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#1
第142回国会 法務委員会 第10号
平成十年四月九日(木曜日)
    午前十時開会
    ―――――――――――――
    委員の異動
  四月八日
    辞任         補欠選任
     円 より子君     広中和歌子君
  四月九日
    辞任         補欠選任
     千葉 景子君     萱野  茂君
     照屋 寛徳君     三重野栄子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         武田 節子君
    理 事
                清水嘉与子君
                依田 智治君
                大森 礼子君
                橋本  敦君
                平野 貞夫君
    委 員
                遠藤  要君
                岡部 三郎君
                長尾 立子君
                林田悠紀夫君
                前田 勲男君
                松浦  功君
                萱野  茂君
                角田 義一君
                広中和歌子君
                三重野栄子君
                山田 俊昭君
                矢田部 理君
   国務大臣
       法 務 大 臣  下稲葉耕吉君
   政府委員
       警察庁警備局長  伊達 興治君
       法務省入国管理
       局長       竹中 繁雄君
       外務省アジア局
       長        阿南 惟茂君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 恒男君
   説明員
       外務大臣官房領
       事移住部長    内藤 昌平君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法
 律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(武田節子君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨八日、円より子君が委員を辞任され、その補欠として広中和歌子君が選任されました。
 また、本日、照屋寛徳君が委員を辞任され、その補欠として三重野栄子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(武田節子君) 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○依田智治君 自由民主党の依田智治でございます。
 自由民主党を代表して、簡単に法案の基本的問題を質問させていただきたいと思います。
 出入国管理法のこの改正点、いろいろ関係者からは非常に要望の強いものでございましたが、政令で定める地域というのが書いてありますが、この政令で定める地域というのは現時点では台湾というように理解してよろしいか、まずこの点を。
#5
○政府委員(竹中繁雄君) 委員御指摘のとおり、台湾を予定しております。
#6
○依田智治君 台湾としますと、沖縄とも近いというようなことで本邦への渡航者も近年相当ふえておる。便利になれば恐らく今後もますます増加してくるんじゃないかと思いますが、そのあたりについて最近の状況をちょっと御報告願いたいと思います。
#7
○政府委員(竹中繁雄君) 我が国へ入国した台湾の人々の数でございますけれども、平成二年以降、大体六十万ないし七十万という高い水準で推移してまいりました。ちなみに昨年は八十五万七千八百七十七人となっておりまして、平成七年から九年までの二年間で約四〇%の増加になっております。
 また、先生御指摘の沖縄県の例でございますが、沖縄県の海の港ないし空の港から日本に入ってまいりました台湾の人々の数は、昨年十四万二千三百七十六人となっておりまして、これもやはり平成七年から九年の二年間で約四〇%の増加になっております。その大半は観光目的でございます。
#8
○依田智治君 これまでこれだけ大勢の人が入ってくるんですが、外務省、法務省とも一々証明書を発行したり大変苦労が多かったというように聞いています。今度のこの法律の改正によって事務の大幅な省力化、合理化がなされるんじゃないかと思いますが、概要をちょっとお伺いしたいと思います。
#9
○政府委員(竹中繁雄君) 台湾護照が我が入管法上の旅券とされますと、まず外務省関係の事務でございますが、我が国へ入国しようとする台湾の人々に対し、台湾護照に直接査証を発給すれば足りるということになりまして、これまでのように渡航証明書を別途作成交付するという必要がなくなります。これが合理化の一番大きな点でございます。
 一方、我が法務省関係の事務でございますが、本邦に在留する台湾の人々に対し、再入国や在留期間の更新等の許可を行います場合に、これもやはり台湾護照に直接証印をすれば足りるということで、これまでのように別途再入国許可書を作成して交付するという必要がなくなることになるわけでございます。
#10
○依田智治君 大幅に簡素化されると。また、渡航者にとっても一時通過上陸とかその他も可能になるというようなことで、今回の措置によって相当な渡航者の増加というのが見込まれるんじゃないかと思いますが、そのあたりはいかがですか。
#11
○政府委員(竹中繁雄君) これはやってみないとわからないわけでございますが、一方において我々の方から見ればそういう合理化が図れるわけで、台湾からお見えになる旅行者から見ればそれはそれなりに合理化が進むわけでございますので、それが旅行者の数にいい影響を与えるであろうと予想しております。
#12
○依田智治君 そういうことで、非常に双方にとって便利な制度だと思うんですが、我が国の場合、これまで台湾護照の扱いというのは、いわゆる日中共同声明との関係においていろいろ今日までこういう状態のまま置かれてきた、こういう事情があるわけです。
 世界各国でも、台湾を国家として認めている国というのはもちろん旅券は通常の国と同じに扱うわけですが、一つの中国という政策をとっておっても、今回我が国で法改正するような方向で既にこの台湾護照、台湾の旅券の扱いを一般旅券並みに扱っている国というのも相当多いと思いますが、世界の状況はどんなぐあいになっておりますか。
#13
○政府委員(竹中繁雄君) 先生御指摘のとおり、台湾をもう国家として認めている国については当然これを旅券として認めているわけでございます。一方、そうでない国がどういう扱いをしているかということでございますが、国で言いますとアメリカ、カナダ、豪州、ニュージーランド、タイ、韓国、イギリス、フランスというようなことで、主要な国を含みます多数の国が台湾護照をその国の法令に基づきあるいは運用によりましてその国の出入国管理上有効な旅券として取り扱ってきております。
