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#1
第142回国会 法務委員会 第4号
平成十年三月十九日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十二日
    辞任         補欠選任
     大森 礼子君     牛嶋  正君
 三月十三日
    辞任         補欠選任
     牛嶋  正君     大森 礼子君
 三月十七日
    辞任         補欠選任
     高木 正明君     森田 健作君
 同日
  委員森田健作君は公職選挙法第九十条により
  退職者となった。
 三月十八日
    辞任         補欠選任
     遠藤  要君     長谷川道郎君
     千葉 景子君     小川 勝也君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         武田 節子君
    理 事
                清水嘉与子君
                依田 智治君
                大森 礼子君
                橋本  敦君
                平野 貞夫君
    委 員
                岡部 三郎君
                長尾 立子君
                長谷川道郎君
                林田悠紀夫君
                前田 勲男君
                松浦  功君
                小川 勝也君
                角田 義一君
                円 より子君
                照屋 寛徳君
                山田 俊昭君
                矢田部 理君
   国務大臣
       法 務 大 臣  下稲葉耕吉君
   政府委員
       法務大臣官房長  但木 敬一君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  山崎  潮君
       法務省刑事局長  原田 明夫君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   浜野  惺君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   堀籠 幸男君
       最高裁判所事務
       総局民事局長
       兼最高裁判所事
       務総局行政局長  石垣 君雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 恒男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○裁判所職員定員法の一部を改正する法律(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(武田節子君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十七日、高木正明君が委員を辞任されました。
 また、昨十八日、遠藤要君及び千葉景子君が委員を辞任され、その補欠として長谷川道郎君及び小川勝也君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(武田節子君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(武田節子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に大森礼子君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(武田節子君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。下稲葉法務大臣。
#6
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、下級裁判所における事件の適正迅速な処理を図るため、裁判所の職員の員数を増加しようとするものでありまして、以下その要点を申し上げます。
 第一点は、裁判官につき、判事補の員数を二十人増加しようとするものであります。これは、地方裁判所における民事訴訟事件及び民事執行法に基づく執行事件の適正迅速な処理を図るために増加しようとするものであります。
 第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数を二十一人増加しようとするものであります。これは、地方裁判所における民事訴訟事件及び民事執行法に基づく執行事件の適正迅速な処理を図るため、裁判所書記官を二百五十人増員するとともに、他方において、裁判所の事務を簡素化し、効率化すること等に伴い、裁判所事務官等を二百二十九人減員し、以上の増減を通じて、裁判官以外の裁判所の職員の員数を二十一人増加しようとするものであります。
 以上が、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
#7
○委員長(武田節子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○円より子君 民友連の円より子です。
 まず、最高裁にお伺いしたいと思いますが、私、この四年ほどずっと法務委員会に所属しておりまして、毎年この時期になりますとこの裁判所職員定員法の一部を改正する法律案というものが出されて、今まで見ておりますと、ことし二十名の増員をしたいということですが、去年も二十名、それから平成八年十五名、平成七年十二名、平成六年十名、平成五年七名というような状況になっておりますけれども、それぞれ増員をしてどういった効果があったのか教えていただきたいんです。
#9
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、昨今の民事事件の増加傾向を踏まえまして、特に平成三年以降、バブル崩壊と経済不況等の影響を受けまして、大都市部の裁判所を中心に民事事件が急増いたしまして、そういう増加傾向を踏まえまして委員今御指摘のとおり毎年裁判官の着実な増員をしているところでございます。
 今、御指摘のように、平成五年から平成九年までの過去五年間に合計六十四名の裁判官の増員をいたしました。それから、ただいま御審議いただいておりますように、平成十年度においてはさらに裁判官二十人の増員をお願いしているところでございます。
 どの程度の効果があったかということでございますけれども、例えば大変事件が急増しているというところで典型的な東京地裁の民事部の例をとりますと、一時期、裁判官一人当たりの単独事件の手持ち件数というのが二百七十から二百八十件ぐらいございまして、民事事件を担当している裁判官の負担というのはかなり重い、忙しい時期がございました。
 委員御指摘のとおり、平成五年から九年までに六十四人の増員を図ることができまして、そういった繁忙な部門に裁判官を振り向けて執務の改善を図るということができまして、現在のところといいますか、昨今は東京地裁の例でいきますと、裁判官一人当たりの民事通常事件の単独事件というのが二百四十件程度になっております。
 そういう意味では、増員していただいたおかげで数年前に比べて裁判官一人当たりの負担量というのが軽減されてきているわけでございますが、それでもなおかつ二百四十件の単独事件の手持ち件数というのはやはりまだまだ負担が重いといいますか、繁忙ということが言えると思いますので、さらに今年度、先ほど委員御指摘のように二十人の裁判官の増員をお願いしている、そういう経過でございます。
#10
○円より子君 平成五年から昨年までで六十四人ふえて、一人頭二百七十から二百八十件がようやく二百四十件になったという状況ですが、そうしますと、七人とか十人とか十二人とか、ちまちまとふやすことで五年間で何とかこのくらいにはなったけれども、少しずつふやすことの効果があるのかどうか、その辺をちょっとお聞きしたいんです。
#11
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 委員の御指摘は、恐らくある程度のタイムスパンを持って、長期的なある程度の見通しを持って計画増員をしたらいいんじゃないかという御指摘が含まれているんだと思われますが、実は、裁判所の増員と申しますのは、事件数の動向を踏まえるというのが一番でございまして、それを踏まえて御指摘のとおり何よりも適正迅速な裁判を実現する、そういう目的であることはもう間違いございません。
 そのためには、裁判運営といいますか、それから訴訟慣行とかそういうものの改善とか、それから当事者、特に弁護士さんの準備活動とか訴訟活動のあり方の見直しとか、そういう適正迅速な裁判を実現するための種々の方策が総合的に勘案されて効率的な紛争解決というのが進んでいくということになっておるわけでございます。
 ところで、事件数の動向について申し上げますと、実は御案内のとおり、裁判所に提起されます事件といいますのは民事事件だけではございませんで、刑事事件、家事事件、少年事件等々各種の事件が含まれます。それで、裁判所も国家機関の一員として各種事件の増減に応じまして各部署の人員配置を機動的に見直すということが必要でございます。
 昨今、増加傾向が特に顕著でございます民事事件の事件数の動向はそのとおりでございますが、裁判所全体といたしましては、刑事、家事、少年等の各種事件を含む全体としての事件数の動向を考える必要があるということでございまして、今後、規制緩和等の社会変化の動きを受けまして、民事紛争の解決を裁判手続に求めたいという国民の司法に対する要望はますます増大してくることが予測されるわけでありますけれども、民事事件以外の各種事件の事件数の増減につきましてはなかなか本来予測することが実は困難なところでございまして、裁判所全体の事件数の動向につきまして長期的な予測をすることは極めて国難でございます。したがって、裁判官の増員計画につきまして具体的な数値をもってお示しすることは難しい状況にあるということを御理解いただきたいというふうに思います。
 このように裁判所に提起される全事件数の動向を予測することが困難であるという状況の中で、裁判所としては、特に民事事件について昨今事件数の増加傾向が顕著であるということを視野に入れまして、継続的に委員御指摘のとおり裁判官の増員に力を注いできているところでございまして、このような立場から、平成五年から九年までに合計六十四人の裁判官の増員をし、さらに平成十年度に二十人の裁判官の増員をお願いしているということでございます。
 今後も、新民事訴訟法の施行等を契機といたしました当事者の積極的な訴訟活動の協力を得ながら増員をお願いしていくことにより、適正迅速な裁判の実現を目指していきたいというふうに考えている次第でございます。
#12
○円より子君 ただいまの御答弁を聞いておりますと、あたかも私の方が増員をするなと言っているのに対して、これだけ事件が多くなっているから増員が必要だと一生懸命おっしゃっているように聞こえるんです。そうしましたら、もっとそれこそ五年間にちまちまと分けずに六十人ぐらいぼんとふやしたいというふうにおっしゃってしかるべきなのに、何か反対の答弁をしていらっしゃるような大変おかしな形になっていると思うんです。
 裁判官、検事、弁護士など、いわゆる法曹の数が極端に少ないということはもう随分前から指摘されております。欧米諸国の法曹人口に比べても随分少ないと思うんですが、今我が国の法曹人口というのは十分だと思っていらっしゃいますか、ちょっと各国の人口と比べて教えていただきたいんです。
#13
○政府委員(山崎潮君) 法務省の方からお答え申し上げます。
 我が国の法曹人口の問題でございますけれども、平成九年四月一日現在で申し上げますけれども、裁判官につきましては、簡易裁判所の判事も含めまして言いますと、その定員は二千八百九十九でございます。それから、検察官につきましては、副検事も含めて申し上げますと、その定員は二千百六十一でございます。弁護士が一万六千三百九十八人でございます。この総計をいたしますと、約二万一千五百という数字になります。このうち法曹資格を有する者の合計ということになりますと、約一万九千七百という状況でございます。
 それから、引き続きちょっと世界との関係で申し上げます。最近の世界各国の法曹人口の問題でございますけれども、これは数字がなかなか正確につかめないところもあります。ですから、必ずしも同一時期の比較というより若干の幅がございますが、それはお許しをいただきたいと思います。
 まず、アメリカでございますけれども、約九十三万七千人ということでございます。それからイギリスが七万九千人、ドイツが約十一万三千人、フランスが約三万五千人でございます。これを法曹一人当たりの国民数という形で割り出しますと、アメリカが約二百九十人、イギリスが約六百六十人、ドイツが約七百二十人、フランスが約千六百四十人でございます。
 それに対しまして、我が国の法曹一人当たりの国民数ということになりますと、約六千三百八十人ということになります。
#14
○円より子君 今おっしゃってくださったとおり、アメリカの法曹人口は九十三万六千九百余人ですが、そういうことを見ますと、これはもう別格としても、とにかく日本の場合、法曹一人当たりの人口というのがもうお話にならないほど人口の方が多くて法曹人口が少ないという形になっておりますけれども、こういった形で本当に頼りになる司法ということができるのかどうかということがあると思うんです。
 この間、法務大臣も所信表明の中で、「近年の社会の急激な変化に伴い、さまざまの紛争、違法行為に対し、法に基づいて適正迅速に対応していく必要性は極めて高くなっております。」とおっしゃって、そして、「司法がこのような社会の要請にこたえていくためには、これを担うに足りる資質と能力を備えた法曹を十分に確保する必要があると思います。」とおっしゃっていらっしゃる。
 それで、法曹人口の少なさともう一つ司法予算との関係なんですが、大臣にお聞きしたいのですが、司法予算というのはここ数年、国家予算に占める割合というのは変わっているんでしょうか、それともほとんどずっと一緒なんでしょうか。多分これ間違いでなければ、確かめていただきたいのですが、一応国家予算の〇・四%台というふうに聞いておりますけれども、これでよろしいですか、まずそこのところを。
#15
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 大体そのような数字だと理解いたしております。
#16
○円より子君 これは司法予算といえどももちろん国民の税金でございますし、それから今は大変な赤字財政の中でございますから、常に〇・四%台をずっと保っているということは褒めてさしあげたいぐらいの抑制力ではないかと思うんです。
 ただ、こういった司法予算の少なさが本当にその機能がきちんと効果的に働いているのかということになりますと、どうもそうとは言えないと。国家予算の少なさ、そして法曹人口の少なさ、そういったことすべてが日本の司法を国際的にも時代おくれにしてしまっているのではないかというような御意見が随分あちらこちらから出ております。
 大臣として、例えばこの国家予算をもう少しふやしたいとか、法曹人口はこんなに十人とか二十人ずつのふやし方でいいのかどうか、それで十分と思っていらっしゃるのか。行政改革でだんだん規制緩和がされてきますと、自己責任というものが本当に大きくなってまいりますと、ますます司法の役割というのが大きくなると思うんですが、そのあたりを考えますと、これで十分と思っていらっしゃるのかどうか、その辺の御意見をお聞かせ願えますでしょうか。
#17
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 所信でも申し上げましたように、国際化が進み、規制緩和が進み、それから事前チェックよりも事後チェック、自己責任というふうな時代に進みます。そうしますと、好むと好まざるとにかかわらず私は司法の果たす役割というのは重くなると思います。
 それで、そういうふうな将来を展望いたしまして体制を強化しなくちゃならないということは当然私ども十分認識し、またそのようにやらなくちゃならない、このように思います。したがいまして、人員の問題、予算の問題、これは当然その増強なり増額を私どもも努力しなくちゃならない、このように思います。
 政府は行政改革を進めておりますけれども、やはり司法の強化につきましては、総理の所信の中でも最後に触れられておりますとおりに、政府としても協力してまいりますということを総理の所信の中でも言われているとおりでございます。私どもも最高裁と十分連絡をとりながら、最高裁のそういうふうな御要望に対しまして御協力してまいりたい、このように思います。
#18
○円より子君 法務大臣もそのようにおっしゃっておりますし、これは元最高裁の長官でいらっしゃる矢口洪一さんがお書きになっているものですけれども、現在の倍の法曹人口の四万人は必要ではないかというふうにもおっしゃっているんです。最高裁、いかがですか、二十人なんという増員じゃなくてもっとばんとふやしたいという御要望をお出しになりませんか。
#19
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 先ほども御説明させていただきましたように、裁判所といたしましては、事件の動向との兼ね合いを踏まえませんで単に何人とか何倍とかということを申し上げることができませんので、裁判所全体の事件数の動向を踏まえるということから離れることができないわけでございます。
 それでもなおかつ最近の民事事件の顕著な増加傾向というのに着目させていただきまして、例えば、先生御指摘の過去平成五年から九年までの六十四人の裁判官増員の約三分の一の二十人を平成十年度にお願いしている、こういうことで御理解いただければというふうにお願いします。
#20
○円より子君 それで、今度の増員、平成五年からずっと判事補の増員でございますけれども、判事補の方が判事として一人前というとおかしいですが、判事としての仕事をなさるのに大体何年かかるんでしょうか。
#21
○最高裁判所長官代理者(堀籠幸男君) 裁判所法では、判事補を十年しますと判事になるということになっております。
 ただ、判事補の職権特例法という法律がございまして、最高裁判所が指名する判事補につきましては五年たった段階で判事補としての職権の制限がなくなる、すなわち判事と同じ権限を行使することができる、こういうふうになっているところでございます。
#22
○円より子君 五年でというケースもあるようですが、なかなか判事の方は、もちろん定員が決まっておりますが、ふえない。そうしますと、判事補がだんだんふえてきて、十年ほどたてば判事の定員を変えるということにもなるんでしょうが、現実にはこの判事補の制度は廃止すべきだという御意見もあるように聞いております。
 それで、先ほど各国の法曹人口の比較を言っていただきましたけれども、もちろん大変な日本との格差というのは裁判官についての考え方の違いからきているということはわかるんです。英米の場合は、法曹の中のすぐれた先輩が裁判官になるという法曹一元の考え方に立っておりますから、それですと、紛争はまず国民の最も身近にいる弁護士さんの間で解決がされて、そして当事者の間でけりがつかないものだけが裁判に持ち込まれますから、裁判官の数は英米のように少なくてもいい。そこよりも日本はずっと少ないからおかしいんです。
 この法曹一元という制度は、例えば我が国の憲法では裁判官というのは独立して職権を行うというふうになっていると思うんですが、そうしますと、判事補というのは一人で裁判をできないということになっているわけですから、憲法と矛盾するのではないんでしょうか。
#23
○政府委員(山崎潮君) ただいまの御指摘でございますけれども、裁判所法におきましては、現行の憲法のもとにおける裁判官の職責の重要性等にかんがみまして、法曹としての経験が少ない判事補につきましては原則として一人で裁判をすることができないというふうに定めているわけでございます。
 そこで、今御指摘のように、判事補は原則として合議体の構成員、その裁判官として職務を行っているわけでございます。ただその職権は、合議体の他の構成員、これは判事でございますけれども、その構成員と全く同様に行使できるわけでございまして、また良心に従ってかつ独立して行使をしているということになるわけでございますので、その面ではやはり憲法の趣旨には全く反しないというふうに考えているところでございます。
#24
○円より子君 今おっしゃったことは合議体ですからというお話ですが、合議体の中には必ず判事がいるわけで、判事の数がふえない限りはやはり裁判官の負担というものがなかなか解消されないということになって、例えば先ほど最高裁の方から民事訴訟等の数がふえていることもお話がありましたけれども、これは二十年前の一・五倍ぐらいふえていると。ところが、二十年前の裁判官の数と今とを比べれば、裁判官の数はたかだか七%しかふえていない。
 そういうことで、ちまたでは企業等では本来和解じゃなくてきちんと争いたい、それだったら勝つと思われるようなケースでも和解を強要されるような形になっているという不満を随分聞いておりますけれども、こういった件についてはどう対処しようとなさっているんでしょうか。
#25
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 先ほど来も委員の御指摘についてお話しいたしましたけれども、大都市部を中心に民事事件が増加しておりまして、東京地裁の例で言いますと、単独事件の手持ち件数が一時二百七、八十件のところが今二百四十件程度になっていると。それも確かにまだまだ負担が重いというふうに私ども認識しておりまして、そういう点を十分に勘案いたしまして、今後も事件の動向を踏まえて着実な裁判官の増員確保をお願いしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
 そういう流れの中で、平成十年度につきましては二十人の裁判官の増員をお願いいたすということでございまして、これが実現いたしますと、増員をしていただいたエネルギーをやはり大都市の繁忙部門に振り向けることができまして、今申し上げているような繁忙を軽減することができるというふうに考えている次第でございます。
#26
○円より子君 最高裁の方も一生懸命何とか機能的に迅速に、そしてまた裁判官個々の負担がふえないように、またふえることによって国民の司法を受ける権利を脅かさないように一生懸命努めていらっしゃるのはわかるんですけれども、何か主客逆転といいますか、こちらが本来は必死になって減らそうというのをそちらではふやしてくれとおっしゃるのが反対になっているような気がして、いつもこの裁判所職員定員法を改正するときには不思議でならないんです。現場の裁判官の方々の意見が本当に反映されているのかどうか、増加の点で。
 それからまた、どうもピラミッド形で、裁判官自身も何か行政官みたいになってしまっているというような非難もあったり、いろいろありまして、本当の意味で国民に司法への信頼を取り戻すというか、持ってもらうためにはもっといろいろな改革が必要なんじゃないかと思うんです。
 そのときに、常に法曹三者での議論がよくなされていますけれども、私など本当に素人で、法務委員会にいるのも時々肩身の狭い思いをすることがございますけれども、もちろん専門家の意見というのは大事だと思いますが、本当はそういう中に余り専門家でない人たちで裁判の制度とか、そういうものを考える必要性というのがあるんじゃないかということを常々感じております。ぜひともそういった場をつくって、ますます質を高め、増員をし、司法改革を国際的にもおくれないような形で進めていっていただきたいと思いますので、最後に法務大臣からももう一度、予算を獲得することと、それから増員をすること、そのあたりについてぜひ御意見をお述べいただきたいと思います。
#27
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 率直に申し上げまして、今国民と司法との間に相当遠いものを感じているんじゃないかと思うんでするるお話しいたしておりますように、もう好むと好まざるとにかかわらず世の中が進み、司法のニーズがふえるわけでございますから、これをもっと身近に感ずるような司法の体制というものをつくらなくちゃいけない。
 そういたしますと、例えば弁護士さんにいたしましても大都市に集中しておられますね。地方でいろいろな民事的な問題が起きてきたような場合に、果たして身近なところにそういうような形で相談できるような方たちがおられるのかどうか、この辺のところも大変問題だと思うんです。
 裁判官の問題は最高裁を中心としていろいろお考えいただいておるようですけれども、私といたしましては、今回も司法修習生の増員を前提といたしまして、裁判所法の改正ですとか、あるいは司法試験制度の改正等の法案をお願いいたしておりますが、そういうふうな全体の枠の中で、例えば七百名から千名にした場合に、千名でいいのか、もっと将来ふやすことを考えぬといかぬのではないかと、一応視野には入れておるわけです。そういうような形で体制の整備というのを図りたいと思います。
 それから、おっしゃるようにやはり予算面も当然付随してくるわけでございます。財政的にも大変厳しい状態ではございますけれども、そこはやはり必要なものには適切に対処していただくというふうなことで、私どもも頑張ってまいりたい、このように思います。
#28
○円より子君 終わります。
#29
○大森礼子君 公明の大森礼子です。
 今回の法案が通りますと、裁判官の定員は二十名増加することになります。これは判事補ですから、新しい司法研修所を卒業してそれで裁判官になられる方が従来よりも二十名ふえることになおんだろうと思います。
 この二十名の根拠なんですけれども、これはいろんな将来のビジョンに基づいて、迅速な裁判とか、これを実現するために当面これだけあればこういうふうに改善するだろうということで決まった人数なのか、それとも司法研修所を卒業する修習生の裁判官希望者との関係で大体このぐらいに落ちついたのか、このあたりはいかがでしょうか。
#30
○政府委員(山崎潮君) 裁判官を二十人増加するという点につきましては、昨今民事事件が大変ふえておりますし、かつまた内容的にも非常に難しいものが多くなっているということでございますので、こういうものに対しまして適正迅速に対処をするという観点から行われたわけでございます。その中で、とりわけやはりことしの一月一日から施行されております新民事訴訟法でございますけれども、これは従来の五月雨方式の審理から集中審理方式に変えていくという大きな転換でございますけれども、この趣旨にのっとって民事訴訟事件の審理を充実させるという観点から行われたわけでございまして、その辺に重点があるということでございます。
#31
○大森礼子君 民事の方の訴訟促進、民事の方を充実させるということから二十名ということなんですけれども、そうすると刑事の方はどうなのかなという疑問も生ずるわけです。毎年毎年この定員につきましては、司法の器といいますか、使い勝手のいい司法、迅速な裁判を実現するための司法というものを実現していかなきゃいけないのじゃないかという観点から質問がされるわけです。
 例えば、平成八年三月二十八日の法務委員会でも次のような質問をされた委員がいらっしゃるわけです。「十年とか二十年後の日本の裁判所はこうなるんだというはっきりとした方向性を出していただくということも、将来の日本の民主主義あるいは司法部のために、もうそろそろそういったことをやっていただかなければならない時期じゃないか」ということで、こういう質問をしておられるわけです。私もこの後の委員会だと思いますが、同じような将来の司法のビジョンといいますか、これをなぜ示せないのでしょうかという質問をしたことがございます。
 そのときの大体の御返事は、お答えいただければいいのですが、例えば次のようになるんだろうと思いますので言いますが、平成八年三月二十八日の先ほどの委員に対する答弁、最高裁判所長官代理者、涌井さんですか、不確定な要素があるというんですね、五年とか十年というような周期で見ますと、何万件かの単位で大幅に増減するようなことがあるので、そういう状況を将来にわたって的確に予測するということが非常に難しいと。これはきょうの御答弁の中にもございました。
 それから、事件の処理期間を短くするということで、その決定する要素というのは必ずしも裁判官の数だけではございませんと、こういう答弁もあります。そうだったとしても、まず裁判官がふえれば確実に減るだろうということもまた言えるわけなんです。
 それからもう一つは、修習生の中から本当に裁判官になってくれる、そういう適格性、資質を持った方をどの程度採用できるか時こういう問題がございますと、こういう御答弁なんですね。これを言っておりましたら、いつまでたっても将来の明るい司法のビジョンというのが見えてこないわけなんです。
 これは、この答弁をずっと維持されるお気持ちなのかどうか、あるいはこのままではいけないから日本の司法のビジョンについてこういうふうに考えるというお考えがあるのかどうか、このあたりをお聞かせいただけますでしょうか。
#32
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 委員御指摘のとおり、裁判官の増員を考えるに当たりましては、長期的な見通しが重要であるということは私どもも認識しておりまして、御指摘のとおりでございますが、先ほど来委員も御指摘のとおり、訴訟の運営と申しますのは、裁判官の増員に限らず、特に民事訴訟法といいますのは当事者主義でございますので、新民事訴訟法が施行されまして特に弁護士さん方の当事者の準備活動や積極的な訴訟活動というものが期待されておりまして、これが実は迅速な裁判を実現する原動力になっているということでございます。
 私どもといたしましては、民事訴訟に限りましては、そういう新民事訴訟法の運営を弁護士さん方の御協力を得ながら定着をさせていくということと同時に、顕著な最近の民事事件の増加傾向を踏まえて増員をお願いしていくという考えでございます。
 ただ、先ほど来御指摘のように、裁判所全体の事件数の動向といいますのは、民事事件が特に増加いたしましても他の事件との関係で増減があるわけでございまして、そこのところは大変事件数としては予測しがたいというところがございます。ただ、私どもといたしましては、そういう予測しがたいという状況の中で、なおかつ民事事件の増加に着目させていただいて、これについて過去平成五年から九年までに六十四名の裁判官の増員をお願いいたしましたのですが、その合計の三分の一の裁判官を十年度にお願いしているということでございます。
 それで、単年度に二十人の裁判官の増員をお願いするといいますのは、端的に比喩的に規模で申しますと、横浜地裁本庁あるいは名古屋地裁本庁の民事部の裁判所をそっくりそのまま新設するという相当程度の規模の増員のお願いであるということでございます。
 ただ、そうは申しましても、委員御指摘のとおり、昨今の社会情勢の変化、特に経済活動の国際化あるいは規制緩和等の状況を踏まえまして、今後種々の法的紛争を早期に合理的に解決する必要がある、それを裁判手続に求めたい、公正、透明な手続による紛争解決をしたいという国民の司法に対する要望というものはますます増大するだろうということは予想されるところでございまして、裁判所といたしましても、このような司法に対する国民の期待に的確にこたえられるように人的体制及び物的体制を整備していく必要があるだろうというふうに考えておりますし、さらに適正迅速な裁判に加えまして、国民の利用しやすい裁判を実現するという観点からも、今後とも事件数の動向を踏まえながら着実に増員を継続的にお願いしていきたいというふうに考えている次第でございます。
#33
○大森礼子君 いつもこの裁判官の増員とかの問題になりますと、事件の動向、数になるんでしょうか、これが予測しがたいと。これはもう言ってみればそうだろうと思うんですね。民事につきましては、例えば今おっしゃいましたように経済活動の国際化、規制緩和とか金融ビッグバンとかによってふえるということはわかります。どのくらいふえるだろうか、これも多少予測がつくのかもしれません。しかし、刑事事件につきましては、いつ犯罪を起こすか、例えば五年後に起こすか、これはもう非常に予測しがたいことがあるんだろうと思います。
 ですから、事件の数の動向が予測しがたいということはわかるんですけれども、予測が不可能であれば、それは不可能とした上で、そこのところは大ざっぱに考えて、あと考えるべくは、国民の利用しやすい裁判をどう実現するかということだと思うんですね。事件数だけを動く要素とするんでしたら、確定した要素がある。それは何かというと、もしかしたら、まあ民事事件でこの程度だったら一年かかってもしようがないじゃないかみたいなお考えがあるのかなという気もするわけです。
 それで、実は私、前ちょっと弁護士の仕事をしておりまして、遺産分割の調停、家事ですね、家庭裁判所の方からこれをちょっと受けたわけですが、その後選挙等がありましてはかの方にお渡しいたしました。その依頼者の方にこの前会いまして、あの件はどうなりましたかと私が聞きましたら、いやいやまだまだやっていますよ、いや先生、こんなに長くかかってもううんざりですわと、こういうふうにおっしゃるわけですね。これは家裁の方になりますけれども、調停という形ですが。
 それで、そのときに何かこちらが責められるような感じがしたもので、私も思わず、だから言ったでしょう、時間がかかるというふうに、と言ったんですけれども、考えてみればこの会話もいかにも不自然だなという気がするわけなんです。
 それで、事件数とおっしゃいますが、それも要素だと思います。しかしながら、例えばこれまで通常一年かかるのが、人員が多くなって半年で済めばこれは国民も喜びます、法的安定性というのは早くでき上がった方がいいわけですから。刑事事件につきましては、例えば大体これくらいの事案ですと一年かかるというものがあって、これが半年で終わる。これは迅速な裁判に資しますし、裁判の迅速性というのは、即国民の人権にも関係してくるわけですね。だから、私かつて委員会で申したと思うんですけれども、この裁判、司法という分野につきましては人員が、裁判官が余るということはないのではないか。その分早い裁判というものが実現すれば、それ自体価値を生み出すわけですから、ほかの行政と同じように考える必要はないのではないかということを申し上げました。
 毎回毎回聞きましても、もうお答えがいつも事件数とか何とかでとおっしゃるんですけれども、もう少し、今御答弁ありましたように国民の利用しやすい裁判ということを本当に真剣に考えていただきたいと思うんです。
 今、国民の間では、裁判はもうちょっと面倒くさいな、時間がかかりますでしょうといって、もうなるべく裁判所へ行きたくない。そうではなくて、やはり使い勝手のいい裁判、何か紛争があったときに、それを聞いた人が、ああそれだったら裁判所へ行ってやってもらいましょうよ、すぐ片づきますよみたいに、公平に解決してもらいましょうよ、こういう会話が出てくるような司法を実現しなくてはいけないのではないのかなと思うんです。
 これに対して、何かちょっと答弁を求めなきゃいけませんか。私はこう思うんですけれども、裁判所の方はいかがお考えでしょうか。
#34
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) まさに先生の御指摘のとおりでございまして、重ねて申し上げますけれども、私どもも適正迅速な裁判の実現を当然目指しながら、なおかつ並行して国民の利用しやすい裁判を実現する、そういう観点から今後とも人的体制及び物的体制を整備していくということに努めてまいりたい、かように存じております。
#35
○大森礼子君 努力目標というようなるべくビジョンというのを何か示していただきたいなという気がいたします。
 次の質問に移ります。
 先ほど来、法務大臣の御答弁の中でも、これからは自己決定、自己責任の時代になってくるということをおっしゃいました。それから、先ほどの最高裁の御答弁でも、経済活動の国際化とか規制緩和とか、それに伴って事件がふえていく、こういうこともお述べになりました。日本は金融ビッグバンとか、こういう時代になりまして競争原理が働くと、自己責任ですから争いがあればこれを訴訟の場で解決するという場面がふえると思うわけです。こういう時代をこれから迎えていくわけなんですけれども、裁判官と申しましてもやはり人の子ですからすべての事案に精通するということもないだろうと思うんです。
 それで、これから金融ビッグバンとか規制緩和とか、こういう時代を迎えまして非常に経済分野等における金融とか、こういう知識が必要になってくるのだろうなと思います。そういう時代を迎えるに当たって、裁判官の専門的知識の付与とか、あるいは視野を広げるためにどういうふうな体制をとっていかれるのか。あるいは特別な研修とかを予定しておられるのか。できましたら、事務官もそういう知識が必要になると思いますので、あわせて質問させていただきます。
#36
○最高裁判所長官代理者(堀籠幸男君) 委員御指摘のとおり、私どもといたしましても、金融ビッグバンを迎え、複雑化する現代の社会の要請にこたえ、適正な裁判を行っていくためには、裁判官各自が経済問題を初めといたします社会の実情一般に広く通じ、広い視野と高い見識を身につけるよう努力していく必要があると考えているところでございます。そのような自己研さんの一助とするために、裁判所といたしましてはかねてから裁判官の研修制度の充実に努めているところでございます。
 例えば、裁判所外の世界で生きた社会現象に接し、裁判所を外から見る機会を与えるために、比較的若い裁判官を中心に報道機関でありますとか民間企業等において研修を行い、あるいは行政官庁に出向させているところでございます。また、裁判官が日本を出て異なる文化に接し、多角的に日本の裁判のあり方を見つめ直す機会を持つことも極めて有益でありまして、毎年多くの裁判官を海外に派遣しているところでございます。
 また、裁判官の能力の向上のために、従来から任官後の節目節目に司法研修所において実務と理論の両面における能力の向上及び裁判官に求められるもろもろの知識の取得を目的とする一貫した合同の実務研究の機会を設けているほかに、適宜研究会を開催いたしまして、法律以外の問題に関して、例えば日本経済の実情でありますとか東南アジアの経済問題、世界経済問題といった社会一般の問題に関し勉強の機会を設けたりしているところでございます。さらに、各庁におきましても定期的に外部講師を招くなどして、関連諸科学の研究、裁判実務に有用な知識の吸収等の機会を設けているところでございます。
 今後とも、裁判官の視野を広げ、見識を高めるために、委員御指摘の点を踏まえまして経済や社会の実情に対する認識を深めることができるようさまざまな措置を講じてまいりたいと考えているところでございます。
 また、書記官に対しましても、専門的な知識を付与し、実務能力の向上を図るため、各種の研修を実施しているところでございます。
#37
○大森礼子君 ほかにも通告しておりましたが、時間の関係で最後に法務大臣にお尋ねいたします。
 先ほど円委員の質問に対して法務大臣から、今の時代状況、これからの時代状況を考えると司法の体制を強化すべきと、人員、予算とも努力しなければならないという御答弁をいただきました。それで、私、実は今回毎年毎年のこの定員法についての法務大臣の答弁を全部ピックアップして比較対照したらどういうふうに違いが出てくるかななんて、やろうと思いながらちょっとやれなかったんですけれども、努力しますというのは毎回多分おっしゃっていることなんだろうなという気もするんです。
 それで、財政構造改革と言われて、国の経費を一律カットするという発想もあるわけなんですけれども、やはり縮減してよい分野とそれから充実すべき分野とについては分けて考えるべきだろうと思います。先ほど総理の司法についての行政改革に対する考え方をちょっと教えていただいたわけですけれども、特に司法というのはどんどん充実させていくべき分野であろうと思います。
 それから、今の国民の政治批判の中身というのは、お金とか利権とか、これが優先する政治になっているということで、これを何とかやはり人権優先、あるいは金とか利権の逆といいますと社会正義というんでしょうか、これを実現できるような社会にしなくてはいけない、こういう願望を持っているわけであります。そうしますと、日本が健全な民主主義国家となるためには司法の役割というのが大きくなるだろうというふうに私は思います。
 また、情報公開とかなされますと、行政の処分等についてまた司法の方へ国民が訴えて不正を追及する、こういう形にもなるんだろうと思います。公正、公平な手続でその責任が国民の前に迅速に明らかにされる、これがあるべき法治国家の姿かなという気がいたします。
 ですから、これからの時代状況も踏まえまして、こういう使い勝手云々ではなくて、本当に社会正義と人権とが確実に保障されるというか、こういうステージ――ステージと言ったらいけませんね、何かオウム教みたいになりますから、そういう時代を実現するための準備作業というものを急いでやらなくてはいけないんだろうと思うわけなんですが、この点について法務大臣のお考えを最後にお聞きして、質問を終わります。
#38
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 今、委員の御指摘の点は私も全く同感でございます。法務大臣の職責に今ついているわけでございますが、当委員会には私も長うございまして、そちらの方で先生が今おっしゃったようなことを毎回法務当局に質問していた記憶が実はあるわけでございます。
 今、法務行政の責任者でございます。おっしゃることはもう本当によくわかります。このままでいいかどうかということも、今までの状態で十分でないということもよく認識いたしております。そして、法律を提案するのは政府でございます。最高裁とも十分連絡をとり、そして相談をし、皆様方の御期待にいかにこたえられるか、本当に激励していただいているわけでございますから、それにこたえられるように、努力すると言うとあれでございますが、一生懸命やってまいります。
#39
○照屋寛徳君 社会民主党・護憲連合の照屋寛徳でございます。
 私は、本法律案には全面的に賛成をするものでありますが、幾つかの点について質問をさせていただきたいと思います。
 裁判官並びに裁判所職員の定員を考える上で、私は、法曹一元制度の意義について最高裁も法務省もぜひ真剣にお考えの上取り組んでいただきたい、こう思うのでありますが、御案内のように、法曹一元制度は裁判官任用制度の一形態であります。私は、この司法権の民主的な基盤の強化、さらには司法に対する国民の信頼の確立、法の支配を徹底させるためには法曹一元制度の実現というのは非常に重要な課題であるというふうに考えております。
 申し上げるまでもなく、裁判官の任用資格に弁護士または弁護士を中心とする他の法律家としての職務経験を要求せず、当初から裁判官として採用し教育していく現行のキャリアシステムに対して、弁護士または弁護士を中心とする他の法律家としての職務経験を持つことを要求するシステム、これがいわゆる法曹一元制度であります。
 最高裁判所並びに法務省、この法曹一元制度について現段階でどのようなお考えを持っておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
#40
○最高裁判所長官代理者(堀籠幸男君) いわゆる法曹一元制度は、昭和三十九年の臨時司法制度調査会の意見書にもございますように、我が国においても一つの望ましい制度であるというふうに考えられるところでございますが、その制度が実現されるための諸条件、環境がいまだ整備されていないという認識に立っているところでございます。
 このような状況のもとでは、キャリアシステムを原則としつつも、法曹一元の長所を念頭に置いた現行制度の改善を図る方策を採用しているところでございます。具体的には弁護士からの任官制度がその一つでありまして、弁護士としての実務経験を裁判実務の上で大いに役立たせ、生え抜きの裁判官に刺激を与えるものでございまして、裁判所の活性化にも役立っております。今後とも、多数の優秀な弁護士が社会的経験を積んで任官することを歓迎していきたいと考えているところでございます。
#41
○政府委員(山崎潮君) ただいま最高裁の方から答弁ございましたけれども、臨時司法制度調査会、この点の考え方については私どもの認識は最高裁と一緒でございます。その結論としては、将来の一つの望ましい制度という位置づけでございますが、その実現のためにさまざまな諸条件が必要であるという結論だったように理解しております。その諸条件につきまして、現段階でもまだすべてそれがクリアできている状況にないという認識は変わっておりません。
 ただ、今最高裁からも御指摘がございましたが、私ども、法曹一元の制度の趣旨は、やはり裁判官が広く社会あるいは国民の実相に触れて、常識的な判断ができるようにという観点からの一つの方策であるというふうに理解しておりまして、法曹一元そのものではなくても、先ほど最高裁の方から答弁がございましたように、なるべく社会の実相に触れる、そういうような方策を種々講じているところでございます。私どもはその推移をもう少し見守りたいというふうに思っております。
 ただ、この制度につきましていろいろ御指摘があることも十分承知しております。ですから、これからの司法のあるべき姿の一つについての考え方であるということは受けとめております。また、この臨時司法制度調査会で検討されました考え方で参考とすべきものは大いに参考としたいということで、今後とも必要な議論はきちっとしていきたいという認識でございます。
#42
○照屋寛徳君 法曹一元制度の私の質問に対する答弁の中で、最高裁判所の方から、いわゆる弁護士任官制度についても若干お触れになっておられました。弁護士任官制度は、一九九一年に日弁連が提起をし、最高裁がそれに応ずるという形で実現をしたというふうに伺っております。この弁護士から裁判官に採用されたというか任官をした数について、まずお教えいただきたいと思います。
#43
○最高裁判所長官代理者(堀籠幸男君) いわゆる弁護士任官制度というのが設けられました昭和六十三年以降、現在まで弁護士から裁判官に任官した人の総数は四十名でございます。
#44
○照屋寛徳君 検察官から裁判官に任官した数もおわかりでしたらお教えいただきたいと思います。
#45
○最高裁判所長官代理者(堀籠幸男君) 突然の御質問でありまして、手持ちに資料がございませんので、お許しいただきたいと思います。
#46
○照屋寛徳君 数はわかりましたが、現実に弁護士が裁判官への任官に応募する手順というんでしょうか、応募から採用までの手順というのはどういうふうになっておりますか。
#47
○最高裁判所長官代理者(堀籠幸男君) 裁判官に任官を希望される弁護士の方が弁護士会に申し出て、弁護士会から各地裁家裁を通じて高裁、それから最高裁に来るというのが手続になっているというふうに認識しております。
#48
○照屋寛徳君 日本弁護士連合会が新しい民事訴訟法の施行に伴ういわゆる少額事件対策として、弁護士から非常勤裁判官を採用すべしという非常勤裁判官制度の導入を提起いたしておるようでございます。
 イギリスでは、その非常勤裁判官が裁判官登用の道筋ともなっているようでありますが、もとよりイギリスと我が国司法制度は全く同じわけじゃありませんので、イギリスと同じようにというわけにはいかないかもしれません。
 そこでお伺いするのでありますが、この日弁連が提起をいたしております弁護士からの非常勤裁判官制度の導入について、現在どのような検討がなされているのか、あるいはまたどのような問題点があると御認識をされておるのか、最高裁にお伺いをして、私の質問を終わります。
#49
○最高裁判所長官代理者(堀籠幸男君) いわゆる非常勤裁判官制度につきましては、一つは憲法上の問題を慎重に検討しなければならないというふうに私どもは考えておるところでございます。
 すなわち、憲法では裁判官の身分保障、任期、定年それから報酬等の規定が定められているわけでありまして、とりわけ憲法では「裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。」ことになっておりまして、この憲法の規定というのは裁判官が他の収入を当てにすることなく職務に専念することを保障しているということになりますと、憲法自体フルタイムの裁判官を想定しているのではないだろうかと考えられるところでございまして、非常勤裁判官制度を導入するということになりますと、この憲法との関係をどう考えるかということ、私どもはまだ慎重に検討していかなきゃならないんじゃないかという点が第一点でございます。
 それからもう一つは、一方の当事者のために活動されている方がその合間合間に裁判をやるということが一般の国民の皆さんの理解と信頼を得られるかという点についての検討も必要になってくるのではないか。これらの点について慎重に検討しない限り、前向きに進むことは難しいのではないかと考えているところでございます。
#50
○橋本敦君 この定員法の改正について、私の方はもちろん賛成でございます。
 今、言うまでもありませんけれども、官庁の中の官庁と言われる大蔵省にまで汚職が広がり、日銀にまで汚職が広がるという事態になっております。かつてロッキード事件が裁判で重要な課題になったときに、その事件を担当した半谷裁判官が一世は乱れ政治は乱れても、まさに司法が健全である限り法と正義を守る日本の未来に希望はあるという趣旨の高い格調の判決をされました。
 今日のこういった事態について、裁判所としてあるいは裁判官としてそういった憲法を守り正義を守る気概というのが今本当に大事ではないかと思いますが、御見解ございますか。最高裁、いかがですか。
#51
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 裁判所といたしましては、特に昨今の経済情勢の変化に伴いまして、民事系統の事件を中心に紛争解決を求める国民の声が増大してまいりまして、やはり裁判所における公正かつ明哲な手続によって真相を把握し、的確あるいは法律に従った合理的な解決を求める、そういう要望がますます今後強くなっていくだろうというふうに思われます。
 民事事件以外にも、御案内のとおり、刑事事件につきましても家事事件につきましてもあるいは少年事件につきましても同様でございまして、やはり社会正義の実現と国民の権利の救済ということについて、委員今御指摘のような社会情勢も踏まえまして、ますます司法に対する国民の要望というのは強まってくるだろうということは私どもも十分認識しているところでございます。そういう背景を踏まえまして、今申し上げましたような司法の紛争解決機能が十分に発揮できるような人的及び物的体制の整備に今後とも努めてまいりたい、かように存じている次第でございます。
#52
○橋本敦君 そういった観点からしますと、私は今回の増員だけでは足りないと思っておりますが、その問題はまたこれからも議論していただきたいと思います。
 ところで、法務大臣も所信表明の中で、今日の汚職、腐敗については厳正な法の適用によって解明をするという決意を表明されました。私はそのことを高く期待しておるのでありますが、それに関連をして今起こっている問題について、さらに踏み込んだ捜査をお願いしたいということで刑事局長にも来ていただきました。
 まず、刑事局長に伺いますけれども、問題になっております一つの事件としては、金融機関関係者の叙勲問題に関連をして供応接待があったのではないかということが広く報道されております。
 これは端的に言って杉井孝大臣官房審議官の問題であることはもう明白になっておるのでありますが、一般論として各金融関係者の叙勲について大蔵省の担当官房に対して申請があり、内閣の賞勲局の方にそれが受賞候補として挙げられていくという手続を考えますと、その衝に当たる大臣官房審議官が叙勲を得たいあるいはいい叙勲を得たいというそのことを目的として供応接待をするということに関与するとなれば、これは私はまさに刑法上の贈収賄罪に該当する、そういう事案になる問題だというように認識せざるを得ないと思うのですが、刑事局長として一般的な御見解はいかがですか。
#53
○政府委員(原田明夫君) 一般論ということでお尋ねでございますが、やはり刑事事件につきましては、具体的な証拠関係に基づきまして、どのような法令上の評価ができるかということが厳格に告げられなければならないと考えるのでございます。一般論といたしましても、法務当局の立場である一定の事実を想定してその擬律について評価をするということにつきましては、やはり差し控えるべきであろうと考えるのでございます。
 ただ、委員御指摘のような報道がなされていることは私自身も承知しているわけでございますけれども、検察官といたしましては過去のさまざまな事例につきましてあらゆる観点からできるだけの証拠に基づく捜査をいたしまして、そして必要な法律上の適用の有無につきまして判断を適正にするものと考えておりますので、その点で御理解賜ればと存ずる次第でございます。
#54
○橋本敦君 この杉井氏は、平成四年六月から、つまり九二年六月から九五年の六月まで大臣官房秘書課長をしておりまして、そのときに今私が指摘をした叙勲に関する仕事を担当しておったというのが、これはもう客観的に明白であります。
 報道されているところで客観的に明らかなのは、九四年の春に三和銀行元会長の川勝堅二氏、九五年秋に日興証券元会長の梅村正司氏が勲一等を受章している。これは、全銀協の会長を経験していないということが一つ、それからもう一つは、御存じのようにまさに三和銀行にしろあるいは日興証券にしろスキャンダルにかかわっているところであることは有名でありますから、そこのところの経営トップが勲一等ということは、これはまさに業界の中でも異例だと言われていたわけです。
 そういう異例な叙勲が行われた背景に、新聞の報道でも、刑事局長御存じと思いますけれども、まさにこの時期に大臣官房秘書課長であり、そういったことを所管していたこの杉井孝、現在審議官でありますけれども、かなり銀行からMOF担を通じて供応接待があったということになれば、これは重要な問題として捜査をするのが私は当然だと思うんです。
 この問題で、既に予算委員会でも議論になりました。松永大蔵大臣は、十八日午後開かれた衆議院予算委員会の答弁の中でも、この審議官が銀行や証券業界から住専の問題やあるいは勲章、叙勲の格上げをめぐって過剰接待を受けていたというこの報道については大蔵省の内部調査の対象に入っているとはっきりおっしゃって、国家公務員法に基づいて厳正にその結果が出れば処分するとまで答弁されている。これは私は当然だと思うんです。だから、この問題について私は単に国家公務員法上の処分の問題ではなくて、まさに刑法に触れる嫌疑がある事案として捜査をする必要性があるのではないかということは明白だと思うのであります。
 今、刑事局長は、この報道も知っている、検察当局もそれに関心を持っているというお話がありましたが、これは私が今指摘したとおり、大蔵省は公務員法上の問題として検討するとはっきり大臣が言っておるのでありますから、検察庁としても犯罪の嫌疑の有無について積極的にこの問題は解明をするという決意を持って臨んでいただくのが当然だと思うんですが、もう一度重ねて答弁をいただきたいと思います。
#55
○政府委員(原田明夫君) 委員の御質問の趣旨については私もよく理解するところでございますが、我が国の刑事訴訟といいますか刑事司法のあり方ということから考えますと、やはり検察官において最終的に事実の存否について証拠に基づいて判断をする、そしてその上で擬律について問題があれば適正な処置をするということについて、そのような建前のもとで運営されておりますので、その点につきまして法務当局からある特定の立場でそれについて関心を持つべきであるとか、こういう立場でやるべきだということに関して申し上げることは適切でないと考えます。
 その点につきましては、どうぞ刑事司法のあり方という観点からのものでございますので、御理解を願えればと存ずる次第でございます。
#56
○橋本敦君 慎重にお答えになりますことを私も慎重に受けとめますが、こういう事実が広く報道され、重大な嫌疑があると国民が思っているときに、このことについて、まさに捜査を預かる検察として無関心でおってはならぬのじゃありませんか。当然あなたがおっしゃるように慎重な配慮が必要だけれども、この問題について法的に責任があるかどうかについて、検察としては重大な関心を持って手続は進めるべき必要があれば進めるという立場をはっきりお示しいただくのが当然ではありませんか。これだけのことが報道されているのに知らぬ顔しているというわけではないということはおっしゃるとおりなんですから、いかがですか。
#57
○政府委員(原田明夫君) 検察官の立場といたしましては、ある過去の一定の事実につきましてさまざまな問題があるという点について配慮しつつ、あらゆる観点からやはり事案の実情につきまして証拠に基づいて検討するということが私はその職責上あるべきものと考えている次第でございまして、それ以上具体的な事件につきましてどうであるという点について法務当局の立場として申し上げることはやはり適切でないと考えますので、御理解を願いたく存ずる次第でございます。
#58
○橋本敦君 もう時間がありませんから最後に伺いますけれども、こういった問題が広く報道され国会で論議になっておると。このこと自体は検察として真剣に重大な関心を持って受けとめるということは当然でしょうねもそこはいかがですか。
#59
○政府委員(原田明夫君) 国政について重要な論議がなされる国会におきますさまざまな御論議については、これは当然のことながら関心を持って私はそのことについて認識を深めるものというふうに思います。それに基づきましての行動につきましては検察官において判断すべきものと考えますので、その点についての御理解を願えればということでございます。
#60
○橋本敦君 それじゃ、徹底的に厳しく捜査していただくように重ねてお願いをして、質問を終わります。
#61
○平野貞夫君 定員法改正案につきまして、諸先生から既にいろいろな問題点が指摘されまして、若干重複するかもわかりませんが、時間の範囲でお尋ねしたいと思います。
 日本人は、裁判ざたとかといって裁判を基本的に忌避しようと、嫌がる気質をまだまだ残していると思います。それから一方で、裁判マニアという言葉がありますが、何でももう裁判所に持ち込んで精神的に一つの満足をするという人たちもおるわけでして、日本人の法意識というものは私は通常の近代国家と違った大変難しいものを持っておると思います。
 そういう状況の中で、大臣もおっしゃるように、国際化に伴う状況の変化で事前チェック型社会から事後チェック型社会になって、司法制度が整備されなきゃいかぬ、司法、裁判官あるいは準司法の関係の方たちの数をふやさなきゃいかぬということなんですが、これは大事なことでふやさなきゃいけませんが、これをふやすといってもなかなか右から左というわけにもいきません。教育も要りますし、大変な時間もかかりますし、容易なことじゃないと思うんです。
 まず、最高裁にお聞きしたいのは、大臣の所信表明以来、きょうのお話を伺っていましても、いわゆる状況の変化、世の中の根底の変化というものを踏まえて、思い切った司法制度の改革、拡充をせにゃいかぬというお気持ちは非常にわかるのでございますが、この定員法の提案理由を見ていますと、この場合には民事ですか、「執行事件の適正迅速な処理を図るため、」というふうに淡々と書かれていて、大臣のおっしゃるような時代の変化に対する対応をせにゃいかぬという問題意識が余りない、あるかもしれませんが。ちょっとそこら辺、そういう問題意識を考えられておるかどうかということをもう少しお聞きしたいと思います。
#62
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 委員御指摘のとおりでございまして、私どもも、今後の社会経済情勢の変化、特に経済の国際化それから情報化、規制緩和等が進むに伴いまして、紛争を公正、透明な手続で解決する法的な手段として裁判手続が求められる、そういう手続を司法に対して国民が期待するという要望はますます増大してくるだろうという認識を十分に持っております。
 そういう認識を踏まえながら、今回平成十年度二十人という裁判官の増員をお願いしているわけでございますが、これは先ほど来御説明いたしますように過去五年間の裁判官増員数の合計の三分の一に匹敵する数でございまして、裁判所の規模で見ますと二十人の裁判官と申しますのは、横浜地裁本庁あるいは名古屋地裁本庁の民事部の裁判所を一つつくり上げるという相当程度の規模でございます。
 ただ、私どもといたしましては、今後も委員御指摘のような状況の変化とともに司法に対します国民の期待というのはますます増大してくるだろうというふうに予測しているところでございます。裁判所といたしましては、今後とも事件動向等に十分着目しながら必要な裁判官の数を着実に確保するという観点から継続的に増員をお願いしていきたい、かように考えている次第でございます。
#63
○平野貞夫君 大臣にお尋ねいたしますが、大臣がよくおっしゃる、事前チェック型から事後チェック型にこれから変わっていくんだ、変わっていかざるを得ないんだと、こういうお話を私流に解釈しますと、今まで続いてきたいわば行政の裁量による政治といいますか社会の運営といいますか、それを社会的公正という角度から、今後は法的処理といいますか事後チェックといいますか、ちょっと幅広い意味でいわゆる司法による事後チェック、法的処理、こういう社会に変わるんだと、こんな感じで私はとらえたいと思っておるんですが、それでよろしいでしょうか。
#64
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 一言で申し上げますと、規制緩和に伴いまして事後チェック、自己責任ということになります。自己責任ということになりますと、当然に司法の問題がふえてくるというふうに理解いたします。
#65
○平野貞夫君 与党の方でもやられているでしょうし政府の方でもやっておりますが、私たち現在自由党でございますが、かつて新進党でも行政構造改革それから経済構造改革ということを議論しているわけでございます。私は、規制緩和という言葉を使っても結構でございますが、地方分権も含めましてやっぱり行政の権限、いわゆる中央政府の権限あるいは地方、いわば明治以来民間を指導する、そういう規制を自己責任において自由なものにしよう、その結果トラブルは事後にチェックしていく、決めていこう、こういうことだというふうに考えておるんです。
 したがいまして、行政構造改革がどの程度できるか、規制緩和をどの程度本気でやるかということは、逆に見ますと事後チェックの司法制度をどれだけ整備するか、あるいはどれだけ整備できるか。何ぼ理屈で格好のいいことを言っても、事後チェックできるシステムというのができ上がらなければ何の意味もないわけでございまして、そういう意味で司法制度の強化、拡充、整備というのは、他の行政部分の人員をカットし、あるいは機能を変え、あるいは予算を減らす、減らせば減らすほど司法の方は多くなる、そういう認識のものだと思うんです。
 橋本総理が果たしてそういうような認識をされているかどうか。所信表明ではされているというふうに大臣はおっしゃっていますが、私は直接聞いたことはございませんけれども、そこまであの方は認識されていないんじゃないかという考えを持っております。
 時間があと二、三分しかありませんから引き続きしゃべらせていただきますが、ぜひ橋本総理にもそういう認識を法務大臣からさせていただきたいということと、それからもう一点は、大臣は先ほどそういった整備に努力、一生懸命やる、こう言っていますが、ちょっとそのお話に具体性がない。そこで、私は、私的な関係でもいいですから法務大臣が声をかけられて、司法制度をきっちりとしておかなきゃこれはえらいことになるぞ、これは法学教育あるいはもっと前の、そういうものに携わる人の人間教育といいますか人格教育までかかわる問題があると思いますが、ひとつ法務大臣が声をかけられて、最高裁の長官とか、あるいは弁護士連合会の会長とか、あるいは学識経験者とか、ある程度将来を展望して司法というのはこんなになるんだぞというようなビジョンといいますか、そういったものをやっぱり早急に打ち出して国民を啓蒙する必要があるんじゃないかと思います。
 そういう要望も含めて申し上げて、あと御所見を伺いまして終わりたいと思います。
#66
○国務大臣(下稲葉耕吉君) まず第一点の総理の認識の問題でございますが、私は十分御認識いただいていると思います。党の中でもそういうふうな意味で特別調査会、これ保岡調査会でございますが、今真摯に検討をやっておるところでございます。
 それから、二番目の問題につきましては同感でございまして、私は事ごといろいろ問題があるたびに日弁連の会長にお会いしたりあるいは電話したりいたしておりますし、それから最高裁の長官とも本日の審議の状況を、もちろん総務局長もやっておりますからそちらの方が筋でしょうが、私として感じておることもお伝えいたしまして、何とかその辺のところで方向を見出したい、このように思います。
#67
○山田俊昭君 私は、先回、検察実務に携わっていない検察官の問題についてお尋ねをいたしました。きょうは、裁判実務に携わっていない裁判官についてお尋ねをいたします。
 裁判官の数をふやすこと自体は、裁判の迅速を担保して国民の便宜に資するということであれば、私は基本的に賛成するものであります。しかし、裁判所の組織自体がせっかく裁判官として採用された者を合理的な理由もなく裁判実務以外に携わらせているのでは、増員させる意味がないのではないかと思うのであります。そこで、この点に関連して何点か質問をさせていただきます。
 平成九年における下級裁判所の裁判官の現在員数と申しますか、判事が千三百五十二名、判事補が六百七十七名、計二千二十九名であります。このうち、最高裁事務総局の局長、課長、高裁事務局長等の本来なら事務官をもって充てるのがふさわしい職責についている者の数が、判事が九十九名、判事補三十名の計百二十九名にも及んでおります。これは判事、判事補の現有員数の六・四%にも及んでおります。
 裁判官は一般行政官と異なって、その職務の特殊性、専門性のゆえに、司法試験合格後、司法研修所において二年間の研修を受け、国民の税金をもって給料まで支給され、さらに任官後は一般行政官よりもはるかに高額な報酬を保障される立場にあります。その本来の任務は言うまでもなく裁判実務に携わることであります。
 そこで、まずお尋ねするのですが、最高裁事務総局七局、総務、人事、民事、刑事、行政、家庭、経理のすべての局長と課長等十八ポストに裁判実務を離れた裁判官をもって充てなければならないという合理的な理由、必然性がどこにあるのか、お尋ねをいたします。
#68
○最高裁判所長官代理者(堀籠幸男君) 裁判所の司法行政事務は裁判所法上裁判官会議が行うということになっているわけでございます。これらの事務の中には裁判官の人事、裁判所の施設等裁判事務と特に密接な関係を有するものがありますし、またこのほかにも最高裁判所規則の立案等、特に法律知識を必要とするものも少なくないわけでございます。
 そこで、裁判官会議を補佐する事務総局において裁判官の資格、経験を有する者が企画立案等の事務に当たることによって初めて司法行政の実を上げることができるのであるというふうに考えておりまして、司法行政の重要事項の企画立案等をつかさどる職には原則として裁判官を充てております。
 しかし、訴訟促進を図るためにもできる限り司法行政部門の裁判官を減らし裁判事務に回すことが必要ということは委員御指摘のとおりでございまして、事務総局の局課長はできる限り兼務で賄い、また一般職で賄えるポストにつきましてはできる限り一般職員を充てるという配慮もしているところでございます。
#69
○山田俊昭君 重要な司法行政に裁判官みたいな専門家が必要であるということはわかるんですが、しかし総務とか人事とか経理の三局ですね、民事、刑事、行政、家庭の四局長についてはその職務の性質上判事をもって充てることは多少首肯できるものを持っているわけでありますけれども、なかんずく、経理の局長が裁判官でなきゃならぬという必然性というのは私はないと思うんです。むしろ経済事情や財政、会計に通じている専門家を充ててしかるべきではないかと思うんですが、この点いかがお考えか、お尋ねをいたします。
 もし法律専門家、裁判官の資格ある者を各行政庁に法律的な判断その他の行政上の必要性から置かなきゃならぬというのであれば、先ほどと逆の話になるかもしらぬけれども、大蔵省とか会計検査院にだって最高裁に判事の出向を求められてしかるべきだと思うんですけれども、現在外務省に十一名の裁判官が出向中であるという統計表があるわけですけれども、ここら辺のところも踏まえて、いかがでしょうか。
#70
○最高裁判所長官代理者(堀籠幸男君) 最高裁判所の事務総局で総務、人事、経理の関係でございますが、これらの局では司法制度全般、あるいは裁判所の基本的な組織の運営、それから裁判所予算の編成、実行、裁判官に関する人事をつかさどっているわけでございます。なかんずく、御指摘の経理局につきましては、裁判所の予算の中にはいわゆる裁判費というものがございまして、裁判の運営を行うための費用もかなりの割合で占めているわけでございます。こうした予算の編成、執行に当たりましては裁判事務処理に精通した者が求められるところでございます。こうしたことから、経理局につきましても裁判官を充てているということでございます。
 なお、行政庁に出向しておりますのは比較的若い判事補でございまして、むしろ将来の裁判所を背負っていただこうということで、外部での経験を積んでいただく、その方が将来の裁判官として国民の負託にこたえる知識、経験を有することになるのではないかというふうに考えているところでございます。
#71
○山田俊昭君 私は裁判官が勉強のため、研修のためいろんなところへ出向されることをとやかく言うものではないんです。
 さらに調べてみますと、高裁の事務局長八名全員が裁判官なんですね。反対に地裁とか家庭裁判所の事務局長全員が事務官ということになっているんです。全く対照的だと思うんですが、高裁の事務局長の職務と地裁、家庭裁判所の事務局長の職務に、そういうふうに高裁だけ裁判官を充てて下の地裁、家裁にそういう者を置かなくてもいいという、内容的にそんな開きがあるものかどうか、そこら辺のところをお尋ねいたします。
#72
○最高裁判所長官代理者(堀籠幸男君) 高等裁判所の事務局長は長官の命を受けまして裁判官の大事についても立案をいたしますし、管内の実情調査、あるいは最高裁判所及び管内所長との連絡調整、それから職務代行制による管内裁判官の配置の調整に当たるという職務を行っております。これに加えまして、下級裁判所の規則とか規程案の作成にも当たっております。
 このようなことからいたしますと、高等裁判所の事務局長というのは地家裁の事務局長とは異なりましてやはり裁判経験を有する者、すなわち裁判官を充てることがその職務の関係で必要でございまして、裁判所の事務官にかえることは難しいというふうに考えているところでございます。
#73
○山田俊昭君 それなりの御説明なんですが、とにかく裁判官百三十人が裁判実務に当たっていなくてそういう事務職をやっているという現実の中で、裁判官をことし二十人ふやすんですけれども、むしろそういう事務なんかをやっている裁判官を裁判実務に当たらせる方が重要なのではないのかというのが率直な、素朴な意見でございます。
 それから、裁判所には従来から裁判所事務官上級甲種試験というのが五十九年まであったわけで、六十年からは第T種試験という採用区分があるわけですけれども、これは一般行政職であればこの試験に受かれば各省庁の事務次官、局長にまで普通上り詰めるわけでありますが、いわゆるキャリア組に相当する採用区分であるんですが、裁判所に関してはこのキャリア組が冷遇されたといいますか、ほとんど判事、判事補をもって事務局内の幹部が独占されているという現実があるわけであります。
 これは何か組織内に不当なあつれきを生ぜしめるのではなかろうか。T種採用事務官のやる気を喪失させて、中途退職をしている人がたくさんあるやに聞いておりますけれども、この点、過去どの程度のT種合格者がいて中途退職者がいるのか、数字がわかればお示しをいただきたいと思います。
#74
○最高裁判所長官代理者(堀籠幸男君) 事務官のT種、その前は上級甲種でございましたが、こういう職員は、総局内はもとより下級裁判所においても枢要なポストにつくなどしております。重責を担ってその能力を発揮しておりまして、やる気を喪失するような状況にはないというふうに考えております。
 過去十年間に採用したT種試験合格者のうち中途退職した者は二十六人で、十年間のT種採用者は二百四十四名でございますが、そのうちの約一〇%でございます。T種及び上級甲種採用者全体のうちの中途退職者ということになりますと、過去五年間でしか把握しておりませんが、過去五年間におけるT種及び上級甲種職員の中途退職者は三十四人でございます。
 中途退職した人で、なぜ退職したかということでございますが、若い時期に退職した人の大多数は、採用前から司法試験を受験しておりまして、採用後も受験を継続して可決試験に合格したとか、あるいは受験に専念したいという理由で退職した者でございます。比較的長期に勤務して中途退職した者は、それぞれの人生設計の中で、簡易裁判所判事であるとかあるいは執行官に任官するというような理由によるものが多いのが実情でございます。
 いずれにいたしましても、委員御指摘のように、やる気を喪失して退職したという者は余りいないというふうに御理解いただきたいと思います。
#75
○山田俊昭君 終わります。
#76
○委員長(武田節子君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。――別に意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#77
○委員長(武田節子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#78
○委員長(武田節子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 暫時休憩いたします。
   午前十一時四十四分休憩
   〔休憩後開会に至らなかった〕
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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