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#1
第142回国会 法務委員会 第16号
平成十年五月二十八日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十七日
    辞任         補欠選任
     角田 義一君     広中和歌子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         武田 節子君
    理 事
                清水嘉与子君
                依田 智治君
                大森 礼子君
                橋本  敦君
                平野 貞夫君
    委 員
                岡部 三郎君
                長尾 立子君
                林田悠紀夫君
                松浦  功君
                千葉 景子君
                広中和歌子君
                円 より子君
                照屋 寛徳君
                山田 俊昭君
   国務大臣
       法 務 大 臣  下稲葉耕吉君
   政府委員
       法務省民事局長  森脇  勝君
       大蔵大臣官房審
       議官       中井  省君
       通商産業大臣官
       房審議官     古田  肇君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 恒男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関
 する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(武田節子君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十七日、角田義一君が委員を辞任され、その補欠として広中和歌子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(武田節子君) 債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○依田智治君 おはようございます。自由民主党の依田智治でございます。
 私は三十分いただいておりますので、個々の項目というよりはむしろ総括的な問題、法案等を読ませていただいてちょっとお尋ねしておきたいという点を中心に幾つかお伺いしておきます。
 まず第一問。これは民法の債権譲渡対抗要件の規定の特例として定められるわけですが、この法案の民法との関係、位置づけというか、通常特例法というと一般法があって特例法、この部分については特例法を適用するという感じなんです。これは読んでおりますと、ある部分は民法のそのまま生きているような部分もありますし、債権譲渡について特例的に登記というような制度を導入しているという点で、まずこの民法とこの法律の基本的関係をお伺いしたいと思います。
#5
○政府委員(森脇勝君) 本法律案でございますが、これは法人が指名債権である金銭債権を譲渡する場合の対抗要件について民法の特例を定めたものであるという位置づけができると思います。
 ただ、今御指摘がございましたように、特別法という位置づけでございましても、民法の規定の適用を排除するという形の特別法ではございませんで、法人である債権者は債権の譲渡に当たりまして民法上の通知による対抗要件という道も選べるし、本法案による債権譲渡登記による対抗要件の方も選べる、そのいずれかを選択して行使することができる、こういう関係になっているわけでございます。
 このように、民法上の対抗要件制度と本法律案による対抗要件制度を併設するということにいたしましたのは、債権の内容に応じて債権者がいずれかの方法を選択できるということにすることの方が実際的であるというふうに考えられたからでございます。
#6
○依田智治君 債務者対抗要件、第三者対抗要件という民法なんかでは一体的に扱っているようなものが別々になって、一方は登記という制度を導入しているというようなところで若干わかりにくい点があるわけですが、これらの点については後ほどクレジットなんかの法律との関係も含めてまたお尋ねしたいと思います。
 今回の法律、そういう民法に対して登記という新たな制度を導入するということにつきましては、やはり趣旨説明等にもございましたが、社会的背景、ニーズというものもあると思いますので、次にこの法律の今回提案した背景とかねらい、このあたりをお伺いしたいと思います。
#7
○政府委員(森脇勝君) まず、本法案の目的でございますが、これは法人の資金調達手段の多様化の状況にかんがみまして、債務者との利審を調整しながら法人による債権譲渡を円滑にするために、債権譲渡の第三者対抗要件に関する民法の特例として、法人がする金銭債権の譲渡につきまして、登記による新たな対抗要件制度を創設するとともに、その登記手続を整備するということにいたしたものでございます。
 背景でございますが、この点につきましては、多数の債権の一括譲渡を行うという場合において、民法の規定する第三者対抗要件を具備するためにはこれはコストがかかり過ぎる、実務的にも困難であるといったことが指摘されているところでございまして、近時のいわゆる債権流動化を推進する動きの中で、債権譲渡の第三者対抗要件の簡素化を求める実務界の声が非常に強いものがございます。そこで、政府におきましても、平成九年三月の規制緩和推進計画の再改定、あるいは同年十一月に公表されました緊急経済対策においてこの問題を取り上げるに至ったところでございまして、これらが本法律案提出の背景的事情でございます。
#8
○依田智治君 そういうことで、債権流動化のためにやはりぜひ必要だということでこれは提案されているわけですが、現在、参議院の方で審議しております特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律、いわゆるSPCの関係、これも密接に関係する法律と思いますが、これとの関係というのをちょっと説明いただきたい。
#9
○政府委員(森脇勝君) 本法案は、債権の譲渡人を法人に限定してはおりますが、譲受人については何ら限定しておりませんので、本法律案の債権譲渡登記といいますのは、法人が多数の金銭債権を一括して譲渡しようとする場合一般について広く利用可能なものだというふうに考えております。
 したがいまして、この債権譲渡登記の制度といいますのは、企業がその保有する多数の債権をいわば証券化を目的とする特定目的会社、SPCに譲渡して資金調達をしようとする場合にももちろん利用できるわけでございますが、いわゆる債権流動化の場合でない、一般的な多数の債権を持っている者がその営業を譲渡するといったような場合、あるいは債権質を設定する、あるいは債権の譲渡担保を行うといったようなSPC法とはかかわりのない部分でも、これは利用を期待することができるものというように考えております。その意味では、本法案は特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律と関連はあるわけでございますが、いわゆるSPC法の成立を前提とするといったような関係にはないということでございます。
#10
○依田智治君 やはりこの法律は、多数の債権を一括処理するというときに登記という手段によって第三者対抗要件を具備するという意味で一般に利用可能な法律であると。しかし、今日のいろんな債権処理という社会的ニーズの中でやる場合に、特別なSPCというようなものができて、それを受け皿として推進すればなお効率的だということで密接に関係はしておる、こういうように理解しておるわけでございます。
 次に、この法案をちょっと読んでいるうちに、既に平成五年六月一日に特定債権等に係る事業の規制に関する法律というのが出て、これはリース・クレジット債権など十種類の債権に対して通産省等に対する書面の提出と新聞公告によって第三者並びに債務者対抗要件を具備する、こういうことであるわけでございますが、そういう法律が実はある。今回は登記と債務者通知が併用されている制度が出ているわけです。
 そこで、ちょっとこれらに関連して二、三お伺いするわけでございますが、まず先例として特定債権法は施行以来、リース・クレジット債権等の流動化という面で相当な実績を上げているというようにこの資料でも書いてございますが、この条項を活用してこれまで法制定以来どの程度の債権が処理され、なお残高としてどのぐらいあったのか。
 それで、この制度の場合は新聞に出すということですから、債務者の知らないうちに提示されたということもあり得るわけで、そのあたりの点で何か問題が生じたことがあるのか。
 通産省が書類を見るというようなのもあるようですが、そのあたりのところをちょっと。これは本当は通産なりなんなりに聞くところなんですが、法務省の方で知る限りで結構ですから、お伺いしたいと思います。
#11
○政府委員(森脇勝君) 特定債権法が施行されてからおおむね五年が経過するわけでございますが、この法律に基づいて譲渡された債権の額でございますが、これは累計で約三兆二千七百億円でございまして、平成九年の十二月末現在の残高でございますが、これは約一兆四千三百億円であるというように聞いております。
 次に民法との関係でございますが、確かにいわゆる特定債権法におきましては日刊紙に公告するという対抗要件を定めておりまして民法の原則通知による対抗要件と二つの対抗要件が併存するという関係にあるわけでございますが、この優劣関係が問題になったという事例は監督官庁においても把握していないというふうに伺っております。
#12
○依田智治君 大分実績を上げておるということでございますが、この場合はリース、クレジットというような比較的限られた種類の債権で、しかも監督官庁の監督が割合しっかりとしておるというような面もあって現在問題が生じていないのかなというように理解しております。
 それで、リース・クレジット債権等については新聞等の公告、今度つくった法律においては第三者対抗要件は登記という制度を導入する。登記をやろうとするのは、これは後ほど質問しますが、これからコンピューター導入をしたり、いろいろして金をかけてやらなきゃならぬというような問題もあるわけです。また債務者対抗要件は別途通知しないというような、若干ややこしいなという感じもするんですが、なぜ今回はこういうぐあいに、同じように例外として新聞公告と官庁への届け出というような制度とか、債権の種類が多過ぎるから官庁といってもごちゃごちゃしてしまうのかなという感じもしますが、そのあたりのところをちょっと御説明いただくとありがたい。
#13
○政府委員(森脇勝君) 公告によって第三者対抗要件と債務者対抗要件とを同時に具備するという制度、これがいわゆる特債法の制度でございます。
 これにつきましては、従来の民法の対抗要件制度と比較いたしまして、一般的に申しますと、日刊新聞紙への掲載という公示方法の機能の不十分性という点、あるいは公告がなされても債務者が現実には知らないという場合が多いといったような点から、債務者が知らないうちに対抗要件を備えられてしまうということ及び債務者がそれ以降、抗弁事由を譲受人に主張し得なくなるといったような問題が指摘されてきたところでございます。
 そのために、特定債権法におきましては対象債権を絞り込む、さらに例えばリース・クレジット会社についての規制をかける、あるいは譲受業者というものも許可制にする、それから譲受債権については計画書を出させて、それの確認を所管庁においてするといったような手続が決められているわけでございまして、先ほど申し上げましたような施行から五年の間、民法の対抗要件との競合の問題が生じないというのはそういった監督権に裏打ちされた部分があるのではないかというように考えておるところでございます。
 次に本法案でございますが、これは譲渡人を法人に制限しておりますものの、法人がする金銭債権の譲渡一般について適用されるものでございますので、これについて監督権を及ぼすといったようなことになじまないいわゆる一般私法の分野の法律でございます。
 そういった点から、第三者に対する公示機能をいかに果たさせるか、さらに債務者保護の面でどういう配慮をするかといった点が今回の立案に当たって苦労した部分でございます。そして、公示の面につきましては、登記制度を新たに採用するということでこの公示機能を十分に果たさせるようにしたい、さらに債務者保護のためには、譲受債権者が債務者に対して権利を行使する場合には通知等を必要とするということにいたしたところでございます。
#14
○依田智治君 クレジット等の債権の場合は、監督官庁に、新聞公告で債務者にとって知らないうちにやられるというような事態が若干起こるかもしらぬが、よく事前の届け出とか書面等も出されておるので問題はない。しかし、一般債権となるとなかなか難しいんで、これは登記と。債務者対抗要件はまた別途、登記の関連書類を通知するというようなことでカバーするということで、十分これは今回の法律によって債務者等のいろいろ権利というかプライバシーとか、プライバシーの関係等はまた登記というような面が、土地の登記なんというのは、だれかが見て、これは権利関係なんかすぐわかってしまう。債権関係なんか登記されるとこれも明らかになってしまうという面がありますが、このあたりは何か二段構えになっていろいろ開示するということで、債務者のプライバシーを保護しているというように聞いておりますが、その点をちょっと御説明願いたいと思います。
#15
○政府委員(森脇勝君) 公示の方法をどうするかというのは、債権譲渡がされたということをできるだけ多くの方が自由に知り得るという制度の方が公示機能だけを考えますと好ましいわけでございます。
 ただ、どの債権が譲渡の対象になったかということを公示しなければ意味がございませんので、それを公示しようといたしますと債務者の氏名、住所等というものがそこで出てくるという問題がございまして、これが一般に知られるということになりますと、債務者として表示されている者のプライバシーあるいは信用の問題、こういうことが出てまいります。
 したがいまして、公示の制度の方に多少譲っていただきまして、この登記におきましては登記事項証明書及び登記事項概要証明書という二種類のものを準備いたしました。そして、登記事項概要証明書の方はだれでも取得することができる、こういう形にいたしておりまして、登記事項概要証明書の方には債務者情報つまり債務者の氏名、住所等はあらわれない。譲渡の年月日とかその総額とか、そういった概要を知ることはできるけれども、個々の債務者を知ることはできない、こういうものにいたしております。
 これだけでは不十分でございますので、登記事項証明書には債務者情報も含まれるわけでございますが、これを交付請求できる者は利害関係のある者に限るということにいたしておりまして、債務者情報がむやみにちまたに出回るということを防ぐという形のシステムをとったところでございます。
#16
○依田智治君 しからば、債権譲渡登記というのは、この事務は登記所で行うということになっておりまして、登記事務特別会計というので二億円余りが今年度予算で計上されておるという状況でございますが、この登記はどんなぐあいで行うのか。通産なんかは東京一カ所でやっているようですね、クレジット債権とか。法務省の場合も、コンピューター化というようなことも考えて予算もとられているようですが、このあたりの計画というのは、これから金をつぎ込んでいくとすればやっぱり将来展望も持ちながらこの事務を始めていただく必要があると思うんです。現時点でその点をどう考えておられるか、お伺いします。
#17
○政府委員(森脇勝君) 法律の上では、債権譲渡登記は法務大臣の指定する法務局、地方法務局等で取り扱う、こういうことにいたしております。
 この制度の発足に当たっては、東京法務局において全国の債権譲渡登記に関する事務を取り扱うこととする予定でございます。その後のこの制度の利用状況によりまして、東京法務局以外の庁においても債権譲渡登記事務を所管させる必要があるという事情が生じますれば、他の法務局を追加していくということも考えておるところでございます。
 委員御指摘いただきましたとおり、この債権譲渡登記に関する事務は即日処理を実現する必要がございます。特に他の対抗要件との競合の問題もございますので、そういった必要が強いわけでございます。そのために、この登記事務はコンピューターで取り扱って、磁気ディスクで調製する債権譲渡登記ファイルに登記するということを予定しておるところでございます。
