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#1
第142回国会 予算委員会 第21号
平成十年六月十七日(水曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十六日
    辞任         補欠選任
     片山虎之助君     沓掛 哲男君
     上吉原一天君     金田 勝年君
     大脇 雅子君     及川 一夫君
     志苫  裕君     田  英夫君
     吉川 春子君     阿部 幸代君
 六月十七日
    辞任         補欠選任
     佐々木 満君     保坂 三蔵君
     魚住裕一郎君     益田 洋介君
     泉  信也君     田村 秀昭君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         岩崎 純三君
    理 事
                岡部 三郎君
                小山 孝雄君
                佐藤 泰三君
                永田 良雄君
                成瀬 守重君
                伊藤 基隆君
                小山 峰男君
                風間  昶君
                照屋 寛徳君
    委 員
                阿部 正俊君
                石井 道子君
                板垣  正君
               大河原太一郎君
                大野つや子君
                金田 勝年君
                北岡 秀二君
                沓掛 哲男君
                田沢 智治君
                武見 敬三君
                谷川 秀善君
                南野知惠子君
                長谷川道郎君
                平田 耕一君
                保坂 三蔵君
                依田 智治君
                朝日 俊弘君
                久保  亘君
                小林  元君
                平田 健二君
                和田 洋子君
                魚住裕一郎君
                牛嶋  正君
                加藤 修一君
                高野 博師君
                益田 洋介君
                及川 一夫君
               日下部禧代子君
                田  英夫君
                阿部 幸代君
                笠井  亮君
                須藤美也子君
                田村 秀昭君
                星野 朋市君
                西川きよし君
                栗原 君子君
   国務大臣
       内閣総理大臣   橋本龍太郎君
       法務大臣     下稲葉耕吉君
       外務大臣     小渕 恵三君
       大蔵大臣     松永  光君
       文部大臣     町村 信孝君
       厚生大臣     小泉純一郎君
       農林水産大臣   島村 宜伸君
       通商産業大臣   堀内 光雄君
       運輸大臣     藤井 孝男君
       郵政大臣     自見庄三郎君
       労働大臣     伊吹 文明君
       建設大臣     瓦   力君
       自治大臣
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)    上杉 光弘君
       国務大臣
       (内閣官房長官) 村岡 兼造君
       国務大臣
       (総務庁長官)  小里 貞利君
       国務大臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       鈴木 宗男君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  久間 章生君
       国務大臣
       (経済企画庁長
       官)       尾身 幸次君
       国務大臣
       (科学技術庁長
       官)       谷垣 禎一君
       国務大臣
       (環境庁長官)  大木  浩君
       国務大臣
       (国土庁長官)  亀井 久興君
   政府委員
       内閣審議官    坂野 泰治君
       内閣法制局長官  大森 政輔君
       内閣法制局第一
       部長       秋山  收君
       防衛庁長官官房
       長        大越 康弘君
       防衛庁防衛局長  佐藤  謙君
       防衛施設庁長官  萩  次郎君
       防衛施設庁総務
       部長       西村 市郎君
       防衛施設庁施設
       部長       首藤 新悟君
       経済企画庁調整
       局長       塩谷 隆英君
       経済企画庁総合
       計画局長     中名生 隆君
       経済企画庁調査
       局長       新保 生二君
       科学技術庁長官
       官房長      沖村 憲樹君
       科学技術庁科学
       技術政策局長   近藤 隆彦君
       環境庁企画調整
       局長       岡田 康彦君
       環境庁大気保全
       局長       野村  瞭君
       環境庁水質保全
       局長       渡辺 好明君
       法務省刑事局長  原田 明夫君
       法務省矯正局長  坂井 一郎君
       外務大臣官房長  浦部 和好君
       外務省総合外交
       政策局軍備管理
       ・科学審議官   阿部 信泰君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     上田 秀明君
       外務省アジア局
       長        阿南 惟茂君
       外務省北米局長  高野 紀元君
       外務省欧亜局長  西村 六善君
       外務省経済協力
       局長       大島 賢三君
       外務省条約局長  竹内 行夫君
       大蔵省主計局長  涌井 洋治君
       大蔵省主税局長  尾原 榮夫君
       大蔵省証券局長
       心得       山本  晃君
       大蔵省銀行局長  山口 公生君
       大蔵省国際金融
       局長       黒田 東彦君
       文部大臣官房長  小野 元之君
       文部省初等中等
       教育局長     辻村 哲夫君
       文部省学術国際
       局長       雨宮  忠君
       厚生省生活衛生
       局長       小野 昭雄君
       厚生省児童家庭
       局長       横田 吉男君
       農林水産大臣官
       房長       堤  英隆君
       農林水産省経済
       局長       熊澤 英昭君
       農林水産省構造
       改善局長     山本  徹君
       農林水産省農産
       園芸局長     高木  賢君
       食糧庁長官    高木 勇樹君
       水産庁長官    嶌田 道夫君
       運輸省港湾局長  木本 英明君
       運輸省航空局長  楠木 行雄君
       労働大臣官房長  渡邊  信君
       建設大臣官房長  小野 邦久君
       建設大臣官房総
       務審議官     小鷲  茂君
       建設省建設経済
       局長       五十嵐健之君
       建設省都市局長  木下 博夫君
       建設省河川局長  尾田 栄章君
       建設省道路局長  佐藤 信彦君
       自治大臣官房総
       務審議官     香山 充弘君
       自治省行政局公
       務員部長     芳山 達郎君
       自治省財政局長  二橋 正弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮本 武夫君
   参考人
       日本銀行総裁   速水  優君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○平成十年度一般会計補正予算(第1号)(内閣
 提出、衆議院送付)
○平成十年度特別会計補正予算(特第1号)(内
 閣提出、衆議院送付)
○平成十年度政府関係機関補正予算(機第1号)
 (内閣提出、衆議院送付)
○継続調査要求に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(岩崎純三君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 この際、御報告いたします。
 昨日の栗原委員の発言の中に、先般当委員会に御出席をいただいた参考人を誹謗中傷する部分があるとの指摘を受け、理事会において速記録を調査の上、協議いたしました結果、不穏当な言辞があったと認められましたので、当該部分の発言を取り消し、議事録から削除することといたしました。
 委員の発言につきましては、院の品位、委員会の権威を汚すことのないよう御注意願いたいと存じます。
    ─────────────
#3
○委員長(岩崎純三君) 平成十年度補正予算三案についての理事会決定事項について御報告いたします。
 本日の総括質疑の割り当て時間は百分とすること、各会派への割り当て時間は、民主党・新緑風会三十分、公明二十二分、社会民主党・護憲連合十八分、日本共産党十三分、自由党九分、二院クラブ四分、新社会党・平和連合四分とすること、質疑順位につきましてはお手元に配付いたしておりますとおりでございます。
    ─────────────
#4
○委員長(岩崎純三君) 平成十年度一般会計補正予算(第1号)、平成十年度特別会計補正予算(特第1号)、平成十年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。
 昨日に引き続き、質疑を行います。小林元君。
#5
○小林元君 民主党・新緑風会の小林元でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 平成九年に財革法の審議があったわけでございますが、それに基づいて平成十年度の当初予算、デフレ予算が組まれました。予想外の消費、需要の冷え込み、あるいはアジアの通貨危機という中で九年度の補正が組まれました。二億円の特別減税を盛り込んだわけでございますが、十年度の審議の際に総理から、何度も繰り返し、十年度予算の早期審議、早期成立というようなお話がありまして、それが最大の景気対策であるということだったわけでございます。そういう中でも、野党ばかりではなくて、政府・与党内部でもやはりさらなる景気対策が必要であるというようなことで、今回の経済対策といいますか補正予算の編成、審議ということになったと思いますが、その時点での景気の判断、見通しについて。
 そして、今回の平成十年度の補正予算の審議が衆議院で始まったわけでございますが、そういう中で、株安あるいは円安、そしてまた債券安というようなこともあり、さらにそういう日本の動きの中で、アジアの通貨問題のさらなる不安、そしてまたアメリカの株も下がっているというような状況が続いております。昨日の為替相場では乱高下というようなこともありましたけれども、いずれにしましても、大変先行きに不安があるのではないかと思いますが、その辺の御認識について、改めて総理からお伺いしたいと思います。
#6
○国務大臣(橋本龍太郎君) 昨年夏以降、我が国経済を振り返りましたとき、アジア通貨の不安、金融市場の混乱、そして昨年秋の我が国における金融機関の経営破綻、こうしたものに伴いまして、家計あるいは企業の景況感の厳しさというものが非常に強まっていく中で、個人消費あるいは設備投資などに厳しい影響が出てまいりましたこと、そしてそれが本年に入りましてから発表されました各種の統計においても裏打ちをされました。
 そうした状況の中で、政府としてこの景気を回復軌道に乗せ、そのための当面の対策として必要な内需拡大を目指しながら、同時に景気回復の足かせとなっております不良債権の処理というものに本質的に取り組もう、さらに構造改革も見据える中におきまして総合経済対策を策定いたしました。
 議員が御指摘になりましたように、それぞれの市場あるいは各国の市場においてはさまざまな動きがございますこと、当然のことながら関心を持ち、注意を払いながら見守っておりますけれども、市場の動向というものを私どもから云々することはできません。
 そうした中で、確かに御指摘のようにさまざまな現象が起きております。しかし、こうしたものを既にある意味では、今回の総合対策を考えていきます中で、基本的に不良債権の処理に取り組まなければならないということ、こうした問題点をある意味では浮き彫りにいたしている点があると思っております。
 これは我々として、今補正予算の御審議を願っておるさなかでありますけれども、財政面、金融面からの施策など、当面の対応とともに基本的なこうした問題に取り組むことにより、我が国経済を次第に順調な回復軌道に乗せていく、そのための努力を今後も続けてまいらなければなりません。
#7
○小林元君 国民すべてがこういう状況の打開を願っていることは言うまでもないわけでございます。
 今回のこの十年度の補正予算につきまして、総合経済対策ということで閣議の決定が四月二十四日にされたわけでございます。きのうも同僚議員からいろいろ質問がありましたが、今回衆議院でやっと六月十一日になって補正予算の審議が始まる、そして参議院はきのうからというようなことで、この一カ月余にわたって、あるいはそれ以上たなざらしにしたといいますか、そういう状況になっているということは事実でございますし、本予算成立直後あるいは審議のさなかにも組み替え要求を我々もしました。しかし、そういうものではなくて、とにかく本予算を早期成立してもらいたい、この一点張りで来たわけでございます。
 省庁再編、行革について、これは大事な問題ではないと言うつもりは毛頭ありませんが、やはり最優先の課題は景気対策ではなかったのか。そしてまた、自民党の中でもあるいは与党の中でも、そういうことでかなり早く決定をされた。それがたなざらしになったと。これは総理から議会の問題だというふうにきのう答弁があったわけでございますが、それはそうかもしれませんが、やはり政府・自民党あるいは政府の責任と、早期審議をすべきだということがあってしかるべきだったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#8
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、議員からはしなくもお触れをいただいたわけでありますけれども、私ども、国会に対し、この補正予算を含めさまざまな重要な案件につきまして御審議を願うべくそれぞれ法案あるいは条約等の形で提案をさせていただいております。その上で、何と申しましても、院の御判断というものに対し政府として判断をする、これは差し控えるべきことだと思います。
 いずれにいたしましても、私どもとにかくこの経済情勢の中で、一日も早く十年度補正予算というものが成立をし執行に移せる状態になりますようお願いを申し上げておるわけでありまして、これが果たす役割というものに思いをいたすとき、少しでも早い成立を心からお願い申し上げます。
#9
○小林元君 ただいま総理から御答弁がありましたけれども、ぜひ早期成立をしてくれということが再三あってしかるべきだったのではないかというふうに考えております。議会の問題であるというふうに、表面的といいますか、形式的な理屈はそうだと思いますけれども、やはり政府の希望といいますか、内閣の希望、総理の希望というものは強く発言してしかるべきではないか、それも一つの景気対策だというふうに私は受けとめていた次第でございます。
 それから、今回二兆円の減税ということで、九年度の二兆円の特別減税に引き続きまして今回、そして来年もというようなことがこの経済対策、補正予算の中で言われております。さらに、社会資本の整備等々、有効需要を喚起するというようなことであるわけでございますが、今回の補正予算の規模あるいは経済対策の規模につきまして、昨日も二%程度の需要を押し上げる効果があるというふうにあったわけでございますが、その辺の考え方につきまして企画庁長官からお願いしたいと思います。
#10
○国務大臣(尾身幸次君) 今回の総合経済対策でございますが、これはこの停滞している景気を一日も早く回復させるということと同時に、二十一世紀に向かって中長期に我が国の経済の体質を改善強化するということをねらいとして決定をされたものでございます。
 この効果でございますが、私ども、社会資本の整備それから減税を計算いたしまして、向こう一年間の乗数効果等を含めて計算をいたしますと、名目GDPで二%程度の効果を持つものというふうに考えているわけでございます。
 この効果のタイミングでございますが、減税及び社会資本等、この補正予算の成立後、早ければ二、三カ月のタイムラグをもって徐々に効果を発揮してくるというふうに考えております。しかし同時に、この対策の実行前におきましても、この対策が決定され国会を通ることによりまして消費者や企業の先行きに対する信頼感の回復という心理的な要因もある程度考えられるわけでございまして、そういうことを考えますともうちょっと早い効果もあるかなというふうに考えております。その結果といたしまして、十年度の経済につきましては、政府経済見通しの一・九%程度は実現可能であるというふうに考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、この総合経済対策、国会で補正予算が通りましたならばその着実な実施を図りつつ、今後の経済動向をしっかり見きわめながら対応してまいりたいと考えている次第でございます。
#11
○小林元君 有効需要を計算して二%程度のGDPの伸びを確保する、押し上げるというような効果をねらっているということであります。
 そういう中で、用地率につきまして、用地は余り有効需要を拡大させる効果はないというふうに言われております。建設省からいただいた資料では、従来型の公共事業の用地費というのは大体一三、四%あるというふうに伺っておりますが、ここまでは行かないんじゃないか。そしてさらに、この補正予算の中で、あるいは経済対策の中で考えられておりますけれども、例えば失業率が四・一%になっている、五十万人の失業者が出ているといいますか職につけないというようなことを考えますと、さらにこれは大変重大な事態ではないか。ですから企画庁長官、二%の伸びは、当初予算、平成十年度の予算で一・九%と、こういうふうにおっしゃいましたけれども、これはなかなか確保するのは容易ではないんじゃないかというふうに感想を申し上げておきたいと思います。
 時間がないので先へ進ませていただきます。
 それから、今回、所得税減税がありました。これはあくまでも特別減税であるというようなことで、来年度もやる、継続とは言っておりませんが、そういうことで景気にインセンティブを与えようというわけでございます。
 これまで総理は、欧米に比べて租税負担率あるいは国民負担率というものから考えれば日本はまだ軽い方ではないか、それほど重い方とは言えない、それから減税の財源についてなかなかこれは容易ではない、それからさらに先ほどの経済効果の話でありますが、乗数効果でも〇・四六でしたか、いわゆる公共事業、社会資本の整備等に比べれば有効需要に対する影響度が低いと、こんなことで減税については必ずしも積極的な姿勢がなかったわけでございますが、私どもは、国民に対してしばらくの間は元気を出すようにというような気持ちで恒久減税を主張しているわけでございます。その辺についての総理のお考えをお伺いしたい。
#12
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは議員に決して反論するのではございませんが、私は、国民負担率あるいは租税負担率が国際的な比較において高い安いという議論を申し上げたことは多分ないと存じます。国民負担率につきましては五〇%を超えないようにしたいということは申し上げてまいりました。その上で現状についての御説明を申し上げたことはございますけれども、国民負担率が国際的な水準に比して高い低いという論議はいたしたことはないように自分では思っております。
 そして、所得税の課税最低限については、確かに国際的な比較をお尋ねがありますときにお答えを申し上げてまいりました。確かに、我が国は特別減税のかさ上げ分を除きまして標準世帯で三百六十一万円、それに対しましてアメリカあるいはイギリスの二百四十五万円、百五万円という課税最低限を例に引きました。その意味では、アメリカ、イギリスを初めとするヨーロッパの多数の国に比べ、我が国の課税最低限は標準世帯においてこれぐらいの水準にあるという水準そのものは申し上げてまいりました。その上で、所得課税というものについての来年度の特別減税の二兆円は継続をするということは申し上げております。
 そして、私がよく例に申し上げておりますのは、法人課税の見直しについての方向性、それは三年以内に国際水準に近づけるということで、それ並みにするということであります。
 所得課税については、今までさまざまな角度からの御論議が出ています。資産性所得に対する、年金課税に対する、あるいは各種控除についてさまざまな角度から議論が出ておりますから、こうした点を税制調査会において堂々と議論していただきたい、そして額に汗する方々が報われたと思われるような税体系にしたいということを申し上げておりまして、議員の今要約されました私の従来の発言のポイントとはいささか食い違っておるように思います。
 私は、むしろ所得課税について、問題点として既に上がっておりますものの幾つかを例示しながら、税制調査会で議論していただくということを申し上げてまいりました。
#13
○小林元君 いや、税制一般論を私は申し上げているつもりはありませんが、それはそれでまた別に議論の機会もあろうかと思います。
 要は、特別減税か恒久減税かという考えについてお伺いしたかったわけでございます。
#14
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、特別減税は今も申し上げましたように明年二兆円の特別減税を継続いたしますということは申し上げております。
 その上で、恒久減税というお問いかけでありますから、私どもは、所得課税に対する問題点をこのとおり既に出されておりますので、税制調査会においてオープンに議論をしていただき、額に汗して働かれる方々が納得していただけるような、そうした税体系を、税制改革を考えておりますとお答えをしております。
#15
○小林元君 今回の経済対策の中で社会資本の整備というものが大きく取り上げられております。やはり有効需要を喚起するということになれば、減税をする、社会資本の整備をする、公共事業をやるというようなことになるわけでございます。
 きのうもちょっと実はにわか勉強だったんですけれども、随分昔に書かれた本がありまして、竹内良夫さんという、これは運輸省の方で、二十年前に経企庁の総合計画局の計画官をされていた方と大蔵省の事務次官や運輸省の事務次官、建設省の事務次官が書きました「日本の社会資本」というものを見てみますと、有効需要といいますか、そういうものについて言及されておりまして、その当時政府の資本形成というのは二・六倍ぐらいになりますというのは、これは乗数効果を言っているんだろうと思いますが、今はそれが大分下がってきております。しかし、そうはいっても、社会資本の整備ということが需要拡大にかなりな役割を果たすであろうというような考えで今回、七・七兆円でしょうか、増額をされたわけでございます。
 やはり、そういうことになりますと、先日財革法の改正がありましたけれども、そういうもので一律カットするという中で、今回復活しまして、例えば対九年度当初で見ますと大体一九・八%ですか、今回の補正後の額は。九年度の補正後に比べましても大体一五%前後の伸びというふうなことになっております。
 そういうことで、これはやはり景気対策ということを考えれば、公共事業がいいだ悪いだという議論もいろいろまたありますが、それはそれとして、有効な手段の一つであるということはだれも否定しないと思います。そういう意味で、財革法との関連で公共事業といいますか社会資本の整備というものを縛っていくというのは、どうもこれは矛盾しているのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#16
○国務大臣(松永光君) 委員もよく御理解願っていることと思いますけれども、我が国が急速に少子・高齢化社会に入っていく、それを前提に二十一世紀を眺めてみますというと、二十一世紀の我が国が安心できる豊かな福祉社会でなきゃなりませんし、それを構築していかなきゃなりません。一方、経済活動も安定した成長がなされるようにしていかなきゃなりません。そういったことを実行していくための財政対応力というものはぜひ確保していかなきゃなりません。そういったことを考えますと、財政構造改革の必要性というものはいささかも変わるものじゃない、これが総理の変わらざる発言でございますが、私も全くそう考えております。
 しかし、さはさりながら、そのときそのときの経済情勢に応じて必要な対策を打っていくこともこれまた必要なことであります。そういった考え方のもとに財政構造改革法の改正をさせていただいて、そして財政構造改革法の骨格は維持しながら、そのときに応じて必要な手が打てるようにいわゆる弾力条項を入れさせていただいた、こういうことでございます。したがって、骨格は維持していくわけでありますから、十一年度以降の公共事業費につきましても、これは相当研究をして予算編成に取り組まなきゃならぬ、こう思っておるわけであります。
 基本的に言えば、いつも財政の力をかりなければ経済が順調に回っていかないという状態では困るわけでありまして、言うなれば財政出動は呼び水、それに基づいて民間経済活動が活性化してくる、そういう状態に持っていくことが大切なことであろう、こう思っているところでございます。
#17
○小林元君 財政出動をしないで済めば一番いいわけでございますが、それはあくまでも理想論で、なかなか現実はそうはいかないというのが実態だろうと思います。やはりどんなインセンティブを与えるか、そのために何をとるか、これが一番重要なんじゃないかと思います。時間がありませんので先へ進ませていただきます。
 今回の公共事業につきましては、二十一世紀を見据えた社会資本の整備ということで言われているわけでございます。本来であれば、財政改革法の精神ではありませんけれども、平成十年度の予算編成に当たって、これから新しい社会資本の整備についてどういうやり方があるんだと、その内容の議論というのはほとんどなかったわけでございます。公共事業費を七%一律カットすると。しかし、今回の補正予算では経済対策で大変立派なテーマがいろいろ掲げられております、環境あるいはダイオキシン対策だとか情報通信ですとか教育ですとか科学技術ですとか、あるいは物流コストの削減とか。それは非常に大事なことだと思うんです。本来であれば、これは今回は補正予算でございますから、本予算というものが本物で、景気対策ということで補正にはなりましたが、これはあくまでも補正予算でございます。
 したがって、そういう公共投資の方針というものは本予算で立てられてしかるべきで、本予算の方はいいかげんな執行といいますか、従来どおりのやり方でやり、今回はきちんとした目標を持ってやるんだというようなところが見えるわけなんですが、どうも私は納得ができません。やっぱりそれは十年度本予算の中でそういうことがあり、さらにやりたい、二十一世紀に向かって投資をすべきだという中で景気対策としてこういうものがあるというのが筋ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#18
○国務大臣(松永光君) 本予算であろうが補正予算であろうが、公共事業のあるべき姿というのはむだを省き、真に国民にとって必要な分野に重点を置いた形での公共事業の予算でなきゃならぬというふうに思います。その見地から、十年度の当初予算におきましても、ダム等十数カ所休止または中止をするというような思い切った措置もなされておるわけであります。
 補正予算の中では、景気対策としての意味があるわけでありますけれども、同時にやる以上は、後世代の人が整備をしておいてくれてありがたかった、そう評価してもらえるようなことに重点を置くというのが総理の方針であります。
 詳しくは申し上げませんけれども、環境・新エネルギー、情報通信高度化・科学技術振興、あるいは福祉・医療・教育、そういった分野に重点を置いて配分することとし、しかも具体的な中身につきましては、ダイオキシン対策とか、あるいは同じ道路事業であっても電線共同溝の整備推進とか、あるいは高齢者に優しい道路づくりをするとか、そういう知恵を絞って具体的な配分をする、こういった形での補正予算の公共事業の内容になっているということを御理解願いたいと思うのでございます。
#19
○小林元君 時間がありませんので次回にしたいと思いますけれども、今まで国民の皆さんからも公共事業について相当批判が出てきたわけでございます。今、大蔵大臣もおっしゃいましたけれども、時間がたってどうも効果が怪しいというようなものが相当あるというふうに見られているわけでございます。
 ですから、その辺は十分注意をして、時間がありませんので建設大臣の御意見は求めませんけれども、今後は十分そういうものに配慮して新しい理念の中で公共事業というものを見直す、考えていく、こういうことをぜひお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 同僚の久保議員に関連質問をお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。
#20
○委員長(岩崎純三君) 関連質疑を許します。久保亘君。
#21
○久保亘君 ただいま審議中の補正予算は、事実上平成十年度の当初予算を組み替えるに等しいものだと考えております。
 大蔵大臣も財政演説の中で、平成十年度の予算は五千七百億、一・三%の減額を達成したものであるということで財政再建の一歩となるということを強調されておりますが、今度の四兆六千四百五十五億の一般会計の追加は前年度当初に比べれば四兆円余りの増額になるものであって、予算の性格を変えるものだと考えておりますが、いかがですか。
#22
○国務大臣(松永光君) 九年度当初予算、十年度当初予算、そして今度の補正予算、その間の公共事業費等の推移は委員の今おっしゃったとおりであります。
 今回の措置は、現在の経済情勢、景気の動向等を考えますと速やかな景気対策をやらなきゃならない、そういう特別な事情に基づいて、特別の措置としての公共事業の追加、こういったことで編成をしたものでございます。
#23
○久保亘君 それは十年度の予算の持つ意味を変えるに等しいと私は思うんです。だから、そこははっきりおっしゃった方がいいんじゃないですか。
#24
○国務大臣(松永光君) 景気対策を速やかにやらなきゃならぬという必要性に基づいて、景気浮揚のために必要にしてかつ十分な補正予算を編成したわけであります。これによって何としてでも景気が速やかな回復基調に乗るようにしていかなきゃならぬ、そういう考え方で編成をしたものでありますが、緊急的な特別の措置だというふうに御理解を願いたいわけであります。
#25
○久保亘君 それでは次に、今異常に円安が進んでおりますが、これらの問題はその原因をはっきりとらえなければ対策はできないわけであります。
 大蔵大臣がこの円安に対して記者会見で断固たる対応をするということをおっしゃいましたが、断固たる対応というのは具体的にどういうことをなさいましたか。
#26
○国務大臣(松永光君) 為替相場につきましては強い懸念を持っていつも対処しておるわけでありますが、具体的な対処の中身というものは、事柄の性質上明らかにすることは差し控えさせていただきたいんです。
#27
○久保亘君 私は、こういう日本経済にとってまさに国難ともいうべき課題に遭遇したときに、あなたが言われたように政府が断固たる対応を毅然として明らかにされることがこれに対する最も責任ある対応だと思うんですが、なぜそういうことを秘匿しなければならないんでしょうか。
#28
○国務大臣(松永光君) 基本的に申し上げますと、委員もよく御承知のとおり、なぜ円安が進んでおるのかということでありますが、これは私どもとしては、日本の経済の基本的な諸条件についての市場の行き過ぎた悲観論、これがあるんじゃなかろうかと思います。
 これは弱い面と強い面があるわけでありますが、強いて言えばやや弱い面は金融の面かな、あるいは景気の動向かなと。こういったことについて我々としては、今御審議を願っておる補正予算を中心にした新たな総合経済対策を速やかに実行に移していくことによって景気の問題については対処し、一方金融面につきましては、既に成立をさせていただいて実行に移させていただいている金融システム安定のための諸方策を適時適切に実行していくことと同時に、今諸外国から言われていることでもありますし、我々も痛切に感じていることは、銀行の持っている不良資産、これの実質的な処理がまだ十分進んでいないと。
 したがって、銀行の不良資産、不良債権の実質的な速やかな処理、これを進めていくことによって弱いというふうに見られておる日本の金融システムを強化していく、こういったことを着実に進めていくことが市場の信頼を回復する道だ、こう思いまして、その方策を進めているところであります。
 もう一つは、金融市場についてのいろんな対応もあるわけでありますけれども、その具体的な対応につきましては、金融市場に微妙な影響を与えることもあり得ますので、その具体的な対応につきましては、委員もよく御承知のことと思いますけれども、そういう具体的な手のうちまで示すということは適切でありませんので、ぜひその点は御勘弁を願いたいわけであります。
#29
○久保亘君 こういう事態のときには、明らかにすることによって市場に影響を与えなければいけないのです。それを、市場に影響を与えるから何にも言えないということでは逆なんじゃないでしょうか。
 では、別のことをお聞きいたしますが、日銀と断固たる対応に関して協議されましたか。
#30
○国務大臣(松永光君) 先ほども申し上げておりますように、日本の景気の問題と銀行の不良債権問題を除けば、我が国の経済の基礎的な条件というものは決して弱いものじゃない。その弱い点を速やかに解決するような措置をやっていくということが実は最も大切なことであるわけです。
 当面のことについての具体的な手法というものは、これを具体的に明らかにしていくということはいろんな面で影響がありますので、この点はぜひひとつ御勘弁を願いたい、こういうことでございます。
#31
○久保亘君 それでは、今巷間伝えられておるところでは、百四十円を割った段階から日銀はこれに対して介入を行った、しかしその効果はなかったということが伝えられるんだが、そういう事実はなかったのかあったのか。
#32
○国務大臣(松永光君) ずっと古いことならば言うことも差し支えないかもしれませんけれども、最近の事柄につきましては、これは大蔵大臣経験者の委員は御承知と思いますが、具体的な手法というか手口というか、そういったものにつきましては諸外国とも明らかにしないというのがこの問題についての対応上必要なことだというふうに御理解を願いたいわけであります。
#33
○久保亘君 G7各国の間では、円安ではなくて円高が進んだときに、これに対する秩序ある反転という言葉で考え方を統一して、そしてそのために各国が協調し合おうということを話し合ってきたと思うんです。今円安が異常に進む段階で、これらのG7各国に対して協調介入等の要請を行われたことがありますか。
#34
○国務大臣(松永光君) この点につきましては、G7の会合でG7の国々の蔵相及び中央銀行総裁の意思は大体同じになっておるわけであります。
 すなわち、為替レートというものは経済ファンダメンタルズを反映すべきものであって、過度な変動、そしてファンダメンタルズを乖離するようなもの、これは望ましくないということは意見が一致しておるわけであります。同時にまた、G7の蔵相・中央銀行総裁は、協力して市場の動向を監視しながら適切に協力していこうというのは合意されていることでありまして、今日でもそういう合意はきちっと存在しておるわけでありますし、そういう考え方を日本はもちろんG7参加国は共有していることは間違いありません。
#35
○久保亘君 世界じゅうの各国のいろいろな戦略も交錯していることだと思うんですけれども、首相にお聞きしたいのは、率直に言って、当面の対応のほかに、根本的にこの為替相場、円相場に対して日本が今手を打たなければならないことというのは、その原因を明らかにすれば出てくるんだと思うんです。その点についてどういうふうにお考えでしょうか。
#36
○国務大臣(橋本龍太郎君) 当面の市場の日々の動き、これは市場は市場としてのさまざまな判断の要素を加えて行動される、それが変動としてあらわれる。ただし、私どもとして、上がる場合も下がる場合も含めまして乱高下というものは本当に望ましくない、そして秩序のある動きが一番期待される、これは基本的なものであります。
 その上で、今円の立場は対ドル、対欧州通貨に対しては弱含んでおります。しかし、アジア通貨に対しては依然として強い位置にあるという微妙な立場であります。そういう中で、我が国の金融市場に対する信認というものが相場に影響を与えておるということはだれも否定ができないと思います。
 ですから、議員のお尋ねに対する根本的な解決策として我々が取り組まなければならないものは、まさに金融機関の不良債権の処理であり、しかも従来、国内的にはそれでよしとされていた時期があるわけでありますが、不良債権に見合う引き当てを計上することによって帳簿上の処理が行われている姿をとっていればそれが市場において信認を維持し得ると思っておりましたのが、殊に三月期決算でSECルールによります新しい決算を行ってみますと、昨年秋十六兆でありましたものが、従来の方法でありますなら主要行で十四兆に減っているはずのもの、しかし新しい基準でこれをやり直してみると二十一兆台に膨らんだ。こうしたことから、不良資産の処理というものに対し引き当てを行うということでは根本的な解決策にならないということが世間の目にも明らかになった。
 そして、これを本当にバランスシート上から消し去るための努力、決意、それに対する手法、その場合に新たに必要となる法的な措置、枠組み、さらには仮に不動産を担保つき証券として流通させる場合の市場、こうしたものの整備を求められる状況にあり、これを行うことによって私どもは信認が本質的な回復をし得ると思っております。
 今、総合経済対策として私どもが考えました中にトータルプランの形でこうしたものを盛り込んでおりますのも、日本政府としては、当面の市場の動向とは別に我が国経済の本質的な問題点を解決する意思を有し、その決意のもとに方向性を定めて行動しようとし、行動し始めている、そのようなメッセージを市場が正確に受けとめてくれることを心から期待いたします。
#37
○久保亘君 今、首相が言われたことは私も非常に同感できる問題だと思っております。しかし、破綻金融機関やこの金融機関のかかわる企業等の救済のために不良債権や不良資産の処理が政府の責任で行われるというようなことは私は適切でない、こう思っております。あくまでも日本経済の展望を開くために行われるのであって、個々の企業の救済は一切関係のないものということを明確にされたいと思うんです。
#38
○国務大臣(橋本龍太郎君) 御記憶でありましょうけれども、三十兆円の金融システム安定化策の御論議をいただきました際、預金者の保護のために十七兆円を用意する、そして破綻金融機関を救うために十三兆円を使うのではありません、これは私ども明確に申し上げてまいったと思います。
 今、改めて議員の御確認でありますから、私どもはスキームは用意し、同時に、預金者が安心していただける措置は全力を挙げてこの十七兆円のフレームの中で対応するという用意をいたしました。同時に、我が国の金融機関が信認を回復し得るその努力をするために自己資本の増強等のために用意をいたしました十三兆円というものは、破綻する金融機関を救うものではない、我々はスキームを用意しましたと、これは繰り返し申し上げてきたことであります。
#39
○久保亘君 今、不良債権の早急な処理の問題についてお話がございました。
 もう一つ、円安が進む原因となっているものの中に、改正されました外為法のもとで超低金利の日本の預金が海外に流出するということが起きているのではないかという懸念がありますが、海外に預金が移動したものを大体どれぐらいと見ておられますか。
#40
○政府委員(黒田東彦君) お答えいたします。
 つい数日前でございますが、四月の国際収支というものが発表されました。これによりますと四月の経常収支の黒字が一兆一千六百九十九億円ということでございました。そのときに同時に、経常収支とともに資本収支を発表しておりますが、これは三兆六千百三十七億円の流出ということでございますので、このときは経常収支をかなり上回る資本収支のマイナスというか流出であったということでございます。
 ただし、御案内のように、基本的には経常収支と資本収支とは見合っておりまして、ずっと過去にさかのぼってみますとほぼ同様な動きをしておりまして、経常収支の黒字が拡大するときに資本収支の赤字が拡大するという形をとっております。四月も基本的な傾向としてはそうでしたが、この月は資本収支の赤字というか流出の幅が三月よりもかなり拡大していたということは事実でございます。
 その中に直接投資あるいは証券投資もございますが、当然のことながら預金その他も含まれております。ただ、月々の預金とか証券投資とか、そういうものの動きは非常に大きく振れておりまして、四月に特別に預金がふえたとかいうようなことは必ずしも確認されません。
#41
○久保亘君 日銀の総裁が見えられましたから、今の円安の状況について、日銀としてこれに実務的な面での介入を行われたことはありますか。
 それからもう一つは、あなたが昨日発表された談話は、不良債権の公表の問題です、どういう意図に基づいて発表されたものでしょうか。
#42
○参考人(速水優君) 為替相場の動き、介入の有無につきましては、私の立場からコメントすることは適当でないと思いますので差し控えさせていただきますが、私どもとしては、為替相場は経済の実態を反映して安定的に推移することが望ましいと考えております。そうした観点から、今後ともその動向を慎重に注視していくことを考えている次第であります。
#43
○久保亘君 総裁談話として、不良債権の公表について日銀の考え方をきのう述べられたんじゃありませんか。
#44
○参考人(速水優君) どうも失礼しました。
 不良債権の方の話につきましては、我が国の金融機関、特に今、日本の経済の内外からの不信といいますか信頼感が乏しいのは、やはり経済の先行きに対する見通しが暗い、とりわけ金融システムの不安感というものがまだ消えていないということが大きな原因ではないかというふうに思っております。
 今なすべきことというのは、一刻も早く金融機関の不良資産を、それぞれの銀行が自己責任で正確に把握し、それをディスクローズして、それに対して引き当てをしっかり持つなり、あるいは担保を処分するなり、それぞれの力、ゆとり、いろいろの立場があると思いますけれども、可及的速やかにそういう不良貸し出しをできるものからバランスシートから落としていく、そのことが信頼を回復していくゆえんであるというふうに考えて総裁談話という形で、自己査定、自己開示をできるところから早急にやってくれ、またそれぞれの立場からバランスシートからそれを早く落として潤沢なキャッシュフローを持てるように取り進めてほしいということを総裁談話として発表し、海外にも中央銀行等にその旨を送りました。また、それぞれの取引先銀行には、こういうことをきょう新聞で総裁談話として発表したということを送付いたしました。
 以上でございます。
#45
○久保亘君 談話で発表された内容はわかりましたが、その場合、自己査定、自己開示ということを金融機関がやります場合の自己査定の基準は、不良債権をどこまで見るかというのは金融機関のそれぞれの自己査定で自由な基準でよいということですか、それとも、第U分類までを不良債権としろ、こういうような考え方がおありになってのことでしょうか。
#46
○参考人(速水優君) 金融機関は、既にこの三月決算でSEC方式を取り入れましてかなりの不良資産の償却を進めておるわけでございますけれども、私どもの見ているところでは、SEC方式も一つのかなりグローバルに普及している見方でございますけれども、日本の金融機関、日本の銀行の場合に、従来からやっている四分類に分けて見ていく見方というものが、特に第U分類というものがどの程度確実なのか不確実なのか、その辺はやはりそれぞれの銀行が最もよく知っておられるわけでございますから、特に第U分類についての自己の査定、それからそれを必要に応じて開示し、早く対処してほしいということをお願いするのがねらいでございます。
#47
○久保亘君 お忙しいでしょうが、もうちょっとおつき合いをお願いします。
 次に、山一証券の問題でお聞きしたいことがございます。
 まず、政府の側に聞きたいのは、山一証券が昨年の十一月二十四日に破綻を公表いたしましたときには、債権債務の関係では資産が超過しておって、その額一千九億という発表であったと思うんですが、半年たちまして、この三月期決算では逆に債務超過二百二十五億、この半年の間に山一証券はお金が全部で一千二百三十四億消えた計算になるんですが、これは大蔵省としてもちゃんと把握されておったんでしょうか。監督官庁として、破綻のときから今日までの状況はきちっと把握されておりますか。
#48
○政府委員(山本晃君) お答えをいたします。
 昨年、山一証券が自主廃業を決定した際に、証券取引法の企業内容等の開示規定に従いまして山一証券から、今御指摘がありました数字、一千九億円の資産超過の状況にあるというこの臨時報告書が提出されたところでございます。
 その後、山一証券では業務全体を、自主廃業に向けて営業休止をしていたわけでございますので、この業務を縮小する中で資産、負債の整理というものが順次行われてきたわけでございます。
 これにつきましては、私ども、山一証券に対しまして、資産を毀損させないようにという意味で顧問委員会という、これは元名古屋高裁の長官である沖野さんという弁護士の方でございますが、この人を長とする顧問委員会のチェックを受ける、こういう形でやってきたわけでございますが、業務の整理に伴う費用であるとかあるいは保有資産の処分価格等の変動要素がこの間いろいろとあったというふうに考えられます。
 山一証券の発表によりますと、久保委員が今御指摘の約一千二百三十億円でございますが、そのうち保有資産の価格変動等によるもの、これが約三百八十億円ぐらいある、それから業務の整理に伴う事務費用、これが約二百三十億円かかった、それから店舗の原状回復費用等、これが約三百億円、そして関連会社や海外の現地法人の処理に伴うもの、これが約三百二十億円、それが生じたということでございます。
 なお、今後につきましても、店舗の原状回復費用であるとかあるいは保有資産の処分価格等、変動する要素がございまして、最終的な処理には相当の期間が必要であるというふうに考えております。いずれにいたしましても、業務、財産の整理の状況等を私どもとしては見守ってまいりたいというふうに考えております。
 なお、山一証券につきましては、昨年の十一月二十五日以降、検査部の方で資産の関係につきましては特別検査をしたわけでございます。また、昨年の十一月二十五日以降の時点におきましては、例の簿外債務の状況、これ以上の簿外債務があるのかないのかといった点、それと顧客の預かり資産の返還を万全を期してやらなければいけないということで、これがきちんと行われているかどうか、こういった点を重点にやってきたわけでございます。
 この三月末の山一証券の決算発表を受けまして、現在、私どもの金融検査部の方でもって全体の財産の状況につきましても検査をしている、こういう段階でございます。
#49
○久保亘君 この債務の中に、劣後ローンを引き受けてもらっているものが四百三十億あるというのは間違いありませんか。
#50
○政府委員(山本晃君) 間違いございません。
#51
○久保亘君 その引受先は大体どういうところですか。
#52
○政府委員(山本晃君) お答えいたします。
 個別の金融機関名につきましては差し控えさせていただきますが、生命保険会社及び損害保険会社でございます。
#53
○久保亘君 債務超過になりますと劣後ローンがまず最初に切られる。そうすると、生損保の会社はそのままそれが不良債権化するということになるわけですね。
#54
○政府委員(山本晃君) お答えいたします。
 この劣後ローンにつきましては、証券会社の自己資本規制比率が一二〇%を割った状態では元利金の支払いを行わないという旨の特約が付されておりますので、この条項に従いますと日銀特融を含む他の負債に劣後するという状況にあるわけでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、最終的な処理には相当の期間が必要と考えられるわけでございますので、私ども、今後さらに山一証券の業務、財産の整理状況を見守ってまいりたいというふうに考えております。
#55
○久保亘君 速水総裁にお尋ねいたしますが、日銀がこの種の金融機関等に対して特融を行います場合には、その返還については確実な保証をとった上で行われるものでしょうか。
 今度の場合、山一証券がもし劣後ローンの切り捨てだけで債務超過が埋まらない状況になりました場合には日銀特融が返済不能となるということも考えられるんですが、どういう保証のもとに行われておりますか。
#56
○参考人(速水優君) 特融一般につきましては四つのルールを私ども決めまして、その四つと申しますのは、第一は、システミックリスクが顕現化するおそれがある場合、ほうっておけばだあっと将棋倒しになっていく可能性があるという場合。二番目には、日本銀行の資金供与が不可欠である、日本銀行以外に出すところがないという場合。三つ目は、モラルハザード防止の観点から関係者の責任の明確化が図られていることを確認すること。それから四つ目は、日本銀行の財務の健全性にも配慮すること。この条件が満たされたときに特融を出すことにいたしております。
 山一特融の場合は、現在四千四百億ほどありますけれども、これは出しますときに当時の大蔵大臣の談話もあって、万が一同社が債務超過の状態に陥った場合にも、政府において本件の最終処理を含めて寄託証券補償基金の財務基盤の充実や機能の強化を図って適切に対処するとの方針が示されております。日本銀行としては、そうした対応の中で特融の返済財源が確保されているものというふうに判断したわけでございます。
 今度、新法が通りましたし、特融の返済財源は寄託証券補償基金ということで確保されているものと思っております。
#57
○久保亘君 大蔵大臣、日銀特融は、政府保証によって返済が不能となった場合には政府の責任で支払われるんですか。
#58
○政府委員(山本晃君) お答え申し上げます。
 先般成立をいたしました金融システム改革法におきまして、日銀総裁からも今御答弁申し上げましたけれども、投資者保護基金に関する所要の法律的な手当てを行っておりまして、こうした枠組みの中で日銀特融の返済といった点にも留意しつつ今後の事態の展開に応じた適切な処理が行われるよう努力してまいりたいというふうに考えております。
#59
○久保亘君 日銀特融は今総額で幾らありますか。
#60
○参考人(速水優君) 現在の残高は約二兆八千億でございます。
#61
○久保亘君 破綻金融機関に行われているものがどれぐらいありますか。
#62
○参考人(速水優君) このうち、破綻金融機関、拓銀向け、山一向け、徳陽シティ、これだけで約二兆六千億ぐらいになります。
#63
○久保亘君 日銀特融は、そういうことで今度は返還が不能となりました場合には新しい法律に基づく保護基金によって政府保証のもとに行われる、こういうことになっているとすれば、この特融はよほど慎重に厳重な審査のもとに行われなければならないと思います。
 先ほどの基準の中に、返還に当たっての貸出先のモラルハザードの問題がございましたけれども、そういうことからいいますと、山一証券というのは経営責任を持つ役員に対する賞与とか退職金とかいうようなものはどういう形になっておるんでしょうか。
#64
○政府委員(山本晃君) 山一証券の役員に対する賞与及び退職金、これは支給はされておりません。
#65
○久保亘君 これらの問題についてはなお詳細を私の方もいろいろと今後も調査したいと思っております。
 時間が非常に短くなりましたので、別の問題をちょっとお聞きしたいのでありますが、行政改革の目指す主要な目的というものの中に、内閣の機能強化ということがずっとうたわれてまいりました。この内閣の機能強化というのは具体的には何を指しているんでしょうか。
#66
○国務大臣(橋本龍太郎君) 一つは、危機管理に対する体制の整備というものがあろうと存じます。そして、それは既に危機管理監の設置をお決めいただき、お許しをいただき、起動いたしております。
 もう一つ、恐らく議員が期待されている内閣の機能強化、これは予算編成に関する部分であろうと思います。そして、これは現在におきましても、御承知のように、予算を作成して国会に提出をする内閣の権限、これは憲法のもとに定められており、内閣は現在でも概算要求に当たっての基本方針の設定あるいは経済見通し、予算編成方針、税制改正の要綱等によりまして基本方針を定めてまいりました。
 先般御審議をいただいた基本法では、内閣機能強化の一点として、内閣総理大臣が内閣の首長として、予算編成の基本方針を含む国政に関する基本方針について閣議にかけることができる、この点が法制上明らかにされ、内閣総理大臣の国政運営における指導性をより万全に発揮できるような仕組みというものを目指して整備をしております。
 殊に、内閣府に経済財政政策に関する重要な事項について審議をしていただく経済財政諮問会議、これは民間の学者の方も経済界の方もさまざまな角度の方をここに迎えることになると存じますが、ここにおきまして予算編成の基本方針を審議していただく。言いかえれば、内閣の中だけで行われてというか、官僚の手と申しましょうか、だけで行われておりました、それに閣議といった形で関与しておりました予算編成というものが、内閣総理大臣自身が当然ながらこれは求めればということになりますが、その経済財政諮問会議に迎えるメンバーのいかんによりまして、従来よりも幅広く意見をいただくことができ、そこに予算編成の基本方針を審議していただくということができるようになります。
 具体的な編成作業、これはやはり内閣の首長としての総理が行うということは現実に無理でありますし、これは事務当局において行うということになりますが、少なくとも発議権というものが明確化をする上で、経済財政諮問会議にさまざまな方々にもお入りをいただくことにより、より幅広い意見の集約をもって予算編成の基本方針を定めていける、こうした点は私は非常に大きな進歩だと考えております。
#67
○久保亘君 総裁、結構です。
 どうもありがとうございました。
#68
○委員長(岩崎純三君) 速水参考人、御退席いただいて結構でございます。
 御苦労さまでした。
#69
○久保亘君 憲法上、予算編成権が内閣にあることは非常に明快なんです、七十三条を挙げるまでもなく。また、憲法六十五条は「行政権は、内閣に属する。」ということをわざわざ条を起こしているわけです。そして、内閣の定義も六十六条に、内閣総理大臣とその任命した国務大臣をもって内閣は組織されるということも明記されております。
 したがって、内閣が予算編成権をもし失っているとするならば、それが問題なのであって、予算編成権を内閣に移せというような議論が平然と行われていることに対して私は政治の側の責任は非常に重いと、こう考えているのでありますが、いかがでしょう。
#70
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今それぞれの条文を引用されてのお尋ねに対して、私は議員のお考えはそのとおりだと思うんです。その上で、ややもすると従来ありました御論議、それは現実の作業が大蔵省で行われている、主計局で行われている、それのみをもって予算編成と判断をされる、その以前に内閣がまとめる予算編成の基本方針、あるいはこれは税制の場合の税制改正大綱でもそうでありますけれども、こうしたものがきちんと理解をされていない部分があったのではなかろうか。そして、それは概算要求の基本方針でもそうでありますし、皆、内閣として基本方針を定めてきたわけでありますが、ややもすると世間からはそこが閉鎖的に見えた。そして民間の有識者の意見が入らないとか、さまざまな意見がございました。
 今回、その意味では発議権というものが、内閣総理大臣が基本方針について閣議にかけると法制上明確化される。これは当然のことと言えば当然のことでありますけれども、法律上明確にされる。そして同時に、その中において、内閣府という内閣総理大臣を支える重要な機能を果たすその位置づけの中に経済財政諮問会議という仕組みを用意した。ここにおいて知恵の集約を図るという機能を与えられた。予算編成の基本方針もまたここにおいて審議をしていただくことができるようになった。
 実務は当然のことながら行政のそれぞれの分野が行政の責任において担当していくわけでありまして、それは基本法で、今後におきましても財務省が具体的な予算の編成作業を担う、これは当然の前提として財務省の主要な機能として予算・決算を明記しておりますが、こうした点につきましては、むしろ明確さを増したというお答えを申し上げた方が適切なのかもしれません。
 議員の御指摘になりました点につきましては私も同様に思いますし、その内閣に移せということが内閣総理大臣自身の手によって編成作業をということであればそれは到底不可能ということで、行政改革会議においてもそのような論議はとられていないところであります。
#71
○久保亘君 私は、今の首相のお考えでよいのだと思うんですけれども、ともすれば予算編成作業と予算編成権というものがごちゃまぜになって、そして予算編成権を政治の側が、放棄しているとは申しませんが、そういうものを軽んじて予算編成作業に事実上の編成権が移ったかのような印象を与えていることは非常に問題である、こう思っております。
 それから、内政の面での内閣機能の強化というのは、そういう意味で予算編成権が確立されるということが重要であろうと。外政の面では、もう各国にも余り例のない中国の科挙に源を発する高文試験としての外交官試験がいまだに残っておって、これが日本の外交に一つの制約をもたらしているのではないか。もっと外交の実務に当たる人と、そして外交官の起用というものは別に考えられてよい。外交官試験の合格者が原則として大公使になるというような今までの考え方ではこれからの日本の国際的な活動は十分ではないんではないかという気がするんですが、外務大臣、いかがですか。
#72
○国務大臣(小渕恵三君) 御指摘のような御意見もありまして、外務省といたしましては、行政改革会議の最終報告を受けまして改めて検討を行った結果、次のような結論に達しておるところでございます。
 すなわち、T種職員につきましては、中央省庁等の再編の時期に合わせまして外務公務員採用T種試験を廃止し、国家公務員採用T種試験の合格者から採用するということにいたしております。ただ、語学その他の問題がございますので、専門職員につきましては、特殊言語専門家の確保に特別の留意を払うという観点から現行の外務省専門職員採用試験を実質的に維持するということになります。したがいまして、こうした形でいわゆる外務公務員試験というものはなくなるということに相なります。
 そこで、外務職員以外の大公使の起用についてもお触れになられましたが、外交という高度の訓練と長年にわたる経験を必要とする職務の性格等から生ずる制約もありますが、基本的には外務省としても優秀な人材を適材適所の観点から積極的に起用していきたい、このように考えております。
#73
○久保亘君 今までも、いわゆる外交官試験合格者の外務官僚外の人が起用された例は私も幾つも承知いたしております。しかし、むしろ外交官の起用については、外務官僚の中のすぐれた人が起用されるということも私は必要なことだと思っております。しかし幅広く、外務大臣が今言われたように、外交官の起用について今後もっと今までとは違った発想に立って考えられることが重要ではないかと思っておりますが、首相のお考えはいかがですか。
#74
○国務大臣(橋本龍太郎君) 議員からの御指摘を受けて、改めて現在の状況を調べてみました。そして、民間出身の大使の方が今までに十四人おられた、現役では二名だと。それから他省庁出身の大使が十七名おられた、そして現在四名現職におられる。この数字はいろんな思いをいたす数字です。
 同時に、私は、逆に外交官試験というものがあったがために、外務省の優秀な人材が他省庁との人事交流の中で、例えば他省庁の幹部職員として登用される機会をみずからふさいでいたケースだって実はあると思うんです。その意味で、外務大臣が今述べられましたようにT種試験を廃止する、そして全体一括採用の中から適材を外務省に配属していく、その方向は正しい選択であると思っております。
 同時に、これは現在の時点における国内官庁が外交官試験を受けた人々に対しても門戸を開くということが双方になけりゃなりません。大使あるいは公使という方々に対して、例えば現在でももとの経団連の専務理事の糠澤さん、ハンガリーの大使などで活躍をしておられるわけですが、今後も優秀な人材、適材適所という観点から積極的に考えていくべきことだと思います。
#75
○久保亘君 ほかにちょっとお尋ねしたいことを通告いたしておりましたが、時間がなくなりましたので、また次の機会にしたいと思います。
 これで終わります。
#76
○委員長(岩崎純三君) 以上で小林元君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#77
○委員長(岩崎純三君) 次に、牛嶋正君の質疑を行います。牛嶋正君。
#78
○牛嶋正君 公明の牛嶋正でございます。
 きょうもまた非常に時間が限られておりますので、公共事業の進め方に問題を絞りまして御質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 公共事業は民間企業の設備投資と同じように二つの経済効果を持っております。その一つは、乗数効果による需要創出効果でございます。もう一つは、公共事業によって形成された社会資本がその耐用年数にわたって便益をもたらすわけですが、そのサービス供給効果とも言うべき効果でございます。そして、この二つの経済効果は、財政の本来の役割であります資源配分機能と経済安定機能とに関連しております。
 したがって、公共投資の進め方は財政の健全な運営を目指す上で極めて重要な意味を持っているというふうに思っております。きょうはその観点に立って御質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、大蔵大臣にお尋ねしたいんですが、今回の補正予算案に計上されております公共事業を見させていただきますと、先ほどの御質問にもありましたけれども、環境・新エネルギー特別対策費とか物流効率化特別対策費、こういったもっともらしい名前がついているわけですけれども、その内容を検討させていただきますと、需要創出効果を重視した従来型の公共投資の進め方の域を出ていないというふうに判断しておりますが、この点についてまず大蔵大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
#79
○国務大臣(松永光君) 今回の社会資本整備関係の予算でございますが、これはたびたび申し上げておるとおりでありますけれども、公共事業の執行というものが需要創出効果を速やかにあらわすという見地から景気対策として補正予算で追加実施することになったわけでありますけれども、同時に、執行する以上は後世代の人から整備してくれておいてよかったと、こう評価してもらえる、そういう内容に重点を置かなきゃならないという総理の方針に基づいて編成されたものであります。
 委員御指摘のように、環境・新エネルギー、あるいは情報通信高度化・科学技術振興、そして福祉、医療、教育、この分野に全体の六割を充てたということであります。
 同時にまた、その細かい内容にいたしましても、例えば環境関係でいえば廃棄物リサイクル対策とかダイオキシン対策といったものに力を入れることにしたわけでありますし、また従来でいえば道路整備事業と言われるものの中にも、電線共同溝整備事業とか光ファイバー等の整備とか、こういった経済構造改革に資するものに力点を置いて、その内容につきましてよりよいものにしていく、新しいものにしていく、こういう努力をした結果として今御審議を願っている内容になったということにひとつ御理解を願いたいわけであります。
#80
○牛嶋正君 これまでは公共投資と申しますと需要創出効果に重点を置かれてきたわけですが、先ほど申しましたサービス供給効果をだんだん重視していかなければならない状況がいろいろ生まれつつあるように私は思うのであります。
 その一つは、我が国におきましても社会資本の整備がこれまで進められてまいりまして、それぞれの分野で先進諸国と同程度の水準に近づきつつあるというふうに考えられます。そのため私は、これまでの後追い型の投資から、新しい公共空間あるいは新しい生活空間を創造するような先行型投資に順次切りかえていかなければならないのではないか、こういうふうに思っております。
 それだけに、できるだけ厳密な公共投資基準を確立していく必要があるというふうに思いますが、差し当たって、これまで各省庁が立案してまいりました社会資本整備のための五カ年計画につきまして、廃止を含めまして抜本的な見直しの時期に来ているのではないかと私は思います。と申しますのは、五カ年計画の手法というのは、目標年次を設定いたしまして、それにできるだけ近づけるため年次計画で公共投資を進めていくというやり方でありますが、これはまさに後追い型の投資の典型というふうにも考えられるわけであります。そう考えますと、この見直しはぜひ必要ではないかというふうに思いますが、この点について大蔵大臣の御見解をお願いいたします。
#81
○国務大臣(松永光君) 委員が今申されたことを私は否定する気持ちはさらさらありませんが、公共事業を執行する場合には、まずむだのないようにコストの削減それから費用対効果、そういった面に十分配意をした形での公共事業の策定であり執行でなきゃならぬというふうに思います。
 同時にまた、将来を見据えて後世代のために役に立つそういった社会資本に重点を置く必要があることは仰せのとおりでありますし、経済構造改革という面も考えての社会資本の整備でなきゃならぬ、こういうふうに思っております。
 そういう考え方で、限られた財源をより効率的に効果的にかつ重点的に使っていくという行き方でなければならぬというふうな考え方に立っておりまして、委員の考え方とそうかけ離れているものではないというふうに思うのでありますが、今後とも、委員の御指摘は十分参考にさせていただきたいと思います。
#82
○牛嶋正君 もう一つ、サービス供給効果を重視しなければならない状況が生まれつつあるように思います。それは、納税者の側に、受益と負担あるいは給付と負担の対応関係をできるだけ明確にせよという要求がだんだん強まりつつあるわけでございます。いわばこれは行政の透明性、効率性に対する納税者の要求というふうに考えられますけれども、公共事業についても私は例外ではないと思います。
 ですから、公共事業に対する納税者のこういった要求にこたえていくためには、先ほどいろいろ重点的な財源の配分を行ったというふうに申されましたけれども、私は、それによって形成される社会資本が耐用年数にわたってどういう便益をもたらすかということ、それからまたそれが国民生活にどのような影響を与えるのか、ここまで示していかなければそういった受益と負担に対する要求に対してはこたえられないと思っております。
 ですから、先ほどの説明では、国民はそれじゃ自分たちの生活に今回の公共事業がどういうふうに影響を与えるのかということについて十分な理解を持っていないんじゃないかというふうに思いますが、この点について、大蔵大臣、もう一度御説明を。
#83
○国務大臣(松永光君) せっかく編成をした公共事業関係予算について、その予算を執行することによってある程度の期間利用できる、そういう社会資本がこれによってこれだけ形成されるという説明をもう少し明確にするべきであるという委員の御指摘であるとすれば、私は全く同感であります。今までややもすればそういう点の説明は十分でなかったというふうに思います。
 同時にまた、財政法四条の考え方でございますけれども、世代間の負担の公平という考え方はそういう考え方と共通するものと思うのであります。建設公債で社会資本を整備する場合には、その整備された社会資本というものが相当長期間活用される、それによって後世代の人も便益を受ける、したがって公債の元利償還の負担を後世代の人にもしていただく、そこに世代間の負担の公平性というものが確保されるんじゃなかろうか、そういう基本的な考え方でございまして、その考え方で進めていきたい、こう思っているわけであります。
#84
○牛嶋正君 この六月九日に成立いたしました中央省庁等改革基本法におきましても、第四十六条の「公共事業の見直し」におきましてこの問題を真正面から取り上げております。すなわち、公共事業の決定過程の透明化及び評価の適正化を図るため、客観的な公共投資基準の確立を図って費用効果分析の導入を強く提案しているわけであります。公共事業のサービス供給効果を重視する限りこの提案は私は当然のことというふうに考えておりますが、若干これに関連いたしまして御質問させていただきたいと思います。
 まず、費用効果分析という言葉でありますけれども、これまでも客観的な公共投資基準を確立するために、費用便益分析、コスト・ベネフィット・アナリシスと呼んでおりますが、あるいは私が呼んでおります費用効果分析、これはコスト・エフェクティブネス・アナリシスというふうに私は使っておるんですけれども、こういう開発がずっとなされてまいりましてある程度分析手法といたしましては確立しております。
 ところが、基本法を読ませていただきますと、この費用効果分析がどういうふうな意味内容で使われているのかちょっとあいまいなところがございますので、これにつきまして総務庁長官にお尋ねしたいと思います。
#85
○政府委員(坂野泰治君) 御指摘の基本法におきましては、事業の決定過程の透明化と評価の適正化を図ることとしておりまして、このために、事業の実施前後においてそれぞれできる限り客観的な費用効果分析を行い、その結果を公表するように求めておるわけでございます。
 基本法におきましては、この費用効果分析の定義をさらに敷衍した規定を設けておるものではございませんけれども、非効率であったり効果に疑問がある事業が不透明あるいは裁量的に決定されたり実施されるような事態を防止するために、事業の実施の前後におきましてある事業に要する費用とその事業によって得られる効果との関係をできる限り客観的に分析して公表する。そういう趣旨から考えますと、事業による便益が貨幣化できない場合も含めまして、広く効果を分析して費用との比較を行うことを意味するものと理解いたしているわけでございます。
 なお、このような費用効果分析につきましては、これまでも例えば下水道法に費用効果分析という規定がある例がございます。また、平成九年の財政構造改革の推進に関します閣議決定におきましても、「費用対効果分析の活用による効率的な整備の推進とチェック機能の強化」とされている例があるわけでございまして、ほぼ同様に考えられるのではないかと考えております。
#86
○牛嶋正君 ですから、今おっしゃいましたように、社会資本がもたらす便益が貨幣タームで測定できるかどうか、ここが決め手になるんです。このあたりをきちっとしておかなければ、後の公共事業間の優先順位の決定のときに非常にここは問題になってまいりますので、後でちょっと関連いたしまして質問いたしますけれども、そこが大事だということを私は指摘しておきたいと思います。
 一九六〇年にケネディ大統領は連邦予算制度に費用便益分析を軸といたしましたPPBSという新しい予算編成方式の導入を試みております。そして、実際に国防省にそれを入れているわけでありますけれども、このとき議会はこのPPBSの導入に対しまして批判的な姿勢をとったわけであります。それはなぜかと申しますと、政府、官僚組織が情報を駆使して分析を行い、それに基づいて立案される事業計画に対して議会が十分に対応できなければ、アメリカの場合、議会の持つ予算編成権が実質的に制限されてしまうのではないか、こういう懸念が持たれたからでございます。
 この問題は、現行の我が国におきましても極めて私は重要な問題ではないかというふうに思います。先ほども御議論ありましたように、予算編成権は内閣にあることは明らかでありますけれども、官僚主導の予算編成体制がそのまま続く、存続していくのではないかという懸念を私は非常に強く持っているわけであります。これは、私もアメリカのPPBSの分析を少しさせていただきまして、そのとき議会のそういった懸念というものを非常に強く指摘させていただいたわけです。
 それに関連いたしまして、こういった費用便益分析という客観的な分析手法を導入するのはいいですけれども、今の官僚主導型の予算編成体制が続くのではないかという懸念がありますが、この点について総理大臣の御見解をお聞きいたします。
#87
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、議員の御論議を伺っておりまして、サービス供給の機能というもの、これをどう効果として判定していくか、実はそういう視点で考えましたとき、これは私は議員に決して反論するんじゃありませんが、果たしてこういうケースというのがどういう形でサービス供給効果として測定できるだろうという具体的なケースを考え込んでおりましたので、ちょっとお聞きをいただきたいと思うんです。
 随分前のことでありますけれども、名古屋市の水道が非常に水源の悪化に悩んだ時期がございました。そして、議員のお近くだと存じますけれども、木曽川の犬山の取水口の下までCランクの水系分類が参りまして、上流の汚染が非常に問題になった時期がございました。現在、名古屋市の水道は都市の水道としては世界でも有数の水質を誇っておりますけれども、その当時、下水道並びに浄化槽の設置を急ぎ、それが実行されたのは主として岐阜県の中からでありました。
 そして、これは当然のことながら、その地域の方々が下水道の施設開設あるいは浄化槽の設置を求めておられたことに対し行った行動になるわけであります。地域の住民は確かにそれによっての、議員の分類でありますならサービス提供効果というものも需要創出効果とともに享受されたわけでありますが、でき上がりました後になりますと、需要創出効果はもう既に消滅しており、サービス供給効果はむしろ岐阜県内よりも下流部における名古屋市を中心とする木曽川水系を上水源としている地域の住民が享受することになります。果たしてそれを費用対効果分析の中に織り込めるだろうか。そうなりますと、実は私は十分な知識がありません。
 そして、議員が先ほど来述べてこられましたような形で分析を行っていこうとした場合、非常に豊富な情報とともに多くの分析努力が必要になるであろう。暗に御指摘をいただきました点は、私はそのとおりだと思います。
 ただ同時に、その採用すべき手法というもの、あるいは結果を公表していく、これは当然ながら、透明性を欠く場合には各界の非難を浴びるわけでありますし、プロセスにおきましても、政府の中だけではなく、当然ながら政府外のさまざまな情報もあるいは資源も活用しなければ私は費用対効果の分析というものは行えないのではないだろうかと思います。
 そして、もし費用対効果というものの分析を行うということに対し、政府外の情報または資源を活用しなければそれが実行できないとした場合、議員が御心配になりましたような官僚主導という御批判を受けるような事態にはならないのではないでしょうか。また、行政外、政府外の情報あるいは資源を活用しない限りにおいて効果的な費用対効果分析というのは成立し得ないのではないだろうか。率直な感想として私は今そのように思います。
#88
○牛嶋正君 今、総理がおっしゃいましたように、費用効果分析というのは非常に便益測定のところが難しいわけです。ですから、先ほど便益を貨幣タームであらわすことができる部分があると申しましたけれども、これは一部なんです。ほとんどは外部性を持っておりまして、不特定多数の人々に便益が行きますので、これは測定が難しいわけです。
 そういう意味で、次の私の御質問になるわけですけれども、費用効果分析というのはいかにも基本法ではオールマイティーみたいに書かれておりますけれども、この役割、有効性というのはそんなに大きくはございません。ですから、公共事業間の優先順位というのはこれではつかないんです。それでは費用効果分析は何に有効なのかというと、一つの事業を行う場合に幾つかの代替案が想定されます、例えばバイパスを建設する場合にルート一、ルート二、ルート三というふうに。その代替案の費用効果分析をやりますと、どのルートが一番効率的かというふうな選択はできるわけです。そこに限定されるんですよ。ですから、費用効果分析を導入いたしましても、結局は公共事業間の優先順位の決定は別の判断基準をつくらなければなりません。
 先ほど御紹介いたしましたアメリカのPPBSも、やはりプログラムストラクチャー、目的体系というピラミッド型をした体系をつくりまして、それを使って予算配分なりそれから公共事業の優先順位を決めているわけであります。
 ですから、我が国もこの前の基本法で非常に費用効果分析が有効なように書かれておりますので、私は、それを進めていった場合は当然総理が今指摘されたような問題にぶつかると思います。
 ですから、もう一つ重要なのは、そういった公共事業の推進に当たっての透明性とか効率性、そういったものを高めていくためには、公共事業間の優先順位を決定する客観的な判断基準をもう一つ用意しなければならない、私はこういうふうに思っておりますが、これについて、先ほどの総理の御答弁とあわせましてちょっとどういうお考えを持っておられるのか、お聞きしたいと思います。
#89
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに、議員から御指摘がございましたように、広範な分野にわたる社会資本整備、優先順位をどうつけるかといった場合に、単一の基準でぴたりと割り切れるようなそうしたものは私は到底存在しないと思うんです。
 ただ、御指摘でありますけれども、その費用対効果分析というものも、公共事業の採択に当たってやはり客観的な要素を導入しようとする試みとしては私は一つの手法としてそれなりの評価は与えられてよいと思うんです。これは必ずしも万全ではないという御指摘は私もそう思いますし、議員が今指摘されましたケース、いろんなものを当てはめてみましても、これが万全だと私も申し上げるつもりはありません。
 むしろその意味では、公共事業の重点化、効率化という観点から今行っております見直し、それはある意味で、時のアセスという言い方も使いましたけれども、一定期間を経て進捗しないような事業を中止する、あるいは廃止する、こういう考え方も中にはとっていかなきゃなりますまい。そして、まさに経済構造改革あるいは生活関連の社会資本整備という視点から公共事業全体をそれぞれの視点で見直し、これを組み合わせることによって優先度を判定するといったことも必要になるでありましょう。
 私は、議員が指摘をされますとおり、単一の基準、そういったものはなかなかできないのではないかと思う。しかし私は、その中で費用対効果分析というものは一つの試みとして認められるべき価値はある、そのように思います。
#90
○委員長(岩崎純三君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十八分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#91
○委員長(岩崎純三君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成十年度補正予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。牛嶋正君。
#92
○牛嶋正君 午前中の御質問の中では、公共投資が持っております二つの経済効果が全く別々のものとして議論させていただきましたけれども、実はこの二つの効果は関連があるのではないかというふうに考えております。
 きょう私が質問したかったのはこの点でございまして、例えば道路整備のために今仮に総額二兆円の投資が行われた、こういうふうに考えてみたいと思います。それで、この事業計画の実施の結果、交通事故件数が三〇%減少する、したがって交通事故による死者も三千人程度は減らせるんだ、そういうデータがこの事業計画についてきたといたしますと、国民のだれもが日常生活で常に感じている不安の一つが多少とも和らげられるわけでありますから、消費パターンに対してプラスの影響が必ず出るのではないか、私はこんなふうに思っております。もしプラスの影響が出たといたしますと、仮に限界消費性向が五%アップしてもかなりの新しい需要創出効果が期待できるわけです。
 このことについて、経済企画庁長官、どんなふうにお考えになっているのか、まずお聞きしたいと思います。
#93
○国務大臣(尾身幸次君) 私は、牛嶋委員の需要効果とそれからサービス供給効果といいますか、社会資本の整備に伴います効果をそういうふうに整理して考えられることに対して非常に卓見であるというふうに高く評価をしている次第でございます。
 今のお話で、確かに交通事故が減少して国民に安心感を与え、その面から、サービス供給効果という点からのまためぐりめぐって需要効果というものが考えられるというのもそのとおりだと思うわけでございます。それは、いろんな社会資本の整備、例えば情報通信におきましても情報通信の社会資本を整備することによりまして情報通信分野で新しいまた需要が起こってくる、科学技術につきましてもそういうことだと思います。
 そういう意味で、単なる従来パターンの需要創出効果のみではなしに、その社会資本の整備がもたらすところの経済に対するいろんな効果をきめ細かく分析評価をして、全体として総合的な観点から社会資本の整備を進めていく、それによって日本経済の体質を改善強化し、国民生活を向上させるということが大変大事なことであるというふうに考えている次第でございます。
#94
○牛嶋正君 そこで、こういった総合経済対策のための補正予算を編成する場合に、少し思い切った公共事業の進め方を考えてもいいのではないかというふうに思います。
 それはどういうことかといいますと、今私は道路整備の事業計画をする結果としてこういうふうな交通事故が減少するというふうなことを申しましたけれども、この公共投資の目標をもっとはっきりと出して、例えばこれまで三年間の交通事故による死亡者数をとりあえず二分の一減らす、このためにどういう公共投資をやればいいのかというふうな非常に国民にわかりやすい公共投資を行うのが補正予算の公共事業を考えていく場合に非常にいい機会ではないか、私はこんなふうに思っております。
 今私が申しましたように、そういう投資をやれば、これは消費パターンにどういう影響を与えるかは別としまして、私は、国民に対しまして非常に明るい、あるいは元気の出るようなインパクトが加わるのではないか、こういうふうに思うわけです。ですから、従来どおりの乗数効果だけを考えるような公共投資をこの補正予算で展開するというのは私は非常にもったいないのではないか、こんなふうに思っております。
 しかも、今申しました公共投資における投資目標の立て方ですけれども、これは国会で私たちが議論をして、今私が申しましたのは一つの例ですけれども、そういう目標を掲げて、そしてその実現のためにどういう投資あるいは公共事業を行っていけばいいのかというふうな公共事業の進め方、これを私はぜひ提案したかったわけですが、これにつきまして、最後に総理大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
#95
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、経済企画庁長官からも、需要創出効果とサービス供給効果という二つの視点を組み合わせてという御指摘には非常な卓見というお答えがございました。そして、私どもも確かに国会で毎年御論議をいただいております予算という形の中でできるだけそういうポイントについての考え方を明らかにしてきたつもりでありますし、またこれからも一層それはしなければならないと思います。
 例えば、公共事業の長期計画を一つ例にとりましても、議員は交通事故死というものを一つの目標として論議をされました。今、道路整備五カ年計画におきまして私どもが目標として明示しておりますものは、朝夕の走行速度を五年間で時速一キロ程度は上昇させたい、そういう形を一つの図柄として描いた長期計画をお示ししておるわけであります。
 また、今回の補正予算の中で、例えば下水道につきまして、いわゆる異臭味と言われるような、上水水源の上流に集中してこうした問題を解決していこうという方針を出しておりますのも、サービス供給効果という言葉自体私は思いつきませんでしたし学問的にも存じませんでしたが、そうした効果を需要創出効果とは別に意識してきているものであることは事実でありまして、そうしたお考えを予算の御審議に当たりましてお示しをいただくことは私どもも極めて有益だと思いますし、またそういう目標の設定というものも私たちも考えてまいりたい、そのように思います。
#96
○牛嶋正君 あと残りました時間、関連で高野さんが質問いたします。
#97
○委員長(岩崎純三君) 関連質疑を許します。高野博師君。
#98
○高野博師君 核兵器と憲法の問題についてお伺いいたします。
 我が国は、非核三原則を国是としている、それから原子力基本法を持っている、あるいはNPTやCTBTを批准しているということから、核兵器を保有しあるいは使用することは考えられないのでありますが、これは政策とかあるいは法律、条約の問題であります。
 そこで、憲法上の解釈について若干お尋ねいたしますが、核兵器保有に関する政府の見解はどうなっているでしょうか。
#99
○国務大臣(久間章生君) 自衛隊は、御承知のとおり、我が国の方針に従ってやっておるわけでございますから、非核三原則に基づいて核は持たないということでやっておりますし、憲法上の、法理論の問題とまた違って現実問題としてどうするかと言われますと、私どもも非核三原則をきっちり守りながらやっていくということでございます。
#100
○高野博師君 全然答えになっておりません。
 私が聞いているのは、憲法上、核兵器を持つことが許されるのかどうかということを聞いているんです。
#101
○政府委員(佐藤謙君) 憲法との関係でございますが、政府といたしましては、従来から純粋な法律論からいたしますれば、「自衛のための必要最小限度を超えない実力を保持することは憲法第九条第二項によっても禁止されておらず、したがって、右の限度の範囲内にとどまるものである限り、核兵器であると通常兵器であるとを問わず、これを保有することは同項の禁ずるところではない」、こういうふうに解しているところでございます。
 しかしながら、我が国は非核三原則を国是として一切の核兵器を保有しないことといたしまして、また法律上及び条約上におきましても、原子力基本法及び核兵器の不拡散に関する条約の規定によりましてその保有が禁止されておるところでございまして、今後とも核兵器の保有は一切これを行わない考えであるということを申し上げられると思います。
#102
○高野博師君 自衛のための必要最小限度の核兵器は持てるということでありますが、必要最小限度だということはだれが判断するんでしょうか。
#103
○政府委員(佐藤謙君) 最小限度かどうかということにつきましては、まさに自衛力の全体についてこれを判断するわけでございます。これにつきましては、予算編成上、またいろいろな段階で判断されるわけでございますが、最終的には国会におきまして、この予算の審議等々におきまして御判断がなされるということになろうかと思います。
#104
○高野博師君 それでは、現実の問題として、防御専用の核兵器とか、あるいは必要最小限度に使える核兵器というのは存在するんでしょうか。
#105
○政府委員(佐藤謙君) 仮定の議論でございますので具体的に申し上げるのは難しいと思いますけれども、法理論の問題として先ほど整理して申し上げたところだと思います。
#106
○高野博師君 それでは、核兵器の使用について、日本国憲法からいうとどういう解釈になりますか。
#107
○国務大臣(久間章生君) 先ほどから申し上げておりますように、法律の理論上どうかという問題と、我が国としてそういうことを持つか持たないか、これはやはりまた別の話でございまして、我が国の政府としては従来から非核三原則を遵守するといいますか、そういうことで持たないということを言っておるわけでございますから、それを持ってどうするという、そういうような仮定の話で答えるというのは非常に誤解を招きやすいのじゃないかと思いますので、どうか我が国政府の立場を御理解していただきたいと思うわけでございます。
#108
○高野博師君 政策は非核三原則、その他法律は理解できますが、僕は憲法上の解釈とその理論をきちんと聞いているんです、法的な解釈を。これは国際司法裁判所もこれに対する判断を、まあ判断はしていないんですが、これについてもきちんとしたものを出しているわけです。
 日本政府はこれについてどういう解釈をしているのか、法制局長官に伺います。
#109
○政府委員(大森政輔君) お尋ねの件につきましては、委員も重々御承知だろうと思いますが、実は昭和五十三年三月十一日の参議院予算委員会におきまして、当時の法制局長官、真田秀夫でございますが、真田法制局長官から、「核兵器の保有に関する憲法第九条の解釈について」という文書に基づく説明をしております。
 その要旨は先ほど防衛庁の方から答弁がございましたとおりでございまして、「自衛のための必要最小限度を超えない実力を保持することは憲法第九条第二項によっても禁止されておらず、」ということから、論理的な帰結として、要するに、右の限度の範囲内にとどまるものである限りは核兵器であるからといって禁止されていないと。全文読み上げますと長くなりますのでかみ砕いて要旨を申し上げているわけでございますが、そういう答弁をしているわけでございます。
#110
○高野博師君 僕は、保有じゃなくて使用について聞いているんです。
#111
○政府委員(大森政輔君) 核の保有の問題についての憲法上の問題点と申しますのは、即使用についての問題点にも当たるわけでございます。
 委員は、先ほど若干触れられましたいわゆるICJ、国際司法裁判所におきます平成八年七月八日の勧告的意見との関係を念頭に置かれているんだろうと思いますが、あの勧告的意見では、使用という点と国際法規、特に国際人道法及び中立性の原則でございますか、それとの関係についての考え方を述べているわけでございます。
 日本国憲法第九条との関係につきましては、保有との関係において先ほど述べられました法理は、純法律上の問題としては使用との関係においても妥当するものであろう、一応そういうことが言えようかと思います。
 ただ、この問題は国際法、国際社会においてもるるその考え方が推移している問題でございますので、その国際的な考え方の推移に応じて常に検討を重ねていくべき問題ではあろうというふうに考えております。
#112
○高野博師君 よくわかりません。
 核保有に関する政府の解釈は、使用についても妥当するということである、使用もできるということでよろしいでしょうか。念のため確認します。
#113
○政府委員(大森政輔君) 先ほど引用いたしました昭和五十三年三月十一日の当時の真田法制局長官の見解をベースといたしますならば、核兵器の使用も我が国を防衛するために必要最小限度のものにとどまるならばそれも可能であるということに論理的にはなろうかと考えます。
#114
○高野博師君 国際司法裁判所は、核兵器の使用については、国家の存亡がかかるような究極的な状況、そういう自衛状況での核兵器による威嚇または使用については合法か違法かは明確な結論を出すことができない、こういうことを言っているんですね。そうすると、今の答弁によりますと、日本政府の解釈はICJよりも一歩踏み込んでいるというふうに思います。
 そこで、こういう解釈をとると、核兵器を持っている、これを使用する国は大体究極の手段として自衛のためにこれを使うんだという名目を使うことは間違いない。こういうことに対して、日本政府の考え方からすると、ほかの国が同じように自衛の手段として使うということに対しては、これを認めることになりませんか。
#115
○政府委員(佐藤謙君) これまで申し上げましたのは、まさに純粋な法律論としての議論でございまして、あくまでも私どもは非核三原則というものに基づき一切の核兵器を保有せず、またそれについても法律上及び条約上も保有を禁止されている、こういう状況でございます。
 ですから、まさに我が国としてはこういう政策をとり、こういう立場に立っている、こういうことは明確に申し上げられる、こういうふうに思います。
#116
○高野博師君 核兵器の破壊力、殺傷力、これは先般総理も外交・防衛委員会の中で言及されていますが、こういう兵器を使うこと自体が防衛であろうと過剰防衛になることはもう十分考えられるわけで、憲法の法理論解釈じゃなくて、ICJは判断できない、こういう結論を出している。日本政府は一歩踏み込んでいる。しかし、これからの核軍縮とか核廃絶を進める中で日本政府はきちんとそこのところは使えないという解釈をすべきではないのかな。
 要するに、憲法とか法律の次元ではなくて、人類の存亡にかかわる問題でありますから、法理論的ではなくて、これはまさにそういう視点に立ってこれは使えない、絶対的な悪であるという見解をとることが必要ではないかと私は思います。核軍縮とか核廃絶というのは日本ができる最大の国際貢献ではないか、私はそう思っております。
 そこで、核問題で頻繁に引用されるのが、我が国は唯一の被爆国であるということで、この表現はいわば核問題についてのまくら言葉になっているようにも思います。そこで、唯一の被爆国として我が国政府は戦後五十年、これまでその独自性を発揮してこの分野について最大限の努力をしてきたということは言えるんでしょうか。外務大臣、どうでしょうか。
#117
○国務大臣(小渕恵三君) まくら言葉とおっしゃられましたけれども、極めてこれは重いものだろうと認識をいたしております。したがいまして、そうした観点に立ちまして、我が国としては究極の核廃絶を目指してあらゆる機会に努力を傾注してきたと認識をいたしております。
 もとより、保有国の核の軍縮その他につきましても、当事国がございますのでなかなかもって究極の状況には至りませんけれども、あらゆる機会をとらえて我が国としては我が国の立場を強く主張し、これが国際世論として発展していくことを願って努力いたしておるところでございます。
#118
○高野博師君 それでは、具体的に一つお伺いいたします。
 九六年の国連総会で採択されました核兵器全面禁止条約の早期締結に向けた交渉開始を求める決議について日本政府は棄権をしていますが、その理由は何でしょうか。
#119
○政府委員(阿部信泰君) お答え申し上げます。
 日本政府としましては、今申し上げましたように、核のない世界を目指しまして核廃絶を目指すということで核保有国に働きかけ、またその同意も得て核廃絶を目指すべく国連で決議案を推進しております。
 その一方の決議におきましては、究極的に核廃絶を目指すということでいろんな段階が盛り込まれておるわけでございますが、今御指摘の決議案につきましては何年という期限を切って核を廃絶すべしという内容が入っているかと存じます。それにつきましては、核保有国側の方から現段階ではそういうものはのめないという非常に強い反論がありまして、現実問題としてそれでは話は進まないということで、日本側としては両者の橋渡しをするということで努力しておりますものですから、棄権をさせていただいたという状況にあります。
#120
○高野博師君 その理由は対米配慮だと私は思いますが、米国の核抑止力に頼っているという事情があるためだと思いますが、そう解釈していいでしょうか、外務大臣。
#121
○国務大臣(小渕恵三君) 今、阿部審議官も答弁申し上げましたけれども、同じようなことは今回、インド、パキスタンの核実験に対しましてもスウェーデン初めそういったアピールがありまして、我が国に対して同意を求めてまいりました。
 ここは我が国としては、もとより究極の目的は達しなければなりませんけれども、期限を切るということになりますと、やっぱり期限をいつに切るかということは、これから御相談ではありましょうけれども、ここ一両年と言われてもなかなかそう簡単にいく話じゃないのでありまして、そういった点で現実的に、この問題について日本として世界の多くの国々が納得いく形でいくという中では余りにも理想を追い求めるということもできないという立場で今回はそのアピールにおこたえをいたしませんでした。
 そこで、今お尋ねの点につきましては……
#122
○高野博師君 アメリカの核抑止力に頼っているからじゃないか。
#123
○国務大臣(小渕恵三君) アメリカの核抑止力ということでございますけれども、これは防衛計画大綱にもありますように、我が国の安全を確保するためには、核の抑止力というものについて、これを我が国としてはその中で日本の安全保障を維持しているという立場であることは言うまでもありません。
 そこで、でありましても、この核の抑止力につきまして、アメリカの力というものは、ひとり我が国のみならず、この北東アジア全体の平和と安全にも寄与しているんだろうと思います。そういう意味で、先ほど御答弁申し上げているように、我が国がみずから三原則に基づいて基本的な国の方針としてこういう方針をとっております以上は、この地域の安全のためにはこの抑止力にもまた依存せざるを得ないというのが現在の状況でございます。
#124
○高野博師君 冷戦終結後については、米ソの対立が消滅したということもありますし、インド、パキスタンの動向を見ると、核抑止論というのは有効性が崩れつつあるのではないか、私はそういう危惧を持っておりますが、核抑止論というのは冷戦時代のいわば思考停止時代の産物じゃないか、そうも思います。
 そこで、日本がアメリカの核の傘のもとにあるということでこれは言われておりますが、それの根拠は何でしょうか。核の傘のもとにあるという根拠、すなわち何か明文化されたものがあるんでしょうか。
#125
○国務大臣(久間章生君) これまでの日米安保共同宣言あるいは今度のガイドライン等でも、米国のいわゆる核抑止力を保持するということは文章でも述べているところでございまして、そういう意味では、それをもって米国の核の傘の下にあるというふうに言えるのじゃないかと思います。
#126
○高野博師君 防衛大綱には、核兵器の脅威に対してはアメリカの核抑止力に依存するものとするということが書いてあります。アメリカ側には書いたものがあるんでしょうか、同じように。
#127
○国務大臣(久間章生君) アメリカ側に向こうの文献としてあるかどうかはわかりませんけれども、日米安保共同宣言あるいは今度のガイドライン、両方が取り決めた共同宣言の中にそういうたぐいの表現がしてあるということは、これは両方でそれを認め合っているということだと思います。
#128
○高野博師君 アメリカの核の傘のもとにある国は、日本以外にどういう国があるでしょうか。
#129
○政府委員(佐藤謙君) 網羅的に承知しているわけではございません。外務省の方から御答弁があるかもしれませんが、例えば韓国というのもアメリカの核の傘のもとにあるのではないか、こういうふうに私は理解いたします。
#130
○政府委員(西村六善君) お答え申し上げます。
 NATO、北大西洋条約機構でございますけれども、NATOにおきましては次のような概念を加盟各国は持っているわけでございます。
 その概念と申しますのは、核戦力の基本的な目的は、平和を確保し、脅迫及びいかなる種類の戦争も防止するという政治的なものであると称しております。さらに、NATO同盟国の安全保障の最高の保障は、同盟の戦略核戦力、なかんずく米国によるものであるということをNATOの正式の文書として規定している次第でございます。
#131
○高野博師君 それでは、日米同盟、この関係で新しいガイドライン、これの関連法案も出てくると思うんです。
 この日米ガイドラインというのは通常戦争というか通常兵器を使った戦争を想定しているんだと思いますが、こういうインドとかパキスタンのような新しい動きが出てきたときに、日米の防衛協力というのはもう一回見直す必要がないのかどうか、あるいは日本自身の防衛政策について見直す必要がないだろうか、その点について防衛庁長官にお伺いいたします。
#132
○国務大臣(久間章生君) 先ほどから述べましたように、新しい防衛大綱をつくりますときも、あるいはまたその後の日米安保共同宣言、そういう場合におきましても、核兵器及びその運搬手段であるミサイル等の拡散が非常に進んでおる、それで非常に不安定、不透明な時代になっておるということを前提にしてそういうことをやってきておりますので、それを受けましたガイドラインにおきましても当然そのことは念頭にあったわけでございます。
 したがいまして、直接核攻撃等があるとかないとか、それを前提にはしておりませんけれども、そのような非常に不安が広がっておるという、そういう背景については十分認識した上でガイドラインを取り決めておりますので、今ここで改めて、インド、パキスタンが実験を行ったからといって、ガイドラインそのもの、あるいはそれに基づく法律を改正する必要はないんじゃないかと思っております。
#133
○高野博師君 それでは、時間がありませんので、最後に一つだけ総理にお伺いしたいと思うんです。
 アメリカが戦争中に中南米から日系人をアメリカに連れてきて強制収容させた。これについて補償とか謝罪の問題がずっとあったわけですが、これが最近和解をして、大統領が謝罪文とともにこの日系人一人一人に五千ドルを払うということで決着がついたのであります。これについて総理はどういう認識をされておられるのか。
 特に、我が国が同じような、朝鮮人の強制連行とか従軍慰安婦とかいろんな戦後補償の問題を抱えているということもありますので、これについての総理の認識を伺って、終わりにいたします。
#134
○国務大臣(橋本龍太郎君) 第二次大戦中、米国の国内の強制収容所に収容されました日系の中南米諸国の市民、この方々が、一九八八年に成立した米市民自由法を日系中南米市民に適用して補償金を払うように、そういう趣旨で提起をしておられた訴訟の和解が成立をし、その結果が先日発表されました。クリントン大統領は、声明でこの和解を歓迎し、今回の和解がこれら日系の中南米諸国の方々の不利益を救済するものであるということを述べておられます。
 これは米国国内法の適用の問題でありますから、本来コメントすることが適切かどうかの問題もございますけれども、今回の和解内容につきましても、私どもなりに注目をし、その推移を見てまいりたいと考えておりますが、日本におきまして戦中戦後置かれておりました状況というものは全く環境が異なっております。
 ですから、それは単純な比較というものは私は非常に難しいと考えておりますし、日本としては自国の置かれた状況の中においてでき得る限りの対応を行ってきた、そのように考えております。
#135
○高野博師君 終わります。
#136
○委員長(岩崎純三君) 以上で牛嶋正君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#137
○委員長(岩崎純三君) 次に、照屋寛徳君の質疑を行います。照屋寛徳君。
#138
○照屋寛徳君 私は、最初にアメラジアンの教育権保障問題について、総理並びに文部大臣にお伺いをいたしたいと思います。
 アメラジアンという言葉は、なじみが薄いというか耳なれない言葉でございますが、主に米軍人の父親とアジア人の母親との間に生まれた子供を説明する言葉であります。
 在日米軍基地の七五%が集中する沖縄では、過去五十三年に及ぶ歴史の中で、日本とアメリカの二重国籍を持つアメラジアンの子供が推定一千名おるだろうと言われております。これらアメラジアンの子供たちはハーフとしてではなく、ダブルの誇りを持って国際社会で活躍できる人材になりたいと願っておるのであります。
 私は、アメラジアンの子供たちに日本人、そしてアメリカ人という二つのアイデンティティーを育てる教育を保障することは我が国憲法二十六条で定めるところである、このように考えるものであります。同時にまた、世界人権宣言、国際人権規約、子どもの権利条約に基づいても、アメラジアンの子供たちに十全な教育権を保障することは我が国の義務であろう、こういうふうに考えるものであります。
 そこで、アメラジアンの子供と教育権の保障について、文部大臣並びに総理の御認識をお伺いしたいと思います。
#139
○国務大臣(町村信孝君) 今、お尋ねのありました日米の二重の国籍を有する子供につきまして、日本政府の立場といいましょうか私どもの立場は、日本の国籍を有するということから、これは他の児童生徒と同様に教育を受ける権利がある、また義務もあるということからして、公立の小中学校等への就学する機会が保障されているわけでございます。
 なお、これらの子供はアメリカの国籍も有するということから、アメリカの学校に就学することを選択できることといたしております。これは委員御承知のとおり、国籍法の一部改正が昭和五十九年に行われたわけでございまして、従前は認められておりませんでしたが、母親が日本人であれば日本国籍を取得できる、こういうことになったわけであります。
 その際に、文部省の局長の通知が出ておりまして、日本の国籍を有する子女で学齢にある者については、その保護者は義務教育を受けさせる義務を負うことになる、ただし重国籍者の保護者から就学義務の猶予または免除の願い出があった場合は、例えば将来この子はアメリカに行くんだから英語で勉強したいというような、そういう希望がある場合には猶予または免除を認められてアメリカの学校等に就学するということを選択することができる、こういう通達が出ているわけであります。
#140
○国務大臣(橋本龍太郎君) アメラジアンという言葉自体、私は本当に余りなじんでいたわけではありません。しかし、米国軍人と日本人の女性の間に生まれたお子さんの問題に過去二回かかわったことがございます。
 一度は昭和四十年代の後半でありましたが、そうしたお子さんとお母さん、これは沖縄県のボランティアの方から御紹介があり、児童扶養手当の対象にならない、何とか自分たちも児童扶養手当、特別児童扶養手当の対象にしてほしいという訴えをいただいたことがございます。そのようなはずがないと思って調べてみましたところ、そのお子さんの国籍が当時米国になっておりました場合、法律上、母親及び本人の双方に国籍要件をかけておりましたために児童扶養手当等の対象にならないということがわかりました。
 私、本当にそのときに申しわけないという思いでいっぱいでありましたし、翌年、法改正の際に、当時国会を代表して政府の社会保障制度審議会の委員に出ておりましたので、その席上その話を御披露し、社会保障制度審議会全員の意見をもって国籍要件を変更することによって児童扶養手当等が受給できるようにいたした、これが最初のかかわりでありました。
 ところが、それからしばらくいたしまして同じお母様方から受けました訴えは、ベトナム戦争が激化しておりましたとき、米国に留学をさせようと思った場合に徴兵の対象になるという問題でありまして、米国に留学はさせたい、しかしその場合に国籍の選択を迫られ、米国籍を選択した場合に徴兵の対象になる、何とかこの問題を話し合ってほしいということで、日米双方の外交当局にこの問題を提起し、根本的な解決は見ないままにベトナム戦が終結をいたしました。しかし、そのときの論議が昭和五十九年の国籍法改正に結びついていったのではないか、私はそんな思いを実はこの法改正のときに持っておりました。
 今、重国籍が認められ、その中で新たな問題として教育という問題を議員は提起されました。制度的な仕組みは文部大臣から今お答えを申し上げましたように、いずれをも選択することは可能、米国籍を有しておられるという立場からアメリカの学校に就学されることも選択できる、日本の国籍を有するということから当然ながら日本の児童として教育を受ける権利は保障され、公立の小中学校への就学の機会、これは権利としても保障されておるわけであります。
#141
○照屋寛徳君 アメラジアンの子供たちというのは、総理並びに文部大臣から御答弁ありましたように、昭和五十九年に国籍法が改正をされまして、二十二歳に達するまでは日本とアメリカの両方の国籍を持つことができるいわゆる重国籍児、こういうふうになるわけであります。
 重国籍児であるアメラジアンは日本の義務教育を受けることは確かにできます。そして、中には義務教育の猶予または免除を申し出て、アメリカ国防省が在沖米軍基地内に設置をした小中高校に就学を希望する児童も多数おるわけであります。
 ところで、この在沖米軍基地内にアメリカの国防省が管轄をする小学校が七校、それから中学校二校、高校二校があります。ここでは軍人及びアメリカ本国から赴任した軍属の子供たちの教育費は無料であります。ところが、民間人及び他国籍の子弟、これは年間百三十万から百六十万円教育費がかかると言われております。このアメリカ国防省管轄の小中高校以外に沖縄クリスチャンスクール・インターナショナル、これは米国が認定をした学校でありますが、ここも授業料が年間五十万ないし六十万ぐらいかかりますし、また米軍人宣教師の経営する財団法人がクリスチャン教育を主体として設立された学校があります。そのほかにニューライフ・アカデミーという認定校ではないフリースクールがありますけれども、ここは教育費が年間約五十万円、両親が米軍人軍属の子弟は割引があるようでございますが、ただ、複式学級であったり、それから体育館や音楽室や化学実験室や図書館もない、教育設備も非常に劣悪であるという実態があるわけであります。
 それで、アメラジアンの子供たちは、基地内のアメリカ国防省管轄の学校に通いたい、だけれども教育費が先ほど申し上げましたように年間百三十万ないし百六十万要するということで希望がかなわないという、こういう悩みを抱えておるわけであります。
 私は、重国籍児だから日本の公立学校にも行けるじゃないか、希望すればアメリカの学校にも通えるじゃないか、こういうふうなことではアメラジアンの子供たちに十二分な教育権を保障することにはならないのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
 法律的には、国籍法で二重国籍は将来どの国籍を選択してもよい、こういうことでありますから、経済的、社会的に日本人として育つことを強制することはこれから迎えるであろう国際化の時代になじまないのではないか、こういうふうに思うわけであります。
 アメラジアンの子供たち、またその親は、当面アメリカ国防省管轄の基地内の学校で学べるように授業料の減免、あるいは日米両政府の援助でもって支払い可能な授業料に改定をして入学のチャンスをふやしていただきたい、与えていただきたい、こういうことを強く日本政府に望んでおるようであります。政府はアメリカ国防省と交渉してもらいたい、このように考えますが、総理並びに文部大臣の所信を伺いたいと思います。
#142
○国務大臣(町村信孝君) 先ほど委員の方から千名程度という推定をお示しになったわけでありますが、率直に言いましてまだ文部省も十分実態を把握していないのが現状であります。
 先日も、委員の御指摘があり、地元の教育委員会等とも協議をしたようでありますが、必ずしも沖縄の教育委員会の方もその実態を十分つまびらかにしていないという実態があるものですから、それこそどういう実態があり、どういう御要望があるのか、その辺のことなどについてまず地元とよく相談をしていきたいなと、こう考えております。
 なお、委員も十分御承知のとおりでございますが、基地の中にある学校については、これは軍人軍属の子弟については授業料が無料、ただし、同じアメリカ人であっても大使館館員の子弟であるとかあるいは沖縄にある米国の企業の子弟の場合には有料であり、一万何千ドルかという授業料を払う。そういう意味で、したがってこの二重国籍の方にのみ差別があるという実態では必ずしもないんだろうと思います。
 もっと英語を日本の学校でもやったらいいんじゃないのかという御指摘もあろうかと思います。
 そこで、今学習指導要領なりの改訂もいろいろ検討しておりまして、できるだけ小学校のうちから英語にも触れる時間があってもいいではないかというようなことを検討しているところであります。それは沖縄のみならず日本全国で。そして、中学校では英語を特にしゃべったり聞いたりということができるようにしていこうということでそれを必修にしていく、現実、必修とほぼ同じ状態でありますが。
 そうしたことを踏まえたときに、沖縄の公立の学校で英語をもっとできるようなもう少し弾力的な対応というのがあってもいいのかなと。そこは各学校あるいは教育委員会の独自の判断でそうした教育活動を充実していくことは現在の制度でも私は可能である、このように考えております。
#143
○照屋寛徳君 文部大臣に重ねてお尋ねいたしますが、アメラジアンの児童がどれぐらいおるのか、またどのような教育や生活の実態にあるのか、そしてそれらの子供たちがいかような就学希望を持っておるのかなどについて、私は実態調査を速やかに実施すべきだというふうに考えておりますが、大臣、いかがでございましょうか。
#144
○国務大臣(町村信孝君) 委員の御指摘もございまして、先ほど申し上げましたように、文部省本省の方では必ずしも把握をしてございませんので、どういう方法で実態を把握するかといったようなことも含めまして地元の教育委員会などとよく協議をしてまいりたいと思います。
#145
○照屋寛徳君 それでは次に、嘉手納空軍基地におけるパラシュート降下訓練についてお伺いをいたします。
 去る五月三十日、嘉手納空軍基地で実施をされたパラシュート降下訓練に参加した部隊名、それから兵員の数、訓練の目的を明らかにしていただきたいと思います。
#146
○政府委員(高野紀元君) お答え申し上げます。
 政府といたしましては、米軍の運用の一つ一つについて必ずしもその詳細を承知する立場にはございませんけれども、先月三十日に嘉手納飛行場において行われましたパラシュート降下訓練を実施した部隊は、在沖縄米陸軍第一特殊部隊群第一大隊で、延べ約百六十名の兵員が部隊の即応態勢を維持向上させるとの観点から降下訓練を行ったものというふうに承知しております。
#147
○照屋寛徳君 私も当日早朝からパラシュート降下訓練を監視しておりましたが、この訓練には、ただいま答弁ありました米陸軍第一特殊部隊、いわゆるグリーンベレー以外に空軍の第三五三特殊作戦航空団のMC130Hという飛行機なども使用されたように思いますが、グリーンベレー以外の部隊は参加しておりませんか。
#148
○政府委員(高野紀元君) 私どもが承知しているこの降下訓練を実施した部隊は、先ほど申し上げました第一特殊部隊群第一大隊であるというふうに承知しております。
#149
○照屋寛徳君 いわゆる五・一五メモ、日米合同委員会合意における嘉手納空軍基地の使用目的はどうなっておりますか。
#150
○政府委員(高野紀元君) 嘉手納飛行場につきましては、その提供に関する昭和四十七年五月十五日の日米合同委員会の合意におきまして、使用の主目的として飛行場と記載されております。
#151
○照屋寛徳君 そうすると、その嘉手納空軍基地でパラシュート降下訓練を実施することは、いわゆる五・一五メモの使用目的に違反しませんか。
 また、違反しないとすれば、その理由を詳細に答弁していただきたいと思います。
#152
○政府委員(高野紀元君) 嘉手納飛行場の使用目的に関しましては、その使用の主たる目的、主目的として飛行場と記載されているわけでございます。これは、嘉手納飛行場の使用の主たる目的を定めたものであって、使用の主たる目的が飛行場であることに反するのでない限り、今般のようなパラシュート降下訓練のような訓練の実施を排除しているというふうには考えておりません。
#153
○照屋寛徳君 いわゆる五・一五メモ、日米合同委員会合意では、それぞれの施設・区域、いわゆる米軍基地について主たる使用目的というのが定められておるわけです。その使用目的には、例えば訓練場あるいは通信所、弾薬庫、射撃場、事務所及び住宅、こういうふうに細かく具体的に定めておるのであります。
 そうすると、今嘉手納基地は主たる目的が飛行場だから、それに反しない限りパラシュート降下訓練もできるんだ、こういうことになりますと、一体何のためにこの五・一五メモではより具体的に使用目的を限定しているのか、あるいはまた、通信所を使用目的とする基地でパラシュート降下訓練とかあるいは差し支えない範囲で射撃訓練などもできるんですか。その点、お伺いいたします。
#154
○政府委員(高野紀元君) 昭和四十七年五月十五日の沖縄の米軍施設・区域の提供に関する日米合同委員会合意でございますが、施設・区域の使用の主目的として、今、委員御指摘のような訓練場、通信所等を定めております。
 これは、先ほど申し上げましたとおり、個々の施設・区域の使用の主たる目的を定めたものというふうに考えておりまして、あくまで使用目的の大枠というふうに考えております。したがって、個々の施設・区域の中におきまして、米軍がその管理権の範囲内で、米軍の活動が使用主目的としての形態に反しない限り、他の目的に使用することは排除されていないというふうに考えております。
 なお、嘉手納に関しましては、これは米側の説明でございますが、一九八〇年代までの間、パラシュート降下訓練が実施された実績があり、また最近におきましても年一回行われる基地の開放日のデモンストレーションとしてはパラシュート降下を実施しているというふうに承知しております。
#155
○照屋寛徳君 私はいわゆる五・一五メモでアメリカに提供している施設・区域での使用目的を厳重に限定をする、使用目的を明確化する、これは厳密に解釈されるべきものだ、そういう日米両政府間の合意ではなかろうかと思うわけであります。
 今のような形で嘉手納飛行場でもグリーンベレーがパラシュート降下訓練を実施する、それは構わないんだ、できるんだ、こういう政府の態度は私は納得できません。嘉手納基地周辺の各自治体も、あるいはまたあしたから開かれる沖縄県議会においても抗議の意見書や決議が採択される、現に採択をしている自治体もございます。
 使用目的がなし崩しにされる、あるいは基地機能が強化をされる。現にパラシュート降下訓練を見ておりますと、やはり周辺住民の生命、身体の安全に危険を及ぼすことになる、こういうふうに私は考えております。
 そこで、総理、外務大臣にお伺いいたしますが、日本政府として、アメリカ政府に対して嘉手納飛行場におけるパラシュート降下訓練中止を要求する考えはございませんか。
#156
○国務大臣(小渕恵三君) このパラシュート降下訓練につきましては、政府といたしましても十分承知をいたしているところでございます。
 この降下訓練につきましては、やはり米軍としては即応態勢の維持にとり極めて重要であるという説明を受けておりまして、SACOの最終報告におきましては御案内のとおり伊江島補助飛行場に移転するとされておりますが、現段階におきましてなかなか移転の実現が難しいということでございます。
 したがいまして、この訓練につきましては、米軍といたしましてはこの施設・区域において実施せざるを得ないのが実情であるということでございますが、政府といたしましては、今般のこの嘉手納の実施された訓練にかんがみまして、地元の方々の受けとめ方も踏まえまして訓練につきまして米側と協議をいたしてまいりたい、このように思っております。
#157
○照屋寛徳君 今、外務大臣御答弁ありましたように、SACOの最終報告によりますとパラシュート降下訓練を伊江島補助飛行場に移転する、こういうふうに合意をしているわけですね。従来、政府は、SACOの合意を実行していくんだ、こういうふうに言っておりますが、嘉手納基地でのパラシュート降下訓練はSACOの合意には違反しませんか。
#158
○政府委員(高野紀元君) パラシュート降下訓練に関しましては、SACOの最終報告において伊江島補助飛行場に移転するというふうになっておりまして、現在、その移転の実現に向け政府としては最大限の努力を米側とも協議しつつ行っているところでございます。
 移転が実現するまでの間、従来どおりパラシュート降下訓練を行うことが米側の即応態勢の維持のために必要である、重要であるという現状はあるわけでございまして、その間、降下訓練ができる施設・区域において実施せざるを得ないというふうに考えております。
#159
○照屋寛徳君 それでは次に、嘉手納爆音訴訟について何点かお伺いいたします。
 去る五月二十二日、福岡高等裁判所那覇支部でいわゆる嘉手納爆音訴訟についての控訴審判決が言い渡されました。私もこの裁判には準備を含めて十八年間弁護士としてかかわりを持ってまいりました。控訴審判決では、過去の損害賠償請求について、いわゆるW値七十五以上の地域に居住する原告らの爆音被害を認めました。また、損害賠償額を一部引き上げたり、国が主張しておりました危険への接近の法理を全面的に排斥する判決でございました。ところが、残念ながら提訴以来十六年の間に八十三名の原告がお亡くなりになりました。私は、静かな夜を返してほしい、夜間、早朝の飛行機の離発着を差しとめてほしいと願いつつお亡くなりになった八十三名の騒音で苦しんだ原告団はさぞ無念であっただろうと思います。
 この高裁判決について総理はどのように受けとめていらっしゃるでしょうか、お伺いいたします。
#160
○国務大臣(久間章生君) 私どもは、このたびの判決をよく検討させていただきまして、そして厚木基地の最高裁判決の枠組み等に沿うものでございますから、総合的な観点から上告を行わないことにしたわけでございます。
 いずれにしましても、今度の判決で言われておりますように、周辺住民の方々は受忍限度を超えておるということであのような判決が出たわけでございますから、私どもとしましては飛行場周辺の住宅の防音工事等、生活環境の整備等に一層努力していくつもりでございます。
#161
○照屋寛徳君 この嘉手納爆音訴訟では、一審、二審の判決とも現状の嘉手納基地の運用は違法状態である、こういうふうに判決の中で指摘をしているわけであります。これは、このままの状態を放置しておりますと政府が違法状態を認めることになるというふうに私は思いますが、この指摘を長官はどういうふうに受けとめていらっしゃいますか。
#162
○国務大臣(久間章生君) 委員も御承知のとおり、違法状態であると、そこまで言えるのかどうか、飛行の差しとめ等はしなかったわけでございます。要するに、その周辺住民の方々が生活するには騒音等が受忍限度を超えておるというような判決を示したわけでございますので、私どもとしてはその内容に沿って住宅防音工事あるいは遮音壁の設置等、そういう問題についてこれから先努力をしていきたい、そう思っているところでございます。
#163
○照屋寛徳君 判決をつぶさに読むと、もう住宅防音工事をやっているという程度ではだめなんだと言っているんです。
 そこで、外務省にお伺いいたしますが、平成八年三月の日米合同委員会で嘉手納飛行場における航空機騒音規制措置がとられました。しかしながら、判決でも指摘しておりますし、嘉手納や北谷町の調査でも明らかでありますが、それが守られていない、こういうことがあります。政府は騒音防止協定を厳重に守るようアメリカに申し入れるべきだと思いますが、どうでしょうか。
#164
○政府委員(高野紀元君) 今、御指摘の合同委員会合意は、午後十時から翌朝六時ということでございますが、この夜間のものは米軍の運用上の所要のために必要と考えられるものに制限するというふうになっております。ただし、米軍の運用上、真にやむを得ない場合には午後十時以降ということも排除されているわけではございません。この点はぜひ御理解いただきたいと思います。
 他方、周辺住民の方々に大変御負担をかけていることは事実でございます。その軽減を図るべく、今後とも合同委員会の枠組み等を通じまして米側と話し合いをしていきたいと思います。
#165
○照屋寛徳君 終わります。
#166
○委員長(岩崎純三君) 以上で照屋寛徳君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#167
○委員長(岩崎純三君) 次に、須藤美也子君の質疑を行います。須藤美也子君。
#168
○須藤美也子君 日本共産党の須藤美也子です。
 今回の補正予算で農水関係予算は五千三百三十三億円。しかし、今農村地域では消費税の増税など九兆円の大負担増の上に米の大暴落、大幅減反、二重三重にも大変な状況に追い込まれております。そういう中で農業生産を続けていくことさえも困難な、こういう危機に直面しております。景気対策と言うのであれば、まず何よりも農家の懐を暖めることが当然景気対策の第一だと思います。
 そういう中で、昨年の農業所得は前年度に比べてどれだけ落ち込んでいるか、お尋ねをいたします。
#169
○政府委員(堤英隆君) 農業経営統計調査によりますれば、販売農家一戸当たりの農業所得につきましては、平成八年百三十二万四千円、平成九年には百十四万二千円でございますので、一三・七%減少いたしております。
   〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕
 農業粗収益を部門別に見ますというと、稲作、果樹等については減っておりますが、花卉等では増加というふうになっております。
#170
○須藤美也子君 農業所得で一三・七%落ち込んでいるというふうになれば、他産業では黙ってはいられないほどの落ち込みだと思います。
 そういう中で、このように農業所得が落ち込んだ原因はどこにあるのか、農水大臣にお尋ねいたします。
#171
○国務大臣(島村宜伸君) 農業所得が落ち込んだことにつきましてはいろいろな角度から御説明する必要がありますが、一つの具体例として申し上げるならば、我が国の主食であります米の生産、これが平成六年から一〇九、一〇二、一〇五、一〇二と、一八ポイントいわば平年作を上回るという米余り現象から価格が大きく下落した。
 自主流通米の価格を例にとりますと、私の記憶に間違いがなければ、平成七年産米で五・四%、八年産米が二・〇、その次が一一・五という経過をたどりまして、いわば市場の原理がそのまま働いて大変に大きく下落した、こういうことがございます。
#172
○須藤美也子君 何か米だけで余りにもあっさりした答弁でございますね。
 農畜産物の輸入拡大などによって確かに米価の暴落は二割から三割であります。しかし、米だけではありません。生産日本一と言われる津軽のリンゴ。三十年前、価格の暴落で山に捨て川に捨てた山川市場というときがありました。このとき以上に今大変だ。なぜならば、リンゴジュースが輸入でどんどん入ってくるからであります。
 さらに、農水大臣にこの間申し入れをいたしましたように、日本の伝統的な畳の原料であるイグサが輸入によってもう大変な事態を迎えている。この半年間に未遂も含めると自殺二十数件が起きている、こういう状況が今、全国至るところの農村地域に起きているんです。このように農村が危機的な状況になっている、こういう状態をまず農水大臣はどのように認識されているのか。そして、総理大臣はどのように認識されているのか、お尋ねしたいと思います。
#173
○国務大臣(島村宜伸君) ただいま御指摘ありましたように、確かにイグサの問題などは大変深刻でございます。特に、我が国のイグサのうち八六・五%を生産する熊本などはいわば輸入品の非常に安いイグサに押しまくられて大変な思いをし、あすをどう生きるかというような大変途方に暮れている実情。実は先般、私は熊本に参りまして、皆さんのそういう御意見等を承ってきたところであります。
 それらを含めまして、我が国は何といっても条件が非常に劣悪であると同時に、気象条件の影響等非常に大きく受けますし、特に今、外国産の農産物等との競争条件は極めて悪いわけでありますから、これらについては十分農家が将来に向かっての希望を失わないように、自信と誇りを持って後継ぎがまた農業に取り組んでいただくように十分な配慮をしていくことが私たちの当然の務めだ、こう考えております。
#174
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、たまたまイグサを例に引かれましたので、改めて自分のふるさとを振り返っておりました。
 私の郷里、私がまだ学生時代、国会に出ましたころにも非常に多くの田んぼがイグサの生産に充てられておりました。国内の競争で敗れまして、いつの間にかそれが減少いたしました。そういう意味では、その中で今度は輸入という問題に直面している。これはまさに現在の農業を象徴する一つの例になるものかな、そのような思いで伺っておりました。
 同時に、今、農林水産大臣からも触れましたけれども、問題は高齢化が進んでおること、担い手が減ってきていること、そして過疎化が進行していること、価格問題以外にも実はさまざまな問題が組み合わせられ、それぞれが複雑に絡み合った問題として私どもにとっての課題となっております。
 しかし、農業あるいは農村というものは、食糧の安定供給ということだけではありません。国土の保全とか自然環境の保護といった役割までも数えますと、この国の健全な発展のためには農業所得の向上など農業農村の活性化というものは欠かせない課題でございます。
 今、農水省が一生懸命に努力をし、農業生産基盤の整備あるいは近代化施設の整備などを通じて農業農村の振興に努めようと努力をし、これからも続けていこうとするその目標は、まさにこうしたところにもあると思っております。
#175
○須藤美也子君 さらに、ことしは大幅な減反が押し寄せているわけです。そこで、今回の経済対策、補正予算によって農業所得がどれだけふえるのか、その見通しについてお尋ねをいたします。
#176
○政府委員(堤英隆君) 今回の補正予算につきましては、農業関係につきましては全体的な総合経済対策の柱立てに即しまして、環境・エネルギー問題、あるいは物流効率化といった問題につきまして、それぞれの社会資本整備の対策、それからもう一点は中小企業対策といたしまして、農業分野におきます貸し渋り解消のための債務保証能力の拡大、こういうことにつきまして所要の経費を計上いたしております。
 これらにつきましては、農業所得の増大を直接目的とするものではございませんので、今回の補正予算によりまして農業所得が幾ら上がるか、そういう定量的な把握はできないというふうに思っておりますが、今申し上げましたような対策によりまして、農業関係の公共投資ということによります雇用機会の増大ということと、それから農業分野におきます債務保証の拡大によります農業者の方々の資金調達の円滑化ということによりまして、農村の活性化あるいは農業経営の維持発展ということに役立つものというふうに理解をいたしております。
#177
○須藤美也子君 実は、日本銀行仙台支店で、「米の減反と総合経済対策による農家所得への影響」、これは十年五月二十九日に出しております。この仙台支店管内は、宮城、岩手、山形の三県ですが、減反を計画どおり実施されたとき五百十四億円の減少が見込まれる、政府の総合経済対策も減反による農業所得の目減り分は補えない、こういうふうに試算をしております。
 そういう点で、先ほど公共投資が雇用機会あるいは地域の活性化につながる、そういうことでしたけれども、私が言っているのは、農外収入のことを言っているんではないんです。農業の再生と農村地域の活性化について、これを私はお尋ねしているわけであります。しかも、幾ら公共投資をふやしたとしても、実際に大幅減反でますます耕作放棄地がふえていく、米価は下がる、そういう状況の中で農業が生産を続けていくことはできない。こういう状況が続くならば、私は、今の日本の農業は一体二十一世紀に向けてどうなるのか、これを非常に多くの国民が心配している、こういうふうに考えます。
 そこで、私は提案したいんですが、農業、農家にとって今最も緊急な要求は何か、それは昨年暴落した米価の補てんであります。さらに、農畜産物の価格保証、大幅減反の中止、そして先ほど申し上げましたリンゴ、イグサなどの輸入制限をするためにセーフガードの発動、これは何としても必要なことではないでしょうか。どうですか、農水大臣。
#178
○国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。
 我が国の農業は、米国とかあるいはEUに比べまして経営規模が極めて零細でありまして、構造改善を急ぐ必要がございます。また、欧米の場合はいわば畑作農業が主体であるのに対しまして、我が国の場合は水田農業主体であるため、用水等の施設整備を進める必要がございます。さらにはまた、立ちおくれている集落排水等、農村の生活環境整備を急ぐ必要があること、そういった状況にありまして、こうした施策に対する財政支出がまず基本的に必要であることを私たちは深く認識し、これらに今精いっぱい取り組んでいるところでございます。
 また、我が国の農産物につきましては、内外価格差が大きいために、生産者の所得支持は財政支出のほか国境措置による消費者負担を伴って行われていることに留意する必要があります。
 我が国と米国、EUは農業の置かれた事情が違い一概に比較できないことを踏まえた上で、一九八〇年代から九〇年代にかけての価格関係予算の増減について申し上げれば、欧米においては国際価格が下落傾向にある中で価格支持や補助金つき輸出を図ったため増加しており、一方、我が国においては主として米に係る経費が政府買い入れからより高い生産者手取りを得られる民間流通に移行したため減少しておるのが実情でございます。
   〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕
 これら、いろいろな他国とは簡単に比較できない特殊事情にある我が国農業でございますが、先般来、農林水産委員会等でも御説明しておりますとおり、農業は単に農産物の供給という役割だけでなくて、我が国の国土の保全、自然環境の保護あるいは水資源の涵養等々まさに多面的、公益的機能を担っておるいわば重要な産業でありますので、私どもはこれからも大いに将来に向かって皆さんが希望を持っていただく環境を整備していきます。
#179
○須藤美也子君 それでは、このように農村が大変な状況になっても、例えば輸入拡大でリンゴやイグサがこういうように深刻な事態になってもセーフガードの発動はやらない、こういうことですか。
#180
○国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。
 いわばすべてに市場開放をして、それぞれの生産に取り組んでいる人たちを見殺しにするようなことは絶対にいたしません。
 しかしながら、逆にすべてをシャットアウトするということは今の国際環境からして許されませんし、総合的に見て国益にも合わないものと考えます。我々は、先ほど来のイグサの問題を初めとして、果汁その他につきましても十分それらに意を用いて努力をしているところであります。
#181
○須藤美也子君 例えば米価の補てんです。これは過去三年間平均してということを政府でも言っていますが、私どもが過去三年平均した金額が六十キロ二万三百八十円であります。昨年の米価暴落で一万七千二百四十七円、その差額が三千百三十三円であります。これを自主流通米四百五十万トン分を補てんするとしても三千億要らないんです、二千三百四十億円なんです。三十兆円の百分の一もかからないんです。
 国土の保全とかいろいろな多面的な機能を活用していく農業のことを考えるならば、これは当然政府が責任を持って補てんすべき金額である、補てんすべき政策である、セーフガードも輸入を制限するためにこれは国民の願いがあれば当然これにこたえるべきだ、こういうふうに思います。なぜなら、セーフガードはWTO協定以降五月まで、アメリカ、ブラジル、韓国、アルゼンチン、この四カ国でセーフガードを発動しているんです。日本ができないということはないんです。そういう点で、これはやる気があればできる。やる気がないということになりませんか。
#182
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。
 ガットのセーフガードについては当然のことながらいろんな前提条件がございます。私ども個々の品目についてそれぞれの前提条件を十分に調査した上で判断するわけでありまして、そうした要件に合えば当然のことながら発動の手続に入るということでございます。
 しかしながら、いろいろな条件がございますので、そういう条件がなかなか難しいような場合においても、相手国との話し合いを行う等、そういった努力は続けてまいるという考えでございます。
#183
○須藤美也子君 先ほど他国の例を出されましたけれども、ここにグラフを持ってきました。(図表掲示)EUは八〇年から九五年まで三・六五倍に価格・所得保障の予算をふやしています。アメリカは同じく二・七九倍にふやしています。ところが日本は四割に減らしました。これはどういうわけですか。なぜ日本が価格・所得保障の予算をこの間ずっと減らしてきたんですか。
 農水大臣、どうですか。
#184
○国務大臣(島村宜伸君) 今、せっかくの力作を拝見させていただいたんですが、私どもの調査した数字によりますと、例えば米国の場合には三・四三倍、EUの場合は三・四九倍、そしてまた日本の場合は〇・五〇倍、こういうふうになっております。
#185
○須藤美也子君 これはそちらの方の資料から出たグラフであります。
 さらに、EUは基盤がしっかりしている、こういうふうにおっしゃいました。そうしますと、日本は基盤がしっかりしていないんですか。
#186
○国務大臣(島村宜伸君) 恐らくその基盤という問題につきましては、同じ農業に取り組むといっても、我が国の場合には農家一戸当たり一・五ヘクタールでございますが、ヨーロッパに行かれますと、御存じのとおり大変に規模が大きくてけたが違います。例えば、ドイツなどは農家一戸当たり日本の約二十倍、フランスが二十六倍、イギリスに至っては四十七倍。アメリカは百二十七倍、こういうふうになります。豪州などは二千六百六十七倍ですから比較になりません。
 したがって、農業の質も内容も全然違うわけでありますから、同じような基盤でこれを取り扱うことは間違いだと、こう思います。
#187
○須藤美也子君 そういう外国と同じようなことにはいかないと言いながら、大規模農家の育成ということで、公共事業としてそこに土地改良事業費をどんとかけていらっしゃるじゃないですか。規模を拡大する、アメリカや国際的な競争に負けないように日本も大規模農家をつくると。
 しかし、今、大規模農家ほど被害が大きいんです。北海道の津別町では、四十六歳の後継者ですが、四十五ヘクタールの大規模農家をやったこの後継者がみずから命を絶った。その遺書の中には、生命保険で借金の一億五千万を返してほしいと。その父親は、政府の言うことは正しいと思って進めてきた、そして農協から融資を受けこれだけの借金になってしまったんだ、こう嘆いているんです。規模拡大がいいものではなく、日本は日本としての、何百年も前から田んぼを耕し畑を耕してきたその家族的な農業を大事にしていくことこそ、私は、日本農業の活性化にもつながる、進歩にも発展にもつながっていくというふうに考えます。
 それからもう一つ、消費者の話をなさいました。これはそちらの方で出した総理府の世論調査です。この世論調査で見ますと八三・四%の方が、高くても外国産よりも国産でつくる方がよい、こう言っているんです。とすれば、輸入に依存するのでなくて、大多数の国民の願いにこたえて国産で増産していく、そういう立場に立った予算の編成こそ必要じゃないかと思います。
 そこで、お聞きいたします。
 公共事業を中心に、価格・所得保障の予算をずっと八〇年から減らしています。その結果、農業は一体どうなったのか。耕作放棄地、農家戸数、新規学卒就農者、カロリーで八〇年と現在の数値を示していただきたいと思います。
#188
○政府委員(堤英隆君) 耕作放棄地につきましては、一九八〇年、九万二千ヘクタールが現在は十六万二千ヘクタールでございます。
 農家所得は、一九八〇年、四百五十一万円でございましたけれども、現在は六百四十八万円でございます。
 新規学卒の就農者数は、一九八〇年、七千人でございますが、現在におきましては二千二百人でございます。
 食糧自給率につきましては、カロリーベースで申し上げますと、一九八〇年五三%でございましたけれども、現在四二%。穀物自給率では、三三%が二九%というふうになっております。
#189
○須藤美也子君 このように、日本農業は衰退しているわけですね。公共事業が他の事業よりも多くふえてから農業がこのように衰退をしてきた。そういう点で、私は公共事業に偏重した農業というのはゆがみをつくると思うんです。
 つまり、土地改良で田んぼや畑を立派にする、農道も立派にする、カントリー施設などもいっぱいつくる。しかし、その周りで働く農家が収入がなくて農業をやめ、集落が壊れたら、立派な農道も施設もこれは意味ないじゃないですか、活性化につながらないじゃないですか。
 こういう点で、根本的に日本農業を国の基幹的産業として位置づけるならば、今回の補正も含めて公共事業優先でなくて、今多くの農民がもう生産意欲を失おうとしているこういうときにこそ価格・所得保障を優先的に予算をふやすべきだと私は思いますが、総理大臣、どうでしょうか。
#190
○国務大臣(島村宜伸君) 道路をつくったりあるいは集落排水事業を進めたりあるいは集出荷施設、カントリーエレベーター等々をいろいろ整備することよりは所得補償とおっしゃいますが、農家を私たち今かなり意欲的に歩いてみまして、例えば北海道だけでも四回もう私はことしになって行っておりますが、いろいろ皆さんとじかにお話しすると、やはりだんだん周辺の整備が行き届いてくることの中に政府の取り組みの意欲を感じるので我々も頑張るというお話の方がむしろ多いわけです。
 これは決して気慰めじゃなくて、私は私的な時間もオープンにしていろいろ話し合ってみますが、皆さんそういうことを言われるわけです。特に、集落排水事業その他を進めることによって周辺が整備されないと、例えば都会から農村にお嫁に行く人もいません、水洗便所でなきゃ嫌だと。水洗化率その他までやはり生活環境を全部整備しないことには、今どきは同じ日本人だという印象が背景にあるわけですから、これはできません。
 それから、所得補償の問題ですが、所得補償にだけ集中しますと、そのときだけで消えてしまうという面がありますが、設備はすべて残ってその後の体質強化につながっていくわけであります。やはり将来的な視野というものを持つことが大事ですし、また同時に、農家の周辺にもいわば農業以外の仕事に従事している方もたくさんおられまして、農家にだけ所得補償をするということはこれは皆さんの同意が得られるかということになると、甚だ疑問が残るところであります。
#191
○須藤美也子君 総理大臣。
#192
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、農林水産大臣が極めて明確にお答えをいたしましたように、私どもは、やはり生産の基盤がきちんと維持され、そして生活環境が維持され、その中でこそ安定した生産が続く、そのような考え方を持っております。
#193
○須藤美也子君 私は、農業を維持しているのはその地域に住んでいる農業者だと思います。その農業者がもう農業をやる気をなくしたらその地域の集落は壊れてしまう、そういう点はあべこべだと思うんです。基盤が先かというのでなくて、その地域に住んでいる農業者を大事にする。
 そういう点で、最後に要求です。
 価格保証もだめ、所得補てんも非常に消極的、その上、市場原理の導入によって自主流通米の値幅制限の撤廃や麦の流通の民間移行、こういうことはやめていただきたい。そういうことをやればやるほど農業はやる人が少なくなって、担い手どころか本当にその集落はつぶれてしまう。そういう点で、私は農業再生のためにそういう方向で予算を組み替えることを強く要求して、時間ですので終わります。
#194
○委員長(岩崎純三君) 以上で須藤美也子君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#195
○委員長(岩崎純三君) 次に、田村秀昭君の質疑を行います。田村秀昭君。
#196
○田村秀昭君 自由党の田村秀昭でございます。
 まず、総理にお尋ねいたしますが、総理の中国人女性問題に関して、衆議院の予算委員会において、この女性が日本人と再婚したときに結婚式あるいはその披露宴に総理が出席されましたかどうか、もう一度確認させていただきます。
#197
○国務大臣(橋本龍太郎君) 出席をいたしておりません。
#198
○田村秀昭君 我が自由党の調査によりますと、総理はこの結婚式あるいは披露宴に出席された可能性があるという情報が入っておりまして、現在その証拠固めを行っておりますので、もし証明できれば……(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。
 総理の責任問題になることだけを確認させていただきます。答弁は結構です。確認させていただきます。
#199
○国務大臣(橋本龍太郎君) 御調査どうぞお続けをいただくこと、何ら妨げるものではございません。
 その上で、出席しておらないものは出席しておらないとお答えをする以外にございません。
#200
○田村秀昭君 次に、金融機関の破綻問題についてお尋ねいたします。
 現状、非常に厳しいトリプル安が続いております。混迷しております。それで、大手銀行や金融債を発行している銀行の破綻は国内外に大変大きな影響を与えます。政府はそういうことはないと答弁しておられますが、そういう破綻はないということの確認をさせていただきます。総理、お答えいただきます。
#201
○国務大臣(松永光君) 大きな金融機関、すなわち銀行の中で破綻に瀕しているようなものはない、こう承知しております。
#202
○田村秀昭君 近い将来において破綻しませんね。
#203
○国務大臣(松永光君) 現段階においてはそのような心配のある銀行はない、こう承知しております。
#204
○田村秀昭君 五月三日の英国のインディペンデント・オン・サンデー紙に天皇陛下と凶悪犯三人の写真が載って、彼らを許せるかという、イギリスの新聞ですが、こう載っておるわけです。天皇陛下の御訪英の前ですが、外務省はいつこういう記事が載ったということを認識されたか、そしてどのような措置をおとりになったのか、外務省にお尋ねします。
#205
○政府委員(西村六善君) 今の記事は先生がおっしゃいましたとおり五月三日に出たものでございますが、私どもが気がつきましたのは五月十九日でございます。十九日に直ちに在英日本大使館より強く抗議を行いました。二十一日に至りまして、同紙から林大使に対しまして謝罪する、陳謝するという書簡が送られてきた次第でございます。
#206
○田村秀昭君 十九日までこの新聞が、有名紙ですね、どうしてわからなかったんですか。
#207
○政府委員(西村六善君) この写真の記事につきまして気がつかなかったことは不注意でございました。これからこのようなことが起こらないように十分注意をし、督励をしている次第でございます。
#208
○田村秀昭君 私はこれは大使館ですから読んでいると思うんですね。だけど、これを表ざたにしない、なるべく知らないことにする、そういう体質が外務省の中に芽生えているんじゃないかということを非常に危惧するんですが、いかがですか。
#209
○政府委員(西村六善君) この件につきまして、これを表ざたにしないといったような意図に基づきまして行動した形跡は全くございません。この件は、ただいまも申し上げましたとおり、不注意で気がつかなかったケースでございます。
#210
○田村秀昭君 ちょっとそれはぼけているんじゃないですか。こういう新聞に載っていて、例えば日本でいえばオウムの麻原彰晃というんですか、あれと大久保清と神戸の幼児殺しの写真とエリザベス女王の写真を載っけている、これは内容がどうであれ、私は日本が非常にばかにされているんだと思うんですよ。今その程度の日本外交なんですか。もう一回よく聞かせてください。
#211
○国務大臣(小渕恵三君) 今、欧亜局長が答弁を申し上げた経緯でございますが、私自身もこの事実を知った直後、直ちに在英大使館より同紙に強く抗議を行いました。
 これに対しまして、英国政府といたしまして我が国に遺憾の意を申し越しました。また、英国政府は、英国での報道の自由は確保されておりますが、この記事は支持しない、また両陛下が英国女王陛下の賓客として礼譲と威厳を持って迎えられるよう最大限努力を払うという立場を説明し、実際に両陛下の御訪英成功のために努力をいたしました。
 いずれにいたしましても、この写真が掲載されたのはまことに遺憾のきわみでございますので、今後ともこうしたことのないように、在外機関におきましてこうしたことの二度と起こらないように十分注意してまいるようさらに指示いたしておるところでございます。
#212
○田村秀昭君 どこの在外大使館にお伺いしても、大使の部屋に天皇、皇后両陛下のお写真が飾られておりますね。
 それで、私が聞くところによると、この抗議は、先ほど欧亜局長がお答えになりましたけれども、公使から向こうの編集長に抗議をしているというふうに聞いておりますが、なぜ大使からきちっとおやりにならないんですか。私は非常に頭にきているんですよ、この問題は。外務省は余り頭にこないんですか。
#213
○政府委員(西村六善君) このような写真がイギリスの新聞において出ましたことは極めて遺憾でございまして、私どもはただいま先生がおっしゃったような気持ちでいるわけでございます。
 抗議を行うに際しまして、公使のレベルにおいて行ったわけでございますけれども、これは外務大臣の指示に基づきまして日本政府として行った抗議でございまして、抗議を行った人間がたまたま公使ではあったわけでございますけれども、日本政府、それから日本大使館を代表して抗議を行った次第でございます。
#214
○田村秀昭君 参議院の外交・防衛委員会で、外務大臣はこの問題について非常に遺憾だと、非常に腹立たしいようなお顔でお答えになったことを私は今でも覚えているんですが、外務大臣、どうして大使がきちっと英国政府に対しても抗議を申し込まないんですか。
#215
○国務大臣(小渕恵三君) ただいま欧亜局長が答弁申し上げましたように、私としては在外公館を通じて申し上げましたが、政府としての意思を伝えるということでございますので、大使であれ公使であれ、日本政府として十分抗議を申し上げておるところでございます。
#216
○田村秀昭君 私は、こういう重要な問題は国家としてきちっと抗議をしていかないと本当の友好関係というのはできないというふうに思っておりますので、どうぞ今後は大使を通じておやりになっていただきたいと思います。
 補正予算について若干お尋ねさせていただきます。
 二月二十七日の衆議院の委員会で、総理は、平成十年度の本予算は政府として最善の予算と考え、編成をし、提出をしているので御審議をいただきたいというふうに答弁しておられます。
 現在もそういうふうにお考えでしょうか。
#217
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、正確な日付をちょっと聞き漏らしましたけれども、いずれにいたしましても予算を提出いたしました時点で最善の予算という言葉を用いましたことは事実であります。
 その上で、昨年来の状況が、本年に入りましてからQEその他の形で現実のものとなり、実体経済が非常に厳しい中において政府として総合経済対策を発表し、またこれに基づきまして、公共事業と減税を二つの柱といたします補正予算の御審議を現在いただいておるところであります。
#218
○田村秀昭君 今の御答弁はよく理解できませんでしたけれども、そのときと同じように今もお考えになっているということでございますか。日にちは二月二十七日でございます。衆議院の予算委員会です。
#219
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、今申し上げましたように、何日かはとにかく、議員は今二月二十七日と言われましたから、私はその日もその言葉を用いたのでありましょう。当時、そういう言葉で予算について考え方を御説明したことは事実ですということをまず申し上げました。
 そして、昨年来の厳しい状況が、例えば十―十二月のQEあるいは日銀短観、さらに失業率といった新たな経済指標により状況が厳しくなっておることを受けまして総合経済対策を発表し、その中の関連するものを現在補正予算として御審議いただいております事実をきちっと申し上げております。
#220
○田村秀昭君 そういたしますと、今、補正予算を組まれているということは、そのときは最善だったけれども、今はいろいろな緊急性が生じて補正予算を審議するという理解でよろしゅうございますか。
#221
○国務大臣(橋本龍太郎君) 繰り返し申し上げておりますけれども、平成十年度予算につきまして改めて申し上げますが、予算作成時点における内外の経済情勢、金融情勢等を踏まえながら編成をいたしましたその予算、現在その早期執行に全力を尽くしております。
 同時に、インドネシアなどアジアの金融・経済混乱、あるいは大型金融機関の破綻等さまざまな影響というものが本年に入りましてから発表されました十―十二月のQEあるいは日銀短観、失業率といった新たな経済指標により判明をいたしましたものを受け総合経済対策を発表し、その中の補正予算を御審議いただいておりますと、事実をそのとおり申し上げております。
#222
○田村秀昭君 野党の私たちは、消費税の二%アップ、特別減税の打ち切り、医療費の値上げ等、そういうことをやっていては景気はよくならないということを前から申し上げているのであって、こういう補正予算を組まれるという、もう何でもありというような政治のあり方というものが非常に政治不信を招くのではないかというふうに私は考えております。
 それで、特に十年度の補正予算も入れますと約十兆円以上の公共事業費が盛り込まれておりまして、これは従来型の対策であって、こういうことで景気が回復するとは考えられないのであります。私たちは大幅な制度減税と行政改革による経費削減こそ景気対策につながるというふうに考えておりますので、大蔵大臣、この補正予算も含めてどのようにお考えになっておられるのか、お聞きしたいと思います。
#223
○国務大臣(松永光君) 委員の属する党の御意見は前から聞いております。
 私たちとしては、現在の厳しい経済、景気の情勢、これから速やかに抜け出して景気を回復軌道に乗せるためには、一日も早く減税の効果が及ぶような特別減税を実施し、かつ将来を展望して、後世代の人が整備してくれておいてありがたかったと、こう見てもらえるような新しい形の社会資本の整備を重点に置いた公共投資を拡大する、その両方によって、まだほかにも施策がありますけれども、相乗効果をもって景気回復軌道に乗せていきたい、また乗せていくことができる、こういう考え方で補正予算を作成して審議をお願いしているところでございます。
 成立をさせていただきましたならば、速やかにこれを実行していくことが最も大切だと、こう思っておるところでございます。
#224
○田村秀昭君 大蔵大臣の御所見は御所見として、私どもは私どもの意見を申し上げる。
 防衛庁長官にお尋ねしますが、ガイドラインに基づく周辺事態の措置法案等がたなざらしになっております。自社さきがけ政権は解消されたんだからこれは堂々とおやりになったらいかがかと思うんですが、どうしてお出しにならないのか、たなざらしにしているんですか。
#225
○国務大臣(久間章生君) 私どもは、周辺事態安全確保法その他いわゆるガイドラインの実効性確保を図るための法律案等につきまして、四月の末に閣議決定して国会に提出しているわけでございますけれども、その後審議が行われないで、いよいよ会期末になったわけでございます。私どもとしては、非常に残念でございますけれども、一日も早く審議が行われるように、委員会へ付託されるように願ってやまない次第でございます。
#226
○委員長(岩崎純三君) 時間です。
#227
○田村秀昭君 時間でありますので、本当はたくさん申し述べたいんですが、小会派でございますので、これで質問を終わらせていただきます。
#228
○委員長(岩崎純三君) 以上で田村秀昭君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#229
○委員長(岩崎純三君) 次に、西川きよし君の残余の質疑を行います。西川きよし君。
#230
○西川きよし君 よろしくお願い申し上げます。
 本日は、ダイオキシン対策、環境対策についてお伺いをいたします。
 今回の補正予算案では、情報通信、福祉・医療、そして環境対策が大きな柱の一つになっておるわけですけれども、まず総理大臣に二十一世紀に向けてこの環境対策についてどのような方向性を打ち出していかれるのかというのをお伺いいたしたいと思います。
#231
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変大きな問題でありますだけに、どこからお答えをすればいいのかと思います。
 まず一つ、私どもが取り組まなければならない環境対策の中でも、地球温暖化という日本だけではなく人類共通の課題としての問題、これに対しての取り組みというものが非常に必要になると考えております。これには当然のことながらリサイクル社会というものを我々が築いていくことに努力しなければなりませんし、同時に省エネルギーという点でも一層の御協力を国民にお願いしなければなりません。
 同時に、これから先ふえるであろうエネルギーの消費というもの、これは省エネに努力してくださってもふえていく部分がございます。このエネルギー源を温暖化という観点から考えますならば、我々は安全というものを大前提にした上で主として原子力の利用によるエネルギー供給というものにゆだねざるを得ないと考えておりますから、新エネルギーにおいてそれをどこまで代替できるかという課題もありましょう。
 しかし、環境対策というものは決してそれだけではなく、議員が先ほど触れられましたような例えばダイオキシンというものを一つの切り口とした廃棄物の処理のあり方、これもまたリサイクルにつながっていく課題でありますし、可燃性の廃棄物は焼却という手段で取り組んでまいりました我が国の廃棄物行政そのものが実は今問い直されております。
 こうした部分を考えますと、環境対策というものが、国民の健康を守る、また良好で快適な生活環境を守る、確保していく、さらにそのすぐれた自然環境というものをいかに保全し、また破壊された自然というものの復旧に努めていくか、こうした課題を考えますときに、これらが相まって地球の環境保全という目的につながっていくのだと思います。
 このためにも、環境基本法あるいは環境基本計画に基づきまして、まさに循環型の社会、循環というものをベースにした環境に負荷の少ない社会をいかに築いていくか、その中で持続的な発展が可能な手法を見出せるか。これは、社会の構築、地球環境の保全という両面から見ましても、環境対策を総合的、計画的に進めていかなければなりません。その中に、どうしても国民に、リサイクルを通じた循環型社会というものの実現に、あるいは省エネルギーの努力を通じてエネルギーの効率的な使用、さらには自然の保護、回復に御協力をいただかなければならない部分が多く存在することを改めて申し上げたいと思います。
#232
○西川きよし君 御丁寧に御答弁いただきましてありがとうございました。
 大阪におきましても、御承知のとおり豊能郡美化センターのダイオキシンの問題で地元にも寄せていただいたんですが、健康に対する不安あるいは風評被害に対する不安、そうした不安がある中で、地元の新聞では、取り返しのつかない事態に陥る前に乗り越えるきっかけを得たんではないか、この逆境を再生へのチャンスと考えてよいのではないかといった前向きな投げかけもあるわけですけれども、まさにこれからの対策が本当に大事なことであると思うわけです。
 環境庁、厚生省では、それぞれの役割の中で、たくさんにまたがっているわけですけれども、その役割の中で今後のダイオキシン対策を含めました環境対策について具体的にどういうふうに取り組んでいかれるのか、本日は環境庁長官と厚生大臣にお伺いをしたいと思います。
#233
○国務大臣(大木浩君) 本日の御質問はダイオキシンを中心にしてのというふうに理解しておりますけれども、実は先ほどの総理のお話にもございましたように、最近はダイオキシンあるいは環境ホルモン、そしてまた一般的な、特に人工的に合成しました化学物質、これがまた有毒の影響があるんじゃないかというようなことがいろいろございます。
 そこで、本日はとりあえずダイオキシンを中心にして御説明した方がいいと思いますが、従来、ダイオキシンにつきましては、ただいま総理のお話にもございましたけれども、主として発生源は焼却から生じておるということですから、焼却炉の性能あるいは管理をきちっとすることによって大部分発生が防げるんじゃないかという感じを持っておりました。
 しかし、今回の大阪の方のケースというのはどういう理由であったのか。焼却炉の性能が悪かったのか、あるいは管理にやや問題があったのかは別といたしまして、大気中ばかりではなくて土壌の方までいろいろと影響を及ぼしておる、こういうことでございますから、ただいまそういう部分を含めて現場の調査をしております。これはもちろん厚生省の方もいろいろと御調査をしておられますし、私どももしております。
 ということで、先般、大阪府の知事さんにも御訪問いただきましたので、現場とも十分に連絡をとりながら、そしてまた厚生省を初め関係省庁とも十分に連絡をとりながら、まず実態の調査ということを進めておるところでございます。
#234
○国務大臣(小泉純一郎君) 廃棄物処理施設からのダイオキシン等の排出を削減するという施策とともに、ただいま環境庁長官からも答弁されましたように、人体に対する影響、母乳とか血液、この調査研究を地方自治体、関係省庁と連絡をとりながら進めて、実情を正確に把握してしかるべき措置を講じていきたいと思っております。
#235
○西川きよし君 ありがとうございました。
 今回の大阪の問題につきましては、今お話にも出ましたけれども、先日、大阪府等から関係省庁に対してそれぞれ要望が出されたわけです。こうした全国地方自治体に対する財政支援、これは法律の整合性とかいろいろ難しい問題がたくさんあるわけですけれども、財政支援、技術的支援についてどのように現在検討されておられるのか。先ほども申しましたように、幾つかの省庁にまたがっているわけですけれども、改めて厚生大臣と環境庁長官に御答弁をお願い申し上げます。
#236
○政府委員(小野昭雄君) ダイオキシン対策といたしましては、先ほど環境庁長官の方から御答弁がございましたように、焼却炉の運転条件をよくする、維持管理をよくする、燃焼温度を高くするといったようなことで相当程度削減できることはわかってきております。
 したがいまして、焼却施設につきまして改善工事を既に計画している地方自治体がございますので、これらにつきましては優先的に国庫補助対象といたしまして、少しでも早く改良していただきたいというふうに思っておりますし、それから都道府県に対しましてごみ処理の広域化計画をつくっていただく。要するに、処理量が多くなりますと二十四時間連続運転できますので、発生量が非常に抑えられるというふうなこともあります。現在そういったことにつきましても計画策定をお願いしております。
 それからさらに、先ほど厚生大臣からもございましたように、全国でいろいろ健康につきまして御不安を持っている方もいらっしゃいます。そこで、今月末を予定しておりますが、自治体の関係者にお集まりをいただきまして、全国での調査の計画、それから厚生省でも計画を持っておりますので、その中へどう組み入れていくかというふうなことで十分な御意見交換をしながら進めてまいりたいと考えております。
#237
○政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。
 先ほど来大臣からも御答弁申し上げましたように、発生源周辺などで高濃度のダイオキシン汚染が相次いで報告されているという状況、先ほどの豊能郡のはまさにその典型例でございますが、このため全国の汚染状況をまず詳細に把握する必要があるということで、今回御審議をお願いしている補正予算案におきましても、環境庁として最優先でとるべき課題の一つといたしまして補正予算四十四億円余を計上させていただいております。
 これによりまして、当初予算に比し、総合モニタリング調査地点も十倍の四百地点に拡大できるということになっております。また、先般、WHOの耐容一日摂取量の見直しを受けまして、ダイオキシンの健康リスク評価の再検討も実施してまいりたい。さらには、総合モニタリング調査によります汚染状況の把握を踏まえまして、昨年八月に策定いたしましたダイオキシン対策に関する五カ年計画を着実に前倒しをしながら進めてまいります。
 このような中で、大阪府の要請につきましてもできる限りの対処をしてまいりたいと考えております。
#238
○西川きよし君 ありがとうございました。
 本当に今こそ自治体、企業、そして国民一人一人が一丸となってこの環境対策に取り組む、そのための環境整備に必要な予算というものをちゃんと配分していただきたいと思うわけですが、今後とも積極的に重点を置くといったことに国民の期待が寄せられているわけですけれども、総理にもう一言いただきたいと思います。
#239
○国務大臣(橋本龍太郎君) ただいま議員が御指摘になりましたのは廃棄物処理全体についてのことだと思います。今回も最終処分場対策経費等新たな考え方も取り入れておりますけれども、この廃棄物処理の問題というのはさまざまな角度で大切な問題であります。今後ともただ処分という観点だけではなく、そのリサイクル等も含めて私どもとしてはしっかりと取り組んでいきたいと思っております。
#240
○西川きよし君 最後に、地元の方々の不安と要望、これが一番大切ではないか、これを御要望して終わりたいと思います。
 まず、汚染されているという風評、そのために夏のキャンプ場はとにかく二千人以上のキャンセルが出る。次は、米とか水とか農作物、安全宣言を出しているために朝市の客は戻ってきているが、無人販売は、今まで五万円売れていたそうですけれども、これが二万円、二万五千円ぐらいに落ちてしまった。
 母乳調査を二十四歳から三十四歳の主婦で子供を出産した人を対象に行うということで、六人の了解を得ている。また、能勢から出た人たちも対象にしてこれから調査をお願いしたいということでございました。そして、乳幼児のデータをとり分析を行っている。健康相談を行っているが、七〇%から八〇%の人たちから水や食べ物は大丈夫かという相談が多数あるそうです。
 土壌については、国の環境基準が決まっていないので、どこまでとればよいか決まっていない。十センチから二十センチとれば、地元は八〇%から九〇%の汚染がとれる。先ほどのお話ですが、財政面での補助制度がないために、土はごみに当たらないということで補助金の出し方が非常に難しいので、なるべく急いでもらいたいというお言葉でございました。汚染された部分をもとに戻さないと施設を再開できない、またその土をどこに保管するかも大変な問題でございますということでございました。
 そして、町としての一番の要望はやはりもとに戻すための財政支援である、これをよろしくお願い申し上げたいということでございます。
 そして、これはお父さんとかお母さん、皆さん方のお声でございますけれども、こちらの出身であるということで娘が嫁に行けないのではないか、そういう心配もあるそうです。また、将来息子が嫁をもらえないのではないかというような心配もいたしております。大変切実な問題であります。
 大阪だけではなしに全国的な問題ではありますが、皆さん方にお願いをして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#241
○委員長(岩崎純三君) 以上で西川きよし君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#242
○委員長(岩崎純三君) 次に、栗原君子君の残余の質疑を行います。栗原君子君。
#243
○栗原君子君 新社会党の栗原君子でございます。
 先般、インドとパキスタンの相次ぐ核実験によって新たな核拡散と核戦争の危険性が増大をしているように思います。
 広島では、核実験のたびに被爆者や市民たちが平和公園の石畳の上で抗議の座り込み行動を続けてまいりました。既にこれらも五百回を大きく超えてまいりました。
 唯一の被爆国としていかなる国の核実験にも反対をする、そういう政府の態度をもっと強く主張してほしいということを思うのでございます。
 先般、外務大臣は、六月の十一日から十三日にかけてG8にお出かけになりました。非核三原則を持つ国の外務大臣として核兵器廃絶へのリーダーシップもとっていただいたかと思いますけれども、少しお聞かせいただきたいと存じます。
#244
○国務大臣(小渕恵三君) この会合では、インド、パキスタンに対しましてすべての核実験及び核兵器開発の中止等、インド、パキスタンへの要求が明らかにされますとともに、両国間のさまざまな機会をとらえての対話が促されたほか、我が国の主張によりまして究極的核廃絶に向けた核兵器削減努力への決意やSTARTプロセスの進展に向けた米ロの強い動向等、核軍縮に対しP5外相会合や国連安保理決議より踏み込んだ記述が声明に盛り込まれたところでございます。
 さらに、私から、インド、パキスタン両国のNPT締結を目標に据えつつ、今後の対応を検討するためのG8タスクフォースの設置を提案いたしまして、G8以外の諸国も含めた形でこれが実現することとなった等の成果が得られたと思っております。
#245
○栗原君子君 NPT、核拡散防止条約とか、これらも具体的な措置も期限も決められていないと思いますし、さらにまたCTBT、全面的核実験禁止条約も未臨界の核実験あるいはまたコンピューターの実験などについては禁止規定を持っておりません。持つ国は持ち続けるといったような不平等な部分も残しているものでございます。
 そこで、持つ国に対してもこの際削減を迫ってほしいということを思います。核兵器の保有、実験、そして配備、移転など、核兵器の全面禁止条約をつくる必要があるように思います。こういったことにもリーダーシップを示してほしいと思いますけれども、政府の御見解はいかがでございましょうか。
#246
○国務大臣(小渕恵三君) 御指摘のように、核の廃絶を目指していかなければなりませんが、NPT体制といわれるものは五つの国の核保有ということを認めた上で成り立っておるわけでございますので、こうした国々に対しまして核の削減を我が国としても強く求めていくという努力は継続していかなけりゃならないと思っております。
 しかし、いずれにいたしましても大変多数の核を保有しておるわけでございますので、特に米ロにおきましては二つの国がしっかり話し合うということが必要だろうと思います。そういった意味で今STARTUがロシアの批准に至っておりませんが、これをさらに進めること、さらにSTARTVに向かっての交渉を始めること、こうしたことにつきまして、私もロンドンにおきましてもそれぞれの国に強く要請をいたしてまいったところでございます。
#247
○栗原君子君 政府は、一九九五年には冷戦が終わっていたにもかかわらず、村山内閣における新防衛大綱において、核の脅威に対しては米国の核抑止力に依存すると定めております。核兵器に自国の安全保障を託しながら、他国にこのように要請するということは大変矛盾をしているように思うんです。説得力がないように思いますけれども、核の傘から離脱をすべきだ、こういった国民の声に対してはどのようにお考えでいらっしゃるんでしょうか。
#248
○国務大臣(小渕恵三君) そのことによって我が国の安全が確保されるということではあり得ないということでございまして、我が国としては、やはり核の抑止力というものは、これは我が国のみならず世界のそれぞれの地域、すなわちNATOにおいてもしかりでございますけれども、そうした安全確保のために現時点におきましてはその抑止力というものが効果あるものとして理解した上で、我々としては核の問題につきましては最終的に究極の廃絶を目指していくという努力をいたしていくということだろうと思います。
#249
○栗原君子君 唯一の被爆国としてぜひ世界に対してそうしたリーダーシップをとっていただきたいということを思います。そのためには、持つ国に対してもこれを削減の方向に強く呼びかけていただきたいということを思います。
 私自身は核と人類は共存できないという立場をとっております。それはなぜならば、旧ソ連のチェルノブイリの原発事故で核の被害を受けました子供たちに会いました。その子供たちの症状が広島で被爆を受けていまだに治療を続けている広島の被爆者の症状と一体である、こういうことを目にしまして、核と人類は共存できないものである、こういうことを考えたときに、エネルギーにいたしましてもソフトエネルギーの開発にこそぜひ人類の英知を結集してほしい、こういうことを思っております。
 最後に総理に一言、核兵器廃絶への願いを込めて答弁をお願いします。
#250
○国務大臣(橋本龍太郎君) 核兵器を究極的に廃絶しなければならない、これは私は日本ばかりではなく人類共通の願いだと考えております。
 ただ、エネルギーという点で全く原子力を排除される点、これは地球温暖化に対抗する、そして新エネルギーの開発を現実に眺めているとき、私は必ずしも議員と考え方を一にはいたしておりません。
#251
○栗原君子君 雑駁になりましたけれども、終わります。
 ありがとうございました。
#252
○委員長(岩崎純三君) 以上で栗原君子君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
#253
○委員長(岩崎純三君) これより討論に入ります。
 討論の通告がございますので、順次これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。和田洋子君。
#254
○和田洋子君 私は、民主党・新緑風会を代表し、政府提出の平成十年度一般会計補正予算外二案に反対する立場から討論を行います。
 冒頭まず申し上げたいのは、この補正予算が国会に提出されて以来一カ月もの間放置されていたことについてであります。民主党を初めとする野党各党が早急に審議入りを求めたにもかかわらず、会期末までたなざらしにしてきました。自民党・橋本内閣には本気で景気回復に取り組む気持ちがないのだと言わざるを得ません。
 十五日のEU蔵相会議では、日本に金融システム強化や構造改革を促す異例の特別声明が出されております。他の国々に言われるまでもなく、この補正予算では景気回復は望めない、むしろ財政構造と経済構造のゆがみを増幅させるばかりであることは私たちが再三再四指摘したところでございます。
 以下、順次反対の理由を申し述べます。
 反対の理由の第一は、補正予算の要件を規定した財政法の趣旨に反する予算となっていることであります。
 財政法第二十九条は予算作成後に生じた状況の変化に基づき補正予算を作成することとしております。既に当初予算成立前に景気対策が必要であることが明らかであったにもかかわらず、かかる対応を当初予算に盛り込むことを怠った橋本内閣の責任は極めて大きいと言わざるを得ません。
 反対の第二の理由は、真の景気回復に寄与しない予算となっていることであります。公共投資が従来の土木中心の公共事業に偏っていることです。
 政府は新社会資本整備と称していますが、その内容は必ずしも地元のニーズに基づいていない治山治水や港湾整備など旧態依然のものであり、経済団体からも構造改革に結びつかない壮大なむだと批判されているのであります。これは自民党の支持基盤への利益誘導策であり、景気対策というよりむしろ参議院選挙対策ではありませんか。
 民主党は、公共事業改革の一つとして、地方分権の徹底を訴えております。自治体が権限と財源を持ち自己決定権を行使できれば、住民のニーズに柔軟に対応できるとともに、住民のチェックも可能になります。地方自治体が自主的に判断して使える未来への投資として四兆円の予算を用意し、中央省庁のひもつきの補助金をそれにかえるべきだというのが民主党の提案であります。
 反対の第三の理由は、所得税の恒久減税を盛り込んでいないことであります。
 今、何よりも求められているのは、大規模な恒久減税の実施を断行することであります。恒久減税の速やかな実行こそが国民に活力を与えるものであります。
 最後に、景気を必ず回復させると言っておられるこの補正予算の審議のさなかでさえ、株安、円安の事態ということは、まさにマーケットが橋本政権にだめ押しの不信任を突きつけたものであると強調して、私の反対討論を終わります。(拍手)
#255
○委員長(岩崎純三君) 佐藤泰三君。
#256
○佐藤泰三君 私は、自由民主党を代表して、平成十年度補正予算三案に対しまして、賛成の討論を行うものであります。
 本補正予算案は、経済の後退、金融不安に適切に対処し、経済構造改革の推進を目的とした総額十六兆円規模の総合経済対策を実施するために編成されたものであります。内需拡大策の実施により需要を喚起すると同時に、真に必要とされる社会資本を整備するという我が国経済の体質を改善、強化する経済構造改革の方向に合致した予算となっており、大いに賛意を表するものであります。
 以下、平成十年度補正予算案に賛成する主な理由を申し述べます。
 賛成の理由の第一は、本予算案が景気刺激の特効薬となる減税措置を盛り込んでいる点であります。
 冷え切った消費マインドを刺激するための所得税の特別減税を追加するとともに、サプライサイドの民間投資の促進に資するよう投資減税の実施を盛り込んでおり、減税額は総額二兆円を超える規模となっております。かかる減税措置は景気回復に必ずや威力を発揮するものと確信しております。
 賛成の第二の理由は、二十一世紀を見据えた社会資本整備を推進する予算となっている点であります。
 情報通信の高度化・科学技術振興、環境・新エネルギー、福祉・医療・教育など新しい考え方で社会資本を整備するなど、総額三・六兆円を計上し、景気浮揚に役立ち、また構造改革にも資する内容となっております。
 賛成の理由の第三は、土地の流動化対策が盛り込まれている点であります。
 土地取引の活性化は、ゆとりある生活環境を実現するとともに、金融機関の不良債権の処理を促進し、金融システムの安定、強化に資するものであります。本補正予算案は、住宅・都市整備公団などの事業を追加するとともに、公共用地の取得を推進するために必要な経費を計上しております。かかる措置は土地取引の活発化を通じて日本経済の再生に大いに貢献するものであります。
 以上、本補正予算案への賛成の理由を申し述べました。
 国民は内需拡大による日本経済の早期回復と活性化を最も期待しております。本補正予算の成立こそが我が国経済を立て直す最善の施策であることを申し上げるとともに、政府におかれましては予算成立後の速やかなる執行に努められることを求め、私の賛成討論といたします。(拍手)
#257
○委員長(岩崎純三君) 加藤修一君。
#258
○加藤修一君 私は、公明を代表して、ただいま議題になりました平成十年度補正予算三案に対し、反対の立場から討論を行うものであります。
 景気は、消費税が引き上げられた昨年の四月以降、悪化の一途をたどり、デフレスパイラル寸前の危機的状況に陥っております。このため、平成九年度の実質成長率は実に二十三年ぶりにマイナス〇・七%となり、四月の完全失業率は四・一%と過去最悪を記録し、企業倒産も急増しております。消費関連指標や住宅建設も軒並み記録的な落ち込み状態にあり、国民や中小企業経営者の先行き不安感は増大するばかりであります。アジア諸国もアジア経済の最大の波乱要因として我が国の経済動向を注視しており、責任が極めて大きいのであります。
 こうした経済危機は、九兆円の国民への負担増、財政構造改革法の強行、十年度超緊縮予算の編成など、景気より財政再建優先策を強引に進めてきた橋本内閣の経済政策が原因であります。政策不況と追及されるゆえんであります。
 政府は、四月二十四日、悪化する景気に抗し切れず、事業規模十六兆円余と称する経済対策を決定しましたが、対策は余りにも遅過ぎ、しかも場当たり的、一時的対策が中心で、景気浮揚効果はほとんど期待できません。経済対策の発表以来、円安は一ドル百四十六円まで下落、株価もバブル崩壊後の最安値近くまで下落し、経済対策は内外市場では全く信認されていないのであります。内外市場で評価されない経済対策に基づく補正予算は到底認めることはできません。
 以下、主な反対の理由を申し述べるものであります。
 反対の第一の理由は、減税効果が期待できないことであります。
 政府は、特別減税を二兆円追加し、計四兆円の減税を実施しようとしていますが、特別減税は一年限りであり、消費拡大に結びつきません。同じ四兆円を使うなら、我が党が主張している特別戻し金を期限つきの商品券ですべての人に支給する方が消費に回る割合が圧倒的に多く、冷え切っている消費を喚起する効果は絶大であります。今からでも実行すべきであります。
 反対の第二の理由は、旧態依然たる公共事業予算が相も変わらず計上されていることであります。
 政府は重点配分を行ったとしておりますが、環境、情報通信、福祉対策費の名のもとに、一般公共事業費として従来型の事業が羅列されているのが実態であり、景気回復に向けた経済波及効果は期待できるものではありません。
 以上、主な反対の理由を申し述べました。
 景気判断を誤り、戦後最悪の不況をもたらし、国民の財産と安心の生活を破壊し、後手後手の対策に終始している橋本内閣はこれ以上政権を担当すべきではありません。経済失政の責任をとり、退陣することが最大の景気対策であることを申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)
#259
○委員長(岩崎純三君) 日下部禧代子君。
#260
○日下部禧代子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、政府提出の平成十年度一般会計補正予算外二案に賛成の討論を行うものであります。
 昨年秋以来、我が国は、北海道拓殖銀行、山一証券などの破綻、そしてアジア通貨危機など、金融、経済の面で過去に類例を見ない困難な状況に陥っております。
 このような事態に対し、橋本内閣は、緊急経済対策、所得税減税を初めとする諸施策を打ち出すなどの努力を行い、さらにこの四月二十四日に策定された十六兆円規模の総合経済対策には、追加減税による個人消費の刺激策、北海道経済に関する措置など地域経済への気配り、そして中小企業支援策、雇用対策といった緊急課題への対応策が盛り込まれております。
 本補正予算案は一日も早い実施が望まれる総合経済対策について予算措置を講ずるものであり、賛成の意を表するものであります。
 以下、具体的にその理由を申し上げます。
 賛成の第一の理由は、所得税の特別減税の実施及びそれに伴う臨時福祉特別給付金の支給が措置されていることであります。
 停滞している消費を活性化し、我が国経済を回復させるために今一番求められているのが所得税減税等の措置であります。こうした施策を着実に行っていくことは経済状況回復のための必須かつ緊急な措置であります。さらに、所得税減税の効果の及ばない世帯に対して臨時福祉特別給付金を給付することは、消費活性化に資することはもとより、福祉の充実という観点からも評価すべきものであります。
 賛成の第二の理由は、早急に取り組む必要のある福祉政策を初めとする生活基盤への投資が盛り込まれていることであります。
 まず、新ゴールドプランの前倒しや療養型病床群への転換促進など福祉・医療・教育特別対策費が計上されております。また、喫緊の課題でありますダイオキシン・環境ホルモン対策、そして新エネルギー施設の整備に必要な経費として環境・新エネルギー特別対策費が七千八百四十九億円、さらに通信インフラ整備のため情報通信高度化・科学技術振興特別対策費が八千二百六十五億円計上されております。これらの経費は二十一世紀に向け安心して暮らせる国づくりのために緊急かつ不可欠な経費であります。
 賛成の第三の理由は、現下の国民の先行き不安を解消するための中小企業対策や雇用対策等の諸施策が盛り込まれていることであります。
 貸し渋りにより危機に立たされている中小企業を守るための中小企業等特別対策費二千九百七十二億円のほか、昨今の厳しい雇用情勢を踏まえて雇用対策費が十億円計上されているなど、社会的弱者、勤労者のための諸施策が措置されており、現在の経済状況にこたえた緊急の措置であります。
 本補正予算案が我が国経済の回復に資するものとなることを期待いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#261
○委員長(岩崎純三君) 笠井亮君。
#262
○笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、平成十年度補正予算三案に対して、反対の討論を行います。
 この補正予算審議のさなかにも、円安、株価の下落による日本不信が広がり、最悪の個人消費の落ち込み、雇用不安も急速に進み、経済不況も国民生活も一段と深刻になっています。しかるに、これに対し有効な景気対策をとれない橋本内閣の責任は重大であります。
 本補正予算案に反対する第一の理由は、今日の不況打開の決め手である消費税の三%への引き下げや人的控除による庶民に手厚い所得税恒久減税の実施、社会保障費や教育予算などの削減中止、農業経営への支援対策といった緊急課題には背を向け、総合経済対策としてはまさに逆立ちした政治を依然として続けていることであります。市場の冷たい反応を見ても明らかなように、これでは景気回復は期待できません。
 反対する第二の理由は、既に破綻が明らかなゼネコン浪費型の公共事業に補正額分の七五%も積み増ししていることです。真に必要とされる社会資本を整備すると若干の化粧はしていますが、その中身は、道路・港湾整備など従来の延長線上で有効な景気対策にならないばかりか、赤字公債の増大により財政危機を一層深刻にするものであります。さらに、地方自治体にも多大な負担増をもたらします。
 第三の理由は、公的資金を使った銀行や大手ゼネコン支援を拡大させていることであります。住都公団などに多額の出資金を回し、銀行やゼネコンの不良債権化した土地を買い取らせて再開発を進めたり、土地の先行取得を促進して、ゼネコン奉仕型の公共事業を新たな手法で維持拡大するPFI導入に道を開こうとしています。
 また、政府によるPKO資金として、郵貯の金融自由化対策資金を四兆円増額させています。これは国民の貴重な資金を株価操作という市場介入のために使うもので、このような政府の無責任な施策は容認できません。
 今、景気対策を言うならば、緊急に必要なのは消費税減税と庶民に手厚い所得税の恒久減税で冷え込んだ消費を直接温めることです。さらに、財革法の廃止、医療、年金などの社会保障制度改悪計画の撤回、中小業者への緊急融資の拡充などによって国民の将来不安を取り除くことです。
 このことを最後に強調して、反対討論を終わります。(拍手)
#263
○委員長(岩崎純三君) 星野朋市君。
#264
○星野朋市君 私は、自由党を代表して、平成十年度補正予算三案に反対の立場から討論を行います。
 総理は、昨年秋の臨時国会における財政構造改革法審議の際、集中三カ年においては景気対策としての補正予算を編成しないことが財政構造改革法にかなう原理であると答弁をしております。陣頭指揮で法案化され、我々の反対を押し切って成立させた財政構造改革法でさえ、たった六カ月で修正、その上補正予算を編成せざるを得なくなったことは、総理の経済を初めとする国政運営が完全に破綻したことを示すものであります。
 本補正予算案は、五月十一日に提出されているにもかかわらず、一カ月近くたなざらしにされておりました。橋本総理は、予算案審議の際、常に一刻も早く成立させていただきたいと言われるが、総合経済対策が一刻も早く必要であるなら、提出と同時に審議をするのが当然であると思います。
 以下、反対する主な理由を申し述べます。
 第一に、この補正予算案は日本経済の構造改革に資するものでは全くありません。橋本内閣の日本経済に対する認識の甘さ、危機感の欠如は目を覆うばかりであります。我が国の置かれた危機的状況、経済危機の要因が構造問題にあることを少しも理解されておりません。
 第二に、公共事業中心の経済対策であれば、再来年度以降の民需主導型の持続的成長につながる期待が持てないため、公共部門から民需へのバトンタッチのための施策がなければ、九九年度以降の反動減は深刻となるのは当然であります。内容も、目先の需要追加に重点を置いた従来型、選挙目当てのばらまきの域を出ておりません。
 第三に、いまだに特別減税で日本経済の危機的状況が救えると考えており、見識を疑います。特別減税は、期間限定、減税が終われば増税が待ち構えている増税予告つき減税であります。しかも、財源はみずから否定していた赤字国債であります。
 今必要なのは、日本経済の構造改革のための思い切った制度減税であります。サプライサイドから民力を回復するための抜本的な経済対策、税制改革を行い、財政再建は行財政一体の徹底的な見直しによる歳出削減と民力中心のたくましい経済からもたらされる租税増収によって行うべきであると考えます。
 以上、補正予算に反対する理由を申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)
#265
○委員長(岩崎純三君) 以上で討論は終局したものと認めます。
 暫時休憩いたします。
   午後三時四十一分休憩
     ─────・─────
   午後五時四十二分開会
#266
○委員長(岩崎純三君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成十年度補正予算三案を一括して議題といたします。
 それでは、これより採決に入ります。
 平成十年度一般会計補正予算(第1号)、平成十年度特別会計補正予算(特第1号)、平成十年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して採決いたします。
 三案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#267
○委員長(岩崎純三君) 多数と認めます。よって、平成十年度補正予算三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#268
○委員長(岩崎純三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#269
○委員長(岩崎純三君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 予算の執行状況に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#270
○委員長(岩崎純三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#271
○委員長(岩崎純三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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