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#1
第142回国会 法務委員会 第7号
平成十年三月三十一日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     菅野 久光君     千葉 景子君
     吉岡 吉典君     橋本  敦君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         武田 節子君
    理 事
                清水嘉与子君
                依田 智治君
                大森 礼子君
                橋本  敦君
                平野 貞夫君
    委 員
                遠藤  要君
                岡部 三郎君
                長尾 立子君
                林田悠紀夫君
                前田 勲男君
                松浦  功君
                千葉 景子君
                角田 義一君
                円 より子君
                照屋 寛徳君
                山田 俊昭君
                矢田部 理君
   衆議院議員
       発  議  者  大原 一三君
       発  議  者  与謝野 馨君
   国務大臣
       法 務 大 臣  下稲葉耕吉君
   政府委員
       国土庁土地局長  生田 長人君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  山崎  潮君
       法務省民事局長  森脇  勝君
       大蔵大臣官房審
       議官       大武健一郎君
       大蔵大臣官房審
       議官       中井  省君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 恒男君
   説明員
       大蔵省証券局企
       業財務課長    三國谷勝範君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○土地の再評価に関する法律案(衆議院提出)
○外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特
 別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(武田節子君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨三十日、吉岡吉典君及び菅野久光君が委員を辞任され、その補欠として橋本敦君及び千葉景子君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(武田節子君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(武田節子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に橋本敦君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(武田節子君) 土地の再評価に関する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○千葉景子君 きょうは、提案者の大原先生、御苦労さまでございます。
 土地の再評価に関する法律案につきまして、私もどうも専門外のことでもございまして、なかなかわからない部分もございます。教えていただくという気持ちも含めまして、きょうはよろしくお願いをしたいというふうに思っております。
 さて、この法律案ですが、先般の趣旨説明でもお聞きをさせていただいているように、この法律案の主たる目的が金融機関のいわゆる貸し渋りを是正する、こういうところにあろうかというふうに思います。
 そこで、提案者の方では、いわゆる今の貸し渋りがどういう原因でこういう事態になっているのか、その辺の御認識をお聞かせいただきたいと思うのと同時に、この法律案によって土地を再評価することでどうして今起こっている貸し渋りが解消されることになるのか、この法律案の根幹ではないかと思いますので、まず冒頭お尋ねをさせていただきたいと思います。
#7
○衆議院議員(大原一三君) 業界から要望があったわけではない提案でございまして、以前より私、時価会計というのがどうも日本の会計理論の中でお留守になっているんじゃないのか。海外の動きを見ますと、やはり企業の実態を把握するには時価でないとよくわからないという流れが一方にございます。御承知のように、ECでは統一指令で固定資産について時価で選択することを進めております。アメリカにおきましても時価会計というのが現在大勢になりつつあるのではないのか。
 日本の会計はどうかといいますと、税務会計に足を引っ張られ過ぎて、例えば減価償却も税務の基準によるし、貸倒引当金、退職給与引当金等々、税金で何%と規定しておるからそれに従わなきゃならぬという企業会計原則というものは実はないんです。むしろ、企業は企業として独自の会計基準によってやるべきではないかという議論がほうはいとして起きております。難しい言葉で言えば、税効果会計という言葉を言っているようでございます。大蔵省におきましても企業会計審議会というのがございまして、また法務省におきましても法制審議会等においてこれらの議論が取り上げられているやに聞いております。
 そういう意味で、私は、やはり土地というものが日本の企業会計において余りにも原価と時価の乖離が大き過ぎるのではないか、こういうことに着目いたしまして、世界の流れにやはり便乗していったらどうだろうか。
 同時に、今御指摘のございましたように、金融機関の自己資本比率が株に連動しておるというのが実態でございます。株価が上がれば自己資本比率が上がって、いわゆるBIS、バーゼルの国際決済銀行が決めております基準、海外取引のある大銀行は八%なければならぬ、国内取引のみの場合は四%で結構だというBISの基準がございます。日本の場合は株が千円下がりますと内部留保の方が二・三兆円下がるという連動がございまして、株が下がれば下がるほど金融機関は貸し出しが困難になる、そういう連動関係にございますので、やはり土地というものも株と同じではないのか、株は時価で土地は原価でなきゃならぬという議論はなかろう。
 したがって、今の金融機関の実態を見ますときに、いわゆる四月一日から早期是正措置、自己資本が充実されていなければ立入検査をする、非常に劣悪な自己資本の場合は金融機関の取りつぶしもやりますという厳しい基準がこの四月一日から発動されていくわけでございます。
 現在の貸し渋りが全部自己資本比率が低下したから一〇〇%それに連動して起きているということではないと思うんです。やはり金融機関のいわゆる不良債権、こういったものを抱えで経営内容全体が劣悪化しているということ、さらにまた借り手の方についても非常に険しい企業環境の中にあって金融機関がやはり融資に消極的になっている面も多分にございます。それらの相関関係から貸し渋りが起きていると思うんです。したがって、先ほど言いましたように、この法律によって自己資本を幾ら充実しましても、それによって完全に一〇〇%貸し渋りがなくなるという性格のものではないと私は思っております。
 先ほど通していただきましたいわゆる十三兆円というものによる自己資本の充実を図ろうということで、いろいろ世上批判もございます。ただ、それは国の公的資金を入れて自己資本を充実しようという考え方。しかし私の考え方は、その前にあなた方あるじゃないか、自己資本の原資になるものが、株じゃなくて土地を顕在化させたらさらに自己資本の充実が果たせるはずだ。したがって、まず、他力本願的によそから金をもらう前にあるものを自力で顕在化させて、そうして金融の貸し渋りをやめていただいたらどうだろうかというのがこの法案の発想のもとでございまして、そういう意味でいささかでもこれで資本が充実されることによって貸し渋りがなくなればいいなというのがこの法案のねらいでございます。
#8
○千葉景子君 今、御説明がございましたように、これで貸し渋りがすべで解消するということではないというお話でもございました。ただ、この法案の目的が、できるだけ貸し渋り対策の一助になればと、こういうお話でもございます。
 だとしますと、この法律案の再評価の対象となる法人を貸し渋りが問題になっている金融機関に限定してもよかったんではないだろうか、こういう気もいたします。そうしないで金融機関以外の大会社をも含めた趣旨というのはどういうところにあるんだろうか。反面、大会社は含めたけれども他の企業一般を再評価するということでもない、じゃ、大会社に今度は逆に限定したというのは一体何なんだろうか、金融機関以外に大会社というところでこの法案の対象を規定した理由というのはどういうところにございましょうか。
#9
○衆議院議員(大原一三君) 私も最初は、試案の場合は金融機関だけに限っていたわけでございます。また、各党の御意見を聞きますと、金融機関だけでいいではないかという御議論も確かにございました。私の方は、正直に言って法務部会あり財政部会あり商工部会と、合同会議を数回となく繰り返しますうちに、どうも銀行だけに限るというのは、せっかくの商法の特例であるからやはり偏ってはいないか、一般企業の中にも非常に行儀のいい企業があります。もちろん、一般企業は他業禁止になっておりません。金融機関の場合は他業禁止になっておりますので不動産をやたらにふやしていくことはできない仕組みになっておりますが、一般企業の場合は、バブルの場合にやはり会社を大きくしたり工場を増設したりしたところは正直言って資産の再評価をやったら評価損が出る企業が非常に多いと思うんです。ところが、金融機関の場合はそういうことが認められておりませんので、いわゆる本店や支店の底地がやはり対象になるわけでございます。
 そういう意味で、金融機関だけに限定しようと思ったのでありますが、いろいろの部会の御意見を聞いていると、やはり我が方も認めてくれという御意見がございまして、それじゃということで、ここに書いてございますように、いわゆる皆さん方御専門の商法監査特例会社というのがあるそうでございます。それによりますと、資本金五億円以上、さらにまた負債が二百億円以上というような会社がそれに該当する。これは評価の問題がたくさんございますし、いろいろそういった面で技術的な要請が要求される。つまり、商法監査特例法人であればいわゆる監査人が入っていくわけでございますので客観的な評価もできるであろう。
 さらにまた、これから帳簿の二重管理をしていっていただかなければなりません。つまり、税金がかからないわけでございますので、取得価額というのを永久保存していただく、一方において時価に連動した評価額が貸借対照表に載る、そういう二重管理を恒久的にやっていただかなければならない。法人税がかかるのは、現在の法人税法の規定で売った場合に課税される。未実現の評価益は課税しませんという条文が昭和四十年から入っております。したがって、未実現の評価益は非課税、未実現の評価損も損金算入をいたしませんという条文が入っておりますので、そういったことを考えれば、いろいろしんしゃくいたしますと、本法の目的にも照らして、やはり一定の規模以上の企業に限っていいんではないのか。
 じゃ、そういう先例があるのかなと調べてみますと、固定資産の評価をいたしましたのが昭和二十五年から二十九年の間に四回やっております。四回やっておりまして、どうも任意評価にしておくと皆さんおやりにならないんです。二十五年というのは朝鮮戦争の始まった年でございまして、皆さん方企業会計も非常に利益も出ない、そういうところで資産の再評価だけやれといったってメリットがなかった。しかしながら、やはりこれではタコ配当になり資本の食いつぶしになるのではないかというので、二十九年には償却資産のみについて強制評価をいたしました。その場合に、強制するのをすべでの法人にするのは問題があろうということで、資本金五千万円以上の企業について強制をしたという経緯もございます。
 それやこれや参酌しながら、この法律の本来の目的にも照らして、やはり一定規模の法人に限定して差し支えないんではないのか、かように判断したわけでございます。
#10
○千葉景子君 どうやら大原先生の最初のお考え、金融機関に限ってというのが貸し渋り対策という意味でも筋が通っておられたのかなという気がいたします。どうもほかのいろいろな思惑も含めて、何かちょっと統一がとれないような形に結果的にはなってしまっているんじゃないか、ちょっとそんな感想を持つんですけれども、そういう意味で、この法律案では、再評価の対象としては事業用土地についての再評価ということになります。
 これもよくわからないのは、何で事業用の土地に限定をしたのか、それは一体どういうところで事業用の土地か否かという区別をするのか。それから、先ほど先生もおっしゃっておられましたけれども、この再評価を強制ではなくて任意でやるという形になっています。先ほどから、本来は金融機関でよかったのが大会社まで含めた、そして再評価の対象も事業用の土地に限り、しかも強制ではなくて任意と。非常に統一性から見るとばらつきが出てくるんじゃないかという気がいたしますけれども、この辺については、事業用土地に限定した理由、そして強制ではなくて任意にされたというところはどういう意味がございますか。
#11
○衆議院議員(大原一三君) 限りなくこの評価益が資本に近い評価益になるわけでございます。したがって、いわばBIS規制の自己資本算入の対象になり得るものでございますから、やはり企業が恒常的に保有になっておる資産と臨時の売買用の不動産を入れるとそういった本法の趣旨に照らしていかがなものかな、こういうことで事業用土地に限定をしたわけでございます。
 話を金融機関だけに持っていきますと、金融機関は他業禁止になっておりまして、一般企業のように任意に土地を買いあさるということはできないことが条件になっております。したがって、金融機関の場合は、事業用の土地といいますと本支店の底地と社宅、それから運動場をお持ちになっているところがあるようでございますが、そういう福利厚生施設もこの際事業用土地に入れたらどうかということにいたしているわけでございます。
 事業用土地以外のものを入れますと、出たり入ったりという極めて不確定な資本要因が入ってくることになりますので、この際事業用土地に限定をしたというのが本法の趣旨に照らして適切ではないのかということでいたしたわけでございます。
#12
○千葉景子君 強制ではなくて任意になさった理由をちょっと。
#13
○衆議院議員(大原一三君) これは戦後の二十五年から二十九年に四回やりました資産再評価におきまして、償却資産については一定規模以上のものについて強制したことがございますが、土地はやはりずっと任意ということで放置をされてありました。さらにまた、外国のいわゆる国際会計基準あるいはECの統一指令を見ましても、土地の評価については任意、選択だと、こういうことになっておりますので、やはり我々も強制を一応考えたわけでございますけれども、最初先生おっしゃったように銀行だけに限って強制したらどうだという議論まで詰めていったのでございますが、国際的な慣行やあるいは日本が戦後やりました資産再評価から見ましても任意ということになっておりますので、その限界を飛び越えるのはこの際いかがなものかなということで任意ということにいたしたわけでございます。
#14
○千葉景子君 ちょっと大蔵省、来ていただいてございましょうか。お聞きをしたいんですけれども、この法案に伴って政令がつくられるということで、それがほぼこういう形になるのではないかというものを資料などで私たちも拝見をさせていただくわけですけれども、この再評価の際の時価の算定方法として、政令案の中に一応五つ挙げられております。
 これは、算定するのに五種類あるというのも大変複雑になるわけですけれども、どうなのでしょうか。五つものいろいろな方法というのをやっぱり考えなければならないのでしょうか。その辺について、大蔵省としてはいかがですか。
#15
○政府委員(中井省君) お答えいたします。
 今回の土地再評価法案におきまして、再評価とは法人の所有する事業用土地を時価で評価し直すこととされております。本法案におきましては、商法等も同様でございますけれども、時価について具体的な定義が行われておりません。したがいまして、再評価を実施する法人が時価評価を行うに当たって実務的な混乱が生ずることになるということを避けるために、再評価の方法に関して必要な事項を政令で定めることとされていると理解しております。
 具体的には、政令におきまして我々今考えておりますところは、一つは地価の公示価格に合理的な調整を行って算定する方法、二番目に基準地の標準価格に合理的な調整を行って算定する方法、三番目に固定資産税評価額に合理的な調整を行って算定する方法、四番目に地価税の課税価格に合理的な調整を行って算定する方法、五番目に不動産鑑定士または不動産鑑定士補による鑑定価格により再評価を行う旨規定する予定でございます。
#16
○千葉景子君 五種類のやり方があるということはわかるのですけれども、これはそのどれでやってもよいということになるわけですが、そうすると、その再評価された価格というのが非常に何種類にも及ぶということになって、企業の収益力などをはかる、あるいは経営実態を把握するのにせっかく再評価するのにいかがなのかという気がするのですけれども、とりわけその中でも不動産鑑定士または不動産鑑定士補による鑑定評価という以外は、それぞれの価格なりに合理的な調整を行うということになっております。
 合理的な調整というのは一体どういうふうにしてやるのか、そしてその合理的な調整をやることによってどの基準地でやってもほぼ共通な大体同価値の評価ということになるのか、その辺はどうなんでしょうか。
#17
○政府委員(中井省君) お答えいたします。
 地価公示価格等の基準を用いる場合におきましては、時価を算定するために合理的な調整を要するというふうに規定する考えでございますが、この合理的な調整の中身でございますが、実務上、例えば地価公示価格の算定時からの時点の修正というのがございます。タイミングの問題が一つ。それから土地の形状による修正。それぞれの土地がそれぞれの性格を持っております。例えば角地であるとか奥行きという問題もございます。そういうことで必要な調整がございます。それからまた基準になる地価公示価格と路線価との比較という問題もございます。それからなお近傍類地の売買事例等の参照も必要になろうかと思います。
 土地の価格というものはどれといって絶対というものはなかなかございません。いろんな政府の機関がいろんな手段によって地価公示等で価格を推定しているわけでございますが、それと具体的な土地についてのいろんな違いといいますか、それをある程度合理的な調整をして再評価を行うというふうに規定させていただく予定にしてございます。いずれにいたしましても、この再評価について、再評価の対象となる商法監査特例会社の作成する計算書類については会計監査人による外部監査が要求されておりまして、これによって再評価が適正に行われることが担保されるものと考えている次第でございます。
#18
○千葉景子君 もう一点だけ確認をさせていただきたいんですけれども、その合理的な調整というのはだれがやることになるんでしょうか。例えば調整の基準というのは何らかで基準の表みたいなものを作成してそれに基づいてやるとか、そういうことになるんでしょうか。そこはどうですか。
#19
○政府委員(中井省君) 基本的には合理的な調整と申しますのはその再評価を行う法人がみずからの判断で行うことになろうかと思いますが、先ほど申し上げましたとおり会計監査人による外部監査が要求されておりますので、これによりまして再評価が適正に行われることが担保されていると考えている次第でございます。
#20
○千葉景子君 ちょっと時間もあれなので、そこまでにしておきます。
 ところで、提案者の方にお伺いしたいと思いますが、ちょっとこれまでの繰り返しの部分になろうかと思うんですけれども、再評価を行います、それが貸借対照表に表示をされることになるわけですが、貸借対照表というのは財産の構成状態を通して損益の結果、営業の成績、こういうものが表示されるわけです。個々の企業がどういう経営実態にあるのか、財産上健全かどうかということの測定に役立つわけですね。それで、株主や債権者などがいろいろ自分が取引をする判断材料にしていく。そういう意味では非常に重要なものだというふうに考えられます。
 ところが、今回の再評価で考えますと、再評価をする企業が先ほどのように限られている。するところもあればしないところもある。それから企業としても任意で再評価を行う。必ずしもやらなければならないというものではない。それから資産もいろいろな意味があろうかと思いますが、事業用土地に限定をされている。今説明はあったんですけれども、再評価は時価ということになりますので、これも後から会計検査などでチェックはされるということがあろうかというふうに思いますけれども、いろいろな評価の仕方がどうも出てきちゃうんじゃないか、こういう懸念もございます。
 幾つかの要素を総合してみますと、非常に貸借対照表の表示がそれぞれの企業によって違ってくるということがございます。こういうことで本当に企業同士の会計がきちっと統一して比較できるのかどうか、こういう問題もあろうかというふうに思うんです。確かに貸し渋りという問題が主眼になっておりますので、それを中心にしていろいろな限定が加わったり、あるいは一定の制約を設けたりということになろうかというふうに思うんですけれども、やはり再評価をするということであれば、企業の実態がきちっとわかって、それによって実際の実力も公にされて貸し渋りもできるだけ解消できる。
 こう考えますと、やっぱりもうちょっと統一的に企業であれば全体を網羅してしまうとか、あるいは事業用土地に限らず、先ほど変動があるというお話もございましたけれども、すべての資産についてもう一回評価をし直してみるとか、あるいはやるなら全員が総出で再評価を強制的にいっときにやる、こういうことも必要ではないかというふうに思われるんですけれども、この辺については提案者としてはどうお考えでしょうか。
#21
○衆議院議員(大原一三君) 私も先生の考え方に全く同感であります。本来ならそこへ行きたいんです。ところが、商法や企業会計原則、国際会計基準等々勘案しますとまだ大変な変動期にあるという感じがしてならないんです。ある国は原価主義、ある国は時価主義というようなことも混乱をしております。今せっかく法務省も御検討なさっておられるし、大蔵省も企業会計審議会でいわゆる税効果会計、先ほど言いましたように税金の制度とは独立した企業会計原則をもう少し明確に打ち出していただいて統一基準をおつくりいただく、こういう時代が一刻も早く来ればこんなややこしい法律は要らなかったと思うんです。
 ただ、当面の貸し渋り対策に何らかの形でサポートしていきたいということが本法案のねらいでございますので、ある意味では先生のおっしゃる将来の統一基準をつくるきっかけにならないでもないなという感じを持って、その辺の議論からいきますとそういう感じも持ちながら御提案をさせていただいているわけでございます。
#22
○千葉景子君 ところで、今回の再評価の再評価差額金、これが今後どうなっていくのかはちょっとわかりませんけれども、いろいろ聞こえてくるところによりますと、貸借対照表に計上するんだけれども、負債の部に計上するということが検討されているようにもお聞きしております。
 これはどうもわからないんですけれども、何で負債の部に計上されることになるのか。最近はBIS規制で言う自己資本に算入されるわけですね。すると貸借対照表でいけば資本の部の方に算入された方が統一されるような気がするんですけれども、これは特に負債の部に計上するということの意味、それから資本の部の方には計上できないものか、その点についてはどうお考えでしょうか。
#23
○衆議院議員(大原一三君) 私の日ごろ考えていることをどんぴしゃりおっしゃっていただいたわけであります。実のところこれは損益計算書を通さないでいきなりバランスシートに入っていく勘定でございまして、法人税が課税されませんのでそういう手法も可能であります。いずれにしましても、これを負債にいたしましたのは、現在の法人税率の実効税率が四九・九%、半分は負債なんです。だから半分資本、半分負債という形に取り残されておりますので、そこの点をどう処理するかということはこれからの課題だと私は思います。
 先ほど申しましたように、企業会計審議会がしっかりしたものを出していただければ、その節はこれを資本勘定に取り込むこともできるということになろうと思います。そのかわり、税金相当額は、これはそのときの税金、今度は実効税率が三%下がりますから今回の基準でいきますと四六%ぐらいになるのでありますが、それは負債勘定に控除して計上していただいて、残りの部分を資本勘定に組み入れるということが私は可能だと思うんです。したがって、将来は、何年先になるかわかりませんが、企業会計基準を明確にしていただいた際に資本組み入れをできる仕組みを用意しておくということが必要だと思います。
 ちなみに、昭和二十九年までの資産の再評価につきましては、再評価税を納めた場合には残りを全額資本勘定に組み入れる措置を、評価が二十九年に終わりましたのでたしか三十二年にとっております。そういった時代が必ず来ると思うんです。当分の間、やはりこれは貸し渋り対策でございますので、外国も負債勘定に載せるか資本勘定に載せるかは任意になっているようでございます。戦後の資産再評価でも任意でございました。あるものは資本に組み入れ、あるものは負債勘定に立てておるということでございました。
 いずれにしましても、負債勘定でございましても、劣後債や劣後ローンが自己資本のいわゆる補完的準備金に組み入れられると同じ理屈で、負債勘定にこれを立てましてもBISの基準からは資本金に算入できるということになっておりますので、そういった効果の面では資本に立てようが負債に立てようが同じ結果がいただけるのでございますので、当面はこういう形で処理をさせていただきたいということでございます。
#24
○千葉景子君 もう一回私も頭を整理してみたいと思います。
 最後にちょっと法務省にお聞きをしておきたいと思うんですけれども、会社の計算のあり方、これについては、今話がございましたように、いわゆる原価主義、それから時価主義といいましょうか、財産法的と損益法的ということになろうかとも思うんですけれども、日本の企業会計の基本というのはどこに置かれていて、それがある意味ではどういう変遷を遂げてきているのか、ちょっとその原則が一体どうなっているのか確認をしておきたいと思います。
#25
○政府委員(森脇勝君) 現行の商法におきましては、株式会社の資産評価の方法といたしまして原則として今委員御指摘になりました取得原価で評価する、いわば取得原価主義と言われる建前がとられております。ただ、商法は沿革的に見てみますとずっとこの主義で来たというわけではございませんで、昭和三十七年の商法改正前におきましては時価を原則とする、時価よりも低い評価をするという時価以下主義という原則がとられていたわけでございます。
 この考え方はどういう発想に基づくかと申しますと、株式会社のようないわゆる物的会社におきましては株主が会社債務について責任を負わない、こういう形になっておりますので債権者保護が必要である。その観点からいたしまして、会社の資産というのはその会社の清算価値がどれだけあるか、それから債権者が返還を受けられるかどうか、こういう観点から見るべきだという発想からこうした評価方法がとられていたわけでございまして、いわば財産法的発想であったということが言えるんだろうと思います。
 三十七年に改正されましたが、この考え方はどうなっているかといいますと、計算書類というのは何も会社の清算を前提にするのではなくて、会社が現在のまま経営を続けていく、そこからのいわば収益で会社債権者に返済していく、こういう考え方に基づきますと、その企業の適正な収益力を把握するということが必要なのではないかという考え方から、費用、収益に対応するいわば期間損益計算、これを基本に据えるべきであるということから現在の取得原価主義がとられたというふうに説明されておるところでございます。
#26
○千葉景子君 終わります。
#27
○大森礼子君 公明の大森礼子です。質問させていただきます。
 先ほどから千葉委員とのやりとりを聞きまして、この法律の目的は一体何なのか、正直言ってよくわからなくなりました。
 まず、この法案の第一条で目的が書かれてあります。「金融の円滑に資するとともに、」、これが一つ、それから「企業経営の健全性の向上に寄与することを目的とする」、二つ目的が揚げられているわけです。一方、法律案の提案理由説明の方では、「主としていわゆる貸し渋りを是正し、金融の円滑化に資するとともに、」と、それからその後に「企業経営の健全性の向上に寄与する」とありまして、この二つを読み合わせますと、主な目的、優先する目的というのは金融の円滑化。それでこの金融の円滑化とおっしゃる場合もなぜか貸し渋りばかりが強調されるんですが、それについては後でお尋ねしますけれども、ともかく貸し渋り対策というのが第一の目的なのでしょうか。この目的の優先順位といったら変なんですけれども、どちらが大事なのか、そこら辺を御説明いただけますでしょうか。
#28
○衆議院議員(大原一三君) 日本の金融機関の自己資本比率は諸外国に比べて一番見劣りがするわけでございます。アメリカ、イギリス等は十三%とか一二%という自己資本比率になっておるにもかかわらず、日本の場合はいたずらに今日まで競争条件、競争場裏にさらされて貸し出しの量的拡大ばかりやってきまして、自己資本の充実が非常におくれておるというのが実態でございます。八%すれすれ、四%すれすれの金融機関さえある。
 しかも、株価連動という問題を一つ取り上げてみましても、株が千円下がりますと自己資本の算入基準になる余裕金が二・三兆円減るわけです。二・三兆ということは、自己資本比率に換算いたしまして、十九行でいたしましてもやはり〇・二、三%の減になる。株価連動ということが現在とられておりますので、そういった面から見ましても、自己資本の充実がどうしても必要だと。自己資本がないために、八%すれすれになりますとやはり今までの貸しておる部分を吸い上げちゃって、現金なりあるいはほかの資産に転化をさせなければ自己資本が満足に充実できないという事態が起きるわけでございます。
 しかも、先ほど言いましたように、この四月一日から早期是正措置というのが金融機関に追いかけてくるわけでございまして、だから今の金融情勢の中でタイミングが非常に悪いんです、早期是正措置を四月からやるということは。おまえのところは八%切っちゃったから、おかしいじゃないかといって立入検査をやりますと、それなら貸し出しを吸い上げますというような追いかけっこになるわけでございます。そういう状態が現在の金融機関の資本の状態でございますので、それにプラスアルファに寄与すれば、したがって貸し渋り対策と。先ほど言いましたように、仮に自己資本が充実されたから、すぐそのまま貸し渋りがなくなるという性格のものでもございません。やはり貸し渋りのサポーターにはなっても、計算上一〇〇%貸し渋り対策にはならないと思うんです。
 ただ、先ほどもお答えしようかと思ったのでありますが、金融機関の補完的準備金の繰入枠でございますけれども、現在、大体都市銀行で三兆円ぐらいはすき間がございます。それから、地方銀行ですと五兆円ぐらい枠があいているわけでございます。したがって、これを繰り入れますと都市銀行で大体六兆円の評価益が出るだろう。そうしますと、これに半分入れましても三兆円の十二・五倍、つまり百分の八でございますので、三兆円掛ける十二・五倍の貸し出し余裕ができる。貸し渋りがなくなるとは申しません、貸し出し余裕ができる。地方銀行の場合は二兆円ぐらい評価益が出そうでございますので、半分入れましても百分の四でございますから、二十五倍の貸し出し余裕、つまり二十五兆円の貸し出し余裕が、頭の体操でございますけれども、これは出てくる。
 さあ、そうなりますと貸し渋りも相対的に少なくなりはしないのかな、こういう計算が裏にあるわけでございますので、そういう意味ではやはりこの法律は、一般の企業も入っておりますのは先ほど申し上げたような事情で入れたわけでございまして、本来的には貸し渋り対策をねらいとした法律であるということを御理解いただけたらと思うんです。
#29
○大森礼子君 御丁寧な説明をいただいたんですけれども、要するに一言で言ったら、三月末の決算期における銀行の自己資本比率を何とか八%、四%、クリアさせなくてはいけない。だから、端的に言えば、銀行救済の目的と言った方がわかりやすいのではございませんでしょうか。
#30
○衆議院議員(大原一三君) どっちでも答えられると思うんですね。要するに、銀行が八%を切っちゃったら貸し渋りがますます促進されるわけですから、八%が充足されれば、ないしはそれ以上に積み増しができれば貸し渋りも相対的になくなる。私は正直に言いまして、十三兆円よりははるかに、金融救済ではなくて、これは融資に対する弾みになる制度である、私はこのように考えております。
#31
○大森礼子君 十三兆円の公的資金よりもこちらの方が弾みになるということはかって御説明いただいたときにもおっしゃっていまして、それだったら先にこれをすればいいのに、何で先に公的資金導入が決まってしまったんだと思ったわけなんです。
 それはさておきまして、大原先生は最初のころは非常に貸し渋りに有効だ、有効だと強調されたと思うんですね。先ほどおっしゃいました自己資本比率八%以上を求められる金融機関の場合は十二・五倍の貸し出し余力が生まれると。計算上そうなることはわかるんですが、私は金融の素人ですけれども、それがすぐ貸し渋り解消に向かうとは思わないわけです。
 きょう、この法律によって一〇〇%貸し渋りがなくなるものではないとおっしゃいました。だれも一〇〇%貸し渋りがなくなると思っていないんですね、あり得ないことですから。じゃ、何%ぐらい、どのくらいなくなるという概算というのはできますでしょうか。
#32
○衆議院議員(大原一三君) 大変難しい質問だと思います。といいますことは、銀行が金を貸すか貸さないかという判定要素は、このBIS規制によって余裕があるかないかは一つの基準になりますけれども、これは相手方次第なんです。どうも厄介な企業に金を貸すということは、たとえ余裕があっても、これ民間企業でございますから、政府関係機関ではありませんので、やはり貸し渋りはそういった企業については依然として残ると私は思います。
 ただ、これから経済環境がさらに厳しくなれば、このサポーターがきく度合いがやはり下がっていくということはある程度やむを得ないことかなと、私はこう思っています。パーセンテージについては、なかなか難しい問題でございますので、お答えできないと思うんです。
#33
○大森礼子君 この土地再評価法という案が出ましたときに、ともかく貸し渋り解消、貸し渋り解消というのが非常に強調されました。素人考えで見ましても、銀行の自己資本比率というのを上げましてもそれが即その貸し渋りに結びつくわけないと思うんです。これ当たり前だと思うんですね。
 といいますのは、住専国会のときに、銀行あるいは農林系金融機関がたくさんの不良債権を抱えてしまった。そのときに私たちが非難したのは、担保価値もきちっとはからずに、ただ利息欲しさにぱっぱと貸してしまって、そんなばかな貸し付けをするからこんなことになるんじゃないかと。特に農林系の金融機関については、やはり金融の素人がもうけようと思ってはいけないとか、こんな批判もあったと思うんですね。
 そのことの反省があるとすれば、金融機関が貸し出しをする場合にも担保をきちっととるということ、あるいは返済能力を調べるということ、これはむしろ当然のことだと思いますし、あの住専処理の問題があって金融機関のずさんな貸し付けとかが批判されたわけですから、その後きちんとした採算性のとれる担保もしっかりしたところに貸し出そうというのは、むしろ金融機関としてあるべき姿だろうと思うわけです。だから、自己資本比率、確かに枠ができるということはそうかもしれませんけれども、その中でさらに貸し出すかというのはまた別の基準によるんだろうと思います。
 それからもう一つ、自己資本比率というのを改善しましても、やっぱり企業というのは企業を守る永続性というのがありますので、将来の企業の経営状態も考えなくてはいけない。そうしますと、将来のリスクをカバーするために自己資本比率、分子の広がった部分をそのままキープするならば、あと分母の部分をふやさないようにするのがむしろ企業の、金融機関の心理ではないかと思うんです。ましてや、いろんな景気回復対策といいながら、きのうの株価を見ましても景気の先行きが見えないわけですから、余計そういう傾向が強まるだろうと思うんです。
 ですから、この土地再評価法の説明をするときに貸し渋り解消、解消と余り強調し過ぎることは、むしろその実態を反映しないことになるのではないかと思いますが、大原先生の率直な御意見をお伺いいたします。
#34
○衆議院議員(大原一三君) 私は、本法案の趣旨はあくまでも貸し渋り対策で御提案をしたわけでございますが、先ほど数字で示しましたように、都市銀行で三十兆円とか地方銀行で二十五兆円の貸し渋りがなくなるというふうには私は考えておりません。三十兆の貸出枠ができても十兆円ぐらいが貸し渋りに向いてくれればいいなというような感じでこの法案をつくったわけでございまして、貸し渋りにマイナスにはならないだろうと。そういう意味で、金融機関救済というよりは、やはり債務者、借りられる消費者側のサイドに立っての政策としては、私は十三兆円よりもこっちの方がいいのではないのかなという基本的な考え方で御提案をさせていただいたわけであります。
 先生おっしゃるとおり、三十兆円なり地方銀行の二十五兆円というのは、いきなり貸し渋りがなくなりますよと、そう大だんびらで威張って御提案をする気持ちはさらさらございません。何割かがそういった面でプラスになればいいなと。特に、最近指摘される黒字倒産というような問題はこれによって解消できるのではないのかな、こう思っております。
#35
○大森礼子君 そういうふうに提案者の方におっしゃられますと。我々、この法案というときに貸し渋り対策を強調されたものですから、中小企業の方々が非常にお困りになっている状況を見ますと、何かいい施策はないかなという形でこの法案も検討していたわけです。先ほど来、千葉委員の御質問とかその内容を聞いていますと、やはり目的というものがはっきりしないから、何かやりとりが堂々めぐりになっている気がするんです。むしろBIS基準クリアの銀行救済ですとはっきりおっしゃった方がいいんじゃないですかというのは、そう考えた方がすっきりするからなんです。一方で貸し渋り対策であるとおっしゃるわけです。それから一方で将来の会計基準をつくるきっかけであるというふうにもおっしゃるわけですね。
 先ほど千葉委員の方が、将来の会計基準をつくるきっかけというのを受けまして、じゃ負債の部に計上するのは何でですかと、いやこれは貸し渋り対策ですからというふうにおっしゃいますし、じゃ貸し渋り対策だったら本当に効果があるんですかと、いや一〇〇%の効果はございませんと。結局、両方の目的の関係でこの法案の存在意義自体が非常に危うくなってくるのではないかなという危惧感が起こるわけでございます。
 先ほど先生は非常に率直におっしゃいまして、銀行のBIS基準とり関係で御説明くださいました。その方がむしろわかりやすいと思うんです。そうしますと、BIS基準との関係で土地再評価ということを考えた場合、きょうの株価は非常に大きな影響を及ぼすんだろうと思うんです。この法案が通りましたら株価は上がると先生はお思いでしょうか。
#36
○衆議院議員(大原一三君) これ余談かもしれませんが、私は現在の政策立案者が株屋になり過ぎていると思うんです。私は株のことなんか余り関心がないのでありますが、しかしながらその株が銀行の自己資本を押し下げる、一万六千何百円になりますと二・三兆円自己資本の穴があくというのが現在の偽らざる実態でございます。したがって、さらに貸し渋りがそれによって促進される可能性があるわけでございまして、そういう意味ではこの法案をお通しいただけば何がしかの貸し渋りに対するプラス要因になるのではないのかなと。
 企業会計上はこの時価会計というのは、先ほど民事局長が答えられましたけれども、やはり国際的な流れになっておるということは実際でございます。そういう意味で、私は株についてもやはり時価表示をして債権者やあるいは投資家へ明示をすること。
 御存じと思いますけれども、ここで申し上げていい数字がどうかわかりませんが、東京駅の旧国鉄本社が坪八千二百万円なんです。その近くにある超一流銀行の地価が坪七千五百円であります。こういう七千五百円ということを隠しておくということ自体が私はよくないことだと思います。
 この際、はっきり明示をしてください。銀行屋さんの悪い癖は、すがめで隣近所を見て、おれがこう言うとあっちが困るだろうと、いわゆる護送船団的な色彩が非常に強かったのであります。これによって一〇〇%明示をしてほしい。あの銀行は内部留保があるよ、この銀行は危ないぞということは、逆に時価会計をとることによって明示をされるといった点も私は評価をしていただけないかと、こう思っているところでございます。
#37
○大森礼子君 この法案の議論をする上で何かおかしいなと思う、その原因は何かといいますと、一つは内容が企業会計の原則に対するものですね。それから一方で貸し渋り対策と。そうしたら企業会計の原則をちょっと変える、企業会計の部分と景気対策というのを一緒にまないたにのせたからおかしくなるんじゃないかという気がするんです。
 というのは、先生おっしゃるように、企業会計の分野で例えば取得原価主義から時価主義への移行とか、企業会計の問題として考えなきゃいけない課題というのはたくさんあると思うんです。ただ、企業会計というものは、財務諸表の目的も、利害関係者に必要な会計事実をちゃんと示して、企業の状況に対する判断を誤らせないようにしなくてはいけない。それから、ある程度企業間の比較も必要なんだろうと思います。
 そうしますと、その原則に関することというのは流動的とか行き当たりばったりであってはいけないわけでありまして、だからこそ基準も一律でなくてはいけない。そこからこの法案の問題点も指摘されていると思うんです。貸し渋りとか景気に関係あることは本当にいろんな不確定要素とか確定要素とかによって動くものですから、流動的であってはならないものと流動的なものとを一緒に法案の中に目的として入れたからちょっとややこしくなるのかなという気がいたしております。
 それで、きのうの株価が下がったということで、きょうは三十一日ですから、きょうの株価動向を皆さん見ておると思うんですけれども、マスコミはきのうの株価は政府・与党の景気対策の限界を市場が察知したのではないかというふうな書き方をしておりました。それで、一連の景気対策をしているわけですけれども、例えば十三兆円の公的資金投入、優先株を買うとか、これもある意味で政府が株に介入するわけであって、株価操作ではないかというふうな批判もされております。それから、株式消却についての特例法改正につきましても、要するに利益準備金が資本の四分の一さえあれば、あとは資本準備金を全部取り崩してもいいということで、これは商法の資本の原則を大きく崩すものであると説明されております。
 それから、この土地再評価法につきましても、いろんな賛成の意見も反対の意見もございますね。御提出者の景気回復のために有効であることはしなくてはいけない、場合によっては多少原則を崩してもという考えは持っております。ただ、余り例外的なことが続きますと、無理があれば必ず反動が来るということで、そういうことが逆に株価に影響するのではないかということも考えるわけです。
 それで、この土地再評価法というのをきょうこちらの方で採決するわけですけれども、もし市場が非常に行き当たりばったり的じゃないかというふうに判断しましたならば、逆にこの法案の存在によって株価に影響するようになるのかなという気がいたしまして、貸し渋り対策とか、いいと思って考えていることが逆の効果になったらどうしようかなと思ってそこに多少の迷いがございます。これは私の意見です。
 それから、本来の会計基準の問題といたしまして、先生は先ほど土地の時価主義につきましては将来の会計基準をつくるきっかけにしたいというふうにおっしゃいましたね。そうしますと、国際社会の動向も見まして、この時価会計への流れというものは多分この方向で進んでいくんだろうというふうに先生は今お考えなのでしょうか。この点、お聞かせください。
#38
○衆議院議員(大原一三君) 先生おっしゃるとおり、世界の体制が右から左にすぐ変わるのかなと思いますと、なかなかいろいろな議論がたくさん出てくる余地のある問題だろうと思っております。
 ただ、イギリスはサッチャーさんがビッグバンをおやりになる前、八六年にビッグバンですが、八五年にカンパニーアクト、会社法を改正されて、土地についての時価評価をして結構です、やりたい人は任意でやってくださいと。それから九二年にドイツも、これはまた徹底しておりまして、銀行だけに土地の再評価をお認めした、そして自己資本への組み入れを認めておる。さらにまた、たしか七八年だったと思うんですが、ECの統一指令におきましても、土地についての時価会計の導入を統一指令で認めております。
 そういった状況を勘案するときに、我が国ほど金融機関の持っている時価と取得価額の乖離の大きい国はない。したがって、彼らだってやっているんだから我が国もそれに準じてやっておかしくないんではないのかなというのが発想の原点にあったことは事実でございます。
#39
○大森礼子君 終わります。
#40
○照屋寛徳君 社会民主党・護憲連合の照屋寛徳でございますが、何点か質問をいたします。
 先ほどから貸し渋りの話が出ております。確かに、深刻な貸し渋りが原因と思われる中小零細企業の経営者の自殺あるいはまた黒字倒産という現象があるわけでありますが、私は最初に大蔵省に、このいわゆる貸し渋りの実態、そしてその原因と責任の所在についてどのような御認識を持っておられるか、お伺いをしたいと思います。
#41
○政府委員(中井省君) お答えいたします。
 いわゆる貸し渋り現象なるものが昨年の秋以降いろいろと議論になっているわけでございますけれども、我々の見まするところ、いろんな複合的な要因がそれに働いていると考えております。
 例えば、一つ極端な例でございますけれども、昨年秋の一連の金融機関の破綻に際しまして、一部の地方銀行等におきまして、マーケットでうわさが出まして、取りつけに近いような状態が起きました。こういう地方銀行にとりましてみれば、預金がそもそも集まらないわけでございますので、貸すにも貸す原資がないと。これはごく一部の特殊な例でございますが、そういう貸し渋りもございました。
 ただ、貸し渋りという現象の最大の問題は、健全な金融機関においても貸出先の選択が厳しくなるという現象が起きたことでございまして、これは極めて一般的な言い方を申し上げますと、バブルの崩壊後、金融機関、日本の銀行というものが総じてかなり多額の不良債権の償却をしてきております。この償却の財源と申しますのは、毎年の業務純益、それプラスこれまで蓄積いたしました株式の含み益の吐き出して一般的には対処してきたわけでございます。
 現状におきましてどういう状態になっているかと申しますと、その結果、従前、株式の簿価といいますものがかなり低い水準にありましたのが益出しをしたことによりましてかなり上がってまいりました。これは個別銀行でいろいろ水準が違いますけれども、全般的にかなり上がってまいりました。
 そういう状態におきまして、昨年の秋以降、景気の問題等々いろいろございまして株式の価格は低落いたしました。従前でありますと、少々の低落がありましても、日本の金融機関は、先ほど大原先生からも何回もお話がございましたけれども、バーゼルの自己資本比率規制上の八%というのを株式の含み益も入れまして楽々と達成できるような状態でありましたけれども、だんだんとその株式の含み益の水準が低くなる、そこへ株価の低落が襲ったという状態でございます。
 それに加えまして、当局から云々というよりも、銀行の経営自体が現在マーケットの評価にさらされております。御案内のとおり、ムーディーズでございますとかSPという格付機関が日本の金融機関のレーティングをされます。それから海外におきましてはジャパン・プレミアムというようなことで、日本の銀行は経営が危ないので金利を高くしないと資金は出さないよというような現象で、もう待ったなしという状態で日本の銀行経営が不良債権の処理をしていかざるを得ない、そういう状態の中で株価が低落をする。しかも、過去の一連の不良債権の処理で株価の簿価がかなり上がってきている。したがって、大手の銀行、健全な銀行といえども、まさにきょうでございますが、自己資本比率規制八%を今年度末に達成できないという恐怖心に駆られたと。
 したがいまして、そういう銀行には二つ方法があるわけでございますが、資本を調達して八%を達成する、それから分母であります資産を圧縮して八%を達成する、二つあるわけです。
 御案内のとおり、株価がこういう状態でございますとなかなか資本調達がままならないという状況で、調達するにしましても非常に条件が悪いというような状況でございまして、結局かなりの銀行が資産圧縮に走ったというのが、非常に雑駁な説明で恐縮でございますが、全体的な流れだったんではなかろうかと考えております。
 したがいまして、これに対しまして我々政府といたしましてもいろんな対策を打ちました。特にバーゼルの自己資本比率規制というものについては、国際的取り決めてございますけれどもある意味では人為的な規制でございまして、その規制が余り合理的な理由なく銀行の行動を縛って日本の経済全体に破壊的な影響を与えるということがあってはならないということがございまして、昨年末、いろんな時点におきましていろんな対策を発表させていただいた。
 それに加えまして、大原先生を初めほかの先生の御理解も賜りまして、こういう自己資本比率規制対策として今回の法案を提案していただくことになった、そういうふうに理解している次第でございます。
#42
○照屋寛徳君 大原先生にもお伺いいたしますが、今大蔵省からも御説明がありました、たくさんの自殺者が出ておるようなこの貸し渋りの深刻な実態、それから、赤字で倒産するんじゃなくして黒字で倒産をするという極めて深刻な景気・経済状況でございますが、このいわゆる貸し渋り、これはだれの責任でもなくやむを得ないことなのか。しかし、やむを得ないにしては極めて社会的な影響が大きいわけであります。それとも、何らかの打つべき金融政策というか経済政策を効果的にとらなかった、やらなかったというふうに思っておられるのか。そこら辺、まず先生のお考えをお聞かせいただきたい。
 あわせて、本法案は、金融の円滑に資する目的あるいは企業経営の健全性の向上などをうたっておりますけれども、やはり何といっても貸し渋りの是正というのが大きな目的だと思いますが、そうであれば中小企業にも認めるような法案、対象の機関というんでしょうか、大規模な大企業あるいは金融機関だけじゃなくして、そういうことは考えられなかったんでしょうか、お伺いいたします。
#43
○衆議院議員(大原一三君) この対策はあくまでも融資をする側に対して仕向けられた対策でございまして、そういう意味では、先ほど商法監査特例法人と申しましたが、金融機関については、商法監査特例法人ではなくて、もとよりそれに入っております都市銀行等がございますが、農協、漁協、それから信金、信組第二地銀までも入れてこの対象にしようということは、やはりそれぞれの金融機関が持っております中小企業融資の枠、それについて厳しい枠をはめられないような自己資本充実をこれによってやってくださいという気持ちを込めてそれらを含めているわけでございます。
 先生がおっしゃるように、中小企業に対する貸し渋りの中で特に役割を重視しなきゃならぬのは政府関係機関だと思うんです。商工中金あるいは国民公庫、中小公庫、これについて数兆円の政策をとっておりますが、窓口で聞きますとやっぱり担保主義なんですね。だから、そこらをもう少し弾力的に政府機関で対応していただければ中小の貸し渋り対策にかなりプラスになるんではないのかなということを私は日ごろ考えております。
#44
○照屋寛徳君 大原先生、この法案によって実際的には土地を大量に保有している生保業界の苦境を助けることになるんじゃないか、こういうふうお批判をされる人もおりますが、先生はどのようにお考えでしょうか。
#45
○衆議院議員(大原一三君) 生保業界は預金貸出金融機関ではなくて。先ほど申しました商法監査特例法人で入ってくるわけです。負債二百億以上ということで相互会社もこれに入ってくるということでございますが、正直言いまして、生保会社はこれをやらないと思うんです。
 と申しますのは、私の田舎で恐縮でありますが、三十万の市でございます。その駅前通りというのは全部生保ビルです。それも五年以内にできております、バブルのときに土地を買ってしまって。こういうところは高いときに買っていますので今の時価ですと評価損が出ます。恐らく生保会社でこれをやりたいという企業はほとんどいないのではないのかな。任意ですからやらなければやらなくてもいいのでありますが、いずれにしましてもそういった問題が生保会社にはあると思います。
#46
○照屋寛徳君 今先生御答弁いただきましたが、金融機関ごとに再評価するかどうかを任意に決めることになるわけでありますから、それによって自己資本比率の算定基準がまちまちになってしまう、自己資本比率の考え方からしてそれではいかぬのじゃないか、そういう御批判に対しては提案者はどのようにお考えでしょうか。
#47
○衆議院議員(大原一三君) まず第一に、土地の再評価については、戦後我が国がやりました再評価につきましても任意でございましたし、また、国際慣行からも強制ではなくて任意ということに相なっているわけでございます。したがって、任意の評価ということでお願いをいたしたわけでございます。どうも強制をしますと評価損の出る企業が相当出ると思うんです。そういうところはこの法案のメリットはいささかもありません。
 ただ、将来、先ほどもお話がありましたように、もう少し企業会計の真正がわかるようなシステムをとっていこうという時代が来れば、先生おっしゃるとおり評価損をはっきり出していただいて、おらが会社は危ないぞというのを見せていただかないと、本当は債権者、投資家の保護にはならないわけでございます。しかし、そこまでこの法案で割り切っていくには余り見えを切り過ぎるわけでありまして、私の方はささやかに何とか貸し渋り対策の一助になればと。そういう議論も将来出てくると思うんです。
 だから、先生、これは正直言って一つ隠し球があるわけですよ。それは、先ほども質問がありましたから申し上げましたが、後年度、自己資本に組み入れることもお認めしたらどうだということがあるのでございまして、前の会計でもやりましたんですよ、資産再評価のときも。そうすると、この法律を二年間でおやりくださいということになっておりますが、やらなかった会社、銀行については自己資本の組み入れのときにほら見たことかという罰が当たるわけですね。そこはやはり今のうちに宣伝しておかないと一〇〇%やらないかもしれません。これ最高限度も任意なんですから、範囲内でいいんですから、五〇%やりますということもできるんですね、やろうとすれば。
 だけれども、今申し上げましたことが、将来いわゆる税効果会計でしっかりしたものができれば、自己資本組み入れをしたときに、何でおれ二年間のうちにやらなかったかな、しまったなという議論も出てくる可能性がありますので、この点についてはひとつこの法案が通りましたら、特に金融機関でありますから大蔵省筋を通じてしっかりPRをしてもらって、一〇〇%評価をしてもらうように効果を発揮できないのかな、そういうことも考えております。
#48
○照屋寛徳君 隠し球の話まで御答弁いただきましたが、この法律ができることによって隠し球になっちゃいかぬのが私は再評価の対象となる土地の問題だと思うんです。再評価の対象土地は当該法人が所有している事業用土地、こういうことでございますが、その事業用土地と販売用というか投資用土地との区別というのは実務的に厳格な形で可能なんでしょうか。その点だけ最後にお伺いをしておきます。
#49
○衆議院議員(大原一三君) 税務署であれば判定要素等々非常に厳しい判定をすると思うんです。ただ、これは税金をいただく評価ではございませんので、先生がおっしゃったようにいささかグレーゾーンが出てくるのではないのかなと思います。例えば、虎ノ門の支店を銀行がやめましたと、そこは空き地になるわけですね。それ、一体どうするんだと聞いた場合に、いや、これは銀行の業務用としてコンピューターを将来つくるつもりですと言えば業務用になるし、売るんですと言えば業務用になりません。そこらがやはり多少評価の際にグレーゾーンが出てくることはやむを得ないなと、こう思っております。税金をいただくのならとことんこれは調べなきゃなりませんけれども、公認会計士の入っていらっしゃる企業でありますから、その点は合理的な御判断を自主的にお願いしたらいかがなものかな、こう思っているところであります。
#50
○照屋寛徳君 終わります。
#51
○橋本敦君 引き続いて提案者の大原先生の方に。お伺いしたいと思いますが、先ほどからお話がありましたように、時価評価というのが会計基準としては国際的な流れであるというお話がございました。先生のお話でも、この法案がそれの一つのきっかけになればというお話もあったんですが、商法としては三十四条は原則として原価主義をとっているわけですね。したがって、そういう意味では商法の基本的な原則との関係でこれは大きな問題が一つある。
 そういう場合に、貸し渋り対策の緊急処置として銀行、金融機関だけにするなら特別ですけれども、今度は先ほどもお話がありましたようにそうはならないで、いわゆる資本金五億円以上ですか、商法監査特例会社、これにも適用する、こういうことになりますから範囲が広くなりますね。こうなりますと、これは商法の基本原則にもかかわってきますので、本来であるならば法制審議会の審議にかけるのが本当の筋道ではないかと私は思っておるんですが、先生の御見解はいかがでしょうか。
#52
○衆議院議員(大原一三君) まさにお説のとおりだと思うんです。
 先ほど申し上げましたように、会計原則としては時価主義が世界の大勢でありますけれども、商法のとっておりますいわゆる債権者保護というような見地から見ればやはり取得原価主義が正しいんではないのかなと。取得原価と時価の乖離が非常に大きくなった場合一体どう考えていくのかというのは法制審議会等で今後十分御検討いただくし、さらにまた、企業会計審議会でやっております企業会計原則の税務会計かるの独立という点も今後法務省との間で商法との関連で御検討いただかなきゃならない基本問題だと思うんです。
 そこまでこれ議論を広げていきますと大変なことになりますので、我が方としては最初は金融機関だけにしたかったんでありますが、議論していると、商法の特例をつくるのに何で銀行だけだ、それは特定業種だけを保護することにならないか、やりたい企業も一般にあればやらせていただいたらどうだという議論がありましたので、間口を広げちゃった。したがって、この法案の本来の目的がぼけちゃったという面がなきにしもあらずだ、こう思っております。
#53
○橋本敦君 そこで、おっしゃったような趣旨で、基本的には主としていわゆる貸し渋り対策ということで御提案をなさってきたというわけなんですが、その貸し渋り対策に果たしてどれだけの効果があるかということは先ほどから多くの議論がなされてきました。提案者の先生の方も、これで一〇〇%貸し渋りがなくなるというわけではないということは御指摘のとおりだと思うんです。
 そういうことを考えますと、現在起こっている貸し渋りの基本的な原因が何かということをこの法案とも離れて考えてみる必要があるんですけれども、それは一つはBIS基準の達成ということで、早期是正ということでこれが急がれるということ。それからもう一つは、バブルの反省の中から乱脈経営に対する批判があって、適正な貸し出しに対する判断が必要だという銀行自体の主体的な判断もあるということ。それから三つ目の大きな要件として、現在不況が深刻ですから、そういう深刻な不況の中での貸し出し不安ということが出てきておる、こういう状況だと思うんです。
 したがって、この法案だけで先生が期待されるような貸し渋り対策が十分にできるかどうかということになりますと、新聞の論調を見ましても、この効果は未知数であるという論調も出てくるような状況でございますので、私はこの点については、今指摘をした原因の三つを総合的にやるという景気対策を政府がとらない以上は、この法案だけで貸し渋りが解消するとは考えられないと思っておりますが、御意見はいかがでしょうか。
#54
○衆議院議員(大原一三君) まさにお説のとおりだと思います。
 経済情勢がさらに厳しくなれば、たとえこれをやりましても貸し渋りが助長されていく可能性は多分にあるわけでございまして、これが万能薬だというような思い上がった考え方は私も持っておりません。ただ、サッチャーさんのビッグバン、ドイツの九二年のビッグバン対策ということを考えますと、日本がこれだけ時価と取得価額が違うのに外国がやっているような補強措置をなぜとっておらないのか、勇気がなさ過ぎるんじゃないかということで提案いたしました。
 確かに、これをまとめるまでに非常に利害関係がふくそうしまして、苦労いたしてこういう形になったわけでございますけれども、いずれにしましても一〇〇%評価だけはしてほしい。おまえのところはあるじゃないか、何でこれで貸し渋るんだということが顕在化すれば、それだけでも私はメリットがある、こう考えております。
#55
○橋本敦君 そこで、今おっしゃった顕在化するという資産内容のディスクロージャーの問題が出てくるんですが、この法案では再評価というのは任意に任されているわけですね。したがって、任意に任されているということからいきますと、会社ごとの選択制ということで果たして今御期待なさったようなことが全般的にできるのかどうかという問題がやっぱり出てくるわけです。
 そういう意味では、任意になさったということが一体どういう意味を持つのか。そして、この再評価が言ってみれば一回限りですから、一回限りだということがどういう意味を持つのか。そして、再評価した場合に土地の下落という今度はリスクが出てきますから、そのリスクとの関係で合理性をどう持たせるのか。これらの点について提案者としての御見解を伺いたいと思います。
#56
○衆議院議員(大原一三君) これを再評価していただく、任意でございます。任意というのは、強制するのはいかがなものかなという反省点から出たわけでございまして、商法監査特例法人まで行けば、強制しますと評価損が直ちに顕在化するという企業の方が多いんじゃないのかなということで、銀行、金融機関だけでしたら私は強制も検討してよかったんでありますが、そういった面もございますので、諸外国の例に見習って任意とさせていただいたわけでございます。
 そういう意味で、これをおやりになっていく銀行について二年間だけを決めたわけでございます。その理由は、やはりこの間だけしか期間がございませんよ、どうぞおやりになってくださいということの促進剤に、最初は一年間でいいじゃないか、戦後やった再評価と同じように一年ぽっきりでやったらどうだという議論があったんですけれども、資産の再評価をするのは大改革だからやはり二年ぐらいの猶予期間をとってほしいというのが各部会から出されまして二年間にしたんです。理由は、今申し上げたように、今のうちにやっておきませんと後はできませんよと言えばやはり促進効果になりはしないかなというのが第一点。
 それから、最後の御質問の評価損は、仮にことしの三月三十一日、きょうでございますが、評価益を出していただいて、来年五%地価が下がりましたという場合は貸借対照表に注記をしていただいてマイナスを計上していただく。プラスの場合は知りませんよ、マイナスの場合は正直に出してくださいと。地震等で使用不可能になった場合には思い切った減価をしていただいて、そのときは貸借対照表も直していただこうと。そうではない、地価の値下がりについては貸借対照表に注記をしていただく、マイナス勘定を立ててください、こういうことに相なっておるわけでございます。
#57
○橋本敦君 そういった土地の評価基準ということが議論をされましたけれども、私も問題だと思うわけです。
 大蔵省の方にお伺いをいたしますけれども、政令で再評価について方法を決めるということですが、御説明ありましたように、近隣の標準地における公示価格とか五つほどございまして、そのいずれもそういう算定方法については合理的な調整を行ってと、こう書いてありますね。その合理的な調整をだれが行うかということは書いてないんですよ。だから、考えられるところは、まさに銀行なり会社なりが行うわけですね。それが果たして適正かどうかということになりますと、それは大蔵省の先ほどのあなたの御説明では会計監査ということで適正化されるであろう、こういうわけですから、それなら最初から会計監査によってやるということを決めてもいいのではないかという思いもするぐらいです。
 なぜこういう五つの原則が必要なのか、そして合理的な調整というのは、法の立法趣旨としては何が合理的な調整とお考えになっているのか、端的に政令の趣旨を御説明いただきたいと思います。
#58
○政府委員(中井省君) お答えいたします。
 土地の価格と申しますものを、実は土地というのは一つとして同じ土地がないわけでございまして、形も違いますれば、ロケーション、地域も違う、いろんな条件が違う、これを何によってとらえるかというのは非常に難しい問題だろうと思っております。
 したがいまして、今回の法案もそうでございますし、商法におきましても法律上は時価ということで規定をされている。ただし、今回の法案におきましては、時価と申しましても実務家が非常に戸惑うようなことがあってはならないということで、政令でいろんな基準をつくるということにされております。
 その基準は、先ほど御説明いたしましたけれども、地価公示でございますとか固定資産税評価ですとか地価税の課税価格、政府なり地方公共団体が何らかの形である程度公式にしたものを中心として、それに合理的な調整をするということで書かせていただく予定にしてございます。
 その合理的な調整の中身でございますが、一つは、時点による修正。公示地価等の評定時点から現時点に至るまでの時点で価格が動いている可能性がございます。それから、土地の形状による修正。角地や奥行きによる補正が必要になるということもございます。それから、地価公示価格と路線価との比較というようなことも出てまいる。それから、近傍類地の売買事例等がございますれば、それがある程度修正の合理的な理由になるというようなことで考えさせていただいております。
 いずれにしましても、最終的には当該法人の責任において合理的な調整をし、なおかつそれが会計監査人のチェックを得るというようなことで、ある程度の客観性なり合理性が担保されるというふうな仕組みにさせていただきたいと考えておる次第でございます。
#59
○橋本敦君 というお話を伺いましたが、果たしてそのとおりにいくかどうか。結局、抽象的な判断基準ですから、基準が各社によってあいまいになるということは避けられない。
 そうしますと、経営の客観的な評価ということで、まさに国民の目から見てその会社の評価をどうするかというディスクロージャーとの関係での判断の指標がますます難しくなってくるという意味で、商法の基本的な立場からいって問題があるという点は、この問題にとっては避けて通れないという感じが私はします。
 きょうの日経新聞ですけれども、今回のこの問題については、公正さあるいは永続性を欠き金融機関のお手盛り増資を許す緊急措置ではないかという意見も出ているくらいでございます。
 今後、こうした問題については、先ほども大原先生おっしゃったように、これをきっかけとして商法の基本的な原則にも立ち返りながら、我が国のあるべき会社の姿について検討を深めていく必要があるというように考えておりますので、そのことを申し上げて質問を終わります。
#60
○平野貞夫君 商法の特例の土地再評価という非常に難しい問題に私たち素人が質問するというのは非常に難しゅうございますが、私は学生時代に、たしかバジョットという人だと思いますが、十九世紀のイギリスの憲法学者の本の一番最初の言葉に、土地制度、土地の所有とか評価とか使用の形態といいますか仕組みがその国の政治制度を決める、規制する、特色づけるといいますか、あるいは統治のあり方を規制するという言葉がありました。率直に言って、そのころはよく意味がわからなかったのでございますが、社会人になって、あるいは非常に激しい日本の資本主義の浮き沈みを見まして実感的にわかってまいりました。
 そこで、我が国は明治維新で地租制度によって非常に諸外国とは違った土地制度を持っておると思います。土地にかかわる諸制度、税金の問題もそうでございますし、所有の形態もそうでございますが、これを適切公正にやる、これがやはり競争原理を基盤とする資本主義の適正な礎になると思っております。
 そこで、今までの諸先生方の質疑を聞いておりますと、この法律の制定される背景あるいはその方向性がグローバルスタンダードのものに伸びていくのか、あるいは特殊な今の時点での貸し渋りという任意なものに終わるのか。率直に言いまして、どういう方向性を持っているのか、あるいはどういう背景を持っているのかということについていま一つわからない部分がありますが、提案者の大原先生から。
#61
○衆議院議員(大原一三君) 私も、日本のバブルの反省から、あのころの経済というのは土地本位制ではなかったのかな、その失敗が今日の経済の曇りを生んでいるなという感じを多分に持っております。土地というのは生産手段ですから、それが神様になったら世の中ひっくり返ってしまうわけでございますので、特に世界一の経済大国でしかも一番狭隘な土地だ、値上がりするのは決まっているんです。そういったものが投機の対象になるということは経済破滅のもとであるという感じは多分に持っております。だから、これは土地政策として、平野先生がさっきおっしゃった点、我々はもう少し突っ込んで今後考えていかなきゃならぬ基本課題じゃないのかなというふうに思っております。
 ただ、残念ながら、現在のバブルの後遺症を見ましても、日本ほど土地の取得価額と時価が乖離している国はない。半分に下がりましたけれども、先ほど東京駅のお話を申し上げましたが、一方と一方で並んでいながら一万二、三千倍倍率が違う価格を同じ帳面に載せるというのはおかしな話ではないのかな、こういう考え方も持っておりまして、それではグローバルスタンダードかなと見ますと、ちょっと先ほど触れましたが、イギリスのサッチャーさんが一九八五年に会社法を改正してどうぞ御随意にと。ドイツもそれをやりました。EC統一指令でオランダもベルギーもフランスも土地については時価会計を認めております。それで税金は取らない、こういう制度を確立しております。アメリカでも時価会計主義がほうはいとして起きておる。
 こういったことを考えますと、やはり将来の行く道として、土地についての時価会計というのは方向づけは一応出ているんではないのかな。これは会計原則として申し上げるわけで、商法は商法のまた特定のレギュレーションがあるわけでございますので、そことはまた別個の議論をしなきゃならぬと思うんですが、会計の流れとしてはしかるべき方向へ向いているのではないのかな、こう思っております。
#62
○平野貞夫君 私たちの自由党では、大原先生が指導的に考案されたこの法律について評価が非常にまちまちでございまして、最終的には賛成するということになっておりますが、私どもも、大原先生の問題提起のちょっと前から、土地の再評価を適正にすることによってむしろ国の財政再建そのものに入れ込むべきではないか、そういう勉強、議論をしていたわけでございます。ただ、残念ながらこの法律は当座の問題ということで二年間という時限でもありますし、大原先生の発想そのものは私は評価するものでございますが、そういう形で土地問題というものの根本をやっぱり我々は見直すべきじゃないか、こういう意見を持っていますが、いかがでございましょうか。
#63
○衆議院議員(大原一三君) 非常に難しい問題点だと私も思っております。それぞれの党では、あるいは地価増価税とかそういったものを国庫に入れて、それを社会福祉やその他の政策に回すべきではないのかなと。土地の値段が上がったのは、我々が税金で道路をつくったり下水道をつくったり、あるいはいろいろの配線をしたり、その結果地価が上がったんだから、上がった分についてだだ野放しで喜んでいるんじゃおかしいので、地価増価税を取るべきではないのかなと。売った場合は所得税がかかりますのでこれは問題がない、法人税もかかります。ただ、そうでなくて、地価が上がった分について応分の負担をしたらいかがかというようなことも議論があると私は聞いております。
 ただ、その問題の方は基本問題でございまして、これはあくまでも当面の手段に着目した法案でございますのでそこまで議論の問題提起はできなかったと。将来そういった問題が起きました場合も、評価してあるんですから簡単に取れる、そんなことを言ったらやる人いないかもしれませんけれども、そういう問題もあることは私は認識をいたしております。
#64
○平野貞夫君 最後の質問でございますが、この法律はこの法律として若干の意義というのはあると思いますが、しかし臨時のものであり、任意のものであり、また金融機関を中心とする貸し渋りの是正ということなんですが、ならば私は抜本的な経済構造の改革の方がより大事じゃないか。そういうことを放置しているとは言いませんですが、そういうことへの着手をさまざまな形でおくらせていて根本的な解決はできない。やはり大きな根っこ、悪く言いますと、臨機応変の改革じゃだめだと思うんです。本当の意味の貸し渋り、健全な市場経済ルールをつくるなら、やっぱり我が国の構造改革を臨機応変じゃなくて抜本的に着手すべきじゃないか、このような意見を持っていますが、いかがでございましょうか。
#65
○衆議院議員(大原一三君) 私の能力、限界を超えた御質問のような感じがするのでありますが、我が国の経済構造改革というのは諸外国よりも非常に難しいと私は思っております。先ほど申しましたように、我が国の高コスト経済というのは一体何だろうか。基本的に考えてみますと、世界一のGNPに対して世界一狭い土地、地価がヒートするのは当たり前の国柄です。そのヒートした地価がいわゆるバブルを生み、日本はこの現象が十二年置きに起きているわけです。恐らくまた十二年先にはバブルが生まれるであろう、その火消しにまたこのような苦労をしなきゃならぬのかなという反省も私は持っております。
 土地政策が欠如しているのが今の日本の経済政策ではないのかな。土地は公共財であるという規定を平成元年でございましたか、土地基本法で決めたんです。公共の福祉に寄与しなきゃならぬ、全然寄与していないんですね。何が欠落しておったかということを考えると、やはり我々の政策不全が今日の状況を生んでおる。非常に難しい課題です、これ私有財産でありますから。それにどう切り込んでいくかということがこれからの経済政策の一番大事な点であることは恐らく基本的には先生と認識は一致していると、私はこう思っております。
#66
○山田俊昭君 二院クラブの山田でございます。よろしくお願いいたします。
 この法案に対する質問も六人目になりますともうほとんど質問が出尽くしておりまして、私が質問通告してあるのを一つずつ消していきましたらほとんどなくなってしまいまして、後にいらっしゃる矢田部先生は何を聞かれるかちょっと心配するところなんでありますが、重複をするかもしれませんけれども、せっかく与えられた時間で茶を濁す形で申しわけございませんけれども、質問させていただきます。
 この法案で私ども最初やっぱり疑問といいますか、私はこの法案に賛成する立場から質問をいたしますけれども、前の自己株式取得・消却なんという悪法と全然違って、これは多少私は評価するという立場で質問するものであります。
 やはり簿価と時価との差があるから時価に評価がえをするということなんですが、何度か先生方質問されていて恐縮なんですが、しからば時価とは何なのか。真の時価の算出根拠が政令に任されて、しかも政令には五つの方法を持つと。先ほど大蔵の方からのお答えの中に、土地というのは同じ形のものは一つもないんだからあらゆる角度から評価して決めざるを得ないのでこういう形をとっている、しかもこれには会計監査というチェック機能もあるというお話なんですが、やはりもう少し統一された形でないと真正な時価の算出というのは国民にとっても非常に疑問が残るんじゃなかろうかという素朴な疑問を持つわけであります。
 法律によって大まかに決めておいて、細かな時価は政令にゆだねてしまうということは、従来から言われておりますように立法府軽視、裁量行政の温床の原因になるということは当然指摘される疑問点だと思うし、問題点だと思うんですが、この点に対する大原先生の御意見をお伺いいたします。
#67
○衆議院議員(大原一三君) 私も昔税金関係の仕事をしておった関係上、時価とは何ぞやということが非常に問題になります。
 御承知のように固定資産税についても時価と書いてございます。それから、ことしから凍結される地価税についても時価と書いてございます。この法律も時価です。時価が三つあるわけです。
 まず、固定資産税については一般常識として公示価格の七掛けになっておるんです、今の状況は。これは将来は時価ですから公示価格に持っていきたいというのが今の固定資産税事務当局の考え方のようでございます。それから、地価税の時価というのは相続税の評価基準の路線価によっているんです。相続税の評価基準は公示価格のアバウト八掛けでございます。公示価格の点数が現在の六万点を超えて三十万点、四十万点になればそう苦労はないんです。ところが三十万都市で六カ地点ぐらいです。百万都市で十二カ地点ぐらいです。銀行はその評価地点に大体近いところにおりますから公示価格は大体とれるだろうとは思いますけれども、農協も入っているんです。山の中の地価とは一体何ですかという議論が出てきますと、やはり税務署がやっております路線価による評価基準というのがもう全国流布しておりますので、それによって評価をしていただいて、八掛けと言われておりますので、固定資産税の場合は七掛けでございますから、還元をしていただくということが可能ではないのかなと。
 わかるところは公示価格でございます。公示価格とは何ぞやといいますと、国土計画法にあるんですが、売買実例価額ということに相なっているわけでございます。ところが、この前の旧国鉄本社の値段というのは果たしてあれが売買実例になるのかな、先物食いじゃないかという感じもありますので、そこらはやはり客観的な評価基準、申し上げたような幾つかの基準によって限りなく公示価格に近い価格にやっていただく。
 税金をいただくんでしたら、私はやはり路線価をとるべきだろうと思うのでありますが、これは課税をする対象ということではございませんので、会計監査法人でございますから、監査人が入っておるということでこういう規定をさせていただいたものと。これは大蔵省のやることでありまして、私が答弁するのは政令の話でございます。考え方だけはそういう考え方を大蔵省に示しておきました。
#68
○山田俊昭君 確かに問題はあると思うんですが、大原先生御指摘のように何らかの形でもう少し統一的な時価算出の根拠、ないからこういう形になっておるのかもしれませんけれども、もう少し国民が納得する時価の算出基準が示されたらなという気は強く持つものであります。
 次の質問なんですが、与えられた資料のところで、私もよくわからないんですが、いわゆる企業会計の国際的な流れは株式や債権などの金融資産が対象となって、今はもう土地を対象にしないという国際的な流れがあるように聞いているんです。そういう国際的な企業会計の流れ、原則があるところで、改めて企業会計の財務諸表の国際比較等の中に土地を再評価して入れていくということは時代の流れに逆行するんではないかという批判があるんですが、この点いかがでしょうか。
#69
○説明員(三國谷勝範君) 現在の時価評価につきまして、有価証券あるいはデリバティブ等の金融商品につきまして国際的な調和を含めまして時価評価を検討する必要が生じてきておりまして、現在企業会計審議会において鋭意検討中という状況になっているところでございます。
 一方、土地につきましては、先ほど法務省からもお答えがございましたとおり、現在、取得原価で評価することになっているところでございます。世界的には、一応取得原価評価というところもございますし、また選択制のもとにおいて時価再評価を認めている国もあるといった状態であろうかと思います。
 金融商品の時価評価と土地の時価評価につきましては、それぞれ異なる性格のところもございまして、国際的な動向も含めまして現在のところ直ちに土地を時価評価する、そういった検討ということは予定しているところではございませんが、土地につきまして、いわば政策判断といたしまして、あるいは立法等によりまして簿価の修正を行うということにつきましては一つの政策的な判断に係る事柄ではなかろうかと考えております。これにつきましては、大原先生から御説明がありましたように戦後にも立法例があるところでございまして、今回も政策的な御判断ということで御提案がなされているものと承知しております。
#70
○山田俊昭君 私の質問は、いわゆる企業会計の国際的な流れは株式や債権などの金融資産だと言うんだよ。土地を入れないのが国際的な企業会計の原則で、そういう流れがあるところに日本がまた今ごろ土地なんかを評価して、企業の諸表に入れてくるというのは企業会計の国際的な流れに反しないかという質問なんですよ。
 だから、国際的な流れがそうなのかどうかということと、逆行しているという質問に対する的確な御回答をいただきたい。
#71
○説明員(三國谷勝範君) 金融商品につきましては、時価評価ということが一つの流れでございまして、これにつきまして現在さまざまな角度から検討しているところでございます。
 土地につきましては、現在直ちにいわば一律強制といった形での時価評価ということにつきましては、そういった流れにあるということではございませんが、諸外国によりましてはいろいろ政策的な御判断等によりまして任意の再評価が認められていると。ただ、これにつきまして世界の流れが例えば全体が取得原価主義一方向であるという流れというよりも、現在のところ取得原価評価の流れの中で再評価は認めている国もある、こういったところかと思います。
#72
○山田俊昭君 何度か出ていますけれども、いわゆる時価と簿価との差があり過ぎて、その差が含み資産、隠し資産だというところで日本の企業というのは海外の投資家、国内の投資家から非常な非難を受けているわけです。簿価なのか時価なのか資産がはっきりわからない、極めて不透明じゃないかと。
 今度、貸し渋り対策として金融機関及び法律で定められた資本金五億円以上とかいう企業に対して今度するわけですけれども、いわゆる不透明な企業会計を投資家たちの疑念払拭と申しますか、海外及び国内の投資家に透明化させるためにも、これは限定せずに、先生はこれはこれからのきっかけになるというおっしゃり方をしているんですが、これは一時的なあれかもしれませんけれども、企業透明化と市場活性化のために、企業会計の明確化のために全企業が簿価ではなくて時価によるんだということを徹底するという形の流れに持っていかれるべきではなかろうかと思うんです。大原先生はそれは賛成だとおっしゃっているんですが、その具体的な実現可能性というんですか、すぐやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#73
○衆議院議員(大原一三君) 先ほどからの御質問を聞いておりまして、土地の時価会計というのは、商法はやはり取得原価主義というのが世界の大勢でございます。やはり堅実経営ということが基本にあると思うんです。
 ただ、どこの国もバブルを経験していまして、やはりどうも会社が大き過ぎるのはおかしいという反省のもとに、ECでは、統一指令四号と書いてございますが、それによって土地の時価評価の選択肢をつくっておる。それから、国際的な会計基準というのがございますが、IASというのも同様に時価で明示することの選択手法を認めておるようであります。
 先生がおっしゃるように、これまた企業会計の大原則にかかわる基本問題でございまして、大原君の手に負えない大質問でございますが、将来それをやりますと今の状況では評価損の出る企業が相当あると思うんです。評価損を出すということはこれまた大変な問題がございますし、なかなか難しい課題を抱えているんじゃないのかな。そうすれば強制しかありませんので、これとまた評価損とか何とか、もう大変な議論を起こす可能性も多分にあるなど。
 しかし、理屈から言ったら、先生のおっしゃるとおり、やはり投資家や債権者にはっきりしたことを教えるべきが企業の要するにディスクロージャーでございますので、基本的に私はその御意見に反対する何物もございません。
#74
○山田俊昭君 最後の質問ですけれども、いわゆる貸し渋りの原因が、今回の早期是正措置ではなくして銀行の採算性重視路線というんですか、そこに貸し渋りの原因があるんだという意見があるわけなんです。貸し渋りの真の原因がどちらなのかのとらえ方によって異なってくると思うんですけれども、もし貸し渋りの原因が早期是正措置だから再評価するんだということだけに限定すれば、この法案は適切な処置ではない誤った形になるんじゃなかろうかと思うんです。
 いわゆる真の貸し渋り原因を単に是正措置論だけでお考えになっていらっしゃるのか、銀行の新しいいわゆる採算性重視の健全経営化のために貸し渋りが出できたんだということなのか、そこら辺のところをどうお考えがお答えいただければありがたいと思います。
#75
○衆議院議員(大原一三君) 私はやはり両面あると思うんです。
 金融機関の採算性が今非常に問題視されているわけでございます。いわゆる給与は製造業の倍ではないか、重役は数が多過ぎる、ボーナスも高過ぎる、そういった要因がやはり現在までの横並び、いわゆる護送船団の中に伏在をしているわけでございまして、これを是正するということがやはり私は非常に大事な作業だろうと、いわゆるリストラですね、作業だろうと思うんです。今のままぜい肉を抱えておって、これをやります、十三兆出しますでは、これは国民に申しわけないんです。
 そういう意味で、私どもは十三兆円とは全然縁がございません。これは空手形でございます、全然金を出していないんですから。その金が銀行の給与に回ったり、あるいはまた変なところへ回る可能性はないわけでございますけれども、いずれにしましても銀行保護になってはいかぬなという気持ちは多分に持っております。
 だから、あなた方は資産があるなら隠しなさるな、この際表にきれいに一〇〇%出しなさいと。そして、おらがうちはこれだけあるよ、おらがうちはこれだけないよということをはっきりしてもらえりゃ、変なところに預金しませんから。そういった意味でも、このディスクロージャーに何らかの形で役立つでもらいたいなという気持ちもございます。
#76
○山田俊昭君 どうもありがとうございました。
 終わります。
#77
○矢田部理君 BIS基準というのがあって、自己資本比率を高めでできるだけクリアするのはもちろんでありますが、さらに自己資本比率を高めるということが一つのポイントになっているわけですが、これをクリアすることがなかなか難しいとか、自己資本比率が国際的な基準に比べてかなり厳しい状況に置かれている金融機関というのは、その実態についてはどんなふうに把握しておられるんでしょうか。
#78
○政府委員(中井省君) 先ほど申し上げましたけれども、日本の金融機関が不良債権の償却をする過程でかなり業務純益それから株式の含み益を費消したということがございまして、かなり底が浅くなっております。したがいまして、昨年の秋以来、株価低落とともにかなりの金融機関が八%のバーゼルの自己資本比率規制を切るんじゃないかという恐怖感に駆られて、それが貸し渋りの大きな原因の一つになったということでございます。
 それ以来、政府におきましていろんな対策をとらせていただいた。例えば、利益性の準備金等の繰り戻しを認めますとか、それから債務者預金といいますかそれの相殺を認めるとか、現在のバーゼルの取り決めの中でも合理的な範囲で認められるような措置をとっております。
 それから、先般のいわゆる金融二法によりまして、キャピタルインジェクションといいます資本注入、優先株あるいは劣後ローンを大手銀行に注入することが決定されました。それもかなりの助けになる。
 それから、今回御審議いただいております大原先生御提案の資産の再評価によりまして、いわゆるティア2キャピタルもかなりかさ上げされる面がございます。
 現状におきましては、きょうの株価がどうなるかちょっとわかりませんけれども、八%の基準行については達成できるんじゃないかというふうに見ているところでございます。
#79
○矢田部理君 いろいろ対策をとったとは言われるのでありますが、政府自身が当然こういう貸し渋りとかいろんな問題が出てくることを早期に予測して、むしろ是正措置の方針を出したときからタイムリーに対策をとっていればここまで追い詰められなくてもよかったのではないか。その怠慢のツケが今この年度末に当たってたまってしまった、それで大原先生も大変苦労しているというふうに見るんですが、その点はいかがでしょうか。
#80
○政府委員(中井省君) 早期是正措置の導入を決めさせていただいたのは二年前でございまして、いわゆる早期是正措置の中身というのは、非常に客観的な基準に基づいて、自己資本に基づいて銀行に経営改善を促すという措置でございます。
 これがいわゆるハードランディンクいたしますと、かなり銀行が貸し渋り等の行動をとる、実体経済に大きな影響を及ぼすおそれがあるということで、当時の新聞ではアメリカの早期是正に比べて非常に生ぬるいということで我々批判を受けたわけでございまして、我々としては二年前の時点におきましてかなり軟着陸ということを念頭に置きまして、いわゆる暫定的な移行措置も入れまして、余り急激な構造変化を銀行に起こさない、なおかつ長期的な目的であります銀行の経営の健全化にも資するということで実施を決めたわけでございます。
 大変残念なことに、昨年の秋以降、一連の金融機関の破綻ということもございました。それから景気状況、これはもう大蔵省なり政府の経済見通しが間違ったと言われればもう本当にまことに申しわけないことでありますけれども、景気の状況が我々が想定しました以上に悪化をいたしました。こういう結果を招来したということでございまして、そういう意味では我々の政策というのが当を得なかった面については深くおわびをしたいと思います。
 それから、なおかつそういうことで大原先生初め関係の先生に今回の法案について大変お世話になったということでございます。
#81
○矢田部理君 そのことだけやっているわけにもいきませんけれども、貸し渋りの問題が報道などに載ったのは既に昨年の夏なんですが、政府なり大蔵なりが対応したのは去年の暮れあたりからということで、この点でも相当のやっぱりおくれを指摘せざるを得ないわけであります。
 そんな中で、今度の法案もややにわか仕立てでできたというふうに考えざるを得ないわけです。もともと原価主義をとっておった大原則を変え、それが単に仮に国際的な流れであるとするならばそれはそれとして一つの考え方だと思いますが、やはり先ほどから議論が出ておりますように、商法の原則、基本を変えるわけですから、少しく時間をかけて慎重に検討して、変更なら変更の措置をとるべきであって、臨時異例の措置としてやるのはいかにも便宜的であり、当座の何かこの種政策のおくれの糊塗策にすぎない。とりわけ、実質上の財産が変わるわけではありません、評価だけ変えて表に出すというやり方も少し形式的に過ぎるような印象を受けるわけでありますが、その点、提案者としてはいかがでしょうか。
#82
○衆議院議員(大原一三君) 確かにお説のような面がなくはないと思います。ただ、私もいろいろ物の本を読んだり、今までの外国の例等を見まして、日本の金融機関のリストラというのはただごとじゃないなという気持ちを多分に持っておりました。
 私は大蔵省にいたんですけれども、銀行嫌いであります。住専国会のときに嫌というほどいじめられまして、あれはとにかく四十七士の大野九郎兵衛と同じで、銀行屋さんは住専七社の悪いところは全部知っていて、とっくに持ち逃げしているんですよ、中身のいいところは。かすだけ残しておいて、農林大臣、五兆五千億面倒見ろなんてけしからぬ話ですね。だから四十七士の大野九郎兵衛だ、こう思っているんです。
 それは冗談でございますが、いずれにしましても金融機関のリストラというのはただごとじゃないと思うんです。それをやらぬ限りだめです。不良債権の処理が今の日本経済のネックになっておりますので、これが最優先項目であります。
 私の方はささやかに貸し渋りをなくすにはどうしたらいいかな、あれやこれやいっぱいあるでしょうと。その中の選択肢の一つとして、イギリスもやり、ドイツもフランス等もやっておる、そういったことを参酌しながら少しでも貸し渋り対策の是正に役立てはという気持ちで御提案を申し上げたわけでございます。
#83
○矢田部理君 時間が余りありませんが、先ほどの時価の問題を少しただしておきたいと思うんです。
 一物三価とかとして、日本の法制ではいろんなところで時価という言葉が先ほども御説明ありましたように出てくるわけでありますが、何が一番本当の基本になって、本当の時価というのはあるのかどうか知りませんが、何割掛けとか先生先ほどおっしゃいましたが、この基本になる時価というのは一体何なのか。それから、法律上の根拠を持つ時価というのは幾種類あって、どんな計算根拠で出てきているのか、まず概況を説明してください。
#84
○政府委員(生田長人君) 私どもが所管しております地価公示法というのがございまして、これによりますと、市場における取引を行う場合の正常な価格、これを示すものが地価公示価格というぐあいに考えております。これは、現実の取引はいろんなファクターが入ってまいりますので、売り急ぎであるとか買い進みであるとか、そういうファクターを取り除いて、本来の市場価値といいましょうか、そういうものを出すものが地価公示価格でございます。三万余の地点で公示しております。
 それ以外に、税務上の観点から時価という言葉が用いられておりまして、これは相続税を課する場合の相続税評価額であるとか、あるいは固定資産税を課する場合の固定資産税評価額、こういうものがございますけれども、それぞれの法律に基づきまして税務上の目的から、要するにこの程度の評価額にしたらいいのではないかという観点から評価が行われておるものでございます。大きく言いまして三つ法律上はあるものというふうに理解しております。
#85
○矢田部理君 そうすると、公示価格が一応基本になって、後は税務上の観点を加味して何掛けとか何割引きとかということになるのでしょうか。それは大蔵省ですか、その辺は。
#86
○衆議院議員(大原一三君) そういう手法も認められると思うんです。客観的な時価というのは、言いましたように幾つもあるんですよ、困ったもので。これも時価でございまして、固定資産税も時価と書いてある。何が時価がという議論があるんですが、国土庁の公示価格、これが限りなく時価に近い。それで、国土計画法に基づいて、先ほど僕は六万点とか言ったけれど、三万六百ぐらいだそうでありますが、その地点に準じて県がおやりになっている標準値というのがあるんです。もう公示価格に限りなく近いんですから、それもまた利用していただくということが政令には書かれているわけであります。そういうふうに推計も可能だと、私はそう思います。
#87
○矢田部理君 その公示価格の算定式はある程度想定できるんですが、そうすると、例えば固定資産税をかける場合とか、相続税を取る場合とか、なぜそれと違ってくるのか、どういう観点で何割引きになったりするのかという基準なり考え方がわからぬのですが、それはどう説明されますか。
#88
○衆議院議員(大原一三君) これは税務当局が本当は説明しなきゃいかぬのでありますが、実は、固定資産税は将来公示価格に持っていこうとしているんです。だから、今あれは中間段階の時価なんだそうであります。これから毎年改正をして将来は時価に持っていくということで、公示価格に近いものにするということでございます。
 相続税の方は、これはいろいろ税負担の問題もございましょう。いきなり公示価格へ持っていくと、やはりこれは問題があるんじゃないのかなという感じも私は持っております。一番的確なのは、やはり国土庁の公示価格というのが売買実例に基づいて算定をした基準だと、こういうことになっておりますので、そうなるだろうと思います。
#89
○政府委員(中井省君) 担当でございません。主税局が帰りましたので、そういう限りで聞いていただきたいんですが、相続税について言いますと、いわゆる税負担の問題もございまして、ある意味では保守的といいますか、それから例えば被相続人が亡くなって一遍に財産処分をするような場合にはどうしてもディスカウントになるとか、いろんな事情があろうかと思いますので、そういうところも含めて評価をしているというふうに私は理解しているところでございます。
#90
○矢田部理君 私が申し上げたいのは、それぞれの合理性とか根拠を追求するのは問題ではないんですが、時価と表現して公に出されていろいろんな価格もあるものですから、それ自身がもともと混乱している上に、さらに今度は五つぐらいの方法でそれに合理的な調整をすると。これもまたあいまいな基準で、さて、いかがなものかということになると、企業会計が乱れに乱れはしないか。そういうものを採用するのも自由、採用しないのも自由、それから時価主義をとる企業もあれば適用にならない企業もあるということで、何か統一的旗基準、先ほどから出ておりますが、みんなばらつきが大きくなり過ぎて、法律というのはもともとある種の基本的な基準で全体を仕切って、だれが見てもそれがわかるというふうにしなきゃいかぬのですが、これはどの時価をもとにしたんだろうか、どういう合理的調整をしてこうなるんだろうかということで、ばらつきが多くなるのも果たして立法としてはいかがなものかという感じがするのですが、大原先生、いかがですか。
#91
○衆議院議員(大原一三君) 先ほどから申しますように、国土庁の公示価格はいわゆる時価だということは我々共通の認識を持っているわけであります。ところが、三十万都市の私の市なんかは六カ地点しかないんです。それから、千葉でもおそらくその倍ぐらいしかないんです。だから、公示価格であることはわかるんですが、そのポイントから随分離れておる地点の金融機関等はどうするんだいという議論がまずは出てくると思うんです。それについてはいろいろの手法がありますが、売買実例があればそれでいいんですけれども、それがなければやっぱり固定資産税の評価や地価税、地価税はほとんどの金融機関が納めていらっしゃるので、今までの評価の方法をお持ちでございますから、それが八掛けということであればそれに準じて、ポイントから離れておりますから公示価格を横目で見ながら、同じような条件の土地であれば公示価格の点と同じように評価をしていただくということだと思います。
#92
○矢田部理君 終わります。
#93
○委員長(武田節子君) 他に御発言もないようですから質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#94
○橋本敦君 私は、日本共産党を代表して、土地再評価法案に対し反対の討論を行います。
 商法第三十四条は資産評価の原則を定めておりますが、我が国の商法の会計原則は、固定資産は流動資産と異なり原価主義をとっております。
 ところが、この土地再評価法案は、事業用土地について時価による評価を行うことができるようにし、いわゆるBIS規制対策として企業、特に銀行の自己資本比率を高めるということを目的としたものであります。
 しかし、その再評価は任意であり、実際には一部の銀行等に限られる可能性があり、しかも二年の時限立法であって、必ずしも自己資本比率が改善されるかどうか疑問であります。
 また、貸し渋り対策という問題でありますが、銀行の貸し渋りは、ビッグバンを控えた金融業界が今日の深刻な不況のもとに効率のよい確実な相手との金融取引に絞り込んでいこうという志向のあらわれであり、仮に自己資本比率が幾らか高まったとしても直ちに貸し出しがふえるというものでは決してありません。
 さらに、重要な問題であります土地再評価の方法については、細目は大蔵省の政令で定めることになっており、公示価格、土地課税価格などこれらの基準に合理的な調整を加えたものなどという、いわば主観的で恣意的な判断を許す余地を残しております。現実には会社の資産に変化がないのに、こうしたことで評価の仕方を変えるだけで資産がにわかにふえる一方、土地価格の下落によるリスクもいずれは生じる可能性もあるという問題にもなってまいります。これでは、企業、会社の資産の状態は国民に正しくディスクローズされないことにもなるでしょう。
 こうした資産の数字いじりとも言うべき手法は、公正さ、永続性を欠く金融機関のお手盛り増資を許すものだといったマスコミの批判もあるように、危機を伝えられる三月期決算を乗り切るためのびほう策にほかならないと言えるでしょう。根本的な問題としては、そもそも法制審に諮って、商法上の基本原則、これをどう現実化するかという問題を根本的に検討するのが筋であると考えます。議員立法で早急に行うことには、その意味でも反対であります。
 以上で反対の討論を終わります。
#95
○委員長(武田節子君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 土地の再評価に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#96
○委員長(武田節子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 大森礼子君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。大森礼子君。
#97
○大森礼子君 私は、ただいま可決されました土地の再評価に関する法律案に対し、自由民主党へ民友連、公明、社会民主党・護憲連合、自由党及び二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    土地の再評価に関する法律案に対する附帯決議(案)
 本法の施行に当たっては、政府は、次の諸点について格段の配慮をすべきである。
 一 事業用土地の再評価に当たっては、企業経営の健全性に寄与するとともに、いわゆる貸し渋りを是正し、金融の円滑化が図られるよう法の趣旨及び内容を周知徹底すること。
 二 適正な土地の再評価と公正・妥当な会計監査が確保されるよう指導を強化すること。
 三 帳簿価額と時価との差額(再評価差額金)の貸借対照表への計上の在り方については、他の評価益に係る会計上の位置づけの展開等を踏まえ、時宜に即した取扱いとすること。
 右決議する。
 以上でございます。何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#98
○委員長(武田節子君) ただいま大森君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
    〔賛成者挙手〕
#99
○委員長(武田節子君) 多数と認めます。よって、大森君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、下稲葉法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。下稲葉法務大臣。
#100
○国務大臣(下稲葉耕吉君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
#101
○委員長(武田節子君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#102
○委員長(武田節子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#103
○委員長(武田節子君) 次に、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。下稲葉法務大臣。
#104
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、我が国の渉外的法律関係の一層の安定を図る等のため、外国法事務弁護士に係る諸規制を緩和しようとするものであります。
 その改正の要点は、次のとおりであります。
 第一に、外国法事務弁護士となる資格の承認基準の一つである外国弁護士としての職務経験要件について、必要とされる期間を三年以上とし、これを短縮するとともに、外国弁護士となる資格を取得した外国以外の外国において法律業務を行った経験についても、一定の要件のもとに右の期間に算入できるものといたしております。
 なお、我が国における労務提供についても、一定の要件のもとに通算して一年を限度として外国弁護士の職務経験に算入できるものといたしております。
 第二に、外国法事務弁護士の職務範囲を拡充し、指定法に関する法律事務以外の特定外国法に関する法律事務についても、一定の要件を満たす外国弁護士等の書面による助言を受けて、これを行うことができるものといたしております。
 第三に、外国法事務弁護士と我が国の弁護士との共同の事業について、目的に関する規制を緩和し、外国法の知識を必要とする法律事務、当事者の全部または一部が外国に住所または主たる事務所もしくは本店を有する者である法律事件についての法律事務等を共同事業の目的とすることができるものといたしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
#105
○委員長(武田節子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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