 また、登記申請に当たっては、申請者の方に御負担いただきまして、譲渡の対象とされた債権に関する事項を入力したフロッピー等の提出で申請をしていただくということを予定いたしておりまして、迅速な処理が可能になるようにしたいというふうに考えておるところでございます。
#18
○依田智治君 登記という制度でこれからコンピューター等を導入してやっていくということでございますが、債権の流動化という点ではアメリカでは相当に進んでおる。ヨーロッパはそれほどでもないけれども、イギリスあたりが若干やっておるというようなことで、フランスはまたダイイ法という別な系統の法律で処理の関係をしておるというふうに聞いておりますし、国際連合等でも国際商取引法委員会、そういうところで資金調達目的のための国際債権譲渡に関する検討が進められている。趨勢としては登記という問題を重視するような方向があるというふうに聞いています。
 いずれにしても、予算で本年度だけでも二億以上のお金を投入し、これからいろいろやっていくということです。こういう国際的趨勢も踏まえながらこの制度は導入していく必要があると思うんですが、このあたりについての御見解というか、現在、法務省としてどう認識されて今回こういう制度を導入したのか、その点をお伺いしたいと思います。
#19
○政府委員(森脇勝君) 諸外国における債権流動化の傾向でございますが、今、委員御指摘いただきましたとおり、アメリカが資産担保証券の発行という形でこの点では一番進んでいるわけでございまして、多少古うございますが、一九九五年には約一千億ドルに上るというようなことでございます。また、ヨーロッパにおきましては、一九九四年でございますが、証券化商品の発行累計額、公募ベースでイギリスが約三百億ドル、フランスが約百二十億ドル、これでヨーロッパの九〇%を占める、こういう状況でございます。
 諸外国の法制でございますが、登記あるいは登録という形を用意いたしまして債権流動化を図ったというのは、アメリカでは統一商事法典におきまして、担保権の対抗力の具備方法として融資証明書の登録という制度をとっておる。債務者に対しては、譲渡の通知を受けるまではもとの債権者に支払えばいい、こういう形をとっております。
 フランスにおいては、今御指摘のございましたダイイ法がございまして、これは債権の譲渡人が譲渡する債権を明細書に記入して、それを譲受人たる金融機関、これは金融機関に限られるわけですが、ここに交付いたしまして、それに譲受金融機関が日付を入れるとそれが確定日付となる。あとは民法の原則等がかみ合って対抗要件になっていく、こういう制度でございます。
 それから、イギリス、ドイツにおいては、こういった登記あるいは登録制度を利用したという制度はないというように聞いておるところでございます。
 さらに、国連の国際商取引法委員会でございますが、ここで平成七年十一月から国際債権譲渡に関して条約案の検討が進んでおるところでございます。早ければ平成十一年にも条約案採択という方向で検討が進んでいるようでございまして、そこでは債権譲渡の第三者対抗要件として登録制度の採用が現在のところ有力であるというように伺っております。
#20
○依田智治君 大臣、せっかくおられますので、衆議院の方のこの法案審査で、最後に附帯決議等で今後いろいろな面で検討してくれというのがついています。今私が質問した中でも民法、特債法、そして今回の法律、さらに国際的方向というのも十一年ころにはまたびしっとしたものが出てくるというような状況も踏まえると、やはり今後とも法務省としても国際的動向、社会のニーズにマッチした制度の導入というものを真剣に検討していく必要があると思いますが、このあたりに対するお考えを最後にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#21
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 今、委員御指摘のとおりでございまして、国際化が進み、流動化がどんどん進むわけでございまして、基本法を預かる法務省といたしましては、委員御指摘のようなことも踏まえまして、やはり流動化する国際情勢、国内情勢を背景にいたしまして随時適切な措置をとってまいりたい、このように思うわけでございます。
 この問題よりちょっと広くなりますけれども、けさも政府・与党金融再生トータルプラン推進協議会をやったわけでございまして、その中でも例えばサービサーの問題であるとかあるいは競売法の迅速化の問題だとかいうふうなこと等々も議論されております。
 今委員御指摘になりましたように、本法は本法としてもいろいろまた運用状況を見て時代に対応するようなことも考えなきゃならぬということでございますので、十分心してまいりたいと思います。
#22
○依田智治君 ありがとうございました。終わります。
#23
○千葉景子君 今回は、債権譲渡の対抗要件に対して特例的なシステムを導入しようという趣旨の法案でございます。
 まず、基本的なところからちょっとお尋ねをさせていただきたいんですけれども、今回の法案の目的が債権の流動化を図っていく、金銭債権の流動化を図る、それによって資金の調達をできるだけ容易にしていこうというところに背景があることは私も十分承知をいたしております。
 このところ、そういう意味では経済的な要請に基づいて民法あるいは基本的な法律の骨格がかなり大きく変更されていくという傾向が私は大変強くなっているような気がいたします。この債権譲渡に関する今回の法案も、そういう意味では民法の根幹といいますか基本、大きな枠組み、システムに非常に大きな変更を加える形になるのではないかというふうに思っているところです。
 というのは、民法上は債権というのも当然のことながら一つの財産的な価値として譲渡性を認められております。そういう意味では債権が譲り渡されるということは別におかしなことではないわけです。ただ、基本的には債権債務関係、一つはやはり指名債権、今回も指名債権にかかわるところですけれども、この指名債権については基本的には債務者あるいは債権者が特定をしている。ただ、特定をしているけれども債務者にもある程度わかる形で債権が譲渡される可能性はありますよと。ただ、やっぱり債権者、債務者の特定性といいますか、そういうところがかなり強い債権債務関係であろうというふうに思います。
 それに対して、やはり流通とかあるいは財産的価値に期待を置いたものとしてはむしろ証券化されていく、証券的な債権という形で成立とかあるいは譲渡、その権利の行使、そういうものが証券上にあらわされて、それによって譲渡も割とやりやすくされている。
 そういう意味では、債権といってもそういう譲渡性の高いものから割と特定性の高いもの、今回のこの法案というのは、これまではどちらかといえば特定性の高い債権債務関係についてむしろ民法の原則をある意味では大きく離れて流動性あるいは流通性を高めていこう、こういう考え方だろうというふうに思うんです。そういう意味では、非常に民法の基本を変えるということは原則としてはないわけですけれども、多くのケースがこういうものに該当することになってまいりますので、特例というと何か原則の上にちょっと何かをプラスするというような気がしますけれども、かなり根幹にかかわる問題ではないかというふうに考えています。
 特に、一般消費者とか個人の債務者などの立場を考えますと、今個人的に債権債務関係が大きな金額でお互いにそういう関係があるということは少ないわけで、やはり先ほどから話がありますけれども、リースとかクレジットとかあるいはローンとか、そういう形で個人の消費者というのは債務を負っているというケースが多いわけですね。自分のことを考えてもそれ以上の大層な債務などは負えるはずもないわけでして、やはり大量のそういう債務を処理する、債権を処理するということになりますと、個人の消費者にとっては、これまでの民法の考え方からむしろ特例とか、後ほどお聞きしますけれども特債法などにかかわる形でみずからの債務というものが取り扱われるという傾向が強まってくるんではないかというふうに思うんです。
 そういう意味では、これは特例法ということになりますけれども、民法の債権債務関係の基本、そういうものにも大きな影響を与える、あるいは変更が加えられるという問題ではないかというふうに私は受けとめるんですけれども、改めてその点の御認識というかお考えはどういうふうにお持ちになっていらっしゃるのか、まずお聞きしたいと思います。
#24
○政府委員(森脇勝君) 委員御案内のとおり、指名債権についても譲渡禁止特約がない場合には譲渡は原則として自由だというのが民法の立場であるということでございまして、現実の経済社会におきましてもこれまでも債権の履行期前の換金の必要性ということで債権譲渡の方法が多数利用されてきているということでございます。
 今回の法案は、債権流動化を初めとする法人の資金調達手段の多様化の状況にかんがみまして、法人が非個性的な多数の金銭債権を譲渡する場合を想定しまして、民法の第三者対抗要件の特例としてその対抗要件具備の簡素化を定めるというものでございます。したがいまして、個人と個人との間の債権債務関係、あるいは法人と個人との間の債権債務関係であっても、本当のプリミティブな信頼関係に基づいてなされたもの、こういったようなものにつきましては本法案の債権譲渡が利用されるということは想定しがたいのではないかというように考えておるところでございます。
 どの程度変わると民法の大きな変革になるのかという点はわからない点がございますが、ただ、債権債務関係の中の指名債権、そのうちの金銭債権について、しかも債権者が法人である場合という限定をいたしておりまして、その数、金額が多数に上るということはわかるわけでございますが、民法の債権債務関係のあり方を大きく変更させるということに当たるのかどうかというのはちょっと私ども疑問に思うところでございます。
#25
○千葉景子君 私も民法の基本が全く変更されるということを申し上げているわけではございませんで、基本は原則どおり、特定の個人間などの関係は原則どおりというのは当然わかっております。ただ、先ほど申し上げましたように、今や個人が負っている債務というのはやっぱりそういう大量の債権の債務側といいますか、そういうケースがほとんどであろうというふうに思うんです。法人と法人の間で大きな契約関係、債権債務関係があるとか、個人的に債権債務関係が多少あるということは考えられないわけではありませんけれども、個人あるいはいわば消費者という側に立ちますと、やっぱりこういうことに該当するケースがほとんどではないだろうか。
 その割には、今回のこの議論といいますのが、確かに債権者側あるいは債権の流動化という経済的側面は目的としてあるのはわかるんですけれども、やっぱり片方には、そうはいっても債務者がおり、そして一般的な消費者というものがあるわけです。その議論というのが大変何か希薄なような気がするんです。
 その地位が揺るがせられない、あるいはいろいろな意味で調整をしたり保障がなされている、法的に裏づけがなされているということはあろうというふうに思うんですけれども、やっぱりこれだけ時代の要請もあり、債権債務関係というのが今言ったように消費者にとっては大変大きく今後変わっていく、あるいは自分の債権というものがどんどん動いていく、そういう可能性のあるものだということも含めて、債務者にとっても決して無関係なことではないんです。どうもその辺の側からの議論とか視点というものが本当に十分に盛り込まれているんだろうか、なされているんだろうかということが多少私も気になるわけです。
 これは彼ほど個々の質問の方でいろいろとお聞かせいただきたいというふうに思いますけれども、このところ、そういう意味で大変重要な議論が非常に簡単に経済の要請がゆえにということで、スピーディーなことは悪いことではないんですけれども、そういう感じで進められているという感じがいたしますもので、その辺をちょっと改めて御認識をいただければというふうに思ったところでございます。
 さて、先ほどもお話が出ましたように、この法案が提案をされましたことによりまして、現行の法体系で但債権譲渡にかかわる対抗要件、公示の仕方について結局は三つの形が出てきたということになると思います。一つは、民法の原則にのっとった公示、それからこの特例に先立ちまして既に実施がされております特債法による公告という形での公示の方法、そして今度この特例の法案によりまして登記という形が考えられる。三つの制度といいますか、システムができてきた。それぞれ対象分野あるいはそれを使える主体、こういうものに制限あるいは条件がありますので、それぞれ違うといえばそれまでですけれども、債権債務関係に対して非常に何か複雑な体系になってしまったという感じがいたします。そういう意味で、本当にこれで取引の安全とか債務者の保護という面で混乱を来すことがないのかどうか、改めて私も心配をするところなんですけれども、そこで幾つかお聞きをしたいというふうに思っております。
 まず、取引の安全といいますか公示のあり方についてお聞きをしたいんですけれども、現在の民法の体系によりますと、民法四百六十七条で、確定日付のある証書による通知または承諾、これが第三者対抗要件ということになります。既に実施をされております特定債権法によりますと公告という公示方法になるわけです。公告がされたときには民法上の確定日付のある通知があったものとみなされて、そして公告の日を確定日付とする、そういう法構成になっております。
 ただ、公告という特債法による手続は、先ほど御説明がありましたように、債権譲渡計画の届けとかいろいろな手続がありますから、そんなに突然こういうことが起こるわけではないから二重に対抗要件が重なるようなことは現実にはあり得ないと、多分そういうことがお答えの中に出てくるのではないかと思いますけれども、そうはいっても、例えば公告手続を済ませた債権と個別に民法四百六十七条の対抗要件を具備した債権譲渡がある場合に、二重譲渡といいますか二重にそういう手続が重なった場合に、どちらが優先するのかということについては非常にわかりにくい内容になるのではないかというふうに思うんです。
 公告というのは新聞などに出す、それが確定日付になるというんですけれども、確定日付による通知または承諾ということになりますと一定の時間まできちっと確認できますけれども、公告では本当に時間のところまでそれによって確定できるのかどうかということもございます。そういう意味で、民法上の確定日付による通知と承諾、これと特定債権法の公告というのはどういう優劣関係になるのでしょうか。
 通産省の方おいででしたら、公告の手続の方ではどういう考え方に立っているのか御説明いただけましょうか。
#26
○政府委員(古田肇君) お答え申し上げます。
 御指摘のような異なる対抗要件が現行法のもとで競合した場合でございますけれども、基本的には、民法の対抗要件でございます確定日付のある証書による通知が到達したときと公告の日と、そのいずれが先か後かということを比較することによって決まってくるわけでございます。ただ、公告の場合には一般に日を単位として御指摘のように時を定めております。一方、民法上の対抗要件の通知は時間まで明らかになるわけでございますので、その場合には同じ日付であれば先後は不明と言わざるを得ないものでございますから、結局、同時送達の場合と同様にいずれも優先することはないという扱いになるわけでございます。
#27
○千葉景子君 そうすると、これは同時という扱いになるわけですね、なるほど。
 今お尋ねしたように、これまでの民法と特債法で優劣関係を考えると、まれなことかもしれませんけれども、こういう優劣がなかなかはっきりしない、あるいは今のお話ですと解釈上は同時という扱いになる、こういう形式になるようです。
 それに対して、さらに今回はもう一つ、登記という形でまた別な制度が導入をされるということになるわけです。そうすると、今度は、民法上の確定日付の問題と登記との関係でも今の特債法の場合と同様なやはり問題が起こるのではないかというふうに思います。
 この法律では、今度は登記の日付を確定日付とするということになると思うんですけれども、登記手続をやった、そうしたら個別に民法上の対抗要件を具備した債権譲渡がある、この二重のときに、これもまたどちらが優先をするのかという問題が出てくるのではないかというふうに思うんです。この場合は、通知の到達と登記の日付との優劣関係はどういう形で判断をするのでしょうか。
#28
○政府委員(森脇勝君) 法律上は確定日付ということになっておりますので、この法律では登記の年月日を登記事項としているわけでございます。委員御案内のとおり、民法の債権譲渡通知が到達の同日になされた場合、それは到達の先後によるんだと、こういう最高裁の判断が示されております。私どもといたしましては、そこを配慮いたしまして、この債権譲渡登記については登記事項証明書の交付ということを予定いたしておりますが、その登記事項証明書におきましては、登記事項である登記の年月日に加えまして、登記の時を記載するという取り扱いをしたいというように考えておるところでございます。
