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#1
第142回国会 労働委員会 第2号
平成十年三月十一日(水曜日)
    午前九時十一分開議
出席委員
  委員長 田中 慶秋君
   理事 荒井 広幸君 理事 小林 興起君
   理事 佐藤 剛男君 理事 森  英介君
   理事 鍵田 節哉君 理事 中桐 伸五君
   理事 河上 覃雄君 理事 青山  丘君
      井奥 貞雄君    飯島 忠義君
      大村 秀章君    小林 多門君
      棚橋 泰文君    能勢 和子君
      藤波 孝生君    柳本 卓治君
      近藤 昭一君    玉置 一弥君
      松本 惟子君    桝屋 敬悟君
      大森  猛君    金子 満広君
      濱田 健一君    土屋 品子君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 伊吹 文明君
 出席政府委員
        労働政務次官  柳本 卓治君
        労働大臣官房長 渡邊  信君
        労働省労政局長 澤田陽太郎君
        労働省労働基準
        局長      伊藤 庄平君
        労働省女性局長 太田 芳枝君
        労働省職安定
        局長      征矢 紀臣君
        労働省職業能力
        開発局長    山中 秀樹君
 委員外の出席者
        労働委員会専門
        員       中島  勝君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十七日
 辞任        補欠選任
  遠藤 利明君     川崎 二郎君
三月十一日
 辞任         補欠選任
  白川 勝彦君     小林 多門君
同日
 辞任         補欠選任
  小林 多門君     白川 勝彦君
同日
 理事岡島正之君同日理事辞任につき、その補欠
 として青山丘君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
二月十日
 労働時間及び雇用に関する労働契約など労働法
 制の抜本改正に関する陳情書外七件(北海道沙
 流郡日高町字日高二九九の一日高町議会内鹿島
 信一外七名)(第四四号)
 時間外労働等の労働時間の男女共通規制など労
 働者の労働条件と権利を守り拡充する労働法制
 の改正に関する陳情書外二件(北海道伊達市鹿
 島町二〇の一伊達市議会内中里慶三外二名)(
 第四五号)
 労働法制の改正に関する陳情書(金沢市広坂二
 の一の一石川県議会内角光雄)(第四六号)
 労働者の労働条件と権利を守り拡充する労働法
 制の改正に関する陳情書(北海道旭川市六条通
 九の四六旭川市議会内岡崎信義)(第一〇六号
 )
 パート労働法の見直しに関する陳情書(名古屋
 市中区三の丸三の一の二愛知県議会内大見志
 朗)(第一〇七号)
 じん肺被害者の早期救済に関する陳情書外二件
 (福岡県田川市中央町一の一田川市議会内高瀬
 春美外二名)(第一〇八号)
 駐留軍関係離職者等臨時措置法の有効期限延長
 に関する陳情書(宮崎市橘通東二の一〇の一宮
 崎県議会内菊野高雄)(第一〇九号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 労働関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○田中委員長 これより会議を開きます。
 まず、理事の辞任の件についてお諮りいたします。
 理事岡島正之君から、理事の辞任の申し出があります。これを許可することに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○田中委員長 異議なしと認め、よって、そのように決しました。
 引き続き、理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。
 ただいまの理事の辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長より指名いたしたいと存じますが、異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○田中委員長 異議なしと認め、それでは、理事に青山丘君を指名いたします。
     ――――◇―――――
#5
○田中委員長 次に、労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 労働大臣から所信を聴取いたします。伊吹労働大臣。
#6
○伊吹国務大臣 おはようございます。
 労働委員会の御審議に先立ち、今後の労働行政についての所信を申し述べ、委員各位を初め、国民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。
 我が国は、経済のボーダーレス化の中、少子・高齢社会を迎えるなど、大きな転換期にあります。日本が現在の平和で恵まれた暮らしを維持発展させていくには、経済が順調に発展を続け、健康と老後の経済的安定が保障され、その中で、何よりも働く方々が生きがいと自助の気概を持って、その持てる能力を十分に発揮し、自分自身はもちろんのこと、日本社会に貢献できる環境をつくっていくことが大切です。
 先人に築き上げていただいた豊かな社会と行き届いた諸制度の中で、自助自立の気持ちは薄らいできているとの指摘はあっても、なお我が国ほど、平均的に見れば高い教育・技術水準と勤労モラルを持つ国はありません。この有能な人材と高い技術力を資本と結びつけ、豊かで活力ある社会を築き上げていくことが、今まさに求められております。
 そのためには、従来当たり前であった制度やこれまでなれ親しんできた私たちの生きざまも、これからの時代に適応できるよう変えていかねばなりません。新しいものを取り入れること、改革することには、必ず効果と副作用があります。そのどちらかに一方的に目を奪われ、判断を誤ることのないよう、バランスをとりながら改革に立ち向かうことが重要でしょう。
 このような視点に立ち、これからの労働行政は、経済運営の大きな要素であり、同時に人間として存在する喜びである労働が、国際的な大競争時代を乗り越え、少子・高齢社会を支え得るものとなるよう、次のような各般の施策を積極的に推進すべきと考えております。
 第一は、現下の厳しい雇用情勢に対応する政策です。
 このところの景気状況を反映し、雇用情勢も、完全失業率が従来より高い水準で推移するなど、厳しい状況が続いております。
 雇用は、中長期的には構造改革、規制緩和、技術革新等により新規産業が出現することで新たに創出されるものですが、短期的には景気や経済運営により大きく影響を受けます。さらに、摩擦的失業回避の努力により、失業は可能な限り抑制されねばなりません。
 このため、中長期的には、経済構造改革を初めとする六つの改革を着実に推進することにより、安定的、持続的な経済成長を実現し、新たな雇用を創出する必要があります。一方、短期的には、雇用不安や失業の解消の観点からも、強い実体経済に悪影響の生じないよう、金融不安を払拭するための政策等適切な経済運営を行うことが大切であり、雇用面でもしっかりとした備えをすることが必要です。
 このため、雇用動向を十分注視し、失業の予防や円滑な再就職の促進などの機動的な対策を講じてまいります。特に、企業の経営破綻等が生じた場合には、雇用調整助成金制度による大型倒産等事業主の指定など迅速な対応を行います。また、離職を余儀なくされた中高年ホワイトカラー等の方々のために、官民連携のもと、その再就職を支援するべく、新たなネットワークを構築するとともに、職業訓練ニーズを的確に把握し、機動的な職業訓練の実施に努めてまいります。
 第二は、経済構造改革が進む中で、生き生きと働ける環境の整備です。
 国際的な大競争時代を生き抜くには、経済構造改革を推進し、経済活力を維持しなければなりません。その場合、経済活動の一方の担い手である労働者がその能力を十分に発揮し、経済社会を支えることができるよう、労働条件や労働環境の整備を進めることが必要であります。
 このため、価値観や働き方が多様化していることに対応し、新しい働き方を希望する労働者には健康で安心して働ける環境を選び得る道を開くため、労働時間や労働契約の法制を整備することを主な内容とする労働基準法の改正案を今国会に提出いたしましたので、よろしく御審議をお願い申し上げます。
 また、今後、我が国が経済構造改革を進める上では、働く方々が主体的に職業能力開発に取り組んでいただく必要があり、雇用保険制度の枠組みの中でこれを支援するための給付を創設することといたしております。あわせて、介護休業を行う労働者に対する給付を創設することとしており、これらを主な内容とする雇用保険法等の改正案を今国会に提出し、御審議をお願い申し上げているところであります。
 また、労働力について需給両面で大きな変化が進む中、需給のミスマッチの解消を図るため、労働市場の整備が必要となります。また、価値観の多様化の中で、多様な働き方を希望する人たちもふえております。その希望にこたえる道を開くべく、労働者派遣事業制度について適用対象業務の範囲、派遣期間、労働者保護のための措置等を内容とした見直しを中央職業安定審議会にお願いしており、成案を得次第、今国会に労働者派遣法の改正案を提出し、御審議をお願いすることといたしております。
 さらに、産業構造の急激な変化などに対応できる高度な職業能力を備えた人材を育成するため、職業能力開発短期大学校の大学校化などを計画的に整備してまいります。
 このほか、これまで我が国産業の基盤をなしてきた物づくりの技術、技能の継承や活用を図るため、技能尊重の機運の醸成を図るべく各般の努力を傾けたいと思っております。
 第三は、健康で安心して働ける勤労者生活の実現です。
 市場経済の原理原則の中での労働時間の短縮は、活力とゆとりある勤労者生活の実現のために取り組むべき重要な課題であります。特に、週四十時間労働制については、これが早期に完全定着できるよう、中小企業に対するきめ細かな指導、援助等に全力で取り組んでまいります。
 また、解雇や賃金不払い事案等労働条件をめぐる問題についても、全国の労働基準監督機関の迅速的確な対応に努めてまいります。
 さらに、職場における安全と健康の維持確保のため、新たに策定する第九次の労働災害防止計画に基づき、死亡災害が多発している業種の実情等に応じた対策の徹底や、労働者の健康を確保するための対策の充実などに積極的に取り組んでまいります。不幸にして労働災害に遭われた方々には、迅速適正な労災補償の実施に努めてまいります。
 一方、勤労者がよりゆとりと豊かさを実感できる生活を実現するために、自由時間の有効活用の促進や、職場としての中小企業の魅力を増進させる対策などにも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 特に、中小企業退職金共済制度については、金融情勢の変化等に対応し、制度の安定充実を図るため、退職金額の見直し、特定退職金共済制度との通算制度の創設等を内容とする中小企業退職金共済法の改正案を今国会に提出いたしましたので、よろしく御審議をお願い申し上げます。
 第四は、多様な個性や能力を発揮し、少子・高齢社会を支える基盤づくりであります。
 我が国経済社会を活気に満ちたものとするには、高齢者の方々にも長年培った知識や経験を生かし、社会を支える側に回っていただき、同時に、生きる喜び、存在することの実感を持っていただくことが重要であります。このため、六十五歳までの何らかの形での継続雇用の推進、シルバー人材センター事業の活用などの政策により雇用・就業機会を確保し、少なくとも六十五歳までは現役として働くことができる社会の実現に努めたいと考えております。
 また、女性がその持てる能力を十分に発揮するための雇用環境の整備は重要な課題です。このため、男女雇用均等法の内容に沿った雇用管理が円滑に実現されるよう対策を進めます。あわせて、職場におけるセクシュアルハラスメントを防止するための対策や、妊娠中及び出産後の女性労働者の健康管理対策を充実いたしたいと考えております。
 また、育児・介護を行う労働者が職業生活と家庭生活を両立し、働き続けられるよう育児休業制度や介護休業制度の定着を促すなどの対策を進めるほか、パートタイム労働を魅力ある良好な就業形態にするための取り組みも行ってまいります。
 加えて、障害者の方々の能力と適性に応じた雇用の場が確保されるよう、障害の種類及び程度に応じたきめ細かな施策を総合的に推進してまいります。
 このような施策の展開に加え、社会保険労務士試験の実施に関する事務を全国社会保険労務士会連合会に行わせること等を内容とする社会保険労務士法の改正案を今国会に提出いたしましたので、よろしく御審議をお願い申し上げます。
 また、駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の有効期限をそれぞれ五年間延長すること等を内容とする法案も今国会に提出いたしましたので、よろしく御審議をお願い申し上げます。
 以上、当面する労働行政の重点事項について私の所信の一端を申し述べました。私は、労働行政を預かる者といたしまして、経済構造改革を推進し、少子・高齢社会を支える中で、日本のよき労使関係はこれを維持発展させるべく全力を挙げて取り組む所存であります。委員長を初め、委員各位の一層の御理解と御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
#7
○田中委員長 次に、平成十年度労働省関係予算の概要について説明を聴取いたします。渡邊労働大臣官房長。
#8
○渡邊(信)政府委員 それでは、お手元の資料に従いまして、平成十年度労働省関係予算案の概要について御説明申し上げます。
 初めに一ページでございますが、全体の予算規模について御説明申し上げます。
 労働省所管の一般会計は四千九百九十七億円で、前年度に対し二十八億円の減額となっております。
 労働保険特別会計につきましては、全体で五兆三千五百十三億円で、前年度に対し六百九十五億円の減額であり、勘定別には、労災勘定は二兆四百九十九億円で一千四十四億円の減額、雇用勘定は三兆三千十四億円で三百四十八億円の増額となっております。
 また、石炭勘定の労働省関係分は百三十二億円で、前年度に対し十一億円の減額となっております。
 主要事項別に御説明をさせていただきますが、まず二ページでございます。二ページにございますとおり五つの柱から成っておりますが、その主な内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、三ページでございますが、第一は「経済構造改革を担い、いきいきと働ける環境の整備」でございます。
 その一は、活力にあふれ創造的な働き方を促進する労働環境の整備であり、労働時間法制等の見直しを行うとともに、雇用保険制度について、労働者の主体的な能力開発の取り組みを支援するための給付等の創設を行うほか、財政構造改革の観点を踏まえ、失業等給付に係る国庫負担について必要な見直しを行うこととしております。
 その二は、円滑な労働移動の促進及びミスマッチの解消を図るための労働市場の整備であり、雇用情報提供機能の充実等により、公共職業安定所による迅速的確な雇用促進を図るとともに、労働者派遣事業制度の見直し等を通じた民間労働力需給システムの整備を行うこととしております。
 その三は、四ページの魅力ある雇用の創出であり、中小企業の活力を生かした雇用創出対策を推進するとともに、厳しい沖縄県の雇用失業情勢に対応した雇用・職業能力開発対策を拡充強化することとしております。
 また、現下の雇用失業情勢に対応した雇用調整助成金の適用の拡大を図ることとしております。
 その四は、多様なニーズに応じた能力開発であり、職業能力開発大学校の設置に向けての整備を進めるとともに、民間活力による製造業、建設業の将来を担う人材育成への支援等を図ることとしております。
 第二は、五ページの「健康で安心して働ける勤労者生活の実現」でございます。
 その一は、労働時間短縮対策の推進であり、週四十時間労働制の完全定着を図るとともに、年次有給休暇の取得促進、長時間残業の削減を推進することとしております。
 その二は、賃金対策の推進であり、未払い賃金立てかえ払い制度の充実や、今後の望ましい企業年金制度の設計、運用等のあり方の検討を行うこととしております。
 その三は、六ページの新たに策定する第九次労働災害防止計画に基づく労働災害防止対策の推進であり、地場総合工事業者による下請工事業者に対する指導力の向上等による災害防止を図るとともに、労使一体となった安全衛生活動の促進を図ることとしております。
 その四は、七ページの職業生涯を通じた労働者の健康確保対策の充実等であり、労災病院、産業保健推進センター等のネットワーク化等により産業保健サービス機能を充実強化することとしております。
 その五は、八ページでございますが、増大する労働条件に関する個別紛争の簡易、迅速な解決援助のための体制整備を図ることとしております。
 その六は、労災補償対策の推進であり、労災保険給付の迅速適正な処理を推進することとしております。
 その七は、勤労者福祉対策の推進であり、中小企業退職金共済制度の見直しを行うなど、中小企業対策を推進することとしております。
 その八は、九ページでございますが、持ち株会社解禁に伴う労使関係問題の検討を行うなど、労使の合意形成の促進を図ることとしております。
 第三は、「多様な個性や能力を発揮し、少子・高齢社会を支える基盤づくり」でございます。
 その一は、アクティブエージングの観点に立った高齢者雇用対策の総合的な推進であり、高齢者が六十五歳まで現役として働くことができる社会の実現に向けた国民的コンセンサスの形成や、シルバー人材センター事業の発展拡充を図ることとしております。
 その二は、十ページの雇用の分野における男かの均等な機会及び待遇の確保等対策の推進でりり、改正男女雇用機会均等法の内容に沿った機会均等対策を推進するとともに、職場におけるセクシュアルハラスメント防止対策の推進や母性健康管理対策の強化を図ることとしております。
 その三は、職業生活と家庭生活との両立支援対策の推進であり、仕事と育児・介護との両立を支援するための施策の充実等を図ることとしております。
 その四は、パートタイム労働対策の推進であり、短時間労働者の雇用改善等に対する支援を行うこととしております。
 その五は、障害者対策の積極的推進であり、雇用率達成指導や職業リハビリテーションの充実強化を図ることとしております。
 その六は、十一ページの新卒者・未就職卒業者等若年者対策の充実であり、就職協定の廃止等に対応した情報提供、職業相談体制の充実や、学生等の就業体験、いわゆるインターンシップの導入を促進するための対策を推進することとしております。
 そのほか、七のテレワーク対策の推進や、八の特別な配慮を必要とする人々への雇用対策の推進を図ることとしております。
 第四は、「国際社会への貢献」でございます。
 その一は、国際社会に貢献する労働外交の展開であり、国際機関活動への積極的参加、協力を行い、国際的理解の推進を図るとともに、十二ページでございますが、二の開発途上国の人づくりを通じた国際協力の推進や、三の外国人労働者問題への適切な対応を行うこととしております。
 第五は、「行政体制等の整備」であり、労働行政の情報化の推進など、行政体制の一層の整備を図っていくこととしております。
 以上をもちまして、労働省関係予算案の概要説明とさせていただきます。
 何とぞよろしくお願い申し上げます。
#9
○田中委員長 以上で大臣の所信表明並びに平成十年度労働省関係予算の概要についての説明は終わりました。
 次回は、来る十三日金曜日理事会、委員会を開会することとし、本日は、これにて散会をいたします。
    午前九時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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