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第142回国会 予算委員会 第11号
平成十年三月二十六日(木曜日)
   午前九時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十五日
    辞任         補欠選任
     小林  元君     一井 淳治君
     須藤美也子君     上田耕一郎君
     高橋 令則君     木暮 山人君
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     高野 博師君     渡辺 孝男君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         岩崎 純三君
    理 事
                岡部 三郎君
                小山 孝雄君
                佐藤 泰三君
                永田 良雄君
                成瀬 守重君
                小山 峰男君
                角田 義一君
                風間  昶君
                照屋 寛徳君
    委 員
                阿部 正俊君
                石井 道子君
                板垣  正君
               大河原太一郎君
                大野つや子君
                金田 勝年君
                北岡 秀二君
                沓掛 哲男君
                田沢 智治君
                武見 敬三君
                谷川 秀善君
                南野知惠子君
                長谷川道郎君
                平田 耕一君
                真鍋 賢二君
                依田 智治君
                一井 淳治君
                久保  亘君
                直嶋 正行君
                広中和歌子君
                和田 洋子君
                魚住裕一郎君
                牛嶋  正君
                加藤 修一君
                高野 博師君
                渡辺 孝男君
                及川 一夫君
               日下部禧代子君
                田  英夫君
                上田耕一郎君
                笠井  亮君
                吉川 春子君
                木暮 山人君
                星野 朋市君
                西川きよし君
                矢田部 理君
   国務大臣
       内閣総理大臣   橋本龍太郎君
       法務大臣     下稲葉耕吉君
       外務大臣     小渕 恵三君
       大蔵大臣     松永  光君
       文部大臣     町村 信孝君
       厚生大臣     小泉純一郎君
       農林水産大臣   島村 宜伸君
       通商産業大臣   堀内 光雄君
       運輸大臣     藤井 孝男君
       郵政大臣     自見庄三郎君
       労働大臣     伊吹 文明君
       建設大臣     瓦   力君
       自治大臣
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)    上杉 光弘君
       国務大臣
       (内閣官房長官) 村岡 兼造君
       国務大臣
       (総務庁長官)  小里 貞利君
       国務大臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       鈴木 宗男君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  久間 章生君
       国務大臣
       (経済企画庁長
       官)       尾身 幸次君
       国務大臣
       (科学技術庁長
       官)       谷垣 禎一君
       国務大臣
       (環境庁長官)  大木  浩君
       国務大臣
       (国土庁長官)  亀井 久興君
   政府委員
       内閣審議官    畠中誠二郎君
       内閣法制局長官  大森 政輔君
       内閣法制局第一
       部長       秋山  收君
       警察庁生活安全
       局長       泉  幸伸君
       警察庁刑事局長  佐藤 英彦君
       警察庁警備局長  伊達 興治君
       公害等調整委員
       会事務局長    下野 省三君
       総務庁長官官房
       審議官      西村 正紀君
       総務庁人事局長  中川 良一君
       総務庁行政監察
       局長       土屋  勲君
       防衛庁防衛局長  佐藤  謙君
       防衛施設庁長官  萩  次郎君
       防衛施設庁次長  小澤  毅君
       経済企画庁調整
       局審議官     小林 勇造君
       経済企画庁総合
       計画局長     中名生 隆君
       経済企画庁調査
       局長       新保 生二君
       科学技術庁長官
       官房長      沖村 憲樹君
       科学技術庁研究
       開発局長     青江  茂君
       環境庁企画調整
       局長       岡田 康彦君
       国土庁地方振興
       局長       中川 浩明君
       国土庁防災局長  山本 正堯君
       法務省民事局長  森脇  勝君
       法務省刑事局長  原田 明夫君
       外務大臣官房審
       議官       海老原 紳君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     上田 秀明君
       外務省アジア局
       長        阿南 惟茂君
       外務省北米局長  高野 紀元君
       外務省条約局長  竹内 行夫君
       大蔵大臣官房長  武藤 敏郎君
       大蔵大臣官房金
       融検査部長    原口 恒和君
       大蔵省主計局長  涌井 洋治君
       大蔵省主税局長  尾原 榮夫君
       大蔵省証券局長  長野 厖士君
       大蔵省銀行局長  山口 公生君
       文部大臣官房長  小野 元之君
       文部省生涯学習
       局長       長谷川正明君
       文部省初等中等
       教育局長     辻村 哲夫君
       文部省教育助成
       局長       御手洗 康君
       文部省体育局長  工藤 智規君
       厚生大臣官房総
       務審議官     田中 泰弘君
       厚生省健康政策
       局長       谷  修一君
       厚生省生活衛生
       局長       小野 昭雄君
       厚生省老人保健
       福祉局長     羽毛田信吾君
       厚生省児童家庭
       局長       横田 吉男君
       厚生省保険局長  高木 俊明君
       厚生省年金局長  矢野 朝水君
       農林水産大臣官
       房長       堤  英隆君
       農林水産省農産
       園芸局長     高木  賢君
       通商産業省貿易
       局長       今野 秀洋君
       通商産業省環境
       立地局長     並木  徹君
       通商産業省基礎
       産業局長     作田 頴治君
       中小企業庁長官  林  康夫君
       運輸省運輸政策
       局長       土井 勝二君
       運輸省航空局長  楠木 行雄君
       気象庁長官    小野 俊行君
       郵政省放送行政
       局長       品川 萬里君
       労働大臣官房長  渡邊  信君
       労働省労働基準
       局長       伊藤 庄平君
       労働省職業安定
       局長       征矢 紀臣君
       建設省住宅局長  小川 忠男君
       自治大臣官房長  嶋津  昭君
       自治大臣官房総
       務審議官     香山 充弘君
       自治省行政局公
       務員部長     芳山 達郎君
       自治省行政局選
       挙部長      牧之内隆久君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局民事局長
       兼最高裁判所事
       務総局行政局長  石垣 君雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮本 武夫君
   参考人
       日本銀行総裁   速水  優君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○平成十年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)
○平成十年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)
○平成十年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議
 院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(岩崎純三君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 平成十年度総予算三案についての理事会決定事項について御報告いたします。
 本日及び明日の総括質疑の割り当て時間は二百五十五分とし、各会派への割り当て時間は、民友連六十九分、公明四十六分、社会民主党・護憲連合十分、日本共産党五十五分、自由党三十七分、二院クラブ十九分、新社会党・平和連合十九分とすること、質疑順位につきましてはお手元に配付いたしておるとおりでございます。
    ─────────────
#3
○委員長(岩崎純三君) 平成十年度一般会計予算、平成十年度特別会計予算、平成十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 昨日に引き続き、総括質疑を行います。吉川春子君。
#4
○吉川春子君 おはようございます。日本共産党の吉川春子でございます。
 質問をさせていただきます。
 労働者の最低限の労働条件を定める労働基準法が成立して五十一年たちます。今国会では、労働基準法、労働者派遣法の改正など五千四百万人の労働者の権利に係る法律が根本的に変えられようとしています。
 一九四七年三月、衆参本会議で労働基準法の提案に当たり、大臣から趣旨説明が行われました。この中で、この法律の目的、日本国憲法との関係等についてどのように述べられているでしょうか。
#5
○国務大臣(伊吹文明君) 先生からの御質問の通告がございましたので、当時のことをいろいろ勉強してみました。
 昭和二十一年十一月三日に公布されました日本国憲法でございますが、その第二十七条には、今御指摘のように、「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」とございます。
 労働基準法は、この憲法第二十七条二項に基づきまして、国が労働条件のうち最低基準を積極的に労使に示すとともに、この中でお互いの交渉によっていろいろのことを決めていただきたい、そういう精神に基づいて制定されたものでございます。私有財産制と契約自由の原則のもとで、使用者に比べて労働者の立場あるいは経済力が、昭和二十一年ですか、相対的に弱いということも念頭に置きながら、労働者にとって不公正な契約結果にならないようにということで契約自由の原則を修正した、こういうことだと思います。
#6
○吉川春子君 このとき、大臣が趣旨説明の最後で述べられた言葉は、この労働基準法というのは労働憲法である、こういうふうにおっしゃっておられるわけです。
 総理、お伺いいたしますが、労働大臣が今おっしゃいましたように、契約自由の原則を修正するものなんだと、それが労働基準法であり一連の労働法制なんだという基本原則は今日におきましても変わっていないと思いますが、いかがでしょうか。
#7
○国務大臣(伊吹文明君) 大きな問題は当然総理からお答えがあると思いますが、契約自由に対する制限という基本的な考え方は変わっておりません。しかし、時代とともにその原則の中で変えていかねばならないことはあるわけでございます。やはり時代が変わってくればおのおのの客観状況に応じて考え方も変わってまいります。
 私、これを勉強いたしましたときに、日本国憲法のことも詳しく調べてみました。最初、日本国憲法が国会で議決をされたときには、一部の方と日本共産党の反対があったけれども公布されたという事実もございます。今、日本共産党は憲法を守るのに一番積極的な政党としてお変わりになっているというふうに考えております。
#8
○吉川春子君 日本共産党は、新しい憲法に対して一番積極的な対案を提出いたしました。
 それで、もう一度確認したいんですけれども、契約自由の原則を修正するんだと。資本主義の基本原理である契約自由の原則がそのまま適用されたらば、労働者と使用者の力関係によって非常にミゼラブルな状態になるということもありましてこういうふうになったんですけれども、枝葉はとにかくとして、その基本的な趣旨説明に述べられている原則について今日も変わらないかどうか、総理から御答弁をお願いします。
#9
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、私が手元に持っておりますのは、第九十二回帝国議会衆議院本会議における労働基準法の提案理由説明の一部であります。そして、その提案理由説明の中に、「新憲法は、労働条件については、かかる契約自由の原則を修正いたしまして、法律が労働条件について一定の基準を設くべきことを義務づけておるのであります。」、それからしばらく中略をさせていただきまして、「政府は諸般の情勢と新憲法の趣旨に鑑み、ここに労働基準法を作成し、本議会に提案することとなつたのであります。」とあります。
 まさに、契約自由の原則を修正する、法律が労働条件について一定の基準を置くべきこと、これがその基本であったと思いますし、私は、その基本は今日においても変わらない、その上で、時代に応じた、その範囲内の変化に対応していく努力は行政としても払うべきものと思います。
#10
○吉川春子君 この趣旨説明における契約自由の原則の修正という考えは基本的には変わっていないという答弁が労働大臣からも、総理からも行われました。
 そして、続いてお伺いしたいわけですけれども、今例外なき規制緩和が行われております。政府は、規制緩和ということを労働分野にも及ぼそうとしているわけです。
 総務庁長官にお伺いいたしますけれども、規制緩和推進計画などにおいて労働分野の規制緩和で何を掲げているでしょうか。項目だけで結構です、お示しいただきたいと思います。
#11
○国務大臣(小里貞利君) 御承知のとおり、労働・雇用関係は七十八項目でございます。
 中身を申し上げる必要がございますか。
#12
○吉川春子君 いや、労働分野だけで結構です。
#13
○国務大臣(小里貞利君) では、労働分野だけを若干申し上げますが、既に有料職業紹介事業の中でできないものをきちんと列記をして、いわばできないものはこれこれだけですよ、原則自由ですという一つの方式を拡大しつつあると。御承知のとおりであります。あるいはまた労働者派遣事業におきまして、いわゆる対象業務の範囲の、今申し上げましたできないものだけを列記しますよという方向のもとにその制度の見直しを進めつつある、また進めておりますと。
 それからまた、女子の時間外労働についての上限時間、休日労働及び深夜労働に係る女子保護規定について、女子のいわゆる職域の拡大を図る、そして均等取り扱いを一層進める観点から撤廃をする、そういうことが大きく掲げられました。あるいはまた、労働契約期間の上限におきましても、これを三年から五年に延長する。あるいはまたホワイトカラーの業務に関し、裁量労働制が適用できる対象業務を業務遂行の方法に係る裁量が認められるものについて大幅に拡大する。
 そのほか三項目ぐらい、非常に明るい方向に改善しつつあるものもございます。もう先生よく御承知のとおりでございますが、例えば同一公共職業安定所管内におきまして複数の事業所を有する事業者の雇用保険資格取得あるいは喪失の届け等については一カ所でよろしゅうございますよと、今まではおのおのやっておりましたが。こういうことを改善する。
 あるいは育児休業給付に係る書類手続等におきましても、本人の住所を管轄する安定所一本でいいですよと。今まではこれが複数であったりいろいろ複雑な手続があったわけでございますが、これも改善をされた。
 あるいは最後に、労働基準監督署管内に複数の事業場を有するものも、一本でよろしゅうございますよと。そういうふうに極めて整理が進んだという件数も相当ございます。
#14
○吉川春子君 今、総務庁長官からお述べいただきましたほかに、裁量労働制の規制緩和、一年単位の変形労働時間の要件緩和、こういうことが政府の計画にのっておりまして、このうち既に女子保護規定の廃止については昨年の国会で改正、括弧つきの改正ですけれども、なされております。今国会には、労働基準法の改正あるいは派遣事業法の改正などが提案され、処理されることになっております。
 そこで、労働大臣にお伺いいたしますが、労基法の改正について検討してきた中央労働基準審議会では、昨年の十二月四日に報告、十一日に建議、ことしになってまた答申という形で出されてきておりますけれども、今回の労働法制の改正案に盛り込まれている項目の中で、労働者委員が同意をしていない項目について挙げていただきたいと思います。項目だけで結構です。
#15
○政府委員(伊藤庄平君) ことし法案を御提案申し上げるに当たりまして、中央労働基準審議会に諮問し、答申をいただいたわけでございますが、その答申の中で労働側委員から特別に意見の付記された項目について申し上げますと、一つは変形労働時間制につきまして、さらに週四十時間よりももっと短い所定労働時間を実現できないか、こういう御意見。
 さらに、時間外労働、休日労働につきまして、今回御提案申し上げている時間外労働の上限に関する基準につきまして法律の中で具体的な数値を明示できないか、深夜業についても上限を明記できないか、こういう御意見。
 それから、裁量労働につきましては、その対象業務を特定する考え方につきましてなお議論が尽くされていないので引き続き議論をしたいと。
 こういう点につきまして答申の中で労働側委員が意見を付記されました。
#16
○吉川春子君 もっと端的でいいです。労働契約の上限について労働者委員はどういうふうに言っているか、一年単位の変形労働時間の要件緩和についてどうか、裁量労働制のあり方についてどうか、読み上げていただきたいんです、その部分を。
#17
○政府委員(伊藤庄平君) 「労働者側委員から、次のとおりの意見があった。」ということで明記されている事項につきまして読み上げさせていただきますが、「一年単位の変形労働時間制について、従来本制度が週所定の労働時間の短縮を促進する趣旨で導入されたものであること等から、要件緩和に当たっては所定労働時間の短縮についても条件とすべきである。」。
 二つ目でございますが、「時間外労働について、時間外労働及び休日労働については具体的上限を法律に明記するとともに、深夜業についても上限を明記すべきである。」。
 それから三つ目でございますが、「裁量労働について、対象業務を特定する考え方としては不十分であり、議論が尽くされていない中で法律改正は適当でなく引き続き審議すべきである。」。
 以上でございます。
#18
○吉川春子君 労働契約期間の上限についてはどういう懸念があると言っていますか。
#19
○政府委員(伊藤庄平君) 労働契約期間の上限につきましては、今回、一定の範囲に限りまして従来の一年という制限を三年にするわけでございますが、この点につきましては、昨年暮れに中央労働基準審議会から建議が出された段階で、その範囲を具体的に特定できるかどうか等についてさらに配慮が望ましい、こういう趣旨の建議がございまして、私どもそれを受けまして、法案を作成するに当たりましては、例えば研究開発等の業務につきまして、労働大臣がその高度な知識、経験の基準をつくること等を法案に盛り込みました結果、法案要綱の答申の段階では特にその点につきまして労働側の意見は付されておりません。
#20
○吉川春子君 労働契約の上限については判断、解釈が難しく、拡大適用や不安定雇用の増大につながるとの懸念が払拭し切れないとされています。
 今、局長は大分労働省の意見をお述べになりましたが、今申し上げた件について労働者側委員は納得していないわけです。あるいは反対なわけなんですね。
 大臣、労働基準法の改正についての審議会で、労働者側委員が反対のまま政府が法改正を強行するというのは極めて異例なんです。審議会のあり方としても問題があると思います。一方の意見だけ聞いて、そして法案を提出した、そういう経緯が過去にありますか。
#21
○政府委員(伊藤庄平君) 今、過去の例についてお尋ねでございますので、労働基準法の改正に関連いたしまして申し上げれば、平成五年の一月に労働基準法の改正案を提出いたしまして週四十時間労働制の実施期日等を定めましたが、その際あわせまして、時間外労働等の割り増し賃金率につきまして、今まで一律二五%であったものを五〇%から二五%の範囲内で政令で定めるという改正をいたしました。
 その際に、労働側委員、使用者側委員それぞれ別個の意見、労働側委員はさらに五〇そのものにすべきである、使用者側は改正そのものに反対である、こういう意見がそれぞれ明記されまして、公益側委員が先ほどの政令で定めるという案を支持いたしまして、法案は公益委員の見解に沿って作成して提出した経緯がございます。そのような例がございます。
#22
○吉川春子君 要するに、最近かなり強引なことをやるようになったんですが、審議会というのはやっぱり一つの意見にして、そして答申すると。
 審議会のあり方について私たちは委員の選出方法とか意見は持っていますけれども、その審議会の意見をすら聞かないで、反対意見のまま法案提出に踏み切ったというのが今回の労働基準法の改正ですね。
 それで、そういう経過もありますが、当然これは労働者側はみんな反対しているわけですよね。例えば連合、全労連そして全労協など、労働運動の潮流を超えて、労働組合はこぞって反対を表明しているわけです。それにもかかわらずこういう法改正を行うということは、私は許されないんじゃないかと思いますが、どうですか。
#23
○国務大臣(伊吹文明君) ただいま過去の事例については政府委員から答弁をさせていただきましたが、先生よく御承知のように、審議会というのは、公益委員と使用者側と労組側と、原則的には三者構成になっております。
 おのおののお立場で、賛成できないところあるいは意に沿わないところはたくさんございますが、それを最終的に調整していただいて、公益委員の方々を中心におまとめをいただきまして出していただいて、それをたたき台にしましてもう一度法律案をつくりまして審議会にお諮りをして、そして法律案をつくります段階では、当然議院内閣制でございますから、我々、与党である社民党の皆さんを通じて労組側の意見もお伺いしながら法案をつくり、もう一度その法案を審議会におかけして御了承いただいて、国会に提出する運びとなったもの、あるいは現在まだ審議会で御審議を願っている段階のものがあるわけでございます。
 おのおのの立場はございます。しかし、反対意見があったから物事がまとまらないということでは、やはり最終的に組織、団体の意見は決まらないわけでございますから、できるだけ意見には耳を傾けて、そして妥協を図り、調整をしながらつくり上げたのが今回御提出している案でございますので、どうぞよろしく御了解をいただきたいと思います。
#24
○吉川春子君 労働組合が全部反対しているというのは異例のことですよ。そして、三者構成で成っていますけれども、労働基準法というのは、さっきも言ったように労働者保護、そして契約自由の原則を修正する、そういうことで、労働者が人たるに値する生活を営めるように、そのための法律ですから、それを労働者側が反対し、労働組合がみんな反対しているのに、しかも重要な項目について改正案を出してくるなんというのは、本当にひどいことだと思います。
 これは労働省自身が出しているコンメンタールですけれども、ここにも「産業革命以降の歴史は、労働者と使用者との間の法律関係を契約自由の原則に委ねることが、労働者の生存そのものを脅かすほどに不公正な結果をもたらすことを明らかにしてきた。すなわち、労働者はその経済的な力の弱さゆえに、自己の好まざる使用者に、自己の意に満たない条件で雇われざるを得ず、結果として、著しく低劣な労働条件で働くことを合法的に強制されることになったのである。」と書いてあるわけです。
 そういうことをなくすために労働基準法ができていて、その労働基準法の改正について労働組合がこぞって反対している。にもかかわらず、重要な問題について括弧つきの改正案を出してきて、改悪案ですよ、正確に言えば。こういうものを出してきて通そうとしている。これは私は道理がないと思います。
 続いて伺いますけれども、それでは法律の専門家の集団である日弁連はこの労働基準法の改正等についてどういう意見を述べていますか。答えてください。
#25
○政府委員(伊藤庄平君) 日弁連から御指摘のような意見書が出ていることは私ども承知をいたしております。
 今回の労働基準法の改正案、非常に多項目にわたって労働者保護の機能を強化しようという観点から提出してございまして、日弁連の意見書はそれぞれの項目ごとに意見を出しておりますので申し上げると大変長くなりますが……
#26
○吉川春子君 三点だけでいいです。
#27
○政府委員(伊藤庄平君) 意見がついているのは、主として先生御指摘がありました三件で、その他については賛成の意見も述べられております。
 例えば、労働契約期間の上限は三年に延長すべきでないこと、それから一年単位の変形労働時間制につきまして、これは要件の緩和部分と要件の強化部分がありますが、要件の緩和部分についてのみ反対であるという御指摘、それから裁量労働制について設けるべきでない、この辺が代表的な意見でございまして、もちろん賛否両方の項目がございます。
#28
○吉川春子君 労働基準法改正、改悪案の柱の三点についてもっとありますけれども、日弁連も反対しているということが明らかになりました。要するに、日弁連も労働者も反対しているのになぜこういう労働基準法の改正を行うのか、これはもうはっきり言って財界からの要求そのものです。
 総務庁にお伺いいたしますが、規制の撤廃・緩和に関する要望書の中で、労働・雇用分野の規制緩和の内容はどういうものですか。項目だけでいいです。十幾つありますから項目だけ言ってください。
#29
○政府委員(西村正紀君) 経団連から平成八年に出されました雇用分野における規制緩和の項目は十五事項ございます。
 具体的には、民間有料職業紹介事業の自由化、労働者派遣事業の自由化、高齢特定労働者派遣事業に関する規制緩和、女子保護規定の見直し、裁量労働制の適用範囲の拡大、変形労働時間制の適用要件の緩和、無料職業紹介事業の自由化、事業場外みなし労働時間制の見直し、有期雇用契約の契約期間制限の撤廃、時間外・休日・深夜労働の割り増し賃金算定基礎給から住宅手当を除外すること、法定休憩時間の一斉付与の廃止、就業規則の電子機器による周知、労働保険料の早期還付、事業主の労災・雇用保険への加入、海外派遣労働者の健康診断の定期健診による代替を可能とするの十五項目でございます。
#30
○吉川春子君 見事に財界は労働分野の規制緩和を要求しておりまして、それを着実に政府は法改正をしてきている、こういうことです。
 総理、この項目の最後にお伺いしたいんですけれども、財界の要望に沿って戦後五十年間獲得してきた労働者の権利を次々と後退させてきたわけなんですね。これからもさらに後退させようとしているわけなんですけれども、実態の調査も余りなさらずに、切実な要求を無視してこういうことを進めていいのでしょうか。私は、初めに規制緩和ありき、例外なき規制緩和ありき、聖書の言葉ではないですけれども、そういう気がしてならないのです。
 そもそも労働法制というのは、労働者保護、使用者規制の性格を持っているわけであって、規制緩和の概念とは相入れないのじゃないでしょうか。総理、いかがお考えになりますか。
#31
○国務大臣(伊吹文明君) 大きな視野から必要があれば総理からお答えを申し上げますが、基本的なことでございますので、少しお時間をいただきたいと思います。
 私は、市場経済とか原則なき規制緩和というものが万能であるとは決して思っておりません。そして、市場経済の結果、弱い者の立場が悪くなるとか日本の伝統が守れなくなるとか日本の安全保障上問題が生ずるとか、そういうことについては当然政府が介入をして、特に先生が今御指摘のような労働者の基本的なものについては守っていかねばならないわけであります。
 しかし、今御指摘のございましたような、戦後にできました労働基準法の根本的な基本概念を揺るがすものではありませんが、時代とともに大きな流れが歴史的に変わってきている部分については、それに適用できるようなやはり法制にしなければ、働く人一人一人の職場も失われては実は困るわけでございます。
 そこで、橋本内閣がやっております構造改革というのは、戦後うまく回ってきた仕組み、つまり自由経済市場原理を原則としながら政府がいろいろ介入をしてきた中で、そのとがが出てきている部分を変えていくということであって、決して何でもかんでも自由にしたらいいということを構造改革の中身として言っているわけではございません。したがって、詳細については労働委員会でまた議論をさせていただきたいと思いますが、裁量労働制についても労使双方の話し合いがつかなければ入れられないという歯どめをかけておるわけであります。
 それから、派遣職員の問題についてはまだ法案を提出させていただいておりませんけれども、働く人たちの保健、社会保障等をどういうふうに守っていくかということがただいま審議会で御審議をいただいているわけでございます。
 したがって、すべて計画統制、政府の介入によって物事を進めていく、そういう経済システムは、やはり歴史の必然として旧ソビエト連邦以下すべてで崩壊をしてきているわけでございますから、自由経済の原則の中で弱い人たちの立場をどう守っていくかということを時代に合わせて改革をさせていただきたい、これが今回の基本的な考えでございますので、どうぞよろしく御了承をいただきたいと思います。
#32
○吉川春子君 契約自由の原則を修正するという考えはまさに資本主義経済の中での考えですよ。社会主義経済でそんなことを出してくる必要はないじゃないですか。だから、資本主義経済を確固とした基礎にして、そしてその中でも十八世紀の産業革命当初の資本主義、ああいうものからの反省で、やっぱり市場経済をすべてそのまま通してはいけないということが世界の流れにあり、日本の労働法制の中にも、あるいは憲法の中にもそういう概念が入ってきたのであって、社会主義のところだったらまた別の議論をしますよ、大臣。そんなことで反論したつもりになったらもう大間違いです。
 むしろ、市場原理万能ではないというふうに労働大臣も繰り返しおっしゃっているんですけれども、今度の労働法制の改悪はまさに市場原理の万能論に近づいていくものなんです。
 いろんな働き方をする人がいるからバイパスを残しておくとか、そういうこともおっしゃいますけれども、これは労働者が好むと好まざるとにかかわらずそういうところに投げ込まれていくわけですね。それで、裁量労働についてだって、労使で話し合って嫌と言えば入らないというけれども、どうして対等に話し合いますか。私は、そういうことによって本当に働く人たちの権利が守られなくなるということを大変恐れます。
 例えば、その一例として私が取り上げたいのは契約スチュワーデスの問題です。
 運輸大臣にお伺いしますけれども、今、女性のあこがれの職業の一つであるスチュワーデスになりたい人が最初から正社員として採用される道はありますか。
#33
○国務大臣(藤井孝男君) 今のお尋ねはスチュワーデスの正社員、そしてまた契約制客室乗務員の構成いかんについてのお尋ねかと思いますが、平成十年三月一日現在で、日本の航空各社の契約制客室乗務員数は、日本航空では千七百三人、全日空では二千三十人、日本エアシステムでは六百八十六人となっております。また、契約制以外の客室乗務員数は、日本航空では五千九百二十四人、全日空では二千七百十五人、日本エアシステムでは八百九十九人となっております。
#34
○吉川春子君 パーセンテージはどういう変化になっていますか。
#35
○国務大臣(藤井孝男君) 各社の契約制客室乗務員の構成比は、日本航空では二二・三%、全日空では四二・八%、日本エアシステムでは四三・三%でございます。
#36
○吉川春子君 当初は何%程度で導入されましたか。
#37
○政府委員(楠木行雄君) ちょっと手元に当初のデータというのはございませんが、日本航空が最初に採用いたしました第一期の九四年十一月から十二月の採用者が百二名でございます。それから全日空の第一期は、九五年の五月から七月までは三百四名採用しております。また、日本エアシステムは第一期、九五年三月で六十九名採用いたしておりました。
#38
○吉川春子君 最初四%程度で採用された契約スチュワーデスが今は三六%、九倍になっているわけです。
 大臣、新規採用をすべて契約社員で採用するということは不当であると思います。やはり正規社員として採用させるべきではないでしょうか。
#39
○国務大臣(藤井孝男君) お答えいたします。
 どのような形態で職員を採用するかは基本的にその会社の判断でございまして、運輸省といたしましては関与する問題ではないと考えております。
#40
○吉川春子君 契約スチュワーデスと正規スチュワーデスとの待遇の差はどの程度ありますか、説明してください。
#41
○政府委員(楠木行雄君) お答えいたします。
 まず、賃金でございますが、航空会社から聞きましたところによりますと、契約制の客室乗務員で、現在、年収ベースで三百三十万円程度でございます。また、正社員につきましては、これはもちろん勤続年数により異なるわけでございますが、現在ちょっと同様の方がいらっしゃいませんこともございまして、過去の例から推計いたしますと、入社三年目では六百万から七百万程度になっていたと聞いているわけでございます。
 それから、待遇面についてでございますが、例えば通勤面で言いますと、契約制の客室乗務員は出社または退社が午前七時から午後十時まででありますと電車、バスを利用することになっておりますが、正社員の場合はこの時間帯であっても場合によってはタクシーを利用することもあると聞いております。
#42
○吉川春子君 非常に賃金が安いのと、例えば遅く到着してもタクシーを利用できないとか、いろんな待遇の差があるんですけれども、契約スチュワーデスでしかスチュワーデスになる道はない、これは選択の余地がないわけなんですね。そして、その試用期間は法律では六カ月であるにもかかわらず、事実上三年の試用期間になっているんじゃないか。
 私は違法の疑いが非常にあるというふうに思うわけですけれども、契約社員で採用された方のその後はどういう形になっていますか。
#43
○政府委員(楠木行雄君) 契約制の客室乗務員になりますと、三年目が経過いたしまして四年たちますと原則正社員になっていく方が多いわけでございます。
 ちょっと数字を申し上げますと、日本航空の採用者分、先ほど申し上げました第一期につきましては百二名中八十九名が正社員化しております。また、第二期の九十五年二月から四月の採用の百九十九名の方につきましては百七十六名が正社員化しております。これ以外の方は中途退職をしたということになるわけでございます。それから、全日空の採用者につきましては三百四名の第一期中二百八十三名が正社員化され、日本エアシステムの採用者分の第一期六十九名中三十六名が正社員化されております。
#44
○吉川春子君 雇いどめで、途中ドロップアウトしたということですか。
#45
○政府委員(楠木行雄君) 契約制の客室乗務員から正社員となった者と同時期に採用された者のうちで、航空会社の都合で契約を更新しなかった者はいなかったと聞いております。
#46
○吉川春子君 それは違います。ちゃんと調べなさい。私は直接スチュワーデスから聞いています。本当ですか。
#47
○政府委員(楠木行雄君) 今申し上げましたのは、現在正社員となられた者と同時期に採用された者のうちにそういう方はいなかったと、こう申し上げたわけでございますが、実は日本航空におきまして、二年経過をした、要するに現在三年生という意味でございますが、二年経過した契約制の客室乗務員の中で保安要員としての適性に欠けるとして契約を更新しなかった者が一名いると聞いております。
#48
○吉川春子君 一年、二年の契約更新のときに、会社側が事実上雇いどめという形でやった人はゼロだ、そういうふうにおっしゃるんですか。
#49
○政府委員(楠木行雄君) この二年経過した方につきまして、保安要員としての適性に欠けるということで契約を更新しなかった者が一名ある、これだけであると聞いております。
#50
○吉川春子君 三年間通して聞いているんです、全社通して。
#51
○政府委員(楠木行雄君) 先ほど申し上げたとおりでございます。
#52
○吉川春子君 それはうそですね。やっぱり途中で事実上雇いどめという形でやめざるを得なかった人が多数いるわけです。それで、三年間本当に正規の職員になれるかどうか心身をすり減らして働く、しかも正規雇用の道はない、こういう形でスチュワーデスたちは今働いているわけなんです。
 有期雇用契約が三年になりますと、今は一年で、後は期間のない契約とみなされるんですけれども、それでもこういうことが行われている。三年契約ということになりますとこういうことが大手を振るって横行するというふうに思うわけです。不安定雇用がうんとふえるんじゃありませんか。どうですか、大臣。
#53
○政府委員(伊藤庄平君) 今回御提案申し上げている労働基準法改正案の中で契約期間の上限期間を延長いたしますのは、新技術あるいは新製品の開発等を行い、それからそれを新規事業として展開していく過程におきまして、社内で今まで内部におられた人材だけではどうしても足りない、そういった優秀な研究者、エンジニアを国の内外から新たに雇い入れるケース、それから六十歳以上の高年齢者の方が定年退職後一定期間、長期間雇われる場合のケースに限定いたしておりまして、先生御指摘のようなケースにつきまして今回の基準法改正案との直接の関連はないというふうに理解しております。
#54
○吉川春子君 その条文はいかようにも拡大解釈して運用できるような条文になっているし、今、三年有期雇用制度なんてなくたってスチュワーデスの問題がこういうふうになっているでしょう。だから、非常に不安定雇用がふえる、そしてその中で無権利状態の労働者がふえる、こういう懸念があるからこそ、日弁連もこの有期雇用契約制度を三年にするというのに反対しているんじゃありませんか。
 こういうことを、いろんな生き方が選べるとかなんとか言うけれども、さっき運輸大臣はどういうふうに採用しようと企業の勝手なんだ、政府は指導するつもりはない、こういうふうにおっしゃったでしょう。しかし、これは余りにもひどい発言じゃありませんか。アルバイトでスチュワーデスになりたいなんてだれも思っていないわけですよ。でも、その道しかないからそういう道を選択せざるを得ない。労働者の方は選択の余地はないわけですよ。そういうことを労働法制の改悪によって押しつけられようとしている。これはもう絶対に許せないことだし、労働組合も日弁連も反対している理由はそこにあるわけなんです。
 それで、私はもう一つの問題について質問をしたいと思うんですけれども、最高裁、最近過労死の事件が大変多いんですけれども、過労死という言葉は翻訳不能だそうでございまして、片仮名でこれが世界に通用している、片仮名というかそのまま世界に通用しているわけです。
 コンピューターソフトウエア会社の三十三歳のシステムエンジニアの遺族が会社に損害賠償を求めた訴訟で、過重な業務が原因で死亡したと認定された三月十九日の東京地裁の判決がありますが、労働時間についてはどのように裁判所は認定していますか。
#55
○最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) ただいま委員御指摘の判決でございますが、その中身から申し上げますと、平成元年の六月から平成二年の五月十九日までの一カ月当たりの総労働時間の認定をしておりまして、そのうち最も長い月が三百三時間、これは平成二年三月となっております。最も短い月が百六十・五時間、平成元年十二月でございますが、そういう認定になっております。
 また、死亡前一週間につきましては、各一日ごとの労働時間も認定しておりまして、そのうち最も多い日が十二時間十八分、これは五月十五日となっておりますが、亡くなられたのが五月二十日だったと思いますが、最も少ない日が七時間三十分、これは五月十三日と、こうなっております。
 以上でございます。
#56
○吉川春子君 非常に長時間労働で死亡したわけですけれども、これは裁量労働制をとられていたんですか。
#57
○最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 判決の認定によりますと、被告におけるSEの業務は、原則として上司から時間外労働を命じられるということはなく、いわゆる裁量労働であった、こうなっております。
#58
○吉川春子君 もう裁量労働になりますと、何時間働いても例えば八時間労働とみなすという形で時間の管理も行われなくなる。こういう中で、過労死ということも起こりやすくなる、また認定しにくくなるというふうに思います。
 労働省、もう一つ伺いますけれども、最近過労自殺も多発して、裁判でも勝ったり、わずかではありますが労災認定も行われていますが、そこで広島の木谷公治さんの過労自殺について、どのような認定をされたのか、報告してください。
#59
○政府委員(伊藤庄平君) 御指摘のケースにつきましては、食品会社でソースの製造業務等に従事されていた方が自殺されて、労災の請求をされた事案かと存じます。
 この事案につきましては、私ども第一線の労働基準監督署から相談を受け、本省におきまして専門家の方々等の意見を賜った結果、被災者の方の従事した業務の作業環境、業務量等について、客観的に見て心因性の精神障害を発症させる程度に強度なものであったこと、また、被災者の方に問題とすべき心理的特性や業務以外の個人的な精神的な負荷が認められないこと等から、この被災者の原因となりました精神障害については業務が相対的には有力な原因となっていたのではないか、こういう観点に立ちまして、労災保険の対象となる業務上の災害として認定をいたしたものでございます。
#60
○吉川春子君 総理、三十三歳とか二十四歳とか、こういう息子を失った母親あるいは父親の気持ちというのをおわかりになるでしょうか。恐らくおわかりになると思いますが、なぜこんな過酷な過労死が次々我が国で起こるとお思いになりますか。
#61
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、幾つかの要因があり得ると思います。御本人の健康管理の問題もその一つかもしれません。また、企業の側における労働者に対する健康管理のあり方にも問題がありましょう。そしてその上で、先ほど来御議論になっておりますような労働基準法の適用の中において、例えば時間外労働をどう見るか、あるいは勤務条件、いろいろなケースを組み合わせて考えなければなりません。
