
#64
○高野博師君 この問題についてはまだ改めて取り上げますが、きのうの本会議で防衛庁長官に防衛庁の予算のチェック体制はどうなっているのかという御質問をしたんですが、明確な答弁はありませんでした。今言われたような適正価格の問題も含めて、専門家でしかわからないというところにいろんな問題があるかもしれないな、そういう認識をしております。これはまたいずれ取り上げたいと思います。
 法務省にせっかく来ていただいているので法務省にお伺いいたします。
 子供の人権条約について何度も伺っておりまして、今回ので一応終わりにしたいなと思っているんです。
 最近、少年法の改正問題がありまして、これについての基本的な法務省の認識を伺いたいんですが、少年法改正の問題については、最近少年の凶悪犯罪がふえているというそれが大前提になってこの議論があるんですが、事実そうなんでしょうか。
#65
○政府委員(古田佑紀君) 最近におきます少年の凶悪事犯につきましては、まず殺人について申し上げますと、これは昭和五十年代以降から百人を割ってまいりまして、約七十人から九十人台で推移しており、平成八年は九十七人となっております。したがいまして、これにつきましては数の上からはそう大きな変化はございません。
#66
○高野博師君 それで結構です。
#67
○政府委員(古田佑紀君) もう一点ちょっと。
 強盗がございまして、この強盗について申し上げますと、これは昭和二十六年ごろ非常に多かったんですが、その後ずっと減少ぎみになってまいりました。ところが、平成八年から二十六年ぶりに再び千人を超えるという状況になっていまして、これは数字の上で増加傾向がございます。
#68
○高野博師君 最近若干ふえてはいますが、戦後、この少年法ができてからの傾向としては減少傾向にある、そしてまた依然低い水準にあるということが統計上出ておりまして、アメリカは日本より人口も多いが、事件の件数も圧倒的にアメリカは多いのであります、日本よりも。フランス、ドイツ、これは日本より人口が少ないのに少年犯罪はかなり多い。しかし、日本の場合は基本的にはずっと低い水準にある。
 今議論になっているのは、非行少年は甘やかすな、厳しくしろ、責任をとらせる、そういう厳罰主義的な意見が浸透しつつあるということでありまして、これは子供の人権条約との比較でいうと大変いろんな問題を含んでいるんではないかということを指摘したいと思うんですが、そもそも少年法の理念というのはどういう理念に基づいてできているんでしょうか。
#69
○政府委員(古田佑紀君) 少年法は御案内のとおり、少年が心身の発達過程にございまして、いわば可塑性に富む、こういう存在であることに配慮いたしまして、罪を犯したような場合でありましても成人と同様の取り扱いをするのではなくて、その性格の矯正や環境調整に関する保護処分を行うというふうなことを定めまして、健全育成を期するというところにその根本的な考え方があると承知しております。
#70
○高野博師君 まさに少年法の第一条で、少年の健全な育成を期すという、これが目的になっているわけですが、そうだとすると、今の議論は全然違う次元からの議論になっているんではないかと思います。
 そこで、この少年法が罪を犯した少年の立ち直りというか更生というか、それを図るということでつくられた法律だと。したがって、これは犯罪の抑止とか防止を目的としたものではないと認識しておりますが、それで間違いありませんか。
#71
○政府委員(古田佑紀君) 少年法自体が一般予防と申しますか、それがあることによって少年の非行を防止するというふうなものかとおっしゃられますと、それもちょっと違うような気がするわけです。
#72
○高野博師君 要するに、子供をよい子にするためにつくられたのであって、その子がやったことをどう処罰するかという建前でつくられている法律ではないと。したがって、少年法というのは刑法とかあるいは刑事訴訟法とか、それとは全く異質の法律だと、これをきちんと認識する必要があるんだと思うんです。
 そもそも子供というのは、あるいは人間というのは過ちを犯すものだ、犯しながら一生成長し続けるんだと、そういう視点が大事だと私は思うんです。過ちを犯すのが当たり前だと、言いかえれば子供にとってそれは権利でもあると。子供たちは子供時代に過ちを犯しながら成長する、そのことを温かく社会から見守ってもらうという権利がある、これが大事な視点ではないか。まさに子供の権利条約というのは日本の少年法と全く同じ思想、理念に立ってできているわけです。
 したがって、今、少年法の改正の問題になっている刑罰をする少年の年齢を引き下げるとかあるいは勾留期間をふやすとか、これは子供の権利を制限する方向にあるわけで、今の改正論議のまま改正されるとこれは子供の人権条約に違反すると私はそう認識しておりますが、法務省はいかがでしょうか。
#73
○政府委員(古田佑紀君) 少年法が全くそういう意味での予防効果というのを考えていないかと申しますと、それは必ずしもそうではなくて、一定の場合には刑事処分ができるようにもなっております。そういうことからいたしまして、少年についての取り扱いをどういうふうに定めるかということと児童の権利条約との関係についての基本的な考え方を申し上げますと、児童の権利条約は十八歳未満の児童に対しまして一定の特性に応じた取り扱い、これの配慮を要求していることは事実でございますが、刑事責任年齢あるいは刑罰を実際に科すことができる年齢等について一般的な定めはございません。そのあたりにつきましては各国の合理的な立法にゆだねられているというふうに承知している次第でございます。
 そういう状況の中で、いろんなその国の事情を考慮して定めていくと言うことができるものと考えております。
#74
○高野博師君 時間がありませんが、児童の権利条約ではまさに三十七条で、子供が成長過程にある存在であるから子供の逮捕、拘禁などの自由剥奪は最後の手段で、かつ最も短い期間でなければならない、こう定めております。
 したがって、今回もし改正をしてこれを延ばすとすれば、あるいは勾留期間等を延長するとすれば、この条約を批准した時点よりも子供の権利が制限されてはならないということを約束しているわけですから、これは子供の権利条約に違反すると私は思うんです。いずれにしても、日本の司法手続の場合は一人の非行少年も逃さないという姿勢が貫かれている。子供への不信がある意味ではそういう出発点になっている、そういう指摘もされております。