 その前提に立ちますと、民法の到達の時とこの本法案によります登記の時というのは、いずれも時あるいはそれに近い形で比べられる、これによって先後関係を明らかにすることができるというように考えておるところでございます。
 特債法との関係につきましては、今所管庁の方から御説明がございましたとおり、これは日をもってあらわした概念だということになりますと、特債法の公告と今回の登記との関係でも同時送達の問題というのが起きてくるということでございます。
#29
○千葉景子君 こうして御説明をいただくと確かになるほどということになるわけですけれども、しょっちゅうこういうことが起こるなどとは私も申しませんけれども、やはり幾つもの制度が重なることによってこの対抗要件一つとっても非常に複雑になる、一体どれを基準にするのかということだけでも非常に取引上わかりにくいということが言えるのではないかと思います。
 今、そういうこともおもんぱかって、登記については登記年月日ばかりではなくて時刻も明示をしてその先後を明確にさせるということではございますけれども、こういう幾つもの制度が何でこう重なってしまうのか、私ちょっと疑問に思うわけなんです。
 先ほどからお話がありますように、今大きな流れとしては、債権の流動化を図るということは、特債法においても今度の特例措置においても、ある意味で大きな目標としては共通なものがあるだろう。それから、これからの国際的な流れなどから考えても、そういうことについては私も全く否定するものではないんですけれども、この動きを見ておりますと、片方では、一定の債権には限っておりますけれども、特債法になった。また、今回は法人ということでくくりはありますけれども、法人の金銭債権ということではありますけれども、今度は対抗要件について特例を設ける、こうして流動化を図る。どうも大きな目標があるにもかかわらず何かその場その場でいろいろな特例やら特則がつくられていくような気がするんです。
 それによって結局混乱するのは取引上の世上でもありますし、それからそれによって一体私はどこの立場に立っているんだろうということがさっぱりわからなくなる消費者であり一般の債務者であるというようなこともあると思います。そういう意味では、何でこうなったのかなというふうに思うんです。
 この法案策定に当たって、例えば通産省の方では特債法、法務省がこのたび新たなこういう特例措置を導入するに当たって、それを一緒にしてわかりやすい形にしていこう、先ほどありましたように、特債法で三兆二千七百億ですか、そういうような処理もされているということで、これまで役割は当然あったと思うんですけれども、この際これを廃止するなりして一本化するというようなことは全然検討されなかったのか。あるいは法務省の方も、これまであったこの制度と全く違った制度をまた取ってつけたように導入する、これも何か混乱を招くだけでいかがなものかということは考えられなかったんだろか。
 何か両方で調整をするとか、あるいはもうちょっと抜本的な形で今後の債権流動化あるいは新しい経済体制に対応するように、民法の基本にもかかわることですから、議論を深めるというようなことはできなかったのかなという気がするんですけれども、その辺は通産省の方はいかがですか。
#30
○政府委員(古田肇君) 今回の法案に関連しまして、私どもの特債法との整合性といいますか連携といいますか、そういったことについていろいろ事務的に議論があったことは事実でございます。
 御指摘のように、新しい制度ができることによってさまざまな形で特に一般投資家といいますか債務者の方々に御迷惑がかかってはいけないということで議論していたわけでございますけれども、私ども特債法を所管している立場からしますと、一つは公告制度というものが、これは特債法だけには限りませんで、銀行法とかほかにも幾つか例があるわけでございまして、そういった公告制度全体とのかね合いをどう考えるんだろうかという論点が一つございます。
 それから、特債法の方は、既に御議論があったかと思いますけれども、その公告制度につきまして、対象を限定しますとかあるいは債権譲渡計画の事前確認でございますとか、それから利害関係人がいつでも書面の閲覧請求ができるということにしておりますとか、あるいはそもそも原債権者に対して取り立て委任義務を債権譲渡に当たって課するということなど、他の公告制度にはない措置を講じて債務者保護を図ってきておるということでございます。かつ特債法の公告制度は、公告によりまして第三者対抗要件と債務者対抗要件いずれも同時に具備することが可能でございまして、債権譲渡者となり得るリース・クレジット事業者からしますと大変メリットがあるということで、平成五年以来非常に定着してきておりますものでございます。
 私どもとしては、今回の特例法によって、特債法の公告制度を利用するという道のほかに、公告をしないで第三者対抗要件を具備するための登記制度を使うか、もう一つ選択肢ができたということになるわけでございます。私どもとしても、これまで既に平成五年の施行以来、かなりこの特債法についてはリース・クレジット事業者の中では相当定着してきておりますし、その選択肢のほかにもう一つ登記制度ができたことで今後事業者の方でどちらをお選びになるのか十分注意深く見守っていきたいというふうには考えておりますけれども、特債法の世界としては非常に定着してきておりますし、それから権利の先後関係についても、先ほど御議論がございましたけれども、はっきりしておりますので、こういうことで対応をしていこうということでございます。
#31
○政府委員(森脇勝君) 特債法の方は、言ってみればこうした登記制度というものがまだ考えられる以前にできた法律でございます。ただ、その時代につくるに当たりましてはそれなりの工夫がなされておるというように考えておるところでございまして、リース・クレジット企業、譲受事業会社に対する規制、監督、それから譲渡計画の承認といったような手続がございまして、その上に立って、公告による債権譲渡の対抗要件が生ずる、こういうシステムになっておりますので、ここで二重譲渡を生ずるという余地は非常に少ない制度をそれなりに考えておるというように考えておるところでございます。
 既に五年間、相当多額な資金についての流動化が図られて、この制度も定着してきておるといったような事情がございますし、今言ったように、他の対抗要件との間の競合ということも起こりにくいというシステムをそれなりに構築しておられるといった点を考えまして、私どもとしては、民法の通知との間の整合性はきちんととろう、こういう立場に立って立案したものでございます。
 また、一般債務者との関係、特に消費者と呼ばれる立場にある債務者との関係でございますが、これにつきましては、制度としては確かに三本の対抗要件の制度ということになりましたが、公告による対抗要件というのはどちらかというと二重譲渡を生じないという形の手当てをすることによってそれなりの存在余地というものを持っておるということでございまして、特債法との間で二重譲渡の事例というのはまず起きない、民法の通知制度と今回の登記制度の間ではきちんと前後関係がつくように考えたというところでございまして、一応のこれらの対抗要件相互の調整は図られておるというように考えておるところでございます。
 債務者については、形式上、三つの対抗要件があるということにはなりますが、その判断基準というのは非常に明確でございまして、民法の場合にはその確定日付のある通知が到達したときである、本法の登記の場合には登記のときである、それから特債法の公告の場合には公告のときである、これが確定日付の役割を果たすということでございまして、債務者にとって三つあることによってどれがどうなるのかという混乱を生じさせるということはないのではないかというふうに考えておるところでございます。
#32
○千葉景子君 今回の法案のもとになっております研究会の議論を拝見をいたしますと、債権譲渡の態様について、今回の基本になる態様は、債権譲渡人が債権の回収者として残って、譲渡人、譲受人、債務者の三者関係が残る形態の債権譲渡に限定すべきというような研究会においては議論がなされていたようでもございます、資料から拝見をいたしますと。それが今回の法案では、こういうことではなくて、残らない格好になって、こういうことに限定しない内容になりましたけれども、これは何か意味があるんでしょうか。これで特債法ともまた違った格好になってきたわけですけれども、これは何か特別に意味があるんですか。どうしてこうなったのでしょうか。
#33
○政府委員(森脇勝君) 債権譲渡法制研究会の報告書には、特例法が対象とする債権譲渡の範囲につきまして委員御指摘のような提案がありますが、それと同時に、それに続いて、新しい対抗要件制度の内容として、対抗要件というものを分離しまして、第三者対抗要件と債務者対抗要件に分けるという案も提案されているところでございます。
 今回提出いたしました法案は、この報告書の提案を受けまして、債権譲渡の対抗要件を第三者対抗要件と債務者対抗要件とに分離しております。債務者に対しまして債権譲渡を主張する場合には債務者への通知または債務者の承諾ということを必要としているわけでございます。
 このように第三者対抗要件と債務者対抗要件とを分離するという場合には、この研究会報告書のすぐ上に指摘いたしております譲渡人、譲受人、債務者の三者関係が残る形態の債権譲渡に限定するという必要はなくなるわけでございまして、譲渡人がなお債権者として債権回収に当たるときには第三者対抗要件のある登記を備えればそれでよいという利用の仕方もできますし、他方、譲受人がみずから債権回収に当たるという場合には、債務者対抗要件である債務者への通知ということまですることを要するということにしたものでございます。
 このように対抗要件を分離することによりまして、債権流動化の場面のほかに、先ほど申しました営業譲渡における大量の債権譲渡をするといったような取り立ての委託が予定されていないような類型の債権譲渡のニーズにも対応することができるようになったのではないかと思っておるところでございまして、今申し上げましたような理由によりまして、三者関係が残る形態、いわば特債法のスキームでございますが、それは採用しないということにいたしたものでございます。
#34
○千葉景子君 この間の議論で確かにそれぞれから御指摘がありましたように、特債法の時点でいろいろ検討され、そしてそれがベターなといいますか、一つの状況に適応できるシステムとして採用された。また、今いろいろなお話があったように、研究会の報告からもまた議論を煮詰めて今回の法案のような形になっている。こう考えますと、今後の経済的な動きに対応するような債権債務関係のあり方、債権の流動化策というのは、必ずしもまだ煮詰まっているといいますか、これでなきゃいけないという形があるわけでもない。
 対抗要件の問題一つにしても、公告のよさもあればあるいは登記でやる意味合いもある、こういう格好ですから、やっぱりこれまでの慣行からして、いろんなシステムが検討され実施もされてきたわけですが、最初に戻りますが、非常に基本にもかかわることでもございますし、そういう意味では一本化するなりあるいはもう少し状況を長期的に見ながらお互いに議論を深めていくということがやっぱり必要なのではないかというふうに思うんです。
 私も全く固定化しておけばいいなどという意味ではなく、ただ債務者にもかかわり取引にも大きく影響するわけですから、そういう意味で、何かもう急いでとっとということではなく、本当にいい煮詰めた議論、そしてそれに基づくシステム、こういうものを検討していく。この法案ができたとしても、あるいはこれまで特債法という形で運用がなされていたとしても、引き続きそういう方向をやっぱり考えていく必要があるのではないか。そして矛盾なくあるいは混乱なく対応できるような基盤をつくっていくことが必要ではないかと思うんですが、大臣、いかがですか。
#35
○国務大臣(下稲葉耕吉君) お答えいたします。
 最近のいろいろな情勢から、債権の流動化を図らなければならない、早急に図るべきであるというふうなことで本法案を提出いたしておるわけでございまして、ぜひ御賛同いただきたいと思うわけでございます。
 先ほど来いろいろ御議論がございました。そして、衆議院での審議でも今御指摘されたようなことが実質的な議論の中心になったことは事実でございます。現実の運用の問題として、日にちの問題やなんかでどれぐらい問題化されるかというようなことは、あるいはそう多くはないかもしれません。しかし、やっぱり議論としては私は詰めていかなければならない問題だと思います。
 それは一般原則は民法でございまして、これはその対抗要件の問題でございますが、到達主義をとっているわけでございます。特債法が公告ということでやっているわけです。今回は、それこそ債権譲渡の活性化を図るために、債務者の立場を尊重しながら、登記することによって対抗要件をつくろうというふうな形で出しているわけです。御指摘のように三つの方法になるということも事実でございます。
 ただ、今回私どもお願いしておりますのは、法人の債権譲渡という前提があるわけでございまして、特債法はクレジット等々対象が決まっているわけでございますし、それぞれ対象も違いますし、いろいろ相違点もある。そういうようなことで、それぞれの存在理由はあるんだろうと思うんです。
 ただ、政治家の立場で考えてみますと、今委員御指摘のとおりに、それはそれぞれの事項をあずかっている役所はその中には当然いろいろ言っていると思います。またそれはそれなりの理由があるし、私はいいと思うんですけれども、国民の立場で、果たしてそういうような形でいいだろうかどうかという議論はあるだろうと思います。特にその三万が同じ日付でから合った場合にどちらが優先するかというふうなぎすぎすした議論等々もあると思います。
 私は、こういうふうな問題は実際の運用状況等も踏まえ、また、そういうふうな世界の動向、国内の動向等々も踏まえていずれ整理しなきゃならない問題じゃないかなと、将来の課題としてそのように思います。衆議院の附帯決議も大体そういうふうな方向ではなかろうかなというふうに私は認識いたしているんですけれども、だから、この法律を成立させていただいて、運用状況等々実態を見させていただいて、そしてその辺のところを踏まえて議論させていただく問題じゃないだろうか、そしてある一定の方向性が出てくればそういうふうな方向で進むべきである、このように思います。
#36
○千葉景子君 こういうことを言うとあれですけれども、それぞれの省庁の権益争いみたいなことは決してないと思いますが、万が一でもあればやめていただいて、やはり基本的にお互いに論議を進めるということで消費者、国民にとってもわかりやすい、そして不利益のない、そういう方向をぜひ目指していただきたいというふうに思うんです。
 今回の法案でもいわば債務者の保護の問題、先ほどもプライバシーの問題などの指摘がございました。その点についていろいろな配慮はなされているということでございますけれども、例えば登記ということになりますので、それが万が一にも空の登記と言ったらおかしいですが、公信力はありませんから、仮に登記がされたとしても弁済をしてあったというようなときには、登記上には債務者として記載をされるけれども既に債務はなくなっているというようなことがあります。そうすると、もう払っているにもかかわらず登記上には空の登記として記載がされて、そして非常に信用にもかかわるというようなことも万が一ないとは限らない。だとすれば、やはりこれは債務者にとってもその登記がどういうことが記載されているか、誤った記載がないかどうか、こういうようなこともチェックできるようなことになりませんと、非常に債務者保護に欠けることになるのではないかというふうに思うんです。
 そういう意味では、登記事項を債務者にきちっと通知をするような義務を課すとか、こういうことも一つは検討すべきことではないかというふうに思います。そして、それによって登記内容に瑕疵があったり、あるいは既に弁済が行われていたような場合に、例えばその登記の抹消を求めるとか、あるいは登記上に記載をされている金額について登記の修正を求めることができるとか、そういう申し立て制度なりを検討すべきでないか。そういう形で債務者の保護を図るべきではないかというふうに思うんです。登記そのものは利害関係人しか見られないということで、一定のプライバシー保護は図られるということではございますけれども、やはり個人の信用をきちっと保護するという意味では、今のような措置というものも私は必要でないかなというふうに考えるんですけれども、その点について御検討の余地とか、あるいはこれまで何らかお考えになってきたというようなことはございませんか。