 いずれにしても過労死というのは、実は随分前でありますけれども、私が本当に社会人になりました直後に、中学、高校の同期生が当時としては大変珍しいケースで亡くなられた、そしてそのお葬式に行き、御両親のお顔を何とも言えない思いで眺めたこともございます。
#62
○吉川春子君 年間一万件過労死がある、そして過労死に至らなくても重病に陥るケースが数十万あるとも言われておりまして、本人の健康管理だけでは片づけられない問題があると思います。
 総理も言われましたように、時間外労働、これが一番大きな原因ではないかと私は思います。この時間外労働を規制するために、やっぱりこれは法律で規制しなくてはなりませんが、日本はILO一号条約、八時間労働制をうたった条約をまだ批准していないわけですけれども、一九一九年、当時ILOの常任理事国であった日本がなぜこの八時間労働制の条約の署名を拒否したのですか。
#63
○政府委員(上田秀明君) お答えいたします。
 ILO第一号条約は、工業的企業における労働時間について原則として一日八時間及び一週四十八時間を超えてはならないこと等を規定したものでございます。
 この条約の採択時、すなわち一九一九年、大正八年は帝国憲法下でございますし、労働基準法の施行前でもございますし、労働時間に対する保護法制が社会的に未成熟な段階にあったと承知しております。このような当時の社会状況や労働法体系にかんがみましてこの条約が批准できなかったものと考えております。
#64
○吉川春子君 その日本に対して国際社会はどういうことを言いましたか、外務省、ここに記録がありますが。
#65
○政府委員(上田秀明君) 当時の状況につきまして、私ども必ずしも詳細を調査し切れておりませんが、当時この条約の考え方はヨーロッパ系統の国々の考え方が主流となってまとめられたというふうに承知しております。日本におきます法制、社会的状況等がそれと必ずしも一致するものではなかったということから批准を行わなかったものというふうに理解をしております。
#66
○吉川春子君 当時はそうだったとして、現在、日本は労働時間に関するILO条約を幾つ批准していますか。
#67
○政府委員(上田秀明君) これも、ILOにおきます労働時間に関する条約として挙げ得るものは十一ございますが、日本はすべて未批准でございます。
#68
○吉川春子君 当時日本は非難を浴びたわけです。そして、いろいろ修正の規定があるけれども、五年後にはこの条約を批准せよ、一九二三年までには批准せよと、こういう注文もつけられたわけですね。今なお批准していない。
 労働省、何が壁になっているんですか。
#69
○国務大臣(伊吹文明君) 今、政府委員からお答えいたしましたような経緯でございますが、先生よく御承知のとおり、工業的企業については一日八時間、そして一週間四十八時間の原則というものをILO条約一号条約は定めておるわけでございまして、日本は既に週四十時間になっておりますから、この点は確実にクリアしているわけであります。
 しかし同時に、時間外労働の取り扱いについて、我が国の現在の国内法制とILOが決めております一号条約との間には差がございます。それは具体的に申せば、ILOの一号条約では、公の機関は時間外労働の最大限度を定めることとし云々ということが入っているわけです。これは労働基準法の際にもいろいろ各方面から御意見がございましたけれども、我が国の現状からいたしますと、時間外労働をどうするかということは、景気が動いた場合に企業、そして翻っては企業に働いておられる労働者お一人お一人の雇用、そういうことについて不可欠な要素でございますので、そのあたりの調整が必要であるということで批准ができていないわけでございます。
 ちなみに、アメリカ、イギリス、ドイツ、そしてスウェーデンにおいても同じような問題があってこの条約はまだ批准には至っておりません。
#70
○吉川春子君 三十六条だけですか、障害は。
#71
○政府委員(伊藤庄平君) ただいまのILO第一号条約は、労働大臣から申し上げましたように、一日八時間、週四十八時間という枠組みを前提といたしまして、その基本的枠組みの中で時間外労働等の問題を指摘しております。
 さらに、もう一つ指摘しておりますのがいわゆる変形労働時間制の問題でございます。これにつきまして我が国におきましては、週四十時間労働制を導入して、我が国の社会の働き方として定着させていくために、今までの変形制に加えまして、三カ月の変形制を週四十時間制の導入と同時に新たに実施し、さらに一年単位の変形労働時間制というものも導入してまいりました。
 この辺につきまして、ILO第一号条約の基本的枠組みの中では非常に短い期間を対象とした変形労働時間制しか取り上げていない、こういう問題もございます。
#72
○吉川春子君 ILO一号条約の批准の壁になった変形労働時間、三カ月単位の変形労働時間を導入したのはいつですか。
#73
○政府委員(伊藤庄平君) これは昭和六十二年だったと思いますが、今までの週四十八時間制を週四十時間制へ変えていく、こういう法改正をいたしました際に、この三カ月の変形労働時間制というのもあわせて四十時間制実施のための一つの方策として導入をされております。
#74
○吉川春子君 一九一九年の条約を批准できない要因を、昭和六十二年というと八七年ですか、になってもう一つつくると。やっぱり日本は、ILO一号条約を批准して時間外労働を規制して、そして過労死をなくしていく、そして国際的な労働のルールに沿って行っていくということが期待されている。そういうことを、また新たな壁を八〇年代になって設ける。私は、本当に一体何事かと言わざるを得ません。
 それで、この質問の項目の最後に総理にお伺いいたしますけれども、総理の施政方針演説では、企業活動の場として我が国の魅力を高めるために、国際的に遜色のないものになるよう徹底した規制緩和を行うと、このようにおっしゃっておられます。
 国際的に遜色のないものにしなければならないのは、私は労働条件の方だと思うわけです。メガコンペティションを理由に、企業が選ぶ国づくりのために最低労働時間基準をさらに切り下げて一層競争激化をもたらすというのではなくて、国際的な公平な労働基準を守ることこそ先進国、経済大国の日本に求められていることであり、日本国民の命や雇用を守る道ではないでしょうか。
 年間総実労働千八百時間を達成しなくてはなりませんし、やはりILO条約を批准して国際的ルールを守る、そのためにも労働法制の改正などを行うべきではない。総理の御見解をお伺いしたいと思います。
#75
○国務大臣(橋本龍太郎君) 何となく、議員の御質問の中で、非常に素直にわかる部分と、非常にわからない部分とが混在しております。
 というのは、私は、労働基本権を守るということ、あるいはこの労働基準法の精神が変化するのかと言われますと、そうじゃないと、その上で、時代によって変化する、そうした部分はあるんですということを先ほども申し上げました。
 その上で、例えばその裁量労働制議論になりますけれども、労働時間管理を本人の自主性にゆだねる制度を求めている現実があることも議員は御承知のはずであります。そして、労働基準法の基本は、何も基本的な考え方に変更を加えるというものではない、労働大臣からも繰り返し御説明を申し上げてきました。
 経済社会構造の変化、あるいはその働く方々の働き方への考え方、希望というものも多様化しています。そうした中において、労働者がより健康で安心して働けるように労働条件を整備していこうという考え方は、私は間違ったものだとは考えておりません。
#76
○吉川春子君 私は、今申し上げましたように、本当に労働基準法の原則を守るとおっしゃるならば、今国会に出されているものはその原則を覆す内容なのですから、やはりこういう法の改正は行わないでいただきたい、そのことを強く要求して、次の問題に移ります。
 失業対策の問題なんですけれども、規制緩和を進めると失業者が必然的にふえるということは財界筋でも繰り返しおっしゃっておりますし、経企庁も三百三十七万人の延べ労働移動が必要だというふうに指摘をしております。
 ここで非常に深刻なのは、日本の失業率が戦後最悪の水準に達している。特に、中高年の失業問題です。山一の例でも明らかなように、一度職を失えば求人が非常に少ないわけです。政府は三年前に失対事業を廃止してしまいましたけれども、こうした失業者を吸収するためにも直ちに有効な失対事業を行うべきだ、失業対策を講ずるべきであると思います。特に、介護保険も導入を目前にしておりまして、福祉労働の分野が絶対的に足りないわけで、こういう分野を視野に入れて今日的な失業対策、政府自身が雇用をつくる、こういうことをぜひやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#77
○国務大臣(伊吹文明君) 一部においては確かに、従来、規制に守られながら雇用があったという分野がございます。したがって、規制緩和が進みますと、その分の雇用というものは大変苦しい立場になるわけですが、同時に、規制緩和を進めることによって、参入の自由が認められて新しい産業が興ってきてそこに新しい雇用が生ずるというまた別の効果があるわけであります。
 現在の失業状況は、先生が今御指摘のように、日本の過去の数字から見て非常に厳しい数字であるということは私ども十分認識をいたしております。中長期的には今申し上げましたような規制緩和、あるいは新しい介護というようなサービスが導入されることによって雇用の場が出てくると思います。
 それまでの間は、当面、やはりこの雇用の動向というのは景気に左右されるわけでございますから、国会でお許しをいただいた補正予算、またその中に含まれておりました二兆円減税、あるいは金融三法の運用、そして今お願いしております本予算の成立、また関連法案の成立によって景気が徐々に上向いてくるということを専門の企画庁長官が申しておるわけでございますから、できるだけ早くこの予算と関連法案の成立をまずお願いしたいと思っております。
#78
○吉川春子君 政府自身が雇用をする、こういう失業対策をぜひやっていただきたい。その点はどうですか。
#79
○国務大臣(伊吹文明君) 経済構造が昭和二十年代、三十年代、四十年代から平成と大きく変わってきておりますので、ただいま申し上げましたような企画庁長官の見解に従って、予算を成立させていただいて景気の動向を見きわめる必要があろうかと思っております。
#80
○吉川春子君 やっぱり政府自身の失業対策事業というのは非常に必要だと。それを予算の関係で失対事業も打ち切ってしまっているわけですから、そういうことをぜひ再開してもらいたい、新たな、今日的なそういう雇用を創出していただきたいということを強く要求します。
 そこで、防衛施設庁にお伺いいたしますけれども、日本は米軍基地の従業員に対しては大変手厚く労務費を支出しておりますが、従業員の総数と日本が支出している労務費を報告していただきたいと思います。
#81
○政府委員(小澤毅君) お答えいたします。
 最近の例で申し上げますと、平成六年度から八年度までの各三月末現在の在日米軍の従業員の数は、平成六年度で二万二千三百四人、平成七年度で二万三千二百二十三人、平成八年度で二万三千八百七十七人、また十年二月末現在では二万四千二百八十三人となっております。
 また、平成六年度から九年度までの在日米軍の駐留労務費の日本側の負担額でございますけれども、平成六年度につきましては千二百五十二億円、平成七年度は千四百二十七億円、平成八年度が千四百四十八億円、九年度が千四百六十二億円でございます。
#82
○吉川春子君 日本はこの労務費について一〇〇%負担しているんですか。
#83
○政府委員(小澤毅君) 先生の御質問の趣旨が特別協定に基づきます基本給等の負担ということでございますれば、平成七年度以降一〇〇%の負担でございます。
#84
○吉川春子君 彼らに払っている給料、諸手当の基準はどういうふうにして決めていますか。
#85
○政府委員(小澤毅君) 在日米軍従業員の給与、またその他の勤務条件につきましては、生計費並びに国家公務員及び民間事業の従業員におきます給与その他の勤務条件等を考慮いたしまして防衛施設庁長官が定めることとなっております。
 具体的例といたしまして、給与、諸手当につきましては、昭和三十八年以来、国家公務員のそれを基礎としまして、これに米軍基地での勤務の特殊性を加味した給与体系となっております。また、社会保険等につきましても、我が国の関係法令に基づきまして、健康保険、厚生年金保険、雇用保険等の社会保険制度を適用しているところでございます。
#86
○吉川春子君 何種類の業務がありますか。
#87
○政府委員(小澤毅君) 在日米軍従業員の職種のことと思いますけれども、これにつきましては、米軍の司令部や部隊等におきまして、米軍人等の指揮監督のもとで多種多様な仕事に従業員は従事しております。
 したがいまして、その職種は、米軍の部隊の任務遂行上必要とされます専門化された分野における高い技能または技術能力と業務の即応性を維持するため細分化されたものになっておりまして、その職種数でございますけれども、平成九年四月一日現在で、基本労務契約に係りますものが九百二十三、諸機関労務協約に係りますものが五百四十九、合わせまして一千四百七十二の職種がございます。
#88
○吉川春子君 その職種を資料として配らせていただきました。
 例えばこの資料の一ページ目にありますハウスキーピングマネジャー、ランドリー、ドライクリーニング、レクリエーション専門職、これはどういう仕事をしていますか。
#89
○政府委員(小澤毅君) お答え申し上げます。
 まず、ハウスキーピングマネジャーでございますけれども、これは宿泊施設の清掃等、雑役業務を管理、指示するという業務でございます。
 また、ランドリー、ドライクリーニング工場管理職と申しますのは、クリーニング工場でランドリー業務を管理し、作業量や作業配分を企画、配慮する仕事でございます。
 また、レクリエーション専門職につきましては、軍人軍属及びその家族にレクリエーションの情報を提供したり計画を提供する業務に従事しておる者でございます。
#90
○吉川春子君 二ページ、三ページ目のボウリング場マネジャー、ゴルフコースマネジャーはどうですか。
#91
○政府委員(小澤毅君) まず、ゴルフ場のマネジャーにつきましては、これは米軍がゴルフコース等を持っておりますので、それの管理等を行う業務でございます。
 あと、申しわけございません、もう一つの方の……
#92
○吉川春子君 ボウリング場。
#93
○政府委員(小澤毅君) ボウリング場は、これも同じように米軍の中にボウリング場等がございますので、これの管理等を行う業務に従事している者でございます。
#94
○吉川春子君 四ページ目の肉切り工助手とかアイスクリームメーカー、アイスクリーム包装工はどうですか。
#95
○政府委員(小澤毅君) まず、肉切りにつきましては、これは売店等で扱っております牛肉や魚の肉、鳥肉等の業務に従事している者でございます。
 また、アイスクリーム関係につきましては、これはミルクプラント等におきまして、アイスクリームを製造するときに従事している職業の者でございます。
#96
○吉川春子君 六ページのダイエットコックというのは何ですか。
#97
○政府委員(小澤毅君) いろいろ資料がありますので、申しわけございません。
 ダイエットコックと申しますのは、患者用の特別な治療用の食事の調理をする業務でございます。
#98
○吉川春子君 最後に聞きますから、そこにいてください。
 十ページ目のマニキュアリスト、靴磨き、スロットマシン修理工、これは何ですか。
#99
○政府委員(小澤毅君) マニキュアリストでございますけれども、これは美容院などの客の要望に応じましてつめの清掃等マニキュアを行うという者でございます。
 それで実際は、ただいまいろいろ申し上げましたけれども、そのうちの数種の職種につきましては、もう既にそういうところに配置されている従業員等はおらないという状況になっております。
#100
○吉川春子君 そういうことが、米軍から要求されれば全部国家公務員並みの給料を支払うということが問題なんですよ。
 総理、こういうものを日本の国費で払う必要があるんでしょうか。
#101
○国務大臣(久間章生君) 今施設庁の方からいろんな職種を挙げましたけれども、それらすべてがおるわけじゃございませんで、そのことについてぜひ理解していただきたいと思います。
 ただ、我が国は御承知のとおり日米安保条約を結んでおりまして、在日米軍について労務の提供をする場合にいろんなサポートをすることになっておるわけでございます。地位協定、特別協定、この国会での御承認を得てやっているわけでございまして、そういうものをやっております。だから、そういう中においても必要ないものについては、私どもは……(発言する者あり)
#102
○吉川春子君 答弁続けてくださいよ、時間がないんだから。
#103
○国務大臣(久間章生君) とにかくそういうことで、私どもは現在の制度にものっとってやっているわけでございます。
#104
○吉川春子君 総理もこういうものが必要だとお考えですか、こういう職種が。
#105
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、実はこの中を初めて議員の資料で拝見しました。そして、例えば十ページにドライクリーニング工があり、ドライクリーニング検査員があり、八ページにランドリーまたはドライクリーニングマネジャー、ランドリーまたはドライクリーニング監督、何となく似たものがあちこちにあるものですから──大体このリスト、どういう形で……
#106
○吉川春子君 施設庁です。
#107
○国務大臣(橋本龍太郎君) いや、ですから施設庁の方の顔を見ながら言っているんです。あなたに対して言っているんじゃないんです。どうしてこうわかりにくくつくるんだろうと。
 しかも、六ページにはランドリーまたはドライクリーニング配達係というのがまた別にございますし、そして四ページにはランドリーワーカーというのがまた別にある。大体どうしてこうわかりにくい資料をつくるんだというところから首をひねって、それから二ページにはランドリー受付事務職というのもあります。
 ですから、業務を一貫したものに分けて、大体なぜこういう表にするんだということをちょっと私も施設庁に聞きたいと思うんですけれども、その上で、駐留軍に対する役務の提供という中で日本がこれを維持していく、その経費を負担する、そのルール自体が間違っているとは私は思っておりません。ただ、この資料を拝見しまして、何でこんなにわかりにくいものをつくるんだという気は私もします。
#108
○吉川春子君 私たちは大体思いやり予算の支出そのものに反対なんですけれども、この労務費の支払いの内容は余りにもひどいと思うんですよ。
 それで、アメリカの言ってきたものは何でもそのまま払うんだと。そしてまた、一〇〇%負担になってから二千人も基地従業員の数がふえているんですよ。こういうアメリカの意のままじゃなくて、日本としてもしかるべき意見を言って、こんなものは見直させる、そういう交渉をアメリカと進める気はありませんか。
#109
○政府委員(萩次郎君) 最初に、総理にも御心配をおかけしました細分化の問題でございます。
 御存じのとおり、アメリカ社会というのは大変マニュアル化社会でございまして、あらゆる職業を大変詳細に細分いたしまして、それぞれの職業についてそれぞれマニュアルをつくって、どういう仕事をするかということがきちっと決まっておる社会でございます。
 私どもも、もうこんな職業要らないんじゃないの、実際に人はいないんじゃないのと言うんですが、確かにもう人はいないのがたくさんあります。しかしながら、向こうの労働社会といいますか、こういう職種というのが軍の職種としてあるからリストとしては残しておくんだ、こういうことでございます。私ども日本の常識から申しましても、先ほどありましたクリーニング一つとっても、洗濯する者、プレスする者、配送する者、一々分ける必要があるのかというぐらい細かく分けております。戦後長い歴史のある米軍との関係でございますので、まとめてやるというのも彼らもなかなか難しいということでございます。
 それから、人数がふえておるのではないかと、こういうお話なんですが、これは特別協定で日本側負担ということが決まりましたときから、過去三年間の平均をもってその次の年の上限とする、しかも、どんなにふえていってもさらにその上の上限は二万三千五十五人である、こういう覚書になっておりますので、むやみやたらとふえているということではなくて歯どめがかかっているということを申し上げさせていただきます。
#110
○吉川春子君 歯どめをかけつつも毎年着実にふえていって、その数は三年で二千人ふえた。それは、あなた方からもらった資料で私は質問をしているんです。
 私は、こういう費用が必要だと言うんだったらアメリカ軍が持つべきだ、持たせるべきだというふうに思うわけです。国民はこんなもの納得しないと思います。非常に日本の雇用情勢も逼迫しております、日本の失業対策費用にそういう費用は回すべきであって、こういうことを絶対にやるべきではない。そういうことを求めてアメリカと交渉すべきだ、思いやり予算はなくすべきだ、そのことを最後に指摘して、私の質問は終わります。
#111
○委員長(岩崎純三君) 以上で吉川春子君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#112
○委員長(岩崎純三君) 次に、直嶋正行君の質疑を行います。直嶋正行君。
#113
○直嶋正行君 民友連の直嶋でございます。
 まず冒頭、総理に一、二お伺いしたいと思うのでありますが、これは先般以来ございました大蔵省の不祥事にかかわる問題でございます。
 前回、一月の終わりごろでしたが、ちょうど大蔵大臣がおかわりになったころに、私はこの大蔵省の問題は個人的な問題なのか構造的な問題なのかということを総理にお尋ねをいたしました。そのときに総理のお答えは、構造的な側面も否定し切れないというようなお答えが返ってまいりました。
   〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕
 それで、その後、これは総理の施政方針演説でございますが、その中にこういうくだりがございます。大蔵省の不祥事についてでありますが、「綱紀を正し、不祥事を繰り返す土壌を根本から改めます。」と。不祥事を繰り返す土壌を根本から改める、こういうふうにおっしゃっているわけですけれども、まずこの内容についてもう少し総理のお考えをお伺いしたいと思うのであります。
 つまり、この不祥事を繰り返す土壌というのはどういうものなのか、具体的にお示しをいただきたいと思いますし、その対策をどういう考えでどんなタイミングで実施をしたいと思っておられるのか、お伺いしたいと思います。
#114
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、確かに本人の倫理観の欠如は問題だということとともに、こうした問題を起こす土壌を変えなければならないということを申し上げた記憶がございます。
 そして、その時点で私の頭の中に根差しておりましたもの、それはまず第一に、今までの事前管理型のいわゆる護送船団と言われます行政のシステム、これはもうもともと金融システム改革の中で、自己責任原則を当然ながら前提にし事後チェック型のシステムの行政に変えなければならないということを考えておりましたが、そうした思いとは別に、要するにルールを明らかにした上で事後チェック型の行政に変えないと、裁量行政の部分が広ければ広いほど将来に問題を起こす可能性というものを残す。言いかえれば、ルールをまずオープンに、明らかなものにし、そして自己責任原則を前提に事後チェック型の行政に変わっていかなければならない、変えなければならない。これが土壌を変えるという第一のポイントとして考えてきたことでありました。
 しかし、同時にもう一つ変えてもらわなければならないこと、それは接待を受けることが当然という意識の問題です。私は、友人同士の会食とか、本当にそういうものまで何も否定するつもりはありません。また、仕事上の会食というものも当然あり得ると思います。その上で、大蔵省はまさに昭和五十四年に、そうした場合においてもたしか上司の許可をとるというルールをつくったはずであります。つくったものがいつの間にか忘れられ、それがまた当然のごとくに繰り返されてきた。そして、厚生省が問題を起こしましたときに倫理法という御意見を多数からいただきましたけれども、私はあえて、廉恥心というものを彼らが持つならば倫理規程でそれが守られると信じておりましたが、これは真っ向から今回裏切られたわけであります。
 倫理法の制定に踏み切らなければならないということを具体的にとおっしゃいますならば、基本的には、裁量幅をなくしていくための事前管理型からルールを明確化した上での事後チェック型の行政への切りかえ、そして倫理法の制定という二つのことを考えておりました。
#115
○直嶋正行君 今の総理のお答えを逆の側から言ってみますと、ルールを明らかにして事後チェック型ということは、現状はまだルールがあいまいでどうも事前調整が多いと、こういう現状認識だというふうに受けとめてよろしゅうございますか。
#116
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今はまだ過渡期だと思います。そういう言い方は、これはしかられるかもしれないんですが、実は私は証券不祥事が起きましたときの大蔵大臣でありました。そして、まさに当時の証券行政というものが膨大な通達によって守られた通達行政であることを、その通達集を見て改めて実感をいたしました。そして、その通達を全部もう一度整理させまして、業界の自主ルールに移すべきものは自主ルールに移させろ、事務的な行為として必要な通達は残せ、本当にある意味でのルールづくりになるものはむしろ法律自体に取り込めということで、その時点で一回整理をさせたわけです。
 ところが、今回一連の問題の中の一つに出てまいりました例えば仮名口座、借名口座の問題のようなものは、これは通達の世界から自主ルールの世界に移ったものでありました。しかし、その自主ルールも守られていなかったということになります。
 ですから、私は今、その意味では過渡期という言葉を使わせていただきたいと思います。業界もまだ、みずからがゆだねられ、みずから守るべきルールとして設定したものを守っていないという点では過渡期と言わざるを得ません。
#117
○直嶋正行君 私も総理の認識とそう違わないと思うんですが、私流に理解しますと、不祥事を繰り返す土壌の中には、根本的に申し上げますと、大蔵省を例に挙げますと、大蔵省が持っている多くの権限、それとその権限に基づくさまざまな行政、具体的に行われる行政、さっきいわゆる裁量行政という言葉をお使いになりましたが、私はその二つがやはり根本的なところに制度面としてあるんじゃないかと思います。
 したがいまして、今総理は過渡期だとおっしゃったんですが、おっしゃるように透明な、ルールを明らかにして事後チェック型、これは前回私も総理に、そういうシステムにすべきだということを申し上げた記憶がございますが、これからそれをやっていこうとしますと、公務員倫理法は必要だと思いますが、単にそれだけではなくて、さらに省庁の持っている権限にまで踏み込んでいく、そして裁量行政も正していく、この両面が要るんじゃないかと思うんですけれども、この点についてはいかがでございますか。
#118
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、当然それは議員の御指摘の方向に動いていかなければならないと思います。そして、そういう方向に動いていかなければならない過程にありますから、むしろその行政改革というものを考えました中で、その時点でこんな問題が起こると想定してかかったわけではありません。しかし、昨日も御論議がありましたように、一方での地方分権をより積極的に進めていく努力、規制緩和・撤廃といった官民の役割の見直しの努力、それによる中央省庁の行政のスリム化、それに基づいての中央省庁の再編。
 そしてその上で、昨日も御報告を申し上げましたけれども、行革会議において議論が一つ残りましたものは、今回基本法の御審議を国会にお願いをしております。その基本法が成立をいたしました段階で本部をつくり、それぞれの省庁の設置法の作成作業にかかるわけでありますが、要するに、所掌範囲のみを書いてむしろ権限を個別の法律に、個別法にゆだねろという考え方と、それは裁量幅を広げる、むしろ所掌と権限を当初から明定すべきという二つの議論があり、この部分はこれからも御論議を国会でもお願いしなければならない部分であるということをきのうも御報告いたしました。そこの中にもあらわれておりますように、むしろ権限というものをきちんと整理しておくことの重要性は、私は議員の御指摘をそのままに思います。
#119
○国務大臣(松永光君) 今、総理が答弁されたとおりでありまして、また委員の御見解、私どもも同感するところが非常に多いわけです。
 現在、大蔵大臣をしておる立場からすれば、まずは四名の人が逮捕、起訴されたということ、大変ざんきにたえないところでして、おわびをするわけでありますが、今後このような事態が起こらぬようにするということが私の現在の大きな任務だと、こう思っております。
 総理からもお答えがありましたけれども、大蔵省の権限、これは縮小していく必要がある。そのために昨年成立させていただきました金融監督庁設置法、これに基づいて金融機関に対する監督・検査の権限、これは金融監督庁が六月までの間に設立されるわけでありまして、そちらに行ってしまうわけであります。同時にまた、今、国会に提出されておる中央省庁再編基本法に基づきまして、さらに大蔵省に残っておる金融に関する行政の中で危機管理あるいは金融の破綻処理、それだけを残してあとはその後に名称の変わる金融庁に移転すると、こうなるわけでありまして、その点も相当程度の大蔵省の権限縮小になる、こう思っております。
 それからもう一つは、基本的には個人個人の倫理観の欠如にあるわけでありますが、しかし、残念ながら何回かにわたる通達があっても必ずしも守られてこなかったという点があるわけであります。人間、弱いものでありまして、やはり倫理というものを罰則によって担保するというのは情けないなという感じがしないわけじゃありません、またそういうことを言う人も大変いるわけでありますが。しかし、守れないのであればやはり罰則制裁、これで担保せざるを得ない、私はそう思います。
   〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕
 そういう点から、今党内で成案がまとまりつつあるようでありますけれども、やはり罰則つきの公務員倫理法、これを制定していただくことも大事なことだと、こう思っておるわけでありますが、同時にまた、総理の強い指示によって私が今担当させていただいているのは、内部調査を厳正に行って、そして公務員法に基づく処分をきちっとやるということが、間違ったことをすれば制裁があるということが明らかになってくるわけでありましてそのことによって倫理の実践を担保するということで将来の再発防止に努めたい、こう思っておるところでございます。
#120
○直嶋正行君 私がちょっとこの大蔵省設置法で調べてみたんですが、所掌業務だけで今百二十を超えています。権限が五十以上あります。それにすべて命令権がついていますから、本当に大きな権限だというふうにつくづく思いました。
 法制局長官、事前に通告していないんですが、ちょっと一点だけその中で気がついたことがありますので、もし今おわかりでしたら御見解を伺いたいのです。
 憲法八十六条に、内閣は予算を作成し国会に提出する、こういう規定があるんですが、この大蔵省設置法の五条ですか、この中に、大蔵省の所掌事務を遂行するための権限として、「国の予算、決算及び会計に関する制度を統一すること。」、それの次に、「国の予算及び決算を作成すること。」となっているんです。つまり、私は憲法上内閣が予算を作成する、こういうふうに理解していたんですが、大蔵省が予算を作成する、こういうふうになっていまして、ちょっと違和感を持ったんですけれども、今もし御見解がありましたらちょうだいしたいと思うんです。
#121
○政府委員(大森政輔君) ただいまのような質問がなされるということを予想していたわけじゃございませんけれども、たまたま関連した資料がございますので、それに基づいてできるだけの範囲内でお答えいたしたいと思います。
 ただいま御指摘になりましたように、憲法上の用語と大蔵省設置法上の用語、そしてまた予算作成手続について定めている財政法上の用語との間に若干の差異があるということから生じた御疑問であろうと思います。
 御指摘のように、憲法上は内閣が予算を作成して、審議をいただくために国会に提出するという、そういう段階で「作成」という言葉を使っているわけでございますが、財政法におきましては、予算を内閣が作成して提出する前段階の手続におきましては、大蔵大臣が概算を作製して閣議の決定を経る、この閣議決定された概算に基づいて大蔵大臣が歳入予算明細書等を作製、この「作製」の製の方は製造の製という字を使っているわけでございます。そして、その書面に基づいて大蔵大臣が予算を「作成」し、この成は成功の成を使っているわけでございます。そして閣議の決定を経るというような一連の手続を規定しております。
 このような財政法の手続を踏まえて、大蔵省設置法が今御指摘のような言葉を使っておりまして、あくまで国会に提出する、国会の審議の対象たる予算はやはり内閣が作成するのであると。その前提として、内閣が閣議決定をし、その上で国会に提出する。そういう内閣が作成する、いわばこれは比喩的な言葉でございますが、原案を大蔵省が所定の手続で作成することに主として関与するんだと、こういうふうに御理解いただければいいんじゃないかと思います。
#122
○直嶋正行君 この点はまた少し改めて掘り下げてみたいと思います。
 それで、あと一点ですが、大蔵大臣にお伺いしたいんですが、さっきの裁量行政の部分でいいますと、もう一つ私、この間からの一連のいろんなことを見ていて感じますことは、例えば大蔵省の各局の課長さんとか局長さんとか、いわゆるキャリアと言われる方は非常に早く短期で異動されますね、一年とか二年とか。ですから、だれのときにどういうことをやったかということは、その結果が出てくるまでに本人はいなくなっちゃっていると。こういう意味でいうと、非常に責任があいまいなんですね、責任の所在があいまいといいますかね。私は、この辺もこの裁量行政の問題を考えていくときには大変大きな要因を持っているんじゃないかと。つまり、さっき申し上げた持っているいろんな権限といわゆる責任ということが、権限は明らかになっているんですけれども責任がはっきりしない。
 ですから、もうちょっと申し上げますと、ぜひこういう機会にお願い申し上げたいのは、今申し上げたようなそういうあり方も含めて、ぜひ今回の大蔵省で起きました問題についてきちっと、なぜこうなってきたのかという行政の責任も含めて、金融機関のこの問題のために十兆円という国債を出した、そして公的資金を使っていると、こういう背景もあるわけですから、一度きちっと精査をしてそれをやはり公にしていただきたい。そのことによって、今議論していることがもっと具体的な問題としてどこにどういう問題があるかということが明らかになると思うんですけれども、いかがでございましょうか。
#123
○国務大臣(松永光君) 先ほど総理から、事前指導型、裁量型の行政から、まず透明性のあるルールを明確に示して、そのルールを遵守しておるかどうかということを事後的にチェックするという形の行政への転換の話をなさいました。私はそれが物の考え方の基本だというふうに思っております。
 というのは、役人の方が裁量できる、あるいはまた指導をしてくれるということでありますから、業者の方は役人に近づいて、そしていい情報を得たい、あるいは自分に都合のいい指導をしてくれるように頼みたいと、こういったことから接待が始まるんじゃないかなというふうに思います。それで、接待なれしてきますというといつの間にか倫理が麻痺して、そしてもう十何回も何十回も平気で接待を受けるというふうに倫理が麻痺してくると、こういうことではないかと思う。そこを断ち切ることが総理の言葉で言えば土壌を変えることというふうに思うのであります。
 一つは、人間の側から、職員の側が改めて倫理観を持ち、かつそれに違反した行為をすれば制裁が加えられる、罰が加えられるということによって──罰によって倫理を担保するのは先ほども言いましたが、少し残念なことでありますけれども、人間は強い人間ばかりじゃありません、弱い人間の場合にはやはり制裁、罰則というのが倫理の担保になる、こう思うのでありまして、そういったことをやっていくことが一つ。
 もう一つは、この裁量をなくして、ルールに基づいて活動すればそれでよろしい、しかし事後のチェックはある、こういう仕組みに変えていくことが大事なことだと思うのでありまして、委員が今おっしゃったようなことをわかりやすく列挙的にでも挙げて、こういうふうに変えました、変わりますということはいずれ明らかにしなきゃならぬ、こう思っております。
#124
○直嶋正行君 ルールを明確にして事後チェック型、透明なルールと、こう言いましても、なかなか具体的にどうするかというのは難しいと思うんですね、大変だと思うんですよ。総論でそう言うのは簡単ですが。
 それで、私がさっき申し上げたとおり、実態を明らかにするという意味でぜひ、さっき列挙してというふうに大臣おっしゃいましたけれども、列挙してという程度ではなくて、もっと体系的に、やはりこういうところに問題があったんだということを明らかにしていただきたいと思うんですけれども、総理、いかがですか。
#125
○国務大臣(松永光君) 一、二、例を申し上げますと、例えば金融機関に関することでありますが、四月から早期是正措置ということが始まります。そういたしますと、各金融機関は自主的に書類を作成し、そして公認会計士等の監査を受けた上でディスクロージャーをするという仕組みになってまいります。そして、これは大蔵省だけがチェックするのではなくして、国民全体がその金融機関のことについて内容を知ることになります。そういう形の金融行政に変わっていくという点が一つあります。
 もう一つは、金融ビッグバン法の中で随分今までの許可認可というのがなくなりまして、そして届け出制に変わるなどということも大きな変革の一つだと思います。
 そういったことをひとつ、先ほど委員仰せのとおり、こういう点はこうなりましたということをまとめて、そして国民の前に明らかにすると。もちろん、こういう点があったことが一つの今回の不祥事の原因になっておるということもその反省を込めて明らかにしながら、委員仰せのようなことになるようにひとつ努力をしていきたい、こう考えております。
#126
○直嶋正行君 ありがとうございました。
 では、続きまして経済の問題について御質問したいと思います。
 まず、総理にお伺いしたいんですが、昨日も今の日本経済の厳しい話がいろいろ出ていました。総理のまず御見解をお伺いしたいのは、日本の経済社会がこれから将来に向かっていわゆる順調に推移するといいますか、あるいはいろんな国民生活もきちっと安定しながら順調に進んでいく、いわば巡航速度というんですか、こういうことを考えたときの経済成長率というのはどの程度が望ましいというふうにお考えでしょうか。そこをちょっとお聞きしたいんですが。
#127
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今どの程度が望ましいという数字、必ずしも私どもがそれを口にのせることがよいことだとは私は思っておりません。
 例えば、平成十年度の見通しとして一・九という数字を挙げておりますということは、これは事実問題として我々は申し上げられることであります。そのうちの内需、外需の寄与度をどう見ているかも既に御承知のとおりでありますが、実態が今内需が弱く外需がウエートを占めている、しかもその中でもアジアの経済の変動の中でそのウエートに変動が生じている、そういった微妙な状況にあることも御承知のとおりであります。
 政府としては、やはり今申し上げるべきこと、それはこの一・九%という実質成長というものをかち得るだけの、しかも内需中心の体系にこれが動きますように全力を尽くしていきますというお答えを申し上げる以外にないと思います。
#128
○直嶋正行君 よく言われることですが、潜在成長率というのがございますね、経済学者の間なんかで言われていますが。これは大体三%ぐらいというのが通説なんですけれども、こういったものについては総理はどのように受けとめておられますか。
#129
○国務大臣(尾身幸次君) 現在、当面の問題についてはただいま総理からお答えがございましたが、構造改革のための経済社会計画、平成七年十二月に決定したものがございまして、それによりますと、物流とか電気通信とかあるいは金融サービス等の分野におきます高コスト構造の是正あるいは活性化を促進する、つまり経済構造改革をしっかりと進めるという仮定のもとで、実質成長率三%程度というふうに考えているわけでございます。他方、この構造改革が進まない場合には一カ四分の三ということになるという推定もございます。
 私どもといたしましては経済構造改革を進めて三%の成長を実現していきたいというふうに考えている次第でございます。
#130
○直嶋正行君 なかなか慎重でお答えになりません。
 もう一つ、これは経企庁長官でも結構なんですが、昨日来いろいろ議論がございました。長官も御発言の中で、今の経済状況は厳しい、こういう御認識があったんですけれども、例えば昨年の十―十二月はマイナスになっていますね。これから先の話なんですが、例えばことしの一―三月あるいは四月以降、こう見たときに経済は趨勢的にどういう方向に向かっていると。これはどのようにお考えでしょうか。
#131
○国務大臣(尾身幸次君) 当面の状況は、昨年の十月―十二月がマイナス〇・二%ということでございまして、この一月―三月の数字は、昨年の秋口の極めて厳しい金融システム不安あるいは株価の下落等を反映し、実体経済にそういう影響があらわれてきておりまして、平成九年度全体として〇・一%を達成することについてはなかなか厳しい状況であるというふうに認識をしている次第でございます。
 十年度の見通しにつきまして一・九%という数字を、先ほど総理のお話のとおり、考えているわけでございますが、これにつきましては、各般の政策、十年度予算を順調に通していただくこと、それからまた電気通信とかあるいは先ほど来お話にありました労働移動自由化のための規制緩和などを通じて経済を活性化していく、そのことによって一・九%を実現したいと考えている次第でございます。
 先ほどの長期的なお話にちょっと戻らせていただきますが、この三%という成長率でありますけれども、いわゆる単なる需要拡大的なところだけではなかなか実現が難しいという感じもいたすわけでございます。例えて言いますと、経済構造改革を進める、例えば規制緩和、電気通信とか物流とか、あるいは労働派遣事業の拡大等によりまして労働のミスマッチをなくすというようなことも必要かと考えております。
 規制緩和をいたしますと、先ほども労働大臣のお話がございましたが、いわゆる従来型産業においてはリストラを進めなければならない、また進めることができる。それからまた、それに対応してどこで雇用を吸収するかといいますと、規制を緩和することによりましてベンチャーとか新しい産業が興ってくる、そのことによって雇用が大幅に増大をする、したがってそこに労働の移動がなされなければならない、そういう意味においての規制緩和が大変大事であるというふうに考えております。
 それからまた、金融ビッグバンを背景といたしまして、いろんな資産の運用、例えば年金資金等の資産の運用をもっと効率化してリターンを高めるということも必要かというふうに考えている次第でございます。
 さらに、新しい技術の開発によりますベンチャーの育成とか、あるいは経済の体質を強化、活性化するためのインフラの整備とか、あるいは土地の有効利用とか、そういうことも必要であろうと思いますし、それから企業が国を選ぶ時代におきましていわゆる税制等におきます事業環境を整えるということも必要であろうと考えている次第でございます。
 そういう長期の構造改革の方向をしっかりと踏まえながら、短期の、当面の経済対策も進めていくということが必要でございまして、それによりまして十年度一・九%、そしてまたその後の、順調な回復軌道に乗って潜在的な成長力、三%程度と言われておりますが、そういうことを実現していくことが中長期における日本経済の大変大事な課題であるというふうに考えている次第でございます。
#132
