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#1
第142回国会 予算委員会第三分科会 第2号
平成十年三月二十日(金曜日)
    午前九時開議
 出席分科員
   主査 中山 利生君
      甘利  明君    飯島 忠義君
      島   聡君    中川 正春君
      中桐 伸五君    原口 一博君
      松沢 成文君    吉田 公一君
      井上 義久君    草川 昭三君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 町村 信孝君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会 上杉 光弘君
        委員長
 出席政府委員
        警察庁交通局長 玉造 敏夫君
        文部大臣官房長 小野 元之君
        文部大臣官房総
        務審議官    富岡 賢治君
        文部省生涯学習
        局長      長谷川正明君
        文部省初等中等
        教育局長    辻村 哲夫君
        文部省教育助成
        局長      御手洗 康君
        文部省高等教育
        局長      佐々木正峰君
        文部省体育局長 工藤 智規君
        自治大臣官房長 嶋津  昭君
        自治省行政局長 鈴木 正明君
        自治省行政局公
        務員部長    芳山 達郎君
        自治省財政局長 二橋 正弘君
        自治省税務局長 成瀬 宣孝君
 分科員外の出席者
        大蔵省主計局主
        計官      川北  力君
        大蔵省主計局主
        計官      佐々木豊成君
        文部大臣官房会
        計課長     石川  明君
        運輸省自動車交
        通局技術安全部
        技術企画課長  宮嵜 拓郎君
        自治大臣官房会
        計課長     今井 康容君
        地方行政委員会
        専門員     黒沢  宥君
        文教委員会専門
        員       岡村  豊君
        予算委員会専門
        員       大西  勉君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月二十日
 辞任         補欠選任
  大原 一三君     飯島 忠義君
  原口 一博君     島   聡君
  松沢 成文君     中川 正春君
  草川 昭三君     冨沢 篤紘君
同日
 辞任         補欠選任
  飯島 忠義君     大原 一三君
  島   聡君     中桐 伸五君
  中川 正春君     吉田 公一君
  冨沢 篤紘君     井上 義久君
同日
 辞任         補欠選任
  中桐 伸五君     原口 一博君
  吉田 公一君     松沢 成文君
  井上 義久君     草川 昭三君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十年度一般会計予算
 平成十年度特別会計予算
 平成十年度政府関係機関予算
 (文部省及び自治省所管)
     ――――◇―――――
#2
○中山主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。
 平成十年度一般会計予算、平成十年度特別会計予算及び平成十年度政府関係機関予算中自治省所管について、政府から説明を聴取いたします。上杉自治大臣。
#3
○上杉国務大臣 平成十年度の自治省関係歳入歳出予算につきまして、概要を御説明申し上げます。
 一般会計につきましては、歳入は七億六千万円、歳出は十六兆二百八十九億九千百万円を計上いたしております。
 歳出予算額は、前年度の予算額十五兆五千八百六十一億二千二百万円と比較し、四千四百二十八億六千九百万円の増額となっております。
 また、この歳出予算額の組織別の額を申し上げますと、自治本省十六兆六十五億三千万円、消防庁二百二十四億六千百万円となっております。
 以下、主要な事項の説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。
 よろしくお願いを申し上げます。
#4
○中山主査 この際、お諮りいたします。
 ただいま自治大臣から申し出がありました自治省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○中山主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
  〔上杉国務大臣の説明を省略した部分〕
 以下、この歳出予算額のうち、主な事項につきまして、内容の御説明を申し上げます。
 最初に、自治本省につきまして、御説明を申し上げます。
 まず、地方交付税交付金財源の繰入れに必要な経費でありますが、十五兆八千七百一億五千万円を計上いたしております。
 これは、平成十年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込額のそれぞれ百分の三十二、消費税の収入見込額の百分の二十九・五並びにたばこ税の収入見込額の百分の二十五に相当する金額の合算額十五兆五千七百一億五千万円に平成十年度の加算額三千億円を加算した額を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるためのものであります。
 次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に必要な経費でありますが、二百三十一億五千万円を計上いたしております。
 これは、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する市町村に対し、助成交付金を交付するためのものであります。
 次に、施設等所在市町村調整交付金に必要な経費でありますが、六十億円を計上いたしております。
 これは、特定の防衛施設が所在することに伴い税財政上特別の影響を受ける施設等所在市町村に対し、調整交付金を交付するためのものであります。
 次に、新産業都市等建設事業債調整分の利子補給に必要な経費として、五億四千二百万円を計上いたしております。
 これは、新産業都市、工業整備特別地域等の建設、整備の促進を図るため、建設事業債の特別調整分について利子補給金を交付するためのもので
あります。
 次に、公営企業金融公庫の補給金に必要な経費でありますが、二十九億円を計上いたしております。
 これは、公営企業金融公庫の上水道事業、下水道事業、工業用水道事業、交通事業、市場事業、電気事業、ガス事業及び駐車場事業に対する貸付利率の引下げに関連し、同公庫に対し補給金を交付するためのものであります。
 次に、公営地下高速鉄道事業助成に必要な経費でありますが、四十九億九千二百万円を計上いたしております。
 これは、昭和四十七年度から昭和五十七年度までの間において発行された公営地下高速鉄道事業債の支払利子に相当するものとして発行を認めた企業債の利子の一部について、地方公共団体に助成金を交付するためのものであります。
 次に、公営交通施設改良モデル事業に必要な経費でありますが、一億五千万円を計上いたしております。
 これは、地域の中核的施設である公営交通のターミナル等について、高齢者や身体障害者に配慮した改造をモデル的に行う地方公共団体に対し事業費の一部を補助するために必要な経費であります。
 次に、明るい選挙の推進に必要な経費でありますが、十九億百万円を計上いたしております。
 これは、選挙人の政治意識の向上を図るとともに投票参加を促す等のために必要な経費であります。
 次に、政党助成に必要な経費でありますが、三百十六億一千六百万円を計上いたしております。
 これは、法人である政党に対し交付する政党交付金等に必要な経費であります。
 次に、参議院議員通常選挙に必要な経費でありますが、五百六十億七千万円を計上いたしております。
 これは、平成十年度における参議院議員通常選挙の執行に必要な経費、参議院議員通常選挙の開票速報に必要な経費、選挙人に対する参議院議員通常選挙の啓発の推進をするために必要な経費であります。
 以上が自治本省についてであります。
 次に、消防庁について、御説明申し上げます。
 消防防災施設等整備に必要な経費として、百八十八億二百万円を計上いたしております。
 これは、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、安全で安心な地域社会づくりを推進するため、耐震性貯水槽、画像伝送システム、消防団拠点施設、防災無線、緊急消防援助隊関係資機材、ヘリコプター、高規格救急自動車などの諸施設等を地域の実情に応じて重点的に整備するために必要な経費であります。
 第二に、特別会計予算につきまして、御説明を申し上げます。
 自治省関係の特別会計といたしましては、交付税及び譲与税配付金特別会計があり、交付税及び譲与税配付金勘定と交通安全対策特別交付金勘定があります。
 まず、交付税及び譲与税配付金勘定の歳入予定額は、三十五兆九千五十七億七千九百万円、歳出予定額は、三十五兆七千六百四十六億七千九百万円となっております。
 歳入は、「交付税及び譲与税配付金特別会計法」に基づく一般会計からの受入れ見込額、地方道路税の収入見込額、石油ガス税の収入見込額の二分の一に相当する額、航空機燃料税の収入見込額の十三分の二に相当する額、自動車重量税の収入見込額の四分の一に相当する額、特別とん税の収入見込額等を計上いたしております。
 歳出は、地方交付税交付金、地方譲与税譲与金及び借入金の償還財源等の国債整理基金特別会計への繰入れ等に必要な経費であります。
 次に、交通安全対策特別交付金勘定の歳入予定額は、千三億一千万円、歳出予定額は、九百二十五億六千四百万円となっております。
 歳入は、交通反則者納金の収入見込額等を計上いたしております。
 歳出は、交通安全対策特別交付金等に必要な経費であります。
 以上、平成十年度の自治省関係の一般会計及び特別会計予算の概要を御説明申し上げました。
    ―――――――――――――
#6
○中山主査 以上をもちまして自治省所管につきましての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○中山主査 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島聡君。
#8
○島分科員 民友連の島聡でございます。
 私は、さきの一月二十六日の予算委員会の一般質疑で、市町村合併の促進につきまして大臣にお尋ねいたしました。大臣からもそのときは、自主的な市町村の合併を積極的に支援するお考えだという答弁をいただいておるわけでございます。今回も同じテーマを取り上げさせていただくわけでございますが、今回は、この市町村再編というものを、基礎的自治体というものの充実という意味での市町村再編というのが、どうしたらもっと大胆に、かつ円滑に進めることができるかという観点から、地域の実情を踏まえ、質問させていただきたいと思っております。
 私の選出区、愛知十三区というのは、安城、刈谷、碧南、知立、高浜という五つの市があるわけでございますが、ここでも現在、五つの市を合併させまして一つの市にしようという動きが民間を中心にございます。人口四十三万人で、後でも申し述べますが、合併したら中核市の要件を満たすという地域でございます。
 平成七年の四月一日に、市町村合併特例法が改正されて、合併を促進する目玉と当時言われたわけでございますが、住民発議制度が導入された。残念ながら、そのころいろいろなマスコミなんかでは、これで平成の大合併が来るのではないかとか言われたわけでありますが、その後、爆発的に進んだとは言いがたいような状況にあると思います。
 ただ、この法律が大きな影響を与えて、いろいろな民間団体の動きが全国にある。日本青年会議所という団体が昨年七月に、全国三千二百余りの市町村を地域住民の視点から再編して、三百三十七の市に再編しようとか、そういうような動きがあったりします。
 特に、二〇〇〇年度から介護保険制度が導入されるわけで、その準備作業を進めているわけですが、規模の小さい市町村からは、広い地域で実施した方が隣接市町村間で認定に差が出なくなるのではないかというような声がありまして、その方が住民の納得も得やすいのではないかという現場の声もあるわけでございます。
 まず、大臣にお尋ねするわけでございますが、私は、本当の意味で分権国家日本を築く上で、地方の行政体制の整備、市町村再編というのを大胆に進める必要があると思っております。前任の白川自治大臣、非常に大胆な発言を繰り返されておりまして、当時、記者会見でございますが、市町村合併を促進して基礎自治体の数が千程度までに再編された姿が一つの形として考えられるというように、具体的な数字まで述べられて、そういうような御趣旨の発言や答弁を委員会質疑及び記者会見などでおっしゃっているわけでございます。
 今、自治大臣の立場におられる上杉大臣、地方分権を進めるというのは、これは日本の、世界の大きな流れだと思うわけでありますが、そういう観点から、市町村再編というのはいかにあるべきか、そしてまた市町村再編成の意義、そして最終的に日本というのはどのような形であるのが望ましいかということについて、大臣の御見解を伺いたいと思います。
#9
○上杉国務大臣 私はかねてから申し上げておりますが、地方分権と、それを受けます地方行政体制の整備というのは、これは一体的なものであろう、こう思います。伴います地方の財政構造改革もまたそれは一体的なものである、このように私は認識をいたしておるわけでございます。今回の地方分権という新たな事態を受けまして、地方行政体制の整備を図る上での市町村の合併という問題は、有効かつ効率的な行政体制を整備する上で、私は極めて大きな課題だ、こう思っておるわけです。
 ただ、残念なことに、委員御指摘のとおり、全国の地方行政体制の一つの雰囲気として、そのような雰囲気にないことは非常に残念だと言わざるを得ません。また、市町村長さんにせっぱ詰まったものがない。地方分権という新たな事態も、明治以来の大改革でございますが、そのことに対するどうするかという極めて意欲的な姿がないというのも、私は実態的なものとして指摘をしていいことではないか、こう思うわけです。
 さような意味で、私は、地方行政体制がどういう方向に向かうのか、それは二つあると思います。市町村の合併という受け皿で分権を受けるのか、あるいは広域行政というもので受けるのか。分権をこのような形で進めていきますと、総理の言葉をかりれば、今まで縦に置いた、国、都道府県、市町村という中央集権の体制が通用しなくなった、今度はこれを横に置いて、国と都道府県と市町村が対等の関係で分権を進めるというものでありますから、これは大変な改革なんです、決断でございます。
 それを、市町村長さんあるいは議会、そういう形での受けとめ方というものが、私は、今度は市町村の合併で分権を受けるのか、あるいは広域行政で受けるのか、そこに行き着くところがある、厳しいものがある、必ずその選択を迫られる時期が来る、こう思っておるわけでありますが、そのために、自治省といたしましては、地方分権を受けていただくに好ましい地方行政体制の整備に対しましては全力を挙げて取り組まなければならないと考えております。
#10
○島分科員 今大臣から、全力を挙げて取り組むという答弁をいただきました。市町村合併、再編というのが進展しないという背景には、いろいろな障害、あるいは合併に消極的な理由というものがあります。その障害とかそういうものを明らかにする意味で、自治省は昨年四月から、市町村合併推進プロジェクトチームを設置されていると聞いております。合併推進の阻害要因を解明しまして、自主合併のインセンティブ拡充の検討を進めてこられたと理解をいたしておるわけでございます。
 今、いろいろな住民運動が再編しようとしている。例えば長野県諏訪地域なんというのがあるわけでございますが、そこは、もう数年前になりますけれども、三市二町一村で合併をしようと、当時まだ住民発議制度がない時代に五割を超すような署名を集めた。それでもなかなかできなかったわけでございます。その障害は、どちらかというと小規模町村の方が財政支援が極めて今手厚くなされているというようなことがあったと指摘されております。
 そこでお尋ねしますけれども、そういう住民運動と一致した、それはいわゆる住民の声だと思うわけでございますが、合併へのインセンティブというのを拡充するという作業の前提として、合併を進める上での障害、阻害要因、あるいは合併に消極的となる理由をどのように認識しておられるのかということについて、お尋ねしたいと思います。
#11
○鈴木政府委員 合併を進める上で、そのメリットというのは大変大きなものがあります。住民サービスの向上、あるいは個性ある施策の展開、広域的な視点に立った町づくりということがあります。
 他方で、今お話しのように、合併を進める上での障害あるいは消極的な理由というものもあるのではないかということで、地方制度調査会が、全国の市町村長さんあるいは議長さんを対象としましてアンケートをしまして、その分析を見ますと、合併市町村内に中心部と周辺部で地域格差が生ずるおそれがあるという理由が一番多く、また、住民の意見が施策に反映できにくくなるおそれがあるのではないか、また、きめ細かなサービスができなくなるおそれがある、こういったことが挙げられております。さらに、住民に、現区域の歴史や文化などについてのこだわりがある、また、市町村間の財政状況に格差があるという理由が続いております。
