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#1
第142回国会 本会議 第10号
平成十年二月二十日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十号
  平成十年二月二十日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、国家公務員等の任命に関する件
     ─────・─────
#3
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。浜四津敏子君。
   〔浜四津敏子君登壇、拍手〕
#4
○浜四津敏子君 私は、公明を代表して、橋本総理の施政方針演説を中心に、山積する内外の諸問題について質問させていただきます。
 最初に、緊迫するイラク情勢についてであります。
 国連安保理の湾岸戦争停戦決議を無視し、たび重なる査察拒否及び決議に違反する生物化学兵器の製造を試みるイラクの強硬な姿勢は、国連決議の軽視であるとともに、国際社会に平和的な秩序を構築しようとする諸国民の誠実な努力に対する挑戦であり、厳しく糾弾されるべきものであります。イラクにとって国連による査察を受け入れることは、クウェートへの違法な侵略行為によって失墜した国際社会のイラクに対する信頼を回復し、国際社会の平等な一員としての地位を再び確立させるためにも必要不可欠なものであり、イラクは安保理停戦決議を誠実に遵守し、直ちに国連特別委員会の全面的な査察を受け入れるべきであります。
 かたくなに拒否を続けるイラクに対し、アメリカ軍は既に一九九一年の湾岸戦争時の空爆以上の航空戦力の配備を終えたとも言われております。本日、アナン国連事務総長がイラクに入り最後の調停を行うことになっておりますが、これが失敗に終われば、アメリカ軍の軍事行動はまさに秒読み段階に入ることになります。しかし、武力衝突という最悪の事態は何としても避けるべきであり、平和的手段による解決がなされるよう、日本国政府としてもあらゆる努力を講ずるべきであります。
 政府は、アナン事務総長の調停活動が成功するよう、アメリカ、イラクを初め関係各国に対する緊急かつ最大限の外交努力を進めるべきであると考えますが、総理の御見解を伺います。
 湾岸戦争から今日に至るまで、国際社会は冷戦後の世界秩序の確立をいまだに模索し続けております。国際社会は秩序を確立するどころか、ますます混迷の度合いを深めているというのが実情であります。しかし、紛争の解決を武力に求める時代とは永遠に決別するということが、人類史上最大の殺りくが行われた二十世紀を生き、暴力的対立が残した悲惨を見てきた我々が選択すべき道であり、また、それが人類の知性ではないでしょうか。
 日本は、国際社会の責任ある一員として、一日も早くすべての紛争を平和的に解決して、秩序を取り戻すための国連を中心とした普遍的なルールを国際社会に確立するために、全世界の英知を結集して具体的な政策を提示し、その実現に向け各国へ働きかけていくべきであると考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。
 今や、我が国は世界第一の長寿国となりました。これは大変にすばらしいことではありますが、しかし多くの国民は、将来への不安でこの人生八十年時代を素直に喜べないのが現状であります。
 かつて駐日アメリカ大使を務め、親日家で有名なマンスフィールド氏は、先般の新聞インタビューで、日本の政治が混乱し、景気低迷が七年も続いていることを心配している、日本の人々は現実に不安を感じている、人々は政府にもっと何かをしてほしいと期待していると、我が国の現状を危惧しておられます。また、大使当時を振り返って、日本では消費者がないがしろにされているとしばしば痛感したとも言及し、日本の市場は現在でも閉鎖的であり、官僚の、特に大蔵省の過大な役割と強大な権限を弱めるべきだとも指摘しております。まさに、私たち日本国民の心情を見事に代弁しております。
 バブルがはじけて七年間も続く不況のもと、相次ぐ中小零細企業の倒産と失業、賃金カットによる家計圧迫など多くの国民が直面しているこの深刻な事態を無視して、自社さ橋本内閣は、昨年、消費税の五%への引き上げ、特別減税の廃止、医療費負担の引き上げで九兆円もの過重な負担を国民にもたらしています。これだけで平均的サラリーマン家庭では年間十八万円もの負担増になります。
 橋本内閣は、これにとどまらず、今後、医療保険制度や年金制度を改定して国民の負担をさらにふやす計画をメジロ押しに進めようとしております。国民への慈愛の一片も感じられない姿勢であります。
 この不況の中で国民は、老後の年金はもらえるのか、医療の負担はどこまで上がるのか、十分な介護が保障されるのか、大きな不安に駆られております。若い家庭では、子供を産み、育てることができるのかという不安、果たして立派に教育を受けさせることができるのかという不安、また地球温暖化やダイオキシン問題等で、果たして二十一世紀に子供を健康に育てられる環境が確保されるのかという不安。不安だらけで、これでは出生率が低くなるのは当然であります。
 ところが、橋本総理は、こうした不安を解消させるための改革には何らリーダーシップを発揮することができず、国民の不安に背を向けて、一方的な犠牲を強いる施策に終始しており、国民の不安は増すばかりであります。
 行政改革会議の会長である橋本総理は、火だるまになって行政改革に取り組むと発言されましたが、昨年、同会議でまとめられた中間報告から最終報告までの経過や、大蔵省の金融と財政の分離の先送りに象徴されるように、族議員や関係省庁・官僚の圧力に屈して後退に次ぐ後退を重ね、国民の改革への期待を完全に裏切りました。
 一九八〇年代、不況のどん底にあったアメリカやイギリスでは、当時のレーガン大統領やサッチャー首相が十年、二十年先を見越して国家の大改革に取り組んだことは周知のところであります。その結果、現在ではアメリカもイギリスも体制を抜本的に立て直し、完全に不況を克服しております。
 当時、レーガン大統領が貿易赤字と財政赤字のいわゆる双子の赤字に悩む国家財政を立て直すため、大型減税と思い切った規制緩和をセットで強力に推し進めたことは橋本総理もよく御承知のことと思います。一九八一年から一九八三年の三年間に、年間平均でおよそ二十兆五千億円に相当する超大型減税であります。アメリカの人口は日本のおよそ二倍ですから、仮に日本に置きかえれば、年間十兆円程度の大型減税を三年間実施したことになります。
 また、イギリスのシティ−で始まった金融の規制廃止やアメリカの航空産業等の大胆な規制緩和を実施したことが、今日のアメリカやイギリスの財政再建と景気回復をもたらしたと言われております。
 クリントン大統領もことし初頭の記者会見で、昨年成立した財政均衡計画よりも三年も早く財政赤字がゼロになる見通しを明らかにいたしました。好景気を背景に税収が好調なことを見込んでのことと言われております。この財政均衡計画では、五年間で総額九百億ドルの減税も並行して実施することになっています。
 規制緩和について、昨年七月、サンフランシスコで開かれた日米財界人会議で、アメリカ側から、日本は規制緩和によるアメリカ製品との価格差解消によって八十兆円の経済効果を実現できるとの試算が示されました。
 アメリカ側の試算によれば、日本の消費財の価格はアメリカに比べ八〇%も高いとのことであります。日本政府が規制緩和を実行してこの価格差を解消すれば、私たち日本国民は、家賃で一兆円、住宅価格で二兆円、コンピューターなど先端製品で三兆三千億円の値下げが可能になるとのことであります。すなわち、徹底した規制緩和を実行すれば合計六兆三千億円も国民の負担を軽減することができることになります。
 規制緩和が国民に自由でゆとりある生活を保障するとともに、景気対策の面においても相当の効果が期待できることは、細川内閣のときに実施した携帯電話の規制緩和の例を見れば明らかであります。したがって、特に経済的規制についてはもうこれ以上先延ばしをするのでなく、徹底した規制緩和を早急に進めるべきだと考えます。
 徹底した行政改革、規制緩和を前提に大型減税を実施すれば、一時的に財政収支が悪化しても、減税と行政改革、規制緩和が相乗効果を発揮して、景気回復で税収がふえることはアメリカやイギリスの例が既に証明しております。また、それが財政構造改革の早道でもあると考えます。
 橋本総理は、このアメリカやイギリスの試みとその成果をいかに評価されるのか、また我が国の行財政改革と景気対策のためにここから学ぶ姿勢はおありなのか、また、徹底した規制緩和にどのように取り組まれるのか、お考えと御決意をお伺いいたします。
 さて、我が国においては、年度末を目前にして、特に中小零細企業の倒産は急激にふえており、中でも金融機関の貸し渋りによる黒字倒産も数多く見受けられます。
 民間の信用調査会社、帝国データバンクの調査でも、この一月の全国企業倒産件数は前年同月に比べ二四・八%もふえて千五百二件に上り、一月としては一九六四年に統計をとり始めて以来最悪の事態となっております。しかも本業の不振による不況型倒産に加えて、貸し渋り型倒産が全体の件数を押し上げたとも分析しております。さらに、中小企業の資金調達の厳しさは限界点に近づきつつあり、この二月から三月の年度末にかけて倒産がふえる懸念があるとますます深刻な事態になることを予測しております。
 我が党は、今日のこの深刻な事態を予想して、既に中小企業への貸し渋り実態調査を実施いたしました。今その調査結果を集計、分析中でありますが、その深刻さは予想以上のものであります。実態は貸し渋りなどという生易しいものではありません。融資拒否、さらには融資の引き揚げの強行であります。
 我が党の機関紙、公明新聞の読者の欄、「FAXフォーラム」には、連日金融機関の貸し渋りへの怒りの声が多数寄せられております。大阪市在住のある経理担当の会社員は次のような声を寄せてきました。
 「最近の銀行は、会社の業績悪化を理由に貸し出しをしないことが多くなりました。大規模な設備投資ならいざ知らず、ボーナスの資金まで貸さないのは行き過ぎのように思います。ボーナス資金の借り入れは、普通六カ月の短期で返済するものであり、通常の借り入れとは種類が異なるものです。ましてや、ボーナスは欠くことのできない社員の生活費であり、それさえもカットするということは、銀行の公共の使命を逸脱するものであり、横暴以外の何物でもないと思います。銀行には公共の使命と責任があるからこそ、自己資本増強のために三十兆円の公的資金を導入するのであり、それを忘れて貸し渋りを続けるのであれば、公的資金導入も根本から見直すべきです。また、銀行の貸し渋りを黙認する大蔵省及び政府の責任も重大であると思います」と、本来の使命を忘れた銀行と、政府、大蔵省の無責任ぶりを厳しく指摘しております。
 国民の消費の冷え込みも予想以上と言われていますが、昨年政府が消費税の引き上げを強行した当然の帰結でありましょう。
 ある外国人ジャーナリストは次のように述べました。
 「経済立て直しのため苦闘しているさなかに増税すべきでないというのはほぼ万国共通の認識、やっと回復の兆しを見せ始めたときに行われたこの消費税引き上げを見て、世界の人々は日本政府は正気を失ったと受けとめた」と述べております。
 事実、総務庁がこの十三日に発表した家計調査報告によると、昨年十二月の全世帯の消費支出は四十万六千二百八十三円となり、前年同月に比べ五%も減少しています。これは、第一次石油危機の後の一九七四年十一月以来二十三年ぶりの大幅の減少であります。日本百貨店協会が発表した東京地区百貨店のこの一月の売上高も前年同月に比べ五・六%も減少しており、十カ月連続して前年同月を下回っているとも言われています。これは金融システム不安や不況で先の見通しが全く立たず、消費者が財布のひもをかたく締めているためであります。
 日本の経済の九割を支えているのは中小零細企業であります。そして景気の大半を支えているのは国民の個人消費です。この中小零細企業と国民に冷たい政策を橋本内閣がこれからも続けるのであれば、景気回復など望むべくもありません。
 総理、この深刻な不況を打開するため、早期是正措置を抜本的に見直して、金融機関の貸し渋りの早期解消と十兆円規模の思い切った大型減税を断行すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 先般、公明は、この深刻な不況を打開するため、六兆円規模の恒久減税に加えて四兆円規模の特別戻し金の早期実施を提案したところであります。特に、個人所得税については現在の累進率の高い制度を抜本的に改め、法人税についても最高税率を少なくとも先進諸国並みの地方税を含む実効税率四〇%程度に、年次計画のもと引き下げるべきだと考えますが、あわせてお伺いいたします。
 次に、公務員の汚職事件についてお伺いします。
 さきに摘発された大蔵省金融検査官の汚職は、金融システムの秩序維持の名のもとにまかり通ってきた大蔵官僚と金融業界の癒着を象徴する事件でした。金融検査官が検査対象の金融機関から高額の接待を受けたり、銀行の子会社にマンションを値引きさせて購入したり、検査のスケジュールを漏らすなど、事実とすれば極めて悪質な汚職であり、言語道断であります。また、大蔵省OBの日本道路公団理事による汚職の背景には公務員の天下り問題があります。
 今、このような大蔵省と金融業界の腐敗、堕落した関係のもとで、金融システム安定のためと称して巨額な公的資金の投入を求められても、国民はだれも納得することはできません。
 アメリカの銀行捜査官には、捜査の際には一杯のコーヒーさえ拒むほど厳しい行動規定があります。その背景には、金融システム安定のためのチェック機能をないがしろにすれば、その悪影響が社会全体に広がるというアメリカ国民の良識があるからだと言われております。
 総理、我が国においても、これらの公務員と業界との癒着や汚職再発を防止するため、我が党がかねてより主張してきました公務員倫理法の早期制定を含め、公務員制度の抜本的な見直しが必要と考えますが、総理の御決意のほどをお伺いいたします。
 また、行政改革会議の会長でもある総理は、行政改革の出発点とも言われる大蔵省の財政と金融の分離を決意され、金融行政を新設の金融監督庁に一括して移すべきであると考えますが、いかがですか。
 次に、社会保障制度と雇用制度や教育制度のあり方についてお伺いいたします。
 今の社会保障制度のままでは、近い将来に破綻すると言われる年金や医療保険、また二〇〇〇年から実施される介護保険もこのままでは行き詰まることは必至と言われております。これらの社会保障制度は、雇用制度や教育制度も含めて連動させながら総合的に社会システムを改革する中で再整備するほかありません。
 人生八十年時代に、六十歳から二十年間の引退生活では余りにも長過ぎます。体力的にも六十歳はまだまだ第一線の余力を十分に残しております。この六十歳以降の年齢層の経験、実力、活力を社会的に生かすことは、少子・高齢時代の緊急課題であります。また、それは生きがい問題や健康に老いるという医療問題にも深くかかわるものでもあります。
 例えば、学校の教師は現在、大学新卒者から採用され、すぐに教育の第一線を担当することになっていますが、社会の各分野で活躍する人材や、さらには企業の定年退職者を雇用できる制度を導入したり、海外勤務した経験を持つ高齢者を外国語教師として使うなどの工夫をして、六十五歳や七十歳までの人材有効活用が各分野で進めば、学校教育の内容も一層充実し、また高齢社会も一変することでしょう。仮に、六十五歳まで確実に職場が保障されて所得があれば、年金生活者が一転して社会保険料と所得税の払い手になり、年金保険料の計算も大きく変わって余裕が出てくることにもなります。
 さらに、出生率の低下は人口構成に大きなゆがみを招き、高齢社会の経済的負担が働く世代に重くのしかかり、国の将来を危うくすると危惧されております。
 少子化に悩んだ先進諸国では、これまでさまざまな子育て支援策を講じてきております。スウェーデンでは一九八三年の合計特殊出生率が一・六一と今日の我が国のように低い水準でした。しかし、四百五十日の育児休業を保障し、しかも最初の三百六十日は給与の九〇%の所得保障をするという徹底した育児休業制度を実施しました。その結果、一九九〇年には二・一四にまで上昇しております。また、フランスでは第三子以降を対象にさまざまな手当てを講じています。
 我が国は、一九九二年に育児休業法を施行し、一九九五年には緊急保育五カ年計画を策定するなど少子化対策に着手はしておりますが、育児休業法でも所得保障が給与のわずか二五%と不十分であり、まことに心細い限りであります。
 総理、このように年金、医療、介護、子育て支援など社会保障制度については、雇用制度や教育制度、さらには女性の権利を守る男女共同参画社会の実現のための法整備、市民による幅広い公益活動を真に支援するためのNPO法の制定などと連動させて、社会システムの改革の一環として総合的に進めるべきであると考えますが、総理の御見解を具体的にお伺いいたします。
 次に、教育問題についてお伺いいたします。
 全国に大きな衝撃を与えた神戸市の児童連続殺傷事件、そして先月二十八日には、中学生がナイフで女性教師を殺害するという痛ましい事件が起きました。その後、中学生がけん銃欲しさに現職の警官をナイフで襲撃したり、女子中学生二人が六十九歳の男性に暴行を加え死亡させるなど、子供たちの事件が続発しております。
 これに対して文部省は、所持品調査や問題ある生徒に対して出席停止の措置を積極的に活用するなど、いわゆる管理体制の強化ありきの対策を講じようとしておりますが、それは一時しのぎの対策にすぎず、根本的な解決には到底なり得ません。さらに陰湿ないじめの事件も、また子供たちがみずからの命を絶つケースも後を絶ちません。一体何がこのような結果をもたらしているのでしょうか。
 戦後、日本はひたすら経済大国を目指してまいりました。経済優先社会、物と金優先の社会の中での勝者を育てる教育だったと言っても過言ではありません。その教育の中で最も優秀でエリートコースを走ってきたエリートたちが、政界、官界、財界の指導者層に身を置いて、特権と利権をむさぼり、平然と汚職に手を染め、不正を働き、うそを重ねる。
 こうした一部エリートの人たちは、子供たちに、自分が得をするためであれば不正や違法を働いても構わない、エリートになれば特権の甘い汁を吸っていいんだ、正直者はばかを見る社会なんだと身をもって教えているようなものであります。子供たちが将来に、人生に、夢も希望も持てない姿を見せつけているのであります。これが日本の教育が育てたエリートの姿であるとすれば、これほどの本末転倒の教育はないと私は思います。高度の教育を受ければ受けるほど、エリートになればなるほど、それは人々と社会に貢献する義務と責任が大きくなる、そうした高い精神性を育てる教育に転換しなければならないと思います。
 今一番求められているのは、子供たちの持つ多様な個性と能力を評価し、伸ばし、そして人間としてのよりよき生き方を教える心の教育であり、人間教育であります。そして二十一世紀の激動の時代を子供たちが真っすぐに、強く、そして心豊かに生き抜いていくための強靱で豊かな心を培う訓練と、他の人々の痛みに思いをはせる心や生命を大事にする優しい心をはぐくむ教育環境を実現することであります。
 しかも、できるところから直ちに実行していく決断が大事であり、そのことが政治に求められているのではないでしょうか。現在、中央教育審議会においても、心の教育について時間をかけながら学術的な議論を重ねているようですが、私はまず、できる分野から子供の心を鍛えはぐくむ教育の具体策を講ずるべきであると思います。
 くしくもクリントン・アメリカ大統領は、年頭の一般教書で、ことし生まれる子供たちは二十二世紀への責任を負う世代であると語り、二十二世紀以降の歴史への準備にも触れました。そして二十一世紀の人材育成の一環として、教育改革では、良質な教員と小規模学級をテーマに新たに十万人の教員を採用し、小学一年から三年の学級定員をこれまでの二十二人から十八人に縮小すると発表しています。教育については長期的展望のもと、具体的施策を講ずることが特に要請されます。
 そこで、私は次の二つの提案をさせていただきます。
 提案の第一は、小中学校の児童生徒等に対し、ボランティア活動を初め、社会の実体験活動を必修科目とし、人間教育、すなわち心の教育を充実させることです。例えば、地域の社会福祉施設のお手伝いやひとり暮らしのお年寄り宅への訪問を行うなど、人と触れ合う中で優しい心をはぐくむヒューマニズム豊かな実践教育を行うべきです。中学生及び高校生においては、専門家による研修を実施した上で介護のお手伝いなどを行うこともよいと思います。さまざまな仕事の現場に触れさせることも大事でしょう。
 第二は、二十人から二十五人学級を順次実現し、教師の負担軽減ときめ細かな教育を実施することであります。現在、空き教室の数は小中学校合わせて全国で五万七千百九十七教室もあります。この空き教室を活用するだけで、現在の学級数よりも一三%も増加できるのです。今後、少子化に伴い、この空き教室はますますふえると言われています。
 この空き教室を活用して二十人から二十五人学級が実現できれば、子供たち一人一人の悩みや相談にも教師が十分に対応できる教育環境が整備されます。また、ホームルームや道徳の時間においても、命のとうとさや人権の尊重などについて子供たちが意見を述べる機会が拡大いたします。意見を述べることにより、他人事ではなく身近な問題として真剣に考える力がついてきます。覚せい剤や麻薬の恐ろしさ、戦争の悲惨さ、環境の大切さなどについて、ビデオを活用しての教育も効果を上げているとの報告もあります。
 以上、二つの提案について総理の御見解をお伺いいたします。
 次に、平和外交についてお伺いいたします。
 現在、国際社会が抱える諸問題の平和的解決や世界経済の持続的発展において、我が国の積極的な役割が強く求められております。我が国の経済力、技術力を存分に生かしながら、世界の平和と繁栄の確保、紛争の原因となる国際間の相互不信や貧困、環境問題等の解決に向け、一層の貢献を果たすべきときであります。
 特に、今世紀の象徴として言われた戦争の世紀を次世紀に引き継がせないためにも、我が国は核兵器の廃絶を目指し、核兵器等の大量破壊兵器やミサイルの拡散防止体制の強化など世界的な軍縮に積極的に貢献し、核のない世界、戦争のない世界の実現に寄与すべきであります。
 このような観点から、五月に開かれるバーミンガム・サミットにおいて、核保有五カ国に対し、核兵器全面撤廃のための廃絶スケジュールの策定と、一兆ドルとも言われる膨大な世界の軍事支出の削減を目指した軍縮アクションプログラムの策定を積極的に提起してはいかがでしょうか。総理のお考えをお伺いいたします。
 今回、G7からロシアを加えたG8へと正式に移行されます。歓迎すべきことと考えます。さらに、冷戦時代に誕生したサミットをより現実的でより確実で望ましいものにするために、中国やインドなどを加えた形で現行のサミットの枠を広げて、先進国首脳会議を仮称責任国首脳会議へと発展的に改編することを提案されてはいかがでしょうか。この中国とインドの二カ国の人口だけで全世界の人口のおよそ三分の一にもなり、それぞれ長い歴史を持ち、多様な民族を抱える社会を形成していること等を勘案しますと、サミットに中国とインドを加えることは大変望ましいことではないでしょうか。
 総理、バーミンガム・サミットにおいて、この責任国首脳会議構想をぜひ御提案していただきたいと思いますが、御見解をお伺いいたします。
 次に、環境問題についてお伺いいたします。
 我が国は、かつて激甚な公害を生み、そしてそれを乗り越えてきましたが、今直面している都市生活型公害や地球環境問題への取り組みでは欧米の環境先進国に大きくおくれをとっております。昨年十二月に開かれた地球温暖化防止京都会議への政府の対応も、国会における議論を無視し、同会議成功に向けた国民の盛り上がりに水を差した、まさに国民不在の密室協議以外の何物でもなかったと言わざるを得ません。
 地球温暖化問題のほかにも多くの環境汚染が顕在化しております。中でも、有害化学物質汚染は生物の発育や生殖機能に異常を引き起こすとされており、極めて深刻な問題であります。先進諸国に比べ日本の対応がおくれているダイオキシン、PCB、有機すず化合物等の有害化学物質などは、特に妊婦や子供に大変悪い影響をもたらすと言われております。
 私は、現在定められているすべての環境基準を子供や乳幼児を対象にした環境基準に全面的に早急に見直すことを提案したいと思います。発育途上の子供たちは環境汚染の影響を一番大きく真っ先に受けるからで、現在の基準では子供たちを保護するのに不十分だからです。
 また、近年、ごみ焼却施設などから発生するダイオキシン類による汚染が全国的に深刻な社会問題となっております。殊に、母乳のダイオキシン汚染と、それによる母子感染の不安と恐怖が多くの母親の間に広がっております。
 我が国における大気中のダイオキシン濃度は、諸外国に比べはるかに高い数値を示しております。ダイオキシン類は史上最強の猛毒と言われ、サリンの二倍、青酸カリの一万倍の急性毒性を持つとされております。その毒性については、世界保健機構の国際がん研究機関から昨年、ヒトに対して発がん性があると断定されました。そのほか、催奇形性、生殖毒性、免疫毒性など多岐にわたる毒性が報告されております。
 アメリカでベストセラーとなり、昨年末、日本でも翻訳、出版された「奪われし未来」と題する本でも、ダイオキシン類、PCB、有機すず化合物等の有害化学物質が環境ホルモンとして作用し、不妊症、乳がん、野生生物の奇形などさまざまな生命への悪影響が報告され、このままではヒトという種の未来が確実に奪われると警告しております。
 公明は、生命、生活、生存を最大に尊重する観点から党内にダイオキシン問題対策本部を設置し、この国民的緊急課題に精力的に取り組んできたところであります。一刻の猶予もできません。諸外国では既に本格的な取り組みの段階に入っております。ところが、我が国はようやく重い腰をゆっくりと上げた段階であります。
 総理は、さきの施政方針演説でも一応はこのことに触れてはおられますが、平成十年度予算案におけるダイオキシン対策費を見ますと、政府の取り組みは単なる言葉だけで全く不十分な対応であります。
 こうしたことから見ても、総理にはダイオキシン類や環境ホルモンの毒性に対する認識が欠如していると言わざるを得ません。このままでは、悲惨な結果を生んだ水俣病やイタイイタイ病の二の舞、あるいはそれらをはるかに上回る規模の事態になりかねないと思われますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 さらに、日常の生活環境にまで汚染の拡大が進むこれら有害性のある化学物質汚染に対し、実態の早期解明と使用、排出規制の抜本的強化、安全性に関する消費者への情報公開を強く求めます。総理の御所見をお伺いいたします。
 最後に、お金の使い方を見れば、その人の価値観や人となりがわかるとよく言われます。国も全く同じであります。税金の使い道である予算を見れば、その国が、その時の政府が、政権が何を優先させ、何を大事にしているかがよくわかります。巨額の税金がつぎ込まれてきた公共事業には、むだや不要のものが多かったと指摘されてまいりました。
 さらに、住専や金融機関などに代表される、いわゆる政官業の癒着と批判の多い業界には多額の公的資金を投入し、他方で、国民へのツケ回しは目に余り、殊に高齢者や難病に苦しむ人々までも医療負担を増大させ、あるいは阪神・淡路大震災の被災者への個人補償には公的資金は使わないなど、橋本政権がいかに国民に背を向けた政治をしているか、予算案一つをとってみても一目瞭然であります。
 国民無視の橋本内閣の早期退陣を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(橋本龍太郎君) 浜四津議員にお答えを申し上げます。
 まず、イラクを初め関係各国に対する働きかけ、最大限の外交努力についての御要望がございました。
 これに関連し、アナン事務総長のイラク訪問についてもお尋ねがございましたが、事態の外交的な解決のための決定的な機会となる本件訪問が成功いたしますように、昨日、小渕外務大臣からアナン事務総長に対し、我が国の支持を伝達するとともに、また柳井外務事務次官から在京イラク臨時代理大使に、イラクが本件訪問を重く受けとめて関連安保理決議を遵守するよう強く要請をいたしたところであり、さらに、関係各国に対しましても、イラクへの働きかけを促しておるところでございます。この努力が実りますことを議員同様私も心から願っております。
 また、紛争の平和的解決について、国連を中心とした普遍的なルールをという御意見をいただきました。
 我が国は従来から紛争の予防、解決を重視しており、各地の紛争の解決及びその分野での国連の機能強化に取り組んでおります。本年一月には、九六年九月私が提案をいたしました紛争予防戦略に関する東京国際会議を開催いたしましたが、政府としては、各国と協力をしながら、この会合においてまとめられました報告に盛り込まれた具体的政策の早期実現に努めてまいりたいと思います。
 次に、アメリカ及びイギリスの徹底した行政改革と規制緩和、そしてそれを前提にした景気回復への努力というものを御紹介になりながら、これを日本にどう生かしていくのか、そうしたお尋ねがございました。
 両国におきましては、規制緩和、撤廃やさまざまな構造改革を進めたことが今日の景気拡大の基礎をつくったと思います。もとより政策はさまざまな条件や環境に応じて国ごとに考慮されるものでありますが、我が国としても、行政改革、財政構造改革、経済構造改革等を強力に進め、強靱で活力に満ちた経済の実現を図ってまいりたいと考えております。
 また、昨年十一月、「二十一世紀を切りひらく緊急経済対策」を取りまとめ、十二月には経済構造の変革と創造のための行動計画のフォローアップを行うなど、抜本的な規制緩和を推進してまいっておりますが、今後さらに、新たな規制緩和推進三カ年計画の策定など、規制の撤廃と緩和に努めてまいります。
 また、御党御自身の調査結果も踏まえられた上での、深刻な不況を打開するために早期是正措置を抜本的に見直し、貸し渋りの早期解消を図れという御指摘をいただきました。
 早期是正措置というものが、金融システムの健全性確保と金融行政の透明性確保の両面から、不可欠な制度であるということはお認めをいただけると思います。
 また、いわゆる貸し渋りへの対応につきましては、政府としてでき得る限りのあらゆる方策を措置していくことが必要と考え、さまざまな政策を講じているところでありますが、御党の御調査の結果からも、御助言をいただけるところがあればぜひお教えをいただきたい。そして少しでもそうした声にこたえてまいりたいと考えております。
 次に、総額十兆円規模の減税というお尋ねがございました。
 この実施は、後世代への負担の先送りである特例公債の大量発行を伴うという問題があります。また、我が国の租税負担率が欧州諸国に比べてかなり低い水準にある中で、税負担のあり方としても問題があると思います。
 また、個人所得課税、法人課税についても御指摘をいただきました。
 税制については、公平、中立、簡素という租税の基本的な考え方に基づいて、経済社会の構造変化に対応し、より望ましい姿を考えていく必要があると考えております。
 また、公務員と業界の癒着や汚職の再発を防止するために、公務員倫理法の早期制定を含めて、公務員制度の抜本的な見直しが必要という御指摘をいただきました。
 政府として、この事態を厳粛に受けとめながら、いわゆる公務員倫理法の制定を期し、現在、鋭意検討を行っております。
 一方、公務員制度調査会におきましては、平成十年度内の基本答申に向け、国民の信頼確保等を目指し、長期的、総合的観点に立った公務員制度全般の見直しを進めていただいており、公務員のライフサイクルを含めて、きちんとした答えを出していきたいと考えております。
 また、財政と金融の分離問題についてお尋ねがございました。
 この問題につきましては、与党三党間におきまして議論が尽くされ、その結果として先般合意がまとめられました。中央省庁等改革基本法案にはこの与党の合意の内容を忠実に盛り込み、国会に提出をさせていただいております。
 次に、社会保障制度について、雇用制度や教育制度、さらには男女共同参画社会の実現のための法整備、NPO法の制定などと連動させて、社会システム改革の一環として総合的に進めるべき、そのような御指摘をいただきました。
 私は、基本的にその御意見に異論を申すものではありません。その上で、社会保障というものの制度が今後ともに国民生活のセーフティーネットとしての役割を果たせますように、国民意識の変化、多様化、さらに女性の社会進出など社会経済の変化に十分対応しながら改革を進めていきたいと思います。
 その際、御指摘がありましたように、これは公務員のライフサイクルの問題と関連する部分もございますが、退職後の所得保障あるいは障害者、高齢者の社会参加、子育て支援など、雇用、教育等の施策と連携しなければ十分な実効性が上がらない分野もありますことから、ボランティアの振興も含めて関連施策の連携を積極的に進めながら、総合的な対応を行っていきたいと考えております。
 次に、教育に関して、二つの御提案を含め詳細にお考えをお聞かせいただきました。
 議員も御指摘をされましたように、他人と協調し、他人を思いやる心豊かな人間をどう育成していくのか、また、社会に奉仕する精神を身につけて、同時にみずからを高めていくためには、ボランティア活動などの体験活動が極めて有意義であるという御指摘は私もそのとおりだと思います。現在でも学校教育活動の一環としてボランティア活動が行われておりますけれども、今後、教育課程審議会の審議を踏まえて、一層その充実を図っていきたいと考えております。
 また、公立小中学校等の学級編制及び教職員配置につきましては、平成九年五月の一学級当たりの児童生徒数の全国平均を見ましても、小学校が二十七・七人、中学校が三十二・九人、数次にわたり、法律に基づき計画的な改善を図ってまいりました。
 平成五年度から実施しております現在の改善計画におきましては、グループ別指導あるいは習熟度別指導など、少人数の学習集団できめ細かな指導をすることができるような教職員配置の改善を図っているところでございます。
 次に、バーミンガム・サミットについての御提言をいただきました。
 我が国としては、軍縮推進というものを積極的に主張し、特に、核兵器のない世界を目指して現実的な核軍縮措置を進めるという観点から、カットオフ条約交渉の早期開始を今回も訴えたいと思います。
 なお、議員からG8に中国、インドなどを加える、そうした提案をちょうだいいたしました。サミットのプロセスの中におきまして、中国、インドの参加に関する話し合いというものは一切まだ行われたことはございません。また同時に、両国からも現在のところ参加の意向は表明されておらないことを申し添えます。(「あなたの考えを聞いているんじゃないの」と呼ぶ者あり)考えは申し上げたところであります。
 また、環境基準を全面的に見直してはどうかという御指摘をいただきました。
 大気汚染や水質汚濁等から人の健康を保護するために、子供等の弱者に配慮し、これまでも必要に応じ基準の設定、見直しに努めてきたことは議員御承知のとおりであり、今後とも人の健康を保護する観点から、科学的知見の収集に努めて、不断に見直しの作業を行ってまいりたいと思います。
 また、有害化学物質による汚染対策についてのお尋ねがございました。
 政府として重要な課題と認識し、実態の解明や規制の強化、情報公開等に努めているところであります。
 ダイオキシンにつきましては、廃棄物焼却炉等に係る排出規制等、各般の施策を進めており、また環境ホルモンにつきましては、諸外国との連携のもとに調査研究を進めるべく、予算案で重点的に措置をさせていただきました。
 環境問題について議員から大きく二つの御意見をいただいたわけでありますが、私も、現状をほうっておいていいのか、そうした問題意識から施政方針演説において問題提起をさせていただきました。
 今後ともこれらの問題について注意深く関心を持ちながら、必要な対策をとってまいりたいと考え、議員の御協力を心からお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(斎藤十朗君) 梶原敬義君。
   〔梶原敬義君登壇、拍手〕
#7
○梶原敬義君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、橋本総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 質問に先立ち、橋本総理を激励いたします。
 私の郷土の先輩であります村山前総理が総理大臣就任後、思いがけない大きな災害や事件が次々と続きました。阪神・淡路大震災、オウム真理教による地下鉄サリン事件、沖縄の米海兵隊員による少女暴行事件や住専の破綻等々でありました。これらに対し、村山さんは懸命に対処し、戦後問題の処理や被爆者援護法制定、水俣病問題の解決など前向きな政治運営をされたことを忘れることはできません。
 一方、橋本さんが総理に就任された後は、人がかわればこんなにうまくいくものかと思えるほど順調な船出でありました。しかし、昨年十月の第二次橋本改造内閣の組閣以降は深刻なイバラの道が続いております。
 橋本総理におかれましては、体に気をつけられて、国家国民のためによい政治のかじ取りをしていただきますように、心から念願する次第であります。
 まず、政府の経済運営についてお尋ねいたします。
 我が国は、かつて狂乱インフレと今回のバブル経済という二度の経済的大混乱を経験しました。その間、第二次オイルショックや幾たびかの景気変動を経てまいりましたが、その都度、もっとなだらかな経済運営はできないものかと思ったのは私だけではないと思います。
 でこぼこ道をアクセルを踏み込んでガソリンを吹かせて走るかと思うと、急ブレーキをかけるような経済運営には強い不信感を抱いてきました。今回の異常なバブル経済の放置、その後のドラスチックなバブルつぶしを見ると、国の経済政策は一体どうなっているのかと言いたくなります。上り下りはあっても、高原のハイウエーをなだらかに走っていくような経済運営が何ゆえにできないのですか、どこに問題があるのですか、総理並びに経済企画庁長官にお尋ねいたします。
 次に、金融問題について伺います。
 景気は大不況寸前の状況になっており、金融恐慌前夜とも言われているこの状況のもとにおいて、先般、預金保険法改正等金融二法が成立し、公的資金の導入が図られたことは、今後の金融システム安定と景気回復のためにはやむを得ぬ措置だと考えます。
 しかし、優先株購入等の公的資金導入には、恵まれ過ぎている銀行の役員の報酬の見直し等の、みずからの徹底した内部努力はもちろんのことでありますが、膨大な不良債権を発生させた金融機関関係者の過去の責任を明確にすることが大前提でなければ国民の納得は得られません。この点について、まず総理の見解を求めます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 一方、中曽根民活から始まるバブル経済と、膨大な不良債権の発生を今まで放置してきた政治にも責任の一端はありますが、金融行政にも大きな反省が求められなければなりません。大蔵省のOBに続き、現職の金融検査官までが収賄容疑で逮捕される事態を招いたことは、単なる個人のモラルの問題を超えた大蔵省の構造的腐敗と言っても過言ではありません。
 構造的腐敗の最大の原因が大蔵省の持つ巨大な権限にあることは明らかであります。そのためには、与党間で合意をしました財政と金融の完全分離を断行するべきでありますが、「当分の間」という表現についても、もうここに至っては時期を明確にすべきと思いますが、総理と大蔵大臣の決意を伺います。
 大蔵省は、遅まきながら今回の事件の発生直後、金融服務監査官を新設しましたが、これは法令に基づかない内部の模様がえにすぎず、大蔵省に自浄能力がないことは過去の実績から明白であり、事件の再発防止の実効性は到底期待できません。むしろ、公認会計士を金融検査官として採用するなど、この際外部の人材登用を考えるべきだと思いますが、総理の見解を求めます。
 官民の癒着は大蔵省に限ったことではありません。一昨年の社会福祉法人への補助金をめぐる厚生官僚の汚職事件は、私たちの記憶に新しいところです。橋本総理は、施政方針演説で、不祥事を繰り返す土壌を根本から改め、さらに、いわゆる公務員倫理法制定を期すと述べられました。政府の立法に向けての作業はどの程度まで進んでいるのですか、お尋ねいたします。あわせて、その場合、人事院など中立性の高い機関に公務員倫理に関する審査機構や外部監査システムを採用することも考えられますが、いかがですか、お尋ねします。
 次に、景気対策について伺います。
 振り返ってみますと、昨年は行政改革、財政構造改革の論議に明け暮れた一年でありました。総理の改革にかける並々ならぬ決意が財政史上例を見ない財政構造改革法を成立させたことは、大きな成果として高く評価するものであります。
 しかし、その一方では、行財政改革に気をとられる余りに、国民生活の基盤である生きた経済、景気の動向を見失い、結果として経済政策の運営が手薄になってしまったという反省もしなければならないと思うのであります。
 政府の経済見通しは大きく外れ、個人消費は回復するどころかさらに落ち込み、景気はずるずると後退を続けてまいりました。加えて、大手の金融機関が相次いで経営破綻に追い込まれ、金融システムに対する不安と不信に日本列島全域が覆われ、それがまた株価の低迷や円安を引き起こすなど、経済の活動を萎縮させるという悪循環に陥ったのであります。
 当初一・九%を見込んでいた経済成長率は、わずか〇・一%に修正せざるを得ない状況でありますが、何ゆえこれほどまでに見通しが間違ったのですか。政府の経済、景気の見方に反省すべき点があると思うのであります。今後、このような誤りを犯さないためにどのような対策をとるのか、率直にお示しください。以上、経済企画庁長官にお尋ねいたします。
 今日の膨大な財政赤字は長年かかって累積したものであることからも、財政構造改革は本来相当中長期にわたって取り組むべきものでありますが、財政健全化の年度を当初案の二〇〇五年から二〇〇三年に早めてみたり、特殊法人改革で住宅金融公庫の活動を大幅に制限したり、今思えば財政健全化に心を奪われ過ぎて、気負いばかりが目立っていたと思いますが、総理、いかがでしょうか。
 景気が悪くなれば税収も落ち込み、財政はますます悪化し、財政の均衡もなかなか難しくなってまいります。今必要なことは、昨年十一月の緊急経済対策を早急に実施に移すことは当然でありますが、なお我が国の金融システムが完全に国民の信頼を取り戻すまでは、金融システム対策に万全を期すと同時に、恐れることなく追加の景気対策に敢然として取り組むことが極めて重要であります。
 株価も上向きかげんになり、一時期のすべてが下向きになっていたムードに歯どめがかかり始めたこの時期に、二兆円の特別減税を恒久減税に切りかえることをこの場で表明なさってはいかがですか。
 さらに、冷え切った消費を回復させるには、低所得者に大きな負担となっている消費税の飲食料品への課税をやめて非課税とすることが是が非でも必要であります。既に欧州各国ではごく普通に行われている飲食料品への非課税こそ消費回復の切り札と信じますが、総理の英断を期待するものであります。
 さらに、景気対策について私の提案をしたいと思います。住宅問題であります。
 国土の狭い我が国で、特に大都市では住宅の質は今もって改善されておりません。また、建てかえやリフォームの時期の来ているものは全国で千二百万戸ぐらいあると言われております。住宅への潜在需要は消費税引き上げ前の駆け込み需要が予想以上に大きかったことを見ても明らかであります。
 戦後の日本は、国民の努力により、着る物と食べる物については相当に改善されましたが、先進国の中でもまだまだおくれているのが住宅であることは言うまでもありません。土地も安くなり、金利もかつてなく低い今が安くて良質で人に優しい住まいづくりの絶好のチャンスであります。
 世界の国々から、日本はバブルが崩壊した後の平成の大不況の折、狭隘な住宅環境から良質で広い住宅環境へ変わった、国が政策的な誘導を行った結果であり、あわせて内需を拡大させ国の景気も立ち直ったと言われるぐらいのことを今行うべきであります。
 国民が住宅に投資をするためには、雇用の心配や年金の不安がなく、将来の生活設計ができる状態がまず必要でありますが、あわせて住宅金融公庫を行政改革の対象とした閣議決定をもとに戻し、融資枠の拡大と、さらに貸し出し条件を緩和することであります。
 加えて、住宅の取得に関しては消費税を非課税にすべきであります。消費税をなくすことによって子供部屋が一部屋ふえることになるでしょう。総理、大蔵大臣、真剣に検討してください。いかがですか。
 私は、今の時点では内需拡大による景気対策にとって、住宅投資ほど大きな効果のあるものはほかにないと確信しております。住宅建設の波及効果は向こう三年間で二・三倍と推定され、関連業種は八百業種に及びます。なお、住宅金融公庫には政府の資金運用部資金からの借り入れと貸し出しの利ざやが〇・八%あり、当面政府からの支出は不必要であります。政府は内需拡大策として最小の費用で最大の効果を上げ得るのであります。
 公営住宅の建てかえや、震災に遭った阪神地区の住宅建設を急ぐ等も含めて、当面、年三十万戸の追加住宅建設を図ることを提案いたします。向こう三年間で国内総生産を四%ぐらいは引き上げる効果が出てくるものと考えます。豊かな生活と内需拡大による景気対策として住宅投資への積極的な支援を提案いたしますが、総理、いかがですか。感想をお聞かせください。
 次に、少子・高齢化、年金、医療、雇用問題について若干お尋ねいたします。
 少子化、高齢化の進行とその影響は、国の将来を左右する極めて重要な課題であります。とりわけ、子育て支援のため、保育サービスの拡充や、職業と育児の両立を図る労働時間の短縮あるいは住宅の保障並びに子育て減税など、子育て世代に対する経済的負担の軽減、同時に児童手当の確立など総合的な政策対応が求められております。そのためには、厚生省任せではなく、内閣に総理大臣直属の少子化問題総合対策推進本部のような機関を設置して、全国の知事や市町村長さんとも十分連絡をとり合い、国を挙げての強力な施策を急ぐべきと考えますが、総理の所見を伺います。
 次に、医療、介護、年金についてお尋ねいたします。
 高齢化社会を目前にして、目をみはるばかりの医療費の増大や年金財政の逼迫が私たちの将来に対する不安感を増幅しております。年金受給年齢に達したとき、約束された年金がもらえるのかどうかといった不安を解消するため、総理は、公的年金が加入者と国の正式な契約であることを改めて確認し、現在の給付水準を断固維持することを宣言すべきではないでしょうか。
 さきの国会でようやく介護保険法が成立し、二〇〇〇年から実施されることになりましたが、これらの課題は総合的な施策の展開を必要とすることは言うまでもありません。医療保険と介護保険については、将来これを一体的に運営していくお考えがあるのか否か、総理の見解をお尋ねいたします。
 これらに関連して、高齢者雇用についてお尋ねいたします。
 健康で働く意欲のある高齢者がたくさんいることは御承知のとおりであります。高齢者雇用を促進することは、健康で働く意欲のある人々の生きがいの問題でもあり、結果として福祉費用の軽減につながるわけでありますので、この問題への一層の取り組みをお願いしたいと思います。労働大臣の決意をお伺いいたします。
 人間らしい労働基準の確立と直面する雇用不安に対し、ワークシェアリングの観点から労働法制を見直すことが求められています。一方、政府の労働基準法改正案は、例えば労働大臣の定める時間外労働の上限基準の法的担保がなく、女性のみの保護規定の解消に伴う激変緩和の措置もまた同様であります。深夜労働の新たな規制については、政府がこれから実態調査に取り組むという段階のため見送られてしまいました。これでは二十一世紀を展望した労働法制としては、遺憾ながら不十分だと言わざるを得ません。
 社会民主党は、国会審議を通じて、これらの点にはなお引き続き労働者の権利擁護の立場から議論を深めていく所存ですが、労働者の権利を守る立場の労働省においても、この趣旨を踏まえた検討が行われることを期待します。総理並びに労働大臣の見解をお伺いいたします。
 次に、農業問題についてお尋ねします。
 先日、インドネシアが日本に米の支援を打診してきたと伝えられています。アジア各国で予想される深刻な食糧事情から見て、このようなことは今後もしばしば起こると思われます。政府は、この要請に積極的に応じるとともに、食糧をめぐるアジアの相互援助関係を確立するよう努めるべきではないでしょうか。また、WTO農業協定の再交渉に当たっては、新たな農業基本法に向けたこれまでの作業を踏まえて方針を明らかにすべき段階にあると考えますが、総理の御見解を伺います。
 総理の諮問機関である食料・農業・農村基本問題調査会は、昨年十二月に中間取りまとめを行い、我が国の食糧自給率は先進国の中でも極めて低い水準であり、また、世界の食糧需給は短期的には不安定さを増すとともに、中長期的には逼迫することもあるとしております。したがって、身近なところで安全な食糧を安定的に確保する体制確立を急がなければなりません。また、中山間地の直接所得補償は、価格政策よりも所得政策という世界的な潮流の中で、ヨーロッパ諸国で既に長い間実施されており、我が国においても一刻も猶予のできないことと思います。総理の御所見を伺います。
 次に、地球温暖化防止対策について伺います。
 昨年十二月の京都会議において、我が国は二〇一〇年には一九九〇年時点からマイナス六%、現時点から実質一五%もの温室効果ガス削減の国際的義務を果たしていかなければならなくなりました。しかし、我が国の対応と削減に向けた取り組みは大きく出おくれており、どの部門でどの程度削減するのかフレームが決まっていないのみならず、削減の手法、法制度なども統一がとれているとは到底言いがたい状況にあります。少なくとも、削減の枠組みを早急に決めるべきではないでしょうか。決定された枠組みに基づき、法制度や太陽光発電などの新エネルギー対策など、必要な対策と予算措置を早急にさらに講じていく必要があると思いますが、総理の決意をお伺いいたします。
 次に、外交課題についてでありますが、私は、我が国は日米関係を基軸としつつも、日中、日ロ関係のさらなる発展、朝鮮半島の安定化に向けた努力、東南アジア諸国との関係強化など、今こそ近隣諸国との積極外交がますます重要になっていると確信をいたします。
 総理は既にユーラシア外交を提唱され、日ロ三原則、日中四原則などを表明しておりますが、この際、改めて日本外交に取り組む総理のお考えをお伺いいたします。
 日本国憲法の精神と原理原則を忘れることなく尊重し、厳格に守って日本外交を進めるべきことは、国民から外交を負託されたすべての者に課せられた重い責務であります。橋本総理はもちろんこのことを常に心に置き外交に携わっておられることと思いますが、あえて気がかりを申し上げれば、これから本格化する新しい日米防衛協力ガイドラインの具体化作業に関してであります。
 これまでの与党間協議あるいは国会質疑を通じても、協力の範囲、後方支援、機雷除去、船舶の臨検など、なお心配されることが多くあります。日米間では、いよいよ日本有事と周辺有事に備えた自衛隊と米軍の実際の行動計画や関連法整備などを進めようとしておりますが、憲法の精神と原理原則が貫徹されるかどうか、国民は注視をしております。そのためにも、作業の透明性を担保し、シビリアンコントロールの見地から、国会への情報公開が重要であると思います。総理、いかがでしょうか。
 また、沖縄普天間基地の返還、代替海上ヘリポート基地の建設をめぐっては、橋本政権、名護市、そして沖縄県、三者三様に苦渋の選択を強いられているわけでありますが、橋本総理におかれましては、沖縄県知事、沖縄県民の意思をそんたくし、焦らずに対応していただきたいと存じます。
 さらに申し上げれば、普天間基地の問題は、根本的には朝鮮半島の安定など、アジア太平洋地域の不安定要因の除去といった方向性を見定めながら、沖縄駐留海兵隊の縮小につなげていく外交を展開する中で解決できるものと確信いたしております。総理の御認識を伺います。
 今年、国民が最も関心を寄せているのは日ロ関係であります。昨年、橋本総理とエリツィン大統領の合意に基づいて、二〇〇〇年までに平和条約を締結するよう全力を尽くすための第一歩が一月二十二日の次官級協議でスタートし、続いて小渕外務大臣がロシアを訪問し、第一回平和条約交渉を行い、さらにエリツィン大統領の来日、橋本総理の再度の訪ロも予定されております。
 我が国国民の長年の悲願である北方領土問題の解決、日ロ平和条約締結への期待がこれまでになく高まっているのであります。この悲願達成に向けて、今後どのような交渉を進めていかれるのか、総理、外務大臣の御見解を伺います。
 日韓関係の前途はやや不透明であります。金大中氏が次期大統領に就任するこの機会に、新たな日韓関係の構築が望まれるのでありますが、日韓漁業協定の終了通告によって反日感情の高まりが心配されます。我が国漁業関係者の心情を考えても、終了通告はやや唐突な感は否めませんが、問題解決に向けた総理の決意をお聞きしたいと存じます。
 さらに、昨日の韓国の報道によりますと、金大中氏拉致事件について、韓国政府の公的機関の関与を認める真相が伝えられていますが、そうなると日本の主権が侵されたことになります。政府のお考えをお聞かせください。総理にお尋ねいたします。
 また、北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国との関係についてお伺いします。
 北朝鮮当局者の発言によりますと、去年の十月から今年の九月まで、同国の食糧はその六〇%が不足しているということであります。人道的見地から、我が国は今後いかなる支援をしていく用意があるか、お聞かせください。さらに、日朝国交正常化交渉再開のめどはどうなっておりますか。外務大臣にお尋ねいたします。
 私がここで特に強調しておきたいことは、我が国を含むアジア太平洋地域の平和と安定、そして繁栄にとって朝鮮半島の安定化は極めて重要であります。特に、北朝鮮の動向はこの地域において決定的意味を持っていると思うからであります。そこで、日本はこれまで以上に積極的な外交を展開し、北朝鮮の人々が世界の情報を瞬時にしてとらえることができるようにするなど、開かれた北朝鮮を目指して努力すべきであると思います。総理のお考えをお聞かせ願います。
 外交問題の最後に、イラク情勢への対応について伺います。
 イラクが国連決議に基づく査察を受け入れる義務を怠っていることは明白であります。しかし、直ちに湾岸戦争の再来へと直結させてよいのか、別に道はないのか、政府としての考え方、今後の対応について総理から御説明をお願いいたします。
 最後になりますが、さきの橋本総理の施政方針演説の中で深く心に残ったことがあります。それは、相当の分量を割いて子供の問題、教育のあり方について述べられたことであります。
 特に、進学率が上昇する中で受験競争やいじめ、登校拒否、さらには青少年の非行問題が極めて深刻であり、子供たちは悩み、救いを求めていると述べられ、問題に真っ正面から取り組む姿勢がうかがえます。
 また、私たちはいわゆるよい子の型にはめようとする親と教師になってはいないか、偏差値より個性を大切にする教育、心の教育云々と警告を発せられておりますが、全く同感であります。
 私は、幼稚園や小学校のときから塾通いをさせて、遊び盛りの、あるいは育ち盛りの子供の自由を奪っている今の社会の姿は間違っていると思うのであります。また、学校で余りにも多くのことを子供に詰め込もうとするところに問題があるのではないでしょうか。最小限必要なもの以外は極力圧縮すべきではないか。現行四十人学級で行き届いた教育を求めても無理であります。まず当面、第一段階として三十五人学級の実現に踏み切るべきだと思います。
 そして、先生と生徒の意思疎通ができ、屋外での教育の機会もふやし、さらには自然や動植物に接し、優しい心をはぐくむ教育の創造こそ大事ではないのですか。家庭と学校とが子供の個性の芽を摘むのではなく、それぞれの個性の芽を伸ばす環境をつくっていくべきであると考えます。
 今の若者の多くは、中学校時代の三年間は楽しいものではなかった、余り振り返りたくはないと言っております。国や社会がいかに経済的に豊かになったとしても、子供たちが生き生きとして未来を見詰め、成長することなくしてはその国が滅びることは歴史が示しております。
 総理が六つの改革の中の最重点として、教育の改革に取り組まれることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(橋本龍太郎君) 梶原議員にお答えを申し上げます。
 まず、バブル期以降の経済運営についてのお尋ねがございました。
 市場に立脚する経済、なかんずく国際化の中で経済変動を除去することはできません。ただ、我が国は一九八〇年代の半ば以降、急激な円高、その後のバブルの発生と崩壊という経済の大きな変動を経験し、その過程においてさまざまな問題が生じました。これらの問題を克服しながら、何としても経済の停滞から一日も早く抜け出すべく、まず金融システムの安定と景気の回復、そして経済構造改革を初めとする構造改革を進めてまいりたいと考えます。
 次に、公的資金投入の際の前提についてのお尋ねがございました。みずからの徹底した内部努力、そして過去の責任、こうした点についての御提言であります。
 今般の自己資本充実策におきましては、破綻が見込まれるような金融機関は対象としておらず、その対象となる金融機関の経営責任につきましては、破綻金融機関と同列に論ずるべきではないと思います。しかしながら、この措置が公的資金を活用するものであることにかんがみ、優先株等の引き受けの前提として、経営合理化策や資産の健全性確保策等を含む経営の健全性の確保のための計画について審査委員会が審査を行い、経営の健全性、効率性の確保を図ることといたしております。
 次に、財政と金融の分離問題についてのお尋ねをいただきました。
 この問題につきましては、与党三党間において誠心誠意御論議を尽くされ、その結果として先般の合意がまとめられたものと承知をいたしております。政府としては、この与党合意の内容を忠実に盛り込んだ中央省庁等改革基本法案を取りまとめ、国会に提出をさせていただきました。
 また、金融検査官への外部の人材登用についての御提言がございました。
 大蔵省におきましては、今般の事件等を踏まえて、金融検査の基本的なあり方を転換し、厳正で実効性のある検査体制、手法を確立すべく今努力をしておると承知をしています。その中に、議員御指摘のような、外部の専門家の金融検査官への登用についても検討を進めていると承知をいたしております。
 次に、公務員倫理法についての作業の進捗状況についてお尋ねがございました。
 現在、さまざまな角度から鋭意検討を行っておりますが、まだ具体的な内容について申し上げる段階に至っておりません。しかし、与党三党とも連絡をとりながら、早急に作業を進めてまいりたいと考えております。
 また、財政構造改革に気負い過ぎていたのではないかと御注意をいただきました。
 財政構造改革は、少子・高齢化に対応して危機的な状況にある我が国の財政を健全化する、そして安心で豊かな福祉社会、健全で活力ある経済の実現等の課題に十分対応できる財政構造を実現するためのものとして、その必要性は変わるものではなく、その点は議員にも御理解をいただけるものと信じております。同時に、経済金融情勢の変化に応じて臨機応変の措置を講じ、景気の回復を図るための努力をすることも当然である、そのように思います。
 また、特別減税の恒久化及び消費税の飲食料品非課税化についての御意見をちょうだいいたしました。
 私は、今回の特別減税を含む財政・金融両面にわたるさまざまな措置が、十年度予算と相まって我が国経済の力強い回復に寄与する、そう考えておりまして、特別減税が平成十一年度以降も必要な状態にならないように景気回復に全力を挙げていきたいと考えております。
 また、消費税の飲食料品非課税化につきましては、消費一般に広く負担を求める消費税の基本的な性格に反するというほかにも、課税の累積が生じ、かえって価格が上昇したり事業主の負担もふえることになる、そうした問題が指摘をされており、慎重に対応せざるを得ないと考えております。
 また、景気対策として住宅投資を積極的に支援すべきであり、住宅金融公庫はむしろ積極的に融資の拡大等の努力をしてはどうかという御指摘をいただきました。
 住宅金融公庫につきましては、先般の政府の緊急経済対策の一環として、臨時的に特別割り増し融資額を増額するなど融資の拡充を行っております。また、公営住宅の建てかえ等の推進や住宅市場の活性化のための税制措置の充実など、各種の施策を講ずることとしており、今後とも積極的に住宅供給の推進に努めてまいります。
 また、これに関連し、住宅取得に係る消費税についても御質問がございました。
 住宅取得に係る消費税を非課税とする、これは消費税の課税ベースを大幅に縮小させ、制度の公平性、中立性、簡素性といった観点から新たな問題を生じるなど、消費一般に広く負担を求めるという消費税の基本的な考え方に反することから、その採用は適当ではないと考えます。しかし、住宅取得に係る税制上の措置につきましては、既に住宅取得促進税制を初め各種の措置が講じられており、最大限の配慮を払ってまいっているところであります。
 次に、少子・高齢化社会に対し内閣に本部をつくれ、そうした御指摘をいただきました。
 子育て支援という点に限りまして、保護者とともに社会全体で支援していく、その必要性というものは政府が最優先で取り組むべき課題の一つであることは御指摘のとおりであり、このため、エンゼルプランの着実な推進を図ることなどにより、関係省庁等が連携して各般の施策を推進してまいりたいと考えておりますし、鋭意努めてまいりたいと思います。
 また、公的年金等についてのお尋ねもございました。
 公的年金は、民間保険のような契約ではなく、社会全体で助け合って高齢者を支える社会保障制度でございます。平成十一年の制度改正では、支える側と支えられる側双方の合意の得られる、長期的に安定した制度の構築に向け、制度の見直しに取り組んでまいります。
 また、医療保険と介護保険の運営についても御質問をいただきました。
 医療保険制度につきましては、平成十二年度を目途とする抜本的な改革に向けて、介護保険との整合性にも十分配慮しながら、検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、労働基準法についてお尋ねがございました。
 今回の改正案は、経済社会の構造変化や働き方の多様化に対応した新たなルールをつくろうとするものであり、関係者の間の精力的な検討や協議を経て作成されたものであります。
 なお、今後の検討課題とされました深夜労働あるいは家庭責任を持つ男女労働者の時間外労働の問題につきましては、引き続き調査検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、外交に関連し、インドネシアに対しての米支援へのお尋ねがございました。また、食糧をめぐるアジアの相互援助関係というものについての御指摘がありました。
 まず、インドネシアに対する米支援のお尋ねに対しまして、同国の食糧事情が厳しい状況であることは承知しており、現在政府部内においていかなる支援が可能かを検討いたしております。
 また、食糧をめぐるアジアの相互援助関係の確立に関しましては、既存の国際的な食糧援助システムを含む国際的な動向等、さまざまな要因を総合的に考えながら判断していく必要があると考えております。
 次に、WTO農業協定の再交渉に当たり、新たな農業基本法に向けたこれまでの作業を踏まえてその方針を明らかにすべきという御指摘を受けました。
 次期農業交渉は、御承知のとおり二〇〇〇年に行われることになっております。我が国としては、その時点における我が国農業の状況、農政の展開方向を踏まえて対応する考えでありますが、その際、食糧安全保障や農業の持つ多面的機能等について、我が国の考え方を主張していきたいと考えております。
 また、食糧の安定供給と直接所得補償についてのお尋ねがございました。
 まず、食糧の安定供給につきましては、国内生産を基本に、輸入及び備蓄を適切に組み合わせることにより、安全な食糧の安定供給の確保に努めてまいります。
 また、中山間地域における直接所得補償につきましては、食料・農業・農村基本問題調査会の議論を十分踏まえながら検討していきたいと考えております。
 次に、温室効果ガス削減の国際的義務を果たすための政府の決意と所見というお尋ねがございました。
 現在、私自身が本部長となり内閣に設置した地球温暖化対策推進本部におきまして、具体的かつ実効ある対策を総合的に推進し、我が国の目標の達成を図ってまいろうと考えております。
 これに伴いましては、国民にもライフスタイルを考え直していただく等の御協力を願わなければなりませんし、当然ながらエネルギーの供給の面におきましても、原子力あるいは新エネルギー等新たな開発のためにも努力をいたさなければなりません。こうした点についての御協力も心からお願いを申し上げる次第であります。
 省エネルギーの努力は当然のことでありまして、予算措置につきましては、京都会議の成果を踏まえ、平成十年度政府予算案にできる限りの関連予算を盛り込むよう、特に配慮いたしてまいりました。
 次に、外交に取り組む決意というお尋ねがございました。
 我が国は、引き続き日米関係を基軸としながら、中国、韓国、ロシアなどとの関係を強化するとともに、アジア太平洋における地域協力、国連などにおける国際社会共通の課題への取り組みに積極的に参加し、我が国の安全と繁栄の確保に向けてより一層好ましい国際環境をつくり出すために努力をしていきたいと考えております。
 次に、新ガイドラインの具体化作業について、国会への情報公開が必要であるという御意見をいただきました。いわば指針の実効性確保についてのお尋ねと存じます。
 事柄の性質上、その内容を明らかにできない部分があることは御理解をいただきたいと思うのでありますが、いずれにせよ指針に示された基本的な考え方に沿って行われるものでありますし、関連法整備につきましては、検討の上、法律の制定、改正等が必要な場合、当然のことながら国会にお諮りをさせていただきます。
 次に、普天間基地と沖縄に存在いたします海兵隊の問題についての御意見をいただきました。沖縄駐留海兵隊の縮小につなげていく外交努力を展開せよという御指摘であります。
 普天間飛行場の移設につきましては、自然環境、騒音、安全などさまざまなものを考慮し、現在の基地よりも規模を大幅に縮小し、しかも撤去可能な海上ヘリポート案、これは現時点における最良の選択肢だと考えておりまして、今後ともに地元の御協力、御理解を得るように努力していきたいと考えております。
 また、沖縄に在します海兵隊、これは我が国の安全及び極東の平和と安全の維持に寄与しており、現時点におきましては、その削減や撤退を求めることは考えておりません。その一方で、アジア太平洋地域の安定に向け、二国間、多数国間の外交努力を強化し、各種の安全保障対話や地域協力の促進を図ってまいります。
 次に、日ロ関係についてお尋ねがございました。
 明日から小渕外務大臣が訪ロいたしますし、また、本年四月にはエリツィン大統領が訪日する予定であります。我が国としては、このようなハイレベルの交流を通じて各般の分野における協力と関係強化を図るとともに、クラスノヤルスク合意を踏まえ、東京宣言に基づき二〇〇〇年までに平和条約を締結するために全力で取り組んでまいります。
 次に、日韓漁業関係についてお尋ねがございました。
 日韓両国の間におきましては、何とか交渉をまとめるべく努力を傾けてまいりましたが、残念ながら最終的合意に至らず、政府としては、新しい漁業秩序を早急に確立するとの決意のもとでやむなく終了通告を行った次第であります。
 政府としては、国連海洋法条約の趣旨を踏まえた新たな漁業協定の締結交渉に真剣に取り組むとともに、日韓の友好協力関係を一層強化いたしたいと存じます。
 また、議員から御指摘のありました事件に関する昨日の報道につきましては、現在、情報収集を行っているところであります。
 次に、北朝鮮に対するお尋ねがございました。
 朝鮮半島の平和と安定のためには、北朝鮮の国際社会への一層の開放と南北関係の改善を初めとする国際社会との対話の促進が重要であります。我が国としては、四者会合を引き続き支持するとともに、KEDOの活動に積極的に取り組みます。また、北朝鮮側の建設的な対応を得て、日朝間の諸問題の解決に我が国も努力してまいります。
 特に、拉致疑惑につきましては、我が国の国民の安全にかかわる重要な問題であり、北朝鮮側に対し真剣な調査を行うよう求めてきておりますが、今後とも努力してまいります。
 次に、イラク情勢についてのお尋ねがございました。
 我が国は外交的解決が最善であると考え、イラクに対する働きかけや関係国との間の緊密な協議を初めとし、さまざまな外交努力を行っております。
 特に、本日より行われるアナン事務総長のイラク訪問は、事態の外交的解決のための重要かつ決定的な機会でありますので、昨日、小渕外務大臣からアナン事務総長に我が国の支持を伝達し、また柳井事務次官より在京イラク臨時代理大使に、イラクが本件訪問を重く受けとめ、関連安保理決議を遵守するよう要請いたしたところでございます。
 最後に、教育改革について御要望をちょうだいいたしました。
 今後、子供たちに、命を尊重する心あるいは思いやり、倫理観、正義感などの豊かな人間性を育成する、そして形式的な平等主義から脱却をし、個性を伸ばして、創造性、チャレンジ精神を重視した教育に転換を図っていかなければなりません。
 そのためには、家庭、地域社会、学校が力を結集した心の教育というものをいかに充実していくか、また、みずから学び、みずから考える教育への転換を図る教育内容そのものの見直し、そして現場の自主性を尊重した学校づくりなど地方教育行政システムの改善、また中高一貫教育など選択肢のある学校制度の実現、特に子供たちの悩みを受けとめられる教師の養成など、教育改革にこのような問題意識を持って臨んでいきたいと思います。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣尾身幸次君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(尾身幸次君) 私に対する御質問は二つございまして、一つは経済運営についてのお尋ねでございました。
 政府といたしましては、従来より民間需要中心の自律的安定成長を図るべく、適切かつ機動的な経済運営に努めてきているところであります。
 最近の我が国経済につきましては、バブルの後遺症である不良債権処理のおくれ等が景気回復の足かせとなっており、金融機関の経営破綻、アジア地域における通貨金融市場の混乱等を背景に、家計や企業の景況感の厳しさが個人消費や設備投資に影響を及ぼしているなど、景気はこのところ停滞し、厳しい状況にあると認識しております。
 このような状況に対応するため、既に実施しております緊急経済対策、二兆円の特別減税、九年度補正予算に加え、金融システム安定化対策の迅速かつ的確な執行に努めることとしております。それに加えまして、当面、十年度予算及び法人税減税等を含む税制改正関連法案等を予定どおり通していただくことが最大の景気対策であると考えている次第でございます。
 このような取り組みにより、我が国経済は徐々に力強い回復軌道に復帰してくるものと考えておりますが、経済は生き物でございまして、今後ともその時々の実情に応じて、経済活性化に向けて適時適切な経済運営に努めてまいりたいと考えている次第でございます。
 次に、経済見通しが誤っていたのではないかとのお尋ねでございます。
 昨年来の我が国経済の動向を見ますと、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動減が予想していたよりも大きなものでございました。それに加えまして、先ほど申しましたように、当初予想していなかったアジアの通貨・金融不安や我が国の金融機関の破綻による金融システムへの信頼感低下などが実体経済に影響を及ぼしていることを踏まえまして、九年度の成長率の見通しを一・九%程度から〇・一%程度へと下方修正したところでございます。
 十年度につきましては、先ほど申し上げました諸般の施策が相乗効果をもって我が国経済の力強い回復に寄与すると考え、十年度予算及び関連法案が順調に成立することを想定し、実質経済成長率を一・九%程度と見通しているところでございます。(拍手)
   〔国務大臣松永光君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(松永光君) お答え申し上げます。
 私に対する質問要旨は、財政と金融の分離の問題であったかと思うのでございますが、これについては総理からもお答えがありました。私は、財政と金融の分離の問題は着実に進めていくべきである、こう思っております。
 議員御承知のとおり、昨年の法改正で、この四月から六月までの間に総理府のもとに金融監督庁が設立され、発足します。そうすると、現在大蔵省の権限、業務になっておる金融機関に対する監督・検査の業務と権限は全部金融監督庁に移るわけであります。これが私は第一弾の改革だろうと思うんです。同時にまた、四月一日から改正日銀法が施行されるわけでありますから、これによって、日銀法に基づいて金融政策についての日銀の政策の独立性が高められる、これが第一弾の改革だろうと思います。
 次なる改革につきましては、先ほど総理からお答えがありましたように、与党三党で十分論議をされた上で、金融危機管理、それから金融システムが破綻した場合の制度、こういったものだけがしばらく残る、こういう仕組みなのでありまして、この与党三党の合意を私はそのとおり受けとめて今後とも対応していきたい、こう考えておるところでございます。(拍手)
   〔国務大臣伊吹文明君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(伊吹文明君) 二問の御質問であったと思いますが、まず、高齢者の方々に雇用の場をという御質問でございます。
 急速に高齢化が進んでおります中で、昔に比べますと健康で心身ともに意欲のある高年齢の方がふえておりますので、こういう方々に働く場を提供いたしますことは、その方々の生きがいのためにも、また収入のためにも、日本経済のためにも大切な課題であると思っております。
 このため、中長期的には、構造改革を進めまして働く場をつくり出して、働く方々に長年培ってこられました知識や経験を生かして、社会を支える側に回っていただくことが重要であると思います。
 六十五歳までの継続雇用の推進やシルバー人材センターの活用など、雇用や就業機会を確保して、少なくとも六十五歳までは現役として働いていただける社会をつくるために、力いっぱい頑張りたいと思っております。
 なお、当面は、高齢者の方々の雇用を確保する上からも、いち早い景気の回復が必要でございますので、そのためにも、速やかな御審議を経まして来年度の予算の早期成立をお願いいたしたいと思っております。
 第二に、労働基準法についてのお尋ねでございます。
 今回の改正案は、社会経済の構造変化や働く人たちの新しい働き方への期待、希望にこたえていきますために、労働者が安心して健康で働ける環境をつくるために、中央労働基準審議会で長期間にわたり検討いただきまして、また、社民党を含めまして、連立与党内で十分協議をした上で法案化し、国会に提出したものでございます。
 なお、御指摘のとおり、同審議会において引き続き検討することとされました深夜労働にかかわる諸問題や、あるいは介護等家庭責任を持つ男女労働者の時間外労働のあり方につきましては、今後、与党協議や国会における御議論を踏まえまして、御指摘のように、二十一世紀を展望した働き方の新しいルールをつくるために力いっぱい頑張りたいと思っております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(小渕恵三君) 外交課題に関しての梶原議員のお尋ねに対しましては、総理大臣から御答弁をいただいております。
 私に関しましては、北朝鮮の食糧支援の問題と日朝国交正常化交渉の再開の目途でございますが、北朝鮮に対する食糧支援に対しましては、一月のWFP、すなわち世界食糧計画からの新アピールや先般出ました国連の人道支援統一アピールの内容を今検討をいたしておるところでございますが、実は現在は、昨年十月に我が国として決定をいたした支援をまだ実施いたしておるさなかでございまして、それが実行された上で、その次の問題については対応していきたいと思っております。
 また、日朝国交正常化交渉に関しましては、第九回本会談をできるだけ早期に行うということで意見の一致を見ております。御案内のように、一九九一年に金丸・田辺ミッションによりまして、第一回から一、二年の間に八回行われておりましたが、以降は中断のままということであります。したがいまして、長い間休止しておりましたけれども、我が国としては、国連に加盟をしておる中で国交のないただ一つの国として、この北朝鮮に対する正常化の問題について最大の努力をし、交渉を進めてまいりたいと思っておりますが、交渉というものは両国の合意がなければなりません。我が国としては、できる限り諸問題を解決しつつ、正常化の交渉に入れるように努力をいたしていきたいと思っております。
 もう一点、北方領土問題の解決、日ロ平和条約の締結に向けて、対ロ交渉をどう進めていくかというお尋ねでございました。
 両院の御了承を得まして、実は私、明日から三日間訪ロする予定にいたしております。東京宣言に基づきまして、二〇〇〇年までに平和条約を締結するよう全力を尽くすとの両国首脳のクラスノヤルスクの合意を受けまして、先般モスクワで開催された次官級協議におきまして、両国外務大臣を共同議長とする平和条約締結問題日ロ合同委員会、これが設置をされましたので、第一回のこの会合を共同議長として取り組んでまいりたいと思っております。
 いずれにいたしましても、戦後五十二年、この問題は解決をされておらないというゆえんでございまして、それだけに難関の問題であることは承知をいたしておりますが、しかし最近の動向、御承知のように、冷戦構造が終わりまして以降、特に、先ほど申し上げたエリツィン大統領と橋本総理との間の信頼感が非常に醸成をされております。
 同時に、ロシアの方も、今までウラルから西という感覚よりも、むしろアジアの一国としての存在を認識しつつありまして、そういった意味で、APEC等の加盟も総理の主導によりまして認められておるというようなことでありますし、さらに、経済、エネルギーの面で両国間の関係が極めて緊密になっている、こういう状況の中でございますので、まさにある意味では絶好の機会というふうに考えております。
 微力でございますけれども、全力を尽くしたいと思いますので、議員各位の御声援のほどをお願いいたす次第でございます。(拍手)
#13
○副議長(松尾官平君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時二分開議
#14
○議長(斎藤十朗君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。上田耕一郎君。
   〔上田耕一郎君登壇、拍手〕
#15
○上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、総理と関係閣僚に質問いたします。
 総理は、施政方針演説の冒頭、「制度疲労を起こしている我が国のシステム全体を改革する」と述べられました。まさに改革すべきは、二十一世紀を目前にしたアジアと世界の未来にもかかわって、これまでの自民党政治全体、日本の進路そのものであると私は思います。
 そのことを象徴する問題が名護市の海上ヘリ基地建設問題です。二月八日の市長選挙で当選した岸本候補がその判断に従うとした沖縄の大田知事は、反対理由に名護市の住民多数の意思を挙げました。ところが、橋本総理は、一月五日の伊勢での記者会見で、建設受け入れを表明した比嘉名護市長の決断に敬意を表すると述べ、施政方針では、代替へリポート建設を最良の選択肢としました。一体、総理は、市議会が決めた条例に基づく住民投票に示された市民の意思、沖縄県民の意思よりも、アメリカの意向を最優先するのですか。これは「地方自治の本旨」を定めた憲法第九十二条のじゅうりんであります。
 政府のとるべき唯一の態度は、普天間飛行場の全面返還、米海兵隊の削減、撤去について真剣な対米外交交渉を開始すること以外にないではありませんか。
 なぜなら、沖縄の米海兵隊は、日本の防衛とは無関係で、アメリカの覇権と多国籍企業の利潤追求のための殴り込み部隊だからです。三十三年四カ月間の海兵隊勤務の経歴を持つ元米海兵隊司令官のバトラー少将は、私は、その日々のほとんどを大企業とウォール街と銀行家のための高級雇われ暴力団員として過ごしたと痛切に回顧しています。
 問われているのは日本の主権です。自民党政府は、戦後半世紀の歴史を通して、日本の主権を確立する意思も能力もないことを実証しました。だからこそ日本共産党は、日本の主権回復のためにも広範な民族的意思と希望を結集して、二十一世紀の早い時期に民主連合政府をつくることを、昨年九月の第二十一回党大会で国民に呼びかけたのであります。
 沖縄と安保の問題は、今なお日本が、安全保障担当の米大統領の補佐官だったブレジンスキー氏の表現によれば、米国の事実上の保護国であることのあらわれです。例えば、米軍機は、日本の航空法の適用を除外されて、各地の渓谷で一年間に一千回も危険きわまりない超低空飛行を無警告で行っています。我々は即時中止を要求する。イタリアのような惨事防止のために、航空法適用の対米交渉は直ちに開始すべきです。イタリア国防省は最低飛行高度を二倍以上に引き上げました。日本では何の措置もとらないつもりなのですか。
 経済についても、田村元・元衆議院議長が、私は三年近く通産大臣をしたが、米側の内政干渉に近い尊大で口汚い説教を聞かされるたびにうんざりし、はらわたの煮えくり返る思いを味わったものだと嘆いた文章を書かれているほどです。
 そこで、お尋ねしたい。総理が昨年十二月十七日、三与党との協議もなしに突然表明した特別減税二兆円は、ASEAN首脳会議に出発する直前、内需拡大を図り、所得減税など景気対策を考慮すべきだとのクリントン米大統領の親書が届いたためと報道されています。三十兆円の銀行支援計画も、たび重なるルービン米財務長官らの圧力とかかわりがあったという。事実かどうか、国民の前に明らかにすべきです。
 橋本内閣は、今、臨機応変の措置と称して、破綻した財政構造改革路線から景気浮揚路線になし崩しに移行しています。この転換が、消費税率引き上げなど九兆円の国民負担増という決定的な政策ミスの真剣な反省に基づくものなのか、それともアメリカからの圧力への情けない屈従によるものなのか、どちらなのですか。もし前者なら、総理は当然、所得減税の恒久化、消費税税率の三%への引き下げなど、国内総生産の六割を占める個人消費の拡大策に本格的な政策転換を行うべきです。責任ある答弁を総理に求めたい。
 大蔵省の金融検査官の腐敗行為が、北海道拓殖銀行や山一証券の破綻の共犯であったにもかかわらず、政府は野党四党が共同して要求した資料提出を拒否したまま、金融システム不安を口実に、公的資金三十兆円による銀行支援を強行しようとしています。
 乱脈経営でバブルの元凶となった銀行は、東京三菱、住友両行の摘発で、大手のほとんどが贈賄工作を行っていた疑惑も浮かび上がりました。贈賄銀行には公的資金を申請する資格など全くないではありませんか。
 しかも、今回の支援策は、日本の金融業界の自己責任原則の一層の放棄と、いわゆるモラルハザード、倫理の欠如をかえって助長するものです。なぜなら、大銀行の優先株や劣後債購入に公的資金を投入すれば、成功すれば大もうけ、失敗しても政府が助けてくれると、投機を促進するだけだからです。これは、既に破産した銀行業界から自民党への政治献金つきの政官財の癒着、護送船団行政の継続そのものではありませんか。大蔵大臣の見解をお聞きしたい。
 世界初の〇・五%の公定歩合が二年六カ月続き、相次ぐ引き下げの六年間に約十六兆円が国民の懐から銀行などへ所得移転されました。山口銀行局長さえ、総体として体力があると答弁した大銀行に、さらに三十兆円の追い銭をなぜ渡さなければならないのですか。何の責任もない国民に、一人当たり二十五万円、四人家族で百万円、国家予算の半分に近い莫大な負担を負わせるこの暴挙は壮大な欺瞞と呼ぶほかない、国民に対する許すことのできない挑戦であります。
 お聞きしたいのは、二〇〇一年の金融ビッグバンとの関連です。特に、預金保険機構の金融危機管理勘定に投入される十三兆円は、優良銀行から順次自己資本比率を強化するために投入するという。これはビッグバンで予想される銀行の淘汰に備え、一方では、国営の郵便貯金の元本保証廃止を打ち出しながら、他方では、民間の大銀行に対しては、政府が株主となって国際競争力の強化を図ろうとするものではありませんか。
 今日、世界経済の重大な構造変化は、いわゆるカジノ資本主義化で、世界の貿易総額を数十倍も上回る国際的な為替投機によって各国経済が引き回されるという異常な事態です。世界の為替市場では、一日の取引額が一兆三千億ドル、わずか四日で世界の年輸出額五兆ドルを上回ります。アジアの通貨危機もこの問題と関連があります。ビッグバンも、日本経済を国際的投機市場に巻き込んで犠牲にする危険をはらんでいます。銀行、保険会社、証券会社の垣根を取り払うビッグバンが、千二百兆円の国民の個人金融資産をデリバティブなど、新金融商品のハイリスクにさらす危険を無視できますか。
 今必要なことは、日本経済と日本国民の生活と資産を守る自主的政策の確立、巨大な賭博場と化した国際金融市場改革のための多国籍企業や国際的投機資本の民主的規制、国連の関係機関の再編成など日本独自の提案と行動です。そのための与野党を問わない共同の努力が必要になっていると思いますが、総理の見解をお聞きしたい。
 この途方もない銀行支援策と比べて、不況に苦しむ中小企業や米価の暴落、大幅減反に泣く農民を初め、働く国民に対する冷酷な政策との対比は余りにもひど過ぎます。銀行には三十兆円を支出できるのに、阪神・淡路大震災で苦しみ続け、絶望してみずから命を絶つ方々さえ生んでいる被災者の公的支援には、参議院で継続審議中の支援法案施行に必要な一兆一千億円がなぜ出せないのですか。だれも理解することはできないでしょう。
 今こそ、こうした政治をきっぱりとやめて、新しい国民本位の政治に転換すべきときです。このことを指摘して、次の国民生活の問題に移りたい。
 国民の生存権を保障した憲法第二十五条は、第二項で「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と定めています。ところが、橋本内閣は、事もあろうに国民生活の現行水準のカットに乗り出しました。
 例えば、医療の分野では、健保改悪に続き、財政構造改革法で三年連続の医療費の自然増削減を義務づけ、来年度は国庫負担三千二百十億円の削減を行います。
 また、懸命に生きている七万四千の母子世帯がさらに過酷な家計切り詰めを要求されます。所得のランクによって月額四万一千三百九十円、または二万七千六百九十円支給されてきた児童扶養手当が打ち切られるからです。
 従来、無料だった難病患者の九割も医療費が一部負担となります。全国難病団体連絡協議会は、命の綱を切るのかと悲痛な訴えを行っています。これらは社会福祉、社会保障及び公衆衛生の紛れもない後退、低下にほかならず、憲法第二十五条違反です。
 総理の答弁を求め、既に政府の景気対策とも真っ向からの矛盾に陥った財政構造改革法を直ちに廃止することを強く要求します。
 年金制度も危機的状況にあります。国民年金の場合、未加入者、滞納者、免除者を合計すると、二千百万人の対象者のうち納付者は六割にすぎず、年金空洞化が警告されています。政府が示した五つの選択肢は、年金の給付引き下げ、保険料引き上げの羅列でした。これは、「基礎年金の国庫負担の割合を引き上げることについて総合的に検討を加え、」とした厚生年金法と国民年金法の附則第二条の違反であり、また、九四年の年金法改正の際「基礎年金の国庫負担」を「二分の一を目途に引き上げることを検討する」とした参議院厚生委員会附帯決議の公然たる無視ではありませんか。
 附帯決議のもう一つの柱である「無年金障害者の所得保障については、福祉的措置による対応を含め速やかに検討する」ことも、何と四年間何らの措置もとられていません。多数の無年金障害者から悲痛な訴えが寄せられています。制度の谷間にいた被害者の救済のために年金を支給すべきだと思いますが、責任ある見解を示していただきたい。
 今国会に提出された労働基準法の改悪は、裁量労働制の拡大、変形労働時間制の弾力化などによって労働者に恐るべき長時間過密労働や深夜勤務、賃金低下とサービス残業、失業を押しつけるものです。八時間労働制や残業の概念をなくすものと指弾されている今回の大改悪には、全労連、連合を初めすべての労働団体が反対しています。財界に新たに三十兆円もの巨額の搾取を保証するとの試算もある法改悪をやめて、少なくともヨーロッパ並みのルールに引き上げる労働基準法の抜本的改正を要求します。
 大型店の無秩序な進出による全国的な商店街の寂れの打開も、焦眉の国民的課題の一つです。日本福祉大の森靖雄教授によれば、年初に同じ百万円の買い物をしても、小売商店の場合は回転によって地域を潤す額が年間二千四百万円に達するのに、大型スーパーの場合は翌日直ちに本部へ送られてしまうので、年間わずかに百万円という試算です。地域経済への波及効果でも商店街の優位性は明らかでしょう。
 しかるに、政府は、アメリカと財界の言いなりに、大店法を廃止して大規模小売店舗立地法をつくろうとしています。一体、政府は大型店の野放し出店規制は不必要と考えているのですか。ヨーロッパ諸国の動向を見ても、大店法廃止をやめて、日本共産党の改正案のように、住環境や町づくりへの配慮、出店届け出制から許可制への改正こそ望まれています。
 不況脱出のために、日本の製造業を支えている中小企業の援助はどう進めるつもりですか。政府系金融機関の融資枠拡大を初め、中小企業対策費の抜本的拡大を求めたい。十数年前は予算の〇・六%だった中小企業対策費は、今〇・四三%、千八百五十八億円にすぎません。米軍奉仕の思いやり予算二千五百三十八億円よりも少ないのです。
 この思いやり予算でつくる米軍用の小学校の低学年学級定員は、クリントン大統領の今回の一般教書演説によれば、これから十八人になります。総理も、施政方針演説の冒頭に述べたほど、教育問題が国民の心を痛め続けている重さを考えれば、日本の小中学校の学級定員も、欧米並みの三十人にする具体的課題に、今こそ真剣に取り組むべきときではありませんか。午前中も浜四津議員、梶原議員も、この問題をくしくも取り上げました。政府は真剣に検討を求められていると思います。
 こうした国民生活に対する総攻撃は、国と地方で公共事業費五十兆円、社会保障費二十兆円という、欧米諸国と比べて逆転した財政構造と深くかかわっています。生産、雇用、国民所得に対する波及効果は、社会保障、医療・保健部門の投資が公共事業より高いことが政府機関、各県の資料によっても明らかになっています。大企業優先、国民生活軽視の財政構造を、国民生活と福祉優先の構造に再編するという根本課題について、総理の見解をお聞きしたい。
 イラク問題と日米防衛協力のための指針、新ガイドラインの問題に移ります。
 総理は、昨日、イラク問題についての我が党の不破委員長の質問に対し、仮定の問題として答弁を避けました。一国の首相として、論外の無責任さです。仮定の問題どころか、十七日、当のクリントン米大統領が国民向けのテレビで、武力行使の決意を強調したばかりではありませんか。クウェートまで出撃基地提供を拒否しているのに、なぜ日本が反対できないのですか。
 総理は、核先制使用の問題にも答えませんでした。しかし、一月二十七日、米国防総省のベーコン報道官は、記者の質問に、地表貫通用核爆弾の使用を排除しないと答え、世界に衝撃を引き起こしました。不破委員長が追及した日米共同発表にある「すべての選択肢」の中に、その後コーエン国防長官も追認した化学兵器、生物兵器使用に対する核兵器先制使用という選択肢が入っていることは明瞭です。世界で唯一の被爆国の首相として、核使用に反対することをどうして言えないのですか。逃げないで答弁していただきたい。
 国際法で戦争が違法なものとされている今日、例外的に国家の武力行使が承認されるのは、国連決定による場合と、国連憲章第五十一条の自衛権発動の場合の二つだけです。総理は、イラク問題で新たな国連決議は必要ないとするオルブライト米国務長官と同じ立場をとるのですか。
 国連憲章第五十一条に関しては、従来政府は、自衛権は武力攻撃が発生した場合にのみ発動し得るものとした七〇年三月十八日の愛知外相答弁を統一解釈としてきました。しかるに、総理は、昨年十二月三日、我が党の立木議員に対して、国連憲章第五十一条は、武力攻撃以外の形の侵害に対して、自衛権の行使を排除するという趣旨であるとは解していないという従来の統一解釈を覆す重大答弁を行いました。これは国連憲章の逸脱解釈として無視できません。その理由と、第五十一条の解釈を明らかにしていただきたい。
 事実が示しているように、日米安保共同宣言と新ガイドライン締結による日米軍事同盟の拡大強化以後、橋本総理のアメリカに対する無条件追随も、ますます拡大強化されています。
 新ガイドライン関連立法として、一括法では周辺事態における対米支援基本法が、個別立法では自衛隊法改正、日米物品役務相互提供協定改定、いわゆる有事ACSAと有事立法の三つのグループが予定されていると報道されています。日本共産党はこれらすべての中止を求めます。総理と防衛庁長官に、国会提出についての政府の態度を問いたいと思います。
 来日したコーエン米国防長官は、法整備の努力を促したとのことです。その結果、まず周辺事態を対象とする有事版のACSA締結の方向となったという。現行ACSAは平時協定です。有事ACSAでは、既に武力行使中の米軍に対して、後方支援、物品役務が提供されることとなり、これは憲法の平和原則を持つ日本の最初の有事協定、すなわち違憲の戦争条約となります。
 有事ACSAの輸送について伺いたい。
 新ガイドライン別表の「後方地域支援」の中の「輸送」の項目には、「公海上の米船舶に対する人員、物資及び燃料・油脂・潤滑油の海上輸送」と書かれてあります。昨年十一月十八日、私の質問に、久間防衛庁長官は、この「人員」には米軍人が含まれ、「物資」には武器弾薬が含まれると答弁しました。国際法上、軍隊、武器弾薬の輸送艦船は参戦国の艦船とみなされ、相手国からの拿捕、さらには無警告の撃沈の危険が生まれるではありませんか。外務大臣の見解を求めます。
 昨年十月、四四年八月に沖縄から九州に向かう途中でアメリカの潜水艦により無警告撃沈され、児童七百三十八人を含む千四百八十四人が死亡した対馬丸が海底で確認されました。第二次大戦中、アメリカの潜水艦と航空機の攻撃で失われた日本の輸送艦船は二千五百六十八隻に達しました。同じような悲劇が再び日本国民を襲おうとしています。憲法で戦争を永久に放棄した日本がアメリカの戦争に自動的に巻き込まれて参戦させられること、これが新ガイドラインであり、有事ACSAであります。憲法前文と第九条の完全じゅうりんという橋本内閣の責任を厳しく問いたい。
 アメリカが周辺地域で軍事介入した際、日本は憲法と国連憲章に基づき、紛争の平和的解決に全力を挙げるべきであります。逆に政府は、新ガイドラインに基づいて日米軍事協力に突入するのですか。この選択は、アジアの平和と日本の安全にかかわる重大問題であります。
 ところが、久間防衛庁長官は、二月二日の参議院予算委員会で、周辺事態に当たるか当たらないかは日米間で調整しながらやっていくと答弁しました。国権の最高機関である国会にも諮らずに、周辺事態と認定するのですか。総理及び防衛庁長官の明確な答弁を求めたい。
 新ガイドラインに対して、中国を初め東南アジア諸国の政府も世論も、一斉に警戒と批判の声を上げています。特に、日本が日本軍国主義の侵略と植民地支配に真剣な反省を示していないことが日本軍国主義復活の懸念を増幅しています。
 アジア諸国とも、アメリカとも共存できる唯一の道は、日米軍事同盟の拡大強化路線をやめた非核・非同盟の路線、安保条約をやめた新しい日米友好条約の締結という平和と友好、非軍事の道以外にありません。
 中東を除くアジア二十三カ国のうち、日本、韓国、中国以外の二十カ国が非同盟諸国会議の加盟国であります。現在百十二カ国が加盟する非同盟諸国会議は、国連加盟国の三分の二近くを占め、軍縮と核兵器廃絶、公正な新国際経済秩序を目指して活発な活動を展開しています。世界唯一の被爆国で、世界第二の経済力を持つ日本が日米軍事同盟を解消してこの非同盟諸国会議に加盟することは、戦後のアジア情勢全体の歴史的転換を意味するでしょう。これこそが真の国民的改革であり、二十一世紀における核兵器と軍事同盟のない世界の実現に、国際経済の民主的改革につながり得る希望あふれる新しい日本の進路にほかなりません。
 現在、最大の国民的責務と使命はここにあることを強調して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(橋本龍太郎君) 上田議員にお答えを申し上げます。
 まず、名護の海上ヘリ基地建設について、地方自治及び海兵隊削減についてお尋ねがございました。
 名護市の市民投票は、海上ヘリポートについての一つの判断材料にしたいとの考えから実施されたものと承知しております。昨年末、前名護市長は、住民投票の結果も踏まえ、海上ヘリポートを受け入れるという決断を示されました。本件については、沖縄県も正式メンバーであります沖縄米軍基地問題協議会や、普天間飛行場等の返還に係る諸課題の解決のための作業委員会の場において検討状況等を説明し、御意見もお聞きしながら進めてきたところでありまして、さらに私自身も大田知事とこれまで何度も会談し、この問題について協議してきております。
 政府としては、現時点における最良の選択肢と考える海上ヘリポートの実現に向けて、今後とも大田知事を初めとする地元の御理解と御協力が得られるよう粘り強く取り組んでいくこととしており、憲法九十二条との関係において問題になるとは考えておりません。
 また、在日米海兵隊につきましては、我が国の安全及び極東における国際の平和や安全の維持に寄与しており、現時点ではその削減や撤退を求めることは考えておりません。
 次に、在日米軍の飛行訓練についてのお尋ねがございました。
 米軍の航空機は、我が国航空法の一部の適用が除外されておりますが、政府としては引き続き航空法に言う最低安全高度を尊重し、公共の安全に妥当な考慮を払うよう米側に求めてまいります。イタリアでの事故後、飛行訓練の実施に当たっては安全対策に万全を期すよう、外務省より改めて在京米国大使館に申し入れたところでございます。
 次に、今回の特別減税と金融システム安定化策の決定は、外国からの圧力によるものではないかと御指摘がございました。
 私は、経済の実態や金融システムの状況等を考えながら、臨機応変の措置をとっていくことは当然だと考えております。その上で、私はアジアの経済状況も踏まえ、日本発の経済恐慌は決して起こさない、そうした決意のもとに、国民の不安感を払拭することが私自身の責務と考えて、これらの政策を決断いたしました。
 また、財政構造改革に関する政策転換についての御意見がありました。
 財政構造改革の必要性は何ら変わるものではなく、同時に経済金融情勢の変化に応じ、臨機応変の措置を講じていくことは当然だと考えております。今回の特別減税と金融システム安定化策を初めとする諸施策も、こうした考え方のもとに現下の情勢に対応し、断固たる対応をとったものであります。
 なぜ大手銀行に最大三十兆円もの公的資金を投入するのかというお尋ねもございました。
 今回の金融安定化策は、現下の金融の状況を踏まえ、預金の全額保護と金融システムに対する信頼と安定を確保するための緊急対策でありまして、一たび信用不安が起きた場合の国民生活に与える影響の甚大さにかんがみ、政府としてこれを未然に防止する、そうした考え方から断固として行おうとしているものであります。
 なお、今回の金融検査をめぐる不祥事件はまことに遺憾であり、捜査当局における捜査状況を踏まえ、厳正に対処されるものと考えております。
 また、公的資金の投入は大手金融機関の国際競争力強化を図ろうとするものではないかという御指摘がございました。
 今回の対策は、金融機関の自己資本を充実させることにより、経済の動脈とも言うべき金融システムに対する信頼を一刻も早く回復させ、日本発の金融恐慌を引き起こさないことを期するために行うものでありまして、内外の評価を得られるものと考えております。
 なお、郵便貯金の元本保証廃止という言葉を使われましたが、そうしたことを打ち出したことはございません。
 また、金融システム改革がもたらすリスクについてもお尋ねがございました。
 金融システム改革は、多様な金融商品やサービスの提供を通じて、資産運用者及び資金調達者の選択肢を拡大するとともに、公正、透明な取引が行われるよう、明確なルールの整備等を行うことにより、利便性と信頼性の高い金融市場の構築を目指すものであります。このような観点から、この改革を今後とも着実に進めることが必要だと考えております。
 次に、日本経済と日本国民の生活と資産を守る政策の確立についてのお尋ねがございました。
 日本国民の生活や資産を守るという観点からも、経済の停滞から一日も早く抜け出し、力強い日本経済を再建しなければなりません。そのため、金融システムの安定と景気の回復を図るとともに、経済構造改革を初めとする構造改革を進めてまいります。
 また、国際金融市場改革のための多国籍企業や国際的投機資本の規制についてもお尋ねがありました。
 今日、国際間の資本取引について自由な資本移動を認めることは、既に国際的に確立した原則となっております。したがって、世界の各市場で取引が活発に行われているという実情を踏まえ、慎重に対応することが必要だと考えております。
 次に、国連の関係機関の再編成につきましては、国連が時代の要請に適合した役割を一層効果的に発揮し得るよう、機能を強化する必要があると考えております。こうした見地から、我が国は従来から全体として均衡のとれた形での国連改革を早期に実施すべきであると主張してきており、今後とも最大限の努力を払っていきたいと考えております。
 この三点につきましては、議員から御提案がございましたが、各党各会派、それぞれ考え方が違う面はあれ、国会での御論議などを通じまして、ともに考えていくという姿勢は大切にしたいと思います。
 次に、阪神・淡路大震災関連のお尋ねがございましたが、議員御指摘の法案につきましては、議員立法と承知をしており、政府としてコメントすることは差し控えさせていただきます。しかし、いずれにせよ、政府としては、これまでも公営住宅の大量供給とその家賃の大幅な引き下げ、阪神・淡路復興基金を活用した生活再建支援金の給付に対する地方財政措置など、さまざまな支援策を講じてまいりました。今後とも、政府は被災者の生活再建に向け、これらの支援策を着実に進めてまいります。
 また、財政構造改革法を廃止すべきであるという御指摘をいただきましたが、財政構造改革の必要性は私は何ら変わるものではないと思います。同時に、経済金融情勢の変化に機敏に対応して、国際状況に応じて、それぞれ必要な措置を講じていくことが当然ということも先ほど来申し上げてまいりました。こうした考え方は、二者択一の問題ではなく、タイムスパンの異なった問題であることを改めてつけ加えます。
 次に、基礎年金国庫負担率の引き上げにつきましては、附則第二条及び参議院厚生委員会の附帯決議を踏まえ、所要の財源について検討いたしました結果、莫大な財源を必要とし、平成十五年度の財政再建目標の達成が到底困難になりますこと等から、政府としては、昨年六月の閣議決定において、現下の厳しい財政状況にかんがみ、財政再建目標達成後改めて検討を行うこととしたことであります。
 また、無年金である障害を持つ方々に対する所得保障についてのお尋ねがございました。
 障害無年金についての対応は、保険料の負担に応じて給付を行うという年金制度の根幹にかかわる大変難しい問題でありますが、障害者プランにおきましても検討課題として位置づけており、各方面の御意見も十分伺いながら、幅広い観点から検討を行ってまいりたいと思います。
 次に、大型店の出店規制についてお尋ねがありました。
 大店法につきましては、許可制の導入によって経済的規制を強化することは適当ではなく、むしろ時代の変化に対応して政策転換を図り、交通、環境問題への対応及び計画的な地域づくりとの整合性の確保のために、大型店の出店に関し実効性ある新たな制度を用意することが必要であり、このために必要な法律案を今国会に提出することといたしております。
 また、中小企業対策費についてのお尋ねがございました。
 現下の中小企業者をめぐる厳しい経済環境、とりわけ貸し渋りによる中小企業の資金調達の厳しい状況にかんがみ、政府系金融機関に新たな融資制度を創設することなどにより、信用保証分を合わせて総額約二十五兆円の資金を用意する等、中小企業対策に必要な資金を十分確保したところであります。
 次に、三十人学級の実現についてのお尋ねがございました。
 公立小中学校等の学級編制及び教職員配置につきましては、これまで数次にわたり、法律に基づき計画的に改善を図ってまいりました。平成五年度から実施している現在の改善計画では、グループ別指導や習熟度別指導など、少人数の学習集団できめ細かな指導を行うことができるよう、教職員の配置の改善を図っております。
 なお、平成九年五月一日の調査によりますと、小学校においては一学級当たりの児童数が二十七・七人、中学校において三十二・九人という状況にあることを申し添えます。
 我が国の財政構造の再編についてのお尋ねがございました。
 公共投資については、集中改革期間中に、その水準をおおむね景気対策のための大幅な追加が行われていた以前の適切な水準にまで引き下げることを目指していくこととしております。
 また、社会保障につきましては、高齢化の進展に伴って社会保障給付費の増加が見込まれる中で、社会保障構造改革を推進し、制度の効率化、合理化を進めながら、必要な給付を確保してまいりたいと考えております。
 次に、イラク情勢についてお尋ねがございました。
 我が国は、外交的解決が最優先であるとの基本的立場を維持しております。米国としても、現時点において武力行使を決定したわけではないと承知しております。リチャードソン特使来日時に、すべての選択肢をとる余地が残されているという米国の見方を共有する旨表明いたしましたのは、現下の情勢が深刻であるとの認識をイラクに伝え、外交的解決を促すとの点が主眼であり、御指摘の武力行使の際に使用できる兵器の選択肢の問題とは関係をいたしておりません。
 次に、国連憲章第五十一条の解釈についてお尋ねがございました。
 御指摘の愛知外務大臣答弁は、同条に言う自衛権は、単に武力攻撃のおそれや脅威があるだけでは発動できないものであり、いわゆる予防戦争等は許されない旨を述べたものであります。政府におきましても、今日においてもそのように解しております。
 御指摘の私の答弁は、そのような見解を覆したものではございません。私の答弁の趣旨は、武力攻撃に至らないような武力の行使に対して、必要最小限度の範囲で武力を行使することは一般国際法上認められ、憲章五十一条は、これを排除していない旨を申し上げたものであります。
 次に、憲法と指針との関係についてお尋ねがありました。
 周辺事態におきまして、我が国が後方地域支援等の対米協力を行うか否か、いかなる協力を行うかは、我が国が国益確保の観点から主体的に判断をいたします。したがって、自動参戦云々という御指摘は当たらないと思います。また、指針のもとでの我が国のすべての行為が、我が国の憲法上の制約の範囲内で行われる、これは指針に明記されているとおりであります。
 また、周辺事態の認定についてもお尋ねがございました。
 ある事態が周辺事態に該当するか否かについては、日米両国がそれぞれ主体的に判断することとなります。また、周辺事態においていかなる活動及び対米協力を行うかは、我が国が国益を確保するとの観点から主体的に判断いたします。これらの判断がしかるべき手続を経て、その時々の国内法令に従って行われることは当然であります。
 また、日米安保体制についてもお尋ねがございました。
 冷戦後の国際社会の中に依然として不安定要因が存在しております中、日米安保体制は我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定にとって重要な役割を果たしております。我が国は、今後とも日米安保体制の堅持、節度ある防衛力の整備、我が国を取り巻く国際環境の安定確保のための外交努力を安全保障政策の基本として堅持してまいりたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣松永光君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(松永光君) 上田議員にお答え申し上げます。
 今回の金融システム安定化策は、護送船団方式の継続ではないかというお尋ねでございますが、今回の対策は、金融危機管理上の時限的な措置でありますし、個別の金融機関の救済を目的としたものではありません。また、優先株等の引き受けに当たっては、金融機関の申請を前提に、公正中立な審査委員会が厳正な審査基準に基づいて判断することとしておるほか、経営の健全性確保のための計画の提出等モラルハザード防止のための措置も講じておりますし、護送船団方式の継続であるとの御指摘は当たらないものと考えております。(拍手)
   〔国務大臣伊吹文明君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(伊吹文明君) 御提案申し上げております労働基準法改正案に対する御批判でございますが、我が国経済の構造変化や働く人たちの働き方への期待、希望が多様化していることに対応いたしまして、働く人たちが健康で安心して働けるような新しいルールを設定して、そのための環境を整えることを目的としたものでございます。御審議を経て成立をいたしました後、適正に運用されますれば、必ず世界に通用するような、そしてまた、我が国の将来の福祉や教育の財源を生み出せるような、労使関係の確立に役立つものと確信をいたしております。
 また、労働者派遣法についての御言及もございました。
 経済社会情勢が変化する中で、いろいろな形で働きたいという方が出てきていることは事実でございます。この人たちの期待にこたえながら、労働力需給調整の仕組みを時代に合ったものとしたいと考えているのでございまして、その際、十分に働く人たちの立場を保護できるような制度を目指して、ただいま中央職業安定審議会に御検討をお願いいたしておりますので、成案を得て、近く本院に御審議をお願いいたしたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(小渕恵三君) 上田議員にお答えいたします。
 一点は、イラク問題につきましての国連決議との関係でございますが、イラクは大量破壊兵器等の廃棄に関連した安保理決議に対する重大な違反を行っておりますが、これが国際の平和と安全を脅かすものであることは、既に関連安保理決議で認定されております。
 このような中で、対イラク武力行使が行われることになったといたしましても、どのような態様で行われるか定かでない段階で、断定的なことを申し上げるのは困難であります。イラクが国連安保理決議に対する明白な違反を繰り返すことで、関連決議で規定された湾岸戦争の停戦の前提たる要件が充足されていない状況が現出しつつあると思われます。
 次に、有事ACSAについてでございますが、御指摘の有事ACSAが具体的にいかなるものを想定しておるのか不明でございますので、確たることを申し上げられませんが、いずれにしても、指針で想定している日本の協力は武力の行使に該当せず、また、米軍の武力行使との一体化の問題が生ずることも想定されておりません。
 また、輸送を初めとする後方地域支援は、戦闘行動が行われている地域と一線を画された地域において実施されることが想定されておりまして、このような地域では戦闘行動に巻き込まれることは通常予想されません。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣久間章生君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(久間章生君) 新指針に基づく法整備についてのお尋ねでございますけれども、この新指針の実効性確保に関しましては、昨年九月二十九日の閣議決定の趣旨を踏まえまして、現在、政府部内で法的側面を含め鋭意検討を行っているところでございまして、可能な限り速やかに検討作業を取り進めて、所要の措置を講ずることが重要と考えております。
 ただ、先ほど議員が御指摘になられましたような、報道をとらえての話でございますけれども、法整備の内容、法案等の提出時期等については具体的にはまだ定まっておりません。
 なお、周辺事態の認定についてのお尋ねでございますけれども、これは総理からもお答え申し上げましたとおり、ある事態が周辺事態に該当するか否かにつきましては、日米両国がおのおの主体的に判断することとなるわけでございますが、いずれにしましても、これらの判断がしかるべき手続を経て、その時々の法令に従って行われるわけでございます。(拍手)
    ─────────────
#21
○議長(斎藤十朗君) 泉信也君。
   〔泉信也君登壇、拍手〕
#22
○泉信也君 私は、自由党を代表して、橋本総理の施政方針演説に対し、総理及び建設大臣にお尋ねいたします。
 まず、橋本内閣の国民に対する姿勢を伺います。
 沖縄海上ヘリポート基地問題の推移の中に、国民の多くは橋本内閣の本質を見せつけられた思いであります。知事の反対表明を受け、政府高官が、予定していた沖縄振興開発特別措置法の提出凍結を示唆したと新聞は伝えました。そして名護市長選挙の結果を見て、今度は直ちに沖縄振興の姿勢を示したことであります。総理、これは恫喝であります。これほど沖縄県民を、国民を愚弄した言動はありません。
 さきに我々は、事実上沖縄県民にだけ負担を強いる駐留軍用地特別措置法を改正いたしました。そのとき、総理はいかなる姿勢を示されたか、よもやお忘れではないでありましょう。そして今回の演説でも「沖縄の方々が長年背負ってこられた負担に思いをいたし、」とおっしゃっているではありませんか。にもかかわらず、人の心をもてあそぶかのごとき発言がまかり通るとは、まことに悲しいことであります。いかに巧言令色を弄しようとも、内閣の本質はここにきわまれりということであります。総理は、沖縄県民に陳謝すべきではないでしょうか。総理のお気持ちと内閣の姿勢をお聞かせください。
 さて、橋本内閣は、かつて我々が主張した諸政策を憶面もなく取り入れ、施政方針演説を美辞麗句で飾っています。政策転換という美名のもとに、野党の政策を事もあろうに政権与党が取り込むなど、内閣としての、政党としての政治的モラルの崩壊であります。政党政治の原点をないがしろにするだけでなく、民主政治における倫理観の片りんすら持ち合わせていない証左であります。このことに対し、総理はいかなる規範を持って対処しておられるのか、お伺いいたします。
 また総理は、「臨機応変の措置」という言葉で思いつきとも言える政策を取り上げています。当面のほころびを糊塗するだけの場当たり的政策の乱用は、橋本内閣が深い歴史観に根差す確固たる戦略を持ち合わせていないからであります。節操も矜持をも捨てたこれらの脈絡なき政策が、いずれ社会経済に大きなひずみをもたらし、後世に取り返しのつかない重荷を残すことになることを警告しておかなければなりません。総理はいかなる歴史認識のもとで今日の政策を展開しておられるのか、お伺いいたします。
 ところで、橋本内閣は国民の期待の中で発足いたしました。それは国民の多くが村山内閣の無為無策に疲れていたからであり、さらにその後、内閣が掲げた財政構造改革、行政改革などののろしが、この内閣に何がしかの期待を国民に抱かせたのも至極自然であったと思います。
 しかし、国民は今、橋本内閣の六大改革など全く絵そらごとであることを見抜き、火だるまになってもとの総理の言葉すら思い出せなくなっています。行政改革の虚構、財政改革の実態に気づいた国民の当然の反応であります。総理は、改革の先送りは許されないと施政方針演説で述べられました。新しい省庁の名称すら決められなかった内閣にしてこの言葉ありと、国民はあきれ返っています。
 橋本内閣の言う改革とは何か、その改革を目指すに際し、いかなる国家像を描いているのか、国民の果たすべき役割は何か、さらに独自の歴史的伝統に根差す地域をいかに位置づけているのか、お尋ねいたします。
 さらに、二十一世紀をにらんだ我が国のありようを考え、総理が力説される制度疲労を起こしているシステム全体の改革を進めるとき、憲法改正をも視野に入れた対応も必要になると考えられますが、今後の国づくりと現憲法との関係について、総理の御見解をお伺いいたします。
 ところで、改革を進める上に、法律の遵守は当然と言わねばなりません。ところが、総理は、去る二月十七日付東京中央郵便局のレタックスにより、長崎県知事選挙及び同県衆議院補欠選挙に関し、県下の各種団体の長にあて、自民党総裁橋本龍太郎名で自民党が支援する候補者への応援を要請しています。これは公職選挙法第百四十二条に違反するものであります。公正な政治をつかさどるべき立場にある総理にあっては、絶対に許されないことであります。
 総理は、一見華やかな外交活動を繰り広げられておりますが、沖縄の普天間基地問題を思い浮かべるまでもなく、外交の実態は甚だ心もとない状況にあり、まことに嘆かわしいと申し上げねばなりません。
 その第一は、日米防衛協力のための指針についてであります。
 昨年秋にいわゆるガイドラインが策定され、その後、包括的メカニズムが動き出したと承知しています。しかるに、関係法律の整備が進まず、本国会の予定法案の中にもいまだ提示されておりません。周辺事態の定義が、地理的概念ではなく、事態の性質に着目したものというあいまいさでは、立法作業も進められないと聞きます。周辺事態とは何か、安保条約に言う極東とどう違うのか、もう一度具体的な説明をお願いいたします。
 また、関係法案の国会提出がおくれていることは、日米関係の信頼を損なうものであり、その理由と今後の扱いについて、総理の見解を求めます。
 なお、法整備のおくれがさきの湾岸戦争時のように、日本の名誉を再び損なうことのないよう、強く申し上げておきたいと存じます。
 第二に、イラク問題についてであります。
 クリントン大統領の武力行使も辞さないという書簡に、総理はオリンピック期間中の武力行使の回避を要請したと伝えられますが、これは事実でしょうか。ペルー大使公邸事件で、人命第一としか言わなかった外交の拙劣さを思うとき、これが事実だとすれば、余りに情緒的であり、まことに残念であります。
 総理演説の、関係国と協調して対処するというだけでは、イラク問題に対する国民の理解は得られません。先日のリチャードソン国連大使との、すべての選択肢を共有するとした日米合意は、後方支援を含む人的協力あるいは戦費提供等にどう影響するのか、具体的な考え方を伺っておきたいと存じます。またその際、日本は、安保理決議六八七だけでこれらの行動が可能とお考えでしょうか。
 イラク問題を前に、改めて我が国の国益に対する認識が問われることになります。日本の国益について総理の所見をお伺いいたします。
 さらに、安保・防衛の基本政策が異なる自社さ三党の中に、日本の国益に対する認識にそごはないと総理はおっしゃることができますでしょうか。御見解をお伺いいたします。
 次は、国内問題について伺います。
 第一は、平成十年度予算案についてであります。
 十年度予算は、政府みずからが手足を縛った財政構造改革法により、中途半端で政策目的の見えない予算案となっています。内外から経済政策の転換を迫られていることに対し、総理は、景気回復と財政改革の両政策を具体論で述べることなく、臨機応変の措置という虚業により逃げ切ろうとしていると見受けられます。
 しかし、これはマイナス効果を最小にするという官僚的発想であります。現下の日本経済は、政治のリードによる発想なくして、活性化への道を歩むことは困難であります。財政改革を装い、同時に景気回復のまねごとを仕組んだ十年度予算案は、公共事業の削減やさらなる国民負担増を盛り込んだ史上空前のデフレ予算であり、日本経済を破綻に導くものであると言わざるを得ません。
 予算は内閣の顔であります。橋本内閣は、十年度予算案を景気回復を重点とする予算案に組み替え、再提出すべきだと考えますが、総理の見解を伺います。
 さらに、政治には先見性が不可欠と言われます。先見性のない内閣など、政治的にはその存在自体が漫画であります。いかに激変の時代とはいえ、わずか半年先も見通せない予算案では、国民生活の指針にもなり得ないではありませんか。本予算案を最善のものと自負し、提出されました以上、秋口前の補正予算の編成は、橋本内閣の先見性のなさを実証することになるわけであります。自然災害にかかるものを除き、平成十年度補正予算の編成は、少なくとも半年は不必要だと断言し、約束できますでしょうか。総理の見解をお尋ねしておきたいと存じます。
 第二に、不祥事についてであります。
 総理演説では、行政への信頼回復のため、公務員の倫理に言及され、不祥事を繰り返す土壌を根本から改めるとしています。総理が語られたこの不祥事を繰り返す土壌とは何なのか、そしてその土壌をどう改めようとするのか、お聞かせください。
 国民は、国民の目をそらす小手先の繕いには辟易しています。政治家自身が襟を正し、肥大化した省庁の権限、財源を、官から民へ、中央から地方への理念にのっとり、政官業の癒着を断ち切る構造的な解決を望んでいるのです。
 大蔵官僚の汚職事件の根源は、政治家の腐敗にあるとも言われています。また、政治家の中で官僚を批判できる者が果たして何人いるのかとの厳しい指摘もあります。国民には、政治家はどうなんだというやりきれないうっせきしたふんまんがあります。国民は、自民党の有力政治家が共和汚職事件や石油利権汚職の関係で疑惑を持たれたまま、いまだ解明されないことに強い憤りとむなしさを感じています。
 聞くところによれば、瓦建設大臣は、去る十四日、長崎県建設業協会佐世保支部で、政権は自民党にある、自民党と直結した知事や衆議院議員が当選するところでなければ、皆さんの仕事はうまくいかないという趣旨のことを発言したと言われます。もしこれが事実だとすれば、これは地位を利用した利益誘導であり、建設大臣は責任をとるべきであります。建設大臣の所見を伺います。
 また、きさらぎ会という団体を舞台に、選挙と予算配分を結びつけ、法をも無視した運動が白昼堂々と行われていたことに長崎県民の怒りを買っているとも聞きます。
 これらのことは、政官業癒着の構図が今も公然と構築され続けていることを示すものであります。総理、こんなことが許されてよいのでしょうか。これでは百年河清を待っても政界の浄化はかなえられず、国民はいら立ちを覚えるでありましょう。自己のたたずまいを正さず、どうして人の姿勢を問うことが許されるというのでありましょうか。政治家が襟を正すことが先決であります。
 総理は、この政治腐敗などの問題については、与党三党の結論に従う旨述べられました。全く他人事ではありませんか。なぜ総理が率先して対処しようとされないのか、甚だ不思議と申し上げるほかはありません。総理の姿勢を問い、お考えをお尋ねいたします。
 最後に、総理の進退について伺います。
 剣道の道にあって見事な腕前をお持ちの総理には、武士道における「武士に二言なし」という言葉がいかなるものであるかは百も御承知でございましょう。総理の言葉は、その武士の言葉以上に重たい、絶対的なものであります。にもかかわらず、今日までの総理の言葉には、国民の信頼をつなぎとめる重さも潔さも認められません。
 国民の信を失った総理には、一日も早く退陣されることが国家国民のために有益であります。政治の空白はつくれないなどという言いわけには、もはや空虚な響きさえもありません。橋本内閣の存在こそが政治空白そのものであります。
 政権は国家国民のために一時お預かりしているものであるという姿勢こそ政治の王道であります。政権の自己目的化は許されるべきものではありません。総理の英断を求め、御見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(橋本龍太郎君) 泉議員に御答弁を申し上げます前に、お許しをいただき、上田議員に対する答弁が一つ漏れておりましたので、補足をさせていただきたいと思います。
 それは、財革法による社会保障の見直しに関連し、これは憲法違反ではないかというお尋ねでありました。
 私どもは、少子・高齢化の進行に伴う給付と負担の増大が見込まれる中において、将来にわたって安定した制度を構築するために、必要な給付は確実に保障しながら、給付の効率化、重点化などの改革を進めていく。これは将来にわたって国民のセーフティーネットワークとしての役割を十分果たし得る制度をつくろうということであり、それが憲法違反に当たるとは考えておらないということであります。
 抜けておりました点、おわびをして、補足をいたします。
 さて、泉議員にお答えを申し上げます。
 沖縄の振興に関する姿勢についてのお尋ねがございました。
 私は、沖縄の基地問題と地域振興がともに重要な問題、そうした認識のもとに基地問題の解決を図ろう、改善を図ろう、そして沖縄振興策についてもできる限りのことをしようと今日まで取り組んできたつもりであります。そしてこのことは現在まで一貫して申し上げてきております。
 なお、沖縄振興開発特別措置法の改正案につきましては、政府としては、その国会提出に当たり、与党の手続を見守ってまいりました。この法案は、先般閣議決定を経て今国会に提出されたところでありまして、沖縄の振興にとって重要な法案でありますから、成立をぜひお願い申し上げます。
 次に、倫理観が欠如している、歴史認識はどうか、国家像はどうかと、大変いろいろな御指摘をいただきました。さらには、国民の役割といったことに対してもお尋ねがございました。
 私は現在を明治維新、敗戦に続く第三の転換期として位置づけております。しかも、過去二回とは異なり、今度我々は明治的な外圧を持たないかわりに、手本とするものをも持っておりません。
 我が国は敗戦後、経済的な豊かさと繁栄を享受してまいりました。しかし、今日、そのような繁栄をもたらした従来のシステムが社会、経済のさまざまな局面において、ひずみや制度疲労を起こしております。そして子供たちの問題にも見られますように、人の心、気持ちというものも大変難しくなっております。こうした戦後の日本を支えてきた制度、仕組み、こうしたものを二十一世紀にふさわしいものに変えていくことが求められているのです。
 そしてまた、国際社会におきましても、冷戦後の国際秩序を模索する世界の動きの中で、これに的確に対応しながら、地球環境問題など地球的規模の課題に対して、我が国の国際的な地位に合った役割が求められております。
 国の中、外のいずれからも、我々は大きな歴史的な転換点を迎えている、これが今改革を必要とする大きなテーマであります。そして、そうした中におきまして、私どもが今まず景気の回復、金融システムの安定というものに全力を挙げて取り組んでおりますが、まさにこれから先、我々の努力は一層必要なものになるでありましょう。
 その上で、時代認識と改革の必要性から、議員が求められましたものにこたえるなら、私が描く国家像というものは、今までにも申し上げたことがありますけれども、個人の創造性やチャレンジ精神が生かされるような活力のある国、そして世界と価値観を共有できる国、以前にも申し上げてまいりました。
 その中で、国民には個性に応じて多様な選択をしていただきたい、他方、他人の多様な人生を許容する社会であってほしい、そして個人の生き方だけではなく、地域、学校なども多様であってほしいと思います。政府の役割は、その多様性や多くの選択の可能性が広がるような環境を整備していくことではないかと考えております。
 次に、憲法改正についてもお尋ねがございました。
 憲法の基本的な理念として掲げられております民主主義、平和主義、基本的人権の尊重というものは、憲法が制定されましてから今日まで、一貫して国民から広く支持されてきたものであり、将来においても、私は民主主義や平和主義、基本的人権の尊重は堅持すべきものだと考えております。
 憲法改正につきましては、今まで各方面からさまざまな御意見が出ています。それ自体私も承知をいたしております。しかし同時に、国民の間において、憲法改正の具体的内容についての合意が形成されているという状況だとは考えておりません。したがって、現段階において内閣として憲法を改正するという考えは持っておりません。
 次に、議員から追加して、原稿になかったお尋ねでありますけれども、長崎の選挙に関連して、我が党の文書に対してのお尋ねがございました。
 とっさのことでありまして、明らかにお答えをするだけ細かく記憶をいたしておりませんけれども、党の内部文書であると聞いております。
 次に、周辺事態と極東についてのお尋ねがございました。
 周辺事態とは、日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合を言います。これは地理的概念ではなく、生じる事態の性質に着目したものであります。他方、極東は、日米安保条約において国際の平和と安全の維持に日米が共通の関心を有している区域でありまして、両者は性格を異にする概念であります。
 次に、新たな指針に基づく法整備についてのお尋ねがございました。
 新指針の実効性確保に関しましては、昨年九月二十九日の閣議決定の趣旨を踏まえて、現在、関係各省庁で法的側面も含め鋭意検討作業を行っております。可能な限り速やかに検討作業を取り進めて、所要の措置を講じることが重要だと考えておりますが、現時点で法整備の内容、法案等の提出時期等について具体的に定まってはおりません。
 次に、イラク問題についてお尋ねがございました。
 クリントン大統領への親書の発出を初め、日本政府としては、アメリカ側と緊密な協議を行ってきております。そうした中において、アメリカ側は、日本のオリンピックについての考え方を承知していることを明らかにいたしております。
 また、リチャードソン特使来日時に、すべての選択肢をとる余地が残されているという米国の見方を共有する旨を表明いたしましたのは、現下の状況が深刻であるという認識をイラクにきちんと伝え、外交的解決を促すということを主眼としたものでありまして、議員が御指摘をされましたような、支援の問題とはかかわっておりません。
 また、安保理決議六八七との関係につきましては、同決議の重大な違反が国際の平和と安全を脅かすものであることは、既に関連安保理決議で認定されております。このような中で、対イラク武力行使が行われることになるかどうかわかりませんけれども、もし行われたとしても、どのような態様で行われるのか全く定かではない段階で、断定的なことを申し上げることは困難でありますが、イラクが関連決議の明白な違反を繰り返すことにより、関連決議で規定された湾岸戦争の停戦の前提条件が充足されていない状況が現出しつつあると思われます。
 次に、国益ということについてお尋ねがありました。
 自由と民主主義を基本理念とし、社会、経済、文化、それぞれの分野におきまして、豊かな国をつくり、国際社会の平和と繁栄に貢献をする、そして国際社会の中で名誉ある地位を占めるとともに、それにふさわしい役割を果たしていくことが国益にかなうものと考えています。与党三党は、このような考え方は共有しているものと考えておりますし、今日までも安保・防衛分野も含め、政策合意のもとに、緊密に民主的な協議、調整を行ってまいりました。
 平成十年度予算を組み替えて再提出すべきという御意見につきましては、政府としては、現在御提案申し上げております平成十年度予算が最善のものだと考え、編成をし、九年度補正予算に引き続いてこれを早期に成立させていただき、実施に移すことこそが今何よりも重要だと考えております。何とぞ御理解をいただきたいと思います。
 なお、補正予算の取り扱いのお尋ねについては、財政法二十九条の趣旨を厳正に判断し、適切に対処していきたいと考えております。
 また、不祥事を繰り返す土壌とは何か、それをどうするのかというお尋ねをいただきました。
 まず、綱紀の保持に問題があったことは明らかであり、極めて残念なことであります。その中で、そうした綱紀の緩みを生むような土壌というものは、今日までの行政システムの中に内在していたのではなかろうか、そういう反省を私は持ちます。
 そして大蔵省は、今回の事件を深く反省し、綱紀の粛正に努めることはもちろんでありますが、金融行政を明確なルールに沿った透明性の高いものに転換していく等の改革が必要であります。職員一同が自覚を新たにし、一丸となって国民に対する信頼回復のために、松永大臣の指揮のもとで大蔵改革に取り組んでいかなければならないと考えますし、私としても、皆様の御協力も賜りながら、行政に対する信頼回復に全力を尽くしていきたいと思います。
 また、政治改革、政治腐敗などの問題について、他人事ではないかという御意見をいただきました。
 政治倫理の確立につきましては、昨年九月三十日、政治倫理等に関する三党確認というものに基づきまして、与党三党首のもとに与党政治改革協議会が設置をされ、収賄罪に係る有罪確定議員の被選挙権の停止期間の延長等につき、既に合意を得たものもございます。党首としての立場におきまして、その他の点につきましても、引き続き鋭意検討をされているものと承知しており、その議論を踏まえて努力をしてまいりたいと考えております。
 最後に、退陣のお勧めをいただきました。
 公務員でおられる当時からの長い友人の御忠告として、お礼を申し上げます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣瓦力君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(瓦力君) 泉議員から長崎県における私の発言について、お尋ねがございました。
 公共事業の配分は、御高承のとおり、地域の社会資本の整備状況等を勘案いたしまして、また地元地方公共団体の要望や整備の優先度等を踏まえまして、採択基準に照らして決定しているところでございます。これらの配分は各事業の必要性等に即して決定されてきておりまして、今後ともこの方針に変わることはございません。(拍手)
    ─────────────
#25
○議長(斎藤十朗君) 真島一男君。
   〔真島一男君登壇、拍手〕
#26
○真島一男君 私は、自由民主党を代表して、平成十年度予算、特にウエートの大きい公共事業、社会保障、そして教育問題を中心に、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 平成十年度予算は、財政構造改革法に基づく集中改革期間の初年度として、聖域なき歳出カットという方針のもとで主要項目ごとに上限、いわゆるキャップ制を定め、削減、抑制を図った結果、一般歳出は一・三%減と十一年ぶりにマイナスとなりました。歳入面でも、赤字、建設合わせた国債発行が、前年度よりマイナス六・九%、一兆一千五百億円の減少となり、財政再建の第一歩を踏み出しました。財政再建と景気浮揚という難しい局面での予算編成であり、大なたを振るいつつ新しい芽を伸ばすという工夫がおありであったと思われます。
 一般歳出予算のうち、一番削減率の大きいのは公共事業のマイナス七・八%であり、次年度以降も、公共投資基本計画の期間延長に沿って削減が予定されております。
 公共投資は、本来、経済社会の基盤となる資本形成により、公共サービスを提供するものであり、後世まで及ぶ持続的効果を持つものとして事業の評価をすべきであります。したがって、これまでしばしば議論されてきた景気刺激効果は、副次的なものと位置づけられるべきだという見解もございますが、現実には景気の下支えや地域の活性化、雇用促進効果の面で大きな役割を果たしてまいりました。
 下水道普及、道路整備等のインフラ整備は、欧米に比べていまだに甚だ整備率が低く、特に大都市と地方の格差が大きいことに十分考慮して整備を推進する必要があるとともに、物流の効率化等のためのインフラ整備や安全な暮らしのための防災対策、さらには環境対策、福祉対策、情報化社会対策等公共投資の役割はますます大きくなってきております。
 総額が縮小する中で、このような公共投資への多様なニーズに対応していくためには、事業分野の絶えざる見直しを行って、量から質への転換を図りつつ、建設コスト、用地比率の引き下げ、新たな整備手法の工夫等によって重点投資を行うことが重要であります。
 十年度予算において、生活、物流、経済構造改革の三つの特別枠合計五千五百億円を設けて、シェア変更等に努力された跡がうかがわれますが、新しい社会資本の整備の方向として、特に重点的に伸ばした事業について、それが経済活動の基盤形成や国民生活の改善にどのように役立つものであるか、具体的に総理並びに大蔵大臣に御説明をいただきたい。
 来年度予算の公共事業の八%近い削減により、景気への影響も大変気にかかるところであります。約六百七十万人の就業者を抱える建設業の雇用問題が、地方においても日を追って深刻なものとなってきております。国、地方合わせた投資的経費の総額は、国の施策と連動する補助事業、地方の単独事業とも相当の削減となっております。公共投資の大幅削減は、特に地域経済を直撃するのではないかと地方では心配をしております。地方経済の安定あっての日本の安定ではないでしょうか。自治大臣の所見をお伺いいたします。
 次に、海外と比べて割高と言われている建設コストについての削減の努力が強く要望されております。政府は昨年四月、公共工事コスト一〇%削減の目標を掲げた行動指針を決定し、五年後達成を三年後達成に前倒ししましたが、その進捗状況はいかがでしょうか。建設大臣に見通しも含めてお答え願います。
 次に、都市における中心市街地問題について質問いたします。
 戦後の繁栄の歩みの中で、今日だれもがむなしい思いをするのは、かつて買い物でにぎわっていた顔見知りの店が次々とシャッターをおろしたままになっていく無残な姿をさらしている光景ではないでしょうか。巨大な流通資本の吸い込む力の前に、弱い商店街は頑張っても頑張っても力尽きて倒れていくのです。商店街を取り囲んでみんなが力を合わせ助け合って生きていくという、人のぬくもりがある町のたたずまいを守り育てるということは、都市のセーフティー、生死にかかわる重要なことであり、都市計画の重要な責務であります。私は、都市計画制度の中で商業施設立地のルールを定めるべきであると考えます。建設大臣の所見を伺います。
 社会保障は国家百年の計であります。今後、我が国が世界にも例のない超高齢化社会を迎えるに当たり、国を挙げて社会保障の問題を考える必要があります。
 これに関連して、特に重要と思われる点について質問いたします。
 戦後の社会保障制度は、いわゆる弱者救済対策中心に出発いたしましたが、昭和三十六年に国民皆保険、皆年金体制が整備され、社会保障制度は国民のすべてがその対象とされる、いわゆるセーフティーネットとしてこれまで国民生活の安定に寄与してまいりました。超高齢化の進行に伴い、社会保障の重要性は一層高まってまいりますが、それにかかわる負担も増大していくことは避けられません。
 社会経済の活力を維持しながら、国民が安心して暮らすことができる社会保障制度を子や孫たちの世代に確実に引き継いでいくため、総理の六大改革の一つとして社会保障構造改革を推進しているところであります。改革に当たっては、制度の公平公正の確保が強く求められるとともに、いかに合理化、効率化していくかということが重要であります。
 一つの具体的な問題として、社会保障制度が弱者救済制度に加え国民すべてを対象とする制度に拡大していったことにより、例えば厚生年金を支給されている方の中にも、高額の所得を得ておられる方々がおられます。この点について、さきに成立した財政構造改革法の中に、一定以上の収入を有する年金受給者に対する厚生年金等の給付のあり方に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる旨の規定も盛り込まれているところであります。
 このように、社会保障の効率化、合理化が求められている中で、高額の所得のある方についての年金等の社会保障給付のあり方をどうするのか、また、そのような方々を制度の対象としてどう取り組むべきかといった問題が生じております。総理の御見解を伺いたいと思います。
 社会保障制度は、個人の自立と社会の連帯という二つの軸の上に成り立っておりますが、この連帯ということについて、同一の世代にとどまらず、親と子、子と孫といった世代間の支え合いが極めて重要であります。しかしながら、近年の少子化の進行は、平均寿命の伸長と相まって、人口に占める高齢者の割合を高め、年金制度や医療保険制度を中心に現役世代の負担を増大させております。そして若い世代は将来に対して不安を感じています。
 一方、若い世代は子供を産み育てることについてさまざまな不安を感じるようになってきていることも指摘されております。このような若い世代の将来への不安を解消し、我が国社会を未来に希望の持てるものにするためには、少子化の問題に正面から取り組んでいくことが極めて重要であります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 例えば、育児と仕事の両立の負担感が子供を産み育てることをためらわせているという指摘がありますが、これを解消するためには、固定的な男女の役割分担の見直しや労働慣行の是正といった社会全体のあり方を問い直すことも必要であります。また、子育てを社会全体で支援するという意味から考えて、保育施設も重要ですし、子供の医療費負担についても考えていくことが必要であります。さらに、社会挙げての子育てへの温かいまなざしが大切です。例えば街角に、あるいは病院や銀行、電車やエレベーターなどにベビーカースペースというようなものを普及させるというのはどうでございましょうか。
 こういったことを含め、少子化問題についての総合的な対策の推進が必要と考えます。生まれ出る子供こそが未来の社会の担い手なのであります。総理の御見解をお伺いいたします。
 総理は、教育における病理現象をいやすために心の教育が大切だと説かれています。全く同感であります。
 私は、ここで我が新潟県の小千谷市立小千谷小学校の試みを紹介させていただきます。
 この小学校では、心を磨くことを教育目標に掲げています。この学校では、教職員と大工さんが手づくりで古い民家のいろりのある部屋を移築してきました。そして、父母たちが先生の助手をしています。父母たちがそれぞれの仕事や生活の知恵を生かして授業づくりに参加をしているのです。昨日は五百人以上の父母が参加をしてくださいました。そして一年生の子供たちと雪でかまくらづくりをやったり、六年生の理科の実験に参加をしておりました。父母たちは喜んでゲストティーチャーも引き受けてくれます。そしていつでもどの教室でも父母はサポートに入っていきます。教室に先生のほかに大人がいると不思議に空気が和むそうです。子供は、目の当たりに教えかつ学ぶ父母を見て喜びます。周りの社会とのつながりの発見でもあります。だれそれのお父さん、建築の仕事格好いいなというぐあいに、家庭でも話の花が咲くでしょう。
 政治が今少年たちのためになすべきことは、彼らの心を抱擁し合いながら、二十一世紀、君たちの周りの社会はこうなるよ、日本はこういう姿にしなければならないんだよ、だから少年諸君はこういう生き方をしようではないかと具体的に語りかけることではないでしょうか。総理の御所見を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(橋本龍太郎君) 真島議員にお答えを申し上げます。
 まず第一点は、社会資本の整備に関する御質問でありましたが、十年度の公共事業予算につきましては、財政構造改革関連の社会資本について、物流の効率化対策に資するものを中心に優先的、重点的に整備をいたしますほか、相対的に立ちおくれている生活関連の社会資本への重点化を図っております。これらの事業につきましては、我が国経済の活力維持や国民生活の質の向上に資するものと考えております。
 次に、高額所得者に対する年金給付等の見直しについてのお尋ねがございました。
 この問題は、財政構造改革法においても検討課題とされておりまして、高額所得者は所得保障の必要性が少ないこと、あるいは税財源の効率的使用の観点から、支給制限は検討すべき課題と考えております。
 他方、拠出に応じた給付を行うという社会保険方式の基本にかかわるという御意見もありますし、一律に給付を行えという御意見は、その延長線上のものであります。政府としては、将来の現役世代の負担を過重なものとしないよう、国民的議論を十分に尽くしながら、合意を得て制度改正に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、少子化対策についての御質問がございました。
 昨年十月、人口問題審議会において、少子化への対応についての基本的考え方として、育児と仕事の両立支援とともに、男は仕事、女性は家庭という固定的な男女の役割分担や、あるいは家庭よりも仕事優先を求める雇用慣行を是正するなど、社会全体のあり方を問い直すことが必要であるという報告書がまとめられました。
 今後、本報告書の指摘も踏まえ、国民的な議論の動向を見きわめつつ、子育て支援を初め少子化に対する総合的、効果的な施策の推進に努めてまいりたいと思います。
 最後に、政治が少年少女に、社会や生き方について語りかけるべきであるという御意見をいただきました。御郷里の実例を引いての御意見、私自身も本当に同感であります。
 昨年、たった一回だけでありますけれども、公立の高等学校で薬物の乱用防止を訴える講座を傍聴いたしました。真剣に語りかけておられる講師に、初めはざわめいていた生徒たちがだんだん真剣に聞き入るようになった姿は大変印象的でありました。そしてその後、その生徒諸君の体育の授業としての剣道の中に私も入れていただきましたが、ともに汗をかいた後、すがすがしい思いを持って帰ってきたことを考えております。
 どうやったら子供たちの世界に大人が積極的に入っていけるか、また、入っていかなければならない、そしてそれぞれの方がそれぞれの方のできる形で子供たちと心を開くことを、お互いが真剣に考えるべきであるという御指摘に心から敬意を表します。
 残余の質問に関しては、関係大臣から御答弁をいたします。(拍手)
   〔国務大臣松永光君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(松永光君) 真島議員にお答え申し上げます。
 私に対する質問は、社会資本の整備についてでございましたが、むしろ真島議員の方が詳しいぐらいでありますけれども、十年度の公共事業予算につきましては、高規格幹線道路や国際ハブ空港、港湾等の物流効率化対策に資する事業について優先的に整備する。二番目には、下水道や廃棄物処理施設などを中心とした生活関連の社会資本へ重点を置いて予算の編成をしたところであります。
 これらの事業については、経済構造改革の一層の推進により、我が国経済の活力の維持にも資するとともに、国民生活の質の向上に資するものと考えておる次第でございます。
 以上、お答え申し上げました。(拍手)
   〔国務大臣上杉光弘君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(上杉光弘君) 真島議員の経験、見識豊かな立場からの質問でございますが、お答えをいたします。
 平成十年度の地方財政計画におきましては、厳しい財政状況のもとではございますが、地域経済への影響等も十分勘案をいたしまして、地方単独事業費を前年度比四%減の十九兆三千億円を確保いたしますとともに、各地方公共団体が公共事業の減少によりまして地域経済への影響等がございます。例えば私は宮崎ですが、県民経済全体の三〇・一%を占めるというような地方の状況がございますから、実情に応じて対処できますように、地域経済対策事業費等必要な財源措置を講じているところでございます。
 これによりまして、各地方公共団体が地域経済の動向に即応し、機動的、弾力的な対応が行われるよう支援してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣瓦力君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(瓦力君) 真島議員にお答えをいたします。
 公共工事のコスト縮減の進捗状況、見通しについてお尋ねでございました。
 平成九年四月に決定されました行動指針に基づきまして、関係省庁が連携しながら、さまざまな施策を推進しているところでございます。コスト縮減等の技術提案を受け入れる入札・契約制度の試行、技術基準の見直し等、幅広い取り組みを実施いたしておるところでありまして、初年度でございます平成九年度における取り組みの成果につきましては、取りまとめ次第、公表する予定でございます。
 平成十一年度までに所要の施策を完了し、その効果により一〇%以上のコスト縮減を図ることを目指して、今後引き続き広範な施策の推進に全力を挙げてまいる所存でございます。
 次に、都市計画制度における商業施設立地の取り扱いについてのお尋ねでございました。
 商業機能は都市機能の重要な一部でございまして、町づくりを進めていく上で重要でございます。適正な配置の実現は重要な課題と、かように認識いたしておるところであります。
 本日、閣議決定いたしました都市計画法の一部を改正する法律案に、特別用途地区の多様化を盛り込んだところでございます。地方公共団体が商業機能の適正な配置など、地域の実情に的確に対応した町づくりを進めていくことを期待いたしております。
 また、中心市街地の活性化を促進するための法案を既に国会に提出いたしておるところでございまして、関係省庁と連携のもと、地方公共団体による積極的な取り組みを支援してまいりたい、かように存じております。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#31
○副議長(松尾官平君) 北澤俊美君。
   〔北澤俊美君登壇、拍手〕
#32
○北澤俊美君 私は、民友連を代表して、若干の所見を述べ、橋本総理の施政方針演説に関連し、質問をいたします。
 我が国は今日、明らかに制度疲労を来しており、新たな自己改革を急ぐ必要があります。
 行政における中央集権構造、たび重なる官僚不祥事、財政におけるケインズ主義、金融における護送船団方式、市場管理型の産業政策、横並び型の企業行動、官庁や企業における情報の隠匿、教育や社会における結果の平等主義、青少年による凶悪犯罪など、枚挙にいとまがありません。内外の条件変化に対応して自己を改革し、二十一世紀に新たな展望を開くには政治の役割が極めて重要であります。
 このような中にあって、橋本内閣は六大改革を掲げていますが、現在の状況は改革が前進しているとは到底言えないのであります。
 さて大蔵大臣、あなたは、私の質問終了後直ちにロンドンに向けてG7出席のために出発されるとお聞きをいたしております。あなたを送り出すことに、国民は大きな不安を持っております。
 ワシントン発十九日付で米国のルービン財務長官は、日本の二兆円の特別減税だけでは不十分、減税の規模の拡大が必要と発言し、政府・与党による土地流動化等の景気対策では不十分であると批判をいたしております。日米蔵相会談やG7で日本に対し、追加的な景気対策を強く迫ることは確実であります。
 もちろん、我々民友連は減税について何度も主張してきたところであります。外国の圧力によるのではなく、我々の提案を聞き入れ、まず景気を回復するための政策に一直線に取り組むことが先決であり、財政再建は日本経済が健康体に戻ってからという明快な路線変更を打ち出し、六兆円規模の思い切った減税を実施しないと、日本発世界的デフレになりかねないのであります。
 日米蔵相会談、G7に大蔵大臣はどのような態度で臨まれるのか、御所見を伺います。さらに、これに先立ち総理は、大蔵大臣にどのような指示をなされたのか、お伺いをいたします。
 次に、政治改革、政治倫理について伺います。
 政治改革は、我々が、相次ぐ政界汚職や不祥事と政治の停滞の反省に立ち、取り組んできたものであります。しかしながら、現在も相変わらず政治家による汚職や不祥事が後を絶ちません。
 自由民主党の新井将敬議員の逮捕を直前にした自殺は、事の事情は別にいたしましても、まことに悲惨なことでありました。私たちは早い段階から、新井議員の証人喚問を求めてまいりました。しかし、自由民主党の反対で実現することができなかったのはまことに残念であります。この問題は、国会の責任において徹底的に真相を究明し、国民の前に政治的、道義的な責任を明らかにする必要があったのであります。国会はそれを怠り、自浄能力の欠如を国民の前にさらけ出しました。また、この事件により、政治家と株の売買が国民の不信感を高めております。この際、実態の解明と対応について橋本総理の見解をお伺いいたします。
 また、金融財政運営の責任を負う大蔵省の腐敗が次々に明るみになっております。私は、今回の大蔵省の不祥事は、単なる一部の官僚の不行跡という問題ではなく、大蔵官僚の市場経済に対する不信と、経済社会を巧みに誘導できるという、変形した自信に基づく構造的な思い上がりであると思うのであります。
 今回の一連の不祥事は、大蔵大臣の辞任ですべてが済まされたわけではなく、大蔵省を中心とする政官財の癒着構造を徹底的に解明する必要があります。さきの大蔵省不祥事に関する中間報告程度の調査では、国民の不信感は払拭できるものではありません。総理、あなた自身の責任において徹底的な調査、解明を行うべきであります。あわせて、公務員倫理法の制定に対する総理の御見解及び決意を伺いたいのであります。
 さらに、この問題については、大蔵大臣の責任は極めて重大であります。あなたは就任のとき、検事の肩書が重要視されての起用だと報じられました。本人にとってはまことに不本意なことでありましょう。ましてや、国民にとっては驚きでありました。この不況の中で財政、経済に対する高い見識と決断力に国民は期待したからであります。しかし、その期待されたという検事の経験すらも、大蔵省の中では通用しなかったようであります。
 九五年に過剰接待で辞職した元主計局次長の調査を表明しながら、一転再調査を拒否しました。多分事務方の圧力でありましょう。たまたま私は、大蔵事務次官がテレビでこの件についてコメントしているニュースを見たのですが、その印象はまことに堂々と言おうか、ふてぶてしいと言おうか、大臣からそのような指示はありませんでしたと言い切っておったのであります。大蔵省内の空気は、不祥事に対する国会論議とは遠く、ましてや、国民の怒りとはほど遠いところにあるようであります。昨日の答弁では納得ができません。具体性のある説明と今後の対応について大蔵大臣の見解をお伺いいたします。
 次に、金融問題について伺います。
 貸し渋りについては、ここ三日間で衆参で多く論じられてまいりました。確かに都銀を中心に目に余るものがあります。そして、これは玉突き状態で、結局中小企業へのしわ寄せとなっております。それに関連して、政府の無責任な対応策を御指摘申し上げたいと思うのであります。
 政府は、全国信用保証協会に対して、今までの事故率二%を基準として厳しい指導をしてきたのですが、最近、一〇%の事故率を上限として、保証を拡大するよう指導したということであります。保証協会側は、実態にそぐわないことを理由に、無視しているとのことですが、総残高二十九兆円の協会が、これ以上、代位弁済の余地はございません。保険公庫は、ここ数年にわたり毎年赤字であり、公庫の保険収支はパンク寸前であります。また、西日本ほか大都市の協会は、自己資金不足で一部代位弁済が不能とのことです。
 こんな状態で、十年度予算で基金補助金だけを要求の四倍も予算化して、保証の拡大を図ろうとしても、協会がついてくるわけがありません。また、仮に協会が政府の言うままにしたとしたら、協会の組織は完全に崩壊し、本来の設立趣旨から外れ、中小零細企業の育成の使命を達成することができなくなるのではありませんか。そのことを承知した上での指導であるのかどうか、大蔵大臣、通産大臣の御見解をお伺いいたします。
 次に、行政改革についてでありますが、土光臨調以来の行政議論の中で欠けているものの一つに、行政依存体質からの脱却という民間サイドの意識改革の問題が存在します。
 政府の行政会議がまとめた省庁再編の最終報告では、行政への過度の依存体質に決別し、自律的個人を基礎とし、国民が統治の主体としてみずから責任を負う国柄へと転換しなければならないという理念、目標を挙げています。しかし、具体的な形で示されたのは、現行の二十二省庁を一府十二省庁に統合する省庁再編案だけで、自己責任を基盤とする国家像は輪郭さえ見えてきておりません。目指すべき国柄の明確な姿が見えないままに、省庁の枠組みだけを変えても、本質的な行政改革など期待できるものではないと考えます。
 この対局にあって、行政改革の行く手を阻むものは何か、官僚特有の自己保存本能であります。したがって、行政改革の歴史は失敗の歴史でもあります。組織を縮小したり、権限を減らすのは、官僚にとっては自己否定であります。組織衰退の責任者になりたくないのが霞が関の文化となっているのであります。
 現状は、確かに一〇〇%不要な官庁はないでしょう。しかし、五〇%役に立っていない組織なら少なくない。二〇%あるいは三〇%の機能が停止しているケースなら、中央に限らず全国にたくさんあります。しかし、官僚の魔術はどんなに不要なものにも何か存在意義を見つけ、予算要求するのです。ここにメスが入らないままの省庁再編は何の意味もないのであります。
 橋本行革は、またしても政が官に敗れた行革の歴史に一ページを加えるだけのものであります。総理の反論を伺いたいのであります。
 また行政改革は、自由、公正、グローバルな経済社会に即応し、複雑で大きな政府から、簡素、効率、透明で小さな政府の実現を目指し、情報の公開、規制の撤廃、緩和を大胆に進め、自主財源を伴う地方分権の推進を行い、国と地方の役割分担を明確にした上で、地方分権を支えるべき住民の力を育て、これを健全に受けとめる基礎自治体の機能強化と規模の輪郭をいち早く国民に示し、国の目標とすることが必要であります。
 あわせて、NPO活動を活発化させるための施策も積極的に講ずるべきであります。NPO法については、既に参議院に議員立法で三法案が提出されております。調整のポイントの一つは、税の優遇処置であります。政府も積極的に支援すべきと思います。そうすることによって、官の分野と思われていたものが、NPOの活動によって民へ移行していくのであります。総理並びに大蔵大臣の見解をお伺いいたします。
 医療、福祉についてお伺いをいたします。
 さきの国会において、介護保険関連三法案が成立し、二〇〇〇年度から制度がスタートします。介護保険創立に当たって最大の課題は、保険あってサービスなしにならないように、介護サービス基盤を充実させることだと考えております。九九年度までの新ゴールドプランをさらに上積みした新たなプランを策定すべきであると考えますが、総理の御見解を伺います。
 高齢化の進行により、年金、医療など社会保障予算は増加していきます。にもかかわらず、政府・与党は、さきの国会で財政構造改革の名のもとに、社会保障費の大幅な抑制を将来とも推し進めることを決めました。社会保障予算の抑制は、給付の削減やサービスの縮小を招き、ハンディキャップを負う方々や介護に当たる方々の生活の質を低下させるおそれがあり、ひいては社会保障制度の崩壊にもつながりかねません。
 社会保障制度の改革を考えるときには、まず、二十一世紀の少子・高齢化社会にふさわしい社会保障とはどういうものか、そのあるべき姿を国民に示す必要があるのではないでしょうか。その将来像を国民に明らかにし、情報公開を行いつつ、国民的議論を積み重ねていく、そして政府と国民が負うべき責任分野を明確にしていくことが重要だと考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。
 弱い立場の国民大衆が国を信頼し、改革の荒波に耐えるためにも、社会保障のセーフティーネットとしての下支えがあって初めて、行財政改革を思い切って進めることができるのであります。この意味でも、国の予算の使い道に思い切ったプライオリティーをつけ、社会保障関係予算を確保し、国民の不安を解消していくことが重要であると考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。
 次に、沖縄問題の原点は、在日米軍基地の約七五%が沖縄県に集中し、県民に過重な負担を強いてきたところにあります。
 したがって、最も有効な解決策は、言うまでもなく、基地を可能な範囲で少なくすることであります。その場合に、沖縄の地政学的な特性や米軍の抑止力維持など、安全保障の観点を考慮することは無論のことであります。普天間返還などを盛り込み、基地の段階的な整理、縮小を目指すSACOの最終報告は、その意味では極めて現実的なプランであります。SACOの最終報告は、橋本総理、クリントン大統領も関与した日米間の合意であり、実現がおくれれば米国に不信感が生じ、日米関係に影を落とし、日米安保の土台が揺らぐ可能性があります。
 こうした事態を避けるためにも、橋本総理は大田沖縄県知事との協議を積極的に行うべきであると考えます。沖縄県の対応や名護市民の意思決定に一々感情をあらわにしたり、知事に総理との会見を拒否されたがごとく思わせるようなことや、振興策の決定を交渉のカードにするがごときことは、よもやお考えではないと思うが、かりそめにもそのような報道がなされることは、我が国の安全保障という国家の大事と、沖縄県民への強い思いが論じられた昨年の国会論議を無視するものであると同時に、あの当時、質問をした私と総理の間で、沖縄への思いを共有したことも御記憶にあろうかというふうに思います。リーダーとしての見識にかかわるものであります。総理の明快な見解をお伺いいたすところであります。
 次に、少年法との関係についてお伺いをいたします。
 総理も施政方針演説の中で触れておられますが、残念なことに凶悪な少年事件が連日のように発生し、国民は不安な思いを抱きつつ、社会のあり方、教育のあり方について考えをめぐらす毎日であります。
 そのような中で、国民の知る権利という名のもとに、審判の非公開などを定めた少年法の趣旨を大きく逸脱し、被害者の遺族の悲しみを踏みにじる商業主義的な報道が相次いで行われております。検察官に対する供述調書を掲載してあるもの、少年の顔写真、氏名等が掲載してあるものですらも堂々と出版をされております。少年法に反しているのであれば、当然何らかの法的措置がとられるべきではないでしょうか。
 凶悪少年事件及び当該犯罪を犯した少年についての、こうした形での報道の影響について、総理大臣及び法務大臣はどう考えておられるのか、御見解をお伺いいたします。
 また、公判、審判以外で使用されることを予定しておらず、本来、流出などするはずのない検事調書が流出したことの重大性と、その責任についてどう考えておられるのでしょうか。当然、流出の経緯等については、厳しい調査、捜査、刑事責任の追及を行い、国会にも御報告をいただくものと思いますが、事実関係の早期解明について、法務大臣にお約束いただくとともに、人権の観点から、いかなる問題があるかについて、御所見をいただきたいと思います。
 また、それぞれの掲載誌は、あえて少年法に抵触したと開き直ったり、知る権利、言論の自由を重く見るなどと、社会への問題提起で正当化の論陣を張ろうとしているが、資料の入手には違法性が存在するのです。とりあえず、手に入った大切なものを自分の社で利用したいという商業主義以外の何物でもないと思うのであります。メディアは大きな影響力を持っている、それだけにいつも自分自身が凶器になり得るとの自覚を持つ必要があるという新聞の社説にこそ耳を傾けるべきであると思うのであります。
 さて、このような報道が相次ぐ背景には、現在の少年審判のあり方、情報公開等に対する意見があります。これまで以上の情報公開の必要性及び法曹三者で検討中の少年審判のあり方について、総理及び法務大臣の御見解を伺います。
 総理、最後に申し上げます。
 限られた時間の中で、さまざまな問題点を指摘してまいりましたが、橋本内閣は大上段に構えた改革の実績をいまだ上げることができず、経済不況からの脱出もままならない状況であります。さらに、政官不祥事はますます増大の一途であります。国民の怒りは頂点に達しております。
 総理、あなたは、私がやめれば事が解決するものではないと言っておられるようですが、確かに党内的にも、橋本の後継は橋本だと言われているようであり、また、次をねらうかと思われる方も、私は次の次だと言っておられるようであります。まさに、政権党の中は人材払底、意欲欠如であります。国民の不幸はきわまれりであります。この際、現状打開のため、解散を断行し、国民の審判を受けるべきであります。
 総理の見解をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(橋本龍太郎君) 北澤議員にお答えを申し上げます。
 まず第一に、総額六兆円規模の減税を実施すべきとの御意見がございました。
 この実施は、後世代への負担の先送りであります特例公債の大量発行を伴うという問題があります。また、我が国の租税負担率が欧州各国に比してかなり低い水準にある中で、税負担のあり方としても問題があると考えております。
 大蔵大臣のG7への出発に際しましては、我が国経済の現状等を各国に説明するとともに、国際経済等について十分な意見交換をしてきてもらいたい、そのように申し伝えております。
 また、政治改革、倫理につきまして、新井議員の死を踏まえて御意見がありました。
 冒頭、まず新井議員の死に関し、事情はどのようなものであれ、謹んで弔意を表したいと思います。
 国会における御論議の問題につきましては、院内の各党各会派、さらには党派、会派を超えて国会議員の間で広く十分に議論されるべきと考えております。また、関係当局は事態の解明に全力を挙げるものと考えております。
 次に、大蔵省を中心とした政官財の癒着構造がある、それが一連の不祥事のもとである、そうした御指摘をいただきました。
 公務員や特殊法人の役員の不祥事が相次いだことに対しては、遺憾と申し上げる以外にないという思いでありますし、大蔵省においては徹底的に原因を解明し、その結果を公表するとともに、関係者に対する処分を厳正に行わせます。
 これらの事件は、基本的には、まず当人の倫理観の欠如によるものでありますけれども、大蔵省として、今回の事件を深く反省して、綱紀の保持に努めることは当然のこととし、金融行政を明確なルールに沿った透明性の高いものに転換する等の大改革が必要であり、職員一同自覚を新たにし、一丸となって、国民に対する信頼回復のために、松永大臣の指揮のもと、大蔵改革に取り組んでいかなければならないと考えております。私としても、皆様の御協力も賜りながら、行政への信頼回復に全力を尽くしたいと考えております。
 次に、公務員倫理法についてのお尋ねがございました。
 現在、政府部内に公務員倫理問題に関する検討委員会を設け、いわゆる公務員倫理法の制定を期して、鋭意検討を行っております。同じく本問題を検討しておられる与党三党とも連携し、早急に作業を進めてまいりたいと考えております。
 また、行政改革の行く手を阻むものは、官僚の自己保存本能だという御指摘をいただきました。
 行政改革、官僚諸君の行動様式、これは断じて霞が関のための霞が関改革であってならないということは、議員の御指摘をまつまでもなく、当然のことであります。あくまでも国益に資する国民本位のものでなければなりません。省利省益や既得権益を排しながら、公務員諸君が真に全体の奉仕者として業務に精励する、そのような行政改革を実現していくことが私どもの果たさなければならないことと考えております。
 真の行政改革とはというお尋ねがありました。
 それは、国の権限と仕事を減量し、簡素で効率的な行政、機動的で効果的な政策遂行を実現することであり、国民の皆様から信頼された開かれた行政を進めていくことであります。そのためにも、国の果たすべき役割を根本から見直し、規制の撤廃、緩和、官民の役割分担の徹底、さらに、既に第四次までの勧告をいただいております地方分権の推進、情報公開法制の整備などを着実に進めながら、それを前提として中央省庁などの改革を断行してまいります。
 市町村の規模と機能、これがやはり大事ではないかという御指摘もちょうだいをいたしました。
 分権の推進というものは、まさに住民に身近な行政ほどできる限り住民に身近な地方公共団体が担っていく、これを基本とするわけでありますが、その観点から、今後、市町村に権限などをさらに移譲することが重要であります。と同時に、こうした地方分権の成果を十分に上げるためにも、また行政を取り巻く環境の変化に適切に対応するために、市町村の行財政基盤を強化することが求められており、自主的な市町村合併を積極的に推進してまいりたいと考えております。
 次に、NPO法案についてのお尋ねがございました。
 現在、本院において御審議中のNPO法案は極めて重要なものでありますし、できるだけ早く立法府から行政府の手にお渡しをいただけることを願っております。
 税制も含めましたNPOの支援策のあり方、こうした点についてもお触れをいただきましたが、政府としても、施行後の実態を見ながら検討していきたいと考えております。
 また、介護サービスの基盤整備についてのお尋ねがありました。
 まずは、新高齢者保健福祉推進十カ年戦略の目的が達成できますように、引き続き努力をしてまいります。
 また、介護保険制度のもとにおきましては、市町村が必要なサービス量を見込んだ介護保険事業計画を策定することとされており、必要な支援に努めていきます。
 また、社会保障の改革について、さまざまな角度からの御論議をちょうだいいたしました。
 少子・高齢化の進行に伴う国民の需要の変化に適切にこたえるとともに、制度間の整合性や公私の役割分担を考慮しつつ、制度の合理化、効率化を図っていく必要があります。こうした考え方に立って、国民的な議論のもとに引き続き構造改革に取り組みながら、必要な給付は着実に保障し、国民が安心できる制度、セーフティーネットとして役立つものを構築していくように努めます。
 次に、普天間移転に係る大田知事との協議についてのお尋ねがございました。
 この問題につきましては、地元沖縄県の御理解、御協力を得るべく、大田知事と何回も協議を重ねてまいりました。そして昨年末に知事と会談をいたしました際、知事さんの方から、県内の意見集約等に一月中旬ごろまで時間が必要であり、その後に再度会談したいというお話でございました。それをお待ちしておりましたが、双方の日程がなかなか調整がとれないうちに、今月六日、知事は海上ヘリポート受け入れ拒否を表明されました。今日も、私は知事から御要望があれば、お目にかかり、意見を伺いたいと考えておることは、繰り返し既に申し上げておるところであり、全くその姿勢を変えておりません。
 次に、少年法の趣旨を逸脱する報道についてお尋ねがございました。
 こうした報道が、関係者の人権に好ましからざる影響を及ぼすおそれのあること、さらに、多くの人々に、大きな心の痛みを与える危険性のあること、関係当局におきましても十分承知をしておると思います。関係者の人権に好ましからざる影響を与える、こうした御指摘もそのとおりであり、既に当局は、必要な措置を講じておるものと承知しておりますが、少年審判のあり方につきましては、関係当局において必要な検討を今しているところであります。
 最後に、解散を求めるという御意見をいただきましたが、この御意見には残念ながら同意できません。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣松永光君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(松永光君) 北澤議員にお答えを申し上げます。
 御指摘のとおり、きょうのこの本会議が終わったならば、ゼロ泊三日の予定でG7並びに日米蔵相会議に行ってまいります。
 どういうことでやってくるかというと、まず、アメリカのルービンさんが何と言おうと、私としては、総理の指示に基づいて、我が国が昨年の暮れ以降、二兆円の特別減税、それからこれから御審議を願う法人課税、有価証券取引税、地価税等々の減税措置、あるいは先般成立をさせていただきました金融システム安定化のための措置、そういった財政・金融両面からさまざまな措置をやって、そして日本の景気の回復に全力を尽くしておるという実態をしっかり申し上げてきたい、こう思っております。
 同時にまた、インドネシアに代表される東南アジアの通貨あるいは金融の危機に対しても、これから党並びに内閣の方で最終的な対案を決めていただけるそうでありますが、それを受けて、これこれしかじか日本はしっかりと支援するということを申し上げてきたい、こう思っているところでございます。
 次に、過剰接待等の理由で辞職した元主計局次長の税の問題でございますが、私はこの問題については、大蔵省の行政の中で金融、銀行、それに対する行政について不祥事が発生して、そして大蔵の信用が落ちている。まさか国税についてはきちっとやっているんだろうな、不公正な措置あるいは身内に甘いなどということはあってはならぬことでありますから、まさかそれはやっていないだろうな、そういう点を調べたい、こういうことを申し上げて、それで実は国税当局に数回にわたってその当時の事情を聴取し、詳しく調べさせていただきました。
 もちろん、こういう事柄は事務次官じゃだめなんです、これは。国税庁の担当者じゃなきゃいかぬわけでありますから、その関係者からよく話を聞きましたし、結果においては、証拠に基づいて相当しっかり調べた、そして最終的には適正な措置をしておる、国税はしっかりやっておるなという感じを私は持った次第でございます。
 それからもう一つは、貸し渋り対策のことでございますが、健全な事業を営む中小企業、中堅企業について、資金供給の円滑化が図られないということがあってはなりませんから、そこで大蔵省としては、部内的には早期是正措置の運用の弾力化、あるいはまた金融機関の自己資本の強化を図ることについての支援、あるいはまた政府系金融機関の資金量の拡大等々の措置をしっかりやって、そしてこの貸し渋り対策に対応してまいりたい、こう思っておるわけであります。
 それから、NPOの問題でございますが、これは総理から御答弁がありましたので省略させていただきますが、要するに我々としては、どのような団体がNPO法人としての資格を取得することになるのか、どのような活動が展開されるのか、その実態を見きわめた上で慎重に対応する必要がある、こう考えておる次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣堀内光雄君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(堀内光雄君) 北澤議員にお答えを申し上げます。
 信用保証協会についてのお尋ねでございました。
 保証の事故率は事後になりませんとわからないものではございますが、最近の貸し渋りの状況あるいは景気停滞等を見まして、中小企業をめぐる厳しい状況にかんがみまして、今後リスクの高い保証需要の増大が予想されることでありますので、仮に通常では想像し得ないような事故率が発生したとしても、十分対応できるように例年にない信用保証関連予算を計上しているところでございます。
 具体的には、先般成立いたしました平成九年度の補正予算で計上されました信用保証協会基金補助金六十三億円、中小企業信用保険公庫準備基金八十二億円については、近々交付を行うことになっております。また、平成十年度予算案におきましても、保証協会基金補助金を百億円、信用保険公庫準備基金を百十三億円計上いたしまして、信用保証協会等の財政基盤を強化することになっております。
 中小企業の信用力の補完に遺漏がないように、先生からの御指摘のようなさまざまな問題をとらえまして、その解決に向けて適切な対応を検討してまいる覚悟でございます。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣下稲葉耕吉君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 北澤議員の少年法に関する御質問にお答えいたします。
 少年法に違反する商業主義的とも思われるような報道が相次いでいることは、少年あるいは被害者の人権擁護の観点から憂うべきことと考えております。
 この問題については、報道の自由にかかわることから、まず報道の主体であるマスコミが報道される側の人権に配慮し、自主規制をするなど自主的に取り組むことが望ましいと考えております。にもかかわらず、御指摘のような事実があることはまことに遺憾でございます。
 法務省は、人権擁護機関として、少年の保護育成を図ることを目的とする少年法の規定に違反し、少年の名誉、プライバシー等の人権を侵害したなどと認められる場合には、当該出版社等に対し反省と再発防止を求める勧告を行うなどの処置を講じたところでありますが、今後も厳正に対処してまいります。
 次に、検察官調書流出についてのお尋ねでございますが、文芸春秋三月号に、被疑少年の検察官調書とされるものの内容が掲載されたことは、まことに重大な問題であると認識いたしております。現在、関係部局において、検察当局と緊密に連携しながら、鋭意事実関係の解明に懸命の努力をいたしているところでございます。
 最後に、少年審判のあり方についての御質問がございました。
 少年法の目的は、非行を犯した少年の保護育成にあり、審理は非公開とされていますので、審理内容にかかわる情報を直接に公開することは困難であると考えております。しかし、少年に対し、適切な処遇を実現するための基礎である事実認定の問題など、少年事件手続のあり方についていかにあるべきか、少年問題の現況にかんがみ、現在、例えば審判における検察官の立ち会いの問題、複数裁判官による審判の問題などなど、具体的内容につき、鋭意真剣に検討を進めているところでございます。(拍手)
#37
○副議長(松尾官平君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#38
○副議長(松尾官平君) この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、金融危機管理審査委員会審議委員に今井敬君、小堀樹君及び佐々波楊子君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 これより採決をいたします。
 表決は押しボタン式投票をもって行います。
 ただいまより投票を開始いたします。
   〔投票開始〕
#39
○副議長(松尾官平君) 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君は賛成のボタンを、反対の諸君は反対のボタンをお押し願います。──投票を終了してよろしゅうございますか。
 これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#40
○副議長(松尾官平君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          百八十二  
  賛成             百十五  
  反対             六十七  
 よって、これに同意することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#41
○副議長(松尾官平君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十二分散会
     ─────・─────
ソース: 国立国会図書館
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