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#1
第142回国会 本会議 第2号
平成十年一月十四日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二号
  平成十年一月十四日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 第二 平成七年度一般会計歳入歳出決算、平成
  七年度特別会計歳入歳出決算、平成七年度国
  税収納金整理資金受払計算書、平成七年度政
  府関係機関決算書
 第三 平成七年度国有財産増減及び現在額総計
  算書
 第四 平成七年度国有財産無償貸付状況総計算
  書
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり


     ─────・─────
#3
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る十二日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。寺澤芳男君。
   〔寺澤芳男君登壇、拍手〕
#4
○寺澤芳男君 私は、民友連を代表いたしまして、一昨日行われました橋本総理、三塚大蔵大臣の演説に対して質問をいたします。
 初めに、橋本総理の景気の認識について伺います。
 総理は、年頭の記者会見で金融システムの安定と景気対策を最優先で取り組むことを表明いたしました。これまでの総理は、景気対策よりも、むしろ財政構造改革に御熱心でありました。しかし、財政構造改革は我が国経済が一定の成長を遂げていなければ成功はおぼつかないのであります。大手術を行うためには病人に体力が必要であるのと同様であります。
 現在、我が国経済は混迷の中にあります。個人消費は九兆円の国民負担増により低迷しております。株価、土地価格は再び下落し、完全失業率は調査を始めて以来最悪の三・五%。特に、消費の落ち込みから始まった現在の景気後退は大手金融機関の破綻により一層加速され、国民の間にはかつてないほどの金融不安が高まっているのであります。さらに、金融機関の貸し渋りは企業経営を直撃し、企業の倒産件数は円高不況以来最高であり、年間負債総額の十一兆円は過去最悪であります。
 このような経済金融情勢にもかかわらず、橋本内閣は、実に去年十一月まで一貫して景気は回復基調にあると強弁し続け、十二月に至ってようやく景気判断を足踏み状態にあると変更いたしました。昨日発表された月例経済報告においてさらに判断に厳しさを増したのは当然であります。現在、総理が一体景気の現状をどのように見ておられるのか、率直な御認識をお伺いいたします。
 さて、平成九年度の我が国の実質経済成長率は、政府が掲げた一・九%を大幅に下回り、ほぼゼロ成長となることが確定いたしました。このような大幅な見込み違いをしたにもかかわらず、政府は十年度の実質経済成長率を一・九%とまたもや高目に設定しております。私は、このような人為的な数字の設定はやめるべきであると思います。
 急激な景気回復が見込めないことから、十年度の成長率は一%以下になるというのが大方のエコノミストの見解であります。それにもかかわらず、一・九%という経済の実態を反映しないこのような経済成長率を掲げることは、政府に対する国民の深い不信を招くだけではないでしょうか。総理の見解をお伺いいたします。
 さて、橋本内閣の財政構造改革は、改革という名前はついておりますが、実際は歳出各分野の削減をどの程度の割合にするかの目標を設定しているだけのものであります。経済学的に見れば、公共セクターの財政規模を縮小させるのみであり、経済成長が落ち込むことは理の当然であります。景気が下降しているにもかかわらず、このような政策を強行した判断の誤りが今日の不況を招いたことは否定できません。
 そのため、総理みずから年末には二兆円もの特別減税を考えざるを得なくなりましたが、御承知のように、この減税の選択は我々野党がたびたび主張してきた政策であります。それを効果がないとはねつけたのはほかならぬ総理御自身でありました。
 総理、二兆円の所得減税を打ち出す以上、これまでの財政経済運営には誤りがあったことを率直に認めるべきではないでしょうか。
 財政構造改革路線を変更しないと言いながら、一方で景気対策を行うことは明らかに矛盾であり、結局どちらも効果を上げられません。財政構造改革路線はあくまで中長期的な目標にとどめ、当面は景気対策に専念するのが最良の政策判断であると考えます。
 政府が財政構造改革法のモデルとした米国の包括財政調整法においても、経済成長率が一%以下にとどまる場合には法の適用を停止するとの規定が存在いたします。過ちを改むるにはばかることなかれ、総理の見解を求めたいと思います。
 また、総理は記者会見の中で二兆円の特別減税は一年限りと言っておりますが、我々は六兆円の恒久減税を求めております。つまり、まず三兆円の所得税、住民税の恒久減税、そして法人税、有価証券取引税、土地住宅の減税で三兆円、合計六兆円であります。
 これに対して、有価証券取引税を橋本内閣は二年間かけて撤廃するとの方針を決めました。しかし、このような悠長な政府の方針には納得できません。なぜ即時撤廃できないのか。金融ビッグバンを提唱しながら財政当局に抵抗できない橋本内閣の限界を感じますが、総理の見解を伺います。
 次に、低金利政策について問題点を指摘したいと思います。
 現在、公定歩合は史上最低、世界史的にも類を見ない〇・五%であります。従来、不況に陥った場合、公定歩合を引き下げれば自律的に景気は回復するものとされていました。しかし、現在、消費は冷え切っております。企業家は、売れる見込みがないにもかかわらず、低金利であろうと借金までして設備投資をいたしません。
 もちろん、低金利政策により、預金者から金融機関に対し膨大な所得移転を行い、不良債権を金融機関に処理させることが恐らくそのねらいであったでしょう。しかし、低金利政策は金融不安と相まって消費者の金融機関離れを引き起こしております。さらに、本年四月からの改正外為法の施行によって大量の資金が海外に流出する可能性があります。〇・五%という超低金利政策は、弊害の方が強くなりつつあるように思います。大蔵大臣の見解を伺います。
 次に、金融ビッグバンと今回の金融システム安定化対策について伺います。
 昨年、東京証券取引所の第一部の株式売買シェアで、外国の証券会社主要二十一社の合計が国内大手四社を上回りました。市場では金融ビッグバンが既に始まっているのであります。さらに、二十一世紀に国際的金融機関として生き残れるのは世界でせいぜい七つか八つであり、日本勢が果たして入るのかという厳しい見方さえあります。
 我が国の金融機関が国際競争力をつけるためには、第一に不良債権などのうみを出し切って金融システムの安定化を図る、第二に採算のとれない部門の売却や切り捨てを行って競争力を強化する、第三にコンピューターネットを駆使した先端的な金融技術を習得するという三つのハードルを越えなければなりません。一橋大学の中谷巌教授の言をかりれば、我が国の金融機関は町内会の競争からオリンピックで勝つための努力をしなければ生き残れないのであります。
 このような立場から政府の金融システム安定化対策を見ますと、まことに不十分なものであると言わざるを得ません。
 政府案は、二〇〇一年三月までと期限を切って、預金保険機構の中に特別業務勘定と金融危機管理勘定を設置し、この二つの勘定に七兆円と三兆円、合計十兆円の国債を与える。そして資金調達に際しては、それぞれ十兆円の政府保証を与える。すなわち、総計三十兆円の公的資金を用意するというのが今回の対策の中身のようであります。
 しかし、二年前に住専問題が発生し、政府は六千八百五十億円の財政資金を住専に投入することを決定いたしました。その際、政府は、今後公的資金は住専と信用組合以外の金融機関には導入しないと説明いたしました。
 ところが、今回の金融システム安定化対策は、従来の政府の方針を明らかに変更し、預金者が存在するすべての金融機関に対し、交付国債という形式を採用したとはいえ、国の一般会計から公的資金を導入するという内容であると理解しております。政策変更は国民に説明すべきであり、まず、この政策変更の理由について橋本総理の答弁を求めます。
 次に、それぞれの勘定に巨額の資金が必要となる理由、根拠について伺います。
 特例業務勘定には、一千万円を超える預金の全額を保護するために必要となる資金を確保するものとして七兆円の国債が交付されますが、なぜ七兆円もの国債が必要なのか。また、金融機関の破綻処理に際して日銀からの借り入れによる十兆円の資金とどちらが優先的に利用されるのか、総理の見解を伺います。
 また、金融危機管理勘定は、金融機関の発行する優先株を引き受けるため、三兆円の国債と日銀からの借り入れなど、合計十三兆円の資金を有することになります。この仕組みは、米国で六十六年も前に、すなわち一九三二年につくられましたRFC、復興金融公社のまねをしたものであります。具体的には、各金融機関から再建計画を提出させて、七名の委員から成る審査機関で審査を行った上で、申請があった金融機関の優先株の買い取りを行うわけであります。これは申請主義を基本にしております。
 ただし、現在の状況の中で、優先株の買い取りを申請すると、健全金融機関でないということをみずから認めることになりかねない。自民党の加藤幹事長は、このような結果を回避するため、東京三菱銀行などの優良金融機関から資金を投入すると発言しております。けさの報道によりますと、東京三菱銀行は申請を検討し始めたとのことであります。
 しかしながら、いまだこの法律は成立しておりません。この申請を強要する我が国の政府のやり方は、我が国の金融行政の古い体質そのものであります。優先株の買い取りとはいえ、公的資金が導入されれば金融機関に対する国民の監視の目は一層厳しくなることが予想されます。そのリスクを冒してまで金融機関が申請を行うのかどうか全くわかりません。このシステムの実効性に大いに疑問を持つものであります。総理の御見解を伺います。
 また、資金投入の要件としては、破綻処理における受け皿金融機関の自己資本が悪化した場合、金融機関の連鎖的な破綻を発生させる事態、この二つのケースが想定されております。しかし、このようなケースの規定はいずれも抽象的であり、実際は預金者保護を逸脱して金融機関の救済に使われる可能性がないとは言えないのであります。結局、今回の金融システム安定化対策は、不良債権を大量に抱え、事実上破綻しかけている金融機関の救済の道を開くだけにとどまるように思います。総理の見解をお伺いいたします。
 さて、このように公的資金を導入する前提として、金融機関に対する検査体制を抜本的に見直す必要があると考えます。
 十二月に総務庁の金融行政に関する監察報告が公表され、その中で、現行の検査体制は極めて不十分であるとの指摘がなされております。金融検査の効果的、効率的な実施が行われていない、金融検査官に対する十分な研修が行われていない、金融機関のディスクロージャーが不十分であるなど、数多くの問題点が指摘されております。
 大蔵省の検査機関や証券監視委員会は、本年七月一日までに金融監督庁として発足いたします。今回の行政監察報告を受け、今後どのような改善を行うのか、総理の御見解を伺います。
 私は、この際、金融監督庁の定員を米国のSECと同様の水準までふやすとともに、民間人を長官など一定の役職に登用することを提案したいと思います。行政は、金融資本市場でルールが守られていることを監視する役割に徹底することが必要であります。この点に対する総理の御見解を伺います。
 最後に、私は、橋本内閣の政策が首尾一貫せず揺れ動いていることに対し、強い懸念を表明いたします。
 財政構造改革をにしきの御旗にしながら、突如として二兆円の所得税減税を打ち出し、また十兆円の国債を発行して公的資金とする梶山構想の検討を指示するなど、みずからの財政構造改革とは矛盾する行動をとっておられます。また、金融ビッグバンを推進しながら、預金保険制度への裁量的な財政資金の導入が今回提案されております。
 このような安易な政策変更は、国民の橋本内閣に対する信頼を失墜させるだけではなく、その存立基盤さえ揺るがすものであると申し上げたいのであります。
 橋本総理は、みずからの政策判断の誤りで不況を起こしたことを国民にわび、財政構造改革路線を撤回して、不十分ながら二兆円の特別減税を実施するに至ったことを率直に国民に告げるべきではないでしょうか。それをしないというのであれば、退陣する以外に道はないということを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(橋本龍太郎君) 寺澤議員にお答えを申し上げます。
 まず、景気の現状認識についての御質問がございました。
 我が国では、昨年の秋以来、金融機関などが相次いで破綻をしたことによりまして、金融システムに対する信頼感が低下をいたしております。
 こうした中で、最近の我が国の景気動向を見ますと、設備投資は製造業を中心に緩やかに増加をしておりますものの、個人消費は家計の経済の先行きに対する不透明感もありましてまさに足踏み状態でありますし、住宅建設も下げどまりの兆しはあるものの、依然弱い動きであります。民間金融機関において貸し出しに非常に慎重さが見られることも御指摘のとおりであり、こうしたこと等から家計や企業の景況感は厳しさを増しておりますし、個人消費や設備投資にも影響を及ぼしております。
 我が国の経済につきましては、こうした景況感の厳しさの中で、個人消費や設備投資にも影響を及ぼしておりますので、こうした状況に対応するため、二兆円の特別減税を含む予算・税制面の措置や金融システム安定化のための三十兆円の公的資金の活用など、財政・金融両面にわたるさまざまな施策を講ずることとしております。
 こうしたさまざまな取り組みのすべてが相乗効果を持って我が国経済の力強い回復をもたらすものと考えており、政府経済見通しの平成十年度の実質経済成長率一・九%程度は達成可能だと考えおります。
 次に、財政構造改革と景気対策についてのお尋ねがございました。
 財政構造改革の必要性は、私は何ら変わるものではないと思っております。しかし同時に、経済の実態や金融システムの状況、さらにはアジアを初めとする国際的な状況を考えながら、その時々の実情に応じて臨機応変の対策、措置をとっていくことも当然のことだと私は思います。財政構造改革と景気対策というものは、二者択一の問題ではなく、二〇〇三年までの中期の目標と当面の対応というタイムスパンの異なるものであります。
 このような考え方のもとに、特別減税を含む補正予算を提出いたしました。
 所得減税を恒久化すべきではないかという御指摘もございましたが、私は、アジアの状況も考えて、日本発の経済恐慌は起こさないという決意のもとに、ぎりぎりの対策としてこの特別減税を行うこととしたものであります。これが平成十一年度以降も必要となるような状況にならないように、景気の回復に最大限努力をしたいと考えております。
 次に、有価証券取引税と取引所税についてお尋ねがありました。
 これらの税につきましては、金融システム改革の進展、金融取引の海外シフトの可能性の拡大といった状況などを総合的に勘案しながら、平成十年度改正ではこれらの税率を半減することとしております。
 また、これらの税につきましては、平成十一年末までに金融システム改革の進展状況、市場の動向等を勘案して見直し、株式等譲渡益課税の適正化とあわせて廃止することとしております。
 次に、公的資金の投入対象の拡大について御意見をいただきました。
 一般の金融機関におきましても大規模な破綻が相次いで発生したこと等から、金融システムに対する内外の信頼が大きく揺らぎ、信用秩序と経済に重大な影響が懸念されております。こうした状況のもと、公的資金の活用を含めて、預金の全額保護の徹底を図るとともに金融システムの安定化を図るとの強い姿勢を示すことが必要と考え、今般、一般の金融機関をも公的資金投入の対象とする等の対策を御提案申し上げました。
 国債の額についてもお尋ねがございましたが、現在の金融システムに対する不安を払拭するとの観点から、全体の国債の交付額をまずもって十兆円と定め、いかなる事態が発生しても対応できるような備えをしたものであります。このうち、預金の全額保護のため七兆円分の国債を交付することにいたしましたのは、全金融機関の不良債権の要処理額や現実に破綻した金融機関における実際の処理額等を踏まえたものであります。
 次に、特例業務勘定における国債と日銀等からの借り入れの優先順位についてのお尋ねがございました。
 基本的には、国債の償還金については、金融機関の破綻処理に際し、保険料では賄えない債務超過相当分に対する資金贈与等に充てる。日銀等からの借入金につきましては、資金繰りとしての性格を踏まえ、破綻金融機関からの資産の買い取り等の資金に活用していくことが考えられます。
 次に、優先株買い取りのシステムの実効性についてお尋ねがございました。
 今日の公的資金による自己資本充実策は金融機関の側からの自主的な申請が前提となっております。しかしながら、優先株等の引き受けの対象となりますのは、基本的に健全な金融機関でありますことから、対象となりました金融機関がマーケットの信認を失うことにはならないと考えております。
 資金投入の要件が抽象的なために、金融機関の救済になるのではないかという御意見をもいただきました。
 優先株等の引き受けに関する審査基準につきましては、公正中立な審査機関によってその具体化が図られることになるわけでありますが、経営が事実上破綻しているような個別金融機関の救済とならないよう、法律上限定的にその枠組みを規定するとともに、審査委員全員の一致による議決に加えて閣議にかけて決定することといたしており、御指摘のような懸念は当たらないものと考えており、透明かつ適正な手続を大切にしたいと思います。
 なお、金融機関の破綻に際しましては、預金者の保護には万全を期する一方で、破綻金融機関につきましては存続を許さないという方針は変わっておりません。金融機関のディスクロージャーの強化を推進するとともに、破綻した金融機関の経営責任等についても厳格な追及を行っていく所存であります。
 次に、さきに公表されました行政監察報告を受けて、金融検査体制についてどのような改善を行っていく方針なのかというお尋ねをいただきました。
 金融機関等における自己責任原則を徹底しながら、市場規律を機軸とする金融行政のもとに、より厳正で実効性のある検査を実施すべく、今般の勧告をも踏まえて、所要の改善措置を講ずるなど適切に対応していく所存であります。
 金融監督庁の定員についてお尋ねでありますが、国家公務員全体の定数全体を厳しく抑制する中でありますが、検査・監視体制の充実強化の観点から、可能な限りの増員を図るつもりであります。また、同長官人事につきましては、その重責に照らして、適材が得られるよう適切な人選を行う考えでありますが、そのほかの職員につきましては、長官が適切に人事権を行使され、望ましい人材を確保していくものと考えております。
 政策変更についても御意見をいただきました。
 財政構造改革は、危機的な状況にある我が国の財政を健全化するとともに、安心で豊かな福祉社会、そして健全で活力ある経済の実現等の課題に十分対応できる財政構造を実現するためのものでありまして、その必要性は決して変わるものではないと思います。しかし同時に、経済金融情勢の変化に機敏に対応しながら、国際状況に応じて財政、税制上の必要な措置を講じていくことは当然であり、今般の金融システム安定化対策と特別減税を初めとする施策、これは財政構造改革との整合性を図りながら断固たる対応をとるものだと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(三塚博君) 私に対する御質疑は、公定歩合〇・五%という超低金利政策の継続は弊害が強まっておるのではないか、見解いかんということでございます。
 低金利政策の継続は、むしろ弊害ではなく、一般的に言われておりますことは、低金利は企業の金利負担の低減を通じまして景気回復に寄与するものと言われております。私も、その基本的理念は支持をいたしております。
 いずれにいたしましても、公定歩合の操作等の金融政策は日本銀行の所管事項でございます。日本銀行においては、景気の動向や金融市場の状況など内外の経済情勢を注視しながら、適切に対応されているものと考えております。(拍手)
    ─────────────
#7
○議長(斎藤十朗君) 久世公堯君。
   〔久世公堯君登壇、拍手〕
#8
○久世公堯君 私は、自由民主党を代表して、現下の厳しい経済金融情勢に対する対応と、今般の金融システム安定化のための方策について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 まず、我が国の経済の現状についてお尋ねいたします。
 我が国の経済は、昨年四月の消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要の反動や金融システムの不安などにより、消費者や企業のマインドが冷え込んだことによって大きく減速をいたしました。景気の先行きに対する不透明感から個人消費が低迷しているほか、住宅建設や自動車の新規登録も依然弱く、さらに本年の年頭の株価は一万五千円を割り込み、円安も進行するという厳しい船出となっております。
 これに加え、相次ぐアジアの通貨金融市場の動揺も広がっております。昨年の十一月には韓国にも金融不安が生じ、IMFの支援を受けることとなりました。金融のグローバル化を背景に、こうした金融不安は直ちに世界じゅうに影響を及ぼすものとなっております。
 我が国の経済、金融の安定は、ただに我が国経済のみならず、通貨金融市場の不安定なアジア地域にも、さらには世界経済にも影響する極めて重要な課題であります。政府は、我が国の経済の現状並びにアジアの経済の実情をどのように認識しておられるのか、総理にまずお伺いをしたいと思います。
 我が国は、千二百兆円の個人金融資産、八千億ドルの対外純資産を有しております。この際、金融システムに対する不安感を払拭し、貸し渋り等の問題を解決し、消費の担い手である消費者の信認を取り戻すことができるならば、必ず経済の先行きに対する信頼感を回復することができると考えます。
 現在の経済金融状況並びにアジア地域の実情をも踏まえ、景気を回復し、経済を活性化させていくための政府としての対応について、総理のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、金融システムの安定化策についてお尋ねいたします。
 昨年十一月以降の三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券の相次ぐ破綻により、我が国の金融システムに対する国民や預金者の不安感は急速に高まっております。金融システムの安定のためには、何よりも国民や預金者の金融システムに対する信頼感が確保されることが肝要でございます。政府には金融システムの安定性を確保していくという重要な責務がございます。
 政府は、二〇〇一年三月末までの間、預金は全額保護すると言明しておりますが、国民や預金者は果たしてこれが本当に守られるのかということに対し疑問を感じております。自由民主党は、宮澤元総理を本部長とする緊急金融システム安定化対策本部を中心に論議を重ね、与党・政府が一体となって今回の金融システム安定化のための緊急対策がまとめられました。二十兆円の政府保証とともに、十兆円の国債を預金保険機構に交付するという決断がなされたところであります。今回の抜本的な措置により、我が国金融市場が内外の信頼を早急に回復し、景気回復のためにも資金の流動性の確保が図られることを切に願うものであります。
 今回の対策において、預金の全額が保護されることとなりましたが、その裏づけについて国民や預金者の不安感を払拭できるよう、総理にわかりやすい言葉で御説明をお願いいたします。
 また、今回の金融システム安定化策においては、公的資金によって金融機関の発行する優先株等を購入することにより、金融機関の自己資本を強化することが大きな柱となっております。金融機関の破綻処理等をめぐっては、住専国会以来さまざまな議論がなされてきたところであります。今回の措置が国民の理解と協力を得るためには、個別の金融機関の救済を目的とするものであっては絶対にならないというのが基本であります。
 金融危機の事態における優先株の購入等に当たっては、信用秩序の維持、地域経済への影響等の厳しい条件が課せられることとなっております。この条件の判断は、国民が納得できるような客観的な基準に基づき透明な手続によってなされるべきであると考えます。どのような方策によりこの透明性や公平性が担保されることになるのか、大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 さらに、金融システム及び金融機関が国民の信頼を得るためには、ディスクロージャーを徹底し、経営責任を明確化することが必要です。特に、今回の安定化策で総額三十兆円もの公的資金を活用する以上、当然、不良債権を初めとする金融機関のディスクロージャーのさらなる充実とともに、破綻した金融機関等の経営者の刑事、民事の責任を明らかにし、これを厳しく追及すべきと考えますが、これらの点についても大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 なお、今回の金融安定化対策で重要なことは、国会の審議を通じて対策の内容や意義について国民の信頼と理解を得ることに加えて、金融安定策に係る政府のかたい決意を内外にメッセージすることにあると思います。また、さらに重要なことは、一日も早く法案や予算を成立させ、具体的に対策を実行することにあると思いますが、これらの点につき総理のお考えを承りたいと思います。
 次に、平成九年度補正予算、特に中小企業対策等についてお伺いをいたします。
 まず、中小企業対策ですが、現在の厳しい経済情勢のもと、中小企業をめぐる環境は極めて厳しいものとなっております。中小企業が未来に明るい展望を持って事業活動を行っていけるようにすることは、日本経済全体にとって重要な課題です。
 現下の情勢では、民間金融機関の中小企業等に対する貸し渋りが懸念されております。中小企業は国の活力の源泉であり、貸し渋りなどによって中小企業が資金繰りに行き詰まるようなことがあってはならないと考えます。民間が貸し渋りをしているような場合、政府系金融機関がこれに対応することを含め、中小企業の資金繰り対策に万全を期すべきではないかと考えます。政府としてこの問題についてどのような対応をとっているのか、通産大臣にお願いをいたします。
 さらに、中小企業については、金融面に加えて、中心市街地活性化策などさまざまな面からこれを総合的に支援していくことが重要です。これまでの長い歴史の中で、文化、伝統をはぐくみ、各種の機能を培ってきた各地の中心市街地が今空洞化の危機にあります。中心市街地の活性化のためには中小小売商業の活性化が不可欠と考えますが、そのための方策や、これと密接な関係を持つ大店法についての今後の扱いを含め、通産大臣に御答弁をお願いいたします。
 次に、公共事業についてお伺いいたします。
 現下の経済情勢を踏まえ、雪寒地域等、真に必要な公共事業について事業量を確保する必要があります。国庫債務負担行為、いわゆるゼロ国債については、端境期における事業量を確保し、事業の執行を円滑に行うという重要な役割を有しております。平成九年度補正予算では、最大限の事業量として、いわゆるゼロ国債で一・五兆円に上る事業を確保していると伺っております。補正予算の編成では、災害関係の事業も含め公共事業についてどのような考えで臨まれたのか、大蔵大臣にお伺いいたします。
 さらに、現在の低金利政策についてお伺いいたします。
 既に公定歩合が〇・五%という超低金利になって相当な期間が経過しております。低金利は、企業の投資を促す効果がある一方で、預金金利が低いため、預金者の所得が上がらないという弊害もあると思われます。金利政策については、日銀の専管事項ではありますが、現在の低金利政策について総理の御所見を承りたいと思います。
 次に、特別減税等税制についてお尋ねをいたします。
 今回、二兆円の所得税、個人住民税の特別減税が総理の御決断によって実施されることになりました。内外の深刻な経済状況を考えれば、経済の活性化が強く求められる一方で、財政構造改革の推進との整合性をとりつつ、ぎりぎりの選択として特別減税を行うことについては、相当の御決断があったことと推察をいたします。その御決断に至る過程について改めてお聞かせ願いたいと思います。また、この特別減税によって大きな効果が期待されると思われますが、総理のお考えを承りたいと思います。
 また、景気回復のためには、特別減税を行うことは必要なことですが、地方税の減税はもとより、所得税自体の減税も地方交付税に影響を及ぼすものであり、地方財政に与える影響は極めて大きいものと言わざるを得ません。特別減税の円滑な執行のためには地方公共団体の協力が不可欠でございます。そのためにも、特別減税による地方財政への影響をきちんと補てんすることが必要であると考えますが、自治大臣のお考えを伺いたいと思います。
 さらに、現在の不透明な経済環境の中で、我が国の企業経営を展望する際に、法人税や法人事業税など法人課税のあり方を今後どうしていくのかは重要な課題です。経済社会が急激に変化し、国際化が進展する中で、製造業を初めとする我が国企業の国際競争力を今後とも引き続き維持し、次代を担う新しい産業をつくり出していくことが強く求められております。
 我が国の法人課税の実効税率は約五〇%であり、主要先進国と比べても高い現状です。政府は法人課税について、中小軽減税率も含む税率の引き下げや課税ベースの適正化を内容とした見直し案を提出すると聞いておりますが、今回の法人課税の改革の意義について、総理にお伺いしたいと思います。
 さらに、法人課税の実効税率については、国際水準に近づけるべく総理も引き続き検討していく旨の御発言をされておりますが、法人課税について今後具体的にどのように検討されるおつもりか、総理のお考えを承りたいと思います。
 今回、法人税については抜本的な見直しが行われましたが、所得税については、累次の税制改革によりおおむね望ましい姿になっているとも言えますし、さらなる見直しには税体系の議論や財源の議論が必要でございますが、経済社会の構造変化に対応した望ましい所得税のあり方についての議論はぜひとも行っていく必要があると考えます。この点についてぜひ取り組んでいただきますことを要請いたします。
 最後に、今回の金融システムの安定化や特別減税等に係る抜本的な施策と、総理の掲げる六つの改革との関係について伺います。
 現在の経済金融状況に思いをいたした場合、政府として最大限の対応をとるべきであり、平成九年度補正予算及び十年度予算はこの経済金融状況に十分こたえたものである必要があることは言うをまたないところでございます。
 一方で、我が国財政が先進国中最悪の状況にあることには変わりありません。私たちの子や孫の世代のためにも、総理の六大改革の重要な柱である財政構造改革を推進していく必要があります。今回の施策と財政構造改革がどのような関係に立つのか、今回の改革は財政構造改革の基本に触れるとか、政策転換ではないかという意見もありますが、総理に具体的にお伺いしたいと思います。
 さらに、総理の六大改革の一つとして金融システム改革があります。我が国経済、金融が真にグローバルな競争にたえ得るものとなるためにも、金融システム改革は不可欠であります。大競争時代を迎え、かつての護送船団方式や各種規制に基づく方式をとっていたのでは、金融グローバル化の進展と世界的な競争の中にあって、時代の流れに取り残されてしまうのは明らかであります。総理は、かたい御決意を持ってこのような方式から決別し、我が国の金融市場をニューヨークやロンドンに並ぶ国際金融市場にしていくという目的で大改革を断行されたものであります。
 この金融システム改革に当たっては、金融システムの安定を確保すること、信用秩序を維持していくことが大きな前提にあると考えており、その意味で、今回の金融システム安定のための措置と六大改革の一つである金融システム改革の関係は互いに整合性のとれたものでなければなりません。この点についてどのように考えておられるか、また、優先株による公的資金の導入などについては金融システム改革とは相矛盾するところがないか等について、総理にお伺いをいたします。
 また、我が国経済が真に国際的なものとなっていくため、経済構造改革も引き続き進めていかなければなりません。今回の経済金融情勢を踏まえた最大限の対応は我が国経済の不透明感の払拭に大きな効果を有し、経済構造改革の基盤を支えるものと思いますが、経済構造改革に与える影響について、あわせて総理に伺いたいと思います。
 終わりに、今回の特別減税や貸し渋り対策、それに金融システムの安定化のための抜本対策は、いずれも政治がリーダーシップをとり、政府・与党が一体となって取りまとめた最大限の対応であります。総理は、日本発の金融恐慌は決して起こさないと表明され、また年頭のごあいさつでは、景気対策と金融システムの安定化を最優先課題とすると断言されました。橋本総理の強い政治のリーダーシップにより、これらの対策の相乗的な効果を発揮させ、万全の策を講ずることにより我が国経済の力強い回復を果たしていただくことを強く求めたいと思います。
 同時に、我が国が真にグローバルな競争に勝ち抜いていくために、また私たちの子や孫の世代の明るい未来を築き上げていくためにも、経済、金融の安定を背景として、総理の掲げる六大改革を着実に推進していくことが必要であります。
 ただ、六大改革はいずれも痛みを伴うものであります。しかし、この痛みに耐え、これを克服し、改革を断固たる意思でやり抜いて初めて二十一世紀の日本の活路が開けるのではないでしょうか。総理の御所見を伺います。
 私ども自由民主党は、責任ある政権党として改めて六大改革の遂行に対する決意を新たにして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(橋本龍太郎君) 久世議員にお答えを申し上げます。
 まず、我が国経済の現状並びにアジアの経済の実情についての認識を問われました。
 我が国では、昨秋以来、金融機関などが相次いで破綻したことによりまして、金融システムに対する信頼感が低下をいたしております。こうした中で、最近の我が国の景気動向を見ますと、設備投資は製造業を中心に緩やかに増加しておりますものの、個人消費は、家計の経済の先行きに対する不透明感もありまして、足踏み状態となっております。
 また、住宅建設も下げどまりの兆しはありますけれども、依然弱い動きであります。民間金融機関におきまして貸し出しに非常な慎重さが見られる。こうしたことから家計や企業の景況感は厳しさを増しておりますし、個人消費や設備投資にも影響を及ぼしております。
 また、アジアにおきましては、昨年の夏以来、幾つかの国で通貨金融市場に大きな変動が生じました。現在もなおインドネシアは激しい動きにさらされており、ほかの国にもその影響が及んで不安定な状況にあります。その中で、各国ごとに状況は異なりますものの、経済状況が予想以上に深刻なものになっております。
 その中で我が国経済を回復軌道に乗せていくためには、経済の動脈である金融システムを安定させなければなりません。まず、我が国金融に対する内外の信頼感低下という事態に断固として対応するために、破綻金融機関の処理、そして金融機関の自己資本の充実に十兆円の国債と二十兆円の政府保証、合わせて三十兆円の資金を活用できるようにいたします。
 また、貸し渋り対策として、早期是正措置の運用の弾力化などを行うほかに、中小中堅企業を対象として、政府系金融機関に新たな融資制度を創設することなどにより、信用保証分合わせて総額約二十五兆円の資金を用意いたします。
 同時に、景気回復のために大規模な規制緩和を初めとする緊急経済対策を実施してまいります。
 また、税制面におきましては、二兆円の特別減税を実施するとともに、法人課税の税率引き下げ、有価証券取引税の半減、地価税の課税停止などを含む幅広い措置をとることとしておりますし、さらに九年度補正予算におきましては、災害復旧事業など約一兆円規模の公共事業を追加するほか、一兆五千億円規模の国庫債務負担行為を確保しております。
 こうしたさまざまな取り組みなどのすべてが相乗効果を持って我が国経済の力強い回復をもたらし、ひいては予想していた以上に深刻な状況にありますアジア経済の安定にもつながるものと考えております。
 私は我が国の将来に向けて六つの改革を進めています。同時に、経済の実態や金融システムの状況、さらにはアジアを初めとする世界経済の状況を考えながら、その時々の実情に応じて臨機応変の対策、措置をとっていくことも当然のことであります。
 財政構造改革と景気対策とは二者択一の問題ではありません。中期の目標と当面の対応というタイムスパンの異なるものであります。今年は、改革とこの十年来の困難を克服して、力強い回復と新たな将来に出発する年であると考えており、日本発の金融恐慌は絶対に起こさないからどうか安心していただきたい、断固たる決意で臨んでおります。
 次に、預金者の保護についてのお尋ねがございました。
 預金者の保護は金融システム安定の基本でありますし、まずもって国民の皆様に安心して預金をしていただくことが肝要と考えております。このような認識のもとに、仮に金融機関が破綻した場合でありましても必要な預金の払い出しが全額スムーズに行われるなど、預金の保護に万全の対応がなされるよう、こうした措置をとってまいります。
 すなわち、預金保険機構の特別勘定に七兆円の国債及び十兆円の政府保証枠を用意し、その財源の抜本的強化を図りますとともに、これらの財源を投入し得る対象を広げ、一般の金融機関の預金者の保護にも使用できることといたしました。
 金融安定化対策で大事なことは強い決意と具体的な対策を一日も早く実行すること、その御指摘がございました。私も全くそのとおりだと考えております。
 そして、政府といたしましても、こうした観点から、今般、合わせて三十兆円の公的資金の活用を含め金融システムの安定化を図るとの断固たる姿勢を示しているところであり、この施策を早急に実行に移すことが現下の情勢に対処するために必要なことであります。
 そのためには、国会におかれましても、ぜひともこの対策の緊急性、重要性というものに御理解を賜りまして、金融システム安定化対策あるいは二兆円の減税などを織り込みました補正予算、そしてこれらの関連法案の迅速な御審議をお願い申し上げたいと思います。
 次に、公定歩合の操作等金融政策が日銀の専管であることは知っているがという前提をつけて低金利政策についてのお尋ねがありました。
 低金利のもとでは貯蓄に対する利子が少なくなり、その影響を受けておられる方々に対しては本当にお気の毒だと思います。他方、先刻来お答えしてきておりますような経済状況のもとで、その低い金利が設備投資や住宅取得を助けて景気を下支えし、その面から国民の皆さんの所得を支えていることもまた事実であり、景気の回復を一刻も早く図っていくことが一層重要になると思います。
 次に、特別減税を決断するに至った過程についてお尋ねがありました。
 予測はいたしておりましたものの、十二月のASEAN首脳との会合でそれぞれの国の実態を聞きましたときに、その影響の重大さ、そして日本の役割を改めて痛感いたしました。
 アジアの通貨・金融不安や秋以降の我が国の金融機関の経営問題等の影響によりまして家計や企業の景況感の悪化が見られている。こうした中で、日本発の経済恐慌は絶対に起こさない、そうした決意のもとに、国民の不安感を払拭するため臨機応変に対応することが国政をあずかる者としての責務と、そのような考えから特別減税の実施を決断いたしました。
 この特別減税は、直接的には家計の可処分所得の増加を通じ消費の回復に寄与する、また間接的には生産活動の活発化などを通じて経済全体の拡大に資する、さらに、財政・金融両面にわたるさまざまな措置と相まって我が国経済の力強い回復をもたらすと考えております。
 次に、法人課税の改革についてその意義と評価という御指摘をいただきました。
 私としては、法人課税の実効税率を将来国際水準並みにできるよう努力を続けていくことが大切だと考えております。その一環として、今回法人課税につき、課税ベースを適正化しながら法人税の基本税率を三七・五%から三四・五%、法人事業税の基本税率を一二%から一一%にそれぞれ引き下げ、中小軽減税率等についても引き下げることといたしました。このような改革は中小企業を含む企業活力の発揮や新規産業の創出に寄与し、経済構造改革の推進に資するものと考えております。
 今後の法人課税のあり方につきましては、当面、法人事業税における外形標準課税の検討が法人課税の実効税率の議論にもつながることを念頭に置きながら引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、金融システムの安定化あるいは特別減税と財政構造改革との関係というお尋ねがございました。
 財政構造改革は、危機的な状況にある我が国の財政を健全化するとともに、安心で豊かな福祉社会、そして健全で活力ある経済の実現等の課題に十分対応できる財政構造を実現するためのものであり、その必要性は何ら変わるものではありません。同時に、経済金融情勢の変化に機敏に対応し、また、国際状況に応じて財政、税制上の必要な措置を講じていくことは当然でありまして、二者択一であるという問題であるとは考えておりません。今般の金融システム安定化対策と特別減税を初めとする諸施策は、こうした考え方のもとに断固たる対応をとったものであります。
 また、金融システム改革と金融安定化措置との関係についてもお尋ねがございました。
 今後とも、我が国の金融システムに対する内外の信頼を確固たるものとするために、金融システム改革を推し進めて、国際的に見ても効率的で透明かつ公正な金融資本市場を構築することが必要であり、時として市場の行き過ぎ等によって金融システムに対する信頼が低下するといった危機的な状況のもとでは、例外的な緊急措置として金融システム安定化のため断固たる対応を行う必要があると考えております。今回の対策によりまして我が国の金融システムの安定が図られることにより、今後金融システム改革を進めていく上での基盤をより強固にできるものと思います。
 経済構造改革への影響についてもお尋ねがございました。
 二兆円の特別減税を含む予算・税制面の措置、金融システム安定化のための三十兆円の公的資金の活用等、財政・金融両面にわたるさまざまな取り組みのすべてが相乗効果を持って家計や企業の経済の先行きに対する不透明感を払拭し、我が国経済の力強い回復をもたらすことによりまして、経済構造改革の基盤を支えることになると考えております。
 また、最後に六つの改革についての御指摘がございました。
 議員が御指摘をいただきましたように、私は、大競争時代を勝ち抜いて個人の創造性とチャレンジ精神の生かされるような社会の構築に向けて六つの改革を進めております。同時に、経済の実態や金融システムの状況、さらにはアジアを初めとする世界経済の状況を考えながら、その時その時の実情に応じ臨機応変に対応、措置をとってまいります。
 バブルの生成から崩壊、そして今日の状況というこの十年来の困難を克服しながら、何としても新たな将来に向けての大きな一歩を踏み出す年にしなければなりません。全力を尽くしていきますので、どうかお力添えを心からお願い申し上げ、特に当面の事態を切り抜けていきますための補正予算、関連する法案等について御審議をよろしくお願いいたします。(拍手)
   〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(三塚博君) 三問の御質疑でございました。
 最初に、公的資金による金融機関の自己資本強化に関する措置についてのお尋ねでございます。
 優先株等の引き受けにつきましては、公正を期するため、民間の有識者を含む公正中立な委員から成る審査機関を設置いたします。あらかじめ公表されました厳正な審査基準に基づき審査をいたした上で、全員一致により議決をいたします。さらに、閣議を経て決定することといたしております。また、審査機関の議事録については公表することとし、透明性を図ることといたしておるところでございます。
 次に、金融機関の情報開示と経営責任についてのお尋ねでございます。
 内外の市場の信認を回復するため、国際的レベルの経営の透明性を確保することが必要な条件であります。とりわけ、不良債権については、可能な限り十年三月期よりSEC基準を念頭に置いた開示が行われるよう、各金融機関に対し鋭意促しておるところでございます。また、金融機関自身による責任ある経営体制の整備とともに、破綻した金融機関の経営者責任が厳しく問われることは言をまちません。
 次に、公共事業についてのお尋ねでございます。
 平成九年度補正予算におきましては、財政構造改革を着実に推進する中で当面の経済情勢に対して最大限の配慮を行うとの観点から、事業規模約一兆円の災害復旧事業等の公共事業の追加に加えまして、御指摘のように、当年度において、財政支出を伴わないいわゆる国庫債務負担行為、ゼロ国債と言われておりますが、本件について過去最大の事業規模一兆五千億円を確保し、端境期において切れ目のない事業執行を図ることといたしたところでございます。
 よろしく御理解をいただきたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣堀内光雄君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(堀内光雄君) 久世議員の御質問にお答えを申し上げます。
 中小企業への貸し渋りの実態についてのお尋ねでございますが、先般実施をいたしました中小企業の資金調達に関する実態調査によりますと、約五割から六割の中小企業が民間金融機関による貸し渋りを懸念いたしているという結果になっております。
 このような中小企業の厳しい状況を踏まえまして、政府といたしましては、政府系金融機関に新たな融資制度を創設するなどの措置を講じました。また、信用保証協会の基本財産を大幅に積み増すことにいたしたところであります。
 平成九年度及び平成十年度において総額約二十五兆円の資金を用意いたしまして、中堅企業も含めて中小企業に対する資金繰り対策に万全を期してまいりたいと考えております。なお、この中には担保不足等により融資を受けることが困難な中小企業者に対して三兆円の信用保証枠を用意いたしておりますことをつけ加えておきます。
 また、中小小売商業の活性化についてのお尋ねでございますが、近年、我が国中小小売商業者は、消費者の行動パターンの変化、モータリゼーションの進展、大型店の出店増等、そういうものに関して厳しい環境変化に直面をいたしております。かかる状況にかんがみまして、平成十年度の予算案では中小小売商業対策を初めとした中心市街地活性化のための対策を行うことといたしております。
 その第一といたしまして地元主導による中核的商業施設の整備促進、二つ目といたしまして町づくり計画を策定するタウンマネジメント機関による商店街のリニューアル促進計画、また、通産省としてこういうものに対して総額三百四十八億円に上る予算規模を確保したところであります。また同時に、関係十一省庁全体では数千億円規模の支援策となっておりますこともあわせて申し上げます。あわせて、中小企業事業団の高度化資金の活用や各般の税制、金融上の措置も整備をいたしたところであります。
 こういう施策の実現を図っていくに当たりまして所要の法的措置を講じることが必要であると考えておりまして、関係省庁と連携をいたしまして、今国会に法案を提出する考えであります。
 なお、大店法の今後の扱いについてのお尋ねでございますが、昨年五月以来、産業構造審議会、中小企業政策審議会の合同会議におきまして、中小企業者を初め内外の幅広い意見を踏まえて審議をいただいたところであります。昨年末取りまとめられました中間答申におきまして、時代の変化に対応し、大型店の出店に際して地域社会との調和を図るという観点からの政策転換が提言をされております。
 通産省といたしましては、本答申の趣旨を十分に尊重しながら、消費者利便の最大化と中小小売業者を初め我が国流通業界の健全な発展が図られるように、答申で示された新たな方向性を実効性のある政策として具体化することとしております。このため、今国会に必要な法律案を提出すべく、現在、早急に検討を進めているところであります。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣上杉光弘君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(上杉光弘君) 久世議員のお尋ねは特別減税に伴う地方財政への影響についてでございますが、二兆円の減税につきましては、地方税分、個人住民税が六千億、国における所得税が一兆四千億でございます。
 地方における個人住民税の減収につきましては、減税補てん債によりこれを補てんすることといたしました。また、国における一兆四千億の所得税の特別減税に伴います地方交付税の減収四千五百億につきましては、二年にわたりますが、平成九年度補正分は国の一般会計から加算をし、十年度の分は交付税の特別会計の借入金としてそれぞれ補てんをし、地方の財政運営に支障のないように対処いたしたところでございます。(拍手)
    ─────────────
#13
○議長(斎藤十朗君) 牛嶋正君。
   〔牛嶋正君登壇、拍手〕
#14
○牛嶋正君 私は、総理大臣及び大蔵大臣の財政演説に対し、公明を代表し質問を行います。
 年明け五日の東京市場の相場は、平成十年の我が国経済の動向を占うという意味から多くの人々の注目を集めました。しかし、政府が十二月に打ち出した二兆円減税を初めとする景気対策及び金融システムの安定化のための一連の緊急対策にもかかわらず、円相場は五年八カ月ぶりの一ドル百三十二円台後半まで下落し、日経平均株価も一万五千円を割り込み、波乱含みの幕あけとなりました。そのため、国民が抱いていたかすかな景気回復への期待は完全に打ち消されてしまったのであります。
 まさに、市場はこれらの一連の緊急対策に対してはっきり効果なしと判断したことになりますが、これはまた平成九年度補正予算案に対する市場の厳しい評価でもあります。この市場の反応は、いつも後手に回る景気対策に対する国民のいら立ち、一貫性を欠き、場当たり的に打ち出される緊急対策への国民の失望及び厳しい経済の実態を無視した政策立案への国民の怒りを代弁したものであり、橋本政権に対して不信任を突きつけたものであります。総理は、この市場の評価をどのように受けとめられておりますか、まずお尋ねいたします。
 私は、経済の実態を踏まえた有効な景気対策を打ち出すためには、これまで景気回復の足を引っ張ってきた個人消費の動向について徹底した分析を加える必要があると考えます。
 昨年一年の個人消費の推移を振り返るとき、一月から三月までは消費税率引き上げに対する駆け込み需要もあって、景気回復の基調を確かなものにするやに見受けられた時期もありました。そして四月以降の消費需要の低迷は、一応消費税率アップによる駆け込み需要の反動とみなされてきたのであります。しかし、五月、六月を経て七月になっても消費の回復の兆しは見られず、ずるずると秋に至り、さらに低迷のまま年を越すことになってしまったのであります。
 昨年後半の個人消費の伸び悩みは、景気回復の基調を弱めただけでなく、足踏み状態から不況へと我が国経済を追い込んでいきました。なぜ個人消費は低迷を続けるのか。この説明のためしばしば先行き不安という言葉が使われてきましたが、その意味のあいまいさのため、残念ながら、そこから個人消費の回復のための具体的な対策を打ち出すことはできなかったのであります。
 先行き不安という言葉のあいまいさは、幾つかの要因によって構成されている複合不安であることにあります。すなわち、景気の先行き不安、金融不安、雇用不安、そして老後の生活に対する不安など、多くの要因が複合して不安感を募らせているのであります。したがって、二兆円減税が仮に景気の先行きに少し明るさを与えたとしても、国民の心に重く覆いかぶさっている不安感が取り除かれない限り、消費への効果は全く期待できないのであります。
 また、補正予算案では、不安が不安を呼ぶという悪循環を断ち切るため、金融安定化のための緊急対策を打ち出していますが、複合不安という考え方に立つとき、これだけでは不安増殖の悪循環は断ち切れないと考えますが、総理の見解をお尋ねします。
 複合不安を構成する要因の一つ一つを取り除くため、総合的かつ整合的に改革を進め、政策を打ち出していくことが必要であります。
 とりわけ、国民生活に直接関連している雇用不安や老後の生活に対する不安を取り除くためには、早急に国民のだれもが二十一世紀の安心で豊かな少子・高齢社会の姿をはっきりと頭に描くことができるような形で経済構造改革や社会保障改革を進めていかなければなりませんが、これまでの六つの改革の進め方を見るとき、このような姿勢が全く見られないように思いますが、総理の見解をお尋ねします。
 二十一世紀における我が国の経済財政運営の基本的方向を考えるとき、まず幾つかの制約を想定しておかなければなりません。
 中でも、二十一世紀の比較的早い時期に人口減少が始まるという人口推計は、経済財政運営に最も厳しい制約を課するものであります。そして昨年十二月に開催された地球温暖化防止のための京都会議で討議された地球環境を守っていくという制約も極めて大きいものであります。また、我が国はそれほど資源に恵まれているわけではありません。それだけに、資源は有限という制約をいつも考えておかなければなりません。さらに我が国は、これまで築いてきた経済基盤に基づいて、国際社会において一定の役割と貢献を果たしていかなければなりません。
 これらの制約が決める枠組みの中で我が国の経済財政を運営していくとなれば、最近の個人消費の動向も考え合わせると、今後、我が国経済の成長率は二%前後を上限と考えざるを得ないと思いますが、この点についての総理の見解をお尋ねします。
 しかし、国民の皆さんに安心を与えるためには、二十一世紀においても完全雇用と物価の安定はどうしても実現していかなければなりませんが、そのためには、これまでの経済や社会の仕組みのもとではGDPの成長率は三%前後が維持されねばならないと想定されてきました。結局この一%のギャップは、経済や社会の仕組みを変えることで埋めていかざるを得ないのであります。しかるに政府は、財政構造改革を進めるに当たって成長率三%を前提としています。これでは財政構造改革案全体が画餅にすぎないと言わざるを得ません。総理の見解をお尋ねいたします。
 このような経済や社会の仕組みの大改革は、二十一世紀を迎えるために私たちが越えなければならない高いハードルであるとともに、後年、経済史を振り返るとき、まさに産業革命にも並ぶべき大きな出来事になると考えられます。
 産業革命は、市場原理という資源の効率的利用を実現させるためのすばらしいメカニズムを用意してきました。そして市場原理は、私たちの生活水準を高め、物質面で豊かな生活をもたらしてくれました。そのため、今進められている経済構造改革にしても金融構造改革にしても、市場原理の活用を促すことを念頭に進められているとみなされます。
 しかし、ここで私たちは、産業革命以降、市場原理がもたらしてきた経済社会の究極の仕組みが大量生産、大量消費、大量排出の仕組みであることを忘れてはなりません。この仕組みは私たちの生活を豊かにしてくれましたが、この仕組みによって私たちは多くのものを失いました。このことを考えるとき、今政府が進めている六つの改革は、大量生産、大量消費、大量排出という仕組みに対する挑戦でなければなりません。この仕組みのいい面を残しながら、さきに示した四つの制約の枠組みの中で私たちの失ったものをどう取り戻していくかであります。
 このように改革を進めていくためには、市場原理に加えてもう一つの原理原則、例えば外部経済を内部化するためのルールづくりなどが求められると思いますが、この点についての総理のお考えをお尋ねいたします。
 政府が進める改革や政策に対して常に国民の信頼を得て強力に推進していくためには、少なくとも二つの要件が満たされねばならないと思います。
 第一の要件は、改革の目指す方向や政策の目標がすべての国民にとって明確であるということであります。この要件が満たされることで、改革に伴う痛みについても国民はある程度受け入れるはずであります。
 そして第二の要件は、打ち出される改革案及び政策が公正、透明であり、相互に整合性を保ち、そして全体として政策に一貫性が見られることであります。特に今回の金融システムの安定化のための緊急対策の柱となっている公的資金導入に対しては、第二の要件、すなわち公正、透明性がきちっと満たされなければ国民の理解を得ることは到底不可能です。私は、これまで政府、大蔵省が進めてきた安定化策を振り返るとき、この点に関して強い危惧を抱くものであります。
 すなわち、住専処理も含めてこれまで政府、大蔵省が進めてきた安定化策は、現行の金融システムをできるだけ守りながら、個々の金融機関を健全な経営状態に戻すとともに預金の全額保護を基本としてきました。その意味では、これまでの安定化策は、大蔵省の金融行政の姿勢とみなされてきたいわゆる護送船団方式をそのまま受け継いでいると言わざるを得ないのであります。そのため、刻々変化する経済の実態とともに金融取引のグローバル化や複雑化が進む中で、その時々に発生する新しい問題に適切に対応できる迅速性が確保できなかったのであります。現に、山一証券破綻の直接の原因となった簿外債務の問題とか貸し渋りの問題は、金融安定化策が後手に回ってきたことを示すものにほかなりません。
 今、金融システムの安定化を進めるに当たって求められる金融行政の姿勢は、もはや自力で立ち直ることが難しい金融機関は思い切って整理するという前向きの姿勢であります。今回の緊急対策にはこの姿勢がまだ十分に見られないと思うが、大蔵大臣の強い決意を求めます。
 これまで政府、大蔵省が進めてきた金融安定化策において指摘しておかなければならない重要な点がもう一つあります。それは、経営者に対する自己責任の追及が甘かったことであります。ここにも護送船団方式が抱えている救済型の安定化策の問題がうかがわれます。特に、公的資金の導入に当たって、このスキームが公正で透明で、そして整合的であるためには、公的資金配分の公正なルールの確立とともに、モラルハザードを完全に封じ込める基準を設定しなければなりません。これが大前提であると思います。そのため、金融安定化のための緊急対策において、経営者の自己責任の原則とそれに伴う情報開示のルールに少しでもすき間が見られるならば、私は断固この政策に対して反対していくつもりでございます。
 このことを強く訴えまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(橋本龍太郎君) 牛嶋議員にお答えを申し上げます。
 まず、一連の対策に対する市場の反応をどう見るかという御指摘をいただきました。
 確かに大変厳しいものがございました。これは私は認めます。しかし同時に、それが市場に織り込まれたことも事実であり、さまざまな措置が実行に移されるのはこれからでありまして、政府としては、二兆円の特別減税を含む予算・税制面の措置や金融システム安定化のための三十兆円の公的資金の活用など、財政・金融両面にわたるさまざまな措置が実際に講ぜられるという安心感を市場が持つことにより、これが現実のものになりましたら経済の先行きに対する不透明感が払拭され、我が国経済の力強い回復をもたらすと考えております。
 我が国のためにも、世界のためにも一刻も早く実施に移したいと考えておりまして、国会におかれましても迅速な御審議をお願い申し上げたいと考えております。なお、株価や為替相場の動向につきましては、今後ともに十分注視してまいるつもりであります。
 次に、減税の消費への効果についての御意見をいただきました。
 今回の二兆円規模の特別減税の実施、これは、法人課税、有価証券取引税、地価税の減税等の内容を盛り込みました十年度の税制改正や金融システム安定化のための三十兆円の公的資金の活用など、財政・金融両面にわたるさまざまな措置と相まって、家計の可処分所得の増加を通じて消費の回復に寄与すると見込まれますとともに、家計や企業の経済の先行きに対する不透明感を払拭し、我が国経済の力強い回復をもたらすものと考えております。特に、現下の状況におきましては、金融に対する内外の信頼の低下、これに伴う不安感をなくすということが減税などの効果を大きくするためにも重要なことだと考えております。
 また、金融安定化のための緊急対策では不安増殖の悪循環を断ち切れないという御意見をちょうだいいたしました。
 しかし、今般の対策は、我が国金融システムに対する信頼を一刻も早く回復させ、経済全体が危機に陥る事態を防ぐために公的資金の活用も含めて政府として断固たる姿勢を示すものであります。これらにつきましては諸外国からも強く要請がなされておりました。そしてまた、アメリカ政府からはこれを評価すると伝えられ、一昨日行われました日英首脳会談、日・EU定期首脳協議におきましても、この点について高い評価と支持が表明されておりますように、内外の関係者の理解、評価を得て金融システムに関する不安の払拭に資するものと考えております。
 次に、今進めている経済構造改革が雇用や老後に対する不安に対応しているのか、そういうお尋ねをいただきました。
 新規産業の創出、また公的負担の抑制のための諸施策を含む経済構造改革は、質の高い雇用や福祉を支える経済基盤を中長期的に確立することを通じて、安心で豊かな少子・高齢社会を目指すものであります。
 特に、雇用につきましては、情報通信、環境、医療、福祉等、今後成長が期待される十五分野におきまして、二〇一〇年までに七百四十万人程度の質の高い雇用が新たに創出されるものと期待されておる。そのためにも、規制の緩和、撤廃、技術開発の促進などの環境整備に努めてまいります。
 また、社会保障改革につきましては、少子・高齢化が進展する中で、将来にわたって安定した、国民に信頼される制度を構築するために必要な給付を確実に保障する一方で、給付と負担の均衡や制度の効率化、合理化を図ることが必要であることは御承知のとおりであります。そのため、引き続き国民的な議論のもと、医療、年金制度等の制度全般の改革に取り組んでまいります。
 また、今後の我が国経済の成長率は二%前後が上限ではないかというお尋ねがございました。
 現在、我が国はグローバリゼーションの進展や少子・高齢社会への移行等の潮流変化の中にあり、その中で地球環境問題への対応や国際貢献等を求められているのも御指摘のとおりであります。
 これらに対して、規制緩和等による高コスト構造是正など、我が国の経済社会の構造改革を進めていけば、我が国の潜在的な成長能力が生かされ、環境と調和した持続的、安定的な経済成長、それに基づく自由で活力があり、豊かで安心して暮らせる、国の内外に開かれた経済社会が実現できるものと考えます。
 一方、我が国の経済の最近の動向を見ますと、家計や企業の景況感は厳しさを増し、個人消費や設備投資にも影響を及ぼしていることは御指摘のとおりであります。
 政府としては、昨年十一月に決定をいたしました緊急経済対策を確実に実行に移すとともに、特別減税を実行することにいたしました。また、我が国の金融システムの安定性確保と預金者保護のための諸施策を講ずることとしたところであり、こうした施策が相乗効果を発揮することにより、家計や企業の経済の先行きに対する不透明感が払拭され、我が国経済の民需中心の自律的な安定成長軌道が実現できるものと考えておりまして、中期的な成長率の上限を二%前後と考えてしまう必要は必ずしもないと私は思います。
 また、経済や社会の仕組みを変えることで一%のギャップを埋めるという御指摘をいただきました。
 これまでの我が国の経済社会構造が、先ほど申し上げましたような潮流変化にうまく対応できていなかったことから、産業の空洞化などさまざまな構造的な諸問題が顕在化している。まさにこうした認識のもとに六つの改革に一体的に取り組んでいるところでありまして、これによって、二十一世紀の我が国におきまして、豊富な資産・資金、有能な人材、そして新しい時代を切り開くだけの技術、こうしたものは既に持っているわけでありますから、その技術が生かされるような社会、自由で活力があり、豊かで安心できる経済社会を実現し、地球社会の進展にも積極的に参画していくことができると考えております。
 こうした六つの改革を一体的に進めていくことが経済成長にも好ましい効果を持つものでありますし、実質三%程度の経済成長を中期的に実現するためにもこうした施策を進めてまいります。
 財政構造改革そのものは、特定の成長率を前提とするものではありませんが、私どもは、いずれにしても、これらの改革を断行し、新たな時代を先取りできる経済社会システムをつくり上げなければなりませんし、今般の金融システム安定化策や二兆円の特別減税を初めとする施策、これらは我が国の経済を民間需要中心の自律的安定成長軌道に乗せるものと考えております。
 最後に、産業革命は市場原理という非常に効率的なメカニズムを用意したが、これからがという御指摘をいただきました。
 確かに、経済構造改革も金融システム改革も規制緩和等を通じて市場原理が機能する環境を整えることによって、経済的資源のより効率的利用を達成しようとするものであります。しかし、私の理解を申し上げれば、社会的費用と私的費用との間に乖離が生ずる場合、これをあらかじめ補正することが、市場原理がきちんと機能するその前提条件になると考えております。その意味で、市場原理を補完すべく、外部経済を内部化するためのルールづくりを適切に行うことは改革の成否を決する重要な課題である、これは過言ではありません。
 一つの例としてリサイクルの問題を申し上げますなら、物を廃棄した場合の社会的費用は非常に高いものにつきますが、物を廃棄する私的な費用というものはリサイクルに要する費用よりはるかに安いのが現状であります。この場合、リサイクルの費用負担、費用徴収方法等についてのルールづくりが必要となります。このような観点から、昨年十二月の経済構造改革の行動計画のフォローアップにおきましても、家電製品のリサイクルの費用負担を定める法制の整備を決定いたしました。
 金融システムにつきましても、思い切った規制の撤廃、緩和を行うことにより、市場原理が最大限に活用される効率的なシステムを構築していく必要があることは言うまでもありません。
 ただし、時として市場の行き過ぎ等により、金融システムに対する信頼が低下するといった事態が起こりました場合に、必要な緊急措置を講ずることによりまして、金融システムの安定性を確保し、預金者等の不安感を払拭することが重要であると考えております。
 以上のように、市場原理を補完するルールづくりについては、引き続き六つの改革の中で積極的に進めていく考えであり、そうした補完をいたしながら市場原理が適切に機能することによりまして、自由で活力があり、豊かで安心できる経済社会を実現していく考えであります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(三塚博君) 金融システム安定化を進めるに当たりましての行政の姿勢についてのお尋ねでございます。
 これまでも金融機関の破綻に際しましては、預金者保護と信用秩序の維持に万全を期しますと同時に、破綻金融機関につきましては存在を許さないという方針のもと、速やかに処理を行ってきたところでございます。今回の緊急対策におきましても、決して破綻金融機関を救済することではございませんで、これまでの方針に変更はございません。
 次に、公的資金導入に当たって、公正なルールの確立とモラルハザードの防止が重要であるとの御指摘でございます。同感であります。
 これまでも金融機関の破綻処理に当たりましては、破綻金融機関は存続させないと、そして経営責任の厳格な追及を行うなどの一貫いたしました対応を行ってきたところであります。この方針は、今回の対策でも同様でございます。
 また、優先株等の引き受けにつきましては、公正中立な審査機関等による厳正かつ透明な手続を必要といたしますとともに、優先株等を発行する金融機関に対しましては、経営の健全性の確保のための計画を提出いたさせます。さらに、基本的にこれを公表するなどモラルハザードを防止する措置を講じることといたしております。(拍手)
#17
○議長(斎藤十朗君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十一分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
#18
○議長(斎藤十朗君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。大渕絹子君。
   〔大渕絹子君登壇、拍手〕
#19
○大渕絹子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、ただいま議題となりました金融システム安定化対策及び平成九年度補正予算案に対し、橋本総理大臣、三塚大蔵大臣に質問をいたします。
 きのうまで滞在されておりました英国のトニー・ブレア首相は、テレビ番組の中でインタビューに答えて、日本経済の強さは認識をしている、自信を持って対処すれば現在の金融不安は必ず乗り切れると語りました。総理との会談では、ビッグバンを実施した経験や、来年に迫った欧州通貨統合に向けて努力しているEU各国の様子や、タイから始まり香港、韓国、フィリピンとアジアに広がる通貨危機に共同対応することや、戦争中の英国軍捕虜問題など話し合われたと聞きます。二十一世紀に向けての日英共同ビジョンの柱に据えられた問題は何だったか、お伺いいたします。
 お隣の韓国では、長い間闘い続けた金大中氏が大統領に就任をいたしました。しかし、深刻な金融危機にさらされています。IMFは韓国に対して五百五十億ドルに及ぶ史上最大規模の融資に合意しました。アメリカは五十億ドル、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オーストラリアはおのおの十億ドル、日本は百億ドルの負担です。ウォン安が我が国に与える影響の大きさを考えての負担と思います。アジアで起こっている通貨危機と日本の金融不安は同質のものでないことは承知をしております。爆発的な成長を続けてきたアジアが混迷を深めています。このアジアの国々に対して日本の果たすべき役割は何だとお考えでしょう。総理の御所見をお伺いいたします。
 バブル景気崩壊後、預貯金の金利は引き下げられ、超低金利時代を過ごしていますが、不良債権の処理は遅々として進んでいないと言われます。そのことが経済を冷え込ませ、今日の複合不況の一因をなしています。こうした現実を予測できず、金融証券へ強力な指導もせず、破綻に追いやった大蔵省や日銀金融当局の責任は重大です。総理の御所見を伺います。
 かつて百万円の定期預金があればその利息で年に一度ぐらいは一泊二日の小旅行ができたのです。今は利息は全く当てにはできません。消費税率の引き上げ、特別減税の打ち切り、医療・薬剤費の負担増と、国民の暮らしを直撃しています。消費者の購買意欲はなえています。これでは景気がよくなるはずはありません。消費不振による不況からの脱出には大規模な所得税減税が必要です。
 我が党は早い時期から二兆円の所得税減税の実施を提案してまいりました。財政構造改革法との関連で赤字国債を発行しての減税には応じられないというのが政府の態度でありました。それが二兆円減税を決断されましたのはいかなる理由からでありましょうか。国民にわかりやすく御説明をいただきたいと思います。
 また、政府の保有する外貨準備の活用についても議論があったと聞いています。国債十兆円とのかかわりも御説明ください。
 国民には九兆円余りの負担を課しながら、一方では三十兆円規模の公的金融支援を行い、さらに法人税の引き下げ、地価税、法人土地譲渡益課税の停止等々が図られています。これに対して、生活者国民に対する配慮が足りないのではないでしょうか。お尋ねをいたします。
 補正予算案に計上された臨時福祉特例給付金の支給対象になっていない年金生活者や低所得者は、所得税減税の恩恵もなく暮らしています。これらの人々に等しく減税ができるのが消費税です。消費の落ち込みによる不況と言うなら、食料品等生活必需品を非課税にすべきです。景気回復を図り金融不安をなくするためにも橋本総理の強い決断を求めます。
 総理は、「我が国経済を回復軌道に乗せるためには、経済活動の根幹である金融システムを安定させることが不可欠です。同時に、景気の回復は、金融資本市場の安定を図る上で極めて重要であります。そして、金融システムの安定と景気の回復は、財政の健全化のためにも必要であります。」と述べておられます。
 政府が十一月十八日に打ち出しました緊急経済対策は、規制緩和と土地対策など、個人や企業の活動を刺激することに力点が置かれてはいますが、為替や株価の変動には即効性に乏しいものでした。また、臨時国会で制定した財政構造改革法は、国と地方で五百兆を超える債務を、二〇〇三年には財政赤字を国内総生産比三%以下とし、赤字国債はゼロにする目標です。
 政府は、歳出削減基準を定め、来年度予算案に反映をさせています。公共事業の削減によりさらに景気が落ち込んでいます。総理の力強い演説にもかかわらず、株価の下落や金融不安は一向に解決する状況にはありません。また、日本発の金融恐慌は起こさないと強調していますが、市場はそう受けとめていません。一層の景気対策が必要ではないですか。
 景気対策の財源確保のために建設国債と赤字国債の区分の廃止を述べる人がおられます。それは、経済運営としては向きが逆の財政改革と景気対策を同時に乗り切ろうとする窮余の策と言われていますが、総理のお考えを伺います。
 銀行の経営体質を改善するために四月から導入される早期是正措置は、総資産に占める自己資本の割合が一定に達していなければ大蔵省が経営改善命令を出すというものです。国際業務を扱う銀行は、国際決済銀行、BISの基準八%、国内業務の銀行は四%を下回ってはいけないことになっています。そこで、自己資本比率を高めるために貸し渋りを招いていると聞きます。今回、この貸し渋り対策としてとられた措置及び総額二十五兆円の予算措置についてお尋ねをいたします。
 中小企業の経営者からは、銀行の窓口に行ってもお金が借りられない、特別緊急融資制度ができたといっても貸してはもらえない、国の政策は末端では有効に働いていないと聞きます。実効性の確保を周知徹底していただきたいと思います。
 今、不良債権はどのくらいあるのかお尋ねします。早期是正措置に伴う資産の自己査定の状況報告によりますと、U分類、これは個別に適切なリスク管理が必要であると言われている部分ですが、六十五兆二千八百九十億円、第V分類八兆七千二百四十億円、第W分類、回収不能または無価値と言われるものが二兆六千九百五十億円に上ります。日本で今まで使用されてきた全国銀行協会連合会の基準に沿って査定をしますと、破綻、延滞、金利減免の三区分合計で二十一兆七千億円にとどまっております。この数字の差、今回の政策はどちらの数値を基準につくられたのか、大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 今回の補正予算案に、阪神・淡路大震災復興対策費として千二百八億円が計上されています。被災から三年たちますが、仮設住宅から出られず、精神的ショックから立ち直れず、孤独死をしていく人が後を絶たない。心のケアが必要な人々もたくさんおられます。今、災害公的支援法が議員立法で本院に提案をされておりますが、一日も早く制定されるように強く望みます。
 緊急米対策経費として一千七百一億円がウルグアイ・ラウンド対策として計上されています。これで平成九年度は三千四百二十六億円を確保することができました。平成十年度からは、当初予算主体になるとともに対策期間の二年間延長もあり、二四%も減額になります。農業保護政策は今後とも重要です。さらなる充実を求めます。
 米しかつくりようのない農政と見通しの甘さもあり、大量の過剰在庫のもとで米価は大暴落をしています。六十キログラム当たり五千円も下落し、大規模農家ほど打撃を受けています。
 世界の食糧不足が叫ばれている中で、三年に一度米づくりをしなくてもよいというような強い生産調整が行われています。農民は声も出ない状況です。金融不安も大変ですが、農業も重病に陥っています。米の消費拡大を含め、食糧安全保障や水や空気、環境を守る立場から農業再建を強く訴えます。日本農業のあるべき姿を総理にお伺いいたします。
 さらに申し上げておきたいのは、今回の金融機関での対応に際し、特に働く人たちの雇用問題であります。与党三党の協議の中で確認されたことではありますが、政府のこの点に関する十分なる対応を強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大渕議員にお答えを申し上げます。
 まず、ブレア首相との会談についてのお尋ねでございますが、日英両国の間のさまざまな問題につきまして、元戦争捕虜の問題も含め、二十一世紀に向けた建設的な話し合いが行われました。
 その話し合いを踏まえまして、大きく三つに分けて、一つは未来への改革と投資、もう一つはアジアと欧州関係の強化、そしてよりよい地球社会の実現に向けてという三本の柱から成る「二十一世紀に向けての日英共通ビジョン」を取りまとめ、発表をいたしました。
 同時に、現在、英国がEUの議長国であります関係もあり、日・EU定期首脳会議も行いました。 ここでは、英国の金融システム改革、いわゆるビッグバンについてのやりとりはございませんでしたが、先方から、欧州通貨統合のプロセスの現状と今後の見通しについて説明がなされました。私から、EMUの成功とユーロが強い通貨としてスタートすることを強く求める、希望するということを申しております。また、欧州統合に当たりまして、固まってしまうのではなく国際社会全体の利益の増進を念頭に置くようにということを私の方からの話題として出しました。
 アジアの金融危機につきましては、アジア経済のファンダメンタルズは基本的に良好であること、この認識は共有した上で、経済のグローバル化の中でアジアの経済不安定が他の地域にも影響する、アジア各国の改革努力への支援に対して双方が緊密に協力して当たっていく、こうした見解で一致をいたしました。
 私から、現在日本が取り組んでいる景気回復のための諸施策及び金融システム安定化措置について説明をし、EU側からはこれに対する評価と歓迎をいただきました。
 韓国につきましてお尋ねをいただきましたが、韓国に対する百億ドルの支援の理由、これは昨年十二月、IMFと韓国との間で経済調整プログラムについての合意がなされまして、IMF等国際金融機関が総額三百五十億ドルの金融支援を行う発表をいたしました。この合意を受けまして、日本としても米国など諸外国と協調しながら、隣国としてできる限りの支援を行うという観点で、第二線準備として百億ドルの金融支援を行うことを決定した次第であります。
 アジア通貨危機につきましては、まさにこの地域の通貨の安定が、隣国である我が国だけではなく世界経済全体に非常に大きな影響を及ぼす重要な問題であります。日本としてもこういう観点から、アジア地域における金融通貨市場の変動に対しましては、IMFを中心とする国際的な支援の枠組みの中で積極的に支援を実施いたしてまいりました。昨年十一月には、アジアの金融通貨安定のための取り組みにつきまして新たなフレームワークも合意されております。
 今後とも、関係各国、IMF、世界銀行、アジア開発銀行など国際機関とも緊密に連携をとりながら適切に対応していきたいと考えております。
 次に、金融機関の不良債権の処理につきましては、金融機関の自助努力により行われることが基本でありますし、現にそれぞれの金融機関におきまして積極的に引き当てなどを行い、不良債権問題の早期処理に取り組んでおります。
 バブルの生成の過程におきまして、金融機関の中にリスク管理に対する十分な体制整備がないままに安易に融資に応じた面があったことは私は否定をいたしません。同時に、政府あるいは日銀、そのときそのときの状況に応じて最善と思われる方策を実施してきたと思います。しかし、バブルの生成というそれまで経験のない激しい事態の中におきまして、その後の崩壊のプロセス、今日まで至る中で、その認識や対応がすべて完全であったというようなことを申し上げるつもりはありません。
 政府としては、現下の情勢に対して、金融システムの安定化対策や補正予算など断固とした措置を行うことにより、また、例えば金融行政を市場規律に立脚した透明性の高いものに転換していくことを既に始めております。今後とも、適切な政策運営を図ってまいろうと努力をいたしております。
 次に、特別減税を決断するに至った過程についてのお尋ねがございました。
 十二月のクアラルンプールにおいて行われましたASEAN首脳との会合におきまして、予測してまいりましたものの、その影響の重大さ、また日本の役割というものを改めて実感させられたところであり、アジアの通貨・金融不安や秋以降の我が国の金融機関の破綻、経営問題などの影響によって家計、企業の景況感の悪化の見られる中で、こうした状況のもとに日本発の恐慌は絶対に起こさない、そうした決意のもとで国民の不安感を払拭するために臨機応変に対応することこそ今求められているもの、そう考えて特別減税の実施を決断いたしました。
 また、十兆円の国債を発行した理由についてお尋ねがございました。
 これは、預金の全額保護が可能となる体制を整備すること、金融機関の自己資本を充実する制度を設けるとの措置に万全を期するために預金保険機構に対して交付をいたします。
 なお、政府が保有する外貨準備につきまして御意見をいただきましたが、これはやはり為替相場の安定を図るために使用するものとして保有しているものであり、今般想定されておりますような金融システムの安定化のための施策には必ずしもなじむものではないと思います。
 次に、消費税についての御意見をいただきましたが、消費税率の引き上げは、少子・高齢化の進展という我が国の構造変化に対応した税制改革の一環として行われたものでありまして、真に必要な改革だったと私は思っております。
 なお、生活必需品などの問題につきましては、今後の消費税を含む税体系の見直しの中で、将来的な課題として慎重に検討されるべきものだと考えております。
 また、我が国経済を回復軌道に乗せるために、まず我が国の金融に対する内外の信頼低下という事態に断固として対処することが不可欠であります。そのため、三十兆円の資金を活用できるようにする金融システム安定化策を行おうとしているものであります。同時に、景気回復のために御指摘の法人税率などの税制面での措置も必要だと考えておりまして、経済の回復は国民全体の問題であることをぜひ御理解いただきたいと心から願います。
 また、一層の景気対策が必要ではないかという御指摘をいただきました。
 政府としては、景気の現状、さらに金融システムに対する信頼の低下という事態への対処も含めて、二兆円の特別減税を含む予算・税制面の措置や金融システム安定化のための三十兆円の公的資金の活用など、財政・金融両面にわたるさまざまな措置を講ずることとしております。
 こうしたさまざまな取り組みなどのすべてが相乗効果を持って我が国経済の力強い回復をもたらすものと考えており、ことしはこの十年来の困難を克服して、改革と力強い回復、そして新たな将来に出発する年であり、将来を見据えながら、日本発の金融恐慌は絶対に起こさないから安心してください、そうした決意で乗り切っていきたいと考えております。
 次に、建設国債と赤字国債の区分についての御意見をいただきました。
 財政法は健全財政主義という原則のもとに、負担の世代間公平という考え方に立ち、公共事業などに限って例外的に建設公債の発行を認めております。こうした原則から離れて、建設公債とは基本的に相違がある特例公債との区別をなくすことは特に慎重でなければならないと思います。
 また、中小企業への融資に関するお尋ねがございました。
 政府としては、先般の緊急経済対策に基づき、即時に政府系金融機関及び信用保証協会に特別な窓口を設置して、きめ細かく相談に応じるとともに、貸し出し保証手続の迅速化など、対策の実施円滑化に万全を期してきたところであります。議員の御注意をもいただきました。今後とも中小企業の実情に十分配慮し、融資の末端の実効性を確保するように最大限努力をしていきたいと思います。
 また、御意見として述べられたことでありますが、阪神・淡路大震災に関連をいたしまして現在議員立法が行われていると承知をいたしております。いずれにせよ、政府としてはこれまでも公営住宅の大量供給、その家賃の大幅な引き下げ、阪神・淡路復興基金を活用した生活再建支援金の給付に対する地方財政措置など、さまざまな支援策を講じてきておることを申し添えます。
 また、日本農業のあるべき姿について御意見をいただきました。
 農業は、国民の食糧の安定供給ということは当然でありますけれども、地域社会の維持やまた国土、そして自然環境の保全などの役割も担っている、我が国経済社会の発展の基礎をなす重要な部分であります。こうした農業を、意欲のある農業者にとって魅力とやりがいのあるものにしていくことが重要だと考えております。
 最後に御要望いただきました関連する雇用の問題につきましては、労働省を初めとしてその安定化に今努力をしているさなかであります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(三塚博君) 私に対する御質問、二問であります。
 今回の貸し渋り対策についてのお尋ねでございますが、信用の収縮によりまして健全な企業活動が阻害されるような事態はあってはならないという基本方針をとっておるところであります。このため、早期是正措置の運用の弾力化や自己資本比率対策といった措置を講ずることといたしましたほか、政府系金融機関における新たな融資制度の創設などの措置を講じまして、平成九年度におきましては信用保証を含め十二兆円、十年度分を合わせまして総額二十五兆円の資金量を確保することといたし、昨年末、正月返上をしながら年始に至るまで窓口を開き、丁寧に相談をいたし、受け付けをいたし、対応しておるところでございます。
 議員からの御指摘にあります貸し渋り、実効性の問題がございました。その解消に万全を期せという御趣旨かと思います。 私といたしまして、通産も関係主管庁でありますが、協議をいたしておるところであり、さらに目配りを徹底し、万全を期してまいるつもりでございます。(拍手)
    ─────────────
#22
○議長(斎藤十朗君) 立木洋君。
   〔立木洋君登壇、拍手〕
#23
○立木洋君 私は、日本共産党を代表し、今日の深刻な不況と金融問題について橋本総理に質問をいたします。
 まず第一にただしたいのは、不況対策の基本方向についてであります。
 景気回復の二大主役が、個人消費と中小企業の設備投資の拡大にあることは政府自身が認めてきたことであります。ところが橋本内閣は、経済白書ですらこの二大主役の回復が低迷していると指摘せざるを得ないときに、消費税率の五%への引き上げ、特別減税の廃止、医療保険の改悪による九兆円もの負担増を国民に押しつけるという全く逆方向の政策を強行いたしました。これでは景気が底割れするのは当然であり、現に消費は急速に冷え込み、最悪の失業率の増大、倒産の激増に見舞われることになったのであります。
 消費税増税など九兆円負担増が個人消費を落ち込ませ、不況を深刻化させる最大の要因となったことは、日本のシンクタンクはもちろん、アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルや通商代表部など海外からもこぞって指摘されているとおりであります。
 総理は、日本発の経済恐慌は起こさないと見えを切られましたが、橋本内閣の国民負担増路線こそ、日本経済が世界から信認を失っている最大の元凶ではないでしょうか。今、総理がやるべきことは、九兆円負担増の誤りを率直に認め、この路線の根本的な転換を図ることではないかということを厳しく指摘したいわけであります。明確な答弁を求めます。
 ところが、橋本内閣が打ち出したのは一回限りの二兆円の特別減税だけであります。市場は冷徹であります。三十兆円の銀行支援策の言いわけ的に打ち出したこの程度のびほう策に市場でさえ見向きもしなかったばかりか、一昨日の総理演説に対しても不信任を突きつけたのであります。ここまで景気を冷え込ませた以上、九兆円負担増を上回る消費拡大策、国民生活防衛策にこそ大胆に足を踏み出すべきであります。
 そのためには、第一に、所得減税を一回限りの特別減税でお茶を濁すのではなく、これを恒久化すべきであります。また、個人消費拡大に最も即効性のある消費税の税率を五%から三%に思い切って引き下げるべきではありませんか。
 第二に、社会保障の切り捨てではなく、充実の方向にかじ取りを切りかえることであります。昨年の医療改悪に続く三年連続の医療、社会保障の切り捨て計画、まるで逃げ水と言われる年金改悪構想や保険料は取るが介護の保証はなしの介護保険の導入等々は、我が国の社会保障制度への信頼を根本から揺るがせ、これが将来への不安を募らせ消費の冷え込みに拍車をかけています。
 財政構造改悪法とも言うべき財革法による社会保障連続切り捨て計画を中止し、公共事業予算など浪費を思い切って削減し、社会保障の充実の方向にこそ足を踏み出すべきではありませんか。
 総理は、所信で、政治の責任は国民の暮らしの安寧をいかに確保するかだと述べられました。この言葉に偽りがないのなら、今提起したことは拒否できないはずであります。総理の見解を求めます。
 次に、国民には未曾有の負担増を押しつけながら、こともあろうに銀行には税金を使って三十兆円の支援策を行おうとしていることについてであります。
 その第一は、今日の金融不安の原因と責任はどこにあるかという問題です。
 言うまでもなくそれは、北海道拓殖銀行や山一証券だけでなく、銀行業界、証券業界全体がバブルに踊り乱脈を繰り返してきたことにあります。そのツケをなぜ国民が負わなければならないのでしょうか。国民は、バブルのときには地価高騰で住みなれた町を追い出され、その後の超低金利政策のもとではこの六年間に約二十九兆円もの利子を吸い取られ、今また三十兆円のツケ回しをされようとしているのであります。国民に何の責任もない銀行破綻でなぜ国民を三たび犠牲者にしなければならないのでしょうか。
 第二は預金者保護であります。
 預金者を保護することは当然であり、それは銀行の本来の責任です。一年半前、住専処理で税金投入をしたとき、橋本内閣は、あくまでも臨時異例の措置であり、住専と信用組合の破綻の処理以外には税金は使わないと公約をいたしました。しかも、その根拠として、銀行業界全体にはその体力があること、破綻処理は税金でやるのではなく銀行業界の責任で行うのがアメリカでもルールになっていることを挙げていたのであります。これを覆すことが重大な公約違反であることは明白ではありませんか。
 政府はその後の状況が変わったと言いますが、しかし総理自身、参議院の大蔵委員会で、拓銀、山一などは乱脈経営という個別例外的な事情によって破綻したものであり、他の金融機関の経営状況とは全く異なると答弁していたではありませんか。情勢変化が税金投入の口実にならないこともまた明らかであります。
 しかも、全国銀行協会の佐伯会長は、銀行業界全体の年間の業務純益は八兆円程度あるから、全体として償却は終わりに近づいていると述べ、松下日本銀行総裁も、不良債権の処理過程の最終段階に近づいていると指摘しています。銀行業界の共同責任で処理できない何らの理由もないではありませんか。そのときに、銀行の責任を追及せず、負担も求めないというのでは、それは預金者保護に名をかりた露骨きわまりない銀行責任免罪策ということになるではありませんか。
 第三は、金融不安をもっけの幸いに、銀行の体力増強、資本強化に十三兆円もの国民の税金を使おうとしていることであります。政府の説明では、税金投入の対象となるのは体力のある銀行ということが条件になっており、日本最大の東京三菱銀行などの名が取りざたされています。なぜこんな力のある銀行に税金を投入しなければならないのか。これこそ大銀行の利益に奉仕する最悪の行政ではありませんか。
 今、日本の金融界や大蔵行政が国民の信用も海外からの信用も失墜している最大の原因は、無法な体質や政官財の癒着にこそ問題があります。乱脈経営、簿外債務、損失補てん、総会屋・暴力団との癒着など、金融機関の黒い体質に徹底的にメスを入れるとともに、大蔵官僚の天下りや金融検査官の接待疑惑など大蔵行政と銀行業界の癒着を断ち切り、公正なルールを確立することであります。こうしてこそ金融不安を解消する第一歩を踏み出すことができるのではないでしょうか。
 自民党と銀行・証券業界の根深い癒着も重大であります。自民党の金融システム安定化対策小委員会事務局長であった新井将敬衆議院議員が日興証券との不正取引で多額の利益を手にしていたことは象徴的であり、氷山の一角と言われています。実際、自民党はこの七年間に銀行、証券、保険業界から実に百六十二億円余の巨額の政治献金を受け取ってきました。これでは、この見返りとしての税金投入と見られても仕方がないのではないでしょうか。
 銀行業界などからの政治献金を直ちに禁止し、新井議員や銀行業界、大蔵省関係者などの証人喚問で、これらの疑惑を徹底的に解明することを強く求めるものであります。
 日本共産党は、三十兆円もの血税を銀行支援に投入する暴挙の撤回を強く求めるとともに、政府がこれをあくまで強行するというのなら、解散・総選挙によって国民の審判を仰ぐべきことを強く要求し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(橋本龍太郎君) 立木議員にお答えを申し上げます。
 まず、一連の制度改正が日本経済の信認を失わせた、そういう御意見をいただきました。
 しかし、消費税率の引き上げは少子・高齢化の進展という我が国の構造変化に向けた税制改革の一環として行われたものでありますし、医療保険制度改革は医療保険制度の破綻を防ぎ、安定した運営を確保していくために、給付と負担の見直しなどを行ったものであります。
 また、平成九年の特別減税は、当時の経済財政事情を踏まえて実施しないことといたしました。
 次に、所得減税を恒久化すべきではないかという御意見をいただきました。
 アジアの状況も考え、ぎりぎりの対策としてこれを決断したものであり、平成十一年度以降も必要となるような状況にならないよう、経済の回復に最大限努力していきたいと考えております。
 消費税率の引き上げについては、先ほど申し上げたとおりでありまして、真に必要な改革であったと考えております。御指摘のような減税のやり方、これは私は税負担のあり方としても問題があるように思います。
 次に、公共事業の削減と社会保障の充実という視点での御議論をいただきました。
 公共事業につきましては、コスト縮減、費用対効果分析の実施、再評価システムの導入等によりまして、一層の効率的、効果的実施に努めてまいりたいと考えております。
 また、社会保障につきましては、少子・高齢化が進行する中において、経済の発展、社会の活力を損なわないように構造改革を推進し、制度の効率化、合理化を進めながら、必要な給付を確保していきたいと考えております。
 十年度予算におきましても、主要な経費ごとのめり張りのきいた量的縮減目標に沿い、その編成を行いました。公共事業関係費については、七・八%のマイナスとする一方で、社会保障関係費は二%の増額を確保しております。
 金融不安の原因と責任についても御意見をいただきました。
 バブルの生成から崩壊、今日に至る状況の中で的確な認識と対応が行われたかと言われれば、これが不十分であった面があるほかに、八〇年代以降、金融機関の中には収益至上主義の経営姿勢の中でリスク管理に対する十分な体制整備のないまま、安易に融資に応じた面があったことは否定できません。
 最近、金融機関に経営破綻が続いて生じ、我が国の金融システムに対する内外の信認が揺らいでいることは大変遺憾であり、今後、金融機関におきましては、より一層の経営合理化と責任ある経営体制の整備などに取り組むことが必要でございます。
 また、政府としては、今般金融システム安定化策の具体化に全力を挙げて取り組むことによって、我が国金融システムの安定性と内外からの信認を確保する決意であります。
 破綻処理につきましても御意見をいただきました。
 今回の公的資金の措置を伴う金融システム安定化対策は、一般の金融機関の破綻が相次ぎ、我が国の金融システムに対する内外の信頼が大きく揺らぎかねないというその現下の状況に対応して、金融システムに対する信頼を一刻も早く回復させ、経済全体が危機に陥る事態を防ぐための時限的な緊急措置であります。
 金融機関の保険料負担につきましては、我が国金融機関の置かれている状況や国際的な信認との関係等にも留意しながら、中長期的な観点から検討していくべきものであると考えております。
 情勢の変化は税金投入の理由にはならないと言われましたが、拓銀あるいは山一等につきましては、それぞれの個別例外的な事情によって破綻に立ち至ったものでありますけれども、その破綻によりまして預金者に不安と動揺が広がり、我が国の金融システムに対する内外の信頼が大きく揺らぎかねない状況にあります。
 今回の公的資金の活用を含む緊急対策は、こうした状況に対し、政府みずからが断固たる姿勢を示すことによって、我が国の金融システムの信頼と安定を確保して日本発の金融恐慌を起こさない、そうした考え方で対処するものであります。
 金融機関の共同責任で対処すべきだという御意見につきましては、今必要性は申し上げましたが、預金保険の保険料率を見ましたとき、保険料負担の利益に対する割合についての米国のピーク時の水準も参考にしながら、平成八年度においてそれまでの七倍に引き上げたところであります。 保険料負担のあり方につきましては、我が国金融機関の置かれている状況や国際的な信認という関係にも留意しながら見ていくべきものと先ほども申し上げたとおりであります。
 今回の対策が大銀行向けではないか、そういう御指摘もございました。
 しかし、今般の対策は、個別金融機関の体力増強のためではなくて、我が国金融システムに対する内外の信頼が大きく揺らぎかねない状況を踏まえて、金融機関の内外の金融市場における資金調達が極めて困難な状況に至ることによって我が国の金融の機能に著しい障害が起こるような事態を回避するためのものでありまして、日本発の金融恐慌を防ぐという断固たる決意を示すものであることを重ねて申し上げます。
 また、公正なルールの確立による金融不安の解消という御意見をいただきました。
 金融業界の不祥事の再発防止につきましては、さきの臨時国会において金融関係の罰則強化法の成立をおかげさまで見たところであります。今後さらに、公正なルールの整備、検査・監視体制の強化などを通じて、不正があれば必ずこれに厳正に対処してまいります。
 また、金融行政と金融業界の癒着という御批判もありましたが、本年四月の早期是正措置の導入や金融監督庁の設置などによりまして、市場規律に立脚した透明性の高い金融行政に転換していくとともに、公務員の綱紀粛正についても今後とも厳しい態度で臨んでまいります。
 最後に、銀行・証券業界との癒着あるいは政治献金、証人喚問といったお話がございました。
 献金というものは自発的なものでありますし、それによって政治や行政の公正さが曲げられてはならないことは当然のことであります。
 今般の三十兆円の公的資金の活用につきましても、預金者保護の徹底と金融システムの安定性を図るために講ずるそうした措置でありまして、政治資金の見返りといったようなお話をいただくことは大変残念であります。
 企業・団体献金につきましては、現在、与党の政治改革協議会で検討されており、そこでの議論を見守ってまいりたいと思います。
 また、法に違反するようなことがあれば当局が厳正な対応をする、そう信じておりますけれども、証人喚問につきましては国会でお決めいただくべきものと考えており、その上で、国民の政治不信の払拭のために政治家が常に自戒し、襟を正さなければならないということは私もそのとおりだと思いますし、その意味で、明らかにしなければならないことは適切な場で政治家みずからの判断で明らかにされるべきものだと思います。(拍手)
    ─────────────
#25
○議長(斎藤十朗君) 永野茂門君。
   〔永野茂門君登壇、拍手〕
#26
○永野茂門君 私は、自由党を代表いたしまして、橋本総理、三塚大蔵大臣の演説に対し、質問をいたします。
 まず、質問に先立ち、一言申し上げます。
 私どもは、このたび衆参五十四名の同志が集い、自由党を結党いたしました。新進党時代にまとめた日本再構築宣言に盛られた基本理念を実践し、日本の改革を断行するため、理念と政策の一致した同志が集まったものであります。さらに多くの同志を糾合して第三の開国を乗り切る政治体制をつくり上げたいと考えるものであります。
 さて、平成十年を迎え、我が国経済は一段と深刻さを増しております。倒産の多発、失業率の上昇、相次ぐ金融機関の破綻とそれに伴う預貯金、保険金への不安など、国民は将来の生活設計もできない状態に置かれています。また、異常な超低金利の継続は年金生活者の生活を極限にまで苦しめております。
 橋本総理、私は、今日の恐慌前夜とも言うべき状況を招いたのは橋本内閣の政策の失敗の結果であり、総理自身の責任であることをまずもって指摘したいのであります。
 それは、一つ、平成九年度予算において消費税率の引き上げ、特別減税の打ち切りなどで約九兆円の国民負担増を強い、立ち直りかけていた景気回復の芽を摘んだこと。
 一つ、丸二年有余に及ぶ異常な低金利政策の継続で国民の生活設計を狂わせ、消費を低下させたこと。
 一つ、住専処理と金融機関の不良債権問題解決の失敗が今日の深刻な金融不安、経済不安を招いたこと。
 一つ、財政再建の基本を忘れ、今後のデフレ予算を義務づける財政構造改革法の成立を強行し、民間の投資、消費意欲を萎縮させる一方、財政状況を一段と悪化させていることなど、例を挙げれば切りがありません。
 しかも、問題は、総理自身にこのような状況を招いたことの自覚も責任感も全くないということであります。
 これは、一昨日の総理、大蔵大臣の演説を見れば明らかであります。景気回復と金融システムの安定と銘打ちながら、日本経済がなぜこういう状態に陥り、どうしたらいいのかという認識も、自分の考え方、青写真も全くない無味乾燥なものでしかなかったのであります。これは、総理が演説した途端、市場が空虚な演説であると評価し、株価が下落した事実が明確に示しております。
 市場も国民も橋本内閣では政策転換は不可能であり、政権交代を痛切に求めていると言えます。総理の御所見を伺います。
 我が国の経済危機の根源が金融システムの不安定にあることは論をまちません。その原因は橋本内閣の金融行政における致命的な失敗、特に不良債権処理問題に対する誤りにあります。
 我々自由党は、新進党のころより、公的資金は金融機関の破綻処理に使うべきではなく法的にルールにのっとって処理をすべきであり、公的資金は預金者、貯金者保護に万全を期するために使うべきであると主張をいたしてまいりました。また、不良債権の早期回収処理、破綻金融機関の経営者の責任追及のために日本版RTCを設立し、ノンバンクを含むすべての金融機関の不良債権を一括して処理するべきであると主張をしてまいりましたが、政府は一顧だにせず、金融ビッグバンへの対応のみを急ぐ余り、不良債権処理による金融機関の体力充実を怠り、裁量的な金融行政への不信、デフレ政策のごり押しなどが重なって信用収縮を招き、日本経済自体が壊滅の危機に瀕しているのは周知の事実であります。
 政府のちぐはぐな対応、現状認識の甘さと無策が、昨年の日産生命、三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券などの金融機関の破綻をも招き、日本発世界恐慌の懸念さえ生まれているのであります。まさに政策不況です。昨年末、政府・与党は臨時国会において預金保険法の一部改正の成立を強行しましたが、年末年始に至っても株価、為替とも上昇することはありませんでした。一体何のための臨時国会だったのでしょうか。
 そもそも財政出動の時期を失さないためにも、今回提案の補正予算案はさきの臨時国会で提案すべきものではなかったのでしょうか。
 戦争よりもはるかに破壊的と言う人さえいる金融システムの崩壊を防ぐため、危機管理体制を確立し、適時適切な対応を行うことによって信頼を回復することが喫緊だと考えますが、いかがでしょうか。
 まずは素直にみずからの失政を認めるべきです。総理、今日の金融不安の元凶の一つは、危機管理の当事者である総理が全く信頼されていないことにあることをどう受けとめられますか。総理の見解をお伺いいたします。
 総理は、税金投入により処理した住専問題への批判を恐れる余り、公的資金は住専処理と信用組合破綻にしか使わないと述べておられました。今回の金融システム安定化策では、三十兆円の資金を準備し、預金保険制度における公的資金の投入対象を一般金融機関にまで拡大するとしております。なぜこのように変節されたのでしょうか。総理は減税要求に対し財源問題をいつも言われるが、三十兆円は財政構造改革法には抵触しないのでしょうか。
 新井将敬代議士の日興証券との一任勘定取引疑惑や総会屋への不正利益供与事件等、金融業界の体質は一向に改まりませんが、これらは裁量行政が生む政官業癒着の結果であります。早期是正措置の弾力運用や優先株式の引き受けは、その基準を明確にしなければ護送船団方式の拡充にしかならず、金融機関のモラルハザードを引き起こすのみで、国民の理解は到底得られないと考えます。また、不良債権の徹底した情報公開、優先株発行金融機関の経営者の責任追及も厳格になされなければなりません。そのための施策はどのようなものをお考えでしょうか。
 また、閣議において優先株引き受けの了承を得るということは、その最終責任は総理大臣が負うものと理解いたします。総理は日本じゅうを質の悪い国有銀行にしてしまうおつもりですか。総理と大蔵大臣の明確な答弁を求めます。
 橋本総理は、昨年十二月十七日に突如としてそれまでかたくなに否定してきた所得税、個人住民税の特別減税実施を表明いたしました。
 昨年の通常国会において、我々は特別減税の恒久化を視野に入れた継続を主張し、法案として提出をいたしましたが、採決されることもなく廃案となりました。消費税の据え置き法案についても同様であります。我々の、財政再建のためにもまず経済再建、日本経済を回復軌道に乗せるためにはまず減税との主張を受け入れればこのような経済状況は回避できたはずであります。
 この政策決定のおくれがもたらした経済的ロスはまことに莫大なものがあり、今さら二兆円減税では不十分です。しかも、総理も明言しているとおり、この特別減税は一時的措置であって、来年度の超デフレ予算の編成ですぐに増税が待ち構えている増税予告つきの二兆円減税であります。年初来の株価の低迷が示しているとおり、市場では評価されず、景気刺激効果はほとんどありません。逆に、二兆円減税とそれに伴う臨時福祉給付金は効果の少ないばらまき型景気対策に終わり、かえって財政事情を悪化させるだけにとどまるのは火を見るよりも明らかであります。総理の打つ対策はまさに支離滅裂であります。
 総理に伺います。なぜ我々が昨年の通常国会で主張した特別減税の継続を認めなかったのでしょうか。特別減税を打ち切っても一年後には景気が回復すると思われたのでしょうか。総理は財政赤字の削減は景気対策に優先するとかたい信念に基づいて政策判断をされたはずであります。それは間違いだったのでありましょうか。補正予算では約一兆円の特例公債を発行しておりますが、これは財政赤字拡大を伴う景気対策ではないのでしょうか。明確な答弁を求めます。
 最後に、総理に伺います。
 総理は日本には豊富な資産・資金があると言われました。全く同感であります。我が国の経済力は世界経済に大きな影響力を持っております。にもかかわらず、総理は一国隠居主義とも言うべき政策をとり、アジアを初めとする世界経済に混乱をもたらしております。
 また、有能な人材、新しい時代を創造する技術という世界に誇れる確たる財産があるとも言われました。まことに同感であります。問題は、総理がその才能を萎縮させる政策をとり続けていることであります。
 申し上げましたとおり、総理は失政を重ねたあげく、おくれにおくれて野党の政策を利用し、みずからの政策転換をしようとしていらっしゃいます。これでは議会政治、政党政治も成り立ちません。
 市場から不信任を突きつけられたと言われて久しい橋本総理ですが、世界から不信任を突きつけられる前に潔く進退を決断されることをお考えになってはいかがでございましょうか。
 総理の御所見を伺い、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(橋本龍太郎君) 永野議員にお答えを申し上げます。
さまざまな点から、おまえは失敗したという御指摘をいただきました。これはそのとおりちょうだいをいたしますが、それぞれに必要な施策を必要な時期に一生懸命実行してきたと考えておりますし、今後ともに、構造改革を進めながら、経済の実態や金融システムの状況、さらにはアジアを初めとする世界経済の状況を考えながら、その時々の実情に応じて適時適切な対策、措置をとり続け、政府として責任を持った運営に努力していきたいと思います。
 また、公的資金は預金者保護のために使用して、不良債権処理のために日本版RTCを設立すべきだという御意見をいただきました。金融機関の不良債権の処理については、そもそも金融機関による最大限の自助努力によって行われることが基本だと考えており、現に各金融機関におきましては、積極的に引き当て等を行いながら、不良債権の早期処理に取り組んでいると承知しております。
 また、今般の公的資金による金融システム安定化策につきましては、金融のグローバル化が進む中で、信用秩序と国民経済に重大な支障が生じかねない現下の事態に対応するために、預金者保護を徹底し、金融システム全体の危機管理を図るために断固とした措置を行おうとするものであります。
 現状認識が甘い、無策だという御指摘もいただきました。しかし、我が国の金融資本市場は空洞化の進行が懸念されており、欧米市場の革新を踏まえれば、これ以上改革をおくらせることはできません。
 セーフティーネットについては、これまで個別金融機関の破綻が金融システム全体を揺るがすことのないように、金融三法やさきの臨時国会における預金保険法改正など、金融システムの安定性確保のための措置を講じてきたところであり、今般の緊急対策は、現在の危機的事態にかんがみて、全体の安定性確保と預金者保護の徹底を図り、国民の信頼を強固にするものと考えております。
 また、危機管理につきましても、政府としては、現下の金融の危機的状況に対処するために、システムの安定性を断固として守るという強い決意を持ち、今般、公的資金を含む金融システム安定化策を具体化するなど果断に対応しているところであり、これにより内外からの信頼性確保を図ってまいりたいと思います。
 また、公的資金の投入の拡大についても御意見をいただきました。
 一般の金融機関においても大規模な破綻が相次いで発生したこと等から、金融システムに対する内外の信頼が大きく揺らぎ、信用秩序と経済に重大な影響が懸念されている状況のもとに、今般、公的資金の活用を含めて預金の全額保護の徹底を図るとともに金融システムの安定化を図るという強い姿勢を示すことが必要と考えたところであります。
 金融対策の三十兆円と財政構造改革の関係についての御意見をいただきました。
 十兆円の国債と二十兆円の政府保証、合わせて三十兆円の資金は、預金者などの保護、また金融システム全体の危機管理のための緊急かつ時限的な措置であります。経済金融情勢の変化に機敏に対応し、国際状況に応じて適時必要な措置を講じていくことは当然であり、財政構造改革とこうした措置が二者選択という問題ではありません。今般の金融システム安定化のための対策はこうした考え方のもとに断固たる対応をとろうとしているものであります。
 また、今回の金融安定化のための諸施策は、金融の危機的状況に対処して、政府みずからが断固たる姿勢を示すことによって我が国金融システムに対する内外の信頼を回復し、もって自由化、国際化時代に対応した日本経済の基盤をより強固なものにしようとするものであります。
 御指摘がありましたが、護送船団行政の継続などは考えておりません。金融機関の破綻に関し、預金者の保護に万全を期す一方で、破綻金融機関について存続を許さないという方針は変わっておりません。金融機関のディスクロージャーの強化を推進するとともに、破綻した金融機関の経営責任等について厳格な追及を期していく所存であります。また、優先株等の引き受けを申請する金融機関については経営の健全性確保のための計画の提出を義務づけることとするなど、モラルハザード防止のための措置を講ずることにしております。
 特別減税につきましては、平成九年の時点におきましては、当時の経済財政事情を踏まえ実施しないことといたしました。今回提案をいたしましたものは、十二月のASEANの首脳との会合において予想した以上のその影響の深刻さ、重大さ、日本の役割を改めて実感し、アジアの通貨・金融不安や秋以降の我が国の金融機関の経営問題等の影響による景況感の悪化等に対応するものであります。
 特別減税を含めた補正予算が財政赤字を伴う景気対策ではないかという御指摘がございました。
 今回の特別減税は特例公債によって賄わざるを得ないのはそのとおりであります。しかし、最近のアジアの金融経済情勢について極めて厳しいものがあり、我が国においても金融システムや経済の先行きに対する国民の不安感を早急にぬぐい去ることが重要になっています。特別減税は、こうした状況を踏まえて、財政構造改革との整合性を図りながらも、内外の緊急事態に対し断固たる対応をするものでありまして、適切なものだと考えております。
 最後に、私の進退についても御忠告をいただきました。
 国際経済情勢や為替市場の動向などによりまして、変動する経済の実態に即応して機動的な政策運営をすることは、政府として、政治として当然のことでありますし、我が国が雁の群れの先頭に立って引っ張ってまいりましたアジアの金融経済情勢が、昨年の秋以降予想を超えて厳しい状況になってきたこと、我が国におきましても金融システムや経済の先行きに関する国民の不安感が生じてきていることなどを真剣に考えた上、特別減税や金融システム安定化対策等を取りまとめました。
 空白をつくらず、一刻も早く金融の安定と景気の回復を図るためにも、これらの対策を現実のものにさせるようぜひ御協力を賜りたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(三塚博君) 私に対する一問でありますが、早期是正措置の弾力運用、また不良債権の情報公開及び優先株の引き受け等に関しモラルハザードは受けないか等の御質問であります。
 早期是正措置の弾力運用につきましては、透明性の高い行政手法を維持しながら、自主的な経営改善計画によりまして基準の達成が確実な場合に限りまして、また一年間に限りの措置を発動するということでございます。御批判には当たらない、こう思っております。
 また、不良債権の情報公開についてでありますが、可能な限り十年三月期よりSEC基準を念頭に置いて開示が行われますよう、鋭意促しておるところでございます。
 また、今回の緊急対策における優先株等の引き受けについては、公正中立な審査機関等による厳正かつ透明な手続にすることとともに、経営の健全性確保のための計画の提出を求めるなど、モラルハザードの防止のための措置も講じておるところでございます。(拍手)
#29
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#30
○議長(斎藤十朗君) 日程第二 平成七年度一般会計歳入歳出決算、平成七年度特別会計歳入歳出決算、平成七年度国税収納金整理資金受払計算書、平成七年度政府関係機関決算書
 日程第三 平成七年度国有財産増減及び現在額総計算書
 日程第四 平成七年度国有財産無償貸付状況総計算書
 以上三件を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。決算委員長宮崎秀樹君。
    ─────────────
   〔審査報告書は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔宮崎秀樹君登壇、拍手〕
#31
○宮崎秀樹君 ただいま議題となりました平成七年度決算外二件につきまして、決算委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 平成七年度決算は、平成九年一月二十日に提出され、二月三日、委員会に付託となり、また、国有財産関係二件は、同年一月二十日に提出され、二月四日、委員会に付託となりました。
 委員会におきましては、国会が議決した予算及び関係法律が適正かつ効率的に執行されたかどうかを審査し、あわせて、政府施策の全般について広く国民的視野から実績批判を行い、その結果を将来の予算策定及びその執行に反映させるべきであるとの観点に立って審査を行ってまいりました。
 全体で十二回に及んだ委員会質疑では、後で述べるような内閣に対する警告にかかわる質疑のほか、検査官の任命同意に関する衆議院優越規定の見直し、行政監察及び会計検査院の指摘事項に関連した質疑など、行財政全般について熱心な論議が交わされましたが、それらの詳細は会議録によって御承知願います。
 十二月十七日に質疑を終局し、討論に入りました。
 平成七年度決算に対する議決案の第一は本件決算の是認、第二は内閣に対する六項目の警告であります。
 討論では、日本共産党を代表して緒方理事から、決算並びに国有財産増減及び現在額総計算書のそれぞれについて是認することに反対するとともに、内閣に対する警告案についても反対し、国有財産無償貸付状況総計算書については賛成する旨の意見が述べられました。
 次に、自由民主党を代表して鎌田理事より、決算外二件を是認することに賛成するとともに、内閣に対する警告案について賛成する旨の意見が述べられました。
 討論を終わり、平成七年度決算を採決に付しましたところ、本件決算は多数をもって是認すべきものと議決され、次いで、内閣に対する警告案については多数をもって警告すべきものと議決されました。
 内閣に対する警告は次のとおりであります。
 一、我が国財政は、平成七年度末公債残高が二百二十五兆円に上るなど、極めて厳しい状況にある中で、財政構造改革が喫緊の課題とされており、とりわけ多額の資金と長期間を要する公共事業について、その効率的・効果的実施の必要性が指摘されている。
   政府は、公共事業の実施に当たっては、事前の費用対効果分析の活用や事業実施後における事業効果の評価等により効率的な整備を推進し、社会経済情勢の変化等に対応した必要な見直しを行うことを検討するとともに、財政構造改革の観点から、こうした事業の実施状況等を踏まえ、公共事業予算の重点化・効率化に向けて一層努力すべきである。
 二、平成七年十二月に高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故が発生し、また、九年三月に東海事業所アスファルト固化処理施設の火災爆発事故、同年四月に新型転換炉「ふげん」発電所の重水精製装置において重水漏えい事故が発生するなど、動力炉・核燃料開発事業団の原子力施設における事故が相次ぎ、しかも、「もんじゅ」事故の教訓が生かされないまま、事故発生後の通報の遅れ、情報の隠ぺい、虚偽報告等が行われたことは、極めて遺憾である。
   政府は、同事業団の一連の事故及び事故後の不適切な対応が我が国の原子力行政に対する国民の信頼を大きく損なったことを厳しく受け止め、事故の再発防止に万全を期するとともに、情報公開の徹底、安全性に関する職員の意識改革、責任体制が明確な組織の構築など今後の「動燃改革」に全力を尽くすべきである。
 三、動力炉・核燃料開発事業団において、東海事業所のウラン廃棄物貯蔵施設の管理が長期にわたり不適切であり、安全確保のための抜本的対策が講じられなかったのみならず、平成七年度以降の同施設の改修費に関して、業務の実態を反映しない予算要求が連年行われ、政府において、同施設の改修費の執行状況等を十分把握していなかったことは、遺憾である。
   政府は、同事業団に対して業務の実態を反映した予算要求と適切な予算執行を行うよう指導するとともに、ウラン廃棄物の安全管理に万全を期するべきである。
 四、国有林野事業は、昭和五十三年度以降三次にわたる改善計画にもかかわらず収支は好転せず、平成三年度から実施された第四次改善計画においても、三年度以降八年度まで毎年度一千億円を超える損失を計上し、現行改善計画の目標である十二年度における経常事業部門の収支均衡の達成が困難な状況となっていることは、遺憾である。
   政府は、現下の極めて厳しい財政状況にかんがみ、組織機構の簡素化、要員の縮減等による経営改善努力を更に徹底するとともに、国土保全、環境保全等森林が有する公益的機能の重要性を踏まえ、国有林野事業の抜本的改革に取り組むべきである。
 五、知的障害者を雇用する事業所の一部において、知的障害者に対する暴行・傷害等の人権侵害事件や雇用に係る助成金の不正受給事件が発生し、しかも、これら障害者雇用をめぐる人権侵害等の早期発見とその後の措置に関する行政の対応が必ずしも十分でなかったことは、遺憾である。
   政府は、障害者を雇用する事業主及び障害者に対する就職後の助言や指導を今後一層充実するとともに、公共職業安定所と福祉機関、教育機関、労働基準監督機関及び人権擁護機関等の関係機関並びに関係団体との地域レベルにおける連携を更に強化し、障害者雇用に関する幅広い情報交換を行って、知的障害者に係るこの種事件の再発防止と人権擁護に万全を期するべきである。
 六、首都高速道路公団が、指名競争入札又は公募型指名競争入札の方法により発注した建築工事について、いわゆる入札談合が行われ、しかも、これを同公団の職員が誘発・助長していたことが、公正取引委員会の平成九年六月の排除勧告により明らかになったことは、遺憾である。
   政府は、公共工事の入札・契約手続について、新たな入札方式の導入を含む種々の改革を進めてきたにもかかわらず、再びこのような事件が発生したことを厳しく受け止め、同公団に対し、入札における公正・自由な競争の確保、工事発注に係る情報管理の徹底等の改善措置を着実に実行させるなど、この種事件の根絶に向けて一層努力すべきである。
 以上であります。
 次に、国有財産関係二件を採決に付しましたところ、国有財産増減及び現在額総計算書は多数をもって、国有財産無償貸付状況総計算書は全会一致をもって、それぞれ是認すべきものと議決されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#32
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
 表決は押しボタン式投票をもって行います。
 日程第二の平成七年度決算の委員長報告は、本件決算を是認すること及び内閣に対し警告することから成っております。
 まず、本件決算を委員長報告のとおり是認することについて採決をいたします。
 ただいまより投票を開始いたします。
   〔投票開始〕
#33
○議長(斎藤十朗君) 本件決算を委員長報告のとおり是認することに賛成の諸君は賛成のボタンを、反対の諸君は反対のボタンをお押し願います。──投票を終了してよろしゅうございますか。
 これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#34
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十五  
  賛成            百九十九  
  反対              十六  
 よって、本件決算は委員長報告のとおり是認することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#35
○議長(斎藤十朗君) 次に、委員長報告のとおり内閣に対し警告することについて採決をいたします。
 ただいまより投票を開始いたします。
   〔投票開始〕
#36
○議長(斎藤十朗君) 委員長報告のとおり内閣に対し警告することに賛成の諸君は賛成のボタンを、反対の諸君は反対のボタンをお押し願います。──投票を終了してよろしゅうございますか。
 これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#37
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十五
  賛成            百九十九
  反対              十六
 よって、委員長報告のとおり内閣に対し警告することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#38
○議長(斎藤十朗君) 次に、日程第三の国有財産増減及び現在額総計算書について採決をいたします。
 ただいまより投票を開始いたします。
   〔投票開始〕
#39
○議長(斎藤十朗君) 本件を是認することに賛成の諸君は賛成のボタンを、反対の諸君は反対のボタンをお押し願います。──投票を終了してよろしゅうございますか。
 これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#40
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十五
  賛成             二百一
  反対              十四
 よって、本件は是認することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#41
○議長(斎藤十朗君) 次に、日程第四の国有財産無償貸付状況総計算書について採決をいたします。
 ただいまより投票を開始いたします。
   〔投票開始〕
#42
○議長(斎藤十朗君) 本件を是認することに賛成の諸君は賛成のボタンを、反対の諸君は反対のボタンをお押し願います。──投票を終了してよろしゅうございますか。
 これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#43
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十五
  賛成            二百十五
  反対               〇
 よって、本件は全会一致をもって是認することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#44
○議長(斎藤十朗君) 先ほど議決されました内閣に対する警告に関し、内閣総理大臣から発言を求められました。橋本内閣総理大臣。
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#45
○国務大臣(橋本龍太郎君) ただいまの御決議に対しまして所信を申し述べます。
 政府としては、従来から国の諸施策の推進に当たっては、個々の事業の実態を踏まえ、適正かつ効率的に執行するよう最善の努力を行っているところでありますが、今般六項目にわたる御指摘を受けましたことはまことに遺憾であります。
 これらの決議の内容は、いずれも政府として重く受けとめるべきものと考えており、御決議の趣旨を十分に踏まえ、今後このような御指摘を受けることのないよう改善してまいる所存であります。
#46
○議長(斎藤十朗君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十分散会
     ─────・─────
ソース: 国立国会図書館
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