#37
○政府委員(森脇勝君) 今回新しく創設いたします債権譲渡登記制度というのは、登記された債権の存在を証明するというものではございませんし、登記された事項中、債務者に関するものは一般に開示しないという制度をとっております。したがいまして、登記された事項が実際と異なるといった場合でありましても、債務者には何ら法律上の効果は及ばないし、それによる法律上の不利益を受けるものでもないというふうに考えているところでございます。
 今、委員から御指摘いただきました債務者に対して通知することにしてはどうかという御提案でございますが、この債権譲渡登記の制度は、この登記をすることによって民法上の確定日付ある証書による通知にかえて第三者対抗要件のみを簡易に取得させるという制度でございますので、この登記に加えてさらに債務者に対する通知を要求するということになりますと、この法律で一番ねらいといたしました第三者対抗要件を簡易に取得させるということとの調和がとれないことになる、それなら従来の民法の確定日付ある通知によればよいではないかということになってしまいかねない問題でございます。
 さらに、債務者に抹消の請求あるいは変更登記の申し立て権みたいなものを認めてはどうかという御提案でございましたが、この点につきましても、債務者の法律上の地位にこの登記が変動を及ぼすものでないということは間違いないことでございますが、ただ、その登記に基づく登記事項証明書が利害関係人に限られているにせよ交付されるという制度がございます関係で、債務者として表示されているだけで事実上の不利益が及ぶ場合があるではないか、こういう御指摘だろうと思うんです。
 そういたしますと、この制度というものを悪用するといいますか、こういう債務を負っている人ですよというような使われ方をする、要するにこの登記事項証明書を言ってみれば悪用する、それの本来の趣旨に反する説明をする、こういったような場合があり得るわけでございます。これに対応するためには、この法律、制度の趣旨、登記事項証明書の意味合い、こういったものを国民の各層の方々に御理解いただくということが大事なことなんだろうというように考えておるところでございます。
#38
○千葉景子君 もう時間ですけれども、一言だけ。
 やはり経済的な要請はもう本当にわからないわけではありませんが、その結果、やっぱり債務者あるいは個人、消費者、そういうものが本当に保護をされない、あるいは不利益な立場に置かれるというようなことだけは決してあってはならないことであろうと思います。経済的要請を別に否定するわけじゃありませんが、その裏づけとしてそういう面を必ずきちっとした上でこういう問題にぜひ対処いただきたいと思いますので、それについて改めて申し上げて終わりにしたいと思います。
 ありがとうございました。
#39
○大森礼子君 公明の大森礼子です。質問させていただきます。
 この債権譲渡の対抗要件に関する特例法、以下特例法と言いますけれども、この趣旨というのが今でもよくわからないわけです。
 というのは、こういう特例法が法務委員会に来ますよという説明を受けるときに、債権流動化の仕組みという図を見せられまして、債権流動化の仕組み、民法四百六十七条の対抗要件の場合と特別法による対抗要件の場合を比べまして、そこに書いてあるのは特別目的会社、SPCなわけです。
 それで、特別目的会社の場合には、例えば一万の債権譲渡があった場合には、民法ですとすべての債務者に対してその通知が要る、一万本の通知が要る、これでは困るからこういう法律が要るんです、こういう説明を受けておりましたので、このSPC法との関連でずっと考えていたわけです。今、参議院の別の委員会でSPC法案を審議中なので、SPC法というのが成立しましたらそういう会社ができるわけで、それが活動するにかなうような手段、債権譲渡の対抗要件にしても、その手段を備えるのがむしろ国会、立法府の役目なんだろうというふうに思っておったんです。
 ところが、この特例法の内容を見ますと、SPCの場合ですと、譲受人は個人でいいと規定したり、大量の債権譲渡に備えると言いながら特に債権の数を限定していない、すべての法人に認めている。どういう目的なのかよくわからなくなってきたわけであります。
 そこで、先ほど民事局長さんが御説明になりまして、これはSPCにも利用できますけれども、必ずしも債権流動化という観点でなくても一般に多数の債権譲渡のときにも利用が期待できますということで、SPC法案に関連はあるけれども、その成立を前提とするものではない、一般私法として考えているとか、こういうこともおっしゃられました。
 そうすると、SPCの方にも利用できるということで、この法案を審議する際、私は一般の事例と事案というものを想定して質問させていただこうと思います。
 最初の質問ですけれども、この対抗要件制度の創設を必要とした理由です。SPC法と必ずしも関連しないのであれば、提案理由に言います法人の資金調達手段の多様化の状況、これは具体的にどのような多様化の状況になっておるのでしょうか。それから、すべての法人に対してこのような方法を認めるような必要性があるのでしょうか、お尋ねします。
#40
○政府委員(森脇勝君) この点につきましては、SPCの問題を除いたといたしましても、一般に行われる営業譲渡、こういったときには営業譲渡するものが多数の債権を有している、それが営業譲渡によって一括して別な主体に移るということが予定されるわけでございまして、こういったような場合にも利用できるであろう。それから、現在の民法の規定によって金融のための債権譲渡をしている事例、それが多数の債権を一括譲渡するというような対応がとられている部分につきましては、そういった取引がより容易になるであろう。あるいは債権質の場合、債権譲渡担保の場合、こういったような場合の利用が考えられるわけでございまして、現実の使われ方としては、多数の貸し金債権を持っている銀行、あるいは売り掛け債権のようなものを持つ商社でありますとかメーカー、あるいは現在、特債法はございますけれども、リース・クレジット債権をまとめて譲渡する場合のリース・クレジット会社といったようなものの利用ということも期待できるものというふうに考えております。
#41
○大森礼子君 今の御説明を聞いておりますと、そんなに急いで審議する必要はないのかなと。これは民法と重畳的に適用のある非常に大事な事案ですし、SPC法案を見ましたら、成立した場合にことしの九月一日から施行とありましたので、それに合わせると急がなきゃいけないのかなと思ったんですけれども、そうでもないようでございます。
 いずれにしましても、この法案は非常に問題点をたくさん含んでいると思います。順番に質問していきます。
 まず、譲渡人。渡す方を法人だけに限ったのはなぜなのでしょうか。先ほど民事局長は、法人の側が民法上の対抗要件でもこちらの対抗要件でもどちらでも選べるようにしたと、債権の内容に応じて選択できるとした方が実際的だというんですけれども、民法とこの特例法と債権の内容は余り区別がないような気がするんです。幾つ以上の債権の場合とかあるいは債権の額とか、そういうことまで規定していませんので、債権の内容というのは特にこの法律の中では区別がない。そうしますと、なぜ法人にだけ譲渡人を限定したのか。
 あわせてお尋ねしますけれども、譲受人の方は限定していないわけですね。個人でもよろしいわけですね。ここら辺の理由をちょっと資金調達手段との関係でお教えいただけませんか。
#42
○政府委員(森脇勝君) 本法律案の目的というのは、債権流動化の場合に限りませんけれども、債権流動化を初めとする資金調達の円滑化ということでございまして、こうした新しい対抗要件を利用して資金を調達しようというものの対象を考えてみますと、これは個人ではなく法人である場合が圧倒的に多いであろうということが想定されるわけでございまして、今回の法案におきましては法人がする金銭債権の譲渡に限定したところでございます。
 そういたしまして、さらにその法人の中で利用できる者を限るかどうかという問題も出てくるわけでございますが、このような資金調達のニーズというのは特定の類型の法人に限られるものではないというふうに考えられますところから、すべての法人がする金銭債権の譲渡ということにいたしたところでございます。
 また、譲受人の方についてでございますが、この法律は今申し上げましたとおり営業譲渡あるいは債権質。あるいは債権譲渡担保といったような場面での利用など幅広いニーズにこたえるものとする必要がありますので、その譲受人について、これは何も法人でなくても、個人であってもその譲渡人に対して資金を提供できる者であれば幅広く認めるべきではないかという観点から、格別譲受人の方の資格は制限しない、こういうことにしたものでございます。
#43
○大森礼子君 順番に聞きますが、譲受人は限定しないわけです。ずっとSPC法との関連で考えていたものですから、法案を見まして譲受人を限定していないんだと知ったときに、まず思ったのは、これは悪用の危険が非常にあるんじゃないか。この法案ができますと取り立てを業とするような暴力団が非常に喜ぶのではないかというような気がいたします。大量に不良債権を抱える法人から、この法人にもあらゆる法人があるわけですから、大量に買い込んで、そして登記事項証明書とかこういうものを持って取り立てに使う、あるいはこういう債権をうちは持っていますということでまたそれを悪いことに使う、こういう気もいたします。
 それで、先ほどの個人と法人とを区別する合理的理由があるのかという点なんですが、例えば法案の五条の四項に再譲渡の規定がございますね。もちろん債権も転々譲渡ということが可能なわけですけれども、そうすると債権者の方が法人、ここからスタートしまして第一譲受人が法人とする、それから第二譲受人が法人とすると、転々と譲渡した場合、この場合どちらも特例法の登記を使います。ところが、第一譲受人が個人の場合ですと、この個人が法人に譲渡した場合は使えないわけですね。これは単純に何か変だなという気がするんです。
 それからもう一つは、さっき言いましたけれども、譲渡債権の数とか額とかこういうのが規定されておりません。これは一個の債権でもよろしいわけでしょう、法人が譲渡する場合であったらこの方法はとれるわけでしょう。そういうことをする法人はいないだろうと言われたらそれまでなんですが、一応法律上はできることになります。
 そうしますと、法人の規模とか債権の数とか額に制約がないとしましたら、残るのは、これは債権譲渡手続の要するに簡便化が一番大きいのだろうと思うんです。個人でありましても大量の債権譲渡をする場合だってあると思うんです。個人に限ってそういう利便を認めないというのはすごく変な気がするんです。
 これはもしかしたら技術上の問題で、個人で認めますとこういうのは磁気ディスク云々とか実際に対応できないのでとりあえず法人にと制限的にしたものなのか、その点どうなんでしょうか。つまり、理論的に絶対に区別しなきゃいけないことなのか。それとも、この磁気ディスク、それから登記ファイルですか、こういう方法をとるとすると、いきなり個人の場合までは対応できないからとりあえず法人としたのが先で個人の場合にも広げ得るのか。この点はいかがでしょうか。
#44
○政府委員(森脇勝君) 個人が債権譲渡をする場合を除いた理由ということでございますが、これは私どもでこの制度のニーズのヒアリングをいたしましたが、こういった個人の利用ということは想定されないという意見でございました。
 さらに、それでもなおかつ個人に門戸を広げておくかという選択肢はあろうかと思いますが、委員御指摘ございましたとおり、これは登記ファイルで管理するという形でございまして、これに個人が譲渡する場合を加えるということになりますと構える容量も大きくせざるを得ないという面がございまして、果たして個人にまで拡張してそれに見合っただけの利用があるかどうかという政策的な判断が加わったことも事実でございます。
 その前提として、委員の御指摘では、法人が個人に譲渡する登記をした、その人からは譲渡ができないではないか、こういう御質問がございました。この債権譲渡登記というのは、いわばAからBに対する債権譲渡の申請に基づいてそれを登記する、こういうものでございまして、その後に、仮にBから同一債権がCに譲渡されたと、それでその旨の登記がされるというときには全く別個な登記として把握するわけでございまして、言ってみれば、不動産の登記のように所有権が移転し、さらにその者が設定者となって抵当権が設定される、こういうような連続した動きを想定したものではないという点を御理解いただきたいと思います。
#45
○大森礼子君 次に、第五条の債権譲渡登記についてお尋ねいたします。
 まず、一項六号の「譲渡に係る債権の債務者その他の譲渡に係る債権を特定するために必要な事項で法務省令で定めるもの」とありますけれども、ここにはどういうふうな情報が入ることになるのでしょうか。例えば、五号の「譲渡に係る債権の総額」、これは額面総額ですね、現実に売買した額ではなくて。そうしますと、六号の中に現実に売買した価格などというのは書かれるのでしょうか。この点も含めてお尋ねします。
#46
○政府委員(森脇勝君) 譲渡された債権を特定するために必要な事項といたしましては、債務者及び当初の債権者の氏名、住所等、それから債権額、債権の発生原因、その年月日、弁済期等を記載することになる、このように予定しておるところでございます。
 その上で、債権譲渡が仮に売買のような形でなされた場合に、その場合の売買価格の方は書くのか、登記事項になるのかということでございますが、これは当該譲受債権を特定する事項には当たりませんので、そうしたものを登記するということは考えておらないところでございます。
#47
○大森礼子君 ちょっと条文を全部読んでいないかもしれませんけれども、例えば不動産登記の場合ですと、申請に必要なもの等が書かれてありますね。この登記する場合、六号に係るこれらの事項、これは単なる申請なのか、それとも証明文書のようなものになるのか、この点いかがでしょうか。
#48
○政府委員(森脇勝君) これは債権の特定さえできればいいわけでございますので、それの裏づけとなる資料というものは必要ないというように考えております。
#49
○大森礼子君 そうしますと、債権譲渡人と譲受人が例えば申請用紙か何かにこういうあれですと書けば、それだけでよろしいわけですか。
#50
○政府委員(森脇勝君) そのように考えておるところでございます。
#51
○大森礼子君 そうしますと、いわゆる虚偽登記、こういうものが防げないのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#52
○政府委員(森脇勝君) この点が不動産登記等とは若干異なるところでございまして、譲渡人、譲受人の共同申請で登記申請をするということにいたしておりますけれども、これはその登記によって利益を受ける者、不利益を受ける者、この共同申請によって一応の登記の真正を確保しようということで入れたものでございます。先ほども申し上げましたとおり、これは登記がされたからといってその債権が存在するということの証明になるものでもございませんし、実際に譲渡がなされたかどうかということを証明するものでもないというものでございまして、この点は今後国民の皆さんによく理解していただく必要があるというふうに私ども考えております。
#53
○大森礼子君 登記に公信力がないということは不動産の場合でも同じでして、そこはわかるんです。しかし、共同申請だけでできるのでしたら、その法人もいかなる法人でもいい、そうしたら、いいかげんな法人でもつくっておけば、法人が一方の当事者となって、それから譲受人は個人でもいいわけですから、それで共同申請でこういうことにしましょうかと必要な事項を書き込めば登記されるわけです。
 登記事項証明書というのは債務者に通知するだけに使用されるとは限りませんので、要するに、登記事項証明書は信用できないものですよと、これは矛盾するわけですよ。こういう制度を設けておきながら、これは必ずしも信用できるものではありませんと法務省が宣伝するのも変な話ですし、一方でそういう法務局が出すような証明書を見ましたら、やっぱりそんなものがあるかなと思いますよね。
 そうしますと、これは特に暴力団とかによって悪用される危険が物すごく多いという気がします。そこら辺は御心配ではありませんか。
#54
○政府委員(森脇勝君) 暴力団が債権取り立て等に絡む事件というのは、現在の民法の債権譲渡制度においてもしばしば報道等で見るところでございます。