 人口的にちょっと見ますと、小さい市町村ほど、前の方、地域格差が生ずる、あるいは住民の意見が反映できにくくなる、きめ細かなサービスができなくなるなどの懸念を挙げている比率が高いわけでございまして、また、人口規模が大きい市町村ほど、歴史や文化などについてのこだわり、あるいは市町村間の財政状況の格差といったことの比率が高い傾向にございます。
 また、合併に取り組んでいる団体の御意見を伺いますと、合併によるメリットがよくわからないといった声、あるいは、一層の財政措置の拡充を求めるといった意見が挙げられております。
 こういった合併の阻害要因への対応、あるいは合併推進のための行財政措置の拡充などを図りまして、自主的な合併が推進される方策というものを講じていくことが必要である、このように認識しております。
#12
○島分科員 住民発議制度というものについて詳しくお聞きしたいと思うのですが、地方制度調査会の答申素案には、住民発議制度の充実という項目が設けられています。
 この点に関しまして、さきの、一月二十六日の予算委員会では、地方制度調査会の専門小委員会の中間報告においては、すべての関係市町村において住民発議が成立した場合、関係市町村の長は合併協議会設置協議の議案を議会に付議しなければならないとする方向で検討する、自治省としても、この観点を十分に踏まえて検討してまいりたいというふうに大臣は答弁をされておるわけですね。
 この点につきましてお尋ねをしますが、住民発議制度の充実というのはどのような改善に、またそれは改善にとどまっているのか。例えば発議成立要件を変えるとか、あるいは、より多数の署名が集まった場合には、住民発議により大きな効果がもたらせるということも考えられるのではないか。
 例えば、つい最近、清水、静岡の合併の住民発議があったわけでございますが、清水市の住民発議は、人口二十四万人で、有権者十九万人に対して有効署名数四万人を集めました。これは、署名率二一・三%でございます。法定基準は、言うまでもなく、有権者の五十分の一、二%であるわけでございますが、その十倍近いものを集めた。
 このようになった場合を含めて、具体的に、住民発議制度を充実するということの意味するところを御説明いただきたいと思います。
#13
○鈴木政府委員 お話しのように、住民発議制度は、平成七年に創設されました合併協議会設置のいわば直接請求イニシアチブ制度でございまして、その後の運用状況を見ますと、全国で五十四件の住民発議が成立いたしております。これは、地域の経済団体などが一体となって進めているケースが多いようでございますが、このうち、五地域に係る七件については合併協議会の設置に至っておりまして、あと、一地域の三件について手続が進行中ということでございますが、今合わせて十件でございます。
 この状況は、住民発議が成立してもなかなか合併協議会に至らないというところに一つの問題点があるのではないかと。それは、市町村長が議会に付議するかどうかということにかかっている面もあります。また、議会で議決されるかどうかということにかかっている面もあります。そういったことで、何とかそこのところをうまく、改善なり図れないかという問題意識でございます。
 お話しのように、住民参加あるいは住民投票と
いうもの、あるいは署名の数によって住民の方の意思表示はかなりのものがありますから、それをどうするかという議論もありますが、直接請求では、五十分の一という要件と、もう一つは三分の一という要件でございまして、なかなかその間が非常に幅があるという点、あるいは、住民参加あるいは住民投票ということにはまたいろいろ御議論があるということでございます。
 現在考えておりますのは、地方制度調査会での御議論もございますが、すべての関係市町村で住民発議が成立したらば、それは議会に付議してもらおうというようなことの法律的な手当てができるのかできないのかというところを今御審議いただいているところでございまして、地方制度調査会の答申が出まして、それを踏まえまして対処してまいりたいと考えております。
#14
○島分科員 今少し触れられました住民投票制度についてお尋ねしたいと思います。
 今、民主主義、もちろん代議制をとっている日本でございます、直接民主主義と間接民主主義というようないろいろな議論があるわけでございますけれども、いわゆる、自分たちの住んでいる地域を自分たちで決めるというのは、住民自治にとって極めて重要な話であると思うわけであります。
 専門小委員会の十二月の中間報告では、合併協議会の設置の賛否を問う住民投票制度の導入には賛否両論があったというように報道されています。さまざまな意見があったことも聞いております。
 ところが、この二月の段階の答申素案の項目には、住民投票制度に関する記述が見当たらないわけでございますが、これは一体どういう経緯でこうなったのか。意見がまとまらなくて導入が見送られたということなら、それはそれで結構でございます。現時点では、いわゆる住民投票制度というものの考え方についてどのように取り扱われているのか、お尋ねしたいと思います。
#15
○鈴木政府委員 今お話もございましたように、市町村合併に関しまして住民投票制度を導入するかどうかということにつきましては、地方制度調査会におきまして専門的な見地から御議論いただいております。
 これにつきましては、一つは、市町村の存立にかかわる問題に住民の意見というものをより一層反映することが適当という観点から、導入を肯定する意見がございます。また逆に、代表民主制を基本とする地方自治制度との関連で、やはり慎重に考えるべきであるという御意見がございます。また、ちょっと角度は違うんですが、住民投票制度というものを導入することが合併を推進する効果を持つかどうかは、必ずしもはっきり明確でないのではないかという考え方もあります。
 大きく言うと、そんなような論点を中心として、合併に関し住民投票を行うことについてもいろいろな御意見がございまして、専門小委員会におきましても、さらに検討を進めることが必要であるということでございます。私どもとしては、その御議論を注視してまいりたいと考えております。
#16
○島分科員 中核市制度についてちょっとお尋ねしたいと思うのです。
 地方分権推進のいわゆる先駆的政策として、私は、中核市制度に期待する声を随分聞きました。平成七年四月一日に制度としてはスタートして、指定があって、三年ほどの期間が経過したわけでございます。
 平成七年時点で二十九ある中で、今二十一の市が移行していると聞いておるわけでありますが、現在のところ、この制度導入、中核市になることの意義やメリットというのをどのように評価しておられるのか。これまでに、中核市に移行した都市からその点についての調査が行われていると聞いておりますが、調査の結果も踏まえていただきまして、中核市となることの意義、あるいは地方分権がこのように進んで、住民にとってこんなに暮らしやすくなったんだということについて、率直な評価をお願いしたいと思います。
#17
○鈴木政府委員 中核市制度に移行した市と、例えば自治大臣とも懇談していただきまして、今お話しの点について、どういうメリットがあったか、評価があったかなどもお聞きしております。また私どもとしてもいろいろ集約をしておりますが、おおむね積極的に評価をいただいております。
 若干長くなりますけれども、御説明申し上げますと、第一点としては、行政サービスのスピードアップや効率化が図られているという声があります。例えば宇都宮市では、身体障害者手帳の交付が、従来約四十日要していたものが約半分の二十日程度で済むようになった。また立体駐車場など、設置の許可や届け出の許可は県に、建築確認は市と分かれていたものが、市に一本化されたということで負担が軽減されているということで、こういうことはほかの多くの中核市からも伺っています。
 二点目は、きめ細かな行政サービスを提供できるようになったということでございまして、例えば、産廃の不法投棄に対して迅速な対応が可能になった。また、屋外広告物に関するパトロールをきめ細かに行うことによって、撤去件数が大幅に増加して、景観の保持、交通安全に役立つ。
 それから三点目としましては、地域の実情に応じた独自の町づくりを展開しやすくなったと聞いております。例えば金沢市では、これまで独自の景観条例、こまちなみ保存条例に基づいて保存地区をやっていましたが、屋外広告物の禁止区域が設定できるようになりましたので、あわせてできるとか、また騒音、振動、悪臭の規制区域を拡大できるとか、こういうことをやっています。また、特定建築物のいわゆるバリアフリー化について指導権限が中核市の方に移っできますので、これによりまして、市の単独施策を実施して、独自の町づくりを進めておられると聞いております。
 四点目は、職員の意識が高まるとともに、より総合的な行政が展開しやすくなったということで、市政全体が活性化するという効果があったというお話も伺っております。中核市は地方分権の先駆者であるという意識は職員の自覚というものを相当高めていると中核市の方々はお話をされております。
 また静岡市では、中核市移行を機に、保健、医療、福祉に関する高齢者のための相談窓口を一本化したいわば相談センターを設置しまして、総合的なサービスの提供を図っております。そういう効果があります。
 さらに、対外的なイメージアップが図られたというようなことも聞いておりまして、このようなことから、中核市においてはさらなる権限移譲に前向きな姿勢を示しておられまして、これも中核市のメリットを積極的に評価していただいている、こういうふうに考えております。
#18
○島分科員 さきに申し上げましたように、私の選挙区、愛知十三区では、碧海市というのは、碧海五市というのは、安城、刈谷、知立、高浜、碧南という五つの市が一つになると中核市になる要件を満たすわけであります。人口三十万人以上、面積百平方キロ以上、昼夜間人口比率一〇〇以上という要件を満たします。それで一つ質的な行政体制がアップするんだよということで、一種の旗印となって、今民間運動の合併運動が進んでおるわけでございます。
 ただ、今るるお話しいただきましたけれども、とはいうものの、何かいま一つインパクトがない。本当に権限移譲、地方分権の先駆者としての中核市というところまではまだインパクトがないように思うわけでありますが、まずは地方分権の先駆者としての中核市にふさわしい権限移譲というものを今後もっと進めていくお考えがあるのかどうか、あるとしたらどの点か。
 それからもう一つ。中核市、今申し上げた三つの条件のうち、昼夜間人口比率一〇〇というのは、例えば関東、近畿圏では結構難しくなっております。例えば埼玉県に熊谷市というところがあるわけでございますけれども、その熊谷市では、熊谷市自身だけでは昼夜間人口比は一〇二・八で
ございますが、埼玉県北地域で中核的な機能を持つ都市ということを考えて、三十万大規模の都市を目指して合併シミュレーションを行いますと、どのような組み合わせをもってしても、人口比が一〇〇を切ってしまうという状況になります。
 つまり、埼玉県全体がベッドタウンになっているわけでございます。したがって、この昼夜間人口比率要件というのを緩和することができないかどうか、その二点についてお尋ねいたします。
#19
○鈴木政府委員 中核市制度は、規模、能力が比較的大きな都市につきまして、事務、権限を強化して、できる限り住民の身近で行政を行うことができるようにするということで、地方分権を推進する具体的な方策の一つである、このように考えております。
 地方分権推進委員会の第四次勧告におきまして、開発審査会の設置あるいは大気汚染の公表などの九項目の事務、これを中核市に移譲するという勧告がなされておりまして、政府におきましては、この勧告を踏まえまして、分権計画の中に盛り込むべく、各省庁と協力しながら作業を進めているところでございます。
 自治省としましては、今後とも引き続き、中核市の規模、能力に応じた事務、権限の移譲を推進していく必要がある、このように考えております。
 それで、中核市の要件でございますが、お話しのように、人口三十万以上五十万未満の市にありましては、周辺の都市圏の中核的な機能を持つ都市であるということを確認するという必要から、そういう考え方で、昼夜間人口比率の要件を法律上、自治法で書いているわけでございます。御案内のように、その市への周辺市町村からの人口の流入が流出を上回っているような場合には、その市が中核的な機能を果たしている、こういう考え方で、昼夜間人口比率を用いて判断しているところでございます。
 もとより、地方分権という観点から申し上げますと、基礎的地方公共団体であります市町村にできる限り事務を配分していくということが重要であります。中核市の要件については、こういった視点も加えて、また中核市制度の意義、中核市における行政運営の状況、また今後の中核市への権限移譲の状況、こういったことを勘案しながら、分権委員会の勧告も踏まえまして、考えていく、検討していくべき課題である、このように考えております。
#20
○島分科員 この春の二十五次地方制度調査会の答申を受けて、今後、市町村合併を促進する方策が検討、実施されていくと思うわけであります。私のところには、全国の市町村の再編を進めている住民の民間団体から、一体今後どのようになっていくのか、その見通しを受けながら自分たちも運動を展開していきたいという問い合わせがたくさん来ております。
 市町村合併特例法の改正を含めまして、市町村合併促進策の今後の見通しはどうなるのかをお尋ねしたいと思います。
#21
○上杉国務大臣 地方における市町村の合併に関しましては、昨年六月の財政構造改革の推進方策につきましての閣議決定におきまして、集中改革期間である今世紀中の三年間に実効ある方策を講じ、市町村合併を積極的に支援することとしておるわけでございます。
 また、現在、地方制度調査会におきまして、合併推進のための行財政措置の拡充などについて御審議をいただいておるところでございまして、この春には答申をいただけるものと考えておるわけでございます。自治省といたしましては、この答申を踏まえまして、市町村合併の推進に関する基本的事項について、市町村の地方分権推進計画に盛り込み、これに基づき制度改正や具体的な支援策などを講じてまいる所存でございます。
 今後の政策的な課題でございますが、今後の少子・高齢化の進展や厳しい財政状況なども考えますと、市町村合併を進めることは必要である、このことが地方分権の成果を十分にまた生かすことにもなると考えておるわけでございます。
 ただ、自治省が上から押さえつけて、合併をやれ、こういうわけにはまいりません。私は、地方分権という時代を迎えて、県としてどういうふうに市町村合併に対応していくのか、極めて注目をいたしておるところでありまして、これまでのような県の姿勢とか取り組みでは済まされないだろう、地方分権という新たな事態が起こっておるわけですから。
 もっと具体的に申し上げれば、県はそのことについての判断、自主的な判断もありましょうが、それぞれの県でもっと汗を流してもらって、効率的な行政、地方分権を受ける受け皿としての地方行政体制の好ましい体制づくりについては積極的に協力をしてもらいたいし、また主導的な役割も地方において果たしていただきたい。国家として、自治省として、そのことに対する支援、また市町村合併に対する支援については万全を期してやらなければならない、このように考えております。
#22
○島分科員 地方分権の時代、今大臣のお話にもありましたように、やはり自分たちの住んでいる地域の範囲を自分たちで決めるという日本にとって初めての機会、自主的な合併の推進というのは、それがぜひとも住民の意思というもので開くように自治省としても展開していっていただきたいと思います。
 終わります。
#23
○中山主査 これにて島聡君の質疑は終了いたしました。
 次に、中川正春君。
#24
○中川(正)分科員 おはようございます。御苦労さまでございます。民友連の中川正春です。
 この分科会では、極力地元の事情を反映したようなきめの細かい質問というのがいいのです、言いかえれば、陳情を兼ねてやりなさいよ、こう先輩の方から言われたものですから、そんな気持ちで質問に入らせていただきたいというふうに思います。
 私は、三重県の四日市市を抱えております。きょうは、交付税を中心にして、地方分権論議、先ほど島先生熱心に核心をついて御質問をされておりましたが、その流れも踏まえて質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、地元の問題でありますが、実は、四日市というのは財政力指数というのが一・〇四九でありまして、不交付団体ということになります。市長がいつも嘆くのですよね。もうちょっとのところで交付税対象になるすれすれのところなのだけれども、この中途半端さというのが一番こたえるなということでありまして、そこのところからくる割り切れなさというのがあるわけであります。
 まず、質問というのは、いろいろ交付税の対象にしていきますよという形でおろしていただいておる施策があります。例えば減税補てん債、あるいは臨時税収補てん債、あるいはまた減収補てん債と、数えていけば切りなくこういうものがあるのです。これは、一たんは地方自治体の方でこの債券を出しなさいよ、後ほど交付税で補てんをしていきますから、そのことを加味しながら、いわば国の施策に協力をして財政のおつき合いをしてくださいよ、こういう部分が相当あるわけですね。
