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#1
第142回国会 本会議 第18号
平成十年四月八日(水曜日)
   午後六時十六分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十八号
    ─────────────
  平成十年四月八日
   午後五時 本会議
    ─────────────
 第一 平成十年度一般会計予算
 第二 平成十年度特別会計予算
 第三 平成十年度政府関係機関予算
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一より第三まで
 一、参議院事務局職員定員規程の一部改正に関
  する件
 一、参議院法制局職員定員規程の一部改正に関
  する件

     ─────・─────
#3
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 日程第一 平成十年度一般会計予算
 日程第二 平成十年度特別会計予算
 日程第三 平成十年度政府関係機関予算
 以上三案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。予算委員長岩崎純三君。
    ─────────────
   〔審査報告書は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔岩崎純三君登壇、拍手〕
#4
○岩崎純三君 ただいま議題となりました平成十年度予算三案につきまして、予算委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。
 平成十年度予算の内容につきましては、既に松永大蔵大臣の財政演説において説明されておりますので、これを省略させていただきます。
 平成十年度予算三案は、一月十九日、国会に提出され、二月二十日、松永大蔵大臣より趣旨説明を聴取し、衆議院からの送付を待って三月二十三日から審査に入りました。
 自来、本日まで審査を行ってまいりましたが、この間、四月一日には景気、教育、倫理に関する集中審議を、四月二日には公聴会を、四月三日には証券問題等をめぐって、参考人に対する質疑を、四月六日には外交・防衛、国際経済、福祉に関する集中審議を、さらに四月六日午後、七日及び本日午前には委嘱審査をそれぞれ行うとともに、予備審査中の二月二十五日から二十七日にかけては、栃木県、福島県及び静岡県、岐阜県にそれぞれ委員を派遣して現地調査を行うなど、本日に至るまで濃密かつ効率的な審査を行ってまいりました。
 以下、質疑のうち若干につき、その要旨を御報告申し上げます。
 まず、経済・景気動向についての質疑応答としては、「我が国の景気は、昨年の九兆円もの国民負担増に加え、超低金利による利子収入の減少等が消費不振を招くなど、著しい停滞局面にあるが、政府は現在の景気をどう認識しているか。また、二年半も続いている超低金利についてどう考えているか。平成九年度はマイナス成長が必至の情勢だが、十年度の政府経済見通し一・九%は、達成が可能か。さらに、与党内からは、参議院で予算が審議中であるにもかかわらず、大型景気対策や補正予算の声が聞こえてくるとともに、ASEMに出席した橋本総理も大型減税や補正予算に言及したと報じられているが、なぜ予算の審議中にそのようなことを示唆する発言をしたのか。政府としても本予算成立後に補正予算の編成を考えているのか。政府が大型の景気対策を打ち出そうとすれば、財政構造改革路線の変更は避けられないが、なし崩し的な政策転換ではなく、総理みずからが政策転換を国民に向かって明確に宣言すべきではないか。加えて、中小企業を初め、多くの企業が景気低迷と銀行の貸し渋りで倒産するケースも目立ってきているが、政府の対策はどの程度の効果が見られ、貸し渋り解消の見通しはどうか。昨年夏以降のアジア通貨危機の我が国経済への影響が大変心配されるが、我が国としては、IMFとの協調を維持しながらも、独自の支援策により、アジア経済の安定を図っていくべきではないか」等の質疑がありました。
 これに対し、橋本内閣総理大臣並びに関係各大臣及び日本銀行総裁等より、以下のような答弁がありました。
 「昨年四月からの消費税の引き上げが、一―三月の消費をあれほど押し上げ、四―六月にその反動があれほど大きく出るとは想定していなかった。しかし、七―九月のGDPがプラスに転じたことにより、景気は回復軌道に乗っていくと期待を持った。だが、その後、タイのバーツの危機から始まった一連のアジア通貨不安、さらに我が国の金融機関の大型破綻が連続する中で、人々の先行き不安が高まり、消費を冷やす方向に働き、今もその影響から脱し切れていない状況である」。
 低金利については、「特に、金利収入に多くを依存している家計等が厳しい状況にあることは十分承知をしている。金利の引き上げは、家計部門等に利息収入の増加をもたらすが、一方では企業収益の減少や投資採算の悪化、あるいは株価等の下落を通じて全体として経済活動を抑制していることも事実であり、現在の経済情勢のもとでは、当面、金融面から経済活動を下支えしていくことが重要である」。
 平成十年度の経済見通しについては、「九年度補正予算で実施した特別減税や金融安定化策等の各般の施策を行い、さらに十年度予算及び法人税減税等の関係法案が予定どおり通過すれば、四月以降景気は徐々に回復基調に乗り始めるものと見ている。政府としては、内外の経済、金融の状況に応じ、適時適切な経済運営に努め、政府経済見通し一・九%を達成してまいりたい」。
 与党内の景気対策と補正予算論議については、「自由民主党が党内で自由な議論をし、そのオープンな議論の中からよりよい方向が生み出されることが悪いとは考えていない。与党が打ち出した十六兆円の景気対策については、もし実施されれば相当の効果が期待できるもので、重く受けとめている。また、ASEM終了後の記者会見では、「内外の危機的な経済状況を踏まえ、やらなければならないことは大胆にやっていく。財政・金融上の措置を軸に内容の充実した実効性のある具体的な対応策を考えていきたい。参議院で予算の審議中であるが、予算成立後、早期に財政構造改革会議を招集したい。今申し上げられるのはここまでである」と述べたところである。なお、内閣としては、本予算を一日も早く成立させていただくことを切に願っている」。
 景気と財政構造改革との関連については、「財政構造改革が必要であることはだれもが認め、また、それが本来中期的な目標であることに異論はないと思う。一方、当面の景気・経済情勢は、その局面局面で臨機応変の措置が必要であり、両者はタイムスパンが違うもので、両立できるものである」。
 貸し渋りについては、「昨年秋の一連の金融不安もあり、そこから始まったものであるが、その要因は、一つには、金融機関が不良債権を抱え、BIS基準達成に不安を持っていること、もう一つは、景気停滞の中でこれ以上不良資産をふやしたくないことなどから、融資態度が厳しくなっていることがある。しかし、貸し渋りのために中小企業等が倒産をするようなことがあってはならないので、政府系金融機関を総動員し、二十五兆円の資金を用意して、新しい融資制度や相談窓口を設けて万全を期している。こうした対策によって、昨年十二月から今年二月までの三カ月間で、政府系金融機関から約二兆円の貸し出しが行われたところである。今回、民間金融機関の自己資本比率を高めるために公的資金が投入された。これによって銀行にも資金的な余裕ができてきたと考えており、今後とも預金保険機構等による指導を通じて、貸し渋りの解消に向けて努力していきたいと考えている」。
 アジア通貨の混乱については、「その要因は、これら諸国の通貨が過大評価され、経常収支の赤字が拡大したことにあった。我が国としては、IMFの枠組みの中で、各国の実情に応じた支援を積極的に進めてきているが、我が国独自の対応としては、例えば貿易保険の活用や人材育成プログラム等を実行していく考えである」旨の答弁がありました。
 次に、日米防衛協力の指針について、「政府は、新ガイドラインの関連法案を国会に提出しようとしているが、関連法と一体である新ガイドラインも国会の承認を得るようにすべきではないか。また、近代の戦争においては戦闘行為が行われている地域と一線を画された地域などあり得ないのではないか」との質疑があり、これに対し、橋本内閣総理大臣並びに関係大臣等より、「我が国周辺で何らかの事態が起きて、我が国の平和と安全に重大な影響を及ぼす場合、そのために活動する米軍への我が国の支援の仕方を明確にしておくことが、日米安保体制機能強化の上からも必要であるとの考えのもとで、後方地域支援について合意が成立したものである。ガイドラインそのものは、我が国が外国に対して予算上、立法上、行政上の義務を負う条約ではないので、国会の承認は必要ないと考えている。なお、関連法はそれを実効あらしめるために整備していくものである。また、戦闘行為が行われている地域と一線を画した地域とは、戦闘に巻き込まれることが通常予測されない地域である。一線を画されているか否かは、紛争及び戦闘の全般的状況、戦闘行為を行う主体の航空優勢の確保とか、装備品の攻撃能力等の展開状況等を総合的に勘案して我が国が判断するものである。その際の我が国の判断の仕方や手順については、現在、その立法に当たって議論しているところであるが、戦闘地域とは明確に一線を画すことができるようなものにしたいと考えている」旨の答弁がありました。
 次に、教育問題について、「最近、ナイフなどの刃物を使った青少年の犯罪が続発し、教育はまさにがけっ縁に立たされている。二十一世紀を見据えた教育理念をつくって、教育システム全般の改革を進めていくことが重要ではないか」との質疑があり、これに対し、橋本内閣総理大臣並びに関係大臣等より、「倫理観や正義感を持ち、思いやりと優しい心のある豊かな人間性をどうしたらはぐくむことができるかという心の教育の充実が問われるようになってきている。現場の自主性を尊重した学校づくりを進めていくためには、父母の責任ある協力が必要であるが、そのような仕組みはどうしたらつくれるのか、これから真剣に考えていかなければならない。同時に、子供たちの悩みを受けとめられる先生をどうやって確保していくべきか、重要な課題と考えている」旨の答弁がありました。
 次に、社会保障について、「介護保険制度は、各市町村の創意工夫が生かせるような制度にすることが必要であるが、保険と各個人とのそれぞれの役割を国民に十分認識してもらうことが重要ではないか」との質疑があり、これに対し、関係大臣より、「介護保険制度は、市町村が主体となるので当然運営の仕方に違いが出てくるが、各市町村が介護サービスの水準向上の競争に励んでくれれば全体の水準向上に資すると期待している。また、この制度は、介護の基本的サービスには保険が適用されるが、それ以上のサービスを求める場合には自己負担となることについては理解願いたい。また、施設と在宅のサービスを調和・連携させていかなければならないが、まずは在宅介護を充実していくことが重要で、すべて施設に入るという意識は改革していく必要がある」旨の答弁がありました。
 最後に、大蔵省・日銀の不祥事について、「大蔵省に続き日本銀行にも汚職事件が広がったことは、単に接待漬けという問題にとどまらず、金融秩序等への信頼性にも影響を与えかねない問題である。政府は、こうした汚職事件が起きる原因についてどう認識しているか」との質疑があり、これに対し、橋本内閣総理大臣並びに関係大臣及び日本銀行総裁等より、「複数の大蔵省及び日銀職員の逮捕という事態が起きたことは極めて遺憾なことである。捜査当局はなお全力で事態の解明に努めていると承知しているが、同時に大蔵省、日銀それぞれが過去にさかのぼって金融機関との関係や倫理規程の遵守状況等について調査を行い、後日公表することとしている。基本的には本人の倫理観の欠如から起きた問題であるが、行政の仕組みの上から見ると、これらの問題は事前管理型のもとで拡大した裁量行政の中で起こったものであるが、今後は事前にルールを確立し、それを明示して、そのルールが守られているかどうかチェックする事後チェック型に改めることによって裁量行政を減らしていく必要があると考えている。また、平成八年に公務員倫理規程が設けられ、この規程によって綱紀の粛正が図られると信じていたが、今回このような事態が起きたことは極めて残念なことである。この上は倫理法の制定もやむを得ないとの認識に至り、現在政府・与党内において検討を重ねているところである」旨の答弁がありました。
 質疑はこのほか、中央省庁再編の進め方と地方分権のあり方、普天間基地移転問題と沖縄振興策への取り組み、韓国の金大中政権発足と日韓関係、旧国鉄長期債務処理策の問題点、郵貯・簡保資金による株式運用のあり方、ダイオキシン問題への対応策、薬価基準の見直しによる医療費抑制策、労働基準法改正に伴う労働条件への影響、国債の六十年償還ルール見直しの是非、核燃料物質の無届け使用の実態など、広範多岐にわたりましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、民友連を代表して小山委員が反対、自由民主党を代表して成瀬委員が賛成、公明を代表して牛嶋委員が反対、社会民主党・護憲連合を代表して日下部委員が賛成、日本共産党を代表して須藤委員が反対、自由党を代表して星野委員が反対の旨、それぞれ意見を述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、平成十年度予算三案は賛成多数をもっていずれも原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(斎藤十朗君) 三案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。角田義一君。
   〔角田義一君登壇、拍手〕
#6
○角田義一君 私は、民友連を代表して、ただいま議題となりました平成十年度一般会計予算、平成十年度特別会計予算及び政府関係機関予算に反対する立場から討論を行います。
 冒頭にまず、予算をめぐって政府と政権与党が本音と建前を使い分け、国民を欺く対応を続けてきたことについて、強い憤りを込めて申し上げたい。
 本予算の審議のさなか、橋本内閣が平成十年度予算は最善と公式見解を強調する一方で、与党幹部は繰り返し補正予算に言及し、つい先日には三月期末の株価対策として十六兆円に上る経済対策を打ち出すという仕儀に及んでおります。これは、政府・与党みずから本予算を欠陥予算と言うに等しく、国会無視も甚だしいと言わざるを得ません。
 しかも、経済対策と財政構造改革法との整合性を問われるや、総理の責任は問わないとの合唱が本来責任を問われるべき与党内部から起こっているのは、まさに奇怪至極であります。対策の中身も旧来の土木型中心の公共事業積み増しであり、これでは自民党の参議院選挙対策そのものではありませんか。政府は、九二年以降、六十兆円を超える経済対策を実施してきましたが、景気回復に成果を上げることができないまま、国、地方の借金を急膨張させてきたというのが実態であり、前車の轍を踏む過ちは断固避けなければなりません。
 先日発表されました日本銀行の短観によると、企業の景況感が大幅に悪化し、デフレがらせん状に悪循環を続けるいわゆるデフレ・スパイラルが懸念される事態となっております。一九九七年度の我が国の国内総生産は二十三年ぶりにマイナス成長となることが必至の状況であります。とりわけ個人消費支出は三カ月連続して過去最低を記録し、九七年度は戦後初のマイナスとなる可能性が高いと言われております。遅きに失した特別減税は規模も小さく、消費には何の効果もないことが明らかとなりました。失業率がことし一月には三・六%の過去最悪の数字となるなど、雇用不安も深刻になっております。
 千二百兆円もの個人金融資産があると言われておる我が国の市場がここまで低迷しておるのは、景気の動向を無視して橋本内閣と大蔵省が一体となって繰り広げた財政赤字退治キャンペーンの結果であります。政権担当者が、財政赤字が日本をつぶすとばかりに暗いイメージに彩られた未来を語りながら、相次いで国民負担増の政策を実施してきたのですから、国民が生活防衛に努めるのは当然のことであります。つい最近まで景気は回復基調にあると言い続け、有効な対策を打ってこなかった橋本内閣の政策判断のミスが今日の危機的状況を招いたのであります。
 少子・高齢社会に備え、ボーダーレス化した経済に対応するには、世界から不信の目を向けられておる政官業癒着の構造を抜本的に改め、市場の公開性、透明性を高めるとともに、企業や市民一人一人の自発性や活力を引き出す改革が不可欠であります。そのためには安心できる将来ビジョンを提起し、中央集権的な政府の権限を市民へ、市場へ、地方へ移譲して、成熟した社会の骨組みをつくり出すことが今日求められております。
 景気対策にはこうした改革を促進する要素を盛り込むべきことは言うまでもありません。橋本総理は火だるまとなって構造改革を進めると言明しておりますが、財政については毎年度、赤字を一律に削減するだけの硬直した財政均衡主義であり、行政改革はむしろ巨大官庁をつくり出す中央省庁再編に終わっております。これではとても構造改革の名に値せず、到底認めるわけにはまいりません。
 以下、政府の一九九八年度予算に反対する理由を若干申し上げます。
 第一に、焦眉の課題である景気回復への有効な対策が盛り込まれていないことであります。
 国内総生産の六割を占める個人消費支出の不振が、現在の景気後退の最大の要因であり、将来への不安を取り除き、大規模な減税によって健全な個人消費を促すことが急務であります。
 我々は、単なる土木型の公共投資ではなく、民間企業の競争力と個人消費の活力を引き出す経済構造改革を進めることによって景気回復を図るべきだと考えております。そのためには、税率構造の緩和、諸控除の拡充等による三兆円規模の所得税の恒久減税、法人課税の実効税率の四〇%への引き下げ、有価証券取引税等の廃止、住宅環境等を改善するための政策減税を柱とする総計六兆円規模の減税を実施し、その財源措置として償還期限十年以内で借りかえを認めない公債の発行を提案しているところであります。
 この際、本予算で迅速な対応がおくれたために景気をここまで悪化させたことを改めて強調しておきたいと思います。
 反対の第二の理由は、金融機関の救済支援のために公的資金を投入する仕組みが含まれているからであります。
 政府は、一昨年の住専国会において国民の激しい怒りを買い、公的資金の投入は住専と信用組合に限定すると説明してきたのでありますが、今回の金融安定化策では最大三十兆円もの公的資金を投入し、金融機関の優先株や劣後債の引き受けという救済策を盛り込んでおります。民友連は当初から、この金融安定化策に対し、一連の金融汚職事件の元凶である護送船団方式を温存するものであり、金融市場の信用を損ねるものと指摘し、公的資金投入は預金者保護に限るべきだと主張してまいりました。この期に及んで政府・与党は公然と、自力で自己資本を強化できる銀行に対してまで、横並びで公的資金受け入れを申請するように、護送船団方式を強要したのにはあきれて物が言えません。各金融機関の申請内容も、談合で決めたとしか思えない横並びであります。
 こうした一連の金融対策が市場から信頼されていないことは、株価の動向を見れば明白であります。極言すれば、三十兆円という国民のツケで壮大なむだ遣いをしているわけであります。
 この三カ月間、政府は株価維持のためになりふり構わぬ市場介入策を繰り広げてまいりましたが、これでは世界に向けて自立していない日本市場のイメージを伝えただけではないでしょうか。まさに、これは橋本内閣の政策ミス・スパイラルであります。
 反対の第三の理由は、歳出構造が改革されていないということであります。
 本予算は、一般歳出が一・三%減、公共事業は七・八%減となっておりますが、公共事業のシェアはほとんど変わらず、従来型を踏襲しているのであります。むだや環境破壊をもたらしている大規模開発型の公共事業を見直し、少子・高齢社会に備えて介護基盤の整備など、福祉や地球環境保全に重点をシフトし、効率化を図っていくことが緊要の課題となっております。また、公共事業のコストや規模、政治家や官僚の関与、地方自治体の主体性を無視した事業の押しつけなど、公共事業をめぐる問題に根本からメスを入れ、改革をしていかなければ、財政健全化は絵にかいたもちであります。
 民友連は、当面の景気回復策の阻害要因となっている財政構造改革法の見直しを提案しております。財政構造改革法は、経済成長を前提としたもので、既に破綻を来しております。土木型公共事業しかできない根拠となっておる特例公債と建設公債の区別をなくすこと、項目別のキャップを外し、これにかわって構造改革の具体策を規定すること、経済成長率が一%を下回る見通しの場合には柔軟に対応できるようにするというのが我々の提案であります。
 最後に、責任ということについて申し上げておきたい。
 権限を有し、使命を担う者には当然責任が伴います。使命感が欠如した人々に強大な権限が集中すれば腐敗を招くことは、大蔵省を初めとする官僚の汚職事件が示したとおりであります。この場合、権限を分離、分散することが腐敗防止策となります。
 ところで、総理の責任は橋本総理一人しか担うことができません。他に権限を分散することも責任を転嫁することもできないのであります。政策転換をするなら、きちっと国民に説明をし、責任のとり方を明らかにすべきであります。
 私は、あえてこの際申し上げたい。この際、総理を辞任し、人心を一新することが我が国が危機的状況から立ち直るスタートだということを申し添えて、私の反対討論を終わります。(拍手)
#7
○議長(斎藤十朗君) 岡部三郎君。
   〔岡部三郎君登壇、拍手〕
#8
○岡部三郎君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました平成十年度政府予算案三案について、賛成の討論を行うものであります。
 政府・与党は、バブル崩壊後の景気低迷から日本経済を活力ある姿に取り戻すため、累次にわたり公共投資を中心とした内需拡大策や規制緩和などの経済対策を効果的に行ってまいりました。しかし、昨年夏以降のアジア通貨危機及び大型金融破綻という予期せぬ要因が重なり、個人消費を中心とした国内需要は萎縮し、回復軌道にあった景気は停滞感を深めることとなりました。
 これに対し、政府は、単年度で六兆円の効果を生む規制緩和を柱とした緊急経済対策を決定するとともに、十二月には総理の英断により所得・住民税減税の実施に踏み切りました。さらには、金融システムの安定化を早急に実現するため、三十兆円の公的資金の投入の枠組みを構築し、金融不安の解消を図っております。
 一方、我が国財政は、財政赤字が先進主要国の中でも最悪の水準となり、国と地方を合わせた長期債務残高も五百三十兆円という極めて深刻な状態にあります。多額の借金を安易に後の世代に残すようなことは厳に慎むべきであり、中長期的観点から財政健全化が目指すべき方向であることは大多数の国民が認めるところであります。
 このような財政経済情勢にかんがみ、本予算は財政構造改革法の趣旨に従い一般歳出を過去最大の一・三%削減するほか、厳しい経済情勢に対応する諸般の経済・金融施策が盛り込まれていることから、現時点では適正な予算であり、我が党として賛意を表するものであります。
 以下、具体的に理由を申し述べます。
 賛成の第一の理由は、限られた財源の中で最大の政策効果を実現すべく、重点的、効率的な予算配分が行われている点であります。
 社会保障関係費については、少子・高齢化が進む中で安定的な社会保障制度を構築する観点から、薬価の大幅な引き下げや老人医療費の負担の公正化を図るための制度改正が行われています。公共事業関係費については、事業の再評価システムを導入するとともに、物流効率化と生活関連分野について重点配分を行った結果、事業別シェアの変動幅は二・四%という二十三年ぶりの大幅な変化が実現されております。また、ODAは質の向上の観点から所管の枠を越えた大幅な見直しを行い、環境や人づくりに重点を置いた配分となっています。
 このほかの主要経費に関しても、根本からの見直しが行われ、一般歳出一・三%の減少分を補って余りある政策効果が実現される内容となっております。
 賛成の第二の理由は、厳しい経済金融情勢に対し、実効性のある施策が盛り込まれている点であります。
 平成十年度税制改正では、法人税率の引き下げ、有価証券取引税率の引き下げ及び地価税の凍結等が盛り込まれており、国と地方を合わせて八千四百億円の減税が実施されることとなっております。法人税及び有価証券取引税については、先進諸外国と比べた場合の税率の高さが指摘されているところであり、今回の措置は、経済のグローバル化に対応し、競争力の高い日本経済の基盤づくりに大いに寄与するものであります。また、金融システムの安定化に資する措置として、預金保険機構の借入金に係る二十兆円の政府保証が予算総則に明記されており、金融不安を払拭するとともに、貸し渋りの解消に資するものと確信いたします。
 賛成の第三の理由は、長年懸案となっていた三十兆円を超える旧国鉄債務と、国有林野事業の累積債務について抜本的処理が行われている点であります。債務の大半を一般会計が引き継ぐという、国民にわかりやすい形でその処理にめどがつけられております。
 賛成の第四の理由は、行政改革に取り組む橋本内閣の強い決意を示す施策が盛り込まれている点であります。
 硬直的な予算の原因とされる補助金について、すべての分野において根本から洗い直した上で、廃止や一般財源化を積極的に行うとともに、近年問題が指摘されている特殊法人等に対する補助金についても大幅な削減が図られております。
 また、国家公務員の定員については、新規増員の抑制及び定員削減が行われ、昨年度の削減数を大幅に上回る三千七百人の純減を達成しているほか、特殊法人についても昨年の五倍に当たる定員を削減することとしております。これらの施策は、本格的な行政改革に先鞭をつけるものとして大いに期待するものであります。
 以上、賛成の主な理由を申し述べました。
 最後に、政府に対して一言要望を申し上げたいと存じます。
 行政改革、経済構造改革等に蛮勇を振るうことは当然でありますが、生き物と言われる経済は一刻の猶予もなりません。日々、停滞感が強まる日本経済を、一日も早く自律的回復軌道に乗せるべく、思い切った施策を実行することで、国民の期待にこたえられんことを強く要望し、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#9
○議長(斎藤十朗君) 風間昶君。
   〔風間昶君登壇、拍手〕
#10
○風間昶君 私は、公明を代表して、ただいま議題になりました平成十年度一般会計予算、平成十年度特別会計予算、平成十年度政府関係機関予算の三案に対して、反対の立場から討論を行うものであります。
 我が国経済は、金融システムへの不安が増大し、かつてない危機的状況に直面しております。個人消費は極端な不振に陥っており、住宅建設も回復の兆しさえ見られません。景気の牽引力となってきた設備投資も、今年度は減少に転じようとしています。また、完全失業率は、過去最悪を記録し、企業倒産もかつてない高水準になっております。
 昨年十―十二月のGDPは年率でマイナス〇・七%となり、平成九年度の実質成長率は、第一次石油危機以来二十三年ぶりに戦後最悪のマイナスを記録することは必至であります。先日発表された日銀短観もこうした実体経済の悪化を反映し、企業の景況感も著しく悪化しております。
 橋本総理も、アジア欧州会議における記者懇談で、景気の現状は恐らく第二次世界大戦後初めてというくらいあらゆる悪条件が重なり、極めて厳しい状況に直面していることを認めましたが、認識する時期が遅過ぎるのであります。我が国経済をここまで疲弊させたその悪条件とは、消費税率の引き上げ、特別減税の廃止、医療費の負担増など、総理自身が招いたものではありませんか。
 平成十年度予算三案には、こうした危機的状況を打開するための観点が全くなく、到底賛成できるものではありません。
 以下、主な理由を申し述べます。
 反対する第一の理由は、景気対策の欠如であります。
 本来財政は、景気動向や経済成長をコントロールする役割を持っており、景気好況時やインフレ時には財政支出を縮小し、景気の過熱やインフレの進行を抑制し、反対に不況時には財政を拡大し景気の落ち込みを下支えするという役割があるのであります。
 しかし、総理は、昨年来景気が悪化の一途をたどっているにもかかわらず、それを認めようとはせず、昨年十一月には、個人消費は緩やかな回復をしている、設備投資も回復傾向にあり、民需を中心に景気回復基調は続いていると本院で答弁し、この認識のまま財政構造改革法に基づき予算を編成したのであります。予算に景気対策が欠落し、景気悪化に拍車をかけるデフレ予算になったことは当然であります。
 予算審議を通じ、我々公明は、景気無策予算を景気重視予算に修正し、所得税、住民税などの六兆円の恒久減税に加え、すべての国民に一人三万円の商品券を支給する四兆円の特別戻し金で、総額十兆円の減税を再三にわたって主張いたしました。しかし、総理は予算を最善の予算であると強弁し、我々の主張を聞こうとせず拒否し続けたのであります。
 今年度予算が最善でないことは、予算審議中であるにもかかわらず、本院を軽視する形で与党幹部が予算成立後の大型補正編成を口にし、あるいは十兆円の景気対策の実施を発言することから見ても明らかであります。
 また、今年度予算は政府経済見通しで実質一・九%成長を前提に編成されたものでありますが、この達成が不可能という状況では、税収見通し、国債発行額、国債費、地方交付税交付金の額が大きく狂ってくるはずでありますが、こうした点について納得のいく説明がないことも極めて不満であります。
 第二の理由は、財政事情が悪化しているにもかかわらず、経費の削減につながる行政改革が極めて不十分だからであります。
 我が国の財政赤字は巨額に達し、このまま放置できないことは事実であります。しかし、財政赤字の削減を、消費税引き上げのように安易に国民に転嫁することは認められないのであります。国民へ負担を求める前に、まず政府自身が徹底した経費の削減を断行すべきでありますが、十年度予算にはこうした措置が全くとられていないのであります。
 また、公共事業の効率化、時代のニーズに合致した社会資本の整備が強く求められておりますが、依然として従来型の補助金漬けの公共事業が継続され、改革の跡が見えません。確かに十年度予算で公共事業予算は減額されておりますが、これは構造的な改革に伴うものではなく、単に公共事業十カ年計画を十三年に延長したため単年度当たりの額が減ったまやかしにすぎません。硬直的な配分比率こそ真っ先に改めるべきであります。
 反対する第三の理由は、福祉切り捨て予算であることであります。
 少子・高齢社会において、国民が安心して暮らせるようにすることが政治の重要な役割であります。しかし、政府は財政均衡に固執し、構造改革の名には値しない財政構造改革法に基づき、十年度に当然増だけで八千億円増となる社会保障関係費を五千億円も削減しております。削減するのであれば、将来の社会福祉、少子・高齢社会における福祉ビジョンを明確にすべきでありますが、一切の聖域なしの美名に隠れ、強引に削りやすいものから削っているのであります。
 こうした措置のため、六十七万人が受給している児童扶養手当には、所得制限が導入され、約一割以上の七万四千人が支給を打ち切られるのであります。また、原因不明で治療法が確立されていない難病に対し、これまで特定疾患治療研究事業として、治療法の研究と患者負担の解消を行ってきましたが、今年度から重症患者以外の患者については定額の自己負担が導入されるのであります。
 政府は、財政再建の名のもとに、これら児童扶養手当や特定疾患治療研究事業を安易に削減をしておりますが、直接家計を圧迫し、子供たちに困窮を強いることになるので、到底賛成できないのであります。
 現在の政策に対して、市場は、株安、円安、債券安のトリプル安をもってこたえております。政府が政策判断の誤りを認め、我々の主張してきた十兆円減税等に応じるか、さもなければ退陣していただく以外に景気をよくする道はないことを最後に申し上げ、私の反対討論を終わります。(拍手)
#11
○議長(斎藤十朗君) 及川一夫君。
   〔及川一夫君登壇、拍手〕
#12
○及川一夫君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、平成十年度予算三案に対して、賛成の立場から討論を行います。
 以下、本予算案に対する主な賛成理由を述べたいと思います。
 賛成の第一の理由は、この予算の執行が現下の経済状況に対し、緊急かつ必要最小限の景気回復策となるからであります。
 日本経済は、平成十年度第一・四半期に入ってまた大きく後退した感は否めない実態にあることは否定できません。そのようなデータは幾らも挙げることができます。このような状況のときには、本予算案をともかく早く執行できるようにして、必要ならば適時適切な追加策の準備に入らなければなりません。私が与党の一員でありながら、あえて当初予算案を必要最小限のものと位置づけているのは、追加策を考えざるを得ない状況にあることを認識しているからであります。
 賛成の第二の理由は、本予算がとにもかくにも財政構造改革初年度であることを忘れてはなりません。
 私たちは、つい最近まで、毎年数値は小さいながらも成長する経済の裏打ちもあり、予算枠は年々ふえるという意識でいわば予算要求をしてきたのであります。自分の関係する分野の予算について、前年よりふやせということはあっても、減らしてもよいなどということはお互い言わずにやってまいりました。
 しかし、今年度から、私たちは公共事業費の七・八%縮減など必要な予算削減を行いつつ、財政の赤字体質をできるだけ早く脱出することを決意し、昨年十一月には財政構造改革法を成立させました。この基本精神を私たちは放棄してはなりません。政治家のパフォーマンスとしては極めて苦しい選択を強いられることになりますが、目標は掲げ続けなければなりません。
 賛成の第三の理由は、先ほども申し述べましたが、十分ではないとしても、不要不急と思われる政策経費を思い切って削減した予算となっていることであります。
 昨年暮れの予算原案編成過程で、私たちは徹底した歳出の見直しを行いました。例えば、防衛関係費につきましては、中期防衛力整備計画の見直しを行い、計画中の正面装備契約額を大幅に縮減することができました。平和の配当という意味で、我が党は防衛費の縮減を年来主張してまいりましたが、自民党、新党さきがけとの協議の結果、お互いが歩み寄り、四兆九千三百七十九億円、対前年度比〇・二%減を実現したのであります。
 このほか、公共事業費七・八%、産業投資会計への繰り入れ七%、海外経済協力費一〇・二%などの削減は、まだまだ問題があり、不十分とはいえ財政再建スタートに向けての並々ならぬ橋本内閣の決意表明として評価できるものと思います。
 賛成の第四の理由は、弱者への配慮や環境保全策の強化など、発想の転換と言ってもよい政策が盛り込まれていることであります。
 先ほども述べた不要不急経費の見直しによって生じた費用は、例えば先般の特別減税の実施に伴い、対象範囲を拡大した上で、低所得者への特別給付金が支給されることとなっております。
 また、社会保障費については、予算全体がマイナスになっている中で十四兆八千四百三十一億円、対前年比二%の伸びを確保することができました。
 その他、金融システム不安に対する措置、旧国鉄、林野事業の長期債務を解消する方策を示すことができました。
 ところで、私は現下の日本経済は不況との認識に立っています。しかし、一方で世界最大の債権国であることを忘れてはなりません。個人の金融資産が一千二百兆円、GDPが五百兆円になんなんとする経済大国でもあります。一つの例を挙げますと、日本が保有する米国債は額面で三千億ドル弱、円に直すと四十兆円となります。極端に言えば、経済的潜在能力は十分あるにもかかわらず、不景気が発生していると見てもよいのではないでしょうか。
 お金の流れがうまくいかない最大の理由は、個人消費の萎縮による内需の不振であります。ここをどうしても突破しなければなりません。予算の早期成立は内需拡大策の第一弾ですが、引き続き、さまざまな政策減税を含め大規模の減税を検討すべきではないかと考えています。
 この課題について、与党から参議院特別決議を提案いたしましたが、全会一致に至らず、残念ながら実現しなかったわけですが、財政構造改革法に弾力条項を導入し、大幅な減税を検討し、情報通信、科学技術、環境、福祉、教育への公共投資の推進を盛り込むこととした内容について忘れるわけにはいかないのであります。
 政府税制調査会の会長でもある加藤寛千葉商科大学学長も、最近、記者会見等で計十兆円の減税を提起しておられます。その内容は、特別減税の継続で二兆円、法人税の引き下げで四兆円、地方税で二兆円、所得税の制度減税で二兆円、計十兆円ということであります。私はこの内容に直ちに賛成するものではありませんが、その十兆円という規模及び加藤会長が、財源として国有財産の処分を想定しておられることは検討に値するものではないかと思っています。
 私がこの賛成討論の場をおかりして申し上げたいのは、平成十年度当初予算の成立を期して、内需拡大による景気回復を国民的な課題ととらえ、政府はもちろん、国民一人一人が自覚的にこの課題に取り組むべきではないかということであります。
 個人消費の萎縮が何によって起きているのかはもはや明らかであります。将来の年金、福祉、老後生活等についての漠然とした不安が働き盛りの国民を巻き込んで、財布のひもを締めさせているわけであります。
 この際、政府は、国民の先行き不安を一掃するために、あらゆる努力をすべきであると思います。例えば、医療費など予測されている国民負担増は当分の間しない、あるいは年金の給付切り下げはしないなどの政治宣言を発し、国民とともに制度のあり方を検討する姿勢を示す必要があると思うのであります。
 我が党は、今後も国民生活を守る立場から、必要な経済政策を打ち出す用意があることを表明して、賛成討論を終わります。(拍手)
#13
○議長(斎藤十朗君) 立木洋君。
   〔立木洋君登壇、拍手〕
#14
○立木洋君 私は、日本共産党を代表して、一九九八年度政府予算案に対し、反対討論を行います。
 今、日本経済は出口の見えない未曾有の大不況の真っただ中にあります。先日発表された日銀の短観では、企業の景気判断が昨年十二月よりさらに大幅に悪化、総務庁家計調査では、勤労者世帯の消費支出が昨年十月以降五カ月連続減少、完全失業者も、統計をとり始めた一九五三年以降最悪となるなど、国民生活は一層深刻な事態に見舞われています。
 政治に問われるのは、国民の暮らしを守る予算を国民に示し、一刻も早く不況の打開策を講じることにあります。
 ところが、橋本内閣が予算案は最善のものと繰り返している中、自民党は減税なしの専らゼネコン型の公共事業に重点を置く十六兆円規模の総合経済対策を打ち出しました。予算の二割以上にも達する超大型の景気対策を言わざるを得ないこと自体、予算案の欠陥ぶりをみずから認めるものです。
 また、総理は、財政構造改革法を改正する会議を開くことを表明しました。わずか四カ月ほど前、財政構造改革法を最重要法案と位置づけ、国民の強い反対を押し切って強行したばかりですが、総理の言う改正なるものはゼネコン奉仕の公共投資の追加検討など、自民党なりの財政再建の目標すら投げ捨て、社会保障の連続改悪など国民生活分野の予算を削減する枠組みだけそっくり残そうというものです。これでは国民の所得と消費はますます冷え込み、まさに無定見、朝令暮改の政治と言うほかありません。
 予算に反対する第一の理由は、本予算案が不況打開に何ら役立たないばかりか、財革法に沿って国民負担を一層大きくし、事態を一層深めるものになっているからであります。
 不況の最大の原因が、橋本内閣によって昨年強行された九兆円もの個人消費を冷え込ませた負担増にあることは明らかであり、政策不況にほかなりません。その失政を認めず、無反省な橋本内閣に日本経済を担う資格はありません。
 景気を回復させるためには、我が党が繰り返し提案してきたように、消費税率を差し当たり三%に引き下げ、家計消費を直接温めることです。そうすれば、国民の購買力は五兆円規模で引き上げられ、個人消費拡大に即効性があるものです。
 反対理由の第二は、本予算案が財政構造改革法により、社会保障の連続改悪を初め、医療、福祉、教育、中小企業、農業など、国民生活関連予算の徹底した切り捨てを進めるものだからであります。
 本年度は、難病患者の九割に自己負担を押しつけ、また、母子家庭の児童扶養手当に所得制限を強化して、支給対象者を七万四千人削減するなど、社会保障、福祉切り捨て、わずかな予算を惜しんで母子家庭の命綱まで奪うなどということはあってはならないことです。
 さらに、昨年九月に強行された医療改悪によって、同じ治療を受けながら窓口医療費の支払いが三倍から四倍以上になり、生命にかかわる悲惨な事態が各地で生まれています。予算委員会公聴会では、病人が患者になれないという深刻な告発さえされました。
 また、政府は、年金でも保険料の負担増か受給額の給付減かという、どれも選びようのない選択肢を押しつけようとしています。介護保険導入を口実にして、現に特養ホーム入所者への退所強要が行われています。医療、年金、介護の各分野で三重苦をもたらす社会保障の改悪は撤回すべきです。
 一方、中小企業の予算は、財政構造改革法で枠がはめられ、前年度より七億円削減して一千八百五十八億円、何と銀行への支援三十兆円の千分の六にすぎません。また、銀行の貸し渋り対策と称しての公的資金の投入にもかかわらず、政府調査でさえも三九%の企業がかえって厳しくなったと訴えているではありませんか。貸し渋りのため、中小企業は経営困難、倒産に追い込まれ、自殺者も相次いでいる状況です。銀行の無法、不当な貸し渋りをやめさせるよう強力な行政指導を行うべきです。
 政府はまた、今国会に、八時間労働制を崩壊させ、パートや派遣労働者など不安定雇用をふやす労働基準法改悪案を提出しています。労使の契約は、当事者任せではなく、法律によって労働条件を規制するのが憲法の基本原則であり、これらの原則を突き崩す労基法の改悪は中止すべきです。
 少年によるナイフ殺傷事件など、教育をめぐる危機的な状況の中で教員配置改善計画を二年おくらせること、また、カロリーベースで四二%、穀物自給率二九%まで落ち込んだ食糧自給率引き上げへの無策ぶり、阪神大震災から三年たった今日でも、二万四千世帯が仮設住宅での生活を余儀なくされ、孤独死が二百人にも達しながら、いまだに被災者の生活と営業の再建を励ます支援策もないことなども重大問題です。
 こうした国民生活切り捨てを進める財革法は即刻廃止すべきです。
 反対理由の第三は、国民の要求に対しては財政危機を言いながら、財政上の浪費構造に全くメスを入れず、これを温存、拡大する予算だからであります。
 日本の財政危機をもたらした最大の原因は、ゼネコン浪費型の公共事業に国と自治体で年間五十兆円もの金を支出し続けてきたところにあります。社会保障への国と自治体の公費負担はわずか二十兆円にすぎません。欧米諸国と比較しても逆転している財政構造に厳しいメスを入れることこそ、日本経済と財政を再建する中心問題ですが、公共事業費の削減は専ら住宅、国民向け分野に限られ、肝心のゼネコン浪費型事業は何ら削減していないのです。
 軍事費も浪費の最たるものであります。政府は、軍事費は対前年度比〇・三%減などとしていますが、SACO関連経費や一千三百億円余の後年度への支払い繰り延べなどを入れれば、実態は大幅な増額であります。例えば、三百七十五億円もする全長百七十八メートルの大型輸送艦は、ヘリコプター甲板を持つなど海外に出動する能力を備えたものです。これは憲法違反の新ガイドラインに基づく周辺事態の際、米軍への大規模な輸送、補給の協力にも使用されるものです。
 政府が今国会への提出を目指している対米支援の新法や自衛隊法改悪、日米物品役務相互提供協定、いわゆるACSAの有事適用への改定などの法律、協定案は、戦争を放棄した憲法の平和原則を踏みにじる戦争法案、協定案であります。
 また、米軍への思いやり予算二千五百三十八億円は、日本が地位協定上支払い義務のないものではありませんか。新ガイドラインの立法作業を直ちに中止するとともに、米軍への思いやり予算、SACO経費の全面カットなど、軍事費は大幅に削減すべきです。
 最後に、一連の大蔵・日銀汚職についてであります。
 大蔵官僚、日銀幹部行員が大銀行の接待汚職を受け、次々と逮捕される事件によってその一端が明らかにされました。我が党の追及で、銀行から接待を受けた調査対象五百五十人の大蔵官僚のほとんどが何らかの形で接待を受けていたことも判明しました。底なし、泥沼の腐敗ぶりであります。にもかかわらず、大蔵省は内部調査の中間報告をいまだに国会にしようとしていません。
 ところが、贈賄銀行には三十兆円も投入する計画は着々と進行させる。国民の怒りがおさまらないのは当然ではないでしょうか。しかも、橋本自民党内閣は、官僚の受けている接待の何百倍の銀行からの政治献金を受け取っていながら、献金見直しの姿勢すらありません。
 まさに、橋本内閣の存在そのものが日本の政治と経済の方向を誤らせるものになっているのです。本予算の成立後直ちに大型補正を組まなければならないことは余りにも無責任であり、橋本内閣の政治責任は極めて重大です。
 橋本内閣の一日も早い退陣と、国会を解散し、国民に信を問うことを強く要求し、政府予算案に対する反対討論を終わるものであります。(拍手)
#15
○議長(斎藤十朗君) 星野朋市君。
   〔星野朋市君登壇、拍手〕
#16
○星野朋市君 私は、自由党を代表して、平成十年度予算案外二案に反対の立場から討論を行います。
 現在、日本経済は深刻な危機に直面しております。対応を誤れば大恐慌にさえなりかねない危険をはらんでおり、国民は生活不安におびえております。今、我が国に必要なものは経済構造改革、つまり民力の回復であります。この不況の原因が橋本内閣の経済財政政策の失敗によるものであることは明らかであります。
 しかしながら、経済危機の本質は、今までの不況とは異なり、日本経済が構造改革を迫られている、にもかかわらず、橋本内閣が何ら抜本改革をなし遂げてこなかったことにあって、それが事態を一層深刻化させていることをまず指摘しておきたいと思います。
 総理自身が、我々のたび重なる減税要求を無視して、自信を持って実施した九兆円の国民負担増、これを初めとして、財政帳じり合わせを進めた九七年度は、二十三年ぶりの実質マイナス成長になることは確実であります。アジアの通貨危機も不可抗力ではありません。海外からも日本の弱さがアジアの原因であると指摘されているところであります。
 みずから招いたこの不況に、反省も謝罪もなく、かたくななまでに拒んできた二兆円の特別減税を平成十年にずれ込みながら復活するなど、まさに支離滅裂であります。また、本予算案の審議中に政府・与党幹部が大型補正予算に言及するなどは甚だ矛盾しており、言語道断であります。
 日本経済が単純な循環的要因による不況ではない以上、これらの従来型景気対策はすべて小手先のびほう策であり、かえって財政を悪化させるのみで、何ら問題の解決にはならないのであります。
 橋本総理は、総選挙後、我々の国民との五つの契約を後追いして六つの改革を掲げました。しかし、現状に対する総理の危機感の欠如は目を覆うばかりであり、構造改革はすべて先送りで、改革の名に値するものなど一つもありません。財政構造改革は、財政の帳じり合わせのみで、制度の見直しを伴わず、歳出を一律に削減していくだけのものであります。
 行政改革は、戦略もなく、単なる機構いじり、看板のかけかえにすぎません。中央省庁の数合わせに終始し、大規模官庁を生むだけのものであります。中央から地方へ、官から民へという権限の移譲、規制緩和や中身の見直しは一切ありません。
 刑事事件にまで進展している大蔵省・日本銀行不祥事も護送船団行政に起因しており、事前指導型の裁量行政から事後チェック型のルール行政へと改革しない限り、金融監督庁をつくっても、金融機関がMOF担を廃止したとしても、これらの不祥事の根絶は不可能であります。
 社会保障改革は、社会保障制度の維持に主眼を置き、国民にツケ回しをするのみで、ナショナルミニマムの確保という視点は一切なく、消費落ち込みの原因となっております。
 教育改革においても、その姿は全く見えず、教育の基本である何を教えるべきかという哲学も理念もありません。
 金融システム改革については、まず不良債権を一掃し、健全金融機関で金融ビッグバンを迎えなければならないところを、不良債権処理の見通しを誤った上、早期是正措置をビッグバンと同時並行させたために、信用収縮を招き、貸し渋りを引き起こして経済を混乱させてしまいました。さらに、公的資金による資本注入によってビッグバンを乗り切ろうなどというのは、フリー、フェア、グローバルのいずれにも該当しない護送船団行政の復活であり、邦銀の格付も上昇しておりません。
 経済構造改革については、少子・高齢化社会を目前に控え、また、グローバル化、ボーダーレス化する経済に対応するため、抜本的な構造改革を行う必要があるにもかかわらず、橋本内閣は目先の景気状態や財政状態にとらわれて、従来型のばらまき型景気政策と財政帳じり合わせを交互に行うのみであります。これでは金利や年金に頼る人たちを圧迫してしまうではありませんか。年金基金を破綻させ、民間生保の経営を圧迫し、税収をも落ち込ませ、経済をゆがめて、国民の怨嗟の的となっている超低金利を是正することもできません。
 橋本内閣の六つの改革には、この国をどうするのか、そのために何をやるべきなのかという理念も戦略もなく、日本が抱える課題を羅列しているにすぎません。
 橋本総理は、財政構造改革法に拘泥する余り、税制をゆがめ、経済危機を悪化させ、アメリカを初めとする対外関係を悪化させています。
 財政構造改革法は、目先の財政の帳じり合わせのみにとらわれ、歳出の一律削減を規定し、構造改革、経済再建を不可能にしてしまいました。財政再建は、国、地方をあわせた行財政構造の徹底的な見直しによる歳出削減と経済再建による租税増収により行うべきであり、それこそが真の財政構造改革であります。
 平成十年度予算案も、財政構造改革法に縛られた史上空前のデフレ予算であり、日本経済に致命的なダメージを与えかねません。
 日本経済は、小手先の従来型景気対策では立て直せない状態にあります。少子・高齢化社会にあっても、世界経済と調和し、活発な経済活動が行われるように、大胆な経済立て直し策を行わなければなりません。つまり、民力を養う政策をとるべきであります。国民の可処分所得をふやし、民間企業のやる気を刺激することが重要であります。当面は財政デフレ政策を断じて行ってはならないのであります。
 思えば、橋本内閣は、経済の見通しを繰り返し誤ったばかりでなく、不良債権処理の見通しを誤り、本当の改革を避け続けております。国民が不安、不信を抱いているのは、政策の失敗についてはもちろんのこと、総理のこの先見性のなさ、改革を避け続ける政治姿勢であります。
 総理はまた、予算審議の際も、臨機応変の措置という言葉をたびたび使いました。臨機応変でなく何でもありであります。総理は常に言葉巧みに本質論を避け、当面をしのぐことに専心しておられる。
 橋本内閣が続く限り、日本経済が立ち直ることはなく、国際信用が回復することもあり得ません。もはや橋本内閣は、この経済危機に対処する能力も責任も持ち合わせておらず、改革を実行する意思も持ち合わせておりません。
 橋本総理は、速やかに財政構造改革法とともに退陣すべきであり、橋本内閣の退陣こそが日本再構築の第一歩であります。
 以上、平成十年度予算案外二案に反対する理由を申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)
#17
○議長(斎藤十朗君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#18
○議長(斎藤十朗君) これより三案を一括して採決いたします。
 三案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#19
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#20
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百二十
  賛成             百三十
  反対              九十
 よって、三案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#21
○議長(斎藤十朗君) この際、参議院事務局職員定員規程の一部改正に関する件及び参議院法制局職員定員規程の一部改正に関する件についてお諮りいたします。
 議長は、両件につきまして議院運営委員会に諮りましたところ、議席に配付いたしました参議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案及び参議院法制局職員定員規程の一部を改正する規程案のとおりとする旨の決定がございました。
    ─────────────
   〔議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#22
○議長(斎藤十朗君) 両規程案に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時四十二分散会
     ─────・─────
ソース: 国立国会図書館
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