くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第142回国会 本会議 第35号
平成十年六月十七日(水曜日)
   午後四時十六分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三十五号
    ─────────────
  平成十年六月十七日
   午後一時 本会議
    ─────────────
 第一 内閣総理大臣橋本龍太郎君問責決議案(
  菅野久光君外六名発議)(委員会審査省略要
  求事件)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、平成十年度一般会計補正予算(第1号)
 一、平成十年度特別会計補正予算(特第1号)
 一、平成十年度政府関係機関補正予算(機第1
  号)


     ─────・─────
#3
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 日程第一 内閣総理大臣橋本龍太郎君問責決議案(菅野久光君外六名発議)(委員会審査省略要求事件)
 本決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、これを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
 よって、本決議案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。菅野久光君。
    ─────────────
   〔議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔菅野久光君登壇、拍手〕
#5
○菅野久光君 私は、民主党・新緑風会、公明、日本共産党、自由党、新社会党、改革クラブを代表して、ただいま議題となりました内閣総理大臣橋本龍太郎君に対する問責決議案について、提案の趣旨を説明いたします。
 まず、決議案の案文を朗読いたします。
 本院は、内閣総理大臣橋本龍太郎君を問責する。
 右決議する。
 以下、その理由について申し上げます。
 二十一世紀を目前にして、我が国は今や戦後最大の危機に見舞われております。長引く不況、相次ぐ企業倒産、急増する失業者、不良債権の山。倒産や失業により生きる希望を失い自殺する人々の増加。世相を反映して荒れる子供たちの心。官僚と業界の癒着、銀行経営者のモラルの欠如。政治に対する不信感と無力感。このような危機的な状況の中で、果たして我が国は明るい希望に満ちた二十一世紀を迎えることができるのでしょうか。非常に残念なことでありますが、かかる状況をもたらした最大の責任者である内閣総理大臣橋本龍太郎君が日本のかじ取りを続ける限り、我が国に明るい二十一世紀が訪れるとは全く思えないのであります。
 言うまでもなく、総理大臣たる者は国民、国家のためにその身をささげるくらいの覚悟がなければなりません。しかし、橋本龍太郎君は、みずからが犯した数々の失敗を国民、国家に押しつけ、犠牲にすることによってその身を守ろうとしているのであります。もはや橋本龍太郎君は、戦後最悪のリーダーとしてその名を歴史に残すことは間違いありません。我が国が輝かしい未来を切り開いていくためには、それらの責任をとって橋本龍太郎君が即刻辞職する以外に道は残されていないのであります。
 以下、具体的にその理由を申し上げます。
 問責の第一の理由は、橋本内閣が昨年の第百四十一回臨時国会において、野党各党の反対を押し切って成立を強行した財政構造改革法のもとでのデフレ経済政策によって、我が国経済を破滅に追い込んでいることであります。
 昨年四月の消費税率引き上げ後、消費不振から四―六月期の国内総生産の実質成長率が年率換算で、実にマイナス一〇・六%を記録するなど、景気の急速な冷え込みが明らかになったにもかかわらず、橋本内閣は何ら手を打たなかったばかりか、特別減税の打ち切り、医療保険制度の抜本改革なき個人負担引き上げという失策をとり続けました。そしてあげくの果てには、大手金融機関の経営破綻が相次ぎ、諸外国から日本発の世界恐慌を懸念する声も上がっているさなかに、財政構造改革法の成立と年末のデフレ予算の編成を強行したのであります。
 その間、橋本龍太郎君と同君の任命した経済閣僚は、何ら自分自身の信念や政策も持たず、自分自身の言葉も持たず、ただひたすら官僚が書いた作文を読み上げ、誤った経済認識による誤った経済運営を続けてきたのであります。意味不明の答弁を繰り返して結局更迭された前大蔵大臣三塚博君しかり、そして有名になった桜の咲くころには景気はよくなる発言の経済企画庁長官尾身幸次君しかりであります。このような経済への口先介入や無責任発言がかえって景気の回復をおくらせ、国際的な信用をも失墜させてきたことは今や明白であります。
 しかも橋本内閣は、臨機応変と称して場当たり的に政策態度を変え続け、一たん打ち切った特別減税を年末になって突如復活させ、さらに今年度のデフレ予算を最善のものと言い続けて成立させた直後には、手のひらを返すごとく、わずか五カ月前に成立させたばかりの財政構造改革法の一部見直しと十六兆円の景気対策を打ち出しました。
 しかし、その十六兆円の景気対策の中身たるや、財政構造改革法の小手先の見直しの制約により、結局は参議院選挙目当ての従来型の土木中心の公共事業の追加と特別減税の積み増しにとどまっております。環境・新エネルギー特別対策や情報通信高度化・科学技術振興特別対策などの新社会資本整備といいながらも、一皮むけばその内実は、治山治水対策、道路整備、港湾漁港空港整備、農業農村整備など、省庁縦割りの従来型公共事業そのもののオンパレードにすぎません。また、定額控除方式による特別減税の積み増しの繰り返しは、橋本龍太郎君自身が国会の場で愚の骨頂と認めたものであります。
 民主、平和・改革、自由の野党三党が共同で要求した財政構造改革法の二年間凍結と抜本的見直し、所得税恒久減税実施等にも何ら耳をかさず、このような場当たり的で構造改革に何ら結びつかない景気対策を続けているため、個人消費の拡大や民間設備投資の活性化も全く期待できず、むしろ景気は悪化の一途をたどってまいりました。市場は橋本内閣の景気判断や経済政策を全く信用せず、円安、株安で既に不信任の決定を下していると言って過言ではありません。もはや、橋本龍太郎君に適切な経済運営を期待することは不可能と言わざるを得ないのであります。
 問責の第二の理由は、橋本内閣が金融不安解消のための不良債権問題等の抜本的な解決、処理策を何ら講じることなく、楽観的な見通しを持ち続けてきたために、昨年秋以来の金融不安の拡大を招いたことであります。
 最近になってようやく事態の深刻さに気づいたような橋本龍太郎君の発言は、みずからの無能、無策ぶりを世界じゅうに披瀝したに等しいものであります。
 橋本内閣は、本年一月、金融システム安定化という大義名分のもと、銀行救済のために国民の血税十三兆円を投入するという金融安定化措置法を野党の反対を押し切って成立させただけではなく、今度は不良債権処理のトータルプランと銘打って、ゼネコン救済のために再び血税を投入しようと画策しております。なぜ銀行や大手ゼネコンだけ救済のために国民の血税を入れるのか、国民の怒りは渦巻いており、まさに言語道断とはこのことであります。
 問責の第三の理由は、橋本内閣の掲げた行政改革が何ら実体のない虚構にすぎなかったことであります。
 今求められている我が国の行政改革とは、中央省庁の権限を地方、市場、市民に振り分けることであり、官僚主導の国家から国民が真に主権を行使できる国家へ転換することであります。
 しかるに、橋本内閣が先般強引に成立させた中央省庁等改革基本法は、従来の箱物行政手法を踏襲した器優先の行政改革、中身のない空疎な地方分権や規制緩和、官僚への全面依存など、およそ行政改革の名に値しない法律であります。二十一世紀の「この国のかたち」という言葉とは裏腹に、官僚に依存し、族議員に振り回された結果、巨大な開発官庁である国土交通省や目的不明の総務省などの設置が盛り込まれるなど、まさに醜悪そのものであり、橋本龍太郎君に二十一世紀の「この国のかたち」を論じる資格はないと断ぜざるを得ません。