○直嶋正行君 今たくさんおっしゃったんですが、私が聞いたのは、十―十二月まで数字が出ています。では一―三月はどうなんですか。まだ悪くなる、こういうふうに今おっしゃっているんですか、〇・一が難しいということは。
#133
○国務大臣(尾身幸次君) 一―三月につきましては、四月の金融機関の早期是正措置を控えて、やはり三月いっぱいはいろんな形での貸し渋り現象ということも懸念されるところでございます。それから、まだ新しい十年度の予算が支出されていかない、それから法人税の減税あるいは土地譲渡益課税の大幅減税あるいは有価証券取引税の減税等の減税措置が実現されていかないという意味において、一―三月はまだ厳しい状況が続くというふうに考えておりまして、それを総合してみて九年度〇・一%という数字を達成することにつきましてはかなり厳しい状況にあるというふうに考えております。
 その後の四月以降につきましては、予算が順調に通り、法人税、有価証券取引税あるいは土地税制等の減税、これはかなり経済刺激になると思っておりまして、そういうものが徐々に効果をあらわしてくる、そのことによって徐々に回復し始めるというふうに考えているわけでございます。
 いずれにいたしましても、十年度予算をできるだけ早期に通していただくことが大変大事な点であるというふうに考えております。
#134
○直嶋正行君 四月以降とおっしゃいましたけれども、もう来週は四月ですから、とてもじゃないですけれども今の状況を見ていると、四月以降少しよくなって十年度は一・九というようなことは望み得ないような状況じゃないんですか。
 きのう答弁の中で長官は、私たちは数字だけを見ているわけじゃありません、いろんな経済実態も勉強して判断していますというふうにおっしゃったんですが、本当に今の経済の状況を見ればとても四月以降よくなるなんて思えないと思うんですが、どうですか。
#135
○国務大臣(尾身幸次君) 私ども、昨日申しましたのは、経済の判断をするときに統計数字だけではなしに産業界を含めましたいろんな方々の意見を聞いて判断しておりますということを申し上げたわけでございます。
 四月以降の問題につきましては、先ほど申し上げましたように予算ができるだけ早く通るという前提でございまして、今心配をしておりますのは、その前提が崩れかかっているのではないかというふうに実は大変心配をしているわけでございます。それから規制緩和、これは電気通信、労働移動の問題あるいは土地の利用等についても規制緩和の今法律が出されております。それから、いわゆる早期是正措置が終わるといいますか、手続が終わることによります貸し渋り現象の緩和が期待をされるということで、経済が回復し始める前提条件が四月以降整ってくる、そういう意味で申し上げている次第でございます。
#136
○直嶋正行君 前提条件が整うというふうに今おっしゃったんですが、ではちょっと十年度予算の方の話をしましょうか。
 今、私と経企庁長官とやりとりしていたんですけれども、総理、今の経済情勢から判断してもやはり今のこの我々が審議しています十年度予算というのはベストである、このようにお考えですか。
#137
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、経企庁長官もちょっと答弁の中で触れておりましたけれども、いわば市場が織り込んでおります十年度予算あるいはそれに関連いたします税制を含みます予算関連法案、これが切れ目がなく新年度から動かし得るということがすべての私は前提になっていると思っております。そして、それが昨日、私は残念ながらという言葉を、本当に文字どおり残念な思いで暫定の準備に入りましたということを申し上げました。そして、企画庁長官が今申しましたように、その期間を少しでも縮めていただけることを本当に願っておりますけれども、やはり今我々が一番必要とすることは、少なくとも織り込まれたものがきちんと動き始めるということが何より大切だと思います。
 殊に、今年は両院の御協力を得まして例年より早く国会を開かせていただき、特別減税、九年度補正予算、金融システム安定化二法を早期に成立させていただきました。その九年度補正予算の中には、災害復旧等を中心といたします公共事業一兆円、ゼロ国一兆五千億円、こうした点にも見られますように、九年度補正予算そのものが景気への配慮をいたしております。
 しかし、それは当然のことながら、新年度から新たな予算が切れ目なく動いていくことを願いながら国会にも御審議を願ったものでありまして、今私どもとしては御審議をいただいているものを早く成立させていただきたい、すべてはここにかかっております。
#138
○直嶋正行君 市場が織り込んでいるという意味でいいますと、もう既に巷間言われています新たなる追加対策も織り込んでいるんじゃないですかね。今、総理は何か予算が成立しないのはというふうな感じでお話しされたんですけれども、平成十年度予算がこういう形になったことが私は今日の経済情勢を招いている一つの要因だと思いますよ。
 例えば、ちょっと振り返ってみますと、今の平成十年度予算の基本的な枠組みというのが決まったのは昨年の六月なんですよ。いわゆる財政構造改革の推進ということが閣議で決定されました。そしてそれぞれについて厳しいキャップがかぶせられる、こういうことをやろうということになったわけなんです。結局そのときは、その後その閣議決定に基づいて七月八日には十年度予算の概算要求に当たっての基本的方針というのも出されました。これも今申し上げた閣議決定を織り込んだものなんです。そのときに前提になっていた日本経済は平成九年度一・九%という成長率だったんですよ。それを前提にして緊縮予算を組もうということでつくられてきたのが平成十年度予算なんですよ。そうなんじゃないですか。
 このことが、その前に実施された消費税のアップだとかあるいは特別減税の廃止だとか、そういうことと相まって政府の景気判断の読みを狂わせたわけでしょう。それからさらに、その後アジアの経済危機だとか金融問題がということでどんどん状況が悪くなったと、こういう経過なんじゃないんでしょうかね。
 ですから、もちろん私たちは真剣にこの予算の審議に臨んでいるわけでありますけれども、そもそもたどってみると、やはりこの路線が残念ながら今の経済状況を呼んだということが言えるんではないかと思うんですが、いかがでございますか。
#139
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、また繰り返しになって恐縮ですけれども、まず昨年を振り返りましたときに、私どもは消費税の税率の引き上げを行う決心をし、その影響は当然ながら一―三に出る、そしてその反動は四―六で落ち込みに出るということは考えておりました。しかし、それが予想の幅より大きかったということは私は素直にここでも申し上げたと思います。ただし、同時に七―九はプラスに転じていたと。これは数字の実態からごらんいただけることであります。
 ただし、それを申しますといつもしかられるんですけれども、そこからアジアの金融破綻が始まりました。その影響は間違いなしに、いろいろな実態の面というよりもむしろ心理の面でも随分影響を受けました。そして、我が国の秋以降の金融機関の破綻というものの影響があって、今非常に厳しい景況感につながっているということも全く私は否定をいたしておりません。
 一方、財革法、あるいは概算要求基準の設定、概算要求の作成、当然ながらそのプロセスの間にさまざまな事態が起こっておりましたから、概算要求自体も査定の中においてこうしたものに対応できる力を持つようさまざまな工夫をいたしております。今一つ一つを拾うつもりはありませんけれども、将来につながっていけるような科学技術開発研究といった面に手厚く行いますこと、公共事業全体は縮減をしながらも重点、効率化を図ること、金融システム安定化あるいはその他のものもあわせましてこうした事態に対応する努力はしてまいりました。それは率直にそのとおりのことを申し上げたいと思います。
#140
○直嶋正行君 今、総理が話されたような経過の中で申し上げますと、これは、例えば昨年末の財革法の審議のときにも私は申し上げた記憶があります。
 つまり、総理がお考えになっていたいわゆる昨年の前半の状況と全く経済の様相を異にしている。つまりバックグラウンドが変わってしまうのですから、本当にこの財革法を成立させて、それに基づき平成十年度以降取り組んでいくことが正しいのでしょうか、見直すべきだと、こういうふうに申し上げたと思うんです。しかし、総理はそのときにどうおっしゃったかというと、みずからの手を縛ってでも今財政改革をやるんだ、こういうふうにおっしゃったんです。
 ですから、結果的に、私は昨年末の時点でもやはり御判断が失礼ですけれども間違っていたんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、どうでございましょうか。
#141
○国務大臣(松永光君) 総理から先ほど御答弁があったわけでありますが、私の考えは、今、日本の財政状況は先進国の中で一番厳しい状況でありまして、その意味では財政改革というのは、我々の世代のときにこの改革をやり遂げるということが大事なことだ、こう思うわけでありまして、次世代に巨額の負債を負わせることは絶対避けなきゃならぬ、こういう考え方で十年度の予算につきましても聖域なく見直しをして、そして重点化、効率化を図ったところであります。その中でも、委員よく御承知のとおり、科学技術振興に関する分野とかあるいはまた物流の効率化に関する分野とか、そこは増額予算をつけて対処することにしておるのがこの予算であります。
 同時にまた、予算関連の税法等の関係では、委員よく御承知のとおり、総理の決断で二兆円の特別減税、これを法案を通していただきまして実行させていただきましたが、九年度で実行に移したのはそのうちの一兆円でございます。あと一兆円、住民税とそれから所得税で十年度に実行されるわけであります。
 そのほかに、関連法案を通していただければ、法人税税率三%引き下げ等がありますし、それから土地住宅税制、それからまた金融関係税制、こういったもので国、地方を合わせて、先ほど申し上げました特別減税の残りの一兆円のほかに八千四百億円の思い切った減税がなされるという仕組みに十年度予算並びに関連法案はなっておるわけであります。
 十年度予算並びに関連法案を通していただいて、そして新年度から直ちにそれが実行に移せるという状態にしていただくことが一番大事なことではないか、こう思ってお願いをしているところでございます。
#142
○直嶋正行君 では、大蔵大臣にお尋ねしますが、この平成十年度予算が成立し、今おっしゃったもろもろの予算関連法案が成立をすれば日本の経済は浮揚するんだ、もうこれ以上は何も要らないんだと、こういうことですね。
#143
○国務大臣(松永光君) 何も要らぬと仰せられても、恐縮でございますが……
#144
○直嶋正行君 いや、随分盛りだくさんに入っていますよ。
#145
○国務大臣(松永光君) いや、盛りだくさんということになるかどうかは別として、それだけのことを盛り込んだ予算並びに関連法案になっておりますということを申し上げたわけであります。
 それから、委員も御存じのとおり、金融システムに対する信頼が落ちてきたというのも大変な問題であったわけでありまして、その点も法案を通していただいて金融システム安定化のための措置もやらせていただきました。これで相当程度金融システムについての内外の信頼は高まってきつつある、こう思うのでありまして、それらを総合していけば日本の経済は回復の道を歩んでいくことができる、こう思う次第でございます。
 それからもう一つ、先ほどの私の答弁の中で、公務員倫理法の関係で私は罰則つきと申し上げましたが、これを狭い意味の刑事罰つきと言われても困るのでありまして、何らかのペナルティーつきの公務員倫理法、こういう意味でございまして、言うなれば制裁つきの倫理法というのが正確な表現でありますので、その点は訂正させていただきます。
#146
○直嶋正行君 私は、今みたいな議論を繰り返しながら結局政府がなかなか思い切った政策を打ってこなかった、このことが経済の実態をどんどん悪くしていると思うんです。
 現実に、さっきも申し上げましたけれども、昨年の十―十二月の最新の数字はマイナス成長になりました。さっき経企庁長官おっしゃったように、恐らくこの一―三月も厳しい数字が出るでしょう。九年度はマイナスになるかもしれません。どの経済指標を見てもよくないんです。ですから、これで四月以降上に向くということは到底考えられないんですよ。私もずっといろんな地方を歩いてきました。それはここにいてはわかりませんが、肌で感じてきましたけれども本当に悪くなっています、日増しに。
 ですから、そういうことでいいますと、やはり私は、昨年からことしの経緯を見ると、何度か政府の判断ミスがあったというふうに思ってさっき総理に申し上げたんですけれども、どうでしょう、総理。
#147
○国務大臣(橋本龍太郎君) 本当に、何か同じことのやりとりが続くというのは余り楽しいものじゃありません。
 例示で、先ほど私はまさに一―三、四―六というところで判断が違ったということは申し上げました。消費税の税率の引き上げに対して、むしろ一―三があれだけ伸びる、四―六の落ち込みの幅がこれほど大きくなる、これは政府の見通しが甘かったということは認めております。
 その上で、しかし、なかなかそこを議論でおわかりがいただけない、わかっておられてお触れいただけないのか、七―九にそれが戻っていたこと、ある程度戻る方向にあったこと、消費税の影響というものが戻っていた、転じていたこと、これは私、事実としてプラスに転じていたという数字が示していると思います。そして、確かにアジアの通貨不安というもの、あるいは金融機関の、しかも大型の金融機関の倒産、それを見通していなかったと言われますなら、これは御指摘を甘受しなければなりますまい。
#148
○直嶋正行君 ちょっと経企庁長官にお伺いしたいんです。
 今そういう経済論議をやっているんですけれども、それでさっきも総理は去年の夏は少し回復基調だったと、こういうふうにおっしゃる。私たちが一貫して言ってきたのは、やはり去年の夏以降どんどん景気の実態が悪くなっている。
 実は経企庁がお出しになる経済報告といいますか、これは今いろんな意見がありますが、やはり経済の実態に合っていないんじゃないか、こんな状況でまだ経済は停滞とおっしゃっている。皆世の中が不況だ不況だと言っていたころには、まだ足踏みだとおっしゃっていた。これは本当に世の中を惑わすと思うんです。
 この間ちょっと新聞にこういう記事が出ていました。経企庁の統計データ、これは景気基準日付検討委員会というのがあるそうですが、昨年十二月の景気基準日付検討委員会において、景気は九年五月に山をつけた可能性が極めて高く、暫定日付として公表すべきだとの意見が出たのを事務当局が退けた、こういう報道がなされています。この点についてはいかがでしょう。これは事実ですか。
#149
○国務大臣(尾身幸次君) 私自身、昨年九月十一日に就任したわけでございますが、以来、経済の実情につきましては、いろんな統計、また関係者からもできるだけ意見を伺いまして、できるだけ正しく公平に客観的に実情を国民にお知らせするのが経済企画庁の仕事であるというふうに考えて、そのように努力してきているつもりでございます。
 そして、昨年の経済の状況、確かに先ほど総理も御答弁申し上げましたように、四月―六月は消費税引き上げに伴います駆け込み需要の反動減がございまして一時下がりましたが、しかし、その後七月―九月にはやや順調な回復軌道に乗っているという兆候もございますし、消費性向等も七二%前後の水準にまで戻ってきたところでございます。その後、十一月、十二月ごろになりまして、アジアの経済の混乱あるいは相次ぐ金融機関の破綻等によりまして、企業家あるいは消費者のマインドが急速に低下をしてきたという状況でございます。そういう中で、五月に山とかいう点については、どうも私自身の経済の実感と合わないなという感じを持っております。
 なお、景気基準日付検討委員会は、経済企画庁の調査局長のいわば私的諮問機関というような形であるわけでございまして、そこでいろいろ議論がなされているわけでございますが、そこでは、委員の皆様の御意見を踏まえまして、一定のルーツに基づいて山、谷を認定しているそうでございます。
 なお、この詳細につきましては調査局長の方から御答弁をさせたいと思いますが、私どもとしては客観的にその辺の判断をしている、そして適時適切に対応していくことが私どもの役割であると考えている次第でございます。
#150
○政府委員(新保生二君) お答えいたします。
 景気基準日付検討委員会というのは、先ほど大臣も申し上げましたけれども、景気動向指数のパフォーマンスとか、あるいは景気の山、谷のタイミングを統計的、学術的見地から検討するというために設けられた研究会でありまして、私、調査局長の私的諮問機関みたいなものでございます。
 学者ら七人から構成されておりまして、要するに、景気の状況をどう見るか、景気動向指数をどう判断するかというフリーディスカッションをやる研究会でございます。
 御指摘の新聞の記事でありますが、若干不正確なところがありますので、私から正確なところを申し上げます。
 新聞で報道された十二月十一日の研究会の時点では、景気の山、谷を決めるという議題は議題になっておりませんでした。その背景を申し上げますと、十二月十一日の段階で入手可能であった最新の景気動向指数は去年の九月の指数であります。九月の指数は、先生も見ていただければわかりますが、実はあの時点で六〇という数字を示しておりました。御承知のように、景気動向指数が五〇を切って数カ月連続すると景気の山を検討しなきゃいけない状況になるんですが、それまでの動きは四月以降一カ月置きに五〇を上回ったり下回ったりする状況で、最新時点の九月では六〇を記録しておりましたので五〇を上回っておりました。したがって、そういう議論に入る段階でなかったという点が一点でございます。
 それからもう一つは、これはちょっとテクニカルになって恐縮ですが、実はヒストリカルシリーズというものを使って客観的に山、谷を決める材料としております。このヒストリカルシリーズは長期のトレンドを計算して山、谷を判定するということが必要なものですから、山を決めるまでに最低限七、八カ月、場合によっては一年近くラグがかかるわけです。したがって、十二月の時点ではまだデータがそろっておらなかった。系列のうち二、三のものは山をつけられましたけれども、半分以上はまだ山をつけられない状態であったということで、あの十二月十一日の段階では景気の山、谷を検討するということは議題に上がっていなかったということを申し上げておきます。
 それから、その時点で学者の先生方から景気の動向自体についてどう見るかという議論をされましたけれども、景気の山、谷を決めるのはもう少し先の段階になるという理解でかなり共通の認識があったというふうに理解しております。その点が新聞では必ずしも正確に伝わっていなかったということだと思います。
#151
○直嶋正行君 いずれにしても、この記事を見ると、七名のうち四人の方がもう五月に山をつけたとおっしゃっているんです。議題になったかどうかわかりませんが、いずれにしても、こういうことがもし事実とすれば、非常に恣意的な委員会運営をしているということになるわけです。さらに、四月上旬に予定していた委員会を、次の委員会ですが、五月に延期したということもこの記事にあります。
 ですから、要するになぜこういう記事が出るかといいますと──この真偽のほどはわかりませんよ、しかし、申し上げておきますが、国民の間でやはり経企庁の今の景気、経済の見方に対しては極めて不信感が強い、このことだけは事実だと思います。このことだけ申し上げておきたいと思います。
 それから一点、これは大蔵大臣にお伺いしたいんですけれども、ことしが、平成九年度はもう水面下ぎりぎりかマイナスかという経済成長率になる。十年度は一・九を上回りたい、こういうことなんですが、ことしは同時に財政再建、先ほどの財政構造改革法案で言うとその初年度なんです。これから財政赤字を削減していこうという初年度なんです。
 こうやって経済成長の読みが違ってくることによって、当然税収は減ってきます。ですから、経費を削減しなくても税収が減れば赤字はふえます。逆に言うと、財政を立て直すということで意気込んで始めたんですけれども、経済成長が読みを下回ってくると財政赤字は膨らむわけなんです。そういうことでいうと、どうでしょう、初年度からこの財政再建計画というのはとんざする可能性が強いんじゃないんですか。御見解をお伺いします。
#152
○政府委員(涌井洋治君) お答え申し上げます。
 昨年度、財革法の御審議を願った際に中期財政試算を御提出したところでございますが、今年度の予算を前提に、かつ今年度の経済成長率を前提に改定した中期財政試算を提出したところでございます。
 先生御指摘のとおり、税収が昨年度の法案審議の段階で試算として出したものよりもやや落ちた上に、政策減税を行ったことによりまして今後の歳入歳出のギャップ、要調整額は拡大し、かつ特例債の削減額も昨年度提出したものよりも毎年度の減額幅を大きくしなければならないと。そういう意味では大変厳しい予算編成をこれから行っていかなければならないわけでございますが、これは毎年度の歳入歳出の見直しによって要調整額を解消していくということかと存じます。
#153
○直嶋正行君 昨年末に財政構造改革法案を審議したときの大蔵省がお出しになった財政見通しのグラフがここにありますが、これは名目成長率三・五でやってもなかなか厳しいんですよ、この再建計画を達成するのが。もうこれは既に出だしから狂っちゃっているわけです。恐らく十年度も一・九、頑張るということなんですが、難しいでしょう。
 ですから結局、世上よくマスコミなんかでこの財政再建路線を転換するかしないかというようなことが議論されていますが、これはそういうことじゃなくて、やはり経済が非常に深刻な状態になることによって、路線がどうとかこうとかということじゃなくて、このもの自体がもうだめになってしまうんじゃないですか。これはどうやって二〇〇三年というのをやっていくんでしょうね、これから。大蔵大臣、どうでしょうか。
#154
○国務大臣(松永光君) 経済の状況が厳しいことは私も認識いたしておりますが、しかし……
#155
○直嶋正行君 財政再建が厳しいということです。
#156
○国務大臣(松永光君) いや、経済の状況が厳しい状況にあるということは私も認識しておりますが、先ほど申したとおり、平成十年度の予算、それに関連する税法等の法案を成立させていただくことによって、平成十年度でも住民税、所得税の特別減税一兆円を実行に移すことができるわけでありますし、それにまた法人税の税率引き下げ等八千四百億円の減税も実行に移すことができるわけであります。そしてまた金融システムの安定化も進んでまいります。そういったことを総合的に実行していくことによって経済は回復してくる、こういうふうに見ておるわけでありまして、厳しいことは厳しゅうございますけれども、後世代に多額の借金は引き継がないという考え方に立って、そして財政再建も、つらいことはありますけれども実行していかねばならぬ、こう思っているところでございます。
#157
○直嶋正行君 こういうやりとりをして、今のような答弁が出ますと本当にむなしくなるんです。
 御存じですか、今経済アナリストの間ではこういうことが言われているんです。予算が成立した後、政府は第一次平成十年度補正予算を組むだろう、経済対策をやるだろう、だけれどもそれは恐らくきちっと効果が上げられないだろう、だから多分ことしは第二次補正予算まで組むことになるんじゃないか、こういうことが今巷間言われているんです。ですから、今の大蔵大臣のお話は、意気込みはわかるんです、意気込みはわかるんですが、私はそれは今の経済実態から見ると本当にかけ離れたお話をされている、このように思います。このことを申し上げておきたいと思います。またこの問題は改めてやりたいと思います。
 ちょっと厚生省、厚生大臣に医療についてお伺いをしたいと思います。
 ことしの厚生省予算の中で、医療費の削減ということで、九八年度は前年度比マイナス一・一と、こういう数字が出ているんですけれども、その削減の主要な内容は、薬価の改定による千九百五十億円の削減効果、これが一番大きいんです。実は私、これまでの薬価改定と薬剤費、この関係を調べてみましたが、薬価の改定というのはこの十年間の間に何回もなされているわけですね。五%ぐらいから一〇%のときもありました。しかし、例えば昭和六十年以降平成七年までの十年間のデータで見ると、それだけ薬価を改定しても薬剤費がマイナスになったことはないんですね。昭和六十年の薬剤費は四・六兆円です。平成七年の薬剤費は七・五兆円、三兆円弱ふえているわけです。その間の薬価の切り下げは約四〇%。
 こういう実績を見ると、なぜこういうことになるのかというのもあるんですが、この千九百五十億を削減するというのはとても不可能じゃないかと思うんですが、いかがでございましょうか。
#158
○政府委員(高木俊明君) 今、先生の読み上げられた数字でありますが、確かに昭和六十年が四・六兆円、それから平成七年が七・五兆円であります。平成八年を見ますと七・四兆円ということでマイナスになっております。これをちょっと一言申し上げたいと思います。
 それから、今回の予算に盛り込みました薬価の引き下げでありますが、これは九・七%引き下げております。そのほか医療材料も引き下げを図りましたので、そういった意味では国庫負担ベースで千九百五十億円の縮減を盛り込んでおります。
 これまで確かに大幅な薬価の引き下げをずっとやってまいりましたが、そういった中で、先生の今御指摘のとおり、それほど下がっていないじゃないかということはそのとおりでございます。
 そこで、その要因でありますが、一つは、やはり薬の使用量がどうしても非常に増加する傾向にあるということ、それからもう一つが、高い薬、高薬価の薬にシフトする、いわゆる高薬価シフト、この二つが大きな原因だというふうに見ております。
 昨年九月に健康保険法の改正をお願いいたしまして、薬についても新たに一部負担をお願いいたしました。そういった中で、これが九月以降の傾向等を見ておりますと、やはり多量使用というものについての是正傾向が見られます。もう一方の高薬価シフトでありますが、これについては先般の一部負担では必ずしも解決をするというふうに私は思っておりません。
 しかし、今回の改正で、いわゆる薬価の引き下げ方の一つとしまして加重平均に一定の幅を乗せた形の薬価の決定をしておるわけでありますが、その際の幅を、従来一〇%乗せておりましたのを半分の五%に大幅に引き下げました。そういった中で、これまでよりもはるかに薬価差というものが発生しないような仕組みになっておりますから、そういったようなことを考えますと、高薬価シフトというものもかなり制限されてくるだろうというふうに思っております。
 それからまた、九月以降の医療費の動向を見てみますと、かなり落ちついていると申しますよりも、むしろマイナスになってきておる、大幅に落ち込んでおる、こういうふうな動向が見られます。
 こういったような傾向等を考えますと、私どもとしましては、平成十年度に盛り込んだこの縮減というものは実現できるというふうに見通しております。
#159
○直嶋正行君 今いろいろなことをおっしゃったんですが、例えばR幅の話も、五にしたということなんですが、そういう意味ではもう限界に来ているということなんですね。
 そういうことも含めますと、今のお話にあったように、ぜひ実現していただきたいと思いますが、難しいという御意見も多々あるということも御紹介をし、あと厚生大臣によろしくお願いを申し上げまして、時間が来ましたので、私の質問は終わりたいと思います。
#160
○委員長(岩崎純三君) 以上で直嶋正行君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#161
○委員長(岩崎純三君) 次に、日下部禧代子君の質疑を行います。日下部禧代子君。
#162
○日下部禧代子君 よろしくお願いいたします。
 四月一日から新日銀法が施行されます。日銀法は戦時立法であったというふうに聞いております。今日まで大変な国際情勢あるいはまた我が国の特に金融、経済の事情が大きな変化を、戦後五十年あるにもかかわらず、今日まで抜本的な改正がなされていなかったということに驚きさえ感じるわけでございますが、とにかく新日銀法がスタートするわけでございます。
 そこで、総理にお伺いいたしますが、改めて日銀法改正の意義をどのように分析していらっしゃいますか、お聞きしておきたいと思います。
 また、この新日銀法によって、今日のような汚職の構造あるいは総理のお言葉で申し上げますと汚職の土壌というものが断ち切られるようなことが考え得るのかどうかということもあわせてお尋ねしたいと存じます。
#163
○国務大臣(橋本龍太郎君) 四月から施行されます新日銀法、これは議員からも今触れられましたように、今とは社会情勢すべてが非常に異なっておりましたときにつくられたそのままの運用でまいった、その古い体質というものを変える、そうした思いの中で、中銀研が作業をされ、金制でこれをより練り上げていただきまして、その中に日本銀行の開かれた独立性という基本理念を新たに打ち出していただきました。そして、日本銀行の金融政策における自主性の尊重、そして意思決定の透明性の確保ということが明定されております。
 特に、議員からも今触れられましたけれども、不祥事がありましただけに、日銀に対する国民また金融市場の信認を確保していく、そのためには意思決定の内容だけではなくその過程が国民に明らかにされる、こうした説明責任というものを果たすことが非常に重要になっております。
 そして、その責任を果たし得る仕組みは用意したと私どもは考えておりまして、新総裁、副総裁のリーダーシップのもとに、二十一世紀の金融システムの中核にふさわしい中央銀行に生まれ変わる、その中で改めて信認を確保していただくことが重要だ、そのように考えております。そして、その期待をまた果たしていただけるとも思っております。
#164
○日下部禧代子君 速水総裁、大変御多忙のところ御出席いただきましてありがとうございます。
 日銀総裁に御就任のお祝いのお言葉を申し上げるべきでございますが、きょうはそのかわりに、どうもこれからお尋ね申し上げますことは裏腹なことのようになってしまいますのが大変残念に思うわけでございます。
 お聞きするところによりますと、総裁は非常に率直で歯切れのよい御発言で有名でございます。お答えにくいとは存じますが、明快にお答えいただければと期待しております。
 ところで、大蔵省の相次ぐ接待汚職が国民から批判されているさなか、いわゆる通貨の番人と言われる日本銀行からも逮捕者が出てしまいました。金融調節という金融政策の根幹に絡むそこでの機密漏えいでございます。インサイダーという言葉を使ってもよろしいと思うんです。金融市場の信認を裏切る重大なルール違反でございます。これは歴史的にも国際的にも例のない極めて深刻な事件だというふうに思います。
 総裁はイギリスを初め海外に長い経験をお持ちでいらっしゃいますが、外国におきましては金融機関にかかわる不祥事、特にインサイダーに対する罰則というのは極めて厳しいものがございます。そこで、前総裁は、吉沢証券課長が逮捕されましたときに記者会見で、今回の事件は日銀の構造的な問題ではなく、ごく一部の関係者の問題であるというふうな趣旨の御発言をされていらっしゃいますが、新総裁は果たして個人的な事件というふうにお考えか、あるいは構造的な問題だというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#165
○参考人(速水優君) 前総裁が確かに、日本銀行の大多数の職員は非常にまじめに職務に従事しておりまして、今回のようなことは行内一般的に起こっているわけではないという趣旨をお答えしたと理解しております。私自身、過去日本銀行に籍を置いた経験もございますし、この点につきましては前総裁と同様の認識を持っております。
 ただ、前総裁も述べておられましたように、これまでは外部の方との接触につきまして組織として明確なルールを定めていなかったということは、今振り返りますと反省すべき点ではなかったかというふうに思います。私としては、こうした状況を踏まえまして、一刻も早く日本銀行の内部の立て直しを進めて国民の信頼、信認を取り戻すことが極めて重要であるというふうに考えております。
 私の年来の持論は、中央銀行というものは一国経済の良心であるべきであるというものでございます。そうした観点に立ちまして、私は役職員に対して、国民から広く信頼を得るために職務に誇りを持ってみずからの良心に恥じない行動をするように求めたところでございます。日本銀行の役職員一人一人がそうした強い気持ちを持って、新しい日銀法のもとで与えられた使命を果たすべく全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 よろしくお願いいたします。
#166
○日下部禧代子君 総裁は、三月二十三日の本委員会におきまして、決別すべき過去からははっきり決別して、名実ともに新しい日銀をつくり上げていきたいというふうにお述べになっていらっしゃいます。また前総裁は、過去のいろいろな問題に対する解決は、四月一日の新日銀法施行の前までに処理しておくべきだというふうにもおっしゃっていらっしゃいます。
 そこでお伺いいたしますが、過去における問題、決別すべき過去ということは具体的にどのようにお考えでいらっしゃるのか。まず、それでは信頼回復に向けてどこから手をつけていくというふうにお考えでいらっしゃいますか、具体的に挙げていただきたいと存じます。
#167
○参考人(速水優君) 今般、日本銀行の職員が逮捕される事態に至ったということは本当に遺憾でございます。私としましては、今般の不祥事を率直に反省して、一刻も早く日本銀行内部の立て直しを図って国民の信頼を回復していかねばならないと認識をしておるわけでございます。
 そこでまず、過去の問題を洗い出すという意味で、これまでの外部の方との交際の実態をしっかり把握しておくことが重要であるということで、現在私どもでは役員及び管理職全員を対象として内部調査を実施いたしております。私どもとしては、捜査対象となっている事案あるいはその内部調査の結果を踏まえて事実に即して厳正に対処してまいりたいと思っております。
 また、今般の不祥事に関しましては、外部の方との接触に当たって組織として明確なルールを定めていなかったということが一つの原因であったと認識しております。既に前総裁のもとで「服務に関する準則」というのと「日本銀行員の心得」というのを定めまして、その中で職務上の関係者との無償の会食などを原則禁止したところでございます。今後、こうした規則、心得を徹底することにより、一層厳格な規律保持に努めてまいりたいと思っております。
 さらに、法令遵守の観点から、業務執行体制のあり方を議論いたしますために、法律専門家等の第三者を交えました遵法をチェックする委員会、コンプライアンスと言っておりますが、これを行内に設置いたしまして、透明性、厳格性をより一層高めるよう徹底してまいりたい。これは月中にも発足させようと思っております。
 以上が当面取り組んでおる対応でございますが、私としましては、これらにとどまらず、これまでの日本銀行の運営上何が問題であったかということを徹底的に洗い出して、必要な改善策を講じてまいりたいと考えております。
#168
○日下部禧代子君 前総裁は、いわゆる営業局を変える、それの構造的な変革をしなければならないということで、営業局という名称を金融市場局に改めるというふうなことをおっしゃっていらっしゃいますが、この点、今どのように進んでおりますか。
 それからまた行内の調査、三月末をめどにそれなりの整理をしたいというふうなお言葉がございましたけれども、その進捗状況はどうなっておりますか。いつ第一次調査を公表なさるのでございましょうか。
#169
○参考人(速水優君) 内部機構の改革につきましては四月一日付でいたすつもりでおります。今御指摘の営業局を金融市場局に変えることを初めといたしまして、全面的な改革が進んでおります。
 それから、内部調査がどこまで進んでいるかということでございますが、外部の方との交際の実態を把握するということで、役員及び管理職全員を対象に過去五年間にわたって取引金融機関との交際実態につきまして調査をいたしております。現在おおむねそのヒアリング結果がまとまりつつある段階でございます。これも近く発表できるかと思いますが、今後、この結果を踏まえてさらなる調査を必要と認められるものにつきまして、法律専門家など第三者の力をおかりして調査に当たる予定を持っております。
 私としましては、できる限り早期に調査結果を取りまとめ、しかるべき形で御報告できるように督励しているところでございます。
#170
○日下部禧代子君 今、しかるべきとおっしゃいましたけれども、具体的にはどのような公表の仕方をなさるのか。ぜひ公表なさいますときには私のところにもお届けくださいますようによろしくお願いいたします。
 ところで、新日銀法について、まず大蔵省にお尋ねしたいのですけれども、大蔵省及び大蔵大臣の認可及び承認を必要とする事項を挙げてください。
#171
○政府委員(山口公生君) お答え申し上げます。
 新日銀法におきまして、大蔵省の認可事項は次のようなものでございます。
 第七条第二項及び第三項による支店等の設置などの認可、第十一条第二項による定款変更の認可、第三十九条第一項による資金決済の円滑に資するための業務の認可、第四十三条第一項による他業の認可、第五十一条第一項による経費に関する予算の認可、第五十三条第二項及び四項による準備金の積み立てまたは剰余金の配当の認可でございます。
 承認事項につきましては、第四十九条第一項による日本銀行券の製造及び消却の手続の承認、第五十二条第一項による財産目録、貸借対照表及び損益計算書の承認。
 以上でございます。
#172
○日下部禧代子君 私がチェックいたしましたら、このくらいたくさんございまして、まだ少しあるような気がするのでございますが、時間がございませんので。
 今、大蔵省に挙げてもらいましただけでも大蔵省の認可というのが随所に残されています。そしてまた、大蔵省の裁量権が非常にまだ幅広く認められております。さらに、日銀の業務が相当に限定されているという点も私この新日銀法をチェックして感じたことでございます。
 一体、これで日銀の独立性というものが高まったというふうなことが言えるのかどうかという点について、総理、大蔵大臣にお尋ねしたいと思います。
#173
○国務大臣(橋本龍太郎君) 議員がお調べになってこんなに残っていると言われました件数がどれぐらいなのかわかりませんが、少なくとも私は、主務大臣が持っておりました広範な業務命令権が廃止されましたこと、また日銀総裁等に対する解任事由の限定、言いかえますと、政府と意見が違うということを理由に解任することはできない、こうしたことは大変大きな独立性の強化だと思います。あるいは政府代表委員制度も廃止をいたしました。また、日銀監理官制度の廃止もいたしました。立入検査権も廃止をされたと承知をしています。ほかにも多分幾つかのものがあるだろうと思いますけれども、今列挙いたしましただけでも、私は日銀の立場というものは非常に強化された、そのように思います。
#174
○国務大臣(松永光君) 今、総理から述べられたとおりでありまして、四月一日から施行される前の日銀法、現在の日銀法には、業務命令権とか、あるいはまた政府の方針に反する場合の解任権とか、そういう強い権限がありましたけれども、それが全部なくなって、そして認可権とか、あるいはまたそういった権限というものは、先ほど局長が申し述べました大体六項目に限定的に定められているということでございますので、日銀の独立性は大幅に確保されることになったというふうに見ておるわけでございます。
#175
○日下部禧代子君 どうしても日銀が大蔵省の認可法人であるということがございます以上は、我が国の法体系では主務官庁のもとに認可法人は置かれるという大前提が、つまり枠が課されるということではないかと思うわけでございます。その枠の中での独立性ということになると思うわけでございます。
 ですから、本当の意味での独立性を日銀が確保するということであれば、例えば会計検査院のような独立機関というふうなことにして、そして国会に対してすべての責任を負うと。例えば、政策委員会の国会に対する報告も大蔵大臣を経由するというふうになっています。これは第五十四条でございます。これは直接国会に報告するというふうな形になる方がさらにその透明性というものが高まる、そして日銀の独立性も高まるというふうに思いますが、総理、いかがでしょうか。
#176
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、私が申し上げましたようなことは、日銀の独立性がこの四月一日から高まるというまさに具体的な例示だと思います。その上で、今お尋ねになりましたような問題点、これは例えば新日銀法におきまして、業務の適正あるいは効率性の確保を図るというところから経費認可などに限り一部の権限が政府に残りました。
 また、日本銀行の業務状況の国会報告、これは公正取引委員会などの立法例を踏まえて、内閣の構成員である主務大臣を経由するという形をとりました。報告書の提出は、年一回という現行のルールからおおむね六カ月に一回、そして求めに応じてという言い方はちょっと国会に対して失礼かもしれませんが、国会からの御要望があれば日銀総裁など、きょうも出席していただいておりますけれども、国会に出席して業務の状況などを説明することが義務づけられている。
 私は、国会や国民に対する説明責任は適切に果たされている、そのように思います。そしてむしろ、余り日銀総裁が国会にくぎづけにならずに業務に専念する時間ができるだけ多いようにと、余計なことでありますけれども、そんな思いすらいたしております。
#177
○日下部禧代子君 私は、日銀の独立性、やはりそれは大蔵省の傘のもとにまだあるというふうな気がしてならないわけでございますが、時間がございませんので、また改めて議論をさせていただきたいと思います。
 ところで、村岡官房長官が秋田の御講演のところで金融監督庁のことについてお触れになりました。その点、もう少し詳しくお聞きしたいのでございますが。
#178
○国務大臣(村岡兼造君) お答えをいたします。
 どうも久しぶりに帰った秋田で講演いたしますといろんなことのお尋ねがあるわけでございますが、金融監督庁の金融検査官を将来千人ぐらいに増員したらどうか、こういう発言をいたしました。これは別に総理とも大蔵大臣とも協議したわけではなく、私の持論であります。
 実は、おととしでございましたか、住専という問題がありました。また、今回の金融関係のこの不良債権及び不祥事、こういうことになりまして、いろいろ聞きますと金融検査官はおおよそ二百五十人ぐらいしかいない、それで金融機関に四年に一遍か三年に一遍しか行っていない。そういうことであるならば、実は千人ぐらいにすれば一年に一度は行けるであろうと。ただ、これは専門家でございますから直ちにそんな急に一遍で千人と、多くの学者の人もいる、そういう意見も入っているということで、そうしたらいいんじゃなかろうか、こういう発言をしたところでございます。
 ただ、総理の方はまだ私よりも大変わかっておりまして、いろいろ検査方法を変えたらどうかとか、ただ単にふやすだけではなく、ルールを変えて銀行の方でチェックさせて、そして悪いところはここだ、こういうことをしたらどうか、その上で足りないというなら増員してもいいじゃないか、こういう総理の答弁もあります。
 ただ、今年度増員を要求しておりますが、金融監督庁二十一人の増員、それから地方の方で二十八人の増員はお願いをしているわけでございまして、個人的な意見を述べたにすぎない、こういうことであります。
 以上であります。
#179
○日下部禧代子君 私、何も長官の御発言を糾弾しようと思ったわけではございません。大変いい御発言をなさいましたということでございまして、もう少しあちらこちらでおっしゃっていただいてもよろしいのではないかというふうに思っております。
 この機会に、やはり大蔵検査、日銀考査のあり方というのも徹底的に見直すという今時期が来ているというふうに思います。総理もそのようなお考えもお持ちでいらっしゃると長官が今おっしゃいましたけれども。
 昨年、私はフランスに参りまして、フランスの銀行総裁、それからまた銀行委員会のフォール事務局長にもお会いする機会がございました。御承知のように、フランスではこういう銀行、金融機関のチェックというのは、特に銀行に関するチェックは銀行委員会がしているわけでございます。この銀行委員会の委員長というのはフランス銀行総裁がなっているわけでございます。日本のように大蔵省というチェックではないんですね。これは、最高裁判所の判事も委員の中に入っています。スタッフは約五百人ぐらい、長官のおっしゃったのよりちょっと少ないんですけれども、五百人ぐらいで、中央銀行から、バンク・オブ・フランスから派遣されている方がほとんどでございます。それから、外部の専門家も採用している、そういうところでございます。これは、イギリスの方もやはり検査・監督はイングランド銀行がやっております。
