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#1
第142回国会 総務委員会 第7号
平成十年四月七日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月七日
    辞任         補欠選任
     瀬谷 英行君     渕上 貞雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         石田 美栄君
    理 事
                板垣  正君
                木宮 和彦君
                寺澤 芳男君
                吉岡 吉典君
                永野 茂門君
    委 員
                井上  孝君
                鎌田 要人君
                鈴木 貞敏君
                竹山  裕君
                真鍋 賢二君
                村上 正邦君
                矢野 哲朗君
                足立 良平君
                猪熊 重二君
                大久保直彦君
                瀬谷 英行君
                栗原 君子君
                武田邦太郎君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 村岡 兼造君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  小里 貞利君
        ―――――
       会計検査院長   疋田 周朗君
        ―――――
   政府委員
       内閣参事官
       兼内閣総理大臣
       官房会計課長   尾見 博武君
       内閣審議官    坂野 泰治君
       内閣官房内閣外
       政審議室長事務
       代理
       兼内閣総理大臣
       官房外政審議室
       長事務代理    門司健次郎君
       内閣官房内閣安
       全保障室長
       兼内閣総理大臣
       官房安全保障室
       長        江間 清二君
       内閣法制局第一
       部長       秋山  收君
       総務庁長官官房
       審議官      大坪 正彦君
       総務庁長官官房
       審議官      西村 正紀君
       総務庁長官官房
       審議官      瀧上 信光君
       経済企画庁調整
       局長       塩谷 隆英君
       外務省総合外交
       政策局長     加藤 良三君
       大蔵省主計局次
       長        藤井 秀人君
   事務局側
       事 務 総 長  黒澤 隆雄君
       常任委員会専門
       員        志村 昌俊君
   衆議院事務局側
       事 務 総 長  谷  福丸君
   裁判官弾劾裁判所事務局側
       事 務 局 長  藤田 教稔君
   裁判官訴追委員会事務局側
       事 務 局 長  濱井 一夫君
   国立国会図書館側
       館     長  緒方信一郎君
   説明員
       防衛庁防衛局防
       衛政策課長    大古 和雄君
       防衛庁運用局運
       用企画課長    横山 文博君
       法務省刑事局刑
       事法制課長    渡邉 一弘君
       外務大臣官房外
       務参事官     樽井 澄夫君
       外務省条約局法
       規課長      長嶺 安政君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○平成十年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)、平成十年度特別会計予算(内閣提出、衆
 議院送付)、平成十年度政府関係機関予算(内
 閣提出、衆議院送付)について
 (皇室費、国会所管、会計検査院所管、内閣所
 管及び総理府所管(総理本府、宮内庁、総務庁
 (北方対策本部を除く)))
    ―――――――――――――
#2
○委員長(石田美栄君) ただいまから総務委員会を開会いたします。
 去る四月三日、予算委員会から、四月七日から八日正午までの間、平成十年度総予算中、皇室費、国会所管、会計検査院所管、内閣所管及び総理府所管のうち総理本府、宮内庁、北方対策本部を除く総務庁について審査の委嘱がありましたので、御報告いたします。
 この際、本件を議題とし、順次予算の説明を聴取いたします。
 予算の説明につきましては、国会所管及び会計検査院所管以外は去る三月十二日の本委員会におきまして既にこれを聴取しておりますので、この際、国会所管及び会計検査院所管の予算の説明を聴取いたします。
 まず、国会所管のうち衆議院関係予算の説明を求めます。谷衆議院事務総長。
#3
○衆議院事務総長(谷福丸君) 平成十年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。
 平成十年度国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は六百八十八億九千九百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと五億五千万円余の減少となっております。
 次に、その概略を御説明申し上げます。
 第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、六百四十九億四千万円余を計上いたしております。
 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し一億四千八百万円余の減少となっております。これは、行政監視機能の強化のため、事務局に調査局を設置し法制局に法制企画調整部を設置するために必要な職員の増員等の措置をしているものの、職員の退職手当等の人件費及び憲法施行五十周年記念行事経費等の当然減によるものであります。
 なお、国会審議テレビ中継の国民向け放送については、調査・検討経費を計上いたしております。
 第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして、三十九億五千二百万円余を計上いたしております。
 この主なものは、国会参観者施設を兼ね備えた国会審議テレビ中継施設の新築費、立法情報ネットワーク整備費及び本館等庁舎の諸整備に要する経費並びに国会周辺等整備に必要な土地購入費でございます。
 第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円を計上いたしております。
 以上、簡単でありますが、衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#4
○委員長(石田美栄君) 次に、参議院関係予算の説明を求めます。黒澤参議院事務総長。
#5
○事務総長(黒澤隆雄君) 平成十年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。
 平成十年度国会所管参議院関係の歳出予算要求額は四百二十五億六百万円余でありまして、これを前年度当初予算額と比較いたしますと十億五千四百万円余の増加となっております。
 次に、その概要を御説明申し上げます。
 第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、四百一億二千七百万円余を計上いたしております。
 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し十七億一千七百万円余の増加となっております。これは主として、第十八回参議院議員通常選挙の実施に伴い見込まれる改選関係費及び行政監視機能強化経費の計上並びに議員会館議員事務室への端末配備等のための情報化推進関係経費の増加によるものであります。
 第二は、参議院施設整備に必要な経費でありまして、二十三億七千四百万円を計上いたしております。これは第二別館の増築、本館その他庁舎の整備等に要する経費でありまして、前年度に比し六億六千二百万円余の減少となっております。
 第三は、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。
 以上、平成十年度参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#6
○委員長(石田美栄君) 次に、国立国会図書館関係予算の説明を求めます。緒方国立国会図書館長。
#7
○国立国会図書館長(緒方信一郎君) 平成十年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。
 平成十年度国会所管国立国会図書館関係の歳出予算要求額は二百三十三億七千三百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと五十四億八千六百万円余の増額となっております。
 次に、その概要を御説明申し上げます。
 第一は、管理運営に必要な経費であります。
 その総額は百三十三億三千六百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと三億二千三百万円余の減額となっておりますが、これは主として退職手当等の人件費及び業務の見直しと効率化による運営諸経費の減額に伴うものであります。
 第二は、科学技術関係資料の購入に必要な経費でありまして、六億一千百万円余を計上いたしております。これを前年度予算額と比較いたしますと一千九百万円余の増額となっております。
 第三は、施設整備に必要な経費でありまして、九十四億二千六百万円余を計上いたしております。これを前年度予算額と比較いたしますと五十七億八千九百万円余の増額となっておりますが、これは主として関西館の建設工事に要する経費の計上及び国際子ども図書館設立に係る支部上野図書館庁舎の改修経費等の増額に伴うものであります。
 以上、国立国会図書館関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどをお願いいたします。
#8
○委員長(石田美栄君) 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を求めます。藤田裁判官弾劾裁判所事務局長。
#9
○裁判官弾劾裁判所参事(藤田教稔君) 平成十年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。
 平成十年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は一億二千二百六十九万円余でありまして、これを前年度予算額一億二千七百一万円余に比較いたしますと四百三十二万円余の減少となっております。
 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長の職務雑費、委員旅費及び事務局職員の給与に関する経費その他の事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費、庁費であります。
 以上、簡単でありますが、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#10
○委員長(石田美栄君) 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を求めます。濱井裁判官訴追委員会事務局長。
#11
○裁判官訴追委員会参事(濱井一夫君) 平成十年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。
 平成十年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は一億四千百八十六万円余でありまして、これを前年度予算額一億四千三百二十六万円余に比較いたしますと百三十九万円余の減少となっております。
 この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長の職務雑費及び事務局職員の給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する旅費その他の事務費であります。
 以上、簡単でありますが、裁判官訴追委員会関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願いいたします。
#12
○委員長(石田美栄君) 以上で国会所管の予算の説明聴取は終わりました。
 次に、会計検査院所管予算の説明を求めます。疋田会計検査院長。
#13
○会計検査院長(疋田周朗君) 平成十年度会計検査院所管の歳出予算について御説明いたします。
 会計検査院の平成十年度予定経費要求額は百六十一億七千九百八十八万五千円でありまして、これは日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく本院の一般事務処理及び検査業務を行うために必要な経費であります。
 今、要求額の主なものについて申し上げますと、一、人件費として百三十七億二千八百三十九万九千円を計上いたしました。これは総額の八四・八%に当たっております。このうちには、会計検査の充実を図るため、調査官十人を増置する経費も含まれております。
 二、旅費として八億四千百三十七万七千円を計上いたしました。このうち主なものは、検査旅費が七億二千四百七十四万一千円、海外検査等外国旅費が三千三百十九万三千円であります。
 三、施設整備費として二億四千三百万円を計上いたしました。このうち主なものは、安中研修所工事検査実習施設関係工事費八千九百二十二万九千円、庁舎改修工事費一億三千七百十六万四千円、宿舎敷地造成工事費一千六百六十万七千円であります。
 四、その他の経費として十三億六千七百十万九千円を計上いたしました。このうちには、検査の円滑な実施を図るための会計検査活動費二億三百五十三万円、会計検査の充実強化のための経費七千六百四十二万九千円、検査業務の効率化を図るための経費四億五千七百六万五千円及び検査要員等の充実強化のための研修・研究体制の整備経費二億七千二百十二万五千円が含まれております。
 ただいま申し上げました平成十年度予定経費要求額百六十一億七千九百八十八万五千円を前年度予算額百六十一億二千五百八十三万七千円に比較いたしますと、五千四百四万八千円の増加となっております。
 以上、簡単でありますが、本院の平成十年度予定経費要求額の概要の御説明を終わります。
 よろしく御審議のほどお願いいたします。
#14
○委員長(石田美栄君) 以上で予算の説明聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#15
○板垣正君 自由民主党の板垣でございます。
 きょう私は、東京裁判史観の見直しの問題、平和条約第十一条の問題、近隣諸国条項、従軍慰安婦問題に関する政府見解の見直しの問題、あるいは村山談話の再検討について、さらには憲法論議の推進について、こうした問題について時間の許す範囲で、特に官房長官に政府の立場での御見解なりこれからの御意向を承りたいと思います。
 委嘱審査の機会にこうした問題を取り上げることがどうかという考え方もあると思いますが、やはり総務委員会として国の基本にかかわる問題について論議を行うことは当然の使命であろうと思います。同時に、今申し上げましたような問題は端的に言うとタブー扱いといいますか余り開かれた論議が行われておらない。しかし、これらの問題はいずれも国の基本にかかわる問題であり、国の現在の姿そのものを大きく規制している、深刻な影響をもたらしておる、こういう問題であります。
 この国が本当に大きな転換期を乗り切って新たなる世紀に向けて活力のある発展を続けるためには、大きな枠組みにおける戦後体制を思い切って見直し、思い切って脱皮をする、本来の日本の主体性のある立場というものをもう一度取り戻していかなければならないのではないのか、私はこのことを常々思っている立場でございます。
 そこで、まず初めに、先般の予算委員会におきましても総理、外務大臣等に御見解を賜ったわけでございますけれども、いわゆる東京裁判についての日本政府の公式的な立場であります。
 これについては、もうまさにずっと一貫して、講和条約第十一条によって東京裁判を日本は受諾しておるから政府の立場においてこれに異を唱えることはできないんだ、こういうことでございますし、さらにあの日の外務省の御答弁は、その内容に異を唱えることはできない、つまりあの裁判を受諾した以上拘束される、拘束というのは単に判決だけじゃなくて起訴の理由、あるいはそれによってもたされた判決の内容、こうしたものにも拘束されるというような趣旨の話であったと思います。
 そこで、改めまして、きょうは外務省にもおいでいただいておりますので、まず外務省の方から、拘束されるという立場についてより具体的に明快に御説明を願いたい。
#16
○説明員(長嶺安政君) 御説明いたします。
 御指摘のとおり、先般、三月二十五日の参議院予算委員会におきまして、小渕外務大臣より、「この裁判につきましては、既に諸外国におきましても、学者の間でも裁判をめぐる法的な諸問題につきましては種々議論があることは承知をいたしております。いずれにしても、国と国との関係において我が国はサンフランシスコ平和条約第十一条で極東軍事裁判所の裁判を受諾いたしておりますので、同裁判について異議を唱える立場にはありません。」と答弁されております。
 ここで言います異議を唱える立場にはないという点につきましては、サンフランシスコ平和条約第十一条によりまして右裁判を受諾した以上、日本国として連合国に対し異議を申し立てることはできないと考えておる次第でございます。
#17
○板垣正君 その点はこの間の答弁を繰り返され、十年前、二十年前と同じ答弁を繰り返している、そういうことにならざるを得ない。
