くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第142回国会 科学技術委員会 第12号
平成十年五月二十二日(金曜日)
    午前九時四十一分開議
出席委員
  委員長 大野由利子君
   理事 小野 晋也君 理事 河本 三郎君
  理事 三ッ林弥太郎君 理事 山口 俊一君
   理事 辻  一彦君 理事 吉田  治君
   理事 斉藤 鉄夫君 理事 菅原喜重郎君
      奥山 茂彦君    木村 隆秀君
      杉山 憲夫君    田中 和徳君
      平沼 赳夫君    松本  純君
      村井  仁君    望月 義夫君
      近藤 昭一君    佐藤 敬夫君
      鳩山由紀夫君    漆原 良夫君
      近江巳記夫君    吉田 幸弘君
      吉井 英勝君    辻元 清美君
      中村喜四郎君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      谷垣 禎一君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     沖村 憲樹君
        科学技術庁研究
        開発局長    青江  茂君
 委員外の出席者
        文部省学術国際
        局研究機関課長 合田 隆史君
        参  考  人
        (宇宙開発事業
        団理事長)   内田 勇夫君
        参  考  人
        (宇宙開発事業
        団理事)    石井 敏弘君
        参  考  人
        (宇宙開発事業
        団理事)    十亀 英司君
        科学技術委員会
        専門員     宮武 太郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十二日
 辞任         補欠選任
  大島 理森君     松本  純君
  近江巳記夫君     漆原 良夫君
  中西 啓介君     吉田 幸弘君
同日
 辞任         補欠選任
  松本  純君     大島 理森君
  漆原 良夫君     近江巳記夫君
  吉田 幸弘君     中西 啓介君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 宇宙開発事業団法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第一〇〇号)(参議院送付)
         
     ――――◇―――――
#2
○大野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、宇宙開発事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、本日、参考人として宇宙開発事業団理事長内田勇夫さん、同理事石井敏弘さん及び同理事十亀英司さんの出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#4
○大野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤鉄夫さん。
#5
○斉藤(鉄)委員 平和・改革の斉藤鉄夫でございます。
 きょうは、宇宙開発事業団法の一部を改正する法律案の中身についての質問と、それから、現在の宇宙開発にかかわる諸問題について質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、この改正案でございますが、先日水曜日に審議をいたしまして、その審議の中で取り上げられなかったことを、ちょっと細かい点になりますけれども、質問させていただきたいと思います。
 まず、ロケット打ち上げによる第三者の損害ということですけれども、具体的にはどんなことが想定されているのか、その点についてお伺いします。
#6
○青江政府委員 御説明申し上げます。
 第三者への損害ということでございますけれども、御案内のとおり、宇宙開発事業団のロケット打ち上げに際しましては、そのような損害というものを与えないよう万全の措置を講ずるというのが第一であろうというふうに思うわけでございますけれども、理論的には、ケースとしては考えられるということでございます。
 例えばロケットが予定進路を外れた、こういう場合におきまして、通常でございますと、これはもう指令破壊のボタンを押しまして、そのロケットというものを破壊をしてしまう。これによりまして、他人に損害を与えるようなことのないようにするということでございますけれども、これが何らかの要因によりまして指令破壊が言うことを聞かないというふうなことになりまして、そのロケットが例えば人家等の上に落下をするというふうなケースでございます。
 それから、警戒区域を設けまして船舶等が入らないようにしていただいておるわけでございますけれども、そのときに何らかの要因で船舶が入ってくる。そこへ、ロケットの固体ブースターにしろ一段目というのは落ちるわけでございますが、それが、非常に確率の低いことであろうと思うわけでございますが、船舶の上におっこちてくるというふうなケース、こういったものが理論的には考えられるというふうに思ってございます。
#7
○斉藤(鉄)委員 そうしますと、ロケットで打ち上げた衛星が将来何らかの形で第三者に被害を及ぼす、その衛星が将来地上に落ちるとか、宇宙の上でほかの衛星とぶつかるとか、そういうことは全く今回の法律とは関係ない。まずロケットの打ち上げ、ですから、打ち上げてから数分間だと思いますけれども、その範囲の中の第三者被害、そういうことでございますか。
#8
○青江政府委員 現実問題としましては、先生今御指摘のようなところであろうというふうに思ってございます。
#9
○斉藤(鉄)委員 過去にはどんな事故があったのでしょうか。それをお聞かせください。
#10
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 過去におきましては、一九九六年に中国で起きました、長征、ロングマーチでございますけれども、この打ち上げによりまして人命及び財産的な損害というものが生じたというふうに報告をされてございます。それ一件のみでございます。
#11
○斉藤(鉄)委員 非常に確率としては小さいということかと思います。
 もちろん、今回それに係る保険についての法律でございますが、保険を掛けているとはいえ、できるだけ第三者事故を小さくする努力というのは、打ち上げ者として、また国として当然されなければならないと思いますが、そのような努力、措置はどのようなものがあるでしょうか。
#12
○青江政府委員 御説明申し上げます。
 打ち上げに際しましては、まず打ち上げ計画というものを、打ち上げ実施者でございまする宇宙開発事業団の方で策定するわけでございますが、その過程の中におきまして、安全対策というものを十分にかみ込んだ打ち上げ計画というものを策定をする、これが第一であろうと思うわけでございます。その上に立ちまして、ずっと組み上げていくわけでございますが、そのプロセスの中におきまして、何段階かにわたりまして安全審査というものを個別具体的に行う。
 さらに、先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、陸海空域におきまして、一定の警戒区域というものを設けまして、そして事前の船舶等の立ち入りというものがないように、きちんとした連絡というものを行う。そうした上で、打ち上げ後、万々が一の飛行経路をそれるというふうな事態には、ロケットの推力を停止する、そして指令破壊のボタンを押す、こういう形で安全確保というものを図っておる、こういう状況にございます。
#13
○斉藤(鉄)委員 先ほど、想定される事故として、破壊をして落ちてくるものが例えば船舶に衝突するというような説明もございましたけれども、その警戒区域というのは大体どのぐらいの広さでしょうか。
#14
○青江政府委員 海域におきまして、大体、幅が十数キロ、長さが三十キロ程度の海域というものを設定しまして、海上保安庁を通じまして各種船舶への通報を行っている、そういう状況にございます。
#15
○斉藤(鉄)委員 よくわかりました。
 ロケット打ち上げについての第三者被害、これまでもある程度想定をされて、措置をされていたと思うのですけれども、今回の法律改正で何が変わったのかという点をわかりやすく御説明願いたいと思うのです。
 この場合、これまでのロケットの打ち上げはそうでございますけれども、事業団みずからが打ち上げる場合の第三者被害について、これまでとこれからがどう変わるのか。それから、第三者の委託による打ち上げ、受託打ち上げという言葉になっておりますが、その受託打ち上げの場合、これまでとこれからがどう変わるのか、わかりやすく説明をお願いします。
#16
○青江政府委員 御説明申し上げます。
 これまでNASDAの自主ミッションとしまして打ち上げておりました場合、これは従前、保険につきましては任意に掛けておったわけでございます。今後は、自主ミッションにつきましても、いわゆる強制付保と申しましょうか、法律上、保険を掛けるということが義務づけられるということに変わるわけでございます。それから、受託打ち上げということにつきましては、これも強制的に保険を掛けなければならない、こういう状態でございます。強制付保というのが、今回の法律のポイントとしましては一点ございます。
 もう一点は、宇宙開発事業団が他者から頼まれまして打ち上げる、こういう受託打ち上げの場合におきまして、そのコントラクト、契約を締結する際に、第三者に損害を与える場合、そのようなケースにおきまして、宇宙開発事業団側に実質的に責任を集中するという特約を結ぶことができる、これが法律の第二点目のポイントでございます。
 ということでもちまして、その受託打ち上げの場合には、今申し上げましたような、宇宙開発事業団に第三者損害賠償につきましては全面的に責任を集中するという措置を講ずるような形になったというのが変化でございます。
#17
○斉藤(鉄)委員 特約については後ほどちょっと質問させていただきますが、そうしますと、これまでは義務づけられていなかったけれどもみずからの意思で措置をしていた、今回の法律によって義務づけられる、そういう非常に単純な理解でよろしいのでしょうか。
#18
○青江政府委員 先生御指摘のとおりでございます。
#19
○斉藤(鉄)委員 わかりました。
 それでは、ちょっと条文について聞かせていただきます。
 第二十四条の二、「保険契約の締結」というところでございます。この第一項では、事業団が、保険契約を締結していなければ、人工衛星等の打上げを行ってはならない。この保険という場合はもちろん第三者被害の保険ですけれども、打ち上げを行ってはならないということになっておりますが、同じ第二十四条の二の三項に、「第一項に規定する保険契約は、同項の規定にかかわらず、人工衛星等の打上げの委託者(以下「打上げ委託者」という。)が、事業団に代わって、事業団のために締結することができる。」ということですけれども、素人が単純に考えれば、事業団が打ち上げるのだから事業団が保険を組めばいいじゃないか、こう思うわけですが、この第一項と第三項、どうして違うのか、何が違うのか、わかりやすくお願いします。
#20
○青江政府委員 御説明申し上げます。
 宇宙開発事業団が自主ミッションとしまして打ち上げる場合、これはもう単純に、宇宙開発事業団が自分で保険会社と契約をいたしまして保険を掛ける、こういうことになるわけでございますが、宇宙開発事業団が他者から頼まれて人工衛星を打ち上げる場合におきましては、いわゆる頼んだ方が保険を掛けるのか、頼まれた宇宙開発事業団、打ち上げ行為の主体は宇宙開発事業団でございますが、頼まれて打ち上げを行います宇宙開発事業団が掛けるのか、このあたりにつきましては、それは個別具体的に、そのときの事情によりまして御判断をいただければよろしいのではなかろうかということでもちまして三項というものができておるということでございます。
#21
○斉藤(鉄)委員 今、個別具体的にという御答弁でしたが、そうしますと、受託打ち上げの場合でも事業団が直接保険契約してもいいという場合もあるということでしょうか。
#22
○青江政府委員 御指摘のとおりでございます。
 そのときの頼んだ人と、それから頼まれた宇宙開発事業団との話し合いによりまして、その保険を掛ける締結当事者はどちらでも、そのときの実態に即して一番効果的といいましょうか、効率的な道をとればいいのではないかというふうに思っているわけでございます。
#23
○斉藤(鉄)委員 その点についてはわかりました。
 次の第二十四条の三ですけれども、第一項で、特約という言葉が出ております。「受託打上げにより受託打上げ関係者以外の者に損害が生じた場合における損害賠償の責任に関し、次に掲げる内容の特約をすることができる。」第二十四条の二は保険契約の締結でございました。第二十四条の三は特約。この特約というのはどういう意味なんでしょうか。普通の契約とどこが違うのでしょうか。
#24
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 特約というのも、当然のことながらいわゆる契約という概念の中に含まれる一形態にすぎないわけでございますが、一般的に、特約というものは、講学上、特別な条件を附帯した約束、こういったふうな意味に用いられておるわけでございます。すなわち、宇宙開発事業団と打ち上げの委託者の間で、その打ち上げに係ります全般的な契約というものが締結されるということになるわけでございますけれども、その場合におきまして、第三者に対する損害賠償責任に関しまして、特に宇宙開発事業団側に実質的に責任集中を図る、これを特別に一条項をほうり込むといいましょうか、そういうことを規定をするという場合、それの条項、それを特約というふうな表現をとっておるというところでございます。
#25
○斉藤(鉄)委員 ちょっとよく理解できなかったのですが、今回事業団に責任の集中化を行うということですが、それは普通の契約ではできなくて、特約という項目で特に行う、こういう御説明だったのでしょうか。
#26
○青江政府委員 条文上、条文をごらんいただきますと、特約を結ぶことができるということでもちまして、一種宇宙開発事業団に機能というものを与えておるわけでございます。
 それは、通常でございますと、宇宙開発事業団が打ち上げますけれども、関係当事者、いわゆる打ち上げを頼んだ人でございますとかロケットメーカーでございますとか、いろいろな関係者がおるわけでございます。そうして、宇宙開発事業団が打ち上げましたときに第三者に損害を与えたといたしますれば、通常の、民法の原理原則とでも申しましょうか、そういう形で法律関係というのが形成されるわけでございます。そういうのが一般原則でございますけれども、それに対しまして、先ほど来申し上げてございます、宇宙開発事業団にその第三者損害賠償の責任というものを実質的に集中していくという道を開こうではないかというのが今回の趣旨でございまして、その意味におきまして、宇宙開発事業団がそういうことができるようにするというのが今回の法律のいわゆる主眼目でございます。
#27
○斉藤(鉄)委員 事業団に責任を集中する、そういう体制をつくるために特別に特約という形でその道をつくった、こういう理解でよろしゅうございますか。わかりました。
 その責任の集中なんですけれども、第二十四条の三、一項の一号に、「当該受託打上げに係る受託打上げ関係者も同一の損害について賠償の責めに任すべきときは、事業団が当該受託打上げ関係者の損害賠償の責任の全部を負担するものとすること。」まさにここがポイントだと思うのですが、要するに、事業団があって、打ち上げ関係者はいっぱい事業団以外にもあるけれども、第三者被害があったときはもう事業団がすべて責めを負いますよ、簡単に言えばこういうことだと思うのですけれども、そういうことはリーズナブルなことなんでしょうか。
 科技庁さんからいただいたこういう資料がございました。事業団がありまして、打ち上げ委託者がありまして、これは現実には、HUAでいえばロケットシステム。ロケットメーカーはこの事業団とは線が結ばれていませんで、ロケットメーカーは打ち上げ委託者と線が結ばれていまして、事業団は打ち上げ委託者と線が結ばれていました。つまり、実際にロケットをつくるメーカーと実際に打ち上げる事業団の間に打ち上げ委託者が入って仲介をしている、こういう図を見せていただきましたけれども、その直接契約関係にないロケット、そのロケットのふぐあいで例えば第三者に被害を与えた、そういう場合でも、なぜ事業団が全責任を負わなければいけないのですか。
#28
○青江政府委員 御説明申し上げます。まず、受託をいたしましてロケットの打ち上げを行いますのは宇宙開発事業団でございます。宇宙開発事業団は、打ち上げという行為の一番頭から最後まで、指令破壊のボタンを押すところまで、すべてのことにつきまして宇宙開発事業団がコントロールをしてございます。そういう打ち上げの実態というものからいたしますれば、当該行為によってトラブルが起きるわけでございますので、そうすれば、宇宙開発事業団がまず責任を負うというのは、これは必然的にあろうかと思うわけでございます。
 ただ、そのときの遠因といたしまして、今先生御指摘の、ロケットメーカーが持ち込んだロケット自体の瑕疵といいましょうか、それが遠因であったということだといたしましたときに、何で宇宙開発事業団が全面的な責任というものをかぶるのかということでございますけれども、一つは、米国及びヨーロッパにおきましてのいわゆる損害賠償のスキームというものを見ましたときに、実態論としまして、そのような打ち上げの行為に携わっている者自体がその責任を負うとでもいいましょうか、責任の前面に出てくるというふうな形、及び、公的機関というものが責任を負うという形、こういったものができ上がっておるわけでございまして、それと同等、同質な責任のスキームというものをつくるということが第一であろうと思うわけでございます。
 と同時に、ロケットメーカーにしましても、衛星の顧客にいたしましても、それから、先ほどちょっと言及されましたロケットシステム、いわゆる頼んだ者というふうな、関係者多数というものになりましたときに、被害者救済という観点からいたしますれば、そこの間の法律関係というものが非常に錯綜いたしまして被害者救済におくれが生ずるといいましょうか、そういったふうなことがあってはならないだろうというふうに思ってございまして、そこのところは非常にシンプリファイいたしまして、被害者救済の実を上げていくというふうな効果というものも、このことによりましてねらっておるわけでございます。
#29
○斉藤(鉄)委員 先ほどの御答弁は、欧米のシステムとの比較、それから、現実に第三者被害が生じたときに、その被害者の利便、そういうことを考えれば、NASDAに全責任を集中しておいた方がやりやすい。確かにそうだと思います。
 では、一たん全責任を負って、後でゆっくり原因を調べて、例えばロケットに欠陥があったということがわかれば、それは両者の関係で後ほど求償をしていく、こういうふうな理解でよろしいのですか。
#30
○青江政府委員 求償につきましては、故意にのみ限定をしてございます。ロケットの打ち上げに絡みましての全体的な法律関係というものを見ましたときに、故意にのみ限定をしておる。これが、欧米のスキームも大体そのような形で成立してございまして、打ち上げというものに絡みましての大体の整理といいましょうか、関係者間の法律関係のつくり方といいますものの一種の国際相場と申しましょうか、そういう形になってございまして、それに沿いまして、我が国におきましてもそのような整理をいたしたというものでございます。
#31
○斉藤(鉄)委員 その点については理解できました。
 次に、先ほど特約の意味を聞いた質問と結果的には同じ質問になるかもしれませんが、第二十四条の二、「保険契約の締結」のところに、「事業団に代わって、事業団のために締結することができる。」という文章があります。それから、二十四条の三の第三項に同じように、「打上げ委託者が、事業団に代わって、事業団のために締結するものとする。」これは受託打ち上げに関する特約の部分についての文章ですが、法律的に同じことが書いてあるようにしか素人には見えないのですが、どこに違いがあるのか、どうしてこういう表現になっているのか、わかりやすくお願いします。
#32
○青江政府委員 御説明申し上げます。先ほどちょっと、大変説明があれでございまして、申しわけございませんでした。
 二十四条の二第一項は、いわゆる自主打ち上げ、宇宙開発事業団が自分のミッションで打ち上げるときには自分が掛けます、掛けていなければ打ち上げてはいけません、こういうものでございます。
 それで、頼まれて打ち上げる場合におきましては、頼んだ人が掛けるのか、宇宙開発事業団が掛けるのか、これは個別具体的に、当事者間のお話し合いによって、最もいい方途でもってやっていただけましたらよろしいでしようというものが第二十四条の二の第三項でございます。
 頼まれた場合のもう一つのケースとしまして、先ほどございました、特約を付した場合、宇宙開発事業団がいわゆる全部の責任を負いましようということでもって特約を付した場合というのが二十四条の三の三項でございます。その場合におきましては、頼んだ人がきちんと掛けてくださいまこういうふうに整理をしているわけでございます。
 これはなぜかということでございますけれども、いわゆる全部負担の特約をするということでもちまして、それだけの責任を宇宙開発事業団がかぶるわけでございますので、その間におきましての責任の公平な分担ということからいたしまして、少なくとも保険の付保ということにつきましては、有無を言わさず、いわゆる頼んだ方に掛けていただきましようというふうに整理をいたしたわけでございます。
#33
○斉藤(鉄)委員 今回の第三著被害に対する保険の整備は、これからHUAロケットが打ち上げビジネスへ参入していく、その国際競争力という観点からも、欧米と同等の制度にしておかなくてはならない、こういう背景があったとお聞きしておりますけれども、このHUAロケットの受託打ち上げ、受注の現況と、今後伸びるのか伸びないのか、今後の見通しについてお聞かせください。
#34
○青江政府委員 御説明申し上げます。
 HUAロケット、今開発途上にあるわけでございますけれども、開発自体は順調に進んでおるというふうに御報告できるかと思いますけれども、そのHUAというものを用いましての受注の状況、これは一昨年の秋でございますけれども、我が国のロケットシステム株式会社が、米国のヒューズ社とロラール社からそれぞれ十機、十機、プラスアルファというオプションでございますけれども、そのような成約になったという報告を受けてございます。
 それから先の問題でございますけれども、これは、例えばロケットシステム、そういった会社の今後のマーケティングの努力というものに大いに期待をいたしたいというふうに思うわけでございますけれども、私どもが開発に携わってございますHUAというものの性能といいましょうか、それからコストの見通し、それから、今後におきましての商業打ち上げのニーズ、需要というものの将来動向、例えばここ十年間の商業打ち上げの需要というものを見ましたときに、大体二百機というふうに言われてございますけれども、二〇〇〇年から先の十年間程度の見通しを見たときに、それの三倍といった程度の需要の増加というものが見込まれるというふうな需要動向を考え合わせますと、私どもといたしましては、HUAというものが引き続き、さらに大いに活用されてくるということを期待しておるところでございます。
#35
○斉藤(鉄)委員 我々も大いに期待しているところでございますが、そういう状況の中で、今回HHロケット五号機の打ち上げの失敗の事故がございました。
 これまで、NI、NU時代も含めて、失敗のなかったロケット打ち上げに大きな失敗があったわけですけれども、日本開発のロケットの信頼性が大きく傷ついたのではないかと言われております。そういう意味で^国際社会での日本のロケットの信頼性の変化、また、具体的にこのHnAロケット打ち上げ委託、この受注に影響があるのかどうか、その見通しをお伺いします。
#36
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 まず、先般の「かけはし」の打ち上げにつきまして、軌道投入に失敗をいたしたということでございますが、その原因究明というものを今進めておる途上にあるわけでございますけれども、いわゆる起きた事象のシークエンスというのは大体確定ができておるというふうな状況に今あるわけでございますけれども、LE5及びLEsAというエンジンというものが、これまで十四回無事、正常に機能してきておるというふうなことを考え合わせますと、大幅な設計変更というふうなものに至らないのではなかろうか、そういう性格のトラブルではなかろうというふうな見通しを宇宙開発事業団側では持っておるというふうに聞いてございまして、そういうふうな諸点も考えますと、信頼性ということにつきまして大きく損なったという事態ではないのではないか。
 ちなみに、ロケットシステムという会社の方から報告を受けているところでございますれば、衛星顧客といったところからのある程度の問い合わせというのは当然あったわけでございますけれども、きちんと説明はしたということでもちまして、何か契約をどうこうするとか、こういったふうな動きというのは全くないというふうに聞いております。
#37
○斉藤(鉄)委員 国際社会的にも日本のロケットの信頼性が大きく傷ついたという状況ではないというふうに私も認識しておりますけれども、今、一番大事なときではないかなと思います。
 といいますのは、最近、ちょっとNASDAさんの前で言いにくいのですが、失敗が続いている。三年前になりますか、技術試験衛星w型、いわゆる「きく六号」のアポジモーダーの失敗による軌道投入失敗がございました。それから、ここ一年の間に、例えば昨年の六月には地球観測衛星「みどり」が太陽電池パネルのふぐあいで結局観測ができなくなった。それから、「きく六号」の後ですけれども、「きく七号」、これは昨年の十一月ですけれども、太陽電池パネル制御系に故障が見つかって修復しておりますけれども、その後も一時的に姿勢制御不能に陥るなど、状況が安定していない。それから今回のHUロケット五号機の打ち上げ失敗ということ。
 開発ですから、すべて成功ということはあり得ないと思います。失敗はっきものでございまして、その失敗を材料にして、より信頼性の高いシステムを構築していくということで、失敗そのものをあってはならないと言うつもりはございませんけれども、ちょっと続き過ぎているのではないか。そして、日本の宇宙開発体制の信頼性に今傷がつき始めているのではないか、このように認識をしているところでございますが、科学技術庁さんはこの状況をどういうふうに認識をされているか、また、NASDAさんはこの状況をどのように認識されているか、お伺いいたします。
#38
○内田参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、このところ失敗が続いているということは私ども非常に残念なことであり、また、国民の皆様方にも大変申しわけないというふうに思っております。原因究明を徹底的に行い、二度と同様な失敗を起こさないような対策をとりまして、これを糧としてさらに次の開発に取り組んでいこうというふうに思っております。
 日本の技術開発も急速に発展いたしまして、最近打ち上げている衛星は世界でも最先端のレベルでございますが、一連の事故がございましたことを踏まえまして、私ども、やはりまだもう一つ技術力が不足しているなということを感じたところでございます。
 この一連の事故への施策といたしましては、「きく六号」の失敗を契機に、宇宙開発委員会の御指摘もいただきまして、宇宙開発事業団内に技術開発能力強化対策室を設置いたしまして、開発体制の強化充実を図ってきたところでございます。
 具体的には、外部専門家や外部機関との連携の強化、職員の技術能力の強化のための人材育成、プロジェクト体制の強化などを挙げまして、これらに取り組んでおります。
 今後は、この進捗状況を見ながら、さらにこれを改善して、一層確実な開発努力を進めていきたいというふうに思っております。
#39
○谷垣国務大臣 今、宇宙開発事業団の方からも御答弁がございましたけれども、残念ながらトラブルが幾つか続いているということでございます。
 それで、申し上げれば、まず一つは、斉藤先生も御指摘になったように、研究開発というものの持っている性質というものもあるのだろうと思います。特に、今まではずっと追いつき追い越せということでやってきたわけですけれども、HUAも国際的なレベルに達しようとしている。あるいは、今もNASDAの理事長からもお話がありましたけれども、最近の衛星そのものも最先端のものになってきている。ですから、言うなれば先生のいない状況でもあるし、「みどり」の太陽電池パドルなども、最先端技術の実証を目指したものであるということも事実だろうと思います。
 したがって、その開発段階では予想できないようなトラブルというものがあったということも、これは否定できないのだろうと思います。ですから、俗な言葉で言えば、転んでもただでは起きないといいますか、その失敗の原因を徹底的に究明して、後の技術開発に続けていくということが必要なんだろう。これは、第一段としてはそういうふうにまず申し上げることができるのだろうと思います。
 しかし、宇宙開発プロジェクトにつきましては、投入している国費の額というのも、今、財政も余り調子がよくないわけでありますけれども、相当巨額なものを投入している、血税で投入をしているということでありますから、これはもう万全な体制で臨まなければならない。にもかかわらずトラブルが続いているというのは、これはどこに原因があるのかというのは、単に開発だからというだけではなくて、考えなければならない問題があるのではないか。
 つまり、トラブルの背後の一つ一つの技術的な問題のほかに、共通した、開発体制なりに何か問題があるいはあるのではないかという指摘があることは事実でございます。私自身も、三月六日に宇宙開発委員会の臨時会というものを開きましたときに、当面、今回のHU五号機の失敗、五号エンジンの失敗がどこにあるのか、その個別の原因究明を徹底しなければならないにしても、そういう開発体制等の、個々の技術的な問題ではない原因があるのではないかということもあわせて検討すべきではないかという問題提起をしたところでございます。
 宇宙開発事業団でも、先ほど理事長から御答弁がございましたけれども、海外を含む外部の専門家や有識者によってつくられております評価委員会というものをつくりまして、そこで機関評価というものを実施することにして、この前、第一回目の会合が開かれたわけであります。
 いずれにせよ、先ほど申し上げましたように、今回の事故の原因をまず徹底的に究明して、その結果を見きわめていくということが大事でございますし、それから、今申し上げた外部の評価委員会等でもどういう結論が出るか、科学技術庁としても十分見守らなければなりませんけれども、そういうものを踏まえながら、技術的な問題以外の全体的な開発体制についても、もう一回、再三再四しなければならないのではないか、こう思っております。
#40
○斉藤(鉄)委員 今、大臣お答えになった、開発体制そのものの中に潜んでいるいろいろな問題点というものを改善していくことが非常に大事だという点、私もまさにそのとおりだと思います。
 よく一般に言われることですけれども、NASDAの場合、NASDAが発注者、それをメーカーが受注する、その発注者と受注者の間の情報の交換が足らないのではないかとか、それから設計者と製作者という面もございます。こういう分業体制の中に品質管理の落とし穴があるという指摘がされているわけですけれども、実は、「きく六号」のふぐあいが起こったときに、私も質問に立たせていただいて、この分業体制の欠陥を乗り越えるために、情報の交換、情報を共有化する、そのためにも大規模情報システムというふうなものを導入することを考えるべきではないかということを提案させていただきました。ちなみに、平成六年十一月一日の科学技術委員会でございます。
 例えばの話ですけれども、CALSというシステムがございます。これは、計画、設計、調達、製作、運転、メンテナンス、一つの情報基盤に立って情報の共有化を行って、分業体制の欠陥を補うというシステムでございます。
 きょうの日経新聞を読んでおりましたら、一面に、「防衛庁CALS導入」「設計図面や整備マニュアル、受発注書類などを電子情報化し、官民の間でオンラインでやり取りする。」「二〇〇二年に中小企業も含め国内二千以上の防衛関連企業が単一のコンピューター通信網で結ばれるシステムを構築する。」と。このことによって、これまであった、発注、受注、もしくは設計、製作といった分業体制の欠陥を乗り越える。防衛庁もこういうシステムを導入して、品質管理と、もう一つはコストの低減を図っているというのがきょうの日経新聞に出ておりました。
 これはまた後で、ちょっと行政監察結果を質問させていただこうと思うのですが、これはJーロケットの部分に関しての行政監察結果ですが、「プロジェクト管理手法の改善方策として、文書量の削減等やCALS一生産・調達・運用支援統合情報システム)のような電子情報システムの導入等、宇宙開発事業団において一層の推進が必要なものや検討が必ずしも進展していないとみられるものがある。」行政監察局も、CALSという大規模情報システム、その具体名を出して指摘しているわけでございます。
 一つは、三年前の私の提案に対してどのような努力をされたか。また、その結果、行政監察局の、進展していないじゃないかという指摘があるわけでございますが、この点をどう考えていらっしゃるか。また、今後、システムインテグレーターとしてのNASDA、ただ発注して、それを納入すればいいということではもういけないと思うわけです。何千にわたるメーカーの全情報を自分のところにシステムインテグレートして、青貝した品質管理体制をとるということが、結果としてふぐあいをなくしていく、できるだけ失敗を少なくしていくということにつながっていくと思うのですが、その点についてお伺いします。
#41
○内田参考人 先生御指摘のとおり、メーカーとの意思疎通ということは非常に重要なことであるというふうに考えております。
 従来から、必要に応じまして、事業団とメーカーの関係、特に具体的には、開発を実施するメーカー、事業団あるいはそのほかの関係者の人が常時コミュニケーションを図れるということが必要だということでございまして、こういう関係者が一堂に会して連絡調整を行うような事務所を設置するというようなこともいたしてきております。
 また、主要な設計会議や試験につきましては、事業団職員が直接工場に参りまして、立ち会い、審査を行う等のことをいたしております。
 また、緊急な場合にはテレビ会議等のシステムも使いまして、コミュニケーションを十分に行うように努力をしてきておるところでございますが、今後とも、メーカー、関係者との意思疎通につきましては一層の努力をしていきたいというふうに思っております。
 先生御指摘の、コンピューターを使ったシステム、CALSというお話がございました。私ども、先生御指摘のとおり、事業団、メーカーはもとより、部外の先生方あるいはユーザー、そういったいろいろな方が関係しておりますが、そういう方との間の情報の共有化ということは非常に重要だと思います。そういう意味におきまして、先生が御指摘になりましたような大規模情報システムというのは非常に有益であるというふうに思っております。
 そこで、私ども、「きく六号」のときに先生の御指摘もいただきまして、勉強を始めまして、情報の電子ファイル化、外部専門家、関係企業との情報交換のためのネットワーク接続の改善、さらにCALS等の情報化技術の研究等につきまして、段階的に実施することといたしております。これに基づきまして、CALSの特徴である情報の電子ファイル化、共有化を行うことが必要でございますので、まず、NASDAの内部で、一般的な情報、各種審査会等の情報につきましてシステムを整備し、情報の集約、伝達の迅速化を図っております。また、技術情報の電子ファイル化、データベース化も実施をいたしております。
 また、HUAロケットに向けまして、打ち上げ作業における情報を電子ファイル化すること、射場を含めたNASDA、メーカー間でネットワークによる情報の共有化を行う、そういうシステムの整備を現在図っておるところでございます。衛星開発におきましては、新衛星開発手法の研究におきまして、ネットワーク化により、NASDA、各衛星メーカー間の情報共有化を図り、開発の効率化に資する検討を開始いたしました。衛星運用データをメーカーに配付することで、ネットワーク環境の整備を図っております。今後、試験データ、設計図面等の共有化を随時行うということで、共有化につきましては、こういう方法で大分進んできたと思っております。
 しかしながら、このシステムは有効な方法ではございますけれども、宇宙開発技術というのは最先端のものでございまして、特に我が国はまだ経験が少ないということがございまして、このシステムが一〇〇%有効に使えるという状況にはまだなっておりません。これからもなお一層努力していきたいというふうに思っております。
#42
○斉藤(鉄)委員 私も偉そうにここでこんなことを言っておりますが、私の事務所自体全然情報共有化が進んでおりませんで、人のことをとやかく言う立場ではないのですけれども、今後、特に研究開発については、これは大臣にぜひお伺いしたいのですけれども、だれがどういう提案をした、その提案がどう扱われてどういう検討結果になったか、そしてそれが実行に移されて、その結果、具体的には現場ではどういう結果を出したか、こういう一つ一つのことを、研究開発機関では特にそうですが、往々にしてその最後の結果しか記録に残らないわけですけれども、提案から最後の実験結果まで記録に残しておくことによって二度と同じ過ちを繰り返さない。そういうことをするためには、それはメーカーの段階、設計の段階、いろいろな会社の中で分かれて行うわけですけれども、そういうものを記録に残しておいて、うまく意思決定にその情報が使われるというこの大規模情報システム化を進めない限り、いよいよこれから大型化していく宇宙開発について日本は立ちおくれていくのではないか、このように思います。
 例えばジャンボジェットは、よく言われることですけれども、部品は日本製がたくさん入っている、非常に優秀な部品を日本はつくる、しかし、あの何百万点あるシステムを統合して一つの安心、安全な飛行機をつくるというのはアメリカにしかない。それはやはりそういう大規模情報システムで統一的な品質管理、論理的な品質管理を行っているからだと言われております。
 今後、情報公開という意味もありまして、情報を蓄積して有効に次の段階に役立てていくということが日本の宇宙開発にとって必要だと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
#43
○谷垣国務大臣 私も率直に言って、今のコンピューターの最先端の技術を使ってどういうふうに情報を管理していくかというのに、自分自身の実感をもって余りお答えすることができないのですが、ただ、先生おっしゃったように、開発の過程でどういう失敗をしたか、失敗をしたいろいろな過去の故障のデータあるいは事故のデータ、そういう狭い範囲に限らず、今どういう提案が行われて、それに対してどういう実践がなされたかというようなデータを蓄積していくというのは、大きなプロジェクトをやっていく場合に基本的に大事なのだろうと私は思います。
 先ほどのNASDAの内田理事長の御答弁の中にも、先生のアドバイスもあって、宇宙開発事業団の中でそういうものをやりつつあるという答弁がございましたけれども、NASDAの中だけというか、やはり全体の開発システムの中で、先ほどインテグレートという言葉をお使いになったと思いますが、全体を統合していくような情報の管理、蓄積というものがどうあるべきかということ、これは宇宙開発に限らずビッグプロジェクトを進めていくときに工夫が必要なところなのだろうなと、今お話を伺って私は強く感じた次第でございます。
 それから、情報公開のこともお触れになりましたけれども、これは役所とすり合わせをしたわけでも何でもないのですが、私自身、それぞれが工夫をしたときに、どうやってシステムの中に的確にそれを情報として残していくかというような工夫もまだまだ足らないところがあるのかもしれないと思っております。それぞれの担当者がそれぞれの思いつきでメモなどをすることはあるのかもしれませんが、それが全体の情報として蓄積されていくということがなければ大きな開発もできないと思いますし、そういう仕組みやそれぞれのノウハウがうまくたまっていなければ、情報公開といってもどこに情報があるのかわからないというようなことがやはりあるのではないか、こういう気がいたしますので、情報を蓄積、管理していくこと、統合していくことの重要性ということに我々ももうちょっと鋭敏になって物事を考えていくべきではないかと思っております。
#44
○斉藤(鉄)委員 ぜひ大臣のリーダーシップで、そういう同じ過ちは二度と繰り返さないためにも、システムの構築をよろしくお願いいたします。実は、行政監察局の監察結果について御質問をさせていただくつもりでいろいろ用意していたのですが、ちょっと時間がなくなってきましたので、ポイントだけお伺いをします。
 JTロケット開発に関して総務庁の行政監察局の勧告が出ました。はっきり言うと、ほとんど意味がないのではないか、今後その意味を見出せなければ開発を中止すべきだ、こういう勧告でございます。この勧告に対して科技庁としてはどのような認識でおられるかお伺いします。
 それから、文部省さんにも来ていただきましたので、文部省が開発したミューVロケットの開発についても同じような勧告が出ておりますので、文部省の見解も聞きたいと思います。
#45
○青江政府委員 御指摘のとおり、行政監察局の方から、Jーロケットの今後の開発に当たりましては、具体的な価格低減策、こういったことを策定しなさい、そしてその実現が困難な場合には開発を中止すること、こういう勧告を受けてございます。
 宇宙開発事業団におきましては、JTロケット二号機の開発を今進めてございますけれども、これにつきましては、一号機のプライスに対しましてかなり大幅な削減というのが期待できる、こういう状況にございますけれども、さらに国際的なレベルというものを達成し得るのかどうなのか、その辺の技術的なフィージビリティーというものを今詰めてございます。そういったものが本当にできなければ、ここにございますような開発の中止といったものを含めましてJTロケットの取り扱いというものを考えてまいりたい、かように考えてございます。
#46
○合田説明員 お答えをいたします。
 ただいま御指摘ございましたように、今回の行政監察勧告におきまして、文部省関係につきましては、ミューVロケットの価格の低減化、それから科学衛星のHUAロケットによる相乗り打ち上げの検討、それから宇宙科学研究所の組織体制のあり方に関する検討等につきまして御指摘をいただいているところでございます。
 私どもといたしましては、この勧告を真摯に受けとめまして改善に努めてまいりたいというふうに考えておりますけれども、具体的に申し上げますと、ミューVロケットの価格の低減化につきましては、今後価格の低減化方策を本格的に検討いたしたい、性能改良とともに価格低減化に努めたいというふうに考えております。
 また、科学衛星のHUAロケットによる打ち上げにつきましては、いろいろと、軌道形でございますとか高度等の条件の相違があるわけでございますけれども、そういったような条件が整います場合には極力積極的に対応してまいりたい。
 また、宇宙科学研究所の組織体制のあり方につきましては、現在、学術審議会におきまして検討を開始していただいているところでもございますので、そういったような大学共同利用機関等と国立試験研究機関と特殊法人の研究機関等との望ましい連携協力のあり方の一環として、今後の宇宙開発の適切な推進体制のあり方について検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
#47
○斉藤(鉄)委員 私もこの監察局の報告書を読ませていただきましたけれども、かなりポイントをついた指摘も多いなというのを感じましたので、ぜひこれに対して、反論すべきものは反論し、受け入れるものは受け入れるということで進んでいただきたいと思います。
 時間がなくなりましたので、最後に大臣に一遍に二つ質問をさせていただきたいと思います。
 この勧告ですけれども、ポイントは、ロケット、人工衛星開発コストの低減化を図れ、それから、科学技術庁、文部省、その他省庁一体となった宇宙開発の総合的、有機的な推進をしろ、今ばらばらだ、そしてNASDAの業務運営の適正化ということがポイントだったと思います。反論もあるかと思いますが、納得できる部分も多い。これに対しての大臣の御所見が一つの質問でございます。
 それから、今後の宇宙開発に対しての御決意と国際協力について大臣にお伺いいたします。
 先日の科学技術委員会でも申し述べさせていただきましたが、全世界の宇宙開発に興味を持っている議員の国際会議を札幌で先月行わせていただきました。大臣にも参加をしていただきました。その中で、国際協力ということを今まで以上に推進していかなくてはいけないのではないかという結論で「札幌からのメッセージ」というのを発表させていただいたわけですが、この宇宙開発と国際協力についての所見をお伺いして、最後の質問といたします。
#48
○谷垣国務大臣 まず総務庁の行政監察についてですが、これはやはり謙虚に受けとめて、我々として対応していかなければならないと思います。
 特に、コストをできるだけ削減していくというのは当然のことでありますから、それに着目した評価機能の充実ということを考えていかなければいけないと思っております。
 それから、各役所ばらばらにやっているじゃないかという御指摘。今までもいろいろな協力はしてきたわけでありますけれども、特に今度この行革の中で教育科学技術省ということになりますと、そこらをどう考えていくか。もちろん、文部省のやってきた学術としての宇宙開発と我々のやってまいりました研究開発、若干違う面があると思います。そこらの違いを全部消してしまってもいけないでしょうし、そこらをどう考えていくかというのはまだ十分に答えが出ているわけではありませんけれども、一つのテーマではないかと思っております。
 それから、今後の宇宙開発ということでありますが、もう余り一般論的なことを申し上げてもいけませんが、実に多様な意味を宇宙開発というのは持っていると私は思います。よく、真善美を探求する人間などというきざな言葉も使わせていただいたのですが、そういう幅広い意味合いから我々の生活の利便を高めているという実用に至るまで、多様な意味を持っている。いろいろなそういうことを推し進めていかなければならない大きな意味があると思いますが、同時に、そういう人間の普遍的な活動に基づく、そして人間の生活に利便を与えていくという面になるならば、当然のことながら国際協力というようなことを、そして国際協力の中で若い人たちにも夢を与えたりする役割を我々はもっと追求していかなければならないと思っております。
 先生や小野先生が中心になってやられたこの間のシンポジウムでも、その辺に着目された御議論があったわけでありますけれども、私もその点大変同感でございますので、そういう気持ちでもって進めていきたい、こう思っております。
#49
○斉藤(鉄)委員 終わります。ありがとうございました。
#50
○大野委員長 吉井英勝さん。
#51
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
 先日、またきょうも、この間の事故について皆さんからいろいろな御議論がありました。
 ちょっと振り返ってみますと、九四年八月の「きく六号」が軌道変更用アポジエンジンの事故で静止軌道への投入を断念することになったということで、これはかつてこの委員会でも参考人の方にも来ていただいて議論をしたことがありました。
 そして、近いところでは、昨年の六月三十日の地球観測衛星「みどり」の太陽電池パネル破断事故で衛星としての運用を断念することになったこと、昨年十一月二十八日の技術試験衛星「きく七号」が太陽電池パネル制御系に故障を来して姿勢制御が不能になったという問題が報じられたこと、そしてことし二月二十一日に、通信放送技術衛星「かけはし」がHUロケットの二段目の異常燃焼で所定の軌道に乗せることに失敗したという問題など、ずっとこの間問題がありました。
 マスコミは、六百億とか七百億とか八百億とかいろいろな金額で、大きな損害が出たということを報じておりました。これは数字がいろいろあるものですから、幾つか絞って見ていかないといろいろなものが含まれての話になるとあれですから、そこで、開発及び打ち上げの経費が幾らであったかということについて、衛星の開発費、それからHUの打ち上げに要した経費、追跡管制費、こういう内訳を含めて「きく六号」と「みどり」と「かけはし」の三つについて、幾ら要したのか、これは科学技術庁の方から最初に伺っておきたいと思います。
#52
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 まず「きく六号」でございますけれども、衛星開発費が、実機、いわゆるフライトモデルの製作費を含めまして四百十五億でございます。ロケット製作費、打ち上げ費合わせまして百九十九億でございます。それから衛星追跡管制費が二十二億でございます。
 それから次に「みどり」でございますが、衛星開発費が五百二十九億でございます。ロケット製作・打ち上げ費、これが百九十億でございます。追跡管制費が十八億でございます。
 それから「かけはし」でございますけれども、衛星開発費が四百五十二億でございます。ロケット製作・打ち上げ費が百八十四億でございます。それから、これにつきましては夏季から冬季へ打ち上げ延期をいたしましたものでございまして、打ち上げ延期に伴う経費としまして十七億。追跡管制関係で二十三億。以上でございます。
 なお「みどり」それから「かけはし」につきましては、いわゆるユーザーといいましょうか、センサー等を載せた機関の経費が別途ございます。
 以上でございます。
#53
○吉井委員 今お聞かせいただきましたように「きく六号」で六百三十六億円。これは、今おっしゃったようにユーザーの関係、NTT等その他のところでの研究開発に要した費用とかありますから、これが新聞で言うところの全部足しますン七百億に膨らんだり八百億に膨らんだりということがあろうかと思いますが、一応その部分を除いて、今おっしゃった「きく六号」で六百三十六億、「みどり」でいきますとこれが七百三十七億ですか。「かけはし」の場合には、これは衛星の方はいろいろ評価があるというお話もありますし、そこらを事故なり損失としてどう評価するかということによって、これが二百二十億余りぐらいにとどまるのか、あるいはそれが四百七十億余りになるのかとか、この辺の評価は少し分かれるところがあるかもしれません。
 いずれにしても、「きく六号」「みどり」「かけはし」の三つのトラブルだけで、今お話伺ったところ、「かけはし」の衛星分の評価を少し除外して考えても、約千五百億円の税金が投ぜられた、あるいは失われたという見方になるかと思いますが、この事故については私は軽い気持ちで見ることはできない。
 動燃で相次いだ原発事故のときは本当に一つ一つが大変だということでとらえられたのですが、ロケット、衛星の事故の場合は、直接放射能汚染が起こるとか身近なところにないということもあって、事故がこれだけ相次いできたのに、そして少なく見ても千五百億ぐらいのお金が投ぜられてきたのに、少しとらまえ方が甘いのじゃないかという感じを率直に持っておるのです。
 私は、これは重大なものだというとらえ方が必要じゃないかと思うのですが、この点については科学技術庁の方に伺っておきたいと思います。
#54
○青江政府委員 私ども、こういった一連の事故、トラブルといったことにつきまして、重く受けとめてございます。決して軽いものというふうな認識を持ってはございません。ということでもちまして「きく六号」以降の種々の体制改革を含め生じて、いろいろな対応策というものを講じてきておるというところでございます。
 ただ一点、先ほど申し上げました数字がその主ま、全く無意味なものに帰してしまうのかということにつきましては、いわゆるRアンドD、研究開発の過程にあるものとしまして、それが着実に、その開発過程としまして手に入れたものというものは当然のことながらあるわけでございまして、そのあたりもぜひ御勘案いただけますればというふうに思う次第でございます。
#55
○吉井委員 今のRアンドDの過程の話というのはちょっとおいでおいで議論を進めたいと思いますが、それぞれの問題の検討に先立りて、私は、どこに問題があるかということをきわめていくバックグラウンドになる問題として、少し契約にかかわって聞いておきたいと思うのです。請負契約ですね。
 ロケットの製造、特にエンジンの開発と製作などを含めて、第一段の機体とエンジン、第二段の機体とエンジン、固体ロケットブースター、それから第一段エンジン用ターボポンプ、第二段エンジン用ターボポンプという、まさにロケットの製作にかかわる一番大事な部分ですが、これの契約はどこが請け負っているかを伺いたいと思います。
#56
○石井参考人 お答えいたします。
 HHロケットの製作、発注等に関しましては、宇宙開発事業団がロケットシステムに一括発注いたしております。ロケットシステムからさらに、先ほど先生おっしゃいましたように、いろいろな部分について、例えば一段の機体、二段の機体、あるいはLE7エンジン、LE5Aエンジン、衛星分離部といったようなものは三菱重工業に発注し、また、固体ロケットブースターとか分離ボルト等の加工品、こういったものは日産自動車にロケットシステムから発注がなされている。また、LE7エンジン用ターボポンプ、LEsAエンジン用ターボポンプ、ガスジェット装置といったようなものは石川島播磨重工が請け負っております。それから、衛星のフェアリング、これは川崎重工業といったような分担関係で製作をやっておる、こういう形態でございます。
#57
○吉井委員 今お話しいただきましたように、ロケットの製造は、三菱重工、日産自動車、石川島播磨の、最も心臓部門になるところですね、三社体制ということです。
 次に、衛星本体の製造と、衛星に付随する通信・観測機器あるいは放送部門ですね、こういうところはどこが請け負ったのかということ。少しややこしくなってもいけませんからもう一遍言いますと、衛星本体と太陽電池等の電源系と制御系と放送部門、観測機器、通信部門、そしてアポジエンジン、これらはそれぞれどこが請け負って仕事をしたのか、これも伺いたいと思います。
#58
○石井参考人 お答えいたします。
 ただいまの点につきましては、衛星によってそれぞれ異なりますので分けて御説明させていただきたいと思います。
 まず、「きく六号」につきましては、全体は東芝が取りまとめる、こういう形でNASDAの支援を行いまして、それぞれの主要部分につきましては、東芝、三菱電機、石川島播磨、日電という形態で請け負っております。姿勢制御系とか熱制御系、構体系、イオンエンジン電源、これは東芝、それから太陽電池パドル系とか電源系、イオンエンジン系、これが三菱電機、それからアポジ推進系、ガスジェット装置、これは石川島播磨重工業、それから通信・データ処理系、これは日本電気ということでございます。
 また、「みどり」につきましては、全体取りまとめ支援は三菱電機がやりまして、部分部分は、構体系、ガスジェット装置、電源系、衛星間通信系といったようなものは三菱電機が請け負っております。それから通信及びデータ処理系、これは日本電気でございます。それから姿勢制御系、太陽電池パドル系は東芝ということでございます。
 また、「かけはし」につきましては、日本電気が全体取りまとめの支援を行い、主要部分は、日本電気は太陽電池のパドル系それから通信及びデータ処理系、東芝がイオンエンジン系、熱制御系、構体系、三菱電機は姿勢制御系、電源系、アポジ推進系とガスジェット装置につきましては石川島播磨重工業というような分担関係になっております。
#59
○吉井委員 ですから、今、個々の衛星につい丁も伺ったのですが、私もこれ自身を整理してみましてよくわかったのですが、アポジエンジンは石川島播磨、これを別にして、衛星本体については、本体も制御も、電源、通信、観測、放送、これらが三菱電機とNECと東芝の三社体制なのですね。HUロケットで大体一機約二百億円、衛星で一機三百五十億から四百三十億の製作費や開発費が投ぜられているわけです。ですから、これは企業にとって非常に安定した、巨額に上るビジネスなのですね。
 私は、金もうけしたらいかぬというような、そんなやぼなことを言っているのではないのです。それは金もうけは金もうけでやったらいいのですが、問題は、やはり公正でなければいけないわけです。そういうときに、だからこそ伺っておきたいのですが、ロケット本体の入札や契約というのは、ロケットの場合は三菱重工、日産自動車、石川島播磨の三社体制なのですが、これは三社の競争入札ですか、それとも随意契約ですか。
#60
○石井参考人 HUロケットの最近のあれは随意契約といったような形態になりますけれども、開発の当初につきましては、技術能力を持ったと思われる各メーカーに対しまして私どもが開発仕様書を作成いたしまして、そして、これを実現するための技術あるいはコストから成る提案書を各メーカーから取り寄せて、そしてその総合評価を行って選定を行うという、いわゆるRFP方式、リクエスト・フォー・プロポーザルといったような方式を採用して対応させていただいたということでございます。
#61
○吉井委員 私は、こういう高度な技術力を必要としますし、巨大なものですから、資本力とか技術力を持つものでないとなかなかその仕事ができないというのはよくわかった上で話をしているつもりなのです。ただ、今お答えあったように、ずばり言って、今、随意契約なんですよね。
 ところで、このロケットとエンジンの開発、設計、製作について、見積もりを行って、監督し、製品の評価を行っていく、あるいは見積額が適正かどうかの評価を行っていく、これはどこがやるのですか。
#62
○石井参考人 お答えいたしますが、その前に、先ほどの点につきまして、我々、いわゆるRFPをとった後に、技術力、技術的な評価といったようなこと、あるいはコストということを十分評価してメーカー選定に当たっておるということを生ず補足して説明させていただきます。
 今の御質問、価格等の決め方につきましては、私ども宇宙開発事業団におきまして仕様を定め生じて、これに基づきましてNASDA内部で原価計算というようなものを行って契約価格を決めるというような形でやっております。ただし、開発研究というような段階のものでございますから、事前に十分に作業量を算定するといったようなことが困難なものがございます。こういったものにつきましては、契約の履行後に、工数とか材料費といったようなものの実績原価の監査というものを行いまして契約額を確定するというような方式で対応させていただいております。
#63
○吉井委員 通常の、物をつくる方は、私も昔見積もりもやったことありますからわかりますが、おっしゃった工数とか、材質はどういうものを何トン使うかとか、非常に大ざっぱな見積もり計算ですと、重量を掛けたり、それに損失分なり、安全係数に見合う分を掛けて大体出すことができる。おっしゃることはよくわかっているつもりなんです。
 ただ、開発の方の費用の評価、見積もり、これはなかなか大変な分野に属するのですが、開発費の方の評価と決定はだれが行うのですか。
#64
○石井参考人 開発というものも、一具体的には、物資の調達を行ったり、あるいはこれに携わる技術者の勤務時間であったり、こういうようなものに分かれていきます。したがいまして、私どもは、原価計算というようなことで、材料費であるとか加工費、こういったものをそれぞれの根拠を全部出させる、あるいは契約履行後にこれをチェックする、また、これに携わった技術者等の勤務実績等も全部記録にとどめさせて、そしてそれをチェックするという形で開発費等も確定し、これを支払うというような形でやっております。
#65
○吉井委員 建前はそういうことになると思うのです。ただ、開発費などはなかなか事業団の方で評価できるようなものじゃないのですよね。だから、結局この契約というのはメーカーの言い値ということにならざるを得ないのじゃありませんか。
#66
○石井参考人 お答えいたします。
 何度も繰り返すようでございますけれども、私どもは契約に当たりまして、適正な価格の算定を行い、さらに実績価格を確認するということで、すべて検証し、こうやっておりまして、決してメーカーの言いなりになっているということはございません。
#67
○吉井委員 余り説得的じゃないんですよね。それで、動燃の事故の経過を通じて、例えば「もんじゅ」にしても、申請図書三万三千ページのうちの一万ページが全くの白紙状態だったということで、これはずっと科学技術委員会などでも長い議論の経過がありまして、そして先日、動燃の理事長の方からは、未公開の部分は一%未満にするんだ、ほぼ全面的な公開を図るというお約束がありました。
 それで、メーカー言いなりじゃないと言うからには、それは我々議員の方でも、なるほどそうなんだなということがわかるきちんとした合理的な資料、それをやはり公開するということがないことには、何だ、いろいろあなたは言っているけれども、言い値で契約しているだけじゃないかということにならざるを得ないのですよ。これは、そういう合理的な資料をきちっと提出されますか。
#68
○石井参考人 お答えいたします。
 先ほど私申し上げましたのは、契約段階に当たっての経費の算定といったような意味でお答えいたしたわけでございますが、私ども、衛星開発とかあるいはロケットの開発といったようなものを、全体として、まず開発費総額というようなものを算定いたします。この算定に当たりましては、コストモデルをつくってやっていくとか、あるいは海外との比較をやるといったようなことを積み上げていって総開発費を算定し、およその妥当な金額の範囲を各大きなシステムごとに計算する。こういうものをもとに、先ほど言いましたような形での具体的な原価計算というような形でおりてくるということでございます。
#69
○吉井委員 ロケット一基二百億円前後のお話もさっきされました。それは開発費も含めてのことなんです。あるいは衛星について、三百五十億から四百三十億ぐらいですか、その開発費を含めての契約の話もありました。しかし、それは、海外の実績とかいろいろ見て、大体こんなものだろうということなんですよね。
 ですから、結局これはメーカー言いなりにならざるを得ないわけなんですよ。確かに、物の方は、工数とかいろいろ計算の仕方はあるんですけれども、開発費ということになってくると、それは簡単に算出できるものじゃなくて、メーカーの言い値でやっていかざるを得ないのが実態だ。
 ですから、もし、そうじゃないとおっしゃるのだったら、私は、合理的な資料を出すことをここでお約束をいただいておきたいと思います。これはお約束されるなら、していただいたら結構です。ここで、次に伺っておきたいのですが、さっき、ロケットについて、株式会社ロケットシステムが一括して随意契約をして、それから発注するようになっているというお話がありました。九五年に株式会社ロケットシステムが、HUロケット上段の再々着火実験など二十五件の事業を百二十八億二千八百万円で請け負っているのですね。これは「契約実績」という一覧表をいただいて知ったわけなんです。
 そこで、HUロケット上段の再々着火実験というお話があるのですが、この実験は、ロケットシステムという会社のどこの施設で実験をされるのか、これを伺いたいと思います。
#70
○十亀参考人 お答えいたします。
 今御質問にありましたロケットの再々着火実験でございますが、これは、最終的にはロケットを飛ばしてみて、衛星を分離した後にもう一遍エンジンを着火してみる、こういう実験でございます。このための準備をロケットシステムに委託しているということでございます。
#71
○吉井委員 ですから、その打ち上げも別にロケットシステムがされるわけじゃない、そういうことなんですね。
#72
○十亀参考人 打ち上げそのものは宇宙開発事業団が実施するということでございます。
#73
○吉井委員 次に、九六年度の方で見てみますと、ことし二月に事故を起こしたHUロケット五号機の機体本体の製作など二十四件を百四十六億三千六百万円で請け負っています。では、HUの機体本体は、株式会社ロケットシステムのどこの工場で製作をされるのか、工場名を聞かせていただきたいと思います。
#74
○十亀参考人 お答えいたします。
 ロケットシステムは自分では工場を持っておりませんので、ロケットシステムからさらに、機体であれば三菱重工業に発注して製作をするということになっております。
#75
○吉井委員 九五年度にロケットシステムが事業団から請け負った契約は二十五件なんですね。九六年の方は二十四件。HUロケットの製作を随意契約で請け負われるんだけれども、今おっしゃったように、工場がないからつくらない。これは三菱重工、石播、日産、NECなどに発注するわけですね。結局、この企業はすべて丸投げをするという企業ですか。
#76
○石井参考人 お答えいたします。
 ロケットシステムは、ロケットの製作にかかわりますマネジメントを実施いたしまして、多数社にまたがる機器の発注、製造に伴う品質管理といったようなことを行っておるわけでございます。
#77
○吉井委員 つまり、本社が浜松町のセントラルビルのワンフロアを借りただけの会社で、製作工場も打ち上げ施設も何もない、これは事実上のぺーパーカンパニーのような会社と理解していいのですか。
#78
○石井参考人 先ほどお答えいたしましたように、ロケットシステムは、製作にかかわるマネジメント全体をやっておるということで、個々の発注、製造等の品質管理等もやっておるというようなことでございまして、特にペーパーカンパニーということでは決してございません。
 NASDAから受けたものがそのまま行くような感じの御質問でございますが、決してそういうことではなしに、ロケットシステムは民間会社でございますから、将来の受注見込みといったようなものを踏まえまして製造メーカー等に一括発注をする。NASDAが契約しますのは、当然のことながら、単年度予算あるいは国庫債務負担行為を限度にした当該開発にかかわる予算で、例えば一機なら一機の発注しかできませんけれども、私どもの計画を眺めておれば、今年度は発注がなくても将来、数年後に発注があるというような受注見込みを前提にいたしまして、一括発注でメーカーに頼む、いわゆるまとめ買いというようなことでコスト低減を図る。みずからの会社のリスクでそういうようなことをやるというようなこともやっておるところでございます。
#79
○吉井委員 この会社は、一九九〇年に設立されて、まだ八年目ですが、昨年の宇宙開発事業団との契約ランキングは第三位で、契約金額は百四十六億三千六百万円、契約シェアが一一・二三%と急成長の会社ですね。それで、会社定款で、ロケットの販売、品質管理、発射整備作業、打ち上げ運用作業の受託、関連業務一切とうたうわけですが、製造工場も打ち上げ設備もないわけです。これで受注額は三位なんですね。
 私、こういう会社をつくらせてもらえるんだったら、もうこんな幸せなことはないなというふうに皆思うと思うのですよね。しかも、どんな不況のときでも、特殊法人から一割を超えるシェアで
ちゃんと仕事もらえるわけですから。自分のところは工場持たなくてもいいから、何も要らないわけですよ。資本金四億ぐらいなんでしょう。
 それで、将来だ何だというお話ですが、今やっているのは今のことなんですよ。私、受注契約のリストもいただきましたけれども、HUロケット全段組み立て製作とか、いろいろずっとありますが、二十五件の契約で百二十八億二千八百万。これは九五年度ですが、備考欄に、それを石播に丸投げしたとか、三菱重工に丸投げしたとか、全部リストありますね心これは、一括下請をして、随意契約で結んで丸投げをして、それで自分のところは工場も何も持たなくてマージンだけはねていく。この不況の時代にこんな幸せな会社はないというふうになると思うのですよね。
 私は、問題は、科学技術庁に聞いておきたいのですが、これで受注額は三位ということ、こういう実態を科学技術庁はもちろん御存じなわけですが、いわば公然と丸投げ会社を科学技術庁は認めているということになるのじゃないですか。
#80
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 宇宙開発事業団が仕事を頼むという意味は、その一定の役務に対しましてお金を払っておるということであろうと思うわけでございまして、その株式会社ロケットシステムにおきましての一定の提供される役務と申しますのは、先ほど来宇宙開発事業団の方からも御説明ございましたように、いわゆるシステムインテグレーションでございますとか、品質の管理でございますとか、マーケティングでございますとか、そういうふうないわゆる主要な業務。それに対しまして対価というものが支払われておる、かように理解をいたしてございます。
#81
○吉井委員 私は、法律上の定義は少しおいておきまして、広辞苑の方で談合行為というのを引いてみました。「請負入札に際し、入札者が事前に相互間で入札価格などを協定すること。」としているわけですが、第一段ロケットは三菱重工、固体ロケットは日産自動車というふうに、仕事の分野を分け合って随意契約で仕事をとっていくのですね。これは事実上の談合行為に当たるものだと言える話だと思うのですよ。宇宙開発事業団が談合類似行為を認めてしまうと、これは大問題になるわけです。しかし、ロケットシステムという会社をつくって、事実上の談合を仕切る形で、宇宙開発事業団から随意契約で請け負っておいて、それをそのまま分け合って談合各社に発注する。そうすると、形の上では事業団は談合など知らないということに取り繕うことができるわけですよ。
 そういうふうな仕組みにあるということを科学技術庁はよく御存じだと思うのだけれども、やはりこれはおかしいのじゃないですか。
#82
○青江政府委員 宇宙開発事業団が、従前いわゆるシステムインテグレーション等を宇宙開発事業団自身がやっておったわけでございますけれども、定員の問題等ございまして、そういった一定の、ややルーチン化した役務等につきましては外部の能力というのを活用していくというふうに徐々に徐々に切りかえておるわけでございますが、そういうふうな流れの中にあるものだというふうに認識をいたしてございます。
#83
○吉井委員 この株式会社ロケットシステムは、設立発起人が、事業団からこれまでロケット、衛星の製作を受注している企業です。株式の引受額二千万円というのは、三菱重工、石播、川崎重工、日産自動車、NEC、三菱商事で、引受額一千万円は、東芝、日立製作所、冨士通、三菱電機、三菱スペース・ソフトウェア、三菱プレシジョン、日本航空電子工業ということになっていて、人的構成を見ますと、代表取締役社長が三菱重工の副社長だった方で、常務取締役には、石播、NEC、日産自動車、三菱重工の方たちが就任している。工事等の請負契約の実績を冒頭に見ましたが、ロケットシステムに出資している企業というのはすべて事業団からの大口受注企業なんですね。この会社の見積もりというのは、ですからこの出資企業の技術屋さんの手で行われることになりますが、ロケットシステムが請け負うと、出資企業の技術屋さんの言い値で丸投げということが可能になってくるのですね。
 これは、やはり何ぼ何でもこのあり方はおかしいのじゃないかと思うのですが、大臣、おかしいと思われませんか。
#84
○谷垣国務大臣 私、今伺っておりまして、宇宙開発事業団でやっていた仕事、システムインテグレートというのでしょうか、そういうような仕事でもうルーチン化したものを民間でできるならば民間でしていく、一種のアウトソーシングというのでしょうか、そういうものは推し進めてしかるべきであろうというふうに思います。
 ただ、そのことがおかしな癒着を生まないようにするということは当然考えなければならないけれども、全部それを否定する必要はないのじゃないかと思っております。
#85
○吉井委員 これは、最近の動きとして、要するに技術移転というお考えなんですよね。ただ、談合技術の技術移転は困ると思うのですよ。談合する技術の方ですね。これはロケットシステムの契約実績と丸投げ先リストを見れば非常にはっきりしているのです。ですから、私は、これは大臣、後ほどきちんとよくリストをごらんいただければ、これでいいのかということはおわかりいただけると思いますから、よく見ておいていただきたいと思います。
 問題は、宇宙関連産業の大企業による利権の調整を図るような談合あるいは丸投げ会社という形になっているのが実態なんですよ。ただの管理だ何だという話じゃないのです。管理ということだけでいうならば、わざわざこういう会社をつくらなくても、そこで余分な中間マージンを取らなくたって、優秀な宇宙開発事業団の皆さんがいらっしゃるわけですから、ちゃんとこれはやっていけると思うのですよ。私は、こういうふうなやり方というのは、宇宙開発の中に非常に問題を生じてくると思うのです。
 ロケットシステムの取締役会長はどなたかというのを、私、あわせて見てみたのです。山野正登さんは、もともと宇宙開発事業団の理事長ですね。その前は三菱系の株式会社エイ・エスニアィ総研の代表取締役会長を務められて、その前が科学技術庁の事務次官なんですよ。つまり、科学技術庁の最高幹部が宇宙開発事業団に天下りをして、ロケットなどの発注者側の最高責任者になったのですよ。引き続いて今度は談合を取り仕切る方の受注企業の会長になって、メーカーの仕事の分捕り合戦を取り仕切っている。
 このロケットシステムの会長は、初代の大澤氏以来、科学技術事務次官からNASDAの理事長にまず天下って、続いてロケットシステム会長へという科学技術事務次官の天下りポストになっているじゃありませんか。
 私は、このロケットシステムの会長が、元科学技術事務次官をなさって、NASDAの理事長になられたというこの点についてだけ、まず事実の面だけ、科学技術庁の方から確認しておきたいと思います。
#86
○青江政府委員 山野会長にかかわります事実関係につきましては、御指摘のとおりでございます。
#87
○吉井委員 今お答えいただいたように、このロケットシステムという会社をわざわざつくった。しかし、それは、科学技術庁の事務次官の天下り先のNASDAから、さらにその後の天下り先という形になっているのですね。今、大蔵汚職以来さまざまな問題が指摘されているときに、こんなふうなことが、巨額の国費を使って、本来の科学技術研究分野で許されていいものだろうか。私は、こういう根本的なところへ、やはりこの際、きっちり入れるべきメスは入れなければいけないと思うのですよ。事故の究明というのは、そういう事故を繰り返す体質なり体制なりの究明とあわせてやらなければいけないというのが、動燃事業団で起こった問題の教訓の一つでもあると思うのですよ。だから私はこの問題を取り上げているのです。
 事業団設立以来、九八年度までの宇宙関係の予算の累計額は、行政監察結果報告書によりますと、三兆七千億円使ってきたのですね。動燃事業団の
原子力関係の事業費の累計よりも多いのですよ。冒頭にお聞きした三つの打ち上げの失敗だけでも、少なく見積もって千五百億円の金を使ったことになる。三兆七千億という、これまでの使った金、あるいは最近の三つの事故だけでも千五百億円の損害、これはほかの研究費に比べてけた違いに大きい金額なのです。
 三月に私が取り上げましたが、大学や国立研究所の経常研究費の方は、八〇年代に据え置かれて、九〇年代に入ってもほとんどふえていない。その中でも、経常研究費による研究の中から、今宇宙技術で使われている炭素繊維の発明などがなされて、炭素繊維だけでも年間三兆円産業になっているのでしょう。
 一方、宇宙関係の莫大な予算というのは、官僚の天下りや巨大企業の手による丸投げ会社の設立など、国民の資金が食い物にされる。国民の税金で賄われるという意識が余りにも薄弱じゃないかということを私は言わざるを得ないと思うのですが、科学技術庁、これはどういうふうにお考えなのですか。
#88
○青江政府委員 まず一つは、ロケットシステムという会社の行ってございます機能と申しますのが、単なる受注の調整とでも申しましょうか、そのような御指摘といいますのは、大変あれでございますけれども、私ども、そのようなものでは決してない、一定のいわゆる役務というものを提供し、それに対しましてしかるべく対価を得ておるという存在であろうというふうに思うわけでございます。
 また、その株式会社ロケットシステムの山野会長につきましてでございますが、先ほど来のいわゆる事実関係そのものにつきましてはそのとおりでございますけれども、この点に関しまして申し上げますならば、あくまでも同氏の宇宙開発に関しましての長年の経験、見識、それから民間会社の経営者としての経営能力、こういったことを総合的に判断されまして、現在の役職が適当というふうに、同社自体及び同社への出資会社、こういったところが御判断されたものじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。ちなみに、同氏は代表権のない非常勤の役員であるということを申し添えさせていただきたいと存じます。
#89
○吉井委員 大臣、私はこういう議論をきょう改めて聞いていただいたのは、宇宙研究や開発というのは巨大な利権と結びつく分野なのです。契約は適切かどうか。契約金額は本当に妥当かどうか。それを評価できる技術者が事業団に存在するのかどうか。業者の言い値で契約していないか。それらを監督し、また監査できる者はいるのかどうか。なれ合いはないか。これは大きな研究開発の分野だけに、事業全体について透明性が最も必要だと思うのですよ。ところが、企業秘密とかノウハウとか企業の知的財産権保護とかいって、明らかになってこないのです。
 先日も、ロケットシステムの会社定款を見たいと言ったら、私企業の契約に関することは科学技術庁にないなんというようなことを言ったり、例えばロケットの一段目のような個々の分野の契約金額は、他の会社に知れるとそれだけでも次からの契約に支障が出てくるから出せないという、最初のお話でした、結局こんな簡単なものは出せということで出してはいただきましたけれども。巨額の研究開発費を使う分野だからこそ厳正な執行が行われるように、私はこのチェック機能の強化と透明性の確保が絶対に必要だと思うのです。これを一点伺いたい。
 最後に、もう一点。チ ェック機関にある者が天下りし、最後は談合取り仕切りの会社の最高責任者を務める。そうすると、後輩の方は現役の科学技術庁の役人ですから、チェックがなかなかやりにくい、遠慮して物が言えない。これでは、事故の徹底究明も公正な機関による評価もできないことになると思うのです。これでは、私は国民の期待にこたえる透明性のある宇宙研究開発はできないことになると思うのですよ。
 私は、この際、大臣にみずからよく調べていただいて、やはりこういう点はきちっと正していくということをやっていただきたいと思うのですが、最後に、もう時間が迫ってまいりましたので、その点だけ伺いたい。
#90
○谷垣国務大臣 今吉井先生御指摘になりましたように、契約等が透明といいますか、公平、公正なものでなければならない、私は当然なことだろうと思います。それがきちっと評価ができ、担保できるような仕組みというのは、我々科学技術庁も大いに嗅覚を働かして、そういうシステムをつくっていくことに努めなければならないと思いますし、そのための透明性ということも私は大事だと思います。
 ただ、定款とか何かは登記所に行ってもある程度見られるのじゃないかなという気もいたしますので、ある意味では、そういうものは公開をされているのではないか。
 それから、丸投げ会社、談合会社というようなお言葉で御表現でしたけれども、先ほど御指摘の山野さん、この方は確かに我が科学技術庁の先輩、OBでいらっしゃいますけれども、この方の場合には、途中で民間会社の経営者をかなり長い間お務めになっていたこともございまして、単に天下りではまっていったというようなものでは、青江局長が御答弁いたしましたけれども、ないのではないかと私は思っております。
 それで、天下り問題は、私は余り専門的に研究したことがないわけですけれども、今までもいろいろ議論になりまして、何度も閣議決定とかあるいは閣議了解というものも行われまして、その中で私は運用しているものと思っております。全部天下りがいかぬというようなことを言ってしまいますと、やはり職業選択の自由とか、余り一般論的に話題を広げてもなんでございますけれども、やはり全体のシステムの中で何が最適なところかという意識は常に持たなければいけませんけれども、全部否定してしまうわけにもいかないことではないか、こう思っております。
#91
○吉井委員 時間が参りましたので、異常な実態を正されることを求めて、終わります。
#92
○大野委員長 菅原喜重郎さん。
#93
○菅原委員 前委員から内部運営の透明性のことについて随分質問されましたが、私は、戦後の宇宙開発、我が国の宇宙開発は欧米諸国に大きくおくれをとって開始されたところでありましたので、こういう前を振り返って、まず質問をしていきたいなと思っております。
 HUロケットのように、国際水準に達する打ち上げ能力を持つロケットが自主技術により開発され、さらにHUAロケットが開発されると、経済的にも欧米諸国と遜色のないロケットとなることは、当時を振り返ると驚きであります。この間、宇宙開発に携わる人々の大層な苦労があったものと考えます。
 我が国でペンシルロケットの発射試験が初めて行われたのは昭和三十年であり、新聞にも大きく報道されました。しかし、当時この評価もまちまちで、一方では、こんな子供遊びのようなロケットでいつアメリカのような技術に追いつくのか、むだ金遣いだけになるのではないか、あるいは、その費用でアメリカのロケットを利用していった方がよいのではないかという意見もありました。ロケット技術責任担当の糸川博士の名前もたびたび報道されていました。
 当時小学生であった大臣にその後の苦労話を伺うのはいかがかとは存じますが、私同様のいろいろな考えがあると思うので、大臣及び宇宙開発事業団理事長に、これまでの我が国の宇宙開発を振り返っての思いをまず伺いたいと思います。
#94
○谷垣国務大臣 今先生がおっしゃったように、昭和三十年に糸川先生を中心としてペンシルロケットが我が国の宇宙開発の第一歩として最初に打ち上げられましたとき、私は小学校四年生であったのではないかと思います。大変胸をとどろかせてそのニュースを耳にしたことを今でも思い出すわけでございます。
 当時の糸川先生の努力を今から振り返ってみますと、本当に小さなところから苦労して出発をさ
れたなという気がいたします。そして、あの当時糸川先生が何をお考えになったのか、私も直接お話を承ったことはないのでありますけれども、その後の営々たる先人の努力を私なりに仄聞をいたしますと、何とか日本で、自主的な国産の技術で宇宙開発に日本の位置をきちっと確保したいという思いがあったのではないかと思います。
 今そういうことが全部かなえられているかどうかは別といたしまして、例えばHUAロケットというようなものは国際的な水準に到達することにまさにあと一歩で成功をするというところに来ているのではないかなと思いますが、ほかのところを見ていますと、まだまだトップランナーになり切れていないことがたくさんありますし、アメリカ等にはまだまだ日本の追いつかない技術等がたくさんあるわけでありますけれども、ある一角においては目標を達成しつつあるのではないか。今までの歴史を御存じの方は、はるけくも来つるものかなというような思いもお持ちではないかと思います。
 しかし、今こういう時点に立ちまして私思いますのは、ある意味で後発国から出発してきたのが、ある場面においてはフロントランナーに立ち得ることになり、いろいろな技術開発の努力が実際上の生活の便益に、国民の福祉の向上につながることもできてきた、ある意味で新しい産業を興すというようなこともできたのかもしれない。
 しかし、これからトップランナーに立つということになると一命まで前を走っていた方々が努力したいろいろなことを我が身に引き受けていかなければならない。それは、失敗もあるかもしれないし、いろいろなことがあるかもしれないけれども、そういうところに今来ているように思います。
 今が大事なところで、国民の理解を求めながら、トップランナーに立って進んでいくという覚悟をもう一回我がものとしてよく問いかけていかなければならないときに来ているのではないか、私はこんな感じを持っております。
#95
○内田参考人 お答え申し上げます。
 私どもの宇宙開発は、欧米に比しまして非常に立ちおくれてスタートしたわけでございます。
 確かに、先ほど大臣からもお話ございましたように、昭和三十年に糸川先生がペンシルロケットをつくられたというのは非常に先見の明があったことでございますが、その後、大学でございますので、開発はそう急速に進むということではございませんでした。
 そこで、政府は、昭和四十四年に宇宙開発事業団を設置いたしまして、本格的な宇宙開発を行おうということを決められたわけでございます。昭和四十四年と申しますと、西暦で言うと一九六九年でございまして、アポロ十一号の年でございます。アメリカでは人類が月に第一歩をしるしたときに、日本ではまだ小さな人工衛星を打ち上げるということも軌道に乗せるということもできなかったわけでございます。この技術格差をどうやって解消するかということが課題でございましたが、私どもはそれなりに努力をしてまいりました。
 我が国の宇宙開発は平和利用に徹して行うということでございまして、アメリカ等の宇宙先進国に比べますと、限られた予算、人員の範囲内で効率的、効果的にこつこつと仕事を推進してきたというふうに思っております。そして今日、日本もようやく世界の宇宙先進国の仲間入りができたというふうに思っております。
 また、国際情勢を見ますと、宇宙開発をめぐる環境というのは非常に変わっておりまして、ソ連の崩壊以来、従来の国威発揚と軍事利用を中心とした宇宙開発から、今は民生利用に非常に大きく軸足を移しつつあります。宇宙の産業化が進む一方、国際ステーションであるとか、地球環境保全のための宇宙からの監視といった大型プロジェクトにつきましては、世界の宇宙先進国の開発機関が協力して、国際プロジェクトとして推進をいたしております。当然私どもNASDAもその中に参加して努力をいたしておるところでございます。そういう時代になりまして、私正直申しまして、こういう時代に仲間入りができるように間に合ってよかったというのが正直な気持ちでございます。
 しかし一方、先ほどからいろいろ御指摘をいただいておりますように、私どもはまだまだ未熟であるという点も多々ございます。これからも皆様の御期待に沿えるように一生懸命努力していきたいというふうに私ども思っております。
#96
○菅原委員 さて、我が国の宇宙開発の中で大きな成果を上げてきた宇宙開発事業団であるが、一方、科学技術関係の特殊法人を見ると、日本原子力研究所、理化学研究所のように研究所という名前のものと、今回一部改正案を審査することとなった宇宙開発事業団のように開発事業団と言われるものがあります。主にプロジェクト開発を行うことを目的とした組織には開発事業団の名前をつけていると考えますが、さきに改正法案を審議し、十月には核燃料サイクル開発機構に改組されることとなった動力炉・核燃料開発事業団も開発事業団でありました。
 動燃事業団は、たび重なる事故や事故後の情報提供の不適切さ、不手際などにより経営の不在が指摘された結果、徹底的な改革が必要とされ、新法人への改組が行われることとなったものであります。また、以前には日本原子力船開発事業団という特殊法人もあったが、これも、原子力船「むつ」をめぐる混乱から、日本原子力研究所に統合された経緯があります。
 これらから見ると、開発事業団というものはどうも運営が難しいのかなという印象を持つところであります。科学技術庁でただ一つになる開発事業団という名前を持つ宇宙開発事業団が、これらの開発事業団と同じ道をたどることのないよう、今申し上げたような経過から期待するところであります。
 ついては、宇宙開発事業団の監督あるいは運営について質問をしておきますが、研究を行う研究所とプロジェクト開発を目的とする開発事業団とでは業務が違い、その監督、運営についても違った工夫が必要でないかと考えます。監督の立場から大臣に、また、運営の立場から理事長に、それぞれどのような点を配慮しているのか、また、これからしていくのかをお伺いします。
    〔委員長退席、斉藤(鉄)委員長代理着席〕
#97
○谷垣国務大臣 今先生御指摘になりました、原研、理研といった研究所と宇宙開発事業団というものはどう違うのかということですが、共通点と相違点、両方あるような感じがいたします。
 それで、共通点という点から申し上げますと、どちらも本来民間の企業あるいは大学等では取り組みが期待できないような国家戦略的な研究開発を担っているという点はやはり共通だろうと思います。そして、国家戦略的な、あるいはトップダウン的なものを扱うといいましても、研究者や技術者の知的活動が業務の基盤であるということはもちろんでありますから、そういう研究者、技術者の創造性とか先端的なアイデアを引き出せるような組織じゃなきゃいかぬという意味では、研究所も開発事業団も私は共通点があるだろうと思います。
 ただ、宇宙開発事業団の場合が典型でございますけれども、リスクも大きいですし、多額の予算も投入しなければならない巨大プロジェクト、それに対応するために開発事業団というものが設けられた。これは、宇宙開発事業団の場合にも動燃の場合にも同じような使命を担っていたんだろうと思うわけであります。
 その宇宙開発事業団が今どういう課題をしょっているかということになりますと、一つは、先ほど申し上げたことにつながるわけでありますけれども、宇宙というフロンティアでトップランナー、全部がトップランナーに立っているわけではありませんけれども、ある部分についてはトップランナーというかトップ集団に入ってきた。そういう最先端技術へ挑戦していくという課題はやはり一つ負っていることは間違いありません。
 それからもう一つは、それだけ多額な国費を使用していくということになりますと、国民の期待
というか、その負託にやはりきちっと適切にこたえていくという課題を、研究所はもちろんでありますが、研究所以上にしょっているのではないか、こういう感じがするわけであります。
 特に、今の後の点、多額の国費を使っているということになりますと、情報を公開しながら、そして適切に情報を発信しながら国民の理解を得ていく、それから、事業団の運営に関しても、オープンといいますか透明性といいますか、国民の負託にこたえられるような運営ということを意識していく必要があるのではないかなと思っております。
 それで、ことしHUロケット五号機の打ち上げに失敗したわけでありますけれども、その後で開かれた宇宙開発委員会では、理事長から報告を受けたわけでありますけれども、私から、徹底的な原因究明とその結果の公表、そして次回打ち上げ以降への反映というものをきちっとやらなきゃいかぬということを指示した次第であります。
 動燃のこともお触れになりました。動燃については、先ごろ、その改革法案をこの委員会でも御議論していただき、私も考えていることを申し上げさせていただいたわけであります。その際にいろいろ申し上げたことで、繰り返しは避けますけれども、一番の反省点は、動燃と監督官庁である科学技術庁の関係、緊張感と申しますか、それぞれの権限の適切な配分と申しますか、そういうところに科学技術庁と事業団の関係としては反省点が、私はポイントがあったと思います。それで、そのことは、宇宙開発事業団と科学技術庁についても同じようなことが言えるのではないか、今後とも、適切な緊張感というものをきちっと持っていくということを旨としなければならないな、このように思っております。
#98
○内田参考人 お答え申し上げます。
 ただいま大臣からお話ございましたが、事業団の運営に当たりましては、国民の期待にこたえ、そして国民の理解を得るということが非常に重要であるというふうに私ども認識しておりまして、また、情報を公開するということが非常に重要であろうというふうに思っております。私ども、この点につきましては留意し、努力をしているというところでございます。
 私の立場から一、二、つけ加えさせていただきますと、事業団は、研究所と異なりまして、個々の技術を一つのシステムとして効率的、効果的に取りまとめていくということが非常に重要でございます。したがって、重要なことは、個人の技術、能力を高めるということのみならず、事業団内部はもちろんのこと、事業団が中心となって、外部の研究機関、産業界等を含めたチームワークを築きまして、我が国の関係者が一丸となって開発を推進する、そしてその開発能力を強化していくということが必要であり、そのような運営を図るということに留意をいたしておるところでございます。
 また、国のプロジェクトといたしまして開発を実施する観点から申しますと、コスト、スケジュールの面につきましても十分留意していくことが必要であろうというふうに思っております。もちろん、スケジュールということとそのリスク管理ということとは関係がありまして、そういう点も十分留意しないといけないと思います。
 一方、宇宙の研究につきましては、ユーザーの方からの要望というのがいろいろございまして、例えば昨年打ち上げました熱帯降雨観測衛星、これは私どもとNASAとの共同プロジェクトでございまして、種子島から打ち上げを行ったわけでございますが、こういうものは、エルニーニョの研究のためでございまして、エルニーニョの年に打たないといけないということがございまして、そういう面での特にスケジュール管理ということも重要であった、そういう点にも留意をしていかなければいけないというふうに思っております。そのほかにもいろいろございますが、今、私、特に力を入れたいと思っておりますのはこのような点でございます。
#99
○菅原委員 開発における昨今のふぐあいなんですが、動燃事業団の場合は、たび重なる事故が改革のそもそものきっかけとなりました。宇宙開発事業団においても、昨今、地球観測衛星「みどり」の太陽電池パネルについてのふぐあい、通信放送技術衛星「かけはし」の打ち上げ時の第二段ロケットのふぐあい等が相次いでいるところであります。
 いささかの間違いがあってもならないとされる原子力と比べ、宇宙開発においては確率的にある程度のふぐあいはやむを得ないとの考えもあるのではないかというふうにも考えられますが、こういうことは実はあってはいかぬことでありまして、宇宙開発は多額の国家資金を投入するものであり、たび重なるふぐあいはやはり避けなければならないと思っております。
 そこで、この「みどり」「かけはし」等でふぐあいが引き続いていることについて、どのような評価をし、反省をしているのか。
 また、五月四日付日経ビジネスで、事業団のロケット担当理事が、製造メーカーのエンジン燃焼試験のときに不手際があり、これが打ち上げ失敗の原因となったのではないかとの見方をしている記事があります。この件について、どのような見解か伺いたい。
 また、そうであれば製造メーカーの責任にもなると考えるので、「もんじゅ」事故にあっては製造メーカーの損害賠償が行われたと聞いており、ロケットについても製造メーカーに賠償を求めるべきと考えるが、どうか、お伺いします。
#100
○谷垣国務大臣 個々の論点につきましては事務当局から御答弁をさせますが、最初に、ふぐあいが引き続いていることについてどのように考えるかということ。先ほど斉藤先生の御質問にもございましたので簡潔に申し上げたいと思っておりますが、残念ながらそういうトラブルが続いてきた、先生の失敗があってはならないというのは、私はそのとおりだと思います。
 ただ、率直に申し上げますと、開発の中には失敗というものをある程度覚悟しなければならないと私は思っております。それがそういう開発に伴うものであるならば、開発に伴ってある意味での不可抗力的に生ずるふぐあいであるならば、まずその原因究明を徹底的にやって、それを事後の開発に生かしていく、転んでもただでは起きないということをまず徹底する必要があろうかと思うわけであります。その意味で、今回の場合も、個別の原因究明を徹底的に行うことがまず第一だろうと私は思います。
 しかし、その上で、今先生が御指摘されましたように、何回かふぐあいが続いている、しかも投入している国費が膨大であるということになると、単に開発の過程で起きた不可抗力的なふぐあいだと言っていいのかという問題は当然出てくるわけでありまして、私自身も、宇宙開発委員会の技術評価部会の中で、まず個別の原因を徹底的に解明することが先決であるけれども、あわせて、そのような研究開発に内在するような問題があるのかどうか、視野を広げて検討すべきではないかという問題提起をしたところでございます。
 宇宙開発事業団の中でも外部評価委員会というものをつくっておりますけれども、そういうものの検討結果とあわせまして、直接の原因がどうなのかということに私ども鋭意取り組んでいかなければなりませんけれども、あわせて、視野を広くして今のような観点で取り組まなければいけないと思っております。
    〔斉藤(鉄)委員長代理退席、委員長着席〕
#101
○青江政府委員 先ほど先生の方から、いわゆる検査の段階におきましての低圧燃焼という一種のふぐあい、それとメーカーとの関係等につきましての御質問がございましたので、その点に関しましてちょっと御説明をさせていただきたいと思うわけでございます。
 御指摘の領収段階におきましての燃焼試験のふぐあい、これは、領収段階におきまして、四十秒、百秒、百秒と領収燃焼試験をいたしまして、その上で受け取るわけでございますけれども、その二回目の燃焼の段階で低圧燃焼という異常な状態というものを生ぜしめているわけでございます。
 これが今回のふぐあいに対しましてどのような影響を与えたのかということについてでございますけれども、原因究明のほどにつきましては、どういう事象が起きたかという事象解明そのものにつきましては、大体専門家の方もこういうことだろうということでもって整理がついておるようなところまで進んできてございますけれども、それではなぜそういうふうなことが起きたのかという原因の特定というところまでまだ立ち至っていないというのが今の状況でございます。
 その中におきまして、今触れました低圧燃焼というものが作用しているのかどうなのか。どうもその辺の可能性というのは、一つの候補として大変可能性が高いというようなことは言われてございますけれども、まだ特定し得る段階に至っていないというのが今の状況でございます。
 したがいまして、今後、原因究明というものをまずきちっとやるということが先決であろうというふうに思ってございまして、その上で、今御指摘になられましたメーカーとの関係も含めまして検討させていただきたい、かように思ってございます。
#102
○菅原委員 原因究明については、専門家ではないわけで、こういうマスコミの記事等から追及しているわけなんですが、バルブのあけ閉めとか何かにも原因があったのかどうか、今後とも十分に検討していただきたいということをお願いしておきます。
 それから、もしも賠償問題にもつながるようだったら、やはりこれも適切に対応すべきじゃないかなと思っておりますので、そういう点も配慮していくべきだ、こうお願いしておきます。
 今回の改正案提出の直接的な理由、受託による打ち上げを行うことについては、ロケットの信頼性が何よりも重要であり、利用者にいたずらに不安を持たせることがあってはならないと考えております。
 ついては、聞くところによると、外国から二十機ほどHUAロケットによる打ち上げの引き合いができているそうですが、「かけはし」の失敗でこれらの引き合いに影響を与えているのではないかとも考えるわけなんですが、このことについて私からもお伺いします。
 また、」二月十一日の本委員会で「かけはし」の現状と今後の計画について質問しましたが、その際、遠地点一万七千七百キロメートル、近地点五百キロメートルの軌道に変更すべく準備を進めているとの答弁があったところであります。その軌道変更について、どのような作業が進められ、いつごろ軌道変更ができるのか伺いたいし、また、予定した軌道に変更できない場合にはどのような実験ができるのか、お伺いしておきます。
#103
○青江政府委員 お答え申し上げます。先般の打ち上げの軌道投入失敗、これに関連いたしまして、いわゆるコマーシャルベースでのHUAの活用、その契約あたりにどのような影響があるかということにつきましては、私どもが関連会社の方から報告を受けている限りにおきましては、今のところ契約をどうこうというふうな指摘というのはない。
 一般的に申し上げまして、やはりこういった一定の確率でもって打ち上げ失敗というのは起こる、そうすれば、それは何が重要かということは、きちんと原因究明をしてオープンにすることだというふうな言われ方をしておるようでございます。これが第一点でございます。
 それから、「かけはし」の方の軌道変更についてでございますけれども、「かけはし」が、まさに打ち上げ、軌道投入失敗、投入する軌道というのが大変低かったということで、それをどうにか一部実験ができないかということでもちまして、軌道というものを極力上げていく。
 具体的には、目標といたします軌道、先生今御指摘になられましたように、遠地点高度におきまして一万七千七百キロ、近地点高度におきまして五百キロという軌道に上げたいということでもちまして、これを全部で当初八回、今少し進展をしてございますから、トータルで七回のいわゆるオペレーションというものを行いまして、徐々に軌道を上げていくということを進めておるわけでございます。
 現在、トータルで七回のオペレーションのうち四回、四回目はちょうど昨日の未明でございますけれどもやったところでございまして、とりあえずその四回までやりました段階におきましては、それぞれ、その回その回におきましての目標とすべき軌道には投入し得てございます。
 したがいまして、もう三回残っておるわけでございますが、これは、いわゆる太陽電池パドルをその都度畳んでまた開くとか、それから、その高度、位置、姿勢というものを決めるいわゆる位置決めというのが大変難しいとか、いろいろなリスクの多いオペレーションでございますけれども、私どもといたしましては、もう三回のオペレーションをぜひどうにか成功させていただきまして、予定する軌道に投入いたしまして、静止軌道で行うことを予定しておりましたものはできませんけれども、幾つかの通信実験等を行い得るようにいたしたい、そのように期待をいたしておるところでございます。
#104
○菅原委員 プロジェクト開発を行う場合、ともすればプロジェクトの予算化が第一の課題となり、一度予算化された後は、スケジュールキープが課題となるようにもなっていきます。このスケジュールキープに対する要請が事業の円滑な遂行に悪い影響を与えることがあることは、動燃事業団改革問題の論議の際に多く指摘されたところであります。
 このような中で、四月二十七日に総務庁から「宇宙開発に関する行政監察結果に基づく勧告」が出たところであるが、このような意見に対しては謙虚に耳を傾け、検討を進め、今後の対応を考えていくべきものと考えます。
 宇宙開発事業団については、コスト低減に着目した評価の実施、宇宙開発委員会等でのプロジェクトの必要性、緊急性の事前・中間評価、打ち上げ失敗に係る原因究明の徹底と対策の業務への反映及びこれら情報の国民へのわかりやすい公表が指摘されています。
 それで、HUロケットがあれば、それより小型のJTロケットはなくてもよいのではないかとも考えるのですが、JTロケットについての開発目的をまず伺いたいと思います。
#105
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 JTロケットの開発目的ということでございますけれども、JTロケットと申しますロケットは、数百キロから一トン程度の小型の衛星を低軌道に、静止軌道ではございません、低軌道に打ち上げるミッションの需要に対応することを目的に開発を進めたロケットでございます。
 平成四年からこの開発に着手をいたしたわけでございますけれども、大型のより能力の高いロケットと申しますのは、その当時からHHというものがあったわけでございますが、そういうものがあればより小型のものはもういいじゃないかというのは、決してそうではないのではないかというふうに私ども思ってございます。
 当時も種々の議論が行われたようでございまして、HUで上げるということになりますと、どうしても要するに能力的に大き過ぎます。と同時に、コスト的に大変高いものにつくというところがございまして、小型のものをHUで単発で上げるというふうな選択肢というのは、これはやはりとるべきではなかろうというような判断がなされたようでございます。
 一方、当時、HOPE−Xの開発の前段階のHYFLEXと申しまして、要するに宇宙に上がりましてそれで帰ってくる、こういうふうな宇宙往還機の研究というものをやっておりまして、その打ち上げ需要でございますとか、それから、小型の実験衛星というものをどうやっていくのかという、いわゆる小型の需要、こういったものへの対応というものを考えて開発に着手をいたしたというふうに聞いてございます。
#106
○菅原委員 このJTロケット一号機の問題では、価格の点で約四十八億円とされ、海外の同レベルのロケットの十二億円から二十四億円ぐらいに比べ相当割高であるとも指摘されているわけであります。事業団では低コストの改良型の研究に着手するとのことでありますが、果たしてその成算があるのか、あるいはそのめどがいつごろに立つのか、この点が大切なわけでございますので、お伺いします。
#107
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、JTロケットの一号機を上げましたときは、一発の打ち上げのコストが五十億というふうな状況でございました。それで、平成十二年の二号機までとりあえず予定しておるわけでございますけれども、その二号機の打ち上げ価格が、相当コスト削減努力をいたしまして、三十五億まで下げられそうな状況にございます。
 しかしながら、三十五億と申しましても、これを同能力を持ちます外国のロケットというものと比較をいたしました場合、先生御指摘のとおり、アメリカのロケット等の能力から申しますと、大体二十億前後といいましょうか、二十億プラスアルファ、こういったオーダーにございまして、三十五億では、当然のことながらやはり高いという状況にございます。
 したがいまして、今後の問題といたしまして、このJTロケット、これは監察の指摘でもあるわけでございますけれども、本当にこのままではだめなんじゃないか、いわゆるコスト削減努力というものをきちんとやりなさいということが言われておるわけでございまして、その研究というものを本年度より宇宙開発事業団におきましてスタートいたしたというところでございます。大体一年程度をかけまして、いわゆる技術的なフィージビリティースタディーと申しましょうか、そういうフェーズでの研究というものを宇宙開発事業団において進めてもらっておるというところでございます。
#108
○菅原委員 いずれにしても、一度始めたプロジェクトだから継続するのが当然との発想ではなく、総務庁の監察結果にあるように、プロジェクトの必要性、緊急性への事前・中間評価の徹底とその結果の国民に対するわかりやすい公表を旨として、今後の検討に当たってもらいたいと思います。
 それで、この総務庁の行政監察結果に対する取り組み姿勢はどうなっていきますか、お伺いします。
#109
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 まず第一点、JIにつきまして、一度始めたらそのままずるずるとというふうなことは厳に避けるべしという御指摘でございますが、私どももその心づもりでもって対処いたしたいと思ってございます。コスト削減努力というもの、その可能性というものをきちんと追求してみる、その上で、どうしても割高にならざるを得ないようなものでございますれば、それは当然のことながら、開発の中止を含めましてその取り扱いというものを考えていきたい、かように考えてございます。これが一点でございます。
 それから、行政監察の結果に対しまして、このJIの問題のみならず、多様な指摘がなされておるわけでございます。そういったすべての問題に関しましてということでございますけれども、私どもといたしましては、今回の監察の指摘というものを謙虚に受けとめまして、真摯に検討、対応していくべきものと認識をしておるわけでございます。
 例えば一例を申し上げますと、いわゆるプロジェクトの各段階の評価というものをきちんと厳密にやるべきだというふうな御指摘もございますが、宇宙開発委員会におきましては、毎年毎年新しい施策というものをどう打ち出していくのかということにつきまして各省庁からヒアリングをいたします。そして、それの当否というものを宇宙開発委員会なりに出していっておるわけでございます。それに従いまして各省庁が予算要求をいたしておるわけでございますが、その際に、いわゆる技術的な基盤でございますとか資金的な基盤というものをより厳密に、より慎重に宇宙開発委員会で検討を行おうというふうな決定もいたしまして、それに伴いますと、当然、各省庁に求めます資料といいますものもこれは質的に変わってまいります。
 そういうことをもちまして各省庁にも徹底をいたしまして作業を進めようというふうなことがもう既にスタートしておるということでございまして、行政監察の勧告で示されていることももう既に一部先行させて動きつつあるというふうなこともちょっと御紹介をさせていただきたいと存じます。
#110
○菅原委員 この改正案についての大臣の提案理由説明では、「宇宙開発事業団の打ち上げにより万一第三者に損害が発生した場合に備え、欧米と同等の損害賠償措置を講ずることにより、同事業団の打ち上げ業務の円滑な推進と確実な被害者保護に資することを目的」とするとされておるところでありますが、我が国では宇宙開発事業団のほか、文部省宇宙科学研究所が人工衛星打ち上げを行っております。今回、宇宙開発事業団による打ち上げの場合のみを対象として第三者損害賠償に係る措置が提案されておりますが、一方、宇宙科学研究所の打ち上げについても、万が一の事態に備え確実な被害者保護が必要なことは同じと考えます。
 今回の改正に際し、宇宙科学研究所が対象とされなかった理由、対象としなくても被害者保護に問題がないとする理由を伺いたい。
#111
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 宇宙開発事業団は、公共的な法人ということでありますものの、これは当然のことながら国とは別の法人格という存在になるわけでございます。そういうふうな存在に対しまして、文部省の宇宙科研と申しますのは国の機関そのものでございます。したがいまして、もしも万一損害が発生をしたというふうな場合には、国の与えた損害ということでございますので、当然のことながら国費によって賄われる、損害賠償がなされる。そういう性格の違いと申しましょうか、そういうことによって、今回、国の機関そのものの行います行為につきましては、これは対応措置をとる必要はなかろうというふうに判断をいたしたわけでございます。
 国の機関につきまして保険というふうなものでもってカバーするのかどうなのかというのは、これはいろいろ区々でございます。国の機関と申しますのは、リスクの究極の責任主体と申しましょうか、そういうふうな存在でもあるわけでございまして、それを保険という形でもってばらしておくのかどうなのか、その辺のことにつきましては、要するに国費の効率的な使用といいましょうか、保険料を払い続けてリスクを分散させた方がこれはより効率的な使用なのか、それとも、もしも万一あったそのときに国費でもって損害賠償した方がより効率的なのか、個々具体的な判断によって保険を掛けたり掛けなかったりしておる、こういうふうな状態であるというふうに理解をいたしてございます。
#112
○菅原委員 この事業団と宇宙科学研究所との連携についてですが、我が国の宇宙開発は宇宙開発事業団と文部省宇宙科学研究所とで行われており、事業団は、実用を目的とした人工衛星、ロケットの開発を行い、宇宙科学研究所は、科学観測を目的とした研究開発を行っております。この役割分担は、昭和四十一年、当時、衆議院の科学技術振興対策特別委員会が提案した考え方でありますが、一方で、五月十二日に衆議院を通過しておりますが、現在国会で審議中の中央省庁等改革基本法案では、文部省と科学技術庁を統合し教育科学技術省とすることとされております。
 事業団と宇宙科学研究所においては、これまでの歴史的な背景を踏まえ、それぞれの業務を遂行してきたところであるが、両省庁の統合を機に両機関のあり方を検討していくことが、我が国の宇宙開発の推進に、あるいは限られた宇宙開発予算の有効かつ効果的な活用にとって必要ではないかと考えます。
 そこで、中央省庁再編に向けて、宇宙開発の体制はどのようにすべきと考えているのか、また、少なくとも両機関の連携協力が必要と考えるが、今後どのような分野で協力が想定されていくのか、お伺いします。
#113
○谷垣国務大臣 ただいま行政改革の中で、文部省と科学技術庁を統合して教育科学技術省にしていく、こういう方針のもとに法案を御審議いただいているところでございます。
 こういう状況を踏まえまして、文部省と科学技術庁との間で既に両省庁合同の検討チームをつくりまして具体的な作業を進めているところでありますけれども、その中で、これからの宇宙開発体制をどうしていくかということを議論していくことにしておりまして、具体的に申し上げますと、先生が今言及されました宇宙開発事業団と文部省の宇宙科学研究所、これをどうしていくかというのはやはり大きな議論であろうと思います。もちろん、この二つは、以前にしていただきました整理に基づきまして、設置目的も役割分担もそれぞれ特色があるわけでございますが、ここのところの議論はこれからでございます。
 それで、現在幾つか協力している事業がございまして、例えば宇宙科学研究所の開発した宇宙実験・観測フリーフライヤーというものをHUロケットで打ち上げるとか、あるいは、JTロケットについてはいろいろ御議論があるわけでありますけれども、これも宇宙開発事業団と宇宙科研との既存技術を用いて何かできないかという試みの一つでございます。
 それから、月の科学の発展と同時に、月面着陸等の基盤技術の開発を目的とする月探査周回衛星の開発研究などを共同プロジェクトでやっておりますほか、衛星の追跡管制等についても協力して行ってまいります。
 今後、効率的に宇宙開発が行えますように、宇宙開発委員会の調整のもとで今までも連携協力を進めておりますけれども、今後ともそういう点に意を払っていかなければならないと思っております。
#114
○菅原委員 まだ大臣にも質問通告しておりましたが、時間が来たのでこれで終わります。
 どうもありがとうございました。
#115
○大野委員長 辻元清美さん。
#116
○辻元委員 社会民主党の辻元清美です。
 幾つかの点について御質問したいと思いますが、まず最初に、今回のこの法改正、宇宙開発事業団法の一部を改正する法律案についてまず一点お伺いしたいと思います。
 ロケット等の事故というのは、先ほどほかの委員の方からもどういうことが想定されるかということで御答弁いただいておりますけれども、一たび事故が起こると損害がはかり知れないというふうに私も認識いたしました。そういうことを考慮すると、事業団の過失の有無を問わず賠償責任を負わせるべきではないかと考えるわけなのですが、例えば原子力損害賠償法三条は、原子力発電所の運転により生じた損害につき無過失損害賠償責任を負わせるというふうになっておりますけれども、これと同じような扱いと考えてよろしいのでしょうか。
#117
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 宇宙開発事業団の行為に関連いたしまして他人に対しまして何らかの損害を与えたといった場合におきましては、これは法律関係におきましては国家賠償法の適用がございます。御案内のとおり、国家賠償法の適用ということになりますと、類似の判例というものから推測をいたしますに、当然のことながら、いわゆる高度な注意義務、普通の民法原則と比べましてはるかに高い注意義務というのが課されておる。そういうふうな状況でございまして、事業団に対しましての適用というものは、その意味におきまして実質的に結果責任に近い運用というものがなされておると理解し得るのではないかというふうに思ってございます。したがいまして、国家賠償法をベースにした形でもちましても、今の先生御指摘のようなケースに対する対応としましては十分であろうというふうに思うわけでございます。
 ちなみに、いわゆる打ち上げと非常に近い行為といたしましては、例えば航空機が落ちて地上にいる人に対して損害を与えるというふうなケースが非常に近い存在としてあるわけでございますけれども、これにつきましても、同じような、いわゆる無過失責任法制というのがとられていないというふうな状況にございます。
#118
○辻元委員 それでは、引き続きまして、先ほどからも審議されておりますけれども、事故が相次いでおるということで、どういうところに原因があるのだろうかということについて、幾つか御質問したいと思います。
 先ほどから、「きく六号」「みどり」「かけはし」の事故について各委員からも質問が出ているところです。この事故の原因というのは技術的なこともあるかと思いますけれども、やはり特殊法人のあり方そのもの、体制そのものにも原因があるのではないかというのは、私が指摘するまでもない話であると思います。
 先ほどからも出ておりますけれども、この委員会でも動燃の事故につきまして多角的に検証してまいりました。技術的なこともそうですし、人員配置はどうなんだ、財政的に、お金の使い方に対する認識はどうなんだということで、その過程で政府の方も、民間のコンサルタント会社等も入れて、動燃については経営そのもののあり方についても検証してまいりました。
 そういうことから考えまして、やはり今回の宇宙開発事業団の事故そのものも、組織自体に問題はなかったのかということを多角的に検証することはこの時点で非常に重要なことではないかということを考えますので、その点について幾つか御質問したいと思うのです。
 まず、本年度の宇宙開発予算ということなんですけれども、全体でどれぐらいの額で、そのうち宇宙開発事業団に対しては何%、そして幾らの予算をつけているのでしょうか。
#119
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 本年度の宇宙関係の予算の全省庁合わせましての総額でございますけれども、二千四百七十四億円ということでございます。そのうち、科学技術庁関係が一千八百二十五億円、こういうことになってございます。
#120
○辻元委員 今、科学技術庁関係とおっしゃいましたか。
#121
○青江政府委員 失礼いたしました。
 宇宙開発事業団の予算は一千七百七十九億円でございます。
#122
○辻元委員 今、御答弁に二つの数字が出てきまして、科学技術庁としては一千八百億、そのうち一千七百七十九億円が宇宙開発事業団の予算であるということで、科学技術庁としてはほとんど宇宙開発事業団に予算を使っているということになるかと思います。かつ、宇宙開発予算全体の中で宇宙開発事業団の使う割合を算出してみますと、七一・九%を宇宙開発事業団が使っているということになります。そういう意味でも、宇宙開発事業団の事故の原因究明、そして組織のあり方の検証というのは、日本が行っている宇宙開発事業、宇宙にかかわる研究開発、すべての事業にとって非常に重要な意味を持つというふうに私は考えるわけです。
 その中で、先ほどからも話に出ておりますが、総務庁が出しました「宇宙開発に関する行政監察結果に基づく勧告」について、幾つか事実関係を確認させていただきたいと思います。
 その中で私が取り上げたいのは、「宇宙開発事業団の業務運営の適正化」というところの指摘について取り上げてみたいと思います。
 この中で「宇宙開発事業団の組織管理等の適正化」というのが一つ目の項目になっているのですが、その中で、職制その他組織に関する定めとして、組織規程以外に「宇宙開発事業団組織規程の運用について」というのを一九九三年三月十九日付で制定していますが、「組織運用達の届出は義務付けられていないとして、組織運用達の制定・改廃を主務大臣へ届け出ておらず、また、主管省庁においても、組織運用達に基づく組織管理の実態を十分把握していない。」と。
 要するに、九三年から五年間ですけれども、科技庁もこれは把握していなかったというふうに指摘されているのですけれども、この把握していなかったというのは、科学技術庁としては事実でしょうか。
#123
○青江政府委員 十分に把握をしていなかったということは事実でございます。
#124
○辻元委員 ということで、宇宙開発事業団がこういう規定を使って、要するに先ほどの予算もほとんどがこの事業団が使っているというような状況からかんがみまして、主管省庁がこの組織のあり方について把握していないことがあった、こういう態度について、科技庁の方ではどういう御見解なんでしょうか。
#125
○青江政府委員 組織の骨格につきましては、当然のことながら、組織規程でもちましてここのところはきちんと把握をしているわけでございます。それと一種補完的なと申しましょうか、運用達でもってなされますような組織の改廃と申しますのは、原則次のようなことであろうというふうに思っておるのでございます。
 いわゆる何か緊急な事態がある、そのときに、例えばタスクフォース的に何か対応するとか、それから、いわゆる年度途中におきまして新しい事態が生じたということになると、旧来の組織のまま推移をさせておくよりも何らかの形で対応させた方がより効率的だとか、要するにテンタティブな対応とでも申しましょうか、そういうものへの対応というのがこの組織達によりますところのものであろうということでもちまして、私どもとしましては、その辺につきましていわゆる一〇〇%の把握というものはなしていなかったわけでございますけれども、そのようないわゆる組織達というものの趣旨をやや逸脱した状態というものが現実にあったわけでございます。
 その辺はきちんとしたルールに基づきましてということで早急に是正を求めてございまして、その上で対処いたしたい、かように思ってございます。
#126
○辻元委員 もう一点の指摘は、今ちょっとルールを逸したような部分があったというのはこの点についてでしょうか。開発手当の支給問題ということでしょうか。
 支給対象となる職員の所属する組織を、「宇宙開発事業団職員給与規程第二十条の運用基準について」というのを定めてあって、これにおいて定めておりますけれども、これらの支給対象組織等の中には、組織規程に定められておらず、組織運用達に基づいて設置されたものが九組織あったということで、当該組織において開発手当を受給している者が五十六人見られたというごとですけれども、これは事実だと思うのですが、今御指摘があった点はこの件でしょうか。
#127
○青江政府委員 今の点も含めてでございますけれども、開発手当自体のことにつきましては、その五十六名の者の携わっております業務の内容というものを見ましたときに、いわゆる開発手当を出すことにいたしております趣旨、これは給与規程できちっと決まっておるわけでございますけれども、その趣旨に合致する業務内容にあるということは確認をいたしておるのでございます。
 ただ、その枠組みをつくりますところの組織、組織でもってこの開発手当を出すのだという整理をしておるわけでございますが、そこのところが十分でなかったというところがございまして、中身そのものというよりは枠組みのつくり方においてちょっとしたルール違反というものがあったというふうに認識をいたしてございまして、それは是正を求めておるというところでございます。
#128
○辻元委員 今、ちょっとしたルール違反があったという御発言で、行政監察も指摘しているところなんですけれども、これはNASDAの方はどのように受けとめていらっしゃるのでしょうか。具体的にこの点についてはどうされたのでしょうか。
#129
○石井参考人 お答えいたします。
 事業団の業務運営に関する事柄に関しましてこのほど行政監察局の勧告を受けたわけでございますが、その中で、今御指摘いただいております組織の関係あるいは開発手当の関係について勧告を受けております。
 組織の運用達でやっておるということに関しましては、先ほど開発局長からも御説明いただきましたように、私ども、業務が多様化し、あるいは増大していくという中にありまして、緊急に対応しなければならないような事情、あるいは効率的な業務執行を図るといったような観点から、組織規程を補完するというような意味合いで組織規程の運用達というものを設けて、認可と異なるような課あるいは室を置いたというようなことがございました。
 これはいわば一種の暫定的な措置という認識ではございましたけれども、今回、勧告を受けまして、私どもは、今年のできるだけ早い段階にこれを是正していく、あるいは即できないものは速やかな是正措置を今後講じていくという方向で対応させていただきたい、かように考えております。
 また、開発手当につきましては、人工衛星とかあるいはロケット等の開発といった事柄に関する専門的知識経験を必要とする職務に対して行われるということでございまして、運用達で置いた組織に属しておりましても、こういった専門的業務に属する仕事をしておる場合は開発手当を出してきたというようなことでございます。
 私ども、勧告の趣旨を踏まえまして今後速やかな是正措置を講じていきたい、かように考えております。
#130
○辻元委員 組織をがんじがらめに縛る必要はないと思うのですね。現場の人の御判断で微調整は必要かと思いますけれども、予算の大半を使っている組織であるわけで、ルールというものがありますので、そのルールにのっとって運営をしていただきたいと思います。それで、ルールがおかしいなと思うときは、ルールがおかしい理由、そしてそれを審議にかけて変更するということがない限り、のっとるべきだと私は考えるわけです。
 さてもう一点、契約業務についてちょっと伺いたいのです。以下の認識でよろしいのでしょうか。
 この宇宙開発事業団の委託、請負、売買などの契約については、宇宙開発事業団会計規程等によって、原則として競争に付することとされており、随意契約を締結することができるものは二つ。契約の性質または目的が競争を許さないとき、そして予定価格が少額、これは二百万円以下という規定がございますけれども、そのときなどに随意契約を結んでいいというふうにしっかり規定されているわけですね。第五条第一項、先ほどの規程に定める特別な場合に限定されていると、これはしっかり明記されているわけなんですけれども、この認識で運営されているわけですね。
#131
○石井参考人 そのような認識のもとに私ども対応してきたつもりでございます。
#132
○辻元委員 何だか今、つもりというところにちょっと力が入ったのですけれども。
 一九九五年度ですと、宇宙開発事業団の契約件数を見てみますと七千三百二十三件。さまざまな民間業者等と契約しているようなんですけれども、一般競争入札及び指名競争入札の件数が非常に少ないという指摘がされております。
 先ほど七千ちょっとと申し上げましたが、契約件数に占める随意契約件数の割合は九八%に上っているという指摘を受けていますけれども、これは事実でしょうか。
#133
○石井参考人 御指摘のとおりでございますが、事業団の場合、開発物というものが非常に多うございます。したがいまして、契約の性質といたしまして競争になかなかなじまないといったようなものがございまして、そのような数字に相なっておるところでございます。
#134
○辻元委員 この勧告によりますと、「必ずしも当該業者でなければ業務遂行が困難なものではなく、現在の契約の相手方以外にも業務遂行が可能な業者が存在し、競争に付すことになじむ契約」もあるという指摘がありますけれども、九八%が随意に行われていたという現状を今一つ一つ検証して改めていこうなどという具体的な措置はとっているのでしょうか。
#135
○石井参考人 お答えいたします。
 行政監察で取り上げられました、主として競争原理に基づいてもっとやるべきであるというような指摘を受けましたものは、基本的に開発業務にかかわる契約といったようなものについてではなく、私ども事業所で、例えば警備の関係でございますとか清掃の関係の業務あるいは車両運行の業務、こういったものは、特殊法人の行革を進めるという中に、宇宙開発事業団は定型的な業務は極力外部に委託をしろというような閣議決定をいただいておりまして、こういうような方針で、事業団職員で対応しなくてもいいような、いわゆる定型的業務というものは極力外に委託するというようなことで対応させていただいております。
 したがいまして、例えば種子島なんかでいいますと、車両運行業務というもので三千四百万円、警備業務で五千四百万円、清掃業務で三千四百万円、こういった業務を外部に出しておるわけでございますが、これが特に特定の企業、最初私ども、他に業者がなかったということで、ある業者、東京から行った業者に発注して、ここが対応してきた。これが継続的に引き続いておったということで指摘を受けたわけでございますが、当初、他に業者がなかったということ、あるいは、その業者は地元雇用ということで、こういった仕事をやる上で地元の人たちを採用して対応しておったというようなこと、あるいは、私ども、種子島にはやはり特殊な設備あるいは危険物があるということで、こういった清掃業務とか警備はなれた業者がいいであろうという、いわば安易な考え方が若干あったかとも思いますけれども、そういったことで継続的にこうやってきたというような点がございます。
 私ども、今回の勧告を受けましたので、既に十年度のものにつきましては、公示をし競争するという形の対応で、基本的に各事業所で全部をそのような方向でこういった業務は対応させていただいておる、こういうことでございます。
#136
○辻元委員 本当に細かく勧告によって指摘されているわけですけれども、例えば、「契約の相手方以外の業者からの見積書の徴収や市場価格等の調査をほとんど行っておらず、契約価格の妥当性についての検証が不十分な状況がみられる。」とか「当初契約の締結から十年以上にわたって契約方法等の見直しがなされていないものもみられる。」
 今の御答弁の中でも安易なというお言葉を御自分で使われましたけれども、先ほどロケット本体に関する契約等については他の委員の方がかなり深く追及されたかと思いますけれども、業務全体、総体にわたってやはりそういう姿勢は直していかないといけないと思うのですね。
 といいますのは、実際にこの勧告が出なかったらそのままずっといっていたのかな、見直しはなかったのかしらという心配すら覚えるわけなのです。ですから、そこのところは科技庁の方も、先ほどの御答弁がありましたけれども、組織のあり方を含めてしっかりチェックはしていくべきだというふうに思います。
 さて、もう一点伺いたいと思います。今回行革との関係で、先ほどからも、宇宙科学研究所と宇宙開発事業団、この二つが一つの省庁のもとにどのような形で取り扱われるのかということが議論されてまいりました。大臣の御答弁の中にも、合同検討チームを設けてこれからのあり方をどうすべきかという検討を今始めているというような御答弁もありました。
 その中で、「日本の宇宙科学はどこへ行く」という専門家五名の方による座談会を私先日偶然読みまして、この中でもこの二つの組織のあり方について議論されております。
 そこで、一つ御紹介したいことがあります。小田稔さん、東京情報大学学長の方が省庁行革のことをMITの教授と議論していた折に、MITの教授から、日本の宇宙科学は二つの研究所によって二面体制を持ってきた、基礎研究とそれから開発ということ、これは非常にいいのじゃないか、それぞれの独自性を生かして独立してやってきた、これはいい面じゃないかという指摘をしているのですね。
 それを受けまして、これは宇宙科学研究所の今の所長さんでしょうか、西田さん、彼の方からも、宇宙科学研究所は研究者の自由な発想に基づく大学的な基礎研究機関ですが、NASDAは国策として宇宙開発を遂行する任務を与えられた組織である。これは本質的な相違であるというふうに指摘された後、国策的課題は宇宙ステーション計画への参加のように政治的に力が強いことが多いので、もし二つの機関が一つの組織とまとめられたときには、研究者の自治の上に築かれ、国の文化として進められてきた日本の宇宙科学を一挙に崩しかねないという懸念をここで表明されているわけなのです。
 私も、これを読みましてなるほどというふうに思いました。日本の宇宙に関する予算のつけ方も、基礎研究の部分が非常に少ないという指摘もあちこちでされているわけなのですけれども、私は、やはり基礎研究を非常に重要視して、そして開発の部分と一体化して合理化していく方向で、それがすべていいのだというのではなく、独自性を保っていく、そういうあり方が必要なのではないかというふうに考えるわけなのです。今、合同検討チームの中で御検討中という長官の御発言がありましたけれども、いかがでしょうか。
#137
○谷垣国務大臣 今引用されたのは、たしか今月号の中央公論に出ていた座談会を引用されたのだと思います。小田先生の御持論を述べておられまして、これは単に宇宙科研と宇宙開発事業団の関係をそこでは議論されておられるわけですけれども、それを超えまして、文部省がやってきました学術行政あるいは大学の研究というものと、科学技術庁が進めてきた科学技術行政といいますか、ある意味で国家戦略に基づいたりしながらやってきた研究開発との違いがあるわけで、その違いの上で統合していくときにどういう問題が起こるかという一般論にも通ずるところがある議論ではないかと思っております。
 それで、どちらかといいますと大学の側には、今の小田先生のような懸念が、文部省と科学技術庁が統合していくときにかなりあるように思います。また、逆に私どもからいたしますと、今までの大学の研究体制という、長い間のアカデミックフリーダムという中でつくり上げられてきた古い伝統だけで本当にいいのだろうか、もう少し今の時代の要請あるいは生活者のニーズというようなものをどんどん取り入れられて、競争的な環境というものをつくっていく必要があるのではないかというような問題意識もございまして、実は非常に奥の深い問題なのではないかと思っております。
 この二つの組織をどうしていくか。まさに宇宙の開発体制を進めていく場合には、この二つの組織をどうしていくかというのが中心課題になるわけですけれども、それに対して明確な答えは、先ほどの合同チームの中でもまだ出てきているわけではありませんが、全体に通ずる議論でありますから、これから掘り下げて議論していく必要があろうかなと思っております。
#138
○辻元委員 時間が参りましたので、これで終わります。
#139
○大野委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#140
○大野委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 宇宙開発事業団法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#141
○大野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#142
○大野委員長 次に、ただいま議決いたしました本案に対し、河本三郎さん、吉田治さん、斉藤鉄夫さん、菅原喜重郎さん、吉井英勝さん及び辻元清美さんより、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。吉田治さん。
#143
○吉田(治)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党、平和・改革、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    宇宙開発事業団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  宇宙開発は、人類の活動領域の拡大、将来の新技術・新産業の創出等に大きく貢献するものであり、これを着実に推進することが極めて重要であることに鑑み、政府は、本法の施行に関し、次の点に留意すべきである。
 一、宇宙開発事業団は、運営の透明性の確保、効率的な事業の執行に努め、引き続き宇宙開発のための研究開発に取り組むほか、受託打上げについても、開発成果の活用及び国際貢献の観点に立ち、これを積極的に進めること。
 一、ロケット打上げに当たっては、安全の確保を第一とするとともに、万一打上げによって第三者に損害を発生した場合に備え、確実な被害者保護が図れるよう、適切な保険金額の設定を行う等第三者損害賠償措置の適切な運用を図ること。
 一、H−Uロケット5号機の打上げ失敗の反省に立ち、事故が生じた場合には、速やかにその原因の徹底究明を進め、万全の対策を講じることにより、信頼性の高い技術の構築を図ること。
  右決議する。
以上であります。
 各事項の内容、趣旨につきましては、委員会の審査を通じ十分に御理解いただけることと存じますので、詳細の説明は省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#144
○大野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の皆さんの起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#145
○大野委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。谷垣科学技術庁長官。
#146
○谷垣国務大臣 ただいま御決議いただきました宇宙開発事業団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その御趣旨を踏まえまして、今後とも我が国の宇宙開発に全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。
    ―――――――――――――
#147
○大野委員長 お諮りいたします。
 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#148
○大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#149
○大野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト