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#1
第142回国会 法務委員会 第2号
平成十年三月十日(火曜日)
   午後零時十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 一月二十九日
    辞任         補欠選任
     角田 義一君     峰崎 直樹君
 一月三十日
    辞任         補欠選任
     峰崎 直樹君     角田 義一君
 二月十二日
    辞任         補欠選任
     角田 義一君     峰崎 直樹君
 二月十三日
    辞任         補欠選任
     峰崎 直樹君     角田 義一君
 三月九日
    辞任         補欠選任
     千葉 景子君     萱野  茂君
     角田 義一君     足立 良平君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         武田 節子君
    理 事
                清水嘉与子君
                依田 智治君
                大森 礼子君
                橋本  敦君
                平野 貞夫君
    委 員
                遠藤  要君
                岡部 三郎君
                高木 正明君
                長尾 立子君
                林田悠紀夫君
                前田 勲男君
                松浦  功君
                足立 良平君
                萱野  茂君
                円 より子君
                照屋 寛徳君
                山田 俊昭君
   国務大臣
       法 務 大 臣  下稲葉耕吉君
   政府委員
       法務大臣官房長  但木 敬一君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  山崎  潮君
       法務省民事局長  森脇  勝君
       法務省保護局長  本江 威憙君
   最高裁料所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局経理局長   竹崎 博允君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 恒男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (法務行政の基本方針に関する件)
 (平成十年度法務省及び裁判所関係予算に関す
 る件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(武田節子君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨九日、千葉景子君及び角田義一君が委員を辞任され、その補欠として萱野氏君及び足立良平君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(武田節子君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題といたします。
 まず、法務行政の基本方針について、下稲葉法務大臣から所信を聴取いたします。下稲葉法務大臣。
#4
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 委員長を初め委員の皆様には平素から法務行政について格別の御尽力をくださり、厚く御礼を申し上げます。
 この機会に法務行政に関する所信の一端を申し述べ、委員各位の御理解と御協力を賜りないと存じます。
 我が国は、今新しい時代の創造に向けて変革のときを迎えております。このようなときに、法秩序の維持と国民の権利の保全を使命とする法務行政は、改革を支える基盤として、いよいよその役割が重大になるとともに、新しい時代の要請に迅速的確にこたえみずからを変革していくことが求められております。私は、このことを念頭に置き、全力を傾注して国民の期待する法務行政の推進に取り組んでまいる所存であります。
 以下、当面の重要施策について申し述べます。
 第一は、治安の確保及び法秩序の維持についてであります。
 最近の犯罪情勢を見ますと、殺人、強盗、誘拐等国民生活の平穏を脅かす凶悪重大事犯が後を絶たない上、大手証券会社・銀行といわゆる総会屋との間の利益供与事犯、証券取引をめぐる不正事犯、中央省庁職員や公団理事らによる汚職事犯など、経済や行政の根幹にかかわる事犯が相次いで摘発されるに至っております。また、国際密航あっせん組織を背景とした集団密航事犯が頻発するなど、犯罪の国際化の傾向も一段と強まっております。
 私は、このような犯罪情勢を的確に把握しつつ、時代の要請にこたえ得る検察体制の一層の充実を図り、国民一人一人が安全で安心して生活できる公正な社会の構築に努めてまいります。
 さらに、近年、暴力団等の反社会的勢力による不正な利益を追求する犯罪、薬物、銃器事犯など種々の組織的な犯罪が発生しておりますが、これらの犯罪に適切に対処するための刑事法の整備が国内的にも国際的にも重要な課題であることにかんがみ、今国会に法案を提出したいと考えております。
 なお、オウム真理教に関しましては、組織の再建が進められ、殺人をも肯定する危険な教義を復活させるなどの動向が認められることから、公安調査庁において今後も十分な調査を継続し、公共の安全確保に万全を期する必要があると考えております。
 第二は、犯罪者等に対する矯正処遇と更生保護についてであります。
 犯罪者の矯正処遇に関しましては、近年、被収容者の数が増加を続けている上、暴力団関係者、覚せい剤事犯者、外国人、高齢者など処遇に困難を伴う被収容者が依然として高い比率を占めております。また、非行少年の処遇に関しましても、凶悪な事件を犯す少年が急増しているとともに、個々の少年が抱える問題が多様化、複雑化しており、さまざまな困難が生じております。
 このような状況に対応するため、引き続き個々の被収容者の特性、犯罪傾向等に応じた適切な処遇に努めるとともに、特に少年につきましては、健全な成長を促すよう、個々の少年が抱える問題を的確に把握し、計画的かつ効果的な矯正教育の推進に努めてまいります。
 また、近時、社会の耳目を集める少年による凶悪事犯が発生し、これに関連して少年法制に対して各般の意見が示されております。少年法につきましては、このような各般の意見にも十分配慮しつつ、少年に対し適切な処遇を実現するための基礎である事実認定の問題など少年事件手続のあり方について真剣に検討を進めているところであります。
 更生保護に関しましても、近時、処遇困難な保護観察対象者が増加しております。一方、地域社会の熱意あふれる奉仕家が犯罪者や非行少年を無報酬で補導援護する保護司制度は極めて重要な役割を果たしてきておりますが、社会構造及び個人の価値観の変化に伴い、保護司適任者の確保が困難になりつつあります。そのため、保護司とその活動に対する一般国民や地域社会の理解及び組織的支援体制を強化する必要性が著しく高まっているところであり、保護司制度の充実強化を図るための法案を今国会に提出したところであります。
 第三は、民事法の改正、民事行政事務の充実及び訟務事件の適正円滑な処理等についてであります。
 民事法の改正に関し、新しい時代の要請にこたえた法整備を積極的に進めてまいります。
 まず、金融システム改革の重要な柱である債権の流動化を促進するため、債権譲渡の第三者対抗要件に関する民法の特例を定める法案を今国会に提出したところであります。
 また、公務員がその職務に関し保管する文書等を対象とする裁判所の文書提出命令の制度につきましては、行政情報公開制度に関する議論を踏まえて検討を進めており、今国会に法案を提出したいと考えております。
 さらに、近年、インターネット等を利用する電子取引が増加しておりますので、その安全を確保するための電子認証制度等について鋭意検討してまいります。
 民事行政事務に関しましては、登記事務のコンピューター化を平成十六年度までに完了させるなど行政情報化を推進し、オンラインによる登記情報の提供等、国民のニーズにこたえる質の高い行政サービスの実現に努めてまいります。
 なお、登記事務のコンピューター化に関しては、その本格的展開に向けての移行作業が今後数年の間にピークを迎えます。そのため、これに伴う経費の増加が避けられないところであり、平成五年以来改定を見合わせてきた現行の登記手数料を改定することとしておりますので、御理解をいただきたいと考えております。
 訟務事件の処理に関しましては、本年は訟務制度が創設されてから五十年目を迎えました。近年の情勢といたしましては、事件数が依然として高い水準にあるばかりでなく、その中には、沖縄の基地をめぐる訴訟のように、その帰趨が国の政治、行政、国民生活等に重大な影響を及ぼすものも少なくありません。訟務制度は、国民と国家との法律上の紛争の適正な解決に資するなど法の支配の確立のため重要な役割を果たしてきたところであり、引き続き訟務事務処理体制の充実強化を図り、一層、適正円滑な事件処理に努めてまいります。
 第四は、人権擁護行政についてであります。
 本年は人権擁護委員制度が発足してから五十年目の記念すべき年であります。人権の擁護が憲法の重要な柱ており、民主政治の基本であることは言うまでもないところであり、「人権教育のための国連十年」に関する国内行動計画の趣旨を踏まえ、きめ細かい啓発活動を行うとともに、人権に関する相談や、人権侵犯事件の調査処理を通じて被害者の救済に努めてまいります。
 また、法律扶助制度は、憲法で認められた国民の裁判を受ける権利を実質的に保障するための重要な制度でありますが、法務省内に設けました研究会の検討を踏まえ、一層の充実に努めてまいります。
 第五は、出入国管理行政の充実強化についてであります。
 国際化の著しい進展に伴い、我が国を訪れる外国人は年間約四百六十万人を上回り、その活動内容もこれまで以上に多様化しております。他方、我が国には約二十八万人弱の不法残留者に加えて集団密航等により久国した不法入国者も存在し、そのほとんどが不法就労活動を行っているものと推定されます。また、これら不法滞在者による凶悪犯罪や薬物犯罪等も急増しており、不法滞在外国人に係る問題は深刻なものがあります。
 このような中、国際協調、国際交流の増進のため外国人の円滑な受け入れに努めることはもちろんでありますが、他面、ルールにのっとらない不法滞在外国人に対しては厳格な態度で臨み、その数を減ずるための効果的な対策を講ずるとともに、そのための要員の確保等の所要の体制整備及び職員研修の充実強化にも努めてまいります。
 また、昨年、委員各位の御協力を賜り、集団密航係る罪の新設等を内容とする出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律が成立いたしましたが、この改正法の的確な運用と関係機関との連携強化により、内外のいわゆるブローカー組織や暴力団関係者が組織的に関与する集団密航事犯等にも厳しく対処してまいります。
 第六は、司法制度の整備についてであります。
 民主主義を基盤とする法治国家である我が国において、司法がその機能を十分に果たしていくことが社会正義の実現と国民の権利擁護の観点から重要であることは言うまでもありません。しかも、近年の社会の急激な変化に伴い、さまざまの紛争、違法行為に対し、法に基づいて適正迅速に対応していく必要性は極めて高くなっております。
 司法がこのような社会の要請にこたえていくためには、これを担うに足りる資質と能力を備えた法曹を十分に確保する必要があると思います。このたび、関係方面との協議結果を踏まえ、司法試験合格者の年間一千名程度への増加に伴い、新たな可決修習制度の実施、司法試験科目の見直し等を実現するため、裁判所法及び司法試験法について、その一部を改正する法案を今国会に提出したところであります。
 また、裁判所における事件の適正迅速な処理を図るため、判事補等を増加することを内容とする法案を今国会に提出したところであります。
 次に、外国弁護士の受け入れ制度に関しましては、昭和六十二年の制度創設以来、適正な運用に努めるとともに、規制緩和のための所要の法改正を行ってきたところでありますが、行政改革委員会を初め内外から一層の規制緩和を求めちれております。それらを踏まえ、外国法事務弁護士となるための職務経験要件の緩和等を内容とする改正法案を今国会に提出したところであります。
 以上、法務行政の重要施策につきまして所信の一端を申し述べましたが、今国会に提出し御審議をお願いいたします法案の内容につきましては、今後逐次御説明申し上げますので、何とぞ十分な御審議をいただき、速やかな成立に至りますようお願い申し上げます。
 私は、政治、経済、社会が激動し先行き不透明な昨今におきましてこそ、社会の基盤である法秩序の維持と国民の権利保全を使命とする法務行政がますます重要なものとなっていることを痛感しております。新しい時代の要請に迅速的確にこたえ、常に国民の視点を失うことのない法務行政を目指します。委員長を初め委員の皆様の一層の御指導、御鞭撻を賜りまして、法務大臣としての重責を果たしてまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
#5
○委員長(武田節子君) 次に、平成十年度法務省及び裁判所関係予算について順次説明を聴取いたします。但木法務大臣官房長。
#6
○政府委員(但木敬一君) 平成十年度法務省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、法務省所管の一般会計予算額は五千八百十五億七千四百万円であり、登記特別会計予算額は一千九百三十一億六千九百万円でありまして、そのうち一般会計からの繰入額が七百三十億五千九百万円でありますので、その純計額は七千十六億八千四百万円となっております。
 この純計額を前年度当初予算額六千八百五十六億三千三百万円と比較しますと、百六十億五千百万円の増額となっております。
 次に、重点事項別に予算の内容について御説明申し上げます。
 まず、定員の関係でありますが、前年度定員に比較いたしますと純減十九人となっております。
 平成十年度の増員は、新規三百四十五人と部門間配置転換による定員化二十人を合わせ、合計三百六十五人となっております。
 その内容を申し上げますと、治安、法秩序の確保のため検事三十二人を含め二百六十一人、出入国管理業務の充実のため二十六人、国民の権利保全のため七十八人となっております。
 他方、平成八年七月三十日の閣議決定に基づく平成十年度定員削減分等として三百八十四人を削減することとなっております。
 次に、主要事項の経費について御説明申し上げます。
 第一に、法秩序の維持確保につきましては三千六百六十九億七千二百万円を計上し、前年度当初予算額と比較しますと七十一億五千万円の増額となっております。
 その内容について申し上げますと、まず検察関係では、検察活動の充実を図る経費として一千二十八億二千七百万円を計上しており、この中には特捜・財政経済事犯対策経費、参議院議員通常選挙取り締まり経費等が含まれております。
 矯正関係では、刑務所等矯正機能の充実を図る経費として一千九百四十九億三千八百万円を計上しており、この中には被収容者の増加に伴い必要となる食糧費等の経費、矯正施設保安対策経費等が含まれております。
 入国管理関係では、出入国管理業務の充実を図る経費として三百十一億八千四百万円を計上しており、この中には出入国管理業務のコンピューター化経費等が含まれております。
 第二に、国民の権利保全の充実につきましては、登記特別会計を含め二千百二十二億八千九百万円を計上し、前年度当初予算額と比較しますと百十八億二百万円の増額となっております。
 その内容について申し上げますと、まず登記関係では、登記事務処理の適正迅速化のための経費として、登記事務のコンピューター化経費を中心に一千九百三十一億六千九百万円を計上しております。
 また、人権擁護関係では、人権擁護活動の充実を図るための経費として二十七億六千百万円を計上しており、この中には法律扶助事業費補助金等が含まれております。
 第三に、施設の整備につきましては、東京拘置所を初め、老朽、狭隘化が著しい法務省の庁舎及び施設を整備するため、法務省施設費として二百十一億四千九百万円を計上しております。
 以上、平成十年度法務省所管の予算の概要を御説明申し上げました。
#7
○委員長(武田節子君) 竹崎最高裁判所事務総局経理局長。
#8
○最高裁判所長官代理者(竹崎博允君) 平成十年度裁判所所管歳出予算要求額について御説明申し上げます。
 平成十年度裁判所所管歳出予算要求額の総額は三千百二億二千九百万円でございまして、これを前年度当初予算額三千百七億八千八百万円に比較いたしますと、差し引き五億五千九百万円の減少となっております。
 これは、人件費において十五億七千二百万円が増加いたしましたが、施設費その他において二十一億三千百万円が減少した結果であります。
 次に、平成十年度歳出予算要求額のうち、主な事項について御説明申し上げます。
 まず、人的機構の充実、すなわち裁判官及び書記官の増加の要求であります。
 増加し、かつ複雑困難化している民事関係事件の適正かつ迅速な処理を図るため、裁判官二十人、書記官五十人、合計七十人の増員及び振りかえによる書記官二百人の増加をすることとしております。
 他方、平成十年度の定員削減として二十九人が減員されることになりますので、差し引き四十一人の定員増となるわけであります。
 次は、司法の体制の強化に必要な経費であります。
 裁判運営の効率化及び近代化のため、庁用図書等裁判資料の整備に要する経費として七億九千八百万円、ワープロ、パソコン等裁判事務能率化器具等の整備に要する経費として四十四億九千百万円、調停委員に支給する手当として八十三億七千四百万円。裁判費の充実を図るため、国選弁護人報酬に要する経費として五十億一千九百万円、証人、司法委員、参与員等旅費として十二億六百万円を計上しております。また、裁判所施設の整備を図るため、裁判所庁舎の新営、増築等に必要な経費として百十九億一千百万円を計上しております。
 以上が平成十年度裁判所所管歳出予算要求額の大要でございます。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#9
○委員長(武田節子君) 以上で法務大臣の所信並びに平成十年度法務省及び裁判所関係予算の説明聴取は終了いたしました。
 法務大臣の所信に対する質疑は後日に譲ることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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