 これは民事訴訟法の場合ですが、民事訴訟法百九十九条一項は、「確定判決ハ主文ニ包含スルモノニ限リ既判力ヲ有ス」と、既判力ですね、裁判の内容として具体的判断が以後の訴訟において裁判や当事者を拘束する、これに反する判断、主張は許さない、こういう立場における確定判決、これは主文に包含するものに限る、これは民訴法ですが、あるいは刑事訴訟法の方でもそういうようなことではないかと思いますけれども、まずこういう点についてもう一度伺いたいと思います。
 三点の拘束があるんだとこの間説明がございましたね。それをもう少し具体的におっしゃってください。
#18
○説明員(長嶺安政君) 御説明申し上げます。
 平和条約第十一条におきましては、まずその前段におきまして、日本国が極東国際軍事裁判所等の裁判を受諾することを規定しております。
 また、同条後段におきましては、右前段の規定を前提といたしまして、日本国において拘禁されている戦争犯罪人につきまして日本が判決の執行の任に当たること、恩赦、釈放、減刑などに関する事項は日本政府の勧告に応じて判決を下した連合国政府においてこれを行うこと、極東国際軍事裁判所の下した判決につきましては連合国の過半数によって決定するとの具体的な義務を課したものでございます。
#19
○板垣正君 この間の答弁では、要するに判決だけじゃないんです、判決理由とか起訴のときの起訴状とかそういうことにも全部拘束されるんですという答弁があったじゃないですか。今おっしゃったような点はこれも問題なんです。
 今読み上げたとおり、あの判決を受諾した、だからあの当時なお巣鴨にせよ豪州にせよフィリピンにせよ死刑判決を受けた人も含めて千名を超えるいわゆる戦犯と称する人たちが刑の執行を受けていたわけですね。講和条約が結ばれたらそういう人たちが全部釈放されるのが国際法の原則ですよ。にもかかわらず、あえて十一条を設けて、これは日本政府の責任で刑の執行をやれ、釈放するかどうかはおれたちが決めるんだと。これが第十一条の趣旨ではありませんか。だから、現実に一部の人は昭和三十三年までその拘束が続いたわけですね。したがって、その問題も大きな疑問であります。
 この間の三点に拘束されるというお話はどういうことですか。
#20
○説明員(長嶺安政君) 御説明申し上げます。
 この極東国際軍事裁判に係る平和条約第十一条におきましては、英語正文でジャッジメントという言葉が当てられておりますが、このジャッジメントにつきましては、極東軍事裁判所の裁判を例にとりますと、この裁判の内容すなわちジャッジメントは三部から構成されております。
 この中に裁判所の設立及び審理、法、侵略、太平洋戦争、起訴状の訴因についての認定、それから判定、これはバーディクトという言葉が当てられておりますが、及び刑の宣言、これはセンテンスという言葉が当てられておりますが、このすべてを包含しておりまして、平和条約第十一条の受諾が単に刑の宣言、センテンスだけであるとの主張は根拠を有さないものと解しております。
#21
○板垣正君 そうすると、あの裁判自体が国際法に違反している、あるいは事後法によって行われた、そういうような国際法違反という点が厳しく指摘されているわけですけれども、そういう点については政府見解としてはそれも批判はできない、それにもかかわらず拘束をされるんだ、こういうことですか。
#22
○説明員(長嶺安政君) 御説明申し上げます。
 極東国際軍事裁判につきましては、諸外国におきましてもあるいは学者の間におきましても、この裁判をめぐる法的な諸問題に関しましては種々議論があるということは先生御案内のとおりでございます。
 ただ、先ほど御説明申し上げましたとおり、いずれにしましても国と国との関係におきまして日本国はこのサンフランシスコ平和条約第十一条によりまして極東国際軍事裁判所の裁判を受諾しておるわけでございますので、連合国に対してこの点について異議を唱える立場にはないということでございます。
#23
○板垣正君 これがまさに政府見解ということでしょうね。
 この前提にありますものは、あの裁判というものを無条件に受け入れざるを得ないという文場であって、その後国際的にも、ニュルンベルクの裁判も含め――これはドイツの場合と日本の場合は随分条件が違うわけですね。ドイツの場合はまさに首脳自身が壊滅、政府が壊滅して文字どおりの無条件降伏です。即決に軍事裁判的に処刑しても構わないくらいの決定的な敗北の中で、このニュルンベルク裁判というものはいろんな経緯がございますけれども組み立てられ、ほぼそれと見合った形で東京裁判という条例がマッカーサーのもとで決められ、裁判が行われたわけですけれども、我が国の場合にはポツダム宣言を受諾して、言うなればその条件のもとに降伏をした。ドイツの場合とは立場が全く違う点があります。
 そういう点を超えて、ポツダム宣言という条件つき敗戦にもかかわらず、マッカーサーが乗り込んできて、武装解除を遂げた途端にまさに無条件条約そのものをあらゆる政策において行ったということが現実でありましょう。当時はああした敗戦の廃墟の、しかも極めて深刻な状況の中で、それにあえて抗議をするだけの力もなかった。そういう点で、この裁判そのものが司法裁判というよりは政治的な判断と裁判であった。
 これは東京裁判の判決が出てからですが、形式的にも合法的な姿をとりたいということで、奇妙なことですけれども、アメリカの最高裁に一部の被告の名において上申しているんですね。しかし、それをはねつけているわけです。
 そのときの、昭和二十四年六月二十七日のアメリカの最高裁のダグラスという判事がこの裁判についてこう言っているんです。極東軍事裁判所は裁判所の設立者から法を与えられたのであり、申立人の権利を国際法に基づいて審査できる自由かつ独立の裁判所ではなかった、そのゆえにパール判事が述べたように、同裁判所は司法的な法廷ではなかった、それは政治権力の道具にすぎなかったと。アメリカの最高裁の判事が上申を受けた立場においてこの東京裁判とはどういうものであったかを明確に述べているではありませんか。
 そういう点を含めますと、単に形式的に裁判を受諾したから、そのもとで一言半句も公式的に物が言えないというような姿勢はもうこの辺で見直さなければならないのではないのか。
 この辺について、官房長官、この間予算委員会の論議がありましたけれども、こうした問題については依然として政府見解は変わりありませんという立場をあくまで押し通していこうとするのか。世紀も変わろうとしている。いろいろ問題があるにしても、そうした面については開かれた論議をやっていくべきだし、開かれた論議に対してブレーキになっている政府の姿勢というものからこの際一歩踏み出すべきだ、こういう政治的な御判断というものは出てまいりませんか。その点を伺います。
#24
○国務大臣(村岡兼造君) 板垣先生からるる御説明がございました。
 東京裁判を見直すべきではないか、こういうようなお話もされましたが、政府といたしましては、極東国際軍事裁判については、諸外国においてもまた学者の間でも同裁判をめぐる法的な諸問題に対して種々の議論があることは承知をいたしておりますけれども、いずれにいたしましても我が国は国と国との関係においてはサンフランシスコ平和条約第十一条により極東軍事裁判所の裁判を受諾しているので、同裁判に異議を唱える立場にはないと考えております。
 歴史についての政府の考え方は、我が国が過去の一時期に植民地支配と侵略により多くの国々とりわけアジア諸国の人々に対し多大の損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受けとめ、これらに対する深い反省とおわびの気持ちに立って世界の平和と繁栄に向かって力を尽くすということで、橋本総理も同様の考えでございます。
 以上でございます。
#25
○板垣正君 まことに牢固たる政府見解というものが再確認される、こういうことで私は大変残念に思います。
 この裁判については、極めて政治的な仕組みの中で行われているということも再確認する必要があると思うんです。ドイツの場合とは違うと申しましたけれども、占領国の立場、連合国の立場においてはそうした立場でこれを組み立てていっている。特に、今まで国際法的な立場からは観念になかった無条件降伏を要求する、かつその戦争犯罪人という当時の指導者、これの個人的な責任を問う、こういう形で今までの国際法にない措置がとられた。
 この背景にありますのは、連合国があくまで聖戦である、それから当時のドイツなりを含めて日本の立場というものはまさに侵略そのもの、悪そのもの、そういう立場に立って、国際法としてよりどころとしたのが不戦条約でありますが、しかし不戦条約があの時点において戦争について一方的に敗戦国の犯罪を問う、個人責任を問う、こういうことは当時の国際法には定められていなかった、まだその域まで達していなかった。現在とてその点はまだ不明確でありましょう。そういう意味におきましては、まさに国際法を超えた政治的な裁判であったわけであります。
 こういうことについて、一部の学者が言っているとか、一部に論議があるとかいうことではないんではないのか。そうした本質をついた論議については、国内におきましてもいろいろ行われておりますし、このこと自体がいろいろ教育の雨その他にも非常に深刻な影響をもたらしているというふうに言わなければならない。
 先日の予算委員会における私の質問に対しまして、橋本総理はこうした東京裁判というふうなことについて、今後の歴史教育、将来の子供に対する教育についてこう述べておられるんですね。
 私は、将来の我が国を担う子供たちが我が国の歴史また文化というものを理解して、日本人の自覚、誇りを持って国際社会の中で生きていく、そういうふうに育てていくということは極めて大事なことだと思います。
 そして、学校での歴史教育というものは、客観的、学問的な研究成果というものをきちんと踏まえながら、事実は事実として、国際社会の中における国際理解、国際協調といった観点からバランスのとれた指導が行われるべきもの、そして子供たちが歴史的な事象というものをみずから多角的に考察し、公正に判断する能力を育てるその基礎を与えるものだと私は思います。
 私もこの総理の御答弁のとおりだと思うんですよ。だからこそ、ゆがんだ東京裁判史観によってすべて我が国が誤りであった、悪であった、侵略国家であった、植民地支配をした、アジアを苦しめた、そういう歴史しか持っていない日本なんだと、そういう教科書は見直すべきではないのか、その淵源する東京裁判史観というものはこの辺で見直すべきではないか。そうでなければ、総理が言うようなバランスのとれた教育は成り立たないんじゃないですか。
 答弁においてはこうしてきれいなことを言う。きれいなことを言うが、では現実にはそういう誇りの持てるような、バランスのとれた歴史認識が持てるような教科書が作成されているか、あるいはそういう世論が形成されているか。東京裁判が徹底的に日本の解体を企図した占領政策の一環として、この国の精神的解体なり歴史の破壊なり、そういう政治的な政策というものによって行われた。これにどこかでけじめをつけてこの国の主体性を取り戻さない限り、今日に至ってもなおかつあれに拘束されておりますと、これで正常な教育というものが可能でしょうか。官房長官、もう一度政治的信念について承りたい。
#26
○国務大臣(村岡兼造君) 東京裁判につきましては先ほど板垣先生のお話がありましたが、政府としては私が答弁したとおりでございます。
 また、歴史的な近隣諸国条項というか、教科書検定のことにも触れられたと思いますが、我が国の教育は平和的な国家及び社会の形成者を育成することを目的としており、このため学校教育においても国際理解と国際協調の精神を培うことを重視いたしております。
 この点については、教科書検定においても従前から配慮してきたところでございますが、昭和五十七年夏に中国、韓国等から意見が寄せられたこと等にかんがみ、近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていることとの新たな検定基準を加えることにより、我が国と近隣アジア諸国との友好親善を一層進める上で教科書の記述がより適切なものになるようにしたところであります。
 今後とも教科書検定についてはこの基準のもとで適切に行うことが必要なことであると考えております。
#27
○板垣正君 まだ次の問題に入っていなかったんですけれども。
 では、東京裁判の問題については、これは延々とやってもむなしい気もいたしますが、しかし私は引き続いて、この問題こそ国の基本にかかわる問題ということで、この間も申し上げましたパールさん、総理も高く評価し、まさに法の正義のためにただ敢然として日本無罪論を、連合国は国際法に違反して裁く資格はないと、こういうことを言われた。
 パール判決書について私は一部訂正しておきますが、あのとき四万語の判決と言ったが、四万どころじゃなかったんですね。調べてみますと八十八万五千語なんです。膨大なものですよ、八十八万五千語。あの方はもう宿舎にこもりっきりで二年半、あらゆる資料を集め、広範な資料のもとに、また日本のいろんな資料、いろんな人に会う、そういう形で、単に国際法を盾にとってこの裁判はおかしいと言うのみならず、日本の行った現実の事変についても一つ一つ触れて、これは侵略にあらず、したがって無罪だと言い切った判決を出されている。こういう点を私どもはもう一度受けとめなければならないんではないのか。
 パールさんは判決書の中でこういうことを言っています、東京裁判に対して。勝者によって今日与えられた犯罪の定義、勝者つまり連合国が裁判所条例をつくった。国際法はない。つまり、
 勝者によって今日与えられた犯罪の定義に従っていわゆる裁判を行うことは敗戦者を即時殺戮した昔とわれわれの時代との間に横たわるところの数世紀にわたる文明を抹殺するものである。
文明の裁判どころではない、文明抹殺の裁判ではないかと。
 かようにして定められた法律に照らして行われる裁判は、復讐の欲望を満たすために、法律的手続を踏んでいるようなふりをするものにほかならない。それはいやしくも正義の観念とは全然合致しないものである。かような裁判を行うとすれば、本件において見るような裁判所の成立は、法律的事項というよりも、むしろ政治的事項、すなわち本質的には政治的な目的にたいして、右のようにして司法的外貌を冠せたものである、という感じを与える
こういうことを判決文の中で喝破しているわけですね。
 パールさんの名が今にも伝えられ、日本とインドの間の紐帯の立場にあるこのパールさんの思いというもの、つまりあれは政治的裁判であるから、これを政治的決断によって切りかえていく、正義のもとに、法の名のもとに。そうでなければ、この国の真の独立はあり得ない、精神的な立ち直りはあり得ない、私はこのことを重ねて申し上げたい。
 続きまして、ただいま官房長官も触れられましたいわゆる近隣諸国条項ですが、これも極めて正当であるというお立場でもう既に御答弁もいただいたわけでありますけれども、この問題も大変深刻な影響をもたらしております。
 昭和五十七年、当時は鈴木内閣、宮澤官房長官のときですね。高校の歴史教科書の検定結果が発表されまして、各マスコミがそれを分担して見て記事にする。そのときにある社が間違って、今度の文部省の検定によって、日本が侵略したと書いてあるのを文部省が検定で進出と書きかえさせた、こういうことが大きく報道されたわけです。これがきっかけですよ、この教科書騒動と言われるものは。
 それが報道を通じ中国側をいろいろ刺激した。中国側は外交ルートを通じて、これは日中友好の精神に反する、とんでもないと、こういう厳重な抗議を申し入れてきたわけですね。そのときは既にそういう教科書を調べてみたらなかった。誤報なんですよ。誤報ですから、当時、渡部昇一さんがテレビを通じてこのことを明らかにされた経緯もありますし、産経新聞だけが大きな訂正記事を出しました、あれは誤報でしたと。ところが、ほかの新聞はほとんど訂正しないままに既成事実として運ばれた。
 当時、私も国会におりまして、今なお記憶しておりますが、文教部会が開かれ、文教部会長は石橋さんでしたが、教育権をめぐってけんけんがくがくの論議をやったわけです、他国の干渉を許すべきではないと。
 しかし、その後、頭を越えていわゆる宮澤官房長官談話というものが出され、これによって、深く反省いたします、政府の責任においてこれは直しますと、こう言い切ったわけですね。それがすなわち文部省の、形式は手続を経たにせよ、今後教科書については近隣諸国の国民感情その他に配慮して教科書を書きます、そういう立場で検定します、これがいわゆる近隣諸国条項なんですよ。
 それまではいろいろ検定意見が付せられておりましたが、自来、日本が侵略をした、あるいは南京虐殺だ、いろいろなことについてほとんどフリーパス、検定意見はつけないと。こういう形で教科書問題というものが一挙に偏った形になったという深刻な経験がある。しかも、なお今日まで現実に続いておる。
 それ以前の段階におきましては、教科書の行き過ぎ、日教組教育の行き過ぎ、偏向教育、偏向教科書等に対して、もっと開かれた立場における、自民党におきましても教科書正常化の議連とか、文部省もまた信念的な教科書検定調査官等もおられて、徐々に教科書の是正もなされてきた。それを一挙に覆したのがまさにこの近隣諸国条項です。
 ですから、現時点においては文部省の検定基準といえども、この近隣諸国条項については、そういう外交的経緯を経て政府が官房長官談話においてやっているという立場から、文部省の手が届かない。ということは、一体あの教科書を本当に検定している実力者、権力者はどこにいるんだ、こういうことになるではありませんか。
 今、教科書の問題というものが教育の問題と関連して大きく社会的にも論議をされ、その中からもこの検定基準における近隣諸国条項というまさにこの国の自由な教科書作成なり自由な検定に大きな枠組みをはめ込んでしまっている。こうしたものについては見直すべきではないか、見直してもらいたい、私も強くそのことを要望するわけでありますが、官房長官、もう一度端的にお答えをいただきたい。
#28
○国務大臣(村岡兼造君) もう今までの経緯は十分に調査をされましての先生の御意見であろうと思いますけれども、歴史教科書についての官房長官談話、宮澤官房長官だと思いますが、「今後の教科書検定に際しては、教科用図書検定調査審議会の議を経て検定基準を改め、前記の趣旨が十分実現するよう配慮する。」と、要約すればこういうような談話でございまして、次に五十七年十一月二十四日の歴史教科書についての文部大臣談話、「この答申に基づき、義務教育諸学校教科用図書検定基準及び高等学校教科用図書検定基準を改正し、「近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること。」との規定を追加しました。」、こういうことで現在に至っている、こう思っているところでございます。