 ここで一つの提案でございますが、大蔵検査と日銀考査というのを一元化するというふうなことは考えられないのでございましょうか。これは、行政改革のあり方にも、趣旨にも非常に合うのではないか。そして、そこを非常に徹底するというふうな考え方はできないものでございましょうか。総理あるいは大蔵大臣の……。
#180
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私、ちょっと議員と意見を異にいたしますのは、今、日本における大蔵省と日銀の関係に対比してフランス中銀を例にとられました。しかし、フランス中銀の総裁トリシェは、私も個人的に非常に仲のよい友人でありますけれども、大蔵省の国庫局長、次官をたしか経由したと思いますが、中銀の総裁になりました。あるいはブンデスバンクのティートマイヤー、非常に論客でありますけれども、彼もドイツ大蔵省の次官からブンデスバンクのたしか理事に入り、副総裁、総裁になっていったと思います。
 しかし、これをもって、例えばブンデスバンクをドイツ大蔵省が、あるいはフランス中銀をフランス内務省がといったような言い方はどなたもなさりません。
 その上で、やはり大蔵省、日銀それぞれ検査、考査、違った目的を持って進めているものですから、私はこれは両方ともあった方がいいと思うんです。その上で、そのやり方は工夫する必要があると思いますし、同時にばらばらであることはよくない、これは考査の結果、検査の結果というものが連携して活用される仕組み、むしろそういう形にしていくべきじゃないでしょうか。金融監督庁が発足をいたしました後におきましても、私はむしろ両方違った目的で行われる検査と考査が有機的に使われるような、そうした工夫をすることの方が大事なように思います。
#181
○日下部禧代子君 私も、その点は、現体制でございましたら非常に重要なことを御指摘なさったと思います。ぜひとも情報交換、制度化をしていただきたいということを申し上げておきます。
 今のような状況の中でぜひとも、日本に今必要なのは思い切った改革ではないか、そうでなければ日本のさまざまな状況の中で世界の金融革命から取り残されてしまうのではないか。そういう重要なところで新総裁、新しいスタートを日銀が切るわけでございます。ぜひとも頑張っていただきたいということを新しい総裁に期待いたしまして、自己改革をお進めくださいますようにということを、そしてまた真の日銀の再出発を心から期待しております。
 きょうは本当にありがとうございました。
#182
○委員長(岩崎純三君) 以上で日下部禧代子君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 残余の質疑は午後に譲ることといたします。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   正午休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#183
○委員長(岩崎純三君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成十年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。加藤修一君。
#184
○加藤修一君 公明の加藤修一でございます。
 まず最初に、我が国の危機管理体制について、具体的に東海地震関連についてお伺いしたいと思います。
 国土地理院が先月中旬に東海地震に関して地震調査研究推進本部に報告をしたところによりますと、静岡県浜岡町の水準点二五九五のいわゆる経年変化、それに停滞傾向が見られると、そういう報告についてその概要を説明していただきたいと思います。
#185
○国務大臣(谷垣禎一君) 阪神・淡路大震災をきっかけに総理府に地震調査研究推進本部が発足いたしまして、科学技術庁長官、私でございますが本部長を務めております。そして、この推進本部のもとに地震調査委員会というのがございまして、毎月定例会を開いて日本全国の地震活動に関して評価を行っているところでございます。この地震調査委員会に対しましては、国土地理院から掛川―御前崎間の水準測量の結果が三カ月ごとに報告されております。それで、この水準測量結果の推移が想定される東海地震の発生と密接な関係を持つものであるというふうに考えているわけでございます。
 今、先生が御指摘になりました二月に開催された地震調査委員会では、提出されましたデータを検討いたしまして、その結果、「掛川―御前崎(浜岡)の水準測量によれば、一九九二年頃からの御前崎側沈下の鈍化傾向が続いているように見える。」と、こういう見解を取りまとめて公表したところであります。
 今後とも、東海地域の各種の調査観測結果は注意深く見守っていかなければならないと考えております。
#186
○加藤修一君 ただいま答弁がありました中で、いわゆる鈍化傾向が見えるというのは、地震学的にどういう知見でございますか、どういう見解ですか。
#187
○政府委員(青江茂君) 御説明申し上げます。
 水準点につきましてでございますけれども、いわゆるプレートテクトニクスという理論によりますと、その沈み込み、御前崎地域でございますとユーラシア大陸側に対しましてフィリピン海側のプレートが沈み込んでおる、それがずっと沈み込みまして、それに伴いまして水準点は下がってくるわけでございますけれども、その先が、固着の状況が外れてまいりますとそこに地震が発生する、こういう考え方で理論が形成されておるわけでございます。そこのところの沈み込みの状況がとまってきますと、今度ははね上がるというところの一つ前の現象というふうなことが一つ考えられてございます。
#188
○加藤修一君 その答弁をもとにして申し上げますと、では地震が発生する、発生しないという点から考えた場合はどういうふうに具体的に言えますか。
#189
○政府委員(青江茂君) 地震が発生する、予知ということ自体につきましては、先生御案内のとおり非常にいろいろな問題というものを抱えておる状況にあるわけでございますけれども、前兆現象のうちの一つということにつきましては、いろんな角度からの問題としましてあるわけでございます。
 ただ、それが直ちに地震への、どう言いましょうか、近い将来におきましての結びつきということにつきましては、もう少し事態の推移といいましょうか、そういったものを見守る必要があるのではないか、かように考えているところでございます。
#190
○加藤修一君 昨年の十二月十八日に首相官邸である種の会合が行われたということですけれども、参加メンバーが、警察庁、内閣情報調査室あるいは気象庁の幹部等々含めて、さらに溝上地震防災対策強化地域判定会会長も出席したという報道でありますけれども、その会合の趣旨、目的、議論の内容についてお伺いしたいと思います。
#191
○政府委員(山本正堯君) お答えを申し上げます。
 昨年の十二月十八日に、官邸におきまして、地震活動に関する勉強会としての関係者の会合が開かれたわけでございます。出席者は、関係省庁並びに官邸の関係者ということでございます。
 この勉強会は、当時、年末年始を控えた時期でございますので、いつ発生するかわからない災害に十分な備えをするとともに、地震活動に関する専門的な観点からの状況説明を専門的知見を有する方々からお聞きをし、その理解を一層深めるために官邸関係者を初め関係各機関が集まって勉強会として開催したものでございます。
#192
○加藤修一君 溝上会長の報告と先ほど報告がありましたその報告、それをどのように認識していますか。
#193
○政府委員(小野俊行君) 東海地域の状況でございますけれども、東海地域及びその周辺におきましては、一九九〇年代に入りまして以降、陸側のプレートとそれに向かいまして潜り込んでまいりますフィリピン海プレートの間の固着域と言っておりますが、これは東海地震が発生した場合に地震波の大きなエネルギーが放出されると推定される領域でございますけれども、この固着域を取り囲むようにマグニチュード四以上の地震が十九個発生しております。
 特に、平成八年十月五日に発生いたしました静岡県中部の地震は、この固着域におきましてプレート間の固着の状態が変質していることを示しているとも解釈されております。また、静岡県御前崎の沈降に見られますように、フィリピン海プレートの沈み込みによるひずみエネルギーが蓄積され続けていることを示しております。御前崎の国土地理院の水準測量結果につきましては、沈降が鈍化しているという傾向も見られるということから、今後の推移を注意深く見守ることとしております。
 しかしながら、現時点におきましては、地殻岩石ひずみ計等その他の監視データにつきましては異常な変化は観測されておりません。
 なお、溝上地震防災対策強化地域判定会会長は、当庁の今申し上げましたような現状認識を踏まえまして、かつ関係方面に専門家の立場から東海地震のメカニズムにつきまして解説したものでございます。
#194
○加藤修一君 ある種の報道について、こういった状況を踏まえた形で、いわゆる緊迫しつつあるか、あるいはちょっと表現があれですけれども、なかなか危険な状態に入っているという判断もしているような報道もされておりますけれども、今の報告を含めて政府として今後どのようにこの問題について対処していこうとされているのか、総理、お願いいたします。
#195
○国務大臣(亀井久興君) お尋ねの東海地震についてでございますが、大規模地震対策特別措置法に基づきまして、地震防災対策強化地域を指定いたしております。そして、観測体制の強化が図られ、気象庁におきまして総合的な監視が行われているところでございます。
 気象庁長官から地震予知情報が内閣総理大臣に報告され、内閣総理大臣が必要と認めたときは警戒宣言を発して地震防災応急対策を実施することになっております。そのほか、地震防災計画の作成や施設の整備など地震防災対策の強化が図られているところでございます。
 東海地震に関しましては、昨今、幾つかの報道等がなされていることは承知しておりますが、ただいまの気象庁の御答弁にもありましたように、最近の東海地域の地震活動としては、観測データの異常は見出されておらず、地殻活動等の推移を注意深く監視している状況であるとの説明を受けておりまして、国土庁といたしましても関係機関との連携を図りながら的確な対応を図ってまいりたいと考えております。
#196
○加藤修一君 言葉を選んで話をしなければいけないわけですが、仮の話ですけれども、仮に緊急警告、秒読み何々大地震、そういったことになった場合、あるいは報道された場合、国民に与える動揺というのが心配されるわけですが、そのためにはやはり国や自治体が正確な情報を国民に流さなければいけない。そういった意味では、どういうふうに流すかというのは大変難しい問題なわけですけれども、この辺について政府の対応はどのようにお考えでしょうか。
#197
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今議員も言葉を選んで御質問いただきましたけれども、まさに地震に関して誤った情報で国民に無用な動揺を与える、これは決してあってはならないことでありますし、同時に、何らかの予知をした場合にきちんとそれをお知らせすることも非常に重要、言いかえれば正しい情報を国民に広く広報させていただく、その重要性は十分に認識をしているつもりでございます。
 殊に、阪神・淡路大震災という非常に大きな犠牲の上で成立をいたしました地震防災対策特別措置法におきましてもこの重要性をうたっていただいております。この法律に基づいて発足をいたしました地震調査研究推進本部におきまして最新の調査観測の結果を踏まえて科学的な知見に基づいて地震活動の評価を行う、その評価結果につきましては報道機関や自治体に説明するとともに、インターネットなどによりまして広く国民へも周知を図っております。
 今後ともに、国民に無用な動揺を与えることのないよう正確な情報をいかにお知らせするか、その点については努力をしてまいりたいと思っております。
#198
○加藤修一君 仮に阪神・淡路大震災のような、あるいは関東大震災のようなものが起こる以前に当然事前の対策というのがとられていなければいけないわけですけれども、この件に関しては政府としては万全だと考えていらっしゃいますか。どういうふうに判断したらよろしいですか。
#199
○政府委員(山本正堯君) お答えを申し上げます。
 大規模災害が発生した場合には、被災状況に関する的確かつ迅速な情報収集・伝達、あるいは各般にわたる災害応急対策を総合的に調整して、一丸となって対策を実施していくことが何よりも重要でございます。
 私ども、その教訓を踏まえまして、大規模地震災害が発生するに際しまして、一次情報の収集でございますとか、情報伝達体制の整備でございますとか、初動体制を整えておくというのが大変重要なことであろうと考えておるところでございます。
 したがいまして、災害対策基本法を改正し、あるいは災害防災基本計画を改定いたしまして可能な限りの体制を整えておる、こういう状況でございます。
#200
○加藤修一君 よもや阪神・淡路大震災のときのようなことは決して起こらない、そういう理解でよろしいですね。
#201
○政府委員(山本正堯君) 阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして法律の改正、体制の整備等を図っておるところでございます。私ども、最大限の努力をしてまいりたいというように考えているところでございます。
#202
○加藤修一君 しっかり対応策を考えていただきたいと思います。
 それでは次に、銀行の不良債権問題について一問だけ質問いたしたいと思います。
 公的資金投入ということで、銀行二十一行のうち十八行が新基準によります不良債権額についてまだ公表されておりませんが、これはいつ公表するわけでしょうか。五月ぐらいにならないと決算が確定しないという話がありますけれども、いわゆる公的資金の受け入れの前提条件として不良債権を公表する、これは非常に重要なことだと思います。私は一日も早く公表するようにしていただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。
#203
○政府委員(山口公生君) お答え申し上げます。
 先生御指摘いただきましたように、今回の公的資金の導入に際しまして、健全性の確保のための計画にディスクロージャー、特に不良債権のディスクロージャーを求めたわけでございますが、ほとんどの銀行は今の基準で出しております。
 新しい基準といいますのはそれをまた拡張した基準で、これは今度の三月期から適用ということにしておりますので、それが決算としてまとまりますのが五月でございますので、そのときから出てくる。すると、今出している数行は見込みで、仮に計算すればということで出してきておりますので、五月になりますと全銀行が新しい基準でもディスクロージャーをするということになるわけでございます。それまでは数字が確定できないという事情にございます。
#204
○加藤修一君 一日でも早くその辺の情報について明確に開示をするよう要求しておきたいと思います。
 不良債権問題については、単に銀行に限らず大手ゼネコンとか保険会社、さまざまあるわけでございますけれども、さらに個人の消費の関係で考えていきますと住宅ローン、これもそれに当たるように私は思います。住宅ローンが払えなくなるケース、最終的な自己破産をしてしまう事例が非常に多くなっている。
 そういった観点から考えていきますと、この辺についてもそれなりの対応策を考えていかなきゃいけない、そういうふうに考えているわけでございますけれども、住宅ローンにつきまして、いわゆる住宅金融公庫の最新の貸付金の残高、延滞債権件数、さらに延滞債権金額、それについて最近の傾向も含めてお願いいたします。
#205
○政府委員(小川忠男君) お答えいたします。
 住宅金融公庫の貸付金の残高でございますが、八年度末の時点で約七十兆一千億円でございます。
 このうち、いわゆる延滞債権、六カ月分以上延滞している状況を指しますが、これは八年度末で件数にいたしまして一万五千八百件、金額にいたしまして二千百五十五億円でございます。
 また、この件数は七年度末、一年前に比べまして、件数、金額ともに約一〇%の増加というふうな状況でございます。
#206
○加藤修一君 代位弁済はどうですか、代位弁済の方は。
#207
○政府委員(小川忠男君) 失礼いたしました。
 融資保証協会の代位弁済の件数、金額等でございますが、平成八年度末で件数にして約九千六百件、金額にして一千三百億円の代位弁済の結果になっております。
 また、その傾向でございますが、七年度に比べまして、それぞれ件数にして一千件、約二百七十億円の増加というふうな状況になっております。
 以上でございます。
#208
○加藤修一君 最近の傾向についてどうですか。最近二、三年間の傾向は。
#209
○政府委員(小川忠男君) 代位弁済につきましては、延滞よりは結果的にはそれほどふえていない。むしろ、代位弁済には至らないんですが延滞をされるという方の増加の方がやや大きいというふうな状況でございます。
#210
○加藤修一君 住宅金融公庫につきましては今話があったわけですが、年金福祉事業団、厚生省が所管だと思いますけれども、この点についてはどうでしょうか。
#211
○政府委員(矢野朝水君) お答え申し上げます。
 年金福祉事業団によります被保険者住宅融資でございますけれども、平成八年度末現在の貸付残高は十兆一千九百十億円でございます。
 それから、延滞件数でございますけれども、千七百五十三件、金額は百十四億円となっております。
 それから、代位弁済でございますけれども、平成八年度が三千六百三十六件、金額にしまして二百六十億円でございます。
 それから、ここ数年の傾向でございますけれども、延滞債権は増加傾向にございます。
#212
○加藤修一君 いずれにしても大変な不良債権の増加ということが言えるわけですけれども、住宅金融公庫のいわゆるゆとり返済、これについて説明いただけますか。
#213
○政府委員(小川忠男君) ゆとり償還制度でございますが、これは利用者の初期負担の軽減を図るというふうな観点から、借り入れた直後五年間の返済額を本来の償還期間よりも長い期間で償還をしていただくというふうな仮定の条件のもとで計算した制度でございます。
 したがいまして、当初五年間の返済額は当然少なくなりますが、その裏側としまして六年目以降は相対的に返済額がふえる、こういうふうな制度でございます。
#214
○加藤修一君 これは例えばの話ですけれども、一千五百万円を二十五年ローンで借りたときには、初めの五年間は四万八千円の返却でよろしいですけれども、六年目以降は九万円という倍になる返済になっていて、非常にこれは借りている方にとっては大変な状態になっているということで、先ほども話がございましたように不良債権というか、そういう状況になっているわけです。
 年金住宅融資の関係、これにつきましては返済期間の延長措置は考えていないんでしょうか。
#215
○政府委員(矢野朝水君) お答え申し上げます。
 年金住宅融資につきましても、住宅金融公庫と同じように返済期間の延長を図る必要があると認識しておりまして、現在事務的に折衝中でございます。
#216
○加藤修一君 その辺について延長の措置を至急やるようにお願いしたいと思います。
 それでは、次に環境問題に入っていきたいと思います。
 昨日もほかの委員が環境問題について取り上げ、ダイオキシンについても取り上げておりますけれども、環境ホルモンの中でもDDT、PCB、これについてもその疑惑がかけられているわけでございますが、DDT、PCB、これに関しまして、その暴露症状、使用、生産の現状、さらに汚染の状況、それについて説明をいただきたいと思います。
#217
○政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。
 DDTの暴露による症状につきましては、人の例では、食欲不振、体重減少、肝腎障害、皮膚障害等が見られるとの報告がございます。
 DDTの規制状況についてですが、昭和四十六年、農薬としての登録が失効されまして、農薬としての使用が中止されております。また、昭和五十六年には、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、いわゆる化審法に基づきまして、環境残留性が高く、生物の体内に蓄積されやすく、継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれがあるものとして第一種特定化学物質に指定されまして、製造等に関し許可が必要となり、現在我が国においては使用が禁止されております。
 DDTの環境残留状況につきましては、経年的に調査を行ってまいっておりますが、その調査結果によりますると水質からの検出はなされておりません。また、底質及び魚介類、鳥類等の生物からは検出されておりますが、その検出率は減少傾向にあるというふうに考えられております。今後とも環境残留状況の推移を監視してまいりたいと考えております。
 二点目、PCBでございますが、PCBにつきましては、暴露の症状といたしましては、人の例では、製造過程でPCBが混入いたしました米ぬか油を食して発症いたしましたいわゆるカネミ油症事件が知られておりまして、こうした油症がございます。その症状といたしましては、吐き気、無気力、皮膚への色素沈着、皮膚障害、消化器障害、胆肝障害等が挙げられております。
 PCBは、昭和四十九年にいわゆる化審法の第一種特定化学物質といたしまして、製造、輸入、使用が原則として禁止されております。
 PCBを含む廃油及びPCB汚染物は、廃棄物処理法に基づく特別管理廃棄物に指定されておりまして、特別な管理体制に置かれております。処理体制が整備されるまでの間、事業所等で保管されている状況にございます。
 PCBは、水質については近年検出されておりませんが、分解しにくく、また生物における蓄積性が高いという性質のため、製造が禁止されてから二十年以上たった現在でも底質や魚介類、鳥類等の生物から検出されておりまして、依然として環境中に広範に残留しております。
 以上でございます。
#218
○加藤修一君 ただいまの答弁にございましたけれども、いわゆる環境中に残留している、残っている。魚介類にも残っている。そういった意味では非常にこれは重大な問題だと思うんです。しかも、それは体内に入って蓄積性を持つという話でございますから、仮に一兆分の一であろうとも環境ホルモンということであったとした場合には、そういった微量であったとしても大きな影響を与えると言われているわけでございますから、非常に重要な問題だと思います。
 そういった点について、厚生省、PCBの保管の状況、これについてはどのようになっていますか、あるいは処理の関係について、含めてお願いいたします。
#219
○政府委員(小野昭雄君) PCBの保管の状況でございます。
 私ども、平成四年度に調査を行ったわけでございますが、廃高圧トランス及びコンデンサーにつきましては二万八百二十七事業所におきまして十万六千九百九十八台、それから廃低圧コンデンサーにつきましては九十九事業所において約二十三万台、PCB入り廃感圧複写紙につきましては五百五十一事業所におきまして七百六十八トン、それから廃PCB等につきましては百五十二事業所において五千三百三十四トンが保管をされております。
 また、この調査によりますと、廃高圧トランス及びコンデンサーの七%に当たります六千四百七十四台、それからPCB入り廃感圧複写紙の四%に当たります三十四トンがそれぞれ不明、紛失していることが明らかになっております。
#220
○加藤修一君 今、紛失等の話がございました。あるいは、先ほど魚介類の中に含まれているという話もございました。しかも、この調査は平成四年ということでございますけれども、工場の倒産を含めてさまざまな状況、保管の状況が変わってきているというふうに言われておりまして、環境中に相当量汚染が進んでいるという報道もあるわけでございます。私は、これは再度調査すべきだと思いますけれども、厚生省はどうでしょうか。
#221
○政府委員(小野昭雄君) 廃棄物の処理、あるいはPCBに関します処理基準等の改正も考えておりますので、調査の実施を検討いたしたいと考えております。
#222
○加藤修一君 どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは次に、環境と経済の共生という視点から質問をいたしたいと思います。
 豊島問題、これはもう皆さん御存じのことなわけですけれども、この問題が起こって、いわゆる原状回復のコスト、これをだれが持つかということも非常に大きな課題になっているわけです。いわゆる事前に環境対策をしなかった、かなりいいかげんにやられてきたということから、後々その回復のために多大な費用を使わなければいけない、そういうことがいろいろなところであるわけです。とりわけ豊島、これについても今公害等調整委員会でさまざまな議論が行われているわけですけれども、この回復コストは一体どのように現段階で見積もられているか。
 さらに、水俣病、四日市公害裁判、新潟水俣病、それぞれの認定患者に支払った賠償金あるいは補償総額について説明をいただきたいと思います。
#223
○政府委員(下野省三君) 豊島の産業廃棄物の問題でございますが、この問題につきましては平成五年十一月、香川県豊島の住民から、廃棄物処理業者、香川県及び廃棄物を排出いたしました事業者などを相手方といたしまして、処分地に存在しておりますところの一切の産業廃棄物を撤去することなどを求めまして、私ども公害等調整委員会に調停申請が行われております。
 公害等調整委員会といたしましては、その後鋭意手続を進めました結果、昨年七月、申請人と香川県との間で、香川県が処分地に存する廃棄物、汚染土壌を中間処理することによってできる限り再利用を図り、廃棄物が搬入される前の状態に戻すことを目指すことなどを内容といたしますところの中間合意が成立したところでございます。現在、この中間合意に基づきまして、香川県が設置いたしました技術検討委員会において具体的な処理方法を各種検討しておるところでございます。
 お尋ねの廃棄物の撤去に要するコストということにつきましては、同委員会の結論に基づきまして決定される具体的な処理方法にかかわる問題でございますので、今後それによって決まってくるのではないかと考えておる次第でございます。
 なお、参考までに申し上げますると、公害等調整委員会がこの調停を進める中で行いました平成六年度の調査によりますると、約四十六万立方メートル、約五十万トンと推定されておりまする廃棄物につきまして、島内で、溶融方式という方式でございますが、溶融方式によって中間処理を行うケースで大体百六十億円前後の費用がかかるものと、こういう試算をいたしております。
#224
○政府委員(岡田康彦君) 後段の御質問についてお答え申し上げます。
 八代海沿岸で発生いたしました水俣病の認定患者に平成九年三月末までに支払われました補償総額はおおむね一千億円でございます。また、新潟水俣病の認定患者に平成九年三月末までに支払われました補償総額は約二百五十億円でございます。また、四日市ぜんそくの認定患者に平成九年三月末までに支払われました補償総額は約二百七十億円でございます。
 お尋ねの原状回復的な費用について見ますと、まず水俣病における水俣湾のヘドロしゅんせつ及び埋立事業の総費用は約四百八十億円、新潟水俣病の昭和電工の工場排水溝周辺の河川底質のしゅんせつ工事の費用につきましては一億円弱だというふうに聞いております。それから、なお四日市ぜんそくにつきましては、そもそも原状回復に当たる概念がないことから、私どもデータを持ち合わせておりません。
 以上でございます。
#225
○加藤修一君 いずれにしましても相当の原状回復コスト、数百億円がかかっているということで、やはり事前に環境対策を十分に行う、それによって後々かかる原状回復コストを回避することができるのではないかというふうに考えるわけですけれども、こういった問題につきましてはやはり製造業にかかわって生じるケースが多いわけでございます。
 その観点で通産省にお聞きしたいわけですけれども、規制とか経済的手法、そういったものを含めて、一層積極的に環境政策というものを進めていくことが私は必要ではないか。先ほどの費用の面を含めて御答弁をお願いしたいと思います。
#226
○国務大臣(堀内光雄君) お答えを申し上げます。
 先生御指摘のとおり、今の日本の緑豊かな環境というものを次の世代に引き継ぐということは非常に重要な我々の仕事でもございます。と同時に、持続可能な経済発展をこれまた片方で実現するということ、そういう両方が成り立つ経済社会を構築することが我が国の最も重要な課題ではないかというふうに思っております。
 そのために、産業公害問題や廃棄物問題などの環境問題を克服していくということに当たりましては、環境保全のためのコストを経済活動の中に適切に組み込んでいくということを考えていかなければならないと思います。そして、環境調和型の経済社会を実現していくということを基本的な視点に置きまして、環境保全と経済成長のバランスのとれた取り組みということを行ってまいりたいというふうに考えております。
 こうした認識のもとに、通産省としましては、まず大気の汚染、水質汚濁、そういうものの産業公害の防止に向けて、企業の公害防止設備の設置について金融、税制上の措置を講ずるようなことも考えながら、企業における公害問題への取り組みの支援を今までもしてまいってきております。
 また一方で、限りある資源を有効に活用していくということを考えますと、廃棄物を減量するということが必要であります。分野別のリサイクルシステムを構築するために容器包装リサイクル法、これはPETのリサイクルのものでありますが、もう既に実施をいたしておりまして着実な施行や、一方におきまして、今度は家電等の再商品化法案を今、国会に提出をさせていただいているところでございまして、積極的なリサイクル政策を推進いたしてまいる覚悟でございます。
 通産省としましては、今後ともこうした考え方に基づきまして環境調和型の経済社会の実現を最重要課題の一つとして積極的に取り組んでまいります。
#227
○加藤修一君 いろいろな話がございましたけれども、必ずしも十分に行われていない。その証拠に、やはりどんどん環境の汚染が進んでいるということは言えるわけなんですね。先ほど申し上げましたように、製造業が行っている行動それ自体が非常に問題がある、やはりもっともっと真剣になって通産省は対処していかなきゃいけない、私はそう思います。
 今問題になっているダイオキシンの件につきましても、あるいは非常に大きな問題として巷間言われるようになってきました環境ホルモンの問題にいたしましても、もとはと言えばそれは化学物質の問題でございまするし、それを扱っているのは製造業がほとんどでございます。そういった点を考えていきますと、非常に大きな役割が私は通産省にあると思いますので、本当に積極的にその辺について取り組んでいただきたいと思います。
 それで、ダイオキシンにつきましては昨日もほかの委員が取り上げたわけでございますけれども、いわゆる耐容一日摂取量、TDIの計測の対象というのは何でしょうか。
#228
○政府委員(小野昭雄君) TDIを検討いたします際に、人体に入ってきます主要な経路と申しますのは、空気、それから水、それと食べ物、これは魚、野菜等でございますが、大きくはその三つから計測をいたしましてTDIの検討に使っております。
#229
○加藤修一君 土壌についてはどうなんですか。
#230
○政府委員(小野昭雄君) 御承知のように、ダイオキシンは水に溶けにくいという性格を有しておりますし、土壌についているものが体内に入るということは通常想定いたしておりません。
#231
○加藤修一君 それでは、対象にコプラナPCBが入っていないというふうに理解しておりますけれども、どうなのでしょうか。
#232
○政府委員(小野昭雄君) コプラナPCBの扱いにつきましては、それをどのように扱うかという点に関しまして、WHO等専門機関でいろいろ現在検討がなされていると聞いております。まだ具体的な基準、国際的な基準がございませんので、この中には入れておりません。
#233
○加藤修一君 最近発表された統計によりますと、日本の大都市におきますダイオキシンの摂取量、それについては三・七二、さらにこのコプラナPCB、これはもうダイオキシン類というふうに学問の領域では考えているわけでございますけれども、それを加えていきますと八・七三になる。足してしまいますと十二・四五ということで、基準の値の十ピコを超えるわけですね。これについてどういう見解をお持ちですか。
#234
○政府委員(小野昭雄君) 御案内のように、ダイオキシン類というのは非常に異性体が多うございますので、一番毒性の強いものに換算をいたしまして評価をいたしております。先ほど御答弁申し上げましたように、コプラナPCBはどのぐらいの係数を掛けて換算すべきかという点がまだ国際機関でいろいろ御議論がされておりますので、そういった経過を見ながら、その結果も踏まえながら対応を考えてまいりたいと思います。
#235
○加藤修一君 厚生省としては具体的にどういう検討に入っているんですか。
#236
○政府委員(小野昭雄君) これに関しましては、国際的な知見、いろいろな知見がございますので、WHO等が主催いたします専門家会議に厚生省の研究所の職員等を派遣いたしまして情報収集に努めているところでございます。
#237
○加藤修一君 先ほどの答弁の中にWHOの話が出てまいりました。確かにそういう検討をやっているわけでございますけれども、日本も近々こういうことについて当然ダイオキシン類の中に入れて考えていくというスケジュールはあるわけですね。
#238
○政府委員(小野昭雄君) 現在、それらの問題につきましては厚生科学研究で研究者の先生方に研究を御依頼いたしております。その結果を踏まえまして対処したいと考えておりますが、その時期につきましては今のところまだ確定をいたしておりません。
#239
○加藤修一君 ただ、先ほど申し上げましたように、十二・四五という非常に重大な値です、重大な問題ですよ。もう一刻も早く私はコプラナPCBをそのダイオキシン類の計測値の中に加えてやっていくことを強く要求したいと思います。
 それでは次に、ごみの最終処分場の問題でございますけれども、ごみを焼却した場合に当然焼却灰が出るわけでございますけれども、その大部分の中にダイオキシンが含まれていると言われております。大気中、飛灰、それから焼却灰のダイオキシンの構成、それについてよろしくお願いします。
#240
○政府委員(小野昭雄君) 焼却施設から排出されます排ガス、飛灰及び焼却灰におきますダイオキシン類の比率についてでございますが、ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドラインを取りまとめた学識経験者から成ります検討会がその取りまとめの過程で試算をいたしましたところによりますと、これはあくまでも平均的でございますが、排ガスに含まれる割合が五%程度、飛灰に含まれます割合が九〇%程度、焼却灰に含まれます割合が五%程度となっております。
#241
○加藤修一君 厚生省がごみ最終処分場について全国調査したものがございますけれども、その中で、設備がなくて処理をしたいわゆる素掘りの関係、そういう事例がございます。届け出義務があるにもかかわらず八十施設が無届けであった、あるいは虚偽の報告であった。自治体もそういうことをやっている。これは非常に信じがたい話なんですけれども、これについては具体的な善処、そういう通知を含めてやったわけでしょうか。
#242
○政府委員(小野昭雄君) 不適正とされました五百三十八カ所の処分場につきましては、焼却灰や生ごみなど周辺の公共用水域を汚染するおそれのある廃棄物の搬入を可及的速やかに停止いたしますとともに、周辺地下水の調査を行うよう指示したところでございます。さらに、地下水及び処分場からの排水調査の結果汚染が見られた場合には、汚染の状況に応じまして、廃棄物を掘り返し、あるいは埋め立て処分をやり直すなどの対策を講じまして必要な措置をとるように指示したところでございます。
#243
○加藤修一君 報道によりますと、町村の担当者は、違反と知りつつずっと続けています。ほかに捨て場がない、あるいは町だけの予算では到底適合した処分場をつくることは無理だ、そういうふうに言っているわけですけれども、要するに期限を決めて、この通知どおりになされているかどうか、それを調査すべきだと私は思いますけれども、その辺について御見解をお願いいたします。
#244
○政府委員(小野昭雄君) 先生御承知のように、ごみの処理は従来から市町村が本来的に処理すべき事務でございます。また、ごみ処理につきましては生活環境の保全に支障を生ずることのないように行われるべきでありまして、住民の安全あるいは健康を確保するために市町村が極めて重要な役割を担っていると認識をしております。
 廃棄物処理法に定めます基準に適合した施設を設置することは既存の技術によっても十分可能なものでございますし、また、市町村の役割の重要性に配慮いたしまして財政面でも国庫補助金及び地方財政措置に基づきます支援措置が講じられていることから、御指摘のございましたような自治体関係者の発言というのは、私どもとしましてはまことに残念でございます。
 厚生省といたしましては、昨年六月に改正をされました廃棄物処理法の円滑な施行に努めることによりまして、廃棄物処理に対します国民の信頼を回復し、適正な廃棄物処理施設が確保されるように市町村に対する指導等を従来以上に強化してまいりたいと考えております。
 また、期限を決めてというお話でございますが、不適正とされました処分場につきましては先ほど申し上げたように調査等の指示を行ったわけでございます。搬入を停止するためには適切な処分場が必要でございますが、新たな処分場の整備をするためには立地に関します調整、あるいは周辺市町村との協力によります広域的な対応というようなことが必要な場合もございまして、一律に期限を定めることは大変困難であろうと思います。ただ、可及的速やかに実施をしてほしいというお願いをしております。
 ただし、生活環境上の問題がございますので、処分場周辺の地下水等の調査につきましては九月末を目途に報告を求める予定でおります。
#245
○加藤修一君 今までの話についてはいわゆる一般廃棄物の処理場だけなんですけれども、要するに産業廃棄物処理場については含まれていないと、全国で二千七百カ所あるわけですけれども。もちろん、その設置許可の際に調査しているというわけですけれども、環境庁の調査によりますと八十二カ所調査したうち三十カ所が汚染されているということを考えていきますと、私はこの産廃の関係についてもぜひ調査する必要が十分あると。これについて見解をお願いいたします。
#246
○政府委員(小野昭雄君) 産業廃棄物の処分場につきましては、いわゆる罰則担保によります都道府県知事の許可が必要でございます。また、最終処分場にかかわります技術上の基準を定める命令によりまして、設置者がみずからの適正な維持管理、定期的な水質検査等の実施が義務づけられているわけでございます。
 都道府県等におきましては、報告徴収あるいは立入検査によりまして最終処分場において基準に基づきます適正な維持管理が実施されているかどうかの把握に努めているところでございまして、必要に応じて指導あるいは命令が実施されているところでございます。都道府県等が立入検査等によりまして把握しております処分場の管理状況等については、調査の上、取りまとめることといたしたいと思います。
#247
○加藤修一君 要するに、そういう必要に応じてやっていた結果にもかかわらず、環境庁が調査したら八十二カ所のうち三十カ所が汚染されているというんですよ。きちっと全体の全数調査をしたらもっとふえる話です。実態調査をきちっとやってくださいよ。
#248
○政府委員(小野昭雄君) 先ほど申し上げましたように、産業廃棄物の最終処分場に関しましては細かい技術上の基準等が定められております。それで、その環境庁のケースでございますが、あるいは基準違反があったのかもしれません、私ども十分そこはまだ承知をいたしておりませんが。
 いずれにいたしましても、先ほど御答弁申し上げましたように、産業廃棄物の最終処分場につきまして維持管理がどうなっているかということについて、都道府県等を通じまして調査をいたしたいと考えております。
#249
○加藤修一君 要するに、実態把握それから情報開示というのは、環境政策を進めていく、あるいは環境汚染を防止する上で非常に重要なことですので、関係官庁はきちっとした対応を私はすべきだと、そのことを要求しておきます。
 次に、ダイオキシンが発生する施設の一つとして火葬場、これがあるわけですけれども、これについて厚生省はどのようにとらえておりますか。
#250
○政府委員(小野昭雄君) 火葬場の排ガスからダイオキシン類が検出されたという報告があることは承知をいたしております。
 このために、厚生省といたしましては、平成九年度より、厚生科学研究のダイオキシン類総合研究の一環といたしまして、火葬場から排出されますダイオキシン類の実態調査を行っているところでございます。現在、測定結果について分析をいたしているところでございますが、この結果につきましてはまとまり次第公表する予定でございます。
#251
○加藤修一君 わかっている範囲でよろしいんですけれども、灰はどうしておりますか。お骨は骨箱に行きますけれども、灰です。
#252
○政府委員(小野昭雄君) 骨以外のものにつきましては、通常は処理業者に渡されて、処理業者が処理をしているというふうに聞いております。
#253
○加藤修一君 いずれにしましても、きちっとした実態調査をして、それをきちっと明確に公表をしていただきたいと思います。
 それでは、ダイオキシンも一つの環境ホルモンの疑いがかけられているわけですけれども、いわゆる環境ホルモンへの認識、まず現下の基本的な対応、これにつきまして環境庁の方から御答弁をお願いしたいと思います。
#254
○国務大臣(大木浩君) 環境ホルモンにつきましては、既にいろいろな委員の方からも御質問がありまして、私どもは、その危険性についてはいろいろと情報もあるし報告もあるということで、それは意識しながら調査をしておるけれども、一言で言うとまだよくわかりませんという答弁を繰り返しておるわけでございますが、それではお答えになりませんので、やはりできるだけ調査を促進するということで、本年度の予算にも内分泌攪乱化学物質のみを対象とする調査ということで五千三百万円の予算をつけていただきました。それから、この分野では日本よりもむしろアメリカやOECDが進んでいる面もありますということでございますので、今後、国際的な情報の交換あるいは一緒に研究するというようなことも強化して、気がついたときは大変悪い状況になっていたというようなことにならないように、ひとつできるだけ調査研究を進めたいと考えております。
#255
○加藤修一君 環境ホルモンの疑いがかかっているのは、環境庁の調査によると六十七種類という化学物質が言われておりますけれども、建設省は建築材の中にその関連のものが含まれていますし、接着剤等々含めて、あるいはシックビル症候群等々含めて。さらに加えていきますと、建築廃材の関係からもダイオキシン等々の話がございます。労働省は労働環境の観点から、農水省は農薬、殺虫剤あるいは除草剤の関係からどういうふうにその辺をとらえているか。
 さらに、文部省は義務教育の現場で使われているものについて、いわゆる環境ホルモンということについて、それぞれの大臣はどのようにこの辺について認識をお持ちでしょうか。
#256
○国務大臣(瓦力君) 委員御指摘の環境ホルモン問題に対しまして、住宅ストック形成上の重要な課題と認識をいたしております。
 建設省では、平成八年七月から、学識経験者、関係省庁、団体等々の協力を得まして健康住宅研究会を設置いたしまして、化学物質の影響を低減するための方策について検討をいたしておるところであります。住宅生産者向けの設計・施工ガイドライン及び消費者向けのユーザーマニュアル、そしてこれらの検討成果を踏まえまして、来年早々にも取りまとめる予定でございます。
 的確な普及を図ってまいりたい、また化学物質の影響の低減対策に取り組んでまいりたい、かように考えておるところであります。
#257
○国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。
 最近、化学物質のうちで内分泌攪乱作用を持つのではないかとの疑いが指摘されておりますいわゆる環境ホルモンと言われるものの中に農薬あるいは殺虫剤が含まれているとの指摘がありますが、農薬と環境ホルモン作用との因果関係は現在のところは明らかになっておりません。したがいまして、まずこの問題に関する科学的知見を充実させていくことが重要であると考えております。
 このため、農薬の登録制度を所管しております農林水産省といたしましては、環境ホルモンに関する知見の収集を行っているところでありますが、今後さらに関係省庁とも連携いたしまして、農薬が環境ホルモン作用を有するかどうか、また作用があるとすればそのメカニズムはどのようなものかという点の解明に向けて、平成十年度から三年計画で具体的な調査研究を行うこととしているところであります。
#258
○国務大臣(伊吹文明君) ただいま御指摘がございましたいわゆる環境ホルモンというものの人体に与える影響については、先ほど環境庁長官が御答弁になりましたように、その因果関係についての知見と申しますか知識というものをまず基礎的に調査研究し、集積していく必要があると思います。
 労働省におきましては、働く現場において、例えば今指摘されておりますPCBなどが絶縁体等に使用されている例がかなりございますので、基礎的な知見の収集と同時に、疑わしいものはやはりできるだけ使わない方がよろしいわけですから、代替的な物質というか材料があるのかどうなのか、また人体に及ぼす影響がどうなのかというようなことについてさらに調査研究を進めて、取り返しのつかないことにならないように早目に手を打たせていただきたいと思っております。
#259
○加藤修一君 調査をされているということですね。
#260
○国務大臣(伊吹文明君) はい。
#261
○国務大臣(町村信孝君) 委員御指摘の環境ホルモンにつきましては、先ほど来各大臣お答えのとおり、まだ必ずしも現段階では科学的知見の現状から見てその有無とか種類とか程度といったものが未解明でございますので、国内外での調査研究が進められていると、こう聞いております。
 今後、厚生省、環境庁、関係省庁におきまして人の健康への影響等について調査が進められるだろうと思っておりますので、文部省といたしましては、子供たちの健康を守る、こうした観点から、これらの省庁と密接な連携を保ちながらしっかりと情報を収集し、また適切に対処してまいりたいと考えております。
#262
○加藤修一君 今の御答弁の中で、すべての官庁がやっているという話なんですね。そのほかに通産省、それから厚生省、環境庁もこういった調査を進めているということで、ほとんどの省庁が同じ問題について、しかも基本的なところについて調査研究をやっている、それぞれ予算もついていると。
 これはある面で考えていきますと、非常に言葉があれですけれども、むだに通じる部分がありはしないか、もう少し統合的な組織をつくってやるべきだと私は強く思うんですけれども、大蔵大臣、そして総理、どのように思いますか。
#263
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、ことしの施政方針の中で初めて環境ホルモンの問題に触れました。そして、その触れる前にこの問題を取り上げるべきかどうか多少迷いもありました。
 しかし、調べてみますと、平成八年度から厚生省が既存の知見の収集と評価、あるいは検出系の開発といったところに手をつけ、それ以外の各省庁もそれぞれ自分の主管分野からの切り口ではありますけれども、この問題に対しての関心を持ち、そして今年度の予算要求の中にもそれぞれのところから環境ホルモンに関連する調査研究の要求が出ておったわけであります。
 今、議員から御指摘になられるような疑問を私も当初持ちました、要求の段階におきまして。そして、内政審議室を中心にしてその内容のヒアリングと整理をいたしました上で、それぞれのテーマで重複をいたしておりますもの、欠落している部分、できるだけ埋める努力をいたしました上でこれらの予算化に踏み切りました。そして、施政方針の中における問題提起にも取り入れさせていただきました。
 今、議員も御指摘になりますように、極めて未知の多い分野であり、また環境庁長官からの答弁の中にもありましたように、必ずしも我が国が最先端を走っている分野でも残念ながらありません。それだけに、今私は、各省がそれぞれのアプローチの手法の中からこの問題を解明する努力を全力を挙げて進めてもらいたいと思いますし、その意味では、現在の仕組みの中におきまして重複を避ける努力、同時にできる限り欠落を避ける努力をし、内政室でチェックをした上でこれを取り上げていることは御理解をいただきたいと存じます。
#264
○加藤修一君 重複を避けるという話がございましたけれども、私が調べた範囲では重複している部分が相当数あるというふうに理解しておりますし、それから今最先端を走っていないということでこういう予算措置をということでしたけれども、例えばの話、こういう話になりましたので別の質問をいたしますけれども、GISといういわゆる地理情報システム、これについても各省庁が全部同じ予算をとってやっているわけですよ。私も、これについても非常に予算のむだ遣いと言える部分がある。共通部分についてはきちっと統合的な組織をつくってやるべきであって、なぜこういうやり方をするんだろうか、おかしいじゃないですか。
#265
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに、そのGISについても各省庁からの要求が出ておりました。これはむしろ一度内政室からお聞きをいただくと大変ありがたいと存じますけれども、こうした重複する部分についてのヒアリングは内閣として相当真剣にさせていただいたつもりです。そしてその中で、確かによく似た名前のものが幾つもございました、私も最初に本当に疑念を持ったんですから。その上で、それぞれの切り口からの今の行政組織の中で、今、議員が言われますようなどこかに集めてという仕組みに残念ながら研究機関におきましても、大学の研究体制にいたしましてもなっておりません。そして、プロジェクト方式をとるにしてもどこをメーンにするか必ずしも明らかではない部分もあります。
 そうした中で、議員は地球環境を専攻された方ですからそれだけの見識をお持ちでありますけれども、私自身議論をしながら、現状において、おしかりは受けましたが、できるだけ重複を避けながらそれぞれのアプローチの手法の中で解決策を模索するように努力をしてきたつもりでございます。
#266
○加藤修一君 その議論は別の機会にしたいと思います。
 いわゆる環境ホルモンの疑惑がかかっているダイオキシンについて、その元凶の一つは塩ビ加工品である、そういうふうに言われておりますけれども、これについて生産、使用の規制をしていこうという動きが国際的にもあることは事実だと思いますが、デンマーク、ドイツ、オランダ、この各国がどのような形でその辺の規制をやり始めているか、環境庁、通産省、お願いいたします。
#267
○政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。
 ドイツにおきまして、地方レベル、州あるいは都市だと承知していますが、塩化ビニールの使用の制限を行っているところがあるという情報は承知しております。
 それから、デンマーク及びオランダの塩ビ製品の生産、使用の規制の状況については私どもまだ何も承知しておりません。
#268
○政府委員(作田頴治君) 御説明いたします。
 御指摘のデンマーク、オランダ、ドイツでございますが、私どもの得ている情報では、塩化ビニールの使用、生産に係ります中央政府レベルでの法規制はまだ行われていない、このように認識しております。
 ただ、自治体レベルでございますけれども、ドイツにおきましては、自治体レベルで公共施設建設における塩化ビニールの使用禁止の動きが見られたわけでございますが、その後、産業界におけるリサイクルへの取り組みが評価される等によりまして、例えばベルリン市等では再度使用を認められるようになるなど、規制の見直しの動きがあるものと認識いたしております。
 それから、デンマーク、オランダの動きについてでございますけれども、デンマークにおいては、産業界が建設廃棄物からの塩化ビニールのリサイクル率を高めることを目標として取り組みを進めておりまして、その達成状況を踏まえましてデンマーク政府としてもその対応を検討する、こういった動きになっているものと認識しております。
 それから、オランダでございますが、現在、産業界と政府との間で塩化ビニールの添加物、これはいわゆる可塑剤、ビニールをやわらかくする材料でございますけれども、こういった可塑剤の使用低減のための合意文書を結ぶ動きがある、このように承知いたしております。
#269
○加藤修一君 それだけですか。
#270
○政府委員(作田頴治君) 現在、私どもが得ております情報は以上でございます。
#271
○加藤修一君 環境庁も同じですか。
#272
○政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。
 先ほど申し上げたとおりでございます。
#273
○加藤修一君 通産省も環境庁もたかだか一分程度の情報しか持っていないんですか、こういう問題について。
 私が何回か質問主意書を出しています。その中で、情報を収集するとか国際動向に合わせて対応するとかさまざま言っているじゃないですか。だから、塩ビ関係で使用の規制とか生産の規制、それは将来的に起こり得る話ですよ、可能性としては、各国がやろうとしているわけですから。それについてやるやらぬは別です、日本政府が。しかし、その情報は必要だと、集めておく必要があるんじゃないですか、どうなんですか。
#274
○政府委員(作田頴治君) 繰り返し申し上げますけれども、政府レベル、国レベルでは現在のところ、このような塩化ビニール樹脂に対しまして生産あるいは使用の規制を行っているところはございません。
 ただし、先生御指摘のとおり、私どもこういった化学物質の安全性の問題につきましては、世界的な動向あるいはまた科学的知見を最大限の努力をもちまして収集することの必要性は十分認識しております。したがいまして、私ども今回も現地機関におきまして情報収集した結果、今申し上げたようなことでございます。
#275
○加藤修一君 通産省、何言っているんですか、あなた。最大限の努力と今言ったじゃないですか。最大限の努力で一分程度の情報ですか。全然明確じゃないじゃないですか、言っていることが。もう一度。
#276
○政府委員(作田頴治君) 現段階で、私どもといたしましては最大限の努力をいたしまして情報を収集したつもりでございます。
#277
○加藤修一君 話にならない。環境庁はどうなの、環境庁は。
#278
○政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。
 情報収集については十分でない点があると思っておりますので、今後鋭意努力いたします。
#279
○加藤修一君 通産省は。
#280
○国務大臣(堀内光雄君) 先生の御指摘のとおり、この塩ビの問題につきましては、人の健康の被害の未然防止という観点から非常に重要な問題だと思っております。
 先ほど政府委員の方から御説明を申し上げましたように、現在のところ、そういう調査の集積がまだ完全ではないという先生の御指摘にこたえまして、今度は塩化ビニール製品の安全性に係る科学的な知見の集積をさらに図ってまいりまして、海外における規制等の検討状況も踏まえつつ適切に対処してまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
#281
○加藤修一君 本当にあきれてしまいますけれどもね。
 では、こういう事実は知っていますか。家具材料や建材等の資材の見本市が何年かに一遍世界で行われているわけですけれども、日本企業もそれに出品しております。欧州企業は塩化ビニールを使った家具は出展していませんよ。日本企業はそれに倣って、そこだけについては出展していません。国内は塩ビ加工品を使った家具を出している、国内では。そういうところには全然出していない。
 こういうことについて通産省はどういうふうに思いますか。
#282
○政府委員(作田頴治君) 塩化ビニールにつきましてさまざまな御議論があることは私どもも承知いたしております。
 ただ、現在の知見では、例えば焼却場で燃やします塩化ビニールが必ずしもダイオキシンの発生には結びついていない、必ずしも科学的には十分究明されていないわけでございまして……
#283
○加藤修一君 おかしいよ、そういうのは。
#284
○政府委員(作田頴治君) そういった観点から、私どもはいまだ科学的に十分確立はされていないというふうに承知しております。したがいまして、今後とも、今、大臣がおっしゃいましたように、科学的な知見を十分に集める努力、これは鋭意努力していく必要がある。
 そういった意味で、ただいまの家具の問題につきましては、私ども大変申しわけございませんけれども承知しておりませんけれども、いずれにしましても私ども今後とも科学的知見の情報収集に十分の努力を払ってまいりたい、このように考えております。
#285
○加藤修一君 時間がございませんからあれですけれども、全く話にならないですよ、通産省。環境庁も同じです。ほかの省庁だって同じですよ。これは人間の生命、健康にかかわる問題だから私は強く言っているんです。建設大臣、よろしいですか。そちらだってそうなんです。シックビル症候群とかさまざまな問題についてどうしてもっと全力を挙げてやろうとしないかというのは、私の目から見るとそう見える。非常に無責任な答弁ですよ、先ほどの答弁は。因果関係がわかっていない。
 では、何で規制するんですか、ダイオキシンの関係について。その元凶は塩ビだと言われているじゃないですか、塩素だと言われているじゃないですか。これを否定するんですか、あなた方は。どうなんですか。
#286
○政府委員(作田頴治君) 御説明いたします。
 確かにダイオキシンは塩素を含む環状炭化水素でございますので、塩素が何らかの形でダイオキシンの原因になる可能性、これは私ども決して否定するものではございません。
 ただ、今までのさまざまな実験の結果、例えばゴミ焼却場の中の塩化ビニールを除いたとしても、しかしながらまたダイオキシンが発生している事実もございます。そういったことで、私ども先ほど必ずしも因果関係が十分に解明されていない、このように申し上げたわけでございまして、絶対的に因果関係がないんだということを申し上げたわけではございません。
#287
○委員長(岩崎純三君) 時間です。
#288
○加藤修一君 済みません。次の質問者に対して大変申しわけないんですけれども、塩素だけじゃないんです、臭素、ハロゲン系のプラスチック。これはその一つなんですから、ハロゲン系のダイオキシンということだってあるんですよ。我々は塩素系のダイオキシンしか知らないようでありますけれども、それだってドイツは一九九九年、明年から規制に入るわけです。そういうことを全然発表もしないし、情報開示もしないわけですから、その辺のことについてはきちっとしてください。
 総理、お願いいたします。
#289
○国務大臣(橋本龍太郎君) 議員から大変手厳しいおしかりをいただきましたけれども、こうした問題があるからこそ、実は私は施政方針の中でも環境ホルモンの問題に触れました。そして、先ほど申し上げましたように、この分野、残念ながら日本が必ずしも最先端を行っている状況ではないということも率直に申し上げました。
 それだけに、どうぞおしかりになるだけでなく、私は、議員のその知識を行政にもかしていただきまして、こうした分野をもっとフォローしろ、こうした分野のチェックのためにこういうことを考えろと、そうした御協力をいただけることを心から願います。
#290
○加藤修一君 終わります。
#291
○委員長(岩崎純三君) 以上で加藤修一君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#292
○委員長(岩崎純三君) 次に、和田洋子君の質疑を行います。和田洋子君。
#293
○和田洋子君 民友連の和田洋子でございます。
 リゾートの問題についてお尋ねをいたします。
 バブルの崩壊とその後の長い不況を受けて国の経済に重大な影響がありました。しかし、地方はもっともっとすごい打撃を受けています。このような厳しい地方の状況の中で、かつて地方が地域の活性化の切り札にと期待を寄せた総合保養地域整備法、リゾート法なんですが、リゾート法に基づくリゾート開発が各地方において経済面から行き詰まっており、地域に深刻な影響を与えておりますが、まずリゾート法の目的、リゾート法はどういうものであるかを国土庁長官にお尋ねいたします。
#294
○国務大臣(亀井久興君) リゾート法についてのお尋ねでございますが、委員御案内のとおり昭和六十二年に総合保養地域整備法を施行したところでございまして、その法律にのっとりまして、全国各地域がその県を通じましてその地域のリゾート計画を国に承認を求めてまいり、それを国が承認いたしまして、それぞれの開発主体がその事業を遂行する、そういうことでございます。
#295
○和田洋子君 私ども地方の議員の時代にこのリゾート法ができたわけで、リゾート法というのは長期滞在型保養地ということで、日本の国もすばらしい余暇を楽しむ時代ができるのかなという思いで大変期待をした法律でありました。
 このリゾート法に基づくリゾート開発は、今後とも国民、私たちの余暇活動に対する需要にこたえるために、地域経済を活性化させるためにも大変重要な役割を担っているというふうに思っておりますが、これをどう再構築するかということについて、今どういうふうにお考えでいらっしゃいますか。
#296
○国務大臣(亀井久興君) ただいまのお尋ねで、現状を簡単にお話し申し上げます。
 平成九年の一月現在における調査によりますと、先ほど申し上げました構想に基づきまして、全国で千四百十五件のテニスコートやキャンプ場などのスポーツレクリエーション施設、美術館や博物館等の教養文化施設、温泉保養施設や展望施設などの休養施設等の多様な特定施設が新たに整備されておりまして、年間の利用者は約一億七千万人で、五万人程度の雇用を確保しているところでございます。
 このように、総合保養地域整備法に基づくリゾート整備は、ゆとりのある国民生活の実現と地域の振興に一定の効果を上げてきているところでございます。
 しかしながら、今御指摘ございましたように、経済環境の変化に伴いましてこれがなかなか計画どおりに進んでいないということは御指摘のとおりでございます。ただ、個々の事業の内容等につきましては、これはあくまでも県を通じて国が承認を与えたということでございますので、そこまで今国土庁といたしましてその実態を正確に把握しているという段階ではございません。
#297
○和田洋子君 次の質問までお答えをいただいたんですけれども、四十一都道府県の合計が約六千六百、そして稼働中の施設は千四百、整備中が四百、両方合わせて全体の二七%程度なんですね。大半は整備に着手もしていない。
   〔委員長退席、理事成瀬守重君着席〕
 今、長官にお答えをいただいて大変ありがたいんですけれども、そういうリゾートの承認を受けた四十一都道府県のうち、リゾート開発を目的に設立された第三セクター、三十五の道府県で百五十二社ありますが、そのうち赤字経営が大半だというふうに聞いています。その赤字経営を把握されておりますか。
#298
○政府委員(中川浩明君) お答えを申し上げます。
 国土庁におきましては、リゾート施設の整備に当たります事業者の経営状況につきましては、民間事業者であると第三セクターであるとを問わず、把握する立場にございません。
 しかしながら、一般論で申し上げれば、大変厳しい経済情勢の中で、リゾート整備に当たります第三セクターも厳しい経営環境下にあるということは御指摘のとおりでございます。これに出資をいたしております地方公共団体もこの点非常に悩んでいるところが多いと思っております。
#299
○和田洋子君 リゾートの第一番に指定をされた優等生のリゾートと言われる宮崎の例をちょっと調べてまいりましたので申し上げます。
 まず、宮崎県の大型リゾート施設シーガイアでございます。リゾート法の承認第一号の宮崎シーガイアはリゾート法の例外的な成功例と言われていますが、シーガイアの運営主体であるフェニックスリゾート社の九六年三月決算を見ますと、売上高こそ前期比約五〇%増となっておりますけれども、借金の金利負担など経常損益は二百二十億円、そして累計の赤字が七百五十一億円ということです。同社は宮崎県や宮崎市も出資している第三セクターで、資金繰りは大丈夫かとの質問が県議会で相次ぐ状況だったということです。開業時には、七、八年後には必ず単年度黒字に転換していく、十数年で累積赤字は解消すると言われてきた優秀なリゾート開発ですらこの状況であります。
 このシーガイアの状況を国土庁長官は把握しておられますか。
#300
○国務大臣(亀井久興君) 先ほど地方振興局長から御答弁申し上げたとおりでございまして、国といたしまして、県を通じて示されましたその構想に承認を与えたことはそのとおりでございますけれども、あくまでもその経営主体というものがありますので、これが第三セクターの場合もございますし、また純民間の場合もあるわけでございますが、そのそれぞれの経営の内容にまでわたりまして国土庁が把握をしているという状態ではございません。
#301
○和田洋子君 リゾート法関係の第三セクターの経営の破綻状況について、今そういう経営の状況までは把握されないというふうにお答えいただいたんですけれども、それでいいんでしょうか。
#302
○政府委員(中川浩明君) 御指摘のように、リゾート整備につきましては、それぞれの事業主体が行っているわけでございまして、その事業主体の経営状況いかんというのが非常に大きく影響するところはそのとおりでございます。
 今後は長い目で見てリゾート整備を図っていく必要があると考えておりますので、それぞれの事業主体がそれぞれ独自の経営管理を行っていただいて、リゾート整備をこれからも進めていただくことを我々としては期待いたしております。
#303
○和田洋子君 承認を与えたということからすると、そんな簡単なものではないというふうに私は思います。地方の自治体がリゾートとかそういう開発を抱えてどんなに苦労しているか、そういうことを本当に御存じなのかな、こんな軽いものなのかな、その地方にとっては大変重大なことだと思いますが、もう一度御答弁をお願いします。
#304
○政府委員(中川浩明君) リゾートの整備につきましては、先ほど申し上げましたように、事業主体がそれぞれ努力をしていくという前提で考えていくべきものではございますが、都道府県が基本構想に基づいて整備を図っているというところでもございますので、国としてもできる限りその支援を図るという意味から、リゾート整備アドバイザー制度を初めとして、関係省庁と連携しながらその支援施策を講じていくこと等によりまして、今後とも多様なリゾートの整備が進められるよう努めてまいりたいと考えております。
#305
○和田洋子君 総務庁長官にお尋ねをいたします。
 長官は、リゾート法の施行状況と問題点について行政監察をされておられますね。各地でリゾート開発が暗礁に乗り上げておりますけれども、国土庁などが行う基本構想の承認に問題がなかったとお考えですか。
#306
○国務大臣(小里貞利君) お話がございましたように、大変複雑な事業計画あるいは事業推進の経緯がございます。その間におきまして、私ども総務庁といたしましては平成六年にこれが監察をいたしました。
 その結果でございますが、ただいまお話がございますように大変複雑ないきさつのあるところもございます。例えば、最初の計画が多少不十分であったな、そして途中で挫折をしたな、また着工はしたもののいまだに完成を見るに至っていないなと、そういうさまざまな経緯が見られたところでございます。
 したがいまして、私ども総務庁といたしまして、それぞれの主務省庁におきまして基本構想の承認については手がたく、また途中におきましていろいろ助言を厳しくやっていただきたい、あるいはまた、ただいまお話がございましたように事業承認の変更などにおきましても充実した指導を徹底ありたい、さような趣旨の監察結果をお伝えいたした経緯もございます。
#307
○和田洋子君 バブルのころの承認ということで、地元も大変な誤りがあったのかとも思いますけれども、将来の見通しを全然考えていなかったんでしょうか。総務庁長官、お願いします。
#308
○国務大臣(小里貞利君) これは極めて専門的、系統立った一つの判断基準なりあるいはその見識が必要かと思うところでございますが、先ほど申し上げました去る平成六年の行政監察の結果によりますと、例えば事業実施のめどが立っていない事例もございます。そういうような指摘事項等もあるところから見ますと、いろいろと深く事業計画の段階におきまして腰を据えて具体的に対応を求められていたものがあったのかなと、そういう感じがいたさないでもないところでございます。
#309
○和田洋子君 基本構想の承認について、リゾート法というのは民間活力を利用した地域おこしとして中曽根内閣当時の政府・自民党が鳴り物入りで推進したものですが、しかしその現状はこれまで紹介したようなものです。
 総務庁長官、今までの見誤りだったかもしれない、地方も間違ったかもしれないというお答えをいただいたわけなんですが、地方は、リゾート法が制定されたということは、法律でも決められた、そして政府が後押しをしてくれるんだ、そういう思いで、もう地域おこしのためにみんな我こそは我こそは、自分たちはという思いでこれに名乗りを上げたわけであります。それがこんなに大きくつまずいたわけなんですが、総理はどういうふうな御見解をお持ちでしょうか。
#310
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、総務庁長官からも御答弁申し上げましたけれども、確かにそのリゾートの整備につきまして、いろいろな事情から当初計画どおり進んでいないところがあること、それは事実です。
 そのために国としても、有識者などの御意見を踏まえながら、国民のためのリゾート、地域のためのリゾートあるいは自然環境の保全との調和といった政策理念に基づいてリゾートの整備が進められるよう地方公共団体を指導しているところですが、今後ともにこのリゾート法関係省庁の緊密な連係プレーの中で多様なリゾートの整備が適切に進められるように、よりきめ細かい地方公共団体への指導に努めていきたいと考えております。
#311
○和田洋子君 国土庁長官にお尋ねをいたします。
 国の政策に従った結果、苦しんでいる地方公共団体であります。私は、今国が大幅な財政面での支援を行うべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。
#312
○国務大臣(亀井久興君) リゾート法によります承認の審査のことについても御指摘ございましたけれども、承認がどういう形で行われるかということについて、ちょっとそのお話を申し上げておきます。
 先ほど来御答弁いたしておりますように、基本構想の策定主体であります都道府県が、民間事業者による整備計画が存在し、かつその立地可能性の調査とかあるいは施設整備に関する意思の表明等が行われているかどうかによりまして整備の見込みがあるかどうかを判断して、その判断を主務省庁が確認する、そういうことで行ったわけでございます。都道府県は承認されました基本構想に基づいて計画的にリゾートの整備を行うように努めなければなりませんけれども、基本構想は民間事業者に期日のある施設整備を強いるものではありませんし、実際にいつどの程度の規模で施設整備を行うかということ自体は基本的には当該民間事業者の自由な判断によるものでございまして、その結果、基本構想の変更が必要となるという場合には都道府県としてまた基本構想の変更承認を申請する、そういうことになっておるところでございます。
 基本構想の承認及び変更承認に当たりましては、これまでも重点整備地区の立地条件、特定施設の整備の実現性等に係る事項の確認等、適正な審査に努めてきたところでございますけれども、今後ともより一層そうした面でも適正な審査を行っていきたいと思っております。規模の縮小をしたいという御要請があれば、当然それに従って審査をし、また承認を与える、そういうことにもなるわけでございますが、今述べましたように、あくまでも民間といいますか事業主体の自主性に任せて進めておるところでございますので、それを私どもといたしましては見守りつつ、より円滑に前へ進めるように精いっぱいの努力をしたいと思っております。
#313
○和田洋子君 御承認をいただいたものの中でまだ二七%ぐらいが完成した、今進行中、着工しかかっているというくらいだそうであります。縮小も認めるということであり、そして支援もするというふうに言っていただければ、なおありがたいというふうに思います。
 最後にこのことについて、総理、誠意あるお答えをもう一度お願いできますか。
   〔理事成瀬守重君退席、委員長着席〕
#314
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど私は私として申し上げられるぎりぎりのことを申し上げたつもりでありました。
 このリゾート法というものの制定の経緯、それはもう議員もよく御承知のとおりであり、またその承認の手続につきましても国土庁長官が改めて申し上げたとおりであります。その中で、関連する省庁が連携をとりながら、それぞれの地方自治体に対しできるだけきめの細かい指導をしていきたい。繰り返して申し上げます。
#315
○和田洋子君 リゾート法はこのくらいにいたしまして、教育問題についてお伺いをいたします。
 私は、さきに農水大臣にもお尋ねをしたり、御提言も申し上げましたとおり、私たち人間が他の命をいただきながら生きていかなければいけないということで、とっても命を大切にしなければいけないというふうに毎日思っている一人であります。
 それで、今、子供たちの大変痛ましい事件を見るたびに聞くたびに本当に残念な思いがしているんですけれども、平成八年度の文部省の調査の中で見てみますと、また校内暴力が一万件を突破したとか、そういう発表があります。このことについて、文部大臣、御所見をお伺いします。
#316
○国務大臣(町村信孝君) 委員御指摘のとおり、人の命を大切にするというのは、これは学校教育と言わず、すべて人間社会の基本であろうか、こう思っております。そのことが教育の中でももっとしっかりと貫徹されなければならないのは、委員の御指摘のとおりだろうと思っております。
 そういう中にあって、いじめは若干今鎮静化、といってもまだかなりの水準でありますが、かわってといいましょうか、校内暴力でありますとか、その中でも特に対教師あるいは対生徒という対人暴力がふえているという意味で大変憂慮すべきことであろう、このように認識しております。
 そのために文部省としても各般の手を打ってきたところでありますが、まだまだ足らざるところ多々ある、こう思いまして、今後とも心の教育を中心としてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
#317
○和田洋子君 校内暴力は上向きというか、またピークを迎えるのではないか。それで、いじめは横ばい状態だという発表があるんですが、昨今の事件を見てみますと、横ばいというよりは陰湿になって隠れてしまっているんじゃないかという思いがします。
 これは平成九年の十二月に発表になった平成八年の統計でありますが、八年のものが何でこんな八カ月も十カ月もかかって発表されるのでしょうか、ちょっと長いんじゃないか、もっと早くに情報は得られないのか。
#318
○政府委員(辻村哲夫君) 先生お尋ねの調査でございますけれども、この調査は全国のすべての学校を対象に行っている調査でございます。都道府県の教育委員会を通しまして市町村の教育委員会、そして各学校。それで、各学校で過去一年間の校内暴力、それからいじめ、登校拒否あるいは教育相談というようにたくさんの調査項目を調べなければならないということがあります。
 それから、より分析をするということから、例えば登校拒否につきましても、単に数ということだけではなくて、どういうきっかけで登校拒否に陥ったのか、あるいは登校拒否の態様はどういうことなのか、それから登校拒否児童生徒に対してどのような指導を各学校はしているのか、そしてその指導を受けた後どうなっているのか等々、かなり詳細な項目にわたっております。これが、登校拒否だけでなく、校内暴力やいじめ等につきましてもかなり細かな調査をしているということがございます。
 そういうことで、私ども集計を急ぐわけでございますが、各都道府県での集計、それから各学校での記述等考え合わせますと、これは六、七カ月かかっているわけでございますけれども、やはりこのくらいはかからざるを得ないのかなと。我々もっと努力をしたいと思いますけれども、何分にもそうした調査であることを御理解願いたいというふうに思います。
#319
○和田洋子君 例えば、私たち、今から十年ぐらい前までは、何かそういう問題を起こす子供は、外見的に突っ張りだったり洋服が変わっていたりとかいうことがあったわけですが、今問題を起こす子供たちは、普通の子だった、頭のいい子だったとか、本当に考えられないような事件が続発しております。
 先日の児童生徒の問題行動等に関する調査研究協力者会議というところで、こういう問題を起こす子供はやっぱり自分たちもわからないと会議の中でもおっしゃっているんですが、こういう結果が出るまで、そういう会議の中身はどんな状況だったのでしょうか。
#320
○政府委員(辻村哲夫君) ただいま先生の御指摘になりました点は、報告書のこのような記述についての点だと思います。
 ちょっと紹介させていただきたいと思うのでございますが、
 問題行動を起こす可能性について学校等の関係者が余り注意を払うことのなかった子供が、状況によっては、日常生活の中で心の中にたまっていたストレスや不満等を、暴力行為など周囲の予想を遥かに超えた形で表すということである。この場合、その時点では突発的・衝動的に暴力行為等を起こしたように見え、なぜそのような行動に走ったのか、周囲もすぐには理解しにくい。しかし、この子供が暴力行為等に至る経緯を丹念に振り返ってみると、その前に心身の不調を訴えたり、ささいなことに過剰な言動をとったりするなど、何らかの前兆を示していることが多い。
こういう表現をとらえての先生のお尋ねだと思います。
 この協力者会議は昨年七月に発足いたしまして、先般まとめていただいたわけでございますが、二十三名の構成員といたしましては、学校の先生方を初めといたしまして、大学の研究者、それから家庭裁判所あるいは青少年団体、精神科医、警察の関係者等々、多角的にこの問題行動について分析しようということで、それぞれのお立場で持ち合わせの知識、情報等をお互いに交換し合いまして、今の問題行動をどう分析するかというさまざまなやりとりがありました。
 そうしたことの中で、今のような合意といいましょうか、今日見られる問題行動の特徴というものを専門家としてまとめられた。これにつきましてはさまざまなデータを出し合っての議論を経た結果でございます。
#321
○和田洋子君 現場の先生の中には、警察との連携も指導内容も既に多くの学校がやっている一般論ばかりで、何にもならない。荒れの原因分析を抜きにして、対策のマニュアルだけ上から示されても自分たちには何にも役に立たないというような声もあるようです。
 学校と家庭と地域の連携も大事だし、それと同時に学校がどのように取り組んでいくか、子供と教師がどういうふうにかかわっていくか。
 先日、総理は自分の郷里でとてもいい教育をされて、今でもいい関係を持たれているという御答弁がありましたが、それにとどまらないで、じゃ何で今の先生たちには、今の子供たちには、今の学校には昔のようないい関係が生まれないんだろうか、そういうことを総理に御答弁いただきたいんです。
#322
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先日私が申し上げましたのは、まさにこの三月末、義務教育課程を修了いたします一番下の子供までを含めました自分の子供を通じた地方都市における公立の小中学校における経験をお話ししたつもりでありました。
 そして、今議員御自身も触れられましたように、子供たちが何でそうした行動に走るのか。家庭、学校、地域社会みんなが手を携えて取り組むにはどうすればいいのか。これは本当にそれぞれの経験や知識を持ち寄っていただきまして、意見を出していただきまして、幅広い観点から議論しながら実行していく必要があると思います。
 そのためにも、まず学校は、保護者また地域の方々に対して学校としての考え、あるいは問題行動の実態を含めて教育活動の現状について率直に語っていただくことが重要だと思います。同時に、地域の方々あるいは保護者の方々でさまざまな経験をお持ちの方があるわけです。そうした方々を非常勤講師として採用していただき、学校ボランティアとして働いていただくことはできないのか。あるいは地域の諸機関の協力も得ながら、薬物乱用防止教室を開催していただくなど、学校が教育活動を展開するに当たりまして地域の教育力というものを生かしていくことも非常に大切だと思います。
 現在、中央教育審議会や青少年問題協議会など幾つかの審議会においてそれぞれの観点から議論をしていただいておりますけれども、いずれにしても、これは社会全体で取り組まなければならない大きな大変難しい課題でありますだけに、いろんな立場から議論をしていただいて解決策を見出すことが必要だと考えております。
 そこで、去る三月六日、次代を担う青少年について考える有識者会議という形で関係審議会の会長さん方、それに現場の先生の代表も入っていただいたり、青少年活動のリーダーに入っていただいたり、いろんな方々の御意見をいただいて、これに関係閣僚も加わり、私も出席できるときには出席させていただくということで、青少年をめぐる問題を幅広く議論していただくことを始めました。きょうも実は二時からこの会議が開かれております。そして、ここで出てまいります御議論というものを、今度はもう一度関係審議会を通じて行政の中に生かしていきたい、私はそう考えているところであります。
 実は今、御質問を受けながら、きょうの二時からの会議で、ちょうど非行少年や不良行為少年に接する、少年補導に携わる現場の声を警察庁から報告してもらうことになっておるようです。
 そうしますと、これはいろんな事例が挙がっておりますけれども、まさに先ほど議員も言っておられた普通の子という話が一つございます。そして、要するに非行少年には非行前にもいろいろな問題があり必ずしも普通の子とは思えないが、昔とは違って服装や成績などの外見では判断が難しい。両親とも一応立派で、子供もよい学校に通う。普通の子ではない、普通の家の子が問題を起こしている面があるという指摘がございました。
 あるいは、これは大変親にとってきつい話でありますが、街頭での補導をしましても昼間には親御さんがおられないケースが多い。連絡がついても、五人に三人の親御さんは感謝してくださる、しかし二人ぐらいは、一応補導に当たっている方の話は聞くけれども、それがどうしたんだという反応が返ってきてしまう。補導に当たっている現場の声としてそのような声も出ております。
 そうしてみますと、心の中には実はいろいろ複雑な問題を抱えているなと思いますのが、婦人補導員の方の声として、子供の問題に気づかない親も多いけれども、気づいていてもなすすべのない親が多いと。私たちが、というのはこの補導員の方が言っておられるわけですが、私たちが親にいろいろなアドバイスをするのは当然としても、その子供や家庭が抱えている問題に応じた相談先を紹介してあげるといった配慮もしなければいけないんじゃないか。
 これは現場で補導に当たる方の声として、一つずつ御紹介することは控えますけれども、先生方に対する注文、あるいは親に対する警告、現場の声を集めたものがきょうここでちょうど議論されております。その点を御報告申し上げます。
#323
○和田洋子君 いろいろありがとうございます。
 よく聞いてみますと、やっぱり先生たちにゆとりがないんですね。それで、この間の質問でも学級の人数の問題も出ました。それはなかなか大変であるというようなお答えもあったわけでありますが、財政構造改革という中で、総理はみずから行政改革会議の会長になられたり財政構造改革会議の議長を務めておられますけれども、子供の教育というのは、その中に引き入れてほしくないというふうに私は日ごろ思っている一人であります。
 極端に言えば、教育は全然別の体系で持っていくべき、財政構造改革の中でシーリングとして子供の教育費まで減らされる、そして未来の子供たちに本当にしっかりやってもらうためには、教育基本法にもございますけれども、諸条件の整備確立こそが目標であるということを書かれておりますが、本当に子供の教育からお金、予算を減らすようなことが絶対あってほしくないというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
#324
○国務大臣(町村信孝君) 先生方はゆとりがない、精神的にも時間的にもということは、確かにいろいろ聞いてみますと、そういう状況は私もあるのかなという気もしております。いろいろ会議が忙しいでありますとか、問題児童が起きるとそれこそ現場にまで行ってという。
 先ほどちょっと報告書の話をしましたけれども、ややもすると少し学校の先生が抱え込み主義といいましょうか全部の責任を学校の先生が負おうとし過ぎている。ある意味では責任感の発露でいいんですが、いささか手に余ることも全部抱え込もうとし過ぎているんじゃないか、あるいは情報も抱え込んで外に出さないとか、それはちょっとどうなのかな、つかさつかさの知恵と力をかりることもいいんじゃないか、そんなことも考えております。いずれにしましても、先生方がゆとりを持ってもらうということも御指摘のとおり必要だろうと思っております。
 一つの根本的な対応として、私どもは学校週五日制というのを二〇〇二年からという方向で今作業を進めております。そういたしますと、逆に今度は土、日で部活の試合がふえて先生が忙しくなるという反論も実はなきにしもあらずなのでありますが、私はやっぱり基本的にはそれはいいことだと思っております。あるいは授業も教科書を一ページから全部丹念に丹念に教えることではなくて、指導要領で決められているそのエッセンスだけをもうちょっと絞って教えるような、そんな工夫、努力もしていただきたいなと思っております。これも二〇〇二年に合わせて学習指導要領もさらに精選化、厳選を図って、教える方も教えられる方も本当に必要なものにできるだけ絞るような努力をしていきたい、こう思っております。
 なお、予算の話を委員からいただきました。それは私、文部大臣といたしましては、予算にゆとりがあるならばもっとあれにもこれにもという希望はございますが、政府全体の中でその一員としてやはり協力すべき点は協力しなければならないだろうということにしたわけでございます。
 ただ、予算が減らされるというお話ございました。確かに校舎整備の方は公共事業横並びで七%減ということでございますが、私学助成あるいは国立大学の特別会計への繰入額は前年横ばいということになっておりますし、それから教員の配置も減らしているわけではございませんで、自然減はもちろん大きいわけでありますけれども、ちゃんとそれにプラスアルファを乗せて自然減よりは減る数を少なくしているということで、例えば問題の多い学校には指導教員をより多く配置する等々の工夫は最大限させていただいているところでございます。
#325
○和田洋子君 私たちの子供のころは放課後は先生と遊んだり、とてもいい時期を過ごしたなと今でも思っています。そして、大臣がおっしゃられるように、そういう中身は全部でなくて、ピックアップと言っては失礼ですけれども、そういうエキスを教えていくというのにも私も賛成です。
 そして、それに加えて地方の子供というのを私は育てたいなという思いがします。例えば私は会津なんですが、会津の子供たちはスキーはもう本当にみんなに教えられるぐらい上手になるとか、磐梯山に登ればここにこんな石があるとか、そういうぐらいまで地方の子供は地方のことを十分に知ってほしい。福島県の地形をかけと言われたらすぐかける、そしてどういう国道が通っている、そんなことまでもうそらで暗記できている子供たちに育ってほしいなという思いがします。地方の子供を育てるということで、大臣、お答えをお願いします。
#326
○国務大臣(町村信孝君) 大変貴重な御指摘をいただきまして感謝をいたしております。
 指導要領の中でも、例えば家庭科で地域の特産品を使うとか、あるいは給食に使いますとか、あるいは音楽の教材にその地域の歌を使うとか、かなりいろいろな工夫、努力がなされております。
 たまさか私は、中高一貫ということで全国に現時点では一つしかないんですが、宮崎県の五ケ瀬中学・高等学校というところに行ってまいりましたが、そこにはカリキュラムの中に五ケ瀬学というのがありまして、よく見るとそこの地域とか、まさに委員おっしゃったような地域の地理とか自然とか歴史とか、あるいはそこに営まれている人々の生活をみんなで勉強する、現場に行ってみる。中には、御指摘のように、宮崎県もあそこまで行きますとスキーが近くでできるそうでありまして、スキーもそこでやるといったような工夫が今始まっているということでございますから、例えば福島県で白虎隊の勉強を大いにするとか、さまざまな各県それぞれの御努力があっていいし、そういうゆとりといいましょうか、そういうことは大いに文部省としてもそれぞれの教育委員会にお勧めをしているところでございます。
#327
○和田洋子君 時間がなくなってしまいましたので、はしょって申し上げます。
 先日、どこの県でも高校の入試がありました。私は、高校の入試を今受けたらきっと外れるだろうなと思うほど面倒くさい入試問題でした。しかし、これが福島県の高校の入試か、これが沖縄の入試だよと言われてもちっとも疑問に思わないような入試だったと思います。
 例えば、今おっしゃられるようなことであるとすれば、福島県は福島県なりの生い立ち、会津がこういう時代を過ぎたからこそ今の会津がある、この問題を見たらこれが福島県の高校の入試だなとわかるような教育になってほしい、それを切に願っておりますので、高校入試、どこがやっているかそういうことはよくわからないんですけれども、そういうことについてお願いします。
#328
○国務大臣(町村信孝君) 高等学校の入学者選抜、かなりいろいろな工夫がなされておりますし、面接とかあるいは推薦でありますとか、その中で今、委員は試験の中にもそういうものを含むべきではなかろうかと。私ども文部省では、平成八年度、九年度、二カ年かけましてそうした高校の入試問題の分析、検討を実はやりました。その中で模範的な問題例などを各都道府県に紹介する事業をやっております。
 その中には、例えば鹿児島県の社会科の歴史では特産品の歴史を問う、要するに薩摩焼の歴史を問う問題でありますとか、あるいは長崎県ではリアス式海岸、地理の特徴を問うとか、あるいは自然環境を問う問題で、山形県は大変水がいいということで水質を問う問題でありますとか、かなりそういう工夫はそれぞれの都道府県の教育委員会で御努力をいただいていると思いますが、さらにそれがより一層広まりますように各都道府県にお願いをしていこうかなと考えます。
#329
○和田洋子君 もう時間がないのですけれども、私は、今地方のことばかり言いましたけれども、これは日本の国の子供であるということにも通ずるというふうに思っていますので、そういう意味で大臣よろしくお願いします。
 終わります。
#330
○委員長(岩崎純三君) 以上で和田洋子君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#331
○委員長(岩崎純三君) 次に、一井淳治君の質疑を行います。一井淳治君。
#332
○一井淳治君 まず、厚生省に薬価についてお尋ねいたします。
 今、医療費の改革論議が進められておるわけでありますけれども、我が国の薬価が諸外国に比べて非常に高いこと、それから繰り返し薬価の引き下げが行われたのでありますけれども、依然として医療費の中に占める薬剤費の割合が三〇%という諸外国に比べても高い割合を占めているわけであります。この薬価対策というのが非常に重要な課題でありまして、私どもも、薬価の問題が解決すれば医療費の赤字の問題はほとんど解決するのじゃなかろうかというふうな感想も持っているわけでございます。
 他方、周辺に目を向けますと、医療保険も赤字傾向でありますし、病院経営も恐らく今年度ぐらいからは半分ぐらいの病院は赤字か赤字に近いような状況になるんじゃないかと思います。反面、大手の製薬会社などを見ますと、大変な利益を上げている、巨額の営業収益を上げているというふうなこともございます。
 そういう中で、厚生省におかれましては、高薬価に対する対策をどのようにお進めになろうとしていらっしゃるのか、まず御説明いただきたいと思います。
#333
○国務大臣(小泉純一郎君) この薬価の問題につきましては、昨年から医療制度改革の中でも大変多くの委員が取り上げられまして、あるべき薬価算定の仕組みについていろいろ議論が交わされたところであります。
 これから薬が適切に使用され、そしてできるだけ安い薬が使われるようにという形の制度改正が行われないかということで、現在、医療保険福祉審議会で御審議をいただいているところであります。今後、薬価算定の根拠の透明性確保、さらには抜本的な薬価制度を創設せよという声にもこたえまして、現行の一つ一つ薬を決めていくという方式を変えまして、一定の償還基準額を設けるというような方向で今検討をお願いしているところであります。
 まとまり次第、所要の改正をしていきたいと思います。
#334
○一井淳治君 今、大臣がおっしゃった審議会の中では、いわゆる日本型参照価格制度というものが議論されておるというふうに聞かれます。しかし、それに対しては、薬剤費の抑制の視点がないんじゃないかという批判も新聞などを見ますと出てきております。
 ドイツの制度などを見ますと、確かに画期的に薬価が下がったようでありますけれども、それなどは恐らく、一つの成分や薬効のグループの中で一番安い方とか、安い方から二番目とか、そういったところの価格を参考にして決めていっておるんじゃなかろうか。そのためには、恐らく日本でやろうとすれば製薬メーカーの圧力を相当はねのけないとできないんじゃないかというふうな気もいたします。
 他方、医療の現場の人たちの話を聞きますと、その辺は厚生省の方が御専門でありますけれども、患者に接している医師の意見ですから私もかなり重視されなくちゃいけないんじゃないかと思いますが、貧富の差によって医療の本質にかかわる薬の選択の問題があるんだ、貧富によって差がつく医療がされるんじゃないかという議論も出ていると思います。
 この日本型参照価格制度について、厚生省とすればどのような方向で議論をされていくのか、お伺いしたいと思います。
#335
○政府委員(高木俊明君) この薬価のあり方の問題というのは、ただいま大臣から申し上げましたように、より安価な、しかも良質な薬というものができるだけ使用されるような、そういった方向に持っていくべきだろうというふうに考えているわけです。そのためには、やはりそういった薬というものが製造されないと供給できないわけであります。そういった意味では、我が国の現在の製薬産業の実態というものもにらみながら、そういう方向に変革していくのが適当であろうと考えておるわけであります。
 我が国はどちらかというと、従来いわゆる薬価基準制度ということで公定価格を定め、そしてどの薬を使ってもその価格できちっとお支払いをするということですから、高い薬を使おうが安い薬を使おうが、これは医療機関としては安い薬を使うような誘因というものが余り働かないという面もあります。
 そういった意味では、その辺のところを解消できる方策として、今お話がありましたような日本型の参照価格制度、こういう案が与党の医療保険改革協議会においても提案をされ、厚生省もそういう方向で今審議会で御検討いただいております。
 今、先生御指摘のとおり、一定の償還額を上回る高い薬の場合、その上回る部分については患者さんの自己負担にするというのが基本形でありますが、お金のない人はそういった高い薬というものが使えないのではないかという懸念が審議会の中でも出されておるわけでありまして、そういったような問題をそれじゃどういうふうに考えていくのか、我が国の実情に沿うような形で考えていくというのが、これがまさに日本型の制度じゃないかというふうに考えております。今後、さらにそういったような方向で議論を詰めていただきたい、このように考えておるわけであります。
#336
○一井淳治君 やはりよい薬品がよい医療をするために提供されるということが基本であると思いますけれども、しかし国民負担をふやすということではいけないので、薬剤費の抑制ということを基本に置いていただきたいと思います。
 そして、これは私が言うことではなくて、いろんな意見が出されておるわけでありますけれども、例えば製薬会社あるいは製薬団体への厚生省の方の天下りをもっと自粛しなくちゃいけないんじゃないかとか、あるいは新薬が非常に高い価格設定が行われておるけれども新薬の価格設定を基本的に改めていかなくちゃならぬのじゃないかとか、あるいは外国で安くてよい薬がつくられておりますけれども、これが自由競争によってどんどん日本の医療機関に浸透してきて、自由な市場競争によってよくて安い商品が出回るようにしなくちゃいけないんじゃないか、そういう議論もあります。そういう議論も受け入れながらいい薬価制度をつくっていただきたいと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
#337
○国務大臣(小泉純一郎君) 現行の制度を変えようとしますと、当初変えろ変えろと言っていた人たちも、いざ変えると、必ず今までのプラス面がマイナスになったり、マイナス面がプラスになったり出てくるわけです。そうすると、必ず反対論が出てきます。
 今の議論も、聞いているとやっぱり現行制度がいいんじゃないかという議論が結構出ているわけです。じゃ、何のために去年みんな変えろ変えろと言ったのかという点もありますので、基本方針は変えません。薬価基準制度を抜本的に見直す、基本方針は変えませんが、それぞれ議論がありますから、じっくりと議論して、よく理解されるような時間が必要だろうということで今御審議をいただいてございます。基本方針は変えません。
#338
○一井淳治君 薬剤費の抑制というこの基本方針も維持していただきたいと思います。
 次に、災害が起こった場合の医療の対応の問題でございますけれども、阪神・淡路大震災のような大規模な災害が起きますと、救急病院等は大量の患者が運び込まれて戦争のような状態になるわけであります。そういう中で、どの患者さんから処置をしていくかという問題がございます。
 日本ではこのルールがまだ確立されておりませんので、処置に当たるお医者さんの判断に任されるというふうになっているわけでありますけれども、任されたお医者さんとすれば、後で訴えられるんじゃないかとか非常に心配をしているような状況もあります。担当医師が迷うことなく自信を持って医療に当たれるように、緊急時の患者の処置をどういう順番でやったらいいかというルールづくりをやっていただかなくちゃいけないと思うんですが、いかがでございましょうか。
#339
○政府委員(谷修一君) 今お話がございました災害時の負傷者の治療ということについてでございますが、私どもも阪神・淡路大震災の教訓に基づきまして、平成八年三月に重傷度による患者あるいは負傷者識別標の規格を標準化するという作業を専門家も交えていたしまして、その時点で都道府県に通知をいたしました。
 ちょっと遠くてあれでございますが、トリアージタグという負傷者を識別するこういうタグがございます。(資料を示す)重傷度別に色を分けて、それで治療に当たっていただくお医者さんの方あるいは負傷者を搬送する救急隊員の方、そういう方に統一的な認識を持っていただこうということで、従来は医療機関あるいは自衛隊、救急隊、それから日本赤十字社それぞれが違った形のタグを使用しておりましたけれども、阪神・淡路大震災の教訓に基づいてこれを統一していこうということで統一をいたしました。
 さらに、具体的にこのタグを使ってどういうふうな指揮系統でやったらいいのかというようなことにつきましては、救急医学会の専門の方にも入っていただいて、さらに今検討をしておりますが、ことしの四月ぐらいには具体的なマニュアルのようなものがまとめられるというふうに考えておりまして、私どもとしては、そういうもの全体を改めてまた各地方自治体あるいは関係の医療団体等に通知をしていきたい、このように考えております。
#340
○一井淳治君 さっき言われましたトリアージタグ、これは確かに順番がついておるんですけれども、これは重傷度の順番になるわけですね。
 私が質問するのは、現に患者が押し寄せてきている病院において担当医師はどういう順番で処置を始めていったらいいかということなんですね。これについては、これは行政が決めることではなくて、やはり学会あたりで良心的なお医者さんが専門的に議論して決めていけばいいと思うんですけれども、ただその議論を後から情報を提供したりしてどんどん進めてもらわなくちゃいけないと思うわけです。
 ただ、その方向がまだ出てきていないものですから、今の御答弁ではちょっと先に不安を持つものですから、もう一遍よくお聞かせいただきたいと思います。
#341
○政府委員(谷修一君) 今、先生のお話しになりましたことは、トリアージタグというのが一つのまず入り口での方法だと思います。それを受けて各医療施設がどういう対応をするか、これはそれぞれの医療機関の対応によると思いますけれども、具体的な問題については研究会、研究班をつくりましてその中で今詰めていただいておりまして、先ほども申し上げましたけれども、ことしの四月には大まかなマニュアルをまとめるという方向で議論を集約していただいております。
#342
○一井淳治君 もう一つ、大規模災害との関係で要望しておきたいことは、地域によっては医師会の方々が相談などして災害等の緊急時にお医者さんの任務分担をちゃんと決めておられる地域もあります。地域によっては全くそういったこともなされていない地域もあるわけであります。これは都道府県の地域防災計画の中での取り決めになっていると思うんですけれども、やはり事前にお医者さんがどういう分担なり対応なりをされるかということは議論をしておいた方がいいと思うんです。そういう御指導を厚生省の方から重ねてお願いしたいと思いますけれども、どうでしょうか。
#343
○政府委員(谷修一君) これにつきましても、平成八年に厚生省の中での防災計画というものの見直しをいたしました。それに基づきまして、平成八年当時でございますけれども、実際に現場で救急医療あるいは災害医療に携わっておられる方、あるいは地方自治体の代表者、また専門医学会、そういうような方にお集まりをいただいて、具体的な医療救護活動、特に医療機関を中心にした被災現場におきます救護活動の具体案を作成していただきました。
 それを各県に通知をいたしましたが、既に県によりましてはかなり具体的にそれぞれの地域ごとのマニュアルというものを作成しております。私の手元にございますのは高知県でございますが、高知県でもそれぞれの地域ごとの役割分担、それから医師会なりあるいは医療機関の対応の仕方、それから備蓄すべき医薬品等の項目をかなり詳細にわたってつくっておられます。
 私どもが承知している限りではかなりの県がそういうことで対応していただいていると思いますが、さらに周知徹底を図ってまいりたいというふうに思っております。
#344
○一井淳治君 次に、入院期間の延長の問題について厚生省に質問させていただきます。
 今、入院期間を短期化しようという努力がされておりまして、私もこれには大賛成であります。しかし、現実には長期入院せざるを得ないような人たちがおられまして、制度の谷間ということで非常に厳しい状況に置かれているということを指摘せざるを得ないと思います。それに対する対応が必要であると思います。
 一つの例として申し上げますと、透析の患者さんがいます。週に三回ぐらい透析をされますけれども、そういった方が、元気な間は透析の病院に通えばいいわけですから問題はないわけでありますが、高齢化して介護を要する状態になった場合、そしてその透析患者が一人で、介護をしてくれる付添者等がいないような場合、本来からいえば高齢化すると高齢者の施設に入れるわけでありますけれども、そういう透析患者さんの場合には施設に入ろうとしたって入れないわけであります。
 私は、岡山県内の三つの病院で透析患者の入っている病院の長期入院者の実態調査をさせてもらいましたけれども、高齢者の施設に今とても入れるような状況ではありませんし、障害者の施設にも入れないような状況であります。そういった患者さんを長期に透析させていくためには、病院が引き取る以外にないわけであります。
 こういうことは、透析患者の場合に限らず、ほかの患者についても考えられるというふうに思いますけれども、この透析患者に限った場合、厚生省はどのようにお考えでしょうか。現実の問題として、今行き先はないわけです。高齢者や障害者の施設に頼っても相手にしてもらえません。ですから、結局長期入院をして病院の犠牲のもとでお世話になっているという状況がございます。何か谷間がないようにいい方法を考え出してもらいたいと思うわけでありますけれども、いかがでしょうか。
#345
○政府委員(羽毛田信吾君) お答えを申し上げます。
 先生、冒頭お話しございましたように、今後の医療機関のそれぞれのあり方は、機能の分化に応じた報酬上の評価を進めていくということが一面において大事でございます。
 そうした中で、今お話しのございましたような、透析が必要になった高齢の要介護の方々ということにつきましては、これは通院でなかなか難しいということになりました場合には、いわゆる一般病床に入院をされますと、先生おっしゃったような形で医療費が逓減をされるというようなことからなかなか難しいという状況がございますので、やはりこういった方々につきましては、慢性期の入院医療を提供する施設としていえば、療養型病床群といったような体系を病院の中に今持っておりますから、そういったところでの対応をしていくということが基本ではなかろうかと思います。
 そういたしますというと、こういったいわゆる療養型病床群などにつきましては、一日当たりの包括払いという形を採用いたしております。したがいまして、医師の技術を評価したような部分については緩やかな逓減はございますけれども、看護料等の包括した部分につきましては入院期間による逓減ということはございませんし、また今の透析そのものについては出来高で払っていくという仕掛けになっておりますから、こういった方向でやっていく。そして、そういう方々は一般病床とそういった療養型病床群、あるいはさらに言えば介護力強化病院というようなタイプもございますけれども、こういったもののいわば機能分担に応じた評価をしていく。
 そういった中で、今、先生お挙げになった方々につきましては、今後とも療養型病床群というものについて診療報酬上もきちっと評価をしていく、さらに療養型病床群の整備を進めていく、その両方から対応していく必要があるであろうというふうに考えております。
#346
○一井淳治君 今、言われてしまうと確かに問題がないようでありますけれども、その療養型病床群に入って患者さんが安心して治療を受けておられるということを聞かないわけですね、現実の問題として。これはどういうことでしょうか。療養型病床群が非常に限られた病院にしかないということなんでしょうか、あるいは透析患者さんは今後そういう病院を探していかなくちゃいけないのでしょうか、どういうことなんでしょうか。
#347
○政府委員(羽毛田信吾君) 先生今お挙げになった、現状において問題があるではないかということにつきましては、確かにいわゆる一般病床で長きにわたって入院をされざるを得ないという形での社会的入院というようなものがあることは事実でございます。これは介護保険もまさにそういうことへの対応として考えておるわけでございますけれども、そうした中で療養型病床群の整備なりあるいはそういったものへの適切な評価なりということで対応していくことになります。
#348
○一井淳治君 そうすると、透析をする病院に療養型病床群をつくってもらうということになるわけですか、今厚生省がお考えの一番いい方法とすれば。
#349
○政府委員(羽毛田信吾君) 療養型病床群を整備し、その病院の方に行っていただいて療養していただくということになることが理想であろうというふうに思います。
#350
○一井淳治君 参考までにお伺いしたいんですが、透析ができる病院で療養型病床群を持っているのは全国にどの程度あるんですか。
#351
○政府委員(羽毛田信吾君) 恐れ入ります。突然のお尋ねで資料を用意いたしておりませんので、後ほど先生にお答えを申し上げたいと思います。
#352
○一井淳治君 もう一つの方法として、高齢者施設あるいは障害者の施設に入れていただいて、そこから透析をさせてもらうというそういう方法は不可能なんでしょうか。ですから、高齢者の施設の方を変えていくということはできないんですか。
#353
○政府委員(羽毛田信吾君) 形によりましては、高齢者の施設におられてもその施設の機能として果たし得ない部分についてはお話のような対応もあろうかと思いますが、それにしても体制づくりがやはり必要でございますので、そういった体制づくりに今後努めてまいらなければならないというふうに思います。
#354
○一井淳治君 次の質問でありますけれども、九六年に厚生省の汚職がございました。そういう中で、中央省庁から都道府県への出向については指定席はつくらないようにした方がいい、連続出向はしないことにしようということが省庁の間で大体合意ができたように思うわけであります。
 私、当時の状況がよくわからないんですが、そこで総務庁にお伺いしたいんですが、どういうことが決められておったんでしょうか。
#355
○国務大臣(小里貞利君) お話は、政府と地方公共団体の人事の交流のお話であろうと思うのでございますが、ただいまお話がありましたようなことによりまして、総務庁におきまして人事管理に関する基本方針、正確に言えば人事管理運営方針と申しておりますが、いろいろ各般にわたりまして協議をし、策定をしてまいりました。
 その中におきまするただいま御指摘の話でございますが、特定出向者は特定出向庁から出ていく、言いかえますと、特定ポストに対する特定省庁からの出向者が長期間続くことによる弊害を生ずるようなことがないように地方公共団体等にも呼びかけまして、督励をいたしておるところでございます。
 実は昨日も、たまたま政府全省庁の人事課長あるいは管理官、五、六十名前後関係者に集まっていただきまして、私も昼その会合に出ましてお話をいたしました。
 その取り決めの中におきましても、今日の分権型社会における国と地方公共団体の関係は対等、協力が基本ですよ、上下、主従ではないですよ、こういう一つの姿勢を確認すると同時に、ただいまお話がございましたいわゆる地方公共団体等からの要請に基づく出向であったにしても、長期間続くことは弊害を生むおそれがあるからこれは十分留意をしなければならない、そのようなことも私の方からも申し上げたし、かつまたその管理者間会議における申し合わせと申し上げましょうか、一つのまとめをいたしたところでございます。
#356
○一井淳治君 今のお話は人事管理運営方針をお決めくださったということでございますけれども、これは総務庁だけの内部的な決まりなのか、それとも政府全体の決まりなのかということが第一点でございます。
 もう一点は、長期間続く出向、その意味をお尋ねしたいと思います。
#357
○国務大臣(小里貞利君) 私がただいま申し上げましたのは総務庁限りの話ではございません。人事管理、人事運営を統括する、関係する総務庁として、例えばきのうお集まりをいただきましたのも、政府全省庁の人事課長もしくは人事管理官に相当する皆様方に全員お集まりをいただきまして、そして平成十年度の人事運営方針についての協議をしていただきました。その場におきまして私の方からも訓示と申し上げましょうか、ごあいさつを申し上げ、かつまたその会合の結果としてただいま申し上げたようなことを確認いたしたということでございます。
#358
○一井淳治君 これは質問の予告をしていないわけでありますけれども、前に法制局長官がおられます。
 それで、今の総務庁の人事管理運営方針でありますけれども、これはほかの省庁に対してはどの程度の拘束力があるものなのか、御参考までに聞かせていただけませんでしょうか。御無理ですか、急には。
#359
○政府委員(大森政輔君) ただいま総務庁長官から答弁がございましたとおり、人事管理について統括する立場にある総務庁の方針でございますから、各省庁に対してそれに従うべき行政上の責務が生じるということであろうかと思います。
#360
○一井淳治君 これは新聞報道でありますけれども、あくまで新聞報道でありますから確認をとっていないんですけれども、自治省におかれましては複数の方が連続出向になるということで新聞記事になっております。これは真偽のほどはまだ私わかりませんけれども、当時の自治大臣は国民の期待にこたえて行政の改革をしようということでマスコミを通して公表されたというふうに思うわけであります。
 今、新聞で書かれておるようなことが起こりますと、やはり政治不信の原因になるんじゃなかろうか、お取りやめになった方がいいんじゃないかと思うわけでありますけれども、自治大臣の御見解を伺いたいと思います。
#361
○国務大臣(上杉光弘君) お答えいたします。
 委員の御質問の趣旨であります指定席をつくってそこへ出向させる、同一ポストにということだと思いますが、私は認識が違っておりまして、自治省としては指定席はつくりません。また、つくれるものじゃございません。それを受け入れるのは都道府県であり、市町村でありますから、それはそうではないことをまず申し上げておきたいと思います。
 それから、政府として総務庁長官が示された方針、これはもう守らなければなりません。また、自治省としても原則として同一ポストには出向させない、この原則を持っております。しかし、県でありますとか市でありますとか、その原則を伝えてお断りしておるにもかかわらず、どうしても地方分権の推進のこのときであり、行政改革のこのときであり、直接強い要請があれば、それは任命権者の求めるところによっておこたえをした、こういうことでございまして、政府の方針、原則を破ったわけでもないし、指定席をつくってそこへ派遣させたわけでもないことを御理解いただきたいと思います。
#362
○一井淳治君 もう一度具体的にお聞きしたいんですが、前任者も自治省から出向しておられた、そこへもう一遍重ねて自治省の方が行かれるということになるから新聞が書いていると思うんですけれども、まさにこれは指定席づくりじゃないんですか。違うんですか。
#363
○国務大臣(上杉光弘君) お答えします。
 事務方に対してそういう要請があって、事務方はお断りしておりました。ところが、県でありますとか市から私に直接要請があって、そこまで強くお求めになるなれば、これは分権推進もしっかりやってもらいたい、行政改革もしっかりやってもらいたい、また実効のあるものとしなきゃなりませんからおこたえをしたと、こういうことでありまして、原則を曲げたわけでもないし、政府、総務庁長官が示された基本方針を押し曲げたわけでもありません。
#364
○一井淳治君 自治大臣はそう言われるんですけれども、まさに連続出向になっておるわけでして、総務庁の決めた方針が現に守られていないという客観的事実が起こっておるんじゃないですか。ですから、これはやめるべきではないですか。連続出向になっていないのならいいんですよ。なっている以上、自治省がすべての連続出向をやらせるのでなくて、これはもうごく例外であって、地方の熱意にこたえたんだというお話はそれはそれ自体としてわかるんですけれども、しかし結果として政府の決めた方針に反しておるんじゃないですか。
 原則としているとかなんとかということは、全然今の総務庁長官の御説明にはないわけですから、これはごく例外なんだというふうに言われてもちょっと通用しないんじゃないかと思いますけれども。
#365
○国務大臣(上杉光弘君) 地方の団体は三千三百あるわけでございます。その中で千も二千もあるわけじゃございません。県で三つ、市で一つという要請があったものにこたえたものでございまして、これは強い要請に応じてやったということでございますから、その点については我々もそのことは理解をしておこたえした、こういうことでございまして、御理解をいただきたいと思います。
#366
○一井淳治君 総務庁長官にもう一遍お尋ねしたいんですが、現地の要望、要請があってそれにこたえれば、さっきの政府の方針に反しないことになるんですか、どうなんですか。
#367
○国務大臣(小里貞利君) 先生も御承知いただいておるわけでございますが、国と地方公共団体が協議をされます。しかも、協議する動機と申し上げますか、地方団体側からの要請に基づくものが大方である。しかも、その協議がありましていよいよ出向いたしますよというときに、地方公共団体のどの部署に行きますかということは、御承知のとおりいわゆる任命権者である県、市町村の判断によるわけでございますから、その延長線上におきまして、先ほど自治大臣から事実上のお話として説明があったような実態はあり得るだろう。
 したがいまして、決して中央の意思を特定の企図を持って押しつけられるような状況ではない、私はさように判断をいたしております。
#368
○一井淳治君 いずれにせよ、新聞に書かれて政府の信頼が低下するということは、私は起こらない方がいいと思いますので、でき得るならば御再考いただいて、すっきりした状況にしていただきたいと思います。
 次に、別の質問に移らせていただきますけれども、銀行などの大企業の倒産が最近起こっています。また、そういう倒産後に有価証券報告書などを見ますと、倒産する状態の内容になっていないわけであります。負債以上に資産が十分にあって、場合によっては配当ができるような資産内容になっている。計算書類はそうなっているけれども、実際には倒産したことが最近たび重なって起こっていると思います。これは結局資産の評価の問題でありまして、資産の評価は商法に規定されておりまして、商法が現実の価額を評価して原則として計算書類に載せるようにとしているにもかかわらず、非常に高い金額で評価しているためにそのようなことが起こっていると思うわけであります。
 そこで、担当の法務省の方から、こういうふうな状況が起こっているんだけれども、どのようなお考えでおられるのか、お伺いさせていただきたいと思います。
#369
○政府委員(森脇勝君) お答えいたします。
 株式会社におきましては、その計算書類が正確に作成されるということは極めて重要なことであるというふうに考えております。
 このような観点から、商法におきましては、計算書類について、監査人の監査を受けなければならないということになっております。また、大会社につきましては、会計監査人の会計監査をも受けなければならないという形になっておるところでございますが、この監査制度の強化充実を図るために、これまで数次にわたって商法の改正をさせていただいてきたというところでございます。
 計算書類の正確性を確保するためには、このような監査制度が適正に運用されることが肝要であるというふうに考えておるところでございます。
#370
○一井淳治君 適正にされなくちゃまさにいけないんですけれども、適正な計算書類ができるためにどうしたらいいかということを、法務省が御担当でありますから、こういうところには通じているわけでありますから、十分今後御検討いただきたいと思います。
 次に、大蔵省にお尋ねいたしますが、有価証券報告書に関してであります。
 公認会計士等の監査意見がついておりまして、有価証券報告書の内容は正しい、信用できるということが一応保証されるような状態になっております。しかし、今言ったように、実際には粉飾決算みたいな状況の有価証券報告書になってしまっておるわけでありまして、これは公認会計士のあたりがしっかりとした監査をしなくちゃいけない。例えば、土地の値段がどんどん下がっているわけですから、金銭債権などを昔のままの評価でいったらいけないということはわかり切った話なんですけれども、その辺がいいかげんになってしまっているわけです。
 公認会計士の監督は大蔵省でありますから、この辺でそろそろ、護送船団方式と言われないように、公認会計士に対する監督をしてもらわなくちゃいけないと思うわけです。そうしないと、国際的にも日本の有価証券報告書は信用ならぬということが一般化してしまう。これは日本にとっても非常に不幸なことであると思います。そういう意味で大蔵省の対応をお願いしたいわけでありますけれども、いかがでございましょうか。
#371
○政府委員(長野厖士君) お答え申し上げます。
 公認会計士は専門家として資格を持っておりますので、個々の実務につきまして、行政的な意味で監督ということが妥当すべきものであるかどうか、私どもは多少慎重でなければいけないと思っておりますが、それにいたしましても、先生が御指摘のように、最近、公認会計士に期待される役割と現実の機能とのギャップというものを関係者で埋めていくべき努力を相当しなければいけないという現実があることは事実でございます。
 そこで、私どもとしましては、公認会計士審査会におきまして、そのギャップを埋めるために何が必要かということの御検討をいただきまして、これは昨年の四月になりますが、十項目の具体的な提言をいただきました。
 その中には、先生の御質問の中にありました貸付金の引き当てのやり方、債務保証の引き当てのやり方という会計実務の問題もございますし、監査役との連携というふうな問題もあります。あるいは監査を事後的にもう一回チェックするというやり方はないか等々、十項目の課題を設定いたしまして、現在鋭意実施させていただいておるところでございまして、冒頭申し上げましたギャップを埋めるためのできるだけの努力を関係者全員で払っていきたいと思っております。
#372
○一井淳治君 私は、この問題は予算委員会とかほかの関係委員会で何度も質問をさせてもらったところでありまして、今回も、だんだんと前進しておりますからありがたくは思いますけれども、しかし、もうちょっと前進のスピードを上げてもらわないと間に合っていないわけです、実際にいいかげんな内容の粉飾された有価証券報告書がいっぱい出ているわけでありますから。ですから、公認会計士に対する監督権があるわけですから、もう少し強力にお願いしたいと思います。
 次に、商法の四百九十八条一項十九号という規定がございます。これは、会計書類の正確性を担保するために、会計書類にいいかげんな記載をした場合には百万円の過料を科するという規定でありますけれども、この規定がどうも機能していないように思うわけでありますけれども、この過料を科するということがどのようになっておるのか、機能しておるのかどうかということを裁判所の方にお尋ねいたします。
#373
○最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 今、委員の御指摘になりましたのは、商法四百九十八条一項十九号の規定により過料に処した事件数ということだと思います。恐縮でございますが、これを特定して把握しておりません。
 ただ、念のため、代表的な裁判所でございます東京地裁、大阪地裁に問い合わせたところでは、いずれもここ三年の間にこの四百九十八条一項十九号の規定によって過料に処した事件はないということのようでございます。
#374
○一井淳治君 この条文が機能するようになるためには、裁判所とすればどういうふうになれば機能するというふうにお考えでございましょうか。
#375
○最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 過料事件の手続は裁判所が職権で開始すると解されておりますが、この過料事件のすべてについて裁判所が独自に職権で探知をするということは事実上不可能でございまして、商法四百九十八条一項十九号に該当する事実があるという、そういう趣旨の通知を待って手続を開始せざるを得ないというのが実情でございますので、御理解をいただきたいと思いますが、どのようにすればこれが機能するかということになりますと、立法の問題でございますのでお答えは差し控えさせていただければと存じます。
#376
○一井淳治君 また法務省にお尋ねすることになるのでありますが、やはりこの規定が、法律の条文としてはあるんだけれども、そして会計書類の正確性が担保されていないという実情はあるんだけれども、ずっと死文になっておるわけであります。
 ですから、法務省の方で御配慮いただいて、この法律が、この条項が機能するように、例えば税務署あたりでこういう状況を把握した場合には裁判所に通報するとかそういう法改正をしてもらわないと、これはどうにもならないと思うわけでありますけれども、何か御所見を伺いたいと思います。
#377
○政府委員(森脇勝君) 大変難しいテーマについての御質問でございます。ただ、現在の状況におきましても、例えば株主であるとか会社債権者であるとか、そういった関係者から不適正な計算書類が示されておるということを裁判所の方に通報していただくというようなことがありますると、これは裁判所の方でその事件を開始する契機になるということでございまして、そういったところに一方では期待せざるを得ないというのが現状でございます。
 ただ、じゃもう少しワークするようにということでございますが、実はこれの四百九十八条一項一号の方では、登記の懈怠の場合につきまして、これは登記官が裁判所に通報するという手だてをつくっております。これは非常に機能しているであろうと思います。
 ただ、この登記の方はどちらかというと形式的にすぐわかる、違法であることがわかるというものでございますが、この貸借対照表等の不実記載ということになりますと、形式的に見ただけではわからない、こういう事項でございます。
 それを、あるいは委員今御指摘なさいました税務官署において裁判所に通報するような制度というのも考えてみる必要があるであろうというふうに思っておりますが、商法一般の立場からいたしますと、そういった私企業の活動内容に深く公務員が立ち入っていくという制度がいいのかどうかという大もとのところの議論も相当してみなければならないのではないかというふうに思っておるところでございます。
#378
○一井淳治君 私は思いつき的に申し上げましたのは、税務署が税務調査などしている間に副次的に発見したような場合のことでありまして、何かそこのところを考えていかないといつまでたっても粉飾の計算書類が横行するというふうになりますので、法務省においても全般的にそういったことが改革されるように御配慮を賜りたいと思います。
 次に、景気の現状についてでありますけれども、経済指標を見ますと悪い方向の経済指標が圧倒的に多いように思います。上り坂ではなくて、適切な対応をしないと下り坂になってしまうという経済指標が非常に多いように思うわけでありますけれども、景気の現状について経済企画庁の方からお答え願いたいと思います。
#379
○国務大臣(尾身幸次君) 昨年の十月―十二月のGDPが対前期比〇・二%マイナスというようなことになりました。昨年の春ごろは消費税の引き上げに伴います反動減ということがありまして消費が停滞をいたしましたが、七月―九月にはやや回復をしてきたというふうに思っていたところでございます。しかしながら、秋口に入りまして、アジアの経済の状況、相次ぐ倒産等がございまして、企業家心理あるいは消費者の心理が大変に低下をいたしまして、その結果として経済が停滞をしているという状況であると認識をしております。
 企業家心理の方は、金融システムの安定化の対策等が実施されたことに伴いまして、株価の動向等に見られますように、いわゆる金融システム不安というものは解消してきているというふうに考えておりますが、なお実体経済の面では厳しさが続いているということでございます。
 各般の施策を進めているところでございますが、現在ただいま、この十年度予算及び関係法案をできるだけ早期に通していただいて、これを実施に移していくことが最大の景気対策であるというふうに考えております。
#380
○一井淳治君 今、長官からも言われましたように、経済が沈滞傾向にある、そして経済の実態が厳しい状況にあるというふうに思います。
 そういう中で、この予算委員会の質問にも出てきましたけれども、景気が上り坂であれば税収もふえて余力が出てまいりますけれども、しかし景気が下り坂で税収も減りそうだというふうになりますと非常に厳しい財政状況になってくると思います。そういった中で景気対策をやるとすれば、やはり財政構造改革法を改正することはもうやむを得ない、やっぱりそこまで進まなくちゃいけないんじゃないかというふうに考え、大蔵大臣にもそういう方向に進んでいただきたいと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
#381
○国務大臣(松永光君) お答えいたします。
 委員もよく御承知と思いますけれども、我が国の財政状況、これは先進国中最悪の状態でありまして、公債依存度にしても、あるいはまた国の公債等長期債務の残高対GDP比にしても、先進国中最悪の状態でありまして、これは我々の世代のときに何とか解決しないというと、子や孫に多額の負債を背負わせるという結果になると私は思います。したがいまして、財政構造改革の必要性、これは何ら変わるものじゃない、こう思います。
 しかし、総理もしばしばおっしゃっていることでありますけれども、同時に、経済・金融情勢の変化に応じて臨機応変の措置を講じて景気の回復を図っていくこともこれまた当然のことであります。その意味で、財政構造改革と景気対策とは二者択一の問題ではなくして、二〇〇三年までの中期の目標と当面の対応、そういったタイムスパンの異なるものだ、こう考えるわけであります。
 そういう考え方で、総理の決断で二兆円の特別減税、あるいはまたことしになりまして九年度の補正予算、そしてまたそれに関連する法案、それを通していただいて、現在、補正予算に基づく公共事業の執行を含む施策を講じている最中なんでありますが、引き続いて、平成十年度の予算及びそれに関連する税法等の関連法案、これを今審議をしていただいているところでありますが、予算を通していただき、また関連法案を通していただいて、そして新しい年度から九年度の補正予算と切れ目のないような状態で実行に移していくというのが、現在ただいまの最も大事な施策であるというふうに私は考えているところでございます。
#382
○一井淳治君 大蔵大臣の言われることは私もよくわかります。特に、財政構造改革が我が国にとりまして非常に大事であるということもよくわかりますし、そのための御努力も、あるいは大蔵大臣の苦しいお気持ちというのもよくわかります。
 しかし、今の経済の状態が一歩、これは将来のことでありますからわからないわけでありますけれども、経済指標を見る限りは、例えば今住宅の床面積がふえているということがあるんです。でも、そんなものは余り経済の将来に関係ありませんから、やはり景気がさらに悪い方向に落ち込んでいくという可能性もあるわけであります。その辺の采配を振るうのは大蔵大臣でありますから、私は日本の未来の景気を本当に責任を持って判断いただきたい。
 それで、もし景気が悪くなるようであれば、もう自分は責任をとってやめなくちゃならないというぐらいのお気持ちで、本当に真剣に景気対策を考える中で、今の財政構造改革についてもどこまでどうしていくかということを真剣にお考えいただきたいと思うわけでございます。時間がありませんので、簡単に大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。
#383
○国務大臣(松永光君) 委員の申されたこともきちっと胸にしまいまして、真剣にひとつ取り組んでまいりたい、こう思っております。
#384
○委員長(岩崎純三君) 以上で一井淳治君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#385
○委員長(岩崎純三君) 次に、魚住裕一郎君の質疑を行います。魚住裕一郎君。
#386
○魚住裕一郎君 公明の魚住裕一郎でございます。よろしくお願いいたします。
 ことしになりまして、新聞、テレビのニュースをずっと見ていますと、非常に暗いニュースばかりでございます。景気が悪い、そこから例えば中小企業者が首をつったり海に飛び込んだりというようなニュースがありました。これは大人の世界かと思いますが、今度子供の世界はもうナイフの事件やいろいろ毎日のように出ているわけでございます。
 そこで、もう経済のことは随分話が出ましたので、教育の方の問題から質問に入らせていただきます。
 その前に、本院でずっと継続になっておりましたスポーツ振興投票法案が、文教・科学委員会で与野党汗を流しまして修正の上、参議院を通過いたしました。今、衆議院の方に送っているわけでございます。いろんな修正がなされたようですが、口の悪い人に言わせれば、ばくち法案というような人もおるわけでございます。
 非常に教育に関連するかと思いますし、総理が六大改革というふうにおっしゃっている教育改革にもどのような影響があるのか、その点につきまして、この法案に対して総理はどのようにお考えなのか、まず御質問をいたします。
#387
○国務大臣(橋本龍太郎君) この問題がスポーツ議員連盟において議論が始まりましたのが何年前か、私も今もう忘れてしまいましたが、私自身、運動好きの一人としてスポーツ議員連盟におりまして、今のようなサッカーブームというものがまだ一部の方だけだった時期から私はこの議論があったことを承知いたしております。
 その当時には、なぜサッカーなんだという議論、あるいは他の競技を考えた場合どうかという議論、射幸心というものを刺激することはよくないという議論、いろんな議論が随分長い間議員連盟の中でも交わされました。そして、この資料を見ますと、日本体育協会、日本オリンピック委員会がこの導入を要望されたのが平成四年となっております。これはスポーツ振興に必要な財源確保策ということでの御要望でありました。
 それ以来、各党におきましても、またスポーツ議員連盟あるいは関係委員会、さまざまなところで御議論がなされました結果、平成九年の四月に議員立法として提案され、衆議院での審議、可決の後、参議院で御審議をいただき、三月二十一日に一部修正の上可決をされた、そして衆議院に回付をされたということになっております。
 これに対してはいろいろな議論がありました。それを踏まえてであると思いますけれども、青少年への影響を懸念する御意見にこたえる形で十九歳未満の方がくじを買えないように購入を禁止する、あるいは参議院における修正で、生徒やなんかへの重大な悪影響が考えられるときには文部大臣が停止命令をかけられるという二重、三重の歯どめを講じていただいたと承知をしております。
 議員立法として、これは政府の立場からいたしますならば、見守ってまいりたいというお答えをするのが本来の立場なんだと思いますけれども、私はここまで努力をしてこられた関係議員の努力というものにスポーツ好きの一人として敬意を表したいという思いを持っております。
#388
○魚住裕一郎君 関係議員の努力というのは私も理解をするところでございますが、ただ教育というのは百年の大計、未来世代にどういう影響を及ぼすかという大事な事業でございます。幾ら修正してもやはりギャンブル性は消えないんだろうというふうに思います。
 先般、千葉の成田市で中学二年生の鈴木君が自殺しました。遺書から、先輩に金をおどし取られたというようなことも載っております。それも、きのうのニュースではトランプでしたか、そのギャンブルに負けたかけ金というか、その取り立てに関連してこのような状況が起こっているわけでございまして、教育現場に与える影響、これについてどのように判断されているかということをもう一度お聞かせいただきたいと思います。
#389
○国務大臣(町村信孝君) ばくち、ギャンブルと言われます。宝くじと確率は同じぐらいのものですが、宝くじではギャンブルとか余り言わないと思うんです。しかも、宝くじで身上をつぶしたという人も余り聞いたことはありません。これはあくまでも楽しみで、当たったらおもしろいなといってみんな買うものだろうと思いますので、ギャンブル、かけごととおっしゃる、その基本認識がどうも私には理解できないというのが一点ございます。
 ただ、いずれにしましてもこの収益金の活用によってスポーツの振興、青少年の健全育成というようなことに大いにこれを活用していくということで、むしろプラスの方があるんだろう、こう思っております。
 ただ、いろいろな方の御心配もございますので、十九歳未満の者にはくじの購入を禁止する、そのために対面販売を必ず履行する等々の対応も原案でも入っておりますし、さらに修正案では、万が一にもスポーツ振興投票の実施が児童生徒の教育に重大な悪影響を及ぼすに至った場合には文部大臣がその停止を命ずることができる、こういう形で二重、三重の歯どめが講じられておりますので、私といたしましてはこれが青少年の教育に悪影響を与えるというふうには考えておりません。
#390
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、文部大臣が答えた最初の部分が私の感じでもあります。そして、私自身、実は碁、将棋、マージャンを初めとした、あるいはトランプもそうですが、室内遊戯は得手でない人間でありますし、また自分で体を動かすスポーツの方が好きなものですから、人の競技を見てというのは意外に限られております。そして、そういう意味では、サッカーもおもしろい競技だと思って見ておりますし人並みに興奮もいたしますけれども、そこに賭博性ということを言われるのに、何となくそうなのかなと思う部分もありますが、自分自身が賭博というものが好きではないものですから、もう一つ心理的にそこがすとんと落ちません。むしろ、私自身にも宝くじとの類似性の方が頭に浮かびますというのが率直な感じでございました。
#391
○魚住裕一郎君 いずれ衆議院で採決になろうかと思いますが、今度はぜひ採決に参加されるところを見ておきたいというふうに私は思います。
 さて、非常に教育現場が荒れているというようなことが再三出ております。少年の非行事件、ナイフの件であるとか自殺者とか相次いで出ております。また、教師も覚せい剤をやったとかいうことが三月半ばに出た、そういう事件がありました。生徒も先生も非常に荒れているなという印象というか実感を持っております。
 文部大臣、先般、緊急アピールというのを出されたようでございますが、概要を教えていただけますか。
#392
○国務大臣(町村信孝君) 委員御指摘のように、大変悲惨で衝撃的な事件が相次いでおりまして、何とかしなければという思いで三月十日に緊急アピールというのを出させていただきました。
 子供たちには、命の重さ、命の大切さ、あるいはナイフを持ち歩かないようにということを主としてアピールいたしましたし、また大人たちにも、子供の声をしっかりみんなで聞いて、子供をみんなで育てていこうということをアピールさせていただきました。
#393
○魚住裕一郎君 子供たちへ命を大事にしようというのはもちろんそうなんですが、この事態に即してのアピール、言わんとする趣旨はわかるんですが、この実効性といいますか、本当に文部大臣が教え諭しておられるんだろうというふうに思いますが、これは子供たちにどのぐらい効いているというふうにお考えですか。
#394
○国務大臣(町村信孝君) すべての子供たちあるいは子供を持つ親御さんの心に届いてもらいたいという切なる願い、希望を込めて出しました。どれだけの効果があるかと言われても私はにわかに申し上げがたいのでありますが、何とか一人でも多くの方に伝えていただきたいなと思って、実は三月十六日に教育委員会の関係者あるいは校長会、教職員団体、PTA、そうした代表者の方々三十数団体に恐縮ですがお越しをいただいて、私の方からさらにお願いをいたしました。
 先日、ある友達のお子さんがお父さんに向かって、きょう大臣から手紙をもらったと言ってきたという話を聞きまして、ああ、それぞれの学校で工夫をしていただいているんだなと。何かコピーをたくさんとってそれぞれの生徒に渡してくださったようでありまして、そうした学校現場の御努力も多としているところであります。
 もちろん、アピールだけですべてが片づくならこんなに簡単なことはありません。ただ、緊急的な対応ということでありますけれども、さらにこれも既に報道されておりますが、先日、三月二十四日に専門家会議の報告が出されまして、これは主として問題行動があったときどう対応するかという点に絞って、余り学校の中で抱え込まないようにといったようなことも報告を出していただきました。
 さらに、来年できるだけ早い時期から、学校に空き教室なんかがあるものですから、それを心の教室とでも名づけてそこに常時カウンセラーさん等々の方にいていただいて、子供がそこで率直に何でも話せるようにしたい、そんなことを新年度からできればということで今詰めているところであります。
 さらに、もうちょっと先を考えると、中央教育審議会で今幼児期からの心の教育の充実などの御審議もいただいておりますが、ゆとりのある教育を実現できる、その他のために各般の教育改革をしっかり実現していくということが根本的な対応になるのではなかろうか、こう考えております。
#395
○魚住裕一郎君 かなりまとめてお話をいただきましたけれども、今度は大人たちへのアピールというのもあります。「そこで、保護者の方々に訴えたい。」、「自分の子どもの行動に責任を十分持ってほしい。」、それはわかるんですが、何か学校の責任放棄というか文部行政放棄だというふうに読めるんですけれども、この点についてはいかがですか。
#396
○国務大臣(町村信孝君) 一義的には私は子供の保護者が責任を持つべきものだと思います。それは例えば学校で、持ち物検査ということを私は一つの例として出しましたけれども、それについては今までの学校の雰囲気の中ではとても受け入れがたいという雰囲気があったのを、もう少し世の中の常識が学校の中でも通るようにしてくれませんかという当たり前のことを私は言ったつもりであります。
 しかし、そんなことを学校でやる前に、まず親御さんが自分の子供は一体どんなものを持っているんだろうかということに、例えば持ち物一つとってもそれは親がまず見るべき話であろうし、子供のしつけ等々もしっかりとまず親がやる。学校に余りしつけめいたところまで、正直言って期待のし過ぎなんだろうと私は思っておりまして、それは学校の責任放棄とかいうことではなくて、学校は学校としての役割がもちろんあります。しかし、その前に家庭でもう少ししっかりと子供を育てていただけないだろうかという思いをそこで述べたつもりでございます。
#397
○魚住裕一郎君 第一義的な責任というような表現で答弁していただきました。もちろん責任というのは権利あるいは権限と裏腹でございますから、文部大臣の認識の中でも、子供に対する教育の権限、権利というのは親にあるという認識を持っておられるということですね。
#398
○国務大臣(町村信孝君) 法律の専門家の先生に釈迦に説法でございますが、それはもう憲法にも規定をされておりますようにもちろん権利と義務両方あるということであります。
#399
○魚住裕一郎君 今、大臣からも出されましたが、おとといですか、協力者会議の報告というのがあります。この内容のポイントを簡略に文部省の方で説明してください。
#400
○政府委員(辻村哲夫君) 先日出されました児童生徒の問題行動等に関する調査研究協力者会議の報告でございますが、このポイントは、副題にもございますように、「学校の「抱え込み」から開かれた「連携」へ 問題行動への新たな対応」と、こういう視点に立った提言でございまして、具体的には、問題行動に対応して、学校における指導体制の充実ということと学校と関係機関との連携というこの二つについて提言してございます。
 まず、一の学校の指導体制の関係でございますが、個々の教師が子供たちの情報を抱え込まないで、生徒指導主事等にこれを連絡して学校全体としての情報を共有するということが一つ、それからもう一つは、校内に教師、学校医あるいはスクールカウンセラー等が加わりました組織をつくって、そしてさまざまな情報をこの場で情報交換あるいは分析して、教師が正確な子供たちの情報をそうした形で共有するという点、それからそれは単に一学校内ということではなく小中高を通した形での指導の一貫性、これらが学校における指導体制という点についてのポイントでございます。
 それから、学校と関係機関との連携ということにつきましては、学校がすべてこれに対応するということではなく、教育相談所あるいは児童相談所、保健所、少年補導センター、警察等々さまざまな機関があるわけでございますので、常時そういった機関と情報交換、連携を構築しておいて速やかな対応がとれるようにしておくという点、内容によりましてはそうした機関に対応をゆだねるということもあるべしといったことで、学校と関係機関との連携ということについての提言がございます。
 ポイントはこの二点でございます。
#401
○魚住裕一郎君 この報告書に対してマスコミの中では、「学校万能神話&Fめ」というような大きな見出しをつけている記事もあります。また、「「キレる子供」つかめず」という評価も実は出ているわけでございます。子供には、学校での先生の前での顔、それから親の前での顔、また友達同士の間における顔といろいろあるんだろうと思うんです。それぞれかなりギャップがある、だからいろんな問題というか、まさかというようなことも出るんだろうと思うんです。
 今のこの報告書は、学校における指導体制、それから関係機関との連携に絞って議論したということでありますが、最も関心を持ち、最も悩んでいるのはやはり親ではないのか。親との関連をもっともっと掘り下げて、共有する場、今までもあるでしょうけれども、さらに深く教育内容まで踏み込むような協議の場というふうなものを議論していかないのか、ちょっとその点をコメントいただけますか。
#402
○国務大臣(町村信孝君) 委員御指摘のように、この問題はいろいろな角度からの研究、また対応を考えなければいけないということで、たまさかこの協力者会議では、主としてそういう外部機関との連携をどうしたらいいかということにやや最初から絞って報告をまとめていただいたという経緯がありますので、決して学校と家庭の協力関係が重要でないとか、それはさておいてというつもりでは全くございません。
 むしろ、私が先ほど申し上げましたように、家庭の重要性というのをもう一度再認識しようということを言っているわけでございますから、その重要な家庭と学校との連携をより密接にするということが大切なことはもう言うまでもないことでございます。その辺を近々出されます中教審の中間取りまとめでしっかりと書いていただこうかなと思っております。
 特に、学校は今までどちらかというと閉ざされた学校で、地域社会に対しても閉ざされ、意外なことに親に対しても実は閉ざされている部分がかなりある。情報提供も余り十分でないとか、PTAというのはあっても実は余り機能をしていない、形骸化しているとかいうような嫌いがやっぱりあった。それは率直に反省すべき点だろうと私も思っております。
 そういう意味で、今言ったPTAの活性化でありますとか、できるだけ親御さんが参加しやすい時間、夜とか土、日とかに保護者会を開くとか、あるいは最近ですと、授業を一週間ずっと公開して、いつでもお父さん、お母さん来て見てくださいといったような公開参観、昔は日でありましたが、週間でやってできるだけ親に見てもらったりとか、あるいはPTAが主催していろいろな地域とのイベントをやり、そこに先生や子供も参加をする。いろいろな工夫、努力が行われておりますので、そうしたことをさらにより一層連携強化の方向でできるように私どももお手伝いをしていきたいな、こう思っております。
#403
○魚住裕一郎君 確かに、何か問題が起きると突然夕方になって緊急保護者会というのを招集されてということがよくテレビのニュースに出ておりますが、これを本当に常設的な、もっと権限のある機関にしていく、そういう方向性でぜひお取り組みをいただきたいなというふうに思っております。
 この報告書、先ほどポイントを聞きましたが、いずれにしても管理という側面が非常に強く出ておるというのが私の印象でございまして、具体的な連携先の関係機関についての例示がございます。どの問題につきましても、少年鑑別所であるとか警察というのが全部項目に出ているわけでございます。警察もいろんな少年の事案を扱いながらもいろいろ苦慮されていると思いますが、警察としての対応はどのように取り組んでおるのか、お知らせください。
#404
○国務大臣(上杉光弘君) 学校の現場と警察、また関係機関との連携をとることは大変必要なことであります。しかし、学校現場の果たすべき責任と警察が果たすべき責任というものはおのずと私はあると思います。
 そのような意味で、我々は責任を持ってその役割を果たしていくべく情報交換、意見交換を行うことは必要なことであろうと考えております。特に学校現場との連携強化には積極的に取り組んでまいりたい、このように考えておるところでございます。
#405
○魚住裕一郎君 先般、二十日ですか、都道府県警の少年担当課長らを集めて対策会議を都内で開いた、そこで関口長官がいろいろ訓示をしたというお話でございます。そして、具体的に警察官が少年に直接語りかけるんだ、また家庭や学校との連携を警察側から強めるように訓示した、そういうことが新聞に載っておりましたけれども、この意図をお教えいただきたい。
#406
○政府委員(泉幸伸君) お尋ねの会議におきましては、全国の担当課長等を集めまして、春休みの期間中に実施することといたしております少年の刃物使用事件防止対策強化旬間、これは警察の活動でございますが、これを控えまして、街頭補導活動、刃物使用による凶悪事件に対する捜査活動の強化、少年の規範意識の啓発に向けた少年に対する語りかけの強化、学校、家庭、地域に対する働きかけの強化、さらに販売店に対する指導の徹底などについて協議検討を行い、全国的な意思統一と趣旨の徹底を図って、この種事案の再発防止に万全を期するという趣旨で行ったものでございます。
#407
○魚住裕一郎君 教育現場、そして少年の非行等についてはもうだれもが悩んでいるところでありますが、公明におきましても、本当に何かいいアイデアはないのかと常にみんなで議論をしていたところでございます。
 そんな中でこういう提言をさせていただいたんですが、一つは児童生徒のボランティア活動というものを必修科目にしてもいいんではないかというふうに思います。もちろんいろんな形があろうかと思いますが、優しい心というか、そういう心を培っていかなきゃいけない、はぐくんでいかなきゃいけないと思いますし、逆に今度その活動というものが進学であるとか就職にプラス評価されるようなシステムをとれないだろうかということを提言しております。
 この点につきまして、文部大臣、御意見がありましたらお教えいただきたい。
#408
○国務大臣(町村信孝君) 公明の皆さん方から貴重な御提言をいただいております。その中で、ボランティア活動を必修科目にしたらどうかという御提言であります。
 ボランティアという本来の趣旨からすると、それを科目化するというのはいささか自己矛盾があるのかなという気もいたしますが、現実に、実は私どもも既に学習指導要領の中でも、特別活動あるいは道徳の時間等々で小中高の各段階を通じましてまさにできるだけ自発的な形でのボランティアを進めていこうということで、高齢者と触れ合ったり、あるいは高校生が幼稚園や保育所に行って小さい子と触れ合ったりというようなボランティア活動、いろいろな清掃活動等をやっております。
 今後のあり方でございますけれども、一つは、高校は単位というものがあるものですから、平成十年度、要するにこの四月から始まる学年から、ボランティア活動も省令を改正いたしまして、科目、単位として認定するということを始めることにしております。さらに、小中学校の方はどうかといいますと、これは今学習指導要領の改訂作業をやっておりまして、その中で総合的な学習の時間といったようなものをつくることを考えております。その中で例えばボランティア活動なども適切に組み入れた形でそれを活用していくというようなことかな、こう思っております。
 いずれにしても、学校の活動の中におけるボランティア活動をより積極的に有効に活用していくという姿勢でこれからも臨んでまいるつもりであります。
#409
○魚住裕一郎君 公明が提言したのはあと二点ございまして、一つは二十人程度になるようなクラス編制、これはやはりゆとりを持たせていく、また教師と十分話し合いができる場をつくっていくということでございます。もう一点が、実社会から学んだ豊かな経験を持つ中高年、こういう方の教師への採用を普及させたらどうだろうかという、この二点でございますが、これについてもコメントをいただけますか。
#410
○国務大臣(町村信孝君) まず、二十人学級のお話をいただきました。
 御承知のように、平成五年度から十二年度までということで、今回の財政構造改革法で実は後倒ししたわけでございますが、この中で、第六次改善計画と言っておりますが、比較的規模の大きな学校を重点といたしまして、グループ別の指導とか習熟度別の指導とか、小さい人数で学習集団をつくって、そこできめ細やかな勉強ができる、指導ができるといったようなことを中心として教職員の配置改善をやっているところでございます。現下の厳しい財政状況のもとで二十人学級というのは、相当なお金もかかるようでございまして、今それに踏み切るのはなかなか難しいかなというのが率直な感じでございます。
 それから、社会人教師の活用ということで、これは委員今お話しいただいたような意義がございますので、この国会で教育職員免許法の一部を改正する法律案を御審議いただければと思っております。例えば社会人を常勤教員に採用するために、その教員が扱える対象教科を拡大したりとか、あるいは免許状がなくても現職の社会人が教壇に立てる特別非常勤講師制度というのがございますが、これも教えられる教科を拡大したり、それを採用できる手続の簡素化をしたりということで、積極的にこの社会人教員の採用、活用ということは進めてまいろうと考えております。
#411
○魚住裕一郎君 確かに膨大なお金がかかるというお話でございましたけれども、空き教室もいっぱいございますので、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいというふうに思います。
 少年事件というと、どうしても神戸の少年事件を思い出します。最近も、どうして少年事件の刑事事件としての調書が漏れたのか等、新聞をにぎわしておりますけれども、この捜査の進捗状況についてはいかがでしょうか。警察。
#412
○政府委員(伊達興治君) 警視庁におきまして、本年一月、革マル派の非公然アジトを捜索いたしまして、偽造の警察手帳やら大量のかぎ、印鑑、書類、フロッピーディスク、これらを押収しております。こうした押収物の中、特にフロッピーディスクの一部に先ほど言われました神戸事件の被疑少年の検事調書の中身を引き写したと思われるような文書があったわけでございます。
 警視庁におきましては、こうした資料は革マル派が違法な手段で入手したというふうに見ておりまして、検察当局と連絡をとりながら事案の全容解明を図るべく所要の捜査を進めている、こういうふうに承知いたしております。
#413
○魚住裕一郎君 今、検事調書ということでございますが、法務省でのこの点に関する捜査状況はどうなっているでしょうか。
#414
○政府委員(原田明夫君) お尋ねの事件につきましては、検察当局におきましても事実関係の解明に努めているところでございます。
 ただいま警察当局からもお話がございましたように、警察当局におきましても本件については鋭意捜査中と承っております。検察当局におきましては、今後とも警察当局と密接に連携いたしまして、鋭意捜査を行っていくものと承知しております。
 ただ、その具体的内容は極めて微妙でございますので、捜査内容にわたることでございますから、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
#415
○魚住裕一郎君 いずれにしても、この捜査書類というものが表に出て、それが雑誌に載せられるということ自体大変な失態でございますし、また被疑者、被害者のプライバシーの問題、また周辺の人たちに大変な迷惑がかかることでございます。二度とあってはならないと思いますが、この点につきまして、再発防止策というんでしょうか、法務大臣、また国家公安委員長の御答弁をいただきたいと思います。
#416
○国務大臣(下稲葉耕吉君) お答え申し上げます。
 ただいまの事件は、神戸地検で捜査して、そして家庭裁判所、それから関係者がたくさんいるわけでございます。今お話がございましたように、私どもは大変に遺憾な事件だと思いますし、検察といたしましても重大な関心を持って捜査をやっている最中でございますので、その結果を踏まえまして適切に対処いたしたい、このように思います。
#417
○国務大臣(上杉光弘君) この事案について私も大変重要に受けとめておるところでございますが、警察といたしましては、違法行為に対しましては法と証拠に照らしまして厳正に対処するものと承知をいたしておりますし、二度とこういうことのないように努めなければならない、このように考えております。
#418
○魚住裕一郎君 雑誌というと、先般、テレビのニュースを見ておりましたら、文部大臣の顔が出てきて、雑誌協会ですか、の人と会ってお話をしている場面がありました。要するに、再販価格をどうするか云々というようなことで要請に行ったんだろうと思いますが、非常に文部大臣は怒っておられました。どういう趣旨で怒られ、またどういう趣旨のことをおっしゃったのか。
#419
○国務大臣(町村信孝君) 一週間ほど前でありましたでしょうか、雑誌、新聞、それからレコード等々、要するに再販売価格維持制度の存続ということで、今規制緩和の計画を三月末までにつくるという中で御要請がございました。
 それぞれの御要請の中に、日本の文化を守るためにこの再販は必要であるというお話でありまして、盛んに文化文化というのをおっしゃる。再販にそういう機能があることを私は否定いたしません。ただ、そこまで声高に日本の文化ということをおっしゃるのならば、果たして今の一部の雑誌社が出しております、あるいは出版社が出しておりますああした極めて低俗なたぐいの雑誌まで日本の文化として守らなきゃならないのでしょうか、こう申し上げましたら、いや、あれは芸術でありますと言うから、いささか私もむかっときまして、あれが芸術と言うのならば、もうそれは日本の芸術の程度の低さを示すものだと、こんなやりとりになったところがお目にとまったのかと思います。
 私は青少年の健全育成ということを考えましたときに、雑誌だけではなくて、放送でありますとかあるいはレンタルビデオでありますとかインターネットの画像でありますとかさまざまなメディアがあり、そしてさまざまなものが全部自主規制機関があり、綱領を決め、それぞれの対応をやっていると言うんです。しかし、現実はどうかというと、委員も御承知のとおり、何にも自主規制をしていないに等しいような現状が非常に目に多くつくわけであります。実際、親御さんたちも、テレビやマスコミの情報が子供に悪影響を及ぼしていると思う親が八五%いる、あるいは子供に見せたくないと思うテレビの番組があると言う親御さんが六割強いるということは、非常に多くの親御さんたちが心配しているということであろうと私は思います。
 したがいまして、これはもちろん文部省だけで全部対応できるとも思っておりませんが、関係省庁協力をしながら、今後いかに対応できるか。有害雑誌等々については県の条例などもありますが、本当にそれだけで十分なんだろうかどうだろうかというあたりを少しく勉強しながら、何かやれることがないかどうか、できることは最大限やっていかなければならないのではなかろうかなと。全部自主規制でやっていただくのが一番いいのです。しかし、どうもそれにゆだねていたのでは一向に事態は改善しそうもないなと思うものですから、あえてそういう検討を改めて行おうとしているわけであります。
#420
○魚住裕一郎君 そのニュースを見ておりましたらコメントがありまして、文部大臣のパフォーマンスだというようなコメントもありました。行き過ぎたわいせつなグラビアであるとか、確かに問題であろうかと思いますが、表現の自由、報道の自由、これに対する介入のきっかけをつくるんじゃないかというようなコメンテーターもおりました。確かにこの問題は非常に微妙な問題であり、民主主義の根幹にかかわる問題で、非常にしっかり議論していかなきゃいけないと思います。今、文部大臣のお言葉の中に自主規制というような言い方がありましたが、うまく第三者機関みたいなものをつくって対応をしているところもあると私は思います。
 先般、放送と人権等権利に関する委員会というところが、三月十九日ですか、あるテレビで人権侵害されたという方の申し立てに対する決定をなされたわけでございますが、これについて概要を教えていただけますか、郵政省の方。
#421
○国務大臣(自見庄三郎君) 魚住委員にお答えをさせていただきます。
 もう先生が御専門でございますから、今言われたように、まさに放送というのは憲法で保障された表現の自由、報道の自由と公共の福祉をどういうふうに調和していくかということが私は大変大事な点だと思いますし、その中では当然ただいま先生の述べられた自律という言葉ですね、規律と申しますか自律が大変大事だというふうに思っております。
 その中で、先生から今御指摘のあった放送と人権等権利に関する委員会というのが実は昨年の五月にできました、NHKと民放連の自主的な第三者機関として。これがそのパンフレットでございます、持ってまいりました。(資料を示す)この委員会は「放送による人権侵害の被害を救済するため、放送局が自主的に作った第三者機関です。」、それからこれは略してBRCと申しますが、苦情申立人と放送事業者との話し合いが相入れない状況に至っている「苦情を審理し、「見解」または「勧告」を出します。」と、こういったことですね。
 有馬先生が委員長でございますが、八人の有識者、弁護士あるいはそういった方々の委員会でございまして、これは第三者機関として設立されたわけでございます。同委員会が、ただいま先生御指摘のように、米国におけるサンディエゴで大学教授とその娘が殺された事件の報道に関する申し立てにつきまして、本年の三月十九日に委員会としての初の審理結果を示したところでございます。
 その審理結果がいかなることかという御質問でございましたが、その審理結果は、放送事業者の対応によって異なるが、まず民放三社に対しては、明白な権利侵害があったとは認められないものの、人権を初め放送倫理に十分に配意することを強く要望している、こういう結果が出たわけでございます。
#422
○魚住裕一郎君 この被害者の方は、この決定自体、放送局側に立った決定だというようなコメントを言っておられるようですが、ただこの救済手続というか機関があること自体は評価したいし、またそれに基づいて放送した放送局も評価したいと思います。
 ただ、二局、日本テレビとフジテレビですか、これは今係争中であるがゆえにこの手続に乗っからないというような形で判断がなされておらないわけでございます。この苦情対応機関と裁判所の救済と二者択一というような形ではなくして、やはり名誉毀損の問題についてはこういう形で早く救済をされることが大事ではないかと思いますが、この点はいかがですか。
#423
○国務大臣(自見庄三郎君) 魚住委員の御指摘の点でございますが、今言われましたように、裁判係争中の案件の取り扱いについての御質問でございます。
 確かに先生の御意見も貴重なものだと思うわけでございますけれども、この放送と人権等権利に関する委員会の運営規則がございまして、これを読んでみますと、「裁判で係争中の問題は取り扱わない。また、苦情申立人、放送事業者のいずれかが司法の場に解決を委ねた場合は、その段階で審理を中止する。」と、こういった運営規則がございます。
   〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕
 今申し上げましたように、これはもともとNHKと民放連が自主的に設立した任意団体でございまして、そういった規則があるということは、それはそれで任意団体でございますから一つの見識であるのかなというふうに私は思っております。
#424
○魚住裕一郎君 この事件にしても、テレビだけではなくして週刊誌や新聞、そういう活字メディアを含めた報道全体として疑惑というような印象づけがなされたというようなことでございます。例の松本サリン事件の河野さんの場合も、全メディアが袋だたきにしたというようなことがありました。
 私は、この放送と人権等権利に関する委員会だけではなくして、やはり全体的に、公権力の立場で言うのもいかがなものかと思いますが、各国にあるような報道評議会であるとか、あるいはプレスオンブズマンというんでしょうか、そういうようなものもあったらいいのではないかなと思っておるんですが、これは全体のことでございますので、この点に関して総理の御所見がございましたらいただきたいと思います。
#425
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど来、議員も非常に注意して言葉を選びながら発言しておられますように、この問題は、一方は人権というものにどう我々が保護を加え、また守っていかなければならないか、一方は報道の自由、表現の自由というものに対してどこまでルールを持つべきか、大変微妙な問題だと思います。
 第二次大戦終結前、私どもがまだ物心ついたかつかないかのころでありますが、後で振り返ってみますと、一方的なニュースというものを聞いて私どもは育ちました。そして、敗戦後それが大きく違っていたことを小学生で知って相当びっくりしました。その後、そのはね返りのような時期もひところありました。でも、私はその表現の自由あるいは報道の自由というものは日本が敗戦という痛手の中で苦い体験の中から得た一つの財産だろうと思います。同時に、人権もそうです。
 そして、今問われているのはそのいずれかをとるということではない。両方とも守らなきゃならない。とすれば、やはり公権力が介入をする形ではなく、報道に従事される方々自身がみずからのルールを持って良識の範囲で報道をとどめていただく、それだけの、自制心という言い方が適切かどうかわかりませんが、報道する自由と報道しない自由を両方持っておられるわけですから、その微妙な境目はやはり関係者の間のできるなら自発的なものがいいです。
 しかし、それは放送なら放送、活字なら活字、それぞれの中でのルールを御自分たちでつくられる、それでないとうまくいかない、あるいは文部大臣がさっき言われたように、持っているけれどもそれが守られていないということであるなら、これは公務員の倫理規程と同じような言い方をされても仕方がないかもしれません。
 私は、でき得るならこうした問題は国あるいは国会という中で処理するのではなく、報道に当たられる方々の中でルールをつくられ、そしてそのルールを守られるように努力をしていただきたい、そう思っております。
#426
○魚住裕一郎君 関連をお願いします。
#427
○理事(岡部三郎君) 関連質疑を許します。風間昶君。
#428
○風間昶君 この連日、ごみ問題ばかりで申しわけございませんが、しょせん人間は生命を終えますとある意味では地球のごみになっていくわけでございますので、避けて通れない問題だと思います。
 一つはごみに対する考え方、要するに自分の手元において役に立たなくなったのはごみとしてしまっている、この感覚を私たちは見直さなきゃならないのでないかというふうに思っているわけでございます。
 そういう意味で、二十四日、総理に公邸のごみの排出をお答えいただきましたけれども、とりわけ環境あるいは人の健康、社会の健康、地球の健康という観点から考えますと、厚生大臣、それから環境庁長官、そしてまた生命をはぐくむための食を扱っている農林大臣に、ごみを御自身のお宅で、あるいは公邸でも宿舎でも、どうやって投げているか、ちょっと教えていただきたいと思います。
 まず、燃えるものと燃えないものに分けているかどうか、簡単にお答え願います。
#429
○国務大臣(小泉純一郎君) 私は瓶類とか缶類とかを紙と分ける程度で、あとは自分でやっていませんね。人任せの状況です。
#430
○国務大臣(大木浩君) 家といいましても、今私は東京では議員宿舎を使わせていただいておりますし、地元には古い自分の家がございますが、自分でごみを出すときもあります、特に東京におりますときは一人しかおらないときがありますから。御存じだと思いますが、議員宿舎ではかなり分けて出さないとしかられますので、それに応じまして出しております。家の方は自分では出しませんけれども、町の方で集めるときにある程度分別いたしませんとなかなか持っていっていただけませんから、そういうふうに分けてやっているようでございます。
#431
○国務大臣(島村宜伸君) 生ごみ類は、コンポスターといいまして堆肥になっていく、そこへ捨てているようです。空き缶とか瓶はリサイクルの別の収集が来ますので、そちらにお任せしています。それから、燃えるごみは月曜と水曜に来て、燃えないごみが土曜日に来るというので、それぞれに出しているそうでございます。
#432
○風間昶君 それでは、文部大臣と建設大臣にもお伺いいたします。
#433
○国務大臣(町村信孝君) 我が家では、生ごみと紙類等燃えるごみと瓶と缶と、四つのごみ箱といいましょうか、にいつも分けて入れるようにしております。
#434
○国務大臣(瓦力君) 私も議員宿舎暮らしでございますので、ちゃんと袋がありますね、あれに入れろということをやかましく言われますのでさような処理をいたしております。燃えるものあるいは缶、瓶類、生ごみ、それぞれ行儀よくしつけられております。
#435
○風間昶君 今お伺いしまして、まさに多種多様なわけです。しかし、おおよそ今の五人の大臣からお伺いできたように、また二十四日、総理もちゃんと紙とプラスチック類と缶と瓶とそして生ごみと五つに……
#436
○国務大臣(橋本龍太郎君) あと使えなくなった電池。
#437
○風間昶君 電池とその他というふうにおっしゃっていまして、分けられて投げていらっしゃっている。そういう意味で感心をしたわけです。
 問題は、一人のそういう努力もさることながら、一人が幾ら努力しても、社会的にごみを出すことに対しての考え方を、インセンティブをつくっていかなきゃならない、それはまさに行政のやる仕事だと私は思うんです。
 そういう意味で、ごみという概念の考え方はどこか本当に、厚生省がいいのか環境庁がいいのかわかりませんけれども、ごみというのは一体何なんだという考え方、これはまさにアメリカのゴア副大統領も小杉代議士と共著者になって書いてございますけれども、これはいわば地球的よりもむしろ宇宙的に大きな問題点だと私は思うわけであります。
 ごみというのを厚生大臣はどういうふうに思っていらっしゃいますか、どう定義されますか。
#438
○国務大臣(小泉純一郎君) ごみは我々人間社会においてだれでもが出さないと生活できないものになっています。そこで、どうやって循環型社会をつくるかということで今苦心をしているわけですが、動物の社会はどんなごみもない、人間社会が言うごみも動物の社会ではない、うまく地球環境に還元されていくわけです。人間も動物だといいますけれども、そういうことを考えるとむしろ人間の方が特殊だ、人間こそエイリアンじゃないかと言う人もいるぐらい人間が還元できないごみをつくってしまった。
 しかし同時に、最近ではごみと言われたものが再生利用されるような技術も人間が同時に開発研究しているという観点を考えまして、いかに人類に悪影響を与えるようなむだなごみを再生利用できる技術を開発するかと同時に、大量消費、大量廃棄の時代からできるだけごみを少なくしていこうという努力と、そしてごみを出さざるを得ないんだったらいかにうまく制御していくかというような面と、ごみを出した場合のきちんとした処理方法、そういう面を人間の社会が、自分が出したごみでありますから、うまく管理する、処理する能力を今後身につけていかなきゃ大変な時代になってしまうというふうに感じております。
#439
○風間昶君 そこで、今もう家庭から出るごみはほとんど容器と包装で占められて、そのうち六割が塩ビ製品でございます。もう至るところに、二十四日も総理がおっしゃったように、便利な塩ビに囲まれた我々の生活、まさにそういう意味では、それを燃やすことによって、あるいは埋めたとしてもそれがまた循環されて化学物質になってしまう。そういう意味ではダイオキシンを含む、いわば人の体ではない外因性のホルモン様の働きをするホルモン、環境ホルモンという言葉を使っているようでございますけれども、外因性の内分泌攪乱物質と言われておりますけれども、それと背中合わせに生きていかざるを得ないという状況だと思います。
 そこで、この間もお見せしましたように、カップめん、これは食べ物を中に入れているわけですけれども、食品の部分についてはJASマークを含めて成分から賞味期限から相当きちっとなされているんですけれども、カップそのものについては規定がないんですね、どうなっていくのか、どうしていったらいいのかということの、つまりごみになっていった場合。
 いずれにしても、めんは農水省がちゃんと管理して、容器は厚生省の食品保健課が管理していると。しかし、その規格には、これがごみになっていって燃やされようが埋め立てられようが、どうなっていくのかということについて全然触れていないわけであります、容器に関して。ですから、私は廃棄段階での人や社会に与えるこの環境影響の視点をやっぱり欠いているんだというふうに思わざるを得ないんです。
 どうしていったらいいか、もし厚生大臣にお考えがあれば。
#440
○国務大臣(小泉純一郎君) いろいろ専門家、識者等からの御意見も伺っている段階なんですが、もう製造段階で最後の処理段階までを考えて、料金にしても価格転嫁するのかあるいは公費で負担するのかも含めまして、最初につくる段階から最後に処理される段階まで考えて製造すべきではないかなという議論が出ております。そこまで行けば私は今よりも格段と進んだ循環型の社会ができるんじゃないか、そういう面にも今後一工夫なりさらに一段と努力が必要ではないかなと感じております。
#441
○風間昶君 まさに大臣が今おっしゃったように、廃棄にかけるコスト分を製品価格に上乗せする、あるいは、きのうもたばこ税の話が出ましたし、温暖化防止条約のための炭素税の話もあるわけでありますから、私はこういう容器の部分については塩素税とでもいうべきものの検討をしてもいいんじゃないかと思うんですが、総理、どうでしょうか。
#442
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今の御議論を聞いておりまして、実は私は大変自分で恥ずかしい思いをしておる部分があります。
 と申しますのは、ちょうど昭和四十五年から六年にかけて厚生省の政務次官だった当時、今日の環境庁をつくる作業に加わっておりました。そして、今振り返ってみますと、たった二人だけ、当時の厚生省の若い技官の課長と事務官の課長の中から、廃棄物、ごみというものを環境行政の中に組み込むべきだという議論をした方がありました。しかし当時、これは学者の方々も我々政治家も彼らの上司も皆、何を言っているんだ、ごみはごみじゃないかということで、その議論は全く取り上げられませんでした。今振り返ってみますと、極めて恥ずかしい思いのする出来事です。
 と同時に、これはちょっとメーカーというか会社の名前を挙げることはいかがかと思いますが、当時、既にヤクルトが自分のところの配達システムから逆たどりをして容器回収を考え、それを可能にする車を自社で開発し、その試験車を厚生省に持ち込んだことがあります。そして、厚生省に当時求められたのは、その努力に対する行政からの感謝といいますか称揚の言葉と同時に、それを再生利用するための研究についての協力でありました。厚生省自身ができないものですから、当時他省庁につなぎましたが、結果としてその時点で再生利用の計画で成功したものはなかったと思います。
 その後、その車の使われ方がどうだったか実は私も存じませんけれども、このところ廃棄物というものが問題になり、その中で特に人間が自然界にない新たな物質を合成してきたものが自然に返る時点で、我々が全く予測しなかった、しかも長期にわたる加害者となり得る発がん性あるいは催奇形性を含む毒物となるという状態に遭遇するようになりました。しかも、生体内濃縮も心配をされ、蓄積性の問題があります。
 それだけに、私は、ただいま小泉厚生大臣と議員との間で取り交わされておりましたような考え方が本当に国民に共有され、それだけの責任は自分たちも負担するということを大手を振って言える時代が来ればと本当に思います。
 その意味で、実は私は炭素税は必ずしも、化石燃料課税というものはヨーロッパの実態を見ましても相当自分の国の都合のいいように変更がされておりまして、言われるほどの効果が必ずしもないことを自分なりに感じましたけれども、議員から今述べられたような形の論議というものを始めることは決して私は悪いことだとは思いません。
#443
○風間昶君 これは、日本子孫基金という団体が出している「ダイオキシンの原因を断つ」ということで、同じラップでも塩素が入っていないものの方を使うべきだと、こういう絵を出しているわけです。(資料を示す)一枚二百五十円のパンフレットです、きょう買ってきたんですけれども。
 使ってはいけないプラスチックと使っていいプラスチックというふうにちゃんと図示してあるわけです。これが正しいかどうかはまだ検証の必要があるんですけれども、環境庁の方の「ダイオキシンってなあに?」というのは文字ばかり、小さい字。全体を読めばわかるなんて環境庁長官はおとといおっしゃったけれども、国民にはこの方がよっぽどわかりやすいんです。それで、ここにマークがまた入っているんです。これはポリスチレンだとかポリプロピレンだとか、要するに塩素が入っているか入っていないかというところまで図示しています。
 ですから、私が今すぐやっていただきたいことは、まず容器に燃やしたら危険だということぐらいの、たばこにはのみ過ぎに注意というふうに書いてありますけれども、そういうレベルでなくて、燃やしたら危険というぐらいの表示をぜひ考えていただきたい。
 通産大臣の所管になるんでしょうか、どこになるのかな、厚生大臣になるのかな。縦割りでなくて、ちょっとコメントをいただいて、質問を終わりたいと思います。
#444
○国務大臣(堀内光雄君) お答えを申し上げます。
