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#1
第142回国会 労働委員会 第7号
平成十年四月十日(金曜日)
    午前九時四十一分開議
出席委員
  委員長 田中 慶秋君
   理事 荒井 広幸君 理事 小林 興起君
   理事 佐藤 剛男君 理事 森  英介君
   理事 鍵田 節哉君 理事 中桐 伸五君
   理事 河上 覃雄君 理事 青山  丘君
      甘利  明君    井奥 貞雄君
      飯島 忠義君    遠藤 利明君
      大村 秀章君    久野統一郎君
      下村 博文君    棚橋 泰文君
      長勢 甚遠君    藤波 孝生君
      山本 幸三君    近藤 昭一君
      玉置 一弥君    松本 惟子君
      桝屋 敬悟君    岡島 正之君
      大森  猛君    金子 満広君
      濱田 健一君    坂本 剛二君
      土屋 品子君
 出席大臣
       労 働 大 臣  伊吹 文明君
 出席政府委員
       労働政務次官   柳本 卓治君
       労働大臣官房長  渡邊  信君
       労働省労働働基準
       局長       伊藤 庄平君
       労働省職業安定
       局長       征矢 紀臣君
 委員外の出席者
       総務庁行政管理
       局管理官     宮島 守男君
       社会保険庁運営
       部企画・年金管
       理課長      喜多村悦史君
       労働委員会専門
       員        中島  勝君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十日
 辞任        補欠選任
  白川 勝彦君     遠藤 利明君
  能勢 和子君     下村 博文君
  保利 耕輔君     久野統一郎君
同日
 辞任        補欠選任
  遠藤 利明君     白川 勝彦君
  久野統一郎君     保利 耕輔君
  下村 博文君     能勢 和子君
    ―――――――――――――
四月十日
 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第六九号)(参議院送付)同日
 権利拡充の労働法制実現、基準緩和の阻止に関
 する請願(伊藤茂君紹介)(第一四二八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 社会保険労務士法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第七一号)
 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第六九号)(参議院送付)
     ――――◇―――――
#2
○田中委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、社会保険労務士法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森英介君。
#3
○森(英)委員 おはようございます。
 私は、自由民主党を代表いたしまして、社会保険労務士法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 今回の改正は、社会保険労務士試験の試験事務を全国社会保険労務士会連合会に委託することを主たる内容とするものでありますが、これは、従来からの行政事務の簡素合理化、規制緩和の推進といった考え方からも、時宜を得た改正であると考えるものであります。また、社会保険労務士制度に関しましても、社会保険労務士が不服申し立ての代理ができるようにするなど、その充実が図られており、制度の一層の発展に資するものと評価をするものであります。
 このように、私は今回の改正については異論のないところですが、むしろ今回の改正に盛り込まれなかった事項についてこの際問題を提起し、行政の考え方を確認させていただきたいと存じます。
 それは、社会保険労務士法第二十三条の見直しの問題であります。
 社会保険労務士法第二十三条は、開業している社会保険労務士は争議行為に介入してはならないと定めておりますが、この第二十三条につきましては、かねてから社会保険労務士の皆さんの間でその撤廃を求める声が強く、全国社会保険労務士会連合会の法改正要望の項目の一つに取り上げられていると聞いております。
 そこで、まず、社会保険労務士法においてこのような規定が設けられた趣旨について、御説明をお願いいたします。
#4
○渡邊(信)政府委員 社会保険労務士法の二十三条には、今御指摘のような、開業社会保険労務士の労働争議の介入の禁止規定が設けられているわけでありますが、このような規定が設けられました趣旨は、他人の依頼に応じて報酬を得て、業として社会保険労務士を行う方、いわば公的資格を背景にしてこういう仕事を行っている方が労使の対抗関係にある中にかかわりを持っていくということは、その職務の公平性等も疑わせ、あるいは労働争議もかえって紛糾させるのではないか、こういったことによってこの規定が盛り込まれたものであるというふうに理解をしております。
#5
○森(英)委員 そこでお尋ねをいたしますが、社会保険労務士法第二十三条が定める労働争議への介入禁止につきましては、およそ開業している社会保険労務士としての身分を有する者であれば、業務外に行う場合も含めて、労働争議に一切介入してはならないとするものでありまして、これは余りに厳格過ぎ、また今日的な状況にそぐわないという見方もできると思います。
 すなわち、第一には、社会保険労務士法の制定時においては、当時の労働事情などからこのような原則が定められることはやむを得ないものがあったけれども、その後、労使関係の状況も変化しているのではないか、また社会保険労務士制度に対する社会的信頼も高まっているのではないかということを考えます。
 第二に、争議行為が生じた場合に、社会保険労務士が企業の労働条件の改善などに向けての継続的な努力を中断せざるを得ないというのでは、かえって問題の円満な解決を遅延させるおそれがあるのではないかということも考えられます。
 これらの点についての労働省の考え方についてお伺いいたします。
#6
○渡邊(信)政府委員 この社会保険労務士法の二十三条の規定は、およそ開業社会保険労務士であれば一切労働争議にかかわってはならないような大変厳格な規定になっているところでありまして、今先生が御指摘になったようないろいろな議論がこの条文についてあるということは、私どもも承知をしております。
 この社労士法二十三条が制定された当時、三十年前でございますが、その当時においてはこのような規定も合理性があったというふうに考えておりますが、労使関係が安定的に推移をしております今日において、およそこのような厳格な規定が必要かどうかという点については、いろいろと議論の余地があろうかというふうに思っております。
 したがいまして、この二十三条の見直しは今後の課題になるものというふうに私どもも認識をしておりますが、その見直しいかん、あるいは見直すとした場合にその具体的なあり方につきましては、労使の方々あるいは社会保険労務士等を含めました幅広い議論が必要ではないかというふうに思っております。
 今回社労士法の改正案を提案しているわけでありますが、今回の検討に当たりましては、時間的制約もありまして、こうした幅広い議論がいまだ十分とは言えない状況でございます。したがって、関係者のコンセンサスもまだ得られていないという状況ではないかというふうに思っております。
 この社労士法二十三条の見直しにつきましては、今後労使の方あるいは社会保険労務士等の方を含めた幅広い御議論を踏まえて、なるべく早い時期、できれば次期の法改正時にもその実現が図られるよう、労働省といたしましても協力、努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#7
○森(英)委員 ありがとうございました。
 ただいまの官房長の御答弁にもありましたとおり、この第二十三条の問題につきましては、一日も早い見直しに向けての関係者による今後の努力を期待いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
#8
○田中委員長 次に、鍵田節哉君。
#9
○鍵田委員 今回の社会保険労務士法の一部を改正する法律案につきまして、この改正をめぐります各界からの声が我々の方にもいろいろ聞こえてまいっておりますので、それらを明らかにするという意味からの質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 この改正案は、五十八年の臨調の答申でありますとか、またその後規制緩和推進計画などによりまして、特にアウトソーシングというふうなことで行政改革をやっていこうということから出てきておるわけでございます。
 この社会保険労務士の試験を連合会へ委託されようとしておるわけでございますけれども、他の国家資格で、例えば弁護士さんであるとか公認会計士さんであるとかいうような方々につきましてはまだそういう民間委託というふうなお話は聞こえてこないわけでございますが、こういう民間委託というものをどのような基準に基づいて行われようとしておるのか、その辺につきましてお答えをいただきたい。
 また、そうすることが何ら問題がないというふうに認識をされての今回の施策だと思うのですけれども、その辺の考え方についてお聞きしたいと思います。
#10
○渡邊(信)政府委員 この社会保険労務士試験の制度は、法律が制定をされまして三十年間の実績を持っているわけであります。また、近年、社会保険労務士試験の人気が高いというか、そういった事情を背景にいたしまして、十年前ぐらいまでと比べますと受験者数も約三倍、三万人を超えるような状況ということに現在なっております。
 この国家資格試験のあり方につきましては、従来からいろいろな議論がなされておりまして、特に、土光臨調のときにも、国家試験のような定型的な業務についてはできるだけ民間に委託することが望ましいではないかというふうな思想が述べられております。また、最近の規制緩和計画におきましても社会保険労務士試験の実施事務の民間委託ということがうたわれているわけであります。
 国家試験のどういったものを民間委託するのが適当かということについてはいろいろな考え方もあろうかと思いますが、その試験事務の定型性あるいは専門性あるいは受験者数の多寡、そういったことを勘案しながら、行政事務の簡素効率化という点を基本としながら検討していかれる問題ではないかというふうに思っております。
 また、今回、民間団体に、社会保険労務士会連合会に試験事務の一部を委託しようと考えているわけでございますが、そのためには、試験委員あるいはこの試験事務に携わる役員、職員等について罰則つきの守秘義務を課するとか、あるいは経理事務は厳格に区別をするようにするとか、あるいは主務大臣の監督権を盛り込むとか、そういったいろいろな担保措置も講じることによりましてこの民間委託事務がスムーズに行えるような、そういったことも規定の中に盛り込んでおるわけでございます。
#11
○鍵田委員 そうしますと、今度の民間委託につきましては社会保険労務士会連合会に委託をすることになるわけでありますけれども、連合会の方での試験に対する受け入れ体制といいますか、そういうものがちゃんとできておるのかどうか、いわゆる適正に試験を実施するという能力をこの連合会は持ち合わせておるのか、また連合会に過大な負担を負わせるんじゃないかというふうな懸念の声もあるように聞いておりますけれども、それらにつきましてもどのような認識を持っておられるのか、お聞きしたいと思います。
#12
○渡邊(信)政府委員 この社会保険労務士試験の試験事務の委託ということはなかなか大きな問題でありまして、従来から課題とされながら今までなかなか実現をしなかったわけでございます。その大きな問題点は、社会保険労務士会連合会が、このような試験事務の委託を受けてこれを着実に実施をすることができるかどうかというふうな問題点もあったわけでございます。
 私どもとしましても、昨年来時間をかけまして、こういった点を中心にしながら社会保険労務士会連合会とお話をしてきました。
 現在、社会保険労務士試験は全国十四の都市において実施をしておりますが、その間における行政職員の動員数も相当の数に上っております。そういったことが民間団体に委託してできるのかどうか、それから実際にかかる経費負担についてどういうふうに考えるのか、あるいは試験委員の公正さといいますか、そういったものをどうやって確保するのか、いろいろな問題ありましたが、それら一つずつ両者で検討を重ねてまいりまして、必要な人員体制の整備、あるいは試験委員の公平さ、あるいは守秘義務の確保等についていろいろ検討を重ねながら今回の提案に至ったというふうに考えております。
#13
○鍵田委員 そういうことに関連をしまして、今後もし連合会に委託をするということが決まりましたら、そういうふうに転換した当初は、今までの試験の方法なりまた試験の質とか量とか、そういうものがある程度継承されるものというふうに思うんですけれども、時間の経過とともにそういうふうなものが変わってくるんじゃないかというような懸念を持たれる人もいるわけでございまして、その辺の試験の方法なり質なりが変わったり、それから受験料というふうなものが民間委託によって急激に高くなったりというふうなことにならないかどうか、それがある程度保証される、そういう担保ができるのかどうかということについてお尋ねしたいと思います。
#14
○渡邊(信)政府委員 この試験自体は従来どおり主務大臣が行うということは変わりないわけでございますが、その実施事務の一部をこのたび民間団体であります社会保険労務士会連合会に委託をしようとするものであります。したがいまして、国家試験の基本的性格は変わらないわけでございますから、この試験事務の委託によって試験の水準が変わるとかそういった問題が起きることは大変な問題でありまして、この社会保険労務士試験が従来と一貫した水準を保って適正に行われることは、最低限といいますか最大限といいますか必要なことであるというふうに考えております。
 したがいまして、社会保険労務士会連合会が選任することとなります試験委員につきましては、主務省令でその資格要件を厳格に定めることを想定しておりますし、また受験料につきましても、これは適正な受験料を過不足なく政令で定めるということにしております。この辺は、労務士会の方でこれから法成立後どういう試験体制を組まれるか、あるいは試験の開催場所を何カ所程度にされるのか、そういったことも考えながら、受験手数料というものを現在と余りかけ離れた額にならないように、実費過不足なく支弁できるように政令において定めたいというふうに思っております。
 また、試験の水準でございますが、この社会保険労務士試験は、一定の適性、能力を備えた方については資格を付与するという資格試験の制度でございます。したがいまして、その試験の水準が年によって変化をするということは好ましいことではありません。行政と事業主、労働者、あるいは事業主と社労士等の間におきまして事務が適正に処理される、そういった能力を持った方が試験に合格することが必要なわけでありますから、試験の水準につきましては、従来どおり主務大臣において合否の決定を行うということにしておりまして、毎年の試験問題の難易度を検討しながらことしは合格点ほどのラインにするんだいうことは従来どおり国において行うということにしておりまして、試験水準が同一に保たれるように配慮しておるところでございます。
#15
○鍵田委員 今、社会保険労務士会連合会に委託をするということでありますが、この連合会の性格とか、どういうふうな人々で構成されておるのかというふうなことは余り知られておらないわけでございますけれども、例えば、厚生省とか労働省あたりからのOBの方も何人か行っておられるのかどうか、そしてその他はプロパーなのかどうか、そして特にOBで行っておられるような方々の賃金とか退職金とか、今特殊法人や何かではいろいろ議論されておるところでございますので、それらにつきまして、教えていただける範囲でよろしくお願いしたいと思います。
#16
○渡邊(信)政府委員 社会保険労務士会連合会の役職員等についてのお尋ねでございますが、過去に行政機関に勤務をされた経験を有する方ということでございますと、役職員全員で二十七名ですが、そのうちの会長一名、専務理事二名、職員二名の合計五名が行政のOBでございます。
 役員の報酬あるいは職員の給与等につきましては、これは連合会が内部で自主的に規定をしているところでございますが、役員の報酬につきましては、会長は無給でございます。また専務理事の年収はいずれも約一千五百万円程度であるというふうに聞いております。また、役員の退職時には、連合会の規程に基づきます退職金が支払われるわけですが、その内容は、勤務一年間につき二カ月分の給与に相当する額が支払われるというふうに聞いております。なお、職員につきましては、国家公務員行政職の俸給に準じて職務の複雑困難性や責任の度合いに応じて決定をされる、そういうことが連合会の規程で定められております。
#17
○鍵田委員 聞き漏らしたのかもわかりませんが、退職金はどういうふうになっているんでしょうか。
#18
○渡邊(信)政府委員 今手元にありますのは役員の退職金でございますが、規程は、報酬月額に在職年数の二倍を乗じた額ということでございます。これはすなわち、一年につきまして二カ月分の給与ということですから、十年でありますと二十カ月分の退職金が支給される、こういったことになっているようでございます。
#19
○鍵田委員 そして、これから試験を委託をされることによりまして、そういうOBの方などがふえてくるとかというふうなことはないんでしょうか。
#20
○渡邊(信)政府委員 試験事務の委託に伴いまして、例えば試験委員、これは、連合会が主務省令に定める基準に従って選任をするということになりますから、その方たちは、これは委嘱というふうな形になるかと思いますが、当然ふえますL、また、委託事務が純粋に増加をするということでございますから、これにかかわる役職員が一定数必要になるのではないかと思います。
#21
○鍵田委員 では、試験事務に携わる人がふえるということであって、役員とかそういう人がふえるということではないということでございますね。
#22
○渡邊(信)政府委員 これは、連合会の方で試験事務を適正に実施するためにどのような体制を組まれるかということは、これからの課題になると思いますので、そこのところは両者で十分検討させていただきたいと思います。
#23
○鍵田委員 また検討していただきました結果を教えていただければありがたいというふうに思っております。
 それでは次に、こういう国家試験というのは、国が試験をやってくれるから非常に権威がある。しかし、それを民間に委託されたり、自分たちで、自分たちというか仲間内で試験をやったりなんかして、もらった資格では、価値が半減するのじゃないかとかいうふうな心配をする人も、やはりあると思うのですね。
 だから恐らく、弁護士さんとかそれから公認会計士さんだとかの試験を民間に委託するというふうなことになりますと、これは随分反対が出てくるのじゃないかなという気もするのですが、そういうことについて、労働省としてはどういうお考えを持っておられるのでしょうか。
#24
○渡邊(信)政府委員 この社会保険労務士試験は、主務大臣が行うこととされておりまして、国家資格試験でございます。そういったことで、この試験に合格をするということは、公の権威をもってこれが裏づけられるということでございまして、業務遂行上の信用力も大変高いということになっておるかと思います。先ほど少し申し述べましたが、今回は試験実施事務の一部を委託するということで、この試験を主務大臣が行うということは条文上も明らかにしておりまして、その基本的な性格が変わるものとは考えておりません。
 現在既に約四十の国家資格試験について同じような試験実施事務の民間委託が行われておるところでございますが、今般は、ただ、先ほど御指摘のあったような問題も含めまして、この社会保険労務士試験の資格というものが少し損なわれるのではないかという懸念もあるというふうなことも連合会とも十分お話をいたしまして、これも先ほど少し触れた点ですが、合否の最終決定は従来どおり国において行うということによりまして、この試験の水準が安易に変動するとか、そういった問題点は、これによって避ける、従来どおりの国家資格試験としての水準を保った立派な試験制度であるということは、制度的にもそういったことによって担保しようというふうに考えるところでございます。
#25
○鍵田委員 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、弁護士さんとか公認会計士さん、これは労働省や厚生省が関係のない資格のところでございますけれども、そういうところでは、やはり国家試験は国がやってくれるから価値があるのだというのが、非常に強く思っておられると思うのですよね。恐らくここ当分ば民間委託というふうな話は出てこないのじゃないか、こう思うのです。
 労働省として、どうしてこれを急いで、急いでと言ったらちょっと語弊があるのかもわかりませんが――僕は、非常に権威のある資格だと思っているのですよ。受験者が三万数千人あって、そして合格者が七%ぐらいしかいないのですか、やはり相当難しい試験でありますから、弁護士さんの試験にしましても公認会計士さんの試験にしましても、本当にそれに匹敵するぐらいの非常に難しい試験でございますので、そこら、労働省がどうして率先してやられようとするのか。
 やはり社会保険労務士の皆さんから見たら、もっと権威のあるものにしてほしいという声も強いのじゃないかというふうに思いますので、そういう考え方についてお聞きをしておきたいと思います。
#26
○渡邊(信)政府委員 近年、労働あるいは社会保険に関する制度というものも随分と複雑化をしてきている傾向にありますし、いろいろな新しい制度が法律改正によって設けられてきているわけであります。そういったことで、この社会保険労務士に対する事業主やあるいは労働者の方の期待が高まってきているということもあると思いますし、また、こういった資格試験に対する魅力といいますか、多くの方が高い能力、資格を身につけようという意欲が高まってきていることも確かであります。
 こういったことを背景にしまして、この社会保険労務士試験の受験者数は、十年ぐらい前は一万二、三千人程度だったわけですが、現在は三万人を超えるというふうな状況になってきております。
 したがって、この試験実施事務が行政の業務量にとって相当大きな負担量になってきているということも事実でございまして、こういったことも踏まえまして、先ほども触れましたが、例えば土光臨調でも、こういう試験事務というものはある程度定型化をしているので、そういったものの実施についてはできるだけ民間に委託をしたらどうかというふうな、行政の簡素効率化という点からの提言もあるところでありまして、平成七年の規制緩和に関する閣議決定でも、この社会保険労務士試験は民間委託をするということがうたわれたわけでございます。
 したがいまして、私どもとしましては、行政の業務量の問題とか、あるいは試験体制の整備とか、そういったことをいろいろと考えながら、この社会保険労務士試験が国家資格試験としての権威を保ちながら、行政の事務簡素化にも資する、そういった問題点が両立するようにいろいろと考えて、今回提案をしているつもりでございます。
#27
○鍵田委員 ぜひとも、やはり資格を持っている方々、それから、これから資格を取得しようとする方々が、本当にプライドを持って仕事ができるような環境づくりにこれからも努めていただきたいというふうに思います。
 現在、開業をされている方、もちろんいろいろな仕事と兼業をされている人もいらっしゃるのじゃないかと思うのですが、一応社会保険労務士として開業されている方々の実態といいますか、その辺で、何かいろいろ掌握されているような内容がございましたら、若干お聞きをしたいというふうに思います。
#28
○渡邊(信)政府委員 社会保険労務士資格を持っておられる方のうち開業しておられる方についてのお尋ねでございます。その活動の実態でございますが、社会保険労務士は、本年の二月現在で二万四千九百四人いらっしゃいますが、そのうち開業しておられる方は、その五六・八%に当たります一万四千百五十人、うち女性の方は三千七百四十二人となっております。
 開業社会保険労務士の活動の実態でございますが、これは、連合会が平成七年に行った実態調査によりますと、社会保険労務士に認められておりますすべての業務を行っている者が四七・一%、書類の作成等の業務のみを行っている者が四二・四%、人事・労務管理に関する労務管理に関する相談、指導、こういった業務のみを行っている方は五・九%というふうになっておりまして、約四割の方は書類の作成等を中心とする業務のみを行っている状況にございます。
 また、一開業社会保険労務士当たりの平均受託事業所数は三十九・二事業所でございます。これを規模別に見ますと、二十人未満の中小零細企業からの受託が八〇%以上を占めております。
 年齢的には、平均年齢は五十七・六歳でございます。五十歳以上の方の占める割合が六七%とかなり高くなっております。
 地域的には、東京都で一五・七%、大阪府で七・九%と、大都市の割合が比較的高くなっておりますが、地域による特徴的な傾向は見られないというふうなところが活動の実態でございます。
#29
○鍵田委員 現在二万四千九百四人が資格を持っておられる、こういうことで、開業されているのが一万四千ということですが、この数は多いのでしょうか少ないのでしょうか。どのようにそれは評価をされているのか。
 例えば弁護士さんなんかにつきましては、若干、司法試験なんかの合格者枠を拡大しようとかというふうな動向があるように聞いておるのですが、この社会保険労務士については、そういう動向についてはいかが考えておられるのでしょう。
#30
○渡邊(信)政府委員 この社会保険労務士試験は、資格試験でございまして、一定の能力水準にある方については資格を付与するという性格のものでございます。その中身といいますか、実質的なところは、例えば事業主の委託を受けて労働社会保険等に関する書類が適正に作成できる能力があるかどうか、こういったことを試すものでございます。したがいまして、一定の水準に達している方については資格を付与するということが法の建前でございまして、需給のバランスを考えて合格者数の変動があるというふうなものではございません。
 また、現在時点におきましても、中小企業の方からの依頼が非常に多いわけですが、社会保険労務士の数が絶対的に不足しているというふうな声は聞かれていないところであります。
#31
○鍵田委員 法律の二十五条の十二で、社会保険労務士が本法並びに本法に基づく命令等に違反するおそれがあると認められるときは、社会保険労務士会は注意を促し、または必要な措置を講ずべきことを勧告することができるというふうになっておるのですけれども、この注意勧告制度につきましての具体的な手順でありますとか、どういうふうな強制力があるのか、そういう法律の内容について、どんな実効性を持っておるのかということも含めてお教えをいただければというふうに思います。
#32
○渡邊(信)政府委員 今回、法案の二十五条の十二というところにおきまして、社会保険労務士会は、所属の社会保険労務士がこの法律もしくはこの法律に基づく命令等に違反するおそれがあると認めるときは、会則の定めるところにより、当該社会保険労務士に注意を促し、または必要な措置を講ずるべきことを勧告することができるというふうにしているところでございます。
 これは、社会保険労務士の携わります業務というのは、例えば保険料の納付にかかわるとかいろいろと金銭給付等にかかわる事例も多いわけでございまして、そういったときに不正が行われないようにすべきことは当然でありますが、今回さらに、その具体的な不正行為の起こる前に、それに至る前段階で社会保険労務士会から注意を喚起するという制度を設けまして、そういった行為が行われることを未然に防止しようというものでございます。