#14
○依田智治君 世界の状況はそんな感じですが、我が国の場合は、日中国交正常化の日というのが昭和四十七年九月二十九日ですが、それ以後出管法上の旅券には当たらないということで今日のような非常に面倒な措置になっておったわけです。
 一方、日台間については、非常に我が国と近接して、しかも二千万以上の人口を持って経済等も発達している地域であるというようなことから、民間協定で交流協会、亜東関係協会というのが双方で窓口になりながら、在外事務所で相手方の住民等についての入国や在留等に関して必要な便宜を図ろうということになっていたわけですが、やっぱり民間には限界があるということで今回の措置がとられることは私は非常に結構なことだと。ただ国家として何かするというよりも、住民がこういういろんな経済その他の観光等で移動するという話ですから、やはりできるだけ便宜を図るのがいいんじゃないか。ただ一方、やっぱり中華人民共和国が中国の唯一の合法政府であるということを認めた日中共同声明というものは厳然として残っているわけです。
 そのあたりについて、これは本来外務大臣の話かと思いますが、出入国管理行政の責任者、今回こういう法律を主管する立場として法務大臣に、今度の法律を提案しこれを施行することについてとこの日中共同声明の趣旨との関係でどのように考えておられるか、これをお伺いして私の質問を終わりたいと思いますで
#15
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 委員御指摘のとおり、我が国は昭和四十七年九月二十九日に日中共同声明が締結されまして、この日中共同声明に基づきまして厳然として日中間の交流を行っているわけです。そこで、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持しているわけでございます。
 今般、入管法を改正いたしまして台湾道照を我が国の入管法上有効な旅券として取り扱うのは、日台間における民間交流の増大に伴う出入国管理関係事務の負担軽減を図るためのものでございまして、日中共同声明との関係で何ら問題を生ずるものではない、このように理解いたしております。
#16
○依田智治君 終わります。
    ―――――――――――――
#17
○委員長(武田節子君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、千葉景子君が委員を辞任され、その補欠として萱野茂君が選任されました。
    ―――――――――――――
#18
○角田義一君 外務省、ちょっとお願いします。
 今、依田先生の最後の御質問で法務大臣から御答弁がありました件に関連をしまして、若干外務省にお聞きしておきたいと思います。
 建前論からいいますと、法務大臣が今お答えになったとおりだというふうに私は思いますけれども、しかし、中国政府は、こう言っては御無礼かもしれませんが、大人の態度といいましょうか、そういう態度をとると思います。しかし、あの国は非常に原則というのを重んじる国でもございます。原則は原則として、いろいろな取り扱いについてはそれなりのかなり柔軟な理解をしていただいておると思いますけれども、率直な話、改めて法律でこういうことを明記するということになると、それなりに神経質にもなるんじゃないかというふうには思うわけでありまして、その辺はやっぱり外務省が俗に日本の言葉で言う根回しというか、状況説明をして理解を求めるということは極めて大事なことではないかというふうに思います。
 その辺は抜かりなくやっておると思いますけれども、ちょっと状況説明をしておいてください。
#19
○政府委員(阿南惟茂君) ただいま先生御指摘のように、中国は原則を重んじる国でございますし、特に日本と台湾との関係についてはこれまで大変敏感に反応をするということがございましたので、私どもも今回の法律改正につきましては、先ほど法務大臣の御答弁がございましたように、もちろん日中共同声明に照らして何ら問題ないわけでございますが、やはり中国側にいろいろな懸念が生じる可能性もございますので、これまでもどういう考え方で大体どういうふうにやるのかということは累次説明をしてきております。
 向こうから内々意見は出ておりますが、それも共同声明違反じゃないかというような形での意見の表明はございませんので、中国側としては、こういう法律改正ということで日本政府の台湾に対する姿勢が変化したんじゃないかという誤解を与えないようにしてもらいたいというようなことは言ってきておりますが、これまでも私どもといたしましては内々十分に説明してきているつもりでございます。
#20
○角田義一君 法案が提出されて衆議院を通り、きょう参議院で委員会を通るわけでありますが、中国の駐日大使館筋でのこの法案に対する公式なコメントなりは具体的にはあるんでしょうか。どうなんでしょうか。
#21
○政府委員(阿南惟茂君) 今までのところ、中外交部のスポークスマンが発言したことはございますが、公式なコメントを在京の大使館から寄せてきたということはございません。
#22
○角田義一君 中国外交部の意思表明というのはどんな内容なんですか。
#23
○政府委員(阿南惟茂君) これは、この法案提出のための閣議決定があったときに、その機会に中国の外交部スポークスマンが言ったことでございますが、日本政府が日中共同声明と日中平和友好条約の原則を厳格に遵守し、問題を慎重に処理するよう求めるという発言があったわけでございます。この意味は、先ほども申し上げましたように、このこと自体が共同声明違反だと言っているわけでも何でもございません。ただ、やり方によっては国際社会で誤解を受けるかもしれない、また台湾の方に誤解を与えるかもしれない、そういう意味で慎重に対処してほしいと、こういうコメントだと私どもは理解しております。
#24
○角田義一君 今後もいろいろ台湾問題というのは非常に微妙な問題になっていくわけですから、外務省としてもよく心得てやっていただいておると思いますけれども、その辺をお願いしておきたいと思います。
 近年、台湾と日本との交流関係というのは非常に活発になってきておりますが、過去三年間ぐらいで日本から台湾へ訪れている人は一体どのくらいあるのか。そしてまた、今回の日本の法改正によって一種の相互主義のような形がとられるのかどうか。台湾の方も日本と同じような便宜というか、そういうものを与えるのかどうか、外務省、その辺ちょっと説明してください。
#25
○政府委員(阿南惟茂君) 台湾を訪問いたしました日本人の数は、過去三年の例で申し上げますと、一九九五年が約九十一万人、九六年が九十二万人、九七年約九十一万人、こういう大体九十一万、二万という水準でございまして、これは日本人の渡航先別では米国、韓国、中国、香港に次いで第五番目ということになっております。
 それから、台湾での日本人の入国手続上の扱いでございますが、日本人の台湾訪問者が渡航する場合には、観光目的で二週間以内の滞在であれば原則として査証を要しないということでございまして、また、台湾の空港等、入国に際しましては日本の旅券に出入国のスタンプが押されるという措置がとられております。
#26
○角田義一君 そうすると、日本の今回の法律改正によっても、今の局長がお話ししているような台湾の扱いというのは特段変わる必要もないということでしょうか。
#27
○政府委員(阿南惟茂君) むしろ日本の今回の法律を通していただければ、それ以降の扱いが台湾の現在の扱いと同じようになるというふうに考えておりますので、こちらの措置の変更に伴って向こうがさらに変えるということは予想されておりません。
#28
○角田義一君 ところで、この法律ができますと改めて出入国管理及び難民認定法の十四条の「寄港地上陸の許可」ということが問題になってくると思うんですけれども、「七十二時間の範囲内で当該出入国港の近傍に上陸することを希望する場合において、」云々とありますけれども、七十二時間ですからおのずから範囲というものは限定されるとは思うんですが、この新しい制度ができてこれの取り扱いは具体的にはどうなりますか。
#29
○政府委員(竹中繁雄君) 今現在は台湾からお見えになる方については寄港地上陸の適用がないわけでございます。
 したがいまして、この近傍の話も実は余り今現在大きな問題になっているわけではございませんで、今現在の取り扱いは、那覇等にお見えになるお客さんにつきましては、大体沖縄本島の中、七十二時間の範囲内であれば自由に動けるという取り扱いになっております。
#30
○角田義一君 沖縄の人たちはいっときも早くということで願っているんですけれども、台湾から来る人たちは必ずしも沖縄だけには限りませんね、羽田に来る人だって当然いるわけでしょう。そうすると、そういう人たちの七十二時間云々というのはどういうふうになるんですか。
#31
○政府委員(竹中繁雄君) 先生おっしゃるとおり、まさにこれは日本全国で適用になる法律でございますので、当然東京にお見えになる方も関西にお見えになる方にも適用になるわけでございます。
 したがいまして、例えて申しますと、台湾からハワイに行かれた旅行者が帰りに東京に寄ってディズニーランドを見て帰るのであれば七十二時間で十分であるというような場合に、ディズニーランドに行って七十二時間以内でもって観光されるというようなことは現在もしばしば行われている。これは台湾ではございませんけれども、台湾以外の地域についてそういうことは行われておりますし、台湾の方々についても、この法律を御承諾いただきますれば可能になってくるということでございます。
#32
○角田義一君 条文を読めばわかるんじゃないかと思うんですけれども、ちなみにその七十二時間を超えた場合はどうなるか、罰則か何かあるんですか。
#33
○政府委員(竹中繁雄君) 七十二時間を超えた場合にはやはり不法滞在ということになりまして、罰則の規定もございます。
#34
○角田義一君 つまらぬことかもしれないけれども、現実にそういう問題は起きているんですか、きちっとそれは守られているんですか。
#35
○政府委員(竹中繁雄君) 大体は守られているんですけれども、出身国によっては、必ずしも十分に守られていない国からお見えになる方もしばしばございます。
 具体的な名前は控えますけれども、日本のビザを取得しにくいような国からお見えになる方の中に時々そういう例がございます。
#36
○角田義一君 今回、こういう法律の改正というものをしなければ、いわば台湾の権限ある機関が発行した旅券に相当する文書というものを入管法上の旅券とすることはできない。要するに、これは法律の改正というものがどうしても絶対的に必要だということなんですか。
#37
○政府委員(竹中繁雄君) 旅券の定義は入管法に書いてあるのでございますけれども、入管法の二条第五号というところで、その関連の部分だけちょっと読みますと、日本国政府の承認した外国政府の発行した旅券、こういう書き方になっております。したがいまして、台湾護照は明らかにこれには含まれませんので、これとは別途の規定を設けてこれを含ませるように法律を改正する必要があるということでございます。
#38
○角田義一君 最後に二つだけ聞いておきます。
 この法律を改正して悪用されるということはないと信じたいんですけれども、先ほどちょっとお話があったような不法残留者が大幅にふえるとか、あるいはまたいわば新しい旅券を偽造するとか、そういう心配あるいはそれに対する対応というのをあわせて考えておられると思いますけれども、そのことだけについて質問して終わりたいと思います。
#39
○政府委員(竹中繁雄君) 不法残留者が全体として二十七万数千という数がございまして、これに対しては何とかしなきゃいかぬということで日ごろから臨んでいるわけでございます。
 台湾につきましては、今のところ台湾から本邦に入国して不法残留している人の数というのは、これはことしの一月一日現在の数字でございますけれども、九千四百三十人という数字でございます。ですから、これは二十七万何千のうちの一万人に満たない数ということで、入ってこられる数が全部で年間八十五万あるわけですから、そういうことからいいますと、台湾からお見えになる方の成績は入管法上は非常によろしいということでございます。
 ですから、ゼロではないわけですから引き続き我々もしっかり見ていかなきゃいけないと思いますけれども、そういう意味で台湾を入れたから特に大きい問題になるということには恐らくならないと思います。
 それから、一方におきまして偽変造文書はどうかということでございますけれども、これも平成九年の総数で三千五百二十九件という数字が出ておりますけれども、台湾からの方でそういうことをやられた方は、ゼロではないんですけれども、これも非常に少ないということでございます。
 したがいまして、私どもとしてはこういうことが起きないように引き続き十分注意して入国管理をしっかりやっていくつもりでございますけれども、台湾の旅券を入管法上の旅券として認めるということによって大きな問題になるということは恐らくないだろうと予想しております。
#40
○角田義一君 最後に一つ。
 きょうはちょっと欠席されておりますけれども、照屋先生からは、何しろこの法律を早く通してもらってゴールデンウイークに間に合わせてほしいというようなことを盛んに言われて、私どももはいと言ったんですけれども、結局ゴールデンウイークに間に合わないと。申しわけないような気もするんだけれども、その公布の日から「一月を経過した日」とありますけれども、これはやっぱりこのぐらい準備期間を置かなきゃ間に合わないんですか。ゴールデンウイークに間に合わせてやるわけにはいかないのか、どうなんですか。
#41
○政府委員(竹中繁雄君) この法律を施行します場合に、私ども入官の職員が日本全国に散らばっておりますけれども、これに周知徹底して遺漏のないようにしなきゃいけませんし、それから恐らく在外公館に関しても外務省さん同じようなことをおやりになるんだと思います。それから外務省から伺っているところでは、一部の事務機器のスペックを変えるといいますか仕様を変えるというようなことも必要で、やはり最低限一月は必要だということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