 ダイオキシンの発生のメカニズムや、ごみの中の塩素量とダイオキシンの発生量という因果関係は、先ほどもいろいろ質疑がございましたけれども、必ずしもまだ解明されているわけではないというふうに承知をしております。しかし一方では、廃棄物の焼却によるダイオキシン類の発生というものを抑制する方策はやっぱりしなきゃいけないだろう。ただいまの先生のお話のような表示というものも一つ問題として取り上げることがあろうかと思います。
 やっぱりリサイクルによる焼却ごみの減量化ということが通産省として考えますと重要じゃないかというふうに思っておりまして、塩化ビニールが使われている容器、包装のリサイクルを促進させるために、既にもうPETボトルについてはこれを対象としたものが容器包装リサイクル法で始まっているわけでございますけれども、この適用の運用を図っていくとともに、塩化ビニールは多種多様な製品に非常に多く使われておりますので、どれがどの程度どういうふうに入るかというのはなかなか難しい面が多いようでございます。
   〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕
 リサイクルの手法の開拓や技術開発の促進によりまして、リサイクルの促進についての検討はぜひ私どもの通産省では進めてまいりたいと思っておりますが、ただいまの焼却の問題については厚生省にひとつよろしくお願いしたいと思います。
#445
○国務大臣(小泉純一郎君) ダイオキシンの問題は深刻な影響をもたらす問題ですので、昨年来からいろいろ対応策を考えてやっております。
 また、どの容器がダイオキシンを出して、どの容器が出さないかと、必ずしも塩素だから出す、塩素じゃないから出さないということは言えないようであります。聞いてみますと、サンマの塩焼きを焼いてもダイオキシンが出ると。しょうゆからも出ますから、そうすると焼き鳥を焼いてもダイオキシンが出るわけです。ところが、みんな知らないで平気でサンマはいいにおいだ、焼き鳥はいいにおいだと言っているが、あれもダイオキシンが出るということを考えますと、ダイオキシンが出るのを全部規制するといっても、わからないといえばわからないんです。
 だから、どういうのが本当に危険なのか、よく科学的な解明も含めまして、このダイオキシンというのは人類に大変な悪影響を与えるものですから、外国の例も参考にしながら研究を重ねて、より一層厳しいダイオキシン対策をしていかなきゃいかぬというふうに考えております。
#446
○風間昶君 ありがとうございました。
#447
○魚住裕一郎君 終わります。
#448
○委員長(岩崎純三君) 以上で魚住裕一郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#449
○委員長(岩崎純三君) 次に、上田耕一郎君の質疑を行います。上田耕一郎君。
#450
○上田耕一郎君 私は金大中事件と新ガイドライン問題について質問をいたします。
 金大中事件が起きましたのは七三年八月八日ですから、二十五年近くたちましたが、被害者の金大中氏が韓国の大統領になられて、歴史のドラマを見る思いで感慨深いものがあります。
 二月十九日付の東亜日報が、KCIA、韓国中央情報部作成の工作要員実態調査報告を詳細に報道いたしました。公的犯罪、韓国の公的機関の犯罪だったことが非常に明白になりました。日本の警察庁も韓国大使館の一等書記官金東雲の指紋採取なども行いましたし、いまだに捜査中だと思います。
 警備局長に、その捜査状況と、それから今回の東亜日報に出た報告についての関心、それについて御説明をいただきたいと思います。
#451
○政府委員(伊達興治君) 政治決着につきましては、当時の日韓両国政府間の全般的な諸問題を踏まえた上で高度の政治判断に基づいて行われたものと理解しておりますが、警察としてはこれとは別でありまして、あくまでも事件捜査の観点から事案の真相解明に向け捜査を継続してきたというのがこれまでの経緯でございます。
 なお、先月、韓国中央情報部による組織的な犯行であったことを裏づける内部の極秘文書を入手した、こういう旨の報道があったことは承知しております。現在、外務省を通じて情報収集を行っておりますが、現時点ではこの極秘文書なるものの存否や出所等については明らかになっていない、こういうふうに承知しております。
#452
○上田耕一郎君 上杉国家公安委員長にお伺いしたいんですけれども、非常に重大な国際的事件でありましたし、今外務省を通じてというお話もありましたけれども、何も外交交渉というんじゃなくて、適切な方法で今度の報告書の内容を確認して捜査に決着をつける、それで真相を公表する時期になっているんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#453
○国務大臣(上杉光弘君) お答えいたします。
 ただいま警備局長からお答えいたしましたように、金大中事件につきましては事案の真相解明に向けまして現在も捜査中でございます。警察といたしましても、引き続き所要の捜査を関係省庁とも十分連携をとりながらいたしてまいりたいと考えております。
#454
○上田耕一郎君 どうもあいまいなままの感じで非常に残念です。
 久間防衛庁長官にお伺いします。
 きょうは詳細に述べるつもりはございませんが、私どもはかなりこの問題を調査追及したんですけれども、例えば自衛隊の元幹部が設立したミリオン資料サービスという興信所が、原田マンション、金大中さんの動静に対して張り込みをやっていたこととか、現職の自衛隊幹部が金東雲一等書記官と非常に親密だったという情報とか、いろいろありました。これは自衛隊の一部がKCIAの犯罪に協力したんじゃないかというので非常に重大な疑惑を持たれた問題なんです。
 他方、金大中さんの命を救ったという証言もあるんです。二十一年たった九四年、金大中氏自身が読売とのインタビューの中で、「私はホテルから拉致された後、船で日本海に連れ去られ、海中に投げ込まれようとしたが、その直前、日本の自衛隊機が上空に飛来、殺害しないよう警告したため命を取り留めた。この事実は、日本の国民はそろそろ知らされるべきである」と、これは九四年三月十日付の読売に載っているんですね。という証言もあるんです。
 そろそろ改めて調査して、真相を報告すべき時期に防衛庁としても来ていると思いますけれども、いかがですか。
#455
○国務大臣(久間章生君) その後、この国会でもいろいろ議論になりましたので、防衛庁といたしましても調べたようでございます。
 確かに防衛庁のOBが今言われたように興信所をやっておって、そしてやめる直前の隊員と一緒になって見張り等をやった、調査をやった、第三者から依頼されてやったということは事実でございます。しかし、その後いろいろ調査してみましたけれども、自衛隊として関与していた、またその二人も今の韓国大使館あるいはKCIA、そういったところとの関係はなくて、全く違う人から頼まれて見張っておったというようなことでございまして、自衛隊として関与していたという事実はございませんでした。
 二十数年前のことでもございますけれども、その当時いろいろ調査してそういう結論に達しておりますので、今ここで改めて調査するような気持ちは持っておりません。
#456
○上田耕一郎君 熱意はないようです。
 首相に政治決着についてお伺いしたい。
 私は七七年二月二十二日の参議院予算委員会でこの問題を取り上げたんです。福田首相でした。政治決着というのは、もう御存じのように、一つは、田中首相と金鍾泌韓国首相との間で、金東雲を免職にしたからということで、それを了承してしまった。その次の七五年七月、三木内閣の宮澤外相が訪韓し、金東雲は不起訴にしたという口上書を了承して、宮澤さんはこれで決着したという見解も発表されたんです。ですから、真相究明されないまま政治決着が終わったかのようだった。
 ところが、私の質問に対して福田首相は、ここに議事録がありますけれども、「刑事事件の成り行きによりましては、政治的問題としての決着もまたつけなければならぬと、こういうふうに考えます。」、それで、上田耕一郎君「つけ直すということもあり得るということですね。」、福田総理が「そうです。」ということをこの参議院予算委員会で述べられたんです。
 それで、首相、どうでしょう、日本としては在日中の金大中氏の安全を十分確保できなかったという政治責任もあります。同時に、重大な主権侵害もあります。宮澤さんは二月二十五日の朝日新聞のインタビューで、国家主権侵害は未解明だということを宮澤さん自身が最近述べられているんです。
 そういう点では、私は、何も外交交渉をやれという意味じゃないんですけれども、金大中大統領の側も真相究明をすることがいいかどうか、いろいろあると思うんですけれども、日本としてはこういう問題に歴史の問題として公正な総括をすることが今後の日韓関係にとっても日本の政治の歴史の上でも大事なんじゃないか、必要になっているんじゃないかと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。
#457
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、議員自身触れられましたように、この事件についての外交的決着、これはその当時の日韓双方の最高首脳が日韓関係の大局を考えられ、高度の政治的判断を下されたものであろうと思います。
 私どもは、私というか日本としては、この件に対する金大統領自身の姿勢に関心を払っていくつもりでございます。そして、金大中大統領は、金大中氏拉致事件に対して、当事者の責任は問わないが真相は解明されなくてはならないという考えとともに、この問題を両国政府間で取り上げる意向はないこともあわせ表明しておられると聞いています。
 我々はそうした大統領御自身の姿勢というものに関心を払っていきたいと思いますし、先ほどの韓国のマスコミが報道したものに対して、別にこれは外交交渉というわけではなくて、外務省を通じてその資料の存否を確認したんだと思いますけれども、こういう手順も払っている、こういうことであります。
#458
○上田耕一郎君 私は歴史の問題として解決する努力を日本全体として払うことが必要だ、そう思います。
 次に、新ガイドラインの問題に移ります。
 総理は、二十二日、防衛大学校の訓示で、今国会に関連立法提出を表明されました。予定されている立法措置の内容、種類をお答えいただきたいと思います。
#459
○国務大臣(久間章生君) 今いろいろと詰めているさなかでございます。捜索・救難あるいはまた船舶検査、いろいろございますけれども、まだ現時点で確たるお答えができるほど煮詰まってございません。
#460
○上田耕一郎君 なかなかはっきりおっしゃらない。
 この委員会でも国会承認問題がいろいろ議論されます。防衛庁長官は、国民の権利義務、これにかかわるかどうかという幾つかの基準を述べられた。私は長官が言わない基準があると思う。それはアメリカの戦略、アメリカの考えている方針を阻害しないようにという基準が、笑われたけれども、あるんですよ。国会が別の判断をされたら困るということを考えているんじゃないですか。いかがですか。
#461
○国務大臣(久間章生君) いえ、決してそういうわけではございませんで、自衛隊が活動をする場合に、国会とのかかわり方につきましては自衛隊法ではっきり規定されているわけでございます。
 従来でございますと、防衛出動あるいは治安出動、治安出動のうちでも例えば都道府県知事からの要請等によってやる場合は承認は要りませんけれども、命令によって出動する場合は要る、そういう形で整理されておったわけでございます。
 しかし、先般もこの委員会で言いましたけれども、その後PKO法案を出しましたときに、PKOについては海外に出ていくから報告でいいだろうということで、政府はそういう案で出しましたら、国会の方ではPKFについては承認だということで、修正して法律が成立したわけでございます。
 したがいまして、いろんな考え方がありますから、自衛隊の活動については国会との関与の仕方についてどうあるべきか、そういうことで今検討をしているわけでございまして、決してアメリカとの関係とかそういう形で国会の承認を得るとか得ないとか、そういうようなことを考えているわけではございません。あくまでも現在までの法体系、先般のPKO法が修正されたときの国会承認に係らしめられたこういう事案、あるいはまた同じ活動でも従来から機雷の掃海あるいは海上警備行動等については入っていないわけでございまして、そういうのを総合的にバランスを見ながら決めていかなければならないということで私どもは今検討しているところでございます。
#462
○上田耕一郎君 残念ながら日本の自衛隊は構造的にアメリカ軍の補助部隊なんです。
 私は国際問題調査会の理事をやっているんですが、ここに平成八年五月十五日の議事録を持ってきました。田村秀昭参議院議員、元航空自衛隊の学校長でしたが、こう言っています。「海上自衛隊について言えば第七艦隊の一機能を担当するというようなことで、」ということで、田村さん自身が嘆いているんですよ。
 それから、きょう資料をお配りしました。ちょっと資料を見てください。
 資料一、防衛庁人事教育局長佐々淳行氏の「自衛隊運用の問題点」という講演です。佐々さんは後に施設庁長官にもなられている。「部隊配置をみても判りますが、海上自衛隊は米第七艦隊の補助の役割を果せばよいということで、」と、講演でちゃんとこういう説明をしている。その後、いざソ連と何かあった場合、「海上自衛隊の場合、主たる任務は太平洋の補給路、」、「グアムから米戦略物資を運ぶための一〇〇〇カイリ、」等々、護衛隊、つまりアメリカの護衛をやればいいんだと言うんですよ。
 どうですか。長官はこういう佐々さんやなんかより割に経験が少ないでしょう。長官になってすぐで、大したことない。局長がこう言っているんだから、田村さんとか。
 こういうアメリカの構造的な補助部隊を今度アメリカの太平洋戦略に組み込んで、日本は攻撃されていないのに第三国に対するアメリカの軍事行動に対する支援部隊、兵たん部隊にしようというのが今度の新ガイドラインなんだから。こういうものの補助部隊でないと言えないでしょう。
#463
○国務大臣(久間章生君) 今そこの文章だけしか私も目を通しませんでしたのでわかりませんけれども、五十六年当時の資料だと思います。
 そうしますと、米ソ対立の激しかったころの関係でございまして、我が国の防衛のためにはどうしてもアメリカ軍に頼らざるを得ないということで、日米安保条約に基づく安保体制をとにかく両方で組んでやっていく、そういうような考え方でございます。そういうようなことから、当時の強力なソ連に対してアメリカの第七艦隊の役割というのが非常に大きかった、そういう中での文脈じゃないかというふうに思うわけでございます。
 我が国が有事の場合といいますか、要するに我が国が攻撃を受けた場合は、今でもそうでございますけれども、やはり我が国だけではなかなか長期間勝ち抜いていくことはできない場合もあるだろうということで日米安保条約に基づく安保体制を堅持しておるわけでございますから、基本的にはそういう部面はありますけれども、他の分野もひっくるめましてアメリカ軍の補助部隊だというような認識は、我が自衛隊としても、防衛庁としても、また我が国としても持っていないわけでございます。
#464
○上田耕一郎君 ソ連がなくなったらいきなり自主的な軍隊になったかのようにおっしゃるけれども、これは全く現実ともその行動とも違います。
 古臭い、古色蒼然たる文書を持ち出しました、本邦初公開の。三矢研究、当時大問題になりましたね。三矢研究というのは六三年につくられている。これはその三矢研究よりも六年前の統幕事務局が作成した三月研究という文書です。自衛隊発足のほとんど直後ですね。
 その一部をきょう資料としてお配りしてあります。資料の二、ここに目的が書いてある。「昭和三十二年度統合長期及び中期情勢見積案を検討すると共に統合防衛計画体系試案を研究討議」する。統合というのは陸海空の三自衛隊を一緒にという意味なんですね。前段は目黒の上大崎寮、後段は片瀬向洋荘、六日間の研究。統幕の局長、班長、陸幕、海幕、空幕から五名を命ずると。
 私は全部目を通しましたけれども、結局アメリカの研究なんですよ。アメリカがどういう戦略をとり、どういう統合作戦計画を持っているかと、全部一生懸命勉強しているんですよ。
 そして、資料三、右上に極秘とあるでしょう。本物はこれが赤い判こです。(資料を示す)これ全体はマル秘と書いてある、マル秘文書。極秘というのは、赤いところが幾つかあるんです、赤い判こをわざわざ押してあるところ。これは全部対米関係を書いてあるところですね。これはこう書いてある。「長期統合防衛計画は、米国JCS」、JCSというのはジョイント・チーフ・スタッフ、統合参謀本部、「米国JCSの作成する統合長期戦略見積を範として作成する。ただしこの場合日本における諸種の条件を加味する。」。
 日本は味がつくだけなんですよ。基本は全部アメリカ製、アメリカをまねしてつくると。日本の条件を加味する、しょうゆをビフテキにかけた程度というものが。ですから、アメリカ製の武器でアメリカ製の戦術でアメリカ製の体制でアメリカ製の戦略でずっとやってきたんですよ。これがスタートです。いかがですか。
#465
○国務大臣(久間章生君) 発足後間もない我が国として、こういう長期的な防衛見積もりといいますか、こういうのをどうするか、そういう意味ではほとんどアメリカのものを参考にしながらやってきたんだろうと思います。それはもうその当時に範とするものがないわけでございますから、我が国はアメリカのいろんな計画、長期計画をやっぱり範とせざるを得ないので、そちらにもはっきり書いているように、それを範としてやってきた。
 しかしながら、今日では同じように統合長期防衛見積もりをやっておりますけれども、これにつきましては自衛隊が中心になってちゃんとやっておりまして、今年もいわゆる改定の五年目になってまいりましたので、今私がその作成を命じてやらせているところでございます。
#466
○上田耕一郎君 今日は違うとおっしゃる。
 この一ページ目に資料五というのがある。資料五を見てください。これは当時のアメリカのジョセフ・ナイ国防次官補の下院国際関係委員会アジア・太平洋小委員会での証言です。
 新防衛計画大綱が九五年十一月にできて、その中で初めて周辺事態が書かれたんですね、大規模災害というところに。「我が国周辺地域において我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合には、」云々と。だから、周辺事態というのは新防衛計画大綱に最初に載ったんですよ。
 その十一月にそれを出す前にナイ氏は、これは十月二十五日の証言。九月に日米安全保障協議委員会が開かれた。これは日本からは当時の河野外務大臣と衛藤防衛庁長官が出たんです、2プラス2と言われる。ナイ氏はここで日本政府に対し、成功を図る尺度の一つは防衛計画の大綱と今度発表された東アジア戦略報告書がアプローチにおいて明確にオーバーラップすることだとちゃんと表現している。そう言ったんです、河野さんと衛藤さんに、オーバーラップしろと。オーバーラップして周辺事態が書き込まれた。それで翌年、日米安保共同宣言を首相が結ばれて、その中で新ガイドライン、周辺事態が大問題になっている。今だってそうじゃないですか、アメリカの言いなりじゃないですか。
#467
○国務大臣(久間章生君) 決して言いなりになっているわけじゃございませんで、2プラス2でもそういう会合をやっている。また逆に考えますと、我が国の防衛計画の大綱とアメリカのアジア戦略が全くちぐはぐで重なり合っていなかったら、それこそおかしいわけでございます。
 今度のガイドラインにしましても、やはり我が国が有事の場合というのは入っておるわけでございますから、平素からの協力、我が国が侵略された、攻撃された場合の対処行動、そして周辺事態と三つあるわけでございまして、そういう意味でアメリカの計画と我が国の計画が全く相反するようなことじゃいけないわけでございますから、その辺は2プラス2等で調整しながらやっていくわけでございます。それは何も、アメリカの言いなりになって補助部隊になるというようなとらえ方はしていただきたくないと思います。
#468
○上田耕一郎君 そういうふうに日米で調整して、いよいよ周辺事態でしょう。総理、大変な問題があるんです。資料四を見てください。
 この古い文書、やっぱり極秘のところです。とにかく計画そのものが高度の機密に属するというんだ、軍事問題だから。だから、「米国としては、日本の戦略的地位変化の見透し、政治情勢の安定度、国内諸法令の整備(機密保護法等)等を充分勘案した上でなければ連合計画に応じないであろう。」、日米が共同でいろいろ動き始めるためには米国は機密保護法を要求すると言っているんですよ。福田首相がガイドラインを結んで国会で議論になったとき、この機密保護法問題については、徴兵法その他はやらぬけれども機密保護法を検討しなきゃならぬかもしれぬと言っているんですよ。
 どうですか、橋本総理、機密保護法は絶対にやりませんか。
#469
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変失礼な申し方をいたしますけれども、いつも議員の御議論は極めておもしろく拝聴しております。そして今、議員から機密保護法というお話をいただきましたが、政府は今情報公開法を準備しつつあります。
#470
○上田耕一郎君 今の総理の答弁はしっかり受けとめて、情報公開をするのであって機密保護はしないという答弁として受けとめておきます。
 さて、新ガイドラインの憲法問題をいろいろ聞きたいと思います。
 新ガイドラインに基づいている別表、いろいろあるんですけれども、日本の自衛隊が国境の外で行う行動はどういう種類でどうなっているか、防衛局長、これをお答えください。
#471
○政府委員(佐藤謙君) お尋ねの件でございますけれども、現実の事態の態様等により異なる面がございますので、厳密な議論は困難な面があるわけでございますが、現在のところおおむね次のように私どもは考えております。
 まず、周辺事態、三つに分かれておりますけれども、その最初の分類であります日米両国政府が主体的に行う活動、救援活動及び避難民への対応のための措置、捜索・救難、非戦闘員を退避させるための活動、それから安保理決議に基づく船舶の検査等というところでございますが、これに関しましては自衛隊が日本の領域外で活動することはあり得る、こういうふうに考えます。このうち、船舶の検査等は基本的に海上自衛隊が行うということになろうかと思います。
 それから、次の大くくりでございますが、後方地域支援については、指針に記載されておりますように、「主として日本の領域において行われるが、戦闘行動が行われている地域とは一線を画される日本の周囲の公海及びその上空において行われることもある」ということでございます。さらにもう少し細かく申しますと、輸送につきましては公海上の米船舶に対する人員、物資等の海上輸送ということが想定されまして、海上自衛隊が日本の国境の外で活動をする場合があり得ようと思います。その他の補給、整備、衛生、警備、通信等でございますが、こういった活動につきましては我が国領域外で実施されることが基本的には想定しがたいものというふうに考えているところでございます。
 それから、三番目のグループでございます運用面における日米協力につきましては、警戒監視及び機雷除去につきましては我が国領域外で活動をする場合があり得よう、こういうふうに考えているところでございます。
#472
○上田耕一郎君 つまり、今説明がありましたように、国境の外にいろいろ出ることになるんですね。
 法制局長官、海外派兵は憲法で禁止されているが、これには当たりませんか。
#473
○政府委員(大森政輔君) 結論を端的に申し上げますと、当たらないということでございます。
#474
○上田耕一郎君 理由は。
#475
○政府委員(大森政輔君) 海外派兵、この言葉には法令上の定義があるわけではございませんが、おおむね海外派兵とは武力行使の目的で武装した部隊を他国の領域に派遣することであるというふうに説明してきているわけでございます。先ほど御指摘になりましたようないろいろな行為はそもそも武力行使にかかわる行為じゃございませんので、そういう点からも海外派兵の要件は一切欠くということでございます。
#476
○上田耕一郎君 それでは、自衛隊発足直後の参議院本会議の決議、五四年六月二日ですけれども、海外出動は全会一致でしないという参議院本会議の決議があるんですね。これがPKOのときもかなり大問題になった。これはPKOと違いますから、今説明がありましたように、今度はいよいよ周辺事態で武器を持っていくんですから、日本の海上自衛隊、航空自衛隊が。
 これは参議院本会議の海外出動はしないという本会議決議に違反するのじゃありませんか。これは防衛庁長官ですね。
#477
○政府委員(佐藤謙君) 海外出動、要は海外派兵ということでございまして、その海外派兵につきましては、先ほど法制局長官からも御説明がございましたように、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣するということでございます。今回、新ガイドラインで想定しておりますのは、そのもの自体、武力行使に該当するものではございません。
#478
○上田耕一郎君 いろいろ反論したいんですけれども、時間もかかるので憲法上の問題点をきょうは列挙していきます。反論はまた次の機会にいたします。
 防衛庁長官、また総理も、周辺事態が出ると必ず一線を画する問題、これを言われるわけですね。今まで憲法上さまざまなグレーゾーンがあると言われていた。今度の新ガイドラインと関連立法はグレーゾーンを全部白にしてしまおうという恐るべきものだと思うんですね。
 この新しい関連立法、特に周辺事態米軍活動支援法などと仮称で言われていますけれども、その中には、この新ガイドラインにある「戦闘行動が行われている地域とは一線を画される日本の周囲の公海及びその上空」云々は法律の中にも入る予定ですか。
#479
○政府委員(佐藤謙君) いずれにいたしましても、このガイドラインの実効性確保のための法律の整備ということに当たりましては、このガイドラインで考えられております、先生が今お挙げになりましたようなそういう考え方も踏まえて作成をすることになろうかと思います。
 ただ、具体的な扱いにつきましては、何分にも現在まだ法案の検討中でございますので、確定的なその扱いにつきましては申し上げることができないことを御理解いただきたいと思います。
#480
○上田耕一郎君 これは新ガイドライン関連立法の憲法とのかかわりの核心なんですよ。戦闘が行われている地域とは一線を画す、だからアメリカの武力行使とは一体ではございません、だから憲法上問題はございませんというところへ結びつけようとしているんですね。
 それで、防衛庁長官にお伺いいたします。
 一線を画すというのは、これは距離なんですか、何キロメートルとか何海里とか。
#481
○国務大臣(久間章生君) 戦闘行動が行われている地域と一線を画された地域とは、いつも言っていますけれども、戦闘に巻き込まれることが通常予測されない地域であり、戦闘行動が行われる地域から一線を画されているか否かというのは、紛争及び戦闘の全般的状況、戦闘行為を行う主体の能力、すなわち航空優勢の確保とか装備品の攻撃能力等でございますが、その展開状況等を総合的に勘案して我が国が判断することとなるわけでございます。
 そのときの我が国の判断の仕方あるいはそれをどういう手順でやっていくか、これらが今いろいろと立法に当たって議論しているところでございまして、いずれにしましても戦闘地域とは一線をきちっと画せるようなものにしたい、そういうふうに思っているところでございます。
#482
○上田耕一郎君 朝日の朝刊にこう書いてあるんです、「周辺有事の米軍支援海域 事前に閣議で決定へ」と。周辺事態の場合、米軍への輸送、補給などの支援等々を実施する対象海域について事前に閣議で決定する方針を固めたと。海域を決めるというんです。どうですか、これは。
#483
○国務大臣(久間章生君) 私もその新聞を見まして、私自身が決めてもいないし、またそういう腹も固めてもいないのに何でこういう記事になるんだろうかというような、そういう気になりました。
 確かにもうオープンに議論しろと言っておりますので、いろいろ皆さん方がやっております。そういう中に、そういう形でやることによってはっきりするじゃないかという意見があるのも事実でございます。しかしながら、朝日に書いているようなことまで現時点で決めてあるわけじゃございませんで、これから先そういうことも踏まえながら議論していこうと言っているところでございますので、そのとおりにとっていただきたいと思います。
#484
○上田耕一郎君 この問題でさらに二つ問題を指摘したいと思います。
 戦闘行動が行われている地域とは一線を画すると言うんだけれども、近代戦は地上戦闘だけじゃないんですよ。これは古臭い話ですよ。航空戦もあるでしょう、それから海戦もあるでしょう。そうすると、地域だけじゃなくて海域あるいは空域、これはどうして入っていないんですか。
#485
○国務大臣(久間章生君) 先ほど航空優勢とかあるいは装備品等の能力ということを申し上げました。というのは、ミサイルの通常持っている戦闘が行われるような距離とかいろんなことがあるわけでございまして、海域といいますのは、それは新聞を前提にして言われますからあれですけれども、海域、空域、その上空も含むわけでございます。そういう戦争に巻き込まれることのないように一線をきちっと確保して、その中で輸送を行おうとしているわけでございますので、とにかくでき上がりを見ていただいて、なるほどと上田委員にも御判断できるようなきちっとしたものにしたい、そういうふうに思っているわけでございます。
#486
○上田耕一郎君 中村さんという防衛研修所の所員がアメリカへ行ってずっと勉強して、帰ってきて出された本があります。「抑止力を越えて 二〇二〇年の軍事力」。アメリカでは今情報革命のもとで軍事革命論というのがはやっているわけです。中村さんはアメリカで勉強してきて、今軍事力が追求する目標は敵軍隊の撃破から敵国家の無能化に変化すると。コンピュータービールスや何かを使って国の指揮機能を全部アウトにしちゃう、これが新しい二十一世紀の情報戦争ですよ、そういうふうに変わるだろうと。
 アメリカは今物すごくこれを研究しているんですよ、ペンタゴンでも詳細な報告書を出させますし。そうなりますと、コンピュータービールス、レーザー波、マイクロウエーブ等々、これでやる戦争になったら、一線をどこで画すんですか。地球規模ですよ。
#487
○国務大臣(久間章生君) 我が国が侵略されたり攻撃されている場合じゃございませんで、この周辺事態というのは我が国の周辺で起きた事態であって我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合についてどこまでのことができるかということでございますから、我が国がそういう侵略されるような戦争になったら、それは大変なことでございます。そういうような場合はこれはもう周辺事態じゃなくて、それこそ我が国有事の場合でございます。
 そういうようなことを考えますと、今考えておりますのは、そういう場面に至らない、我が国は侵略をされていない、しかしながら平和と安全に重要な影響がある場合、例えばよく例に出しますけれども、我が国の周辺に機雷がどんどん敷設されてしまうとか流れてくるとか、あるいは避難民が押しかけるとか、在外邦人がどんどん逃げ出さなきゃならないとか、そういう事態になったときにどうするか、そういうようなことでやっているわけでございますので、化学生物兵器をもってどんどん我が国の上空にばらまかれる、そういうようなことはとにかくもう我が国有事も有事、大変なことでございます。
 それだったら、核兵器で攻められたらもう一発でございますから、とにかくそういうようなことでない状態の中でどうやって我が国の平和と安全のために実施することができるか、その中で米軍と協力しながら精いっぱいのことをやるにはどこまでのことをやるべきかということで整理をしようとしているわけでございますから、本当にそのとおりとっていただきたいと思います。
#488
○上田耕一郎君 私は全く無責任だと思うんですよ。これは一線を画すと。だから、日本は攻撃されたら出ていくんですよ。さっき言ったように、国の外へ、海へ、公海上空に海上自衛隊、航空自衛隊が船を持っていき飛行機を出すわけですよ。一線を画しているから大丈夫だと。じゃ、日本国は一線を画してここにいますから絶対攻撃しないでください、相手の国はそれをすぐ認めますか。そんなばかな話はないです。
 私はここに「海上経済戦における中立法規の適用について」という専門家の論文を持っております。フォークランド紛争の際、イギリスは二百海里の戦争水域を設定したんですよ。ここに入った船はもう全部攻撃しますよ、入るなと決めたんです。トータル・エクスクルージョン・ゾーンというのを決めたんです。二百海里ですよ。ところが、四百五十海里の水域でアメリカ商船がアルゼンチン航空機の攻撃を受けている。アルゼンチン側はイギリスが二百海里と決めたって認めないですよ、四百五十海里のアメリカの商船を攻撃したんですから。
 法制局長官、あなたはいつか私に、去年の十一月十八日だ、私がこういう問題を指摘したら、いや、攻撃を受けない、一線を画したところにいるから大丈夫ですと言ったんです。かみ合わないと。相手国が何で認めますか、あなたは認めても。相手国はそんなことを認めませんよ。どうですか、法制局長官。ちゃんと責任ある答弁をしてくださいよ、いいかげんなことを言わないで。
#489
○政府委員(大森政輔君) ただいまの御指摘は平成九年十一月十八日の本院予算委員会における質疑のことであろうかと思います。そのときの私のお答えは、その冒頭に、委員の御質問に使われる言葉と私どもが憲法九条との関係で検討している用語との間にそごがあるために若干議論がかみ合わないなということで、その議論がかみ合わないということを申し上げたわけでございます。
 それはそれとして、そのときに申し上げましたところは、要するに、
 この協力項目として掲げられている行為につきましては、我が国が行うことを想定している具体的な内容及び態様に関する限り、それ自体武力の行使に該当しないと、これは委員も御賛同いただけると思います。また、米軍による武力の行使との一体化の問題が生ずることも想定されないというものでございますから、武力行使を禁止している憲法九条との関係で何ら問題は生ずるものではないというのが私どもの基本的な考え方でございます。
と、このように申し上げたわけでございまして、こういう基本的な考え方を申し上げることが無責任であるとは私は思わない次第でございます。
#490
○上田耕一郎君 あなたが読んだところと僕が問題にしているところは違うんだよ。違うけれども、改めて聞きます。
 一線を画しているところに、日本の自衛隊の船、これは民間の船も出るんでしょう、それを相手国は一線を画しているからというので攻撃は絶対しないという国際法上の根拠を示してください。
#491
○政府委員(大森政輔君) 先ほど防衛庁長官からも御答弁がございましたように、戦闘地域から一線を画された地域と申しますのは要するに戦闘に巻き込まれることが通常予測されない地域、このように申し上げたわけでございまして、相手方から攻撃を受けるという場所は一線を画された地域ではないということでございます。
#492
○上田耕一郎君 うんと反論したいけれども、前へ進みます。
 だから、一線を画すなんというのは、物理的にも政治的にも国際法上も全く意味がないですよ。アメリカの戦争に巻き込まれる、それだけなんですよ。
 さて、次の問題。
 この憲法問題で一番使われるのは工藤元法制局長官の答弁ですね。防衛ハンドブックに統一解釈が全部出ています。その中で、「集団的自衛権と憲法との関係」というのは第十七項目、その中の「(関連三)武力行使との一体性の判断基準」に、平成二年十月二十九日、衆議院国連特別委員会での工藤法制局長官答弁、これが一番使われていて、その後の政府答弁でも大体これが統一解釈で使われているわけですね。
 さて、この工藤答弁は何を言っているかというと、他のものの武力行使、つまりこの場合は米軍ですが、米軍の武力行使と一体化しているかどうかの判断基準として主に四つ挙げている。一、距離、地理的関係、これが一線を画す地域。二、我が方の具体的行為の内容。三、他のものとの関係の密接度、つまり米軍との密接度。四、他のものの活動の現況、米軍が何をやっているか。この四つの総合勘案が必要だ、総合的に考えなきゃいけない、そう書いてある。
 法制局長官、この工藤答弁は今でも堅持されていますか。
#493
○政府委員(大森政輔君) 何度も何度もお尋ねを受けまして、その都度議事録に残っているわけでございますが、ただいま御指摘になりました基本的な考え方は現在も維持しているところでございます。
#494
○上田耕一郎君 私は去年七月と十一月の二回取り上げたんですけれども、周辺事態における輸送が最大の問題なんですね。
 これも去年十一月に防衛庁長官に、輸送、人員と物資、それから燃料というのが書いてある、この人員には軍人が入るかと言ったら入る、物資には武器弾薬が入るかと言ったら入ると言った。つまり、公海上のアメリカの船に日本の海上自衛隊の船、また民間の船が米軍部隊と武器弾薬と燃料を持って輸送していくわけですよ、米軍はそれで軍事行動中なんだから。戦闘地域とちょっと離れているでしょう。それにしても米軍全体は軍事行動、そこへ持っていくわけですよ。
 そうなりますと、この三つ、一、距離はもう既に。我が方の具体的行為の内容というのはさっき言ったようなそういうものを持っていくわけでしょう。他のものとの関係の密接度、軍隊と武器弾薬と燃料がなかったら戦争できないですよ、密接不可分ですよ、米軍のね。それを持っていくわけだ。四番、他のものの活動の現況、既に米軍全体は軍事行動をやっているんだから、たとえ一線を画してちょっと離れたとしてもこれはすぐ戦闘行動に入りかねない船ですよ。
 この四つを考えると、工藤長官はこういうふうに言っているんですよ。総合勘案しなきゃいかぬということで、武器弾薬を供給するようなこと、輸送するようなこと、こういうものは問題だろうと。だから、この新ガイドラインの中身、これによる関連立法は完全に工藤さんのこの四つの観点からいって問題なんですよ。問題だということは、集団的自衛権だということですよ、米軍の武力行使と一体化しているんだから。
 今まで政府は、日本は集団的自衛権を保有しているけれども、憲法九条、最小限度のその範囲を超えているから行使できないと言っている。政府が解釈で行使できないと言った集団的自衛権の行使にこの米軍部隊、武器弾薬、燃料の輸送は当たるじゃありませんか。
#495
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は本当に議員の質問はお上手だと思うんです。そして、当時の工藤法制局長官の答弁の引用のされ方につきましても、要所要所を適度に省略されまして、議員が肝心と思うところだけを述べられました。
 先ほどからその判断基準を申されましたけれども、その前には、「それを具体的に当てはめといいますか、そういう観点から申し上げますと、」ということで、「条約局長のお答えにありますように、非常にいろいろなケースがあり得るということでございますが、あえてその判断基準の一、二を申し上げれば、」というところで先ほど議員が引用された部分が出てまいります。
 そして、その後、
 例えば現に戦闘が行われているというふうなところでそういう前線へ武器弾薬を供給するようなこと、輸送するようなこと、あるいはそういった現に戦闘が行われているような医療部隊のところにいわば組み込まれるような形でと申しますか、そういうふうな形でまさに医療活動をするような場合、こういうふうなのは今のような点から見て問題があろうということでございますし、
そこまでは議員言われたんですが、
 逆にそういう戦闘行為のところから一線を画されるようなところで、そういうところまで医薬品や食料品を輸送するようなこと、こういうふうなことは当然今のような憲法九条の判断基準からして問題はなかろう、
ここは全然御引用になりません。一線を画するという部分、非常にそこのところ、当時の工藤法制局長官の答弁は全体を御引用にならないと誤解を生じると思います。
#496
○上田耕一郎君 幾らでも論争したいんですけれども、これは今後の問題で、ただ論点はわかったでしょう。こういうことが憲法上大問題なんですよ。
 もうあと二分しかございませんので、日米物品役務相互提供協定、ACSAの問題に移ります。
 今のACSAは平時のACSAで、共同訓練などが中心なんですね。今度は有事のACSA、これは部分改定するのか、アメリカと新しく結び直すのか、これが議論になっているそうですが、防衛庁長官、どっちになるんですか。
#497
○国務大臣(久間章生君) これは外務省が中心かもしれませんけれども、防衛庁と外務省両方がアメリカと協議しながら、どういう形でやるか、今それを詰めているところでございます。そして、法案の整備とあわせてこれはやっていかなければならないので、早急にそれを詰めていかなければならないということで、先般もアメリカに両省から行ってきたところでございます。
#498
○上田耕一郎君 さあ、これは大変なんですよ。日米安保条約というのは戦争条約です。日本が攻められた場合、アメリカと一緒に戦うというんですから。今度は日本は攻撃を受けていない、それなのに軍事行動しているアメリカといろいろやるわけですよ。第一線のドンドンパチパチはやらぬけれども、そのほかの後方支援、兵たん活動、全部やるんですよ。そのための協定、有事の協定を結ぼうというんですから、国境外で日本の自衛隊が軍事行動をする最初の戦争条約にこの有事ACSAはなるんです。極めて重大な条約。
 それで、現行ACSAの第二条に、「弾薬の提供が含まれるものと解してはならない。」、弾薬だけはいかぬということになっておる。しかし、武器はいいことになっているでしょう。今度は新しい有事ACSA。さっき言ったように、軍隊から武器弾薬から燃料、全部輸送することが有事ACSAに含まれるんですよ。
 それで、これも法制局長官、武器輸出三原則というのがある。武器をすべての国に輸出することを慎重にする、やめようというんですよ。アメリカだけ例外的に武器技術の供与、一部の武器の供与はいいと全部例外でやってきた。
 この武器輸出三原則というのは平和憲法とかかわりがあるんです。この有事ACSAでアメリカに武器弾薬、軍隊を輸送する、これは平和憲法違反じゃありませんか、どうですか。武器輸出三原則違反でしょう。
#499
○国務大臣(久間章生君) 武器輸出三原則というのは、御承知のとおり、武器を輸出することによって戦争が拡大しちゃいかぬという、そういう意味では結局平和憲法の理念には合致しているわけでございますけれども、憲法そのものを受けてやっているわけじゃございませんで、これは政府の方針としてそういうような方針をきちんと守っておるということでございます。
 ただ、現在のACSAもそうでございますけれども、アメリカとの関係ではこの武器輸出三原則は一応外しておる。というのは、技術だけではなくて、ACSAのとき共同演習等でもやっておるわけでございまして、だからこれはまた別でございます。
 それで、これは何も武器輸出三原則あるいは憲法に反するようなことは私どもするつもりはございません。ただ、アメリカとの関係では、我が国の周辺事態等が起きた場合あるいはまた我が国が有事の場合、そういうときにいわゆる武器の輸送あるいは弾薬の輸送、この輸送はあり得るということでございます。
#500
○上田耕一郎君 法制局長官、見解を言ってください。
#501
○政府委員(大森政輔君) 武器輸出三原則自体は憲法に直接基づく原則じゃないということから防衛庁長官の答弁ということに相なったわけでございまして、私から申し上げるべきこともただいま防衛庁長官からお答えになりましたところと全く同様でございます。
#502
○委員長(岩崎純三君) 時間です。
#503
○上田耕一郎君 もう時間が参りました。
 武器輸出三原則はきちんと、日本の平和国家としての立場からずっと政府の態度も、政府の方針も「平和国家としての我が国の立場から、」とはっきり書いてある。「憲法及び」ということが政府の方針、五十一年二月二十七日に書いてあるということを指摘しておきます。
 私は、憲法前文、憲法第九条を完全にじゅうりんする新ガイドライン、それの関連立法、また有事ACSAの締結、改正、すべてを中止することを要求して、質問を終わります。
#504
○委員長(岩崎純三君) 以上で上田耕一郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 明日は午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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