 この登記制度を設けることによって、こうした暴力団の犯行がより行いやすくなるのではないかという観点から見てみますと、これについては、まず債権譲渡の登記を経なければならない、その譲受人と称する者が債務者に対して債権の行使をする、つまり支払いを請求するというためには登記事項証明書を添付した通知が必要だと、こういう形になっております。
 そういたしますと、現在の債務者への通知だけで足りる民法の対抗要件制度とを比較いたしますと、その譲り受けによって暴力団的な活動をしようと思う者にとってはよりコスト高の面倒な手続がかかるというシステムになっておりまして、したがいまして、この登記制度をつくったからそういった犯行がふえるのではないかという御心配は当たらないのではないかというふうに考えておるところでございます。
#55
○大森礼子君 私は心配します。今申し上げたのは、暴力団が取り立てに使うというあれと、それから、要するに悪いのが通謀して、一方が法人になればいいわけですから、通謀して一方が全く虚偽の外形をつくる、それをもとにしていろんな悪さをするのじゃないかなということです。そうであれば債務者への通知とか関係ありませんので、それは成り行きを見るしかございません。次の質問です。
 八条二項の登記事項証明書の請求者です。これは、「その他の当該債権の譲渡につき利害関係を有する者として政令で定めるもの」とあるんですけれども、この利害関係者というものは大体どういう人になりますでしょうか。
#56
○政府委員(森脇勝君) 債務者が含まれていることは例示したとおりでございまして、譲渡された債権の債権差し押さえ者、それから譲渡人または譲受人の破産管財人、会社更生法による保全管財人、こういったものを予定しておるところでございます。
#57
○大森礼子君 例えば、あるAからBに債権譲渡がされたと。それでBから譲り受けようとするC、これはここで言う利害関係人に当たりますか。
#58
○政府委員(森脇勝君) これは利害関係人には当たりません七
 その場合に、債権を譲り受けようとするCは、登記がなされていることを前提とするという形をとるかどうかは別といたしまして、これから譲り受けようとする相手方、譲受人になるBに対しまして登記事項証明書をとってください、本当にあなたの名義の登記がなされていますかと、こういう要求をすることによって、Bは譲受人として利害関係人に当たりますので、Bに対しては登記事項証明書を交付する、こういうシステムになっております。
#59
○大森礼子君 そうしましたら、二重譲渡の場合を想定しまして、AからBに第一譲渡があった、そういう事情を知らないでAと取引関係に入るCは、既にそういう登記がなされているかどうかを知り得る手段というのはあるのでしょうか。
#60
○政府委員(森脇勝君) Aは、自己が譲渡人となって当該譲渡しようとする債権が債権譲渡登記されていないことの証明をとることができます。つまり、Aが特定の債権を譲渡していないという証明を、譲渡していることの証明を申請いたしますとそれは該当がないという形になりますので、そういう証明をCがAに対して要求するということによって他に譲渡の登記がなされていないという確認をすることができます。
#61
○大森礼子君 普通、登記といいますと公示作用がある。公示というのは、あらかじめその状況を知りたい人が見ていて、取引の安全に資するということになるんですけれども、この場合ですと、登記そのものを見る場合は限定されますから、結局、譲渡人に一々確認しなきゃいけないということでございますね。そうすると、債権の流動化といいますけれども、それを一々やっていたら余り迅速に債権譲渡はやれないんじゃないかという気がしますが、それはまたいずれ機会があれば質問することにいたします。
 それから、基本的なことを教えていただきたいと思います。先ほどの対抗要件で、債務者に対する場合と第三者に対する場合と分離されますわ。民法の場合でしたら、債務者をインフォメーションセンターとしてするわけです。例えば、確定日付のある通知が債務者になされた場合には、そのときから債務者と第三者の対抗要件を同時に備えるという形になりますが、この特例法によりますと、譲渡人と譲受人の登記で第三者対抗要件が先に来ます。その後に債務者への通知が来るという必然的にタイムラグが生じます。第三者に対する対抗要件が先に登記においてでき上がってしまうということです。
 そうしますと、一つの事例だけでお伺いしますけれども、まず債権者が第一譲渡をします、第一譲受人の関係について登記します。それから二重譲渡の場合ですが、第二譲受人に対して譲渡して、いずれもこの特例法の登記を備えたと。その後、第二譲受人の方が先に債務者に通知をしてしまった場合の法律関係がどうなるかという非常にベーシックなパターンでお聞きするんですけれども、第三者対抗要件では第一譲受人が勝つが、登記事項証明書つきの通知との関係では、第二譲受人が出しておりますので、債務者の関係では第二譲受人が勝つのかなという気がするわけなんです。
 ここで債務者が例えば通知が来たからというので第二譲受人に弁済したときに、それは有効な弁済となるのかどうか。なった場合にはその後の第一譲受人と第二譲受人との処理というのはどのようになるのか。何か民法の基本問題みたいですけれども、この点について簡単で結構ですから説明してください。
#62
○政府委員(森脇勝君) 対債務者との関係の問題でございますので、仮に第一譲受人が登記を経ていたとしても、登記事項証明書を交付しての通知がない限りは、これを債務者は相手にする必要がない、債権者として取り扱う必要がないわけです。その間に第二譲受人から確定日付のある証書による通知がなされたということになりますと、債務者としてはその第二譲受人を債権者として扱うということになります。したがいまして、この時点で第二譲受人に弁済をすればそれは有効な弁済になる、こういうことでございます。
 さらに、弁済をしないうちに登記事項証明書を交付しての通知がなされたということを考えますと、その場合には債務者は、登記事項証明書に登記の年月日が記載されておりますので、その登記のときと先に受けた第二譲受人からの通知の到達時を比べて、登記のときが前であれば第一譲受人を債権者として取り扱う、すなわちこの者に対して弁済する、こういうことになります。
 次に、その後の第三者間の関係はどうなるかということでございますが、いまだ登記事項証明書の通知がない間に第二譲受人に弁済をした、これはまさに本旨に基づく弁済でございます。
 ただ、第二譲受人と登記に基づく第一譲受人を比較いたしますと、これは第一譲受人が先に登記をしておりますので優先するという関係になります。この優先するという関係になるというところから、本旨に基づく弁済を受けた第二譲受人に対して不当利得返還請求で権利関係が清算される、こういうことになります。
#63
○大森礼子君 これは本旨に基づく弁済として債権は消滅するのか、あるいは準占有者への弁済となるのか、あとは不当利得返還がどうなるのかいろいろございますが、時間がなくなったので、多分もう一回対政府質疑があると思いますが、そのときに改めてお尋ねいたします。
 きょうは実は通産省の方に来ていただいておりますので、時間がわずかになりましたけれども、お尋ねします。
 特定債権法、民法の規定、それから特例法で対抗要件というのは三つ競合するということがわかりました。それで、この特定債権法につきましては、ある論文に次のような批判がございます。これに対して通産省がどう反論するか、お尋ねしたいと思います。
 特定債権法に基づく公告がされたために抗弁事由を対抗できなくなるという事態が生ずることになる、抗弁切断による債務者の不利益の問題は致命的である、このような批判があります。それで、この論文を書かれた人は、特債法の先駆的意義は認められるとしても、それが今後の債権流動化の一般的スキームとして採用されるとは思われない、こういう感想を持っておられるわけです。これについて通産省の反論をお伺いしたい。
 それから、先ほど民事局長がおっしゃったのかな、三つの対抗要件があります。特に債務者に混乱を生じさせないと言ったんですけれども、特債法では特定事業者は公告によって債務者の抗弁を切断できる、それから民法、この特例法だと切断できなくなる。特定事業者の意思で、こっちの法を使えば抗弁を切断できて、こっちだとできなくてという債務者の抗弁の扱いが変わるのはおかしいのではないかと思うんですけれども、この点について通産省はいかがお考えでしょうか。
 それから、もう一つ聞きます。
 本法案が成立した場合、特定債権法を存続させる必要があるのかどうかなんです。これは、債務者とか取引に入ろうとする者にとって、三つもあるということは非常にややこしいことでございます。事業者はいいんですけれども、債務者それから譲受人は非常にややこしい、幾つもチェックしなくてはいけなくなる。債権流動化の目的が同じであれば、大は小を兼ねるで、本法案が成立した場合、特定債権法の公告制度というのは特例法に吸収されてもいいのではないかと思いますけれども、時間がない中申しわけございませんが、三つまとめて通産省の方に御答弁をお願いします。
#64
○政府委員(古田肇君) 御質問の点は幾つかございますが、大きく言って、一つは、債権譲渡の対抗要件としての公告制度というものをめぐる議論と、それから特債法そのものは、御案内かと思いますが、公告制度というのは特債法の中の一つの要素でございまして、ほかにもいろいろな要素があるわけでございまして、そういったことも含めて特債法を存続させる意味があるのかないのかという御議論、この二つに大きく整理させていただけるのではないかと思うのでございます。
 最初の債権譲渡の対抗要件としての公告制度でございますが、これは特債法に限らず銀行法でありますとか保険業法でありますとか幾つかの法律の例がございまして、いずれの場合にも公告をもって民法四百六十七条の規定による確定日付のある証書による通知があったものとみなすこととしておるわけでございまして、ということによってこの公告制度は、特債法に限らず、いずれも第三者対抗要件、債務者対抗要件を同時に具備する、こういうことになっておるわけでございます。
 したがいまして、そういう対抗要件を具備するわけでございますので、先ほど抗弁の切断という御議論がございましたけれども、公告がなされますとそれ以降譲渡人に対して生じた事由をもって債務者は譲受人には対抗できなくなる、こういうことになるわけでございます。これは公告制度の趣旨といいますか、第三者対抗要件、債務者対抗要件を備えるということから必然的にそういうことになるわけでございます。
 ただ、特債法の世界では、先ほど来いろいろ御議論がございましたけれども、この公告制度の利用に関して他の銀行法等の公告制度にない特段の措置を講じて債務者保護を図っておるということでございます。具体的には、対象としてはあくまでリース・クレジット債権のいわゆる債権流動化に限定をします、債権譲渡計画について通産大臣の事前確認制を設ける、利害関係人の書面閲覧請求を認める、それから四番目が、これは大変重要なのでございますが、あくまで原債権者に対する取り立て委任義務を付しておるということでございますから、債務者からしますと、この場合には常に最初の債権者といいますか、リース・クレジット業者が取り立てに来るということでございますので、そういった意味で債務者保護を図ってきておるわけでございます。
 かれこれ五年近くになるわけでございますが、例えば民法との関係でこの特債法の公告制度が何かトラブルを生じた例があるかといいますと、私どもこれまでのところ全く承知しておりませんで、民法と二つ並んでいるではないかという御議論もあろうかと思いますけれども、これまでむしろ順調に定着してきておるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 ちなみに、本法に基づきます債権流動化は、平成六年度末の五千億円弱から平成八年度末におきましては一兆三千億円余になるということで、順調にかつ円滑に増加してきておるということでございます。
 それから、特債法は、一方で資産流動化のシステムを整備しながらこれに伴ってもろもろの監督をするということでございますが、他方、投資家保護を図るということを目的にしておりまして、一般投資家向けの販売の場合に、債権譲渡計画を一件一件調査するということ、あるいは対抗要件を義務づけるということ、さらには小口債権制度を創設するといったような措置があるわけでございまして、公告制度もその一環として位置しているということでございます。
 したがいまして、私どもの考え方といたしましては、対抗要件制度間の調整の観点のみで本法全体の評価を行うことは必ずしも適当でないのではないか。それから今回新たに御審議いただいております法律の特例措置が加わるわけでございますが、リース・クレジット債権という世界でこれまで定着したシステムが現にあるわけでございまして、そういう中でリース・クレジット事業者が果たして新しい特例措置をお使いになるかどうか、この辺は今後の運用を見きわめていきたいというふうに考えております。
#65
○大森礼子君 わかりました。
 大臣に御質問するのはちょっと省略しましたので、次回に聞かせていただきます。
 以上で終わります。
#66
○委員長(武田節子君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#67
○委員長(武田節子君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#68
○照屋寛徳君 社会民主党の照屋寛徳でございます。私の方からも何点か質問をさせていただきたいと思います。
 本法律案は、法人による債権譲渡を円滑にするために、法人が行う債権譲渡の対抗要件に関して民法の特例を設けようとするものであります。私は法律案を読んでおりまして、この法律案で債権の流動化が本当に促進をされるんだろうかという疑問なしとしないわけであります。
 そこでまず最初に、立法の背景事実について、債権流動化の促進を図らなければならない現下の金融の現状認識について大蔵省にお伺いをいたします。
#69
○政府委員(中井省君) 大蔵省といたしましては、現在、財政・金融委員会で特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律案、いわゆるSPC法案を、今御議論いただいております法律と一体、関連あるものとして御審議いただいておるわけでございますが、現在の金融の抱えている問題に対しまして、このSPC法案、それから今回の債権譲渡に関する法案、いずれも、いわゆる銀行が持っております貸国債権につきまして、最近いろいろ不良債権の処理において引き当てをするだけではなく、やはり帳簿から落とす、BSから落とすという処理が不良債権解決のために必要である。これはアメリカ等からも指摘されていることでございます。
 そういういわゆる不良債権の処理というものに対してこの債権流動化が大変役立つものでございますし、現在我々が進めております金融システム改革、いわゆる金融ビッグバンにおきましても、例えば流動化した資産がいわゆる一般投資家にとって魅力のある資産の運用手段になる、資産の運用の選択の手段がふえる、またこれに加えて企業にとっては資金調達の手段がふえるというようなことで、新しい金融の世界に向けて大変重要なものであると考えている次第でございます。
#70
○照屋寛徳君 多くの不良債権を抱えて窮しているという実態もよく理解ができますし、債権流動化が近時新しい資金調達の方法として注目をされておるということもよく存じておるつもりでございます。今承った立法の目的が達せられることを私は期待せざるを得ないわけであります。
 ところで、法務省、本法案作成過程における実務界の意向聴取の経過と、またその内容、そこで出てまいった問題点などについて御説明をいただきたいと思います。
#71
○政府委員(森脇勝君) 私ども法務省民事局といたしましては、債権譲渡法制研究会報告書というものを平成九年四月に取りまとめておりますが、その後、法制審議会の審議が開始されました同年九月までの間におきまして、私どもで実務界からのヒアリングを行ったところでございます。このヒアリングにおきましては、債権譲渡による資金調達方法に関連すると考えられます業種、すなわち証券あるいは信託あるいは銀行、リース、クレジットといった業種に属する企業及び業界団体を対象にして、研究会報告書において提言されました内容及びその制度の利用見込み等につきまして意向を聴取したところでございます。
 その結果でございますが、制度の適用対象となる債権の種類、債権譲渡の目的、形態、あるいは債権譲渡の主体等についてさまざまな意見が寄せられたところでございます。
 また、本法案による債権譲渡登記制度の利用につきましては、債権流動化のほかにも、多数の債権を譲渡することとなる営業譲渡の場合、あるいは債権質でありますとか、債権譲渡担保等においても利用が見込まれるという御意見でございました。さらに、利用の主体といたしましては、貸付債権を有する金融機関でありますとか、売り掛け債権を有する商社あるいは事業会社あるいはリース・クレジット会社といった会社等が利用するであろうという御意見でございました。
#72
○照屋寛徳君 先ほど大蔵省から、本法案の立法事実の一部として不良債権の話が出ておりました。けさの毎日新聞などを見ても、いまだに多くの不良債権を抱えておる、こういうことでございます。もちろん本法律案は必ずしも不良債権のみを目的にしているわけじゃないでしょうけれども、現段階で関係企業が保有している金融資産は一体どの程度のものなのか、これは広がるはずですから、銀行なら銀行で限定でも結構でございますが、そこら辺の御説明を大蔵省にお願い申し上げたいと思います。
#73
○政府委員(中井省君) 先ほど御説明申し上げましたいわゆるSPC法案におきましては、流動化の対象となる資産は不動産のほか指名金銭債権一般が含まれるというふうにされております。したがいまして、銀行の貸国債権につきましては法律上すべて流動化することが可能でございます。これをちょっと数字で言いますと、昨年の九月期に、中間決算期におきます全国銀行の貸出金の債権総額が約五百七十兆円ございました。したがいまして、理論上はこの五百七十兆円を流動化しようとすればすべて法律上は可能である。ただ、もちろん銀行は貸し出しによって生きているわけで、すべて流動化してしまったのではもうビジネスもできないということでございます。
 ただ、どの程度これを流動化していくかというのは、まさに各銀行の置かれた立場なり、それからその経営の判断によるということで、我々としても現状におきましてはどの程度これが流動化されるかということは、確かなことを申し上げる数字を持っていないわけでございます。
#74
○照屋寛徳君 債権流動化の方式として信託方式とSPC方式があるというふうに資料を読むと書いてあるわけですが、信託方式ではなくSPC方式を採用した理由と、それからもう一つは、SPC、いわゆる特別目的会社は、会社といったらあれですが、SPCは個人でも法人でもいいわけですね。実際には譲渡人らがみずから出資をして新しいSPCを設立する、こういう形態が多く予想されるのではないかと思いますが、そのあたりはどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
#75
○政府委員(中井省君) 最初の御質問でございますが、御指摘のとおりでございまして、債権の流動化の方法につきましては信託制度を活用する方式が既にございます。それから、今回お願いしておりますSPCを活用する方式がございます。大きく分けて二つあるかと思います。
 それぞれの制度がその特徴を生かして債権の流動化が進むことが我々としては望ましいと考えておりますが、今回、いわゆるSPC法を策定いたしましてSPCを活用した債権等の流動化の制度を創設したいとしておりますが、これにつきましては、一つとしまして、これが有価証券、しかも優先出資証券という株式型の有価証券を含めた証券化が可能になるという特徴が一つございます。
 それから二番目に、万一不適切な資産の運用が行われた際に投資家みずからによる是正が可能となるよう、コーポレートガバナンスの仕組みを活用した投資家保護のための措置もあわせて講ぜられる、そういうようなメリットもございますので、こういうようなSPCを活用することによって債権の流動化が進むことを期待しているわけでございます。
 それから、どのような者がこのSPCを設立するのかということでございますが、法律上は何らの限定も設けておりません。しかしながら、実務上は、例えば流動化の対象となる特定資産のもともとの所有者でございますとか、対象資産の管理及び処分に係る業務を主として行う人たちというような方が恐らく設立されるのではなかろうかと考えている次第でございます。
 ただ、銀行の貸国債権を流動化する場面につきましては、BIS規制というのがございまして、直接の子会社でありますとBIS上の連結決算の適用を受ける可能性がございますので、そうしますと流動化のメリットが必ずしも発揮されない場合もありますので、この場合には資本関係が切断されるような形で設立されるケースが多くなってくるのではなかろうかと考えている次第でございます。
#76
○照屋寛徳君 このSPCへ投資する者というんでしょうか、要するにSPCは債権の今度は信用力のみを裏づけとして資産担保証券みたいのを発行するわけですね。それを投資家に販売する、恐らくこういうスキームになるんだろうと思いますが、このSPCが発行する資産担保証券を買う側、投資家の側は日本の投資家、それから外国人の投資家、投資家の中にも個人投資家、機関投資家に分けられるようでありますが、私が関心を持ってお聞きをしたいのは、この法案をつくるについて、この資産担保証券を買う、投資する側の投資家というのは、日本の投資家、外国人の投資家、いずれが多いというふうに予想されておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#77
○政府委員(中井省君) SPCに対しましてどのような者が投資を行うかにつきましては、流動化の対象となる資産の種類や性質、証券の種類やその発行形態等によってさまざまなケースが考えられますので、今一概にお答えすることは大変難しいかと存じております。
 ただ、御案内のとおり、例えばまだSPC法ができない現状におきましても、銀行が債権を流動化する場合には、一部でも報道がございますけれども、外国の証券会社等がそれを買って転売するというようなこともございますし、それからもう一つ大きな特徴は、SPCというものができますと、もしこれを広く投資家に売る場合にはいわゆる格付機関の格付というのを取得することになろうかと思います。例えばこの格付がかなりいい格付でありますと、これは国際的にもかなり売れる可能性があるだろうと思います。
 それから、もちろん日本の現状を見ますとかなりの低金利でございますので、最初の証券がどのような利回りになりますかわかりませんけれども、格付もよくまず利回りの魅力があるというような商品が出ますと、これはまた国内の投資家も場合によってはかなり買っていただけるのかなと、そういうようなことは頭の上では考えられますけれども、現在の状況におきましては、これはどの程度外国に行き、日本にとどまるかという点については、我々としてもちょっとなかなか推測できないものでございます。
#78
○照屋寛徳君 これがうまくいって、このSPCが発行する資産担保証券を買い求める投資家が列をなすような状況が今思い浮かべられたわけですが、そんなに有効であればどうしてもっと早く気づかなかったのかなという思いもいたします。
 一方で、本法律案が本当にこの金融システム改革に有効性を持ち得るのか。逆に言いますと、本法律が成立することによって金融システムの改革にどのような有効性があるというふうにお考えになっておられるんでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
#79
○政府委員(中井省君) 今まさに御指摘のとおりでございまして、そんなに有効であるならば今までなぜやってこなかったかということは、まことにおっしゃられるとおりでございます。
 ただ、この一連のバブル崩壊後の不良債権処理の過程におきまして、やはりSPCの商品が魅力あるものとなるためには、実は債権なり不動産の価格がマーケットレートをきちっとつけるということが必要でございまして、これは不良債権であれ担保不動産であれ、これはかなりの損切りを伴います。恐らく日本の銀行におきまして、まだバブルの崩壊直後におきましては、大幅な損切りをするという決心がなかなかつかなかった。それから、当時は株式の含み益もまだありましたので、自己資本土も余裕があるというようなこと、いろんな情勢があってなかなかこれに手がつかなかったのかなという気がしております。
 現状におきましては、もうある意味では日本の金融機関は待ったなしの状況に置かれておりまして、先ほども申し上げましたけれども、BS、バランスシートから不良債権を落としていかないと日本の金融機関が世界的に評価されない、マーケットでも評価されないというような状況になってきておりますので、かなりそういう覚悟が出てきて、これに対するニーズも多いのかなというふうに考えている次第でございます。
 したがいまして、これがもしマーケットにおいて十分取引されるような商品になりますと、いわゆる金融機関の効率化にも大変資することになりますし、それから先ほども申し上げましたけれども、いわゆる新しい金融商品ができるわけでございまして、そこの商品の仕組みがきちっとしているものであり、格付が相当いい格付がつくものであれば、投資家にとっても非常に魅力のある商品になるというようなことで、まさにビッグバン後の金融の世界においては非常に大切な中軸をなすようなものになるであろうと期待しているわけでございます。
#80
○照屋寛徳君 最後に法務省にお伺いをいたしますが、本法律案によりますと、債権譲渡登記をもって第三者対抗要件を具備せしめる、こういうことになるわけでありますが、この法案施行に備えた法務局の物的対応、人的対応は十分なのかどうなのか、そこら辺をお伺いいたします。
#81
○政府委員(森脇勝君) この債権譲渡登記制度につきましては、制度発足に当たっては、まずこの事務を取り扱う法務局といたしましては東京法務局を指定いたしまして、ここに債権登録課を設置いたしまして、全国の債権譲渡登記に関する事務を取り扱うということを予定いたしております。
 また、その処理につきましては、これが対抗要件であるということでございますので、即日処理を実現するためにコンピューターによることといたしまして、登記の申請についても、登記事項を入力したフロッピーを提出していただくこと等によりまして、迅速な処理が可能になるように対応してまいりたいというふうに考えております。
#82
○照屋寛徳君 終わります。
#83
○橋本敦君 続きまして、私からも質問させていただきます。
 まず、基本的な問題として、本法案の背景あるいはまた本法案を出すという事情がどこから来たかという問題であります。
 この問題についても、法務省の債権譲渡法制研究会報告書でも指摘をされているんですが、「近時、民法制度の変容を迫る外的な動きが活発になっている。」として、「それは債権流動化の動きであり要請であって、いわば外在的理由ないし必要性によって現行の債権譲渡法制め見直しを図ろうとするものである。」、こう指摘しています。これは率直に言って私はそのとおりだと思います。
 それは今も大蔵省から説明がありましたが、市場における債権流動化による資金調達の要請、それから大量の不良債権の消化、解決の問題、そしてそれをやっていくためののSPCの設立、こういったことと深く関連をして出てきている法案であって、民法のいわゆる債権譲渡に関する四百六十七条そのものをどうするかという民法の議論から出てきた問題ではないというのは明白だと思いますが、これは間違いありませんね。
#84
○政府委員(森脇勝君) その場合の債権流動化というのは、恐らくSPCによる証券の発行というところまで視野に入れた意味での流動化ということであろうかと思われます。
 ただ、この資金調達の多様化という点を取り上げますと、これは必ずしも特別目的会社のみの問題ではございませんで、営業譲渡に伴う場合とか金融を得るためのものも含めまして、そういった資金調達の合理化と申しますか、簡易化と申しますか、そういう要請があったということでございます。
#85
○橋本敦君 私は、それを全面的に否定しているのではありません。そういう要請とともに、今日莫大な、例えば五月二十六日の新聞報道によれば、大手十八行で二十一兆七千億にも及ぶと言われる不良債権、この処理が今日の金融秩序の回復にとって大事だという状況の中で、そういった要因の解決ということからSPCの問題も出てきているし、そういった社会的な状況に見合ってこの法案も出されてきているという背景があることは率直に言って間違いないんでしょう。
#86
○政府委員(森脇勝君) そのとおりでございます。
#87
○橋本敦君 私は、それで心配をするのですが、そういう不良債権処理ということがSPCとの関係で具体的にやられるためにこの法案が役立つという構えていった場合に、不良債権が現実に解決されないで多額の債務として残った場合に、一体どういうことになるのだろうか。
 そういう点で、自民党の山崎政調会長が、二月三日の記者会見で、SPCの発行する有価証券を買い上げる機関の創設も検討するということをおっしゃっているんです。十七兆円の公的資金の枠組みということは大きな問題になりましたが、さらに加えて、将来こういったSPCによる債権譲渡に基づくその債権が現実に不良化したままで行き詰まった場合に、新たな国民負担が重なってくるということについて、この法案の審議で一体検討されたんだろうか。私は、債権譲渡法制研究会の資料を詳しく読みましたが、そういったことまでは検討されていない。これはもう法律上の問題だけですね。
 しかし、行政庁としての法務省としては、私が指摘した将来の不良債権処理に新たな公的資金をつぎ込むという危険性を助長するかしないかといった問題について検討されたかどうか、結論だけで結構ですが、これはどうなんですか。
#88
○政府委員(森脇勝君) これは一般私法の分野の法律を担当する私どもといたしましては、先ほど委員御指摘になりましたとおり、SPC法が片や立法課題に上っておるということも視野に入れ、さらに、利用が予測されるところはそれのみではないということも視野に入れまして、これらを全部包み込むための対抗要件制度、こういう観点から検討いたしたところでございます。
 したがいまして、この上に立ちます今で申し上げればSPC法をどういうふうに組み上げるかというのも、それに支障にならないという形での検討は考えておりますが、今委員御指摘になりましたとおり、仮に損切りをした上での証券発行であっても、なおかつそれにも債権の回収が満たないという場合にどうなるのかという問題が特別の議論の対象になったということはございません。
#89
○橋本敦君 わかりました。
 今日の政治状況から見て、私は、そういった点まで行政庁としては深くバックグラウンドとして検討をしておく必要があるというように、実は政治の責任として思っているわけです。
 次に、具体的な法案の問題について質問に入りますが、第三者に対する対抗要件の問題です。これは先ほどからも議論になりましたが、特定債権法における対抗要件は、いわゆる公告という問題は新聞公告がほとんどですね。これは民法四百六十七条の二項によらずに公告の日付をもってやる、こういうことになります。一方、本法案によって債権譲渡登記ファイルによる譲渡登記でやるとなりますと、その譲渡のなされた日にちということと時期ということがさらに問題になってくる。さらにもう一方で、民法の原則に基づく確定日付による譲渡通知ということがある。これが競合した場合に、一体その優劣をどうするかということについて先ほどから議論がありまして、民事局長の方からは、その日時は登記でも特定するということでやっていくというお話がありました。
 しかし、新聞公告というのはもう朝六時には出るわけです。登記公告といっても、日時というのは一体どう決めるのか。競合した場合に、日時の点でいうならば新聞公告が常に優先してしまうのではないかという問題が出てくるのではないか。これが一つの問題です。
 それからもう一つの問題は、登記は日にちだけじゃなくて日時も含めてとおっしゃいましたが、それは法律上どういうようにどこで規定されているのか明らかにしていただきたい。この問題はいかがでしょうか。
#90
○政府委員(森脇勝君) 委員御指摘のとおり、特定債権につきましては三つの対抗要件の制度があるということでございます。
 これらが競合する場合を想定しての御質問でございますが、特債法における債権譲渡の対抗要件である日刊紙による公告という制度がとられる前提といたしましては、行政庁による特定事業者及び譲受事業会社についての監督規定がございますし、債権譲渡計画についての確認という手続もございますので、これと民法あるいは今回の債権譲渡登記との競合、しかもそれが同一時になされるといった際どい競合というのが起こり得るのかということを考えてみますと、これはまずそういう事態はないのではないかということが言えると思います。
 ただ、理論上の問題といたしましては、これはたまたま前から計画されていた特定債権につきまして、それの公告がなされたという場合と他の対抗要件とが同日になされる可能性というのは、理論上は否定できないところでございます。
 その場合の処理がどうなるかということでございますが、実は特債法につきましては、確定日付ある通知があったものとみなすという規定しか置かれていないところでございまして、これとの関係で公告の時をどのように理解するか、公告の時というのは、今委員御指摘になりました午前何時という時間ですという考え方もあり得るところだろうと思っております。
 さらに、午前中の答弁で、通産省の方では、これは時のない概念で丸一日であるという理解の仕方もあるところでございまして、仮に後者の方によるということになりますと、これは他の対抗要件との前後不明、すなわち同時到達として取り扱わざるを得ない場合というのが生じてくるであろう、こういうふうに考えております。
#91
○橋本敦君 では、二つ聞きますが、同時到達という不明の場合が出てきたときは、債務者は債権者が知れざる場合として、その債務の弁済は供託という手続をとることができますか。これが一つ。
 それから、先ほど私が指摘した債権譲渡の登記について、日にちだけじゃなくて時間まで登記するというようなお話が午前中あなたからあったんです。しかし、それは法律に書いていないんです。だから、それはあなたがおっしゃっても法律に書いていない事項だから、一体どうなさるんですかと聞いているんです。
 この二点答えてください。私の質問時間は少ないから、簡潔に。
#92
○政府委員(森脇勝君) まず、先ほど答弁漏れで失礼いたしました。
 確かに、今回の法案におきましては、登記事項といたしましては登記の年月日を記載することとされております。
 ただ、委員御案内のとおり、最高裁判所の判決におきましては、同一日の民法上の通知の到達がある場合の優先関係につきまして、それは到達時によって判断すべきである、こういう判例がなされておるところでございます。
 したがいまして、登記につきましても、将来的には登記の時がいつなのかということが他の対抗要件との間で問題になってくる可能性がございます。一方で、確定日付を決めるというのが民法の建前でございますので、法律上は登記の年月日を記載するということにいたしておるところでございまして、そのまま登記の年月日のみの取り扱いにいたしますと、後で立証の問題として、例えば民法上の通知の到達の時と登記の時、それの前後関係がどうかということが立証の対象になってくるという場合が当然予想されるわけでございます。
 そういった事態をおもんばかりまして、法律上は登記事項は登記の年月日といたしておりますが、登記事項証明書を発行する際に、言ってみれば、そうした立証の必要性をあらかじめ考慮いたしまして、規則の段階で登記事項証明書の中に登記の時まで記載するようにしよう、こういうことを考えておりまして先ほどのような御説明を申し上げたところでございます。
 それから、同時到達の場合に供託できるかということでございますが、これは供託は可能であるということでございます。
#93
○橋本敦君 それは可能であるけれども、言ってみれば取引の不安定、安全性を欠く要因の一つになるんです。そうでしょう、弁済すべき相手が特定しないということですから、そういう問題が出てくる。
 それから、規則で考えるというのは、法務省のどういう規則ですか。この法律からはそれはうかがえないんですけれども、どういう規則をおっしゃっているんですか、将来規則で考えるという規則は。
#94
○政府委員(森脇勝君) 登記事項証明書を発行するということが法律上の規定になっております。これのいわば発行手続の部分で時を明示するという体制を明らかにしたい、こういうように考えております。
#95
○橋本敦君 そうすると、この法案に基づいて規則をつくるという用意はそのほかにも考えておられるんですか。今私が指摘した問題以外に、本法に基づいて登記関係で新しい規則を法務省はつくるという作業はもう進んでいるんですか。将来とおっしゃったから、今現実の問題として進んでいるのか、遠い先に考えるという意味なのか。この法律の持っている一つの重大な欠陥と私は思っているんです。だから聞いているんです。その規則というのはどういうものなのですか。
#96
○政府委員(森脇勝君) 法案の十六条に「この法律に定めるもののほか、この法律に定める登記に関し必要な事項は、政令で定める。」ということにいたしておりまして、この政令の中では登記申請の方式でありますとか登記申請書に添付するべき書面、あるいは登記申請却下の事由等の登記に関する手続を規定するということを予定いたしておるところでございまして、その中において登記事項証明書の内容等について定めたいということでございます。
#97
○橋本敦君 その問題は対抗要件という重大な権利関係にかかわる問題ですから、将来政令で決めるからということじゃ足りない。この法案の持つ重大な問題だと私は思います。
 もう時間がなくなりましたから、あと一問か二問しかできないんですが、債務者に対する対抗要件の一つの問題として、登記事項証明書の交付ということも問題になるんですが、登記事項証明書の交付をしないで債権譲渡登記ができたと、登記事項証明書の交付を債務者にしないで債権者の方は弁済請求を債務者に対してどんどんやれる、こういうことですか。
#98
○政府委員(森脇勝君) 今、委員おっしゃいました債権者の方でとおっしゃったのは、譲受……
#99
○橋本敦君 譲渡債権者。
#100
○政府委員(森脇勝君) 譲渡債権者の方で債務者に対する請求をするということは当然あり得ることであろうと思っております。
#101
○橋本敦君 その点について、特債法では明白な委任という関係を法律上特定していますね。本法はそれはありませんね。ないけれども、譲渡人はもはや債権者じゃないんだけれども、もとの債権者だけれども、債務者に対して登記事項証明書の発行なしにもとの債権者としてどんどん請求するというのは、譲受人との関係でいえばこれは取り立ての委任ということに法律上なるんですか。
#102
○政府委員(森脇勝君) これは、債権流動化の場合には当然、当然と申しますか多くの場合は譲渡人が取り立て委任を受けておって、それで請求する、こういう形が予定されるわけでございます。
 ただ、それは譲渡人、譲受人間の問題でございまして、それの有無を債務者の方に直接及ぼす必要はないというふうに考えておるところでございまして、債務者としては登記事項証明書の交付のある通知を受けるまでは債権譲渡の事実を知らないのが原則でございますから、旧債権者と申しますか、譲渡人に弁済した場合には、それによって当然第三者への効力を主張できる、こういう関係になるということであります。
#103
○橋本敦君 譲受人は、私は委任はした覚えはない、後で二重請求という問題が実際法律上起こり得るでしょう、債務者は知らないんだから。二重弁済の危険が起こるでしょう。わかりますか。譲り渡しのもとの債権者が請求する、登記証明書はないんですよ。今度は譲り受けた方が登記したという登記事項証明書を出して私に払えと言えば二重請求になりますね。そういう二重請求が起こらないという保証はありますか、ないでしょう。
#104
○政府委員(森脇勝君) その場合には、最初の弁済をすることによって債権が消滅いたしますので、債務者との関係では請求を事実上受けることがあるかと言えば受けることはあると言わざるを得ませんけれども、それに対しては当然弁済を主張できる、こういう関係になるわけでございます。
#105
○橋本敦君 質問を終わりますが、そうは簡単にいかない、極めて不安定な状況が起こって、債務者の利益を害する状況があり得るということで、次にまた続いて質問します。
 きょうは終わります。
#106
○平野貞夫君 朝からこの法案につきまして専門の先生方が問題点の指摘とか質問を行っているわけでございますが、自由党としましては金融システムの安定という角度から賛成という立場でございますが、一点だけ意見を述べますので、民事局長さんの御感想というか意見がありましたら簡単に述べていただきたいと思います。
 率直に言いまして、一つの問題は登記手続を変えるといいますか、いわゆる手続を簡素化することによって、債権という近代法の社会運営の中でも骨格となっている権利義務関係の性格の基本を変更するような意味を持っている法律じゃないかというふうに、私は法律の素人でございますが、そんな感じがするわけでございます。したがいまして、この債権の流動化を極端にした結果、果たしてそのものは債権と言えるかどうか、いわば現在の民法で定められている範疇を超した物権、債権あるいは何か知りませんが、そういう第三の一つの社会の権利義務関係のものが生じるんじゃないか、こういう感じを持っているわけでございます。
 この法律によって促進される債権移譲の特例は、経済効果も物すごく大きいでしょうし、また同時にリスクも大きいと思います。正確な制度なり情報を知っている人、知らない人で随分ハンディキャップも出るでしょうし、また物によっては法のもとの平等というものにもかかわってくるような問題点もあると思います。したがいまして、施行については相当注意を要するんではないかと思いますが、そういう意味で、賛成でございますけれども、ひとつ慎重な適用、準備をお考えいただきたいという意見でございます。
#107
○政府委員(森脇勝君) 委員御指摘いただきましたとおり、債権は物権と並んで民法の基礎をなす権利であることはそのとおりでございます。
 ただ、今回の法改正によってそれが全体としてどのように変わってくるかということでございますが、現在の民法の規定におきましても、指名債権の譲渡というのは譲渡禁止の特約がなされない限りこれは譲渡が可能なものとされておりますし、現在取引界において民法の債権譲渡通知あるいは承諾、こういう制度を使いまして債権が移転するということが多々行われているわけでございます。今回の立法は、最近の債権流動化を初めとする法人の資金調達手段の多様化ということにかんがみまして、法人が非個性的な多数の金銭債権を譲渡する場合というものを想定いたしまして、民法の第三者対抗要件の特例として対抗要件の具備の簡素化を図ろうとするものでございます。
 ただ、今回の法案におきましては、債権譲渡一般ではなくてそのうちの法人のする金銭債権の譲渡に限定しているところでございます。したがいまして、今後法人の有する債権について、一方で債権の流動化が促進されるということは当然考えられるところでございますが、指名債権につきましてはなお個別的な人的信頼関係に基づく債権というものもございますので、本法案によって指名債権の法的性格が大きく変わるというほどのものではないというように理解いたしておるところでございます。
#108
○平野貞夫君 議論はまた次回に回しまして、この国会、政府からいろんな法案が出されて、重要な改革法案も出されておりますが、何といいましても政府を代表する橋本内閣総理大臣の姿勢といいますか、特に私たちが追及しております中国ODAの疑惑というものが解明されなければ、政府から出されるあらゆる法案審議にこれはやっぱり問題があると思いまして、ちょうど民事局所管の問題が若干ありますので、関連してお尋ねしたいと思います。答弁はひとつ簡明にお願いしたいと思います。
 問題の中国女性朱連平さん、日本に帰化申請して許可になったわけでございますが、許可の年数は官報で平成八年十二月十六日と告示されていますのでわかっておりますが、いつ帰化申請されたか、その年月日をお願いします。
#109
○政府委員(森脇勝君) お尋ねの事案でございますが、これにつきましては、今委員御指摘のとおり、平成八年十二月十六日に官報に公示されまして帰化の許可がされているところでございます。
 この許可の審査に要する期間でございますが、一般的には帰化、これは非常に個性が強うございまして、短いもの、それから相当の期間を要するもの、各種ございますが、それらを押しなべて申しますと、おおむね申請から一年前後で結論が出されるというのが……
#110
○平野貞夫君 日にちを教えてください。申請の日にちだけでいいです。
#111
○政府委員(森脇勝君) この申請はおおむね一年前・・
#112
○平野貞夫君 いや、何日に本件の申請が出されたんですか。
#113
○政府委員(森脇勝君) 申請日は調査してございませんが、審査期間は約十一カ月でございます。
#114
○平野貞夫君 審査期間を聞いているんじゃないんです。何月何日に帰化の申請書を提出したかという日にちを聞いております。
 それからもう一つ、どこの法務局に提出したか、これをお答えください。
#115
○政府委員(森脇勝君) 記憶でまことに申しわけございませんが、平成八年一月二十日ごろであったという記憶をいたしております。それが申請日でございます。
#116
○平野貞夫君 申請の日にちというのは、ごろじゃ問題にならぬわけでございまして、今わかっていたら答えてください。
#117
○政府委員(森脇勝君) 平成八年一月十九日でございます。
#118
○平野貞夫君 どこの法務局へ申請されたか。
#119
○政府委員(森脇勝君) 浦和地方法務局所沢支局です。
#120
○平野貞夫君 この申請の件が法務省に上がってきた時期、これは何日と言わなくてもいいですから、いつごろ法務省に上がってきたでしょうか。
#121
○政府委員(森脇勝君) 委員御承知のとおり、この帰化許可の権限は法務大臣の権限とされておりまして、一般の事件の取り扱いといたしましては、受け付け法務局において調査をし、それを法務省の方に進達するという形になっております。
 ただ、これはどのように法務大臣め権限を扱うかという内部決定機関相互の問題でありまして、また、事案によって、途中で問題を上げてくるもの、一応の調査を完了して上げてくるもの、あるいは調査不十分で差し戻すもの、種々のタイプのものがございまして一概には申し上げられませんが、平均的には進達後に四カ月程度かかるということになっておりまして、本件につきましてもこれと大きく外れたものではないというふうに把握いたしております。
#122
○平野貞夫君 この次にまた聞きますので、何月何日とまでは聞きませんが、いつごろ法務省民事局の担当がこの問題について浦和地方法務局所沢支局からこういうものが出ているということがわかったかという大体の時期をこの次に答えてください。
 時間の関係で、その次に、要するに、この朱さんが日本のJICAの職員と再婚をなさったのが平成三年五月三十一日。橋本政権が成立したのが平成八年一月十一日だったと思います。そして、その同じ年の一月十九日に朱さんの帰化申請が浦和地方法務局所沢支局になされておる。八日後でございます。そして、帰化申請が許可になったのがその年の十二月十六日、こういう流れになると思います。そして、この間法務省がその事務をやる時期が四カ月後ということになりますと、五月の後半でございますか、そういうような時系列になるわけでございます。
 そこで、十一カ月後に許可になることについては、私はその期間を短いとか長いとかという議論はしません。これはそれぞれの事情によると思います。
 この朱さんが在日在外公館に勤務されていたということは明確なことなんですが、過去二十年ぐらいで結構でございますが、在日在外公館に勤務していた人物が日本に帰化した、帰化を許可した先例を教えてください。
#123
○政府委員(森脇勝君) まず、一つ、先ほどの御説明と十分合致しなかった面がございますので、もう一度述べさせていただきますと、帰化事件について本省の方で審査する期間が四カ月程度ということを申し上げましたので、本件事案についてはもう少し後の時点に本省が把握するようになったという意味のことを申し上げたところでございます。
 次に、先生の御質問の中で、当該本人の個人的事情に係ります部分は個人のプライバシーの問題等ございますので、それを関知していないということ、その点について私どもでお答えすべき筋合いではないということをお断りした上で申し上げたいと思います。
 実は、この……
#124
○平野貞夫君 ちょっと、時間がないですから説明は要りません。
 在外公館に勤務していた人が過去二十年の間に帰化した事例がありますかどうか。あるならある、ないならない、あるなら何人ということを答えてくれればいいですから、説明は要りません。
#125
○政府委員(森脇勝君) 在外公館に勤務している者が帰化申請をし許可される、これは居住条件という要件がございますので、これはあり得ないことだというふうに考えております。
 過去の経験の中で駐在の公館に勤務した経験のある者があるかないか、あるいはその数値という点については、私どもこれを把握する統計を持っておりませんので、御容赦いただきたいと思います。
#126
○平野貞夫君 外国のことを言っているわけじゃありませんよ。日本にある在外公館に勤務している当該外国人が日本に帰化した例があるかないか。知らないと、わからないということでございますね、今の答弁は。
#127
○政府委員(森脇勝君) そういう例で申し上げれば、私の記憶の中でもそういう事案もあるということでございますので皆無ということではございませんが、それが何件あるかという点は把握できない、こういうことでございます。
#128