 その注意勧告の手続は、今読み上げました条文に規定しておりますとおり、会則の定めるところによりこれを定めるとなっておりまして、この会則は主務大臣の認可でございますので、この会則でどういうふうに手順、手続等を定めるかということについては、主務大臣としても十分検討させていただきたいと考えているところであります。
#33
○鍵田委員 ということは、これは今後大臣においてそのことについての何か指示をされるということでございますね。
 それじゃ、引き続いて次の質問でありますが、一部の地域の社会保険労務士会の方から懸念の声が出てきておるわけでございますけれども、それらにつきまして全体の労務士会の反応でございますとか、労働省としてもそれらにつきまして今後どのようにこたえていかれるのか、また、今後そういうことについての混乱が起こらないのかどうかというようなことにつきましてのお考えをお聞きしたいと思います。
#34
○伊吹国務大臣 ただいま政府委員と先生との質疑を伺っておりまして、昨年の九月から社会保険労務士とこの件について協議を始めました際にお互いに交換をされてきた心配や懸念について、極めて的確にお話をいただいているなと思いながら実は聞いておりました。
 事務当局も、社会保険労務士会と緊密に連絡をとりましてこの法律案を実は取りまとめて今御審議を願っているわけでございまして、いろいろな御意見があったということも伺っておりますし、私のところへも個別にお話がございました。最終的には社会保険労務士会の役員会と申しますか、各都道府県会長の御出席の場で全会一致で、ごれでいこうという御同意を得たわけで、そこで初めて−これはやはりお願いをするわけですから向こうの中に不協和音があっては話になりませんので、念には念を入れておりますが、私どもが資格を与えるものの業務の執行の一部をお願いするわけでございますので、今後も緊密に連絡をとって、社労士会とはもちろんでございますが、各都道府県の労務士会とも不協和音の出ないように努力をさせていただきたいと思います。
#35
○鍵田委員 時間が参りましたので終わりますけれども、やはりせっかく非常に難しい試験を通過をして得た資格でございまして、そういう皆さんがこれからも本当にプライドを持って働けるような、そういう資格にしていただきますように、今後とも努力をお願いをしまして質問を終わります。ありがとうございました。
#36
○田中委員長 次に、桝屋敬悟君。
#37
○桝屋委員 引き続き社労士法の改正につきまして質疑をさせていただきます。先ほどからの答弁の内容を聞いておりまして、大分重なる部分がありますので、重複をできるだけ避けて質疑をさせていただきたいと思います。
 その前に、今大臣のお顔を見ておりまして、やはり大臣に、これは質問通告を全然しておらぬのでありますが、きょうの新聞を見て、きのりの夕方の橋本総理の記者会見の内容など、まあ我々野党といたしまして、私は新党平和でありますが、我々がずっと言い続けてきたこと等からしますと、まことに複雑な心境であります。我々も、橋本総理、もう方針を変えて、財革法も変え、とりあえず景気対策をしっかりやりましようということをずっと言い続けてきたものですから、きのり発表された内容については、ある意味では全く複雑な気持ち、やはりそうかという気持ちです、しかも予算が成立した途端にという話でありますから。
 この前から伊吹大臣も、まだ予算も通っておらぬし、この予算の効果も出ていない、こういうときに先の話はなかなか難しいというような話もされておったわけでありますが、大臣、具体的にはまた基準法の改正でがっちり私は議論したいと思っておるのでありますが、まずはきのりの総理のこの発表に対しまして、どんな御所見、御認識を持っておられるのか、御感想も含めて最初にちょっとお伺いしたいと思います。
#38
○伊吹国務大臣 正直に申し上げますと、昨日、京都府の知事選挙の応援に引っ張り出されておりまして、午後から実は東京を離れて夜遅く東京へ戻ってまいりました。総理とはその前にもいろいろお会いをして、雇用状況や経済政策についての私の考えは申し上げてございます。
 率直なところ、日本が国際社会においてこれほど大きな構成要員といいますか、義務を果たし、同時にその中から受益をしている、権利を行使しているという中では、国内の状況だけではなかなか物事は考えられないというか、考えにくい国にまで大きくなったんだなというのが私の一つの感想です。
 それから、具体的な内容は、総理は一つのお考えを昨日発表をされました。そして、大蔵大臣、通商産業大臣、企画庁長官、それから自治大臣ですか、どうも関係大臣を呼ばれて、その内容について検討するようにという御指示を出しておられるようです。しかし、このことは、いずれにしろ財政構造改革法案をどのような形でさわるのか、さわらないのか、これはきょう夕刻の財政構造改革会議で議論されると思います。そこで一つの方向が出てくることによって、そしてそれに、例えば仮定の問題として弾力条項をつけるということになれば、弾力条項の条件というものは当然あるわけでして、その弾力条項の条件に合致するような経済指数が出るのかどうなのかということ。これは実は、補正を組むとすればその補正の時期とも絡まってくることです。
 したがって、総理は昨日自分のお考えを出されて関係大臣に御指示をなすったというところまでは聞いておりますが、さて、各省でこれを協議して、最終的にどのようなものを取り上げて、そして内閣としてそれを閣議決定して、補正予算や法律としてお伺いするまでには、やはりかなりの検討の時間と内容が必要なことだな、とりあえず私はきのうの内容を伺ってそう思いました。
#39
○桝屋委員 きょうの新聞等も、「景気浮揚へ政策転換」などという言葉が書いてありまして、私は、今まで我々野党が要求してきたこと、それから、嫌というほど総理の繰り返しの予算委員会や本会議での御答弁も聞きまして、やはり政策転換であるという気持ちもいたしますし、そういう認識を持っております。そうしたものは、今から、予算委員会や本会議を通じて、私は、政府のあり方あるいは責任の問題についてもしっかり議論していきたい、こんなことを申し上げておきたいと思います。
 それで、今回の社会保険労務士法の一部を改正する法律案でございますが、いずれにしても、これは臨調答申以来の流れだろうと思っております。行政事務の簡素化あるいは合理化をするという方向、そして試験事務の外部委託ということになるわけでありますが、一つ、本題に入る前に、先ほど鍵田委員の方からも議論がありました、何で社会保険労務士だけ先に行くのかどちらっと言われたかという気もするのですが、特に、行政書士とか司法書士とか、いわゆる士がつく国家資格制度と比べて、それでは、ほかのところは試験事務というのは外部委託になっているのかなという気がするわけでありますが、この辺はどのように労働省さん認識をされておられるか、教えてください。
#40
○渡邊(信)政府委員 政府の方針としましては、平成七年の閣議決定の精神にもありますように、試験事務というのはできるだけ民間に委託をするという方向であると思いますが、ただ、その中で、どのような試験事務を実際に委託するかということについては、いろいろな条件を考えなければいけないのではないかというふうに思っております。
 実際に、受験者数の多寡、あるいは適切な試験実施団体が存在するのかどうか、こういったいろいろな検討すべき問題があると思いますし、例えばこの社会保険労務士試験にしましても、年一回の試験ですから、そのためにわざわざ例えば公益法人を設立するというふうなことは、かえって事務の簡素化に資することにならないのではないかというような問題もあるのかと思います。そういったことで、今回は、従来からある連合会に委託をしよう、こういうふうに判断をしたわけでございます。
 今お尋ねの行政書士につきましては、これは既にその試験事務は都道府県知事に委任をされているわけであります。これを受けた地方自治体は、それではそれでいいのかという問題は別途あるかと思いますが、国がすべてやっておるという現在の社労士試験のようなやり方ではございません。
 また、司法書士試験につきましては、国が試験事務を直接実施しているところでありますし、これを見直そうという動きは現在時点では承知していないところであります。
 繰り返しになりますが、冒頭述べましたように、それぞれの試験事務について、いろいろな条件を考えながら実施事務を委託するかどうか判断することになるのではないかというふうに考えております。
#41
○桝屋委員 今回のこの改正に当たりましての調査室の資料を見ましても、背景としては、五十八年三月の臨調答申で資格制度に関する試験事務等について方向性が出され、その方向で検討されてきたということだろうと思います。
 きょう総務庁にもおいでいただいておりますが、規制緩和の中で、今回は、社労士についてはたまたま社労士団体があるから、そこへ委託をしましようということが決まったわけであります。これは当然ながら規制緩和という計画の中でおやりになるわけでありますけれども、これが労働省から総務庁へ上がった、これは規制緩和計画に載っかっていると思うのですけれども、それでは、同じく、今私申し上げた行政書士とか司法書士は、大体お役所というのは縦割りではありますけれども、労働省から今回社労士は試験事務については団体に委託をするよというその法律が出てきた。そうすると、五十八年以来の臨調答申の流れがあるわけでありますから、当然総務庁さん、全体の規制緩和を進める上で、横並びでほかの士法はどうなんだ、この辺もやるのかやらないのかとか、省庁が言ってくる話だけではなくて、やはり取りまとめの総務庁さんとしてそういう議論があってしかるべきだっただろうと私は思います。その辺の横並びの議論はどんなふうにされていたのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
#42
○宮島説明員 国家資格試験についてのお尋ねでありますが、若干経緯を御説明させていただきたいと思います。
 資格制度に関する試験事務につきましては、昭和五十八年三月の臨調最終答申におきまして、行政事務の簡素効率化等の見地から、「民間団体において処理を行っても制度の意義・目的を損なうおそれのない事務については、極力、民間団体への委譲を行う」という指摘がなされ、同答申で個別に指摘をされました調理師、理容師、美容師等については既に措置を終えているところであります。それ以外のものにつきましても、臨調答申の指摘を踏まえて、各省庁において、受験者数の動向、引受団体の有無、独立採算制等を勘案しながら、民間委託の可能性の検討を行い、民間委託の条件が整ったものについて逐次所要の措置を講ずるということにしているところでございます。
 社会保険労務士試験につきましては、臨調答申で個別に指摘をされたわけではなく、受験者数がこの十年間で約三倍というふうに増加していることなどの状況を踏まえまして、平成七年三月の規制緩和推進計画、いわゆる前回の三カ年計画でありますが、ここで民間委託をすることを決めて、その後、実施の時期や具体的方法について調整が進められへ今般の法律改正案の提出に至ったものというふうに承知をしております。
 さらに、去る三月三十一日に閣議決定しました新たな規制緩和推進三カ年計画におきましては、昨年十二月の行政改革委員会の最終意見に沿いまして、個別事項としては行政書士制度について、受験資格要件の廃止や、業務独占のあり方について「他の資格制度の業務独占に係る議論の動向を踏まえつつ、具体的な検討を開始する。」というふうにしたところであります。
 また、資格制度全般の見直しにつきましては、同計画の総論におきまして、「公的資格制度について、業務独占規定、資格要件、業務範囲等の在り方を含め、人々の意欲・能力を有効に生かす等の観点を踏まえ、見直しを行う。」というふうにしたところでございます。
 いずれにしましても、資格制度に関する試験事務の民間委託につきましては、今後とも、関係者の意見や受験者数へ引受団体の動向、事務運営の公正確保、独立採算制等を見きわめながら、個別具体に検討して、適切に対処していく必要があるというふうに考えております。
#43
○桝屋委員 背景はわかりました。
 それで、今回の一番新しい規制緩和三カ年計画では行政書士等についても検討しておるという話なんですが、要するに、今回は試験の事務を団体に委託するということで、結構なことだと私も思います。
 ただ、行政書士や司法書士も法律は大体同じような仕組みなんですね。士法でありますし、しっかり団体もあるし、何でそっちも検討しないのかな、大きな流れは大体そういう方向じゃないのかなという気がするので、素朴な疑問でお尋ねしているのです。今の話では、むしろ今新しい規制緩和の流れでは、業務独占の内容であるとか、行政書士などはそっちの方向へも行かれている。できることなら、今回このような形で社会保険労務士の団体が委託を受けるということであれば、同じように司法書士も行政書士もやることを検討すればいいのじゃないかという素朴な疑問が僕はあるのです、これは。
 それから、もう一つは、さっき鍵田さんがおっしゃったけれども、国家試験、国がやる試験から民間に委託されると何かグレードが下がるような、僕はそうでもないと思いますが、絶対に。そんな危惧をされる団体の中から、どうせなら国家資格をみんなまとめて、例えば今申し上げた司法書士とか行政書士とか、さらにいろいろな国家資格がありますが一国家資格試験センターのようなものでまとめてやって、もっと大胆に規制緩和したらどうなんだ、こういうことを団体もおっしゃっているのです。そうしたら試験を受ける方もうれしいな、こんな話なんですね。乱暴な意見だれども、大胆な規制緩和を進めなければいかぬという観点からは傾聴に値する議論であろうと私も思うわけであります。
 それで、もう一回だけ確認しますけれども、総務庁は、労働省から社労士のこういう案が出たときに、自治省や大蔵省やほかの士法を管轄するところへ、そっちはどうなんだ、団体委託はできないのか、同じように団体があるぞと−そういう検討はもう通り過ぎたからいいということなんでしょうか。ほかの観点で検討しているからそこはもう議論しなくていい、こういう判断だったのか、団体委託という観点では議論があったのかなかったのか、再度ちょっと教えていただきたい。
#44
○宮島説明員 先ほどお答えさせていただきましたように、臨調答申で個別に指摘された以外のものにつきましても、受験者数の動向や引受団体の有無、独立採算制等を勘案しながら民間委託の可能性の検討を行い、民間委託の条件が整ったものについては逐次所要の措置を講ずるという方針を持っておりまして、現段階において社会保険労務士試験についてこういうふうな改正案を提出するに至ったということでありまして、ほかのものすべてについて必要であるというふうな段階ではないというふうに考えております。
#45
○桝屋委員 ここを総務庁さんに余りぎちぎち言ってもしょうがないのですが、本当に素朴な疑問なんです。
 と申しますのは、今も総務庁さんからお話があって、今回の労働省さんからの話は、大変に受験者数がふえている、過去三倍というような話がありまして、大変ふえているからそれだけ外部委託をするメリットもあるし、必要性もあるし、それから協議相調い、団体も受けよう、こうおつしゃったからできたということでしょうが、できたところだけやるのじゃなくて、せっかくこういうことをやるのだったら、ほかのところもやればいい。
 ほかのところはふえていないのかというと、行政書士については機関委任事務で都道府県へおろしている。だから、国が直接やってないからいいだろうとおっしゃいますが、機関委任事務というのはおろしているわけでありますから、やはりどこかで役人がやっておるわけですよ。数も大体同じなんです。受験者数は、行政書士が三万人あるいは四万人ぐらいで前後している、ここは余りふえていませんが。司法書士なんというのは国が直でやっているのですよ。試験の受験者は毎年二千人ずつぐらい伸びている。それで困っているのだと、困っているとまでは僕には言いません、ふえてますよ。同じくふえているという状況であれば、せっかくここで労働省さんから協議相調い、上がってきたアイデアは、政府全体としていいことだからやろうじゃないかと。さっき言ったようなもっと大胆な合理化の方法も将来はなお模索できるわけでありますから、そういうことを検討すべきじゃないかというふうに、最後私は大臣にお願いをしたいのです。
 やはり大胆な規制緩和というのは大事でありまして、せっかく社労士がここまでいくのですから、国務大臣として、ほかのところも負けずに頑張れ、やろうじゃないか、そうすれば次の環境もできるぞ、こんなお話もぜひ発言をしていただきたいと私は思うのですが、いかがでありましょう。
#46
○伊吹国務大臣 今先生がおっしゃったように、国であろうと地方であろうと受験者がふえればやはりそれに対応するマンパワーというのは物理的に要るわけでして、それは国家公務員なり地方公務員の定数になり、国民の税金でその給与は支払われるわけです。同じ目的が達せられてかつ民間にお願いできるものは、同じ目的が達せられねば別ですが、私は民にお願いしていくというのが筋だと思います。
 労働省は、受験者がふえていたということももちろんございますけれども、大変律儀な役所でございますから言われたとおりきっちりとやったということでございます。他の同じような資格試験を所掌している官庁においても、目的が損なわれない範囲で民に移せる場合は、当然総務庁もそのような指導をなさるべきでございましょうし、きょう先生の御議論は、説明員が来ておりますから、総務庁長官に当然この雰囲気は伝えると思いますし、私もまた必要があれば小里ざんにそのようなことはお伝えしておきたいと思います。
#47
○桝屋委員 私が申し上げたアイデアも、一部の団体が言われている、言ってみれば乱暴な話であります。しかし、私はこの社労士の法律も読みましたし、それから行政書士も司法書士もずっと読んでみました。それから受験の実態も聞いた、あるいは現場の声も聞きましたけれども、そうすると、やるのであれば、例えばセンター方式のような形、将来その道も模索できるのではないか、こんなふうにも思った次第でありまして、ぜひ、総務庁きょうは来られていますが、こんなことも報告をお願いしたいと思います。
#48
○伊吹国務大臣 委員長、ちょっと済みません。
 官がやっている仕事でその目的が損なわれない範囲で民にお願いできるものは民間にお願いすべきだということは、私は全く先生と同意見です。
 今おっしゃったセンターということになりますと、どこにこれが置かれるのか、国のものなのか、外部団体なのかということが一つございますが、いろいろな士の法律については、その形式的な形態は御指摘のように非常に似ております。しかし、その所掌いたします仕事の内容が違うわけで、例えば税理士の先生方と弁護士の先生方と司法書士の先生方と今の社会保険労務士の先生方とみんなお仕事の内容が違うわけです。これを一括、例えば国のセンターをつくらせるということになりますと、結局労働省の担当の職員をそこへ移し、法務省の職員を移し、国税庁の職員を移しということになってしまって、結果的に総定員の抑制にはならないのじゃないかと私は思うのですね。
 ですから、やはり官から民に移すということがどの範囲内で目的を損なわずにできるかということを中心に考えるという方が、総人件費、総定員を減らしていくという上では効果的じゃないかと私は思っております。
#49
○桝屋委員 大臣の言われることもわかります。僕は、センターと申し上げたのは、これは乱暴だと申し上げたのですよ。ただ、今回社労士の試験を一部委託をする、これは事務は委託しても差し支えないからするわけでありまして、そういう部分は多分ほかにもあるだろう。そうすると、その辺で民間が連携をして委託を受ける部分を検討するという余地はあるだろう、こういう意味で申し上げたわけでありまして、方向性は多分同じだろうと思うのです。
 それで、問題は、さっきも議論がありました受け皿の部分であります。一つは、先ほど鍵田委員の方から、変に天下りしているのじゃないかとか、これでどんどん肥大化してくるのじゃないかとか、その辺のお話がありましたから、もうそこは避けたいと思うのでありますが、ただ一つ、地方の社労士会あるいは労働保険の事務組合等にもやはり地方のお役人が行っているという実態もあるように私は聞いておりまして、それは必ずしも好ましくないような実態も聞いております。安い賃金でむしろ合理的に仕事ができるということもあるのでありましょうが、地方の実態というのはどうなんでしょうか。ちょっと教えていただけますか。
#50
○渡邊(信)政府委員 各県に都道府県社会保険労務士会が設置をされております。また労働保険事務組合もあるわけでございますが、その実態というのは特に把握しておりません。ただ、行政経験者がこういった団体の役員なり職員として仕事をしておられる例があるということは聞いております。
 ただ、この場合にも、その多くは在職中あるいは退職後に社会保険労務士の資格を取得されて、そういった資格を持って専門的立場からそれらの仕事をしておられる方が多いというふうに聞いています。現に、連合会の会長や専務理事お二人も社会保険労務士でございます。したがって、いわゆる行政職員の天下りというのとはこのケースは大分違う要素があるのではないかと思いますが、なお、そのような実態については今後も把握の努力をしていきたいというふうに思います。
#51
○桝屋委員 もう一回確認をいたしますが、今回の法律改正によって社会保険労務士会連合会に試験の事務を委託することができる、この道を開くわけですね。そうすると、実際は委託契約を結ぶということですかね、実務の段階では。
 それで、その収支がどうなるのか。例えば、委託ということはあくまでも国の責任において団体にその業務をお願いをするわけでありますから、そこはやはり足らなければ委託側が責任を持って出さなきゃいかぬわけでありますが、その辺の収支の見通しはどういうふうにお考えになっているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
#52
○渡邊(信)政府委員 今回、社会保険労務士会連合会に委託をするというふうにしておるわけでありますが、その収支につきましては受験手数料ですべて賄うということにしておりまして、その手数料の額は政令で定めるということにしております。したがいまして、その受験手数料のほかに国から補助金等を出すということは一切想定をしておりません。
 実費について過不足なく受験手数料で賄えるように連合会がこれからどういう体制を組まれるか、そういったことを十分検討しながら、政令について検討していきたいというふうに思っているところです。
#53
○桝屋委員 それはわかります。だから、実費を取って独立採算で収支とんとんになるようにしましようということだと思います。
 ただ、今後この制度がどうなるかわからない。どういうふうに受験の状況が変わってくるかもわからない。これは、もし政令に定めた受験料で実際に現場に穴ができれば、委託料ということで補てんをするということは当然ですね。そこはどうでしょうか。まあ事態がないかもしれませんが。
#54
○渡邊(信)政府委員 委託料というものを特に払うということは考えておりませんで、法令上も、受験手数料を社会保険労務士会連合会に入れまして、それで賄うということにしております。
 ただ、この試験事務に係る経費については、別個の会計を設けて、それを主務大臣がまた監督をするということにしておりますので、通常の活動経費とこれが一緒になるということはないようにしております。
 したがって、仮に過不足が出たときには、来年、次の年にはすぐ政令を改正するというふうなことではなくて、特別経費として、一定期間を見てどうしても過不足があるというときに政令改正というふうになるのではないかと思っております。
#55
○桝屋委員 わかりました。あくまでも実費をもらってその中で独立採算でやっていくということは理解をいたしました。
 それで、現にこの社会保険労務士会に労働省から委託をされている事業もほかにあるということも聞きまして、この内容もつぶさに検討させていただきましたけれども、それぞれ適切に事業がやられているということを感じております。
 ただ、私は、ずっとそろばんをはじいてみればみるほど、結構ぎりぎりの厳しい査定でおやりになっているな、こういう気もしまして、現場で委託を受ける方がどうなのかなということをちょっと心配をするわけでありますが、あくまでも国の責任においてということを理解をさせていただきます。
 それから、最後になりますけれども、今回業務の拡大をしまして、不服申し立て等について代理をするということは、私は、現場の労務士さんから、業務の一貫性ということでこれは拡大してもらいたい、業としてなせるようにしてもらいたいという要望があったというふうに伺っております。
 そういうことであれば、それは実際に社会保険労務士さんのサービスとして拡大されるわけですから、私はそれは結構なことだと思うのですが、不服審査、審査請求あたりは面倒なケースでありますから、実際の業務の現場で話を聞きますと、困難な問題が出れば、それはすぐ弁護士に行ってくれ、労務士さん結構忙しいわけでありまして、そんな個別の具体的な事例まで、悩ましい問題になかなか突っ込めないよ、こんな話もあるのです。
 今回こうやって業務を拡大することによって、本当に、今まで弁護士さんに全部任せたようなものを労務士さんが、審査請求、再審査請求、そこでちゃんと対応していただけるような体制なのかどうか、そのことを最後にお伺いしたいと思います。
#56
○渡邊(信)政府委員 社会保険労務士につきましては、今般初めて不服申し立ての代理行為ができるという制度を設けるわけでありますが、これは、長年の社労士の方からの要望でもあったわけでございます。したがいまして、この制度が実現しました場合には、行政機関にもこれを徹底いたしまして、これがスムーズに行えるように努力をしたいと思います。
 また、この不服申し立ての代理というのは、やはり通常の書類の作成とは比較にならないほど複雑で難しいものであるというふうに思いますが、発足以来社労士の制度も三十年を経過しまして、そういった力量を持った社労士の方もたくさん出てきている、こういったことも背景にして、今般この職域の拡大ができたものだというふうに思っております。
#57
○桝屋委員 以上で終わります。ありがとうございました。
#58
○田中委員長 次に、青山丘君。
#59
○青山(丘)委員 私からも二、三点お聞きしたいと思います。
 さっきの質問の続きになることが多いと思いますが、最初だけ一点は、現在の社労士さんの社会的な要請と社労士さんの総数との需給の関係を、労働省はどういうふうに見ておられますか。
#60
○渡邊(信)政府委員 社会保険労務士の資格は、これは一定の能力を有する方に付与するという仕組みになっておりまして、必ずしも需要が多いからこの数をふやすとかそういったことになっておりません。あくまでも、的確に行政書類の作成、行政への届け出書類の作成ができるかどうか、そういった能力を判定する資格試験でございます。
 ただ、近年この試験の受験者数が相当ふえてきておりまして、その結果、社会保険労務士としての能力を有する方が実際の数としても増加をしてきているということは事実でございます。
 ただ、先ほどもちょっと申し上げましたが、現在社会保険労務士の絶対数が大変不足しているというふうな声は、現状では聞かれないと思います。
#61
○青山(丘)委員 社会保険労務士にぜひなりたい、相当多くの人たちがその資格を取得したいということで受験申し込みをしておられます。しかし、その試験はなかなか厳しいようでございまして、昨年ですと二千人を少し切っておりますかね、受験者の七%ぐらいでしょうか。
 しかし、社会にはこの種問題がこれから多く出てくるのではないかと実は私は思うものですから、そのあたりの社会の要請と供給側の社労士さんの総数との関係をどこが調整していくのかということを、今までは労働省なり厚生省が真剣に受けとめてこられた。今回も合否の判定は国でやるということですから、試験事務の外部委託だけならば、その辺の調整は国がやりましようという自覚を引き続き持つといただけるのかどうか。試験事務を連合会に委託するということで、社労士さんの社会等の需給関係まで連合会が調整に当たるというような側面がもし出てくるとしますと、これは少しいびつな方向に行ってしまうのではないか。そこを私は心配するものですから、労働省の見解をお尋ねしております。いかがでしょうか。
