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#1
第142回国会 本会議 第5号
平成十年二月九日(月曜日)
   午後一時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第五号
    ─────────────
  平成十年二月九日
   午後一時 本会議
    ─────────────
 第一 預金保険法の一部を改正する法律案及び
  金融機能の安定化のための緊急措置に関する
  法律案(趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────   
#3
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 日程第一 預金保険法の一部を改正する法律案及び金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案(趣旨説明)
 両案について、提出者の趣旨説明を求めます。松永大蔵大臣。
   〔国務大臣松永光君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(松永光君) ただいま議題となりました預金保険法の一部を改正する法律案及び金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 我が国では、昨年秋以降、金融機関の破綻が相次いで発生いたしました。こうした中で、預金者に不安と動揺が広がるとともに、我が国における金融の機能に対する内外の信頼が大きく低下し、信用秩序の維持と国民経済の円滑な運営に重大な支障が生ずることとなることが懸念される事態が生じております。
 こうした状況のもと、緊急の特例措置として、預金の全額保護の徹底を図る体制を整備するための措置及び金融機関の自己資本充実のための措置を講ずることにより、預金者の保護と信用秩序の維持を図るため、これらの法律案を提出することとした次第であります。
 まず、預金保険法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、信用協同組合が破綻した際の受け皿として設立された整理回収銀行について、信用協同組合のみならず一般金融機関の受け皿銀行としての機能も果たせるよう、その機能を拡充することとしております。
 第二に、預金保険機構において、これまで旧住宅金融専門会社から承継された住宅金融債権管理機構の貸付債権の回収業務に限り認められていた罰則つき立入調査権を、破綻した金融機関から整理回収銀行に引き継がれた貸出債権の回収業務にも拡大するなど、預金保険機構の回収体制の強化を図ることといたしております。
 第三に、預金の全額保護の仕組みとして平成十三年三月末までの時限措置として設けられた預金保険機構の特別勘定について、一般金融機関と信用協同組合の区分を廃止し、すべての金融機関を対象とした一つの特例業務勘定に統合することとしております。
 第四に、預金保険機構の財政基盤の強化を図るため、七兆円の国債を特例業務勘定に交付し、破綻処理に伴い発生する損失等について、国債の償還金を充てられることとしております。
 第五に、一般勘定及び特例業務勘定における資金調達が円滑に行われるよう、日銀等からの借り入れに加え、債券発行機能を付与するとともに、借り入れなどに対し政府保証を付与することができるよう措置することとしております。
 次に、金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、金融の危機的な状況に対処するための緊急措置として、預金保険機構に金融危機管理勘定を設置し、平成十三年三月末までの間、整理回収銀行に委託して金融機関等が発行する優先株式等の引き受け等を行うことを可能としております。
 第二に、優先株式等の引き受け等が厳正に行われるよう、預金保険機構に公正な審査を図るための金融危機管理審査委員会を設置することとし、その構成員は、両議院の同意を得て内閣が任命する審議委員三名及び大蔵大臣、金融監督庁長官、日本銀行総裁、預金保険機構理事長の七名としております。
 優先株式等の引き受け等については、この審査委員会において厳正な審査基準を策定し、これに基づいて審査するとともに、引き受け等を申請する金融機関は、経営の健全性確保のための計画を審査委員会に提出しなければならないこととしております。また、審査委員会では、優先株式等の引き受け等については、全員の一致をもって議決することとするとともに、議決された案件については閣議においてそれを承認するかどうか決定されることとしております。
 第三に、以上の措置を講ずるための財政上の措置として、金融危機管理勘定に三兆円の国債を交付し、優先株式等の引き受け等のための資金の貸し付けや優先株式等の処分等に伴い損失が発生した場合の補てんなどについて、国債の償還金を充てられることとしております。また、金融危機管理勘定において日銀等からの借り入れ及び債券発行が行えることとするとともに、これらの資金調達が円滑に行われるよう、借り入れなどに対し政府保証を付することができることとしております。
 以上、預金保険法の一部を改正する法律案及び金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。岡利定君。
   〔岡利定君登壇、拍手〕
#6
○岡利定君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題になりました金融システム安定化のための緊急措置に関する法律案及び預金保険法改正案について、総理及び関係大臣に質問いたします。
 その前に、沖縄関係について伺います。
 昨日行われました名護の市長選挙におきまして、海上ヘリポートについて建設賛成派の岸本氏が、選挙直前に大田知事が建設反対を表明されたにもかかわらず、当選を果たされました。
 米軍の普天間飛行場の返還に関し、政府・自民党は沖縄県と誠意を持って真剣に話し合いを進め、現実的に最良のものとして海上ヘリポートが検討されてまいりました。それだけに、去る六日の大田知事の反対表明は全く今までの経緯を無視するものであり、我々にとって理解しがたいものであります。今回の名護市長選挙の結果は、現実的な前向きの選択を求める市民が多いことを示しております。建設についてこのような地元市民の意向を生かすべく、沖縄県の理解を得つつ沖縄振興に最大限努めていかなければならないと思います。
 総理は、この結果を踏まえ、今後どのように対応されていかれるのか、お伺いいたします。特に、海上ヘリポートの建設と沖縄振興をどのようにリンクされていかれるのかを沖縄開発庁長官にあわせてお伺いいたします。
 次に、経済の現状についてお伺いいたします。
 先週金曜日、政府が発表した二月の月例経済報告では、景気はこのところ停滞しているという判断が示されました。しかしながら実体経済は相次ぐ金融機関の破綻から金融システムに不安が生じ、景気に力強さが見られず、むしろ民間エコノミストの間では景気は既に後退期に突入しているとの見方が多いと言われております。現在の景気状況について、経済企画庁長官にお尋ねいたします。
 次に、アジア経済に対する日本の役割についてお尋ねいたします。
 日本経済が危機に陥れば、これはすぐ韓国や東南アジアを初めとするアジア経済に波及し、それがまた日本にはね返ることとなります。日本とアジアとの貿易、投資、金融面での関係の深さを考えると、連鎖的に事態が悪化するおそれが高く、日本を含むアジアの経済危機は世界経済全体への波及をも懸念されるところであります。
 現在、IMF支援を受け、タイ、インドネシア、韓国等の諸国も今のところ小康状態にありますが、今後、東南アジアの通貨切り下げに伴い、中国の貿易収支への影響が懸念されます。中国当局は元の切り下げはないと明言されていると仄聞しておりますが、中国の動向次第では再び大きな波になって東南アジアに襲いかかってくるおそれがあります。アジア経済に対する日本の役割について、どのように認識し、対応されるおつもりなのか、特に中国の動向についてどのような見通しを持っておられるのか、総理にお尋ねいたします。
 こうした経済不安は、金融、経済のグローバル化に伴い、瞬く間に世界じゅうに影響を及ぼすものとなりました。このような状況に対処して、内需拡大による景気浮揚を図るため、総理は二兆円の特別減税の実施と一兆五千億円のいわゆるゼロ国債を含む公共投資の追加等を決断されました。
 さらに、自由民主党と政府において、政府系金融機関の無担保融資枠の拡大等を中心とした中小企業への経営支援策を初め、法人税の軽減等、金融、財政、税制を総動員して景気対策を打ち出しました。また、景気動向によっては追加の景気対策を機動的、弾力的に対応することも検討しております。このことが市場において好感され、株価も一万七千円前後まで回復しております。
 そこで、補正予算及び今回の預金保険機構の三十兆円の強化策の効果についてどのように評価し、また期待されておられるのか、大蔵大臣にわかりやすく説明していただきたいと思います。
 また、総理は、年頭のあいさつで、景気対策と金融システムの安定化を最優先課題とすると意思表示されましたが、さらなる対策を具体的に考えておられるのか、また今後の景気の動向によっては、財政構造改革や金融システム改革の基本は堅持しつつも、その進め方について見直すお考えはないのか、総理にお伺いいたします。
 次に、金融機関の貸し渋りについてお尋ねいたします。
 本年四月からの早期是正措置に備えた銀行の自己資本充実のための貸し渋りや資金回収により、資金の流動性に弊害が出てまいりました。これにより、特に中小企業の資金繰りに大きな支障が出てきました。そこで、大蔵省は貸し渋りへの対応策として、昨年の暮れの十二月二十四日に、国内基準適用行について一定の条件のもとで早期是正措置を一年間猶予されました。さらに、自己資本比率対策として株式の評価方法の変更等を検討しているとのことでありますが、これらの措置によって全体としてどの程度の効果があるとお考えか、大蔵大臣にお尋ねします。
 我が自由民主党では、都市銀行の持つ不動産を再評価すれば十九行で約三兆円とも四兆円とも言われる含み益を資本に組み入れればさらに貸し渋りが緩和されるのではないかということで、商法を初めとする制度改正の検討を開始いたしました。
 今まで政府においてこの問題を検討されたことがあるのか。また、法案化についてのお考えを大蔵大臣にお伺いいたします。
 次に、金融システム安定化のための一般金融機関への資本注入についてお尋ねいたします。
 今回の補正を初めとするさまざまな景気浮揚策と金融システム安定化のための措置が有機的に結合し、相乗的な効果をもって景気が回復し、金融市場が内外の信頼を早急に回復して資金の流動性の確保が図られるものと確信します。そのためには一日も早く本法案の成立が望まれるところであります。
 我が国の金融をめぐる環境は、今まさに大転換期にあります。今までの護送船団方式、すなわちすべての金融機関を温存し保護していくという方式は、金融のグローバル化が進む中にあって、時代の流れにそぐわないことが明らかになっています。
 また、昨年十一月以降の山一証券を初めとする大手金融機関の破綻の経過を見ますと、我が国の金融市場に市場原理が浸透しつつあることを実感いたします。
 その一方で、政府は金融システムの安定性の確保を図っていくという重大な責務があります。金融機関の破綻処理については、住専国会以来さまざまな議論がなされてきました。そして、ほぼ国民の間で一つのコンセンサスを得ている考え方は、破綻した金融機関は市場から退場させること、そしてその破綻した金融機関の経営者の経営責任を明らかにしていくことだと思います。総理も大蔵大臣も、この一連の金融システム安定化は決して破綻金融機関の救済ではないと明言されておられるところであります。
 資本注入に当たり、残す銀行と消滅させる銀行について、法案では、信用秩序の維持や地域経済に大きく影響するもの、利用者の利便に大きな支障があるもの等の基準が示されております。これは内外の信頼を得る上でも重要なことであり、この基準の厳しい対応が絶対必要だと考えます。いやしくも、大銀行は規模が大きいという理由だけで地域経済に大きく影響する、したがって消滅させられないというふうなことでは、やはり護送船団方式ではないかという批判に耐えることはできません。実施に当たっては、国民が納得いくような公平性、透明性の確保が重要だと思いますが、基本的なお考えを大蔵大臣にお伺いいたします。
 整理回収銀行を通じて優先株等の取得に当たっては、法案では、資金調達が極めて困難な状況になって金融機能に著しい障害が生ずる事態、または地域・分野において企業の活動や雇用の状況への甚大な影響等経済活動に著しい障害が生ずる事態という条件が付され、さらに、これらの基準や条件には判断する者の主観がかなり入る可能性があることから、決定までの過程について議事録を公開するという内容になっていることは評価できるところであります。
 今回、幾つかの銀行が劣後債あるいは優先株の受け入れについて検討していると報ぜられておりますが、全体としてどの程度の金融機関が対象となり、その効果をどの程度と考えておられるのか、大蔵大臣にお尋ねいたします。
 次に、最近の株式市場の動きを見ていますと、全く根拠のない風説の流布で特定の企業がねらい撃ちされ、株式や債券市場が大きく動揺し、意識的な株価操作が行われているのではないかという疑念が出されております。このような風説の流布や相場操縦がまかり通るシステムが内外からの信頼を失い投資家が離れていった大きな要因の一つではないでしょうか。
 大蔵省は空売りの規制、罰則の強化を含む証券取引法の改正を検討中と聞いておりますが、証券取引市場が公平かつ透明なシステムに再構築されるよういま一度徹底的に総点検し、その上で早急に法案を提出していただきたいと考えます。現在の検討状況と内容について大蔵大臣にお尋ねします。
 最後に、公務員倫理についてお伺いいたします。
 大蔵省OBの日本道路公団の経理担当理事と野村証券等による収賄事件、そして今回の大蔵省現職による不祥事、また大蔵省かという思いであります。日本版ビッグバンを目前に控え、政府・与党挙げて日本の金融システムを世界に通用できるよう、公的資金まで入れて構造改革を図ろうとしているときでもあります。このようなときに、旧態依然とした金融界の体質、これを安易に受け入れる官僚等、フリー、フェア、グローバルがむなしく響きます。
 さらに、大和証券と警察官の贈収賄事件等々、言葉を失うような事態が発生しております。このような行為は公務員法その他の法律によって厳しく戒められ、違反者は処罰されることになっております。にもかかわらず、公務員の資質を疑うようなこのような事態の連続に、国民全体が行政に対して不信感どころか憤りを感じております。
 このような事態に、総理は、公務員倫理法の検討を命ぜられたとお聞きしておりますが、これは根本的には公務員の倫理観にかかわるものであります。魂を入れなければ同様の事件が再び生ずるおそれがあります。現在検討中の公務員倫理法の基本的枠組みについてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
 さらに、今後財政投融資制度が見直され、特殊法人が財投機関債を発行し、みずから資金調達を行うことが検討されております。それにより、特殊法人と証券会社等の金融機関との関係がますます密接になってくると考えます。特殊法人に対する倫理についてどのような仕組みを考えておられるのか、あわせて総理にお尋ねして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(橋本龍太郎君) 岡議員にお答えをいたします。
 まず海上へリポート問題等に係る今後の対応についてお尋ねがございました。
 昨年十一月、海上ヘリポート案を地元に提示いたしましてから、今日までこの問題につきましては政府としても地元の御理解を得るべく最大限努力をしてまいりました。また、県内でもさまざまな御議論が行われてまいりました。そうした中で、名護市における住民投票の実施、比嘉前市長の受け入れ表明及び辞任、大田県知事の受け入れ拒否表明、こうした事態を経て昨日の市長選で岸本候補が当選をされたところであります。
 政府としては、地元の動きを見守りながら、引き続き地元の皆様の御理解を得つつ、海上ヘリポートの実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと思います。同時に、沖縄振興策につきましても今後とも全力で取り組んでまいります。
 次に、アジア地域における我が国の経済的役割についてのお尋ねがございました。
 政府としては、アジア並びに世界経済における日本の国際的な責任、役割というものを自覚しながら、我が国自身の問題として、我が国の経済を回復軌道に乗せるため、予算・税制上の措置や金融システム安定化のための対策といったさまざまな措置を講ずることとしており、これらの取り組みが相乗効果をもって我が国経済の内需主導の力強い回復に寄与するとともに、世界経済との調和にも資するものと考えております。
 また、アジア地域の金融通貨市場の変動につきましては、IMFを中心とする国際的な支援の枠組みの中で我が国としても積極的な支援を実施しております。例えば、先日もインドネシアの情勢、特に経済情勢につきましてシンガポールのゴー・チョクトン首相と電話で長い意見交換をしたばかりでありますが、今後とも関係各国及びIMF、世界銀行、アジア開発銀行等の国際機関と密接に連携しながら適切に対処していく考えであります。
 また、中国の経済動向についてのお尋ねがございました。
 中国の経済は、九七年も八%を超える成長が続いております。周辺国の通貨変動の影響が懸念されますが、中国の労働コストは依然低廉でありますし、昨年の統計によりますと、輸出は堅調で貿易収支は大幅な黒字となっております。いずれにせよ、周辺国の通貨変動の影響につきましては今後とも十分注視していく必要があると考えております。
 また、さらなる対策というお尋ねがございました。
 政府としては、二兆円の特別減税を含む予算・税制面の措置、あるいは金融システム安定化のための三十兆円の公的資金の活用など、財政・金融両面にわたる幅広い措置を講ずることとしておりまして、こうしたさまざまの取り組みなどのすべてが相乗効果をもって我が国経済の力強い回復に寄与すると考えております。
 こうした観点から、先日、九年度補正予算を成立させていただきましたが、引き続き十年度予算やこれらに関連する法律案を一日も早く成立をさせていただき、こうしたさまざまな措置を早期に実施することがぜひとも必要と考えておりますことをぜひ御理解賜りたいと存じます。
 また、財政構造改革、金融システム改革等の進め方についてお尋ねがございました。
 しかし、財政構造改革の必要性というものは何ら私は変わらないと思います。同時に、経済の実態や金融システムの状況を考えながら、その時々の実情に応じて臨機応変の措置をとっていくことも当然のことでありまして、これは二者択一の問題ではないと思います。
 今般の特別減税、また御審議を願おうとしております金融システム安定化対策を初めとする諸施策は、こうした考え方のもとに断固たる対応をとろうとするものでありまして、こうしたそれぞれの仕組みが六大改革への取り組みなどと相乗的な効果を発揮していく、そしてそれが我が国の将来を形づくっていくと、そのように考えております。
 また、公務員倫理法についてお尋ねがございました。
 仰せられるとおり、この問題に対する対応というものは倫理規程で足れりと考えておりました私の幻想を確かに打ち砕くものでありました。そして先般、政府部内に公務員倫理問題に関する検討委員会を設け、公務員倫理に関する法制化等の検討を今開始しております。特殊法人役職員等の取り扱いを含めまして、内容等については現在検討を続けているさなかにございますけれども、早急に作業を進めてまいりたいと考えております。
 同時に、特殊法人などの綱紀の粛正につきましては、先般の閣議におきまして官房長官からその徹底を指示したところでございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣松永光君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(松永光君) 先般、成立させていただきました補正予算及びこれから御審議を願う平成十年度の予算等による効果の点につきましては、先ほど総理から御答弁がございました。
 今回の緊急対策の効果についてでございますが、今回の対策は我が国金融システムに対する内外の信頼が大きく揺らぎかねない状況を踏まえて、金融システムに対する信頼を一日も早く回復させ、経済全体が危機に陥る事態を防ぐための包括的な金融危機管理上の措置でありまして、その着実な実施により金融システムの安定化がもたらされるとともに、いわゆる貸し渋りを解消し金融機関の円滑な資金供給にも資することであると考えております。
 昨年末に大蔵省が発表した貸し渋り対策についてですが、この対応策においては、早期是正措置における国内基準の弾力的な運用、期末における株式の評価方法の変更など幅広い施策を盛り込んでおり、これらの措置により金融機関の融資対応力が強化され、我が国金融システムの安定化に資することになると考えます。
 資本注入に関するお尋ねですが、優先株等の引き受けについては、公正を期するため民間の有識者を含む公正中立の委員から成る審査機関を設置し、あらかじめ公表された厳正な審査基準に基づき審査した上で全員一致により議決し、さらに閣議を経て決定することといたしております。また、審査機関の議事録等については、公表することとし、透明性を図ることといたしております。
 今回の優先株等の購入は、その対象金融機関はどうなるのかという御質問でございますが、今般の自己資本充実策の対象は、合併等の受け皿金融機関のほか、信用秩序の維持と国民経済の円滑な運営に極めて重大な支障が生ずるおそれがある場合における一般の金融機関を想定しておりますが、具体的な対象については各金融機関の申請を受け、審査委員会が審査基準に基づいて決定するものであります。
 また、今回の対策が目指す効果は金融システムの安定化でありますが、同時にいわゆる貸し渋り等の解消により、個人や事業者に対する円滑な資金供給に資することも期待しております。
 証券取引法の改正の内容と検討状況についてのお尋ねですが、御指摘の空売り規制の見直しのほか、証券会社の免許制から原則登録制への移行、株式売買委託手数料の自由化等を改正案の内容とする予定であります。金融システム改革を一体的に推進する法案として今国会に提出すべく、現在作業を進めているところであります。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣鈴木宗男君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(鈴木宗男君) 海上ヘリポートの建設と今後の沖縄振興策についてのお尋ねでありますが、きのうの名護市長選挙の結果、比嘉前市長の意思を受け継いだ後継者である岸本候補が選出され、当然、政策の継続性が図られるものと考えております。
 沖縄の振興開発につきましては、沖縄の本土復帰以来、本土との格差を是正し、自立的発展の基礎条件の整備等を目的として、三次にわたる沖縄振興開発計画に基づき諸施策を推進してまいりました。しかしながら、沖縄は、現在でも生活、産業基盤の面ではなお整備を要するものが多く見られるとともに、産業の振興や雇用の問題など解決しなければならない多くの課題も抱えております。引き続き着実にこれら施策を展開しなくてはいけないと思っております。
 名護市を含む北部地域の振興に関しましては、海上ヘリポート建設に伴う新たな負担におこたえするという観点から、昨年十二月八日提示しました施策については、その問題の成り行きを引き続き見守りながら、沖縄開発庁としても県土の均衡ある発展を図る上での北部振興の重要性を従来から強く認識しておりますので、今後とも地元の御要望を十分にお伺いしながら必要な施策の推進をしていく所存であります。
 なお、国益、さらには国策に協力をいただく場合には、当然、予算の傾斜配分等はあってしかるべき、これが公平公正の原則だと、こう思いますので、そのことも頭に入れながら、引き続き沖縄振興をやってまいります。(拍手)
   〔国務大臣尾身幸次君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(尾身幸次君) 最近の景気動向についての御質問でございます。
 個人消費は、秋口からの家計の経済の先行きに対する不透明感もありまして、低調な動きとなっており、住宅建設は下げどまりの兆しは見られるものの、依然弱い動きが続いております。また、民間金融機関におきまして貸し出し態度に慎重さが見られるところでございます。
 こうした状況の中で、最近の株価等の動きに見られますように、市場心理には一部好転の兆しが見られるものの、金融機関の経営破綻、アジア情勢の急速な変化等を背景に、家計や企業の景況感の厳しさが実体経済にも影響を及ぼしており、景気はこのところ停滞しているものと認識しております。
 政府といたしましては、今後、景気動向に応じて臨機応変の対応をとることは当然のことでございますが、当面は金融システム安定化対策等の関連法案や平成十年度当初予算の早急な成立をさせていただくことが何より大切であり、景気対策上も最優先の課題であると考えているところでございます。(拍手)
    ─────────────
#11
○議長(斎藤十朗君) 伊藤基隆君。
   〔伊藤基隆君登壇、拍手〕
#12
○伊藤基隆君 私は、民友連を代表して、預金保険法の一部を改正する法律案及び金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案について、総理及び関係大臣に質問いたします。
 私は、まず、金融関連二法の内容に先立ち、その議論の大前提として、今日の金融危機を招いた政府と行政の責任について伺います。
 私は、大蔵省には金融行政の担い手として三つの大罪があると考えています。
 第一は、バブルの形成とその崩壊を目の当たりにしながら、金融危機の進行に有効な手を打てないどころか、今日まで事態を悪化させるに任せてきた職務への驚くほどの目的意識の希薄化と金融行政システムの形骸化です。バブル崩壊からこの七年間ほどの間の大蔵省幹部は、問題が起きても事実をひた隠しにして組織防衛や自己保身にきゅうきゅうとし、事の真相が発覚する前に特殊法人や金融機関に天下って優雅に暮らすという人生設計の実現だけに専心してきたと言われても仕方ありません。
 これまで私たちは、うかつにも大蔵省の護送船団方式の裁量行政に問題があるのだとばかり思い込んでおりました。しかし、ここに来て次々に発覚する事実が物語っていることは、実は護送船団方式の行政などというものはとうの昔に内部から崩れ去っていたということであります。山一証券の飛ばしの損失の処理方策について、六年も前に相談を受けていながら何ら適切な措置をとらないばかりか、大蔵省検査の及ばない海外に移すことを教唆した事実、北海道拓殖銀行の検査で不良債権の分類に手かげんを加えていた事実、結局このような大蔵省の失態が積もり積もって山一証券や北海道拓殖銀行の経営破綻を招いたと言わざるを得ません。
 第二に、みずからの金融行政の失敗にはほおかむりして、国民の税金や国有財産に軽々しく手をつけようとする無責任さです。米国では、八〇年代後半から九〇年代初めにかけてのSアンドL危機に伴う公的資金投入のとき、従来のSアンドLの監督機関は廃止されました。しかるに、我が国では、これだけ大蔵省の失態が明らかになりながら、むしろ自民党の中からは最後まで大蔵省をかばう声ばかりが聞こえていたのは全く不可解と言うほかありません。
 第三に、大蔵省の構造的な汚職、腐敗があります。自民党の三十兆円の公的資金投入案にかかわった新井将敬議員が日興証券から利益供与を受けていた事件、初代官房金融検査部長である井坂道路公団理事や現役金融検査官二名の逮捕と相次ぐ不祥事の発覚は、大蔵省現役・OBの倫理についての国民の不信を決定的に募らせました。
 これらの問題に根本的な決着をつけることなく、国民に公的資金という形で負担を求めるなど、いわば大蔵官僚の受けた破廉恥な接待や天下り先の高額な待遇のツケを国民に回すに等しく、言語道断であります。また、このような大蔵省に、どうしてこれからも金融行政の企画立案事務を任せられるというのでしょうか。大蔵省の大罪とその責任のとらせ方について、総理の御所見をお聞かせください。
 次に、金融危機対策としての公的資金投入の基本的な考え方について質問します。
 私たち民友連は、金融システム安定化のための公的資金投入については、金融機関経営者や行政の責任追及と情報開示を徹底した上で、金融機関破綻処理に伴う預金者保護に限定して行うべきであると考えます。公的資金による優先株等引き受けについては、破綻処理に伴う受け皿銀行や新銀行への適用は破綻銀行の預金者保護という観点からやむを得ないと考えますが、一般金融機関への適用には反対です。
 しかるに、金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案は、破綻処理の受け皿銀行にとどまらず、一般金融機関の優先株等の引き受けをも認めているもので、信用秩序の維持という美名のもとに、公的資金で預金者保護を超えた金融機関の救済を行うことになるおそれが極めて大きいと言わざるを得ません。
 法案における優先株公的引き受けの目的は著しく漠然としており、不明確であります。当初言われていた貸し渋り対策が目的なのか、それとも優良銀行の自己資本比率を国際的優良行の水準に合わせることが目的なのでしょうか。あるいは破綻するおそれのある銀行の救済が目的なのでしょうか。
 優先株引き受けの要件等も、これまた著しく漠然としており、不明確であります。優先株等引き受け等により自己資本充実の状況が改善されなければ、我が国における金融の機能に対する内外の信頼が大きく低下し、信用秩序の維持と国民経済の円滑な運営に極めて重大な支障が生ずることとなる事態とはどのような事態なのでしょうか。
 橋本総理、一般金融機関の優先株引き受けについて、仮に国民が納得できるような明確な目的と要件があるならば、ぜひ御説明願います。
 次に、優先株引き受けの対象とその効果について質問します。
 そもそも、いつまでたっても経営内容の悪い銀行が存続していることが日本の金融システムが安定しない最大の原因です。優先株引き受けが破綻しかかった銀行やグレーゾーンの銀行に対して行われるのであれば、それは市場から退場すべき非効率な銀行を温存する可能性が高く、金融不安の解消にはなりません。
 また、一部に言われているように、優先株等の引き受けが優良銀行に対して認められるのであれば、自己責任の市場原理を追求するはずのビッグバンの流れに逆行します。第一、優良銀行なら市場を通じて資本増強を行えばよいのです。なぜ国民の負担で大銀行の自己資本比率を上げてやらなければならないのでしょうか。本案は、銀行を甘やかし経営効率化をかえっておくらせるおそれすらあります。公的資金で自己資本比率だけ国際的な一流金融機関並みに上げても、世界じゅうの失笑を買うだけであります。
 さらに、今回、金融検査官の収賄事件をめぐって、多くの一流と言われる銀行が贈賄によって不正に金融検査に関する情報入手等を行っていたことが明らかになっています。百歩譲って、少なくともこのような企業犯罪を働いた銀行に対しては、国民の税金である公的資金で自己資本増強を行うことは到底容認されるべきものではないと考えますが、いかがでしょうか。総理は、私の疑問に明確にお答えいただきたい。
 政府案は、預金保険機構の特例勘定に十七兆円、優先株等の引き受けに十三兆円と合計で最大三十兆円の公的資金の投入を見込んでおりますが、これまで大蔵省が説明してきたところでは、仮にすべての預金取扱銀行が破綻するという極端なケースでも不良債権の要処理見込み額は四兆数千億だったはずであります。一体どこから三十兆という数字が出てくるのでしょうか。不良債権の実態が違っていたということなのでしょうか。
 政府は、現在の銀行業界が抱える不良債権の実態と本当の要処理見込み額を示すべきです。四月から実施予定の早期是正措置を現在行えば何行が債務超過になり、その債務超過額の合計は幾らになるのでしょうか。早期是正措置基準では自己資本比率が二%以下の銀行が何行あるのでしょうか。
 また、交付国債の償還財源としてNTT株等の国債整理基金に所属する株式の売り払い収入金を優先的に充てることとしておりますが、その理由、現在国債整理基金に所属している未売却の株式の種類と時価総額、交付国債の償還財源に充てることとなる売り払い収入金の見込み額をお示しいただきたい。
 幾ら必要かもわからず黙って税金を払ったり、国有財産の処分に同意する国民はいません。ただいまのそれぞれの点について、大蔵大臣より具体的な数値をお示しの上、御答弁をいただきたいと思います。
 最後に、預金保険法改正案に関連し、公的債権回収機関設立の必要性についてお尋ねいたします。
 公的資金の投入による国民の負担を最少にするためには、預金保険機構が破綻処理に伴って引き受けた不良債権の回収を徹底して行うため、米国のRTCのような公的債権回収機関を創設すべきであると私は考えます。現行法では、債権回収は預金保険機構との協定によって整理回収銀行が当たることとなっておりますが、整理回収銀行の回収実績は決して高いとは言えません。整理回収銀行の業務を引き継ぐ形で公的債権回収機関を創設し、警察や国税庁とも連携するなど、公権力を背景に不良債権の回収を強力に推し進める必要があるのではないでしょうか。
 また、政府案では、債務者の担保不動産等への立入調査にとどまり、関係金融機関やその経営者に対する調査については何の強制権限も設けられておりません。しかし、不良債権が拡大した背景に無理な追い貸しや系列ノンバンクへの乱脈融資があったことなどを考えれば、借り手のみならず、貸し手である金融機関やその経営者に対しても調査権限が及ぶようにすべきではないでしょうか。
 以上の点について、総理の御所見をお尋ねして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(橋本龍太郎君) 伊藤議員にお答えを申し上げます。
 まず、バブルの形成と崩壊へのプロセスにおきまして、幾つかの例を挙げながら、金融をめぐる現下の諸問題、また金融行政の失敗に対する大蔵省の責任についてのお尋ねがございました。
 私どもは、政府として、今まで個別金融機関の経営問題が発生いたしましたとき、その時々の状況に応じ、預金者の保護及び信用秩序の維持に最大限の努力を払ってきたと考えております。
 しかし、確かに御指摘のように、バブルの生成と消滅の過程、またその後において見通しに不十分なことがあった、こうしたこともありますし、また、大蔵省と金融業界の関係につき緊張感に欠けていた、この御批判には十分耳を傾ける必要があると思います。
 今後の金融行政を進めるに当たり、こうした点を踏まえて、市場規律に立脚した透明性の高い金融行政に転換をしていく、責任を果たしていく必要があることは御指摘のとおりであります。
 また、現在、我が国の金融システムに対する内外の信頼が大きく揺らぎかねない状況にあることにかんがみ、公的資金の投入による金融システム安定化策を講じ、これにより預金者保護及び信用秩序の維持に万全を期してまいりたいと思います。
 また、大蔵省の構造的な汚職、腐敗という強い御指摘を受けました。公務員や特殊法人の役員に不祥事が相次ぎましたこと、厳粛に受けとめており、本当に情けなく、遺憾と言う以外に言葉を持ちません。道路公団井坂理事は、二月六日に収賄罪で起訴され、同日付で理事を解任されたと聞いております。大蔵省の職員につきましては、今後、省内調査により徹底的に原因を究明し、その結果を公表するとともに、被疑者に対する処分はもちろんのこととして、関係監督者に対する処分についても厳正に行わせてまいります。
 これらの事件は、基本的には、まず、当人の倫理観の欠如によるものでありますけれども、大蔵省として、今回の事件を深く反省し、綱紀の保持に努めていくことは当然のこととして、金融行政を明確なルールに沿った透明性の高いものに転換する等の大改革が必要であり、職員一同自覚を新たにして、一丸となって国民に対する信頼の回復のために、松永大臣のもとにおいて、大蔵改革に取り組んでいかねばと思います。
 また、金融行政の企画立案についてのお尋ねがございました。この問題におきましては、与党三党間において議論が尽くされ、その結果として先般合意が取りまとめられました。政府としてはこれを重く受けとめ、現在、鋭意作成作業を進めておる中央省庁再編等のための基本法案にその内容を忠実に盛り込むことといたしております。
 また、一般金融機関の優先株の引き受け等について、金融機関の救済につながるものではないかというお尋ねがございました。
 今回の自己資本充実策は、個別金融機関の救済あるいは優遇を目的としたものではございません。我が国の金融システムに対する内外の信頼を一刻も早く回復させるための特例措置であります。
 また、一般金融機関の優先株の引き受けの目的と要件についてお尋ねがございました。
 今般の対策の目的は、金融の危機的な状況に対処して、基本的にはきちんとした経営の金融機関の自己資本比率の上昇を通じて金融システムの安定化を図ることであり、同時に、いわゆる貸し渋り等の解消により個人や事業者への円滑な資金供給に資することも期待をいたしております。
 また、その要件につきましては、公正中立な審査委員会が、例えば自己資本が改善しなければ、内外の金融市場において資金調達が極めて困難な状況に至るなどにより、我が国金融機能に著しい支障が生ずる場合などの法律上の要件を踏まえ、みずから審査基準として策定、公表することとしております。
 関連し、経営内容の悪い銀行は延命させず、また優良行や犯罪を犯した銀行には公的資金を投入すべきではないという御指摘もいただきました。
 今般の対策は、もう一度繰り返させていただきますけれども、個別金融機関の救済を目的としたものではなく、我が国金融システムに対する内外の信頼を一刻も早く回復させるための緊急の特例措置であります。また、我が国の金融システムに対する内外の信頼が揺らぎ、経営が健全な金融機関でありましても市場における資金調達が極めて困難となるような状況に対応する必要もあると考えられます。
 なお、犯罪を犯した銀行の自己資本増強、これは基本的には私は公正中立な審査機関において審査されるべきものと考えておりまして、言及することは差し控えさせていただきたいと思います。
 次に、米国のRTCのように強力な債権回収を行うべきという御指摘をいただきました。
 今回、いわゆる旧住専の債権と同様、破綻金融機関の債権についても預金保険機構に罰則つき調査権を付与いたしますとともに、この機構内に責任追及のための組織、体制を整備することとしており、警察等と連携を図りながら強力な回収を行っていくことを期しております。
 なお、この調査権は、借り手の担保不動産に限定されず、借り手に対する債権者、債務者も対象として含まれております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣松永光君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(松永光君) 伊藤議員にお答え申し上げます。
 早期是正措置の導入に関して、銀行の自己資本比率の状況等についてのお尋ねでございますが、破綻に至りその処理策が公表されている銀行や破綻銀行を引き継いだ受け皿銀行といった特殊な事情にある銀行を除いて、本年三月末において債務超過や自己資本比率が二%以下の銀行はない見込みであると認識しております。
 次に、NTT株式の売り払い収入金を優先的に今般の十兆円の国債の償還財源とする理由等についてのお尋ねでございますが、NTT株の売り払い収入金をこの国債の償還財源に優先充当するのは、今般の国債が緊急異例のものであること等を踏まえ、その償還のための新たな国民負担をできる限り抑制するためのものであります。
 また、現在、国債整理基金特別会計に属する株式で法律上売却可能なものとしてはNTT株式の五百十万株があり、それについて先週末の終わり値を乗ずると総額約六兆一千七百億円となります。このうち、平成十年度においては、NTT株の処分限度数を五十万株とし、そのネット売り払い収入金四千百六億円を見込んでおります。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#15
○議長(斎藤十朗君) 続訓弘君。
   〔続訓弘君登壇、拍手〕
#16
○続訓弘君 私は、参議院議員二十五名及び地方議員三千有余人から成る新生公明を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のございました金融二法案について、橋本総理並びに松永大蔵大臣に質問いたします。
 政府は、たび重なる私どもの忠告を無視して、消費税の五%への引き上げ、特別減税の廃止、医療費負担の引き上げで合わせて九兆円もの過重な負担を国民に押しつけました。その結果、消費不振を招き、せっかく回復基調にあった経済が最悪の方向に向かおうとしております。さらに、金融機関の貸し渋りによって中小零細企業に深刻な影響が出ております。
 大蔵省汚職発覚前に行われた報道機関の世論調査によれば、五三%あるいは四七%と約半数の国民が橋本内閣を支持しないと表明しております。総理は、このような国民世論をどのように受けとめておられるのか、まず伺います。
 この法案では、金融安定化という美名のもとに、三十兆円という巨額な公的資金が、十七兆円は預金者保護に、十三兆円は金融機関の救済に投入されようとしております。
 国民をこれほど愚弄する政策はない。バブルがはじけ、地上げ屋に貸したお金が不良債権化したら、直ちに住専救済といって六千八百五十億円の血税を注ぎ込んだ。今度は、金融システム安定化が必要だといって、計算根拠もはっきりしない十三兆円もの血税を貸し渋りをして国民をいじめ抜いている金融機関に投入し、再びツケを国民に回そうとしている。とんでもないことだ。総理は、住専、信用組合の破綻以外には税金は使わないとの公約に明らかに違反している。衆議院の審議過程でも、なぜ公的資金の投入なのか、政府の答弁で納得できるものは何一つないという国民の皆様からの怒りの声が毎日のように私どもに寄せられております。
 そして、今回の大蔵検査官逮捕という汚職事件によって、国民の金融行政に対する信頼は地に落ちてしまいました。
   〔議長退席、副議長着席〕
 そのような状況で、総理は、金融システムの安定化は進むとお考えでしょうか、御所見を承りたいと存じます。
 さて、私ども公明は、調査なくして発言なしとの立党の原点に立って、中小零細企業が集中している全国十一都市を対象に貸し渋り緊急実態調査を実施しておりますが、その一例を申し上げますと、北海道拓殖銀行をメーンバンクにしていたという木工会社の社長は、他銀行に手形の割引を依頼したが、経営努力の成果を明確に示さなければ割引には応じられないと拒否され、途方に暮れているとのことでございました。また、印刷会社の社長は、六十年以上も取引関係にある銀行に土地を担保に融資を依頼したが、創業以来初めて融資を断られたとのことであり、貸し渋りの実態は予想以上のものがございます。
 このまま推移すれば、三月、六月の決算期を迎える中小零細企業の黒字倒産は予想以上に深刻な状況になることは必至であります。このような貸し渋りの実態をしかと掌握されているのか、大蔵大臣にお尋ねいたします。
 しかし、何としても貸し渋りによる倒産の事態は防がなければなりません。そのため、今すぐ、中小零細企業の最後のよりどころである信用保証協会の保証つき融資の強化のために、信用保険公庫の保険てん補率を現在の七〇ないし八〇%から緊急避難の措置として一〇〇%に引き上げることと、信用保険法第二条第三項第五号で定められている五十業種の特定業種に、印刷や金型・メッキ等、都市型産業も含め指定業種を大幅に拡大することを提案いたします。
 公的資金の十三兆円は、中小零細企業をいじめ抜いている金融機関の救済のためではなく、ただいま提案いたしましたような真の中小零細企業融資のためにこそ投入すべきと思いますが、総理の積極的な答弁を求めます。
 バブル期の地価高騰とその後の下落、産業構造の転換などを背景として、大都市地域を中心に低未利用地が多数発生しております。一方、投資意欲の減退により、土地の有効活用の動きが鈍くなっております。
 私は、土地の流動化を進め、土地の有効・高度利用を促進しながら民間都市開発を推進することが経済活動全体を活性化させるとともに、良好な町づくりを推進する上で極めて重要であると考えます。そのためには、都心部における容積率を思い切って緩和するとともに、複数の敷地間で容積率の移転を可能とするなどの新たなインセンティブを与える必要があると考えます。
 また、公共事業の中でも、土地区画整理や市街地再開発などの住宅・都市開発については、将来の税収増効果が高く、財政再建という課題とも十分に両立する対策であることから、三十兆円の公的資金を投入する前に思い切った事業規模の追加を図るべきと考えますが、総理の御所見を伺います。
 また、公営住宅や公団住宅及び公社住宅の中には、土地利用が低密度でかつ老朽化したものが多数存在しております。建築年度が昭和三十年代、四十年代では公営百五万戸、公団四十六万戸、公社で九万戸、合計百六十万戸と膨大な量であります。建てかえに当たっては、少子・高齢化に対する福祉対策を最大限に考慮しつつ、その敷地の一部を活用して定期借地権つきの分譲住宅を供給する方式を導入するなど、財政的観点からも効率的な手法を活用した建てかえ事業を積極的に促進して国民に希望を与えていくべきだと考えますが、総理の御所見を伺います。
 さらに、社会的弱者対策としての公的住宅施策の充実を図ることを前提としながら、期間を限定した賃貸借契約を可能とする新たな借家制度として定期借家権方式を導入し、良質な民間賃貸住宅の供給を促進することが国民生活の質の向上と景気対策の両面から極めて効果的だと考えます。
 これらの施策は、いずれも民間の能力を引き出すことを軸としているため、私の試算では、単年度二千億程度の国庫補助金で公共事業の七%削減額をはるかに上回る九兆五千億程度の経済効果が期待できる見込みであり、しかも永続性のある事業でありますので、早急に実行されることを強く求めますとともに、総理の御所見を伺います。
 さて、一月三十日に我が党は、緊急景気対策として、六兆円の恒久減税と、消費税率の引き上げ分に相当する四兆円を特別戻し金として国民一人当たり三万円の期限つき商品券を支給する形で、合わせて十兆円の減税を提案いたしました。
 この提案に対して、早速多数の方々から次のようなお手紙をいただきました。「虎の子十万円を一年定期にして受け取った利息は僅か二百円でした。これに比べ公明提案の「特別戻し金」は、一人当たり三万円、何と有り難いことでしょう。是非実現して欲しいと思います。併せて、私達善良な国民をいじめて、大蔵省と癒着している金融機関の救済に使われている預金利子を、従前に戻してほしいと思います」という内容でありました。
 後退局面にある現状の景気対策として、このくらいの大胆な減税がぜひとも必要であると思います。あわせて、預金利子の引き上げについても総理の御所見を伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(橋本龍太郎君) 続議員にお答えを申し上げます。
 まず、経済状況、また国民世論などに対するお尋ねがございました。世論の指摘の厳しさに対し、全力を尽くしてこたえていくのが私の役割だと思います。
 また、政府としては、現下の金融情勢にかんがみ、政府系金融機関の新たな融資制度など、総額約二十五兆円の資金を用意いたしますとともに、早期是正措置の弾力的運用など、いわゆる貸し渋り対策を初めとした財政・金融両面の幅広い措置を講じるなど、責任を持って景気回復に努めてまいります。
 なお、昨年の消費税率の引き上げを含む一連の制度改正についての御批判をいただきました。しかし、少子・高齢化の進展といった構造変化等に対応したものであり、我が国の将来にとって極めて重要な改革であったと考えております。
 また、公的資金の投入に際し、幾つかの御批判をいただきました。
 大蔵省と金融業界の関係の全容解明につきましては、捜査当局の捜査や大蔵省自身の内部調査の結果などを踏まえ、厳正に対処していきたいと考えております。また、今般の自己資本充実策により金融機関の融資対応力の強化が図られ、貸し渋りの解消にも資することを期待しております。
 住専処理の際の公約に反するとの御指摘につきましては、昨年の秋以来、一般の金融機関におきましても大規模な破綻が相次いで発生し、我が国金融システムに対する内外の信頼が大きく揺らぐことになったという事情の変化があったことを踏まえ、今般の緊急対策を講じるものであります。
 また、金融行政に対する信頼と金融システムの安定化に対してのお尋ねがございました。
 今般、金融検査官の逮捕という事態が生じたことはまことに遺憾であり、重大な問題だと受けとめております。綱紀の粛正はもとよりですが、自己責任原則と市場規律を基軸とした透明性の高い金融行政を目指しながら、国民からの信頼回復を図るとともに、公的資金の投入による金融システム安定化策を講ずることによって、預金者の保護と金融システムの安定性確保に万全を期してまいります。
 次に、信用保証協会に対する信用保険公庫の保険てん補率について御意見をいただきました。
 これにつきましては、現在七割から八割となっておりますものを、議員からはこれを十割に引き上げろという御指摘があったわけでありますが、信用保証協会にリスクがなくなることにより安易な保証を招きかねない、これはひいては信用保険公庫の収支悪化、また財政支出の拡大につながる、そうした危険性も考えられると思います。
 また、保険限度額が倍額となる対象業種につき、議員からも幾つかの御指摘をいただきました。
 現在も一定の要件のもとに指定してきておりますが、各業種の実態を踏まえ、随時見直しをしてきているところでありまして、例えば自動車の車体製造業あるいは袋物製造業などにつき現在検討中であります。
 また、十三兆円の公的資金を中小零細企業への融資に用いるべきであるという御意見がありました。
 いわゆる貸し渋りに対応するために、中小中堅企業の事業活動を支援する観点から、政府系金融機関に新たな融資制度を創設いたしますとともに、中小企業信用保険制度における特例保険の対象業種を拡大することなどにより、総額約二十五兆円の資金量を確保いたしております。また、貸し渋りといった現在の状況を脱して、民間金融機関が中小企業への融資をきちんと行えるようにすることが本来重要であり、そのためにも、自己資本充実策などにより金融システムの安定化を図ることが必要だと考えております。
 次に、民間都市再開発等について幾つかの御提言をいただきました。
 都市の再構築を推進していく上で民間都市再開発を促進することの重要性はそのとおり認識しておりまして、昨年十一月の緊急経済対策の中にも、街路等の整備スケジュール等を明らかにしたプログラムの策定、都心商業地等の容積率緩和措置を盛り込んだところでありますし、また、土地区画整理事業等につきましてはその円滑な遂行に努めてまいります。
 また、民間住宅のみならず、公営、公団あるいは公社住宅等についても御提言をちょうだいいたしました。
 議員からも経済効果として御指摘がございましたけれども、住宅に係る各種施策の導入はそれぞれに意義があるものと私も思います。住宅投資は二十九・五兆円、GDPの五・九%を占めており、その経済効果は非常に大きいことから、住宅供給の促進に積極的に取り組んでいく必要があると思います。
 このような観点から、老朽化した公営、公団及び公社住宅の建てかえを積極的に促進するとともに、定期借地権の積極的な活用や定期借家権の導入の促進などによる良質な民間賃貸住宅の供給拡大など、総合的に良質な住宅の供給に努めてまいりたいと思います。
 次に、六兆円の恒久減税、それから特別戻し金という御提言をいただきました。
 しかし、このような減税につきましては、後世代への負担の先送りである特例公債の大量発行を伴うほか、我が国の租税負担率が欧州諸国に比べてかなり低い水準にあるなどの問題があると考えております。
 また、預金金利の引き上げについてというお尋ねをいただきました。
 預金金利は既に自由化されており、市場の状況等を踏まえ各金融機関が決めております。低金利は景気を下支えするなどの面がある一方で、預金者の利息収入が減少することは否めません。いずれにしても、景気回復に努めてまいりたいと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣松永光君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(松永光君) 続議員にお答えいたします。
 いわゆる貸し渋り問題についてのお尋ねですが、本年四月に予定されている早期是正措置の導入を控え、株価の低迷等による自己資本比率の低下が懸念される中で、金融機関の融資態度が必要以上に萎縮している面があるのではないかと考えます。
 こうした事態に対処するため、大蔵省としては、健全な中小企業等への資金供給に支障が生じないよう、総額二十五兆円の融資金を用意するなど、政府系金融機関の活用をし、種々の施策を講じてきたところでありますが、今後とも適切に対処してまいりたいと、こういうふうに考えております。(拍手)
    ─────────────
#19
○副議長(松尾官平君) 三重野栄子君。
   〔三重野栄子君登壇、拍手〕
#20
○三重野栄子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題となっております金融二法案に対し、橋本総理並びに関係大臣にお尋ねいたします。
 昨年には北海道拓殖銀行、山一証券等に見られるような大型破綻が続きました。今、国民の預金制度に対する信頼がまさに揺らぎかけていると言えるのではないでしょうか。預金制度は国民経済にとってまさに心臓に当たり、これなくしては千二百兆円にも上る個人資産は行き場を失い、また企業等の投資なども滞り、経済全体が急激に縮小していくことになりかねません。
 このときに当たり、与党三党は集中的な検討を行い、今般の預金者保護を柱とする金融対策が取りまとめられました。
 そこで、預金保険法の改正による預金者保護についてお伺いいたします。
 今回の法案では、ペイオフが実施される二〇〇一年三月末までの時限措置として、すべての金融機関における預金の全額を保護するための体制が整備されることになりました。
 金融機関の破綻処理が相次いでいることを背景に、国民の間に、自分の預金等が保護されないのではないかとの不安が銀行等に対する不安に増幅していけば、健全な金融機関や一般企業までもが資金繰りで行き詰まり、破綻に追い込まれる可能性があります。したがって、このような危機的とも言える状況のもとにおいてこそ、預金を全額保護するために、預金保険機構の特別勘定の拡充による特別業務勘定の創設などの万全の構えは全く欠くべからざるものであり、まさに時宜を得たものと考えます。
 預金は国民の大切な財産であり、金融システムに対する信頼を保護することが信用収縮を防ぎ、経済の安定的な循環を支えていくための必須の条件であり、前提であります。したがって、預金については全く心配の要らないことを明快なメッセージとして発すべきであると考えますが、橋本総理の御決意を伺います。
 次に、今回提出された金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案には、預金者保護に万全を期しながら、破綻金融機関の処理を円滑に進めていくことを基本とする公的資金投入の枠組みが用意をされています。
 社民党は、経済活動の血液を供給する役割を担う預金制度、金融システムを保護するためのぎりぎりの措置として今回の金融対策に参画しております。このための手法の中心部分には、我が党の主張が受け入れられ、受け皿金融機関の自己資本比率の回復が大前提であることが鮮明になりました。また、重大な雇用不安につながりかねないといった国民的な評価にたえ得る発動基準も整備をされました。この基準を設けましたことは、金融破綻即企業倒産に発展し、雇用不安、失業が拡大することが重大な問題ではないかと考えられたからであります。
 この措置が、経営の悪い銀行を税金で救うとか、恣意的な判断に基づいて発動されるようなことがあってはなりません。だからこそ、公正中立な審査機関の重要性と決定に至る過程の透明性が問われているのであります。
 私は、審査委員会の最高責任者は民間の有識者から選ぶべきだと考えます。委員長の民間登用及び審査委員会の議事録の早期公開など有効な透明性確保策について、また金融破綻は究極的には雇用問題ということについて、改めて大蔵大臣並びに労働大臣の明確な御答弁をいただきたいと存じます。
 また、金融機関の自己資本の充実は本来金融機関の自己責任において行われるべきものであり、公的資金投入のためには国民の理解が不可欠です。そのためには、銀行の経営状態の全面公開、経営責任の明確化、一層の自助努力などは極めて重要であることは言うまでもありません。
 法案では、金融機関への自己資本注入の前提として、審査委員会への経営改善計画の提出、計画の履行状況の報告とが義務づけられ、審査委員会による公表が規定されていますが、住専処理時の約束でもあった金融機関のリストラ状況の国会報告の時期について、大蔵大臣の明快な御答弁をお願いいたします。
 さらにこの際、金融機関が公的資金により自己資本充実を行うこととなることから、政治資金規正法を改正して金融機関からの政治献金を規制すべきであると考えます。すなわち、金融機関が政治献金をすることにより、公的資金の一部が特定の政党または政治家に環流するおそれや公的支援を受けるための働きかけを行うおそれ等があり、国民の理解が得られないのではないでしょうか。総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、財政資金の投入の仕方、財政資金とその他の資金の役割という点に関してお尋ねします。
 法案では、預金保険機構に対し、一、交付国債の現金化、二、政府保証債の発行、三、政府保証つきの日銀等からの借入という三つの資金調達手段が与えられることとされておりますが、この三つの資金についてはそれぞれの資金の性格に応じて役割分担を考えていくべきだと思います。
 まず、政府保証つきの借入は、その性格上、預金保険機構が交付国債の現金化や政府保証債を発行するまでの短期のつなぎ資金として用いることを原則とすべきであります。
 優先株の取得財源を借入に求めることになれば、財政資金投入の先延ばしとの批判を内外から受けることにもなります。また、日銀資金への過度の依存は、日銀資産の健全性や金融政策の有効性に関する内外のマーケットからの疑念を引き起こし、ひいては円安、株安など、新たな日本売りを誘うことにもなりかねません。
 特例業務勘定におけるロスの手当てや金融危機勘定における優先株取得に際して、一時的な資金繰りとして借入を活用するとしても、取得の財源は一義的には交付国債の現金化による財政資金の投入であり、それでもなお不足する場合に政府保証債の発行によることとすべきであると考えますが、この点、大蔵大臣の所見を伺いたいと存じます。
 また、今回の措置は、二〇〇一年三月までは預金の全額を保護するという政府の方針を維持するための緊急の特例措置であります。この特例措置の結果発生した負担を借入で賄い、実際のロス負担を将来の世代へ先送りするというのは適当ではありません。金融システムの問題の解決は、我々の世代の問題として我々の負担において行うことが今政治に求められている決断であります。
 そうした姿勢を今はっきりと示すことが、金融システムの早期安定化を促し、結果としての国民の負担を最小限にとどめることにつながると思います。そのためには、交付国債が適時適切に現金化され、実際の財政資金の投入が速やかになされるよう、毎年の予算の中で必要かつ十分な財源措置を講じていくことが必要ですが、政府として予算編成上どのように対応されるのか、大蔵大臣のお考えをお伺いいたします。
 古くは鉄建公団による大蔵省主計局に対する接待問題、近年は二信組事件、大和銀行事件、住専問題などの数々の反省にもかかわらず、大蔵省への権限の集中と裁量的な権限行使が今回の大蔵不祥事の構造的な背景となっております。
 最後に、これらの諸問題を踏まえて、財政と金融はビッグバン導入の二〇〇一年までには分離されるべきこと、徴税権を初めとする集中した権限の分散の必要性について、総理の御見解をお尋ねして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(橋本龍太郎君) 三重野議員にお答えを申し上げます。
 まず、預金者保護に関するお尋ねがありました。
 今般の緊急対策におきましては、預金者保護が金融システム安定の基本であることを踏まえ、預金保険機構の財源を強化し、公的資金投入の対象となる金融機関の範囲を信用組合から一般金融機関に拡大することによって、仮に金融機関が破綻した場合でありましても、必要な預金の払い出しが全額スムーズに行われるなど、預金の保護に万全の対応をし、国民の皆様に御安心いただけるようにしたところであります。
 次に、政治献金についての話がありました。
 政治資金規正法におきましては、政治活動に関する寄附について、特定の分野を対象とした規制は定められておりませんが、自由民主党は住専問題などにより、都銀、地銀等からの献金を自粛してきたところであります。先般、改めて金融システムの安定のため、公的資金が投入されることにかんがみ、銀行業界からの政治献金を過去の借入金の返済に充当するものを除き、自粛することといたしました。与党政治改革協議会での真剣な御議論を見守ってまいりたいと考えております。
 次に、大蔵省への権限集中と裁量的な権限行使及び財政と金融の分離問題についてのお尋ねがございました。
 既に金融監督庁の設置による金融機関に対する検査・監督を大蔵省から分離し、市場規律を基軸とした透明かつ公正な金融行政への転換を図ることで、大蔵省はいわゆる金融業者行政から撤退することになっております。さらに、この問題につき、先般与党間でまとめられた合意は、与党三党間で誠心誠意御議論を尽くされた結果と、そのように政府は受けとめております。
 また、国税庁については、行政改革会議最終報告において財務省の外局と位置づけられるとともに、徴税の中立性、公正性の確保を図る観点から、税制の簡素化等の御指摘をいただいております。
 政府としては、現在、これら与党合意並びに行政改革会議最終報告に忠実に、中央省庁再編等の実施に必要な基本的事項を定めるとの方針のもとに、基本法案の作成を鋭意進めているところであります。
 残余の御質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣松永光君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(松永光君) 三重野議員にお答えいたします。
 審査委員会の透明性確保策についてのお尋ねでございますが、優先株等の引き受けについては、公正を期するため、民間の有識者三名を含む公正中立な委員から成る審査委員会を設置し、その委員長は民間有識者のうちから互選によって定めることとしております。
 また、審査は厳正な基準、手続に基づいて行われ、その議事については議事録を公表するとともに、それに先立ち議事の概要を公表することとしており、この点でも透明性の確保を図ることとしております。
 次に、金融破綻と雇用問題についてのお尋ねですが、例えば金融機関の破綻が同一地域、分野の他の金融機関に連鎖的に波及することにより、当該地域、分野の企業活動や雇用の状況に重大な影響を及ぼすなど、経済活動に著しい障害が生ずる事態も想定されるところであります。
 今回の対策によって金融システムの安定が図られ、その結果、取引先企業に対する円滑な資金供給を通じて雇用が確保されることが可能であり、当該地域等における深刻な雇用不安の発生を前広に回避することにも資すると期待されております。
 次に、住専処理時の与党合意を踏まえた銀行のリストラ状況の報告についてのお尋ねでございますが、昨年の通常国会において平成八年度中の主要行のリストラの概要を大蔵省において取りまとめ、人員削減数、店舗減少数などを御報告したところでありますが、銀行のリストラの状況については、今後とも各行の開示結果を取りまとめ、適時に説明してまいりたいと考えております。
 財政資金の投入の仕方や資金の役割についてのお尋ねでございますが、破綻処理に伴う損失の穴埋めには、その資金の性質上、基本的には国債の償還金により対応することとしております。また、優先株等の買い取りのための資金の原資として国債の償還金または政府保証による資金のいずれの資金を使うかにつきましては、国債の償還金の持つ損失の補てん財源としての性格や調達コスト等を踏まえ、預金保険機構の運営の中で適切に対処されるものと考えております。
 交付国債の償還財源についてのお尋ねですが、今般の十兆円の国債の償還のための財源としては、国債整理基金特別会計に所属するNTT株式の今後の売り払い収入を優先して充てることとするほか、国債整理基金特別会計があらゆる国債の償還のために保有している準備資金もこの国債の償還に充てることができる財源と考えております。
 また、一般会計から償還財源として国債費の繰り入れを行う場合においても、歳入歳出全般にわたる努力を通じてその繰入財源の適切な確保に努めてまいりたいと存じます。
 以上のように、今般の十兆円の国債の償還に当たっては、金融システム安定化の実を上げつつ、同時に、国民の新たな負担ができる限り小さくなるよう適切な運用に努めてまいりたいと考えておるところでございます。(拍手)
   〔国務大臣伊吹文明君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(伊吹文明君) 三重野議員にお答えを申し上げます。
 貸付先の倒産やあるいは貸し渋りを通じまして、金融不安が雇用に与える影響についてのお尋ねでございます。
 短期的には景気や経済運営に雇用が影響されるというのは御指摘のとおりでございます。失業率や有効求人倍率等から見まして、現在の雇用状況は厳しいものがあると私は認識をいたしております。
 ただ、生産性とか国際競争力あるいは対外債権額等、我が国の実体経済は私は強いものがあると確信をいたしておりますが、金融不安がこの強い実体経済の足を引っ張ることがないように、金融システム安定化のために、現在お願いをいたしております金融二法の早期成立が雇用のためにも何より大切なことだと思っておりますので、よろしく御審議のほどお願いいたします。(拍手)
    ─────────────
#24
○副議長(松尾官平君) 緒方靖夫君。
   〔緒方靖夫君登壇、拍手〕
#25
○緒方靖夫君 私は、日本共産党を代表して、金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案及び預金保険法の一部を改正する法律案について、総理に質問いたします。
 三十兆円もの途方もない巨額の国民の税金で銀行支援を行う両法案は、金融機関の破綻は金融システム内で処理するというこれまでの総理の公約に違反するばかりか、破綻していない大銀行にも公的支援を行うという極めて重大なものです。
 しかも、検査官を接待漬けにした粉飾検査、不良債権の不当な無税償却という脱税指南の疑惑、大蔵省の幹部や検査官の金融機関への大量の天下り、各部局ごとの現職・OB一体の親睦団体の存在など、大蔵省、銀行の乱脈と汚職、腐敗は底なしです。
 総理は、事件の解明とは別に金融危機に対処する必要があると答弁されました。しかし、金融システムに責任を負っている大蔵省と銀行の腐敗を徹底究明せずに、どうして金融システムの健全化、安定化が図られるというのですか。明確な答弁を求めます。
 とりわけ、政府の責任は重大です。前大蔵大臣、官房長らは事態を隠ぺいする国会答弁を繰り返してきました。九六年十二月以降接待は一切ないという前大蔵大臣の答弁が、一週間後に東京地検の捜査で覆され、また大臣が検査部全体を調査したと答弁された昨年夏の内部調査についても、実はその九割の職員が調査の対象外であったと指摘されています。総理、国会と国民を欺く答弁をしてきた政府の責任をどのように認識されているのですか。
 政府が公的資金投入計画の引き金になったと説明する山一証券や北海道拓殖銀行の破綻と、それに関与した大蔵省の重大な責任は、これまでの審議を通じても明らかになりつつあります。山一の破綻をもたらした簿外債務の拡大は、大蔵省の厳正な対処があれば起こらなかったことです。ところが、あろうことか、当時の大蔵省証券局長が飛ばしや簿外処理を指導した疑いが一層濃厚になっているじゃありませんか。拓銀について言えば、検査がゆがめられ、不良債権が見逃されたことが破綻の大きな要因になりました。
 一体、どんな金融検査をしたのか、どんな指導をしたのか、共犯とも言うべき大蔵省の責任はどうなのか。金融システムの信頼回復が国政の最重要課題であるならば、何よりもまず、こういう事態を生み出した原因と責任を究明し、是正することこそ一番肝心ではありませんか。
 そのためには、参議院でも民友連、公明、自由党、日本共産党が一致して要求している金融検査報告書など関連資料の国会提出が不可欠です。それをせずに衆議院通過を強行した政府・与党に私は厳しく抗議するものです。検査結果を隠すことは疑惑にふたをすることに等しいではありませんか。総理、三十兆円という巨額の仕組みをつくる法案を、その発端となった事態の真相を明らかにする資料なしに審議せよと言われるのですか。政府に提出の意思さえあればプライバシーの保護などは可能です。明確に御答弁願います。
 さて、両法案は、銀行の自己資本拡充に十三兆円、金融機関破綻の処理に最大十七兆円の公的資金を投入するものでありますが、バブル時代の野方図な地上げ資金の貸し付けなど、金融機関にあるまじき乱脈経営の後始末は当該金融機関と金融業界の責任です。国民はその被害者でこそあれ、三十兆円もの負担を負うべき理由は全くありません。
 貸し渋り対策も理由に挙げられていますが、それは金融ビッグバンに備えて貸付金の圧縮を図る銀行の戦略であり、公共性を投げ捨て利益追求に走るその体質こそ問われるべきです。したがって、中小企業にとって死活問題の貸し渋りを是正するためには、公的資金の投入ではなく、銀行の公共性を保持させる大蔵省の厳正な指導監督こそ重要です。早急かつ強力な是正指導を強く要求し、政府としてどう対応されるのか、具体的な答弁を求めます。
 次に、金融安定化法案ですが、その根幹は、巨額の公的資金を投入して金融機関の優先株等を引き受け、自己資本を増強させる仕組みです。これは、ビッグバンに備えて大銀行、銀行業界を支援し、国際的な競争の中で生き残れるようにさらに体力を増強してやるものにほかなりません。そうでないと言われるなら、なぜ経営難でもない巨額の業務利益を上げているトップクラスの大銀行にまで優先株を買ってやるのですか。大銀行も公的資金なしには金融機能の安定、信用秩序の維持ができないとでも言うのですか。ならば、その具体的根拠を挙げていただきたい。
 驚いたことに、岸全銀協会長は、捜査対象行にも公的資金の投入をと発言しています。贈賄で摘発、捜査され、その不健全な経営体質が問われている三和、第一勧銀、あさひ銀行の優先株をよもや引き受けられることはないと思いますが、審査機関の判断に任せるというのではなく、総理御自身の責任ある見解を伺います。
 また、預金保険法改正案は、預金者保護と称して一般金融機関の破綻処理に巨額の公的資金を投入するものです。預金者保護は当然ですが、それは銀行の共同責任でみずから行うべき最低限の責務です。大蔵省も全銀協も、金融機関は総体として十分な不良債権償却財源を持っていると認めているじゃありませんか。預金者保護のために必要なら、アメリカのピーク時と比べてもまだ低い預金保険料率の適正な引き上げをまず行うべきです。
 総理も、さきの預金保険法改正の際に、「機構の財源で対処が困難な状況が発生した場合には、平成十年度末までに保険料率の検討を行う」と明言されてきました。何をどう検討されるのですか。中長期的な観点から対処するという抽象的な答弁ではなく、検討の内容を具体的に明らかにしていただきたい。検討対象の内容には保険料率の引き上げも含まれるのですか。
 しかも、このままだと、現在ある特別保険料さえ二〇〇一年三月までで、それ以降廃止されてしまいます。銀行の負担は減らし、国民の税金で穴埋めするなど言語道断です。特別保険料の延長も検討すべきではありませんか。
 それすらしようとせず、みずからの乱脈経営のツケは負わず、自己資本の不足には潤沢な公的資金で賄う、これでは銀行経営の責任は問われず、文字どおりのモラルハザードの仕組みと言わざるを得ません。政財官の癒着を正し、銀行に本来の自己責任を果たさせることこそ、日本の金融システムの信頼を回復する道ではありませんか。
 最後に、総理に申し上げたい。銀行には公的資金を投入し、阪神大震災の被災者にはなぜ公的支援を行わないのですか。これこそまさに、政治のモラルハザードのきわみです。大銀行には体力をつけてやる一方で、消費税率引き上げなど九兆円の負担増、低金利での預金の目減りなどで国民からは体力を奪う政治に対して、怨嗟と非難の声が高まるばかりではありませんか。総理、この国民の批判にどう答えられるのですか。
 両法案は既に前提も崩れており、その内容に道理も説得力もなくなっている以上、廃案にするしかない、このことをはっきり申し上げまして、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(橋本龍太郎君) 緒方議員にお答えを申し上げます。
 まず、金融機関と金融当局の腐敗、金融システムの安定化についてのお尋ねがありました。
 今般、金融検査官の逮捕という事態が生じたことはまことに遺憾であり、厳粛に受けとめております。綱紀の粛正はもとより、今後の金融行政において自己責任原則と市場規律にのっとった透明性の高い金融行政を目指し、国民からの信頼回復を図るとともに、一層の透明性の確保に努めてまいります。
 大蔵省職員の接待に関する答弁についての御指摘がありました。
 任意調査の結果、限界があるとはいいながら、結果として大蔵省の調査が甘かったことはまことに残念であります。徹底的に原因を究明し、その結果を公表するとともに、被疑者に対する処分はもちろんのこと、関係監督者に関する処分につきましても厳正に行ってまいります。
 また、山一証券や拓銀の破綻と大蔵省の関与について全容を解明すべきであると御指摘をいただきました。
 御指摘の点につきましては、今後の捜査当局による解明に加えて、大蔵省においても、これらの金融機関に対する検査に問題がなかったかどうかを含め、事態の究明のための調査を行うと聞いております。これらの捜査や内部調査の結果等を踏まえ、厳正に対処してまいりたいと思います。
 金融検査報告書等を国会に提出すべきであるとのお尋ねがありました。
 一般論として申し上げますと、個別の金融機関の検査結果の公表には、金融機関の取引先などに不測の損害を与えるおそれがあるほか、プライバシー侵害の問題が生じるなどの理由から、問題があることを御理解いただきたいと思います。
 次に、銀行の貸し渋りは経営方針の結果であり、公的資金の投入では解決できないのではないか、貸し渋りの是正のために厳正な指導監督を行うべきではないかとのお尋ねがありました。
 金融機関が融資態度を必要以上に萎縮させて、健全な中小企業等への資金供給に弊害が生じる事態は避けなければなりません。こうしたことから政府としては、健全な中小企業等への資金供給に弊害が生じないよう政府系金融機関の活用など種々の方策を講じてまいりました。また、今般の公的資金の活用による自己資本充実策により、金融機関の融資対応力の強化が図られ、貸し渋りの解消にも資することを期待しております。
 経営難でない大銀行の優先株まで買うのかというお尋ねがありました。
 金融システムに対する信頼が揺らいでいる状況のもとにおいては、財務内容と関係なく、経営が健全な金融機関にありましても内外の金融市場における資金調達が極めて困難となり、これにより我が国の金融機能に著しい支障が生ずる場合があると考えられます。そのような場合におきましては、公的資金を活用しても当該金融機関の自己資本を充実させ、金融システムの安定化を図ることが必要だと考えます。
 また、贈賄で摘発された金融機関の優先株を引き受けるべきではないとの御意見をいただきました。
 現在、捜査当局により捜査が行われている段階であり、具体的なコメントは控えるべきと思いますが、いずれにせよ、政府としては、今般の対策が我が国金融システムの安定化を図り、国民経済の発展に資するための措置であることにつき、国民各位の御理解がいただけるよう説明に努めてまいります。
 また、保険料率の引き上げの検討についてのお話がありました。
 預金保険の保険料率について、平成八年度からそれまでの七倍に引き上げたことは御承知のとおりであり、また、特別保険料は、平成十二年度末までの時限措置であるいわゆるペイオフコスト分を上回る特別資金援助等の業務に対応したものであります。
 いずれにせよ、遅くとも平成十年度末までに検討を行うこととしております保険料負担につきましては、預金保険機構の業務や金融機関の財務の状況等に加え、我が国金融機関を取り巻く状況や国際的な信認との関係などにも留意しながら検討していくべきものだと思います。
 今回の対策が金融機関のモラルハザードを招くとの御指摘がございました。
 今回の自己資本充実策においては、優先株等の発行金融機関に対し、経営の健全性確保に関する計画を提出させ、その履行状況の報告についても必要に応じ求めることとし、これらについて基本的に公表することとしており、モラルハザード防止のための措置を講じております。
 なお、今後の金融行政については、今回の事件の反省も十分に踏まえ、より透明性の高い手法に積極的に変えていかなければなりません。
 今回の公的資金を活用した金融機関の自己資本充実策は、我が国金融システムに対する内外の信頼が低下し、信用秩序と国民経済に重大な支障が生じることが懸念されるという緊急の事態に対処するものであり、政府がしっかりとした姿勢を示すことによって金融システムの信頼と安定を確保して、日本発の金融恐慌を起こさないことは我が国に与えられた責務であると考えております。
 また、阪神・淡路大震災については、政府はこれまでにも、公営住宅の大量供給とその家賃の大幅引き下げなど、さまざまな支援策を講じてまいりました。さらに、地元自治体が阪神・淡路大震災復興基金を活用して行っておられる被災高齢世帯や被災要援護世帯に対する生活再建支援金の給付等に対し、地方財政措置による支援を行っております。このように、幅広く、かつきめ細かく被災者の生活再建を支援しておりますことを申し添えます。(拍手)
    ─────────────
#27
○副議長(松尾官平君) 星野朋市君。
   〔星野朋市君登壇、拍手〕
#28
○星野朋市君 私は、自由党を代表し、預金保険法の一部を改正する法律案、金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案の二法について、橋本総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 総理、今日我が国が直面している経済、金融の危機的状況は、そもそもバブル崩壊による住専・不良債権処理の誤りと橋本政権の経済見通しの誤りが重なったことによるものであります。その結果、金融システムが根本から揺らぎ、それがまた経済の停滞を招いていると言えるのであります。特別減税の廃止と消費税の五%への引き上げ、さらに医療費の負担増で総額九兆円もの国民負担増となり、また、公共投資削減を含む本年度のデフレ予算を強行して、日本の景気をほぼゼロ%成長に突き落としたのであります。このことは、我々が九六年度の臨時国会から指摘していたとおりであり、これを回避し得なかった橋本政権の失政であると思いますが、総理に改めて御所見をお伺いしたいと思います。
 ところで、橋本政権の金融政策はあいまい、先送りの連続ばかりが目につきます。
 金融機関の不良債権について、総理は昨年十一月に、現在、金融機関は不良債権の早期処理に取り組んでおり、個々の経営状況はさまざまでありますが全体の状況は改善しておりますという見解を述べられましたが、実際はどうだったのでありましょう。
 山一証券の自主廃業、北海道拓殖銀行の破綻等々、日本の金融界を揺るがす大きな事件が続々と起こったことからもわかるように、改善するどころか、いよいよ深刻になっているではありませんか。
 実際、ことし一月十二日に大蔵省が公表した銀行の自己査定の集計額については、問題債権の総額は七十六兆七千億円となっております。朝日新聞の「かたえくぼ」欄で、この数字は直ちに「ナントムナシイ」と茶化されました。しかも、これは銀行のという点がくせ者でありまして、信用金庫、信用組合その他の金融機関などの問題債権は含まれていないのであります。
 大蔵大臣には、なぜこれまで不良債権、問題債権の公表を先延ばしにしてきたのか、またなぜ銀行だけなのか、それに橋本政権の失政が招いたこの金融危機を泥縄的な公的資金投入で解決するため、住専処理のときと同様に、国民に大変だぞという意識を強制しようとして発表したのか、この点について明確にお答えいただきたいと思います。
 また、総理は、住専問題のときの発言で、住専に公的資金を導入したのは、国民の皆様の預金を守るとともに、景気回復を確実なものとするための臨時異例の措置として決定されたものであります。金融機関の破綻処理は金融機関システム内において賄うことが原則でありますとおっしゃいました。公的資金は住専と信用組合の破綻にしか使わない、財政支出が必要となる場合でも多額にはならないと言いながら、今度の三十兆円の公的資金の用意というのは全く納得できない金額であります。
 総理、その場しのぎの発言は国民の、そして市場の信用を失い、財政構造改革法が成立した途端の二兆円減税とか、やることなすことが余りにもくるくる変わるのは、ビジョンと信念に欠けていると言われても仕方がないことであります。特に、不良債権処理の見通しの誤りと政策変更の経緯を納得のいくように御答弁ください。
 さて、金融二法のうち、まず預金保険法について質問をいたします。
 昨年の臨時国会において、与党は特定合併を主な内容とする預金保険法の改正案を強行採決いたしました。預金保険機構は預金者を保護するとりでであります。相次ぐ金融機関の破綻とそれを後追いする制度の改正が預金者に一層の不安をかき立てさせ、それが金融危機を助長しているとしか言いようがありません。
 我々は終始一貫して、預金者保護のためには公的資金を使っても万全を期すべきであると主張し、また不良債権を早期にかつ強力に回収するためにも日本版RTCを設立すべきだと主張してきました。それが同時に破綻金融機関の経営者の厳正な責任追及に役立つと考えたからであります。今回の法改正が、債権回収機能についても今までと具体的にどのように違うのかが明確でなく、破綻金融機関の経営者の追及についても不十分であります。総理の御所見を伺いたいと思います。
 次に、金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案について質問をいたします。
 総理は、金融ビッグバンを高らかにうたい上げましたが、しかし今回の優先株などの公的資金による引き受けは、金融機関救済以外の何物でもなく、まさに大蔵に守られた護送船団行政を強化し、金融ビッグバンに逆行すること甚だしいものがあります。しかも、この法律の内容が明らかになるにつれ、やれ一番優良だと言われている東京三菱銀行が真っ先に一千億円を引き受けるとか、自民党の一部から補正予算成立後には都銀を中心に一斉に優先株を引き受けさせるとかの口先介入が飛び交いました。そもそも各国がBIS規制をクリアするために公的資金を使って優先株を引き受けるような施策をとるようになれば、市場経済の意味は失われてしまうでしょう。
 総理は、この法案の成立によって日本じゅうの金融機関に資本参加して安易な救済をもくろんでいるとしか考えられないのであります。安易な救済は金融機関の経営努力を怠らせ、国際競争力を弱める結果となることは見え見えではありませんか。金融機関がみずからもっと反省し合理化努力をしないで、何で貸し渋りなどというとんでもないことを実施しているのかわかりません。総理の御見解をお示しください。
 次に、三十兆円の公的支援について伺います。
 本来、預金者保護に限定されなければならない公的資金がいつの間にか貸し渋り対策にすりかえられ、金融機関救済のために三十兆円もの資金が用意されようとしております。金融システム安定化という美名に隠れてなぜ交付国債というようなわかりにくいスキームを用意したのか、しかも二十兆円の日銀融資に対する政府保証は日銀からの借り入れと、なし崩し的に拡大していくおそれがあります。
 この結果、日銀の財務体質の悪化から国際信用の失墜を招きかねないことや、預金保険機構が第二の国鉄清算事業団となるおそれさえあります。したがって、これら一連の措置は先日成立したばかりの財政構造改革法に違反することになるのではありませんか。総理及び大蔵大臣の明確な答弁をお聞かせください。
 最後に、総理は二兆円の特別減税と三十兆円金融安定化対策によって力強く景気が回復してくると述べられましたが、それは認識が違うと申し上げなければなりません。金融危機が貸し渋りなどを通じて景気悪化を招いたことも事実でありますが、デフレ予算の強行などにより、ようやく回復しかけてきた日本の景気の芽を摘んでしまったことが現在の金融危機の原因であることを指摘しないわけにはいきません。
 日本経済は、今や橋龍不況と言われるように、株安などを通じて自己資本を引き下げ、不良債権の処理をおくらせ、情報開示が不十分なままに金融危機を招き、それがさらに景気悪化を加速するという悪循環に陥っているのであります。だからこそ、ここで必要なことは、所得税の制度減税を行い、個人消費がGDPの六〇%以上を占める景気を活性化する以外に方法はないと思います。
 それに、これほど失政を重ねた橋本総理に退陣していただくことこそ最大の景気対策だという声もあることを真剣に受けとめていただきたいと思います。指導者が正しい予見と実行力を今こそ求められているときはありません。どうか真摯に国民の声に耳を傾けることを念願して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(橋本龍太郎君) 星野議員にお答えを申し上げます。
 まず、経済、金融の現状についてのお尋ねがございました。
 今日の深刻な経済状況を考える上で、まずバブルの後遺症という視点が必要であると思います。そして地価の継続的な下落に伴います不良債権問題、土地需給の不均衡、企業のバランスシートの悪化といった問題がありますし、企業にも個人にもこれはさまざまな影響を与えております。
 現時点におきまして振り返りましたとき、資産価格が急激かつ大幅に変動いたしましたとき、それが国民経済に与える影響についての的確な認識が不十分であったのではないか、そのような反省はいたしております。そしてこうした認識のもとに、政府としては、バブルのもたらした教訓をかみしめながら適切な経済運営に努力をいたしております。
 金融機関の不良債権につきましては、現在、各金融機関が積極的な引き当て、償却を行うなど、全体としては問題の早期処理のための積極的な取り組みが続いており、政府としても引き続き不良債権問題に精力的に取り組んでまいります。また、我が国の経済金融情勢、さらにはアジアの状況等も踏まえ、二兆円の特別減税を初めとする財政・金融両面にわたるさまざまな措置を講ずることといたしております。昨年の消費税率の引き上げあるいは財政構造改革の推進等の諸施策、これは少子・高齢化の進展という我が国の構造変化あるいは危機的な財政状況にかんがみれば必要な措置であったと申し上げたいと思います。
 また、公的資金を投入する経緯についてお尋ねがありました。
 金融三法を制定いたしました当時、信用組合の破綻が相次いで発生しておりましたこと等を踏まえ、信用組合の破綻処理について政府保証を措置いたしました。その後、一般金融機関まで相次いで破綻が発生し、我が国の金融システムに対する内外の信頼が大きく揺らぎかねない状況に立ち至り、こうした金融の危機的状況に対処し、政府として預金者の保護と金融システム安定化のため断固たる措置をとることが我が国の国益にもかない、また責任であると考え、緊急対策を提案いたしたわけであります。
 また、政策転換をしたのではないかとお尋ねがございましたが、財政構造改革の必要性は何ら変わるものではありませんが、経済の実態や金融システムの状況等を考えながら臨機応変の措置をとることも当然のことであります。
 いずれにいたしましても、財政構造改革と景気対策は二者択一の問題ではなく、中期的な目標と当面の対応というタイムスパンの異なる問題だと思います。
 債権回収と経営責任の追及が不十分ではないかという御指摘を受けました。
 今回、公的資金をも活用することにもかんがみ、いわゆる旧住専の債権と同様、破綻金融機関の債権につきましても預金保険機構に罰則つき財産調査権を付与することとし、債権回収機能を強化するとともに同機構内に責任追及のための組織、体制を整備することとしており、これにより経営者や借り手の民事・刑事上の責任を一層厳正に追及していくことになります。
 今回の対策が金融機関の安易な救済を招き、国際競争力を弱める一方、金融機関自身が合理化努力をせず、貸し渋りをしていると御指摘がありました。
 今般の緊急対策は、個別金融機関の救済や優遇とならないよう、公正中立な審査委員会が厳正な基準に基づいて審査を行うとともに、経営の健全化に関する計画を提出させ、これを公表するなど、モラルハザード防止の措置をとっております。このような措置により金融システムの安定化が図られ、自由化、国際化時代に向けた金融機関の基盤がより強固なものとなると考えております。また、こうした大競争時代に向け、金融機関みずからも一層の合理化努力をしていくことは当然であり、促してまいります。
 今般の対策により、日銀の信用失墜を招いたりあるいは預金保険機構が第二の国鉄清算事業団になるおそれはないか、こうした御指摘をいただきました。
 今般のスキームは十兆円の国債と二十兆円の政府保証という公的支援に裏打ちをされました時限措置であり、そのような懸念はないと思います。
 また、財政構造改革との関係につきましては、先ほども申し上げましたように二者択一の問題ではないと考えております。
 最後に、私に対する御忠告を、御党の意見を踏まえて、いただきましたことにお礼を申し上げます。
 残余の質問は関係大臣からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣松永光君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(松永光君) 星野議員にお答えを申し上げます。
 まず、三十兆円の公的支援と財政構造改革との関係については先刻総理大臣から御答弁がございました。
 次に、大蔵省が発表した銀行の自己査定の集計額についてのお尋ねですが、これは各金融機関が早期是正措置の導入を前提に試行的に行った自己査定の結果について、公的資金の活用を含む金融システム安定化策に関する議論の参考に資する観点から集計し、公表したものであり、決して国民に危機意識を強制しようとするものではありません。
 また、なぜ銀行だけなのかとのお尋ねでございますが、信用金庫等の協同組織金融機関については中間決算を行うこととなっておりません。また、自己査定の試行も銀行のようにすべての金融機関で必ずしも行われているとは言えない状況にありますことから、今回、報告を求めなかったこととしたわけであります。
 次に、なぜ交付国債というスキームとしたかとのお尋ねですが、預金保険機構に十兆円の国債を交付する措置により、預金保険機構はいついかなる事態が生じても、預金の全額保護と金融システムの安定化を図るための業務を機動的に行い得る財源の裏づけを有することとなります。このことは、我が国金融システムに対する内外の信頼の確保につながるものと確信するものであります。(拍手)
#31
○副議長(松尾官平君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十八分散会
     ─────・─────
ソース: 国立国会図書館
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