○平野貞夫君 本当に把握できないんですか。そういう答弁をしていいんですか。時間がないから言いましょう。帰化する場合の申請書に申請人が提出しなきゃならぬ書類に履歴書というのがあるんです。その履歴書は法務省にあるはずなんです。だから履歴書を見ればわかるんじゃないですか。把握できないということはないです。今まで把握していなかったというなら、してください、過去二十年間、日本の在外公館に勤めていたその当該国の人で日本に帰化したその前例を。これは別にプライバシーでも何でもないでしょう。これは宿題として要求しておきます。この次に聞きます。
 時間がありませんから続けますが、この朱さんの履歴書というのはあるはずです。これを国会に提出してくれませんか。そうすれば総理の疑惑は一切なくなりますよ、総理の言うとおりなら。できますか、どうですか。
#129
○政府委員(森脇勝君) これは特定個人のプライバシーにかかわる問題でございます。さらに今後の帰化行政にも支障になることでございますので、これを公開することは御容赦いただきたいと思います。
#130
○平野貞夫君 守秘義務からそういうお話だと思いますが、私たちは国益をどうやって守るかという立場からの話でございます。この資料要求はひとつ委員長にお願いして理事会で協議していただきたいんです。この問題は当委員会だけの問題でないものですから、いろいろほかのところでも問題提起していきます。
 もうちょっと細かい質問をしたいんですが時間の関係で、申し上げておきますが、私は何も橋本総理のいろんな疑惑を暴こうということでやっているわけじゃございません。やっぱり真実は何かということを国民が知るべきだ。余りにもいろんな話、うわさがあり過ぎる。中には、本当かもわかりませんし本当でないかもわからぬ、例えば最近マスコミ関係者から聞く話として、その履歴書には住所と氏名しか書いていないぞというような話もあるわけなんです。
 それからもう一つ。元夫は穆小林という方ですが、ある時期非常に生活にも困っていたようなんですが、裁判の提起もあったようなんですが、昨年のある時期から急にこの問題について話をしなくなり、そして北京でカラオケのクラブを経営している。そのために日本からいろんな工作が行われたといううわさまでマスコミ関係者は出しているわけなんです。しかも、どういう資金の性格がわかりませんが、ひょっとしたら国民の税金である政府あるいは某省の機密費が使われたんじゃないかということまで言われています。
 こうなりますと、橋本さんの問題じゃなくて日本国の問題になるわけでございますから、この問題はやっぱり事実は何であるかということをまず明確にする。これは橋本総理自身もそうでございますが、政府側もやはりそういう姿勢で臨んでいただきたいということを要望して、私の持ち時間でございますので終わります。
 私がお願いした問題点についてはこの次にまたお尋ねしますので、お答えいただきたいと思います。
#131
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 今の平野委員の御質問に一般論でお答えいたしたいと思います。
 現在、日本に帰化する人は一年間に約一万五千人おられます。一万五千人の方々は御承知のとおり官報にお名前を発表いたします。一般的に申し上げますと、その方々が日本に帰化したということを隣近所に公表されることについて大変消極的でございます。あの有名なお相撲さんが帰化されたというふうなことはもう公知の事実でございますけれども、社会の中に浸透している人たちが帰化したということが表に出るということなものですから、私どもとしては非常にその扱いを慎重にいたしております。
 したがいまして、そういうふうな個人にかかわる内容というふうなものは、国籍を扱っている私どもの立場としては、それはやっぱりプライバシーの問題もございますしというふうなことでお話ししていないということもお含みおきいただきたいということを申し上げておきます。その上でひとつ御議論いただきたいと思います。
#132
○平野貞夫君 一般論としてはわかります。しかし、プライバシーと国益というものを比べた場合、我々はまた別の角度で意見があるということを申し上げておきます。
 終わります。
#133
○山田俊昭君 二院クラブの山田です。
 これまで法案に対する質問が大分出ていまして、重複をお許しいただきたいと思います。
 本法律案の立法の趣旨といいますか、債権の流動化による企業の資金調達の必要性ということから本法律が立法されるということのようでありますが、この債権流動化によって資金調達を必要とするのは法人には限らないと思うわけであります。商行為を業とする者であれば法人格のない個人企業にもひとしく当てはまると思うわけです。法人に限定するのはいささか問題であると思いますが、この点いかがでしょうか。
#134
○政府委員(森脇勝君) 今回の債権譲渡の登記制度を創設するに当たりまして、これの対象になるのは法人が金銭債権の譲渡をする場合である、こういう規定の仕方をいたしました。
 これは第一に、企業資金の調達という必要性からこの制度の創設を考えたわけでございまして、そのニーズの対象はどこかという点を考えまして、それは法人という形でまとめられるであろうというところから法人に限定した。逆に言いますと、個人についてのこうした資金調達のニーズというものはさほど強いものという意見がなかったということでございます。
 さらに申し上げれば、新たに登記制度を創設するに当たりましては、これはコンピューターによって処理するという前提でございますが、どれだけの容量のコンピューターを準備すべきかといったような点から考えましても、ある程度制約してまず制度をスタートしてみるということでよいのではないかというところから、今回の立法に当たっては債権譲渡の主体は法人に限る形にさせていただいたということでございます。
#135
○山田俊昭君 ニーズが法人であって個人には必要なかった、こうおっしゃるんですが、これは何を根拠にそうおっしゃるのでしょうか。
#136
○政府委員(森脇勝君) これは私どもは平成九年に債権譲渡法制研究会の報告書をもとにいたしまして各界のヒアリングを行ったところでございまして、各界の意見からそのように判断したということでございます。
#137
○山田俊昭君 現段階で法人のニーズが多いということですが、今後、先ほど申し上げたように商行為を業とする個人的な人たちもこの債権の流動化による資金調達がぜひ必要である、ぜひお願いしたいということであれば、個人もこれに含まれるような形の法律は考えていらっしゃるわけですか。
#138
○政府委員(森脇勝君) そうした状況の変化というものは私ども的確に把握して、これを立法の中で生かしていくというように心がけなければならないものというふうに認識いたしております。
#139
○山田俊昭君 先ほどから法人と個人という形をとっているわけですが、民法上、主体たり得るのは法人と自然人であるわけです。この法人の範囲についてお伺いしますけれども、民法上の組合とか権利能力なき社団だとか、民法上の営利を目的としない民事会社あるいは信用組合、農業協同組合等の特別法に基づく組合等の団体があるわけなんですが、今私が申し上げたようなものは本法にいう法人の中には入っておりますかおりませんか。
#140
○政府委員(森脇勝君) 本法で申します法人というのは、民法三十三条にいう法人と同義でございまして、民法その他の法律の規定によって法人格が付与された団体に限られるということでございます。
 したがいまして、今例示されましたもののうち、民法の規定によって法人格が付与される社団法人、財団法人、あるいは商法の規定にございます株式会社等の会社、それから有限会社法による有限会社、その他特別法によって法人格を与えられているというものがここでいう法人に当たるわけでございます。今列挙されましたもののうち、民法上の組合でありますとか権利能力なき社団というものはここでの法人には含まれないということでございます。
#141
○山田俊昭君 次の質問なんですが、これも午前中千葉先生から出ていた質問と関連するんですが、いわゆる債務が成立するのか、あるのかないのかということで債権者と債務者との間に争いがあるという債権債務、これは現にいろんなケースがあるわけですが、これが債権譲渡登記がなされることによって真に債務が存在するかのような誤解を与えることになるのではなかろうかという当然の危惧を持つわけです。それに対して民事局長が、債務者の表示をするだけなので債務者には一切の不利益はない、こう答弁なさったように思うんですが、やはりこれは問題がある。債権債務があればいいんですが、訴訟その他でなくなった時点で、登記だけ先行してあたかも債権があるような形で譲渡されていくということは債務者にとっては非常に酷になるのではなかろうか、こう思うわけですが、この点いかがでしょうか。
#142
○政府委員(森脇勝君) 本法によります債権譲渡登記がされた場合のその登記の効力でございますが、これは、債務者以外の第三者について民法上の確定日付ある証書による通知があったものとみなす、これに限られるわけでございまして、この登記によりまして債権の存在あるいは譲渡の真正ということを証明するものではないわけでございます。したがいまして、申し上げてまいりましたとおり、債務者に法律上の不利益は生じない、このことは言えるわけでございます。
 ただ、債務者として表示されてしまうことによる事実上の不利益をどうするかという問題でございますが、これは今委員も御指摘になられましたとおり、債務者であるかのような誤解を与える、この誤解を与えないようにすることが大事であろうと思っておるところでございまして、この法案が可決されましたときには、本法の趣旨でありますとか登記事項証明書の意義について国民に十分周知させるための方策を講じていきたいというふうに考えておるところでございます。
#143
○山田俊昭君 今、民事局長がお答えになったように、こういう登記には公示力だけですよ、対抗力だけです、民法は。そこに公信力がないことはわかるわけで、私が今申し上げているのは、局長が今最後の方に言われたが、大概一般の国民は登記されていればあたかも債権があって本当の債権が譲渡されるように信ずるのは当たり前のことだと思うんです。それは法律家は公示力だけあって公信力はないということはわかるわけですけれども、まさしく一般国民感情として、公信力のない登記だから債務者には法律上の不利益が及ばないというのはいささか問題があるのではなかろうかという危惧から私はあえて質問をしたんです。
 この法案が成立したときに国民の誤解がなきよう何らかの方策を講じなきゃならないという局長の答弁でありますが、しからば一般国民に対する誤解を解くためにどういう方策をお考えなのかお尋ねをいたします。
#144
○政府委員(森脇勝君) これにつきましては、各種メディアによる広報あるいは講演会、説明会、それからその他政府広報を利用する等の方法でこの点については周知を図っていきたいというふうに考えております。
#145
○山田俊昭君 そこら辺のところ、この法律の成立によって債務者が泣くようなこと、悲劇が発生しないことを祈るわけであります。
 この債権譲渡登記を認めると、今言ったような問題で、公信力がないからと言うけれども、それは公示されることによって債務者の借金があることを公表されるわけですから、また金融機関による貸し渋りというような問題が出てくるんじゃないかと危惧するんですが、この点はいかがでしょうか。
#146
○政府委員(森脇勝君) ただいまの御質問も、要は登記事項証明書がいわばひとり歩きするという点でございまして、それについて、例えば金融機関が自分の取引対象としている会社について債務者としての表示が登記事項証明書に出ておるというところから貸し渋りが生ずるのではないかということでございますが、まずもって国民の皆さんに広くこの制度を知ってもらわなければいけないわけでございますが、金融機関についてはまず第一番に理解していただくべき点でございまして、金融機関が誤解するというようなことが起きることのないようにしっかりと徹底してまいりたいというふうに考えております。
#147
○山田俊昭君 ぜひ貸し渋りのないように金融機関に対する徹底をしていただきたいと思います。
 次に、今度の債権譲渡の登記はいわゆる磁気ディスクで調製する債権譲渡登記ファイルで行う、こういうことになっているようでありますが、このコンピューターだとか磁気だとかいうものに対して、銀行のキャッシュカードや定期券の磁気による乱れによって事故が発生しているということなんですが、この制度で採用されるところの磁気ディスクというものの事故は絶対に発生しないと言えるのか、改ざんの可能性は一切ないとおっしゃるのか、コンピューター事故発生に伴う場合を想定して何らかの対策はお考えになっていらっしゃるのか、そこら辺のところをお尋ねいたします。
#148
○政府委員(森脇勝君) 磁気ディスクをもって調製するファイルに登記事項を記録するという登記の方式につきましては、既に私ども商業登記あるいは不動産登記において採用してきたところでございます。これらの先行する制度については、事故や改ざんを防止するためのバックアップ情報の作成、管理を含む厳重な事故防止体制のもとに登記事務を処理しておりまして、実際にも、現在までのところ事故あるいは改ざん等の支障は生じていないということでございます。
 今度創設いたします債権譲渡登記につきましても、これらの先行する制度の実績を踏まえまして、厳重な事故防止体制のもとに事務を処理するということを検討いたしておりまして、これにより委員御指摘の問題は生じないものというように考えております。
#149
○山田俊昭君 先ほど照屋委員から、本法律案がことしの十月一日を施行予定とされているようであるので、人的、物的対応が十分かという質問がなされたんですが、登記官の方に特別な研修というのか、そんなようなものが当然必要になってくると思うんですが、この立法に伴う登記官の研修体制はどの程度進んでいるのか。
 先ほど東京法務局の債権登録課を予定しているとおっしゃるんですが、ここ一カ所だけで、どういう体制で、どういう登記官を置いて、どうするのか、具体的にちょっとお教えいただきたいと思います。
#150
○政府委員(森脇勝君) これは必ずしも多数の要員を張りつけるということを予定いたしておるわけではございません。したがいまして、現在、これに関してのシステム等開発もやっておりまして、その中で研修を含めた体制をとってまいりたいということでございます。現在その研修等を進めておるというところでございます。
#151
○山田俊昭君 そんなにたくさんな体制を予定していないということですが、研修制度は進められていると思うんですが、法務局としては研修体制を十分とっていらっしゃるんだろうと思うんですけれども、僕らは想像すると相当大変だなという気がするんだけれども、それほどでもないんですか。ちょっと簡単に教えていただきたい。
#152
○政府委員(森脇勝君) これは東京一カ所でございますので、そこの要員、誤りのない操作ができ、かつシステムが理解できるという体制をつくればよいわけでございまして、それだけの手当ては私どもできるものというふうに考えております。
#153
○山田俊昭君 それから、この与えられた資料を見ますと、登記官処分を不当とする者がする審査請求の規定についてお尋ねするんですが、例えば、登記官が誤ったようなことをした場合に、行政不服審査法の適用を排除したのはどうしてですか。
#154
○政府委員(森脇勝君) これは登記制度内部に完全な不服申し立ての体制ができておりますので、これによることといたしたわけでございまして、この点につきましては不動産登記等についてと同様でございます。
#155
○山田俊昭君 その処分を不当とする者がする審査請求についての規定の内容を教えていただければありがたいと思うんです。
#156
○政府委員(森脇勝君) 今回の審査請求等につきましては十三条以下に規定されているところでございまして、審査請求につきましては監督法務局または地方法務局の長に審査請求をする、こういう体制になっております。
#157
○山田俊昭君 終わります。
#158
○委員長(武田節子君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#159
○委員長(武田節子君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#160
○委員長(武田節子君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#161
○委員長(武田節子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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