#42
○角田義一君 終わります。
#43
○大森礼子君 公明の大森礼子です。質問いたします。
 今審議していますこの法案ですけれども、実は提出予定法案一覧の中には載っていなかったものでありまして、何か急に出てきたのかなという印象を否めないわけです。
 先ほど角田委員もおっしゃいましたけれども、ともかく急ぐ急ぐということで、ゴールデンウイーク前までに何とかこれを施行と言われたわけですが、他方で、施行は公布後一カ月ですから、時間的に見て間に合わないのにと思ったわけです。
 それから、ゴールデンウイーク前にというのですけれども、詳しいことは知らないんですけれども、何か皆さん日本のゴールデンウイークを想定しておられるようですけれども、これは台湾の方のゴールデンウイークがあるのかなという問題でもありまして、そこら辺は特に深く追求いたしませんが、いずれにしましても、当初の予定になかったものが出てきたという感じで、しかし理由をお聞きしてみれば沖縄振興策という意味もあって、それなりの理由づけがあるわけです。
 そこで、こういう形で出てきた理由、背景というものを教えていただきたいと思います。
#44
○政府委員(竹中繁雄君) 先ほど来申し上げておりますように、台湾から我が国への入国者の数が近年急増しておるというのが一番の大きな理由でございます。その結果、渡航証明書の発給にかかわる事務等が極めて煩雑になってきているということを外務省からも報告を受けております。
 したがいまして、これに関する出入国関係事務の簡素合理化を早急に図る必要があるということで、その解決策として本改正案を提出したというわけでございます。
#45
○大森礼子君 私が今質問したのは、提出予定法案は内閣、政府がどういうふうな法案を提出するか、議員立法は除きますけれども、一応あるわけですね。それを見て我々はまたこんな法案が来るんだなというふうに思うわけですけれども、それになかったというのはいかなる理由によるものでしょうかという質問です。
#46
○政府委員(竹中繁雄君) 早く気がついて出せばそれにこしたことはなかったと思うんですけれども、一昨年の台湾からお見えになるお客さんは前からわかっていたわけですけれども、昨年は大体どのぐらいになるかなということに関して必ずしも十分注意を払っておりませんで、昨年の数字がある程度わかった段階で、やっぱりこれは早急に何かやらねばならないということでこういうタイミングになったわけでございます。
#47
○大森礼子君 すっきりしませんけれども、これ以上申し上げません。というのは、何か逆にずっとこういうことを考えておられたけれども、対中国との関係でいろいろ慎重に運んできたためかなというふうに思って質問したわけですが、何かそうでもないようなのでこれ以上は法務省の方にお尋ねしません。
 そこで、きょうは阿南アジア局長に来ていただきましたので、質問させていただきます。
 先ほど、角田委員の方からも御質問があったんですけれども、この法案が通ることによりまして、台湾の発行しました文書というものを正式な旅券と認めるわけではありませんけれども、それと同等なものとして扱う。ことにはなるわけですが、そのことによって、対中国との関係で台湾を特別扱いすることになるのではないかという問題が生じないのかどうかです。
 それから、先ほどアジア局長がお答えになりました中国外務省スポークスマンのコメントで、日本政府が日中共同声明と日中平和友好条約の原則を厳格に遵守し、問題を慎重に処理するよう求める、こういう発表をアジア局長も引用されたわけですけれども、慎重に処理するということについて、普通、外交上こういう言葉が使われる場合はどういうことを意味しているのか。
 それから、まとめてお尋ねいたしますけれども、政府がこういう法案を通すことによりまして、今後の日中関係等の見通しといいますか、何か影響を及ぼすものかどうか、ここら辺について外務省の御意見を伺いたいと思います。
#48
○政府委員(阿南惟茂君) 台湾に関する我が国の立場は、御案内のように、日中共同声明第三項に明記をされておりまして、この立場に基づきまして、我が国は台湾との関係を非政府間の実務関係としてこれまで維持してきているわけでございます。
 今般の入管法改正も、先ほど来入管局長の方から御説明がございますが、目的は、日台間における民間交流の増大に伴う事務負担の軽減ということでございまして、また、この改正の中身も、現行の日本国政府の承認した外国政府の発行した旅券等と、今回の台湾の権限のある機関の発行した一定の文書というものは明確に区別をしているわけでございまして、こういうことから、台湾を国であるとか台湾当局を政府であると認めるということではないということははっきりしているわけでございます。
 それから、中国外交部のスポークスマンが日本政府に慎重な対応を求めた、この慎重なというのは外交上どういう意味かというお尋ねでございましたが、外交用語として、慎重にというのが特別な意味を持っているわけではございません。私どもは、この法律改正の仕方そのもの、そしてまた今後の運用で、先ほどもちょっと申し上げましたが、台湾側、そして国際社会に対して日本の台湾に対する基本姿勢、政策が変わったというような誤解を与えないように、そういう点で慎重に対処してもらいたい、こういう注文だというふうに受けとめております。
 また、これが日中関係にどういう影響を与え得るかという御質問でございますが、以上申し上げましたようなことで、中国政府の当局者にはまた当局者の立場もございますから、これで結構だと明確に言ったわけではもちろんないわけでございますが、これまで日本側の考え方を十分に説明してきておりますので、この問題が日中関係の現状に消極的な影響を与えるとか流れを変えるということはないと私どもは考えております。
 御案内のように、昨年は日中国交正常化二十五周年、ことしは日中平和友好条約締結二十周年という年でございまして、日中関係は昨年の両国首脳の相互訪問、またことしは、今月新しく国家副主席になりました胡錦涛さんが日本に来られる、九月には江沢民国家主席も来られるというようなことで、先般のロンドンにおける日中首脳会談、日中外相会談におきましても、二十一世紀に向かって日中関係を発展させていこうという首脳間の合意もございました。こういう流れがこのまま続いていくことを期待しているところでございます。
#49
○大森礼子君 どうもありがとうございました。
 それでは次に、これは法案の周辺問題ということでお尋ねするのですが、三月十日の大臣所信表明におきまして、大臣は、第五としまして出入国管理行政の充実強化ということについて触れておられます。その中で、不法入国者、不法滞在者の数を減ずるための効果的な対策、それから要員の確保等の所要の体制整備、それから職員研修の充実強化等に努めていくとおっしゃったわけです。きょうはそれぞれの具体的な計画をお尋ねしようと思ったんですが、申しわけございません、時間の関係でまたこの次に聞かせていただきます。
 先ほど角田委員の質問に答えられて、偽造変造パスポートについては、何か台湾の方は少ないというふうなお答えがあったと思うんですけれども、ただ、昔、私仕事しておりまして、これは売春事犯の場面ですけれども、一度裁判で有罪判決を受けて強制送還された、何かいつの間にかまた帰ってきた。要するに、これは偽造の渡航証明書ということだと思うのですけれども、やはりこれからは偽造パスポート、あるいは台湾ですと偽造渡航証明書とか、こういうことも次第に巧妙になってくるのかなという気もいたします。
 こういう取り締まりにつきましては、入管の現体制では非常に限界もあると思いまして、あとは警察の方の役割に負うところが大きいと思うわけでございます。こういう不法入国者、不法滞在者等の取り締まり等につきまして、警察としまして今後どのように取り組んでいかれるのか教えていただければと思います。
#50
○政府委員(伊達興治君) 昨年中、警察と海上保安庁で検挙した不法入国者が千七百五十一人とこれまでの最高となっております。この背景には、集団密航事件の検挙人員が千三百六十人と大きく激増している、これが影響しているものと考えております。
 警察としましては、こうした趨勢を背景にしまして、昨年四月一日以降、警察庁と各都道府県警察に来日外国人犯罪対策室というようなものを設置しまして、蛇頭を初めとする国内の受け入れブローカー、こうした密航請負組織の実態解明と事件化に努めてきているところでございます。また、こうした蛇頭のグループは中国で密航者を募集するということでありますので、中国政府に対する政府レベルの密航防止の申し入れ、これを継続していきたい。さらに、中国公安部などの関係諸外国の治安機関と積極的な情報交換を行いながらさらに密航組織の摘発に努めていきたい。
 また、国内では、海上保安庁、法務省等関係機関との連携をいろいろ強化しておりますが、加えて漁協とか沿岸住民の協力を得ることによりまして沿岸警戒を強化して密航者の水際検挙にも当たりたい、こういう形で総力を挙げて取り締まり対策を推進していく所存でございます。
#51
○大森礼子君 それでは、最後に大臣にお尋ねいたします。
 所信表明の中で、大臣は、内外のいわゆるブローカー組織や暴力団関係者が組織的に関与する集団密航事犯等にも厳しく対処していくというふうに述べられました。
 昨年に法改正があったわけですけれども、この施行日というのが平成九年五月十一日となりますので、約一年たとうとしております。それで、昨年の入管法改正の効果というものがどのようにあらわれておるか、大臣にお尋ねしますので細かいことはもちろん結構ですが、大臣はどのように効果があらわれてきたと御認識でしょうか。
#52
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 昨年、おかげさまで入管法の改正をしていただきまして、蛇頭等に対する対策ということでいろいろ罰則を強化していただきました。
 そこで、先ほど警察庁からも話が出たわけでございますが、あの法律改正前十一カ月間と改正後十一カ月間の検挙件数等をちょっと見てみますと、平成八年六月から九年四月までの十一カ月間で六十九件、千三百七十二名を検挙いたしております。平成九年五月から平成十年三月までの十一カ月間で四十八件、七百十九人ということになっておりまして、件数も減っておりますが、人員については大体半分近くまで減少してきております。
 ということは、日本ではこういうふうなものに対する取り締まり強化の体制が大変しかれているということが相手側にも周知徹底してこういうふうな傾向になってきているのではないだろうか。もちろん油断するわけにはまいりませんけれども、私は効果が上がっているというふうに判断いたしております。
#53
○大森礼子君 以上です。
#54
○橋本敦君 続きまして、質問をさせていただきます。
 本件の法案について私どもも賛成の立場ではあるんですが、一番大きな問題になりますのはやっぱり一つの中国という国際的な基本問題だと思います。
 一九七二年九月二十九日に北京で調印されました日中共同声明、これに関していわゆる一つの中国ということが確認されたわけでありますが、私ども日本共産党としても、当時中央委員会声明を発表いたしましてこの立場を支持いたしまして、中華人民共和国成立以来二十三年間一貫して中華人民共和国を唯一の正統政府として国交を回復することを主張し続けてきた党として、日中国交回復の実現を歓迎するという声明を発表させていただきました。
 政府もこの立場を今日も貫いていらっしゃるということでありますが、この問題について、先ほどアジア局長から中国側の対応について若干のお話がございました。しかし、表向き国交という立場の原則を考えますと、この問題については、二十四日の中国外務省スポークスマンの声明にもありますように、日本政府が日中共同声明と日中平和友好条約の原則を厳格に遵守し、問題を慎重に処理するよう求めるというコメントを発表していることはアジア局長も御指摘のとおりです。
 こういうことであるけれども、外務省としては、原則は日本としても一つの中国という立場を堅持しながら、本件の法案の処理については日中関係に今後影響を特に及ぼさないでやっていけるという具体的な状況についての見通しの判断はお持ちである、こう伺ってよろしいわけですね。
#55
○政府委員(阿南惟茂君) 日本政府が一つの中国の立場をとっているということは御指摘のとおりでございまして、今回の法改正に当たりましても、この点に特に外務省といたしましては細心の注意を払って、中国側から共同声明違反であるというような批判を受けないようにということを常に心がけて法案の作成の際にも法務省の方と御相談をしてまいりました。中国側の反応について私も不必要に楽観的なことを申し上げるつもりはございませんが、中国には当初からこの法改正の目的、そしてどういう形でやっていくかという基本的な考え方は説明をしております。
 それで、先ほど来出てまいります中国外交部スポークスマンの発言にいたしましても、これが共同声明違反であるということは一切言っておりません。私どもその点については理解を得ていると思っています。
 ただ、日本と台湾との関係につきましては、これはもう国交正常化以来二十六年間常に中国が日本に対して慎重にやってくれということを言ってきている問題でございますので、その点について中国側も懸念なしとしない、すなわち、日本の台湾政策は変わったというような印象を与えるのじゃないかということを懸念しているということはあるだろうと思っておりますので、その点についても我々は慎重に対処をしますよということを先方に伝えているわけでございます。
#56
○橋本敦君 基本的には中国は一つであるという政策に日本政府として変更はないという態度は外務省としてもきちっと話はしておる、こういう意味ですか。
#57
○政府委員(阿南惟茂君) おっしゃるとおりでございます。
#58
○橋本敦君 この点で、私はそういう意味での日中間の国交は大事だと思うんですが、依田委員からもお話がありましたように、法務大臣として、日本政府としてこの日中共同声明の立場を堅持する、中国は一つであるという立場に日本政府として何ら変更はないということをこの際はっきりおっしゃっていただくことが事態の円満な解決に資すると思うんですが、いかがでしょうか。
#59
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 委員御指摘のとおり、中国は一つでございます。