 問責の第四の理由は、橋本内閣が、ロッキード事件有罪議員を国務大臣に登用し、与党幹部の違法献金疑惑など一連の政官業疑惑の解明について消極的な姿勢をとり続け、大蔵省等腐敗・汚職事件についても世間の常識とはかけ離れた極めて不十分な処分でお茶を濁してきたことであります。
 官僚から政策通とおだてられ、実際には官僚の思いのままにコントロールされてきた橋本龍太郎君には、官僚腐敗を断ち切る意思も能力もないのでしょう。そして与党と行政組織の頂点に立つ橋本龍太郎君自身の無責任ぶりこそが、与党政治家の政治倫理欠如や官僚の腐敗を野放しにしてきた最大の原因であると言うべきであります。
 問責の第五の理由は、橋本龍太郎君が外交面でも失政続きで、日本丸の船長たり得ないことを露呈していることであります。
 米軍普天間基地返還では、代替地問題の最終判断を沖縄県に責任転嫁したあげくに完全に行き詰まり、米国からは信頼を失う一方で、県民の不安をあおりました。対ロ関係や核軍縮問題でも、橋本総理が示したものはパフォーマンスとアリバイづくり以外の何物でもなく、真のリーダーシップにはほど遠いのであります。
 核実験問題については、核保有大国である米ロ両国等に対し、唯一の被爆国である我が国こそが、実効性ある核軍縮の実現を求めるためのイニシアチブを発揮すべきであるというのが国民の共通する願いであることは言うまでもございません。橋本内閣は、この点でほとんど何も積極的に取り組もうとする姿勢が見られません。
 さらに、ODAに関連しては、橋本龍太郎君自身に関するものも含めてさまざまなスキャンダル、不正疑惑が露呈しております。まさに、我が国政府の外交政策は、あらゆる面でその無能、無策ぶりをさらけ出していると言わざるを得ません。
 私は、以上、五点にわたり問責の主な理由を申し上げてまいりました。このように、橋本内閣が内政、外政の全般にわたって失策を続け、世界における日本の信用を著しく失墜させ、国民の政治への信頼、ひいては議会制民主主義への信頼を失わせた責任は極めて重大であります。国民の意思はとうに橋本内閣を見限っているのであります。よって、本院は、危機的状況にある日本経済を立て直し、国民の政治に対する信頼を回復させるために、内閣総理大臣橋本龍太郎君を問責することとすべきであると考えます。
 何とぞ、本決議案に対し、議員各位の御賛同をいただきたく、心よりお願い申し上げ、内閣総理大臣橋本龍太郎君問責決議案の提案理由の説明とさせていただきます。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(斎藤十朗君) 本決議案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。宮澤弘君。
   〔宮澤弘君登壇、拍手〕
#7
○宮澤弘君 私は、ただいま議題となりました橋本内閣総理大臣に対する問責決議案について、自由民主党を代表し、断固反対の討論を行います。
 去る十二日には衆議院において橋本内閣が大差で信任され、また、日曜日の熊本一区の衆議院議員補欠選挙において自民党の岩下候補が快勝いたしました。これは、目下最大の課題であります景気回復のためには、国民が政権の安定を強く求めている証左であります。
 このような中で、内外から一刻も早く待ち望まれております景気対策の国会審議が重要な段階に差しかかっている今、橋本総理の問責決議案が提出されましたことは、まことに遺憾であると申し上げなければなりません。
 振り返りまするに、橋本政権は、村山内閣の後を引き継ぎ、社会民主党、新党さきがけとの連立により、平成八年一月十一日に発足し、約二年半にわたり国政を担われてまいりました。
 新政権発足後間もない四月に、クリントン大統領との首脳会談において、日米の間に新たな歴史の扉を開き、日米同盟関係の強化、米軍基地の整理、縮小等へ向け大きな役割を果たされたのであります。
 さらに、ユーラシア外交推進、特にロシアのエリツィン大統領との確固たる信頼構築に努められ、歴代内閣のなし得えなかった平和条約締結、北方領土の返還等を目指して懸命に取り組んでこられました。
 国内では、大競争時代の中、超高齢化社会を間近に控え、日本の新たな展望を切り開くべく、行政改革、財政再建を初め諸改革の旗を高く掲げられ、一昨年の十月総選挙で信を問われたのであります。
 そしてこの結果、自由民主党は二百三十九議席を得て単独政権が誕生しましたが、今までの与党との信頼関係をもとに政策協議を行い、幅広い意見を取り入れつつ、透明性の高い政治に心がけてまいりました。その中で、橋本総理は、景気対策、六大改革等に懸命に取り組んでこられたのであります。
 橋本総理大臣の問責決議案の中で、橋本総理が財政構造改革等の政策運営により不況を深刻化させたことが強調されておりますが、各位には一年前の状況をよくよく振り返っていただきたいのであります。昨年の今ごろまでは、日本の改革が遅い、日本の展望を切り開くには、財政再建、行政改革等を最優先すべきであると、国内のマスコミを初め内外の大方は、改革、改革の大合唱でありました。これを受けて、財政構造改革会議において昨年六月に財政構造改革の推進方策を決定し、十年度予算の概算要求に着手したのであります。
 その後、タイ、インドネシア、韓国を初めアジアの通貨不安、経済混乱が発生し、国内では、北海道拓殖銀行の経営破綻、損失の簿外処理発覚等による山一証券の自主廃業等が引き続き、金融不安、貸し渋りが起き、景気は停滞しております。アジア経済の混乱は、外部要因が複雑に絡み、投機的な短期資金の急激な流出も大きく影響しており、これをあらかじめ予見できなかったことをもって、橋本総理の経済運営の不明と断定するとすれば、まことに短絡に過ぎると言わざるを得ないのであります。
 今回の需要減退、景気後退は、金融不安によるところが大きく、総理は、日本発の世界恐慌は絶対起こさないという強い決意のもとで、昨年暮れには二兆円の特別減税の実施、三十兆円に及ぶ金融対策等を決断され、金融の安定化に力強いリーダーシップを発揮されたのであります。
 残念ながら、円安、株安が進み、雇用状況の深刻化等の材料が多い中ではありますが、先般、橋本内閣が決定した総額十六兆円を超える過去最大規模の総合経済対策が早期に実行に移されるならば、必ずや経済の力強い回復につながるものと確信をしているものであります。
 この対策を決定するに当たり、橋本総理は財政構造改革法の改正について財政再建の基本を堅持しつつ、当面の景気回復、金融安定化のための臨時応急的な対応が可能となるよう必要最小限の手当てを決断されましたが、これは生き物である経済への適切な対応であり、政策路線の変更、失政呼ばわりをすることは視野狭窄と言わなければならないのであります。
 大改革を推進する中で、きしみが生ずれば、それに緊急避難的な選択をして手当てをすることは全く当然であります。我が国の国と地方を合わせた長期債務残高が本年度末五百四十兆円と見込まれ、国内総生産よりかなり上回り、先進国最悪となっていることは御案内のとおりであります。したがって、中期的な目標として、財政再建が依然として重要な課題でありますことにはいささかも変わりはありません。当面の景気対策と財政再建を両立させていくことこそ、真に責任のある政治なのであります。
 次に、橋本内閣の大きな課題であります行政改革等に触れたいと思います。戦後五十年余を経て、制度疲労を起こした我が国の経済社会システムを変革し、二十一世紀へ向け、世界の潮流を先取りする新システムの構築という大事業に、みずから旗振り役として邁進してこられたのが橋本総理であります。