 特にバブル崩壊後の経済対策の中で補正予算がたくさん組まれましたが、そのときのいわゆる経済に対する対策として、地方もやはりその分支出をするべきだということで、私も県の立場におりましたが、県で県会議員をやっておりましたときに、こんなにつき合っていいのかな、しかし、それだけ国の方も財政支出をしてくれるというわけだから、これは遠慮せずにつき合おう、こういうことでやってきたのです。そのあげくが、国の方はこういう形で危機的な財政破綻という結果に終わっておりますし、それにつき合った地方も同じような状況の中で、いわゆる財政的に非常に大きな累積債務というのを抱えておる、こういう結果だと思うのです。
 特に、地方自治体の首長にとりましては、これが約束どおりそうした交付税で交付税措置される
ということであればいいのですけれども、例えば四日市のように、もう少しのところで交付税対象になるのだけれども実際には交付税がおりてこないのだ、あのときの約束は一体どうなったのだ、我々は何のためにつき合ったのだ、こういう非常に割り切れない気持ちがあるのですね。
 これについてるる説明をしていただいているようでありますが、私はもうひとつ腹におさまらないのですね。ここのところをひとつ説明をしていただけますか。こういうことに対する不公平是正というか、どういう政策でこれに対応しておられるのかというところをまず御説明をいただきたいと思うのです。
#25
○二橋政府委員 不交付団体の関係の方から時によくお聞きするお話でございます。
 交付税で、例えば減税補てん債とかあるいは補正予算の関係の地方債とかというものの元利償還を算入いたしておるわけでありますが、今の地方財政制度のもとでは、まず毎年のマクロで要する元利償還の額をどうやって確保するかということは地方財政計画ベースの話でございます。地方財政計画を策定いたします段階で、マクロの公債費をどう確保するかということをその段階で収支計算する中で確保した上で、後は、個別の団体の元利償還については、交付税の基準財政需要額で物によっては一〇〇%あるいは八〇%という形でこれを算入するという形になるわけであります。
 交付税というのは、そもそも標準的な地方団体の行政をとらえてその行政が運営できるような財源を国として保障する、あるいはそのための地方団体間の財源調整、でこぼこの調整を行う、こういう性格のものでありますので、個別の団体の基準財政需要額を計算して、それと基準財政収入額とを対比して、それでなおかつ基準財政収入額の方が上回っているという場合には、標準的な行政を行うに足りるだけの財源がその団体にあるということになるわけであります。そういう意味では、そういう団体について、交付税の交付という形でそれを補てんするということは交付税の制度上はできないわけであります。
 あくまでも基準財政需要額と収入額との関係で決まってくるというのが交付税制度でございまして、要は、交付税というのはどこまでそういう標準的な行政を確保するためのものを補てんするかということにかかっているわけでございます。
 これは、私どもいろいろなところで今のようなお話をお伺いする際に、やはり交付税制度というもの、あるいは地方財政制度で全体の財源をどう確保するかということについて、国の方で行うべき範囲といいますか、そういうものからいってそこはぜひ御理解をいただきたいというふうにお話を申し上げております。
 不交付団体においては、そういうことを別にいたしましても、不交付団体であるがために、年度年度の状況をとらえるとそういうことが資金的にやや苦しくなっているというふうなケースがございます。そういうケースに対する対応は私どもとしてはやはり個別に考える必要があるということで、これは地方債計画においてそういったようなものを調整的な枠として確保して、それぞれ御相談に乗りながらその地方債の配分をしているということで対応しているというのが現実でございます。
#26
○中川(正)分科員 私は、実は今常任委員会は大蔵に所属をしておるのですね。これはそれこそ裁量行政の最たるところだ、護送船団方式を改めなければという議論が始まって、最初は大蔵省サイドもそのようなことを総論部分で非常に声高らかに議論をしておりました。ところが、一つそれが具体的に始まってくると現在のような状況になってきておりまして、それぞれ非常に混乱を呈してきておる。
 恐らく、この体質そのものというか行政のあり方そのものに本格的にこれはメスが入ってきた、こういうことが始まってきたのだろうというように思うのです。そういう意味では正しい方向であると思いますし、一皮ここで日本というものも乗り越えていかなければということだと思うのですね。
 そういう観点からいきますと、アカウンタビリティーというか透明性、それから何をもって予算配分を具体的にやりていくか、いわゆる法律の枠をつくって、その中で具体的に個々に箇所づけをしていくその作業の中で、透明性がいかにあるか、アカウンタビリティーがいかにあるかということからいいまして、なかなかさっきの説明では、もう住民の方が目覚めてきていますから理解できないのですよ。
 例えば、こんなことが説明できればもう少しすとんと入るのだけれどもなということを例に挙げて言いますと、先ほど言いました、将来補てんされますよという約束のもとに利用してきた債券、さっき話を出しました減税補てん債や臨時税収補てん債、減収補てん債、それから補正予算債、財源対策債、地域総合整備事業債とか、具体的にこういうものが例えば四日市の場合ありまして、それのいわゆる実元利償還額に対して、これはそれぞれパーセントは違いますけれども、何割方交付税算入額の対象になりますよという約束があって、それを全部合計していきますと、例えば今年度で二十億ぐらいになってくるのですよ。
 そうすると、その二十億という具体的な額に対して、その辺で配慮していただいたのはどれだけなのかなということが、そういう形ではっきり、これだけ見ましたよ、計算上、いわゆる基準財政額の中に算入していますよ、こういうさっきのお話なのでしょうけれども、それで算入した結果こういうことでそれは考えられるのですよとかいうような話が具体的にないとだめだと思うのですよ。
 今は、ではそこの部分ちょっと苦しいだろうから、恐らくさっきのお話でちょっと逡巡されたのは、特別交付税あたりで相談に応じて、その辺を改めて補てんしましようとか、ほかにどんな方法があるのかわからないのですけれども、御相談に応じていますよという話だったわけでありますが、それこそ裁量行政の最たる言い回してはないのかな、こんなふうに今感じておるのですね。
 そういう意味で、どうですか、これは説明できますか、そんなふうに今のシステムで。
#27
○二橋政府委員 今、四日市市を挙げて、過去の地方債の元利償還金が二十億、こうおつしゃいました。
 私ども、ちょっと今手元に四日市の数字を持っているわけではありませんが、仮に発行いたします際に、これは一〇〇%算入する、あるいはこれは八〇%算入する、物によって違いますから、その計算をした結果の額が仮にトータル二十億であるとすれば、その二十億は四日市市の基準財政需要額に全部算入されております。それは十分説明可能でございます。四日市市の基準財政需要額全体がこの項目でこれだけ、この項目でこれだけということは全部説明ができます。
 したがって、過去の借金の返済分が幾ら算入されて、その結果四日市市の基準財政需要額がトータルで幾らであるということは、全部十分説明はできます。
 それから、不交付団体といいますのは、これは年度によって基準財政需要額と収入額の関係によって変わってまいりますから、増減いたします。
 ですから、そういう過去の地方債の今の元利償還の需要額算入の結果、他の要素もございますが、交付団体に変わっているケースも当然あるわけでございまして、それは、そういう団体においては、またこれは十分全体の需要の内容あるいは収入の内容は説明できて、その結果これだけの交付額になるのだなということは当然説明できますし、四日市の場合には、たまたま今先生おっしゃいましたような計算をして、なおかつ需要額の方が収入額に届いてない、収入額の方が上回っているから不交付の状態であるということで説明することは十分可能でございます。
#28
○中川(正)分科員 それは、例えば基準財政額というのも、国の範疇の中で決めたものですね、これが地方自治体として必要な範疇ですよと。
 しかし、これから、地方分権が言われていますが、それ以外に、地方自治体の創意工夫の中で、これも実は必要とみなされるものだというふうな項目、これは種々雑多にそれぞれの主体性の中でいっぱい基準というのはあるのだろうと思うのですね。それを一つ前提にしながら、国はどこかで線引きをしなければいけないから、この範疇の中で線引きをして、それに満たされるものは自分のところでやっていきなさいよ、しかし、足らないところは交付税で措置をしましょう、これが今のシステムなのですね。
 そういうことから考えていくと、これは国の立場で説明ができるということなのですが、それは地方自治体の立場あるいは住民の立場でいくと、そうした中身だけでは納得できない、そういう潜在的なものがもう育ち始めてきているのだという前提がまず一つあると思うのです。
 それからもう一つは、財政額の中に入れて、それから計数をはじいて、最終的にこれだけの金額ですよ、こうくるわけですが、その計数をはじいているうちに、あるいはその項目を見ているうちに、だれ一人として相対性がわからなくなるわけですよ、みんなごちゃまぜですから。どの部分がどれだというふうな最終的な形ではなくて、これは話に入れていますからと言って納得をさせるという手法なのですね。そこのところがこれから先も通じていくかどうかということ、そんなことが恐らく住民サイドのあるいはまた目覚めた首長さんの感覚の中に育ってきているのだろうなということを、私は四日市の政策担当者と話をしていてつくづく感じられます。
 まだわけのわかっている首長さんだったらいいのですけれども、わけのわからない人はどういうふうに言い出すかというと、こういうことだから、あとは先生、特交しかないのですよ、それで特交の方で、これは代議士の力によって特交の幅というのは大分違うらしいから、しっかり取ってきてください、こういう話がすぐ出てくる。これは世間一般にはそういうイメージで見られている。
 私も、では特交どうなっているのですかと一遍聞いておかないと、たまったものじゃないなということでありまして、そこの基準というのをひとつ説明をしていただきたいと思います。
#29
○二橋政府委員 先ほど、今の特別交付税の前に、委員の方から歳出の内容に関するいろいろな関心というか決め方にも関係があるというお話がございまして、私ども、まさにそこが交付税制度が計算が複雑であるとかわかりにくいとかということを言われることとまことに密接に関連をいたしておると思います。
 今、基準財政需要額、何か全部ごっちゃに計算しているというような感じでお話しになりましたけれども、十分おわかりの上でお話しになっておると思いますが、もちろんこれは、教育はどうする、福祉はどうする、土木関係はどうするかと、みんな費目ごとに積み上げて計算するわけであります。
 おまけに、費目の内容を決めます際に、例えば教育をとって考えてみますと、四十人学級にするということは、これは国の法律、基準で決めておるわけであります。四日市だけ、自分のところは不交付団体だから、交付税が来ないから、それでは五十人学級で我慢しようか、こういうわけにはなかなかいかないようになっております。そういたしますと、私どもは四十人学級を前提にして計算せざるを得ない。そういうことが各分野ごとにずっと積み上がっている。
 ですから、そこは委員おっしゃいますように、歳出のあり方が非常に密接に関連しているので、国の方が各分野ごとに法律で地方団体の行政水準を決めるということを根本的にまた考え直して、それを大まかに決めて、あとは全部地方でやってほしい、例えば介護保険なんかも、地方で、やるやらないも含めて、地方団体ごとに考えてほしいというふうな仕掛けを国の法律で、国会の意思でお決めになれば、これは相当、交付税の計算というのは変わってくると思います。そこはぜひとも私どもとしては申し上げておきたいと思いますし、それと裏腹の関係にあるということはぜひ御理解いただきたいと思います。
 それから、特別交付税は、これは交付税全体の六%を特別交付税ということにいたしておりまして、十二月分と三月分に二回に分けて交付いたしております。
 この交付の内容につきましては、普通交付税でとらえがたいような財政需要をとらえるということで計算するものでございまして、内容は、省令に、どういう項目を算定するということがずっと書いてあります。ずっと書いてございまして、それをごらんいただくと、どういう算定項目が特別交付税の対象になっているかなということはおわかりいただけるようになっております。
 ただ、普通交付税でとらえがたい財政需要ということを考えますので、ことしていいますと、例えばダイオキシン対策でありますとか、去年でいきますとO157対策であるとか、あるいはナホトカ号の油漏れの事故であるとかというふうな、突発的に起き、かつ特定の団体に偏っているというふうなものを特別交付税で算定いたします。
 それは、やはり個別に、団体ごとに、こういう項目でこのくらい財政的な財源を必要とした、よそにない話なのでこれはぜひということは、個別にいろいろ事情を聞かせていただきながら配分するということになりますので、普通交付税に比べますと、やや、そういうところによっては個別の事情を反映する要素が強いということは言えようかと思います。
#30
○中川(正)分科員 さっきお認めになったように、特別交付税というのはそういう要素をはらんでいる、こういうことですね。それがなぜ自治省の中で、交付税という枠組みの中でいわば用意をされなければいけないかということがはっきりしないのですね。
 あらゆる緊急事態にということは、それぞれの費目の中で、それぞれの省庁の中で一つは対応があるということ。それにつけ加えて特別にこれを見ましようということで自治省の中にもあるということ。それの基本的な基準といいますかルールというか、そういうものをやはりつくっていく必要があるのだろうなというふうに思うのです。それがいわば目覚めた時代の目覚めた行政というものなのだろうなということをつくづく思うわけであります。これが一つの問題。
 それからもう一つ、先ほどみずから御指摘いただいたように、今のような、国の方がすべてきめ細かく一つ一つ財政需要額というのを定義していくというあり方、これがまさに、地方の自立といいますか、自分のところの価値観の中で創意工夫を持って行政をしていくということに対して、国の物差しがこうですよということを上からぽんと示しているような形にもなっておりまして、こういう対応の仕方というのもそろそろ限界なのかな、そんな議論はこれから大いになされていくだろうというふうに思います。
 そんな中で、この間から審議会の方で中間報告がなされ、そして第一次勧告、第二次勧告、こういうふうにそれぞれ勧告が続いてきました。まとめて言うと、第一次、第二次というのは、機関委任事務なんかを中心にして、事務関係の権限移譲といいますか、そういうようなものをしっかりやっていきましょうよ、こういう話が中心だったのだろうと思うのですが、いよいよこれから財政をどうするかということが主体になってくるのだろうというふうに思います。
 そんな中で、これは、今どこまで前提として考えていられるかというのをぜひお聞きしたいのですが、例えば政治の分野で、我々はこの地方交付税を中心にして、これを地方の独自の財源化をしていこうじゃないかという議論を一つやっています。それからもう一つは補助金。補助金も、我々の党は、一括交付でいいよ、一つ一つ箇所づけで、ひもづけというような、そんな話じゃないよというような議論をしています。これは実は、政治の分野では、あるいはこういう推進委員会の分野ではこういうトータルな話はできるのですね。
ところが、具体的にそれを一歩一歩やっていったときに、現在の地方財政バランスというかそれぞれの地域のバランスとどう違ってくるのか。
 例えば、地方交付税を地方財源化したときに、即、首長は何と考えるかといったら、それでうちは得するのか損するのか、どっちなんだ、こういう話があって、それに対して、びしつと答えられて、いわゆるシミュレーションができて、それでどっちの方法がいいか選んでみようという次の国の選択、いわゆる政治の選択があるのだろうと思う。その真ん中の議論というのはなかなか出てこないし、私は、どこでやっているかというのを今探しているのですけれども、見つけられないのですよ。
 それに対して、自治省としては、どういう体制というか、どういう考え方を持っていられるか、ちょっとお聞きをしておきたいというふうに思います。
#31
○二橋政府委員 非常に基本的といいますか根本的な問題で、お答えになるかどうかちょっとわかりませんが、両面、二つありまして、先ほど私が申しましたように、今のようなお話、要するに、主要な歳出内容を国の法律で、国会の意思でお決めになるということを必ず前提としてそのやり方を改めるということがまずあるのかどうかということによっても随分違うということであります。
 それからもう一つの面は、歳入面で考えますと、例えば、極端に言えば、補助金を全部廃止して、それを人口とか面積で配れないか、こういうお話は、当然いろいろシミュレーションは可能だと思います。それから、交付税を、いわば地方の自主税源、自主財源であります税に振りかえられないかというふうな話は、これは具体的にどんな税目でそういうことが可能か。税目といいますのは所得か資産か消費というのがメーンでありますから、そういうことで、本当に地方部まで、先生の地元のところでいえば、四日市はともかく、三重県のもっと田舎の方の地方部まで、かなりの税源がそれで確保できるかどうか、税のもとがあるかどうかということだろうと思います。
 そのあたりにつきましては、なかなか簡単なシミュレーションのできるようなお話ではないというふうに実は思っていまして、一気にそういうことを具体的に検討していくのはなかなか難しいのではないか。先ほど言いましたように、やはり歳出の決め方と裏腹で、歳出の決め方のいわば弾力化というか緩和というものの進み方の程度と密接に関連しているのではないかなというふうな感じがいたします。
#32
○中川(正)分科員 実は、もう具体的に進み始めているのですね、なし崩しに。というのは、例えば消費税一%地方へ回しましょう、これでバランスは崩れているはずなんですよ。そういうものに対して、ある程度将来のビジョンというのを見きわめながら、地方に対してどうなのかということを議論していくのが自治省なのだろうというふうに思うので、ひとつそんな目からも、しっかり計数をはじいてみていただきたい、これは私の要望でございます。
 最後に、大臣、せっかくでございますので、以上、議論を聞いていただいて、ひとつコメントをお願いしたいというふうに思います。
#33
○上杉国務大臣 その地方団体というか地域において、経済力の、あるいは産業構造の違いがあります。当然、地方税といえども税収の偏在性は避けられないものと私は思うのです。したがって、勧告の中でも指摘をされておりますように、そのような税収の偏在性、乖離、そういうものを調整して、住民サービスに一定の水準を、平等にそこに住む人たちに与えるという仕組みが交付税制度であり、安定的な一つの税体系というものを求めておる今の自治省の姿でもございます。ですから、なし崩し的とか、先ほどありましたが、そういう不透明な形で基準財政需要額を決めておるものでも私はないと思うのです。
 ですから、市町村における首長さんあるいは議会もしっかり財政は勉強してもらう、税制も勉強してもらう、そして、地域の実態等も踏まえた上で、例えば国会議員さんに陳情していただくとか、そういうものでなければならないのではないか。また、今後、地方分権を推進すれば、そういう行財政に精通し、税制に精通した指導者がおるところとそうでないところはおのずと格差が出てくるような気がしてなりません。そういうことにならないように、政府としては、今からそういうものの対応もしていかなければならないのではないのかな。
 特に、この地方分権を進めれば、地方の税財源の充実強化というものは決してないがしろにできない重要な課題でございますから、そういうものも基本に置いて、今後総体的に対応してまいりたいと考えております。
#34
○中川(正)分科員 終わります。
#35
○中山主査 これにて中川正春君の質疑は終了いたしました。
 次に、中桐伸五君。
#36
○中桐分科員 民主党の中桐でございます。
 本日は、いわゆる職業病の一つとして最近新しく認められました俗称指曲がり症という職業病の問題についての質問、それからチャイルドシートの義務化に関する質問を行いたいというふうに思います。
 まず、指曲がり症という職業病、これはこのパネルを見ていただきますとわかりやすいと思うのですが、手の一番遠い関節、それからその次の関節、そして根元の関節というふうに三つ関節があります。特に一番先の関節、それから真ん中の関節が、反復繰り返しの使用によりましてはれてまいりまして、さらに形がくの字に曲がってくるという変形を来す、これを変形性手指関節症と言うのですが、俗称指曲がり症と呼んでいるわけです。
 この職業病は、レントゲン写真で見ていただきますと、関節のきれいな状態というのはこういうふうにすき間が、小指のところを見ていただきますと、これもやや変形していますけれども、比較的きれいですが、このあたりの関節はかなり傷んでいるわけですね。そういうふうになってくる職業病であります。その進行プロセスを見てみますと、これが初期の、第一期の状態でありますが、だんだん進行してまいりますと、余分な骨ができたり、関節と関節の間が破壊をされましてひっついてしまうという状態になります。これをいわゆる指曲がり症と呼んでいるわけです。
 この職業病は、非常に古くからこの病気自体は認められていましたが、仕事との関係では、学校給食調理員の間にこの指曲がり症が多発をいたしました。これまでは遺伝とか加齢あるいは女性に特有の病気、そういうふうに言われていたのですが、これは仕事乏の関連があるということで、地方公務員災害補償基金で、これは多分日本だけではなくて国際的にも非常に注目をされる職業病としての認定ではないかというふうに思いますが、日本では初めてであります。
 この指曲がり症の認定の中で、今日までに私が把握している、いわゆる公務災害として、つまり職業病としての認定を請求した件数、百七十九件、これはもう少しふえているか、あるいは正確な数字はそちらの方がお持ちだと思いますが、そのうち公務上、つまり職業病として認めたというのが八十件。したがいまして、百七十九件中八十件が認められたということでありますから、計算してみますと、その認定率というのが四四・七%。これは、民間の労災保険の職業病の認定率から考えますと極めて高い認定率ではないかと思います。そういう意味では、今日まで公務災害補償基金がこの認定の実務に当たりまして随分御努力をいただいたということについては、冒頭確認をさせていただきたいというふうに思います。
 しかしながら、幾つかまだ残された問題がございます。
 その第一は、この百七十九件という認定請求件数は、実は重症の方をかなり選んで請求しているといういきさつがございました。したがいまして、勢い認定率が高くなるという要因もあります。
 それから、ほぼ百七十九件というのは相当数重症度の高い段階の職業病としての請求であったわけでありますが、そこで公務外とされた例が不服審査という形で、支部と本部という形で二段階になっておりますが、そこで公務上であるかどうかを再度審査する。その審査の結果は、件数はちょっと正確なものを把握しておりませんが、私が聞いているところではいまだゼロ、つまり公務上にひっくり返ったという例はないというふうに聞いております。
 最初にこの職業病の取り組みに私も携わってまいった一人でございますので、よくわかっているつもりなんですが、最初は非常に重症の例を出したわけです。しかし、比較的変形度合いの少ない、しかし痛みがある、そういうふうな例も今後請求をされてくる可能性があります。
 不服審査の中で公務外と判定をされた例の判決を見てみますと、二百食という条件と勤続年数が十年以上という、いずれも厳しい要件がかかってきております。私は、この二百食と十年を総合的に、これは掛け算をして総合負荷量として考えるべきであって、それぞれ二百食と十年以上というのを別々に厳しい足切り条件にするというのは問題ではないかというふうに思うので、まずその点について、ちょっとお答えください。
    〔主査退席、草川主査代理着席〕
#37
○芳山政府委員 お答えいたします。
 先生御案内のとおりでありますが、地方公務員災害補償基金におきましては、学校給食調理員のいわゆる指曲がり症について、専門機関であります中央労働災害防止協会に調査研究を委託してまいりました。その結果に基づいて、今言われました認定の考え方を平成四年にまとめました。そして、現在、個々の事案に即して、給食調理員としての業務歴、給食調理数、勤務状況、作業環境を把握して、当該職員が従事した給食調理の業務が指曲がり症の早期発症また急性増悪の相対的に有力な原因として認められるか否かということで認定を行っている。さっき数字のお示しがありましたが、平成十年三月十八日現在で、手元に持っております資料によりますと、二百十三件受理しておりまして、そのうちの九十八件が公務上の認定になっております。四六%というぐあいに相なっております。
 先ほどお示しになられました認定の基準でございますが、この認定の基準は、先ほど申しました中央労働災害防止協会というところの調査研究において、指曲がり症の発症について、二千一食以上で、かつ経験年数が十一年というのが年齢の影響を超える関連性を示すという調査結果が出ておりまして、それを踏まえて、それを総合的に評価し、また医学的な意見の聴取のもとで基金として現在の認定基準を定めたものというぐあいに理解をしております。
#38
○中桐分科員 総合的に判断をしていただく、二千一食以上、あるいは十一年以上という判断であれば、判定に際してかなり柔軟な判断ができると思います。しかし、問題は、調理員がつくる給食数が一人当たり二百食というところにまず一つの足切りがあって、そして十年以上という、今のお話では十一年以上ですか、十年以上という形でまた足切りがある。こういう形になりますと問題があるので、ここは、総合的な負荷量、それはいろいろな、機械の不備だとか環境の問題だとかそういった問題を含めて総合的に仕事との関係を判断していただくというふうな運用に、今後そこに重点を置いた認定基準の運用をしていただきたいということを強く要望させていただきたいと思います。
 それから、時間がありませんので、次に、同じ関連の指曲がり症の問題でありますが、最近、兵庫県の尼崎労働基準監督署におきまして、自治体の職場にも同様の福祉施設として特別養護老人ホームという施設がございますが、これは民間の特別養護老人ホームにおける給食調理員の指曲がり症の認定の事例を知ることができたわけであります。
 この事例は、約六年ぐらいの経過で、つまり、四、五年前から指曲がり症というものがあったが、しかし、手に負担のかかる業務の度合いによって痛み等、あるいは急激な進行等は見られなかった。一指が指曲がり症の状態であった四、五年の間を経て、平成七年九月から平成八年十二月九日まで特別養護老人ホームにおいて給食調理の仕事をしたところ、急速に症状が進行して仕事が続けられない状態になったという例であります。そして、尼崎労働基準監督署がこれを労働災害として認定して、災害補償給付を行っているという事例であります。
 これを見ますと、勤務年数は非常に短い。指曲がり症という症状が、これは本人の申告で医師が確認をしたわけでありますが、五年ぐらい前からあったものが一年数カ月で急激に悪化している。これを認めている。しかも、給食数は一人当たり三十食から五十二食。つまり、学校給食という調理の仕事の内容と、病院や福祉施設や保育所はやや違っておりまして、つくる食事の内容も多様性がありますし、食数も二回ないし三回つくるという形になっております。
 実は、そういう施設においては今日まで公務災害の請求が私の知り得ているところでは一例も認められていない。つまり、学校給食を主体として指曲がり症の認定というのが行われてきている。病院では十例、福祉施設では五例、保育所では八例、私が把握している範囲ではいずれも公務外とされているという事実を、私としてはそういう情報をつかんでいるわけでありますが、私もこの問題を当事者の一人として調査を行った専門家の一人でありますが、主として学校給食調理場を中心にして調査をいたしました。病院、福祉施設、保育所についての調査は十分できておりません。
 その後どのような調査が行われたかわかりませんが、いずれにいたしましても、より詳細な実態調査を踏まえて、これらのいわゆる学校給食調理場とは労働負担の異なる職場における認定基準の再検討をすべきだと思うのですが、いかがですか。
#39
○芳山政府委員 先ほど申しましたように、労働災害防止協会の調査研究を受けて基金としての認定の考え方をまとめたところでありますが、学校給食以外の病院や福祉施設等の給食調理員につきましてもこの考え方に準じて総合的に判断をしているところであります。
 なお、御指摘ありましたように、今後とも、指曲がり症に関する医学的知見の確立、また給食の作業環境の変化など社会経済情勢の変化等を踏まえながら、地方公務員災害補償基金において適宜適切に認定を行っていくというぐあいに聞いております。
    〔草川主査代理退席、主査着席〕
#40
○中桐分科員 そこの実態調査をより踏まえて、認定基準の再検討も含めてぜひ行っていただきたいというふうに思います。
 特に、先ほど指摘をしました民間における認定の例も出ておるようでありますから、その点においても、労働省などとも相談をしながら、お互いに、公務災害の補償と労災補償の間に、できるだけ基準の統一、判定の統一というものを図っていただくように強く要望しておきたいというふうに思います。
 それから、次に、指曲がり症の方が、退職をし、さらに、これは手に負担のかかる別の仕事につけばさらに進行するという疾病でありますが、一応、定年で退職をする、あるいは指曲がり症で仕事が続けられなくなって退職をする、その際、障害補償というものを請求する例が数十名出ているというふうに聞いておりますが、これについて、高年齢になっている方が多いし、そういう意味で迅速に障害補償についての判定をしていただきたいと思うんですが、その点についていかがでしょうか。
#41
○芳山政府委員 ただいま基金においては、公務上とされた事案のうち、現在までに二十六件について障害補償の請求がなされております。先般、それらすべてについて、第三者、専門医師による検診が終了しまして、これに関する資料が本部に
集められているところであります。基金においては、今後、これらの資料をもとに、障害補償の該当の有無も含めまして、障害等級の決定基準に照らしてできるだけ早く結論が出せるよう努力していく考えというぐあいに聞いております。
#42
○中桐分科員 わかりました。障害等級についても、できるだけ早くその認定の実務を進めていただきたい、そういうふうに要請しておきたいと思います。
 それでは、次に、チャイルドシートの問題について質疑を行いたいというふうに思います。
 このチャイルドシートについては、平成九年の二月二十七日の衆議院の地方行政委員会におきまして、平沢議員が取り上げて質疑を行っております。そして、その質疑をさらに受けて平成九年の四月に、衆議院の地方行政委員会の附帯決議として、その第六項に、「エアバッグ及びチャイルドシートの義務化、運転中の携帯電話の使用規制等の諸課題について、交通安全確保の観点に立って、引き続き検討・協議し、早急に結論を得るよう努めること。」という附帯決議がなされております。
 私は、今国際的に見ましても、日本のチャイルドシートの着用状態というのは極めて大きな落差があって、いわば成熟社会に今日至ろうとする日本の中で、親の責任といいますか、そういったものも重要な問題であるし、また少子化社会になっていく中で、健康な子供さんが交通事故で命を落としたり障害を受けていくということは、これは、これからますます少子化が進む中で大変重要な課題であるというふうに認識をしているものであります。
 したがいまして、この点について、チャイルドシートそのものについても、着用を誤ればデメリットもあるということも聞いておりますので、これはメリットばかりではないということも十分配慮しながらも、しかしこれは関係省庁において、チャイルドシートの法令化に向けて急がなければいけないのではないかというふうに思うのですが、その点についていかがでしょうか。
#43
○上杉国務大臣 チャイルドシートの着用義務の法制化でございますが、御指摘のように、最近この問題に関する世論が高まりつつあることはもう御案内のとおりでございます。また、着用率につきましても向上しつつあると見られておりますことから、国内における普及の状況、国民の意識等についても見きわめてまいらなければなりません。今、十年度の予算の中でも、調査費わずか千六百万円でございますが、つけまして、その総合的な調査の結果を、どう結論が出るか、これを見きわめてまいらなければならぬと思っておりますが、そういうものを見きわめて、検討を進めるよう指導してまいりたいと考えております。
#44
○中桐分科員 着用率を今自治大臣が御指摘になられましたが、これはJAFというところの調査によりますと、幼児、この場合の幼児は何歳かちょっと正確に書いておりませんが、幼児というものを対象にした乗車状況の実態調査によりますと、一九九〇年が三・六%で、一九九六年が七・九%。確かにふえてはいますが、これは欧米に比べると、欧米の場合は七、八〇%と聞いておりますから、チャイルドシートの。これはどういう年齢を対象にした調査かという正確度は欠くとしても、しかし、これはもうけたが違うという状況であります。
 しかもこれは、チャイルドシートを着用した場合と着用していない場合で、警察庁の調査によりますと、致死率が、着用していない場合は、着用している場合に対して二・二倍の致死率。それから重傷率も、着用していない場合は二・五倍という率になっているということから考えても、これはチャイルドシートを着用した方が、死亡等、死傷率に大きな影響があるということは明らかだと思います。しかも今日、六歳以下の死傷者数は、平成四年が六千二百八十一人だったのに対して平成八年は九千四百人と、これは一・五倍にふえているわけであります。
 こういう状況を考えましても、子供の安全ということからいってももちろん重要でありますが、今の自動車乗車中の死傷者数の推移ということからいっても、また、車の台数の保有率の国際比較からいっても、日本は非常に子供の安全という点でおくれているのではないか。先ほど自治大臣が千六百万円の調査費ということを言われました。どうもめり張りのついた予算になっていないのではないかというふうに考えざるを得ないところでありますが、一応新しく調査費をつけたということなので、これは早急に対策を強化していっていただきたい、そして義務化に向かって進んでいただきたい、そのように思うわけであります。
 さて、もう一つは外国などの経験、つまり、諸外国では十年から二十年先を進んで、今日までチャイルドシートの着用普及、義務化普及を行ってきたというふうに聞いています。その中でさまざまな取り組みが行われているというふうに思うのですが、今後、関係当局の皆さんとしては、法令による義務づけ以外にどのような啓発手法を計画されておるのか、お答えいただきたいと思います。
#45
○玉造政府委員 チャイルドシートの着用促進を図るために、警察といたしましては、「交通の教則」に、チャイルドシートの使用を奨励する内容を盛り込んでおります。また、全国交通安全運動の機会等々をとらえましてチャイルドシートの使用励行を呼びかけたりするなど、普及のための啓発活動を積極的に推進しているところでございます。
 具体的に申しますと、例えば、警察署あるいは地区の交通安全協会等におきましてチャイルドシートを無料で貸し出しまして、その効果等々について体験をしていただく、それで事後の自主購入による普及を促進する無料貸し出し体験制度、あるいは、各家庭から、子供の成長に伴いまして必要がなくなったチャイルドシートをちょうだいいたしまして、これを無料で貸し出しするチャイルドシートリサイクル運動等々、実際に体験していただくということを広めてまいるということを今やっておるところでございます。これをさらに普及してまいりたい。
 いずれにいたしましても、チャイルドシートの着用促進を図るために、創意工夫を凝らして広報啓発活動を積極的に推進してまいりたいと思っております。
#46
○中桐分科員 私の聞いているところでは、日本でも始まっているというふうに思っているのですが、警察はもちろんでありますが、病院ですね、例えば出産、産婦人科。子供さんを出産したときに、チャイルドシートの着用がこれから必要ですよという啓発をする。あるいは学校あるいは保健局、そういったところで、極めて多様な場を活用して啓発をしているようであります。日本でもそういうことが始まっているようでありますから、大臣、ぜひこれは警察だけと言わずに、全般的にいろいろな場面を使って啓発活動を行うということを今後指導していただいて、進めていただきたいというふうに思います。
 それから、最後ですが、このチャイルドシートの中には、おもちゃメーカーが製造しているようなものも入っているようでありまして、どうもいろいろなものがあって、おもちゃメーカーがつくっているのが必ずしも安全規格をクリアしているかどうかというふうに、おもちゃメーカーだからけしからぬと言っているわけじゃないのですが、つまり、いろいろなチャイルドシート、いろいろなレベルのチャイルドシートがあるのではないのか。それで、かえって悪い、チャイルドシートといっても全然用をなさないようなものがチャイルドシートとして使われているようではこれは困るわけで、そういう点で、今の安全基準と国際的な規格との関係も含めてどういう規制を、国際的な規制、国々の規制がどういうふうになっているかも含めて、運輸省の方に安全基準の問題についてお伺いして、終わりたいと思います。
#47
○宮嵜説明員 お答えいたします。
 運輸省といたしましては、より安全なチャイルドシートの普及を図るべく、昭和六十年にチャイ
ルドシートの安全基準を定めますとともに、チャイルドシートの型式認定制度を設けております。
 チャイルドシートの安全基準におきましては、衝突による衝撃を受けた場合でも座席が前の方に移動しないよう確実に固定できるように、あるいは、チャイルドシートを装着した幼児などが傷害を受けるおそれが少ない構造である、こういった内容を規定しておりまして、この内容は欧米とほぼ同じ基準でございます。
 また、チャイルドシートの型式認定につきましては、平成九年度末までに八社百四十五型式が認定を受けておりまして、国内の主なチャイルドシートメーカーはいずれも、この安全基準に適合した認定を取得した上で販売しているという状況でございます。
 運輸省といたしましては、消費者が安全基準に適合しないチャイルドシートを購入することがないように、認定を受けましたチャイルドシートの普及に引き続き努めてまいりたいと考えております。
#48
○中桐分科員 委員長、一言だけ。
 ぜひ不良品の使用がないような状態にしていただいて、ここは規制緩和ではなくて、基準をしっかりコントロールするという意味では逆のリレギュレーションという形で対処していっていただきたい。
 以上で終わりたいと思います。
#49
○中山主査 これにて中桐伸五君の質疑は終了いたしました。
 次に、吉田公一君。
#50
○吉田(公)分科員 鉄道高架下の固定資産税の課税についてお尋ねをしたいと思いますが、近年、鉄道が高架化される場合が多いわけでございまして、特に大都市の場合には、交通の渋滞予防また経済効率を考えて高架にする場合が多いのですけれども、その高架下を有効利用するために、民間ももちろんそうでありますが、公立も高架下を利用して、例えば市の出張所でありますとか区の出張所でありますとか、そういう区民施設等を含めて建築をしたいという場合に、固定資産税の課税について各都道府県で違っているのではないかというふうに思いますが、その点について基本的な自治省の考え方をお尋ねをしたい、そう思います。
#51
○成瀬政府委員 鉄道の高架下の土地につきましては、まず、鉄道事業の用に供されている土地ということで基本的には課税対象となります。
 ただ、御質問にございましたように、鉄道高架下の土地が他の用途にも供されておりますなど、固定資産が複合的な用途に供されている場合には、その課税関係につきましては、固定資産、その土地の主たる用途によりまして判断すべきものであり、具体的には課税団体の事実認定の問題になろうかと思います。
#52
○吉田(公)分科員 鉄道そのものは、高架にして線路を引いて、その線路がつながっているから営業になるわけですから、当然固定資産税がかかるもの、こういうふうに理解をいたしておりますが、問題は、その下に公共施設をつくるということが主体でありまして、したがって、鉄道高架下を課税をするかしないかという話じゃなくて、そこへ区民施設なり公共機関施設を建てたときに減免の措置がとれるのかどうかということが実は質問の趣旨であります。
#53
○成瀬政府委員 ただいま申し上げましたように、その土地が軌道敷地そして駐輪施設用地、二つの用途に供されているわけでありますけれども、その場合に、課税団体としては、主たる用途でもって課税関係を判断するというのが基本でございます。
 ただ、御指摘ございましたように、課税対象の固定資産でありましても、地方公共団体等がその一部を公共的に利用する場合には、課税団体は条例の定めるところによりまして固定資産税の課税免除あるいは不均一課税または減免等を行うことは差し支えないものと考えられます。
#54
○吉田(公)分科員 鉄道に税金をかける、かけられた鉄道は、区立や市立のものに貸すのだから、何で鉄道が払わなきゃいけないんだ、このことについては区が払いなさいよ、こうくるわけですよ。すると区は、公共施設なんだから、都民施設も区民施設も市民施設も県民施設も同じなんだから、ここは公共のために使うのだから固定資産税を減免をしてくださいよ、こういう話なのだ。
 したがって、各都道府県や各区市町村でこのあり方について、固定資産税というのは本当は平均的でなければいけないのだけれども、かけるところもあればかけないところもある。そういうことは好ましくないと思うのですが、区の施設や公共機関はそこで利潤を生むわけじゃありませんから、したがって、そういう意味で、減免措置なら減免措置をとるというような統一的な見解がないと、隣の市はかけたけれども、その隣の市はかけていないというようなことになって、おかしいではないかという話が当然出てくる。
 したがって、それを自治省として統一見解なら統一見解を出して、各都道府県なり各市町村に統一見解をきちっと明確にしておかないと、そういう問題が今後起きてくるのではないか。例えば東京の二十三区間でも、かける区とかけない区とあるわけで、その辺も、払う区もあれば払わないよと言っている区もあれば、これを区がずっと払わなかったらどうするのかね。区を処分しちゃうのかね。
#55
○成瀬政府委員 固定資産税の課税免除でありますとか減免、これは基本的に、課税団体の条例の趣旨に従って判断されるものでありまして、これを行うかどうかというのは、まず課税団体の自主的な判断によるべきものと考えられます。
 お尋ねのように、いろいろなケースがあろうかと思いますけれども、鉄道高架下の土地が公共施設の用に供されている場合、私どもとしてその実態をすべて承知しているわけではありませんけれども、一般論で申し上げますと、同じ鉄道高架下の土地の有効活用という場合でありましても、個別具体の利用状況は一つ一つそれぞれ、いろいろ違うケースがあろうかと思います。
 したがいまして、一律に、こういう場合であれば減免、こういう場合であれば課税ということはなかなか言いがたい面があるわけでございまして、まずは課税団体におきましてその利用状況、公益性、そのあたりのことを総合的に判断をいたしまして主たる用途を認定し、課税をするかあるいは減免をするか、そのあたりを判断していただくべきものというふうに考えられます。
#56
○吉田(公)分科員 一般論なら説明をしてもらわなくたってよくわかっている。問題は一般論ではなくて、こういう場合に自治省としてきちっとした指導ができるのかできないのか、それを聞いているのです。固定資産税の課税のあり方について聞いているのではなくて、そういう具体的な事例を挙げて質問した場合には、東京都なら東京都、大阪府なら大阪府にきちっと指導ができるのかどうかということなんですよね。
 したがって、固定資産税というのは地方分権の時代で自主財源だ、だけれども、私は都会議員のときに固定資産税の減免措置をやれと言ったら、それはできないんだと。何でできないのだと言ったら、固定資産税を減らすと今度は起債許可を認めなかったり、そういう可能性があるのですと。だから、本当は、固定資産税というのは都道府県の財源なんだから、条例で固定資産税を減らすこともできるわけだね、都議会、議会で承認すれば。ところが、それができない。しょうがないから都市計画税を少し減らしたことがあったかな。その程度しか、全部地方財源なんて言いながら、ちゃんと押さえているところは押さえているんだよ。
 だから、そういう意味では、通達ができるのかできないのか、ぜひそこのところを。
#57
○成瀬政府委員 先ほども申し上げましたように、すべての実態を必ずしも十分に承知しておるわけではございませんので、お尋ねの東京都の場合にどのような課税状況になっているのか、その事実関係については少し調べてみたいと思いますけれども、ただ、個々具体の課税関係について、
国として統一的な対処方針、指導する考え方というのを一律的に示すというのは、なかなか難しい面があろうかと思います。
#58
○吉田(公)分科員 まあ、これ以上言っていてもなかなか結論が出ないようだから、また来年の分科会でやらせていただきます。
 次に、都区制度改革でありますが、都区制度の改革に関する改正を行うために、地方自治法の一部を改正する法律案を今国会に提出をしているわけです。この法案なんですが、どういうことでまず出すのか。これは区、都からの要望もあったわけですけれども、どういうことでこれを出すのかということをまず説明してもらいたい。
#59
○上杉国務大臣 この都区制につきましては、東京都からもたびたびの陳情が長年にわたって行われておったというのが実情でございます。
 地方自治法等の一部を改正する法律案としてお出しをいたしておるわけでございますが、第二十二次地方制度調査会の答申を踏まえまして、特別区を基礎的な地方公共団体と位置づけますとともに、大都市の一体性、統一性の確保の要請に配慮しつつ、特別区の自主性、自立性を強化する観点から、地方自治法上の特例措置の改正及び税財政制度の改正等を行いまして、さらに住民に身近な事務を都から特別区へ移譲する等の一つの改正を行ったものをお出しいたしておるところでございます。
#60
○吉田(公)分科員 実は、もうこれは過ぎたことでありますから、今さら言うことはないのですが、実は私は都会議員をやっておって、区が普通の市町村並みになりたいと。しかしこれは、二十三区というのは戦前、御承知のとおり、麹町区だとか浅草区だとか、今の二十三区よりもっと小さい区があって、そして特別区と称せられて、他の府県にはない制度であったわけですね。
 その際に、区長は最初は議会が認定をしておった。選挙じゃなかった。そして途中で、準公選制度とかなんとかいって、選挙だか選挙じゃないような、そういう制度が一時期あって、そして今、区長は市長並みに選挙で選ばれているわけですが、そしてだんだん市並みに権限を持ちたいということになった。
 ところが、御承知のとおり、ごみの収集と運搬は市町村の役目だと地方自治法に書いてある。しょうがないから、戦前から広域行政でやっていたごみ処理問題を六万人の千代田区と八十万人の世田谷区や大田区と一緒にやれ。それはそう、そうなるわけだ。そんな不効率な話はないじゃないかと私はさんざん都議会のとき言ってきた。
 だから、地方自治法にそんなことが書いてあるから、しょうがないから五万人の千代田区と八十万人の世田谷区と、車庫を設けろ、ごみの収集は独自でやれ。独自でやれといったって、五万か七万しかいないような千代田区と八十万の世田谷と一緒に独立するのだから、千代田市になって、世田谷市になるのだから、しょうがない、これは五万か六万人しかいなくても独自でごみの収集、運搬をやって、清掃車庫を設けなければいけない。清掃事務所も設けなければいけない。住民とのトラブルが起きている。
 だから、これは地方自治法に書いてあるごみの収集、運搬をなんていうことをやる実態を変えさせるのじゃなくて、法律の文言を変えたらいいじゃないかと私は言ったんだ。東京二十三区についてはこの限りではないと一言文言を入れれば、そんな大騒ぎして、五万人から八十万人の二十三区、右往左往してやる必要ないんだ。
 そういうことを私は都会議員のときに、自治法の文言をちょっと十文字かそこら入れれば、こんな問題は解決するものを、全然解決しようともしないで、戦前からやっている広域行政のごみの実態の方を変えろ、そういう姿勢に私は問題があるんだと言ってきたわけだ。そうすれば、そんな法律改正なんかして、何も都だって区だって、まるで十年越しのこんな問題を抱えて、清掃車庫を設けろだの何を設けろだのなんていって大騒ぎしなくて済んだんだよ。
 結局、最終終末処理は東京湾しかないんだから。世田谷区には最終処分はできない。練馬区には最終処分ができないんだから、最後は東京湾しかないんだから、埋め立て、それは東京都だ、最終処分は東京都。そうすると今度は、清掃工場を自区内に建てろ、こう言うわけだ。千代田区のどこか、この永田町の総理官邸のそばにごみの清掃工場を建てられたってしょうがないんだ、本当は。
 だから、そういう実態に合わないことを、地方自治法を変えたらいいじゃないかと私は言ったんだ。二十三区についてはこの限りではないと書けば、それで済んだ話を、実態をとか、そこが自治省の気のきかないところだ、そう思っている。しかし、今ここまで来てしまったから、もうしょうがない。だけれども、今後はそういうようなものをひとつ参考にしてぜひこれから地方行政を指導してもらいたい、そう思っているのですよ。
 それで、組合と、それから業者の人と、都と区と、三者が一体になればいいということになったのですが、その点についてはもう問題がなくなったのですかね。
#61
○上杉国務大臣 私、大臣になりまして、知事、副知事、それから議会サイドからも陳情を受けましたが、残念ながら、勉強不足とおしかりを受けるかもしれませんが、今初めてそういうお話を承るわけでございます。ですから、むしろ都の方がそういうことを我々にも、都区制というものを御陳情、要請になるときには、あわせてそういうものもお出しいただくとまた、それは自治省としてどうするかというのは慎重に検討しなければなりませんが、そういうことについてのお申し出は一言もございませんでした。それは私から申し上げておきたい、こう思うのです。
#62
○吉田(公)分科員 自治大臣はこの間就任されたから、長い経過はわからないかもしれないけれども、こういう問題も当然今まで議論をされてきたことなんだ。だけれども、法律優先ということで、実態を変えざるを得ないというのが、私なんかもう十年間このことで都議会でやってきたんだから、だからそういうことも当然議論の中にあったんだと思う。それはありましたよ。だけれども、実態はそうではない。そういうことでございます。大臣、後で調べてください。
 したがって、そういうふうに三者が合意をして、もう問題なくなって法律改正になったのかどうか、その点を伺いたいと思います。
#63
○鈴木政府委員 若干これまでの経緯をちょっとお話しさせていただきたいと思いますが、今回の法律改正に至った経緯といたしまして、昭和六十一年、確かにそれまでごみ戦争、いろいろな清掃問題については議論がありましたが、六十一年に都区の協議会で出されました基本的方向というものを受けまして、その答申を受けて地方制度調査会で大いなる議論をしていただきまして、それでその総意を踏まえまして今回の法律改正になってきた、こういう経緯でございます。
 それで、東京都から特別区へのごみの清掃関係の事務の移譲の関係でございますが、平成六年に関係者間で平成十二年四月を移管の時期とすることで合意をいたしておりまして、これを受けまして、都及び特別区におきまして、清掃車の車庫とか清掃工場の整備など、いろいろな課題に鋭意取り組んでいるものと承知をしております。
 東京都と特別区においては、平成十二年四月の移管の時期までに清掃車の車庫の整備等が図られるよう全力を尽くす、また、仮に整備が整わない区がある場合においても、当該区において清掃事業を円滑に実施できるよう必要な措置を講ずることとしている、こういうふうに承知をいたしております。
 清掃事業の移管に伴います課題というものは、確かに、いろいろな体制整備の問題、あるいは財政的な問題、あるいはそれに伴います運用の問題、公務員の問題がございますが、それにつきましては、関係者間で引き続き協議中であると聞いておりまして、自治省といたしましては、平成十二年四月の移管が円滑になされるように、できるだけ早期に関係者間の協議が調うことを期待して
おります。
#64
○吉田(公)分科員 そうすると、今度は区が独立するわけですから、当然、財政が今二十三区で不均衡になっています。そのことについて、今まで都区財政調整制度というものがございましたが、都区財政調整制度というものは存続をさせて、公平なバランスのとれた税配分を維持していくだろう、こう思いますが、その点についてはいかがでございますか。
#65
○二橋政府委員 今回の都区制度の改革に伴いまして、特別区の自主性、自立性を強化するという観点から、税の一部の移譲もございますが、都区財政調整制度については、基本的な仕組みは現在の仕組みを維持することにいたしておりますが、自主性、自立性を高める観点から、調整三税と言っております税源、市町村民税の法人税分、固定資産税、特別土地保有税の一定割合を特別区財政調整交付金として交付すると法律上明記するということにいたしますとともに、現行では、都の一般会計から総額補てんというやり方がございますが、その総額補てんというやり方は廃止いたしました。
 それから、収入額が超過する特別区から納付金という形で納付してもらうという制度がございましたが、これも廃止するということで、そういう形で、特財調につきましても、自主性を高めるという観点からの改正はございますが、基本的な枠組みは現行のままで維持するという形になっております。
#66
○吉田(公)分科員 終わります。どうもありがとうございました。
#67
○中山主査 これにて吉田公一君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして自治省所管についての質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#68
○中山主査 次に、文部省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上義久君。
#69
○井上(義)分科員 きょうは、文部大臣並びに関係当局の皆さんに、教育にかかわる問題について幾つか御質問させていただきたいと思います。
 まず初めに、昨年の神戸市の児童連続殺傷事件、それから本年一月の黒磯市の中学一年生による教師殺傷事件、さらには二月には中学三年生がけん銃奪取を目的にナイフで警官を襲う事件等々、中学生による凶悪犯罪が次々と報道されて、子を持つ親としては極めてショックで、なぜという気持ちでございます。
 先般、文部大臣は緊急アピールを出されて、直接子供たちあるいは父兄、教師に呼びかける、私は大変いいことだと思いますけれども、ただ、具体策ということになりますと、所持品の検査とか出席停止とかという、いわゆる管理強化策しかまだ現状打ち出し得ていないのじゃないか。
 これらの事件の背景については、暴力等を容認するかのような画像のはんらんあるいは家庭教育の虐待化等々、複雑な要因が指摘され、これはこれで解明していかなければいけないわけでありますけれども、私は、学校教育が社会や家庭の変化に対応できてこなかったのじゃないか、そこにやはり大きな問題があるのじゃないか、こんなふうに思うわけでございます。
 心の教育について、三月三十一日をめどに中央教育審議会から中間報告が出されると聞いておりますけれども、今必要なことは、子供の心を鍛えはぐくむということについて、できることはもう速やかに何でもやるということが一番大事じゃないかということで、そういう観点から幾つかお伺いしたいと思います。
 一つは、ボランティア活動を必修化してはどうか、同時に、それを指導する教員の研修制度を早急に導入してはどうか、こんなふうに思うわけでございます。
 先般、ヘルパーをやっている皆さんと懇談したんですけれども、あるヘルパーの方は、日曜日になると、自分の仕事場に自分の子供を必ず連れていく。家ではお年寄りに接する機会がないわけですけれども、そういうところでお年寄りに接し、介護ということを実際に体験させているんです、こういう話をされておりまして、なかなかよく考えられているな、こんなふうに思ったわけでございます。
 具体的には、小中学校のそれぞれの段階において、ボランティア研修とともに社会福祉施設やひとり暮らしのお年寄りの訪問など、観念ではなくて人と触れ合う実地教育の中で他を思いやる心を養う政策を講じてはどうか。特にボランティア活動を必修化するということについてお伺いしたいと思います。
#70
○町村国務大臣 委員御指摘のように、大変に心の痛む事件が相次いでいるわけであります。当面、緊急対応というような意味合いでアピールを出したり、あるいは、必要なときには毅然とした行動を各学校で校長さんの判断でとってください、こんなお話もしておりますが、ただ、委員御指摘のように、それだけで十分かと言われれば、これはあくまでも緊急的な、伝染病のように広がるナイフ事件の当面の対応防止策だ、こう思っております。中期的、長期的、いろいろやっていかなければならないことがあろうと思います。
 当面の対応として、私どもも新年度、新学期から、例えば学校の中で、最近は空き教室なんかもできてきたりしていますので、どこかそういう部屋をつくって少し整備をして、そこに、できればカウンセラーのような専門の人がいいのでありますが、なかなかそれがそろわない場合には、退職の教員とかあるいは地域の青少年活動のリーダーとか、じっくり子供の話を聞いてあげる、そういうゆとりのある方に常時座っていてもらって、ややもすると今それがみんな保健室登校とかいうような形で保健室の養護の先生の仕事に、しかし、養護は養護の教師として仕事があるわけですから、そんな形で、とりあえず心の休まる場所をつくってはどうかな、そんなことも今当面のというか、来年度からのこととして、どこまでやれるか、今詰めているところであります。
 さらにもうちょっと先へ行くと、カリキュラムを今改訂中でありますけれども、新しい指導要領をつくって、週五日制をできるだけ早くやって、そしてゆとりを持たせるというようなことでいろいろ検討しております。
 今委員御指摘のボランティアの方につきましては、現在でも相当取り組んでいただいている学校、地域も多うございます。そして、それを単位に認定するというようなことも、実は既にやっております。新しい教育課程の中では、さらにそれをまた充実をしていこうということで、例えば小学校高学年から中学に総合的な学習の時間、こういったものを設けたり、あるいは特別活動の時間でそうしたボランティアを大いに推奨していく、経験をしてもらう、こんなことを今考えておりまして、ボランティア活動というものを学校教育の中に的確に組み入れるように、これはもう既に今やっていることとして、さらにそれを充実していきたい、こう考えております。
 ただ、必修にするかどうかというところまでは、ちょっとまだよく考えが至っておりませんので、検討させていただければと思います。
#71
○井上(義)分科員 核家族化ということで、そういう子供が社会性を持ち得るチャンスというのは学校の中でしかない。学校は教師と生徒しかいないということで、ボランティア活動を通じてそういう社会性を獲得していくということが私は教育の一番基本にならなければいけない、そういう意味で、ボランティア活動をぜひ今必修化するということを検討していただきたい。
 それから、今、空き教室を利用してというお話がございました。非常に大事な観点なんですけれども、そのためには、一つは、今特別非常勤制度というのがあって、いろいろな専門分野の人、それを非常勤講師として登用する、こういう制度があるのですけれども、実態を見ますと、いただいた資料を見ると、平成八年度で小学校では六人、中学校では四百四十二人しかまだ採用になってい
ないわけでございまして、今大臣がおっしゃったような、例えば地域で青少年活動をやっている人とかボランティアをやっている人とか、そういう人も含めてこの特別非常勤制度というものの考え方をもうちょっと幅を広くして、しかも数もふやすというのが一つ。
 それから、いろいろ報道されているのを聞いていますと、やはり教員自体の、何といいますか、実社会における経験が非常に不足していて対応し切れていないということを考えますと、やはり教員採用の年齢制限、これをもっと撤廃して、実社会経験教師の採用を普及してはどうか。いろいろ伺いますと、やはり四十歳ぐらいで切っているところが多い、大半の県なわけでございまして、特別枠を設けて採用しているところが一県あるそうでございますけれども、こういう実社会の経験のある教師をふやすということを考えますと、この年齢制限を撤廃してはどうか。この特別非常勤制度と年齢制限の撤廃ということについて、当局のお考えをお伺いしたいと思います。
#72
○町村国務大臣 特別非常勤講師制度を昭和六十三年から私ども推進をし始めたところでありまして、御指摘のように、まだまだ十分ではないという御指摘は率直に受けなければならない、できるだけ広げていきたい、こう思っておりまして、実はこの国会にも教育職員免許法改正案というのを出して、今までは体育とか音楽とか、特定の分野に小学校の場合は限られていたのですが、それを全教科に広げていいですよといったようなことやら、できるだけそういった社会の経験のある方の血を学校の中に入れるということを考えていきたい。
 それから、もう一つは年齢のことであります。確かに一つの考え方かなと思うのですが、最近私も学校の先生たちと会って話をすると、何が悩みかというと、一つの悩みは、生徒の数が減ってきていますから採用数が減りましょう。そうすると、新人の、要するに若い先生の採用数がぐっと減ってきております。そうすると、学校全体の先生方の平均年齢が今年々上がってきておりまして、もう下手をすると四十代後半とか五十近くになってしまう学校もある。
 そうすると、やはり子供たちの遊び相手とかスポーツをする相手が、余りに平均年齢が上にいくというのは逆にまた問題があるという意味で、やはり若い先生も本当はもっと採れればいいのですが、そこのところが実は悩みでありまして、そこのバランスをどうとるかなという問題も、実は率直な悩みとしてあることを御理解をいただければ、こう思っております。
#73
○井上(義)分科員 そういう面からいうと、この特別非常勤制度というのが、そういう弾力性を持たせる、それからフレキシビリティーを確保するという面で大いに活用できるのではないかというふうに思いますので、ぜひ充実させていただきたいと思います。
 それで、やはり一番の問題は、けさもちょっとNHKテレビを見ておりましたら、この問題について子供たちがいろいろ発言をしておりました。話を聞いていて一番のポイントは、やはりよく先生に話を聞いてもらいたい、ともかく自分の仕事以外の時間でも使って、ともかく話を聞いてくれる先生がいればいい、これがやはり一番大きいのですね。ここが一番ポイントかなという感じがしました。
 今、四十人学級ということなんですけれども、現場の先生に聞いてみますと、児童生徒の一人一人の悩み、相談に応じようと思っても、時間的にも物理的にも不可能だということで、では実際どうなんだというと、せいぜい本当に一人一人見られるのは二十人から二十五人ぐらいだというのが率直な教師の皆さんの声なわけでございます。経済的な問題、いろいろありますから、一挙にはいかないと思いますけれども、やはり将来の目標としては二十人から二十五人ぐらい。
 それで、現実を考えますと、四十一人いれば二十人学級が実際は可能なわけで、三十九人、四十人だったら四十人学級。都内とか都市部の学校を見ますと、四十人学級といいながら、実際は何とかして一人確保してとかという結構競争なんかがあったりして、実態はどうも三十人強ぐらいなのかなという感じがするのですけれども、空き教室も結構ありますし、ただその数の割り振りだけではなくて、空き教室のあるところなんかは積極的にそういうところは先駆けて、二十人から二十五人学級を実現していくとかというような政策的な方向性をやはりきちっとした方がいいんじゃないか。そういう意味で、これについての基本的な考え方を伺っておきたいと思います。
#74
○町村国務大臣 今、一クラスどのくらいかというと、これはあくまでも全国一律の、平均値でいいますと、小学校が二十七・七人、中学校が三十二・九人、こういう姿にはなっております。ただ、これは、御承知のように、過疎の地域も大都会のところも押しなべての平均ですから、どれだけの意味があるかという御指摘もあるのでありますが、一応数字の上ではそうなっております。
 そこで、私どもとしては、本当は平成十年度までで現在の第六次定数の改善計画を完結させようと思って、ずっと逐年、平成五年からやってきたのでありますが、御承知のような財政状況のもとで、昨年の年末に成立をいたしました財政構造改革法で、これを二年後倒しする、十二年完成ということに、政府として全体の中で協力をせざるを得ないということで文部省もその方針に賛成をして、あの法律が成立をしたわけであります。
 しかし、今日こういう事態になってみて、改めて本当にそれがよかったのかどうなのかという御議論もこの国会でも今、再三各党からの御議論が出されております。私どもとしては、つい三カ月ほど前に成立した法律なものですから、直ちにこれをまたということは、正直言って言いづらい面もございます。
 どういう形がいいのか、一クラス当たりの人数を減らすという進め方もあると思いますし、現在はどちらかというと、一つのクラスに例えば教科によっては複数配置をする。一人の先生は教壇の上に立って全体を見ながら、一人の先生はぐるぐる教室の中を歩いて、わかり方の遅い子供とか困っている子供に個別にそこで教えていくといったような、チームで教えるチームティーチングと言っておりますがそういう方法とか、あるいは若干小人数に分けて習熟度に応じた形で個別指導をやるというような形。
 それは教科によって複数配置ですから、結果的には一人の先生の担当する生徒さんの数が減るという意味では、形を変えたいわゆる三十人学級とかそういうことになるのかもしれません。どういう方法がいいのかといったようなことなども今研究をしておりまして、その辺を今はとりあえず研究をする時間なのかなと。
 ただ、もう待っていられないというお声もあるし、先生方が忙しいというお声もよく私どもも耳にしておりますので、そうした実態を踏まえながら、当面はとにかく一応平成十二年の完成ということが、確実にこれが履行できるように努力をすることが、今私どもの与えられたところの一番大きな課題なのかな、こう思っておりますが、委員の御指摘をしっかり受けとめさせていただきたいと思います。
#75
○井上(義)分科員 教育は国家百年の大計ということで、この一時的な財政構造改革のやはり犠牲になって、将来の人たちから、あの当時の政治家何やっていたんだということにならないようにぜひお願いしたいと思います。
 それから、今大臣御指摘のように現実に都市部に行くと相当空き教室があるので、例えば実際に先生の配置は、今おっしゃったようにいろいろな形で、必ずしも四十人に一人という配置じゃないわけですから、きめ細かな対応ができるような具体的なやり方もあるのじゃないか、そういうことも含めて、順次一人の先生が二十人から二十五人ぐらいをきちっと見ていくというような仕組みを、学級制に先駆けてやはりそういうことをぜひやっていただきたいというふうに要望しておきます。
 それから次に、学校のトイレの問題でございます。
 学校のトイレ、いろいろなことが指摘されて、我々もよく小学校、中学校、時局講演会なんかで貸していただいてトイレを使って、なかなか現状、特に古い学校の場合は和式トイレがほとんどですし、それから床も湿式のところで、子供たちはよくこういうところで我慢しているなということをよく思うわけですけれども、四K、汚い、臭い、暗い、怖い、また壊れているを加えて五K、こういうふうに言われておるわけです。
 駅やデパート、公園、そういう公共トイレ、結構トイレコンテストなんかあったりして、これがトイしかと見間違うような非常にきれいなすばらしいトイレがいっぱいできているのですけれども、これはやはり世論の指摘というのがあってトイレというのは改善されてきているわけであります。
 学校のトイレは校舎の老朽化とともに年々悪化しているのが現状で、これは新聞でも報道されましたけれども、平成八年に旭川のお医者さんが小学校一年生から六年生三百余人を対象に行った調査では、学校で大便をしないと答えた児童は六割を超えている。しない理由は何かというと、一位は汚い、臭い、二番目は休憩時間が短い等の物理的理由が三三・三%。それから三番目は、落ちつかない、四番目が、恥ずかしい、冷やかされる、いじめられるという精神的理由が一二九・〇%。
 また、その医師の報告では、八割に近い子供が、学校トイレを使いたくないという理由で便意を我慢して、一二%の子供に便秘傾向が見られるという指摘がされているわけでございます。便意抑制がたびたび重なると便秘につながること。特に排せつのメカニズムが確立されていない発達途上の小学生においては、便意抑制が健康に影響が出てくるということも指摘されているわけでございまして、やはり現場からこの学校のトイレを改善してもらいたい、こういう要望が大変強いわけでございます。
 そこで、そういう学校のトイレの実態について、文部省としてどれだけの把握をされていらっしゃるのか。もし、実態調査なり意識調査なんかをなさっているのであれば、簡潔に報告していただきたいと思いますし、またそういう便意抑制が子供の健康に与える影響調査なり、こういうことが医学的にはいろいろ研究されているわけですけれども、そういうことについても文部省は掌握をされているのかどうか、お伺いしたいと思います。
#76
○工藤政府委員 今御紹介ありました旭川市の医師の調査、なかなか興味深い調査と拝聴させていただきました。御指摘のように、学校のトイレで快適な生活環境を確保する、大変大事なことでございまして、子供の健康確保の上でも今後さらに改善の必要があると私どもも認識しているところでございます。
 ただ、他方で、子供たちの健康、特にお通じの関係で、トイレのこともさることながら、日ごろの食生活でございますとかあるいは運動習慣との関連でございますとか、さらにはこの調査にも出ておりますが、何か大きい方をすると恥ずかしいとか冷やかされるとか、他の子供たちとの関係もあるようでございますので、そういう児童生徒の感情など、さまざまな要因が考えられるのではないかと思いますが、そういうことも含めまして、それぞれの学校での保健指導ですとか保健相談との上で解決をしていかなければいけない課題であると受けとめてございます。そのために、関係者の御意見も伺いながら、さらに改善を促すように努めてまいりたいと存じております。
#77
○御手洗政府委員 各学校の施設の中で、トイレが具体的にどのような設備、個々具体になっているかというところまで、残念ながらもう一つ把握はいたしておりません。
 しかしながら、各学校の施設をつくる際にトイレというのは基本的な施設でございますので、文部省で国庫補助基準面積の改善を本年度から実はいたしたわけでございますけれども、その際にもできるだけ環境よくということで、各クラス、学校規模に応じました若干の補助基準面積の改善も平成九年度から図らせていただいたところでございます。
 また、老朽化した校舎につきましては、全体として改築、改修を行えるという際には、文部省としては三分の一の国庫補助をしているわけでございます。そういった際にはきちっとした整備を行えるものと考えておりますが、個々具体の個別のトイレに限った改修工事ということになりますと実際には補助対象外ということで、地方単独事業として自治省の方で一定の規模のものにつきましては起債措置をするということで、各市町村や設置者において適切に活用されているものというふうに承知いたしているところでございます。
#78
○井上(義)分科員 実際に先生のお話なんか聞いてみたのですけれども、古い校舎ですと和式がほとんどだということですね。子供は家庭じゃ和式を使ったことがない。小学校に入学してくるときに和式のトイレの使い方など教えなければいけない。そうすると、やはり怖いと言うのですね。やはりそういうところからスタートする。それから、小学生だと百三十センチぐらいから百七十センチぐらいまでいて同じ大きさのものを使っているわけですね。そうすると、やはり子供にとっては極めて使いづらいというようなことがあったりする。
 ぜひこの実態を一回よく見ていただいて、確かに地方自治体の仕事であると思うのですけれども、文部省としてこういう実態をよく掌握していただいて、子供の教育という意味で、我々も小さいころから入り口出口は一番大事だということを教えられてきたわけでございますから、トイレが汚いというのは、あるいは行きたくないというのは、やはり子供の教育にとっても非常に大きな影響があると思いますし、ぜひ改善していただきたいと思います。
 昨年八月、日本トイレ協会主催の学校トイレフォーラムという討議が行われて、その資料を見せてもらったのですけれども、やはり課題が多い現状にもかかわらず教師や教育委員会、行政の理解がないというような声が随分あったようでございまして、私は、そういう子供たちの変化だとかそれから要望だとか、そういうことに機敏に対応していくというのがやはりこれからの教育の一番大事なことじゃないか。教える側の論理でやはり今まで、いろいろな意味で教育行政というのは行われてきたのではないか。そういう意味での行政の機敏な対応ということをぜひお願いしたいと思いますし、このことについて大臣の御見解を賜りたいと思います。
#79
○町村国務大臣 私も、率直に言って余り実態を今知らなかったのでありますが、委員の御指摘を踏まえまして、確かに、最近の子供たちは余り和式のトイレというのは使ったことがないのでしょう。今聞いてみたならば、古い学校のトイレはやはり和式が多い。これを洋式にかえることぐらいはどんどんやれたらいいな、こう思いますし、いずれにしても、大切な御指摘をいただきましたので、しっかり受けとめさせていただきます。
#80
○井上(義)分科員 次に、奨学金制度の拡充についてお伺いしたいと思います。
 昨年八月の国民金融公庫の調査によりますと、平成九年度の進学費用は一人当たり百十七万、一世帯当たりの在学費用は年間百七十三万ということで、ともに平成八年度を上回っているわけでございます。一方、世帯の収入は長引く不況で減少しているわけでございまして、世帯収入の実に二四%を教育費が占めているわけでございまして、これが家計を圧迫している。経済負担に苦しむ家計を支援する方策が焦眉の急であります。
 特に、やはり教育というのは非常に大事でありますから、教育の機会を望む学生に対して経済的な懸念を取り除くということも非常に重要である、こう思うわけでございます。そういう意味で、奨学金制度の大幅な拡充が望まれるわけでございまして、そういう観点から幾つか御質問したいと思います。
 一つは、育英会の貸与制度でありますけれども、今はいわゆる授業料に限られているわけでありますけれども、これは繰り返し主張されていることでありますが、やはり入学金、これも貸与の対象に含めてはどうか。入学金が年々高くなっているわけで、ほとんどが教育ローンに頼るというのが現状なわけでございます。教育ローンの場合は学生みずからが利用するということはできないわけですから、親が借りるということになるわけですけれども、やはり親の今の生活の現状、極めて厳しいということもあって、進学を断念せざるを得ないというようなこともあるわけでございます。
 しかも、分割納入なんかを認めているところもあるのですけれども、ほとんどのところがまだ一括納入ということで、入学金に対する貸与制度、これをぜひ創設してもらいたいというのが関係者の強い要望であるわけでございますけれども、このことについて文部省の見解をお伺いしたいと思います。
#81
○佐々木政府委員 御指摘のように、入学時には入学料、授業料等の学生納付金が多額でございますし、また、下宿や学用品等に係る経費もかなり大きいものがございます。
 そういった点がございますものですから、文部省におきましても問題意識を持ちまして、学識経験者等から構成されます育英奨学制度に関する調査研究会において、育英会の対象として入学金は考えられないかということについて検討していただいたわけでございますが、結論的に申しますれば、教育ローン類似の制度を新たに設けることは難しいというふうなことでありました。
 現在、育英会の奨学金につきましては、大学学部学生の貸与人員を大幅にふやすこと、あるいは、平均的な生活費の増に対応した貸与金額を増額すること、これが大きな課題となっておるわけでございます。こういった課題の実現に向けて努力をしておる、こういう時点におきまして、入学時の一時金等を対象とした国民金融公庫等の教育ローンが存在することを考えますと、現時点で直ちに入学金の貸与制度を設けるということは難しいというふうに考えておるところでございます。
#82
○井上(義)分科員 前にもお伺いして同じようなお答えをいただいたのですけれども。
 やはり奨学金というのは卒業してから自分で返す、自分の責任で返すというのが奨学金なのですよね。ところが、ローンというのはこれは親が返すのですね。そこに大きな違いがあるのですね。ですから、本来、子供はできるだけ親に頼らないで、自分が受けたい教育を受ける、もしそこで奨学金なりお金が必要であれば、それは社会に出てから返すというのが私は一番大事なことだろうと思うのです。やはり親がかりというか親に負担をかげながら学校に行くということについては、私なんかもそうですけれども、抵抗感があるわけでございます。
 そういうところに着目をすれば、国民金融公庫のローンがあるからそれと類似の制度をつくる必要はないとかという物の考え方が、やはり基本的には違うわけでございますから、ぜひ検討していただきたいと思います。時間がないので主張だけしておきますけれども。
 それからもう一つ、貸与の基準ですけれども、貸与の額ですね、それぞれ課程別、国公私別そして自宅、自宅外というふうに定められているのですけれども、生活費のおよそ三分の一強を基準にしている、こういうふうにお伺いしているのですけれども、なぜ三分の一強が基準なのか。これを、実態を考えるとやはり半分ぐらいに引き上げるべきじゃないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
#83
○佐々木政府委員 現在、育英会の奨学生の採用につきましては、学力基準と家計基準によって選考し採用を行っておるわけでございますが、その際、やはり経済的な必要性の高い者についてできる限り幅広に採用をしてまいりたいということを考えておるわけでございます。そういった場合に、限られた財源の中でこの要請を達成するためには、できる限り額が多ければ多いに越したことはないわけでございますけれども、財政事情を勘案し、かつ採用枠というものを両者あわせ考えたときに御指摘のような状況になっておるということでございまして、文部省といたしましては、生活費というものが漸次ふえる、そういう中において、生活費の増に対応した奨学金の額となるようにできる限りの改善を図っておるところでございます。
#84
○井上(義)分科員 済みません。時間が来ましたけれども、最後に一つだけ。
 あと今、親の所得制限というのがあるんですね。さっき言いましたように、これは返還は本人が社会人になってからやるということに着目をすれば、私は、親の所得制限というものは本来撤廃すべきだと思いますし、それからもう一つは成績要件というのがあるのですよ。成績が悪いから奨学金をもらえない、そうするとますますアルバイトしなければいけない、ますます成績が悪くなる。やはり本来、機会を均等にするということが大事なのであって、成績で上げますよ上げませんよというのは、私はこれもおかしい、撤廃すべきだ、こう思うのですが、どうでしょう。
#85
○佐々木政府委員 奨学生の採用の基準、成績基準の件でございますけれども、大学生の入学者選抜方法も近年非常に多様化しておるわけで、単に学力だけではなくて多面的に能力適性を見るというふうな方向に進んでおります。そういった点も考えあわせ、奨学生の選考採用の際に、現行の成績に基づく採用基準を弾力的に適用することも今後検討すべき課題の一つであるというふうに考えておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、今後の育英奨学事業のあり方につきましては、幅広い観点から検討する必要があると考えておるところでございます。
#86
○井上(義)分科員 どうもありがとうございました。
#87
○中山主査 これにて井上義久君の質疑は終了いたしました。
 次に、飯島忠義君。
#88
○飯島分科員 自由民主党の飯島忠義でございます。
 ただいまは、大変真摯な論議が井上義久委員からもなされたところでございますけれども、私も数点にわたって、いよいよ平成十年度の予算審査も大詰めでございますから、させていただきたいと存じます。幸いにきょうは、我が党の大先輩でございます中山利生第三分科会主査、そしてまた私自身が日ごろから敬愛してやまないニューリーダーの町村信孝文部大臣の御出席のもとに論議ができる。大変うれしくも思いますし、また身の引き締まる思いでございます。
 さて、ただいま井上議員からもお話ございましたのですが、昨今の中学生によるもろもろの事件、例えばこれは警察庁の統計でございますけれども、何と刃物を使った少年凶悪犯罪というものが、昨年、九七年は三百七十件、栃木の黒磯北中の女性教師の刺殺事件とか、あるいは江東区の警官襲撃、さらには埼玉の東中の生徒刺殺、これらも含めてですけれども、前年対比で三〇%の増だ。統計的には、一九九三年からの統計でございますけれども、例えば九三年は二百ちょっとでございましたものがここまで来てしまった。世の中何か変なのかなという思いもしますし、何とかやはり英知を集めてこれらの問題に対応する。
 文部大臣も、緊急アピールということで、大変詩的な子供たちに対するもの、そしてまた保護者や学校関係者、すべての大人たちへと分けて出されました。本当にこの優しい文章の中にも、今の世情の厳しさというものを見取らなければいけないわけでございます。
 文部大臣が出された子供向けのアピールについて、再度というか、私自身ももう一度理解をしたいという思いを持って、ちょっと読まさせていただきたいと思います。
  私は、いま、全国の子どもたちに訴える。
  最近、君たちの仲間によるナイフを使った事件が続いている。
  人を傷つけること、まして命を奪うことは、絶対に許されない。
  命を奪われた人たちは、二度と帰ってはこない。
  亡くなった人たちや傷ついた人たちのお父さん、お母さんや家族の悲しみがどんなに深いものなのか、それを知ってほしい。
  そこで、君たちに訴える。
  ナイフを持ち歩くのはもうやめよう。
  学校に持ってくるのもやめてほしい。
  君たちが明るく前を向いて行動してくれることを、切に願っている。
  君たちにもう一度言おう。
  悩みや不安は、遠慮なく友達やお父さん、お
 母さん、先生など大人たちに相談しよう。
  私たちは、君たちの言葉を受け止めたい。
大変につらいつらい、そしてまた何とかしなければいけないという願いを込めたアピールだと思っております。
 さてそこで、そのアピール等々については、これは当然所管の大臣としては時宜を得た、そしてまた非常に中身のあるアピールとして高く評価したいと思うのですけれども、病んでいるその心の問題、これを解決するというものは大変に時間もかかりますし、かといってまた時間をかけてはいけないという、そういう緊急性の強い課題だと思っています。
 そこで、三月三十一日には、心の教育についての中央教育審議会の中間取りまとめというものが出されると聞いておりますけれども、大臣として、そうした状況を踏まえながら、この問題についてどのように基本的な考え方を持っているか、まず伺っておきたいと思います。
#89
○町村国務大臣 飯島委員には平素から教育問題に大変熱心なお取り組みをいただいておりますことを感謝いたしております。
 今御指摘のあった一連の事件、本当に衝撃的であり、また悲しい事件でありますが、当面できることは何だろうかということで、アピールを出したり、あるいは各学校でそれぞれ必要とあらば毅然とした対応をしてもらいたいということを申し上げました。しかし、これはあくまでも緊急対応というような意味合いでありまして、その先どうしようかなということで、今いろいろ文部省の中でも知恵を集めて議論をしているところであります。
 当座、来年度から、できるだけ早い時期から、学校のあいている教室を使って、心の相談の部屋とでもいいましょうか、子供たちの悩みを率直に聞ける、そうした対応ができるようにしていこうといったようなことも考えておりますし、先ほど井上委員からもお話ありました、先生と生徒との数の関係をどうしたらいいかということも、これもやはり考えていかなければならないテーマではあろうと思っております。
 またさらに、今中央教育審議会の中間報告のことにもお触れをいただきました。その中では、学校、家庭、それから地域社会、大人全体に対してそれぞれのアピールを、提言をしてもらおう、こう思っておりますが、特に、今まで余り触れてこなかった家庭教育の重要性という面に着目をいたしまして、家庭として今までのあり方をもう一度見直してもらいたい。それぞれの家庭で守るべきルールをそれぞれつくってもらったらどうだろうか。あるいは、やはり小さいうちから、悪いことは悪いとはっきり言おう、だめなものはだめだと言おうというような、ごく単純なことかもしれませんが、そうしたことなどをそれぞれの家庭でやはりもう一度家庭教育をしっかりやってもらう。
 また、それをお手伝いするために、家庭の教育相談を幼稚園でもやります、保育所でもやりますといったようなことを厚生省と共同しながらやっていく、そのようなことで今小泉大臣とも内々の話を少しく始めているわけでございます。
 そうした各般の取り組みをやっていき、さらには学校全体がもうちょっとゆとりが持てるようにということで、カリキュラムをもう少し精選したり、あるいは学校の五日制というものをできるだけ早くやっていこう。これは少し先の話になってまいりますが、短期、中期、長期とでもいいましょうか、それぞれのことで取り組んでいかなければならない課題である、こう受けとめている次第でございます。
#90
○飯島分科員 御答弁の中でもございました。私自身も、子供を三人育てる中で、どうもやはり父親の存在が薄いなという批判を子供たちから常々浴びてきて、どうやらこうやらみんな成人したわけでございますけれども、やはりこの家庭教育の昨今の現況を見るにつけ、一抹の不安というか、大きなテーマだなという感じを率直に持っているところでございます。
 これは、日教組の川上委員長が先日の大会で、教員側も相当頑張らなければいけないけれども、まさに三位一体というか、学校、家庭教育、地域というもの、これらに対して大いなる論議を深めてもらいたい、そんなあいさつがあったように記憶しています。
 さてそこで、私自身もこの家庭教育の重要性を考えるわけでございますけれども、PTAの存在ですね。これはいろいろ論議があるのですけれども、親の方は積極的に参加してきている。ところが、そのTの部分のティーチャー、先生そのものが、どうもその組織そのものに対して懐疑的というか、いや面倒くさいな、やれ時間がとられるなというようなことも含めて、参加の意欲、参加度合いが若干弱いのではないか。学校経営者であるところの校長先生等もそうした認識に立っていられるのではないかなと思います。
 そこで、これは質問通告していませんけれども、文部大臣、PTAという組織の活性化の中で、先生の参加をいかに高めていくか。もう本当に待ったなしの状況でございますから、ここは一番、先生方の理解、もちろん、そうした組織団体であるところの、日教組を初めとしたもろもろの団体の皆さん方の意向もあるんでしょうけれども、大いにそのやりとりをしていただきたい。
 ついては、先生方がそうした組織に多く時間的にも英知を持ち寄る、そんな機関であってほしいという願いを込めて、先生方の参加についての推奨を大臣としてどういうふうに考えるか、ひとつお願いしておきたいと思います。
#91
○町村国務大臣 大変重要なポイントを飯島委員に御指摘をいただきました。
 確かに、学校により地域によりさまざまな違いがあるのでしょうが、総じて言うと、今委員御指摘のように、PTAのティーチャーの方が、先生の方が確かに多忙だということもあるようであります。昔と比べると、あれもやらなきゃ、これもやらなきやというような意味で、確かに先生方の多忙ということもあるのでしょうが、もう一つは、学校の中のことはできるだけ学校の中で自己完結的に全部やっていきたい、余り外部の人、保護者が外部と言ってはいけないと思いますけれども、ややもすると、そういう体質がとれまでの学校にあったと私も思います。そんなこともあって、いささかTのサイドが消極的だという面が否定できないと私は思います。
 でありますから、これからの学校というのは、学内に閉じこもるのではなくて、もっと外との交流を活発にしていく、開放的にしていく。それがPTAとの関係でも言えますし、あるいは地域の皆さん方、例えば連合町内会の方とか地域の商店街、地域にある企業とか地域にある青少年団体、JCとかいろいろありましょう。やはり、そういう方々と学校がより開かれた関係になって、学校の運営そのものにも御意見をいただく。ちょっと例えが悪いが、会社でいうならば社外重役とでもいいましょうか、そんな感じで、周辺の方々のお知恵もいただきながらいい学校づくりをやっていくという姿勢でこれからはやっていってもらいたい。そんなことを今中央教育審議会の中でも議論をいただいているところでありますが、そのような意味で、PTAももっと活性化をしていっていただきたい、こう思っております。
 同時に、T、先生の立場からすれば、お父さん、お母さんももう少ししっかりやってください
ねと、委員御指摘のような気持ちもあって、家庭のしつけぐらいは、子供のしっけぐらいはしっかり、Pである親御さんたち、もっとお願いしますよという先生方の希望もまたもっともでありまして、その辺はお互いに努力をする部分があるんだろう、こんな印象を持っており、そういう方向でこれから文部省も取り組んでいきたいと考えております。
#92
○飯島分科員 まさにこれは先生の責任だ、あるいは両親の責任だ、そういう問題ではないのですね。本当に、大事な命というものあるいは大事なそれぞれの個性というものをどういうふうに伸ばしていくかという高邁な理念の中で、やはり真剣な論議を、そして、いつまでもかかってやる課題ではございませんので、ぜひとも御努力をいただきたいと思っています。
 次に、文部大臣に大変重大な指摘をしておきたいと思うのですよ。
 実は私、労働委員会の委員を務めていまして、今回の雇用保険法の改正に絡む問題で、私立の小中高も含めた先生方が、雇用保険の改正があったとしても、半ば不法状態、つまり雇用主が入っていない、こういう状況があるんですね。
 例えば、これは平成六年の数字なんですが、当時、参議院の労働委員会における細谷昭雄委員からの質問に対して、自由民主党は野に下っておりましたから、鳩山邦夫当時の大臣が、一種の違法状態が生じているということについては残念だ、こういう答弁をしているのですね。
 その数字はといいますと、現実の雇用保険の適用状況を見ますと、平成六年四月現在で、幼稚園については学校ベースで九〇%、教員ベースでは八〇%と相当適用が進んでいるものの、小中高校、大学、短大では適用が進んでおらず、全体で見ても、学校ベースで七〇%、教員ベースで三五%の状況であった。
 御案内のとおり、今度の雇用保険法の改正というのは、介護保険の導入も相まって介護についての適用もしますよとか、あるいは産業構造の変化に伴うところの他の新しい能力を開発する、あるいは本人がトレーニングを受けるといったことで教育訓練に伴うところの適用もしますよとか。
 この平成六年の折の論議も踏まえてでございますけれども、まず、今数字的に、事務方で結構でございますから、当時からこの加入が相当進んだというような事実はございますか。
#93
○富岡政府委員 先生よく御案内の点でございますけれども、御指摘のとおり、事務職員につきましてはすべて加入しているところでございますけれども、幼稚園以外の教員についての加入実績がはかばかしくない状況でございます。
 平成七年四月ということで見ますと、学校数ベースでは大学、短大が」八・四%、小中高校が二〇・七%、幼稚園が八七・九%。数といたしましては、それぞれ六年に、先生御案内のように、育児休業給付が実施されましたのは七年からでございますから、六年から七年の間には、若干でございますが、〇・数%というようなオーダーでございますけれども、多少ふえてはいるわけでございます。
 それから、教員ベースで申しますと、大学、短大が九・二%、小中高校が一六・七%、幼稚園が八一・八%、こういうふうになっている状況でございまして、教員数で申し上げましても、六年から七年につきましては〇・五%あるいは〇・六%、学校種によって違いますけれども、多少伸びてはおりますけれどもまだまだ十分でないという状況でございます。
#94
○飯島分科員 せっかく国会挙げてというか、労働委員会でもよりよき労働環境の整備ということで努力をしているさなかに、本来やはり教育機関の学校経営者というものは、法的な整備、それを当然のように受けとめて、そしてそれについての努力をする必要があると思うのですね。
 ところが、現実、平成七年の改正の育児休業給付、今回、介護あるいは教育訓練、そういうものの改正がなされた。採決をちょうど今回時間にやっていますので、私自身も採決されたのではないかなという思いを持っておるのですけれども。大臣、この問題、女性の先生方も多いわけですよね。あるいは、おじいちゃん、おばあちゃんを抱えている先生もたくさんいらっしゃる。にもかかわらず、私学の学校の先生方がそういう違法状態に置かれているという現況、これを改善するための決意のほどというか、質問通告しておりましたので当然内部で検討なされたと思うので、ひとつお示しをいただきたいと思います。
#95
○町村国務大臣 委員の御指摘があるまで私自身は実はこの問題点を認識しておりませんでした。甚だこれはよろしくない状態でございますね。早急な改善を図らなければならないと思います。
 今までの経緯論は経緯論として、まさに委員御指摘のように平成十一年度から介護休業給付といったようなこともつけ加わってくるというような状況でございますから、文部省も一生懸命取り組みますし、また、労働省ともよく連携をとりながら、できるだけこの私学側の雇用保険について理解が深まり、どんどん加入してもらえるように努力をしてまいります。
#96
○飯島分科員 労働大臣も、町村文部大臣とよく話をしてお願いをするという強い決意のほどをされていましたので、ひとつ事務方も含め、極論ではないのですけれども、もっと学校よしっかりしろ、経営者よ、法体系を整備しても何ゆえに加入しないのだと。ましてや介護という問題も大きい問題でございますから、お願いをしたいなと思います。
 ちょっと問題を多く持ち過ぎてしまって、時間があと十分ぐらいしかございませんので、用意した中であと三点ほど、はしょってさせていただきます。
 国公立大学と私立大学の役割分担、これは大事だと思うのです。文部大臣は国立大学、主査と私は私立てございますけれども。十八歳人口が平成四年度の二百五万人をピークにして低下の一途、平成九年度は百六十八万人という統計が出ております。
 他方、大学数は、一九七〇年が国立が七十五、公立が三十三、私立が二百七十四、合計で三百八十二。それが、一九九五年ベースになりますと、国立が九十八、公立が五十二、私立が四百十五、つまり五百六十五となるわけでございます。
 こうした状況の中で、国立大学の真に果たすべき役割は明確にしなければいけないと思うのです、少子社会ですから。国立大学でどういう分野を担っていくのか。どうもやはり、全国に国立大学もいろいろございますけれども、特徴というものを出そうということで努力はしているように見受けることもできるのですが、いまだまだまだ。それぞれの大学の先生方にゆだねられている、そんな思いもするわけでございますけれども、どんな指導も含めたやりとりをされているのか、そしてまたこれからどういうふうにしようとしているのか、まずそれから伺っておきたいと思います。
#97
○町村国務大臣 非常に少子化そして財政状況厳しい中で、国立大学そして私立大学、それぞれどういう役割を果たしていくかという大きな問題でございます。
 実は昨年、まさに委員が言われたような問題意識から大学審議会の方に諮問をしたわけであります。今までのところを見ますと、国立大学は、大きく言いまして、例えば研究あるいは研究者の養成。大学院以上レベルのところはかなり国立大学がやってまいりました。それから理工系とか医学部とか、要するに、表現を変えて言いますと、一人当たりの教育費が多分余計にかかる部分は国立大学がやってきました。
 それから、地域に、各県に満遍なく置くという意味で、どうしても私立の学校は大都会志向でございましょう。そういう意味で、地域の活性化に役立つ、地域の子弟を受け入れるというような意味合いで国立大学が地域に分散をされていた。今まではそういうような役割を確かに担ってきたし、それぞれの意味合いはあったろうし、逆に、人文系の学部を中心に、私立大学は約八割の学生さんを現実に学部レベルで育てていただいている
というこれまた大きな役割を担っております。
 今後もそれでいいのかどうなのか。御指摘のように、どんどん十八歳人口が減ってまいります。そのうち、進学率を一定にしておくと、もう希望する人は全員入れるどころかオーバーフローするというぐらいの予測さえあります。そういう中で、国立大学、公立大学、私立大学、どういう役割を担っていくべきかということをもう一度考えて、国民的なコンセンサスを得るために今審議会で鋭意御検討をいただいている、そういう段階でございます。
#98
○飯島分科員 ひとつその辺の、特徴ある国立大学の大学経営というか、指針を示していただきたいなと思っています。
 それに絡んでというところで、本当は、平成十年度予算における国立学校施設の整備予算、これが千四百五十一億と前年度に対して百十二億減、つらいつらい平成十年度でございますけれども、そういう厳しい施設の中でも高道な勉強にいそしんでいただきたいな。これは質問だったのですけれども、時間がございませんので、最後の質問に移ります。
 文部大臣、「サピオ」という雑誌を御存じですか。これは最近号ですね、一九九八年三月二十五日号、「世界大学ランキング(ジャック・ゴーマン氏のリポートより。アメリカの大学除く)」「日本の大学が世界ランキング「ベスト四十」にも入らない理由 「ゴーマン・リポート」著者ジャック・ゴーマン」「日本の大学を国際的に評価すると、必ずしも教育自体の質が欧米の大学に劣るとは思わない。日本には優秀な教授陣を擁する大学も多い。しかし、ランキングで欧州の大学よりも低い評価となっているのは、(1)カリキュラムの内容、(2)学生に対する教授陣の数、(3)大学事務局のリーダーシップの欠如、という問題が指摘できるからだ。 特に(3)については、学長の指導力のなさ、教育機関としての目標が不明確、広報活動、資金収集活動の不足――などを強調しておきたい。いくら日本の大学が文部省の厳しい管理下にあるといっても、国際的な評価をする場合の言い訳にはならない。」
 例えば、ランキングでこれを三つに分けています。一つは「授業プログラムの効果性」。これはパリ大学というのがすごいのです。アメリカの大学を除いてというところで、全部、例えば「授業プログラムの効果性」「教職員の質」「学問の質」、オール一位です。
 二位はというと、イギリスのオックスフォード大学。以下、ケンブリッジとかハイデルベルグ大学とか、リヨン大学、ミュンヘン技術大学、フランスのモンプリエですか、八番はウィーン大学、九番はエディンバラ大学、十位はジュネーブ大学、十一位ブリュッセル、十二位ゲッティンゲン大学、十三位チューリッヒ、十四、以下こうあります。
 これは一人の方が評価したわけで、私自身は、決してそうではない、日本の大学も捨てたものではないぞという思いを持っておりますけれども、気になるところでございまして、何と日本の大学でやっと出てきたところで、「教職員の質」では四十三番目に東京大学、「学問の質」では四十一番目に東京大学。これはちょっと偏向した調査ではないかなと思っていますけれども、ちょっと心配するところでございます。
 そこで、二十一世紀の大学像と今後の改革方策についてお伺いしたいと思います。
 現在までのところ、九割を超える大学がカリキュラムの改革を実施して、八割以上の大学が自己点検・評価を実施しておる現状については認識をしております。
 ただ、一九九二年にノーベル経済学賞を受賞したゲーリー・ベッカー博士が言うように、教育や訓練に対する個人の投資は、企業が機械や工場などに充てる投資と同等であるわけで、こうした部分的な改革にとどまらず、二十一世紀を目前に控えた現在、学生の教育に対する投資授業料あるいは入学料に見合う価値のある大学をつくるために包括的な改革方策を示す必要があると考えております。
 つきましては、大臣の強い決意のほどをお聞きして、私の分科会の質問を終えたいと思っております。
#99
○町村国務大臣 これまた大変重要な問題点を委員から御指摘いただきました。
 今それぞれ御指摘あったように、大学も相当な自助努力、自己改革努力というのをやっていただいていると思っております。中には、そういう危機意識のない大学もあるようであります。しかし、総じて言うと、相当な、今御指摘のあったようなカリキュラムの改革でありますとか、授業方法でありますとか、あるいはファカルティーディベロプメントというような言葉もあるようでありますが、そうした教授陣の面から見ての改革とか、いろいろな改革、施設の整備等々あると思います。
 ただ、全体としてはいい方向には向かっていると思いますが、じゃ、十分かというと、まだまだ不十分な面が多々ある。もっともっと私は、自助努力、改革をしてもらわなければならない。そんな思いを込めて、二十一世紀の大学像を設定し、すぐれた専門教育を行う大学院をどう充実していくか。
 学部の方も、どんどん入れてどんどん卒業させていますけれども、そんなことでいいのだろうかといったようなことでありますとか、あるいは大学の、ちょうど御指摘のありました管理運営のあり方、学長のリーダーシップとか、そういうものが非常に特に国公立大学の場合は欠けている。旧態依然たる学部の自治、教授会の自治といったようなもののあり方でありますとか、あるいは最後にも御指摘のあった評価のあり方、自己評価、第三者評価、それぞれやってはいるようでありますが、私の見るところ、まだまだおざなりであり、不十分であり、本当に適切な評価が行われているかというと、まだまだだと私は思っております。
 そういう意味からも、これは相当大学の皆さん方に危機意識を持ってもらいたい、そういう思いを込めて諮問をいたしまして、六月ごろには中間まとめを出していただこうと思っております。多分非常に立派な中間まとめが出てくると思いますが、しかし要は、個々の大学がそれを受けとめて、どういう気持ちで実際自分で感じ、自助努力に取り組んでもらえるか、その危機意識だろうと思います。
 危機意識なき国立大学も公私立大学も私はつぶれると思います。つぶれてもいいと思っています。積極的につぶすとは文部大臣の立場からは言えません。ただ、そういう自助努力をしない大学は、さつき申し上げましたように、大学に行きたいという人の数より定員の方が多くなってしまうわけですから、空き定員といいましょうか、出てきます。現実に、志願をして受験をする人の数が減ってくるわけですから、それが例えば私学の経営にとっては非常に大きな収入源になっていて、それが現実に減っていくわけですから、現にそれで非常にもう苦しみ始めている私学も少なからず見受けられます。
 したがって、それは、私学であると国公立大学であるとを問わず、そういう極めて危機意識を旺盛に持っていただければ、もっともっと積極的な自助努力、自己改革努力を大学側に私は促していきたいし、頑張っていっていただきたい、こう思っております。その指針となるようなものを、審議会で今中間まとめを六月ごろに出していただけるのかな、こう考えているところであります。
#100
○飯島分科員 時間が参りましたので、終わりたいと思います。
 本当に自由民主党も、橋本政権の中で、六つの構造改革、教育というものが入っていなかったということで御指摘を受けて、六つ目に滑り込んだ大きな大きな課題ではございますけれども、私は、六つ目ではなくて一番大事なトップに来なければいけない、そういうテーマだと思っています。
 文部当局におかれましても、今の世情にかんがみて、十二分に当局としての役割を果たしていた
だきたいということを申し上げて、私の質問を終えさせていただきます。
 ありがとうございました。
#101
○中山主査 これにて飯島忠義君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして文部省所管についての質疑は終了いたしました。
 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。
 これにて散会いたします。
    午後零時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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