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#1
第142回国会 労働委員会 第11号
平成十年四月二十八日(火曜日)
    午前十一時一分開議
出席委員
  委員長 田中 慶秋君
   理事 荒井 広幸君 理事 小林 興起君
   理事 佐藤 剛男君 理事 森  英介君
   理事 鍵田 節哉君 理事 中桐 伸五君
   理事 河上 覃雄君 理事 青山  丘君
      甘利  明君    井奥 貞雄君
      飯島 忠義君    大村 秀章君
      白川 勝彦君    竹本 直一君
      棚橋 泰文君    能勢 和子君
      山本 幸三君    川内 博史君
      近藤 昭一君    玉置 一弥君
      松本 惟子君    桝屋 敬悟君
      岡島 正之君    大森  猛君
      金子 満広君    濱田 健一君
      坂本 剛二君    土屋 品子君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 伊吹 文明君
 出席政府委員
        経済企画庁調整
        局長      塩谷 隆英君
        労働大臣官房長 渡邊  信君
        労働省労政局長 澤田陽太郎君
        労働省労働基準
        局長      伊藤 庄平君
        労働省女性局長 太田 芳枝君
        労働省職業安定
        局長      征矢 紀臣君
        労働省職業能力
        開発局長    山中 秀樹君
 委員外の出席者
        経済企画庁調整
        局産業経済課長 田中 信介君
        労働委員会専門
        員       中島  勝君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十八日
 辞任         補欠選任
  白川 勝彦君     竹本 直一君
  近藤 昭一君     川内 博史君
同日
 辞任         補欠選任
  竹本 直一君     白川 勝彦君
  川内 博史君     近藤 昭一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 労働関係の基本施策に関する件
 労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関す
 る件
     ――――◇―――――
#2
○田中委員長 これより会議を開きます。
 労働関係の基本施策に関する件、労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関する件について調査を進めます。
 本日は、特に雇用・失業対策について調査を行いたいと存じます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤剛男君。
#3
○佐藤(剛)委員 自民党の佐藤剛男でございます。本日は、伊吹大臣に、本日発表せられました三月の雇用失業情勢、これを中心にいたしまして、その周辺の問題についてお聞きいたしたいと思っております。
 まず最初に、私は、大臣御就任来、当委員会におきまして大臣のお話を伺っておりまして、非常に各般にわたるその情熱と卓見に対しまして、お世辞抜きに敬意を表する次第でございます。日本の政治を引っ張っていかれる方だなということをつくづく実感したわけでございます。
 本日の雇用失業情勢の発表によりますと、昭和二十八年来の完全失業率が三・九%ということで、二十八年といいますのは比較できる統計のようでございますが、最高になっておる、こういうのが三月の時点でございます。また有効求人倍率が低下しておるということでございます。このような経済状況を踏まえて、私ども国会において約七十七兆円の予算も四月八日に通し、そしてさらに、総合経済対策ということで、先週、経済対策閣僚会議において承認されたということでございまして、この七十七兆円の予算が、真水で見ますと、ODAの政府援助約一兆円、その他赤字国債、借金の返済等を入れますと六十数兆が真水になるのでしょうが、これが動き出すというわけでございます。
 また、十六兆余りの総合経済対策の意義がここにあるのではないかと私は思っておりますが、この二十八年以降において最高の完全失業率三・九ということの数字が出てしまったというわけでございまして、これからの雇用状況、これからの日本の経済状況は世界の注視されているところでありますが、かじ取りが非常に大変な時期に直面されておるなということをつくづく感ずるわけでございます。
 そして、外国から、日本の減税を多くしろとかいろいろな、私は直接当事者ではございませんから情報しかわかりませんが、そういう話が入ってまいっておりますが、日本の今日置かれている状況というのは、過去の局面と違いまして、私は幾つか違っている要素があると思っています。
 下手をすると、一昨日NHKで最後の将軍「徳川慶喜」を見て、その後に、バミューダ海峡、魔のトライアングルというのを私は見ていたわけでありますが、どうも日本経済も、この魔のトライアングル、あのバミューダ海峡のところに入りますと、飛行機があるとき爆発して消えてしまう、あるいは船が白いあらしみたいなものを見て沈んでしまう、こういうところがあるわけでありますが、日本丸あるいは日本の飛行機がこのバミューダ海峡のトライアングルの中を抜け切るという自信、日本経済を、経済政策をされている伊吹大臣のような方々が引っ張っていっているわけでありますから、間違いなくそういう形になると私は思っておりますが、私の見るこの現状は、相当日本の経済というのが、三角形でいいますと乱気流ですね、一昨日のところで、なぜ世界の飛行機が落ちるのか、船が沈没するのかという、この魔の三角形の中に乱気流というのが、金融の不安定、しかもこれが東南アジアを中心とする形で出てきた。この局面は、かつて日本が経験していない経済局面ではないか。
 そしてさらに、僕は資本主義社会が非常に危機的な局面に来ている部分があるのではないかと思うのであります。世界の資本主義社会というのは、決して共産主義社会をやっつけたわけではない、共産主義社会は自壊したわけであります。資本主義社会の中にはディシプリンといいますかノーブレスオブリージュといいますか、そういうような一つの自律が働いていたのではないかと思うのでありますが、最近はどうも乱気流の傾向が、例えば投機、私はオオカミ集団と言っているのですが、世界の投機集団が一日に一兆ドル、百三十円に計算して百三十兆円ぐらいのものが動き回る。世界の貿易が五兆ドル。一年間五兆ドルといいますと、その五分の一が一日に動き出すというような乱気流がある。そういう中において日本型資本主義社会が、今このバミューダ海峡のところに沈没せられないで、それを抜け切ってブレークスルーしなければいけない状況にあるのではないか、かような認識であります。
 そして、このトライアングルの中に、今一番気になっている現象は、物価が下がっておりながらさらに景気が悪くなってきている、悪いという状況が続いている。いわゆるデフレになってきますと、企業の利潤というものが減っていく、そうすると企業はリストラを果たす、さらに消費が減る、さらに今度は物価が下がってくる。こういう悪循環を経済学的にいいますと、デフレーションスパイラルというわけでありますが、これは経済学の話でありますが、そのような形にならないように、我々は経済運営を果敢にやっていく。これが私は今回の大きな総合経済対策の根底にあるのじゃないかと思うわけでございます。そして、この総合経済対策の中で、労働省の関係で幾つかの非常に真新しいものがございます。
 そういう点についてまずお伺いいたしますが、最初に、この三月の雇用失業情勢について、二月に比べまして〇・三%ポイント上昇した。そして、これを具体的に言いますと、建設業におきまして二十七万人減っております。それから製造業におきまして六十五万人減っております。それを補っているのがサービス業の五十六万人増、これは増加しておる。それから卸・小売、飲食店が二十一万人増という形になっておりまして、全体としましての失業者数二百七十七万人。これは前年同月に比べて四十三万人増になっているわけでありますが、このあたりについて、まず大臣の御認識をお伺いいたしたい。
 それから次に、今申し上げましたこの総合経済対策の中において、労働省としまして、こういうふうな形での対策を講じておるということの二点、まず最初にお聞きいたしたいと思います。
#4
○伊吹国務大臣 まず、佐藤委員から、日本の歴史的な流れの中の今といいますか、歴史の中の今をとらえて、構造的な大変広範な問題についての御指摘がございました。
 今おっしゃいましたように、超デフレとそれから財政赤字と貯蓄・投資のインバランスということでございますけれども、財政赤字、貯蓄・投資のインバランスというものが、つまり、言うならば私は超デフレだと思いますけれども、そういう意味では、私流に言えば、これは大きな一つの三角地帯のポイントに豊饒の中の精神の貧困みたいなものがあって、そこからその財政赤字とそれを補うために、結局、貯蓄・投資のインバランスというか経常収支の黒字が出てきているということではないかと思います。したがいまして、長期的には、今は、右肩上がりで成長してきて、それに従ってすべての日本人の生き方‘あるいは制度がつくられていたものから、それほど急カーブでは右肩上がりではないけれども、しかし、みんな温かく協力しながら、穏やかに、豊かに暮らしていけるという時代への一つの歴史的な転換期だろうと私は思います。その転換を果たすためにはやはり大変な苦しみが生ずるわけでございますけれども、その苦しみが余りにも強くなり過ぎている、苦しみが大きくなり過ぎているというのが国民の実感だと思います。したがって、国としては、日本はファンダメンタルズも力もございますけれども、企業の経営と家計のやりくりは苦しいということになっているわけで、そこの行き違いをこれからどう直していくかということです。もちろん、構造的な政策とか、それを引っ張っていく政治家の気概とか理念とか、こういうものをやはりしっかり持って長期的にはやっていかねばならないと私は思います。
 さて、当面の問題からいたしますと、きょう総務庁が発表いたしました三・九%という失業率、それから当省が発表いたしました有効求人倍率、いずれもかつて例を見ないというほど厳しい状況になってきております。もちろん、諸外国と比べれば、繁栄の絶頂にいるというアメリカより低いじゃないかとか、ヨーロッパは二けたの失業率だとかという議論がありますが、やはり日本は日本の伝統と文化の中に暮らしているわけですから、私は、他国と比べるのではなくて、日本の過去の数字と比べていくべきだ、そういう意味では非常に厳しい数字になってきている。
 したがって、先生が御指摘になりましたように、長期的には、歴史的な転換を果たすために、構造対策をやって新しい雇用の種を見つけていかねばなりません。しかし、短期的にはそんなことは言っていられないわけですから、率直に言えば、時代を乗り切る、転換期を乗り切るに苦しいという方々にカンフル剤を打ったのが今回の施策だと私は思います。今まで、とかく小出しにビタミンを少しずつ差し上げていたという御批判がありましたので、今回はかなり大量のカンフルを打ったということだと私は思います。
 ただ、注意をしておかねばならないのは、今苦しいからといって、長い目で、体をぼろぼろにするようなドラッグだけはやはりやってはいかぬ、この原点だけはしっかり持ってカンフルを打っていくべきだと私は思っています。
 そこで、今先生御指摘のようにこの有効需要喚起策が補正予算で措置されるわけですが、その前に、平成十年度の予算の支出というかディスバースメントが起こる、これも御指摘のとおりです。これらを効果あらしめるためには、今皆さんが非常に不安に思っておられる、先ほど先生がおっしゃった、時代を乗り切るために出てくる不安を解消しなければならないと思うのですね一特に心配なのは、将来に対する雇用と年金だと私は思います。あえて言えば医療制度もどうなるかということだと思います。したがって、そこに対する安心感を与えねばならない。医療と年金は、これは社会保障をどうしていくか、またその中で負担と給付の関係をどう考えていくかということでしょうが、私は、率直に言えば、雇用の問題は短期的にはマクロの有効需要の管理、これに尽きると思います。今消費性向がこれだけ落ち込んでいるというその不安のあらわれを解消しなければなりません。私は、根本原因はやはり金融システムの崩壊というのか腐敗というのか、これに尽きると思います。ですから、追加的な所得減税を有効あらしめるためにも消費性向をもとへ戻す。つまり不安を取り除かねばならない。そのためには、うちの会社が貸し渋りでつぶれるのじゃないかとか、うちのもらった手形が貸し渋りで不渡りになるのじゃないかという状態を払拭する。
 先生のお言葉で言えば貯蓄・投資のインバランスですね、金融機関が人様からお預かりしているその貯蓄を完全に民間の需要にもう一度リサイクルしていくという仕事が、バブルのときの体質悪化のために今できていないということですから、少なくとも、三十兆というのでしょうか、十三兆というお金を国会の御議決を得て準備してあるのなら、金融機関はどんな厳しいことを言われても、その十兆はやはり進んで引き受けるという公共的責任を果たされるべきだ。それを引き受けることによって自己資本を充実して、資金需要のあるところへ資金をお出しになるべきだ。これがないことには、減税も予定されている効果を果たさないと私は思うのですね。
 したがって、先生の御質問に対するお答えは、まず第一に金融システムの信認を回復する。それでもって有効需要追加策を効果あらしめる。そこのところに摩擦的に出てくるいろいろな失業等については、働く気概のある方には継続雇用を実現して働いていただく、働く気概のある方には職業訓練を実施して次の仕事に備えていただく。そのためには、国民からお預かりしているとうといお金の雇用保険をお使いする。今回は実はそういう考えで緊急雇用対策というものを組みました。そして、少ないというおしかりを受けるかもわかりませんが、初めてのことでありますが、雇用対策のために、一般会計からの予算を補正予算案に計上してもらった次第でございますので、一生懸命やらせていただきます。
#5
○佐藤(剛)委員 伊吹大臣の現状における認識、そして問題点というのは、全くそのとおりだと私は思います。
 それで、今の経済の中の不安感というのは、おっしゃるように、医療、老後の不安、それから雇用不安。そして、この不安が重なって、結局消費にかんがみますと、所得をふやして消費がどれだけいくかという限界消費性向といいましても、そんなに伸びない。特にその場合に注意しなければいけない政策課題というのが、私は住宅ローンだと思っております。
 住宅ローンについてまともな統計というのはないのですが、これは住宅公庫のものと、それから民間金融機関、それから各会社の共済のものでございますが、私がみずから推計いたしておりますのは、GDP五百三十兆円の大体三割の住宅ローンの残高がある。合わせますと百五十兆円ぐらい、きちんとした統計がありませんからアバウトですが。GDPの三割に当たる量の住宅ローン残高を抱えておる。しかもそのローンの残高を抱えている人たち、お年寄りの人たちはもう払ってしまった人たちが多うございます、一番元気でなければならない層、団塊の世代の方々、五十歳前後の方々を中心とする方々が、ローンの支払いのために、消費性向ががくんと減る。
 ですから、減税をやったからといって、これがすぐに消費に回らない。私は、限界消費性向というのは三〇%ぐらいだと思います。つまり簡単に言えば、十万円を減税しましたからといって、じゃ本当に使うのかといったら、大まかに言いますと三万ぐらいのものじゃないかなと思っております。経済企画庁がどのように把握いたしておるかあれですけれども、そのぐらいのものである。
 それで、今心配いたしておりますのは、九三年、九四年のころに、住宅公庫が景気対策で、ゆうゆうローンといいましたか、ゆとりローンというものをつくり出したのですね。これは、ことしの六月から五年目の据置期間みたいなものが終わりまして、ゆとり期間が終わって、支払いしなければいかぬ。
 そうしますと、私が聞いたところによりますと、二千四百万円ぐらいのものを住宅公庫から借りますと、今は大体八万ぐらい返しているのですね。それで済んだのが、今度、ことし六月ぐらいからは、これの倍ですよ、十六、七万返さなければいかぬ。しかも、そのころに買ったマンションなりは、これは売れば大体三千万損失するというのですね。そういう人たちがおりまして、このローン、ゆうゆうローンじゃなくて、ふうふう言っているのじゃないか、ふうふうローンであると私は思っていますが、このふうふうローンが七十万件ぐらいあるのですね。今後この七十万件の人たちをどうするのかという問題があります。
 私は、返済猶予みたいなものも考えて、経済状況は変わってきているわけですから、もう一回何かしていきませんと、これは本当に、減税をやったといっても、その減税の対象としている人たち、住宅ローンを抱えている人たち、簡単に言いますと今はローン漬け社会ですね、住宅ローン漬け社会で一番頑張ってもらわなければいけない人たちが、しょぼくれてしまう。
 その人たちを中心としまして、団塊の世代のころに、舟木一夫さんの「高校三年生」があり、大学に行くときには学園闘争があり、それから結婚ブームで、マンションブームがあり、ステレオブームのときのコロンビアあるいはパイオニア、あのステレオ御三家が盛んになり、カローラが売れ、それから子供を産んでベビーブームになり、その人たちが、今大体五十ですよ、五十前後の部長さん、次長さん。その人たちがもう少しすると、会社の窓際の方になる。この人たちが家を売ろうとすると売り損になる。そのため今回、買いかえ損失についての税制ができたわけであります。
 そういうきめの細かい対策を各層についてやっていかないとならない。減税か公共投資かということではなくて、日本の各層、例えば六十五以上の人たちは老後が不安で、大臣がおっしゃるように、年金は大丈夫かな、ちゃんともらい続けられるのかなという意識があるし、もっと若い人たちになると、住宅の問題は余り気にしていません。親に住宅をつくってもらって相続すればいいと考えている。このように別々の行動をとっています。そういう面について、これから景気動向を見きわめながら、ピンポイントにそこをやっていくというのが重要である。
 それから、例えば自動車。自動車というのは大体みんな使っている、生活必需品、地方でもそうです。そのときの買いかえの需要というものをうまくやらないと、自動車業界の下にいる部品関係とかたくさんの人たち、愛知県だとかのたくさんの人たちが雇用不安の状況にある。雇用奨励金を申請して、非常に懸念されているような状況が出てまいっております。短期労働者の短期雇用期間を解消していこうというような動きがあるわけでございまして、そういう面で、しかとした対策を私はお願いしたい。
 今こそ労働大臣が、日本の経済の、通産大臣、経済企画庁長官を合わせたような、また今度の行革では労働福祉省ということでなっていますから、まさしく医療、福祉の面を合わせたような形での、そういう非常に重要な時期に来ておると私は感じております。
 幸いに、私の得ている報道では、ドイツの財団法人のベルテルスマン財団が雇用政策について先進国二十カ国を調べたら、日本が一位になっていますね。雇用政策は日本が一位。何も外国と比較するわけではないですけれども、そのようなことになっているわけでございまして、一が日本、二がスイス、三がノルウェー。
 大臣、そういう就業者数の増加、失業率、投資の何々、こういうことで先手先手と対策を打っていただきたい、かようなことを申し上げまして、時間でございますが、大臣の最後の御所見を賜りまして、よろしくお願い申し上げたいと思います。
#6
○伊吹国務大臣 大変広範な御指摘や御質問をいただきました。日本の雇用政策はどういう位置づけにあるかという、今先生の御指摘の細かな調査については私どもも存じ上げないのですが、共同通信の記事だったと思いますが、それを拝見をいたしますと、やはり失業率、雇用者の伸び、また職業能力開発への投資、そういうものを単純比較されて、日本が一番だということのようであります。
 しかし、いずれにいたしましても、先ほど佐藤委員がまさに的確におっしゃいましたように、今有効需要の喚起をするためには、所得減税が本当にいいのか、それとも今おっしゃったような住宅ローン減税のような政策減税の方がいいのか。これは、野党の皆さんはすべて所得減税論者であって、しかも二兆円では足りない、何兆円だ、何兆円だというお話ですが、本当に今有効需要を増加させるための、これはすべて財源は赤字国債でございますから、後世の国民にツケを残すわけですから、どうせツケを残すのなら一番有効需要を刺激する方法は何なんだろうかという議論を、今おっしゃったように与野党間で十分交わして、やはり政治が国民に対していい方向を出していくということが一番いいのであって、余りポピュリズム的な議論は私は感心しないのではないかと思っておりましたが、今御指摘をいただいて、全く私も同感でございます。
 今後拳々服磨いたしまして、私の責務を果たしていきたいと思います。
 ありがとうございます。
#7
○田中委員長 次に、中桐伸五君。
#8
○中桐委員 民主党の中桐です。二十五分間しかありませんので、大臣の答弁、要約的に、手短に要点をよろしくお願いします。
 私は、総合経済対策それから財政構造改革法及びその修正等に関係して、雇用創出効果というものについて、まず冒頭、議論をしたいというふうに思います。
 日経新聞が四月二十五日に報道している総合経済対策の中の、特に一般公共事業といわゆる新たな社会資本の比率の問題等を見ましても、この総合経済対策というのが、どうやら一般公共事業は、中身は細かいところは定かではありませんが四兆五千億という額になっております。いわゆる従来型の公共事業がやはり相当大規模に編成されたというふうなことが報道もされているわけであります。
 この従来型公共事業というものが一体雇用にどういう影響を及ぼすのかということを研究した、平成二年度の大阪府の、福祉部門に一千億を投資した場合といわゆる建設部門に同じ額を投資した場合に、生産額の波及効果、あるいは誘発される粗付加価値額における波及効果、そして誘発される雇用増という形での三つの観点から、社会保障部門及び医療・保健部門及び建設部門に分けまして、それぞれ産業連関表を使いながら計算をした、非常に興味のある研究があります。
 この研究によりますと、きょうは雇用の問題でありますので雇用という観点から見ますと、一千億の投資効果が、社会保障部門に投入された場合には二万三千六百三十五人の雇用増がある。それに対して医療・保健部門では一万六千九百五十六人という雇用増がある。それに対して建設部門は一万三千百五人だという形になっておりまして、大幅に差があるわけですね。
 さらに生産額の波及効果においても、社会保障部門とか医療・保健部門の方がやや高い値が出ておりますし、粗付加価値額でもそういう傾向は出ております。
 つまり私が言いたいのは、社会保障、まあ国民負担率の問題というのは当然十分考慮しながら配慮するといたしまして、その問題はさておきまして、投資の額を同じとしても、従来型の公共事業、つまり土建国家と言われている日本のこれまでの公共事業のあり方を見直さなければいけないというのは大蔵省の中の高級官僚の方も指摘をされているような状況でありますから、そういうことを考えても、今回の総合経済対策というものが、現下の男女ともに厳しい雇用状況、特に高齢者の厳しい状況の中で1体どのように考えられたのか、極めて疑問であるというふうに思うわけであります。
 そういう点で、まず大臣のこの点についての御見解を伺いたい。
#9
○伊吹国務大臣 今回の総合経済対策は、先生御指摘のように従来型の公共事業だけで実は成り立っているわけではございません。御承知のように、新社会資本整備ということで、例えば環境・新エネルギー、情報通信高度化・科学技術振興、福祉・医療・教育、こういうものが入っておりますので、従来型のシェア一律方式の配分を、言うならばここで打破したということだと思います。
 それと同時に、雇用対策、それから先ほど来私がるる申し上げております金融システムの信認の回復、それから減税、こういうものが一つのパッケージとなって総合経済対策ということになっております。
 そこで、先ほど佐藤委員から御指摘がございましたように、減税、所得減税が果たして効果があるのか、それとも追加的な公共投資の方が効果があるのか、あるいは減税もどういう形が効果があるのか、これはやはり御指摘のように慎重な検討が必要だろうと思います。今先生がおっしゃいました大阪の例も、私も若干内容を勉強してみました。これは私もよく承知いたしております。ただ先生、これは大阪大学でつくった産業連関表が基本になっていると思いますが、かなり地域地域によって違うのではないでしょうか。特に、土地価格の非常に高い都市部の公共投資と、例えば北海道とか沖縄のように、今失業率が非常に高くて、残念ながら雇用を支える主要産業が余りない地域、こういうところの公共投資の雇用維持効果は、地域によってかなり違うと私は思います。
 しかし、日本の将来を考えれば、シェア方式の土地改良は幾ら、道路は幾らというようなやり方はやはり改めるべきだという御指摘と、同じ公共事業投資ならばその配分はどの地域を中心にやっていくべきだという御指摘は、私どもも行政の執行のあり方として拳々服膺しなければならないことだなと思って、今伺っておりました。
#10
○中桐委員 時間がないので細かい議論に余り踏み込めませんが、それは地域によって違いがあるということもよくわかります。
 問題は、従来型のいわゆる公共事業というものが、もちろん土地の価格の問題等もあってのことでありましょうけれども、要するに、少子・高齢化社会という社会をベースにしながら、しかも安定した経済成長を確保するために、いわば土木建築業の人たちがどういう形で仕事を新しい分野に移行していくかということも考えないといけないと思うのですね。
 そういう意味で言うと、私どもとしては、バリアフリーの町づくりを考えたり、あるいは高齢者に優しい住宅の改造だとか、そういうふうな形で従来型の公共事業のあり方というものを相当見直さなければいけないし、それから雇用という観点から、これは大臣と何度も質疑をしているのですが、経済政策というものと雇用あるいは労働政策というものとを、やはり労働省は十分それをセットに考えて、閣議やいろいろなところで発言を強めてもらいたい。
 そういう点から言うと、私は現下の雇用状況、非常に厳しい状況に対して、どうもそのことが十分配慮された総合経済対策になっていないのではないかというふうに思うので、これはまだ時間があると思いますから、大臣にはそこのところを強力に発言をしていっていただきたいというふうに思うのですが、いかがですか。
#11
○伊吹国務大臣 中桐先生おっしゃっていただいたこと、私もそのとおりだと思います。少し従来の労働大臣より経済政策についてうるさ過ぎるという評価もとっておるようでございますが、拳々服膺して、御激励の言葉と受けとめて、さらに頑張らせていただきます。
#12
○中桐委員 それでは次に、この総合経済対策との関係でもありますが、より細かい、いわゆる特異的な分野、雇用に、これまで事業として雇用保険の三事業というのが行われてきているわけでありますが、その三事業として実施する対策ということについて、これはマスコミの報道によりますと四百九十八億円という財源規模が示されているわけでありますが、これについての具体的な項目、時間がありませんのでこれは簡潔で結構ですから、労働省の方にお伺いしたいと思います。
#13
○征矢政府委員 今回の総合経済対策におきます雇用対策につきまして、先生御指摘のように、雇用保険三事業関係で実施する対策でございますが、これにつきましては緊急雇用開発プログラムという形でまとめております。
 主たる内容につきましては、失業の予防、雇用維持の支援として雇用調整助成金の助成率の引き上げ、能力開発給付金の助成率の引き上げ。それから離職者の再就職等の支援といたしまして、ホワイトカラー等雇用支援ネットワークの拡充、特定求職者雇用開発助成金の年齢要件の四十五歳以上への緩和、公共職業訓練の機動的、弾力的な実施。三点目として、雇用創出関係で、ベンチャー企業等や雇用環境の厳しい地域における雇用創出への支援、こんなことを柱として実施することを予定いたしております。事業総額につきましては、御指摘のように最大規模で五百億円程度と考えております。
#14
○中桐委員 そこで、この規模について議論したいのですが、この三事業というのは、当然これはすべて事業主負担ですよね。いわゆる国庫負担というのは当然ありませんよね。
 そうしますと、三事業というのが今、この前の大臣との質疑、私ではないのですが、ほかの方が質疑をしたときに、三事業の残高が二千億円ぐらいあるというふうなことをおっしゃっていたと思うのですが、今の非常に厳しい状況の中で五百億円という額でいいのかどうか、ちょっとその点について。
#15
○征矢政府委員 雇用安定資金の資金残高につきましては、御指摘のように現時点で二千億円を超えておりますが、その中で、まだ細部は詰めておりませんが、今回の規模として五百億円程度、こういうことでございます。
 ただ、この対策につきましては、中身によりまして当然、例えば特定求職者雇用開発助成金等のように後年度負担の大きいものがございます。これは、雇い入れた場合に、雇い入れて六カ月後にその賃金の一定割合を支給する、それを一年間やる、こういう制度でございますので、後年度負担が非常に大きい対策もございます。そういうことも考えつつ対処しているところであります。
#16
○中桐委員 五百億円というのがどの程度の効果があるのか、最後に質問したいと思いますが、さらに、総合経済対策の中に雇用対策として、国庫負担を伴ういわゆる一般会計からの財源を投入する計画があるのかないのか、その点についてお伺いします。
#17
○征矢政府委員 ただいま申し上げました経費の中におきまして私ども、一般会計に対する負担も考えておりまして、財政当局と調整をいたしております。
#18
○中桐委員 どのぐらい考えておられるのですか。
#19
○征矢政府委員 具体的には、これは、雇用対策の中身によって一般会計かあるいは雇用勘定かということで考え方の整理をいたすわけでございまして、そういう意味で、現在私どもが検討いたしておりますのは、障害者の方々に対する雇用支援につきまして一般会計ということで検討いたしております。具体的な数字につきましては、現在財政当局と調整中でございます。
#20
○中桐委員 障害者の方に限定した理由について。つまり、失業率が非常に幅広く進行しているわけです。それに対して障害者という範囲に、もちろん障害者の方の雇用を促進するということは私異議ありませんが、それに限定されている理由は何ですか。
#21
○伊吹国務大臣 事務的なことは後ほど政府委員から答弁をさせますが、まず、基本的な概念を先生と少しお話をしておきたいと思います。
 欧米諸国でも、御承知のように、いわゆる雇用保険の保険料、医療保険の保険料、それから公的年金の掛金、これを保険料と考えるか保険税と考えるかはいろいろ議論のあるところでございます。
 しかし、いずれにしろ保険というのは、当該保険料を負担しておられる方々の相互扶助的なものを公的な義務として国がお預かりしているわけで、保険料は一種の強制徴収という建前になっております。したがって、雇用保険を負担しておられる方の雇用対策というのは、基本的にはやはりそのグループの人たちの負担の中で行われる、これが特会をつくっている理由なのであって、国庫負担というのは、国が何か特別なものを持っているわけではございません。
 これは、保険というグループではなくて全国民からお預かりしている公的負担でございますので、何と申しましょうか、自分たちの出した保険料、強制徴収された保険の中で特定の目的を果たしていくということに対して、極めて難しい受益者がおられる場合に、一般の御理解をいただいた場合には、国庫負担というか国民すべての税源でこれを措置していく。これが財政の基本的な考え方だと思います。
#22
○中桐委員 しかし、例えば失業等給付に関しては国庫負担が入っていますね。ところが、今回の総合経済対策にはこの分野に関する財源規模の確保は、あるのですか、ないのですか。つまり、これだけ失業者がどんどんふえているわけですから、国庫負担が既に入っている失業等給付について、財源規模の確保はあるのですか。
#23
○伊吹国務大臣 これは今私が申し上げたことにも関係をいたしますが、雇用保険法の御審議の際にも、失業給付について国庫補助、つまり全国民の税金を勤労しておられるグループだけに投入することの意味については、るるいろいろな御意見がございました。
 したがって、国民的コンセンサスを得て、失業解消のために失業保険の給付については一定率の全国民の負担を入れるということになっておりますが、それ以外の部分については法律上それは許されておりません。したがって、そこに限定されているものには、現在の法律による定めのとおりの保険料による措置がなされているということでございます。
#24
○征矢政府委員 失業等給付につきましては今回の補正では措置いたしておりません。これは、当初予算で対象人員の見込みをいたしまして積算いたしておりますが、現状ではその当初予算の範囲内で対処可能というふうに考えております。
#25
○中桐委員 それでは、ちょっと時間がなくなりましたので、先ほど大臣の話のあった点については、またさらに今後いろいろな機会を使って議論を深めていきたいというふうに思います。
 最後に、今回の総合経済対策が行われた場合、今政府が考えている対策が行われた場合、雇用創出効果はどの程度あるのか、この点について、労働省と経企庁の両者にお伺いをしたいと思います。
#26
○田中説明員 お答えいたします。
 総合経済対策の効果について、具体的にその積算をするというのは非常に難しい要素があるわけでございますが、新社会資本整備を含めました社会資本整備とか追加する特別減税等だけで、向こう一年間で名目GDP二%程度押し上げ効果があるということを前提にして、雇用にどれぐらい影響があるかということで、私ども近年のGDP一%上昇に対する雇用者数の伸び率、雇用弾性値といいますが、これを調べましたところ、〇・三から〇・七でございます。これをもとに、仮に二%程度のGDPが上昇したということを前提にして、雇用が伸びる数字は三十万人以上ということを少なくとも見積もっているところでございます。
 これ以外にも、総合経済対策の中には政策減税とか土地の流動化対策等がございますので、こういったものや雇用対策も含めればさらに大きい効果が見込まれるというふうに期待しております。
#27
○征矢政府委員 緊急雇用開発プログラム、これの雇用開発効果でございますが、本プログラムの対象者数として積算をしてみますと、これは正確なことはなかなか難しいのですが、約四十万人程度になると考えております。
 ただし、この雇用開発効果といいますのは、雇用調整助成金による失業予防の対象人員とか、あるいは離職者等で職業能力開発をする人員、こういうものも入っておりますので、そういうものを含めまして約四十万人程度というふうに考えております。
#28
○中桐委員 そうしますと、大ざっぱに見て、七、八十万というか、そういう創出効果というふうに理解……。まあ三十万人プラスアルファですからちょっと正確なところがわからないようですが。
 そういうことでありますと、今例えば前年同月に比べ四十三万人増加しているような状況ですから、相当急速な形で失業者が増加するという状況があると思うのですが、それに対してこれだけの効果というのは、もうちょっと総合経済対策の、先ほど一番最初に議論しましたあたりをもう少し有効に考えるということはできないものなのかどうか。
 大臣、時間がありません、最後ですが、その点について大臣の見解と決意をお聞きして終わりたいと思うのです。
#29
○伊吹国務大臣 今、経済企画庁、また労働省の政府委員からお答えをいたしましたように、新たな雇用創出もしくは雇用維持効果というのは、先生が御指摘のように八十万前後だろうと言われておりますが、同時に、これによって景気全体に対して明るい雰囲気が出てきた場合の民間の経営者のしぶり、あるいは消費者のしぶりというものがどうカウントされるかというところにかぎがあると思います。
 いずれにしろ、先ほど先生から御指摘になったように、同じようなシェアで同じような公共投資をやっているということが果たして日本の将来社会のためにいいかどうかということも含めて、私も大体先生と似たような立場の考えでございますので、いろいろなところで私として微力を尽くしたいと思います。
#30
○中桐委員 どうもありがとうございました。頑張ってやっていただきたいと思います。
#31
○田中委員長 次に、川内博史君。
#32
○川内委員 民主党の川内でございます。
 日夜、雇用を取り巻く状況が厳しさを増している中で、労働行政に御努力をいただいております大臣以下労働省の皆様方に敬意を表させていただきます。本日は、労働行政のほんの一部についてお尋ねをさせていただきます。しかし、一事が万事という言葉もありますし、ほんの小さなことが労働行政全般につながっているという意識の中で質問させていただきます。
 時間が十五分しかいただいておりませんので、早口でしゃべらせていただきます。
 まず、神奈川県の小田原市にことしの三月にオープンをいたしましたスパウザ小田原という、プールだのテニスだの、あるいはエステティックサロンとか、あるいはアスレチックジム、それから百五十七部屋の豪華な宿泊施設を持つ、高級ホテルと言ってもいいぐらいのデラックスな施設が、ことしの三月小田原にオープンした。これは、雇用安定等事業費、いわゆる労働省さんがおつくりになられたと端的に申し上げていいかと思うのですが、このことを大臣が御存じであったかどうかということをお尋ねいたします。
#33
○伊吹国務大臣 よく存じております。
#34
○川内委員 よく御存じでいらっしゃる。
 それで、このスパウザ小田原というホテル、勤労者リフレッシュセンターという名前をつけていますが、実態はホテル、豪華ホテルですよ、そのホテルを運営するために、勤労者リフレッシュ事業振興財団という財団が平成四年につくられております。この勤労者リフレッシュ事業振興財団というものがこのスパウザ小田原の運営のために設立をされたということも大臣は御存じでいらっしゃいますか。
#35
○伊吹国務大臣 私は、実は全国の本当に零細な環境衛生業者の方々と御一緒に仕事をしております環境衛生議員連盟の幹事長をしておりますので、そういう関係で、労働大臣になりましたのは昨年の九月でございますが、このことはよく存じております。
#36
○川内委員 実は私も、私のかみさんが旅館の娘でございますので、大変にこういう問題には敏感になっているわけでありますが、この勤労者リフレッシュ事業振興財団に労働省さんから何人役員が派遣をされているのかということについてお尋ねをさせていただきます。
#37
○伊吹国務大臣 細かなことでございますから、これは政府委員から説明させますが、労働省から派遣をした者はいないと思います。もと労働省におりました者はいると思います。
#38
○澤田政府委員 リフレッシュ事業振興財団の職員総数、平成十年四月一日現在で百二十六名でございます。そのほかに役員といたしまして、常勤役員が三名、非常勤役員が十七名となっております。うち、労働省OBとしてそちらへ行っております者が、常勤役員の中で三名、非常勤役員の中で四名、職員の中では三名という形になっています。
#39
○川内委員 常勤役員三名のりち、三名とも労働省さんからの天下りというか、労働省御出身の方がこの勤労者リフレッシュ事業振興財団というものの役員をしていらっしゃる、非常勤の方ももちろん十七名のうち四名が労働省のOBである、職員の中にも労働省の出身の者がいるという、今雇用の環境が非常に厳しい中で、労働省さんはみずからの出身の者に対してはしっかりと雇用対策をしていらっしゃるなということを感じるわけであります。
 ちょっと不思議なことを感じたのですけれども、この勤労者リフレッシュ事業振興財団というのは、今常勤役員三名、専務理事、常務理事、常務理事と三名なのですけれども、実は理事長さんが欠員でございまして、今までは関さんという事務次官を経験された方が理事長をしていらっしゃったようでありますが、この関さんがおやめになられて、どういう理由でおやめになられたのかわかりませんけれども、今どういうお仕事をしていらっしゃるのかということについてお尋ねをさせていただきます。
#40
○澤田政府委員 お尋ねの前理事長関英夫は、現在リフレッシュ事業振興財団の非常勤顧問についております。
#41
○川内委員 スパウザ小田原というこの事業は当初雇用促進事業団がお進めになられていた事業であるというふうにも聞いておりますし、その辺のいろいろな絡みがおありになられてとりあえずは身を引かれたのかなというふうにも感じるわけでありますが、この件については、ちょっと本筋から離れますのでおいておくとします。このスパウザ小田原という施設をつくるのに実は四百五十五億かけているわけですね。四百五十五億かけて、年間の売り上げ、年商は幾らぐらいに見込んでいらっしゃるかということを次にお尋ねさせていただきます。
#42
○征矢政府委員 勤労者リフレッシュセンターの平年度におきます収入と支出の見込みでございますが、それぞれ約十九億円を見込んでいるところでございます。
#43
○川内委員 政府は経済の見込み、景気の見込みについて見込み外れを繰り返していらっしゃいますから、恐らく年商の見込みもその半分ぐらいというところが正しいところかなというふうに思いますが、仮に十九億年商があったとしても、普通、民間で事業に投資する場合、四百五十五億かけて十九億のリターンなどというのは、とてもできる投資ではない、極端なことを申し上げれば普通ではない投資だと思います。四百五十五億投資をしてリターンが十九億ということに関して、大臣はこの事業の費用対効果についてどのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
#44
○伊吹国務大臣 まず川内先生に申し上げておきますが、私は、全国の環境衛生の零細企業の方々のお話も伺いながら仕事はいたしております。先生の奥様も旅館の御出身だと伺いましたが、そういうこととはやはり離れてこの問題は論すべきだと私は思います。そして、先生のおっしゃっておりますことは、私は、御質問の意図は大体において賛成でございます。
 しかしながら、費用対効果ということで公的部門を判断することは、私は反対であります。というのは、例えば義務教育は年間三兆円の国民の税金を入れております。しかし、私立の小学校もあれば大学もあります。費用対効果だけ考えれば、三兆円の赤字になっているような義務教育国庫負担金はやるべきではないでしょう。しかし、赤字であっても国家がやるべき必要のあることはたくさんあるのです。問題は、公的部門がやる必要があるのかどうなのかというところに問題があるわけです。
 したがって、公的部門がやる必要がないものを公的部門がやっているものは民に移す、そして地方でやるべきもの、中央でわざわざやる必要がないものは地方へ移す、そういう考えに根差して、自由民主党においても協議を行い、そして閣議決定をして、言うならば、今御指摘の雇用促進事業団は改組をする、そして民でやるべきものをやっている部分はこれからは仕事はさせない。
 ただし、当然私が就任する前から起こっていたことですけれども、かなり事業費を投入して九分どおりでき上がっているものをそこでやめさせるということがプラスになるかマイナスになるかということを考えて、新規事業については、私が大臣になってからは一切着手を禁止いたしております。また、閣議決定でも、雇用促進事業団はその
 ような方向に向かうと思います。したがって、今後も、どんなに赤字が生じても国家を成り立たせていくために必要なものはやはりやらねばなりません。しかし、不必要なものは、民間でやってもらっていいものはやる必要はありません。それが基本的考えであります。
#45
○川内委員 大臣の御意見に全く同感でございまして、この施設については、私は、公的なセクターがやる必要は全くないものであるからこそ純粋に事業としてとらえなければならぬと思うのです。大臣がおっしゃられたような教育とか、そういう国がやらなければならないものは、幾ら赤字が出ようが、収支の見込みが成り立たないものであろうが、採算がとれないものであろうが、それは断固としてやるということは大賛成であります。しかし、こういう民ができる部分に官が進出をしていくということに関しては、これは純粋に事業としてとらえて費用対効果をはかり、すべては私たち国民の皆様方からお預かりした資金でやられていることでございますから、採算を度外視してもやらなければならないことはやる、しかし、この事業については、採算がどうなのかということはしっかりしていただかなければいかぬと思うのです。
 もう時間が来ましたから、もう一度重ねて大臣にお伺いをさせていただきたいのですが、しかし、つくってしまったものはしようがないじゃないかと言われても、そうはいかないと思うのですよ。本来ならばもっと違う雇用の安定のために使われるべき事業主さんからお預かりをした雇用安定等事業費を、こういう豪華なホテルをつくって、財団をつくり、労働省から天下りをさせてそこを運営をしている、それが全く利益を生み出していない事業である。これは何らかの改善をしていかなければならない。
 大臣は、これからの新規事業についてはすべてストップをかけたというふうに御答弁をいただきました。しかし、ではこの事業に関してどう改善をされていくおつもりなのかということを、最後にお尋ねをさせていただきます。
#46
○伊吹国務大臣 率直に申しまして、高度成長、右肩上がり、バブル全盛期のときは、地元からの誘致運動は非常にあったと思います。そして、失礼でございますが、各党の先生方も、その誘致の旗を持って労働省に来られた方も、お名前は申しませんがたくさんいらっしゃいます。しかし、時代が変わってきているわけですから、果たしてかつてのような日本の経済情勢のもとで許されたことが今許されるかどうかということは、これはまた別問題ですね。
 ですから、単にこの小田原の問題だけではなくて、同種の施設は雇用促進事業団にたくさんございます。したがって、労働省の諸君に言わせれば、雇用保険法の六十四条に「教養、文化、体育又はレクリエーションの施設その他の福祉施設を設置し、及び運営すること。」というのがあります、国会から負託された中で。だから、法律的にはかつてのような経済状況なら私は許されていると思います。だから各党の先生方が設置の旗を立ててたくさん来られたんですよ。
 だけれども、今の経済情勢ではそれは許されないと私は思いますから、今後経営の―だと言って、じゃ、そこをみんな閉鎖するかといったら、そこに商品を入れておられる方からみんな失業はさらにふえますよ。
 だから、ある程度運営が軌道に乗った段階で、それこそ民営化をしていくとか民間にお渡ししていくとか、ちょうど国立病院・療養所においてすら民営移管をしている時代ですから、軟着陸をさせるという少し余裕をいただいた方が、結果的に長い目で見ると私はうまくいくんじゃないかと思いますので、国民からこういうことを監視する立場として選ばれた先生も、そういう立場から少し長い目で見てやっていただきたいと思います。
#47
○川内委員 大臣、一事が万事でございますから、具体的に一つ一つの事業をどうしていくのかということが、総論でこれこれこうだということは学者や評論家に任せておけばいいことで、我々は具体的に、大臣などは特に具体的にどう決断をし行動していくのかということが問われるお立場であろうと思いますので、どうぞひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
#48
○田中委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時四十五分開議
#49
○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。河上覃雄君。
#50
○河上委員 長い本会議に続きましてお疲れでございましょうが、私の方は四十分間でございますので、いろいろお伺いしたいのでそのまますぐ質問に入りたいと思います。
 先ほどの議論でも出ておりましたが、三月の失業率は三・九%と戦後最悪の水準に達しました。また、有効求人倍率は、過去最低の昭和五十三年一月の〇・五一倍には届かないものの、〇・五八倍と七カ月連続低下という状況であります。特に、雇用者数あるいは就業者数ともに引き続き減少をしている。その意味では、労働市場は最悪の実態を示していると言えるわけであります。まず、この三月の雇用情勢に対する認識と、対処方法はどのように考えられているか、この点から御質問いたしたいと思います。
    〔委員長退席、鍵田委員長代理着席〕
#51
○伊吹国務大臣 午前中の審議でもお答え申し上げましたように、日本という国の中で我々は雇用をお預かりしているわけですから、日本の仕組み、日本の歴史の中で見て、三月の数字はまことに厳しいという一言に尽きると思います。
 もうこれは先生が一番よく御存じでございますが、短期的には、やはり経済政策よろしきを得て、総需要の適正な管理のもとで雇用というものは維持されるわけでございますから、平成十年度予算を通していただきまして、また、ただいま検討いたしております追加措置のパッケージをいずれ国会にお諮りするということになろうかと思いますが、これとあわせて、金融システムの信認回復のために、私も国務大臣として言うべきことはさらに申し上げたいと思っております。
 労働省といたしましては、与えられた政策手段の中で、雇用の新たな掘り起こし、そして雇用調整助成金の支給、あるいは職業能力開発に努力をされる方への助成等、全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。
 きょう、これは初めてこういうことを申し上げるのですが、職安の諸君は、この一カ月、本当によくやったと私は思います。ただ、これが一過性のものでなく、あと景気がよくなるまで、公僕として、待ちの姿勢に徹することなく、企業を足で歩いてさらに求人開拓をしていただくように、私からお礼も兼ねて職員の皆さんにお手紙を差し上げ、御家族の労をもねぎらいたいと思っております。
 今後とも一力を合わせて、労働省、与えられたツールの中で一生懸命やりたいと思いますので、委員の先生方も、お地元で、ぜひ職安を一度お訪ねいただいて、御激励を賜れば幸いかと思います。
#52
○河上委員 大臣は、今職安の動向についてお話をいただきました。私も、やはりそう思います。本当に第一線は頑張っているのではないかと思いますし、こういう状況でありますから、大臣にも現場の皆さんをさらに督励をしていただくとともに、また激励も必要だと思います。その意味では、今大臣から話がありましたように、私どもも私なりの立場でそのような対応をさせていただければとも思います。
 しかしながら、平成七年二月以降、失業率は三%を超えまして高水準のまま推移をしてきたわけでございます。本年三月は、ただいま申し上げましたように三・九%と戦後最高水準、最悪の水準に達したわけでありますが、ある意味では、バブル経済崩壊後の経済情勢やあるいは景気回復の認識に対する甘さがあったということは否めないのではないのか、私はこう考えます。
 例えば、経済界の日経連副会長の三好さんは、日経新聞の「月曜経済観測」インタビューで、今後の失業率の問題をとらえながら、金融業界の就業者は百四十万、建設業が六百七十万と言われるが、仮に一〇%が職を失うと失業率は四・七%になる、日本的雇用慣行もあるし、短期的には景気も多少持ち直すと思われるが、それでも四%は避けられないのではないかと見ている、こうおっしゃっております。
 また、つい四月二十二日でありましたが、日本の主要企業トップ百人に実施したアンケート調査というのが日経新聞に出ておりました。これによりますと、大手の企業の社長さんばかりでございますが、「利益確保には、ある程度の雇用の犠牲はやむをえない」、雇用の犠牲はやむを得ないとおっしゃりた社長さん方が六十六人いらっしゃいました。もっと厳しいのは「利益が出ないときは解雇は当然」、こう答えられた社長さんも四人いらっしゃる。
 現下の景気低迷情勢を踏まえつつ、企業をつかさどる方々はそれなりの感覚であろうと思いますが、まさにここから導き出される結論は、雇用よりも利益を優先、こういう考え方がある。雇用の犠牲はやむを得ない、こういう経営者の意識がある意味では明らかになっている、こういう実態もございます。
 また、三月の日銀短観でも一雇用は、主要企業、中小企業ともに雇用過剰感が拡大をしている、六月までの予想でも一段と過剰感は強まる、このように断定をいたしております。
 目を実態に移しますと、これもさまざまな民間シンクタンクの分析に基づきますといろいろと取りざたされておりますが、特に九八年から九九年の失業要因として大きいのは建設業の雇用創出力の大幅な後退、これを指摘しているわけでございます。富士総合研究所、この調査によれば、九八年から四%台に乗るだろう、こういう見解もございます。また、九八年から三年間で建設業に従事する労働者は六十九万人減少するだろう、こういう予測等もございます。
 もちろん、建設関連は、建設資材の購入やら運送やら建設機械の仕様、さまざまな周辺企業に与える影響、波及効果、これも建設業の縮小によって雇用の喪失も想定をされるわけでございますし、さらに地域別に建設業の実態をとらえても、やはり北海道や東北や北陸地方、特に今まで比率の高い地域については今後さまざまな対応方を迫られるのではないのか。今回の経済対策の中にも、北海道という地域における対応、対策の一端が出ておりますが、その意味では、今後の失業雇用情勢を見る場合に、全体としての立場と地域別としての立場を今後しっかりとらえていく必要があるのではないかと思います。
 今いろいろなことを例として申し上げさせていただきましたが、そこで労働省は今後、当面、今世紀中といたしましょう、雇用失業情勢はどのように推移すると分析なさっているか、これについてお答えいただきたい。
#53
○伊吹国務大臣 まず、今先生がいろいろな調査をお引きになりましたが、経営者という立場からいたしますと、御承知のように、経営者というのは資本をお預かりし、そしてノウハウというか技術というものと労働力というものを一体化してゴーイングコンサーンとしての経営をしているという立場でございますから、問い合わせについては、ある程度利益を確保しなければならないという立場に立ってのやはり答えになると思うのですね。
 しかし、経営者だけで会社というのは動いているわけじゃありません。これはあくまで一つの要素でございますので、経営者サイドに対する聞き合わせ調査というのは重視しなければなりませんが、おっしゃっている数字というものは、私の従来からの経験からいうと少し差し引いて考えないと、労働者側に対する牽制、いろいろな意味を込めての御回答が多いということは先生よく御承知のとおりだと思います。
 そこで、今後どうなるかということでございますが、これはもうおって経済の動きに関係してくるわけでございます。それから、よく先生御承知のように、マクロの経済指標に比べて雇用は若干やはりラグがございます。そういう意味では、私は、構造的にはトレンドとして回復にはもう少し時間がかかると思うのですが、短期的にはやや底を打ったのではないかという見方をしております。
 したがいまして、今おっしゃった三好さんですか、四%台などということにならないように我々は全力を挙げるということだと思いますし、先ほど申し上げたように、職安の諸君が非常に頑張って三月の数字を上げております。実は十二月は非常にいい数字だったのですね、求人につきましては。ここが実は外れて、一月、二月の悪い数字と三月のいい数字が今度一緒になりました。このまま頑張ってくれると四月はかなりいい数字が出てくる。四月は、四月、三月、二月ということになりますから、有効求人倍率はかなりいい数字が出てくるのではないかと思いますが、いずれにしろ、気を引き締めて四%台などということにならないように頑張るということしか、率直なところ申し上げようがないと思います。
 それから、先ほど中桐先生から御指摘があった公共事業の効果と、今先生がおっしゃっていただいた建設業の状態、特に地域の状態、少しやはり御主張が違う。むしろ先生がおっしゃっていたようなことを私は中桐先生にお答えしておりましたのですが、建設業は、今度のパッケージが実現していき、その前に十年度の予算の支出が行われ、さらにその前に九年度補正のゼロ国債が実施されていきますので、私はかなり状況は改善していくのではないかと思います。
 金融につきましては、これはいわゆる英国のウィンブルドン方式というようなことは私はできるだけ避けるべきだと思っておりますが、日本の間接金融型の金融はビッグバンの中でやはり縮小していくと思います、御指摘のとおり。しかし同時に、欧米型の直接金融方式がかなり日本にやはり入ってまいります。そこへ日本の金融機関が進出できるのか、それとも外国の金融機関が出てまいりまして、日本の雇用を吸収してくれて日本の税金を払ってくれるけれども、ジャパニーズオウンという会社じゃない金融機関がかなり東京に出てくるのか、これはこれからの日本の金融機関の底力がどうなるかによると思っております。
#54
○河上委員 いろいろな実態、とらえ方あるいは考え方のラグもあると思います。これはある意味ではやってみなくちゃわからないところもあるわけでございますが、ともかく大臣の四%台に至らないように頑張るという決意は決意としてしっかりと受けとめますし、また高ければいいという話をしているわけではないわけですから、逆に低くしようという議論をいたしますので、どうぞその点を踏まえて御答弁をいただきたいと思っております。
 そこで、政府は、四月二十四日、経済閣僚会議と臨時閣議を開催いたしまして、景気浮揚策としての財革法改正、あるいは減税関連法案とともに九八年度の補正予算を五月中旬までに国会へ提出する、これを決定いたしました。総合経済対策の規模は十六兆六千億円、これまで最高でありました九四年二月の十五兆二千五百億円を上回ります。
 そこで、今回の総合経済対策が与える景気に対する影響、これが一番重要な課題でございますが、それに伴って、それが雇用情勢への波及効果としてどのぐらい見込んでいらっしゃるのか。私は、この打たれた中身と効果が結果論として問われると思っておりますし、今申し上げましたように、この辺の調整をどのようにとらえていらっしゃるのか、この点についてお伺いいたします
#55
○征矢政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、二十四日に閣議決定されました総合経済対策、これを取り上げまして私どもとして雇用創出効果を試算をすることは困難でございます。
 ただ、経済企画庁におきまして、今回の総合経済対策は二%程度の名目GDPの押し上げ効果がある、こういう試算が行われておりまして、この対策の実施等によりまして平成十年度の経済見通しのとおり一・九%成長が達成されるということになるとすれば、雇用者総数は、経済見通しによりますと、十年度におきまして六十万人程度増加するというふうに見込まれているところでございます。
#56
○河上委員 そこで、労働省としては、総合経済対策の中に緊急雇用プログラムを盛り込みました。今度は、雇用面においてこの効果がどのように発揮されるか、これが大切なことでございます。この経済プログラムが効果的に実施をされるとすれば、維持できる雇用数は大体どう見込んでいらっしゃるのか。雇用創出効果とその根拠を、できるならば個別政策別に数字で示していただきたいのです。また、それに伴う予算はどういうふうになっているのか。
 一、二例だけ挙げますと、例えば雇調金の助成率の引き上げ、これは休業及び出向の場合には現状二分の一から三分の二に引き上げる。特に中小企業については三分の二から四分の三に引き上げる。教育訓練は二分の一を四分の三。中小企業は三分の二から五分の四に引き上げる。この雇調金の助成率の引き上げで、例えばどのぐらいの雇用維持が図られると考えるのか。できるならばここをお答えいただきたいのです。
 また、労働移動雇用安定奨励金の助成率も、四分の一から三分の一に引き上げられます。中小企業は三分の一から二分の一になる等々、たくさんのメニューがございますが、特に直接的に雇用問題に影響を与えるのは、今申し上げた二つに加えてあと四つ程度。あとは中長期的な作業を伴うものでありますから、今申し上げた六つぐらいの点。
 ちなみに、能力開発給付金の高齢者訓練の年齢要件引き下げ、助成率の引き上げ、これが三つ目でしょう。四つ目は、特定求職者雇用開発助成金の年齢要件の引き下げ、これが四つ目だと思われます。五つ目は、中小企業新分野展開支援人材確保助成金の拡充。平たく申し上げればベンチャー企業等の中小企業の支援策でございます。これが五つ目。六つ目は、地域雇用開発助成金の拡充。全体としての助成率の引き上げに伴って、沖縄の若年層対策あるいは地域高度技能人材確保助成金の拡充等。これが現実的に資する部分だろう、こう考えておるわけでございますが、この施策に応じてどのぐらいの雇用が図られて、全体、マクロとしてこうなる、これを御説明ください。
   〔鍵田委員長代理退席、委員長着席〕
#57
○征矢政府委員 総合経済対策に盛り込まれました緊急雇用開発プログラムでございますが、これにつきましては、具体的な数字の詰めば現在財政当局と詰めを始めているところでございまして、基本的な大まかな全体の数字として大体五百億円、こういう規模で考えているわけでございますが、個別具体的な数字等についてはこれから詰めてまいりたい、こういう状況でございます。
 そこで、雇用開発効果がどのくらいあるかという点でございますが、先生御指摘のように、これにつきましては、失業予防、雇用の維持という面では、雇用調整助成金の対象となる実人員がどのくらいか。あるいは能力開発につきましては、失業した方々についての能力開発、これをどのくらいの実人員にするか、そういう数字でございます。それから再就職の促進につきましては、職につかれる方が具体的にどのくらいあるか。それから雇用創出の関係につきましては、人材育成等ベンチャー企業と中小企業への支援ということでどのくらい。こんなことでございまして、そのトータルとして、補正予算で全体五百億円程度というところで、この雇用開発効果は大体四十万人程度というふうに考えているところでございます。
#58
○河上委員 午前の質問の経企庁の御答弁の中に、局長、過去の例であるがと前置きなさって、GDP一%で約〇・七の雇用が維持される、こういう見解をたしか回答でお述べになられていたと思うのですね。そして、実数として、経企庁はたしか、この雇用効果は三十万人以上という表現をされましたね。
 征矢局長のお答えは、この緊急雇用プログラムでは四十万人、今こう申しました。雇用効果としての数字がやや違うわけでございますが、この辺の間はどうなっておるのですか。
#59
○伊吹国務大臣 ちょっと誤解がないように整理をさせていただきたいと思いますが、午前中経済企画庁がお答えをしたのは、今回十八兆円のパッケージの中で、有効需要創出効果としては約二%程度ということを申し上げたと思います、そして、GDPが一%伸びれば雇用は何%伸びるかという雇用弾性値というものを御説明申し上げました。それで計算をすれば、新規の雇用創出効果というのは、大体三十万プラスアルファ程度というようなことを朝お答えをしたのではないかと思います。
 今政府委員が申し上げましたのは、今回、緊急雇用開発プログラムの中で雇用調整助成金の補助率を変えたりいろいろしながら、対象人員はどれぐらいになるのだろうかということを申し上げたと思うのです。したがって、当初予算がございますから、これで大体六十万以上、約六十万。そして今回の補正で約四十万でございますから、これを合計しますと、率直に言えば、今の雇用の中から失業に至ることのないように維持、抑えていくという人の数が、新規に大体四十万程度対象になっている。それから、新たに雇用を創出してくるという計算が大体三十万プラスアルファ。
 それで、先ほど政府委員がお答えをいたしましたが、二%程度の名目GDP押し上げ効果があると試算されており、この対策の実施により、平成十年度経済見通しどおり一・九%の成長が達成されるとすれば、平成十年度においては六十万程度の新規雇用が見込まれるというお答えをしたのは、これはまた新規の創出効果ではなくて、今度の政策によって一・九が維持できればという見通しと、三とおりの数字をお話ししていると思うのです。
#60
○河上委員 大臣の御答弁でよろしいですね。そうすると、今回の緊急雇用プログラムで対象者四十万人を見込める、当初予算の中で雇用を見込んでいる数字は約六十六万人、加えて百六万人。そしてもう一つ、効果が発揮した場合には、あと三十万ぐらいの新しい側面の雇用が……(伊吹国務大臣「全く別の」と呼ぶ)別の角度で生まれる可能性があるという。維持分、ここから生まれる新たな分で百三十六万人、こういうお考え方だということを整理させていただいてよろしいですか。
#61
○征矢政府委員 まず、その六十万と三十万の問題でございますが、これにつきましては、先生おっしゃるように、GDPが上がった場合に、それがどれだけ雇用に波及するかという波及の数字が〇・三から〇・七、こういうところの幅がございます。三十万という数字は、この〇・三の数字をもとにしてかたく見ると三十万、それを超える、こういう答弁でございまして、これが〇・六程度と見れば六十万、こういう数字になるわけであります。そういう問題がございます。幅がございます。
 それで、私が申し上げましたのは、経済見通しにおいては、一・九%の実質成長率、そういうこととあわせて雇用増は六十万と見通している、それが実際上そうなるかどうかという問題はもう一つありますけれども、数字的にはそういう数字であるということでございます。
 それから、私どもが申し上げております四十万人という数字につきましては、これは直接雇用に結びつくかどうかという点になりますと、失業の予防という観点から雇用調整助成金制度、これを高率助成にして雇用の維持を図るわけでございますが、その雇用の維持を図る実質実人員がどのくらいという見方でございまして、状況が厳しい企業におきましては、仮にそれで図ったとしても失業者は避けられないというケースはあり得るわけであります。それはこれでは計算できません。
 それからもう一つは、能力開発の関係については、これは機動的能力開発をやって、それの対象人員をどれだけ見込むかという数字でありまして、能力開発が終わった方について、その方が具体的にどのくらい就職に結びつくかどうかという点については、これもなかなか計上できない、そういう性格の数字でございます。
 いずれにしましても、緊急雇用開発プログラムということで、最重点の雇用対策をいろいろな形でやらなければならないということから、ただいま御指摘ございましたいろいろな対策を、今回総合経済対策の中に盛り込んでいるということであります。
#62
○河上委員 わかりました。期待もあるし実質上の問題もある、その幅の中で動くだろう、私もこう理解をいたします。
 これは補正予算成立後、九八年度末までこのプログラムは対応いたしますね。仮定の話で大変恐縮ですが、その後の雇用情勢がさらに悪化してしまった、その場合はこれを延長する意思あるいは可能性、これはございますか。
#63
○伊吹国務大臣 見通しの問題でございますので、そうならないように全力を尽くすということでございます。
#64
○河上委員 そうならないことを私どもも願いたいわけでございますが、万が一の場合を想定いたしまして私は今確認をさせていただいたわけでございます。
 この問題に関しまして、私は、今回の緊急雇用開発プログラムというものが、ある意味では従来型の雇用対策の拡充策というところでとどまっているのではないのか、こう考えております。これでいきますと、現下の雇用失業情勢に果たしてどこまで対応できるかという懸念を持っているわけでございまして、その意味から前段の議論もさせていただいたわけであります。
 短期的な側面あるいは中長期的側面、これを整理した上で、先見性のある、ある意味では積極的な雇用対策というものを打ち出して強力に推進していくべきだと私は考えますし、これまで労働委員会開始して以来、そういう視点で話をさせていただいてきたわけでございますが、今申し上げました方向性、これについてはいかがでございましょうか。
#65
○伊吹国務大臣 まず、今回の措置というのは、先生が内容に立ち入って非常にうまく整理してくださったので御説明できたわけですが、午前中の中桐先生の御質問に対しても、私は、このパッケージによる雇用の維持創出効果はと注意深く御答弁をしていたはずです。したがって、今あるものを維持していくのと新しいものをつくっていくのと両方の、雇調金それから有効需要、こういう感じになると思います。
 したがって、将来的にはやはり有効需要創出というものが、補正予算であるとか人為的になされるのではなくて、民間の生き生きとした活動によって構造的に生まれてくるというのがこれはもう一番望ましい。先生が御指摘になっているのはまさにその点だろうと思いますので、中長期的には、例えば午前中、中桐先生がお触れになったような介護のような新しい福祉、一つはそういう政策的な雇用の創出の場があります。それから、規制緩和によって、当面は落ち込むけれども長い目で見ると新たな仕事ができてくるという分野があります。それから、科学技術の振興等によって新たなビジネスが出てくるということはございます。
 したがって、労働省としては、与えられている仕事の範囲からいうと、そういう部分に対する労働力供給という面で助成をしていくとか、あるいは職業能力開発をしていくとかということになろうかと思いますので、今回のパッケージの中にも、実はベンチャー企業と中小企業への支援というようなもの、公共職業訓練の高度化を推進するというような分野が含まれているのは、今先生がまさに御指摘していただいたようなことを、労働省としては決して無視をしているわけではないということでございますので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
#66
○河上委員 一歩議論を進めまして具体的にお伺いいたしますと、さまざまな助成策があるわけでありますが、その中で、やはり認知度の低いものや、あるいは利用度の低いもの、使い勝手の悪いものもあるわけでありまして、これらの助成金を見直して、従来型の制度のあり方をもう一度再編をした上で実施をするお考えはありませんか。その一例として、実は関西経営者協会と連合大阪では、この見直しの問題について既に労働省には要請方をしたと承っておりますが、こういう考え方、また、特に関西経営者協会、これをすべて私は全部そのとおりであるとは思いませんけれども、例えばのお話で、一般求職者の新たな雇用に対する助成制度として、三つの視点で提言をいたしております。倒産等離職者新規雇用助成金の創設、あるいはベンチャー企業新規雇用助成金、今大臣も触れられましたが、将来の課題としての介護事業新規雇用制度助成金等、こういう具体的な提言も関西経営者協会ではしていると伺っております。
 これらの動きを踏まえつつ、私が先ほど申し上げましたように、もう一度この従来型の制度の考え方を、助成金としてのあり方を再編する考え方はいかがか、この点についてお尋ねいたします。
#67
○伊吹国務大臣 関経協と大阪連合の御提言は、私も読んでみまして、教えられるところもございます。
 それから、やはり雇用維持ということでございますから、企業全体が利益が上がっていても当該ラインが不況の場合の対応をどうするかという問題が、一つ大きな問題としてやはりあるのではないかと私は思うのです。例えば、一つのラインだけで動かしておられるところ、これはもうそのラインが全く不況になってしまえば、これは対象になりますね。幾つかのコングロマリット的な経営をしておられるところが、一つのラインはうまくいかないけれどもあとの二つのラインで利益が上がっているというような場合の雇用調整をどうするかというような問題も含めまして、新しい時代に合うようなものは確かに考えねばならないと思いますが、御提言になっている限りは、その利用によってはやはり御自分たちの負担がふえていくということは、逃げてもらっては困ると私は思うのですよ。我々は、すべて赤字国債や他人の負担でシステムを動かしていくというわけにはいきませんので、その負担と給付のバランスの上に現在の制度がございまして、古くなってきたものは直していくということはいいことだと私は思います。
 しかし、やはり今まで継続してきたということについてはそれなりの存在価値もまた認めねばなりませんので、新たな激変というのは、現実には経営者、労働者ともどもになかなか受け入れがたい面もあろうかと思いますが、できるだけ新しい時代に合えるように、内容的な検討をすることは決してやぶさかではございません。
#68
○河上委員 これも、今後さまざまな場を通じて議論をさせていただきながら合意を得たい、私もこう考えます。ぜひともこれは議論、検討を進めさせていただきたいと思っております。もう大分時間がたってしまいましたが、実は六十五歳までの雇用継続促進の進捗状況等もお伺いいたしたかったのです。また、賃金の立てかえ払い、これも、平成九年の実態を踏まえますと、中小零細企業の立てかえ払いが大変拡大をいたしておりまして、ここにも不況の構図があらわれているなと私はとらえているわけでありまして、これについても少し議論をさせていただきたいと思いましたが、もう間もなく時間が来てしまいますので、最後に一点だけ、第八次雇用対策基本計画の見直し、この点の質問をさせていただきたいと私は思っております。
 規制緩和等の構造改革を前提といたしまして、総合的な雇用対策を機動的かつ強力に実施することによって、平成十二年、目標年度であります二〇〇〇年の完全失業率を、二・七五%程度を目安として、できる限り低くするように努めると第八次雇用対策基本計画では述べておられます。また、規制緩和等の構造改革が進展しない場合には三・七五%程度となろう、これは断定的に近く予測をしていらっしゃるわけでございますが、現下の三・九は、その数字をいずれも上回っているわけでございまして、ある意味では、この第八次雇用対策基本計画で示した考え方、現状の失業率や経済全般の動向に照らせば、今後の失業率は、平成十二年の目標達成年次に、二・七五%はおろか、三・七五%を上回る危険性の方がむしろ高いと分析をいたします。
 これらの視点からすれば、雇用対策基本計画そのものについて見直しを必要とされるのではないのか、私はこう考えますが、この点について伺いまして、私の質問を終了いたします。
#69
○伊吹国務大臣 二〇〇〇年までまだあと二年あるわけでございますし、これは先生一番よく御存じの上で御質問いただいているわけですが、政府の基本的な経済計画の裏側というか、これに連動したものが雇用対策基本計画でございますので、経済計画を立てましたときの基本的な規制緩和等のニーズについては変わっているわけではございませんから、やはりマクロ経済政策の実施をもう少し見守って対応をさせていただきたいと私は思っております。
#70
○河上委員 終わります。
#71
○田中委員長 次に、青山丘君。
#72
○青山(丘)委員 本日、三月の失業率、有効求人倍率の数字が発表されました。かつて私自身は、選挙に落選をいたしまして、失業の経験があります。大臣は失業なさった経験はないのでしょうね。失業者が……(伊吹国務大臣「それはありますよ」と呼ぶ)ありますか。失業者が今どんな思いでいるのか。特に労働省が調査を開始してから、三・四%の失業率、三・五%の失業率となってきたときに、労働大臣はどんな印象を受けられたか。
 また、先月は三・六%と、数値がまた上がってきました。先月はたしか二百四十六万人の失業者。そしてつい十日くらい前の日本経済新聞の報道ですと、非労働力人口というのが六十二万人増になった。あのときに、三・六%の二百四十六万人と六十二万人の失業者、いや、もう就職活動は無理だなとあきらめている人たちの数を入れますと、三百八万人、事実上四・六%くらいの失業率であるという報道がありました。
 これはなかなか大変な状況で、実際に職がなくて苦しんでおられる、生活の見通しが立たないという人たちの心情を察するときに、今回の三・九%、二百七十七万人の失業者という数字は、私は非常に深刻に受けとめました。
 こういうふうに上がってきた経過の中で、この数字を大臣がどう受けとめてこられたのか。そして本日のこの三・九%について、あるいは二百七十七万人の失業者数について、大臣はどういうふうに受けとめておられますか。
#73
○伊吹国務大臣 まず、私は実は、一年間選挙の準備をしていた期間以外は、職がなかったという経験はございません。この期間は失業と考えるのか職業能力開発の期間と考えるのか、どちらかの見方があると思いますが、ともかく、志を持って努力をしていたわけですから、志をお持ちになっても展望の開けない方のお気持ちは、実は私は経験したことがないというのが率直なところでしょう。
 選挙区へ帰ったり、あるいは他府県に選挙の応援等で行った場合にも、私はできるだけ職安へ寄らないようにしております。労働大臣が中へ入っていくと、職員の人は、それだけでも仕事に対して迷惑だと私は思っておりますので、外から見ておりますと、やはりかなりの人がこのごろは職安に並んでおられるという状況を見ます。数字というものは冷たいものでございますけれども、実際の職安での人の動きを見ておりますと、今この仕事をお預かりしている者として責任も感じますし、できるだけの努力をしなければならないなという気持ちは強く持っております。
 そして、もう一つ私の気持ちを率直に申し上げますと、求職と求人というのはかなりの数は合うのですが、うまくマッチングしないのですね。特に若年層の方々については、このごろはやはりさすがに二十五歳以下の方も一を若干割り込むような数字になってきたりしていますけれども、他の年齢層に比べると、職はかなりおありになるのだけれども失業率は非常に高いということですね。六十歳−六十五歳、今日の行き届いた制度をおつくりになっていただいた方々が、有効求人倍率も〇・一か二ぐらいで失業率が高いということは、本当に私はお気の毒なことだと思います。
 そういうことからいうと、職があって働く意欲のある方は、労働大臣としてこういうことを申し上げるのもいかがかと思いますが、やはりできるだけ職のえり好みをせずに働いていただきたいと思いますし、職のえり好みさえできない六十歳−六十五歳以上の方にはやはりできるだけのことをする義務があると思って、第一線の諸君と一緒に頑張りたいと思っております。
#74
○青山(丘)委員 先ほど私も失業ど申し上げたが、大臣と同じ経験がありまして、職業能力開発期間であったかもしれません。しかし、私の場合は、それはかなり長いものでした。三年と五カ月。そういう経験がありますと、今職がなくて前途の生活の不安に悩んでおられる方々、もっとも、労働行政としてそういう人たちにかなりいろいろな施策がとられているということは、私は率直に評価をいたします。そういうことではなくて、そういう失業者数がどんどんふえてきたことについて、労働大臣として一定の見解をぜひひとつ聞かせておいていただかなければならないという意味で私は申し上げております。
 四月になると、新規大学卒業者、学卒者でまだ職の決まっていない方あるいは職についていない人たちの数字が出てくるかもしれませんね。理論的には恐らく三月の数値の中に入っているのでしょう。けれども、事実上これからまたふえてくる。となると、これが三・九ではなくて四・〇、四・一。あるいは実際にもう、高齢者であったり身体にいささか不自由な面があって求職活動もあきらめなければならないという思いをしている人たちの数も入れますと、そこで先ほど少し計算をしてみたのです、六十二万人という数字をそのまま使っていきますと、四・八%。これはやがてアメリカの失業率を事実上超すのじゃないかというような現下の状況であるということを思いますと、本日ここで、労働委員会で雇用失業問題について議論することは、余りよくないことではありますが、日本の戦後政治の中では一つの意義のある審議だと思います。
 そういう意味で、一つには、政府としてきちっと経済対策を進めていっていただきたい。四月二十四日の経済対策閣僚会議、これで決められた総合経済対策、その中の、先ほどから議論になっております緊急雇用開発プログラム、これがきちっと成果を上げていけるようにぜひしっかり取り組んでいただきたい。雇用創出であるとか雇用の安定であるとかという先ほどからの問題について、いささかこれの実施に期待をしていきたいと思います。そういう意味で、今置かれている雇用失業情勢は極めて極めて困難な状況であるという共通の認識をまず一つ持っていきたいと思います。
 そこで、今申し上げた総合経済対策の中の緊急雇用開発プログラム、これの財源となるものは恐らく雇用保険三事業の中で進めていく。三事業の中でどれぐらい財源的なゆとりがあるのか、そのあたりいかがでしょうか。
#75
○征矢政府委員 ただいま先生御指摘のとおりでございまして、緊急雇用開発プログラムで五百億円程度の対策を検討いたしているところでございますが、この主たる財源は雇用保険三事業関係の財源、すなわち雇用安定資金に積み立てられている財源、これが原資となるわけでございます。雇用安定資金の残高につきましては、平成八年度末におきまして約二千億円を超えておりまして、平成九年度決算においては、これはまだわかりませんが、それプラスアルファの金額になろうというふうに考えております。したがいまして、この財源を取りましまして今回の緊急雇用開発プログラムを実施する、こういう考え方でございます。
 これが今後の制度の運営にどう影響するかという点につきましてもいろいろ検討をいたした上、この緊急雇用開発プログラムの中には、特定求職者雇用開発助成金のように後年度負担の非常に大きいものもございますけれども、この厳しい雇用情勢の中で、やはり就職が困難な方についての対策が必要であるということで、年齢を五十五歳から四十五歳まで引き下げる、これは全国一律でございますが、引き下げるという考え方をとっているわけでございます。そういうものの後年度負担も考慮しながら検討いたしたところであります。財源的には、当面これについては心配はないというふうに私ども考えております。
#76
○青山(丘)委員 当面五百億円ぐらいを考えている、見込んでいる、やっていけるであろうということですね。
 先ほど、雇用調整助成金の話が出ておりましたので、失業者が出てきているということは、企業倒産が相当ふえている、そのまま必ずしもぴったりリンクしていませんけれども。
 そういう中で、未払い賃金立てかえ払いの迅速化、これは非常に重要なことです。これまでの状況はどんなであったか。そして、これからどういう措置を具体的に講じていこうとしておられるのか。中小企業に働く人たちは、まず雇用不安に相当陥って、苦しんで、悩んで、それでも会社に対してはかなり献身的に頑張っています。それでいて福祉面ではなかなかそう恵まれてはいない。さらに、会社が難しくなった、賃金が払われない、もう既に払ってもらわなければならないものがいまだに払ってもらっていないというようなケースがやはりかなりありますが、未払い賃金立てかえ払い、これの迅速化はぜひ進めていただきたい。
 そういう意味では、これまでの経過、それから、これからどういう措置を具体的に講じて迅速化を図っていこうとされているのか、いかがでしょうか。
#77
○伊藤(庄)政府委員 御指摘ございました未払い賃金立てかえ払い制度、企業が倒産した場合に、賃金を受けられない労働者に対しまして国が一部を立てかえているという制度でございますが、平成九年度の実績を見ますと、対象企業が千六百三十六企業、それから対象人員が二万七千四百八十九人、金額にいたしまして百八億六千七百万円となっておりまして、前年度に比べますと、いずれも二〇%程度の増加になっております。こうした状況の中で、賃金が働く方々の大切な生活の原資でございますので、これを迅速かつ着実に立てかえていく、こういったことは、御指摘のとおり大変重要かと思います。
 そこで、今回の総合経済対策の一環といたしまして、私ども、まずは倒産事案の内容を早期に把握いたしまして、労働基準監督官がこの立てかえ払いの要件にあります倒産の認定、それから未払い賃金額の確認等を迅速に行うための体制を整備いたしたい。そういったことが円滑に進むように、各都道府県の労働基準局あるいは主要な労働基準監督署に相談コーナーを設置いたしまして、労使に対する事前相談を速やかに開始する、あるいは状況によりましては現地に臨時相談説明会を設けていく、こういったことも実施いたしまして、こういった一連の事務処理が確実に、早期に実施される体制を整備して対応していきたいというふうに思っております。
#78
○青山(丘)委員 三月末に山一証券が閉鎖しました。本社の全部門、全国の全支店が閉鎖をいたしましたが、山一証券に勤めておちれた方々は今どのような状況になっているのでしょうか。
    〔委員長退席、鍵田委員長代理着席〕
#79
○征矢政府委員 これは三月末時点での山一証券からの報告によりますと、山一証券が解雇した従業員の中で再就職を希望する方は約八千二百人おられまして、三月末時点で約五千八百名の方が再就職の内定を受けているという報告でございます。約七〇%ということになります。
 山一証券につきましては、先生御承知のように三月末で解散をいたしておりまして、雇用推進委員会等も、これはもうなくなっているわけでございます。したがって元従業員の方のその後の状況を把握するのはなかなか難しいわけでございますけれども、再就職が決まっていない離職者の方につきましてはほとんどすべて公共職業安定所に求職申し込みをしていただいておりまして、具体的には、雇用保険手続をし、雇用保険の受給をしつつ求職活動を行っているという状況でございます。この方々は約二千四百人程度ではないかというふうに考えております。
 私どもといたしましては、これらの方々についての求人求職情報を、人材銀行あるいは公共職業安定所におきますホワイトカラー離職者支援窓口等を設置いたしまして、そういうところで集中的に提供するというようなことを行うことによって、山一証券の離職者の方々のみならず、中高年ホワイトカラーの方々についての対策、早期再就職の促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
#80
○青山(丘)委員 まだ三割、二千四百人の方々が新しい職場についておられない。恐らく新しい職場でまた新しい意欲を持って働いていきたいという人々であろうと思いますので、ぜひこの後、さらに新しい職場につくことができますような取り組みをひとつお願いしておきたいと思います。山一証券の例はもちろんでありますが、ホワイトカラーの再就職の件についても、総合経済対策の方で、今のプログラムの方で取り上げていただいております。ホワイトカラー等雇用支援ネットワークの拡充、具体的にはどのような対策を講じようとしておられるのでしょうか。
#81
○征矢政府委員 山一証券の方々を含め、中高年ホワイトカラー離職者の再就職、これが非常に難しいという状況にございます。この点につきましては、伊吹労働大臣がみずから日経連あるいは中小企業団体中央会あるいは商工会議所等に協力をお願いしていただき、本年二月にホワイトカラー等雇用支援ネットワーク、こういうものをつくり上げたところでございます。
 これによりまして、経済団体からの情報等も活用しながら、公共職業安定所の職員やあるいは民間企業のOB、業界団体、そういう方々に求人開拓推進員をお願いしまして、そういう方による積極的な求人開拓を行う、あるいは就職面接会の開催、パソコンによる求人情報の提供等を行っているところでございまして、三月には、全国で六万七千人余の新規求人の開拓をいたしたところでございます。今回の総合経済対策におきましては、厳しい雇用情勢が続く中で、この充実強化を図ることといたしておりますが、具体的には、ただいま申し上げました求人開拓推進員、これは実行上始めたわけでございますが、これを予算上五百人程度の規模にする、あるいは就職面接会を拡充する、情報提供用のパソコンの増設等を行う、こういうようなことを行うことによりまして、ホワイトカラー離職者の再就職の促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
#82
○青山(丘)委員 就職あっせんも大事ですけれども、もちろんそれも大事です、ホワイトカラーの持っている専門的な知識や専門的な技能、こういうものをもう少し、要するに職業的な能力を高めていく努力がホワイトカラーにもかなり必要だと私は思います。そういう意味で、今回のプログラムも含めて、ホワイトカラーの職業能力開発について、具体的にはどのように進めていこうとしておられるのか。
#83
○山中政府委員 ホワイトカラーの能力開発についてでございますが、先生御指摘のとおり、職務内容というのが非常に変化しており、かつ高度化というのですか専門化しているということで、やはりホワイトカラーの一人一人が高度な職業能力をつけていくというのが極めて重要な課題だというふうに私ども考えております。
 私ども、昨年七月に錦糸町に、ホワイトカラーの能力開発の総合的と申しますか中核的な拠点として、生涯職業能力開発促進センター、通称アビリティーガーデンと言っておりますが、ここでは、産業界と連携いたしまして、教育訓練の内容を開発し、それをもとに職業訓練をやっているというところでございますが、そこを中心にして、全国に六十五の職業能力開発促進センター、あるいは地方の職業訓練校がありますので、ここを拠点としてホワイトカラーの能力開発の充実に努めていきたいというふうに考えております。
 今般の緊急雇用開発プログラムの中では、生涯職業能力開発促進センターで特に離職者向けの教育訓練の受け入れ枠を拡大いたしますとともに、全国通信のネットワークがありますので、それを活用した形での離職者を対象としたセミナーの実施とか、あるいは公共職業訓練の機動的、弾力的な実施ということで今回緊急雇用開発プログラムに入れておりますが、その中でも、やはり人事、労務、職業能力開発とか、あるいは経理とか財務とか、そんなようなことの教育訓練の充実を図りたいというふうに考えております。
 これらのことをあわせながら、ホワイトカラーの職業能力の開発に積極的に努めていきたいというふうに考えております。
    〔鍵田委員長代理退席、委員長着席〕
#84
○青山(丘)委員 これから労働移動がかなり頻繁に行われてくる。そのときに、労働者が新しい職場につくときに、みずからの能力がどれくらいの力量のものであるのかがなかなかわからない。本人がわからなければ受け入れる方はもっとよくわからない。どういうところで活躍してもらおうか、今までこういうことをやってもらっていたから、これでは新しい職務になかなかうまく労働移動はできないであろう、つまり雇用のミスマッチがどうしても生まれてくるかもしれない。そういうときに、本人が持っておる職業能力に対する評価、これがきちっとできれば、本人の能力に合った職務あるいは本人に適性な職務、労働者の気持ちに適した職業、職務、こういうところにスムーズに労働移動ができる。
 そういう意味では、今必要なのは、労働者の持っておる職業能力を適正に評価するシステムがきちっと確立をしていく必要があるのではないか。それがきちっと確立していかないと円滑な労働移動というのはなかなか難しくなってくる。本人の自己申告というのはかなりプラスアルファが加わっておりまして、会社側が要求する以上にほらも加わっていくでしょうし、思ったほどの人材ではなかったというようなことがあってはいけません。これは会社にとってもマイナスですし、本人にとっても決してプラスのことではない。
 そういう意味では、労働者の職業能力を適正に評価する、そういう公的なシステムを確立していくために職業能力の評価制度を充実していく必要があると思います。いかがでしょうか。
#85
○山中政府委員 先生御指摘のとおりだと思います。
 産業構造の変化の中で労働移動が今後相当増加することが予想される中で、やはり労働者が持っている職業能力というのを客観的に評価する制度というのが、就職のミスマッチを防ぐ意味でも、御指摘なされたそういう事態に対しても、非常に重要になってくるのではないかというふうに思います。
 私ども労働省では今、ブルーカラーを中心とした国家検定であります技能検定制度、これは百三十三職種ございますが、それと、あるいは技能審査認定制度とか社内検定認定制度を持っております。それともう一つ、ホワイトカラーの職業能力評価、非常に難しい問題がございますが、職業能力習得制度、ビジネスキャリア制度と言っておりますが、そんな四つの制度を中心として、これの普及充実に努めてきているところであります。
 先生御指摘のとおり、この評価制度、今後の経済構造の変化にどういう形で対応できるか、柔軟に対応できるシステムにする必要があるというふうに考えておりまして、個々の制度のあり方も含めまして、社会全体としての職業能力評価システムというものの再構築を行うことが重要ではないかというふうに考えております。私ども、有識者から成る研究会をつくりまして、具体的なニーズを把握しながら、労働移動の際の職業能力の客観的な評価とか、あるいは企業内での処遇、あるいは社会的評価の向上等に資するような職業能力評価制度の確立、あるいはホワイトカラーの能力評価の充実等々、そのような問題を中心に今後検討していきたいというふうに考えております。
#86
○青山(丘)委員 現下の社会情勢の中で失業者数がふえてきている。失業率は三・九%に、本当に上がってきた。有効求人倍率も低い。なお低くなっていくであろうと見られているような状況のときこそ、今の職業能力の評価制度というものが非常に重要になってきます。これが確立してくると、かなり労働移動が円滑にいくのではないか、そうすると雇用のミスマッチも少しずつでも解決、改善に向かっていくであろうというふうに私は思っています。
 そこで、私はもう一つ、短期大学校から大学校化について、進めていただく必要があると思って質問したいと思います。
 経済構造改革を進めていこうと思いますと、どうしても労働者の職業能力を高めていっていただかなければならない。有力な人材を育てていくということが非常に大きな政治課題になってきております。特に日本は、そういう意味では昔から、世界の国の中でも労働者の質の高い国という意味で、人材は比較的日本は恵まれているのだという言い方を長くされてきております。しかし、だからといって、では本当にそうかといえば、個々のケースは必ずしもそうではない。やはり国として人材をしっかり育てていくという姿勢が非常に必要であります。
 そこで、昨年法律改正をいたしましたが、職業能力開発促進法、これによって職業能力開発短期大学校を大学校に格上げすることといたしました。この大学校化のこれからの計画について聞かせていただきたい。特に、今回の緊急雇用開発プログラムの中にも「公共職業訓練の高度化の積極的な推進」が掲げられておりますが、これは大学校化を進めていくという意味なのだろうと思いますけれども、いかがでしょうか。
#87
○山中政府委員 昨年職業能力開発促進法を改正していただきまして、大学校化を図るということで進めるわけですが、この施行月日が平成十一年度でありますので、十一年度から三年計画で、現在の職業能力開発短期大学校を十校、ブロックごとに大学校化を進めたいというふうに思っております。当面、十一年度につきましては、職業訓練指導員を養成いたします神奈川にあります職業能力開発大学校と東京の小平にあります短期大学校を統合いたしまして、職業能力開発総合大学校を開設いたしたいと思いますとともに、三校の職業能力開発大学校化を図るという計画でおります。
 今回、緊急雇用開発プログラムの中で「公共職業訓練の高度化の積極的な推進」、御指摘のとおり、大学校化を早期に図りたいということで、四校の職業能力開発短期大学校についての施設の整備を先行的にやりたいということで、大学校化の取り組みを積極的に推進していきたいというふうに考えております。
#88
○青山(丘)委員 ぜひ大学校化をしっかり進めてください。働く人々の養成というのは、職業能力を開発していくということは、本人の資質を高めていくということは、本人の大きな財産でもありますけれども社会や国家にとっても大きな財産でございます。
 それから、冒頭、私が非労働力人口の話をいたしましたが、雇用失業情勢が厳しくなってまいりますと、どうしてもそのしわ寄せば高齢者や障害者のところに来ます。こういう方々が職につけないという形、みずから職業につきたいと思ってももうあきらめてしまわなければならないような厳しい就職状況。こういう状況は、結局、年金に頼っていくとか、医療の支出が増加してくるとか、そういう社会の現象になってきます。
 すなわち、高齢者や障害者が社会から支えられていくという立場は、社会全体にとっても決してプラスではない。そうではなくて、高齢者や障害者の人たちがみずから社会を支えていくという社会の方が、活力のある社会でもあるし、生きがいのある社会でもあるし、働きたいという人たちが働く職場がある社会は、やはりこれは充実した社会だと私は思う。
 そういう意味で、高齢者や障害者がみずから社会を支えていくという社会に転換していくことが非常に重要だと私は思う。そのあたりは大臣、いかがでしょうか。
#89
○伊吹国務大臣 全く私は先生の今の御意見に異存はございません。
 働くということは、経済的な報酬を得るということ以上に、みずから社会に参加して、みずからの存在感を確認するという大切な行為でございます。高齢者であろうと障害を持っている者であろうと、人間として生まれてきた限りその権利を持っているのは全く同じでございます。
 私は、高齢者の方については、あと十五年もすれば、これはもうお願いして働いていただかなければ日本の経済成長は維持できません。それ以外の方法は、外国人労働者に入ってきてもらうか、女性により一層社会進出してもらうか。まあ、やはり高齢者に働いてもらうということが一番摩擦なく日本社会を私は安定的に維持できると思います。それまでの間、六十五歳定年とは言えなくても、何とか六十五歳まで継続雇用の方向へ持っていけるように、まず基本的にはこれはやはり経済でございますから、景気の回復を達成して、先生がおっしゃっているような社会的損失の生じないようにしたいと思います。
 これは、障害者についても、私も地元で障害者団体の会長をしておりますが、やはりこの方々、完全参加と平等の立場に立って、何とかそういう方向へ持っていくためにも、法定雇用率の達成に向けて労働省としては努力させていただきたいと思っております。
#90
○青山(丘)委員 私の質問はこれで終わりますが、これまでの雇用失業情勢が本当に厳しい、厳しいと言われながらも、なお一層ここまで厳しくなってきました。このことは国家にとっても非常に重大な段階とどうぞ受けとめていただいて、先ほど来大臣が答弁しておられますように、四%台にならないように。私は、これをよほど厳しく受けとめていかないといけないということを最後に申し上げて、ひとつぜひしっかり雇用の安定のために取り組んでいただきますようにお願いをしておきたいと思います。
 終わります。
#91
○田中委員長 次に、大森猛君。
#92
○大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 率直に申し上げて、予想を超えるといいますか、三・九%、二百七十七万人の完全失業者。きょうの夕刊でも、各紙大きく、一面トップで報道をしておりますけれども、「最悪失業率 中高年逆風 派遣会社追い風」、あるいは「あすはわが身?失業時代」、社会面を使ってこういうさまざまな報道をしているわけなんです。
 この報道の中にもいみじくも指摘をされていると思うのですが、今回の完全失業率の三・九%、非常に高い数値である、最悪の数値だということも大問題でありますけれども、同時に、雇用の質の問題、これは後で触れますけれども、こういう問題とか、あるいは、特にこういう高失業率が既に恒常化し、構造化している。
 これは、歴史的に振り返ってみましても、六〇年代から七〇年代半ばにかけてはほぼ一%台で移行してまいりました。それ以降、バブルの時代を含めて二%台で、上下はありますけれども九〇年代初めまで二%台が続いてまいりました。そして、バブル崩壊と同時に三%台。以降ずっと三%台の、戦後最悪の高水準を持続しているということで、いわば構造化した、文字どおりのそれこそ失業時代という状況になっているんじゃないか。そういう雇用状況の悪化の背景にあるのが、これまで国内の企業では大リストラを強行して海外へどんどんどんどん移転をしていく、こういう大企業の横暴なやり方とか、あるいは国内におけるリストラの強行、こういうものがあると思います。
 大臣は、先日の当委員会でも、憲法の条項もお出しになってこういうぐあいにおっしゃっているのですね。国としては、その方々に働く場を用意するのが最大の責任であり、労働大臣としては、そこが一番大きなポイントだと思う。きようの午前中以降の答弁の中でも、責任等についても感じておられるというお話もありましたけれども、率直に申し上げて、大臣が昨年の九月に就任されて最初の失業率、十月の失業率がコンマ一ポイント上がって、さらに三・五から三・六、今三‘九ということになっているわけであります。
 これは、大臣の御発言だけじゃなくて、労働省設置法で労働省の仕事の大きな目的として「労働者の福祉と職業の確保」、これが第一に掲げてあるわけなんですが、こういう大変最悪の雇用失業状況をつくり出しているという点での大臣の責任をどのようにお感じになっているか、私はまずお聞きをしたいと思います。
#93
○伊吹国務大臣 大変失礼でございますが、これだけの失業をつくり出したというような行為は私はいたしておりません。与えられた経済政策や構造改革の中で失業を少しでも減らし、働く気持ちのある人にはできるだけ職を与えるように全力を尽くしてまいりました。
#94
○大森委員 大臣は、三月十二日の参議院の労働委員会で、短期的には雇用というのは経済政策そのものである、労働力というのは市場メカニズムの中で最も重要な生産要素の一つである、このようにおっしゃっているわけですね。ですから今、規制緩和、今後の金融ビッグバン、そういう中で、先ほど御答弁はありましたけれども、こういう高失業率が出てくるのはいわば一時的な過渡的な状況で、それは仕方がないというようなお考えはないですか。
#95
○伊吹国務大臣 薬は苦いから飲みたくないということはやはり通らないわけでしょう。ですから、将来的に体質を強化するためには苦い薬を飲まなければなりませんが、しかし、だからといって現時点で失業が生ずるのは仕方がないなどと考えたことは一度もございません。
#96
○大森委員 もちろん口が裂けてもそういうことは言ってもらったら困るわけなんですが。ただ、あなたは、当労働委員会でも他の委員会でもたびたび、サッチャーにおけるブレア、そしてレーガンにおけるクリントン、この問題を取り上げておられるのですね。
 例えば、同じ三月の参議院の労働委員会、サッチャーさんは大変な批判を受けて、失業率が大変高くなって国民生活が非常に苦しゅうございました、しかし、それを乗り切ったがゆえに今日のブレアさんの立場があるんだ、ブレアさんにお会いになったときに大いに評価してこういうことを言われたと。クリントンとレーガンとの関係でも同様のことをおっしゃっているわけですね。
 ですから、国民生活が苦しい、大変な時代だ、大失業時代、これを乗り切るのが自分の仕事で、いわばこういう三・九%ぐらいの失業はその意味ではもうしょうがないんだ、こういう文面を見ますとそういう感じを強く受けるのですが、改めて御見解をお聞きしたいと思います。
#97
○伊吹国務大臣 大森先生、失礼でございますが、この前の労働基準法の質疑のときも、一つの御自分のお立てになった方向に対して私の発言を御解釈をつけていただくのは自由でございますが、私の真意はまた別のところにございます。サッチャーさんは、あれだけの厳しい状況の中で、やはり国民の合意を得ながらそれを乗り切っていかれたということを言っているわけで、高失業率を放置されたということを言っているわけではございません。
#98
○大森委員 先般の委員会のことをおっしゃったので、ついでに私も申し上げますけれども、あえて私の質問を取り違えて、最後に私が反論できない状況でお話しになったのは大変遺憾だということを指摘をします。先日の委員会のことをおっしゃったから私も言わなくちゃいけないわけです。
 であるならば、こういう失業率を低くしていく本当に有効な手を打たなくてはならない、そのために、それこそ労働大臣が全力で力を注いでいくということが必要になるわけなんですが、そのためには景気回復等々が当然必要なわけなんです。
 そこで、政府が今回、総合経済対策を決定し、発表されました。しかし、これは市場の反応一つをとっても、円はどんどん売られる、株価は下がる。市場の面でもあるいは内外のマスコミの面でも、率直に申し上げて非常に評判が悪いというわけなんですが、いよいよきょう数字の点で、雇用創出効果は一体どのぐらいなのかという数字がありました。
 景気への効果という点でも、例えばこれは尾身経企庁長官の閣議後の記者会見でも二%、けさの答弁でも二%押し上げ、そして一・九%達成と。これを考えると、率直に、私など素人ですからあれですが、とにかく総合経済対策以前から一・九%の見込みがあって、一方で二%押し上げて、それで一・九%達成ということで、それじゃあの景気対策がなかったらマイナスだったのかということになるわけなんですが、景気に対する影響と、それから本当に有効な雇用の創出はどのぐらいになるのか、どう見ていらっしゃるのか、改めてお聞きをしたいと思います。
#99
○伊吹国務大臣 まず、マルクスの「資本論」やヒルファーディングの「金融資本論」の時代から市場経済というものの効果というものを否定しておられた共産主義の立場に立たれる先生から、市場の反応、市場の評価という言葉をいただいたということについては、私は大分御一緒に議論ができるという気持ちを率直に言って強くいたしました。
 今のお尋ねについて申し上げれば、先ほど来経済企画庁、あるいは労働省の政府委員が申し上げておりますように、今回の総合経済対策のパッケージというのは、約二%GDPを押し上げるという一応の試算をいたしております。
 企画庁の説明員が、一%の経済成長率が達成されれば何%の雇用が創出されるか、いわゆるGDPの雇用弾性値という数字を午前中説明を申し上げましたが、これによって大体、先ほどのお話でございますと三十万人から六十万人の新たな雇用が創出される。それ以外に、この中にございます、我々の方で準備をいたしました総合的な雇用対策のプログラムによって、先ほど政府委員が御説明申し上げておりましたように、雇用を維持していくという力が大体約四十万人、こういうふうに計算をいたしております。
#100
○大森委員 若干マスコミのことも申し上げたのですが、きのりの朝日新聞の世論調査で、今回の景気対策、評価せぬが四三%ということとか、これはある経済学者の方なんですが、特に減税を抑えて公共事業を拡大した旧態依然の内容ではデフレ圧力にさらされている国民の消費意欲を高める効果は薄いという形で、厳しい批判もされているわけなんですが、私どももこの面では、公共事業優先のそういう従来型の景気対策で、結局これは効果ないのじゃないかと。
 先ほど数十万人の雇用効果も言われたわけなんですが、これまで宮澤内閣以来六次にわたって経済対策をとってこられたわけですね。では、それで失業率が好転したか、この問題があると思うのですよ。これは総額で六十兆円以上、うち公共投資が四十八兆円以上ということなんです。九二年八月に第一回目があるわけですね。以降、九三年に二回、九四年、九五年、九五年と。完全失業率は九二年度二・二%。それが九三年は二・六%、九四年は二・九%、九五年は三・二%、九六年は三・三と。結局、当時も雇用の問題、景気の問題を言われたわけですが、これが何一つ効果なかった。
 その結果が、膨大な国と地方の五百兆に上る赤字をつくった。今回の財政構造改革を持ち出している、そういう理由をつくり出してきたと思うのですよ。同時に、今の三%台、そういう大失業時代の土台をもこの時代につくってきた。ですから、今回の景気対策では全く雇用の面でも効果ないということを私は率直に申し上げなくてはならないと思うのですね。
 この問題では、先般の日曜日にテレビ討論会等もありました。ごらんになったかどうかわかりませんが、例えば特別減税、きょうの議論でもありましたけれども、二年限り、恐らく二年後には結局これは増税になってしまうのじゃないか、こういう面で多くの皆さんの不安があると思うのですね。
 ちなみに、この点でも、新聞の社説ですけれども、「特別減税は、夫婦子ども二人の「標準世帯」で七万二千五百円。景気の悪化によって残業手当が減り、雇用不安も出ているなかでは、生活費に消えたり、貯蓄に回ったり、というのが「標準」だろう。」このとおりだと思うのですね。実際、経済活動の中でもこれは既に証明されているのですよ。
 つまり、二月に特別減税があったわけなのですが、ではこのときはどうか。百貨店、スーパーなどは、この特別減税実施に向けてわざわざ販売強化作戦をとった。ところが、二月の結果が出ました、百貨店六・六%減、スーパー五・〇%減と。ですから、こういう特別減税方式では、今の冷え込んだ、本当に凍りついたような消費を拡大していく、そういう効果はやはりないということは、つい最近にもこういう例で証明されているのではないかと思います。
 こういう点で、これは先般のテレビ討論会でも大きな論点の一つになったわけなのですが、今の消費不況を回復する上で一番効果的なのは、私どもがかねてから主張している、消費税を五%から三%に引き下げる。これは何も私ども日本共産党だけの要求ではなくて、あそこでごらんになったように、各党の中で議論の対象になるとか、いろいろな形でそれに対して、それを否定しない、むしろ肯定的な発言が目立つ、そういう状況もありました。同時に、NHKの討論会に出られた自民党の山崎政調会長も、これが景気拡大に効果があるということを事実上認められるような御発言もございました。
 したがって、今、景気回復、消費を拡大していくという上で、消費税というのは本当に、それこそ貯蓄しようにも、その減税は貯蓄が絶対にできない減税であるわけですから、消費しなくては減税効果がないという点で、今の景気を本当に回復していく、雇用を拡大していくという面での消費税引き下げについて大臣の御意見をお聞きしたいと思います。
#101
○伊吹国務大臣 私は、基本的には、今の景気は、これは日本共産党の皆さんもそういう御指摘をしておられる場合があるのですが、やはり金融機関が金融機関としての本来の機能を十分果たしていない、あるいは果たし得ないというところに大きな原因があると思います。
 先生御承知のように、消費性向は、昨年七二、三%、今六八%、これは平均消費性向です。つまり、なぜ平均的に消費性向がそれだけ落ちているかということは、限界消費性向はもっと落ちているということですね。ということは、やはり将来に対する不安があるからです。それは先生と私と同意見だと思います。不安があるから。本来であれば、実質手取り所得が落ちれば、生活水準を一定にしようとする限り消費性向は上がるのですよ、上がるはずなのですよ。特に所得の低い国では消費性向は一〇〇%近いです。それは、みんな食べなければ生きていけないからです。しかし、日本は不況で可処分所得が落ちているにもかかわらず消費性向は下がっているということですね。それは、やはり金融不安があるから、自分の企業の将来がどうなるのだろう、あるいは自分のお店の将来がどうなるのだろうとみんな心配しておられるから、生活を切り詰めて蓄えておられるわけです。
 だから、今の御批判が、所得税減税がきかない、時限的な政策減税がきかないということであれば、それは物価を下げるだけの効果しかない消費税減税でも同じようにききません。きくのは、消費性向をやはりもとへ戻すということをやらなければならないということです。それはやはり金融機関に金融機関らしい行動をとってもらえるような、あるいはとらすような、彼らの公共的責任を果たすということと、同時にまた彼らの不良債権を処理するということを考えねば、結局のところ、中小企業は困るということです。
 そういうことからいうと、消費税の減税というのは、もし先生が所得税の政策減税がきかないという前提でお話しになっているのなら、消費税の二%ダウンもきかないと私は思います。
 そして、あえて申し上げれば、消費税の二%減というのは、国庫に対して約五兆円の減収を生みます。義務教育が今ただで行われているのは、三兆円の国民からお預かりした税金を、先生方の給料を初めとして、投入しているからです。老人医療がおしかりを受けていますけれども、五百円、五百円、五百円、五百円と月二千円で一十万円かかろうと十五万円かかろうと、おかかりになった方はあと負担なしでやれるのは、国民からお預かりした二兆円の税金を入れているわけです。
 消費税を二%下げるということを提案されるのは結構でございますけれども、国を動かしていくためには、それでは義務教育の授業料を取るのか、あるいは老人医療の実費負担を老人に強いるのか、そうでなければ赤字国債を垂れ流すのか、そこのお話がついていかないと、政策としては完結しないのではないでしょうか。
#102
○大森委員 お聞きした点以外にも幾つか今お話しだったわけなのですが、一つは、私ども、所得税については恒久的な減税を要求しているわけなのですが、同時にその財源についても、内閣にも申し入れているわけなのですが、きちんと示しているわけですよ。
 今回の財政構造改革法、六年後を展望して、見通してやったはずが、わずか四カ月で骨組み自体を完全に抜いてしまう。しかも、一切聖域はつくらないと言いながら、これは後でも触れるつもりだったのですが、例えば雇用保険については国庫負担を大幅に削減して、いわばつまみ食いの形で、今度は公共事業の方は一切聖域を抜いてどんどんふやそうというわけでしょう。こういうところこそまずメスを入れるべきではないかということを言っているわけであります。
 加えて、おっしゃるように、可処分所得が横ばいであっても消費性向の方は下がってしまうというのは、今の将来不安。しかし、その将来不安を何に見るかという点ですが、この点では、広く指摘をされているように、社会保障等の切り捨てとか。それからこれは大臣には何度か申し上げているのですが、もう一つは、日本総研の報告でも、労働法制、賃金体系の大きな変化ということが将来不安になっているわけですね。したがって、お父さんの仕事はどうなるか、いつの間にか有期雇用に変えられてしまったというようなことがあってはやはりならないと思うのですね。そういう意味では、将来不安をなくすためには、今回の労働基準法の大改悪は撤回していただかなくてはいけないということを申し上げなくてはならないと思うのです。
 そこで、これは午前中にも議論がありましたが、いわゆる雇用を拡大する効果的な投資という点で、社会保障部門、医療部門、建設もしくは公共部門ということでその比較、産業連関表を使っての試算と質問がありました。あの場合、大阪一地域の事例でお話があったわけなのですが、地域によって違うのではないかという大臣の御答弁でした。
 私ども日本共産党の議員の方で、各自治体でああいう産業連関表に基づく試算を今やっていますから、二十都道府県と五つの政令市、これを全部取り寄せて集約したのですね。それによると、確かに、生産効果という点では、全体としては社会保障の方が上回っていますが、一部そうでないところもありました。しかし、雇用効果については、二十都道府県、五政令市、すべて公共事業を上回り、しかも二倍から三倍になっているというわけですね。
 ですから、これは参議院の地方行政・警察委員会で取り上げて、上杉大臣も、社会保障が経済成長に効果があるというような御答弁をその中でされているわけですね。ですから、こういう点を、やはり雇用拡大に一番責任を持つ大臣として、投資のあり方、私どもは今、国、地方を合わせて社会保障二十兆、公共投資五十兆、こういうお金は逆立ちしているのではないかということを本会議の席上でも予算委員会の席上でもたびたび指摘をしてきたわけですけれども、国の方でこのような試算をやっているかどうか、恐らくまだされてないと思うのですが、これはぜひ積極的に、投資のあり方を場合によったら大きく転回していくというお立場で、研究もし、取り入れてほしいと思うのですが、いかがでしょうか。
#103
○伊吹国務大臣 私、建設関係の委員会等でそのような御意見があったということを瓦建設大臣から伺ったことはございます。今また地方行政委員会でもそういうお話があったということも伺っておりますので、関係大臣とも一度よくお話をしてみたいと思います。
#104
○大森委員 それでは次に移りますけれども、今回の発表で、非自発的離職者が七十四万人になったのですね。前年同月との比較で、昨年九月まではずっと減少を続けていたのが、これも大臣の就任の時期と同じ時期からふえ始めて、ついに六カ月連続増加となったわけですね。この七十四万人、前年同月より十九万人増となっているわけなのですが、企業倒産、それからリストラ等によってそれぞれこれは区別はされるでしょうか。
#105
○澤田政府委員 毎月発表になります労働力調査では非自発的離職の理由はわかりません。したがいまして、毎年二月にやっております労調の特別調査で申し上げますと、直近、平成九年二月でございますが、非自発的離職のうち、主なものは、会社倒産等のもの、それから事業不振によるもの、定年等によるもの、こういう項目がございます。
 平成九年二月の場合を申し上げますと、前年、平成八年二月に比べて、前年比プラスでありますのは、人員整理、会社倒産という項目がプラスでございまして、他の事業不振、定年等は平成八年二月比でマイナスになっております。
#106
○大森委員 もう一つ、今の大きな特徴として大量雇用変動、いわゆるリストラ、職安の方に届けなくてはならないリストラですね、これが急激にふえているのです。これを職安に届け出があったものでいいますと、これは事業所の数ですが、一九九三年以降二倍近い、六百から八百に近い数字てずっと移行しているわけてす。
 それから、最近の統計でいいますと、昨年二月に比べてことしの二月、三月の数字が出ているかどうかわかりませんけれども、事業所の数で六十一件から百三十三件、二倍以上ですね。労働者の数では、三千六百七十二から一万一千五百三十七というぐあいに、急激にふえているわけですよ。こういう中では当然届け出があったものについて、労働省の方では解雇規制に関する四要件、これをお持ちになっていると思うのですが、そういう点からの厳密なチェック等はなされているでしょうか。
#107
○伊藤(庄)政府委員 御指摘ございました解雇をめぐる問題でございますが、労働基準監督機関も、失業防止のための雇用対策等と連携をとりながら、管内の産業経済状況の把握に努めておるところでございます。
 そうした中で、解雇等をめぐる事案が把握された場合におきましては、もちろん先生御指摘のように、解雇につきましては労働基準法上の一定の手続が要請されております。この点につきましては、その履行等に問題があるものについては厳正に対処いたしておるところでございます。
 さらに、解雇につきまして、合理的な理由を欠いて社会通念上相当でないと解されるような解雇については無効であるという判例、法理や、あるいは御指摘ございましたように、整理解雇する場合のいわゆる四要件の必要性等もございます。私ども、そういったものにつきまして、啓発用の資料、パンフレット等を作成いたしまして、事業主の方に配布し周知に努める、また労働基準監督署に労働条件相談員を配置いたしまして、そういったところを通じて、把握された事案に応じて、そういった資料に基づいて適切な指導を行っておるところでございます。
 今御審議をいただいております労働基準法の改正法案におきましても、そういった解雇をめぐる民事上の問題につきまして、新たに労働基準法におきまして、そういった事案をめぐる個別の紛争につきましては、労働基準局が民間の学識経験者の参画も得ながら、早目早目に事実関係を整理し、裁判を待たずとも助言や指導を行っていくシステムを労働基準局の任務とするべく、改正法案の御提案を申し上げておるところでございますので、よろしく御審議をお願いしたいと思います。
#108
○大森委員 もう時間がありませんのでこれで終わりますが、きょうの日経新聞の夕刊でも「リストラ解雇やり方露骨に」こういう形で大きな見出しに出ておるわけですね。先ほど、そういう解雇権の乱用を防ぐためにパンフレットもつくって普及しているということなのですが、まだできてもいない法案をパンフレットにして配る余裕があれば、こういう啓発普及のパンフレットはもっともっとたくさんつくって、ぜひ徹底していただきたいということをお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
#109
○田中委員長 次に、濱田健一君。
#110
○濱田(健)委員 社会民主党の濱田健一でございます。
 けさ発表されました三月の雇用統計を見まして、この委員会に出席したすべての委員が予測しておりましたとおりに、〇・三ポイント失業率が上がったということを含めて、厳しい状況をこのきょうの論議の中で認識をしつつ、その解決に向けてのさまざまな論議をしてまいりましたが、最後の質問でございますので、その辺のおさらいをしながら、若干細かい点について大臣と政府委員にお伺いをいたしたいと思います。
 まず、三月の失業率、有効求人倍率等で見ても、既に明らかになってまいりましたどおりに、雇用失業情勢は大変厳しい状況にございます。当然、現下の経済状況や景気の低迷がその状況に一番大きなウエートがかかっているというふうに認識できるわけですが、役所としては、本日出されましたこの統計に対して、どのような認識といいますか、原因といいますか、そういうものをとらえていらっしゃるか、まずはお聞きしたいと思います。
#111
○征矢政府委員 先生御指摘のように、三月の雇用失業情勢につきましては、完全失業率が、現行の調査方法となりました昭和二十八年以降最悪の三・九%と、我が国としては高い水準で推移しておりまして、また有効求人倍率も〇・五八倍と、これは七カ月連続して低下しておりまして、厳しさが増しているというふうに認識いたしております。
 この数字に見られるような厳しい雇用失業情勢につきましては、基本的には、労働大臣がたびたびお答え申し上げておりますように、金融への不安から、企業に先行き不安が広がり、それに伴う国民の将来に対する不安の高まり、そういうことから消費性向が低下しておりまして、これにより景気が停滞していることが最大の原因であろうというふうに考えております。
 あわせまして、一般的に、趨勢的に失業率が、これは先ほど来御質問にもございましたが、一%台から二%台、それがさらに三%台というふうに高まってきておりますが、これは、均衡失業率という一有効求人倍率が一倍であってもなおかつ失業している状態というふうにお考えいただいてよいかと思いますが、この均衡失業率が趨勢的に高まってきている、そういうこともございます。
 これは、生活水準が高くなりますと、ミスマッチが大きくなる、自分の希望する職場があるまで就職先を探す。こういうようなことから失業率が高まる、そういう傾向もあるわけでございまして、現状においては、この均衡失業率は恐らく二・七%程度ぐらいであろうというふうに考えております。
#112
○濱田(健)委員 二十四日に経済対策閣僚会議が行われまして、総合経済対策という形で、労働省関係も幾つかのプログラムがあります。きょうの論議の中でも、大臣の努力が足りないというような話なんかが出ている、これはちょっと言い過ぎだなと私は思っているわけでございますけれども。打つ手打つ手、改善されているところも私はいっぱい見聞きしていますし、その認識が強いわけでございますが、今のこの状況の中でもっとインパクトのある対策を講ずるとしたら、大臣はどういうところに一番ウエートを置かれようと決意をしておられるか、お聞きしたいと思います。
#113
○伊吹国務大臣 先ほど大森先生の御質問にも私はお答えをしたのですが、今政府委員もお答え申し上げましたように、現在の不況の原因は、やはり将来の不安に対する消費性向の低下。消費性向が低下するために、小売屋さんはやはり小売の仕入れを抑えられる。卸は当然それを見ながら、メーカーに対する発注を抑える。メーカーはそれを横目に見ながら、雇用調整をするか、それとも将来の設備投資を抑制していく。ここに原因があるわけですから、不安を取り除くということが何より大切なことだと私は思います。
 したがって、先ほど来、パッケージの内容あるいはその中の労働省の雇用プログラム等についての御審議がありましたが、実は私が特に申し上げて、金融システムの信認回復と金融デフレの解消という一項目をリード部分に入れてもらった。これは私が申し上げたからなんですが、私は残念ながら大蔵大臣ではありませんので、それだけの権限はありませんが、今これをやることが最大のポイントだと思っております。
#114
○濱田(健)委員 我が党では、ノンバンク社債法というのを、今自民党の皆さん方と検討を加えているわけでございますけれども、あの中で、消費動向を高めるために、減税その他、さまざまな経済対策を打つ、支出をふやすという努力はしているわけですが、逆に言うと、例えばノンバンク、今最高利率四〇・四%ですかね、規制法の枠内で。昔は一〇九%と物すごく高かったわけですが。これで、国民の皆さん方が、ちょっと数字は忘れてしまったのですけれども、いわゆる可処分所得よりもこの部分での借金が、可処分所得を一〇〇とすると一一五あるというふうに言われております。ある方は、こういう部分のいわゆる率というのもマーケットに応じて、市場の変動に応じて変えていかなければ、大臣が常日ごろおっしゃる安心というものが育っていかないというようなことも言っておられます。
 別な委員会の話になってしまうと思うのですが、やはりいろいろな経済対策を、消費動向を高めるという意味では、目のつけどころをもっともっと私たちは、鋭い感覚で、勉強しながらやっていかなくてはいけないなというふうに思っているところでございます。
 それで、今回の総合経済対策の中で、いわゆる緊急雇用開発プログラムというものが織り込まれております。箇条書き的に言うと四つの項目がございます。「雇用の維持・安定対策」「離職者等への対策」「新規雇用創出対策」「勤労者への情報提供・相談機能の充実・強化等」というふうにございますが、これについて、役所としてはどこに一番重点を置いて雇用対策を進めていこうとされておられるのか、その辺のポイントをお願いいたします。
#115
○征矢政府委員 ただいま御指摘の緊急雇用開発プログラムにおきまして、具体的な内容として四つの点についての御指摘ございましたが、私ども、これについてどこを重点に置くか、こういう点になりますと、これはすべてに重点を置いてやる、こういうお答えになろうかと思います。
 と申しますのは、対策自体が対象者の方々の状況によって対応が異なるわけでございますが、現下の厳しい雇用失業情勢の中で、いずれも重要な対策である。失業の予防という点、あるいは具体的に離職された方々の再就職の支援、あるいはやや長期的な話になりますけれども新規雇用創出のための支援、あるいは離職者の方々等についての具体的な雇用労働相談、そういうものでございまして、そういう点について、いずれも重要であるというふうに考えております。
#116
○濱田(健)委員 役所としてはそういうふうに答えざるを得ないということはわかりながら質問をしているわけでございますけれども。
 では、このプログラムを実施するためには、当然さまざまな財源措置等々が必要でございます。雇用保険についてこの前論議をしたわけでございますが、このプログラムを実施することによって、雇用保険の雇用安定資金の残高にどのような影響を与えることになるのだろうかなということを私は考えているのでございます。また、雇用失業情勢がさらに厳しくなったときに、さらなる対策を講じるために新たな財源というものが必要になってくるというふうに思うのですが、その辺のことはしっかり考えておいていただいていると思いつつ、質問をしているところでございます。
#117
○征矢政府委員 ただいま御指摘いただきました財源の点でございますが、雇用安定資金、これに蓄積しております資金は、まさに厳しい雇用失業情勢のときに機動的に対策をとるための財源として、好況時に資金を積み立てて不況時に集中的に出動させる、こういう考え方での仕組みでございます。
 ただ、それでは現実に具体的にどのぐらいの対策をどうとるかという点につきまして、今回、現時点での総合経済対策、補正予算としては過去最大規模の五百億円という積算をいたしているわけでございます。
 これにつきましては、先ほども申し上げましたように、後年度負担を相当伴う特定求職者雇用開発助成金の年齢の四十五歳まで引き下げ、こういうことも含めまして対策をとる必要がある、こういうことで検討をいたしているわけでございまして、雇用安定資金の残高、これは平成八年度末において約二千億円を超えておりますが、平成九年度決算、これはまだ現時点では不明でございますが、さらに積み増し可能というふうに考えております。そういう中から当面五百億円を取ります。これの関連対策で、当然後年度負担も覚悟をする。その上でさらに、今後の御指摘でございますが、先ほど大臣もお答え申し上げましたように、現時点では、今回の総合経済対策をとることによって今年度の経済成長率、これを何とか一・九%程度を確保する、そういうことによって雇用失業情勢も回復していくということを期待しているわけでございます。
#118
○濱田(健)委員 今回の雇用保険の論議の中でも、その辺の心配というのは十分各委員から出されましたので、これからもしっかりと気をつけながらやっていただきたい。
 もっと論議したいのですが、ちょっと時間がございませんので、次に行きます。
 御案内のとおりに、賃金確保法に基づく未払い賃金の立てかえ払い制度というのがございます。今回、この総合経済対策において「未払賃金立替払の迅速化」という項目が入っております。
 これは、今のこういう状況だから迅速化するということではなくて、当然、いつのどういう状況の中でも、こういう手続というのがきちっとなされれば、支払いについて制度としてあるわけでございますから迅速に処理されなければならないというふうに私は考えるわけでございますが、今ある状況に比較してより迅速化するということであれば、そのシステムなりなんなりをどのように迅速化していくのか、変えていくのか。その具体がございましたら、教えていただきたいと思います。
#119
○伊藤(庄)政府委員 御指摘ございました賃金の立てかえ払い制度は、法律上の倒産から事実上の倒産まで含めまして実施いたしているものでございまして、ケースによりましては確かに支払いまで期間を要するケースが出ているわけでございます。ただ、最近の状況を見ますと、この賃金の立てかえ払いの件数、金額とも増加いたしている状況にございまして、そういった状況の中で、働く方々の貴重な生活の原資である賃金を一日でも早く立てかえを行っていかなくてはいけない、そういうことから、今回の総合経済対策においてその迅速化ということのための対策を織り込んでまいりました。
 ただ、私ども、先生御指摘のように、これが一時的なものではなくて、今後、事務処理体制として定着させて、将来にわたってそういった迅速化ということにつながっていくように、これは万全を期してまいりたいと思っております。
 今回のこの迅速化のための対策でございますが、具体的に申し上げますと、全国の労働基準監督官が倒産等の情報を早期に内容を把握いたしまして、それに基づきまして、事実上の倒産等も含めて倒産の認定、未払い賃金額の確認等を迅速に、速やかに行い得る体制を整備する。
 そのための一環といたしまして、全国の労働基準局や主要な監督署に相談コーナーを設置いたしまして、事前から労使の相談を受け付ける体制を整える。また、機動的に対応する必要がある場合には、事業場等の近くにおきましての現地の臨時相談を開催する。さらには、そういった破産管財人等の方へ制度の内容あるいは早期救済の要請といったことを伝えて、早期にこういった迅速処理に向けての事務処理が開始されるように対応していく。
 そういった一連のことを有機的に組み合わせて効果的に実施していくということを考えております。
#120
○濱田(健)委員 次ですが、今回の雇用保険法の改正で教育訓練給付制度というものができました。施行はことしの十二月一日ということでございます。現下の厳しい雇用情勢の中で、また失業を予防するという観点からも、この新しくできた仕組みを使いながら、労働者一人一人がみずから職業能力開発を行っていくということは当然大事な一つのプログラムであります。
 行政としては、今国会で改正されました雇用保険法により創設されていきます教育訓練給付の活用を始めます。それで労働者の職業能力開発を一層支援する必要があると考えますが、これを活用しながらより一層の取り組み強化という点について、御見解があればお聞かせいただきたいというふうに思います。
#121
○山中政府委員 先生御指摘のとおり、主体的な能力開発、自己啓発は、失業を予防する点からいきましてもやはり非常に重要な課題だというふうに認識いたしております。
 私ども、今回の緊急雇用開発プログラムにおきましても、具体的に申し上げますと、勤労者に対して有給休暇を与えるとか訓練費用を見るとか、そのようなことの配慮を行う事業主に対して助成措置、自己啓発助成給付金という制度を持っておりますが、その助成率を引き上げるなりして、これに対応いたしたいと思っております。また、労働者に対して直接する支援制度として、今回御改正いただきました教育訓練給付の円滑な実施ということで努力して、主体的な能力開発というのに重点を移して、今後積極的に努力していきたいというふうに考えております。
#122
○濱田(健)委員 次は、私の地元でも、高等学校や、まあ中学校卒業者というのはわずか〇・数%ですが、そこで就職される皆さん方ですね、ことしは随分厳しかったということを聞いているのですが、ことし三月の高卒、中卒者の就職内定状況はどうなっているのでしょう。
#123
○征矢政府委員 ことしの高校、中学新卒者の就職内定状況でございますが、本年三月末現在におきまして、高校が九六・二%、これは前年同期より〇・五ポイント低下、中学校が八六・八%で前年同期より一・九ポイント低下と厳しい状況でございます。
 この原因といたしましては、やはり御承知のように、昨年後半以降景気の停滞の影響を受けまして企業の採用意欲が減退したことなどが背景にあるものというふうに考えております。
 私どもとしましては、この未就職卒業者につきましては六月末までこれを新卒者として扱いまして、引き続き学校等教育機関とも密接な連携を図りながら、できる限り早期の就職促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
#124
○濱田(健)委員 若年といいますか、若い皆さん方が、最初勤めるという表現の仕方はどうなのかわかりませんが、その段階でなかなか厳しい状況がある。地域間格差もあるという表現をされました。
 こういう若い、十五、十八という皆さん方の未就職卒業者と申しますか、また来年三月卒業予定の新規学卒者等についてどのような対策を講じていったらいいというふうにお考えか、その辺の展望を示していただきたいと思います。
#125
○征矢政府委員 新規学卒者を取り巻く就職環境につきましては、景気の停滞の影響を受けまして、企業の採用意欲の減退などから求人が減少し、多くの未就職卒業者が生じておりますとともに、来年度の採用を抑制する企業の増加傾向も見られます。引き続き厳しい状況になることを心配いたしております。
 こうしたことから、私ども、学生職業センター等におきまして、来年三月卒業予定の新規学卒者向け求人はこの四月一日から受理、公開しているところでございます。
 また、先日取りまとめられました総合経済対策におきます緊急雇用開発プログラムにおきましては、未就職卒業者を含めた新規学卒者の就職促進を図るため、学生職業センターの相談体制の充実を図り、求人の確保、きめ細かな職業相談、紹介を実施すること、全国の学生職業センター等におきまして受理した求人情報をダイレクトメールやインターネットを活用して迅速に提供すること、新規学卒者を対象とした就職面接会や未就職卒業者を対象とした就職面接会を積極的に開催すること等を実施いたしたいと考えているところでございます。
#126
○濱田(健)委員 総合経済対策の中で、「雇用対策」というところの緊急雇用開発プログラム、先ほど申し上げましたが、このDにぽつんと、変な意味ではないのですが、「地域における育児・介護情報提供機能の強化等仕事と家庭の両立支援対策を実施する。」という項目が盛り込まれております。
 エンゼルプランかれこれ厚生省等々の施策とジョイントしながら、働く場の確保、働きやすい条件づくりという意味で、こういう形で書き加えておられるというふうに思っているのですが、労働省がやる部分としてのこの文章というものの具体性がちょっと私自身わからないものですから、その内容を教えていただきたいということと、これにとどまらず、仕事と家庭の両立支援のための新たな対策ということを講じていかれるおつもりがあるのか、この二点。
#127
○太田(芳)政府委員 総合経済対策に盛り込まれております両立支援対策は二つございまして、一つは、保育施設とかホームヘルパーなど、育児、介護のサービスに関します地域の具体的な情報を電話で提供する事業、これはフレーフレー・テレフォン事業と申しまして、これまでもやっておるものでございますが、これの実施箇所を拡大をしたいと思っております。それから、保育サービスを実際に提供を希望する方々がおられるわけですので、こういう方々の情報の提供というものにつきましても強化をしたいというのが第一点でございます。
 二つ目が、育児、介護などを理由に退職をした方々の再就職の支援でございますが、これもこれまでやっておるわけでございますが、こういう経済状況のもとでございますので、こういう方々の再就職の支援もより一層力を入れていく必要があるだろうということで、緊急相談会とか再就職準備緊急セミナーというものを開催したいというふうに考えているものでございます。
 それから、先生御指摘の二つ目の、仕事と家庭の両立をどのように図っていくかという問題でございますが、これは御指摘のとおり非常に重要な問題であるというふうに考えておりまして、これまでもいろいろとやってきておりますが、今後ともこの問題につきましては積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
#128
○濱田(健)委員 女性局長は女性の働く場の環境を育児の面で整えていくというふうに回答されたと思いますが、それは当然必要なことなのでございますけれども、働く場がなくなっていっている現状とこの施策がきちっとかみ合う方向性をどう見つけるかというのが今の私たちに求められていることでございます。
 最後に大臣に、そういうことを含めて、今回の総合経済対策によって雇用失業情勢をどのように改善していくことになるのか、ある意味でいうと大臣の決意と申しますか、役所の決意というものをお伺いして、質問を終わりたいというふうに思います。
#129
○伊吹国務大臣 濱田先生よく御存じだと思いますが、この総合経済対策を立てますときに、この雇用の部分に載っております施策は我々はすべて準備をしておったわけですが、新たに「雇用対策」という一項目を起こしていただいたのは、これは、まさに与党協議の中で社民党の御努力が大変あってできたものでございます。
 何より働く方のことを考えながら社民党は御努力をなさっているわけでございますので、私たちは与えられた労働省の政策ツールの中で最善を尽くし、同時に、私自身は国務大臣としてさらに言うべきことは閣議でも申し上げながら、先ほど申し上げましたように、四%台に乗るなどということのないように全力を尽くさせていただきます。
#130
○濱田(健)委員 ありがとうございました。
#131
○田中委員長 以上で本日の質疑は終了いたしました。
 次回は、来る五月六日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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