#60
○橋本敦君 そういう立場を踏まえて次の問題に移らせていただきますが、この問題については沖縄県から国際都市形成に向けた新たな産業振興策として平成九年十一月に要望が出されてまいりました。
 その一つが査証手続の簡素合理化ということで、団体旅行客に対する査証処理等の簡素化、並びに数次査証の滞在期間を九十日に、有効期間を五年に延長し、あわせて査証を免除するという要望が一つはございます。
 今回の改正に応じてこの問題についての改善の措置がとられるのかどうか、外務省の御見解はいかがでしょうか。
#61
○説明員(内藤昌平君) 私どもも、沖縄県が国際観光発展のために先生が今御指摘のいろいろな要望を出していることはかねてから検討しておるところでございます。その中でも、査証の面で手続の簡素化等、この目的に合ったこととして何が可能か、現在、鋭意検討中でございます。
 なお、御指摘のように沖縄県に海外からの観光客が入っておりますが、その九〇%は台湾からの観光客であるということは私どももこの点十分わきまえておりまして、今度の法改正により出入国関係事務の簡素合理化が図られれば、その結果として、台湾住民に対する査証発給手続も迅速化されます。沖縄県の観光発展にも資すると考えております。
#62
○橋本敦君 今言ったような検討の中で、具体的に先ほど私が指摘をした現実の問題として、滞在期間の九十日あるいは有効期間を五年に延長という措置についての検討もしていただいておると理解してよろしいですか。
#63
○説明員(内藤昌平君) そのとおりでございます。
#64
○橋本敦君 もう一つ、沖縄からの要望といたしまして、入管法の十四条に関係をする問題ですけれども、いわゆる寄港地上陸でございます。十四条に規定する一定の行動範囲が「当該出入国港の近傍」となっておるわけで、先ほども議論がありましたが、沖縄の場合には沖縄県一円にしてもらいたいという要望が具体的に出されておるわけですが、沖縄県における具体的な適用の問題として、これは行動範囲として可能な解釈適用があるのではないかという気もするんですが、どのようにお考えでしょうか。
#65
○政府委員(竹中繁雄君) 寄港地上陸の許可につきましては、先生御指摘のように、入管法の第十四条で出入国港の近傍に上陸する、近いところに上陸するということが要件になっておるということはおっしゃるとおりでございます。それから、沖縄県からの要望が行動範囲を沖縄県内一円に拡大してほしいという内容であるということも先生のおっしゃるとおりでございます。
 ただ、台湾の方につきましては、今現在の法律のもとでは寄港地上陸の許可の対象になり得なかったということでございましたけれども、今回の改正が成立しますと、寄港地上陸の許可が認められることになります。
 したがって、この拡大の問題も当然具体的になってくるわけでございますので、先ほどの沖縄県からの要望も踏まえてこれから検討してまいりたいと考えております。
#66
○橋本敦君 今のお話のように、この点についても積極的な検討を沖縄県の要望にこたえてやっていただくことをお願いしておきたいと思います。
 それで、最近台湾から沖縄県への入国の数が大変ふえているということでございましたが、平成八年、九年の二年の数。そして、沖縄からさらに他の国へ行くというような関係での旅行者数はどのようになっているか、内訳はわかりますか。
#67
○政府委員(竹中繁雄君) 台湾から沖縄にお見えになる方の数ですけれども、平成八年が十一万二千二百七十、それから平成九年が十四万二千三百七十六ということで、先生御指摘のように大幅にふえております。
 一方におきまして、台湾から沖縄にお見えになって、沖縄からさらにどこかに行かれる方の数がどのくらいかということですけれども、それに関しましては残念ながら数は把握しておりません。
#68
○橋本敦君 今回の改正がなされますと、いわゆる七十二時間内の観光をやり、その上で日本を通過してさらに外国へ行くということが可能になるということですね。したがって、こういう意味でも台湾からお越しになる方がふえる可能性があると見てよいのではないですか。
#69
○政府委員(竹中繁雄君) おっしゃるとおり、台湾から当然沖縄には飛行機の便がたくさんございますけれども、台湾から例えば韓国にも便数がございます。それから、沖縄那覇空港から韓国への飛行機もございます。したがいまして、例えば台湾から韓国に旅行に行かれた方が帰りに沖縄に寄って免税の買い物をして帰るというようなことが可能になってくるわけでございます。
#70
○橋本敦君 ですから、そういう意味の改善もあって、さらに台湾からお越しになる方がふえてくる可能性があると見てよいのではないかという質問なんです。
#71
○政府委員(竹中繁雄君) 恐らくふえるんじゃないかと予想しております。
#72
○橋本敦君 最後の質問になりますが、この関係について、中国は一つであるという立場を堅持しながら我が国が対応していくという上で、諸外国の例も大変参考になるわけですが、私どもが外務省からいただいた説明資料によりますと、二十九カ国のうち米国、カナダ、英国、フランス、イタリア、豪州、韓国など十八カ国が中華民国護照を承認している。ドイツ、ギリシャ、オランダ、インドネシアなど八カ国が別紙を添付して承認している。日本と同じような態度をとっているのはインド、トルコ、ブラジルの三国だけだと。こういう資料を我々としていただいておるんですが、事実はそういう状況なんでしょうか。
#73
○説明員(内藤昌平君) 私どもの調査でもそのように承知しております。
#74
○橋本敦君 という状況で、国際的な状況から見ても、今度の法案によって一つの中国という問題をゆがめるというようなことにならないで、国際的に日本政府としては対応できるということは国際状況から見ても言える、こう言ってよろしいかと思うんですが、入管局としてはそうお考えですか。
#75
○政府委員(竹中繁雄君) 先生のおっしゃるように考えております。
#76
○橋本敦君 終わります。
#77
○山田俊昭君 法案に対する質問はほとんど出ているのですが、ただ一点、今回の改正によっていわゆる台湾住民の我が国への出入国事務処理が合理化されて、非常に効率化が図られるということですが、具体的にこの改正によって手続が簡易化されることによって相当時間が短縮される。従事されていた人たちの縮減といいますか、事務職員の削減がどの程度出てくるのかということをちょっとお尋ねしたいんです。
 ちょっと僕は、聞いておいて答えてしまって申しわけないけれども、先ほどから聞いていると、旅行者が相当数ふえているから、とてもそんな人員削減どころではないというふうにお答えになるんではなかろうかと思うんですけれども、その点、どうですか。これだけ効率化されて便利になったんだから、大幅な時間短縮に伴う人員削減の可能性やいかん。
#78
○政府委員(竹中繁雄君) 台湾における事情でございますので本来外務省がお答えになるべきかもしれませんけれども、私が聞いているところでは、今現在台湾全体で出しております渡航証明の数が五十万を超えるという大変な数字でございます。したがいまして、あそこで実際に事務をやっておりますところはビルの中に入っておるんですけれども、隣のオフィスにまでお客さんがあふれで苦情が来ているというような状況なんだそうでございます。
 それで、では具体的にどういう事務の合理化、簡素化が行われるかということですけれども、これも私が承知しているところでは、今現在、台湾につきましては日本に入りたいというお客さんが余りにも多いものですから、渡航者証明は本来であれば別途につくらなきゃいけないということでございまして、今ちょっと異常に働き過ぎているというのを正常に戻すということでございますので、恐らく人間の削減にはつながらないだろうということでございます。
#79
○山田俊昭君 前田先生もいらっしゃるんですけれども、平成七年四月二十六日の衆議院の法務委員会で、富田委員の質問に対して前田法務大臣が次のようにお答えになっているわけです。議事録をそのまま読ませていただきますが、
 今後のこうした入管行政のいわば抜本的な改善を図らなければならない、そんな観点から実は非常に重く見ておりまして、事務次官を委員長といたしまして法務省内に検討委員会を設置いたしまして、入管行政の問題点全般についても全省的な立場から検討するということで現在いたしておるところでもございます。
ということで、大臣が答弁なさってから三年を経ておるわけでございますが、いわゆる入管の問題を検討するという委員会が設置されたということなんですが、この設置された委員会の中で入管問題に対してどんなことが問題にされ、その検討結果等について簡単にお答えいただければ幸いでございます。
#80
○政府委員(竹中繁雄君) 委員のおっしゃるとおりの検討委員会ができておりまして、そこでは組織体制のあり方を含めて入管行政の問題点についての検討を行っております。
 具体的には、所要の人員の確保、組織の整理統合、事務の合理化・効率化、職員に対する研修の充実強化等その体制の整備につき検討し、それを実行してきているところでございます。
 具体的には、審査事務の合理化・効率化、あるいは行政サービスの向上を図る、こういう観点から事務処理の電算化を進めるということのほか、出張所組織の統廃合を行い、これまで海港に設置していた出張所を県庁所在地、その他の主要都市あるいは出入国者の多い地方空港に再配置する等の方策をとってまいっております。
#81
○山田俊昭君 今、具体的に問題提起されて、それぞれ四項目の検討結果を出されてやっていらっしゃるという話ですが、この入管手続に対するいろんな苦情とか文句というようなものが入国管理局とか市町村役場に出されているケース、いわゆる苦情が非常に多いと思うんですけれども、入管ではこういう苦情に対する対応策を何か考えられているんですか。また、現にそういうものがあるかどうか教えてください。
#82
○政府委員(竹中繁雄君) 今現在、入管の各地方局におきまして行政相談窓口あるいは提案箱というものを設置しております。ここに寄せられました苦情や意見、要望につきましては、それぞれの地方入管局のさわやか行政サービス推進委員会というところで検討させまして、可能な限り業務の運営に反映させ行政サービスの向上に努めてまいりました。
 具体的なことを幾つか申しますと、一つは、外国人在留総合インフォメーション・センターというものを各入管局に設けております。それから、お客さんの対応マニュアル、こういうものを最近作成しております。さらに、平成八年度から東京入管局、一番事務の多いところなんですが、そこにおいてさわやか行政サービスコンテストというのを実施しておりまして、こういうものをなるたけくみ上げて、そういうことをよくやったところにはある種の褒美を出すというようなこともやっております。
 今後ともこういうような行政サービスの向上について各般の努力を行っていきたいと思っております。
#83
○山田俊昭君 平成九年の三月に総務庁から外国人の在留に関する行政監察というのが行われました。総務庁の行政監察というのは非常に問題点が多いところなんですけれども、平成九年三月に総務庁から直接そちらの方に出された勧告に対してどう対応されたか。私、細かい質問をもっと長く用意したんですが、時間がございませんのではしょっての質問でございますが、勧告に対する対応をお聞かせいただきたいと思います。
#84
○政府委員(竹中繁雄君) 先生おっしゃるとおり、中身が非常にたくさんあるんですけれども、大きく分けまして、一つは入国審査及び在留管理に関する事務の改善の話、それからもう一つは外国人登録事務の合理化・迅速化、この二つにまとめられると思います。
 まず、このうちの、業務実績が余り上がっておらず行政経済上非効率であるということで廃止を求められていました地方入国管理局における外国人登録申請用の写真撮影、これにつきましては本年三月末をもって廃止いたしました。
 それから、入国・在留諸手続に必要な書類についてできるだけ減らせという勧告でございますが、これにつきましても、この勧告に従い、最小限必要な書類のみを徴集するということで、昨年の七月から実施しております。
 私どもといたしましては、この勧告の趣旨を十分に尊重して、引き続きこの勧告にある中身の実現に努めてまいりたいと思っております。
#85
○山田俊昭君 終わります。
#86
○矢田部理君 今度の改正の論議でありますが、例えば台湾などから日本に渡航する方について、従来、渡航証明書等が必要であったのを今度なくしていく、台湾政府発行の旅券だけでいいというふうになるわけですね。ということになりますと、従来そういう扱いをしてきたのは、日本が承認した国の人たちは今の改正後の手続でよかったわけですが、台湾もそういう扱いということになると、その扱いに関する限り、台湾を国と認めるということになりはしないかという心配があるのですが、先ほども出ていたのかもしれませんが、そうすると、中国は一つという従来の中国の立場を尊重するというふうに言ってきた日本政府の立場から見ると、その扱いとの関係ではどうなるのか。中国政府などから何らかの公式非公式のこの問題に対する意見の表明などはないのかどうかについてまず伺いたいと思います。
#87
○政府委員(竹中繁雄君) 現行の法律では、先ほどもちょっと御説明しましたけれども、日本国政府の承認した外国政府の発行した旅券だけが旅券だということになったものですから、それに加えてこういうこともできるんだという書き方になっておりますので、この改正によって台湾を国として認めたということには当然ならないというふうに思っております。
#88
○矢田部理君 中国から何かないのかということを聞いている。
#89
○政府委員(竹中繁雄君) 中国からの反応につきましては、先ほどアジア局長が説明しておりましたけれども、扱いを慎重にしてくれというコメントがあったと承知しております。
#90
○矢田部理君 慎重にというのはどういうふうに受け取っているんですか。
#91
○政府委員(竹中繁雄君) これも先ほどのアジア局長の答弁によりますと、慎重という意味に特に外交的な意味があるわけじゃないわけですけれども、いずれにしろ、日中共同声明に違反している云々というコメントはなかったので、そういう見方を中国がしているとは思っていないという発言が先ほどあったと承知しております。
#92
○矢田部理君 手続を簡素にするということについては私どもも理解できるのでありますが、その結果、国際関係にさまざまな影響を及ぼしてはならぬということももう一つの視点なのであります。
 それからもう一点、この改正の結果、対象になる地域、台湾が盛んに例示されているわけでありますが、そのほかにはどんなところが想定をされますか。例えば、北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国とかPLOなどが私の頭の中にあるわけですが、これらについてはどういう運びになるのでしょうか、政令事項ということになるわけではありますけれども。
#93
○政府委員(竹中繁雄君) 先生おっしゃるとおり、渡航証明書を発給しているところとして、あと強いて挙げますと北朝鮮、PLOということになるわけですけれども、北朝鮮につきましては昨年一年間でたしか二百数十だけしか渡航証明書が発給されていないという状況でございます。PLOについては、それよりさらに少ない数字だと承知しております。
 我々といたしましては、今回の改正はあくまでも事務の簡素合理化という観点から出しているものでございまして、そういう観点から台湾を政令で掲げるということでございます。したがいまして、今の時点でそれ以外のところを政令で取り上げるということは考えておりません。
#94
○矢田部理君 法律の制度が新しくなる、改正されるわけでありますから、相手国から来る人の数が多いか少ないかによって区別をするのは私はいかがかと思うのであります。法律の制度を改正すれば、台湾だけではなくてそういうことに該当する地域についてもしかるべき検討をするのが当然だというふうに思うのでありますから、その点はきちっと要望だけして、検討課題にしていただきたいと思っております。
 それから、入国管理センターなどで退去強制手続をとった外国人が収容されていて、非常な大変な数に上るわけでありますが、その扱いについて、処遇についてさまざまな問題点が関係者、市民団体、それから弁護士などから指摘をされているわけであります。処遇が非常に人間的でない、人権が無視されているというようなことで幾つかの事例なども挙げられており、調査結果なども指摘をされておるわけであります。処遇がどうもいろいろ問題点を各所に派生させているのではないかということがあるわけであります。
 例えば、お医者さん、嘱託医などを置かなきゃならぬということになっているのに十分な医療が行われていない。例えば私の地元の牛久にある東日本センターなどでは神経科のお医者さんが嘱託医かなんかになっていて、一般の病状等については診断しにくい、あるいはまた診察ができないというようなこともあって、病人に対する処遇の問題もあり、さらにはまた、例えば名古屋入管などでは運動をさせなきゃならぬということになっておるのに全く運動させていない、外での運動を認めないとか、差し入れなどについての問題もあります。ある敬けんなクリスチャンが強制収容された、賛美歌をCDで入れようとしたらそんなものはまかりならぬと言って差し入れもできないというような事例も指摘をされているわけでありますが、どうなっているんでしょうか。そういう該当された方々からの不満が非常に国際的にも議論になっているわけでありますが、その処遇が一つ。
 もう一点だけ申し上げておきますと、過日、東京の入管でイラン人が事故で亡くなりました。これは暴れて転倒して死亡したというのが新聞等で発表されているのであります。この死因をめぐっていろんな疑問も関係の弁護士などから提起をされているのでありますが、事実関係の問い合わせに対して法務省は一切答えないというような態度にも少し法務省自身の閉鎖性とか密室性みたいなものを感じられるわけであります。もうちょっとそういう扱いとか処遇とか、事件や問題があったらオープンに関係者に明らかにするというような対応をしてしかるべきものと考えますが、まとめて御返答をいただきたいと思います。
#95
○政府委員(竹中繁雄君) まず、収容所の各種の問題でございますけれども、私どももできるだけもっとよくしたいと思っている部分もあるわけでございまして、例えば医療の関係でございますと、収容所には大体医者と看護婦を常時いていただけるような体制がやっと最近でき上がりました。今の東京におられる方は、専門は精神でございますけれども、それ以外のことに関しても非常に能力のある方だという評価を私どもは伺っております。それから、そういう医者がいないところに関しましては、最寄りの病院と連絡をとってそういう問題でそごが生じないようにできるだけ努めているという状況でございます。
 それから、運動につきましては、確かに私どもとしましてはできれば少なくとも一日一回は屋外で運動させたいということでございますけれども、これは実は施設の関係ともう一つは人員の関係で、我々もかなり努力しているんですけれども、そちらの方の制約で十分にでき切らない面があることは事実でございます。
 それから、イラン人の話でございますけれども、これは昨年の八月九日に東京入管の収容所に収容中であったイラン男性が収容所内で頭部を強打して病院において死亡したという事件でございました。同局の入国管理官八人が侵害致死により東京地方検察庁に送致された旨の新聞報道がなされておりますけれども、同検察庁から本年三月三日、当局職員がとった措置には犯罪の疑いがないとして不起訴の処分となっております。なお、東京入国管理局からは、この結果を在京のイラン大使館に通報しております。
#96
○矢田部理君 その事件にもまだ幾つかの疑問が残っているやに伺っておりますのが一つと、それから、収容された外国人女性に対するセクハラなどがしばしば行われていたり、差別的な扱いがなされたり、長期収容で仮放免の制度もあるわけでありますが、その運用について問題が出されたりしているわけです。
 法務大臣、一度入管行政の中で、これは確かにオーバーステイその他で非常に数多くの人たちが対象になっていて御苦労も多いと思うんですが、しかしやっぱり国際的な問題でもありますので、イランの大使館などもこの問題を注目してきたわけでありますが、きちっと人権とか人間的な扱いとか人道的な処遇という立場に立って精査すべきものと考えますが、大臣のお答えをいただいて終わりたいと思います。
#97
○国務大臣(下稲葉耕吉君) オーバーステイで滞在して検挙された人なんかも八十数カ国にわたっているように聞いております。非常に多岐でございます。しかし、御指摘のように基本的人権を尊重して、私どもとしては細かく気を配ってできるだけの努力を続けてまいりたい、このように思います。
#98
○委員長(武田節子君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#99
○委員長(武田節子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#100
○委員長(武田節子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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