 今国会に限定してみても、政の官に対する主導性を鮮明にし、二十一世紀初頭の新たな中央省庁体制の実現を約束する中央省庁等改革基本法の成立などは、これまで長きにわたる行革への取り組みの中で橋本総理以外何人もなし得なかった大改革であり、日本の政治史に新たな一ページをつけ加えるものと言っても過言ではないのであります。
 総理の行革への取り組みはこれだけにとどまらず、事前規制型の行政から事後チェック型の行政への転換を基本とする新たな規制緩和推進三カ年計画の策定や、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図る地方分権推進計画の決定など、さきに挙げた基本法とあわせ、その改革は空前絶後のものと言っても過言ではなく、問責決議に見られる野党諸君の主張は全く正当性を欠いたものと断ぜざるを得ません。
 我が国には、千二百三十兆円にも及ぶ世界一の貯蓄と最高水準の教育とすぐれた技術があります。これを生かして構造改革を進めていくならば、二十一世紀へ向け活力に満ちた明るい展望が必ず開けてまいるものであります。
 まさに、これから橋本総理が、総合経済対策の推進、不良債権の本格的処理等により景気の本格的回復を図り、六大改革の具体化に手腕を発揮されようとする今、党利党略として問責決議案が提出されたことに対し、断固反対されんことを議員各位にお訴えいたしたいのであります。
 橋本総理におかれては、変革と創造の実現のために、みずから先頭に立って、今後描かれた改革への道筋を着実に具体化され、一層のリーダーシップを発揮されんことを願って、橋本総理大臣の問責決議案に反対する討論を終わります。(拍手)
#8
○議長(斎藤十朗君) 今井澄君。
   〔今井澄君登壇、拍手〕
#9
○今井澄君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま提案のありました内閣総理大臣橋本龍太郎君問責決議案に対し、賛成の立場から討論を行うものであります。
 平成八年一月、橋本内閣が村山内閣を引き継いで約二年半の月日が過ぎようとしております。橋本内閣が発足したとき、株価は二万三百七十七円でしたが、昨日の寄りつきで一万四千九百四十八円と二七%下降いたしました。為替レートは一ドル百四円であったものが、百四十四円で三八%下落いたしました。失業率は三・四%であったものが、現在は四・一%と二〇%余り悪化しました。これが自民党・橋本内閣の実績であります。
 数字は明確に落第の烙印を押しており、橋本総理の政権担当能力の欠如、無能さを物語っております。特に、政府が打ち出した経済対策の裏づけとなる関係法案が成立し、補正予算案が衆議院を通過したにもかかわらず、ここ数日の急激な株価や円相場の落ち込みは、まさに日本経済をどん底に突き落とすものであり、同時に自民党政権・橋本内閣に市場が不信任を突きつけたものであります。
 橋本総理御自身が昨年、絶対に起こさないと言われた日本発の世界恐慌のおそれも強まってまいりました。世界各国は、橋本内閣の無策に対して怒りと非難の声を一斉に上げ始めました。
 人民元切り下げを必死になって食いとめようとしている中国政府高官は、日本政府への批判を強めております。韓国でも香港でも橋本内閣への警告が出され、EUも危機感を募らせております。根本的な解決は日本経済の再生しかない、為替市場への介入は一時的手段にすぎないと一たん見放したアメリカも、サマーズ財務副長官を急遽日本に派遣することを決めました。世界各国は、橋本内閣の無為無策を批判するとともに、抜本的な改革への緊急の着手を強く求めております。
 国内でも、マスコミ各社が一斉に論説等で抜本改革の必要性と橋本内閣への批判を展開し、経済同友会副代表幹事が、円安は約束を実行しない日本への怒りのあらわれだと橋本内閣の無策ぶりを批判しております。
 このような無為無策の橋本内閣は、国民の生活を極限まで追い詰めております。企業の倒産件数はウナギ登りであり、四月は前年に比べ二一%も増加しています。さらに非常に心の痛むことでありますが、自殺者が増加しております。先日の警察庁の発表では対前年比で五・六%増加しております。中でも経済的苦境を理由にみずからの命を絶たれた方は一七・六%増と増加しております。
 現状は、まさに橋本内閣不況と橋本内閣発の世界恐慌の前夜と呼ぶにふさわしいものであり、橋本内閣の支持率は低下する一方であります。国民も市場も国際社会も橋本内閣を信任しておりません。今回提出された問責決議案は、まさに世界じゅうの声を代表したものであります。橋本内閣は即刻退陣すべきであります。それが国民の生活を守り、国際的な信頼を回復する唯一の道であります。
 以下に問責決議案に賛成する具体的な理由を申し述べます。
 まず第一は、経済・財政・金融政策において、繰り返し誤った政策を実行していることであります。
 現在、我が国が経済危機に直面している最大の原因は構造不況によるものです。国際化、情報化、消費の多様化、高度化など、経済のファンダメンタルズが大きく変化し、この経済不安を脱却するには、民間主導の自律的経済成長を実現するための経済構造改革の実現が不可欠です。これに対して政府が行った都合六回、総事業規模六十六兆円にも及ぶ経済対策は、一時的なカンフル剤にはなっても、景気回復、経済構造の転換に何ら寄与するものでなかったことは、今日の経済情勢を見れば一目瞭然であります。
 クリントン大統領は、日本政府関係者は過去うまくいった政策が現在は通用しなくなったことを理解しなければならないと喝破しております。にもかかわらず、今般の補正予算の内容を見ても、従来型の投資の繰り返しにすぎません。
 なぜ、これほどまで橋本総理は誤った政策を次から次へと繰り返すのか。その第一は、橋本総理が言葉の上では改革を言いながら、実際には改革の必要性についての深刻な認識が欠けていると思われるからです。第二には、自民党政治の体質である政官業癒着構造の上に乗って既得権擁護の路線を脱却できないからであります。
 次に指摘しなければならないのは、景気判断を誤って、アクセルを踏まなければならないときにブレーキを踏んだことです。
 経済活動、消費の現場や市場が警告を発し続けているにもかかわらず、経済官僚の勧めるままに財政構造改革法を反対を押し切って成立させ、平成十年度デフレ予算を無理やり成立させました。この誤りはだれの目にも明らかであり、橋本総理御自身も軌道修正をせざるを得なくなっていることからも明らかであります。しかし問題は、早期に誤りを認め大胆な路線転換を図るのではなく、事をあいまいにしたまま、いまだにアクセルだけでなくブレーキも踏み続けていることであります。
 さらに、金融政策の誤りも明らかです。
 護送船団方式を脱却すると言いながら、不良債権処理は遅々として進まず、情報開示は不十分で、経営責任もとらせず、あまつさえ銀行救済のために公的資金をつぎ込むなど、国際的信用を失い、円安、株安を進行させ、日本経済立ち直りの動脈である金融システムを麻痺状態にしております。
 第二の理由は、安心できる二十一世紀社会構築への政策を全く打ち出せないでいるからです。
 昨年四月の消費税率引き上げと特別減税の打ち切り、九月の医療費自己負担増が国民の消費マインドを冷え込ませたことは明らかです。昨年の臨時国会閉会後の特別減税復活も、今回の特別減税も、消費マインドの刺激効果は全く期待できません。
 必要なことは、国民が要求し、野党がそろって要求し、さらには海外からも要求されている恒久減税であるとともに、消費意欲を喚起する環境の整備、つまり安心できる社会の構築であります。年金がもらえなくなるのではないか、医療費の自己負担がさらにふえるのではないか、介護保険は保険料を払ってもサービスが受けられないのではないかといった不安を解消することこそが必要です。国民の負託を受けた内閣は国民に安心を保障すべきであるにもかかわらず、橋本内閣は不安かき立て内閣と言っても過言ではありません。雇用の不安、社会不安、金融不安などが重なって、国民の不安はますます増大しております。
