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#1
第142回国会 法務委員会 第8号
平成十年四月二日(木曜日)
   午前十時六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月三十一日
    辞任         補欠選任
     長尾 立子君     鈴木 省吾君
 四月一日
    辞任         補欠選任
     鈴木 省吾君     長尾 立子君
     千葉 景子君     萱野  茂君
     平野 貞夫君     泉  信也君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         武田 節子君
    理 事
                清水嘉与子君
                依田 智治君
                大森 礼子君
                橋本  敦君
    委 員
                遠藤  要君
                長尾 立子君
                林田悠紀夫君
                前田 勲男君
                松浦  功君
                萱野  茂君
                角田 義一君
                円 より子君
                照屋 寛徳君
                泉  信也君
                山田 俊昭君
                矢田部 理君
   国務大臣
       法 務 大 臣  下稲葉耕吉君
   政府委員
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  山崎  潮君
       法務省保護局長  本江 威憲君
       法務省入国管理
       局長       竹中 繁雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 恒男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特
 別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○保護司法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法
 律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(武田節子君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨一日、平野貞夫君及び千葉景子君が委員を辞任され、その補欠として泉信也君及び萱野茂君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(武田節子君) 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○依田智治君 自由民主党の依田智治でございます。
 皆さん、弁護士の専門家が多い中、また法務大臣経験者が多い中で私の方は素人みたいなあれですが、トップバッターでございますので、基本的な問題について数点お尋ねをさせていただければありがたいと思います。
 まず、法務大臣に、これは外弁法にも書いてあるんですが、我が国が外国弁護士受け入れ制度というものを現在導入している基本的理由。と申しますのは、我が国の場合、やはり戦前には相互主義のもとに受け入れ制度があり、戦後、進駐車等の多量の我が国駐留というような状況を踏まえながら旧法でこの制度があり、しかしその後、三十年ごろ必要ないということでこれを廃止し、また六十二年ごろから現在の法が行われている。こういうことで外国からも要望なり、いわゆる外圧というか、それも強いとも聞いていますが、一方我が国の企業等のニーズも高い。こういう面も踏まえまして、基本的にこの問題、法律についてどういう認識を持っておられるか、これをまずお伺いできればありがたい。
#5
○国務大臣(下稲葉耕吉君) ただいま委員から戦後の流れにつきまして御説明があったわけでございますが、最近の社会経済の国際化の進展によりまして、企業の活動を中心として渉外的な法律関係が問題となるケースが増大してきておりますし、国際化が進めば進むほどそういうふうな傾向はいよいよ増大するものと思われます。
 そこで、外国法事務弁護士の制度は、外国弁護士に我が国における活動を認めることによりまして、日本国内において外国法に関する良質のサービスを提供させ、このような内外の法的ニーズに適切にこたえようとするものでございます。
 お話がございましたように、いろいろな話も外からあることは事実でございますけれども、そこはあくまでも私どもの判断によって対応していくという基本的な姿勢ではなかろうか、このように思います。
#6
○依田智治君 やはり国民のニーズ等にこたえて適正な法律業務が執行できるということが大変重要だと思います。
 そこで、この法律家というのは世界的に社会的にはプロフェッショナルということで高い地位に置かれているというように承知をしておりますが、この制度に基づく場合、一応どこの国でもこうやりたいとなれば審査してできるのか。戦前はいわゆる相互主義というものがあったわけですが、また国際的にはサービス貿易に関する一般協定、ガットというようなものもあって、必ずしも相互主義にもいっていないような場合もあるというように承知しておりますが、そのあたりはこの法律との関係ではどうなっているのか。これは事務局で結構です。
#7
○政府委員(山崎潮君) 外弁は基本的には国際的な互恵という観点から相互主義を適用しているものでございますが、厳格な相互主義は、例えば今御指摘がございましたような世界貿易機関を設立する協定、WTO協定でございますが、そこのサービス貿易に関する一般協定、ガットでございますが、こういうような近時国家間の約束として採用されるようになりました最恵国待遇、この原則と矛盾することになります。我が国の国際社会におきます地位にかんがみますと、必ずしもその厳格な相互主義というのが望ましいものではないと考えられるに至ったわけでございます。
 この外弁法導入当初は相互主義を採用していたわけでございますが、平成六年の改正で基本的には相互主義の原則を持ちながら、我が国が外国弁護士受け入れ制度について相互主義を適用しないことを条約あるいはその他の国際約束において約束した国の外国弁護士に対しましては、仮にその弁護士が所属する国につきまして外弁制度がないという場合でございましても最恵国待遇の原則を尊重する、こういう制度に変えて現在対処しているわけでございます。
#8
○依田智治君 私も余りこの方面を研究したことがなかったんですが、音といっても五十年代の終わりごろ、総理の秘書官をしておりましたころに、やはりアメリカとの貿易摩擦というか、関税障壁の撤廃とかいろいろなっているときにこの外分受け入れ問題というのがクローズアップされているという印象があって、我が国はどっちかというとこういう問題に対して閉鎖的というか、おくれている国なのかなという印象を持っておったんです。
 今回これを質問するのでいろいろ研究してみますと、フランスでは平成四年に今まであった制度を廃止したというような形もありますし、アメリカはやいのやいの言ってきているので相当進んでいるのか、こう思いましたところ、ニューヨーク州なんかは我が国の法制度もいろいろ参考にしておるというところもありますが、他の州でも相当導入していない、実施していない州もあるというようなことで見ますと、むしろ日本は割合この面で、もっとも国民なり企業のニーズというものにこたえるという法務行政の積極的姿勢もあるんだと思いますが、どちらかというと進んでおるのかなというような印象を持ったわけですが、この点いかがでございますか。国際的には我が国はこういう問題についてはむしろ進んでおるというような認識なのかどうか、その点をちょっとお伺いしたい。
#9
○政府委員(山崎潮君) ただいま委員から御指摘ございましたように、外国弁護士受け入れ制度につきましては、それぞれの国の司法制度とかあるいは弁護士制度のあり方が異なっておりまして、今回の改正によりまして我が国の外国弁護士受け入れ制度は全体的に見まして国際的にも妥当性を有するということが言えようと思いますし、また我が国の法制度に適合してかなり前進したものになるという評価ができるというふうに考えております。
 若干具体的に申し上げますと、委員からも今御指摘ございましたように、外国の制度を紹介したいと思いますが、まず職務要件でございます。これにつきましては今回現行法が五年であるのを三年と短縮するわけでございますが、アメリカの州ではまず約二十の州しか外国弁護士受け入れ制度を設けておりません。他は閉鎖をしております。この二十の中でもその期間は大半が五年でございます。最も短い期間を有しておりますニューヨーク州等二州は三年でございますが、我が国で設けてない要件を設けておりまして、例えば申請直前の五年のうちに三年、こういうような要件も設けております。
 また、どこの場所で法律事務を経験したかという点につきましても、ニューヨーク州等二州につきましては原資格国以外の地で経験したものについても通算をするということになっておりますが、他の州につきましてはその自国において経験したものでなければならないとか、こういうような制度をとっております。
 ですから、この点につきましてはある意味じゃニューヨーク並み、ニューヨークより進んでいるという評価はできようというふうに思います。
 そのほか、今回の改正の第二点でございますが、母国法の法律サービス以外に他の国の法律サービスができるかどうかという点につきましては、アメリカの多くの州は受け入れ外国弁護士が助言を得ることを条件として母国法以外の外国法について取り扱うことができるという制度を設けておりますし、また、ドイツにおきましてはこれは許さないという例もございます。
 そういう観点からいきますと、今回の改正案につきましては書面による助言という条件は入っておりますけれども、世界的にも相当性を有すると考えられます。
 あともう一点、ちょっと長くなって恐縮でございますが、特定共同事業の職務範囲につきまして改正を加えているわけでございますけれども、この点に関しまして雇用は認めないという形で特定共同事業を拡大するという形で改正案を提出させていただいております。
 ただ、この点につきましても、例えば連合王国、イギリスでございますけれども、イギリスは外国弁護士がバリスター、いわゆる法廷弁護士でございますけれども、これとパートナーシップを組むことを禁じているというところもございます。
 今回は雇用を認めませんでしたけれども、特定共同事業を拡張して最大限の規制緩和を行ったということで、日本の国内でも同じでございますけれども、実質上、諸外国あるいはその内外からの要望にはこたえられるものとなっているというふうに考えておるところでございます。
#10
○依田智治君 今、中身について御説明をいただきましたが、五年を三年にする、しかも三年の経験というのは、今までは資格を取った国でなきゃいかぬというのが今度はどこか違う国でその法律についてやってもいいとか、日本での経験も一年は加えるとか、そういうような点等をいろいろやると相当世界的には進んでいる方だなという感じもするんです。何でこんなに無理しているのかなという感じもするんです。
 これはもちろんいろんな調査会とかまた弁護士会等とも意志疎通してこの法案ができてきたんだと思うんですが、それで十分適正なる外弁制度の運用というのが可能なのかどうか。弁護士会に登録したりいろいろしてしっかりと掌握していくということのようでございますが、もちろん法案を出すんですからその点についてはこれで十分対応できるという考えを持っておると思いますが、その点はいかがでございましょうか。
#11
○政府委員(山崎潮君) ただいまの御指摘の点、改正案は三点出させていただいたわけでございますけれども、それ以外の基本的な枠組みについては現行法を維持しているわけでございまして、外国弁護士、最初に申請をする場合には法務大臣の承認が必要でございます。この段階でも我々としても十分にチェックをすることになりますし、また承認がされた後、日弁連で登録申請が認められますと弁護士会の中に入って活動するわけでございまして、弁護士会の監督等のチェックがきくわけでございます。そういう全体の構造を考えますと、今回の改正案で変わったとしても今までどおり支障はないというふうに考えております。
#12
○依田智治君 先ほど調査会と申しましたが、外国弁護士問題研究会ですね。この報告が昨年の十月三十日に出て、ほぼこの基本線に沿って今回の改正はなされておるというように承知しております。そういう中でいろいろ詰めて、先ほどどちらかと言えば進んでいるということで申し上げましたが、やはり外国弁護士が日本の弁護士を雇って経営するというか、そらはだめだと、いわゆる弁護士の雇用はいかぬという考えに立っているわけですね。
 それで、雇用というものの考え方にもよりますが、雇用するというのは雇用主が被用者に対して指揮命令する。そうすると、実際上日本の訴訟活動その他できないのに、日本の弁護士を指揮して実質的に資格を持っているようなことになってしまうのでまずいという考えに立っているみたいですが、私はそういう意味からして、今度の改正案に見られますように外国人弁護士と我が国の弁護士の共同事業の目的をある程度広げていく、これは国民のニーズにこたえる道かと思います。ただ、雇用というのはちょっと別だという考えに立っておるわけですが、ちょっと資料等を見てみますと、雇用についてもドイツとかアメリカの二十州なんというのは雇用も認めているというようなことがあるわけです。
 そういう点を考えると、今後、雇用問題というのはちょっと問題になるかなという感じもしておるんですが、現時点における法務当局のこの問題についての基本的考え方というのはどんな点にあるのか。
#13
○政府委員(山崎潮君) 今回、雇用については内外からいろいろ要望ございましたが、これについては改正をしないという政策をとったわけでございます。
 今、委員御指摘のように、仮に外国弁護士が日本の弁護士を雇えるという構造を考えますと、雇用でございますので、雇用は日本の民法で指揮命令権があるわけでございます。それで、外国の弁護士は、例えばニューヨーク州の弁護士を考えますとニューヨーク州の法律についてサービスをできるわけでございます。片や日本の弁護士につきましては、日本で法律事務を行う限りニューヨーク州の法律の解釈もできますし、日本法もできる、いわばオールマイティーな権限を持っているものでございます。ですから、権限の非常に小さな者が大きな者を雇うということになりますと、指揮命令を通じて本来自分ができない範囲のものにも手を出せるというような構造になるわけでございます。
 それは、そういうことをやったらそれを罰すればいいじゃないかという議論もございます。それはわかりますけれども、そういうような可能性のある制度はやはり事前にチェックをしておくべきではないかということから今回はそれを採用しなかったわけでございます。
 ただ、依頼者のニーズというのはいろいろございます。総合的なサービスを受けたいという問題もございますので、これにはこたえざるを得ないだろうと。それを雇用と言わなくたって、パートナーですね、それぞれが独立の権限を持って一緒にやっていく、こういうものについて利用しやすいものにすれば、お客さんの立場から、依頼者の立場からはそれは雇用であろうとパートナーであろうとどちらでも構わない話じゃないかということでそちらの方を認めたわけでございます。
#14
○依田智治君 最後に、法務大臣、外弁制度はやっぱり時代のニーズの中でより適正なものにしていく、非常に結構だと思います。
 ただ、これはまだこの委員会で別途いろいろ議論したいと思っていますが、日本の弁護士自体が外国に比べると国民一人当たりではアメリカの二十分の一以下ということで非常に少ないというような問題があって、今度、司法試験法の改正その他いろんな面でも多少の増員とかその他試験を簡素化するとかいうようなことも考えておるようです。これは外弁と直接リンクする問題じゃございませんが、基本的に現時点で、法務大臣、このあたりの我が国の司法制度のあり方というか、特に弁護士の数とかそういうような問題に対してどんな基本的見解を持っているか、これをお伺いして終わりたいと思います。
#15
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 御指摘のように、日本の弁護士さんは今一万六千名弱でございます。アメリカに比べますともう二十分の一以下。アメリカみたいな訴訟社会がいいかどうかというのは別といたしまして、国際的に、ヨーロッパと比べましても少ない。片や国際化が進み、それから規制緩和が進み、事後チェック、自己責任というふうな方向へ進みますと、弁護士さんの数が足りない。これはどうしても良質の弁護士さんを計画的に飛躍的に増強しなければならないんじゃないか。こういうふうなことで、今お話がございましたように、今国会にも裁判所法及び司法試験法の一部を改正する法律案、その辺のところを背景にしてお願いいたしたいと思っております。一つ一つ着実に解決してまいりたい、このように考えております。
#16
○依田智治君 終わります。
#17
○円より子君 民友連の円より子です。
 きょうの外弁法の改正についてですが、このいわゆる外弁法といいますのは、昭和六十二年、弁護士法に対する特別法として制定されたということです。その当時から国際的な法律事務が大変増大しているということで、内外からの要望によってこの外弁法が制定されたわけですが、当時よりも今の方がもっと国際的な法律事務は増大していると思われます。
 そこで、外国企業が我が国での経済活動をより円滑にするという観点だけでなく、また我が国の企業が外国企業と経済活動をやっていくためにもこの外国弁護士の受け入れ制度というものはさまざまな規制緩和要求があると思うんですが、内外からはどのような要望があるのか、その点についてお聞かせ願えますか。
#18
○政府委員(山崎潮君) 国じゃなくて企業に限ってよろしゅうございましょうか。
#19
○円より子君 はい。企業で結構です。
#20
○政府委員(山崎潮君) 企業に限って申し上げますけれども、今回の改正点、三つございますけれども、まず第一点の職務経験要件についてでございます。これにつきましては、我が国といたしましては、経済団体連合会、経団連でございます、それから外国といたしましては、在日米国商工会議所、それから在日欧州ビジネス協会、これから廃止または緩和をすべきである、こういう御意見がございます。
 それから、今度は職務範囲でございますが、いわゆる特定外国法まで広げるかどうかという問題でございますけれども、この範囲につきましては在日欧州ビジネス協会から要望がございます。
 それから三番目の事業形態に関するものでございますけれども、これに関しましては経済団体連合会、在日欧州ビジネス協会及び在日米国商工会議所から雇用の禁止を廃止するという要望を受けておりますし、また在日欧州ビジネス協会からは外国弁護士と日本の弁護士とのパートナーシップに関する規制を廃止するということの要望を受けております。
#21
○円より子君 ただいま説明のありましたような要望がかなりあったというふうに私も聞いております。
 そうした点について、例えば今までは外国法事務弁護士の職務範囲としましては、原資格国法に関する法律事務と指定法に関する法律事務があったわけですが、今回の改正案では特定外国法に関する法律事務がこれに加わるということになっておりますし、また、職務経験の要件のところでは、現行法では五年以上だったのが改正案では三年以上、そして職務経験地も資格取得地のみであったところがこれに資格取得国以外の外国というのが入るということになっております。
 これまでの要望の中には、職務経験要件を廃止してもいいのではないかというのもありましたね。もう一つは第三国法に関する取り扱いの禁止の廃止、それから外弁による日本弁護士の雇用の禁止も廃止してほしいというようなのがあったということですが、それをしなかった、そして今回の改正となった理由はどういうところにあるのか、聞かせてください。
#22
○政府委員(山崎潮君) まず、職務要件について御説明申し上げます。
 現行法では、申請者が原資格国に関する法律事務を取り扱うに足りる能力あるいは資質を有して、かつ適切な監督のもとに倫理的にも外国弁護士として欠けるところがなかった、こういう証明にかわるものとして職務要件を要求しているわけでございます。すなわち、我が国の試験等を経ないで入ってくるわけでございますので、最低限のものとしてこれを要求しているわけでございます。この必要性につきましては、やはり依頼者の保護という観点からゼロにするわけにはまいらないというふうに考えたわけでございます。
 しかし、この十年間の運用実績、こういうものを考えたり、あるいは国際化の時代という問題を考えますと、これを幾分軽減すべきかということで三年という選択をしたわけでございます。また、国際化の時代でございますので、必ずしも資格を取った国だけで活躍をしているわけではないという実態もございますので、それ以外の地において経験したものについてもカウントをする、こういう選択をしたわけでございます。
 それから二番目でございますけれども、いわゆる特定外国法の問題でございます。
 これにつきましても、確かに国際取引が非常に複雑化してまいりますと、多国間でいろいろ契約を結ぶとか、そういう問題が生じてくるわけでございますけれども、その場合に、複数の外国法の知識が必要になる事件もあるわけでございます。例えばニューヨークとフランスが絡む事件で、ニューヨーク州の弁護士だけでは事が足りない、そうするともう一人フランスの弁護士も雇わなきゃならぬということになるわけでございます。それは依頼者側にとっても負担も重いだろうということから、例えばニューヨーク州の弁護士がフランスの法律のサービスもできれば、正しいものができれば依頼者にとっては非常にありがたいことでございます。そこで、法律サービスをできることにしたわけでございますけれども、ただ、やはり正しいサービスであるという担保が欲しいわけでございます。そこで、書面による助言があればという形をとらせていただいたわけでございます。
 それから、最後のいわゆる雇用の問題でございますけれども、雇用につきましては、やはり我が国の法制上どうしてもそれにそぐわないという形から採用はできないということになりましたけれども、やはり依頼者の立場を考えますと、複数の専門家が集まっていいサービスができるということは認めてあげなければならぬという観点から、独立して権限を行使する形態でございますいわゆる特定共同事業、外国流に言えばパートナーシップに近いものでございますけれども、こういうものを承認することによって、依頼者の観点から見れば遜色のないものができているのではないか、これで十分対応できるだろうということでこれ以上の改正はしないという選択をしたわけでございます。
#23
○円より子君 今現在、外国弁護士というのが八十人強というふうに聞いているんですけれども、最初に数を聞きましたときに、私の素人感覚ですがいかにも少ないなというのが実感でございました。
 それで、国際的な法律事務がかなり増大しているからということで六年にも改正され、また八年にも改正され、今回の改正になるんですけれども、こんなに少なくて増大している国際的なさまざまな法律事務に対応できるのだろうかというような懸念もございまして、今活動していらっしゃる外国弁護士の方たちが一体どの程度の案件を抱えて、どの程度の忙しさでやっていらっしゃるのかということもちょっとお聞きしてみたんですが、そのあたりはちゃんとした数が出ないというようなこともございました。
 たまたま私が、日本で六十人程度を抱えていらっしゃる割合大きなローファームで働いている弁護士さんに知り合いがございましてお聞きしましたら、ニューヨークで働いている弁護士さんたちよりも、ニューヨークからこちらに来ている外弁の方たちの方が忙しいということはあるそうです。ただ、それは最初日本の文化とかいろいろな会社の慣行とかそういった違いもあって忙しさが感じられるけれども、だんだんなれてくれば似たようなものではないかという話もありました。
 そういうことを闘いでおりまして、今回の改正をしたという形の中で、窓口を大きくするわけですから多分申請もふえるかと思います。その結果としてどのぐらいになるか、それから人数がふえたことでうまくいくものかどうか、その辺はわかりませんけれども、今回の改正で相当数増大している国際的法律事務が円滑になるのかどうか、その辺のある程度の予測というものはできるんでしょうか。
#24
○政府委員(山崎潮君) ただいま委員から御指摘がございましたが、外国法事務弁護士、我が国では昭和六十三年からカウントをしているわけでございますけれども、その当時が三十一名、ことしの三月三十一日現在で八十七名という人数でございます。この十年間の実績で、法改正も平成六年、八年とやっているわけでございますけれども、それほどふえているわけではないという状況でございます。
 今回も、やはり法的ニーズがあるならばそれにこたえるような枠組みにしようということで改正をさせていただいているわけでございますけれども、これがどのぐらいふえるかというのは全く予測ができないところがございます。また、日本における外国法事務弁護士がどの程度忙しいのか、あるいはどういうような収入があるかということを全く私どもも聞く立場にない。お聞きしでも教えていただけないかもしれませんけれども、なかなかそこが正直言ってつかみにくいという状況でございまして、これ以上のことはちょっと御勘弁をいただきたいと思います。
#25
○円より子君 その外国弁護士の方たちにお聞きしましたら、日本というのは相当な経済大国で、日本が不況になれば世界じゅうに影響を及ぼすような状況になっていても、やはり今でもまだ極東というイメージで、ここに来てまで弁護士活動をしたくないという実情があるらしいんです。だから、希望して日本へ来て弁護士活動をするというのはかなり変わった人間と見られてしまうというような話も聞いたんですね、これは大変残念なことなんですけれども。
 その中には、一つはやはり東京まで来て働くということになりますと、住居費が高いとかいろいろローファームが派遣するにしても余分なコストがかかってしまう等の問題もあるので、これは法務省がこういった改正をしただけで円滑になるような問題はまた違って、本当にさまざまな問題を抱えていると思うんです。例えば、法改正と同時に日本の司法制度の問題もありますし、また経済界での問題、また地価ですとかそういった問題も全部あるんですが、受け入れ体制について今後どうしていくべきかという点。
 もう一つは、平成六年と平成八年、そして今回のそれぞれ改正の案件は違うんですけれども、どうも細切れに改正しているような印象をちょっと受けてしまうんです。それで、今後も内外からの規制緩和要求があれば、またする形になるのか、二年ごとぐらいにやっていくものなのかどうか、外国人弁護士の受け入れということについて法務省としてはどういうビジョンを持っているのか、その二つについて大臣から御意見を伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#26
○国務大臣(下稲葉耕吉君) いろいろ具体的なお話を承りましたが、私どももそれなりに実態を見てまいった背景もございます。そういうようなことを通じて申し上げますと、政府委員から今答弁いたしましたように、最初三十一名だったのが八十七名だと。十年間たっているわけですね。そして、今御指摘ございましたように、平成六年、八年に改正をやっているということでございます。私は、国際化が進み、経済取引が活性化すれば、方向としては当然増加の方向にあるんじゃなかろうかと思います。
 それから、そういうふうな外国人弁護士の方々がどのような御生活をなさっているかというふうな観点から見てみますと、それはもうとても私どもが想像もできないような立派なところにお住まいになっていろいろやっておられるという話も聞きます。そういうふうな意味ではコストもかかっているんだろうと思います。
 それはそれといたしまして、政府委員から話がございましたように、いろいろな国から本件について要望があったのも事実でございますし、国内的にあったことも事実でございます。しかし、法律を預かります私どもといたしましては、そういうふうな要望があったから直ちに応ずるということではなくて、そういうふうなことを背景にいたしまして、実態は果たしてどうなんだろうか、あるべき方向はどうなんだろうかというふうなことで、今回も関係者に集まっていただきまして研究会を開きまして、今お話がございましたようないろいろな御要望というのはもちろん参考にはいたしますけれども、そういうふうな研究会の結論を踏まえて今回の改正案をお願いいたしているわけでございまして、そういうふうな基本的な姿勢ではなかろうか、このように思います。
 ある面では相当進んだ内容になっていると思うのでございます。そういうふうなことでございますので、いやしくも要求があれば直ちに応ずるということではないし、今後とも今申し上げましたような観点から検討し、その方針を堅持してまいりたい、このように思います。
#27
○円より子君 今、法務大臣や政府委員の御答弁にもありましたように、今回の改正でかなり緩やかになり、外国弁護士に応募してくださる方がふえていくと思いますし、また国際化の中でこのことによっても経済活動がますます活性化し、円滑化すると思います。それで、私もこの改正に賛成でございます。
 これは弁護士ではありませんけれども、外国からの留学生等が多くいらしても、その後残念ながら日本に余りいい印象を持たずに帰られる方も多いと聞いておりますし、また日本でその後働くという方も少ないというような状況を考えますと、こうした弁護士さんたちの活動というものも、ある意味で大変な国際親善にも役に立つのではないかというふうに考えまして、そのあたりもいろいろ私たちとしては考えながらこの外国弁護士の活動受け入れを進めていかなければいけないかなというふうに思っております。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
#28
○大森礼子君 公明の大森礼子です。
 これまでの質問と多少ダブる点があるかもしれませんが、質問させていただきます。
 まず、外国法事務弁護士の日本法取り扱いはまだ禁止されているわけですけれども、この理由として挙げられることは端的に言いますとどういうことになるんでしょうか。
#29
○政府委員(山崎潮君) 確かに、外国法事務弁護士は日本法を取り扱うことはできません。これは、日本法につきましてはいろいろ資格制度もございますし、そういう制度に基づいて、能力的にもまた資質的にも十分な力があるという保証を求められているわけでございます。
 外国法事務弁護士の制度と申しますのは、試験等は全く受けずに一定の要件があれば承認して活動をするという制度でございますので、やはりその試験等を経ないで日本法のサービスができるということになりますと、依頼者に迷惑がかかるおそれがあるわけでございますので、そういう点を禁じているわけでございます。
#30
○大森礼子君 確かに試験は受けずにということですが、これは日本の司法試験になりますけれども、もちろん外国の方でも日本の司法試験を受けることはできるわけですが、日本語でかなり難しいわけですから、日本語を本来の母国語としない人が通るということは非常に難しいことだろうと思います。
 ただ、言葉の問題を除きますと、例えば司法試験でも、この試験に受かったということを余りに過大視してはいけないのではないかなと思うんです。というのは、私も司法試験の勉強をしているときによく言われたことは、昔は、短答式というのがありまして、非常に知識を試されているような部分が多くて、長くやっている人が一次試験に受かりやすいという傾向もありました。後に問題傾向が変わりまして、考える短答式というふうになったということを私記憶しております。
 この可決試験法につきましても、一条で、裁判官、検事、弁護士になろうとする者に必要な学識及びその応用力を有するかどうかを判定することを目的とするわけでありまして、極めて基礎的な法律的センスがあるかどうか、法律的思考ができるかどうかを問う資格にすぎないのではないかなというふうに私も思うわけです。昔、先輩からも、知識じゃなくて、要するにいろんな具体的事案が出たときに六法を手にして条文を当てはめてどういうふうに解決していくか、その能力があるかどうか試すのが司法試験の目的なんだよと言われたことがあるわけなんです。
 今、能力的に十分な力があるかどうかという保証がないということですけれども、日本でいう司法試験に通らない限りその能力的なものが保証されないのかどうか。別の方法でもそれをチェックすることはできるのではないか。この点についてはいかがお考えでしょうか。あくまで日本の司法試験という資格にこだわるのでしょうか。
#31
○政府委員(山崎潮君) いろいろな考え方があるかとは思いますけれども、現在の法体系のもとでは、基本的にやはり司法試験に受かるということが日本法に精通し柔軟な思考ができるということの担保としているわけでございまして、ごく例外で、司法試験に受からないで法曹資格を持つという者もございますけれども、これは、歴史的な経緯あるいはその法曹資格と同等な力を有していることを前提に認めているものでございまして、そういう例外はございますけれども、やはり基本的には、日本の現在のシステムでは、弁護士制度以外でも各種の事務につきましてそれぞれ資格制度を設けているわけでございますので、やはりその中で対応していくべきものと考えております。
#32
○大森礼子君 そういうお考えですと、あくまで司法試験という資格にこだわるとすると、将来も外国法事務弁護士が日本法を取り扱うことはできないという方向なのかなという気もするわけです。
 しかしながら、一方で、依頼者といいますかクライアントからしますと、私が日本の企業の社長か何かでありまして広く国際市場で活動しているという場合でしたら、外国でお商売するにはどういうことになりますかと、これはもちろん聞きます。あるいは日本との違いとか、これはどういうふうになりますかと。やはり国際化社会になりますと、一つの国の法律でなくていろんな法制度を比較して、そういう知識を必要とする場合もあると思うんです。そうした場合に、今のやり方ですと、比較ということをクライアントの側から尋ねることができなくなるのではないかと思うんです。この点はむしろクライアントにとっては少しも利益にならないということにはならないんでしょうか。
 こういう観点から、外国法事務弁護士も日本法が取り扱えるようにしよう、こういう発想というのは生まれないのでしょうか。
#33
○政府委員(山崎潮君) 確かに御指摘のような面はあろうかと思いますけれども、やはり世界の各国それぞれ皆外弁法をいろいろ持っているわけでございますけれども、やはりその国の法律事務についてはできないという形をとっておりまして、それができるというところは余り聞いたことはございません、若干ないことはないんですけれども。
 それで、ただいまのような御指摘の点、本当にいいサービスを受けたいということであれば、やはり先ほど申し上げました特定共同事業等を利用していただくなりして、日本法については日本法の専門家、外国法についてはその外国法の専門家、それぞれの見地からその判断をしていただいて、それでサービスをしていただくという方がより正確ないいサービスができるのではないかというふうに考えております。
#34
○大森礼子君 特定共同事業、そういう形ですれば十分対応できるのではないかということですね。これは先ほどの雇用のところでもおっしゃいましたけれども、共通する問題がなと思うんです。
 つまらないことをお聞きしますけれども、こういう外国法事務を扱う弁護士の事務所へ行きます。そうすると、一人の弁護士さんを中心にアドバイスを受けるのではなくて複数から聞かなくてはいけませんね、日本法それから外国法ということで。こういう場合、報酬とかがふえるということにはならないのでしょうか。
#35
○政府委員(山崎潮君) 私は、その辺の事務を一切やったことがございませんのでしかとはわからないので、むしろ大森委員の方がいろいろ御経験でおわかりではないかというふうに思うんです。
 それは観念的にはそうかもしれませんけれども、じゃ倍の費用を取るということになれば、やっぱり依頼者はそれほど来なくなる可能性もございますので、二人いたから二人分ということにはならないのではないかというふうに一般的には理解しております。
#36
○大森礼子君 クライアントへのサービス向上も考えるのであれば、やはり依頼者側の立場になって考えなくてはいけない。今、そういうことは余り詳しくないとおっしゃったので、むしろ私の方が驚きまして、私なんか素朴に、二人に頼まなきゃいけないんだったら、一人に法律相談するよりは、二倍かどうかはわかりませんけれども、その分ふえるんじゃないかなということを普通思うんです。だから、そこら辺の見方が欠落しますと、クライアントのサービスに資するためといっても、何か考え方が十分でないなという気がするわけなんです。本当にクライアントのことを考えているのかなと。
 それから今、もし倍になるんであればクライアントも来なくなるであろうからとおっしゃいましたけれども、クライアントが来なくなったらまた困るわけでありまして、もう少し報酬とかそういうことについても現状がどういうふうになっているのかお考えいただきたいなというふうに思います。
 それからもう一つは、訴訟活動というものが禁止されております。法廷弁論権がないということですが、この理由について簡単にもう一度教えてください。
#37
○政府委員(山崎潮君) 日本における弁論権、代理権、こういうものがないということでございます。
 これにつきましては、やはり日本の裁判所において活動をするわけでございますので、日本法に精通をしているということが必要であるという考えによるものでございまして、日本法に精通しているという一つの判断要素として、日本で試験なりに受かってその資格を持っているということを要求しているわけでございます。
#38
○大森礼子君 そのように説明されるんですけれども、司法試験に通ったら日本法に精通しているというふうに見られるんだったら、司法試験に受かった者としてはうれしいんですけれども、実際はなかなかそうはいかないわけで、例えば先ほどの司法試験の目的からいいますと、裁判官、検事、弁護士になろうとする者に必要な学識、その応用能力を試す試験なんだということでありまして、決して日本法に精通しているとみなされるわけではないわけです。
 それから、実際問題としまして、例えば一年生弁護士、一年生検事、じゃ日本の手続法とかがちゃんとわかっているかどうかといったら、実務の中で覚えるということが多いと思います。もちろんその根拠となるのはいろいろな訴訟法という法律の定めでありまして、これはその都度、法律、条文を見ながら学んでいく、普通、法律実務家というのはこういう形態をとるのかなという気がするわけです。
 それで、この訴訟活動ができないということで、要するに手続法とかに精通していなければクライアントの利益にもならない、それから裁判所も困ってしまうということになるんでしょうか、裁判所の利益にもならないという説明をされるわけなんですけれども、クライアントが選んでだめ、だったら選んだ方が悪いということもありまして、何かすごくクライアントのことを保護しよう保護しようというふうにおっしゃっているように聞こえるんですけれども、だめな弁護士であればすぐ解雇することになると思います。それからまた、手続法をちゃんと知らないのに知っているかのようなふりをしてやって訴訟が変になると、やっぱり弁護過誤という問題になるんでしょうか、あるいは弁護士を依頼するというのは委任契約になるんでしょうか、その契約違反とかで、いいかげんなことをした人には、そういういいかげんなことに対する責任追及をできる仕組みになっていると思うんです。
 だから、クライアントのためにというのは何か余り合理性がないのではないか、むしろそれはクライアントの選択に任せた方がいいんではないかという気もするんですが、この点いかがでしょうか。
#39
○政府委員(山崎潮君) この点につきましては、クライアントは、例えば法律に割合詳しい大企業とかあるいは人の能力を見抜ける方だけではないわけでございまして、善良の市民がいるわけでございます。そういう方が果たして選ぶときにそういう弁護士を選べるかという問題が一つございます。
 また、途中で解任すればいいということでございますけれども、それがそのまま先へ行ってしまって取り返しがつかない状態まで行ってしまったという場合になりますと、それは後で罰すればいいじゃないかといっても、やはりその訴訟の結果によっては個人にとっては取り返しのつかない、金では解決できないという問題にもなりかねないわけでございますので、そういう事態がないようにということでやはり歯どめをかけるということでございます。
 まさに日本の資格制度というのは、それは受かったからといって十分にできるかどうか、これは別でございますけれども、やはり一つの歯どめにしているということになろうかと思います。
 また、先ほどから試験に受かったから云々とございますけれども、外国法と日本法というのはもともと考えている基礎が大分違っているわけでございます。やはり日本法を全部知っているなんということはだれもあり得ないわけですけれども、基本的な法律の考え方、これはそれぞれの社会、文化の背景があるわけでございますから、そういうものについてきちっとした理解と応用力があれば、そこを経ていればいろんな事態が生じてもそれの応用でいろいろ対処していける、こういうことでございますので、やはりその基礎をきちっとやるためには試験というのが一つの歯どめになっている、こういうふうに理解しているところでございます。
#40
○大森礼子君 一定レベルの能力があるないをはかる上では資格試験というのが役割を果たしておりますので、それが司法試験でなくてはいけないかどうかという問題だと思います。
 それから、一般の人が果たして弁護士を選ぶときにいい人を選べるかどうかとおっしゃいましたけれども、これは外国法事務弁護士に限りませんで、こういうことを言っては失礼かもしれませんけれども、日本人の弁護士さんについても言えることでありまして、果たして司法試験に受かっているからみんな能力があってすべであれかというと、やっぱりある問題ですと得手不得手の方もいらっしゃいますし、私こんなこと言っていいのかな、検事で法廷に立っていましたけれども、本当に被告人はいい弁護士さんを選んだなと思うときとそう思わないときとございまして、これは外国法事務弁護士にそのまま当てはまることではないと思います。
 むしろ私は、日本人、外国人に限らず、一番最高の仕事をしてくれる人を選ぶという選択の余地をクライアントの方にも与えるべきではないかなというふうに思っております。
 時間が来ましたので、最後に法務大臣にお尋ねします。
 今回の改正というのは、外国からの規制緩和要求にこたえた形での改正ですけれども、外国法事務弁護士の職務の範囲等につきまして今後の規制緩和のあり方をどのように考えておられるでしょうか。さらにもっともっと進めるべきなのか、それともここまで来たらこれが限度だろうというふうにお考えなのか、そこを大臣にお聞きして、質問を終わりたいと思います。
#41
○国務大重(下稲葉耕吉君) 今回お願いいたしましたのは、御指摘ございましたように平成六年、平成八年、そして今回というふうなことでございますが、私どもはやはり世の中が特に国際的な情勢というのは動いている、だから法律というものもそれに十分対応できるような考え方でなければならない、これが基本にございます。そういうふうなことのために、いろいろなところからいろいろな意見を伺ったり、そして私ども自身いろいろ研究会を設けたり、何だかんだしながら結論を出しているわけでございます。その結論の結果、今回はこういうふうな法律改正が将来を見据えて日本としてあるべき姿ではなかろうか、こういうふうに考えまして御提案したわけでございます。
#42
○大森礼子君 終わります。
#43
○照屋寛徳君 社会民主党・護憲連合の照屋寛徳でございます。
 私は、本法律案に賛成の立場でございますが、何点か質問をさせていただきたいと思います。なお、予算委員会と重なっておりまして、当委員会の依田委員、円委員の質問を聞いておりませんので、あるいは質問内容が重複するかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。
 最初に、本法律案を提出するに当たって、日弁連からの意見聴取はなされたのかどうか。また、その意見聴取の結果、日弁連の対応はどのようなものであったのか、お聞かせ願いたいと思います。
#44
○政府委員(山崎潮君) この改正案の策定に当たりましては、一昨年の十二月に日本弁護士連合会と法務省の共催によりまして外国弁護士問題研究会を立ち上げたわけでございます。そこのメンバーは、もちろん弁護士もおりますけれども、それ以外にも経済界、マスコミ、学者等さまざまな有識者を構成員とする研究会を設けたわけでございます。そこで議論をかなり集中的に行いまして、昨年の十月三十日にその研究会の結論ということで取りまとめたものでございます。その内容につきましては、全員一致という結論になったわけでございます。今回の法案につきましても、その全員一致の意見を踏まえて行っているということでございます。
 また、研究会以外に、日弁連といたしましても、総会におきまして、昨年十二月二十五日でございますけれども、今回の改正法案の基礎となる案について採択をしたということでございます。
#45
○照屋寛徳君 外国法事務弁護士の承認申請は、たしか法務大臣になされるということだったと思いますが、この外弁法が成立した後、外国法事務弁護士の承認申請が大臣によって却下されたような事例がありますでしょうか。また、あるならその理由についてもお教えをいただきたいと思います。
#46
○政府委員(山崎潮君) この制度を導入して以来今日まで、申請して却下をしたという事例はございません。中途の段階でいろいろな問題点があったというものはございますけれども、本人の取り下げということで、却下したという事例はございません。
#47
○照屋寛徳君 外弁法をつくるときに、日弁連もその対応に大わらわであったことを私も思い起こしております。私が属しております沖縄弁護士会でも、当時、特別会員の外国人弁護士が何名がおりましたから、沖縄弁護士会でも随分議論になったことを覚えておるわけでありますが、当時、外国法事務弁護士が増大をして、結果、日本もアメリカのように何でもかんでも訴訟に持ち込まれる、いわゆる訴訟社会というか、そういうふうな社会に変わっていくのではないかと危惧する向きもございました。
 そのような訴訟社会という危惧されるような事態がこの間起こったというふうに認識しているのか、いやそういうことは心配御無用で全くありませんでした、こういうふうに思われているのか、お聞かせ願いたいと思います。
#48
○政府委員(山崎潮君) ただいま御指摘の点でございますけれども、今回改正されることによりまして、職務要件の緩和とか職務範囲が広がるという点もございますけれども、そういうような点につきまして、じゃ具体的に人数がふえていくかどうかという点につきましては、やはりそれを選んでくる外国弁護士側の事業計画等によるものがかなり大きなウエートも占めておりまして、必ずしもそこは明らかではないというふうに思っております。
 それで、過去の人数を調べてまいりますと、導入した直後でございます昭和六十三年では三十一名、現在が八十七名という状況でございまして、その間に数次の改正もいろいろ加えておりますし、国際化はますます進んでいる状況でございますけれども、必ずしも爆発的にふえているという状況ではございません。今後もそのような推移をたどるのではないかというような予想はされるわけでございますが、本当にしかとしたところはわかりません。
 それから、過去の問題につきましても、では今までこれを導入したからといって米国型の訴訟社会的な要素があったかということでございますが、私はそういう声は聞いておりません。
#49
○照屋寛徳君 大臣に一点だけお聞かせいただきたいのでありますが、規制緩和という考え方、政策に基づいて現在審議をしているような外弁問題も生じているわけでありますが、外国法事務弁護士による日本弁護士の雇用禁止の問題、一方では雇用禁止という仕組みを取っ払え、こういうふうな向きもあるように聞いておりますが、その点について、法務省、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
#50
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 外国法事務弁護士によります日本弁護士の雇用の問題でございますが、委員御指摘のように取っ払ってしまって寄与すべきであるというふうな要望もあったのは事実でございます。
 しかしながら、我が国の法制上、雇用ということは雇用主が被雇用者を指揮命令して事業を行うというふうな関係になろうかと思います。そういたしますと、外国法事務弁護士というのは仕事の内容が限定的になっているわけでございまして、日本の弁護士さんというのはあらゆる弁護活動ができるわけでございますので、そういうふうなことまで介入されるということになるんじゃなかろうか。そういうふうなことからいいますと、本来自分が行うことのできない法律事務を行うことになるということはやはり問題があるんじゃなかろうか、こういうふうに私ども考えます。
 そこで、今回の改正法案におきましては、依頼者のニーズ及び雇用に関する規制緩和要望に実質的にこたえるという観点から、共同事業をより広く認めようというふうな措置を講じたわけでございます。
#51
○照屋寛徳君 弁護士には強い弁護士倫理が求められておるわけであります。法務省にお伺いいたしますが、外国法事務弁護士がこれまで綱紀問題に何かひっかかったというか、そういう事例はございますか。
#52
○政府委員(山崎潮君) 私どもが承知している範囲で今まで一件あったようでございます。その事案は、外国法事務弁護士が日本における事務所を閉鎖して本国へ帰国したわけでございますが、その際に日弁連への登録の取り消しの手続をとらなかったために、会費納入義務がそのまま継続して会費未納になったということでございまして、こういうことを理由とする懲戒だったというふうに聞いております。非常に形式的な関係の懲戒だというふうに聞いております。
#53
○照屋寛徳君 終わります。
#54
○橋本敦君 続いて私からもお伺いしますが、まずこの改正案の背景としては、先ほども話がありましたが、アメリカのローファームの関係、通商代表部の関係、あるいは経団連、そういったところから国際化時代への対応としての一層の規制緩和という要求が基本にあったことは間違いないと思いますが、それは間違いございませんね。
#55
○政府委員(山崎潮君) そういう声があって、それがきっかけだということには間違いございません。
#56
○橋本敦君 アメリカ代表部などの根本的な要求を見てみますと、基本的には外弁法に定めているすべての規制の事実上の撤廃、日本弁護士の雇用の自由、こういったことが基本的要求として今まで言われていたという事実も間違いありませんね。
#57
○政府委員(山崎潮君) そのとおりでございます。
#58
○橋本敦君 ところで、順次こういった改正になってきたわけでありますけれども、一つの問題として、外国弁護士が職務の執行を我が国で行うについて法務大臣の承認ということにかかっている問題がございます。法務大臣の承認にかからしめた理由はどこにあるんですか。
#59
○政府委員(山崎潮君) これにつきましては、先ほど職務要件の話もしておるわけでございますけれども、この職務要件をまずきちっと満たしているかどうかで、資質があって倫理的にも問題のない外国法事務弁護士であるという一つのチェックポイントになるわけでございますが、これをまずきちっと審査するということでございますし、それ以外にもいろいろ法律では欠格事由等が定められております。そういう点についてきちっと審査をするために法務大臣の承認ということになっているわけでございます。
#60
○橋本敦君 今回の改正によって、法務大臣がそういった意味で厳格な判断で承認するかしないかを決めるという姿勢には基本的に変わりがないわけですね。
#61
○政府委員(山崎潮君) 改正案を提出させていただいておりますので、五年から三年というふうに縮まること、それから経験地がその本国だけでなくてもいいという点には変更がございますけれども、それ以外は一切変更がないというふうに考えております。
#62
○橋本敦君 そこで、今改正による一つの変更の問題として、職務要件の緩和の問題として期間がございます。この職務経験の期間を三年以上ということに緩和するわけですが、現行では五年になっております。
 そもそも五年としたということはまさにそれなりの理由があって、これはこの程度のキャリアがあること自体が良質なリーガルサービスを提供する上で必要だという当時の判断があったということは間違いないわけですね。私はそういう意味ではそのこと自体は大事な判断だと思うんです。それは、我が国司法に対する基本的な理解ということも含めますが、依頼者、クライアントに対するサービスを適正に行うということの判断基準にもなるし、そして法務大臣が承認なさる上で、その人のキャリアに基づくいろんな経過から見て倫理的な判断も含めて必要だということにもなる。
 だから、この五年というのはそれなりに合理性があったのであって、これを三年に縮めることが特に必要だという理由は特別にないんじゃないかというように私は今でも思うんですが、どうなんですか。
#63
○政府委員(山崎潮君) 確かに、委員が今御指摘のとおり、これを導入した当初、五年ということに合理性があるわけでございます。日本国内で見ましても、例えば裁判官は五年を経験いたしますと一人で裁判ができるというルールもあるわけでございますので、五年というのは一つの単位であるということで我々としては導入したわけでございます。
 それで、今回これを三年にするということでございますが、実はその後の法改正によりまして、例えばニューヨークの弁護士が日本で承認を受ける場合にはニューヨーク州で三年、それから日本の法律事務所、あるいは外国法事務弁護士の事務所でも結構でございますが、そこで労務提供をした期間も通算して五年でもいいというルールを平成六年に改正したわけでございます。この実績をその後調査しておりますけれども、そういうふうにして本国で三年間経験をするということで特段支障は生じないと判断したわけでございます。そういう関係から、今回三年でも足りるのではないかというふうにしたわけでございます。
#64
○橋本敦君 今のお話に関連をして、国際主義といいますか、そういう意味では国際的な関係での相互主義ということも大事になってくるんですが、そういう相互主義という観点から見ますと、五年と三年というのはアメリカ各州との関係ではどういうバランスになっておりますか。
#65
○政府委員(山崎潮君) アメリカは州が五十前後ございますが、そのうちで外国法事務弁護士制度を持っている州が約二十でございます。その二十の中で日本と同じ三年という職務要件を持っている州がニューヨーク州等の二州でございます。それ以外につきましては四年あるいは五年というルールになっております。
#66
○橋本敦君 私が指摘しましたのは、そのとおり、そういった意味で相互主義の緩和ということにもなってきているということを問題の一つとして指摘をしたいわけであります。
 ですから、多くの州の関係から言えば五年でもいいわけなんです。しかも、基本的な考え方として五年という法制定当時の考えを特に変更する理由もないと私は一つは思っているわけです。
 それからもう一つ、次の問題に進んでまいりますが、今度は職務の範囲の関係でございます。特定外国法に関する法律事務を扱うということにつきまして、先ほどから議論になっておりますけれども、第三国法の扱いについて書面による同意という問題がございました。これは、だれがどういう形式のどういう要件の書面をだれに対して出すのか、そういったところは具体的にはどこでどう決まるんですか。
#67
○政府委員(山崎潮君) その内容につきましては、法の趣旨でございますけれども、この法案に書かれておりますように、特定外国法につきまして、そこの法曹資格を有する者の書面による助言ということでございますので、通常は弁護士になるわけでございますけれども、その資格を持って活動しているということが一つのポイントでございますし、それから、やはり書面を要求しておりますので署名も必要である、こういう考え方で構成されているわけでございます。
#68
○橋本敦君 そこで、非常に難しいんですが、法律事務の依頼を受け、相談を受け、処理をしていくということで、いろんなケースとプロセスがあるんです。そして、そこの書面による同意というのは、そういうプロセス全体を通じて抽象的にオーケーですよというようなアローアンスでいいのか、それとも具体的な法律事務的処理なり法律相談なりの内容に即しての承諾ということが要件として必要なのか、そこらあたりについて法務省としてはどうお考えですか。
 といいますのは、このことによってクライアント、依頼者の方から、その結果について不法な損害を受けた場合に損害賠償請求をそういう書面で承諾した人に対してやるということになるのか、あるいは外国弁護士その人に対してやることになるのか。そういう依頼者保護の観点から見てどうかということを私は心配するわけなんです。そういう意味で、どういうようにお考えなのか、お答えいただきたい。
#69
○政府委員(山崎潮君) この点につきましては、漠然とした助言ということではなくて、要するに事件ごとの個別の助言ということでございます。これはこの外弁法でも、外国法事務弁護士が行動を行う場合に、日本の弁護士の書面による助言を必要とするものを法で決めております。その概念と同じでございまして、やはり個別の事件について具体的な助言だと、こういうことになるわけでございます。
#70
○橋本敦君 今おっしゃった個別の事件について具体的な助言を書面でと、こうなりますと、今私が指摘したように、具体的事件の処理というのはプロセスがあって動いていくわけです、相手との対応関係でも。そしてまた、法律の適用もいろいろと絡んで新しく出てくる問題もあるわけです。だから、具体的な事件の具体的な問題についての承認とおっしゃるけれども、当初にやったことと事件の推移で動いてくるという段階に応じてもう一遍書面で承諾をとる必要があるということが起こり得る可能性が私はゼロではないと思うんです。そういった場合にはどうせよということを法務省としてはお考えですか。
#71
○政府委員(山崎潮君) 最初と最後で状況が変わってくるということがあり得るということは私もよくわかります。その場合で、やはり基本的に最初に助言を受けたことの範囲内でおさまる変化であれば、これはとらなくでもいいだろうというふうに思いますけれども、その趣旨と違ったような結論でやっていくという場合には、それはもう一度やはりやるべきではないかというふうに考えられます。
#72
○橋本敦君 この問題を法務省の見解として詳しく聞いておきたいのは、今私が言ったように、依頼者保護という観点から、将来そのこと自体が争いになる可能性もありますので、その点についてこの法案だけでは明確でないものですから今お話しした範囲で聞いたんですが、具体的にはこれはなかなか難しい問題なんですよ。
 それから、その次の問題として、今度の改正によりまして共同事業の規制の緩和という問題がございます。
 この問題については、今度の場合、渉外的要素を有する法律事務についての共同事業ということになりますが、これはいわゆるパートナーとして日本弁護士が参加する、そのことを承認するということが根本的な内容の問題ですか。
#73
○政府委員(山崎潮君) 今回パートナーシップについて拡充したわけでございますが、現在でございますと、例えばパートナーを組んでいても、これが不幸にして訴訟事件になるということもございますが、その段階ではパートナーは解消せざるを得ない、これが現行法でございます。
 それを訴訟の提起に至ってもパートナーを解消する必要はないとしたのが今回の改正案でございます。ただし、その訴訟行為自体は日本人弁護士が行う、これが当然の前提になっておりまして、パートナーを組んでいても外国弁護士としては訴訟行為をできるわけではございません。その周辺事務でお手伝いをする。そういうことで、本国との連絡とか、証人を呼ぶとか、そういうようなお手伝いをするということによって有効に事件を解決することに資するならば依頼者の利益になるだろうという観点から導入したものでございます。
#74
○橋本敦君 そこが具体的な法律事務所、ローファームの扱いとしてはなかなか微妙な問題であって、法廷に日本弁護士以外が行くことはできない、これはもうはっきりしている原則だと。しかし、今おっしゃったような周辺事務の処理をやっていくということについて、渉外的要素を有する法律事務がやれるというようになっていきますと、先ほどからおっしゃっている外国弁護士が日本の弁護士を雇用することは認めないよという原則がある意味では揺らいでくる、そういうおそれがあるということの心配を私はせざるを得ないと思うんです。
 そこでもう一遍伺いますが、外国弁護士が日本弁護士を雇用することができないということの意味は、基的には日本人の弁護士を雇うことによっての従属関係、雇用関係を通じて事実上支配するということが基本的にあってはならないよということが一つにはあるということですが、今おっしゃったような事実上特定された範囲を広げて、法廷には行かないけれども渉外法律事務を一緒に扱っていくということの中では、事実上雇用関係に近い支配的な方向が外国弁護士によって働く。そういう要素は入ってくるのではありませんか、入ってこないという保証はありますか。法廷に行かないだけで。
#75
○政府委員(山崎潮君) 人と人とのつき合いについてどちらが主導的になるかということはなかなか法律では律せられないところでございまして、現実論としてそういう事態がないとは言えないというふうに私は思いますけれども、ただ、こういうことにならないように、外弁法につきましては、パートナーを組む場合の日本の弁護士につきましては五年以上の経験がある者というふうに限定しております。
 今回もこういう点について限定を取り払うべきかどうかという問題もあったわけでございますけれども、やはりそういう保証はきちっとしておかなければならないだろうということで、ここはそのまま存続をさせていただきました。
 また、パートナーシップにつきましては、組む場合には日弁連に対する届け出等も要件にしておりますし、また各種監督がかかっているわけでございますので、そういうものを通じて行っていけば委員今御指摘のようなおそれはないというふうに考えております。
#76
○橋本敦君 その点は私と見解の違うところですが、時間が参りましたので質問を終わります。
#77
○山田俊昭君 私は、今回の改正である職務経験期間、もう一つの職務範囲を広げるという本法改正に関しては規制緩和の推進という観点から賛成するものであります。
 しかし、我が国の弁護士制度は極めて閉鎖的であって、サービス産業の自由化や外国企業の日本進出を推進するという観点からはさらなる規制緩和が求められるところではなかろうかと思うわけであります。したがいまして、個人的には今回の改正程度では甚だ不十分である、こういう考えを持つものであります。
 そこで、さらなる規制緩和を妨げる大きな理由となっております、外国法事務弁護士は日本法に関する知識や能力が認定されたわけではないから外国弁護士が日本法に関与すると依頼者保護の観点に大きな問題がある、もっと依頼者保護を重視するなら外国弁護士の規制緩和を厳しくすべきであるというようなところから言われているわけですが、この点を踏まえて二、三質問させていただくわけです。
 先ほど円先生の質問の中にあった言葉なんですが、外国の弁護士が極東日本なんというところの難しい言葉や何かをわざわざ勉強したり法律文献を学んでまでして日本で弁護士活動なんかしたくないんだよというのが世界の大勢であるというようなことを聞いたんですが、これは常識になっておるんですか。その希望が多いんですか、実際嫌がられているんですか。嫌がられているところであれば、それほど開放することもないわけであって、そこら辺の実情をお知らせしていただきたいと思います。
#78
○政府委員(山崎潮君) この点、私もしかとお答えできる情報は持ち合わせてはおりませんけれども、やはり日本全体、経済等いろいろな問題を見ますとそれなりの需要はあろうかというふうに思っております。ただ、残念ながらやっぱり言葉の問題がかなり大きな障壁になっておるんではないかという実感でございまして、その辺のところがある程度クリアできるとふえてくるのかもしれません。
 また、外国の弁護士が日本に入ってくる場合はやはり一種のビジネスと見ているところもございますので、そうなりますと、やはり日本に来て経営として成り立つかどうか、そういう点も考慮にあるんではないかというふうに考えております。
#79
○山田俊昭君 弁護士活動がビジネスであると割り切る外国の弁護士から見れば、大変な思いをしてまで日本で弁護活動をする必要がない、むしろ本国で頑張った方がいいというようなことなのかもしれませんけれども、いろんな形でグローバル化されている現状をかんがみるとき、相互主義とかいろんな制約がある日本の法曹弁護士の世界が他国によって侵害されたりいろんな問題を生じせしめることは好ましくないというようなことで、非常に閉鎖的といいますか、日本の現在まである法秩序維持のためにも弁護士界のためにも認めるべきではないという一般論が多いわけでありますけれども、やはり私は、日本においても外国の能力ある弁護士が日本での法廷活動、弁護活動を期待するなら、それを認めてあげる、門戸を大いに広げるべきであるというふうに思うわけです。
 そういう観点から、やはり日本で弁護士になるには司法試験に受からなければならない。もう一つ、何か大学で法学部の教授、助教授を五年以上すれば弁護士資格は与えられるというようなことになっているわけでありますけれども、外国の弁護士がそれぞれの国の法的な基礎知識を持っている、リーガルマインドを持って合格しているわけでありますから、司法試験ではないまでも、いわゆる認定試験というんですか、外国人だけ特別な語学だとか特別な科目を設けた選考試験、司法試験とちょっと違う角度でのテストをする制度、そういうものを設けたらどうかというのが私の私案でありますけれども、法務省の御見解はいかがでしょうか。
#80
○政府委員(山崎潮君) ただいま御指摘のような考え方があるということは私どもも承知はしております。これは我が国におきます資格相互関係でも、例えばあるAという資格がございまして、それに隣接するBという資格を持っている場合に、簡単な試験を経てAの方に参入できるという考え方もないわけではございませんが、ただ、現在この考え方は全く日本の制度の中ではとられていない考え方でございます。
 実質的に考えましても、やはり一定の資格を有する試験を経るということを通じましてその者が資質あるいは倫理等、総合的に国民に迷惑をかけない者であるというチェックポイントとされているわけでございますので、そこのところを別の試験で、もう少し易しい試験だろうというふうに考えるわけでございますけれども、それでやって果たして国民に迷惑をかけないかどうか、その辺の検証を十分にしなければ、直ちに入れる入れないという議論はなかなかできないだろうということで、現段階ではそれは否定的に考えております。
#81
○山田俊昭君 本改正の法律案についての質問はこれまで出ておりますので、ちょっと関連というか、弁護士問題を二、三質問したいと思うんです。これは古くして新しい問題というか、昔から言われているんだろうと思うんですが、この機会をかりての質問という形になるんですが、いわゆる法律事務所の法人化という問題であります。
 我が国の弁護士界の形態というのは一人でなさっている先生が非常に多いという状態である。いわゆる個人経営であるわけであります。社会の複雑多様化した中で、法的サービスが果たして一人で対応できるかという問題が常にあるわけであります。そういう意味合いから、一部の弁護士、特に若手の弁護士たちは、良質な法的サービスを国民に提供するためには業務提携や共同事務所化を図る、そういう形の努力をしているのを多く見かけるわけでありますが、これも限界がありまして、組合だとかいろんな形でやっているんですが、完全な法人化ではないわけで、何とか法律事務所の法人化の道を開くべきであるという国民的ニーズは僕は相当強いと思うんです。
 そこで、法務省にお伺いしたいんですが、法律事務所の法人化問題は昨年三月二十八日の閣議で規制緩和推進計画の対象とされて、平成十年度中に結論を得ることとされているということのようでありますが、この辺でその中間報告を出して進捗状況を説明していただきたいと思います。
 そしてさらに、これまで私どもちょっと考えただけでも法的ないろんなデッドロックがあってなかなかクリアできない問題があると思うんですが、法人化できない法律的な制約点と、こういうことをクリアすればその実現が可能であるというその実現可能性の見通しを含めまして法務省の御見解をお尋ねいたします。
#82
○政府委員(山崎潮君) 弁護士事務所の法人化につきましては、ただいま議員御指摘のとおりの、平成十年度中に結論を出すという規制緩和計画になっております。
 これにつきましては、昨年度からこの問題が取りざたされたわけでございますが、弁護士事務所の法人化をいたしますと弁護士事務所の継続性が一層強化されるということにもなりますし、その経営の合理化が図られるということでコストの低減にもなりますし、あるいは顧客であります依頼者のメリットにもなるということから、私どもも鋭意これを進めるべきであるというふうに考えております。
 その検討の途中でいろいろ生じてきた問題でございますけれども、まず法人自体が業務を行うことができるかどうか。法人になりますけれども、法人で事件を受任するのか、それともその法人を構成する弁護士が個々で受けるのかという大きな法的な問題点がございます。
 それから、事務局だけを法人化するのかどうかということで、弁護士はそれとは別だというふうに考えるか、中に入っていくかという問題もございますし、それから法人の形式も、例えば株式会社のように準則主義にするのか認可にするのか、あるいは監督のあり方をどうするのかということもクリアしなければなりません。
 また、業務上で何か過誤が起こった場合に、それを行動した個人、その人が責任を負うのは当然といたしまして、法人自体もすべて責任を負うことになるのかどうか、そういう点をクリアせざるを得ない。
 それからまた、もう御存じのように、税制の問題もどうあるべきかということもあるわけでございます。
 クリアしなければならないところは多々ございますけれども、私どもといたしましては、やはり大変国民にとって重要な問題であるということから、ぜひこの十年度中に結論をきちっと出していきたい、そういう方向で現在検討しているところでございます。
#83
○山田俊昭君 もう一点、法務省にお尋ねをしたいんですが、いわゆる弁護士の宣伝、広告、業務広告の問題であります。
 日弁連のアンケート調査によりますと、法的サービスの利用者は弁護士がどこにいるのかわからない、どの弁護士がどのような仕事に精通、通暁しているかわからない等、いわゆる弁護士情報の不足に対する不満の声が非常に多いわけであります。その一方で、いわゆる弁護士サイドからしてみると逆に利用者との遭遇の機会を失う場合が多い、それも一面私も弁護士の職業的体験から感ずるわけでありますけれども、いわゆる弁護士の法的サービスと潜在的利用者とのいわゆるミスマッチといいますか、そこら辺のところが多くあるように思うんです。これを解決するためのメカニズムと申しますか、弁護士の広告問題を考える必要があるのではなかろうかと思うわけであります。
 この問題は、現在では弁護士会内部の内規によってあるだけであって、法律の規制がないから法務省は関係ない、弁護士会内部に任せているんだということを言われるかと思うんですが、これは弁護士会内部の問題でなくて、これぐらい大きな問題化されていると僕は思うので、やはり立法といいますか、弁護士内部に任せるんでなくて、国法レベルの手当てを何らかの形で考えていく必要があるのではなかろうかと考えるんですが、法務省の御見解をお尋ねして私の質問を終わります。
#84
○政府委員(山崎潮君) ただいま御指摘のような広告の問題、これもアクセスする国民の側から大変重要な問題でございます。医者でいえば内科なのか外科なのか、そういう案内もなかなか国民にわからないという点からニーズがあるわけでございます。
 現在、弁護士会も一部広告等をできることにはなっておりますけれども、弁護士業務に関する業績の広告は許されないという建前になっております。それから、広告の媒体についても、看板とか職業別の電話帳だとか新聞等、あるいは定期刊行物、こういうものに限定されておりまして、インターネットとかホームページ、こういうものについてどうかということも定かではございません。
 こういうような状況にございまして、確かにこれは日弁連の会則で決められていることでございますけれども、この点につきましても政府の規制緩和推進計画では、法務省にこの点も検討するようにと命じられております。最終的にはそれは会則の問題だということもありますけれども、私どもとしては、この点について十分検討をして、日弁連とよく話し合って一定の前進を得られるように頑張りたいと思っております。
 将来、法にするかどうかという問題は、まだそこまで考えでおりませんけれども、とにかく一定の成果物が出るように法務省としても最大限努力をしたいと考えているところでございます。
#85
○山田俊昭君 よろしくお願いします。終わります。
#86
○矢田部理君 法務大臣に伺うのもいかがかとは思いますが、弁護士というのはサービス業でしょうか。サービス業だと言われるといささか抵抗もあるんですが、法務大臣の認識はいかがでしょうか。
#87
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 私は、社会正義を実現していただく大変重要な役割を担っでおるかと思っております。
#88
○矢田部理君 使命や役割は弁護士法の一条にも書いてあるわけですね。基本的人権の擁護と社会正義の実現と。それがサービス業の規制緩和路線に乗って外国弁護士を受け入れる枠組みを広げていくということになると、既に議論されておりますが、いろんな問題点が出るわけですが、やっぱりサービス業というふうに受けとめてよろしゅうございますか。
#89
○政府委員(山崎潮君) 確かにいろいろなところから、内外から御指摘がございまして、その御指摘の中にはそういうような観点で言っているものもないとは言えないというふうに私も理解しておりますけれども、それがきっかけではございますけれども、私どもはそういう観点から法改正を考えるということをしているわけではございませんし、やはり公共的な仕事でございます、それでやはり依頼者の保護という問題がどうしても大前提としてあるわけでございますので、その観点は決して忘れない。それから、やはりさまざまな日本の制度がございますので、その制度との整合性とか、そういうものにきちっと配意をしながら必要なものはやっていく、こういう考え方でございます。
#90
○矢田部理君 それぞれの国によって司法制度をどう考えるか、その中の重要な一翼を担う弁護士制度をいかがするかということは固有の課題としてあるわけでありますが、日本の弁護士法は先ほど申し上げたように弁護士の使命を第一条でうたっているのですが、アメリカなど、まあアメリカは州によって違うのかもしれませんが、またヨーロッパ諸国などはこの弁護士の使命とか任務についてどんなふうにうたっているんでしょうか。
#91
○政府委員(山崎潮君) 具体的にはちょっと私ただいま資料がないので詳しく申し上げることはできませんけれども、やはり人権とか国民のための公共的な仕事であるということは前提になっているというふうに理解しております。
#92
○矢田部理君 その辺はもう少し本音を聞きたかったわけであります。
 もう一つ、日本の司法試験制度というのは比較的難しいとされているわけですが、外国の弁護士資格の取得は、国によってこれもまたさまざまだと思いますが、アメリカを含めどんな状況になっているか、特徴的な国あるいは州などについて説明いただきましょうか。
#93
○政府委員(山崎潮君) ちょっと突然の御質問で詳しい資料は持ってございませんけれども、アメリカの場合にはロースクール制度も導入しているわけでございますけれども、これにつきましては、私いろいろ仄聞しているところでは、日本の試験ほど難しいということではないというふうには聞いております。それからそれ以外、例えばフランスにつきましても、フランスは弁護士の資格の試験と裁判官、検事になる資格の試験、別々でございますので、これはなかなか比較が難しいところでございます。また、ドイツにつきましては、司法試験等を通らなければ法学部を出た意味が余りないようなシステムになっておりますので、かなりの人が受験をいたしますし、かなりの人たちが合格しているという実績がございます。果たして日本の司法試験ほど難しいのかどうか、そこのところはちょっとわかりませんけれども、かなり日本の試験は難しいという評価だろうというふうに思います。
#94
○矢田部理君 私が申し上げたいのは、やっぱり弁護士の使命とかそれになる資格とかが一つ大きな前提にあって、その上で外国弁護士を日本でいかが扱うか、受け入れるについてはどんな要件が必要かというふうなことが論じられてしかるべきではないのかなと、こう思ったりしたものですから実は伺った次第でありますが、やっぱり資格取得がまちまちなのに経験年数を五年とか三年とかということだけでいいのかという問題にもなるわけであります。
 もう一点伺っておきたいのは、既に出ているかもしれませんが、経験要件で五年を三年にする、これは外国弁護士は日本に来れる条件としてかなり緩やかになるわけですから、そういう需要が大きくなる。これは外国弁護士がその結果日本に非常にふえるというようなことになるのでしょうか、その見通しとか状況はどんなふうになっておりますか。
#95
○政府委員(山崎潮君) この三年にした件で、研究会の内部でも経済界から、若手の人でそれほどコストの高くない人でも来てもらえれば非常にありがたいという面もございました。そういう点で、必ずしも経験が長い人じゃなくても来てくれればと、それは自分たちで判断するからという声はございました。
 しかし、今回、改正案が成立いたしたとしまして、本当にどれだけふえるかということにつきましては、私どもとしても従来の経緯から見てそれほど爆発的にふえるという見込みは立てておりませんが、今後どの程度ふえていくか、これはなかなか予測の問題でございますのでしかとは申し上げられない。ただ、三年になるということで、若手の方が来られる率が高くなってくる可能性はあるというふうに承知しております。
#96
○矢田部理君 最後の質問にしますが、規制緩和でさらにまた要件が緩和されるというような方向が求められているのか、それともこれで終わりなのか、その辺はいかがですか。
#97
○政府委員(山崎潮君) 規制緩和の関係では、一応これ以上は具体的には求められておりませんが、ただ、雇用の問題、解禁をしなかったということについてはやや不満も表明されております。
 それから、今後、国際社会の動向、こういう点に留意しながら引き続き検討すべきものは検討しろと、こういうような内容になっていると承知しております。
#98
○矢田部理君 じゃ、もう一点だけ。
 今後予想される規制緩和をめぐる課題、また国際的な状況もあるようですが、どんなことが想定をされるか。それからまた、ずるずると規制を緩めていくことによって日本国有の弁護士制度、弁護士の役割が崩されていく可能性などについて私は少しく心配しないわけではないので、歯どめはどこにあるのかというようなことを含めて最後にお話をいただいて終わります。
#99
○政府委員(山崎潮君) 規制緩和の動向に関しましては、この先どうなるかということを私も今しかとは把握しておりません。また、国際的動向につきましても、WTOの中で法律家の資格の相互承認的な問題が今後議論されるという予定はございます。しかし、具体的にいつどうなるかということはまだわかっておりません。
 ただいま委員御指摘の点でございますけれども、私ども先ほど来いろいろ申し上げておりますけれども、規制緩和とか内外の要望、これがきっかけであったということは認めますけれども、たからといって、じゃオープンにしろということをすべてのむという態度は一切とっておりません。やはり依頼者の保護、こういう観点は決して忘れないでいきたい。また、日本の制度に適合するような条件がなければならない。こういう点はしっかり押さえてやっていきたいというふうに思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
#100
○矢田部理君 終わります。
#101
○委員長(武田節子君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#102
○橋本敦君 私は、日本共産党を代表して、本改正案に反対の討論を行います。
 本改正は、外国弁護士の自由化を要求する規制緩和の一環として行われる改正であり、国際的に尊重されるべきいわゆる相互主義の厳正な適用を緩め、主としてアメリカの巨大なローファームあるいは日米の多国籍企業の要求にこたえるものであります。
 アメリカ通商代表部などの根本的要求は、外弁法に定めているすべてを事実上制限を撤廃する、日本弁護士との共同経営を解禁して、外国法事務弁護士が日本弁護士を雇用できるよう認めること、こういったことを迫ってきておりまして、いわば巨大ローファームが日本で自由に活動できるようにせよということであります。
 この点では、日弁連訪米調査団に参加した当時の中坊日弁連会長は、真の意図は米国ローファームによって外国法に関することも集中的に取り扱える拠点を日本国内に求めることにある、こう述べる一方で、全米的な弁護士の組織であるABA全体としては関心が薄く、要求の強いのはニューヨーク州の大ローファームの弁護士の人たちであったと、こう報告で語っておりまして、この問題の本質を明確に指摘しているところであります。
 ところで、一九九四年の改正でも、相互主義の緩和や共同事業など、原則的な問題での規制緩和の名による改悪がありましたので我が党は反対したのでありますが、当時からより一層の解禁を求める動きがあって、政府は九六年三月二十九日の閣議決定、「規制緩和推進計画の改定について」、これによりまして規制緩和を引き続き検討していくこととしていたわけでございまして、今回の改正はこの流れに沿ったものであり、日本の譲歩を順次迫って、最終的目的達成まで改正を繰り返していく、そういった手法ではないかということを心配するわけであります。
 また、共同事業の規制緩和は、従来踏み込めなかった訴訟事務、行政手続等に至るまで一貫して法律サービスを提供できるように改めるもので、外国法事務弁護士自身が日本法を扱えないという原則があることは言うまでもありませんけれども、実際の共同事業に当たっては、巨大な資本と情報網を持つ米大ローファームとの力関係の上で、事実上、日本弁護士を雇用する事態となるおそれがあるなど、弁護士法上の根本問題ともなり、到底賛成できないところであります。
 最後に、外国弁護士の職務経験要件を三年に緩和する問題についてでありますが、言うまでもなく、司法制度のありようは、我が国の司法権と主権にかかわるだけでなく、国民の権利義務の公正な保障にかかわる法曹の基本的あり方、弁護士の職責と倫理に深くかかわる問題であって、国際化の時代であるといっても国際経済や規制緩和の問題の面からのみ安易に扱われてはならない問題であります。そのため、この点については特に法務大臣に今後慎重に対処されるよう強く要望いたしまして、反対討論を終わります。
#103
○委員長(武田節子君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#104
○委員長(武田節子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#105
○委員長(武田節子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#106
○委員長(武田節子君) 次にへ保護司法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。下稲葉法務大臣。
#107
○国務大臣(下稲葉耕吉君) ただいま議題となりました保護司法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
 保護司制度は、地域社会の穏健篤実な奉仕家たちが犯罪や非行をした者を無報酬で補導援護するという世界にたぐいまれな制度として発展し、その立ち直りや地域社会の安全に大きく寄与しておりまして、我が国の刑事政策上極めて重要な役割を果たしているところであります。
 しかし、近時の社会風潮等によって、保護司としての有能な人材の確保が容易でなくなりつつある一方、さまざまな問題点を抱える処遇困難な対象者が増加して保護司の負担が増している状況の中で、保護司とその活動に対する一般国民や地域社会の理解及び保護司組織による組織的な支援体制の強化が喫緊の課題となっております。
 ところで、保護司の職務のうち、保護観察や矯正施設に収容中の者の環境調整につきましてはその内容がはっきりしておりますが、犯罪予防活動のようにさまざまな活動形態があり得るものにつきましては、どのような活動をどのように行うのが公務であるのか必ずしも明確ではなく、一般国民の保護司に対する理解が不十分となり、十分な協力を得がたい原因の一つとなっております。
 また、現在、保護司を構成員とする保護司組織が全国に結成され、保護司相互の研修や福祉機関との連携を図る等、保護司の活動を支える上で重要な機能を担っておりますが、これらの保護司組織は、現状においては任意組織にすぎず、その役割、機能について明確な規定がないため、対外的に保護司組織について理解を得るのに障害となっており、また組織運営の負担が一部保護司に偏るなどして組織活動の充実を図ることが難しくなっております。
 さらに、保護司及び保護司組織の活動が地域社会の安全及び住民福祉の向上に寄与しておりますことから、地方公共団体からさまざまな支援を行っていただいておりますが、今後、地方公共団体との協力関係を推進していくためには、その法律的な根拠を明確にすることが必要であります。
 そこで、保護司制度の充実強化を図るため、保護司の職務の遂行に関する規定を整備するほか、保護司組織を法定化するとともに地方公共団体の保護司及び保護司組織に対する協力規定を設けるなどの必要があると考えられますので、ここに本法律案を提案することとした次第であります。
 次に、保護司法の一部を改正する法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、保護司は、地方更生保護委員会または保護観察所の長から指定を受けて当該地方更生保護委員会または保護観察所の所掌に属する事務に従事するほか、保護観察所の長の承認を得た保護司会の計画の定めるところに従い、当該保護観察所の所掌に属する一定の事務に従事するものとしております。
 第二に、保護司の職務を支援する組織として保護司会及び保護司会連合会を法定化しております。
 第三に、地方公共団体は、保護司及び保護司組織に対し必要な協力をすることができることを規定しております。
 以上が保護司法の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上。速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
#108
○委員長(武田節子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとします。
    ―――――――――――――
#109
○委員長(武田節子君) 次に、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。下稲葉法務大臣。
#110
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 現行の出入国管理及び難民認定法は、日本国政府の承認した外国政府以外の地域の機関が発行した文書を旅券として認めていないことから、これらの地域の外国人が我が国に入国する際には、事前に日本国領事官等の発行する渡航証明書の発給を受けることが必要であります。その一方で、近年における国際交流の一層の活発化に伴い、このような地域からの入国者が増加しており、我が国の在外公館における渡航証明書の発給にかかわる事務が極めて煩雑になっております。また、地方入国管理官署においても、当該地域の機関が発行した文書に証印をすることができないことから、その所持人に対して再入国の許可を与えるに当たって別途再入国許可書の作成、交付を要するなどの事務負担を生じております。
 このような状況にあることから、近年我が国への入国者が急増している地域の外国人について、その出入国関係事務の簡素合理化を早急に図る必要が生じてまいりました。
 この法律案は、以上に述べた外国人の出入国の状況にかんがみ、出入国関係事務の簡素合理化を図るため、我が国が承認した外国政府以外の地域の権限のある機関が発行した文書を出入国管理及び難民認定法上の旅券として取り扱うことができるよう、同法の一部を改正することを目的とするものであります。
 次に、この法律案の主要点について御説明申し上げます。
 第一は、現在出入国管理及び難民認定法上の旅券としている日本国政府、日本国政府の承認した外国政府または権限のある国際機関の発行した旅券等のほか、政令で定める地域の権限のある機関の発行した旅券等に相当する文書を同法上の旅券の範囲に追加することであります。
 第二は、関連規定の整備を図ることであり、具体的には、旅券の定義にかかわる政令を含む出入国管理及び難民認定法の規定に基づく命令の制定または改廃に伴い必要とされる経過措置をその命令で定めることができるよう、当該措置に係る委任規定を設けることであります。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
#111
○委員長(武田節子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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