    〔委員長退席、鍵田委員長代理着席〕
#62
○渡邊(信)政府委員 社会保険労務士会連合会は、あくまで社会保険労務士の方による団体でございますから、例えば職域独占、業務独占というふうなことで合格者数を極端に減らすというふうなことがあっては、大変困ることだと思います。
 そこで、従来、国家試験の民間委託は、すべて、合否の判定まで受託先にゆだねておりますが、今般、社労士法の改正におきましては、合否の決定は国において行う、従来どおり国でやるということにしておりまして、試験水準が一定に保たれるように、かつまた、その水準に達した人は合格させるようにしたいというふうに思っておるところでございます。
#63
○青山(丘)委員 私は、社労士さんの社会的な地位が高まることはよいことと思っています。
 ただ、それは、社会の要請ときちっと相まって、それから社労士さんの本来的な資質が高まってきて、今低いという意味じゃないですよ、高まってきて、社会的な地位も高まってきているというようなことが望ましいのであって、こういう試験事務を通じてその調整がなされていくようなことは、本来的な政治の姿勢ではない、絶対にないと思うものですから、ぜひその点はひとつ御留意をいただきたいと思います。
 失ほども出ていましたが、やはり国家試験に対する国民の意識というのは相当信頼の高いものがありまして、弁護士さんの国家試験、お医者さんの国家試験、弁護士さんの話はさっきも出ておりましたが、国家試験という意義が薄らいでくるのではないかという点は、実は私も少し心配しています。
 私は、何でも国がやるのがよいとは思っておりませんで、今回の方向は、一つの考え方として、運営が間違いがなければいいことだなと思っていますよ。ただ、社労士さんの社会全体から見る評価、その資格の重さという点は、国家試験と少し国民の見方が変わってくるのではないかというような点を危惧しておりますが、そのあたりはいかがでしょうか。
#64
○伊吹国務大臣 先ほど来政府委員が申し上げておりますように、最終的に資格を付与するのは、あくまで、労働大臣、厚生大臣、国でございますから、社会的な地位というのは、先生が御指摘になっているように、国家試験であるという権威はもちろん必要でありますし、それは、今回少しも揺るいでいるわけではございません。
 同時に、社労士の先生方が、さらにより一層研さんをされ、国民の尊敬をより一層受けられていくという切磋琢磨の中に、今まで受けておられる社会的な地位、社会的な尊敬というものがますます磨きがかかってくる、そういうことが一番望ましいことだと私は思いますので、国といたしましては、委託をしても、責任は何ら変わりませんし、お与えする資格についての社会的評価が下がるなどということがないように、できるだけの注意を払って執行に当たりたいと思っております。
#65
○青山(丘)委員 私も、労働大臣と実は見解は同じです。
 ただ、法律がこれから運用されていくときに、連合会が試験の事務を委託されて実施する、そういう中で私自身が心配をするのは、試験事務の運営が、本当に公平が確保され、本当に公正が確保され、国家の試験としての威信がいささかも傷つくようなことがない運営というのがなされる気構えを、労働省も厚生省も、そして連合会の方も、まずきちっと持つていただかなければならないことが第一。
 ただ、スタートの段階では持っていただけるような気が私はいたします。これが、数年たってくると連合会の権限であるかのような形になってひとり歩きしてきますと、そこに、秘密が漏れてくるとか、何らかの不当な介入がもし許されるような環境ができてきたとすれば、これは、本来の外部委託の趣旨とは全く違ってくる形が出てきてしまう。その辺をどう今から決意をして、具体的に、公正な運営、公平な運営がなされていくのだとこれだけの手順をいたしましたというところがあるのでしたら、聞かせていただきたいと思います。
    〔鍵田委員長代理退席、委員長着席〕
#66
○渡邊(信)政府委員 国家試験としての社会保険労務士試験の性格は変わらないといたしましても、試験事務の一部を民間団体に委託をするということによって社会保険労務士試験に対する公正さ等が疑われるというふうなことがあっては、本当に角を矯めて牛を殺す結果になるわけでありますから、この試験が、従来どおり厳正、的確に行えるようにしなければいけないと思います。
 そういった意味で、社会保険労務士会連合会は、従来からいろいろな経験があり、信頼に足る団体だというふうに考えまして、今回、委託をすることにしたわけでありますが、やはり制度的な担保は必要であると思いまして、今回提案しております法律の中におきましても、試験委員あるいはこれに携わる役員、職員については罰則つきの守秘義務を課しておりますし、贈収賄等刑罰の適用につきましては、みなし公務員の規定も置いているところであります。それから主務大臣による監督の規定も置いております。それから試験委員については、選任の基準を主務省令において定めるというふうなことにしております。
 こういった制度的な担保あるいは従来からの社会保険労務士会が獲得しておる社会的な信頼性、こういったことによって、試験事務の公平、的確、そういったものを確保していきたいと考えているところであります。
#67
○青山(丘)委員 厳正、中立、国家試験としての権威を傷つけないような体制を、ぜひ考えていただきたいと思います。
 先ほども質問に出ておりましたが、受験料といいますか受験手数料といいますか、受験料手数料というのが正しい言葉なんでしょうか、昨年は四千百円。恐らくこれは相当安くすることができるような気がいたしますが、これは、受験者に対する負担を軽減していきたいという意思が連合会の方であるかどうか、まだ確認されておりませんが、昨年は、実は三万六千人、受験申し込みがあります。
 受験料というのは、受験申し込みの段階で得るものでしょうか、受験者だけが支払いをするものでしょうか。
#68
○渡邊(信)政府委員 受験の申し込みのときにお払いいただくということで、仮に試験を受けられなくても返戻はしないということになっております。
#69
○青山(丘)委員 そうですが。実は三万六千人、申し込みをしておられます。四千百円ですと、私今ちょっと計算してみました、計算機を持っていますから。そうしたら約一億四千七百万円の受験手数料が支払いがされております。二千人近く、去年は千九百九十数名合格しております。これは当選という言葉を使ってはいけませんね、合格ですね。
 今まで実際に試験事務に携わった経費は一体幾らぐらいだったんでしょうか。
 つまり、今まではこれは厚生省なり労働省が負担をして経費が出されていたもの、支出されていたものだろうと思います。一億四千七百万円ほどの高額な受験料は大蔵省の方へ入っておりまして、いささかも労働省には入っておりませんね、恐らく。今回仮に外部委託をして、例えば四千万なり五千万の経費がかかるとしても一億ぐらいの利益は出てきそうな雰囲気なんですよ、今の金額ですと。だから、私は冒頭、この次は相当受験料は安くなるんでしようと申し上げたんですが、そのあたりはどんな見通しをお持ちでしょうか。
#70
○渡邊(信)政府委員 現在、社会保険労務士試験実施のための予算として厚生、労働両省に計上されております予算は約三千万円ぐらいでございます。今先生御指摘のように受験手数料収入は一億四千万円余あるかと思いますが、この予算措置がされております三千万と申しますのは、試験実施のために必要な会場の借り上げ費とかそういった経費でございまして、人件費は含まれていないわけでございまして、この収入と支出との差は人件費相当分であるというふうに理解をしております。
 実際に国家公務員が今実施事務をやっておりますので、通常の事務をやりながら例えば受験票の受け付け事務もやるというふうに、なかなかきちっと試験事務と通常のそれ以外の事務との区別ができないというようなこともあって人件費の正確な算定というのは難しいと思うんですが、今おっしゃいました差額は、これは利益ではなくて人件費相当分であるというふうに私どもは理解し、運用しているところでございます。
 したがいまして、今般連合会に委託するということになりますと、人件費もきちっと計算をいたしまして、会場の借り上げ等も含め、過不足ないように受験手数料を決める必要があるのではないかというふうに思います。
#71
○青山(丘)委員 私は、必ずしも過不足ないようにすべきではないかという立場で申し上げてはおりません。せっかく民間に委託するのですから、少しは赤にならないような努力をされることは当然のことで、私はいいことだと思いますが、今私が申し上げた数字で簡単に申し上げると、これまで人件費分として支出されたであろうとみなされる金額が約一億というのは、少し計算の見通しが違うような気がするんですよ。一億四千七百万円の受験手数料が去年入っています。三千万の経費というのは会場の借り上げ費、それ以外は人件費だというふうな単純な見方は私はできないのではないか。なぜかならば、最近でこそ受験者がすごくふえてきておりますが、以前は非常に少なかった。それでも毎年一億ぐらいの経費がかかってきていたとはとても思えない。
 一定の赤字にならない努力をしていただくことは必要でしょう。ただ問題は、それが一つの権限として何らか、私は誤った方向にとは言いませんが、本来の趣旨とは違う利用のされ方はまずい。例えば、業務の精通とか法令の徹底とか社会保険労務士さんが研修をされる、それに使われるとか、それも公正な使われ方でないとまたおかしいかと思いますけれども、そのあたりはかなり突っ込んだ検討がなされておらないと、これは後々に少し問題になる。私は少し問題になると言いますけれども、もしかすると大変なことになるといけないと思いまして今申し上げておるんです。この辺の方針はいかがでしょうか。
#72
○渡邊(信)政府委員 社会保険労務士会連合会は、社会保険労務士の登録の事務とかあるいは調査研究とかいろんな仕事を常々行っているわけでありまして、今回、その事務に加えて国家試験事務の受託という事務が純増するわけでございます。ただ、これが通常の活動の経費と試験の受験手数料、これは全額連合会に入れることにしておりますので、それが混在をして、例えば試験の手数料で利益が上がってそれが別の方で使われるということはやはり受験者にとってマイナスになると思いますので、試験にかかわる経費については別経理、会計経理を区分していただくということにしておりまして、主務大臣がこれを毎年監督をするということにしておりますので、そこでチェックをしていきたいと思います。
#73
○青山(丘)委員 民間団体に一たび試験事務を委託する場合、社会常識からすれば、民間団体あるいは例えば民間の企業に行政が余り介入するというのは私は決して好ましいことではない。今回こうした非常に権威のある、そして社会的な信頼もある社労士さんの連合会の運営についてまで余りくちばしを入れるべきではないと思います。思いますが、試験事務を委託する以上は、将来予測される多くのことについてある程度きちっとしたガイドラインを両方が正しく持つ必要があります。そのことをひとつぜひ留意して進めていただきたいと思います。
 まだ実はたくさんありますが、最後の一点にしたいと思います。
 これまで社会保険労務士さんには認められておらなかった労働社会保険法令に関係する不服申し立ての代理業務、今までは認められておらなかったということが、どういう理由で弁護士さんにゆだねられていたのか。それから、今回社会保険労務士さんにその不服申し立ての代理業務をお願いすることができるということについてどういう変化があったのか。それから、処分庁になるわけですが、我が方はどういう決意が必要なのか。
 というのは、恐らく弁護士さんは不服申し立てを受ければ当事者の代理人として、今までですと裁判所へ持っていきましたね、労働基準監督署へはなかなか来なかったんでしょう。例えば不当解雇、解雇は不当である、身分保全の訴えが出てきた、恐らく社会保険労務士さんですと労働基準監督署へまずその不服申し立てをなさるでしょう。というような手順の整理はよろしいのかどうかという立場から質問をしておるのですが、そのあたりはいかがでしょうか。
#74
○渡邊(信)政府委員 社会保険労務士の制度も制定後三十年を経過しまして、この間いろいろな歴史がございました。
 この制度発足当初は、社会保険労務士の業務というのはいろいろな労働社会保険法令に関する書類の作成というふうなことでございましたが、昭和六十一年の法改正によりまして、事務代理の制度が創設をされました。ただ、そのときも、不服申し立てについての代理の権限ということは、法に規定をされなかったわけであります。それが、今般の改正によりまして、不服申し立てについても代理をできるという規定を提案しているわけでございます。一
 不服申し立てというのは、書類の作成、届け出等と違いまして、やはり相当、複雑困難性が伴うものであるというふうに思いますが、昭和六十一年のこの改正後、相当の年月も経過をいたしまして、事務代理の制度も相当定着をしてきたのではないか、あるいは、こういったことを的確にできる力量というものが社労士の方にもついてきたのではないか、こういったことを実質的な背景といたしまして、今回初めて不服申し立てについても代理をできることとすることで、例えば弁護士法を所掌する法務省とも調整がついた、こういったことで、今回不服申し立てについても代理ができるということで踏み切ろうということで提案をしているわけでございます。
#75
○青山(丘)委員 処分庁になってきて、労働基準監督署がそれなりにまた重い役割を担っていただくわけです。そういう意味で、適切な対応がさらに求められてくるという気がいたしますので、その点をひとつぜひしっかり受けとめていただいて、この運用を進めていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。
#76
○田中委員長 次に、大森猛君。
#77
○大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 時間が限られておりますので、単刀直入に立ち入ってお聞きをしたいと思います。若干私の前の質問者と重複する部分もあるかもわかりませんが、それは御了承いただきたいと思います。
 社会保険労務士法、三十年前に制定されたわけでありますけれども、「労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資すること」、こういう目的で、これは議員立法で、私ども日本共産党を含めて全会一致で成立をしたわけであります。
 その後三十年たって、社会経済情勢の変化という中でも、労働社会権、これはもう国民の基本的権利の重要な柱であるということであるわけなのですが一そういう中で、労働契約の個別化や年金受給者の増大、あるいは高齢化の進行ということで、その保障あるいは確立というのはますます重要になってきている。そういう意味で、社会保険労務士の社会的役割は今日一層重要になってきている。加えて、お話もありましたように、今回の法案改正で、社会保険労務士の業務に新たに不服申し立てに関する代理について、法文上明確に盛り込まれるようになった。
 そういう意味で、社会保険労務士の役割の一層の増大と、加えて、不服審査請求の代理業務の重要性、これも増してきているのじゃないか、また、量的にも非常に今後増大していくのじゃないかということが考えられると思うのですが、その点まずお聞きをしたいと思います。
#78
○伊吹国務大臣 ただいま先生が御指摘になりました御認識と、私どもは全く同じように考えております。
 特に、社会保険あるいは雇用保険を初めとする社会保障関係の、言うならば公的機関と民間との仲介、結びつきをして御指導をいただく役割でございますし、これから働き方も多様化してくるというのは時代の一つの流れだろうと思います。
 また、同じようなことが社会保障面というか厚生省関係でも間口が広がってまいりますので、立派な社会保険労務士の方がそのお役割についていただいて今後ますます御活躍願うというために全力を尽くしたいと思っております。
#79
○大森委員 国民の基本的な権利にかかわる部分で職務が拡大されるということは、社会保険労務士にとっても、同時に依頼者にとっても、これは非常に前進であり、有益であると思うわけですが、問題は、せっかくこうした改正がやられるにもかかわらず、法案上、括弧書きで「主務省令で定めるものに限る。」こうあるために、実際にできる内容が省令に事実上白紙委任になっているという問題があるわけです。司法書士法は、こういう業務に関しても、範囲について省令委任条項はない。加えて税理士法、弁理士法でも同様にこの種の白紙委任条項はないわけです。
 私ども、社会保険労務士の方の御意見も聞きました。社会保険労務士の審査請求代理権は、国民の権利の一部をなすものである。かつて議員立法の際、この立法にも携わられた学者の方にも伺ったのですが、立法や法改正に際して、国民の義務や権利については、法律の明文規定によるべきである、かりそめにも政省令にゆだねられるものであってはならないと強く主張されているわけです。
 この点で、この範囲について法文上明確にするか、少なくともこの法案の審議の中でその内容について明らかにして、国会審議にもかけるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#80
○渡邊(信)政府委員 社会保険労務士法では、社会保険労務士が代理をできる申請等の範囲につきまして「主務省令で定めるもの」というふうに、今御指摘のように、規定をしているわけであります。
 「主務省令で定めるもの」に限定をするというふうに書いておるその趣旨でございますけれども、これは、社会保険労務士の代理業務を制限するという趣旨のものではございませんで、例えば雇用保険に係ります失業の認定のための公共職業安定所への出頭のように本人が直接行う必要があるものですとか、あるいは{労働安全衛生法上の機械や設備等に係る製造許可の申請のように社会保険労務士が十分に代理をすることがなかなか見込まれない、こういったものについては主務省令で限定的に外そうという趣旨である、そういうふうに理解をしているわけであります。
 したがいまして、これはあくまで法律が成立した後の話でございますが、この不服申し立ての代理につきましては、主務省令でこれを制限するという考えは、現在は持っておりません。
#81
○大森委員 社会保険労務士の方の中には、この「主務省令で定めるものに限る。」という条文は削除すべきだというような御意見まであるわけですが、今おっしゃったように、この代理業務については、不服申し立ての道の開かれている法令についてはそれを制限するものでないということは、今後の基本的な考え方として受けとめていいわけですね。その点の確認と、これは厚生省にもかかわるわけですから、厚生省の方、きょうお見えになっているのでしょうか、あわせて御回答をお願いしたいと思います。
#82
○喜多村説明員 御説明いたします。
 先ほど労働省の官房長からお答えありましたのと同じ考えでありまして、私ども、健康保険、厚生年金法等いろいろありますけれども、そういったものについての不服申し立ての代理、これについてはすべて対象にするという方向で考えております。
#83
○大森委員 労働関係、社会保険関係、いずれも不服申し立ての道の開かれているものについては制限しないということで、確認をしておきたいと思います。
 次に、試験事務の委託についてでありますが、これは、今回の大きな改正点であり、各質問者からも質問が集中しました。私たちにもいろいろな意見が寄せられ、賛否両論もあるわけなのです。
 まず確認しておきたいのですが、社会保険労務士会連合会に委託できるという規定になっているわけですから、大前提として、労働省として、連合会との合意がない限りはこれを一方的に行わせることはしないということはまず当然のことですけれども、確認をしておきたいと思います。
#84
○渡邊(信)政府委員 あくまで連合会との合意の上で実施をする考えでございます。
#85
○大森委員 これは先ほどの青山議員からもいろいろ疑念といいますか、出されたわけなのですが、議員立法の際の最初の法案の趣旨説明で、三十年前ですが、こういうぐあいになっているわけです。
  労働社会保険関係の事務は、経営者のため的確に処理する必要があるだけでなく、労働者の権利の確保にも関係するものであります。
  このような観点から、国家が一定の資格者について試験を行ない、その合格者に対し免許を与え、その業務の適正をはかるため、社会保険労務士制度を定めるこういうぐあいになっているわけです。
 こういうぐあいに、立法の最初から、国民の基本的権利、労働社会権に直接かかわる職についての国家試験という位置づけがされて、これが、国家試験というその枠組みは変わらないという御答弁はありますけれども、事務について民間に委託をするということで、いろいろな懸念があるのはこれは当然だと思うのですね。
 公正それから秘密の保持、加えて、やはりこの間、社会保険労務士に対する信頼が三十年間通じて増してきた大きな理由の一つとして国家試験であるということがあったと思うのですが、そういう信頼の確保、そしてその一層の拡大、これをどう担保していくのか、お答えもありましたけれども、改めてこの点、確認も含めてお願いをしたいと思います。
#86
○渡邊(信)政府委員 今般、民間団体社会保険労務士会連合会に試験を委託するわけですが、そのことによって試験に対する国民の信頼性が疑われたり、あるいはその水準が低下をして、試験には受かったけれども的確に事務は処理できないというふうなことではかえってまずい結果になるわけでありますから、従来の水準の確保あるいは秘密の保持、こういったものは厳格に維持されることが必要であると思います。
 制度的にも、先ほどから申し上げておりますが、試験委員の任命については一定の基準によること、あるいは試験委員を含みますこれにかかわる役職員については罰則つきの守秘義務を課すること、あるいはみなし公務員の規定を置くこと、あるいは主務大臣による監督規定を置くこと、あるいは経理も厳正に区分をするというふうな法令上の担保を置きまして、試験が的確に従来どおり行えるように制度的にも担保しているところであります。
#87
○大森委員 試験委員については別途お聞きするつもりだったのですが、関連して、第二十五条の二十で試験事務に従事する役員について規定をされているわけですが、これはどういうぐあいに労働省はお考えになっているのでしょうか。
#88
○渡邊(信)政府委員 この試験事務の受託は、連合会にとって事務の純増になることでございますので、従来の役職員でこれが担当できるのか、なかなかそうはいかないと思うのです、実際には役職員の増ということになっていくと思います。ただ、これがどのくらいの規模で必要なのか、あるいは、現在は十四の都市で試験を行っておりますが、これを例えばさらにサービスの向上ということでふやすのかどうか、そういったことによって従事する役職員の数も変わってきますので、これは、法成立後に連合会と十分体制についてお話の上決定をしていただくことではないかというふうに思っております。
#89
○大森委員 私ども、調査したりいろいろ事情を聴取する中で、試験事務に従事する役員については、連合会の内部では、連合会の専務理事が選任されるというぐあいに報告されて、労働省もそれでいいというお墨つきを与えているように伺っていますが、この点、どうでしょう。
#90
○渡邊(信)政府委員 まだそのような具体的な話はお聞きしておりません。
#91
○大森委員 先ほどお答えになった試験委員の任命についてなのですが、現在連合会では、いわば社会保険労務士の試験の予備校的なことをやっておりますね。社会保険労務士を志す人々の便宜を図るということで、通信講座及び通学講座を実施されている。これは、予備校が試験をやるわけにはいきませんから、この点は、試験の公正を図るということとの関係でどうされるのか。
 それから、かつて技術士についても民間に事務を委託するということがあったわけなのですが、この試験の試験委員については、科学技術庁長官が技術士審議会の推薦に基づき試験委員候補者を選定する、その中から指定機関が選任するという形で、試験の公正をこういう形で担保する工夫をされているわけなんです。一般的な公正の確保ということでなくて、この点でのもう一歩踏み込んだシステムといいますか、これが必要じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#92
○渡邊(信)政府委員 前段の連合会の行っている講習の事務ですが、これは従来、連合会が附属機関としまして教育学院というのを設けて講習事業を行っております。今後、試験事務を受託するということですから、私どもとしては当然これを廃止したいと思っておりますし、連合会としても、当該事務を廃止する考えであるというふうに聞いております。
 また、試験委員につきましては、これは従来の立法例に倣いまして、主務省令で試験委員の資格を定めるということにしておりまして、それに沿って連合会が選任をするということにしておるわけであります。その主務省令で定めます試験委員の資格要件としましては、類似の省令の例を見ますと、例えば何々法学や何々学についての教授、助教授である者、あるいはあった者、あるいは国または地方公共団体の公務員で専門的知識を有する者、あるいは公務員であった者、こういつたことをいろいろと省令において規定している例がありますので、そういったことも参考にしながら主務省令を定めていこうというふうに考えております。
#93
○大森委員 こういう点、ぜひ御努力をお願いしたいと思います。
 あわせて、もう時間がありませんので、これは法律にもありますように、品位と資質の向上維持を絶えず担保すべき、そういう面でも、試験問題作成についても公正とか水準の維持等しっかり反映されるシステムという点は御努力をお願いをしたいと思います。
 受験料について、これも皆さんからありました。受験料は下がるのじゃないかというようなお話もあったのですが、先ほど申し上げた技術士、これについては、同じように民間委託する前と後では、これは予備試験、本試験に分かれておりますけれども、予備試験、本試験合わせて、改正前が一万円だったのが改正後は二万一千円と二倍以上に上がって、現在は二万五千円と二・五倍に膨れ上がっているわけですね。実費弁償等々というあれはあるわけなんですが、政府として、一方的にどんどん幾ら上げてもいいんだということにならない決め手になる保証というのは何でしょうか。
#94
○渡邊(信)政府委員 受験手数料は政令において定めるということにしておりますので、連合会においてこれを自分の判断で変動させるということは法制的にもできないことになっております。
 それから、会計区分につきましては、受験に関する会計経理は他のものと区分して処理をするということにしておりまして、それについては主務大臣が監督をするということにしておりますので、必要な経費が明らかになる、そういうふうな仕組みにしております。また、この手数料を定めます政令については、同種のものを見ますと、内閣法制局の大変厳しいチェックが入りますので、そういったことも担保になっているのではないかというふうに思います。
#95
○大森委員 ですから、政令で定める基準は何かということを伺っているのです。
#96
○渡邊(信)政府委員 これは先ほどから過不足のないようにというふうに申し上げておるわけでありますが、私どもとしては、この試験の実施によって連合会に何か新しい利益が上がるというふうなものであってはやはり受験者の方の利益にはならないのではないかというふうに思っておりまして、従来どおり過不足のない範囲で決めるということが基準ではないかというふうに思っております。
 ただ、単年度で見ると不足ができたり余ったりということはあると思いますので、先ほどから申しておりますように、この経理は独立の経理とするということによって、かつ政令で定めるということによってある程度長期に見ていく必要はあるのではないかと思います。
#97
○大森委員 そこは官房長の鉛筆とかそういうことではなくて、やはりこれはきちんとした基準を設ける必要があるのではないかと思うのです。それは省庁を横断したものもあるかもわかりませんが、そこはぜひ明確にしていただきたいと思います。
 これも前の質問者からもたびたび出ておりますが、この民間委託等については、連合会として、理事会等では了承されたというぐあいには聞いているわけなのですが、単位の労務士会あるいは社会保険労務士個々をとってみますと、会員にしても一〇〇%オーケーだということにはなっていないと思うのですね。私どものもとにも栃木の社会保険労務士会から陳情書等もいただいたわけなのですが、そういう意見がまとまっていない問題について、当然、これでいいのだと強引に見切り発車されるわけではないと思うのですが、今後どういうぐあいにこの点は対応されていくのか、これもお聞きをしておきたいと思います。
#98
○渡邊(信)政府委員 社会保険労務士会連合会にとりましても、この国家試験事務の受託ということは、これは大変な問題であったと思います。そういうことで、労働省乏しましてもあるいは厚生省としましても、昨年から全国のブロックも回りまして、実態も聞き、こういったことを受託できるかどうかという議論も重ねてまいったわけでありまして、ことしの二月、最終的に、社会保険労務士会連合会の理事会でこれを受託しようという決定がなされたというふうに聞いているところであります。
 ただ、いろいろな御意見が内部にあることは確かでございますし、今後とも、できるだけ参加会員の合意も得ながらこれが進められるように努力をしたいと思います。
#99
○大森委員 私ども、今回の法案審査に当たっていろいろ御意見を伺う中で、例えば、現在でも社会保険労務士は、労働省、厚生省の委託事業として、社会保険未加入事業所の巡回とか労働保険の年度更新の手伝いというもの、ボランティアに近い仕事を多く受け持っている。協力の範囲を超えているのではないかという声もあるわけですね。こういう点で、今回事務を委託するということになれば、社会保険労務士の方の御苦労も本当に大変なものになると思うのですね。
 ですから、労働省としても、連合会だけではなくて、多くの、広範な会とかあるいは社会保険労務士の皆さんの生の声もお聞きになって、今後進めていく上でこれはいろいろ取り入れていただきたい、この点の御見解をちょっと聞いておきたいと思います。
#100
○渡邊(信)政府委員 連合会に試験事務の一部を受託していた輝く以上は、これは、円満に、円滑に行われることが必要でありますから、これに参加される方の合意を得ながら進める、そのための努力をしていきたいと思います。
#101
○大森委員 今回の改正点の一つであります不服申し立ての関連で、各社会保険労務士の方が非常に苦労されているということで、その一つの関連したことについてお聞きをしたいと思うのです。
 これは、おととしの十二月十二日の朝日新聞の「論壇」というところで社会保険労務士の方が投稿されているわけなのですが、そこで、労働災害についての認定の問題を取り上げておられるわけです、労働者性が問題になると。これは、現場の第一線で活躍されている社会保険労務士の皆さんには本当に悩ましい点でもあると思うのです。
 この中で、労働大臣の私的諮問機関である労働基準法研究会での労働者性の判断基準として、抜粋して示されているのですが、ちょっと申し上げますと、「労働者性の判断基準として、「契約した仕事について事業者の指示を拒否する自由が無く、指揮監督下で業務を遂行し、業務の時間と場所を拘束され、他人に業務を代わってもらうことができず、また、労働の質と量に応じた賃金を受けている者は労働者である」」こういう形でまとめられているわけなのですが、この点はおおむね正しいわけですね。
#102
○伊藤(庄)政府委員 ただいま御指摘がありました、労働基準法研究会の労働者性の検討専門部会の報告書についての御指摘だと思いますが、この「論壇」へ投稿された方が要約しておられる点は、おおむねこの報告で示された芸能関係者の労働者性の判断基準を要約されています。
 ただ、研究会報告の方では、項目的に、判断基準として、さらにほかの項目あるいはそれの基準に照らして事実関係を当てはめる際のいろいろ留意すべき考え方等々も触れられておりますので、問題は、こういった基準と把握した事実関係をその基準に照らしてどう判断するかということに相なろうかと思います力
#103
○大森委員 こういう労働者性の判断基準ということはおおむねこのとおりだということなわけなんですが、問題は、ではその後の労災認定等々にきちんとこれが生かされているかという問題であるわけなんです。労働省としては、建設手間請け従事者及び芸能関係者の労働者性の判断に当たってこの報告を参考とするというような見解を示されていると思うのですが、それもよろしいですね。
#104
○伊藤(庄)政府委員 この報告書、大変貴重な御意見が盛られておりますので、私ども、十分それを参考にし、また労働者性の判断につきましては、過去、相当な蓄積がございますので、そういったものも参考にしながら、個々のケースごとに適切な判断ができるように今後とも努めていく考えでございます。
#105
○大森委員 ところが、この「論壇」の中でも述べられているのですが、労災保険給付の担当部署ではその後も「芸能界では、専門的、芸術的な能力発揮が特徴であり、指揮監督下の労働ではない」ということで、労働者性がなかなか認められないということを展開されているわけです。
 加えて申し上げますと、全建総連という団体がありますが、これが労働省にも要望を出されているわけなんです。その中で、労基研専門部会報告における労働者性の判断基準を各基準局、監督署に徹底するとともに、住宅企業など元請、発注者に対し、手間請け従事者と雇い入れ通知書交わすよう指導してくれという要望項目があるわけですが、その要望の事実があるかないかということと、こういう要望についてどう対応されるのか、御見解を伺いたいと思います。
#106
○伊藤(庄)政府委員 まず、御指摘がありました最初の点でございますが、芸能者の労働者性につきまして一般的にそう判断しているわけではなくて、恐らく具体的なケースに当てはめて、個々に事実関係を把握し、判断基準に照らした結果、労働者性がないと判断されたケースであろうかと思います。もちろん、労働者性がありと判断されるケースもあるわけでございます。
 それから、もう一つ御指摘ございました全建総連からの要望につきましては、私ども、そういった御要望につきましては受けておりますし、承知しているところでございます。
 私ども、そういった要望の前の段階から、この報告書が出た段階で、各都道府県の労働基準局あるいは監督署の方にもこの報告書をすべて送りまして、これらを参考にして的確な判断が行われるように指示をいたしておるところでございます。
#107
○大森委員 今の全建総連の要望の中では、その労基研の報告からさらに踏み込んだ要望も入っているわけですから、それも含めて、今後もぜひ前向きに検討をお願いしたいということが一つです。
 労働者性が問われる問題で、これは労災認定で非常に問題になるわけなんですが、私が住んでおります横浜の港湾ですけれども、最近もダンプ労働者の労働災害問題で相談を受けました。
 あるN産業と仮に申し上げますと、N産業の仕事だけを十三年間続け、一昨年、横浜金沢木材埠頭で、貨物船から採石の荷揚げ作業中の事故で半身不随の重傷を負い、今日も仕事への復帰の見通しが立たない状況となった。労災適用の申請をしたが、しかしこのOさんは労働者性が認められないとして、最近、労災の適用はできないという決定になったわけであります。
 個別のケースでそれぞれ判断していくということなわけなんですが、さっきの建設関係で申し上げますと、建設現場で死亡者が出ると、監督官が来て最初に調べることは、死亡した本人が労働者であるかどうか。手間請けで働いているということがわかれば、それは自分たちの仕事の範疇でないということで現場を去ってしまう。それだけで、非常に単純に片づけられてしまうことを訴えておられるわけですね。ですから、本当に、手間請けということだけでもう調査もしないというようなことじゃなくて、これは個別のケースで厳密に、詳細に調査をしていただきたいということ。
 あわせて、これから特に労働契約の個別化がいろいろ拡大してくる、あるいは裁量制の労働というものも拡大してくるという中で、こういう労働者性が問われる問題が非常に多くなってくると思うんですね。
 そういう中で、例えば特別加入制度等もあるわけなんですが、基本的には、やはり労働災害、それをできるだけ救済する見地から、この朝日新聞の「論壇」では、労基法上の労働者よりも労災保険法上の労働者の範囲は広げるべきじゃないかという提起もされているわけなんです。現場のこういう社会保険労務士の本当に苦労されている方の御意見でもあるわけですけれども、すぐに労働者性、労働者の範囲を広げるということでなくても、やはりできるだけ救済する見地からの措置を、こういう問題での検討をぜひお願いをしたい。この点で、最後に御見解を伺って、質問を終わりたいと思います。
#108
○伊藤(庄)政府委員 二点御指摘があったかと存じますが、最初の、建設の手間請け従事者の方について、そういう手間請けの従事者だということをもって具体的な調査等をしない、こういう御指摘でございますが、恐らく、第一線の労働基準監督官、労働基準法あるいはその他の法律を適用していくに当たりまして、この労働者性の判断は入り口に当たるものでございまして、長年、この問題につきましては、監督官がいろいろ関心を持ち、いろいろな事例等も頭に入れて対応している問題でございまして、むしろ逆に、建設の手間請け従事者等の場合には、もし事故があれば、その方を労災の対象とするかどうか、気持ちの上ではできるだけ対象としていきたいという気持ちでこの労働者性があるかどうかを判断するケースが恐らく圧倒的だと思いますので、御指摘のような事例は、私はまずないのではないかというふうに認識をいたしております。もしそういうことがあれば、厳しく指導をしていきたいというふうに思っております。
 それから、労働者性の判断につきまして、ただいま申し上げましたように、複雑な事実関係の中で労働者性があるかどうか。私ども、そういったケースにつきましては、労働者の保護に欠けることのないようにという見地から、事実関係を把握し、労働基準法等の精神に照らして労働者性を判断していくわけでございますので、もちろん、制度的に労災保険の部分だけ労働者の範囲を広げろという点につきましては、これは労働基準法に基づく災害補償責任を保険という形でいわば担保した責任保険でございますので、それは制度的にも不可能でございますけれども、個々のケースの、個別の労働者性の判断に当たっては、実際には、労働者として使用従属関係があった方が給付の対象等から漏れることのないように、そこは我々慎重に、適切に判断をしていきたいと思っております。
#109
○大森委員 終わります。
#110
○田中委員長 次に、濱田健一君。
#111
○濱田(健)委員 今回の社労士法の改正案に賛成する立場で、若干基本的な部分について役所の方の見解を伺って、質問をしたいというふうに思います。
 一点目は、今回の社労士法の改正は、いわゆる規制緩和というような方向性を含めて、試験事務の外部委託ということで社労士会連合会に委託をされるという中身と、いわゆる業務の拡充という方向性が法案の中に中心的に盛り込まれているわけでございますが、今回盛り込まれた改正の点以外に、社会保険労務士の方々、個人やそれぞれの団体から、もっとこういう点を変えていただきたい、規制緩和の方向性に持っていっていただきたいというような点がありましたら、披瀝いただければ幸いでございます。
#112
○渡邊(信)政府委員 今回の改正に当たりまして、私どもは連合会を窓口にして御意見をいろいろと聞いたわけでありまして、連合会は各県の社会保険労務士会等々から意見を集約されたと思いますが、いろいろと御意見が提出をされました。
 少し具体的に申しますと、今回の法改正に盛り込めなかった事項としましては、例えば、先ほど議論になりました労働争議への介入禁止の解除、あるいは労務管理等についての相談、指導業務を社会保険労務士の独占業務とすること、あるいは社会保険労務士会の会費の未納をもって社会保険労務士登録の抹消事由とすること、あるいは新規に社会保険労務士会に入会した者に対し新規研修の受講を義務づけること等々、こういった要望が出されておりましたが、いずれも今回は法に盛り込むに至りませんでした。
#113
○濱田(健)委員 簡単な質問ですが、それらの要望にこたえられない、期待に添えないネックといいますか、その部分についての御見解はどういうところにございますか。
#114
○渡邊(信)政府委員 これらの点につきましては連合会と随分議論を重ねたわけでありますが、なかなか難しい問題があるということで、先ほど申しましたように盛り込めなかったわけです。
 先ほど申しました幾つか具体的に出た点について申しますと、例えば法制上なかなか難しい。例えば会費を未納したというだけで登録を抹消する、社会保険労務士でなくなってしまう、そこまでいくのはどうかというふうな問題もあれば、例えば相談、指導業務を社会保険労務士が独占するということについては、国民一般の理解が得られるかどうか、なお議論の余地があるのではないか。あるいは労働争議へのかかわりの問題ですが、これは先ほど述べましたが、まだまだコンセンサスの形成に至っていないのではないか、これから十分議論を進めていく必要があるのではないか。いろいろな理由がありますけれども、こういったことでそれぞれ、今回の法案には盛り込まれなかったものでございます。
#115
○濱田(健)委員 官房長の御説明でなるほどなという部分と、これからやはり若干検討の余地ありという部分等々ございますので、今回の改正を一歩として、今後とも御検討、御協議いただければ幸いだということを申し添えておきたいというふうに思います。
 今回、改正のポイントであります業務拡充措置としての不服申し立て事務代理ができるようになったわけですが、では、規制緩和の流れですよと言ってしまえばそれでおしまいなんですけれども、これまでできなかったけれども今回の改正で盛り込まれるようになった、その素地といいますか、その状況というものはどんなところにあるのかということをまずお聞きしたいと思います。
#116
○渡邊(信)政府委員 労働社会保険諸法令に係ります不服申し立て、これによって当該法令に基づく処分が最終的に確定をするというものですから、これは大変重要な事務でございます。
 社会保険労務士は、制定当時は行政機関への届け出書類等の作成に業務が限定をされておりましたが、昭和六十一年に事務代理の制度が設けられまして、その後さらに十数年を経過したわけであります。
 通常の定型的な書類の作成業務に比べますと、不服申し立ての代理のための書類の作成等々は相当複雑な事務でございまして、それにふさわしい能力が当然要求されるわけでありますが、事務代理の制度ができまして十数年たちまして、社労士の方も十分それにふさわしい力量をつけてこられた。そういったことを背景にしまして、従来、労働社会法令に関します不服申し立ての事務は弁護士の仕事というふうにされていたわけでありますが、先ほど申しましたような事情を背景にして、法務省とも調整がつきまして、この事務は社労士ができることにしようということになったわけでございます。
#117
○濱田(健)委員 今、官房長から回答をいただきましたとおりに、今まで弁護士がされていた業務の枠内に、社労士の皆さん方の業務の拡張という意味で不服申し立て事務代理ができるようになったということでございますので、弁護士さんそのものではないのですが、この業務に関しての処理というものが、当然、処分庁の中で重くその書類を取り扱いながら適切な対応がなされなければならないというふうに思っております。
 弁護士さんが出してきたから云々、社労士の皆さんがつくって提出をしたから云々というような、差別とは申しませんが、区別があってはならないというふうに思いまして、適切な処理をお願いしたいのですが、その部分についてはいかがでしょうか。
#118
○渡邊(信)政府委員 これは、今般初めて、職域の拡大ということで大変複雑な難しい仕事をしていただくということでありますから、これに習熟されるにはやはり一定の期間も要するというふうなこともあると思いますが、私ども行政としましては、よく社労士の方とも議論をしながら、この事務が適正に遂行できるように、第一線機関も指導していきたいというふうに思います。
#119
○濱田(健)委員 もう一点、社労士会の中で、所属の社労士さんに対して、法にのっとった活動や行動がなされない場合に注意勧告をすることができるということに今回の法律改正でなるわけですが、やはり人間の住む世界でございますので、この注意勧告の取り扱いというものについては公正な手続がなされなければならないというふうに思います。ある人々、ある集団だけを何か変なふうに取り扱うというようなことがあってはならないというふうに思いますが、その辺はどういうふうな担保の仕方をされようとするのか。
#120
○渡邊(信)政府委員 この注意勧告の制度ですけれども、これは、社会保険労務士が具体的に法令違反の行為をしたということではなくて、そういった場合ですと懲戒処分の対象になるわけですけれども、そういった行為に至る行為を未然に防止しようという制度でございまして、したがって、例えばそれが守られなかったときにペナルティーを科すというふうなものではございません。ただ、社会保険労務士会から注意勧告があったということになれば、これは、相当の重みを持って当該社会保険労務士の方に効果があるというふうに思われます。
 そこで、そのような重みを持つ注意勧告というものは、これはやはり厳正、公正に行われなければならないわけでございまして、したがって、この注意勧告につきましては、労務士会の会則においてこれを定めるということにしておりますので、その会則の中で手続等について定めていただくということになると思います。
 かつ、この会則につきましては、主務大臣の認可事項でございますので、その点において国としてはチェックをしていきたいと思います。
#121
○濱田(健)委員 ぜひ、その部分が厳正、公正に運用されるように、チェックはしっかりやっていただきたいというふうに思います。
 それと、社労士法第一条の二に、「社会保険労務士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、」というふうにうたわれているわけでございます。当然、国の試験をパスされてその資格を得られた方でございますので、実務に精通をする、資格があると認定されているわけでございますが、やはり、仕事を実際にどんどん進められていく中で、関連法令等の変化、充実等々出されるわけでございます。
 絶えざる現職の中での研修というものは、どの職場、どういう仕事でも大切でございますが、現在、研修の制度というものを国がつくっていらっしゃるのかどうか、連合会等々独自に任せておられるのか、それとも地方の段階でその制度ないし取り扱いがなされているのか、そして、その状況によっては今後どういう研修のあり方等々を考えていらっしゃるのか、その点について御見解を伺いたいと思います。
#122
○渡邊(信)政府委員 現在、国として特別の研修を行っているということはございませんが、ただ、社会保険労務士となるための要件としまして、法律は、試験に合格していることに加えまして、二年間の実務経験が必要であるというふうに定めているところであります。
 また、実際の研修は、社会保険労務士会連合会及び各県の社会保険労務士会が現在行っていますが、連合会におきましては^例えば、中央において社会保険や労働関係の中央研修を行いましたり、各地域において労務管理研修やシンポジウムの開催というふうなことを行っておりますし、また、各都道府県の社会保険労務士会におきましても、新たに社会保険労務士となった方に対して研修を行うほか、主要な法改正等の都度必要な知識の付与を目的とした研修を実施しております。
 労働社会法令も逐次整備されておるわけでありまして、その能力のアップということは常に心がける必要があると思います。当面は、連合会や各県の研修状況の充実というものを見てまいりたいと思っております。
#123
○濱田(健)委員 社会保険労務士としてみずから経営をされている方がたくさんいらっしゃるわけですが、勤務をされている資格を持った社会保険労務士の皆さん方、場合によっては、資格を持っているからその一つの職場に限定されてずっと同じところで働くとか、逆に資格を持っているけれども一般的な事務屋さんみたいな形でしか仕事ができないという、そういう実態も聞かされているところでございます。また、それにプラス、採用されたけれども、社会保険労務士資格というものを認められての待遇がそう付加されていないというようなことなども、いわゆる労働者という立場でお聞きすることがございます。
 そういう面について、有資格者の処遇の問題や、せっかく資格を持っていらっしゃる方がその職場にいらっしゃるという意味で、それの活用を促進していくための手だてといいますか、役所としてどのようなバックアップといいますか、これからの手だてというものがあるのか、すぐこういうことができるよとかということじゃなくても結構でございますので、お聞かせいただければ幸いです。
#124
○渡邊(信)政府委員 現在、社会保険労務士の資格を持っておられる方は約二万四千人で、そのうち開業をしておられる方が一万四千人ですから、約一万人ぐらいの方は企業において従来どおり勤務をしておられるのではないかというふうに想定をされます。
 その方たちの処遇の実態はどうなっているかという調査はまだないのですが、一般的に申しますと、いろいろな資格を取得しましても、企業における処遇がそのことによって直ちに改善されるという例はまだまだ少ないのが実情ではないかというふうに思っております。
 ただ、これからを展望いたしますと、いわゆる年功序列型賃金というものから、我が国の賃金体系も、能力重視、結果重視あるいは年俸制の導入の促進、こういった方向に進んでいるわけでありまして、ホワイトカラーのスペシャリスト化というふうなことも言われているわけであります。そういったことも背景にしまして、この社会保険労務士試験の受験者数も飛躍的に増大しているのではないかというふうに思っております。
 そういったことから見ますと、行政が直ちに処遇についてどうこうするという権限はありませんけれども、おのずと企業の中においてそういう専門的な能力を持った方の処遇が高まっていく、そういう人を企業も雇う、こういった時代にだんだんなっていくのではないかというふうに考えております。
#125
○濱田(健)委員 社労士試験の委託関係については、これまでの委員からほぼ御意見や質問は出尽くしたというふうに思うんですが、最後に一つだけ、受験日については今まで統一的に、当然試験の中身は一緒ですから統一的にされなければならないわけでございますが、毎年七月の最後の週のウイークデーになされていたというふうにお聞きしているわけでございますけれども、働いていらっしゃる方がこれを受けるとなったときに、わずか一日のことだからということで、全国で十四カ所でしたか、そこであれば、近いところで受ければいいわけですから、そんなに旅費関係かからないよということもあるかもしれませんけれども、勤務の関係含めて、週休二日制実施されている職場がほとんどでしょうから、土曜日曜日の試験日ということに受験者の利便性を考えたときに対応してさしあげるのはそんなに難しいことではないというふうに思うんですが、この辺は質問があったかもしれませんが、いかがでしょう。
#126
○渡邊(信)政府委員 私ども試験事務の実施をお願いする立場としてはなかなか難しい点はあるのでありますけれども、受験者数がこれだけ多くなってきておりますので、やはり受験者の利便ということを考えることが大切なことではないかと思います。そういった点で、今委員御指摘の点については開催日等も含めまして十分議論してまいりたいと思います。
#127
○濱田(健)委員 委託ということがい議の中で進んでいけば、当然今官房長が答えていただいたようなことを現場に近いところの方にやっていただくわけですから進むものというふうに確信して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
#128
○田中委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#129
○田中委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 社会保険労務士法の一部を改正する法律案について採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#130
○田中委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#131
○田中委員長 御異議なしと認め、よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#132
○田中委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、参議院送付、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。伊吹労働大臣。
    ―――――――――――――
 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#133
○伊吹国務大臣 ただいま議題となりました中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 中小企業退職金共済法は、中小企業の労働者の福祉の増進と中小企業の振興に寄与することを目的として昭和三十四年に制定されたものであります。本法に基づき主に常用労働者を対象として運営されている一般の中小企業退職金共済制度においては、現在、加入企業数は約四十一万、加入労働者数は約二百八十一万人に達するなど、本制度は広く普及し、中小企業の労働者福祉対策の主要な柱の一つとなっております。
 さて、我が国における高齢化の進展の中で、退職金制度は老後の生活の安定を図るため一層重要なものとなってきており、本制度の果たすべき役割はいよいよ大きくなっているところであります。
 一方、金利が低い水準で推移するなど金融情勢が大きく変化する中で、本制度の財政状況は厳しいものとなっております。このため、こうした経済社会情勢の変化等に対応して、本制度の安定及び充実を図ることが必要になってきております。
 政府といたしましては、このような課題に適切に対処するため、中小企業退職金共済審議会の建議を踏まえ、本法律案を作成して同審議会にお諮りし、全会一致で適当との答申をいただいて、ここに提出した次第であります。
 次に、この法律案の内容につきまして概要を御説明申し上げます。
 第一は、基本退職金の額の改定であります。
 金融情勢の変化に対応して制度の安定を図るため、掛金月額及び掛金納付月数に応じて定まる基本退職金の額を改定することといたしております。
 第二は、他の退職金共済制度との通算制度の創設であります。
 労働者が、本制度加入企業と商工会議所等が行う特定退職金共済制度加入企業との間を移動した場合に、退職金を通算して支給を受けることができるよう制度を整備することとしております。
 第三は、分割支給制度の改善であります。
 退職金の受給方法について、一時金払いと分割払いを併用して、退職金の一部を分割払いにより、残額を一時金により支給を受けることができるものとすることとしております。
 第四に、申込金の廃止であります。
 退職金共済契約の申し込み時に納付させることとしている申込金を不要とすることとしております。
 なお、この法律の施行は、平成十一年四月一日からとすることといたしております。
 以上、この法律案の提案理由及びその内容の概要につきまして御説明申し上げました。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#134
○田中委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時六分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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