 第三に、橋本内閣は中央省庁等改革基本法を強引に成立させましたが、これは既に指摘されているとおり、数合わせだけの省庁再編成にすぎず、権限や財源を地方に移譲せず、また、規制緩和が不十分な状況では実質的な中央集権を維持したままであり、およそ行政改革の名に値しないものであります。
 それどころか、国土交通省などという公共事業の八割を握る巨大官庁を誕生させたり、意味不明の総務省などという寄せ集めの巨大官庁を生み出すなど、むしろ行政改革に逆行するものだと言わざるを得ません。
 新たな社会の必要性を、地方分権推進委員会は「明治維新、戦後改革に次ぐ「第三の改革」」と言い、行政改革会議は「この国のかたち」という表現で取り上げました。しかしながら、これを受けた総理の提案は、このような思想が全く欠落し、自民党族議員に振り回され、官僚に依存した虚構の行政改革となっております。橋本総理には改革を通じての新たな日本の創造という思想がないと断ぜざるを得ません。
 きわめつけは、その場しのぎで国会や国民を欺くだけの言い逃れ発言を繰り返すだけの橋本総理への不信の高まりであります。
 昨年末の特別減税の発表、今年度当初予算成立直後の経済対策の発表など、たびたび総理はそれまでの方針や国会における答弁を翻してまいりました。特に予算については、国権の最高機関たる国会において当初予算を最善のものと幾たびも繰り返しながら、これが成立したわずか二十数時間後に補正予算の編成を発表するという、我々には到底理解できない行動に出たのであります。
 さらに、総理の倫理観、一般常識の欠如が政治に対する国民の不信感を限りなく増大させているのであります。ロッキード有罪議員を大臣に登用したばかりか、与党幹部の献金疑惑や官僚腐敗に対し常に消極的な姿勢をとり続ける総理の態度は、政治、行政に対する国民の信頼を完全に失わせてしまいました。みずからの政策の失敗に対し、国民に対し反省と謝罪の一言もない橋本総理が一国の指導者として不適格であることは火を見るよりも明らかであります。
#10
○議長(斎藤十朗君) 今井君、時間が経過いたしております。簡単に願います。
#11
○今井澄君(続) 以上、経済不況や社会不安から脱却するために、何とぞ賢明な議員諸兄におかれましては、現在の我が国の危機的状況を冷静に御判断いただき、党派の壁を越え、良識の府である参議院たる意思表明を行うことを心よりお願い申し上げまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#12
○議長(斎藤十朗君) 及川一夫君。
   〔及川一夫君登壇、拍手〕
#13
○及川一夫君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、ただいま議題となりました橋本内閣問責決議案につきまして、賛同できない立場から討論を行います。
 この際、社民党がなぜ橋本内閣に対する閣外協力の解消に踏み切ったのかについて、まず一言申し上げさせていただきます。
 一年七カ月前、我が党は土井党首を先頭にゼロからの出発を誓いました。そして一九九六年十一月、我が党は自民党、新党さきがけと政策合意を行い、第二次橋本政権に閣外協力することを決定いたしました。与党内で鮮明な主張をし、自民党政治に対するチェック機能を果たそうという意味もありました。参議院でのキャスチングボートを握る立場も生かしながら、議席数は小さいながらも政策合意の実現のために努力してきました。
 与党内の良心として自民党の行き過ぎを抑え、保保連合の動きを阻止するなど、国民の期待にこたえるために懸命に活動し、介護保険法、NPO法、被災者生活支援法、アイヌ新法の制定、環境省の創設など積極的な政策提起を行い、連立与党に社民党がいたからこその成果を上げてまいりました。また、行政改革や規制緩和、財政構造改革、予算編成に際し、社会的弱者の立場に立った視点からの問題提起を行い、雇用や福祉を守るために努力をしてまいりました。
 一方、残念ながら、沖縄特別措置法、企業・団体献金等の禁止に関する政治資金規正法の具体化や、あっせん利得行為を処罰するいわゆる政治腐敗防止法の今国会中の制定といった課題、さらに日米防衛協力の新ガイドライン関連法案や組織的犯罪対策法案など、自民党と一致できない課題も出てまいりました。
 もちろん、連立とは政策の一致と信頼に基づき政党が協力して政権運営に当たるということでありますから、意見の違いはあり得ます。社民党も譲れるところは譲り、最大限の協力をしてきました。しかし、政治腐敗の防止に全力で取り組む姿勢や、憲法で示されている平和のための原則が次第にないがしろにされていくことは見過ごすわけにはいきませんでした。我が党のアイデンティティーに関する重大問題について、党の主張を曲げることはできません。それならば連立を解消して出直すというのが民主主義の原則であると考え、閣外協力の解消に踏み切ったのであります。
 さて、問責決議案の理由とされている諸点について、提案者諸君の認識に反対せざるを得ない理由を申し上げます。
 まず何よりも、第一の理由は、社民党が閣外協力の解消に当たって明確に主張し貫き通してきた憲法や政治倫理、外交の基本にかかわることについて本決議案の姿勢はあいまいであり、評価できるものではありません。
 第二に、財政再建については、国や地方の財政赤字は危機的な状況にあることは言をまちません。したがって、昨年十一月に財政構造改革法を成立させた時点までの政府と与党三党の判断は間違っていなかったと確信をいたしております。財政構造改革法成立後、残念ながら経済の停滞が顕著になってきました。経済の現況を謙虚にかつ深刻に受けとめ、政策の重点を変更するということはあり得るし、それが国民に責任を持つ政治家、政党としての当然とるべき態度ではないでしょうか。
 第三に、不良債権処理に当たって、社民党は、あくまで預金者の保護と健全な中小企業への貸し渋りを解消するという観点から、銀行に対する公的資金の投入に賛成したのであります。公的資金を導入した以上、銀行の経営責任を徹底的に追及するとともに、銀行の情報開示、大胆なリストラが求められていると考えます。不良債権の処理が進んでいないという銀行側の勝手な理由と都合によって、日本経済や産業の基盤が大きく影響を受けるということがあってはなりません。
 第四に、行政改革について、社民党は、地方分権や規制緩和を行ってから国のあるべき姿が決まるのであって、その上で省庁のあり方を決めるべきだということを主張しつつ、雇用問題への配慮や国民に開かれた行政と国民との関係改善という観点から、裁量行政の問題や各省庁の権限規定の問題を追及し、行政の質の面の改革を訴えてきました。これに対し、野党案には、独自の中央省庁再編案を用意することすらできず、結論を二年後に得るという改革の先送りしか提案できなかった党もあるのであります。
 ところで、内閣問責決議案は極めて重いものであります。にもかかわらず、成立の見込みもない中で提出された本決議案は、まさに参議院選挙のためにする選挙目当ての決議案であると言っても過言ではないでしょう。
 また、今何よりも求められていることは、現下の未曾有の不況からの脱却であり、景気対策のための補正予算案の早期成立であります。そのためには一日たりとも政治空白は許されないのであります。
 以上のような理由から、我が党は内閣問責決議案に対して賛同できないのであります。
 さて、今国会を最後に議員の職を辞する者として、一言申し上げたいことがあります。
 金融ビッグバンを控えて、第三の開国ということが言われています。言うまでもなく、第一の開国は明治維新、第二の開国は第二次大戦後のいわゆる戦後民主主義の展開であります。第一、第二の開国が日本に大きな成功をもたらした理由はさまざまありましょうが、私は劇的とも言える世代交代に成功の秘密があったと思います。旧体制の権力構造がある種の強制力によって突き崩され、三十代、四十代、場合によっては二十代の若者が日本の政治、経済、行政を担ってまいりました。日本には、そのような世代交代をなし遂げる潜在的な可能性があると私は確信いたしております。
 第三の開国に当たっても、若い者が責任を持って事に当たるという、もっと盛り上がらなければならない状況にあるのではないでしょうか。今や強制力によって世代交代を図る時代ではないとしたら、現在の政治、経済の現状に責任をいささかでも共有する者は、みずから後進に道を開くべきではないでしょうか。
 ただし、問責決議案がどうであれ、総理の御進退は総理御自身で判断されるべきでありますが、近い将来に真の人心一新、劇的な世代交代が必要になると私は確信しています。それは政界のみならず、経済界、官界においても果敢に実行されるべきであることを主張して、私の討論を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
#14
○議長(斎藤十朗君) 木庭健太郎君。
   〔木庭健太郎君登壇、拍手〕
#15
○木庭健太郎君 私は、公明を代表いたしまして、ただいま議題となりました内閣総理大臣橋本龍太郎君問責決議案に対して、賛成の討論を行うものであります。
 賛成理由の第一は、内閣総理大臣は、就任以来数々の誤った政策を強行して、戦後最大とも言われる日本の危機的状況をもたらしたことであります。
 今、我が国は、橋本政権の長期経済見通しの誤りと国家運営の失敗によって大変深刻な事態に直面しています。金融機関へ大量の公的資金が投入されているにもかかわらず、依然として続く貸し渋りによる相次ぐ中小零細企業の倒産、四・一%という最悪の失業率、賃金カットによる家計圧迫など、極めて深刻な状況にあります。
 今日の不況の発端となった消費の低迷は、昨年の消費税の五%への引き上げ、特別減税の打ち切り、医療費負担の引き上げなど、デフレ政策によるものであります。ところが、橋本内閣は、これにとどまらず、今後さらに医療保険制度や年金制度を改悪して国民の負担をふやす計画をメジロ押しに進めようとしております。この不況の中で、国民の生活は、老後の年金はもらえるのか、医療の負担はどこまで上がるのか、十分な介護が保障されるのかなど、大きな不安に包まれております。
 本来ならば、こうした国民の不安に対し、トップリーダーが確固たる政治信念のもと、綿密な現状分析と的確な解決策を国民に示して、二十一世紀の将来展望を明らかにすべきであります。にもかかわらず、総理は、何らリーダーシップを発揮することもなく、むしろ国民に一方的な犠牲を強いる施策に終始するばかりでございます。これでは、国民の不安はいつまでも解消されません。貿易収支でも外貨準備でも債務超過国になっているわけでもない日本が、国際的にも国内的にも低迷した状況にあるのは、ひとえにトップリーダーの無能と無責任によるものと断ぜざるを得ません。
 賛成理由の第二は、総理が金融不安解消のために何ら抜本的な不良債権処理策を講じてこなかったことであります。
 特に、昨年秋以来、加速度的に拡大する金融不安に対しても、終始楽観的な見通しを続けてきました。なかんずく、昨年十一月には、我々の反対を押し切って財政構造改革法を成立させ、平成十年度超デフレ予算を編成したことは周知のところであります。
 ところが、最近になってようやく事態の深刻さに気づいた総理は、これまでのかたくなな態度を一転して、六カ月前に強行成立させた財政構造改革法をわずかばかり改正して、十六兆円の補正予算とあわせて景気対策を講じようとしております。しかし、その改正内容は全く不十分なものであり、補正予算も国民の切なる要望である恒久減税には目もくれず、従来型の公共事業中心のものであり、全く期待できません。
 その証拠に、この数日の円安、株安、債券安のトリプル安の様相はすさまじい限りであります。さらに深刻なことに、この円安がアジアの経済をさらに混乱させ、それがまた日本の景気を一段と悪化させるという悪循環が現実のものとなっております。かつて日本発の恐慌はあり得ないと大見えを切った総理の発言が、今や虚妄となるのではないかと世界が注目しております。
 賛成理由の第三は、総理の行政改革が全く実態のない見せかけにすぎないことであります。
 行政改革会議の会長である総理は、かつて火だるまになって行政改革に取り組むと発言されてきましたが、族議員や関係省庁、官僚の圧力に屈して後退に次ぐ後退を重ね、国民の期待を完全に裏切りました。二十一世紀型の行政システムへの転換を唱えて、やっと成立させた中央省庁等改革基本法についても、具体的な道筋が全く不明であります。
 一府十二省庁への再編に際しては、その前提として、徹底した地方分権と規制緩和を進めて小さな政府を目指すべきであります。国の役割を縮小せず、省庁の数合わせにのみ終始すれば、省庁は巨大化してかえって権力の中央集権化が進むという、時代に逆行した結果をもたらすおそれがあります。総理就任以来、抵抗する族議員や官僚に対して何らリーダーシップを発揮することもできなかった総理のもとでは、小さな政府の実現を期待することは到底できません。
 賛成理由の第四は、総理が政官業癒着による構造汚職の解消への取り組みに消極的であることであります。
 官僚腐敗に国民の怒りは沸騰しております。特に最近の官僚汚職は前代未聞であります。この官僚汚職の増加現象は、一たん野党に転落した自民党が与党に復権してから著しいものがあります。また、故新井代議士の問題は、政権与党と業界、官界の癒着による典型的な構造汚職であります。一般の個人投資家が公正なルールに基づいて株取引をしている一方で、政治家が陰で特別扱いを受けてよい理由は断じてありません。
 賛成理由の第五は、総理が外交面においても幾多の失政をもたらしたことであります。
 その象徴的なものが、先月十五日からイギリスで開かれたバーミンガム・サミットにおける総理の対応であります。十六日の午後予定されていた第二回首脳会合が議題がないということで突如休憩となり、首脳たちは夕食会までの時間をサッカーのテレビ観戦などに当てたということでありました。こんなふまじめな話はありません。まさにインドの核実験の直後でもあり、パキスタンも核実験をするのではないかと全世界が危惧していたときであります。また、日本経済に大きな影響を持つインドネシアでは、深刻な経済危機からスハルト政権崩壊へと向かっていたところでもありました。これらの重要な問題を討議すれば時間は余すどころか足りないはずです。総理経験者である総理の先輩ですら、日本が死に物狂いで会議の正面に立ちはだかり、世界の国民の声を代弁して歴史に記憶させるべき成果を上げる場所であった、そう言っているではありませんか。
 以上、五点にわたりまして、内閣総理大臣橋本龍太郎君問責決議案に対する賛成の理由を述べてまいりました。
 今、世界はワールドカップで沸いておりますが、我が国だけでなく、世界は今、橋本内閣にレッドカードを突きつけている、このことを申し上げて、私の討論を終わります。(拍手)
#16
○議長(斎藤十朗君) 立木洋君。
   〔立木洋君登壇、拍手〕
#17
○立木洋君 私は、日本共産党を代表し、橋本内閣総理大臣問責決議案に対して、賛成の討論を行います。
 最近の世論調査によれば、橋本内閣の支持率は歴代内閣最低の水準で、支持しない率は五割から六割にも上っています。失政と悪政を続け、これほどまでに国民の支持を失った内閣が政権に居座り続けることは、主権在民と議会制民主主義の根本理念に反します。
 総理府の世論調査でも、実に七割以上の国民が日本は悪い方向に向かっていると答えています。既に国民は、橋本総理に政治のかじ取りも経済のかじ取りも任すことはできない、退陣せよとの結論を突きつけているのであります。この大不況をもたらした上、何ら有効な対策を講じることができずに、ただ右往左往するのみの橋本総理の姿を見たとき、これは当然の国民の声だと言わなければなりません。
 以下、問責決議に賛成する理由を述べます。
 問責決議に賛成する第一の理由は、昨年、橋本内閣が消費税率の五%への引き上げ、医療制度の改悪などによる九兆円もの大負担増を強行し、日本経済と国民の暮らしをどん底の大不況に陥れたことであります。経済企画庁が十二日に発表した昨年度の国内総生産成長率は、戦後最悪のマイナス〇・七%、国内総生産の約六割を占める個人消費は対前年度比一・二%減と、戦後初めてのマイナス、失業率も統計をとり始めて以来最悪の四・一%という、あらゆる指標が最悪を記録するなど、経済の混迷と国民生活の深刻さは未曾有のものであります。
