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#1
第142回国会 予算委員会 第18号
平成十年四月十七日(金曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月九日
    辞任         補欠選任
     常田 享詳君     石井 道子君
     平田 健二君     直嶋 正行君
     福本 潤一君     高野 博師君
     梶原 敬義君     照屋 寛徳君
     緒方 靖夫君     上田耕一郎君
 四月十日
    辞任         補欠選任
     角田 義一君     伊藤 基隆君
     及川 一夫君     梶原 敬義君
     島袋 宗康君     佐藤 道夫君
 四月十三日
    辞任         補欠選任
     梶原 敬義君     及川 一夫君
 四月十四日
    辞任         補欠選任
     佐藤 道夫君     西川きよし君
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     大野つや子君     久世 公堯君
     真鍋 賢二君     野沢 太三君
     直嶋 正行君     石田 美栄君
     牛嶋  正君     続  訓弘君
     照屋 寛徳君     山本 正和君
     上田耕一郎君     吉川 春子君
     田村 秀昭君     都築  譲君
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     吉川 春子君     山下 芳生君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         岩崎 純三君
    理 事
                岡部 三郎君
                小山 孝雄君
                佐藤 泰三君
                永田 良雄君
                成瀬 守重君
                伊藤 基隆君
                小山 峰男君
                風間  昶君
                及川 一夫君
    委 員
                阿部 正俊君
                石井 道子君
                板垣  正君
               大河原太一郎君
                金田 勝年君
                北岡 秀二君
                久世 公堯君
                沓掛 哲男君
                田沢 智治君
                武見 敬三君
                谷川 秀善君
                野沢 太三君
                南野知惠子君
                長谷川道郎君
                平田 耕一君
                依田 智治君
                石田 美栄君
                久保  亘君
                小林  元君
                広中和歌子君
                和田 洋子君
                魚住裕一郎君
                加藤 修一君
                高野 博師君
                続  訓弘君
               日下部禧代子君
                田  英夫君
                山本 正和君
                笠井  亮君
                須藤美也子君
                山下 芳生君
                吉川 春子君
                都築  譲君
                星野 朋市君
                西川きよし君
                山口 哲夫君
   国務大臣
       内閣総理大臣   橋本龍太郎君
       大蔵大臣     松永  光君
       文部大臣     町村 信孝君
       厚生大臣     小泉純一郎君
       通商産業大臣   堀内 光雄君
       郵政大臣     自見庄三郎君
       建設大臣     瓦   力君
       自治大臣     上杉 光弘君
       国務大臣
       (総務庁長官)  小里 貞利君
       国務大臣
       (経済企画庁長
       官)       尾身 幸次君
   政府委員
       内閣審議官    坂野 泰治君
       総務庁長官官房
       審議官      西村 正紀君
       経済企画庁調整
       局審議官     小林 勇造君
       経済企画庁総合
       計画局長     中名生 隆君
       経済企画庁調査
       局長       新保 生二君
       国土庁防災局長  山本 正堯君
       外務省経済局長  大島正太郎君
       外務省経済協力
       局長       大島 賢三君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     溝口善兵衛君
       大蔵省主計局長  涌井 洋治君
       大蔵省主税局長  尾原 榮夫君
       大蔵省銀行局長  山口 公生君
       大蔵省国際金融
       局長       黒田 東彦君
       文部大臣官房長  小野 元之君
       文部省初等中等
       教育局長     辻村 哲夫君
       文部省教育助成
       局長       御手洗 康君
       厚生大臣官房総
       務審議官     田中 泰弘君
       厚生省社会・援
       護局長      炭谷  茂君
       厚生省老人保健
       福祉局長     羽毛田信吾君
       厚生省年金局長  矢野 朝水君
       通商産業省産業
       政策局長     江崎  格君
       資源エネルギー
       庁長官      稲川 泰弘君
       中小企業庁長官  林  康夫君
       運輸省鉄道局長  小幡 政人君
       郵政省貯金局長  安岡 裕幸君
       郵政省簡易保険
       局長       金澤  薫君
       労働省職業安定
       局長       征矢 紀臣君
       建設大臣官房長  小野 邦久君
       建設大臣官房総
       務審議官     小鷲  茂君
       建設省住宅局長  小川 忠男君
       自治省財政局長  二橋 正弘君
       自治省税務局長  成瀬 宣孝君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮本 武夫君
   説明員
       会計検査院事務
       総局第一局長   深田 烝治君
   参考人
       日本銀行副総裁  山口  泰君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○予算の執行状況に関する調査
 (経済問題に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(岩崎純三君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(岩崎純三君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に伊藤基隆君、及川一夫君を指名いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(岩崎純三君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 予算の執行状況に関する調査のため、本日の委員会に日本銀行副総裁山口泰君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(岩崎純三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#6
○委員長(岩崎純三君) 予算の執行状況に関する調査を議題とし、経済問題に関する集中審議を行います。
 質疑者はお手元の質疑通告表のとおりでございます。
 それでは、これより質疑を行います。野沢太三君。
#7
○野沢太三君 自由民主党の野沢でございます。
 平成十年度予算の審議につきましては、この一月以来、総理を初め各閣僚の皆々様には大変御苦労をいただきましたが、ようやく四月八日、打ち上げということに相なったわけでございます。しかし、この間に経済情勢は大変大きく動いておりまして、これに対する適切な政策が何よりも今緊要でございます。
 本日は、まず最初に、総理の経済政策に関する今回の決断につきまして確認をいたしたいと思います。
 政府は、昨今の金融システムの不安あるいは景気低迷に対しまして、三十兆円の公的資金注入を柱とする金融システム安定化措置や二兆円の特別減税等の景気対策を実行に移してまいりました。
 自由民主党といたしましても、四次にわたる景気対策を編成いたしまして、その中で、政府系金融機関の中小企業向け融資の拡大に加え、民間資金を生かしましたPFI方式の導入であるとか、あるいは土地評価法の制定、さらには資本準備金による自社株買いの促進等、政策面での新機軸を多数打ち出してきたわけでございます。さらに四月の半ばといたしまして、与党として事業規模十六兆円に及ぶ総合経済対策を目下取りまとめる予定で作業をいたしておるわけでございます。
 経済企画庁の月例経済報告を拝見いたしますと、昨年の十一月ころから景気は足踏み状態という判断が示されていたわけでございますが、民間の経営者レベルでのお話等を伺いますと、既に下り坂だという厳しい見方がございました。そして、先般発表になりました四月の経済報告では、景気が停滞して一層厳しさを増しているという民間の見方を後追いする形で、政府の景気に対する見解が深刻に推移をしたわけでございます。
 三月の日銀短観で見ましても、業況判断の指数が大幅に下がるなど、企業の景況感の急速な悪化が確認をされました。さらに外国から、IMFの世界経済見通しが出されておりますが、九八年の日本経済はゼロ成長予想と、他の先進諸国がいずれも二%前後の成長予想をしているのに比べまして、格差の際立つ低成長が日本においては見込まれているわけでございます。
 こうした景気の状況に対しまして、総理は、四月九日の記者会見の場におきまして、総合経済対策の中身に関して十兆円以上の国、地方の財政負担を盛り込むとの政策判断を示されたところであります。
 これは経済の現状を改善する緊急避難措置として大いに評価され、歓迎されるところでありますが、国民の目線からいたしますと、追加的な減税の実施が第一に望まれるところではないかと思うわけでございます。減税の効果あるいは是非につきましては内外から多くの御意見がありまして、これの正否については今後にゆだねる部分がございますが、総理には勇気を持ってひとつこの政策を進められんことを望むわけでございます。
 そこでお伺いいたしますが、今回の大型経済対策を決断された根拠は何だったのか、あるいはその決断されましたタイミングはいつごろであったのか、一連の経済対策を推進するに当たっての決意とあわせましてお伺いをいたしたいと思います。
 衆議院の委員会におきましては、国民の声を聞き、国際情勢を判断してというようなお話を承っておりますが、もう少し突っ込んだ御判断がいただければありがたいと思います。
#8
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、議員からお触れをいただきましたけれども、我が国の経済は、現在内外の悪条件が一斉に重なって残念ながらなお極めて深刻な状況にございます。
 昨年の十月から十二月のQEは前期比マイナス〇・二%。平成十年二月の失業率は三・六%、過去最高を記録いたしました。特に、消費性向が昨年の秋以降急速に低下をし、かつてない低水準になりますとともに、企業マインドの悪化がオイルショック以降、景気低迷期以来の大幅なものになりました。これは日銀の短観、主要製造業業況判断といったものにも出ております。家計、企業のマインドが著しく悪化をいたしております。そして、これが実体経済全体にも影響を及ぼしておりまして、景気は一層厳しさを増している状況にございます。
 こうしたかつてないマインドの低下、悪化のもとにおける景気停滞から一日も早く抜け出したい、そして我が国の経済並びに経済運営に対する内外の信頼の回復のために必要かつ十分な規模の経済対策が必要という判断をいたしまして、先日、総事業規模が十六兆円を超える過去最大規模の経済対策を講じるということを決断いたしました。
 ここに至りますまでには、特に今年に入りましてから決算期を控えて貸し渋りが一層厳しくなる、あるいは今小康状態に入りつつあり、これはIMFとの合意の成立ということのプラスが出ているのだと思いますけれども、一時期インドネシア等の非常に厳しい状況、そうした中で町の声、国民の暮らしの状況といったものに自分なりに注意を常に払ってまいりましたが、その中から出てくる景気回復に対する強い御要請あるいは期待、そして国際社会の声を踏まえながら、私なりに考え、我が国の経済運営に最終的な責任を持つ総理大臣として総合経済対策を実行しなければという政治決断をいたしました。これが必ず皆様方に御理解いただけるということを信じております。
#9
○野沢太三君 経済企画庁の方からいろいろと経済指標の数字もいただき、またその判断もいただいておるんですけれども、昨年の十月、十一月ころから急速に経済情勢が悪くなっている。そして、一月になりますと、もうそれが大変いろいろな形で顕在化をしてきたということであろうかと思います。
 そういう中で、予算の編成というのは時間もかかり、国会の審議も要するということでありますので、総理といたしましては、恐らくこのままほっておいてはいけないんじゃないかという御判断があっても、予算が通るまではじっと我慢の子ということであったかと思います。その思いを、今後の対策の実行におきまして、ぜひひとつ勇猛果敢にこれを実行していただきまして、実を上げていただくことを心から念願するわけでございます。
 続きまして、ワシントンにおきまして開かれましたG7の内容についてお伺いをいたしたいと思います。
 松永大蔵大臣におかれましては、けさ八時に成田へ着かれるという強行軍の中で本委員会に駆けつけていただきましたこと、大変私どもも感謝をいたしております。それだけやはりお取り組みに力を入れておられる、こう思っておりますので、ひとつG7におきまして行われました議論についてお伺いをいたしたいと思います。
 我が国の置かれている立場、世界二位の経済大国と言われておりますけれども、とりわけ現在の景気の状況からいたしまして、参加各国が日本の政策、どのようなことを考えているのか、どういう対応をしようとしているのか、議論の的になったと思われるわけでございまして、報道等でもそれがうかがわれるわけでございます。
 そこで、このG7での議論について、大蔵大臣として我が国の経済をどのようにアピール、説明されたのでしょうか。また、それを海外諸国が十分納得、理解してくれたのかどうか。特に、アジアの経済混乱を食いとめる役割を日本に期待するというところが多いわけでございますが、参加各国が、今回の経済政策がそれにこたえられるだけの内容であるかどうか、どのような評価があったとお考えでございましょうか。フランスの大蔵大臣ストロスカーン氏の日本以外の六カ国は制度改正による恒久減税を要求したというような話も伝えられておるわけでございます。
 どのような御注文があったか、大蔵大臣からの御説明をいただきたいと思います。
#10
○国務大臣(松永光君) お答えいたします。
 国会の方の御了解をいただきまして、十五日開かれましたワシントンのG7の会合に出席をしてまいりました。十五日の朝、成田を出発いたしまして、十五日の午前八時過ぎにワシントンに到着し、そしてG7の会合の始まる前にルービン米財務長官と四十分近くにわたって会談をし、それが終わってすぐG7の会合に臨んだわけであります。
 ルービン長官とお会いしたときも、それからG7の会合でも大体同じ趣旨のことを申し上げてきたわけであります。まず第一は、橋本総理が思い切った決断をして、十六兆円を上回る事業ベースの新しい経済対策を実行することを決断されましたと。それに基づいて我々としては、二十日から始まる週の中でその具体策を取りまとめることにいたしておりますと。
 その主な中身は、九八年中に二兆円の特別減税を追加する。九九年にも二兆円の減税を行う。そしてもう一つは、環境対策あるいは高齢者対策等を中心にした設備等、真に必要な質の高い公共投資の追加を六兆円規模で行う。そういたしますというと、いわゆる真水は十兆円に達するわけでありまして、その他を含めると十六兆円を上回るほどの大型の景気対策を行うというふうなことを説明してまいりました。
 今御指摘の本格減税にすべきじゃないかという話が出たことも事実でありますが、その点につきましては、私が説明申し上げたのは、景気対策としてやる減税でありますので、本格減税のように十二カ月の間で毎月少しずつ減税の効果が届けられるような仕組みの減税よりは、ある時期にどんと減税の効果を届けるということの方が景気対策としては効果が非常に高いということを一つ申し上げました。
 もう一つは、我が国の個人所得税課税の実態を見ますというと、アメリカなどに比べるとはるかに所得税に対する課税は低い。我が国の給与所得者の八〇%は年収七百万以下でありますけれども、むしろその人たちの方が消費性向が高い、その人たちに重点的に所得税・住民税減税の効果を届けることの方が景気対策としてはプラスになるということも申し上げました。
 同時にまた、日本の所得税税制の中では、七百万規模の場合にはアメリカの給与所得者に比べて半分以下ということになっておりますから、したがって相当程度税率はフラット化している。しかし、二千五百万、三千万という高額所得者になりますというと日本の所得税は高い、その点が改正すべき点だということで我が国の税制調査会で議論がなされているところでありますけれども、その階層の人たちは全体からすれば一%か二%にも満たない人たちでありまして、そういう人たちに対する減税をするということは、理論からいえばやるべきことであるけれども、日本の政治情勢からすればなかなか難しい問題でありまして、そういう点はあと一、二年かけて討議をさせていただきたい、こういうふうに申し上げてきました。いずれにせよ、具体的に効果のある減税をやるんですということを申し上げたわけであります。
 そしてさらに、公共投資につきましても、真に必要な公共投資をやりますということも申し上げてきたわけでありますが、大方の理解は得られたというふうに私は感じてまいりました。
 同時にまた、ルービン氏にしてもG7参加の各国の大蔵大臣にしても、その内容を早く確定して早く実行に移してもらいたいという希望が述べられたということが今回のG7会合の概要でございました。
 以上、御報告申し上げる次第でございます。
#11
○野沢太三君 もう一つ大事なポイントは為替の安定の問題でございますが、これに対する各国の協調体制が確認されたかどうかが大事なポイントであります。
 G7での共同声明の内容を見ますと、円の過度な下落を修正することを目的とする日本の適切な行動を支持する、こうはっきりうたい上げておりまして、形ではしっかり確認されたことになっておりますが、アメリカのルービン財務長官の、これは報道のメモだと思いますが、G7では協調介入の議論はなかったというふうな表明もございます。結果として、為替相場がこの声明発表後に二円も円安に振れているということ、あるいは株価も四百円以上安くなるというふうな局面が出ておりますので、この問題については十分な議論あるいは徹底がなされていなかったのかどうかやや気になるところでございます。
 日本の内需主導の拡大、成長によりまして円安を防止するべきであるということをもっとはっきり申し上げた上で各国からの協力を打ち出していただくことが大事だと思います。今後の努力にもかかることかと思いますが、この点につきまして大蔵大臣のお考えを伺いたいと思います。
#12
○国務大臣(松永光君) その点につきましては、実はG7の始まる前に、先ほど申し上げましたとおりルービン財務長官とお会いしたときに、先般日本の方で行き過ぎた円安を是正するための措置をすることにしたわけでありますが、そのときには、当然のことながら我が方はルービン財務長官の方にもその趣旨を申し上げての措置であったわけでありますが、そのことについてルービン長官の方からは、日本が措置をすることに決めた直後に行き過ぎた円安は妥当でないという趣旨の発言があり、すなわち日本の考え方と理解は共通にするというコメントを出していただいた。
 そのことについて私の方からは、お礼のごあいさつを申し上げますとともに、今後とも行き過ぎた円安というものは実は日本の国際収支の面でも望ましくないことであるので、そういう点についても今後は連絡し合いながら適切な対応をしていきたいというふうに申し上げたわけです。その点については、その私の発言に同意する旨のルービンさんの発言があったわけであります。
 ドイツのワイゲル大蔵大臣に対しても、先般の日本の措置について認識を共通にするという発言をしていただきましたのでそのことについてのごあいさつも申し上げ、今後とも国際経済の安定のために、ある国の通貨が独歩高で上がるということ、あるいはある国の通貨が極端に下がるなどという状況は世界経済にとって望ましくない、したがって為替の安定については日本、アメリカそしてドイツ、お互いに認識を共通にしながら適切な対応をしていこうということの合意はなされたものだというふうに私は理解をして帰ったわけでございます。
#13
○野沢太三君 その点大変御苦労さまでございましたが、いろいろな情報を拝見いたしますと、どうもやはりアメリカと日本との国際経済情勢に対する認識に多少ずれがある、あるいはギャップがあるというようなイメージがあるわけでございます。
 今回、総理におかれましては、我が党の山崎政調会長に訪米の上直接関係者に理解を求めるようにという御指示をいただいたわけでございますが、総理御自身においてお出向きいただき直接お訴えをいただきますればこの点が万全になろうかと思いますが、総理におきましてはいかがなお考えでございましょうか。
#14
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは国会のお許しがいただけるかどうかにかかることではございますけれども、バーミンガムにおきまして来月サミットがございます。このときにはロシアを含めましてG8それぞれそろうわけでありまして、そのときできれば、それぞれの首脳との個別の会談の中において、それぞれの国の関心に対し私なりに説明すべきことは説明し、協力を求めるべきことは協力を求める、力を合わせる部分は力を合わせていく、そうした場を持てることを期待いたしております。
#15
○野沢太三君 アメリカの大統領との友情を含め、来るべきサミットをさらに有意義なものとする意味でも総理の御決断を待つわけでございます。
 もう一つお伺いしたい課題は、日本の立場とアジアの関係でございますが、昨年の秋からアジア経済が大変混乱をいたしまして、通貨の大幅下落という問題が出ております。
 政治情勢の混乱等もあわせて、特にインドネシア等において深刻でございますが、これは現在IMFが主導されまして改善計画が進められ、おおむね小康状態に入ったと言われておりますが、このままの情勢が続きますとアジア経済がかつての高度成長路線に回帰するのはなかなか容易ではないのではないか、かように思うわけでございます。これから相当なそれぞれ各国のまず自主的な努力と、国際的な支援というものが大変大事だと思うわけでございます。
 アジア域内にはまだ不安要因もありまして、韓国の政治経済あるいは北朝鮮の動向、さらには中国元の切り下げリスクなども議論されておるわけでございまして、今のところ好調なアメリカ経済ではございますが、株価の動向についてはやや懸念の向きを示す方もおるわけでございます。また、原油価格等も、一応安定してはおりますけれども湾岸の動向によってはどうなるか、これも予断を許さないわけでございます。
 こういう中で、日本の経済とアジアの情勢との関係でございますが、アジア経済の混乱というのは日本が引き起こしたのではないかという見方も一部にある、あるいは逆にそれがはね返って日本の経済をさらに押し下げるという相互関係も出てきた、こんな見方があるわけでございます。
 そこで、このIMFとの協調体制、これはもう結構でございますけれども、日本として独自な協力体制というものをアジアに対してとれないか。その関与の仕方というものはいろいろあろうかと思いますが、従来のODA方式もございますけれども、アジア経済の再生ということは日本経済の今後の発展のためにも欠かすことのできない環境条件として大事な要素であろうかと思います。従来の枠にとらわれない積極的な対応の仕方について、総理並びに大蔵大臣の御見解を伺いたいと思います。
#16
○国務大臣(橋本龍太郎君) 昨年、タイを初めとして発生いたしましたアジア各国における金融の混乱、これはそれぞれの国によりましていろいろな条件はありましょうけれども、要は過剰な資金流入に対しそれが非生産的な部分に使われたといった問題点があったと私どもは思っております。
 そして、アジア太平洋地域の平和と安定というものは我が国にとって本当に重要な課題ですし、この通貨、経済の変動に対しましては、日本としてはIMFを中心とする国際的な枠組みを基本として関係国中最大の資金支援を約束する。それだけではなく、先般東南アジア経済安定化などの緊急対策を閣議決定するといった積極的な支援をしてまいりました。
 金融支援だけをとりましても、第一線でタイには四十億ドル、第二線準備としてインドネシアに五十億ドル。これは、例えばアメリカはインドネシアに第二線準備三十億ドルを約束しているわけでありまして、日本は圧倒的に多いわけです。そして、韓国に対しましても百億ドルの第二線準備を用意いたしました。IMFが拠出するお金というのもそれぞれの各国の分担率に応じて出ていくわけですから、それ以外にこういうものを用意したということでございます。
 同時に、今回のG7で大蔵大臣レベルでこれを確認していただきましたので私もほっとしておりますけれども、日本はいち早く貿易保険を活用して各国を支える、貿易を支えるということを表明してまいりました。これも大きいし、輸銀の融資等もございますし、構造調整支援のための円借款等もございます。
 そうした中で、特にODAを活用しながら、持続的、安定的発展のための構造改革支援、あるいはインドネシア等を例に引きましても、子供たちあるいはお年寄りといった社会的弱者に対する医療品の供与などの緊急無償援助、そしてそれぞれの国から日本に来ておられる特に私費留学生の方々に対する支援といったことを既に行っております。
 我々は、今後とも積極的貢献を行っていく考えでありますし、特に一たんIMFと合意が成立をいたしました後それが暗礁に乗り上げておりましたインドネシア、おかげさまでIMFとの再合意がきちんと結ばれ、今民間債務についての協議が継続をいたしておりますけれども、それなりに少しずつ安定をしてきている状況を見守っております。
 これからもそうした意味での努力は日本としては積極的に進めてまいりたい、そのように考えております。
#17
○野沢太三君 日本が頼りになる存在であるという状況をずっと確保する意味でも、これからの政府の対応をひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
 そこで、問題を進めます。
 経済政策はいろいろございますが、財政、金融の両輪のうち、金融政策についてお伺いをしたいと思います。日銀副総裁はお見えですね。
 御存じのように、現在、公定歩合は緊急避難的な措置として九五年九月より〇・五%という極めて低い水準に据え置かれております。これは企業、個人の金利負担の軽減ということで景気の下支えをしようということで、これまでの考え方として続けておられるわけでございますが、一方で、低金利が預金者の負担の上で銀行の方に相当大きな利益を生んでいるとか、あるいは企業に対しての資金調達コストの軽減から、本来進められるべき経費削減等、経営体質改善の努力がおくれているんじゃないかという見方もあり、ごく身近なところでは年金生活者の収入に響いてくる、こういった批判もあるわけでございます。
 現下の経済状況から考えまして、この金融政策の変更、金利の上昇に関しては慎重に進められるべきことでございまして、先般の日銀の政策委員会でももっと下げろという御意見もあったと言われておるわけでございます。
 しかしながら、いずれにいたしましても、このような状況がいつまでも続くとは考えられません。特に、金融ビッグバンという中で千二百兆円にも及びます金融資産、このままほっておいたらこれが海外に相当流出するのではないかという懸念もあるわけでございます。やはり何よりもGDPの六割にも達します個人消費が動き出すということが一つの大きな効果でもあるわけでございますので、ここは一つの私案として、現在の超低金利を引き上げる、これをある時期予測をしまして表明したらどうかと。一つの駆け込み需要というものが発生することを期待するわけでございますけれども、これを明言することによりまして相当な需要の創出が図れるのではないかと思うわけでございます。また、先ほど指摘しましたような日本の金融資産の流出を防ぐという効果もあるわけでございます。
 これに関します大蔵大臣と日銀副総裁のお考えを聞かせていただきたいと思います。
#18
○参考人(山口泰君) お答え申し上げます。
 金融政策につきまして、金利を上げる場合でも下げる場合でもメリットとそれからデメリットと両方の効果というのが常にあり得るというふうに私ども考えております。
 仮に金利を上げるというようなことを行いますと、ただいま先生から御指摘をいただきましたように、差し当たり家計部門の利子所得がふえるとか、あるいは世上よく言われております財団等の資金の運用についてある種のプラスの効果が生ずるとかいうようなことが考えられるというふうに思います。
 ただ、もう一方でデメリットということを考えてみますと、当然経済の中の債務を、借金を負っている企業なり個人の方々にとりましてはそれだけ負担が多くなるということにならざるを得ないかと存じます。
 結論的に申しますと、私どもは現下の経済情勢のもとではマイナスの効果の方が恐らくまさって出てくるのではないかというふうに判断しているところでございます。
 企業の設備投資は御案内のとおり現在頭を打ちつつありまして、今年度の設備投資計画なども昨年度までに比べますと多少とも弱くなっておりますが、この状態で金利負担がふえるということになりますと、恐らく投資にとってはもう少し厳しい状態になるのではないかと考えられます。また、近年住宅投資が大変活発に行われましたので、住宅ローンの残高もかなりふえておりますけれども、そういう方々にとりましては金利負担もふえるということになってくるわけでございます。
 さらに一つだけつけ加えさせていただきますと、現在のように景気の見通しが非常に厳しいという状況のもとで金利をあえて引き上げますと、恐らく株価でありますとか地価でありますとか、こういう資産価額にとりましては大変大きな下落の圧力がかかってくる可能性があろうかというふうに考えております。
 以上、プラス面、マイナス面両様申し上げましたけれども、両方差し引きいたしますと、私どもは経済全体として金利の引き上げは景気に対してマイナスの影響の方が大きく出てくるのではないかなというふうに考えておりまして、現在の景気停滞の状況のもとでは、やはり金融面から、金利の面から経済活動をしっかりと下支えしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
#19
○国務大臣(松永光君) お答えいたします。
 最近における低金利の影響で貯蓄に対する利子が少なくなり、その影響を受けている方々がたくさんいらっしゃるということは私も承知いたしております。しかし、ただいま日銀の担当者が申されましたように、低金利によって企業の金利負担が減少し、それを通じて企業活動による景気回復にプラス面がある、そしてまた企業の収益が改善すればそれを通じて雇用者の所得が改善するというプラス面、こういうふうにマイナス面、プラス面が実はあるわけでありまして、それをどうすべきか。
 金利の問題、公定歩合の問題も含めてこれは日本銀行の所管事項でありますので、私の方からあれこれ言うことは差し控えさせていただきますけれども、いずれにせよ日本銀行で内外の経済情勢等を判断されて適切な対応がなされるものと考えておるところでございます。
#20
○野沢太三君 この面でも国際的なレベルでグローバルに考えるということも必要なときがもう来ているのではないかと思いますので、どうかひとつ適切な検討を重ねた上で判断をしていただきたい、かように思うわけでございます。
 日銀に対する期待は非常に大きいわけでございます。今回、新日銀法も施行されまして、独立の判断また独特な存在、こういうことで頑張ってもらいたいわけでございますが、先日の報道によりますと、日銀は職員数を実態より水増しして、男女差をごまかしてその差額を調整給として支給しているというような報道がございましたが、これについて実態はいかがなものか、事実かどうか、副総裁にお尋ねをいたしたい。
#21
○参考人(山口泰君) お答えいたします。
 私どもでは、予算の要求、折衝、これは大蔵省の認可をいただいて予算を執行してきているわけでございますけれども、そういう場合に人員を多く報告して予算を認めていただいて、その差額分をいわば水増しして支給しているというようなことはございません。それは事実ではございません。
 ただ、翻って考えてみますと、日本銀行の給与につきましてそのような誤解を受けるということ自体が私どもとしても反省を要するところであるというふうに考えております。私どもといたしましては、これを機会にいたしまして、内部で改めて予算全体について点検をしたいというふうに考えております。その結果につきましてはいずれ何らかの形で公にさせていただきたいと考えております。
#22
○野沢太三君 通貨の番人として何よりも信頼、廉潔、こういうものが大事だと思うわけでございます。当然、この種の問題につきましては、間違いがないということで日銀券というのは価値があるということでございますが、これが過去の問題としても、どうもこのままでは見過ごすわけにはいかないんです。大蔵省の認可を得てということですが、大蔵省はこの問題については御存じですか。
#23
○政府委員(山口公生君) 日本銀行の給与につきましては、労使間の交渉を経まして日本銀行において決定されております。法律上は大蔵省がその支給の基準とか内容そのものを認可するという形にはなっておりませんで、総体としての給与総額ということで認可しておりますが、先生今御指摘のような件につきましてはこれまで報告を受けたことはございませんので、まずは早急に事実関係の確認に努めたいというふうに思っております。
#24
○野沢太三君 大蔵省も知らないということですが、会計検査院は当然この日銀の検査をしていると思いますが、検査院はおいでですか。
#25
○説明員(深田烝治君) お答え申し上げます。
 私どもの日本銀行に対する検査につきましては、昨今の金融機関の相次ぐ破綻による金融危機に対しまして公的資金の投入などの措置がとられ、これに対する国民の関心も高いということから、金融システムに関する業務について重点的に検査をしてきているところでございまして、その検査状況につきましては六年度、七年度の検査報告に掲記しているところでございます。
 お尋ねの給与問題につきましては、一般的には給与は支給規程等のルールに従って支給されるものでございますので、検査上これまで重点を置いてこなかったというのが実態でございます。しかし、今回の報道もございますので、今後、実地検査等を通しまして給与の支給が適正になされているかどうか検査をいたしたいと考えているところでございます。
#26
○野沢太三君 給与については労使間でというお話もございますが、国家公務員やあるいは一般の都市銀行等にもないような手当も出ているのではないか、こういう指摘もあるわけでございます。一体そういうものがあるのかないのか。これについては副総裁、いかがでしょうか。
#27
○参考人(山口泰君) 公務員の給与制度について私は詳しくは承知しておらないのでございますが、日本銀行における手当の種類というお尋ねでございましたので、その点についてお答えさせていただきます。
 日本銀行の職員につきましては、仕事の種類が幾つかございますけれども、ただ、数にいたしますと比較的限られております。したがいまして、手当というのは幾つかございますけれども、公務員に比べますとその手当の種類は比較的少ないのではないかという印象を持っております。もちろん日本銀行と公務員とでは給与の仕組みが異なるわけでございますが、日本銀行の手当と同様のもの、同じような趣旨のものは通常は公務員の方にもあるようでございまして、日本銀行だけで何か特別な手当を持っているということはございません。
#28
○野沢太三君 いずれにいたしましても、日銀の給与がどうも一般の都市銀行と比べても相当高いレベルにあるんじゃないか、またその支給の仕方が世間のルールから外れているんじゃないかという疑問があるわけです。やはりこれはちゃんと調べまして公表をして、胸を張って独立銀行としての誇りを堅持できるようにひとつしっかり調べていただきたいと思います。
 この問題につきましては、この委員会あるいは関係の委員会において引き続き調べていかなきゃならぬ問題だと思いますので、本日はこの程度にいたしておきますが、どうかひとつしっかりした調査とそのディスクロージャーをよろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、減税問題につきまして触れてまいりたいと思います。
 今回の不況はこれまでの不景気と違いまして個人の消費マインドで相当違いがあるんじゃないかと思われる節がございます。年功序列制というものがだんだん崩れてきて、年俸制とか、あるいは企業のリストラで失業がふえるとか、さまざまな課題に加えまして、少子・高齢化という一般的な社会現象から生活防衛ということで消費を控える、あるいはもうとりあえずの物は間に合っているということで物の買い控えが出ている、お金は持っていても買ってもらえない、使ってもらえないという事態があるわけでございます。その意味で、特別減税をしても消費に回らないのではないかという心配があるわけでございまして、そういったことを裏づける指数も一部にはあるわけでございます。
 やはりこれからの大事な問題は、将来に対する不安を除くということ、それから消費構造が成熟化をしておる中でさらに一層質的に高いレベルのライフスタイルを創出するという政策、施策が何よりも大事ではないかと思うわけでございますが、せっかく総理が決めていただいた特別減税というものの意義が必ずしも国民の皆様にまだ浸透していないのではないか。安心して使っていただく、そして大いに活用してもらう、楽しんでいただくということが大事ではないかと思います。
 そこで、特別減税の効果と今後の取り組み等につきまして、総理から直接国民の皆様に訴えていただきたい、かように思うわけですが、いかがでございましょうか。
#29
○国務大臣(橋本龍太郎君) 現在、大変厳しい経済情勢にあるということは先ほど来委員からも答弁をする私からも申し上げてまいりましたが、その中で、所得税及び個人住民税について、今年既に二兆円の特別減税を今実施しているさなかでありますが、さらに今年中に約二兆円の減税を上積みし、来年も二兆円の特別減税を継続したい、そう考えております。
 こうしたことを考え、措置をいたしますこと、それは当然のことながら、活力のある経済社会の構築に向けて本当に必要になる社会資本の整備などのほかの施策と相乗効果を持って消費者の気持ちを高め、景気に効果的に作用することを願っているからでございます。
 同時に、この減税の実施時期につきましては、納税をされる方、源泉徴収義務者及びその市町村の事務負担などの問題も考えなければなりませんけれども、私としてはできるだけ早期にこれを行いたいと今考えております。
 そうした中で、たまたま先日、連合の皆さんと政労会見をいたしましたときに、ある方から何とか特別減税分を分けて渡すことはできないのかという意見が出ました。私どもがサラリーマンでありましたころ、これは一人一人給与袋を受け取っていたわけでありますけれども、今振り込みがふえております。そうすると、振り込まれているのでは実際上実感がないんだ、何とか分けられないかという話が出まして、それは皆さん申しわけないけれども御自分たちの企業にそういうことを頼んでよ、会計処理上大変かもしれないけれども頼んでよと、そんなやりとりで実はその場を終わりました。
 そうした心理的なもの、これをどう皆さんに受けとめていただけるかということは非常に大事な点でありまして、こうした点を含めて、皆さんにこれを消費の拡大に有効に使っていただきたいと本当に願っております。
#30
○野沢太三君 まことにそのとおりだと思いますが、昨年せっかく総理がお決めいただいてこれを実行しようということで平成九年度の補正で措置をした特別減税二兆円につきましても、年末に間に合った部分もありますが、確定申告する部分は年度末になり、そして事業者についてはこの六月にならないとこれが効果を発揮しない。大変なタイムラグがあるわけでございますので、今回の減税につきましては、事務的な困難を伴うことはやむを得ないわけでございますが、できるだけ早くこの夏くらいにはその恩恵に一部浴せられるようによろしく手配をお願いいたしたいと思います。
 そして、引き続いて来年も減税と、こういうことでございますが、これをどう進めるかということも大事な課題でございます。定額控除方式、これは非常にわかりやすいわけでございますので、こういったやり方を来年もやれるのかどうか。この点につきまして、自民党の中では党税調、また政府ではもちろん政府税調がございますし、さまざまな事務的なチェックが要ると思いますけれども、来年度の減税をどのような形で進めるのか。これについて総理並びに大蔵大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
#31
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今回、特別減税を継続すると申しましたのは、単年度限りの減税では効果に限界があるという御指摘もございました。ですから、十一年もこれを継続しますということを申し上げたわけでありますけれども、これからの景気動向あるいはその負担のあり方等を考えながら政府及び党の税制調査会において検討をしていただきたい、既に党税調の方にも政府税調の方にもそうしたお願いを申し上げております。
#32
○野沢太三君 それでは、当面する緊急の課題として、財政構造改革法の問題について所見をお伺いいたしたいと思います。
 昨日も夕刻、財政構造改革会議が開かれまして、この法律の改正につきましていかように扱うか、関係の皆々様で御議論をいただいたということで、結果も伺っておるわけでございます。
 この法律がある限り、どうしても赤字国債の発行についての制限が出てしまう。今回の対応策としては、赤字国債発行を弾力的にできるように、まず第一案としては平成十年度だけをひとつ特別にやってみよう、これが一つの案、二つ目が経済情勢に応じまして弾力的に発動できるようにする考え方、そして三つ目はこの条項を削除したらどうか、こういった御議論が出たようでございます。
 どの方法をとるか、大変これは判断が難しいかと思いますが、結果の採択については総理御一任、こうなったと伺っております。現時点でお聞かせいただける考えがありましたら、よろしくお願いしたいと思います。
#33
○国務大臣(橋本龍太郎君) 本院におきましても繰り返し御答弁を申し上げてきましたけれども、私はやはり財政構造改革というものの必要性は全く変わるものではない、そして将来に負担を残すことはできるだけ避けるための努力を今後とも我々は心がけなければならない、そう思っております。
 そして、今回本当に、緊急避難という言葉を私は使いましたが、今の経済情勢に対応して臨機応変の措置をとっていく、その場合におきましてどうこれに取り組むべきかをいろんな角度から今議論をいただいてまいりました。財政構造改革法については、既に御承知のように、個別の主要な経費ごとにめり張りのきいた枠を設定する、そしてその仕組みの中で歳出面に強力かつ明確な見直しの方向性を打ち出す、中長期的に見て財政構造改革を進めていく上で非常に重要な役割を持つ法律だと思います。
 それだけに、まさにこの経済情勢に対応して効果のある景気対策を進めていかなければならない。その場合におきましても、量的縮減目標だとか財政健全化目標だとか、財政構造改革法の基本は変更することなく、必要最小限の修正を行うにとめたい、そう私は考えてまいりました。ただ、その上で、現下の非常に厳しい経済情勢にかんがみると、緊急避難的に特例公債を年々縮減する、その規定について弾力化を可能にする措置を導入する、これは考えられてよいと思っております。四月十日以降、二回財政構造改革会議を開催し、御議論をいただいてまいりました。四月二十日の週に取りまとめたいと考えております。
 今、議員からお挙げになりましたように、可能とする措置として考えられますものは幾つかの類型がございます。一つは、単年度、そして特例を設ける、あるいはそれを附則で置くのかどうかといった考え方。あるいは定性的な要件を述べながら弾力的に対応できるように規定を改正するやり方、そしてこれを本則に入れるか附則に書くのか、そういった考え方もございます。あるいは各年度縮減という規定そのものを取り払ってしまうという考え方もございます。
 昨日、そういった考え方を非常に真剣に皆さんに御議論をいただきましたが、議論は収れんをいたしませんでした。そうした中で、一応私に一任をいただきましたけれども、これから、大蔵大臣も先ほど日本に帰ってこられたばかりでありまして、G7の報告を聞いてすぐこの委員会室に来ておりますのでまだ大蔵大臣と十分相談をする時間もございません。どこかでそういう時間をとりたいと考えておりますけれども、いずれにいたしましても、相談をして考え方を整理した上で、私なりの考え方として財政構造改革会議に御報告をしたいと考えております。
#34
○野沢太三君 十六兆に及ぶ経済対策ということになりますと、どうしてもやはり財革法の改正をしておかないと発動ができないということになろうかと思いますが、この今の特例公債発行の条件とあわせて、目標年次の見直しもまた一つ課題であろうかと思います。
 それから、経費別にキャップをかぶせて、それぞれ前年度の額を上回らないとか、あるいは割合を設定してかぶせておるこの部分、これも一つ検討の対象になろうかと思いますが、この法案の改正は今国会中におやりになるのが必要ではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
#35
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員から、委員なりの御視点としての幾つかの視点を挙げられましたけれども、財政構造改革会議としては、いろいろな御議論はもちろんありますけれども、緊急避難的に必要最小限の改正を行うにとどめたいという点については、皆さんの御意見はほぼ私は一致していると考えております。
 そして、今国会は特に、本当に重要な法案を非常にたくさん政府としても提出させていただきました。また、九年度の補正予算、特別減税、さらに金融システム安定化のための対策等、十年度予算案に先立って御審議をいただく都合がありまして、例年より早く国会を召集させていただく、その中で大変御無理な審議をそれぞれについてお願いをいたしております。審議日程が非常に窮屈であることも存じておりますし、両院に大変な御苦労をかけることになるわけでありますが、私は、考え方の取りまとめができましたならば、補正予算とあわせて、できれば今国会中にこの改正はお願いをしたい、そのように考えております。
#36
○野沢太三君 我々もそれに対しては十二分の対応をしなければならないと思うわけでございます。
 昨日の討議の状況等を見ますと、三つほどの案がある中で、いわゆる弾力条項をつくって対応するという案が多数意見であったというお話もあるわけでありますが、ある一定の客観的な経済指標に基づいてこの事柄を停止する、そういった場合にどんなものが役に立つのか。
 現在、日本では企画庁が出しておりますようないわゆるQE、クイックエスティメイトの数字でも三カ月ほどはどうも実態からずれるというふうに伺っております。こういったことで果たして機動的な対応ができるのかどうか。経済成長率は一体だれが判断しどのように発動するのか。仮定の問題になりますけれども、これを総理としてはどのようにお考えになるのか、お聞かせいただければありがたいと思います。
#37
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど御答弁を申し上げます際に、私は定性的なという言葉を使わせていただきました。それは、現在の日本の統計等のとり方の中で、これにぴたりと定量的に当てはまる特定のよい指標というものがなかなか選択ができません。アメリカには、御承知のようにこうした弾力条項を持つ法律が既に存在するわけでありますけれども、これは客観的な指標を幾つか用いておりますが、同様の統計のとり方を日本がしておらないということもございまして、アメリカの例をそのままに日本に引き写すことにも問題がございます。
 そうなりますと、今ぴたりと当てはまる適当な基準として定量的に判断をさせる、そうしたものがなかなか見つからないという状況から、昨日の論議の中におきましても、その指標として何があり得るかという問題は未解決でありました。そうした状況を踏まえまして、私は今、定性的という言葉を使わせていただいて御答弁を申し上げた次第です。
#38
○野沢太三君 確かに、アメリカで同様な条項がありながらこれがなかなか発動できないというのも、定量的なものとすると大変難しくなるということは理解できるわけでございます。アメリカではフラッシュというような一カ月程度で出てくる指標も統計としては工夫されておりますが、実態としてなかなか発動しがたい。そして、もう一つ難しい課題は、一度これを発動したら解除するのにどういう考えを導入するかという同様にまた難しい問題が伴うわけでございます。
 そういうことからいたしますと、やはりこれは国家経営の責任者である総理がまさに国家国民のため、国民生活あるいは経済指標、さらには国際情勢等も勘案して御判断いただけるような性格のものにしていただくのが適切ではないかなと。もちろん、これについては独断でというわけにはいかないかもしれませんが、例えば構造改革会議というようなものに諮っての上で、しっかり適時適切な対応のできる仕掛けにしていただくことが大事ではないか、かように思うわけでございます。ぜひともひとつ工夫をいただきたいと思うわけでございます。
 それからもう一点、特例国債の弾力条項のほかにいわゆるキャップの見直しということが大事ではないか。いわゆる国債発行によって支弁できる経費というものはおのずから限られる、どうしてもやはり財産が残るもの、長期的なもの、そういったものに限られてくるとすると、キャップの中にはそういったものを伴わない例えば社会保障の問題等があるわけでございます。これもやはりあわせて検討しないと著しく均衡を欠く、こういう心配があるわけでございますが、これに対しまして総理、大蔵大臣の御意見をいただければありがたいと思います。
#39
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど緊急避難的に必要最小限の修正を行うにとどめたい、量的縮減目標や財政健全化目標といったその基本は変更せずということを私は申し上げたわけでありますが、それを受けて昨日の財革会議におきましても、キャップについて、財政構造改革法の基本の一つと位置づけられている、したがって堅持すべしという意見が大勢でありましたが、お一人、キャップについて例えば社会保障関係費については議論の余地があるのではないかという提案もございましたけれども、その御意見を受けました上で、多くの御意見が堅持ということでありましたことを答弁として申し上げたいと思います。
#40
○野沢太三君 ぜひとも、その点につきましてまさに弾力的な御判断と措置をいただきたいと思います。
 それでは、議題を進めまして、今回発表しておられます総合経済対策についての考えをお伺いいたしたいと思います。
 今度の景気対策の柱は、これまでお話をしてまいりましたが、減税とあわせて公共事業をうまく組み合わせた対応策が非常に重要であろうかと思います。公共事業はすべてそれが支出につながり、労務あるいはサービス、さらには材料その他大きな波及効果があることは既にこれまでの実績ではっきりしております。最近、乗数効果が落ちたというような意見もありますが、依然としてやはり客観的に見て納得のできる効果が期待できるわけでございます。
 その意味で、内外から求められております内需拡大ということには消費並びに投資をやっていくということが大変大事ではないかと思うわけでございます。最近では、従来にはありませんでしたPFI、プライベート・ファイナンス・イニシアチブ、いわゆる民間の資金を利用して公共施設をつくってこれを公的に提供していく、こういう方式が効率的ではないかと。既にイギリスあたりでは大変実績を上げているということもございます。
 そういうことで、現在、党の方でも事業の対象として考えられるあらゆる対応策を集約、集計しておるところでございますが、例えば情報通信のインフラであるとか科学技術関係の機器類の更新であるとか、そういったものを含めて直接効果の上がる、波及効果の高いものについてできるだけこれを早急に実施するということが大事かと思います。
 今回の景気対策に盛り込まれると予想されます公共事業に関しましてどのようなものが議論されているのか。これは企画庁長官にお願いいたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
#41
○国務大臣(尾身幸次君) 総理の御指示によりまして、現在、経済対策を検討中でございますが、その中で公共事業等を中心といたします財政支出というものが景気に非常にプラスになるということで検討しているわけでございます。
 ただその際に、私ども景気を回復させるという課題を達成することが大事であり、同時にそれに加えて、二十一世紀に向かって日本経済の構造改革といいますか、そういうものをしっかり進める、その方向性を見失わない形でやっていきたいというふうに考えているわけでございます。
 そういう意味からいいますと、先ほど御指摘のいわゆる新社会資本といいますか、情報通信とか科学技術とか環境とか、そういうような分野への支出も行いまして、真に日本経済の体力を強化するもの、また国民生活の向上に非常に役立つもの、そういうものを中心にしてやっていくという考え方もあろうかと思う次第でございまして、その辺も含めまして、長期的な視野を持ちながら内容の詰めをしてまいりたいと考えている次第でございます。
#42
○野沢太三君 これについては大変期待が大きくて、各分野から相当な御提言が既に集まってきておるわけであります。ぜひともこれについて例外なく対応ができるような、今度は受け皿といいますか財源の方の工夫もひとつお願いをしたいわけであります。
 そこで、今回の対応策の十六兆のうちにどのくらいのいわゆる真水があるか、こういう議論がいつも出てくるわけでございます。先般の総理の会見におかれましては、国と地方を合わせての財政支出は十兆円以上との御説明がございましたが、用地費等を入れるとその部分は目減りをするわけでございますけれども、私どもはこの十兆円というものを真水として期待していいかどうか、この点につきまして総理の御見解がありましたらお願いします。
#43
○国務大臣(橋本龍太郎君) いわゆる真水という御議論が世の中にはございますけれども、私はむしろ初めに金額ありきの話ではないと思います。本当に有効な経済対策は、また将来を考えて国民の暮らしにプラスになるものは何だということを考え抜いたあげく、その上で本当に必要な財政負担というものは大胆に計上する。
 私は、その記者会見の際、その結果として国と地方の減税あるいは社会資本整備の負担の合計が十兆円規模になることも当然あるということを申し上げてまいりました。減税を除きまして、これはこれからの具体策の中で取りまとめていくことになる。
 しかしその中で、経済企画庁長官の答弁に多少補足して申し上げたいと思いますのは、在来型の公共事業について、本院におきましても、また当委員会におきましても、さまざまな角度からの御意見がございました。
 同時に、例えばダイオキシン対策あるいは環境関係についてのように、非常に新たな分野として本院、本委員会におきましても御指摘を受けて、我々が対応していかなければならない分野というものはございます。地球環境問題しかりであります。高齢・少子社会というものを考えました場合の受け皿としての施設整備といったものも当然私たちは十分に考えていかなければなりません。そうしたものを持つ対策であるということはぜひ御理解を賜りたいと存じます。
#44
○野沢太三君 まさにそういった弾力的な考え方、これからの時代に適した考え方ということでお考えをいただければいいわけですが、これを賄う財源を考える場合に、これまでの建設国債あるいは特例国債というだけではうまくいかないということが既に指摘をされておるわけでございます。
 その意味で、まず建設国債のあり方についての見直しが必要ではないか。建設国債と赤字国債の区分をこれまでどおりやるかどうかということ。さらには建設国債も六十年というような長い年月でなく、例えば十年、二十年あるいは五年くらいであったとしても、将来にわたってこれが投資的な経費であり、かつ後世代の負担を求めるについても合理的なものであるということであれば必ずしも赤字国債でなくてもいいじゃないか。西ドイツ等の極めて合理的な事例も既にあるわけでございます。こういったことからいたしまして、今日の状況に適応できるような建設国債のあり方は大事ではないか。
 また、これを緩めることによって歯どめがきかなくなるということではまた困るわけでありますから、この辺についての一定の歯どめも必要ではないかと思いますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
#45
○国務大臣(松永光君) お答えいたします。
 今の議論は、結局、財政法四条にかかわってくるわけでありますが、もう私が言うまでもなく、釈迦に説法でありますけれども、我が国の財政法四条、まさしく健全財政主義を貫くべしという非常に大事な条文であると私は思っております。その中で、後世代の人もそのことの便益を享受できる、そういうものに限って建設公債の発行を認める、こういう仕組みになっておる、こう思うわけであります。
 そういたしますというと、当然のことながらある程度の期間、相当期間その施設は残る、後世代の人がそれを利用できる、したがって後世代との間の負担の公平という問題も確保される、そういった考え方で今日までやってきたわけであります。しかも、財政法四条の解釈につきましては、本院、この委員会でも、あるいは衆議院の委員会でもなされたことと思いますけれども、わざわざ法制局長官の解釈論まで明確になっておるわけであります。
 そのことを考えますと、そうたやすくこの財政法四条を拡大解釈するなどということは、よくよく慎重に考えなければ、後世代との間の負担の公平という観点からいいましてもあるいは健全財政主義という見地からいっても考えなきゃならぬ問題だというふうに私は考えておるところでございます。
#46
○野沢太三君 そこがやはり今回の対応策を考えるときに、本当に実効が上がるかどうか、極めて大事なポイントだと思います。
 現在、党の方で集約しております案件にずっと目を通しますと、その意味で五年、十年、二十年程度の考え方で適用ができるとすると大変な効果を生むという案件が既にたくさん出てきておりますので、これは今後ひとつ御一緒に議論を進めた上で結果がいい結果になりますよう、またよろしくお願いしたいと思います。
 私の質問は以上で終わります。
#47
○委員長(岩崎純三君) 関連質疑を許します。久世公堯君。
#48
○久世公堯君 自由民主党の久世公堯でございます。
 当面する経済問題について質問をいたしたいと思います。
 橋本総理は、平成十年度の予算成立後の記者会見におきまして、現在極めて深刻な状況になっております我が国の経済の現状に対して、当面打つべき経済対策の基本方針について所信を表明されました。四兆円の特別減税を初めとする政策減税なりあるいは税制の見直し、それからただいまもお話のございました新型を含む公共的な事業、総理のお言葉をおかりするならば将来世代が整備してくれてよかったと感謝してもらえるような社会資本整備、これを行うと。しかも、先ほどもお話がございましたように、財政構造改革の基本というものはあくまでも堅持をして、緊急避難的に対策を打つという強い決意を表明されたわけでございます。しかも、御自分のお言葉で国民に直接語りかけられました。周りからは財政構造改革会議を開いてからという意見もあったやに承りますけれども、総理はまず国民にということで記者会見をされたと承っております。
 松永大蔵大臣、G7お帰り早々大変御苦労さまでございました。松永蔵相も、世界に対して日本経済の実態を、そして今回の総合経済対策について説明されたわけでございますが、今や世界における日本経済の責任の重さというものを改めて認識をし、真に効果のあるこの総合経済対策というものを早期に実施をすることによって、低迷しております景気の脱出に私どもは全力を挙げて、内外の信頼を図ることが当面の課題だろうと思っております。
 そこで、総理にお伺いしたいと思いますが、先ほどは松永大蔵大臣からまだ十分に結果を報告する暇がないと、そのとおりでございますが、しかし今までも電話等ではいろいろお聞きになっていると思います。今回の総合経済対策の内外に対する意義について改めてお言葉で御説明を賜りたいと思います。
#49
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、我が国の経済が大変厳しい状況にあるということは申し上げるまでもありません。昨年の秋、大手金融機関の幾つかが相次いで破綻をした。その結果として金融システムに対する信頼感が低下をいたしました。また、アジアにおいて、昨年の夏以降、幾つかの国で通貨・金融市場に大きな変動が生じ、経済状況が予測以上に深刻なものになりました。そして、我が国の経済が特に今年に入りましてから各種の指標が非常に厳しい状況を示している。その現況は御承知のとおりでございます。
 そうした中で、先般参りましたロンドンにおけるASEM、個別の首脳との公式あるいは非公式な、また全体会議の中の論議等を踏まえながら、私なりにいろいろ考えさせられる部分がございました。
 そして、国会の御論議等をも参考にしつつと言ってはしかられるかもしれませんけれども、参考に、また国民の声というものがいろいろな角度で届いてまいりますもので、そうしたものを踏まえて判断をいたしたのが四兆円の所得税、住民税の減税、翌年の特別減税の継続、そして一方で新たな社会資本整備を後世代に喜ばれることで進めていく、これによる需要喚起も見込まれる。そうしたものを合計すると、先ほどの御議論にもありましたけれども、いわゆる真水というものが十兆円を超えることもあるだろう、そこまでの覚悟を決めた上で本当に必要なものについては大胆にこれに対応していきたい。
 税の世界、そして社会資本整備の世界、この両建てで物事を進めることによって、一方ではまさにマインドの高まりを期待し、一方では現実の生産、流通、そして消費という流れに加速をさせたい、そのような思いでこれを考えたということを申し上げたいと思います。
#50
○久世公堯君 総理は、経済対策の基本的な考え方の冒頭において、四兆円を上回る大幅減税を提唱しておられます。この点につきましては先ほど御答弁があったわけでございますが、しかも今回の減税につきましてはできるだけ国民に対して早くこれを実施するということで、なるべく私どもは早く法律を通すことによって、できればこの夏の八月前には国民の手にわたるように、こういうお話でございます。ぜひともそれをお願いいたしたいと思います。
 この所得税、住民税の具体的な実施方法にも関連をいたしまして、総理の記者会見、あるいは本院におきまして十四日に経済対策の基本的考え方という御報告がございました。私は、お聞きしておりまして、大変簡潔ではあるけれども中身の濃い御報告だと思いました。
 その中におきまして、総理は、個人の負担する所得税や住民税のあり方について、公正で透明な税制を目指し、幅広い観点から深みのある見直しを行いたいと考えている、このように述べておられるわけでございますが、その所得税、住民税に関する深みのあるお考えを承りたいと思っております。
#51
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今回、所得税、住民税について特別減税を行いましたけれども、この影響は実質的な課税最低限の引き上げというところに一番制度上は出てくる部分があると思います。そして、本院におきましてもまた衆議院の御論議におきましても、所得減税というものをめぐりましてはさまざまな御意見をちょうだいいたしました。恒久減税という御議論もございましたが、恒久減税と言われます考え方、私どもはこれは非常に大きな課題であると考えております。
 確かに、我が国の税体系を考えますとき、他の国に比べまして高額所得者に対してはその税率は厳しいものになっております。しかし、課税最低限を見ましたとき、欧米諸国と比べまして我が国の課税最低限は相対的に高い水準にあります。言いかえれば、欧米では所得税等を負担していただいている方が日本ではその負担をしないで済んでいるという部分がございます。同時に、資産性の所得、これに対しての課税、あるいは年金課税に対するあり方、こうした点が今までいろいろな角度から御議論が行われながら完結をいたさずに今日まで参りました。
 正確に申しますなら、昨年の消費税の引き上げの前提となりました、平成六年であったと思いますが、税制改正によりまして、所得税、住民税等の引き下げが図られ、よりフラットな税制構造に変わり、大抵のサラリーマンの方が一〇ないし二〇%のラインで生涯を過ごすことのできる、そのような税体系を組み立てましたけれども、それ以降、本質的な部分の議論、当然行ってはいただいておりますけれども、国民の前に見える形でこれが議論をされているかといえば、必ずしも私は十分ではないと思います。
 それだけに、こうした所得税、住民税というものの議論をしていただく、それが本当に深みのある、資産性所得に対する課税も年金課税も皆問題として今まで提起されたものを含めて議論をしていただくことが必要ではないだろうか、そのような思いで御報告を申し上げました。
#52
○久世公堯君 ただいまの総理の御答弁、私も全く同感でございます。この間行われた二兆円の減税によっても課税最低限はさらに上がっております。今度の改正をやりますとさらにまた上がるわけでございますので、今おっしゃいましたことは大変もっともなことでございまして、これは恐らく政府税調でもしっかりと議論されると思いますし、私ども自民党の税調でもこの問題は時間をかけて議論すべき問題だと思っております。
 今回の総合経済対策で政策減税の問題もございますが、所得税、住民税とともに、税制のもう一つの問題は法人課税であろうかと思います。平成十年度の法人税改正で法人税率が三%下げられましたことは極めて私は大きな改革であったと思います。
 総理はこの間の御発言の中で、法人に対する課税について、私は、今後三年のうちにできるだけ早く、総合的な税率を国際水準並みにしたいと考えております、このように述べておられるわけでございますが、グローバルな税制という意味も含めて、総理のお考えを承りたいと思います。
#53
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、所得税や住民税に対しては、むしろ課税最低限が世界的な水準に比べて高い、特別減税でそれはもっと高くなりますということを申し上げました。
 法人税の世界、これはもう委員に申し上げるまでもございませんが、表面税率を比較いたしてみますと、我が国は確かにアメリカあるいはイギリス、フランス等に比べましてその水準は高いわけです。そして、国際的な大競争時代と言われている中において、我が国に立地する企業が競争力を持つためには、やはりグローバルスタンダードと言われる水準に近寄せていく努力は私は必要だと思います。
 本年、御承知のように法人課税につきまして引き下げを図りました。しかし、これからあと三年の間、その間にできるだけ早く総合的な税率を国際的な水準並みにしたいと申し上げてまいりましたのは、税体系全体のあり方も当然ながら踏まえていかなければなりませんが、地方の法人事業税の外形標準課税の検討といった大変難しい問題もこの中に含まれておりますだけに、三年ぐらいの期間をかけなければならない、しかしそれはできるだけ早く論議を終結していただきたい、そのような思いを込めて、今後三年間のうちできるだけ早くという言葉を選びました。
 私は、法人課税のあり方について、これは政府税制調査会におきましても党税制調査会におきましてもグローバルスタンダードというものを頭に置きながら真剣な御議論がしていただけることを願っております。
#54
○久世公堯君 自治大臣に御質問をいたしたいと思います。
 ただいまの法人課税、総理も今法人事業税の外形標準問題につきましてもお話があったわけでございますが、私、地方自治の統計を見ておりますと、都道府県の税収というのは、これは平成八年度の決算で申しますと法人事業税が三四・八%、法人道府県民税が六・八%、それから軽油引取税が九・三%となっております。この三つの税目だけで全体の五一%を占めるために税収が景気動向に大きく左右されるわけでございます。
 例えば、ここ十年間の統計を見ておりますと、法人事業税は前年度と比べて一番減ったときは一六・五%減っている。逆に増加するときは二〇%も増加している。毎年このように大きく変動しているわけでございます。一方、都道府県の歳出構造を見ますと、これは教育でございますとか福祉でございますとか、余り伸縮性がない、上下がない経常経費的なものが多いわけでございます。
 こういうことを考えますと、地方税のあり方として現在の税体系は安定性に問題がある構造になっているんではなかろうかと思うわけです。これから地方分権が進んでまいりましてこれ以上に地方自治体の果たす役割が多くなりますと、やはり地方団体には安定的な税収の確保が喫緊の課題ではなかろうかと思います。
 そこで、ただいま総理からもお触れになりましたが、特に都道府県の税収の中で大きな割合を占めておりますのが法人事業税でございます。これは従来、若干の例外はございますが、所得に関する課税でございますために景気の動向には大きく左右されるわけでございます。そこで、景気による変動を少なくするために課税標準を見直すことは地方自治体にとっても意義があるのではなかろうかと思うわけでございます。
 今、総理もちょっとお触れになりましたが、具体的には、事業税に何らかの形で外形標準というものを導入することによって都道府県の税収の安定性を増すとともに、地方自治のいわば応益課税としての事業税の性格も明確になるのではなかろうかと考えておりますが、この外形標準導入問題も含めまして、自治大臣からお答えを賜りたいと思います。
#55
○国務大臣(上杉光弘君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、都道府県の税収は、法人関係税、個人道府県民税、自動車税等が主な税源となっておるわけでございます。この中で最も大きなウエートを占める法人関係税につきましては、委員御指摘のとおり、非常に景気の影響による税収の変動等が大きいところでございます。一方、都道府県の歳出は、御指摘のとおり教育費等、変動が余りない行政が中心となっておるわけでございまして、言うなれば、税収には変動があり、歳出の面では余り変動のない財政という、これが地方税財政の泣きどころだと思います。
 今後、地方税源の充実確保を図っていくというのは当然のことでございまして、税収の安定性を備えた地方税体系の構築に向けて検討し、取り組んでいく必要があると心得ておるところでございます。
 以上申し上げた上で、委員御指摘の外形標準課税導入の問題でございますが、事業税につきましては、従来より事業が地方団体から受ける行政サービスに必要な経費につきまして分担をすべきであるという考え方に基づき、事業の規模や活動量を示す外形基準により課税することが望ましいとされておるところでございます。
 地方法人課税の今後のあり方につきましては、当然昨年末の政府税制調査会の答申におきましても、「地方の法人課税については、平成十年度において、事業税の外形標準課税の課題を中心に総合的な検討を進めることが必要」と、このようにされておるわけでございます。
 今後、政府税制調査会等の場において検討を進めることとされておるわけでございますが、事業税への外形基準の導入につきましては、総理からもございましたように非常に難しい問題もあることは事実でございまして、具体的な外形基準のあり方や税負担の変動など、なお検討すべき課題も多くあるわけでございます。都道府県の税収の安定化に資する等の意義も一方あることでございますから、自治省といたしましてはその実現に向けまして努力を重ねてまいりたいと考えておるわけでございます。
 今後、政府税制調査会等の場で広く各界各層にも御議論をいただき、大方の御理解を得られるようさらに検討を進めてまいりたいと考えております。
#56
○久世公堯君 次に、社会資本整備の問題につきましてお尋ねいたしたいと思います。
 私は現在、自民党で政務調査会の副会長を野沢先生と一緒にやっておりまして、けさも実は八時からこの委員会が始まるまで総合経済対策に盛り込むべき重点事項という検討を各部会にわたってやっていたわけでございます。
 そこで山崎政調会長が私どもに示されております方針は三つございまして、即効性のあるもの、二番目に波及効果のあるもの、それから後年度の負担にならないもの、もし後年度の負担になる場合においては、それに対する対応策が十分とられているもの、こういう三つの原則を中心にいたしまして各分野にわたって今その事業を選択しているわけでございます。いろんな見地から行っており、その中には新しい形の公共事業もありますし、また在来型と申しますか本来型の公共事業もあるわけでございます。
 そこで、先般の総理の発言の中で、二十一世紀を見据えて、豊かで活力のある経済社会の構築に向けて、真に必要となる社会資本等を整備したいと思います、その際、将来の世代が整備してくれてよかったと感謝してもらえるような分野を重点的にやりたい、このようにおっしゃっておられるわけでございます。
 公共事業あるいは公共的な事業につきましては、見直し論あるいは配分論、いろいろ言われておりますけれども、総理も御指摘になっておられますように、単に量的に拡大すればいいというものではなくて、公共事業ないしは公共的な事業を実施することによって、二十一世紀を見据えて真に必要となる社会資本を整備するということが求められているのだろうと思います。
 総理、ひとつこの総理のお考えについて、国民に対してもう少し敷衍して明らかにしていただければありがたいと思います。
#57
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今国会、本院における、また本委員会における御論議の中におきましても、公共投資あるいは公共事業というものについてはさまざまな角度の御論議がございました。
 そして、昨年来を振り返ってみますと、いわゆる従来ありました型の公共事業に対してはさまざまな御批判がありましたこと、議員も御記憶のとおりであります。むしろ私はそれに対して、公共事業悪という論はとりません、公共事業は必要なんですということを申し上げてきましたが、御指摘を受けた中に、我々もその御指摘を素直に受けとめなければならないような視点が幾つかありましたことも事実でした。
 同時に、今国会になりまして、特に強く御提起をいただきました問題、例えばダイオキシンの問題があります。あるいはまさに地球環境問題、温暖化に対する我々の備え、努力、こうした問題もございました。また、少子・高齢化社会というものを現実のものとして迎えている私どもにとりまして、例えばお年寄りに対する施設整備の問題、あるいは育児という焦点から考えなければならない問題、こうした問題もさまざまな角度から御議論に出ていたこと、御記憶のとおりであります。
 さらに、これは当然ながら科学技術を振興することによって、私どもはその中から将来の日本の経済を引っ張っていくような産業を生み出していかなきゃなりません。こういう分野に対する投資も必要ですし、議員から情報通信の高度化というお話もございましたけれども、まさに高度情報通信社会というものになり、ややもすると光ファイバーばかりが話に出てきますけれども、同軸ケーブルあるいは無線といった既に整備されているものとこの光ファイバーとをいかに組み合わせて、ゴアさんの言葉をかりれば情報ハイウエーということになりますが、そうした日本の中における高度情報の流通し得るシステムをどう構築するか。あるいは将来を担う人材の教育に対してどのような整備を行っておくべきなのか。さまざまな新しい課題あるいは古くて新しい課題、私どもはこうした問題を社会資本の整備の場合にも考えていかなければならないと思っております。
 そして、そうした分野にでき得る限りの重点整備を行いたいということを申し上げてまいりましたが、議員からも今お話がありましたように、与党においてもいろいろ御検討いただいております。そうしたことを踏まえながら、その必要性、事業効率などを考え早急に検討を行っていきたい、今そのように考えております。
#58
○久世公堯君 先ほど来、真水という言葉がございますが、何か最近ではアメリカの雑誌や新聞にもこのマミズという言葉がもう用いられているそうでございますが、真水につきましても、最も有効な経済対策は何かということを真剣に考えた上で本当に必要な分野にこれを使うべきだという感じがいたします。
 そこで、社会資本の整備に当たりまして効果を考えることは非常に重要でございますけれども、一つは、地域によっては、例えば後進地域あるいは過疎地域、漁村とか山村がその典型でございますが、こういうところの町村長さん方の話を聞きますと、自分のところでは公共事業が唯一の産業であり、また公共事業が住民生活にすべてかかっているんだ、こういうお話をしばしば聞くわけでございますので、ぜひともこれからの社会資本整備に当たりましては、そういう過疎あるいは後進の地域についてはほとんど在来型の公共事業になるかと思いますけれども、重点配分をお願いいたしたい。
 また、後ほど中小企業対策については別途申し上げますけれども、公共事業を実施することによって、あまねくいろいろな業種にわたる、特に中小企業が潤うような形で波及効果が及ぶように私はあってほしいと思いますが、その点、総理はどのようにお考えになりますでしょうか。
#59
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、議員は後進地域と言われました。私は後進という言葉は余り好きじゃありません。その意味では、むしろ過密と過疎で私はお答えをしたいと思います。
 私の郷里を考えてみましても、中国山地の山間部の小さな町、村もございますし、瀬戸内の離島もございます。平成十年度の予算におきましても、公共事業については、地域経済への配慮、同時に国土の均衡ある発展と整備水準、地域間の格差是正という観点にも留意してきました。
 そして、このような観点をもって公共事業を進めていくとき、私は今おっしゃったような状況は当然変わってくると思うんです。今、非常に過疎でその地域には議員が言われたように産業がない、そうしたところがあるかもしれません。しかし、そこが例えば道路の整備を行うことによって、あるいはトンネルが必要なのかもしれませんが、道路が整備されることによって近郊の都市の通勤圏になる、産業の所在地への通勤圏になれば、私はおのずからその今過疎の地域というものも変わってくると思います。
 そうしたような思いを持ちながら社会資本整備というものは進めていきたいと考えておりますし、そもそも公共事業そのものがその生産誘発効果を通じて幅広い産業部門に経済効果を及ぼすわけでありますけれども、その事業執行に当たり、従来からも中小企業の受注機会の確保というものには努めてまいりましたが、今後ともそうした方針でこれに取り組んでいきたいと考えております。
#60
○久世公堯君 社会資本の整備に当たりまして、従来の公共事業、在来型といいますか本来型というか、これは非常に大事だと思いますし、同時に、今回の経済対策では、情報あるいは教育、科学技術、福祉というような新しい分野の公共事業も大事だろうと思います。
 従来の公共事業について申しますと、これを所管している主たる役所は建設省、農水省、運輸省だったわけでございますけれども、それぞれの省の中のシェアは変わっております。例えば建設省について言えば、道路、河川なんかが中心だったのが、下水道あるいは住宅、公園というようにシェアが随分変わっております。
 三十年の間にはかなり変わっておりますけれども、おかしいことには、建設、農水、運輸の全体の公共事業に占めるシェアは三十年間で一%しか変わっていない。これが従来の公共事業のあり方であったと思いますが、これは行革という見地からも改めなければいけないことであり、そういう本来型、新型を含めて、公共投資のあり方について、大蔵大臣どのようにお考えでございますか。
#61
○国務大臣(松永光君) 今、委員御指摘のようなことは大体事実のようでありますし、そのことについていろんな方面からの非難、批判があるということも私は承知いたしております。
 ただ、私の基本的な考え方は、やはり財政法四条というものを厳正に解釈して運用すべきものである、こう考えております。要するに、総理の言葉にもありましたように、後世代の人から整備してくれておってよかった、そう感謝されるようなものが基本的な公共事業だろうというふうに思います。何となれば、そういう公共事業については国債を発行してよろしい、感謝をする後世代の人もそれを負担するということで世代間の負担の公平が保たれる、これが私は基本だろうというふうに思います。
 もっとも、時代の変化に伴いまして、今まで考えられ、かつ実行されておったインフラ整備の問題も新たなものも出てくるでありましょうけれども、しかしそれはあくまでも相当期間利用されるものでなければ後世代との間の負担の公平という問題が解決されないんじゃなかろうか、こう思いますので、そういう考え方で、新しいものも含めて財政法四条の規定に照らして妥当かどうかということを考えて対処していかなきゃならぬというふうに思います。
 なお、それに入らぬものとしても、必要な事業ならばそれなりの財政措置はしなきゃならぬ、こういうふうに私は思うわけでございます。
#62
○久世公堯君 公共事業の実施のかなりの部分は地方団体がその役割を担っております。したがいまして、今度の経済対策における公共事業もその中身が地方自治体に十分理解される必要があると思いますし、また地方団体がぜひやりたいと思うような内容とする必要があると思います。
 さらに、今回の四兆円の減税を実施いたしますと、所得税だけではなくて住民税も減税になります。税は減る、歳出はふえる、財源は借金して自分で賄え、これでは地方公共団体は国に対する信頼を失いかねないわけでございます。今までの景気対策でも、地方は随分頑張ってまいりました。それによって地方の借金の残高がふえていることも事実でございます。百五十兆を超える残高が今あるわけでございます。
 そこで、やはり私は経済対策というものは国が主導をしながら地方団体の協力を得ていくことが一番の原点であろうかと思いますが、総理のお考えを承りたいと思います。
#63
○国務大臣(橋本龍太郎君) 地方財政そのものにつきましては自治大臣から御答弁を願う方が適切だと思いますけれども、それを前提にいたしまして、今私は、議員の御指摘は非常に的確なよい御指摘をいただいたという思いを持ってここに立ちました。まず冒頭申し上げたいと思うんです。
 そして、今回例えば与党三党が三月二十六日におまとめになりました総合経済対策の基本方針を見ましても、取り組むべき分野として、先ほど来私が申し上げてまいりましたような環境、新エネルギー、教育というものに加え、例えば緊急防災対策など、まさに安全で豊かな国民生活の基盤となる社会資本整備というものがございます。あるいは物流の効率化等、経済社会の基盤となる社会資本整備というものが提起をされております。こうしたものを進めます場合、これは地方の協力がなければ絶対にうまくいきませんし、逆に地方自治体から複数の省庁にまたがるこういう事業を組み合わせることで面としての整備が行えるといった提言は我々もいただきたい、また現実にいただいている分野でもあります。
 こうしたものを考えて私どもはこれから仕事に励んでいくわけでありますけれども、真に必要となる社会資本を整備する、そのときには当然のことながら地域のニーズというものに十分こたえる、考える、そうしたものでなければならないと思いますし、そのような考え方で検討していきたいと考えております。
#64
○委員長(岩崎純三君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十六分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#65
○委員長(岩崎純三君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 予算の執行状況に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。久世公堯君。
#66
○久世公堯君 午前中の最後に、社会資本の整備につきまして、今回の総合経済対策における社会資本整備に当たって地方団体の役割が極めて大きいと総理から評価をいただいたわけでございます。
 そこで、自治大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、今度の総合経済対策につきましては地方団体独自の事業として地方単独事業の追加に取り組んでもらわなければいけないわけです。ところが、御承知のごとく平成十年度末の地方債残高は百五十六兆と見込まれているわけでございまして、地方財政は厳しい状況にあるわけでございます。個々の地方団体も相当厳しさを増しており、今回の当初予算は非常に苦労して編成もいたしましたし、必死に財政の健全化に努めているわけでございます。したがいまして、今回の経済対策を円滑に実施するためにも、地方団体の財政負担につきましては国として責任を持っていただくべきだと思いますが、自治大臣の御見解を承りたいと思います。
#67
○国務大臣(上杉光弘君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、現在の地方財政は極めて厳しい状況にあるわけでございます。一方、国内経済も極めて深刻な状況にあるわけでございまして、政府としては今回の経済対策の円滑な実施がぜひとも必要であると考えております。
 この経済対策の主な柱は、総理の記者会見でも示されましたとおり、一つには減税の実施がございます。もう一つは公共投資の追加など、いずれも地方公共団体の財政負担が不可欠なものでございまして、的確な地方財政対策を講じながら、地方公共団体においてもでき得る限り御理解、御協力をしていただくように最大の努力をいたしたいと考えております。
 私、本日の夕刻、地方六団体の代表者の皆様にもお集まりいただきまして、政府の方針をお伝え申し上げ、御理解、御協力を精いっぱいお願いしたい。また、地方の財政状況や公共投資あるいは減税等についてのいろいろな御意見もあろうかと思いますから、十分承りたいと考えておるところでございます。
#68
○久世公堯君 それでは次に、中小企業対策についてお尋ねをいたしたいと思います。
 我が国の経済がこれだけ停滞をしている中で、中小企業はとりわけ厳しい状態にあると思います。特に、民間金融機関の中小企業に対する貸し渋り、中小企業の資金繰りはもう危機的な状態にあると言っても過言ではないと思います。
 私ども自由民主党におきましても、昨年臨時中小企業支援対策本部というものを設置いたしまして、今までに七回会合を開いております。党幹部も挙げてこれに出席をいたしまして個別の問題に取り組んでいるわけでございます。中小企業者から直接お話も聞きますし、また中小企業関係団体からも絶えずいろいろな状況を聞いているわけでございますが、それによりますと、貸し渋りの実態というのがだんだん厳しくなっている、こういう実態についても十分話を聞いたわけでございます。
 また、通産省におきましても中小企業庁におきましても、昨年以来いろいろと対策を講じていただいておりますので、その面においては非常にありがたいと思っておりますけれども、その貸し渋りの対策についての効果あるいはこれからそれをどう強化していくのか、通産大臣の御所見を承りたいと思います。
#69
○国務大臣(堀内光雄君) お答え申し上げます。
 中小企業への貸し渋りにつきましては、通産省が三月の中旬に行いました調査におきましても、民間金融機関の貸し出し姿勢が非常に厳しくなったとするものが全体で三割であります。また、今後の融資態度が非常に厳しくなるだろうと懸念をする企業が六割を超えているわけでございます。依然大変厳しい状況と認識をいたしております。
 そういう中でございますので、中小企業に対する貸し渋りに対しまして、政府といたしましては、政府系金融機関及び信用保証協会におきまして特別の融資相談窓口などを設置いたしまして、新しい融資制度の創設、また無担保無保証のマル経資金の拡充、あるいは保険限度額の倍額となる対象業種を拡大するというような対策を講じてまいりました。
 これらの貸し渋り対策の実績につきましては、対策が始まりました昨年の十二月から三月年度末までにおきまして、政府系金融機関全体で二兆七千億円、前年同期比で約二五%の伸びになっております。また、無担保無保証の例のマル経資金につきましては千八百億円で前年同期比約六一%の伸びということになっております。信用保証協会においては保証を約六兆円行っておりまして、前年同期比で約九%の伸びというところになっております。
 こういう状況でございますが、さらに実情をしっかり確かめるべく、通産省といたしましても、先般九日、十日には、幹部、課長以上の人間百十八名を北海道から鹿児島まで全部派遣いたしまして、それぞれが中小企業を訪問し、ペーパーによる報告ではなくて聞き取りをしながらその対策をさらに進めていくように取り組んでいるところでございます。万全を期してまいりたいと思っております。
#70
○久世公堯君 私ども自民党の臨時中小企業支援対策本部のこの間の会合のときに、いろんな意見が出ました中に、通産大臣が今御答弁になりました政府系金融機関あるいは民間の金融機関へのいろいろな要請もやったのでございますけれども、そのときに自民党の議員の中から非常に強い意見としてこういう意見が出てまいりました。
 それは、今は御承知のごとく中小企業基本法に中小企業の定義が書かれております。これを受けて、中小企業金融公庫法なり信用保険公庫法なりあるいは中小企業倒産防止法なり、そういうところにそのままの条文が引用されておりますために、中小企業が貸し付けを受けられるのがどうしても一千万円以下というようなことになったり、業種によっては三千万円以下ということになっておる。ですから、せっかく通産省においてそういうような措置を講じておられるにかかわらず、その恩恵が受けられない。
 そこで、私どもの会合では、ひとつこの法律を改正してでも、場合によっては基本法は基本法として、金融関係の法律だけでも改正することによってこの門をあけてもらいたいと。これは通産省がどうお考えなのか。事によっては議員立法でもやりたい、こういうような強い意見があったわけでございますし、また各業界からもそういう御要望というものを私どもは受けております。それについて通産省、通産大臣のお考えを承りたいと思います。
#71
○国務大臣(堀内光雄君) 委員御指摘のとおり、ただいまのところの中小企業の定義というものが昭和四十八年に定められた中小企業基本法によって一千万円あるいは三千万円というような枠がはめられております。そのために、金融環境の変化によって民間金融機関からの資金の調達に大変困難を来している中堅あるいは中小企業、こういう中におきましても政府系金融機関の融資の申し込みを希望しながらそれの対象にならないというところが大勢あるわけでございます。
 そこで、中小企業向けの政府系金融機関の融資対象とならないそういう企業を救済するために、現在党とも御相談を申し上げておりますけれども、中小企業金融公庫法の改正を行って、今までの融資対象の基準は卸売業が三千万円以下、小売・サービス業が一千万円以下というような状態でございますが、この基準額をそれぞれ卸売業については七千万円、小売あるいはサービス業については五千万円、可能な限りこういう融資対象を広げるように、中小企業等の資金調達が円滑に行われるように今処置をしたいということで取り組んでいるところでございまして、法律改正を行ってまいりたいと思っております。
 まじめに努力をしていただいている事業者の皆様に少しでも御支援ができるようにということから、中小企業のニーズをくみ上げつつ全力を挙げて取り組んでまいりますので、党においても御支援のほどをお願い申し上げる次第でございます。
#72
○久世公堯君 ありがとうございました。
 ただいまの御答弁によりますと、この三千万円を七千万、一千万を五千万と大幅に引き上げていただけるとするならば、これは非常に大きなことになろうかと思います。通産大臣も重々御承知のとおり、中小企業は日本経済の宝だろうと思っております。この中小企業が現在の苦境を乗り越えて、将来に新しい見通しを持って事業活動ができるということは、即日本経済の大きな発展そのものにほかならないと私は確信をする次第でございます。
 そこで、自治大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、国は今お話がありましたように中小企業に対する貸し渋りに対する対応をいろいろと実施しておられます。一方、地域経済という観点に立ちますならば、今までにも地方団体はさまざまな融資枠を設けて中小企業の金融対策を長年講じてまいりました。最近のこの貸し渋りの深刻な実態に対応して、地方団体でもひとつ貸し渋りのために単独で積極的に対応していただきたいと思いますが、御所見を伺いたいと思います。
#73
○国務大臣(上杉光弘君) お答えをいたします。
 委員御指摘のとおり、地方公共団体におきましては地域の実情を踏まえましてさまざまな単独の融資制度を設けておるわけでございます。中小企業の資金需要に対応してまいらなければならないと考えております。
 最近の経済・金融情勢の中でいわゆる金融機関の貸し渋りが生じていることに対処いたしまして、地域の中小企業の資金調達に支障が生じないように、地方公共団体の単独の融資制度の拡充や信用保証協会の保証枠の拡大が必要と考えております。
 現在、これに伴い必要となる地方負担につきまして、経済対策の一環として適切な地方財政措置を講じることについて日夜にわたり事務方が検討をいたしておるところでございます。
#74
○久世公堯君 最後の項目になりますが、総理が唱道されておられます六大改革の推進とこの経済対策についてお尋ねをいたしたいと思います。
 現在の国民の最大の関心事は景気の見通しであり、先行きでございます。当面はこの景気対策が最も重要な課題であることは当然でございまして、これを財政構造改革と整合をとりつつ進めていく必要があると思います。しかし一方で、景気対策に関心が集まる余り、ほかの改革がなおざりにされてはいけないと思います。
 総理は六大改革を掲げられており、これらの中におきましても財政構造改革と並んで行政改革はこれから二十一世紀を見据えると我が国の経済社会にとって極めて重要な課題であると私は思います。かつ、経済構造改革においては厳しい規制緩和を民間に強いております。金融システム改革におきましては今回のビッグバン政策をとっているわけでございます。民間に対してはそれぞれ痛みを伴う大きな変革を迫っているわけです。ここで私ども、財政構造改革とともにいわば官の改革である行政改革というものが極めて重要であり、行革が停滞するようなことがあっては絶対にいけないと思います。
 六大改革、特に行革に対する総理のお考えを承りたいわけでございますが、現在は中央省庁等改革基本法が国会に提出をされ審議に入っているわけでございますので、この基本法を早期に成立させ、その着実な実現を図ることが肝心であると考えますが、これを含めて総理の御所見を承りたいと思います。
#75
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、従来から財政構造改革の必要性は何ら変わるものではないということを繰り返し申し上げてまいりました。
 今、私どもはまさに景気回復のために全力を尽くさなければならない局面でありますし、そのために緊急避難的な措置をとりたいというお願いも申し上げておりますけれども、その中でも、できるだけ効率よく十分な仕事を大胆にしながらも、でき得る限り将来に残す赤字はふえることを防ぎたい、その思いは今日も変わりません。
 そして同時に、この危機的な経済状況を乗り切りまして安定した路線に戻しましたなら、当然のことながら将来に残る赤字を少しでも減らしていく努力を我々はしていく責任があると考えております。そうした点におきましては、議員の御指摘と何ら変わるものはございません。
 同様に、今お触れをいただきました金融システムの改革、外為法改正は既にこの四月一日から動いております。従来とは既に違ったスタートを我々は切りました。金融機関が今なお多くの不良債権を抱えると言われております。金融機関自身にも、全力を挙げてみずからの手で不良資産の処理には励んでもらわなければなりませんし、リストラにも励んでもらわなければなりませんが、その上で、日本の金融機関というものが世界に伍して国民の資産運用に、また企業の資金調達にたえられるだけの力を早く発揮してもらわなければなりません。そのために金融システム安定化についての御協力をもお願い申し上げました。
 議員から今、経済構造改革に伴う規制の緩和での痛みを強調されましたが、確かに経済構造改革の名で進めていく規制緩和あるいは撤廃というものは、今まで保護されて、その保護の中で安住していた方々にとっては痛みを生じる部分があることは事実です。しかし、だからといって、そうした保護だけを加えていて、その影響がマイナスになる、そういう状態は我々は直さなきゃなりません。そして、結果的には、実はそこで新しい競争が生まれ、新しい仕事も生まれていく、これを創造的に活用していかなければならないものであることは間違いありません。
 その上で、国の責務としての大きな改革、それは行政改革であります。行政改革の主な目的を言うならば、それは国の権限と仕事をできるだけ減らしていく、そして効率的で簡素な行政、機動的で効果的な政策遂行ができる状態をつくることにあります。これは私の先輩の方々のときから規制緩和というものに取り組み始め、この四月一日から新しい規制緩和の三カ年計画をつくりました。当然ながら、これは官の仕事を減らしていくということになります。
 また、地方分権も、その論議を開始していただいておりますものが既に地方分権推進委員会から第四次の勧告までちょうだいいたしました。政府としては、これに基づく地方分権推進計画を今鋭意作成中であり、今国会中にこれを実現せしめよう、そう努力をいたしております。地方分権の進捗というのは当然これも国の仕事の減量になります。
 その二つの減量の努力、これは一つは官民の役割を見直すことであり、同時に国と地方の関係を見直すことによる減量でありますから、これを前提として中央省庁などの改革を進めていかなければなりません。そして、その新しい体制に移行していくプロセスには現業の改革も必要でありますし、新たに独立行政法人という制度を導入しようとしているわけですが、そうしたことをしながら公務員の定数を含めて行政のあり方を大幅にスリム化していく、こうした努力を払っていく必要があります。
 同時に、公務員の、これは定年制も含めましてあり方を検討して必要な改革を行わなければなりません。そうした行動をとっていく上でのプログラムに当たりますものがまさに今国会に提出をさせていただきました中央省庁等改革基本法でございます。
 私どもは、この法律案を、二〇〇一年にスタートさせるその中央省庁の再編、それは今も申し上げましたように、一方では分権を進め、もう一方では規制緩和による官民の役割の見直しを進め、その上で成り立つものでありますけれども、この中央省庁の改革をスタートさせるためにも、基本法が国会で御審議をいただき、通過、成立をいたしましたなら、速やかに中央省庁等改革推進本部というものを発足させました上で、それぞれの関係する法律の整備など新しい体制に移行するために必要な準備をスタートさせたい、すぐにでもスタートさせたい、そして二〇〇一年の一月一日をスタートとして一府十二省庁体制への移行を発足させたい、これを目指しております。
 今回の改革、これはまさに、二十一世紀において国の行政が本来果たさなければならない機能を十分に発揮できるように、また重要な行政課題に的確に対応し得るような行政システムを確立しようとするそうした改革でありますから、できるだけ早く新体制に移行させていかなければなりません。同時にこれは、各省庁の設置法、根拠になる法律を含めまして膨大な作業を必要といたします。それだけに今国会におきましてぜひこの法律案を成立させていただいてスタートが切れるようにしていただきたい。心からお願いを申し上げます。
#76
○久世公堯君 ただいま総理から御答弁をいただきましたが、最後に総務庁長官にお尋ねをしたいと思います。
 二十一世紀の始まる二〇〇一年初頭からこの改革が行われる。二〇〇一年の一月一日というのは平成何年かと考えてみますと平成十三年なんですが、これは平成十二年度でございますので、十二年度のいろんな政策なり予算なりのときにこの二〇〇一年を考えなければいけないわけでございます。
 また、総理が今おっしゃいましたように、これに伴う作業というのは私は非常に膨大だと思います。と申しますのは、この法律をよく読んでみますと、各省の機能や政策の見直しまで盛り込まれております。いわばこれを実現するには組織法だけじゃなくて作用法も全部検討しなければいけない。この前、金融監督庁の設置がございましたが、あの大蔵省を二つに割るだけでも物すごい数の法律が振り分けられましたし、一つ一つの事務や権限について整合性を持たせる、振興法もあれば監督法もある、いろんな意味において私は大変な作業だろうと思うわけです。
 また、承るところによりますと、総務省が大き過ぎるとか、余りあらわれていない議論をいろいろしておられるそうでございまして、大変な作業量がこれから控えているわけでございますので、そのあたり、この二十一世紀に向かって新しい行政体制をつくるという意味において総務庁長官の御所信を伺いたいと思います。
#77
○国務大臣(小里貞利君) 中央省庁再編を中心にいたしました当面の行政改革、そしてその基本的目標、理念あるいは手続等につきましては総理大臣の方から今あらましお話をいただきました。特に今お話しの、中央省庁再編作業の極めて限られた時間内におきまする逼迫した膨大な作業等を考えながらどのような決意で臨むかというお尋ねが一つあろうと思う次第でございます。
 総理の方からもお話がございましたように、二十一世紀におきまして我が国の行政が本来あるべき一つの役割あるいは機能を十全に果たしていくための体制、いかなる重要な多彩にわたる政策課題にも機敏に有効に対応しなけりゃいけませんよ、そのためのシステムをつくりなさい、つくらせてくださいと、これが大きな一つの基本でございます。
 総理からお話がございましたように、また先生もただいまお話がございましたように、大変膨大な作業であります。殊に、今次の国会におきまして御相談申し上げておりまする、基本法案なるものを国会の意思として決定いただきたいことを念願申し上げておるところでございますが、これを可決、決定いただきました直後に直ちにこれの推進準備に入りまして、そして各省庁設置法、もうさまざまな法律が深くそして広くあるわけでございますが、これらの編成と同時に、また関連する内閣法あるいは国家行政組織法等々いろいろな法律の検討作業に入ります。
 そして、大ざっぱに申し上げまして来年の今ごろは国会にそれらの関連法案を具体的に御相談申し上げなけりゃならない。そしてまた円滑に取り運びをいただけるとすれば、来年の通常国会におきましてそれらの法案を決定していただき、その次の年にはそれに関連する予算を編成して御相談をしなけりゃならない。これが二〇〇〇年でございますから、その二〇〇〇年度中のすなわち二〇〇一年一月一日には、総理からお話がございましたように、これを完全移行したいと、こういうような段取りでございますので、何とぞよろしくお願いを申し上げますということでございます。
 それから、最後にお尋ねの、例えば一府十二省庁体制の中におきまする総務省を一つの例示としてお話がございました。確かに、新しい総務省というものを私どもが最終報告あるいは今度の基本法案で提案申し上げましたときに、見てみて、聞いてみて、これは形の上では大きいな、そういう第一印象と申し上げますかイメージをこしらえてしまったな、そういうイメージがあるなということは確かにそのとおりでございます。これこそ、先生からお話がありましたように、また総理の方から、スリム化等々、行政組織も定員も権限も徹底的に縮減合理化するんですよというお話でございましたが、それらの具体的な手続についてはきょうは省略申し上げますが、総理の方からも若干お触れいただきましたけれども、そのような徹底的な削減合理化をするに最もふさわしい新総務省だと、私はこう思っております。
 それはなぜかといいますと、新総務省は御承知のとおり、形の上では三十万八千人と大世帯ですな、こういうことを言われるのでございますが、その中身を見ていきますと、例えば現在の総務庁が三千六百人です。あるいは自治省が六百人です。合計四千二百人です。そのほかに三十万四千人という郵政事業庁の国家公務員が入ってまいりますから、定員から見ても非常に膨大な一つの組織であるな、こういう一つの印象を与えていると思うんです。
 しかしながら、そのまま組織も定員も数合わせで一本にドッキングをさせておくのみであればそうでありますけれども、これに徹底的にこれから改革のメスを入れまして、そしてスリム化を図っていく。殊に、きょうは時間がありませんから申し上げませんけれども、三十万八千人の中におきまする三十万一千人という郵政省に属する職員の皆さんは、国家行政組織法、総定員法の外に置きます。公務員ではありますけれども、新しい一つの公社の形におきまして、自立化、弾力性を持った、そして柔軟性に富んだいわゆる業務運営をなさしめるためにそういう新しい一つの形におきまする、国家行政組織の外に持ってまいりますから、定員も組織も持ってまいりますから、実質的には、三十一万人になんなんとする皆さんが国家行政組織法あるいは総定員法の直接対象に一体後に幾ばく残るかといいますと、その意味におきましてはわずか四、五千人で私はおさまるのではないか、そういうような一つの計画を持っておるわけでございます。
 きょうは時間がありませんから、その辺の中身については具体的に議論をいただくことにいたしまして、とりあえず輪郭だけを御説明申し上げた次第でございます。
#78
○久世公堯君 ありがとうございました。
 終わります。
#79
○委員長(岩崎純三君) 以上で野沢太三君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#80
○委員長(岩崎純三君) 次に、久保亘君の質疑を行います。久保亘君。
#81
○久保亘君 大蔵大臣、御苦労さまでした。
 最初に、法律家でもあるあなたにお聞きしたいんですが、法律というのは守るためにつくられ、守られない法律はつくらないというのが立法に携わる者の第一の原則だと思います。先般のあなたのいろいろな御答弁もそういう考え方に貫かれていたのではないかと思っておりますが、いかがですか。
#82
○国務大臣(松永光君) お答えいたします。
 法律というのは、それを守ることによって世の中がよくなる、国がよくなる、そういうことのためにつくられるのが法律であるというふうに思います。
#83
○久保亘君 今、財政構造改革法を改正する動きがあります。この法律は昨年の秋に制定された法律でありまして、言ってみれば、財政構造改革法の適用初年度に今入ったばかりであります。そういう段階でこの法律の改正を行わなければならないということは、理由があれば私はそうすべきものだと思います。
 しかし、そのような状況に立ち至っているということについては、当然この法律に責任を持つ者はみずからの責任を明確にしなければならないものと考えておりますが、橋本総理の御意見を伺いたいと思います。
#84
○国務大臣(橋本龍太郎君) 議員の仰せられること、私もその責任を否定するものではありません。同時に、財政構造改革の必要性というものについても御理解をいただけると存じます。
 確かに、昨年夏のタイのバーツ危機以来、アジアにおける金融不安、経済不安というものは顕在化をしておりました。また、秋に入りまして我が国の金融機関大型倒産というものも現実に発生をいたしておりました。しかし、それが要因となって景気に影響が顕在化してまいりましたのは、実は本年に入りましてからの三カ月間急速に顕在化をいたしております。それ以前におきましても問題がなかったと決して申すわけではありません。
 そうした中において、年度末を控えて貸し渋りといった状況も極めて厳しさを増しました。金融システム安定化対策等、国会にも既に御苦労いただいておりますけれども、そういう状況があったことから、私自身がみずから議長を務めてまとめてまいりました財政構造改革法でありますけれども、そうした大きな変化に対応するという意味において工夫が足りなかった部分を今痛感いたします。そして、それはまさに議員が御指摘になったような御議論にそれなりに当てはまるものだと私も思います。
#85
○久保亘君 今、総理が申されましたようなことについて一体G7はどういう判断を、評価を下しているのか。今度のG7の共同声明において我が国経済の状況等についてはどのような評価が行われたのでしょうか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
#86
○国務大臣(松永光君) G7におきましては、簡単に言えば、日本の経済情勢は厳しいということでございました。これに対して私は、橋本総理の決断によってこれから行わんとする総事業費十六兆を超す新たな経済対策そしてその中身を、G7の場でも、またルービン長官に対しても、よく御説明申し上げてまいりました。その結果として、十六兆を超す経済対策については一定の評価をされ、それが速やかな実施を期待するというふうになったものと思います。
#87
○久保亘君 私も、共同声明等G7に関するいろいろなあなたとルービン長官との会談の内容等についても詳細見せていただきました。その上で、G7における共同声明の日本経済の現状に対する評価は、経済対策を手放しでこれで結構という評価を与えてはいないのじゃないでしょうか。
 この共同声明に書かれておりますのは、日本が直面する課題は深刻でここ数カ月──数カ月といいますとちょうど財革法ができたころになるんです、ここ数カ月でその度合いは強まっている、我々は国内需要の相当な強化及び企業と消費者のコンフィデンスの回復を目指した経済改革プログラムの先般の発表を歓迎した、こうなっておるんです。そして、この判断は、やがてどのような中身をもって効果的に迅速に行われたかによって市場が判断するだろうというのがこの共同声明に書かれた内容ではないでしょうか。
 そういう意味では、G7の日本経済に対する見方はかなり厳しかったという受けとめ方をしなければいけないのじゃないかと思いますが、いかがですか。
#88
○国務大臣(松永光君) 二月二十一日のG7のときも実は厳しかったわけです。そして、今回も厳しい見方をしておられたわけでありますが、それに対して私の方で御説明申し上げたのは、二月二十一日のときも申し上げましたけれども、実は金融面の信頼回復の仕事が一つありました、それはその後に実施したことでありますが。それにつけ加えて今度の場合には、今申した十六兆の新経済対策のことを説明申し上げ、そして減税措置のことも申し上げ、そしてG7出席者の御理解を求めてきたというのが実情であります。
 ただし、私は、それが終わってからすぐワシントンを立たないというと間に合わぬということがございましたので、そのステートメントのときには実は日銀総裁と財務官に任せてここに帰ってきたわけであります。その後、G7のステートメントは私自身も後で読んだわけでありますが、要するに新しい対策を速やかに実行すべしというのが結論になっておるというふうに私は理解しております。
#89
○久保亘君 いや、そうはなっていないんじゃないですか。今度の発表された経済対策については中身が問題だとなっているんです。そして、その中身がきちんとされて、これが迅速に効果的に実行されることによって市場が判断を下すだろうと、こういうことになっているわけです。だから、そこをやはり厳しくとらえなければならない問題ではないかと私は思っております。
 短い時間ですから、お答えをできるだけ簡単にしていただきたいと思いますが、このG7の共同声明に対して、東京市場はどのように反応しましたか。
#90
○国務大臣(松永光君) 実は、ここにすぐ入ったものですから、東京市場の反応は直接はまだ私は聞いておりません。今、委員のおっしゃったとおり、G7の会合のときには、二十日から始まる週に内容は詰めてしまいます、そして実行に移しますと、こういうふうに申し上げたわけでありまして、それに対して中身が大事だというふうになったんだろうと思います。
 市場の動向は担当者から必要があれば答弁させます。
#91
○久保亘君 大変な御日程でありましたことは私も体験的によく理解ができます。しかし、G7が終わった後、この会議の結果に対して市場がどう反応してくるかということは非常に注目していなければならない問題だったのではないでしょうか。大蔵事務当局から大臣にそれらのことについて報告や説明がまだ行われていないとすれば、そのことが問題なんじゃないでしょうか。
 私はそういう意味でお聞きしたいことがありますが、政府が一たん大蔵大臣をG7に欠席させると決めたんじゃないでしょうか。それはどういう判断からだったのでしょうか。それから、大蔵大臣はそのことに対して一たん同意されたんでしょうか。
#92
○国務大臣(松永光君) 今回のG7の会合は極めて重要な国際会議であるというふうに私は認識しておりました。したがって、国会の了承があれば行かなきゃならぬし、行きたいという姿勢を私はとっておりました。同時に、国会の審議がございますので、それについても、私、国務大臣としての責務を果たさなきゃならぬという気持ちでございました。
 したがって、具体的なことは実は国会対策と内閣の方でどうすることが一番適当かというのは決めていただきたいという態度をとったわけでございます。
#93
○久保亘君 過去に余り例がない、野党側からこの重大なときにどうしてG7を欠席するんですかということになって、そして出席することに変更された、こういう経過だと聞いております。
 G7が始まります前のルービン財務長官の記者会見において、特に日本の景気問題が議論の焦点となるだろう、これがルービン長官。それから、終わった後、速水日銀総裁は、日本経済が今後どうなるかに関心が集中したと言っておられます。
 そういうG7であることはわかり切っているわけです、この今の状況の中で。そのときになぜ国会対策上、今回は大蔵大臣を欠席させたらどうかというような議論が行われたかということについて、非常に私は理解することが困難であります。
 首相の見解も伺っておきたいと思います。
#94
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私どもも野党のときに、時の政府に対して、政府が閣僚を派遣しないと決定をされた会議に、参議院のちょうど予算委員会を開いておられたときでありますが、野党から、ぜひ閣僚を出席させるべきであるというお願いをしたことがございます。ウルグアイ・ラウンドの最終の時期でありました。そして、野党である私どもからお願いをし、参議院に御了解を得て、閣僚を派遣していただいたことがございます。
 その上で、これは議員と同様、私もG7、自分でも体験をいたしておりますし、この会議が限られたメンバーで構成をされ、代理人の出席を認めない会議であることをよく存じております。そして、閣僚を欠席させました場合に大幅に日本の発言力が低下することも承知をいたしております。官房長官の方からこの会議について私の意見を求められましたときに、私は、自分の体験からも、代理を許さない会議、発言権が極めて低下する、この時期において日本が発言権を低下させるようなことをすることは絶対に望ましいことではない、出席をさせていただきたい、そういう意思を明らかにした上で国会に御判断をゆだねました。
#95
○久保亘君 今度のG7に臨むに当たって、首相は四月九日の記者会見において、我が国の経済運営に対する内外の信頼を回復するに必要十分な規模の対策を決意したということをおっしゃっております。また、大蔵大臣は、ルービン長官との会談の席において、今回の対策は事業規模においてGDPの三%に相当する、財政構造改革は大変重要であるが、まずは景気回復が必要であり、景気回復に対する総理の決意が今回の経済対策の発表につながっていると、こうおっしゃったということを後にブリーフいたしました外務省の関係者のブリーフの内容を見せていただいて、そのようになっております。
 そこで、この首相の四月九日の記者会見、松永大臣の四月十六日のワシントンにおける御発言、こういうものを総合して考えてまいりますと、昨年の秋に財政構造改革法をつくって財政再建を優先すべき国策と考えてきたけれども、やっぱり今日の経済の状況を考えれば、今は景気対策を最優先すべきときであるという判断に、国策といいますか路線を転換しなければならなくなったということなんじゃないでしょうか。そのことを国民に対しても率直にお話しになって、この新たな政府の選ぶ路線に対して協力を要請すべきことではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#96
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは議員におしかりを受けるかもしれませんけれども、私は、財政構造改革の必要性は今だって全然なくなっていないと思うんです。そして、そういう視点を我々はなくすわけにはいかないと思います。その上で、臨機応変という言葉を使うたびに国会でもおしかりをいただきましたが、私はその状況に応じて対応することは必要だということも申し上げてきました。今まさに、確かに景気回復というものに全力投球をしなければなりません。そして、それは国会からも、国民すべての声と申し上げてもいいのかもしれませんが、国際的にも求められている日本の努力であると思います。
 そして、景気回復に向けて、私は先日の記者会見で思ったとおりのことを率直に申し上げました。本当に必要だと思うものに対しては大胆に予算計上していきたい、そうすると相当な規模になる、税と社会資本整備を足すと国、地方、いわゆる真水と言われるものが十兆円を超えるかもしれない、それでも必要だったらそれをやらなきゃならない、総事業費は十六兆円を超えるかもしれない、それだけの決心を持ってこれに取り組む、その緊急避難の道を開きたい、これは率直に私が申し上げてきたことであります。
#97
○久保亘君 財政構造改革といいますか、財政再建が国の方針として重要であることを否定する者はいないと思います。しかし、今日の経済情勢下において財政再建路線を将来にわたって確かなものとしていくためにも、今は景気回復のために全力を集中すべきときであろう。そのために、もし本来こういう経済情勢を見通すことができれば、昨年あのような形で制定すべきではなかったかもしれない法律を、今日抜け道を探すような、法律の制約をどうやったら免れるかというような議論をするのではなくて、やはり政策路線を明確にするような方針を持って財政構造改革法に対処すべきである、凍結とかそういうことを思い切って決断すべきときに来ているんじゃないか、私はそう思います。
 その骨格を維持するとか精神は変わらないとか、そういうことであいまいな選択にすることはかえって日本経済の将来にとってはマイナスの効果を生むことではないかと非常に憂慮の念を持っておりますが、いかがですか。
#98
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、議員は抜け道を探すという言葉をお使いになりました。その上で凍結なりというお考えを述べられました。御見解は私はそのまま素直に伺っておきたいと思います。
 その上で、私は、そういう考え方を今とっておらないということは既にお聞きをいただいておると思います。そして私は、まさに緊急避難という言葉を用いまして、緊急避難的に必要最小限の修正を行いたいということを明らかに私の考え方としては申し上げてまいりました。そういう選択肢の中で、国会でも衆参両院において御議論のありました緊急避難的に特例公債を年々縮減するというその規定の弾力化を可能とする、そういった措置、よく弾力条項という言葉で形容されるようなそうした考え方を導入するということは私は考えられる、そういう選択肢の中にあるものだと思うということも記者会見で申し上げてまいりました。
 そして、財政構造改革会議を開きまして、昨夜を入れて二回御論議をいただいたわけであります。当然のことながらいろんな御議論はありましたけれども、やはり圧倒的に多くの方々からいただきました御意見、それは財政構造改革法というものが根底から覆るようなことはよくない。そして、やはり緊急避難的に弾力条項を考えるというその範囲で対応していくことがよいのではないか。その上で、弾力条項というものについていろいろな考え方が昨日も御議論の中でございまして、集約をいたしませんでしたということも先ほど御報告をしたとおりです。
 ですから、私は議員のお考えを真っ向から否定するものではありません。そうした選択肢があるということも事実ありましょう。ただ、そうした措置をとることによって、私は財政構造改革というものに対する手が緩むことを恐れます。景気回復に全力を挙げることは当然でありますけれども、将来に向けてやはりその方針というものは持っていなければいけない、私はそう考えます。そして、その中から弾力条項というものを考えたいと申し上げている。これは率直に今私の思っていることをお答え申し上げます。
#99
○久保亘君 総理のお考えはわかりました。ただ、私が先ほど抜け道と申しました言葉がもしお気に召しませんでしたら、もう一つ法律の制約ということを私は同時に申しております。どちらでもお好きな方をお選びいただけばいいと思うのであります。
 時間が参りましたので、きょうは厚生大臣や文部大臣にも閣僚懇における御発言の内容についてぜひお聞きしたいと思っておりましたが、また別の機会に伺うことにいたします。
 最後に一つだけ私の時間でお尋ねしておきたいことは、これは日銀に聞いた方がいいのか、為替相場について政府、日銀が介入したかどうかについては、これはここでは答えられない、最初はそのようなことはやっていないということをおっしゃったんですが、そういうことになりました。今度のG7の声明を見てみますと、為替につきましては、円安を修正する日本の行動を支持する、こうなっております。そうすると、この円安を修正する日本の行動というのは何なのか。これは日銀でも経企庁でも結構ですが、何なのか、説明してください。
#100
○政府委員(黒田東彦君) 委員御指摘のとおり、為替市場における介入につきましては、原則として介入したかしないか、あるいはどういう時期にどういう形でやったかということも含めまして公表しないというのが国際的にも確立されたルールでございますが、他方で、国際的にも実は協調的な行動をとったりあるいは特定の政策といわばリンクしたような形で為替介入を行った場合に公表する、為替介入を行ったという旨だけを述べるということも時々あるわけでございます。
 今回のニューヨークにおきます介入につきましては、大蔵大臣から談話において介入をしたということを述べまして、先ほど大蔵大臣から答弁申し上げたとおりそれに対してルービン長官あるいはワイゲル蔵相からそういった行動を支持する旨の声明がその時点で出ておったわけでございます。したがいまして、時折そういうことが公表されることがあるということでございます。
#101
○久保亘君 国会では尋ねても答えないが、国際的な会合等ではあなた方の判断で介入したことを発表する、こういうことですね、今の答弁は。そういうことは非常におかしなことだと私は思うんです。だから、政府、日銀と為替市場との関係というのは、差し支えのない限り国会においても説明するということが必要だと思っております。
 それでは、私に与えられた時間がなくなりましたので、最近の日銀の報告等によれば、個人消費は低迷し、在庫の積み上がりで生産調整が進み、設備投資は減速傾向となり、住宅着工は減少し、企業の景況感はますます悪化し、資金繰りは貸し渋りもあって大変な状況というのが今の日本経済の状況だというのは、日銀の出された報告の数字を見ても非常に明らかであります。特に、多額の公的資金を投じて貸し渋りをなくそうとした努力は、結果的に三月期において前年に比べて余り例を見ない貸出残高の減少となっております。これは貸し渋りが進んでいるということであります。
 こういう状況の中で、私は、先ほど申しましたように景気対策ということについて異常な決意のもとに政府は取り組まなければならないし、そしてこのような状況に立ち至った責任というものを国民に対してもより明らかにすることが重要であるということを申し上げておきたいと思います。
 委員長、関連質問を伊藤委員にお許しいただきたいと思います。
#102
○委員長(岩崎純三君) 関連質疑を許します。伊藤基隆君。
#103
○伊藤基隆君 民主党・新緑風会の伊藤基隆でございます。
 まず最初に、総理にお尋ねいたします。
 昨年の十一月十一日の参議院行財政改革・税制等に関する特別委員会で財政構造改革法案の審議が行われたわけでございますが、私はその総括質疑の中で、総理に対して次のような質問をいたしました。
 それは、
 財政を再建するためには、財政のむだを削減することも大切でありますが、同時に、必要とするところには財政を投入したり、国民からの徴収を手控えたり、また国民に戻したりして、経済を活性化することによって税収を高め、財政の健全化を図る方策もあろうかと思います。すなわち、政策の優先順位によるコントロールということであろうし、将来に備えるというところに重点を置く必要がある
というふうにお尋ねいたしました。
 すなわち、財政構造改革は総理がおっしゃるように必要なことであるけれども、やり方が、タイミングがあるのではないかという意味の質問をしたわけであります。
 それに対して総理は、直接その質問に対しての答弁ではございませんが、その日の質問展開の中で次のようにおっしゃいました。
 今までさまざまな財政を含んだ施策を講じ、バブル崩壊後の景気に対応してきた。それぞれに下支えの役割は果たしてくれたけれども、完全な上昇気流に乗せるには至らなかった。そして国債という名前で赤字が累積をしてきている。
  もうこの状態はとめなければならない、何とかしてこれはもうストップしなければならない、
というふうに述べたわけでございます。
 すなわち、今回、財革法の一部手直し、改正を行っても、赤字国債発行への道を開く、そのトータルの額を発行可能にするという考えがあるとすれば、私はこれは明確な路線、方針の転換というふうに思いますけれども、総理は、この認識、この方針を転換するということで今回の総合経済対策を発表されたか、その点をまずお伺いしたいと思います。
#104
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、議員が読み上げられましたのは、確かに私の発言の議事録の部分であります。
 ただ、そこでおとめになりましたが、私はそこを「私どもがそういう思いで日々深刻にこの問題に取り組んでいることだけはどうぞ御信頼をいただきたいと心から願う」と結んでおりますが、まさにその心を述べておりました。
 そして、これは繰り返しになりますけれども、バブル崩壊後の経済状況の中で、平成七年秋の経済対策に至る累次の対策をそのときそのとき政府は講じてまいりました。まさに今、議員が御引用になりましたように、その時々需要の拡大あるいは民間活動の活性化などを通じて下支えをする効果はあった、しかし財政を急速に悪化させる原因にもなった、そういう思いを素直にそのとき申し上げた。私は、そのとおりそれは認めます。そして、そういう中において、その思いは今も同じです。
 その上で、この経済状況に対して緊急な経済対策を必要とする状況に至った、そしてそれをしないとなお影響が大きい、ここで何とかして景気を回復に向かわせなきゃならない。緊急避難という言葉も使わせていただきましたが、そんな思いで今取り組んでおります。
#105
○伊藤基隆君 引き続き、総理にお尋ね申し上げます。
 総理は、経済政策発表の際に、金融機関に不良債権処理やリストラの徹底を強く求めた上で、政府としても債権流動化策などを検討することを強調されたようでございますが、今日の景気の状況は、まさに九〇年代日本経済に長きにわたってボディーブローの効果を及ぼし続けている不良債権にかかわる資産デフレを震源地としているというふうに私も思っています。
 さて、大蔵省は一月十二日、四月から導入する早期是正措置の一環として、銀行が実施した資産の自己査定結果を発表しました。回収不能、回収に重大な懸念がある債権と、回収に支障を来すおそれがある債権は、都市銀行など大手銀行、地銀、第二地銀合計で七十六兆七千八十億円であります。九七年九月末の公表不良債権二十一兆七千三百億円の三・五倍でございます。回収に重大な懸念がある第V分類、回収が不可能な第W分類の合計は十一兆を上回っております。
 これまでの不良債権の基準の延滞債権や金利減免債権のレベルは回収に注意を要するとされる第U分類の一部ということになっておりますけれども、第U分類には公表不良債権ではないけれども問題のある債権が含まれている。最近は第U分類に計上した後、第V、第W分類に移行する例も多い。すなわち第U、第V、第W分類を合計して問題不良債権と見るべきとの指摘がございます。
 私たちは、二十一兆円、もっとあるのではないかと聞き続けましたけれども、そういう報告が常にされ、それが七十六兆円であります。大蔵省に聞きますと、分類の仕方が違うレベルであるからということでございますが、分類の仕方の差の域ではないというふうに私は思います。
 さらに、今回発表された数字は、九七年四月から九月に行った自己査定の結果でありまして、その後、アジア危機が本格化し、大手金融機関を含む大型倒産が相次いで景気が悪化してきた。さらに不良債権がふえた可能性は高いだろうと思います。すなわち、発表の総額五百四十八兆円の正常債権にも問題がないとは言えないのではないかというふうに思うところでございます。
 政府は、SPCなどの方策を講じるということでございまして、そのことは私も評価するところでありますけれども、不良債権の現状からすれば、民間の主体的な努力を待つのには限界があるのではないか。現在の不況の震源地、銀行を初めとする金融機関の不良債権問題の解決に向けた政府の強力な行政指導を発動する必要があるのではないかというふうに思いますけれども、この点についての総理のお考えをお伺いしたいと思います。
#106
○国務大臣(橋本龍太郎君) 我が国の金融機関が抱えております不良債権問題、政府としてもこれまで各金融機関に対しまして、最大限の自助努力によって不良債権の早期処理を進めるよう促してまいりました。そして、現に各金融機関におきましては、経営合理化等を行い、債権償却特別勘定への積極的な引き当てを行うなど、全体としては不良債権の早期処理のための努力が進められてきたものと思います。
 しかし、総体としてはそのとおりに申し上げられましても、個々の金融機関の不良債権の処理状況について見ますとき、経営状況もさまざまでありますだけでなく、いわゆるバブル経済の崩壊後におきまして、株価の低迷あるいは地価下落による担保不動産の価値の減少といった状況が続いた。また、実際に不良債権の回収を行うに際して、担保不動産などの流動化についてその進捗に差が出る。一部には不良債権の処理が必ずしも順調ではなかった側面もあると思います。
 いずれにしても、金融というものが経済活動に必要な資金を供給する、経済全体にとっていわば動脈とも言うべき重要な役割を担っているわけでありますから、金融機関の不良債権問題の早期処理は極めて急ぐ、しかも重要な問題であることは御指摘のとおりであります。
 そして、これは多少言い過ぎかもしれませんけれども、私は金融機関にもっと努力をしてもらいたいという思いは率直にございます。かつてアメリカの金融機関にさまざまな問題が生じましたとき、幾つかの金融機関でみずからの本店を売却するぐらいの決意でリストラに取り組まれたところがあることを私は記憶いたしております。今日、主要行でそこまでの決意を固めてみずからの不良資産の処理に当たってくれているだろうか、問いかけましたときにどういうお答えが返ってくるか、そんな思いも率直に言ってございます。
 しかし、政府としては、金融システムの安定性確保に万全を期しながら、引き続き各金融機関に対してその早期処理を促していく、そして債権回収を一層促進していきますためにも担保不動産の流動化などの環境整備を進めていきたいと考えておりますが、やはり金融機関自身、みずからにより努力を求めたい。恐らく御質問の意と同様の思いではないかと思います。
#107
○伊藤基隆君 私は、総理といろいろな場面で対面して何回か質問申し上げていることをもう一度ここで申し上げるわけですが、戦後一貫して我が国の低金利政策というものは否定できないだろうと思います。戦後当初は、産業復興、日本経済復興ということで非常な政治的な命題があったと思いますけれども、しかし、この低金利政策が狂乱物価で非常な違う動きを日本の経済に影響を与えたと思います。
 狂乱物価は思い出すも恐ろしい話でございますが、昭和四十八年に対前年比一五・六%上がりました。四十九年二〇・九%、五十年が一〇・二%、五十一年が九・五%でございます。この間、公定歩合は五%から九%を推移しまして、一年定期は五・七五%から七・二五%の範囲で推移をしております。
 低金利は経営状態のよい銀行に大きな利益をもたらすことになりました。狂乱物価で庶民は預金の目減り現象が起こったわけであります。大企業の借金は狂乱物価の中で棒引き状態となったというふうに言われております。銀行は、大企業の資金ストックが大きくなったために貸出先がなくなって、中小企業、非製造業に融資していく道をとるわけですが、やがてこれが不動産融資に走ってバブルの発生ということになっていくわけであります。やがてバブルは崩壊する。そして、超低金利であります。これは銀行等の不良債権の解消のための資金と時間を与える、そういう政策であります。その反面で、庶民の生活を圧迫し続けております。
 しかし、今、総理もおっしゃいましたように、銀行の経営改善、リストラは進まず、不良債権も停滞を続け、そのために金融システムは不安定になって、それを原因として景気の悪化ということが今あるわけであります。公的資金の投入であります。これは投入せざるを得ない選択肢であったろうと私も思っております。しかし、その陰で庶民の生活は悪化している。すなわち九兆円の負担が新たに庶民にかかってきたわけであります。
 このところを総理にわかっていただきたいわけですが、まさに一般庶民、額に汗して働いた庶民の預貯金、生活が踏んだりけったりされているわけです。踏んだ結果、バブルが起こって崩壊して、その後けられているわけです。国民の生活を守る責任は総理の上に覆いかぶさっておるわけでありまして、まさにそのために総理は毎日活躍しておるわけでございますけれども、ここに国民の現状に対する不満があるし、将来に対する不安があって消費性向を抑え込んでいることにもなっているわけであります。
 ぜひ総理から、これは質問通告していないんでありますが、何回か総理も同じ質問に御答弁いただいておりますので、総理の国民に対する直接の御答弁をお願いしたいと思います。
#108
○国務大臣(橋本龍太郎君) 非常にお答えをしづらい部分が一つありますのは、公定歩合そのものに対し、これが日銀の金融政策、日銀の専管事項であり、しかも新日銀法が四月から動き始めました直後、一層私どもとしてはこの問題に触れることは慎まなければならないときであろうと存じます。その上で、一般的なお答えをさせていただきたいと思います。
 きょう、午前中に日銀の副総裁が日銀としての立場を説明いたしておりました。そして同時に、議員が指摘をされましたように、預貯金で暮らしを立てておられる方、年金で暮らしを立てておられる方などにとってこれが非常に厳しい状況をつくり出しておりますことを決して承知しないわけではありません。言いかえれば、日銀が公定歩合を動かし得るだけの経済状況に早く持っていくことが私たちの努力の目標ではないだろうか。一般的なお答えになって恐縮でありますけれども、公定歩合というものの日銀の専管事項としての範囲を考えますときに、日銀が公定歩合を変動させ得るだけの経済状況を早くつくり出すために、私どもは全力を尽くす責任があり、その努力をしていこうと今思い定めておりますということで、この部分についてはお許しをいただきたいと思います。
 その上で、議員が指摘をされました低金利というものがもたらしている幾つかの問題点、そしてその中に金融システムの不安定をも入れて御論議をいただきましたけれども、さまざまな意味でこうした問題点があることを私は決して否定をいたしません。改めて日銀が金利政策を発動し得るだけの経済情勢に全力を挙げて早く持っていきたい、委員におかれましても御協力を願いたい、心からそのように願っております。
#109
○伊藤基隆君 次に、貸し渋り効果、資産デフレの一つの顔とされるものでございますが、これについて質問します。
 九七年の夏ごろから貸し渋り効果が顕在化し始めました。銀行などの貸し出し抑制に伴う信用収縮化でございます。なぜ貸し渋りというデフレ効果が九七年夏ごろまで表面化してこなかったのか。その原因は、銀行などの不良債権処理を二〇〇一年三月まで先送りしたことにあるというふうに私は思っております。
 金融当局は、そのうち地価は反転上昇し、不良債権処理は円滑にいくと思っていたのではないか。船足の遅い金融機関の不良債権処理能力に合わせて漸進的処理手順による不良債権処理を進めてきた。この結果、銀行に担保不動産が大量に居座り続け、これが地価に底値をつけさせず、地価の下落傾向を長期化させているのではないか。さらに、不良債権処理の先送りのために、銀行は資金回収や貸し出し抑制を行わないで済んだ。貸し渋りや融資圧縮に走る必要がなかった。
 しかし、九六年秋のビッグバン宣言、九八年四月よりの早期是正措置の導入が決まって、金融機関は財務内容の健全化が必須の経営課題となってきたわけであります。ここに至って銀行は貸し渋り現象を起こしてきたわけであります。すなわち、金融システムの不安定さが貸し渋り状況を起こしたわけでございます。景気を回復させるためには金融システムの安定化が大前提、金融システムの安定化のためにはある程度景気がよくならなければならないというジレンマ、鶏と卵でございます。
 問題は、金融機関と取引先の不信感がこの貸し渋り現象をめぐって高まっていることであります。これは、日本経済の活力を大変そいでいる根源になっているのではないかというふうに思っております。この貸し渋り状況について、これが根本的な日本経済の活性化を阻害しているという私の認識について、総理の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#110
○国務大臣(松永光君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、ことしの四月一日から早期是正措置が実施されました。それ以前は、自己資本比率がBISの定めた基準をクリアできるかどうかということもあって、融資の仕方が大変消極的というか萎縮した形になっておったという点も否めないと思います。
 しかし、多くの銀行がBIS基準はクリアできたという状況だと思うのでありまして、それに加えて、委員御指摘のとおり二十一の銀行には公的資金による自己資本注入もやったわけでありますから、そういった事態を考えますと、これから金融機関の貸し渋りが依然として続くならば、それは景気対策をやっていく上で非常な足かせになるわけであります。そういったこともあって、先般、総理はみずから官邸に金融機関の代表者を集めて、そして貸し渋りをやめるように要請をされたところであります。
 大蔵省としても、各銀行に対して貸し渋り関係の実情調査をいたしました。その結果わかったことの中に、地方銀行は案外地場の企業に融資をしておるという現実があるわけです。恐らく、今までのお得意にしているところに今後とも融資を続けていくことによって自分のお得意さんとして確保しておきたいということもあるかもしれませんが、いずれにせよ、地域の産業の発展のためにプラスになるようにということで、案外地方銀行が融資はよくやっておるということがございました。しかし、大銀行の中には力があると思われるのに貸し渋っているというのもございました。
 そこで、これはまだ事務当局と必ずしもよく相談はしておりませんけれども、新しい経済対策をやる上で、金融機関の貸し渋りが今言われているように続いておるとするならば、これは重大なことであると思いますので、法の許す範囲内で、もう一回銀行の責任者といいますか代表者に来てもらって、この点は厳しく、世間から貸し渋りをしておるなどという批判を受けないように、銀行としての社会的、公共的使命をしっかり果たすように私は要請したい、こう考えておるところでございます。
#111
○伊藤基隆君 総理にお尋ね申し上げます。
 国民経済計算によれば、一九九〇年から九五年に土地、株式資産の評価額が約一千兆円減価を見ているそうでございます。恐らく、現在までで千二百兆円の目減りに達しているのではないかと言われております。土地は約六百兆円、株式は約四百兆円であります。五、六年間でこれだけの膨大な資産減価があったわけでございます。
 資産デフレは大別して二つのデフレ圧力を実体経済に波及させるわけでございますが、一つは貸し渋り効果でございまして、それは先ほどお尋ねいたしました。逆資産効果であります。保有する土地、株式の減価によって企業が設備投資行動を慎重化したり、消費者が消費行動を抑制することによって総需要が減退し、景気に下方圧力が加わる。まさに今の状況でございます。九〇年代前半にはこうした逆資産効果の下方圧力が表面化してこなかったわけであります。
 その理由は、政府、日銀の財政・金融政策が全開し、この逆資産効果に伴うデフレ圧力を相殺してきたからです。九二年度から九五年度までに、政府は総額六十五兆円を超える追加財政出動をやってまいりました。日銀は、公定歩合を六%から〇・五%の超低金利水準まで引き下げてきました。
 現象を見れば、九七年春ごろからいよいよこの逆資産効果が素顔を見せ始めてきたと言えると思います。これまで逆資産効果の下方圧力を打ち消してきた財政・金融政策が手詰まり状態に陥ってきたのではないか。金融政策で可能なことは、日銀の専管事項、〇・五%の超低金利水準を維持することだけではないか。財政政策も、九〇年代前半の大盤振る舞いの結果、財源的なゆとりがなくなってしまい、政府はついに九七年春に九兆円の国民負担の増加に踏み切ったわけであります。消費税の引き上げ、財政構造改革、財政緊縮化に明確な方針転換をしたわけであります。
 私は、ここに現政権の経済政策の根本的な間違いがあるというふうに考えます。私は、今、日本に大きな信用不安が起こっている。大きな信用不安は、政治と国民の間の不信感、取引先と金融機関との間の不信感、海外、外国と日本との間の不信感という、そういう相乗的なものが今、日本を覆っているんではないかというふうに思います。政治の責任、政府の責任は重いわけであります。政策判断とそれに伴う政府の責任は、私は明確にしなきゃならないというふうに思います。
 その責任について総理の考えをお聞かせいただきまして、私の質疑は終わることになると思います。
#112
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、議員の御議論にあえて異を唱えるつもりはありません。ただ、バブルの最盛期から今日を対比しての国民資産の減価という部分につきましては多少議論が分かれる部分だと思います。
 と申しますのは、バブルの最盛期における状況というのは、本委員会におきましても当時大変しばしば御質問いただきましたことですが、異常な地価高騰をどうしてとめるかという御議論と並行しながら、ある意味では我が国の総資産は例えばアメリカに対してどうといった非常に胸を張った議論の行われる時期でありました。そして、その異常な地価の上昇に代表されるバブルというものはいわば不自然な状態でありましたから、その反動が来るというのは私はやはり無理からぬ部分があると思います。そして、そのバブルの最盛期を基準として国民の資産が減価したと言われますなら、確かにそれは減価しておりますし、今、日本経済の実力以上に減価している部分があります。
 だからこそ、私は、財政構造改革という基本理念を、御議論の分かれるところですが、持ちながらも、景気回復というものに全力をこの場合傾注しなければならないと思っていることを正直に申し上げました。そして、そういう努力を全力を挙げてこれからもやっていこうと思いますが、議員がお述べになりましたように、確かに今貸し渋りの問題が深刻であることを私は否定いたしません。そして、大蔵大臣からも金融機関に対しての協力要請の話がございましたけれども、そうした努力をすることとは別に、バブルのピークと現時点を比較し国民の資産が減価したという御指摘については、論議の分かれる部分があろうかと思います。
#113
○伊藤基隆君 終わります。
#114
○委員長(岩崎純三君) 以上で久保亘君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#115
○委員長(岩崎純三君) 次に、続訓弘君の質疑を行います。続訓弘君。
#116
○続訓弘君 私は、公明の続でございます。
 街角に総理のポスターをいつも拝見いたしました。それには「私は、逃げない。」と、こういうポスターでありました。私自身も、実は全日本剣道連盟の居合道で教士七段の腕前であります。つきましては、剣道の高段者である総理と私とが正眼の構え、国民に目線を向けた正眼の構えで、紳士的な質問をさせていただきたいと存じます。
 まず、私どもの公明のPRをさせていただきます。
 私ども公明は、一月十八日に臨時党大会を開きまして、参議院議員二十五名、地方議員三千有余名をもって新生公明をスタートさせました。その代表には浜四津敏子参議院議員が選ばれました。私自身も政審会長という職につかせていただきました。政党の命は政策であります。
   〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕
その政策の責任者として私が重責を担うことになりました。公明は結党が昭和三十九年にさかのぼります。自来、今日まで三十四年間、一貫して大衆とともに歩き、大衆とともに語り、大衆とともに闘い、大衆の中に死んでいく、これが立党の精神であります。公明の国会議員並びに地方議員は、すべての人たちがこの精神を踏まえて草の根の地道な活動を続けているということは総理も御承知のとおりだと存じます。
 ところで、私どもの浜四津代表は、結党以来、何としてもこの不況を救わなくちゃいかぬと、こんなことで実は高く掲げた政策がございます。それに関連してこれから質問をさせていただきます。
 ちょっとお許しをいただきます、もう既に理事会ではお許しをいただきましたので。これ、ごらんになれますか、どうですか。(資料を示す)「平成不況脱出へ 十兆円減税をめざします。」、これが公明の基本政策であります。
 実は、先ほど申し上げましたように、三千有余名の地方議員並びに国会議員は御案内のようにまさに声なき声、それを一身に受けとめて活躍しているわけでありますけれども、その中で、何としてもこの不況から脱出したい、していただきたい。ついてはその一番の決め手になるのは、九兆円もの国民負担を強いられた結果こういう不況の状況になった、だとするならば十兆円の減税を目指すべきだと、これが声なき声、多くの声なき声の要望であります。切なる要望でもございます。
 そこで私どもは、先ほど申し上げました十兆円の減税の中身を申し上げますと、六兆円が所得税、法人税、住民税の恒久減税、残りの四兆円が消費税二%相当の戻し減税でございます。
 実は昨日、私は香川に行ってまいりました。香川に行ってまいりましたときに……(「NHK使ってPRし過ぎるよ」と呼ぶ者あり)そう言っちゃだめだよ。国民の皆さんが見ているんですよ。私は真剣に訴えているんですよ。そんなこと言っちゃだめですよ。
#117
○国務大臣(橋本龍太郎君) 続さん、僕は真剣に聞いていますよ。
#118
○続訓弘君 いや、私は同僚なんですよ、かつて都議会時代のときの同僚。そんなこと言われたんじゃかなわぬです。私どもは本当に真剣にこの話を申し上げているんです。
 香川に行きました。総理、そのときに香川の人たちがこんな話をされました。実は県挙げて十兆円減税の署名運動をしていたと。ところが、総理が発表されました四月の九日……(「パネルがいけないよ、こっちも映っているんだから」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)これは理事会で決まったわけだよ。(「前例がないから」と呼ぶ者あり)いや、前例があるかないかは別ですよ。理事会でちゃんと諮って私どもは決めたんですよ。何を言っているんですか、あなたは。
 だから、これは宣伝でも何でもないんですよ、私どもは。
 そこで、今申し上げたように……(発言する者多し)
#119
○国務大臣(橋本龍太郎君) 僕は真剣に聞いているんだから。やじに答えないで。
#120
○続訓弘君 恐れ入ります。
#121
○理事(岡部三郎君) 御静粛に願います。
 質問を続けてください。
#122
○続訓弘君 そこで、署名運動に対して弾みがついたとおっしゃるんです。それの理由を聞けば、総理が四月九日に発表されたあの二兆円の減税の対象と四兆円の対象とは違うんだと。要は、二兆円の特別減税の対象者は私ども香川県にはたくさんおりません、四兆円の戻し減税は赤子からお年寄りまですべての方に行き渡る減税なんだ、なるがゆえに署名活動は弾みがつきました、当初の予定よりも倍の人たちが署名活動に署名をしていただきましたと、こんな話でございました。
 私が今御説明申し上げたような国民の世論、声なき声の世論を受けながら、私どもの四兆円の減税に対する総理のお考えはいかがでしょうか。まずお答えいただきたいと存じます。
#123
○国務大臣(橋本龍太郎君) 質問をされたのに質問をし返しちゃいけないんですけれども、四兆円の減税と今言われましたが、それは商品券による戻し金方式のお話でございますか。
#124
○続訓弘君 そうです。
#125
○国務大臣(橋本龍太郎君) もし、それが商品券による戻し金方式のものでありますなら、私はまず第一に、税制上の措置ではなくて、むしろ給付金などと同じように歳出の処置、すなわち歳出で考えるべき話ではないかということをまず感じます。
 そして、戻し金による商品券の提供というもの、これは税の世界ではない。そして、商品券を使った戻し金方式となりますと、二重の給付を防ぐために本人確認のシステムをどうするかとか、そういった執行上の問題が随分出てくるという気持ちは率直に申し上げていたしますけれども、詳細がよく今、税制で議員からは御提起になりましたので、私わからない部分があります。
 ただ、その四兆円というお話が商品券による戻し金方式であるということでありますなら、減税としてカウントされるのではなくて、むしろ歳出の世界で議論をすべきことではないだろうか、これは率直に私はそう感じました。
#126
○続訓弘君 確かに、総理のお話もわからないわけではありません。
 しかしながら、国民は消費税相当の金額を消費税として納めている、取られている。それが恐らく二%増税分で四兆円を超えるであろう。そうだとすれば、今国民は塗炭の苦しみにある。経済のこのような低迷の状況から一時一刻も早く抜け出すためには経済政策が必要だ、それには減税が必要である。
 その減税の具体的な手法として戻し金方式が一番よろしいのじゃなかろうかというのが、私ども公明の考え方であります。同時に、そのことに対して国民の皆さんが非常な関心を持っておられる。なるがゆえに、先ほど申し上げたように、私どもの十兆円減税の署名活動に対して予期しない反応が出てきている。これが率直な今の現状でございます。
 この二十八日ぐらいには恐らく全国各地から、私どものその署名運動の結果が総理のところに陳情されると思います。いずれにしましても、現状から一刻も早く抜け出して、そして明るい展望の日本経済にしてほしい、そのためにこそ大胆な発想の転換によって四兆円戻し減税を実施してほしい、これが国民の切なる願いであります。
 にもかかわらず、今それは歳出の問題でしょうと、こうおっしゃいましたけれども、私どもは現に二%の増税を去年の四月から取られております。それをとにかく戻してほしい、こういう願いでありますけれども、再度お答え願います。
#127
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、議員とへ理屈を言い合うつもりは全くありません。
 ただ、その場合に、私一つ逆に申し上げなければならないことは、平成七年から所得税の減税が先行しておりました。そして、所得税、個人住民税の減税が先行いたしておりましたこの恒久減税、その規模を踏まえて、しかも地方財源が一%入った消費税の引き上げ、これは確かに先行していた減税の効果、これに見合うものとして国民に負担をお願いいたしました。それと私が、これは歳出の世界で議論すべきことではないかと申し上げたのは、何も御提案を軽んじているわけではありません。ただ、税というものの性格から、ちょっとその内容としては税でとらえて議論をすべきことではないのではないか。
 例えば、従来から一時金とか特別給付金とかいうシステムのものがございました。そのときの予算の中でそうしたものが計上されてきたということは事実であります。そして、その戻し金という構想で考えました場合には、むしろ私はそういう世界のものではないだろうか、そういう世界のものとしてそれが有効かどうかという議論をすることは私は意味があることだと思いますけれども、税という世界でとらえるのには向かないのではないか、これは率直にそう思ったから素直に実はお答えをいたしました。
 そして、四兆円という金額を言われるもとが消費税率の二%アップ、国と地方とを合わせて二%ですが、それに見合うものとして考えられたものであるという御説明は伺いました。それは逆に、平成七年度から実施しておりました所得税・住民税減税が先行しておりますこれとほぼ見合う形で、さらに新たな財政需要にも応じるために引き上げたものでありますけれども、性格は違うということはしかられても私は繰り返し申し上げざるを得ません。この点は私は御理解をいただきたいと思うんです。
#128
○続訓弘君 総理の御見解を承りながら、歳出の面で税では還付はできない、こういうお話でございますけれども、それでは歳出の面でそういう決断が下せますか。いかがですか。
#129
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは相当御無理なことを一遍に聞かれると思いますけれども……。
 今までにも予算を編成してまいりました各年度を振り返りましたときに、例えば所得税等の減税が行われましたときに、その減税の恩典に到達していない方々を視野に入れ、その中で一定の基準を設けながら、本当に厳しい状況にある方々に対し、その性格にもよりましたけれども一時金あるいは特別給付金というものを予算化してきたことはございます。
#130
○続訓弘君 私に昨夜こんな質問がございました。この消費税の二%戻しの要求はいつまで続けるんですかと。私は答えていわく、日本経済を正常な姿に立ち戻らせるための決め手になるのが四兆円の戻し減税だと私どもは認識している。そうだとするならば、日本経済が本当に立ち直って、三%程度の成長率が達成された暁にはその要求を引っ込めてもいいけれども、そうでない限りこの要求はずっと続けていきます。それがまた国民の声でしょう。国民の声に私どもは率直にこたえてまいります、こんなふうに私は約束してまいりました。
 いずれにしても、総理と見解は違いますけれども、私どもの要求は、日本のあしたを、日本の経済を何としても復元したい、正常な姿に戻したい、こんな一念からの提案でございますので御理解を賜りたいと存じます。
 そこで、次に経済対策につきましては、四時から私どもは公明として具体的な政策を発表いたしますけれども、その中に具体的な項目がございます。その中で幾つかの重要な点について、この際、この場で総理に伺いたいと存じます。
 その一つは、子育て減税の問題でございます。今、新聞等で拝見いたしますと、自民党の中にもゼロ歳から六歳までの子育て減税について議論があるやに聞いております。しかし、その新聞報道によれば、経済効果が薄いんじゃないのか、ついては問題があるんじゃないかというような議論があるやに聞いております。
 御存じのとおり、西暦三五〇〇年には日本の人口は一人になる。御存じでしょうか。これは数値の計算であります。千五百年後には日本の人口は一人になる。百年後には幾らになりますか、一億二千万が六千七百万になるんですよ。そういう少子・高齢化の問題を真剣に考えるとするならば、子育ての問題について私は真剣に政治家としてこたえる必要があるんじゃなかろうかと。
 厚生省のなぜ子供を産まないかという調査がございました。一万世帯の調査の結果でありますけれども、その結果は、子育てにお金がかかり過ぎる、経済的負担にたえられない、なるがゆえに子供は産みたくないというのが三十数%を占めているようでありました。
 私どもはそのことを考えて、やはり将来の人口をどうするか、この問題に思いをいたしながら、今のゼロ歳から六歳までではなくて、私どもの提案は、ここにございますけれども、自民党の案はゼロ歳から六歳まで、今検討しておられると言われる案ですよ、三十八万円の扶養控除、対象者は六百三十万人。(資料を示す)ところが、私どもの主張は、今申し上げたような経緯の中で十六歳から二十二歳まで、今回改定されました特定扶養控除五十八万円と同額を措置すべきではないか。そのことが今申し上げた少子・高齢化に対応するんじゃなかろうか。そのために千六百三十万人の方々に恩恵を与えられるんじゃないのか。こんなふうな試算をしておりますけれども、これに対する総理の所見を伺います。
#131
○国務大臣(橋本龍太郎君) 記者会見のとき、私自身は、そのほか国民生活や経済活動にとって必要かつ有効な税制上の特別措置を講じたいと思います、いわゆる政策減税と言われるものです、福祉、教育あるいは投資などさまざまなお考えがありますけれども、このような考え方を念頭に置いてよく検討したいと思いますということを申しました。
   〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕
 そして、まさに政策減税につきましてはさまざまな方々からさまざまな御意見をちょうだいいたしております。また、さまざまな意見をお持ちの方々があることを存じております。私は、政策減税として、当面の社会経済情勢に対応するものとしての施策の緊要性あるいは効果の程度、手段の妥当性、税制になじむかどうか、こうした総合的な観点から真剣な検討をする必要があると考えておりますし、いずれにしても真に意味のあるものにしたいと思っております。具体的な施策につきましてはどのようなものを選ぶか、税制調査会において今私が申し上げましたような視点を踏まえながら検討を行っていただいているものと思います。
 そして、人口問題審議会の報告を見ましても、多少議員が述べられた数字と異なるかもしれません、むしろ未婚率の上昇がそのまま出生率の低下につながっているといったデータもございました。さまざまなデータというものも十分私どもなりに検討し、最終的な結論を導いていきたいと思います。
#132
○続訓弘君 私が述べましたそういう人口問題の観点からもぜひ御決断をお願い申し上げたいと存じます。
 引き続いて、例のキャップ制度に基づきまして福祉が随分と切り捨てられております。私ども公明は福祉が命であります。したがって、ここでは二、三の問題についてお伺いいたします。
 特に福祉の切り捨ての問題について申し上げれば、本来十年度の厚生省社会福祉関連予算は八千億伸びるはずでありました。にもかかわらず三千億しか伸びていないということは、五千億が削減された、縮減されたということになるわけであります。その縮減された中に重要な問題がございます。その一つ二つを申し上げますと、難病の問題について公費負担を導入されました。これは約八十億だと存じます。同時に、母子世帯の扶養手当についての控除額を引き下げられました。これも私どもは問題だと存じます。同時に、がん検診に対しては例の地方交付税に算入されるということになっております。
 本当は五千億の中身もたくさん申し上げたいんですけれども、時間の関係もございますので、この三つの問題に対して、あるいは厚生省全体の問題に対して、これらを今回復活していただけるかどうか、まずそのことについて御所見を承りたいと存じます。
#133
○国務大臣(小泉純一郎君) 今挙げられた問題は、これから福祉予算というものを考える場合、ほっておくとどんどん伸びていく、高齢者もどんどんふえてまいります。
 年金一つとっても、年金をもらう方々が年に二百万人程度ふえていく、亡くなる方も百万人程度おられますから、差し引いても百万人程度は増加していくのではないか。人生五十年で年金支給開始年齢が五十五歳とか六十歳の場合は、しかも負担する若い世代が多い場合は大して問題になりませんでした。しかし、今人生五十年から人生八十年になった。それで年金支給開始年齢が今六十歳、将来六十五歳になると思います。しかも、百歳以上の人をとってみても今八千人を超えている。きんさん、ぎんさんみたいな方も決して夢ではなくなった。年金をもらう方はますますふえていく、もらう期間はますます長くなる。片方では、今言ったように負担する若い方はどんどん減っていく。受ける方から見れば給付は多ければ多いほどいい、しかし若い世代を考えますと、負担は低ければ低いほどいい。どうするのかという問題を抱えております。
 医療費一つをとってみても、大体高齢者の医療費というのは若い世代に比べて五倍かかっています。これは無理もない。経済成長に関係なく、医療費というのは、高齢者になればどこか痛いところが出てきます、悪いところも出てきます。それはやむを得ないんです。しかし、そういう方の医療費というものも、病気にかからない、おれは一度も病院に行ったことがないとか、医者にかかったことがない人も保険料を払っていただくことによってこの医療保険というのは成り立っているわけであります。
 ということを考えますと、このままの制度を放置していくと、給付の方がどんどん伸びていって、若い世代から、おれたちこんな負担できないよという声が出てくる。これではいけない。やはり人生五十年から人生八十年時代にふさわしい、お互いが給付も受けるし負担もするんだという、給付と負担の均衡を図るような改革をしようということで、今厚生省は社会保障制度改革を進めています。その際に、現在の税金でも、一番厚生省関係が税金を使っているんです。十五兆円使っている。公共事業は国の予算では約十兆円です。国の税金を一番どこで使っているかというと、政策の中では厚生省が使っている。
 私は、あらゆる制度を見直すという場合に、効率的に重点化をしなきゃいかぬということで、今、難病の問題も、これは難病に指定された方の病気と、難病には指定されていないけれども、むしろ難病より重く苦しんでいる方もおられるんです。その辺のバランスも考えなきゃいかぬということで、難病に指定されているけれども、比較的軽い方はある程度一部負担をお願いしましょう、重い方は全部公費で見ますよと。そして、全体として厚生省の予算というのは二%しか伸びていません。しかし、ある程度軽い難病の方については一部負担をお願いしましたけれども、重病の方は引き続き全額公費負担で見ます。なおかつ難病全体の予算は二〇%伸ばしているんです。この点は評価していただきたい。
 そして、児童扶養手当も、今どんどん扶養手当をもらっている母子家庭がふえています。三千億円を超えるようになりました。四百万円収入のある方にも児童扶養手当を出しておりました。ところが、実際自分たちは四百万円もらっていない、両親のある家庭もそんな手当をもらっていない。やはりある程度は重点化していこうということで三百万円の世帯の程度までで我慢いただけないだろうか。所得制限を四百万円から三百万円に下げて、大体七万人の方ぐらいがもらえるのがもらえなくなったという御批判を浴びております。
 しかし、そのぐらいの所得しかない家庭もまだ二百万人世帯ぐらいおられるんですね。お金があれば、じゃそっちにもお金を上げればいいじゃないかという議論が出てきます。ところが、今もうどう搾ったって金が出ない、減らせ減らせということですから。それをやるために行政改革をやろうということでやっているんですけれども、私は、そういう中で、ある程度負担にたえ得るような世帯は負担してください、しかし三百万円以下の世帯に対しては引き続き扶養手当を出しますよと。
今、一方では、本来別れた夫が出すべき手当を国が支給しておるのはけしからぬという声もあるんです。そういう声も勘案してある程度我慢していただきましょうと。
 この予算というのは財政構造改革法に関係なく、今どう予算配分を効率的にやっていくかということでありますので、たとえ財革法が改正されようが、補正予算が積まれようが関係なく、こういう制度の見直しはやっていかなきゃならぬと私は考えております。
#134
○続訓弘君 厚生大臣、私どもは「年金・介護は国の責任で保障。」、こういうのを高く掲げているわけです。これは私ども公明の命なんです。引き続き、国に対して要求をし続けます。
 実は、厚生大臣にお祝いを言うのを忘れました。きょうの新聞によりますと、厚生大臣在位とにかく長期レコードだと、こういう新聞を見ました。おめでとうございます。
 ただ、私どもは、厚生大臣がかねがねキャップ制に異議を唱えておられる、そして厚生行政に大変深い理解をしていただいている、こういうことを評価しておりますので、ぜひ私どものこの願いを聞きとめていただきたいことをお願い申し上げます。
 次に、時間の関係もございますので、貸し渋りの問題に移らせていただきます。
 私は長い間都庁におりました。そしてまた、都の政策の責任者でありました。特に信用保証協会にも随分かかわってまいりました。信用保証協会は五十二ございます。
 そこで、具体的なお話を申し上げます。
 今、貸し渋りに対して一番有力な手だてを講ぜられるのは五十二の信用保証協会だと私は思います。特に東京の場合は、一〇〇%事故があった場合には負担する。したがって、一切の心配なく貸し出せるというのが東京都の信用保証協会の制度であります。
 そういうことを五十二の信用保証協会全体に本当はしていただければ一番ありがたいんだけれども、財政の関係でそれができないとするならば、今五十二ある信用保証協会に対して百億ずつ資金を貸し付けてください。これは税金を投入するわけじゃありません。基金で結構なんです。貸し付けていただければ六十倍に貸し付けの枠が広がるんです。したがって、仮に五十二の信用保証協会に百億やれば五千二百億。五千二百億がどういう状況になるかというと、もうその六十倍、実効は四十倍、実際に四十五倍ぐらいに回っていると私は思います。そういう知恵を絞ることによって私は貸し渋りの状況は解消するんではなかろうか、こう思います。ぜひこれを実行していただきたい、このことをお願い申し上げます。
 そして今、例えば失業率が戦後最悪、倒産は戦後最大だと。この貸し渋りによって痛ましい事故が続発している。こんなニュースは私どもは聞きたくないし、見たくありません。ぜひこのことに思いをいたして決断をしていただきたい。これは御要望です。
 そして同時に、大蔵大臣、きょうは本当に御苦労さまでございました。G7に出席されて飛んで帰ってこられた。そのことにねぎらいの言葉を申し上げさせていただきたいと存じます。
 次に、公共事業のあり方について私どもの考え方を申し述べさせていただきたいと存じます。
 例えば一軒の農家に対して十五億円の経費を使って農道を整備したというのがございましょう。これはもうその他いろんなところで明らかになっていますからあえて申し上げません。あるいは都市開発に対して百億費やして、そのできた都市では一つも使われていない。あげくの果ては建ててはならない風俗営業が建っている。こういう事例もある。さらには環境庁の外郭団体のつくった、これは環境庁自身がつくったんですよ、リゾートが閑古鳥が鳴いている。だれも使わない。それを第三セクターに譲った。今なお利用されていない。
 こういう従来型の公共事業に対しては、私はこの際全部整理していただきたい。そして、新たな視点から公共事業に魂を入れていただきたい。このことをお願い申し上げたいと存じます。
 具体的に申し上げます。
 少子・高齢化の時代を迎えて、建設大臣、昭和三十年代、四十年代につくった例えば都営住宅あるいは市営住宅、そういう公営住宅、公社住宅、各県にございますが、それと住都公団、これは合わせて百六十万戸ある、三十年代、四十年代につくったのが。それはもう既に改築を必要とする時期に来ております。
 それらを改築する際に、私は一つ提案があるんです。特に東京の場合は都心に低層、四層ないし五層の都営住宅や供給公社の住宅がたくさんあるわけです。なぜそれを高層化できないのかといえば、住んでいる人たちがなかなか協力をしてくれません。
 当時の収入と今の収入とは天地の差であります。場合によってはお孫さんが住んでいる状況になっております。そういうものに税金を継ぎ足していいのかという、実は私は供給公社の理事長をやっておりました、都の副知事もやっておりました、そのジレンマを感じておりました。しかし、こういう立場になれば、この際は、そういう人たちに対してやはりきちっとした手だてを尽くす必要があるんじゃなかろうか。
 例えば、住み続けたい人と売却を願う人、そういうように色分けして、都心の一等地の中に立地している住宅を建てかえるに際しましては、やはりスペース倍増。今四十ないし五十平米の狭隘の住宅が建っているわけです、三十年代、四十年代に建てた住宅は。そうだとしますと、やはり建てかえるに際してはスペース倍増、百平米ぐらいにして、そして四層を十層なり、要するに容積率いっぱいにして、あいた土地は福祉の町づくりに貢献させるとか、あるいは売却をした代金は基金をつくって住宅用に回すとか、そういう工夫を凝らすべきではなかろうかと私は思います。
 それらのことについて、唐突ではございますけれども、大臣として、おまえの考え方はだめだ、あるいはいい、こういう御見解を承りたいと存じます。
#135
○国務大臣(瓦力君) 続先生から御質問でございますが、確かに昭和三十年代といいますか、都市へ若い世代が、労働力が集中をいたしましたし、それに対応してそういう住宅の手だてを講じたわけでございます。
 そのまま年月を経まして、今日は高齢化社会を迎えておるわけでありまして、この半世紀の中で住宅問題については、都市に集中する過疎と過密と言われた問題と、これから高齢化社会を迎えて都市がどう対応しなければならないか、住宅政策は私は半世紀の中で本当に大きな課題を担っておると思っております。
 こういう中で、今、高齢化社会がどう来るかと。先生に申し上げる必要もないわけでありますが、二〇一〇年になりますと一千四百万人を超え一千五百万人に至るわけでありますし、二〇二〇年になりますと、今日の高齢化社会、倍増いたしまして一千七百万人を超えるというわけでございますから、住宅の手だてというものは極めて重要であることは御指摘のとおりでございまして、建設省といたしましても、高齢者が安定した生活を送ることができる住宅整備をすることが重要な課題であると、こう認識をいたしておるわけであります。
 公営住宅はもとよりでございますが、住宅金融公庫等を通じまして、民間住宅につきましてもバリアフリーなどの促進を図る。そういったことを含めまして、公営住宅と福祉施設の合築並びに併設を推進いたしております。民間でも既にそういうようなことが行われておりまして、官民一体になってそういう対策を講じなきゃならぬ。
 平成十年度予算におきましても、さような観点に立ちまして高齢者向け優良賃貸住宅制度を創設したところでございますし、なお高齢化社会に向けた住宅につきまして、また町のバリアフリーにつきまして積極的に取り組んでまいりたい。今後、経済対策も含めてさように努力をしておるところでございます。
 また、総理からの御指摘もありまして、今日まで阪神・淡路等におきましての手だて、住宅につきましても全力を挙げてまいりましたが、そういったノウハウを生かしまして都心のいわゆる不良地等も含めていろいろ工夫をしていく問題があろうということで今研究をいたしておるところでございます。
 多年、先生も都庁のお勤めでございますし、住宅問題についてはお詳しいわけでありますから、怠りなくやっておりますということを御承知賜りたいと思うわけであります。
#136
○続訓弘君 最後に、私は総理に思い出していただきたい。それは、決断が必要だということを思い出していただきたいんです。
 それは、総理が運輸大臣当時でありました。六十二年の恐らく五月だったと存じます。私と当時の鈴木知事が運輸大臣室に伺いまして、日本一のあの築地市場を建てかえる必要がある、ついてはあいているあの汐留の土地を貸してほしい、場合によっては売ってほしいと。国鉄監理委員会が当時試算したのは全体で五兆五千億でございました。ただし、あの部分については一兆五千億程度だったと存じます。そこで、現金で私は引き取りますよ、ぜひと申し上げました。そのときに総理はにべなくお断りになりました。貸すこともできない、売ることもできないと。どうでしょうか、あの当時あの決断があったとするならば、今の二十八兆円の国鉄の借金は相当程度私は縮減したのじゃなかろうか、こう思います。
 したがって、先ほど申し上げた四兆円の減税はまさに総理の決断、総理の決断が国家国民のためになると私は信じております。ぜひこのことを総理にお願いを申し上げまして、質問を終わります。
#137
○委員長(岩崎純三君) 以上で続訓弘君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#138
○委員長(岩崎純三君) 次に、山本正和君の質疑を行います。山本正和君。
#139
○山本正和君 大蔵大臣、大変お疲れでございました。たしか私と年が一緒ぐらい、一九二七年ぐらいじゃないかと思うんですが、本当に夜の目も寝ずに頑張っていただきまして御苦労さまでございます。そこで、私はきょうは大蔵大臣には余り答弁をしてもらわないように用意しておりますが、必要があればまた御答弁をいただきたいと思います。
 私はきょう社会民主党を代表する立場で質問をするわけであります。
 まず冒頭に、村山さんが総理のときに阪神・淡路大震災がございました。日本じゅうが大変なことになってしまいました。あの日本列島の真ん中で道が閉ざされてしまってどうしたらいいのかと、そのときに大変苦しんでおった村山さんの顔を思い出すわけであります。ところが、そのときにもうマスコミからはさんざんたたかれました。村山がぐずだとかだめだとかたたかれた。そしてさらには、社会党出身の総理だからだめなんだと、こうやられた。
 しかし、実はこれは与党でなければ私どももわからなかったんですけれども、いかに総理大臣というものの権限が我が国の政治制度の中で制約されているか、そしてまたいかに危機管理に対して我が国の体制が弱いかということを嫌というほど感じさせられたのでございました。
 さまざまな問題が起こりますけれども、そのときに国が危機に対してどう対応するか、あのときは自然災害でございましたけれども。しかし、今度は経済的な大変なうねりが、正直言って通常では予想もできないような大変な経済の荒波が今日本列島に押し寄せている、こういう時期だろうと私は思うんですね。
 それに対してどういうふうに対応するか。これも我が国の制度の上でさまざまな制約がありますから、アメリカのようにはなかなかまいらない。しかも、日本は国民主権ですから、国民のさまざまな意見を聞きながらやっていかなきゃいけない、こういう問題がございます。
 私は財革法が通るときに総理が答弁されたことを覚えている。この法律は政府を制約いたします、政府はこの法律に従ってすべて予算を組まなきゃいけない、こういうことを言われた。私は記憶をしております。また、事実そうであります。法律が厳密にあるのに、政府がその法律を超えてさまざまなことをやるということは、これは越権行為というよりも、まさに政府そのものの存立の基盤があったのかということになってくる。三権というものが本当にあったのかという議論になるわけでありますから、これは当然総理の言われたとおりです。
 そのときに、財革法の問題についてまた総理がこういう答弁もされた。しかし、国会を制約するものじゃありませんと。まさにそうであります。法律というものを決めるのは国会なんです。国会の意思というのは主権者たる国民によって選ばれた代表の者が決めるわけであります。
 そこで今、参議院が経済問題が大変な中で各党の代表が寄って、これは財革法ある限り政府ではどうにもやれぬぞ、しかしそれは国会の意思で何とかしようではないかということで、各党がそれぞれ協議された。私は大変すばらしいことだと思っているわけであります。そして、各党がほとんど合意に達して、もうこういう時期だから思い切ってやっていってくれということを政府に国会として要請しようというふうな話し合いが行われた。しかし、残念ながら最終的には若干の事情がありまして成立しなかったわけでありますけれども、もしもその国会決議があれば恐らく政府は国会決議を受けた対応をしなきゃいけなかっただろうというふうにも思うわけであります。
 しかし、今や、今日の段階になりますと、これは国会の各党各会派の意見もそうでありますし、国民各層の意見もそうであります。何とか財革法を超えて日本の国の景気対策をやってほしい、こういう強い要請が今ある、国会の意思も今そこにある、こういう立場でございますから、ひとつ総理はそういう立場に今立っているんだ、元気いっぱいやりますということの御決意をまず初めに伺いたいと思いますが、いかがですか。
#140
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、院において党派を超えて思い切った対応を求めるという決議、取りまとめの動きがあったというお話の御紹介がありました。結果としてはいろいろな事情でできなかったというお話でありますけれども、まさにそうした声を国会の御審議の中からも私どもは感じてまいりました。
 そして今、財革法に弾力条項を挿入することによって特例公債の壁を越えたい、そのような思いで国民にもその気持ちを申し上げました。同時に、財政構造改革の必要性というものは消えません。少しでも将来に残す借金は少なくしなければなりませんが、その上で思い切った対応ができるように、そうした法改正をできるだけ早くまとめ、国会のお許しをいただいて行動するようにしていきたいと思います。
#141
○山本正和君 マスコミをずっと、テレビを見たり新聞を見たりしておりますと、我が国自身が大変自虐的に扱われているようでならないのであります。私どもの日本の国はいろんな危機に対して対応する力を持っている、そのことをまずはっきりみんなが言わなきゃいけないと思うのであります。
 私は、一九四五年、日本が戦争に負けたときに中国の地におったわけです。二年後に復員、引き揚げてきた。真っ暗です。ほとんどの家は全部停電です。食べるものはないんですね。しかし、我が国はそれを乗り越えてきた。世界で一番貧しい国だったんです、そのときは。中国から日本に帰ったら食べ物がないというのでびっくりした、その当時の中国も決して豊かではありませんでしたけれども。そして、恐らく総理と同じ世代の小学生はもう本当にチョコレートなんて見たこともない。アメリカの兵隊に、GIに向かってギブ・ミー・チョコレートと言ったに違いない。総理もそういう経験をお持ちの世代だろうと私は思うのです。
 その中で、今日ここまで来たのは何だろうかと私は時々思うのです。そのときに政府は、何としてもまずこの停電をなくそう、石炭を掘って掘って掘り抜こうと、国策を全部石炭にほうり込んで、とにかく停電をなくした。日本じゅうの国民に食べ物を食べさせようということで、農業基本法を制定して農業をきちんと確立した。やったわけであります。やり抜いたわけであります。
 そして、その次には何をやったか。アメリカに到底及ばないけれども、自動車も頑張ろうと。実際、昭和三十年代の末までは日本のトヨタも日産もちゃちなものです。うっかり七十キロ出したらがちゃっといってしまう。その日産やトヨタが今日つくってきたのは何か。国が本気になってその開発のために全政策を掲げていった中でのさまざまなものが今日あるというふうに私は思うんです。
 ところが、自動車も今どうも余り元気がなくなってきた。それから、電気製品、いわゆる電化製品も元気がなくなってきた。半導体もどうもだと、こんなようなことがどんどん報道されるものだから、いやでも応でもお金のある人も投資ができぬなと、こうなっていく。何か知らぬけれども、日本じゅうが真っ暗なような報道の中にあるんです。それをどうしたらいいかというと、やっぱり政府が明らかにたいまつを掲げて、我が国の進路はこうだということを言わなきゃいけない、その時期に来ていると私は思うんです。
 そこで、私はかねがね思っているのですけれども、実は日本はオイルショックのときに大変苦しい思いをいたしました。中東から石油が来なくなったらどうなるだろうと。日本じゅうが真っ暗になる。食糧が自給できない。石油だけを頼りにして生きてきた日本の国はどうなるのだというので、「油断」という小説まで出ましたね。
 しかし、その中でどうするかというときに、二十年前に当時の通産省の若手の諸君がみんな頑張った。また、各省庁とも若手の諸君が日本の未来を議論した。エネルギー自給論が当時既にあったんですよ。何とかエネルギーを、場合によっては石油が途絶えてもやっていける方法はないかという議論をしたんです。実際は不可能ですけれども、今のところは。
 だけれども、その中で新エネルギー開発と。エネルギーをもし我が国で自給できたら農業問題は根本的に解決するわけです。労働力は世界で一番優秀な国なんです。科学技術の水準も決してアメリカに負けない。軍事技術はだめですよ、軍事技術は弱いですけれども、他はみんな強い。日本はもしエネルギーさえ自給できたら絶対負けないんです。だから、二十年前の若手の官僚諸君が描いた夢、それが本当は必要だったと思うんです。ところが、石油がどんどん値下がりしていますから、今はもう石油の方がうんと安い。原子力より安いですね。
 しかし、そのときに考えたのは、地球の中における日本列島の占めている位置を考えた。海洋国家です、太平洋を望む。しかも、さんさんと日が当たる国です。どうしたらいいか。自然のクリーンなエネルギーを何とかしようというところから出発したと私は思っているんです。
 しかし、今ちょっといろいろと調べてみますと、アメリカの方がどうも太陽光発電技術が工業化している進度は進んでいる。アメリカは自分の国に石油がちゃんとあるんですよ。エネルギーも自給できる。農業も自給できる。そのアメリカで太陽光発電を初めとしたクリーンエネルギーの開発がどんどん進んでいる。世界で今一番多いんですよ。そういうふうになってきている。
 日本で一体なぜ二十年前からやっていたことがここまで来なかったんだろうかということが私は心配でならないんです。原子力も中間過程として現在必要です。こんなものを壊すわけにいかない。しかし、その原子力の廃棄物をどう処理するかについてのお金がちっとも使われていない。非常に少ないんです。何でもいいから早く運転させたいと。それがこの前からの原子力問題のさんざんな問題だと私は思うんです。基礎技術に対するお金だとか廃棄物に対するお金だとか、そういう一番基本的な部分に対する問題が欠けておった。もしそれが成功したら、世界じゅうが日本に原子力のエネルギー問題について学びに来るはずでしょう。同様に、クリーンエネルギーもそうなんですね。
 あの戦争に負けたときには何にもなかった。国家予算は一体幾らあったですか。その国家予算のうちの大変な部分を全部石炭に投入したんですね。そして、それがやがて鉄鋼に行って、造船になって、造船は世界一の技術になった。そういう夢があったんです、昭和二十年代は。我々は二度と戦争はやらぬ、銃を持ってやらぬかわりに産業で一生懸命頑張ろうといって、私どもが若いときには頑張ったものですよ、二十代。その中でも一生懸命、何か知らぬけれども、マルクスを読んだりがちゃがちゃやっておかしくなったこともあるけれども、それはそれです。要するに、何をしなきゃいけないかということを政治の世界で回復しなければ日本の国はどうにもならないんですよ。
 先ほど続委員が剣道七段教士と言われた。私は大日本帝国のときの剣道なんですよ。しかし、戦争に負けて帰ってきたら、いきなり飛びつき四段をもらった。だけれども、そんなインチキな剣道をやったらしかられたですよ。だから、総理も剣道の精神で行くのなら、インチキなことじゃなしに、堂々と日本の国はこうですから頑張ってやりますよということを、例えば今のエネルギー問題でも総理はいろいろ見解がおありになるだろうから、ひとつ抱負を語っていただきたい。
#142
○国務大臣(橋本龍太郎君) 環境庁創設二十周年の当時、二十年前の公害列島日本と言われたその状況を振り返り、二十年後の時点でその前を分析しながら、その当時における公害への投資というものがどう生きたかという分析をしたことがございます。そして、その一年後、今度はその時点において企業がどのような行動をとったか、殊に新しい技術開発に向けてどのような行動をとったかを分析したその内容が環境白書に載りました。
 私はこれを大変興味深く読んだわけでありますが、その公害列島日本と言われる状況の中で、これを解決するために、それぞれの企業は実験室段階における研究は非常に真剣にそれぞれの企業の生命をかけて努力をした。そして、それを実用に移すかどうかの企業行動のインセンティブは、ある場合は税制でありましたり、ある場合は融資でありましたり、政府の施策の誘導性というものがこれを随分大きく左右した、それがその分析の一つの結論でありました。
 ただいま議員は、中国大陸から帰還をされた当時の日本を言われましたが、ちょうど帰還をされたころ私は小学校の四年生のころです。まさに、東京におり、議員は電気だけを言われましたけれども、大体水道がろくろく出ない時代でした。その後、その時代から我々の先輩たちが進めてこられたその結果を今我々は享受しております。
 そして、まさにこの何年間か、あるいは十年ぐらい前からなのかもしれませんが、産業界も私どもも、次の時代を引っ張る産業は何だ、リーディングカンパニーは何だということを議論してきました。そして、産構審等で、例えば医療福祉関連あるいは環境関連、新しい分野として幾つかの分野が例示をされました。これが将来これぐらいの雇用をつくり出すといった数字も出されました。二十一世紀初頭の我が国を引っ張る、我が国を引っ張るということはある場合世界を引っ張る産業ということにもなるわけですが、そうしたリーディングカンパニーに当たるものはまだ残念ながら見つかっておりません。
 しかし、その中で議員が指摘をされましたような新しい分野として、地球環境という視点から見ましても、このエネルギーの問題は資源を確保するという点からも、あるいは温暖化を防ぎ我々の環境悪化を防ぐという視点からも、いずれの角度からも非常に必要な技術であることは間違いありません。そして、これの研究開発が進むことは、当然ながら新しい産業分野を切り開いていくことにもなると思います。
 そして、十年度の予算におきましても、新エネルギーを促進するための施策として、クリーンエネルギー自動車の開発普及の抜本的な強化でありますとか、あるいは太陽光発電システムの開発、普及、促進でありますとか、新エネルギーを導入する事業者に対する支援でありますとか、地域における取り組みの支援等を加えまして抜本的に強化をしてまいりました。
 これで議員が述べられましたような誘導措置として本当に十分か。こうした今申し上げましたような措置を着実に実行すると同時に、この上に加えていく誘導策として効果的なものがまだありますなら、私どもはそうしたものを取り込んでいきたいと思います。そして、それが我が国の産業の上でも、また国民生活の上でも、さらにそれはひいて人類全体にも新たなエネルギーを供給するという意味で大変大きな意味を持ちますけれども、そうした方向に向かっていくために政府としてのできる努力をしてまいりたい、そのように思います。
#143
○山本正和君 そこで、今の総理のお話の中で、政策としてもそういう方向に持っていこう、お金もある程度考えていこうというお気持ちはわかるんですけれども、ただちょっと通産省がいろいろとやってきた報告書の中で若干の動きがあるんです、通産省が二十年前に取り組もうとしたときの姿勢から。ただし、国民の間に原子力に対するアレルギーがあります。そんなことになると原子力をやめてしまって太陽光だけやれというような話になったら大変になってくると思う。あったかもしれませんけれども、ただ若干通産省のこういうエネルギー開発についての国民へのメッセージがちょっと弱った部分もあるんです。
 実際はほとんどの学者の計算ではクリーンエネルギーによって我が国の必要な電力の三割までは、今はだめですよ、今はだめですけれども、きちんとやっていけば賄える、こういう説がある。もし我が国のエネルギーの三割を賄えたら、それに伴う国内の産業というのは大変なものですよ。総理も通産省でちょうどその問題をおやりになった時代がありますけれども、実際にさまざまな計算があると思うんです。
 しかし、それは国が本気になって政策としてそのことに取り組むか取り組まないか。例えば原子力発電なんというのは今から三十年前は全然ペイしなかった。毎年約一兆円の国費を我が国の原子力開発のために投入しているんです、この三十年間。毎年一兆円ですよ。今やっと原子力がペイするようになった。ですから、それは国の政策なんです。私はそう思う。
 しかし、そこのところは基本的によほど議論しなければ難しい問題がありますから私は一挙にとは言いません。しかし、政府が真剣に取り組んでいく課題だと思うんです。政府で真剣に取り組む課題なんですけれども、その前に大切なことは、一人一人がやっぱり自然エネルギーというのはいいなと思わなきゃいかぬ。
 実は私はこの前、家の屋根を五百万円かけて直したんです、もう三十年間ほうっておいた家の。そうして、太陽光発電にしましたら、年寄りしか、我々しかいないんですけれども、月に一万円ずつ電力会社から金が返ってくる。これはぐるっと回るんですね。私のところは全部電力使っても、一月一万円返ってくる。五百万円投資して、ただし国から百七万円お金をもらいました。大変うれしかったですね。そうすると、ああ、石炭や石油をたいている電気じゃないな、うちの電気はと、この喜びがある。だから、私はいろんなやり方があると思う。
 それから、建設大臣は今お見えにならぬけれども、ソーラーハウスが三千五百万円で五キロワットぐらい発電の可能性のあるものが今ちゃんとできている。だから、住宅に対しても本気になって、それからもっと言えば道路のさまざまな施設がありますね、それも全部そこへ太陽光発電のものを埋め込んでいく。
 道路のさまざまな明かり、日本列島は宇宙から見たら一番明るいという。ところが、その明るいのは石油と石炭を燃やした明るさなんです。自然光のエネルギーをバッテリーに置いておいて発電するのは可能なんですね。日本列島の明るさをきれいな明るさにするのか、石炭と石油を燃やしている明かりにするのか、これは日本の国が地球社会に対して負わなきゃならぬ責任だと私は思う。
 そういうことも含めて、本当は学校教育の場でエネルギー問題をぜひ取り上げてほしい、環境問題ですけれども。あわせて、すべての小学校以上の公立学校の屋根が全部太陽光発電であれば、阪神・淡路のようにもう大地震が起こって真っ暗になっても学校だけは明るいんです、バッテリーさえ大きければ。そういう何か国として本気になって、日本のエネルギーはきれいなエネルギーですよということを世界に誇れるようにしていく、それは政治の決断だろうと私は思うんです。今直ちにやれとは言いませんけれども、今度の景気対策の中にそのカラーが強く盛り込まれたらすばらしいことだというふうに思うんです。
 そういう意味で、ひとつ文部大臣、どうでしょう、学校を全部やるために総理と大蔵大臣に要求しますというぐらいちょっとここで決意してくれませんか。
#144
○国務大臣(町村信孝君) ただいま山本議員御指摘の小中高の校舎に太陽光を利用したソーラーシステムを導入することは大変すばらしい方策だと思っております。平成九年度から、エコスクールと称しまして学校施設の整備にパイロットモデル事業を今導入してございます。九年度の実績では、まだ初めてなものでございますので十八件、全体では二十七億円の事業が展開をされておりまして、これは委員御指摘のように太陽熱を利用した給湯設備について補助を行ったり、あるいは太陽光発電の大型設備、これは通産省が協力をいたしまして補助するという仕組みでございます。
 今般の経済対策につきましても、現在その中身につきましてどこまで盛り込めるか具体的な検討を我が省内でも進めているところでございます。委員から大変力強いお言葉をいただきましたので、大蔵大臣もきっと前向きにお考えをいただけるのではないかと思っておりますが、今後一生懸命取り組ませていただきたいと思っております。
#145
○山本正和君 あわせて通産大臣にもお願いしておきたいんですけれども、住宅にクリーンエネルギーを利用するということに対して、これは大蔵省に、税においても、また補助においてもひとつ十分なる要求をしていただいて、私の場合は五百万かけて百万でもいいですけれども、これからつくる人は三百万かけたら百五十万ぐらい出しましょうというぐらいのことでやれるように要求していただきたいと思いますが、決意をひとつよろしくお願いします。
#146
○国務大臣(堀内光雄君) 本当に力強い御支援をいただきましてありがとうございます。
 先生のおっしゃるとおり、太陽光発電の方は大変力を入れて取り組んでおりまして、現在その普及促進に本年度の予算では二百六十一億円、前年度が二百三億円でありますから相当な幅の増加をいたしております。
 おっしゃるとおり、三キロワットが各家庭でつくる場合には想定されるもので標準でありますが、それで大体三百万円かかるということになっておりまして、それの大体三分の一、百万円を補助する形になっておりますので、先生の御指摘の今百万円というところまではいっているわけでございます。もっとコストが下がるように今研究を進めておりまして、九年度で約八千件でございましたけれども、それをさらに増加ができるように十年度では一万五千件を目標に今取り組みをやっております。
 そういう意味で、新エネルギーについてこれからもさらに、太陽光だけではなくて、二〇一〇年におきましては原油換算にして千九百十万キロリットルの導入を目標といたしております。これは我が国における現在の導入量、一九九六年度で原油換算約六百八十五万キロリットルですが、これの約三倍ぐらいになるように目標を立てて取り組んでおりますが、今後もさらに強烈な取り組みをいたしてまいる覚悟でございます。
#147
○山本正和君 ぜひ頑張っていただきたい。
 アメリカはおくれて出発したんだけれども、大変な勢いで、個人の住宅の電気は全部個人の家の太陽光発電で賄うというところまで来ている。そして、きのうの新聞だったですか、クリントンさんがこれに対して減税措置を設ける、そして徹底的にアメリカが太陽光発電の家をどんどんつくっていると、こう言うんです。
 なぜかというと、これは正確な情報じゃありませんけれども、もっともらしいので私もうなずくのでありますが、それは、アフリカに砂漠がある、アメリカにも砂漠があります。そして、今や東南アジアも含めて亜熱帯の地域はさまざまな勢いで荒れていく、これに対して一体どう対応するかということをアメリカが先頭を切ってやってみせるんだと、こういうことを宣言してやっている、クリントンさんが。
 僕はその情報は新聞では見ていませんが、横から聞いた話ですけれども、しかし何でアメリカがやれて──本当は日本がやるべきだ、日本が実際は。世界に対してクリーンエネルギーでいきますよということの見本を日本が示すんだ、そして日本の国というのは世界に対して何を貢献できるかと。
 私は正直言いまして、戦争をしたらアメリカには勝てぬと思う。私たちの時代は、戦争をするといったらアメリカとやるという話をした。今はアメリカと戦争をするなどという若い衆はだれもおらぬですよ。我々のときは竹やりの時代ですから、竹やりでアメリカとやろうかという時代でした。しかし、そんなばかはおらぬ。要するに、日本は戦争によって世界を征服することはできない国なんです。
 しかし、日本は知恵と日本民族の優秀さによって世界に貢献できる国なんだ、しかも地球をきれいにする国なんだと、こういうことを主張できる国ですよ。そして、私たちの若い子供たちに、孫たちに、本当に日本はすばらしい国だと、こうさせなきゃいかぬと私は思うんですね。それには確かに今さまざまな問題があります。
 それから、今まさに国難と言われるぐらい経済的なことで行き詰まっている。私は行き詰まらざるを得ぬと思う、五十年の間に積もり積もってきたんですから。その積もり積もってきた中で何とか生き延びようと一生懸命頑張っている企業もあります、産業もあります。しかし、重厚長大でどうにもならなくなった産業もある。これは転換しなければいけない。転換するときに、例えばこういう目標があるじゃないかということを言うのは政府の役割、政治の役割だと私は思うんです。
 そういう意味で、今の逆に大変危機的な状況にある我が国が世界の中でどう生きるかということを国会の場で論議する、これが一番必要なんだろうというふうに私は思っているんです。これは与党も野党もないと思うんです。本当に二十一世紀の日本がどう生きるかということを、まさに景気はどうにもならぬという状況の中で議論をして初めて本当の議論ができると思うんです。そうしなければ、私も正直言って文教族と言われますから、教育予算といったらつい教育予算よこせよこせと、こう言うんです。それは仕方がないんですよ、今までの流れがあるから。なくせと言われたって、私はやっぱり文教予算をふやしてくれと総理のところにも陳情に行くかもしれない。
 しかし、そういう時代じゃないんだということで、みんなが共通の議論をできる場というのは、二十一世紀の日本をどうするか、特にエネルギー小国の、食糧自給できない──しかし食糧自給できないというのはうそなんで、エネルギーが自給できれば食糧も自給できるんですよ、完全に。だから、我が国が生きるかどうかはこのエネルギー問題だ。そして、日本がこの小さな国でエネルギーが自給できたら、世界じゅうの国は必ずできるんです、自給は。
 だから、そういう世界に対して呼びかけることも、我々国会議員がお互いに議論をしながら、また政府が真剣にさまざまな問題を検討しながらやっていただかなきゃいけないというふうに思うんですが、最後にひとつ総理の御決意を伺っておきたいと思います。
#148
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど環境庁創設後二十周年における分析、そしてその翌年における企業の行動ということを申し上げました。そこから導き出されたものにあと一点加えれば、国民のニーズに合うかどうかというのが企業が実験室から製造段階に移すポイントでありました。
 今、議員が御指摘になりましたクリーンエネルギー、例示にとられたものは太陽光発電一つでありましたが、我が国にとりましては、むしろそれ以外にも風力、四辺が海でありますから潮汐、そして地熱、さまざまな新エネルギーに対するチャレンジのチャンスがございます。そして、それぞれのエネルギーがまさに未来をより明るいものにしていくことに役立つことは間違いありません。
 そうした方向に全体が誘導できますように、国はその支援をする役割でありますけれども、その支援の役割を十分に果たしていきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
#149
○山本正和君 ありがとうございました。
#150
○委員長(岩崎純三君) 以上で山本正和君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#151
○委員長(岩崎純三君) 次に、山下芳生君の質疑を行います。山下芳生君。
#152
○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
 橋本総理に景気対策について質問をいたします。
 まず、中小企業に対する金融機関の貸し渋りの問題についてであります。
 政府や日銀の調査によりますと、金融機関の貸し出し態度は三月になってますます厳しくなっております。帝国データバンクの発表では、三月の貸し渋り倒産は二月比で三一・七%増、集計を開始した昨年一月以降で最悪であります。貸し渋り問題はますます悪化しております。この点で国民の皆さんの多くが不思議に思っていることは、銀行に対する三十兆円もの公的資金の投入というのは一体何だったのかということだと思うんです。
 総理は、この銀行支援策について、公的資金の活用による自己資本充実策により金融機関の融資対応力の強化が図られ、貸し渋りの解消にも資することを期待しておりますと国民に説明をされてきました。総理の説明と現実がまるで違う。総理はこうした事態を予測されていたんでしょうか。
#153
○国務大臣(橋本龍太郎君) まず一点、議員の御質問に対して正確を期すために申し上げますが、三十兆円の、言いかえれば政府保証と枠をとりましたもの、その中が、貸し渋りといいますか金融機関の力をつけるために使いますものと預金者の保護をするために用意をされましたものの合算が三十兆という枠であります。
#154
○山下芳生君 わかっていますよ。
#155
○国務大臣(橋本龍太郎君) いや、わかっておられると思いますけれども、テレビを見ておられる国民も混同する御質問でありましたので。
 そして、その十三兆円のいわば自己資本強化につながる枠のうち、今まで申請がありまして使われたのは二兆円弱だったと思いますが、申請がありましてこれが使われました。言いかえれば、まだ申請が出てくればこれに充当できるフレームが十一兆余り残っておるということだと思います。
 そういう中で十分に効果を上げているかと言われれば、残念ながら貸し渋りが非常に深刻な状況にあることを私どもも通産省の調査等を初めとして見ております。そして、そういう状況を改善するために、一つは民間金融機関に対して自己資本注入という手法をとるぐらい、我々自身がこの金融システムの安定化に意を用いている。
 その中で、貸し渋りという声を聞かないようにという要請を、ちょっと何日でしたか忘れましたけれども、私自身が代表者を集めていたしました。そのときに、そういう実態はないというような返事が返りまして、それはおかしい、第一線からトップ経営者のところに来るまでに情報がどこかで切れているんじゃないですか、現場から出てくる声はそういう声じゃありません、むしろ二度とこうした会合を開かないで済むように、本当に貸し渋りと言われるような状況を解消するように全力を尽くしてくださいと言ってその会合は終わりました。
 しかし、そのすぐ後に、政府関係金融機関の皆さんに、信用保証協会も集まっていただいて、政府系金融機関が全力を尽くしてこういう状況に対応してもらわなければならない、信用保証も含めて政府関係金融機関の努力を要請いたしました。
 今、政府系金融機関は信用保証機能を含めまして随分よくやっていただいていると思いますけれども、本来ならもっと民間に努力をしてもらいたいという思いは私もございます。
#156
○山下芳生君 政府系金融機関が努力するのは当然だと思います。しかし、中小企業向け貸し出しの全体に占める政府系金融機関の割合というのはわずか八・三%なんですね。ですから、圧倒的多数の中小企業向け貸し出しは民間金融機関が担っている。この分野での貸し渋りがなくならない限り、中小企業全体の危機というのは脱せられないわけです。
 総理は今、不十分だ、二兆円を投入したけれどもと、そうおっしゃいました。不十分という認識自身が私は不十分だと思います。
 数字を少し紹介させていただきますと、銀行支援法案が成立した後、直ちに大手都市銀行など二十一行が申請をし、三月、これらの銀行に合計一兆八千百五十六億円の公的資金が投入された。ところが、全国銀行協会連合会の発表によりますと、都銀の貸出金残高はことし三月の一カ月間に七兆四千二百六十二億円減少したわけです。二月末比でマイナス三・四%。これは一九五四年に統計をとり始めて以来、減少額、減少率とも過去最大であります。公的資金が投入されたまさにその月に過去最大規模の貸し渋りがやられたということではありませんか。これは不十分じゃない、総理の言っていた説明と現実は全く反対のことが起こっている。何でこんなことが起こるんでしょうか。総理、どうぞ。
#157
○政府委員(山口公生君) お答え申し上げます。
 今、先生の御指摘いただきました貸し出しの数字というのは、結局いろんな要素を含んでおりまして、例えば貸出金を流動化した場合はそこから落ちます。あるいは直接償却した場合も落ちます。さらに、その部分を今度は大企業でいいますとCPとか社債に移した場合は減ります。そういったことで、一概にその減少がすべて貸し渋りと決めつけることは正しくないと思いますが、ただ健全な企業に貸さないということは、これは社会的責任を果たしているとは言えないということであるわけでございます。
 先ほどのお尋ねに関連しまして、貸し渋りが生ずる原因として三つぐらいあるんじゃないかと思います。
 一つはBIS基準をクリアできるかどうか、それから二つ目は資金の調達、例えばコール市場等で金が取れるかどうか、三つ目は資産のより効率的な運用を図らないと国際競争に負けるというようなことがあります。その最初の一つと二つ目は今回の資本注入でかなり緩和されたというふうに思います。BIS基準もしかり、それからコール市場のすくみ現象もかなり緩和されました。
 ただ、大手の金融機関にとってみますと、資産効率を上げなきゃいけないという要素があって、どうしても資産を圧縮しようとする。そのときに、大企業の貸し出しを証券化の方に移す分には大した影響はありません。しかし、中小企業、健全なところから引き揚げてしまうということはよくない。
 したがって、そういうものに対してどういうふうに我々が対応するかということで、SPC法あるいは資本市場の活性化等の施策をあわせてとっている。なおかつ、大臣が申し上げましたように、個別にまた十分に注視してそういった行動をチェックしていきたいというふうに考えております。
#158
○山下芳生君 貸し渋りが三月以降、四月以降もおさまっていないというのが各中小企業の皆さんの実感なんですね。総理、それはお認めにならないんですか。今、銀行局長は、中小企業への貸し渋りをもうやめようというふうに働いている、そういう認識でしたけれども、総理もそうなんですか。
#159
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、銀行局長が答弁を申し上げております間、ちょっとこの三月にいわゆる貸し渋りの実態調査をいたしましたその結果の概要を探しておりましたので、失礼をいたしました。
 そして、まさに融資態度の厳格化等による影響などのところを繰ってみますと、企業側からの回答は融資態度の厳格化によって約三分の一の企業が事業運営に支障が生じている、三分の二は特に支障はないとしている。しかし、中小企業からの回答はそれぞれが二分の一ずつ、それだけ中小企業は厳しいという数字が現にここに出ております。
 これに対して、この同じランクの答えですけれども、同時にこのほとんどの企業、約九割の企業は他の資金調達、例えば他の民間金融機関あるいは政府系金融機関からの借り入れで十分ないし最低限の資金は確保できているとしているというのがそのまとめであります。
 同時に、同じ問題に対する金融機関からの回答によりますと、融資申し込みを断る際に、申込人に対して政府系金融機関への紹介、保証協会制度融資の紹介等を行うとしているところが大宗を占めておりますが、他方で特に対応していないという回答をよこしたところも約一割程度あるということであります。
 また、金融機関におきまして取引先支援のための対策を行っているという回答が、例えばベンチャーキャピタルの設立でありますとか、零細企業向けの無担保融資制度の創設でありますとか、地元中小企業向け融資枠の確保でありますとか、売り掛け債権の流動化支援など、こういうものが挙がってまいりました。
 これは三月の第三週から四週、自己資本注入を決定した直後ということでありまして、まだ優先株などの引き受け等も実施されていない時期であるからその効果は必ずしも反映していないという注がありますが、事実問題としてこの時点でこうした厳しいものが返ってきております。
#160
○山下芳生君 もう政府に聞いても実態がなかなかわからない。
 私は、資本注入を受けた銀行側がどういう対応をしようとしているのか、少し紹介したいと思いますが、公的資金を投入して貸し渋りはおさまるのですかと聞かれて、全国銀行協会会長の岸氏はこう言っております。これは経済が回復してこないと解決しませんと。これはひどいじゃありませんか。経済が回復するまでは貸し渋りは続きますということですよ、公的資金を投入しても。そういう宣言をやっている、銀行の側は。こんな宣言、総理、許せますか。
#161
○政府委員(山口公生君) 先生はいろんな手でお調べいただいたと思うのでございますが、私どもが調査しましたときに銀行が挙げておりました一つの最大の理由は、相手先企業の業況が悪いということを言っておりました。これは、リスク管理を厳格にしていきますと、貸したいけれども貸せないという、それがどの程度まで本当に正しいのかという問題はありますけれども、そういうことを挙げておりました。それを、先生の方への銀行の報告としてはそういうことを言ったと思います。
 私どもとしては、一番の問題は、健全で本来貸せる、貸してしかるべき企業に資金が流れる必要があるということを考えたいというふうに思っております。
#162
○山下芳生君 健全な企業から今資金の回収がやられているというのが中小企業の皆さんの実感なんですよ。それをそんな、銀行局長がやっていないなどと答弁すること自体が私はとんでもない認識だと思います。
 それで、そもそも公的資金の投入が貸し渋りにも資するんだと言っていたわけですけれども、それだったら、そういうふうに資するように指導しなければならないと思うんです。銀行に対する資本注入を決定する際に、政府は各銀行から経営の健全性確保のための計画を出させておりますが、その計画の中に中小企業に対する貸出増加目標、これを書かせておりますか。
#163
○政府委員(山口公生君) 健全化計画の中に、資本注入がなかりせばという場合と資本注入後とでどれくらい貸し出しに差があるかというのを出してもらいました。トータルでいいますと六兆円の増という数字が出ております。逆に言いますと、それでも貸し出しが減っているという状況を見ますと、本当に資本注入がなかったとすればさらに六兆円縮小した、信用が収縮したという結果になるわけであります。
 それは、先ほど私が申し上げた貸し渋りの原因であるBIS基準のクリア、あるいは金融不安による市場からの資金調達の不安、こういったものが発生したかもしれないということなんです。
 したがいまして、そこでの原因としては除去されたということがありますが、仮に今貸し渋り現象がまだ残っているということでありますれば、それはいわゆるマネーセンターバンクでの資産の圧縮の動きなんです。リージョナルバンクの地方銀行とか信用金庫ではむしろ貸し出しはふえております。
#164
○山下芳生君 ちゃんと質問に答えていただきたいんです。私はその二十一行が提出した健全化計画を全部見ました。しかし、その中で貸出増加額を額として明示しているのは六銀行だけです。その中で、中小企業への貸出増加額としてはっきり書いているのは一つの銀行しかありません。そもそも公的資金を注入する際に、中小企業に対する貸出増加額の目標すら書かせていない、書かせていないのに注入する、これでは何の責任も果たせないじゃありませんか。
 私たち日本共産党は、バブルで躍った銀行の経営を救済するために税金を投入する、公的資金を投入するのは全く何の道理もない、反対でした。しかし、皆さんは中小企業の貸し渋りに資するといってこれを強行した。だったら、ちゃんと資するように指導すべきじゃありませんか。目標も決めていない、書かれていないのに、よくぞこれで申請した、承認されたと思いますが、大蔵大臣、どうですか、これ。
#165
○国務大臣(松永光君) 先ほどのどなたかの答弁でも申し上げましたが、これから新しい経済対策をぶっていく上で、金融機関のいわゆる貸し渋り現象があるとするならば、それは景気浮揚上あるいは景気対策を実行する上にとって少なからざるマイナスになる、こう思っております。
 先般も調査をしたわけでありますけれども、これから特に資本注入した銀行を中心にしてさらに調査をして、そして健全な企業、なかんずく中小企業に対する貸し出し態度、きちっと貸し出しするように指導していきたい、こう考えております。
 委員も御承知のとおり、銀行というところは実は預金を預かります。その利息は極めて安い。それを健全な企業に貸して、そして貸す場合には二・五とか三でしょうから、その差額が二とか二・五ある、それがそもそも銀行の収益になるわけでありますから、それをするのが銀行なんです。それをすることがすなわち銀行の社会的な使命、公共性だと思います。それをきちっとやるように指導していきたい、こう考えております。
#166
○山下芳生君 具体的な数字の目標も書かせないで指導なんかできるはずがないですよ。公的資金まで投入しているのに具体的計画すらない、指導もない。無責任ですよ。今、銀行の中でどんなことがやられているのか、認識を改めていただきたい。
 全銀協の会長が、景気がよくならなければ貸し渋りがなくならないと言っているだけじゃないんです。ある大手都銀の四月以降の経営計画というものを私は見せていただきましたけれども、貸し渋りの解消をする、あるいは中小企業向け貸し出しの拡大などということは一言もなかった。あるのは、生き残りをかけた競争、その上で相手企業の格付に基づいて、優良資産は拡充しようじゃないか、低採算先は圧縮しようじゃないか、資金の回収を促進しようじゃないか、こういうことが書いてあるわけです。はっきりしているんですよ。競争に勝ち残るために、今後も中小企業への貸し渋りを、資金回収を続けるということであります。
 これは貴重な公的資金を投入するんですから、総理、お願いした、要請したけれども、貸し渋りは改まっていないわけですから、きちっと指導しなければ、私は国民的に説明がつかないと思いますが、いかがですか。総理、どうですか。
#167
○国務大臣(松永光君) 先ほども申し上げたとおり、健全な活動をしておる中小企業に対して理由なしに貸さない、こういったことがあってはならぬことでありますから、きちっと指導していきたい、こう考えております。
 それと、もう一つ申し上げたいことでありますが、政府としては、中小企業金融公庫とか国民公庫とか商工中金といったいわゆる政府系金融機関に二十五兆の資金を用意して、そして中小企業からの資金需要に対して適切に対応するようにやっております。現に、中小企業金融公庫にしても国民金融公庫にしても、窓口だけで断るんじゃなくして、みんな支店長まで上げて、そして経営指導までして、それできちっと融資をしております。
 もともと政府系金融機関は民間金融機関の補完をするというのが役割でありますけれども、今ではもう積極的に融資を進めていっておりますから、こういう状況下で民間金融機関が健全な企業に対して融資をしなければ、どんどん政府系金融機関にそのシェアをとられてしまって、後で困るのは民間金融機関じゃないか、そうなるかもしれぬぐらいに政府系金融機関はしっかりやっておるんです。
 それからもう一つは、信用保証協会もしっかり保証をするようにやっておりますから、そういったことを通じて今御指摘の貸し渋り対策をしっかりやっていきたい、こう考えております。
#168
○山下芳生君 中小企業の皆さんの実感と大臣の答弁というのは余りにもずれています。
 今、この三月以降四月に入ってからも貸し渋りが悪化している。これまで健全に経営をし、利子も払い、返済もしてきた企業が突然融資を受けられなくなったというのが貸し渋りですよ。それがいまだにふえている。冒頭申しましたけれども、貸し渋りによる倒産が三月に過去最悪になった、公的資金を注入したときに過去最悪の貸し渋りが行われたという事実があるんです。それをさっきから、いやいや、そんなことはない、そういうことをおっしゃる。三月が企業が一番大変なときなんです。そのときに役に立たないんだったら、何のために公的資金を導入するんですか。
 私、きょう持ってまいりましたけれども、この間、東京四区の衆議院の補欠選挙で自民党の候補のまかれたビラです。「中小企業イジメの貸し渋りを、なくさせます。」と一番最初に書いてある。このときに「金融機関の中小企業への貸し渋りを解消するために、まず、公的資金が投入される予定です。この政策により、計算上は二十五兆円の「貸し出し余力」が生まれます」と、こういって宣伝している。
 そして、投入された。しかし、貸し出し増どころか、貸し出しが減った、過去最大、これが事実なんですよ。これでよくも、貸し渋りはない、もしこれを投入しなかったらもっと貸し渋りがあったんだなどと言うのは、私は、もう公的資金を投入する際に国民に説明していたことがまやかしだった、看板に偽りがあったと言わざるを得ませんよ。事実に即してもっと見ていただきたい。
 総理にもう一回お伺いしますけれども、これは通産大臣のお言葉です。三月六日、堀内通産大臣がこう言っておられます。公的資金を投入したからこれで貸し渋りがなくなるなんて思ったら大間違いだと思うんですよと。毅然たる態度で指導していく。これは役所の指導がよいとか悪いとかいうこと以前に、国民の金を入れた以上はしっかり守らせていくようにさせるのが大蔵省の仕事だと。これはお願いじゃないんですよ。行政指導をすべきだというふうに通産大臣も言っている。銀行法はそれだけの権限を大蔵大臣に与えている。
 これはそういう指導をやるべきではないか。業務停止命令もできることになっているんですよ。公的資金を使ったんですから、それぐらいの指導をやらなかったら国民は納得しないんじゃないでしょうか、大蔵大臣、どうですか。
#169
○国務大臣(松永光君) 先ほども申し上げましたように、健全な企業に対して金融機関がいわれなき貸し渋りなどをするということは銀行の公共性、社会性からいって許されることではない。そういったことがないようにきちっと調査をした上、対応していきたい、こう考えております。
#170
○山下芳生君 もう何回聞いてもそのお言葉でしょう。私は、そういうことをやっているということでは国民の皆さんに資本注入の納得は絶対していただけないと思いますよ、行政指導もまともにやらないで。具体的に目標も書かせていないじゃありませんか。大銀行がピンチになったら臨機応変にすぐ公的資金の注入をするけれども、中小企業の貸し渋りがずっと続いている、過去最大が更新されている、しかしそれにはきちっとした行政指導もしない。これでは国民は納得できない。余りにも国民生活や中小企業の苦しみには鈍感だと言わざるを得ません。
 そういう橋本内閣は私は退陣をしていただきたい、そして解散・総選挙で国民に信を問うていただきたい、これが今中小企業からわき起こっている声だというふうに思うわけですよ。
#171
○委員長(岩崎純三君) 時間です。
#172
○山下芳生君 中小企業に対する予算というのは銀行に対する資本注入分のわずか二行分しかない。銀行に何兆円入れるんだったら中小企業の対策費をふやせということを指摘して、終わります。
#173
○委員長(岩崎純三君) 以上で山下芳生君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#174
○委員長(岩崎純三君) 次に、都築譲君の質疑を行います。都築譲君。
#175
○都築譲君 自由党の都築譲でございます。
 久しぶりにまたこの予算委員会で質疑をする時間をいただきました。
 それで、きょうは、今の山下議員も言っておりましたけれども、総理の退陣を求める声が衆参本会議でも、また衆参予算委員会でもほうはいとして起こっておるわけでございまして、それでもなおふてぶてしくというのは大変失礼かもしれませんけれども、総理の座に座り続けておられる総理の経済運営に関する責任からまずぜひ御見解を聞いていきたいと思います。
 四月八日、参議院で予算が可決、成立する日でございましたけれども、そのときに東京の株式市場で総理が辞任するといううわさが流れましたら、株価が二百円も急上昇するというふうな話がございました。また逆に、四月九日、総理が総合経済対策を発表されましたら、今度は前場で株価が二百五十円も急落をする、こんな事態があったようでございます。
 それでも総理は今の経済運営に御自身で責任を持ってやられるおつもりなのかどうか、そこのところをまず簡単にお伺いしたいと思います。
#176
○国務大臣(橋本龍太郎君) 丁寧な御質問をいただきましてありがとうございます。
 責任は自分で果たせるだけ果たしていきたいと思っております。
#177
○都築譲君 責任は自分で果たしていきたいということでございますから、それでは幾つか、どういうふうに総理自身がこの二年間の橋本政権の間で起こった出来事について責任を感じておられるのか、一つ一つ確認をさせていただきたいと思います。
 まず第一点は経済成長でございますが、平成九年度、実は正式な統計は六月ごろにならないと出てこないかもしれませんが、各経済評論家あるいは調査機関等の推計では二十三年ぶりのマイナスになるということはみんな言っておるわけでございます。この二十三年ぶりのマイナス成長、オイルショック以来のマイナス成長でございますが、これについて総理はどう責任を感じておられますか。
#178
○国務大臣(尾身幸次君) 年度が始まる前に立てました九年度の見通しは一・九%でございました。しかしながら、消費税に対応する駆け込み需要、それからまたその反動が年度当初、つまり昨年の四月―六月にかなりございまして、七月―九月にはやや回復基調に戻りましたものの、秋口からアジア経済の困難あるいは金融機関の破綻等がございまして、非常に経済の先行きに対する消費者あるいは企業のマインドが低下をいたしました。
 そういうことを背景として経済が非常に厳しい状況になりまして、昨年の十二月につくりました見通しは〇・一%ということになっておりますが、その後も非常に厳しい状況が続いております。最終的にどういう段階になるかわかりませんし、私どもとしては必ずしも楽観はしておりませんが、現段階で二十三年ぶりのマイナスになるかどうかということについては何とも言えないところでございます。
#179
○都築譲君 客観的な見通しなどを言っていただきましたが、総理自身、一・九%の見通しと言いながら、それこそ〇・一かあるいはマイナスか、こんな状況に落ち込んでいるわけで、その原因は去年の消費税引き上げ、特別減税の廃止、それから医療費の引き上げ、こういった九兆円もの増税、デフレ予算を組んだことにあるわけでありまして、その原因をつくった総理自身の責任を簡単に言っていただけますか。
#180
○国務大臣(橋本龍太郎君) 簡単にと言われましたが、それぞれ論議のある部分であります。
 消費税率の引き上げを問題とされる。私はそれが影響がなかったなんて申し上げておりません。今、経済企画庁長官も申し上げましたように、確かに一―三を見ましたとき、反動の駆け込み需要は私どもの予想を超えておりました。
#181
○都築譲君 そんな答弁は要らない。感じているのか感じていないのか。
#182
○国務大臣(橋本龍太郎君) いや、その結果として四―六の落ち込みも私どもの予想を超えておりました。しかし、七―九は消費がプラスに転じておりましたことも事実であります。
 そして同時に、その消費税率の二%、そのうちには一%の地方分を含んでおりますけれども、それは先行していた所得税・住民税減税に見合うものであったことも、言いかえればそれだけ先行していた減税の効果というものも抜きにしては私は語れないものだと思います。
 同時に、社会保障制度全体を考えますとき、国民の給付と負担、将来にわたるバランスを考えていく中で、社会保障全体をきちんと組み立てていかなければなりません。その中で、医療保険制度の財政的に非常に厳しい中を、抜本改正に向けてのステップを通りました。これが影響がなかったとは、これも申し上げておりません。
 ただその上で、アジアの……
#183
○都築譲君 いや、委員長、そんなことは聞いておりません。
#184
○委員長(岩崎純三君) 答弁中です。
#185
○国務大臣(橋本龍太郎君) アジアの金融破綻というものを私どもが予測できていなかった、あるいはその後、大型金融機関の破綻というものを予測していなかったという責任を問われれば、これは私はそういうものを予測しておりませんでしたと申し上げます。
#186
○都築譲君 失礼しました。質問時間が大変限られておりますので、答弁は手短にお願いしたいと思います。
 そして、総理が今言われたような背景説明は、もう既に去年の参議院の予算委員会でも繰り返し各野党から──バブルがはじけて、九六年は景気がようやく立ち上がりかけたわけですよ。三・二%成長になったわけですよ。それに対して、こんな水を浴びせるような予算はだめだと、こういうことを言って、それでも強行してきたのが橋本政権じゃないんですか。だから、その責任を聞いたわけです。消費が落ち込むというのはとっくにもうお見通しのはずだったわけですよ。立ち上がるなんという見通しの誤りもあったわけですよ。
 その話はもうやめましょう、それは水かけ論になりますから。
 それで、じゃ今度は、同じような話ですが、失業率が三・六%、戦後最悪になったという話がある。二百四十六万人という戦後最高の失業者数になったという話がある。有効求人倍率は〇・六一倍、毎月毎月下がり続けて、連続七カ月低下している。こういう労働市場にしてしまった、大変厳しい失業者があふれているような状況にした責任はどう感じておられるのか、感じていないのか、それだけ端的に答えてください。
#187
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は一点だけ補足させていただきます。
 議員は七―九は消費がプラスに転じていたということにお触れになりません。昨年の場合、それは事実であります。
 それから、雇用情勢に対して御指摘がございました。私どもはこれは本当に深刻に受けとめています。そして、この問題は二つに分かれます。若年の部分における有効……
#188
○都築譲君 それはいいです。
#189
○国務大臣(橋本龍太郎君) いや、申しわけない。あなたはプロですけれども、これはきちんと言わせてください。
 有効求人倍率と失業者数を見ましたとき、若年者の部分についてはむしろ有効求人倍率は比較的きちんとしたものがあります。言いかえれば、自分の選びたい職業につけなかったという部分が相当程度の原因を占めております。しかし、中高年齢層の場合、これは本当に深刻でありまして、むしろ私どもが人材派遣等をもっと有効に活用できないのかということを申しながら、苦慮し対策を講じ、労働省をお呼びいただければわかることですけれども、今労働省はこの問題について真正面から取り組もうとしております。
#190
○都築譲君 責任は感じていないという理解でよろしいですね。深刻に受けとめているということですか。感じているんですか。
#191
○国務大臣(橋本龍太郎君) 感じた上で、悩んでおればこそ苦慮という言葉を用い、そして政府としての取り組みについての実情を申し上げました。
 労働省をお呼びになって細かいことをお聞きいただければ、どういう対応をしようとしているか、産業界あるいは労働界とも連絡をとりながら対応しようとしているかをお聞きいただけると思います。
#192
○都築譲君 それでは次の点は、公的資金三十兆円の話が前からも出ておりますが、二年前、住専で六千八百五十億円の税金投入、あのときに野党が、私ども新進党でありましたけれども、六千八百五十億円も税金を投入するのであれば四つ、すなわち情報をまず徹底的に公開しろ、なぜそんなに公的なお金がかかるんだ、二つ目がそういう事態を招いた責任者の徹底的な追及を行う、三つ目が金融機関が破綻したときの処理の仕組みをしっかりつくれ、四つ目が何といっても原因はバブルがはじけてからの不良債権の存在が余りにも大き過ぎるから不良債権回収の仕組みとしてアメリカに倣って日本版のRTCをつくれと、こういうことを言いました。
 ところが、六千八百五十億円の予算を強行して、結局可決してしまった。そうしたら、もうのど元過ぎたら熱さを忘れてしまって、二年たったら三十兆円も公的資金がかかるような話になってしまった。四十倍ですよ。
 こういうことになってしまった責任はどうお感じになっていますか。
#193
○国務大臣(橋本龍太郎君) 整理回収銀行並びに預金保険機構等がそれぞれに今その役割を果たしつつあります。
 また、今公的資金は確かに私どもは政府保証三十兆という枠を用意し、一方では預金者の保護に全力を挙げられるように、そして一方は金融機関の安定性を確保するためにフレームを用意いたしました。そのうちで約二兆弱が安定化策として今使われておるということを先ほど大蔵大臣も申したとおりであります。
#194
○都築譲君 私は責任を感じているのか感じていないのかということを聞いているんです。どういう対策を打ったかという話じゃないんです。現実に三十兆円もかかるようになってしまった話はどうするんですか。責任をお感じになっているんですか、感じていないんですか。
#195
○国務大臣(橋本龍太郎君) 国民に余分な御心配をかけないでも、あなたの預金は必ず完全に保護されますということを申し上げられる仕組みをつくりました。そして、我が国の金融システムが安定していくような対策をとってまいりました。これは一つの政策判断としての責任の果たし方であろうと思います。
#196
○都築譲君 それは責任は少しは感じているということでそういう対策をとっている、こういうことですね。
 それから次は、財政再建ということで去年は九兆円を増税と増保険料あるいは医療費引き上げでしたけれどもやったと。結局、九年度末では二百五十四兆円の国債累積残高になる予定だったわけです。ところが、では平成十年度は幾らになるか。この間予算が成立しましたけれども、二百七十九兆円ですよ。二十五兆円もふえている。新規国債は幾ら発行したか。約十五兆六千億円です。何でそんなに十兆円も余分に国債累積残高がふえたのか。
 財政再建はどこに行ったんですか。その責任を感じていますか。どうでしょうか。
#197
○国務大臣(橋本龍太郎君) どう申し上げたらおわかりいただけるのかと思いますけれども、一遍で国債を全部廃止ができるような国の財政状況でないことは御理解が十分いただけることだと思います。
 その中で、年初御審議をいただきました特別減税等々あるいは政策減税等をいたしまして、当初機械的に計算をいたしました発行額までは達しませんでしたが、一定の国債縮減を前年に対していたしたことは議員がよく御承知のとおりであります。
 私どもは財政再建と言いましたが、国債をゼロにできるなどと申し上げたことはないはずであります。その上で、この緊急的な対応として財革法に弾力条項を入れることを、御質問がある前に私から申し上げておきますけれども、こうしてその路線を守りながらも緊急避難をしようといたしております。
#198
○都築譲君 財革法の話は聞く予定はなかったんです。
 あと、この間聞きました一兆四千億円、年金福祉事業団の自主運用、株式、公的資金注入で株価操作を行ったというふうな話があるんじゃないか、こういうことで一兆四千億円、保険料にしたら幾らになるかという話です。二十万円の月給の人だったら、今聞いてもいいんですけれども時間がかかりますから、約五百四十万人分の保険料をパアにしてしまったと。ここら辺の責任もぜひお聞きをしたかったわけであります。
 ただ、今の総理の答弁を聞いておりまして、責任があるのかないのかはっきりしない。何かたくさんの説明を御丁寧にやっていただけるけれども、国民の皆さんはそんなのじゃはっきりわからないわけですよ。責任を感じるんだったら責任のとり方があるでしょう。責任を感じていないから責任をとっていないんじゃないんですか。いかがですか。
#199
○国務大臣(小泉純一郎君) 年金福祉事業団で株価操作したというような話がありますが、年金資金を株価操作に使ったことはありません。誤解のないようにお願いします。
#200
○都築譲君 そんなことは最近の雑誌のアエラとかスパとか、あるいは経済誌にもたくさん出ておりますから、ぜひそれは小泉厚生大臣もごらんください。
 それで、総理として本当に今までこれだけの多くの問題を巻き起こしてきたわけです、橋本さんが総理にいることでです。これについて、御自分としてはこれからどういうふうに対処されようとしているんですか。責任をとってやめろという声がいろいろ起こっておりますけれども、それに対してどうお答えになるんですか。
#201
○国務大臣(橋本龍太郎君) 議員からは不正規発言も含めてしばしばやめろと言われております。そして、私は責任を……(発言する者あり)
#202
○委員長(岩崎純三君) お静かに願います。
#203
○国務大臣(橋本龍太郎君) 当然のことながら毎日毎日痛感をしながら仕事をいたしております。
#204
○都築譲君 まだ幾つか聞きたかったんですが、もう時間が来ましたので。
 以前、この予算委員会だったと思いますが、自民党の議員の質問に対して参議院選挙で信を問うというふうに答弁されたというお話があったと思います。選挙というのはこれから将来に向けての公約を掲げてやる。ただ、そのときはみんなバラ色のものを掲げるのが通例で、だからこそ政治不信が招かれるのかもしれません。そういうことをやられるんだったら、橋本総理は、自分はこれだけの失政を犯しました、戦後二十三年ぶりのマイナス成長、最悪の失業率、あるいはまた中小企業の倒産件数も戦後最悪の一万七千件、負債総額十五兆円、こんなものを全部公約に掲げて、これでもお許しいただけますかという選挙戦をぜひやっていただきたい、このように思います。
 そしてあと、先ほど剣道のお話が出ておりましたので、ぜひお伺いをしたいのは、剣道の試合というのは、聞くところでは審判の専門の方がおられてその方が判定をされる、そして三本勝負だ、こういうことだろうと思うんです。
 今までのマイナス成長とか最悪の失業率とかと聞いておりますと、どうも小手、面、胴の三本どころかぼこぼこに打ち込まれてしまっているんじゃないか。それでもなぜ選手として国政の課題と取り組まなきゃいけないのか。よくよくあたりを見回してみたら専門の審判員がいない、だから観衆がそれを応援するかどうかを判断する、これで勝っているか負けるか判断する。
 ところが、自分のチームの皆さん方が観衆のところに行って剣の切っ先を突きつけて、応援しないとひどい目に遭うぞ、報復予算だとかそんな話をやっているとか、あるいは言うことを聞いてくれたらもっと利益を持ってこようとか、どうもそんな話をやっているんじゃないか。それではとてもではないけれどもまともな政治にならない。そんなのに嫌気が差して観衆も出ていってしまって無関心になっている。
 だからこそ、本当に自分として日本の政治運営に対して責任が持てないんだったら、みずからその進退を明らかにするぐらいのことを、そして剣道の精神の潔癖性、そういったものをしっかりと発揚していただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#205
○委員長(岩崎純三君) 端的に発言願います。
#206
○都築譲君 いや、答弁は求めていないです。結構です。
#207
○国務大臣(橋本龍太郎君) いや、今、委員長から指名されましたので。
 少なくとも前回の衆議院選において……(発言する者多し)
#208
○委員長(岩崎純三君) お静かに願います。
#209
○国務大臣(橋本龍太郎君) 前回の衆議院選において、私は消費税率を引き上げさせていただきたいと申し上げて選挙を戦ってまいりました。この点だけは申し上げておきます。
#210
○都築譲君 時間が来ていますが、今言われましたので、一言。
 こういう不公正な議事運営、私は答弁は求めておりません。そういった中でなぜあえて総理大臣の答弁を指名するのか。そういったこと自体がおかしいのではないかと思いますので、ぜひ公正な運営をこれからやるように求めて、私の質問を終わります。
#211
○委員長(岩崎純三君) 了解いたしました。
 お静かに願います。
 以上で都築譲君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#212
○委員長(岩崎純三君) 次に、西川きよし君の質疑を行います。西川きよし君。
#213
○西川きよし君 よろしくお願いいたします。
 私は、政党に属さない、もちろん与党の一人でもございませんが、首班指名、総理大臣を決めるときの投票に橋本龍太郎と書かせていただきました。
 それは十二年前にさかのぼりますが、初めて国会に参りましてこの議事堂の中の廊下で声をかけていただきました。選挙のニュースを見せていただきました、西川さんは福祉をやりたいそうですね、それもお年寄りの福祉に重点を置いてと声をかけていただきまして、もし私で力になれることがあればどうぞ何なりと声をかけてくださいというお言葉をいただいて、私はあれから総理を信じて、尊敬をして今日まで一生懸命頑張ってまいりました。どなたにであれ本当に差のない御答弁をいただいている、私はそういうふうに思っております。
 でも、今回のこの総理の政策転換には少し驚きました。
 それで、ここでひとつ、総理に以前プレゼントしていただきました「福祉の原点と未来」という本がここにありますが、西川へということで橋本龍太郎というサインもいただきました。ありがとうございました。
 少し「私の失敗」というところを読ませていただきたいと思います。総理が学生時代のことでございますが、
 ある障害児施設でお手伝いをしたことがあります。
  歩行訓練をする、平行棒につかまってようやく立ち上がる。立ち上がるのも必死、なかなかそのお子さんが手を離さない。やっと手を離すとぱたんと倒れる。実は最初私はそのお子さんに手を貸して立たせてしまいました。あとで施設長さんにきついご注意をいただきました。
 「あなたのやったことはあの子のリハビリを遅らせる以外の何物でもない。あの子がじれていやになって、リハビリを止めてしまわないように言葉で励まし、一緒に言葉で励まし、しかし絶対手を貸さないで、そのお子さんがもう一回肋木にすがって体を起こすように、そしてその肋木から勇気を奮い起こして手を離すまで言葉で励ましながら、絶対に手を貸さない、それがあなたの役割なんだ。」
 「手を貸してしまって、起こしてしまえば、君はそこでいいことをしたと思うかも知れないけれども、君が受け持ったお子さんのリハビリはそれだけ遅れるんですよ。」
  頭をほんとうにがつんとやられたように気がしました。帰ってその話を父親にしました。当たり前だといって、私は大目玉を喰いました。しかし往々にして一生懸命に立ち上がる訓練をしているお子さんに手を貸して立たせてしまって、それが福祉だと思っている社会が多いんではないでしょうか。
というところを読ませていただきました。
 なぜ読ませていただいたかと申しますと、今回のことに僕は相通ずるのではないかと思います。「手を貸してしまって、起こしてしまえば、君はそこでいいことをしたと思うかも知れないけれども、君が受け持ったお子さんのリハビリはそれだけ遅れるんですよ。」。つまり、財政構造改革の推進には痛みが伴うけれども、その痛みは覚悟した上で何としても改革を進めていかなければならない、でなければこの国のあすはないと総理はおっしゃいました。
 その言葉のとおりに、既に痛みを感じている方がたくさん全国にはいらっしゃいます。病院の治療費、薬代が上がったために病院に行くことをちゅうちょするお年寄り、あるいは慢性の病気の公費負担が打ち切られる、そういう不安を持つ子供さん、御家族の方々、その方々に対してこのテレビを通して、総理大臣、もう一度御説明をしてあげてください。
#214
○国務大臣(橋本龍太郎君) かつて差し上げた本を今も大事にしていただいたこと自体私は本当にうれしく、しかもその引用していた部分、私自身に思い入れの深いことでありますだけに、それを引用しての御質問を私は大変厳しいものとして伺いました。そして、財政構造改革というものに取り組む以上それだけの苦しさというのはわかっていたんじゃないのか、頑張り通すべきではないのか、でないとすれば国民に対して何か言うべきことがあるはずだという御指摘は私は素直に受けとめたいと思います。
 そして、確かにことしに入ってまいりましてから実質的な数字がいろいろな原因──これを申し上げるとよくしかられるんですけれども、アジアの通貨危機の影響、特にインドネシアの状況というのは随分響きました。あるいは金融機関の貸し渋りというものが厳しい状況で多くの方々を悩ませてきました。そういう中で、あくまでも緊急避難として何らかの対応をしなければならないのではないだろうか。対応するとすれば相当程度に思い切った対応をして、これで一つの中身をお見せすることで皆さんが安心していただけるだけの、あるいは安心まではいかないかもしれませんけれども、これだけの努力をして景気を立て直そうとしています、だからお願いしますと言えるだけの中身をつくらなきゃならないんじゃないだろうか、そう思い、記者会見をいたしました。
 そして、そのためには財革法自体に、基本線は動かさなくても、弾力条項を入れることを最低限決断、あるいは最高限かもしれません、それだけの修正を加えることを覚悟しなければならないと思います。それをすべて記者会見で国民の前に私は素直に申し上げて、その上で今どういう形が望ましいのか議論を財政構造改革会議でいたしております。
 自分のできる限りの責任を果たしていきたいと考えておりますし、手をかさなければけがをする場合はやはり手はかさざるを得ない。先ほどの引用でありましても、実はそこにはマットが敷いてありました。床にじかにぶつかってけがをすることはありませんでした。同じ例をとるようでありますけれども、マットがなかったらけがをします。そのときにはやっぱり手を出さなきゃならぬと思います。今そんな時期にある、私はそう思うんです。
#215
○西川きよし君 実にわかりやすく御説明はしていただいたんですけれども、先ほども質問させていただいたとおり、全国には痛みで苦しくてという方々がたくさんいらっしゃるんですけれども、ここへ来てやっぱり皆さん本当にびっくりなさっておられると思うんです。総理がおっしゃったのも、建設国債とか、借金をふやして増発する、そして今我々は減税していただいても後々の子供たちやお孫さんたちに課税されて大変な負担、そういうことはなるべくやめようということがお約束でございましたし、直接的には子供や孫の負担はどうなるのかと。いろいろと御質問をしたいんですけれども時間がございませんので、もう最後の質問にさせていただきます。
 私は、政党に属さない議員として声なき声をできるだけ国政の場へお届けするということで、たくさんの皆さん方に本当にまじめに御相談に参っております、各省庁も議員の皆さんもそうですけれども。せんだっても京都からいただいた便せん二枚が、百六億円という、床面積のことでお願いをいたしたんですけれども、総理大臣が、また閣僚の皆さん方が検討する、やりますと言ったことは本当にやってくださるということはここで証明をさせていただきますけれども、前向きにとか善処するとか可及的速やかにと言ったときには本当にお約束は守っていただけないというのが当然でございます。
 そして、私が言いたいのは、例えば参議院では与党以外では私一人でございましたが、予算案にも私は賛成をさせていただきました、その百六億円ということもございますし。でも、これはこの国会という中では本当に勇気の要ることでございます。いろんなところでいろんなことを言われます。
 ですから、総理が、一国の代表者が約束したということは、それはもう今御説明していただいて本当によくわかりますけれども、それなら僕はまた政治家として、男として、本当に全国の皆さんに信を問うというようなこともひとつお考えしなければ政治家としてもいけないのではないかなと思います。政治の空白はだめだと総理はおっしゃいますけれども、そのあたり御答弁をいただいて、終わりたいと思います。
 私はまた一人で、毎回一人の選挙でございますが、できれば、延びるのか、衆参同日選挙があるのか、そんなこともおしゃべりいただけたらと思うんですが、よければ教えてください。これはまじめに質問をいたしております。
#216
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は本当に今政治的な空白をつくることができるだろうか、本気でそう思います。
 ここしばらくの、例えば国際的なことだけでも考えてください。松永大蔵大臣がG7に本当に会議の時間だけ、そして後のIMFの暫定委あるいは二十二カ国蔵相会議等を欠席して国会に戻ってまいりましたことに、例えばけさのニュースの中では、なぜずっといなかったのかという批判も出ておりました。会議に参加しているべきだという批判です。あるいは国内のこの経済情勢の中でなぜ海外に行くんだという論評も前にございました。それぞれいろいろな御意見はありますけれども、やはり出るべき場所、国際会議で日本は日本としての発言権を確保していかなければなりません。そうしたこともまだまだ私どもの背中にのしかかっております。
 国内の経済運営一つをとりましても、逆にこれは議員の御意見に逆らうかもしれませんけれども、私どもは補正予算をも、あるいは財革法改正をも、そして税法をも、その会見で申し上げたことを現実のものとして国民にお届けするためには御審議を願わなければならないかもしれません。
 私は、本当に今政治的な空白はつくれない、真剣にそう思っています。
#217
○委員長(岩崎純三君) 以上で西川きよし君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#218
○委員長(岩崎純三君) 次に、山口哲夫君の質疑を行います。山口哲夫君。
#219
○山口哲夫君 新社会党の山口哲夫です。
 まず、総理にお伺いいたします。
 日本列島は今まさに春であります。しかし、残念ながら庶民の生活はまだまだ冬の季節が続くのではないかと思います。それはもう申すまでもなく、消費税が大幅に上げられ、医療費が上げられ、九兆円の国民負担を強いられたからであります。
 しかも、さらにこれから医療制度の大改革が行われようとしております。その一つは、今度は大病院にかかれば本人負担が五割になるという話であります。そしてもう一つは、高齢者専門の健康保険組合までつくろうという動きもあります。いずれをとってもこれは国民負担の増加になります。したがって、庶民の生活は先行きますます不安になってくるのではないでしょうか。だから、私は所得税を減税いたしましても貯金に回っていくんじゃないかと思うのです。
 今手元に、貯蓄広報中央委員会、日銀に事務局がある組織ですけれども、日本人はなぜ貯蓄をするんでしょうかというアンケートの結果があります。まず第一は、病気や不時の災害へ備えてというのが六九・一%で第一位です。第二位は老後の生活資金というのが五三・二%。第三位が子供の教育資金で三一・八%です。
 しかし、考えてみたら、これはいずれも政府が社会保障政策をしっかりやっていればこんな数字にはならないのでないか、私はそんなふうに思っております。
 そこで、減税が貯蓄に回るのではなくして消費に回るようにするためにはどうするかといえば、やはり消費税率をまず三%に下げる、そして食料品については非課税にする、これが私は必要だと思います。それを中心とした十兆円の大幅減税をやるというのが新社会党の政策でもあります。アメリカ側からまで消費税を減税するべきだという声がありました。私はこれはそれなりに理論的な根拠があってのことだと思います。
 この私たちの十兆円減税に対する考えを総理にまず第一問としてお聞きします。
 第二問は、これは大蔵大臣になるんでしょうか、先ほどもありましたように、政府は銀行などに三十兆円の公費支援を行いました。三月には一部地銀を含めて大手銀行二十一行へ一兆八千億円を銀行の貸し渋り解消、そして自己資本の強化策で投入いたしました。しかし、貸し渋りは一向に減っていないのが実態であります。
 日本銀行が十五日に発表したところによりますと、総貸出残高は五百二十六兆円、銀行全体でも一・六%減と過去最大の減少となって、銀行の貸し渋り傾向が一段と鮮明になっていると言われております。そして、もう一つの新聞によりますと、四月以降も貸し渋りは好転の兆しが全く見えていない、こうも言われております。
 その結果、一体どうなってきたかといえば、一九九七年度の倒産件数は前年度より一七%増の一万七千四百三十九件、十二年ぶりの高水準になったわけであります。銀行の貸し渋りの影響が広がったと見られている、こう言っております。失業者は三・六%、二百四十六万人、これは統計が始まってから最悪の数字であります。これほど公費を投入いたしましても、貸し渋りが減らないどころか、まだ期限が来ていないのに早く返してもらいたいという銀行まであらわれている始末であります。
 一体、大蔵省は何を指導していたんでしょうか。これはもう銀行と大蔵官僚が酒ばかり飲んでいるからこんなことになるのではないかという声が出てくるのではないかと思います。もっとしっかりした指導をしてもらわなければ庶民はたまったものではない、私はそう思いますけれども、これは大蔵大臣にお答えをいただきます。
 最後に、日銀に質問をいたします。
 超低金利政策で庶民がどれほど泣いているか、私は日銀の皆さんは御存じないんじゃないかと思います。特に年金生活者に至ってはもう大変なことでございます。
 一方、銀行はどうかといえば、何と大手六行だけで九五年度で二兆六千億円の業務純益であります。九六年度も二兆二千億円の業務純益を上げているわけであります。これは預金者の預金利率が大変低いものですから、その利子が減った分だけそっくり銀行の利益に移ってしまったと言っても決して過言ではない、私はこう言わざるを得ません。
 年金生活者にしてみたら、せっかく退職金を積んでおいて、その利子で一年に一回くらい旅行でもしたいなと思っていても、それさえ全然できないという希望のない生活になっております。ましてや生活費にそれを充てることさえできなくなってきた。それが実態であります。
 そこで、もし仮に一%公定歩合を上げますと、個人の預貯金総額は六百兆と言われておりますから、それだけで六兆円の新しい利子が生まれるということになるわけであります。先ほど日銀の副総裁は、しかし一方では設備投資とか住宅ローンに影響が出てくるとおっしゃっておりました。しかし、そういうものは個別の政策で救済しようと思えばできるわけでありまして、それとこの低金利政策をごっちゃにされては困ると思います。
 この際、やはり公定歩合を上げて、我が国の景気対策をしっかりやることを今考えるべき時期に来ているのではないかと思いますけれども、以上三つの質問に対してお答えをいただきたいと思います。
#220
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私には消費税率五%を三%に下げろというお話でありました。しかし、これは御承知のように、先行しております所得税、個人住民税の恒久減税などと見合うものとして実施をいたしました。そして、これは高齢・少子社会というものを見据えた税制改革であり、これを三%に戻すという考えはございません。
 また、飲食料品の非課税問題、これは従来からいろいろ御議論がありましたことでありますが、問題の多い方法であり、慎重に検討せざるを得ないと思います。
#221
○国務大臣(松永光君) 私に対する質問は二点あったかと思います。
 一つは、アメリカが日本の消費税を下げろということを言ったとか言わなかったとかという問題でございます。日本の新聞にはルービン長官が言ったようなことが出ておりましたけれども、これはそういうことはなかったというのが事実のようであります。なお、G7の会議ではそういったことはございませんでした。
 けだし、日本の消費税は五%、うち一%は地方でございます。アメリカは八・二五%でございますから、下げろということが出ることはあり得ないことだというふうに思います。
 それから、銀行関係の公的資金のことでございますが、委員御存じのとおり、十七兆円は金融機関が万が一破綻した場合に預金者保護のためにどんと用意してある金でございまして、これは銀行救済のための金ではございません。預金者を完全に守るためにどんと用意しているものでございます。
 金融システムを安定させ、強化するための分は十三兆でございますが、このうち二兆弱をもって、申請した金融機関の自己資本を充実するために資本注入をいたしました。それをしたけれどもそれほど貸出量がふえないじゃないかという御指摘でございますが、この点につきましては景気対策上も問題である、こういうふうに思いますので、これからさらに関係金融機関等から事情を聴取した上で、健全なる事業者に対していわれなく貸し出しをしないとか、取り立てをするとか、そういったことがないように適切かつ厳しく指導したい、こう考えております。
#222
○参考人(山口泰君) 公定歩合引き上げによる景気の回復促進はどうかという御質問でございますけれども、先生御指摘のような低金利のいわばマイナス面については私どもも重々頭の中に入れておるつもりでございます。
 ただ、景気が自律的な回復軌道に乗る前に金利を政策的に引き上げることにつきましては、やはり危険が大きいのではないかというふうに考えております。金利に敏感な投資あるいは支出、あるいは資産価額といったものが、この局面で金利を上げた場合にはやはりかなり悪くなる可能性があるわけでございまして、そういうことがいずれは個人の所得にも悪い影響となってはね返っていくことを心配するからでございます。
#223
○山口哲夫君 時間ですので、終わります。
#224
○委員長(岩崎純三君) 以上で山口哲夫君の質疑は終了いたしました。
 これにて経済問題に関する集中審議は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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