くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第142回国会 法務委員会 第3号
平成十年三月十二日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
三月十日
    辞任         補欠選任
     足立 良平君     角田 義一君
     萱野  茂君     千葉 景子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         武田 節子君
    理 事
                清水嘉与子君
                依田 智治君
                大森 礼子君
                橋本  敦君
                平野 貞夫君
    委 員
                遠藤  要君
                岡部 三郎君
                高木 正明君
                長尾 立子君
                林田悠紀夫君
                前田 勲男君
                松浦  功君
                千葉 景子君
                角田 義一君
                円 より子君
                照屋 寛徳君
                山田 俊昭君
                矢田部 理君
   国務大臣
       法 務 大 臣  下稲葉耕吉君
   政府委員
       法務大臣官房長  但木 敬一君
       法務省民事局長  森脇  勝君
       法務省刑事局長  原田 明夫君
       法務省矯正局長  坂井 一郎君
       法務省訟務局長  細川  清君
       法務省人権擁護
       局長       横山 匡輝君
       公安調査庁長官  豊嶋 秀直君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     溝口善兵衛君
       国税庁課税部長  乾  文男君
       郵政省放送行政
       局長       品川 萬里君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総務家庭局長   安倍 嘉人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 恒男君
   説明員
       警察庁長官官房
       審議官      西村 浩司君
       警察庁長官官房
       審議官      五十嵐忠行君
       文部大臣官房審
       議官       近藤 信司君
       文部大臣官房政
       策課長      杉浦 哲郎君
       文化庁文化部長  霜鳥 秋則君
   参考人
       日本銀行総裁   松下 康雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (法務行政の基本方針に関する件)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(武田節子君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十日、足立良平君及び萱野茂君が委員を辞任され、その補欠として角田義一君及び千葉景子君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(武田節子君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、法務行政の基本方針に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○依田智治君 自由民主党の依田智治でございます。一昨日いただきました法務大臣の所信に対しまして四十分間いただいておりますので、基本的な諸問題について質問させていただきたいと思います。
 初めに、やはり法務行政の基本的な問題について改めて法務大臣の所見をいただきたいと思うんです。
 けさの新聞では、日銀営業局の課長がまた収賄容疑で逮捕されるという大変遺憾な事件がございました。現在、まさに我が国金融の正常化というか、こういうことで大変なこの時期にその中枢である中央銀行の幹部が逮捕される。その前には大蔵、さらに政府関係機関の幹部が逮捕されるというような事態が起こっておる。これは大変な問題であると思っております。
 それで、今日の日本はまさに各分野で第三の開国と言われるくらいの大改革を本当に実施すべき時期にあり、官民一体となってこれに取り組む、こういう重要な時期にこういう官僚なり民間等の中枢にある人物が逮捕されるということはいわば本当に大変な事態、こういうことで我々としても心を引き締めてしっかりと対応していかないと二十一世紀の日本というものは大変な事態になる、こう思うわけでございます。
 翻って、やはり大臣の所信でも申されましたが、法務省、法務行政というのはまさに我が国の法秩序維持、さらに多様化する国民の権利義務というものを保全というか、それを両立させつつ、まさに公正なルールでいろいろ執行される、そういう中で自由社会が発展していく、こういう大変重要なかなめの役割を担っておるわけでございます。
 そこで、ちょうど委員会の始まりでございますので、前回の所信でも全般にわたっての大臣の見解を伺ったわけですが、こういう事案を背景にしつつ、法務行政の最高責任者としての下稲葉法務大臣のこの問題等に関する見解、さらに今後の法務行政を率いていく上での決意というか、それをまず冒頭お伺いしておきたいと思うわけでございます。
#5
○国務大臣(下稲葉耕吉君) お答え申し上げます。
 今、委員御指摘のとおりに、世の中は大変激動の時代にあると思います。政治、経済、社会、あらゆる分野においてしかりでございまして、今まで我が国を支えてきたシステムが十分機能を果たしているかどうかというふうな問題もあろうかと思いますし、まさしく委員御指摘のとおりでございます。
 我が国の発展のためには、私といたしましては、さまざまな分野での改革が必要であるというふうに考えますが、その中で法秩序が維持され、国民一人一人の権利が万全に保全されるということが基礎になければ、いろいろな改革はなかなかうまくいかないのではなかろうか、そのように思います。
 片や、激動する世界の中で犯罪も多様化いたしておりますし、また国際化が進んでおります。法秩序を維持するという面からもさまざまな困難がある点は御承知のとおりでございまして、検察体制の整備、法の整備というふうなことも重要な問題でございまして、対処していかなければならないと思います。
 所信表明の中で、法秩序の維持ということを申し上げました。それから国民の権利の保全ということも申し上げましたが、法秩序の維持ということが果たして目的なのかどうかということから突き進めていきますと、私は法秩序の維持の背景というか本当の目的は、やはり国民一人一人の平和と安全、社会の平穏のためにあるべきである。古い言葉で申し上げますと、世のため人のためというのが私どもの基本にあるわけでございましてそれを生かすための一つの手段と言っては言葉は悪いかもしれませんが、そういうようなことのために法秩序の維持ということがあるのではなかろうか。また、そういうような観点から国民の権利の保全というふうなことも考えられるんじゃなかろうか。やはり底辺には、何といっても世の中の平穏を願う多くの国民の期待にこたえるということが、私どもの法秩序の維持、国民一人一人の権利の保全ということが帰着するところではなかろうか、このように考えるわけでございます。
 そういうふうな中で眺めてみますと、犯罪の面にいたしましても大変凶悪化いたしておりますし、それから薬物事犯というものが非常に多発いたしております。また、出入国の面から見ましても、昨年、皆様方の御協力を得まして入管法等の改正をしていただきましたが、例えば蛇頭に代表されるような集団密入国は昨年一年間で千数百名にも上っているわけでございます。そういうふうな国際化、犯罪の多様化に対応する我々の法令、組織の整備というふうなことも大事ではなかろうかと思います。
 また、近年、少年の事件等々も多発いたしておりますし、それに対しまして現在の法制が十分であるのかどうか、対応はどういうふうにすればいいのか、これも広く多くの国民の方々のご意見を踏まえて私どもが対処しなければならないと思います。また、そういうふうなことと関連いたしまして、人権擁護の問題等々もまた十分議論を踏まえて一つ一つ解決していかなければならない問題であろうかと思います。
 こういうようなことを通じて感じますことは、司法というふうなものがどちらかというとやや国民から離れた存在に見られがちでございますけれども、規制緩和が進み自己責任というものが追求されるような世の中になりますと、私は司法というものがもっと国民の身近に感じる、そして親しみやすいものでなければならない、そういうふうなことによって国民のニーズにこたえられる司法ではなかろうか、このようなことを考えております。
 いろいろ申し上げましたけれども、要するに法秩序の維持と国民の権利の保全というふうなものを具体的に詰めていきまして、そういうような中から変えなければいけない、改革しなければならない我々司法の問題もたくさんあろうかと思いますので、これらの点について邁進してまいりたい、このように思います。
#6
○依田智治君 ありがとうございました。
 やはり司法なり法務行政というものは、本当に国民の権利とか国民の平穏な生活を維持するという意味でまさに身近な、そして国民のニーズにこたえるものでなきゃならないと思っておりますので、当法務委員会もそういう面では一体となって努力をしていく必要があると考えております。
 そこで、今国会では当委員会には議員立法を含めますと十本以上の法律が予定されておるというようなことで、だんだん国会の会期等も迫ってもう実質的には六十数日しかないということでございますので、私は、できる限り与野党一致して審議を十分尽くし全法律の成立を期すべきものだ、こんな考えに立っておるわけでございます。
 そこで、先ほどちょっと犯罪情勢の話もされましたが、その中で、与党内でもなお意見が必ずしも一致していない問題として組織犯罪対策の法案があるわけでございます。
 私は、防衛とか警察ということで昔仕事をしておったわけですが、つくづく感じますのは、平和な時代に国民の平穏な生活なり権利が守れる、これは当たり前だと。しかし、本当に期待されるのは、異常な事態というのは必ずあるわけでございまして、異常な現象、異常な事態、それに対してどう備えるか、それがまさに民主国家の基本じゃないか、私はこう思うわけですが、その点は我が国の場合には戦後やや欠けておる面があるなど。異常な事態に備える法律をつくると、それが平常時における人権の侵害だと。これでは異常な事態にはもう全く対応できない。異常な事態に対するときは、やはりそれに対するぴしっとした民主的な歯どめをし、しっかりと対応する、それは国際的にもそういう傾向でございます。
 そういう意味からしますよ、私は、組織犯罪対策の法案というのも当委員会においてできるだけ早い機会に、もちろん衆議院から送られてこなきゃだめですが、ぜひひとついろんな角度から慎重審議して、凶悪化する犯罪情勢に対応していくということは、国内的にも国際的にも極めて重要
#7
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 今、委員から御指摘がございました組織的犯罪に対処するための法案というものを私どもも準備いたしておりまして、できるだけ速やかに国会に提出して御審議いただきたい、このように思っております。
 実は、御承知のとおり、この法案につきましては与党内でいろいろお話し合いをされておりました。昨年の十月かも二十二回ほどの熱心な審議をなさいまして、いろいろ御議論をなさっておるところでございます。そういうふうなことを踏まえまして、私どもは、できれば近々にでも国会に提案、お願いして、国会の場でいろいろ御審議いただきたいというふうをつもりでいるわけでございます。
 法案の内容につきましては、いずれその段階で詳しく御説明いたしたいと思いますが、要するに、犯罪が凶悪化し集団化し、そして国際化しております。そういうふうな中で、国際的にも協調を保ちつつ組織的な犯罪等にどういうふうにして対処すべきか、そういうふうなことでその法案の内容を練っているわけでございます。
 そして、多くの先進国におきましては既にこの種の法の整備が行われておりまして、国際的にも強く協調していく立場からこの法案の成立というものが私は大変緊急のことだと思いますし、国内における例えばオウムの犯罪でございますとか暴力団でございますとか、その他さまざまの集団的な犯罪等々が見られるわけでございますけれども、的確に対処していく。
 なかなか犯罪が巧妙化し集団化し組織化すればするほどそれに対処するための、我々の努力というものは当然のことでございますが、やはりそれに対応する手だてといたしまして、ぜひともこの法案を私どもとしては皆様方の御協力を得て成立させていただきたい、このように強く期待いたしております。
#8
○依田智治君 いずれにしても、国際的にもこういう組織的犯罪に対する取り組みを強化しようというようなことは、サミット等においても我が国首相としても我が国の大臣等でも約束している問題でございますし、日本が国際的水準からそういう点が低いということになって日本がそういう犯罪の温床になるというようなことになりますとこれは大変なことだと思いますので、当委員会においてもいずれしっかりと審議していくべきものと考えております。
 あと、いろいろ所信の中では質問したい事項がいっぱいあるんですが、きょうは私は、日ごろからちょっと心配しているオウム真理教、これが最近物すごく復活してきている、全国的な活動を展開してきているというような問題がございます。それから少年問題。やっぱり今後どうあるべきか。先ほど大臣もちょっと触れられましたが、本当にこれは真剣に、二十一世紀を担う少年、そういう問題を考えますと日本の将来の根幹にかかわる問題だと思いますので、この二点に絞って残りの時間で質問させていただきます。
 そこで、この大臣所信の中でも、オウム真理教は組織の再建が進められ、殺人をも肯定する危険な教義を復活させるなどの動向が見られるということでございまして、このあたりもうちょっと具体的に、公安調査庁長官にきょうはお見えいただいているので、ちょっとお話しいただければありがたい。
#9
○政府委員(豊嶋秀直君) お答え申し上げます。
 オウム真理教につきましては昨年一月三十一日に公安審査委員会から棄却決定が出されたわけでございますが、当庁といたしましても、当然のことでありますが、オウム真理教の調査を重要課題の一つとして鋭意捜査を続けてまいりました。その結果どういうことが判明したかということの概略を御報告させていただきたいと思います。
 公安審査委員会の決定以後もオウム真理教は組織の充実強化に大変力を入れておりまして、長老部と称する最高の意思決定機関を中心とした中央部署を従来の四部署から十四部署にふやしまして、これに伴って中央部署の拠点施設や支部、道場というものを次々に全国に増設いたしまして、現在はこれらオウム真理教の関連施設は十八都道府県、二十八カ所に及んでおります。また、本年一月現在において教団は五百人以上の出家信者を擁しておりまして、在家信者もそれに数倍する多数の者が活動中であることが認められております。
 また、脱会信徒に対する復帰工作や新たな信徒獲得策にも活発に取り組んでおります。とりわけ、平成七年三月に敢行された地下鉄サリン事件以降、警察等の御努力によりまして四百二十人以上の者が検挙、送検されておりますが、このうち現在までに三百四十二人が釈放ないし服役を終えて社会に戻ってきております。この三百四十二人のうち、現在確認されているところですが、百五十五人が教団施設に出入りするなどして教団に復帰している事実が確認されております。
 さらに、教団はパソコン販売などを目的とする関連会社における営業活動も積極的に行っておりまして、これら関連会社の昨年一年間の総売上高は少なく見積もっても四十億円を超えるものと推計されております。
 このほか、説法会を全国で頻繁に開催しておりまして、昨年だけでも既に百九十回以上このような説法会が開催された事実が確認されております。そして、そういう説法会に参加する信徒から一人、少ない場合は数千円、多い場合は二十万円程度のお布施を徴収いたしまして、これも活動資金に充てているものと認められます。
 また、教団はかつて武装化や在家信徒を出家させるための口実としたハルマゲドン、これは世界最終戦争と言われているものでありますが、このハルマゲドンというものが再び起きるぞということを強調し始めておりますほか、説法会などにおきましては依然として殺人をも肯定する教義というものを信徒に説いておりまして、その教義の正当性や麻原への絶対的帰依を強調しているところでございまして、その危険な体質には従前と大きな変化はないというふうに認められますので、今後とも重点的に調査を続けてまいる所存でございます。
#10
○依田智治君 いや、こういうことになるんじゃないかと私は実は心配したわけでございます。公安審査委員会が解散棄却決定したと。じゃどうなるんだ。まあ麻原も捕まったし、大多数捕まったからほとんど問題ないということだったと恐らく思うんですが、あに図らんや大変な状態だという感じがします。しかも、パソコン通信その他非常に商才のたけた者がおるらしくて、今長官の話では少なく見積もっても四十億円、こういう利益をまた武器製造なんかに突き出したら大変なことになると思うんです。
 きょうは国税庁来ていただいていますか。国税庁、こういう経済活動、一応宗教法人でなくなっているんで法人税等も通常に取らなきゃいかぬと思うんですが、このあたりのところはどういうぐあいになっているんですか、税の関係は。
#11
○政府委員(乾文男君) ただいまのお尋ねは個別にわたる事柄でございますので、具体的に答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。
 一般論として申し上げますと、国税当局といたしましては、国会での御議論あるいはマスコミで報道されましたことはもとより、常に課税上有効な資料の収集に努めておるところでございまして、こうして得られました課税上の資料、それから納税者から提出されております申告書、提出されておらない場合もあるわけでありますけれども、そうしたものと突合いたしまして、課税上問題があると認められます場合には実地調査を行うなどによりまして、適正、公平な課税の実現に努めておるところでございます。今後ともこうした方針にのっとって適正に対処してまいりたいというふうに考えております。
#12
○依田智治君 この会社なりそういう商売がどういう形態をとっているのか、株式会社になっているのか、どういう形態か知りませんが、いずれにしても宗教法人という隠れみのはなくなっているわけですので、彼らとしての経済活動というのは少なくとも国なり地方に納めるべき正当な税金というものがびしっと納められるということですね。これは税の方としてもしっかりとした調査なりなんなり、現在行っているということは個別の事案については言えないということでございますが、ひとつしっかりと追跡していただいて、少なくともこういう巨額な利益を、また不正な行動、いろんな社会に対して極めて危険な行動が行われることがないように、これはまた治安当局としても十分な監視をしていただく必要があると思っていますので、この点はよろしくお願いしたいと思っております。
 国税庁の方は結構でございます。
 それからもう一つ、きょうは文部省も来てもらっているんですが、これは宗教法人は解散になっちゃって、東京都だったでしょうか、文部省は、もともとこれ全国相当な府県にまたがっていたんだけれども、全然管轄もないということで宗教法人法の改正になったわけですが、現在は全くこれはもう宗教法人でないんで、どこも国としては、いわゆる文部省なり、宗教団体という形では追跡するという立場にはないわけですな。この点を確認しておきます。
#13
○説明員(霜鳥秋則君) 先生お尋ねの件でございますが、平成七年六月の時点に私ども東京都知事と検察官が東京地裁に解散命令の請求を行って、最終的には最高裁まで行ったわけでございますが、したがって、宗教法人としての部分については解散されたということでございます。
