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1947/12/08 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 文教委員会 第21号
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1947/12/08 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 文教委員会 第21号

#1
第001回国会 文教委員会 第21号
昭和二十二年十二月八日(月曜日)
    午前十一時二十三分開議
 出席委員
   委員長 松本 淳造君
   理事 高津 正道君 理事 花月 純誠君
      野老  誠君    松澤 兼人君
      松本 七郎君    伊藤 恭一君
      押川 定秋君    久保 猛夫君
      五坪 茂雄君    中山 マサ君
      近藤 鶴代君    坂田 道太君
      圓谷 光衞君    水谷  昇君
      豊澤 豊雄君    松原 一彦君
      織田 正信君
 出席政府委員
        文部事務官   清水 勤二君
 委員外の出席者
        文部事務官   剱木 亮弘君
    ―――――――――――――
十二月五日
 釧路市に師範大學設立の請願(伊藤郷一君外一
 名紹介)(第一三六七號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 秋田大助君外一名紹介)(第一三八一號)
 小學校教員の恩給増額に關する請願(志賀健次
 郎君外二名紹介)(第一四〇三號)
 中、小學校教師の養成機關修業年限に關する請
 願(豊澤豊雄君紹介)(第一四〇四號)
 定時制高等學校設置の請願(奥村竹三君紹介)
 (第一四三一號)
 柳田農學校昇格に關する請願(大森玉木君紹
 介)(第一四三一號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 受田新吉君紛介)(第一四六四號)
の審査を本委員會に付託された。
十二月四日
 小學校教員の恩給増額に関する陳情書外二件(
 岩手縣東磐井郡長坂村小原民雄外二名)(第六
 ○三號)
 六・三制完全實施に關する陳情書(福島縣石城
 郡川前村立川前中學校保護者會長永山博康外五
 十名)(第六〇六號)
 新制中學校設立補助金に關する陳情書(愛媛縣
 上浮穴郡教育協議會長正岡公示)(第六一七
 號)
 六・三制完全實施に關する陳情書外一件(山梨
 縣南郡留郡谷村中學校父兄齋藤京子外三千二百
 六十七名)(第六二二號)
 小學校教員恩給増額に關する陳情書(長野縣上
 伊那郡東部八ヶ町村在住元小學校教員受給者代
 表柿木保)(第六二四號)
 定時制高等學校設置に關する陳情書(京都府學
 校職員組合京都府相樂郡精華高等公民家政女學
 校西村正當外三百八名)(第六二九號)
 戦災學校に關する國庫補助増額に關する陳情書
 (九州各縣議會正副議長會幹事福岡縣議會議長
 稻員稔)(第六四七號)
 教員待遇改善に關する陳情書(三重縣志摩郡中
 小學校長會)(第六五八號)
 定時制高等學校設置に關する陳情書外三十九件
 (長野縣下水内群太田青年學校生徒會竹田信
 重)(第六六二號)
 第三囘國民體育大會を福岡縣に誘致の陳情書(
 福岡縣議會議長稻員稔)(第六六三號)
 初級中學校の新設經費全額國庫負擔に關する陳
 情書(北海道旭川市上川支廳管内町村會長古東
 久平)(第六八八號)
 六・三・三制完全實施に關する陳情書(仙臺市
 北七番地六・三・三制完全實施促進東北協議會
 狩野兼雄外一名)(第六九一號)
 新制中學校整備國庫補助に關する陳情書(福井
 縣議會議長野村榮太郎)(第七一二號)
 六・三制完全實施に關する陳情書外四件(日本
 教育職員組合中國協議會婦人部大會)(第七一
 三號)
十二月七日
 定時制高等學校設置に關する陳情書(長野縣更
 級群更級村矢島浪男外三千七百五十八名)(第
 七一五號)
 六・三制完全實施に關する陳情書外一件(山梨
 縣南亘摩郡静川村依田行雄外五千四百七十二
 名)(第七一六號)
 新制中學校整備に關する陳情書外一件(栃木縣
 安蘇郡新合村立新合中學校増田保太郎外八名)
 (第七三七號)
 六・三制完全實施に關する陳情書外三件(栃木
 縣下都賀郡小野寺村立中學校長大阿久鐵太郎外
 三名)(第七三八號)
 六・三制完全實施に關する陳情書(山口縣熊毛
 郡佐賀村會議長高木滿介)(第七六四號)
を本委員會に送付された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
  請願
 一 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願(小澤佐重喜君紹介)(第八九號)
 二 同外三十二件(相馬助治君紹介)(第九四
   號)
 三 同外十八件(高津正道君紹介)(第九五
   號)
 四 同外十件(外崎千代吉君紹介)(第九六
   號)
 五 同外十一件(原彪之助君紹介)(第九七
   號)
 六 同(馬場秀夫君紹介)(第九九號)
 七 同外一件(齋藤晃君紹介)(第一〇〇號)
 八 同(中村元治郎君紹介)(第一〇一號)
 九 同(安東義良君紹介)(第一〇二號)
一〇 同外三十四件(門司亮君紹介)(第一〇三
   號)
一一 同外二十件(金野定吉君紹介)(第一〇四
   號)
一二 同外二十六件(成重光眞君紹介)(第一〇
   五號)
一三 同外十七件(大島多藏君紹介)(第一〇六
   號)
一四 同外五件(片島港君紹介)(第一〇七號)
一五 同外四件(田中角榮君紹介)(第一一〇
   號)
一六 同外一件(中村元治郎君紹介)(第一一一
   號)
一七 同外一件(成重光眞君紹介)(第一一二
   號)
一八 同外三件(片島港君紹介)(第一一三號)
一九 同外四件(田中健吉君紹介)(第一一四
   號)
二〇 同外八件(馬場秀夫君紹介)(第一一五
   號)
二一 同外十二件(田中稔男君紹介)(第一一六
   號)
二二 同外五件(小澤專七郎君紹介)(第一一七
   號)
二三 同外七件(片島港君紹介)(第一六七號)
二四 同外一件(近藤鶴代君紹介)(第一六八
   號)
二五 同(掘江實藏君紹介)(第一七五號)
二六 同(相馬助治君紹介)(第一七六號)
二七 同(木村榮君紹介)(第一七七號)
二八 同(徳田球一君紹介)(第一七八號)
二九 同(松原一彦君紹介)(第一七九號)
三〇 同(門司亮君紹介)(第一八〇號)
三一 同(中村元治郎君紹介)(第一八一號)
三二 同(前田正男君紹介(第一八二號)
三三 同(野坂參三君紹介)(第一八三號)三四 同(林百郎君紹介)(第一八四號)
三五 同(受田新吉君紹介)(第一八五號)
三六 同(山口武秀君紹介)(第一八六號)
三七 同(八百板正君紹介)(第一八七號)
三八 同(黒岩重治君紹介)(第一八八號)
三九 同(伊藤恭一君紹介)(第二三九號)
四〇 同(圖司安正君紹介)(第二四四號)
四一 同(早川崇君紹介)(第二七五號)
四二 同外一件(小野瀬忠兵衞君紹介)(第二七
   六號)
四三 同(井谷正吉君紹介)(第二七七號)
四四 同(廣川弘禪君紹介)(第二七八號)
四五 同(山下春江君紹介)(第二七九號)
四六 同(吉川久衛君紹介)(第二八三號)
四七 同(野本品吉君紹介)(第二八四號)
四八 同(内藤友明君紹介)(第二八五號)
四九 同(受田新吉君紹介)(第二八六號)
五〇 同(萩原壽雄君紹介)(第二八七號)
五一 同(片島港君紹介)(第二八八號)
五二 同(中村元治郎君紹介)(第二八九號)
五三 同(相場助治君紹介)(第二九〇號)
五四 同(山口武秀君紹介)(第二九一號)
五五 同(水谷昇君紹介)(第二九二號)
五六 同(黒岩重治君紹介)(第二九三號)
五七 同(野老誠君紹介)(第二九四號)
五八 同(伊藤恭一君紹介)(第二九五號)
五九 同(田淵實夫君紹介)(第二九六號)
六〇 同(安東義良君紹介)(第三〇一號)
六一 同(佐々木秀世君紹介)(第三〇二號)
六二 同外二件(片島港君紹介)(第三五〇號)
六三 同外二件(黒岩重治君紹介)(第三五一
   號)
六四 同(近藤鶴代君紹介)(第三五二號)
六五 同一件(吉川久衛君紹介)(第三五三號)
六六 同外八件(相馬助治君紹介)(第三五四
   號)
六七 同外二件(田淵實夫君紹介)(第三五五
   號)
六八 同外二件(水谷昇君紹介)(第三五六號)
六九 同外二件(野本品吉君紹介)(第三五七
   號)
七〇 同(佐々木更三君紹介)(第三八二號)
七一 同(庄司一郎君紹介)(第三八三號)
七二 同外四十件(坂東幸太郎君紹介)(第三八
   九號)
七三 同(菊地重作君紹介)(第四七七號)
七四 同(只野直三郎君紹介)(第五四二號)
七五 同(明禮輝三郎君紹介)(第五六八號)
七六 同(圓谷光衞君紹介)(第六三八號)
七七 同(受田新吉君紹介)(第六三九號)
七八 同(久保猛夫君紹介)(第六四〇號)
七九 同(相場助治君紹介)(第六四一號)
八〇 同(片島港君紹介)(第六四二號)
八一 同外一件(野老誠君紹介)(第六四三號)
八二 同外一件(榊原千代君紹介)(第六四四
   號)
八三 同(受田新吉君紹介)(第六五四號)
八四 同(片島港君紹介)(第六五五號)
八五 同(武藤運十郎君紹介)(第六五六號)
八六 同外一件(關内正一君紹介)(第六五七
   號)
八七 同外一件(相馬助治君紹介)(第六五八
   號)
八八 同外一件(吉川久衛君紹介)(第六五九
   號)
八九 同外一件(榊原千代君紹介)(第六六〇
   號)
九十 同外一件(伊藤恭一君紹介)(第六六一
   號)
九一 同外一件(久保猛夫君紹介)(第六六二
   號)
九二 同外二件(松原一彦君紹介)(第六六三
   號)
九三 同(鈴木善幸君紹介)(第七六五號)
九四 同外二件(松本淳造君紹介)(第七八六
   號)
九五 同外二件(佐々木更三君紹介)(第八四一
   號)
九六 同(井谷正吉君外二名紹介)(第八五六
   號)
九七 同(秋田大作君外一名紹介)(第一三八一
   號)
九八 同(受田新吉君紹介)(第一四四六號)
九九 小學校教員の恩給増額に關する請願(圖司
   安正君紹介)(第四八號)
一〇〇 同(金野定吉君外一名紹介)(第五四
   號)
一〇一 同(松浦東介君紹介)(第二〇五號)
一〇二 同(圖司安正君紹介)(第三一二號)
一〇三 同(小野孝君紹介)(第三六二號)
一〇四 同外二十二件(野老誠君紹介)(第五二
   八號)
一〇五 同(受田新吉君紹介)(第五六七號)
一〇六 同(井出一太郎君外一名紹介)(第六〇
   〇號)
一〇七 同(井出一太郎君外二名紹介)(第六〇
   一號)
一〇八 同(小坂善太郎君紹介)(第六五〇號)
一〇九 同外二件(小坂善太郎君紹介)(第六七
   五號)
一一〇 同外三件(野溝勝君紹介)(第六八六號)
一一一 同外一件(小坂善太郎君紹介)(第六九
   四號)
一一二 同外十七件(小林運美君紹介)(第七一
   八號)
一一三 同(石川金次郎君紹介)(第七九七號)
一一四 同(淺利三朗君紹介)(第八二一號)
一一五 同外五件(志賀健次郎君紹介)(第八五
   一號)
一一六 同外二件(志賀健次郎君紹介)(第八七
   八號)
一一七 同(今村忠助君紹介)(第八八二號)
一一八 同(石川金次郎君紹介)(第八八三號)
一一九 同(海野三郎君紹介)(第九一五號)
一二〇 同外一件(石川金次郎君紹介)(第九二
   〇號)
一二一 同(山本猛夫君紹介)(第九三六號)
一二二 同外五件(唐木田藤五郎君紹介)(第九
   五九號)
一二三 同(野溝勝君紹介)(第九九五號)
一二四 同外十五件(石川金次郎君外一名紹介)
   (第九九六號)
一二五 同外四十二件(小澤佐重喜君紹介)(第
   一〇三一號)
一二六 同(小澤佐重喜君紹介)(第一〇三八
   號)
一二七 同(志賀健次郎君外一名紹介)(第一二
   八七號)
一二八 同(志賀健次郎君外二名紹介)(第一四
   〇三號)
一二九 教職員の恩給増額に關する請願(松原一
   彦君紹介)(第二二號)
一三〇 同外二十八件(野本品吉君紹介)(第九
   一九號)
一三一 同(久保猛夫君紹介)(第一〇五七號)
一三二 同(奥村竹三君外二名紹介)(第一一七
   四號)
一三三 同(伊藤恭一君紹介)(第一二八四號)
一三四 教員の恩給増額に關する請願(樋貝詮三
   君紹介)(第三一一號)
一三五 同(唐木田藤五郎君紹介)(第九五八
   號)
一三六 定時制高等學校設置の請願(野本品吉君
   紹介)(第七六號)
一三七 同(奥村竹三君紹介)(第五六九號)
一三八 同豐澤豐雄君紹介)(第八八〇號)
一三九 同(松原一彦君外二名紹介)(第八八一
   號)
一四〇 同(奥村竹三君紹介)(第一四二九號)
一四一 盲教育義務制度實施に關する請願(山口
   好一君紹介)(第五〇九號)
一四二 聾、盲教育義務制の請願(松谷天光光君
   紹介)(第一一一六號)
一四三 學校用品を學童に配給の請願(山本猛夫
   君紹介)(第九一號)
一四四 教育新興のための特殊郵便切手發行に關
   する請願(受田新吉君紹介)(第七八八
   號)
一四五 伊勢崎市の戦災小學校復舊費國庫補助の
   請願(鈴木強平君外三名紹介)(第一一三
   七號)
一四六 東邦産業研究所解散反對の請願(馬場秀
   夫君紹介)(第一一九四號)
一四七 民間科學技術研究所の國庫補助の請願(
   海野三朗君外二名紹介)(第一二三〇號)
一四八 學術研究機關に國庫補助の請願(海野三
   郎君外二名紹介)(第一二三二號)
一四九 栃木縣に學藝大學設置の請願(船田享二
   君紹介)(第一三〇一號)
一五〇 京都府立盲學校の教員養成所設置の請願
   (太田典禮君紹介)(第一三三三號)
一五一 釧路市に師範大學設置の請願(伊藤郷一
   君外一名紹介)(第一三六七號)
一五二 中、小學校教師の養成機關修業年限に關
   する請願豐澤豐雄君紹介)(第一四〇四
   號)
一五三 柳田農學校昇格に関する請願(大森玉木
   君紹介)(第一四三一號)
 學制改革に関する小委員會及び教員養成に關す
 る小委員連合會報告の件
    ―――――――――――――
#2
○松本(淳)委員長 會議を開きます。
これより請願の審査に入ります。
 日程第一四五乃至第一五三の請願の審査に入りますが、まず日程第一四七、民間科學技術研究所に國庫補助の請願(海野三朗君外二名紹介)(第一二三〇號)及び日程第一四八、學術研究機關に國庫補助の請願(海野三朗君外二名紹介)(第一二三二號)を議題といたします。紹介議員はお見えになりませんが委員諸君に御意見はありませんか。
#3
○高津委員 私は先日科學研究團體の代表老と會見いたしたのでありますが、彼らは非常に熱心に科學の振興に、學理の探求に邁進いたしておりまして、文化國家建設の基石たらんと努力いたしておるのでありますが、現下の事情におきましては、研究も思うに任せず、また今までの多年の研究の成果たる貴重な論文等が發表できず、いたずらに堆積死藏されているありさまであります。このようなことは、先日會見した人たちの學會だけでなく、みなどの研究團體もそうであります。特にこれらの人たちの望んでいるのは、機關誌紙等の發行でありまして、その人たちが私どもの所に差出された書面にも、そのことを強く要望しているのであります。簡單でありますから御紹介いたします。
 これからのわが國で、科學の研究を盛んにすることは、最も大切なことの一つと存じます。科學の應用が、わが國の平和的復興の基礎となることは申すまでもありません。それだけでなく、りつぱな科學の研究がわが國でたくさんできることは、わが國が名實ともに文化國家であることを示すもので、國際的にわが國の位置を重からしめるためにも重要であると存じます。これまでわれわれの學會では、わが國の科學者のカを専門ごとに結集して、それぞれ學術約會合を催して研究の連絡、討講、發表をなし、また機關紙によつて研究の成果を公にし、特に歐文誌を出版して、重要な業績を世界的に發表する等、わが國の科學研究の成果が世界的にも相應の反響を呼んでまいりましたことは周知のことと存じます。しかるにこのごろの社會情勢のため、われわれの活動は、はなはだしく困難になつてまいりました。科學の應用に直接關係する方面の學會と異なり理學關係學會は特に基礎的な科學の研究に關するものでありますため、榮利事業と結びつく便宜も乏しく、そのため經濟的に一層苦境にあるのであります。たとへば日本物理學會のごとき、二十二年度において約十五萬圓の赤字となることが豫想され、二十三年度よりは會費を年額六〇〇圓としようとしております。これは會員の状況より見ましても、大きな負擔でありますが、しかもこのような會費によつても會の費用を賄いきれず。殊に最も大切な歐文誌の發行に多大の困難がありますので、現在多数の論文が編修部に堆積しているのであります。他の學會においても大同小異の状態で、われわれとしてまことに遺憾にたえないのであります。以上のような事情を何とぞ御考慮の上、科學振興のため、特に理學關係學會に國庫より補助を仰げますよう、お力添えをお願いいたす次第であります。
 以上のような趣旨でありますが、これには、種々なる關係の學會を連ねてありまして、各學會の沿革から戦前戦後の活動状況、現在の經理状況等に關して、詳しく述べてあり、特に雜誌の出版に関しては、歐文でありますと、その組版だけで一頁千圓、和文六百圓も要するほどでありましで、かかる費用は、とうてい會員の會費だけではやつていけぬであろうと思うのであります。このような見地から見ますと、これらの學協會に國の援助はまことに必要であると認めるのでありますが、政府はいかにお考えになつているのでありますか、お伺いしたいと思うのであります。
#4
○清水政府委員 民間科學技術研究所に國庫補助の件に關しましては、公益的民間研究所ほ、わが國学術研究のため、大いに寄與してきたのでありますが、戦後の經濟界の變動等に、よつて經營に重大なる支障を來し、その活動機能すら失い、このまま放置すれば、その有する優秀なる研究員も四散し、その全活動も停止するの餘儀ない實情にありますのは、国家としてまことに遺憾であると申さねばなりません。文部省といたしましては、その窮境を打開するため、補助金として今年度本豫算として、自然、人文を併せて四百萬圓、追加豫算として同額の豫算を計上し、この補助金の交付によつて、研究活動の活發なる効果を期待しているのでありますが、國家財政との關係もあり、少額の補助金に止まらざるを得ない次第であつたのであります。今後さらに努力をいたしまして、民間研究所が健全なる活動を進めるよう、援助を強化してまいりたいと存じます。
 次の學術研究機關に國庫補助の請願に關しましては、科學の振興をはかるには、官民の研究機關を整備充實するとともに、學術研究者の集りであり、連絡及び成果の發表機關である各種學協會の健全な發達をはかることが必要であることは、申すまでもありません。すなわち學會による機關紙の發行や、講演會、討論會の活動によつて、學術の普及向上、促進が行われ、その研究成果も實際に應用されるのでありまして、學會活動の積極化こそ、科學振興の最も基礎的方策であります。しかるに学界の現況は、經濟界の變動等によつて、資金の枯渇から、發表すべき研究論文の原稿は山積しているにかかわらず、その發表もできず、貴重なる研究成果を發表すべき講演會の開催も可能となつているのは、まことに遺憾であります。文部省といたしましては、その活動の復活をはかるため種種考慮しておりますが、さしあたり學會機關誌出版費として、補助金を要求中であり、用紙の配給についても種々斡旋中でありまして、學會の事業には極力援助いたしたく存じておる次第であります。
#5
○松本委員長 次に日程第一四六、東邦産業研究所解散反對の請願(馬場秀夫君紹介)(第一一九四號)は紹介議員が見えておりませんので、委員長から説明いたします。
 本請願は、東邦産業研究所は、昭和二十二年三月、有為なる青年の教育を目的として新發足以來、勤勞と生活と學門の一體化を、農工一如の日常實踐のうちに具體化し、
働きつつ學び、學びつつ働く生産教育觀を師弟一體となつて建設すべく努力してきたが、財團理事者の一部は、この建設的仕向と矛盾して、本學園を廢校して慶應義塾に寄附しようとしている。ついては勤労青年教育の緊要性に鑑み該研究所解散反對のため考慮を拂われたいというのであります。
#6
○清水政府委員 本請願の趣旨は、現實と相違するところがあり、本文代については、調停委員會が成立して、調停中でありますから、その調停の結果を期待すべきであると考えます。本研究所は、終戰後、その附帶事業として東邦産業學園を經營し、本年四月各種學校としての認可を受け、正代に學生の募集をしたのであります。しかるに經營不能の理由をもつて、本年九月一日、評議員會において、解散して慶應義塾に寄附する件を決議し、登記を完了して法的にはすでに解散の手續を終わつているものであります。ただこの解散は附帶事業たる學園の生徒と理事者側との間の係爭問題(學園生徒が研究所を慶應に寄附することに反對)が解決しないままに強行されたので、清算事務が完了するまで、從前の理事會が殘つてこの解決に當ることになつたのであります。このために理事者側、學生側、中立の三調停人が立つて、調停委員會を構成しているので、近く解決に至るものと考えているのであります。
#7
○松本委員長 一四五、伊勢崎市の戰災小學校復舊費國庫補助の請願(鈴木強平君外三名紹介)、(第一一三七號)、一四九、栃木縣に學藝大學設立の請願(船田享二君紹介)(第一三〇一號)、一五〇、京都府立盲學校に教員養成所設置の請願(太田典禮君紹介)(第一三三三號)、一五一、釧路市に師範大學設立の請願(伊藤郷一君外一名紹介)(第一三六七號)、一五二、中小學校教師の養成機關修業年限に關する請願豐澤豐雄君紹介)(第一四〇四號)一五三、柳田農學校昇格に關する請願(大森玉木君紹介)(第一四三一號)以上の各請願はいずれも同趣旨の請願が先にありまして、趣旨は大體盡きておるのでありますから、説明は省略いたしますが、ご意見がありますれば、御發表願います。ーご意見が無いようでありますから本委員會における請願の説明紹介はこれにて終了いたしました。
 なお、つけ加へてご意見ありますれば發言願います。
    ―――――――――――――
#8
○松本委員長 それでは付託されました請願につきまして、本委員會の態度を決定いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
#9
○野老委員 日程第一乃至第九八の、六・三制完全實施のため國庫補助の請願は、その趣旨とするところの全額國庫負擔の域までは、現下の財政上困難と思われますが、將來は當然この措置が講ぜられることを希望します。つきましては、この請願の熱意は、文教委員會としまして、絶對的に贊意を表するものであります。何とぞ採擇の上、内閣に送付あらんことを望みます。
#10
○松本委員長 お諮りいたします。ただいまの野老委員の動議に御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
それではさように決定いたしました。
#11
○松原(一)委員 日程第九九乃至第一三五の小學校教員の恩給増額に關する請願、教職員の恩給増額に關する請願、教員の恩給増額に關する請願は、今日の物價暴騰の折柄、その趣旨はまことに妥當なるものと存じます。何とぞ採擇の上、内閣に送付あらんことを望みます。
 次に日程第一三六乃至第一四〇の定時制高等學校設置の請願は、教育の機會均等による學校の特權的差別撤廢のため、勤勞青年の請願にこたえ、定時制高等學校設置は、まことに妥當なものと存じます。また文部當局のご意見とも合致し、明年度より實施のことでありますから、何とぞ本委員會において採擇の上、内閣に送付あらんことを望みます。
 日程第一四一、盲教育義務制實施に関する請願、日程第一四二、聾、盲教育義務制の請願、以上二件の趣旨は、まことに重要なものであり、舊來これらの人々に對する教育は等閑に付された憾みがあります。當局においても明年度より義務制實施の方針を明らかにされたのでありますから、何とぞ採擇の上、内閣に送付あらんことを望みます。
 次に日程第一四三、學校用品を學童に配給の請願、日程第一四四、教育振興のための特殊郵便切手發行の請願、右兩件とも、その趣旨となすところ、まことにもつともなるものと認めます。いずれも採擇の上、内閣に送付されんことを望みます。
 次に日程第一四八、學術研究機關に國庫補助の請願は、わが國における過去幾多の貴重なる研究の成果が死藏せられているのを世に出し、科學の振興に寄與せんとするには、國の援助を仰ぎたいというのであります。當局においても、かかる貴重な資料の公表には贊意を表せられているのでありまして、本委員會といたされましても、採擇の上、内閣に送付せられんことを願ひます。
#12
○松本委員長 お諮りいたします。ただいまの松原委員の動議の通り決定いたすに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
それではさように決定いたしました。
    ―――――――――――――
#13
○松本委員長 この際學制改革に關する小委員會連合会の小委員長より報告がありますから、聴取いたすことにいたします。松原小委員長。
#14
○松原(一)委員 この小委員會は、一〇月十一日成立いたしまして以來、七囘にわたり、主として教員養成制度に關しまして會合を重ねてまいりました。そして特に、野老君、久保君、水谷君、黒岩君の四名の起草委員を設けまして、審議の結果を逐次案文にまとめていつたのが、ただいまお手もとに差上げました教員養成制度改革案であります。立案にあたりましては、廣く民間や學校關係、さらに文部當局とも意見を交換いたしましてこの案を作成いたした次第であります。次にこれを讀みながら説明いたしたいと思います。
   教員養成改革案
 一 教員養成の根本條件
  1 人間としての一般的教養、專門的教養を高めると共に、教員としての特殊の教養をも併せ必要とすること。
  2 所謂「師範型」の舊弊を解消するため、その由來する根源を究め、徹底的に之を拂拭すること。
  3 教員の養成は、之が需給の基礎の上に立ち、計畫的になされねばならぬ。
 二 教員養成の機構
  1 綜合大學に教育學部を特設して養成するを理想とするも、地方の實情によりては、教員養成の大學を設くること。
  2 大學の課程は四箇年とする。
  3 大學の課程は二期に區分し、その前期を終了したものは、幼稚園、小學校、中學校に就職することを許す。但し、右は後日、本人の希望によりて、自由に復學を許可するの他、通信、定期講習等の方法によつて、大學後期の學科單位を修了した者に對しては卒業の資格を與える。
 4 教職的課程を含まぬ大學を卒業した者は、一定の教職的課程を履習した時に、教員の資格を與える。
 5 教員養成を目的とする大學の設立者は國、都道府縣、市、財團法人の何れでもよいこととする。
 6 檢定制度は之を存置する。
三 現在の教員養成諸學校の轉換措置
 1 現在師範學校、青年師範學校の施設は、次の如く轉換する。
  イ 綜合大學が設置される地方に於いては、その教育學部とすること。
  ロ 綜合大學が設置されぬ地方に於いては、教員養成の大學とする。
 2 文理大、高師、女高師は、原則として綜合大學に切替えること。
 3 前二項とも所謂「師範型」の教授は之が刷新を期すること。
四 教員の資格竝に教養、補習
 1 教員は總て大學前期の修了者又は大學卒業者たることとし、試験検定は右の標準においてこれを行うこと。
 2 教員の免許状はこれに一定の期限を付し、考査制によりて更新されるよう考慮すること。
 3 將來の教員に對しては絶えず計畫的に教養補習の方途を講じ、廣く海外留學等の途を開くこと。
 4 現職の教員に對しては、前項の精神に基き強力な教養、補習の施設が講ぜられねばならない。
五 その他
 1 教育者の資質向上のために、適正なる待遇の途を講ずること。
 2 文部省は時局下國民教育の根本的改革期に當り、教員養成機關設置の具體案を決定し、昭和二十四年度よりこれが實施に遺憾なきようその措置を講ずべきである。
以上であります。
#15
○松本委員長 ただいまの小委員長の報告に關しまして、委員の方に何か御意見はありませんか。政府側の御意見を承りたいと思います。
#16
○剱木説明員 御趣旨まことに結構でございます。この案にお示しの線につきましては、私共もそのように考えてきておつたのでありまして、できる限り、御趣旨に沿うようにいたしたいと考えます。もし將來種々の關係で、この案の中で變更せねばならぬようなことになりました場合におきましては、この委員會ともよく連絡をいたしまして、檢討をお願いいたしたいと存じます。
#17
○松本委員長 お諮りいたします。ただいまの小委員長の報告の教員養成制度改革案を本委員會の案として決定いたすに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
それではさように決定いたしました。
    ―――――――――――――
#18
○松本委員長 官立大學、高專校の地方委讓説に關して、松原委員より文部當局へ質問の申し出があります。これを許可いたします。松原委員。
#19
○松原(一)委員 去る十二月四日の東京新聞の傳えるところによりますと、文部省は、教育行政の地方委讓について、地方教育委員會法の制定を急いでいたが、近く教育行政の地方委讓、官立大學、高專校の地方委讓について、具體的な檢討を始めるようになつた由であります。すなわち同紙によりますれば、現在の官立としてあるもの舊帝大系七、單科大学十二、國立大學十九、公立大學三、高等學校二十八、專門學校百五十七、高師七、師範學校五十五、青年師範四十六のほか、特殊のものは農專を加えると計二百六十七校にも達するのでありますが、これら官公立學校を地方文化のために、地方縣に委讓しようとするものでありまして、この地方委讓に伴つて、從來の官公立は解消することになりますが、文部省としては最高學府育成の立場から、現在の舊帝大系七校と、さらに四國、中國、北陸ブロックに一大學ずつ新設し、合計十大學を官立としていく方針のようであるというのであります文部省においては、ほんとうにさような計畫をお持ちになるのでありますか。もし地方委讓ということになりますと、現在の單科大學等では、學校の經營ができなくなるばかりでなく、これらの單科大學の生徒は、全國から集まつている状況であります。また二百七十五の大學高專中、十の官立大學を除いた二百六十五校を地方に一擧に委讓するということは、地方府縣にそれだけの大きな負擔をかけることになり、そのようなことは、なかなか實施困難なことであると思います。まして教員養成機關は、地方ではとうていやつてはいけないことであると信ずるものでありますが、政府の意見を伺いたいと思います。
#20
○剱木説明員 この問題に關しましては、一昨日の参議院における文教委員會においても、質問があつたのでありますが、その際文部政務次官より、文部省としては、あの新聞の記事に出ていたようなことに關しては何ら關知しないところであるということを答辨いたしたのであります。もしあの記事のような重大な問題につきまして、檢討いたす場合には、國會における文教委員會にも十分ご相談いたしてやつていくつもりでありますから、さようご了承願いたいと存ずる次第であります。
#21
○松原(一)委員 このような問題は、非常に重大な影響のあるものでありますから、文部當局だけで獨斷で處置されず、本委員會にも十分御連絡の上、決せられたいと思います。われわれとしましては、地方文化の高揚や教權の地方委讓には、原則として贊成するものでありますが……。
    〔「賛成」と呼ぶものあり。〕
#22
○松本委員長 それでは時間も大分經過いたしましたから、これにて散會いたしたいと思いますが、最後に一言委員長からご挨拶申し上げます。
 新しい憲法のもとに發足いたしました第一囘國會に、文教委員として、文化國家の建設に直接に參與いたしましたわれわれといたしましては、まことに感慨にたえないものがあります。また委員諸君のなみなみならぬ御努力に對しましては、委員長として厚く感謝いたしますとともに、不肖なる委員長をよくご援助くださいましたことを、深く御禮申し上げる次第であります。
 それではこれにて散會いたします。
    午後零時五十八分散會
ソース: 国立国会図書館
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