 もう一度私の意見というか考え方という再度のお尋ねでございますが、五十七年夏に中国、韓国等から意見が寄せられたこと等にかんがみ、「近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること。」との新たな検定基準を加えることにより、我が国と近隣諸国、アジア諸国との友好親善を一層進める上で、教科書の記述がより適切になるものにしたところでございます。
 今後とも教科書検定についてはこの基準のもとで適切に行うことが必要であると考えております。
#29
○板垣正君 結局、現状を肯定するといいますか、政府というものはそういう御答弁の枠から出られない。ただ、今読まれたその趣旨は近隣諸国と友好を深めるためにやるんだということですね。では、近隣諸国条項によって、日本は、私の国は侵略しましたということを検定基準の中にもちゃんと認めることで、南京虐殺だ何だと、こういうようなことを書いていることが本当に近隣諸国との友好になるんでしょうか。むしろ私は逆ではないのかと思うんです。
 それ以前に、さっき申し上げたように、東京裁判史観によってある意味ではまさに占領政策に洗脳され、あるいは左翼の運動で洗脳され、日本という国はとにかく犯罪的なことばかりやってきたんだと、こういうふうに信じ切っているような中で、追い打ちをかけるように近隣諸国条項によって、この国はさらにそういうことを生涯忘れてはなりませんと、こういう形で書き加えられているということは大変なことだと思う。
 そこから、本当に信念を持って隣の国と仲よくやっていきましょうと、こういうものが生まれるでしょうか。しかも、相手側は外交的にこれを一つの大きなカードにして、事あるごとにおまえの国は過去の犯罪を忘れるなと、こういうことにおける両国の関係というものは私は決して友好に役立っているとは思わない。先般、橋本総理も言った、日本人として誇りのある子供たちを育てたいというようなものにつながりませんよ。だから、マレーシアのマハティールさんのおっしゃるのも、日本という国は兄貴分としてもっと前を向いてやってくれ、いつまでも謝罪して歩くのはみっともないよと、こういうことだったんじゃないでしょうか。
 次もやっぱり官房長官談話の問題です。
 官房長官というのは政府の代弁者でありますから、軽々に物が言えないというお立場はわかりますけれども、しかし宮澤官房長官談話に続いて、いわゆる従軍慰安婦問題の政府見解の問題、これはもう国会でも再三論議をされましたね。
 そして、これはまさに政府の立場から、外政審議室の立場からいろんな資料を集めて調べてみたけれども、軍官憲によって強制連行した、強制したというふうな資料は一切見当たらないんです。にもかかわらず、平成五年八月のいわゆる官房長官談話、当時の河野官房長官の談話によって強制を認めると。これも国会論議で明らかにされましたけれども、その直前に韓国にこちらから行って、十六人ほどの元慰安婦と称する方々の聞き取り調査をやったというが、それについてはどういう内容であったかはいまだに公表もされておらない。
 ただ、当時の石原官房副長官等がインタビューに答えておっしゃっているのは、もうあのときには強制を認めなければ韓国がおさまらない、韓国がとにかく強制を認めてもらいたい、そうでなきゃ韓国もおさまらないと。では、これを認めれば何とかこの問題は一応平穏になるのかなと、こういうまさに政治的な判断といいますか、そういうような形で発せられた談話であったという。
 しかし、そのことによってこの問題が国連の場でも取り上げられる、国連の人権委員会でも取り上げられる、あるいはこの国がまさに人権の侵害といいますか、強制的にそういうことを軍官憲がやったということを国の立場で公に認めるということが学校の教育の面でも反映され、七社七冊の教科書にすべて、子供たちの中学生の教科書に、そういう日本の強制という行為、いわゆる従軍慰安婦として強制連行したと、いろんな書き方、表現はありますけれども、そういうことに相なっているわけであります。
 当時の時代を顧みれば、慰安婦と申しますか、そうしたお立場におられた人たちには気の毒なことであったと思うし、またそういうことに対するある意味の反省、先ほど来申し上げておりますが、すべて日本が善であった、日本のやってきたことは全部正しかったと私は申し上げているわけではない、東京裁判の問題にしても。しかし、私どもにはいろんな言い分がある。あらゆる問題について我々なりの言い分がありますよ。また、国家の命運をかけて命がけでみんな取り組んできているわけですよ。
 だから、誤りは誤りとして、事実は事実として、やはり事実を検証しなければならない。改めてあらゆる問題について史実にのっとって真実を明らかにする、その時期がもう五十何年だったから来ているんではないのか。まだ関係者も生存しておりますから、今のうちにできるだけ客観的な事実を明確にする、これが一番求められるところであります。
 私が強調したいのは、そういうものに目をふさいで、耳をふさいで、ひたすら一方的なこの国の断罪、この国は恥ずべき国なんだと、こういうことが繰り返しあげつらわれ、また教科書にまで取り上げられ、今日ですらその教科書がそのまま使われているわけですね。
 文部大臣には職権があり、権限があるんです。教科書が今の児童たちに果たして適当なのかどうか、そういうことについては版元に見直しの勧告ができるという教科書の検定規則に規定があります。私はそのことを直接文部大臣に国会の場において求めましたけれども、しかし文部大臣の立場におきましても、いや、政府の公式見解があります、政府が公式に強制を認めたんです、あの談話が変わらない限り文部省があの教科書を直すわけにはいきませんと、こういうことですね。
 こういうことにおきまして、これまた同じ答弁しかお伺いできないか、もう一歩踏み込んで政治的な御信念に触れたお答えはいただけないでしょうか。
#30
○国務大臣(村岡兼造君) もう先生よく調べられておるわけでございますが、慰安婦関係調査結果発表に関する内閣官房長官談話、河野官房長官だと思いますが、平成五年八月四日でございます。
 そしてまた、板垣先生が参議院の予算委員会で御質問をなさっておるわけでございます。平成九年三月十八日、政府委員として平林博君でございますが、
 第一点は、先生今御指摘になられましたように、政府が発見した資料、公的な資料の中には軍や官憲による組織的な強制連行を直接示すような記述は見出せなかったと。
 第二点目は、その他のいろいろな調査、この中には、おっしゃったような韓国における元慰安婦からの証言の聴取もありますし、各種の証言集における記述もありますし、また日本の当時の関係者からの証言もございますが、そういうものをあわせまして総合的に判断した結果は一定の強制性が認められた、こういう心証に基づいて官房長官談話が作成されたと、こういうことでございます。
 こういうことで、私のお答えとしては、いわゆる従軍慰安婦問題に関する政府調査は政府として全力を挙げて誠実に調査した結果を全体的に取りまとめたものであり、これまでのところ、政府調査結果を公表した際の官房長官談話の内容を変更すべき事由はないものと考えているところでございます。
#31
○板垣正君 もう時間になりましたのでこれで締めくくりたいと思いますけれども、これまた大きな問題でありますいわゆる村山談話の問題、これが今外交の基本に据えられて、事あるごとに私の国は村山談話のとおりです、侵略国家です、犯罪国家ですと、そういう姿勢で終始しているということ、これは本当に問題であります。
 これらを集約してまいりますと、戦後体制の大きな枠組みはやはり憲法の問題ですね。この憲法も、ああした制定経緯のもとで、しかも五十余年一字一句も改正されずに今日に至っておる。しかも、今なおあの憲法は定着しているから論議はしませんと避けて通るようでは、いつまでたってもこのくびきから脱することはできない。大きな改革が求められておりまするけれども、そういう意味における東京裁判史観あるいは憲法、こうしたものについて開かれた論議をやって、改めてこの国の基本というものを見出していく、歴史、伝統を踏まえながら未来を展望し、かつ新しい発展を遂げていこうという体制を今後とっていくことが私はこの国に一番求められているところであると思います。
 この点については、遺憾ながらきょうの御答弁はすべて現状維持、現状承認の枠を一歩も出ない、その点は極めて残念であったということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
#32
○大久保直彦君 おはようございます。
 官房長官並びに総務庁長官に若干のお尋ねをいたしたいと思います。
 初めに、官房長官、最近エリツィン大統領の訪日の日程が二転三転いたしているようでございますけれども、現時点でどのような状況になっているのか、もし承れればお願いいたしたいと思います。
#33
○国務大臣(村岡兼造君) 私の聞いておることだけ申し上げたいと思います。
 当初、十一日から十三日までの日程が決まっておりましたが、ロシア側の内政事情の変化等によりましてこれが延期をされました。ASEMに行っておる最中に橋本総理にエリツィン大統領から電話がございまして、一週間程度延ばしていただけないか十八、十九に延ばしていただけないか、そういう電話があったようでございまして、この十八、十九でロシアのエリツィン大統領訪日を受け入れると、こういうことを話したようでございます。
 同時に、現在、ASEMに行きました丹波審議官がロンドンからモスクワに行っておりまして、今詳細の日程を詰める状況になっておるわけでございます。一部の新聞記者等から十八、十九、二十日という話も出ておりますが、私の聞き及ぶ範囲ではまだ確定をいたしておりません。丹波審議官からまだその連絡が入っておりませんので、これは不確かでございます。
 もう一方、会談場所は川奈とこの前決めておりましたが、川奈を私どもも希望しておりまして、確定をいたしましたら、もちろん川奈を中心として、ノーネクタイというような形でやろうということで今協議中と、こういう状況であります。
#34
○大久保直彦君 日程が定まりましたら、また速やかに何らかの機会に御報告をいただければと思います。
 きょうは私は中央省庁等改革基本法案についていろいろお尋ねをいたしたいと思っておりましたが、その前に橋本内閣の国会に対する基本的な姿勢について若干お伺いをいたしたいと思います。
 今、御承知のように本予算の大詰めの審議をいたしておるわけでございますが、予算が上がる前に上がった後のことについてとやかくごちょごちょいろんな御発言がある。やれ真水は八兆円だとかいろんな発言があって、一体これは本予算をどのように認識しておられるのか。与党内にもいろいろ御意見があるようでございますが、どうなっておりますかこれは。
#35
○国務大臣(村岡兼造君) ただいま大久保先生がおっしゃいますように、参議院で平成十年度予算の審議が行われております真っ最中でございます。昨日も私、参議院の予算委員会の理事懇談会に呼ばれまして、今の大久保先生のおっしゃったようなきついおしかりがございました。
 まず第一点は、総理大臣がASEMに行っていろいろ話しているけれども真意はどうなのかと。これは決して先のことは言っておりませんと、ただ新聞がロンドンでの内政懇で言ったことについて推測して書いている、こういうことでありますと。きょう今こういう質問が出てくるとは思いませんでしたので、ロンドンでの総理大臣の内政懇のペーパーは手元に持っておりませんが、そういうことを申し上げました。
 もう一点は、それはそれとして、今一生懸命に参議院で審議しているのに、自民党の役員というか幹部がテレビその他でいろいろ発言をしている、これは一体どういうことなのかと、そういうことのおしかりを受けました。総理や閣僚はそういう発言はしていないけれども党の幹部がしているのは一体どういうことか、橋本総理は総理と同時に総裁であると、これは参議院の予算委員会の理事懇で自民党の理事からも、また各野党の理事からもきついお話がございました。総理にその話をお伝え申し上げ、昨日、私は出席いたしませんでしたけれども、総理からそのような言動は慎むようにということで要請をして、そういうようなことになったとは聞いているところでございます。お騒がせしておりましてまことに申しわけございませんと、私がこういうおわびをしてきたところでございます。
#36
○大久保直彦君 官房長官がおわびをしたというのはどこへおわびをしたのか定かではありませんけれども、官房長官としても、やはり政府の基本方針として、この予算審議の最中にあたかも予算が上がったがごとき発言があることは許せないという御認識、御見解である、このように承ってよろしゅうございますか。
#37
○国務大臣(村岡兼造君) どこにおわびしたかということは、参議院の予算委員会の理事懇談会で、いろいろお騒がせしておりまして申しわけございませんと、こういうことでございます。
 私も実は秋田でちょっと久しぶりに講演しまして、一生懸命景気のことに頑張る、こう言いますと、すぐ大型補正予算を組むのではないかと、こういうふうに新聞が推測記事を出すわけであります。
 きのうの夕刊をごらんになればおわかりでしょうが、官房長官も八兆円の真水を認めた、こんなようなことが夕刊に出ておるわけです。十一時ごろの記者会見でそんなことは一つも言っていないわけであります。総理のロンドンでの話はこういうことでございますと言ったら、見出しに八兆円、官房長官も検討する、後ろにちょっと推測と。これでいろいろ我が党にもおしかりも受けました。特に野党の皆さんには不謹慎じゃないかとおしかりを受けると思っておりますが、記者会見、記者の質問と私の答弁は全部テレビにあります。正直に言って朝日新聞でありますが、厳重な抗議をしておきました。
 そういう状況であります。
#38
○大久保直彦君 報道のあり方等々についてはまだ別の問題としまして、官房長官の御発言のように景気対策に頑張ってもらわなきゃ困るわけでございます。一生懸命頑張っていただいて、できるならばこの本予算をいじってでも今の景気対策をやるべきではないか。これを先々の話とするには余りにも現時点の景気動向についての認識が薄いのではないかとさえ思わざるを得ません。
 御承知だと思いますが、三月度においてはスーパーの売れ行きが六%から八%落ち込んでおる。また、JRの乗降客も非常に今ダウンをし始めておる。JRのお客さんが減ったということは、その先の末端消費もあわせて下落をしておるということでありまして、三月末では一万八千円という株価を何とかキープしたいと思ったけれども、それも至らず、現在に至っては一万六千円を割り込むような景気の状況である。もういち早く景気対策をやらなければならないと思います。
 そういう観点から、私ども野党が叫んでおります六兆円の減税、特に私ども公明はそれに加えて四兆円のいわゆる即効性のある景気対策をやらなければ、いつになったら日本丸は正常に運航できるのかもう沈没寸前である、いや、既に沈没してしまったと言う方もおります。
 中小企業への貸し渋りの問題や、この間も三人の中年の同年輩の方が集団自殺をするというようなニュースを拝見いたしまして、私はただごとではないと。大の男が、ダービー馬の馬主にもなったような男が友達と語らって三人で同じロープを分け合って首つりをする、こんなことは戦後の日本史の中においても例を見ないような極めて非常事態と言わざるを得ないんじゃないか。
 そういうときに、減税も結構ですけれども、減税をしてもそれが即消費に結びつくかどうかということが私は一番大きな問題だと思うんです。減税された分がたんす預金になったり懐に暖まっていたのでは景気の回復にはならない。
 そういう意味では、この一年間という期間を区切った、いわゆる短期の即効性のある消費を喚起しなきゃならない。そのために、時限つきの商品券を発行して、これは消費税を値上げした分の二%に見合う四兆円と申し上げておりますけれども、これをこの一年間で消費していただく。時限つき商品券ですから、一年を超えれば、時限を過ぎれば効果がなくなってしまう。もう商店からタクシーまで使えるように使途の幅を広げまして、即効性のある合わせて十兆円の減税、経済対策をしなければ、今のこの不況から脱却することは極めて困難だ。やれ公共事業だ、公共投資だ、やれ総合病院をつくるんだと、いろんなお考えもあるようですけれども、いつになったらその効果が出てくるかわからないようでは今のこの深刻な不況を脱却することは非常に難しいのではないかと思います。
 野党が言ったからどうとかこうとかではなくて、橋本内閣の見識におかれて、私は揚げ足をとるつもりで申し上げているのではありませんけれども、今の不況脱却のために経済政策に万全を期すべきである、この不況の脱出に万全を期すべきである、このように申し上げたいと存じますが、御所見を賜りたいと思います。
#39
○国務大臣(村岡兼造君) 大久保先生、いろいろな御所見を述べられました。私が大蔵大臣とか経企庁長官であればいいのでございますけれども、今の景気対策に万全を期していかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
 同時に、これは総理大臣のロンドンでの話でございますが、私は、現在の景気状況について、戦後初めてあらゆる悪条件が重なり、極めて厳しい状況に直面しているとの認識を持っております。国民の皆様がさきに発表された与党の十六兆円を上回る規模の経済対策に対応して政府がどういう景気対策を打ち出すかを注目していることも承知いたしております。私はこれまでも内外の経済金融情勢に対応して臨機応変の措置をとると言ってきており、今の景気の実態に照らして何が本当に必要かつ有効な方策なのか、与党の経済対策の御提言を参考にしながら私自身で真剣に熟考している。私が今申し上げられることは、内外の危機的な経済状況を踏まえて、やらなければならないことは大胆にやっていくということでありますと。
 つまり、財政、金融上の措置を軸に内容の充実した実効性のある具体的な対応策を考えていきたい、参議院で予算を審議中のことであり、予算が成立した段階のできるだけ早い時期に財政構造改革会議を招集することにしたい、こういう発言を総理はしております。
 私自身も景気対策には万全を期していきたいと思っております。
#40
○大久保直彦君 財革法がある限り特例公債の枠は一兆三千億とか一兆四千億とかという縛りがあるようでございますけれども、私どもは財革法を修正したからその責任をどうだとかなんとかというやぼなことは申しませんので、この際、修正するなり凍結するなりして一日も早く財源を確保して、そして景気対策に全力を挙げるべきだ、最優先課題として取り組むべきだということを申し上げておきたいと存じます。
 そこで、総務庁長官に伺いますが、二十一世紀まであと千日だそうでございます。二十一世紀の我が国がどういう発展を遂げておるかということはこの行政機構の是非と深いかかわり合いがある、日本国発展にこの行政機構がどうあるのかということが大変大きな働きをすると思うんですが、今出されておりますこの中央省庁等改革基本法案について、時間もありませんので、どういったことをねらっておられるのか、できれば三つぐらいに分けて簡明に御答弁いただければと思います。
#41
○国務大臣(小里貞利君) 一つは、硬直化あるいは肥大化いたしましたいわゆる縦割り行政の弊害が顕著である戦後の行政システム、戦後型の行政システムと申し上げていいんじゃないでしょうか、これらをこの機会に大幅に見直す、今日の経済社会情勢下におけるいわゆる国の事務事業というものを見直して、そして現在の政府が果たすべき役割というものを大胆に検証してみよう、そこが私は一つの原点であると思います。
 もう一つは、いつも言っておることでございますが、そのために簡素にして効率的な行政、あるいはまた機動的で効果性の高い行政遂行能力と申し上げましょうか、そういうレベルの高い行政組織の体制をつくる、こういうことであろうと思う次第です。
 それから、それを具体的に推進するために、今三つぐらいに分けて話してみろとおっしゃいますから三つ目であえて申し上げる次第でございますが、しばしば御論議をいただいてまいりました規制緩和というものを大きな基準に置いております。この規制緩和の推進状況につきましては、過去三年あるいはまた数日前に発表いたしました六百数十項目の中身はきょうは省略申し上げますが、私どもはこの規制緩和に相当重点を置いて進めていくことが行政機構の効率化を促進すると思っております。
 あるいはまた、申し上げるまでもなく地方分権の問題がございます。これも今までしばしば論議をし、かつまた実施を進めてまいっておりますが、これでは極めて不十分であります。目下、政府を挙げまして地方分権推進のための具体策につきましても検討中でございますが、今国会にお諮りをしていろいろ御意見を承りたい、さように思っております。
 また、官民分担の推進なども極めて重要な要素であろうかと思っております。そのほか、事前管理、事後チェックの問題、あるいは独立行政法人に既に多くある行政機関等を引き出していくという問題等、いろいろその推進方策につきましてはプログラムなりあるいはその方式を準備いたしておるところでございまして、今次国会で御相談申し上げておるところでもございまするので、それらの機会におきましてただいま申し上げましたことも具体的に御指摘をいただき、あるいはまた御議論の機会を賜れば幸いだと、さように思っております。
#42
○大久保直彦君 小里長官のお人柄なんでしょうか、今の御答弁を伺っているとなかなかいい話だなというふうにお伺いできるんですけれども、何か実感が伴ってこないですね。
 総理からもハッパがかかっているようですけれども、総理も御発言の中で焦眉の急であるということをおっしゃっているようでございます。これの見通しはどんなふうに持っていらっしゃいますか。
#43
○国務大臣(小里貞利君) まず、政府といたしましては、御承知のとおり、一年有余かけまして行政改革会議を中心にして真摯な、しかも集中的検討をいただいたと思っております。その間に、国会、各党の御意見なども直接、間接承ってまいったと思っておるところでございますが。それらを集約いたしまして、いわゆる中央省庁等改革基本法案を国会にお諮りいたしております。
 ではその見通しはどうかというお話でございますが、これはあくまで国会の皆様方の御審議であり、そしてまた皆様方の厳しいかつまた聡明な御判断をいただきながら、しかも通常の政策項目とは違いますので、日本の五十年、百年にかかわる極めて重要な法案でございますから、いろんな角度からの論戦論議を通じましてぜひこの基本法案を作品にしていただきたい、国会の意思として今次国会で御決定をいただけないものかと悲願をいたしておるところでございます。
#44
○大久保直彦君 申し上げるまでもなく、政治は国家と国民のためのものでありますから、行政サービスはより効率の高いものでなくてはならない、またよりきめ細かく透明性のあるものでなければならない、そして言うならば地方の役割、権限といったものを強化した住民密着型のものでなければならないのではないか。そういう意味では、今叫ばれております地方主権、三分の一自治などという言葉もありますけれども、そういう時代に即応した行政改革というものが行われなければならないと思います。
 にもかかわらず、この基本法案を拝見いたしますと、言葉は確かに地方主権とか分権とかというのが出てまいりますが、しかしその問題に対する理念というものがもう一つ鮮明ではないように私には見えてなりません。
 またあわせて、今の総務庁長官の御発言では、縦割り行政の弊害を打破するんだということで、例えば総務省というのは自治省と郵政省と総務庁が合体されまして三十万の職員のいる省になるんだそうですね。そのときに、今ですら大蔵省等々で大臣の責任問題がいろいろ問われておりますけれども、新しくできる三十万の職員を抱えた総務省、長官がもしそこに就任をされた場合、果たして目が行き届くというかリーダーシップが発揮できるのか。私はこの巨大な省のトップに立つ大臣が名目的な大臣になってしまうんじゃないかなという危惧を持っておりますけれども、その辺について御所見はいかがでしょうか。
#45
○国務大臣(小里貞利君) 時間の関係もございましょうから、ちょっと整理をして申し上げさせていただきます。
 郵政、自治、総務でドッキングをして一つの省という前提で御相談申し上げておるところでございまして、簡素にする、そして透明性が大事だよ、それから地方分権も大きな柱ではないか、そういう一つの概念を深く持ちながらお話しいただいたと思うのでございますが、先生がおっしゃったとおりでありまして、今言われた一つ一つの項目を大事にしながら、しかも具体的実効性を持った方策なり計画を立てながらこれを実践するということだと思うんです。
 しかも、その実践につきましては、これはあえて申し上げる必要はないのでございますが、総理もしばしば言っておられるように、大変な変革でございます関係で、従来もそのとおりでございましたが、今もそうですし、これからも大変な痛み、障害あるいは抵抗があると思います。これはもう大変なことでございますけれども、これを実行いたさなければただいま先生の御指摘になったような結果に陥るおそれがありますから、私はまずそれが大前提だと思っております。
 それから、新しい総務省の関係でお話をいただきましたが、これとて今日、例えば五万足す十万は十五万ですよ、あるいは三万足したら十八万ですよというような単純な気構えでは私どもは責任が果たせないと思っております。いわゆるスリム化あるいは総定数の問題等もいろんな工夫をいたしましてこれを整理合理化する、そして縮減していくという試み、しかも実行を前提にした一つの段取りというものもきちんと立てていかなければならぬと思っております。
 では、具体的にどのような手続でどのような制度でこれを実現していくかとなりますと、きょうは時間の関係もありますから申し上げませんけれども、例えば独立行政法人制度というものもこの際研究をいたしました。そして、法案の中にも織り込んでおりますから、ぜひこれもひとつ御批判をいただきたいと思っております。
 あるいはまた、先ほど若干私が申し上げましたように、従来の事前管理、しかもそのつかさつかさ、あるいは組織の裁量に過大に偏っておりました行政の姿勢、仕組みというものを事後管理、事後チェック型に切りかえていくことによりまして、しかもこれは明確に具体的に、より裁量の可能性の少ないルールもきちんと決めてかかるところに事務事業なども相当縮減されていくなという感じを持っております。
 相当あるそれらの要素あるいは推進策というものを、この際この基本法案をお認めいただければ、来年の春ないし今ごろまでの間をいただきまして、政府を挙げて、あるいは国会や政党の御意見をお聞きしながら、お力添えをいただきながら総合的に並行作業が進んでいくところに、おのずから各省庁の再編というものが具体化されてくるものと、こういうふうに確信をいたしておるところでございます。
#46
○大久保直彦君 今の御答弁にもありましたように、省庁のスリム化、簡素化ということは非常に大きなテーマだと思います。この基本法の中では十年後に一割ぐらいは減るのではないかという極めてアバウトなことが述べられておりますが、より具体的なプロセスをきちっとつくっていきませんとこの基本法の精神は満たされないのではないかと思います。数は減っても中身が太るということではならないと思います。
 地方分権、住民密着型の制度はどのようなものが望まれるのかという議論もこれあり、また官民の役割分担の議論もこれあり、そして最後に中央省庁はいかにあるべきか、そういう流れてこの論議は進んでいかなきゃならないのではないかと思われます。
 どうか行革の本旨に立ち戻った省庁の改編でありますように強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#47
○瀬谷英行君 私は、特に最近、年少者の犯罪というのがマスコミをにぎわすようになったということで、少年法の問題について質問をしてみたいと思います。
 元来、法律というのは国民を守るためにあるものだと思うんですけれども、悪事を働く者が法律を盾にとってその罪を免れるというようなことになったのではよくないと思うんですね。その意味で、最近の年少犯罪というのはかって我々が聞いたこともないようなことが出てきておるわけです。
 例えばナイフなどというものは持ち物検査をして持っちゃいけないとかなんとかいろんなことを言うことがはやっておりますけれども、ナイフを持っちゃいけないなどということは我々が小学生のころは言われたことはないんです。あれは鉛筆を削るものだと思っていたから、筆入れに鉛筆と一緒に持って歩いた。持ち物検査などというものはやられた覚えがないですね。ところが、最近はナイフでもってけんかをして仲間を傷つけたりあるいは殺したり、さては学校の先生を殺したりというとんでもないことが出てきております。
 一体これはどういうことなんだろう、その原因は何だろうかということを考えると、法律以前の問題も多々あるという気がするんですね。これから先そういうことがはやってはいけないと思うし、対策としてはどうしたらいいのか、根本的な原因は一体どこにあるのかということをきわめておく必要があると思うのでありますが、その点についての御認識をお伺いしたいと思います。
#48
○国務大臣(村岡兼造君) 瀬谷先生から、ナイフを使用する少年犯罪の問題は所持品の検査だけでは解決しないのではないか、犯罪の動機を分析しながら対応を見きわめるべきではないか、こういうお話がございました。
 瀬谷先生の時代、私の時代は小学校へ鉛筆削りのナイフを持っていきましても問題はほとんどなかった。ただ、正確ではございませんが、その当時のナイフは鉛筆削りのナイフでございますので、刃渡りが十センチ以下ぐらいだったと思います。私は実際に警察庁からこのバタフライナイフあるいはサバイバルナイフという現在少年が持っております実物を見せていただきました。これは刃渡り十五センチから十センチですが、ぱたっとおさめればポケットにも入る。しかし、これを開けば刃渡りもある程度ありまして、殺傷にも使える。あるいはサバイバルナイフなどというのは腰にでもぶら下げて歩かなければならないほど、刃渡りが相当大きなものでございます。こういうものは鉛筆削りや何かで学校へ持っていくべきものではないんじゃないかと私自身は考えております。
 これを堂々と学校に持っていく、あるいは散歩に持っていく、こういう状況はうまくないので、これは学校によって学校長の判断で、強制ではないけれども、所持品検査をするとか聞いておりますが、これだけでこの犯罪が直るとは考えておりません。しかし、予防的と申しますか、こういうことも学校長の判断によりましてやっていくことも必要かなと思っております。
 少年の問題行動の深刻化の背景には、青少年を取り巻く家庭、学校、地域社会などの環境の変化や青少年自身あるいは社会全体の価値観などのさまざまな変化があるものと認識をいたしております。
 この問題については、対症療法的な対策を考えるだけでなく、問題の本質を深く洞察し、社会のあり方そのものを問い直すような根本的な取り組みが必要と考えており、このため、総理の指示によりまして、三月六日には次代を担う青少年について考える有識者会議を発足、関係審議会の会長等に関係閣僚が加わり、青少年をめぐる問題を幅広く議論している最中であります。今後この有識者会議における御議論等を踏まえ、関係審議会で審議を深め、あるいは行政に生かすなどして対策を順次実施していけるように努力をしていきたいと考えております。
 この次代を担う青少年について考える有識者会議を今精力的に開催いたしておりまして、今月中があるいは来月早々にはある程度の会議の意見も出てまいりますので、関係審議会がいろいろございますが、この会議での結果を審議会で審議を深めて対策をとっていく、こういうことになろうかと思います。
#49
○瀬谷英行君 この少年法では二十歳に満たないうちは少年であって、大人というのは二十歳になってから成人式というのをやるんです。
 今やっている高校野球に出てくる選手、あれは大概二十歳未満ですね。十七、八でしょう、大体において。三年生、二年生でもって若干体格が違うかもしれませんけれども、いずれも一メーター八十センチクラスのがざらにいるわけです。今の我々の年代の大人に比べるとはるかに体が大きくなっている。それが少年という枠の中にはまっておるんですけれども、果たしてこれが妥当かどうかということを考えると、余り妥当だとは思われません。
 戦後の法律というのは、占領軍の指図に従って、憲法を含めて、多分に世の中で悪い者が得をするような、あるいは悪事の防波堤に使われるという懸念があるような気がするのでありますけれども、恐らく十代でもって仲間を殺したり、けんかをして傷つけたり、あるいは親を殺したりといったようなことはかっては考えられなかった。日本の道徳の中ではとんでもない話だということが平然として行われる。その中で、果たしてこの少年法というのは有効に役割を果たしているんだろうか、果たし得るんだろうか、根本的に考えなきゃいけないんじゃないかという気がするんです。だから、法律をわかりやすくして、悪事を許さないという厳しさも必要になってくると思うんです。これは占領軍の占領政策も問題があったかもしれません。
 例えば、きょうの予算説明の中でも、裁判官弾劾裁判所というのがあるんです。これは非常に言いにくいですよ。これは委員長だってよほど心して言わないととちってしまう。議長あるいは委員長といったような人も、これは気をつけて物を言わないと言いにくいし、こういう字句そのものももう少し考えてみる必要があるんじゃないかと思うんです。弾劾なんというのはやたらと使う言葉じゃないですね。だけれども、やたらと使う言葉じゃないけれども、法律用語として、あるいは裁判官の名称として果たしていいかどうかということだって考えてみる必要があると思うんです。
 そういうふうに、戦後に出てきたいろんな問題を考え直すということが今必要じゃないか。その意味で、少年法というのが、最初の文句としては健全な育成を図るとかいろんなことが書いてありますけれども、それがどうも実態に合っていないような気がするのでありまして、年少犯罪の原因というものをどういうふうにとらえてどうしたらいいのか。
 何か事故があるというと、校長先生が頭を下げたりなんかしている。証券会社の重役が不祥事でもって頭を下げるまねをしているんじゃないかと思うくらいなのでありますが、学校のせいとばかりは言えないと思う。校長先生の責任じゃないと思うんです。だけれども、マスコミはそういう校長先生に対して一体どういうわけだというふうに糾弾の矛先を向けるという傾向があるわけですが、これは少年法でもって解決ができるのかどうか、現行少年法というのは一体どういう役割を果たしているんだろうか、これは考えてみる必要があると私は思うんですが、その点についての見解を承りたいと思います。
#50
○国務大臣(村岡兼造君) 現在、低年齢の少年による凶悪事犯が発生したことなどを契機として、少年年齢の当否等の問題が提起され、種々議論がなされております。
 最近の少年犯罪の動向やその処遇の実情を踏まえ、現行制度が適当か、あるいは改正を考えるべきかについては関係当局において必要な検討がなされているものと承知をいたしております。現在、刑法では刑事責任年齢が十四歳、しかしまた少年法に十六歳未満は刑事処分はできない、保護処分にする、こういう法律もあるわけでございまして、現在この少年法の二十歳未満を下げたらどうかという論点と、十六歳未満の者について刑事処分ができるようにするかどうか、あるいはまた十四歳未満に刑事責任を下げるかどうか、こういう三点について議論が行われているものと私は承知をいたしております。
#51
○瀬谷英行君 赤穂浪士だって元服前の連中は討ち入りに参加させなかったですね。参加をすれば切腹ということも考えおきゃいけないだろう、それには年少者を道連れにしちゃかわいそうだ、こういう配慮があっただろうという気がするんです、これは赤穂浪士の時代の話ですけれども。そういう精神が逆に悪事の防波堤になるということになると、これはゆゆしいことだと思うんです。
 大体、人を殺したり傷つけたりするというのは、余り知能の程度の劣っている者ができるんじゃないんです。かなり頭のいいやつ、悪知恵の発達している連中がやるんですから、だからどういう法律があってどういう法律によって保護されているかということを万々承知の上でやっているんじゃないかという気がいたします。それを考えたならば、法網をくぐられるということはやはり許してはならないことだし、そういうことがないようにするためには、学校教育だけではなくて家庭の問題もあると思うし、いわゆる大人の責任というのが非常に大きいと思うのでありますが、それらの問題には一体どのように対処していったらいいのか。これはこれから先の日本を考える場合にお互いに十分に考えなきゃいけないことだ、配慮をしなければならないことだと思うのでありますが、その点に対してどのような認識をお持ちでしょうか。
#52
○国務大臣(村岡兼造君) 先ほど言いましたように、この少年法についての論議が三点にわたってなされておると承知いたしております。
 こういう法律的な問題等について私は余り詳しくありません。法律学者、法務省の専門の方々あるいは弁護士の方々、こういうような方々が議論していると思いますけれども、これについて私がどうこうということになりますと、またいろんな問題も惹起するということでございますので、お答えできることは、少年法の問題について現在このような悪質な犯罪が起きている、したがってこの少年法の三点について議論をしているところでありますと。
 また、日本はナイフでございますが、外国なんかを見ますと、これまたもうピストルによる犯罪も起きている、こんな状況でございまして、こういうようなのがうつってきているのかな、あるいはテレビのああいうようなシーンがそれを起こしているのかなというふうにも思います。
 こういうような事件も、起こした少年についての原因を丹念に調べながら、どうやってこういう気持ちになって起こしているのか、これを丹念に調べてその対処、もちろん法律も結構でございましょうし、対症療法も結構であろうと思いますが、いろんなところから分析して真剣に対策を立ててまいりたい、こういうふうに思っているところであります。
#53
○瀬谷英行君 外国は果たしてどういうふうな状況にあるのか。日本だけがこんなに年少犯罪がふえているとは私は考えたくありませんけれども、外国における年少犯罪の実態はどうなのか、それから対応策はどうなのか。日本だけじゃなくて、ヨーロッパの先進国でもこういう問題は出てきているんじゃないかという気がするんです。
 それに対して、我々の時代においていかにすべきか、こういうことを防止するためにはどうしたらいいのかということを根本的に考えなきゃいけない。単に学校教育だけでもって片のつく問題ではないと思うんです。そうすると、親の教育だってしなきゃいけない。そのためにはどうしたらいいかということもあると思いますが、物事には、結果には必ず原因があるんですから、原因の究明というものをちゃんとやっておかないと対策というものは立たないと思うんです。その対策を立てるのはやはり政治の大きな使命じゃないかという気がするのでありますが、その点についての見解をお伺いしたいと思います。
#54
○説明員(渡邉一弘君) ただいま外国の少年犯罪の動向はどういうふうになっているかそれから外国の制度はどのようになっているかというお尋ねがございましたので、その点につきまして私の方から御説明させていただきたいと思います。
 まず、その前提といたしまして、我が国の年少者、例えば十五歳、十四歳というものの犯罪の動向を見ました場合に、検察庁におきます全事件の通常受理人員は、最近では昭和五十八年の十二万九千七百二十名をピークといたしまして、平成八年にはその半数まで減少しているところでございます。
 また、殺人あるいは放火、強盗、強姦というような凶悪事件に限って見ましても、昭和三十年代には千六百名から千七百名を数えておりましたところ、その後減少しまして、平成二年には二百七十六名となっていたものでございます。しかし、その後、平成八年には四百人に達するなど増加の傾向があるので、その動向には特に留意をしているところでございます。
 他方、諸外国の少年の動向に関しましては、そのすべてを承知しているわけではございませんが、また統計のとり方にも違いがあったり変更があったりするなど必ずしも正確な対比は困難ではございますけれども、一九九五年までの数年間を見た場合、フランス及びイギリスにおける凶悪事犯あるいはドイツの少年犯罪全体に増加傾向が見られる一方、アメリカにおきます例えば十八歳未満の少年による殺人事件につきましては一九九三年をピークとしてやや鎮静化の傾向にあるように理解をしております。
#55
○瀬谷英行君 成人式というセレモニーが戦後行われるようになりました。この成人式というのは、我々も地元で呼ばれるけれども、何かそらぞらしい感じがするんです。女の子は晴れ着を着る。それが楽しくて成人式があるような感じを受けてしまうし、男の方は男の方で一人前に何をやってもいいんだなというふうな感じを持つ者もあるし、それから悪事を働く者はこの少年法がむしろ悪の防波堤になっている、こういう甘えが出てくるんじゃないかという気がするんです。
 そういう甘えを持たせるということはよくないと思いますから、少年法のあり方というものについてもこの辺で検討してみる必要が多分にあると思います。このまま放置しておけば悪い者に都合のいい法律になってしまう、こういう気がいたしますが、その点についての政府の見解を伺いまして、私の質問を終わります。
#56
○国務大臣(村岡兼造君) 瀬谷先生は、温床にしちゃだめだ、法律を見直してと、こういう御意見だろうと思います。それらも踏まえて、先ほどの三点について、いろいろな学者、法律家あるいは弁護士等その他の意見もあろうかと思いますので、今の御意向は法務大臣にもお知らせをいたしますけれども、その三点について検討の最中であろうと思っているところであります。
#57
○委員長(石田美栄君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
#58
○委員長(石田美栄君) ただいまから総務委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、瀬谷英行君が委員を辞任され、その補欠として渕上貞雄君が選任されました。
    ―――――――――――――
#59
○委員長(石田美栄君) 休憩前に引き続き、平成十年度総予算中、皇室費、国会所管、会計検査院所管、内閣所管及び総理府所管のうち総理本府、宮内庁、北方対策本部を除く総務庁を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#60
○足立良平君 民友連の足立てございます。
 最初に国会図書館の関係で二、三お聞きをいたしまして、後ほど情報公開の問題を中心に総務庁の方にいろんな考え方をお聞きしていきたい、こう思っております。
 まず最初に、国会図書館館長にお聞きをいたしたいと思いますのは、平成十年度の予算を見ますと国会図書館関西館の着工費用というのが計上されているわけでありますが、これの進行状況は一体どうなっているのかということが一つ、それから二つ目にこの関西館の特徴というのを一体どこに置かれているのかこの点についてまずお聞かせを願いたいと思います。
#61
○国立国会図書館長(緒方信一郎君) 関西館の進捗状況と特徴ということでございます。
 まず、進捗状況でありますけれども、国立国会図書館関西館の建設につきまして、国立国会図書館建築委員会という組織がございますが、ここから平成六年度に国会に対して勧告がなされまして、平成十四、五年の開館を目指すということになったわけでございます。
 この勧告の中に関西館の目的も書かれておるわけでございますけれども、一つは大容量の書庫を持つということでございますが、もう一つは新しい時代に適応いたしました情報の発信機関として整備をしていく必要があるということでありまして、これを早急に整備する必要があるというようなことが勧告の中身でございました。
 平成七年度から事業の実施段階に入りまして、まず用地取得に着手をいたしました。同時に、平成七年度から八年度にかけまして建設省主催の建築設計競技が行われまして、陶器二三雄さんという方の作品が最優秀作品に選定をされました。これに基づいて基本設計を開始いたしました。平成九年末に基本設計を完了いたしまして、引き続き平成十年当初から実施設計に入ったわけでございます。
 平成十年度予算の政府原案におきましては、まず平成七年度からの継続でございます用地取得費等の二十一億円、それから実施設計等の費用、これが平成九年度からの継続で四億八千万円が計上されますとともに、新たに建設工事費が約五十四億円計上されたわけでございます。これは躯体部分の工事に係る費用約百八十一億円の三カ年国庫債務負担行為の初年度分ということで計上されたわけでございまして、合計しまして関西館関係の平成十年度予算の総額は約八十億円が現在計上されております。
 工事日程といたしましては、平成十年度の後半に着工いたしまして、平成十四年度の開館を予定いたしておるわけでございます。
 現段階で関西館の工事費の総額は約四百二十六億円と見込んでおりますが、財政構造改革の趣旨をも踏まえまして、総工費その他の経費の節減に今後努めていきたいというふうに考えておるところでございます。
#62
○足立良平君 そういうスケジュールを進めていく中で、先ほどちょっとお聞きをいたしたわけでありますけれども、私もいろんな点で調べてまいりましたときに、高度情報化社会に対応する図書館のあり方ということで、そういう面では電子図書館事業等々も計画をされているようであります。
 そういう点につきまして、特にこの電子図書館というふうな状況を考えてみると、これから新しい時代に内かつて図書館の持つ役割、機能が一体どういうふうに変化してくるのかということにつきましてさらに説明を願いたいと思います。
#63
○国立国会図書館長(緒方信一郎君) お尋ねの電子図書館というのはかなり広い概念かと思いますけれども、国立国会図書館では平成六年度以来、電子図書館の構築に向けた取り組みを行ってきております。そのねらいといたしますところは、一つは国会議員の皆さん方あるいは国会関係者に対しまして、国会会議録でありますとか政府刊行物など国政審議に役立つ豊富な情報を提供するということでございますが、同時に広く国民に対しましてどこからでも必要といたします資料、情報にアクセスできるようにするというのが大きな目的でございます。
 電子情報の場合には、本や雑誌のように利用者が図書館に出かけなくても、どこからでも自分の手元のパソコンから必要な文献、情報を直ちに入手できるという点が最大の魅力でありまして、すぐれた点であるわけでございます。
 近年のマルチメディア技術の進展というものが電子図書館サービスというものを技術的に可能にしてきておるということが一つありますし、同時にまたインターネット接続の普及というようなことが利用者環境を整えつつあるということを申し上げることができるかと存じます。
 そういうわけで、私ども国立国会図書館としても今後この電子図書館という方向に大いに力を入れていきたいというふうに考えておるわけでございますが、この構築のためにシステムの開発とコンテンツ、要するに中身の作成、それから著作権処理というような制度の問題と三つの基盤があるわけでございまして、こういう基盤整備を関係機関とも協力してこれまでも構築し、あるいは実験してきたわけでございます。その中には、衆参事務局と国会図書館の三機関で共同で取り組んでおります国会会議録フルテキスト・データベースの構築というようなものも含まれておるわけでございます。
 平成九年度には、国内の電子図書館の専門家、有識者に検討をお願いいたしまして、国立国会図書館が目指すべき電子図書館についての報告をおまとめいただきました。これを受けまして、これから電子図書館構想とその基盤となりますシステム基本計画というものを近々に策定いたしまして、本格的に取り組みを進めてまいりたいと考えているところでございます。
#64
○足立良平君 この関西館をつくるというのは大変な大事業でありまして、これはハードの面、建物をつくるということも大事でありますが、ただいま館長から話がありましたように、いわゆる電子図書館の中身になるコンテンツの構築というのが不可欠のものだろうというふうに思います。
 そこで、ちょっとお聞きをいたしたいと思うんですが、このコンテンツの構築といいますか、そういうものに対するいわゆる費用がこれから一体どういうふうな状況になってくるのか、あるいはまたインターネットなりを使っていろんな情報を引き出したり、これも随時やっていける、しかもこれは極めて簡易にできることになろうと思いますけれども、そういう場合に、例えば引き出すに当たっての費用等、これからの問題でありますけれども、考え方としてはどういう考え方をすればいいのか、これをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#65
○国立国会図事館長(緒方信一郎君) ただいま御指摘がありましたように、電子図書館のコンテンツというのは非常に大きな問題であるわけでございます。これは要するにデジタル化された資料というものを構築していくということになるわけでございまして、どういう優先順位でどういうものをどういう費用でデジタル化していくかというようなことが問題になるわけでございます。その場合に、著作権という処理すべき大きな問題があるというようなことで、それをそれぞれ同時進行的に解決しながらこれから進めていくということでございまして、これからの問題ということになるわけでございます。
 先ほどこれまでの実験ということを申し上げましたが、若干そういう点で実験を進めておりまして、これは通産省の外郭団体でIPAというところがございますが、そこと共同で電子図書館の実証実験というのを行ってまいりました。このために、今現在約一千万ページ程度の資料を既にデジタル化しておるものを持っておるわけでございます。それからまた、国際子ども図書館のためのデータとしまして、児童書の関係につきましてもある程度のデジタル化というものを進めつつあるというようなことでございます。
 これからの問題としましては、どういう経費で、これを全部国費で網羅的にやるというのはなかなか大変なことだと思いますので、先ほど申し上げました基本構想というものをこれから立てますけれども、そういう中できちんとした方針を決めて鋭意取り組んでいきたいというふうに考えておるわけでございます。
#66
○足立良平君 図書館の関係はこれで結構でございます。大変期待をいたしておりますから、ひとつこれから頑張っていただきたいと思います。
 その上で、総務庁の方にお聞きをいたしたいと思うんですが、総務庁に行政情報システムセンターというのがあります。このシステムの構築について、総務庁としても政府の各省庁の中におきましても大変意欲的に、しかも今からいたしますと二十年、三十年ぐらい前からこの行政関係の情報処理の問題について取り組んできておられるということを私は大変に評価をいたしているわけでありますが、このシステムの構築に要した費用は今日まで大体どのくらいかかっているか、ちょっと教えていただけますか。
#67
○政府委員(瀧上信光君) お答えします。
 総務庁の行政情報システムセンターは昭和五十三年度に政府部内の各省庁の電子計算機の共同利用施設として開設いたしまして、各省庁が利用するためのいろいろな共通検索システムの開発、運用等を行っております。昭和五十三年度から平成十年度までにシステムの開発、データ整備、データ入力等のシステム構築に要しました費用は二十一年間で合計約四十億円であります。
#68
○足立良平君 システムの開発だけで約四十億円というふうに答弁がございましたが、もちろん電算機の関係のいろいろな経費とかで別途百億近くかかっているのではないかというふうに推定をいたしております。
 その上でちょっとお聞きをいたしたいわけでありますが、このシステムはそもそも相当早くから意欲的に取り組んでこられたということもあったのでありましょうけれども、これへのアクセスが各省庁に限定をされている。今日まで各省庁が三十年近くすっと取り組んできて、そして総務庁としては大変ボリュームのある、しかも内容的に言うと立派なものを持っているわけであります。これが例えば国会図書館であればいろんなものを全部国民にオープンにしてアクセスが簡単にできるようにシステムをつくっているわけでありますが、このセンターについては各省庁だけに限定しているということのようであります。この点について考え方をもう少し説明を求めたいと思います。
#69
○政府委員(瀧上信光君) 御指摘の行政情報システムセンターは、例えば総務庁の法令検索システム等は専ら国の行政機関における法令の制定、執行等の事務を迅速的確かつ効率的に処理するということを目的としまして構築、運用をしているものでございます。
 こういった行政機関がみずからの業務のために運用しているデータベースシステムに直接国民等がオンラインでアクセスするということにつきましては、システムの安全対策上の問題やシステムの処理能力の問題等があるということで、困難な状況であります。
 しかしながら、行政機関が保有する磁気データの社会的活用を進めるという政府の方針を立てておりまして、こういった方針のもとに、法令検索システムの磁気データにつきましては、地方公共団体、国民の利用が可能となるよう、公益法人、民間等を活用してその提供を行っているところでございます。
#70
○足立良平君 これは長官にお聞きをしたいんです。今、総務庁の方としては、今の答弁にありましたように大変早くからこの問題に意欲的に取り組んできて、しかもいろんな集積を持っている。それを、これはあくまでも各省庁に限定することを前提にスタートしていることは、私はいいか悪いかはちょっと別にして、一応そういう状況にあるということです。
 ただ、これらの情報公開というのが今日の行政上極めて重要なファクターになってきている。そしてまた、事実、政府におかれましても、三月末だったでしょうか、情報公開法案が今既に提出されているというふうな上に立って、今までのことは今までとして、このシステムを一般の国民に開放するというか、アクセスが簡単にできる、そういうふうに切りかえていくべきではないかというふうに私は考えるんですが、この点、長官、いかがですか。
#71
○国務大臣(小里貞利君) お話をお聞かせいただきまして、私の感じを申し上げる次第でございます。
 お話しのとおり、昭和五十三年に始まりまして、相当な歴史も持っております。それだけ鍛錬された一つの設備であり、そしてまた機能を展開いたしてきておる、こう思われるところでございますが、先ほど先生の方からのお尋ねに対してお答えいたしましたように、公共団体等にも所定の窓口を通じまして可能な限り提供しておるということでもございますし、いわんや今日の行政改革という大きな国民的要請に対しましても、その趣旨を推進していく上からも、可能な限り開かれたものであり、かつまた国民の立場から見ましてもそれが合理的に利用されることは大変結構なことじゃないかそう思うのでございますが、ただ専門的に一つの設備あるいはまたその関係の諸条件がどういうふうにかみ合うのか、その辺は技術的にも研究する必要があるのかな、そういう感じを持つ次第でございます。
#72
○足立良平君 言葉じりをつかまえる気はございませんが、情報公開を進めていかなきゃならないというのは、総務庁としては率先的に進めていくというのが私は一番重要なことなのではないかというふうに考えるわけです。
 そうしますと、今の長官の答弁を聞いておりますと、可能な限りというまくら言葉がついているわけですね。可能な限りという点からすると、私はむしろここに蓄積されている情報というのは大変貴重な情報であるし、そしてこれを情報公開するという場合には、ある面においては個人的ないわゆるプライバシーをどのように守っていくかとか、あるいはまた安全上どうするかという問題は当然の話だろうと思います。
 情報公開を進めていくというときには当然その種の問題は考えなきゃならない問題であると思いますが、それはもう当然のこととして、やはり各省庁がどれだけオープンに情報を公開するかということがこれから、後ほど時間があれば公務員の倫理問題についても触れたいと思っているんですが、そういう公務員の倫理問題をきちんとしていくためにも、私はこれからの行政のあり方というものをこの情報公開によって抜本的に変えていかなきゃいけない、そういう時代に入っていると思うんです。
 そういう面からすると、長官が今おっしゃったように、可能な限りとか、あるいはまた国民的に合理的に利用できる云々とかということではなしに、まず公開をやりましょう、そしてそこで問題点はこれこれだからこの点についてはプライバシーを守るためにこういたしましょう、こういう発想の転換をしていかなきゃいけないのではないか、こう思うんですが、いかがですか。
#73
○国務大臣(小里貞利君) 一つは、先ほど政府の情報という先生がおっしゃった視点も非常に大事でございますが、また事実上の問題としていわば政府の道具という感じでもって申し上げた次第でもございます。
 改めて整理して申し上げますと、ただいま御指摘のように、この情報システムセンターの持つ情報の開放、行政機関が保有するいわゆる磁気データ等についてそのニーズに応じ積極的に社会的活用を図っていくことはいわば重要な時の課題である、そういうふうに認識をいたしておる次第でございます。
#74
○足立良平君 私は特にそういう点を考えてみますと、これはシステムの開発とかさらに費用等をかけなきゃならない一面性があるのではないかと思いますけれども、例えばこの業務の概要の中で法令検索システムという、本当にこれは大変ないいデータが入力されているわけでありますし、とりわけ判例検索とかなんとか等を考えてみますと、これは一般に早急に開示をしていくという姿勢でひとつ長官の方で取り組んでいただきたいものだ、このように私は要望しておきたいと思います。
 特に昨日の日経新聞の夕刊に、通産を中心にいたしまして省庁がフロッピーディスクで受け付ける、いわゆる電子申請というふうなことにも取り組んでいこう、こういう記事が出ているわけであります。
 こういう点を考えてみますと、各省庁もそういう機運が相当高くなってきているわけでありまして、むしろそういう面からすると情報公開法でインターネット等を利用した情報公開というものを総務庁としてお考えになっているかどうか、ちょっとお聞きをしておきたいと思います。
#75
○政府委員(瀧上信光君) ただいま御指摘の各種申請、届け出の電子化を初めとしまして、行政情報化推進基本計画というのを政府は推進いたしておりまして、その中で国民に対する情報提供の充実等を進めることとしております。そして、具体的には、各省庁におきましてインターネットを活用したホームページの設置、それからCD−ROM等による情報の提供の促進等を進めるということといたしております。
 情報公開法におきましても、開示請求の対象となる行政文書としましてはいわゆる電子情報も対象とし、こういった電子情報の開示方法につきましては具体的には政令で定めることにしておりますが、電子的な方法による開示ということについても取り組んでいく必要があると考えております。そして、請求の手続につきましても、電子申請の一環として進めてまいりたいというふうに考えております。
#76
○足立良平君 時間も余りないわけでございますので、最後に長官の考え方をお聞きしておきたいと思うんです。公務員倫理法に関する問題であります。
 ずっとマスコミ等を見ておりますと、与党の方におきましても、公務員が業者から接待を受けた場合に、例えば五千円以上であればどうであるとかというふうな方針が出されているようであります。これがいいか悪いか、きょうはこの議論は横に置いておきたいと思います。
 公務員倫理法をめぐって、これはお互いにきちんとしていかなければ、政治に対する不信ということも、あるいはまた公務員に対する不信ということも含めて今大変な状況になってきている。そして、国民の側からすると、すべて行政の側に対する不信感というものが横溢をしてきている。私は本当に憂うべき状況にあるだろうというふうに思うんです。
 ただ、ここで国家公務員として、公務員としてそういう面ではいわゆる国民の公僕であるということをきちんと自覚して対処していただかなければならないということは、これはもう当然の話だと思います。
 当然の話だと思うんですが、例えば一般的に倫理規定を法律で決め、あるいはまた罰則をつけということだけで本当に公務員の倫理観が向上し、そして今日生じてきているような不祥事というものを根絶することができるのだろうかというふうに考えてみますと、それは当然そういう努力をしていかなきゃならないのと同時に、その前に今日の裁量行政といいますか、そういう行政のあり方というものをもっともっと根本的に見直していかなきゃならないのではないかと思います。
 その点をきちんと対応していかないと、いかに厳しい倫理規定というものを法律としてつくったとしても私はちょっと意味がなくなってしまうというふうに思えてならない。そういう面からすると、この規制緩和といいますか、まさに規制撤廃というものがこれからの焦眉の課題になってくるというふうに私は思っておりまして、これなくして公務員の倫理を向上させていくということは不可能と思っております。
 それに対する長官の方の今日までの取り組みと、そしてこれからの決意というものをひとつお聞かせ願って、質問を終わりたいと思います。
#77
○国務大臣(小里貞利君) 先生の先ほどの御質問の情報システムの活用方に関連するお話でも触れておいでになったと思うのでございますが、いわば簡素にして透明な行政の姿、これを徹底的に求めるためにも大きな手段じゃないかというお話でございました。現在の言うなれば事前管理型の裁量行政というものに重心を置いた行政のあり方というものは行政改革会議におきましても相当比重をかけて議論されてまいった問題でございます。
 結論を申し上げますと、ただいま先生御指摘のとおり、この事前管理型のいわゆる裁量行政というものをこの際きちんと事後チェック型のルール行政に持っていこう、しかもそのルールもはっきりとだれでもわかるように、行政官はもちろんのこと、官僚は当然わかるように、さらに国民もわかるように、具体的に明確にかつ可能な限り裁量の余地の少ないルールというものをこの際きちんと打ち立てなければならない、そういう最終報告にもなりましたし、またただいま御相談申し上げておりまする中央省庁等改革基本法案の中にもそれは大きな柱として打ち込んであるところでございます。
 先生ただいま御指摘のとおりでございまして、いろいろ痛みや摩擦は本当にあるだろうと思うんです。これは相当な抵抗もあります。それは現在の組織、権限、予算あるいは事務事業を守ろうとする大変な力もあるわけでございますから、この際、政治が思い切ってメスを入れまして、おっしゃるような一つの行政の体系に抜本的に改めていく必要がある、そのように感じておりまして、お話、御指摘についてはことごとく共鳴をするものでございます。
#78
○足立良平君 終わります。
#79
○吉岡吉典君 先ほど板垣議員から東京裁判についての御意見が述べられました。私もこの問題は少しだけ勉強してきたものであり、板垣議員とは全然違った意見を持っておりますし、私の意見を述べたい衝動に駆られますが、ここは議員間の討論の場ではありませんので、それは述べません。そういう異なった意見を持っているということだけを表明し、そういう論議も行える場がつくられるように望むものであります。
 さて、官房長官、私は前回、領土に関する問題で要望を行いました。それに追加をしたい問題が一つあります。それは、この間、領土問題についての所管官庁をきちっとしてもらいたいということを言った理由の一つにもなりますけれども、日本では領土の問題についてわからない問題がいろいろあるんですね。そして、どこへ聞いていいかがこれまたわからないという状況があるわけです。
 その一つとして、実は私は中ノ鳥島という島について、わからない島だと思ってずっと勉強し続けてきた問題があります。私は出身が島根県で、竹島問題が早くから大きい問題になりましたので、島嶼、島の日本への領有問題に興味を持ちまして、日本で沖縄、小笠原から始まって、十幾つの島嶼が日本領に編入されてきた経過等を調べてまいりました。
 その中で、明治四十一年の閣議決定で日本に領有された中ノ鳥島というのがあるんですね。鳥島というので沖ノ鳥島、南鳥島というのと中ノ鳥島というのがあるんですが、この島は戦後幾ら探しても、いかなる記録もないけれども、閣議決定で日本領有とされた。そして、日本領有では東京府に編入し、小笠原島庁の所管とする、こういう閣議決定ですけれども、どこにもそれが見つからないので調べました。国土地理院等に問い合わせても何の要領も得ない、わからないということでした。
 調べてみますと、この島は実際なかったんですよ。実在しない島を閣議決定で日本領と決定したんですね。まことに奇妙なる決定をやったものだと思いますが、当時の文書を見ますと、閣議決定自身にこの島については疑いがあるということを書いた上で、将来確かめればいいというようなことまで書いた閣議決定で、ある意味では権威のない閣議決定をやったもので、今後このような閣議決定はあってはならないことだと思います。
 しかし、「帝国ノ版図ニ属スヘキハ論ナキ」と、疑いがあっても日本の領土がふえることは論議の余地がないという決定なんですね。私は、率直に言って、領土拡張欲が理性を発揮させなかった一つじゃないかと思います。
 そのことをきょう問題にしたいわけじゃありません。ないことがわかった後の処理がきちっとやられていない、これではまずいというのが私の感じです。
 昭和十八年に海軍水路告示で、実在しないからとりあえず海軍の水路図誌からは外すと。しかし、一般にはあることになって残っていて、これが昭和二十一年になって初めて水路告示で「精測ノ結果存在シテイナイコトガ認メラレタ依テ図誌ヨリ削除スル」、地図から外すということになっていることがわかりました。私はこれがわかるのに、ぼつぼつの調査ですが、数年かかりました。
 そうなると、もとの閣議決定というのは、これは一体いつどういう手続でどういうふうに処理されたか。地図から一方的に消すだけで、対外的に日本領だと言っていた島をどういう処理をしたのか。これはいろんなところに聞いてもまだわかりません。
 改めて今、私がこういうことを言うのは、領土問題を所管する委員会ができた機会に、こういうことをきちっとしたいということとあわせて、日本は領土紛争を抱えている国なんです。我々の言う千島、竹島、それから尖閣列島、こういう領土問題で日本の主張が根拠あるものだということを国際的にきちっとする上でも、日本は領土問題についてあいまいさのない、ルーズでない、きちっといろいろな問題をやっている国だということにしておかなくちゃならないと思うので、私はこういうことも取り上げたわけです。
 これを質問通告しても、恐らくきょうここで答弁を求めても、どうなっているという答弁はしにくいだろうと思います、私が調べてきた経過から見ても。ですから、この場で答弁は求めません。こういう問題をきちっとしておくことが、我が国がいろんな国と領土交渉を進めていく上でもきちっとしている国だということになるし、あわせて領土問題というのは対外関係だけじゃなくて国民からいろんな問い合わせが来てもわかるようにきちっとやる部署が必要だという意味で、これはきちっとしましょうということにしていただきたいと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。
#80
○国務大臣(村岡兼造君) 先ほど来、吉岡先生の言われるとおりであろうと思います。
 四十一年の七月に閣議決定をいたしまして、「自今該島ヲ中ノ鳥島ト名ケ東京府小笠原島庁ノ所管ト為サムトス」と。十八年には「機密水路図誌ヨリ之ヲ削除スル」、二十一年には「中ノ鳥島不存在」、「精測ノ結果存在シテイナイコトガ認メラレタ」、こうなっております。したがって、中ノ鳥島の存在は現在確認されておりません。
 本件については、相当昔からのことであり、また関係部局も多岐にわたるため、直ちに事実関係などを確認することは困難でございますが、三番目が問題でございまして、御指摘の趣旨も踏まえ、適切に対応をしてまいる考えと答弁には出ておりますけれども、私もこの空気の中に、この辺に何かあるかといったって、ないというものをまだ閣議決定であると、こういう状況で、方々の先生から質問が出まして、政府部内の有識者に、ここに何かあるよと、こう見たって何もないよというのを閣議決定していておかしいじゃないかと、こうお聞きしましたけれども、なかなかきのう、きょうの話ではございませんので、今後こういう問題等も検討してまいりたいと思います。
 こういうふうに適切に対応してといったって、これはなかなかおかしな答弁でございまして、一応書いてはおりますが、こういう問題等も本当に検討して、どこでそういう部署、あるいは自国領土というもののところも今度しっかりしていかなきゃいけない、検討してまいりたいと思います。
#81
○吉岡吉典君 検討していただくということで、次に進みます。
 危機管理の問題について、この前は時間が十分なくてお尋ねできなかった点を幾つか実務的に質問していきたいと思います。
 私は、前回も取り上げました邦人保護ということで、海外に軍隊を出動していろいろ戦争をやった歴史もあるということを言いましたけれども、きょうは歴史的にやったことで今後もやる、あるいはそういうことはやらないということをまずお伺いしたいと思います。
 具体的に言うと、義和団の鎮圧のために軍隊を出動した、あれに倣った邦人保護の態勢が必要だという議論があるわけですが、こういう提案を受け入れて、義和団鎮圧のために軍隊を派遣したようなことを今後も考えられるのか、あるいは提案者の提案については応ずるわけにはいかないということなのか、まずこの点から伺います。
#82
○国務大臣(村岡兼造君) いわゆる海外派兵とは、一般的に言えば武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣することであると解されております。このような海外派兵は一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって憲法上許されないものであり、今後とも自衛隊がかかる活動を行うことはない。
 他方、外国における災害、騒乱その他の緊急事態に際し、防衛庁長官は外務大臣からの依頼を受け、自衛隊法第百条の八に基づき、生命または身体の保護を要する邦人を輸送することができるとされておりますが、これは武力行使の目的を持つものではないことから、いわゆる海外派兵に当たるものではないと考えております。
 政府としては、自衛隊法第百条の八に基づき、適切に在外邦人等の輸送を行う所存であります。
#83
○吉岡吉典君 その次には、外国がやったことの例がある問題ですが、アメリカがイランでの大使館人質事件のときに、失敗したけれども軍隊を送ってこの救出を図った、こういうことは私は起こり得ないだろうと思います。しかし、ペルー大使館の占拠のときにはそれに近いような議論も議論としてはありました。大使館人質事件というふうなことはあってはならないんですが、万が一あった場合に、アメリカがやったようなことも考える余地があるのかないのか。
#84
○国務大臣(村岡兼造君) 例えばペルー事件のようなという例をとりましての御質問でございますが、御指摘のような事態における警察の特殊部隊の海外派遣については、個別具体的な事例に即して、国際法上の観点も含め種々の要素を総合的に勘案して慎重に判断すべきものと考えておるところでございます。
#85
○吉岡吉典君 この場合には警察の特殊部隊の派遣については検討の余地のある問題だということが述べられました。
 私は議論しません。一々確認をして、いろいろ明らかにしていきたいと思います。
 その次には、ハイジャックの際、外国の空港にまで日本の自衛隊なりあるいは警察の特殊部隊なりを派遣してこれに対する措置をとる、外国でそういう例があったわけで、そういうことも起こり得るか否か、これはいかがでしょうか。
#86
○国務大臣(村岡兼造君) 国外におけるテロ事件などに対する自衛隊の対応については、法的な観点も含め慎重な検討が必要であると考えております。
 いずれにせよ、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土等に派遣することは憲法上許されないものであり、また武力の行使に至らない場合であっても、現行自衛隊法上、他国の治安を維持するため武装した自衛隊の部隊を出動させることはできないと考えております。
#87
○吉岡吉典君 これも若干、武力行使云々ではないが、いろいろ検討の余地があるととり得る答弁でありました。
 それはさておいて、次に行きます。
 邦人救出のための措置、これは現に自衛隊の輸送機が出かけたことがあります。報道によると、護衛艦も出られるように法改正をやろうということになっております。
 さて、この場合は邦人救出が必要ですから紛争地帯へ行くことになる、当然そこで紛争も起こり得ると思います。その際に、それは自衛のためということであろうと武力的なトラブルが起こり得る余地があると思いますが、これは武器を持って出かけるのか武器は持たないで出かけることになるのか。
#88
○説明員(横山文博君) 先ほど官房長官から説明がございましたように、自衛隊法第百条の八で在外邦人の輸送に自衛隊機が行くことになっておりますが、これは現在、機内の秩序維持のために警務官がけん銃を持っておるだけでございます。そのような運用をしております。
#89
○吉岡吉典君 その次に、難民対策のために自衛隊なり警察特殊部隊なりの出動ということがあり得るかどうかということであります。
 これは昨年、梶山前官房長官が朝鮮半島での難民の云々という発言でいろいろ論議になったことがありますが、ちょうどあの梶山さんの発言があった少し前に僕は安保を担当している方から同じような話を聞きました。
 それは、一国が崩壊するというふうな事態が万が一あった場合にどういう事態が起こるか。ヨーロッパ等での歴史が示すところによると人口の一割が難民化する。もし北朝鮮が崩壊するというようなことが起これば、二百万人ぐらいの難民が生じて北と南に向かって流出する可能性がある。日本にだって一けたのみならず二けたの万単位の難民があらわれるであろうが、そこへの対策は、これは当然のことだけれども、朝鮮半島でかかる難民が大量に発生した場合に韓国だけではこれに対処し切れないだろう。その際、日本がどういう支援をすべきか。具体的に言えば、自衛隊の役割が生ずるであろうというふうに我々は考えている。あなたら、ほうっておいていいのかと。こういう批判的問いかけとあわせて私はそういう意見を聞かされました。現役の人からですから、検討中のことだっただろうと思います。
 そういうことも危機管理対策の中の一つになるのかならないのかを含めてお答えを願います。
#90
○説明員(横山文博君) いずれにいたしましても、先ほど官房長官がお答えされたように、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土に派遣することは憲法上許されないことであり、また武力行使に至らないまでも、現行自衛隊法上、海外において先生が言われた難民あるいは邦人の人質の救出のため武装した自衛隊の部隊を派遣するということはできないと考えております。
#91
○吉岡吉典君 そういうことは私は武力行使の出動などとは思いませんよ、最初から。だけれども、そういうこと自体が考えられないということですから、次に進みます。
 今度、危機管理ということでの自衛隊の邦人救出のための出動ということになると、自衛隊が領域外に任務を持って出動していくという機会がだんだんふえてきた、こう思います。
 そこで、自衛隊が領域外に任務を持って出かけるケースというのはどういうケースがあるだろうかということ、同時にその中で危機管理のために出かけるのはどれになるのかということをちょっと列挙して教えていただきたいんです。
#92
○政府委員(江間清二君) お尋ねは内閣危機管理監との関係でのお尋ねというふうに思いますので、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。
 先般も御答弁申し上げましたけれども、今回設置をお認めいただきました内閣危機管理監が担当する事務といいますのは、内閣官房の事務のうち危機管理、すなわち国民の生命、身体または財産に重大な被害が生じ、または生じるおそれがある緊急の事態への対処及び当該事態の発生の防止ということで、そのうち国の防衛に関するものを除いたものを担当するということに規定をされております。
 その際、具体的にどういうような事態についてこの危機管理監が担当するかということでありますけれども、それは例えば暴動、騒擾あるいはハイジャック、大使館占拠といったような重大事件でありますとか、あるいは石油等の大量流出事故といった重大事故あるいは大規模災害、その他の事態としては大量難民の流入、これは我が国に対する流入ということでございますけれども、そういう流入、あるいは在外邦人の救出等というようなことが考えられております。
 そこで、これらに関して、自衛隊の活動との関係でどういうものがあるかということを見てみますと、今申し上げたケースから申しますと、例えば大規模災害に関しては自衛隊の災害派遣というようなことも関係しますし、あるいは重大事故のうち暴動、騒擾というようなことは、その事態の推移によっては自衛隊の治安出動というようなことも関係をしてまいると思いますし、そのほか在外邦人の救生活動、これは先ほど官房長官あるいは防衛庁の方からも御答弁がありましたけれども、邦人救出のための自衛隊機の派遣といったようなこともあるわけであります。
 先生の今の御質問の、では自衛隊の活動のうち領域外に出るもの、それも危機管理監として担当する範囲の中でどういうものが考えられるかという点でございますけれども、これは少なくとも国民の生命、身体または財産に重大な被害が生じ云々というようなことで、該当するものとしては在外邦人の救生活動というようなことがまず典型的な例として考えられるのではないかというふうに考えております。
 では、それ以外どんなものがあるのかということでございますけれども、これは具体的な事態の態様等によることでございまして、現段階で具体的にそういうことについて想定するというのはなかなか困難ではないかというふうに考えておるところでございます。
#93
○吉岡吉典君 最後に、PKOというのは危機管理と無関係か、あるいは場合によっては危機管理と重なる場合もあり得るのか、お伺いします。
#94
○政府委員(江間清二君) ただいま申しましたように、危機管理、すなわち国民の生命、身体または財産に重大な被害が生じ、または生じるおそれがある緊急の事態への対処及び当該事態の発生の防止ということで、防衛に関するものを除くということでございますから、その面から見てみますと、PKO活動というのは一般的にはこれに当たるというのはなかなか考えにくいところではないかというふうに言えようかと思います。
#95
○吉岡吉典君 時間ですので、終わります。
#96
○永野茂門君 最初に、官房長官に平成十年度予算編成の基本的な考え方について二つばかりお伺いいたします。
 その第一は、財政改革に向かってのデフレ予算を編成したその基本的な考え方についてであります。
 私ども自由党は、新進党と言っていた時代から、時期的に申し上げますと、さきの衆議院総選挙のときから繰り返し要求してきたところでありますが、繰り返し要求したというものは、経済の抜本的な見直し、大幅減税、行革等を中心とする景気回復策を優先実行してもらいたい、それが日本の当時の状況、現在もそうでありますけれども、に合っているんだと。もちろん財政制度改革の重要性を否定したり、財政再建はほっておいていいとか、そういうことではありません。それも大事でありますけれども、景気対策をしっかりと立てることが最優先のことであるということを訴えてきました。
 しかしながら、これに対して政府は拒否し続け、平成十年度予算は政府の方も御自覚のとおり財革を追求いたしまして未曾有のデフレ予算をつくりました。私どもはずっと言い続けてきたわけでありますが、景気回復予算への転換は、昨年の概算要求の指示あるいは年末の予算編成等の時間的経過を見るならば、十分我々の言うことを取り入れて予算の編成を修正するという時間があったと思うわけでありますが、にもかかわらずと申し上げたいのでありますけれども、これらは無視して、今のデフレ予算を強行してまいりました。
 頑固に修正をすることなく、そのため経済情勢は大変に悪化する、金融不安も引き起こすというような重大な事態になってきたわけでありますが、なぜこのように頑固に財政制度改革を追求し、景気回復、経済復活についてそんなに目もくれないのか。あるいは、それを予算通過後の補正予算に託するというようなことで時期がますますおくれていく、大変傷が大きくなるような状況を放置しておるのか。それには恐らく政府は政府としての見解があるだろうと思いますが、国民が理解できるように御説明をお願いいたします。
#97
○国務大臣(村岡兼造君) ただいま永野先生から、極めて厳しい経済情勢の中で財政改革優先のデフレ的な予算を出した理由は何かという趣旨の御質問でございます。
 昨年今ごろというか春ごろ、私は大臣ではございませんでしたが、国会の論戦を見ておりますと、中央、地方合わせて五百兆にも及ぶ借金がある、預貯金は相当ありますけれども、この財政改革に手をつけなければ日本はだめになると。また、いろんな先生の意見もございましたけれども、国会あるいは大学の先生を含めまして、また当時の新聞を見ますと、財政改革をやらなきゃ日本はためになるよ、借金だらけになるよ、少子・高齢化の時代に入りますよと、こんな論がまず大方の論議であったんじゃないかと思います。同時にまた、公共事業というのはもう減らした方がいいよ、何をしたってだめだよと、こういう論が一年ぐらい前には、正確でないかと思いますが、もう真っ最中と、こんな状況であったと思います。
 しかしながら、昨年の秋に株式等あるいは消費、設備投資、それからバブルの結果、銀行の不良債権がまだおさまっていない、こういうようないろいろな国内的諸条件、あるいはまた海外では東南アジアの国々の通貨が不安定になってきた、特に年末から、またことしに入ってからさらに景気が停滞してきたわけでございます。
 十年度予算については、歳入面から申し上げますと、内外の厳しい経済金融情勢に配慮するという観点から、二兆円の所得税、住民税の特別減税を実施する、これは九年度と十年度でございます。このほか、法人課税については三%引き下げ、法人事業税の一%引き下げ、課税ベースの適正化を図り、土地住宅税制についても、地価税の課税停止、土地譲渡益課税の軽減、居住用財産の譲渡損失の繰越控除の創設などの措置を講じ、金融関係の税につきましても、有価証券取引税や取引所税の税率を半減することとし、この二兆円の特別減税のほか、国、地方合わせて八千四百億円の減税を行うことにいたしておるわけでございます。
 また、金融不安に対しまして、成立をさせていただきましたが、金融システム安定化対策の一環として、預金保険機構に十兆円の国債を交付しているほか同機構の借入金等に係る二十兆円の政府保証限度額を十年度予算総則において設定したところであります。
 なお、歳出面におきましても、例えば将来の経済発展に向けての基盤整備のため、科学技術振興費に関し、創造的、基礎的研究の充実に配慮し、対前年度四・九%の増額をいたしております。
 したがって、十年度予算がすべて欠陥予算である、配慮を欠いたものではないと思っておりますが、政府としては、こうした諸施策を盛り込んだ十年度予算を早期に成立させていただき、九年度補正予算との間に切れ目を生じさせることなく実施に移すことこそが現在何よりも必要と考えておりまして、これらの予算の一日も早い成立に向けて御理解を賜りたい、こういうふうに思っているところであります。
#98
○永野茂門君 見解は違いますけれども、とにかく平成十年度予算を早く通すべきである、今に至ってはそういうことであると思います。
 そこで、橋本総理は、今回のASEMに出席中に、早い時期に財政構造改革会議を開くということを明らかにしまして、さらにこちらの方では加藤幹事長などが、景気対策が財革法に縛られないように参議院で予算通過後、同法を検討することを明らかにしました、まだ政府として固まっているわけではありませんけれども。
 いずれにしろ、こういうように景気対策を次に早急にやらなきゃいけないということはもう目に見えていることでありまして、こういうような要求が出てきた、あるいは政府が方針を転換しそうになっているのはどういう理由であるかということを簡単にお聞かせいただきたいと思います。というのは、どういうことかと申しますと、国民世論に押されているのか、あるいは政府みずから経済情勢を判断してこういうことをやらなきゃいけないと強く感じているのか、あるいは外国からいろんな要請をされているのか、あるいはこれらを総合してそういうことになっているのかということを簡単にお話しいただきたいのです。
#99
○国務大臣(村岡兼造君) 先ほども申し上げましたが、まず一日も早く予算を成立させていただきたい、これをお願いすることになるわけでございますが、財政構造改革は我が国の将来を見据え、安心で豊かな福祉社会、そして健全で活力ある経済の実現等の課題に十分に対応できる財政構造を実現するためのものであり、その必要性は何ら変わるものではないと思っております。
 また同時に、経済金融情勢の変化に応じて臨機応変の措置を大胆に講じ、景気の回復を図ることも当然でありまして、中期の目標と当面の目標への対応というタイムスパンの異なるものと考えておると申し上げてきておるところであります。内外の状況を見きわめながら、このような考え方のもとに必要な施策を講じ、景気の回復と財政構造改革へ向けて責任を持って取り組んでまいりたい、こう思っております。
 従来から内外の経済金融情勢の変化に対して臨機応変の措置をとると申し上げてきたところであり、このような考え方に沿って、与党三党による総合経済対策の基本方針を重く受けとめながら、政府としてどういう景気対策を打ち出すのか、真剣に今考えているところでございます。
#100
○永野茂門君 次に、公共事業費に移りたいと思います。
 公共事業費につきましては、本年度予算は前年度比七・八%のマイナスで、当然のことでありますが、これは結構なことであったと思います。長官は公共事業費が大変に冷遇された時期がある、大変に批判されていた時期があるとおっしゃいましたけれども、公共事業費については今から申し上げるような大改革をすべき内容を含んでいるわけでありまして、一層の重点化でありますとか、透明化による効率化、あるいは効果的な事業の執行が必要であることは言うまでもありません。
 建設コストは、よく言われているように、民間に比べて大変高いものでありまして、正当なところまでコストを落とす、単価を削減してコストを落とすというようなことも極めて重要でありますし、事前の評価によって、いわゆるかかるコストとでき上がった後の効果がどういうようなことかという評価のあり方も明確に確立されなければなりません。こういうようなことをしっかり確立して、そしてアイテムごとにちゃんと検討して公共事業費を組むということが今後しっかりと行われなければいけないと思います。
 ただいま例を挙げて、大体こういうようなことは改革しなきゃいけないということを申し上げましたが、簡単で結構でございますから、そういう改革についてどういうように手をつけられておるか、一言御説明をお願いいたします。
#101
○国務大臣(村岡兼造君) 公共事業の実施に当たっては、費用対効果分析の活用による効率的な整備の推進に留意をいたしておるわけでございます。また、経済構造改革関連の社会資本について、物流の効率化に資するものを中心として優先的、重点的に整備するとともに、総体的に立ちおくれている生活関連の社会資本の整備に重点を置いているところでございます。
 実は今まで、事業を採用してから五年間経過しても工事に着工できないというようなところは見直しをするというような方法もありましたし、また今御指摘の公共事業の単価その他が高いというものも見直すというような方法もとってまいりました。このような観点から個別の事業の見直しを行い、合計六十二件のダム、港湾事業等を中止することとしております。
 今後は、今般策定いたしました再評価システムに基づき再評価を実施し、公共事業の効率化に努力してまいりたい、こう思っております。現在、初年度の成果について集計作業を進めているところでありまして、まとまり次第、関係閣僚会議に報告し公表するところであります。
#102
○永野茂門君 次に、公共事業費につきまして、景気対策として公共事業を優先すべきか、あるいは減税を優先すべきかということについて承りたかったのでありますけれども、時間がありませんので質問を省略いたします。
 いずれにいたしましても、今おっしゃったようなことを徹底的に評価し改善することによって、私は公共事業の経済効果といいますか景気対策効果としてはかなり有力な、もともと言われていたような価値を持ち得るものだと思っております。しかし、私どもとしては、今御説明する時間はありませんけれども、減税優先を訴えております。
 官房長官に対する質問はこれで終わります。ありがとうございました。
 次に、総務庁長官に承りたいと思います。
 時間がありませんので簡単にいたしますけれども、とにかく少年犯罪について、犯罪そのものか、犯罪人の解析が、あるいはそれに対する教育的なあるいは社会的な対応について新聞を毎日にぎわしているわけでありますけれども、大変憂慮すべき事態であると思います。
 これに対して、全般的な対策、国を誤らないように、将来の国を背負う人たちがちゃんとした人として育っていただくようにするためにはどういうようなお考えをお持ちでしょうか、基本方針をお伺いいたします。
#103
○国務大臣(小里貞利君) お話にございましたように、大変憂慮いたしておる問題の一つでございます。殊に青少年を取り巻く家庭あるいは学校、そしてまた地域社会、それぞれ環境が顕著に変わってまいっておりますし、あるいはまたそれぞれの価値観の起伏と申し上げますか変化等も大きく影響しておるかと思われるところでございます。
 なおまた、これが対策といたしましては、申し上げるまでもなく対症療法的な対策を考えるだけでは決して解決に至らない。問題の本質をつぶさに再検討しながら根本的な取り組みが必要であると思います。
 実は内閣総理大臣の指示によりまして、また総理大臣みずから御出席をいただきまして、次代を担う青少年について考える有識者会議というのもこの前開かせていただきました。また、二回目も開いていただいたかと思うところでございますが、直接行政に関係はないけれどもいろいろな専門分野の皆様方にこれを大所高所から審議していただき、具体的な提言などもいただこう、こういう試みを進めておるところでございます。
 なおまた、総務庁といたしましては、青少年対策推進会議、これは関係各省庁の局長クラスが集まりまして、いわゆる関係機関の連携、そして有害環境対策を中心として、凶悪、粗暴な非行等問題行動の対策について今いろいろ協議をいたしまして、関係方面等にも要請を行っているところでございます。
 お話しのように、大変重要な当面の喫緊の対策の一つとしてとらえまして、これが対策を進めていきたいと思っております。
#104
○永野茂門君 家庭だけではなくて学校、地域社会、全国民を挙げて取り組まなければいけない重大問題であると思います。長官を中心にして、ますますしっかりとやっていただきたいと思います。
 ここで一つだけ、先ほどの板垣先生のお話に関連して、ちょっと思い出しましたので申し上げておきたいと思います。
 やはり自分の国の歴史や伝統や文化を誇り得ないような状態ではだめであって、誇り得るような状態に持っていかなきゃいけない。しかし、これは真実は真実としてちゃんと認識しながら誇りが持てるというような追求が必要であります、それから、よく言われる権利と義務で、義務を忘れたような人がこのごろは多いわけでありますが、そういうこともいろいろ議論されておるのでありましょうか。とにかく義務を忘れた人が多過ぎるということを先ほど来じっと考えておりましたので、ちょっとつけ加えさせていただきます。
 さて、今の御方針は非常に結構であり、しっかりとやっていただきたいわけでありますが、そのためには所要の施設でありますとか、事案の調査研究あるいは対策の調査研究でありますとか、未然防止のための相談でありますとか、あるいは研究成果の必要な人、親も含めて、普及したりいろいろするために、例えば少年相談所とかその他の特別な施設が要るんじゃないか、さらにそういうものに必要な専門員も確保する必要があるんではないかと思いますが、このあたりはどういうように見積もっておられますか、お伺いいたします。
#105
○政府委員(大坪正彦君) ただいまの先生の御指摘は、青少年対策に従事する関係の専門的な職員をふやすべきではないかというような御趣旨と理解しているところでございます。
 ただいま先生お話しの相談という点についてちょっとお話しさせていただきますが、相談業務ということに携わっております、あるいは相談所と申しますのは児童相談所、少年補導センター、警察署、あるいはまた保護矯正という観点では少年鑑別所や保護観察所などなど、関係省庁、地方公共団体でさまざまな窓口が設置されている状況にございます。
 現下のこういう厳しい情勢におきましては、その機能の充実を先生が言われるような点で図ることは大変重要だというふうに思っておりまして、現にさまざまな相談機関におきまして、例えば二十四時間の相談体制あるいは電話のフリーダイヤル化、こういうような利用しやすい相談体制をとっておりますし、またその担当者の資質の向上にも努めているところでございます。
 さらにまた、個々の相談機関のそういう努力のみならず、実際の問題行動の形態を見ますとかなりさまざまなものがございますので、少年と最初にかかわることになった機関が単独でこれを解決し得るケースというのはなかなか少ないのではないかなというふうに考えておりまして、現実にはそういう相談機関相互の連携強化が必要ではないかというふうに思っている状況にございます。
 こういうような考え方をもとに、総務庁といたしましても、昨年来、関係省庁と協議を行いまして、先ほど大臣が申し上げましたような青少年対策推進会議におきましてそのような非行等問題行動の対策について取りまとめを行いまして、関係機関の担当者が必要なときにいつでも円滑な連携をとり得るような顔の見える関係、こういうものを常日ごろから築いておく必要があるのではないかという申し合わせをしているところでございます。
 そういう先生の御指摘も含めまして、こういう相談機関の充実というものにつきましては今言いましたような関係省庁ともどもに努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
#106
○永野茂門君 少年というのは次の世代を担って日本がどうなるかということを決定する要素でありまして、これを立派に育て上げるということは極めて大事なことであり、今のような状態からは本当に早く完全に抜け出さなきゃいけないと思いますので、施設、人員等必要なものは要求して、御確保の上しっかりやっていただきたいと思います。総務庁長官、よろしくお願いいたします。
 以上で質問を終わらせていただきます。
#107
○栗原君子君 新社会党の栗原君子でございます。
 先般、七三一部隊の関係につきまして質問をいたしました。きょうはまたさらにその質問の続きとでも申しましょうか、官房長官にお伺いをさせていただきたいと存じます。
 昨年の八月二十九日、いわゆる第三次家永教科書裁判で、最高裁第三小法廷は、七三一部隊についての記述を検定で削除したのは違法だという判決を下しました。
 問題の一九八三年の検定は、家永三郎氏の著書「新日本史」の中の七三一部隊の活動に関する「ハルビン郊外に七三一部隊と称する細菌戦部隊を設け、数千人の中国人を主とする外国人を捕らえて生体実験を加えて殺すような残虐な作業をソ連の開戦にいたるまで数年にわたってつづけた。」という原稿の記述に対し、全面削除を命じました。
 しかし、最高裁は、関東軍の中に細菌戦を行うことを目的とした七三一部隊と称する軍隊が存在し、生体実験をして多数の中国人等を殺害したとの大筋は、既に本件検定当時の学会において否定するものはないほどに定説化していたものと言うべきであることを認定し、結論として本件検定は違法であると判断しました。
 お伺いいたします。
 政府は、この最高裁判決が関東軍防疫給水部すなわち七三一部隊に関して認定したところの関東軍の中に細菌戦を行うことを目的とした七三一部隊と称する軍隊が存在し生体実験をして多数の中国人等を殺害したという事実をお認めになりますか。
#108
○国務大臣(村岡兼造君) 先生のおっしゃるいわゆる七三一部隊について、組織上かつての旧日本軍に関東軍防疫給水部との正式名称により存在したことは防衛研究所に保管されている公文書からも明らかとなっておりますが、他方、御指摘の資料等について、資料の性格を含め今後種々の研究をまつ必要があると考えております。
 いずれにいたしましても、現時点で政府としていわゆる七三一部隊の具体的な活動内容について断定することは困難と考えておりますが、新たな事実が判明する場合には歴史の事実として厳粛に受けとめていきたい、こう考えております。
#109
○栗原君子君 先ほど述べました第三次家永教科書裁判の最高裁判決は、七三一部隊に関して書かれた文献の一つとして、ソ連がハバロフスクで一九四九年十二月に十二人の七三一部隊関係者を裁いたハバロフスク軍事裁判の公判書類を挙げております。実はここに持ってまいりましたけれども、これを私も幾つか読ませていただきました。大変生々しく書かれております。
 これは一九五〇年にモスクワで出されたものでありまして、外国語図書出版所というところから出ております。ロシア語あるいはまた英語、フランス語、そうした言葉でこの中身というのは翻訳されまして、世界の皆さんに広く知れ渡っているものでもございます。これは「元日本軍軍人ノ事件ニ関スル公判書類」というものでございまして、大変古い文献でございます。
 さて、これで、極東国際軍事裁判すなわち東京裁判では、七三一部隊の人体実験も細菌戦もいずれも一切裁かれることがなかったわけでございます。このように東京裁判が重大な汚点を残した最大の原因は、ハバロフスク軍事裁判の内容がちょうど日本人戦犯が審理を受けていた東京裁判の国際検事団にも伝えられたにもかかわりませず、東京裁判を主導いたしましたアメリカ政府がハバロフスク軍事裁判の審理と判決を無視してしまったことにあります。いまだに七三一部隊に関する事実関係が全面解明にほど遠く、日本政府も七三一部隊に関して明確な態度を明らかにしてこなかったのは、アメリカ政府の姿勢を踏襲してハバロフスク軍事裁判の審理と判決を無視したことにあると言っても過言ではないと私たちは思います。
 そこでお伺いいたします。
 東京裁判が無視したこのハバロフスク軍事裁判公判書類の中には、七三一部隊や一六四四部隊などの日本軍の細菌戦部隊が生体実験などを行って細菌兵器を準備し、さらに実際に中国各地で細菌兵器の使用、すなわち細菌戦を実行したことが明らかになっております。政府は現在ではこのハバロフスク軍事裁判公判書類の内容が客観的な事実であったことをお認めになりますでしょうか。
 昨日おいでくださった担当者の方にはこの中の幾つかのページをコピーして差し上げております。その中には、山田乙三の尋問調書とか対中国戦争における細菌兵器の使用、さらには川島清尋問調書とか柄澤十三夫尋問調書などなどありまして、大変生々しく書かれておるものでございますけれども、これにつきましてお認めになりますでしょうか。
#110
○説明員(樽井澄夫君) ただいま先生御指摘になられましたハバロフスクの軍事裁判の記録でございますけれども、遺憾ながら政府としてはこの裁判記録を判断、認定する立場にはございません。
 他方、ただいま御指摘になられましたようないわゆる日本語訳というものが出ておりまして、私も先生からいただいた資料を拝見いたしまして、内容はそれなりに先生御指摘のとおりでございますけれども、この日本語訳につきましても、実はかつてからいろんな説がございまして、遺憾ながら、残念でございますけれども、これがどういうものなのかということについてはまだ定説がないというふうに承知しております。
#111
○栗原君子君 例えば英語にしてもフランス語にしてもロシア語にしても、この中身というのは世界に広く知れ渡っているものでございますけれども、これでもまだお認めになりませんか。
#112
○説明員(樽井澄夫君) 基本的に政府の立場はただいまお答えしたとおりでございます。
#113
○栗原君子君 現在では、七三一部隊につきまして、多くの高等学校の日本史の教科書において、例えば日本軍はハルビン郊外に七三一部隊という細菌戦部隊を設け、中国人捕虜など多数の外国人に生体実験を加えて殺害したなどと記述をしてあるところでございます。
 それでは続きまして、実は二日前でございますけれども、四月五日の朝日新聞などで紹介されておりますが、中国は最近、一九五六年に中国で行われた戦犯裁判で有罪とされた四十五人の日本人戦犯の自筆の供述調書のコピー約一千ページ分を初めて日本側に提供しました。その日本人戦犯の供述書の中には七三一部隊の活動に関する供述書も含まれております。この五日の各社の新聞では次のような内容の七三一部隊に関する供述を紹介しているわけでございます。これも新聞のコピーを差し上げているところでございますから、御承知いただいていることと思います。
 この中には、一九四四年十一月、河南省で歩兵部隊が林県南部地区に進攻し撤退するとき、これは鈴木啓久という中将が言っておりますけれども、第一一七師団長でございますが、撤退するとき、私の命を受けて十二軍の防疫給水班は三、四カ村でコレラ菌を散布した、後に私は軍医部長から林県において百名以上の住民がコレラにかかり死亡者多数という報告を受けたなどと供述しております。
 また、一九四四年十一月から敗戦まで、関東軍防疫給水部すなわち七三一部隊の中の支部の一つの林口支部、正式には七三一部隊林口一六二支隊と言うのだそうでございますけれども、軍医少佐支隊長の榊原秀夫という人の調書がございます。彼は、細菌戦準備のため、チフス、パラチフス、A型とかB型があるんですけれども、及びコレラ菌を保存培養した、そして殺人実験にも参加した、中国人四人を演習場に打ち込んだ丸太棒に縛りつけた上で、軽爆撃機が高度百五十メートルから炭疽菌を充満させた素焼き製の爆弾を投下し、五十メートル上空で炸裂させたなどと供述しております。
 まだたくさんの供述があるわけでございますけれども、ここでお伺いいたします。
 今回、中国が提供した日本人戦犯の供述書は有罪判決を受けた四十五人の日本人戦犯のものであり、その供述書のコピーは約一千ページにも上ると言われております。その中には今紹介いたしましたように細菌戦に関する供述内容もございます。
 政府は、このように中国側が重要な歴史的資料を日本に提供したのを機会に、日本政府自身において積極的に細菌戦部隊に関する事実の解明に努めるべきではないか、このように思いますが、この点についてはいかがでございましょうか。
#114
○説明員(樽井澄夫君) ただいま先生御指摘の報道については私も詳細に拝見いたしまして、こういうことが事実でありますと大変すさまじいことが行われたということでございます。他方、これが事実かどうかということにつきましては、事柄の性格上大変慎重に、今後の研究にまつ必要があろうかというふうに思います。基本的には私ども新しい事実につきましては厳粛にこれを受けとめるというのは当然でございますけれども、御指摘の資料の性格等につきましてはやはり今後の研究をまつ必要があるのではないかというふうに存じております。
 それから、これまで既に何回も御答弁申し上げているわけでございますけれども、外務省、それから防衛庁の図書館等で私どももいわゆる七三一部隊につきましてはこれまでも種々検討をやってまいりました。そういう中で、いわゆる七三一部隊がどういうものであったのかという資料は一切発見されておりませんものですから、政府としてはこの点について具体的に所見を述べる状況ではないということでございます。
#115
○栗原君子君 お言葉を返すようですけれども、政府が決断すれば防衛庁や国立公文書館あるいは厚生省、外務省その他の関係省庁にある細菌戦部隊に関する文献とか資料を総合的に分析して検討していくことができ、細菌戦部隊に関する事実の解明が飛躍的に進んでいくのではなかろうか、私はこのように思います。やっぱり気持ちをどう持っていただくかによるのではないでしょうか。細菌戦という重大な戦争犯罪が行われていながら、細菌戦部隊に関する資料、文献に関する目録すらも作成をされていないのは私は今まで政府が怠慢であったのではないか、このように思います。
 今後、政府の責任で細菌戦部隊に関する事実調査を実施することについて御見解はいかがでございましょうか。
#116
○国務大臣(村岡兼造君) 先ほど外務省の参事官もお答え申し上げましたが、本件の性格や時間的な経過にかんがみれば、さらなる調査を行い明確な形で事実関係を断定することは極めて困難と考えております。
#117
○栗原君子君 それが困難ではないということをお伺いいたしたいと思います。
 細菌戦部隊に関する資料の有無については去る四月二日の本委員会で質問いたしましたけれども、私たちの調査によれば、防衛庁の防衛研究所図書館に旧陸軍の支那派遣軍の井本熊男参謀の日誌が残っております。日本軍が行った細菌戦に関して防衛庁の防衛研究所図書館の保管する井本熊男大佐の業務日誌、これは全部で二十三冊あると聞いておりますけれども、これが大変重要なものでございます。井本熊男は大本営参謀本部作戦課員や支那派遣軍参謀等を歴任しております。この井本の業務日誌は細菌戦に関する日本側の記録として一級の証拠価値を有するものでございます。
 井本は一九三五年十二月に大本営参謀本部作戦課に配属されて以降、一貫して細菌戦に関して七三一部隊等の細菌戦部隊と陸軍中央側で連絡をとる担当でした。
 日本軍においては、細菌戦攻撃の暗号とでも申しましょうか、これを「ホ」と言っておりました。井本日誌には「ホ」、「ホ号」、「ほ号」、あるいは「保母」などの形で記載をされております。
 そこでお伺いいたします。
 この井本日誌には七三一部隊の中国中部地方への細菌戦攻撃が計画から実行まで詳しく述べられております。
 幾つか拾い上げてみますと、一九四〇年九月十八日の井本の業務日誌には、「奈良部隊トノ連絡」、この奈良部隊というのは細菌戦を行うためにつけられた部隊の名前ということを聞いておりますけれども、この連絡で「目標、寧波ハ可ナリ」、寧波はよろしいということを言っております。それで、一キロ平方に一・五キログラムまいたという報告が書いてございます。
 それから、一九四〇年十月七日の井本日誌には、これまでの攻撃回数は六回といったことも書かれております。「蚤」という、「蚤」は要するにペストに感染をさせたノミのことでございますが、こうしたことも書かれております。
 それから、一九四一年十一月二十五日の井本日誌には、常徳における細菌戦に関して、井本が支那派遣軍参謀の長尾正夫から受けた報告の内容を記載したものでございます。これには、「十一月四日朝 目的方向ノ天候良好ノ報ニ接シ九七軽一キ出発」、軽爆撃機ですね、これで朝五時三十分出発、六時五十分到着とあります。「霧深シ Hヲ落トシテ捜索、H八百附近ニ層雲アリシ為千メートル以下ニテ実施ス」とありますね。Hは高度です。霧が深いということも書いておりますね。それで、「アワ三十六キログラム」、「アワ」というのはペストに感染したノミということを聞いておりますけれども、こういうことが書かれております。それから、「十一月六日 常徳附近ニ中毒流行(日本軍ハ飛行機一キニテ常徳附近ニ撒布セリ、之ニ触レタル者ハ猛烈ナル中毒ヲ起ス)」、「十一月二十日頃猛烈ナル「ペスト」流行、各戦区ヨリ衛生材料ヲ集収シアリ」と、こんなことも書かれております。
 このような記載が井本日誌にあることは政府は認識をしていらっしゃいますか。
#118
○説明員(大古和雄君) 御指摘の井本氏の日誌につきましては、いわゆる公文書に該当するものではなくて個人の日誌であるということで理解しております。
 防衛庁の防衛研究所の図書館では、本人からの委託を受けまして今保管してございますけれども、現在、プライバシーにかかわるという観点から公開しておりません。
 いずれにしましても、防衛庁の立場からその内容についてコメントする立場にはございません。
#119
○栗原君子君 プライバシーのことをおっしゃいましたけれども、例えばこの井本という人の御家族の方との手紙のやりとり、こういうものは確かにプライバシーだと思いますけれども、これらを見る限り、あくまでもこれは業務日誌でございまして、私はプライバシーというところでは逃げられない、これは貴重な歴史の資料だというように思いますけれども、これについてはいかがですか。
#120
○説明員(大古和雄君) 先ほど御説明しましたように、本件はあくまでも個人日誌でございます。そういう意味では、本人の御了解とかそういうことを含めて防衛庁ではプライバシーとの関連で公開するかどうかは考えでございます。そういう意味で、いずれにしても今のところ公開していないということで御理解いただきたいと思います。
#121
○栗原君子君 これは一たんは公開をされていたものなんですね。だから、研究者の人が「七三一部隊と天皇・陸軍中央」といったブックレットにしてお出しになっている。公開をされていたものが、本人のプライバシーにかかわるということで公開をしないといってこれを取りやめたわけでございますけれども、先ほど言いましたように、これは歴史の貴重な資料でございますので、業務日誌でございますから、本人の御了解をいただくような努力をしていただきたい、そして公開もしていただきたいということをお約束をしていただけませんか。いかがですか。
#122
○説明員(大古和雄君) 本書につきまして、防衛庁として公開していた時期があることは事実でございます。しかし、その後、本人の御意向等も踏まえまして公開は差し控えているということで今たってございます。
#123
○栗原君子君 それでは、先ほど申しましたこの井本日誌の中に書いてあることは事実としてお認めになりますか。
#124
○説明員(大古和雄君) 防衛庁としては、自衛隊に役立てるという観点から一般的な戦史の研究調査をしてございます。一般に、防衛庁が保管している資料について客観的にそれが事実であるか事実でないかとかということを判断する立場にはございません。
#125
○栗原君子君 それでは、どこが判断する立場にあるんでしょうか、官房長官、お答えください。
#126
○国務大臣(村岡兼造君) 今いろいろやりとり聞いておりまして、井本さんの日誌とか何かでどこが調査するのかというのは、私も今返答に困っているところであります。これは防衛庁の話のとおりであろうと思います。
#127
○栗原君子君 ぜひよろしくお願いいたします。
 これらの細菌戦の作戦実行は一部隊が単独で勝手にできることではないということが井本日誌でも明らかになりました。細菌戦の作戦会議には大本営参謀本部作戦課員たちも入って策定をしているといったことも既に明らかでございます。
 また、井本日誌の記載から、細菌戦が大陸命や大陸指に基づいて、つまり天皇の命令で行われていることは明らかであったと私は解釈いたします。要するに、細菌戦は天皇を頂点とする日本陸軍中央が主導し実施したものであると思いますが、政府のこれについての御見解はいかがでしょうか。
#128
○説明員(樽井澄夫君) 大変恐縮でございますが、本件については現段階で認定する立場にはございませんので、御了承いただきたいと思います。
#129
○栗原君子君 時間が参りましたので終わりますけれども、先般も申しましたように真実は一つでございますので、ぜひ誠意を持ってこの調査なり、そして政府としての見解をお示しいただきたい、このことをお願いして終わります。
 ありがとうございました。
#130
○委員長(石田美栄君) 他に御発言もなければ、これをもって平成十年度総予算中、皇室費、国会所管、会計検査院所管、内閣所管及び総理府所管のうち総理本府、宮内庁、北方対策本部を除く総務庁についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#131
○委員長(石田美栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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