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#1
第142回国会 商工委員会 第16号
平成十年五月二十二日(金曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 斉藤斗志二君
   理事 石原 伸晃君 理事 小此木八郎君
   理事 岸田 文雄君 理事 茂木 敏充君
   理事 大畠 章宏君 理事 松本  龍君
   理事 太田 昭宏君 理事 西川太一郎君
      甘利  明君    小川  元君
      岡部 英男君    奥田 幹生君
      木村 義雄君    古賀 正浩君
      河本 三郎君    新藤 義孝君
      鈴木 俊一君    竹本 直一君
      武部  勤君    中島洋次郎君
      中山 太郎君    野田  実君
      林  義郎君    村田敬次郎君
      山口 泰明君    川内 博史君
      北脇 保之君    島   聡君
      島津 尚純君    中川 正春君
      古川 元久君    渡辺  周君
      旭道山和泰君    坂口  力君
      宮地 正介君    青山  丘君
      小池百合子君    大森  猛君
      春名 直章君    横光 克彦君
      河村たかし君    伊藤 達也君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  堀内 光雄君
 出席政府委員
        通商産業大臣官
        房審議官    杉山 秀二君
        中小企業庁官  林  康夫君
        中小企業庁計画
        部長      中澤 佐市君
 委員外の出席者
        大蔵省主税局税
        制第一課長   伏見 泰治君
        商工委員会専門
        員       野田浩一郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十二日
 辞任         補欠選任
  小川  元君     鈴木 俊一君
  川内 博史君     古川 元久君
  原口 一博君     中川 正春君
  中野  清君     旭道山和泰君
  吉井 英勝君     春名 直章君
同日
 辞任         補欠選任
  鈴木 俊一君     小川  元君
  中川 正春君     北脇 保之君
  古川 元久君     川内 博史君
  旭道山和泰君     中野  清君
  春名 直章君     吉井 英勝君
同日
 辞任         補欠選任
  北脇 保之君     原口 一博君
    ―――――――――――――
五月二十一日
 中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する
 法律案(内閣提出第八一号)(参議院送付)
同日
 中小業者の仕事を確保するための緊急対策に関
 する請願(大森猛君紹介)(第二八一一号)
 大店法の緩和反対、緊急規制強化に関する請願
 (大森猛君紹介)(第二八一二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する
 法律案(内閣提出第八一号)(参議院送付)
     ――――◇―――――
#2
○斉藤委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律案を議題といたします。
 これより趣旨の説明を聴取いたします。堀内通商産業大臣。
    ―――――――――――――
 中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する
  法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#3
○堀内国務大臣 中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 我が国経済においては、近年、企業の廃業率が開業率を上回るという状態が続いており、また、本年四月からの自己資本比率規制の導入に伴う金融機関の貸し渋りにより、借り入れに依存してきた中小、中堅を初めとするベンチャー企業の事業活動が深刻な打撃を受けております。
 この状況を打開するためには、ベンチャーキャピタルによる投資活動を活性化し、株式未公開の中小企業等に対して物的担保の不要な資金が円滑に供給されるようにするための制度的整備を図ることが喫緊の課題であります。
 以上のような認識のもと、ベンチャーキャピタルが資金を多数の投資家から集める仕組みとして利用されている民法上の組合についてさまざまな制度的制約が指摘されていることを踏まえ、中小企業等に対する投資事業に適した新たな組合契約の制度を確立するため、本法律案を提案した次第であります。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、本法律案に基づく組合は、中小企業等に対する株式等投資、経営指導等の事業を行うものであることとしております。
 第二に、組合は、業務を執行する無限責任組合員と、出資した金額の範囲で責任を負う有限責任組合員とで構成されることとしております。
 第三に、組合契約の第三者に対する公示のため、登記制度等を設けることとしております。
 第四に、組合員による組合の財務及び業務に関する正確な情報の入手を確保するため、無限責任組合員に財務諸表及び業務報告書の作成及びこれらの書類に関する公認会計士及び監査法人の意見書の添付等を義務づけることとしております。
 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
#4
○斉藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○斉藤委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島聡君。
#6
○島委員 民主党の島聡でございます。
 中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律案につきまして質問を申し上げたいと思います。
 私も、これからベンチャー企業の育成が我が国経済に活力を与えるということは非常に重要なことだと思っております。よく言われる話ですが、日本の開業率というのは長期的に低落傾向をたどっておる。一九七二年に七%ぐらいだったのが、九〇年に、ちょうどバブルが崩壊したころに開業率と廃業率がクロスしまして、廃業率がちょっと
上回った。そしてだんだん低落傾向をたどって、今大体開業率は三・六%ぐらいになっている。これが非常に日本のダイナミズム、よく日本は少子社会になったからダイナミズムが失われたと言われていますけれども、企業の社会も少子社会になっている。だから、子育て支援ではありませんが、いろいろな意味でベンチャーの支援策を整備するということが私は極めて重要なことであると思っておりますっ
 それで、アメリカの支援策の一つであるベンチャーキャピタルを見ますと、例えば日本とアメリカを比較しますと、まず大きく違うのは、日本の場合は年間投資額、九五年度で千六百四十四億円なのに対して、アメリカは一兆円以上ある、一兆二十三億円ある。一件当たりの投資額も、日本は六千六百万円なのに対して、アメリカは六億六千七百万円だ。一件当たりの投資額が十倍近くあるわけです。
 問題は、資金調達先、それだけの資金を調達しなくちゃいけないわけですが、どこから調達しているか。日本の場合は自己勘定による投資が七割で、資金源として銀行借り入れが多い。アメリカの方はファンドが中心で、資金源の半分は年金基金である。そういうことを見て、今回の法案、新しい有限の組合員をつくって年金基金も投入をできるようにしようという思いでつくられたのだろうということは十分に推察できるし、その大まかな流れというのはなるほどなと思うわけであります。
 ただ、タイミングが問題でありまして、そこをきちんときょうお聞きしたいのですが、いわゆるベンチャーキャピタルというのはハイリスク・ハイリターン、そういう特徴を持っているのは当然であります。ハイリスクなわけであります。ハイリスクだからハイリターンになる、それは当然の話であります。
 それで、本来非常に安定というのを求めなくちゃいけない年金基金、アメリカでも、このハイリスク先に投資できるようになったのは、一九七九年の労働省による規制緩和からなわけですね。最初は年金基金も一五%ぐらいしがなかったのがだんだんふえてきて、ファンドの中の全体に占める率が九〇年には五三%ぐらいになって、今でも四割ぐらいある。つまり順調に成長してきたわけです。
 日本もできたらこういうふうに順調に成長してほしいと私は思っておるわけですが、なぜこんなことができたのか。ハイリスク一八イリターンであるベンチャーキャピタルに、年金基金、これは非常にローリスクであって安定を求めなくちゃいけないものですが、やらしてよかったか。そしてさらに、それが順調に成長しているのはなぜかということでございますが、最大のポイントは、もちろん、こう言われると思いますね、年金基金の中の比率から見ると少ないからいいのだ、ポートフォリオ的にはハイリスクを入れてもいいのだという話があると思うのですが、長期的に伸ばそうと思えば、要するにベンチャーキャピタルに投資して、年金をファンドとして使ってもらって、その利回りがある程度回っている、それがあるからこそアメリカの場合は順調に成長してきたと思うのです。
 だから、今ハイリスク・ハイリターンであるベンチャーキャピタルに年金基金を投入するような促進策をとるということは、日本でも順調にこれが成長していくという見通しがあって今の時期にこの法案を提出されたのですか、大臣にお尋ねします。
#7
○堀内国務大臣 見通しがあってというよりも、現在の開業率が廃業率を下回るような状態、ベンチャー企業がいろいろ事業を起こそうという熱意を持っていてもなかなか資金が集まらない、そういう状態のときに、まず資金の供給先というものをしっかり考えていくことが一方において重要ではないか。片方において、ベンチャービジネスの人たちもなかなかいいアイデアを持っていい仕事を進めているわけでありますが、それが事業的な面で、資金的な面で行き詰まりを来しているというような面もございます。そこにべンチャーキャピタリストというような方々もだんだん育ってまいりまして、そういう方々がこういう仲を取り持ちながら、いいベンチャー企業に対していい資金提供先を提供できるようにするというような土壌もでき上がってきたというような全体の様相を眺めてまいりますと、タイミングとしてはいい時期になってきているのではないかというふうに私は感じております。
#8
○島委員 本当に年金基金が、多くの人がベンチャーキャピタルというのを日本としても育てよう、将来、ポートフォリオ的にいって日本の年金というのは多いですから、公的年金で百六十兆円、企業年金で六十兆円、合計で二百二十兆円にもなる、例えばその一%ぐらいでも二兆円あるわけですから、それを投入していくような道をつくっていくということは、私は非常にいいと思っているのですよ。
 経営者である大臣にはもう釈迦に説法でしょうけれども、今大臣が説明されたのは、極めてベンチャーキャピタル側の論理なんですね、今こういうふうに伸びている。でも、経営というのは、全く釈迦に説法でしょうけれども、環境に適応する。特にベンチャーキャピタルというのは、あくまでまだ小さな、経営的には非常に弱い体質を持った企業だから、支援が必要なわけです。今の環境というのは本当にいいのだろうかということはつくづく思うわけです。
 つまり、この年金基金がこういうことにできました、制度はつくった、お金を出した。そして結局、ベンチャーキャピタルでありますから、後でも聞きますけれども、要するに、一番の回収の王道というのは、それが上場して、株が上がって資金を回収する、それが一番王道だと思います。それがどんどん来れば、例えば、最初は大丈夫かなと思っている企業も、あるいは年金担当者も、ああこれはうまくいきそうだからということでどんどんいって、日本のベンチャーキャピタルのファンドはあくまで年金が四割、五割を占めているという形にするというのが望ましいと私は思っている。だけれども、今は大丈夫なのかということを今から言います。
 今大臣がおっしゃったのは、非常にベンチャー側が伸びてきているからやると言われた。例えば、アメリカというのは、今申し上げた、一九七九年に労働省による規制緩和を受けて年金基金。その後アメリカは、ちょうど大企業のリストラの時期でもありました。リストラクチャリングの時期でもありました。そういうこともあって、これは日本と似ているかもしれませんが、一生懸命スピンアウトしようとする人間たちがホワイトカラーの中でいたわけです。
 同時に、当時、パソコン、積極的な情報投資がどんどん進んでいたのです。情報投資が進んでいって、パソコンがどんどん普及して、その需要があったから、その大きな流れにハイテクベンチャー企業がうまく乗ったわけです。今の日本というのは、そういうどんどん伸びていく需要があるのか。財政構造改革法の法案のときにもいろいろ私申し上げたことがありますけれども、果たしてそのような状況にあるのかということをもう一度、大臣、お尋ねしたいと思います。
#9
○林(康)政府委員 お答え申し上げます。
 確かに、ベンチャーが育つ基盤と申しますのは、現実に経済が相当活気を帯びているということが望ましいわけでございますが、ただ、日本の場合には、中小企業を初めとするベンチャー企業が長い間間接金融に大きく依存してきたことも事実でございます。現在、その間接金融が大変、特にベンチャー企業にとっては難しい状態になっている状況でございまして、すぐれた技術、発展の可能性のある企業であっても、現実問題としては金融が受けられない、こういう事態になっている状況にあるわけでございます。
 また、投資側からしますと、特にベンチャーキャピタル側からしますと、一つ二つの企業のリスクはありましても、相当数のベンチャー企業に対して投資することによって、かなりリスクを分散することができます。よく十ぐらいやって二つか
三つ上場できれば大成功だというくらいの話があるわけでございますが、そういった可能性は、現在の日本におきましてもかなりの可能性として存在しているのではないかと思っております。現に、アメリカのベンチャーキャピタルが日本の企業に投資しているケースというものもあるわけでございます。
 そういった現在の金融情勢、そして日本の企業の持つ将来性等を考えますと、日本においてもこういった可能性が十分存在しているのではないか。また、現にその間接金融が困難な事態になっておる現下の状況のもとでは、こういったパイプが広がることによってベンチャーキャピタルが育つ基盤がかなり存在しているのではないかというのが私どもの理解でございます。
#10
○島委員 私は可能性を否定しているわけじゃありません、まず先に申し上げます。もちろん、今おっしゃったようなことは当然あると思っていますし、それは十分だと。
 繰り返しになりますけれども、年金基金が段取りをやっていくためには、きちんと、要するにこれはあくまで投資なんですから、長期的に見て利回りがいいような形にしないと、これは当たり前の話ですけれども、ファンドとして成長していかないわけであります。
 それで、もちろんベンチャー側からしたら、それは今芽があるけれども、まずこれだけ確認させてください、大臣、経済状況はそれほど楽観を許す状況じゃないでしょう、どうですか。
#11
○堀内国務大臣 私は、今の時期というのは、投資に向かって考えると、タイミングはいい時期ではないかというふうに思うのですね。と申しますのは、今の日本の実体経済というのは、表面的にあらわれている経済の評価よりも実体経済の方が本来は強いはずなんでありますが、それがマインドの面でもって経営者が非常に落ち込んできているものでありますから、今景気の面で、あるいは株式の面ですべてを見ておりましても、実体よりも評価が下がってきている。これを今景気対策を初めとして指導を始めてまいりますと、先ほどうだろうといって見守っている経営者の人たちが活発に動き出すのがこれからだと思います。その活発に動き出すことによって企業活動、経済活動が成長していって、雇用の面でもすべての面でも広がりを持っていく、これで景気の本来の姿に立ち返っていくのではないか。
 そういうことを考えますと、今の年金基金やその他の資金にいたしましても、非常に利回りが落ちてきてしまって、いいところに貸し出しをしたいという意欲は大変持っていらっしゃるけれども、なかなかそれに対しての自信が持てないために、低利回りで安定しているものの方に流れてきているというふうに思います。
 先ほども申し上げましたように、ベンチャーキャピタリストのような方々がだんだんしっかり成長してきて、そういう人たちが運営するベンチャーキャピタル並びにベンチャー企業というようなものに対しての関心というものは高まっておりますので、この法律ができ上がってまいりますと、相当動きが活発になってきて、ベンチャーに対する支援にもなり、また経済活動を活発化させる支援にもなるというふうに思って、そういう意味では、私は環境的には整いつつあるときであるというふうに感じております。
#12
○島委員 法案提出者としてはそうおっしゃらざるを得ないと思いますが、私が言いたいのは、何度も言うように、これは必要だと思っているのです。ただ私は、これから申し上げることは、これを順調に育成しようと思ったら、そんなに簡単に今ベンチャーがどんどんと伸びていくような経済環境にないと私は思っているのです。
 それで、何が言いたいかというと、プリペア・フォー・ザ・ワースト、最悪に備えようといいますけれども、もし年金基金も今回の法案を通じて使えるようにさせて、そのファンドを伸ばそうと思えば、このベンチャー支援対策に対してかなり通産省も本腰を入れてきちんとやっていっていただかないと、これはかえって問題が起きてしまう、ファンドはそのまま育たなくなってしまうのじゃないかというふうに思うわけであります。
 例えばアメリカの場合は、もう矢継ぎ早にやったのです。七九年に年金基金のベンチャーキャピタル基金への運用の規制緩和をしたら、もう即一月には、ホワイトハウスが主催して全国中小企業大会をぽんとやった。七月には、中小企業経済政策法をやって、九月にはキャピタルゲイン課税の税率引き下げをどんと行った。つまり、どんどんそれを伸ばすための政策を矢継ぎ早にやっていったわけなんです。そこまでやっていかないと、やはり当時伸びなかったと私は思うのですね。
 通産省が本当にこの法案を通して年金基金というものを使ってやるようにする、それを育てようと思うなら、きちんとベンチャー育成策に力を入れてもらうという姿勢があれば、私はこんな質問をしないのです。
 四月二十一日の朝日新聞にこんな記事があったのです。これはエンゼル税制についての記事だったのですけれども、尾身経済企画庁長官がエンゼル税制拡充に最も熱心で、橋本首相と経済対策について協議したときも、構造改革に沿った対策とするためにも、ベンチャー企業支援を政治主導でと訴えたというふうに報道でありました。ところが、いろいろあって、それがどうも後ろ向きになったというか、プライオリティーが下がったという報道がそこにあったのです、特集記事でしたけれども。
 四月二十四日の総合経済対策では、「三 経済構造改革の推進等」の項目で、ベンチャー育成の項目が設けられてはおります。しかし、ここには余りエンゼル税制のことは書かれていなかった。エンゼル税制をもっときちんと、例えば個人がベンチャー株に投資した金額の一定割合を所得税から控除しなさい、そんなようなことが当初の案にあったような報道があったのです。ところが、ここから先は報道ですが、大蔵省が、金融資産を対象にした税控除は前例がないこともあって強い難色を示した。次も報道ですけれども、これは通産省幹部が、大蔵省の反発が強く、正面切って求めるのはほかの中小企業対策の予算獲得上得策ではないと言ったという報道です。
 それが正しいかどうかということを聞くつもりはありませんが、こういうような状況では、年金基金向けに制度を拡充してハイリスク・ハイリターンのものに投入させるという法案を出していて、これだけの報道を聞くと、どうもこれはベンチャー対策というのはプライオリティーは下の方だな、この矛盾の中で安心して任せられるのかという疑問が私にはあるのです。
 この経緯、だれか御説明をしていただけますか。
#13
○堀内国務大臣 今の委員のような御指摘は、通産省の幹部の中にはそういう腰の引けた人間はいないと思っております。
 数字でちょっと申し上げたいと思うのですが、昨年の一月から十二月までの株式の公開状況というのを見てみますと、全上場企業数が六十七社、そのうちベンチャーキャピタルの投資を受けた企業数が四十二社、六三%になっております。店頭株式の公開数では、百三社のうちにベンチャーキャピタルの投資を受けたものが七十九社で七七%というぐあいになりまして、全体的にベンチャーキャピタルの育成というのは非常によくなってきているということは言えると思います。
 また、先ほどのエンゼル税制というような問題、これは非常にいい制度だというふうに私も思いますので、税制の面だとかいろいろな面からしっかりとした体制を整えて、経済対策というときにぱっと出ていくようなことではなくて、じっくり腰を落ち着けた中で方向をしっかり定めまして、そして先生方の御意見などをしっかり承った中で成果あるものにしてまいりたいというふうに思っておりますので、これは本当に本気になってやってまいる覚悟でございます。
#14
○林(康)政府委員 通産省がベンチャー育成対策に本腰が入っていないのではないかという御指摘でございますけれども、御指摘のように、ベンチ
ヤー企業の育成には、資金面、あるいは人材面、あるいは技術面でさまざまな対策、総合的な支援策を講ずることが是が非でも必要でございまして、私どもも、このベンチャー育成策が日本経済の将来のために極めて重要であるという認識は、全く先生と同様でございます。ぜひ御理解いただきたいのは、私どもは全く力が入っていないということではなくて、この対策の面では相当な力を入れてこれまで対策を講じてきているつもりでございます。
 資金面では、もちろん現在提出させていただいている法案による措置のほかにも、中小創造法という法律を制定していただきまして、特定中小ベンチャー企業の設備投資について法人税額の控除あるいは特別償却を認める措置を設ける、あるいは本年度から法人税のうち中小軽減税率を大幅に引き下げる等の措置も講じさせていただいております。
 あるいは人材面では、ストックオプションの制度が昨年六月にすべての企業を対象に一般化しておりますし、本年度より税制面でもその導入を円滑化するための措置を講じております。
 また、今国会で、大学等から生じた研究成果についての知的財産権の取得あるいはその成果の民間への移転を図るという観点から施策を盛り込んだ大学等技術移転促進法を成立させていただいているわけでございます。
 今御指摘の、ベンチャーのエンゼル税制の話でございますが、現実にはエンゼル税制は一つ形をつくっておるわけでございまして、これが不十分だという御指摘であると思いますが、これは関係省庁ともよく相談をしながら、今後この中身の充実については、ぜひとも外国の制度に劣らないように中身を充実させていきたいというふうに私どもは考えております。
 いずれにしろ、通産省としては、この分野での政策が極めて日本の将来にとって重要だという観点から、最大限の措置を講じさせていただいているというふうに認識をしております。
#15
○島委員 エンゼル税制についてちょっと議論が来て、今大臣から非常に前向きな御答弁をいただきましたので、きょう大蔵省に来てもらっていますので、少し現状をきちんとやっていただきたいと思います。大蔵省、現状を説明してください。
#16
○伏見説明員 いわゆるエンゼル税制と言われているものでございますけれども、平成九年度の税制改正におきまして、ベンチャービジネス振興のためにいろいろなサイドがあると思いますけれども、個人投資家に対する措置というものの議論がございました。現行制度でございますけれども、中小ベンチャー法に規定する特定中小会社の株式を取得いたしまして、上場等の日の前日までに譲渡等による損失等を生じた場合、翌年以後三年間の繰り越し控除を認めるという特例を設けてございます。
 これは、それ以前の制度というのは、実際に損失等が生じました際、その際には他の株式の所得とのロスの通算等ができたわけでございますが、ベンチャービジネスの特性にかんがみまして、翌年以後三年間、一定の範囲での繰り越しを認めるという制度を創設している、これが一般にいわゆるエンゼル税制と言われているものだろうと思います。
#17
○島委員 それはいつから、適用されましたのはついこの四月からですか、今何人ぐらい適用されているのですか。
#18
○伏見説明員 税制の面の措置としましては平成九年度改正でございますが、前提としまして中小ベンチャー法との関連がございますので、そういう意味では九年の六月ではなかったかと思いますが、その法律の制定との関連で動き出しているということだろうと思います。ただし、所得税の措置でございますから、各年、暦年の課税でございます。
 また、今回のこの措置というのはいわば損についての措置でございますから、今後まさにそれぞれ投資をされて、実際にそうしたものが発生したといったものとの関連で具体的な適用状況は出てくるということだろうと思います。
#19
○杉山政府委員 エンゼル税制の具体的な運用の今の実施状況でございますが、エンゼル税制の適用を受けるためには、投資先がエンゼル税制の適用を受けるベンチャーであるということを、通産局の方でございますが、これが確認をする、それが税務当局にその確認の書類が行くという仕組みになっているわけでございます。
 昨年の六月にエンゼル税制が導入されまして一年足らずでございますが、今まで企業としては、例えば通信機器の器具メーカーでありますとかコンピューターソフトウェアやハードウェアの販売会社、こういった幾つかの会社につきまして数十件について既に通産局で確認書を出しておりまして、こういった確認書を出した対象の方々がこのエンゼル税制の適用を受けるというような状況に今なっているところでございます。
#20
○島委員 これは、今聞いていただいていたように、確認書を出すとか、非常にやりにくいということがありまして、拡充しないのではないかというようなことが当初から意見として出されておりました。今大臣の方から、これは前向きに考えるという御答弁をいただきましたので、ぜひとも前向きに考えていっていただきたいと思う次第でございます。
 と言っておったらあと十数分しか時間がなくなりましたので、この法案で、先ほどちょっと申し上げましたが、王道はあくまで株式が上場されて、それを回収するということなんでしょうけれども、通産省のベンチャー企業への資金供給円滑化研究会の中間取りまとめによりますと、我が国のベンチャー投資における資金回収の構成比は、株式公開は三〇から四〇%ぐらいしかない。倒産、廃業が五から一〇%。残りの五〇%から六〇%が公開できないまま、つまり、リビングデッドと言われるそうですが、リビングデッド株式だそうであります。別の専門家によると、これは七五%にもなっているという話もあります。このような状況ではなかなか回収のめどが立たない。そんなものだと言われれば、そんなものだということかもしれませんが、ちょっと多過ぎると思うわけであります。
 アメリカでは、このような未公開株式を買い取って流通させるのも発達している。つまり、資金回収をもっと円滑にするという方策も発達しているわけでありますが、このリビングデッドに対する対策はどのようにお考えですか。
#21
○中澤政府委員 お答え申し上げます。
 リビングデッド株式についての御質問でございます。先生御指摘のとおり、アメリカにおきましては、このようなリビングデッド株式につきまして、それを専門に扱う流通業者というのが存在してございます。したがいまして、その処理の方法の選択肢がアメリカにおきましては多様であるという状況でございますが、日本におきましては、現実のリビングデッド株式についての処理の選択肢がまだ限られている。したがいまして、多くは、これまではオーナー株主への売却というのがほとんどだったわけでございます。
 この問題につきましては、アメリカと同じような形で、まさにリビングデッド株式の流通を促進するため、民間のイニシアチブというのが重要だと思ってございまして、これは先生御案内かもしれませんが、ディー・ブレイン証券という、これは日本のコンサルタント会社が乗り出してつくった会社でございますが、まさに未登録、未上場株式の流通市場でありますベンチャーマートといったものを創設する試みが既に始まってございます。
 また、このようなリビングデッド株式を専門に扱うほかの会社としましても、先ほど、エンゼル税制の数十件という、三十数件でございますが、その対象を確認されましたエンゼル証券、これは関西の方の公認会計士の方々のグループが乗り出しているというふうな形で、日本でも既にそのような動きが出てきてございます。
 通産省としましても、このような形での取り組みというのをどんどん拡大していくことを期待し
 ているところでございます。
#22
○島委員 ともかく、そのような未公開株式の流通を盛んにしたりして、あくまでこれを育てていくという姿勢は絶対必要だと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 もう一つ、法律について、技術的なことをお聞きしますが、この法律案に伴う措置としましては、財務諸表の作成が義務づけられている。しかし、投資先ベンチャー企業の未公開株式については、未公開株式の流通市場が未発達の現状では、やはり公正な時価を確定しにくいのじゃないか。組合資産としてのベンチャー企業株式の時価は、当該ベンチャー企業における業績が適正に反映されなければならないのですが、これはどのように設定をしていくというお考えでしょうか。
#23
○中澤政府委員 時価評価の御質問だと思います。
 先生御案内のとおり、本組合は、財務諸表等を業務執行組合が作成をして、それをいつも備えつけて閲覧に供さなければいけないということとか、また、その財務諸表等につきましては、公認会計士あるいは外部監査法人等が意見書をつけておかなければいけないというふうになってございますが、この財務諸表の中で組合資産の時価評価というのを行うことが、まさに、現在の民法等での取得原価主義のあれを超えてやることが、投資家に対しての情報開示においては大変重要になってくるわけでございます。
 先生御指摘のとおり、確かに、ではどうやってその時価の評価を未公開株式等についてするのかということになるわけでございますが、現在通産省で研究会を設置しておりまして、ここで会計規則といったようなこと、あるいはその会計規則と対になってございます時価評価についてのガイドラインの検討をしているどころでございます。大変難しい問題でございますから、公認会計士協会の方々等々、皆さんお入りいただきまして、議論をしてございます。
 今までのところ、基本的には、評価増というケースにつきましては、組合が投資した後、その企業がまた新たに増資をして新株を出すというふうな場合の、その客観的な事象に基づいて行うのを原則とすべきではないか、あるいは評価減、これもかなりあるわけでございますが、評価減の場合につきましては、当該投資先企業、ベンチャー企業の業績が短期的にどの程度の懸念があるか、あるいは長期的にどの程度の懸念があるだろうか、かなりてこ入れしないと、これはかなり厳しいぞ、いやもうこれはだめだといったような、いろいろな分類、ランクというのでしょうか、その辺を勘案しながら、何割評価減するかといったようなことについて現在検討をしているところでございまして、できるだけ早くその結果をまとめたいと思ってございます。
 今後、これらの組合会計規則とか時価評価のガイドラインに基づきまして、各組合があらかじめ組合契約で評価基準を定めて時価評価を行うということになっていくわけでございまして、それがまた公認会計士等によって監査されるということでございます。
 以上のような形で時価評価を導入するということで、海外の投資家にとっても魅力的な投資をしやすくしたいということ、あるいは、これはベンチャーキャピタルであります業務執行組合員でございますが、このような形で投資先企業の時価評価をやるわけでございますので、より緊密に投資先企業をサポートしていくということが求められるわけでございまして、大変重要なことだと思ってございます。
    〔委員長退席、小此木委員長代理着席〕
#24
○島委員 今御答弁にありましたように、ひょっとしたら、こういう形をとると外国からの資本も結構入るかもしれませんし、今業務執行組合員の話が出ましたので、ちょっとお尋ねしたいのですが、通産省の基本政策は、今補助金を利用した産業保護から、どちらかというと規制緩和に流れている。その中で、ベンチャー企業の育成については、国が打ち出す最後の産業保護政策かなと私は思っているのですが、そのような手法でやっていらっしゃる。創造的中小企業創出支援事業などというのがありまして、随分やっておられた。
 今、いろいろな細かなアドバイスも必要という御答弁もありましたが、国が中小企業事業団を通じて都道府県に対して無利子融資を行って、各都道府県がこれを原資としたベンチャー財団を設立するという手法で今までやってこられて、これは支援はどんどんされたわけですが、この投資先企業の倒産が相次いでいるという現状をどのように分析し、もちろん、私はベンチャー企業というのはそういうものであるということはよく存じ上げておりますので、これを乗り越えてどのような対策を打ってこれから進めようと思っておられるのか、答弁をお願いします。
#25
○林(康)政府委員 お答えを申し上げます。
 この都道府県のベンチャー財団でございますけれども、平成七年度の二次補正で創設された御指摘の事業団の支援事業を活用して、現在までに四十四の道府県で財団ができているわけですが、確かに、中にはかなり難しい運営を強いられている財団もございます。現実に、平成九年度の投資実績が、件数で百五十七社で、前年度比で一九・八%増、金額で七十一億、ふえてはおるのです、前年度比で四・〇%増でございます。累計の投資実績も二百九十三社、約百四十二億円ということになっております。
 これは成功している企業もかなりありまして、中には、世界に冠たる企業実績、企業業績を出して、世界の中でも有名になっている企業もございます。また、事業に失敗した企業も八社ございまして、この投資実績にも地域差もございまして、大変活動的なところもありますし、また活動が停滞しているところもあります。
 我々の方は、どうしてこういう状況が起こっておるのかということをよく分析をする必要があると思っておりまして、意見を聞いてみますと、ベンチャー企業の発掘が非常に難しいという意見、あるいは将来のリスクの判断が非常に困難だ、あるいは投融資後の企業育成がなかなか不十分だという声があります。
 ただ、総じて見ますと、大体大半のベンチャー財団は事業が順調に推移している、中には失敗のところもありますが、地域活性化に貢献していると見ておりますので、私どもとしても、認識としてはそういう認識なんですけれども、ただ、さまざまの困難については、今後、技術面でのサポート体制を強化するとか、あるいはさらにベンチャー企業に対する支援事業をいろいろな形で充実していく必要があるな、特に、財団の職員による案件発掘とかフォローアップに加えて、公認会計士等の専門家がそういった事業のチェックをできるような体制も要るということで、ベンチャー企業に対して地道な支援をしていくことが重要だと認識しております。
 今回の経済対策におきましても、各県のベンチャー財団を通じた間接投資の強化及びベンチャーリース事業の創設ということをさせていただくことを予定しておりまして、あわせて販路の開拓面でも支援を強化していきたい、こういうふうに考えております。
#26
○島委員 もう時間がありませんので最後の発言になると思うのですけれども、実はこの質問に当たりまして、私の友人でソフトウエアの会社を立ち上げて、三年ぐらい前ですか、株式を公開して所得番付に載ったような人間がおるのですが、その人間と話をしてまいりました、こういう質問をあしたするということで。
 それで、やはり残念ながら今の日本、何が一番足らないかというと、例えばいわゆるコーチ役というのがいなかった。たまたま彼はあるオーナー経営者がコーチ役としてついてくれたから、随所随所で困ったときにうまくいったのだという話をしておった次第でございます。今財団の質問をしましたのは、いわゆるコーチ役までなかなか成熟していない、それが今の状況ではないかと思うわけであります。
 私は、ともかく日本のこれからの経済というの
を担うのは、どういうベンチャー企業を育てるか、そしてそのベンチャーのもとの原資のキャピタルも慎重にぜひともお願いしたいのですが、もちろん、今御提案なさった皆さんの立場からすれば今が時期だとおっしゃるかもしれませんが一客観的な状況を見たら、その友人が言っておりました、今ベンチャーをやろうとすると本当に厳しい世の中だという認識で彼はいました、現実の実際の中で。ですから、これをそのままやって、年金基金を投入して、何かちょっと利回りが低いということで閉ざされてしまうようなことがないように、通産省としましてもきちんとしたベンチャー対策を十分にとっていただいて、そのベンチャーキャピタルファンドというものを育てていっていただくことをお願いしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#27
○小此木委員長代理 次に、太田昭宏君。
#28
○太田(昭)委員 新党平和の太田昭宏でございます。
 三月の失業率が三・九%という過去最高の数字が出ました。我が国の企業の雇用者数の推移を事業所の規模別に見ますと、大企業の雇用者数がバブル崩壊以降減少しているのに対しまして、中小・中堅企業による雇用者数は増加している、こういう状況にございます。全体としましては雇用者数が微増しているということについて、中小・中堅企業が大変貢献をしているということが言えるのだと思います。
 産業全体ということにかんがみましても、中小・中堅企業というものの存在、これからこれが力強い活力を持って前進するということが、日本の社会にとっては実は一番、最近は金融問題等々にどうも話が常に行くわけでありますが、物づくりあるいは中小企業、ここが元気になるかどうかということが私は一番大事だというふうに思っております。やみくもにリストラを進め、みずからの生き残りのみを図っていくというようなことではなく、また大企業の雇用情勢を見るだけでなく、特に中堅・中小企業が大事であるというふうに思いますが、まず冒頭、この辺の雇用と中堅・中小企業のあり方について見解をお伺いしたいと思います。
#29
○堀内国務大臣 お答え申し上げます。
 委員の御指摘のとおり、我が国における中小企業は、申し上げるまでもなく、全事業所数の九九%を占めておりますし、全従業員数の七八%というふうに我が国経済社会の中で大変重要な地位を占めております。特に雇用の面で考えてまいりますと、今の委員の御指摘のように、従業員規模五百人以上の大規模の企業では、平成六年をピークにいたしまして七年、八年と雇用が減少しております。これに対しまして、一人から二十九人それから三十人から四百九十九人、五百人以下の規模の企業におきましては、平成六年以降常に雇用を増加をさせておりまして、中小企業が全体の雇用の増加に大きく貢献をいたしております。
 こういうように、中小企業は持ち前の機動性あるいは創造性というものを発揮しながら、経済界の中での活動においても大きな貢献をいたしておりますが、雇用の担い手としても大変大きな役割を果たしていただいておるという意味におきまして、これからも雇用面を含めて中小企業対策にしっかり取り組んでいかなければならないと思っております。
#30
○太田(昭)委員 今大臣から御答弁がありましたように、雇用が大変だ、三・九%の失業率だ、リストラが進んでいる。しかし、本当にそこで中小企業が雇用を抱えているというこの視点が、どうも最近の論調の中では欠けているのではないか。いろいろな意味で中小企業が奮闘しているがゆえに今の雇用情勢がもっている、そこをどういうふうに応援していくかということであろうというふうに思います。
 そこで、どう応援するかということになりますと、まず真っ先に問題になるのは貸し渋りであろうというふうに思います。経済特委の方で大臣にも何遍も質問通告をしながら私はちょっと御無礼をいたしたのですが、この間からの大蔵大臣等の話を聞きますと、貸し渋りは若干緩和したのではないかというようなニュアンスの答弁をずっと聞いているわけなんですが、私はその場にいまして、それは違うぞということを一言大きな声を張り上げたい気持ちになっております。
 我々の接している現実の現場でも、あるいはまた現実の統計でも、若干いいんじゃないか、横ばいというデータはあることは承知しています。しかし、さらにひどくなったという実感を持っているというデータも現実にあるわけで、いいデータだけを政府が言うのではなくて、私は、三月の期末決算ということに相当政府は、また自民党の方ではPKOどころかPLOということでリフティングをしてきたということが言われるわけなんですが、実は、金融ビッグバン型貸し渋りというふうに私は呼んでいるわけなんです。世界というものを見ながら銀行はどういうふうに戦っていこうか、自己資本比率におきましても八%をクリアした。しかし、一〇%、一一%というレベルの競争というところに実は入っているということで、貸し渋りという現実は私は非常に深刻な状況にあろうというふうに思っております。
 現実に、きょうは五月二十二日になりましたが、五月二十二日の時点で通産大臣は貸し渋りということについてどういう認識を持っていらっしゃるのか、そのことについてお伺いしたいと思います。
#31
○堀内国務大臣 委員の御指摘のとおり、委員会におきまして私の答弁は比較的よくなっているということを申し上げたわけでございますが、これはあのときにもちゃんと申し上げたように、中堅、大企業についての数字でありまして、中小企業は別でございますということは最初に申し上げておりまして、中小企業の点におきましては、貸し渋りの点について考えるならば、相変わらず厳しい状態が続いているというふうに考えております。
 この間申し上げた数字は、通産省におきまして、地方通産局において二カ月置きに聞き取り調査をいたしております数字がございます。この数字が、いろいろな数字をとっているのでありますが、その中に貸し渋りの項目がありまして、中堅、大企業について眺めてまいりますと、一月の時点では四〇・一%、三月の時点において三一・九%、四月を越えて五月の今月の状態において一四・九%というぐあいに、貸し渋りを受けたとする中堅、大企業の割合は減ってきているわけでございます。
 これは、その際にも申し上げたように、一つは、大企業においてはCPやあるいは社債の発行とか、直接金融を相当大きくするようになってまいりまして、その辺が、銀行からの借り入れというものに頼ってこなくなってきているということがございます。
 また、三月末においては、BIS基準によって非常に厳しくその三月末の状態というものを確保しようとしたために相当厳しいものがありましたが、それを越えたことによって多少緩和されてきているというような状況もある。さまざまないろいろな問題から、こういう数字が出てきているのだろうというふうに考えております。
 中小企業に関して申し上げるならば、当省の五月中旬に実施しました調査におきましては、民間金融機関の貸し出し姿勢が厳しくなったとする企業は全体の三割強でありまして、また、今後融資態度が厳しくなるだろうと懸念する企業の割合は五割強となっております。これを前月との比較で眺めますと、今申し上げた、厳しくなったとする企業の割合が、三月において三二・二%が、四月の状態において統計で三〇・八%、多少ではありますが、減ってきているという程度でございます。また、先ほどの厳しくなるだろうと懸念する企業の割合は五割強となっておりますが、これが五五・一%から五四・三%と、本当にわずかに減ってきているというような状態でございまして、これは決して楽観できるような状態ではないというふうに考えております。
 そういう意味で、これまでにも金融機関にいろいろの窓口を用意したり、マル経資金などを拡充したりいたしてまいっておりますが、この貸し渋り対策として、今度さらに新しく対策を、先般決定しました総合経済対策におきまして、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、これによって支援の枠を拡大するとともに、現在の融資額の五〇%を限度としまして担保徴求を免除する、今までの貸出枠のほかに、中小公庫あるいは商工中金におきましては八千万円さらに枠の拡大をいたしまして、そのうち五〇%については担保をとらないでよろしいというような制度を一つつくりましたし、国民公庫におきましては、これまた四千万円の枠をさらに広げまして、その五〇%は担保をとらなくてもよろしいというようなことをいたしたわけでございます。
 ただ、私ども眺めてまいりまして、非常に問題なのは、マル経資金というものが約五三%増加をいたしております。というのは、大体において零細中小企業の方々がマル経資金を皆さん借りに行って、その割合は対前年五三%もふえているのにもかかわらず、政府系の中小金融機関では約二六%きりふえていないということはなぜだろうかというふうに考えますと、民間金融機関から貸し渋りで閉め出された方々が政府系金融機関に参りますと、資格がない、資本金は一千万円以下でなければだめだというようなことで、その窓口で閉められてしまう人が約三万社近くあるということに気がついてまいりました。
 その枠を広げていただいて、政府系金融機関で受け入れるようにしようということが、今いろいろと御審議をいただいております保険法等の一部を改正する法律案でございまして、これによって、小売業、サービス業におきましては一千万円を五千万円にふやす、卸売業が三千万から七千万にふやすということによって約二万社の会社が救済されることになって、政府系金融機関で受け入れられるようになるということになりますので、この二万社が相当今まで苦しんでおられたのではないか。これによって、マル経資金と同じぐらいのところまで貸し出しが中小公庫、国民公庫などでふえていくのではないかというふうに期待をいたしておりまして、貸し渋りに対しての対応ができるようになることを期待しているところでございます。
#32
○太田(昭)委員 貸し渋りの局面といいますか、見ている景色が私は変わってきていると思うのですが、去年の十一月は明確に私はインターバンク市場の一つの破綻である。その後、それに驚いたということもあり、不況というものは明確化してきた。いつからこの不況という認識があったかということを、羅列して、去年の九月、十月、十一月、十二月、ずっと、経企庁がどういう発言をしたかというのを一覧表にして私も見てみましたが、どうも十二月というところから完全なリセッションに入ったという感じがするわけなんです。しかし、三月末ということについて貸し渋りという現象が全体を覆った、これが三月までだと思います。四月からは、銀行の方は世界との競争という金融ビッグバン型の貸し渋りということになった。そこで選別が行われる。いいところには、バブルの時代と同じように、どうぞと言っている。そうではないところには、貸し渋りどころか大変な状況がある。明確に、去年の十月と、十二月から三月と、四月以降というものが、同じ貸し渋りという話になりますが、話が実は違ってきている。
 そこで、政府系の出番である。きょう本会議で通過をします、我々も賛成します。この一千万から五千万という、これは非常に大変な反響で、私自身が驚くほど、これは大変な、何とかしてくれという声ですから、我々もこれには賛成をします。しかし、もう一歩、私は、中小企業に対してそういう状況を見てとって、二極分化だ、それで大変な状況にある、そこに出動するという一つの体制の、ワン・オブ・ゼムというのができたでしょうが、さらにさらに私は推進をしていただきたいというふうに思います。
 それから、これはソフト面という制度だけではないと思いますけれども、政府系の金融機関の方にも何回かこの一週間、取材をしたりして話をお聞きしました。だめですよ、できませんよとはねられるような人が実は大変苦しいわけで、そこでだめですよと言うのではなくて、コンサルティングというか相談といいますか、そこまでのフォローというものをする。切られて、だめですよと言われてどこへ行っていいかわからない、本当に頭の中はいっぱいだというところまでを、それを政府系金融機関がしっかりフォローする、相談にも乗る。だめならだめでも、かくかくしかじかでだめだけれども、こうすればどうだ、ああすればどうだと、そういうことをやっていただけるような指導をぜひとも通産大臣としてしていただきたい、私はこう思いますが、いかがでありましょうか。
    〔小此木委員長代理退席、委員長着席〕
#33
○堀内国務大臣 そういう点につきましては、通産省として、政府系金融機関のトップにも集まっていただいて、要請をしたり、それぞれの立場でそれぞれ非常に細かにお願いをしてやっておるところでございまして、その点でも万全を期しているつもりでございますが、さらにそれを徹底してまいりたいと思います。
 さらに、もう一つ追加するならば、無担保、無保証のマル経資金の方も、これから先お願いを申し上げる今度の補正予算の中で、通産省としては一千億円の枠の追加分までこれまたお願いをいたしたいというふうに思っているところでございます。
 その他、細かい各金融機関への指導、指示や要請については、担当の方から御報告を申し上げます。
#34
○太田(昭)委員 私の言うことをやっていただければ、答弁は結構です。
 そこで、本論に入らなくてはいけませんから申し上げますが、中小企業基本法第二十五条、ここには自己資本の充実ということがうたわれているわけなんですが、この自己資本比率ということを見ますと、アメリカでは、大企業のみならず中小企業も含め、四〇%から五〇%の水準を維持している。日本は、大企業が三〇%前後の水準にありますが、中小・中堅企業は一五%の水準にとどまってきている。つまり、借り入れで運営がされているということですね。
 私は、リスクマネーを供給する仕組みをつくることが重要であることが認識されているにもかかわらず、政府の対応が大変おくれてきたのではないかという認識をしているわけなんですが、いかがでありましょうか。
#35
○中澤政府委員 お答え申し上げます。
 日本におきましては、ついこの問のバブル崩壊まで、御案内のとおり、右肩上がりの経済、しかも地価が上昇し続けるという土地神話というものがあったわけでございまして、そういう中で金融機関も、委員御指摘の物的担保ばかり、担保万能主義といったような形、あるいはその逆で、真に企業の能力を見きわめるといった融資態度が失われていたにもかかわらず、全体がそういう右肩上がりの中で土地神話という問題があったために、この問題が顕在化しなかった。したがいまして、我々の政策的な対応もおくれてきたということは事実だろうと思います。
 中小・中堅企業にとりまして、直接金融という世界は、これからも含めて、努力をしても大変難しいところだろうと思いますけれども、まさにこれから、お願いをしております本法案の形での直接金融の話も含め、直接金融市場というものについて、政策的にも十分中小・中堅企業の立場に立って検討していきたいというふうに思ってございます。
#36
○太田(昭)委員 ベンチャー企業ということから考えますと、特にそこにお金が銀行から供給されないということは、日本がどうも高度成長以来、昔はそうじやなかったと思うのですね、松下、本田、創業には相当アイデアあるいは意欲、そういうことについて銀行も対応したと思いますが、いつの間にか、物的担保万能主義といいますか、そ
ういうことに変化をしてきたということが一つの要因としてあろうというふうに思います。
 その意味では、ベンチャー企業の融資が行われるという中には、通産行政というだけでなく、これは大蔵、銀行局、さまざまなところ、全部そうでしょうが、本当にこの日本の能力自体を、あるいはパフォーマンスを見るというようなことに大きな変更がなされなくてはいけない。物的担保主義の変更ということがどうしても不可欠だと思いますが、認識はいかがでしょうか。
#37
○堀内国務大臣 委員のおっしゃるとおり、以前の銀行というものは、何といっても、企業を後押しをして育成していくというような意味での意気込みや企業家精神があったわけでありますが、だんだんそれが高度成長の中で、床の間をしょっていつも座るような銀行になってしまった。それが結果的には、安定したところに資金だけを提供すればいいというような姿勢になって、安全第一になってしまったということに、今のベンチャービジネスに対する融資態度というものが非常に冷たくなってしまったということが言えると思います。
 そういう意味で、これからの体制というものはもっと直接金融というものに変わってまいりませんと、間接金融に今まで頼り過ぎたということが多いと思っておりますので、そういう意味からも、直接金融を中心としたベンチャービジネスに対する支援策というものをしっかりつくっていく必要があるというふうに思っております。
#38
○太田(昭)委員 我が国のベンチャーキャピタル投資というのは、アメリカに比べて、ストック、フローで五分の一程度にすぎない。大きな差がついておりますが、一九九〇年ごろにはそんな差がなかったというふうに言われております。その原因には、この法案の提起ということもそうなんでしょうけれども、アメリカの場合は八、九割が組合投資というようなことでそういう差ができたのかというふうに思いますけれども、それも含めて、なぜそんなにアメリカと日本の差がついてきたのか。原因が幾つかあろうと思いますけれども、列挙していただきたいというふうに思いますし、その列挙した項目について、この法律で対応できる部分、またできない部分というのをちょっと整理してお話をいただければと思います。
#39
○中澤政府委員 委員御指摘のとおり、アメリカと日本で、ベンチャー投資額というのが約五倍以上の差がついてございます。九一年のときには、まさに委員が御指摘のとおり、それぞれ三千億前後でほぼ肩を並べていたわけでありますが、九六年ではアメリカが一兆三千億円ぐらい、日本が二千五百億円程度ということになってございます。
 この日米におきますベンチャー投資の大きな量的差が生じておる原因でございますが、いろいろとあると思いますけれども、主要なものを考えますと、やはり何といっても第一番目には、ベンチャー企業への投資を行う投資家の、すそ野という言い方がいいのかどうかわかりませんが、そのすそ野がアメリカは我が国に比べて圧倒的に広いということがあろうかと思います。
 また、二番目としまして、産学の連携あるいは人材といったベンチャー企業などが創業しやすい環境というのが、アメリカの方が整っていたということがあろうかと思います。
 このほかにもあるかもしれませんが、その二つが大きなものではないかと思っております。今御審議をお願いしている法案は、このうちベンチャー企業への投資家のすそ野を広げようとするものでございまして、まさにその組合、業務執行組合員でない組合員の有限責任の法的担保とか情報開示の徹底によりまして、これまで我が国の中小ベンチャー企業への投資を行ってこなかった海外の投資家とか年金資金とかにも投資が可能となる環境を整備する、これによって投資家のすそ野を広げるということではないかと思ってございます。
 また、先ほど申し上げました二番目の産学の連携等々の問題につきましては、今般の国会で御成立させていただきました産学連携法といったような形での努力も今しているところでございます。
#40
○太田(昭)委員 今すそ野を広げるというお話がありましたが、まさにそのために一体何をするかということで、今回情報公開とか有限責任ということが言われているわけなんですが、もっと根本的に言うと、私は信頼度であろうというふうに思うのですね。
 ベンチャーキャピタルへの信頼度、これをどう高めていくか。日本全体がバブルで、個人的な名前を出したらいけないかもしれないけれども、ある意味じゃ小錦みたいな、そういう大変な体になったと思いますよ。小錦はなかなか動きがいいから非難しているわけじゃないのですが。私は、スリムな、筋肉質な日本の経済体質にしなくちゃいけない、踊りも踊れるし、バック転もできるような、SMAPみたいな、そういうことが大事だろうというふうに思っています。
 それは、日本経済もそうですが、このベンチャーキャピタルというものを、有限責任ということと情報公開という法案を通じて、もっと大事なのは、非常に信頼度のある、そして筋肉質な、強い、知的能力もある^クオリティーが高い、そういうものにするということが私は今回の一番眼目であろうというふうに思っております。現状のベンチャーキャピタルは、ある意味では親会社が丸抱えでやってきたみたいな部分があって、甘えの体質があったと思いますが、いよいよ今回の法案ということで、外に出て、ひとり立ちして、そして強い体質を持って信頼度を獲得するというものが必要だというところにこの法案の趣旨があろうと私は思いますが、ベンチャーキャピタルの現状をどう認識され、どうあるべきと思われているかについてお聞きをしたいと思います。
#41
○堀内国務大臣 御指摘のように、我が国におけるベンチャーキャピタルの多くが、ほとんど銀行だとか証券会社といった金融機関の系列の法人でありますから、そういうために、米国のベンチャーキャピタルと比べますと、機敏な行動だとか活動をすることができる、いわゆるベンチャーキヤピタリストと呼べるような人が、人材が少ないということが言われております。
 それにしましても、一九七二年に日本で初めてベンチャーキャピタルが誕生して以来、着々と実力ある人材が育ってきていることも事実でございまして、そうした人材の努力もあって、これまで多くのベンチャー企業がベンチャーキャピタルの投資を受け、株式を公開するに至るまで成長することができたわけでございます。また、最近では、大企業から独立した人材が、自分の能力を基盤として独自にベンチャーキャピタリストとしての活動をする例が大分あらわれてきておりますし、こうした能力本位のベンチャーキャピタリストが伸びる経済環境をつくることが重要だというふうに認識をいたしております。
 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、九七年いっぱいにおきまして、全株式公開企業数の百七十社のうち百二十七社が、一部も店頭も入れましてですが、約七五%がベンチャーキャピタルの投資を受けた会社であるということも考えますと、相当育ってきているというふうに思いますし、このベンチャーキャピタリストがさらに充実をされてくれば、もっと効果のあるものになってくる、またこれが非常に重要なポイントになってくるというふうに思っております。
 そういう意味で、本法案は、組合員の有限責任あるいは組合員の情報入手の権利の確保、こういうものの措置を通じまして、真に能力のあるベンチャーキャピタリストが幅広い投資家から資金を仰ぐことを可能にするものであるというふうに思いまして、真に能力のあるベンチャーキャピタリストを養成していくために、環境を整えてまいりたいというふうに思っております。
#42
○太田(昭)委員 情報開示ということがその面では非常に大事で、すそ野を広げて多くの人が参加して、そして、ベンチャーキャピタルというものに、組合に参加をして、有能なベンチャービジネスに投資がされるということについて、やはり情報公開の内容、それから同時に、これは世界から
の資金ということに当然なるでしょうから、日本の、島国という囲いに覆われた中での商法というのではなくて、会計システムのあり方から、全体的なグローバルスタンダードという観点に立っての情報公開ということが私は非常に大事だと思います。
 その点について、何をどのように情報公開をしようとされ、そして、その観点はグローバルスタンダードという観点が明確になっているかどうか、これについてお聞きしたいと思います。
#43
○中澤政府委員 まさに本法案の大事なポイントの一つについての御質問でございます。
 本法案におきましては、第八条というのがございますが、この第八条におきまして、組合の貸借対照表、損益計算書、業務報告書、そしてこれらの附属明細書を無限責任組合員であります業務執行組合員が作成して事務所に備え置いて、その他の有限責任組合員等の閲覧に供するということが義務づけられております。まさに情報開示ということでの義務づけをしているわけでございます。
 そして、先ほどもちょっと申し上げましたが、特にこの貸借対照表上の資産の評価につきまして、取得した投資先企業の株式の評価を通じて、組合員にその投資先企業の状況を開示する機能、これを備えるということがグローバルという観点からも大変重要になってまいるわけでございまして、商法の取得原価主義ではなくて、まさにこのグローバルスタンダードに即した時価主義、これを採用する方向でやっているというのは先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。
 また、その情報開示も、ばらばらになりますと投資家の方にとっては大変でございますので、会計規則等々によりましてこの辺のことをちゃんと義務づけることによりまして、各組合の今のような点あるいは運用実績につきましても、統一的な評価方法によって投資家に開示されるようにすることとしてございます。
 さらに、これも先ほど申し上げました、先ほどの財務諸表等につきましては、執行組合員がつくるだけではなくて、公認会計士あるいは監査法人といった外部の方に見せて、その意見書を添付させるということも義務づけてございます。これによりまして、開示される情報の正確性、公正性を担保するということにしたいと思ってございます。
 以上のような措置によりまして情報公開をちゃんとやることによりまして、海外投資家が我が国の投資組合に参加しやすい環境を整備する。同時に、情報開示がされますと、まさに市場原理にのっとってベンチャーキャピタルとか投資組合が投資家から選別されていく、いい組合あるいはいいベンチャーキャピタルはさらに業績を拡大し、そうでないところはしぼんでいくしかないというふうな形でのことも進んでいくものと考えてございます。
#44
○太田(昭)委員 年金資金がどう入るかということは非常に大事な問題ですが、年金の方も大変な状況にあることはもう御承知のとおりで、企業年金は積み立て不足で、予定した金利ではとても回るわけではない。去年の八月ごろでしたか、アメリカ型の会計のところだけは公表されるものですから、二十数社ですか、出ておりましたが、大変な積み立て不足の現状がある。
 一方、アメリカでも、決してアメリカ経済は安定したものではなくて、不安要因がいっぱい出てきているということで、私は、四〇一Kというのがなかなかいいアイデアであったかもしれないが、そしてそれがアメリカ経済を活性化してきたことは間違いなく事実でありますけれども、一体確定拠出型の年金というものが本当に年金であろうか、日本の社会の中ではどうかというような不安定さというものは当然あると思います。
 その意味で、水鳥が慌てて飛び立つような、そういうことでかき集めるというのではなくて、まさに今選別されたベンチャーキャピタルという時代が到来するわけなんですが、落ちついて着実に、そうした年金の不安定さというものも含めた戦略を立てて、これからこのベンチャーキャピタルあるいは組合というものを育成し、そしてベンチャービジネスを育成するという事業が行われなくてはいけない、私はこのように思います。
 性急ではなく着実な前進こそ必要なんだと私は最後に申し上げて、簡単な答弁で結構ですから、お答えいただいて、終わります。
#45
○堀内国務大臣 確かに、今の我が国の年金基金は、運用先の利回りの低下によって、大変厳しい積立金不足の状況にあるところが多くなってきているということは認識をいたしております。
 こういうような年金基金の積立金不足の問題に対しては、年金制度の基本的な設計についての見直しが必要になってくるとともに、その資金運用について、時宜に応じてより弾力的に高利回りの運用が行えるような運用先の選択の幅を拡大するような状態に今来ているわけであります。
 そういう意味で、この法案によりましても、年金基金の資金運用の方法の一つのオプションとして中小ベンチャー企業への投資という手段が加わるということは、非常に意味のあることだというふうに思います。
 同時に、非常に貴重な国民のお金を使うわけでございますから、そういう意味で、本法案においては、業務執行組合員に対して組合の財務諸表や業務報告書の作成、あるいは組合運営の透明性という面を高めることによって、本法案の成立後は、各年金基金がこういうベンチャーの投資組合法によるところの組合の運営に投入されるように、できるだけ信頼を高めるように、またベンチャーキャピタリストが運営する投資事業組合の選択というものに信頼が寄せられるように、あらゆる面におきまして、拙速ではなくて、委員の御指摘のようにしっかりと足を地につけて前進をして、成果を上げていくようにいたしてまいりたいと思っています。
#46
○太田(昭)委員 終わります。
#47
○斉藤委員長 次に、西川太一郎君。
#48
○西川(太)委員 今回の国会は、この商工委員会は大変重要な法案がメジロ押しに提出をされ、極めて充実した審議が行われたというふうに思いますが、その中でも、きょうのこの法案は非常に重大だというふうに私は思っております。
 と申しますのは、およそ法律案には、これを提出する考え方、体系的なもの、こういうものがあってしかるべきでありますが、一九九二年から九七年の中ごろまで、バブル崩壊後の間接金融市場が銀行等を中心としてどうも元気がないというか閉鎖的であって、これを直接金融の割合をふやしていこう、ビッグバンの思想というのはまさにそこに私は集約されると思うのです。
 そういう流れの中で、やはりもっと元気のある日本、間接金融中心のものから、金融システムをそういう閉鎖状況から脱出させるためには規制緩和も必要だしいろいろなことが必要ですが、そういう中で、中小企業、今まではどちらかというと中小企業やベンチャー企業は直接金融が非常に難しいというのが日本では常識でありました。その常識の中に埋没して、間接金融にのみ活路を見出そうとしている中にこの貸し渋り状況が出てきて大変苦しい思いをしていることを考えますと、私は、もっと早くこういうことを強くやってあげるべきだったというふうに思うくらいでございます。しかし、このことをここに上程されたことは大変すばらしいことだというふうに思っております。
 そこで伺うわけでございますけれども、今申しましたとおり、我が国の現在の中小ベンチャー企業への資金供給というものは銀行融資を中心とするいわゆる間接金融に偏り過ぎている、そこでリスクマネーをいかに供給のパイプを太くするかということが極めて大事でありまして、同時に、自己資本の充実、それをしっかりやっていくことが必要だ。だから、よく税金で直間比率といいますけれども、私は、金融の直間比率を変えていくということが大事なんだ、こういうふうに思うわけでございますけれども、本法が成立をした後にこれはどんなふうな改善の道筋をたどるか、この大筋をひとつお話をいただきたいと思います。
#49
○堀内国務大臣 我が国の中小・中堅企業の自己資本比率というのは非常に低くなっておりまして、一五%未満という状態でございます。大企業におきましても日本では三〇%程度というように、これまた低いわけでありますが、米国の場合には、大企業にしましても中小企業にしましても四〇%以上のような状態を見てまいりますと、中小企業の一五%というのは余りにも低過ぎるということが言えると思います。
 これまでの右肩上がりの経済の中で、これらの企業が持っておりましたところの物的担保というものの価値が拡大をいたしてまいりまして、借り入れが比較的容易であったというときにはこれが機能ができていたわけでありますが、実際には、バブルが崩壊になりまして、技術だとかアイデアだとかいうものを有しておりましても、物的な担保がないと資金を調達できないという構造的な問題が一気に噴き出してまいりまして、そういう意味で、結局直接金融の道というものを拡大するための構造的改革が求められてくることになったというふうに思います。
 この法律案は、我が国で投資事業有限責任組合制度というものを導入をして、有限責任の担保、組合員に対する情報の開示の徹底、こういう措置を講ずることによりまして、中小・中堅企業への投資を行う投資家のすそ野を広げていこうというものでありまして、これによって恐らく我が国の中小・中堅企業への直接金融による資金供給の道を大きく広げることができるようになるだろうというふうに期待をいたしているところです。
#50
○西川(太)委員 この質問のために調査というか、ちょっと勉強してみたのですが、日本とアメリカを個人の金融資産で比較しますと、九五年末の資料しかありませんけれども、日本はよく千二百兆円の預金がある、こう言いますが、千百八十二兆円ありまして、いわゆる直接金融分に当たるものは一一・九%しかないのです。つまり、個人で保有している資産の中で、株式はわずか六・八%しかない、投資信託は二・八%、債権が二・三、こういうことであります。間接金融は八八・一%です。その中で、預貯金は五五・七、生命保険が二四・八でございます。一方、アメリカは、直接金融の資産を個人が四三二%所有しているのです。ついでに申しますと、アメリカは、日本円に直せば、今の百三十五円で換算するとおよそ二千四百三十兆ほどの預貯金を持っているのです。その中の五六・九%が間接金融でありますけれども、直接金融が四三・一%もある、これは非常に大きな問題。
 さらに、企業資金の調達に目を移すと、同じ九五年末では、我が国は九百八十三兆円調達をしておりますけれども、直接金融は、大企業も含めてですが、四七・七%。そして一方、アメリカは直接金融は九〇%、千五百兆円ほどアメリカは調達がありますけれども。こういうものを見ていくと、金融の直間比率、まさに大きな差が日米にあるということですね。
 そして、アメリカは、株式の中で新規の公開分というのが非常に金額ベースでも大きいのですね。そして特にNASDAQの関係が多いということ。一方、日本の場合には、金額ベースで、店頭公開分を見ても徐々にはふえているけれども、アメリカに比べると、やはりそうした新規の開業資金の調達の場としての証券市場というものが十分なことがなされてないというのが、私の資料を読んだ印象でございます。
 そこで、本法案は、そうした背景の中で、投資環境をよくしていくために、今までいわゆる無限責任であった組合の仕組みを、リスクマネーの供給者となる投資家にとって今までは税制のメリットがあった、それから投資家としての立場を比較的長く保持できたというメリットがあった、しかし、デメリットとしては無限責任だ、これは非常にリスクマネー、違う意味でリスキーだということであったわけでございます。
 そしてもう一つは、情報の開示が不十分だったということもデメリットとして挙げられると思うのです。これを改善していく、こういうわけでありますから、メリットが非常に大きいのだろうというふうに、これは容易に理解できます。
 そこで、お尋ねでございますけれども、今日までもエンゼルとか中小企業投資育成株式会社、それから民間のベンチャーキャピタル、こういう方々がベンチャー投資を行ってきた。ちなみに私の友人は都内で金融機関を経営しております。具体的な名前は控えますが、東京都が監督をしているレベルの金融機関であります。しかし、いろいろこれは規制の問題であったのですけれども、ここは自分で投資育成のためのシチズンバンクというのを積極的に若い組合長はつくりまして、五千万円を上限として新規の事業の方々に、しかも組合の外にいる方々に審査員になっていただいて、その審査が通りますと直ちに、可及的速やかに融資ができるようにして随分成功して、インキュベーター的な役割を果たしてきている。
 こういうことを考えますと、私どもとしては、今までも実績は上がってきた、上げてきたのですけれども、これを加速しなければならない。そういうこともあろうと思うのですけれども、今回、投資事業組合という形で投資の促進を図ろうとしているゆえんのものは何なのか、大体わかっていますけれども、通産の御見解を改めてこの場で確認しておきたいと思います。
#51
○中澤政府委員 委員まさに言われましたとおり、この投資事業組合というのは、自分ではいわゆるベンチャー企業への投資についてノウハウといいますか、能力を有しないような幅広い投資家、これはエンゼルという個人もいらっしゃいますし、機関投資家もいらっしゃると思いますが、こういうさまざまな、多様な投資家がベンチャー企業に投資を行う仕組みだったわけでございます。これまでも民法上の組合の制度としてあったわけでございますが、これが、先ほども出ておりました、無限責任である、あるいは情報開示が不十分だというふうな点で問題があったわけでございます。
 したがいまして、まさに今回の法律は、民法の特例という形で、有限責任あるいは情報開示義務の強化というような形での仕組みをつくるということでございまして、まさに現在、アメリカにおきましてのベンチャーキャピタル投資というのは、九割方がこれと同じようないわゆるリミテッドパートナーシップという仕組みによりましてやられているわけでございまして、個人から年金基金まで幅広い投資家が参加する、投資の拡大につながっていくような仕組みを入れたいと思っておるわけでございます。特に、まさに委員御指摘のように、これまでは中小ベンチャー企業は間接金融中心であったわけでございますし、またこれがバブル崩壊後の金融収縮、貸し渋りの中での今のようなかなり厳しい状態、また、ベンチャーキャピタルの方も大手企業からの資金に頼っていろいろな投資を行ってきたわけですが、それもなかなか大変になってきているということで、まさにこのような仕組み、システムを導入することによりまして、幅広い投資家からの投資が拡大するということが今緊急な課題になっているというふうに考えてございます。
 なお、参考までに、先般出させていただきました中小企業白書という中のデータにも入ってございましたが、日本にもベンチャーになる方々というのはかなりいらっしゃるというデータがございましたので、御紹介をしておきたいと思います。
 高額納税者の方々に対して過去の未上場株式への投資の経験を問い合わせたわけでございますが、三割の方々が未上場株式に投資をしたことがある、ただし、そのうち一五%の部分は縁故株であった。ただ、逆に言えば、一五%の方々は、縁故も関係も何もない未上場株式に投資をした経験があるというデータが出てございます。
 したがいまして、今回のこのような仕組みが導入されれば、このような方々も含めて幅広い投資家からの資金が流れることになるというふうに考えてございます。
#52
○西川(太)委員 中澤さんのおっしゃることはわからないじゃないのですが、次の質問にもかかわ
るのですが、さっき数字を申さなかったのですけれども、アメリカでは、いわゆる企業の公募株式発行による資金調達ですけれども、九五年の末に全体が約十三兆二千七百億円ほどある。一方、その中で、新規の公開分が約三百億ドルあって、NASDAQが百六十七億ドルある。ところが、これは金額ベースでいくと、我が東証とそのほかも入れて、店頭公開分だけでも我が方の新規公開分はわずか二千二百四十三億円しかない。向こうは兆ですよ。こっちはそこまでいっていない。それはさっき言ったとおり資産も半分ぐらいだけれども、しかしこの速度は極めて遅いですよね。それはお認めになるでしょう。
 そこで、そういう我が国と米国のベンチャー投資を比較すると、九〇年代に入ってむしろ差が開いているのじゃないか。これはもちろんそこに危機感をお持ちになってこういう法律を用意されるというか、改善策としてこういうことをやろうということになったのだろうと思いますけれども、私はこの対策を早急に講じていかなければいけないと思いますが、いかがでございましょうか。
#53
○中澤政府委員 まさに委員御指摘のとおり、大きな格差がございます。これを何とか早い時期に改善をし、できるだけその格差を小さくしていきたいというふうに考えてございまして、今回御審議をお願いしているこの法律によります新しい仕組みの導入、これによって今のような点についての格差を大きく縮小していきたいというふうに思ってございます。
#54
○西川(太)委員 ベンチャー企業を育てるベンチャーキャピタリストというのは、規制ががんじがらめにある中ではなかなか育たない。もちろん適正な業務を行って、責任があるわけでありますからきちっとやってもらわなければいけないし、先ほど私もお尋ねしようと思いましたが、太田委員からもう既にお尋ねがありましたので、いわゆる年金の義務的な積み立ての問題が、今基準が非常に危うくなっているということなどもあるわけです。
 それはちょっとこっちへ置いておいて、そうした資金を運用するという責任を負っているわけでございますから、ベンチャーキャピタルを育てようと思えば、官による規制によらず、自主的にというか、ベンチャーキャピタリストの責任をきちっと確保するための適正性といいますか、適当な言葉でないかもしれないけれども、きちっとしたキャピタリストのあり方、こういうものを明確にしておく必要があると思うのですけれども、この法律ではそれはどういうふうに理解されているのでしょうか。
#55
○堀内国務大臣 本当のベンチャー企業を育てる能力を有するベンチャーキャピタリストというものは、委員の御指摘のように、行政庁による許認可といったような規制で育てられるものではないというふうに思います。やはり民間において自由な市場競争の中から本当にすばらしい人が生まれてくるという認識で参っているところであります。
 こういう観点から、この法案の投資事業有限責任組合におきましては、業務を執行する業務執行組合員、その他の組合員について、資格要件は一切設けてございません。また、組合の設定も、当事者である組合員同士で合意をした当該組合契約、これを登記をいたしますればそれでよろしいということになっております。行政官庁の許認可等は一切必要なく、さらに投資先の企業の選定にも政府の関与は一切ないということになっております。特に、先ほど申し上げました貸し出しをするところの、貸し出しといいますか、組合員になっている当事者である組合員同士で合意した当該組合契約を登記するというところに大きな基準を定めているところであります。
 一方では、組合の業務を執行する業務執行組合員は、非常に多くの投資家の資金を運用する責任というものを負うことになりますために、御指摘のとおり、その業務の適正性が要求されることになってまいります。
 これにつきまして、この法案におきましては、業務執行組合員に対しましては、組合の財務諸表や業務報告書、そういうものの作成を義務づけることが措置されておりまして、組合運営の透明性を高めていくことを保っているわけであります。いわゆる善管注意義務というものに反した場合、一般の有限責任組合員による業務執行組合員の解任権等を確保する等の措置によりまして、組合の適正な運営を担保することにいたしております。
#56
○西川(太)委員 ベンチャー育成をするためには、ステージに応じた総合的な施策が必要でございまして、これは通産省は非常に努力をしてこられたと思います。
 この国会でも、大学と産業界の技術の交流であるとか、それから特許技術の情報の流通の促進とかストックオプション制度、これは大蔵等の関係もある。そして先ほどもお話があった、労働省の職安法の規制緩和で、いわゆる経営のエキスパート、人的資源をベンチャーに供給する。
 エンゼル投資家による企業支援から始まって、今通産が用意してこられたステージに応じたそうした政策の中で、この年金等による多様な投資家によるベンチャー投資を促進していくというのは、それら一連の政策の極めて重要なベースになる、ジョイントになる。そういう意味で、私はこの法律は、大勢与党幹部のいるところで憎らしいことを言って怒られるけれども、あえて言わせてもらえば、根本的な改革をしない橋本内閣のマイナーチェンジの中では、マイナーと言えない非常に重要な改革であるというふうに思って評価をするわけでございます。
 そこで、いよいよ質問のまとめに入りたいと思いますが、質問は二つあるのですね。
 こういう努力をされながら、同時に間接金融も、これは当面これが育つのを待っている間に干上がってしまいますから、やはり間接金融もしっかりやっていただかなければならぬ。これはもう既に緊急経済特委で大臣にお尋ねをし、太田さん同様御丁寧な答弁をいただいておりますけれども、これはひとつさらにやっていただきたい。
 それからもう一つは、実績が上がっているということをもっと公表するべきだと思うのですね。起業家精神というものを育てていく、中小企業の元気をつけるには、若い人たちが、こういう成果が上がっているんだよ、この政策によって、こういう直接金融の仕組みによってこれから大きく伸びるんだよ、こういうことが全国的にわかる必要があると思うのです。
 特に、通産省が、十二の分野でしたか、医療であるとか通信であるとか、そういう分野で比較的成功している例というのは、いろいろな雑誌を読むとあります。だから、今までもそうだったけれども、こういうものが伸びるよ。今までは若い会社が公開するのにたしか平均二十八年かかっているのですよ。それが縮められて、今二十五年になっている。しかし二十五年たたなければ店頭公開できないというのでは、これは今の日本経済を元気にするには遅過ぎる。十年未満で店頭に公開できるような方向に持っていくことがこの法律案の目的だろうと思うのです。
 既にこういう先例があるのだということを通産は十分研究しておられると思うのですけれども、私はそういうものをもっと公表してほしい。私どもも、こういう機会にお尋ねしなければ余りそういうものを存じません。これをもっと世の中に、こんなふうに若い会社が健全に育っているんです、それを育てるためにこういう努力が必要なんですということをぜひおっしゃっていただきたいと思うわけでございます。
#57
○林(康)政府委員 ぜひ成功事例等について公開して、世の中に知らしめて、次から次へと新しいベンチャーの種が育つようにという御指摘だと思います。全く同感でございまして、日本におきましても、ベンチャー投資を受けてかなり有望な企業が育っているわけでございまして、例示的に申し上げますと、例えば事業基盤が確立している株式公開企業の例として、アンテナ等の精密機器製造業のマスプロアンテナ、あるいはスポーツ用具等の製造業のアシックスなどもその一つでござい
ます。また、最近株式公開をした有望企業の例としては、インターネット検索機能で有名なヤフーとか、あるいはワープロソフトの一太郎などで有名なジャストシステム、格安航空券の販売で脚光を浴びているエイチ・アイ・エスなどもございます。
 このような企業の特徴として、投資事業組合などから投資を受けて事業を拡大して、創業をしてから割合に早い段階での株式の店頭公開や上場を果たしているということが共通しておるわけでございます。ちなみに、我が国の九七年における新規店頭公開企業のうち、約七七%がベンチャー投資を受けて事業を拡大してきている状況にございます。
 御指摘のように、こういった成功事例が世の中に知れるにつれて、若い人たちが、おれもやってみようというような意欲を持って、アメリカと同様に次から次へと、大企業に就職するよりは新しい事業を自分で起こして成功したいという気持ちがきっと社会的にも普及してくるのではないか、そういう期待をしておりまして、御指摘のように、こういった世の中に知らしめるという点の努力を一生懸命やっていきたいと思っております。
#58
○西川(太)委員 日本の間接金融は、銀行同士の株の持ち合いが強かったりして、それがかえって直接金融市場、特に株式市場の健全な発展を阻害したりしているということがあります。今のように規制をどんどん緩和をしていく中からこういう知恵も出てくるし、すばらしい成果が上がるわけでございますから、大いに努力していただきたいというふうに思います。
 最後に一点、懸念は、例えば今までこうした中小企業投資育成会社または民間のベンチャーキャピタル等で支援を受けて公開をした中には、いわゆるスーパーマーケットも何社かあるのです。そういうスーパーマーケットが、地元の商店街と事を起こしているということも事実あるのです。私はそういう事例も幾つか承知しておりますけれども、申し上げたいことは、せっかく中心市街地活性化法や大店立地法でそういう問題を審議して、一方で何の基準も規矩も持たずに何でもかんでも野方図に育ててしまうというのじゃなくて、やはり通産としてはきちっとした方向性を、つまり基準を設けて企業投資をやっていただきたいということを要望をいたしまして、この法律案に賛成をする立場で質問をさせていただきました。
 どうもありがとうございました。
#59
○斉藤委員長 次に、大森猛君。
#60
○大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 我が国経済が今大変な危機的な状況を迎えておる中で、先ほどもありましたが、雇用の面でも史上最悪、三・九%の完全失業率という状況を迎えております。こういう中で、今回の法案が、ベンチャー企業の支援のため、こういう形で提案をされたわけであります。通産省の「投資事業組合制度の改革に向けて」、この説明ペーパーによりますと、バブル崩壊後、「廃業率が開業率を上回り、ネットで企業数が減少するという、かつてない事態に陥っている。」かかる状況下、我が国経済のダイナミズムを回復するためには、ベンチャー企業の育成が最重要課題だ、こうされているわけです。
 これに対して、米国の方はどうか。これは、中小企業庁のベンチャー資金調達環境整備研究会報告書でありますけれども、「米国においては、八〇年代に新規産業創出のための環境整備を実施したことにより、情報通信分野を中心に米国を代表するベンチャーが次々と誕生じ、大企業が八〇年代に三百七十万人の人員削減を実施したのに対し、ベンチャー企業は、千九百万人の雇用を創出したということが言われている。」このように書かれております。
 いろいろな形で書かれておりますが、まず、ベンチャー企業、これは一体どういうものかという点、ちょっとお聞きをしたいと思います。
#61
○中澤政府委員 ベンチャー企業の定義というのは、これはなかなかいろいろな議論があって難しいわけでございますが、今回のこの審査をお願いしている法案におきましてはベンチャー企業という言葉は使ってございませんが、説明資料などでは使ってございます。簡単に誓えば、新しい技術とか新しい取引条件とか新しいサービスの試み、いろいろな新しい試みをやることによって、新しい製品をつくる、あるいは新しいサービスを提供するといったような事業をやる新たに起こってくる会社、あるいは現在ある会社であっても、そのようなものを新たな分野に展開しようとする会社というふうに理解してございまして、多くは中小企業、一部中堅企業もあるというふうに理解しております。
#62
○大森委員 大臣も、この法案の参議院の委員会での審議の中で、ベンチャービジネスという定義が明確でない趣旨のことも述べておられるわけなんですが、先ほどの研究会の報告で雇用創出と述べておりましたけれども、例えばこれは、東洋経済、ことしの二月二十一日号に掲載された国民金融公庫総合研究所所長の浦田秀次郎氏の研究報告ですけれども、「国民金融公庫では、昨年米国を訪問して、創業企業の実態や創業支援策を調査した。」ということを踏まえた上での報告ですが、例えば雇用拡大の関係で、「八三年から九三年の間に雇用者数は二千百八十万人増加したが、このうち八割強に相当する千八百十万人は中小企業によってもたらされた。」先ほどの数字に合っているわけなんですが、さらに、これからの状況の第一の特徴として「創業が増えている業種は、ハイテク分野ではなく飲食店やサービスなど従来型の業種だということである。実際に雇用拡大が大きい業種を見ると、飲食店や個人病院・託児サービスなど従来型の業種が上位を占めている。」こういうアメリカの実態を報告されているわけですね。
 ですから、先ほど、雇用創出千九百万というのがベンチャー企業かのように研究会報告されているわけなんですが、実際には中小企業とほぼ同意の言葉じゃないか、このように思うわけです。そういう意味では、ベンチャー神話論じゃないのですが、ベンチャー美化論的な傾向がやはりあるのじゃないかと思います。
 さらに、法案の説明ペーパーで、「中小・ベンチャー企業の創業にとって重要なのは、資金・人材・技術の三要素。」「特に創業期の中小・ベンチャー企業は、担保なしのリスクマネーの供給体制の整備が最重要課題」、このために今回の投資事業組合法の創設ということをうたわれているわけです。
 そこで、日本のベンチャーキャピタルと投資事業組合の投資先企業のステージ、段階別投資割合はどうなっているのか、アメリカとの比較でお答えいただきたいと思います。
    〔委員長退席、小此木委員長代理着席〕
#63
○中澤政府委員 ベンチャー投資先企業のステージごとの日米比較の御質問でございます。
 日本については九五年度、アメリカにつきましては九五年の数字で比較いたしますと、設立五年未満、いわゆる初期段階のステージというものの投資件数、我が国ではシェア一八%、アメリカでは六六%でございます。設立五年目から十年目まで、いわゆる発展段階と言われておりますステージの投資シェアでございますが、日本が一九%、アメリカが二五%、設立十年目以降、いわゆる後期段階と言われておりますが、これは我が国が六三%、アメリカが九%というふうになっております。
#64
○大森委員 今のお答えでも明らかなように、日本の場合、アメリカと比較しても、レークー、十年以上あるいは二十年以上というところにかなり偏ったということになっているわけですね。それを、今回の法案によって創業期のベンチャー企業の支援へとこれを変えていくことができるのか、できるとすれば、その根拠をお示しいただきたいと思います。
#65
○中澤政府委員 本法案、御審議いただいている法案が制定されますと、投資事業組合について、今の民法上の組合についての問題点というのがまず解決するわけでございます。これによりまして、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたが、
よりすそ野の広い投資家の方々、個人投資家、海外の投資家、年金の方々も含めまして、こういうすそ野の広い投資家の方々から出資が促進されるということによりまして、いわゆるベンチャー企業への投資資金の量が大きくなってくるというふうなことがございまして、まさに、そういう点からも、アーリーステージのベンチャー企業への投資がより活発になっていくというのがございます。
 ただ、もう一つ、そのベースに、先ほど五年未満のいわゆるアーリーステージへの投資が日本とアメリカで比較して大分違うという御説明を申し上げましたけれども、この点につきましても、やはり日本のベンチャーキャピタルがある意味では発展途上にあったということも原因だろうと思いますし、また、いわゆる公開間近企業という案件もそれなりにあったということだろうと思いますが、日本のベンチャーキャピタル業界も投資ノウハウが向上してまいりましたし、また、実は率直に申し上げまして、公開間近の企業の発掘というのはなかなか大変になってきておりまして、その辺も相まちまして、アーリーステージへの投資の割合というのは徐々にもう既に高まってきております。
 先ほど九五年の数字を申し上げましたけれども、九六年の数字を申し上げますと、日本だけしか比較できないのですが、設立五年未満の企業への投資件数というのは二二%になっています。先ほど申し上げましたのが一八%でございますので、四%ではありますけれども、徐々にそういう形で上がってきている。そういう中で、この投資組合制度によってさらにいろいろな投資家の資金が流れていくような形で、アーリーステージの企業への投資が進んでいくものというふうに理解してございます。
#66
○大森委員 今度の法案の仕組みによってアーリーステージへの移行というのが促進される根拠という点で、やはり今不明確に受け取れましたし、全体として、どちらかといえば希望的観測が強いのじゃないかという印象を非常に持つわけですね。
 日米のベンチャーキャピタルの実態を見ても、そういう期待が本当に果たされるかという点で非常に懸念、疑問があるわけですね。先ほど大臣自身の御答弁でもありましたように、日本の銀行が、当初の企業家精神、これが失われて、安定したところにしか融資などを行わない。そういう銀行系あるいは生損保系、いわゆる全体として金融系がそのバックについているのが日本のベンチャーキャピタルの七二%を占める、七十数%を占める。これに対して、アメリカの場合、個人、複数も含めて個人、こういう独立系が八割近くを占める。こういうこととか、これは、さらに日本のベンチャーキャピタルの設立母体を見てもそういうことが言えるのではないかと思います。上位十社のうち上位三社は、例えば日本合同ファイナンス、これを見ても、野村証券、これが出資元、日本インベストメントファイナンス、これは大和証券、三位の富士銀キャピタルは富士銀行ということで、大手の金融機関、証券会社がバックについている。全体として、これはもう大臣自身がおっしゃった、そういう安定したところ、つまり、公開直前とかそういうレーターのステージの、そういう全体の流れの中での日本のベンチャーキャピタル、日本のベンチャーキャピタルだけをそういう全体の構造の中で別に見ることはできないのではないかと思います。
 さらに言えば、日本のVC上位十社の投資残高、これを見ますと、上位十社でシェアが何と六四・五%、上位二十社ですと、これは約八割にも相当しているわけですね。
 もともと、ベンチャーキャピタル、これは中小企業白書でも定義をしておりますけれども、要するに「その株式価値を増大することでキャピタルゲインを得ることを目的とする事業者である。」こういうことを考えますと、幾らリスクマネーを大量に供給しても、どうしてアーリーステージへの投資促進が保障されるのか、やはり疑問点は払拭することができないと思いますけれども、この点、どうでしょうか。
    〔小此木委員長代理退席、委員長着席〕
#67
○中澤政府委員 今委員御指摘のとおり、ベンチャーキャピタルの大手の中には、銀行とか証券との資本関係のある会社もございます。ただ、これは委員も御案内かと思いますが、独禁法十一条というのがございまして、銀行や証券会社による株式保有の制限がございます。銀行、証券会社については五%以上持ってはいけない、保険会社については一〇%以上持ってはいけないという形でございまして、先生が言われましたジャフコ等々につきましても、そういう意味では五%以上野村証券は持てないというふうな事態で、ほかの銀行などもみんな同じでございます。
 したがいまして、今まで銀行あるいは証券の資本関係のあるベンチャーキャピタルというのが大手であったのは、まさに、今までの銀行というその営業ノウハウあるいは証券、株式公開等のノウハウを持った会社が、そういう形での資本関係のあるところでベンチャーキャピタル業務をやっていたということでございますが、先ほども他の先生の御質問にお答えいたしましたけれども、今回のこの法案で、情報開示ということをかなり徹底してベンチャーキャピタルに義務づけるわけでございます。さらにその中で、時価評価というような形も入れていくわけでございます。
 そういう条件を整えて、海外の投資家あるいは個人の投資家からベンチャーキャピタルを選択できるようにやっていくということでございまして、全体、この法律を御了承いただいて、通って、そのスキームができたときに、多くの投資資金が組合という形態を通じて入っていくときに、まさに、単に大手の金融関係会社と資本関係があるからといっただけでそこが選択されるということではない。
 逆に言えば、これまでとの比較でいえば、この法律の仕組みが導入されれば、そうでない、今でもふえてきておりますスピンアウトした人、ベンチャーキャピタリストがやっているそのベンチャーキャピタル等々の方々がファンドを創設し、いいパフォーマンスを上げ、それを情報開示をしていけば、相対的にそちらの方々がより強くなるというふうなことを促進する法律でもあるわけでございまして、その辺、御理解いただきたいと思います。
#68
○大森委員 質問の終了時間が参りましたけれども、あと一問だけお願いをしたいと思います。
 法案では、対象企業を五億円、一千人としておりますけれども、これで果たして創業期の中小企業と言えるのかという点でありますけれども、中小創造法では、創業五年未満の中小企業と限定しております。なぜ対象を限定しないのか。
 ちなみに、東京、名古屋、大阪の中小企業投資育成会社の実績で見ると、例えば大阪の金属製品製造業、ここは投資直前資本金が五千万円、それから上場直前の資本金が七億円と、十四倍になっているわけですね。これは、四十七社のこの実績を見ますと、少なくても大体六、七倍から、多いのは百五十倍ぐらいになるわけですね。五億円から始まれば、それがもう十数倍になれば数十億円ということになって、創業期の中小企業ととても言えないのではないか、このように思いますが、この点、いかがでしょうか。
#69
○林(康)政府委員 お答え申し上げます。
 本法案はベンチャー投資を促進するという大きな目的のためでございますので、中堅企業の一部についても投資対象に含めることとしたわけでございますが、これは、我が国において、中堅金業の自己資本比率は中小企業並みに低いと先ほど大臣から答弁申し上げたとおりでございます。一五%に満たない。中堅企業も中小企業と同様に物的担保不足に悩まされておりまして、借り入れによる資金調達が大変困難であるという理由から、中堅規模の企業につきましても、投資によるリスクマネーを供給する必要性が極めて高いと判断したことによるわけでございます。
 こういった範囲を拡大することによりまして、
ベンチャーの育成あるいはベンチャー投資の進展が図られると確信をいたしておるわけでございます。
#70
○大森委員 終わります。
#71
○斉藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#72
○斉藤委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。大森猛君。
#73
○大森委員 私は、日本共産党を代表して、中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律案に対して、反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、本法案が中小企業の名を冠してはいるものの、その本質は、我が国の金融系ベンチャーキャピタル及びその設立母体である大銀行、大手証券等の要求にこたえて、ハイリスク・ハイリターンの未公開株式の市場において、キャピタルゲインを大量に獲得、分配するための仕組みづくりであるからです。また、投資対象となり得る中小・中堅企業も公開予定のほんの一部の優良企業に限られ、圧倒的多数の貸し渋りに苦しむ中小零細企業にとっては、ほとんど無縁のものであります。
 第二に、政府は創業期の中小・ベンチャー企業を支援することを口実にしていますが、我が国のベンチャーキャピタル投資の実態は、米国と異なって、創業期ではなく、公開直前のレーターステージ、後期段階の投資に大きく偏っており、また、中小企業を創業、育成する本来の姿から大きく逸脱しており、こうした我が国ベンチャー支援のゆがみを是正しないまま、投資資金量だけをふやすことは、そのゆがみを一層拡大することになりかねないからであります。
 第三に、投資事業組合が、その最大の資金調達源として予定する年金資金を元本保証のないリスクの大きな投資に巻き込む受け皿づくり、条件整備となるものだからであります。
 最後に、創業期の中小・ベンチャー企業に対する金融、投資支援策としては、我が党も賛同してきた中小創造法その他に基づく投資、融資、債務保証などの多様な支援策があり、これらを、中小零細企業の願いや要望に沿った一層の運用の改善を図ることを要求して、反対討論を終わります。(拍手)
#74
○斉藤委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#75
○斉藤委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、参議院送付、中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#76
○斉藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#77
○斉藤委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#78
○斉藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#79
○斉藤委員長 次回は、公報を持ってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時九分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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