 法律によります宗教団体に関します部分というのは世俗的側面だけを対象としておりまして、精神的、宗教的側面というのは法律では対象外ということになっておりますので、現在のオウム真理教につきましては、解散したということでございますので、宗教活動につきましては宗教法人としての活動はなくなったわけでございますが、任意団体としての活動ができなくなるというものではないと承知しているところでございます。
#14
○依田智治君 ということで、結局宗教法人でなくなったから野放したと。したがって、あとはこれは解散させられなかったんですが、その後また復活してどうするかわからぬということになってきますと、これは結局破壊活動防止法なりなんなりの対象としてさらに治安当局が十分追跡していく必要がある問題だなと、こう思っているわけでございます。
 文部省さん結構です。
 公安調査庁長官にお尋ねしますが、これはもし危険な兆候があった場合には破防法によって再度解散請求できると思うんですが、これが一つ。
 あと一つは、やっぱり諸外国の例を見ますと、こういう危険なサリン事件、松本サリン事件、地下鉄サリン事件というような国際的にも仰天させたような事件を起こした集団は、それだけで解散させるべきというか、過去の違法な反社会的な凶悪だけでおおむね他の外国なんかで解散させている例が多いんです。我が国の場合は、現在と将来の可能性とか加味して、まあ問題ないということでそのままほうっておいたら、私は、これは後ほどちょっとお伺いしますが、麻原彰晃教祖がおる限り、先ほど危険な教義復活、殺人をも肯定するハルマゲドン初め教義を復活するという動きがあるということですから、またいろいろ何か電気的に記憶を忘れられるようなものも高く売りつけて、全く昔と同じことをやっているような感じですね。そうなると、これはやっぱり破防法の団体規制のあり方というものは十分法律改正なりなんなりしっかりと研究する必要があるんじゃないのかなと思うんですが、この二点について。
#15
○政府委員(豊嶋秀直君) まず最初のお尋ねの、オウム真理教が将来危険な兆候なり暴力主義的破壊活動を再開したという場合に、もう一度規制請求ができるかどうかという点でございますが、これは法的に十分可能でございまして、団体規制というのは刑事罰と違いまして純然たる行政処分でございますので、一事不再理の原則というのは適用されません。したがって、団体規制の要件である将来の危険性が十分証明できるというような事実が判明した場合には、その点を整備いたしまして再度規制処分を請求することは十分可能でございまして、公安調査庁といたしましては、今後の教団の動向いかんによっては再請求することもあり得ることを前提に置いて、念頭に置きまして調査に当たっているところでございます。
 なお、再度請求は可能であろうとの点につきましては、昨年一月に出されました公安審査委員会の決定の中でも明示されているところでございます。
 もう一つの破防法を改正すべきじゃないかという御趣旨の御質問についてでございますが、現行の破防法が社会情勢や時代の変化に照らして果たして適正なものであるか否かにつきましては、公安調査庁の内部でもかねていろいろ検討してきたところでございます。
 また、先般のオウム真理教に対する規制請求の手続の過程でいろいろな問題が発生してきまして、現行の破防法にはいろいろな問題点があるというふうにも考えられまして、したがって、将来破防法の改正の可否というものも視野に入れながら種々の検討を行っているところでございます。
#16
○依田智治君 検討過程なので具体的には答弁できないんだろうと思いますが、手おくれにならないように、対応できるようにひとつ真剣にお願いしたいと思います。
 あとこの問題の最後に、やはり麻原裁判ですね、もう何かのらりくらり、この前訴因変更して多少あれといってもまだ十数年以上かかるということのようですが、何とかならぬのですか。そのあたりの状況をちょっと。
 これがいる限り、いる限りと私もちょっと言葉はあれですが、彼は教祖です。彼がどこにいようと存在しているから、彼中心の教団のハルマゲドンとか、物すごい危険な思想が、それでその子供とかそういうのがいろいろあがめ立てられて全く同じことをやっているんです、教えを守っている。全く新たな自由な宗教団体として、そういう要素は一切払拭した、もちろん尊重すべき信教の自由に基づいた宗教活動をやっているならいいんだけれども、全く昔と同じことを、しかも拘置所にいる麻原を中心の存在としておると。
 この裁判のいろいろ訴因の変更とかその他やって、そのあたりの状況と今後の見通しですね、お願いします。
#17
○政府委員(原田明夫君) 御指摘のとおり、刑事裁判の遅延が刑罰法令の適正かつ迅速な実現による法秩序の維持という観点から見ましても、大変重要なことであると考えております。
 オウム真理教の代表者である麻原彰晃こと松本智津夫らに係る公判に関して申し上げますと、検察官は、御指摘のとおり、審理の促進を図るという観点から、平成九年十二月二日に、地下鉄サリン事件及び松本サリン事件につきまして、受傷者三千七百八十名に対する殺人未遂の訴因撤回の措置をとったほか、できる限り公判を開くよう求めるなどいたしまして、審理の促進に努めているところでございます。
 この点につきましては、極めて異常な事件という中で、弁護人も多数いる、裁判所との間でも真剣に審理の促進に努めていると聞いております。そのあたりにつきましては、具体的なことを、裁判の審理の進め方でございますので私どもの方でつまびらかにすることはできませんが、今後とも御指摘のような点を十分に認識をいたしまして、検察官は早期にこの事件の立証を終え、早期の裁判がなされるよう努めてまいるものと考えております。
#18
○依田智治君 裁判の迅速化という問題は、この事件のみならず我が国の司法に課せられた大変重要な問題だと思っていますので、また後日、時間をいただいていろいろ議論したいと思っています。
 最後に、あと五分しかなくなっちゃいまして、少年問題をしっかりとやりたいと思っていたんですが、大臣、もうまとめて一問で質問します。
 実は、けさも自民党本部で少年問題の専門家に来てもらっていろいろ話を聞いたんです。やっぱりアメリカの最初あれした保護主義。それで、大正十一年の旧少年法というのは、アメリカの保護主義にプラス刑事的な形を入れた、厳父慈母と言っていましたかね、厳しい父親と非常に優しい母親、その両方を兼ねた少年法。それが昭和二十三年の現少年法ではやや揺り戻しになって、保護主義の面が中心になっている。
 今、世の中で議論になっているのは、やはり余りにも甘過ぎるんじゃないか、少年でもいっばしの犯罪をやるような人間については年齢を下げるべしとか、その他、検察官がもっといろんな審判過程等で、事実認定等で関与すべきだと、いろいろ意見が出ておるわけです。
 あと、このほかの問題としては、これももうちょっと聞きたかったんですが、調書が雑誌に出る。私は、基本的にはそういう少年の事件等については、ほとんどそういう事件の内容を公表することまでも罰則で禁じられておったというのが旧法の時代ですから、そういう現実を踏まえて、現時点で、これも詳細には言えないと思うんですが、どういう方向で法務省としてはこの改正を考えているのか。この点を最後にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#19
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 委員御指摘のとおりに、現在の少年法は昭和二十三年にいろいろな経緯がありまして制定されました。ちょうど五十年になるわけでございます。時代の変化に応じまして少年法の改正がかつて議論されたこともございました。ちょうど二十年前になりましょうか、というふうなことで法制審から中間答申みたいなものが出たこともございます。しかし、結果としてはなかなかいろいろ議論が調整できませんで、法律の改正に至らないで今日まで来ているわけでございます。
 平成五年の山形のマット事件等々を契機といたしましてこの問題が議論になりました。一昨年の末になりまして、何とか現在の少年法の中でどういうふうな問題があるのか検討しようということで会合が持たれるようになりまして、その会合が一昨年の末から十一回ほど行われた。事実認定の問題が中心であったわけでございますが、一応の内容というものが詰まってまいりまして、ことしの一月から少年法の改正を視野に入れて審議をしようということで、先般まで含めまして二回ほど行われているというのが現状でございます。
 そこで、その内容についてでございますが、今御指摘のとおりに、少年の保護育成を基本とする少年法の考え方というのは、それについては大した御意見というものは、それに異論を唱える大きな意見というのはないわけでございますが、それを基本としながらも、現在の審判のあり方、特に凶悪あるいは重大な事件につきまして家庭裁判所の裁判官がお一人でされるというふうなこと。普通の成人事件で殺人の否認事件等になりますと数年もかかるようなやつも、現在の少年法の規定では実質身柄の拘束は、この前の神戸の事件みたいに鑑定に出せばその期間はまた別といたしまして、四週間しかできない。そういうふうな重大な事件で四週間でいいのかどうか、裁判官が一人でいいのか、あるいは重大な事件については複数がいいんじゃないだろうかというふうな議論。
 それからもう一つ、三番目に議論されておりますのは、御承知のとおりに、家庭裁判所の審判には少年側の付添人ということで弁護人等々の立ち会いは可能でございますが、事件を送りました検察官の立ち会いというのができません。できない中で審判が行われているというふうなことでございますので、重大な事件につきましては、やはり普通の裁判と同じように、いわゆる弁護人とそれから検察官、両方が立ち会ってできるようにできないものなのかどうか。そういうふうな三点につきまして実は最高裁の方からもそのような御提案がございました。
 私どもといたしましては、そういうふうな最高裁の御提案に加えまして、審判の決定が行われますと、少年の方からは上級審に抗告ができるわけでございますけれども、もともと検察官の立ち会いがございませんので、検察官側から抗告ができないというふうな実情があるわけでございます。それらを中心といたしまして、審判の事実解明について現行少年法がいいのかどうかというふうなところで議論しているのが中心でございます。
 ただ、今このような段階で少年の犯罪を見ました場合に、十三歳の少年が殺人事件を起こすとか、あるいは十四歳、十五歳、そういうふうな少年の年齢につきましては現在の少年法がいろいろ規定しておりますし、刑法の規定もございます。だから、私といたしましては、今、三者協議会、三者の話し合いの場ではそういうような状況でございますが、少年法の年齢の問題も避けて通れないだろうというふうなことで、現行のままでいいのかどうかいろいろ検討していただいて、そういうふうな中から結論を出していただけたらと、このように思います。
#20
○依田智治君 どうもありがとうございました。
 終わります。
#21
○円より子君 民友連の円より子です。
 神戸市の連続児童殺傷事件で、月刊誌が少年の検事調書を載せましたけれども、この件については、検察当局の供述調書が漏えいしたというふうに言われております。この事実関係の解明に努力すると法務省の方は答えられておりますが、その後この解明は進んだのかどうか、速やかに報告を出していただきたいと思いますが、その件についていかがでしょうか。
#22
○政府委員(原田明夫君) 御指摘の文芸春秋に検察官の調書とされるものが掲載された件でございますが、私どもは大変遺憾なことだろうと考えております。そして、そのような事態に至った経緯につきましては大変関心を持っておりますし、私ども現在、本省においてもそうでございますが、具体的な捜査ということになりますと、検察当局、また警察当局とも連携をとりながら極めて重点的に鋭意捜査を進めている。その中で仮に刑罰法令に触れるような事態があるということになりますれば、的確に対応するものと考えております。
 ただ、その進捗状況が今どこに至っているかという点につきましては、大変微妙な点がございます。新聞等々にも一部報道されている点がございますが、あらゆる可能性を含めて明確にこの事態が解明できるように努力しているものと考えております。
#23
○円より子君 こういった事件が起こること自体大変問題ですので、本当に速やかに解明していただいて、早速対策を立てていただきたいと思っております。
 マスコミがこういったものを公表することも、私は少年法で保護すべき利益と比べて公共性や公益性が高いとは思えませんので、これも大変問題だと思いますけれども、神戸家裁がこの事件については処分の決定要旨を公表なさいました。しかし、それではやはり社会の関心の高さといいますか、この事件に対する関心が非常に高く、またその後も少年の凶悪事件がさまざまに起こっておりますことから、世の親また大人たちは、何とか子供たちを守りたいという思いからその背景にあるものは何かをやはり知りたいと、そこから出てきたのではないかと思うんです。
 それで、少年法については刑が軽過ぎる等の議論ももちろんその事件の後起きましたけれども、処罰年齢の低年齢化、また少年審判の見直し等いろいろ取りざたされておりますけれども、厳罰主義が本当に子供たちの事件を減らせるのかどうか、そのあたりは大変問題だと思います。
 それよりも、こういった月刊誌等に供述書が載るようなことを防ぐためにも、また、こういった少年の事件が一過性のものなのか、それとも何か管理教育や子供たちの置かれている閉塞状況と関係があるのかどうか、こういったことを知りたいと思う人々のその欲求を満たしていくことが大事なのではないか。
 そういった意味では、少年審判の情報公開というものが必要だと思うんですが、このあたりについてはどのようにお考えになっているのか、どのような検討をお進めになるおつもりかお聞かせいただきたいと思います。大臣いかがでしょうか。
#24
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 今、委員が御指摘になりましたように、少年審判そのものは非公開でございます。そういうふうなことのためにそういう具体的な事件についての内容というものが外に出ないために、多くの国民の方々、特に家庭の方々が関心を持っておられるということも事実だろうと思います。
 先般の神戸の事件につきましては、そういうような点も配慮されたと思いますが、審判の結果につきまして裁判所がかつてないぐらい詳しく御発表になっているということがございました。あれは極めて異例だろうと思います。一般的にはございません。片や、国民のニーズは多いというふうなことで、いわゆる人権侵害に当たるような、少年法の趣旨を飛び越した報道なりなんなりが出されているということだろうと思います。
 そこで、私といたしましては、省内の関係部局と今相談をいたしているところでございますが、具体的な事件について、本人の問題、家庭の問題、教育の問題、社会の問題、なかなか公表することは難しかろうと思います。
 しかし、昨年からいろいろな凶悪な少年事件というものが増加いたしておるわけでございます。そういうふうな個々の事件について検討を加えまして、そして全体としての傾向がどういうようなところに問題があるのか、教育の問題はどうなのか、あるいは家庭の問題はどうなのか、社会の問題はどうなのか、そういうふうなことで、国民の方々のニーズにどの程度おこたえできるかどうか、今から具体的に取りかかろうという段階でございます。
 そういうふうな形である程度の情報を公開することがやはりいろいろな対策の上からも必要ではなかろうかというふうなことで具体的に検討を始めているところでございまして、余りタイムリーでなくても困るわけでございますので、その辺のところも踏まえながら御期待にこたえるようにやってみたい、こう思います。
#25
○円より子君 ちょっと警察庁にお聞きしたいんですけれども、今急増しておりますナイフによる少年たちの事件、こういったものの背景、特徴的なこと、また原因等、つかんでいらっしゃいますでしょうか。
#26
○説明員(西村浩司君) 刃物を使用した凶悪事件が本年に入っても相次いで発生をしております。本年の一月初めから二月までの間に全国の警察から警察庁に検挙、補導の報告があったものとして、現在三十八の事件を把握しております。
 その内訳を罪種別に見ますと、未遂を含む殺人が六事件、強盗が十二事件、傷害が十二事件となっており、また学識別に見ますと、中学生によるものが十八事件、高校生によるものが十一事件などとなっております。少年に出る刃物を使用した事件は、昨年までの五年間で約六五%の増加を示していたところでございます。本年はこのような傾向がさらに進むとともに、質的にも重大な事件の発生が目立っておりますなど、非常に深刻な状況と受けとめております。
 ところで、このような背景、原因でございますが、これは少年を取り巻く社会環境の問題、あるいは少年あるいは社会の価値観の変化というものが見られるわけでございますが、取り調べ等を通じて把握したそういった原因につきましては、例えば刃物携帯の動機としましては、護身用、格好いいなどと称する者が約三分の一、具体的事件を敢行することを目的として刃物を携帯していた者が約三分の二となっております。いずれにしましても、ちょっとしたきっかけから携帯していた刃物で事件を敢行した者が三分の一、金銭を得る等の欲望を満たすための者が約半数に上っております。
 いずれにしましても、少年等がいわゆる格好いいとか人も持っているから、そういった形で持っているというような状況がうかがえるわけでございます。いずれにしましても、いいことはいい、悪いことは悪いと、そういった規範意識が低下していることをあらわしているのではないかというふうに考えております。
 以上です。
#27
○円より子君 文部省にお聞きしたいんですが、今のような警察庁の少年事件の背景、原因等、また法務省もこれからそういったあたりを分析していきたいとおっしゃっていますけれども、今の子供たちの置かれている教育、そういったものがもしかするといろいろ原因があるのではないかということも考えられると思うんです。
 文部大臣が学校にナイフを持ってくるなというふうなこともおっしゃっていますし、所持品検査についてした方がいいというような話もあって、例えばある新聞社の世論調査では、所持品検査を学校でするのは当然だが三一%、やむを得ないが五〇%・計八割が容認していて、反対は一八%と出ているんですが、実は私も神戸の連続児童殺傷事件を起こした少年と同じ年の子供がおりまして、随分関心を持ってずっといろいろ話し合いもしてきたんです。
 これはうちの娘の学校で所持品検査についてアンケートをとった、中学生のアンケートなんですが、本当に小さな学校のあれですからクラスも少ないので、こういったものとこの大きな世論調査と比較になるとは思えませんが、子供たちはどういうふうに思って言っているかといいますと、持ち物検査はやった方がいいというのはたった二人なんです。やってはいけないが仕方がないが十人、これはやむを得ないを入れると十二人ですね、賛成派が。では、やってはいけないとはっきり言っている子が十五人、それから迷っている、わからないが二人、反対の方が多いんです。
 なぜそう考えるかというときに、プライバシーの侵害になりかねない、持ち物検査をやっても根本的な解決にはならない、もっと反抗する人がふえそうだ、どうやったってナイフくらい持ってこれる、だからやってもむだ。それから根本的な解決にはつながらないし、学校で取り締まっても町に出れば防ぎようがない、持ち物検査をする学校はどんどんだめになっていくような気がする、こういった意見が大変中学三年生で多かったんです。
 こういったものを見ますと、大人が考えていることとやっぱり随分違うんじゃないか、だから幾ら所持品検査や何かで取り締まってもこの問題は解決しないというような気がするんです。影響されやすい年ごろということもあって、例えばタレントがビルから飛びおり自殺をした後そういったケースが何件かあったようなこともありますと、こういったナイフの刺傷事件をしょっちゅうテレビや新聞等で報道するとまたそれによる何か影響もあるのかもしれないとか、いろんなことが考えられて、一つだけの原因ということはあり得ないと思いますので、私たちの対策も大変難しいとは思いますが、文部省はどういったことを考えていらっしゃるか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#28
○説明員(近藤信司君) お答えをいたします。