 この不況を一刻も早く打開し、国民生活の安定を図ることが問われてきたにもかかわらず、橋本総理がこの間に行ってきたことは、銀行支援のための三十兆円の税金投入や、ゼネコン支援のための巨大な公共事業の追加など、銀行・ゼネコン支援一辺倒のものでしかありませんでした。そして、国民の六割が景気対策として最も強く求めている消費税減税には冷たく拒否しているのであります。
 しかも、景気と財政の一層の悪化という悪循環に陥るとの我が党の警告を無視し、貸し渋りの横行、倒産や失業の激増など、不況が深刻化しているそのさなかに、財政構造改革法、将来の不安を増大させ、逆噴射をかけたのであります。これほどの大失政はありません。ニューヨーク・タイムズが、一九二九年に始まる世界大恐慌の引き金をつくった当時のアメリカ・フーバー大統領をもじって、フーバー・ハシモトと呼んだのも当然であります。
 しかも、財政構造改革法は、わずか半年後で再改正、一切の聖域なき歳出削減という法律の名目が崩れたにもかかわらず、来年度に限り社会保障のキャップを外すものの、骨格は変えないという総理の答弁は、社会保障など国民生活を切り捨てる国民犠牲の仕組みは変えないというものにほかなりません。これはあくまで失政の責任を回避し、政権の延命を図る総理の無定見ぶりを示すものと言わざるを得ないのであります。
 賛成する第二の理由は、総理が、やらなければならない財政上の浪費構造には全くメスを入れず、これを温存、拡大する一方、国民生活を一層苦しめる逆立ちした政治を進めてきたことであります。
 政府は、補正予算による建設国債増発に何ら歯どめがないことを利用し、総合経済対策で三兆五千億円もの公共事業の積み増しを行い、財政構造改革法にうたった公共事業費の前年度当初比七%削減どころか、二五%増の大盤振る舞いであります。加えて、首都機能移転や六海峡横断プロジェクトなど、超大型事業を推進するなどの五全総であります。
 ゼネコンの大型公共事業中心の経済対策が不況を何ら解決せず、財政破綻の大きな要因となってきたもので、政府みずからがいわば禁じ手としてきたものであります。従来型の計画を無反省に繰り返せば、二〇〇五年に財政赤字ゼロの目標達成どころか、財政赤字のツケを一層大規模な形で国民に負わせることになります。国、地方自治体の社会保障負担は二十兆円、公共投資は五十兆円という、欧米に例のない逆立ちした財政構造をあくまで温存するものではありませんか。
 公的資金の投入は住専に限るとしてきた公約を投げ捨て、銀行への三十兆円もの公的資金の投入、しかも貸し渋り対策の資金を投入したまさにその月に、貸し渋り倒産は過去最高、中小企業に対する銀行の貸し出し態度の厳しさはおさまる様子もなく、その責任が厳しく問われます。
 商店街や中小小売店での買い物は地域経済にも大きな波及効果を及ぼし、地域コミュニティーの核としても大切な役割を果たしてきましたが、大型店の出店ラッシュで大打撃を受けています。
 さらには、財界の要請に沿って八時間労働制を崩壊させ、首切り自由やサービス残業を制度的につくり出す労働基準法の改悪は、今でさえ膨大な利益を上げている大企業のリストラ、合理化を一層大規模に進めることを可能にするもので、労基法改悪の策動はやめるべきであります。このような悪政を進める総理の責任は重大ではないでしょうか。
 問責の第三の理由は、憲法の平和原則を踏みにじり、国家の主権をないがしろにする世界にも例のない橋本総理のアメリカ追随の姿勢についてであります。
 日本の防衛とは何の関係もなく、世界に出撃する在日米軍の無法な戦争や軍事干渉に、日本を国民総動員させる周辺事態法案など、一連の対米支援の軍事法案は、平和的手段によって恒久平和の堅持を我が国の進むべき道とする憲法の平和原則をじゅうりんし、日本とアジアの平和に重大な緊張をもたらすものであります。自治体や民間の力も動員しろというアメリカの注文により全面的にこたえるために、日々の市民生活、労働者の命と安全にも直接影響する重大問題もはらんでいます。
 在日米軍の行う危険な超低空飛行訓練、夜間離着陸訓練の繰り返しなどは、日本防衛のためではなく、アメリカがいつでも遠征出撃できるようにその機能を常時維持していくためのものであります。
 また、上官の指揮命令によって自衛隊として組織的な武器の使用を容認するPKO協力法の改正は、海外での武力行使への道であり、平和原則に逆行するものであります。
 さらに、インド、パキスタンの核爆発実験がアジアでの新たな核軍拡競争をもたらし、核戦争の危険を現実のものとする絶対に許されない暴挙であることは明らかですが、橋本総理がアメリカの核抑止力に依存する立場から、核保有国の核兵器独占を維持する核不拡散体制の堅持を表明し、速やかな核兵器の廃絶について言及しない態度をとり続けていることも重大であります。我が国は世界で唯一の被爆国であり、核兵器の廃絶と、人類に再びこの惨禍を繰り返さないための特別の責任があり、総理の態度は厳しく批判されなければなりません。
 第四の理由は、内閣総理大臣の権限強化によるトップダウン的な政策の推進、国の果たすべき国民へのサービス部門を省庁再編を通じて民間にゆだねるなど、戦後の我が国の社会経済システムを強権的かつ反国民的方向に全面的転換を図ろうとしていることであります。
 真に行政改革というのなら、厚生省や大蔵省・日銀汚職など、政官財の癒着構造にメスを入れ、天下りの禁止、企業献金の禁止などによって行政のゆがみを正し、真に国民に奉仕する清潔な行政とすべきなのに、これらに一切手をつけない総理の責任を不問に付すことはできません。このことをまともに解決しようとの意思がないことは、総理が会長を務めた行政改革会議の最終報告に一切盛り込まれていなかったことからも明らかであります。
 総理に、もはやこれ以上、日本の政治を担う資格はございません。直ちに退陣することこそが唯一の選択であることを最後に指摘して、討論を終わります。(拍手)
#18
○議長(斎藤十朗君) 戸田邦司君。
   〔戸田邦司君登壇、拍手〕
#19
○戸田邦司君 私は、自由党を代表して、ただいま提案されております橋本内閣問責決議案に対し、賛成の討論を行います。
 平成八年の一月、橋本内閣の誕生以来、今日で約二年五カ月が経過しました。この間、橋本内閣としての見るべき業績はほとんどありません。経済政策を初め、数々の政策の誤りにより日本経済は混乱をきわめています。
 株価の低迷、円安、史上最悪の失業率、続出する企業倒産など事態は日を追うにつれ深刻化しております。国民も企業も先行きの見通しが全く立たない中で深刻な不安に悩まされております。
 一方、このような状況がもたらすいら立ちと閉塞状況の中で、少年による刺殺事件が相次ぐなど、社会の荒廃も日増しに強まっております。
 私は、今日のこのような状況を招いたのは橋本内閣自身であることをまずもって指摘しなければなりません。
 まず、橋本内閣の相次ぐ経済政策の誤りであります。今日の不況の直接の原因が橋本内閣の経済財政政策の失敗によるものであることは余りに明白であります。
 今日、大問題と言われております金融機関の不良債権処理の問題について、橋本内閣は、不良債権の処理は順調に進んでいる、銀行等がつぶれることはないし、つぶさない、銀行等の処理に公的資金は使わないなどと一貫して主張しておりました。
 ところが、その舌の根も乾かないうちの通常国会冒頭での金融機関救済のための三十兆円の公的資金の投入であります。また、十分な準備期間を置くことなく日本版金融ビッグバンを強行し、金融機能を麻痺させ、貸し渋りなどによって中小企業を倒産、自殺といった悲惨な状況に追い込んでおります。昨年一年間の自殺者は三年連続で増加し、二万四千三百九十一人に達しております。その中でも経済苦の自殺者が急増しております。橋本内閣は、この悲惨な実態にどう弁明されるでしょうか。
 財政構造改革については、経済再建なくして財政再建なしの鉄則を忘れ、景気が回復しかけていたときに大増税を行い、景気を失速させる一方、景気が悪いときに財政を自縄自縛にしてしまう財政構造改革法を無理やり成立させ、財政機能を麻痺させてしまったのであります。
 その結果、景気が回復しないと見るや、法の骨格を変えるものではないという詭弁を弄して法改正を行い、赤字国債の発行を伴う十六兆円の経済対策を実施するというありさまであります。まさに政策のダッチロールであり、支離滅裂であります。理念も政策の一貫性もありません。
 総理の支離滅裂さは、経済・財政・金融政策の面ばかりでなく、総理の公約である六つの改革すべてに及んでおると言えます。
 行政改革は単なる機構いじりや看板のかけかえにすぎません。中央から地方へ、官から民へという権限移譲には全く手をつけていないと言ってもよい状況であります。巨大官庁の誕生により、ますます権限、財源が集中し、チェックも困難となり、政官業癒着の構造は今以上に強化されるおそれさえあります。
 社会保障改革は国民のためではなく、いかにして社会保障制度を維持するかだけであります。昨年の医療費の引き上げの結果、医者にかからなければならない人がかかりにくくなったという現実があります。これなど悪政の最たるものと言えます。我々の前に明らかなことは、橋本総理には国政の最高責任者としての識見も政策判断力も全くないと断ぜざるを得ないということであります。
 また、中国人女性との問題は、単なるODAにかかわる疑惑だけではなく、我が国の威信と国際的信頼を著しく傷つける問題であります。橋本内閣は既に諸外国からも不信任されております。アジア通貨危機の原因は橋本内閣のとり続けていたデフレ政策によるところ大であり、景気後退が通貨危機に拍車をかけているのは紛れもない事実であります。
 橋本内閣の姿勢は、外交・安全保障政策においても常に場当たり、後手後手と言えましょう。インドネシアの邦人帰国について、またも準備行為と言って法的根拠をあいまいにしたまま自衛隊に任務遂行を命じたのであります。日米ガイドライン関連法案にしても、きちんとした安全保障政策の考え方、明確な行動規範、行動基準、原理原則を打ち立てることなく進めようとしており、危険きわまりないと言わざるを得ません。
 最後に申し上げます。党派の壁を乗り越えて、日本のため、社会、国民のために問責決議案に賛成する勇気を持っていただきたく、議場の各位に切望して、賛成討論を終わります。(拍手)
#20
○議長(斎藤十朗君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#21
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
 本決議案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#22
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#23
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十五  
  賛成             九十七  
  反対            百二十八  
 よって、内閣総理大臣橋本龍太郎君問責決議案は否決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#24
○議長(斎藤十朗君) これにて休憩いたします。
   午後五時三十五分休憩
     ─────・─────
   午後六時六分開議
#25
○議長(斎藤十朗君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 平成十年度一般会計補正予算(第1号)
 平成十年度特別会計補正予算(特第1号)
 平成十年度政府関係機関補正予算(機第1号)
 以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。予算委員長岩崎純三君。
    ─────────────
   〔審査報告書は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔岩崎純三君登壇、拍手〕
#27
○岩崎純三君 ただいま議題となりました平成十年度補正予算三案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 一般会計補正予算は、我が国経済を力強い回復軌道に乗せるとともに、二十一世紀における活力ある我が国経済の実現を目指し、去る四月二十四日決定いたしました総事業費十六兆円超の総合経済対策の実施等のために編成をされたものであります。
 まず、歳出につきましては、環境・新エネルギー特別対策費、情報通信高度化・科学技術振興特別対策費、福祉・医療・教育特別対策費、臨時福祉特別給付金等について所要の措置を講ずることとしており、歳出の追加総額は五兆千百六十八億円となっております。
 他方、地方交付税交付金四千七百十四億円の減額修正を行うこととしており、歳出の追加と減額を差し引きした純追加額は四兆六千四百五十五億円となり、補正後の歳出総額の合計は八十二兆三千百四十六億円となっております。
 歳入につきましては、今回の対策に盛り込まれました平成十年分所得税の特別減税の追加実施による減収一兆四千六十億円及び投資減税の実施による減収を見込むとともに、その他収入の増加を計上するほか、財政法第四条第一項ただし書きの規定に基づく建設公債四兆千八十億円及び平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律に基づく特例公債二兆百億円の増発を行うことといたしております。
 その結果、平成十年度一般会計補正予算の歳入の純追加額は、歳出と同額の四兆六千四百五十五億円となり、補正後歳入総額においても歳出総額と同額の八十二兆三千百四十六億円となっております。
 以上の一般会計予算の補正等に関連して、国立学校特別会計、道路整備特別会計など十七の特別会計及び国民金融公庫など七つの政府関係機関について、それぞれ所要の補正が行われております。
 補正予算三案は、去る五月十一日、国会に提出され、衆議院からの送付を待って、昨十六日及び本日、松永大蔵大臣から趣旨説明を聴取した後、橋本内閣総理大臣並びに関係各大臣に対し質疑を行ってまいりました。
 以下、質疑のうち補正予算にかかわるものとして、「先日発表された昨年度の実質GDPは、マイナス〇・七%で、戦後最悪の経済成長となった。個人消費や企業設備投資ともに落ち込んでおり、失業率も初めて四%を超えるなど、景気回復の兆しが見えない状況が続いている。政府はこのように不況が長期化している要因について、どのように見ているか」、また、「このような中で、政府は今回、総事業費十六兆円超の総合経済対策を打ち出したが、この対策の経済押し上げ効果をどの程度と見ているか」との質疑があり、これに対し、橋本内閣総理大臣並びに関係大臣より、「我が国の景気は、昨年秋以降、金融機関の経営破綻やアジア通貨の混乱等が相次いだことなどが、家計の消費や企業の設備投資の落ち込みにも影響を与えており、現在大変に厳しい状況にある。不況長期化の背景には、金融機関及び企業の不良債権問題に加え、日本的経済システムが制度疲労を起こしていること、また、産業の空洞化などがあり、これらが景気の足かせになっていると考えている。こうした状況を踏まえて、今回の総合経済対策によって内需の拡大を図るとともに、不良債権の抜本的な解決を目指すこととしている。各般の施策の着実な実施により、一刻も早い景気の回復を図っていきたい。十六兆円超の総合経済対策については、約十二兆円の真水を含んでいるが、そのうち今年度七・七兆円が社会資本の整備に、また二兆円が減税に充てられることとなっており、その経済押し上げ効果は約二%と見込んでいる。その他、効果の計算には入っていないが、規制緩和やベンチャー企業の育成等の施策も盛り込まれており、十年度経済見通し一・九%成長は達成できるものと考えている」との答弁がありました。
 質疑は、このほか、円安是正に向けた政府の対応策、景気対策における地方負担のあり方、課税最低限の国際比較及び今後の税制改正の方向性、中央省庁再編に伴う行政改革への取り組み方、特殊法人の情報公開の必要性、公共事業の進め方、補正予算のあり方、核兵器と憲法問題、少子化社会における子育て環境整備の重要性、沖縄における日米二重国籍児童の教育問題、農業の活性化策、障害者配慮の予算編成の必要性、消費税引き下げの是非など、多岐にわたりましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、民主党・新緑風会を代表して和田委員が反対、自由民主党を代表して佐藤委員が賛成、公明を代表して加藤委員が反対、社会民主党・護憲連合を代表して日下部委員が賛成、日本共産党を代表して笠井委員が反対、自由党を代表して星野委員が反対の旨、それぞれ意見を述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、平成十年度補正予算三案は賛成多数をもっていずれも原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#28
○議長(斎藤十朗君) 三案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。小山峰男君。
   〔小山峰男君登壇、拍手〕
#29
○小山峰男君 私は、民主党・新緑風会を代表して、平成十年度補正予算三案に反対する立場から討論を行います。
 本補正予算案に反対する第一の理由は、政府提案の二兆円減税が一時的な特別減税であり、景気浮揚効果が極めて限定的だからであります。
 みずからのメンツにこだわって財政改革法の部分的な手直ししかできず、そのつじつま合わせのために、みずからがかつて愚の骨頂と指摘した特別減税を繰り返すことになったのです。
 また、総理は、財源を理由に恒久減税が困難だとおっしゃるかもしれませんが、財源が心配だから抜本的な対策がとれず、その結果、歳入欠陥が生ずるというこれまでの悪循環を断ち切るつもりがないということでしょうか。そんなに財源が心配なら、分権の視点を取り入れた行政改革の導入などにより、徹底的に行政のむだなコストを削減すべきです。
 ここは、我々民主党が主張しているように、所得税恒久減税を行い、将来にわたって手元にお金が残るという安心感を国民に与えるべきです。そうした安心感があって初めて、国民の消費もやる気も出てきます。
 民主党の提案している制度減税は、当面課税最低限は現行のまま据え置くというものであり、政府が課税最低限の問題を恒久制度減税を行わない言いわけにすることは全く説得力を欠いています。
 反対の第二の理由は、政府の補正予算案と景気対策は、起業対策が甚だ不十分だからです。
 新規企業の創業支援は雇用の増加にもつながり、深刻な不況下にある現在こそ力点を置かなければならない政策です。しかしながら、政府の法人税率引き下げのペースは、実効税率の国際水準への引き下げを三年かけて検討するという大変悠長なものです。これだけ国民が、また、世界が日本の抜本的景気対策を望んでいるときに、何という危機感の欠如であるでしょうか。
 民主党は、創業期企業の法人税免除などドラスチックな税制で、起業家自身にインセンティブを与えることを提案しています。頑張って結果を出せばより多く報われる税制で、日本経済に活力を取り戻すべきです。
 反対の第三の理由は、本案が新型公共事業をうたいながら実体は旧態依然のままなことです。
 予算書の項目こそ、環境・新エネルギー特別対策費、情報通信高度化・科学技術振興特別対策費、福祉・医療・教育特別対策費、物流効率化特別対策費など、新しい見出しになっていますが、その中身をよく見れば、そこにばらまかれているのは道路整備事業費であり、治山治水対策事業費です。国民を欺くにもほどがあります。経済団体の中からも、従来型公共事業中心の政府の景気対策について、財政構造改革の本質をゆがめ、中央主導を強めるものだと批判の声が上がっております。
 民主党は、環境破壊型で景気波及効果の低い従来型公共事業から、福祉、情報、環境などの面で循環型への構造改革を進め、かつ分権を促進する未来への投資へと公共事業を転換します。我々は、地方自治体が生活、福祉、環境、エネルギー、情報通信等の目的に自由に使える四兆円の予算を用意し、地方自治体に交付いたします。こうした新しい発想で新しい日本をつくる気概を持たなければ、二十一世紀の力強い日本経済を展望することはできません。
 我々は、本予算案を人質に、行政改革法案などの重要法案を十分な審議も経ずに通してしまった橋本自民党内閣の国会運営に憤りを感じます。日本にとって現在最も重要な課題である景気対策、補正予算の審議を会期末ぎりぎりまで引っ張った国会運営のやり方は、政府・自民党にとって、景気対策やこの国の将来よりも、国会対策と政権の延命の方が大事だったということを意味しています。景気対策を最優先するという立場に立てば、補正予算の審議を真っ先に行い、正々堂々と我々とあるべき景気対策について論議をすべきでした。
 しかも、このようなこそくな国会運営によって、橋本内閣が行おうとしている補正予算や行政改革の中身は非常にお粗末なものです。政府の提案する行政改革も、審議会積み上げ方式による官僚主導で行われ、数合わせと官庁の利権温存という問題を抱えたものでした。
 最後に、橋本総理と現内閣が政権担当能力を失っていることを指摘せねばなりません。
 現在、マーケットは、円安、株安、債券安と、日本政府の経済対策に完全な不信任を突きつけています。諸外国も橋本内閣の経済運営能力にあからさまに疑問を呈しています。それなのに、政府の対策は、このような欠陥補正予算と円安防止の協調介入という他力本願であります。
 所得税恒久減税、法人税の速やかな四〇%程度への引き下げ、そのための財革法の凍結、不良債権の抜本的かつ透明な処理、規制緩和の断行、地方分権の推進、いずれも民主党が主張している提案ですが、これこそが日本を明るいあすに導く正しい政策のセットであります。しかし、総理のメンツにこだわり、政策転換に伴う責任追及を恐れる官僚たちに操られる橋本内閣に、このような政策は絶対にとれません。
 今、日本が必要としているのは、責任のとれる人、改革のできる人、国民に真実を告げる勇気のある人です。それは残念ながら総理のことではありません。
 橋本内閣の潔い即刻退陣を求め、私の補正予算に反対する討論を終わります。(拍手)
#30
○議長(斎藤十朗君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#31
○議長(斎藤十朗君) これより三案を一括して採決いたします。
 三案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#32
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#33
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十八  
  賛成            百二十五  
  反対             九十三  
 よって、三案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#34
○議長(斎藤十朗君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時二十六分散会
     ─────・─────
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト