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#1
第142回国会 本会議 第19号
平成十年四月十日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十九号
  平成十年四月十日
   午前十時開議
 第一 優良田園住宅の建設の促進に関する法律
  案(衆議院提出)
 第二 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法
  の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院
  送付)
 第三 出入国管理及び難民認定法の一部を改正
  する法律案(内閣提出)
 第四 中小企業等投資事業有限責任組合契約に
  関する法律案(内閣提出)
 第五 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に
  関する法律の一部を改正する法律案(内閣提
  出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、感染症の予防及び感染症の患者に対する医
  療に関する法律案及び検疫法及び狂犬病予防
  法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 一、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(
  趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案及び検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。小泉厚生大臣。
   〔国務大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(小泉純一郎君) ただいま議題となりました感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案及び検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案について申し上げます。
 明治三十年の伝染病予防法の制定以来百年が経過し、この間の医学医療の進歩、衛生水準の向上及び国民の健康衛生意識の向上に伴い、コレラによる死者が年間十万人を超えるといった事態を見ることはなくなりました。
 その一方で、国内においては、一昨年にいわゆるO157感染症の流行が社会問題となり、また、世界に目を向ければ、エボラ出血熱等これまで知られなかったいわゆる新興感染症が出現し、国際交流の活発化に伴い国内に持ち込まれる危険性が高まっております。さらには、近い将来克服されると考えられてきたマラリア等が再興感染症として再び問題化するなど、感染症が新しい形で人類に脅威を与えてきております。
 また、伝染病予防法は、強制的な予防措置が既に不要となっている感染症を法定伝染病として法律に位置づけている一方で、エボラ出血熱等の世界的に問題視されている危険な感染症が法の対象とされていないこと、感染症の予防措置に関し、感染症が発生した事後の対応に偏っていること、患者に対する行動制限に際し、人権尊重の観点からの体系的な手続保障規定が設けられていないこと等の点で、時代の要請にこたえることができないものとなっております。
 こうした状況を踏まえ、総合的な感染症予防対策の推進と、これに伴う医療の充実を図るために、今般、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、感染症の予防のための施策は、感染症の患者等の人権に配慮しつつ、総合的かつ計画的に推進されることを基本理念とするとともに、感染症の患者が良質かつ適切な医療を受けられるよう、必要な措置を講ずるよう努めなければならないこと等を国及び地方公共団体の責務とし、また、感染症の患者等の人権が損なわれることがないようにしなければならないこと等を国民の責務とすることとしております。
 第二に、国は、感染症の予防の総合的な推進を図るための基本指針及び特に施策を推進する必要がある感染症についての特定感染症予防指針を定め、都道府県は感染症の予防のための施策の実施に関する予防計画を定めることとするとともに、所要の感染症に関する情報の収集及び公表に関する規定を整備することとしております。
 第三に、この法律案による措置の対象となる感染症について、その感染力、感染した場合の重篤性等による危険性に応じて類型化することとしております。
 第四に、感染症の類型に応じて、健康診断、就業制限及び入院の制度を設け、患者の人権の保護を図るための手続規定を整備するとともに、この法律案に基づく入院医療の提供体制を整備し、その入院費用について、医療保険各法による医療給付と公費の組み合わせにより負担するための規定を定めることとしております。
 第五に、感染症の類型に応じて、その発生及び蔓延の防止のために感染症の病原体に汚染された場所や物件の消毒、猿その他の動物に係る輸入検疫等の必要な措置について定めることとしております。
 第六に、未知の感染症であって、その感染力、感染した場合の重篤性等に基づき危険性が極めて高いと判断されるものを新感染症と位置づけ、これに迅速かつ的確に対応できるよう、国と都道府県の密接な連携のもとに、蔓延の防止のための入院等の措置を定めることとしております。
 なお、性病及び後天性免疫不全症候群については、おのおのこれまで個別の法律に基づき対応してまいりましたが、これらの法律の制定以降の医学医療の進歩、これらの感染症に関する正しい知識の普及等の状況の変化を踏まえ、今後は、この法律案の中で必要な対応を図ることとし、性病予防法及び後天性免疫不全症候群の予防に関する法律についても、伝染病予防法とあわせて廃止することとしております。
 次に、検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 近年、海外においてはエボラ出血熱等のこれまで知られなかった感染症が出現し、国内においては生活様式の多様化に伴い感染機会が増大しており、感染症を取り巻く環境は大きく変化しております。
 さらに、国際間の人や物の移動の活発化や、航空機による輸送の迅速化に伴い、外国から新たな感染症が持ち込まれる危険性が著しく増大しており、国内への感染症の侵入防止のための施策の充実及び国内における感染症対策と連携した対応が求められております。
 こうした状況を踏まえ、総合的な感染症の予防対策の推進の一環として、国内に常在しない感染症の侵入を防止するため、検疫の対象となる感染症や狂犬病対策における対象動物の追加等所要の見直しを行うこととし、今般、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、検疫法の一部改正につきましては、検疫業務について、国内の新たな感染症対策との整合性を図り、検疫の対象となる感染症として特に危険な感染症を追加し、また、検疫所長が厚生大臣の指示に従って新感染症に対する検疫を行うことができるようにするとともに、隔離及び停留について所要の見直しを行うこととしております。
 さらに、検疫所において、出入国者の求めに応じて診察や予防接種を実施するとともに、外国における感染症情報を出入国者に対し提供することとし、さらに検疫所と都道府県との連携を図ることとしております。
 狂犬病予防法の一部改正につきましては、狂犬病の予防のため、輸出入検疫、狂犬病の発生時における獣医師の届け出措置の対象動物として、現行の犬に加え、猫等を追加することとしております。
 なお、これら二法の施行日は、一部の事項を除き、平成十一年四月一日としております。
 以上が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案及び検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。水島裕君。
   〔水島裕君登壇、拍手〕
#7
○水島裕君 ただいま提案されました法律案につき、私は、民友連を代表して、考えを述べ、幾つかの論点について政府の見解を求めたいと思います。
 現行の伝染病予防法が成立して、本年で実に百一年が経過いたしました。その間の医学医療の進歩、公衆衛生水準の向上、人権尊重などについて現行法は対応ができなくなってきているのが状況でございます。それゆえ本法律改正は必要だと思いますが、果たして政府が感染症を十分理解して、感染症対策全体の見直しを提案されているか否か疑問に思います。以下、私どもの考えを述べ、政府の見解を明らかにしていただきたいと思います。
 まず、個々のテーマに入る前に申し上げますが、過去の反省と基本理念を基本指針へ盛り込むことが必要ではないでしょうか。一九九七年十二月八日、公衆衛生審議会基本問題検討小委員会報告では、過去におけるハンセン病患者などへの差別やらい予防法の存続などについて深い反省が必要であると記されております。
 次に、感染症対策で重要なことは、予防により感染の拡大が防げることであります。そのためには、患者の隔離など生活の制限が必要になることがあります。それだけに患者への人権の配慮あるいは良質の医療提供が必要です。まず、総理大臣に御意見をお聞きしたいことは、このような過去の反省と基本理念の盛り込みが重要ではないかということでございます。
 私は、今回の法律案の目玉は三つあると思います。一つは、時代にマッチしていない伝染病予防法を改正し、エイズ予防法など三つの法律を廃止し、一本にまとめたことです。二つ目は、WHOも指摘しておりますが、極めて重篤になり得る新感染症に対する危機管理について、三つ目は、これまでの法律では余り強調されてこなかった患者の人権への配慮を打ち出していることでございます。
 まず、第一の点ですが、一本の法律にしますと、例えば性病予防法で示されていた重要な事項がなくなります。これらについては特定感染症予防指針などで対応をするわけでございますが、果たして十分に対応できるかどうか、厚生大臣にお尋ねいたします。
 次に、新感染症及び指定感染症対策に移ります。
 インフルエンザであっても、人々に免疫のない新型インフルエンザ、例えば、一九一八年にはやりましたスペイン風邪でございますけれども、これは全世界で実に二千万人の人が亡くなりました。日本でも五十万人の死者が出たと推定されております。本法律案に出てくる細菌性感染症の治療は、現在では医学的にほとんど解決されていると言ってよい状態ですが、新型インフルエンザに関しましては、当時のスペイン風邪時代とその治療、予防の進歩というのは本質的に変わりはないわけであります。ですから、現在でも極めて危険な状態にあります。このことは、数カ月前の香港のインフルエンザで大騒ぎになったことからもわかります。
 インフルエンザでこのような状態でございますので、極めて重篤な感染症が流行したとしたら、エイズやO157のときの十倍いや百倍のパニックになると思います。今回の法律でその対応ができるのでしょうか。
 HIV感染症の確定診断のことを思い出してください。そのとき、某教授が抗体検査を米国に依頼し、その結果を厚生省に正しく伝えたかどうかということがはっきりせず、結局は薬害エイズの拡大を防げなかった経験があります。今回の法律にあるエボラ出血熱などの一類感染症の大部分は、現在やはり日本では確定診断がつかないと思います。まずつきません。日本はもっと研究、診断活動を盛んにして訓練しておくべきです。このような状態で新感染症が発生しても、日本では確定診断がつかず、また米国に検体を送り診断を仰ぐのではないでしょうか。
 私は、国際協力を否定しているものではありませんが、やや専門的になりますが、診断のための抗原の保存、PCR法の実施、病原体ウイルスの培養などインフラの整備が日本で至急行われるべきだと思います。今のような状態で、この法律に合う行動を日本が十分にとれるとはとても思えません。人権の配慮のため、原則三日あるいは十日以内に退院とうたっておりますが、診断がつかなければ退院のさせようもございません。
 エボラ出血熱ウイルスなど、つまり危険な病原体を扱うことのできる施設、これは研究とか診断の施設ですけれども、P4施設と申します。米英独その他の欧米先進国では、このP4施設が稼働していますが、日本では多分稼働しておりません。このような状態で研究や診断に対応できるのでしょうか。病室についても同じであります。今後、これらの施設、病室を至急設置ないし稼働するつもりはありませんでしょうか。厚生大臣にお尋ねいたします。
 本法律案では、新感染症や指定感染症の予防、拡大防止、治療を強調していることは大いに賛成いたします。しかし、患者の隔離や交通の遮断といった事柄に終始し、本当の敵である病原体に対する対応が、今申しましたように欠如しております。また、最終的には病原体を絶滅させるということが何よりも大切であると思われませんでしょうか。私ども医学界の人間も努力いたしますが、厚生大臣の決意をお聞かせ願いたいと思います。
 なお、危機管理に関してもう一つ質問いたします。
 例えば、新型インフルエンザが流行した場合、その衛生上の予防は別としまして、医学的な予防はワクチンのみであります。そのためには、新型ウイルスを有精卵でふやし、ワクチンをつくらなければなりません。日本ではインフルエンザワクチンの接種が義務化から外されたので、増殖のための有精卵やワクチンの製造施設も不十分です。危機管理として、このような現状を厚生大臣はどうお考えでしょうか。また、ワクチンの研究も欧米に比べ極めて少ないと思いますが、この点についてもあわせてお答えいただきたいと思います。
 次に、三つ目のテーマ、すなわち患者の人権への配慮について質問いたします。
 隔離の長期化を避けるため、入院は三日あるいは十日以内とし、継続も含め、その決定は公平な協議会によるということは画期的なものと思われます。法律案を読んでいきますと、もう少し人権への配慮などの文言、特に医師が患者の人権に配慮するという文言があった方がよいと思いますが、細かい点については国民福祉委員会で議論をしたいと思います。私は、先ほどと同様、医学的にあるいはインフラの面で本法律が人権に配慮し、正しく実行されるかどうかを考えてみたいと思います。
 まず、本法律案には四種類の感染症があるんですが、そのうち怖い方から一類、二類、三類感染症になりますが、それらの感染症を全く診たことのない日本の医師が、実に全体の九〇%ぐらいだということを認識していただきたいと思います。つまり、現状では、医師もみんなほとんどこういう感染症がわからないということであります。感染症専門医は今、日本で百人ぐらいしかおりません。仮にある程度わかる医師が診て法律どおり保健所に届けても、保健所の人はもっとわからない可能性があります。私の身近なところでも、このような例は幾つかありました。これではこの法律の文章がたとえ人権に十分配慮していても、実際どうかというと、依然として疑いがあるから隔離を続けるとか、あるいは保健所に材料を渡したけれども確定診断ができないなどということになりそうです。
 そこで、私どもが提案したいのは、サブスペシャリティーであっても、十分の人数の感染症専門医の育成、国立感染症研究所情報センターと国立国際医療センター感染症病室の充実、それともう一つ、問題となる感染症が発生した場合、直ちにプロジェクトチームを結成することの三点であります。
 先ほど申しましたように、現在、感染症の専門家の数は非常に少ないんです。二次医療圏に一つ、専門家が入った協議会をつくると法律案ではなっておりますが、実行できないのではないかと思います。二次医療圏の数を考えると、千名ぐらいの感染症専門医が必要ではないでしょうか。感染症が主たる専門でなくてもサブスペシャリティーでもよいと思いますが、海外での研修を含め、至急感染症専門の医師及び医療従事者の育成が必要と思われますが、厚生大臣、いかがでしょうか。そのためには大学病院などの教育研修病院を第二種感染症指定医療機関にするような方策はいかがでございましょうか。
 米国で感染症の情報を管理し、適切に処理しているのをCDCと申しますが、そのCDCの職員は、全職員ですけれども、実に六千人おります。一方、日本の情報センターの職員は約二十人です。六千人と二十人であります。今後、どうしてもある程度のスタッフの充実は不可欠です。しかし、CDCの規模まで持っていくのは予算的にとても無理でしょうから、私が提案したいのは、問題となる感染症が発生した場合、直ちにプロジェクトチームを結成するべく常時から準備をしておくことです。民間からでもよいから、チーフとなるべき人を決め、対策を検討しておくことです。HIV感染症、O157のときも対応が不適切でした。法律案にさらなる危機管理の強化や人権の保障が盛り込まれるよう、委員会で審議を尽くしたいと思いますが、最後に橋本総理のお考えをお尋ねいたします。
 私は、感染症対策として最も必要なことは、知識、経験を備え、人権に配慮でき、機敏に対応できる医師の育成と、種々申し上げましたインフラの整備と思いますが、いかがでしょうか。これなくしては、たとえ法律ができても、感染症、特に新感染症の予防も人権への配慮も、結局はできないことになるのではないでしょうか。
 このことをお尋ねし、また強調し、私の代表質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(橋本龍太郎君) 水島議員にお答えを申し上げます。
 まず、らい予防法の存続の反省、そして人権への配慮を基本指針に記載すべきという御意見をいただきました。
 基本指針につきましては、近年の人権尊重への要請、医学医療の進歩等を踏まえて、策定することといたしております。
 私の郷里にもハンセン病療養所が二つございます。それは離島に置かれておりました。この長島という島から本土への橋ができ、島内に暮らす方々が自由に往来できるようになりましたとき、私もその現場におりました。そして、どれほど関係者が喜ばれたかを改めてそのときの光景とともに思い出し、そうした意味での今の議員の御指摘は重く受けとめたいと思います。
 そして、ハンセン病患者への対応につきましては、既にらい予防法の廃止法案の提案理由説明におきまして、行政として陳謝の念、深い反省の意を表したところでございます。
 次に、感染症対策における医師の養成と基盤整備の重要性についての御指摘をいただきました。
 議員は新興感染症を取り上げられましたが、再興感染症におきましても実は同じような問題がございます。既に我が国における専門家が不足しつつある分野だと、御指摘のとおりであります。国民が安心でき、人権にも配慮した感染症対策を確立するためにも、議員御指摘の診断、研究、治療を行うことのできる人材の確保、また、国立感染症研究所等の機能の強化が重要であると考えておりまして、本法案の実施に当たり、今後ともその推進に努めてまいりたいと考えます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(小泉純一郎君) 水島議員にお答えいたします。
 性感染症やエイズについて新法で対応できるかどうかでありますが、本法案においては、感染症に対する意識の向上や医学医療の進歩に照らして、従来の法律の規定が必要かどうか検討し、整理したものであります。
 これらの感染症については、新法に基づく発生動向調査により状況を把握するとともに、特定感染症予防指針の対象として、医療の提供、研究開発の推進、国際的な連携等の総合的な対応を図ってまいります。
 重篤な新感染症の流行に本法案が対応できるかどうかについてのお尋ねですが、予想外の感染症が我が国に発生した場合に、患者等の人権の保護に配慮しつつ、迅速かつ的確に対応するための規定を創設しております。あわせて、感染症を的確に診断、治療できる体制の整備を進めることを通じ、国民が安心できる感染症対策を推進していきたいと考えます。
 エボラ出血熱等の病原体を扱うことができる施設や病室の設置に関するお尋ねですが、御指摘の病原体等安全管理基準を満足している施設は、国内では現在稼働しておりませんが、実際の診断は、ウイルス性出血熱であっても、こうした施設を必要としない方法による診断が可能な場合が多いと認識しております。
 今後、米国疾病管理センターとの協力も含め、必要な検査体制を構築していくとともに、さらに我が国においても必要な検査ができるような体制の整備等を進めてまいります。
 また、高度安全病室については、新法において、特定感染症指定医療機関として厚生大臣が指定することとしており、その確保に取り組んでまいります。
 感染症の根絶に関してですが、天然痘が一九七九年に根絶されたことなど、予防接種の普及等により、感染症そのものを根絶していくことが重要であると認識しております。
 このため、国内においては検査体制の充実、研究の推進、ワクチンの研究開発等を行っていくとともに、世界保健機関との連携を初めとした国際的な協力を進めることとしております。
 ワクチンの製造に関する御質問ですが、新型インフルエンザワクチンについては、おおむね四百万人分の生産能力は確保されているものと認識しております。危機管理の観点からも、引き続きワクチンの供給体制の整備に取り組んでまいります。
 感染症対策に係る人材育成のあり方についてですが、新興・再興感染症の出現や患者の人権への配慮の要請に的確にこたえていくためには、専門医師等について、海外での研修を含めた人材の養成が極めて重要であり、本法案においても、国及び地方公共団体の責務として明確に位置づけております。
 また、大学病院等の教育病院を感染症指定医療機関にしていくことについては、医療提供体制を考えていく中で、関係機関と十分協議しながら検討したいと考えております。
 感染症の発生に対するふだんからの対応のあり方に関する御提案ですが、新法においては、日ごろから対策、準備を進めていく事前対応型の感染症対策を確立することとしております。
 議員御提案の、感染症発生時にプロジェクトチームを結成すべく、ふだんから準備をしておくことについても、今後、法律の施行段階において具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上であります。(拍手)
    ─────────────
#10
○議長(斎藤十朗君) 加藤修一君。
   〔加藤修一君登壇、拍手〕
#11
○加藤修一君 私は、公明を代表して、ただいま趣旨説明がありました二法案について、橋本総理、小泉厚生大臣に質問いたします。
 質問に入る前に、昨日、橋本後手後手政権は新たに景気対策を発表しましたが、明らかに政策転換であり、その責任を痛切に感じるべきであります。
 我が党の予算審議における財革法の見直しを拒否しながら、予算成立の翌日に見直しを表明したことは、余りに国会無視の所業であり、怒りを覚えるものであります。我が党が主張するような大幅な減税を実施して、景気浮揚を図るべきであります。もうこれ以上、国民無視の政治を続けるべきではないと言いたい。
 本法案を前にして思うことは、厚生行政そのものの機能不全であります。非加熱製剤の認可、郡司ファイルに代表される隠ぺいと薬害エイズ、抗生物質の乱用放置と耐性菌の増加、MRSAの院内感染による多数の死亡など、これだけを挙げても、厚生省の責任はまさに重大であります。一昨年五月、O157の発生によって多くの被害者が発生、しかも、厚生省の対応が後手後手に終始したことは周知の事実であります。
 ところで、今回廃止の伝染病予防法は、実に百年前につくられた法律であります。ラッサ熱など新しい感染症の発生は、最近二十年間に三十に迫る勢いであり、早急な対応が求められておりました。にもかかわらず、改正が今日に至ったのは、まさに厚生省の怠慢であります。橋本総理の御所見をお伺いしたい。
 また、今回、問題なのは、公衆衛生審議会小委員会のメンバー三人が、このたびの法案要綱が報告書から著しく後退していると述べ、小委員会開催を求める上申書を厚生省に提出している事実であります。メンバー一同は、要綱を見て愕然とした、患者、感染者の人権の尊重という基本的方向が著しく後退、随所で報告書の内容と断絶すら感じさせるとまで断言しております。またまた官僚中心に書きかえるとは言語道断であります。報告書が最大限反映されるべきであります。総理の御所見をお伺いしたい。
 次に、このたびの法案はエイズ予防法がなくなることを意味しておりますが、かつてエイズ予防法が審議されたとき、旧公明党は反対いたしました。それは、第一に医師の報告義務がかえって感染者の潜在化を招く、第二に基本的人権とプライバシーの保護に欠ける、第三に血友病患者に対する偏見を強めるなどの理由からでありました。
 厚生省は、反対した理由を今になって気がつくほど人権感覚がないのでしょうか。エイズ予防法の制定過程を十分検証し、本法案の提案理由にその歴史的経緯と謝罪を明記すべきであります。橋本総理、明確に反省の意を表していただきたい。
 次に、この法律でどのようにして人権を守ることができるのかということであります。
 本法案の目的は、報告書の内容から著しい後退をしております。したがって、目的条項に、患者の治療を受ける権利とプライバシー権などの人権を保障し、尊重することを明確に記入すべきであると思います。橋本総理の御決断を求めます。
 本法案の第五条に、医師の責務が書かれておりますが、感染症予防に努めることだけが強調されております。良質かつ適正な医療の提供、また、患者の人権保護に関する文言が明記されておりません。これが過去のエイズ予防法、らい予防法の反省の上に立つものでしょうか。橋本総理の御所見をお伺いしたい。
 次に、本法案は感染症別に入院措置、就業制限等を五段階に分けております。各段階の行動制限の理由が納得できるように、きめ細かい手続や情報開示の方法を具体的にすべきであります。また、患者本人とその家族に対して、十分なインフォームド・コンセントが必要であります。
 また、第十九条以下に入院等に関する事項が規定されております。しかし、それは都道府県知事が必要と認めるとき、「緊急その他やむを得ない理由があるとき」と具体的な基準が全く不明確になっております。これでは十分な人権の保障がなされません。橋本総理のお考えをお伺いしたい。
 次に、法律の実効性をいかに確保するかであります。
 感染症対策には、検疫体制と保健所の強化が重要であります。人員配置、感染症の対応マニュアルの整備、保健所等職員への研修、再研修等が必要であります。小泉厚生大臣、具体的な対応をお伺いしたい。
 また、日本の感染症研究は、研究者、研究費から見て、アメリカと比較して極めて劣っております。まず、医学教育機関において感染症学の講座がありません。そのために、感染症の専門の臨床医が極めて不足しております。橋本総理、今後の取り組みについてお伺いしたい。
 次に、エイズ研究及び国際協力関係の研究費を見ると、対前年度比でマイナス一〇%であります。研究費に対する積極的な姿勢は患者にとって生きる希望であります。マイナスの予算が、政府の後退姿勢を如実にあらわしているのではないでしょうか。橋本総理の御所見をお伺いしたい。
 次に、自己血輸血の普及についてであります。
 献血の際、HIVの抗体陽性の人は、約六百万件の献血に対して五十四件もあり、十年前の何と八倍に急増しております。検査の網の目をくぐり抜ける感染血液の増加が心配されます。また、ほかの感染症を含めて感染を防ぐ大事な方法の一つは、事前に手術がわかっている患者自身の血液を事前に保存する自己血輸血であります。我が国の普及率はわずか数%と大変貧弱であります。病院等の現場の高いニーズを考え合わせますと、この普及率を加速度的に増加させるべきであります。加えて、血液事業と輸血の安全性に関する血液事業法を早期に制定すべきであります。橋本総理、いかがでありましょうか。
 次に、第三条の感染症研究の強化についてであります。
 とりわけ、私は国立感染症研究所の問題について取り上げます。当研究所は大量の病原体、遺伝子組みかえ微生物などを扱うバイオ施設であります。
 ところで、WHOは、バイオ施設は住宅地、病院などから離れて立地するように勧告しております。また、都市計画法によれば、住居専用地域には数人規模の化学工場も立地できません。ところが、当研究所は新宿区の住宅密集地にあります。WHOのコリンズ博士の査察結果によると、国際基準上、安全性の確保が極めて不十分であると再移転を結論づけております。また、元環境庁長官は、再移転が必要との趣旨の国会答弁をされております。橋本総理、本問題に対する取り組みと、再移転スケジュールを明確に示していただきたい。
 また、近年、バイオ施設にかかわる査察、罰則等の法的規制が国際的に強化されておりますが、政府は法的整備を含めた対応策を示すべきではないでしょうか。橋本総理の御見解をお願いいたします。
 ところで、感染症の脅威、突発的な発生を考えると、その対策は重要であります。アメリカには、突発的感染症やバイオハザードに対処できる疾病予防管理センターがあり、年間六十億ドルを超える予算と強大な権限を持ち、職員数は六千五百人。さらに、アメリカ軍には微生物災害部隊などがあります。
 一方、感染症研究所は四百人弱であり、機能も劣っております。政府は、突発的な感染症の発生の際に、一体どのように住民、国民を守るつもりですか。私は、危機管理の観点からも、既存の組織を再編統合化した機動的な組織を検討すべきときと考えております。橋本総理の御見解をお伺いしたい。
 それでは、最後に、地球環境と感染症の観点から質問いたします。
 最近、我が国の自然の権利の訴訟は、動物が裁判の原告に加わった点に注目が集まっております。自然の権利を無視して動物をすみ心地のよい海外生息地からの強制的な移動をやめることです。そのために、国際間動物移動規制のための国際条約を検討するか、あるいはワシントン条約を生物絶滅の観点からだけではなく、自然の権利から再度検討すべきであります。これらは、動物を介在した海外からの感染症の侵入を防ぐ観点からも重要であります。そのためにも、日本は国際的指導力を発揮すべきであります。橋本総理の御見解をお伺いしたい。
 また、我々人類は、森林に侵入し、森林破壊を延々と続けた結果、森林の逆襲、大自然の逆襲を受けております。すなわち、新たな感染症を密林から解き放ち、世界じゅうに拡散させているとも言えます。この意味でも森林との共生は大切であるわけでありますが、我が国は森林破壊防止の意義を含む砂漠化防止条約を批准しておりません。速やかに批准すべきであります。橋本総理の御決断を促し、私の質問といたします。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(橋本龍太郎君) 加藤議員にお答えを申し上げます。
 まず、昨日の予算成立後の定例の記者会見についての御批評をいただきました。
 私は、国会を初めとする国民の皆様、また、国際社会の声を聞きながら、我が国の経済運営に最終的な責任を持つ、内閣総理大臣という役職として政治決断をしたものでありまして、必ずや皆様に御理解をいただけるものと考えております。必要なときに、必要な施策を講じることにより、その責任を果たしてまいりたいと思います。
 また、次に、公衆衛生審議会小委員会報告書について御言及をいただきました。本法案が審議会の議論に反して、社会防衛が強調されているという御指摘であります。
 基本理念に患者の皆さんに対する人権への配慮を盛り込み、所要の手続保障を行う等、公衆衛生審議会の御意見及び答申を反映し、感染症予防と人権の尊重の要請を両立させているものと考えております。審議会の報告書の内容につきましては、法律を実施していく中でさらに反映させていきたいと考えております。
 次に、エイズ予防法の歴史的経緯を検証し、本法案の提案理由に謝罪を明記すべきではないかというお尋ねをいただきました。
 エイズ予防法は、治療法がなく、エイズの急速な拡大が懸念されていたという当時の状況を踏まえて、その蔓延の防止を図るため、昭和六十三年に制定されたものであり、当時としてはやむを得なかったと考えておりますが、今日の時点で見れば、よりさまざまな御意見にも耳を傾けるべき点があるように思います。本法案の制定に当たり、エイズ予防法を廃止いたしますのは、エイズ予防法制定以来の医学医療の進歩や正しい知識の普及等の変化を踏まえたものでございます。
 次に、法律案の目的規定の中に、種々の人権の保障と尊重を明記すべきという御意見をいただきました。
 本法案の目的は、感染症の発生及び蔓延を防止することにより、公衆衛生の向上及び増進を図ることにあります。その目的を達成する上での人権への配慮はもとより重要でありますことから、本法案全体の基本理念を定めた第二条において、これを明記いたしました。
 次に、医師の責務として、患者の人権保護等を明記すべきであるという御意見につきましては、患者の皆さんの人権保護につきましては、医師を含む国民の責務を定めた規定の中で明記をいたしております。
 また、医師による良質かつ適切な医療の提供という点について御指摘がございましたが、これは医療の提供に関する基本原則を定めております医療法に位置づけられておりますため、改めて本法案に特別な規定を置く必要はないと判断をいたしました。
 次に、感染症患者の行動制限につきまして、幾つかのお尋ねがございました。
 行動制限の対象疾病、対象患者、理由の告知等の一連の手続につきましては、本法案で規定するとともに、さらに具体的な手続や基準につきましては、国が示す基本指針等で明確にしていくこととなっております。基本指針等の内容につきましては、患者の御理解と協力が得られますよう、人権保護も配慮しながら、今後検討してまいりたいと思います。
 次に、感染症専門の臨床医の養成についてのお尋ねがございました。
 感染症に関する人材の養成は、極めて重要な問題として認識をいたしております。そして、それは先ほどの御答弁とも重複いたしますけれども、新興感染症だけではなく、既に、日本国内において患者が激減しておりますような再興感染症についても、同じような問題を抱えております。こうした点を考えますとき、この感染症に関する人材の養成は極めて重要な問題と認識しておりまして、法案におきましても、国と地方公共団体の責務として明確に位置づけをしております。感染症の専門家を養成していくために、医学教育機関における教育を含め、取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、エイズ研究及び国際協力関係の研究費のマイナスが政府の後退姿勢をあらわしているのではないかというお尋ねをいただきました。
 研究の効率化を図ることによって、今後とも成果を上げるように努めてまいりますし、特に、エイズ患者の方々に直接関係のある研究関連経費につきましては、予算額を維持する等の配慮を行ってまいりました。
 次に、自己血輸血の普及を図るべきであるという御指摘をいただきました。
 自己血輸血は、議員御指摘のとおりに、輸血後の感染症あるいは免疫反応等の危険を予防できる有用な方法であり、我が国としては、まだ必ずしも普及率は高いと言えませんが、今後とも関係機関の協力を得ながら、その推進に取り組んでいきたいと思います。
 また、議員から御指摘をいただきました血液事業法の制定に関する御指摘につきましては、現在、中央薬事審議会において鋭意御検討をいただいておりまして、その御意見を踏まえて、所要の法案の提出に向けて取り組んでいきたいと考えております。
 次に、国立感染症研究所の再移転についてのお尋ねがございました。
 国立感染症研究所は、平成四年に現在の新宿区戸山町に移転新築したところであり、その際、世界保健機関、WHOの定めました実験室バイオセーフティー指針等に基づき、その安全性に十分配慮して建設をされており、現段階で他の地域への再移転は考えていないと承知をいたしております。
 次に、バイオ施設についての法的整備を含めた対応を示すべきではないかという御意見をいただきました。
 現在、国立感染症研究所等の国の研究施設につきましては、世界保健機関が定めました実験室バイオセーフティー指針に基づいて安全管理規程等を作成し、それらに基づいて適正、安全な取り扱いに努めているところでございます。
 そのため、現時点で直ちに法制化することについては考えておりませんが、国際的な動向を見極めながら、必要に応じ、今後検討することも考えてまいりたいと思います。
 次に、危機管理の観点から感染症対策に対する御提言をいただきました。
 これまでも、国立感染症研究所の機能強化を初め、厚生省に健康危機管理調整会議を設置する等の対応を図ってまいりましたが、今後とも、議員御指摘のとおり、感染症の研究者や臨床医と行政の連携体制の整備等、機動的に感染症対策が実施できる体制の構築に努めてまいりたいと思います。
 次に、自然の権利と国際的な動物の移動についてのお尋ねをいただきました。
 我が国は、これまでワシントン条約を通じて野生動物の保護に取り組んでまいっております。さらに、議員の御指摘のありました動物の移動に関する国際的な規制につきましては、国際的な動物移動の現状、その規制の必要性や効果等を慎重に検討しながら、内外の意見を踏まえて対応してまいりたいと思います。
 最後に、砂漠化防止条約の早期締結についてお尋ねをいただきました。
 森林の保全、砂漠化の防止を含め地球環境問題は、我が国が貢献を果たしていくべき最重要分野の一つ、そう考えております。御指摘の条約の締結につきましては、今国会への提出に向けまして鋭意作業を進めているところでございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(小泉純一郎君) 加藤議員にお答えいたします。
 保健所と検疫所の機能強化についての御質問ですが、御指摘のとおり、感染症対策を確実に推進していくための重要な課題と認識しております。
 このため、今後、保健所や検疫所が中心となって行う感染症情報の収集と分析を初めとする予算の確保や、国立感染症研究所や国立公衆衛生院等における研修の充実強化を通じた専門職員の配置に努めてまいりたいと思います。(拍手)
#14
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#15
○議長(斎藤十朗君) この際、日程に追加して、
 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。久間国務大臣。
   〔国務大臣久間章生君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(久間章生君) 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、防衛庁設置法、自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部改正を内容としております。
 平成八年度以降に係る防衛計画の大綱を踏まえ、出動時以外においても、自衛隊の統合運用が必要な場合には、統合幕僚会議が長官を補佐し得るよう、その機能の充実を図り、陸上自衛隊の方面隊に師団に加えて新たに旅団を置くこととし、また、海上自衛隊における効率的な整備補給体制を確立するため、海上自衛隊の機関として補給本部を置くことができることとし、並びに技術研究本部等への特にすぐれた研究者の招聘等を行い得るよう、一般職の国家公務員と同様に任期つき研究員の制度を導入するとともに、開発途上にある地域の政府からの委託を受けて、防衛大学校等において教育訓練を実施している外国人に対し、教育訓練の履修を支援するための給付金を支給することができるようにする等、外国人の教育訓練の受託に関する制度を充実させ、あわせて、自衛官の定数及び即応予備自衛官の員数を改める必要があります。
 以上がこの法律案の提案理由であります。
 次に、この法律案の内容についてその概要を御説明いたします。
 まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。
 第一に、旅団の新編、師団の改編等に伴い陸上自衛官の定数を、政府専用機の運航安全に万全を期するため、航空自衛官の定数をそれぞれ変更するとともに、統合幕僚会議の機能の充実及び情報本部の所要の要員を確保するため、自衛官の定数を変更するものであります。
 第二に、出動時以外においても自衛隊の統合運用が必要な場合において長官が定めるときには、統合幕僚会議が長官の補佐をし得るよう、統合幕僚会議の所掌事務を改めるものであります。
 第三に、統合幕僚会議に附置する機関における外国人の教育訓練の受託について定めるものであります。
 次に、自衛隊法の一部改正でございます。
 第一に、陸上自衛隊の方面隊の部隊として旅団の編成等を定めるとともに、第十三師団を第十三旅団に改編するものであります。また、陸上自衛隊の部隊の改編に伴い、即応予備自衛官の員数を改めるものであります。
 第二に、出動時以外に編成される二以上の自衛隊の部隊から成る特別の部隊について、その運用に係る長官の指揮は、統合幕僚会議の議長を通じて行い得ること等とするものであります。
 第三に、海上自衛隊の機関として補給本部を置くことができることとし、その所掌事務を定めるとともに、自衛隊に置かれる補給処の事務を改めるものであります。
 第四に、新たに任期つき研究員の制度を導入し、その任期、任用手続等を定めるものであります。
 第五に、開発途上にある地域の政府から教育訓練の委託を受けた場合において、当該外国人の教育訓練の履修を支援するための給付金を支給することができること等とするものであります。
 最後に、防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部改正でございます。
 これは、新たに導入される任期つき研究員の給与に関し、必要な事項を定めるものであります。
 以上が防衛庁設置法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。(拍手)
    ─────────────
#18
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。竹村泰子君。
   〔竹村泰子君登壇、拍手〕
#19
○竹村泰子君 私は、統一会派民友連を代表して、ただいま議題となりました防衛庁設置法等の一部を改正する法律案につき、総理大臣、防衛庁長官に質問いたします。
 質問に先立ちまして、日本の防衛政策の策定については、今後も憲法の精神にのっとり、非核三原則・専守防衛の堅持、武器輸出三原則の推進、集団的自衛権の不行使、大量破壊兵器の不保持、海外派兵の禁止、徴兵制の不採用、シビリアンコントロールの維持などの諸原則を遵守して行われるべきだという大原則を明確にした上で、質問に入らせていただきます。
 まず、本法案における統合幕僚会議の機能強化とシビリアンコントロールの関係について伺います。
 本改正案によって、統合幕僚会議の役割と機能は相当強化されることになります。私は、効率的な運用体制ができることは、防衛力の質的向上の観点からは評価すべきことと考えます。しかし、ミリタリーの部分の強化が行われるのであれば、同時にシビリアンコントロールの仕組みをさらに強化することが不可欠であります。特に、我が国のように、歴史的に軍部の暴走を政治や国民が有効にチェックできず、不幸な戦争の悲劇に至った経験を持つ国においては、シビリアンコントロールの強化充実が強調され過ぎるということは決してありません。
 本法案において、統合幕僚会議の機能強化に対応した政治によるチェックが強化されているのか、従来どおりであればそれで十分なのかについて、自衛隊の最高の指揮監督権を有する内閣総理大臣と、自衛隊の隊務を統括する防衛庁長官に御説明をいただきたいと思います。
 今回の法案は、ガイドラインの対米協力を想定した法改正ではないと言われております。ガイドラインが本法案の目的かどうかはともかく、結果的に本改正案が実際のガイドライン運用に大きな影響を与えることは事実であり、ガイドラインシフトであることは見え見えであります。
 例えば、統合幕僚会議は、現行ではガイドラインの想定する周辺事態や平素からの日米協力について防衛庁長官を補佐することはできませんが、今回の防衛庁設置法改正案では、統合警備計画の作成や出動時その他統合運用が必要な場合として長官が定めるような場合について、統合幕僚会議の所掌事務が新しく追加されており、これによってガイドラインの運用が円滑化するというわけです。それなのに、防衛庁は、大規模災害やPKO、国際救援活動などの平時において二自衛隊以上の統合運用が必要な場合を想定しているとの説明を前面に出し、私が指摘した点を認めることに消極的なように見受けられます。
 また、今国会に提出されておりますPKO法改正案も、同様にガイドラインに関連する改正点を含んでおりますが、政府の姿勢はやはり議論を避けるものです。こうした隠れガイドライン法案を国民に十分説明せずにこっそり通してしまおうというやり方、一方では、インディペンデンスの小樽入港を含め、運用面で日米防衛協力の既成事実を積み上げるやり方は全くいただけません。
 総理、率直な質問で恐縮ですが、政府が本改正案の説明に当たって、本改正案とガイドライン運用の関連を余り表に出さず、したがって国民に理解を訴えようとしていないのはなぜなのでしょうか。まさか安全保障問題については国民に知らしむべからずと考えていらっしゃるのではないと思いますが、このような姿勢では、かえって国民の政府の防衛政策に対する不信感を増すのではないでしょうか。
 次に、ガイドライン関連法整備について質問します。
 ガイドライン最終報告が出されてから七カ月近くがたとうとしていますが、ガイドライン関連法制への基本的な考え方について、総理御自身の言葉で何も語られていないのではないかと思います。外務官僚、防衛官僚たちの調整作業が終わらなければ、一国の総理がこのような重要な問題について話すことができないというのでは、日本にあるのは文民統制ならぬ官僚統制だということになります。そうではないということを証明するためにも、きょうはぜひシビリアンの最高峰に立たれる総理御自身の口から、明確な御意見を聞かせていただけるものと期待しております。
 私が指摘したい問題は、政府の政策決定過程における透明性であります。行政が閉ざされた会合で協議を行い、その経過を明らかにしないまま結果だけを提示して市民に押しつけようとするのは、まさに官僚的手法であります。また、我が国の周辺諸国に誤解を与えないよう、法整備に透明性を持たせることが重要であることは言うまでもありません。ガイドライン関連法整備について、一国の総理大臣が基本方針を明確に述べることが透明性につながるのではないでしょうか。この点について、総理の御意見をしかと伺いたいと思います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 ガイドライン関連法制については、法案名も仮称でしょうが、対米後方支援法のたぐいが検討されており、そこでは対米協力実施内容を閣議で決定し、国会には承認を求めるのではなく、報告にとどめる方向で調整が進められていると聞いております。
 これに関連して、久間防衛庁長官は、有事の自衛隊の出動に関する国会承認の基準について、国民の権利義務を剥奪するような影響があるか、自衛隊が外国に出るか、国会承認を求める時間的余裕があるか、この三点をかねて指摘しておられます。周辺事態は国民の権利義務関係に大きな影響を与えないから、対米協力内容について国会には報告でよいということなのでしょうか。本当に周辺事態は国民生活に影響が小さいと言い切れるのでしょうか。
 例えば、民間空港を米軍に優先的に使用させる事態やNLPのような訓練、演習の頻度が上がることも予想され、決して国民生活への影響が小さいとは申せません。また、周辺事態が長期化すれば国民生活への影響は当然増してくるものと考えられます。また、米兵らの捜索・救難活動を他国領域内で行うのであれば、これは当然国会承認の範疇に入ってまいります。
 少なくとも、国民生活に影響の大きい対米協力や他国の領域内で自衛隊が活動する防衛協力については、国会報告にとどめるのではなく、国会承認を義務づけるべきであると考えます。国会に諮る時間がない事態もあるということであれば、場合によっては事後承認も併用すればよいでしょう。
 以上について、総理と防衛庁長官の考え方をそれぞれお伺いいたします。
 政府が四月八日に取りまとめた「日米防衛協力のための指針の実効性を確保するための法整備の大要」によれば、捜索・救難活動について、我が国領域や我が国周囲の戦闘地域とは一線を画された公海に加えて、当該他国の同意のある場合には他国領海でも行えることになっております。自衛隊の他国領域内への派遣については、憲法との関係や近隣諸国との関係などで問題が生じないとも限らず、慎重な判断が求められます。
 政府は、何ゆえに他国領海内においてまで米兵を救助する必要があると判断するに至ったのか、憲法上の問題は発生しないのか、捜索・救難活動以外の周辺事態における対米防衛協力で、自衛隊が他国の領域で活動することがほかにも想定されているのかについて、防衛庁長官の説明を求めます。
 また、過去の植民地支配と侵略行為という経緯もあり、他国の同意があるときの捜索・救難活動に限定されているとはいえ、日本が自衛隊を他国の領域に派遣することについては、周辺国の反発も予想されます。本件についての近隣諸国の反応や調整についてどう考えておられるのか、総理に答弁を求めます。
 次に、沖縄普天間飛行場の代替地問題について質問します。
 普天間基地の代替地については、総理は、今まで一貫して名護市沖の海上へリポート案が最善の選択肢として、ほかの案は考えられないと主張してこられました。ところが、最近、政府・自民党と沖縄県の間でキャンプ・シュワブ内に民間共用滑走路を建設する案が急浮上してきていると聞いております。私は、普天間飛行場の代替地問題については、こうした柔軟な対応が不可欠と考えております。これまでの方針を転換し、海上ヘリポート以外の代替案を検討しているのかどうかについて、総理に説明をお願いいたします。
 政府は、沖縄県が反対したにもかかわらず、経済振興策をあめにして海上へリポートを地元に押しつけようとしてきました。また、海上へリポート建設案については、政府が地元との調整を怠り、内々に検討を進めたことが沖縄県民の理解を得られなかった大きな要因でした。今後は、地元や国民に検討経過を明らかにしていくよう強く求めます。
 同時に、私どもが再三要求してきたことですが、今こそ代替ヘリポートにつき、海兵隊の削減や米国本土への即応後方配備の可能性も含め、地元が受け入れ可能な複数の選択肢をアメリカと再交渉をするべきこと、それを実行する責任こそ総理御自身にあることを申し上げておきます。
 最後に、総理は昨日、新たに四兆円を上回る大幅な減税対策を提示されました。
 あなたはこれまで、国会で私たちの要求を退け、幾度も減税をしないと答えておられます。これは言うまでもなく、景気低迷の大きな要因とされる財政構造改革路線の大幅な修正であり、政策転換であり、まさに橋本政権の経済見通しの誤りを認めることではないのでしょうか。声を上げることができない弱い立場の人々の涙や国民の怒りと不安をしっかりと受けとめ、責任を認めて潔く退陣されることを強く要望して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(橋本龍太郎君) 竹村議員に御答弁を申し上げます前にお許しをいただき、加藤議員の御質問に対する答弁で一部抜けておりました点がありますので、その点の補足をお許しをいただきたいと存じます。
 それは、伝染病予防法の見直しが今日までおくれたこと、それは行政の怠慢ではないかという御指摘に対する部分でありました。
 従来から指定伝染病制度により、状況の変化に可能な限り対応してまいりましたが、近年の新興・再興感染症の出現、国際交流の活発化等に的確に対応する必要があり、今般、感染症対策の根本的な見直しを行い、本法案を提出させていただきました。この点、答弁の抜けておりましたこと、おわびを申し上げます。
 次に、竹村議員の御指摘に対して御答弁を申し上げます。
 まず、統幕機能の充実とシビリアンコントロールについてのお尋ねがございました。
 統幕会議はそもそも防衛庁長官を補佐する機関であり、文民である内閣総理大臣、防衛庁長官のもとで十分管理されるなど、シビリアンコントロールは確保されており、今回の改正におきましても、統幕の位置づけは何ら変更を加えるものではございません。したがって、シビリアンコントロールの観点から問題があるとは考えておりません。
 次に、本改正案と指針についてのお尋ねがございました。
 本改正案における統幕会議の機能充実は、防衛大綱等を踏まえ、大規模災害等各種の事態への対応等の任務を迅速かつ効果的に遂行するためのものであり、指針のもとでの日米協力と直接関連するものではありません。しかし、日米協力の具体的内容に即して、適切な形で統幕会議がこれに関与することは当然あり得ると考えております。
 次に、ガイドライン関連法制の整備についてのお尋ねがございました。
 現在、政府として鋭意検討作業を進めております。去る四月八日、その方向性につきまして法整備の大要を取りまとめ、考え方を明らかにしたところであります。今後、この大要に基づき、与党における御論議等も踏まえながら、今国会での法案提出を目指して精力的に法案作成作業を行ってまいります。
 国会承認についてもお尋ねがございました。
 法整備の大要におきましては、周辺事態において我が国が実施する活動に関する基本計画を閣議決定後、遅滞なく国会に御報告することといたしております。基本計画は国民の権利義務に直接関係するものではなく、迅速な決定を行う必要性があること等を総合的に勘案すれば、必ずしも国会の御承認をいただかなければならないものとは考えておりません。
 次に、我が国が他国において実施する捜索・救難活動についてお尋ねがございました。
 例えば、潮流の影響等により遭難者が他国の領海に流されたような場合には、当該他国の同意を得た上で遭難者の救助を行うことは、人道的な観点から必要という考え方に立ち、現在、法案作成作業を進めております。このような考え方につきましては、周辺諸国の理解も得られるものと考えております。
 次に、普天間飛行場の代替施設についてのお尋ねがございました。
 この代替施設は、たびたび御答弁を申し上げてまいりましたように、自然環境、騒音などを考慮しながら、現時点における最良の選択肢として、規模を大幅に縮小し、必要がなくなりましたときには撤去可能な海上ヘリポートという案を提示したものでございます。これは普天間飛行場の返還実現のために、日米間で最大限の努力を行った結果でありまして、引き続き御地元の御理解をいただけるよう粘り強く取り組んでまいりたいと存じます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げますが、最後に、昨日の記者会見に対する御批判をいただきました。
 私は、国会を初めとする国民の皆様の声、国際社会の声を踏まえながら、我が国の経済運営に最終的な責任を持つ、その立場として政治決断をいたしたものであり、御理解をいただきたいと存じます。
 残余の質問は、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣久間章生君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(久間章生君) 竹村議員の御質問にお答え申し上げます。
 統幕機能の充実とシビリアンコントロールについての御質問及び国会承認についての御質問につきましては、ただいまの総理の答弁と同じでございます。
 また、我が国が他国領海において実施する捜索・救難活動についてのお尋ねでございますが、これにつきましても、先ほど総理からも答弁がありましたように、大要におきましては、潮流の影響等によって遭難者が他国の領海に流されたような場合に、当該他国の同意を得た上で遭難者の救助を行うことは、人道的な観点から必要との考え方に立っておりますが、その場合におきましても、捜索・救難活動は戦闘地域と一線を画する場所において実施することとしており、憲法上の問題が生じることはないと考えております。
 また、その他自衛隊が他国領域で活動することが想定されるものとしましては、例えば、在外邦人等の輸送が考えられるところでございます。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#22
○副議長(松尾官平君) 山下芳生君。
   〔山下芳生君登壇、拍手〕
#23
○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 日米安保共同宣言に基づく新ガイドラインによって、日本防衛中心から、新たに周辺事態での出動、米軍支援に役割を拡大した自衛隊に、必要な権限、組織、体制を与えようとするのが今回の防衛庁設置法及び自衛隊法の改正であります。
 まず初めに、統合幕僚会議の権限拡大について伺います。
 一つは、統合防衛計画に並んで、新たに統合警備計画の作成を統合幕僚会議の権限としたことであります。政府は、この統合警備計画には周辺事態における米軍基地警備も含まれると衆議院で答弁しましたが、これはまさに警備計画自体が周辺有事対処計画だということではありませんか。憲法上も断じて許されないものであります。答弁を求めます。
 また、統合幕僚会議の自衛隊の指揮命令に関する権限は、従来、防衛出動、治安出動時に限られていましたが、今回、それ以外の場合にも防衛出動時と同様に認めたことも重大であります。これは、周辺事態での日米共同作戦計画づくりや指揮調整、情報交換などを行うために、統幕会議の権限を強め、ガイドラインで強調された周辺事態での日米の陸海空部隊の統合作戦を効果的に行うためのものではありませんか。
 次に、陸上自衛隊の旅団の創設と海上自衛隊の補給本部の新設でありますが、これらはいずれもガイドラインを実行するための自衛隊の組織改編・強化であります。
 いわゆる旅団化は、一部師団の規模は縮小するものの、即応予備自衛官の配備などの部隊改編と装備の近代化を進めることにより、機動性と独立の作戦機能を持つ部隊をつくり上げることになります。これはガイドラインでうたわれた平時のPKO、人道的国際救援活動、テロ、不正規型の攻撃や周辺事態に対処できるものにするということではありませんか。
 海上自衛隊の補給本部の新設は、昨年の陸上自衛隊の補給統制本部の設置と並んで、周辺事態での自衛隊による米軍への補給、輸送、整備など、後方支援体制を一層強化するものではありませんか。防衛庁長官の答弁を求めます。
 さて、総理は四月七日、新ガイドラインを実施するための関連法整備の骨格を了承しましたが、明らかにされた法整備の大要は極めて重大であります。
 第一に、日本が米軍への支援、協力を行う周辺事態とは何か、周辺事態をだれが判断し決定するのかということについてであります。
 この問題は国会で繰り返し議論になり、これまで政府は、周辺事態が仮に起きた場合には、その判断は日本が自主的に必要な国内手続を踏まえながら判断すると答弁してきました。
 ところが、今回の大要では、周辺事態は認定することなく、なし崩し的に米軍協力を決定するというではありませんか。それはなぜですか。報道にあるように、いつの時点から周辺事態であると認定するのは難しい、周辺事態であるという認定と実施内容の決定という二段構えでは、差し迫った危機に機敏に対応できないというのですか。
 米軍が周辺事態だと一方的に判断すれば、これまでの政府答弁で明らかなように、日米が緊密に協議して調整するので、米軍への協力を拒否するようなことはあり得ないのであり、結局、政府の決定で、自衛隊を初め政府機関、地方自治体、民間、挙げてこれに支援、協力させられることになるのではありませんか。
 また、国会への報告は、基本計画の決定または変更があった場合のみとしていますが、これは、米軍が行う戦闘行動への日本の支援、協力を国会にも諮らず、政府が一方的に決定して、国民に押しつけるということではありませんか。総理の明確な答弁を求めます。
 第二に、捜索・救難活動についてであります。
 大要では、周辺事態において戦闘によって遭難した戦闘員、すなわち米兵を捜索・救難するとしていますが、これは通常の海難救助などとは全く性質の違うものであります。大要は、戦闘地域と一線を画された公海及び他国領海で行うとしていますが、他国の領海内まで出動しての行動が戦闘行動と無関係のような言い分は全く成り立たないのではありませんか。
 また、捜索・救難活動、船舶検査活動、在外邦人の輸送における武器使用に関する規定について検討中といいますが、一体何を検討するというのですか。捜索・救難や船舶検査活動などで自衛隊が武器使用するということになれば、それはまさに日本が紛争の当事国になるということではありませんか。
 第三に、機雷掃海の問題についてであります。
 今検討されている機雷掃海は、停戦の合意がなされ、平和が回復した後、遺棄された機雷を掃海するというのとは全く別次元の問題であります。周辺事態で戦闘が行われているときに、相手国が戦闘行為の一環として自己防衛のために敷設する、それは戦闘行動を行っている米軍に対してのものであり、その機雷をいかなる名目であれ、自衛隊が出ていって掃海するという行為は武力行使そのものではありませんか。
 政府は、これまで、我が国に対する武力攻撃があった場合、しかも必要な条件が満たされたときに初めて自衛権の発動ができると言ってきました。日本が何ら武力行使を受けていない周辺事態で、このように自衛隊が米軍と共同で行動し、後方地域支援を行うということがどうして自衛のための措置と言えるのか、明確な答弁を求めます。
 第四に、ACSA協定についてであります。
 大要は、日米共同訓練、PKO、人道的国際救援活動に限定されている現行ACSA協定を周辺事態に対応できる協定に改定するとし、米軍への物品提供に当たっては、武器弾薬を除くとしていますが、現行協定と同じように、武器部品の提供、武器弾薬の輸送は排除しないのではありませんか。
 現行協定を締結する際に、政府は、これらは米軍の訓練などに限定しており、米軍の戦闘行動にかかわるものではないと強調しましたが、新ガイドライン別表の後方地域支援における物資の輸送について、防衛庁長官は、武器弾薬も含まれると答弁しています。武器部品の提供、武器弾薬の輸送を周辺事態において行うことになれば、これはまさに米軍の戦闘行動を直接支援するものではありませんか。答弁を求めます。
 第五に、PKOで派遣された自衛隊の武器使用を指揮官の命令で行うことができるようにする法改正は極めて重大であります。
 従来の憲法見解を百八十度転換し、政府が絶対に譲ることができないとしていたPKO法の前提条件である五原則を覆すことは断じて許されません。総理の明確な答弁を求めます。
 最後に、私は、新ガイドラインに基づく自衛隊の再編強化に反対し、日本国憲法の平和原則を真正面からじゅうりんして進められている、周辺事態での米軍への日本の支援、協力を義務づける新ガイドライン立法作業の中止を強く要求し、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(橋本龍太郎君) 山下議員にお答えを申し上げます。
 まず、統合警備計画についてのお尋ねですが、同計画が大規模災害等への対処等、自衛隊が公共の秩序の維持に当たる際の自衛隊の対処構想、関係機関との協力その他の基本的事項について定めるものであります。その具体的内容については今後検討されるものでありますが、いずれにせよ、憲法及び関係法令に従い作成されるものであります。
 次に、統幕機能の充実についてお尋ねがございました。
 今回の統幕機能の充実は、防衛大綱等を踏まえ、大規模災害等各種事態への対応等の任務を迅速かつ効果的に遂行するためのものであり、周辺事態における日米協力の確保などと直接関連するものではございません。
 次に、周辺事態の認定についてのお尋ねがございました。
 指針の実効性確保のための法案の内容は関係省庁で検討中ですが、現在のところ、法整備の大要に示された基本計画に係る閣議決定の中で、我が国周辺地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態であるとの判断のもとに、我が国が新法に基づき実施する措置などを決定することになると考えております。
 次に、周辺事態と対米支援についてのお尋ねがございましたが、ある事態が周辺事態に該当するか否かについては日米両国がそれぞれ主体的に判断することとなります。また、周辺事態においていかなる活動及び対米支援を行うかも、我が国が主体的に判断を行います。したがって、米国が周辺事態と判断すれば、我が国は米軍への協力を拒否できないといった御指摘は当たらないと思います。
 次に、国会報告についてのお尋ねがございましたが、法整備の大要におきましては、周辺事態において我が国が実施する活動に関する基本計画を閣議決定後、遅滞なく国会に御報告することといたしております。
 基本計画は、国民の権利義務に直接関係するものではなく、迅速な決定を行う必要性があること等を総合的に考え、必ずしも国会の御承認をいただかなければならないものとは考えておりません。
 次に、我が国が他国領海において実施する捜索・救難活動についてのお尋ねがございました。
 大要におきましては、例えば、潮流の影響等により遭難者が他国の領海に流されたような場合に、当該他国の同意を得た上で遭難者の救助を行うことは、人道的な観点から必要との考え方に立っておりますが、その場合におきましても、捜索・救難活動は戦闘地域と一線を画する場所において実施することといたしております。
 次に、後方地域支援についてのお尋ねがございました。
 指針における後方地域支援は、日米安保条約及びその関連取り決めに基づき米軍が行う施設・区域の使用及び諸活動が効果的に行われることを主眼とし、我が国が米軍に対し、補給、輸送、整備、衛生、警備、通信その他のそれ自体としては武力の行使に該当しない活動を行おうとするものであり、自衛権の行使ではございません。
 次に、日米間の取り決めについてのお尋ねがございました。
 取り決めについては、これは日米間の協議が前提となるものなので、現時点で確たることを申し上げることは困難でありますが、いずれにせよ、指針のもとでの武器弾薬の輸送等は、それ自体としては武力の行使に該当せず、また、戦闘地域と一線を画する場所において行うという前提にかんがみれば、基本的には米軍の武力の行使との一体化の問題が生ずることは想定されておりません。
 次に、PKO法の改正についてのお尋ねでありますが、今般の改正法案は、これまでの憲法解釈やいわゆる五原則を何ら変更するものではないと考えております。
 すなわち、今般の改正案は、自己または自己とともに現場に所在する我が国要員の生命または身体の防衛という、いわば自己保存のための必要最小限の武器の使用という点については、何ら変更を加えず、これを維持することとした上で、その一層の適正を確保するために、原則として現場にある上官の命令によることとするものであり、また、これまでも命令に基づく武器の使用に関し、例えば生命、身体を防護するためにやむを得ない必要があるとき、集団的に行ったから憲法上問題があるということにはならない旨の御答弁を申し上げているところであります。
 残余の質問につきましては関係大臣から御答弁申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣久間章生君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(久間章生君) 山下議員の御質問にお答え申し上げます。
 旅団化についてのお尋ねですが、平成七年十一月に決定されました防衛計画の大綱において、防衛力の合理化、効率化、コンパクト化等を進めるとの観点から、陸上自衛隊の平時地域配備する部隊は、八個師団及び六個旅団の体制とすることとされたことを踏まえまして、今般、新たに旅団を創設するものであり、昨年九月に策定されました新たな指針に対処することを目的として創設するものではありません。
 次に、海上自衛隊の補給本部の新設についてのお尋ねですが、これは、新たな指針の策定以前から生じていた装備品の高度化等の状況の変化に対応し、効率的な整備補給体制を確立するため、現行整備補給組織を見直し、所要の整理統合を行う中で実施するものであり、新たな指針を受けて、対米後方地域支援を実施するための体制を強化することを目的として行うものではありません。
 次に、捜索・救難活動等における武器使用についてのお尋ねですが、これらの活動において、不測の事態が発生した場合に、当該活動に従事している要員や在外邦人等の輸送における現場に所在する在外邦人等の生命等を防護するための必要最小限の武器の使用に関する規定について、検討を行っているところでございます。
 次に、捜索・救難活動等の武器使用により、我が国が紛争の当事国となるとの御指摘でございますけれども、捜索・救難活動は、戦闘地域から一線を画された地域で実施すること、船舶検査活動はあくまで相手船舶の同意を得て行うこと、また、これらの活動において検討している武器使用は、要員等の生命等を防護するための必要最小限のものであること等の理由から、我が国が紛争の当事国になるということはないと考えております。
 次に、周辺事態における機雷掃海についてのお尋ねですが、一般的には、武力攻撃の一環として敷設されている機雷を除去することは、敷設国に対する戦闘行動と考えられ、憲法で禁止されている武力の行使に当たります。他方、武力攻撃の一環として敷設されているものではない機雷の除去は、敷設国に対する戦闘行動としての性質を持たないので、武力行使に当たらず、憲法上可能であります。
 以上でございます。(拍手)
#26
○副議長(松尾官平君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#27
○副議長(松尾官平君) 日程第一 優良田園住宅の建設の促進に関する法律案(衆議院提出)
 日程第二 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。国土・環境委員長関根則之君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔関根則之君登壇、拍手〕
#28
○関根則之君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、国土・環境委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、優良田園住宅の建設の促進に関する法律案は、衆議院提出に係るものでありまして、多様な生活様式に対応し、かつ、潤いのある豊かな生活を営むことができる住宅が求められている状況にかんがみ、農山村地域、都市の近郊等における優良な住宅の建設を促進するための措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、衆議院建設委員長より趣旨説明を聴取した後、本案の政策目的と良好な住環境の保全等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して緒方理事より反対の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案は、公共土木施設に関する災害復旧事業の充実及び当該事業に関する助成事務の合理化を図るため、国が事業費の一部を負担する施設として公園を追加するとともに、災害復旧事業に係る採択限度額を引き上げる等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、改正による地方財政への影響、環境保全型災害復旧事業等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#29
○副議長(松尾官平君) これより採決をいたします。
 まず、優良田園住宅の建設の促進に関する法律案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#30
○副議長(松尾官平君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#31
○副議長(松尾官平君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数           二百一
  賛成            百八十三
  反対              十八
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#32
○副議長(松尾官平君) 次に、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#33
○副議長(松尾官平君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#34
○副議長(松尾官平君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数            二百
  賛成              二百
  反対               〇
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#35
○副議長(松尾官平君) 日程第三 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長武田節子君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔武田節子君登壇、拍手〕
#36
○武田節子君 ただいま議題となりました出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、外国人の出入国の状況にかんがみ、出入国関係事務の簡素合理化を図るため、日本国政府の承認した外国政府以外の地域の権限のある機関の発行した文書を旅券として取り扱う文書の範囲に追加しようとするものであります。
 委員会におきましては、台湾を政令で定める地域とする理由、日中共同声明の趣旨との関係及び台湾住民の本邦入国への影響等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。
 質疑を終わり、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#37
○副議長(松尾官平君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#38
○副議長(松尾官平君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#39
○副議長(松尾官平君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          百九十九
  賛成            百九十九
  反対               〇
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#40
○副議長(松尾官平君) 日程第四 中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。経済・産業委員長吉村剛太郎君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔吉村剛太郎君登壇、拍手〕
#41
○吉村剛太郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済・産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、中小中堅企業を初めとするベンチャー企業の事業活動の活性化を図るため、ベンチャーキャピタルによる投資事業が容易となるよう、無限責任組合員と有限責任組合員とから成る新たな組合契約の制度を創設しようとするものであります。
 委員会におきましては、新しい組合契約制度の企業育成における効果、ベンチャーキャピタルとしての年金資金の位置づけ、ベンチャー企業の経済構造上の重要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して山下委員より反対する旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#42
○副議長(松尾官平君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#43
○副議長(松尾官平君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#44
○副議長(松尾官平君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数           二百一
  賛成            百八十五
  反対              十六
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#45
○副議長(松尾官平君) 日程第五 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。地方行政・警察委員長藁科滿治君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔藁科滿治君登壇、拍手〕
#46
○藁科滿治君 ただいま議題となりました法律案につきまして、地方行政・警察委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、風俗環境の変化にかんがみ、風俗営業者に対する規制の合理化を図るため、客にダンスをさせる営業のうち一定の要件に該当するものを風俗営業から除外する等の措置を講ずるほか、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、風俗営業等に関して行われる売春を防止するためのこれらの営業を営む者の遵守事項等を定めるとともに、無店舗型性風俗特殊営業等に関し、広告及び宣伝の方法の制限その他の必要な規制のための規定を整備しようとするものであります。
 委員会におきましては、わいせつ基準の不明確性、インターネット利用の有害映像送信営業に対する規制のあり方、広告・宣伝規制の実効性等について質疑が行われましたほか、参考人から意見を聴取いたしましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#47
○副議長(松尾官平君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#48
○副議長(松尾官平君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#49
○副議長(松尾官平君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          百九十九
  賛成            百九十九
  反対               〇
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#50
○副議長(松尾官平君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十八分散会
     ─────・─────
ソース: 国立国会図書館
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