 最近の生徒によるナイフ等を使用した一連の事件が多発をしているということを文部省といたしましても極めて深刻に受けとめているところでございます。
 そういった子供たちが問題行動を起こす原因といたしましては、既に指摘がなされておるところではございますけれども、今の大切さ、物事の善悪の区別など、人間としての基本的な倫理観でありますとか規範意識が十分に形成されていないこと、あるいは物質的、経済的に豊かになり、望むものは容易に手に入る傾向にある中で、自制心や忍耐力が欠如していると、いわゆる学歴偏重の風潮の中で学校生活への不適応でありますとか、周囲からの過大な期待等によりストレスが滞積をしていること、こういったことが指摘をされておるわけでございます。こうしたことの背景には、社会状況や家庭教育のあり方、あるいは学校教育のあり方、さらにはマスメディア等を含めた社会全体が、さまざまな問題が複雑に絡み合っているだろうと、こういうふうに考えておるところであります。
 しかし、いずれにいたしましても、学校が安心して学べる場であるとの信頼が揺らぐようなことがあっては絶対にいけないと、こういうふうに考えているわけでございまして、今、先生御指摘になりましたけれども、去る二月六日の都道府県・指定都市教育委員会の生徒指導担当課長・社会教育担当課長会議におきまして、文部大臣から、「子供や教職員の安全確保のために校長が必要であると判断したときは、保護者や子供の理解を求めつつ、状況に応じた適切な方法で所持品検査を行うことも含め、毅然たる措置を講ずる必要がある」と、こういうふうに申し上げたところでございます。
 もとより、所持品検査のみで学校を平穏、安全な環境に維持するということではなく、学校における教育活動は教職員、生徒間の信頼関係の上に立って営まれる、こういう認識のもとに日ごろから規範意識等を子供にしっかりと身につけさせる指導が大切であると、こういうふうにも考えておるところでございます。
 昨年の神戸でのああいった事件を契機といたしまして、文部省に置かれております中央教育審議会に諮問をいたしまして、幼児期からの心の教育について審議を進めていただいておりますが、この三月中に中間報告を取りまとめていただく、あるいは学校と関係機関との連携のあり方を中心に、児童生徒の問題行動等に関する調査研究協力者会議、これもまたこの三月中に報告書を出していただくと、こういう予定にいたしておるわけでございます。
 問題は複雑多岐にわたってなかなか難しいのでありますけれども、そういった御提言も踏まえながら、文部省としても諸施策の充実に今後とも努めてまいりたい、かように考えているところでございます。
#29
○円より子君 教育の専門家がお集まりになってこれからいろいろ御検討なさるんでしょうけれども、もう以前から言われておりますけれども、人間関係というのはやはりゆとりがないと、信頼関係は大事ですけれども、切れてしまう子、切れるというのがあれですが、それを受けとめることができなくていろいろ凶悪犯罪になってしまうということもあり得るかとも思うんです。
 それで、いろいろ学校のケースを見ておりましてもそうなんですが、もちろん家庭での教育も必要だと思いますが、家庭でもそうですが、母親に余裕がないと、また先生に余裕がないとどうしても信頼関係があったところでも険悪な状況になるということは大いにあり得ることで、先生たちが、もう子供たちがたばこを吸っていようが、ナイフを持ってきて何となくおかしいなと思っていようが、注意したり、注意になってしまう前になぜそうなっているかということをゆっくり話し合うような時間もないという状況があるかと思います。
 ですから、所持品検査や注意や規律をどんどん厳しくすることよりも、それこそ先生をふやすとか子供の数を減らすとか、そちらの方がずっと重要ですし、それから教室自体も、居住空間というのは日本はもう家庭も何もかも本当に悪いんですけれども、人間関係には居住空間の広さ、それから環境のよさ、そういったものが大変大事で、そういったことをぜひとも文部省は建設省も厚生省も含めて早急に取り組んでいただきたいと思います。ただ、中央教育審議会で検討だけやっていても本当に残念なので、社会福祉審議会でもさまざまに以前からたくさん提案されております。でも、いつも提案だけされて実行されていないんです。だから、本当に実行されることが大事だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 さて、具体的に一つ、Vチップのことがあると思うんですが、これはアメリカでやっております、バイオレンスのVをとって、暴力の頭文字をとったVチップです。親が子供にテレビで何を見せるのかを、テレビ局の番組に格付があって、その格付を参考にして番組を子供のために選定するというための手段です。電波というのは有限な公共資源ですから、電波を使用することや社会的影響力の大きさを考えますと、やはり幼児期の子供、乳幼児、また小学校低学年ぐらいのときに余りにもひどい暴力的な番組やポルノ番組を見せることは親としてはできるだけ避けたいと思うのが人情です。
 郵政省と文部省にお聞きしたいんですが、規制する方向とかそういったことは検討なさっているんでしょうか。
#30
○説明員(杉浦哲郎君) 文部省の中央教育審議会におきましては、先ほど御説明をいたしましたように、昨年の八月に文部大臣から幼児期からの心の教育のあり方について諮問を受けまして審議をしているわけでございます。その中でVチップのことにつきましても、子供たちをそういう有害情報から守る仕組みということの一つとして議論をされておるところでございまして、御承知のように、今アメリカで導入の準備が行われておるということでございます。これにつきましても、我が国への導入につきまして関係団体や関係省庁において前向きに検討を進めてほしいという意見が委員から出されて、議論が行われておるということは事実でございます。
 先ほども御説明いたしましたように、中央教育審議会で今月中に中間報告をまとめようということで議論を進めておるところでございまして、まだ一定の結論が出されたというわけではございません。
#31
○政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。
 今、先生御指摘ございましたように、報道と青少年の問題というのは世界的な問題になっておりまして、アメリカにおいてもそのVチップというのが、保護者と申しますか親権者が番組を子供に見せるか見せないかといういわば選択権を行使する一つの補助手段として議論されている。また、それが実施の方向にあるということも事実でございます。
 私どもといたしましては、結論的に申し上げますと、これまでもいろいろな議論を重ねてまいりましたけれども、さらにこの議論を深めるために平成十年度におきまして調査研究の予算をお願いしておりまして、この予算をお認めいただき次第、研究会の設置も含めましてさらに充実した検討を深めてまいりたいと思っております。
 御案内のように、既に官邸におかれましても有識者会議が設けられる、あるいは青少年対策本部において有害環境の問題を議論するということになっておりますので、政府全体の検討状況を踏まえまして、私どもも、今、先生御指摘のVチップあるいはその前提となりますレーティングの問題についてもさらに検討を深めてまいりたい、かように存ずる次第でございます。
#32
○円より子君 アメリカではテレビ業界で番組を格付することを義務づけたものですから、それによって四大テレビ局の問題番組が三年前に比べると半減したというような調査もありまして、これは表現の自由との兼ね合いがありますけれども、マスコミ各社にも自主規制をぜひお願いしたいというふうなことを思うわけです。
 最初の話に戻りますけれども、そういった表現の自由とのことも兼ね合わせると、月刊誌に検事調書等が出たこと、そういったことも含めて、これからそういったマスコミに対してどうしていけばいいのかということと、それから少年法改正については低年齢化、刑法の改正等も含めて、私個人は余り刑罰年齢を引き下げることや刑法の改正まではすべきではないと考えているんですが、そのあたりについて法務大臣の御意見を伺いたいと思います。
#33
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 二十一世紀を担って立つ若い人たちの問題は私どもが十分心していかなくてはいけないことでございまして、委員御指摘の点も踏まえまして、健全な社会環境をつくっていこうということで努力をしたいと思います。
 それから、少年法の年齢の問題についてでございますが、いろいろ報道がなされておりますけれども、率直に申し上げまして、まず実態を正確にとらえてみるということが必要だと思います。突発的な事案なのか、全体としての傾向がそうなのかどうか、そういうふうなことを踏まえまして現行少年法の年齢が現在のままでいいのかどうか。この辺のところを議論してみて、そのような中で私は結論が出るのじゃなかろうかと思います。
 いろいろ報道されておりますが、刑法の改正だとか少年法の刑罰法令の適用をもう少し下げた方がいいのじゃないかというふうな形でとらえられているようでございますけれども、私の真意は、年齢の問題は避けて通れない、ひとつ大いに議論して、その中から結論を出しましょうというふうなスタンスでございますので、申し上げておきます。
#34
○円より子君 今の御答弁を聞いて安心いたしました。本当にこれは縦割り行政ではなく各省庁が連携をして、ぜひとも子供たちの状況をどうしていくかということを含めて少年法を慎重に検討していただきたいと思っております。
 それで私の質問を終わります。ありがとうございました。
#35
○千葉景子君 まず、私は、大蔵省あるいは日銀にかかわる不祥事をめぐって何点かお尋ねをしたいと思います。
 もう既にいろいろなところで論じられております、また質疑が展開をされておりますが、一月二十六日、大蔵省金融検査部管理課の検査官室長、課長補佐の逮捕、さらに三月五日にはいわゆるキャリア官僚と言われる証券局の課長補佐、そして証券取引等監視委員会の上席証券取引検査官の逮捕、こういう事態が生じております。
 これで大変衝撃を受けていたところ、昨日は、今度は日銀の幹部職員が逮捕される。日本銀行営業局の職員が収賄容疑で逮捕される。こういう事態でございます。
 中央銀行の幹部職員が逮捕されるというのは世界の中央銀行では考えられない事態ではないだろうか、こういうふうに思います。まさにこの一連の状況を見ますと、これはそれぞれの職員の問題というよりも、やはり大蔵省あるいは日銀等の構造的な腐敗の象徴ではないかというふうに考えているところでもございます。
 これについては今後さまざまな論議がされようかと思いますけれども、私はちょっと収賄罪という側面から何点かお聞きをしたいというふうに思います。
 判例などでは、収賄、わいろの中身というのは、人の需要または欲望を満たすに足る一切の利益がわいろの目的となるというふうに定着をされています。今回もいわゆる接待がわいろの中身ということになろうかというふうに思います。今、接待というのがやはりわいろの中心を占めているわけですから、これからも接待型の汚職というのをぜひ厳しく対処をしていただきたいというふうに思っております。
 ただ、泉井石油商事件のときには、接待だけではなかなか贈収賄罪の適用というのは難しいんじゃないか、こういうことも言われて立件が見送られたという経緯もあるやに思いますが、その点について、今回の事件は泉井石油商事件のときとの何か違いがあるのか、そしてこの接待型の汚職について今後とも厳しく適切に対応していく決意、こういうものをぜひ大臣にお聞かせいただきたいというふうに思います。
#36
○国務大臣(下稲葉耕吉君) お答えいたします。
 具体的な事件についての答弁というのは立場上
 差し控えさせていただきますが、お話しのように、接待が今回の内容になっているというのは犯罪事実の中でも御承知のとおりでございます。接待がなるのか、あるいは金銭がなるのか、それは今委員御指摘のとおりでございまして、職務に関して収受すればということになるわけでございます。
 私は、一つ一つの事案につきまして、検察当局がやはり法と証拠に基づいて厳正に対処していくものである、このように思います。
#37
○千葉景子君 刑事局長の方から何か補足がございましたら。
#38
○政府委員(原田明夫君) 補足と申しますか、事務当局の立場で、委員御指摘の犯罪の構成要件に触れたお尋ねがございまして、具体的な事件に当てはめの問題で、従来接待がわいろ罪のいわば対象としての利益の供与に当たる件は余りなかったのではないかという御指摘との関連で若干補足させていただきますと、確かにそういう点はあったかと思いますが、決して接待行為につきましてわいろ罪の対象としての利益の供与として論議された事案はないわけではなくて、結構あるわけでございます。
 いずれにいたしましても、わいろ罪が成立するというためには、やはり職務に関する行為との対価関係がその利益の供与として認められるということが構成要件上必要なわけで、具体的なケースに当てはめてまいりますと、そのあたりの基本的な事実関係の確定と立証ということについてはいろいろな問題があろうかと思います。今回の一連のケースで、そういうことについて検察官は証拠を具体的に吟味した上で適用ができるということで判断したものと考えるのでございます。
 いずれにいたしましても、これは委員御承知のとおり、多くの判例によって積み重ねられてきたわいろ罪の構成要件に対する一定の考え方の中で処理しているものと思います。具体的にどういう場合にこれが成立しないかというのは、あくまでこれは具体的事件についての問題だと私どもは認識しております。それを超えて、一般的にこういう場合は当たる当たらないということをいわば解釈として示すということは大変難しゅうございます。というのは、そういう点で法務当局が御答弁申し上げますと、ああ、こういうことなら大丈夫だということになってしまうこともあり得るわけでございまして、それはあくまで具体的事件に即して判断されるべきものというふうに考えるわけでございます。
 いずれにいたしましても、社会通念上許されない利益がわいろでございますし、公務員の職務に対する不法な収益といいますか報酬があったということが認定されるものならば、検察官は今後とも適正に対応してまいるだろうと考えております。
#39
○千葉景子君 さらに、これまでの贈収賄罪で大変大きな壁になっていたことの一つに、職務権限との関連性というところがあろうかというふうに思います。一つのポストに長期間とどまって実務に精通しているいわゆるノンキャリアと言われる方、ここは職務の中身というのが割とわかりやすい。しかし一、二年の短期間でポストが異動するいわゆるキャリアと言われる官僚の皆さんに対してはなかなか職務の内容を特定しにくい。こういうことで従来なかなかキャリア官僚の摘発というのはできにくかったということが言われています。
 今回の逮捕というのはいわばキャリア官僚と言われる方にも及んでいる。この職務権限との壁をどのように破ったのかといいますか、そこにどのような関連性を認めたのか、その辺について御説明をいただきたいというふうに思っているところでございます。多分個別具体的に積み重ねていったということであろうかというふうに思いますけれども、この職務権限と贈収賄との関連性についてどのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
#40
○政府委員(原田明夫君) まさに委員御指摘のとおり、あくまで個別の具体的な事件についての事実を確定いたしまして、検察官確定ということにつきましては、現段階では検察官が証拠により認定できる事実がどういうものだろうかということを確定した上での法律の当てはめということで現在のような事態に至っていると思います。先ほど確かに逮捕されたということを取り上げて委員はその重要性について御指摘がございました。検察官はその職責の重要性にかんがみて極めて厳正に対応しているものと思います。
 しかし、いずれにいたしましても、さまざまな形で報道はされますが、あくまで現在は検察官は捜査中でございます。そして、今後、事実を積み重ね、それによって検察官が仮に本件について公判請求、起訴するということになりますれば、公判廷においてそのすべての事実を明らかにして、それを証拠によって証明するということがまず必要でございます。
 そういう中で最終的には裁判所が判断するということでございますので、これらにつきましては、私どもといたしましても、その状況について極めて注意深く見守ってまいりたいと考えております。
#41
○千葉景子君 今回これだけのキャリア官僚と言われるところまでに捜査が及んでいるということは、従来以上にこの問題が悪質であり、そしてまた非常に根深いものであるということを示しているんじゃないか。そこにメスを入れざるを得ないというところまで事態が立ち至っているということを示しているように思います。従来であればこの職務権限という壁で立ちふさがれていた、そういう部分にやはり一定の風穴があけられてきたということが私はこの事件で言えるのではないかというふうに思います。
 さらに、改めて考えてみますと、いわゆる官僚が大きな権力といいますか非常に大きな地位を確保しているということは、今情報を大変たくさん持っているということにやはりポイントがあるのではないかというふうに思います。これだけのピラミッド型の官僚機構の中で、むしろ一つ一つ実務をこなす方、ノンキャリアと言われる方以上に全体の情報を多く持つキャリア組と言われる官僚の皆さん、そしてその情報をいかに得るかということがまた金融界あるいは業界にとっての大きなポイントになっているのではないか。
 そういう意味では、従来の職務権限と言われるものが一つ一つの物事に対する職務権限のようなものとして考えられていたのとは異なって、現在の職務で非常に影響が大きい、あるいは癒着の構造に結びつきやすいというのは、むしろ情報をいかに持っているか、そしてその情報を得るためにいかにそこに接近をするかという構造にあるのではないかというふうに思います。
 そういう意味では、今の社会の構造あるいは官僚システム、こういうことを考えますと、贈収賄罪における職務との関連性というのは、情報の提供あるいは情報をどのように持っているかというところにやはりポイントを置いて考えていくべきではないかというふうに思うんです。
 そういう意味では、決してキャリア組はなかなか個別の職務権限が特定しにくいからだめだというのではなくて、むしろその情報の量の多さということに職務権限の重さがあるというように思うのですけれども、今後そういう観点も含めてやはり贈収賄罪について厳しい目を向け、そして司法行政に携わっていただきたいというふうに思いますが、大臣、その点についていかがですか。
#42
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 今、委員御指摘のように、情報というのは大変重要な問題になってくると思います。
 しかし、その情報というのも、職務に関する情報を相手に漏らす、これはやはり職務権限の範囲内に当然ならなければならぬわけでございますし、今さら委員に申し上げるのもなんでございますが、公務員がその職務に関しわいろを収受するということが要件で、要するに収受と職務関係との対価関係というのが問題になることは当然のことでございますから、情報そのものが職務の範囲内の行為であれば、それによって対価関係が生まれればそれはもう犯罪が成立するという格好になると思います。
 委員の御質問に対しまして一言私の気持ちを申し上げたいと思うんですけれども、検察というものは法と証拠に基づいて事件を究明するわけでございます。だから、捜査とそれから事実関係をぶっつけてみて、そしてそれに法律を当てはめてみて犯罪が成立するかしないかというふうな技術判断になるわけですね。
 したがいまして、キャリアだろうがノンキャリアだろうがこれは関係ないと思います。私は、結果としてノンキャリアだったりキャリアだったりするということだろうと思うんです。したがいまして、今回ああいうふうな結果になっておりますけれども、それはキャリアをねらったからこうこうだということでもないし、ノンキャリアの人だからああいう結果になったんだということでもないんです。捜査の過程の中で、証拠と法と照らしてみて結果がああいうふうになったんだ、こういうふうに私どもも理解いたしたいと思います。
#43
○千葉景子君 今、大臣のお話も伺いまして、情報の提供のようなことも当然のこと贈収賄の適用の範囲になる、こういうこともきちっと御認識をいただいております。また、決してキャリア組と言われるところが特別な扱いをされているのではない、結果としてこういうことになったということも大臣の今お話にもございました。
 そういう意味では、とかく大きな壁と言われていたところに、大臣のお言葉をかりれば法と証拠ということになりますが、やはりこれからも手をこまねくことなく厳正に捜査なりを行っていただきたいというふうに思うんです。
 心配されますのは、とかくやはりマスコミなどでも、これでほぼ幕引きがされるんではないか、大蔵省と検察とで筋書きがおおよそもうでき上がって幕引きではないかというようなことなどが取りざたをされるんです。従来の捜査から考えると大体一定のところで、それから先の本当の根本的な問題やあるいは一番の大もとの責任のあるべき箇所までには捜査がなかなかいかないというこれまでの例がやはり頭をよぎるのではないかというふうに思います。
 そういう意味では、ぜひ今回の問題ばかりではなく職務権限などの点でも、実情あるいは今の社会の構造、十分にこういうものを踏まえて立件をあきらめない、きちっと捜査を続けていただくということをこれからもお願いしたいと思います。
 ぜひ、改めて大臣の御決意のほどを御披瀝いただきたいというふうに思います。
#44
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 私は検察当局を信頼いたしておりますし、法と証拠に基づいて粛々と厳正にやるものだと思います。
#45
○千葉景子君 さて、これはこういう贈収賄罪で捜査をするということも一つの問題に対する対処の仕方ではございますけれども、やはりそれぞれの行政の情報の開示、公開、こういう問題が改めて大きな課題としてこれから注目をされるのではないかというふうに思います。もっと透明な行政というものが確立できればこういう構造的な癒着の問題というのが解消される、解決をされていくということも言えるかと思います。
 情報公開問題については今後また改めて法案の審議等がされるということになりますが、私はその点で法務省の態度を少し疑問に感じているところです。それは今回、情報公開制度と対応するという形で民訴法の文書提出命令制度の見直しということがまとめられているところでもございます。
 ただ、この改正案の要綱案では除外文書などが規定をされておりまして、従来の論議やあるいはこの改正に至る国会の審議、附帯決議の中身あるいは議論、そういうことから見るとどうも後ろ向きというか問題があるのではないかというふうに思います。除外文書に刑事訴訟に関する書類あるいは少年の保護事件の記録等が含まれるということになっているわけですけれども、これまでの論議の経過からすると、なぜこのような除外文書が規定をされるのか大変理解に苦しむところなんです。
 これについての理由、どういうところにこの除外文書という扱いがされることになったのか、その理由についてお聞かせをいただきたいと思います。
#46
○政府委員(森脇勝君) ただいま委員御指摘のとおり、法制審議会でずっとこの問題を審議してまいりまして去る二月二十日にその答申が出されたところでございまして、そこにおきましては、公務文書に関する文書提出命令の対象から刑事訴訟記録等を除外するという考え方が述べられておるところでございます。
 法制審議会におきましては、もとより平成八年に成立いたしました民事訴訟法の改正法、そのときの附則二十七条あるいは本委員会における附帯決議等の趣旨も御紹介いたしまして、それを踏まえた審議がなされたところでございます。
 今御指摘の刑事訴訟に関する書類を除外したという考え方でございますが、これは刑事訴訟におきましては実体的な真実の解明という公益の追求のために関係者の名誉あるいはプライバシーにまで深く立ち入って訴訟記録が作成されるというものでございまして、刑事訴訟法あるいは刑事確定訴訟記録法で開示すべき場合というのが厳格に定められているところでございます。これらの法律によって開示が認められない場合に民事裁判での提出が命じられるということになりますと、関係者の名誉やプライバシーが侵害されたり、あるいは捜査や刑事裁判への不当な影響が生じるおそれがあるということから、今回の改正で拡大される文書提出義務の対象からこの刑事訴訟記録を除外するという考え方が掲げられたところでございます。
#47
○千葉景子君 時間がございません。
 今の理由は私は全く理解に苦しみますし、わかりません。改めてこれについては論議をさせていただきたいと思いますけれども、先ほどもお話が出ておりましたサリン事件の被害者などの問題、あるいは今言われているような企業をめぐるさまざまな訴訟の問題、こういうことなども考えると、一体何をこの文書提出命令で考えようとしているのか、私は全く理解に苦しむところでございます。改めてこれについては論議をさせていただきたいと思いますが、この点については実情を踏まえてぜひもう一度認識を改めていただきたいということだけはとりあえず申し上げておきたいと思います。
 終わります。
#48
○大森礼子君 公明の大森礼子です。質問させていただきます。
 法務大臣の所信表明の中でも法秩序の維持と国民の権利保全が法務行政の使命であると述べられております。法秩序といいますと、犯罪行為につきましては法と証拠に基づいて厳正に対処すると、これまでも法務大臣は繰り返し述べられているところであります。いろんな証拠を集めまして、それを法律に当てはめて処理するわけですけれども、そのもととなる法律の解釈、つまり刑罰法令で言いますと構成要件というものが明確であることが前提となると思います。
 そこできょうは臓器移植との関係で、脳死体の扱いですけれども、これにつきまして質問させていただきたいと思います。つまり殺人の構成要件、人を殺したる者はですが、この人をめぐっての解釈になると思います。
 ことしになりまして、京都のある宗教法人の代表役員の方からお手紙をいただきました。その内容というのは、
 昨年末、法務・検察当局が臓器提供の意志の有無にかかわらず一律に脳死を人の死とするとの見解に達した旨、マスコミ報道により知りました。ことが人の生死の判定という重大な事項にかかわるだけに、私だち宗教者としてこれを看過し得ない思いで居ります。ちょっと間があきまして、昨年十月に臓器移植法が施行されて半年も経過しないのに、人の死の定義が際限なく拡大解釈されてゆく今日の傾向に、ただならぬ憂慮を感じております。こういう内容です。
 この方はその報道内容が事実という前提で「憂慮を感じております。」というふうに述べておられるわけです。
 この方が指摘されました報道内容というものは昨年の十二月三十日付、これは共同通信が配信した、新聞自体は京都新聞なんですが、この記事であります。これに先立って、十二月十一日ごろの新聞でも、最高検の方がこれについて検討を進めているという記事は出ております。この十二月三十日付の新聞で中を読みますと、こういう記載がございます。法務・検察当局が臓器移植法、刑事法の立場から法令解釈し、「臓器移植に限らず「脳死は人の死」とする」「との見解で、ほぼ一致した」、こういう内容の報道になっておるんです。そして、これを見られて宗教法人の代表役員の方がお手紙といいますか、こういう御意見をお寄せいただいたわけです。
 まず、その前提となるその報道自体が正しいかどうか、これを検証しなくてはいけませんので、この報道内容は事実なのかどうか、法務省にお尋ねいたします。
#49
○政府委員(原田明夫君) まず、お尋ねの新聞でございますが、「法務・検察当局は」、十二月でございますが、「二十九日までに「立法の経緯、法の趣旨などから、臓器移植に限らず「脳死は人の死」とするのが妥当」との見解で、ほぼ一致したもようだ。」と書いてございますが、そのような事実はございません。
#50
○大森礼子君 そう思いまして、そこのところ、私も臓器移植法の特別委員会の委員でありまして、中の議論は承知しておりますので、それで国会内での論議もしております。それで、一律に脳死を人の死とするいわゆる中山案が退けられたわけでありまして、それから、一定の要件を満たす場合だけ脳死した者を死体として、家族が拒まないことを条件に脳死した者の身体から臓器を摘出できるとした修正案が成立いたしました。
 このときに、中山案では脳死体とあったものが、これが修正案では脳死した者の身体というふうに文言が改まりました。そしてその内容についても特別な条件というものがあるわけでありまして、この範囲内において死体と扱うというふうに理解しておりましたものですから、そういう国会での論議を無視して、特に刑事法の分野で検察がそういう社会的合意とか云々を乗り越えまして一律にするということはないだろうと思ったんですけれども、まず事実確認からという癖がついておりますので一応これをさせていただきました。そうしたら、そういう事実はございませんというふうにお答えを伺っておきます。
 それから、つきましてはこの新聞報道、二月十一日ですか、最近もあるんですが、要するに、これまで告発された脳死体からの臓器摘出にかかわる告発、これについて八件あるらしいんですけれども、これについての処分がどうなりそうかということと、それから臓器移植法成立後、これから将来においてどういう解釈かという、この過去のことと将来のこととごっちゃに何か報道しているような嫌いもあるんです。それで、とりあえず過去八件あるらしいんですが、この処理につきまして既に処分がなされたものがございますでしょうか。ありましたら、件数等お尋ねいたします。
#51
○政府委員(原田明夫君) お尋ねの各事件につきまして、いずれもそれぞれ告発等を受けました検察庁におきましてできる限り速やかな処理に向けて捜査中という報告を受けておりますが、現在のところ、起訴、不起訴の決定はなされていないというふうに承知いたしております。
#52
○大森礼子君 それから、ついでと言っては何ですが、刑事局長、私は新聞報道を読んでおりましても、不起訴処分という言い方をされますと、一律にそれは処罰されないということになるわけですが、犯罪自体が成立しないような意味合いでも何か受け取られるおそれがあるのかなという気がするわけです、不起訴処分の中身ですけれども。
 ここで、念のためと言ったら変なんですけれども、例えば起訴猶予なんかは犯罪は成立するけれども云々ということですので、ここ多少国民の方が誤解されて受け取られる余地があるのかと思いますので、不起訴処分、その中身についてこういう場合があるということを簡単に言っていただけますでしょうか。
#53
○政府委員(原田明夫君) 確かに委員御指摘のような面で、何と言いますか、それぞれ御関心のある立場からの物の見方ということを反映した形で報道されるんだと思いますので、確かに誤解を生むという面があるのではないだろうかと思います。
 その上で不起訴処分の中に確かに幾つかの理由づけがあるわけでございまして、端的に申し上げましたのは、犯罪が成立することは証拠上認められましても、諸般の状況を考慮して起訴を猶予するという、いわば検察官の裁量権の行使として不起訴にするという場合が一つございます。それ以外に、やはり証拠を検討いたしましても嫌疑が十分に認められないという場合は嫌疑不十分という形で処理される場合がございますし、もともと対象がないという場合には嫌疑なしという裁定がなされる場合もございます。
 そういうわけで、不起訴にもいろいろな種別があるわけでございまして、検察官は具体的な証拠に基づきまして関係者のできるだけ御納得が得られる結論を得るように努力するもの、これが一般的な検察官の執務のあり方であろうと考えます。
#54
○大森礼子君 なぜこのようなことをお尋ねしたかと申しますと、先ほど挙げました新聞の最後に、「不起訴の理由は「殺人罪の構成要件に該当しない」とされる可能性が高い。」というふうに書いていましたものですから、これですと要するに人に当たらない、つまり脳死体は一律に人に当たらないという考えに結びつくものですから、ちょっと確認させていただきました。
 次に、時間の関係がありますので、それでは警察庁の方にお尋ねいたします。
 昨年十一月二十五日の法務委員会、これは商法改正についての審議でございましたけれども、このときに私は当時新聞で報道されましたある衆議院議員の寄附行為について質問をいたしました。平成八年の総選挙で当選した議員が寄附を百件以上したという報道に接しました。選挙の前後にわたるそうです。
 そのとき、総会屋事件をめぐっていろんな論議があったわけです。企業トップのモラルということが問題にされましたけれども、企業トップのモラルのみではなく政治家のモラルも問題ではないかという指摘もしたところでありますし、それから総会屋事件がいろいろ問題になって報道されたときに、企業がなぜ裏の社会との癒着を断ち切れないかという問題指摘もありました。その中で、警察をどこまで信頼してよいかわからないとか、なかなか相談できないで裏で解決してしまうという意見もあったわけです。それで、そのときに、ともかく警察は毅然とした態度で違法行為に対処しなくてはいけないのではないかという観点から質問をさせていただきました。なぜならば、その議員は元警察官僚であったからでございます。
 それで、このときに、この違法な寄附行為について捜査は開始されておりますかというふうに質問しましたら、答えは、報道については承知しているけれども、個別具体的な事件については警察において捜査を行っているとか、今後捜査をするとか、こういった問題につきましては、捜査の具体的な中身にかかわりますし、関係者の人権等もございますので、この場での答弁は差し控えさせていただきますということで、お答えになりませんでした。
 私、この答弁に決して満足しているわけではありません。ありませんが、それ以上質問しませんでした。と申しますのは、新聞報道が十月二十日でありまして、要するに警察とか検察とかいろんな形で新聞報道などからも捜査の端緒を得るのは当たり前のことなんですが、その新聞報道で捜査の端緒を得たとしても、この委員会は十一月二十五日でしたから時が余りに経過していないということで、そのときはちょっと様子を見ましょうということで、時の経過を経て改めてお尋ねしたいと思いますというふうに私も引き下がりました。
 既に十分な時が経過したと思いますので改めて質問させていただくのですが、この事案につきまして警察の方で捜査は開始されたのかどうか、開始したのなら検察庁へ事件を送ったのかどうか、開始していないのならなぜ開始していないのか、この理由についてお尋ねいたします。
#55
○説明員(五十嵐忠行君) お尋ねの件につきましては、具体的な捜査の内容にわたりますので、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
#56
○大森礼子君 具体的な捜査の内容というのは捜査を開始していることを前提とするわけでしょう。それはもちろん、着手が間違いとか、それはいつ着手するか、そんなことは確かに捜査上の秘密ということで、そのくらいのことは私もわかりますよ。
 これだけ期間が経過しているのにもし着手していないというのなら、具体的な捜査の内容にかかわるとおっしゃったんですが、そうしたら、これまで放置していることは、もしかしたら警察が無関心であった、あるいは警察が怠慢ではないかということにもなるわけでありまして、私は事件の具体的な中身、証拠がどうなっているかこうなっているか、そういうことについてはお尋ねするつもりはございません。また、この議員を絶対処罰せよと、そんなことをお尋ねするつもりもございません。
 こういう報道がなされて、ああいう時期だったわけですから、きちっと捜査というものを開始しておりますかどうか、警察が怠慢なく仕事しておられるかどうかと、国民の目から見たらそれは関心事なわけですから。そういった観点から、何かおやりになったのかどうか、それとも放置したままなのか、これについてお尋ねするのは私は国会議員として当然だと思います。もう一度お尋ねいたします。
#57
○説明員(五十嵐忠行君) 個別具体的な事案に関して警察の捜査がどこまで進んでいるとか、どこまで進んでいないとか、あるいは具体的事実をどれだけ把握しているかとか、それによってどういう判断をしているかということにつきましては、捜査の具体的な内容にわたりますし、また人権等の関係もございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
#58
○大森礼子君 だから、何度も繰り返しておりますように、その中身がどうのこうの、そういうことではないんです。このときに問題となりましたのは、要するに総会屋事件でいろんな癒着問題とかが指摘されました。それから、政治家のモラルも問題ではないか、こういうこともあったわけなんです。そういう時期にああいう報道がなされた。普通、違法であれば議員であろうが普通の人であろうが公平かつ公正に調べられてその事案を明らかにするというのは当然であると思うわけなんです。
 そういうふうなおっしゃり方をされるんでしたら、これだけ時間が経過しましてもおっしゃるんでしたら、我々ずっとこれについてどうなりましたかと、警察が癒着なんて申しわけございません、言葉が悪いですけれども、確認しようがございませんでしょう。永久にこの答弁が続くことになりませんか。こういう時期についても警察がそこら辺きちっと適正にしているかどうか、処罰がどうなったか、そんなことではないんです、きちっと動きましたかどうかということを質問しておるわけです。これについて私、国会議員でも質問できないのでしょうか。もう一度お尋ねいたします。
#59
○説明員(五十嵐忠行君) たびたびで申しわけありませんが、お尋ねの件につきましては、捜査の具体的内容にかかわるものであり、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
 ただ、一般論として申し上げれば、刑事事件として立件すべきものであるか否かにつきましては、個々の行為の事実関係とか背景とか行為を取り巻く事情などについて証拠をどこまで論じることができるかを十分に吟味する必要があるものでありまして、個々の具体的事案ごとに異なるものであると考えております。したがって、私どもといたしましては、関係者の人権上の問題もあり、お尋ねのような問題につきましては、捜査を行っているか否かも含めて従前より答弁を差し控えさせていただいているところでありまして、御理解をいただきたいというふうに思います。
 なお、警察におきましては、対象のいかんにかかわらず、厳正公平を旨といたしまして取り締まりに当たっているところでありまして、刑事罰を科すべきものがあれば適正に対処することとしております。
#60
○大森礼子君 何回も繰り返さないけれども、中身がどうとかそういうことはそちらの権限の問題ですから、これを言いなさいとか、だれが調べられましたか、こんなことを聞いているわけではないんですよ。一つのこういう違法行為らしきものが新聞報道されたと。百件以上というんですから、ちょっとこれ問題じゃございませんか。問題でないとお考えになるんでしょうか。
 それから、関係者の人権等というふうにおっしゃいましたけれども、これは新聞報道をお読みになったらおわかりのように、この当該議員さんもこの事実自体は認めておられるんですね。ただ、会費と思ったというこれが通るかどうかは別としまして、認めておられるようでございます、事実自体は。
 それから、関係者の人権とおっしゃいますけれども、国会議員とか私たち、公といいますか立場に立つ人間は普通の私人と違いまして、例えば名誉毀損罪なんかにおきましても別の扱いがされて当然でありまして、なぜこれするかといいますと、要するに国民の目から見て、警察の捜査とかそういうものが公正に行われているのかどうか、非常に疑いを持たれるわけであります。先ほどのような御答弁でしたら、二年たって三年たってもずっと同じような答弁になりませんかということを申し上げたいんです。もう少し時期を置いて質問していただければお答えしますというのであればそうしますけれども、いかがでしょうか。
 それで、例えば国民はこういうものはどうなんだろうか、元警察官僚だからやっぱり警察もやらないんだろうかなんと思われましたら、捜査に対する信頼というものは失われるわけであります。だから今のようなお答え、私がだれか国民の方からあれどうなったんでしょうかと聞かれて、いや、私もわかりませんと言うのは無責任ですし、もし私が聞かれましたらどのようにそれを国民の方に説明したらいいのか、もう一度お答えいただけませんか。どのように私が説明したらよろしいのでしょうか。
#61
○説明員(五十嵐忠行君) 警察といたしましては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば適切に対処してまいることとしております。
#62
○大森礼子君 だから適切かどうか、ここにしても適正かどうか、捜査するかどうかの基準というものがあるのかなと。まさかその中に元警察官僚は除外するとか国会議員は除外するとか、そういう規定があるとは思わないから、適正に捜査されておられるでしょうね、されたでしょうねと。その結果の内容とか証拠とか、これについてはお伺いするつもりないんです、検察庁へ送られたらそれは検察庁が適正に処理するわけですので。ただ、動いたか動いていないのかと、これぐらいについても質問できないのでしょうか。
#63
○説明員(五十嵐忠行君) 警察におきましては、警察のOBだとかそういう対象にかかわらず、厳正公平を旨といたしまして取り締まりに当たっているところでありまして、刑事罰を科すべきものがあれば、先ほども申しましたように適正に対処しているところでございます。
#64
○大森礼子君 そういうふうにおっしゃるのでしたら、だから適正にやっているかどうかをお聞きしたくてこの問題を取り上げたわけなんです。そうしますと、また時が経過して、私は同じ質問を繰り返します。そのとき、そういう適正にやっているかどうかとお答えになれなくなる時期が来るんじゃないかと思うんです。いや、それはちゃんと捜査して何かしておりますとかと言った方がむしろ国民の方にはわかりやすいと私は思います。
 それで、三月五日付の新聞報道で、奈良の政治団体役員の方がこの件につきまして公職選挙法違反の疑いで東京地検に告発したというこういう小さな記事が出ておりました。私はもちろん告発された方とは面識全然ないわけなんですけれども、この時期になって告発されたということ、もしかすれば結局警察とか検察は信用できない、国会議員だって知らぬ顔していると、こういうことがこの方の告発の動機の中にあるのかもしれないなという気がいたしました。やはり扱いにつきまして国民に差別感というのを抱かせましては、幾ら法と証拠に基づいて厳正に対処と言いましても国民の心には響かないと思います。
 そういった意味で、時間の関係もありますから、答弁なさったことを信用して、適正に本当に処罰すべき場合であれば、捜査の対象とすべきことであれば動いておられるのだろう、動かれるのだろうと思って、きょうの質問は終わりますが、また改めて聞かせていただきます。これ、私はやっぱり国会議員の責任だと思うんです。
 もう一度繰り返して申しておきますが、この人を処罰しろとかそういうことを言っているんではないんです。捜査していないんだったら、なぜ捜査しないのかということを問題にしているわけです。これは国民にとって素朴な疑問だと思います。
 この事件、告発されましたから、後は検察庁の方での扱いにもなるんだろうと思います。検察に告発したから警察は知らぬ顔というのでもない、それなりの処理がされるんだろうと思います。ただ、法務大臣、警察と検察は違うわけですけれども、お互い兄弟のような関係にございまして、これまで警察が破棄したらやっぱり検察の方も関心を持つべきではないのかなという気がするわけなんですけれども、いかがなものでしょうか。
#65
○国務大臣(下稲葉耕吉君) それは第一次捜査権は検察も警察も御承知のとおり持っているわけでございますし、それはまあ警察がやっているのを横取りするというわけにもまいりません。お互いに協力しながらやっていくということだろうと思います。
#66
○大森礼子君 近時、大蔵省の官僚が逮捕されたり日銀の課長が逮捕されたりということで、これは人によってはいわば聖域にやっぱり警察も踏み込んだというふうに言われております。こういういろんな事実が暴かれますと、ある意味で国民はそうだったのと、政、官、財の癒着構造を知りまして唖然としてショックを受けて、そういう政治とかについても嫌気が差して無関心になる方もおられるかもしれません。衝撃は大きいと思います、事実を知らされるということは。しかし反面、やはり不公正行為はしてはいけないんだ、そういうことをすれば暴かれていくんだと、こういう事実を知りまして、法の正義というものに対する信頼が増して、そして国民の中における規範意識というものが醸成されていくのだろうというふうに私は思います。そういった意味で、差別なく適正な捜査というものをやっていただきたいと思います。
 それでは、もとに戻りまして、法務大臣、矯正局長いらっしゃるんですけれども、法務省にお尋ねいたします。
 法務委員となりまして、いわゆる矯正施設というものの視察といいますか、行かせていただく機会が多いわけです。特に私、少年院施設のことをちょっと問題にしたいんですけれども、この前も幾つか視察いたしました。前回は関東医療少年院の方にも行かせていただきました。
 それで、矯正環境は本当にお金が余り予算面でもとれないとか、これはよくわかっているわけですけれども、例えば、前回少年院に行きましても、少年の更生のために関係者の方も非常に御尽力されているということがよくわかりました。ただ、建物なんですけれども、私、正直建物の中を見まして、自分が少年院へ送られたならば、あの建物の中に入りますと、老朽化ということもありますが、色使いとかそんなもの、要するに古いということですが、気分がちょっとめいってしまうなということを感じたわけなんです。
 それで、人間の心身にやっぱり環境といいますか、特に住居とか空間とか、これが与える影響というのは非常に大きいのではないかという気がするわけなんです。それで、せめてまず少年院の施設に着いてからもやはり気分が落ちついて明るくなって、さあ、やっぱりこんなばかなことをしないで一生懸命頑張ろうという更生意欲を刺激するような施設というものもあるのかという気がするんです。
 この点について、法務大臣は今の少年院施設のあり方についてこれでいいと思われているのか、もっとこうすべきだと思われているのか、この点についてお考えをお尋ねしたいと思います。
#67
○国務大臣(下稲葉耕吉君) いろいろ御視察いただきまして御礼申し上げます。
 私もいろいろなところを拝見いたしております。少年院と矯正施設とは違いますから、いろいろ比べてみますと感ずることも多いわけでございますが、担当の職員が私は本当に一生懸命やってくれていると思うんです。本当に私ども頭が下がるぐらいにいろいろ配慮し、また研究もし情熱を持ってやってくれていると思います。
 御指摘のとおり、関東医療少年院、私も参りましたが、お話のとおりでございまして、階段一つにいたしましても、それから部屋の感じにいたしましても、それから採光、色彩、いろいろあるんだろうと思います。ですから、私はああいうふうな体制で十分だとは思いません。矯正の諸君もいろいろ考えてくれていることでございますし、やはり計画的に改善していくべきだと思います。老朽度の高いところから計画を立てましてやっているわけでございますので、御趣旨を体しまして意欲的に取り組んでまいりたい、このように思います。
#68
○大森礼子君 ありがとうございました。
 特にその関係者の方、職員の方が一生懸命真摯に取り組んでおられるということは私も認めるわけであります。法務大臣おっしゃるとおりなんです。だからこそ、矯正、更生の実がより上がるように、特に少年院につきましては、鑑別所もそうなるんでしょうが、こういう少年の施設につきましては十分な改善をしていただきたい、十分予算の段階でとっていただく努力をしていただきたいということをお願いしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
#69
○委員長(武田節子君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   正午休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
#70
○委員長(武田節子君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#71
○委員長(武田節子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#72
○委員長(武田節子君) 休憩前に引き続き、法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、法務行政の基本方針に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#73
○照屋寛徳君 社会民主党・護憲連合の照屋寛徳でございます。法務大臣の所信表明に対して何点か御質問をさせていただきたいと思います。
 私は、最初に民法の一部改正の問題をお尋ねいたします。
 御承知のように、一昨年二月の法制審答申がございまして、選択的夫婦別姓制度の導入や婚外子の相続差別の撤廃などを主な内容とする民法の一部改正案が法制審から答申をされたわけであります。私は、法制審の答申は個人の尊厳と両性の本質的な平等という観点からその内容を高く評価いたしております。そして、一日も早い民法の一部改正が実現することを願っておりますし、第百四十回国会においては議員立法で民法の一部改正を内容とする法律案をつくったこともございました。
 ところで、このたびの法務大臣の所信表明の中では、従来触れられておりました民法改正問題について全くお触れになっていないわけであります。そこで、所信表明で全く触れられなかった理由、また法制審答申をどのようにお考えなのか。一方では、法務省はもう民法の一部改正をする法律の立法作業を断念したんではないか、その断念をすることの意思表示として所信では一切お触れにならなかったのではないか、こういう指摘もあるわけでありますが、大臣の率直な御所見をお伺いいたします。
#74
○国務大臣(下稲葉耕吉君) お答え申し上げます。
 今回の選択的夫婦別姓制度の導入等の民法改正につきましては、国民の生活、国民のお一人お一人に密接なかかわり合いを有する重要な問題でございまして、歴代大臣も各界各層の御理解を得ることができる状態で改正法案を国会に提出するのが適当であるというふうに考えておられたわけでございます。御指摘でございますが、松浦前法務大臣もその所信の中で「問題の所在を正しく御理解いただいた上で関係各方面において適切な御議論をしていただき、国民の皆様の御理解を得ることができる状況で改正法案を国会に提出するよう努力してまいりたいと考えております。」と、このようにおっしゃっているわけでございまして、私もその意見には全く同感でございます。
 ただ、今回触れませんでしたのは他意があるわけじゃございませんで、先般来申し上げておりますように、平成八年六月、総理府が実施いたしました世論調査の結果によりますと、選択的夫婦別姓制度の導入に反対する結論の方が多うございました。それからもう一つ、嫡出でない子の相続分の改正の問題にいたしましても、改正反対の方が賛成より上回っているというふうな状態等々もございまして、いま少し世論の動向というふうなものを踏まえていく必要があるんじゃなかろうかという見地から今回触れませんでした。
 ただ、趣旨は今申し上げましたようなとおりでございます。
#75
○照屋寛徳君 大臣は世論の動向にお触れになりました。また、御指摘がありました松浦前法務大臣が当委員会で所信を表明された中で、民法改正法案を国会に提出できるよう努力してまいりたい、こういう法案提出への努力を尽くすという態度に変更があったということではない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#76
○国務大臣(下稲葉耕吉君) おっしゃるとおりでございます。
#77
○照屋寛徳君 ただいまの大臣の答弁を拝聴して少しはほっとしたところでございます。
 それでは次に、少年法の改正問題等について幾つか御質問をさせていただきたいと思います。
 私は、かねてから少年法の改正をめぐって法曹三者の間でいろいろ議論が尽くされてきたこと、またその議論の内容を理解いたしております。そこで、法務省にまずお伺いをいたしますが、従来の法曹三者の協議の中で現行少年法はおおむねうまく機能している、こういうふうな法曹三者の共通の認識があったと私は理解しておるんですが、そういうふうに受けとめてよろしゅうございますか。
#78
○政府委員(原田明夫君) そのような認識が一般にあったという点は御指摘のとおりだろうと思います。ただ一点、特にここ一年、強いて言えばここ半年ぐらいの間に大変世間の耳目を引くようなさまざまな事象が出てきているということは一面事実だろうと思うわけでございます。
 そういう中で、確かに法曹三者の間では現行の枠組みについて基本的なそのあり方についての議論ということを進めるだけの状況じゃなかったと思いますが、昨今の状況を踏まえ、そして大方のさまざまな御意見、そしてこれは国会での御議論もございますけれども、そういう中でそういうものを一切検討しないままで済むのだろうかという点は、正直申し上げまして事務当局としても感ずる点がございます。
 大臣は大臣のお立場で、そういう点についても十分審議をした上で果たしてさまざまな御議論にたえられるかどうか、そういう点について検討すべきではないだろうかといういわば御指示だというふうに私ども考えているわけで、そういうことに目をつむって全く問題ないんだということを言うには余りにも議論は煮詰まっていないと申しますか、やるべきことがあるのではなかろうかという感じは持っております。
#79
○照屋寛徳君 それでは、関連いたしまして、少年法で定める可罰年齢との関係で大臣に質問をいたします。
 三月三日の新聞報道によりますと、大臣は同日午前の閣議後の記者会見で少年法の改正問題にお触れになられ、「刑事罰を科すことができる年齢の下限を、現在の十六歳から引き下げる方向での法改正の検討を事務当局に指示したことを明らかにした。」、こういう報道があるわけであります。
 午前中の審議の中で千葉委員の質問にもお答えになっておりましたけれども、この記者会見で大臣が明らかにした可罰年齢の引き下げの検討を事務当局に具体的に指示をされたのか、また可罰年齢の引き下げ以外にどのような事項について大臣から直接事務当局へ指示をなさったのか、明確にお答えをいただきたいと思います。
#80
○国務大臣(下稲葉耕吉君) お話の記者会見の内容につきましては記録が残っておりますので、御必要ならごらんいただいてもと思いますけれども、私が申し上げましたのは、現在の少年法及び刑法の中における少年の可罰年齢の問題についてお話しいたしました。そして、それに対応いたしまして、いろいろ現在発生している少年の殺人等々の凶悪事件を犯した人たちの年齢を突き合わせてみますと、現在の少年法では仮に刑事事件の適用がいいと思ってもできない年齢があるわけでございます、それはもう委員御承知のとおり。そういうふうなことでもございますし、果たして現在の少年法がそのままでいいのかどうか、その可罰処理の年齢につきまして、これはやはり広くいろいろ意見を聞いてみなくちゃいけない。現在の少年のあのような凶悪事件というものが一般的な傾向なのか、あるいは一時的なことなのかどうか、そういうふうなことも踏まえまして総合的に検討してみなくちゃならない。
 片や、午前中にも申し上げましたように、事実解明の少年審判の手続についても今検討を進めているわけでございますので、そういうふうな中で、私は年齢の問題について避けて通れないんじゃないだろうかというふうなことで、年齢の問題もひとつ検討してくれということを事務当局に指示したわけでございまして、年齢を引き下げるか引き下げないか。引き下げなさいというようなことでもないんです。そういうふうなことを含めて冷静に判断して、そういうふうな結論になればなったで尊重すればいいわけでございまして、現行のままでいいということなら、それは現行のままでいいわけです。そういうふうな検討の場を設けてほしい、検討してほしいということを申し上げているわけでございます、
#81
○照屋寛徳君 私は、少年法の改正問題というのは感情的な議論が先行しちゃいかぬということはかつてこの委員会でも意見として申し上げたところでありますし、その考え方に変わりはございません。しかも、厳罰化の方向での法改正については、法曹三者とりわけ法務省も慎重な姿勢をこれまで堅持しておったというふうに私自身は理解をいたしております。
 今、法務大臣の答弁をお聞きして、具体的な可罰年齢の引き下げという結論を持っての検討指示ではない、こういうお話でございました。これも少しほっとしたところでありますが、もちろん検討は必要でございましょう、少年法との関係ですね、少年事件が多発しているという現状に照らして。一方で、可罰年齢だけじゃなくして、少年法そのものの対象年齢の引き下げについても大臣がテレビ番組でお触れになったという新聞報道がありますが、その点はいかがでしょうか。
#82
○国務大臣(下稲葉耕吉君) それはいろいろ今から議論すればいいわけでございまして、これは仮にの話でございますが、年齢を十八歳なら十八歳に引き下げるというようなことになったとすれば、それを取り巻くいろいろな問題がございます。例えば選挙権をどういうふうにするのか。選挙権は今二十歳でございますね。だから、そういうふうな周辺の問題等々もあるので、そういうふうなものも含めて議論せぬといけませんなということを申し上げました。
#83
○照屋寛徳君 神戸の小学生連続殺傷事件の検事調書の流出と文芸春秋への掲載事件についてお尋ねをいたします。
 まず、その前提になりますけれども、少年保護事件の検事調書の閲覧謄写というのは、一般人や報道機関は可能なんでしょうか。どういう手続、どういう制約があるか、まず法務省にお教えいただきたいと思います。
#84
○政府委員(原田明夫君) 少年事件、特に検察官から家庭裁判所に送致されたものにつきましては、一般的には閲覧謄写権はないと考えております。
#85
○照屋寛徳君 この文芸春秋に掲載された検事調書の流出事件については調査をされているというふうに午前中お伺いいたしました。
 私は、言論の自由というのは基本的に権力からの自由であり、権力に対するものだというふうに理解をいたしております。知る権利の名のもとに少年の人権や被害者の家族のプライバシーが侵害されないように慎重でなければならないというふうに思います。当然、正当な手段による取材で得られた資料であるかどうかというのが大きな問題になってくるだろうと思います。
 ところで、新潮45をきょう持ってまいりましたけれども、この三月号にも実名報道あるいは顔写真入りの報道がなされております。これはもう一見して本人と識別できる情報の暴露であります。これについて法務省はどのような対応をされたのか、御説明願います。
#86
○政府委員(横山匡輝君) お答えいたします。
 新潮45に大阪府堺市において発生しました通り魔事件の被疑少年の実名及び顔写真が掲載された、この件につきましては、これは少年の保護育成の観点から少年事件の本人であることを推知することができるような写真等の掲載を禁止しております少年法六十一条に違反して、被疑少年の人権を侵害したものと言えます。
 そこで、今月三日、新潮45の発行元であります新潮社に対しまして、東京法務局長から反省と再発防止策の策定並びに謝罪等の被害回復措置を講ずるよう勧告を行ったところでございます。
 以上でございます。
#87
○照屋寛徳君 この新潮45の実名報道、顔写真報道について、法務省として自主回収などの勧告をなさったかどうか、この点をお伺いいたします。
#88
○政府委員(横山匡輝君) 自主回収の点でございますが、この記事が出ましたのが二月十八日、その後調査等をいたしまして勧告に至ったのは三月三日という経過から、この件の場合は、自主回収の勧告というよりも、時間が経過しているということ等も考慮いたしまして、むしろ謝罪等の被害回復措置をきちっと講ずるように、そちらの方に重点を置いた勧告を行ったところでございます。
#89
○照屋寛徳君 文芸春秋への検事調書の掲載、それから新潮45への法務省の勧告に対して、それぞれ文芸春秋社それから新潮45がどういう対応を現段階でとっておるのか、そのことを明らかにしていただきたい。
#90
○政府委員(横山匡輝君) まず、新潮45の関係でございますが、新潮社は法務局長からの勧告に対しまして、勧告内容には承服しかねるものがあり勧告には従えないという見解を出しております。
 また、文芸春秋の関係でございますが、これにつきましては、現在、関係法務局において事実関係について調査中でございまして、その調査の結果を踏まえ、人権侵害の事実が認められる場合には適切な措置を講ずる、こういう予定でおります。
 以上でございます。
#91
○照屋寛徳君 最後に警察庁に、準備をされておると思いますので、近年における少年事件の現状と特徴についてお伺いをいたします。
#92
○説明員(西村浩司君) 少年非行の現状についてのお尋ねでございますが、凶悪事件を初めとした少年非行情勢は急激なスピードで悪化しているものと認識しております。
 昨年は少年による凶悪犯罪の補導人員が二千二百六十三人と、一昨年と比べまして約五一・三%の増加を示し、昭和五十年以降の最悪の数字を示したところでございますが、この増加率は単年の増加率としては戦後第一位を記録しております。少年による凶悪犯罪自体は少なくとも統計面では昭和三十年代や四十年代には現在よりも多くその発生を見てきたところでありますが、当時とは社会の様相も大きく異なっている状況下において昨年著しい急増ぶりを示したことや、本年も刃物を使用した凶悪事件等が相次いで発生していることなどにかんがみますと、極めて深刻な事態と受けとめております。
 また、刑法犯の総補導人員につきましても、昨年は十五万二千八百二十五人と、一昨年に比べ約一四・四%の大幅の増加となっており、七年ぶりに十五万人の大台を超えたところでありますし、少年人口千人当たりの補導人員という指標で見ますと一六・一で、少年非行が戦後第三のピークにあった昭和五十八年の一八・八には及ばないものの、二十年前の昭和五十三年の一四・一を大幅に上回っているところであり、少年非行情勢は戦後第四の上昇局面化あるものと認識しております。
 以上でございます。
#93
○照屋寛徳君 終わります。
#94
○橋本敦君 日銀の歴史始まって以来、初めて汚職関係に関して司直の手が日銀に入るという異常な事態が発生をいたしました。こういう緊急事態のもとで、法秩序の維持並びに犯罪の徹底捜査を含めて法務行政に責任を持つ当委員会に早速松下総裁にお越しをいただきまして、御多忙の中ありがとうございました。
 まず最初に、私は法務大臣にお伺いしたいのでありますが、法務大臣は所信表明の中でも、現在起こっております金融業界をめぐる腐敗については金融の安定並びに公共の秩序維持のために法務省としても全力を挙げて取り組むというお話がございました。ついに日銀にまで捜査の手が及んだわけでありますが、この日銀問題も含めて徹底的に捜査を遂げる、そういったことについて法務大臣の御決意を伺いたい、と思います。
#95
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 私は法務大臣といたしまして検察を信頼いたしております。申すまでもなく、検察は粛々と法と証拠に基づいて厳正に事件を処理するもの、このように確信いたしております。
#96
○橋本敦君 日銀といえば、言うまでもありませんが、金融界の法王庁とも言われ、まさに金融システムの中心に位置する中央銀行であります。金融政策の核を握る、そういう部門でありますけれども、その中でも重要な部分である営業局幹部が逮捕されたという事実は重大でありまして、まさに国民の信頼が砕け散ったと言っても過言ではないでしょう。また同時に、国際的信用も著しく低下したということも重大であります。
 今日の我が国金融に対する信頼が問われているときにこういう事態が起こったということについて、まさに重大な問題であることは言うまでもないのですが、この点についての総裁の御認識をまず伺いたいのであります。
#97
○参考人(松下康雄君) お答えに先立ちまして、昨日、日本銀行職員が収賄容疑で逮捕されるという事態を招いたことにつきまして、御報告を申し上げるとともに、日本銀行総裁として深くおわびを申し上げる次第でございます。
 捜査に対しましては全面的に協力してまいりますとともに、内部の処分については、逮捕者はもちろん、関係者につきましても厳正に行う方針でございます。
 ただいま御質問がございましたように、私どもは公正を旨とする中央銀行の職員としてかねてから綱紀の維持には努力をしてまいったつもりでございますけれども、今般このような不祥事件が勃発をいたしまして大変申しわけないことと思っております。
 私どもといたしましては、このような事実が発生をいたしましたその原因の究明をいたしますとともに、今後二度とこのような事件を生じさせないようなしっかりとした対策を講じてまいる考えでございます。
#98
○橋本敦君 私は事件の重大さについてもっと率直な見解を実は聞きたいと思うんです。
 特別な地位にあるがゆえにできる情報をわいろをもらって流すということが一体どれだけ行政の信頼を傷つけ、職務を汚すか、こういう問題がもちろん重大であります。そして、そういうことをやれば、まさに多くの新聞も指摘しておりますけれども、国民の共有財産であり、今日の社会の経済の基幹である市場を傷つける、信頼をなくすというだけじゃありません、証券市場で厳禁されている情報を早く知って、そしてわいろを送った銀行がそれなりの巨大な利得を得るというインサイダー取引まがいの重大な汚職、腐敗にもつながる問題であります。
 そういう実に重大な事件であるという御認識はもちろんお持ちでしょうね。
#99
○参考人(松下康雄君) 今回の事案そのものにつきましては、刑事捜査の段階でございまして、私どもといたしましてもコメントを申し上げる立場にございませんし、捜査の進捗、また私どもの内部調査というようなことによりまして私どもなりの実態の把握に努めてまいりたいと思っております。
 ただいま御指摘がございましたような情報一般というものが持っております非常に重要な性格、すなわち経済の運営にとって基本的な指標となってまいるものでございますから、その取り扱いにつきましては極力厳正を旨として行うべきものである。この情報の作成なり配付なりという過程につきましては、そういう問題が全く生じる余地のないような周到な準備が必要であると考えております。
 私どもといたしましても、現状、例えば非常に多数の計数を集計いたしましてこれを最終的に公表するというような場合には、通常でありますと途中に非常にたくさんの人手を要しますから、そういうものが外部に漏えいする機会をなくしますために、コンピューターシステムの活用というようなことを図ってまいる考えでございます。
#100
○橋本敦君 今後の課題を聞いているんじゃない。あなたがおっしゃったそういう重要な情報がわいろによって漏えいされた、そういう事実で今捜査を受けているんですから、事の重大性は本当に大変なものだという認識はお持ちなんですか、それを聞いているんですよ。今後どうするかじゃないんです。
#101
○参考人(松下康雄君) 初めに申し上げましたように、今回の事案は全く遺憾なことでございまして、情報の取り扱いに仮にいろいろな瑕疵があったとすれば、それは直ちに是正を考えなければならない問題であると考えております。
#102
○橋本敦君 そんな程度の問題じゃないですよ。
 じゃ、あなた自身の責任はどうお感じになっていますか。
#103
○参考人(松下康雄君) 私は日本銀行の行っております業務の全体につきましての監督指揮に当たる立場でございますので、私のそういう意味の監督責任というものは、いろいろの監督の段階がございましょうけれども、最も重いものであると認識をいたしております。
#104
○橋本敦君 あなた自身が最も重い責任を持つというお考えを今表明いただきましたが、多くの世論から見ても、あるいは各党の意見から見ても、前に大蔵省汚職で大蔵大臣が辞任なさった、事務次官も辞任なさった、それぞれ責任をとって後の対策は後の立場でおやりになっていくということで責任を持っておやりになっている状況が進んでいますが、私は今回の場合も今あなたがおっしゃった重大な責任をお感じになっているならあなたも辞任をなさるのが当然だと思います。
 その点について、あなた自身は既に橋本総理に記者会見の直前に電話で辞任したいとの意向を表明されたと報道されておりますが、それは間違いありませんね。
#105
○参考人(松下康雄君) それは事実でございます。
#106
○橋本敦君 あなたの辞意表明は今もかたいことは間違いありませんか。
#107
○参考人(松下康雄君) 私の責任感というものは変わることは全くございません。私は、当面の課題といたしまして、事態の解明とこれに対する対策の確立ということを早急にいたしたいと思っております。
#108
○橋本敦君 事態の解明を早急にするというのは今そこにとどまってということですが、そういうことは当然必要でしょう。しかし、責任をとっておやめになるという辞意には変わらないんですから、事態の推移を早く見きわめてきっぱり責任をとって、あなた自身がけじめをおつけになることが改めて信頼回復なりこれからの体制を強化していく上でも一つの重要な契機になるに違いない、そういう意味で、最も責任が重いとおっしゃるあなたが早く辞任なさる、そういう体制になることが大事だと私は思いますが、お考えはいかがですか。
#109
○参考人(松下康雄君) ただいまの御指摘はしかと伺いましたので、それを踏まえまして今後また私の現在の業務を遂行いたします。
#110
○橋本敦君 次のテーマがありますので、総裁に対する質問はこれで終わらせていただきます。御多忙中ありがとうございました。
 それでは、私はきょうは別のテーマで、オウム事件に関する被害者の皆さんに対する救済の問題で質問をさせていただきたいと思うのでございます。
 最近、「それでも生きていく」という地下鉄サリン事件被害者手記集が発売されました。私もこれを読んで、改めてあのサリン・松本事件の市民に対する残虐な無差別テロに対する怒りを深くいたしております。法務大臣も御多忙でしょうが、お暇があればお読みいただきたいと思うわけでございます。
 死者十二人、負傷者五千五百人という空前のこの被害に対して、国は本当に手厚い対策でその保護をやっているのだろうか。私は二年前の九六年三月二十二日の当委員会でも政府に対してそのことを強く求めました。しかし、残念ながら事態は一向に進んでおりません。
 高橋シズヱさんはこの本の中でも、「サリンによる被害者は、身体的な症状と日々の経済的負担、将来への不安で、苦痛な毎日を送っている。」、そのとおりですね、「テロ事件の巻き添えになった私たちでさえ救済されない日本の犯罪被害者の現状改善のために、本書が一石を投じられたら幸いに思う。」とおっしゃっています。
 まさにゆえなき犯罪で被害を受けた国民を救済するというのは私は国家の任務だと思います。そういう点でこの前も質問をさせていただいたんですが、事態が進むどころか、この被害者に対する救済が国の姿勢によって妨げられる、そういう事態が起こっていることについて私はこの場で指摘をしたいのであります。それは何かといいますと、破産手続の中における国の請求の問題であります。
 時間が短いので多くを語りませんけれども、御存じのように今破産管財人によって手続が進められておりますが、昨年十月時点で教団資産約十億円に対して債務が五十一億円、国、自治体が請求した債権は約五億円と言われております。官房長、大体こういう数字は間違いないんですか。
#111
○政府委員(但木敬一君) 間違いございません。
#112
○橋本敦君 このままでいきますと、配当率は一六%ということになります。まさに交通事故で亡くなった方への補償よりもはるかに少ないようなことになってしまうんですね。
 そこで、国、自治体に債権を放棄してもらって少しでも配当率を上げたい、こういうことが破産管財人を初め関係者の切実な願いになってまいりました。この配当率が、国が債権を放棄してあげますと大体一八・九%程度に上がる、こう言われております。この点については被害対策弁護団も強く要求しておるのでありますが、破産管財人そのものが国の債権の放棄をお願いしたいということを政府に対して申し入れられた、これは間違いありませんね。
#113
○政府委員(但木敬一君) 間違いございません。
#114
○橋本敦君 阿部管財人のこの申し入れに対して、今政府の方の対応はどうなっておりますか。ごく簡単で結構です。
#115
○政府委員(但木敬一君) 現在、関係省庁の間で協議がなされている段階でございます。
#116
○橋本敦君 私どもの同僚である坂本弁護士が亡くなって、先ほどそのお母さんが記者会見をなさいましたけれども、坂本弁護士の関係で和解をなさっております。そして、請求額が確定をするということになりましたが、お母さんはこの和解に対して、本当は和解という言葉も使いたくない、和解などというものではないとおっしゃっている、その気持ちはよくわかります。しかし、多くの被害者の早期救済につながれば、こういう思いで債権を確定させて、そして和解という手続によって進めたのだとおっしゃっています。まさに坂本弁護士のお母さんは多くの被害者の皆さんのことも考えて、気持ちの上では許せないオウムと裁判上の和解という手続もとったと言われている思いは、私は痛切に胸に響くわけです。
 それで、その次の問題として国の債権という問題でありますけれども、この国の債権について、例えば労災の補償が行われるといった場合に、これまで国の実際の手続でもすべての労災補償を国が求償しているというのは全部そうであるというわけではないと思いますが、実態はどうなっていますか。官房長、御存じですか。
#117
○政府委員(細川清君) お答え申し上げます。
 国がこういった求償の件について法的手続を行使いたしますのは、その債権について権限のある歳入徴収官から私どもの訟務局に依頼のあった場合にのみ行っておるわけでございまして、すべて行われているものではないのではないかというふうに考えております。
#118
○橋本敦君 そのとおりなんです。
 そこで、本件の場合どう考えるかという問題なんです。国は破産申し立て手続をいたしました。結構です。国が破産申し立て手続を被害者の皆さんと一緒にやったというその理由は、早くあのオウムの財団を管理して財産散逸を防ぐこと、そして活動拠点を封殺して管財人による徹底的な解明の中で新たなテロ行為は発生させないという公益的事情に基づくこと、こういった国民の期待を受けて国はやられたというのが私は国のとられた正しい態度であったと思います。一銭たりとも国の請求を回収することが目的だということを超えた公益的立場でおやりになったというのが私は本当だと思うんです。
 したがって、今こういう問題について、わずかの被害者に対する債権の回収さえ困難になっているという状況の中で、国はこの債権を放棄するという英断を思い切ってとることがまさに国民の権利、利益を守る国の公益的立場に沿うものではないだろうか、あるいはそれこそが国のとるべき道ではないかと思うんです。
 例えばある新聞の社説では、「「国の取り分」を主張し続けるのか。それとも、「被害者救済」の原点に立ち返って、届け出の撤回に踏み切るのか。いずれが正義にかない、国民の期待に沿うかは、言うまでもないだろう。」こう言って、国はこの際債権放棄をすべきだということを言っているわけです。私はこれがまさに今日国が思い切った英断でなさっていただきたい大事なことだと思うのであります。
 官房長は先ほど、この問題について関係省庁と今協議をなさっているということでございますが、阿部管財人の意向としては、三月中旬までに国が債権放棄手続をとってくれれば七月中間配当ができる、一刻も早く被害者に中間配当もしてやりたいという気持ちでいっぱいで今の申し入れを政府に対して行っていることも明らかであります。
 そこで、私は、この問題について国が債権放棄といった手続をとる、そのことについて、仮に債権放棄手続ができないならば、被害者に対するそれと同額の救済を国が国の経費で行うということによって被害者に救済の手を差し伸べるとか、あるいは手続上はいろいろ問題もないわけではございませんけれども、国の債権についての請求の履行延期をするとか、いろんな知恵があり得ると思うんです。
 そういった問題について、皆さんの切実な期待にこたえて、国民の今、権利を守るために思い切った政治的な決断を政府としてもしていただきたい、法務大臣として関係省庁との協議でぜひとも法務大臣の立場から御尽力をいただきたいと思うのですが、法務大臣のお考えはいかがでしょうか。
#119
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 今お申し出の件につきましては、私も阿部管財人とも直接お会いいたして、お話も十分承っております。
 どういうふうな方法がいいか、なかなか難しい面もあるし、議論を整理しなくちゃならぬところもございまして、今政府部内で真摯に検討している最中でございます。私といたしましても前向きに、十分その辺のところはよくわかりますので検討させていただきたい、こう思います。
#120
○橋本敦君 時間が参りましたので終わりますが、大臣がわざわざ前向きに検討したいとおっしゃっていただいたその気持ちを私もありがたく受けとめて、御尽力をお願いして、質問を終わります。
#121
○平野貞夫君 自由党の平野でございます。
 私は、国会議員になりまして六年になりますが、五年間この法務委員をやっておりまして、ただし法曹、司法についてはずぶの素人でございまして、ごく一般の国民の立場でお尋ねしますので、よろしくお願いします。
 先日、法務大臣の所信表明をお聞きしたわけでございますが、私非常に目新しい話をお聞きしましたので、念のため平成五年からの過去五年間の各法務大臣の所信表明の基本認識の部分について調べましたところ、きょうも四人の歴代法務大臣が御出席でございますが、従来の法務大臣の方たちは、法務行政の各分野にわたって適切な方策を講ずるよう全力を尽くしたい、こういう基調で所信を述べられておるわけでございます。ところが、下稲葉法務大臣は、「法務行政は、改革を支える基盤として、いよいよその役割が重大になるとともに、新しい時代の要請に迅速的確にこたえみずからを変革していくことが求められております。」と、こういうまるで政権がかわったと思えるような大変画期的な所信表明をされております。
 そこで、一言二言で結構でございますが、もうちょっと具体的にここのところの意味を、どういう御心境か、お聞かせいただきたいと思います。
#122
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 御指導をいただいた法務大臣がずらりと並んでおられまして、私も何も殊さら変わった発想で申し上げておることではございませんが、要するに世の中が物すごい勢いで変わっております、政治、経済それから国際情勢。例えば経済の面についても国際的に規制緩和なりなんなりがどんどん進んでおります。そうしますと、やはり事前規制というよりももう事後チェック、それから自己責任、こういうふうな世の中へ当然変わってまいります。
 そうしますと、一般的に国民と司法との間が何か間隔があり過ぎるんじゃないか、もう遠いところに司法というのがあるんじゃないかというふうな認識を国民の方々はお持ちじゃないかと思うんです。ところが、世の中が変われば変わるほど争訟事件というのは多くなるでしょう。それから、犯罪の動向につきましても、今さら申し上げるまでもございませんが、最近非常に凶悪化、集団化、それから薬物というふうな問題が出てくる。だから、そういうふうな中で我々がどういうふうに変わって国民と間近な関係で司法があり得るのかどうか、なければならぬのか、この辺のところが問題だろうと思います。
 だから、そういうふうなことを、非常に抽象的で恐縮でございますけれども、一つ一つ具体的に詰めて何とかやってまいりたい、それが法秩序の維持と国民の権利の保全ということになるんだと、こういうふうに思っております。
#123
○平野貞夫君 わかりました。大変適切な御所見だと思います。
 実は、今はもうありませんが、昨年までありました私たちがつくっていました新進党という政党で日本再構築宣言というのをつくりましたときに、やっぱり事前チェックの手法から事後チェック、司法制度が非常に大事になるというようなことをまとめたことがありますんですが、共通した一つの認識だと思って評価いたします。
 さて、法務行政は改革を支える基盤というその言葉がほうふつするかのように、大蔵省、日銀の銀行や証券業界との癒着、過剰接待の問題が今、この言葉と捜査の積極性を別に無理につなげることはないと思いますが、そう感じられるような法務当局の非常に積極的な姿勢は評価いたしますが、大臣、もう一言基本的なことをお聞きしたいんです。大蔵省とか日銀といえば、いわば明治以来我が国の国家経営の心臓中の心臓だったと思います。まさかそういうところでこういう汚職問題が発生するとは、恐らく日本人だれも想像していなかったと思いますし、世界はもう驚いているわけでございますが、この問題の本質はどこにあるのか、何かということについて御所見を。
#124
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 一連の総会屋の事件から銀行、証券とのかかわり合いが追及されました。そして、今お話しのようなところまで来ておるわけでございます。
 私自身は、社会の底辺にやはりそういうふうな構造的な甘えがあるんじゃないだろうか。私は、国際化が進んで世界的に太刀打ちしていかなきゃならない日本を考えますと、そういうふうなことにとどまっているようではあすの日本はないんじゃないか。やはりそこまで私どもは透明性を持ってクリアで、そういうような体質でなければいけないんだろう。そういうふうな点については、法務大臣としてよりも政治家として、それはもう脱皮していただくことが非常に大切じゃなかろうかな、そういうふうな感じも持っております。
#125
○平野貞夫君 まさにそのとおりだと思いますが、私はやはり日本の資本主義の構造的な問題ではないかと思います。悪く言えば同質なことはやっぱり今までもあったと思うんです。しかし、何となく事前談合といいますか、事前にお互いに話し合っていろんなことを、仕事をやっていこうという行動の中ではやっぱり必然的に起こる問題、多かれ少なかれあった問題じゃないかと思います。やはりフリー、フェア、オープンという本来の資本主義の仕組みといいますか構造、活動が我が国ではなかったと。たまたま非常に極端な形でこれが発生しておるわけでございますが、私はこの問題はやっぱり日本人の意識革命につながる問題でもあると思います。
 そこで、この問題、この捜査の展開の仕方というのは非常に私は難しいと思います。世界じゅうが見ていると思います。
 ある情報によりますと、先週の前半ぐらいに法務省の幹部が官邸に呼ばれて、こういった一連の大蔵省関係の捜査についての状況説明を求められたというような情報がありますが、そういう事実はございますか。
#126
○政府委員(原田明夫君) ただいまお聞きしてびっくりしたのでございますが、そういう事実は全くございません。
#127
○平野貞夫君 では、ただいまの発言を信用いたします。
 私、けさ六時の十二チャンネルのテレビニュース、経済ニュースなんかをずっと見ておりましたんですが、もう四月一日の人事異動を目指して一生懸命やっていて、これが一つの限界だ、いいところだと、政治の方からもそういうふうなメッセージがあるようだということをテレビのキャスターたちが言う。週刊誌もいっぱい書いています。新聞も何となくそういう論調がある。何かマスコミで、日本の資本主義の構造の核に入る問題を四月の定期異動ということにかまけてこの辺でぽつぽつという雰囲気を随分つくられております。
 法務省の人がつくっているとは思いません。そういうものにひとつ大臣はどういうふうに対応されますか。
#128
○国務大臣(下稲葉耕吉君) そういうふうな話を伺いますと、私、大変不愉快に思います。
 今お話しのようなことでございますが、検察は粛々と淡々と、こういうようなことになればなるほど自分自身を戒めて、そしてそれこそ法と証拠に基づいてきちっとやるべきだというふうに思います。
#129
○平野貞夫君 大臣が不愉快になるようなことを申し上げて申しわけありませんが、これはテレビとか新聞とか週刊誌が言っている話でございまして、私も不愉快でございます、法務委員会の一員として。
 そこで、変なうわさとかそういうものを払拭するために、四月一日、四月と言われている人事異動を一カ月か二カ月、思い切って延ばされたらどうですか、そういうことはないということを証明するために。
#130
○国務大臣(下稲葉耕吉君) それは、仮にどうやったとしても、そのために事件がどうこうなるような脆弱な組織では私はないと思います。
#131
○平野貞夫君 そのとおりであってほしいわけでございますが、私は素人の一般国民の立場でわかりやすく、やっぱり法務・検察行政を信用してもらうためにはそのくらいなことがされてもいいんじゃないかと思って申し上げたわけでございます。大臣は大変立派な方でございますから、大臣のお話を私も信用して、そういうことには影響ない、こう思います。
 さて、朝からの質問の中に出ておりましたのですが、オウム事件の問題でございます。
 私は、あの事件が発生したときに、場合によっては第一号だったかもわかりませんが、破防法適用論をかなり早く申し上げた記憶がございます。
 なぜ破防法を適用できなかったんですか。
#132
○政府委員(豊嶋秀直君) 公安調査庁といたしましては、大変真剣に適用を考え、準備もし、当時の法務大臣と村山総理大臣の御指揮も受けまして請求に踏み切ったわけでありますが、公安審査委員会の決定は、決定時においてオウム真理教が将来反復継続して暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあるというふうに考えるべきであるという御判断に基づきまして、明らかに反復継続して将来暴力主義的破壊活動を行うおそれがあるとは認めがたい、こういう理由で請求が棄却されたわけでございます。
#133
○平野貞夫君 そうしますと、公安審査委員会のことを余りここで批判してもしようがないと思いますが、大臣の所信表明には、オウム真理教に関して、組織の再建が進められているとか、殺人を肯定する危険な教義が復活しているという所信を述べられておるんですが、言いにくい話ですが、公安審査委員会の判断というのは間違っていたわけですね、そうなると。
#134
○政府委員(豊嶋秀直君) 間違っていたかどうかは私から大変申し上げにくいわけでございますが、審査委員会の決定は、その内容をよく読んでみますと、決定時において、決定する段階でそういう危険があるかないかを判断すべきなんだと。そういうふうに考えますと、必ずしも明らかに継続して同じような暴力主義的破壊活動を行うおそれというものは認めがたい、こういうことでございますので、決定時の判断としてはそういう御判断をしたのであろうというふうに思います。
#135
○平野貞夫君 決定時はそう思っていても、その後変化があるとなると決定時の判断に問題があるわけでございますが、それは長官に申し上げるべき問題じゃありませんから、結構でございます。
 そこで、別の角度から私は問題提起をしたいと思いますが、やはり破防法自身に問題があるのじゃないかと思うんです。破防法をやっぱり現代の犯罪、現在のその種の問題に対応できるように早く整備すべきじゃないかという意見、むしろそっちの方が大事だと思うんです。先ほどの質疑の中でも取り上げられておったんですが、法務省として破防法の見直しといいますか、あるいは抜本的見直しというのをもうちょっと積極的に時期などを明確にした形で取り組めませんか。
#136
○政府委員(豊嶋秀直君) 現行の破防法が現在の社会情勢等に果たして合うものかどうかという点につきまして、公安調査庁といたしましても以前から内部的に検討をしてまいったわけであります。そして、先般のオウム真理教の規制手続を実際に経験してみまして、弁明手続等、その他いろいろ現行法では不明確な点や必ずしも運用上うまくいかない点も多々あったという反省がございまして、これらの手続面それから規制の対応の面、それから実際に公安審査委員会から決定が出た後の実効ある取り締まりができるかどうか、そういう点もいろいろかんがみまして、現在、時期をいつごろまでにどうするということはちょっと言いにくいのでございますが、種々内部の検討を進めているところでございます。
#137
○平野貞夫君 時間が余りありませんのでこの問題をそう取り上げませんが、これに共通する問題としまして、共通というとおかしいですが、法務省関係の法律の立法過程といいますか、国会に出されるまでの問題、権利義務あるいは非常に強制力を持った大事な法律がたくさん法務省にあるものですから、時間をかけられるのが当然だと思うんですが、それにしてもちょっと時間がかかり過ぎるんじゃないかという問題が幾つかあると思います。
 破防法もその問題の一つだと思いますが、けさほど来から指摘されております少年法の適用年齢の引き下げの問題です。
 実は、我が党に都内の弁護士さんからこういう手紙が来ております。要旨を申し上げますと、少年法の適用年齢引き下げについて、少年法の適用のようなことを一々検事と裁判官と弁護士の協議を聞くなどということは必要ない、政府提案なり議員提案なりで国会の責任で法律を決めて、それを裁判所と検事と弁護士が実務でやればいい、国民代表である国会議員が考えるべきだと。判、検、弁の法曹三者の意見を聞くなどと言っているので今の司法は機能がしにくく、二割司法と言われている。国民の意思で法律は決めればよいことで、国会議員ももっとしっかりしろと、こういう手紙が来ております。
 私たちも反省すべきことだと思いますが、少年法の適用年齢の引き下げというのは、結果的に連動する話として選挙権の引き下げの問題もございます。我が国の社会活動を行う非常に基本的な問題でもあるし、急がれるわけでございます。選挙制度の方で選挙権の引き下げを議論しますと必ず少年法の話が出てくるということでございますので、ぜひひとつ迅速に結論を出していただきたい。そして、私たちも各党協議の中でこういったものを国民の代表として積極的に取り上げるという気持ちを申し上げて、答弁は要りません、もう時間が参りましたから。
 以上でございます。
#138
○山田俊昭君 二院クラブの山田でございます。
 法務委員会での初質問でございますので、何か格調の高い質問をいろいろ考えたんですが、結局思いつくままのアトランダムの質問でありますが、よろしくお願いをいたします。
 まず最初、極めて俗な質問でありますが、警察職員をいわゆる第一次的捜査機関として検察官を補充的捜査機関とする現行刑事訴訟法のもとでは、検察官僚がかつて旧法時代の捜査の主宰者たる地位を懐かしみ、一方、警察は一度得た権限は絶対に手放すまいとしてとかく検察と警察の確執がうわさされるようですが、かつて警視総監として警察キャリアの頂点をきわめた大臣が検察を指揮下に置く法務大臣に就任されたことは、警察キャリアの悲願の達成であったとの一部識者の声があります。
 まず、こうした意見に対する大臣の率直な感想をお伺いいたします。
#139
○国務大臣(下稲葉耕吉君) そういうふうなお話を聞いて私びっくりしておるんですが、そういうふうなお話もあるのかなとびっくりいたしました。
 新しい制度におきましては、検察と警察はそれぞれ第一次捜査権を持っているわけでございまして、それぞれの仕事をいたしておるということでございます。
 検察権も行政権の一部をなすものでございます。行政権は内閣に属しまして、内閣は行政権の行使について国会に対して連帯して責任を負っているわけでございます。
 今お話しされましたことは検察についての問題であるわけでございますが、内閣の一員である法務大臣といたしましては、検察権の行使について必要な指揮監督ができなければいけない、このように思います。行政権の行使は内閣にある、内閣の一員として法務大臣は検察権の行使についても必要な指揮監督ができねばならない、このように考えます。
 しかしながら、他面、検察は刑事については捜査、公訴を行いまして、裁判所に法の正当な適用を請求し、裁判の執行を監督し、その他公益の代表者として法令に基づく権限を行使することを職務としているわけでございます。したがって、司法権と密接不可分な関係にある。司法権の独立を確保するためには検察権の独立が確保されなければなりません。その権限が常に不偏不党、厳正公平を旨として運用されなければならないものであるわけでございます。したがいまして、検察権の行使に関しまして、法務大臣が指揮監督権を行使するに当たっては、今申し上げましたようなことを十分認識してやらなければならないと考えます。
 そういうようなことだと思いますが、検察庁法第十四条では、法務大臣に対しまして、検察権の行使に関する一般的な指揮監督権を規定しつつ、具体的事件に関する場合は検事総長のみを指揮することができる、こういうふうな定め方をしているわけでございます。これが検察権が行政権に属することによる法務大臣の責任と、それから片や司法権と密接不可分の関係にある検察権の独立性確保の要請とのバランスをその辺のところで保ったものだと解せられます。
 私といたしましては、具体的事件の捜査や処理に関しましては検察権の行使に不当な制約を加えるようなことはいたさない、そういうふうな所存でございます。
#140
○山田俊昭君 今の答弁に関連するんですが、今回、中央省庁再編で検察庁と法務省との分離といいますか、検察の独立の議論がほとんどなされない。今、大臣が御答弁なさったように、法務省と検察との関係がどうなっているのか、法務大臣というのは検察官を指揮監督し、個別事件に関しては検事総長にいわゆる指揮権の発動すら与えられている。今お答えになられた検察庁法第十四条に明記されているところであります。
 そういう形で、うやむやと言うとおかしいけれども、お互いが遠慮し合っているような関係をはっきりとこの際、検察の独立といいますか、むしろ分離しちゃったらどうかというふうに思うわけですが、御所見はいかがでしょうか。
#141
○国務大臣(下稲葉耕吉君) やはり検察権も行政権の一部をなすものだという認識に立ちますと、仮に委員が今おっしゃるようなことになりますと、きょうこのような場所に参りまして具体的ないろいろな事件のことについてどなたが答弁なさるかというふうな問題も出てくるかと思います。
 私は、そういうふうな意味からは、やはり法務大臣といたしましては内閣の一員として責任を持っているわけでございますから、今、委員おっしゃるような形につきましては私自身は大変疑問を持ちます。現在のような体制がいいんじゃないだろうか、このように思います。
#142
○山田俊昭君 いろんな本を読んでみても、検察と法務省との関係に関してちょっとわからないところもあるわけです。いろんな問題はあるんでしょうけれども、最終的に人事院みたいな、法務省からの検察の独立ということも考えられていいのではなかろうかということを私見として御提案申し上げておきますので、御検討いただければ幸いと思います。
 次に、昨今といいますか、現在なんでありますけれども、検察当局による大蔵官僚の摘発あるいは金融業界の関係者を逮捕されるという目をみはるものがあるわけでありますが、この検察の働きに対して国民とかマスコミというのは拍手大喝采を送っているわけであります。この汚職事件を真相究明して徹底的に司法の名のもとに糾明されることはこれまた当たり前なことだと僕は思うんです。その反面、これは一歩間違うと検察官の独善を助長して、いわゆる検察ファッショに拍車をかけることになるという慎重論もあってしかるべきかと思うのであえてお尋ねをするわけであります。
 こうしたときこそ法務・検察は国民から信託された責務の重みを大いに自覚されて、身を引き締めて事に当たるべきだと思いますが、この慎重論に対する大臣の御所見はいかがでしょうか。
#143
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 御意見の点は私ももっともだと思います。
 先ほども申し上げましたが、私は検察を信頼いたしております。そして、今のこういうふうな段階におきましてこそ自律自戒いたしまして、検察は粛々と法と証拠に基づく解明の仕事をやるべきだ、またやってくれるものだと、そのように確信いたしております。
#144
○山田俊昭君 現在、大蔵批判は中央省庁に共通する、国家公務員T種試験のみを人事で優遇するいわゆるキャリアシステムそのものの批判にまで発展しております。
 本来、捜査、公訴の提起、公判の維持遂行、適正な刑罰法規の執行を責務とするいわゆる検事が一般行政官庁たる法務省本省の課長以上の地位を独占しているという現在の法務・検察の人事のあり方について日ごろ多少疑問に思っているものでございますが、この点いかがでしょうか。
#145
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 独占しているとおっしゃいますけれども、私はそうは思いません。
 今、課長職以上が五十四名本省におります。その中で十六名が一般職の公務員でございまして、御承知のように入管局長は一般職の公務員でございます。残りが検察官ということになっておりますけれども、実態は、裁判所から来ておられる方が十数名、それから検察官が二十何名、民事局の局長以下課長さんはみんな裁判所からお見えになっている等々ございまして、本省の幹部を検事が独占しているということは実態としてないということでございます。
#146
○山田俊昭君 独占はされなくても、本省には検事さんの肩書を持った人がたくさんいらっしゃることは事実だと思うんです。
 私があえて申し上げたい一つですが、検事の身分を持った法務省の役人は一般の行政官よりははるかに高給をもらっているんじゃなかろうか。本来は事務官とか技官をもってその職につかせれば、そんなにたくさん払わなくて済むんじゃなかろうか。いわゆる給与水準のバランスという観点から見ていかがなものだろうかという素朴な疑問があるんですが、この点についてはいかがでしょうか。
#147
○政府委員(但木敬一君) 実は、法務省にはもともと検事から充てられて、つまり充職検事というものが法的にも予想されておりまして、法務省の仕事を検事がやるということは法律上予定されております。
 その理由でございますが、法務省の所掌事務の中には、司法制度に関する法令、あるいは民事、刑事に関する法令、これらの基本法令の立案等の事務、あるいは訟務事件の遂行、あるいは検察に関する事項等、どうしても法律的な素養を必要とする事務が非常に多うございます。
 むろん行政機関の中で司法に一番近いところに位置している関係でどうしても法律家が必要な職種というものが多いために、先ほど大臣が言われましたような布陣で法律家が法務省のいろいろな職にあるという状況にございます。
#148
○山田俊昭君 次に、大臣は所信表明の中で人権擁護行政の充実ということについて述べられておりますので、人権擁護の観点から二、三質問をさせていただきます。
 まず、被疑者、被告人、受刑者の家族、親類縁者に対する学校とか職場とか地域社会での不当な差別の問題であります。
 刑事責任は言うまでもなく個人責任であります。単にその縁者であるという理由だけで不当な差別と弾劾を受けることがあってはならないことは言うまでもありません。しかし、犯罪者の家族とか親類縁者は肩身の狭い思いをしながら周囲の冷酷な視線にさらされて暮らしているというのが我が国の実情ではないでしょうか。
 そこで大臣にお尋ねをいたしますが、人権擁護行政の充実を主張されるならば、こうした犯罪者の家族、親類縁者を不当な差別から解放するためのより一層の施策を講じられるべきだと思いますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
#149
○政府委員(横山匡輝君) 私の方からかわって答弁させていただきます。
 委員御指摘の差別や偏見は人権擁護上看過できない問題であると考えております。法務省の人権擁護機関としましては、これまでも差別事件の調査、処理や各種啓発活動を通じましてこのような差別や偏見の解消に努めてきたところでありまして、今後ともこのような取り組みの充実強化に努めてまいりたいと考えております。
 なお、現在法務省に設置されております人権擁護推進審議会におきまして、人権教育、啓発に関します施策の基本的なあり方について審議中でございまして、その答申が出されたときは、それを踏まえまして人権擁護に関する施策を一層推進してまいりたい、このように考えております。
#150
○山田俊昭君 次に、いわゆる罪を償った者に対する差別と偏見の追放という点であります。
 我が国の行刑は、いわゆる教育刑主義をとっているんだと思います。もちろん、応報刑主義も加味されている面はあるわけですけれども、いわゆる前科者に対する不当な差別や偏見が再犯、累犯を助長しているのでは教育主義の実効が失われてしまいます。
 法務統計だろうと思うんですが、再入率が五〇%だと。同じ人間が刑務所に入ったり出たりしているという行刑の無力を如実にデータは示しているという指摘は再三されているところだと思うんです。
 これがなぜそういう現状にあって改善されていかないのか。行刑の問題点も多分あるところだと思うんですが、いわゆる前科者に対する不当差別が再犯を助長している大きな要因になっていることも確かだろうと思うんです。こうした差別をなくすための施策をどの程度講じられているのか、お伺いをいたします。
#151
○政府委員(横山匡輝君) 法務省の人権擁護機関としましては、委員今御指摘のような刑を終えて出所した人々に対する偏見、差別、こういうものにつきましても、結局は人権思想の普及高揚を図る、そして人権尊重の観点から、こういう差別や偏見というのはあってはいけないものである、そういう観点で啓発活動を一つの主眼としまして差別や偏見を解消するのが非常に重要なことである、そういうふうに認識しておりまして、さまざまな啓発活動を実施しておるところでございます。
 具体的には、全国各地でテレビ・ラジオ放送、新聞紙及び週刊誌等のマスメディアを利用した啓発活動や講演会、座談会及びシンポジウム等の開催、ポスター、啓発冊子の配布等を行っているところでございます。
#152
○山田俊昭君 法務省には人権擁護機関というのがあると思うんですが、この人権擁護のための機関を国民がほとんど知らないと思われます。そういう実情を踏まえて、もっと人権擁護機関の啓発というか存在を一般に知らしめる、人権侵害者の救済のために法務省はこうしているんだよという宣伝をもっとすべきではなかろうかというふうに思うわけでありますが、人権擁護のための機関としてはどんなものがあってどういう活動をされているのか、今申し上げた宣伝というのか、一般に知らしめる方法で何か策を講じていられるかどうか、お尋ねをいたします。
#153
○政府委員(横山匡輝君) 法務省の人権擁護機関としましては、法務本省にまず人権擁護局、その下部機関としまして法務局、地方法務局に人権擁護部門、これは人権擁護部あるいは人権擁護課から成り立っております。そのほかに全国で約一万四千名の人権擁護委員がおります。これらの人権擁護機関におきまして人権啓発活動、それから人権侵犯事件の調査、処理、さらには人権相談等の活動をしております。
 それで、このような人権擁護機関の活動を知ってもらうためにどのような具体的な活動をしているかという点でございますが、例えば平成八年度におきましては、人権相談業務の内容及び相談体制について周知を図るため、法務局一地方法務局等の電話番号等を記載した相談ダイヤルシールを約百二十万枚作成し、法務局、地方法務局を通じて全国に配布し、平成九年度、本年度におきましても六十万枚を増刷し、配布しているところでございます。
 私どもといたしましても、法務省の人権擁護機関の活動を知っていただくということは非常に重要であると考えておりますので、さらに今後とも工夫を凝らしながら積極的な広報啓発活動に取り組んでまいりたい、このように考えております。
#154
○山田俊昭君 あとまだ一、二分私の質問時間が残っておりますので、俗な質問に始まって俗な質問で終わって恐縮でございますけれども、フォーカスの三月十八日号が、大阪高等検察庁の加納次席検事がいわゆるおやじ狩りに遭った、「二人組の少年に、現金二万円入りの祝い袋と六百円が入った小銭入れを奪われる強盗事件が発生した。」こう報じております。
 この高名な、関西じゃ有名な検事さんらしいんですね。強気で鳴った、名うての名検事だ。この人が二人の子供にわけもなく、無抵抗か抵抗かその事実関係はよくわかりませんけれども、法秩序の維持を責務とする国家機関である検察官がいとも簡単におやじ狩りの少年二人におめおめと、幹部としていささか情けないと思うんですが、法務大臣の御所見をお伺いして私の質問を終わります。
#155
○国務大臣(下稲葉耕吉君) お話しのとおり、二月二十六日に大阪高検の次席検事がお話のような事案があったということは承知いたしております。
 私といたしましては、大変遺憾に思います。こういうふうな情勢の中でございますので、私どもは私どもとして仕事を一生懸命やっていく、そのようなことで御期待におこたえするということではなかろうかと思います。
#156
○山田俊昭君 終わります。
#157
○矢田部理君 まず、法務大臣に伺います。
 相次ぐ大蔵省の不祥事、関係業界との癒着、そこから噴き出すさまざまな汚職事件、これがついに日銀にまで飛び火することになりました。何が問題で何が原因か、法務大臣としてどんなふうにお考えでしょうか。
#158
○国務大臣(下稲葉耕吉君) まず、一人一人の認識の甘さというものがあると思います。それぞれの立場で公共のために仕事をなさるわけでございますから、それに徹すべきである。ところが、そういうふうな中で心の緩みと申しますか甘さといいますか、そういうふうなものがある。もう一つは、組織的にそのようなものをチェックできない、このような体制がどうだろうか。三つ目には、そういうふうなものを受け入れる社会的な土壌といいますか、その辺のところが問題になっておるんじゃないだろうか。やはり総合的に検討して姿勢を正さなくちゃいけない、このように思います。
#159
○矢田部理君 松下参考人、大変御苦労さまです。
 そこで、日銀に伺いたいのでありますが、今回吉沢という証券課長が逮捕されました。これはこの吉沢という人物のたまたま起こした事件でしょうか。それとも、組織的な問題があるというふうに法務大臣も今言われたのでありますが、そういう構造的なものでしょうか。総裁としてどうお考えですか。
#160
○参考人(松下康雄君) 今回の事件は、私にとりましてもまことに遺憾な出来事でございます。
 私自身の考えを申し上げますと、やはり日本銀行の職員は、全体といたしましては中央銀行の職務としての厳正な実行ということを常々念頭に置いて日夜努力をしていると信じております。
 ただ、その間におきまして、外部との交渉あるいは交際といったようなものも業務の性質上いろいろとございますので、そういった中で一部に何らかの気の緩みが非常に生じているに違いない。ただ、その点につきましては、私どももかねてからの報道等もございますので、まず全体の実態はどうなっているのかということを把握する必要があると思いまして、先般来、管理職以上の職員と役員の合計六百名を対象にいたしまして、過去五年間の外部との会食等の実情につきましての調査を開始したところでございます。
#161
○矢田部理君 そのこと、接待の実態等についてはまた後ほど伺います。
 あなたは先ほど、監督者としての責任がある、その責任をおとりになるというお話がありましたが、単なる監督者以上の責任が総裁御自身にもありはしないか。これはあなただけの時代ではありませんから歴代総裁にも問いかけたいのでありますが、例えば九六年に中央銀行研究会が報告書を出している。職員の身分や規律についてルールをつくる必要があるという指摘をしたにもかかわらず、これに従わずに、あなたの言が伝わっておるのでありますが、広く民間の考え方を知ることが必要だ、民間との接触を奨励して規定をつくらなかったということで、そういうことについての責任はお感じになりませんか。
 さらにはまた、総裁室は大変密室であります。飛び切り偉い人でなければそこに入れない。並の銀行の頭取などでは入れていただけない。法王庁とか昔は天皇などと言っていた時代もありますが、一方で大変閉鎖的な体質、そして暮夜ひそかに出かけていっては情報を売ったり、大変な過剰な接待を受けたりしているという体質などに問題があるとはお考えになりませんか。
#162
○参考人(松下康雄君) 第一の外部との接触に関する規律、基準の点でございます。
 私どもも、かねてから外部との接触につきましては、それは生きた経済、金融を理解いたすために必要な面はございますけれども、ただその際に中央銀行としての節度を守るべきであるということは折に触れて指導してまいったところでございますけれども、今回のような事案が出現をいたしましてまことに残念に思っております。
 そこで、私どもといたしましては最近、四月一日から新日銀法が施行されまして日本銀行は独立性と透明性を兼ね備えた新しい中央銀行ということになってまいるわけでございますけれども、この機会に例えば行員につきましての外部とのつき合いのしっかりした基準をつくるべきであると考えました。この新法の方には服務準則をつくるように規定がございます。この行員の服務準則の附属資料といたしまして今般「日本銀行員の心得」というものを作成いたしまして、その中で行員の規律の保持に必要ないろいろの具体的な条件について細かく規定をすることにいたしました。
 今後は、この規定に従いまして対外的な関係にも問題を生じないように努力をしてまいりたいと思っております。
#163
○矢田部理君 法律ができたのでようやくつくることになった。私もここにいただいて持っております。これまでこんなものもなかった、いろいろな指摘があったのにつくらなかったということにも大変問題があろうと私は実は思っておるのでありますが、今度つくった規定を見ましてもまだまだ幾つかの問題がある。
 あなたはもともと前歴があるわけでありまして、昔大蔵省の官房長時代に鉄建公団のこの種問題があったときに官房長として通達、通知を出しましたね。そういうおつき合いとか接待などについては原則として取りやめるべきという通達を出したこともあるのに、またまたやっぱり日銀で同じような問題を起こしてしまった。今度確かに通達は出しましたが、無償の接待等については受けてはならぬということを基本にしたものであって、接待そのものを慎むべきだというような立場に立っておられないことなどもまだまだ甘さがあると思うのであります。
 あわせて、実態調査を始めたということでありますが、実態調査の中間的な報告といいますか、三月末にも結論を出すということでありますが、それはどんなぐあいでしょうか。
#164
○参考人(松下康雄君) ただいま申し上げました行内の管理職、役員を対象といたします調査は、全員から過去五年間にわたりまして外部関係者との間の会食その他の事実関係の聞き取りを行うことにいたしております。それぞれの職場によりましていろいろ職務の内容やその接触する外部の方々の内容も違っておりますので、その点を把握しております各職場の長が自分の部下のそのような事実関係をすべてヒアリングしてそれをまとめるということになっております。
 この第一次の調査が現在進行中でございますが、めどとしまして今月末までにそれをまとめて、その中身を検討し、その結果、さらにこの点とこの点については詳細な調査が必要であると思われるものを抽出いたしましてまた別途さらに深い調査を行っていく、そういう考えで現在実行しているところでございます。
#165
○矢田部理君 この吉沢課長の不行跡をいつごろ知りましたか。これが一点。
 それからもう一つは、吉沢課長だけの不届きな行為という認識ですか。ほかにも関係者があるという認識でしょうか。
#166
○参考人(松下康雄君) 今回の関係の人物もその調査対象になっております。なっておりますが、この人物につきましては現在刑事捜査の対象となりましたので、私どもといたしましては、この人物に関します私ども側のいろいろなコメントは差し控えさせていただいて、この現在の刑事捜査の進捗を見守るという段階でございます。
 それから、私どもは、この人物の関連する範囲の人物につきましても、恐らく現状この刑事捜査のやはりある意味での対象となっていると思われますので、私どもの資料は資料として、それらの進展を見定めたいと思っているところでございます。
#167
○矢田部理君 私も慎重に物を聞いているんですよ。かなり早い時期に吉沢課長のこの種不行跡については知っておったのではありませんか。検察庁が各銀行に接待者、接待状況についての報告を求め照会をする、その銀行サイドからあなだに既に情報が入っていたはずなのでありますが、相当前から知っていたのとは違いますか。二月九日ごろになってようやく新聞もそれを察知することになって、これはいかぬということで実態調査を始めたのが事の経過ではなかったのかと私は伺っておりますけれども。それが一つ。
 もう一つは、吉沢課長だけか。実態調査しているわけでありますから、相当数の人たちが日銀は接待にあずかっている。私は名簿も一部持っています。吉沢課長のかつての上司、ここで名前は特に出しませんけれども、なども随分接待を受けていたのではありませんか。
#168
○参考人(松下康雄君) 私どもは、もちろんヒアリングをいたしますときには本人の申告というものに基づきますけれども、外部の報道等の事実も踏まえてヒアリングを続けているということで、この人物に対する私どもの内部調査が進行していることは聞いておりました。ただ、報道される以前からいろいろの問題があったかどうかという点については、この報道前の、調査開始前の点につきましては私はまだ承知をしておりません。
 ただ、この私どもの調査は今申しましたような管理職全員の悉皆調査でございますから、何かこれに関連する事実がございましたならば、その全体の調査の中で把握できることになるだろうと思っております。
#169
○矢田部理君 繰り返し質問するのはなんですが、かなり前から察知して事情も聞いておったのに、検察の手が入るまでずっと押さえてきたり発表しないできたというような印象を否めないんです。
 あわせて、吉沢課長は以前は金融課の調査役などをやっておったわけでありますが、その上司も何度もその席にはべっている、あるいはまた上司が直接呼ばれているというような話も伝わってきておるのであります。だから単なる個人の不心得、行き過ぎということでやったのではなくて、そういう体質が日銀総体に温床としてあったのではないかということを私は言いたいのでありますが、そういう感触を全く持ちませんか。
#170
○参考人(松下康雄君) 業務の性質から申しまして、日常外部との接触が比較的多い性格の業務というものは、それはあると思います。ただそれは、そういう業務につく人物というものは、ほかの人以上に外部との接触に対する節度を守るべきものでございまして、その点につきましては、平素例えば組織の上司というものは業務の特性を理解しておりますから、十分把握をしていたと私は考えております。
#171
○矢田部理君 私は、監督責任だけではなくて、日銀の体質そのもの、そういう土壌をつくり出した温床があったというふうに指摘せざるを得ないのでありますが、いずれにしても、あなたは責任をとられておやめになるということですが、いつおやめになる御予定でしょうか。
#172
○参考人(松下康雄君) 私は、先ほどもお答えを申しましたけれども、私自身の監督責任というものは非常に重大であると考えておりますが、現状におきましては、この実態の解明とそれに対する対策の速やかな樹立ということに全力を挙げてまいりたいと思っております。
#173
○矢田部理君 一通りの解決ができればおやめになるというふうに受けとめてよろしゅうございますか。一通りの処置というか、対応ができればおやめになるというふうに伺ってよろしいですか。
#174
○参考人(松下康雄君) それは私のその時点におきますところの責務がどの程度まで進んできたか、それから同時に、私の責任自体はやはりその段階で改めて考えてどうであったかというようなことを総合いたしまして判断をすることであると思っております。
#175
○矢田部理君 参考人、結構でございます。御苦労さまでした。
 本来は大蔵省も少しただしたかったのでありますが、大蔵省も次々と汚職それからさまざまな過剰接待、接待汚職というような言葉まではやるようになったのでありますから、その関係者をお出しになっていると。特に、接待を受けた人のリストの調査がずっと行われていると思うんですが、それはどの程度運んでおり、いつごろ公表される見込みでしょうか。
#176
○政府委員(溝口善兵衛君) 過去に金融関係部局に在籍をしておりました職員につきまして過去五年にさかのぼりまして調査を進めております。対象者が五百五十名を超えるわけでございます。それから、他省庁に出向しているような場合とか海外にいるような者も含めてやっております。本人からのそういう過去の状況につきましてメモを出していただきまして、そのメモを服務管理官、これは各局の総務課長レベルでございますが、チェックをして、それで必要に応じましてヒアリングをするとかやっております。それから……
#177
○矢田部理君 中身はいいから、いつごろか。
#178
○政府委員(溝口善兵衛君) 現在進行中でございまして、大臣からは急いでやるようにという指示を受け、他方で内容がちゃんとしたものになるようにせよという指示を受けて、それに合致した調査を省内で進めているところでございまして、現段階でいつ処理をするかということは申し上げられる状況にまだないわけでございます。
#179
○矢田部理君 大蔵省の幹部で接待を受けた人たちの名前がずっと私の手元にあります。例えばついせんだってマスコミの報道で、ミスター大蔵省と呼ばれているほど有名な人だそうでありますが、これが総額一千万にも上る巨額の接待を受けているというような指摘もなされているのでありますが、この人、名前は肩書きと合わせていけばすぐわかる人でありますが、調査しているんですか。調査の結果、どんなふうになっているか発表できますか。
#180
○政府委員(溝口善兵衛君) 先ほど申し上げましたように、現在もしくは過去に金融関連部局におりました者は調査の対象になっておりますから、どの報道か存じませんか金融部局にいるということでございますから対象になっておるということでございますが、状況は、またそれぞれの監査官あるいは服務管理官がやっておりまして、まだ終了したということは聞いておりません。
#181
○矢田部理君 個別具体的に、一面トップで記事になるような人たちについて事実はどうであったのか、緊急に調査をして明らかにすべきではないでしょうか。
 これは法務省にも申し上げておきたいのでありますが、検察庁が東京地検特捜部を中心に各銀行に、どのくらい招待したか、幾らぐらい接待したかというようなことについて調査をずっとしてきましたね。その結果、調査のリストがあるわけです。その中で、金額の多寡とか、百万円を基準にするか二百万円にするか、収入の一割かなどという説もあるわけであります。
 それともう一つは、職務権限なり便宜供与なりという関係をどう見ていくかということでいろんな努力はされていると思うのでありますが、現場の課長補佐クラスまではいくけれども上層部にいかない。上層部は特定の業者というよりもいろんな数多く接待を受けている、だから職務権限も非常に広いものだから特定しにくいとか見定めにくいという問題はあるのかもしれませんが、先ほども指摘がありましたが、どうも検察首脳がほどほどにと言ったかどうかは知りませんが、言葉は慎重に捜査せいというのが上から流れてきている声が現場周辺から伝わってくるんですね。慎重に捜査せいというのと厳正にやれというのでは随分ニュアンスが違うのでありますが、もしかりそめにもそういうことが直接間接にあったとすれば決してよろしくない。
 だから、三月定期異動までで終わりだなどという説も実は流れるのでありますが、それはそれとして、職務権限上なかなか絞り切れない、しかし多額の、ここでいえば一千万規模の接待を受けている人たち、昔ロッキード疑獄のときに灰色高官というのがあって、実際はわいろもらっておったが時効で捜査を打ちどめにせざるを得なかったとか、職務権限のところはいま少し詰め切れなかったとかということでロッキード疑獄の灰色高官の発表問題というのが盛んにあったのでありますが、この百万、二百万の人たちが起訴されて、一千万単位の接待を受けた人たちが黙って見逃されるというようなことになると、世の中の検察に対する見立てもおさまりにくいと思うんです。
 そういう点で、少なくともそういう灰色であった人たちについては一定の基準を設けて発表すべきだと思いますが、これは法務大臣いかがでしょうか。
#182
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 検察が起訴した人につきましてはきちっと発表いたしております。起訴していない、公訴を提起されない人についてまで検察がそういうふうな処置をとるのがいいかどうかという点につきましては、私は消極に考えます。
#183
○矢田部理君 もう一点で終わりますから。
 検察庁として課長ぐらいまで多少手をつけた部分もあるわけですが、大体は現場の人たちを中心にやっている。そして上層部は免責をされる。そして、なかなか担当の大蔵省もそれからまた日銀も調査中と言って状況を明らかにしないということでは、この問題の真相解明と、さらにまたそれを前提とする倫理法の制定とかというようなことがおくれにおくれてしまうというようなこともありますので、やっぱり大蔵省の現場も、現場というか大蔵省自体もそうですし、それから法務省にもお願いしておきたいのは、やっぱり役人は、昔私も会計検査院の過剰接待問題をやったことがありますが、毎回同じことをもう二十何年繰り返している。綱紀粛正だ、通達だと言ってその場は二、三年静かになるのでありますが、必ず同じような問題が起こって同じような内容の通達が出るというようなことを繰り返したのでは、行政に対する信頼もそれから市場に対する公正さを求める人々の声も全くかき消されてしまうという点で、単なる刑事捜査だけではなしに、全体として真相を明らかにし、本格的な対策を講じるべきだと思いますが、もう一度法務大臣に答弁を求めて終わります。
#184
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 先ほど申し上げましたとおりでございます。
#185
○矢田部理君 終わります。
#186
○委員長(武田節子君) 本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後二時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト