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第142回国会 予算委員会 第10号
平成十年三月二十五日(水曜日)
   午前九時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十四日
    辞任         補欠選任
     中曽根弘文君     阿部 正俊君
     上山 和人君     田  英夫君
     上田耕一郎君     吉川 春子君
     筆坂 秀世君     須藤美也子君
     都築  譲君     高橋 令則君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         岩崎 純三君
    理 事
                岡部 三郎君
                小山 孝雄君
                佐藤 泰三君
                永田 良雄君
                成瀬 守重君
                小山 峰男君
                角田 義一君
                風間  昶君
                照屋 寛徳君
    委 員
                阿部 正俊君
                石井 道子君
                板垣  正君
               大河原太一郎君
                大野つや子君
                金田 勝年君
                北岡 秀二君
                沓掛 哲男君
                田沢 智治君
                武見 敬三君
                谷川 秀善君
                南野知惠子君
                長谷川道郎君
                平田 耕一君
                真鍋 賢二君
                依田 智治君
                久保  亘君
                小林  元君
                直嶋 正行君
                広中和歌子君
                和田 洋子君
                魚住裕一郎君
                牛嶋  正君
                加藤 修一君
                高野 博師君
                及川 一夫君
               日下部禧代子君
                田  英夫君
                笠井  亮君
                須藤美也子君
                吉川 春子君
                高橋 令則君
                星野 朋市君
                西川きよし君
                矢田部 理君
   国務大臣
       内閣総理大臣   橋本龍太郎君
       法務大臣     下稲葉耕吉君
       外務大臣     小渕 恵三君
       大蔵大臣     松永  光君
       文部大臣     町村 信孝君
       厚生大臣     小泉純一郎君
       農林水産大臣   島村 宜伸君
       通商産業大臣   堀内 光雄君
       運輸大臣     藤井 孝男君
       郵政大臣     自見庄三郎君
       労働大臣     伊吹 文明君
       建設大臣     瓦   力君
       自治大臣
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)    上杉 光弘君
       国務大臣
       (内閣官房長官) 村岡 兼造君
       国務大臣
       (総務庁長官)  小里 貞利君
       国務大臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       鈴木 宗男君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  久間 章生君
       国務大臣
       (経済企画庁長
       官)       尾身 幸次君
       国務大臣
       (科学技術庁長
       官)       谷垣 禎一君
       国務大臣
       (環境庁長官)  大木  浩君
       国務大臣
       (国土庁長官)  亀井 久興君
   政府委員
       内閣官房内閣内
       政審議室長
       兼内閣総理大臣
       官房内政審議室
       長        竹島 一彦君
       内閣審議官    坂野 泰治君
       内閣法制局長官  大森 政輔君
       内閣法制局第一
       部長       秋山  收君
       内閣総理大臣官
       房管理室長    佐藤 正紀君
       防衛庁参事官   伊藤 康成君
       防衛庁長官官房
       長        大越 康弘君
       防衛庁防衛局長  佐藤  謙君
       経済企画庁調整
       局審議官     小林 勇造君
       経済企画庁調査
       局長       新保 生二君
       科学技術庁長官
       官房長      沖村 憲樹君
       環境庁企画調整
       局長       岡田 康彦君
       環境庁企画調整
       局地球環境部長  浜中 裕徳君
       環境庁大気保全
       局長       野村  瞭君
       外務大臣官房長  浦部 和好君
       外務大臣官房審
       議官       海老原 紳君
       外務省アジア局
       長        阿南 惟茂君
       外務省北米局長  高野 紀元君
       外務省欧亜局長  西村 六善君
       外務省経済局長  大島正太郎君
       外務省経済協力
       局長       大島 賢三君
       外務省条約局長  竹内 行夫君
       大蔵大臣官房長  武藤 敏郎君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     溝口善兵衛君
       大蔵省主計局長  涌井 洋治君
       大蔵省主税局長  尾原 榮夫君
       大蔵省理財局長  伏屋 和彦君
       大蔵省証券局長  長野 厖士君
       大蔵省銀行局長  山口 公生君
       大蔵省国際金融
       局長       黒田 東彦君
       文部大臣官房長  小野 元之君
       文部省初等中等
       教育局長     辻村 哲夫君
       文部省体育局長  工藤 智規君
       厚生大臣官房総
       務審議官     田中 泰弘君
       厚生省生活衛生
       局長       小野 昭雄君
       厚生省老人保健
       福祉局長     羽毛田信吾君
       厚生省児童家庭
       局長       横田 吉男君
       厚生省保険局長  高木 俊明君
       厚生省年金局長  矢野 朝水君
       社会保険庁運営
       部長       真野  章君
       農林水産大臣官
       房長       堤  英隆君
       農林水産省構造
       改善局長     山本  徹君
       農林水産省農産
       園芸局長     高木  賢君
       農林水産省畜産
       局長       中須 勇雄君
       食糧庁長官    高木 勇樹君
       林野庁長官    高橋  勲君
       通商産業省産業
       政策局長     江崎  格君
       通商産業省環境
       立地局長     並木  徹君
       通商産業省機械
       情報産業局長   広瀬 勝貞君
       資源エネルギー
       庁長官      稲川 泰弘君
       中小企業庁次長  中村 利雄君
       運輸省鉄道局長  小幡 政人君
       郵政大臣官房長  天野 定功君
       郵政省貯金局長  安岡 裕幸君
       郵政省簡易保険
       局長       金澤  薫君
       労働大臣官房長  渡邊  信君
       労働省労政局長  澤田陽太郎君
       労働省職業安定
       局長       征矢 紀臣君
       建設大臣官房長  小野 邦久君
       建設大臣官房総
       務審議官     小鷲  茂君
       建設省都市局長  木下 博夫君
       建設省河川局長  尾田 栄章君
       建設省道路局長  佐藤 信彦君
       建設省住宅局長  小川 忠男君
       自治大臣官房長  嶋津  昭君
       自治大臣官房総
       務審議官     香山 充弘君
       自治省行政局長  鈴木 正明君
       自治省行政局選
       挙部長      牧之内隆久君
       自治省財政局長  二橋 正弘君
       自治省税務局長  成瀬 宣孝君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮本 武夫君
   参考人
       日本銀行総裁   速水  優君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○平成十年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)
○平成十年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)
○平成十年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議
 院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(岩崎純三君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 平成十年度総予算三案についての理事会決定事項について御報告いたします。
 本日の総括質疑の割り当て時間は百四十六分とし、各会派への割り当て時間は、自由民主党二十分、民友連六十分、公明四十六分、社会民主党・護憲連合二十分とすること、質疑順位につきましてはお手元に配付いたしておるとおりでございます。
    ─────────────
#3
○委員長(岩崎純三君) 平成十年度一般会計予算、平成十年度特別会計予算、平成十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 昨日に引き続き、総括質疑を行います。板垣正君。
#4
○板垣正君 おはようございます。総理初め各閣僚、まことに連日御苦労さまでございます。
 早速伺います。
 日本のあり方というものが改めて問われている、まさに第三の開国と言われる大きな転機に来ていると言われているわけであります。橋本総理を先頭に、連日それに取り組んでいただいております。そうした中で、やはり心の問題が改めて問われておる。物の面では見事に繁栄を遂げましたけれども、大事な心の問題がいろいろな角度から問題がある。
 これはある精神科医の方が高校生を対象に行った調査でありますが、この中で最も高い反応のあったのが、自分がどんな人間なのかわからなくて困ることがある。つまり、日本人であることや自分と社会、国との関係をどう考えればいいのかよくわからない、だからとても不安である、こういうことであります。
 戦後、戦争に対する反省はいろいろありましたけれども、反面、国というような問題について余り考えない、むしろ国というのは対立するものである、個人の自由を制約するものだと。そういうところから、日本人というみずからの意識というか、そうしたものが非常に薄れてきているということは否めないと思う。
 私はその辺に、教育の問題にせよ、広く社会的にも問われている心の問題、日本人のあり方、日本という国の姿、国の形ということが言われますけれども、その根本にはやはり私は歴史というものがいろいろな形で戦後ゆがめられるというか、断ち切られるといいますか、歴史とのつながりを失ったところに、これは家庭の崩壊につながる。あるいは地域団体の一つの連帯精神、日本人相互の同胞意識、そうしたものの淵源するものは歴史であります、歴史の流れであります。みずからがそれにつながっているという存在であります。
 そういう面において、歴史とのつながりというものを改めて見直す必要があるのではないのか、心の問題はその辺に大きなポイントがあるのではないのか、こう思いますけれども、総理並びに文部大臣の御見解を承ります。
#5
○国務大臣(町村信孝君) 板垣委員からはいつもこの問題について大変貴重な御示唆をいただいております。歴史教育の重要性、これはもう委員の御指摘をまつまでもなく、特に学校教育の場では重要な課題である、こう受けとめております。
 これまでも学校の歴史教育は発達段階に応じまして、例えば小学校では、国家と社会の発展に大きな働きをした先人の業績やすぐれた文化遺産に関心と理解を持たせ、人物を中心に歴史に親しませる学習を展開する。中学校では、我が国の文化と伝統の特色を広い視野に立って学び、先人の努力により発展してきた我が国の歴史の各時代の特色と移り変わりを理解させる。通史学習と呼んでおりますが、非常に古い縄文の時代から今日に至るまでということで、中学校の段階では歴史教育を学ぶということを学習指導要領の基本にして行っているところでございます。
#6
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、文部大臣は学校教育の中における歴史教育の位置づけから答弁をされましたので、私は少し違った角度でお答えをしてみたいと思います。
 確かに、将来この国を背負ってもらわなければならない子供たち、その子供たちが、先人たちが築いてきた歴史あるいは文化、伝統と言いかえてもいいかもしれません、こうしたものを理解することによって自分たちの文化や社会の基盤をしっかりととらえる、そこから今度どのような生き方をつくり上げていくにせよ、それは非常に重要なことだと思います。
 その意味では、学校教育の場だけではなく、お互いが子供のころを振り返ってみますと、それぞれの地域にはその地域の民話があり伝説がございました。例えば、私の郷里の場合は吉備文化という言葉に総称される伝承が今も伝えられ続けております。そうしたものの中で、議員は国という立場から言われましたけれども、自分のふるさとを知るということ、そしてそれを通して自分の国を知るということ、これは私は非常に大事なことだと思います。そしてそれは、ただ単に教育の場だけではなく、家庭もありましょうし地域社会もありましょう、そうしたものを子供たちに伝えていく責任がある、私はそのように思います。
#7
○板垣正君 それで、歴史を顧みますと、戦後の一番大きな問題はやはり端的に言って東京裁判、またそこからもたらされたいわゆる東京裁判史観。東京裁判は、過ぎ去った問題ではなくして、現在も大きくこの日本のまさに今申し上げた心の問題も支配している問題ではないのか。
 東京裁判については改めて申し上げるまでもなく、十一カ国、連合国の戦勝国によって敗戦国日本を、新たな国際法の規約にない、それを超えた立場における日本に対する断罪が行われた。これはまさに法律なきところにおける、戦勝国によるある意味における復讐裁判であると言うことも、見方もできるわけでありますが、この東京裁判、淵源する東京裁判史観ということについて、まず総理の御見解を承りたい。
#8
○国務大臣(橋本龍太郎君) まさにちょうどその混乱の時代に私どもは小学校から中学校にかかる時期を過ごしました。そして、私どもは、議員の言われるそうした史観以前の問題として、敗戦、そしてその後何を教えていいのか先生方が迷われ混乱した時期にその少年期を過ごしております。
 そして、先ほども申し上げましたように、私は、将来の我が国を担う子供たちが我が国の歴史また文化というものを理解して、日本人の自覚、誇りを持って国際社会の中で生きていく、そういうふうに育てていくということは極めて大事なことだと思います。
 そして、学校での歴史教育というものは、客観的、学問的な研究成果というものをきちんと踏まえながら、事実は事実として、国際社会の中における国際理解、国際協調といった観点からバランスのとれた指導が行われるべきもの、そして子供たちが歴史的な事象というものをみずから多角的に考察し、公正に判断する能力を育てるその基礎を与えるものだと私は思います。
 今後とも、子供たちがしっかりとした歴史理解をみずから行えるような、そうした歴史教育の充実に努めていきたい、そのように思います。
#9
○板垣正君 外務大臣、東京裁判についての御見解を承りたいと思います。
#10
○国務大臣(小渕恵三君) この裁判につきましては、既に諸外国におきましても、学者の間でも裁判をめぐる法的な諸問題につきましては種々議論があることは承知をいたしております。いずれにしても、国と国との関係において我が国はサンフランシスコ平和条約第十一条で極東軍事裁判所の裁判を受諾いたしておりますので、同裁判について異議を唱える立場にはありません。
 ただ、私自身も総理と全く同じ世代に育ってきたわけでございます。特に、終戦後の小学校時代に、ニュース放送等を聞けばこの問題について触れられておったわけでございます。したがいまして、今日に至りましても、八月十五日等にこの裁判の問題の記録並びに映画等が再放送されるたびに、真剣にこれを見詰めながらみずからこの問題について真剣に考えてまいりたい、このように考えております。
#11
○板垣正君 この東京裁判の問題については、外務大臣は御記憶かどうかわかりませんが、もう十年ぐらい前、決算委員会で御見解を承ったことがあります。そのときの御答弁並びにそのときの外務大臣あるいは内閣法制局長官、まさに一致した御答弁でございました。また、十年経たただいまの御見解も、つまり講和条約第十一条によってあの裁判を日本は受諾したんだ、だからこれを批判する立場にない、ある意味ではそれに拘束されるんだと、こういうことになるんじゃないでしょうか。ここに大きな問題点があると思いますが、この点についての総理の御見解を承ります。
#12
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今改めてサンフランシスコ平和条約第十一条を眺め直しております。
 ここにはこうあります。
  日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し、且つ、日本国で拘禁されている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする。これらの拘禁されている者を赦免し、減刑し、及び仮出獄させる権限は、各事件について刑を課した一又は二以上の政府の決定及び日本国の勧告に基く場合の外、行使することができない。極東国際軍事裁判所が刑を宣告した者については、この権限は、裁判所に代表者を出した政府の過半数の決定及び日本国の勧告に基く場合の外、行使することができない。
 我が国は、確かにこの条文を含んだ条約によって独立をかち得ました。極東裁判というものには学者の中においてもいろんな議論がありますし、また学者とは違った立場の方々からも御論議があることは、これは私自身も承知をいたしております。
 しかし、国と国との関係ということになりますと、私は、外務大臣がお答えを申し上げましたように、サンフランシスコ平和条約の第十一条によってこの極東国際軍事裁判所の裁判を受諾している、その上で独立を回復してきた。そうなりましたときに、この裁判に対して国と国との関係におきまして異議を述べる立場にはないという外務大臣の御答弁は、政府としては同様の見解を公式にお尋ねがあれば述べるということにとどまると存じます。
#13
○板垣正君 重ねて外務大臣、この条約は当時から解釈をめぐって、講和条約におけるほかの国からもこうしたものはない方がいいじゃないかと言われていたくらい問題の条項であります。
 講和条約が結ばれたにかかわらず、まだ千名を超えるいわゆる戦犯と称する人たちが巣鴨にも豪州にもフィリピンにも、中には死刑の判決を受けたまま置かれておった。元来、講和条約が結ばれればそうした者は全部釈放されるのが当然であります。にもかかわらず、十一条を設けてまだ捕まえておく。刑を執行するのは日本の責任でやれ、これが十一条の本旨じゃありませんか。ほかの国の条約の正文によって、今読まれましたけれども、判決を受諾すると。これがイギリスなりあるいはスペインなりフランスの原文にはそうなっている。我が国がどういうわけか裁判を受諾すると訳され、かつ今のような、まさに戦後五十年なおこれに縛られているんだというような、世界の常識とも国民の多くの考えとも隔絶した枠の中に今なお縛られているというのはいささか問題があるんじゃないですか。大いに問題があるんじゃないですか。その点、重ねて見解を承ります。
#14
○政府委員(竹内行夫君) サンフランシスコ平和条約におきます用語の問題に関しまして御答弁申し上げます。
 確かに先生おっしゃいますとおり、英語文でジャッジメントという言葉が使われておりまして、これを通常は裁判という文言を当てる場合と判決という文言を当てる場合がございますけれども、いずれの場合におきましても特段の意味の差があるとはこの場合におきましては考えておりません。
 この極東国際軍事裁判所の裁判を例にとりますと、裁判の内容、すなわちジャッジメントは三部から構成されておりまして、この中に裁判所の設立及び審理、法──法律でございますけれども、侵略とか起訴状の訴因についての認定、それから判定、これはバーディクトという言葉を使っておりますけれども、及び刑の宣言、センテンスという言葉でございますけれども、こういうことが書かれておりまして、裁判という場合にはこのすべてを包含しております。
 平和条約第十一条の受諾というものが、単に刑の言い渡し、センテンスだけを受諾したものではない、そういう主張には根拠がなかろうと言わざるを得ないというのが従来政府から申し上げているところでございますことは、先生も御承知のとおりでございます。
#15
○板垣正君 それでは、私はこの歴史の流れをまさに顧みる意味において、この国会において我々の先輩議員がこの問題についてどういう姿勢をとられたか、どういう政治見識と信念を示されたか、このことについて記録に基づいて申し上げたいと思う。
 今申し上げたような千何百名も講和条約ができても拘束されていることに対しては、まず国民的な運動が起こり、四千万と言われる署名運動が寄せられ、釈放すべきだ、解放すべきだと。こういうものを受けまして国会で決議が行われております。
 講和条約が締結されたのは昭和二十七年ですね。二十七年の十二月九日、第十五回国会、まず衆議院において当時の田子一民議員外五十八名、当時の自由党、改進党、左右両派社会党、無所属倶楽部の共同提案による次のような戦争犯罪による受刑者の釈放等に関する決議が圧倒的多数で可決された。独立後既に半歳、しかも戦争による受刑者として内外に拘禁中の者はなお相当の数がある、たえがたい、釈放すべきだというのが国会決議でありますが、この提案の趣旨説明に立った田子一民議員が、
  およそ戦争犯罪の処罰につきましては、極東国際軍事裁判所インド代表パール判事によりまして有力な反対がなされ、また東京裁判の弁護人全員の名におきましてマツカーサー元帥に対し提出いたしました覚書を見ますれば、裁判は不公正である、その裁判は証拠に基かない、有罪は容疑の余地があるという以上には立証されなかつたとあります。
 さらに、これは御存じの方もおられると思いますが、改進党の山下春江議員もこの趣旨説明について本会議で、
 占領中、戦犯裁判の実相は、ことさらに隠蔽されまして、その真相を報道したり、あるいはこれを批判することは、かたく禁ぜられて参りました。当時報道されましたものは、裁判がいかに公平に行われ、戦争犯罪者はいかに正義人道に反した不逞残虐の徒であり、正義人道の敵として憎むべきものであるかという、一方的の宣伝のみでございました。また外地におきまする戦犯裁判の模様などは、ほとんど内地には伝えられておりませんでした。国民の敗戦による虚脱状態に乗じまして、その宣伝は巧妙をきわめたものでありまして、今でも一部国民の中には、その宣伝から抜け切れないで、何だか戦犯者に対して割切れない気持を抱いている者が決して少くないのであります。
  戦犯裁判は、正義と人道の名において、今回初めて行われたものであります。しかもそれは、勝つた者が負けた者をさばくという一方的な裁判として行われたのであります。戦犯裁判の従来の国際法の諸原則に反して、しかもフランス革命以来人権保障の根本的要件であり、現在文明諸国の基本的刑法原理である罪刑法定主義を無視いたしまして、犯罪を事後において規定し、その上、勝者が敗者に対して一方的にこれを裁判したということは、たといそれが公正なる裁判であつたといたしましても、それは文明の逆転であり、法律の権威を失墜せしめた、ぬぐうべからざる文明の汚辱であると申さなければならないのであります。
 まさに独立を回復した本会議において、戦犯釈放という決議ではありますけれども、ここに込められた思いは、勝者の一方的な断罪に対するまさに国民の叫びであり、国政の場における叫びではありませんか。
 これは与党だけではない、当時の社会党議員による批判も行われている。決議採択に際し、日本社会党の古屋貞雄議員は、
 戦争が残虐であるということを前提として考えますときに、はたして敗戦国の人々に対してのみ戦争の犯罪責任を追及するということ──言いかえまするならば、戦勝国におきましても戦争に対する犯罪責任があるはずであります。しかるに、敗戦国にのみ戦争犯罪の責任を追及するということは、正義の立場から考えましても、基本人権尊重の立場から考えましても、公平な観点から考えましても、私は断じて承服できないところであります。世界の残虐な歴史の中に、最も忘れることのできない歴史の一ページを創造いたしましたものは、すなわち広島における、あるいは長崎における、あの残虐な行為であつて、われわれはこれを忘れることはできません。この世界人類の中で最も残虐であつた広島、長崎の残虐行為をよそにして、これに比較するならば問題にならぬような理由をもつて戦犯を処分することは、断じてわが日本国民の承服しないところであります。
 こうした決議のもとに努力が続けられましたけれども、最終的にいわゆるB・C級戦犯の最後の方が釈放されたのは昭和三十三年に至るわけであります。
 しかし、今読み上げましたのが、まさに当時における我々の先輩議員が、まだまだ貧しいあの廃墟の中から立ち上がり、しかも新たなる平和国家再建を目指して立ち上がったときの烈々たる心情ではありませんか。我々は今これを受け継いで、いかに第三の開国をしていくか問われていると思う。
 改めて、先輩議員のこの思いに対する総理の御見解を承ります。
#16
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは私が申し上げることが適切かどうかわかりませんけれども、議員が今触れられました中にパール判事のお話がございました。そして、パール判事は、御承知のように極東国際軍事裁判の判事としてこの裁判において被告全員の無罪を勧告された方であります。ただ、それは戦争中の日本の行為を免罪としたものではございませんでした。そしてその上で、戦勝国が敗戦国を一方的に裁くこと及び事後法によって被告を裁くことの不条理さ、これを厳密な法理論のもとにその観点から指摘をされた、そう私たちは後に学びました。
 そして、東京裁判につきましては、パール博士の議論も含めまして法的にさまざまな問題について議論があることも事実です。同時に、私は、当時の日本人、我々の先輩世代の方々が、このパール判事のこうした姿勢によって、敗戦に打ちひしがれたその中で日本人が勇気づけられたことも事実であったと思います。そして、議員が今紹介をされましたような先輩議員の党派を超えたその声というものは、そうした当時の我々の先輩たちの胸の中に党派を超えて存在した思いを表現されたものだと思います。
 そして、みずからの責務に取り組まれたこの献身的な姿勢に対し、その真摯な姿勢というものが日本人の心に深く刻まれておりますし、日印両国国民の精神的紐帯のきずなとなっているということも御承知のとおりであります。政府はこうした博士の功績をたたえて勲一等瑞宝章を授与いたしてまいりました。
 今、サンフランシスコ講和条約から、あるいはこの条約によってその裁判を受諾したこと、それについてのコメントは政府として申し上げることは適当ではないと思いますけれども、このパール判事の行動に対する今も伝わっております日本人の中に残る思い、それがインドとの紐帯を築いているきずなとなっていること、そうしたものから国民の思いというものは御理解がいただけることであろう、私はそう思います。
#17
○板垣正君 今、パール博士のお話がありました。パール博士の顕彰碑が昨年十一月に京都の霊山護国神社の境内に民間有志の手で建立されたわけであります。これは大変意義の深いことでありまして、この除幕式には橋本総理もメッセージを寄せられ、祝辞を寄せられております。
  世界の平和と正義を守る精神を強調することに尽力され、日本人の心の中にいつまでも思い出を残されているラダ・ビノード・パール博士の顕彰碑が竣工されましたことを、心から慶祝いたします。
 外務大臣は出席できませんでしたが、高村外務政務次官が出席をして、大変心のこもったごあいさつをしていただいております。
 最も劇的なものは、ナラヤナン・インド大統領からメッセージが寄せられておる。このメッセージには、
  ラダ・ビノード・パール博士は、極東国際軍事裁判において、インド代表として、極めて緊迫した国際的政治情勢の下で、困難な責任を背負われました。
  博士の有名な反対判決は、勝者側の偏狭なナショナリズムと政治的復讐とを退け、それよりも平和そして国家間の和解と親善のために努力すべきことを説いた、感銘深い呼びかけでありました。
 まさにパール博士は、今なおインドにおきましては、しかも昨年はインド独立五十周年、こういう意味も込めてパールさんの顕彰碑が建てられたわけでありますが、まさにインド国を挙げてこのパール博士の当時の日本とのつながりを今日に継続させておる。大変意義が大きい。今、総理も言われましたけれども、重ねてこのパールさんの東京裁判、これはパールさんが日本に同情してああいう判決を出したという一部の曲解がありますが、そうではない。十一人の判事の中で権威ある国際法学者はパールさんお一人ですよ。しかも、パールさんは四万語に及ぶ少数判決を書かれて、国際法、この基準からいって連合国はそうした裁判を行う資格なしと膨大な判決を出されたわけであります。
 そして、裁判後も何回か日本に来られて、侵略の元凶は欧米ではないか、それをあなた方は学校で子供たちに、日本は侵略した、悪いことをしたということを書いて教えておるのは耐えられない、こう言って日本人を激励してくれた。このことについて、もう一度総理の見解を承ります。
#18
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、パール博士の御議論は、日本に戦争という行動に対しての免罪符を与えたものではない、その上で、勝者が敗者を裁くことの不条理性、そうしたものを指摘された、ポイントはそういうところにある、そのように思っております。
 そして、この極東軍事裁判というものについて、私は国民それぞれみずからの胸の中にはさまざまな思いをお持ちであろうと存じます。しかし、近代日本開国の後におきまして、当時の国際環境の中でそれがどう評価され、時代の変化とともにどう変わっていったかということとは別に、朝鮮半島における植民地支配を日本が実施したという事実、あるいは中国に対して侵略的な行動をとったという事実、その事実を私は否定はできないと思います。
 そして、当時の列強というものの行動がどうであったかということ、その中においての日本の行動ということについていろいろな議論をしようと思えばできる部分はあるかもしれません。しかし、その地域の人々からすれば、日本によって植民地支配を受けたという思い、あるいは侵略を受けたという思い、これは事実として否定し去ることのできるものではないように私は思います。
 その上で、議論はさまざまありましょうし、一人一人のかかわりの中でまた国民の思いというものもさまざまなものがあるでありましょう。私はそのように思います。
#19
○板垣正君 日本の過去の歴史をすべて私は善なり、間違っていないということは一言も言っておらない。一番いけないのは、日本は悪玉で連合国は善玉だ、中国は善玉で日本は悪玉だ、日本のやってきたことは全部侵略だ、悪いことをしてきた。これはまさに村山談話の名において総括されているではありませんか。日本は侵略を行い、植民地支配を行い、アジアを苦しめました、申しわけありません、日本の歴史をそういう言葉だけで集約されて、しかもこれが外交の柱になっているではありませんか。これが今なお東京裁判に距離を置いて、国民の意識の方がもっと進んでいますよ。
 そういう点において、歴史解釈の自主権を持ちたい、解釈権を持ちたいというのが一貫した戦後からの流れですよ、心ある人の、志ある人の。みずからが解釈権を取り戻してみずからの解釈権のもとに歴史の教科書をつくりたい、こういう国民運動が起こっているではありませんか。こうしたことについて文部大臣はどういう御見解でしょうか。
#20
○国務大臣(町村信孝君) 特に、戦後あるいは戦中に関する歴史認識については私は総理と同じ見解でございます。その上に立ちまして、歴史の教科書のあり方というものにつきましては、歴史にはもちろんさまざまな解釈があるでしょう、そのさまざまな解釈にのっとって今、日本の歴史の教科書というものができ上がっております。それは基本的に執筆者あるいは出版社の権利として、それはまさに出版の自由という形で保障されております。
 ただし、その中で教科書として何が適切であるかということに関しては、教科書として載せるにふさわしい内容、あるいはそれが客観的な、あるいは学問的な事実に基づいているかどうかということについて文部省は教科書の検定を行っているわけであります。ただ逆に、こういう事実を書きなさいとか、こういう見方でこの教科書を書きかえなさいということを私どもとしては言う立場にはないというのが、日本の教科書についての文部省の考え方であります。
#21
○板垣正君 この問題はなお論議が尽きませんけれども、京都に刻まれた碑の言葉、これはまさにパールさんの四万語に及ぶ判決文の一番最後に書かれた有名な言葉であります。
 時が熱狂と偏見を
 やわらげた暁には
 また理性が虚偽から
 その仮面を剥ぎとつた暁には
 その時こそ正義の女神は
 その秤を平衡に保ちながら
 過去の賞罰の多くに
 そのところを変えることを
 要求するであろう
 私は、まさにそのときが来ていると思う。それがやはり戦後五十年の脱皮をして日本が立ち直っていく道である、こう重ねて申し上げておきます。
 最後に、昭和の日をつくろうという国民運動が、あるいは議員連盟の結成が進んでおります。
 四月二十九日はみどりの日という、昭和天皇が亡くなって、あの日は残したい、残したいが名前はみどりの日。このことについて当時から国会においても昭和の日と呼ぶべきではないのかと。昭和の時代を思う、昭和天皇を思う、そういう立場でみどりの日を昭和の日に改めてもらいたい、こうした国民的な署名運動も活発に行われておりますし、国会でも党派を超えて議員連盟を進めていこう、こういう動きがございますが、これに対して総理は積極的に受けとめていただきたい。
 総理の御見解を承って、私の質問を終わります。
#22
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、私は議員の御意見は御意見として真剣に拝聴いたしました。そして、昭和天皇をしのぶ、その気持ちにおいては私は議員にまさるとも劣らないものを持っていると思っております。そして、昭和という時代は将来ともに日本の歴史の中で考えていくべき非常に大事な時代であったとも思います。
 ただ、明治天皇の御誕生日、これも日本にとって忘れてはならない方でありますけれども、このお誕生日が御承知のように文化の日として定着をいたしております。そして、みどりの日を祝日とする法律、これが多数の政党の賛成によって成立をしたということ、こうしたことを考えますと、慎重な対応を必要とすることであると私は思いますが、それ以上に、私は実は、みどりの日という名称が決められましたとき、いかにも昭和様にふさわしい名前が選ばれたなという思いを本当に持ちました。自然を愛され、学者としてもその道の尊敬を集められる、そして、それこそ陛下が御出席をされる年間の行事の中で特に植樹祭というものを非常に大切にされ楽しみにして、そのたびに緑のふえていくことを喜んでおられた。そのようなことを思い起こしますと、みどりの日という命名は昭和様をしのぶ非常にいい名前だったという気持ちが私はするんです。
 ただ、これは国民の判断をされることでありますし、また先ほど申し上げましたように、多数の政党の賛成によって成立を決定づけたものでありますから、むしろ国会において昭和の日がよりふさわしいということになりましたなら、それに私はこだわるものではありません。ただ、私個人としては、いかにも昭和様のお人柄、御人徳というものをしのぶ上でふさわしい名前が選ばれたのではないかという感じを持っておりますことは申し添えたいと思います。
#23
○板垣正君 終わります。
#24
○委員長(岩崎純三君) 以上で板垣正君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#25
○委員長(岩崎純三君) 次に、広中和歌子君の質疑を行います。広中和歌子君。
#26
○広中和歌子君 おはようございます。
 参議院予算委員会もきょうで三日目でございます。既に十人を超える委員が質問に立ちましたけれども、その多くが現下の不況を訴えているわけでございます。資産デフレ約千兆円、うち土地六百十六兆円、株四百三十四兆円、こうした背景の中で、消費マインド、企業マインドが冷え切っているわけでございます。
 日本は不況のさなか、けさの新聞にも書いてございましたけれども、デパートの売り上げが前年同月の六・六%マイナス、しかしそれよりももっと問題なのは、日用品を買うスーパーとかコンビニ、その売り上げでさえ五・五%下がっているということでございます。不況感がちまたにみなぎっているわけでございます。貸し渋り、それによって新規の融資を受けられないだけではなくて、資金の回収をされたり、また回転資金が借りられないために黒字倒産が急増している、こういう現状については、総理といえども心を痛めていらっしゃるんじゃないかと思います。
 現在、経済危機のさなかにあり、国として思い切った経済対策をとらなければならないのは、何も私が申し上げるまでもなく、日々の新聞、そしてちまたの声を聞けば当然でございます。それなのに、昨年は増税など九兆円の国民負担がふえた、そして構造改革とは名ばかりの歳出にキャップをかぶせるような財政構造改革法を野党の反対を押し切って通過させた、そしてその結果として生まれた平成十年度本予算はデフレ予算と言われているわけです。
 そうした中で、昨年十一月、大型金融機関の相次ぐ倒産で三十兆円の公的資金が投入された。預金者保護と金融システム安定をうたっておりますけれども、これで金融危機は一段落と見てよろしいのでしょうか。大蔵大臣、お伺いいたします。
#27
○国務大臣(松永光君) 委員、今お話がありましたように、昨年の十一月以降、大型金融機関の破綻等がありましたがために、我が国の金融システムについての内外の信頼というものが著しく低下をしてきて、いわゆる金融不安という色合いが出てまいりました。
 これを速やかに手を打って、そして金融システムを安定させ内外の信頼を回復していく。極めて大事なことだということで、緊急的な措置をやらなきゃいかぬというわけで、国会の審議をいただいて金融安定化緊急措置法を成立させていただき、そして預金者の預金に対する信頼感を確立するために十七兆をもってこれに充てる、国債三兆円、そして政府保証十兆円をもって金融システム安定化のための措置をしていく、こういったことを決めていただいたわけでありまして、それに基づく手続を進めてきた結果、我が国の金融システムについての信頼度というものは相当程度回復してきたというふうに見ておるところでございます。
#28
○広中和歌子君 つまり、金融機関の倒産は起こり得ないというふうにお思いになりますか。
#29
○国務大臣(松永光君) 手を打ったことは、要するに預金者保護を徹底して、金融不安という流れの中で預金者が預金を下げにいく、それが広がっていけばいわゆる取り立て騒ぎになるわけでありまして、そういった事態は十七兆の資金を預金保険機構の特例勘定に入れたことによってとめられたと、こういうふうに私は思っております。
 そのほかに、我が国の金融機関の中で破綻するものが出てくるか出てこないか、その点については、私が今の段階で胸をたたいてもう出てきませんということを言い切るほどの自信はございません。
#30
○広中和歌子君 これからのビッグバンの中でいろいろ再編ということはあり得る、そういうことでございますか。
#31
○国務大臣(松永光君) お答えいたします。
 金融機関の中には、大きいもの、中くらいのもの、小さいもの、たくさんあるものでございますから、そういう小さい弱いものの中には、これは破綻をして、そして預金保険機構が預金者保護その他の処理をしていかなきゃならぬということになるものも絶対ないとは言えないと思います。
#32
○広中和歌子君 では、貸し渋りはいつごろ解消すると見てよろしいでしょうか。
#33
○国務大臣(松永光君) 去年の暮れからことしにかけて、今もやや続いておる点もあるわけでありますけれども、いわゆる金融機関の貸し渋りという現象が出てきたことは、これは事実であります。
 金融機関の側にいろいろ聞いてみますというと、いわゆる貸し渋りと言われるような融資姿勢をとっておるのは、一つは自己資本比率が達成できるかどうか、そういったことの考え方から貸し出し量をふやさないという姿勢、それが一つ。もう一つは、経済状況が厳しいこともありますので、不良債権をこれ以上ふやしたくないという見地からの融資の実は慎重姿勢、この二つが貸し渋りの原因のように思われます。
 そこで、今回申請したのは二十一銀行あったわけでありますが、それについて資本注入についての審査をしたわけであります。その場合に、申請銀行からは経営の健全計画という書類を出させまして、その健全計画の中で金融の円滑化についてしっかり円滑化への努力をしますという書類を出させまして、それを見た上で実は優先株等の引き受けを預金保険機構がするという仕組みをつくりました。それによって銀行の自己資本が充実することになったわけでありますから、それに対応した形での融資対応力が強化してまいります。それによって徐々に貸し渋りは解消に向かうという論理になるわけであります。
 その論理のとおり金融機関がやっているかどうか、それは今後とも、大蔵省もあるいはまた預金保険機構の方でもその銀行のその後の行動をよくフォローしていって、そして貸し渋りがないような状態に向けての努力は今後とも懸命に続けていかなければならぬ、こう思っておるところでございます。
#34
○広中和歌子君 事情はわかります。ただ、現在超低金利でございまして、そしてその中で銀行というものの営業利益というのは利ざやの拡大によって非常に安定的に、つまりもうけているということでございまして、銀行としては無理することはないわけですよね。要するに、お金を貸して、そしてさらにお金を貸してもうけようというインセンティブが働かない。つまり、これだけ保護され、さらにリスクを負うというような気持ちが非常に薄いんじゃないか、そういうことを私は心配しているわけでございます。
 では、今後六カ月以内に中小企業の倒産はどのくらいあると見込んでいらっしゃいますか。突然の御質問で恐縮ですが、経済企画庁長官、数字をお持ちでございましょうか。
#35
○国務大臣(尾身幸次君) 中小企業を含みます倒産が最近非常に増大していることに対しましては、極めて厳しい状況であると受けとめているわけでございます。全体として、私自身、ただいま大蔵大臣からお話がございましたが、四月一日の早期是正措置がございます。そして、それが終われば貸し渋り現象もある程度緩和されてくるのではないかというふうに考えております。そういう意味におきまして、貸し渋りという意味からの中小企業に対するマイナスの効果というものは四月以降やや緩和されてくるというふうに期待をしているわけでございます。
 ただしかし、今までも議論がありますとおり、現在の経済の状況は停滞をしておりまして、極めて厳しい状況でございますので、そういう点がさらに一層改善されることが必要な条件であるというふうに考えている次第でございます。
#36
○広中和歌子君 ともかく中小企業にしわ寄せがいかないように、心からその対策をとっていただくことを要望するものでございます。
 こうした中で、自民党から、本予算を衆議院で審議している最中にも、早々と補正予算を編成すべきだという声、また最近は財革法の実施の先送りの報道などがされ、また外国からも日本が財政措置その他さまざまな経済対策をするべきだという外圧がかかっております。
 それで、けさの新聞にも出ておりましたけれども、財革法の実施先送りについて、総理はそれを考えていらっしゃるんでしょうか、お伺いいたします。
#37
○国務大臣(橋本龍太郎君) けさ私もその報道は拝見をいたしました。自民党の中にいろいろ行われている議論を受けて記事にされたものと思います。そして、けさ番記者の諸君からもこれについての質問がありました。ただ、諸君、きのう一日僕についていて、そういう時間が全く、言いかえれば党と議論をするというような時間が全くなかったことを知っているじゃないかというやりとりをしたばかりでありまして、私も党の中で行われております現在の議論をメモで見る程度でありまして、掌握をいたしておりません。
 財革法をつくりますときにもいろいろな議論はございました。しかし、それを御審議願い、通過、成立をさせていただきました。そして、それに基づいて予算を編成し、今御審議いただいております。私どもとしては、この予算を一刻も早くとお願いをし続けているというのが今の状況であります。
#38
○広中和歌子君 総理が予算委員会の審議にかかずらっていらっしゃる間に自民党の中でいろいろな意見が出て、総理は今後の大きな意味での経済対策についてお考えになる時間もゆとりもない、そういうことなのでございましょうか。しかし、総理もやはりこれからの景気対策としてどのような手を打つか、そういうお考えはお持ちだろうと思います、総理は自民党の総裁でもあられますし。いかがでございますか。
#39
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、けさも報道がありますけれどもというお尋ねでありましたから、今それに対して、即してのお答えを申し上げました。
 そして、何回も私は御答弁をこれも申し上げておりますが、財革法という中期の目標を定めました法律と、その時々に応じて採用していくべきその時点の政策、これは二律背反のものではないということも申し上げてまいっております。当然のことながら、景気回復あるいは経済構造改革に向けて払っていくべき努力を考え、思い悩むのは当然のことであります。
#40
○広中和歌子君 財革法も含めまして今後どのような手を打っていかれるか、お考えがあればお伺いいたします。
#41
○国務大臣(橋本龍太郎君) 現時点においては、何よりも先に御審議をいただいております予算並びに予算関連法案を通過、成立させていただきたい。それが今私は安定という意味で必要な一番最初の一歩だ、そう考え、お願いを繰り返しております。
#42
○広中和歌子君 そういう中でも、世の中はどんどん変わっていくわけでございます。
 さて、景気回復のために必要だと言われ、超低金利政策というのが二年半にわたって行われてきたわけでございます。総理御自身はこのことについてどのような考えをお持ちでございますか。
#43
○国務大臣(橋本龍太郎君) かつて大蔵大臣のときに、意図した結果ではなく、日銀の公定歩合の変更に待ったをかけたという報道がされまして、大変私は国会でもしかられましたし、その後もいろいろと言われ続けてまいりました。
 その当時に比べ、新たな日銀法が通過、成立をし、現行日銀法においても、公定歩合の操作などの金融政策、日銀政策委員会の所管、決定権が明確にされておるところでございます。今これは我々が口を出してはならない分野、そのように考えております。
#44
○広中和歌子君 恐縮ですが、新聞の投書を読ませていただきます。
  超低金利改めて個人消費伸ばせ
  政府は、銀行などを助けるために膨大な公的資金を惜しげもなく出す道筋をつけたくせに、私たち国民の預金には、全然手を貸そうとすらしません。
  現在の不況は、「消費支出の落ち込みが最大の原因である」ことはだれでも承知している事実です。
  その落ち込みの原因は、まず第一に、何年にもわたる超低金利政策にあると思います。
  以前は、わが家でもトラの子の一〇〇万円の貯金の利息で、遠く離れた実家へ里帰りをしたものです。たくさん土産物を持って帰ると、老いた両親が大変に喜んでくれ、幸せでした。
  子供たちにも、年に一回ではありますが、そんな楽しみを味わわせたものでした。しかし、今はどうでしょうか。
  個人消費の落ち込みを叫ぶなら、どうしていつまでも、この超低金利政策を続けているのでしょう。
  預金の利息で、年一回ぐらい家計を明るくすることがなぜできないのでしょうか。
そういう投書でございます。
 日銀総裁、本当に毎日、しかも何回も御苦労さまでございます。恐縮でございますが、ぜひお伺いさせていただきたいわけでございます。
 今のこの投書に関しまして、総裁としてはどのようなお考えでございましょうか。コメントをしていただければ幸いでございます。
#45
○参考人(速水優君) 私も、この間まで民間におりましたので、民間に身を置いた者として、金利の収入というものが非常に低いということは大変厳しい状況であることは身をもって感じております。しかし、それと同時に、やはりバブルの後遺症というものがまだ完全に消えていない、それが非常に重い石になって、重荷になって企業や金融機関の足を引っ張っていることはこれまた事実でございまして、そういうものを早く償却し、しかもこれから起こってくるビッグバンに備えて金融機関もしっかり立ち上がってもらわなきゃならない。そういうことで、日本銀行も政府サイドもかなりとり得る措置をとって準備が整ったというのが現状かというふうに判断しております。
 そういう気分が民間にも浸透していけば、今の停滞を続けております、あるいは数字の面だけで見ていますと下がりぎみでさえあった、そういう景気の現状というものが必ず近いうちに自律、好転の流れに移っていくものというふうに期待しておるわけでございます。そういうものが出てくるのを期待しつつ、よく景気情勢を見てまいりたいというふうに思っております。
 日本銀行も、四月一日から新しい法律のもとで独立性を持って、新しい政策委員が加わって、人員も変わりますし、それから機構も変わるわけで、その中で討議をしながらよく現状の推移、見通しを議論した上で決めてまいりたいというふうに思っております。
 現状まで超低金利が続いてきたということについては、最初に申し上げたような事態がありましたことを頭に置いて、このことが解決しない限り景気はよくなっていかないという判断があったというふうに思っております。
#46
○広中和歌子君 続いてお伺いいたします。
 公定歩合の決定でございますけれども、これから新しい日銀法によってシステムも変わっていくとおっしゃいましたけれども、これまでの公定歩合の決定に関しましては、政府はどのような形で関与してきたんでしょうか。
#47
○参考人(速水優君) 私は、以前日本銀行に籍を置きまして、十七年前までおったわけでございます。その間三十四年おりましたが、主として企画部門、企画関係それから国際通貨関係に籍を置いて、特に七〇年代には理事として森永総裁や前川総裁のそばで金利の決まり方を見ておった者でございますけれども、その点に関する限り、金利は日銀の専管事項であるということを政府も大蔵省もよく理解をして、随分中で議論をして外へ漏れないようにしながら決定をしていった経緯を見てまいっております。
 そういう日銀の専管事項で金利政策をうまく操作しながらここまで、特に一九八〇年代の初めごろまでは非常にうまくいって、二度のオイルショックをあの短期間にオーバーカム、克服して、終わってみたら世界第二位の経済大国になっていたということは、私どももBISなどに行って各国の中央銀行総裁方とよく毎月のように話し合う機会があったんですけれども、日銀はよくやったと非常に称賛の言葉を受けたことを今でも誇りに思っておりますし、記憶しております。その辺のことはやっぱり日銀の金融、通貨価値を安定させるという政策がうまくいったというふうに考えていいと思います。
 その後、日銀を離れましたけれども、一つ一つの政策過程をつぶさに知っているわけではございませんが、これまでの金融政策の運営というのはあくまでも日本銀行みずからの判断と責任で行ってきたということは言えると思います。
 バブルの時期を振り返ってみますと、物価の安定基調が維持される一方で、為替の円高が経済に及ぼす悪影響を非常に強く懸念されるという状況にありました。また、大幅な経常黒字の是正とか円高の回避、そういった優先的な課題が先に立って、日本銀行自身のぎりぎりの判断として長期にわたる金融緩和をやり、ここまで参ったわけですが、そのことがバブルの発生の一端に、一つの原因になったということは日本銀行としても反省すべき経験を持ったというふうに理解しております。あくまでもインフレなき持続的な経済成長を目標にして、資産価額やマネーサプライの動向なども十分留意していくべきことを貴重な教訓としてその後も持ち続けて今日に至っておると思います。
 これからも、四月一日から日銀法が新しくなりまして、委員御懸念の独立性の点につきましても、御承知のように三条に「日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない。」ということが非常にはっきり書かれておるわけでございます。それと同時に、それを決める政策委員の身分保障も二十五条で認められておるわけでございます。それと同時に、金融調節に関する意思決定の内容、それから過程を国民に明らかにするという透明性、アカウンタビリティーにつきましても、新たに私どもの責任義務として記されたわけでございます。
 こういう新しい体制が来週から始まる、メンバーもかわるし機構も変わる、そういう新しい体制のもとでよく九名の委員がそれぞれ意見を言い、それが後々に議事録としても残るわけでございますが、責任のある意見、発言を聞きながら政策の決定に誤りなきを期してまいりたいというふうに考えております。
 それが今、現状で私の心境でございますので、金利の動向がどうか、あるいはどうすべきか、どうするかということはもう少しお待ちいただければ、新しい体制の中でよく考えて決めてまいりたいということだけを申し上げることができると思いますので、これで答弁にさせていただきます。
#48
○広中和歌子君 私は、一九八〇年、バブルが起こり始めたころのアクセルの踏み方、それをいつまでもかなり長期に踏み続けたこと、そしてまた、バブル崩壊の過程でブレーキを今度は踏み過ぎたこと、それがすべて日銀の責任であるのかどうか、そこに政府、大蔵省の関与があったかなかったかということについてお伺いしたかったわけでございますけれども、お立場上なかなか言いにくいということもおありかと思います。いずれにいたしましても、そうした背景の中で日銀法がつくられたことと期待しております。ですから、今後の金融政策について万全を期していただきたいと思います。
 そして、現在のこのような長期の低金利政策、日銀の独自の判断によるというふうにおっしゃいましたけれども、その判断の根拠、いろいろおっしゃっていただいたわけですが、他の状況を総合的に判断されて早目に、歴史的にも低いこの超低金利に対して何らかの措置をしていただきたい。日銀の副総裁もきょうの新聞によりますとちょっと御発言をしているようでございますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 どうもありがとうございました。どうぞお引き取りいただいて結構でございます。
 時間を大分この問題に使いましたのでそろそろやめますけれども、ともかく一方では公的資金を導入して銀行を助けているわけでございます。庶民が非常に割を食っている。この不況下、総理は政府を代表して、やはり財政だけじゃなくて金融問題につきましても日銀と、つまり超法規的な形になるかもしれませんけれども、対話をお持ちになるべきではございませんか。そして、この超低金利について総理個人のお考えがあればお伺いしたいと思います。
#49
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、議員が今述べられたような問題点、すなわち低金利というもの、貯蓄に対する利子が少なくなり、その影響を受ける方々が多い、これはお気の毒であるということは全く否定をいたしません。ただ前に、別の場面で、同様に見ていきますとき、例えば住宅ローンなんか支払っている方にはプラスに出ている面もあるということも申し上げたことがございます。
 そして、そういう点はありますけれども、金融政策、これは本当に我々が口を入れてはいけない場所、そして超法規的措置と言われますけれども、そういうことを本当はしてはならないと慎んできました。
 その上で、日銀総裁が出席をされ、私も出席をいたします月一回の月例経済報告等に関する関係閣僚会議、この場におきましては金融情勢等に対する説明ももちろんございますし、またこれに対する議論もいたします。そしてまた、日銀政策委員会には政府の代表が出席をし議論をしているわけでありまして、そうした中で私自身の、あるいは政府の考え方というものも日銀側には正確に伝わる、その上で日銀としての政策判断はなされる、私はそのように思います。
#50
○広中和歌子君 では、次のテーマに移らせていただきたいと思います。
 総理が座長を務められた行革会議の最終答申の結果、省庁再編の大枠が決まり、中央省庁等改革基本法案が今国会に提出されております。
 それで、この法案を提出した後、どのような形で省庁の再編が行われるか、現状じゃなくて、これから先どういうことが行われるか、そのプロセスについてお伺いいたします。
#51
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、中央省庁改革の基本法案を国会に提出させていただきましたが、この法案が成立いたしました場合、これを受けてすぐにつくりますものは中央省庁等改革推進本部、そしてこの本部が発足いたしますと、この本部が中心となりまして関係法律の整備など新体制への移行に必要な準備を進めていく、そして二〇〇一年一月一日に一府十二省庁体制への移行を開始する、そういうプログラムを組んでおります。
 そして、その途中におきまして、今国会中に私どもが地方分権推進計画を提出いたします。それは地方分権推進委員会から既にちょうだいをしている四次にわたる勧告、これに基づく推進計画を提出いたしますと申し上げておりますが、この分権推進計画によりまして、またここまでに進めてまいりこれからも進めようとしております規制緩和、これによりまして、地方分権によるスリム化と規制緩和あるいは撤廃による官から民への権限の移譲、こうしたものもあわせながらこの中央省庁等改革推進本部において関係法令の整備などに取り組むということになります。
#52
○国務大臣(小里貞利君) 大筋、総理の方からお話しいただいたプロセスでございます。
 一言補足申し上げますと、今次国会におきまして同法案をお認めいただき御決定いただきましたなれば、ただいまお話しのとおり、直ちに中央省庁編成のための推進本部をつくりまして、これから約一年たちました来年の今ごろは、その各省庁設置法あるいはそれに関連する内閣法あるいは国家行政組織法等をこの国会に御相談することができると思っております。
 さらにまた、今申し上げるのははばかりがあるかもしれませんけれども、いわば中期の計画でございますからあえて申し上げますが、来年の各省庁設置法を国会で決定いただきました後、さらに一年後にはそれに関連する予算等を相談申し上げまして、その予算の可否についての国会の意思を決定いただくと同時に、二〇〇一年一月一日を手がたく目指しまして努力を積み上げていかなきゃならぬ、さように思っております。
#53
○広中和歌子君 今、総理からこの法律あるいはプロセスの理念について、地方分権であるとかスリム化とか規制緩和とか、いろいろおっしゃっていただいたわけでございますけれども、この大事なプロセスの一つとして、省庁再編の中で今度は各省庁にわたって設置法がつくられるということでございます。その設置法は、今まであった省庁が合併され、一緒になってつくられると新たな設置法がそれぞれ必要になるわけでございます。
 今までの設置法ですと、行政の範囲を決める所掌事務とそして権限というふうになっていたわけですが、例えば厚生省と労働省が一緒になって、どういう名前になるのか知りませんけれども、労働厚生省ですか、厚生労働省、福祉何とか省ですか、ともかくつくられましたときに、その所掌事務並びに権限というのが、一足す一が二になるんでは困るわけでございまして、一足す一が一になるとか、そういうような形の検討がなされなければならないんじゃないかと思いますが、どういう形でそれに今取り組まれているのか。
 つまり、来年のことですけれども、今各省庁では自分たちの生き残りというんでしょうか、それをかけて一生懸命やっていらっしゃるプロセスのさなかだろうと思います。それで今この時期に、私は少々早いということを知っておりますけれども、御質問しているわけでございます。
#54
○国務大臣(小里貞利君) 先ほど総理も若干触れられたところでございますが、ただいまのお話こそまさに中央省庁再編を進める上におきまして最も基礎的な要諦であると思っております。
 端的に申し上げますと、現在ある一府二十一省庁体制の中身をそのまま形の上で一府十二省庁体制に持ってくるなんて、それはまさに改革の意思に反する話でございます。では、一足す一はイコール二でなくて、一足す一は一・五なりあるいは一にするぐらいの気迫で私どもは腰を入れて、先ほど総理がお話しになりましたように、あらゆる手段がありますから、また、そのあらゆる手段につきましては最終報告において行政改革会議等でもまとめておりますし、さらにまた、そのことについては政界各党の御意見なども十分お聞きいたしまして、今次の基本法案にその基礎的な精神だけは入れておるつもりでございます。
 先生がお話しのように、これから約一年間かけまして具体的に国の権限を縮小する、その縮小するための手段がここにあり、そしてその具体的姿はこういうふうに持っていきましょうということを議論していただかなければならないと思っておる次第でございます。
 なおまた、ただいま若干先生がお触れになった話の中に、行政権限法的な一つの趣旨でお話しになったのではないかと思うのでございますが、いわゆる所掌事務の形におきまして範囲は決めておるけれども、その深さというものもきちんと法定上整理しておかなければ、いたずらに、言うなれば行政事務あるいは行政事業というものが無節度になったりしては意味がないよという御指摘であると思うのでございますが、そういうところも十分注意をして作業を進めていくべきである、さように思います。
#55
○広中和歌子君 非常にすばらしいお答えをいただきましたので、私としてはもう本当にそれが実行されることを期待するのみなのでございますけれども、たまたま質問通告をさせていただいた厚生省と労働省、例えば児童家庭行政は厚生省、女性行政は労働省、それから高齢者雇用が労働省、老齢年金が厚生省というような感じで、これから省庁、重なりが非常に存在すると思うのでございます。そうしたものをどういう形で減らしていくか、少なくとも今省庁のトップにいらっしゃる大臣方の行革に向けての御決意を労働大臣並びに厚生大臣から伺えれば幸いでございます。
#56
○国務大臣(小泉純一郎君) 労働省と厚生省が一緒になり、これが一プラス一が二になっては仕事の効率化も図れないという御趣旨だと思いますが、私も同感であります。できるだけ重複を避けて連携をとっていく、当然簡素化に向かって努力していかなきゃなりません。その際にはお互い連携を深めて、縄張り意識を捨てて協力していくということが必要でありますので、既に四月から始まる人事交流についても始めていこう、さらに六月か七月に行われる人事交流においても交流をしていこうということで、お互い重複を避けて連携を強化していく方向で、既に事務当局でもその話し合いをしていこうということで合意しております。
#57
○国務大臣(伊吹文明君) ただいま厚生大臣からもお話がありましたけれども、先生御指摘のように、厚生年金と例えば高齢者の雇用、女性の社会進出の問題と育児の問題等、一緒になれば一体的に非常にうまくやれる分野がたくさんあると思います。したがって、お話し合いをして、組織は一プラス一が一になり、国民に対する行政サービスとしては一プラス一が三になるような形に持っていく、これが基本であろうと思います。
 ただ、例えば高齢者の方が、高齢者といいますか、厚生年金が六十五歳支給になるから定年制は六十五にするんだというような短絡的な話ではなくて、やはり働くということが生きているということの確認であり、この世で存在しているという自尊心というか存在意識の確認であるという労働の大切な面を失わないように組織はつくっていかねばならない。そして、形をつくって魂入れずではいけないんで、先ほど厚生大臣がおっしゃったような人間的な理解をお互いに持ちながら、スムーズに移行していけるよう準備を行うように話し合ってくれということを、厚生大臣とも御相談をして申し上げた次第であります。
#58
○広中和歌子君 国民の受けるサービスは三でも五でもすばらしいと思いますけれども、しかしそれをすべて行政がしなくちゃならないというわけではございませんで、民間委託ということもあるのではないかと。もう十分御存じでいらっしゃいますので本当に失礼でございますけれども、さらに申し上げます。
 要するに、今あります権限というものが法律に基づくものもあれば法律に基づかないものもいっぱいあって、それが裁量権となって非常に行政を不透明にしている、あるいは行政におもねる、あるいはこちらの方から特別にフェイバーを受けるために近づくといったような、民間側からそういうようなことが起こっているわけでございますから、設置法の中に裁量権というものをできるだけ法律に書き込めるような形にして透明度を高める、説明できる、アカウンタビリティーということですけれども、その二つを入れることが非常に大切だろうと思いますけれども、その行政裁量の方法論というんでしょうか、それをどういうふうに確立していくべきとお思いでございましょうか。総務庁長官にお伺いいたします。
#59
○国務大臣(小里貞利君) まず、もう先生も御承知のとおり、いわゆる事前管理、裁量行政というものを、無節度にその枠を組んでいくというようなことをしてはならぬ、これはあくまで事後管理で一定のルールに乗ってというのが一般的な一つの考え方であります。このことはまた後日議論をさせていただく機会があろうかと思うのでございますが、私は総じてこれは大きな原則だな、そういう感じを持っております。
 それからもう一つは、各省庁設置法のみでいわゆる行政指導というものを整理していくがごとき状況は危ないのではないか。もう少しこれを、言うなればすべての法律と申し上げましょうか、法的根拠を持った一つの行政業務あるいは行政事務の体制というものを配慮する必要があるんじゃないか、こういうところを言っておられると思うのでございますが、先ほども若干申し上げましたように、そういう無節度なことが起こらないようにできるだけ合理的で効率的な行政執行ができるように、せっかくの改革の機会でございますから、十分具体的に対応するべきである、さように思っております。
#60
○広中和歌子君 私といたしましては、行政作用法によって書かれている、それに基づく権限以外は行使できないような行政権限法を定めるべきではないかというふうに思っているわけでございますが、ぜひ御配慮いただきたいと思います。
 そして最後に、総理、このテーマについてでございますけれども、総理は本当に意気込みを持ってこの座長を務められた行革会議でございます。今後どのようなリーダーシップを発揮なされ、そしてこの行革が本当に総理が当初考えられていたような理想にいかに近づいていくか、御決意をお伺いいたしたいと思います。
#61
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私ども、この基本法を通過、成立させていただきました場合に、これはすぐ中央省庁等改革推進本部を設置したい、そしてその中におきまして、国の仕事自体の減量化は当然でありますけれども、先ほど申し上げましたような地方分権推進計画、あるいは規制緩和の進行状況、こうしたものを織り込んでスリム化の方向での議論を整理していく、そして法案づくりに入りたいと思います。
 そこで、議員から今提起をされました行政権限法、ちょっと言い方は違うんですけれども、行革会議の中でこのような議論がありましたことを一つ御紹介をしたいと思います。そして、これは今後に課題を残しておる問題点でございます。
 ある委員の方から提起をされました問題で、今後各省庁設置法を改正していきます場合に、設置法からその権限規定を全部外してしまうことはどうかと。そして、その所掌事務のみを定めて、その権限は個別の法律で定める、そういう考え方を意見として出された方がございました。これに対してもう一つの議論は、その所掌と同時に権限を初めから規制して、規制といいますか規定しておきませんと、その所掌の範囲ということで個別法さえつくればどんどん逆に権限が膨らむんじゃないか。だから、むしろ委員の御意見とは逆さに、所掌と権限は同時並行できちんと位置づけておくべきではないのか。そしてその上で、そこにつけ加えるべきものとして、例えば都道府県なり市町村なりにいかに権限を移していくかという発想を持って所掌と範囲と権限を規定すべきではないか、こういう議論がございました。
 いずれにしても、今日までのやり方で裁量権がいたずらに膨らむ事態は避けなければならない、これは皆合意でありましたけれども、その場合に規定の仕方として、所掌を確定だけしておく、権限は個別法で与えるというやり方がいいか、所掌と権限は最初から規定の中で押さえた上、むしろ都道府県あるいは市町村に移譲すべき方向性までをそこに盛り込むかというのは、立法作業のスタートするこの本部においての議論にゆだねられた部分がございます。
 私は、議員が先ほど来述べてこられたこの議論は、問題意識を共有しながらたまたま二つ真っ向から逆さの議論が残りまして、今後のテーマとして残しております部分でありますので、御紹介を申し上げます。
 いずれにしても、そこまで我々は行革会議の中で議論をしてまいりました。それだけに、基本法が成立をし、直ちに本部をスタートさせ、全力を挙げてその作業に取り組ませていただける日が一日も早く来ることを心から願っておりますし、これは何としてもやり遂げてまいりたい、心から御協力をお願いいたします。
#62
○広中和歌子君 まさに、この規制緩和、地方分権、そして行政のスリム化ということが実現することを心から願ってきょうの質問をさせていただいたわけでございます。
 次に、残された時間、国鉄の債務処理についてお伺いいたします。
 今回、旧国鉄債務に関してJRにさらなる負担をお求めになった理由についてお伺いいたします。
#63
○国務大臣(藤井孝男君) お答えいたします。
 今回、JRの負担とするものの中身でございますが、また理由でございますが、JRの共済を厚生年金に統合するに当たって必要になりました移換金のうち、事業団負担分七千七百億円の一部でございます。そのうちJRの社員分三千六百億円、毎年二百四十億円の負担をお願いしているものでございます。
 この分も実はだれかに負担をしていただかなきゃならない問題でございまして、結局これを一般国民に負担していただくのか、その社員の事業主に負担していただくのかという、いわゆる事業主と申しますとJRに負担していただくのかということが問題になっているところでございます。
 JRの社員分の移換金はJRの社員の年金のための負担でございまして、JRにとりまして自分の社員の福利厚生のための費用でございます。実は、委員御承知かと思いますが、JRは昨年度まで年金のために毎年二百二十億円を任意で負担してこられました。今回もこれと同様に自分の社員の福利厚生のための年金の負担を行うものでございます。
 一方で、JRの共済に対しましては厚生年金と他の制度からこれまでも九千三百億円の支援をいただいているところでございますし、今後とも四十年間にわたりまして毎年一千五百億円、総額六兆円の支援を他の制度からいただかなければならないものでございます。
 こうしたことを考慮いたしますと、政府といたしましては、このような特定企業の社員の福利厚生のための費用まで一般国民、つまり国民の税金にその負担をお願いするわけにはいかないと判断をいたしまして、また年金の問題は、これは委員御承知のとおりでございますが、当事者である関係事業主で処理するという年金制度の原則に従いまして事業主であるJRの負担とすることが適当であると判断したところでございます。
 以上のように、今回の措置は民間企業が社員の福利厚生のために通常負担する合理的な負担でございまして、国が民間企業に対しまして不合理な負担を強制するというものではございません。
 なお、今回の事業団の債務の処理に当たりましては、昭和六十二年の国鉄改革によって事業団が負った債務はその全額を国と鉄道建設公団の負担で処理することといたしております。また、七千七百億円の移換金のJR社員分以外の分の四千百億円につきましても国庫補助金等を裏づけに鉄道建設公団がすることになることも指摘しておきたいと思います。これらにつきましてはJRに一切の負担を求めているものではございません。
 以上でございます。
#64
○広中和歌子君 いろいろ御苦労はわかるんでございますけれども、やっぱり筋が違うんじゃないかと。もう新聞の社説なんかを見ましても大反対でございますし、民間の方も反対している。私はこの分野で全く専門家じゃないわけですけれども、ただこのことを聞いただけでこれはおかしいんじゃないかというふうに一市民として思いました。
 つまり、政府は一昨年、鉄道共済年金を厚生年金に統合するため、年金積み立て不足分について政府とJRの負担分担を決めたばかりでございます。JRに関しましては、国鉄が経営破綻に伴って分割・民営化して十年前に生まれたわけでございますけれども、その旧国鉄債務三十七・一兆円のうち国が二十二・七兆円を引き受け、JR各社が十四・五兆円を引き受けた。当時年間総売り上げの四・五倍に達していたようでございます。
 この十年間、私どもはJRをいろいろ利用させてもらっているわけですけれども、サービスの向上とか何か、それからはすばらしいものがあり、みんな国鉄ファンじゃなかった人でもJRファンにはなっているわけでございます。その間JRは借金返済も着々と進め、まさに彼らの言葉をかりれば死に物狂いでやってきた。八・一兆円の利払いをし、元本十二・五兆円に減るというところまで頑張っているわけです。
 政府が今お金に困っていることはわかりますけれども、勝手にそういうふうにやられるのは、どうも民間の人としては、本当に民間会社にとっては承服できないことではないか。
 ですから、私はこの法案を撤回することを提案させていただきたいと思います。
#65
○国務大臣(藤井孝男君) 先生御承知かと思いますが、六十二年の国鉄改革におきましては、年金につきましてはJRが年金受給者の国鉄期間分も含めて負担することとしておるものでございます。
 そして、今いろいろ御指摘をいただきましたけれども、六十二年の国鉄改革におきましては、経営形態や労使関係につきましては国鉄とJRを明確に断ち切ることといたしました。しかし、共済年金という職員の福利厚生の問題につきましては、職員の利益を守るために共済制度を継続して国鉄期間との連続性を確保し、年金制度の原則に従って現役が過去の国鉄期間分の年金を支えることとしたものでございます。これが六十二年の国鉄改革の基本でございます。ですから、この年金問題はずっと続いてきているもので、それを今回、一昨年の年金統合の問題につながっていくわけであります。
 同様に、例えば国鉄改革ではJRの社員の退職手当につきましてもJRが社員の国鉄期間分も含めて支払うこととしたところでございます。
 ですから、ここら辺が非常に誤解が生じておるのでございますが、先ほどJRが負った負担、そして国鉄清算事業団が負った負担等々のお話がございましたけれども、今回のJRに対する負担につきましては、その国鉄清算事業団が負った負担はふえた、債務がふえた、これは我々はいろいろ反省をいたしておるところでございますが、そういった分を今度のJRに負担をお願いしているものではございません。
 先ほど来申し上げておりますように、年金でございますから、年金というのは、本来その基本であります事業主がその社員の福利厚生のために負担するのは年金共済の基本でございます。
 そういう意味から、我々といたしましては、この年金のJRの社員分につきましては、年金の問題でありますし、そういった問題につきましてはJRの負担にしていただくということが合理的であり、これは決して今まで膨らんだ債務を押しつけていくとかそういうものではございません。ぜひ御理解をいただきたいと存じます。
#66
○広中和歌子君 この国鉄清算事業団法に関しましては、本会議でもまた各委員会でも審議されることになると思います。
 しかし、これに絡みまして、たばこ特別税の創設が考えられているようでございますけれども、これも国鉄債務に絡むものだそうでございまして、私はたばことか酒とか塩とかというのは特別税になじまないものというふうに大蔵省から伺っているのでございますが、いかがでございましょうか。
#67
○国務大臣(松永光君) お答え申し上げます。
 国鉄長期債務等の処理の方策につきましては、運輸大臣から今詳細答弁があったところでありますが、まず自助努力によってできるだけ返済し、残る債務を一般会計に承継することとし、その上で可能な限りの財源捻出の努力を行い、どうしても足らざる部分についてたばこ特別税という形での負担を求めることになったわけであります。
 たばこというのは特殊な嗜好品であり、景気動向に比較的左右されがたく安定的な財源を確保できる、いわゆる財政物資でありまして、最近の価格に占めるたばこ税の負担割合の低下を回復する範囲内での税負担を求めるということにしたところでございます。
#68
○広中和歌子君 私は、たばこを目的税にすることに実は賛成なのでございます。
 ただし、国鉄債務を救済するためではなくて、環境税という形にいたしまして、今二百何十円か知りませんけれども、それを五百円にしてでも千円にしてでもよろしゅうございますから、どうぞそれで国家の財政を救っていただいたらよろしいんじゃないかと思いますけれども、総理、申しわけございません、御答弁に立っていただきたいと思います。
#69
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、今回たばこ特別税の創設を、国鉄長期債務の処理あるいは国有林野事業の改革というものの中でこの累積債務を一般会計に引き継ぐ、それになぜ活用させていただこうと判断をしたかという点については、大蔵大臣から御答弁を申し上げました。これに私からつけ加えることはございません。
 ただ、その上で私は、今後の考え方として議員が今述べられたお考えというものは、我々がやはりひとつ留意をしていくべきポイントだろうというのは率直にたばこ好きの私自身が思います。ただ、非常に高い値段を設定されましたが、どうぞそれは多少手かげんを願えますように、ただ私は本当に一つの視点として今のお話は伺いました。
#70
○広中和歌子君 私は、厚生省予算にするとか環境庁予算に組み入れるんであれば大賛成でございまして、これは今後検討していただきたいと思います。
 これで質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#71
○委員長(岩崎純三君) 以上で広中和歌子君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#72
○委員長(岩崎純三君) 次に、高野博師君の質疑を行います。高野博師君。
#73
○高野博師君 公明の高野でございます。
 最初に、外交・防衛問題についてお伺いいたします。
 中国の江沢民、朱鎔基、新しい体制ができましたが、この新しい体制をどう認識されておるのか。日中関係に与える影響はどうなのか。また、中台関係に何らかの進展というのが期待されるのか。実は、二、三日前のある報道によりますと、台湾が中国の朱鎔基首相を招待しているというような情報もありました。新聞に出ていないんで私よくわかりませんが、何らかの動きがあるのかもしれないなということを感じておりますが、総理の認識を伺います。
#74
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今回の全人代におきまして、中国のトップに一部の変更がありましたことは議員御指摘のとおりであります。そして、江沢民国家主席並びに朱鎔基総理を中心とする新体制が発足をいたしました。
 私は、中国として内外のさまざまな課題にむしろ積極的に取り組んでいく姿勢を示されたもの、これが整ったものという感じを持ってこれを見ております。これは当然ながら日中間における対話の拡大にもつながっていくでありましょうし、本年春早々に遅浩田国防部長の訪日という今まで公式に行われなかった防衛当局者の接触というものも、そのモメンタムは当然ながら維持され、これは地域の安定の上にもプラスになると存じます。
 また、議員からお触れをいただきました部分、すなわち中台間の対話という問題につきましては、これが中断してきたことは御承知のとおりでありますが、この対話再開に向けて最近活発な動きが見られていることは事実でございます。そして先般、台湾側の責任者が大陸を訪問するということが双方で合意されたということは承知をいたしております。今後の展開、これは予断を許さないという言葉に尽きるかと存じますけれども、日本としては、台湾をめぐる問題が当事者間の話し合いを通じて平和的に解決する、これを強く希望してまいりましたし、その姿勢はこれからも変わるものではございません。そのような思いを込めて今後の動きに注目していきたいと考えております。
#75
○高野博師君 それでは、新ガイドラインの関係でお尋ねいたします。
 総理が、先般、防衛大の卒業式のスピーチの中で、新ガイドラインとの関係の関連法案を提出する予定だということを明言されておりますが、この関連の国内法と新ガイドラインの関係はいかなるものなのか、関連法案の法的根拠は何なのか、これをお伺いします。
#76
○国務大臣(久間章生君) 新たな指針の本文にも明らかにされておりますように、指針及びそのもとでの取り組みは、いずれの政府にも、立法上、予算上または行政上の措置をとることを義務づけるものではございません。しかしながら、日米協力のための効果的な態勢をつくっていくことが新たな指針及びそのもとでの取り組みの目標でありますから、日米両国政府が、それぞれの判断に従いまして、このような努力の結果をそれぞれ具体的な政策や措置に適切な形で反映されることが期待されているわけでございます。
 そういうような観点から、指針の実効性確保に係る法的措置、これにつきまして、昨年九月二十九日の閣議決定の趣旨を踏まえまして現在各省庁で鋭意検討を行っているわけでございます。そして、政府としては、先ほど委員御指摘になられましたように、総理も述べられましたが、今後、今国会に提出できるように事務的作業を今精力的に進めておりまして、できるだけ速やかに成案を得たいと思っているわけでございます。
 したがいまして、法的根拠と言われましたけれども、今言いましたように、それぞれがそういう必要な態勢の実効性確保を図っていく、そのために必要なものを、法律を改正するなら改正する、あるいは新しくつくる必要があればつくっていくということに、ガイドラインを受けた形でどういうふうにして態勢をつくっていくかという、その一貫の作業の中で法的整備を行っていこうとしているわけでございます。
#77
○高野博師君 それは私の答えになっておりません。法的な根拠は何かと。
 そうすると、新ガイドラインということでよろしいんでしょうか、法的根拠は。
#78
○国務大臣(久間章生君) 法的根拠じゃなくて、何かをするために法律をつくるわけでございますから、それをするために法律が必要なら法律をつくるわけでございますから、ガイドラインを実効性あるものにしていくために、そしてどういうことが必要かということを検討して、法律が必要だということになれば法律をつくるし、あるいはまた今の法律で不十分なところは直すということでございますから、ガイドラインに沿っていろんなものをこれから先やっていこうと。それをより実効性あるものにするために法的制度が必要ならするし、また取り決めが新たに必要ならばアメリカとの関係で取り決めをやるということでございますから、根拠と言われましても、法的根拠というか、法律をつくるわけでございますから、関連法案をつくったり改正したりするわけですから、その根拠というのはガイドラインを実効性あるものにするためにするということでございます。
#79
○高野博師君 それは全然おかしい話で、ガイドラインは条約でもない、協定でもない。そうすると、そういうことが実際、要するに法的根拠というのは、ガイドラインは、それじゃ国際約束というとらえ方でよろしいんでしょうか。
#80
○国務大臣(久間章生君) 先ほどから言いましたように、ガイドラインそのもので法的あるいは予算的な義務づけを受けたわけではございませんから、それは国際約束、いわゆる条約じゃないわけでございます。
 しかしながら、それを受けましてそれぞれの政府が必要な措置、あるいは必要ないろんな検討を行って態勢をつくる、これはやはりお互い共同声明みたいなものですから、それによって何かやらなきゃならないわけですね。要するに、両方でこういうふうにしましょうということを言ったわけでございますから。しかし、それは決して法的な、あるいは予算的な義務づけを言ったものじゃないけれども、やはりお互い日米間の政府同士でこういうことをやりましょうということで言ったわけでございますから、それに従った措置を、必要なら法律をつくって国会に提案して、国会の御審議を経て、そうだということになればそれをつくるのがより実効性ある措置ができることになるわけでございますから、そういう流れの中でこれから先つくっていこうとしているわけでございます。
#81
○高野博師君 明快じゃありません。
 このガイドラインに、先ほど長官がおっしゃられましたように、行政上、立法上、予算上の措置を義務づけるものではない、しかし具体的な政策や措置に適切な形で反映することが期待される、こう書いてあるんですが、旧ガイドラインには期待されるというようなことは何も書いてありません。
 このガイドラインを受けて去年の九月二十九日の閣議決定があって、その閣議決定の中で、「我が国の平和と安全を確保するための態勢の充実を図るため、法的側面を含め、政府全体として検討の上、必要な措置を適切に講ずることとする。」と。閣議決定は新ガイドラインに基づいてつくっているわけですね。
 では、日米安保条約とこの関連法案はどういう関係になりますか。
#82
○政府委員(竹内行夫君) お答え申し上げます。
 新たなガイドラインと申しますのは、日米間の種々の協力の中におきまして、安保条約というものの目的であります日本と極東の平和と安全の維持ということを目的といたしまして、それをより効果的な時代に合ったものにあらしめるということがそもそもの目的でございます。
 そういうことにつきまして日米間で政治的な意思の合致があったということが大前提でございまして、それならばいかなる作業をしていくかということになりますと、これは日米安保条約のもとにおきます日本と極東の平和と安全の維持という目的の範囲内におきまして、同盟関係の基本的な枠組みを変更することなく、さらには憲法の枠組みの中でそれを逸脱することなく、効果的な日米間の防衛協力を具体的に推し進めていこうということで、それぞれが必要と考えることを行うということで作業をしているわけでございます。
 したがいまして、現在いろいろ国内において作業をしておりますのは、ただいま申し上げましたような指針の位置づけ、安保条約のもとにおける日米防衛協力の効果的な推進という観点から国内法上の作業を行っておる、こういうことでございます。
#83
○高野博師君 ちっとも明確じゃありません。
 新しいガイドラインというのは、要するに日米安保条約の極東条項から踏み出して周辺事態という新しい概念を取り入れている。そして、専守防衛から新たに拡大された行動、こういうことも要求されている。いわば新しい枠組みをつくった、これが新ガイドラインの本質ではないかと思うんですが、先ほどの閣議決定というのは内閣の合議機関としての最高の意思であるわけですね。新ガイドラインに根拠を置いていると。
 そこで、関連の国内法というのは新ガイドラインと不可分の関係にあると言えないか、一体性があると言えるのかどうか、お伺いします。
#84
○国務大臣(久間章生君) 今私どもが作業しております新しい法律といいますか法律の改正、それはもちろん新ガイドラインと一体性があるわけでございまして、それとばらばらな法案なんということは考えられないわけでございます。
#85
○高野博師君 この一体性というのは、実態上の一体性という理解でしょうか、それとも法的な一体性。形式上、実態上も要するに一体性があるというとらえ方でよろしいんですね。
#86
○国務大臣(久間章生君) 今、委員が言っておられる形式的なあるいは実態的なという、そこのところがよくわからないんですが、要するにガイドラインを実行していくためにある態勢をつくっていかなければならない、そういうときに今の法律では不十分だというようなものについては改正しますし、新しく法律が要るというようなものについて法律をつくる。例えば、船舶の検査なんというのはなかなか現在の法律ではできないから、そういうものについてはやはり法律をつくってやる必要があるんじゃないかとか、そういうようなことで今作業を進めているわけでございます。
#87
○高野博師君 ガイドラインと関連の国内法が一体性があるという答弁が今ございましたが、関連法は当然法律ですから国会の承認を得るわけでありまして、その一体性を持っている新ガイドラインは国会の承認を得なくてもいいということは法理論的に矛盾しないでしょうか。
#88
○国務大臣(久間章生君) 先日もこの委員会で言いましたけれども、国会の承認を得るというのは、これは条約であれば得なければならないわけでございます。それは法律上そうなっているわけでございますから、法律に基づかない国会の承認というのはないわけでございますから、何らかの法律があるわけですけれども、条約については受けなければなりません。
 しかしながら、先ほど来言いますように、予算上、立法上、行政上の義務を国として外国に対して負うものではございませんから、これは条約じゃございませんので、そういう意味でこれは条約でないから国会の承認が要らない。
 しかし、それを実効性あるものにしていくために法律が必要ということになれば、それは国会に提案して、その内容について御審議を経て法律をつくる。つくることによって実効性ある態勢ができ上がるということでございますので、それがなかったならば絵にかいたもちになりかねないというおそれがあるからやることでございますけれども、外国に対して法的、予算的、行政上の義務を負っているものではないから、条約でないのでこれは国会の承認の案件にならないということでございます。
#89
○高野博師君 何か明快じゃありません。
 新しいガイドラインの中に、「日本のすべての行為は、その時々において適用のある国内法令に従う。」と規定されております。ですから、この関連法が出てきたときには、これは国の安全保障、防衛、そして国民の権利義務にかかわる重大な規定がここに述べられているわけであります。そして、先ほど長官が言われたように一体性があるということでありますから、これは国民にはわかりにくい。
 そこで、法制局長官にちょっとお伺いしたいんですが、先ほど防衛庁長官が答えられたように、新ガイドラインと国内法に一体性があるということであれば、これは国会の承認をあわせて求めなくてはいけないのではないかと思うので、その辺はどうでしょうか。
#90
○政府委員(大森政輔君) お尋ねの趣旨がもう一つ私には理解できないわけでございますが、新ガイドラインと国内法が一体性があるかないかという場合におけるその一体性ということをいかなる観点から問題にしておられるのかということが私は若干理解できないということでございます。
 ただ、事柄の筋道に従って若干御意見を申し上げたいと思いますが、まずガイドラインが、いわゆるガイドライン、正式名称があるわけでございますが、新しいガイドラインが国会の承認を求めるべき国際約束であるかどうかということに関しましては、ただいま防衛庁長官から答弁がございましたように、このガイドラインと申しますのは「平素からの及び緊急事態における日米両国の役割並びに協力及び調整の在り方について、一般的な大枠及び方向性を示す」ものでございまして、政府に立法、予算ないし行政上の措置をとることを義務づけるものではない。これはガイドラインの冒頭で明記してあることでございます。日米両方で確認し合っていることでもございます。
 したがいまして、新ガイドラインと申しますのは、旧指針と同様に日米間に法的な権利義務関係を設定したものではございませんので、憲法七十三条三項に言う「国会の承認」の対象たる条約には当たらないということでございます。それがまず第一点。
 それから次に、しからば法律との関係がどうかということについて、これも防衛庁長官からの答弁で私はもう尽きていると思うわけでございますけれども、若干付加して申し上げますと、安保条約上の直接の義務ではない、安保条約の目的を効果的に達成するための施策であるということでございますが、これは憲法七十三条で内閣に負託されております「外交関係を処理すること。」に当たるわけでございます。したがって、憲法上の根拠はある。
 その憲法上の根拠がある「外交関係を処理する」に際しまして、いわゆる法律事項に絡む事柄については国内法の根拠が要る。それがガイドライン関係法として今論じられているわけでございまして、現行法、それで規定していない法律事項については法律案として国会の御審議を経なければならない。私どもは目下その法案策定についての検討をしているわけでございます。
 大体そういう関係にある問題でございます。
#91
○高野博師君 今、法制局長官の憲法第七十三条に憲法上の根拠はあるという御答弁は、それは明快だと思います。
 いずれにしても、この問題は関連法が出てきた段階でまた議論したいと思いますが、私の意見を言えば、これはガイドラインも含めて国内法、国会の承認を得るというのが最もわかりやすいことであるし、将来に問題を残さない方法ではないかと私は思います。
 それでは、大蔵省の問題は後に回すことにして、ダイオキシンの問題について何点かお伺いいたします。
 埼玉県が先般、百人の女性の母乳のダイオキシンの濃度検査結果を発表しましたが、この結果について厚生省はどういう認識をされていますか。
#92
○国務大臣(小泉純一郎君) ダイオキシン、特に埼玉県においてはいろいろ付近の住民が心配されまして調査も行われているようであります。
 平成八年十二月の厚生省の検討会において、我が国の母乳の脂肪一グラム中のダイオキシン類の平均値は二十六・六ピコグラムであり、現在の知見からは直ちに問題となる程度ではないという報告をいただいております。
   〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕
 また、今回の埼玉県の調査では母乳中のダイオキシン類の濃度は平均十五・〇ピコグラムであり、厚生省の検討会で用いられた値より低いことから、母乳から摂取するダイオキシン類の摂取が乳児に与える影響は直ちに問題となる程度ではないと考えられるという報告を受けておりますが、私はこの問題は軽視すべきではないと思っております。
 環境に与える影響、人体に与える影響、健康に与える影響、しかも母乳というのはこれから子供にも大きく影響を与えるわけであります。母乳というのは、これは母親にとっても子供にとっても、健康面、栄養面、精神面、大きな影響が出てまいりますし、胎児の間から、妊娠している最中から母親が健康に気をつけるということから食生活にも影響してまいります。
 私どもとしては、母乳の安全性を確保するということはもちろん、このダイオキシンの与える影響については、今後とも国内また国外、外国での調査等も十分注意を払いながら、この問題について真剣に対応して、健康面、環境面への影響というものを最小限にとどめる方式を考えていきたいと思います。
#93
○高野博師君 今、厚生大臣のこの検査結果については軽視すべきではないという発言は重要な点だと思います。それから、外国のデータ等も調査をしながらという御発言もございました。
 この検査結果は、厚生省が定めている一日の耐容摂取量である一キログラム当たり十ピコグラムの約七倍に当たる、しかし全国的に見ると必ずしも濃い濃度ではないと、こういうことなんですが、七倍という数字は、先ほどおっしゃった外国のデータ、例えばアメリカの環境保護庁の基準値〇・〇一ピコグラムから比較すると七千倍に当たるわけです。この恐ろしい値が日本では出ているわけです。
 そこで、厚生省が安全な一日の摂取量を一キログラム当たり十ピコグラムと決めた根拠は何でしょうか。
#94
○政府委員(小野昭雄君) ダイオキシンのいわゆる基準値の設定に当たりましては、ダイオキシンのリスクアセスメントに関する研究班というのを設置いたしましていろいろ御検討いただいたわけでございますが、平成八年六月の中間報告におきまして、健康影響の観点から一生涯にわたって摂取しても許容される一日当たりのダイオキシンの摂取量というものの結論をいただいたわけでございまして、それが先生今御指摘の、体重一キログラム当たり一日十ピコグラムという御提案でございます。
 この根拠についてのお尋ねでございますが、実験動物におきまして何らのいわゆる毒性影響が見られない量、これを無毒性量と申しておりますが、この無毒性量につきまして、生殖毒性試験あるいは慢性の毒性試験等の結果から総合的に判断すると体重一キログラム当たり一日一ナノグラムというふうに考えられまして、これにさらに不確実係数一〇〇を適用いたしまして十ピコグラムとしたところでございます。
#95
○高野博師君 今動物実験のデータに基づいてと言いますが、日本は動物実験をやったんでしょうか。
#96
○政府委員(小野昭雄君) 諸外国で行われました動物実験のデータを広範に収集して検討した結果でございます。
#97
○高野博師君 それでは、アメリカの環境保護庁の基準値、これがなぜこんなに二けたか三けたも違うほど厳しいか。これはどういう認識をされておりますか。
#98
○政府委員(小野昭雄君) ちなみに、十ピコグラムという基準値につきましては、例えばWHOの欧州事務局、あるいはイギリス、オランダ等ヨーロッパの主要国においても同じ数値を採用しております。ただ、スウェーデン等におきましてはもう少し低い基準値でございます。
 米国の今御指摘の〇・〇一というのはまだ提案中ということでございまして、〇・〇一が決まっているというふうに聞いておりませんで、まだ御議論の最中というふうに承知をいたしております。
#99
○高野博師君 議論じゃなくて決まっていると私は承知しております。
 アメリカのカリフォルニア州はさらに厳しくて〇・〇〇七という基準を決めております。これは御存じでしょうか。
#100
○政府委員(小野昭雄君) ただいま手元にある資料では承知をいたしておりません。
#101
○高野博師君 こんな大事なデータを担当の局長が知らないということでは、本当に国民の健康、生命を守るような行政をやっているのかどうか、甚だ疑問だと私は思います。
 そこで、アメリカの環境保護庁が定めている〇・〇一ピコグラム、これは相当厳しいんですが、政府としてはこの根拠を十分調べてもらいたい。アメリカの環境保護庁の言い分によると、この値を超えると百万人に一人は発がんする、その根拠だと言っているんです。
 そこで、WHO等は、これはほかの先進国については動物実験等のデータに基づいているんですが、アメリカはベトナム戦争の枯れ葉剤、これによる被害について相当詳しい情報を持っているはずなんです。特に国防総省。ベトナムでは百万人以上の人がこの被害に遭って苦しんできた。現在も年間五万人ぐらい被害が出ている。あの有名なツーズー病院では二日に一人奇形の人が生まれている、こういうデータがあります。したがって、アメリカは特別厳しい基準を設けている理由がちゃんとあるんです。
 これについて厚生省はもっと調べるべきではありませんか。大臣、どうでしょうか。
#102
○国務大臣(小泉純一郎君) きちんと可能な限りの調査をすべきだと思いますし、日本になかったならば、アメリカでもどこでも、その研究成果といいますか調査結果を手に入れるよう努力すべきだと思います。
#103
○高野博師君 そのデータを調べた上で、ぜひとも今の甘い日本の基準を改正するように努力をしていただきたい、そう思っております。
 環境庁は、この基準値がまた半分になって五ピコグラムと。これは環境リスクという観点から決めているのでありますが、この根拠は何でしょうか。
#104
○政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。
 私ども環境庁も環境保全の観点からダイオキシンの問題に積極的に取り組んでおるところでございまして、私どもも平成九年五月のダイオキシンリスク評価検討会の報告をいただきました。これは内外の最新の研究報告をもとに評価をいただいたところでありまして、その際に、健康リスク評価指針値というものを出していただきました。それが先生今御指摘の一日体重一キログラム当たり五ピコグラムというものであります。
 これはどのようにして出されたかということでございますが、まず一つは、これは私ども環境保全対策を講ずるに当たります目安といたしまして、人の健康を保護するために許容限度として、先ほどの厚生省の方の話では許容限度ということではなくてより積極的に維持されることが望ましい水準ということで、まず五ピコグラムという設定をされました。
 その根拠は何だということでございますが、まず一つには、一九七八年のアメリカのコシバという研究者の実験で得られたデータをもとにいたしまして、まず十ピコグラムというのが出てまいりました。さらに最近では、アカゲザルを使いましたリアという方の研究、これも子宮内膜症が観察されるという試験結果等がございまして、さらに二倍の安全を見込み、算出したものでございます。
#105
○高野博師君 人間の場合は、アカゲザルとかあるいはモルモットとかいろんな動物よりもさらに敏感だと言われております。望ましいというのであればもっと少ない方が望ましいので、ドイツだって目標値を一に決めているわけです。なぜ五なのか、よく理解できません。
 そこで、文部省の方にお伺いいたしますが、去年の十月三十一日に文部省が学校、関係機関にごみ焼却炉の使用中止の通知を出しましたけれども、その理由は何でしょうか。
#106
○国務大臣(町村信孝君) 私、昨年九月十一日に大臣を拝命いたしまして、幾つかの課題があるなと思っていたうちのこれは一つでございました。
 確かに科学的な知見の集積の努力が今進められている段階でもありますし、ただ、必ずしも十分解明されていない、特に学校にある小型というか中型といいましょうか、そういう焼却炉のダイオキシンの関係は必ずしもまだ判明していないということでございました。したがいまして、私は、児童生徒の健康にどういう影響を与えるかということが必ずしもはっきりいたしませんので、それがはっきりするまでは原則として使用を取りやめるようにというふうに考えまして、そういう通知を各都道府県教育委員会等々に出したわけでございます。現在、厚生省及び環境庁の方でそうした分野について、小型の焼却炉の安全性等について研究が進められている、こう聞いておりますので、その結果を待ちたいと。
 なお、文部省は、独自に十年度早々から改めて全国の学校でその通知の結果どういう対応をしたのかということを調べて、それぞれの学校の対応の現状をさらに把握しながら、また今後のあり方についても考えていきたいと思っているところであります。
#107
○高野博師君 この通知に、「ダイオキシン類等の有害物質の排出に対する安全性の確認がされない限りは、原則として使用取りやめ廃止すること。」と、こう書いてあります。今、大臣の答弁にありましたように、厚生省でこの小型焼却炉の研究等を進めているという御発言がございました。この文部省の対応について、厚生省と環境庁はどういう認識をされていますか。
#108
○国務大臣(大木浩君) まず、文部省が大臣御就任早々に、学校における焼却炉の使用というのは非常に小さいのが多いわけでありますが、早々にお決めになって、私は原則として使用中止というふうに理解しておりますが、それは大変に望ましいことで、これにまず敬意を表したいと思います。
 そこで、次のステップとしてといいますか、現在考えておられますのは、学校では燃やさないかわりに市町村の持っている焼却場、そういうところを使えというのが大体原則だと思いますが、これは実を言いますと、全国的に市町村の焼却炉もかなり小型で果たして能力がどうかというような問題がありますから、そういった問題を含めて、これは後で厚生省からも御答弁があるかと思いますが、そういったものの実態も含めて、これからまずはひとつきちっと実態を把握したい。
 それから、学校の方につきましては、これは言わずもがなのことでございますが、児童生徒がそういうことによってごみの問題あるいはダイオキシンの問題を意識していただくわけでございますから、せっかくの今度の決定でございますから、これとあわせて、ひとつこういった学校におけるごみの問題、例えば識別していろいろと種類を知っていただくというようなことを少し学校からも始めていただいたらいいんじゃないか。
 多少追加的ではございますが、私の意見を述べさせていただきました。
#109
○政府委員(小野昭雄君) ダイオキシンの生成と申しますのは、どういう燃やし方、どういう条件でやれば出るのかあるいは出ないのかというふうなそのメカニズムがまだ十分よくわかっていないわけでございまして、私ども、全部ではございませんが、これは世界各国の文献をいろいろ当たってみましても、例えば塩ビが入っているからたくさん出るかというと、必ずしもそうでもない。あるいは塩ビ、プラスチックを入れなくて燃やしましてもダイオキシンが出てくるというふうな問題等がございまして、先ほど先生御指摘ございましたが、さまざまな燃焼の条件を変えまして、どういう出方をするかということは、ただいま私どもの方といたしまして研究を実施いたしております。
 いずれにいたしましても、今御指摘のございました、文部省におきまして昨年の十月に学校におきますごみ焼却炉につきまして、ダイオキシン類等の有害物質の排出に対します安全性の確認がなされない限りは原則として使用を中止するという指導をされたというふうに聞いております。
 私どもといたしましても、ダイオキシンの発生量を総量といたしまして削減する観点からは、小規模焼却炉よりも廃棄物処理法に基づきます構造基準あるいは維持管理基準に適合いたしましたごみ焼却施設によって焼却することが望ましいと考えておりまして、学校におきましても小規模焼却炉の使用が抑制されることは好ましい方向であるというふうに考えております。
#110
○高野博師君 メカニズムがよくわかっていないとかいろいろ言っておられますが、これはもう現実問題として非常に重大な問題なんですが、焼却炉の研究を進めているというさっき文部大臣の発言ありましたが、その点はどうでしょうか。小型焼却炉。
#111
○政府委員(小野昭雄君) 焼却炉そのものと申しますよりも、燃やす条件、それから中のごみの組成、それから運転管理の維持の仕方によってどういった発生量の相違があるかということについて研究をいたしております。
#112
○高野博師君 小型焼却炉の方が温度が低いという点だけでもダイオキシンが発生しやすいということはもう常識であります。
 そこで現在、廃棄物処理法でダイオキシンの規制対象外となっている小型焼却炉は全国でどのぐらいあるのか、そのうち全国各地の自治体が補助金を交付して市民にあっせんした焼却炉の数は幾らありますか。
#113
○政府委員(小野昭雄君) 家庭用の焼却炉を含めました小型焼却炉の全国におきます設置基数につきましては、過去の販売実績等から約九万台と推計をされております。
 ごみ焼却施設を持っていない市町村、あるいはごみ焼却施設の処理能力が不足している市町村におきましては、各家庭が家庭用の焼却炉を設置するに当たりまして市町村が補助金をつけて奨励してきていた事例があるというふうに承知をいたしております。
   〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕
 補助金を出した自治体数及び交付対象となりました焼却炉の数についてのお尋ねでございますが、全国的な状況は把握をいたしておりません。が、例えば埼玉県について調べてみましたところ、平成八年度におきましては二十六の市町村が補助を行っておりまして、現在は廃止されております焼却炉も含めまして平成七年度までに累計約一万八千台が補助により設置されたというふうに聞いております。
 なお、この二十六市町村のうち本年二月一日現在で既にそのうちの十六市町村がこの補助を廃止しておりまして、残りの十の市町村におきましても本年三月までに廃止する予定であるというふうに聞いております。
#114
○高野博師君 先ほどの文部省の通知のように、安全性が確認されない限りは原則として使わないという、これは重要な認識だと思うんですが、厚生省にはそういう認識がないんでしょうか。
 というのは、家庭用の小型焼却炉というのは、最も身近なところで手軽に、しかも危ないという認識がないままに相当多くの方が使っている。九万とも言われていますし、今の埼玉で一万八千と。これは膨大な数でありますが、最も安易に手に入るところで危険にさらされている、こういう事実がありますが、これについて文部省と同じような対応はできないんでしょうか。
#115
○政府委員(小野昭雄君) 先ほど御答弁申し上げましたように、小型の焼却炉に関しましては先ほど先生御指摘ございましたように燃焼管理がうまくいかない、あるいは燃焼温度が低いというようなことから考えますと、ごみ組成によりましてはダイオキシンが発生することは十分考えられます。ただ、ごみ処理全体として考えますと、これはやはり家庭から出るごみの処理というのは市町村固有の業務でございますので、原則としては市町村がきちんと収集し焼却処理をするというのが基本であろうと思います。
 家庭用の焼却炉の補助等につきましては、これはそれを補完するものというふうに私どもとしては考えておりますが、これが望ましいか望ましくないかということになりますと、やはりこれは望ましくないというふうに考えておりますので、市町村等に対しまして現在ごみ処理の広域化計画等を含めましていろいろ計画策定をお願いいたしておりますので、その中の一環として対処してまいりたいと考えております。
#116
○高野博師君 自治体は厚生省の指示あるいは行政指導がなければ動きません。自治体の責任にするのは私は無責任だと思います。
 そこで、家庭用焼却炉の購入に補助金をつけるという各自治体の制度ですが、厚生省はこれを何らかの形でバックアップした事実はありませんか。
#117
○政府委員(小野昭雄君) 平成八年度までにおきましてはそれを予算的にバックアップをしたことはございますが、現在は行っておりません。
#118
○高野博師君 やっていたということですか、八年まで。これは大変な事実です。
 厚生省はバックアップをしていたということでありますが、それでは去年の十一月に厚生省が全国の自治体に対して小型焼却炉の補助金制度の自粛ないしは廃止を求めたという事実はありますか。
#119
○政府委員(小野昭雄君) 昨年の十一月二十八日に第二回のダイオキシン類調査連絡会議という、これは都道府県の担当者を集めた会議がございまして、そこにおきまして厚生省としての考え方として御指摘のような考え方をお示ししております。
#120
○高野博師君 自粛を求めた理由は何でしょうか。厚生省の考え方とは何でしょうか。
#121
○政府委員(小野昭雄君) 先ほども申し上げましたが、一般の家庭から出ますごみは本来は市町村が適正に処理すべきものでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたようにごみ焼却施設を有していない市町村あるいは焼却能力が不足をしている市町村におきましては、市町村が行いますごみ処理を補完いたしますために、家庭用の小規模の焼却炉に対して補助を行いましてその普及を進めている場合がございました。
 しかしながら、先ほど来申し上げておりますように、高温の完全焼却が困難でありますこと、あるいは排ガス処理がなされていないといったことから、ダイオキシンの発生を総量として削減する観点からは小規模焼却炉よりも廃棄物処理法に基づきますごみ焼却施設によって焼却することが望ましいと考えておりまして、このために市町村に対しまして家庭用焼却炉に対します補助金の交付をやめまして、構造基準や維持管理基準の適用されますごみ焼却施設において市町村が適切に処理するようにという考え方に基づいて指導をしているところでございます。
#122
○高野博師君 このまま続ければ健康に被害を及ぼすというような、あるいは危険性があるというような認識はないんでしょうか。
#123
○政府委員(小野昭雄君) 我が国のダイオキシンの発生総量のうち、その八割から九割はいわゆる大型のごみ焼却施設から出るというふうに推計をされております。家庭用の小型の焼却炉からも確かにダイオキシンが出るかとは思いますが、国民の健康に大きな影響を及ぼすというのはむしろごみ焼却施設から出てきますダイオキシンであろうというふうに考えております。
#124
○高野博師君 それも大変な事実であります。私は所沢に住んでおりますが、有名な産廃銀座と言われているくぬぎ山、この周辺の新生児の死亡率も最近非常に高くなっております。
 実は、家庭用焼却炉、この普及が補助金制度によって行われた自治体、例えば埼玉県の杉戸町、これは三割の住民が自宅焼却をしております。ちゃんとした焼却炉じゃなくてドラム缶も使われております。それから、吉田町というところは七一年から補助金制度をやっております。したがって、この二つの町は新生児の死亡率が圧倒的に高い。そういう統計を持っておりますか。
#125
○政府委員(横田吉男君) 我が国におきます新生児死亡率は世界で最も低いということで、一九九五年の全国平均で見ますと出生千対二・二ということでございます。埼玉県全体ではこれをさらに下回りまして一・八ということで、全国七番目に低い県ということになっております。
 新生児の死亡の要因といたしましては、その地域における医療事情あるいは個々の医療機関へのアクセスの問題、新生児の基礎疾患の有無、あるいは母親の疾病、年齢等の母体の状況等、さまざまなものが考えられます。したがいまして、新生児死亡率の高低を比較する場合におきましては、個々の新生児の死因の確認が一つ必要だと思いますが、こういった今申し上げましたようなさまざまな要因を詳細に調査検討する必要があると思っておりまして、焼却炉の数の多さの有無からだけで相互の関連を論ずることは現時点で困難であると思っております。
 先生が今御指摘いただきました埼玉県における市町村の簡易焼却炉の設置数の多さと乳児・新生児死亡率の関連を見てみますと、一番埼玉県でこの簡易焼却炉の設置数が多いところは加須市というところでございますけれども、この市におきましては県平均以下となっております。二番目に小川町が多いわけですけれども、ここも県平均以下。三番目に川里村というのがございますが、ここは五・七五ということで平均よりも高い。その他、坂戸とかさまざまな市がございますが、必ずしも設置数の多さと新生児の死亡率に相関が見られないということもございます。
 しかしながら、この問題は重要でございますので、私ども、今後とも注意深く調査研究を進めてまいりたいと考えております。
#126
○高野博師君 民間団体の調査によると、今の事実とは全く逆であります。吉田町ないしは杉戸についてぜひ調査をしていただきたいというふうに思います。
 そこで、国民の生命とか健康に対して厚生省は被害を未然に防ぐ、これが行政の姿勢だと思うんですが、備えあれば憂いなし、あるいは疑わしきは罰するぐらいの考え方で臨まないと、少なくとも補助金をつけたという事実がありまして、小型焼却炉と周辺に放置されている焼却灰、この問題も重要でありますが、これは自治体を通じて早急に回収すべきではないかと私は思うのでありますが、この認識を伺います。
#127
○政府委員(小野昭雄君) 先ほど来申し上げておりますが、家庭用の小型の焼却炉につきましては、市町村におきますごみ処理体制との関係で、まだごみ処理体制が十分整っていないのに家庭用の焼却炉を撤収いたしますと、これは逆に言いますとごみ処理が不適正に行われるということにもなります。
 先ほど来お話を申し上げておりますが、ごみ処理全体につきましては広域化を含めました計画的な見直しということを現在お願いいたしておりますので、その一環といたしまして、市町村におかれましてどういうお考えであるのかということも伺いながら検討してまいりたいと思います。
#128
○高野博師君 政府の対応が非常に甘い、私はそう思っております。危険性を認識していながら有効な対策をとらないとすれば、薬害エイズと同じような問題になる危険性が十分あると私は思います。
 そこで、このダイオキシンの問題というのは政府の危機管理の問題ではないかと思うんですが、そういう観点から、厚生行政に詳しい総理に見解を求めて、この問題については終わります。
#129
○国務大臣(橋本龍太郎君) 昨日も一部お答えをいたしましたけれども、有機塩素系化合物は私どもの家庭の中にも非常に身近なところに大量に使われ、既に存在をいたしております。そしてその廃棄が、我が国の場合焼却という手段による部分が多いところから、この問題が、人間の手による、自然に存在しない発がん性を有し催奇形性を有する危険物質としてあらわれるようになりました。
 そして、現在までとってまいりました対応等につきましては、担当閣僚、政府委員からも御答弁を申し上げておりますけれども、本当は一番望ましいものは、この塩ビ等に代表される有機塩素系化合物にかわって問題のない新たな素材が開発されることがベストでありますけれども、まだそれに至るには時間がかかるでありましょう。
 そうしますと、その廃棄に至るプロセスの中で、いかに分別収集をし、その他のものと分けるかというお互いの努力も必要になります。そして分別収集を行うことにより、少なくとも被害が拡散することを防ぐということも我々は考えなければなりません。そして同時に、それは資源リサイクルという視点から、資源再利用の方向へも動くプロセスになります。
 こうしたものを根づかせていくためには国民の御協力を得なければならないわけでありまして、関係当局は当然ながらそれぞれの立場で役割に応じた研究、検討はいたしていきますけれども、今これにかわる新たなものがない、あるいはあってもコスト的に太刀打ちできないという状況の中で、身近に存在する物質でありますだけに、その廃棄という時点における国民の御協力をもお願い申し上げたい、今そのような思いでございます。
#130
○高野博師君 それでは、大蔵省主管の公益法人の問題についてお伺いいたします。
 大蔵所管の公益法人数、天下り役員の総数、補助金の総額、委託金の総額についてお伺いします。
#131
○政府委員(武藤敏郎君) 平成九年十月一日現在におきまして、大蔵大臣が設立許可をしております公益法人は百十八法人でございます。これらの法人の役員に就任しております大蔵省の出身者でございますけれども、常勤役員が四十八名、非常勤役員が百十四名おりまして、合わせますと百六十二名でございます。
 それから、平成八年度におきまして、大蔵省からこれらの所管公益法人に対しまして委託費として二十七億三千万円を支出しております。補助金の支出はございません。
#132
○高野博師君 天下りの数が百六十二人ということでありますが、自分の主管の公益法人に対して、補助金はないにしても委託金を出すということについて、これはいわゆるお手盛りあるいは裁量の余地が十分あり得ると思います。自分の省出身の役員がいるんであればなお甘い判断になるんではないか。そういう意味では一種の癒着の構造がもう構造的に存在している、こう言えるんではないかと思うんです。
 この公益法人が、社会的、経済的あるいは文化的な多様性の中で民間の発意でいわゆる公益のために法人を設立したというのは、これは形式上の話、一般論でありますが、実際には、これはもう大蔵省に限りませんが、大蔵省が自分たちの権限の拡大と天下り先の確保のために大蔵省のイニシアチブで設立されたと思われる法人が多過ぎるというのが私の印象であります。
 そこで、具体的、例示的にきょうは財団法人の国際金融情報センター、JCIFと、社団法人の証券投資信託協会及び社団法人の公社債引受協会について伺います。
 この三法人に対する天下り役員数、給料、手当、退職金、これは幾らでしょうか。
#133
○政府委員(黒田東彦君) お答えいたします。
 国際金融情報センター、いわゆるJCIFに在籍しております大蔵省出身の常勤役員は一名でございます。また、このJCIFの常勤役員の報酬あるいは退職金の額につきましては、政府関係金融機関、民間経済研究機関の状況、それから当該法人の資産及び収支の状況等を勘案して決定されているというふうに承知をいたしております。
 それから、このJCIFに対する補助金は、先ほど官房長からお答え申し上げたように、ございません。
 なお、業務、調査等の委託費に関しましては、開発途上国の経済事情等をテーマにした調査研究、あるいは旧ソ連、東欧等の体制移行国や開発途上国に対する技術支援、人材育成を目的とした研修等の実施を委託しております。具体的に申し上げますと、平成八年度につきましては委託調査十二件、委託研修十件に対しまして、総額二億五千六百万円余の委託費を支出いたしております。
#134
○政府委員(長野厖士君) 社団法人証券投資信託協会につきましては、これは証券投資信託に関します自主規制機関として証券投資信託法に基づく業務を行っておるものでございますけれども、ここの常勤の役員で大蔵省出身の者が一名勤務してございます。
 公社債引受協会につきましては、これは一般の社団法人と位置づけられるものでございますけれども、ここには大蔵省の出身の者が一名役員として在籍しております。
 これらにつきましての給与、手当、退職金の額につきましては、会員でございます証券会社等の状況や当該法人の資産、収支を勘案してそれぞれの組織において決定されているものと承知しております。
 なお、この二法人に対します国からの補助金等は支出されておりません。
#135
○高野博師君 この国際金融情報センターは常勤が一名ということでありますが、理事長が元財務官であります。副理事長と合わせて給料は二人で四千二百万、一人当たり二千百万。それから顧問が三人おられまして、この顧問は元財務官あるいは次官。非常勤でありますが、三人で三千万、一人一千万の給料をもらっております。これは非常勤でありますが、しかしこの三人の顧問については、他の団体、関係機関、いろんな重要なポストを兼任しております。単なる給料を取るだけのポスト、そういう感じがありますが、この点いかがでしょうか。
#136
○政府委員(黒田東彦君) 御指摘のとおり、国際金融情報センターには現在三名の顧問が在籍いたしております。三名の方それぞれに、例えば一人の方はフランスあるいはEUの関係に造詣の深い方、もう一人はドイツ関係に見識を持っておられる方、三人目の方は中南米等のスペイン語圏に経験のある方というふうに伺っております。
 いずれにいたしましても、国際金融情報センターとしては、それぞれの専門性に基づく示唆あるいは情報収集に対して顧問としての報酬を払っているものというふうに承知をいたしております。
#137
○高野博師君 ちなみに前理事長の退職金は三年六カ月の勤務で二千六百四十六万円であります。これは在職月数に俸給の月額を掛けて、それにまた〇・三六を掛ける。どこからこういう基準が出てきたのかわかりませんが、膨大な退職金をもらっている。
 そこで、この三法人の会員の年会費は幾らでしょうか。
#138
○政府委員(黒田東彦君) 国際金融情報センターにつきましては、先ほど申し上げましたような業務を行っておりまして、出捐会社の会費は年額二百八十万円というふうに承知をいたしております。
#139
○政府委員(長野厖士君) 証券投資信託協会におきましては、平成八年度におきまして会員からの会費収入が八億二千四百万円と承知いたします。それから公社債引受協会につきましては、同じ年度におきまして一億八千七百万円の会費収入があったと承知いたしております。
#140
○高野博師君 このJCIFについては会費二百八十万と大変な高額であります。
 そこで、証券投資信託協会と公社債引受協会、これに対して大手の四大証券会社の昨年の会費は幾らになっていますか。
#141
○政府委員(長野厖士君) ただいま御答弁申し上げた数字のうち大手四大証券会社が支払った会費は、証券投資信託協会につきましては約二億四千百万円、公社債引受協会については一億五百万円でございます。
#142
○高野博師君 この証券投資信託協会に野村証券は去年七千二百万の会費を払っております。大和が五千九百万円、日興証券が五千六百万円、山一が三千三百万の会費を払っておりますが、もう一方の公社債引受協会、これに対して野村証券は去年だけで三千六百万円の会費であります。大和が二千三百万、日興証券が二千七百万、山一が一千七百万も払っております。この膨大な会費を払って何の見返りがあるのかなと。ちょっと常識では考えられないような会費を払っています。
 これについて説明はできますか。
#143
○政府委員(長野厖士君) この二つの組織につきましては、冒頭申し上げましたように、若干性格が二つによって違うと考えますが、証券投資信託協会は、証券投資信託法に基づきます実施機関といたしまして、会員に対する調査権限でありますとか勧告権限でありますとかいった自主規制機関でございまして、自主ルールの制定等も行っております。他の業態でいえば証券業協会に類似する規制機関でございますので、そういった位置づけのもとにそれぞれの会員の分担が行われておると考えております。
 公社債引受協会につきましては、これは社団法人といたしまして公社債に関する知識、情報の普及等々の仕事を行っておりまして、それに対する分担をそれぞれ会員がなさっておられると考えておりますけれども、公社債引受協会につきましては、将来のあり方について従来どおりの役割でよいのかどうか現在検討が行われていると承知しております。
#144
○高野博師君 これについては詳細な調査をしていただきたい。公益法人を通じて大蔵省と証券会社のこの密接な関係を示して余りあると私は思います。
 そこで、JCIFですが、これは事業計画書によれば、世銀とかあるいはIMFあるいはEBRD等の国際機関の支援もあります。二万六千以上もある公益法人の中の一つの公益法人がこれらの国際機関とセミナーを共催するとかあるいは共同の研究をするとか、これはそんな簡単な話ではないはずであります。
 そこで問題は、これらの国際機関に大蔵省の出向している人間がいると。彼らとの連携がなければこれは実現できない話だと私は思いますが、これらの国際機関に対してはまた日本から拠出金という形で膨大なODAが出ております。金に色がついていないからどこからどうなったとは必ずしも言えません。しかし、この公益法人の方にまた委託金という形で金が戻ってきている。これについてはどうでしょうか。
#145
○政府委員(黒田東彦君) 国際金融情報センターは先ほど申し上げたように、開発途上国の経済事情をテーマにした調査研究を非常に重要な機能としてやっております。また、その中でこういった国々のレーティングということをやっております。したがいまして、当然のことながら、一方でそういうところに投融資を行っております金融機関からさまざまな情報を得るとともに、他方でそういった国々について融資を行いあるいは経済政策についての対話を行っております国際機関とも随時接触をいたして、情報交換をいたしているわけでございます。
 そうした中から、JCIFの機能あるいは役割ということに着目して、国際機関から委託を受けて共同でセミナーあるいは研修、コンファレンスなどをやっているというふうに承知しているわけでございます。
#146
○高野博師君 答弁になっておりません。
 これらの法人は収益事業を行っておりますか。
#147
○政府委員(黒田東彦君) 御案内のとおり、公益法人につきましては公益事業と収益事業の区分がございまして、公益事業については課税をされておりませんが、収益事業につきましては、列記されたものについては課税が行われるということになっております。
 ちなみに、この国際金融情報センターも収益事業を一部行っております。ただ、最近時点では収益事業の部分は若干の赤字になっているというふうに承知をいたします。
#148
○高野博師君 公益事業と収益事業の違い、公益事業とは何ですか、定義を聞かせてください。
#149
○政府委員(尾原榮夫君) お答えいたします。
 一般的な公益法人課税制度について御説明させていただきたいと思いますが、財団法人、社団法人等を含みます公益法人課税につきましては、先生から今お話がございましたように、収益事業から生ずる所得に対してのみ軽減税率により法人税が課税されることになっております。
 この収益事業というのは何かということになるわけでございますが、これは民間企業が営む事業と競合しているもの、これを三十三業種列挙してございまして、それに該当するものについて課税を行うという仕組みになっているわけでございます。したがいまして、この三十三業種が収益事業、こういうことになるわけでございます。
#150
○高野博師君 実は、公益法人の公益性というのが大変私は問題があると思っております。
 民法三十四条で規定する公益法人、この規定に合致していない法人が多過ぎるのではないかと思うんですが、特定された会員の利益あるいは法人のみの利益、これを追求するのであれば公益法人としては問題があると思います。これは、税制上の優遇措置も含めて、一般法人、民間企業との関係で不平等、公平さを欠くということになると思います。
 JCIFについては会員限りという情報をたくさん出しております。幾つか私は持っておりますが、公益じゃなくて会員のための情報であれば、これは問題があると思います。例えば、最近のアジアの情勢等についてそういう情報を流しております。これは一般に不特定多数の公益でなくちゃいけない、それが特定少数の公益になっている、この問題があると思います。
 そこで、税制上の優遇を受けているとか委託金をもらっているあるいは多額の会費を会員から受けている法人は天下り官僚の最も安全で確実なポストである、そして指定席になっていると私は思います。民間企業というのは生き残りをかけて大変な経営を強いられている。こういう中で、公益法人、天下りの問題、これについては、監督官庁からの天下りは適切な指導監督ができないというおそれがあることから禁止すべきではないか。
 全体として公益法人については見直す必要があると思いますが、総理の所見を伺って、終わります。
#151
○国務大臣(橋本龍太郎君) 以前、たしか特殊法人について、本委員会でありますか衆議院でありますか忘れましたが、私は、議論がございましたときに、特殊法人だけが問題ではなくて公益法人も問題のあるものがあるということを申し上げた記憶がございます。どのような文脈だったかわかりません。
 その上で、公益法人というものについても見直しをし、チェックする必要があることは、私は議員の御指摘のとおりだと思います。そしてそれが、いわばその地位にふさわしくない、あるいはその求められる能力にふさわしくない人間がそこで給与のみを取るようなことは、いずれにしても許されるべきものではないと思います。
#152
○高野博師君 終わります。
#153
○委員長(岩崎純三君) 以上で高野博師君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 残余の質疑は午後に譲り、休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ─────・─────
   午後二時五十九分開会
#154
○委員長(岩崎純三君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成十年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。小山峰男君。
#155
○小山峰男君 民友連の小山峰男です。よろしくお願いします。
 まず、橋本総理にお聞きしたいと思います。
 今、日本は戦後のあらゆるシステムが行き詰まってきている状況かというふうに思います。何が何でも改革をしなければならない時期に当面しているわけでございます。総理も六つの改革というようなことを言っておられるわけでございますが、まさに我が国は改革待ったなしの状況だと思います。しかし、ただやみくもに改革改革と言っても本当の意味の改革にはならないだろうというふうに思うわけでございます。そこで必要なことは、この改革によってどういう方向に持っていくのか、改革をしたらどういう姿の日本になるのか、社会になるのか、そういうことがはっきりしないと、国民の皆さんも必ずしも理解を示さないだろうというふうに思うわけでございます。私の不明でございますか、残念ながら、橋本内閣の改革には改革した後の社会の姿というものが見えてこないというふうに思っております。
 改めてお伺いするわけでございますが、橋本内閣が改革を行ってどういう社会をつくろうとしているのか、具体的なビジョンでお示しをいただきたいと思います。よろしくお願いします。
#156
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、すべてがという言葉で始められ、私も時々そういう言葉で表現をいたしておりますけれども、確かに我が国は今大きな改革を必要としている状況にあることは間違いがありません。しかしその上で、あえて議員御質問になりましたので、私たちが先祖から受け継いできた、先輩から受け継いできたもので変えてはならないものも私はあると思っております。
 それは、敗戦という苦い経験の中から、逆に今日我々が享受し当然のことと思っている民主主義あるいは議会制度、こうしたものは私は変えてはならない、将来にも保つべきものだと思いますし、その意味では我が国の伝統、文化というものを尊重する気風あるいは親から子へという伝承の姿、世代間同居の中で培われてきましたそうした問題、やはりこれは私は変えてはならない、少なくとも変わらないように努力していくべきものだと思っております。
 その上で、私はこの日本という国、社会を考えますときに、一人一人の個人というものが、これを構成しているその個人が、それぞれにみずからの個性あるいは希望というものを持ちながら能力に応じて学び働くことができる、こうした社会が活力ある社会となると私は考えておりますし、それが国全体の力となっていくと思っております。
 ですから、あえて私は、教育面で画一性、平等性という中から、もちろん最小限常識的な知識は必要でありますけれども、その教育の基本をむしろそれぞれの子供たちの個性に応じ、それぞれの能力あるいは好奇心をどう生かしていくか。自分たちの夢、希望を得るチャレンジ精神にあふれる子供たちに育っていってもらいたい、そうした方向に教育は変えていきたいと考えておりますし、そうなりましたときに、これはみずからの意思でみずからのかなえたい夢を選択する、そうした状況になっていくでありましょう。
 経済面におきましても、知識、技術力、こうしたものを生かした企業、そして個人が新たな事業、産業を起こしやすい状況をどうやってつくり出すか。役所に何十個も判をもらわなければしたい仕事ができないといったようなことではない、当然その前提には自己責任というものはありますけれども、みずからの創意工夫を生かした業を起こしていけるような社会にしていきたいと思います。
 そして、今申し上げましたように、子供たちの問題でお互いが心配し議論をいたしておりますような状況の中から、学校にもそれだけの自主性をお持ちいただく。もちろん、父母の協力を得ながらでありますけれども、そのかわりそれだけの責任を負っていただき、地域社会において自分の子供たちのことだけではない、子供たちを地域社会全体が守り育てるような仕組みにしていくのにはどうすればいいか、こうした方向を考えましたとき、私は地域社会もまた変わっていくと思います。
 そして、何より大切なこととして、国民の生活のセーフティーネットとしての社会保障が将来ともに維持できる、また維持できるような仕組みを用意する、こうしたものをいわば集大成したものが私が夢見ている、あるいは進もうとしている世の中であります。これはなかなか十分に一言で言い尽くしがたいものがありますが、よく私が創造性、チャレンジ精神と申し上げることは、そうしたものが生かされるような社会にしていきたい、その上でセーフティーネットとしての社会保障というものが今後ともに維持できる仕組みを今のうちに用意しておきたい、そのように考えております。
#157
○小山峰男君 ところで、現在の我が国は大変厳しい景気の状況にあることはもう周知の事実なわけでございます。
 総理は口を開くと本予算の年度内成立が唯一の景気対策かのごとく言っておるわけでございますが、周囲の状況等を見ますと、もう大型補正予算の編成というのが事実上スタートしているというふうに感じられるわけでございます。多分、総理は臨機応変に事情変更でこの補正予算を考えているというふうに思うわけでございますが、具体的に現在と違って経済がどういう状況になればいわゆる大型補正予算を編成するのか、そのことにつきましてお聞きしたいと思います。
#158
○国務大臣(橋本龍太郎君) またおしかりをいただくかもしれませんけれども、私は、本当に年度内に予算が成立し関連法案が成立することがこれからの景気回復のいわば一番大切な基盤と、そのように位置づけてまいりました。そして、ぎりぎりまで実は暫定予算の準備に入ることをとめておりました。
 今、残念でありますけれども、これは両院の御審議でありますから、国会の審議権に対し我々は行政府として暫定予算の作業に入りましたが、にもかかわらず、私は、やはり一日も早く本予算を成立させていただく、そしてそのフレームというものに対して基盤をきちんと経済の中に置き、税制改正もそれによって動き始める、まずこれが第一歩だとかたく信じております。そして、一日も早く成立をさせていただきたいというお願いを再び繰り返すことをお許しいただきたいと思います。
#159
○小山峰男君 経済企画庁長官にお聞きします。
 二月から所得税の減税というようなものが行われているわけでございますが、この減税効果が具体的な数字として現時点でどのようにあらわれているか、その辺の状況をお話しいただきたいと思います。
#160
○国務大臣(尾身幸次君) 最近の経済動向、今までもお話が出ておりますとおり、株価の動き等、金融市場の動向に見られますように市場心理は一部好転の動きが見られますけれども、金融機関の相次ぐ破綻やあるいはアジア経済の動向等を背景として家計や企業の経済の先行きに対するマインドが停滞をし、そして実体経済がその影響を受けているという状況でございます。
 こういう状況の中で二月に特別減税が実施されたわけでございますが、二兆円の特別減税といいましても、二月の末、三月にかけて行われたものが大体一兆円でございまして、その対策は、九年度の補正予算の支出、それから金融システム安定化対策のための銀行への資本注入などとともに、いずれ効果をあらわしてくるものと考えている次第でございます。
 この二月に行われましたが、十年度の予算及び法人税の減税等を含みます税制改正、四月一日からぜひ予算が使えるように、また税制改正が実現できるようにお願いをしているところでございますが、そういう政策と相まって効果を及ぼしてくると考えている次第でございます。
 そして、実は平成十年度の予算は四月からということでございますし、そしてまた二月、三月は四月一日の早期是正措置を控えまして、どうしてもいわゆる貸し渋りの現象がある程度ある、残っているというふうに考えているわけでございまして、経済の状況から見ますと二月、三月が一番厳しい時期であるというふうに考えております。
 そういう中で、この時期に対しまして特別減税が行われましたことは、そういう意味では経済に対するカンフル剤として時宜を得たものであるというふうに考えている次第でございます。
 ただ、勤労者に対する所得の増加として行われました減税の支出といいますか、支払いは二月下旬以降になるわけでございまして、まだ個人消費関連の指標には出てきていない。したがいまして、現時点におきましてその効果の程度を明確に確認するわけにいかない、こういう状況でございます。
#161
○小山峰男君 今、二兆円といっても一兆円の減税しか行われてない、また具体的な数字としてまだ出てこないというお話でございますが、今回の本予算の成立によっていつごろどのような景気回復につながっていくのかという見通しについてはいかがでしょうか。
#162
○国務大臣(尾身幸次君) 十年度本予算が期限までにといいますか、三月いっぱいで通りますれば四月の初めから支出が行われてくるわけでございますし、それから四月一日以降は、先ほど申しましたいわゆる三月までの間の早期是正措置を控えての貸し渋り現象も緩和されてくるというふうに考えている次第でございます。
 それからまた、十一月にまとめましたいわゆる規制緩和を中心とする各般の施策、例えば電気通信・情報分野におきます規制緩和とか、あるいは労働者派遣事業の規制緩和とか、あるいは土地の有効利用等に関する規制緩和の法律が三月に大体国会に提出されておりまして、それが四月、五月に国会を通ると、その効果も徐々にあらわれてくるというふうに考えている次第でございます。そういう効果が全体として徐々にあらわれ、そして経済の先行きに対する信頼感が回復してくる、そのことによって経済は順調な回復軌道に徐々に乗り始めていくというふうに考えているわけでございます。
 もとより経済は生き物でございまして、最近の経済指標、特に十二月、一月にかけましての指標はかなり厳しいものがあるわけでございますが、私どもは今後とも内外の経済、金融の実情に応じまして適時適切な経済運営に努め、十年度の一・九%という政府見通しはぜひ実現をしていきたいと考えている次第でございます。
#163
○小山峰男君 本予算が成立してその具体的な経済効果が出てくるのは、私は少なくとも二カ月なり三カ月かかるだろうというふうに見ているわけでございまして、今本当に総理は補正予算を考えていないのかどうか。
 そうすると、もし補正予算をやるとしても、少なくとも今の本予算の効果が出てくるのが二カ月なり三カ月必要だとすれば、そういう時期に判断するのかどうか、くどいようですが、もう一度、総理、お願いします。
#164
○国務大臣(橋本龍太郎君) くどいようでありますが、私も同じことをお答え申し上げます。
 本予算が本当に一刻も早く通過、成立をいたしますこと、今、議員もその通過、成立から効果までの時間差に言及されましたけれども、であればこそ、なおさら私は本予算を早く通していただきたいと繰り返しお願いを申し上げる次第であります。
#165
○小山峰男君 なかなか牙城がかたくて議論がかみ合わないようでございますが、私は、この厳しい経済情勢に対応するためには現在の予算を修正すべきではないかというふうに思っているわけでございます。衆議院におきましても、野党から予算の修正要求が出されて、残念ながら否決されているという状況でございます。
 現在の経済情勢を見ますと、明らかに今の予算では対応できない、そういう状況がはっきりしてきているわけでございますので、この時点になって非常に時期的な問題もあるわけでございますが、私はやっぱり政府が現在の予算を組み直して提出するということが本来的には必要だというふうに思っております。
 きょうの本会議でもありましたし、一部報道等でも現在の予算は欠陥予算であるというふうに言っているところもあるわけでして、我々は現在この欠陥予算の審議をしていると言っても必ずしも間違いではないというふうに思っております。
 今からでも予算を修正して出し直すという意思がおありかどうか、総理、お願いします。
#166
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、私は本当に残念ながらという言葉を暫定予算の編成の作業に入りましたという前につけました。私は、切れ目ない予算執行というのが一番実は基本的な経済対策の中核であると本当に思っております。暫定の時間は一日でも減らさせていただきたい、本予算がきちんと国会の御承認をいただくこと、これが一番安定することであり、その基盤をなすと思っております。
 今、議員の御要請に従いますことはその空白の時間を延長していくということにほかなりません。残念でありますけれども、私はこの点については議員と意見を異にいたしておりますことを率直に申し上げざるを得ないと思います。
#167
○小山峰男君 この問題については意見の一致を見るということは難しいというふうに思ってはおります。
 ところで、予算を修正するか補正するかは別といたしまして、政府・与党も大型の景気対策が必要だというのは我々とほとんど違わないのではないかなというふうに思っているわけでございます。そうなれば、どのような対策を打ち出すかということが大変大事だろう。線香花火のようにぱっと打ち上げてそれで終わりということでは効果もないし、社会の将来につながるものでもないというふうに思っているわけです。どうせ対策を打ち出すなら、次の世代につながる、すなわち今後重要な課題となっていくであろうそういう問題を先取りした内容の対策を打ち出すべきだというふうに考えているわけです。
 総理が現時点で考える二十一世紀へ向けての重要な課題というものをどのように認識されているか、お聞きしたいと思います。
#168
○国務大臣(橋本龍太郎君) 質問者に質問をしてはいけないんですけれども、二十一世紀に向けて重要なというのは政策テーマとしてでございますか、それとも予算措置としての重要性を問いかけられておるんでしょうか。
#169
○小山峰男君 これからのいわゆる施策として、どういう方向で施策を重点化していくかということを総理としてどう考えているか、お聞きしたいということです。
#170
○国務大臣(橋本龍太郎君) 例えば、今私は六大改革ということをお願いいたしておりますけれども、これらの政策課題が当然重要なことはもう申し上げるまでもないと存じます。
 そして、もし一点を強調するといたしました場合には、これらに必ずしも包含されないものとして、昨年、国会にも大変御協力をいただき、おかげさまでそれなりの成果をおさめることのできましたCOP3を想起した場合、我々が二十一世紀に向けて取り組むべき政策課題あるいは研究投資の対象、さらに国民生活の質の向上という視点、さまざまなものを組み合わせて考えました場合に、環境というテーマを重視すべきであろうと私は思います。
#171
○小山峰男君 私も、まさに二十一世紀は環境問題が大きなテーマになるだろうというふうに思っておるわけでございます。
 既に、きょうの午前中の議論でもいろいろあったわけでございますが、ダイオキシンの問題だとか、あるいは下排水対策あるいはCO2対策、省エネ、省資源あるいはリサイクル問題等、もう数え上げれば切りがないほどの課題があるというふうに思っておるわけでございます。
 今、景気が悪く、この景気対策をやらなければならないというときに、こういう次に起こる問題を先取りして、そういう事業、対策を集中的に特化していくべきだというふうに思っているわけですが、総理、いかがでしょうか。
#172
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、御提案申し上げ、御審議を願っておりますこの十年度予算、省エネルギー、新エネルギー対策を拡充いたしますほか、経済構造改革特別調整措置などにおきまして環境問題への重点化を既に図ろうとしたものを御審議いただいております。
 こうした点からも、我田引水としかられるかもしれませんけれども、そうした方向への第一歩として十年度予算をぜひ早く成立させていただきたい。そして、そればかりではなく、科学技術に対する投資の中から将来に結びつく技術、こうしたものを生み出せるような方向にぜひ早く動かせていただきたいと心から願います。
#173
○小山峰男君 各省ごとの予算等につきましてはまた各大臣にお聞きしたいと思いますが、いずれにしましても、こういう環境型の産業というものを大いに発展させることによってかなりベンチャーというか新しい企業も起こってくるだろうし、また国内需要というようなものの喚起にもつながっていくだろうというふうに思っているわけですが、通産大臣、その辺のお考え方はどうでしょうか。
#174
○国務大臣(堀内光雄君) お答えを申し上げます。
 先生の御指摘のように、地球温暖化の問題あるいは廃棄物の問題、こういう環境問題を克服して環境調和型の経済社会というものを実現するというのが目標でありますが、この環境産業というものがその中で一番浮かび上がってまいります。この環境産業は重要な役割を担ってまいりまして、特に近年の国際的な環境への意識の高まりというものを視野に入れてまいりますと、環境産業に取り組む事業者あるいは産業界の事業者の環境問題への積極的な対応というものが新たな市場を創設していくということにつながってくるというふうに思っております。
 こういう認識のもとで、COP3の結果等も踏まえまして、クリーンエネルギー自動車の開発普及あるいは省エネルギー性能にすぐれた工業炉、高性能な高炉がございますが、こういうような開発、導入あるいは省エネルギー、新エネルギーの政策、こういうものを進めるとともに、リサイクルによって新しい製品をまた創出するというような技術開発などでリサイクル政策を推進しようということになっております。
 通産省といたしましては、既にもう発表しております「経済構造の変革と創造のための行動計画」に基づきまして、事業者の事業活動全般にわたる環境への配慮の促進だとか、関連の技術開発を初めとした環境産業への発展というものについての基盤整備を行おうということで、予算の面においても真剣に取り組みをいたしております。
 例えば、クリーンエネルギー自動車の開発に九年度は三十一億円ですがその三倍の九十億円を置くとか、あるいは太陽光発電システムの開発普及、促進に今まで二百三億円であったものを二百六十一億円置くとか、あるいは省エネルギーに対して二十四億円を六十七億円に乗せるとか、そういうような予算面でも相当積極的な取り組みをいたしているところでございます。
#175
○小山峰男君 環境庁長官にお聞きしますが、ことしの予算の中で見ますと、環境庁関係というかいわゆる地球環境保全関係予算として、十六省庁で六千七十六億、四・二%伸びている、温暖化対策では六つの新規事業等で三億余ついている、それからダイオキシン対策、環境庁分としては約十倍で三千二百万が三億七百万になっているとか、重要視しているという姿は若干見えるわけでございますが、総理は胸を張って芽を出したみたいな話をさっきされましたが、まだとても足りないというふうに思っています。
 環境庁として、今後これでいいのか、もっと予算をつけて重点化すべきか、その辺の考え方をお聞きしたいと思います。
#176
○国務大臣(大木浩君) 今お話がございましたように、数字は先生既にお持ちでございますので繰り返しませんけれども、念のために申し上げますと、地球環境保全関係が政府全体として今おっしゃったように六千七十六億円で四・二%、前年比。それから地球温暖化ということでとらえますと、四千九百七十八億円で四・六%ということであります。
 これを少ないと見るか多いかでありますが、環境問題というのはこれからいろいろと新しいことをやっていこうということでございますから、それぞれの問題についてまずはスタートするということで、そのためにスタートできるような体制だけはつくりたいということで、先ほど総理のお話にもございましたけれども、例えば経済構造改革の特別枠というのを実は十年度の予算編成のときにつくっていただきました。これはたしか全部で千五百でございましたが、その中で百三十を環境にいただいたというようなことであります。
 それから、環境庁としては、予算は非常に金額自体は少ないのでありますけれども、十年度の伸び率は地球環境の方で一六・四%、それから地球温暖化ということでは二〇%というようなことで、今のところスタートは非常に少ないわけでございますけれども、これから努力する。スタートということだけはひとつ十年度の予算の中にきちっと入れていただいたということでございますから、これから具体的な施策を実際にやる中においてどういうふうに予算をつけていただくか、環境庁としてあるいは政府全体としてまたいろいろと御審議いただきたいと思いますが、まあまあのスタートをとったというふうに考えております。
#177
○小山峰男君 次に、厚生大臣にお聞きしますが、いわゆるごみ、一廃、産廃含めてその処理施設等の予算化、今の状態で十分なのかどうか。また、ダイオキシン対策、先ほどもいろいろ話に出ていましたが、私はやるなら、ばちっと全国のダイオキシンをもう五年でなくすぐらいの形を、五年というよりもっと早くですが、そういう予算を組むべきだというふうに思っていますが、どうでしょうか。
#178
○国務大臣(小泉純一郎君) ふんだんにお金を使わせてくれればいろいろやりようはありますが、予算というのは限られた状況の中で組まなきゃならない。現時点の財政状況を考えて、おおむね市町村の要望にこたえるよう効率的にやりくりしていきたいと思っております。
#179
○小山峰男君 先ほど総理もこういう問題が二十一世紀の課題だと言っているわけですので、今度の大型補正等で十分厚生省として予算をとってほしいというふうに思っているわけでございますので、厚生大臣、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 それから、農水大臣にお聞きしますが、農業集落排水等も大変要望が強いし、まだまだおくれているというふうに思っております。この辺も大いに予算をとってほしいというふうに思うわけでございますし、あわせて家畜のふん尿処理等についてもちょっとお話をいただきたいと思います。
#180
○国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。
 農村地域の水質保全や生活環境の改善を図り、あわせて農村の花嫁や担い手を確保し、美しく快適な農村をつくっていくためには、都市に比べて著しく立ちおくれている汚水処理施設の整備を進めていくことが重要な課題であります。
 このため、平成十年度予算案におきましては、財政構造改革のもとで、農業農村整備事業全体としては対前年度比八八%の一兆八百億円となっている中で、農村地域におけるし尿や生活排水を処理する農業集落排水事業につきましては、対前年度比九二%の一千三百四十一億円を計上し、積極的な推進を図ることとしているところであります。
 本事業に対する地元からの要望書は新規採択枠の約一・六倍となっている状況でありまして、厳しい財政状況のもとではありますが、今後とも所要の予算の確保を図り、事業の積極的かつ効率的な推進に努めたいと考えているところであります。
 また、畜産経営における飼養規模が拡大いたしまして、これに伴い水質汚濁や悪臭等の環境問題が増加し、今後その安定的な発展を図っていくためには、家畜ふん尿等が環境に与える負荷を可能な限り軽減していくことが重要な課題となっております。この場合、家畜ふん尿を貴重な有機質資源として農地に還元することによって、自然の循環機能を生かしたリサイクル利用を図ることが基本であると考えております。このため、家畜ふん尿の適切な処理と利用の推進を目的とし、まず、共同利用の家畜排せつ物処理施設、いわゆる堆肥センターや還元用農地等の整備、それから堆厩肥の利用の促進等に対して助成を行うとともに、個人が行う家畜排せつ物処理施設の整備に対しましては、低利融資、リースを行う等、各般の施策を推進しているところであります。
 今後とも、これらの施策の一層の充実に努め、畜産経営に係る環境対策に万全を期してまいる所存であります。
 以上です。
#181
○小山峰男君 次に、建設大臣にお聞きしますが、公共下水道関係、これも全国的な普及率で見るとかなりまだ低いという状況でございますし、今、市町村等を回ってみますと、大変要望も強いわけでございます。
 予算を見ますと、まさに財革法でございまして、前年度対比九三%というような形で下水道の事業も計上されている。ちなみに、さっきの農村集落排水事業も九二・二%というようなことであるわけですが、財革法ももちろんでございますが、事業にやっぱりめり張りをつけた形で、必要なものは必要なだけつけていくという、そういう姿勢が欲しいなというふうに思っているわけでございまして、その辺のことにつきまして、建設大臣、お願いします。
#182
○国務大臣(瓦力君) 小山先生にお答えをいたします。
 御案内のとおり、我が国の下水道処理人口普及率は、平成八年度末でございますが五五%でございまして、欧米先進諸国に比べますと立ちおくれた状況にございます。特に、人口五万人未満の市町村につきましては一八%と下水道の整備がおくれておりまして、極めてこの分野に対する手だてが必要と、こういうようなことで予算につきましても配慮いたしておるところでございます。
 ちなみに、小山先生の御地元も大変地理的には複雑でございますから、なかなか下水道が行き渡らない面もございますが、全国二十位で四〇%の普及率、こう伺っておるわけでありまして、地方にとりましては下水道の整備が必要な仕事である、かように私は存じております。
 第八次下水道整備七カ年計画で、総投資額二十三兆七千億、これは調整費も含んでおりますが、下水道整備を積極的に推進してまいりたい。さらに、おくれております中小市町村の整備等を重点的に実施いたしまして、全国の処理人口普及率を平成十四年度末には六六%に引き上げることを目標といたしておるわけであります。
 なお、めり張りをつけろ、こういうお話もございまして、平成十年度は公共投資全体が今おっしゃいますとおり対前年度比〇・九二でございますが、下水道事業につきましては国費一兆一千百二十一億円で、対前年度比〇・九三でございますが確保したところでございます。
 限られた財源の中ではございますが、事業の効率的、効果的実施に努めてまいりまして、下水道の普及整備を積極的に推進したい、かように存じております。
#183
○小山峰男君 関係各省からいろいろお話をいただきました。二十一世紀に向けて、そういう環境がきちっと整った日本を引き継いでいくというようなことが大変大事だろうというふうに思っております。
 もう一点、公共事業等につきましても、今考えていかなければならないことは、集中あるいは集権から分権へという考え方が大変大事じゃないかなというふうに私は思っております。今後の行政のキーワードとしては、集中から分散へというのが一つのキーワードになろうというふうに思っているわけでございます。
 ダム建設等についてももちろん必要なわけでございますが、私は、各家庭に雨水をためるような貯水槽を持つようにするとか、あるいはこれから建設するビル等には地下に一定の大きさの貯水槽の設置を義務づける、あるいは中水道の設置を義務づけるというようなことを政策誘導するというような形で行うことが必要じゃないか。
 各家庭の庭に、例えば貯水槽ができるというようなことになれば防災というような問題に大変有用だし、また地元の中小事業者等にもいろんな面で事業が行き渡るような形になるのではないかなというふうに思っております。建設大臣、各家庭に雨水の貯水槽をぜひ進めるような方向でちょっと御答弁いただきたいと思います。
#184
○国務大臣(瓦力君) 雨水貯水槽の整備につきましてお勧めをちょうだいいたしました。
 雨水貯水槽は節水対策のみならず、都市化いたしました中小河川の洪水対策にも効果が期待されるわけでありまして、雨水貯留施設につきまして融資、税制等の助成措置を講じているところでございます。融資につきましては開発銀行による融資を実施いたしておりますし、また住宅金融公庫におきましても、住宅に対しまして割り増し融資を実施いたしております。
 加えてまた、一定規模以上の住宅団地につきましては、地方公共団体が行う共同施設である雨水貯留槽等の水の有効利用システムの整備に対しまして、環境共生住宅市街地モデル事業による助成を行っております。また、税制につきましても、平成七年度より法人税、所得税の優遇措置を講じておるわけでございますが、平成十年度よりさらに対象を拡大してまいりたい、かように考えております。また、委員御案内のとおり、東京ドームも千立米くらいの施設を擁しております。
 やはり水というのは文化のバロメーター、生活のバロメーターでございます。洪水、渇水、いろいろなことを考えますと、今、委員御指摘のような施設というものが普及されることは大変重要なことだと思いますので、我が国の地形からいたしましてどうしても大宗はダムに頼る、こういうようなことが基本でございますが、今、委員の御指摘を踏まえまして、雨水貯水槽の普及につきましてさらに一層努めてまいりたい、こう思っております。
#185
○小山峰男君 もちろん、ダムが全然要らないということではないわけでして、セットでというふうに。なお、なかなか金もかかるので、政策誘導として考えてもらいたいというふうに思っています。
 それから、通産大臣にお聞きしますが、今後のエネルギー需要というのは相当ふえてくるだろう、私は今後建てる家にはソーラーシステムというようなものの設置を政策誘導していったらどうかなというふうに思っているわけでございます。
 現在、いろいろな人のお話を聞きますと、取りつけ等設備費に大変金がかかるという問題もあるようですので、各戸でやるような形になってくれば当然単価も安くなるということになるわけでして、通産省としてもぜひこういうことを誘導してほしいというふうに思っておりますが、どうでしょうか。
#186
○国務大臣(堀内光雄君) 委員の御指摘のように、太陽光発電というのは各家庭を通じて充実をしていくことが非常に有効ではないかというふうにも思っております。
 現在のところはまだ非常にわずかでありますが、一年前の九六年に九万件、五万七千キロワットにすぎませんが、二〇一〇年度におきまして四百六十万キロワットの導入を目標といたしておりまして、昨年の六月に施行されました新エネ法に基づいて、国民や事業者の自主的取り組みを促すための基本方針を示すようにいたしておりますと同時に、太陽光発電を含む新エネルギーの導入をする事業者に対する支援措置を行うようになっているところであります。
 平成十年度の予算案におきましては、太陽光発電を促進するための施策として、一つとしては、住宅用の太陽光発電システムに対する導入補助制度を抜本的に拡充するというのがあります。二つ目には、産業用に試験的に設置する際の補助制度を新しく創設しようということで、三つ目には、太陽光発電関係の各種技術開発を推進するということを考えております。これらの措置を盛り込んだ予算におきまして、平成九年度に比べまして約五十八億増の二百六十一億円を用意いたしております。
 これらの措置によりまして、太陽光発電の導入が加速的に推進されるものというふうに考えておりまして、具体的な数字がもし必要でございましたら、事務方から説明を申し上げます。
#187
○小山峰男君 あわせて、先ほどもちょっとありましたが、日本初の電気自動車とかあるいは日本初のハイブリッド自動車というようなものを世界に普及させるということも大変大事だと思っていますし、また国内でもそういう自動車に全員が乗るようになればCO2もかなり対応できると思いますが、その辺のお考え方はどうでしょうか。
#188
○国務大臣(堀内光雄君) ハイブリッドカーにつきましても非常に重要な対象だというふうに考えておりまして、ハイブリッドカーの普及のための予算を大きく組んでおります。同時に、この補助率などもガソリン車との価格差の二分の一をユーザーに補助するというようなことを考えておりまして、九七年度には四百台程度でありました補助対象を約六千台程度まで広げていこうということで考えて、今度の予算で取り組みをいたしているところでございます。
 そういう意味で、先ほどお話のように大分日本のハイブリッドカーの研究は進んでおりますので、これを充実拡大することによって採算を合わせるような形をとりながら、海外にも輸出ができるようにしていきたいというふうに思っております。
#189
○小山峰男君 それでは、総理に最終的にお聞きします。
 今、関係大臣からいろいろお話を聞いたわけでございますが、それぞれ各省は一生懸命やっているわけでございまして、本当にもう少し予算にめり張りをつけて短期間にこういう問題を始末する。それだけではないわけですが、十兆円ぐらいつければ今のような問題もみんな解決して、しかもかなり景気も上がってくるというふうに思っていますが、いかがでしょうか。
#190
○国務大臣(橋本龍太郎君) そのとおりにお答えしてしかられるかもしれませんけれども、たまたま私は山登りが好きでありまして、ヒマラヤに参りますときエネルギー関係としてずっと太陽光発電によるエネルギーを活用してまいりました。そして、初めてエベレストに参りましたころから比べますと、随分ソーラーパネルの性能も上がっておりますし、丈夫にもなりましたし、軽量化もしてまいりました。
 ただし、ソーラーパネルを敷き詰める面積というものは余り減らないわけであります。私は、これから将来のエネルギーを考えますとき、太陽光発電というものは一定のウエートで当然のことながら活用されるべきエネルギーと思いますけれども、同時に、その下は光が来ないということとこれは同義語でありまして、その面積対比のエネルギー効率がどこまで上がるものか、その点では実は議員がおっしゃるほど必ずしも楽観のできない部分があると私は思っております。
 もちろん、むしろ小規模に、逆に各家庭の電源というような使い方を屋根でいたしました場合、その効率は当然上がるでありましょう。しかし今、それこそ二〇一〇年に向けて新たに必要になるエネルギーを例えば原子力から太陽光に切りかえるというような発想を持ちましたとき、その場合のソーラーパネルを敷き詰めるために必要とする面積はどれぐらいなものか、計算したことが実はないんですが大変なものだろうと思います。
 また、水は、私は本当におもしろい御意見を出していただいたと思います。オーストラリアなんかでよく非常に雨水を大事に蓄え、飲用水として活用している実例を私も見たことがございます。しかし、これを実用化するためには、我が国の場合にはまず降る雨そのものが簡単なろ過装置で飲めるだけの質のいい雨が降るという言い方はおかしゅうございますけれども、雨水がきれい、ある程度飲用にたえるだけの大気を取り戻さなきゃなりません。
 私は、御指摘として非常に興味深い指摘をいただいたと思い、たまたま二十一世紀につながる分野として何を考えるかというお尋ねに対して広い意味での環境ということを申し上げ、議員と本質的な部分で一致を見たことを大変幸せに存じます。
 その上で、技術開発については私はまだ相当越えなければならない壁、それは太陽光発電であれ、雨水貯水であれ、あるいは風力発電であれ、まだ我々が越えなければならない技術的な側面はある。それだけに、そうした研究が十分でき得るような体制を早くつくらせていただきたい。お願いを申し上げます。
#191
○小山峰男君 本予算の修正になるのか、あるいは補正予算になるのか、総理のそういう方向が出る形で今後ぜひ予算化をしてほしいというふうに思っております。
 それから、厚生大臣にお聞きしますが、寝たきり老人対策というのを十年ぐらい前から始めているわけでございますが、この基本的な考え方は、老人を寝たきりにさせない、また自分もならないということだと思いますが、現在この運動の成果というようなものがどんな形であらわれているのか、お聞きしたいと思います。
#192
○政府委員(羽毛田信吾君) お答えを申し上げます。
 寝たきりは高齢者の方々の生活の質というものを著しく損なうものでございますので、そういう意味で寝たきり老人ゼロ作戦というものを、先生お話のございましたように、平成元年から進めてまいっておりまして、平成六年にはさらに新寝たきり老人ゼロ作戦という形でこれを一段と強化いたしまして、寝たきりの原因になります脳卒中あるいは骨折の予防といったようなことについての保健事業の充実などを推進いたしてきております。
 この間の成果でございますけれども、事柄の性格上、計数的に全部が申し上げられるというわけではございませんけれども、この間におきまして寝たきりの予防に関しまする意識の向上が図られたことは当然といたしまして、今申し上げました寝たきりの主原因でございます脳卒中につきましても、死亡率というような面から見ましても、また受療率、いわゆる医療機関にかかる率を見ましても減少を見ております。そういった形で、着実な成果が図られていると思います。
 ただし、こういった事柄につきましては息長くやっていかなければなりませんので、引き続き力を入れてやっていきたいというふうに考えております。
#193
○小山峰男君 大分成果が上がっているというお話でございますが、これは官だけの問題じゃなくて、自分のことは自分でやる、あるいはみんなで助け合う、そういう運動の成果であろうというふうに思っております。
 私は、福祉というのは基本的には自助、互助、公助というような機能がバランスしている社会が一番いいんだろうというふうに思っているわけでございます。今回の介護保険、私は、制度として一つの成立を見たわけでございますが、自助、互助、公助の部分というのをかみ合わせていかないとかなり効率の悪い制度になってしまうというふうに思っておりまして、全国的に統一する部分と、地方地方が独自性を出せるような部分というのをもっとふやすべきだと。
 どうしてももう介護保険で国が決めたものを全国一律に各市町村にやってもらうんだという姿勢は間違いだというふうに思っておりまして、まだスタートまで時間があるわけですので、その辺をどういうふうにするか、再検討をいただきたいというふうに思っていますが、厚生大臣、どうですか。
#194
○国務大臣(小泉純一郎君) 介護保険制度は、保険料を負担していただく、そして税金を半分投入する、なおかつ利用者には一割負担をいただくという形で、平成十二年度導入を目指して今準備を進めております。まさに自助、共助、公助、この精神のもとにこの制度が安定的に運営されるように今整備を進めているわけですが、当然基本的な枠組みとか基準は国で定めます。しかし、これは市町村が主体的に運営するわけでありますので、当然市町村のやりようによって違いが出てくると思います。その点につきましては柔軟に考えております。
 ある地方によっては、うちの方がサービスがいいじゃないかというのは当然出てきますけれども、基本的な枠組みというのは全国一律の基準にのっとってやってもらう。ある程度市町村の自主性も尊重するという形で仕組んでおりますので、その点は、各市町村が競争して介護サービスの水準向上競争に励んでくれることによって、民間の導入やらあるいは住民の要望等によって十分運営が可能であるし、むしろその方が水準向上のために資するのではないかと期待しております。
#195
○小山峰男君 私は、もう福祉は各市町村ででこぼこがあってしかるべきだというふうに思っておりますので、各市町村の創意や工夫が生かせるような制度にぜひしてほしいというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。
 それから、最後にちょっと。先ほども話がございましたが、大蔵大臣に、税というのは一体どういう形でどういう理論で取るのかという税理論をお聞きしたいと思います。
#196
○国務大臣(松永光君) 税は、基本的には公的サービスのコストを賄うための財源。そこで、行政の簡素化、効率化を徹底して行った上で、なお国民の選択により必要とされる公的サービスを賄うために十分なものでなければならない。そして、この税の仕組みとしては、公平、中立、簡素、こういうことで税の仕組みはできることが望ましい、こういうふうに思っています。
#197
○小山峰男君 ちょっと今の関連で。
 公的サービスのコストを賄うものというお話でありまして、公平、公正、簡素というようなお話もあったわけでございます。今回のたばこ消費税の問題ですが、たばこ特別税を国鉄債務とそれから国有林野会計に直入されるということなんですが、今の公的サービスのコストという理論に当てはまるのかどうか、その辺はどうですか。
#198
○国務大臣(松永光君) 国鉄の長期債務問題については、財政構造改革会議で相当な論議をしていただいた上で、将来世代への負担の先送りはすべきではないという考え方であらゆる努力をされて、そして、まず自助努力によってできるだけ返済し、残る債務を一般会計に承継することとし、その上で財源をどうするかと、こうなったわけでありますが、要するに一般会計に承継したものですから、一般会計にこのたばこ税というのは入ってくるわけなんです。したがって、このたばこ消費税と国鉄の長期債務処理と直接の関係はないわけなんです。要するに、一般会計に入れて、そして問題の解決をしていこう、こういうことでございます。
#199
○小山峰男君 いや、これ直入されるわけですよね。たばこ消費税が国鉄債務の支払いに直接充てられる、あるいは林野会計のあれに直接充てられるということであるわけでして、私も、別にたばこから絶対税金取ってもらっては困るというふうには思いませんが、余りにも場当たり的な税制度を創設していくということは、国民に必ずしも信頼感を持たせなくなるだろうというふうに思っておりまして、こういう方式につきまして私は賛成ができないということを申し上げまして、終わらせていただきます。
#200
○委員長(岩崎純三君) 以上で小山峰男君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#201
○委員長(岩崎純三君) 次に、及川一夫君の質疑を行います。及川一夫君。
#202
○及川一夫君 内閣を担当されておりますから当然のこととはいえ、本会議が終わりまして参議院の予算委員会を継続されるということは大変だなというふうな思いでございます。頑張ってください。ひとつよろしくお願いします。
 総理、もう端的に私はお聞きしたいんですが、衆議院の予算委員会、参議院の予算委員会、本会議、それぞれお聞きしておりまして、現状に対する認識とだれがどこでどういう責任を持つべきかという問題について国民の皆さんとはどうもかみ合っていないなと。総理も一生懸命やられている、内閣もその気になって一生懸命対応策も考えておられる。しかし、どうも国民のサイドからいうと、本当に受け入れているのかどうか、かみ合っているのかどうかということについて疑問を持ちます。
 そういった点で、総理のまず感想をお聞きしたいということであります。
#203
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、今、議員から提起をされました問題、かみ合わないなという思いをする場合は私どもの方にもございます。
 例えば、さまざまな角度から御論議をいただくわけですが、私どもは今本当に家計あるいは企業いずれを見ましても非常に厳しいという経済の実態を考えて受けとめております。そして、その厳しさの上に立ちまして、まず、やはり平成十年度こういう仕組みという税あるいは制度を含めました予算というものが、本来は私は、四月一日から三月三十一日まで切れ目がなく安定してこれが続いていくという事態をつくることは何よりも実は景気安定のために必要だと考えておりました。そして、衆参両院いずれの場合にもぜひ年度内の成立をというお願いを申し上げてまいりました。
 そして、両院の審議権の関係で、今、私どもとしては残念という思いを持ちながらも、これはもう率直にお答えをいたします。暫定予算の準備に入りました。しかし、暫定予算は、いかに日割り計算で本予算と同等の内容のものを盛り込んでおると申しましても、あくまでも暫定であります。そして、本予算が一刻も早く成立をし執行できますことが私は一番景気の基盤づくりだと思っております。その足元を固めたい、そのためにも早くとお願いをしておりますことがなかなか御理解いただけないのかもしれません。とすれば私どもの力不足でありますけれども、そのような思いでお願いを申し上げることをぜひ御理解いただきたいと思います。
#204
○及川一夫君 ならば、今回の不況というものについての本質は一体何なんだということをお互い考えなきゃいかぬなと、こう思うんですね。
 現実に現状を見ると、深刻、厳しさ、危機とかいう言葉でそれぞれ各党の代表の方々も発言されておりますよね。だから、私なりに言えば、株安、円安あるいは超低金利、成長率も一・九%がおかしくなりゃせぬかどうか、あるいは雇用の求人率も決して多くはない、失業率は多くなる、そして消費性向もなかなかもって右肩上がりにならない、貸し渋りがある、そして倒産も多い、生産意欲がわかない、こういう現状で、一方ではGDPは五百兆とこう言われ、そして一千二百兆を超える個人の金融資産もあると、こういう状況の中で一体何でこんなにかみ合わないのかということを考えると、今回の不況の本質は一体何なんだということを問いたくなるわけですね。
 そういう観点から、総理、いかがでしょうか。
#205
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは、私は、不況の本質と言いましたときには幾つかの原因が交錯しながらこの状態をつくり出していると申し上げざるを得ないと存じます。
 恐らく、議論を突き詰めてまいりますと、バブルの形成、そして崩壊、その後における金融機関を初めとする不良債権の発生、そしてその処分のおくれ、その中には行政としての指導の問題が責任を問われた部分もございました。必ずしも私はその議論すべてが正しいと考えませんけれども、いずれにしても不良資産の処理がおくれて、今日なお影を残しておることは事実であります。
 そして、そういう中で、ある時期は公共投資の積み増しにより景気を支え、あるいは税を活用し、例えば所得税減税を先行させてきた、住民税減税を先行させてきた、その後における消費税率のアップを三年後に控えて予定をしてきた、そういうふうにいろんなことを積み上げてきたわけです。
 その中に、私ども既にこれは国会でも認めておりますけれども、消費税率の引き上げに伴って、昨年の一―三にあれだけ大きな駆け込み需要が発生するという予想は正直いたしておりませんでした。そして、それが四―六の反動減を呼んだ、これも事実として私どもの予想を超えておりました。ただ、それも七―九で上昇に転じて、ある意味ではほっといたした次の瞬間にアジアにおける金融不安というものが起こりました。そして秋、我が国における大規模金融機関の破綻というものが相次ぎました。
 そうした中におきまして、これは当然のことでありますけれども、家計や企業の景況感を極めて厳しいものにした。そして、個人消費、設備投資に影響を及ぼしている。それが現在の厳しい状況に結びついている一つの原因ではないか、私はそれぞれがやはり複合して今日をつくっておる、そのように思います。
#206
○及川一夫君 今、行政の責任という問題を含めてお答えがありました。
 そこで、経企庁長官にお聞きしたいんですが、我が国には不況の定義というのはありますか。不況とはどういうことを言い、どういう数字をもって不況か好況かというふうに判断するのか。
#207
○国務大臣(尾身幸次君) 我が国におきます景気の判断でございますけれども、私ども各般の統計資料等を入手しておりますが、同時に産業界等からヒアリング等を通じましてさまざまなチャネルで情報を集め、その情報をもとにいたしまして経済の実態把握を行った上で総合的に判断しているということでございます。
#208
○及川一夫君 それなら、アメリカに包括財政法というのがありますが、これは御存じですか。
#209
○国務大臣(尾身幸次君) 聞いております。
#210
○及川一夫君 それじゃ、事務当局でも結構ですが、OBRAの中身についてちょっと御紹介願います。
#211
○国務大臣(尾身幸次君) アメリカにおきましてはしばしば、実質GDPの前期比の伸びが四半期、三カ月ごとに見るわけでございますが、二つの四半期が連続でマイナスになったときがリセッションであると言われているわけでございます。これは、アメリカの全米経済研究所が認定しております公式の景気の山とか谷とかいうものとは必ずしも一致しないというふうに聞いております。
 私どもの方では、この景気の山、谷の判断は、統計的に確認できた段階で学識経験者から成ります景気基準日付検討委員会の御意見を踏まえまして一定のルールに基づき認定をしているところでございます。
#212
○及川一夫君 OBRAの中には免責条項があると言われていますが、内容を教えてください。
#213
○政府委員(新保生二君) 免責条項は、要するに一律削減をストップさせるということで二つの場合を挙げております。
 一つは宣戦布告が行われた場合。それから二番目は経済が非常に低成長に陥った場合ということでありまして、この低成長に陥った場合というのは、実質経済成長率が二四半期連続で年率一%未満もしくはマイナスの場合において、議会の決議により一年経過後の最初の会計年度開始まで一律削減が停止される、そういうふうになっております。
#214
○及川一夫君 免責条項を発動する場合の条件は何ですか。
#215
○政府委員(新保生二君) 先ほど申し上げましたように、経済が低成長に陥った場合ということでありまして、二四半期連続で年率一%未満の成長もしくはマイナスの成長になった場合、これを停止するということでございます。
#216
○及川一夫君 三つあるんじゃないですか。もっと正確に言ってください。
#217
○政府委員(新保生二君) 今の場合は低成長のケースについて申し上げましたけれども、そのほかには宣戦布告が行われた場合ということでございます。
#218
○及川一夫君 えらい宣戦布告の場合だけ強調されるね。そんなのは関係ないですよ、僕らからいえば。
 三つありまして、六カ月間実質成長率がマイナスになった場合にはこれを停止するということが一つ。それから、これは企画庁ということになるんですか、実質成長率が一%未満の実績報告が議会予算局、行政管理予算局から報告された場合についてはとめるということになっておるんですが、それは違いますか。
#219
○政府委員(新保生二君) 先生おっしゃるように、二四半期連続で年率一%未満またはマイナスの場合において、議会の決議により一年経過後の最初の会計年度開始まで一律削減が停止されるということでございます。
#220
○及川一夫君 これは俗に言う不況、好況の一つの基準みたいに私はなっていると思う。我が国はこういうのはないでしょう。ありますか。
#221
○政府委員(新保生二君) 我が国の場合は、こういう一律削減停止条項とかそういう免責条項は明示的には入っておりません。これは大蔵省の方から答えていただいた方がいいかと思いますけれども。
#222
○政府委員(涌井洋治君) お答え申し上げます。
 財革法におきましては、アメリカのような停止条項はございません。
 実は、アメリカの場合は、例えば補正予算の追加をするようなこともこれはキャップがかかっておりますからできません。つまり、追加する場合には全体としてまた一律削減がかかってしまうというような非常に厳しい条件があるということもあって、多分このような停止条項があるのではないかと思います。
 日本の場合は、先生御承知のとおり、歳出のキャップは当初予算にかかっております。例えば災害等の追加ができるように補正についてはそのキャップはかかっておりません。そういう意味では、アメリカと日本とは条件が違うわけでございます。いずれにしても、アメリカであるような経済の低成長の場合に停止するというような規定は財革法にはございません。
#223
○及川一夫君 要するに、総理、財政構造改革法の中に、私もタッチさせていただきましたが、停止条項とかいわば凍結条項とかそういうのは一切ないわけですね。したがって、私は、いろんな意味で問題の壁になっておるのかなということを感ずるんですが、総理はどんなふうに受けとめておられますか。
#224
○国務大臣(橋本龍太郎君) 実は、衆議院における本予算審議の際におきまして、この停止条項の御議論を提起された方がございました。私は、率直にその御提案というものを立法政策上の一つの判断という評価を申し上げ、同時に、いわば停止のルールといったようなものを考える難しさから、なかなか実際には難しいのではないかという御答弁を申し上げました。それを二度ほど申し上げました後で、野党の国対委員長の方々からそろって自民党の国対委員長の方におしかりがございまして、その後、私はこれに対する答弁を、率直に申して、慎んでおります。
 ただ、私は、立法政策上一つの判断であるという評価は間違いなしに衆議院でもいたしました。同時に、その基準がなかなか難しいなと考えるということも答弁をした次第であります。
#225
○及川一夫君 衆議院でどうしてそれをお怒りになったのか知りませんけれども、私は当然のことじゃないかなと思っているんです。
 アメリカでは、一九九〇年に六十五兆削るというのがあって今のような物の考え方ができているわけですね。やっぱり経済は生き物、動き方いかんによってはどうなるかわからぬ、そのときにストップということがなかったら大変だぞと、こういう思いでのものだと思っているわけです。ちゃんとこれは検討の価値はあるんじゃないか、こういうことを率直に申し上げておきたいと思うんです。
 それで、実は、我が国は世界一の債権国ということをよく言われます。特に、経済はこれからうまくいくのかいかないのかというときに、よく我々も使いますが政府の皆さんもお使いになる。債権国世界一でありながら何でこんな経済不況になるのという疑問があるんですが、総理、これはいかがですか。
#226
○国務大臣(尾身幸次君) 予告なしに甚だ難しい質問を受けたような感じがするわけでございますが、債権国であるという意味は、全体として、企業も含めました国民は相当お金持ちであるというふうに私は理解をしておりまして、他方、政府の方は、債務残高等の状況を見ましても世界で一、二を争う厳しい財政状況のもとにあるというふうに考えている次第でございます。
#227
○及川一夫君 大蔵省にお伺いしますが、外国為替資金特別会計、この中で、アメリカの証券というか国債というか、それはどのぐらいお買いになっておるんですか。
#228
○政府委員(黒田東彦君) 御案内のように、我が国は二千三百億ドル程度の外貨準備を保有いたしております。
 その外貨準備の中身につきましては、各国と同様、これは介入の結果としていろいろな通貨を持っておりますし、また将来介入できる原資でもございまして、どの通貨の外貨をどれだけの割合で持っているということは公表いたしておりませんが、我が国も公表いたしておりません。しかし、従来の経緯から申し上げまして、二千三百億ドルの外貨準備の大宗がドルであるということは申し上げられます。
#229
○及川一夫君 アメリカの国債を買っているのは、それぞれあるんでしょうが、大体、アメリカの国債というのは全体で一兆二千億ドル、こう言われていますよね。百六十六兆円ぐらいになるんでしょうか。そのうちの二三%は我が国が買っているというふうに言われますが、大蔵省、どうですか。
#230
○政府委員(黒田東彦君) ただいまその統計を手元に持っておりませんが、たしか米国は国債につきまして非居住者がどのくらい持っているという統計は発表いたしておりまして、その非居住者のうちどこの国の非居住者、つまり日本の人々あるいはフランスならフランスの人々、そういう国ごとにどのくらい米国の国債を持っているという統計を時折発表いたしております。
 ただ、それはその中身について、例えば個人であるとか企業であるとか、あるいは各国が外貨準備として政府が持っていると、そういう中身は発表いたしておりません。あくまでも非居住者についてどこの国の非居住者かということをたしか発表いたしておると聞いております。
#231
○及川一夫君 それなら、米国財務省証券の主要保有国別保有額というものがアメリカから発表されておりますが、これはあなたは持っていないんですか。
#232
○政府委員(黒田東彦君) ただいま手元に持っておりませんが、そういう数字が発表されていることは承知いたしております。
 その額も日本の、つまり米国から見た非居住者、日本の国民、企業、政府が合わせて相当額のドルの国債を持っているということは認識いたしております。
#233
○及川一夫君 大蔵大臣、三千億ドルが日本ですよ。英国が二千八百七十億ドル。両方合わせると四五%ぐらいになっちゃうんですね。ドイツが九百十億ドルぐらい持っておられる。これは合わせるともう五〇%を超えちゃうわけです。
 だから、日本がアメリカに対しても債権国として第一位ということに実はなっておりまして、日本円で言えば三十九兆ですね。政府の資金で買われたのかどうか、政府関係ということになると二十兆と我々把握しております。というと、かなりの額だと思いますね。我が国は一般会計で大体七十七兆でございますから、それで三十五兆も我が国がそれを買っておられるということは、悪いことじゃないんでしょうけれども、どうも不況ということとぴったりこないという感じがしてしようがないんですが、大蔵大臣、いかがですか。
#234
○国務大臣(松永光君) 先ほどから話がありますように、国民の金融資産千二百兆、それから我が国の外貨の保有高あるいはまた我が国の対外債権、委員が今申されたことも含めて八千億ドル、対外債権、純債権があるわけでありまして、大変な債権あるいは資産を持っておるということ。しかし、国の債務は五百兆になるようなもう大変な長期債務を持っておる、こういう状況になっておることは事実であります。そういう中でどういう施策をやっていくべきか、これが一番難しい問題で頭を悩ますところでございます。
#235
○及川一夫君 こっちも頭を悩ましておるんだね。どうも不況不況と言いながらお金を貸している、あるいはアメリカの資産を買い上げているということになると、何となくぴたっとこない感じがするんですが、一つの問題点でしょう。
 だから、我が国の財政問題をやるときには、当然国内のことを重点にしながらやってよろしいんですが、国民全体の意思からいえば一体それは何だということになってしまうわけですから、この辺のことは国民によりわかりやすく解明をすべき問題点ではないかというふうに思います。
 そこで、総理、私はここまで来ますとなかなか国民の意思も、我々と言ったら失礼ですけれども、何となく一致しないという、何かやっぱり障害になっているものがある。それは何だということになりますと、私は、先行き不安とか政治不信とかさまざまな問題があって、それを解決しないとどうも政府の言うことに対して、国会議員の言うことに対してという思いがあってしようがないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#236
○国務大臣(橋本龍太郎君) さまざまな選挙の投票率にあらわれる棄権率の高さ、そしてそれに対して政治不信が原因という御批判は随分長い時間を経過しました。そして、その投票率を上げるべくいろいろな工夫もいたしましたし、また私は、それぞれ政治家がこの問題はある意味では自分の問題として受けとめてそれぞれの場面で御努力になっておられると信じております。しかし、なかなかそれに対しての信頼というものが十分に与えられているとは言いがたい。
   〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕
 その中で、行政はしっかりしているという声がありました。ところが、その行政も今国民から厳しい指弾を受けております。そして、政治は三流、経済は一流とうそぶいておられた方々が贈賄側で名を連ねるという状態になりました。これは本当に情けないことですけれども、国民に対して我々はおわびという言葉を使うだけでもつらいぐらいの状況です。そして、これは党派あるいは両院の別というようなことではなくて、政治家すべてがやはりこの中でそれぞれの立場で信頼回復のための努力をしなければならないと思います。
 本日、本院の本会議場において公務員倫理法のお尋ねがありましたときに、倫理法の作業を進めております、その上で、公務員で構成される政府がその公務員倫理法を出すことについてためらいがあるということを正直に申し上げました。私自身の思いはそれぐらいの思いであります。
 ただ、だからこうすればというのが何か私にはわかりません。わかりませんと申し上げるよりも、そういった例えば一つのボタンだけを、あるいは一つのスナップだけをはめればそれですべてが解決するといったような生易しい話ではないと思うんです。
 ですから、一つずつの国民から突きつけられるお話に対して、政府としては全力でそれに取り組んでいく。その懸命の努力の中から、多少とも信頼を取り戻すことができればと心から願っております。
#237
○及川一夫君 厚生大臣、突然ではないはずですが、ここまで来ますと、例えば医療問題で言えば、やっぱり国民とあなたと気持ちが合わないとこれから以降は大変なんです。
 正直言って、九月に医療改正をしたと、そのときには改正するという話だから幾ら値上がるのかはわからないんです、一人一人は。あのときにあなたは、四月からもまた負担増をお願いするみたいな発言をされましたね。僕はあのときに非常に腹が立った。そして、九月一日過ぎてみたら、一日前は心臓病で九種類の薬をもらって一万円だったのが、九月一日以降行って薬をもらったら二万五千円と、こうなっているんです。このぐらいあの改正というものはやっぱり厳しかったんだなということを私は私なりの責任で感じているわけです。
 だから、それをどうするんだという政治宣言的なものを出さないと私は溝は埋まらないという気がしてならないんですが、いかがですか。
#238
○国務大臣(小泉純一郎君) 医療保険制度を、特に皆保険制度を堅持していくということについては、大筋の合意といいますか賛成を得ていますと私は感じております。その中で、これから医療保険制度を維持していくためにどういう改革が必要かということで、診療報酬体系あるいは薬価基準制度、医療提供体制、高齢者の保険制度等、総合的に改革を出すということでやっているんです。
 その際に、医療費を賄うのにこれは全部国民負担です。税金をどのぐらい投入するのか、病気にかからない人からも保険料をどのぐらいいただくのか、病気になった場合に病気になった方からどの程度いただくのか、その組み合わせを考えている。さらに、今の診療報酬体系、これにもむだがあるのではないか、過剰検査、過剰診療、過剰投薬があるのではないかということから見直しを進めていこうということで、すべてにわたって改革の手を入れていこうということでやっているわけです。
 その際に、それではもう増税もしませんよ、保険料も値上げしませんよということなら、医療のむだとか非効率な面を排除していこうということで、診療報酬体系と薬価基準を今審議会で御審議していただいております。さらに、それじゃ患者になった場合の負担をどの程度にしようかということから、ある程度、国民健康保険に入っている方は三割負担していただいている、健康保険に入っている方も二割負担していただきたい、高齢者も今まで一月千二十円だったのを一回五百円にしていただきましょう、四回までです、二千円までです、薬も若干負担していただきますよと。
 これから将来、高齢者の医療費はそうでない方の医療費に比べて約五倍かかっています、高齢者は毎年ふえていく。この際、その医療の負担を若い世代ばかりに押しつけることはできるのか、無理でしょうということから改革を進めているわけであって、患者になった場合にある程度負担をしていただくということがない限りは、じゃどこで見るのかという問題になってくるわけです。
 私は、三割、二割あるいは一割の負担をいただく上においても、今上限というのは六万三千六百円ですよ、月百万かかろうが一千万かかろうが六万三千六百円しかいただきませんよと上限がある。実質的には、国民健康保険に入っている人は三割負担しているけれども、百万の医療費がかかれば三割負担じゃないんです。一万円、二万円の三割負担ならできるでしょう、多くの国民は。ところが、百万、二百万円の医療費がかかった場合、三割負担は無理でしょう。だから、たとえ三割負担でも上限が今六万三千六百円、低所得者はその約半分。そういうことを考えて、どこまで国がやれるのか、公費で見れるのか、ある程度どこまでそれじゃ個人が負担していけるのかということを見ないと私は改革はできないと思うんです。
 予算をふんだんに使ってください、税金をどんどん投入してくださいというのなら患者負担ゼロでもいいですよ。それができないから苦しんでいるんです。それを御理解いただきたいと思うんです。
#239
○及川一夫君 今、医療制度の問題について一つとして言っているわけではない。気持ちの問題を言っている。総理だって苦しんでおられるじゃないですか。全体の不況という問題について、これをこうしたいと言ってもなかなかかみ合わないなと苦しんでおられるんですよ。
 あなたが何ぼそんなことを言われたって、かかる人にとっては安くよく診てもらいたいという気持ちの人ばっかりよ。値上げをすることによって患者が減ったでしょう。減っているはずです。思いどおりじゃないですか。私はそういうふうに言いたい。そうしたら、今度医師会の方が困ったということを言い出しているはずです。大体、抜本改革というなら数字をつけて発表しましたか。
#240
○国務大臣(小泉純一郎君) 改革には抵抗はつきものです。医師会も抵抗している。製薬会社も抵抗している。その抵抗を排除できない、反対があるからできなかったことを、三十数年ぶりにできないことをやれと言ったからやったわけでしょう。当然抵抗は出ますよ。
 現状維持がいいんだったら何もしません。現状維持だったらどれだけこれから増税しなきゃならないんですか。どれだけ国債を増発しなきゃならないんですか。国債増発といったって、若い人に対する増税じゃないですか。それができないから改革をやろうと。この改革の痛みに耐えかねてまた増税路線に走る、若い世代に押しつける、私はこれはあってはならないと思います。
#241
○及川一夫君 厚生大臣、あなたが言っていることは、我々がその増税路線をするのは当たり前だとかけしからぬとか、そんなことを言っているつもりはないんです。改革せにゃいかぬのですよ。やるには条件が必要でしょうというんだよ、私から言わせたら。
 そこのところを、私は政治宣言で、少なくとも医療費、当分の間上げないとか負担増も求めない、しかしいろいろ検討して相談しますよというような政治宣言であるとか。年金だって同じです。給付を下げられて掛金を上げると言われたら、いいかげんにしてくれということになりますよ。だから、給付は現行以上に上げることは難しいが下げることはないという前提で、制度全体を見直すなら見直すというような宣言をするとか。消費税だってそうだと思うんです、私は。これは少なくともこれからやる場合には、目的税的にやりたいとか、提案するときには少なくとも五年前には提案して五年間論議したりとか、そういうものを政治宣言的にやることによって初めてかみ合った議論になるのです。それでもだめですか。
#242
○国務大臣(小泉純一郎君) 行政改革、財政構造改革、前回の総選挙で各党政治家は何と公約したのでしょうか。すべての候補者、すべての政党が行財政改革しなきゃならぬと言って公約したはずです。もう増税はできません、国債増発はできませんよ、徹底的に行政のむだ、財政構造の膨張圧力を直しましょうとすべての政党候補者が言ったはずであります。
 年金にしても、給付を上げろ、保険料は下げろ、税金は投入するな、支給開始年齢も繰り上げるな、これはできない相談です。給付と負担の均衡を図る。給付を上げるんだったら当然保険料も上げなきゃならない、あるいは税金も投入しなきゃならない。それができないから給付と負担の均衡を図る。保険料を上げる、嫌だと言ったら当然給付も下げなきゃなりません。税金をもっと投入しろというんだったら増税しなきゃならないでしょう。いや、現状がいいんだと。じゃ支給開始年齢をもっと上げなきゃならないでしょう。年金にしても、これから給付と負担の均衡を図る。支給開始年齢を何歳にするのか。給付をこれ以上上げるんだったら保険料は上がる、それは嫌だと。じゃ保険料を下げる、給付も下げますよと。税金を今大体四兆五千億円ぐらい投入している。税金をもっと投入しろというんだったら、どこかで増税を考えなきゃいけない。それができますか。
 だから、昨年五つの論点を整理しました。二月に年金白書を出しました。これから年金審議会においても国民の皆さんにも議論していただく。給付だけ上げる、受ける方だけを考えて負担する若い人のことを考えない、そんな年金制度はあり得ません。そこを考えていただくのが私は政治だと思います。よろしく御協力お願いします。
#243
○及川一夫君 あなた、相手を間違っていないかね。はっきり言いますが、私はあなたの言ったことに全部参加をして、議論して、一定のものを決めてやったんでしょう。何を言われるんですか、あなたは。
 それでも、国民との関係ではかみ合わないんですよ。そこをどう埋めるかというのが政治の一つの問題点じゃありませんか。そこを言っているのであって、あなたにそんなことを言われる筋合いはないと本当に思うよ。何言うとるんだということを、私から一つ一つ反論したいぐらいです。
 だから、ここはこれにして、総理、その埋め方の問題ですよ。
#244
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、ある意味ではお二人の議論がわかり過ぎるぐらいそのプロセスをも承知し、拝聴しておりました。
 その上で、今、議員が、その議論が国民との間で埋まらない、それをどう埋めるかということを言われました。厚生大臣は五つの選択肢をお示ししているという答えをしたわけでありますが、ちょうどここに阿部参議院議員おられますけれども、七九年に労働党政権から保守党政権にかわりました直後のイギリスに阿部さんと一緒に私は参りました。
 そのときに知りたかったことは、労働党政権が行っておりましたグリーンペーパーという一つの調査に対し、全く違う党である保守党政権がその作業をどうするかでありました。それは、まさに社会保障、イギリスのナショナル・ヘルス・サービスあるいはその他の制度につきまして、まず現状を説明し、政府はこうしたいという方向性を示し、その上で設問をつけて非常に幅広く国内に対しての意見聴取を行う、言いかえれば、現状とその結果政府がとる方向を示した上での大規模な世論調査でありました。
 私は、それを労働党政権がやっておられたことを存じておりましたので、一体それがどうなるんだと、大変これは不謹慎な言い方かもしれませんけれども、興味津々だったんです。そして、当時の社会保障担当大臣、次官、いずれもが、あれは非常にいい資料でそのまま使うんだ、ただ、ちょっとその中身を変えるんだと。しかし、まず第一に現状分析は正しい、そしてそれに対して労働党政権として出している方向、その多くの部分は一致するけれども、一部合わない部分がある。逆に言えばその世論調査の結果は我々がすぐ利用できるものだと。非常に大胆なことを言うなと思っておりました。そして、その後サッチャー政権は相当強い姿勢で改革をしてまいりましたけれども、そのベースにグリーンペーパーがあったことを私は今も覚えております。
 そして、消費税導入のときにも、導入時点で一衆議院議員として同じ手法を当時の大蔵省に随分私は勧めました。あるいは社会保障についても同様な試みを勧めてまいりました。今まさに厚生大臣が述べた五つの選択肢、なぜこういう五つの選択肢を示すか、現状はこうで単純に機械的に推計していくと将来がこうなる、それに対してこの五つの選択肢がある、これをいかに広報の上で国民に知っていただき、そして国民に考えていただいた結果を集約するか、私どもが払うべき努力はそこにある、そのように今の御論議を拝聴しておりました。
#245
○及川一夫君 国民との溝をどう埋めるかというのはもう少しどうしても議論せにゃいかぬなというふうに私は思います。僕は厚生大臣とは別に仲が悪いわけじゃないんだから、お互いにばっばっと来るのは大好きだから、これから時間をかけてやります。総理、大変御苦労さまでございました。
 それで、大蔵大臣、アジアの経済と日本の経済の構造というんですか仕組みというんですか、こっちがへこたれればアジアはよくなる、アジアがへこたれれば日本がよくなるという関係なのかどうか、それについて少し構造的な話として見解を求めたいと思います。
#246
○国務大臣(松永光君) 今、及川先生は、日本がよくなればアジアがへこたれる、アジアがよくなれば日本がへこたれると。いや、そういう関係ではないと思います。逆に、日本の経済が発展していくことはアジアの発展にも貢献するものだ、アジアの経済が発展することはまた別の意味で日本の経済の発展にもつながってくる、そういう関係だというふうに私は認識しております。
#247
○及川一夫君 ただ、私は、どこの国がという意味じゃなしに、どうしても仕組み上、円高になればアジアの輸出力はふえる、円安になれば逆になる、こういうことはアメリカの皆さんがおっしゃられているでしょう。そういう意味で言うと、我が国はアジアに対して何をしなければいけないのかという観点からお聞きしたわけですから、今後アジア経済との関係で我が国は何をなさろうとしているのか、何をなすべきなのか、大蔵大臣、その点はいかがですか。
   〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕
#248
○国務大臣(松永光君) 今アジア、なかんずく東南アジア方面で問題になっているのは、その地域の金融、通貨、これについて不安があるということだろうと思います。
 そこで、我が国としては、それらの地域に対してIMFを中心とする国際的な支援の枠組みの中で積極的な支援を実施することにしているところでございます。
#249
○及川一夫君 総理に御見解をお伺いしたいと思います。
#250
○国務大臣(橋本龍太郎君) 最終的には今の大蔵大臣の要約された形に尽きるわけでありますが、アジアと申しましても、それぞれの国、実は金融危機を迎えた状況に違いがあります。しかし、その違いを乗り越えIMFの枠組みの中で国際的な支援を行うというスキームが、今、韓国、タイそしてインドネシアに適用されております。そして、日本もその中で当然ながら役を果たしていかなければなりません。
 韓国及びタイにつきましては、一応改善の方向に向かいつつありますけれども、インドネシアはちょうど今IMFとの話し合いを続けているところでありまして、私ども非常にこれを気にしながら見ております。
 ただ、ここで一つ問題なのは、どの国にも共通して言えること、実はすそ野産業が余り育っていない、どこも組み立て、アセンブリーに主力を注いだ投資が多かった。そのために、それぞれの国が輸出をするためにも日本から部品を輸入しなければならないという部分が現実に存在をいたしました。そしてその中で、供給されました民間資金が必ずしも生産的な部分にのみ使われたとは言えない部分もありました。
 そういう目で見てまいりますと、我々はアジアのそれぞれの国において、多少の変化はありますけれども、債権国としてそれぞれの国の経済に対しても努力をしなければなりません。そして、当然ながら、IMFのスキームに従うべき部分と、それとは切り離して我々が努力のできる部分と二通りがございます。
 資金的なものでいいますなら、IMFのスキームとは別に、我が国の意思で行動できる部分は貿易保険の活用という手法であります。そして、これは既に我々はそれぞれの国に提示し、具体的な案件を待つ、そういった状況にあります。
 そのほか、特に人材の育成でありますとか、あるいはインドネシアのように陸続きの国ではない、非常にたくさんの島から構成されており、人口が一定以上ある島だけでも五千と言われますような国、国民生活に必要な物資、これが外貨の不足のために買えないならば、我々もできる範囲での無償協力をしよう、既に腎透析用の注射器等は私がインドネシアを訪問しましたときに到着をしておりましたけれども、なお必要なものとして粉ミルクとか幾つかのものが言われておりますので、具体的な必要項目を詰めて協力をする体制をとっております。
 それぞれの国によって対応は違いますが、我々はやはり協力すべきところはできる限りの努力をしていく、それは同時に日本自身にとっても市場がしっかりと安定するという意味で私はその努力を払うべきものと、そのように思います。
#251
○及川一夫君 日銀総裁、大変お待たせして申しわけありません。
 日銀政策委員会の議事録、この前読ませてもらいました。余りよくわからないのでありますが、議事録の紹介の仕方としては現状で、あれでよろしいと思われますか。
#252
○参考人(速水優君) 私はまだ金融政策決定会合というのに出席しておりませんのでございます。しかし、この会合では金融・経済情勢の判断、それから金融政策運営の方針について大変真剣な議論が行われていると聞いております。また、そうした議論の流れや検討されているポイントについて議事要旨というのが素直に反映されているように思います。
 お尋ねの、これからどうしていくかということは、四月一日から新しい日銀法に基づいて新しいメンバーも加わって始まってまいりますので、私はできる限り議論をし、適正な政策決定が行われていくように努力してまいりたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。
#253
○及川一夫君 日銀の政策委員会というのは、単に物価だけの関係で金融政策全体を切る、あるいは公定歩合でも金利でも切るものじゃないんだろうと思うんです。この前のものでは、じゃ国民生活のかかわりについてどの程度議論したのかと、こう見ましたら、欠員状態で四名の皆さんだけで議論したようなんだが、あれを見ると余りぴんとこないんですよ。
 政策委員会の課題というのは何だというふうに新しい総裁はお思いですか、これをちょっとお聞かせください。
#254
○参考人(速水優君) 政策委員会のメンバーは、御承知のように今四名でございますが、四月から私を入れて九名になりまして、それぞれが意見を述べて、今の経済情勢の分析等、何をどうすればいいかということを決めていくことになると思います。ただ、金利だけということではもちろんございませんが、情勢判断ということで総合的な私どもの考え方を決めて、政策を決めていくということでございます。
 金融政策というのは、経済の各般に及ぼすさまざまな影響を総合的に把握した上で、あくまでもマクロ経済全体の観点から、物価の安定とそれを通じた持続的な成長というものが達成されるように運営していくべきものだと考えております。もちろん、家計もその中の一つでございますし、企業もそうでございます。その辺は、投資採算がどうなっていくか、あるいは資産価額がどういうふうに動いていくか、雇用や家計所得にどういう影響があるかというようなことをすべて考えながら政策が決められていくということを申し上げたいと思います。
#255
○及川一夫君 時間もありませんからお願いしておきたいんですが、やっぱり国民生活抜きの政策委員会というのは私はないんだろうと思います。したがって、今の金利というのは何だと、もうゼロに近い。こんなの銀行不要論ということを言ってもいいくらいですね。
 ですから、こういう問題を踏まえて、ぜひ銀行も経済活動の本当に中心だというふうに言われるような、そういう意味での公定歩合とか金利政策というものを決めてもらわぬと我慢がならない、こういう気持ちであることだけ申し上げて、大変どうも済みません、ありがとうございました。
 重ねて、労働大臣にお伺いしますが、護送船団方式を労働組合に当てはめたそうでございますが、真意は何ですか。
#256
○国務大臣(伊吹文明君) できるだけ簡潔に、しかし正確にお答えいたしたいと思います。
#257
○及川一夫君 長くてもいいですから。
#258
○国務大臣(伊吹文明君) 長くたっていいんですか。
 賃金の決定のあり方について大臣の意見を聞きたいという御質問がございました。私は、労働省をお預かりして何が一番仕事として大切かということを考えますときに、働く人一人一人の労働条件がよくなる、これは雇用と賃金だと思います。それから、日本社会全体が向上していく中で労働環境はよくなっていく、こういうことが必要じゃないかと思っております。
 そこで、もちろん弱い立場の企業もたくさんあるわけでございますから、私は産別とか連合とかという形で交渉をされることについては何も言っていないんです。向こうは賃金の決定のあり方について聞いたわけです。私は、出せるのに出さない経営者というのも困る、同時に出せないのに無理に出させれば長い目で見て企業業績が悪くなって雇用を失う、したがって何千円プラス・マイナス・アルファという形ですべて決まるというのは決して働く人のためにならない、一種の護送船団的な賃金決定ではないか、こういうことを実は申し上げたわけであります。
#259
○及川一夫君 私、五十年ほど労働関係やっていますけれども、一回といえども護送船団なんて言われたことないです。これは二十八条の団結権とか争議権とか交渉権とか、そういうのにみんなひっかかるんですよ。だから、不用意なところもいいところだなと私は思っています。
 言おうとする趣旨はわかっておるんです。しかし、それは労使で話し合えば決まることなんですよ、雇用問題は意識しているんだから。何も労働組合だって銭上げりゃいいということだけじゃないんです。労働行政ですから、あなたはその監督官だから、よく気をつけてもらわぬといかぬということだけ苦情を申し上げておきます。
 それで郵政大臣、時間がなくなっちゃったんだけれども、交通・通信委員会でもやりますからいいんですが、今の指定単の状況についてちょっと言ってくれませんか。
#260
○国務大臣(自見庄三郎君) 指定単についての御質問でございますが、郵貯資金、簡保資金は、先生御存じのように、安全、確実、有利、公共の利益のために運用せねばなりません。そういった中で、指定単運用というのは、先生御存じのように、今の法律では簡保事業団を通じて指定単契約をするということでございます。その先から株式に投資をしている、資産の運用をやっているわけでございます。
 御存じのように、大部分は長期的な債券でございますが、株式の有利性と債券の有利性は違いますので、そういった意味でいろいろな投資の方法を分ける、分散投資と申しますか、やはり有利なものはお互いに違うわけでございまして、例えば債券が上がったときは株式は下がる、株式が上がったときは債券が下がるというふうな一般的な法則があるやに聞くわけでございます。そういった意味で、やはり国民から預かった大変大事な資産でございますから、分散投資をする、より資産構成で安全、確実、有利な方法に持っていくというふうなことで指定単運用、十年近い歴史がございますが、やらせていただいておるところでございます。
 そういった中で、先般、私も記者会見をいたしまして、指定単、いろいろな意見がございまして、今簡保事業団を通じて指定単契約をしておりますが、簡保、郵貯本体で指定単運用をした方がやはり弾力的、機動的な運用ができるのではないか、そういった話もあったわけでございますから、そういったことも視野に入れつつ検討してまいりたいというふうに思っております。
#261
○及川一夫君 弾力的運用というとよく聞こえるんだけれども、簡保事業団を抜くというのはほかに何か理由があるのと違いますか。
#262
○国務大臣(自見庄三郎君) 昭和六十二年から、指定単の制度を始めたときから、実は郵政省としては直接本体で指定単運用をさせていただきたいという要求を正式に昭和六十二年と平成五年にも出したわけでございますが、なかなか財政当局と折り合わないという結果もございまして、現在のような状態になっているわけでございます。直接簡保、郵貯本体で株式を買うということは決してございません。これはやはり厳に慎むべきことだと思っておりますが、簡保、郵貯本体で指定単契約を結ぶということの方がより加入者にとって有利な投資の機会が広がるんじゃないかというふうに、そういう事実があるのじゃないかというふうに私は思っております。
#263
○及川一夫君 時間がありませんからあれですが、とにかく、今言われたことに力を入れれば入れるほど株操作になりませんか、市場介入になりませんか、形を変えて何かやられるんですかというふうに言われるおそれは私は十分にあると思う。今の現状で、もうけている人はなおのことそういうことを言うに違いない、こういう思いが私はします。
 したがって、今の簡保事業団を通して指定単でやるという方式はいいように見えるが、確かに問題点があるんですね。そういうものはある程度赤裸々にして、だから本体でやらなきゃいかぬのだという形にしないと、後になって、しもうたという話になりかねないというふうに思います。
 いずれにしろ、そんな問題が含まれているというふうに思っていますけれども、注意深くやっていただかなきゃ困るというふうに申し上げて、私は終わりたいと思います。
#264
○委員長(岩崎純三君) 以上で及川一夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#265
○委員長(岩崎純三君) 次に、小林元君の質疑を行います。小林元君。
#266
○小林元君 民友連の小林元でございます。よろしくお願いします。
 きょう、本会議でも交付税法あるいは地方税法の改正の趣旨説明がございました。そのときにも話が出たわけでございます。地方分権推進委員会が大活躍をしまして、昨年十月に第四次勧告を総理に出されました。政府に出されたと言うのが正しいのかもしれません。これから地方分権推進計画を策定する、こういうことになろうかと思います。
 この四次勧告の後、総理は、委員会に、諸井委員長に対しまして、さらなる地方分権の検討をお願いしたいというふうにおっしゃったと伺っております。どのような検討を総理としては期待されてお願いをしたのか、お伺いしたいと思います。
#267
○国務大臣(橋本龍太郎君) 平成七年の七月から地方分権推進委員会が非常に精力的な検討を行っていただきました結果、議員今御指摘のように、昨年の十月までに四次にわたる勧告が出されました。これは国と地方の役割分担を明確にする、そして地方分権を推進する具体的な指針であります。政府としては当然ながらこれを最大限尊重し、今国会が終了するまでのできるだけ早い期間に推進計画を策定して着実に実施すると申し上げてきたとおりであります。
 しかし同時に、この第四次勧告をいただきましたときにも申し上げたことでありますが、これまでこの分権推進委員会で御苦労いただきましたのは、主として従来地方六団体から御要望をいただいておりましたものがベースになって議論が進んでまいりました。これは六団体が共通して出してこられている要望でありますからもちろん大事なものばかりでありますが、例えば政令指定都市、地方中核都市あるいは規模別の市町村の要望を伺っておりますと、一次から四次までの勧告に加えて、自分たちの立場ではまだこういう要望をしたいんだが、結局六団体でスクリーンをしたために自分たちのこの部分は意見が出せなかったとおっしゃる方々がございました。
 私は実はそういう言葉が大変気になっておりましたし、同時に先般の行政改革会議の最終報告におきましても、国、地方を通ずる行政の役割を見直すという点からも改めて地方分権を進めるということを申しております。そして、当然のことですけれども、住民に身近な行政は地方公共団体にできるだけ担っていただく、そうした観点からも一層の事務、権限の移譲について引き続き取り組んでいくべきだと考えております。
 分権推進委員に最初にお願いをいたしましたときに必ずしもすっと受けていただけない部分がありましたけれども、昨年末、正式に地方分権推進委員会に市町村への権限移譲を含む国及び都道府県からの事務、権限の移譲などの問題についてさらに検討を進めていただきたい、そのようにお願いを申し上げました。
#268
○小林元君 確かにいろいろ勧告の中身を見てみますと、県から市町村あるいは規模別の移譲の仕方といいますか、そういうきめの細かいところまで行っておりません。ただ、そういう中で、これまで地方団体が執行してきました機関委任事務につきまして、いわゆる自治事務と法定受託事務というふうにきちんと分けられた、これは高く評価していいんじゃないか。
 しかし、そういう中でも、一挙にやれというのは大変難しいのかもしれませんけれども、従来国が許認可をするものについて事前協議をするというようなやわらかい表現にはなりましたけれども、国に関係なく法的な根拠に基づいて自立的に自主的に事務を執行するということまでなかなか行っていないというような状況は大変残念だなと思っております。
 そこで、いわゆる二〇〇一年四月までに行政改革を進める、現在の省庁を一府十二省庁にするということで、法案も間もなく出されるというわけでございます。その際、総理も、官から民へ、中央から地方へ、こういうことで終始やってきたわけでございますけれども、その簡素効率化という観点から見れば、国民の方あるいは地方団体の方はその中身が欲しかったわけでございます。あとはただ数を決めれば、財政構造改革論議のときもそうだったと思いますけれども、これからキャップをかぶせれば質的な転換が図れるんだというような御意見がございましたが、どうも行革にいまいち国民の評価が得られないというのは、そのような内容についての基本的な考え方といいますか理念といいますか、そういうものが十分ではないのではないか。それからまた、局数の削減ですとか職員数の削減についても必ずしも十分なアナウンス効果がないというような状況でございます。
 総理みずから行革会議の会長ということで推進をされてきたわけでございますが、地方分権との関係でぜひ御所見をお伺いしたいと思います。
#269
○国務大臣(橋本龍太郎君) もし私の今までの御説明が悪くて国民に十分御理解がいただけていないとすれば大変残念でありますけれども、地方分権の推進、同時に規制の撤廃、緩和、見直しというものがあればこそ中央省庁の再編というものが生きてくる、行政改革というものが生きてくるものだと私は考えております。
 そして、既に行政改革会議の皆さんに仕事をお願いいたします前から分権推進委員会は活動を開始しておられました。しかし、その時点においてそれが必ずしも生かされておらなかった、それもまた事実だと思います。
 しかし、分権推進委の皆さんは非常に熱心に一つずつの議論に真剣に取り組まれ、ただいま委員は地方自治体関係者の評価は必ずしも十分に得られなかったとおっしゃいますけれども、私は分権推進委の皆さんは機関委任事務についてよくあそこまで整理をされたという評価を率直にいたしております。
 そして、中央省庁の再編は、その分権推進委員会がおまとめをいただいた一次から四次までの勧告を最大限尊重して、今国会中につくり上げようとしております地方分権推進計画というものを当然のことながら下敷きとして、その分権が進むことを前提に中央省庁の見直しを行うわけであります。一方では規制の緩和、撤廃、見直しの作業も進んでおります。いわば両面から業務を減らしていく、それに合わせた姿をつくっていく、この点はどうぞ誤解のないようにお願いを申し上げたいと存じます。
 同時に、分権推進委員会の皆さんはここからの、特に国と都道府県、そして都道府県と市町村、この間の特定の、例えば政令都市だけ、中核市だけのグルーピングをした上での作業は難しいということを非常に言われましたし、コンセンサスは得られないかもしれないということを言われましたが、得られなくても結構だからやってみてくださいというお願いをしてまいりました。
 その場合に出てくるもの、どのような答えがいただけるかわかりませんけれども、なるほど分権推進委員会の御意見に理ありと思うなら、それこそ政治的にその部分を解決していく、そういう努力もこれからの中央省庁再編の中には、同時に地方分権推進の中には織り込んでいかなければならないと私は考えております。
#270
○小林元君 私も分権推進委員会の作業を高く評価しております。それは最初に申し上げたとおりでございます。しかし、そうは言っても百点満点ということは世の中になかなかないわけでございます。今後ともそういう方向で推進をしていただくということがぜひ必要だというふうに思っております。
 それで、第二次勧告の中で、国庫補助金の合理化と。合理化といいますと廃止、削減と、財政構造改革の折からそういうふうに単純に受けとめられているかもしれませんけれども、国庫補助金削減計画を策定するというふうに勧告の中に盛り込まれております。これは多分大蔵省がつくるのかな、大蔵大臣が補助金の削減計画というものをつくるということになるんではないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
#271
○政府委員(涌井洋治君) お答え申し上げます。
 地方分権推進委員会の第二次勧告におきましては、先生御指摘のとおり、既存の国庫補助金につきましてその削減計画を策定し、補助金等の廃止、縮減を行うこととされております。
 これは政府部内において関係省庁と調整しながら、平成十年度の通常国会が終了するまでのできるだけ早い時期に地方分権推進計画を作成することとしております。
#272
○小林元君 ということは、地方分権推進計画の中身としてそのような補助金の整理合理化も進める、こういうふうに受けとめてよろしいのかと思います。
 ただ、安易に補助金の廃止、縮減ということになりますと、従来は国から補助金が地方に行っていたわけでございます。そういうものを整理するということは、地方にその財源が行かないということになってくるわけでございます。もちろん不要不急のものはいろいろあると思います。あるいはこういう時代でございますから、その手法も変えるということで廃止、縮減をするということはいいわけでございます。
 この勧告の中に負担金の廃止あるいは一般財源化というような項目がございまして、例えば廃止は九件、一般財源化は十四件というようなことが出ております。大蔵省の資料によりますと、本年度は一般財源化、いわゆる地方交付税に算入したものが二十三項目、四百四十億円に上っております。八年、九年は四十五億円、四十一億円で、これの十倍になったわけです。一件当たりにしますと十億円カットされた。それは交付税の算定の中にあるんだ、こう言うんですけれども、交付税率が上がったわけでも何でもないわけでございます。
 ですから、それは地方が不要不急で廃止、縮減をするということであれば地方負担にはなりませんけれども、それがなかなかできないということになると当然地方負担増ということになってしまうのではないかと思いますが、自治大臣、いかがでしょうか。
#273
○国務大臣(上杉光弘君) お答えをいたします。
 国庫補助負担金等の一般財源化が行われます場合には、地方分権推進委員会の第二次勧告にありますように、地方財政計画の策定を通じまして所要財源を明確にした上で、地方税、地方交付税等の地方一般財源を確保することが必要でございます。
 また、国から地方への、御心配のというよりも御指摘の点でございますが、負担の転嫁のようなことが行われるべきではないことはもう申し上げるまでもないことでございまして、この点については各省庁とも十分協議をいたしまして対応してまいりたいと考えております。
#274
○小林元君 やはり同じ中に補助金の重点化というようなことがございました。一昨日、井上委員からも道路の維持補修の話が出されましたけれども、いわゆる小規模零細補助金なのかもしれませんが、それにしましても公共事業の補助金というような形で、海岸保全ですとか河川事業ですとか、地方道の維持補修費、修繕費というようなものの採択基準を引き上げる、あるいは地方単独事業に切りかえるというようなことが書いてございます。
 こういうことになりますと、これは交付税に算入するという手法もあるんでしょうけれども、地方は独自の財源でやってくれ、こういうことになるんではないかということを恐れております。いわゆる権限は移譲しない、財源だけ取り上げると言ったらなんでございますが、国からの補助金はカットする、そういうようなやり方になっては困るんじゃないかと思うんですけれども、建設大臣、いかがでしょうか。
#275
○国務大臣(瓦力君) お答えいたします。
 建設省といたしましては、今後とも国と地方公共団体の的確な役割分担や限られた財源の有効活用という観点から、補助金の整理合理化に取り組んでまいるわけでございます。その際、先生から今御指摘の地方公共団体の状況についてでございますが、自治大臣からも御答弁がございましたけれども、私どもも耳を傾けてまいらなければならぬ、かように存じております。
#276
○小林元君 ぜひ十分に考えてといいますか、検討されて対応していただきたい。
 同じ問題でありますけれども、現在、貸し渋り等々いろいろなことで中小企業は大変だということもございます。そういう中で、先ほど申し上げましたいわゆる一般財源化された中に、商工会連合会、中小企業団体中央会あるいは下請企業振興協会の職員費を一般財源化するということになっております。これもやはり地方に負担を押しつけるというような結果になりまして、中小企業者、商工会等が非常にお困りになっているのではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
#277
○国務大臣(堀内光雄君) お答え申し上げます。
 先生御指摘の都道府県商工会連合会あるいは都道府県中小企業団体中央会、そして都道府県下請企業振興協会、これらの協会の人件費に係る補助についてでございますが、財政構造改革の推進方策に係る閣議決定及び地方分権推進委員会の第二次勧告、先ほどからもお話がございましたが、この趣旨を踏まえまして、中小企業者の方々の活力や地方の役割を尊重する観点からその見直しを行ったところでございます。
 その結果、平成十年度におきましては、都道府県商工会連合会等の人件費の一般財源化を行うところになっております。この額は、先ほどの三つの連合会を含めると約八十億円の金額でございますが、この際、地方交付税と交付金による財政措置をしっかりと行うことになっておりまして、これも相まって今回の措置によって地方の実情を踏まえてよりきめ細かな小規模事業対策が実施できるものというふうに判断をして、つながりを持っているところでございます。
#278
○小林元君 権限移譲はこれから法律改正がいろいろ出てくる、推進計画に基づいて権限移譲といいますか分権が進むわけでございますけれども、どうも財源カットが先行しているという、そこだけ先取りをして、できるものからやれというふうに総理もいつかおっしゃったと思いますが、その辺は十分に整理をしながら、関係を考えながら分権化を進めるというのが建前ではないかというふうに考えている次第でございます。
 もう一つ、実はその見直し後、交付金化というような問題の中に、農林水産関係のいわゆる普及員といいますか普及事業費、今年度は交付金ということで予算が確保されているようでございます。今さら言うまでもありませんけれども、農林水産行政の根幹をなしているのは農業改良普及員の普及事業である、私はそういう信念を持って今まで考えてまいりました。ほかの行政とは違いまして、いわゆる行政職員だけで行政を展開するというのではなくて、この普及職員といいますか、そういう方々の活躍が農業振興を何とか支えているというふうに思うわけでございます。
 こういうものをカットしていくといいますか、機械的に交付金化をするというようなことはいかがか。今後ともこの制度の的確な運営実施をしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
#279
○国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。
 まず、普及事業に大変深い御理解をいただきまして感謝申し上げます。
 この普及事業は、試験研究の成果であります新しい技術を地域の条件に応じて組み立て、農林漁業経営の改善に役立つようその普及を行うものでありまして、農林水産技術に関する政策の基本的な手法として位置づけられておるところであります。
 近年における農林漁業情勢の変化の中で、農林漁業者の技術、経営能力の向上、担い手の確保、農山漁村の生活環境の改善等が重要な課題となっております。
 これらの課題に対応するべく、今後とも試験研究や他の一般行政とあわせて普及事業がその役割を的確に果たしていくため、まず経営体の高度なニーズに対応した技術・経営指導の強化、そして次代の農林水産業を担う青年の育成確保や女性の能力発揮のための支援活動の充実、さらには労働環境や生活環境の整備等に重点を置いて事業の展開に努めてまいりたい、そう考えているところであります。
#280
○小林元君 それぞれ地方団体が補助金、負担金に依存をしているという体質から抜け出してもらいたい、抜け出さなければならないと私も真剣に考えている一人でございます。
 そういう中で、きょうも本会議で質問があり、自治大臣、大蔵大臣からも答弁がございました。いわゆる国と地方の財源の不均衡がとれていない、自主財源が三割である、三分の一しかないというような状況がもう戦後五十年続いているわけでございます。
 これは本当に今こそ、あしたやれというわけにはいかないでしょうが、財政構造改革の問題もあるでしょうけれども、それはそれとして、十分にその辺のことを研究、検討して結論を出していただきたい。それが本当に自立的な、自主的な地方分権社会の到来になるのではないかというふうに思っておりますが、総理、いかがでしょうか。
#281
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先刻来、自治大臣からも御答弁を申し上げておりますけれども、いずれにいたしましても地方分権というのは、言葉で言うのはたやすいことでありますが、議員の触れておられますように、税財源等あるいはその補助金のあり方等までを含めて考えていきますと、まだ課題をたくさん残しております。一つずつこれらを着実に解決していきますには相当なエネルギーも必要といたします。ぜひこの分権のモメンタムが落ちないように御協力を心からお願い申し上げたいと存じます。
#282
○小林元君 今、基礎的な自治体である市町村の役割が多様化している。それで、厳しい財政の中で効率化が求められている。本会議におきましても通達行政についていろいろありましたけれども、これから市町村が自主的、自立的に頑張るということが本当に大事なことではないか。
 そういう中で、これは強制的というわけにはいかないでしょうけれども、自立的な力を持てるような適正な規模というものはあるのではないかなというふうに考えております。茨城県におきましては、つくば市の誕生を初めかなり市町村合併が進められておりますし、最近でもそのような話が進んでおります。
 そういう中で、地方制度調査会等におきましても、この勧告を受けたといいますか、連動していろいろ検討されているようでございますけれども、町村合併についてどのようにお考えなのか、自治大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#283
○国務大臣(上杉光弘君) お答えいたします。
 私は、かねてから申し上げておりますように、地方分権の推進とそれを受ける受け皿としての市町村の行政体制をどうするかというのは一体的なものだ、こう思っておるわけです。
 その前提を置いて申し上げたいと思いますが、市町村の合併というのは、そのような意味で、今後の少子・高齢化社会に対する、厳しい財政事情のもとでどうするかという意味では非常に効果的な方法ではないか、このように考えておるわけでございますし、特にこうした少子化や高齢化が進展する中で、市町村の合併というものは必要不可欠のものだ、私はこういうふうに地方行政体制の整備の上で考えておるわけでございます。
 ただ、この分権を推進した場合の受け皿としては市町村の合併と広域行政というのがあるわけですが、それは地方における団体や住民の皆様が自主的に自立的方向を目指して判断されることでありまして、それがまだせっぱ詰まった状態になっていない、そのように私は受けとめておるわけでございますが、分権を推進すればするほど地方の決断というものは私は厳しく求められる時期が必ず来る、このように考えておるわけでございます。また、合併をすることにおいてその分権の成果を十分生かすことにもつながる、そのように私は考えておるわけでございます。
 市町村の合併につきましては、現在、地方制度調査会において御審議をいただいておるわけでございますが、その中身としては、合併市町村内の地域格差が生じないような施策の充実、あるいは一層の財政措置の拡充、委員御指摘の点も含めてでございますが、さらに市町村合併のパターンを作成するなどの都道府県の役割の拡充というものがあるわけでございます。
 分権を推進いたしますと、この市町村の合併について今まで県は傍観したり、そのことに対して汗をかいていただくということについては直接的にどうかということがあったと思うんですが、分権推進という新たな事態を受けて県の役割というものは私は違うと思うんです。県の役割は極めて重要になってくる。何となれば、市町村の行政の実態、財政の実態というものを十分熟知した県政という意味からの県の役割というものは大変重要ではないか、私はこのように考えております。
 今申し上げましたようなことを御論議いただいておるわけでございますが、こうしたことを含めましてこの春には答申をいただくものと考えておるわけでございます。
 自治省といたしましては、この答申を踏まえまして実効ある方策を取りまとめまして、自主的な市町村の合併を積極的に支援してまいるつもりでございます。
#284
○小林元君 地方分権の推進あるいは町村の合併についてどうぞ積極的なお取り組みをお願いしたいと思います。
 それでは、次に、旧国鉄の長期債務といいますか、清算事業団の債務についてお伺いいたします。
 二十七・八兆円にも及ぶ負債が肥大化した原因というのは一体何なのか。それから、それについてだれが責任をとるのか、どこにあるのかというようなことは余り議論されていないのではないかと思いますが、やはりこれは旧国鉄が経営破綻した、そういう中で分割・民営化を進めたということがあるわけでございます。その後始末について現在まで十年間以上放置をされてきたという原因なり責任をお伺いしたいと思います。
 運輸大臣、大蔵大臣、そして総理からお伺いしたいと思います。
#285
○国務大臣(藤井孝男君) お答えいたします。
 国鉄長期債務問題の処理につきましては、昭和六十三年一月二十六日の閣議決定に基づきまして、まずもって国鉄清算事業団が保有する土地、また株式等の資産の処分に全力で取り組んできたところでございます。しかしながら、ただいま委員御指摘のとおり、結果的にはその債務が増加したわけでございますが、その原因、要因といたしましては幾つかございます。
 まず、事業団の収入面から申し上げますと、事業団発足時に予測しようのない原因により資産処分収入を順調に確保することができなかったわけであります。これは、土地につきましては、事業団の発足後に発生をいたしましたいわゆるバブル、地価高騰問題に対処するため土地の売却が見合わせられたことがあります。さらに、その後、バブル経済の崩壊に伴う土地需要の低迷により土地売却が順調に進まず、かつ地価の下落により土地売却の収入が減少したことがあります。また、株式につきましては、株式市況の低迷、阪神・淡路大震災の影響等によりJR株式の売却が順調に進まなかったことが収入面の中での原因がございます。
 また、事業団支出面でございますが、毎年度の金利及び年金等の負担に加えまして、事業団が発足した後新たに発生した年金関係の負担を負うことになったことでございます。鉄道共済の救済のため、国鉄の事業主負担の不足分として平成二年度から八年度まで総額七千億円の特別負担を負ったことでございます。また、鉄道共済と厚生年金の統合に当たりまして、鉄道共済の関係事業主として九年度に約七千七百億円の移換金の負担を負ったことがございます。この結果、これまでの事業団収入は支出額を賄うことができず、その債務が増加することとなったものでございます。
 先ほど委員から御指摘のございましたように、その責任いかにということでございますが、事業団の債務が結果といたしまして増加するに至ったことはまことに遺憾であると考えておるところでございます。また、この間、政府といたしましてもそのときそのときの情勢の中で最善と思われる措置を講じてきたわけでございますが、結果的にもっと早く抜本的な処理を行うべきであったという御指摘に対しましては、我々もこれを謙虚に受けとめなければならないと考えているところでございます。
#286
○国務大臣(松永光君) 国鉄の長期債務の問題はただいま運輸大臣から御答弁があったとおりなのでありますが、大蔵省を含めて政府としては、昭和六十三年一月の閣議決定、それに基づいてまずは資産の処分に全力を挙げて取り組んできたところであります。しかし、地価高騰問題に対処するための土地売却の見合わせ、その後のバブル経済の崩壊による土地需要の低迷と地価の下落、株式市況の低迷、そして阪神・淡路大震災の影響等といった事業団発足時には予測しようのない原因もありまして、結果として事業団の資産処分が思いどおり進まず、国鉄長期債務の増加を招くことになったのでございまして、大変残念なことでありますが、結果としてこのような事態になったことに対する御批判を謙虚に受けとめながら今後の処理をきちっとやっていかなきゃならぬ、こう思っておるところでございます。
#287
○国務大臣(橋本龍太郎君) 分割・民営当時の責任者でありましただけに、この御指摘は大変重く受けとめます。
 清算事業団を発足させます時点において、あるいはJR各社をスタートさせるときにおきまして、売却可能な資産を清算事業団にでき得る限り集中させるということが当時一つのポイントでありました。
 そして、スタートいたしましたわけですが、まさに今もそれぞれの担当閣僚からお話がありましたように、当時の地価の異常な動向の中でむしろその売却に対してストップがかかった、そしてJRの土地を売却することによってその高騰に、むしろ供給をふやせばそれだけ地価が下がるんじゃないのかということを申し上げた時期もありましたけれども、実はそういう主張は御理解のいただけない時代でありました。その後の経過は御承知のとおりでございます。
 その時点における判断として正しいと思いました売却の停止あるいは株の放出に際し、市場に対し、例えばNTT株のときの条件というもので多少あつものに懲りたといったこともあったかもしれません。そのときそのときに対応は全力を尽くしてきたつもりでありますが、結果としてこういう事態になったことを非常に申しわけなく思います。
#288
○小林元君 大変率直な御感想、御所見をお伺いしました。
 今回の処理の中で、財政構造改革会議でいろいろ議論がされ、そのときに交通利用者の負担ですとか交通税ですとか揮発油税ですとか、いろんな議論がされました。できるならば運輸大臣から、そういうものがどういう検討をされたのか、どうして別なものになったのか、その辺の経過を御説明いただきたいと思います。
#289
○国務大臣(藤井孝男君) お答えいたします。
 御指摘の方策につきましては、政府・与党財政構造改革会議におきまして精力的に検討が行われました。その結果、委員が今御指摘された件につきましては見送られたものでございます、揮発油税等いわゆる道路特定財源等々につきましては。
 そのことにつきましての同会議における検討の状況を申し上げますと、例えば相続税の軽減等の特典をつけた無利子国債の発行を検討してみてはどうかということもございました。これにつきまして構造改革会議の企画委員会におきましては、例えば相続税軽減等の特典をつけた無利子国債の発行について、特に検討グループが設けられました。
 そこで税制上の特典をつけた無利子国債とJRの乗車の割引等の特典をつけた無利子国債について精力的な検討が行われたところでありますが、こうした検討の結果、前者につきましては、利子負担の軽減以上の税収減によりかえって国の財政収支が悪化するおそれがあること、無利子国債を購入できる一部の資産家だけが利益を受け課税の公平の観点から問題があること等の理由で見送られたところでございます。また、後者につきましても、国債に付する特典のための民間企業への負担の義務づけは問題があることから、導入が見送られたところであります。
 特に揮発油税のことにつきまして御指摘がございましたが、揮発油税等道路特定財源の活用の検討の経緯及び結果につきましては、また企画委員会におきまして検討グループが特定財源につきましても持たれました。この中での検討の結果、揮発油税等の道路財源は受益者負担の考え方によるものであることから、現在の仕組みのままで道路財源を長期債務処理に転用することは困難である等の意見が出され、今回の国鉄長期債務の本格的処理方策には特に財源として盛り込まれなかったところでございます。
 また、そのほか鉄道利用税、交通利用者全体の負担等につきましても検討が行われました。さまざまな御意見がありましたけれども、見送られたわけでありますし、そういった中で従来よりお願いしております今回の抜本的処理スキームが構築され、それが財政構造改革会議におきましても議決され、そして閣議決定に至り、今般、国会にその処理スキームに関する関連の法案をお願いしているところでございます。
#290
○小林元君 たばこ税の話は先ほど来同僚委員からもいろいろ話が出ました。しかし、たばこ特別税は普通税なんですね。目的税ではない。しかしながら、目的税でないのに国債整理基金特別会計に直に入れちゃう、これはおかしいんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
#291
○政府委員(涌井洋治君) 今回たばこ特別税をお願いするに当たっての経緯は先ほど来答弁があったわけでございますが、なぜたばこに課税するということになったかと申し上げますと、これはそもそも国鉄あるいは林野債務の承継に伴いましてこれが一般会計の債務になる、一般会計に生じる債務の利払い及びこの償還の負担増が国債費の増加という形で新たな財政赤字の拡大要因となる、そういうことに対処するために、いろいろな努力をした末に、最後の部分としてたばこに特例的に負担を求めることにしたわけでございます。
 ただ、先生も御指摘のとおり、このたばこ特別税の税収を国債整理基金特別会計に入れるわけでございますが、これは国の債務の償還財源を国債整理基金特別会計が一体的に管理しているわけでございます。ですから、一般会計が負担する債務の利払い費というのは一般会計から国債整理基金特別会計に入れなくてはならないわけでございますが、その負担を軽減するために、たばこ特別税を国債整理基金特別会計に繰り入れることによって一般会計の繰り入れを減額する、補完することとしているわけでございます。
 したがって、先生言われるように、目的税というのは特定の事業の経費に充てられるわけでございますが、そういう意味では、これは国鉄、林野の債務を一般会計の債務にしている、その利払い費に充てるということでございますから、確かに目的税ではございません。また、あるいは課税の根拠としましても、一般会計の財政問題への対処を理由とするものでございますから、歳出との受益関係、受益負担関係というものもございません。
 そういう意味で目的税あるいは特定財源とは性格が異なっているわけでございますが、他方、一般会計に今回新たに生ずる債務の利払い等の負担増の財源に充てられる限りにおいて使途の縛りがあるという意味で、いわば目的税的な性格を有しているものと考えているわけでございます。
#292
○小林元君 こんないいかげんなやり方はおかしいんじゃないですか。それじゃ隠し財源でしょうよ、一般会計の中へ入れないんだから。こういうこそくな手段というのがいっぱいあるわけですね。
 今回はその問題をやっておる時間が私はありませんのでやれませんが、しかも「当分の間」というような規定を置きました。法律に「当分の間」というのは自治法に例がありますけれども、五十数年間やってきておるわけです。今もやっておる。こんなおかしな法律はないんじゃないですか、いかがですか。
#293
○政府委員(涌井洋治君) 今回このたばこ特別税につきましては当分の間の措置とさせていただいておりますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、一般会計に新たに生ずる債務の利払い等の負担増の財源に充てられるという趣旨と、それからこれらの債務が六十年で償還されることを前提としつつ、その六十年という償還期間が余りにも長いものでございますから、その間、承継債務の償還状況や一般会計の財政状況に応じて必要があれば見直しもあり得るということで「当分の間」という規定を設けたわけでございます。
#294
○小林元君 五十年先の話を、そういう必要があったら見直すというのは法律に書くべき事項ではないんじゃないかと思います。
 それから、時間がありませんけれども、郵便貯金特別会計から繰り入れをする、これは二千億円ずつ一兆円というようなことになっております。
 本来、これは国営企業で郵貯をやっております。だから、そこで利益といいますか剰余金が四兆三千億たまたまある。しかし、これは零細な預金者が、国民があまねく利用して、しかも現在銀行は信用できないんだ、金融不安だという中で郵便局にお願いをしている。それを、庶民のとらの子から運用した利益を一兆円もつぎ込む。どうしてそれなら銀行並みに郵便貯金特別会計に税金をかけるというような正々堂々とした方法をとらずに、そこに金があるから手を突っ込んで取ろうと。あるいは、例えば自賠責保険につきましてもかなりの剰余金があるというふうに聞いております、私はデータはとっておりませんけれども。じゃ、そこも使うのか。あれば何でも使う。要するに長期債務処理のためには何をやってもいいんだと。これは国政のやるべきことではないんじゃないか、国民も納得できないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#295
○国務大臣(自見庄三郎君) 小林委員にお答えをいたします。
 国鉄の長期債務の処理については、今さっきから話がございますように、平成八年十二月二十五日の閣議決定において平成九年度中にその成案を得るとされたわけでございまして、将来の世代へ負担を先送りすることがないように財政構造改革会議の中においてさまざまな論議があったというふうにお聞きをいたしております。そういったことを踏まえて、昨年の十二月十七日に結論を得て、これに基づき十二月二十五日に閣議決定に至ったものでございます。
 今、小林委員が申されたように、郵便貯金としては平成十年度から平成十四年までの五年間、毎年度二千億円を郵便貯金特別会計一般勘定から一般会計へ繰り入れることとしたものでございます。今般の措置は、国鉄の長期債務の処理策について、国家財政が非常事態であるということにかんがみ、また他の機関も協力をするという取り組みの行われる中、国の機関でございます郵便貯金としても特例的に協力を行うことにしたものでございます。
 ただし、今回の措置をとることについて預金者の方々に御迷惑をかけることがないように、万一でございますけれども、累積赤字が見込まれるなど経営の健全性の確保が困難であると認められる場合には、一般会計に繰り入れた繰入額を限度として郵便貯金特別会計に繰り入れることを含め適切な措置を検討するということになっている旨をはっきり、そういった条項を法律案に設けているところでございますので、その点も御理解していただきたいというふうに思っております。
#296
○小林元君 郵政大臣は大変つらいお立場で了解をされたのかもしれません。非常事態だと。非常事態というのは第二次世界大戦中、戦時中に郵便貯金の資金を軍事資金といいますか戦争経費に使った、こういう経緯があります。そこまで、それと同じ事態だというふうには到底思えません。十分にお考えおきを願いたいと思います。
 それから、最後になりますが、財政投融資制度の繰り上げ償還は認めないという原則だったわけでございますけれども、今回は有利子債務のうち簡保資金、いわゆる財投資金を繰り上げ償還する、借換債を発行して繰り上げ償還する、こういうことになっているわけでございます。これも本来的には極めて例外といいますか、初めての措置だと思います。
 こういうやり方ができるのであれば、これまでも払えない利子をふやさないということでずっと前からできたわけでございますが、大蔵大臣、その辺についてどのようにお考えでしょうか。
#297
○政府委員(伏屋和彦君) お答え申し上げます。
 資金運用部はこれまで国鉄清算事業団に対しまして、国鉄改革法に基づきましてつなぎの融資ということで資金の融通を行ってきたわけでございます。
 今回、国鉄の長期債務の本格的処理策の実施に伴いまして国鉄清算事業団が廃止されるわけでございます。そういたしますと、資金運用部に対する債務が一般会計に承継されまして償還されることとなることによりまして、資金運用部資金は従来貸し付けてまいりました根拠といいますか目的そのものがなくなるわけでございます。したがいまして、一般会計に承継されました後の債務につきましては、資金運用部が融資を行う必要がなくなるとともに、今回の国鉄清算事業団の債務等の処理に関する法律案に基づきまして償還が行われるものでございます。
 もとより、財政投融資の繰り上げ償還につきましては、金利の低下を理由とする繰り上げ償還は、これは借り手が負担の軽減を受けるかわりに資金運用部にそのコストを転嫁するものでございます。資金運用部としては、できるだけ低利の資金を供給するために、貸付金利と預託金利を同一といたしまして、利ざやを取らずに長期固定の貸し付けを行いながら収支相償うように運営されていることから、こういうコストの転嫁を受け入れる余地はないという考え方に変わりはございません。
 今般の国鉄清算事業団の措置は金利の低下を理由とする繰り上げ償還とは全く性格の異なるものでございます。そういう点を御理解いただきたいと思います。
#298
○小林元君 いろいろ議論をしてまいりましたけれども、危機的状況といいますか、そういう状況の中でいろんな問題が発生すると思いますが、やはりここは筋道を立ててきちんと整理して問題を解決していく、これが筋ではないかということを指摘しまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#299
○委員長(岩崎純三君) 以上で小林元君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#300
○委員長(岩崎純三君) 次に、牛嶋正君の質疑を行います。牛嶋正君。
#301
○牛嶋正君 私は公明の牛嶋正でございます。
 私はことしに入りましてから、昨年四月以降の消費の動向を中心にいたしましてバブル以降の個人消費の推移を家計調査のデータを使いまして分析をしてまいりました。きょうはこの分析結果に基づきまして、景気対策と財政構造改革の関連について御質問をしてまいりたいと思います。
 政府は、先行き不透明感が消費の低迷をもたらしてきたという説明をずっとされてまいりました。消費者が先行きに不安感を持つ、当然消費に対しても慎重になり買い控えになっていくだろうと。そういう意味では非常にもっともらしい説明だろうと思うんです。しかし、私はこの説明から確固たる景気対策というのはなかなか打ち出せないんではないかというふうに思っております。
 と申しますのは、景気回復のためには個人消費の回復が必要である、しかしその個人消費を伸ばしていくためには景気の回復によって先行きの不透明感を取り除かなければならない。いわば自家撞着の関係にあるわけです。トートロジーになっているわけです。ですから、なかなかここからは確固たる景気対策は打ち出せないんではないか、政府が今なかなか国民に対して景気対策に明確なお答えが出せないのもこのあたりに原因があるのではないかなというふうに私は思っておりますが、これについて総理の御見解をまずお聞きしたいと思います。
#302
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は議員に対して論争を挑むほど学校のときの成績はよくありませんけれども、その不透明感というものについて、先行きの経済的な見通しだけにその不透明感の原因を求められるという点に対して、私は多少違った視点もあると思います。
 確かに消費に消極的になっておられる、あるいは企業によっては十分な資金が得られず思うように事業展開ができない。その場合に、先行きの不透明感ということは私どもも使いますし、マスメディアでもよく使われる言葉であります。
 その場合に、一つは、不透明の原因はまさに景気回復そのものについての問題点、これは私は議員の御指摘は間違っているものではない、そのとおりに受けますけれども、もう一つは国民負担率の先行きというものも心理的な要因として考える必要があると思います。
 そして、今まで負担増という形で御批判を受けました部分の中で議論をすれば、先行している減税に見合う財源というようなことを私どもは申し上げてまいりました。ここに心理の働く部分というのは、まさに将来的な国民負担率というものが見通せないという問題があるのではないでしょうか。
 そして、国民負担率という点から、これは財革法のときにもいろんなときにも御議論をいただきましたし、また私も提起をいたしました。私は、その要素の中の先行きの不透明というものを払拭する一つのポイントは、国民負担率のリミットを、我々はここまで抑えたいというものを国民にお示ししていくことであり、現実に私どもはそうした方向に努力をしていることは議員御承知のとおりであります。
#303
○牛嶋正君 今、私も不透明感というような言葉を使いましたけれども、この前、代表質問をさせていただいたときには複合不安というふうな言葉を使わせていただきました。そういうことで、幾つかの不安に関する要因が絡まっていることはもう確かでございます。
 それで、政府の御説明を聞いておりますと、今の個人消費低迷というのが比較的一時的なものである、ですから景気の先行きに少しでも明るさが出てくると消費需要の方もそれに伴って回復していくんだというふうなお考えのようでございますけれども、私は必ずしもそうではないんではないかということでございます。
 もし今の個人消費の低迷が人々のライフスタイルの変化や生活意識の多様化による長期的傾向であるといたしますと、先行き不安感が仮に取り除かれても個人消費は急速には回復しない、むしろこれからも景気回復の足を引っ張るような形になるんではないか、こういうふうに私は思っておりますけれども、かなりその点楽観的なお考えを持っておられます企画庁長官にこの点についての御見解をまずお聞きしたいと思います。
#304
○国務大臣(尾身幸次君) 牛嶋委員の御質問は事前に承っておりまして、私どもも一生懸命勉強させていただきました。
 この先行き不安感といいますのは、私自身は最近の数カ月の動向に端的にあらわれているというふうに考えておりまして、九月に七一・九%であった消費性向が一月までの間に六八・六%と三・三ポイントも下がった、そのことは実は株価の動向等々による先行き不安感というものが非常に大きな影響を及ぼしたというふうに考えている次第でございます。
 それからまた、ライフスタイルの変化があったというお話は私どももそのとおりであるというふうに考えておりまして、それは消費の中身にあらわれてきている。例えて言いますと、生活必需品的なものの消費の比率が下がり、サービス等についての消費の比率が上がってきているということでございまして、いわばシビルミニマムのような形の消費が少なくなってきているということかと考えている次第でございます。
 したがいまして、そういうライフスタイルの変化というものは、消費の動向を所得にリンクするよりも、むしろ消費者心理とかそういうものにリンクする方向に強く働いてきているのではないかというふうに考えている次第でございます。
#305
○牛嶋正君 企画庁長官は昨年の秋以降の個人消費の動向について非常に分析されているようですけれども、私は、今私が議論しております個人消費の低迷が一時的なのか、それとも長期的な傾向を持っているのかということを議論するためには、もう少し時間を延長して議論しなければならないのではないかと思います。
 そこで、私は総理府の家計調査に基づきまして昭和五十年以降の平均消費性向の推移を今見てみました。それによりますと、平成二年度までは大体七七%台で、一定の水準ですっと推移するんです。ところが、バブル以降この平均消費性向が毎年だんだん低下をいたしまして、そして平成八年は七二%、恐らく平成九年は七〇%前後になると思います。こういうふうな変化が見られるわけです。いわば、バブルを挟みまして平均消費性向の推移に非常に対照的な動きが見られるわけです。
 このことを考えますと、やっぱり個人消費パターンは、基本的に、本質的にかなり大きな変化をしているのではないか、こういうふうに考えるわけです。ですから、最近の秋以降の消費の動向ではないんです。むしろバブル以降の傾向が、今私が申しました平均消費性向の推移で説明できるのではないかと思いますが、この点について、企画庁長官。
#306
○国務大臣(尾身幸次君) 確かに一九九〇年以降最近に至るまで消費性向が低下をしておりまして、九〇年には七五・三%という数字でございましたが、九七年の平均が七一・九%という数字になっております。
 私ども、これにつきましては、最近数年間、失業率等にあらわれております雇用情勢が厳しくなってきているということも一つ影響があるのではないかというふうに考えておりまして、バブルが崩壊後、失業率が九一年は二・一%でございましたのが、徐々に上がって、最近では三・五%まで上がっている。そういう雇用情勢の不安定性というものが一つの要因かと考えております。
 それからもう一つの要因は、バブルの崩壊という現象でございます。端的に言いますと、株価と土地の価格が下がったわけでございまして、概算をしてみますと、株価で見ますと、ピーク時の八九年から統計があります九六年までで約百二十兆円の減少がありました。それから、地価といいますか土地の財産でありますが、九〇年から九六年までで見まして、概算で言って千四百八十兆円から千八十三兆円、約三百九十七兆円くらいの減少がございまして、合わせまして約五百二十兆円に近い株価及び地価の下落がございました。そういういわゆる資産デフレが資産を持っている国民の皆様の消費マインドというものを低下させてきたのではないか、そういうことがここ数年にわたって消費性向が低下してきた大きな原因ではないかというふうに考えている次第でございます。
#307
○牛嶋正君 資産効果に関しましては、今皆さんのお手元にお配りしております消費関数のところを説明するときにまた用いさせていただきたいと思います。
 この平均消費性向が一定の水準を維持するということと平均消費性向が下がっていくということ、これは経済を運営していく場合に非常に重要な意味を持っているわけです。
 と申しますのは、平均消費性向が一定ということは所得の伸び率と消費の伸び率がパラレルということです。平均消費性向が下がるということは、所得が伸びるほどには消費が伸びていないということなんです。私はこれを表現するために消費の所得弾力性という概念をちょっと使わせていただきたいと思います。
 消費の所得弾力性と申しますのは、分母に所得の伸び率、分子に消費の伸び率です。ですから、一ということは、所得が伸びれば消費も伸びる、同じ速度で伸びていく。ですから、平均消費性向は変わらない。これがバブル以降下がっているということは大変なことなんです。所得は伸びているけれども消費が伸びていない。消費の所得弾力性は一以下。私の計算では〇・六ぐらいであります。
 これがなぜ経済を運営していく場合に大変なのかということです。と申しますのは、消費が景気回復の足を引っ張ることになるわけです。
 ちょっと数字を申し上げますと、今景気対策としてGDP成長率三%のための景気刺激策がとられたといたしましょう。その場合、消費が三%の所得の伸びに合わせて伸びてくれればいいわけですけれども、今仮にその弾性値が〇・六といたしますと、一・八%しか伸びない。そうしますと、一・二%分足を引っ張ることになるわけです。このことが全体のGDPベースで申しますと〇・七二%押し下げることになります。これが大変なんです。
 これで説明しますと、今までの我が国の景気がなぜ本格化しなかったかということがよく説明できるわけです。と申しますのは、企業の設備投資は割合堅調に伸びていました。ですから、三%とか四%押し上げる力はあったんです。ところが、消費の所得弾力性が〇・六だったからそれが足を引っ張った。この〇・六という一以下の消費の所得弾力性が一時的なのか、それともこれは長期的な傾向なのか、これは非常に大変だと思います。
 もう一度ちょっと御見解をお願いいたします。
#308
○国務大臣(尾身幸次君) 所得弾力性が〇・六ということで、いろいろ理論的な御説明を伺いまして大変勉強になっているわけでございますが、所得弾力性を上げるような消費者マインドをどうするかというのが私どもの課題であるというふうに考えております。
 それから、牛嶋先生が今おっしゃいましたように、先ほど私が申し上げましたように、消費の内容のサービス化とかあるいは非必需品に行くということによりまして、心理的要因が消費に非常に大きな影響を及ぼすような状況になっているというふうに考えている次第でございます。
 それからまた、他方、そういうことでいいますと、私どもといたしましては、例えば規制を緩和していく、ベンチャー企業を育てていく、土地の流動化を図るというような構造的な対策をやることによりまして経済の先行きに対する信頼感を回復していく。事実また、サプライサイドの政策によりまして経済を立ち上げていくということが、実を言うと、今おっしゃいましたマインドといいますか弾力性にプラスの影響を及ぼしていくのではないかというふうに期待しているところでございますし、それからまた資産デフレが影響しているという点もありまして、土地及び株価のいわゆる底入れ感、そういうものも大変大きな影響を及ぼしてくるのではないかというふうに考えている次第でございます。
 そういうことから申しますと、構造的な政策も含めながら日本経済の体質を強化していく、そういう方向に政策の焦点を絞っていくことも大変大事なのではないかというふうに考えている次第でございます。
#309
○牛嶋正君 ここのところが非常に大事でございますので、私なりにちょっと分析をさせていただいたんですけれども、皆さんのお手元に配ってありますが、昭和五十五年から平成八年まで、毎年じゃございませんけれども、家計調査の五分位階層のデータを使いまして毎年の消費関数を出しました。それを写しましたのが下の図式でございます。
 ちょっと見にくいんですが御説明いたしますと、平均消費性向が一定であったバブル以前はこの消費関数は毎年上に上方シフトしていくんです、ぽっぽっぽっと。そうすると、所得の伸びによる消費の伸びと、消費関数自体が伸びます、上にシフトしますから、その両方で何とか消費の所得弾力性が一に保たれたわけです。ところが、この上の方に固まっております図ですが、バブル以降はこれが動かないんですよ、固定してしまって。そして、平成八年などは下に下方シフトしているわけですね。
 ですから、資産効果と今おっしゃいましたが、資産効果もなるほどこの消費関数を上へ上げるわけです、上方シフトさせるわけです。ですから、バブル以降固定させてしまっているというのは資産効果の効果もあると思います。
 なぜ上方シフトしないのかというと、私はやっぱり皆さんの、個人の消費パターンが変化したと思います。今までですと、所得がずっと上がってきた場合には家も建てようあるいは自動車も購入しようというふうなことで、自分たちの生活水準全体のランクを上げてきたわけです。ところが、先ほどの議論にありますように、将来に対してそれほど、雇用の不安もあるということになると、多少所得はふえてもそんなに今の消費レベルを上げるわけにはいかぬぞというふうなことになるわけで、これが数字の上ではきちっともう出ております。
 そういうふうに考えると、今の消費の伸び悩みというのはむしろ消費者の健全な消費パターンといいますか生活姿勢というものがあらわれているんじゃないか。だから、これを前提にしてこれからの経済の運営を図っていかなきゃいけない、こんなふうに思っておりますけれども、もう一度総理のお考え、御見解をお聞きしたいと思います。
#310
○国務大臣(橋本龍太郎君) 何か大学の入学試験以来の厳しい口頭試問を受けるような感じがいたします。
 今、私はなるほどと思いながらこのグラフを拝見しておりました。とすれば、議員の論議をそのままに延長して発展させました場合、こういうことが言えようと思います。
 所得は伸びている、しかし伸びた等量が消費に回っていない。その場合に、その部分は貯蓄になるのか、一体どうなるんだと。そして、その部分が一つは資産運用の手段としてどの市場に向かうのか、これを予測する必要がある。同時にもう一つは、その部分を有効な消費あるいは需要に結びつけようとすると、これは公共投資という方向にある意味ではシフトしかねない議論に発展するんではないだろうかと。私は議員が必ずしも従来型の公共事業について好意を持っておられなかったことを存じておりますから、下手な議論をしてそういう方向に持っていきたくはありません。
 ただ、言いかえれば、所得の伸びに対して消費の伸びにすき間ができるとすれば、一つはそのすき間の部分は資産運用の手段としてどの市場に向かうのか、それを有効に活用する手法は何かということ。同時に、それが活用される部分がどのような形の投資に向かえば……。
 大体合格点をいただけそうでしょうか。
#311
○牛嶋正君 ちょっと先回りされまして、私が順にお尋ねしようと思っていたのに成績のいい学生さんは先回りして答えますね、困るんですけれども。
 今申しましたように、消費の所得弾力性が一以下ですので、ですからその分をほかの需要で補っていかなければなりません。結局、これは内需ということになりますと投資需要であります。今、投資需要を考えますと、住宅投資、企業の設備投資、そして公共投資ということになろうかと思うんです。
 もう一度数字を挙げさせていただきますが、仮に二%のGDP成長率を維持するために、弾力性が〇・六、先ほどの数字を〇・六だといたしますと、投資需要でどれだけ伸びなきゃいけないかという計算をいたしますと四・六%の伸びが必要であります。果たしてこの四・六%がそれぞれの今申しました企業の設備投資なりあるいは住宅投資なりでこれから伸びていくだろうかということになりますと、これはちょっと難しいんではないかというふうに思っております。
 そこで、投資需要の中でも一番大きなウエートを占めております企業の設備投資なんですけれども、今やもう自動車とかあるいは家電産業のようなリーディングインダストリーがございませんので、仮にGDP二%成長率として四・六%の成長率維持はなかなか難しいと思っておりますけれども、これについて通産大臣の見通しをちょっとお尋ねしたいと思います。
#312
○国務大臣(堀内光雄君) どうもお答えができるかどうかよくわかりませんが、先生のおっしゃるとおり、設備投資の動向というのは、現状、昨年の秋以降の金融システムの不安というような問題に起因しまして企業の業況感に厳しさが加わっておりますから、加工組み立て業種、比較的順調に伸びてきた製造業ですが、この機械受注も昨年の十一月、十二月と二カ月連続して減少してまいりました。また、非製造業については、平成八年度には御存じのように通信関係の設備投資が伸びていたんですが、これも一服してしまいましたから、そんな関係で鈍化していることから弱含みになってきておりますので、このところ設備投資全体の伸びは鈍化をしている、おっしゃるとおりでございます。
 これに加えて、一つは民間の金融機関による貸し渋りの問題などで設備投資に対する資金の供給が少し弱まっているというようなこともあって、こういう状態から、設備投資全体に対して、今までは一七%のウエートを持つこの設備投資が、大きくリードをある程度してくれたものがしてくれなくなってきてしまった、これは確かにそのとおりでございます。
 ですから、これから先の問題なんですけれども、先生のおっしゃる〇・六という弾性、弾力性といいますか、これ自体のお話はよくわかったんですが、その結果が〇・六になるという数字については私もよく、細胞がそれほどついていける細胞でもないものですから、わかりません。
 そういう意味合いから考えますと、我々は今までの一般的に言う三・五%の成長というものを設備投資に織り込んでおりまして、この設備投資の三・五というものはどうかというふうに考えなきゃならぬと思うんですが、その場合ですと、法人課税は実質的に三%下がりまして、これは実質の減税というよりも、税率による減税というのは一兆数千億円になってまいりますし、あるいは税負担の、地価税の問題だとかそういうような問題が内部留保を促進させるということになりますと、企業家マインドとしての先行きを考えた場合には、私は四月以降の設備投資にはある程度積極性が出てくるというふうに考えているわけであります。
 そういうような中で、もう一つは規制緩和が徐々に効果を、これから実施をされるものがありますので、効果をあらわしてくるというふうなことを考えてまいりまして、私は結果的には三・五%の伸びというものを設備投資で実現できるというふうに考えております。その弾性、弾力性の問題でさらにそれが下がるということになりますとちょっと数字が変わってまいりますが、私自身はその辺はよくわかりません。現状で行われております弾性値やその他をもとに考えてまいりますと、私は三・五%の成長というふうに考えております。
#313
○牛嶋正君 それでは、住宅投資の見通しにつきまして建設大臣にちょっとお尋ねしたいと思います。
#314
○国務大臣(瓦力君) 住宅投資の見通しでございますが、平成九年度の名目民間住宅投資は、一月に閣議決定された実績見込みによりますと、対前年度比一七・四%の減でございまして、二十三兆一千億と見込まれておるわけでございます。
 また、私どもとすれば、平成十年度の名目民間住宅投資は、経済対策や税制改正など住宅取得環境をいろいろ改善努力いたしまして回復に取り組まなきゃならぬわけでございますが、政府経済見通しによれば、対前年度比五・七%増の二十四兆四千億と見通しておるわけでございまして、思い切った対策を講じて住宅投資を上向きさせるように努力しなきゃならぬ。こういうことで、公庫融資であるとか、あるいはまた週末利用などの二戸目の住宅取得に対する融資の拡充であるとか、もろもろ手だてを講じておるところでございますので、さように努力をしてまいりたいと考えておるわけであります。
 以上であります。
#315
○牛嶋正君 いろいろお聞きいたしますと、目標値は確かにかなり高い水準のものをお立てになっておりますけれども、その実現ということになりますと、これまでの経緯を振り返ってみますとなかなか難しいのではないかと思います。
 それで、先ほど〇・六という数字がわからないというふうにおっしゃいました。私、説明をしなかったんですが、これは限界消費性向を平均消費性向で割ったものというふうにお考えいただければいいかと思います。(「ますますわからぬ」と呼ぶ者あり)ますますわからぬですか。問題は、この消費の所得弾力性が〇・一以下ということで、何でそのところを補っていくかという先ほどの総理の……
#316
○国務大臣(橋本龍太郎君) 〇・一と言われましたが、一・〇。
#317
○牛嶋正君 一・〇ということになるわけです。
 私はこれはもう公共投資によらざるを得ないというふうに思っております。そういう意味で、私はもう一度公共投資を経済政策のかなめに据えなければならないのではないかというふうに思っております。
 問題は、そのためには幾つかの環境を整えなければなりませんし、前提条件が必要でございます。まず、環境についてはやはり財政構造改革との整合性という問題が出てきます。これについて、今の財政構造改革法でもその範囲の中でできるのか、あるいは環境を整えるためには修正が必要なのか、こういったところを総理にお尋ねしたいと思います。
#318
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは議員にお答えというよりも、私なりに今の御論議を聞いておりまして疑問を持った部分がございます。
 要するに、先ほど来の所得の伸び、消費の伸び、そのすき間がどこに向かうか。私は、一つはそのすき間のお金というものが市場としてどこに動くかということを申しました。と同時に、何となくもう一つ私が首をひねりましたのは、その場合に企業投資というものをどう見積もるんだろうと。言いかえれば、議員の御論議をそのままに延長していきますと、二つの私は答えが出てくるような気がします。
 一つは、乱暴な言い方でおしかりを受けるかもしれませんが、例えば減税を行っても、これは実質の所得、手取りはふえます。しかし、それが必ずしも消費に回らないということになりはしないだろうか、これが一点です。もう一点は、その場合、議員の想定された公共投資というもの、今財革法のルールからできるかできないかという御指摘を受けました。
 私は、その部分についてお答えを申し上げるというよりも、その前に今度は逆に教えていただきたい部分は、その場合に、いわばそのすき間の資金が向かう場所、それは公共投資と企業投資、いずれかシフトすることになるのか。言いかえれば、企業投資にそれだけの意欲がなければ、そのすき間は全部公共投資に回さなければ経済運営としては成功しないと言われるのか、あるいは逆に企業投資がある程度の水準を維持していた場合、公共投資の比重はそれより少なくていいのか、ここの答えが出ませんのでお教えをいただきたいと思います。
#319
○牛嶋正君 ちょっとお断りしたいんですが、同僚の風間理事に関連質問をさせていただきたいと思うんですが、よろしゅうございますか。
 非常に答えははっきりしておりまして、先ほど私は経済政策の中軸……(発言する者あり)
#320
○委員長(岩崎純三君) 時間がございませんので。
 それでは、関連質疑を許します。風間昶君。
#321
○風間昶君 済みません。突然にあれしまして申しわけございません。牛嶋先生はこれからまだ続けられます。あしたにもまた引き続き議論になろうかと思います。
 私は一点、JR債務につきまして、きょうずっと議論になっておりますけれども、牛嶋先生の話の腰を折って恐縮でございますが、確かに先ほど総理も運輸大臣も、まことに遺憾だ、こういう結果になったことを申しわけなく思うというお話でございました。しかし、それにしても本当にその言葉だけで国民の多くは納得できるのかという思いがいろんな観点からあるんじゃないかと思うんです。
 そこで、最近、海外の証券アナリスト、例えばドイツのドレスナー証券の人だとかあるいはニューヨーク・タイムズの記事だとかで、フォーマー・ジャパン・ナショナル・レールウエーズ、JRの今回の負担が立法機関で承認されるかどうかについて海外の投資家の方々が重大な関心を寄せているということがわかるわけでありまして、今回のJRの負担が実行された場合に、国営事業の民営化株については一斉に売却せざるを得ないという意見もあるわけであります。
 もしJR株が下がった場合に、JRに年間二百四十億円も負担させた額を上回って株式の売却収入が減ってしまうということも予想されるわけです。場合によっては、一般財源からの補助金も増額する必要性が出てくるかもしれない。にもかかわらず、それでも政府はJRに負担させるべきなのかということで、理解できない人たちも相当いるわけです。このことについての運輸大臣の認識を伺いたいと思います。
#322
○国務大臣(藤井孝男君) お答えいたします。
 今、風間委員の海外の投資家等々の、またニューヨーク・タイムズの論調を含めての御質問でありますが、株が下落した場合どうなるのかと。実は衆議院の予算委員会でもその点につきましての御質問がございました。私どもの言っていることがよく理解していただけないのは非常に残念でございます。
 一つには、今回のJR各社への負担というものが、先ほど広中委員の御質問にもお答えいたしましたが、何かJR各社の利益から納付させるとか、あるいは昭和六十二年の改革における国鉄清算事業団が負った債務が増大した、その部分を今般JRにそれも法律でもって強制的に負担させるのではないかという誤解が実はございまして、大変残念に思っておるところでございます。したがいまして、その点をもっと我々といたしましては努力して、海外の投資家あるいは株主に対しまして我々はもっと理解を深めるために努力をしなければならないと思っております。
 そこで、従来から申し上げておりますように、今回JRに対して御負担をお願いしているのは年金の一部であるということでございます。その年金を国民の負担、つまり国民の税金により負担していただくのがいいのか、やはりこれは年金であるから事業主が本来その社員の福利厚生のために負担すべきものであるというのが共済年金制度の基本でありますから、どちらに負担をお願いするかということで、私どもは、特定の企業の社員の福利厚生の負担を国民の負担、いわゆる国民の税金で負担することは合理的でないと思っております。
 国鉄清算事業団が今般廃止されまして、抜本的な処理、厚生年金移換金の部分の七千七百億円のうちのいわゆるJR社員の分につきましては三千六百億円、そして国鉄期間分につきましては清算事業団が四千百億円それぞれが負担するということで、ぜひこの点の認識を海外の投資家あるいは株主にも御理解をいただきたいと思っておるわけであります。
 実はその株価につきましてのお尋ねでございますけれども、本州JR三社につきましては、これまで共済年金のために毎年総額百九十五億円を任意で負担してきたものでございます。このことを考慮すれば、今回の負担はその経営を揺るがすものではないと考えておるところでございます。また、JRの株価の動向は今回の負担だけで説明できるものではございません。さらに、株式の処分は株式市場の動向を見きわめた上で適切な時期に実施するものであるので、実際の処分時期の株価に今回の負担がどのように影響するかはさらに予測しがたいものでございます。
 いずれにいたしましても、JR社員分の移換金はJR社員の福利厚生のための費用でございますので、その事業主であるJRの負担とすることが合理的であり、この分まで一般の国民の負担にすることは合理的でないと判断するものでございます。
 したがいまして、そういう予測しようがない株価への影響のおそれを理由として、JR社員分の移換金をJRの負担とせずに一般国民の負担とすることはできないと考えているところでございます。
#323
○風間昶君 東日本、西日本、東海さんはまあまあいいとしても、北海道、四国、九州の三島のJR及びJR貨物は経営成績が極めて芳しくないわけであります。平成十二年度を目途としているところもありますけれども、それぞれ十三年度前後に株式上場を計画しているわけであります。
 今回、この負担を強制されるとなると、この株式上場が遠のくだけじゃなくて、もう断念せざるを得ないということにもなるわけでありますけれども、その場合、政府はどのように対処しようとしているのか。
#324
○国務大臣(藤井孝男君) お答えいたします。
 JR北海道、またJR四国、JR九州につきましては、今後、要員の合理化でありますとか経費の削減等の徹底した経営の努力をお願いする一方、国におきましては、経営安定基金の運用益を確保するための措置、各社が国鉄から承継した資産等に係る固定資産税軽減措置の延長等の支援策をこれまで講じております。これにより各社とも収支改善を図り、先生今御指摘の平成十三年度を目標とした株式上場を行いたいと考えておるところであります。
 また、JR貨物につきましては、今後同じように要員の合理化、経費削減等徹底した経営努力をこれまたお願いしなければなりませんけれども、国におきましては、国鉄から承継した資産等に係る固定資産税軽減措置の延長、土地譲渡益による事業用資産購入時の税制特例等の支援策を講じておりまして、これによりまして早期の黒字転換を図り、平成十三年度に完全民営化に向けての黒字体質定着を目標としているところでございます。
 今回、新たな移換金負担に伴うJR各社の経費増によりまして、今後のJR北海道等の株式上場及びJR貨物の黒字体質の定着に影響を及ぼすことのないよう、従来から運輸省といたしましては、ただいま申し上げた支援措置に加えまして、設備投資や経営効率化施策に対する日本鉄道建設公団からの無利子貸付制度を創設することによって収益力の強化を図っていこうということにいたしておるところでございます。
#325
○風間昶君 終わります。
#326
○牛嶋正君 まだ一分ありますので。
 先ほども申しましたように、公共投資を一定の伸びで伸ばすというのじゃございませんで、もう一度経済政策の中心に置くということ、経済政策、財政政策の手段に使うということです。ですから、民間住宅が伸びたりあるいは企業の設備投資が伸びた場合には、公共投資はその分は抑えていくことはできます。いずれにしましても、今の財政構造改革でキャップをかけられているわけですけれども、そういう意味では非常に弾力的に公共投資を行っていかなければなりません。
 ただ、私は、今までのようなやり方ではなくて、幾つかの前提条件をここで設ける必要があるのではないかと。私が今考えておりますのは、きちっとした償還ルールを設定するということでございます。これは地方自治体ではもうやっているわけですね。定額償還あるいは定率償還をやっているわけですから、これは国の場合もやはり導入すべきではないかというふうに思います。
 そして、やはり資源の効率的な利用という観点からいいますと、公共投資の投資基準をきちっと確立するということ、費用便益分析などを使って耐用年数にわたって費用を超える便益がもたらされるような社会資本を形成していくということであります。
 そしてもう一つは、やはり公共投資というのはかなり環境と影響がありますので、環境アセスメントの義務づけということであります。
 私はこういう三つの条件を財政構造改革の中できちっと決めていただきたかったわけであります。それが財政構造改革ではないかというふうに思っておりまして、むしろキャップをはめるよりもこういう形にできれば財政構造改革法を変えていただきたい、こういうことを総理にお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#327
○委員長(岩崎純三君) 以上で牛嶋正君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 明日は午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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