 いずれにしても、法務省がこれから改正案を出すわけでありますが、子供の権利条約との関係も十分考慮されて、そしてこれを進めていただきたいと思います。いずれ改正法案が出てきた段階でまた議論をしたいと思います。
 最後に外務大臣に、まさにこれから国連の子供の人権委員会で日本政府が出した報告書に対する審査が行われるわけです。その後、日本政府に対して勧告がなされるだろうと思うんですが、この勧告については、日本政府は誠実にこれを履行するという意思がおありかどうか、確認させてもらいます。
#75
○国務大臣(小渕恵三君) 我が国といたしましては、この児童の権利条約を誠実に遵守していくとの立場から、児童の権利に関する委員会が提案及び勧告を行う場合には、この提案及び勧告を十分検討の上で誠実に対処してまいりたいと考えております。
#76
○高野博師君 終わります。
#77
○立木洋君 私は、サービスの貿易に関する一般協定の第五議定書についてお尋ねしたいと思います。
 WTO協定が発効されてから既に三年五カ月近くなるわけです。しかし、サービス分野についての取り決めというのは、これは新たな問題でしたから、そのときには附属書としてサービス分野の対象が規定されただけで、事実上はその年の七月になって金融サービス問題についての第二議定書が発効された。しかし、現実にはアメリカはそれに同意しなかったために、去年の四月に交渉が再開された。それが今回の第五議定書になったという経過があるわけです。
 この金融サービスの分野においての問題は、一般的に言えば先進国ではこういう銀行、証券、保険等々では一定の経緯がありますし、それ相応の優位性を持ち得ている。特に、サービスの問題、貿易の問題では世界最大の黒字国であるアメリカにとっては圧倒的な優位を占めているということは御承知のとおりだろうと思うんです。
 こういう状態の中で、金融サービスにおける自由化を急速に進めるということは、発展途上国にとってやっぱりどうしても慎重にならざるを得ない、自国の経済のあり方にいろいろと重大な影響を及ぼす分野でありますから。そういうことがこれまでの経過の中で意見の対立、意見の異なることとなってきていたというふうに思うんです。
 そういう経緯は結構ですけれども、そういう問題点についてどういうふうに日本政府としてはこの金融サービスを考える上での認識をお持ちになっておられるのか、それをまず最初にお尋ねしたいと思います。
#78
○政府委員(大島正太郎君) お答え申し上げます。
 今回の金融サービスの自由化の交渉については御指摘のとおり、米国あるいは先進国からは途上国に対して……
#79
○立木洋君 経過は私はいいと言っているのです。
#80
○政府委員(大島正太郎君) それでは、私ども日本政府としての認識でございますけれども、今回の自由化の成立によりましても、単に先進国だけではなくてアジアを含めた途上国にとっても利益があるものだという認識のもとに私どもも交渉に参加しておりましたし、成立した合意を評価しておるわけでございます。
 つまり、現在のような厳しい状況のもとにおいても、国際投資の分野で法的な安定性というものが確立するということは、投資家にとっての予測可能性を高めまして、アジアにあるいはほかの途上国に対しても投資を活性化させるという積極的な効果があると思っております。したがって、現在確かにアジア等が困難な状況にあるとしても、こういった積極的な効果がございますので、本議定書によって自由化約束を行うことは単に先進国だけではなくて途上国にとっても十分な意義があることだと思っております。
#81
○立木洋君 最近、御承知のようにアジアの途上国においていろいろ通貨・金融危機の問題で大きく揺れてきたという経緯があります。この途上国等の意見の中には、これらの問題というのは金融自由化が通貨危機の原因だというふうな指摘があるわけです。それは私がどうこうしているという意味じゃない、そういう指摘があると。
 WTOについては、金融サービスの問題についてはずっと消極的な態度をとっておりました、発展途上国はアジアにおいて。しかし、金融の自由化の問題についてやはり踏み出さざるを得なかったということがその後生じてきました。今度七十一カ国の約束表が取り交わされるようになっているわけですけれども、例えば今問題になっているインドネシアは既存の合弁金融機関に対して外資八五%のものも含めて保証するというふうになりました。さらには行き過ぎた金融自由化で大変嘆いていたタイについても、今後十年間で、これまで二五%に制限していたものを外貨一〇〇%の金融機関の進出をも認めるというふうな約束までされました。
 例えばマレーシア等においては、現実に外資一〇〇%のアメリカのAIGの保険会社の子会社が入ります。これについてマレーシアの方では、それについては一〇〇%は困るので切り下げたいというふうな問題を出しましたけれども、アメリカ側としてはそれはだめだというふうなことになったわけです。マレーシアとしては、現在まで四九%だったのを五一%までにするというふうな形で、一定のそれぞれの国に応じた反応というのが出てきたということは一応言えるのではないだろうかというふうに思うんです。
 しかし、こういう問題をよく考えてみますと、私は途上国がこういう譲歩をせざるを得なかった問題に関しては、IMFの支援等々との絡み合いも持ちながら、やっぱり金融自由化の方向を速やかに進めていこうとするアメリカ側からの圧力があったのではないかというふうな感じがするんです。
 それで、去年の夏ごろからアメリカとしては、自由化は為替投機を誘うという見方は誤りだというふうな指摘がなされておりますし、外国金融機関の支店の進出の自由化、外資や合弁などでの外資五〇%以上を容認すべきだし、進出企業の既得権の保護などを求めるというふうなことがやられてきました。
 御承知のように、途上国としては、もしか交渉が決裂して自分の国から外資が全部引き揚げられてしまうということになると、これは大変なことになるという不安も一方ではありますから、一定の妥協をせざるを得なかった、譲歩をせざるを得なかったというふうな結果になると思います。
 こういう経過を見てみますと、やはり今回のこういう第五議定書ができた結果、クリントン大統領はこの七十一カ国に上る金融サービス自由化に向けての合意ができたということについては、アメリカが世界をリードする銀行、証券、保険分野での本格参入を保証するものだというふうに述べているわけです。
 今後、こういうような方向を今おっしゃったような形でのみ見るというふうなことになると、アメリカの巨大な金融資本の利益といいますか、支配を利する結果になるという疑念が出てくるわけですけれども、こういう点についてはどのようにお考えでしょうか。
#82
○政府委員(大島正太郎君) お答え申し上げます。
 今回の合意につきましては、御指摘のとおり、先進国のみならず途上国も参加して、最終的には途上国としても自分たちの利益にかなうものだという観点から合意しているわけでございます。決して自分たちの利益に反することに不本意ながら合意するということはないものでございますから、先ほど申し上げたとおり、基本的な認識は現在のような状況においてであってこそすれ、先ほど申し上げたこういった国際的な枠組みをつくることによって予測可能性を高める、あるいはそれによって投資を活発化するということが途上国にとっても利益であると。
 つまり、この交渉が妥結いたしましたのは十二月でございます。ということは、既にアジアにおいて、タイあるいはインドネシアにおいても通貨・金融上の危機が起こっておりまして、この諸国はそういった状況においても、中長期的にはこの条約に参加することが自分たちの利益にかなうことだという認識で参加しているんだというふうに理解しております。
#83
○立木洋君 アメリカ側の圧力という点については全くお触れにならなくて、途上国側も利益があったと。もちろん利益がなくて外資が全部引き揚げられてしまうと困りますからね。それはそういう意味でいえば利益があったというふうに考えられることも私は不可能だとは考えません。しかし、実際にそうしなければならない状況ということをよく見ておく必要が途上国の場合にはあるんだということを忘れてもらうと私は困ると思うんです。
 日本の場合も当初、金融サービスの問題について、これを自由化していくという問題については慎重にという表現がいいかどうか、個々の分野に対応可能な範囲においてそれを進めていくというふうな考え方だったと私は承知しております。しかし、これはアメリカ側からのいろいろな要求があり、交渉の結果もあり、妥結の方向に持っていくというふうなことによって問題が進められてきているということなんです。
 例えば一つの問題、サービス貿易の日本の「追加的な約束」のBのところにありますけれども、ここでは問題はどうなっているかというと、日本の厚生年金基金の資産運用について言いますと、一〇〇%株式運用ができるように大幅に緩和しているわけです。これはつい数年前までは三分の一でした、拡大運用ができるのは、株式等に運用できるのは。あとの三分の二というのは完全な安定性を持って元本割れを生じないような、そういうことがやられてきたわけです。
 ところが、御承知のように、こういう年金、損保、簡保なんかにおける、いわゆる資金運用部が委託を受けて年金福祉事業団がこれを運用するわけですけれども、これは一〇〇%株式を運用できるようになっているというのはBの2、3等々で述べております。一九九九年三月までに「総資産の二分の一を上限とする。」という条項も撤廃するということになっておりますし、3のところでは「年金の資金を運用するサービス提供者ごとの資産配分規制を適用しない。」ということになっているわけですから。
 そういうことになると、この合意書が交わされたもともとの一九九五年の二月十三日、アメリカのロバート・E・ルービン財務長官と日本国の栗山大使とが取り交わした金融サービスに関する措置の中では次のように述べているんですね。日本政府は、公的年金資金は実際に元本保証が付されているかどうかにかかわらず元本保証を付し得る運用対象に投資されるべきであり、法律上元本保証が禁じられている運用対象には投資されるべきではないとの立場ということが指摘されているわけです。
 それが今度一〇〇%、そういう株式の運用までできるように大幅に緩和するというふうなことになったら元本の保証が実際にできるのかどうか。まずはそういう問題について、完全にそれが保証されるというチェックが行政上可能なのかどうなのかというふうな点についてはどのようにお考えですか。
#84
○政府委員(矢野朝水君) 厚生年金基金の運用規制の緩和の問題でございますけれども、これは何も勝手に自由に何をやってもいい、こういう趣旨で緩和したわけじゃございませんで、年金の運用につきましては世界的に二つの方式があるわけです。つまり、リーガルリスト方式というのは、各資産の組み入れ比率の上限なんかを決めた五・三・三・二規制、こういったのが典型ですけれども、こういうやり方と、もう一つはプルーデントマン・ルールということで、これは受託者責任と称しておりますけれども、要するに忠実義務、注意義務、これでもって年金の運用に当たるというプルーデントマン・ルールというのがあるわけでございます。
 それで、私どもは昔からリーガルリスト方式はおかしいんじゃないかと。といいますのも、厚生年金基金というのは加入員が多い基金もありますし少ない基金もある、あるいは母体企業がリスクをとれる企業もあるしそうでないところもあるということで一律の規制はおかしい、だから欧米流のプルーデントマン・ルールを導入してくれと、こういうことで長年運動をやってきたわけでございまして、そういったのがようやく実ったということでございます。
 それで、行政としましては、この受託者責任の中身というのをガイドラインという形で決めまして、それでこの普及啓発を図っているわけでございますし、それからまた研修でそういう徹底を図ったりとか……
#85
○立木洋君 簡単で結構です、大体わかっていますから。
#86
○政府委員(矢野朝水君) ということでやっておりまして、決してこれはおかしいことじゃないと思います。これは我々の長年の要望がようやく認められた、こう解釈をしております。
#87
○立木洋君 その問題について言えば、先ほど言ったようにBの2と3で全部それを撤廃し適用しないというふうになっているわけです。
 私は関係文書を読みました。行政でチェックするというふうなことについて、いわゆる拡大運用するときには運用執行理事を置くだとか、それから資産運用委員会を設置するだとか適切な資産の構成、割り当てを定めるだとかそれから専門知識を持った人々を置くからチェックが可能だから十分で、元本割れが起こるような事態にはならないというふうなことを言っているけれども、現にもらっているあれから言いますと、平成八年の場合の累積利益差損というのは、年金の関係でいえば、時価でいって一兆二千九百九十四億円出ているじゃないですか。
 これは元本割れが起こるということがあり得るわけじゃないですか。これまでだって拡大運用でない資産の配分規制の行われていた年金信託契約でも元本割れの可能性があったわけでしょう。それをチェックするといったって、チェックできることが完全に可能なのかどうなのか。
 この間お話を聞いたら、それは専門家が専門知識を蓄積してやるんだから問題ないと。山一だって専門家ですよ。北拓だって専門家ですよ。専門家だってこういう事態になってから破産したじゃないですか。それが行政上国民から預かっている金がこういう形で完全に一〇〇%株式運用できるように、拡大運用が可能になるようなやり方をして、これは当初はこの問題については慎重だったんですよ。私は下条さんが厚生大臣のときにこの問題を質問したんです。三分の一だ、問題ないと言っておったんです。それを今度一〇〇%でしょう。
 そういうような答弁については私は納得するわけにはいかない。きちっと適切な対応をすべきだということを要望しておきます。答弁は要りません。こういう大変な問題があるということだけ指摘をしておきたいと思っております。
 もう一つは、この問題だけでなくて、損害保険料率の自由化の約束も行っております。同じ追加約束の中のAの4のところにあります。ここについては、「算出された料率を保険サービスの提供のために使用しなければならない義務を千九百九十八年七月一日までに撤廃する。」というふうなことが出されております。それからAの5のところの「次の傷害保険の引受けを認めない。」というふうな条項を読んでみますと、これも結局損害保険料率の自由化が先行するというふうなことになるわけです。
 御承知のように、アメリカでは一九八三年から八四年にかけて保険料率の問題の自由化のために、二千五百万台と言われる膨大な保険がない車ができたんです。そしてこれは大変なことになった。一方では保険料が高騰する地域ができるし、それから災害の多い地域からは保険会社が撤退するというふうな状況まで起こってきた。
 こういうような状況をよく検討されるならば、日本は料率算定会の制度のもとで比較的安定した損害保険ということを維持してきたんだけれども、保険料率の自由化によってアメリカと同じような問題が起こる危険性はないのかどうなのか。こういう問題については大蔵省、どのようにお考えでしょうか。
#88
○政府委員(福田誠君) 御指摘のように、損害保険料率の自由化につきましては十分慎重に進める必要があると考えております。
 今御指摘の、米国において自動車保険に加入していない自動車が存在するということは報道等で承知しておりますが、その実態について全米ベースでのまとまった統計というものは私ども承知しておりません。
 そして、お尋ねの損害保険料率の自由化でございますが、昨年六月の私どもの保険審議会の報告におきましても、保険会社間の適正な競争が促進され、消費者ニーズに柔軟にこたえる活発な商品開発が行われることが望ましいとの観点から、算定会料率の使用義務を廃止することが適当である旨提言されておりまして、このため今国会で金融システム改革法の一部として御審議いただいているものでございます。
 他方、御指摘のように、大蔵省といたしましても、算定会料率の使用義務の廃止後におきまして、必要最低限の監督を継続する必要があると思っております。具体的には、契約者等の保護あるいは保険会社の健全性確保の観点から、商品や料率に関して法令の審査基準に照らした十分なチェックを行う必要があると思っております。
 特に自動車保険につきましては、被害者救済という側面の商品でございますので、既に昨年六月にリスク細分型自動車保険の認可に先立ちまして、商品・料率認可に係るガイドライン、審査基準を補完するものでございますが、これを発出しております。このガイドラインにつきましては、保険の安定供給に支障の発生が懸念される間はこれを維持する予定でございまして、自由化措置の結果、被害者救済等に支障が生じないように適切に対応してまいりたいと思っております。
#89
○立木洋君 最後に、この追加的な約束のAの5の(b)のところと関連するんですが、保険のいわゆる第三分野、がんの保険だとか何かいろいろありますけれども、こういう第三分野の問題については参入規制をアメリカは要求している。つまり、大手損保だとか生保子会社の参入は規制せよという態度をとっておるわけです。
 御承知のように、保険の分野でもアメリカは基本的には自由化を要求している。ところが、保険の中での第三分野に関しては、アメリカ自身は主要な分野の自由化の前に第三分野を自由化するのは不当だといって、そこでは参入を規制するという態度をとっておる。
 これは日本の中でも、全くアメリカの主張は矛盾しているじゃないか、不合理じゃないかという意見さえ出ているわけです。このように、自分のところの利益にならない分野についての参入は規制する、そして自分の利益になるところの分野については規制を撤廃せよと規制緩和を求める、自由化を要求するという両手を使っているわけです。ですから、日本の関係者の中からこういう問題に関する厳しい意見や批判が出ているのは私は当然だろうと思うんです。こういう問題について、外務大臣にもよくお考えいただきたいと思うんです。
 御承知のように、WTOの関係閣僚会議はもう終わりました。次の機会に一括的にやるのか、それぞれの分野をどういうふうにしてやるのかという問題があります。今まで物の貿易の分野については、ウルグアイ・ラウンド等以前からいろいろなガットの体制のもとでやってきたという経緯があります。
 こういうサービス分野、特に金融問題に関してはさまざまな条件の違いがあり、本当にそれぞれの国の対等平等の条件を考えながら、お互いの主権を尊重して問題を漸進的に進めていくというふうな態度が必要であって、やっぱり圧力を加えたり、あるいは一方的な利益に基づいて物事を進めるというふうなことがあってはならないと私は思うんです。
 その点で、先ほど言われた保険料の問題に関しては、大蔵省の御答弁では、そういう問題については十分に考慮しながら、保険料率の分野についてもそういう事態が起こらないように対応していく必要性をお感じになっておるということは、当然そういうことに注意してやる必要があるということです。厚生省の方は全くそういう問題を無視して、そんなことが全然起こらないかのような答弁のなさり方をするということは私は甚だ遺憾だと。
 国民から預かっておるお金もしくは元本の損失が大量に拡大運用した場合に起こって、ほかの分野にまで影響を及ぼすようなことになったら、一体国民の金を預かっているのにどういう態度をとるのか。その点については、そういうことが起こらないように慎重に考えてやっていただきたい。そうしないと、この問題については重大なことが起こりかねないんだということもあわせて申し述べておきたいと思うんです。
 こういう点で、これから開かれる関係閣僚会議の場においても、こういうさまざまな問題が起こってきますので、日本の政府としてのこういう金融サービス、さらにはサービス分野全般にわたっての今後のあり方、態度、基本的な考え方、日本が追加した約束の問題についての考えとあわせて今後の基本的なお考えを外務大臣から答弁をいただいておきたいと思います。
#90
○国務大臣(小渕恵三君) 今後のWTOにおける対応におきましても、我が国として、多角的貿易体制を一層強化し、同体制のもとで我が国利益の増大を図るとともに、グローバルな経済発展に資するよう途上国を含む各国との協調に努めてまいる考え方でありますし、各省庁とも十分連絡をいたしまして対処いたしたいと思います。
#91
○佐藤道夫君 最初に、突然ですけれども、インドネシア問題につきまして外務大臣にお尋ねしておきたいと思います。
 先ほど齋藤議員との質疑の中で外務大臣は、結論的な意味で、我が国としても引き続きできる限りの支援をしてまいりたいというふうなことをおっしゃったように聞きました。これはいささか問題ではないだろうかと、私はこう考えるわけであります。
 スハルト大統領が辞任いたしまして、後任のハビビ副大統領、これはスハルト大統領の側近中の側近だと言われてもう三十年来行動をともにしておる。余り仲がよ過ぎる、いつも一緒におるのであれは親子ではないのかと、まあ冗談ですけれども、そういうことも言われておるような間柄と。スハルト体制の中心的な人物だろう、こう思われるわけであります。
 インドネシアの人民が求めているのはそういうことではないので、徹底した民主化の要求、政治改革、経済改革、こういうことだろうと思うんです。これは、頭を取りかえる、スハルト体制はそのまま温存して従前の大統領が院政をしくと、そういう目で見られかねないわけであります。
 スハルト大統領は、最初は選挙をやるまでは留任する、こう言っておったのが突然辞任と、こういうことになりましたのは、実は昨日テレビでも報道されておりましたけれども、アメリカのオルブライト国務長官がはっきりと大統領の辞任を求めると、こういう演説をした。これが私、多分引き金だったんだろうと。アメリカからも見放されたのかと、こういうことで辞任したんだろうと思うんですけれども、我が国はインドネシアに対しましてはアメリカ以上の支援国、最大の支援国でもありますから、もっと堂々といろんなことで発言していいのではないかと、私はこう思っております。
 スハルト大統領の辞任を要求するのがアメリカだとすれば、今後スハルト体制の一掃というのか、あるいはまた政治改革、経済改革、民主化を徹底してやってほしい、それまでは支援をストップするつもりだというぐらいのことを私は言ってもよかったんじゃないかなと、こういう思いがしておるわけであります。
 いずれにしろ、もうしばらくあの国の推移を見守らないと従前の支援を続けでいいのかどうか、にわかに断定できない問題だろう、私はこう思っておりますので、外務大臣の御所見を承ればと、こう思います。
#92
○国務大臣(小渕恵三君) このたびスハルト大統領から民主的手続によりまして副大統領が昇格するというような形になりました。
 そこで、今、先生おっしゃるような我が国のインドネシアに対する協力は、ひとりその大統領あるいは大統領を引き継ぐ人に行うのでなくして、インドネシア国民、インドネシアの国に対して我が国としてその安定と発展のために協力をいたすことでございます。日本としてはそういった風味で、現在の混乱した状況を脱却するためにも必要な協力は行わなきゃなりませんし、特にこういう事態に対処しますと御承知のようにいわゆる弱者という方々が大変な苦労をされるわけでございます。そういった意味で、緊急的に米の支援あるいは医薬品の支援等を引き続いて行っていくということを申し上げておるわけでございます。
 なお、念のためでございますけれども、実は私もオルブライト国務長官、すなわち米国の考え方につきまして、昨夜来テレビ等を拝見いたしておりまして、これがある意味でアメリカのスハルト大統領が大統領職を去ることに対して影響的行使をしたのではないかということでございましたが、けさほど、実はその演説の内容を調べてみましたところ、英語で大変恐縮ですが、デモクラティックトラディション、すなわち民主的な移行について希望するということを言っておりまして、テレビ等の日本語の訳ですと民主制への移行、こういう解釈。
 すなわち、民主制への移行ということになりますと、そのことがスハルト大統領が引退すべきだという演説内容というふうに喧伝されておりまして、このことはアメリカでも大分問題になったようで、実は正式に、これはそういうことでなくして民主的な移行を期待する、こういうことだったようでございますので、念のために。
#93
○佐藤道夫君 外交儀礼を重視した上で最大限の表現をしたんだろうと、私はこう解釈いたします。
 それから、弱者救済だということをおっしゃられますけれども、やはり現体制への支援につながるようなことは本当の意味での弱者救済になっていないんだろうと私は思います。何しろ三十二年間にわたって一人の人間が国を支配してきて、その一族身内すべてが要所要所についている。こんなものは民主主義国とも何とも言えないわけですから、結果として現体制への支援につながるような援助というものは本当に考えてほしい、こう思います。これは答えは要りません。
 それから、次は条約の関係でありまして、最初にモントリオール関係の二条約についてお尋ねいたします。
 これは、サインしてから国会承認に至るまで随分と年月がかかっておる。いろんな問題があったのであろうということはよくわかりますが、それにしてもかかり過ぎている。
 なぜ私がこれを問題にするかと。私は地雷条約に若干の関心を持っておりまして何回もこの委員会で取り上げておりますけれども、昨年十二月にサインいたしまして、この国会承認が十年後、二十年後にようやく出てくるというようなことがあってはいささか問題だろうな、こういう気がするものですから、この条約の関係、いろんな問題があるにしましても、なるべく速やかに国会承認にこぎつけるということで最大限の努力をしていただきたい、こう思いまして、この点につきましても大臣の御意見を承ればと思います。
#94
○国務大臣(小渕恵三君) いろいろの条件を乗り越えなきゃなりませんが、いずれにいたしましても、条約を署名した立場からいいますれば、一日も早くこれを批准して、その条約に基づいて国としては対応すべきものと考えております。
#95
○佐藤道夫君 というお趣旨で、地雷条約はぜひとも来国会ぐらいには国会承認までこぎつけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#96
○国務大臣(小渕恵三君) この点も全力を挙げて努力をいたしてまいりたいと思います。

#97
○佐藤道夫君 その次は、外国公務員に対する贈賄防止条約、この関係についてお尋ねいたします。
 この条約が提案されたにつきましては、アメリカがロッキード事件の反省からと、こういうふうに聞いております。そのとおりだろうと思います。
 そこで今、日本の商社がもう世界各国に進出していろんな商売をやっておりますけれども、日本の商社員に対する評判というものをちょっとお尋ねしておきたいと思います。
 いろんな国際会議あるいはこの条約の下交渉などの際にやっぱりそういう話も出るんだろうと思います。日本の商社員の暗躍というのか活躍というのか、それが大変目に余ると。かばんに金を詰め込んで乗り込んできてもう金のやり放題、あるいは日本人は接待がお得意のようであるからして接待のし放題、本当に困っている、我が国の公務員がもう汚されて汚れ切っておるということなのか。
 それとも全く逆に、日本人というのはさすがお侍の子孫であるからして本当に潔癖、金を使うようなことは一切しない、正々堂々と表からやってきて取引をしていく、こういう条約で日本人を縛るなんということは一切考えていないということなのか、そのどちらでありましょうか。
 国際会議等の情報、伝え聞いた話あるいは耳にした話、そういうことでも十分でございますから、差し支えない限りで日本人商人に対する評判をちょっと教えてもらえればと思います。
#98
○政府委員(大島正太郎君) お答え申し上げます。
 もちろん、我が国の企業の在外における活躍、基本的には大変評価されていると認識しております。
 また、この条約との関連で、例えば交渉の過程で我が国の企業がこのような条約の対象となるような問題の行為を行っているという例に言及があったかというと、そのようなことはなかったと承知しております。
#99
○佐藤道夫君 なかなかにわかには信用できない話でありますね、日本人の商社員がそんなに潔癖な商取引をしているということは。国内の現状を見ていてもよくわかるとおり、これが外国に行きましたらもっと大手を振っていろんなことをやっているんじゃないかというふうに、私が見ているわけじゃなくて日本人の多くがそういうふうに見ているようでありまするので、本当のところをもう少し調べて、情報も収集されて、必要があれば日本の商社に対して警告を発するというぐらいのことがあってもいいのではないか、こういう気もいたします。
 特に東南アジア方面で日本人の商社員がいろんなことをやっていると私も耳にしないわけではありませんので、その辺についても情報の収集を怠りなくやっていっていただきたい、こういうふうに思います。
 この点につきましては、外務大臣、いかがでしょうか。
#100
○国務大臣(小渕恵三君) ビジネスをされる方はそれなりのやっぱり規範と道徳というものがあってしかるべきだろうと思いますので、そういった点で、不正を行うことのないように十分注意しながら商業活動を展開しているんだろうと思います。
 ただ、日本のビジネスマンが大変熱心な余りに時に非難をされるようなことがあるとすれば大変残念なことだと思います。ただ今日、インドネシアで問題が起こっておりますけれども、ほとんどの日本人は帰国するかあるいは近隣の国に居を移しておりますけれども、商社の関係その他本当に必要な方々が今現地に仕事を再開するために残っておられるというようなことを聞きますと、そういった点では日本のビジネスマンの御苦労も非常に多としなきゃならないのではないかというふうに考えております。
#101
○佐藤道夫君 次は、法務省にお尋ねいたします。
 外国のビジネスマンが日本に来まして日本の公務員に贈賄をしたというような例があれば教えていただきたい。私はちょっと新聞等でもそれは見た記憶はないんですけれども、いかがでしょうか。
#102
○政府委員(古田佑紀君) 日本国内で外国のいろんな営業活動に従事している方が日本の公務員に金品を提供すれば、それは日本での贈収賄になるということになりますが、そういう例は過去、過去といいますか近時私どもとしては特段把握しておりません。
#103
○佐藤道夫君 次に、この条約の国内法の受け皿が刑法ではなくて不正競争防止法ということになっておるようであります。
 不正競争という観点でこの行為を処罰の対象にしよう、こういうことのようでありますが、これでいいんだろうかな、こういう思いもしないわけではありません。贈収賄というのは基本的に刑法の取り上げる犯罪というのが我が国の伝統であります。
 贈賄というのは、考えてみますると、例えば五人の業者が一つの仕事をとろうと思って役所と折衝をしている、競争している。そのときに一人が抜け駆けをして役人に金をやって仕事をとってしまう、これが不正競争。要するに、贈賄というのは不正競争の意味もあるんです。それから、公務員の公務を汚す、倫理を汚すという二つの面があるわけでありまして、今回のように不正競争の面から取り上げるのは、主と従があるとすれば、むしろ往の目的ではないのか。主はやっぱり公務員の倫理だろうと思います。公務員が金を受け取らなければ一切こんな問題は起きないわけですから、公務員の倫理、これが主であって、それから抜け駆けをやるのもやっぱりやめてほしいということが往の目的としてあるんだろうと。
 今回、この不正競争防止法で取り上げているのは、どうもその往の方に視点を置き過ぎているのではないかな、こういう気がしております。日本で贈賄をすれば、日本の公務員の倫理を汚すということで刑法で処罰の対象にしている。ところが、外国の公務員に金をやっても、外国の公務員の倫理なんかどうでもいいや、どうせ連中は大した仕事をしているわけでもないし、もともと公務員の倫理なんてないような国が多いんだろうから、これは専ら不正競争の面から取り上げていくのかと、こういう思いすらしてくるわけでありまして、その点いかがでありましょうか。なぜ刑法で取り上げなかったのか、こういうことです。
#104
○政府委員(古田佑紀君) 委員も十分御承知のとおりと存じますけれども、刑法上の贈収賄の規定は、やはり公務員に負託されている公務の廉潔性、これを汚すというところに処罰の本体があるというふうに理解されているわけで、贈賄はそれに対応する行為という姿だろうというふうに考えられるわけです。ただ、贈賄の中におっしゃるような意味での動機とかそういうのがあるということは、そのとおりだろうと思いますけれども、考え方としては今申し上げたようなことだと思うわけです。
 これを外国の公務員に置きかえました場合に、外国の公務員について軽視してそういう発想をとらなかったというふうなことでは決してございませんで、やはり何と申しましても、一国の主権の中で行動しておられる方で、それを日本国が他国の公務員の廉潔性というところにまで刑罰法規をもって関心を持つということは、これはやはり国家間の問題としては相当問題があるというふうに考えざるを得ないわけでございます。
 外国公務員に対する不正な財産上の利益の提供でございますけれども、これはやはりそれ自身が国際商取引の中でいろんな競争の不公平を実質的に引き起こす、そういう意味で大変問題だということがやはり御指摘のロッキード事件以来認識されていて、その結果としての今回の条約でございますので、決してそれが従たるものだというふうなものではないと考えております。
#105
○佐藤道夫君 次に、両罰規定の問題についてやはり法務省にお尋ねいたします。
 例を挙げますと、日本のビジネスマンが外国に行って外国の公務員に金をやる、それは不正競争防止法で処罰の対象になる。それから、そのビジネスマンを雇っている会社も、両罰規定といって、不正競争防止法によりまして三億円以下の罰金に処せされる、こういうスタイルになっているようであります。
 これは当然といえば当然なんでありまして、会社の金を使って贈賄をする、その結果、契約がとれればもうけは会社に入ってくるわけですから、会社も処罰する、これは当たり前といえば当たり前のことなんでありますが、同じようなことが国内で行われまして、日本の商社員が日本の公務員に金を贈る、その金も会社から出ておる、契約をとれれば会社がもうかる。
 しかし、贈賄で処罰されるのは、日本刑法ですから、金を贈ったビジネスマン個人、商社員個人、会社は処罰できないわけです。これはやっぱり世間の人はおかしいと思うんじゃないでしょうかね。海外に行って外国の公務員に金をやると会社を処罰する、三億円以下の罰金に処する、これは当たり前だ、当然だと。会社がとにかくやらせたんだから会社を処罰しなきゃいかぬと。
 そういう目で見ると、日本の国内で日本の公務員に金をやったとしても、その会社は処罰の対象にならない。何だおかしいじゃないかと、何で外国と日本で同じようなことをやって、片っ方は会社を処罰するし、片っ方は処罰しないんだと。これは極端な言い方をしますと、法のもとの平等に反するんじゃないかと、外国で不正をやった商社員を抱えている会社はそう言うかもしれません。
 同じことを国内でやっている連中の会社は全然処罰されない、何で我が社だけ処罰されるんだと。これは憲法の保障している法のもとの平等に反するのではないかと、理屈っぽい弁護士を雇っておれば必ずそういうことを言って事件は最高裁まで争われるということにもなりかねないわけなんであります。思い切って日本の贈賄罪についても両罰規定を置いて会社を処罰すると。あるいは罰金を取ることに引け目があるとすれば、今まで刑法では両罰規定を入れたということはないわけですから、会社の免許の停止とか、取り消しとか、そういう措置を刑法上に取り込んでもいいのではないかと、私はこういうふうに思っておるわけであります。
 この点、法務省に意見かたがた、一つの宿題として取り組んでもらえればありがたいわけです。単に聞きおくということではなしに、やっぱり日本でやっても海外でやっても会社は同じように処罰するということじゃないと落ち着きが悪いんじゃないかなと、こういう気がしておるので、その点御意見をと思います。
#106
○政府委員(古田佑紀君) 刑法の贈収賄に両罰規定がなくて、こちらの方には両罰規定があるというのはバランスを失するのではないかというような御指摘が含まれていると思いますが、今回このような不正競争防止法で両罰規定を含めた担保法案を入れるということにつきましては、先ほど申し上げましたように、刑法の贈収賄と、それから今回国内立法しようとする罰則の性格というのが違っていると、そういうところに原因があるわけでございます。
 ただ、それはそれといたしまして、刑法犯の中の特に贈賄ということに限らずとも、やはり両罰規定のようなものを導入することは適当ではないかというふうな御意見というのは、これはかなり前から現実にありまして、法務当局におきましてもいろんな観点から検討をしてきているわけですが、刑法自身が、いわば個人の道義的責任と申しますか、これを前提とした体系ということで、いろいろ問題がないわけではないという状況です。
 いずれにいたしましても、その問題はこれまでも種々の観点から御議論があったところですので、引き続きいろいろ勉強してまいりたいと思っております。
#107
○佐藤道夫君 こういうことは余り言いたくないんですけれども、法務省はとにかく動作が鈍い、任せておいたらいつまでたっても研究ばっかりしてさっぱり進まない、もう思い切って議員立法でやってやろうというようなムードが今国会内のあちこちで起こりつつあるものですから、この件も研究、研究と言って三年、五年たっておりますと、じゃ、議員立法でやろうかという動きも出てこないわけではないと思うので、ひとつ真剣にかつ前向きに取り組んでもらいたいということを要望いたしまして、質問を終わります。
#108
○委員長(及川順郎君) 他に御発言もないようですから、四件の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#109
○立木洋君 私は、日本共産党を代表して、サービス貿易に関する一般協定第五議定書に反対の立場で討論を行います。
 反対の理由の第一は、もともと各国間の経済貿易関係は、当然主権を尊重し、平等互恵を基本とするということは当たり前のことであります。
 ところが、本議定書が、優位的な立場にあるアメリカの圧力によって各国に金融自由化を押しつけるという経過があったことは、私が指摘したとおりであります。
 アジアの通貨・金融危機を背景に、支援措置と引きかえに自由化を押しつけるということさえ行っていることを考えるならば、当然それは容認できないということを指摘せざるを得ません。
 反対の理由の第二は、本議定書は、日本において厚生年金基金などの運用規制を緩和し、よりリスクの高い株式など投機的な運用手段への運用を可能にするものであるからであります。
 元本割れが頻繁に起こるような運用を認めるならば、国民の老後の生活資金は重大な影響を受けかねないからであります。
 第三の反対の理由は、本議定書が保険料の高騰、無保険の車の問題等を引き起こし、損害保険料率の自由化を約束するものだからであります。
 それは、既に損害保険料率が自由化されているアメリカでさまざまな問題が起こっているような事態を見ても明らかであります。さらに、アメリカは保険分野で自由化や規制緩和を基本的に要求しておきながら、保険のいわゆる第三分野で、一方ではみずからの利益を保護する立場に立って保護を要求するというアメリカの態度は極めて不当であるからであります。
 反対の第四の理由は、本議定書が外国為替取引の自由化を進める改正外為法を反映したものであるからであります。
 為替取引自由化によって為替取引の投機性は高まり、さらに投機性資金の移動の監視が難しくなり、有効な手段をとることが困難になるからであります。
 以上の理由をもって反対することを述べ、討論を終わります。
#110
○委員長(及川順郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、国際民間航空条約の改正に関する千九百八十四年五月十日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#111
○委員長(及川順郎君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、国際民間航空条約の改正に関する千九百八十年十月六日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#112
○委員長(及川順郎君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、サービスの貿易に関する一般協定の第五議定書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#113
○委員長(及川順郎君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#114
○委員長(及川順郎君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、四件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#115
○委員長(及川順郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#116
○委員長(及川順郎君) 次に、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。村岡内閣官房長官。
#117
○国務大臣(村岡兼造君) ただいま議題となりました国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律附則第三条の規定に基づき、これまでの派遣の教訓、反省を踏まえ、同法の見直し作業を行った結果、国際連合を中心とした国際平和のための努力に対して適切かつ効果的に寄与するため、国際的な選挙監視活動、人道的な国際救援活動のための物資協力及び武器の使用の三点に関して改正を行うものであります。
 次に、この法律案の内容についてその概要を御説明申し上げます。
 その第一点は、協力の対象に国際的な選挙監視活動を加え、国際的な選挙監視活動のための国際平和協力業務の実施及び物資協力を行うことができることとするものであります。
 第二点は、人道的な国際救援活動のための物資協力に関して、当該活動が国際連合難民高等弁務官事務所等の一定の国際機関によって実施される場合には、停戦合意が存在しない場合であっても、これを行うことができることとするものであります。
 第三点は、部隊として国際平和協力業務に従事する自衛官等の武器等の使用について、その一層の適正を確保するため、現場に上官があるときは、生命または身体に対する侵害または危難が切迫し、当該上官の命令を受けるいとまがない場合を除き、その命令によらなければならないこととするものであります。この場合において、現場にある上官は、統制を欠いた武器等の使用により、かえって生命もしくは身体に対する危険または事態の混乱を招くこととなることを未然に防止し、当該武器等の使用が、自己または自己とともに現場に所在する我が国要員の生命または身体を防衛するという目的の範囲内において適正に行われることを確保する見地から、必要な命令をするものとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#118
○委員長(及川順郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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